(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】レーザ加工装置とこれを含む方法及びこれによって加工された加工対象物
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20240927BHJP
B23K 26/03 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B23K26/00 M
B23K26/00 N
B23K26/03
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519937
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 KR2022014565
(87)【国際公開番号】W WO2023055077
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0128496
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524121269
【氏名又は名称】レーザーヴァル・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LASERVALL TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】86‐10 BANWOLLAM‐GIL, HWASEONG‐SI GYEONGGI‐DO 16648, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジン・ハ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ビョン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】カン,キ・ソク
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA00
4E168AD02
4E168AD07
4E168BA00
4E168CA06
4E168CA11
4E168CB13
4E168CB22
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA36
4E168DA38
4E168DA39
4E168DA42
4E168DA43
4E168EA20
(57)【要約】
本発明は、インテリジェント光学ヘッドを含むレーザ加工装置に関し、レーザ発生部と、レーザ発生部で生成されたレーザビームの大きさまたは形状を調節するビーム変換装置と、ビーム変換装置を経由したレーザビームの焦点位置を調節するビーム調節部と、加工対象物の表面温度および溶融温度のうちの1つ以上を測定する熱分布測定部と、加工対象物の測定された温度にレーザビームの強度を調節または制御する制御部と、ビーム変換装置を経由したレーザビームを加工対象物に集束して伝達するビームフォーカシング部とを含むレーザ加工装置、とそれを含む方法、およびそれによって加工された加工対象物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発生部と、
前記レーザ発生部で生成されたレーザビームの大きさまたは形状を調節するビーム変換装置と、
前記ビーム変換装置を経由した前記レーザビームの焦点位置を調節するビーム調節部と、
加工対象物の表面温度および溶融温度のうち1つ以上を測定する熱分布測定部と、
前記加工対象物の前記測定された温度で前記レーザビームの強度を調節または制御する制御部と、
前記ビーム変換装置を経由した前記レーザビームを前記加工対象物に集束して伝達するビームフォーカシング部と、を含む、レーザ加工装置。
【請求項2】
前記ビームフォーカシング部は、前記レーザの出力を測定及び調節するレーザ出力感知部をさらに含む、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記ビームフォーカシング部から伝達された前記レーザが照射される位置及び整列状態情報を取得して、前記加工対象物に前記レーザビームを照射するレーザ照射部をさらに含む、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記熱分布測定部の測定地点の面積は、前記加工対象物の面積より小さい範囲に設定される、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記熱分布測定部は、前記加工対象物の表面温度または溶融温度が1~500度の温度範囲で測定される、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記熱分布測定部は、赤外線カメラとパイロメータのうち1つ以上を含む、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記熱分布測定部は、前記集光部の上端部に結合され、前記加工対象物の前記表面温度および溶融温度のうち1つ以上の測定効率を増大させることができる、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記レーザ照射部から照射される前記レーザ出力は、1~4,000ワットの範囲で照射される構造を含む、請求項3に記載のレーザ加工装置。
【請求項9】
前記レーザ照射部の前記レーザビームの出力パワーは、前記熱分布測定部の前記加工対象物の表面温度及び溶融温度のうち少なくとも一つに応じて調節される、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項10】
前記レーザ発生部には、前記レーザの倍率を補正する少なくとも1つの光学レンズが配置される、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項11】
前記レーザ発生部の一側に照明部が配置される構造を含む、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項12】
前記レーザの照射位置および整列状態情報は、CCDおよびCMOSのうち1つ以上を含む撮像装置によって取得される、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項13】
前記レーザ発生部から照射される前記レーザは、前記ビームフォーカシング部とレーザ照射部とを順次経由した後、1つの同じ中心軸をもって照射される、請求項3に記載のレーザ加工装置。
【請求項14】
前記レーザ加工装置の制御部は、前記熱分布測定部の測定温度に応じて前記レーザの出力、電流、電圧のうちの少なくとも1つを調節するように制御する、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項15】
加工対象物をレーザ加工装置にローディングする加工対象物ローディングすることと、
前記加工対象物のレーザ加工のために、レーザ出力を含む加工データを入力することと、
前記加工対象物のレーザ加工のために、熱分布測定部からリアルタイムで測定される表面温度または溶融温度情報を取得することと、
前記熱分布測定部から取得された情報を反映して前記加工対象物に照射される前記レーザ出力を調節することと、を含むレーザ加工方法。
【請求項16】
請求項1~14の加工装置及び請求項15の加工方法のいずれかにより加工された加工対象物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置とこれを含む方法及びこれによって加工された加工対象物に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工は、レーザビームを用いて対象物を加工することを意味し、最近は、加工対象物の被加工面に一定のパターンなどを形成するための目的で、レーザ加工が用いられることもある。このようなレーザ加工に用いられるレーザ装置は、レーザを用いて加工対象物に所定のパターンなどを形成する装置である。
【0003】
しかし、従来のレーザ装置は、直接的に加工対象物の加熱温度を測定する構成がない。例えば、従来のレーザ装置は、間接的に照射されるレーザの出力を調節して間接的に加工対象物の表面を加工する構造のみであり、加工対象物の被加工面の温度を直接測定できないため、加工効率が低下するしかなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、加工対象物のレーザ加工装置において、ソルダリング、溶接、パターニングなどの加工工程で加工対象物の表面温度および溶融温度をリアルタイムで直接的に測定および補正可能にすることにより、加工効率が大きく向上できるレーザ加工装置と、これを含む方法およびこれにより加工された加工対象物を提供するためのものである。
【0005】
また、本発明は、加工対象物のレーザ加工装置において、加工工程で加工対象物の表面温度および溶融温度を測定して補正を可能にすることにより、加工領域に対する中心エネルギー分布に対する消失や変更を行うことなく、より効果的な加工が可能なレーザ加工装置とこれを含む方法およびこれにより加工された加工対象物を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得る。
【0007】
本発明に係るレーザ加工装置の一実施例は、レーザ発生部と、レーザ発生部で生成されたレーザビームの大きさまたは形状を調節するビーム変換装置と、ビーム変換装置を経由したレーザビームの焦点位置を調節するビーム調節部と、加工対象物の表面温度および溶融温度のうちの1つ以上を測定する熱分布測定部と、加工対象物の測定された温度にレーザビームの強度を調節または制御する制御部と、を含む。
【0008】
ビーム変換装置を経由したレーザビームを加工対象物に集束して伝達するビームフォーカシング部と、を含むことができる。
【0009】
本発明の一実施例において、ビームフォーカシング部は、レーザの出力を測定及び調節するレーザ出力感知部をさらに含むことができる。
【0010】
本発明の一実施例において、ビームフォーカシング部から伝達されたレーザが照射する位置及び整列状態の情報を取得して、加工対象物にレーザビームを照射するレーザ照射部をさらに含むことができる。
【0011】
本発明の一実施例において、熱分布測定部の測定地点の面積は、加工対象物の面積より小さい範囲に設定されることができる。
【0012】
本発明の一実施例において、熱分布測定部は、加工対象物の表面温度または溶融温度が1~500度の温度範囲で測定されることができる。
【0013】
本発明の一実施例において、熱分布測定部は、赤外線カメラ、パイロメータのうち一つ以上を含むことができる。
【0014】
本発明の一実施例において、熱分布測定部は、集光部の上端部に結合され、加工対象物の表面温度または溶融温度のうち一つ以上の測定効率を増大させることができる。
【0015】
本発明の一実施例において、レーザ照射部から照射されるレーザ出力は、1~4,000ワットの範囲で照射される構造を含むことができる。
【0016】
本発明の一実施例において、レーザ照射部のレーザビームの出力パワーは、熱分布測定部の加工対象物の表面温度または溶融温度に応じて調節されることができる。
【0017】
本発明の一実施例において、レーザ発生部には、レーザの倍率を補正する少なくとも1つの光学レンズが配置することができる。
【0018】
本発明の一実施例で、レーザ発生部の一側には照明部が配置される構造を含むことができる。
【0019】
本発明の一実施例において、レーザの照射位置および整列状態情報は、CCD及びCMOSのうち1つ以上を含む撮像装置で取得されることができる。
【0020】
本発明の一実施例において、レーザ発生部から照射されるレーザは、ビームフォーカシング部とレーザ照射部を順次経由した後、1つの同じ中心軸を有して照射される構造であってもよい。
【0021】
本発明の一実施例で、レーザ加工装置の制御部は、熱分布測定部の測定温度によってレーザの出力、電流、電圧の少なくとも一つを調節するように制御することができる。
【0022】
一方、本発明は、レーザ加工装置を用いた加工方法を提供するものであって、加工対象物をレーザ加工装置にローディング(Loading)する加工対象物のローディングことと、加工対象物のレーザ加工のために、レーザ出力を含む加工データの入力することと、加工対象物のレーザ加工のために、熱分布測定部(Infrared cameraまたはPyrometer)からリアルタイムで測定される表面温度または溶融温度情報の取得することと、
熱分布測定部から取得された情報を反映して加工対象物に照射されるレーザ出力の調節することと、を含むことができる。
【0023】
また、本発明は、レーザ加工装置によって加工された加工対象物を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるレーザ加工装置とそれを含む方法、およびそれによって加工された加工対象物は、ソルダリング、溶接、パターニングなどの加工工程で加工対象物の表面温度および溶融温度をリアルタイムで直接的に測定および補正可能にすることによって、加工効率が大きく向上されることができる効果がある。
【0025】
また、本発明によるレーザ加工装置とそれを含む方法および、それによって加工された加工対象物は、加工対象物のレーザ加工装置において、加工工程で加工対象物の表面温度および溶融温度を測定して補正が可能なようにすることによって、加工領域に対する中心エネルギー分布に対する消失や変更を行うことなく、より効果的な加工が可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例に係るレーザ加工装置の概略的な構成図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る加工対象物の加工領域を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るレーザ加工方法を示すフローチャート(flow chart)である。
【
図4】本発明の一実施例に係るレーザ加工の例示を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るレーザ加工装置の一実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
各図面の構成要素に参照符号を付加するにおいて、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されても、可能な限り同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、関連した公知の構成または機能についての具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0029】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。また、別に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含めてここで用いられる全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味に解釈されない。
【0030】
本発明は、レーザを介して対象物を加工する装置であって、加工対象物の温度を直接的に測定および反映して加工工程が行われることにより、より効果的に加工が可能にすることができる。このような加工は、レーザビームを伝達して対象物にマーキング、カッティング、スクライビング、パターニング及びソルダリング、溶接などの工程を行うことを意味する。
【0031】
以下では、このような加工対象物のレーザ加工装置および方法をそれぞれ区分して説明するが、装置の説明において記載が省略され、方法の説明にのみ記載された具体的な工程も、本発明の実施形態に係る装置により実行できることはもちろんである。
【0032】
図1は、本発明の一実施例に係るレーザ加工装置の概略的な構成図であり、
図2は、本発明の一実施例に係る加工対象物の加工領域を示す図である。
【0033】
これらの図面を参照すると、本発明の一実施例に係るレーザ加工装置100は、レーザ発生部10、レーザ発生部10で生成されたレーザビームの大きさまたは形状を調節するビーム変換装置20、ビーム変換装置20を経由したレーザビームの焦点位置を調節し、加工対象物の温度を測定するビーム調節部30、加工対象物の表面温度および溶融温度のうち一つ以上を測定する熱分布測定部310、加工対象物の測定温度を反映してレーザビームの強度を調節または制御する制御部70およびビーム変換装置を経由したレーザビームを加工対象物に集束して伝達するビームフォーカシング部320を含むことができる。
【0034】
場合によって、ビーム調節部30には本発明による光学ヘッドモジュール300を含んで構成されることもできる。すなわち、ビーム調節部30の光学ヘッドモジュール300は、ビーム変換装置20を経由したレーザビームを加工対象物に集束して伝達するビームフォーカシング部320と、ビームフォーカシング部320から調節されたレーザが照射される位置及び整列状態情報を獲得し、加工対象物にレーザビームを照射するレーザ照射部330と、加工対象物の加工地点に対する表面温度および溶融温度を測定する熱分布測定部310とを含んで構成できる。
【0035】
レーザ発生部10は、加工対象物であるサンプル1の加工のためのレーザビームを生成することができる。具体的には、連続波レーザまたはパルス化されたレーザを用いることができる。レーザビームの波長は、赤外線領域から紫外線領域内に位置するレーザ波長の全部を用いることができる。例えば、紫外線波長、グリーン波長、赤外線波長などを含むことができる。レーザ発生部10で生成されたレーザビームは、ビーム変換装置20及びビーム調節部30を経由することができる。
【0036】
ビーム変換装置20は、レーザ発生部10で生成されたレーザビームの大きさまたは形状を調節することができる。具体的には、ビーム変換装置20は、レーザビームを拡大または縮小させることができる。また、ビーム変換装置20は、レーザビームを分散や集中の少ない平行なコリメートビーム(collimated beam)として生成させることができる。それにより、レーザ発生部10で生成されたレーザビームは、ビーム変換装置20を経由して拡大または縮小されて大きさが調節されながら、コリメートビームとして生成される。
【0037】
ビーム変換装置20によって変更されたレーザビームの大きさは、レーザ加工装置100の最後の段のレンズに入射するレーザビームの大きさであってもよい。ビーム変換装置20は、レーザ発生部10で生成されたレーザビームの直径を変更し、変更されたレーザビームを出力することができる。ビーム変換装置20は、手動または自動で調節可能であってもよい。ここで、ビーム変換装置20は、ガウシアンビームの形状をフラットトップビームまたはマルチスポットの形状に変換して出力することができる。フラットトップビームの形態は、円形、多角形、リング形のうち一つであってもよい。
【0038】
その以外にも、ビームアテニュエータ(attenuator)、偏光板、半波長板、スプリッタ、フィルタ、シャッタなどの多様な光学素子がさらに配置されることができる。
【0039】
ビーム調節部30は、ダイナミックフォーカシングモジュール31を介してレーザビームの焦点の高さなどの位置を調節することができる。調節されたレーザビームは、ビーム調節部30の光学ヘッドモジュール300を経由して加工対象物であるサンプル1に所定のレーザパワーで照射される。
【0040】
制御部70は、加工対象物のサンプル1の表面温度または溶融温度に応じて加工対象物のサンプル1を加工するために、予め入力されたレーザ出力データを決定することができる。このデータに基づいて加工対象物であるサンプル1の表面をソルダリングすることができる。場合によって、加工対象物の表面にマイクロ単位からナノ単位の幅と深さを有する微細パターン、マーキング、スクライビング及びカッティングを行うこともできる。
【0041】
一方、本発明の一実施例による光学ヘッドモジュール300は、上述のように、ビーム変換装置20を経由したレーザビームを加工対象物に集束して伝達するビームフォーカシング部320と、ビームフォーカシング部320から調節されたレーザが照射される位置および整列状態情報を取得して加工対象物にレーザビームを照射するレーザ照射部330と、加工対象物の加工地点に対する表面温度および溶融温度などを測定する熱分布測定部310とから構成される。
【0042】
ここで、本発明による光学ヘッドモジュール300の熱分布測定部310は、加工対象物であるサンプル1の表面温度および溶融温度を測定することができる。熱分布測定部310は、非接触式放射温度計であって、加工対象物であるサンプル1の表面温度をリアルタイムで測定および測定した結果が制御部70に伝送される。このような測定結果に応じて、制御部70は、レーザビームの出力を調節することができる。熱分布測定部310は、例えば、赤外線カメラまたはパイロメータ(Pyrometer)であってもよい。
【0043】
光学ヘッドモジュール300のビームフォーカシング部320は、レーザビームの焦点高さなどの位置を調節することができ、光学ヘッドモジュール300のレーザ照射部330は、加工対象物であるサンプル1に沿ってレーザビームの焦点位置を調節することができる。例えば、ビームフォーカシング部320は、加工対象物であるサンプル1の位置情報とのマッチングによって設定された加工高さに応じて、集光部50を通るレーザビームの焦点位置を調節することができる。
【0044】
ビームフォーカシング部320は、水平に往復移動をするモータ(図示せず)の駆動により、レーザ照射部330に伝達されるレーザビームの焦点距離を調節して照射することができる。例えば、ビームフォーカシング部320の内部に一つのレンズが右側に移動すると、レーザビームの焦点が加工対象物であるサンプル1から遠くなるので、レーザビームが地面の上側に移動してレーザビームの焦点の高さが短くなり得る。逆に、ビームフォーカシング部320の内部の1つのレンズが左側に移動すると、レーザビームが加工対象物であるサンプル1に近くなるので、レーザビームの焦点が地面の下側に移動できる。
【0045】
ビームフォーカシング部320の一側端部には、レーザビームの出力を感知するレーザ出力感知部321が配置されてもよい。このようなレーザ出力感知部321は、レーザ発生部10から照射されるレーザビームの出力を感知し、熱分布測定部310において測定される加工対象物であるサンプル1の表面温度などの情報とともに制御部70に伝送されてもよい。
【0046】
光学ヘッドモジュール300のレーザ照射部330の下部には、ビームフォーカシング部320を通ったレーザビームを加工対象物であるサンプル1に集束するための集光部50が配置されてもよい。
【0047】
集光部50は、レーザビームを集束させることができる。このような集光部50は、レーザ照射部330を通るレーザビームを集光させて、加工対象物であるサンプル1にレーザビームを照射することができる。集光部50は、一つ以上のレンズを含めて構成されてもよく、テレセントリックレンズを含んでもよい。
【0048】
このような構成を通じて、レーザビームの照射位置、焦点距離、出力されるレーザビームのパルス波形、パワー、照射時間、加工速度、発散および収束特性、ビームの形状など多様なパラメータのうち少なくとも一つ以上を調節することができる。
【0049】
制御部70は、加工対象物であるサンプル1の表面を加工するために、レーザビームが照射される焦点位置データを抽出することができる。このデータに基づいて、焦点位置データは、レーザ照射部330が制御してもよい。また、焦点位置データは、ビームフォーカシング部320が制御することにより、加工データをリアルタイムに制御することができる。
【0050】
本発明の一実施例に係る加工対象物のレーザ加工装置100は、精密ステージ(図示せず)をさらに含んでもよい。加工対象物であるサンプル1が加工のためにステージに装着されたとき、光学系の有効焦点距離を外れるひずみが発生する可能性がある。したがって、精密ステージを介して定義された座標系の内で多量の軸の組み合わせによって、ビームフォーカシング部320とレーザ照射部330の有効加工領域と有効焦点距離の内に加工対象物のサンプル1が位置するように制御することができる。
【0051】
以下では、前述した本発明に係るレーザ加工装置100を用いて加工対象物を加工する工程について図面を参照して説明する。
【0052】
図3は、本発明の一実施例に係るレーザ加工方法を示すフローチャートであり、
図4は、本発明の一実施例に係るレーザ加工例示を示すグラフである。
【0053】
これらの図面を参照すると、加工対象物であるサンプル1をレーザ加工装置にローディング(Loading)させる加工対象物のローディングすること(S100)、加工対象物であるサンプル1のレーザ加工のために、レーザ出力を含む加工データを入力すること(S200)、加工対象物であるサンプル1のレーザ加工のために、熱分布測定部310からリアルタイムで測定される表面温度及び溶融温度情報の中に一つ以上のことを取得すること(S300)、及び熱分布測定部310から取得された情報を反映して、加工対象物であるサンプル1に照射されるレーザビームの出力、パワーを調節し、加工すること(S500、S600)を含むことができる。
【0054】
必要な場合、熱分布測定部310から測定された加工対象物であるサンプル1の温度情報に応じてレーザビームの加工位置を補正するステップ(S400)がさらに含まれる。
【0055】
即ち、加工対象物であるサンプル1の加工地点の温度が予め入力された閾値と比較して高温と判断される場合には、加工地点を変更させて優先的にソルダリング(soldering)を行うことができる。
【0056】
前述したレーザ加工装置100を利用した加工工程は、
図4に示すように、予熱(preheating)及びソルダリング(soldering)工程が各々所定の温度で遂行できる。このとき、予熱過程とソルダリング工程で測定される温度は、前述した高温測定計310によって測定され得る。好ましくは、予熱過程とソルダリング工程で加工対象物であるサンプル1の表面温度または溶融温度が約1~500度の温度範囲で測定が行われてもよい。
【0057】
まず、加工対象物であるサンプル1を精密ステージのような加工ステージにローディングする(S100)。加工ステージに加工対象物であるサンプル1のローディングが完了すると、検査を行うことができる。この時、検査で確認される位置、整列状態などの情報は、CCD、CMOSで備えられたカメラ(図示せず)を用いて非接触方式により加工対象物であるサンプル1から獲得することができる。
【0058】
検査が完了した加工対象物であるサンプル1の外形などに応じてソルダリング(soldering)を行うレーザビームの出力、電流、電圧などのデータが決定及び入力され得る(S200)。入力されるレーザビームの出力、電流または電圧は、既に決定された設定値により決定されるが、このような設定値は、後述する加工対象物であるサンプル1の表面温度または溶融温度に応じて調節可能である。
【0059】
加工対象物であるサンプル1の加工情報が入力される段階(S200)の実行後には、熱分布測定部310からリアルタイムにて測定される表面温度または溶融温度情報を取得すること(S300)が行われてもよい。ここで、加工対象物であるサンプル1の加工情報が入力されること(S200)は、加工対象物であるサンプル1の外形や加工面積に応じて1次的に設定されるレーザビームの出力またはパワーであってよい。また、熱分布測定部310から測定される加工対象物であるサンプル1の表面温度に応じて2次的に設定されるレーザビームの出力であってもよい。望ましくは、レーザビームの出力は、略1~4,000Wの範囲の大きさで照射される。
【0060】
加工対象物であるサンプル1の表面温度によるレーザビームの出力調節後には、レーザ照射部330から照射されるレーザビームの出力が調節されるステップが進行される(S500)。レーザビームの出力調節は、熱分布測定部310から測定される加工対象物であるサンプル1の表面温度情報またはソルダリング溶融温度情報に応じて制御部70によって調節されるように制御される。
【0061】
ここで、レーザ照射部330から照射されるレーザビームの出力は、加工対象物であるサンプル1の表面温度の他にも、加工工程における溶融温度に応じて調節されてもよい。
【0062】
最後に、加工対象物であるサンプル1を最終加工する段階(S600)が行われる。このような加工段階(S600)は、ビームフォーカシング部320及びレーザ照射部330から照射されるレーザビームによってソルダリングなどの加工処理を行う工程と定義することができる。ここで、レーザ加工の意味は、ソルダリングの情報に応じてレーザによって加工対象物であるサンプル1が加工されることを意味する。この時、制御部70は、レーザの波長、出力、パルス幅、ビームの形状、スポットサイズ、フォーカス位置などのレーザ加工パラメータ情報と、パターン、マーキング、カッティングまたはスカイビングである場合に、これらの幅および間隔、加工速度情報を含んでレーザが照射されるようにすることができる。
【0063】
具体的な例において、レーザ照射部330から照射されるレーザビームは、
図2に示すように、高温測定計310の測定領域Cに応じて所定の加工領域Bに調節されて照射されてもよい。本発明の一実施例によれば、加工対象物であるサンプル1の表面温度測定領域として定義される「C」は、レーザビームが照射される加工領域Bよりも小さく形成されることが好ましい。したがって、加工対象物であるサンプル1の測定領域Cの表面温度または融温度に応じて加工領域Bを微細に移動または調節し、より効果的かつ細密な加工が可能である。
【0064】
これは、加工対象物に対する本発明に係るレーザ加工装置の加工工程で加工対象物であるサンプル1の表面温度および溶融温度を測定してリアルタイムで直接補正を可能にすることにより、光学ヘッドにレーザビームの大きさの調節のための追加装置が必要なく、加工領域に対する中心エネルギー分布に対する消失や変更なしにより効果的な加工が可能になる。すなわち、本発明によれば、加工対象物であるサンプル1をソルダリングするためにソルダボールによってレーザスポット(spot)の面積を調節するためのレーザ焦点のデフォーカシングで発生し得る加工対象物サンプル1の周辺の影響、例えば、バーニング(burning)、アンダーヒーティング(underheating)によるコールドソルダなどの現象を防止することができる。
【0065】
ここで、前述したCCD、CMOSで備えられたカメラ(図示せず)の撮像領域Aは、加工領域Bと高温測定計310の測定領域(C)より広く設定されることによって、加工工程で加工状態はもちろん、加工後にも品質分析及び確認が可能である。
【0066】
以上、本発明の代表的な実施例を詳細に説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、上述した実施例に対して本発明の範疇から逸脱しない限度内で様々な変形が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明の権利範囲は、説明された実施形態に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められるべきである。
【国際調査報告】