(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電池性能の向上をもたらす複合材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/587 20100101AFI20240927BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M4/587
H01M4/36 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519908
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022081240
(87)【国際公開番号】W WO2023108106
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506229844
【氏名又は名称】アスペン エアロゲルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】レドゥアン ベガグ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス レベンティス
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス エー.ザフィロポーロス
(72)【発明者】
【氏名】ウェンデル イー.ライン
(72)【発明者】
【氏名】テッド ホーサン リー
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA07
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
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5H050CB11
5H050CB12
5H050EA02
5H050EA08
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5H050FA17
5H050FA18
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA19
(57)【要約】
本明細書では、電気エネルギー貯蔵システム(たとえば、大容量電池)で使用する複合材料及びそれを調製するための方法が提供される。本開示の複合材料は、多孔質外面を有する炭素系コアと、コアの多孔質外面の少なくとも一部上のコーティングとを含む。そのようなコーティングは、(i)少なくとも1種の金属イオンまたは金属原子に対して実質的に透過性であり、(ii)液体に対して実質的に不透過性である材料から作製される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー貯蔵システムで使用する複合材料であって、
a.多孔質外面を有する炭素系コアと、
b.前記炭素系コアの前記多孔質外面の少なくとも一部上のコーティングであって、前記コーティングは、(i)少なくとも1種の金属イオンまたは金属原子に対して実質的に透過性であり、(ii)液体に対して実質的に不透過性である、前記コーティングと、
を含む、前記複合材料。
【請求項2】
前記液体は電解質溶媒を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記電解質溶媒は、炭酸エチレン(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、炭酸フルオロエチレン(FEC)、フッ素化エーテル(F-EPE)、1,3-ジオキソラン(DOL)、ジメトキシエタン(DME)、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項2に記載の複合材料。
【請求項4】
少なくとも1種の金属イオンはリチウムイオンである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項5】
少なくとも1種の金属原子はリチウム原子である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項6】
前記コーティングは、厚さが約2,500nm以下であるか、または厚さが約100nm~約2,000nmであるか、または厚さが約200nm~500nmである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項7】
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記多孔質外面内に延びる、請求項1または請求項6に記載の複合材料。
【請求項8】
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記多孔質外面内に、約2,500nm以下、または約100nm~約2,000nm、または約200nm~500nmだけ延びる、請求項7に記載の複合材料。
【請求項9】
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記多孔質外面の少なくとも一部上で均一である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項10】
前記コーティングは、前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部上で連続である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項11】
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部は、前記多孔質外面の少なくとも70%、前記多孔質外面の少なくとも90%、または前記多孔質外面の少なくとも95%である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項12】
前記コーティングは導電性材料を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項13】
前記導電性材料は、非導電性材料の前駆体から形成される、請求項12に記載の複合材料。
【請求項14】
前記導電性材料は炭素である、請求項12または13に記載の複合材料。
【請求項15】
前記非導電性材料はポリマーである、請求項13に記載の複合材料。
【請求項16】
前記導電性材料は、第1の導電性材料の前駆体から形成される、請求項12に記載の複合材料。
【請求項17】
前記第1の導電性材料は、金属または遷移金属から選択される、請求項16に記載の複合材料。
【請求項18】
前記コーティングは、有機分子、ポリマー、金属、遷移金属、非金属、金属有機構造体(MOF)、またはそれらの組み合わせから選択される材料を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項19】
前記ポリマーは、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリイミド、ポリアミド、またはそれらの誘導体の群から選択される、請求項18に記載の複合材料。
【請求項20】
前記コーティングはポリアクリロニトリル(PAN)を含む、請求項18に記載の複合材料。
【請求項21】
前記有機分子、前記ポリマー、または前記それらの組み合わせは炭化される、請求項18に記載の複合材料。
【請求項22】
前記コーティングは炭化ポリアクリロニトリル(PAN)を含む、請求項18に記載の複合材料。
【請求項23】
前記コーティングは炭素系コーティングである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項24】
前記炭素系コーティングはピッチに由来する、請求項23に記載の複合材料。。
【請求項25】
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記細孔内に浸透する、請求項1に記載の複合材料。
【請求項26】
前記炭素系コアは低バルク密度を有し、前記低バルク密度は約0.25g/cc~約1.0g/ccの範囲である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項27】
前記炭素系コアは骨格フレームワークを含み、前記骨格フレームワークは、相互接続された細孔のアレイを含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項28】
前記炭素系コアは、細孔容積が少なくとも0.3cc/gである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項29】
前記炭素系コアは、多孔度が前記コアの体積の約10%~約90%である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項30】
前記炭素系コアはモノリスである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項31】
前記炭素系コアは粒子の形態である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項32】
前記粒子は実質的に球状であり、直径が約100nm~約4mm、または約5μm~約4mmである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項33】
前記炭素系コアは、炭素系エアロゲル、炭素系キセロゲル、炭素系アンビゲル、炭素系エアロゲルキセロゲルハイブリッド材料、炭素系エアロゲルアンビゲルハイブリッド材料、炭素系エアロゲルアンビゲルキセロゲルハイブリッド材料、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項34】
前記炭素系コアは、活性炭、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、熱分解炭素、黒鉛、グラフェン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項35】
前記炭素系コアは1つ以上の添加物を含み、前記添加物は、前記複合材料の少なくとも約5~60重量パーセントのレベルで存在する、請求項1に記載の複合材料。
【請求項36】
前記添加物は、1種以上の電気化学的に活性なドーパントを含む、請求項34に記載の複合材料。
【請求項37】
前記電気化学的に活性なドーパントは、シリコン、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、金、銀、亜鉛、マグネシウム、白金、及びアルミニウムからなる群から選択される、請求項35に記載の複合材料。
【請求項38】
前記コーティングは導電性添加剤を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項39】
前記導電性添加剤は、炭素、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛、金属、金属酸化物、炭化ケイ素、またはそれらの組み合わせを含む、請求項37に記載の複合材料。
【請求項40】
前記炭素系コアは、容量が約200mAh/g~約3000mAh/gである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項41】
前記炭素系コアは、導電率が少なくとも約1S/cmである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項42】
前記コーティングは、導電率が少なくとも約1S/cmである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項43】
前記エネルギー貯蔵システムは電池である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項44】
前記電池は充電式電池である、請求項42に記載の複合材料。
【請求項45】
前記充電式電池はLiイオン電池である、請求項43に記載の複合材料。
【請求項46】
先行請求項のいずれか1項に記載の複合材料を含む充電式電池。
【請求項47】
先行請求項のいずれか1項に記載の複合材料を前記充電式電池に組み込むことを含む充電式電池の性能を向上させる方法。
【請求項48】
請求項1~45のいずれか1項に記載の複合材料を調製する方法であって、
a.外面を有する炭素系コアを用意することと、
b.前記炭素系コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングすることによって前記複合材料を得ることと、
を含む、前記方法。
【請求項49】
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングするステップの前に、亜臨界または超臨界乾燥させるステップをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングする前記ステップの後に、亜臨界または超臨界乾燥させるステップをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングする前記ステップと、前記亜臨界または超臨界乾燥させるステップとの間に、炭化ステップをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングする前記ステップの後に、第2の炭化ステップをさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記複合材料の前記亜臨界または超臨界乾燥させるステップの後に、炭化ステップをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングする前記ステップは、凝固プロセスを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングする前記ステップは、スプレーコーティングプロセスを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項56】
前記スプレーコーティングプロセスは、噴霧供給を用いる高速スプレー乾燥法を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングする前記ステップは、浸漬コーティングプロセスを含む、請求項47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、発明の名称「COMPOSITE MATERIALS PROVIDING IMPROVED BATTERY PERFORMANCE AND METHODS OF MANUFACTURE THEREOF」である米国仮出願第63/287,600号(2021年12月9日に出願)及び第63/385,845号(2022年12月2日に出願)に対する優先権及びその利益を主張する。両出願の内容は、その全体において参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は全般的に、電気エネルギー貯蔵システムの性能を向上させるための組成物及び方法に関する。具体的には、この技術は、たとえばリチウムイオン電池内の電極材料として、大容量電池材料で使用するのに適した複合材料に関する。より具体的には、本開示内容は、炭素系コアと、コーティングであって、(i)少なくとも1種の金属イオンまたは金属原子に対して実質的に透過性であり、(ii)液体に対して実質的に不透過性である材料から作製されたコーティングと、を含む複合材料に関する。
【背景技術】
【0003】
大容量電池材料、たとえばリチウムイオン電池は、動力駆動及びエネルギー貯蔵システムにおいて幅広い用途がある。リチウムイオン電池(LIB)は、従来の電池と比較して、その高い動作電圧、低いメモリ効果、及び高エネルギー密度のために、携帯用電子装置、たとえば、携帯電話、タブレット、ラップトップ、電動工具、及び他の高電流装置、たとえば、電気自動車に電力供給する際に広く使用されている。
【0004】
LIBの電気化学セルは、主に、正極、負極、リチウムイオンを伝導することができる電解質、正極と負極とを電気的に分離するセパレータ、及び集電体から構成される。LiCoO2(LCO)、LiFePO4(LFP)、LiMn2O4(LMO)、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2(NCA)及びLiNixCoyMnzO2(NMC)が、Liイオン電池において広く使用されている5つのタイプのカソード材料である。これら5種類の電池が、今日の電池市場における市場占有率の大部分を占めている。電解質は、リチウム塩を、特定の溶媒(主に、炭酸エチレン(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)を含む)に溶解させたものからなる。またリチウム塩は、通常、LiClO4、LiPF6、LiBF4、及びLiBOBから選択される。セパレータ材料は、一般的に、ポリオレフィン系樹脂材料である。ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)微多孔膜が、セパレータとして市販のリチウムイオン電池において広く使用されている。アルミ箔が通常、正極用の集電体として使用され、銅箔が負極用に使用される。炭素系材料(硬質炭素及び黒鉛を含む)が、現在、市販のリチウムイオン電池の大部分の負極における活物質に対する主な選択である。他の新規な負極材料、たとえば、チタン系の酸化物、合金/脱合金材料、及び変換材料も、詳しく調べられており、優れた電気化学性能を示している。
【0005】
通常の動作下では、リチウムイオンは、電解質及びセパレータを通って、一方の電極から他方へ、拡散及び移動を介して移動する。LIBを充電(脱リチウム化)すると、電解質溶液中のリチウムイオンがカソードからセパレータを通って移動し、アノード内に挿入される。電荷バランシング電子もアノードに移動するが、外部回路を通って移動して、装置(コンピューター、携帯電話、電気自動車など)に電力供給する。放電(リチウム化)の際に、逆のプロセスが起こり、電力供給されている装置を通って電子が流れる。
【0006】
リチウム化及び脱リチウム化プロセスの間、アノード及びカソードは、充放電中に寸法変化を受け、これはセルの膨張につながる可能性がある。したがって、セルにおいて使用される材料(たとえば、電極材料)は通常、繰り返し中に大きな体積変化を受け、その後、セルに大きな応力を与える可能性がある。たとえば、シリコンは、リチウム化中に最大で300%の典型的な体積変化を有し、一方で、黒鉛は、ほぼ10%の体積膨張を有する。結果として得られる応力により、電極材料の表面及び粒界割れが起こる可能性があり、電極粒子の粉砕、ならびに固体電解質相間(SEI)層の形成及び成長のための新しい表面の形成につながる。結果として、電極の完全性を破壊するこれらの応力は、容量及び電力フェードをもたらし、電池の不十分なサイクル寿命及び性能の原因となる。
【0007】
これらの機械的劣化メカニズムは、化学的劣化と強く結合し、リチウムイオン電池のサイクル寿命に大きな影響を及ぼすことが分かっている。膨潤の効果は、より高い体積膨張を有するより高い容量の材料(たとえば、シリコン)が電池電極に組み込まれるにつれて、ますます重要になる。
【発明の概要】
【0008】
本明細書で開示する実施形態は、改良された電池コンポーネント、それから作製された改良された電池、及びそれらを製造及び使用する方法を提供することによって、上記で特定された問題及び欠陥のうちの1つ以上に対処する。しかし、本開示は、多くの技術領域における他の問題及び欠陥に対処する際に有用であることが分かり得ると考えられる。したがって、特許請求の範囲に記載された主題は、本明細書で説明する特定の問題または欠陥のいずれかに対処することに限定されると、必ずしも解釈すべきではない。
【0009】
本開示の目的は、性能(たとえば、サイクリング安定性、たとえばリチウムイオン電池などの大容量電池の電池寿命)を向上させるための以前の方法及び材料の少なくとも1つの欠点を取り除くかまたは軽減することである。
【0010】
1つの全般的な態様では、本開示によって、電気エネルギー貯蔵システム、たとえば、リチウムイオン電池で使用する複合材料が提供される。本開示の複合材料は、有利なことに、充放電中の電極材料の体積膨張(膨潤)を抑制または軽減し、これによって、電池の性能(たとえば、容量、寿命、サイクリング安定性、またはそれらの組み合わせ)が向上され得る。
【0011】
1つの全般的な態様では、本明細書で開示した複合材料は、多孔質外面を有する炭素系コアと、炭素系コアの多孔質外面の少なくとも一部上のコーティングとを含む。本開示のコーティングは、(i)少なくとも1種の金属イオンまたは金属原子に対して実質的に透過性であり、(ii)液体に対して実質的に不透過性である材料から作製される。本明細書で開示したコーティングは、電池セル(たとえば、Liイオン電池セル)の電解質が炭素系コアに浸透するのを防止するバリアとして働き得る。炭素系コアは、電極のコンポーネントとして使用することができる。コーティング(液体に対して実質的に不透過性である)は、充放電プロセス中の炭素系コアの膨潤を抑制または軽減する。理論に束縛されるものではないが、コアの膨潤が抑制または軽減されると、電池性能が向上する。
【0012】
別の態様では、本開示のコーティングは、炭素系コアの多孔質外面上での固体電解質相間(SEI)の連続形成を軽減する。
【0013】
本技術の複合材料によって、リチウムイオン電池の性能を、本開示の複合材料を有しない電極を有するリチウムイオン電池と比べて向上させることができる。
【0014】
炭素系エアロゲルは、使用する前駆体材料及び/または方法に応じて調整または修飾することができる特性(たとえば、細孔容積、細孔サイズ分布、モルフォロジーなど)を有することができる。一態様では、本開示は、高エネルギー電池用のリチウム金属アノードなどのエネルギー貯蔵装置における用途に対する性能の向上を伴う電極材料として、コーティングされた炭素系エアロゲルを使用する。
【0015】
Liイオン電池などの大容量電池において本技術の複合材料を使用することによって、いくつかの利点が得られる。たとえば、(i)充放電プロセス中の電極膨潤なしに活物質の膨張を行うための体積を提供すること、(ii)電極活性粒子間の電子輸送を促進する導電性媒体を提供すること、(iii)電極表面の電気化学的特性を変化させる電極表面化学的性質を変更して、安定性及び性能を向上させること、(iv)電解質還元を抑制してコア上にSEIを形成する物理的保護バリアを提供することによって、電池性能を向上させることである。本明細書で開示したいくつかの複合材料は、性能のすべての態様を向上させ得る。他は、性能の1つまたは複数の(しかし、すべてではない)態様を向上させ得る。
【0016】
一態様では、電気エネルギー貯蔵システムで使用する複合材料が本明細書で提供される。複合材料は、多孔質外面を有する炭素系コアと、炭素系コアの多孔質外面の少なくとも一部上のコーティングとを含み、コーティングは、(i)少なくとも1種類の金属イオンまたは金属原子に対して実質的に透過性であり、(ii)液体分子に対して実質的に不透過性である。
【0017】
いくつかの例では、液体分子は電解質溶媒を含む。いくつかの例では、電解質溶媒は、炭酸エチレン(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、フッ素化エーテル(F-EPE)、1,3-ジオキソラン(DOL)、ジメトキシエタン(DME)、エチルメチルカーボネート(EMC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、亜硫酸エチレン(ES)、亜硫酸プロピレン(PS)、亜硫酸ジエチル(DES)、ガンマブチロラクトン(BL)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル(EP)、酢酸メチル(MA)、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0018】
いくつかの例では、少なくとも1種の金属イオンはリチウムイオンである。いくつかの例では、少なくとも1種の金属原子はリチウム原子である。
【0019】
いくつかの例では、炭素系コアの多孔質外面の少なくとも一部上のコーティングは厚さを有し、厚さは約2,500nm以下である。いくつかの例では、炭素系コアの多孔質外面の少なくとも一部上のコーティングは、厚さが約100nm~約2,000nmであるか、または厚さが約200nm~500nmである。いくつかの例では、コーティングは、炭素系コアの多孔質外面内に延びる。いくつかの例では、コーティング炭素系コアの多孔質外面内に、約2,500nm以下、または約100nm~約2,000nm、または約200nm~500nmの深さで延びる。いくつかの例では、コーティングは、コアの多孔質外面の少なくとも一部上で均一である。いくつかの例では、コーティングは、コアの多孔質外面の少なくとも一部上で連続である。いくつかの例では、コアの多孔質外面の少なくとも一部は、外面の少なくとも70%、外面の少なくとも90%、または外面の少なくとも95%である。いくつかの例では、コーティングは導電性材料を含む。いくつかの例では、導電性材料は、非導電性材料の前駆体から形成される。いくつかの例では、導電性材料は炭素である。いくつかの例では、非導電性材料はポリマーである。いくつかの例では、導電性材料は、第1の導電性材料の前駆体から形成される。いくつかの例では、第1の導電性材料は、金属または遷移金属から選択される。いくつかの例では、第1の導電性材料は、炭素材料から選択される。いくつかの例では、導電性材料は、ピッチ由来の炭素、たとえば軟質炭素である。いくつかの例では、第1の導電性材料の前駆体はピッチを含む。
【0020】
いくつかの例では、コーティングは、有機分子、ポリマー、金属、遷移金属、非金属、金属有機構造体(MOF)、またはそれらの組み合わせから選択される材料を含む。いくつかの例では、ポリマーは、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリイミド、ポリアミド、またはそれらの誘導体の群から選択される。具体的な例では、コーティングはポリアクリロニトリル(PAN)を含む。いくつかの例では、有機分子、ポリマー、またはそれらの組み合わせは炭化される。一例では、コーティングは炭化ポリアクリロニトリル(PAN)を含む。いくつかの例では、コーティングは炭素系コーティングである。いくつかの例では、炭素系コーティングはピッチに由来する。すなわち、いくつかの例では、コーティングは、ピッチ由来の炭素コーティングである。一例では、ピッチ由来の炭素コーティングは、軟質炭素を含む。
【0021】
いくつかの例では、コーティングは、炭素系コアの細孔内に浸透する。いくつかの例では、炭素系コアは低バルク密度を有し、低バルク密度は、約0.25g/cc~約1.0g/ccの範囲である。いくつかの例では、炭素系コアは、細孔容積が少なくとも0.3cc/gである。いくつかの例では、炭素系コアは、多孔度がコアの体積の約10%~約90%である。
【0022】
いくつかの例では、炭素系コアは骨格フレームワークを含む。たとえば、骨格フレームワークは、カーボンナノファイバーを含むことができる。いくつかの例では、骨格フレームワークは、相互接続された細孔のアレイを含む。
【0023】
いくつかの例では、炭素系コアはモノリスである。
【0024】
いくつかの例では、炭素系コアは粒子の形態である。いくつかの例では、粒子は実質的に球状であり、直径が約100nm~約4mm、または約5μm~約4mmである。
【0025】
いくつかの例では、炭素系コアは、炭素系エアロゲル、炭素系キセロゲル、炭素系アンビゲル、炭素系エアロゲルキセロゲルハイブリッド材料、炭素系エアロゲルアンビゲルハイブリッド材料、炭素系エアロゲルアンビゲルキセロゲルハイブリッド材料、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、炭素系コアは、活性炭、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、熱分解炭素、黒鉛、グラフェン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0026】
いくつかの例では、炭素系コアは1つ以上の添加物を含み、添加物は、炭素系コアの少なくとも約0.1~80重量パーセントのレベルで存在する。いくつかの例では、添加物は、1種以上の電気化学的に活性なドーパントを含む。1種以上の電気化学的に活性なドーパントは、限定することなく、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、スズ、鉛、銅、水銀、マンガン、バナジウム、チタン、モリブデン、ニオビウム、タングステン、亜鉛、銀、白金、金、炭素、ホウ素、ガリウム、シリコン、ゲルマニウム、リン、アンチモンからなる群から選択される。一例では、電気化学的に活性なドーパントは、限定することなく、シリコン、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、金、銀、亜鉛、マグネシウム、白金、及びアルミニウムからなる群から選択される。
【0027】
いくつかの例では、コーティングは導電性添加剤を含む。導電性添加剤は、炭素、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛、金属、金属酸化物、炭化ケイ素、またはそれらの組み合わせを含む。
【0028】
いくつかの例では、炭素系コアは、容量が約200mAh/g~約3000mAh/gである。いくつかの例では、炭素系コアは、導電率が少なくとも約1S/cmである。いくつかの例では、コーティングは、導電率が少なくとも約1S/cmである。
【0029】
いくつかの例では、本技術の複合材料が組み込まれるエネルギー貯蔵システムは、電池である。いくつかの例では、電池は、充電式電池である。いくつかの例では、充電式電池は、Liイオン電池である。
【0030】
一態様では、本明細書で開示した本技術の複合材料を含む充電式電池が、本明細書で提供される。
【0031】
別の態様では、本明細書で開示した複合材料を充電式電池に組み込むことを含む充電式電池の性能を向上させる方法が、本明細書で提供される。
【0032】
別の態様では、本開示の複合材料を調製する方法が、本明細書で提供される。この方法は、多孔質外面を有する炭素系コアを用意することと、コアの多孔質外面の少なくとも一部をコーティングすることによって複合材料を得ることと、を含む。
【0033】
いくつかの例では、本開示の複合材料を調製する方法は、コアの多孔質外面の少なくとも一部をコーティングするステップの前に、亜臨界または超臨界乾燥させるステップをさらに含む。いくつかの例では、本方法は、コアの多孔質外面の少なくとも一部をコーティングするステップと、亜臨界または超臨界乾燥させるステップとの間に、炭化ステップをさらに含む。一例では、本方法は、コアの多孔質外面の少なくとも一部をコーティングするステップの後に、第2の炭化ステップをさらに含む。
【0034】
いくつかの例では、本開示の複合材料を調製する方法は、コアの多孔質外面の少なくとも一部をコーティングするステップの後に、亜臨界または超臨界乾燥させるステップをさらに含む。いくつかの例では、複合材料の亜臨界または超臨界乾燥させるステップの後に、炭化ステップをさらに含む。
【0035】
いくつかの例では、コアの多孔質外面の少なくとも一部をコーティングするステップは、凝固プロセスを含む。別の例では、コアの多孔質外面の少なくとも一部をコーティングするステップは、スプレーコーティングプロセスを含む。いくつかの例では、スプレーコーティングプロセスは、噴霧供給を用いる高速スプレー乾燥法を含む。いくつかの例では、コアの多孔質外面の少なくとも一部をコーティングするステップは、浸漬コーティングプロセスを含む。
【0036】
いくつかの例では、コアの多孔質外面の少なくとも一部をコーティングするステップは、含む。
【0037】
本技術は、添付図面と併せて以下の詳細な説明から、より十分に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本開示の炭素系コアに適用するのに適した例示的なビーズコーティングプロセスを示す図である。
【
図2】
図2は、凝固プロセスを用いてPANによりC/Siビーズをコーティングするための調製スキームを示す図である。
【
図3】
図3は、C/Siビーズの表面上にPANコーティングを適用する2つの異なる経路を示す図である。
【
図4】
図4A及び4Bは、ビーズ上の炭素コーティング層(PAN凝固プロセス1、経路1から)を示すサンプルAの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図4Aは、コーティングされたビーズの一部を示す図であり、
図4Bは、
図4Aに示すビーズの表面上のコーティングの一部のより高倍率の図である。
【
図5A】
図5Aは、サンプルB(プロセス1、経路2を用いてPANコーティングされたエアロゲルビーズ)のSEM像である。コーティングされたビーズのうちの1つ(サンプルB)の画像である。
【
図5B】
図5Bは、サンプルB(プロセス1、経路2を用いてPANコーティングエアロゲルビーズ)のSEM像である。
図5Aのビーズの一部のより高倍率である。
【
図5C】
図5Cは、サンプルB(プロセス1、経路2を用いてPANコーティングエアロゲルビーズ)のSEM像である。ビーズの一部のさらに高倍率である。
【
図6】
図6は、サンプルC(完全にPANコーティングされた炭素エアロゲルビーズ、コーティングは、プロセス2、経路1を用いて形成された)のSEM像である。
【
図7】
図7A及び7Bは、サンプルCのより高倍率の画像である。
図7Aは、コーティングによって互いに接続された2つのビーズを示す図であり、
図7Bは、ビーズの首/交点におけるコーティングのより高倍率である。
【
図8】
図8は、サンプルD(完全にPANコーティングされた炭素エアロゲルビーズ、コーティングは、プロセス2、経路2を用いて形成された)のSEM像である。
【
図9】
図9A及び9Bは、サンプルDのより高倍率の画像である。
図9Aは、コーティングによって互いに接続された2つのビーズを示す図であり、
図9Bは、ビーズの首/交点におけるコーティングのより高倍率である。
【
図10A】
図10Aは、高倍率でのサンプルDのSEM像であり、繊維状炭素エアロゲル構造上のPANコーティング層を示す図である。
図10Aは、コーティングされた表面の一部を示す図である。
【
図10B】
図10Bは、高倍率でのサンプルDのSEM像であり、繊維状炭素エアロゲル構造上のPANコーティング層を示す図である。
図10Bは、コーティングのより高倍率の図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
前述したように、対象とする特定の活物質(たとえば、シリコン)に対して、これらのイオン(たとえば、Liイオン電池中のLiイオン)の貯蔵及び放出によって、活物質の体積の実質的な変化が起こる。これは、従来のデザインでは、不可逆的な機械的損傷に、最終的には、個々の電極粒子間または電極とその下に設けられた集電体との間の接触損失につながる場合がある。さらに、そのような体積変化粒子の周りでの固体電解質相間(SEI)の連続的な成長につながる場合がある。
【0040】
複合材料であって、外面を有する炭素系コアと、コーティングであって、(i)少なくとも1種の金属イオンまたは金属原子に対して実質的に透過性であり、(ii)液体に対して実質的に不透過性であるコーティングと、を含む複合材料が、前述したこれらの問題に対処するために提供される。理論に束縛されるものではないが、炭素系コアは、活物質を構造的に支持し、活物質を電気的に相互接続し、前述した活物質の体積の変化に適応する。全般的に、複合粒子は、電池動作中の活物質の体積の変化に適応でき得る。
【0041】
そのような利点は、広範囲の大容量アノード及びカソード材料に対して得られる。加えて、イオン(たとえば、金属イオン)の挿入及び抽出の際に著しい体積変化(たとえば、約10%よりも大きい)を示す大容量アノード及びカソード材料(たとえば、Liイオン電池カソードについては約250mAh/gよりも大きく、Liイオン電池アノードについては約400mAh/gよりも大きい)に対して、利点が特に得られる。アノードに関して、本開示の複合材料は、金属イオン(たとえば、Liイオン)電池において使用することができる。例としては、限定することなく、高濃度ドープ、ドープ、及びアンドープSi、In、Sn、Sb、Ge、Mg、Pb、それらの他の金属及び半金属との合金、それらの他の金属、金属酸化物、金属フッ化物、金属オキシフッ化物、金属窒化物、金属リン化物、金属硫化物、及び半導体酸化物との混合物、ならびにそれらの硬質炭素、黒鉛、グラフェン、及び/または他の炭素系材料との混合物が挙げられる。カソードに関して、本開示の複合材料は、金属イオン(たとえば、Liイオン)電池において使用することができ、例としては、限定することなく、LCO、LFP、LMO、NCA、NMC、金属硫化物、金属フッ化物、金属オキシフッ化物、及びそれらの混合物が挙げられる。以下の説明では、Liイオン技術の現在の普及及び人気のため、水性Liイオン電池の文脈においていくつかの例を示す。しかし、そのような例は、単にその下にある技法の理解及び説明を助けるために提供され、これらの技法は、種々の他の金属イオン電池、たとえば、Li+、Na+、Mg2+、Ca2+、及びAl3+、ならびに他の水性金属イオン電池に同様に適用され得ることを理解されたい。本開示の複合材料は、たとえば、水性電解質含有電池を含む、活性粒子がその動作中に著しい体積変化を受ける他の電池化学(たとえば、可逆的な還元酸化反応)において使用することができる。
【0042】
定義
本明細書で使用する場合、用語「約」の意味は、数値が近似しており、小さい変動があっても開示した実施形態の実施には著しく影響しないということである。数値限定を使用する場合、文脈により別段の指定がない限り、「約」は、数値が±10%だけ変動する可能性があり、開示した実施形態の範囲内に留まることを意味する。
【0043】
本明細書で使用する場合、用語「任意選択の」または「任意選択で」は、説明した事象または状況が起こっても起こらなくてもよいことを指し、説明には、事象または状況が起こる場合と、事象または状況が起こらない場合とが含まれる。
【0044】
本明細書で使用する場合、用語「均一」は、材料(たとえば、本開示のコーティング)の厚さの変動が、約10%未満、約5%未満、または約1%未満であることを指す。
【0045】
本明細書で使用する場合、用語「連続」は、ギャップ、孔、または任意の不連続性が無い層を指す。たとえば、連続層であって、この層内に物理的に分離された(または離間に配置された)2つ(またはそれ以上)の成分材料を含まない連続層である。
【0046】
本明細書で使用する場合、粒径の文脈において、用語「D50」は、粒子の集団の半分がこの点より上の粒径を有し、半分が下の粒径を有することを意味する。D90粒径分布は、粒子の90%(数で)が、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡によって測定した特定のサイズ未満のフェレ径を有することを示す。D10粒径分布は、粒子の10%(数で)が、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡によって測定した特定のサイズ未満のフェレ径を有することを示す。
【0047】
本明細書で使用する場合、用語「ピッチ」は、天然の粘弾性ポリマー、または石油、コールタール、もしくは植物に由来する製造できる粘弾性ポリマーを指す。ピッチは、一般的に、熱処理及びその後のコールタールまたは石油留分の蒸留の結果として得られる。これは、芳香族炭化水素の混合物によって実質的に構成される。例示的なピッチには、石油ピッチ、コートタールピッチ、及び化学的に処理されたピッチが含まれる。好ましい化合物には、熱分解後に高い炭素含有量を有するもの、たとえば、炭素含有量が約1%~約20%の範囲であるものが含まれる。
【0048】
本明細書で使用する場合、用語「キセロゲル」は、亜臨界条件下で乾燥させたゲルを指し、すなわち、大部分の溶媒は、これらの条件下では超臨界流体状態ではない。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「アンビゲル」は、大気圧において乾燥させたゲルを指す。
【0050】
炭素系コア
いくつかの例では、炭素系コアは、炭素系エアロゲル、炭素系キセロゲル、炭素系アンビゲル、炭素系エアロゲルキセロゲルハイブリッド材料、炭素系エアロゲルアンビゲルハイブリッド材料、炭素系エアロゲルアンビゲルキセロゲルハイブリッド材料、またはそれらの組み合わせを含む。
【0051】
本開示において使用するエアロゲルは、本技術の炭素系エアロゲルを得るために炭化してもよい。炭化は、不活性雰囲気中で高温における熱分解によって行ってもよい。本開示において使用するエアロゲルの炭化された形態は、窒素含有量が0~20%であってもよい。典型的な熱分解温度は、500℃~2000℃の範囲である。温度は、結果として得られる炭素エアロゲルの窒素含有量を減らすために、上げてもよい。熱分解は、通常、不活性雰囲気(すなわち窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、または何らかの組み合わせ)中で行われる。
【0052】
本開示において使用するエアロゲルは、シリカ成分を含んでいてもよい。
【0053】
いくつかの例では、本開示は、エネルギー貯蔵装置内の電極材料として、たとえばLIB中の一次のアノード材料として、炭素エアロゲルなどの炭素系コアを形成及び使用することを含む。多孔質コアの細孔は、たとえば、シリコンまたは他の半金属または金属の粒子を収容し、LIB中でのリチウム化の際のこのような粒子の膨張に適応するようにデザイン、組織化、及び構造化される。代替的に、多孔質コアの細孔には、硫化物、水素化物、任意の好適なポリマー、または他の添加物を充填してもよく、この場合、添加物を導電性材料と接触させてより効果的な電極を得ることが有益である。
【0054】
エアロゲルは、マイクロサイズ及びメソサイズの細孔の高度に多孔質のネットワークを含む固体材料である。使用される前駆体材料及び行われる処理に依存して、エアロゲルの密度が約0.05g/ccであるときに、エアロゲルの細孔は体積の90%超を占めることができる。エアロゲルは、ゲルの収縮をその表面での毛管力によって最小限に抑えることができるかまたは全くなくすことができるように、ゲル(その溶媒を含む固体ネットワーク)から溶媒を除去することによって、調製することができる。溶媒除去の方法としては、限定することなく、超臨界乾燥(または超臨界流体の低い表面張力がゲル内の過渡溶媒と交換するように、超臨界流体を用いた乾燥)、超臨界流体との溶媒の交換、後に超臨界状態に変換される流体との溶媒の交換、亜臨界乾燥またはほぼ臨界乾燥、及び凍結乾燥プロセスにおいて凍結溶媒を昇華させることが挙げられる。
【0055】
周囲条件において乾燥させるとき、ゲル収縮が溶媒蒸発を伴って起こる場合があり、アンビゲルが形成される可能性がある。したがって、ゾルゲルプロセスまたは他の重合法によるエアロゲル調製が、以下の一連のステップで進むことができる。溶媒中への溶質の溶解、ゾル/溶液/混合物の形成、ゲルの形成(さらなる架橋を含み得る)、及び超臨界乾燥技法または制御された細孔崩壊を伴ってゲルから溶媒を除去する任意の他の方法のいずれかによる溶媒除去。
【0056】
エアロゲルは、無機材料及び/または有機材料から形成することができる。有機材料(たとえば、フェノール類、レゾルシノールホルムアルデヒド(RF)、フロログルシンフルフルアルデヒド(PF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリウレタン(PU)、ポリブタジエン、ポリジシクロペンタジエン、及びそれらの前駆体またはポリマー誘導体など)で形成されるとき、エアロゲルを炭化して(たとえば、熱分解によって)、炭素エアロゲルを形成してもよい。
【0057】
本開示の文脈の範囲内で、用語「エアロゲル」、「エアロゲル材料」、または「エアロゲルマトリックス」は、相互接続された構造のフレームワークを含むゲルであって、フレームワーク内に一体化された相互接続された細孔の対応するネットワークを有し、分散された隙間媒体として空気などのガスを含むゲルを指し、これは、エアロゲルに起因する以下の物理的及び構造的特性(窒素ポロシメトリー試験による)、(a)平均細孔径が約2nm~約100nmの範囲、(b)多孔度が少なくとも80%以上、及び(c)表面積が約100m2/g以上によって特徴付けられる。
【0058】
したがって、炭素系コアとして使用される本開示のエアロゲル材料は、以前の段落で述べた定義要素を満たす任意のエアロゲルまたは他のオープンセル材料を含み、そうでなければキセロゲル、クリオゲル、アンビゲル、微孔質材料などとして分類することができる材料を含む。
【0059】
エアロゲル材料は、以下、(d)細孔容積が約2.0mL/g以上、特に約3.0mL/g以上、(e)密度が約0.50g/cc以下、特に約0.3g/cc以下、より特に約0.25g/cc以下、及び(f)全細孔容積の少なくとも50%が、2~50nmの細孔径を有する細孔を含む(ただし、以下でより詳細に述べるように、本明細書で開示する実施形態は、50nmよりも大きい細孔径を有する細孔を含むエアロゲルフレームワーク及び組成物を含む)を含むさらなる物理特性によってさらに特徴付けてもよい。しかし、これらのさらなる特性を満たすことは、化合物をエアロゲル材料として特徴付けることには必要ではない。
【0060】
LIB内の例示的な応用例においてさらに拡張するために、炭素エアロゲル材料を主電極材料(たとえば、本開示の例の場合と同様にアノード材料)として使用するとき、エアロゲル多孔質コアは、狭い細孔サイズ分布を有するとともに、高い導電率、高い機械的強度、及びシリコン粒子の高い重量パーセント及び膨張に対応するモルフォロジー及び十分な細孔容積(最終密度における)をもたらす。
【0061】
いくつかの例では、炭素エアロゲルの細孔内に収容される電気化学的に活性な種によって性能を向上させるために、炭素エアロゲルの表面を化学的、物理的、または機械的方法を介して修飾してもよい。
【0062】
本開示では、炭素エアロゲル系コアを利用する複数の実施形態について説明するが、他の炭素系材料をその代わりに使用できることを理解されたい。たとえば、キセロゲル、クリオゲル、アンビゲル、及び微孔質材料などの他のオープンセル材料を、エアロゲルの代わりに、またはエアロゲルとともに使用することができる。
【0063】
炭素エアロゲル自体は、その導電性及び機械的強度に起因して集電体として機能することができ、したがって、(カソードまたはアノードを、それぞれ炭素エアロゲルで形成したときに)カソード側またはアノード側上での別個の集電体の必要性がなくなる。LIBの大部分において、アルミ箔または銅箔をカソードまたはアノードに、その集電体として、それぞれ結合させる必要がある。しかし、これらのコンポーネントの一方または両方を除去することは、炭素エアロゲルの用途に応じて、より多くの電極材料に対するさらなる空間を導き出し、セル/個々の電極のさらに大きな容量及びパッケージされる電池システムの全体的により大きなエネルギー密度をもたらす。しかし、いくつかの例では、既存の集電体を、種々の他の例のカソード及びアノード材料と一体化させて、アルミ箔及び銅箔の集電能力または容量を増大させてもよい。
【0064】
いくつかの例では、炭素系コア、具体的には炭素エアロゲルを、エネルギー貯蔵装置のアノード側の導電性ネットワークまたは集電体として使用することができる。完全に相互接続された炭素エアロゲルネットワークに、電気化学的に活性な種を充填する。電気化学的に活性な種は、炭素ネットワークに直接接触するかまたは物理的に接続される。電気化学的に活性な種の負荷は、高くて安定した容量及び改善されたエネルギー貯蔵装置の安全性のために、細孔容積及び多孔度に対して調整される。アノード側で利用するとき、電気化学的に活性な種は、たとえば、シリコン、黒鉛、リチウム、または他の半金属または金属を含んでいてもよい。アノードは、炭素系コア、及び具体的には炭素エアロゲルを含むことができる。
【0065】
本開示の文脈の範囲内で、用語「コレクターレス」は、電極に直接接続される別個の集電体が無いことを指す。述べたように、従来のLIBでは、銅箔はアノードに、その集電体として結合される。本開示の例により、炭素系コア(たとえば、炭素エアロゲル)から形成された電極は、自立構造とすることができるか、そうでない場合には、コレクターレスである能力を有することができる。なぜなら、足場または構造自体が、その高い導電性に起因して集電体として機能するからである。電気化学セル内では、連続多孔質炭素を作製する溶液ステップの間に、固体、メッシュ、織られたタブを埋め込むことによって、または多孔質炭素表面の一部上にリードをハンダ付け、溶接、または金属堆積させることによって、コレクターレス電極を接続して回路を形成することができる。炭素をシステムの残りの部分に接触させるの他のメカニズムも、本明細書では考えられる。いくつかの例では、炭素ベースの足場または構造、具体的には炭素エアロゲルを、専用の集電基材(たとえば、銅箔、アルミ箔など)上に配置するか、そうでない場合はそれと連絡してもよい。このシナリオでは、炭素エアロゲルを、導電性粘着剤を用いて固体集電体に取り付けることができ、種々の量の圧力によって適用することができる。
【0066】
さらに、炭素系コア、具体的には炭素エアロゲルは、モノリシック構造の形態を取ることができることが、本明細書では考えられる。本質的にモノリシックであるときに、炭素エアロゲルによって、任意のバインダーの必要がなくなる。言い換えれば、アノードはバインダーレスとすることができる。本明細書で使用する場合、用語「モノリシック」は、エアロゲル材料または組成物中に含まれるエアロゲルの大部分(重量で)が、単一の連続的な相互接続されたエアロゲルナノ構造の形態であるエアロゲル材料を指す。モノリシックエアロゲル材料には、エアロゲル材料として、最初に形成されて、単一の相互接続されたゲルまたはエアロゲルナノ構造を有するが、その後に、割れ、破砕され、またはセグメント化されて、非単一のエアロゲルナノ構造になる可能性があるものが含まれる。モノリシックエアロゲルは、自立構造または強化(繊維または発泡体)材料の形態を取り得る。比較すると、一例としてシリコンリチウム化を使用すると、モノリシックエアロゲル内に組み込まれたシリコンを、従来のプロセスを使用してスラリー内に組み込まれた同じ量のシリコンと比べて、理論容量に対してより効果的に利用することができる。
【0067】
モノリシックエアロゲル材料は、粒子状エアロゲル材料とは区別される。用語「粒子状エアロゲル材料」は、エアロゲル材料であって、エアロゲル材料中に含まれるエアロゲルの大部分(重量で)が、微粒子、粒子、顆粒、ビーズ、または粉末の形態であるエアロゲル材料を指す。これらは、一緒に(すなわち、ポリマーバインダーなどのバインダーを介して)組み合わせられるかまたは一緒に圧縮できるが、個々の粒子間の相互接続エアロゲルナノ構造を欠いている。集合的に、この形態のエアロゲル材料は、粉末または粒子の形態を有すると言う(モノリシックの形態とは対照的に)。単一構造を有する粉末の個々の粒子にもかかわらず、個々の粒子は、本明細書ではモノリスとはみなされないことに留意されたい。電気化学セルにエアロゲル粉末を一体化することは、通常は、粉末からのペーストまたはスラリーの調製、基材上への鋳造及び乾燥、任意選択でカレンダリングを含み得る。
【0068】
粒子状エアロゲル材料、たとえば、エアロゲルビーズによって、特定の利点が得られる。たとえば、粒子状物質は、LIBアノード及びアノード製造プロセスにおける黒鉛などの他の材料に対する直接の置き換えとして、使用することができる。粒子状物質はまた、粒子状物質内のより短い拡散経路に起因して、改善されたリチウムイオン拡散速度をもたらすことができる。粒子状物質はまた、たとえば、粒径及び充填配置を調整することによって、充填密度が増加した電極を可能にすることができる。粒子状物質はまた、粒子間及び粒子内多孔度に起因して、シリコンへのアクセスを改善することができる。
【0069】
本開示による炭素エアロゲルなどの炭素系コアは、任意の好適な有機前駆体材料から形成することができる。そのような材料の例としては、限定することなく、以下、RF、PF、PI、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、アクリレートオリゴマー、ポリオキシアルキレン、ポリウレタン、ポリフェノール、ポリブタジエン、トリアルキルシリル末端ポリジメチルシロキサン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフルフラール、メラミン-ホルムアルデヒド、クレゾールホルムアルデヒド、フェノール-フルフラール、ポリエーテル、ポリオール、ポリイソシアネート、ポリヒドロキシベンゼン、ポリビニルアルコールジアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアクリルアミド、種々のエポキシ、寒天、アガロース、キトサン、ならびにそれらの組み合わせ及び誘導体が挙げられる。これらの材料の任意の前駆体を使用して、結果として得られる材料を形成及び使用してもよい。いくつかの例では、炭素エアロゲルは、熱分解/炭化ポリイミド系エアロゲル、すなわち、ポリイミドの重合から形成される。さらにより具体的には、ポリイミド系エアロゲルは、米国特許第7,071,287号及び第7,074,880号(Rhine et al.)に記載の1つ以上の方法論を使用して、たとえば、ポリ(アミド)酸のイミド化及び結果として得られたゲルを超臨界流体を使用して乾燥させることによって、製造することができる。ポリイミドエアロゲル(及びそれから誘導される炭素エアロゲル)を製造する他の適切な方法も、本明細書では考えられ、たとえば以下、米国特許第6,399,669号(Suzuki et al.);米国特許第9,745,198号(Leventiset al.);Leventis et al.,Polyimide Aerogels by Ring-Opening Metathesis Polymerization(ROMP),Chem.Mater.2011,23,8,2250-2261;Leventiset al.、Isocyanate-Derived Organic Aerogels:Polyureas,Polyimides,Polyamides,MRS Proceedings,1306(2011)、Mrsf10-1306-bb03-01.doi:10.1557/opl.2011.90;Chidambareswarapattaret al.、One-step room-temperature synthesis of fibrous polyimide aerogels from anhydrides and isocyanates and conversion to isomorphic carbons,J.Mater。Chem.,2010,20,9666-9678;Guo et al.,Polyimide Aerogels Cross-Linked through Amine Functionalized Polyoligomeric Silsesquioxane,ACS Appl.Mater.Interfaces 2011,3,546-552;Nguyen et al.,Development of High Temperature,Flexible Polyimide Aerogels,American Chemical Society,proceedings published 2011;Meador et al.,Mechanically Strong,Flexible Polyimide Aerogels Cross-Linked with Aromatic Triamine,ACS Appl.Mater.Interfaces,2012,4(2),pp 536-544;Meador et al.,Polyimide Aerogels with Amide Cross-Links:A Low Cost Alternative for Mechanically Strong Polymer Aerogels,ACS Appl.Mater.Interfaces 2015,7,1240-1249;Pei et al.,Preparation and Characterization of Highly Cross-Linked Polyimide Aerogels Based on Polyimide Containing Trimethoxysilane Side Groups,Langmuir 2014,30,13375-13383の文献に記載される。結果として得られたポリイミドエアロゲルを、次に熱分解して、ポリイミド由来の炭素エアロゲルを形成する。
【0070】
本開示の炭素エアロゲル、たとえば、ポリイミド由来の炭素エアロゲルは、残留窒素含有量が少なくとも約4wt%とすることができる。たとえば、炭素エアロゲルは、残留窒素含有量が、少なくとも約0.1wt%、少なくとも約0.5wt%、少なくとも約1wt%、少なくとも約2wt%、少なくとも約3wt%、少なくとも約4wt%、少なくとも約5wt%、少なくとも約6wt%、少なくとも約7wt%、少なくとも約8wt%、少なくとも約9wt%、少なくとも約10wt%、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲とすることができる。
【0071】
本開示の例では、乾燥ポリマーエアロゲル組成物を、有機(たとえば、ポリイミド)エアロゲルの炭化のために、処理温度200℃以上、400℃以上、600℃以上、800℃以上、1000℃以上、1200℃以上、1400℃以上、1600℃以上、1800℃以上、2000℃以上、2200℃以上、2400℃以上、2600℃以上、2800℃以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲に供することができる。典型的な実施形態では、乾燥したポリマーエアロゲル組成物を、約1000℃~約1100℃の範囲、たとえば、約1050℃における処理温度に供することができる。理論に拘束されるものではないが、エアロゲル組成物の導電率は、炭化温度とともに増加することが、本明細書では考えられる。
【0072】
本開示の文脈の範囲内で、用語「導電率」は、電流を伝える材料または電子の流れを可能にする他の材料の能力の測定値を指す。導電率は、材料の単位サイズあたりの材料の電気伝導度/サセプタンス/アドミッタンスとして具体的に測定される。それは通常は、S/m(ジーメンス/メートル)またはS/cm(ジーメンス/センチメートル)として記録される。材料の導電率または抵抗率は、当該技術分野で知られた方法によって決定してもよく、たとえば、限定することなく、インラインの4点抵抗率(ASTM F84-99のデュアル構成試験法を使用する)が含まれる。本開示の文脈の範囲内で、導電率の測定値は、特に明記しない限り、電圧(V)を電流(I)で割ったものを測定することによって得られるASTM F84-抵抗率(R)測定値に従って取得される。エアロゲル材料、たとえば、本開示の炭素エアロゲルまたは組成物は、導電率が、約1S/cm以上、約5S/cm以上、約10S/cm以上、20S/cm以上、30S/cm以上、40S/cm以上、50S/cm以上、60S/cm以上、70S/cm以上、80S/cm以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲とすることができる。
【0073】
本開示の文脈の範囲内で、用語「電気化学的に活性な種」は、添加物であって、たとえば、ドーパントとして少量で使用することができ、エネルギー貯蔵装置内でイオンを受容及び放出することができる添加物を指す。一例としてLIBを使用すると、アノード内の電気化学的に活性な種は、充電中にリチウムイオンを受容し、放電中にリチウムイオンを放出する。電気化学的に活性な種は、多孔質炭素コアとの直接/物理的接続を有することによって、アノード内で安定させることができる。多孔質炭素ネットワークは、電気化学的に活性な種の周りに相互接続された構造を形成することができる。電気化学的に活性な種は、複数の点において多孔質炭素に接続される。電気化学的に活性な種の例はシリコンであり、これは、リチウム化の際に膨張して、亀裂または破壊する可能性がある。しかし、シリコンは多孔質炭素(エアロゲル)との間で複数の接続点を有するため、シリコンは、多孔質構造内(たとえば、細孔)で保持されて活性なままでいることができるか、他の場合には、破壊または亀裂の際でさえも構造によって包まれることができる。
【0074】
電気化学的に活性な種は、電気的に活性な添加物と言うことができ、浸透及びメッキを促進するために使用することができる。たとえば、Li金属アノードに対する材料として、シリコンドーピングを使用して、Li浸透を促進し、リチウムメッキを開始することができる。シリコン以外に、他の電気的に活性な添加物としては、金、銀、亜鉛、マグネシウム、白金、アルミニウム、スズ、銅、ニッケル、及び本明細書に記載の他のドーパントが挙げられる。いくつかの例では、電気化学的に活性な材料を、カーボンナノ構造体の多孔度内でリチウムメッキをシードするためのドーパントとして少量で使用することができる。
【0075】
本開示の文脈の範囲内で、用語「圧縮強度」、「曲げ強度」、及び「引張強度」は、圧縮力、曲げまたは屈曲力、及び張力または引っ張り力の下での破壊または破砕に対する材料の抵抗を、それぞれ指す。これらの強度は、荷重/力に抵抗する単位面積あたりの荷重/力の量として具体的に測定される。これは、ポンド/平方インチ(psi)、メガパスカル(MPa)、またはギガパスカル(GPa)として記録することができる。他の要因の中でも、材料の圧縮強度、曲げ強度、及び引張強度は、材料の構造的完全性に集合的に寄与し、これは、たとえば、LIB内でのリチウム化の間のシリコン粒子の体積膨張に耐えるのに有用である。機械的強度の指標であるヤング率を具体的に参照して、弾性率を、当該技術分野で知られた方法によって決定してもよく、たとえば、限定することなく、以下、計装化押し込み試験のための標準試験プラクティス(ASTM E2546,ASTM International,West Conshocken,PA);または標準化ナノインデンテーション(ISO 14577,国際標準化機構,Switzerland)が挙げられる。本開示の文脈の範囲内で、ヤング率の測定値は、特に明記しない限り、ASTM E2546及びISO 14577に従って取得される。特定の例では、エアロゲル材料、たとえば、本開示の炭素エアロゲルまたは組成物は、ヤング率が、約0.2GPa以上、0.4GPa以上、0.6GPa以上、1GPa以上、2GPa以上、4GPa以上、6GPa以上、8GPa以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲である。
【0076】
本開示の文脈の範囲内で、用語「細孔サイズ分布」は、多孔質材料のサンプル体積内の各細孔サイズの統計的分布または相対量を指す。より狭い細孔サイズ分布は、狭い範囲の細孔サイズにおける比較的大きな割合の細孔を指し、したがって、電気化学的に活性な種を囲むことができる細孔の量を増大させ、細孔容積の使用を最大にする。逆に、より広い細孔サイズ分布は、狭い範囲の細孔サイズにおける比較的小さい割合の細孔を指す。こうして、細孔サイズ分布は、細孔容積の関数として測定することができ、細孔サイズ分布チャートにおける主ピークの半値全幅の単位サイズとして記録することができる。多孔質材料の細孔サイズ分布は、当該技術分野で知られた方法によって決定してもよく、たとえば、限定することなく、細孔サイズ分布を計算することができる窒素吸脱着による表面積及び多孔度分析器が挙げられる。本開示の文脈の範囲内で、細孔サイズ分布の測定値は、特に明記しない限り、この方法に従って取得される。いくつかの例では、エアロゲル材料、たとえば、本開示の炭素エアロゲルまたは組成物は、約50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、5nm以下、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲の比較的狭い細孔サイズ分布(半値全幅)を有する。
【0077】
本開示の文脈の範囲内で、用語「細孔容積」は、多孔質材料のサンプル内の細孔の全容積を指す。細孔容積は、多孔質材料内空隙の容積として具体的に測定される。その空隙は測定可能であり得る、及び/または他の材料、たとえば、シリコン粒子などの電気化学的に活性な種によってアクセス可能であり得る。それは、立方センチメートル/グラム(cm3/gまたはcc/g)として記録することができる。多孔質材料の細孔容積は、当該技術分野で知られた方法によって決定してもよく、たとえば、限定することなく、細孔容積を計算することができる窒素吸脱着による表面積及び多孔度分析器が挙げられる。本開示の文脈の範囲内で、細孔容積の測定値は、特に明記しない限り、この方法に従って取得される。特定の例では、本開示のエアロゲル材料または組成物(電気化学的に活性な種、たとえば、シリコン粒子を組み込んでいない)は、約0.5cc/g以上、1cc/g以上、1.5cc/g以上、2cc/g以上、2.5cc/g以上、3cc/g以上、3.5cc/g以上、4cc/g以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲の比較的大きな細孔容積を有する。他の例では、エアロゲル材料、たとえば、本開示の炭素エアロゲルまたは組成物(電気化学的に活性な種、たとえば、シリコン粒子を組み込んだ)は、細孔容積が、約0.10cc/g以上、0.3cc/g以上、0.6cc/g以上、0.9cc/g以上、1.2cc/g以上、1.5cc/g以上、1.8cc/g以上、2.1cc/g以上、2.4cc/g以上、2.7cc/g以上、3.0cc/g以上、3.3cc/g以上、3.6cc/g以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲である。
【0078】
本開示の文脈の範囲内で、用語「多孔度」は、細孔の壁に接合された他の材料(たとえば、シリコン粒子などの電気化学的に活性な種)を含まない細孔の体積比を指す。明確化及び説明の目的で、LIB中の一次のアノード材料としてのシリコンドープ炭素エアロゲルの特定の実施内では、多孔度は、シリコン粒子を含んだ後の空隙を指すことに留意されたい。多孔度は、当該技術分野で知られた方法によって決定してもよく、たとえば、限定することなく、エアロゲル材料の細孔容積とそのバルク密度との比率を含む。本開示の文脈の範囲内で、多孔度の測定値は、特に明記しない限り、この方法に従って取得される。特定の例では、エアロゲル材料、たとえば、本開示の炭素エアロゲルまたは組成物は、多孔度が、約90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲である。
【0079】
細孔容積及び多孔度は、細孔構造の同じ特性、すなわち細孔構造内の「空の空間」に対する異なる尺度であることに留意されたい。たとえば、シリコンが、ナノ多孔質炭素材料の細孔内に囲まれた電気化学的に活性な種として使用されるとき、細孔容積及び多孔度は、「空」である空間、すなわち、炭素または電気化学的に活性な種によって利用されない空間を指す。理解されるように、予備炭化された多孔質材料の高密度化(たとえば圧縮による)は、他の特性の中でも、細孔容積及び多孔度に対して影響を及ぼす可能性がある。
【0080】
本開示の文脈の範囲内で、用語「分布からの最大ピークにおける細孔サイズ」は、細孔サイズ分布を例示するグラフ上での認識できるピークにおける値を指す。分布からの最大ピークにおける細孔サイズは、最大の割合の細孔が形成される細孔サイズとして具体的に測定される。それは、細孔サイズの任意の単位長さ、たとえばμmまたはnmとして記録することができる。分布からの最大ピークにおける細孔サイズは、当該技術分野で知られた方法によって決定してもよく、たとえば、限定することなく、細孔サイズ分布を計算することができ、最大ピークにおける細孔サイズを決定することができる窒素吸脱着による表面積及び多孔度分析器が挙げられる。本開示の文脈の範囲内で、分布からの最大ピークにおける細孔サイズの測定値は、特に明記しない限り、この方法に従って取得される。エアロゲル材料、たとえば、本開示の炭素エアロゲルまたは組成物は、分布からの最大ピークにおける細孔サイズが、約150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、90nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下、5nm以下、2nm以下、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲とすることができる。
【0081】
本開示の文脈の範囲内で、用語「容量」は、電池が貯蔵することができる特定のエネルギーまたは電荷の量を指す。いくつかの例では、容量は可逆容量を指す。容量は、電池が、単位質量あたり、経時的に送出することができる放電電流として具体的に測定される。それは、総電極質量のアンペア時またはミリアンペア時/グラム、Ah/gまたはmAh/gとして記録することができる。電池(特にアノード)の容量は、当該技術分野で知られた方法によって決定してもよく、たとえば、限定することなく、以下が含まれる。完全に充電されたセルに一定の定電流負荷を、セルの電圧が放電電圧値の終わりに達するまで加える、放電電圧の終わりに達するまでの時間に定電流を乗じたものが放電容量である、放電容量を電極材料または体積の重量で割ることによって、比容量及び体積容量を決定することができる。本開示の文脈の範囲内で、容量の測定値は、特に明記しない限り、この方法に従って取得される。エアロゲル材料、たとえば、本開示の炭素エアロゲルまたは組成物は、アノード容量が、約100mAh/g以上、150mAh/g以上、200mAh/g以上、300mAh/g以上、400mAh/g以上、500mAh/g以上、600mAh/g以上、700mAh/g以上、800mAh/g以上、900mAh/g以上、1000mAh/g以上、1100mAh/g以上、1200mAh/g以上、1300mAh/g以上、1400mAh/g以上、1500mAh/g以上、1600mAh/g以上、1700mAh/g以上、1800mAh/g以上、1900mAh/g以上、2000mAh/g以上、2500mAh/g以上、3000mAh/g以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲、または任意の介在値(たとえば520mAh/g)とすることができる。
【0082】
細孔サイズは必要に応じて調整可能であると、本明細書では考えられる。本明細書で教示される細孔サイズを調整する5つの主要な方法がある。第1に、固形分の量、具体的には、ポリイミド前駆体モノマー(たとえば、芳香族または脂肪族ジアミン及び芳香族または脂肪族二無水物)の量は、細孔サイズを調整することができる。より小さい細孔サイズは、相互接続がより密接に起こるように利用可能な空間がより小さいために、流体の単位体積当たりのより大きな量の固体に起因する。ストラット幅は、使用する固形物の量にかかわらず、測定できるほどには変化しないことに留意されたい。固形物の量は、ネットワークがどのくらい高密度になるかに、より関係する。
【0083】
細孔サイズの調整は、ポリイミド状態または炭素状態のいずれかにある複合材料に対して、放射線(たとえば、電波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線、ガンマ線)を使用することによって、達成することができる。放射線には酸化効果があり、その結果、表面積が増加し、細孔サイズが増加し、細孔サイズ分布が広がる。第3に、細孔サイズは、ポリイミド複合材料の巨視的な圧縮の影響を受ける。いくつかの例では、細孔サイズは圧縮とともに減少する。
【0084】
細孔サイズの調整は、ポリイミド状態または炭素状態のいずれかにある複合材料のイオン衝撃によって達成することができる。イオン衝撃の効果は、指定された方法に依存する。たとえば、何かが加えられる付加イオン衝撃(たとえば、CVD)があり、その結果、細孔サイズが減少する。また破壊イオン衝撃があり、細孔サイズが増加する。最後に、細孔サイズは、異なるガス環境、たとえば、二酸化炭素または一酸化炭素の存在、化学的に活性な環境、水素還元環境などの下で熱処理によって調整する(増加または減少させる)ことができる。たとえば、二酸化炭素環境は、活性炭を作ることが知られており、活性化の場合、質量が除去され、細孔サイズが増加し、表面積が増加する。
【0085】
リチウムは、種々の方法で、炭素エアロゲルとともに使用することができ、たとえば、セルアセンブリの前にex situリチウムメッキまたは溶融注入によって前堆積することが挙げられる。炭素エアロゲル内に前堆積されたリチウムの場合、例としては、Li浸透を促進するために事前処理された炭素エアロゲル、及びSi(Li浸透を促進するための既知の添加物)がプレドープされた炭素エアロゲルが挙げられる。形成中にin situでリチウム化された(またはメッキされた)炭素エアロゲルの場合、例としては、電解質及びカソード中で利用可能な十分なLiを提供し、最初の充電時に、炭素エアロゲルが、SEI形成によりLiの50%以下が失われるようにメッキされることが挙げられる。
【0086】
炭素エアロゲル中のリチウムは、いくつかの形態を有することができる。たとえば、自立炭素エアロゲルモノリス、銅集電体上の炭素エアロゲル、リチウム金属上の炭素エアロゲル、及び炭素エアロゲルビーズである。炭素エアロゲルは、高い導電率を有し、集電体として機能することができる。ビーズは、標準的な電池製造スラリー/鋳造法において使用することができる。特定の寸法及び粒径分布のビーズを製造し、そして、電極として個々のビーズ及びポスト鋳造ビーズ上にLi金属を大量に浸透させることができる。
【0087】
炭素エアロゲルの場合、リチウムの浸透は、溶融注入及び電着を介して達成することができる。狭くて制御可能な粒径分布は、充電中に均一なリチウム堆積をもたらすことに役立ち、これは、樹枝状結晶の形成を減らすかまたは防止するのに役立つことができる。一実施形態として、炭素エアロゲルがリチウム金属とセパレータとの間に存在する場合、電池の動作中に、炭素エアロゲルが充電の際に還元され、Liイオン(Li金属下層及び電解質から)が、炭素エアロゲルの表面上に堆積する。その後、放電時に、炭素エアロゲル中の蓄積されたLiイオンが放出されて、Li金属下層は、必要に応じてLiイオンを再供給し続けることができるが、樹枝状結晶は伝搬することはできない。炭素エアロゲル減速材/バリア層は、高容量、長いサイクル寿命、優れた出力特性、及び改善された安全性を達成するために、所望の表面積、細孔サイズ、及び細孔サイズ分布を有して調製される。
【0088】
本開示の文脈の範囲内で、用語「チャー含有量」及び「チャー収率」は、エアロゲルを高温熱分解に暴露した後に有機エアロゲル中に存在する炭化された有機材料の量を指す。エアロゲルのチャー含有量は、高温熱分解処理前の元のエアロゲルフレームワーク中の材料の総量に対する、高温熱分解処理後のエアロゲルフレームワーク中に存在する有機材料の量の割合として表すことができる。この割合は、TG-DSC分析などの熱重量分析を使用して測定することができる。具体的には、有機エアロゲル中のチャー収率は、TG-DSC分析中に高炭化温度に供されるときに有機エアロゲル材料によって保持される重量の割合に相関させることができる(水分蒸発、有機ガス放出、及び高温熱分解処理中にエアロゲルフレームワークから失われる他の材料から生じる重量損失を伴う)。本開示の目的上、チャー収率は、1000℃までの炭化暴露温度と相関性がある。好ましくは、炭素系エアロゲルの前駆体として機能することができる本開示のエアロゲル材料は、チャー収率が、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、または約70%以上とすることができる。
【0089】
コーティング材料
本開示のコーティング材料は、本明細書で開示した炭素系コアの多孔質外面をコーティングするために使用される。
【0090】
理論に束縛されるものではないが、本明細書で開示したコーティングは、電池セル(たとえば、Liイオン電池セル)の電解質が、電極のコンポーネントとして使用できる炭素系コアに浸透することを防止するバリアとして働く場合があり、これによって、充放電プロセス中の炭素系コアの膨潤が抑制または緩和される。このようなコーティングは、炭素系コア(たとえば、エアロゲル、アンビゲル、キセロゲル、クリオゲルなどの多孔質炭素系材料)に対する耐磨耗性、耐薬品性、及び形状形成の改善を助けてもよい。
【0091】
コーティングは、導電性または非導電性であってもよい。
【0092】
いくつかの例では、コーティングは、他の原子及び/または分子の通過を、そのサイズに基づいてフィルタリングしてもよい。いくつかの例では、コーティングを、イオン及び分子拡散におけるサイズ選択性をサポートするように調整する。たとえば、コーティングは、リチウムイオンが自由に拡散することを可能にしてもよいが、カソード金属などのより大きいカチオン及び電解質種などの分子はブロックされる。いくつかの例では、本明細書で開示したコーティングは、金属イオン、たとえば、Liイオン拡散バリアとして機能することができる。リチウムイオンは、コーティングを通る約0.7eV以下の移動バリアを有する。本明細書で使用する用語「拡散バリア」は、Liイオンが濃度勾配の作用下で移動するときに乗り越える必要がある電位を指す。
【0093】
コーティングは、有機分子、ポリマー、金属、遷移金属、非金属、金属有機構造体(MOF)、またはそれらの組み合わせから選択される材料を含んでいてもよい。または、コーティングは、有機分子、ポリマー、金属、遷移金属、非金属、金属有機構造体(MOF)、またはそれらの組み合わせの前駆体(複数可)から形成してもよい。いくつかの例では、ポリマーは、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリイミド、ポリアミド、またはそれらの誘導体の群から選択される。いくつかの例では、有機分子、ポリマー、またはそれらの組み合わせは、温度>1000℃、800℃、700℃、または650℃において炭化される。いくつかの例では、有機分子、ポリマー、またはそれらの組み合わせは、温度>400℃、300℃、または250℃において環化される。
【0094】
全般的に、炭素系コアの外面をコーティングするのに好適なポリマーは、熱可塑性物質及び熱硬化性物質を含むほとんどの炭化水素系有機ポリマーを含む。このようなポリマーは、限定することなく、以下、ポリイミド、ポリアミド、ポリアリールアミド、ポリベンズイミダゾール、ポリブチレン、ポリウレタン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、エチルセルロース、エチレンビニルアルコール、ポリパーフルオロアルコキシエチレン、フルオロカーボン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、液晶ポリマー、ナイロン、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、天然ゴム、合成ゴム、アクリル(エマルションまたは溶液)、ニトリル、エチレンプロピレン、エチレンプロピレンジエンメチレン、ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ネオプレン、ハイパロン、エチレンアクリル、バイトン、アクリロニトリル-ブタジエンアクリレート、アクリロニトリル-ブタジエンスチレン三元共重合体、アクリロニトリル-塩素化ポリエチレンスチレン三元共重合体、アクリレート無水マレイン酸三元共重合体、アクリロニトリル-メチルメタクリレート、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレンアクリレート、ビスマレイミド、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、酢酸セルロースプロプリオネート、硝酸セルロース、シクロオレフィン共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリ塩化ビニル、セルローストリアセテート、クロロトリフルオロエチレン、ジアリルフタレート、エチレンアクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチレンクロロトリフルオロエチレン、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレンn-ブチルアセテート、エポキシ、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、エチレンプロピレン共重合体ゴム、エチレンプロピレンゴム、発泡性ポリスチレン、エチレンテトラフルオロエチレン、エチレンビニルアセテート、エチレン/ビニルアセテート共重合体、エチレンビニルアルコール、フッ素化エチレンプロピレン、高密度ポリエチレン、高衝撃ポリスチレン、高分子量高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状ポリエチレン、無水マレイン酸、メチルメタクリレート/ABS共重合体、メチルメタクリレートブタジエンスチレン三元共重合体、媒体密度ポリエチレン、メラミンホルムアルデヒド、メラミンフェノール類、ニトリルブタジエンゴム、オレフィン改質スチレンアクリロニトリル、フェノール性ポリマー、ポリ酢酸、ポリアミド-イミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリエステルアルキド、ポリアニリン、ポリアクリロニトリル、ポリアリールアミド、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブタジエンアクリロニトリル、ポリブタジン、ポリベンズイミダゾール、ポリブチレンナフタレート、ポリブタジエンスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレンブレンド、ポリカプロラクトン、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、グリコール改質ポリシクロヘキシルテレフタレート、ポリモノクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリエーテルブロックアミドまたはポリエステルブロックアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエチレンナフタレン、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレンテレフタレート、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート、ペルフルオロアルコキシ、ポリイミド、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリイソシアヌレート、ポリメタクロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテン、パラメチルスチレン、ポリオキシメチレン、ポリプロピレン、ポリフタラミド、塩素化ポリプロピレン、ポリフタレートカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリマーポリイソシアネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンスルホン、ポリプロピレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリスチレン/ポリイソプレンブロック共重合体、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルアセテート、ポリビニリデンアセテート、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレンアクリロニトリル、スチレンブタジエン、スチレンブタジエンゴム、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体、スチレン無水マレイン酸共重合体、スチレンメチルメタクリレート、スチレン/a-メチルスチレン、スチレンビニルアクリロニトリル、ユリアホルムアルデヒド、超高分子量ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、不飽和ポリエステル、ビニルアセテート、ビニルアセテートエチレン、超低密度ポリエチレン、発泡性ポリスチレン、それらの誘導体、及びそれらの共重合体から選択してもよい。
【0095】
好ましい例では、コーティングには、以下、ポリエチレン、カプトン、ポリウレタン、ポリエステル、天然ゴム、合成ゴム、ハイパロン、プラスチック合金、PTFE、ポリビニルハライド、ポリエステル、ネオプレン、アクリル、ナイトライト、EPDM、EP、バイトン、ビニル、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、スチレン、スチレン-アクリレート、スチレン-ブタジエン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、アクリルアミド、フェノール、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上が含まれる。
【0096】
いくつかの例では、コーティングは軟質炭素を含む。一例では、コーティングは、ピッチ由来の炭素コーティングである。一例では、ピッチ由来の炭素コーティングは、軟質炭素を含む。
【0097】
本開示のいくつかの例によれば、コーティングは、ピッチ由来の炭素を含む。いくつかの例では、ピッチ由来の炭素は、軟質炭素を含む。本明細書で使用する場合、用語「軟質炭素」は、ピッチの炭化によって形成される非晶質炭素を指す。軟質炭素は、電子伝導性がより高い黒鉛化可能な非黒鉛状炭素を表し、その黒鉛化度及び層間距離は、熱処理によって調整することができる。
【0098】
いくつかの例では、コーティングは、ピッチ由来の軟質炭素、カーボンブラック、及びメシチレン由来の球状炭素から選択される。
【0099】
理論に束縛されるものではないが、本開示のピッチ由来の炭素コーティングは、欠陥及び酸素含有基の形成を大きく妨げる。本開示のピッチ由来の炭素コーティング(たとえば、軟質炭素)は、長距離の黒鉛秩序化(たとえば、結晶化度)に起因するその高い機械的強度により、Siリチウム化の際に生じる厳しい体積膨張に耐えることができる。本開示の典型的なピッチ由来の炭素コーティングは、制御可能な結晶化度を伴う秩序化された黒鉛領域を含む。理論に束縛されるものではないが、ピッチ由来の炭素コーティングの制御可能な結晶化度は、優れた電子移動特性及び構造弾性を与えて、電気化学性能を向上させる。ピッチ由来の炭素コーティングの黒鉛秩序化は、熱処理温度を500~1400℃の範囲に上昇させることによって調整することができる。段階的な炭化を行って、結晶化度を徐々に調整することができる。
【0100】
本開示の例において、実質的に、当該技術分野における慣例によるコーティングのための任意の方法を使用してもよい。好適なコーティング技法の例としては、限定することなく、以下、ゾルゲルコーティング、たとえば、凝固プロセス、ナイフオーバーロールコーティング、浸漬または飽和コーティング、逆ロール(すべての形態)コーティング、直接ロールコーティング、グラビアコーティング、印刷ロータリースクリーンコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティングまたは押出成形、スプレーコーティング、転写コーティング、静電コーティング、ブラシコーティング、蒸着、フロッキング、ホットナイフまたはホットメルト押出成形、及び前述したものを組み合わせた方法が挙げられる。
【0101】
本開示の例において、コーティングを、炭素材料(たとえば、炭素エアロゲルビーズ)の表面上、または炭素前駆体材料(たとえば、エアロゲル、キセロゲル、クリオゲルまたはアンビゲル材料、たとえばポリイミドビーズ)の表面上に適用することができる。
【0102】
特定の例では、本技術の典型的なコーティング(たとえば、ポリマーコーティング、ピッチコーティング、ソフト炭素コーティング、ピッチ由来の炭素コーティング)を、エアロゲル材料(たとえば、熱処理ステップ、たとえば炭化ステップの前の炭素エアロゲル材料の前駆体)の表面上に適用することができる。一例では、そのようなコーティングの適用は、溶融したコーティング材料、溶液中のコーティング材料、懸濁液中のコーティング材料、またはそれらの組み合わせを、ノズルまたは同様の装置を通してスプレーすることによって達成することができる。米国特許第5,180,104号、第5,102,484号、第5,683,037号、第5,478,014号、第5,687,906号、第6,488,773号、第6,440,218号に、スプレーノズル、スプレーガン、及び他の装置であって、この実施形態において使用できるものが教示されている。なおこれらはすべて、参照により本明細書に組み込まれている。さらに別の例では、コーティングは、浸漬コーティング法を介して適用される。
【0103】
別の例では、典型的なコーティングは、ゾルゲル法を介して適用される。溶液中に溶解または分散されたコーティング材料は、凝固剤溶媒または凝固剤によって、エアロゲル材料(たとえば、エアロゲルビーズ)の表面上で凝固する。いくつかの例では、凝固剤溶媒は、DMF、DMAC、DMSO、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水、またはそれらの混合物を含む。別の例では、凝固剤溶媒は、電解質水溶液を含む。本開示のエアロゲル材料(たとえば、エアロゲルビーズ)の表面に適用するのに適した典型的なビーズコーティングプロセスを、
図1に示す。
【0104】
一例では、本開示の典型的なコーティング材料及び典型的なエアロゲル材料(たとえば、エアロゲルビーズ)を、分散媒(たとえば、シリコンオイル)中に分散させてエマルション(たとえば、スラリー)を調製し、次に、エマルションを凝固溶媒と接触させる。理論に拘束されるものではないが、エマルションを凝固溶媒と接触させると、コーティング材料は、エアロゲル材料の周りで、ほぼ瞬時に凝固または固化して、それによって、エアロゲル材料の表面上に固体コーティング層が形成される。すなわち、凝固溶媒の添加は、コーティングされたエアロゲル材料の形成につながる。一例では、凝固溶媒をエマルションに添加する(たとえば、分散媒中のコーティング材料及びエアロゲル材料のスラリー)のに必要な時間は、少なくとも150秒、少なくとも600秒、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも60分、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、または少なくとも48時間である。
【0105】
複数の例において、凝固溶媒は、コーティングエアロゲル材料溶液またはスラリーを調製するために使用される溶媒(たとえば、分散媒)と混和性である。
【0106】
特定の例では、本技術の典型的なコーティングされたエアロゲル材料(たとえば、ポリマーコーティング、ピッチコーティング、炭素コーティングされたエアロゲルビーズ)は、少なくとも1つの熱処理ステップ(たとえば、軟化プロセス、炭化ステップ)をさらに受ける。
【0107】
前述したように、本技術の典型的なエアロゲル材料の表面は、当該技術分野において慣例により知られているコーティングのための任意の方法(たとえば、スプレーコーティング、凝固プロセス)を用いて、コーティングすることができる。本技術のコーティングは、炭素系コア(たとえば、炭素エアロゲル材料)の表面上に直接接着することもできる。すなわち、コアとコーティングとの間に中間層は堆積も形成もされない。複数の例において、炭素エアロゲル材料は、コーティング材料を適用または供給する前にエアロゲル材料を処理する(たとえば、炭化する)ことによって得られる。その結果、コーティング材料を適用した後に炭化ステップは必要ではない。
【0108】
特定の例では、例示的なコーティング(たとえば、ポリマーコーティング、ピッチコーティング、ソフト炭素コーティング、ピッチ由来の炭素コーティング)を、炭素エアロゲル材料の表面上に適用することができる。すなわち、エアロゲルに対する任意の炭化ステップは、例示的なコーティングを適用する前に行った。一例では、そのようなコーティングの適用は、溶融したコーティング材料、溶液中のコーティング材料、懸濁液中のコーティング材料またはそれらの組み合わせを、ノズルまたは同様の装置を通してスプレーすることによって達成することができる。米国特許第5,180,104号、第5,102,484号、第5,683,037号、第5,478,014号、第5,687,906号、第6,488,773号、第6,440,218号に、スプレーノズル、スプレーガン、及び他の装置であって、この実施形態において使用できるものが教示されている。なおこれらはすべて、参照により本明細書に組み込まれている。さらに別の例では、コーティングは、浸漬コーティング法を介して適用される。
【0109】
別の例では、コーティングは、ゾルゲル法を介して適用される。溶液中に溶解または分散されたコーティング材料は、凝固剤溶媒によって、炭素エアロゲル材料の表面上で凝固する。いくつかの例では、凝固剤溶媒は、DMF、DMAC、DMSO、水、またはそれらの混合物を含む。本開示の炭素系コアに適用するのに適した例示的なビーズコーティングプロセスを、
図1に示す。
【0110】
コーティングの厚さは、最終用途及び選択されたポリマーの特性に応じて変えることができる。一例では、コーティングの厚さは、約2,500nm以下であるか、または厚さは約100nm~約2,000nmであるか、または厚さは約200nm~500nmである。
【0111】
特定の用途に対しては、柔軟なコーティングを使用して、一旦コーティングされたら、炭素エアロゲルまたはエアロゲル材料(またはエアロゲル複合材料)の曲げモードが著しくは妨げられないようにすることが望ましい。こうして、弾性挙動または低い剛性を備えたポリマーコーティングが好ましい。
【0112】
別の例では、多孔質炭素系(たとえば、エアロゲル材料)の表面を、コーティングの前に修飾する。表面処理方法は、プラズマ処理、コロナ処理、または他の化学修飾を含む。この手順は、たとえば、コーティングのより良好な堆積、より均一な厚さ、またはコアへのより良好な接着を達成するために、所望のコーティングの堆積を助けてもよい。
【0113】
一旦適用されたら、複合材料とともにコーティングを、溶媒除去、コアへのより良好な接着、改善された機械的特性、及び多くの他などの理由で、乾燥、硬化、炭化、及び焼結などの他の処理ステップに供してもよい。本開示の実施形態を実行する1つの非限定的なモードは、電動コンベアを、1つ以上のスプレーシステム、及び1つ以上の温度処理ユニット、好ましくはオーブン、及び他の機械装置であって、工業環境においてプロセスを自動化するものとともに含む。炭素系コアは、コアをスプレーシステムに運ぶ移動コンベア要素を通してシステム内に供給される。スプレーシステムは、スプレー特性を個別に制御することができる1つ以上のスプレーヘッドからなっていてもよい。赤外線またはUVオーブンなどの熱処理ユニットによって、硬化/乾燥がコーティングにもたらさせる。スプレー及び熱処理ユニットを、連続してまたは任意の組み合わせで配置して、コーティングされたコア上に所望の厚さ及び仕上げをもたらすことができる。スプレープロセスにおいて溶媒を使用する場合、フード及びVOC低減装置などの適切な機器を使用してもよい。
【0114】
いくつかの例では、コーティングは、電気絶縁材料(たとえば、非導電性材料)を含む。
【0115】
いくつかの例では、コーティングは導電性材料を含む。導電性材料(たとえば、炭素)は、非導電性材料(たとえば、ポリマー)の前駆体から形成することができる。別の例では、導電性材料は、第1の導電性材料(たとえば、金属または遷移金属)の前駆体から形成される。
【0116】
本技術のコーティングは、金属イオン及び/または金属原子透過性である。コーティングはまた、流体に対して不透過性である。
【0117】
いくつかの例では、コーティングの透過性は、コーティングの多孔度(たとえば、細孔サイズ、細孔容積、またはそれらの組み合わせ)に依存する。
【0118】
いくつかのデザインでは、コーティングは、概ね均一であってもよいが、他のデザインでは、半径方向距離とともに(たとえば、内面から外面へ)徐々に変化する不均一な組成を有していてもよい。
【0119】
いくつかの例では、コーティングは複数の層を含んでいてもよい。たとえば、複数の層は、アノード上の水性金属イオン電解質の電気化学的還元を防止するため、またはカソード上の水性金属イオン電解質の電気化学的酸化を防止するための電気絶縁体材料から形成された外層を含んでいてもよい。これは、アノードとカソードとの間の電圧降下の一部に対応する絶縁性外層によって達成してもよく、これによって、水性金属イオン電解質にわたる電圧降下が低減する。他の例では、複数の層は、活物質粒子を電気的に接続するための導電層、別の層の均一性または接着を向上させるための界面層、コンフォーマル、金属イオン/及びまたは金属原子透過性コーティングの機械的安定性を向上させるための機械的に安定な層、またはアノード上での水性金属-イオン電解質の電気化学的還元を防止するか、またはカソード上での水性金属-イオン電解質の電気化学的酸化を防止するための補助保護層を含んでいてもよい。
【0120】
リチウムイオン電池
リチウムイオン電池の基本例は、カソードと、カソードと電気的に連絡するアノードと、アノードとカソードとの間に配置された電解質と、同様にアノードとカソードとの間に配置されたセパレータと、を含む。
【0121】
電解質は、イオン伝導性材料であり、溶媒、イオン液体、金属塩、イオン、たとえば、金属イオンまたは無機イオン、ポリマー、セラミックス、及び他の成分を含んでいてもよい。電解質は、有機固体または無機固体または液体、たとえば、溶解塩を含む溶媒(たとえば、非水溶媒)であってもよい。非水電解質としては、有機溶媒、たとえば、環状カーボネート、線状カーボネート、フッ素化カーボネート、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、γ-ブチロラクトン、ジオキソラン、4メチルジオキソラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルスルホキシド、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル、及びこれらの混合物を挙げることができる。電解質中に含まれ得る塩の例としては、リチウム塩、たとえば、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiClO4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(FSO2)2N、LiC4F9SO3、LiAlO2、LiAlCl4、LiN(CxF2x+1SO2)(CyF2y-1SO2)、(χ及びyは自然数)、LiC、LiI、及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの例では、液体分子は電解質溶媒(電解質)を含む。本開示の電解質溶媒は、前述した好適な電解質のいずれかから選択することができる。特に、電解質は、炭酸エチレン(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、炭酸フルオロエチレン(FEC)、フッ素化エーテル(F-EPE)、1,3-ジオキソラン(DOL)、ジメトキシエタン(DME)、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0122】
セパレータは通常、高いイオン透過性を有する薄い、多孔質または半透性の絶縁フィルムである。セパレータは、オレフィン系ポリマー(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び/またはポリフッ化ビニリデン)などのポリマーからなることができる。電解質として固体ポリマー電解質を使用する場合、固体ポリマー電解質はセパレータとしても作用し得る。
【0123】
アノードは、電池の動作中に電気化学反応に関与する活性アノード材料からなる。アノード活物質例としては、リチウムなどの元素材料、Si及びSnの合金または他のリチウム化合物を含む合金、ならびに黒鉛などのインターカレーションホスト材料が挙げられる。単に例として、アノード活物質としては、リチウム、その合金、またはその酸化物と合金可能である金属及び/または半金属を挙げてもよい。リチウムと合金化することができる金属及び半金属としては、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、及びSbが挙げられる。たとえば、リチウムと合金可能な金属/半金属の酸化物は、チタン酸リチウム、酸化バナジウム、酸化リチウムバナジウム、SnO2、またはSiOx(0<x<2)であってもよい。
【0124】
カソードは、電池の動作中に電気化学反応に関与する活性カソード材料からなる。活性カソード材料は、リチウム複合酸化物であってもよく、LiCoO2などの層状系材料、LiFePO4などのカンラン石型材料、LiMn2O4などのスピネル型材料、及び同様の材料を含んでいてもよい。スピネル型材料には、天然スピネルLiMn2O4と同様の構造を有するものが含まれる。これは、リチウムカチオンに加えて少量のニッケルカチオンを含み、任意選択で、マンガン酸塩以外のアニオンも含む。例として、そのような材料は、式LiNi(0.5-x)Mn1.5MxO4(0≦x≦0.2、MはMg、Zn、Co、Cu、Fe、Ti、Zr、Ru、またはCr)を有するものを含む。
【0125】
本開示の文脈の範囲内で、用語「サイクル寿命」は、アノードまたは電池(たとえば、LIB)が、その容量がその元の定格容量の約80%未満に低下する前にサポートすることができる完全な充填/放電サイクルの数を指す。サイクル寿命は、種々の要因、たとえば、その下にある基材(たとえば、炭素エアロゲル)の機械的強度、及びエアロゲルの相互接続性の維持の影響を受け得る。実際に経時的に比較的不変のままであるこれらの要因は、本開示の特定の例の驚くべき態様であることに留意されたい。サイクル寿命は、当該技術分野で知られた方法によって決定してもよく、たとえば、限定することなく、サイクル試験が挙げられる。電池セルは、所定の電流速度及び動作電圧において繰り返し充填/放電サイクルを受ける。本開示の文脈の範囲内で、サイクル寿命の測定値は、特に明記しない限り、この方法に従って取得される。電池などのエネルギー貯蔵装置またはその電極は、サイクル寿命が、約25サイクル以上、50サイクル以上、75サイクル以上、100サイクル以上、200サイクル以上、300サイクル以上、500サイクル以上、1000サイクル以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲とすることができる。
【0126】
本開示は、本明細書に記載するような本技術の複合材料を含む少なくとも1つのアノードと、少なくとも1つのカソードと、リチウムイオンを有する電解質と、を有する電気エネルギー貯蔵装置を含む。電気エネルギー貯蔵装置は、第1のサイクル効率(すなわち、第1の充放電からのセルのクーロン効率)が、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、任意の介在値(たとえば、65%)、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲(たとえば、約30%~約50%の範囲)とすることができる。本明細書で前述したように、可逆容量は、少なくとも150mAh/gとすることができる。少なくとも1つのカソードは、硫化リチウム及びリチウム空気などの変換カソード、ならびにリン酸塩及び遷移金属酸化物などのインターカレーションカソードからなる群から選択することができる。
【0127】
異なる例によれば、本開示の複合材料は、電気化学エネルギー貯蔵装置の正極及び負極の両方に、または個別に電極(正極または負極のいずれか)に適用してもよい。種々の例において、カソード、アノード、または固体電解質材料は、本技術の複合材料によってコーティングされる。
【実施例】
【0128】
以下の例は、本技術の好ましい実施形態を実証するために含まれる。しかし、当業者であれば、本開示を考慮して理解するように、開示した特定の例において多くの変更を行うことができるが、それでも、本技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、同様または類似の結果を得ることができる。
【0129】
例1:凝固プロセスによるポリアクリロニトリル(PAN)繊維製造
PAN繊維を製造するために、乾式紡糸または湿式紡糸法が通常、使用される。この例では、凝固剤(たとえば、DMSOまたはDMACなど)及び非溶媒(たとえば、水)を含む浴中へのPAN溶液の押出しを含む湿式紡糸経路に従った。
【0130】
凝固浴において、繊維はゆっくりと凝固し始めて、緻密な構造を形成するまで続いた。凝固のプロセスは、2つの拡散メカニズムに依存する。繊維から浴中への溶媒の拡散と、浴から繊維中への非溶媒の拡散とである。両方のメカニズムは同時に起こる。これらの2つのプロセスのバランスは、PANが沈殿して繊維形態になることにつながる。凝固は、ポリマー組成、凝固浴組成、凝固浴温度などの種々の反応パラメータの影響を受ける可能性がある。
【0131】
例2:PANコーティング炭素/シリコンビーズの、凝固による調製
清浄なビーカー内で、PAN溶液とC/Siビーズとのスラリーを調製した(
図2)。溶液中のPAN含有量(たとえば、粘度)に応じて、スラリーをメカニカルミキサー下で5分~16時間混合した。そして、スラリーを、均質化された分散剤媒体(たとえば、シリコンオイル、鉱油、炭化水素)内に注いで、分散剤媒体中のビーズのより良好な分散/散乱を確実にした。
図2において、使用した分散剤媒体はシリコンオイルであった。ホモジナイザーミキサーを、分散剤媒体の粘度に応じて、速度3,000~9,000rpmに設定した。C/SiビーズがPAN溶液の層で覆われる場合に、C/Siビーズの良好な分散が達成されたら、凝固剤溶媒(水溶液、たとえば、H
2OまたはEtOH/H
2O混合物)を、均質化した浴に、溶液を混合しながら添加した。凝固剤溶媒が、各C/Siビーズを覆うPAN溶液層と接触すると、PANはビーズの周りで瞬時に凝固または固化し、それによってC/Siビーズ上に固体のPANコーティング層が形成される。
【0132】
PAN凝固によるビーズ(たとえば、エアロゲルビーズ)コーティングを、2つの異なる経路によって行った。
図3に示すように、プロセス1は、湿式ポリイミド/シリコンビーズをコーティングするための経路を記載し(湿式ビーズは、ゾルゲルプロセスによって新しく調製されたものを意味する)、一方で、プロセス2は、炭化ビーズ(C/Siビーズ)をコーティングするための同じ経路を記載する。両方のプロセスは、より良好なビーズ分散を確実にし、ビーズ凝集を回避するために、均質化したオイル媒体中での凝固を使用する。最後に、ビーズを濾過し、洗い落とし、乾燥させ(超臨界的、亜臨界的、または周囲条件において乾燥させ)、炭化する。プロセス2におけるビーズは、2つの炭化サイクルを受けた。
【0133】
PANコーティングC/Si(またはポリイミド/Si)ビーズの炭化に対して、少なくとも2つの異なる経路がある。経路1では、PANの完全な環化を得るために、1~6時間の間、空気中で300℃において熱処理し、それに続いて、2~5時間の間、不活性ガス下で650℃を超える温度において炭化することを適用する。経路2では、2~5時間の間、不活性ガス下で650℃を超える温度において直接炭化することを利用する。
【0134】
例2.1 PANコーティング炭素/シリコンビーズの、プロセス1を介した凝固による調製
ポリイミド/シリコンビーズ(Evonik Industries AG,North Rhine-West phalia,Germanyから入手可能なシリコン)を、溶媒としてDMACを、ビーズ製造用の分散剤媒体として100cSt(センチストーク)シリコンオイルを使用して、ゾルゲル経路によって調製した。エタノールによって複数回洗い落としたら、ケークまたはビーズゲルを2つの等量(それぞれ~75g)に分割した。サンプルの一方の部分を、CO
2によって超臨界乾燥させ(すなわち、未コーティングのビーズ、未コーティング#1)、他方の部分(湿式ビーズゲル)を、前述して
図3に示したように、プロセス1を使用してPANによってコーティングした。
【0135】
5%のPAN溶液を、5gのPANを95gのDMAC中に溶解することによって調製した。そして、溶液を6時間混合した。次に、75グラムの湿式ビーズゲルを、均一なスラリーが得られるまで、PAN溶液中で20~30分間混合した。スラリーを、ホモジナイザーにより7500rpmにおいて混合したシリコンオイルバス内に注いで、2分間混合した。エタノール溶液(50/50:EtOH/H2O)を、混合しながら系にゆっくりと添加した。混合物の外観は、黒色から灰色に変わり、PANの凝固を示した。ビーズをコーティングしたら、それをオイルから分離し、エタノール(及びヘプタンによって洗い落として、残留オイルを除去し)、濾過した。コーティングされたビーズも、未コーティングのビーズゲルと同様に超臨界乾燥させた。
【0136】
得られたPANコーティングエアロゲルビーズを、2つのサンプルに分けた。一方のサンプル(サンプルA)は、空気において300℃で熱処理し、そしてN
2下で650℃で炭化した。他方のサンプル(サンプルB)は、N
2下で1050℃で直接炭化した。表1に、3つの異なるビーズの炭化条件及び構造的特性をまとめる。
【表1】
【0137】
コーティングされたビーズは、表面積の減少を示す。表1を参照して、未コーティング#1の表面積は、2つのコーティングされたサンプルよりも大きい。すなわち、サンプルA及びBは、利用可能な表面積の少なくとも一部を覆うコーティングを含むように見える。たとえば、経路2を受けたサンプルBは、未コーティングサンプル(未コーティング#1)のそれより約43%小さい表面積を示す。データは、未コーティングサンプルの表面積の少なくとも一部のコーティングを示唆する。
【0138】
コーティング後のビーズの表面積の減少は、PANコーティングがその透過性に関して所望の多孔度特性を有し得ることを示唆する。たとえば、フェノール樹脂をコーティング材料として使用したとき、系の表面積が増加し、フェノール樹脂は、流体不浸透性に対するコーティング材料として望ましくない場合があることを示唆した。
【0139】
図4A及び4B及び
図5A~5Cに示すSEM写真は、C/Siビーズ上の炭素コーティング層の存在を示す。したがって、凝固によるPANコーティングのプロセスは、さらなる改善及び最適化にとって有望であるように見える。しかし、この経路(プロセス1)は、ビーズ上に多少の不完全性及び多少の未コーティング部分を示す。炭化温度(経路1:300℃/空気、次いで650℃/N
2、それに対して、経路2:1050℃/N
2)は、コーティングの品質に影響しないと思われる。しかし、温度は、多孔度(表面積)及びおそらく電池性能に直接影響し得る。
【0140】
例2.2 PANコーティング炭素/シリコンビーズの、プロセス2を介した凝固による調製
この例では、炭素エアロゲルビーズ(未コーティング#2)を使用した。これらのビーズは、440m2/gの高表面積を生じた。ビーズをコーティングするために、3.53グラムの炭素エアロゲル(未コーティング#2)を26gのPAN溶液(DMAC中の5%wtPAN)と、均一なスラリーが得られるまで、20~30分間混合した。スラリーを、ホモジナイザーにより7500rpmにおいて混合したシリコンオイルバス内に注いで、2分間混合した。エタノール溶液(50/50:EtOH/H2O)を、混合しながら系にゆっくりと添加した。混合物の外観は、黒色から灰色に変わり、PANの凝固を示した。ビーズをコーティングしたら、それをオイルから分離し、エタノール(及びヘプタンによって洗い落として、残留オイルを除去し)、濾過した。炭素PANコーティングビーズを、超臨界乾燥させた。他の例では他の乾燥方法を使用できることに留意されたい。たとえば、ビーズを亜臨界乾燥させるかまたは周囲条件において乾燥させて、キセロゲルまたはアンビゲルを得ることもできた。
【0141】
得られたPANコーティングエアロゲルビーズを、2つのサンプルに分割した。一方のサンプルは、空気において300℃で熱処理し、次いでN2下で650℃において炭化し(サンプルC)、他方の部分は、N2下で1050℃において直接炭化した(サンプルD)。表2に、3つの異なるビーズの炭化条件及び構造的特性をまとめる。
【0142】
出発材料(炭素エアロゲルビーズ)は、シリコンを含まない材料であるので、PANコーティング炭素ビーズの表面積は、プロセス1において以前に特徴付けたPANコーティング炭素/シリコンビーズよりも大きい。炭素構造中のシリコンの存在は、システムの表面積の減少に大きく寄与する。すなわち、シリコン含有量が多いほど、表面積は小さい。コーティングされたビーズは、表面積の減少を示す。表2を参照して、未コーティング#2の表面積は、2つのコーティングされたサンプルよりも大きい。すなわち、サンプルC及びDは、利用可能な表面積の少なくとも一部を覆うコーティングを含むように見える。たとえば、経路2を受けたサンプルCは、未コーティングサンプル(未コーティング#2)のそれより約25%小さい表面積を示す。データは、未コーティングサンプルの表面積の少なくとも一部のコーティングを示唆する。
【表2】
【0143】
PANコーティング炭素エアロゲルの炭化温度を1600~2200℃に上昇させると、PAN層の黒鉛化によって系の表面積をさらに減少させることができた。
【0144】
SEM写真(
図6~10B)は、完全にコーティングされたビーズ(すなわち、PANによってビーズ全体がコーティングされる)を示す。炭化の温度プロファイルにかかわらず、両方のサンプルC及びDは、ビーズ全体の表面上のPANコーティングを示す。PANコーティングの存在は、高倍率SEM写真(
図7A、7B、9A、9B、10A、及び10B)において十分に実証されている。特に
図10A及び10Bでは、炭素エアロゲルの繊維状構造を覆うPAN層を示している。このコーティングは、不完全性が無いように見える。
【0145】
例3:PI(ポリイミド)ビーズ上に直接の溶液ベースのピッチコーティング
溶液ベースのピッチコーティングを、エマルションプロセスによって調製したポリイミド(PI)ゲルビーズの表面上に行った。PIビーズを得た後、PIビーズを、炉内の熱イミド化(250~400℃、2時間)によってさらに重合した。熱イミド化がないと、次のステップで使用したジメチルアセトアミド(DMAC)が、PIゲルビーズ内に存在するポリアミド酸(PAA)を溶解し得る。最初に、DMAC溶媒内にピッチを溶解した後、DMAC/ピッチスラリーを数分間撹拌し、次いでPIゲルビーズを添加しながら撹拌し、そして100RPM超において30分間撹拌した。次いで、混合物の温度を50℃~120℃に上昇させ、混合物を100RPM下で一晩中撹拌してDMACを蒸発させた。溶媒(たとえば、DMAC)を乾燥させたら、ピッチコーティングPIビーズを、乳鉢及び乳棒によってゆるやかに粉砕した。
【0146】
次いで、ピッチコーティングPIビーズを250~300℃に加熱し、温度を2時間維持して軟化プロセスを図った。軟化プロセスによって、固体ピッチを粘性液体に移行することができるため、ピッチを均一にコーティングすることができる。ピッチコーティングPIビーズは、さらに、1050℃において2時間、炭化プロセスを受けた。炭化プロセスにおいて、PIビーズは炭素系コアに変わり、ピッチコーティングはソフト炭素コーティング層に変わる。ピッチコーティングの黒鉛化度及び層間距離を、炭化プロセスにおいて調整した。
【0147】
例4:炭素ビーズ上に直接の溶液ベースのピッチコーティング
溶液ベースのピッチコーティングを、炭素ビーズの表面上に行った。PIビーズを得た後、PIゲルビーズは、1050℃において2時間、炭化プロセスを受けて、炭素系コア、たとえば、炭素ビーズを得た。最初に、DMAC溶媒内にピッチを溶解してDMAC/ピッチスラリーを得た後、DMAC/ピッチスラリーを数分間撹拌し、次いで炭素ビーズを添加しながら撹拌し、そして100RPM超において30分間撹拌した。次いで、混合物の温度を50℃~120℃に上昇させ、混合物を100RPM下で一晩中撹拌してDMACを蒸発させた。溶媒(たとえば、DMAC)を乾燥させたら、ピッチコーティング炭素ビーズを、乳鉢及び乳棒によってゆるやかに粉砕した。
【0148】
次いで、ピッチコーティング炭素ビーズを250~300℃に加熱し、温度を2時間維持して軟化プロセスを図った。軟化プロセスによって、固体ピッチを粘性液体に移行することができるため、ピッチを均一にコーティングすることができる。ピッチコーティング炭素ビーズは、さらに、ピッチコーティングの黒鉛化度及び層間距離を調整するために炭化プロセスを受けた(1050℃において2時間)。
【0149】
表3に、溶液ベースのピッチコーティング炭素ビーズの構造的特性、ならびにピッチコーティングPI及び炭素ビーズが適用される蓄電装置(たとえば、Liイオン電池)の第1のサイクル効率(FCE)をまとめる。
【表3】
【0150】
溶液ベースのピッチコーティングを、Si/C複合ビーズにも適用した。例3及び4と同様のプロトコルを利用して、ピッチコーティングSi/C複合ビーズを得た。軟化及び炭酸塩化ステップの効果を調べた。
【0151】
表4に、溶液ベースのピッチコーティングSi/C複合ビーズの構造的特性、ならびにピッチコーティングSi/Cビーズが適用される蓄電装置(たとえば、Liイオン電池)の第1のサイクル効率(FCE)をまとめる。
【0152】
表4に示す結果は、ピッチコーティングSi/Cビーズが、表3に示すピッチコーティング炭素ビーズと比較して、より高いFCE及びサイクル効率を与えることを示す。軟化及び炭化ステップを受けたピッチコーティングSi/C複合粒子は、炭化されなかったピッチコーティングSi/C複合粒子と比較して、より効率的であることが見出された。軟化プロセスは電極の電気化学性能の向上に寄与すると思われる。理論に拘束されるものではないが、これは、軟化プロセスが、ピッチを有するビーズの均一なコーティングを可能にするからであり得る。
【表4】
【0153】
例5:PI(ポリイミド)ビーズ上に直接のスプレー乾燥ベースのピッチコーティング
スプレー乾燥ベースのピッチコーティングを、エマルションプロセスによって調製したポリイミド(PI)ゲルビーズの表面上に行った。PIビーズを得た後、PIビーズを、炉内の熱イミド化(250~400℃、2時間)によってさらに重合した。熱イミド化がないと、次のステップで使用したジメチルアセトアミド(DMAC)が、PIゲルビーズ内に存在するポリアミド酸(PAA)を溶解し得る。最初に、DMAC溶媒内にピッチを溶解した後、DMAC/ピッチスラリーを数分間撹拌し、次いでPIゲルビーズを添加しながら撹拌し、そして100RPM超において30分間撹拌した。
【0154】
次いで、混合物の温度を160℃に上昇させて、ビーズを乾燥させた。このスプレー乾燥ステップによって、PIビーズ上の均一なピッチコーティングが可能になる。次いで、ピッチコーティングPIビーズを250~300℃に加熱し、温度を2時間維持して軟化プロセス(たとえば、ピッチから軟質炭素を得るプロセス)を図った。
【0155】
軟化プロセスによって、固体ピッチを粘性液体に移行することができるため、ピッチを均一にコーティングすることができる。ピッチコーティング炭素ビーズは、さらに、炭化プロセスを受け(1050℃において2時間)、下にあるPIコアビーズが炭素に変換され、ピッチコーティングが軟質炭素に変換された。
【0156】
表5に、スプレーベースのピッチコーティング炭素ビーズの構造的特性、ならびにピッチコーティングSi/Cビーズが適用された蓄電装置(たとえば、Liイオン電池)の第1のサイクル効率(FCE)をまとめる。
【表5】
【0157】
表5に示すように、ピッチコーティング炭素ビーズを使用した電極の第1の充放電(FCE)からのクーロン効率は、対照ビーズを使用した電極と比較して相対的に高かった(向上した)。
【0158】
例6:炭素ビーズ上に直接のスプレー乾燥ベースのピッチコーティング
スプレー乾燥ベースのピッチコーティングを、炭素ビーズの表面上に行った。PIビーズを得た後、PIゲルビーズは、1050℃において2時間、炭化プロセスを受けて、炭素系コア、たとえば、炭素ビーズを得た。最初に、DMAC溶媒内にピッチを溶解してDMAC/ピッチスラリーを得た後、DMAC/ピッチスラリーを数分間撹拌し、次いで炭素ビーズを添加しながら撹拌し、そして100RPM超において30分間撹拌した。
【0159】
次いで、混合物の温度を160℃に上昇させて、ビーズを乾燥させた。このスプレー乾燥ステップによって、炭素ビーズ上の均一なピッチコーティングが可能になる。次いで、ピッチコーティング炭素ビーズを250~300℃に加熱し、温度を2時間維持して軟化プロセス(たとえば、ピッチから軟質炭素を得るプロセス)を図った。
【0160】
軟化プロセスによって、固体ピッチを粘性液体に移行することができるため、ピッチを均一にコーティングすることができ、黒鉛化度及び層間距離を調整することができる。ピッチコーティング炭素ビーズは、さらに、炭化プロセスを受けた(1050℃において2時間)。
【0161】
本開示を、その実施形態例を参照して特に図示し説明してきたが、当業者であれば分かるように、添付の特許請求の範囲に包含される技術の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の種々の変形をその中で行ってもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー貯蔵システムで使用する複合材料であって、
a.多孔質外面を有する炭素系コアと、
b.前記炭素系コアの前記多孔質外面の少なくとも一部上のコーティングであって、前記コーティングは、(i)少なくとも1種の金属イオンまたは金属原子に対して実質的に透過性であり、(ii)液体に対して実質的に不透過性である、前記コーティングと、
を含む、前記複合材料。
【請求項2】
前記液体は電解質溶媒を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記電解質溶媒は、炭酸エチレン(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、炭酸フルオロエチレン(FEC)、フッ素化エーテル(F-EPE)、1,3-ジオキソラン(DOL)、ジメトキシエタン(DME)、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項2に記載の複合材料。
【請求項4】
少なくとも1種の金属イオンはリチウムイオンであ
り、少なくとも1種の金属原子はリチウム原子である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項5】
前記コーティングは、厚さが約2,500nm以下であるか、または厚さが約100nm~約2,000nmであるか、または厚さが約200nm~500nmである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項6】
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記多孔質外面内に延びる、請求項
1に記載の複合材料。
【請求項7】
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記多孔質外面内に、約2,500nm以下、または約100nm~約2,000nm、または約200nm~500nmだけ延びる、請求項6に記載の複合材料。
【請求項8】
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部は、前記多孔質外面の少なくとも70%、前記多孔質外面の少なくとも90%、または前記多孔質外面の少なくとも95%である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項9】
前記コーティングは導電性材料を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項10】
前記導電性材料は、非導電性材料の前駆体から形成される、請求項9に記載の複合材料。
【請求項11】
前記導電性材料は炭素である、請求項
9に記載の複合材料。
【請求項12】
前記非導電性材料はポリマーである、請求項9に記載の複合材料。
【請求項13】
前記導電性材料は、第1の導電性材料の前駆体から形成され
、前記第1の導電性材料は、金属または遷移金属から選択される、請求項9に記載の複合材料。
【請求項14】
前記コーティングは、有機分子、ポリマー、金属、遷移金属、非金属、金属有機構造体(MOF)、またはそれらの組み合わせから選択される材料を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項15】
前記ポリマーは、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリイミド、ポリアミド、またはそれらの誘導体の群から選択される、請求項18に記載の複合材料。
【請求項16】
前記コーティングはポリアクリロニトリル(PAN)を含む、請求項18に記載の複合材料。
【請求項17】
前記有機分子、前記ポリマー、または前記それらの組み合わせは炭化される、請求項18に記載の複合材料。
【請求項18】
前記コーティングは炭化ポリアクリロニトリル(PAN)を含む、請求項18に記載の複合材料。
【請求項19】
前記コーティングは炭素系コーティングである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項20】
前記炭素系コーティングはピッチに由来する、請求項23に記載の複合材料。
【請求項21】
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記細孔内に浸透する、請求項1に記載の複合材料。
【請求項22】
前記炭素系コアは、低バルク密度を有し、前記低バルク密度は約0.25g/cc~約1.0g/ccの範囲であ
り、細孔容積が少なくとも0.3cc/gであり、多孔度が前記コアの体積の10%~90%である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項23】
前記炭素系コアは骨格フレームワークを含み、前記骨格フレームワークは、相互接続された細孔のアレイを含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項24】
前記炭素系コアは、炭素系エアロゲル、炭素系キセロゲル、炭素系アンビゲル、炭素系エアロゲルキセロゲルハイブリッド材料、炭素系エアロゲルアンビゲルハイブリッド材料、炭素系エアロゲルアンビゲルキセロゲルハイブリッド材料、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項25】
前記炭素系コアは、活性炭、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、熱分解炭素、黒鉛、グラフェン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の複合材料。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0161
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0161】
本開示を、その実施形態例を参照して特に図示し説明してきたが、当業者であれば分かるように、添付の特許請求の範囲に包含される技術の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の種々の変形をその中で行ってもよい。
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[実施形態1]
電気エネルギー貯蔵システムで使用する複合材料であって、
a.多孔質外面を有する炭素系コアと、
b.前記炭素系コアの前記多孔質外面の少なくとも一部上のコーティングであって、前記コーティングは、(i)少なくとも1種の金属イオンまたは金属原子に対して実質的に透過性であり、(ii)液体に対して実質的に不透過性である、前記コーティングと、
を含む、前記複合材料。
[実施形態2]
前記液体は電解質溶媒を含む、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態3]
前記電解質溶媒は、炭酸エチレン(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、炭酸フルオロエチレン(FEC)、フッ素化エーテル(F-EPE)、1,3-ジオキソラン(DOL)、ジメトキシエタン(DME)、またはそれらの組み合わせから選択される、実施形態2に記載の複合材料。
[実施形態4]
少なくとも1種の金属イオンはリチウムイオンである、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態5]
少なくとも1種の金属原子はリチウム原子である、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態6]
前記コーティングは、厚さが約2,500nm以下であるか、または厚さが約100nm~約2,000nmであるか、または厚さが約200nm~500nmである、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態7]
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記多孔質外面内に延びる、実施形態1または実施形態6に記載の複合材料。
[実施形態8]
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記多孔質外面内に、約2,500nm以下、または約100nm~約2,000nm、または約200nm~500nmだけ延びる、実施形態7に記載の複合材料。
[実施形態9]
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記多孔質外面の少なくとも一部上で均一である、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態10]
前記コーティングは、前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部上で連続である、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態11]
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部は、前記多孔質外面の少なくとも70%、前記多孔質外面の少なくとも90%、または前記多孔質外面の少なくとも95%である、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態12]
前記コーティングは導電性材料を含む、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態13]
前記導電性材料は、非導電性材料の前駆体から形成される、実施形態12に記載の複合材料。
[実施形態14]
前記導電性材料は炭素である、実施形態12または13に記載の複合材料。
[実施形態15]
前記非導電性材料はポリマーである、実施形態13に記載の複合材料。
[実施形態16]
前記導電性材料は、第1の導電性材料の前駆体から形成される、実施形態12に記載の複合材料。
[実施形態17]
前記第1の導電性材料は、金属または遷移金属から選択される、実施形態16に記載の複合材料。
[実施形態18]
前記コーティングは、有機分子、ポリマー、金属、遷移金属、非金属、金属有機構造体(MOF)、またはそれらの組み合わせから選択される材料を含む、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態19]
前記ポリマーは、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリイミド、ポリアミド、またはそれらの誘導体の群から選択される、実施形態18に記載の複合材料。
[実施形態20]
前記コーティングはポリアクリロニトリル(PAN)を含む、実施形態18に記載の複合材料。
[実施形態21]
前記有機分子、前記ポリマー、または前記それらの組み合わせは炭化される、実施形態18に記載の複合材料。
[実施形態22]
前記コーティングは炭化ポリアクリロニトリル(PAN)を含む、実施形態18に記載の複合材料。
[実施形態23]
前記コーティングは炭素系コーティングである、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態24]
前記炭素系コーティングはピッチに由来する、実施形態23に記載の複合材料。。
[実施形態25]
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記細孔内に浸透する、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態26]
前記炭素系コアは低バルク密度を有し、前記低バルク密度は約0.25g/cc~約1.0g/ccの範囲である、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態27]
前記炭素系コアは骨格フレームワークを含み、前記骨格フレームワークは、相互接続された細孔のアレイを含む、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態28]
前記炭素系コアは、細孔容積が少なくとも0.3cc/gである、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態29]
前記炭素系コアは、多孔度が前記コアの体積の約10%~約90%である、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態30]
前記炭素系コアはモノリスである、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態31]
前記炭素系コアは粒子の形態である、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態32]
前記粒子は実質的に球状であり、直径が約100nm~約4mm、または約5μm~約4mmである、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態33]
前記炭素系コアは、炭素系エアロゲル、炭素系キセロゲル、炭素系アンビゲル、炭素系エアロゲルキセロゲルハイブリッド材料、炭素系エアロゲルアンビゲルハイブリッド材料、炭素系エアロゲルアンビゲルキセロゲルハイブリッド材料、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態34]
前記炭素系コアは、活性炭、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、熱分解炭素、黒鉛、グラフェン、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態35]
前記炭素系コアは1つ以上の添加物を含み、前記添加物は、前記複合材料の少なくとも約5~60重量パーセントのレベルで存在する、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態36]
前記添加物は、1種以上の電気化学的に活性なドーパントを含む、実施形態34に記載の複合材料。
[実施形態37]
前記電気化学的に活性なドーパントは、シリコン、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、金、銀、亜鉛、マグネシウム、白金、及びアルミニウムからなる群から選択される、実施形態35に記載の複合材料。
[実施形態38]
前記コーティングは導電性添加剤を含む、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態39]
前記導電性添加剤は、炭素、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛、金属、金属酸化物、炭化ケイ素、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態37に記載の複合材料。
[実施形態40]
前記炭素系コアは、容量が約200mAh/g~約3000mAh/gである、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態41]
前記炭素系コアは、導電率が少なくとも約1S/cmである、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態42]
前記コーティングは、導電率が少なくとも約1S/cmである、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態43]
前記エネルギー貯蔵システムは電池である、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態44]
前記電池は充電式電池である、実施形態42に記載の複合材料。
[実施形態45]
前記充電式電池はLiイオン電池である、実施形態43に記載の複合材料。
[実施形態46]
実施形態1~45のいずれか1項に記載の複合材料を含む充電式電池。
[実施形態47]
実施形態1~46のいずれか1項に記載の複合材料を前記充電式電池に組み込むことを含む充電式電池の性能を向上させる方法。
[実施形態48]
実施形態1~45のいずれか1項に記載の複合材料を調製する方法であって、
a.外面を有する炭素系コアを用意することと、
b.前記炭素系コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングすることによって前記複合材料を得ることと、
を含む、前記方法。
[実施形態49]
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングするステップの前に、亜臨界または超臨界乾燥させるステップをさらに含む、実施形態47に記載の方法。
[実施形態50]
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングする前記ステップの後に、亜臨界または超臨界乾燥させるステップをさらに含む、実施形態47に記載の方法。
[実施形態51]
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングする前記ステップと、前記亜臨界または超臨界乾燥させるステップとの間に、炭化ステップをさらに含む、実施形態48に記載の方法。
[実施形態52]
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングする前記ステップの後に、第2の炭化ステップをさらに含む、実施形態50に記載の方法。
[実施形態53]
前記複合材料の前記亜臨界または超臨界乾燥させるステップの後に、炭化ステップをさらに含む、実施形態49に記載の方法。
[実施形態54]
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングする前記ステップは、凝固プロセスを含む、実施形態47に記載の方法。
[実施形態55]
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングする前記ステップは、スプレーコーティングプロセスを含む、実施形態47に記載の方法。
[実施形態56]
前記スプレーコーティングプロセスは、噴霧供給を用いる高速スプレー乾燥法を含む、実施形態54に記載の方法。
[実施形態57]
前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部をコーティングする前記ステップは、浸漬コーティングプロセスを含む、実施形態47に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー貯蔵システムで使用する複合材料であって、
a.多孔質外面を有する炭素系コア
であって、炭素系エアロゲル、炭素系キセロゲル、炭素系アンビゲル、炭素系エアロゲルキセロゲルハイブリッド材料、炭素系エアロゲルアンビゲルハイブリッド材料、炭素系エアロゲルアンビゲルキセロゲルハイブリッド材料、またはそれらの組み合わせを含む炭素系コアと、
b.前記炭素系コアの前記多孔質外面の少なくとも一部上の
炭素系コーティングであって、前記
炭素系コーティングは、(i)少なくとも1種の金属イオンまたは金属原子に対して実質的に透過性であり、(ii)液体に対して実質的に不透過性である、
炭素系コーティングと、
を含む、前記複合材料。
【請求項2】
前記液体は電解質溶媒を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記電解質溶媒は、炭酸エチレン(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、炭酸フルオロエチレン(FEC)、フッ素化エーテル(F-EPE)、1,3-ジオキソラン(DOL)、ジメトキシエタン(DME)、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項2に記載の複合材料。
【請求項4】
少なくとも1種の金属イオンはリチウムイオンであり、少なくとも1種の金属原子はリチウム原子である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項5】
前記コーティングは、厚さが約2,500nm以下であるか
、厚さが約100nm~約2,000nmであるか、または厚さが約200nm~500nmである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項6】
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記多孔質外面内に延びる、請求項1に記載の複合材料。
【請求項7】
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記多孔質外面内に、約2,500nm以下
、約100nm~約2,000nm、または約200nm~500nmだけ延びる、請求項6に記載の複合材料。
【請求項8】
前記コーティングは、前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部上で連続であり、前記コアの前記多孔質外面の少なくとも一部は、前記多孔質外面の少なくとも70%、前記多孔質外面の少なくとも90%、または前記多孔質外面の少なくとも95%である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項9】
前記
炭素系コーティングは、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリイミド、ポリアミド、
及びそれらの誘導体
からなる群から選択される
炭化ポリマーを含む、請求項
1に記載の複合材料。
【請求項10】
前記コーティングは炭化ポリアクリロニトリル(PAN)を含む、請求項
9に記載の複合材料。
【請求項11】
前記炭素系コーティングはピッチに由来する、請求項
1に記載の複合材料。
【請求項12】
前記コーティングは、前記炭素系コアの前記細孔内に浸透する、請求項1に記載の複合材料。
【請求項13】
前記炭素系コアは、
バルク密度が約0.25g/cc~約1.0g/ccの範囲であり、細孔容積が少なくとも0.3cc/gであり、多孔度が前記コアの体積の10%~90%である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項14】
前記炭素系コアは骨格フレームワークを含み、前記骨格フレームワークは、相互接続された細孔のアレイを含む、請求項1に記載の複合材料。
【国際調査報告】