(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】プロバイオティクスエンハンサー及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 35/744 20150101AFI20240927BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240927BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240927BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20240927BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240927BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20240927BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240927BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20240927BHJP
A61K 9/02 20060101ALI20240927BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240927BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240927BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240927BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240927BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240927BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20240927BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20240927BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20240927BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20240927BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20240927BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240927BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 15/02 20060101ALI20240927BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240927BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20240927BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240927BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240927BHJP
A61K 8/99 20170101ALI20240927BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20240927BHJP
A61K 31/7004 20060101ALI20240927BHJP
A61K 31/702 20060101ALI20240927BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20240927BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K35/744
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/46
A61K9/14
A61K9/12
A61K9/06
A61K9/72
A61K9/02
A61K9/20
A61P43/00 121
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/14
A61P31/16
A61P27/16
A61P11/04
A61P1/02
A61P11/00
A61P11/02
A61P17/10
A61P17/06
A61P17/00
A61P17/00 101
A61P15/02
A61P7/00
A61P37/08
A61Q15/00
A61Q11/00
A61P25/00
A61Q19/00
A61K8/99
A61K8/60
A61P43/00 111
A61K31/7004
A61K31/702
C12N1/20 A ZNA
A23L33/135
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519918
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 IB2022059321
(87)【国際公開番号】W WO2023053073
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507324555
【氏名又は名称】ブリス テクノロジーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン デイビッド ヘイル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン タッグ
(72)【発明者】
【氏名】ロヒット ジェイン
(72)【発明者】
【氏名】リーアム カール ハロルド
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C076
4C083
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB07
4B018MD85
4B018ME02
4B018MF06
4B065AA49X
4B065AC14
4B065BD35
4B065CA41
4C076AA01
4C076AA03
4C076AA09
4C076AA24
4C076AA29
4C076AA49
4C076AA93
4C076AA94
4C076BB01
4C076BB21
4C076BB22
4C076BB23
4C076BB25
4C076BB27
4C076BB29
4C076BB30
4C076BB31
4C076CC09
4C076CC10
4C076CC14
4C076CC15
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC19
4C076CC20
4C076CC31
4C076CC35
4C076DD67
4C076EE38
4C076EE58T
4C076FF02
4C076FF31
4C076FF52
4C083AA031
4C083AA032
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD241
4C083AD242
4C083CC02
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC17
4C083CC41
4C083DD08
4C083DD17
4C083DD23
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE14
4C083EE18
4C083EE32
4C083EE33
4C083EE34
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA28
4C086MA31
4C086MA35
4C086MA36
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA12
4C086ZA34
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA67
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA90
4C086ZB13
4C086ZB31
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC19
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC61
4C087CA10
4C087MA02
4C087MA13
4C087MA28
4C087MA31
4C087MA35
4C087MA36
4C087MA43
4C087MA52
4C087MA56
4C087MA57
4C087MA59
4C087MA60
4C087MA63
4C087NA05
4C087NA12
4C087ZA34
4C087ZA51
4C087ZA59
4C087ZA67
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZA90
4C087ZB13
4C087ZB31
4C087ZB33
4C087ZB35
4C087ZC19
4C087ZC75
(57)【要約】
ストレプトコッカス・サリバリウスの阻害プロファイルを改善する方法であって、有効量の補充糖類を含む組成物中でS.サリバリウスを製剤化することを含む、方法が本明細書に記載される。ストレプトコッカス・サリバリウス及び補充糖類を含む、組成物、そのような組成物を使用して微生物を阻害する方法、そのような組成物を含む治療用製剤、並びにそのような組成物及び治療用製剤を使用して疾患を処置又は予防する方法も本明細書に記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)の阻害プロファイルを改善する方法であって、有効量の補充糖類を含む組成物中で前記S.サリバリウスを製剤化することを含み、
前記ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
前記補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法。
【請求項2】
ストレプトコッカス・サリバリウスにおける1つ以上の遺伝子を上方制御するための方法であって、有効量の補充糖類を含む組成物中で前記S.サリバリウスを製剤化することを含み、
前記ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
前記補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法。
【請求項3】
前記上方制御された遺伝子が、ランチバイオティクスペプチド又はバクテリオシンをコードする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記上方制御された遺伝子が、クラスI又はクラスIIランチバイオティクスペプチド又はバクテリオシンをコードする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ランチバイオティクスペプチドが、salA、salB、sal9又はそれらの組み合わせである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ランチバイオティクスペプチドが、salA、salB、又はそれらの組み合わせである、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記バクテリオシンが、salQである、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記上方制御された遺伝子が、ウレアーゼタンパク質のサブユニットをコードする、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記上方制御された遺伝子が、ureCである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号15~22のいずれか1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなり、又は前記上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなる、請求項2~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号15~22のいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性、好ましくは配列番号15~22のいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む又はそれからなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性、好ましくは配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む又はそれからなる、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
a.前記上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号15若しくは19に対して少なくとも70%の同一性を有する、又は配列番号23若しくは27に対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなるsalA遺伝子又はその変異体である、
b.前記上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号16に対して少なくとも70%の同一性を有する、又は配列番号24に対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなるsalB遺伝子又はその変異体である、
c.前記上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号17若しくは21に対して少なくとも70%の同一性を有する、又は配列番号25若しくは29に対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなるsalQ遺伝子又はその変異体である、
d.前記上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号20に対して少なくとも70%の同一性を有する、又は配列番号28に対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなるsal9遺伝子又はその変異体である、及び/又は
e.前記上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号18若しくは22に対して少なくとも70%の同一性を有する、又は配列番号26若しくは30に対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなるureC遺伝子又はその変異体である、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ストレプトコッカス・サリバリウスによるランチバイオティクスペプチド、バクテリオシン、又はウレアーゼのうちの1つ以上の産生を増加させる方法であって、有効量の補充糖類を含む組成物中で前記S.サリバリウスを製剤化することを含み、
前記ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
前記補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法。
【請求項15】
前記ランチバイオティクスペプチド又はバクテリオシンが、クラスI又はクラスIIランチバイオティクスペプチド又はバクテリオシンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ランチバイオティクスペプチドが、salA、salB、sal9、又はそれらの組み合わせである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ランチバイオティクスペプチドが、salA、salB、又はそれらの組み合わせである、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記バクテリオシンが、salQである、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチドの産生を増加させる、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリペプチドが、配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性、好ましくは配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は99%の同一性を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
皮膚、歯、口腔、粘膜、及び/又はENTR微生物に対するS.サリバリウスの阻害プロファイルを向上させる、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記皮膚、口腔、歯、粘膜、及び/又はENTR微生物が、S.アウレウス(黄色ブドウ球菌)(S.aureus)種、S.インターメディウス(S.intermedius)種、S.サプロフィチカス(腐性ブドウ球菌)(S.saprophyticus)種、M.カタラーリス(カタル球菌)(M.catarrhalis)種、H.インフルエンザ(H.influenzae)種、S.ピオゲネス(化膿連鎖球菌)(S.pyogenes)種、P.エルギノーザ(緑膿菌)(P.aeruginosa)種、S.ミュータンス(S.mutans)、S.ニューモニエ(肺炎連鎖球菌)(S.pneumoniae)種、C.アクネス(アクネ菌)(C.acnes)種、C.アルビカンス(カンジダ菌)(C.albicans)種、S.ソブリヌス(S.sobrinus)種、コリネバクテリウム(Corynebacterim)種、F.ヌクレアタム(F.nucleatum)種、A.アクチノミセテムコミタンス(A.actinomycetemcomitans)種、P.ジンジバリス(P.gingivalis)種、タネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)種、トレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)種、P.インターメディア(P.intermedia)種、プレボテラ(Prevotella)種、A.ビスコサス(A.viscosus)種、S.エキシミリス(S.equismillis)種、S.ディスガラクティエ(S.dygalactiae)種、S.サングイニス(S.sanguis)種、S.コーニー(S.cohnii)種、B.インターメディウス(B.intermedius)種、A.パルブラム(A.parvulum)種、E.サブレウム(E.saburreum)種、E.スルシ(E.sulci)種、P.ミクラ(P.micra)種、S.ムーレイ(S.moorei)種、S.アガラクティエ(S.agalactiae)種、C.ミヌティスシムス(C.minutissimus)種、P.プロピオニカス種、S.アガラクティエ種、S.ディスガラクティアエ(S.dysgalactiae)種、S.シムランス(S.simulans)種、S.キシローサス(S.xylosus)種、足部白癬感染を引き起こす真菌、S.サリバリウス(S.salivarius)種、K12又はM18以外の種、L.ラクティス(L.lactis)種、S.エピデルミディス(表皮ブドウ球菌)(S.epidermidis)種、S.コンステラータス(S.constellatus)種、K.ニューモニエ(K.pneumoniae)種、A.バウマニ(A.baumanii)種、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせから選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記微生物が、S.アウレウスA222、S.アウレウス20、S.アウレウス14、S.アウレウス19、S.アウレウスA504、S.サプロフィチカスATCC15305、M.カタラーリスTW1、M.カタラーリスTW2、H.インフルエンザTW5、S.ピオゲネスM76、S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネスFF22、S.ピオゲネス71~679、S.ピオゲネスW-1、S.ピオゲネスM17、S.ピオゲネスM57、S.ピオゲネスEMM92、S.ピオゲネスM66、S.ピオゲネスM74、P.エルギノーザI2、S.ミュータンスOMZ175、S.ニューモニエD39、L.ラクティスT-21、S.エピデルミディス11、S.コンステラータスT-29、S.サリバリウス6、S.サリバリウス193、S.サリバリウス20P3、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、少なくとも約0.1重量%の各S.サリバリウスを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が、約0.1~約20重量%の各S.サリバリウスを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、少なくとも約1×10
3cfu/gの各S.サリバリウスを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物が、約1×10
3~約1×10
13cfu/gの各S.サリバリウスを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物が、約20重量%未満の各補充糖類を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が、約0.1~約20重量%の各補充糖類を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、口腔、歯、鼻腔、粘膜、局所、又は肺投与のために製剤化される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、徐放性組成物中で製剤化される、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、粉末、舐剤、鼻腔スプレー、鼻腔ゲル、点鼻薬、経口ドロップ、経口ゲル、経口スプレー、吸入可能な局所用組成物、チュアブル、メルト、フィルム、グミ、練り歯磨き、歯磨きゲル、ワニス、ムース、マウスウォッシュ、食品(例えばヨーグルト)、クリーム、ゲルスプレー、デオドラント、美容液、ローション、バーム、保湿剤、ペッサリー、又は坐剤に製剤化される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
皮膚、歯、口腔、粘膜、及び/又はENTR微生物を阻害する方法であって、前記微生物を、ストレプトコッカス・サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む、組成物と接触させることを含み、
前記ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
前記補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法。
【請求項34】
前記微生物が、S.アウレウス種、S.サプロフィチカス種、S.ミュータンス種、S.ピオゲネス種、S.ニューモニエ種から選択されるストレプトコッカス(連鎖球菌)(Streptococcus)又はスタフィロコッカス(ブドウ球菌)(Staphylococcus)細菌であり、前記S.サリバリウス株が、K12である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ストレプトコッカス又はスタフィロコッカス細菌が、S.アウレウスA222、S.サプロフィチカスATCC15305、S.ミュータンスOMZ175、S.コンステラータスT-29、S.ピオゲネス71~698、及びS.ニューモニエD39から選択され、前記S.サリバリウス株が、K12である、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記補充糖類が、ラフィノースであり、前記組成物中に0.5~15重量%、又は1~12重量%、又は1.5~10重量%、又は2~7重量%、又は2.5~5重量%の量で存在する、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記補充糖類が、ガラクトースであり、前記組成物中に0.5~15重量%、又は1~12重量%、又は1.5~10重量%、又は2~7重量%、又は2.5~5重量%の量で存在する、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記細菌が、S.ピオゲネス種及びS.ニューモニエ種から選択され、前記S.サリバリウス株が、M18である、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記細菌が、S.ピオゲネス71-698及びS.ニューモニエD39から選択され、前記S.サリバリウス株が、M18である、請求項33~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記細菌が、S.コンステラータス、S.ミュータンス、及びS.サプロフィチカスから選択され、前記S.サリバリウス株が、M18である、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記細菌が、S.コンステラータスT29、S.ミュータンスOMZ175、及びS.サプロフィチカスATCC15305から選択され、前記S.サリバリウス株が、M18である、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記補充糖類が、ラフィノースであり、前記組成物中に0.25~10重量%、又は0.5~8重量%、又は0.75~7重量%、又は1~6重量%、又は1.25~5重量%の量で存在する、請求項33~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記補充糖類が、ガラクトースであり、前記組成物中に0.25~10重量%、又は0.5~8重量%、又は0.75~7重量%、又は1~6重量%、又は1.25~5重量%の量で存在する、請求項33~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
ストレプトコッカス・サリバリウス、及び前記ストレプトコッカス・サリバリウスの阻害プロファイルを改善するのに使用するための有効量の補充糖類を含む、組成物であって、
前記ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
前記補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、組成物。
【請求項45】
0.1~1重量%、又は0.2~0.8重量%、又は0.25~0.75重量%、又は0.5重量%の量のガラクトース、及び0.5~5重量%、又は1~4重量%、又は2~3重量%、又は2.5重量%の量のラフィノースのうちの1つ以上を含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
ストレプトコッカス・サリバリウスK12、及び2~3重量%の量のラフィノースを含む、組成物。
【請求項47】
ストレプトコッカス・サリバリウスK12、及び0.25~0.75重量%の量のガラクトースを含む、組成物。
【請求項48】
ストレプトコッカス・サリバリウスM18、及び2~3重量%の量のラフィノースを含む、組成物。
【請求項49】
ストレプトコッカス・サリバリウスM18、及び0.25~0.75重量%の量のガラクトースを含む、組成物。
【請求項50】
ストレプトコッカス・サリバリウスK12、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、及び2~3重量%の量のラフィノースを含む、組成物。
【請求項51】
ストレプトコッカス・サリバリウスK12、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、及び0.25~0.75重量%の量のガラクトースを含む、組成物。
【請求項52】
ストレプトコッカス・サリバリウスK12、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、2~3重量%の量のラフィノース、及び0.25~0.75重量%の量のガラクトースを含む、組成物。
【請求項53】
ストレプトコッカス・サリバリウスK12、1.2~2.2重量%の量のラフィノース、及び0.7~1.7重量%の量のガラクトースを含む、組成物。
【請求項54】
ストレプトコッカス・サリバリウスM18、1.2~2.2重量%の量のラフィノース、及び0.7~1.7重量%の量のガラクトースを含む、組成物。
【請求項55】
ストレプトコッカス・サリバリウスK12、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、1.2~2.2重量%の量のラフィノース、及び0.7~1.7重量%の量のガラクトースを含む、組成物。
【請求項56】
担体;結合剤又は滑沢剤を含む錠剤化助剤;及び香味剤のうちの1つ以上を更に含む、請求項44~55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
請求項44~56のいずれか一項に記載の組成物を含む、治療用製剤。
【請求項58】
前記治療用製剤が、口腔、歯、経鼻、粘膜、局所、又は肺投与のために製剤化されている、請求項57に記載の治療用製剤。
【請求項59】
前記治療用製剤が、徐放性組成物である、請求項57又は58に記載の治療用製剤。
【請求項60】
前記治療用製剤が、粉末、舐剤、鼻用スプレー、鼻用ゲル、点鼻薬、経口用ドロップ、経口用ゲル、経口用スプレー、吸入可能な局所用組成物、チュアブル、メルト、フィルム、グミ、練り歯磨き、歯磨きゲル、ワニス、ムース、マウスウォッシュ、食品(例えば、ヨーグルト)、クリーム、ゲル、スプレー、デオドラント、美容液、ローション、バーム、保湿剤、ペッサリー、又は坐剤である、請求項57~59のいずれか一項に記載の治療用製剤。
【請求項61】
粉末である、請求項60に記載の治療用製剤。
【請求項62】
舐剤である、請求項60に記載の治療用製剤。
【請求項63】
疾患又は障害を処置又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、請求項44~56のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項57~62のいずれか一項に記載の治療用製剤を投与することを含む、方法。
【請求項64】
前記疾患又は障害が、口腔、歯、粘膜、皮膚、又はENTR病原体によって引き起こされる、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記疾患又は障害が、病原性ストレプトコッカス又はスタフィロコッカス細菌によって引き起こされる、請求項63又は64に記載の方法。
【請求項66】
前記病原性ストレプトコッカス又はスタフィロコッカス細菌が、S.アウレウス種、S.サプロフィチカス種、S.ミュータンス種、S.ピオゲネス種、及びS.ニューモニエ種から選択される、請求項63~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記疾患又は障害が、中耳炎、咽喉炎、虫歯、急性咽頭炎、扁桃炎、肺炎、COPD、歯根膜疾患、歯肉炎、口臭、う蝕、敗血症、髄膜炎、カンジダ症(口腔カンジダ症)、膣炎、体臭、ざ瘡、放線菌症、乾癬、紅斑、蜂巣炎、膿痂疹、アトピー皮膚炎、菌血症、水虫を含む白癬、軟組織感染、紅班、院内紅班、SARS-CoV、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、及びRSV、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせから選択される、請求項63~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物を阻害する方法であって、それを必要とする対象に、請求項33~37のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項57~62のいずれか一項に記載の治療用製剤を投与することを含む、方法。
【請求項69】
前記ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物が、S.サリバリウス種、S.エピデルミディス種、S.コンステラータス種、及びL.ラクティス種から選択される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物が、S.ピオゲネス種、F.ヌクレアタム種、及びP.ジンジバリス種から選択される、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記対象が、ヒトである、実施形態63~70のいずれか1つに記載の方法。
【請求項72】
医薬の製造におけるストレプトコッカス・サリバリウス及び補充糖類の使用であって、前記医薬が、
(a)疾患又は障害の処置若しくは予防、又は
(b)ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物の阻害、のためのものであり、
前記ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
前記補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、使用。
【請求項73】
ストレプトコッカス・サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む、組成物であって、前記組成物が、
(a)疾患又は障害の処置若しくは予防、又は
(b)ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物の阻害、における使用のためのものであり、
前記ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
前記補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、組成物。
【請求項74】
前記組成物が、粉末、舐剤、鼻腔スプレー、鼻腔ゲル、点鼻薬、経口ドロップ、経口ゲル、経口スプレー、吸入可能な局所用組成物、チュアブル、メルト、フィルム、グミ、練り歯磨き、歯磨きゲル、ワニス、ムース、マウスウォッシュ、食品(例えば、ヨーグルト)、クリーム、ゲル、スプレー、デオドラント、美容液、ローション、バーム、保湿剤、ペッサリー、又は坐剤である、請求項73に記載の組成物。
【請求項75】
粉末である、請求項74に記載の組成物。
【請求項76】
舐剤である、請求項74に記載の組成物。
【請求項77】
前記組成物が、化粧品である、請求項44~56又は73~75のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項78】
前記組成物が、栄養補助食品である、請求項44~56又は73~76のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項79】
前記組成物が、天然健康製品である、請求項44~56又は73~76のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項80】
前記組成物が、補完薬である、請求項44~56又は73~76のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項81】
ストレプトコッカス・サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む、組成物を製造する方法であって、
(a)ストレプトコッカス・サリバリウスを補充糖類と組み合わせることと、
(b)混合して均質なブレンドを製造することとを含み、
前記ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
前記補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法。
【請求項82】
前記組成物が、舐剤であり、前記方法が、前記均質なブレンドを舐剤化して、前記舐剤を製造する工程を更に含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記組成物中の前記S.サリバリウスの阻害プロファイルが、前記補充糖類を欠く組成物と比較して改善される、請求項81又は82に記載の方法。
【請求項84】
前記組成物が、
(a)疾患又は障害の処置若しくは予防、又は
(b)ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物の阻害、における使用のためのものである、請求項81~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
疾患又は障害の処置若しくは予防のための、又はブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物の阻害のための、請求項81~84のいずれか一項に記載の方法により製造された組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)プロバイオティクスの有効性を増強するための方法、及びそのような方法において有用な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティクスは、対象によって摂取されるとき、又は対象に投与されるときに様々な健康上の利益を提供し得る生きた微生物である。例えば、ラクトバチルス(Lactobacillus)種及びビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)種は、腸の健康の維持又は改善における使用についてよく知られている。
【0003】
プロバイオティクス市場の拡大により、プロバイオティクス株の有効性を増強する方法にますます焦点が当てられてきている。今日まで、焦点の多くは、プレバイオティクスがどのようにして腸内マイクロバイオームを変化させることができるか、又は腸の健康に有用なプロバイオティクスの有効性を向上させることができるかに当てられてきた。その研究の結果として、腸内プロバイオティクスの増殖又は活性を誘導する様々なプレバイオティクスが特定されている。このようなプレバイオティクスとしては、非消化性繊維化合物、難消化性デンプン、アラビノガラクタン、並びにイヌリン及びガラクトオリゴ糖などのオリゴ糖が挙げられる。
【0004】
プレバイオティクスは、元々、「結腸内の1つ又は限られた数の細菌の増殖及び/又は活性を選択的に刺激することによって宿主に有益な影響を与え、それによってヒトの健康状態を改善する非消化性食品成分」として説明されていた。この定義により、限られた数の炭水化物のみが、結腸に常在する細菌の促進について基準に適合すると考えられた。この説明が着想されて以来、プレバイオティクスは、「胃腸微生物叢の組成及び/又は活性に特異的な変化をもたらし、それによって宿主の健康に利益を与える選択的に発酵された成分」として定義されてきた。しかしながら、現在受け入れられている定義は、口腔内にのみ存在する微生物叢を除外する。
【0005】
国際公開第2016172658号には、大腸又は小腸における有益な細菌の増殖及び/又はコロニー形成を改善するための、糖又は糖アルコールなどのマイクロバイオーム制御因子の使用が記載されている。国際公開第2004074496号には、胃腸管において有益な細菌を増加させるための、ガラクトオリゴ糖の使用が記載されている。米国特許出願公開第20200030366号には、イヌリンなどの食物繊維を投与することを含む、胃腸病原性微生物によるコロニー形成を処置又は予防する方法が記載されている。組成物はまた、スクロース、マルトース、ラクトース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、ラフィノース、マンノース、リボース、及びトレハロースなどの様々な糖/糖類を含む、プレバイオティクスを含み得る。
【0006】
より最近では、経口適用のためのプロバイオティクス又は経口標的化プロバイオティクスが特定されている。S.サリバリウスプロバイオティクスは、様々な口腔病原体に対する使用が知られている。例えば、S.サリバリウスK12株(「K12」)は、耳、鼻、及び喉の感染症、例えば、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)によって引き起こされる耳、鼻、及び喉の感染症の予防又は処置における使用について文書化されている。(例えば、Blis Technologies Ltdの国際公開第2001027143号を参照)。K12はまた、嫌気性細菌によって引き起こされる口臭の処置における使用が知られている(例えば、Blis Technologies Ltdの国際公開第2005007178号を参照)。S.サリバリウス株Mia(本明細書では「M18」)は、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)によって引き起こされるう蝕の処置における使用が知られている(例えば、Blis Technologies Ltdの国際公開第2003070919号を参照)。
【0007】
米国特許第20190336428号には、D-ツラノース、D-メレジトース、D-ラクチトール、ミオイノシトール、及びN-アセチル-D-マンノサミンから選択される糖類を使用して、口腔内の有益な細菌の増殖を選択的に増加させることが記載されている。国際公開第2012065811号には、プロバイオティクス及びプレバイオティクスを含み得る小児用の栄養組成物が記載されている。米国特許出願公開第20160166501号には、口腔衛生に使用するための、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)を含む口腔用組成物が記載されている。組成物はまた、他のプロバイオティクス株及び賦形剤を含み得る。国際公開第2007144334号には、プロバイオティクスラクトバチルス株と、S.サリバリウスK12などの静菌効果を発揮することができる細菌株とを含む、中耳炎を処置するための組成物が記載されている。組成物は、ラクトースを含む乳児用調整乳の形態であり得る。
【0008】
米国特許出願公開第20190343899号には、高温で調製された、プレバイオティクスを含むハードキャンディ又はタフィー組成物が記載されている。国際公開第2017129639号には、オリゴ糖を含む乳児用調整乳が記載されている。
【0009】
単糖は、プレバイオティクスとして使用され、エネルギー源として摂取されることによって細菌の増殖を促進することが知られている。細菌は、これらの糖を利用する際、副産物として有機酸を産生し得る。これらの酸は、他の細菌の増殖に対して弱い非選択的阻害効果を有し得る。更に、口腔内で使用される場合、酸性副産物の産生は、環境pHを低下させ、う蝕に進行し得る歯のエナメル質の浸食を引き起こす場合がある。より酸性の環境はまた、S.ミュータンスなどの有害な歯の病原体の増殖を促進する。
【0010】
pHに有意な影響を及ぼすことなくプロバイオティクスにおける抗菌活性を促進するために、一般的な糖の代替物を特定する必要がある。プロバイオティクスのコロニー形成効力を増強して健康上の利益を与える、一般的な糖の代替物を特定する必要もある。胃腸管以外の領域においてプロバイオティクスの活性を増強することができる組成物も必要とされている。本発明の目的は、これらの必要性のうちの任意の1つ以上を満たすために、及び/又は少なくとも公衆に有用な選択肢を提供するために、何らかの助けになることである。
【0011】
本発明の他の目的は、例としてのみ与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
【0012】
本明細書に含まれている文書、作用、材料、デバイス、物品などのいかなる考察も、単に本発明の文脈を提供するためのものである。これらの事項のいずれか又は全てが、優先日前に存在していたことから、従来技術の基礎の一部を形成すること、又は本発明に関連する技術分野における共通の全般的知識であったことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0013】
第1の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)の阻害プロファイルを改善する方法であって、有効量の補充糖類を含む組成物中でS.サリバリウスを製剤化することを含み、
ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0014】
第2の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウスにおける1つ以上の遺伝子を上方制御するための方法であって、有効量の補充糖類を含む組成物中でS.サリバリウスを製剤化することを含み、
ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0015】
第3の態様では、本発明は、皮膚、歯、口腔、粘膜及び/又はENT微生物を阻害する方法であって、微生物を、ストレプトコッカス・サリバリウス及び有効量の糖類を含む組成物と接触させることを含み、
ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0016】
第4の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウスによるランチバイオティクスペプチド、バクテリオシン、又はウレアーゼのうちの1つ以上の産生を増加させるための方法であって、有効量の補充糖類を含む組成物中でS.サリバリウスを製剤化することを含み、
ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせであり、産生が、補充糖類を欠く組成物と比較して増加する、方法を提供する。
【0017】
第5の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウス、及びストレプトコッカス・サリバリウスの阻害プロファイルの改善に使用するための有効量の補充糖類を含む、組成物であって、
ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、組成物を提供する。
【0018】
第6の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、及び2~3重量%の量のラフィノースを含む、組成物を提供する。
【0019】
第7の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、及び0.25~0.75重量%の量のガラクトースを含む、組成物を提供する。
【0020】
第8の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、及び2~3重量%の量のラフィノースを含む、組成物を提供する。
【0021】
第9の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、及び0.25~0.75重量%の量のガラクトースを含む、組成物を提供する。
【0022】
第10の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、及び2~3重量%の量のラフィノースを含む、組成物を提供する。
【0023】
第11の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、及び0.25~0.75重量%の量のガラクトースを含む、組成物を提供する。
【0024】
第12の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、2~3重量%の量のラフィノース、及び0.25~0.75重量%の量のガラクトースを含む、組成物を提供する。
【0025】
第13の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、1.2~2.2重量%の量のラフィノース、及び0.7~1.7重量%の量のガラクトースを含む、組成物を提供する。
【0026】
第14の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、1.2~2.2重量%の量のラフィノース、及び0.7~1.7重量%の量のガラクトースを含む、組成物を提供する。
【0027】
第15の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、1.2~2.2重量%の量のラフィノース、及び0.7~1.7重量%の量のガラクトースを含む、組成物を提供する。
【0028】
第16の態様では、本発明は、第5~第15の態様のいずれか1つの組成物を含む、治療用製剤を提供する。
【0029】
第17の態様では、本発明は、疾患又は障害を処置又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、第5~第15の態様のいずれか1つの組成物、又は第16の態様の治療用製剤を投与することを含む、方法を提供する。
【0030】
第18の態様では、本発明は、ブリス(Blis)産生S.サリバリウスに感受性の微生物を阻害する方法であって、それを必要とする対象に、第5~第15の態様のいずれか1つの組成物、又は第16の態様の治療用製剤を投与することを含む、方法を提供する。
【0031】
第19の態様では、本発明は、医薬の製造におけるストレプトコッカス・サリバリウス及び補充糖類の使用であって、医薬が、
(a)疾患又は障害の処置若しくは予防、又は
(b)ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物の阻害、のためのものであり、
ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、使用を提供する。
【0032】
第20の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウス、及び有効量の補充糖類を含む、組成物であって、組成物が、
(a)疾患又は障害の処置若しくは予防、又は
(b)ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物の阻害、における使用のためのものであり、
ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、組成物を提供する。
【0033】
第21の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む、組成物を製造する方法であって、
(a)ストレプトコッカス・サリバリウスを補充糖類と組み合わせることと、
(b)混合して均質なブレンドを製造することとを含み、
ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0034】
第22の態様では、本発明は、疾患又は障害の処置若しくは予防のための、又はブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物の阻害のための、第21の態様の方法により製造された組成物の使用に関する。
【0035】
以下の実施形態及び選好は、単独で、又は任意の2つ以上の任意の組み合わせで、上記の態様のいずれかに関連し得る。
【0036】
各種実施形態では、上方制御された遺伝子は、ランチバイオティクスペプチド又はバクテリオシンをコードする。
【0037】
各種実施形態では、上方制御された遺伝子は、クラスIランチバイオティクスペプチド又はクラスIIバクテリオシンをコードする。
【0038】
各種実施形態では、ランチバイオティクスペプチドは、salA、salB、sal9、又はそれらの組み合わせである。
【0039】
各種実施形態では、ランチバイオティクスペプチドは、salA、salB、又はそれらの組み合わせである。
【0040】
各種実施形態では、バクテリオシンは、salQである。
【0041】
各種実施形態では、上方制御された遺伝子は、ウレアーゼタンパク質のサブユニットをコードする。
【0042】
各種実施形態では、ウレアーゼは、ureCである。
【0043】
各種実施形態では、上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、配列番号15~22のいずれか1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなり、又は上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなる。
【0044】
各種実施形態では、上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、配列番号15~22のいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性、好ましくは配列番号15~22のいずれか1つに対して少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む又はそれからなる。
【0045】
各種実施形態では、上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性、好ましくは配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む又はそれからなる。
【0046】
各種実施形態では、
a.上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号15若しくは19に対して少なくとも70%の同一性を有する、又は配列番号23若しくは27に対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなるsalA遺伝子又はその変異体であり;
b.上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号16に対して少なくとも70%の同一性を有する、又は配列番号24に対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなるsalB遺伝子又はその変異体であり;
c.上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号17若しくは21に対して少なくとも70%の同一性を有する、又は配列番号25若しくは29に対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなるsalQ遺伝子又はその変異体であり;
d.上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号20に対して少なくとも70%の同一性を有する、又は配列番号28に対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなるsal9遺伝子又はその変異体であり;及び/又は
e.上方制御された遺伝子の少なくとも1つが、配列番号18若しくは22に対して少なくとも70%の同一性を有する、又は配列番号26若しくは30に対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなるureC遺伝子又はその変異体である。
【0047】
各種実施形態では、ランチバイオティクスペプチド又はバクテリオシンは、クラスI又はクラスIIランチバイオティクスペプチド又はバクテリオシンである。
【0048】
各種実施形態では、ランチバイオティクスペプチドは、salA、salB、sal9、又はそれらの組み合わせである。
【0049】
各種実施形態では、ランチバイオティクスペプチドは、salA、salB、又はそれらの組み合わせである。
【0050】
各種実施形態では、バクテリオシンは、salQである。
【0051】
各種実施形態では、本方法は、配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチドの産生を増加させる。
【0052】
各種実施形態では、ポリペプチドは、配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性、好ましくは配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は99%の同一性を有する。
【0053】
各種実施形態では、本方法は、皮膚、歯、口腔、粘膜、及び/又はENTR微生物に対するS.サリバリウスの阻害プロファイルを向上させる。
【0054】
各種実施形態では、皮膚、口腔、歯、粘膜、及び/又はENTR微生物は、スタフィロコッカス・アウレウス(黄色ブドウ球菌)(Staphylococcus aureus)種、スタフィロコッカス・インターメディウス(Staphylococcus intermedius)種、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(腐性ブドウ球菌)(Staphylococcus saprophyticus)種、モラクセラ・カタラーリス(カタル球菌)(Moraxella catarrhalis)種、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)種、ストレプトコッカス・ピオゲネス(化膿連鎖球菌)(Streptococcus pyogenes)種、シュードモナス・エルギノーザ(緑膿菌)(Pseudomonas aeruginosa)種、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)種、ストレプトコッカス・ニューモニエ(肺炎連鎖球菌)(Streptococcus pneumoniae)種、キューティバクテリウム・アクネス(アクネ菌)、カンジダ・アルビカンス(カンジダ菌)(Candida albicans)種、ストレプトコッカス・ソブリナス(ソブリヌス菌)(Streptococcus sobrinus)種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)種、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)種、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)種、タネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)種、トレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)種、P.インターメディア(P.intermedia)種、プレボテラ(Prevotella)種、アクチノマイセス・ビスコサス(Actinomyces viscosus)種、ストレプトコッカス・エキシミリス(Streptococcus equismillis)種、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ(Streptococcus dygalactiae)種、ストレプトコッカス・サングイニス(Streptococcus sanguis)種、スタフィロコッカス・コーニー(Staphylococcus cohnii)種、B.intermedius種、アトポビウム・パルブルム(Atopobium parvulum)種、エウバクテリウム・サブレウム(Eubacterium saburreum)種、エウバクテリウム・スルシ(Eubacterium sulci)種、パルビモナス・ミクラ(Parvimonas micra)種、ソロバクテリウム・ムーレイ(Solobacterium moorei)種、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)種、C.ミヌティスシムス(C.minutissimus)種、プロピオニバクテリウム・プロピオニカス。種、ストレプトコッカス・アガラクティエ種、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ種、ストレプトコッカス・シムランス(Staphylococcus simulans)種、スタフィロコッカス.キシローサス(Staphylococcus xylosus)種、足部白癬感染を引き起こす真菌、S.サリバリウスK12又はM18以外の種、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)種、スタフィロコッカス・エピデルミディス(表皮ブドウ球菌)(Staphylococcus epidermidis)種、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)種、クレブシエラ属ニューモニエ種、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanii)種、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0055】
各種実施形態では、微生物は、S.アウレウスA222、S.アウレウス20、S.アウレウス14、S.アウレウス19、S.アウレウスA504、S.サプロフィチカスATCC15305、M.カタラーリスTW1、M.カタラーリスTW2、H.インフルエンザTW5、S.ピオゲネスM76、S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネスFF22、S.ピオゲネス71~679、S.ピオゲネスW-1、S.ピオゲネスM17、S.ピオゲネスM57、S.ピオゲネスEMM92、S.ピオゲネスM66、S.ピオゲネスM74、P.エルギノーザI2、S.ミュータンスOMZ175、S.ニューモニエD39、L.ラクティスT-21、S.エピデルミディス11、S.コンステラータスT-29、S.サリバリウス6、S.サリバリウス193、S.サリバリウス20P3、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0056】
各種実施形態では、組成物は、少なくとも約0.1重量%のS.サリバリウスを含む。
【0057】
各種実施形態では、組成物は、約0.1~約20重量%のS.サリバリウスを含む。
【0058】
各種実施形態では、組成物は、少なくとも約1×103cfu/gのS.サリバリウスを含む。
【0059】
各種実施形態では、組成物は、約1×103~約1×1013cfu/gのS.サリバリウスを含む。
【0060】
各種実施形態では、組成物は、約20重量%未満の補充糖類を含む。
【0061】
各種実施形態では、組成物は、約0.1~約20重量%の補充糖類を含む。
【0062】
各種実施形態では、組成物は、口腔、歯、鼻腔、粘膜、局所、又は肺投与のために製剤化される。
【0063】
各種実施形態では、組成物は、徐放性組成物中で製剤化される。
【0064】
各種実施形態では、組成物は、粉末、舐剤、鼻腔スプレー、鼻腔ゲル、点鼻薬、経口ドロップ、経口ゲル、経口スプレー、吸入可能な局所用組成物、チュアブル、メルト、フィルム、グミ、練り歯磨き、歯磨きゲル、ワニス、ムース、マウスウォッシュ、食品(例えばヨーグルト)、クリーム、ゲルスプレー、デオドラント、美容液、ローション、バーム、保湿剤、ペッサリー、又は坐剤に製剤化される。
【0065】
各種実施形態では、微生物は、S.アウレウス種、S.サプロフィチカス種、S.ミュータンス種、S.ピオゲネス種、S.ニューモニエ種から選択されるストレプトコッカス又はスタフィロコッカス細菌であり、S.サリバリウス株は、K12である。
【0066】
各種実施形態では、ストレプトコッカス又はスタフィロコッカス細菌は、S.アウレウスA222、S.サプロフィチカスATCC15305、S.ミュータンスOMZ175、S.コンステラータスT-29、S.ピオゲネス71~698、及びS.ニューモニエD39から選択され、S.サリバリウス株は、K12である。
【0067】
各種実施形態では、補充糖類は、ラフィノースであり、組成物中に0.5~15重量%、又は1~12重量%、又は1.5~10重量%、又は2~7重量%、又は2.5~5重量%の量で存在する。
【0068】
各種実施形態では、補充糖類は、ガラクトースであり、組成物中に0.5~15重量%、又は1~12重量%、又は1.5~10重量%、又は2~7重量%、又は2.5~5重量%の量で存在する。
【0069】
各種実施形態では、細菌は、S.ピオゲネス種及びS.ニューモニエ種から選択され、S.サリバリウス株は、M18である。
【0070】
各種実施形態では、細菌は、S.ピオゲネス71~698及びS.ニューモニエD39から選択され、S.サリバリウス株は、M18である。
【0071】
各種実施形態では、細菌は、S.コンステラータス、S.ミュータンス、及びS.サプロフィチカスから選択され、S.サリバリウス株は、M18である。
【0072】
各種実施形態では、細菌は、S.コンステラータスT29、SミュータンスOMZ175、及びS.サプロフィチカスATCC15305から選択され、S.サリバリウス株は、M18である。
【0073】
各種実施形態では、補充糖類は、ラフィノースであり、組成物中に0.25~10重量%、又は0.5~8重量%、又は0.75~7重量%、又は1~6重量%、又は1.25~5重量%の量で存在する。
【0074】
各種実施形態では、補充糖類は、ガラクトースであり、組成物中に0.25~10重量%、又は0.5~8重量%、又は0.75~7重量%、又は1~6重量%、又は1.25~5重量%の量で存在する。
【0075】
各種実施形態では、組成物は、0.1~1重量%、又は0.2~0.8重量%、又は0.25~0.75重量%、又は0.5重量%の量のガラクトース、及び0.5~5重量%、又は1~4重量%、又は2~3重量%、又は2.5重量%の量のラフィノースのうちの1つ以上を含む。
【0076】
各種実施形態では、組成物は、約1.7重量%の量のガラクトース及び約1.25重量%の量のラフィノースのうちの1つ以上を含む。
【0077】
各種実施形態では、組成物は、約0.5重量%の量のガラクトース及び約2.5重量%の量のラフィノースのうちの1つ以上を含む。
【0078】
各種実施形態では、組成物は、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、又は3.0重量%の量のラフィノースを含む。
【0079】
各種実施形態では、組成物は、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%の量のガラクトースを含む。
【0080】
各種実施形態では、組成物は、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、又は2.2重量%の量のラフィノースを含む。
【0081】
各種実施形態では、組成物は、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.25重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、又は1.7重量%の量のガラクトースを含む。
【0082】
各種実施形態では、組成物は、担体;結合剤又は滑沢剤を含む錠剤化助剤;及び香味剤のうちの1つ以上を更に含む。
【0083】
各種実施形態では、治療用製剤は、口腔、歯、鼻腔、粘膜、局所、又は肺投与のために製剤化されている。
【0084】
各種実施形態では、治療用製剤は、徐放性組成物である。
【0085】
各種実施形態では、治療用製剤は、粉末、舐剤、鼻腔スプレー、鼻腔ゲル、点鼻薬、経口ドロップ、経口ゲル、経口スプレー、吸入可能な局所用組成物、チュアブル、メルト、フィルム、グミ、練り歯磨き、歯磨きゲル、ワニス、ムース、マウスウォッシュ、食品(例えば、ヨーグルト)、クリーム、ゲル、スプレー、デオドラント、美容液、ローション、バーム、保湿剤、ペッサリー、又は坐剤である。
【0086】
各種実施形態では、治療用製剤は、粉末である。
【0087】
各種実施形態では、治療用製剤は、舐剤である。
【0088】
各種実施形態では、疾患又は障害は、口腔、歯、粘膜、皮膚、又はENTR病原体によって引き起こされる。
【0089】
各種実施形態では、疾患又は障害は、病原性ストレプトコッカス又はスタフィロコッカス細菌によって引き起こされる。
【0090】
各種実施形態では、病原性ストレプトコッカス又はスタフィロコッカス細菌は、S.アウレウス種、S.サプロフィチカス種、S.ミュータンス種、S.ピオゲネス種、S.ニューモニエ種から選択される。
【0091】
各種実施形態では、疾患又は障害は、中耳炎、咽喉炎、う蝕、急性咽頭炎、扁桃炎、肺炎、慢性閉塞性肺病(COPD)、歯根膜炎、歯肉炎、口臭、う蝕、敗血症、髄膜炎、カンジダ症(口腔カンジダ症)、膣炎、体臭、ざ瘡、放線菌症、乾癬、赤痢、蜂巣炎、膿痂疹、アトピー皮膚炎、菌血症、水虫、軟組織感染、紅班、院内感染、紅班、SARS-CoV、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、及びRSV、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0092】
各種実施形態では、ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物は、S.サリバリウス種、S.エピデルミディス種、S.コンステラータス種、及びL.ラクティス種から選択される。
【0093】
各種実施形態では、ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物は、S.ピオゲネス種、F.ヌクレアタム種、及びP.ジンジバリス種から選択される。
【0094】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、ヒトは、小児である。
【0095】
いくつかの実施形態では、組成物は、化粧品である。
【0096】
いくつかの実施形態では、組成物は、栄養補助食品である。
【0097】
各種実施形態では、組成物は、天然健康製品である。
【0098】
いくつかの実施形態では、組成物は、補完薬である。
【0099】
各種実施形態では、組成物は、舐剤であり、組成物を製造するための方法は、均質なブレンドをプレスして、舐剤を製造する工程を更に含む。
【0100】
各種実施形態では、組成物中のS.サリバリウスの阻害プロファイルは、補充糖類を欠く組成物と比較して改善される。
【0101】
各種実施形態では、組成物は、
(a)疾患又は障害の処置若しくは予防、又は
(b)ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物の阻害、における使用のためのものである。
【0102】
本発明はまた、本出願の明細書で言及又は指示された部分、要素及び特徴で、個別に又は包括的に、当該部分、要素又は特徴の2つ以上の任意の又は全ての組み合わせで構成されると広く言われてもよく、本発明が関連する技術分野で既知の等価物を有する特定の整数が本明細書で言及されている場合、そのような既知の等価物は、個々に記載されている場合と同様に本明細書に組み込まれるとみなされる。
【0103】
本明細書に開示される数の範囲(例えば、1~10)への言及はまた、その範囲内の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9、及び10)並びにまたその範囲内の有理数の任意の範囲(例えば、2~8、1.5~5.5、及び3.1~4.7)への言及も組み込み、したがって、本明細書に明示的に開示される全ての範囲の全ての部分範囲が、本明細書によって明示的に開示されることが意図される。これらは、具体的に意図されるものの例に過ぎず、列挙された最低値と最高値との間の数値の全ての可能な組み合わせが、同様に本出願において明示的に述べられているとみなされるべきである。
【0104】
本明細書において、特許明細書、他の外部文書、又は他の情報源が参照されている場合、これは概して、本発明の特徴を考察するための文脈を提供する目的のためである。特に明記しない限り、そのような外部文書への言及は、そのような文書又はそのような情報源が、いずれの管轄においても、先行技術であること、又は当該技術分野における共通の全般的知識の一部を形成することを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0105】
本発明が関係する当業者には、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の構成の多くの変更、並びに広く様々な実施形態及び用途が示唆されるであろう。本明細書における開示及び説明は、純粋に例示的なものであり、いかなる意味においても限定することを意図するものではない。
【0106】
本発明は上記のように広く定義されるが、当業者は、本発明がそれに限定されず、本発明が、以下の説明が例を与える実施形態も含むことを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0107】
本発明は、添付の図面を参照して説明される。
【0108】
【
図1】様々な濃度のガラクトースの存在下で培養された産生生物としてK12を用いて行われた繰延アンタゴニズムアッセイ後のENTR病原体ZOIサイズ(mm)のサイズの変化を示す。対照条件は(正規化された)0mmに設定され、0からの逸脱はZOIサイズ(mm)の変化を表す。
【0109】
【
図2】様々な濃度のラフィノースの存在下で培養された産生生物としてK12を用いて行われた繰延アンタゴニズムアッセイ後のENTR病原体ZOIサイズ(mm)のサイズの変化を示す。対照条件は0mmに設定され、0からの逸脱はZOIサイズ(mm)の変化を表す。
【0110】
【
図3】様々な濃度のガラクトースの存在下で培養された産生生物としてM18を用いて行われた繰延アンタゴニズムアッセイ後のENTR病原体ZOIサイズ(mm)のサイズの変化を示す。対照条件は0mmに設定され、0からの逸脱はZOIサイズ(mm)の変化を表す。
【0111】
【
図4】様々な濃度のラフィノースの存在下で培養された産生生物としてM18を用いて行われた繰延アンタゴニズムアッセイ後のENTR病原体ZOIサイズ(mm)のサイズの変化を示す。対照条件は0mmに設定され、0からの逸脱はZOIサイズ(mm)の変化を表す。
【0112】
【
図5】皮膚病原体S.アウレウスA222に対してラフィノース対糖類(等モル)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対(a)トリミックス(ラフィノース中に存在する等モル濃度の3つの糖類ガラクトース、グルコース、及びフルクトースの混合物);(b)個々の糖類;(c)皮膚病原体S.アウレウスA222に対してラフィノース対糖類(等モル)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較。ラフィノース対個々の糖類。
【0113】
【
図6】歯の病原体S.ミュータンスOMZ175に対してラフィノース対糖類(等モル)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対(a)トリミックス(等モル濃度の3つの糖類の混合物);(b)個々の糖類;(c)歯の病原体S.ミュータンスOMZ175に対してラフィノース対糖類(等モル)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較。ラフィノース対個々の糖類。
【0114】
【
図7】下気道病原体S.ニューモニエD39.に対してラフィノース対糖類(等モル)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対(a)トリミックス(等モル濃度の3つの糖類の混合物);(b)個々の糖類;(c)下気道病原体S.ニューモニエD39に対してラフィノース対糖類(等モル)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較。ラフィノース対個々の糖類。
【0115】
【
図8】皮膚病原体S.アウレウスA222に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対(a)トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物);(b)個々の糖類;(c)皮膚病原体S.アウレウスA222に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較。ラフィノース対個々の糖類。
【0116】
【
図9】歯の病原体S.ミュータンスOMZ175に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対(a)トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物);(b)個々の糖類;(c)歯の病原体S.ミュータンスOMZ175に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較。ラフィノース対個々の糖類。
【0117】
【
図10】ENTR病原体S.ピオゲネス71-968に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対(a)トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物);(b)個々の糖類;(c)ENTR病原体S.ピオゲネス71-968に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較。ラフィノース対個々の糖類。
【0118】
【
図11】ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物S.コンステラータスT29に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対(a)トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物);(b)個々の糖類;(c)ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物S.コンステラータスT29に対してラフィノース対糖類(等重量百分率)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較。ラフィノース対個々の糖類。
【0119】
【
図12】下気道病原体S.ニューモニエD39に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対(a)トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物);(b)個々の糖類;(c)下気道病原体S.ニューモニエD39に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較。ラフィノース対個々の糖類。
【0120】
【
図13】ENTR病原体S.ピオゲネス71-698、歯の病原体S.ミュータンスOMZ175、S.ニューモニエD39、皮膚病原体S.サプロフィチカスATCC15305及びS.アウレウスA222、及びブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物S.コンステラータスT29に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物)及び個々の糖類。ラフィノース対(a)トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物);(b)個々の糖類;(c)ブリス産生S.サリバリウスに感受性の病原体及び微生物の範囲に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較。ラフィノース対個々の糖類。
【0121】
【
図14】ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物;S.サリバリウス#6、S.サリバリウス193、S.サリバリウス20P3に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物);(b)個々の糖類。
【0122】
【
図15】ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物;S.サリバリウス#6、S.サリバリウス193、S.サリバリウス20P3に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物)及び個々の糖類。
【0123】
【
図16】いくつかの口腔及びENTR病原体S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネスFF22、S.ピオゲネス71~679、S.ピオゲネスW-1、S.ピオゲネスM17、S.ピオゲネスM57、S.ピオゲネスEMM92、S.ピオゲネスM66、及びS.ピオゲネスM74に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物)及び個々の糖類。
【0124】
【
図17】いくつかの口腔及びENTR病原体S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネスFF22、S.ピオゲネス71~679、S.ピオゲネスW-1、S.ピオゲネスM17、S.ピオゲネスM57、S.ピオゲネスEMM92、S.ピオゲネスM66、及びS.ピオゲネスM74に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物)及び個々の糖類。
【0125】
【
図18】いくつかの下気道病原体S.ディスガラクティアエBris 2、S.ディスガラクティアエT277、S.ニューモニエD39、S.ニューモニエRX1、S.ニューモニエPK8に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物)及び個々の糖類。
【0126】
【
図19】いくつかのENTR/下気道病原体S.ディスガラクティアエBris 2、S.ディスガラクティアエT277、S.ニューモニエD39、S.ニューモニエRX1、S.ニューモニエPK8に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物)及び個々の糖類。
【0127】
【
図20】いくつかの歯の病原体S.ミュータンスOMZ175、S.ミュータンスATCC10449、S.ミュータンスD10、S.ミュータンスUA159、S.ミュータンスFW75、A.ビスコサスT14、S.サングイニスK11、S.ソブリヌスOMZ176に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物)及び個々の糖類。
【0128】
【
図21】いくつかの歯の病原体S.ミュータンスOMZ175、S.ミュータンスATCC10449、S.ミュータンスD10、S.ミュータンスUA159、S.ミュータンスFW75、A.ビスコサスT14、S.サングイニスK11、S.ソブリヌスOMZ176に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物)及び個々の糖類。
【0129】
【
図22】いくつかの皮膚病原体S.コーニー、S.シムランス、S.アウレウスA222、S.アウレウス20、S.アウレウス19、S.アウレウス14.に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、K12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物)及び個々の糖類。
【0130】
【
図23】いくつかの皮膚病原体S.コーニー、S.シムランス、S.アウレウスA222、S.アウレウス20、S.アウレウス19、S.アウレウス14に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、M18阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物)及び個々の糖類。
【0131】
【
図24】ENTR病原体S.ピオゲネス71、S.ニューモニエD39698、歯の病原体S.ミュータンスOMZ175、皮膚病原体S.サプロフィチカスATCC15305及びS.アウレウスA222、及びブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物S.コンステラータスT29に対してラフィノース対糖類(等重量百分率)を使用した、乳製品を含まないK12阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物)及び個々の糖類。
【0132】
【
図25】ENTR病原体S.ピオゲネス71~698、S.ニューモニエD39、歯の病原体S.OMZ175、皮膚病原体S.サプロフィチカスATCC15305及びS.アウレウスA222、及びブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物S.コンステラータスT29に対してラフィノース対糖類(等重量百分率)を使用した、乳製品を含まないM18阻害効果に対する刺激の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物)及び個々の糖類。
【0133】
【
図26】M17ブロス中のK12の増殖の刺激の比較を示す。ラフィノース、ガラクトース、トリミックス(3種の糖類の等重量%濃度の混合物)及び個々の糖類。
【0134】
【
図27】口腔及びENTR病原体S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネスFF22、S.ピオゲネス71~679、S.ピオゲネスW-1、S.ピオゲネスM17、S.ピオゲネスM57、S.ピオゲネスEMM92、S.ピオゲネスM66、及びS.ピオゲネスM74に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、M17ブロス中のK12の増殖の刺激、及び阻害効果の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(等重量%濃度の3種の糖類の混合物)及び個々の糖類。
【0135】
【
図28】ENTR病原体S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネスM74、S.ピオゲネスM66、S.ニューモニエD39、歯の病原体S.ミュータンスOMZ175、皮膚病原体S.サプロフィチカスATCC15305及びS.アウレウスA222、及びブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物S.コンステラータスT-29に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、M17ブロス中のK12の増殖の刺激、及び阻害効果の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(3種の糖類の等重量%濃度の混合物)及び個々の糖類グルコース、フルクトース及びガラクトース。
【0136】
【
図28A】M17ブロス中のM18の増殖の刺激の比較を示す。ラフィノース、ガラクトース、トリミックス(3種の糖類の等重量%濃度の混合物)及び個々の糖類。
【0137】
【
図28B】ENTR病原体S.ピオゲネス71-698、S.ニューモニエD39、歯の病原体S.ミュータンスOMZ175、皮膚病原体S.サプロフィチカスATCC15305、及びブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物S.コンステラータスT-29に対してラフィノース対糖類(等重量%)を使用した、M17ブロス中のM18の増殖の刺激、及び阻害効果の比較を示す。ラフィノース対トリミックス(3種の糖類の等重量%濃度の混合物)及び個々の糖類グルコース、フルクトース及びガラクトース。
【0138】
【
図29】ラフィノースを補充したCABCa寒天中で増殖させた場合のK12及びM18ムコイド形態の拡大写真を、CABCa対照と比較して示す。
【0139】
【
図30】ラフィノースを補充したCABCa寒天中で増殖させた場合の、K12及びM18(乳製品又は乳製品を含まない)の、ムコイド形態への変化の写真を、CABCa対照と比較して示す。
【0140】
【
図31】細菌増殖を示すK12及びM18産生株ストリーク及びガラススライドの写真を示す。点線の黒い楕円は、トリミックス(等重量%濃度の3つの糖類の混合物)を補充したCABCa及びCABCa対照と比較して、ラフィノースを補充したCABCa寒天中で、より多量の粘液が産生されることを視覚的に示す。
【0141】
【
図32】ENTR病原体S.ピオゲネス71~698、S.ニューモニエD39、歯の病原体S.ソブリヌスOMZ176、S.ミュータンスOMZ175、皮膚病原体S.サプロフィチカスATCC15305及びS.アウレウスA222、及びブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物S.コンステラータスT29に対しての異なるS.サリバリウス株の抗菌活性に対する2.5%w/wラフィノースの効果を示す。
【0142】
【
図33】ENTR病原体S.ピオゲネス71~698、S.ニューモニエD39、歯の病原体S.ソブリヌスOMZ176、S.ミュータンスOMZ175、皮膚病原体S.サプロフィチカスATCC15305及びS.アウレウスA222、及びブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物S.コンステラータスT29に対しての異なるS.サリバリウス株の抗菌活性に対する0.5%w/wガラクトースの効果を示す。
【0143】
【
図34】異なるグラム陰性株F.ヌクレアタムATCC25586、F.ヌクレアタムFH2、F.ヌクレアタムFH3、P.ジンジバリスATCC33277、P.ジンジバリスW50、P.インターメディアATCC23611、口臭に関与する病原体に対してのS.サリバリウスK12の抗菌活性に対するラフィノース、ガラクトース、及びそれらの組み合わせの効果を示す。
【0144】
【
図35】異なるグラム陰性株F.ヌクレアタムATCC25586、F.ヌクレアタムFH2、F.ヌクレアタムFH3、P.ジンジバリスATCC33277、P.ジンジバリスW50、P.インターメディアATCC23611、口臭に関与する病原体に対してのS.サリバリウスM18の抗菌活性に対するラフィノース、ガラクトース、及びそれらの組み合わせの効果を示す。
【0145】
【
図36】ENTR病原体S.ピオゲネス71~698、S.ニューモニエD39、歯の病原体S.ソブリヌスOMZ175、S.ミュータンスOMZ176、皮膚病原体S.サプロフィチカスATCC15305及びS.アウレウスA222、及びブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物S.コンステラータスT29に対してのS.サリバリウスK12凍結乾燥原料の抗菌活性に対するラフィノース、ガラクトース及びそれらの組み合わせの効果を示す。
【0146】
【
図37】ENTR病原体S.ピオゲネス71~698、S.ニューモニエD39、M.カタラーリスTW1、歯の病原体S.ソブリヌスOMZ176、S.ミュータンスOMZ175、皮膚病原体S.サプロフィチカスATCC15305及びS.アウレウスA222、及びブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物S.コンステラータスT29に対してのS.サリバリウスM18凍結乾燥原料の抗菌活性に対するラフィノース、ガラクトース、及びそれらの組み合わせの効果を示す。
【0147】
【
図38】ENTR病原体S.ピオゲネス71~698、S.ニューモニエD39、S.アガラクティエATCC12386、M.カタラーリスTW1、歯の病原体S.ソブリヌスOMZ176、S.ミュータンスOMZ175、皮膚病原体S.サプロフィチカスATCC15305及びS.アウレウスA222、及びブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物S.コンステラータスT29及びL.ラクティスATCC19435に対してのS.サリバリウスK12及びS.サリバリウスM18凍結乾燥原料の抗菌活性に対するラフィノース、ガラクトース、及びそれらの組み合わせの効果を示す。
【
図39】市販の粉末製剤(スプリットプレート法)における病原体S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネス71~679、S.ピオゲネスH13、S.ピオゲネスK26、S.ピオゲネスH29、S.ピオゲネスWS02、S.ミュータンスOMZ175、S.ミュータンスFW75、S.ソブリヌスATCC27351、S.サングイニスK11、S.アガラクティエATCC12386、A.ビスコサスT14、A.ビスコサスATCC15987、S.コンステラータスT29、S.ピオゲネスK7、S.ニューモニエD39、S.ニューモニエPK8、S.ソブリヌスOMZ176、S.ディスガラクティアエT-148、S.ディスガラクティアエBris 2、S.ディスガラクティアエT277、C.アウリスATCC51966、S.アウレウス19に対してのS.サリバリウスK12の阻害活性に対する補充糖類の効果を示す。
【0148】
【
図40】5つの組成物:0.5%w/wガラクトースと組み合わせたS.サリバリウスK12含有市販粉末剤形(Daily Defense Junior);2.5%w/wラフィノースと組み合わせたDaily Defense Junior;0.5%w/wガラクトース及び2.5%w/wラフィノースと組み合わせたDaily Defence Junior;S.サリバリウスK12と組み合わせた市販の乳児用調整乳;S.サリバリウスK12と組み合わせた全粉乳の抗菌活性の比較を示す。
【0149】
【
図41】以下の糖類を固体培地(CABCa寒天)に添加した、S.サリバリウスK12中のsalAの相対的発現を示す。0.5%w/wガラクトース;2.5%w/wラフィノース;2.5%w/wラフィノースと組み合わせた0.5%w/wガラクトース;0.5%w/wスクロース;2.5%w/wスクロース。データ点は、平均(n=3±SD)である。データ点は、平均(n=3±SD)である。
【0150】
【
図42】以下の異なる組み合わせの糖を固体培地(CABCa寒天)に添加した場合の、S.サリバリウスK12中のsalBの相対的発現を示す。0.5%w/wガラクトース;2.5%w/wラフィノース;2.5%w/wラフィノースと組み合わせた0.5%w/wガラクトース;0.5%w/wスクロース;2.5%w/wスクロース。データ点は、平均(n=3±SD)である。
【0151】
【
図43】以下の異なる組み合わせの補充糖類を固体培地(CABCa寒天)に添加した場合の、S.サリバリウスK12中のsalQの相対的発現を示す。0.5%w/wガラクトース;2.5%w/wラフィノース;2.5%w/wラフィノースと組み合わせた0.5%w/wガラクトース;0.5%w/wスクロース;2.5%w/wスクロース。データ点は、平均(n=3±SD)である。
【0152】
【
図44】以下の異なる組み合わせの補充糖類を固体培地(CABCa寒天)に添加した場合の、S.サリバリウスK12中のウレアーゼ(ureC)の相対的発現を示す。0.5%w/wガラクトース;2.5%w/wラフィノース;2.5%w/wラフィノースと組み合わせた0.5%w/wガラクトース;0.5%w/wスクロース;2.5%w/wスクロース。データ点は、平均(n=3±SD)である。
【0153】
【
図45】第1の舐剤を口中に溶解した1時間後、8時間後、及び24時間後、並びに舐剤を口中に7日間毎日溶解した48時間後に、補充糖類を含まない(G1)、ガラクトースを含む(G2)、ラフィノースを含む(G3)、並びにラフィノース及びガラクトースを含む(G4)、S.サリバリウスK12を含む舐剤を使用する参加者の群から得られた唾液試料中の(総S.サリバリウスのうちの)S.サリバリウスK12の平均%を示す。
【発明を実施するための形態】
【0154】
口腔細菌の増殖及び/又は活性を刺激するための糖類、特に単糖類、二糖類、及び三糖類などの消化性糖類の役割は、完全には調査されていない。本発明者らは、口腔プロバイオティクス性能に対するこのような糖類の役割をより良く理解しようとした。
【0155】
グルコースなどの特定の単糖の代謝は、いくつかの細菌において、バクテリオシン遺伝子を含む特定の遺伝子の活性化/転写を抑制するように作用することができる。この効果は、一般的に異化産物抑制として知られている(Gorke & Stulke,Nature Reviews Microbiology,2008,6,613-624を参照)。他の糖が同様の抑制効果を有するかどうかを評価する一方で、本発明者らは、驚くべきことに、増殖培地への特定の他の糖類(ラクトースなど)の補充が反対の効果を有し、ストレプトコッカス・サリバリウスを含むがこれに限定されない細菌種のいくつかの株の阻害範囲を増すことを見出した。
【0156】
定義
以下の定義は、本発明をより良く定義するために、及び本発明の実施における当業者のための指針として提示される。特に指定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関係する関連技術分野の当業者に理解されるものと同じ意味を有していると理解されたい。
【0157】
例えば、本明細書で式において使用される全般的な化学的用語及び生物学的用語は、それらの通常の意味を有する。
【0158】
微生物学、分子生物学、及び生化学における一般用語の定義の例は、Methods for General and Molecular Microbiology,3rd Edition,C.A.Reddy,et al.(eds.),ASM Press,(2008);Encyclopaedia of Microbiology,2nd ed.,Joshua Lederburg,(ed.).Academic Press,(2000);Microbiology By Cliffs Notes,I.Edward Alcamo,Wiley,(1996);Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,Singleton et al.(2d ed.)(1994);Biology of Microorganisms 11th ed.Brock et al.,Pearson Prentice Hall,(2006);Biodiversity of Fungi:Inventory and Monitoring Methods,Mueller et al.Academic Press,(2004);Genes IX,Benjamin Lewin,Jones & Bartlett Publishing,(2007);The Encyclopaedia of Molecular Biology,Kendrew et al.(eds.),Blackwell Science Ltd.,(1994);及びMolecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,Robert A.Meyers(ed.),VCH Publishers,Inc.,(1995)に見出すことができる。これらの情報源はまた、本発明を実施するために使用され得る標準的な微生物学的、分子生物学、及び生化学のプロトコル及び手順を提供する。
【0159】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」という用語は、「少なくとも部分的に~からなる」を意味する。「含む(comprising)」という用語を含む本明細書及び特許請求の範囲における各記述を解釈するとき、それ以外の特徴又はその用語の前にある特徴も存在し得る。「含む(comprise)」、「含まれた(comprised)」及び「含む(comprises)」などの関連用語は、同様に解釈されるべきである。
【0160】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、「及び」若しくは「又は」、又はその両方を意味する。
【0161】
本明細書で使用される場合、名詞に続く「(s)」は、名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
【0162】
本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒト、並びにイヌ、ブタ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、魚、並びに他の家畜及び農場動物などの非ヒト動物を含む、動物を指す。
【0163】
本明細書で使用される「処置」という用語は、対象が予防的又は治療的処置を受けていることを指す。予防的処置には、感染の可能性若しくは重症度を予防若しくは低減するため、又は微生物集団を阻害若しくは制御するための処置が含まれる。処置は、対象における微生物集団を阻害又は減少させるためであり得る。処置はまた、感染又はその関連症状の重症度を減少させるために、又は感染若しくはその関連症状を低減若しくは排除するために、感染した対象に提供することができる。処置される対象は、任意の年齢、例えば、乳児、小児、青年期、成人期、又は高齢者であり得る。「患者」、「個体」、又は「宿主」が言及される場合、それは「対象」という用語と同義である。
【0164】
本明細書で使用される場合、「補充糖類」は、細菌種、例えば、S.サリバリウスの阻害プロファイル及び/又はムコイド特性を改善する糖類である。
【0165】
本明細書で使用される場合、「ストレプトコッカス・サリバリウスの阻害プロファイルを改善する」とは、有効量の補充糖類の非存在下でのS.サリバリウスと比較して、阻害の効力を増強すること、及び/又はその阻害活性の範囲を増加させることを意味する。改善は、補充糖類が、他の糖類を含む組成物に添加されても、糖類を含まない組成物に添加されても、観察される。
【0166】
本明細書で使用される場合、「遺伝子(単数又は複数)を上方制御する」という用語は、遺伝子によってコードされた、転写されたRNAの発現レベルを増加させて、ペプチド、バクテリオシン、又はタンパク質を増加させることを意味する。「遺伝子を上方制御する方法」という関連する用語は、遺伝子によってコードされた、転写されたRNAの発現レベルを増加させて、ペプチド、バクテリオシン、又はタンパク質の増加をもたらす方法を意味する。実施形態では、本方法は、上記ペプチド、バクテリオシン、若しくはタンパク質の発現の増加、及び/又は上記ペプチド、バクテリオシン、若しくはタンパク質の産生の増加をもたらす遺伝子によってコードされた、転写されたRNAの発現レベルの増加をもたらす。
【0167】
本明細書で使用される場合、「ムコイド特性の改善」は、S.サリバリウスの細菌コロニーが、よりムコイド(粘着性粘液様)であり、プロバイオティクスをより基質に付着させることができ、ひいてはコロニー形成の増強を可能にすることを意味する。
【0168】
「ENTR」微生物は、耳、鼻、喉、又は気道の微生物であり、耳(耳に)、鼻(鼻に)、喉、上気道、及び下気道に感染する病原体、並びに耳(耳に)、鼻(鼻に)、喉、上気道、及び下気道にコロニー形成する非病原性微生物を含む。本明細書で使用される「下気道」又は「LRT」という用語は、気管、気管支、及び肺を意味する。この用語は、鼻、鼻腔、及び鼻咽頭を意味する「上気道」又は「URT」と対比される。
【0169】
「サリバリシン」は、S.サリバリウス株によって産生されたバクテリオシン様阻害物質(BLIS)である。したがって、ブリス産生S.サリバリウスは、サリバリシンを産生するS.サリバリウスである。
【0170】
本明細書で使用される「微生物(microbe)」又は「微生物(microorganism)」という用語は、細菌、真菌、ウイルス、又はそれらの組み合わせを指す。同様に、本明細書で使用される「微生物」集団、感染、疾患又は状態という用語は、細菌、ウイルス及び真菌集団、感染、疾患又は状態を含む。微生物は、病原性であっても非病原性(例えば、片利共生的)であってもよい。
【0171】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、微生物集団を阻害、低減、若しくは制御するのに、又は患者の中及び/若しくは上での微生物感染に対しての保護、その遅延、低減、安定化、改善、若しくは処置を行うのに有効な量を意味する。有効量はまた、患者に有益な効果を提供するのに十分な量を指す。そのような有益な効果には、検出可能な以下のものが含まれ得る。IFN-γの増加、肺におけるNF-κB媒介性サイトカイン応答の減少、微生物複製の阻害、及び/又は微生物負荷の減少。この効果は、細菌、真菌若しくはウイルス感染の可能性の医学的に有意な減少、又は微生物感染若しくは関連する症状若しくは二次感染の割合、程度、重症度若しくは長さの医学的若しくは統計学的に有意な減少を提供するのに十分であるべきである。微生物の生存、増殖(growth)、及び/又は増殖(proliferation)の低減が企図される。
【0172】
一実施形態では、本明細書で使用される「統計的に有意な」という用語は、結果又は関係が、偶然以外の何かによって引き起こされる可能性が高いことを指す。結果は、当該技術分野において公知であり使用されている統計的仮説検定を使用して、統計的に有意であることが見出され得る。統計的仮説検定は、当該技術分野で公知の「P値」を提供し、これは、測定された結果が偶然のみによる確率を表す。5%(0.05)以下の有意水準が統計的に有意であると考えることは、当該技術分野において概ね受け入れられていると考えられる。
【0173】
「本発明の組成物に感受性の微生物の増殖を阻害する」という語句及び類似の用語は、BLIS産生連鎖球菌株、例えば、S.サリバリウスに感受性の微生物の少なくとも1つ以上の種の増殖阻害を指す。細菌増殖の阻害は、国際公開第01/27143号に記載されているようなコロニー形成単位(CFU)の標的細菌株の阻害を含む様々な方法によって判定することができる。ウイルス増殖の阻害は、様々な方法によって判定され得るが、ウイルス収量減少アッセイ(VYR)、細胞変性効果の観察、又は殺ウイルスアッセイを含み得る。真菌増殖の阻害は、例で記載したように、例えば、繰延アンタゴニズム法(Tagg and Bannister 1979;Med Microbiology 12:397を参照されたい)の真菌への適合によって判定することができる。発芽管形成の阻害は、抗真菌活性の別の尺度を提供する(例えば、Reynolds and Braude(1956)Clin Res Proc4:40)。
【0174】
本明細書で使用される「接触させる」という用語は、微生物とブリス組成物との間の直接的接触及び間接的接触の両方を指す。間接的接触は、環境、特に天然環境における微生物のブリス組成物への曝露を含む。
【0175】
本明細書で使用される「組成物」又は「ブリス組成物」は、S.サリバリウスK12、M18、又はそれらの組み合わせを含む組成物若しくは製剤を指すものであり、そのBLIS含有自然放出細胞外産物、例えば、サリバリシン又は他の抗菌剤;及び任意選択で担体、希釈剤、又は賦形剤を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、化粧品、栄養補助食品、天然健康製品、又は補完薬であり得る。栄養補助食品(食品サプリメントとしても知られる)は、通常の食事を補うことが意図される食品であり、ビタミン若しくはミネラル、又は栄養的若しくは生理学的効果を有する他の物質である濃縮栄養素を含有する。天然健康製品は、プロバイオティクス、薬草療法、ビタミン及びミネラル、ホメオパシー薬、伝統的な薬、並びにアミノ酸及び必須脂肪酸を含む。補完薬は、安全性及び品質について評価された薬剤であり、有効性について評価された場合がある。
【0176】
単位「cfu/g」は、1グラム当たりのコロニー形成単位を意味する。
【0177】
本明細書で使用される場合、「変異体」という用語は、1つ以上のヌクレオチド又はアミノ酸残基が欠失、置換、又は付加されている、特異的に特定された配列とは異なる遺伝子、ポリヌクレオチド、又はポリペプチド配列を指す。変異体は、天然に存在する対立遺伝子変異体であっても、天然に存在しない変異体であってもよい。変異体は、同じ種由来であっても、他の種由来であってもよく、ホモログ、パラログ、及びオルソログを包含し得る。
【0178】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるポリヌクレオチド及びポリペプチドの変異体は、本明細書に開示されるポリヌクレオチド又はポリペプチドの生物学的活性と同じ又は類似の生物学的活性を有する。ポリヌクレオチド及びポリペプチドに関する用語「変異体」は、本明細書で定義されるポリヌクレオチド及びポリペプチドの全ての形態を包含する。
【0179】
発明の方法
第1の態様では、本発明は、S.サリバリウスの阻害プロファイルを改善する方法であって、有効量の補充糖類を含む組成物中でS.サリバリウスを製剤化することを含み、ストレプトコッカス・サリバリウスが、S.サリバリウスM18、S.サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0180】
阻害の効力は、阻害された微生物が阻害されている程度である。阻害の効力は、寒天プレート上の対照試料と比較して、阻害領域(ZOI)のサイズを決定することによって測定され得、これは、Tagg JR,Bannister LV.「Fingerprinting」beta-haemolytic streptococci by their production of and sensitivity to bacteriocine-like inhibitors.J Med Microbiol.1979 Nov;12(4):397-411に記載されている。より強力な阻害効果は、より大きな阻害領域によって明らかになる。阻害の効力を決定する別の方法は、Enhanced Production,Purification,Characterization and Mechanism of Action of Salivariicin 9 Lantibiotic Produced by Streptococcus salivarius NU10,PLoS One(2013)8(10):e77751に記載されているものなどの液体アッセイである。ウイルスの場合、効力は、細胞株実験における試料の毒性濃度対その有効生物活性濃度の比を測定する選択性指数(Selectivity Index、SI)によって測定することができる。より大きな効力は、対照と比較してより高いSI指数で示される。阻害の効力を決定する他の方法は、当業者にとって明らかである。
【0181】
本明細書で有用なS.サリバリウス株は、繰延アンタゴニズムアッセイ(P型判定-指標株の阻害)によって、又は株がどのサリバリシンを産生するかを決定することによって、少なくとも部分的に特徴付けることができる。これは、Tagg and Bannister(1979)J.Med.Microbiol.12:397に記載されている。K12は、P型777を示し(国際公開第2001027143号を参照)、M18は、炭酸カルシウムを含む血液寒天上のP型677、及びトリプチカーゼ大豆酵母抽出物-炭酸カルシウム寒天上のP型777を示す(国際公開第2003070919号を参照)。
【0182】
阻害活性の範囲は、阻害された微生物の数である。各種実施形態では、本発明のS.サリバリウスは、有効量の補充糖類の非存在下でS.サリバリウスによって阻害されない微生物又は種を阻害する。本出願人は、予想外にも、補充糖類が、S.サリバリウスの増殖及び阻害活性に影響を及ぼすだけでなく、プロバイオティクスが活性である微生物の範囲を増加させることもできることを見出した。これは、そのようなプロバイオティクスの活性の範囲の変化が報告された最初のものと考えている。上記のように、阻害活性は、寒天プレート上の対照試料と比較して、阻害領域のサイズを決定することによって測定され得る。阻害されていない種は、0の阻害領域又は4.9未満のSI指数を有する。
【0183】
一態様では、本発明はストレプトコッカス.サリバリウス及びS・サリバリウスの阻害プロファイルを改善するのに使用するための有効量の補充糖類を含む、組成物であって、S.サリバリウスが、S.サリバリウスM18、S.サリバリウスK12又はそれらの組み合わせであり、補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、組成物を提供する。
【0184】
非病原性細菌を阻害する方法であって、細菌を、S.サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む組成物と接触させることを含み、S.サリバリウスが、S.サリバリウスM18、S.サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法が本明細書に記載される。各種実施形態では、細菌は、L.ラクティス、S.エピデルミディス、及びS.コンステラータスから選択される。
【0185】
背景技術で論じたように、単糖は、エネルギー源として摂取されることによって細菌の増殖を促進し、有機酸副産物を産生することが知られており、これは、他の細菌の増殖に対して弱い非選択的阻害効果を有し得る。驚くべきことに、本発明者らは、S.サリバリウスの改善された阻害プロファイルが、補充糖類のpH効果のみによるものではないことを実証した(実施例4及び6を参照)。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、改善された阻害プロファイルが、バクテリオシン又は他のコードされた抗菌剤(例えば、非リボソームペプチド合成酵素(NRPS))の活性の増強によるものであると考える。更に、本発明者らは、ラフィノースが予想外にも細胞の形態に影響を及ぼし、より大きなサイズでよりムコイド(粘着性粘液様)のコロニーをもたらし、プロバイオティクスを基質により接着させることができ、ひいてはコロニー形成の増強を可能にすることを示した(実施例11参照)。
【0186】
ストレプトコッカス・サリバリウス
S.サリバリウスは、ヒト口腔に主にコロニー形成するグラム陽性菌であり、優勢な片利共生種である。それらは、プロバイオティクス細菌としての使用について大いに研究されている。2つのS.サリバリウス株は、口腔及び歯の健康のために、Blis Technologies Ltdによって商品名BLIS M18(商標)及びBLIS K12(商標)で商品化されている。
【0187】
本発明の方法において使用されるS.サリバリウス株の範囲は、当該技術分野において公知である。S.サリバリウスK12は、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1 b,D-38124,Braunschweig,Germanyに1999年10月8日に寄託され、受託番号DSM13084が割り当てられた。S.サリバリウスM18は、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1 b,D-38124,Braunschweig,Germanyに2001年12月12日に寄託され、受託番号DSM14685が割り当てられた。S.サリバリウスM18は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第20030709191号に記載されている。
【0188】
バクテリオシンは、産生生物に競合的優位性を与えることができる保存された生物学的ツールとして進化してきた拮抗物質である。バクテリオシンは、密接に関連した種の増殖を阻害するために細菌によって産生されたリボソーム合成抗菌ペプチドである。多様な範囲のバクテリオシンが特定され、4つの主要なクラスに分類されており、これらは更にサブクラスに分けられる。バクテリオシンのクラスは、産生種、作用機序、活性の範囲、及び翻訳後修飾の程度などのパラメータによって決定される。
【0189】
BLIS K12(商標)は、クラスI及びクラスIIに属するバクテリオシン:サリバリシンA(配列番号15及び23)、サリバリシンB(配列番号16及び24)、及びサリバリシンQ(配列番号17及び25)(それぞれ、salA、salB、及びsalQ)を産生する。BLIS M18(商標)は、クラスI及びクラスIIに属するバクテリオシン:サリバリシンA(配列番号19及び27)、サリバリシン9(配列番号20及び28)、及びサリバリシンQ(配列番号21及び29)(それぞれ、salA、sal9、及びsalQ)を産生する。SalA及びSalBは、グラム陽性A群連鎖球菌(すなわち、ストレプトコッカス・ピオゲネス)に対して高い標的特異性を示す翻訳後修飾ペプチド分子である。SalAは、標的膜構造に結合し、構造中に孔を形成して膜の構造的完全性を破壊することによって機能し、最終的に細胞死をもたらす。SalBは、標的種の酵素プロセスを阻害することによって機能し、これは細胞死をもたらす重要な細胞プロセスの防止につながる。salQに対して90%を超える同一性を有するバクテリオシンはまた、「blpU様カセット」として特徴付けられている(Santagati et al.,Front.Biosci.(Schol Ed)2018,10(2),238-247)。BLIS K12(商標)及びBLIS M18(商標)はまた、クラスIIIバクテリオシンであるサリバリシンMPSの異なるバージョンを産生する。クラスIIIバクテリオシンは、グラム陽性連鎖球菌及び他の細菌種によって発現される保存された構造を標的とする、大きな未修飾の熱不安定性ペプチド分子である。BLIS K12(商標)はまた、抗菌NRPSを産生する。
【0190】
ウレアーゼタンパク質は、細菌のpHホメオスタシスを調節するのに重要であり、細菌が口腔内でウレアーゼタンパク質を産生する場合、ウレアーゼタンパク質は、口及び唾液のpHを、より酸性ではなく、より中性のpHに調節する効果を有し、これは歯の健康に有益である。UreCは、ureC遺伝子によってコードされるウレアーゼタンパク質のαサブユニットである。機能的タンパク質はより多くのサブユニットを含むが、タンパク質の発現は、BLIS K12(商標)(配列番号18)及びBLIS M18(商標)(配列番号22)のureC遺伝子に基づいて推測することができる。
【0191】
各種実施形態では、本発明において有用な組成物は、少なくとも0.1重量%のS.サリバリウスを含む。
【0192】
各種実施形態では、組成物は、約0.1~約20重量%のS.サリバリウス、例えば、約0.1~約18重量%、約0.1~約16重量%、約0.1~約15重量%、約0.1~約14重量%、約0.1~約12重量%、約0.1~約10重量%、約0.1~約9重量%、約0.1~約8重量%、約0.1~約7重量%、約0.1~約6重量%、約0.1~約5重量%、約0.5~約18重量%、約0.5~約16重量%、約0.5~約15重量%、約0.5~約14重量%、約0.5~約12重量%、約0.5~約10重量%、約0.5~約9重量%、約0.5~約8重量%、約0.5~約7重量%、約0.5~約6重量%、約0.5~約5重量%、約1~約18重量%、約1~約16重量%、約1~約15重量%、約1~約14重量%、約1~約12重量%、約1~約10重量%、約1~約9重量%、約1~約8重量%、約1~約7重量%、約1~約6重量%、又は約1~約5重量%のS.サリバリウスを含む。
【0193】
各種実施形態では、組成物は、約1×103~約1×1013cfu/gのS.サリバリウスプロバイオティクス細胞を含む。各種実施形態では、組成物は、約1×104~約1×1012、約1×105~約1×1012、約1×106~約1×1012、約1×107~約1×1012、約1×108~約1×1012、約1×104~約1×1010、約1×105~約1×1010、約1×106~約1×1010、約1×107~約1×1010、約1×108~約1×1010、約1×104~約1×109、約1×105~約1×109、約1×106~約1×109、約1×107~約1×109cfu/gの量でS.サリバリウス細胞を含む。各種実施形態では、産物又は組成物は、約1×109cfu/gの量でS.サリバリウス細胞を含む。
【0194】
各種実施形態では、S.サリバリウスの複数の株が存在する場合、組成物は、少なくとも0.1重量%のS.サリバリウスの各株を含む。
【0195】
各種実施形態では、S.サリバリウスの複数の株が存在する場合、組成物は、約0.1~約20重量%のS.サリバリウスの各株、例えば、約0.1~約18重量%、約0.1~約16重量%、約0.1~約15重量%、約0.1~約14重量%、約0.1~約12重量%、約0.1~約10重量%、約0.1~約9重量%、約0.1~約8重量%、約0.1~約7重量%、約0.1~約6重量%、約0.1~約5重量%、約0.5~約18重量%、約0.5~約16重量%、約0.5~約15重量%、約0.5~約14重量%、約0.5~約12重量%、約0.5~約10重量%、約0.5~約9重量%、約0.5~約8重量%、約0.5~約7重量%、約0.5~約6重量%、約0.5~約5重量%、約1~約18重量%、約1~約16重量%、約1~約15重量%、約1~約14重量%、約1~約12重量%、約1~約10重量%、約1~約9重量%、約1~約8重量%、約1~約7重量%、約1~約6重量%、又は約1~約5重量%のS.サリバリウスの各株を含む。
【0196】
各種実施形態では、S.サリバリウスの複数の株が存在する場合、組成物は、約1×103~約1×1013cfu/gのS.サリバリウスの各株、例えば、約1×104~約1×1012、約1×105~約1×1012、約1×106~約1×1012、約1×107~約1×1012、約1×108~約1×1012、約1×104~約1×1010、約1×105~約1×1010、約1×106~約1×1010、約1×107~約1×1010、約1×108~約1×1010、約1×104~約1×109、約1×105~約1×109、約1×106~約1×109、約1×107~約1×109cfu/gのS.サリバリウスの各株を含む。
【0197】
補充糖類
試験のために検討された糖類には、単糖類グルコース、フルクトース、及びガラクトース;二糖類スクロース及びラクトース;並びに三糖類ラフィノースを含めた。
【0198】
ラクトースは主に乳糖であり、乳を含まない食事をしている人々又はラクトース不耐症を有する人々にとって好ましい成分ではない。したがって、ラクトースは検討から除外した。
【0199】
上述したように、スクロース及びグルコースは齲蝕原性であり、概して、拮抗的挙動に対して抑制効果を有するとされている(例えば、Reinhold&Titgemeyer,Fritz.(2002)FEMS Microbiology Letters.209.141-8;Jankovic & Bruckner,J Mol Microbiol Biotechnol.2007;12(1-2):114-20を参照)。したがって、これらの糖類も検討から除外した。
【0200】
各種実施形態では、補充糖類は、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである。各種実施形態では、補充糖類は、ガラクトースである。各種実施形態では、補充糖類は、ラフィノースである。各種実施形態では、補充糖類は、ガラクトース及びラフィノースの混合物である。
【0201】
D-ガラクトースは、単糖類の糖である。ラフィノースは、ガラクトース、グルコース、及びフルクトースモノマー単位を含む三糖類である。
【0202】
各種実施形態では、組成物は、20重量%未満の各補充糖類を含む。各種実施形態では、組成物は、20重量%未満のガラクトースを含む。各種実施形態では、組成物は、20重量%未満のラフィノースを含む。各種実施形態では、組成物は、20重量%未満のガラクトース及びラフィノースの各々を含む。
【0203】
各種実施形態では、組成物は、0.01~20重量%の各補充糖類、例えば、約0.01~約18重量%、又は約0.01~約15重量%、又は約0.01~約12重量%、又は約0.01~約10重量%、又は約0.01~約9重量%、又は約0.01~約8重量%、又は約0.01~約7重量%、又は約0.01~約6重量%、又は約0.01~約5重量%、又は約0.01~約4重量%、又は約0.1~約20重量%、又は約0.1~約18重量%、又は約0.1~約15重量%、又は約0.1~約12重量%、又は約0.1~約10重量%、又は約0.1~約9重量%、又は約0.1~約8重量%、又は約0.1~約7重量%、又は約0.1~約6重量%、又は約0.1~約5重量%、又は約0.1~約4重量%、又は約0.25~約20重量%、又は約0.25~約18重量%、又は約0.25~約15重量%、又は約0.25~約12重量%、又は約0.25~約10重量%、又は約0.25~約9重量%、又は約0.25~約8重量%、又は約0.25~約7重量%、又は約0.25~約6重量%、又は約0.25~約5重量%、又は約0.25~約4重量%、又は約0.5~約20重量%、又は約0.5~約18重量%、又は約0.5~約15重量%、又は約0.5~約12重量%、又は約0.5~約10重量%、又は約0.5~約9重量%、又は約0.5~約8重量%、又は約0.5~約7重量%、又は約0.5~約6重量%、又は約0.5~約5重量%、又は約0.5~約4重量%、又は約1~約20重量%、又は約1~約18重量%、又は約1~約15重量%、又は約1~約12重量%、又は約1~約10重量%、又は約1~約9重量%、又は約1~約8重量%、又は約1~約7重量%、又は約1~約6重量%、又は約1~約5重量%、又は約1~約4重量%、又は約1.25~約20重量%、又は約1.25~約18重量%、又は約1.25~約15重量%、又は約1.25~約12重量%、又は約1.25~約10重量%、又は約1.25~約9重量%、又は約1.25~約8重量%、又は約1.25~約7重量%、又は約1.25~約6重量%、又は約1.25~約5重量%、又は約1.25~約4重量%、又は約2~約20重量%、又は約2~約18重量%、又は約2~約15重量%、又は約2~約12重量%、又は約2~約10重量%、又は約2~約9重量%、又は約2~約8重量%、又は約2~約7重量%、又は約2~約6重量%、又は約2~約5重量%、又は約2~約4重量%、又は約2.5~約20重量%、又は約2.5~約18重量%、又は約2.5~約15重量%、又は約2.5~約12重量%、又は約2.5~約10重量%、又は約2.5~約9重量%、又は約2.5~約8重量%、又は約2.5~約7重量%、又は約2.5~約6重量%、又は約2.5~約5重量%、又は約2.5~約4重量%の各補充糖類を含む。
【0204】
各種実施形態では、組成物は、0.01~20重量%のガラクトース、例えば、約0.01~約18重量%、又は約0.01~約15重量%、又は約0.01~約12重量%、又は約0.01~約10重量%、又は約0.01~約9重量%、又は約0.01~約8重量%、又は約0.01~約7重量%、又は約0.01~約6重量%、又は約0.01~約5重量%、又は約0.01~約4重量%、又は約0.1~約20重量%、又は約0.1~約18重量%、又は約0.1~約15重量%、又は約0.1~約12重量%、又は約0.1~約10重量%、又は約0.1~約9重量%、又は約0.1~約8重量%、又は約0.1~約7重量%、又は約0.1~約6重量%、又は約0.1~約5重量%、又は約0.1~約4重量%、又は約0.25~約20重量%、又は約0.25~約18重量%、又は約0.25~約15重量%、又は約0.25~約12重量%、又は約0.25~約10重量%、又は約0.25~約9重量%、又は約0.25~約8重量%、又は約0.25~約7重量%、又は約0.25~約6重量%、又は約0.25~約5重量%、又は約0.25~約4重量%、又は約0.5~約20重量%、又は約0.5~約18重量%、又は約0.5~約15重量%、又は約0.5~約12重量%、又は約0.5~約10重量%、又は約0.5~約9重量%、又は約0.5~約8重量%、又は約0.5~約7重量%、又は約0.5~約6重量%、又は約0.5~約5重量%、又は約0.5~約4重量%、又は約1~約20重量%、又は約1~約18重量%、又は約1~約15重量%、又は約1~約12重量%、又は約1~約10重量%、又は約1~約9重量%、又は約1~約8重量%、又は約1~約7重量%、又は約1~約6重量%、又は約1~約5重量%、又は約1~約4重量%、又は約1.25~約20重量%、又は約1.25~約18重量%、又は約1.25~約15重量%、又は約1.25~約12重量%、又は約1.25~約10重量%、又は約1.25~約9重量%、又は約1.25~約8重量%、又は約1.25~約7重量%、又は約1.25~約6重量%、又は約1.25~約5重量%、又は約1.25~約4重量%、又は約2~約20重量%、又は約2~約18重量%、又は約2~約15重量%、又は約2~約12重量%、又は約2~約10重量%、又は約2~約9重量%、又は約2~約8重量%、又は約2~約7重量%、又は約2~約6重量%、又は約2~約5重量%、又は約2~約4重量%、又は約2.5~約20重量%、又は約2.5~約18重量%、又は約2.5~約15重量%、又は約2.5~約12重量%、又は約2.5~約10重量%、又は約2.5~約9重量%、又は約2.5~約8重量%、又は約2.5~約7重量%、又は約2.5~約6重量%、又は約2.5~約5重量%、又は約2.5~約4重量%のガラクトースを含む。
【0205】
各種実施形態では、組成物は、0.01~20重量%のラフィノース、例えば、約0.01~約18重量%、又は約0.01~約15重量%、又は約0.01~約12重量%、又は約0.01~約10重量%、又は約0.01~約9重量%、又は約0.01~約8重量%、又は約0.01~約7重量%、又は約0.01~約6重量%、又は約0.01~約5重量%、又は約0.01~約4重量%、又は約0.1~約20重量%、又は約0.1~約18重量%、又は約0.1~約15重量%、又は約0.1~約12重量%、又は約0.1~約10重量%、又は約0.1~約9重量%、又は約0.1~約8重量%、又は約0.1~約7重量%、又は約0.1~約6重量%、又は約0.1~約5重量%、又は約0.1~約4重量%、又は約0.25~約20重量%、又は約0.25~約18重量%、又は約0.25~約15重量%、又は約0.25~約12重量%、又は約0.25~約10重量%、又は約0.25~約9重量%、又は約0.25~約8重量%、又は約0.25~約7重量%、又は約0.25~約6重量%、又は約0.25~約5重量%、又は約0.25~約4重量%、又は約0.5~約20重量%、又は約0.5~約18重量%、又は約0.5~約15重量%、又は約0.5~約12重量%、又は約0.5~約10重量%、又は約0.5~約9重量%、又は約0.5~約8重量%、又は約0.5~約7重量%、又は約0.5~約6重量%、又は約0.5~約5重量%、又は約0.5~約4重量%、又は約1~約20重量%、又は約1~約18重量%、又は約1~約15重量%、又は約1~約12重量%、又は約1~約10重量%、又は約1~約9重量%、又は約1~約8重量%、又は約1~約7重量%、又は約1~約6重量%、又は約1~約5重量%、又は約1~約4重量%、又は約1.25~約20重量%、又は約1.25~約18重量%、又は約1.25~約15重量%、又は約1.25~約12重量%、又は約1.25~約10重量%、又は約1.25~約9重量%、又は約1.25~約8重量%、又は約1.25~約7重量%、又は約1.25~約6重量%、又は約1.25~約5重量%、又は約1.25~約4重量%、又は約2~約20重量%、又は約2~約18重量%、又は約2~約15重量%、又は約2~約12重量%、又は約2~約10重量%、又は約2~約9重量%、又は約2~約8重量%、又は約2~約7重量%、又は約2~約6重量%、又は約2~約5重量%、又は約2~約4重量%、又は約2.5~約20重量%、又は約2.5~約18重量%、又は約2.5~約15重量%、又は約2.5~約12重量%、又は約2.5~約10重量%、又は約2.5~約9重量%、又は約2.5~約8重量%、又は約2.5~約7重量%、又は約2.5~約6重量%、又は約2.5~約5重量%、又は約2.5~約4重量%のラフィノースを含む。
【0206】
各種実施形態では、ガラクトース及びラフィノースの混合物が存在する場合、組成物は、0.01~20重量%のガラクトース及びラフィノースの各々、例えば、約0.01~約18重量%、又は約0.01~約15重量%、又は約0.01~約12重量%、又は約0.01~約10重量%、又は約0.01~約9重量%、又は約0.01~約8重量%、又は約0.01~約7重量%、又は約0.01~約6重量%、又は約0.01~約5重量%、又は約0.01~約4重量%、又は約0.1~約20重量%、又は約0.1~約18重量%、又は約0.1~約15重量%、又は約0.1~約12重量%、又は約0.1~約10重量%、又は約0.1~約9重量%、又は約0.1~約8重量%、又は約0.1~約7重量%、又は約0.1~約6重量%、又は約0.1~約5重量%、又は約0.1~約4重量%、又は約0.25~約20重量%、又は約0.25~約18重量%、又は約0.25~約15重量%、又は約0.25~約12重量%、又は約0.25~約10重量%、又は約0.25~約9重量%、又は約0.25~約8重量%、又は約0.25~約7重量%、又は約0.25~約6重量%、又は約0.25~約5重量%、又は約0.25~約4重量%、又は約0.5~約20重量%、又は約0.5~約18重量%、又は約0.5~約15重量%、又は約0.5~約12重量%、又は約0.5~約10重量%、又は約0.5~約9重量%、又は約0.5~約8重量%、又は約0.5~約7重量%、又は約0.5~約6重量%、又は約0.5~約5重量%、又は約0.5~約4重量%、又は約1~約20重量%、又は約1~約18重量%、又は約1~約15重量%、又は約1~約12重量%、又は約1~約10重量%、又は約1~約9重量%、又は約1~約8重量%、又は約1~約7重量%、又は約1~約6重量%、又は約1~約5重量%、又は約1~約4重量%、又は約1.25~約20重量%、又は約1.25~約18重量%、又は約1.25~約15重量%、又は約1.25~約12重量%、又は約1.25~約10重量%、又は約1.25~約9重量%、又は約1.25~約8重量%、又は約1.25~約7重量%、又は約1.25~約6重量%、又は約1.25~約5重量%、又は約1.25~約4重量%、又は約2~約20重量%、又は約2~約18重量%、又は約2~約15重量%、又は約2~約12重量%、又は約2~約10重量%、又は約2~約9重量%、又は約2~約8重量%、又は約2~約7重量%、又は約2~約6重量%、又は約2~約5重量%、又は約2~約4重量%、又は約2.5~約20重量%、又は約2.5~約18重量%、又は約2.5~約15重量%、又は約2.5~約12重量%、又は約2.5~約10重量%、又は約2.5~約9重量%、又は約2.5~約8重量%、又は約2.5~約7重量%、又は約2.5~約6重量%、又は約2.5~約5重量%、又は約2.5~約4重量%のガラクトース及びラフィノースの各々を含む。
【0207】
上方制御された遺伝子
一態様では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウスにおける1つ以上の遺伝子を上方制御するための方法であって、有効量の補充糖類を含む組成物中でS.サリバリウスを製剤化することを含み、
ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0208】
いくつかの実施形態では、上方制御された遺伝子は、クラスI若しくはクラスIIランチバイオティクスペプチド又はバクテリオシンなどのランチバイオティクスペプチド又はバクテリオシンをコードするポリヌクレオチド配列を含み得る、又はそれからなり得る。例えば、上記のように、BLIS K12(商標)は、それぞれsalA、salB、及びsalQによってコードされるバクテリオシンであるサリバリシンA、サリバリシンB及びサリバリシンQを産生する(それぞれ配列番号15、16及び17)。これらのバクテリオシンのペプチド配列は、それぞれ配列番号23、24、及び25に示される。
【0209】
更なる例として、上記のように、BLIS M18(商標)は、それぞれsalA、sal9、及びsalQによってコードされるバクテリオシンであるサリバリシンA、サリバリシン9及びサリバリシンQを産生する(それぞれ配列番号19、20、及び21)。これらのバクテリオシンのペプチド配列は、それぞれ配列番号27、28、及び29に示される。
【0210】
いくつかの実施形態では、上方制御された遺伝子は、ウレアーゼタンパク質のサブユニットをコードするポリヌクレオチド配列を含み得る、又はそれからなり得る。いくつかの実施形態では、上方制御された遺伝子は、ureC、例えば、BLIS K12(商標)ureC(配列番号18)又はBLIS M18(商標)ureC(配列番号22)である。
【0211】
いくつかの実施形態では、上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、配列番号15~22のいずれか1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなる、又は上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなる。
【0212】
いくつかの実施形態では、上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、salA遺伝子、salB遺伝子、salQ遺伝子、sal9遺伝子、及び/若しくはureC遺伝子、又はそれらのいずれかの変異体である。
【0213】
これらの遺伝子及びその変異体は、当該技術分野で公知の技術によって容易に特定することができる。例えば、これらの遺伝子は、配列アラインメントツールを用いて、既知のsalA、salB、salQ、sal9、若しくはureC遺伝子に対する、又はsalA、salB、salQ、sal9、若しくはureCタンパク質をコードする遺伝子に対する配列類似性によって特定され得る。あるいは、タンパク質をコードする遺伝子は、構造アラインメントを使用して、既知のsalA、salB、salQ、sal9、又はureCタンパク質に対する構造類似性によって特定され得る。
【0214】
例えば、これらの遺伝子は、配列データベース(パブリックドメインデータベースとしては、Genbank、EMBL、Swiss-Prot、PIRなどが挙げられる)を検索するためのパブリックドメイン配列アラインメントアルゴリズム及び配列類似性検索ツールを使用して、当業者に周知のコンピュータベースの方法によって特定され得る。例えば、Nucleic Acids Res.29:1-10及び11-16,2001を参照されたい。類似性検索は、分析される配列(すなわち、クエリ配列)との比較のために、標的配列を読み出しアラインメントする。配列比較アルゴリズムは、アラインメントの各々に全体的スコアを割り当てるためにスコアリングマトリックスを使用する。
【0215】
配列データベースにおいて変異体を特定するのに有用なプログラムの例示的なファミリーは、BLASTN、BLASTP、BLASTX、tBLASTN、及びtBLASTXを含むBLAST一式のプログラム(バージョン2.2.5[Nov 2002])であり、これらは(ftp:Inc.//ftp.ncbi.nih.gov/blast/)又はNational Center for Biotechnology Information(NCBI)、National Library of Medicine,Building 38A,Room 8N805,Bethesda,MD 20894 USAから公けに入手可能である。BLASTN、BLASTP、及びBLASTXを含むアルゴリズムのBLASTファミリーの使用は、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25:3389-3402,1997に記載されている。
【0216】
関連配列群の複数の配列アラインメントは、CLUSTALW(Thompson,J.D.,Higgins,D.G.and Gibson,T.J.(1994)CLUSTALW:improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting,positions-specific gap penalties and weight matrix choice.Nucleic Acids Research,22:4673-4680)CLUSTAL Omega(Sievers et al.,(2011).Molecular Systems Biology 7:539,https://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo/)又はT-COFFEE(Cedric Notredame,Desmond G.Higgins,Jaap Heringa,T-Coffee:A novel method for fast and accurate multiple sequence alignment,J.Mol.Biol.(2000)302:205-217))又はPILEUP(これは、漸進的なペアワイズアラインメントを使用する)(Feng and Doolittle,1987,J.Mol.Evol.25,351)を用いて実行することができる。
【0217】
モチーフ又はシグネチャー配列を見出すために、パターン認識ソフトウェアアプリケーションが利用可能である。例えば、MEME(Multiple Em for Motif Elicitation)は、配列のセットにおけるモチーフ及びシグネチャー配列を見出し、MAST(Motif Alignment and Search Tool)は、これらのモチーフを使用して、クエリ配列における類似又は同じモチーフを特定する。MAST結果は、適切な統計データ及び見出されたモチーフの視覚的概要とともに一連のアラインメントとして提供される。MEME及びMASTは、カリフォルニア大学サンディエゴ校で開発された。
【0218】
PROSITE(Bairoch and Bucher,1994,Nucleic Acids Res.22,3583;Hofmann et al.,1999,Nucleic Acids Res.27,215)は、ゲノム又はcDNA配列から翻訳された特徴付けられていないタンパク質の機能を特定する方法である。PROSITEデータベース(www.expasy.org/prosite)は、生物学的に重要なパターン及びプロファイルを含み、新しい配列をタンパク質の既知のファミリーに割り当てるために、又はどの既知のドメインが配列中に存在するかを決定するために、適切な計算ツールで使用することができるように設計されている(Falquet et al.,2002,Nucleic Acids Res.30,235)。Prosearchは、所与の配列パターン又はシグネチャーを用いてSWISS-PROT及びEMBLデータベースを検索することができるツールである。
【0219】
タンパク質ドメインモデルデータベースの別の例は、Pfamである(Sonnhammer et al.,1997,A comprehensive database of protein families based on seed alignments,Proteins,28:405-420;Finnら,2010,The Pfam Protein Families database’,Nucl.Acids Res.,38:D211 D222)。「Pfam」は、Pfam Consortiumによって維持され、pfam.xfam.org/(欧州バイオインフォマティクス研究所(EMBL-EBI)を含むいくつかのスポンサー付きワールドワイドウェブサイトで利用可能なタンパク質ドメイン及びタンパク質ファミリーの大きなコレクションを指す。Pfamの最新リリースは、Pfam 35.0(2021年11月)である。Pfamドメイン及びファミリーは、複数の配列アラインメント及び隠れマルコフモデル(hidden Markov model;HMM)を用いて特定される。Pfam-Aファミリー又はドメイン割り当ては、タンパク質ファミリーの代表的なメンバーを使用してキュレートされたシードアラインメントによって生成された高品質割り当てであり、シードアラインメントに基づいて隠れマルコフモデルをプロファイルする。(特に明記しない限り、Pfamドメイン又はファミリーに対する照会タンパク質のマッチ(一致)は、Pfam-Aマッチである)。次いで、ファミリーに属する全ての特定された配列を使用して、ファミリーについての完全アラインメントを自動的に生成する(Sonnhammer(1998)J.Nucleic Acids Research 26,320-322;Bateman(2000)Nucleic Acids Research 26,263-266;Bateman(2004)Nucleic Acids Research 32,Database Issue,D138-D141;Finn(2006)Nucleic Acids Research Database Issue 34,D247-251;Finn(2010)Nucleic Acids Research Database Issue 38,D 211-222)。例えば、上記のウェブサイトを使用してPfamデータベースにアクセスすることにより、HMMER相同性検索ソフトウェア(例えば、HMMER2、HMMER3、又はより高度なバージョン、hmmer.org)を使用して、タンパク質配列をHMMに対して照会することができる。照会タンパク質をpfamファミリーにあるものとして(又は特定のPfamドメインを有するものとして)特定する有意な一致は、ビットスコアがPfamドメインについての収集閾値以上である一致である。期待値(e値)はまた、照会タンパク質をPfamに含めるための基準として、又は照会タンパク質が特定のPfamドメインを有するかどうかを決定するための基準として使用することができ、低いe値(1.0よりはるかに小さい、例えば、0.1未満、又は0.01以下)は、一致が偶然によるものである低い確率を表す。
【0220】
S.サリバリウス由来の既知の遺伝子のいくつかの具体例を、以下の表に従って本明細書において提供する。
【表1】
【0221】
いくつかの実施形態では、上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、配列番号15~22のいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む又はそれからなる。
【0222】
いくつかの実施形態では、上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、配列番号23~30のいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む又はそれからなる。
【0223】
いくつかの実施形態では、上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、配列番号15若しくは19に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなる、又は配列番号23若しくは27に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するポリペプチドをコードする、salA遺伝子である。
【0224】
いくつかの実施形態は、上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、配列番号16に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなる、又は配列番号24に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するポリペプチドをコードする、salB遺伝子である。
【0225】
いくつかの実施形態では、上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、配列番号17若しくは21に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなる、又は配列番号25若しくは29に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するポリペプチドをコードする、salQ遺伝子である。
【0226】
いくつかの実施形態では、上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、配列番号20に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなる、又は配列番号28に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するポリペプチドをコードする、sal9遺伝子である。
【0227】
いくつかの実施形態では、上方制御された遺伝子の少なくとも1つは、配列番号18若しくは22に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む若しくはそれからなる、又は配列番号26若しくは30に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有するポリペプチドをコードする、ureC遺伝子である。
【0228】
ポリヌクレオチド配列同一性の決定
ポリヌクレオチド配列同一性は、以下のようにして決定することができる。対象ポリヌクレオチド配列を、bl2seqのBLASTN(BLASTプログラム一式、バージョン2.2.5[Nov 2002])を使用して候補のポリヌクレオチド配列と比較する(Tatiana A.Tatusova,Thomas L.Madden (1999),「Blast 2 sequences-a new tool for comparing protein and nucleotide sequences」,FEMS Microbiol Lett.174:247-250)、BLASTNはNCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)から公けに入手可能である。低複雑度部分のフィルタリングがオフにされるべきであることを除いて、bl2seqのデフォルトパラメータが利用される。
【0229】
ポリヌクレオチド配列の同一性は、以下のunix(登録商標)コマンドラインパラメータを用いて調べることができる。
【0230】
bl2seq-i nucleotideseq1-j nucleotideseq2-F F-p blastn
【0231】
パラメータ-FFは、低複雑度セクションのフィルタリングをオフにする。パラメータ-pは、配列の対に対する適切なアルゴリズムを選択する。bl2seqプログラムは、行「Identities=」において同一ヌクレオチドの数及び%の両方として配列同一性を報告する。
【0232】
ポリヌクレオチド配列同一性はまた、グローバル配列アラインメントプログラムを用いて候補ポリヌクレオチド配列と対象ポリヌクレオチド配列との重複の全長にわたって計算され得る(例えば、Needleman,S.B.及びWunsch,C.D.(1970)J.Mol.Biol.48,443-453)。Needleman-Wunschグローバルアラインメントアルゴリズムの完全な実装は、EMBOSSパッケージ中のニードルプログラム(Rice,P.Longden,I.及びBleasby,A.EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Trends in Genetics June 2000,vol 16,No 6,pp.276-277)に見出すことができ、EMBOSSパッケージは、http://www.hgmp.mrc.ac.uk/Software/EMBOSS/から入手可能である。欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute)サーバーはまた、http:/www.ebi.ac.uk/emboss/align/においてオンラインで2つの配列間のEMBOSS-ニードルグローバルアラインメントを実施する機能を提供する。
【0233】
あるいは、末端ギャップにペナルティを課すことなく2つの配列の最適なグローバルアラインメントを計算するGAPプログラムが使用され得る。GAPは、以下の論文:Huang,X.(1994)On Global Sequence Alignment.Computer Applications in the Biosciences 10,227-235に記載されている。
【0234】
ポリヌクレオチド配列同一性%を計算するための別の方法は、Clustal X(Jeanmougin et al.,1998,Trends Biochem.Sci.23,403-5)を使用して比較される配列をアラインメントすることに基づく。
【0235】
本明細書に開示される変異体ポリヌクレオチド又は遺伝子はまた、本明細書に開示される配列とは異なるが、遺伝子コードの縮重の結果として、本明細書に開示されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと同様の活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド又は遺伝子を包含する。ポリペプチドのアミノ酸配列を変化させない配列改変は、「サイレント変異」である。
【0236】
本明細書に開示される変異体ポリヌクレオチド又は遺伝子は、その生物学的活性を有意に改変することなく、コードされたポリペプチド配列中の1つ又はいくつかのアミノ酸の保存的置換を生じる配列改変を含み得る。
【0237】
コードされたポリペプチド配列におけるサイレント変異及び保存的置換による変異体ポリヌクレオチドは、前述のようにtblastxアルゴリズムを介して、NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)のBLASTプログラム一式(バージョン2.2.5[Nov 2002])から公けに入手可能なbl2seqプログラムを使用して決定され得る。
【0238】
ポリペプチド配列同一性の決定
ポリペプチド配列同一性は、以下のようにして決定することができる。対象ポリペプチド配列は、NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)から公けに入手可能である、bl2seqのBLASTP(BLASTプログラム一式、バージョン2.2.5[Nov 2002]から)を用いて候補ポリペプチド配列と比較される。低複雑度領域のフィルタリングがオフにされるべきであることを除いて、bl2seqのデフォルトパラメータが利用される。
【0239】
ポリペプチド配列同一性はまた、グローバル配列アラインメントプログラムを使用して、候補ポリペプチド配列と対象ポリペプチド配列との間の重複の全長にわたって計算され得る。EMBOSS-ニードル(http:/www.ebi.ac.uk/emboss/align/)及びGAP(Huang,X.(1994)On Global Sequence Alignmentで入手可能。Computer Applications in the Biosciences 10,227-235.)もまた上述したように、ポリペプチド配列同一性を計算するための好適なグローバル配列アラインメントプログラムである。
【0240】
ポリペプチド配列同一性%を計算するための別の方法は、Clustal Xを使用して比較される配列をアラインメントすることに基づく(Jeanmougin et al.1998,Trends Biochem.Sci.23,403-5)。
【0241】
本明細書に開示されるポリペプチド変異体はまた、特異的に特定された配列の1つ以上に対して類似性を示す変異体を包含し、この類似性は、偶然によって生じたと合理的に予想することができなかった配列の機能的等価性を保存する可能性が高い。ポリペプチドに関するそのような配列類似性は、NCBIからのBLASTプログラム一式(バージョン2.2.5[Nov 2002])からの公けに入手可能なbl2seqプログラムを使用して決定することができる(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)。ポリペプチド配列の類似性は、以下のunix(登録商標)コマンドラインパラメータを用いて調べることができる。
【0242】
bl2seq-i peptideseq1-j peptideseq2-F F-p blastp
【0243】
パラメータ-FFは、低複雑度セクションのフィルタリングをオフにする。パラメータ-pは、配列の対に対する適切なアルゴリズムを選択する。このプログラムは、配列間の類似性の領域を見出し、そしてこのような各領域について、ランダム配列を含む固定された参照サイズのデータベースにおいて偶然にこのような一致を見ることが予想され得る期待数である「E値」を報告する。1よりもはるかに小さい小さなE値に対しては、これはほぼそのようなランダムマッチの確率である。
【0244】
変異体ポリペプチド配列は、好ましくは、特異的に特定された配列のいずれか1つと比較した場合、1×10-10未満、より好ましくは1×10-20未満、より好ましくは1×10-30未満、より好ましくは1×10-40未満、より好ましくは1×10-50未満、より好ましくは1×10-60未満、より好ましくは1×10-70未満、より好ましくは1×10-80未満、より好ましくは1×10-90未満、最も好ましくは1×10-100未満のE値を示す。
【0245】
変異体ポリペプチド配列は、その生物学的活性を有意に改変することなく、記載されるポリペプチド配列の1つ又はいくつかのアミノ酸の保存的置換を含み得る。
【0246】
同一性は、少なくとも20アミノ酸位置、好ましくは少なくとも50アミノ酸位置、より好ましくは少なくとも100アミノ酸位置、より好ましくは少なくとも100アミノ酸位置の比較ウインドウにわたって、最も好ましくは全長にわたって見出される。
【0247】
阻害された細菌
各種実施形態では、本方法は、病原性及び他の非病原性微生物を含む、皮膚、口腔、歯、粘膜(例えば、口腔、直腸、膣)及び/又はENTR微生物に対するS.サリバリウスの阻害プロファイルを向上させる。
【0248】
微生物は、非病原性であり得る。対象は、概して有害ではない、又は対象にとって有益であり得る既存のミクロフローラを有する。このような非病原性ミクロフローラ細菌の例としては、S.サリバリウス種、例えば、S.エピデルミディス種、L.ラクティス種、S.コンステラータス種が挙げられる。
【0249】
いくつかの実施形態では、そのような非病原性微生物の集団を阻害又は減少させることが有用であり得る。例えば、K12又はM18のようなブリス産生S.サリバリウスとのコロニー形成を促進すること。
【0250】
各種実施形態では、皮膚、口腔、歯、粘膜、及び/又はENT微生物は、S.アウレウス種、S.インターメディウス種、S.サプロフィチカス種、M.カタラーリス種、H.インフルエンザ種、S.ピオゲネス種、P.エルギノーザ種、S.ミュータンス種、S.ニューモニエ種、C.アクネス種、C.アルビカンス種、S.ソブリヌス種、コリネバクテリウム種、F.ヌクレアタム種、A.アクチノミセテムコミタンス種、P.ジンジバリス種、タネレラ・フォーサイシア種、トレポネーマ・デンティコラ種、P.インターメディア種、プレボテラ種、A.ビスコサス種、S.エキシミリス種、S.ディスガラクティエ種、S.サングイ二ス種、S.コーニー種、B.インターメディウス種、A.パルブラム種、E.サブレウム種、E.スルシ種、P.ミクラ種、S.ムーレイ種、S.アガラクティエ種、C.ミヌティスシムス種、P.プロピオニカス種、S.アガラクティエ種、S.ディスガラクティアエ種、S.シムランス種、キシローサス種、足部白癬感染を引き起こす真菌、K12又はM18以外のS.サリバリウス種、L.ラクティス種、S.エピデルミディス種、S.コンステラータス種、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0251】
各種実施形態では、口腔及び/又は歯の微生物は、S.インターメディウス種、M.カタラーリス種、H.インフルエンザ種、S.ピオゲネス種、S.ミュータンス種、S.ニューモニエ種、F.ヌクレアタム種、A.アクチノミセテムコミタンス種、P.インターメディア種、プレボテラ種、A.ビスコサス種、S.ソブリヌス種、B.インターメディア種、A.パルブラム種、E.サブレウム種、E.スルシ種、P.ミクラ種、S.ムーレイ種、S.アガラクティエ種、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0252】
各種実施形態では、皮膚微生物は、S.アウレウス種、S.サプロフィチカス種、S.ピオゲネス種、C.アクネス種、C.アルビカンス種、S.コーニー種、C.ミヌティスシムス種、P.プロピオニカス種、S.アガラクティエ種、S.ディスガラクティアエ種、S.シムランス種、キシローサス種、足部白癬感染を引き起こす真菌、S.エピデルミディス種、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0253】
各種実施形態では、皮膚、口腔、歯、粘膜、及び/又はENTR微生物は、S.アウレウス種、S.サプロフィチカス種、M.カタラーリス種、H.インフルエンザ種、S.ピオゲネス種、P.エルギノーザ種、S.ミュータンス種、S.ニューモニエ種、K12又はM18以外のS.サリバリウス種、L.ラクティス種、S.エピデルミディス種、S.コンステラータス種、又はそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される。
【0254】
各種実施形態では、皮膚、口腔、歯、粘膜、及び/又はENTR微生物は、S.アウレウスA222、S.アウレウス20、S.アウレウス14、S.アウレウス19、S.アウレウスA504、S.アウレウスATCC6538、S.サプロフィチカスATCC15305、M.カタラーリスTW1、M.カタラーリスTW2、H.インフルエンザTW5、S.ピオゲネスM76、S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネスFF22、S.ピオゲネス71~679、S.ピオゲネスW-1、S.ピオゲネスM17、S.ピオゲネスM57、S.ピオゲネスEMM92、S.ピオゲネスM66、S.ピオゲネスM74、P.エルギノーザI2、P.エルギノーザATCC27853、S.ミュータンスOMZ175、S.ミュータンスFW75、S.ニューモニエD39、S.ニューモニエRX1、S.ニューモニエPK8、S.エキシミリスBris 2、S.ディスガラクティエT277、C.アクネスATC6919、S.サングイニスK11、S.ソブリヌスOMZ176、S.コーニー、S.シムランス、L.ラクティスT-21、S.エピデルミディス11、S.エピデルミディスE30、S.コンステラータスT29、S.サリバリウス6、S.サリバリウス193、S.サリバリウス20P3、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0255】
各種実施形態では、皮膚、口腔、歯、粘膜、及び/又はENTR微生物は、S.アウレウスA222、S.アウレウス20、S.アウレウス14、S.アウレウス19、S.アウレウスA504、S.サプロフィチカスATCC15305、M.カタラーリスTW1、M.カタラーリスTW2、H.インフルエンザTW5、S.ピオゲネスM76、S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネスFF22、S.ピオゲネス71~679、S.ピオゲネスW-1、S.ピオゲネスM17、S.ピオゲネスM57、S.ピオゲネスEMM92、S.ピオゲネスM66、S.ピオゲネスM74、P.エルギノーザI2、S.ミュータンスOMZ175、S.ニューモニエD39、L.ラクティスT-21、S.エピデルミディス11、S.コンステラータスT-29、S.サリバリウス6、S.サリバリウス193、S.サリバリウス20P3、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0256】
抗ウイルス活性、特に抗SARS-CoV2(Covid-19)活性を有するS.サリバリウス株は、国際出願番号PCT/NZ第2021/050054号(Blis Technologies Ltd)に記載されている。呼吸器ウイルスを処置するための予防及び治療用組成物及び方法も記載される。データは、S.サリバリウスK12、M18が、SARS-CoV2、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対して様々な抗ウイルス活性を有することを示す。したがって、本明細書において阻害される微生物としては、SARS-CoV2、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV)などの呼吸器ウイルスも挙げられる。
【0257】
各種実施形態では、皮膚、口腔、歯、粘膜、及び/又はENT微生物は、ストレプトコッカス又はスタフィロコッカス細菌である。各種実施形態では、ストレプトコッカス又はスタフィロコッカス細菌は、S.アウレウス種、S.サプロフィチカス種、S.ミュータンス種、S.ピオゲネス、S.ニューモニエ種、S.コンステラータス種、及びS.サリバリウス種から選択される。各種実施形態では、スタフィロコッカス細菌は、S.アウレウスA222、S.サプロフィチカスATCC15305から選択され、ストレプトコッカス細菌は、S.ミュータンスOMZ175、S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネスFF22、S.ピオゲネス71~679、S.ピオゲネスW-1、S.ピオゲネスM17、S.ピオゲネスM57、S.ピオゲネスEMM92、S.ピオゲネスM66、S.ピオゲネスM74、S.ニューモニエD39、S.サリバリウス種、例えば、S.サリバリウス6、S.サリバリウス193、S.サリバリウス20P3、及びS.コンステラータスT-29から選択される。
【0258】
各種実施形態では、ストレプトコッカス又はスタフィロコッカス細菌は、S.アウレウス種、S.サプロフィチカス種、S.ミュータンス種、S.サリバリウス種、S.コンステラータス種、S.ピオゲネス種、及びS.ニューモニエ種、S.エクイシミリス種、S.ディスガラクティアエ種から選択され、S.サリバリウスは、K12である。各種実施形態では、スタフィロコッカス細菌は、S.アウレウスA222及びS.サプロフィチカスATCC15305から選択され、ストレプトコッカス細菌は、S.ミュータンスOMZ175、S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネスFF22、S.ピオゲネス71~679、S.ピオゲネスW-1、S.ピオゲネスM17、S.ピオゲネスM57、S.ピオゲネスEMM92、S.ピオゲネスM66、S.ピオゲネスM74、S.ニューモニエD39、S.エクイシミリスBris 2、S.ディスガラクティアエT277、S.サリバリウス種、例えば、S.サリバリウス6、S.サリバリウス193、S.サリバリウス20P3、及びS.コンステラータスT-29から選択され、S.サリバリウス株は、K12である。
【0259】
各種実施形態では、皮膚、口腔、歯、粘膜、及び/又はENTR微生物は、S.アウレウス種、S.サプロフィチカス種、L.ラクティス種、S.エピデルミディス種、S.サリバリウス種、M.カタラーリス種、S.ミュータンス種、H.インフルエンザ種、S.ニューモニエ種、S.ピオゲネス種、L.ラクティスT-21、S.エピデルミディス11、S.エピデルミディスE30、及びS.コンステラータスT-29から選択され、S.サリバリウス株は、K12であり、補充糖類は、ガラクトースである。
【0260】
各種実施形態では、皮膚、口腔、歯、粘膜、及び/又はENTR微生物は、S.アウレウスA222、S.アウレウス20、S.アウレウス14、S.アウレウス19、S.アウレウスA504、S.サプロフィチカスATCC15305、L.ラクティスT-21、S.エピデルミディス11、M.カタラーリスTW1、M.カタラーリスTW2、S.ミュータンスOMZ175、H.インフルエンザ、S.ニューモニエD39、S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネスFF22、S.ピオゲネス71~679、S.ピオゲネスW-1、S.ピオゲネスM17、S.ピオゲネスM57、S.ピオゲネスEMM92、S.ピオゲネスM66、S.ピオゲネスM74、L.ラクティスT-21、S.エピデルミディス11、S.エピデルミディスE30、S.コンステラータスT-29から選択され、S.サリバリウス株は、K12であり、補充糖類は、ガラクトースである。
【0261】
各種実施形態では、皮膚、口腔、歯、粘膜、及び/又はENTR微生物は、S.アウレウス種、S.サプロフィチカス種、L.ラクティス種、S.エピデルミディス種から選択され、S.サリバリウス株は、K12であり、補充糖類は、ラフィノースである。
【0262】
各種実施形態では、皮膚、口腔、歯、粘膜及び/又はENTR微生物は、S.アウレウスA222、S.アウレウス20、S.アウレウス14、S.アウレウス19、S.アウレウスA504、S.サプロフィチカスATCC15305、S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネスFF22、S.ピオゲネス71~679、S.ピオゲネスW-1、S.ピオゲネスM17、S.ピオゲネスM57、S.ピオゲネスEMM92、S.ピオゲネスM66、S.ピオゲネスM74、L.ラクティスT-21、S.エピデルミディス11、S.サリバリウス6、S.サリバリウス193、及びS.サリバリウス20P3から選択され、S.サリバリウス株は、K12であり、補充糖類は、ラフィノースである。
【0263】
各種実施形態では、皮膚、口腔、歯、粘膜、及び/又はENTR微生物は、S.コンステラータス種、S.ピオゲネス種、S.ニューモニエ種、S.サリバリウス種、S.ミュータンス種、S.サプロフィチカス種、S.アウレウス種、M.カタラーリス種、L.ラクティス種、H.インフルエンザ種、P.エルギノーザ種から選択され、S.サリバリウス株は、M18であり、補充糖類は、ラフィノースである。
【0264】
各種実施形態では、皮膚、口腔、歯、粘膜、及び/又はENTR微生物は、S.ピオゲネスM76、S.ニューモニエD39、S.ミュータンスOMZ175、S.サプロフィチカスATCC15305、S.アウレウスA222、M.カタラーリスTW1、M.カタラーリスTW2、L.ラクティスT-21、H.インフルエンザTW5、P.エルギノーザI2、S.ピオゲネス71~698、S.ピオゲネスFF22、S.ピオゲネス71~679、S.ピオゲネスW-1、S.ピオゲネスM57、S.ピオゲネスEMM92、S.ピオゲネスM66、S.ピオゲネスM74、S.コンステラータスT-29、S.サリバリウス6、S.サリバリウス193、及びS.サリバリウス20P3から選択され、S.サリバリウス株は、M18であり、補充糖類は、ラフィノースである。
【0265】
各種実施形態では、細菌は、S.ピオゲネス種及びS.ニューモニエ種から選択され、S.サリバリウス株は、M18である。各種実施形態では、細菌は、S.ピオゲネス71-698及びS.ニューモニエD39から選択され、S.サリバリウス株は、M18である。
【0266】
各種実施形態では、微生物は、SARS-CoV2、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、及びRSVから選択されるウイルスである。
【0267】
疾患の予防若しくは処置又は微生物の阻害
一態様では、本発明は、疾患又は障害を処置又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、S.サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む、組成物を投与することを含み、S.サリバリウスが、S.サリバリウスM18、S.サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0268】
一態様では、本発明は、疾患又は障害の処置又は予防のための医薬の製造における、S.サリバリウス及び補充糖類の使用であって、S.サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、S.サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、使用に関する。
【0269】
一態様では、本発明は、S.サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む、疾患又は障害の処置又は予防に使用するための組成物であって、S.サリバリウスが、S.サリバリウスM18、S.サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、組成物を提供する。
【0270】
一態様では、本発明は、S.サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む、組成物であって、S.サリバリウスが、S.サリバリウスM18、S.サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、組成物を提供する。
【0271】
各種実施形態では、組成物又は治療用製剤は、S.サリバリウスの阻害プロファイルを改善し、及び/又はムコイド特性を改善する。
【0272】
各種実施形態では、疾患又は障害は、皮膚、口腔、歯、粘膜、又はENTR病原体によって引き起こされる。
【0273】
各種実施形態では、本疾患又は障害は、中耳炎、咽喉炎、う蝕、急性咽頭炎、扁桃炎、肺炎、COPD、歯周疾患、歯肉炎、口臭、う蝕、敗血症、髄膜炎、膣炎、体臭、ざ瘡、放線菌症、乾癬、紅斑、院内紅斑、SARS-CoV2、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、及びRSV、カンジダ症(口腔カンジダ症)、水虫、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせである。
【0274】
各種実施形態では、疾患又は障害は、病原性細菌によって引き起こされる。各種実施形態では、疾患又は障害は、病原性ストレプトコッカス細菌によって引き起こされる。
【0275】
各種実施形態では、疾患又は障害は、中耳炎、咽喉炎、う蝕、急性咽頭炎、扁桃炎、肺炎、COPD、歯周病、歯肉炎、口臭、う蝕、敗血症、髄膜炎、膣炎、体臭、ざ瘡、放線菌症、乾癬、紅斑、蜂巣炎、膿痂疹、アトピー皮膚炎、菌血症、軟組織感染症、紅班、院内紅班、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせである。
【0276】
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、病原性ウイルスによって引き起こされる。
【0277】
各種実施形態では、疾患又は障害は、SARS-CoV2、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、又はRSVである。
【0278】
各種実施形態では、疾患又は障害は、病原性真菌(例えば、酵母又は皮膚真菌症)によって引き起こされる。
【0279】
各種実施形態では、疾患又は障害は、カンジダ症(口腔カンジダ症)、水虫(足白癬)、又は他の白癬感染症である。
【0280】
各種実施形態では、対象は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ウシ、並びに他の家畜及び農場動物を含む、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象は、非ヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。各種実施形態では、対象は、乳児、小児、又は成人である。
【0281】
一態様では、本発明はまた、ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物を阻害する方法であって、それを必要とする対象に、本発明の組成物又は本発明の治療用製剤を投与することを含む、方法に関する。阻害される微生物は、非病原性微生物、例えば、S.サリバリウス種、S.エピデルミディス種、L.ラクティス種、S.コンステラータス種であり得る。本発明で使用されるS.サリバリウスによる接着及びコロニー形成を促進するために、そのような非病原性微生物サリバリウスの集団を減少させることが望ましい場合がある。
【0282】
原料組成物
凍結乾燥保護剤及び凍結保護剤は、保護機能を有し細胞生存率を維持するために、ブリス産生株を含有する産物(S.サリバリウス含有産物を含む)を含む。凍結乾燥保護剤は乾燥中に保護機能を有し、一方、凍結保護剤は凍結中に保護機能を有する。同じ組成物が両方の機能を有することができ、別段の指定がない限り、これらの用語は本明細書において互換的に使用される。好適な凍結乾燥保護剤又は凍結保護剤は、当業者に公知である。
【0283】
各種実施形態では、凍結乾燥保護剤は、カゼインナトリウム、ペプトン、脱脂粉乳、乳清タンパク質、トレハロース、グリセロール、ベタイン、スクロース、ガラクトース、グルコース、ラクトース、ラクチトール、マンニトール、マルトデキストリン、クエン酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせから選択され得る。
【0284】
各種実施形態では、凍結乾燥保護剤は、トレハロース、ラクチトール、及びマルトデキストリンの混合物であり得る。
【0285】
各種実施形態では、組成物は、乳製品を含まない。各種実施形態では、組成物は、いかなる乳製品由来成分も含まない。各種実施形態では、凍結乾燥保護剤は、スクロース、クエン酸ナトリウム、及びマルトデキストリン又はトレハロースの混合物であり得る。
【0286】
各種実施形態では、組成物は、粉末であり、例えば、凍結乾燥されたS.サリバリウスの粉末と補充糖類の粉末とを混合することによって、又はS.サリバリウスと補充糖類とを共凍結乾燥することによって調製された粉末である。本発明者らは、本明細書で調査した補充糖類が、S.サリバリウスの凍結乾燥原料粉末の安定性に影響を与えないことを見出した(データ未報告)。
【0287】
当業者は、組成物が希釈剤又は流動助剤を含む、他の賦形剤を含んでもよいことを理解するであろう。
【0288】
治療用製剤、例えば、舐剤などにおける原料の使用
組成物は、様々な方法による投与のための治療用製剤に製剤化され得る。「治療用製剤」は、それを必要とする個体の予防的又は治療的処置における使用に適した組成物である。概して、治療用製剤は、S.サリバリウス株及び上述の補充糖類、並びに薬学的に許容される担体、希釈剤、及び/又は賦形剤を含む。
【0289】
一態様では、本発明の組成物は、治療用製剤に製剤化されている。各種実施形態では、組成物又は治療用製剤は、口腔、歯、鼻腔、ENTR、又は局所投与のために製剤化されている。
【0290】
各種実施形態では、治療用製剤は、粉末、舐剤、鼻腔スプレー、鼻腔ゲル、点鼻薬、経口ドロップ、経口ゲル、経口スプレー、吸入可能、エアロゾル、局所用組成物、チュアブル、メルト、フィルム、グミ、練り歯磨き、歯磨きゲル、ワニス、ムース、マウスウォッシュ、食物製品(例えば、ヨーグルト)、クリーム、ゲル、スプレー、デオドラント、美容液、ローション、バーム、モイスチャライザー、ペッサリー又は坐剤である。口腔又はENTRにおいて補充糖類のレベルを維持する、徐放性又は持続放出性製品は、いくつかの実施形態では好ましい。
【0291】
口腔内の補充糖類又はENTRのレベルを維持する、徐放性又は持続放出性製品は、いくつかの実施形態では好ましい。そのような徐放性又は持続放出性製品は、当該技術分野において公知であり、多層錠剤、遅い又は速い溶解の溶融物、フィルム、チューインガム、ゲル、粘膜接着剤、又は口腔接着剤送達系が含まれる。
【0292】
「許容される担体、希釈剤、及び/又は賦形剤」とは、細菌細胞の生存能力又は抽出物の活性と適合性である、S.サリバリウス株又は抽出物の宿主の、表面への送達のためのビヒクルを意味する。生存連鎖球菌株、特にS.サリバリウス菌株及び抽出物の投与における使用に適した許容される担体、希釈剤、及び賦形剤は、当業者に周知であり(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,22nd,Gennaro,ed.,2013,Mack Publishing Co.,Easton,PAを参照されたい)、本明細書に参照により組み込まれる。好適な担体は概して不活性であり、固体又は液体のいずれであってもよい。
【0293】
各種実施形態では、担体は、薬学的に許容される担体である。このような薬学的に許容される担体は、水性又は非水性の溶液、懸濁液、及びエマルジョンであり得る。生存細菌又は凍結乾燥細菌の投与に適した様々な薬学的に許容される担体は、当該技術分野で周知である(例えば、前出のRemington’s;及び医薬組成物LACTINEXae(Hynson、Westcott and Dunning,Baltimore,Md.米国)、生存乳酸桿菌の経口投与のための市販の製剤を参照されたい)。当該技術分野で公知の好適な固体担体としては、例えば、炭酸マグネシウム;ステアリン酸マグネシウム;セルロース;タルク;糖類、例えばマルトース、フルクトース、スクロース、マンニトール、ラクトース、イソマルト、マルトデキストリン、デンプン;小麦粉;オリゴ糖及び脱脂乳、並びに類似の食用粉末が挙げられるが、これらに限定されない。
【0294】
典型的な希釈剤は、例えば、デンプン;ラクトース;マンニトール;カオリン;リン酸カルシウム又は硫酸カルシウム;塩化ナトリウムなどの無機塩;及び粉末の糖又はセルロースである。
【0295】
治療用製剤はまた、賦形剤、例えば、樹脂;充填剤;結合剤;滑沢剤;溶媒;流動促進剤;崩壊剤;防腐剤;緩衝液香味剤;着色剤;甘味料;及び必要に応じて香料を含み得る。
【0296】
典型的な結合剤としては、デンプン;ゼラチン;糖、例えば、乳糖、果糖、ブドウ糖などが挙げられる。天然及び合成ゴム、例えば、アカシア;アルギネート;ローカストビーンガム;メチルセルロース;ポリビニルピロリジン;トラガカントガム;キサンタンガムなどもまた好都合である。ポリエチレングリコール、エチルセルロース、及びワックスも結合剤として働くことができる。
【0297】
製造中にダイへの粘着を防止するための滑沢剤としては、タルク、シリカ、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ステアリン酸及び水素化植物油などの滑りやすい固体が挙げられる。
【0298】
崩壊剤は、湿潤時に膨潤して組成物を壊し、連鎖球菌又は抽出物を放出する物質である。崩壊剤としては、デンプン;粘土;セルロース;アルギン及びガム;より具体的には、トウモロコシ及びジャガイモデンプン;メチルセルロース;寒天;ベントナイト;木材セルロース;カチオン交換樹脂;アルギン酸;グアーガム;柑橘類果肉;カルボキシメチルセルロース;粉末のスポンジ;及びラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0299】
気道への送達のために、組成物はまた、吸入による投与のための形態であり得る。吸入製品は、典型的には、粉末若しくは微粒化粉末形態、又は液体形態である。製品は、吸入器、ネブライザー、アトマイザー、又は任意の他の気道への送達について認められているデバイスを使用して、好都合に投与することができる。吸入可能な製品のための担体は、当該技術分野において周知であり、ラクトース、エリトリトール、ソルビトール、及びシクロデキストリンが含まれる。
【0300】
治療用製剤は、製剤中の細菌の生存率を維持し、有効性を増強するための栄養素を更に含有することができる。組成物において有用な更なる成分は、望ましくない生物よりも望ましい細菌の増殖を選択的に増強する薬剤である。
【0301】
各種実施形態では、治療用製剤は、緩衝剤(リン酸緩衝液、クエン酸)、炭酸カルシウム、マルチビタミン、ミネラル(例えば、亜鉛、ビタミンC及びD)、抗酸化剤(ベリー、例えば、ブラックカラント、ケルセチン、カンゾウ)、フッ化物、キシリトール、酵母抽出物(サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はサッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces Boulardii))、溶解物、抽出物(ビフィドバクテリウム(ビフィズス菌)(Bifidobacterium)、ラクトバチルス(乳酸菌)Lactobacillus))、及び/又はヨーグルト培養物を含む。
【0302】
各種実施形態では、治療用製剤は、組成物の製造又は活性を促進するための他の強化剤を更に含む。各種実施形態では、強化剤は、炭水化物、例えば、Nutriose(登録商標)FB(Roquette Freres、フランス、レストロン)、マルトデキストロース、及びラクツロースなどのオリゴ糖;プレバイオティクス剤;還元剤などの化学物質、例えば、システイン及びメルカプトエタノール;並びにマグネシウムなどの金属のイオンから選択される。
【0303】
治療用製剤はまた、香味剤、着色剤、甘味剤(キシリトール、マルトデキストリン、ラカンカ抽出物、ステビア、アスパルテーム)、味覚マスキング剤(Smoothenol(登録商標))、香料、又は産物の有効性を損なうことなく患者に対する産物の遡及力を高め、及び/又は患者のコンプライアンスを高める他の化合物を含有するように製剤化することができる。吸入投与用の治療用製剤の調製方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,22nd ed.、前掲、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0304】
局所治療用製剤は、保湿剤などの局所用組成物に従来使用されている他の添加剤を含み得る。当業者であれば、添加剤がプロバイオティクスの生存能力及び有効性に適合する必要があることを更に理解するであろう。そのような添加剤は、治療用製剤の治療、化粧、安定性、及び/又は外観特性を提供若しくは改善し得る。好適な添加剤の例としては、限定されるものではないが、担体(例えば、植物油、トリグリセリド、グリセロール、プロピレングリコール、水、生理食塩水)、界面活性剤、分散剤、乳化剤、阻害活性増強剤、緩衝剤、抗菌剤、プレバイオティクス、香料、抗酸化剤、着色剤、皮膚保護剤、抗老化剤(ヒアルロン酸、セラミド、オリーブスクアレン)、抗菌剤、アルミニウム塩、無機顔料、臭気吸収剤若しくは中和剤、又は日焼け止め剤が挙げられる。そのような添加剤は、局所製剤に典型的な量で本発明の治療用製剤中に含まれ得る。生存細菌又は凍結乾燥細菌の局所適用に適した様々な薬学的に許容される添加剤は、当該技術分野で周知である。
【0305】
組成物を徐放性若しくは持続放出性組成物又は治療用製剤に製剤化することが有利であり得る。各種実施形態では、組成物は、徐放性組成物に製剤化される。各種実施形態では、組成物は、S.サリバリウス及び補充糖類の即時放出、並びに更なる補充糖類の徐放を提供する二部型組成物で製剤化される。
【0306】
投与方法
読者は、本発明の組成物及び製剤が、治療目的及び非治療目的の両方のために微生物集団を阻害するための広範なプロトコルに従って投与され得ることを理解するであろう。S.サリバリウスK12及びM18の投与のための当該技術分野で公知の任意のプロトコルが使用され得る。
【0307】
各種実施形態では、治療用製剤は、1日に1回、2回、3回、4回、又は最大12回経口投与される。各種実施形態では、治療用製剤は、舐剤、粉末、溶融物、マウスウォッシュ(うがい薬)、又は練り歯磨きによって経口投与される。口臭の処置には、クロルヘキシジンうがい薬などのうがい薬又は歯ブラシなどの機械的洗浄で前処置することが推奨される。
【0308】
各種実施形態では、治療用製剤は、必要に応じて頻繁に、通常1日1回又は2回、局所的に投与される。各種実施形態では、組成物は、クリーム、美容液、デオドラント、スプレー、又は保湿剤によって局所的に投与される。投与前に、水、石鹸、又は洗浄製剤で皮膚を前処置することが推奨され得る。
【0309】
各種実施形態では、治療用製剤は、必要に応じて、通常はペッサリー又は坐剤によって、1日1回又は2回、直腸又は膣に投与される。
【0310】
各種実施形態では、治療用製剤は、肺経路を介して、例えばネブライザー又は吸入器によって、必要に応じて頻繁に、通常は1日1回又は2回投与される。
【0311】
治療用製剤は、対象の口腔衛生を改善するのに有用である。例えば、国際公開第2001027143号、国際公開第2002070719号、及び国際公開第2005007178号(上記)において特定された状態のいずれかを予防又は処置することによるものであり、これらは全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。S.サリバリウスM18はまた、歯垢を減少させ、口腔の健康状態及び口腔細菌フローラを支え、う蝕を減少させ、虫歯を予防し、歯肉炎を処置及び予防し、歯周炎を処置及び予防するのに役立つことが知られている(Burton,J.P.,et al.,2013 J.Med.Microbiol.62,875-884;Burton,J.P.et al.,2013,2013,PLoS ONE 8;Di Pierro,et al.2015.Clin Cosmet Investig Dent.;7:107-13;L Scariya,D.V.N.,M Varghese,2015.Int.J.Pharma Bio Sci.6,242-250)。
【0312】
成分を製造する方法
一態様では、本発明は、S.サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む、組成物を製造する方法であって、
(a)S.サリバリウスを補充糖類と組み合わせることと、
(b)混合して均質なブレンドを製造することとを含み、
S.サリバリウスが、S.サリバリウスM18、S.サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0313】
各種実施形態では、ストレプトコッカス・サリバリウスは、粉末の形態である。各種実施形態では、糖類は、粉末、例えば凍結乾燥粉末の形態である。各種実施形態では、粉末は、S.サリバリウス及び上述したような凍結乾燥保護剤を含む原料粉末である。
【0314】
各種実施形態では、混合は、ブレンダー内で行われる。各種実施形態では、製品は、次にパッケージングされる。
【0315】
各種実施形態では、賦形剤が、添加される。
【0316】
各種実施形態では、組成物中のS.サリバリウスの阻害プロファイルが改善される。
【0317】
各種実施形態では、組成物は、上記で参照した疾患及び障害を含む、疾患又は障害の処置又は予防に使用するためのものである。
【0318】
各種実施形態では、組成物は、ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物集団の阻害において使用するためのものである。
【0319】
一態様では、本発明は、疾患又は障害の処置又は予防のための、本発明の方法によって製造された組成物の使用に関する。
【0320】
一態様では、本発明は、ブリス産生S.サリバリウスに感受性の微生物集団を阻害するための、本発明の方法によって製造された組成物の使用に関する。
【0321】
製剤を製造する方法
一態様では、本発明は、S.サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む、組成物を含む治療用製剤を製造する方法であって、
a)賦形剤を混合することと、
b)本発明のS.サリバリウス及び補充糖類を含む、組成物を添加することと、
c)ブレンドして、治療用製剤を提供することとを含み、
ストレプトコッカス・サリバリウスが、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、S.サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0322】
本方法は、治療用製剤を提供するための更なる処理工程を含み得る。当業者は、投与経路及び均質化などのブレンド方法に応じて必要な賦形剤を理解するであろう。
【0323】
各種実施形態では、本発明は、S.サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む、組成物を含む口腔舐剤を製造する方法であって、
a)担体、錠剤化助剤(例えば、結合剤、滑沢剤)、及び香味剤を混合することと、
b)本発明のS.サリバリウス及び補充糖類を含む、組成物を添加することと、
c)混合物をブレンドすることと、
d)混合物を舐剤化して、舐剤を提供することとを含み、
S.サリバリウスが、S.サリバリウスM18、S.サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0324】
本発明者らは、本明細書で調査した補充糖類が舐剤中のS.サリバリウスの安定性に影響を及ぼさないと判定した(データ未報告)。
【0325】
各種実施形態では、本発明は、S.サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む、組成物を含む経口粉末を製造する方法であって、
a)担体、錠剤化助剤(例えば、結合剤、滑沢剤)、及び香味剤を混合することと、
b)本発明のS.サリバリウス及び補充糖類を含む、組成物を添加することと、
c)混合物をブレンドして、経口粉末を提供することとを含み、
S.サリバリウスが、S.サリバリウスM18、S.サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0326】
各種実施形態では、本発明は、S.サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む、組成物を含む局所用組成物を製造する方法であって、
a)油ビヒクルと分散剤とを混合することと、
b)本発明のS.サリバリウス及び補充糖類を含む、組成物を添加することと、
c)混合物を均質化して、局所用組成物を提供することとを含み、
S.サリバリウスが、S.サリバリウスM18、S.サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0327】
各種実施形態では、本発明は、ストレプトコッカス・サリバリウス及び有効量の補充糖類を含む、組成物を含むペッサリー又は坐剤を製造する方法であって、
a)固体脂質を他の賦形剤と混合することと、
b)本発明のS.サリバリウス及び補充糖類を含む、組成物を添加することと、
c)混合物を均質化して、ペッサリー又は坐剤を提供することとを含み、
S.サリバリウスが、S.サリバリウスM18、S.サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0328】
各種実施形態では、本発明は、S.サリバリウスと、有効量の補充糖類とを含む、肺投与用の製剤を製造する方法であって、
a)任意選択で、乾燥粉末担体を他の賦形剤と混合することと、
b)本発明のS.サリバリウス及び補充糖類を含む、組成物を添加することと、
c)混合して、肺投与用の製剤を提供することとを含み、
S.サリバリウスが、S.サリバリウスM18、S.サリバリウスK12、又はそれらの組み合わせであり、
補充糖類が、ガラクトース若しくはラフィノース、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
【0329】
以下の非限定的な実施例は、本発明を説明するために提供されるものであり、決してその範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0330】
材料
以下の培養培地及び糖類は全て、ニュージーランドのFort Richard Laboratoriesによって供給された:CABK12寒天プレート;コロンビア血液寒天ベース(CAB)ボトル;0.5%(w/v)CaCO3(CABCa)を含むコロンビア寒天ベース;0.1%CaCO3及び5%v/vヒツジ血液を補充したコロンビア寒天ベース(sBaCa);ヘモフィルス寒天プレートミティス・サリヴァリウス寒天;D-ガラクトース-BD Difco;トッド・ヒューイットブロス(Todd Hewitt Broth:THB)-BD Difco(製造業者の説明書に従って使用);M17 Broth-BD Difco(製造者の説明書に従って使用したが、糖類は添加しなかった)。
【0331】
以下の材料は全て、Lab Supply Ltd、ニュージーランドによって供給された:炭酸カルシウム(CaCO3)-PanReac Applichem;D-(+)グルコース-一水和物-Applichem;エタノール(96%ARグレード)-70%溶液を作製するために使用前に水で希釈;D(+)-グルコース一水和物-Applichem、クロロホルム(Emsure,ACS,ISO,Reag.Ph Eur)-Merck。分子生物学用水(ヌクレアーゼを含まない)-AppliChem、10×Tris-酢酸-EDTA(TAE)緩衝液-Applichem;塩酸(HCl);
【0332】
D-(+)ラフィノース五水和物;D-(-)フルクトース(両方ともSigma、ニュージーランド製);
【0333】
クロロホルム(Emsure,ACS,ISO,Reag.Ph Eur)-Supelco(Sigma Aldrich、ニュージーランド)。
【0334】
以下の材料は全てニュージーランドのThermo Fisher Scientificによって供給された:PureLink RNA Mini Kit;TRIzol試薬;Phasemakerチューブ;RNaseZap;TURBO DNA-freeキット;SuperScript IV VILO;PowerTrack SYBR Green master Mix;10,000×SYBR safe DNAゲル染色;MicroAmp Optical 384ウェル反応プレート;MicroAmp光学接着フィルム及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)-Oxoid
【表2】
【0335】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)-ダルベッコA-Oxoid(Thermo Fisher Scientific,ニュージーランドによって供給され、製造業者の説明書に従って使用される)。AnaeroGenサッシェ-Oxoid-Thermo Fisher Scientific、ニュージーランドによって供給。
【0336】
Promega GoTaq G2 Hot start Green Master mix、Invitro Technologies、ニュージーランドによって供給。
【0337】
Maestrogen AccuRuler 1 kb DNA RTUラダー、Mediray、ニュージーランドによって供給。
【0338】
Similac 360 Total Care乳児用調整乳(Abbott Global、米国)を、www.Amazon.comを介して購入した。全乳粉末(Anchor Blue(商標)粉乳、Anchor、ニュージーランド);
【0339】
S.サリバリウス株K12及びM18-Blis Technologies Ltd、ニュージーランドから供給され、Deutsche Sammlung von Mikroorganism und Zellkulturen(DSM)から入手可能;K12原料製品(トレハロース/ラクチトール/マルトデキストリンを含むK12粉末)、M18原料製品(トレハロース/ラクチトール/マルトデキストリンを含むM18粉末);K12及びM18乳製品を含まない原料製品(スクロース、クエン酸ナトリウム、及びマルトデキストリン凍結乾燥保護剤を含む粉末);K12含有市販粉末製剤、Daily Defence Junior(DDJ)(組成:S.サリバリウスK12、イソマルト、マルトデキストリン、バニラ香料)、K12含有市販舐剤製剤(Throat Guard Pro)(組成:S.サリバリウスK12、イソマルト、錠剤化助剤、天然香料)-全てBlis Technologies Ltd、ニュージーランド製);S.サプロフィチカスATCC15305、S.ミュータンスNCTC10449(ATCC25175);S.ミュータンスUA159(ATCC700610);S.コーニー(ATCC29974);S.シムランス(ATCC27848);C.アクネス6919;F.ヌクレアタムATCC25586;P.ジンジバリスATCC33277;P.ジンジバリスATCC53978;P.インターメディアATCC25611;S.サリバリウス(ATCC13419、ATCC25923、及びATCC7073);S.ソブリヌスATCC27351、S.アガラクティエATCC12386、A.ビスコサスATCC15987、C.アウリスATCC51966-全てAmerican Type Culture Collection(ATCC)から入手可能;M.カタラーリスTW1及びTW2;L.ラクティスT-21;S.ピオゲネスM76;P.エルギノーザI2;H.インフルエンザTW5;S.アウレウスA222;S.ミュータンスOMZ175;S.ニューモニエD39;S.ピオゲネス71-698;S.コンステラータスT-29;S.ピオゲネスFF22;S.ピオゲネスW-1;S.ピオゲネスM17;S.ピオゲネスM57;S.ピオゲネスEMM92;S.ピオゲネスM66;S.ピオゲネスM74;S.ピオゲネスH13;S.ピオゲネスK26;S.ピオゲネスWS02、S.ディスガラクティアエBris 2;S.ディスガラクティアエT277;S.ニューモニエRX1;S.ニューモニエPK8;S.ミュータンスD10;S.ミュータンスFW75;A.ビスコサスT14;S.サングイニスK11;S.アウレウス20;S.アウレウス19;S.アウレウス14;F.ヌクレアタムFH2;F.ヌクレアタムFH3;S.サリバリウスCN3410;34A;K14;H29;S.ピオゲネスK7;S.ディスガラクティアエT-148;S.アウレウス19-全て発注してBlis Technologies Ltdから入手可能;S.ソブリヌスOMZ176(CCUG21020)-Culture Collection University of Gothenburg(CCUG)から入手可能;S.ピオゲネス71-679-Lewis Wannamakerから贈与された標準。
【0340】
方法1-固体培養培地の調製
炭酸カルシウム(CaCO3)を、緩衝剤として調製中に全ての固体培養培地(CAB)に添加した。CaCO3は、全ての調製された培養培地中に0.5%(w/v)濃度(CABCa)で存在した。
【0341】
180mL容量のコロンビア寒天ベース(CAB)寒天の既製ボトルを、Fort Richard Laboratories、ニュージーランドに注文した。追加の成分をこれらの180mLボトルに添加した。炭水化物をCAB寒天の別々のボトルに0.1%、0.5%、1.0%、1.5%、及び2.0%(w/v)濃度で添加した。以下の式を使用して、その成分の所望の濃度を達成するために添加する炭水化物(及びCaCO-3)の量を決定した。
【0342】
【0343】
例えば、既製のFort Richard寒天ボトルの1つを使用して、CaCO3及び0.5%(w/v)濃度のガラクトースを含むCAB寒天ベースを得るために、以下の式が使用される。
【0344】
【0345】
正確な方法を使用して、培養培地の無菌性を確保し、また正確な量の任意の添加成分が培養培地に正確に組み込まれることを確保した。成分をきれいなスプーン/スパチュラを用いてそれらの容器から取り出し、きれいな秤量ボートにて天秤上で秤量し、これをミリグラム単位まで測定した。成分を秤量してから、それらをきれいな30ml容器に入れ、標識し、密封した。既製のCAB寒天は、Fort Richardから到着したときに固体であり、したがって、幅約3cm、深さ3cmのクレータを、滅菌メスを使用して寒天に切り込んで、成分を注ぐための空間を作る必要がある。この後、成分をクレータに注入し、1mlの滅菌蒸留水を上部に分注して、成分を寒天に部分的に浸漬した。次いで、空洞を作製するために切り取られた寒天を、クレータ内に戻し、磁気撹拌子をボトルに入れた。次いで、ボトルを110℃で10分間オートクレーブ処理した。ボトルを、50℃に設定した水浴中に保存した。滅菌ペトリ皿に適切な情報(日付、プレートの内容物、及び添加成分)を標識し、蓋を外したクラスII生物学的安全フードに入れた。寒天をペトリ皿に注ぐ前に、磁気撹拌子を用いて内容物を1~2分間徹底的に撹拌した。更なる滅菌手段として、生物学的安全キャビネット内でブンゼン炎を点火し、ボトルの内容物をペトリ皿に注いだ。注入の間に何らかの気泡が現れた場合、ブンゼン炎を用いてそれらを弾いた。寒天を5~10分間放置して凝固させた。1つのプレートを「陰性対照」と標識し、インキュベータに一晩入れて、寒天調製中に混入が起こらないことを確保した。
【0346】
方法2-繰延アンタゴニズムアッセイ
1~2個の産生株コロニーを、新しい綿棒を用いてストックプレートから900μLの懸濁溶液に移した。この後、懸濁液をボルテックスし、新しい綿棒を用いて試料を固体培養培地上に接種した。接種は、1.5cm幅のストリップで寒天プレートを直径方向に横切るストリークであった。次いで、プレートをインキュベートした。インキュベーション後、全ての目に見えるコロニーを寒天表面から拭き取ることによって除去した。次いで、2mlのクロロホルムを4cm×4cmの布片上に分配し、逆さにした寒天プレートを上に30分間密封することによって、プレートをクロロホルムで処置した。次いで、プレートをクロロホルム処置した後、30分間風乾した。次いで、1~2個の指標株コロニーをストックプレートから相補的懸濁溶液に移した。次いで、懸濁液をボルテックスし、試料を同じ寒天表面に接種した。これらの試料を、初期の産生株ストリークに対して垂直方向にストリークした。
【0347】
各指標ストリークは、目的の指標株を含有する対応するストックプレートからの細胞を含有する新しい懸濁液を用いて調製した。新しい綿棒を使用して、指標株懸濁液試料を移した。結果は、指標株コロニー増殖の阻害領域(ZOI)のその後の(存在する場合)サイズを定性的に検討することによって測定した。陽性結果は、培養培地上の指標コロニー増殖の顕著な減少又は完全な阻害が存在する場合である。陰性結果は、指標株コロニー密度の減少の徴候がない場合である。
【0348】
方法3-用量応答アッセイ
様々な濃度の糖類を含有するCABCa寒天プレートを、方法1に記載の方法に従って調製した。産生株を、新しい綿棒を使用してストック寒天プレートから900μLのTHBに移した。プラスチック製スプレッドプレータを約1.2cm幅に切断し、次いでエタノール中に浸漬し、風乾するに任せて無菌性を確保した。次いで、産生株懸濁液の100μL試料を、寒天表面上に、寒天表面を直径方向に横切る直線で、(約)20μLスポットで分注した。スポットは互いに約1.5cm離して配置した。次いで、プラスチックスプレッダを使用して、スポットを1.5cm幅のストリップで寒天表面にわたって均一に分布させた。この工程は、均一な産生株ストリークが寒天表面上に接種されることを確保するために行われ、初期接種物濃度のおおよその尺度を提供した。別個のプラスチックスプレッダを、異なる産生株を含有する試料に使用した。寒天表面上に残っている目に見える液体がなくなるまで(約20分間)、試料を寒天表面に浸したままにした。産生株ストリークの調製後、方法2に従って繰延アンタゴニズムアッセイプロトコルに従った。阻害領域(ZOI)のサイズをmm単位で測定することによって、結果を記録した。
【0349】
実施例1:K12によるENTR微生物の拮抗作用
本実施例は、K12及び補充糖類によるENTR微生物の拮抗作用(アンタゴニズム)の誘導を示す。
【0350】
0.1%、1.0%、1.5%、及び2.0%(w/v)濃度のガラクトース及びラフィノースを含有するCABCa寒天プレート上に培養したBLIS K12(商標)を、方法3に概説したプロトコルに従って、繰延アンタゴニズムアッセイによってそれらの抗微生物活性について試験した。
図1及び
図2に提示される結果は、耳、鼻、及び喉(ENT)微生物指標株の阻害領域サイズの変化を示す。K12を様々な濃度のガラクトースの存在下で培養した場合、いくつかのENTR指標株についてのZOIサイズは、対照条件から顕著に増加した(
図1)。M.カタラーリスTW1及びTW2は、様々な濃度のガラクトースにわたってZOIサイズの同様の変化を示す。次いで、TW1のZOIサイズの変化は、1.5%ガラクトース(w/v)でピークに達し(12mm)、次いで2.0%ガラクトース(w/v)で減少する一方、TW2のZOIサイズの変化は、2.0%ガラクトース(w/v)でピークに達する(11mm)。L.ラクティスT-21のZOIサイズの変化は、培養培地中に存在するガラクトースの濃度に関連して上向きになる傾向がある。
【0351】
S.ピオゲネスM57のZOIサイズは、ガラクトースの0.1%、1.0%、及び1.5%(w/v)濃度で対照条件から増加する。M76のZOIサイズの変化は、ガラクトースの1.5%~2.0%濃度の間でレベル(11mm)が維持される。(平均して)最大のZOI変化を生じるガラクトースの濃度は、2.0%(w/v)である(2%ガラクトースでの平均ZOI変化=9.5mm)。
【0352】
繰延アンタゴニズムアッセイ中に様々な濃度のラフィノースを組み込んだCABCa上でK12を培養した場合、いくつかのENT微生物指標株について、対照条件(炭水化物なし)からのZOIサイズの変化が示された(
図2)。対照条件から0.1%ラフィノース(w/v)までのL.ラクティスのZOIサイズの変化は)は15mmであった。この大きな増加の後に、1.0%ラフィノース(w/v)で16mmへの増加が続き(有意により大きな阻害を示す)、次いで、ZOIサイズは、横ばいになり、最終的に2.0%ラフィノース(w/v)で減少する。H.インフルエンザTW5及びS.ピオゲネスM76についてのZOIサイズの変化はまた、1.5%ラフィノース(w/v)でピークに達し、それぞれ12mm及び13mmであった。TW5のZOIサイズは実際に、2%ラフィノース(w/v)で対照条件と同じ(0mm)に戻った。M.カタラーリスTW1及びTW2のZOIサイズは、条件間で非常に類似して変化した(
図2)。各株についてのZOIサイズの変化は、本発明者らの試験範囲の終わりにピークに達した(2.0%(w/v)(13mm)。(平均で)最大のZOIサイズ変化を生じたガラクトースの濃度は、1.5%ラフィノース(w/v)条件であった(1.5%ラフィノースでの平均ZOI変化=10.33mm)。
【0353】
実施例2:M18によるENTR微生物の拮抗作用
本実施例は、M18及び補充糖類によるENTR微生物の拮抗作用の誘導を示す。
【0354】
0.1%、1.0%、1.5%、及び2.0%(w/v)濃度のガラクトース及びラフィノースを含有するCABCa寒天プレート上に培養したBLIS M18(商標)を、方法3に概説したプロトコルに従って繰延アンタゴニズムアッセイを行うことにより、それらの抗菌活性について試験した。
図3及び
図4に提示される結果は、耳、鼻、及び喉(ENT)微生物指標株の阻害領域サイズの変化を示す。
【0355】
M18を、様々な濃度のガラクトースを組み込んだCABCa上で培養した場合、繰延アンタゴニズムアッセイ中にいくつかのENTR微生物指標株についてZOIサイズのその後の変化があった(
図3)。M.カタラーリス株TW1及びTW2は両方とも、ガラクトースが1.0%及び1.5%(w/v)濃度対対照条件で培養培地に組み込まれた場合に、それぞれの阻害領域の増加を示した(12→23mm及び13→23mm)。L.ラクティス及びS.ピオゲネスM76の阻害領域は両方とも、ガラクトースが1.5%(w/v)濃度で存在した場合に最大であった(それぞれ9mm及び14mm)。これらは、それらの対照条件ZOIサイズからの顕著な差であった。全ての感受性ENTR指標株は、ガラクトースが2.0%(w/v)濃度で存在する場合、1.5%(w/v)濃度条件と比較して、ZOIサイズの減少を示した。平均して最大のZOI変化を生じた条件は、1.5%ガラクトース(w/v)条件であった。1.5%ガラクトースでの平均ZOI変化=11.5mm。
【0356】
M18を、様々な濃度のラフィノースを組み込んだCABCa寒天上で培養した場合、ガラクトース条件下でZOIサイズにおいて観察されたものと非常に類似したパターンが現れた。しかしながら、ラフィノース条件では、より多くのENTR指標株がいくらかの阻害を示し、ZOIサイズ(平均)はガラクトース条件下の対応するZOIサイズよりも大きかった。M.カタラーリス株TW1及びTW2の阻害領域は、ラフィノースが1.5%(w/v)濃度で存在した場合に、対照条件からのサイズの最大変化を示した((それぞれ31mm)。ガラクトース条件で観察された傾向に反して、L.ラクティスのZOIサイズは、0.1%(w/v)ラフィノース条件で最大であった(20mm)。P.エルギノーザI2のZOIサイズは、ZOI=幅10mmの1.5%(w/v)濃度を除いて、ラフィノース条件のいずれにわたっても対照条件から変化しなかった。H.インフルエンザTW5のZOIサイズは、1.5%(w/v)ラフィノース条件で最大であった(26mm)。ここでもまた、全ての感受性ENTR指標株のZOIサイズは、ラフィノースが2.0%(w/v)濃度で培養培地に組み込まれた場合、幅の顕著な減少を示した(
図4)。平均して最大のZOI変化を生じた条件は、1.5%ラフィノース(w/v)条件であった。1.5%ラフィノースでの平均ZOI変化=22.16mm。
【0357】
同じ実験をK12-/-(バクテリオシンをコードするメガプラスミドを有していない株)で行った場合、ENTR指標株のいずれについても阻害領域は形成されなかった。
【0358】
実施例3:トリミックス(3つの糖類の等モル濃度の混合物)及び個々の糖類と比較したラフィノースの活性
本実施例は、K12及びM18の刺激効果がラフィノースによるものであり、その個々の構成成分の1つ又は全ての等モル量によるものではないこと、すなわち、ラフィノースが、効果を有する個々の構成成分に代謝されていないことを示す。これに加えて、阻害効果の変化に影響を及ぼし得たアッセイ設計からのpHの任意の変化の効果を評価した。
【0359】
1.2cmのストリークを使用したことを除いて、上記の方法3に従って用量応答アッセイを行った。
【0360】
図5~
図7は、皮膚、歯、ENTR、病原体に対するBLIS K12又はM18+ラフィノース、トリミックス及び個々の糖類の増強された有効性を強調表示している。
【0361】
結論:等モル濃度のラフィノース対トリミックス糖類及び個々の糖類の比較評価は、ラフィノースの存在下で、K12が、3つのモノマー糖類の等価な組成物と比較して、皮膚、歯、ENTRに関連する微生物に対してより良好な阻害活性を有することを示した。この効果は、pHの低下による阻害効果ではなく、抗菌分子(バクテリオシン又は非リボソームペプチドなど)の産生の増強によって媒介されると思われる。
【0362】
実施例4:トリミックス(等重量%濃度の3つの糖類の混合物)及び個々の糖類と比較したラフィノースの活性
本実施例は、K12及びM18の刺激効果がラフィノース及び等重量%量のその個々の糖類の1つ又は全てによること、すなわち、ラフィノースがこの効果を有する個々の糖類に代謝されないことを示す。
【0363】
1.2cmストリークを使用したことを除いて、上記の方法3に従って用量応答アッセイを行った。個々の糖類試験について、産生株ストリークのpHを、産生株の増殖後に調節して、酸性条件を変化させた。
【0364】
トリミックス又は個々の糖類のいずれかとしての等重量%量の糖類を超えるラフィノースを含むK12又はM18+(%w/v)の有効性の増強が、皮膚、歯、下気道疾患由来の代表的な微生物、並びに他のS.サリバリウスに対して見られた(
図8~
図13)活性をベースライン対照に対して正規化する。
【0365】
実施例5:ラフィノースは、酸産生よりもむしろK12及びM18の抗菌(例えば、バクテリオシン又は非リボソームペプチド)活性を促進する。
本実施例は、これらの微生物のより大きな阻害の刺激が、抗菌分子(バクテリオシン又は非リボソームペプチド)の産生の増加によるものであり、より酸性の(したがって、潜在的に阻害性の)環境へのpHの関連する低下によるものではないことを示す。
【0366】
方法:細菌試験株を、炭酸カルシウムを含まないColumbia寒天ベースと同等の寒天上で、pH4.5~pH7の範囲の様々なpHで増殖する能力について評価した。細菌試験株を、トッド・ヒューイットブロス又は株のための適切な増殖培地のいずれかに懸濁した後、様々なpHで、試験プレートにわたって拭き取った。次いで、これらのプレートを37℃、5%CO2でインキュベートし、各試験株の細菌増殖を18時間及び24時間でモニターした。
【0367】
結果:24時間で、試験した全ての株はpH7で増殖したが、pHが低下するにつれて、増殖することができる株の数は減少した(表1)。9株のうち3株のみが、pH5.25以下で増殖した。これは、トリミックス又は個々の糖類を補充したCABCa上で増殖させたK12又はM18のいずれかによる酸の産生が、試験されている株の増殖を減少させるか、又は完全に阻害し得ることを示す。
【表3】
【0368】
ラフィノースはpHの有意な低下(>5.25)を誘導しなかったが、K12が阻害活性を生じるように誘導するようになることに留意されたい。ラフィノースの存在下で観察されたK12の阻害活性は、pH効果ではなく、抗菌活性によるものである。
【0369】
実施例6:トリミックス(等重量%濃度の3つの糖類の混合物)及び個々の糖類と比較した、K12又はM18によるラフィノースの活性
この実験は、K12の阻害範囲が、典型的にはK12によって阻害されない、種及び株に拡張されたことが見出されたことを示す(表2及び表3)。K12は、皮膚微生物に対して特異的にラフィノースによって誘導され、膿痂疹、アトピー性皮膚炎などの皮膚適応症に対するK12の潜在的な利益を強調している。
【0370】
使用した方法は実施例4と同じであった。
【0371】
結果:以下の表2は、どの種/株が、ラフィノースと共にインキュベートされたK12由来の阻害分子(例えば、バクテリオシン)に対して感受性になったかを強調する(表2)。例えば2.5%のラフィノースを検討すると、等%(0.83%、3つの糖類の各々)を含有する。M18についても同様の結果が得られた。
【表4】
【0372】
以下の表3に示されるこの効果は、指定%のラフィノース及び等価なトリミックス(質量%による)又は個々の糖類で見られた。
【表5】
【0373】
ラフィノースの存在下でのK12又はM18は、等モル又は等重量%濃度のトリミックス糖類又は糖類単独と比較した場合、増強された効力を示した。
【0374】
ラフィノースの阻害活性は、単純な糖類の代謝による酸産生ではなく、又はそれに加えて、バクテリオシンを産生するK12又はM18の誘導に起因する(口腔における酸産生は、う蝕を引き起こし、S.ミュータンスなどの耐酸性細菌に安全な適所を提供し得る)。
【0375】
選択的用量関連阻害効果がラフィノースで観察され、このことは、一般的な糖類単独又は組み合わせでの包括的なプレバイオティクス効果ではなく、ラフィノースの特定の用量レベルが、利益を達成するために必要とされることを示唆する。
【0376】
具体的な観察:
・指標株S.アウレウスA222は、1.25、2.5、5、及び10%w/vラフィノースがK12に添加されると、K12に非感受性から感受性に変化した。
・指標株S.ミュータンスOMZ175及びS.サプロフィチカスATCC15305は、2.5、5、及び10%w/vラフィノースが添加されると、K12に非感受性から感受性に変化した。
・指標株S.ミュータンスOMZ175は、0.5、1.25、2.5、及び5%w/vのラフィノースが添加されると、M18に非感受性から感受性に変化した。
・指標株S.コンステラータスT-29、S.アウレウスA222、及びS.サプロフィチカスATCC15305は、1.25、2.5、5%w/vラフィノースが添加されると、M18に対して非感受性から感受性に変化した。
【0377】
K12による阻害の増加が、以下について見られた。
・0.5~10%w/vのラフィノースを含むS.コンステラータスT-29
・0.5~10%w/vのラフィノースを含むS.ピオゲネス
・0.5~10%w/vのラフィノースを含むS.ニューモニエ
【0378】
M18による阻害の増加が、以下について見られた。
・0.5~10%w/vのラフィノースを含むS.ピオゲネス
・0.5~10%w/vのラフィノースを含むS.ニューモニエ
【0379】
実施例7A:K12又はM18の阻害活性を誘導するラフィノース濃度の効果
本実施例は、増強された阻害効果についてのラフィノースの濃度の効果を示す。1.7、2.5、3.3、5、及び10%のラフィノース濃度を以下の表4~表7で比較した。
【0380】
表中の空白は、試験の混入物により結果が得られなかった場所である。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0381】
1.7、2.5、3.3、及び5%のラフィノース濃度は全て、試験した指標株の少なくとも7つを阻害することができた。
【0382】
指標株M.カタラーリスの阻害は表6で見られたが、寒天のpHが産生株の増殖後に再調整された表7では見られず、このことから、阻害が産生株による酸の産生によるものであったことが示唆されている。
【0383】
指標株のほとんどについて、阻害の最大領域は、2.5%ラフィノースを補充した寒天プレート上で測定された。
【0384】
実施例7B:ガラクトース、ガラクトース/ラフィノースの組み合わせの濃度の効果
目的:K12及びM18の阻害活性を誘導するガラクトースの濃度の効果を判定すること。
【0385】
方法:0.5%(w/v)炭酸カルシウムをボトル内の固体CAB寒天に添加することによって、0.5、1.25、1.7、2.5、3.3、及び5%ガラクトースを含む又は含まないCABCa寒天プレートを調製し、次いで110℃で10分間オートクレーブ処理することによって融解した。冷却後、濾過滅菌した糖類溶液又は蒸留水を添加して混合し、次いで20mlをペトリ皿にピペットで移した。
【0386】
トッド・ヒューイットブロス(Todd Hewitt broth:THB)中に懸濁させたK12又はM18原料を使用して、繰延アンタゴニズムアッセイを実施した。これを、約1~2×106cfuを含有する1.2cmのストリークとして、CABCa対照又はCABCaガラクトース補充試験プレートの中央に広げた。37℃、5%CO2で18時間増殖させた後、細菌増殖物を除去し、初期のストリーク中の寒天のpHを測定し、0.5M炭酸ナトリウムpH11を使用してpH6.5~7.5に調整した後、クロロホルム蒸気を使用して寒天表面を滅菌した。細菌試験株をTHB中に懸濁させた後、初期のストリークに対して垂直にプレートを横切って拭き取った。プレートを37℃、5%CO2で更に18時間インキュベートした後、各試験株について任意の阻害領域を測定した(mm)。
【0387】
結果及び結論:驚くべきことに、0.5%w/wのガラクトースの濃度でのみ、Blis K12及びBlis M18は、ENTR及び皮膚感染に関与する病原体に対して、増強された阻害活性(効力)及び範囲(病原性株の数)の活性を示した(表8)。これにより、ガラクトースの単なる存在だけでは十分ではあり得ないが、阻害活性を誘導するためには特定の濃度のガラクトースが必要であると結論付けることができる。
【表10】
nr=混入により結果なし
【0388】
実施例7C:K12又はM18の阻害活性を誘導するラフィノース及びガラクトースの組み合わせの濃度の効果
この実験は、K12及びM18の阻害活性を誘導するラフィノース及びガラクトースの組み合わせの濃度の効果を判定することを目的とした。
【0389】
方法:CABCa寒天プレートを、ラフィノース及びガラクトースの以下の組み合わせを用いて又は用いずに調製したことを除いて、実施例7Bと同様。
【表11】
【0390】
結果:表9に示されるように、様々な病原体に対する活性が、ラフィノース及びガラクトースの重量%の様々な組み合わせについて観察された。
【表12】
実施例8:トリミックス(3つの糖類の等重量%濃度の混合物)及び個々の糖類と比較した、K12又はM18によるラフィノース(2.5%)の活性
この実験は、K12又はM18の阻害範囲が、典型的にはK12又はM18によって阻害されない、種及び株に拡張されることが見出されたことを示す。ラフィノースのこの濃度は、いくつかのENTR、歯、及び皮膚病原体及びS.サリバリウス株を阻害することが見出された。
【0391】
使用した方法は実施例4と同じであった。
【0392】
結果:
図14~
図23は、ENTR、歯、及び皮膚病原体、並びにバクテリオシン産生S.サリバリウスK12又はM18に感受性の他のS.サリバリウス株に対するK12又はM18の阻害効果を示す。
【0393】
実施例9:ラフィノースは、K12及びM18が異なる発酵プロセスから供給され、異なる凍結乾燥保護剤混合物を含有する場合、すなわち、乳製品を含まない場合、K12及びM18の阻害活性を促進する
この実験は、ラフィノースが、成分供給業者におけるK12の供給源、並びにK12又はM18を収容する異なる凍結乾燥保護剤マトリックスと無関係に、K12及びM18の阻害効果を増強することを示す。
【0394】
使用した方法は実施例4に記載されている。産生株ストリークのpHを、産生株の増殖後に調整して、全ての試験プレートについて酸性条件を変更した。
【0395】
トリミックス又は個々の糖類のいずれかとして等重量%の糖類を超える、2.5%w/wラフィノースを有し乳製品を含まないK12の増強された阻害作用が、皮膚、歯、口腔、ENTR疾患由来の代表的な微生物及び他のS.サリバリウス株に対して見られた(
図24~
図25)活性をベースライン対照に対して正規化する。
【0396】
結論:K12又はM18と同様に、乳製品を含まないK12又はM18もまた、ラフィノース及びガラクトースの存在下で様々な微生物に対して増強された阻害活性を示した。比較すると、トリミックス又は他の糖類は、同様の阻害効果を示さなかった。
【0397】
実施例10A:K12の増殖及び阻害活性の誘導に対するラフィノース及びガラクトースの効果
本実施例は、ラフィノース及びガラクトースがK12のより大きな細胞数に寄与しないが、それでもなお抗菌効果を増強することを示す。
【0398】
方法:増殖曲線は、M17ブロス(対照)[BD Difco#218561]、又は2.5%ラフィノース[D-(+)-ラフィノース五水和物-Sigma#R0250]、2.5%トリミックス、0.83%若しくは2.5%ガラクトース[D-ガラクトース-BD Difco#216310]、0.83%若しくは2.5%グルコース[D(+)-グルコース-一水和物-Applichem#A3617]、又は0.83%若しくは2.5%フルクトース[D(-)フルクトース-Sigma#F3510](全てw/v)のいずれかを補充したM17ブロス(試験)中の1×105CFU/mlの出発培養物としてK12原料を使用して導かれた。次いで、ブロス培養物を、空気中37℃、5%CO2でインキュベートし、次の0、6、及び18時間の時点で試料を採取し、分光光度計(600nmの光学濃度(OD))を使用して細胞数及び光学濃度について分析した。細胞数を決定するために、培養試料の1:10連続希釈物をリン酸緩衝生理食塩水(PBS Dulbecco A-Oxoid#BR0014G)中で調製し、次いで各希釈物の20μlスポットをCABK12寒天プレート上に3連でスポットした。次いで、これらを空気中37℃、5%CO2で18時間インキュベートした。次いで、異なる時点での各培養試料についての細胞数を、1:10希釈物の各々で増殖したコロニーの数から計算した。
【0399】
結果:
・全ての糖類の組み合わせは、K12について同様の細胞数をもたらし、したがって、それらは、最も高い細胞数を与えたグルコースを除いて、いかなる実質的な差異ももたらさなかった(
図26)。
・しかし、これにもかかわらず、グルコースは、いかなるより高い阻害活性ももたらさなかった(異化産物抑制による可能性が高い)。
・驚くべきことに、ラフィノース及びガラクトースの存在下で増殖させたK12は、S.ピオゲネス株(
図27)又は他の病原体(
図28)に対するより高い阻害活性を示す。
・トリミックス又は別々に供給された個々の糖類のラフィノースは、対照と比較して阻害活性のいかなるより大きな増加ももたらさなかった。
【0400】
実施例10B:M18の増殖及び阻害活性の誘導に対するラフィノース及びガラクトースの効果
本実施例は、ラフィノース及びガラクトースが、S.サリバリウスM18のより多くの細胞数に寄与しないが、それでもなお抗菌効果を増強することを示す。
【0401】
方法:増殖曲線は、M17ブロス(対照)[BD Difco#218561]、又は2.5%ラフィノース[D-(+)-ラフィノース五水和物-Sigma#R0250]、2.5%トリミックス、0.83%若しくは2.5%ガラクトース[D-ガラクトース-BD Difco#216310]、0.83%若しくは2.5%グルコース[D(+)-グルコース-一水和物-Applichem#A3617]、又は0.83%若しくは2.5%フルクトース[D(-)フルクトース-Sigma#F3510](全てwv)のいずれかを補充したM17ブロス(試験)中の1×105CFU/mlの出発培養物としてM18原料を使用して導かれた。次いで、ブロス培養物を、37℃、5%CO2でインキュベートし、次の0、6、及び18時間の時点で試料を採取し、細胞数について分析した。細胞数を決定するために、培養試料の1:10連続希釈物をリン酸緩衝生理食塩水(PBS Dulbecco A-Oxoid#BR0014G)中で調製し、次いで各希釈物の20μlスポットをCABK12寒天プレート上に3連でスポットした。次いで、これらを37℃、5%CO2で18時間インキュベートした。次いで、異なる時点での各培養試料についての細胞数を、1:10希釈物の各々で増殖したコロニーの数から計算した。
【0402】
結果:
・全ての糖類の組み合わせは、M18について同様の細胞数をもたらした(
図28A)。
・驚くべきことに、ラフィノース及びガラクトースの存在下で増殖させたM18は、S.ピオゲネス菌株及び他の微生物に対するより高い阻害活性を示す(
図28B)。
・トリミックス又は別々に供給された個々の糖類のラフィノースは、対照と比較して阻害活性のいかなるより大きな増加ももたらさなかった。
【0403】
実施例11:ラフィノース、又は糖類ガラクトース、グルコース、若しくはフルクトースのトリミックス、又は個々の糖類の存在下及び非存在下のいずれかで増殖させたK12及びM18原料産物の細胞形態
この実験の目的は、S.サリバリウスK12及びM18原料(-)が、CABCa対照プレート、又は2.5%ラフィノース又は2.5%トリミックス(0.83%の各糖類:ガラクトース、グルコース、及びフルクトース)又は0.83%の個々の糖類を補充したCABCa試験プレートのいずれかで増殖させた場合、粘着性のムコイド様コロニーを産生する(対照と比較して)かどうかを判定することであった。
【0404】
乳製品を含まない原料から供給されたS.サリバリウスK12及びM18も、CABCa対照プレート、又は2.5%ラフィノース又は2.5%トリミックス(0.83%の糖類:ガラクトース、グルコース及びフルクトースの各々)を補充したCABCa試験プレートのいずれかで増殖させた場合の形態変化について分析した。
【0405】
方法:コロンビア血液寒天+0.5%CaCO3(CABCa)-180mlボトルに、0.9gの炭酸カルシウム(CaCO3)PanReac Applichem#1412121210を、メスを使用して寒天にウェルを調製し、炭酸カルシウム中に傾け、切り取った寒天で覆うことによって、寒天のボトルに添加した。次いで、寒天をオートクレーブ内で110℃/10分間融解させた後、冷却し、よく混合した後、20mlをペトリ皿にピペットで移した。
【0406】
CABCa+ラフィノース(2.5%w/v)-180mlボトルに、0.9gのCaCO3及び4.5g(2.5%)のD-(+)-ラフィノース五水和物(Sigma#R0250)を、メスを使用して寒天にウェルを調製し、炭酸カルシウム中に傾け、切り取った寒天で覆うことによって、寒天のボトルに添加した。次いで、寒天をオートクレーブ内で110℃/10分間融解させた後、冷却し、よく混合した後、20mlをペトリ皿にピペットで移した。
【0407】
CABCa+トリミックス(等重量%濃度の3つの糖類の混合物)。180mlボトルに、0.9gのCaCO3及び1.5g(0.83%)の各糖類:D-ガラクトース、D(+)-グルコース、及びD(-)フルクトースを、メスを使用して寒天にウェルを調製し、カルシウム炭酸塩及び炭水化物中に傾け、切り取った寒天で覆うことによって、寒天のボトルに添加した。次いで、寒天をオートクレーブ内で110℃/10分間融解させた後、冷却し、よく混合した後、20mlをペトリ皿にピペットで移した。
【0408】
D-(+)-ラフィノース五水和物-Sigma#R0250分子量=594.51g/mol
【0409】
D-ガラクトース-BD Difco#216310分子量=180.16g/mol
【0410】
D(+)-グルコース-一水和物-Applichem#A 36171000分子量=198.17g/mol
【0411】
D(-)フルクトース-Sigma-#F3510分子量=180.16g/mol
【0412】
個々の糖類:0.83%w/vの濃度のガラクトース、グルコース、及びフルクトース、又はこれらの糖類のトリミックスのいずれかを補充した、CABCa寒天試験プレートを調製した。また、2.5%w/vのラフィノースを補充した、CABCa試験プレートを調製した。全ての試験プレートに0.5%炭酸カルシウムを補充した。また、0.5%w/v炭酸カルシウムを補充したCABCa寒天プレートを、対照プレートとして調製した。
【0413】
凍結乾燥原料:K12-1.94×1011cfu/g、乳製品を含まないK12-2.4×1011cfu/g、M18-2.2×1011cfu/g、乳製品を含まないM18-4.2×1011cfu/g。
【0414】
希釈物:トッド・ヒューイットブロス(THB)-30gのトッド・ヒューイットブロス粉末(BD Difco#279240)+蒸留水(1000ml)、121℃/15分間オートクレーブ処理。
【0415】
産生株の調製:1gの原料を小さなストマッカーバッグ内で9mlのTHBに添加して、約1×1010cfu/mlの1:10希釈物を得た。次いで、これをストマッカー装置内で5分間混合した。次いで、THB中で10-4cfu/mlまで1:10連続希釈を行った。
【0416】
広げプレート:20μl容量の原料の10-4cfu/ml希釈物を、CABCa対照又はCABCa試験プレートのいずれかに広げた。次いで、これらを37℃、5%CO2で18時間インキュベートした。次いで、プレートを視覚化し、写真撮影して、形態変化を評価した。
【0417】
繰延アッセイプレート:これらについては、前のように、100μlの原料の10-3希釈物を、糖類を補充したか又は補充していない試験CABCaプレートの中央に垂直な線で液滴として分注することによって調製し、次いで、カットダウンプラスチックスプレッダを使用して、プレートの中央に1.2cmストリークとして広げた。プレートを37℃、5%CO2で18時間インキュベートした。
【0418】
原料産生株ストリークを写真撮影し、次いでガラススライドを用いて除去して、細菌塊及び形態を可視化した。
【0419】
結果:広げプレート:S.サリバリウスK12及びM18を2.5%w/vラフィノース上で増殖させた場合、CABCA対照プレート上で増殖させた場合よりも大きなムコイドコロニーが見られる。トリミックス(3つの糖類の等重量%濃度の混合物)又は個々の糖類のいずれかを補充したCABCa試験プレート上のK12及びM18コロニーは、ムコイドに見えなかった(
図29)。
【0420】
CABCa寒天及び2.5%w/vラフィノースを補充したCABCa寒天上のK12及びM18コロニーの拡大写真:対照と比較して、S.サリバリウスK12又はM18(乳製品又は乳製品を含まない)は、大きな粘着性のムコイド様コロニーとして視覚的に現れる。この効果は、2.5%w/vトリミックス(3つの糖類の等重量%濃度の0.83%w/v混合物)及び/又は0.83%w/vの個々の糖類では観察されなかった(
図30)。
【0421】
細菌増殖を示すK12産生株ストリーク及びガラススライドの写真。点線の黒い楕円は、産生された粘液の量を視覚的に示す(
図31)。
【0422】
細菌増殖を示すM18産生株ストリーク及びガラススライドの写真。点線の黒い楕円は、産生された粘液の量を視覚的に示す(
図31)。
【0423】
K12及びM18産生株ストリークもまた、2.5%w/vラフィノースを補充したCABCa上で増殖させた場合、非常にムコイドに見える(
図31)。
【0424】
実施例12:抗菌効果(阻害)の誘導はS.サリバリウス株により変動する
目的:補充糖類の存在下での抗菌効果の誘導が、全てのS.サリバリウス株の固有の特性であるかどうかを判定すること。
【0425】
方法:固体培養培地の調製-0.5%(w/v)炭酸カルシウムをボトル内の固体CAB寒天に添加することによって、2.5%w/wラフィノース又は0.5%w/wガラクトースのいずれかを含む又は含まないCAB寒天プレートを調製し、次いで110℃で10分間オートクレーブ処理することによって融解した。冷却後、濾過滅菌した糖類溶液又は蒸留水を添加して混合し、次いで20mlをペトリ皿にピペットで移した。
【0426】
S.サリバリウス産生株懸濁液を調製し、約6コロニーの各S.サリバリウス株を、1mlのTHBを含有する別々のチューブに添加し、十分に混合した。
【0427】
繰延アンタゴニズムアッセイ-100μlのS.サリバリウス産生株懸濁液を、ラフィノース又はガラクトースを補充したか又は補充していないCABCaプレート上に、液滴として、試験プレートの中央に垂直線で分注した。次いで、この懸濁液を、カットダウンプラスチックスプレッダを使用してプレートの中央に1.2cmストリークとして広げた。プレートを空気中37℃、5%CO2で18時間インキュベートした。
【0428】
インキュベーション後、細菌増殖物を、滅菌綿棒を用いて寒天プレートから除去した。次いで、0.5M炭酸ナトリウム(pH11)に浸した1cm幅の濾紙ストリップを寒天プレート上に置いて酸を緩衝し、pHを約pH6.5~7.5に調整することによって、産生株ストリークのpHを調整した。
【0429】
プレートをクロロホルム蒸気で30分間表面滅菌し、続いて30分間風乾した。
【0430】
3mlのTHBを含有する別々のチューブに各株の3~9個のコロニー(サイズに応じる)を添加することによって細菌指標懸濁液を調製した。次いで、これらの懸濁液を、産生株ストリークに対して垂直に寒天プレートを横切って拭き取り、次いで、寒天プレートを空気中で37℃、5%CO2で更に18時間インキュベートした。
【0431】
結果:ATCCから入手した株を含む、S.サリバリウス株をアッセイした。2.5%w/wのラフィノース(
図32)又は0.5%w/wのガラクトース(
図33)の存在下で増殖させた場合、1つを除くほとんど全ての株は、ENT及び皮膚感染に関与する病原体に対する阻害活性を示さなかった。例外は、2.5%w/wラフィノースを補充した場合に抗菌活性を有する、K12及びM18以外の唯一の他の株であるS.サリバリウスATCC7073であった。
【0432】
結論:ラフィノース又はガラクトースによるS.サリバリウスにおける阻害活性の誘導は、S.サリバリウスの固有の特性ではない。他のS.サリバリウス株にガラクトースを補充すると、K12及びM18について観察されたのと同じ阻害効果を誘導しない。S.サリバリウス株ATCC7073を除いて、他のS.サリバリウス株にラフィノースを補充すると、K12及びM18について観察されたのと同じ阻害効果を誘導しない。
【0433】
実施例13:口臭を引き起こすことに関与するものを含むグラム陰性病原体に対するK12又はM18における抗菌活性の誘導
この実験の目的は、K12又はM18単独によって阻害されず、口臭及び他の歯の感染を引き起こし得るグラム陰性細菌F.ヌクレアタム、P.ジンジバリス、及びP.インターメディアに対するK12又はM18におけるガラクトース又はラフィノースによる阻害活性の誘導を調査することであった。
【0434】
方法:0.5%(w/v)炭酸カルシウムをボトル内の固体CAB寒天に添加することによって、2.5%w/wラフィノース、0.5%w/wガラクトース、又は両方の糖類の組み合わせを含む又は含まないCABCa寒天プレートを調製し、次いで110℃で10分間オートクレーブ処理することによって融解した。冷却後、濾過滅菌した糖類溶液又は蒸留水を添加して混合し、次いで20mlをペトリ皿にピペットで移した。
【0435】
THBに懸濁したK12又はM18原料を用いて、繰延アンタゴニズムアッセイを行った。これを、約1~2×106cfuを含有する1.2cmのストリークとして、CABCa対照又はCABCaガラクトース補充試験プレートの中央に広げた。空気中37℃、5%CO2で18時間増殖させた後、細菌増殖物を除去し、初期のストリーク中の寒天のpHを測定し、0.5M炭酸ナトリウムpH11を用いてpH6.5~7.5に調整した後、クロロホルム蒸気を用いて寒天表面を滅菌した。細菌試験株をTHBに懸濁し、初期のストリークに垂直にプレートを横切って拭き取り、次いで、プレートを、anaeroGenサシェを収容する無酸素ジャー内で、37℃で4日間インキュベートした。次いで、各試験株についての阻害領域を測定した(mm)。
【0436】
結果:K12は、2.5%w/wラフィノース又は2.5%w/wラフィノース及び0.5%w/wガラクトースの組み合わせのいずれかを補充した場合、口臭を引き起こすグラム陰性細菌の様々な株を阻害することが見出された(
図34)。0.5%w/wガラクトース単独の溶液は、試験した口臭に関連する細菌種のいずれに対しても、K12において抗菌活性を誘導しなかった。
【0437】
M18はまた、2.5%w/wラフィノース又は2.5%w/wラフィノース及び0.5%w/wガラクトースの組み合わせのいずれかを補充した場合に、口臭を引き起こす細菌のいくつかの株を阻害することが見出された(
図35)。
【0438】
実施例14:K12及びM18凍結乾燥原料粉末にガラクトース及びラフィノースを補充した場合の阻害効果
目的:ラフィノース及び/又はガラクトースの存在下でのK12及び/又はM18原料粉末の阻害活性を判定すること
【0439】
方法:使用したラフィノース及びガラクトースの量は、寒天への糖類の吸収を可能にするために、産生株ストリークの領域の大きさに基づいて計算された(4.25gであると計算された)。これに基づいて、0.021g(すなわち、4.25g寒天量の0.5%w/wガラクトース)の量のガラクトース、0.11g(すなわち、2.5%w/w)のラフィノース、並びにガラクトース(0.5%w/w)及びラフィノース(2.5%w/w)の組み合わせ(合計0.13g)を滅菌容器に秤量した。K12及び/又はM18原料を懸濁し、1~2×106cfu/100μlの濃度まで滅菌蒸留水で希釈した。次いで、100μlのK12のみ、M18のみ、及びK12+M18の懸濁液を、滅菌スプレッダを使用して、CABCa寒天プレートの中央に1cmストリークとして広げた。加えて、K12のみ、M18のみ、及びK12+M18の100μl懸濁液を、上記で秤量したガラクトース及び/又はラフィノース粉末と滅菌撹拌棒を使用して混合した。各混合物の総体積を、CABCa寒天プレートの中央に大口径チップを用いてピペットで移し、滅菌スプレッダを用いて中央に1cmのストリークとして広げた。全てのプレートを、空気中37℃、5%CO2で18時間、蓋を上にしてインキュベートした。次いで、顕微鏡スライドを使用して細菌増殖物を除去し、産生株ストリーク領域中の寒天のpHを測定し、0.5M炭酸ナトリウム(pH11)を使用してpH6.5~7.5に調整した後、クロロホルム蒸気でプレートを表面滅菌した。指標細菌試験株を3mlの滅菌THB中に懸濁し、産生株ストリーク領域に対して垂直にプレートを横切って拭き取った。プレートを空気中37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした。次いで、各試験生物についての阻害領域を、定規を使用してmm単位で測定した。使用されるラフィノース及びガラクトースの量は、寒天への吸収を可能にするために、産生株ストリークの領域の大きさに基づいて計算された(4.25gであると計算された)。
【0440】
結果:ガラクトース(0.5%w/w)及びラフィノース(2.5%w/w)の両方並びにそれらの組み合わせは、K12(
図36)若しくはM18(
図37)又はK12及びM18の組み合わせ(
図38)の凍結乾燥原料粉末において阻害活性を誘導していたことが見出された。
【0441】
実施例15:S.サリバリウスK12を含有する市販の粉末製剤(Daily Defence Junior)における阻害活性の誘導に対するラフィノース及びガラクトースの効果
目的:市販の粉末製剤Daily Defence Junior(組成:S.サリバリウスK12(1.25×109(cfu/0.8g)、イソマルト、マルトデキストリン、バニラ香料)中のS.サリバリウスK12の阻害効果を、添加した補充糖類であるラフィノース及びガラクトースと比較すること。
【0442】
方法:試験用の製剤を以下のように調製した。
1.対照:S.サリバリウスK12を含有する市販の粉末製剤(Daily Defence Junior)
2.ガラクトース0.5%w/wを市販の粉末に添加し、徹底的に混合して、均一し混合物を得た。
3.ラフィノース2.5%w/wを市販の粉末に添加し、徹底的に混合して、均一な混合物を得た。
【0443】
以下の方法を使用して、粉末製剤の状況下でのS.サリバリウスK12の阻害効果を測定した。0.5%炭酸カルシウムを含有する正確に40mLの50℃溶融CAB寒天(CABCa)を寒天プレート(120×120mm)に注いだ。寒天を冷却して凝固させた後、中央で分割し、寒天ゲルの半分を除去した。他方の半分は、「A」側とマークしたブランク寒天としてプレート上に残した。約0.8gの各組み合わせ((1)ガラクトース、(2)ラフィノース、又は(3)ラフィノース及びガラクトースの組み合わせを有するDDJ粉末)を、1mLの滅菌蒸留水と混合し、ボルテックスして均質な懸濁液を生成した。100μlの懸濁液を、寒天の表面(産生株B側)上に広げるために取っておいた。次いで、残りの懸濁液を20mLの溶融CABCa寒天と混合し、混合物を寒天プレートの空の半分に注いで、産生株「B」側を形成した。100μLの取っておいた懸濁液をB側の表面上に広げ、プレートを空気中で37℃、5%CO2で18時間インキュベートした。インキュベーション後、産生株B側上の細菌増殖物を除去した。産生株側のpHを測定し、0.5M炭酸ナトリウムpH11の溶液を寒天に浸けることによって6.5~7.5に調整した。プレート表面をクロロホルム蒸気で滅菌した。細菌指標株をTHBに懸濁し、滅菌綿棒を使用して、左(ブランク寒天A側)から右(産生株B側)に寒天プレートを横切ってストリークした。プレートを再び、空気中で37℃、5%CO2で18時間インキュベートした。各指標株の阻害領域を、定規を用いて測定した(mm単位)。結果はまた、小さなコロニー又は完全な阻害領域の存在を確定するために肉眼を用いて読み取った。
【0444】
結果:
図39は、S.サリバリウスK12の阻害活性が、ラフィノース(2.5%w/w)、ガラクトース(0.5%w/w)、又はそれらの組み合わせ(ラフィノース2.5%w/w+ガラクトース0.5%w/w)を含有する粉末において、K12を単独で含有する市販粉末(対照)と比較して向上したことを示す。
【0445】
実施例16:米国特許出願公開第20190343899(A1)号からの製剤の特性
目的:米国特許出願公開第20190343899号からの先行技術の製剤の製造条件を決定すること。
【0446】
方法:先行技術D1の実施例1の指図に従って製剤を調製した。簡潔には、液体成分を一緒に混合し、固体成分にゆっくり添加し、融解するまでホットプレート上で約100℃に加熱した。次いで、混合物を、約60℃で完全に固化するまで放冷した。
【0447】
結果:米国特許第20190343899号の実施例1に記載されている製剤を、成分を溶融して、ハードキャンディ又はタフィーの粘稠度を有する製剤を調製することによって調製した。成分を溶融するために、高温(約100℃)が必要であった。高熱により、50℃を超える温度がプロバイオティクスにとって有害であるため、S.サリバリウスは製剤に添加することができなかった。この理由のため、プロバイオティクス、特にS.サリバリウスなどの熱感受性プロバイオティクスを完全に失うことなく、溶融段階(約60℃超)で製剤に添加することは不可能であった。
【0448】
冷却中、十分な均質性を有する製剤へのプロバイオティクスの混合を可能にした製剤の粘稠度は、60℃以上の温度でのみ維持された。この温度は、約50℃以上から起こる細胞死を引き起こすことなくプロバイオティクスを添加するには依然として高すぎた。
【0449】
実施例17:比較例-国際公開第2017129639(A1)号からの製剤
方法:国際公開第2017129639号の実施例1のものと同様組成の粉末の乳幼児用栄養製品(乳児用調整乳)を購入した(Similac 360 Total Care(Abbott Global)。この製品は、ビタミン、ミネラル、ラクトース、5つのヒトオリゴ糖及び全乳粉末を含有する。
【0450】
調整乳中のS.サリバリウスK12における阻害活性の誘導に対する補充糖類の効果を判定するため、S.サリバリウスK12及び補充糖類を、以下のように乳児用調整乳に添加した。
1.対照:S.サリバリウスK12を乳児用調整乳粉末に添加し、徹底的に混合して、約1.25×109cfu/gのS.サリバリウスK12を含有する均一な混合物を得た。
2.ガラクトース0.5%w/w:S.サリバリウスK12を乳児用調整乳粉末及び0.5%w/wガラクトースに添加し、徹底的に混合して、約1.25×109cfu/gのS.サリバリウスK12を含有する均一な混合物を得た。.
3.ラフィノース2.5%w/w:S.サリバリウスK12を乳児用調整乳粉末及び2.5%w/wラフィノースに添加し、徹底的に混合して、約1.25×109cfu/gのS.のサリバリウスK12を含有する均一な混合物を得た。
【0451】
阻害活性誘導の測定は、実施例15と同様に行った。
【0452】
結果:驚くべきことに、実施例17の対照製剤へのガラクトース又はラフィノースの添加が、対照と比較して阻害活性の低下を示した(表10)。
【0453】
実施例18:粉末製剤の抗菌特性の比較
方法:いくつかの組成物の抗菌活性を以下のように試験した。
1.実施例17の対照製剤;
2.全乳粉末:S.サリバリウスK12を全乳粉末(Anchor Blue(商標)Milk powder、Anchor、ニュージーランド)に添加し、徹底的に混合して、約1.25×109cfu/gのS.サリバリウスK12を含有する均一な混合物を得た。
【0454】
粉末製剤の阻害活性誘導の測定は、実施例15と同様に行った。
【0455】
結果:驚くべきことに、これらの2つの製剤は、ラフィノース、ガラクトース、及びそれらの組み合わせを補充していた市販のS.サリバリウスK12 Daily Defence Junior粉末製品を含有する実施例15の3つの製剤と比較して、阻害活性を全く誘導しなかったか、又は有意性が低かった(
図40)。
【表13】
A=ガラクトース0.5%w/wを含有する実施例17の乳児用調整乳製剤2、B=ラフィノース2.5%w/wを含有する実施例17の乳児用調整乳製剤3、-記号は、実施例17の対照製剤1と比較した活性の低下を示す。
【0456】
実施例19:有益な遺伝子の上方制御
目的:抗菌性分子をコードする遺伝子、及びガラクトース又はラフィノースの存在下で抗菌効力の向上を引き起こし得るS.サリバリウスK12内の他の任意の有益な遺伝子の上方制御を調査すること。
【0457】
方法:0.5%(w/v)炭酸カルシウムをボトル内の固体CAB寒天に添加することによって、2.5%w/wラフィノース、0.5%w/wガラクトース、2.5%w/wラフィノースと0.5%w/wガラクトース、0.5%w/wグルコース、又は2.5%w/wグルコースとの組み合わせを含む又は含まないCABCa寒天プレートを調製し、次いで110℃で10分間オートクレーブ処理することによって融解した。冷却後、濾過滅菌した糖類溶液又は蒸留水を添加して混合し、次いで20mlをペトリ皿にピペットで移した。
【0458】
約1×108cfu/mlのS.サリバリウスK12原料懸濁液をPBS中で調製した。100μlのこの懸濁液を、対照及び試験寒天プレート上に均一に広げた。プレートを37℃で、5%CO2で約19時間インキュベートした。
【0459】
各プレートからの細菌増殖物を、滅菌綿棒を使用して収集し、スクリューキャップ付きチューブ内の1mlのPBSに再懸濁した。次いで、細菌細胞を13000rpmで1分間、4℃で遠心分離することによってペレット化した。上清を除去し、細胞ペレットを1mlのTRIzol試薬に再懸濁した。細菌細胞懸濁液を、0.1mmジルコニア/ケイ素ビーズを収容する2mlのスクリューキャップ付きチューブに移した。次いで、これらのチューブを最高速度で5分間ボルテックスして、細菌細胞をビーズビート(bead beat)して溶解させた。チューブを氷上に1分間置き、次いでボルテックス上で再び5分間再ビーズビートした。次いで、チューブを-20℃で凍結した。
【0460】
溶解した細菌懸濁液を解凍し、0.2mlのクロロホルムを各チューブに添加した。チューブを2~3分間インキュベートし、氷上に保持し、チューブを頻繁に反転させることによって手動でも混合した。次いでビーズを沈降させ、次いで上部の液体懸濁液を相形成チューブに移した。チューブを頻繁に反転させることによって手動で混合しながら、チューブを氷上で5分間インキュベートした。次いで、チューブを12000rpmで、4℃で15分間遠心分離し、下部(赤色)フェノール-クロロホルム相、中間相、及び上部(透明)水相に分離した。
【0461】
560μlの透明な上部水相を新しいエッペンドルフチューブに移し、次いで-20℃で再び凍結させた。
【0462】
RNA抽出に使用した実験室ベンチ及び他の装置をRNaseZapで処置して、あらゆるあり得るRNaseを除去した。
【0463】
Thermofisher PureLink RNAミニキットを用いて、TRIzol試料からRNAを抽出するための製造業者の説明書に従って、以下のようにTRIzol解凍懸濁液からRNAを抽出した。
【0464】
600μlの70%エタノールを、解凍した溶解細菌懸濁液の各チューブに添加した。約600μLの試料を収集チューブ内のスピンカートリッジに移した。
【0465】
室温で15秒間、12000×gで遠心分離した。フロースルーを廃棄し、スピンカートリッジを同じ収集チューブに再挿入した。最後の600μlの試料を添加し、スピンカラムを再び遠心分離した。フロースルーを廃棄し、スピンカートリッジを同じ収集チューブに再挿入した。
【0466】
700μLの洗浄緩衝液Iをスピンカートリッジに添加した。室温で15秒間、12000×gで遠心分離した。フロースルー及び収集チューブを廃棄した。スピンカートリッジを新しい収集チューブに挿入した。
【0467】
500μLの洗浄緩衝液IIをスピンカートリッジに添加した。
【0468】
室温で15秒間、12000×gで遠心分離した。フロースルーを廃棄し、スピンカートリッジを同じ収集チューブに再挿入した。別の500μLの洗浄緩衝液IIをスピンカートリッジに添加し、12000×gで1分間、室温で遠心分離して膜を乾燥させた。収集チューブを廃棄し、スピンカートリッジを新しいエッペンドルフチューブに挿入した。
【0469】
100μLのRNaseを含まない水を、スピンカートリッジの中心に添加した。室温で1分間インキュベートした。スピンカートリッジをエッペンドルフチューブにより室温で、≧12000×gで2分間遠心分離して、RNAを溶出させた。
【0470】
溶出したRNAの濃度を、Nanodropを使用して測定した。
【0471】
次いで、抽出したRNAをDNase処置して、Thermo Fisher TURBO-DNA Freeキットを用いて以下のようにしてあらゆる混入DNAを除去した。
【0472】
50μg未満のRNAを含有する50μlの反応物を調製した。同じ濃度のRNAを各試料の反応物に添加して、Nanodrop RNA濃度から計算して、全ての試料にわたるRNAの量を標準化した。エッペンドルフチューブ内の反応物を、必要とされる量のRNA、5μlのTurbo DNase緩衝液、2μlのTurbo DNaseと混合し、次いで、全ての試薬を氷上に保ちながら、ヌクレアーゼを含まない水で体積を50μlにした。ナノドロップを使用してDNase処置されたRNA試料の濃度を測定するときのブランクとして使用するために、非RNA対照試料を調製した。エッペンドルフチューブを37℃で30分間インキュベートした。次いで、反応物を10μlのDNase不活性化試薬の添加によって不活性化し、十分に混合した。エッペンドルフチューブを室温で5分間インキュベートし、2~3回反転させて、インキュベーション中に試薬を混合した。試料を10,000×gで1.5分間遠心分離した。次いで、上清を新しいエッペンドルフチューブに移し、これも遠心分離し、上清を再び新しいエッペンドルフチューブに移した。次いで、DNase処置したRNA試料の濃度を、ブランクとして非RNA対照試料を使用して、ナノドロップを使用して測定した。
【0473】
次いで、DNase処置したRNA試料を、SalBプライマを使用して、PCRによって約500pbのサイズのDNAバンドを生成するDNA混入物についてチェックした。
【0474】
各DNase処置したRNA試料、S.サリバリウスK12から抽出されたDNAの陽性対照試料、及びヌクレアーゼを含まない水のみを含有する陰性対照試料について、PCR反応物を、0.2mlのPCRチューブ内で調製した。12.5μlのGoTaq G2 Hot start green Mastermix、1μlのSalBフォワードプライマ、1μlのSalBリバースプライマ、1μlのRNA又はDNA試料のいずれか、及びヌクレアーゼを含まない水を25μlの体積まで混合することによって、25μlの反応物を調製した。
【0475】
PCR増幅は、94℃で15分間の初期変性、続いて以下の30サイクルからなった:変性95℃で30秒間;アニーリング40℃で30秒間;伸長73℃で30秒間。30サイクル後、92℃で更に2分間。
【0476】
PCR増幅後、1×SYBR safeDNAゲル染色及び1.5mm幅コームを含有する0.5cm厚の2%アガロース/1×TAEゲルを、10μlの各DNase処置したRNA試料又は5μlのAccuRuler 1 kb DNA RTUラダーのいずれかと共にウェルに充填して、任意の可視化バンドのバンドサイズを決定した。
【0477】
DNase処置した試料中にDNAバンドは検出されず、あらゆるDNA混入物が除去されたことが確認された。
【0478】
次に、superscript IV viloマスターミックスを使用して、以下のように製造業者の説明書に従って、RNA試料をcDNAに変換した。
【0479】
最大2.5μgのRNAを収容する0.2mlのPCRチューブ内で20μlの反応物を調製し、全ての試料がチューブ内で同じ濃度のRNAを有するように、添加されたRNAの量を正規化した。各チューブに、4μlのsuperscript IV viloマスターミックスを添加し、ヌクレアーゼを含まない水で体積を20μlにした。各試料について同じ濃度のRNAを含有するが、4μlのsuperscript IV vilo No RT対照を添加した二連の反応物セットを調製し、体積もヌクレアーゼを含まない水で20μlにした。
【0480】
次いで、PCRチューブをPCR装置に入れて、以下のインキュベーションを行った:25℃で10分間(プライマアニーリング)、50℃で10分間(RNAを逆転写する)、85℃で5分間(酵素不活性化する)。
【0481】
次いで、CABCa対照プレート及び様々な糖類を補充したCABCa上で増殖させたK12原料由来のcDNA試料を、以下の遺伝子:salA、salB、salQ、及びureCの遺伝子発現のレベルについてqPCRによって分析した。
【0482】
2μlのcDNA、5μlのSYBRグリーンマスターミックス、0.5μlのフォワードプライマ、0.5μlのリバースプライマ、及びヌクレアーゼを含まない水を含有する10μlのqPCR反応物を10μlまで調製した。各qPCRにおけるcDNAの希釈は、各プライマセットで最適化した。
【0483】
qPCR法は、以下のサイクルからなった:保持段階:50℃で2分間、続いて95℃で10分間;PCR段階:95℃で15秒間、続いて60℃で1分間;融解曲線段階:95℃で15秒間、60℃で1分間、続いて95℃で15秒間。
【0484】
相対発現レベルを分析するために、2-ΔΔCt法を使用して、様々な糖をCABCaプレート対照と比較して、相対倍数遺伝子発現レベルを決定した。この分析に使用した参照遺伝子は、gyrAであった。
【0485】
結果:salA及びsalB遺伝子の両方は、2.5%w/wラフィノース、0.5%w/wガラクトースのいずれか又は両方の組み合わせが添加された場合、糖なし対照と比較して、K12において上方制御された(
図41及び
図42)。興味深いことに、0.5%w/wガラクトースは、salAの遺伝子発現の最大増加(約12000倍)及びsalBの最大増加(641倍)を引き起こし、続いて2.5%w/wラフィノースによって(約5000倍及び241倍)、次いで組み合わせによって(約2400倍及び160倍)を引き起こすと思われた。これらの遺伝子の上方制御は、対照糖グルコースを0.5%w/w(約50及び23倍)又は2.5%w/w(5.2及び0.8倍)濃度のいずれかで添加した場合、同程度には起こらなかった。
【0486】
更に、salQは、2.5%w/wラフィノース(93倍)、0.5%w/wガラクトース(205倍)のいずれか、又は両方の組み合わせ(45倍)を添加した場合、糖なし対照と比較して上方制御された(
図43)。しかし、salQはまた、2.5%w/wグルコース(81倍)が添加された場合に上方制御されるとみられ、これが全般的な糖効果であり得ることを示す。
【0487】
2.5%w/wラフィノース、0.5%w/wガラクトースのいずれか、又は両方の組み合わせを培地に添加した場合、ウレアーゼ(ureC)の上方制御があり、それぞれ234倍、224倍及び191倍の増加で発現した(
図44)。0.5%w/w及び2.5%w/wグルコースもまた、それぞれ22倍及び96倍のウレアーゼ発現の中程度の増加をもたらした。
【0488】
実施例20:健康なヒト応募者の口腔におけるK12コロニー形成のレベルの変化
目的:ガラクトース及び/又はラフィノースの、市販S.サリバリウスK12舐剤製剤(Throat Guard Pro、Blis Technologies(ニュージーランド))への添加が、7日間1日1回摂取した場合にK12のコロニー形成レベルを変化させるかどうかを判定すること。
【0489】
方法:クロスオーバーを伴わない二重盲検無作為化対照コロニー形成パイロット試験を健康なヒト成人において実施して、ガラクトース又はラフィノースを含まない(対照G1、S.サリバリウスK12、イソマルト、錠剤化助剤、及び天然香料を含有、Blis Technologies(ニュージーランド))S.サリバリウスK12を含有する舐剤(約2,500,000,000cfu/舐剤)のコロニー形成効力と、ラフィノース2.5%w/w(G2)、ガラクトース0.5%w/w(G3)、並びにガラクトース0.5%w/w及びラフィノース2.5%w/wの組み合わせ(G4)を追加で含有する舐剤のコロニー形成効力とを評価する。
【0490】
舐剤G2~G4を、S.サリバリウスK12、イソマルト、錠剤化助剤、及び天然香料と、ラフィノース2.5%w/w(G2);ガラクトース0.5%(G3);並びにガラクトース0.5%w/w及びラフィノース2.5%w/w(G4)とをブレンドすることによって調製した。次いで、各ブレンドを打錠機にかけて、舐剤を得た。4群の各舐剤は、約2,500,000,000cfu/舐剤を含有するように製剤化した。
【0491】
参加者は、参加者らが健康であり、良好な口腔衛生を実践しており、18~80歳であり、抗生物質療法を受けておらず、免疫不全状態ではなく、又は自己免疫疾患の病歴がなく、乳製品に対するアレルギー若しくは感受性を有する人でない場合に、登録された。組み入れ基準に従って、合計20人の参加者を募集し、4群に分けた。
試験群:K12舐剤(2.5Bcfu/舐剤)
G1:K12舐剤(対照)(n=5)
G2:ラフィノース(2.5%w/w)を含有するK12舐剤(n=5)
G3:ガラクトース(0.5%w/w)を含有するK12舐剤(n=5)
G4:ラフィノース(2.5%w/w)及びガラクトース(0.5%w/w)を含有するK12舐剤(n=5)
【0492】
うがい薬でうがいし(最初の夜のみ)、1時間待ってから唾液試料(試験前試料)を採取するように、参加者に依頼した。次いで、口中で1個の舐剤をゆっくり溶解させるように参加者に依頼した。次いで、舐剤を服用してから1時間後、8時間後、及び24時間後に更なる唾液試料を採取するように参加者に依頼した。次いで、更に6夜の間、一晩当たり1個の舐剤を服用し、最後の投薬の48時間後に最終唾液試料を収集するように、参加者に依頼した。
【0493】
微生物サンプリング及び分析:試験中及び試験終了時に、各時点及び各参加者の唾液試料を収容するチューブを収集し、分析するまで冷凍庫(-20℃)で保管した。
【0494】
唾液試料を、10-4に連続希釈して(100μL試料の900μLのPBSへの再懸濁の複数の反復)、プレート当たり50μLの接種材料を使用して、ミティス・サリヴァリウス(Mitis-Salivariu)寒天プレート(ストレプトコッカス・サリバリウス選択培地)上に播種した。プレートを、空気中37℃、5%CO2で24時間インキュベートした。インキュベーション後、K12又はM18コロニーを、特定の指標株I1(マイクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)T-18)及びI3ストレプトコッカス・コンステラータスT-29)に対するそれらの阻害活性によって区別した。指標株I1の懸濁液は、3mlのTHBに1コロニーを添加することによって作製し、I3懸濁液は、3mlのTHBに4コロニーを添加することによって作製した。指標株を、寒天の全表面を覆う血液寒天プレート(sBaCa)上で拭き取った。爪楊枝を使用して、ミティス・サリヴァリウス寒天上の唾液試料から増殖したS.サリヴァリウス様コロニーを、I1、次いでI3の予め播種した指標ローンにスパイクし、空気中37℃、5%CO2で24時間インキュベートした。I1及びI3の両方に対して阻害領域を有するコロニーは、salA及びsalB遺伝子の活性を示すので、推定陽性K12として特定した。
【0495】
結果
図45は、補充糖類ガラクトース(G2)、ラフィノース(G3)、並びにラフィノース及びガラクトース(G4)を含む舐剤を使用した参加者の群から得られた唾液試料中の(総S.サリバリウス中の)S.サリバリウスK12の平均%が、S.サリバリウスK12単独(対照G1)の対照群の平均%よりも高かったことを示す。したがって、補充糖類の存在は、口腔内でのS.サリバリウスK12のコロニー形成効率を高めた。
【0496】
補充糖類群では、全ての試料点についての試験前レベルと比較して、ラフィノース(G3)がコロニー形成の最大増加を示し、次いでガラクトース(G2)及びラフィノースとガラクトースとの組み合わせ(G4)であった。総S.サリバリウス集団中のS.サリバリウスK12の%は、ラフィノース群(G3)の場合より高く維持されている。ラフィノース群におけるレベルは、舐剤摂取の中止後であっても、試験前よりも高く維持され、これは、補充糖類によるS.サリバリウスK12の持続の改善を示唆する。
【0497】
本発明の範囲を上述の実施例のみに限定することは意図されていない。当業者によって理解されるように、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変形が可能である。
【表14】
【表15】
【配列表】
【国際調査報告】