(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ニット構成要素を有する履物物品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A43B 23/02 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A43B23/02 101Z
A43B23/02 101A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519910
(86)(22)【出願日】2022-10-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022047504
(87)【国際公開番号】W WO2023069764
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】ジェマ ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】チャオクン ファンフー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ モリニュー
(72)【発明者】
【氏名】クリステン オーム
(72)【発明者】
【氏名】ピーター アール サベージ
(72)【発明者】
【氏名】ガガンディープ シン
(72)【発明者】
【氏名】セス エム ウィバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ザヴァラ
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BC45
4F050HA18
4F050HA19
4F050HA20
(57)【要約】
外周部と、スロート領域及び/又はカラー領域などの中央に位置する領域であり得る共通部分と、を有する、ニット構成要素。ニット構成要素の複数のコースは、外周部と共通部分との間に延在しており、その結果、これらのコースは、共通部分から径方向に外向きに延在してもよい。1つ以上の連続したストランドをニットコース内に埋め込んで、ニット構成要素の外周部と共通部分との間の、ニット構成要素の複数のコースのそれぞれのコース内に延在する複数のストランドセグメントを形成してもよい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパーであって、少なくとも、前記アッパーの前足部領域及び中足部領域を形成し、外周部を有するニット構成要素を備え、前記前足部領域は、前記中足部領域と一体的に編まれており、前記前足部領域は、前記前足部領域の前記外周部と前記ニット構成要素の共通部分との間に連続的に延在する第1のコースを有し、前記中足部領域は、前記中足部領域の前記外周部と前記ニット構成要素の前記共通部分との間に連続的に延在する第2のコースを有し、前記第1のコースと前記第2のコースとは、互いに対してある角度をなして延在している、アッパー。
【請求項2】
前記ニット構成要素は、前記アッパーのかかと領域を形成し、前記かかと領域は、前記かかと領域の前記外周部から前記ニット構成要素の前記共通部分まで連続的に延在する第3のコースを有する、請求項1に記載のアッパー。
【請求項3】
前記ニット構成要素の前記共通部分は、前記アッパーのスロートエリアである、請求項1に記載のアッパー。
【請求項4】
前記ニット構成要素の前記共通部分は、前記アッパーの前記スロートエリアの前部分である、請求項3に記載のアッパー。
【請求項5】
前記ニット構成要素は、前記アッパーの舌部を形成する、請求項1に記載のアッパー。
【請求項6】
前記舌部は、少なくとも前記前足部領域と一体的に編まれている、請求項5に記載のアッパー。
【請求項7】
前記ニット構成要素は、前記アッパーのかかと領域を形成し、前記かかと領域は、第3のコースを有し、前記ニット構成要素は、前記かかと領域内に少なくとも部分的に延在する第4のコースと、前足部領域内に少なくとも部分的に延在する第5のコースと、を含み、前記第4のコース及び前記第5のコースはそれぞれ、着用者の第1中足骨を覆うように構成された前記前足部領域の一部分から前記かかと領域の外側部分まで延在する軸線に平行に延在している、請求項1に記載のアッパー。
【請求項8】
前記ニット構成要素は、前記アッパーのかかと領域を形成し、前記かかと領域は、第3のコースを有し、前記ニット構成要素は、前記かかと領域内に少なくとも部分的に延在する第4のコースと、前足部領域内に少なくとも部分的に延在する第5のコースと、を含み、前記第4のコース及び前記第5のコースはそれぞれ、前足部領域において部分的に、着用者の第5中足骨を覆うように構成された前記前足部領域の一部分から前記かかと領域の内側部分まで延在する軸線に平行に延在している、請求項1に記載のアッパー。
【請求項9】
前記ニット構成要素は、複数のストランドセグメントを有する埋め込みストランドを更に含み、それぞれのストランドセグメントは、前記外周部と前記共通部分との間に延在している、請求項1に記載のアッパー。
【請求項10】
前記複数のストランドセグメント内の1つ以上のストランドセグメントは、前記アッパーの前記前足部領域内に位置付けられている、請求項9に記載のアッパー。
【請求項11】
前記共通部分は、前記アッパーのスロートエリアを含む、請求項9に記載のアッパー。
【請求項12】
前記アッパーは、履物物品の一部分を含む、請求項1に記載のアッパー。
【請求項13】
アッパー用のニット構成要素を製造する方法であって、前記方法は、編み機上で、前記アッパーの第1の中足部領域を形成することであって、前記第1の中足部領域は、前記アッパーの外側及び内側のうちの一方を形成する、形成することと、前記第1の中足部領域を形成した後に、前記編み機上で、前記アッパーの前足部領域を形成することであって、前記前足部領域は、前記第1の中足部領域と一体的に編まれている、形成することと、前記前足部領域を形成した後に、前記編み機上で、前記アッパーの第2の中足部領域を形成することであって、前記第2の中足部領域は、前記前足部領域と一体的に編まれており、前記外側及び前記内側のうちの他方を形成する、形成することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記ニット構成要素は、前記前足部領域内に位置付けられ、前記アッパーの外周部と共通部分との間で連続的に延在している、第1のコースと、前記アッパーの第1の中足部領域内に位置付けられ、前記外周部と前記共通部分との間で連続的に延在している、第2コースと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の中足部領域を形成するために使用される針の少なくとも一部は、前記第2の中足部領域を形成するために使用される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ニット構成要素は、ニット要素と、前記ニット要素の1つ以上のコースを通って延在する埋め込みストランドと、を含み、前記埋め込みストランドは、前記ニット要素が前記編み機の複数の針上に形成される間に埋め込まれる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ニット構成要素は、前記アッパーの外周部と前記アッパーの共通部分との間で互いに対してある角度をなして延在する、前記ニット構成要素の少なくとも第1の部分に複数の埋め込みストランドを含むように形成され、前記複数の埋め込みストランドは、前記ニット構成要素の残りの部分を形成する1つ以上の糸よりも高い引張強度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
アッパーであって、前記アッパーの外周部の少なくとも一部を画定し、前記アッパーの前記外周部とスロート領域との間に延在する複数のコースを有する、ニット要素と、前記ニット要素と一体化され、その結果、前記ニット要素の前記複数のコースのそれぞれのコースに沿って、前記外周部と前記スロート領域との間に延在する複数のストランドセグメントを形成する、少なくとも1つの埋め込みストランドであって、前記複数のストランドセグメントの少なくとも一部分は、互いに対してある角度をなして延在している、少なくとも1つの埋め込みストランドと、を備える、アッパー。
【請求項19】
前記少なくとも1つの埋め込みストランドは、前記複数のストランドセグメントが前記ニット要素の長さに沿って離間されるように、前記ニット要素と一体化されている、請求項18に記載のアッパー。
【請求項20】
前記複数のストランドセグメントは、前記アッパーの中足部領域内に位置する複数の中足部ストランドセグメントを含む、請求項18に記載のアッパー。
【請求項21】
前記複数のストランドセグメントは、前記外周部から前記スロート領域まで延在する複数のかかとストランドセグメントを含む、請求項18に記載のアッパー。
【請求項22】
アッパー用のニット構成要素であって、前記ニット構成要素の下縁部及び一対のかかと縁部を画定する外周部と、スロート開口部及び足首開口部の少なくとも一方を画定する内周部と、を有する、ニット要素であって、前記ニット要素は、前記外周部と前記内周部との間に延在する複数のコースを有する、ニット要素と、前記ニット要素と一体化された1つ以上の埋め込みストランドであって、前記1つ以上の埋め込みストランドは、前記外周部と前記内周部との間の前記ニット要素の前記複数のコースのそれぞれのコース内に延在する複数の糸セグメントを形成する、1つ以上の埋め込みストランドと、を備える、ニット構成要素。
【請求項23】
前記1つ以上の埋め込みストランドは、前記複数のストランドセグメントが前記ニット構成要素の長さに沿って離間されたコースであるように、前記ニット構成要素内に一体化される、請求項22に記載のニット構成要素。
【請求項24】
前記ニット構成要素は、前足部領域、中足部領域、及びかかと領域を含み、前記複数のストランドセグメントは、前足部ストランドセグメント、中足部ストランドセグメント、及びかかとストランドセグメントのうちの1つ以上を含む、請求項22に記載のニット構成要素。
【請求項25】
前記ニット構成要素は、内側及び外側を含み、前記1つ以上の埋め込みストランドは、前記内側上に第1の複数のストランドを形成し、前記1つ以上の埋め込みストランドは、前記外側上に第2の複数のストランドを形成する、請求項22に記載のニット構成要素。
【請求項26】
前記ニット構成要素は、内側及び外側を含み、前記内側上に位置する前記複数のストランドセグメントのストランドセグメントの数は、前記外側上に位置する前記複数のストランドセグメントのストランドセグメントの数と同じである、請求項25に記載のニット構成要素。
【請求項27】
前記ニット構成要素は、内側及び外側を含み、前記内側上に位置する前記複数のストランドセグメントのストランドセグメントの数は、前記外側上に位置する前記複数のストランドセグメントのストランドセグメントの数とは異なる、請求項25に記載のニット構成要素。
【請求項28】
前記ニット構成要素は、履物物品の一部分を含む、請求項22に記載のニット構成要素。
【請求項29】
前記複数のコースの少なくとも一部分は、楔部分のセットを形成するように構成されており、それぞれの楔部分は、前記外周部において第1の縁部、前記内周部において第2の縁部、及び前記外周部と前記内周部との間に延在する少なくとも1つの楔コースを有する、請求項22に記載のニット構成要素。
【請求項30】
楔部分の前記セットは、前記アッパーの前足部領域内に位置する、請求項29に記載のニット構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の態様は、ニット構成要素、及び物品、例えば、履物物品用のニット構成要素を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の履物物品には、一般に、アッパー及びソール構造の2つの主要な要素が含まれている。アッパーは、ソール構造に固定され、足を快適かつしっかりと受容するための空隙を履物内に形成する。アッパーは、ニット織物を含む様々な素材から形成され得る。運動選手がニット製アッパー内で足を動かすとき、運動選手の足に力がかかり、足が部分的にソール構造から押し出されるおそれがある。動作中に足をソール構造の上に保持することにより、パフォーマンスと快適性が向上し得る。必要な保持の量と位置は、活動に基づいて変化してもよい。足を保持するために、ニット製アッパーには編み上げ後のプロセスを通じて様々な構成要素が追加されてもよい。しかしながら、編み上げ後に追加されるこのような構成要素は、アッパーの重量を増加させ、生産時間を増加させ、アッパーのリサイクル性を低下させるおそれがある。
【0003】
ニット構成要素、これを有する物品、並びにその製造方法及び使用方法に関する本開示の主題は、非限定的な例を表すことを意図した添付の図面と関連して考察される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本発明の態様による、ニット構成要素で形成された例示的な履物物品の側面図である。
【
図2】本発明の態様による、
図1に示す履物物品の正面斜視図である。
【
図3】本発明の態様による、
図1に示す例示的な履物物品の例示的なニット構成要素の概略図である。
【
図4】本発明の態様による、
図1に示す例示的な履物物品の別の例示的なニット構成要素の概略図である。
【
図5】本発明の態様による、埋め込みストランドを有するニット構成要素で形成された例示的な履物物品の側面図である。
【
図6】本発明の態様による、
図5に示す例示的な履物物品の正面斜視図である。
【
図7】本発明の態様による、例示的なニット構成要素に組み込まれた埋め込みストランドの概略拡大図である。
【
図8】本発明の態様による、埋め込みストランドを有する例示的なニット構成要素の概略図である。
【
図9】本発明の態様による、
図8に示す埋め込みストランドを有するニット構成要素の別の概略図である。
【
図10】本発明の態様による、
図8に示す埋め込みストランドを有するニット構成要素の別の概略図である。
【
図11】本発明の態様による、埋め込みストランドを有するニット構成要素で形成された例示的な履物物品の側面図である。
【
図12】本発明の態様による、
図11に示す例示的な履物物品の上面図である。
【
図13】本発明の態様による、
図11に示す例示的な履物物品の例示的なニット構成要素の概略図である。
【
図14】本発明の態様による、埋め込みストランドを有する別の例示的なニット構成要素の概略図である。
【
図15】本発明の態様による、埋め込みストランドを有する別の例示的なニット構成要素の概略図である。
【
図16】本発明の態様による、埋め込みストランドを有する別の例示的なニット構成要素の概略図である。
【
図17】本発明の態様による、ニット構成要素を製造する例示的な方法のブロック図である。
【
図18】本発明の態様による、履物物品を形成する例示的な方法のブロック図である。
【
図19】本発明の態様による、ニット構成要素の特定のエリアに位置する埋め込みストランドを有するニット構成要素である。
【
図20】本発明の態様による、実質的に連続した埋め込みを有するニット構成要素である。
【
図21】本発明の態様による、異なるニット構造を有するニット部分を有するニット構成要素である。
【
図22】本発明の態様による、異なる構成エリアを有するニット構成要素である。
【
図23B】本発明の態様による、
図23Aの編み図に従ったニット構成要素の連続形成の図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示の主題は、法的な要件を満たすために、本明細書に詳細に説明される。しかしながら、説明自体は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。むしろ、特許請求又は開示される主題はまた、異なる特徴、異なる特徴の組み合わせ、異なるステップ、及び/又は本文献に記載されているステップに類似した異なるステップの組み合わせを含むように、かつ他の現在若しくは将来の技術又は解決策に関連して、他の方法で実施され得る。更に、「ステップ」及び/又は「ブロック」という用語は、本明細書において、用いられる方法の異なる要素を識別するために使用され得るが、これらの用語は、個々のステップの順序が明示的に述べられているときを除いて、本明細書で開示される様々なステップの中又はそれらの間の任意の特定の順序を暗示するように解釈されるべきではない。
【0006】
従来の履物物品には、一般に、アッパー及びソール構造が含まれている。アッパーは、ソール構造に固定され、足を快適かつしっかりと受容するための空隙を履物物品内に形成する。ソール構造は、アッパーと地面との間に位置付けられるようにアッパーの下面に固定される。いくつかの運動靴では、例えば、ソール構造には、ミッドソール及びアウトソールが含まれてもよい。履物物品のアッパーは、一般に、足の甲と足のつま先エリアにかけて、足の内側と外側に沿って足のかかとエリアの周りに延在している。アッパー内部の空隙へのアクセスは、一般に、履物のかかとエリアにある足首開口部によって提供され、アッパーのフィット感を調整するために紐締めシステムを組み込むことができる。
【0007】
アッパーは、糸の噛み合ったループを有するニット織物を含む、様々な素材で形成され得る。ニット織物で形成されたアッパーは、通気性があり、軽量で、柔軟性がある。しかしながら、従来のニット製アッパーは、他の種類の素材を備えた構造を欠いていることがある。その結果、運動選手が足を動かすと、従来のニット製アッパー内の足を履物のソール構造から押し出す力が働くおそれがある。動作中に足をソール構造の上に保持することによって、パフォーマンスと快適性を向上させることができる。足を保持するために、ニット製アッパーには編み上げ後のプロセスを通じて様々な構成要素が追加されてもよい。しかしながら、編み上げ後に追加されるこのような構成要素は、アッパーの重量を増加させ、生産時間を増加させ、かつ/又はアッパーのリサイクル性を低下させるおそれがある。更に、必要な保持の量と位置は、活動に基づいて変化してもよい。しかしながら、履物用の従来の編みプロセスは、特定の活動に所望の又は好適な保持のレベル及び/又は保持の方向を達成できないことが多く、そのため、必要な又は好適な保持のレベルを達成するために追加の構成要素及び/又は編み上げ後のプロセスが必要になる可能性がある。
【0008】
要約すると、高いレベルにおいて、本開示の態様は、少なくとも前足部領域及び中足部領域のいずれか又は両方を形成するアッパー用のニット構成要素を対象とし、これらの領域は、外周部と共通部分との間に延在する、1つ以上の径方向に延在するニットコースを含んでもよい。ニット構成要素の共通部分は、スロート領域など、ニット構成要素の長手方向軸線の少なくとも一部に沿った、又はこれに隣接する中央領域であってもよい。中足部領域及び/又は前足部領域内のニットコースは、外周部の異なるセクションと共通部分との間に延在しているため、少なくともいくつかの径方向に延在するコースは、互いに平行に伸びていないことがあり、換言すれば、径方向に延在するコースは、互いに対して角度をなして延在していることがある。しかしながら、直接隣接するコース部分は、例えば、直接隣接し、同じ長さ又は異なる長さのコース部分など、実質的に平行であり得る。いくつかの態様では、ニット構成要素は、中足部領域と一体的に編まれたかかと領域を含み、外周部と共通部分との間にも延在する1つ以上のコースを含む。一実施例では、かかと部分には、かかとクッション又はクッション性を含めることができる。いくつかの態様では、アッパーを形成するニット構成要素の径方向に延在するコースは、共通部分と、前足部領域、中足部領域、及びかかと領域のうちの1つ以上の周囲との間で延在することによって、着用者の足の少なくとも一部分を取り囲むことができる。
【0009】
一実施例では、ニット構成要素は、ニット構成要素の外周部から開始され、ニット構成要素の内周部に向かって延在して形成される1つ以上のニットコースを含むことができ、これらのコースは、編み機によって実施される連続したプロセスで形成される。形成されたコースは、異なる長さを有することができ、例えば、一例では、楔を形成する。
【0010】
本明細書に記載されるニット構成要素の径方向に延在するコースは、従来のニット物品のコースよりも多数の保持線と実質的に整列することができ、これにより、複数方向の保持及び安定性を提供することができる。結果として、径方向に延在するコースを有するアッパーにより、着用者が、スリップ、滑り、又は横方向の変位を低減しながら、より鋭いターン及び/又はカットを実施することを可能にし得る。更に、本明細書で考察されるニット構成要素の態様は、強度を加えるために利用されてもよい。例えば、これは、高引張強度、高い耐伸張性を有する糸の使用を通じて、かつ/又は特定の活動若しくは動きのパフォーマンスを向上させるために所望である保持線に沿って耐伸張性を高める特定のニット構造の使用を通じて、提供することができる。このようにして、径方向に延在するコースを有するアッパーは、異なる方向に沿って安定性と保持を提供することができる。
【0011】
いくつかの態様では、例えば、補強を高め、かつ/又は保持を強化するために、引張要素を、例えば、埋め込みストランドとして編まれた構成要素に組み込むことができる。例えば、高引張強度の糸、例えば、ポリエステル糸、例えば、非弾性ポリエステル糸を、本明細書に記載されるニット構成要素、アッパー、及び履物物品に組み込んで(例えば、埋め込み又は編み込んで)、特定の方向、例えば、保持線に沿って補強を付与することができる。引張要素はそれぞれ、例えば、マルチフィラメント糸、フィラメント(例えば、モノフィラメント糸)、より糸、ロープ、ウェビング、ケーブル、又はチェーンの構成を有してもよい。引張要素は、引張要素を有するエリアにおけるニット構成要素の強度を増加させる特性を有する素材を含んでもよい。例えば、引張要素は、5グラム/デニールよりも大きい引張強度などの高引張強度を有する糸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、引張要素の引張強度は、ニット構成要素の他の糸(複数可)よりも大きくてもよい。一実施例では、引張要素は、Coats Group PLCによって生産されるGralなどの、高引張強度のポリエステル糸から形成される。別の実施例では、引張要素は、高引張強度のナイロン糸によって形成される。更に、いくつかの実施例では、引張要素は、ニット構成要素の残りの部分よりも高い耐伸張性を示すことができ、ガラス、アラミド(例えば、パラアラミド及びメタアラミド)、超高分子量ポリエチレン、並びに液晶ポリマーを含む、高い引張耐力の用途に利用される様々なエンジニアリングフィラメントから形成することができる。
【0012】
いくつかの態様では、ニット構成要素は、共通部分から径方向に分岐する複数の楔部分を含んでもよい。一実施例では、複数の楔部分は、前足部領域内に含まれる。更に、いくつかの例では、複数の楔部分は、複数の楔部分が共通部分から径方向に分岐し、前足部領域の外周部の周りに延在するように、前足部領域において弓形形状を形成するように構成されている。
【0013】
いくつかの態様では、ニット構成要素は、共通部分の周りに位置付けられた複数の径方向に分岐する部分を含んでもよく、複数の径方向に分岐する部分のそれぞれは、複数のコースを含む。
【0014】
一実施例では、径方向に延在するコースは、共通部分と前足部領域の上部の周りとの間に延在している。例えば、径方向に延在するコースは、共通部分から分岐し、前足部領域の上部の周りに延在することができる。したがって、前足部領域内の1つ以上の径方向に延在するコースは、前足部領域、例えば、つま先領域内の1つ以上の保持線と実質的に整列するように構成されてもよい。したがって、一実施例では、少なくとも1つの径方向に延在するコースは、前足部領域及び/又はつま先領域内の少なくとも1つの保持線と実質的に整列している。径方向に延在するコースの前足部領域内の複数の保持線との実質的な整列により、前足部領域内の保持及び安定性を高めることができる。径方向に延在するコースによって提供できる安定性及び保持の向上により、追加の補強の量を低減することができ、その結果、通気性が向上し、快適性が強化される。
【0015】
更なる態様では、本明細書のニット構成要素は、例えば、埋め込みストランドとして組み込まれた、1つ以上の引張要素を含んでもよい。埋め込みストランドはそれぞれ、ニット構成要素の外周部と共通部分との間に少なくとも部分的にそれぞれ延在する複数のストランドセグメントを形成してもよい。ストランドセグメントは、共通部分及び/又は外周部において接続された状態に、かつ/又はループ状に保つことができる。それぞれの埋め込みストランドは、相互にループ状になってニット構成要素の残りの部分を形成する糸よりも、大きな厚さ若しくは重量、大量の耐伸張性、及び/又は高引張強度を有するストランドなど、追加のサポートを提供するのに好適な素材で形成されてもよい。したがって、1つ以上の埋め込みストランドは、所望の保持線に沿って保持を提供するための追加の、代替の、又は別個の構造とすることができる。異なる態様では、このような特性を付与するために使用できる埋め込みストランドには、例えば、ガラス、アラミド(例えば、パラアラミド及びメタアラミド)、超高分子量ポリエチレン、液晶ポリマーなどを含む、高い引張耐力の用途に利用されるエンジニアリングフィラメントを含めることができる。
【0016】
いくつかの態様では、埋め込みストランドセグメントの密度、埋め込みストランドセグメントの位置、埋め込みストランドセグメントの配向、及び(埋め込みストランドセグメントの配向及び/又は角度に影響を与える可能性がある)共通部分の位置のうちの1つ以上は、所望の方向性及び/又は保持の程度に基づいて変更されてもよい。保持の程度は、共通部分から周囲又は縁部に向かって延在している、径方向に沿った伸張、延長、及び/又は拡張に対する抵抗とすることができる。加えて、埋め込みストランドセグメントの密度、間隔、及び/又は数は、局所的な特性を付与するためにニット構成要素及び/又はニット構成要素を組み込んだアッパーの異なる部分にわたって異なる可能性がある。
【0017】
本明細書の更なる態様では、アッパー用のニット構成要素を製造する方法が提供される。アッパーを通じて径方向に延在するニットコース(及び、いくつかの態様では、埋め込みストランド)を作製することは、アッパーの一方の側(例えば、外側又は内側)の少なくとも一部分を、アッパーの他方の側のいずれかを編む前に編むことを含む編みプロセスを通じて達成されてもよい。例えば、第1の中足部領域は、外側上又は内側上のいずれかで、編み機上で編まれてもよい。次いで、前足部領域が編み機上で編まれてもよく、続いてアッパーの他方の側(例えば、第1の中足部領域で編まれた外側又は内側のいずれかの反対側)で第2の中足部領域が編まれてもよい。加えて、製造されたニット構成要素は、ニットコースの径方向の配向を維持しながら、湾曲したアッパーの有機的形状を一緒に作製する全長ニットコースと部分長ニットコースとの組み合わせを含んでもよい。
【0018】
例えば、ニット構成要素内に、例えば、アッパーの前足部領域内に湾曲した形状を生成するために、編み機を使用して複数の「楔」を形成することができる。それぞれの「楔」は、編み機上に形成された一連のニットコースから形成され、それぞれのニットコースの長さは、楔様形状を形成するために、一連の連続して編まれる行で徐々に長くなり、その後、別の一連の連続して編まれる行では徐々に短くなる。結果として得られる「楔」は、連続して編まれる行の長さの変更及び/又は連続して編まれる行の数の変更によって決定できる特定の幾何学的形状を有する。「楔」を作製すると、ニット構成要素が回転し、例えば、湾曲した、又は弓形の幾何学的形状を画定することができる。例えば、これを使用して、編み機上で作られたニット構成要素から形成されたアッパーの湾曲した前足部領域を形成することができる。
【0019】
一態様では、アッパー用のニット構成要素を形成する方法は、編み機上で複数の楔を有するニット構成要素を形成することを含み、複数の楔は、前足部領域及び/又は中足部領域を形成する。本方法の一実施例では、内側領域又は外側領域が編み機上で編まれ、その後続いて、前足部領域が、湾曲した形状を含むように編み機上で編まれ、その後続いて、内側領域及び外側領域の他方の側が編み機上で編まれる。
【0020】
開示された編み方法によれば、ニット構成要素の外側を形成するために使用されるのと同じフィーダ(複数可)を、ニット構成要素の内側を形成するために使用することができる。加えて、外側を形成するために使用される針の少なくとも一部は、内側を形成するために使用することができる。本方法は、組み合わせフィーダを使用してコース内にストランドを埋め込むことによって、埋め込みストランドを一体化することを更に含むことができる。外側上の埋め込みストランドセグメントは、内側上に埋め込みストランドセグメントを形成するのと同じ組み合わせフィーダを用いて形成されてもよい。したがって、径方向に延在するコース及び埋め込みストランドを有するニット構成要素を形成することができると同時に、アッパーを一体的に編むための従来のプロセスと比較して、編み機上の設置面積が小さくなる。これにより、第2のアッパー用のニット構成要素など、別の別個の物品を同時に編むための空間及びリソースを解放することができる。
【0021】
記載されているように、本開示の態様は、少なくとも部分的にニット織物から形成される履物物品若しくはその態様、又はこのようなニット織物から形成されるアパレル物品に関する。一実施例では、これらの態様は、少なくとも部分的にニット構成要素から形成されたアッパーを対象とする。本明細書で使用される場合、「アッパー」という用語は、足の甲と足のつま先エリアにかけて、足の内側と外側に沿って足のかかとエリアの周りに延在して、着用者の足を受容するための空隙を形成する履物構成要素を指す。アッパーの例示的で非限定的な例としては、バスケットボールシューズ、サイクリングシューズ、クロストレーニングシューズ、グローバルフットボール(サッカー)シューズ、アメリカンフットボールシューズ、ボーリングシューズ、ゴルフシューズ、ハイキングシューズ、スキー又はスノーボードのブーツ、テニスシューズ、ランニングシューズ、ウォーキングシューズなどに組み込まれるアッパーが挙げられ得る。更に、他の態様では、アッパーは、ドレスシューズ、ローファー、及びサンダルなどの非運動靴にも組み込まれてもよい。したがって、本態様は、多種多様な種類の履物に適用される。図には、着用者の片足(例えば、右足)のみの使用を目的とした履物物品を示し得るが、別段の指示がない限り、当業者であれば、他方の足(例えば、左足)用の対応する履物物品が右足の履物物品の鏡像であることを認識するであろう。
【0022】
上面、底面、前面、側面、後面、上側、下側、外側、内側、右面、左面、内部、外部、内面、及び外面などの、履物物品又はその態様を説明するために使用される位置に関する用語は、着用者の足が足受容空隙にあり、着用者の足首又は脚が足首開口部を通って延在するように、着用者が直立した状態で意図どおりに着用される履物物品又はアッパーに関して使用される。例えば、アッパーの「上向きの表面」及び/又は「上面」は、着用者が履物物品を着用しているときに「上側」の解剖学的方向(すなわち、着用者の頭に向かって)に配向された表面を指す。同様に、「下向き」及び/又は「下方」という方向に関する用語は、解剖学的方向の「下側」(すなわち、地面に向かって、着用者の頭から離れる方向)を指す。「前面」は、「前方」(例えば、つま先方向)を意味し、「後部」は、「後方」(例えば、かかと方向)を意味する。「内側」は、「体の正中線に向かう」ことを意味し、「外側」は、「体の正中線から離れる」ことを意味する。「長手方向軸線」とは、かかと領域と前足部領域との間に延在する物品の中心線を指す。同様に、「長手方向の長さ」とは、長手方向軸線に沿った物品の長さを指し、「長手方向」とは、長手方向軸線に沿った方向を指す。ただし、位置に関する用語の使用は、解釈のために実際に人間が存在することに依存しないと理解されたい。
【0023】
「ニット構成要素」及び「ニット要素」という用語は、コース及びウェールを画定する複数の噛み合ったループを形成するように(例えば、編み機で)操作される少なくとも1つの糸から形成される織物片を指す。本明細書で使用される「コース」という用語は、同じ編みサイクルの間に隣接する針によって作られる、(編み機で編まれるような直立した織物における)ニットループの主に水平な行を指す。このコースは、表編み、落とし編み、引き上げ編み、移し編み、リブ編みなどの1つ以上の編み種類を含んでもよく、これらの用語は、編み物の分野で知られている。本明細書で使用される「ウェール」という用語は、(必ずしも全てではないが)連続するコース又は編みサイクルで同じ針によって一般に作られる、噛み合った又は相互にループ状になったニットループの主に垂直な列である。
【0024】
本明細書で使用される「一体的に編む」という用語は、第1のエリア又は領域の1つ以上の編まれたコースからの糸が、別のエリア又は領域の1つ以上の編まれたコースと相互にループ状になったニット構成要素を意味し得る。相互にループ状にすることは、単純な表編み、引き上げ編み、保留編み、浮かし編み、又は落とし編みなどを通じて行われ得る。このように、一体的に編まれたエリアは、シームレスに遷移することができる。
【0025】
本明細書で使用される「埋め込みストランド」という用語は、糸、ケーブル、フィラメント、モノフィラメント、マルチフィラメント、及び/若しくは繊維、又はこれらの任意の組み合わせなど、ループを形成する1つ以上の他のストランドによって形成されるコースを通じて延在する、細長い素材片を指してもよい。埋め込みストランドは、ストランドをニット要素内に固定するためにそれぞれの端部にループを含んでもよいが、一般に、別様に、別のストランドと相互にループ状にならずにコースを通って延在してもよい。
【0026】
一実施例では、埋め込みストランドは、コースを形成する別のストランドのループと相互にループ状になってもよい。本明細書で使用される「径方向に延在する」という用語は、ニット構成要素の共通部分から径方向に広がる、ニットコース及び/又は埋め込みストランドセグメント及び/又は楔部分などの細長い構造の配向を指す。
具体的には、ニットコース及び/又は埋め込みストランドは、ニット構成要素の共通部分と外周部との間に少なくとも部分的に延在する場合には、径方向に延在してもよい。このようにして、コース及び/又はストランドセグメントは、例えば、外周部の外側縁部から内側縁部までニット構成要素の本体にわたって連続的に延在するのではなく、共通部分から外周部に向かって径方向外向きに広がり得る(ただし、本明細書で検討される態様では、このような構成は、アッパーを形成する径方向のニット構造と組み合わせて存在してもよい)。加えて、ニット構成要素の構造は、ニット構成要素が編み上げ後に平らな構成に展開されたときに、共通部分から径方向に延在している場合があるが、構造が径方向に延在しているかどうかを決定することは、ニット構成要素がアッパー又はアッパーの一部分の形状に折り畳まれた後、共通部分に向かう構造の配向に基づき得ることも企図される。
【0027】
本明細書で使用される「共通部分」という用語は、複数の同様の構造(例えば、複数のコース若しくは複数の埋め込みストランドセグメント)に向かって延在する、かつ/又はそこから離れるように延在するニット構成要素のエリアを指す。
この構成では、コース又は埋め込みストランドセグメントは、外周部から異なる部分に延在するのではなく、ニット構成要素の外周部からニット構成要素の単一の共通部分に延在してもよい。共通部分は、外周部から離間されており、様々な態様では、ニット構成要素内の比較的中心に位置してもよい。このようにして、共通部分は、ニット構成要素の長手方向軸線を取り囲んでもよいか、又はニット構成要素の長手方向軸線に直接隣接してもよい。本明細書に開示されるいくつかの例では、共通部分は、スロート領域若しくはその一部分を含んでもよいか、又はスロート領域若しくはその一部分であってもよい。
【0028】
本明細書で使用される場合、「スロート領域」という用語は、足首開口部と前足部領域との間にほぼ延在するアッパーの上面(上向き面)のエリアを指す。スロート領域は、履物物品の形状に形成されたときにアッパーの外側と内側との間に形成される開口部を含んでもよく、いくつかの態様では、スロート領域は、スロート領域の開口部にわたって延在する舌部を含んでもよい。いくつかの態様では、スロート領域は、開口部を有さず、むしろ、内側と外側との間に延在するニット構成要素の連続して一体的に編まれたエリアを含む。
【0029】
本明細書で使用される場合、「周囲」という用語は、言及される物体の境界を形成するエリアを指す。例えば、ニット構成要素の周囲は、その構造の境界に沿って延在するエリアである。「外周部」とは、履物物品に形成されると、アッパー構造とソール構造との間のバイトライン(biteline)、及び/又は外周部の2つの端部の間の縫い目を形成する、ニット構成要素の周囲の部分を指してもよい。対照的に、「内周部」とは、履物物品に形成されると、スロート領域の開口部及び/又は足首開口部などの開口部を画定する、ニット構成要素の周囲の部分を指してもよい。周囲(外周部又は内周部)とは、ニット構成要素の縁部、又は縁部に隣接する周囲エリアを指してもよい。
【0030】
以下の様々な態様は、図面を参照して説明されるが、図面においては、同様の要素は一般に同様の番号で識別される。態様の様々な要素の関係及び機能は、以下の詳細な説明を参照することによって、より良好に理解され得る。しかしながら、態様は、図面に示されるもの、又は以下に明示的に説明されるものに限定されない。また、図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、場合によっては、従来のアセンブリなど、本明細書に開示される態様の理解に必要ではない詳細が省略されている場合があることも理解されたい。追加的に、本明細書全体にわたって様々な測定値が提供される。別段の指示がない限り、測定値に関して「約」、「およそ」、又は「実質的に」という用語は、指示された値の±10%以内を意味する。例えば、値は、とりわけ、長さ、角度、径方向、直線方向、又は測定単位であり得る。
【0031】
図1及び
図2は、それぞれ、本発明の一態様による、履物物品100及びその構成要素の側面図及び正面斜視図である。履物物品100は、ソール構造102及びアッパー104を含む。アッパー104は、ソール構造102に結合され、ソール構造102から延在し、ソール構造102とアッパー104との間に足受容空洞を形成する。ソール構造102がアッパー104に接合する履物物品100のエリアは、バイトライン106と呼ばれることがある。アッパー104は、例えば、接着剤の使用、縫製、溶接などの任意の好適な技法を使用した固定された方法で、ソール構造102に接合されてもよい。アッパー104は、着用者の足の周りに部分的又は完全に延在してもよく、着用者の足の下に延在してもよく、かつ/又はソールと一体であってもよいことが企図される。加えて、ストローベルと呼ばれ得る中敷は、使用されてもよいし、使用されなくてもよい。中敷には、織物、皮革、発泡体、及び/又は他の種類の素材を含む様々な素材を含めることができる。追加の態様では、ヒールカウンタもまた履物物品に使用されてもよい。
【0032】
履物物品100(及び/又はその構成要素)は、1つ以上の領域(「エリア」又は「部分」とも呼ばれ得る)に分割することができる。例えば、前方から後方への方向において、履物物品100(及び/又はその構成要素)は、前足部領域108、中足部領域110、及びかかと領域112に分割する(かつ/又はこれらを含む)ことができる。履物物品100の前足部領域108は、つま先、及び足の中足骨を指骨と接続する関節を含む、足の前方部分に相当し得る。履物物品100の中足部領域110は、足の土踏まずエリアに相当し得る。履物物品100のかかと領域112は、踵骨を含む足の後方部分に相当し得る。内側から外側への方向において、履物物品100(及び/又はその構成要素)は、外側114と内側116に分割することができ、これらの両方とも前足部領域108、中足部領域110、かかと領域112を通って延在している。より具体的には、外側114は、履物物品100を着用したときに、足の外側エリア(すなわち、もう一方の足とは反対側に面する側)に相当し、一方、内側116は、履物物品100を着用したときに、足の内側エリア(すなわち、もう一方の足に面する側)に相当する。外側114と内側116とは、長手方向軸線118によって分離されている。これらの領域108、110、及び112並びに側部114及び116は、履物物品100の正確なエリアを画定することを意図したものではなく、むしろ、本明細書に提供される様々な説明の理解を助けるために履物物品100の一般的なエリアを表すことを意図したものである。
【0033】
ソール構造102は、一般に、履物物品100が着用されたときに足と地面との間に延在する。ソール構造102は、アウトソール、ミッドソール、及びインソール又は中敷などの複数の構成要素を含んでもよい。ソール構造102を形成するために、ゴム、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(例えば、ポリエーテルブロックアミド)、又は同様の好適な素材などの様々な素材が使用されてもよい。ソール構造102はまた、ヒールカウンタ及びトウキャップなどの様々な他の要素を含んでもよい。ソール構造102は、当業者には理解されるように、靴底など、力を減衰させ、安定性を強化し、かつ/又はトラクションを提供するための様々な他の特徴を含んでもよい。
【0034】
アッパー104は、足を受容し、ソール構造102に対して足を固定するための空隙を履物物品100内に画定する。空隙へのアクセスは、少なくともかかと領域112に位置する足首開口部125によって提供される。足首開口部は、足首カラー128によって画定される。アッパー104はまた、足首開口部125と前足部領域108との間の中足部領域110に配設されたスロート領域126を含む。スロート領域126は、着用者の足の上側を覆うように構成されてもよく、したがって、外側114と内側116との間のアッパー104の上側(又は足の甲領域)の一部を形成してもよい。履物物品100は、足受容空洞を調整するためにスロート領域126に閉鎖システムを含むこともできる。このようにして、閉鎖システムは、例えば、履物物品100を着用者の足に固定するため、かつ/又は着用者の足から解放するために使用することができる。例示的な閉鎖システムには、靴紐132(例えば、図
1及び
図2に示す)、ストラップ、バンド、ケーブル、コード、ラチェット機構、面ファスナーなどを含める。
【0035】
図1及び
図2を更に参照すると、アッパー104の少なくとも一部分は、例えば、横編み機での横編みプロセスなどによって、少なくとも1つのニット構成要素140で形成されてもよい。いくつかの態様では、アッパー104の全体又は実質的に全体がニット構成要素140で形成されてもよい。ニット構成要素140は、アッパー104の別々のエリアに異なる特性を付与する様々な種類の糸(複数可)を組み込んでもよい。すなわち、ニット構成要素140の1つのエリアは、第1の特性又は第1の特性のセットを付与する第1の種類の糸から形成されてもよく、ニット構成要素140の別のエリアは、第2の特性又は第2の特性のセットを付与する第2の種類の糸から形成されてもよい。この構成では、ニット構成要素140の異なるエリアに対して特定の糸を選択することによって、特性がアッパー104全体にわたって変化してもよい。特定の種類の糸がニット構成要素140のあるエリアに付与することとなる特性は、糸の様々なフィラメント及び繊維を形成する素材に部分的に依存する。例えば、綿は、柔らかな手触り、自然な美しさ、及び生分解性を提供することができる。エラスタン及びストレッチポリエステルはそれぞれ、大きな伸縮性と回復性を提供することができ、ストレッチポリエステルは、リサイクル性を提供することができる。レーヨンは、高い光沢と吸湿性を提供することができる。また、ウールは、断熱性と生分解性に加えて、高い吸湿性を提供することができる。ナイロンは、耐久性と耐摩耗性に優れ、比較的強度の高い素材である。ポリエステルは、疎水性素材であり、比較的高い耐久性も備えている。素材に加えて、ニット構成要素140用に選択される糸の他の態様も、アッパー104の特性に影響を与えることがある。例えば、ニット構成要素140を形成する糸は、モノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸であってもよい。糸には、それぞれが異なる素材で形成された別々のフィラメントを含めることもできる。加えて、糸は、芯鞘構成を有するフィラメント又は異なる素材で形成された2つの半部を有する複合糸など、2つ以上の異なる素材でそれぞれ形成されたフィラメントを含んでもよい。異なる撚り度合い及びクリンプ、並びに異なるデニールも、アッパー104の特性に影響を与えることがある。したがって、糸を形成する素材と糸の他の態様との両方を選択して、アッパー104の別々のエリアに様々な特性を付与することができる。糸は、本明細書に企図される異なる態様に従って、異なる特性、例えば、引張耐力、引張強度、弾性、クッション性などに基づいて選択されてもよい。
【0036】
ニット構成要素140は、横編みプロセス又は別の編みプロセスなどの編みプロセス中に、単一の一体型ワンピース要素として形成されてもよい。足下部分及び/又はかかと要素(かかとクッション、ヒールカウンタ、又は他の要素若しくは構成要素を含むがこれらに限定されない)などの追加の要素は、ワンピース一体構造としてアッパー104と一体的に形成されてもよい。代替的に、1つ以上のこのような追加要素をアッパー104とは別々に形成してもよく、その後、必要に応じて取り付け、固定し、又はその他の方法で組み立てることができる。アッパー104をニット構成要素で形成することにより、特定の弾性程度、通気性、屈曲性、強度、吸湿性、重量、耐摩耗性、及び/又はこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない有利な特性をアッパー104に提供してもよい。更に、一体的に編まれたニット構成要素からアッパー104を形成することにより、大幅な追加の製造ステップ又はプロセスを必要とせずに、アッパー104の様々な特徴及び構造を形成することができ、それによって、生産効率が高まる。
【0037】
ニット構成要素140は、1つ以上の径方向に延在するコースを含んでもよい。すなわち、ニット構成要素140は、ニット構成要素140の外周部(ニット構成要素140がアッパー104に形成され、ソール構造102に接合されたときにバイトライン106を形成するか、又はバイトライン106に隣接し得る)と、ニット構成要素140の共通部分との間に延在するニットコースを含んでもよい。共通部分は、ニット構成要素140がアッパー104の形状に形成されたときに、いくつかのコース又は実質的に全てのコースが共通部分に向かって延在する、ニット構成要素140のエリアであってもよい。いくつかの態様では、共通部分は、長手方向軸線118に沿っているか、又は長手方向軸線118の一部分を含む。いくつかの態様では、共通部分は、長手方向軸線118に隣接している。例えば、共通部分は、長手方向軸線118に沿って延在しているスロート領域126を含んでもよい。
図3に関して更に説明するように、ニット構成要素140内の径方向に延在するコースは、ニットコースが着用者の足全体又はその一部分の周りに少なくとも部分的に保持を提供できるように、多くの異なる保持線と整列するコースを作製してもよい。
【0038】
図3は、コース142a~142eなどの径方向に延在するコースを有するニット構成要素140の概略図を示しており、これらを集合的に「コース142」と呼ぶことがある。コース142はそれぞれ、簡略化された形式で編みループのストランドを有するものとして示されており、これらのループのストランドは、使用される編み目順序を必ずしも表すわけではないことを理解されたい。例えば、コース142は、浮かし編み、引き上げ編み、移し編みなどの他の種類の編み方を含んでもよい。同様に、(明確にするために)コース142が延在し得る様々な方向を代表するものとして、ニット構成要素140全体にわたっていくつかのコースのみが示されており、従って、
図3に示すコース142の間に位置される追加のコースが存在してもよく、これらのコースは、以下に説明され、
図3に示すのと同様の方法で、ニット構成要素140の共通部分から径方向に延在することを理解されたい。加えて、
図3に示すコース142はまた、コース142が別個ではなく、共通部分及び/又は外周部において互いに遷移するように相互接続することもできる。
【0039】
コース142は、外周部124から共通部分又は共通領域まで延在している。
図3の例では、共通部分は、スロート領域126であり、スロート領域126は、舌構成要素(
図1及び
図2の舌部130など)、舌構成要素用の開口部、及び/又は舌構成要素が延在し得る空間を画定する、ニット構成要素の内周部134を含んでもよい。いくつかの態様では、スロート領域126は、舌構成要素用の開口部又は空間が存在しなくてもよいように、外側114から内側116まで連続的に編まれている。
【0040】
前足部領域108、中足部領域110、及びかかと領域112はそれぞれ、コースのうちの少なくともいくつかが互いに平行ではないように、異なる方向に延在する、径方向に延在するコースを含んでもよい。例えば、コース142cなどの前足部領域108内の少なくとも前足部コースは、コース142bなどの中足部領域110内の中足部コースと平行ではない方向に延在している。換言すれば、前足部コース142c及び中足部コース142dを含む、少なくともいくつかのコースは、互いに対して角度を付けることができ、その角度は、0度よりも大きく180度よりも小さい。
【0041】
したがって、コース142は、潜在的な保持の異なる線又は角度を表すことができる異なる方向に延在してもよい。いくつかの態様では、コースが延在する様々な方向は、着用者の足の中心の周りで効果的に360度であってもよい。これらの保持線は、足が保持され得る場所を表すことができ、様々なニット構造を通じて実現されてもよい。いくつかの態様では、より優れた保持は、特定の保持線に沿ったコースに高い引張耐力及び/若しくは高い耐伸張性の糸を利用し、特定の保持線に沿ったコースの伸張性を低減するために、浮かし編みなどの特定の表編みを利用し、又はこれらの組み合わせを利用することによって達成される。例示的な態様では、ニット構成要素140は、第1の対角保持線(第1の軸線121によって示される)と、例えば、平行又は実質的に平行に整列したコースを含み、ニット構成要素140の共通部分における第1の保持線と交差する第2の対角保持線(第2の軸線123によって示される)と、例えば、平行又は実質的に平行に整列したコースを含む。第1の軸線121は、着用者の第1中足骨を覆うように構成されたニット構成要素140の一部分から外側114上のかかと領域112まで延在してもよく、第2の軸線123は、着用者の第5中足骨を覆うように構成されたニット構成要素140の一部分から内側116上のかかと領域112まで延在してもよい。これらの軸線121及び軸線123は、集合的にX字形を形成してもよく、多くの種類の動き(動きの方向を変える又は変更すること、左右の動き、前方への動き、及び後方への動きを含む)に対するアッパー内での着用者の足の安定性を向上させ得る保持線を表してもよい。したがって、伸縮性を制限するコースを通じて着用者の足をアッパー104内に保持すること、又は別様にこれらの軸線121及び軸線123に沿ってサポートを提供することにより、履物物品100の性能を強化することができる。
【0042】
径方向に延在するコース142を有するニット構成要素140は、ニット構成要素140の外側114及び内側116が同時にではなく連続して形成される径方向の編みプロセスを通じて作製されてもよい。
図3に示すように、ニット構成要素140は、編み機162によって、ニット構成要素140の内側116上のかかと領域112から開始され、かかと領域112から前足部領域108まで編み方向144に編まれ、その後、編み方向144によって示されるように、前足部領域108から開始され、外側114上のかかと領域112で終わるニット構成要素140の外側114を編むことによって形成される。このように、ニット構成要素140は、内側116(又は内側116上の少なくとも複数のコース)を編み、内側116上のコースを編んだ後に前足部領域108を編み、前足部領域108を編んだ後に外側114(又は外側114上の少なくとも複数のコース)を編むことによって形成されてもよい。
【0043】
他の態様では、同様ではあるが反対の編み方向を利用して、ニット構成要素140を形成してもよい。例えば、ニット構成要素140は、外側114(又は外側114上の少なくとも複数のコース)を編み、外側114上のコースを編んだ後に前足部領域108を編み、前足部領域108を編んだ後に内側116(又は内側116上の少なくとも複数のコース)を編むことによって形成されてもよい。
【0044】
ニット構成要素140を作るためのこのプロセスは、自動編み機であってもよい編み機162上で実施されてもよい。例示的な態様では、編み機162は、
図3に示されており、(例えば、針床461、針床463を有する編み機462として)
図4にも同様に示されている前針床161及び後針床163を含み、それぞれは、簡略化された表現として示されている。したがって、例示的な態様では、編み機(及び本明細書に示す他の編み機)は、前針床161及び後針床163を有するV床横編み機などの横編み機であってもよい。様々な態様では、ニット構成要素140は、単一の針床からの針によって、又は両方の針床からの針によって形成されてもよい。
【0045】
外側114及び内側116が連続して形成されるこの編みプロセスによれば、外側114を形成するために利用される針のうちの少なくともいくつかは、内側116を形成するためにも利用される。このようにして、外側114及び内側116のかかと部分及び/又は中足部分が同時に形成される従来の編みプロセスと比較して、ニット構成要素140を作製するために編み機162の編み床上のより少ない数の針が必要とされてもよい。追加的に、それぞれの側に二重のフィーダを必要とするのではなく、外側114及び内側116の両方の糸形成に同じフィーダ(複数可)を利用してもよい。このようにして、開示された編みプロセスは、ニット構成要素140を編んでいるのと同時に、別のアッパー用の別のニット構成要素などの別個の物品を編むために、編み機162上のより多くの針及び/又はフィーダを利用可能にすることができる。
【0046】
更に、
図3に示すように、径方向に延在するコース142を有するようにニット構成要素140を形成することは、全長ニットコース及び部分長ニットコースを形成することを含む。コース142aなどの全長ニットコースは、ニット構成要素140の1つの縁部(例えば、外周部124における)からニット構成要素140の別の縁部(例えば、スロート領域126の内周部134における)まで延在してもよい。コース142d及びコース142eなどの部分長ニットコースは、ニット構成要素140の2つの縁部の間に延在しなくてもよい。部分長ニットコースの一端又は両端は、ニット構成要素140の縁部に到達する前に終了してもよい。しかしながら、コース142d及びコース142eなどの部分長ニットコースは、外周部124から(例えば、スロート領域126内の)共通部分に向かう方向に延在しているため、依然として径方向に延在しているとみなしてもよい。全長ニットコース間に分散された部分長ニットコースを形成することにより、ニット構成要素140の形状及び寸法を作製することができ、同時にこれらのコースが径方向に延在することも可能にする。
【0047】
図4は、
図1及び
図2に示す履物物品100用のアッパー104など、履物物品用のアッパーを形成することができる別の例示的なニット構成要素440を示す。特に明記しない限り、又は
図4に示す場合を除いて、
図1~
図3に示すニット構成要素140の任意の特徴は、ニット構成要素440に適用してもよく、アッパー104及び履物物品100の任意の特徴は、ニット構成要素440が組み込まれるアッパー及び履物物品に適用してもよい。
【0048】
図3では、ある側全体(例えば、内側116)は、他方の側(例えば、外側114)を編む前に編んでもよい。しかしながら、
図4に示すような他の態様では、編みプロセスが開始し、かつ停止するニット構成要素のエリアは、変化してもよい。
図4では、例えば、編み方向444は、依然として一般に、編み方向144と同様のアーチ形又は弓形形状をとるが、編み方向444は、一方の側のかかと領域412のエリアで始まり、隣接する領域(例えば、同じ側の中足部領域410)で終わる。したがって、編むことが始まり得る(又は編み方向444が逆向きの場合には終わる)エリア420は、ニット構成要素440の縁部が接合されてアッパーを形成した後、外側414上にかかと領域412を形成してもよい。それにもかかわらず、
図3に関して説明した連続的な方法は、外側414及び内側416が同時に編まれないので、この構成に維持されてもよい。その代わりに、編む順序は、外側414上に後で位置付けられるかかと領域412のエリア420が編まれ、次に、内側416を形成するかかと領域412の残りの部分が編まれ、次に、内側416上の中足部領域410が編まれ、次に、前足部領域408が編まれ、次に、外側414上の中足部領域410が編まれるように進められてもよい。したがって、ニット構成要素440によって形成されるアッパーは、かかと領域412の中心ではなく、外側414上に縫い目を有してもよい。
【0049】
ニット構成要素440は、ニット構成要素440の外周部から共通部分に向かって延在している、径方向に延在するコース442を更に有してもよく、この共通部分は、内周部434によって画定されるスロート領域426であってもよい。コースの径方向の配向は、
図1及び
図2のアッパー104などのアッパーに形成された後のニット構成要素440に基づいてもよい。すなわち、編みプロセスがどこから開始されるかに関係なく、コースは、外周部424と共通部分との間で(例えば、外周部424から共通部分まで)延在してもよい。編みプロセス後にニット構成要素440が平らに展開されたときに、エリア420内のいくつかのコースなど、共通部分に向かって延在しないコースが存在してもよい。しかしながら、エリア420を外側414の残りの部分に接合することによってニット構成要素440がアッパーの形状に形成されると、エリア420内のコースは、外周部424から共通部分(例えば、スロート領域426)まで延在するように配向されてもよい。
【0050】
図5及び
図6は、それぞれ、本発明の態様による、履物物品500及びその構成要素の側面図及び正面斜視図である。別段の指示がない限り、履物物品500は、
図1及び
図2に示す履物物品100に関して説明した特徴のいずれかを含んでもよい。したがって、履物物品500は、ソール構造502と、ソール構造502に結合され、足受容空洞を形成するアッパー504と、を含む。
【0051】
アッパー504は、足を受容し、ソール構造502に対して足を固定するための空隙を履物物品500内に画定する。空隙へのアクセスは、少なくともかかと領域512に位置する足首開口部525によって提供される。アッパー504はまた、足首開口部525と前足部領域508との間の中足部領域510に配設されたスロート領域526を含んでもよい。スロート領域526は、着用者の足の上面を覆うように構成され、したがって、外側514と内側516との間のアッパー504の上面(又は足の甲領域)の一部を形成してもよい。図示の態様では、スロート領域は、舌部分、例えば、舌部分530も含む。また、履物物品500は、足受容空洞を調整するために、スロート領域526に靴紐532などの閉鎖システムを含むことができる。
【0052】
アッパー504の少なくとも一部分は、少なくとも1つのニット構成要素540で形成されてもよく、ニット構成要素540は、編みプロセス中に単一の一体型ワンピース要素として形成されてもよい。別段の指示がない限り、
図5に示すニット構成要素540は、
図1~
図3に示すニット構成要素140に関して説明した特徴のいずれかを有してもよい。したがって、ニット構成要素540は、前足部領域508及び中足部領域510を形成してもよい。更なる実施形態では、ニット構成要素540は、かかと領域512も形成する。この実施例では、領域508、510、及び512は、例えば、単一の編みプロセスにおいて一体的に一緒に編まれてもよい。加えて、ニット構成要素540は、ニット構成要素540の外周部524からニット構成要素540の共通部分まで延在している、径方向に延在するニットコースを有してもよい。共通部分は、スロート領域526の少なくとも一部を含んでもよく、ニット構成要素540の長手方向軸線518に沿って延在してもよい。
【0053】
また、ニット構成要素540は、複数のストランドセグメント522を画定する1つ以上の埋め込みストランドを含んでもよい。埋め込みストランドは、ベースとなるニット要素の様々なループの間を通過し、本明細書ではニット要素と呼ばれることがある。
図7は、埋め込みストランド520を有するニット構成要素540の拡大概略図である。具体的には、ニット構成要素540は、ニット要素531及び埋め込みストランド520を含む。ニット要素531は、糸538などの1つ以上の糸の噛み合ったループから形成されたコース542などのコースを含み、埋め込みストランド520は、ニット要素531内の様々なループの間を通過することによって、ニット要素531の1つ以上のニットコースを通って延在する。
【0054】
ニット要素531は、
図1~
図3のニット構成要素140に関して前述したように、アッパー504のエリアに異なる特性を付与する様々な種類の糸(複数可)を組み込んでもよい。更に、ニット要素531を形成する糸(複数可)と同様に、埋め込みストランド520の構成も大幅に変化してもよい。埋め込みストランド520は、糸であってもよいか、又は、例えば、フィラメント(例えば、モノフィラメント)、より糸、ロープ、ウェビング、ケーブル、若しくはチェーンの構成を有してもよい。
【0055】
ニット要素531を形成する糸と比較して、埋め込みストランド520の厚さは、より大きくてもよい。いくつかの構成では、埋め込みストランド520は、ニット要素531の糸(複数可)よりも著しく大きい厚さを有してもよく、例えば、ニット要素531の糸(複数可)の幅よりも少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、又は少なくとも100%大きい幅を有する。埋め込みストランド520の断面形状は、円形であり得るが、異なる態様において、三角形、正方形、長方形、楕円形、又は不規則でもあり得る。更に、埋め込みストランド520を形成する素材は、綿、エラスタン、ポリエステル、レーヨン、ウール、及び/又はナイロンなど、ニット要素531内の糸の素材のいずれかを含むことができる。
【0056】
上述したように、埋め込みストランド520は、ニット要素531及び/又はその糸(複数可)よりも大きな耐伸張性を示してもよい。したがって、埋め込みストランド520に好適な素材には、とりわけ、ガラス、アラミド(例えば、パラアラミド及びメタアラミド)、超高分子量ポリエチレン、並びに液晶ポリマーを含む、高い引張耐力の用途に利用される様々なエンジニアリングフィラメントが含まれてもよい。別の例として、編み込みポリエステル糸を埋め込みストランド520として利用してもよい。また、埋め込みストランドは、例えば、ASTM D3822などの同じ条件下で同じ試験を使用して測定したニット要素531の糸(複数可)よりも高い引張強度及び/又は引張耐力を有することができる。上記のように、埋め込みストランド520は、ニット要素531のニット構造内に位置し、ニット要素531は、埋め込みストランド520のエリア内、及び内向き表面と外向き表面との間に単一織物層の構成を有してもよい。したがって、ニット構成要素540が履物物品500に組み込まれたとき、埋め込みストランド520は、アッパー504の外面と内面との間に位置する。具体的には、
図7に示すように、ニット要素531は、複数のコース及びウェールを画定する複数の噛み合ったループを形成する糸538を含む。埋め込みストランド520は、コース542などの、コースのうちの1つに沿って延在し、(a)糸538によって形成されたループの後ろと、(b)糸538によって形成されたループの前との間で交互に位置される。実際には、埋め込みストランド520は、ニット要素531によって形成された構造を通って延在する。
この構成では、糸538がコースのそれぞれを形成するが、追加の糸がコースのうちの1つ以上を形成してもよいか、又はコースのうちの1つ以上の一部分を形成してもよい。いくつかの態様では、ニット構成要素540は、2つの針床上の針間を切り替える糸で形成された二重編み織物構造を含む。埋め込みストランド520と同様の埋め込みストランドは、2つの床上のループによって形成された表面の間にほぼ延在してもよい。いくつかの態様では、埋め込みストランド520のセグメントは、両方の床上に形成されたループの後ろ及び/又は前に延在してもよい。
【0057】
図7の埋め込みストランド520は、
図5及び
図6に示すストランドセグメント522の少なくとも一部を表してもよい。それぞれのストランドセグメント522は、ニット構成要素540を形成するニット要素531内のコースに沿って延在し、したがって、ニット構成要素540の外周部524とスロート領域526であり得る共通部分との間で径方向に延在している。ニット構成要素140に関して説明したニットコースと同様に、ストランドセグメント522は、外周部524から共通部分まで、前足部領域508、中足部領域510、及び/又はかかと領域512にわたって様々な方向に延在してもよく、例えば、異なる態様では、これらの領域のいずれか1つ又はこれらの領域の組み合わせに位置している。このようにして、埋め込みストランド520は、共通部分(例えば、
図6に示すスロート領域526又はその輪郭)から径方向に広がる複数のストランドセグメント522を形成する。加えて、この構成では、1つ以上の埋め込みストランドセグメントを、ニット構成要素540と関連付けられた保持線と実質的に整列させてもよい。
【0058】
図8は、径方向に延在する埋め込みストランドセグメント522を有するニット構成要素540の概略図である。
図8では、図面を簡略化するために編みループのコースが省略されていることに留意されたいが、
図8に示すニット構成要素540は、
図3に関して説明したコース142と同様の、径方向に延在する編みループのコースを含んでもよいことを理解されたい。コースは、概して、径方向に連続的に配置されてもよく、埋め込みストランドセグメント522を含んでもよいが、他のコースは、埋め込みストランドセグメント522を含まなくてもよい。
【0059】
埋め込みストランドセグメント522は、これらが位置されるエリアに耐伸張特性を付与してもよいので、埋め込みストランドセグメント522を組み込んで様々な保持線に沿って延在させることにより、ニットコースから提供される保持を超えて、足をアッパー504内に保持する能力を更に高めることができる。
【0060】
例示的な態様では、ニット構成要素540は、第1の対角保持線(第1の軸線521によって示される)と、例えば、平行又は実質的に平行(例えば、平行からわずかにずれた角度である)に整列した埋め込みストランドセグメント522を含み、ニット構成要素540の共通部分における第1の対角保持線と交差する第2の対角保持線(第2の軸線523によって示される)と、例えば、平行又は実質的に平行(例えば、平行からわずかにずれた角度である)に整列したコースを含む。この整列は、従来の編みプロセスで提供される整列よりも大きくなり得る。第1の軸線521は、着用者の第1中足骨を覆うように構成されたニット構成要素540の一部分から外側514上のかかと領域512まで延在してもよく、第2の軸線523は、着用者の第5中足骨を覆うように構成されたニット構成要素540の一部分から内側516上のかかと領域512まで延在してもよい。これらの軸線521及び軸線523は、集合的にX字形を形成してもよく、多くの種類の動き(例えば、動きの方向を変える又は変更すること、左右の動き、前方への動き、及び後方への動き)に対するアッパー内での着用者の足の安定性を向上させる保持線を表してもよい。したがって、着用者の足は、埋め込みストランドセグメント522によってアッパー504内に保持することができ、したがって、伸長を制限するか、又は別様に軸線521及び軸線523に沿ってサポートを提供し、履物物品500の性能を強化することができる。
【0061】
図8に示すように、埋め込みストランドセグメント522は、本発明の態様によれば、追加的又は代替的な保持線まで、例えば、平行又は実質的に平行(例えば、平行からわずかにずれた角度である)に整列した方向において径方向に延在してもよい。一実施例では、埋め込みストランド(複数可)は、保持線と平行であり得る。別の実施例では、埋め込みストランドは、例えば、平行整列の10度以内に、保持線と実質的に整列させることができる。ニット構成要素540内の埋め込みストランドセグメント522の配設(密度を含む)及び配向は、本明細書に更に記載されるように、履物物品500の意図された活動に基づいて変化する可能性がある。一般に、一方の側(例えば、外側114)上の埋め込みストランドセグメントによって提供される保持は、他方の側(例えば、内側116)上の保持よりも改善されてアンカーとして機能してもよい。例えば、前足部領域508の外側514上の埋め込みストランドセグメント522は、着用者が前方左斜めに一歩踏み出したときに足をアッパー504内に保持するのに役立つことがある。しかしながら、中足部領域510又はかかと領域512などの内側516上の別の埋め込みストランドセグメント522は、動作中に足を保持するときに外側514上の埋め込みストランドセグメント522に張力を提供するのに役立つことがある。
【0062】
図8に示すように、埋め込みストランドセグメント522は、埋め込みストランド520がニット構成要素540に一体化される径方向の編みプロセスによって形成されてもよい。具体的には、ニット構成要素540は、第1の針床561及び第2の針床563を有する編み機562(これは、
図3に示す編み機162について説明された特徴のいずれかを有し得る)上で形成することができ、ニット構成要素540を形成するプロセスは、
図3に関連して説明したプロセスと同様の連続編みプロセスであってもよい。したがって、ニット構成要素540は、ニット構成要素540の内側516のかかと領域512から開始され、かかと領域512から前足部領域508まで編み方向544において編み、次に、前足部領域508から開始される、ニット構成要素540の外側514を編み、ニット方向544によって示されるようにかかと領域512で終了する。
図3で説明したように、本開示の態様に従って、編み方向544の逆向きの編みも実施することができる。
【0063】
編みプロセス中、埋め込みストランド520は、編みプロセスが編み方向544に移動するときに埋め込みストランド520を埋め込み、それによって、外周部524(ニット構成要素540がアッパー504に形成されたときにアッパー504又はバイトライン506の下部分を形成し得る)とニット構成要素の共通部分(スロート領域526を形成し得る)との間に延在することとなる複数のストランドセグメント522を形成することによって、ニット構成要素540と一体化されてもよい。例示的な態様では、別の糸のループによって形成されたコース内に埋め込みストランド520を埋め込むために、組み合わせフィーダが利用される。
【0064】
図8では、埋め込みストランド520は、その移動方向(すなわち、編みプロセス中に埋め込みストランド520がニット構成要素540に挿入される方向)によって概略的に示されている。図示されるように、埋め込みストランド520は、連続するストランドセグメント522を形成するときに方向を交互に変える。このようにして、埋め込みストランド520は、共通部分(例えば、スロート領域526)に向かって埋め込まれることと、外周部524に向かって埋め込まれることとを交互に変える。
図8では、埋め込みストランド520が不連続な様式で示されている。しかしながら、他の態様でより詳細に示すように、埋め込みストランド520は、複数のストランドセグメント522を形成する単一の連続した細長い部材であってもよいことを理解されたい。しかしながら、いくつかの態様では、埋め込みストランド520は、不連続ストランドであり得る。例えば、埋め込みストランド520には、複数の内側ストランドセグメントを形成する第1のストランドと、複数の外側ストランドセグメントを形成する第2のストランドと、を含めることができる。
【0065】
図9は、ニット構成要素540の別の概略図である。
図9に示すように、埋め込みストランドセグメント522は、第1の端部548から第2の端部550まで延在する連続した埋め込みストランド520によって形成されてもよい。ストランド520が編みプロセス中にニット構成要素540に埋め込まれると、埋め込みストランド520は、ニット構成要素540の外周部524と共通部分(例えば、スロート開口部を画定する内周部534)との間で前後方向にニット構成要素540に一体化されて、複数の埋め込みストランドセグメント122を足の長さの周りの様々な方向に提供する。
【0066】
埋め込みストランドセグメント522のうちの少なくともいくつかは、ストランドセグメント522が単一のセグメントとみなされ得るほど接近するように、隣接するコースに位置付けられてもよい。セグメント558などの、これらの二重ストランドセグメントは、1つの二重ストランドセグメントを形成する2つのストランド間の距離よりも大きな距離だけ互いに離間されていてもよい。このようにして、埋め込みストランド520は、外周部524から共通部分(例えば、スロート領域526の内周部534)に向かって第1のコースに埋め込まれ、共通部分から外周部524まで、隣接する第2のコースに埋め込まれ、次いで、外周部524から共通部分に向かって再び埋め込まれる前に、いくつかのコース(例えば、少なくとも4つのコース)をスキップしてもよい。
いくつかの態様では、これらの二重ストランドセグメントのうちの1つ以上は、共通部分に最も近い端部においてループ552などのループを形成してもよい。ループ552は、靴紐532などの、履物物品500の他の構成要素が係合するための、靴紐受容構造などの構造を提供してもよい。例示的な態様では、これらのループ552は、ニット要素531を形成する糸(複数可)などの別の糸によって形成されるループとは噛み合わない。
【0067】
いくつかの態様では、ストランドセグメント522は、外周部524を越えて延在する部分554を有することができる。この例では、外周部524を越えて延在している埋め込みストランド520の部分は、ソール構造502がニット構成要素540に取り付けられるときに、ソール構造502に固定されるか、別様にソール構造502によって隠され得る。例えば、外周部524を越えて延在している部分554は、アッパー504とソール構造502との間に位置付けられ、接着剤及び/又は他の固定部材によってソール構造502に(例えば、バイトライン506に)固定され得る。また、
図9は、編み方向544が外側514上で始まり、内側516上で終わるように、どのように逆向きにされ得るかを示している。本明細書の態様では、編みプロセスには、例えば、保持線に沿って、局所的な特性を付与するために、ニット構成要素の異なるゾーンにストランドを埋め込むことを含めることができる。
【0068】
図10は、ニット構成要素540が連続編みプロセスに従って形成された後の、埋め込みストランドセグメント522を有するニット構成要素540の概略図である。ニット構成要素540は、第1の側(例えば、外側514)のかかと領域512から開始され、第1の側の中足部領域510、第1の側の前足部領域508、第2の側(例えば、内側516)の前足部領域508、第2の側の中足部領域510と続き、第2の側のかかと領域512で終了する編み方向544において形成されてもよい。この構造から、アッパー(アッパー504など)又はその一部分は、かかと領域112の両側の縁部を一緒に接合することによって形成されてもよい。しかしながら、上記で考察したように、いくつかの態様では、ニット構成要素540の開始エリア及び終了エリアは、変化し得る。例えば、編み方向は、一方の側のかかと領域のエリアで始まり、同じ側の隣接するエリアで終わることができる。
【0069】
ニット構成要素540の外周部524と共通部分との間に延在するストランドセグメント522の数は、変化し得る。いくつかの態様では、内側又は外側の少なくとも一方のストランドセグメント522の数は、約2~約35個、又は約2~約30個、又は約5~約25個、又は約10~約25個のストランドセグメントの範囲とすることができる。いくつかの態様では、ストランドセグメント522の数は、両側で同じであり得る(例えば、
図10)。他の態様では、以下でより詳細に考察するように、外側上のストランドセグメントの数は、内側上のストランドセグメントの数と異なり得る。
【0070】
図10では、埋め込みストランド520の隣接するストランドセグメント522(すなわち、外周部524と、ニット構成要素540の内周部534などの共通部分との間に延在するストランド部分)の間隔は、ニット構成要素540の埋め込みストランド520の長さに沿って変化し得る。例えば、
図10に示す態様では、ストランドセグメント522は、前足部領域508では互いにより密に配置され、中足部領域510では更に離間され、更にかかと領域512では更に離間されている。
【0071】
ストランドセグメント522間の間隔は、ニット構成要素540の外周部524に沿った隣接するストランドセグメント522間の距離556によって画定することができる。いくつかの態様では、ストランドセグメント間の距離は、変化し得、約0.25センチメートル~約5センチメートル、約0.5センチメートル~約4センチメートル、及び約1センチメートル~約3センチメートルの範囲内であり得る。
図10に示すように、距離は、ニット構成要素540におけるストランドセグメントの位置に基づいて変化し得る。加えて、間隔は、領域内で一般に一定であり得るか(例えば、互いの5%以内)、又は間隔は、領域内で変化し得る(例えば、約5%~約80%、約10%~約60%、及び約15%~約40%の範囲内にある量だけ増加又は減少する)。
図10に示す態様では、間隔は、前足部領域508から中足部領域510へと増加し、中足部領域510からかかと領域512へと増加する。しかしながら、以下でより詳細に説明するように、間隔は、履物物品500の所望の応答性(例えば、固定、耐伸張性、耐拡張性、変形)に応じて他の方法で変化し得る。特定の領域における間隔は、隣接するストランド間の距離を測定し、その領域のストランドセグメント間の間隔エリアの数で割ることによって計算される、領域内の平均間隔としても説明することができる。
【0072】
以下の表1は、例えば、
図10に示すように、前足部領域からかかと領域にかけて間隔が増加する履物物品用のニット構成要素におけるストランドセグメントの位置に基づくストランドセグメントの例示的な間隔を示す。
【0073】
【0074】
いくつかの態様では、かかと領域の平均間隔と前足部領域の平均間隔との比率は、約1.5:1(例えば、3.0センチメートル対2.0センチメートルの平均間隔)~約10:1(例えば、5.0センチメートル対0.5センチメートルの平均間隔)の範囲内であり得るか、又はいくつかの態様では、比率は、約2:1~約5:1の範囲内、又は他の態様では、約3:1~約5:1の範囲内であり得る。
【0075】
また、これらの間隔は、ストランドセグメント間のニット構成要素のコースの数によって画定することができる。例えば、いくつかの態様では、埋め込みストランドは、ニット構成要素の4つのコースごとの間隔において位置付けることができる。
この態様では、埋め込みストランドを有するコースの間に、埋め込みストランドのないニット構成要素の3つのコースが存在することになる。
以下の表2は、埋め込みストランドを有するコース間の、埋め込みストランドのないニット構成要素のコースの数に基づく例示的な間隔を示す。
【0076】
【0077】
いくつかの態様では、かかと領域内のストランドセグメント間のコースの数に基づく平均間隔と、前足部領域内のストランドセグメント間のコースの平均数との比率は、約1.5:1(例えば、ストランドセグメント間の3つのコース対ストランドセグメント間の2つのコース)~約10:1(例えば、ストランドセグメント間の20個のコース対ストランドセグメント間の2つのコース)の範囲内であり得るか、又はいくつかの態様では、比率は、約2:1~約5:1、又は他の態様では、約3:1~約5:1の範囲内であり得る。この平均間隔の比率は、ニット構成要素においてより高度な固定が所望である場所に基づいて調整することができ、例えば、ストランドセグメント間のコースが少ないほど、より高度な固定が提供される。
【0078】
図11及び
図12は、本開示の別の実施例による、履物物品1100及びその構成要素のそれぞれ側面図及び正面斜視図である。別段の指示がない限り、履物物品1100は、
図1及び
図2に示す履物物品100並びに/又は
図5及び
図6に示す履物物品500に関して説明した特徴のいずれかを含んでもよい。したがって、履物物品1100は、ソール構造1102と、ソール構造1102に結合され、足受容空洞を形成するアッパー1104と、を含む。
【0079】
アッパー1104は、足を受容し、ソール構造1102に対して足を固定するための空隙を履物物品1100内に画定する。空隙へのアクセスは、少なくともかかと領域1112に位置する足首開口部1125によって提供される。アッパー1104はまた、足首開口部1125と前足部領域1108との間の中足部領域1110に配設されたスロート領域1126を含んでもよい。スロート領域1126は、着用者の足の上面を覆うように構成され、したがって、外側1114と内側1116との間のアッパー1104の上面(又は足の甲領域)の一部を形成してもよい。図示の態様では、アッパー1104は、舌部分、例えば、舌部1130を含む。また、履物物品1100は、足受容空洞を調整するために、スロート領域1126に靴紐、又は他の図に示すような紐締めシステムなどの閉鎖システムを含むことができる。
【0080】
アッパー1104の少なくとも一部分は、少なくとも1つのニット構成要素1140で形成されてもよく、ニット構成要素1140は、編みプロセス中に単一の一体型ワンピース要素として形成されてもよい。別段の指示がない限り、
図11及び
図12に示すニット構成要素1140は、
図1~
図3に示すニット構成要素140及び/又は
図5~
図8に示すニット構成要素540に関して説明した特徴のいずれかを有してもよい。したがって、ニット構成要素1140は、前足部領域1108及び中足部領域110を形成してもよい。ニット構成要素1140は、かかと領域1112を更に形成してもよい。これらの領域1108、1110、及び1112は、一体的に一緒に編まれてもよい。追加的に、ニット構成要素1140は、ニット構成要素の外周部1124からニット構成要素1140の共通部分まで延在している、径方向に延在するニットコースを有してもよい。共通部分は、スロート領域1126の少なくとも一部を含んでもよく、ニット構成要素1140の長手方向軸線1118に沿って延在してもよい。
【0081】
ニット構成要素1140はまた、複数のストランドセグメント1122を画定する、埋め込みストランド1120などの1つ以上の埋め込みストランドを含んでもよい。埋め込みストランド1120は、ベースとなるニット要素の様々なループの間を通過し、本明細書ではニット要素と呼ばれることがある。埋め込みストランド1120は、
図5~
図8に示す埋め込みストランド520に関して説明したのと同様の方法で組み込んでもよい。すなわち、埋め込みストランド1120は、主に、ループを形成せずに、別のストランド(例えば、糸)によって形成されたループのコース内に延在してもよい。ニット要素531及び/又は埋め込みストランド520を形成する糸の特徴のいずれかは、ニット構成要素1140及び埋め込みストランド1120に適用されてもよい。
【0082】
埋め込みストランドセグメント1122のそれぞれは、ニット構成要素1140のニットループのコースに沿って延在しており、したがって、ニット構成要素1140の外周部1124とスロート領域1126であってもよい共通部分との間にも径方向に延在している。
図5~
図10に示す埋め込みストランドセグメント522と同様に、埋め込みストランドセグメント1122は、ニット構成要素1140の外周部1124から共通部分まで、前足部領域1108及び中足部領域1110にわたって様々な方向に延在してもよい。このようにして、埋め込みストランド1120は、共通部分(すなわち、
図12に示すようなスロート領域1126)から径方向に広がる複数のストランドセグメント1122を形成する。いくつかの態様では、埋め込みストランドセグメント1122は、
図11及び
図12に示すように、かかと領域1112には存在しないが、他の態様では、
図5~
図10に示すものなど、かかと領域1112は、1つ以上のストランドセグメントを含んでもよい。
【0083】
追加的に、ニット構成要素1140の共通部分は、ニット構成要素150及び540の共通部分よりも小さい面積であってもよく、それぞれのスロート領域の長さの全体又は50%超に沿って延在してもよい。代わりに、ニット構成要素1140の共通部分は、スロート領域1126の前部分のみであってもよい。いくつかの態様では、共通部分は、スロート領域1126の最前部分の(すなわち、長手方向において)5センチメートル以内、又はいくつかの態様では、2.5センチメートル以内若しくは1.25センチメートル以内であり得る。本明細書で使用される場合、スロート領域1126の最前部分は、アッパーのスロート領域1126を形成する、ニット構成要素1140の最前縁部であってもよく、スロート領域1126が前足部領域1108と接する場所であってもよい。
【0084】
前述したように、t内側111he埋め込みストランドセグメントの位置及び密度は、アッパー内の保持の度合い及び保持線に影響を与えることがあり、加えて、埋め込みストランドセグメントの位置及び/又は密度の変化により、様々な活動若しくは動きに対する保持を最適化することができる。
図12の履物物品1100の上面図は、外側1114上の中足部領域1110などの、外側1114の少なくとも一部分が、内側1116上の対応する部分よりも高い密度の埋め込みストランドセグメント1122を有することを示している。異なる密度は、埋め込みストランドセグメント1122間の異なる間隔によって引き起こされる。具体的には、中足部領域1110における外側1114上の隣接するストランドセグメント1122間の距離は、中足部領域1110における内側1116上の隣接するストランドセグメント1122間の距離よりも小さい。外側1114上のストランドセグメント1122のより高い密度は、着用者の足をアッパー1104の外側1114上に保持し、したがって、内側1114上のソール構造1102から滑ってずれないようにするのに役立ち得る。いくつかの態様では、履物物品1100は、競走用トラックの周りを走る人など、ほぼ反時計回りのパターンで動くときに着用されるように意図されてもよい。人が競走用トラックの周りを走るなどして動くとき、足は、頻繁にトラックの側に押し付けられ、この状況により、トラックの周りを反時計回りに動くときに(履物物品100のように)右足用に意図された履物物品の内側上に当たり得る。したがって、履物物品1100の反対側(外側1114)上の径方向に延在する埋め込みストランドセグメント1122のより高い密度は、着用者の右足をトラックに押し付ける自然な力に対抗することによって、足を保持するのに役立つ。反対側の靴(着用者の左足に着用されるように意図されている)も同様に、外側と内側との間に埋め込みストランドセグメントの非対称な密度を有することができるが、アッパーの内側上の埋め込みストランドセグメントの密度がより高くてもよく、このアッパーの内側は、左足に着用された履物に対してトラックから離れた側にある。更に、埋め込みストランドセグメント1122は、前足部領域1108及び中足部領域1110の少なくとも一部内に位置付けられ、かかと領域1112内には位置付けられていなくてもよい。この配置は、走ることなどの主に前方への動きを伴う活動を目的とした履物物品1100において有利であることがある。
【0085】
図13は、径方向に延在する埋め込みストランドセグメント1122を有するニット構成要素1140の概略図である。図示の態様では、図面を簡略化するために編みループのコースが
図13には省略されているが、
図13に示すニット構成要素1140は、
図3に関して説明したコース142と同様の、径方向に延在する編みループのコースを含んでもよいことを理解されたい。これらのコースは、埋め込みストランドセグメント1122を含んでもよいか、又は埋め込みストランドセグメント1122を含まなくてもよい。
【0086】
埋め込みストランドセグメント1122は、中足部領域1110の内側1116上に位置するストランドセグメント1122よりも、外側1114上でより密であってもよい(例えば、より密な間隔を有するか、又は別の言い方をすれば、互いにより近くに位置される)。前述したように、埋め込みストランドセグメント1122間の間隔は、外周部1124上のストランドセグメント1122間の距離として画定されてもよい。
図10に関して説明した距離のいずれかは、アッパー1104の外側1114上の中足部領域1110、前足部領域1108、及び/又は内側1116上の中足部領域1110における隣接するストランドセグメント1122の間の距離であってもよい。例示的な態様では、外側1114上の中足部領域1110におけるコースの数に基づく平均間隔と、内側1116上の中足部得領域1110におけるコースの数に基づく平均間隔との比率は、約1:1.25~1:8の範囲内、約1:1.5~1:5の範囲内、及び約1:2~1:3の範囲内であってもよい。例示的な態様では、比率は、1:1.5、すなわち、内側1116上のストランドセグメント1122間の1.5コースごとに外側1114上のストランドセグメント1122間の1つのコースである。例えば、外側1114上のストランドセグメント1122間に2つのコースがあり、内側1116上のストランドセグメント1122間に3つのコースがあってもよい。
【0087】
追加的に、
図13に示すように、埋め込みストランドセグメント1122は、連続して形成されてもよく、単一の連続埋め込みストランド1120がニット構成要素1140に一体化される。具体的には、ニット構成要素1140は、前針床1161及び後針床1163を含む編み機1162(
図3に示す編み機162について説明した特徴のいずれかを有してもよい)上で形成することができ、ニット構成要素1140を形成するプロセスは、
図4に関連して説明したプロセスと同様に、編み方向1144に続く連続編みプロセスであってもよい。ニット構成要素1140は、編み機1162から外されたときに長手方向軸線1118に沿って非対称の形状を有してもよく、これは、一方の側のかかと部分で開始され、同じ側の隣接部分で終わる連続編みプロセスから生じ得る。この例では、ニット構成要素1140がアッパーに形成されると、アッパーの内側1116を形成することとなるかかと領域1112のエリア1121が最初に編まれ、次に、外側1114上のかかと領域1112の残りの部分が編まれ、次に、外側1114上の中足部領域1110が編まれ、前足部領域1108が編まれ、次に、内側1116上の中足部領域1110が編まれる。
図13に示すニット構成要素1140の同じ形状は、逆の順序で編むことによって達成されてもよいことを理解されたい。
【0088】
図4のニット構成要素440に関して説明したように、ニット構成要素1140は、ニット構成要素1140が
図13に示す展開構成にあるときに、共通部分に向かって延在していないコースを依然として含んでもよいが、ニット構成要素1140が折り畳まれてアッパー1104の形状を形成した後、外周部1124と共通部分との間で径方向に延在するように再配向されてもよい。
【0089】
編みプロセス中、埋め込みストランド1120は、編みプロセスが編み方向1144に移動するときに埋め込みストランド1120を埋め込み、それによって、外周部1124(ニット構成要素1140がアッパー1104に形成されたときにアッパー1104又はバイトライン1106の下部分を形成し得る)とニット構成要素の共通部分(アッパー1104のアッパー部分を形成し得る)との間に延在する複数のストランドセグメント1122を形成することによって、ニット構成要素1140と一体化されてもよい。例示的な態様では、別の糸のループによって形成されたコース内に埋め込みストランド1120を埋め込むために、組み合わせフィーダが利用される。
【0090】
図14~
図16は、本発明の態様による、ニット構成要素が、ニット構成要素の周囲からニット構成要素の共通部分まで延在する埋め込みストランドを用いて形成される追加の例示的な態様である。これらの追加の例内の埋め込みストランドセグメントの位置、密度、及び角度(共通部分の位置に基づき得る)は、様々な活動及び意図される用途に対する所望の保持に基づいて変化してもよい。本明細書に別段の指示がない限り、又は図面に示されていない限り、
図14~
図16のニット構成要素のいずれかは、ニット構成要素140、540、及び/又は1140の特徴のいずれかを含んでもよい。したがって、
図14~
図16のニット構成要素のいずれかは、内側及び外側が同じ針のうちの少なくともいくつかを使用して同時にではなく別々に編まれ得るように、ニット構成要素140、540、及び/又は1140に関して説明した連続編みプロセスで形成されてもよい。更に、
図14~
図16のニット構成要素のいずれかは、履物物品100、500、及び/又は1100に関して説明した特徴のいずれかを有する履物物品用のアッパーの全て又は一部を形成してもよい。
【0091】
図14は、埋め込みストランドのストランドセグメント1422が、ニット構成要素1440の外周部1424とニット構成要素1440の共通部分との間に延在している、例示的なニット構成要素1440である。この態様では、共通部分は、
図5~
図8のニット構成要素540の共通部分と比較して、ニット構成要素1440のより大きな部分を含む。具体的には、
図14の共通部分は、スロート領域1426を画定し、足首開口部1460を画定する、ニット構成要素1440の一部である。共通部分の面積がより大きいため、中足部領域1410及びかかと領域1412内の少なくともいくつかの埋め込みストランドセグメント1422は、互いに平行又は実質的に平行であってもよい。
【0092】
ニット構成要素1440は、編みプロセス中にストランドを埋め込むことによって形成することができる。具体的には、ストランドは、ニット構成要素の一方の側の第1の領域(例えば、内側又は外側のかかと領域)に埋め込むことができ、その後、ニット構成要素は、本明細書の他の場所で説明されているように、ニット構成要素が完全に構築されるまで、編み方向に沿って編むことによって完成させることができる。以前の態様と同様に、ストランドセグメント1422は、前足部領域1408、中足部領域1410、及びかかと領域1412全体に延在している。
【0093】
図14に示すように、この態様における径方向に延在する埋め込みストランドセグメント1422の間隔は、以前の態様よりもアッパーの長手方向の長さ全体にわたってより均一である。例えば、全ての領域(前足部領域1408、中足部領域1410、及びかかと領域1412)における隣接するストランドセグメント1422間の最小距離は、最大距離の50%以内、最大距離の40%以内、又は最大距離の25%以内であってもよい。したがって、例えば、一態様では、最大間隔(例えば、かかと領域における)は、4センチメートルであり得、隣接するストランドセグメントの最小間隔(例えば、中足部又は前足部のいずれかにおける)は、3センチメートル以上であり得る(例えば、4センチメートルの25%以内)。
【0094】
同様に、埋め込みストランドを有するコース間の、埋め込みストランドのないニット構成要素のコースの数に基づくコースごとの埋め込みストランドのストランドセグメント1422の間隔は、以前の態様よりも均一であり得る。例えば、隣接するストランドセグメント間のコースの最小数は、隣接するストランドセグメント間のコースの最大数の50%以内、隣接するストランドセグメント間のコースの最大数の40%以内、又は隣接するストランドセグメント間のコースの最大数の25%以内であり得る。したがって、例えば、一態様では、最大間隔(例えば、かかと領域における)は、隣接するストランドセグメント間の10個のコースであってもよく、最小間隔(例えば、中足部又は前足部のいずれかにおける)は、5~10個のコース(例えば、50%以内)であり得る。
【0095】
図15は、径方向に延在するニットコース及び埋め込みストランドセグメント1522を有するニット構成要素1540の別の態様である。埋め込みストランドのストランドセグメント1522は、ニット構成要素1540の周囲1524とニット構成要素1540の共通部分との間に延在している。この態様では、共通部分は、
図5~
図8のニット構成要素540の共通部分よりも小さい。
図15に示すニット構成要素1540の共通部分は、スロート領域1526の前部分のみを含む。したがって、いくつかの態様では、共通部分は、スロート領域1526の最前部分の(すなわち、長手方向において)5センチメートル以内、又はいくつかの態様では、2.5センチメートル以内若しくは1.25センチメートル以内など、スロート領域1526のより小さい面積内であり得る。本明細書で使用される場合、スロート領域1526の最前部分は、アッパーのスロート領域1526を形成するニット構成要素の最前縁部であってもよく、スロート領域1526が前足部領域1508と接する場所であってもよい。共通部分がより小さいと、埋め込みストランドセグメントが着用者の足の周りに、より多くの異なる角度に沿って配向されることとなる。
【0096】
図15に示すように、ストランドセグメント1522の非対称パターンがあってもよい。この実施例では、ニット構成要素1540は、内側1516上に5つのストランドセグメント1522、外側1514上に3つのストランドセグメント1522、及び前足部領域1508において長手方向軸線に沿って延在している1つのストランドセグメントを含む。したがって、この態様では、一方の側(例えば、外側)上に位置付けられたストランドセグメントの数は、他方の側(例えば、内側)上に位置付けられたストランドセグメントの数よりも多くすることができる。ニット構成要素1140に関して説明したように、ストランドセグメント1522のこのような非対称な位置付けは、一方の側への動きが好まれるか、又は別の側への動きよりも頻繁に使用される、特定の活動を目的とした履物物品にとって有利であり得る。いくつかの態様では、一方の側のストランドセグメントの数は、他方の側のストランドセグメントの数の1/2以下とすることができる。他の態様では、一方の側のストランドセグメントの数は、他方の側のストランドセグメントの数の1/3以下とすることができる。
【0097】
図15に示すものなどの非対称の態様の場合、外側と内側とを逆向きにすることができることを理解されたい。したがって、例えば、内側又は外側のいずれかが、集中した径方向の補強のためにより多くのストランドセグメントを有することができる。
【0098】
図16は、ニット構成要素1640の外周部1624とニット構成要素1640の共通部分との間に延在する埋め込みストランドセグメント1622で形成されたニット構成要素1640の別の態様である。
図15に示すニット構成要素1540の共通部分と同様に、ニット構成要素1540の共通部分は、スロート領域1626の前部分(例えば、前半分)のみを含む。いくつかの態様では、ニット構成要素1640の共通部分は、スロート領域1626の最前部分の(例えば、長手方向において)5センチメートル以内、又はいくつかの態様では、2.5センチメートル以内若しくは1.25センチメートル以内であり得る。
【0099】
この態様では、埋め込み糸のストランドセグメント1622は、前足部領域1608及び中足部領域1610の一部分を通って延在しているが、かかと領域1612には延在していない。同数のストランドセグメント(この実施例では5つ)をそれぞれの側(外側1614及び内側1616)に設けることができる。本明細書に開示される他のニット構成要素と比較して、ニット構成要素1640は、前足部領域1608にそれほど多くのストランドセグメント1622を含まない。具体的には、ニット構成要素1640は、長手方向軸線1618に隣接する前足部領域1608の中央部分にストランドセグメントを全く含まない。前足部領域におけるストランドセグメント1622のこの欠如は、履物物品が前方への動きの少ない活動を目的としている場合に有益であってもよい。
【0100】
一態様では、径方向の編みプロセス又は連続編みプロセスは、ニット構成要素の内側と外側を一般に同時にではなく、連続して形成できるように実施することができる。例えば、内側と外側を同時に形成する代わりに、内側の全て(又は実質的に全て、すなわち、長さにして5%以内)を形成し、次に、外側の全て(又は実質的に全て、すなわち、長さにして5%以内)を次に形成することができる。あるいは、外側を最初に形成することができ、その後、内側を形成することもできる。いくつかの態様では、第1の側(内側又は外側のいずれか)の一部分を最初に形成することができ、次に、第1の側の残りの部分を編むことによってニット構成要素を完成させる前に、第2の側(例えば、他方の側)を形成することができる。いくつかの態様では、逆の順序が使用されてもよい。このようにして、第1の側(すなわち、内側又は外側)の少なくとも一部を形成する複数の隣接するコースは、第2の側(すなわち、内側又は外側のうちの他方)の少なくとも一部を形成する複数の隣接するコースの前に編まれてもよい。
【0101】
図17は、本発明の態様による、ニット構成要素、例えば、
図1~
図3、
図5~
図8、及び
図11~
図13にそれぞれ示すニット構成要素140、540、及び/又は1140を製造する例示的な方法1700のブロック図である。方法1700は、ブロック1702~1706を含むが、この要素の選択に限定されない。ブロック1702では、方法1700は、編み機、例えば、
図3に示す編み機162上で、アッパーの第1の中足部領域、例えば、
図3に示すアッパー104の中足部領域110を形成することを含み、第1の中足部領域は、外側及び内側、例えば、
図3に示すアッパー104の外側114及び内側116のうちの一方を形成する。ブロック1704では、方法1700は、編み機上で、アッパーの前足部領域、例えば、
図3に示すアッパー104の前足部領域108を形成することを含み、第1の中足部領域を形成した後、前足部領域は、例えば、編み機上で実施される単一の編みプロセスを通じて、第1の中足部領域と一体的に編まれる。一実施例では、前足部領域は、1つ以上の楔、例えば、複数の楔から形成されたつま先領域であり得る。ブロック1706では、方法1700は、編み機上で、アッパーの第2の中足部領域、例えば、
図3に示すアッパー104の中足部領域110を形成することを含み、前足部領域を形成した後、第2の中足部領域は、前足部領域と一体的に編まれ、外側及び内側の他方を形成する。第1の中足部領域及び第2の中足部領域はそれぞれ、本明細書に記載されるように1つ以上の楔から形成することができる。
【0102】
図18は、本発明の態様による、履物物品、例えば、
図5に示す履物物品500を形成する例示的な方法1800のブロック図である。方法1800は、ブロック1802及び1804を含むが、この要素の選択に限定されない。ブロック1802では、方法1800は、ニット要素、例えば、
図7に示すニット要素531を編むことによって、アッパー、例えば、
図1に示すアッパー104の少なくとも一部分を形成することを含み、ニット要素は、例えば、
図3に示すように、外周部と内周部との間に延在する複数のコースを含み、外周部は、アッパーの下部分を画定し、内周部は、例えば、
図3に示す内周部134及び外周部124と同様に、アッパーの上部分を画定する。ブロック1804では、方法1800は、外周部と内周部との間のニット要素の複数のコースのそれぞれ内に延在する複数のストランドセグメント、例えば、
図8に示すストランドセグメント522を形成するために、連続ストランド、例えば、
図7に示すストランド520を編んでいる間にニット要素に一体化することを含む。
【0103】
図19は、本発明の態様による、ニット構成要素1940の特定のセクションに位置付けられた埋め込みストランド1920、1930を有する例示的なニット構成要素1940である。ニット構成要素1940は、本明細書で考察されるように、履物物品用のアッパーの少なくとも一部を形成することができる。
図19では、ニット構成要素1940は、前足部領域1908、中足部領域1910、及びかかと領域1912を含むように形成される。加えて、ニット構成要素1940は、例えば、スロート領域1926の周りに位置する外周部1924及び内周部1934を含む。ニット構成要素1940は、例えば、編み機上の単一の連続編みプロセスで編まれる、単一の単体のニット要素として形成することができる。加えて、ニット構成要素1940は、例えば、相互接続されてベースとなる織物を集合的に形成する内側ニット層及び外側ニット層を含むように形成することができる。
図19は、それぞれの埋め込みストランド1920、1930がベースとなる織物の内側ニット層と外側ニット層との間に延在するように、すなわち、ベースとなる織物を少なくとも部分的に通って延在するように、埋め込みストランド1920、1930がどのように一体化されるかを更に示しており、その結果、埋め込みストランド1920、1930は、ニット構成要素1940のベースとなる織物を通して少なくとも部分的に見える。
【0104】
図19を更に参照すると、埋め込みストランド1920がニット構成要素1940の外側1914にどのように位置され、埋め込みストランド1930がニット構成要素1940の内側1916にどのように位置されているかが分かる。加えて、埋め込みストランド1920は、周囲1924から、外側1914上のニット構成要素1940の共通部分に向かって延在している複数のストランドセグメント1922を形成し、埋め込みストランド1930は、周囲1924から、内側1916上のニット構成要素1940の共通部分に向かって延在している複数のストランドセグメント1932を形成する。加えて、ストランドセグメント1922、1932のそれぞれのセットの少なくとも一部分は、ニット構成要素1940の外周部1924の対応する部分に沿って位置するループと接続されている。加えて、ストランドセグメント1922、1932はまた、ニット構成要素1940の内周部1934に隣接するループ1921、1931を形成し、例えば、紐締め要素を受容するための開口の少なくとも一部を形成する。
【0105】
図19に示すニット構成要素1940では、ストランドセグメント1922の少なくとも一部分は、互いに対してある角度をなして、内周部1934に向かってニットコースを通って延在し、例えば、共通部分、例えば、スロート領域1926の周りに少なくとも部分的に径方向の構成を形成し、ストランドセグメント1932の少なくとも一部分は、互いに対してある角度をなして、内周部1934に向かってニットコースを通って延在し、例えば、共通部分、例えば、スロート領域1926の周りに少なくとも部分的に径方向の構成を形成する。しかしながら、ストランドセグメント1922、1932は、一般に、前足部領域1908のつま先エリアには存在しない。これにより、内側1916及び外側1914に局所的な補強及び/又は保持が生じ、前足部領域1908における補強及び/又は保持が少なくなる。このような補強及び/又は保持を付与するために、ストランド1920、1930は、高引張強度の糸、ケーブル、フィラメント、モノフィラメント、マルチフィラメントなどであり得る。別の言い方をすると、ストランド1920、1930は、共通部分の方向において補強及び/又は保持を付与するために、ニット構成要素1940のベースとなる織物を形成する糸よりも高い引張強度、耐伸張性、及び/又は引張耐力を有するように形成又は選択することができる。
【0106】
図20は、本発明の態様による、ニット構成要素2040の周りに延在している、実質的な連続埋め込みを有するニット構成要素2040である。ニット構成要素2040は、本明細書に記載される他のニット構成要素と同様の要素を含む。加えて、ニット構成要素2040は、埋め込みストランド2020、2032が外周部2024から内周部2034に向かって実質的に互いに隣接して延在するように埋め込まれた連続埋め込みストランド2020、2032を含む。例えば、一態様では、埋め込みストランド2020、2032は、直接隣接するコースに沿って、順番に、又は交互に延在する。
埋め込みストランド2020、2032はまた、ニット構成要素2040の共通部分、例えば、スロート領域2026に向かって、その周りに延在するように埋め込まれ、それによって、共通部分の周りに実質的に径方向の構成を形成する。
図20では、埋め込みストランド2020、2032は、内側2016に沿って、前足部領域2008に沿って、及び外側2014に沿って連続的に埋め込まれている。
【0107】
ストランド2020、2032は、編み機によって実施される編みプロセス中に埋め込むことができる。例えば、ストランド2020、2032は、例えば、ストランドがニット構成要素2040の隣接するコースに沿って連続的に延在するように、編み機のキャリッジのそれぞれの通過によりニット構成要素2040に埋め込むことができる。一対の連続ストランド2020、2032がニット構成要素2040に、例えば、ニット構成要素2040の内側に、又はニット構成要素2040の表面に沿ってのいずれかで埋め込まれる一方で、単一の連続埋め込みストランドを組み込むことができるか、又は3つ以上の埋め込みストランドを組み込むことができる。異なる態様では、埋め込みストランド2020、2032は、糸、例えば、高引張強度の糸、例えば、ポリエステル糸、例えば、非弾性ポリエステル糸であり得るか、又は他の種類の繊維、ケーブル、フィラメント、若しくはマルチフィラメントであり得、例えば、これらは、高い引張耐力及び/若しくは高い耐伸張性を有するものである。例えば、一態様では、埋め込みストランド2020、2032は、単一のフィラメント又はマルチフィラメントのポリエステル糸とすることができる。これにより、埋め込みストランド2020、2032は、ニット構成要素2040の残りのベースとなる織物を形成する糸よりも高い引張強度、耐伸張性、及び/又は引張耐力を有することを可能にすることができる。この構成は、ニット構成要素2040の周りに共通部分の方向において補強及び/又は保持を付与するのに役立てることができる。
【0108】
加えて、
図20を更に参照すると、ニット構成要素2040の外側2014及び内側2016は、埋め込みケーブル2023、2033をそれぞれ更に含み、これらのケーブル2023、2033はまた、より高い強度又は耐伸縮性の素材から選択される。ケーブル2023、2033は、外周部2024から、ニット構成要素2040を通って(例えば、その層を通って、かつ/又はそのトンネル構造を通って)、紐穴/靴紐開口部2025、2035の周りを通って、内周部2034(例えば、ループを形成する)から出て延在し、ニット構成要素2040に戻って、外周部2024(例えば、ここでもループを形成する)まで延在し、ニット構成要素2040の外側2014及び内側2016上に繰り返しの列を形成し続ける。ケーブル2023、2033はまた(埋め込みストランド2020、2032と同様に)、共通部分、例えば、スロート領域2026の周りに延在している。したがって、ケーブル2023、2033はまた、本明細書で考察されるように、少なくとも部分的に互いに対してある角度をなして延在することができる。ケーブル2023、2033を含めることにより、他の利点の中でも特に、ニット構成要素2040の外側2014及び内側2016上に更なる補強及び/又は保持を提供することができる。
【0109】
図21は、本発明の態様による、異なる種類のニット構造を有する異なるセクションを含むニット構成要素2140である。ニット構成要素2140は、外周部2124から内周部2134まで、ベースとなる織物を少なくとも部分的に通って延在している埋め込みストランド2120、2130を有する、ベースとなる織物を形成するニット要素を含む。埋め込みストランド2120、2130は、共通部分、例えば、スロート領域2126の周りに延在している。加えて、スロート領域2126はまた、内周部2134を相互接続する、例えば、足の甲部分を形成する織物2115を含む。ベースとなる織物に埋め込まれたストランド2120、2130は、概して、互いに対してある角度をなして延在することができ、例えば、ニット構成要素2140の共通部分の周りに少なくとも部分的に径方向の構成を形成する。
【0110】
ニット構成要素2140は、異なるエリアに異なるニット構造を含む。
この意味では、ニット構成要素2140は、異なる編みプロセスを使用して形成された複合型ニット構成要素である。ニット構成要素2140の内側2116は、内側2116においてベースとなる織物を形成するニット要素2113のコース内に埋め込まれたストランド2120を有し、ニット要素2113のコース及び埋め込みストランド2120は、ニット構成要素2140の共通部分の周りに、例えば、実質的に径方向の構成で延在している。ニット構成要素2140の外側2114は、外側2114においてベースとなる織物を形成するニット要素2117のコース内に埋め込まれたストランド2130を有し、ニット要素2117のコース及び埋め込みストランド2130は、ニット構成要素2140の共通部分の周りに、例えば、実質的に径方向の構成で延在している。加えて、前足部領域2108は、異なるように形成されたニット要素2119、例えば、非径方向の構成で形成されたニット要素2119を含むことが分かる。例えば、ニット要素2119は、共通部分に向かって、かつ共通部分の周りに、少なくとも部分的に互いに対してある角度をなして延在しているニットコースを有する径方向の構成とは対照的に、水平方向(例えば、
図21では左から右)に延在するニットコースを含むニット要素2119であり得る。この複数のニット構造は、他の利点の中でも特に、ニット構成要素2140の中足部分2110の内側2116及び外側2114におけるより大きな補強及び/又は保持を可能にすることができる一方で、ニット構成要素2140の前足部領域2108におけるより緩い、より快適性を重視した感触を可能にする。
【0111】
図22は、本発明の態様による、異なる構成エリアを有するニット構成要素2240である。ニット構成要素2240は、本明細書に記載される他のニット構成要素と同様の要素を含む。例えば、ニット構成要素2240は、ベースとなる織物を形成するニット要素と、外周部2224と内周部2234との間でニット要素を通って、例えば、共通部分、例えば、スロート領域2226に向かって延在している少なくとも1つの埋め込みストランド2220と、を含む。埋め込みストランド2220は、前足部分2208のつま先エリアの周りに延在する複数のストランドセグメント2222を形成し、それぞれが共通部分、例えば、スロート領域2226に向かって延在している。一態様では、ストランドセグメント2222は、スロート領域2226において靴紐ループを形成することができ、ベースとなる織物を通して少なくとも部分的に露出することができる。
【0112】
更に
図22を参照すると、ニット構成要素2240は、ニット構成要素2240の一部品が可融性糸、例えば、熱可塑性ポリマー素材から形成された糸を含むか、又は包含するように形成されていることが分かる。
図22では、これらの可融性糸は、前足部領域2208の一部、例えば、この例では外側2114上に局在し、外側2114に局所的な特性、例えば、剛性、耐伸張性、保持、補強、耐久性、及び他の特性を付与する。これらの素材は、ニット構成要素2240又は本明細書に記載される他のニット構成要素上の任意の位置において一体化できることを理解されたい。これらの可融性糸を含めることは、可融性糸の溶融温度以上であるが、ニット構成要素2240の残りの部分を形成する糸の溶融温度未満の温度で熱を加えることができることを意味し、したがって、ニット構成要素2240上に、例えば、ニット構成要素2240の内面及び/又は外面に位置する少なくとも部分的な融着エリア2215を形成する。あるいは、この融着エリア2215は、内側2216上、若しくは内側2216及び外側2214の両方の一部分上、並びに/又はつま先領域全体にあってもよく、異なる態様において、ニット構成要素の大部分又は小部分を覆ってもよい。
【0113】
図23Aは、本発明の態様による、
図23Aの編みパターンに従って、編み機上で、例えば、
図3に示す前針床161及び後針床163を含む編み機162上で形成されるときのニット構成要素2330を示す、
図23Bに示すニット構成要素2330を編むための例示的な編み順序表現2310(以下、編み表現2310と呼ぶ)の概略図である。編み表現2310は、かかと領域、内側領域又は外側領域、前足部領域、及び内側領域又は外側領域の反対側を連続的な方法で径方向に編むか、又は連続して編むための編み方向2312を示す。径方向に編むか、又は連続して編むかについては、
図17及び
図18に関連して、及び他のセクションにおいて本明細書で更に説明する。編み表現2310は、編み表現2310が編み機によって実行されたときに、履物のアッパーの一部を形成するニット構成要素2330を生成するように、編み機によって実装されてもよい。
【0114】
編み表現2310は、ニット構成要素2330の外周部2302及びニット構成要素2330の内周部2304を示す。更に、編み表現2310は、編み構成要素を形成するために編まれ得る複数の楔2314を示す。複数の楔2314はそれぞれ、外周部2302に第1の縁部を含み、内周部2304に第2の縁部を含む。更に、第1の縁部は、第2の縁部よりも長さが長い。更に、複数の楔2314のそれぞれは、外周部2302と内周部2304との間に延在する少なくとも1つのコースを含む。いくつかの例では、複数の楔2314のうちの1つ以上の楔における第2の縁部は、頂点として形成されてもよい。
【0115】
それぞれの楔2314は、一連のコースを編むことによって、例えば、第1の行から開始することによって形成されてもよく、一連のコースにおける後続のコース又は後続のコースのセットの長さは、その領域(例えば、中足部領域、前足部領域など)におけるニット構成要素の所望の幅に達するまで増加し、その後、最後の行に達するまで減少する。更に、所望の長さを有するコースに達すると、1つ以上の追加のコースを所望の幅に対応する長さで編んで、(内周部2304において)第2の縁部を形成することができる。このようにして、編み方向2312の長さが徐々に増加する第1のコースのセットを編んで楔2314の第3の縁部を形成することができ、編み方向2312の長さが徐々に減少する第2のコースのセットを編んで楔2314の第4の縁部を形成することができる。上記で考察したように、楔形構造を生成するために、布地の所望の幅に達するまで、徐々に長さが増加する第1のコースのセットが編まれる。続いて、所望の幅における1つ以上のコースが編まれ、次に、徐々に長さが減少する第2のコースのセットが編まれて、楔形構造が完成する。したがって、このプロセスにより、内周部2304と外周部2302との間に延在する楔が生成される。コースの数及び/又は長さを調整して、楔の表面積を増加又は減少させてもよい。
【0116】
一連の楔を編むことによって、ニット構成要素2330は、共通部分、例えば、この実施例では内周部2304に対して湾曲するか、別様に弓形形状を形成するように構成されてもよい。内周部2304は、完全に形成されたニット構成要素2330におけるアッパーのスロート領域の少なくとも一部を形成してもよい。
【0117】
更に、編み表現2310に示すように、前足部領域2306は、より高い曲率、例えば、より小さな曲率半径を有する湾曲構造を形成するように構成された楔セットを含む。例えば、前足部領域2306における楔セットのそれぞれは、中足部エリアにおける楔セットよりも小さい表面積を有してもよい。追加的又は代替的に、前足部領域2306における楔の総数を増やしてもよい。したがって、前足部領域2306に複数の楔を組み込むことによって、前足部領域2306におけるアッパーのニット構成要素2330の湾曲構造が生成される。
【0118】
このようにして、ニット構成要素2330は、楔のスタックを備え、内側方向から外側方向に編むときに、第1の楔セットは、ニット構成要素2330の内側を形成するように構成され、第2の楔セットは、ニット構成要素2330のつま先領域を形成するように構成され、第3の楔セットは、ニット構成要素2330の外側を形成するように構成されている。一態様では、追加的に、ニット構成要素のかかと領域を形成するために、第4の楔セットが含まれてもよい。第1の例を任意選択で含む第2の例では、第2の楔セットの楔の数は、第1の楔セットの楔の数又は第3の楔セットの楔の数よりも多い。
【0119】
一実施形態では、アッパーは、ニット構成要素の楔形部分を画定する複数の相互にループ状になったコースを有するニット構成要素を含み、それぞれの楔形部分は、ニット構成要素の外周部の一部分、ニット構成要素の内周部の一部分、外周部から内周部まで延在する第1のニットコース、及び外周部から内周部まで延在する第2のニットコースによって画定される。アッパーの第1の例では、楔形部分を画定する内周部の一部分は、楔形部分を画定する外周部の一部分よりも短い長さを有する。任意選択で第1の例を含むアッパーの第2の例では、それぞれの楔形部分は、第1のコースと第2のコースとの間に位置付けられ、外周部から内周部まで延在する全長コースを含み、第1のコースと第2のコースとの間に位置付けられ、外周部から延在し、内周部の前で終端する部分長コースを含む。第1の例及び第2の例のうちの1つ以上を任意選択で含むアッパーの第3の例では、ニット構成要素の楔形部分のうちの少なくともいくつかが、アッパーの前足部領域を形成する。第1の例~第3の例のうちの1つ以上を任意選択で含むアッパーの第4の例では、ニット構成要素の楔形部分のうちの少なくともいくつかが、アッパーの中足部領域を形成する。第1の例~第4の例のうちの1つ以上を任意選択で含むアッパーの第5の例では、ニット構成要素の楔形部分のうちの少なくともいくつかが、アッパーのかかと領域を形成する。第1の例~第5の例のうちの1つ以上を任意選択で含むアッパーの第6の例では、アッパーは、履物物品のアッパーである。
【0120】
編み表現2310は、ニット構成要素2330内の1つ以上のコースと相互にループ状になり得る1つ以上の埋め込みストランド2318を示す。埋め込みストランドの位置(すなわち、埋め込みストランドが埋め込まれる場所)及び数は、所望のレベルの保持及び/又は保持の方向を提供するように選択されてもよい。一実施例では、埋め込みストランドの位置は、1つ以上の埋め込みストランドが、
図3に関連して考察した軸線121、123に沿った保持線などの、1つ以上の保持線と整列又は実質的に整列できるように選択されてもよい。別の実施例では、追加的又は代替的に、楔の幾何学的形状(例えば、楔のそれぞれの辺の長さ、表面積など)は、1つ以上の埋め込みストランドを所望の位置に位置付け、かつ/又は埋め込みストランドを1つ以上の保持線若しくは所望の補強方向と整列若しくは実質的に整列するように調整されてもよい。
【0121】
図23Aでは、楔2314を形成する編み行は、これらの行が編み機によってどのように形成される/編まれるかに従って表されている。この意味では、編み行には、長い行と短い行の両方が含まれる。長い行(
図23Aにおいて左から右に測定される)は、長いニットコースを表し、短い行(
図23Aにおいて左から右に測定される)は、短いニットコースを表す。楔2314を形成する編み行に隣接してその間に位置する空間2316は、編みプロセス中に保持されているか、又は完了していない編み目、又はむしろニットコースの編まれていない部分を表す。
図23Aの線は、埋め込みストランド2318を表す。楔、例えば、編み方向2312に沿ったより長いコース及びより短いコースを有するニット構成要素2330の形成により、編み機上で形成されたベースとなる織物が回転することが可能になる、すなわち、非直線状、弓形、並びに/又は共通部分、位置、及び/若しくは点を囲む径方向の形状を自然に形成することが可能になる。また、この編み構成により、埋め込みストランド2318が、共通部分、位置、及び/又は点の周りで同様の非直線状、弓形、及び/又は径方向の形状で延在することが可能になる。
図23Aに示す編み順序2310に基づくニット構成要素2330の形成は、
図23Bの例に示されており、ここでは、
図23Aの楔が、編みプロセスのコースにわたって径方向に配置されたニット片をもたらすことがわかる。
【0122】
本明細書に記載されるニット構成要素は、考えられる物品の中でも特に、異なる物品、例えば、アッパー、履物物品、アパレル物品、例えば、帽子、キャップ、シャツ、ジャージ、ジャケット、靴下、ショートパンツ、パンツ、下着及びブラジャーなどの肌着、運動サポートウェア、手袋、リスト/アームバンド、スリーブ、ヘッドバンドなどに組み込むことができるか、あるいはスポーツ用品、バッグ、バックパック、又は屋外レクリエーション用具若しくは用具一式などの、他の物品に組み込むことができる。
【0123】
条項1:
アッパーであって、少なくとも、アッパーの前足部領域及び中足部領域を形成し、外周部を有するニット構成要素を備え、前足部領域は、中足部領域と一体的に編まれており、前足部領域は、前足部領域の外周部とニット構成要素の共通部分との間に連続的に延在する第1のコースを有し、中足部領域は、中足部領域の外周部とニット構成要素の共通部分との間に連続的に延在する第2のコースを有し、第1のコースと第2のコースとは、互いに対してある角度をなして延在している、アッパー。
【0124】
条項2:
ニット構成要素は、アッパーのかかと領域を形成し、かかと領域は、かかと領域の外周部とニット構成要素の共通部分との間に連続的に延在する第3のコースを有する、条項1に記載のアッパー。
【0125】
条項3:
ニット構成要素の共通部分は、アッパーのスロートエリアである、条項1又は2に記載のアッパー。
【0126】
条項4:
ニット構成要素の共通部分は、アッパーのスロートエリアの前部分である、条項1~3のいずれかに記載のアッパー。
【0127】
条項5:
ニット構成要素は、アッパーの舌部を形成する、条項1~4のいずれかに記載のアッパー。
【0128】
条項6:
舌部は、少なくとも前足部領域と一体的に編まれている、条項1~5のいずれかに記載のアッパー。
【0129】
条項7:
ニット構成要素は、アッパーのかかと領域を形成し、かかと領域内に少なくとも部分的に延在する第4のコースと、前足部領域内に少なくとも部分的に延在する第5のコースと、を含み、第4のコース及び第5コースはそれぞれ、着用者の第1中足骨を覆うように構成された前足部領域の一部分からかかと領域の外側部分まで延在する軸線に平行に延在している、条項1~6のいずれかに記載のアッパー。
【0130】
条項8:
ニット構成要素は、アッパーのかかと領域を形成し、かかと領域内に少なくとも部分的に延在する第4のコースと、前足部領域内に少なくとも部分的に延在する第5のコースと、を含み、第4のコース及び第5コースはそれぞれ、着用者の第5中足骨を覆うように構成された前足部領域の一部分からかかと領域の内側部分まで延在する軸線に平行に延在している、条項1~7のいずれかに記載のアッパー。
【0131】
条項9:
ニット構成要素は、複数のストランドセグメントを有する埋め込みストランドを更に含み、それぞれのストランドセグメントは、外周部から共通部分まで延在している、条項1~8のいずれかに記載のアッパー。
【0132】
条項10:
それぞれのストランドセグメントは、アッパーを通って外周部から共通部分まで延在している、条項1~9のいずれかに記載のアッパー。
【0133】
条項11:
複数のストランドセグメント内の1つ以上のストランドセグメントは、アッパーの前足部領域内に位置付けられている、条項1~10のいずれかに記載のアッパー。
【0134】
条項12:
共通部分は、アッパーのスロートエリアを含む、条項1~11のいずれかに記載のアッパー。
【0135】
条項13:
アッパーは、履物物品の一部分を含む、条項1~12のいずれかに記載のアッパー。
【0136】
条項14:
アッパー用のニット構成要素を製造する方法であって、当該方法は、編み機上で、アッパーの第1の中足部領域を形成することであって、第1の中足部領域は、アッパーの外側及び内側のうちの一方を形成する、形成することと、第1の中足部領域を形成した後に、編み機上で、アッパーの前足部領域を形成することであって、前足部領域は、第1の中足部領域と一体的に編まれている、形成することと、前足部領域を形成した後に、編み機上で、アッパーの第2の中足部領域を形成することであって、第2の中足部領域は、前足部領域と一体的に編まれており、外側及び内側のうちの他方を形成する、形成することと、を含む、方法。
【0137】
条項15:
ニット構成要素は、前足部領域内に位置付けられ、アッパーの外周部から共通部分まで連続的に延在している、第1のコースと、アッパーの第1の中足部領域内に位置付けられ、外周部と共通部分との間で連続的に延在している、第2のコースと、を含む、条項14に記載の方法。
【0138】
条項16:
第1の中足部領域を形成するために使用される針の少なくとも一部は、第2の中足部領域を形成するために使用される、条項14又は15に記載の方法。
【0139】
条項17:
ニット構成要素は、ニット要素と、ニット要素の1つ以上のコースを通って延在する埋め込みストランドと、を含み、埋め込みストランドは、ニット要素が編み機の複数の針上に形成される間に埋め込まれる、条項14~16のいずれかに記載の方法。
【0140】
条項18:
ニット構成要素は、アッパーの外周部とアッパーの共通部分との間で互いに対してある角度をなして延在するニット構成要素の少なくとも第1の部分に複数の埋め込みストランドを含むように形成され、複数の埋め込みストランドは、ニット構成要素の残りの部分を形成する1つ以上の糸よりも高い引張強度を有する、条項14~17のいずれかに記載の方法。
【0141】
条項19:
アッパーであって、アッパーの外周部の少なくとも一部を画定し、外周部とスロート領域との間に延在する複数のコースを有するニット要素と、ニット構成要素と一体化されて、ニット構成要素の複数のコースのそれぞれのコース内で外周部とスロート領域との間に延在する複数のストランドセグメントを形成する、少なくとも1つの埋め込みストランドであって、複数のストランドセグメントの少なくとも一部分は、互いに対してある角度をなして延在している、少なくとも1つの埋め込みストランドと、を備える、アッパー。
【0142】
条項20:
少なくとも1つの埋め込みストランドは、複数のストランド糸セグメントがニット要素の長さに沿って離間されるように、ニット要素と一体化されている、条項19に記載のアッパー。
【0143】
条項21:
複数のストランドセグメントは、アッパーの中足部領域内に位置する中足ストランドセグメントを含む、条項19又は20に記載のアッパー。
【0144】
条項22:
複数のストランドセグメントは、ソール構造からスロート領域まで延在するかかとストランドセグメントを含む、条項19~21のいずれかに記載のアッパー。
【0145】
条項23:
かかとストランドセグメントの隣接するセグメントは、前足ストランドセグメントの隣接するセグメントよりも更に離間されている、条項19~22のいずれかに記載のアッパー。
【0146】
条項24:
かかとストランドセグメントの隣接するセグメントの間の平均間隔と、前足ストランドセグメントの隣接するセグメントの間の平均間隔の比率は、1.5:1よりも大きい、条項19~23のいずれかに記載のアッパー。
【0147】
条項25:
かかとストランドセグメントの隣接するセグメントの間の平均間隔と、前足ストランドセグメントの隣接するセグメントの間の平均間隔の比率は、2:1~5:1である、条項19~24のいずれかに記載のアッパー。
【0148】
条項26:
かかとストランドセグメントの隣接するセグメントと、前足ストランドセグメントの隣接するセグメントとの間の平均コース数の比率は、1.5:1よりも大きい、条項19~25のいずれかに記載のアッパー。
【0149】
条項27:
かかとストランドセグメントの隣接するセグメントと、前足ストランドセグメントの隣接するセグメントとの間の平均コース数の比率は、2:1~5:1である、条項19~26のいずれかに記載のアッパー。
【0150】
条項28:
アッパーの内側に位置付けられた複数のストランドセグメント内のストランドセグメントの数は、アッパーの外側に位置付けられたストランドセグメントの数と同じである、条項19~27のいずれかに記載のアッパー。
【0151】
条項29:
アッパーの内側に位置付けられた複数のストランドセグメント内のストランドセグメントの数は、アッパーの外側に位置付けられたストランドセグメントの数とは異なる、条項19~28のいずれかに記載のアッパー。
【0152】
条項30:
アッパーの内側に位置付けられた複数のストランドセグメント内のストランドセグメントと、アッパーの外側に位置付けられたストランドセグメントとは、アッパーの長手方向軸線に対して対称的に位置付けられている、条項19~29のいずれかに記載のアッパー。
【0153】
条項31:
アッパーの内側に位置付けられた複数のストランドセグメント内のストランドセグメントと、アッパーの外側に位置付けられたストランドセグメントとは、アッパーの長手方向軸線に対して非対称的に位置付けられている、条項19~31のいずれかに記載のアッパー。
【0154】
条項32:
共通部分は、スロート領域の前半分である、条項19~31のいずれかに記載のアッパー。
【0155】
条項33:
共通部分は、スロート領域の後半分である、条項19~32のいずれかに記載のアッパー。
【0156】
条項34:
アッパー用のニット構成要素であって、ニット構成要素の下縁部及び一対のかかと縁部を画定する外周部、並びにスロート開口部及び足首開口部の少なくとも一方を画定する内周部を有するニット要素であって、ニット要素は、外周部と内周部との間に延在する複数のコースを有する、ニット要素と、ニット要素と一体化された1つ以上の埋め込みストランドであって、1つ以上の埋め込みストランドは、外周部と内周部との間のニット要素の複数のコースのそれぞれ内に延在する複数のストランドセグメントを形成する、1つ以上の埋め込みストランドと、を備える、ニット構成要素。
【0157】
条項35:
連続ストランドは、複数のストランドセグメントがニット構成要素の長さに沿って離間されたコースであるように、ニット構成要素内に一体化されている、条項34に記載のニット構成要素。
【0158】
条項36:
ニット構成要素は、前足部領域、中足部領域、及びかかと領域を含み、複数のストランドセグメントは、前足部ストランドセグメント、中足部ストランドセグメント、及びかかとストランドセグメントのうちの1つ以上を含む、条項34又は35に記載のニット構成要素。
【0159】
条項37:
ニット構成要素は、内側及び外側を含み、1つ以上の埋め込みストランドは、内側上に第1の複数のストランドを形成し、1つ以上の埋め込みストランドは、外側上に第2の複数のストランドを形成する、条項34~36のいずれかに記載のニット構成要素。
【0160】
条項38:
かかとストランドセグメントのうちの隣接するセグメントと、前足部ストランドセグメントのうちの隣接するセグメントとの間の平均コース数の比率は、1.5:1よりも大きいか、又は2:1~5:1である、条項34~37のいずれかに記載のニット構成要素。
【0161】
条項39:
ニット構成要素は、内側及び外側を含み、内側上の複数のストランドセグメント内のストランドセグメントの数は、外側上のストランドセグメントの数と同じである、条項34~38のいずれかに記載のニット構成要素。
【0162】
条項40:
ニット構成要素は、内側及び外側を含み、内側ストランドセグメント上の複数のストランドセグメント内のストランドセグメントの数は、外側上のストランドセグメントの数とは異なる、条項34~39のいずれかに記載のニット構成要素。
【0163】
条項41:
履物物品を形成する方法であって、ニット要素を編むことによってアッパーの少なくとも一部分を形成することであって、ニット要素は、外周部と内周部との間に延在する複数のコースを含み、外周部は、アッパーの下部分を画定し、内周部は、アッパーの上部分を画定する、形成することと、編んでいる間に連続ストランドをニット要素に一体化して、外周部と内周部との間のニット要素の複数のコースのそれぞれのコース内に延在する複数のストランドセグメントを形成することと、を含む、方法。
【0164】
条項42:
ニット要素の下部分のうちの少なくとも一部分をソール構造に固定することを更に含む、条項42に記載の方法。
【0165】
条項43:
ニット要素を編むことは、ニット要素の内側と外側を連続して編んで、かかと領域の一対の縁部において一緒に接合することができる単一のニット構成要素を形成することを含む、条項41又は42に記載の方法。
【0166】
条項44:
連続ストランドは、複数のコース内のコースを通して連続ストランドを埋め込むことによって、ニット構成要素と一体化される、条項41~44のいずれかに記載の方法。
【0167】
条項45:
履物物品は、前足部領域、中足部領域、及びかかと領域を含み、連続ストランドを一体化して複数のストランドセグメントを形成することは、ソール構造からアッパーのスロート領域まで延在する前足部ストランドセグメントを形成することを含む、条項41~45のいずれかに記載の方法。
【0168】
条項46:
履物物品は、前足部領域、中足部領域、及びかかと領域を含み、連続ストランドを一体化して複数のストランドセグメントを形成することは、ソール構造からスロート領域まで延在する前足部ストランドセグメント、ソール構造からスロート領域まで延在する中足部ストランドセグメント、及びソール構造からスロート領域まで延在するかかとストランドセグメントを形成することを含む、条項41~45のいずれかに記載の方法。
【0169】
条項47:
かかとストランドセグメントの隣接するセグメントは、前足部ストランドセグメントの隣接するセグメントよりも更に離間されている、条項41~46のいずれかに記載の方法。
【0170】
条項48:
かかとストランドセグメントの隣接するセグメントの間の平均間隔と、前足部ストランドセグメントの隣接するセグメントの間の平均間隔との比率は、1.5:1よりも大きいか、又は2:1~5:1である、条項41~47のいずれかに記載の方法。
【0171】
条項49:
かかとストランドセグメントの隣接するセグメントと、前足部ストランドセグメントの隣接するセグメントとの間の平均コース数の比率は、1.5:1よりも大きいか、又は2:1~5:1である、条項41~48のいずれかに記載の方法。
【0172】
条項50:
履物物品は、内側及び外側を含み、内側上に位置付けられた複数のストランドセグメント内のストランドセグメントの数は、外側上に位置付けられたストランドセグメントの数と同じである、条項41~49のいずれかに記載の方法。
【0173】
条項51:
履物物品は、内側及び外側を含み、内側上に位置付けられた複数のストランドセグメント内のストランドセグメントの数は、外側上に位置付けられたストランドセグメントの数とは異なる、条項41~50のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
条項52:
履物物品は、内側及び外側を含み、内側ストランド上に位置付けられた複数のストランドセグメント内のストランドセグメント及び外側上に位置付けられたストランドセグメントは、履物物品の長手方向軸線に対して対称的に位置付けられている、条項41~51のいずれかに記載の方法。
【0175】
条項53:
履物物品は、内側及び外側を含み、内側上に位置付けられた複数のストランドセグメントのストランドセグメント及び外側上に位置付けられた複数のストランドセグメントのストランドセグメントは、履物物品の長手方向軸線に対して非対称的に位置付けられている、条項41~52のいずれか一項に記載の方法。
【0176】
条項54:
少なくとも部分的に径方向の構成に配置された複数のニット構造を含む、ニット構成要素。
【0177】
条項55:
ニット構成要素を組み込んだ物品を更に含む、条項54に記載のニット構成要素。
【0178】
条項56:
物品は、履物物品又はアパレル物品である、条項55に記載のニット構成要素。
【0179】
条項57:
アッパーであって、ニット構成要素の楔形部分を画定する複数の相互にループ状になったコースを有するニット構成要素を備え、それぞれの楔形部分は、ニット構成要素の外周部の一部分、ニット構成要素の内周部の一部分、外周部から内周部まで延在する第1のニットコース、及び外周部から内周部まで延在する第2のニットコースによって画定される、アッパー。
【0180】
条項58:
楔形部分を画定する内周部の一部分は、楔形部分を画定する外周部の一部分よりも短い長さを有する、条項57に記載のアッパー。
【0181】
条項59:
それぞれの楔形部分は、第1のコースと第2のコースとの間に位置付けられ、外周部から内周部まで延在する全長コースを含み、第1のコースと第2のコースとの間に位置付けられ、外周部から延在し、内周部の前で終端する部分長コースを含む、条項57又は58に記載のアッパー。
【0182】
条項60:
ニット構成要素の楔形部分の少なくともいくつかは、アッパーの前足部領域を形成する、条項57~59のいずれかに記載のアッパー。
【0183】
条項61:
ニット構成要素の楔形部分の少なくともいくつかは、アッパーの中足部領域を形成する、条項57~60のいずれかに記載のアッパー。
【0184】
条項62:
ニット構成要素の楔形部分の少なくともいくつかは、アッパーのかかと領域を形成する、条項57~60のいずれかに記載のアッパー。
【0185】
本開示の態様は、限定的ではなく、例示的な目的で記載されている。当業者には、その範囲から逸脱しない代替的な態様が明らかになるであろう。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、前述の改良を実装する代替手段を開発してもよい。
【0186】
特定の特徴及び部分的組み合わせは有用であり、他の特徴及び部分的組み合わせを参照せずに用いられることがあり、特許請求の範囲内で企図されることが理解されるであろう。様々な図に記載されている全てのステップを、記載されている特定の順序で実行する必要はない。
【国際調査報告】