IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アストラゼネカ・アクチエボラーグの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ループスの処置
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20240927BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240927BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P43/00 111
A61P37/02
A61P17/02
A61P29/00
A61P1/00
A61P9/00
A61P3/02
A61P25/00
A61K31/573
A61P43/00 121
A61K39/395 N
C07K14/705 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520049
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2022077438
(87)【国際公開番号】W WO2023057369
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/262,039
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】トゥマラ,ラジェンドラ
(72)【発明者】
【氏名】モランド,エリック
(72)【発明者】
【氏名】アブレウ,ガブリエル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA52
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA08
4C084ZA21
4C084ZA36
4C084ZA66
4C084ZA89
4C084ZB05
4C084ZC21
4C084ZC42
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB31
4C085BB36
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA08
4C086ZA21
4C086ZA36
4C086ZA66
4C086ZA89
4C086ZB05
4C086ZC21
4C086ZC42
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA09
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、全身性エリテマトーデス(SLE)の処置のための方法及び組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SLEを患う対象を目標達成に向けて処置する方法であって、前記対象に、治療的に有効な量のI型IFN受容体(IFNAR1)阻害剤を投与することを含み、前記対象においてSLEを処置する方法。
【請求項2】
前記目標は、前記対象におけるループス低疾患活動性状態(LLDAS)であり、前記対象においてLLDASを達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記LLDASは、処置の少なくとも52、48、44、40、36、32、28、24、20、16、又は12週目までに達成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法であって、前記対象に、治療的に有効な量のI型IFN受容体(IFNAR1)阻害剤を投与することを含み、前記対象においてSLE疾患活動性を解消する方法。
【請求項5】
SLE疾患活動性を解消することは、BILCA応答を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
SLE疾患活動性を解消することは、完全BILCA(crBICLA)応答を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記crBILCA応答は、処置の28週目までに得られる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記対象においてSLE疾患活動性を解消することは、前記対象におけるLLDASの達成を含む、請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記LLDASは、処置の少なくとも52、48、44、40、36、32、28、24、20、16、又は12週目までに達成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記LLDASは、少なくとも2週間持続する、請求項1~3、8、又は9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
痛みの処置を必要とする対象において痛みを処置する方法であって、前記対象に、治療的に有効な量のI型IFN受容体(IFNAR1)阻害剤を投与することを含み、前記対象はSLEを患っており、前記対象において痛みを緩和する方法。
【請求項12】
前記痛みは身体の痛みである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記痛みは、腹痛、頭痛、及び/又はレイノー現象と関連した痛みである、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記対象において疲労感を引き下げる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記対象の気分を向上させる、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象の身体機能を向上させる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象においてSLE疾患活動性を引き下げる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
SLE疾患活動性の前記引下げは、BILCA及び/又はSRI(4)応答を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象へのステロイドの投与を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象においてステロイドを控えることを含み、前記対象に投与される前記ステロイドの用量は、ベースラインの控える前の用量から控えた後の用量まで漸減する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記控えた後の用量は、≦7.5mg/日のプレドニゾン又はプレドニゾン等価用量である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記控える前の用量は、20mg/日のプレドニゾン又はプレドニゾン等価用量である、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記ステロイドは、グルココルチコイドを含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ステロイドは、経口グルココルチコイドを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ステロイドは、ヒドロコルチゾン、モメタゾン、フルチカゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノロン、フルランドレノロンアセトニド、シクレソニド、ブデソニド、ベクロメタゾン、デフラザコート、フルニソリド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチゾール、トリアムシノロン、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、酪酸クロベタゾール、コルチゾン、コルチコステロン、クロコルトロン、ジヒドロキシコルチゾン、アルクロメタゾン、アムシノニド、吉草酸ジフルコルトロン、フルコルトロン、フルプレドニデン、フルアンドレノロン、フルオロメトロン、ハルシノニド、ハロベタゾール、デソニド、ジフロラゾン、フルランドレノリド、フルオシノニド、プレドニカルバート、デスオキシメタゾン、フルプレドニゾロン、プレドニゾン、アゼラスチン、デキサメタゾン21-リン酸塩、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノニド、ハロプレドン、17-吉草酸ヒドロコルチゾン、17-酪酸ヒドロコルチゾン、21-酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、21-リン酸プレドニゾロン、プロピオン酸クロベタゾール、トリアムシノロンアセトニド、又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記ステロイドはプレドニゾンである、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記患者は、中程度~重度のSLEを患う、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
第III相治験において実証された、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記IFNAR1阻害剤は、IFNAR1に特異的なヒトモノクローナル抗体、場合によっては、修飾されたIgG1クラスヒトモノクローナル抗体である、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
a)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域1(HCDR1);
b)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域2(HCDR2);
c)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域3(HCDR3);
d)アミノ酸配列配列番号6を含む軽鎖可変領域相補性決定領域1(LCDR1);
e)アミノ酸配列配列番号7を含む軽鎖可変領域相補性決定領域2(LCDR2);及び
f)アミノ酸配列配列番号8を含む軽鎖可変領域相補性決定領域3(LCDR3)
を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記抗体は、Fc領域内に、Kabatに記載されるEUインデックスによる付番としてL234Fのアミノ酸置換を含み、前記抗体は、少なくとも1つのFcリガンドに対して、非修飾抗体と比較して、引き下げられた親和性を示す、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記抗体は、
a)配列番号1のアミノ酸配列を含むヒト重鎖可変領域と;
b)配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖可変領域と;
c)配列番号9のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖定常領域と;
d)配列番号10のアミノ酸配列を含むヒト重鎖定常領域と
を含む、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記IFNAR1阻害剤は、アニフロルマブ又はその機能的バリアントである、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
固定用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
約300mg~約1000mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
約300mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
アニフロルマブ又はその機能的バリアントを約300~約1000mgの用量にて4週毎(Q4W)に投与することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
アニフロルマブ又はその機能的バリアントが、静脈内に投与される、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
アニフロルマブ又はその機能的バリアントを前記患者に105mg超150mg未満の用量にて投与することを含み、場合によっては、アニフロルマブ又はその機能的バリアントは皮下に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
アニフロルマブ又はその機能的バリアントを前記患者に1週あたり約120mgの用量にて投与することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記対象は、処置前にI型インターフェロン刺激遺伝子シグネチャ(IFNGS)検査で高値の患者である、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記対象を、前記IFNAR1阻害剤の投与前に、IFNGS検査で高値の患者として特定することを含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
請求項1~42のいずれか一項に記載の方法に使用される医薬組成物。
【請求項44】
請求項43に記載の医薬組成物を含む注射デバイス。
【請求項45】
前記注射デバイスは、プレフィルドシリンジ(PFS)である、請求項44に記載の注射デバイス。
【請求項46】
前記注射デバイスは、アクセサライズドプレフィルドシリンジ(AFPS)である、請求項45に記載の注射デバイス。
【請求項47】
前記注射デバイスは、オートインジェクタである、請求項44に記載の注射デバイス。
【請求項48】
請求項44~47のいずれか一項に記載の注射デバイスと、使用指示書とを含むキット。
【請求項49】
前記使用指示書は、前記医薬組成物の皮下投与についての指示書を含む、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
パッケージングを含み、前記パッケージングは、前記注射デバイス及び前記使用説明書を保持するように構成されている、請求項48又は49に記載のキット。
【請求項51】
前記使用説明書は、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法を明記する、請求項48~50のいずれか一項に記載のキット。
【請求項52】
前記使用説明書は、前記医薬組成物が、SLEを患う対象を目標達成に向けて処置する方法、及び/又は痛みの処置を必要とする対象において痛みを処置する方法に使用されることを明記しており、前記対象はSLEを患っている、請求項48~50のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1 背景
1.1 全身性エリテマトーデス(SLE)
全身性エリテマトーデス(SLE)は、病因不明の多臓器の身体障害性の慢性自己免疫リウマチ疾患である。特に、疾患が中程度又は重度の対象におけるSLEの処置においては、満たされていない実質的な医学的必要性が存在する。多数の対象において、長期予後は不良のままである。
【0002】
SLEの処置に関連する大きな課題は、SLEの種々雑多な臨床症状である非特許文献1。SLEでは、あらゆる臓器が冒される虞があり、皮膚、関節、及び腎臓が最も共通して巻き込まれる非特許文献2~非特許文献4。不十分な疾患制御は、進行性臓器障害、クオリティ・オブ・ライフの不良、及び死亡率増大を引き起こし、SLEを患う全患者の約半数は、診断から10年以内に臓器障害を発症する非特許文献5、非特許文献6。多臓器系にわたるSLE疾患活動性を改善するような医学的介入が未だ必要とされている。
【0003】
SLEの臨床症状として、以下に限定されないが、全身症状、脱毛症、発疹、漿膜炎、関節炎、腎炎、脈管炎、リンパ節腫脹、脾腫、溶血性貧血、認知機能不全、及び他の神経系障害が挙げられる。増加する入院、及び慢性経口コルチコステロイド(OCS)が挙げられる医薬品の副作用、及び他の免疫抑制処置が、SLEにおいて疾患負荷を増している非特許文献7~非特許文献9
【0004】
SLEの処置に現在用いられている治療法は全て、周知の有害作用プロファイルがあり、新たな標的療法、特に、コルチコステロイド及び細胞傷害剤の要件を減らし得る剤を特定するという医学的必要性が存在する。ヒドロキシクロロキンが円板状ループス及びSLEでの使用に認可されてから約50年以内に、SLEのための2つの新しい処置(ベリムマブ及びアニフロルマブ)が、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)(FDA)及び欧州医薬品庁(European Medicines Agency)(EMA)によって唯一認可されている。しかしながら、ベリムマブは、あらゆる場合に認可されるわけでなく、摂取は少量である。アザチオプリン、シクロホスファミド、及びミコフェノール酸モフェチル/ミコフェノール酸等のSLEを処置するのに現在用いられている多くの剤は、当該疾患に認可されていない。さらに、これらの薬剤は全て、十分に文書化された安全性の課題があり、ループスの全徴候について、全ての患者において有効であるわけでない。抗マラリア薬(例えばヒドロキシクロロキン)及びコルチコステロイドを用いて、関節痛、関節炎、及び発疹を制御する場合がある。他の処置として、非ステロイド抗炎症薬(NSAID);発熱、関節痛、及び関節炎用の鎮痛薬;並びに光線過敏を最小限に抑えるための局所日焼け止めが挙げられる。長期罹患率の原因となり、且つ早期心血管死亡率に寄与し得るコルチコステロイドを、疾患が中程度又は重度の対象から漸減させて完全になくすことは、困難であることが多い非特許文献8、非特許文献10。たとえ5~10mgの少ない1日用量のプレドニゾンの長期使用であっても、白内障、骨粗鬆症、及び冠動脈疾患等の副作用のリスク増大を伴う非特許文献8
【0005】
1.2 SLE用の処置を見出す困難
新薬の臨床開発は、成功の可能性が低い、長い期間を要する高コストプロセスである。臨床開発に進む分子について、最終的に10%未満が健康規制当局によって認可されることとなる非特許文献11。さらに、生物学的治療薬の早期臨床開発は、小分子の場合よりもはるかに長い期間を要する。
【0006】
第II相治験が、対象疾患を患う少数のボランティアにおいて実施されている。当該ボランティアは、安全性、薬物動態、及び薬力学を試験するように設計される。第II相治験は、薬物有効性の予備的な証拠を提供し得る。しかしながら、第II相治験内での少数の参加者及び主要な安全性への懸念が通常、有効性を確立する力を制限する。第III相治験は、臨床候補の有効性及び安全性を実証することが求められる。決定的に、多くの臨床候補は、第II相にて見込みを示していても、第III相にて不合格になる。第I相治験に入る90%を超える新規な処置薬は、主に有効性又は安全性における不合格が理由で、臨床開発中に不合格になる。第II相の合格に続く第III相での合格の確率は、50%未満である非特許文献12
【0007】
薬物開発のプロセスは、特にSLEについて、困難である。これは、SLEがとりわけ複雑であり、且つ十分に理解されていない疾患であることが理由である。SLEの遺伝学への理解が未発達であるだけでなく、大部分の臨床症状の病態形成への洞察もまた、他の疾患と比較して、依然として相対的に限られている。
【0008】
SLEの複雑性は、新しい処置薬の開発を望んでいても、患者集団に大規模な不均質性があるという課題を提示している非特許文献13。これにより、SLEにおける治験のための、例えば、組入れ基準並びにプライマリエンドポイント及びセカンダリエンドポイントの選択に関してのプロトコル設計が一層困難となる。各患者において疾患経過を予測することは、さらに困難である。これは、不可避的に、治験の検定力を引き下げるバックグラウンドノイズを増大させる。高いプラセボ応答率が、試験された新薬が有効性シグナルを示し得る範囲を制限し、治験の実施及び解釈を一層困難なものにする。
【0009】
SLE用の有効な処置薬を開発する困難は、他の適応症用の処置薬と比較して、治験におけるこの分野での処置薬のさらに高い不合格率を導く。ゆえに、SLEの処置用の新規な処置薬の開発は、極めて困難であることがわかっている。第II相での見込みを示したが、以降の相又は第III相治験において有効性及び/又は安全性を示さなかった臨床候補の例が多く存在する。
【0010】
1.3 SLE治験において臨床的意味があるエンドポイント
BICLA及びSRI(4)は双方とも、グローバルSLE疾患活動性の臨床的に意味がある要素を評価する。しかしながら、それらの基本的な測定基準特性の差異により、所与の患者の応答が、これらの結果尺度によって一貫性を示さずに分類され得ると認識されている。BICLAが固定されるBILAG-2004指数は、重篤度及び処置する医師の意図に従って、各徴候を等級分けする;また、徐々に増大する、臨床的に意味がある向上又は悪化を捕捉する。対照的に、SRI(4)が固定されるSLEDAI-2Kは、重篤度から独立した各徴候の二分スコア(存在又は不在)からなり、且つ個々の項目に異なる数の点を割り当てて、SLEDAI-2K要素の差分重さ(differential weight)が生じる。BICLA応答者であるには、患者は、全ての重度の(BILAG-2004A)、又は中程度の(BILAG-2004 B)臨床症状の少なくとも部分的な改善が、ベースラインにて影響されなければならないが、SRI(4)応答者であるには、患者は、十分な徴候の完全解消が、ベースラインにて影響されて、総SLEDAI-2Kスコアを≧4ポイント引き下げる必要がある。
【0011】
さらに、SLEの新しい有効な治療法を見出すのをさらに複雑にしているのは、SLE疾患活動性及び損傷、例えばBICLA及びSRI(4)の臨床尺度及びラボ尺度が、患者の日常生活に及ぼすSLEの疾患関連の影響及び処置関連の影響を評価しないことである。多くの場合、SLEにおける疾患活動性の臨床尺度と、疾患及びその、健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQoL)に及ぼす影響の患者の認識との間に、不一致が存在し得る非特許文献14。治験環境にあるSLE患者における、PROによる直接的処置利益の測定は、困難且つ複雑である。PROと疾患活動性指数との間の不十分な相関、及び患者と、疾患活動性の医師の評価との間の不一致は双方とも、SLEにおいて非常によく知られている。バックグラウンド薬物、グルココルチコイド使用、紅斑、及び共存症が挙げられる多数の要因が、処置応答を混乱させて、HRQoLに大きく影響を与え得る。
【0012】
1.4 ベリムマブ
ベリムマブは、SLE患者の処置に認可されている抗BAFF抗体である。ベリムマブは、約60年間、米国食品医薬品局(FDA)及び欧州医薬品庁(EMA)によって認可されているSLE用の唯一の新しい処置のままである。また、ベリムマブは、SLEの処置に認可されている唯一の生物製剤である。しかしながら、ベリムマブは、活動性SLEを患う成人患者における3つの第3相マルチセンター二重盲検52週研究(BLISS-52、BLISS-76、及びBLISS-SC)によって評価して、ステロイドを控えることを許可していない非特許文献15~非特許文献17。これらの治験では、ベリムマブを受ける患者が持続ステロイドを控えると(IV又はSC)、統計的有意性を達成しなかった非特許文献15~非特許文献17。例えば、>7.5mg/日のプレドニゾンをベースラインにて受けている患者において、12~13%のプラセボレシピエントと比較して、ベリムマブ10mg/kgのレシピエントの僅か18~19%しか、プレドニゾン用量を≧25%引き下げて12週間で≦7.5mg/日にできなかった非特許文献15。BLISS-52及びBLISS-76データセットについての事後分析では、全てのコルチコステロイドへの全体的な曝露が、ベリムマブ処置群及びプラセボ処置群の双方について、平均で実際に増大した非特許文献18
【0013】
1.5 I型IFN及びアニフロルマブ
アニフロルマブ(MEDI-546)は、I型インターフェロン受容体(IFNAR1)のサブユニット1に対して向けられるヒト免疫グロブリンG1カッパ(IgG1κ)モノクローナル抗体(mAb)である。これは、2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖で構成され、全体の分子量は約148kDaである。アニフロルマブは、I型IFNの、I型インターフェロン受容体(IFNAR)への結合を阻害して、全てのI型IFNの生物学的活性を阻害する。
【0014】
I型インターフェロン(IFN)は、SLEの病態形成に関与しているサイトカインであり、SLEを患うほとんどの患者においてIFN刺激遺伝子発現が増大するという知見に基づいている。中程度~重度のSLEを患う患者におけるアニフロルマブの第3相TULIP-2治験では、処置応答(イギリス諸島ループス評価群[BILAG]に基づく複合ループス評価[BICLA]を用いて評価された)が、52週目のプラセボと比較して、アニフロルマブを受けている有意に多くの患者によって達成された非特許文献19。この複合エンドポイントと類似した結果が、第2相MUSE及び第3相TULIP-1治験において観察された非特許文献20、非特許文献21。重要なことに、BICLA及びSLE応答者指数(SRI)等の、SLE治験に用いられる複合エンドポイントは、異なる臓器ドメインにわたる疾患活動性の変化を、バイナリー応答者対非応答者の結果に二分する。このアプローチは、有効性の決定的証明にとって有益である一方で、SLEを患う患者を潜在的に冒す多くの臓器ドメインにわたって処置有効性を解釈する能力を制限する。
【0015】
これらの治験では、応答は、BICLA複合指数及びSRI(4)複合指数の双方を用いて評価された非特許文献19~非特許文献21。SRI(4)ベースの結果は、MUSEにおけるプライマリエンドポイントであった。ロバストな結果があれば、当初、TULIP-1及びTULIP-2の双方についてのプライマリエンドポイントとして選択された。その後、BICLA(MUSE及びTULIP-1においてもロバストな結果を出したセカンダリエンドポイント)は、TULIP-2データセットの非盲検化前のTULIP-2におけるプライマリエンドポイントと示された非特許文献22。TULIP-2において、アニフロルマブ300mgは、52週目にBICLA応答及びSRI(4)応答の双方によって測定されたプラセボと比較して、統計学的に有意な利益を実証した;類似した結果が、MUSEにおいても観察された非特許文献19~非特許文献22。TULIP-1において、BICLA応答に及ぼすアニフロルマブ300mgの効果は、TULIP-2及びMUSEにおいて見られるのと類似したマグニチュードのものであった;しかしながら、MUSE及びTULIP-2において見られるように、SRI(4)によるアニフロルマブとプラセボとの処置差異は、統計学的有意性を達成しなかった。
【0016】
1.6 SLEにおける目標達成に向けた処置(Treat-to-target)
目標達成に向けた処置は、予め定義された処置目的(臨床状態、ラボマーカー、又は双方の組合せ)を達成且つ維持するように治療を開始且つ調整するプロセスを包含する非特許文献23。新しい標的療法が高い率の寛解又は低い疾患活動性をもたらす他のリウマチ症状と比較して、SLEの治療法の効果の大きさは、これまで比較的小さかった。ゆえに、目標達成に向けた処置(T2T)に用いることができる治療法が、全身性エリテマトーデス患者についての結果を改善するのに必要とされる。
【0017】
ループス低疾患活動性状態(LLDAS)が挙げられる低疾患活動性及び寛解の形態のT2Tエンドポイントが、SLEにおいて最近開発された。しかしながら、ベリムマブを受けている患者において、52週目のLLDASは、BLISS-52において患者の10.0%、BLISS-76において7.1%しか達成されず、ベリムマブ10mg/kgを受けた患者内のパーセンテージは、BLISS-52において、プラセボを受けた患者と比較して、より大きかった(11.9%対6.2%;p=0.030)が、BLISS-76ではそうならならなかった(8.3%対6.4%;p=0.473)非特許文献24
【0018】
1.7 SLEにおける痛み
痛みは、SLEにおいて頻繁に起こる自己報告の徴候であり、多くの場合、疾患の最初の徴候の1つである非特許文献25。SLEにおける痛みは、筋骨格痛、頭痛、腹痛、及び/又はレイノー現象に起因する痛みであり得る非特許文献26
【0019】
1.8 結論
本発明は、上記課題の1つ以上を解決する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Pons-Estel,G.J.;Alarcon,G.S.;Scofield,L.;Reinlib,L.;Cooper,G.S.Understanding the Epidemiology and Progression of Systemic Lupus Erythematosus.Arthritis Rheum 2010;39(4):257-268.https://doi.org/10.1016/j.semarthrit.2008.10.007.
【非特許文献2】McCauliffe,D.P.Cutaneous Lupus Erythematosus.Semin Cutan Med Surg 2001,20(1),14-26.https://doi.org/10.1053/sder.2001.23091.
【非特許文献3】Uva,L.;Miguel,D.;Pinheiro,C.;Freitas,J.P.;Marques Gomes,M.;Filipe,P.Cutaneous Manifestations of Systemic Lupus Erythematosus.Autoimmune Dis 2012,2012,834291.https://doi.org/10.1155/2012/834291.
【非特許文献4】Zayat,A.S.;Md Yusof,M.Y.;Wakefield,R.J.;Conaghan,P.G.;Emery,P.;Vital,E.M.The Role of Ultrasound in Assessing Musculoskeletal Symptoms of Systemic Lupus Erythematosus: A Systematic Literature Review.Rheumatology(Oxford)2016,55(3),485-494.https://doi.org/10.1093/rheumatology/kev343.
【非特許文献5】Sa,C.;E,A.;A,R.;D,I.Damage and mortality in a group of British patients with systemic lupus erythematosus followed up for over 10 years https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19359343/(accessed 2021-02-08).https://doi.org/10.1093/rheumatology/kep062.
【非特許文献6】Murimi-Worstell,I.B.;Lin,D.H.;Nab,H.;Kan,H.J.;Onasanya,O.;Tierce,J.C.;Wang,X.;Desta,B.;Alexander,G.C.;Hammond,E.R.Association between Organ Damage and Mortality in Systemic Lupus Erythematosus:A Systematic Review and Meta-Analysis.BMJ Open 2020,10(5),e031850.https: //doi.org/10.1136/bmjopen-2019-031850.
【非特許文献7】Doria,A.;Briani,C.Lupus:Improving Long-Term Prognosis.Lupus 2008,17(3),166-170.https://doi.org/10.1177/0961203307087612.
【非特許文献8】Petri,M.Long-Term Outcomes in Lupus.Am J Manag Care 2001,7(16 Suppl),S480-485.
【非特許文献9】Zonana-Nacach,A.;Barr,S.G.;Magder,L.S.;Petri,M.Damage in Systemic Lupus Erythematosus and Its Association with Corticosteroids.Arthritis Rheum 2000,43(8),1801-1808.https://doi.org/10.1002/1529-0131(200008)43:8<1801::AID-ANR16>3.0.CO;2-O.
【非特許文献10】Urowitz,M.B.;Bookman,A.A.;Koehler,B.E.;Gordon,D.A.;Smythe,H.A.;Ogryzlo,M.A.The Bimodal Mortality Pattern of Systemic Lupus Erythematosus.Am J Med 1976,60(2),221-225.https://doi.org/10.1016/0002-9343(76)90431-9.
【非特許文献11】Patel,D.D.;Antoni,C.;Freedman,S.J.;Levesque,M.C.;Sundy,J.S.Phase 2 to Phase 3 Clinical Trial Transitions:Reasons for Success and Failure in Immunologic Diseases.Journal of Allergy and Clinical Immunology 2017,140(3),685-687.https://doi.org/10.1016/j.jaci.2017.04.029.
【非特許文献12】Dowden,H.;Munro,J.Trends in Clinical Success Rates and Therapeutic Focus.Nature Reviews Drug Discovery 2019,18(7),495-496.https://doi.org/10.1038/d41573-019-00074-z.
【非特許文献13】Eisenberg,R.WHY CAN’T WE FIND A NEW TREATMENT FOR SLE? J Autoimmun 2009,32(3-4),223-230.https: //doi.org/10.1016/j.jaut.2009.02.006.
【非特許文献14】Gomez,A.;Qiu,V.;Cederlund,A.;Borg,A.;Lindblom,J.;Emamikia,S.;Enman,Y.;Lampa,J.;Parodis,I.Adverse Health-Related Quality of Life Outcome Despite Adequate Clinical Response to Treatment in Systemic Lupus Erythematosus.Frontiers in Medicine 2021,8,471.https://doi.org/10.3389/fmed.2021.651249.
【非特許文献15】Blair,H.A.;Duggan,S.T.Belimumab:A Review in Systemic Lupus Erythematosus.Drugs 2018,78(3),355-366.https://doi.org/10.1007/s40265-018-0872-z.
【非特許文献16】Navarra,S.V.;Guzman,R.M.;Gallacher,A.E.;Hall,S.;Levy,R.A.;Jimenez,R.E.;Li,E.K.-M.;Thomas,M.;Kim,H.-Y.;Leon,M.G.;Tanasescu,C.;Nasonov,E.;Lan,J.-L.;Pineda,L.;Zhong,Z.J.;Freimuth,W.;Petri,M.A.;BLISS-52 Study Group.Efficacy and Safety of Belimumab in Patients with Active Systemic Lupus Erythematosus: A Randomised,Placebo-Controlled,Phase 3 Trial.Lancet 2011,377(9767),721-731.https://doi.org/10.1016/S0140-6736(10)61354-2.
【非特許文献17】Furie,R.;Petri,M.;Zamani,O.;Cervera,R.;Wallace,D.J.;Tegzova,D.;Sanchez-Guerrero,J.;Schwarting,A.;Merrill,J.T.;Chatham,W.W.;Stohl,W.;Ginzler,E.M.;Hough,D.R.;Zhong,Z.J.;Freimuth,W.;van Vollenhoven,R.F.;BLISS-76 Study Group.A Phase III,Randomized,Placebo-Controlled Study of Belimumab,a Monoclonal Antibody That Inhibits B Lymphocyte Stimulator,in Patients with Systemic Lupus Erythematosus.Arthritis Rheum 2011,63(12),3918-3930.https://doi.org/10.1002/art.30613.
【非特許文献18】van Vollenhoven,R.F.;Petri,M.;Wallace,D.J.;Roth,D.A.;Molta,C.T.;Hammer,A.E.;Tang,Y.;Thompson,A.Cumulative Corticosteroid Dose Over Fifty-Two Weeks in Patients With Systemic Lupus Erythematosus: Pooled Analyses From the Phase III Belimumab Trials.Arthritis Rheumatol 2016,68(9),2184-2192.https: //doi.org/10.1002/art.39682.
【非特許文献19】Morand,E.F.;Furie,R.;Tanaka,Y.;Bruce,I.N.;Askanase,A.D.;Richez,C.;Bae,S.-C.;Brohawn,P.Z.;Pineda,L.;Berglind,A.;Tummala,R.Trial of Anifrolumab in Active Systemic Lupus Erythematosus.New England Journal of Medicine 2020,382(3),211-221.https://doi.org/10.1056/NEJMoa1912196.
【非特許文献20】Furie,R.;Khamashta,M.;Merrill,J.T.;Werth,V.P.;Kalunian,K.;Brohawn,P.;Illei,G.G.;Drappa,J.;Wang,L.;Yoo,S.;Investigators,for the C.S.Anifrolumab,an Anti-Interferon-α Receptor Monoclonal Antibody,in Moderate-to-Severe Systemic Lupus Erythematosus.Arthritis & Rheumatology(Hoboken,N.j.)2017,69(2),376.https: //doi.org/10.1002/art.39962.
【非特許文献21】Furie,R.A.;Morand,E.F.;Bruce,I.N.;Manzi,S.;Kalunian,K.C.;Vital,E.M.;Ford,T.L.;Gupta,R.;Hiepe,F.;Santiago,M.;Brohawn,P.Z.;Berglind,A.;Tummala,R.Type I Interferon Inhibitor Anifrolumab in Active Systemic Lupus Erythematosus(TULIP-1):A Randomised,Controlled,Phase 3 Trial.The Lancet Rheumatology 2019,1(4),e208-e219.https://doi.org/10.1016/S2665-9913(19)30076-1.
【非特許文献22】Tanaka,Y.;Tummala,R.Anifrolumab,a Monoclonal Antibody to the Type I Interferon Receptor Subunit 1,for the Treatment of Systemic Lupus Erythematosus: An Overview from Clinical Trials.Modern Rheumatology 2020,0(0),1-12.https://doi.org/10.1080/14397595.2020.1812201.
【非特許文献23】Golder,V.;Tsang-A-Sjoe,M.W.P.Treatment Targets in SLE: Remission and Low Disease Activity State.Rheumatology 2020,59(Supplement_5),v19-v28.https://doi.org/10.1093/rheumatology/keaa420.
【非特許文献24】Parodis,I.;Emamikia,S.;Gomez,A.;Gunnarsson,I.;van Vollenhoven,R.F.;Chatzidionysiou,K.Clinical SLEDAI-2K Zero May Be a Pragmatic Outcome Measure in SLE Studies.Expert Opinion on Biological Therapy 2019,19(2),157-168.https://doi.org/10.1080/14712598.2019.1561856.
【非特許文献25】Waldheim,E.;Ajeganova,S.;Bergman,S.;Frostegard,J.;Welin,E.Variation in Pain Related to Systemic Lupus Erythematosus(SLE): A 7-Year Follow-up Study.Clin Rheumatol 2018,37(7),1825-1834.https: //doi.org/10.1007/s10067-018-4079-1.
【非特許文献26】Greco,C.M.;Rudy,T.E.;Manzi,S.Adaptation to Chronic Pain in Systemic Lupus Erythematosus:Applicability of the Multidimensional Pain Inventory.Pain Med 2003,4(1),39-50.https://doi.org/10.1046/j.1526-4637.2003.03001.x.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
2 概要
本発明は、SLEを患う対象を目標達成に向けて処置する方法であって、対象に、治療的に有効な量のI型IFN受容体(IFNAR1)阻害剤を投与することを含み、対象においてSLEを処置する方法に関する。本発明は、とりわけ、本明細書中で初めて示されるデータによって支持され、これは、I型IFN受容体阻害剤(アニフロルマブ)は、対象(例えばループス低疾患活動性状態)において疾患活動性の解消を達成するのに用いることができるので、目標達成に向けた処置方法に用いることができることを実証している。
【0022】
また、本発明は、痛みの処置を必要とする対象において痛みを処置する方法であって、対象に、治療的に有効な量のI型IFN受容体(IFNAR1)阻害剤を投与することを含み、対象はSLEを患っており、対象において痛みを緩和する方法に関する。本発明は、とりわけ、本明細書中で初めて示されるデータによって支持され、これは、I型IFN受容体阻害剤(アニフロルマブ)の投与が、SLE患者において痛みを処置することを実証している。痛みの緩和は、数値評価スコア(NRS)を用いて測定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
3.図面の簡単な説明
図1】IFNトランスクリプトスコアの分布。
図2】TULIP-1及びTULIP-2においてベースラインにてグルココルチコイド≧10mg/日を受けている患者における投薬量に対するグルココルチコイド応答及び変化(プールしたデータ)。図2A図2B:52週目の、≦7.5mg/日(図2A)及び≦5mg/日(図2B)への持続経口グルココルチコイド投薬量引下げを達成した患者。エラーバーは95%CIを表す。図2C:処置群あたりの52週を通しての経口グルココルチコイドAUC。エラーバーは、SEを表す。図2D:グルココルチコイド応答者及び非応答者についての52週を通しての経口グルココルチコイドAUC。エラーバーは、SEを表す。グルココルチコイド応答者は、ベースライングルココルチコイド投薬量が≧10mg/日である患者において40週目から52週目まで投薬量増大のない、40週目までの≦7.5mg/日へのグルココルチコイド投薬量引下げと定義した。AUC、曲線下面積;CI、信頼区間;LS、最小二乗;SE、標準誤差。
図3】MUSE、TULIP-1、及びTULIP-2治験でのSLE患者における52週目の組合せBICLA及びSIR(4)応答、並びにストリンジェントBICLA応答の定義。プラセボに対する、アニフロルマブ300mgを選好する応答率差異を、MUSE、TULIP-1、及びTULIP-2にわたって全5つのストリンジェントBICLAエンドポイントについて観察した。率、差異、95%Ci、及び名目P値を、層化コクラン・マンテル・ヘンツェルアプローチ(スクリーニング時の層化因子SLEDAI-2Kスコア、1日目のGC用量、及びスクリーニング時のIFNGS検査状況)を用いて算出した。全てのエンドポイントについての応答は、治験処置中断なし、及びプロトコル制限付き薬物療法の使用なしを必要とした。BICLA応答、vベースライン:全BILAG-2004臓器ドメインの向上(A及びBスコアからそれぞれB/C/D及びC/D)、BILAG-2004ドメイン悪化なし、SRI(4)応答悪化;PGA悪化(≧0.3ポイント)なし。crBICLA応答基準を、表8-1に定義する。エラーバーは、平均の標準誤差を表す。*名目P<0.05;**名目P<0.01;***名目P<0.001。
図4】TULIP-1及びTULIP-2におけるBICLA応答者による、非応答者に対する、SF-36におけるベースライン及び52週目のドメインスコアのスパイダグラム(spydergram)(プールしたデータ)。52週目に、BICLA応答者は、PCS、MCS、及び全8つのSF-36ドメインの、非応答者よりも大きな向上を報告した(全ての名目p<0.001)。BICLA、イギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価;LS、最小二乗;LupusQoL、ループスクオリティ・オブ・ライフ;SF-36、Short Form36 Health Survey。A/G標準、年齢がマッチし、且つ性別がマッチした規範値、BI、身体の画像;BICLA、イギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価;BL、ベースライン;BP、身体の痛み;BTO、他者への負担;EH、感情の健康;FACIT-F、慢性疾患療法-疲労感の機能評価;FG、疲労感;GH、健康状態;IR、親密な関係;LS、最小二乗;LupusQoL、ループスクオリティ・オブ・ライフ;MH、メンタルヘルス;MMRM、反復尺度についての混合モデル;PAIN、痛み;PF、身体機能;PH、身体的健康;PLAN、プランニング;RE、感情の役割;RP、身体の役割;SF、社会的機能;SF-36、Short Form36 Health Survey;VT、活力。年齢及び性別がマッチした規範スコアを、SF-36ドメインについて示す。スパイダグラムを、ドメイン生スコア(範囲:0~100)を用いて生成した;米国の年齢-性別標準が、ベンチマーク比較として研究集団にマッチした。SF-36スコア又はLupusQoLスコアが高いほど、ポジティブな健康状態及びベースラインからの大きなポジティブ変化を示す。組み合わせたベースライン平均は、全ての患者(BICLA応答者及び非応答者)を含む。名目P値は、BICLA応答者と非応答者との間の最小二乗平均差に基づいた、方法の節において概説される固定効果によるMMRMから導き出される。SF-36及びLupusQoLの全てのドメインは、応答者対非応答者において、名目上有意である。
図5】TULIP-1及びTULIP-2におけるBICLA応答者による、非応答者に対する、LupusQoLにおけるベースライン及び52週目のドメインスコアのスパイダグラム(プールしたデータ)。52週目に、BICLA応答者は、全てのLupusQoLドメインのより大きな向上を報告した(全ての名目p<0.001;親密な関係、名目p=0・005)。BICLA、イギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価;LS、最小二乗;LupusQoL、ループスクオリティ・オブ・ライフ;SF-36、Short Form36 Health Survey。A/G標準、年齢がマッチし、且つ性別がマッチした規範値、BI、身体の画像;BICLA、イギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価;BL、ベースライン;BP、身体の痛み;BTO、他者への負担;EH、感情の健康;FACIT-F、慢性疾患療法-疲労感の機能評価;FG、疲労感;GH、健康状態;IR、親密な関係;LS、最小二乗;LupusQoL、ループスクオリティ・オブ・ライフ;MH、メンタルヘルス;MMRM、反復尺度についての混合モデル;PAIN、痛み;PF、身体機能;PH、身体的健康;PLAN、プランニング;RE、感情の役割;RP、身体の役割;SF、社会的機能;SF-36、Short Form 36 Health Survey;VT、活力。年齢及び性別がマッチした規範スコアを、SF-36ドメインについて示す。スパイダグラムを、ドメイン生スコア(範囲:0~100)を用いて生成した;米国の年齢-性別標準が、ベンチマーク比較として研究集団にマッチした。SF-36スコア又はLupusQoLスコアが高いほど、ポジティブな健康状態及びベースラインからの大きなポジティブ変化を示す。組み合わせたベースライン平均は、全ての患者(BICLA応答者及び非応答者)を含む。名目P値は、BICLA応答者と非応答者との間の最小二乗平均差に基づいた、方法の節において概説される固定効果によるMMRMから導き出される。SF-36及びLupusQoLの全てのドメインは、応答者対非応答者において、名目上有意である。
図6】TULIP-1及びTULIP-2でのBICLA応答者及び非応答者におけるSF-36及びLupusQoL比較ドメインの経時的なベースラインからのLS平均変化(プールしたデータ)。SF-36(身体機能、身体の痛み、活力、及びメンタルヘルス)(図6A)及びLupusQoL(身体的健康、痛み、疲労感、及び感情の健康)(図6B)の比較可能なドメインにおいて、BICLA応答者によって報告されるベースラインからの向上が、最初の処置後評価にて起こって、52週目まで維持された。BICLA、イギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価;LS、最小二乗;LupusQoL、ループスクオリティ・オブ・ライフ;SF-36、Short Form36 Health Survey。
図7】TULIP-1及びTULIP-2におけるBICLA応答者による、非応答者に対する向上≧A)SF-36、B)LupusQoL、及びC)FACIT-Fの52週目のMCIDを報告する患者の割合(プールしたデータ)。 52週目に、非応答者と比較してより大きな割合のBICLA応答者が、臨床的に意味がある向上≧PCS、MCS、及びSF-36の全8つのドメイン(図7A)、並びに全てのLupusQoLドメイン(図7B)のMCIDを報告した。非応答者と比較して、BICLA応答者のより大きな割合が、FACIT-F向上≧52週目のMCIDを報告した(図7C)。BICLA、イギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価;LS、最小二乗;LupusQoL、ループスクオリティ・オブ・ライフ;SF-36、Short Form36 Health Survey。
図8】TULIP-1及びTULIP-2におけるBICLA応答者による、非応答者に対する、スコア≧A)SF-36及びB)FACIT-Fにおけるベースライン及び52週目の規範値を報告する患者の割合(プールしたデータ)。スコア≧ベースラインでの規範値を報告するBICLA応答者の割合は、概して、BICLA非応答者と比較して、とりわけSF-36 MCS、並びに身体の痛み、活力、及び社会的機能ドメインスコアにおいて、より高かった。52週目に、非応答者と比較して、BICLA応答者のより大きな割合が、スコア≧PCS、MCS、及びSF-36の全8つのドメインにおける規範値を報告した。BICLA、イギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価;BP、身体の痛み;FACIT-F、慢性疾患療法-疲労感の機能評価;GH、健康状態;MCS、精神コンポーネントサマリ;MH、メンタルヘルス;PCS、身体コンポーネントサマリ;PF、身体機能;RE、感情の役割;RP、身体の役割;SF、社会的機能;SF-36、Short Form 36 Health Survey;VT、活力。SF-36 PCS及びMCSについての規範値:50;SF-36ドメインについての年齢及び性別がマッチした標準:PF:83・25、RP:82・96、BP:72・75、GH:69・95、VT:55・82、SF:83・30、RE:86・68、及びMH:73:34。FACIT-F規範値は、43・6である。一部のドメインについて、ベースラインと比較して、より少ないBICLA応答者が、スコア≧52週目の規範値を報告した。
図9】TULIP-1及びTULIP-2における処置群によるA)SF-36及びB)LupusQoL比較ドメインの経時的なベースラインからのLS平均変化(プールしたデータ)。経時的に、アニフロルマブ処置患者は、プラセボと比較して、4つのSF-36ドメイン(身体機能、身体の痛み、活力、及びメンタルヘルス;8週目)及びLupusQoL比較可能ドメイン(身体的健康、痛み、疲労感、及び感情の健康;12週目)において、最初の評価時に、ベースラインからの数値的により大きなLS平均変化を報告した。これらの差異は、LupusQoL身体的健康ドメイン及び感情の健康ドメインを除いて、52週目まで維持された。LS、最小二乗;LupusQoL、ループスクオリティ・オブ・ライフ;SF-36、Short Form 36 Health Survey。
図10】TULIP-1及びTULIP-2における処置群によるA)SF-36及びB)LupusQoL比較ドメインの経時的なベースラインからのLS平均変化(プールしたデータ)。52週目に、プラセボと比較して数値的により大きな割合のアニフロルマブ処置患者が、臨床的に意味がある向上≧PCS、MCS、及びSF-36の全8つのドメイン、全てのLupusQoLドメイン、並びにFACIT-FのMCIDを報告した。LS、最小二乗;LupusQoL、ループスクオリティ・オブ・ライフ;SF-36、Short Form36 Health Survey。
図11】処置、臨床尺度、及びPROの仮定構造方程式(Structural Equation)パスモデル。ベースライン後に、処置が、BICLA、BILAG-2004、及びSLEDAI-2K応答の臨床尺度に及ぼす直接的な効果を有すると仮定して、グルココルチコイド投薬量の引下げをもたらすと予測した。加えて、処置がBICLA応答及びSLEDAI-2K/BILAG-2004スコアの向上をもたらすならば、グルココルチコイド投薬量の引下げとも関連するはずであると、臨床尺度とグルココルチコイド引下げとの相関(両矢印)を予測した。BILAG、イギリス諸島ループス評価群;EQ-5D-5L、EuroQol 5 Dimension 5レベル;EQ-5D VAS、EuroQol 5 Dimensions視覚的アナログスケール;FACIT-F、慢性疾患療法-疲労感の機能評価;HRQoL、健康関連クオリティ・オブ・ライフ;LupusQoL、ループスクオリティ・オブ・ライフ;NRS、数値的評価スケール;PHQ-8、8項目の患者健康アンケート抑うつスケール;PRO、患者報告アウトカム;SF-36、Short Form 36 Health Survey;Tx、処置。
図12】24週目及び52週目:TULIP-1及びTULIP-2におけるBICLA及びグルココルチコイド漸減数(プールしたデータ)。BICLA、イギリス諸島ループス評価群(BILAG)ベースの複合ループス評価;HRQoL、健康関連クオリティ・オブ・ライフ;Tx、処置。1.0よりも大きなベータは数学的に可能性があり、モデルがおかしいことを示さない。図12Aは、8週目から24週目までのBICLA応答及びグルココルチコイド投薬量漸減数を含んだ、24週目のプールしたデータについてのモデルを臨床尺度として示す。図12Bは、52週目のプールしたデータについてのモデルを示す。
図13】24週目及び52週目:TULIP-1及びTULIP-2におけるBICLA及びグルココルチコイド投薬量のベースラインからの変化パーセンテージ(プールしたデータ)。BICLA、イギリス諸島ループス評価群(BILAG)ベースの複合ループス評価;CFB、ベースラインからの変化;HRQoL、健康関連クオリティ・オブ・ライフ;Tx、処置。1.0よりも大きなベータは数学的に可能性があり、モデルに問題があることを示さない。図13A:24週目;図13B:52週目。
図14】24週目及び52週目:TULIP-1及びTULIP-2におけるBICLA及びグルココルチコイド投薬量のベースラインからの変化パーセンテージ(プールしたデータ)。図14A:24週目及び52週目:TULIP-1及びTULIP-2におけるBILAG-2004及びグルココルチコイド漸減数(プールしたデータ)。図14B:24週目及び52週目:TULIP-1及びTULIP-2におけるSLEDAI-2K及びグルココルチコイド漸減数(プールしたデータ)。図14C:24週目及び52週目:TULIP-1及びTULIP-2におけるBILAG-2004及びグルココルチコイド投薬量のベースラインからの変化(プールしたデータ)。図14D:24週目及び52週目:TULIP-1及びTULIP-2におけるSLEDAI-2K及びグルココルチコイド投薬量のベースラインからの変化(プールしたデータ)。BILAG-2004、イギリス諸島ループス評価群2004;CFB、ベースラインからの変化;HRQoL、健康関連クオリティ・オブ・ライフ;Tx、処置。P≦0.05にて有意なパスのみが示される。係数は、標準化された回帰係数(ベータ)に等しい。Tx=処置アーム(1=アニフロルマブ;2=プラセボ)。1.0よりも大きなベータは数学的に可能性があり、モデルに問題があることを示さない。
図15】TULIP-1治験及びTULIP-2治験でのSLE患者における無作為化処置によるLLDAS応答率。応答率を、スクリーニング時の層化因子又はSLEDAI-2K、1日目グルココルチコイド投薬量、スクリーニング時のI型IFN遺伝子シグネチャ、及び研究による層化CMHアプローチを用いて算出した。名目P値を、CMHアプローチについてと同じ因子とのロジスティック回帰を用いて算出した。*名目P<0.05;**名目P<0.01;***名目P<0.001。CMH、コクラン・マンテル・ヘンツェル;LLDAS、ループス低疾患活動性状態;SE、標準誤差。
図16】TULIP-1、TULIP-2、及び(%)における52週目のBICLA結果とSRI(4)結果とについての患者応答者状況間の一致。TULIP-1において、BICLA応答者及びSRI(4)応答者の双方(二重応答者)である患者の割合は、アニフロルマブ群について42.2%、プラセボ群について27.7%であった。この処置差は、統計学的に有意であり、TULIP-2において、MUSEにおいて観察された差異と一致した。各研究におけるより小さな割合の患者のBICLA結果及びSRI(4)結果が一致しなかった。BICLA、イギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価;SRI(4)、全身性エリテマトーデス応答者指数≧4。
図17】TULIP-1においてBICLA/SRI(4)応答によって層化した、ベースラインにて≧10mg/日を受けている患者間の、40週目から52週目までの≦7.5mg/日へのグルココルチコイドの持続漸減あり、及びなしの患者の割合。また、≦7.5mg/日へのグルココルチコイド漸減を達成する患者の割合は、アニフロルマブ300mg群におけるよりもプラセボ群において低かった。この分析に含まれる全ての患者は、ベースラインにてグルココルチコイド(プレドニゾン又は等価物)≧10mg/日を受けていた。BICLA-及びSRI(4)-は、非応答者を指す;BICLA+及びSRI(4)+は、応答者を指す。BICLA、イギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価;GC、グルココルチコイド;SRI(4)、全身性エリテマトーデス応答者指数≧4。
図18】BICLA非応答者/SRI(4)応答者間のTULIP-1における52週目のSRI(4)応答及びBICLA非応答の理由。BICLA非応答者/SRI(4)応答者間のTULIP-1における52週目のSRI(4)応答(図18A)及びBICLA非応答(図18B)の理由。TULIP-1 BICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループにおいて、プラセボ群の患者の大多数(22/28、78.6%)は、関節炎応答の結果としての、SRI(4)応答に必要とされるSLEDAI-2Kの4ポイント引下げを達成した。BICLA-及びSRI(4)-は、非応答者を指す;BICLA+及びSRI(4)+は、応答者を指す。BICLA-及びSRI(4)-は、非応答者を指す;BICLA+及びSRI(4)+は、応答者を指す。BICLA、イギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価;SRI(4)、全身性エリテマトーデス応答者指数≧4。
図19】TULIP-1 BICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループにおけるSLEDAI-2K関節炎応答患者間のベースラインから52週目までの駆動関節(active joint)カウントの変化。SLEDAI-2K関節炎応答があったプラセボ群の22/28人のBICLA非応答者/SRI(4)応答者の間で、11人の患者(50.0%)が、このサブグループの2/6人(33.3%)のアニフロルマブ処置患者と比較して、ベースラインにて関節腫脹が<6、圧痛関節が<6であった。駆動関節は、関節腫脹及び圧痛関節の双方であった。パネルAの破線は、SLEDAI-2K関節炎応答に必要とされる<2の駆動関節への引下げの閾値を表す。
図20】送達デバイス。アニフロルマブは、プレフィルドシリンジ(PFS)(図20A)又はオートインジェクタ(AI)(図20B)等の注射デバイス[1][9]によって投与される。
図21】オートインジェクタ。分解図(図21A)、アセンブル状態(図21B)、及び原薬を充填した場合(図21C)におけるアニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与するためのオートインジェクタ。
図22】アクセサライズドプレフィルドシリンジ。アニフロルマブ又はその機能的バリアントのためのアクセサライズドプレフィルドシリンジ(APFS)。基本となるチューブが、アセンブリ形態(図22A)及び分解図(図22B)に示される。その追加部品を有するAPFSが、アセンブリ形態(図22C)及び分解図(図22D)に示される。
図23】送達デバイス用のパッケージング。
【発明を実施するための形態】
【0024】
4.1 処置方法
本発明は、SLEを患う対象を目標達成に向けて処置する方法であって、対象に、治療的に有効な量のI型IFN受容体(IFNAR1)阻害剤を投与することを含み、対象においてSLEを処置する方法に関する。目標は、対象におけるループス低疾患活動性状態(LLDAS)であり得、方法は、対象においてLLDASを達成する。LLDASは、2週間持続され得る。LLDASは、4週間持続され得る。LLDASは、少なくとも6週間持続され得る。LLDASは、少なくとも8週間持続され得る。LLDASは、少なくとも12週間持続され得る。LLDASは、少なくとも16週間持続され得る。LLDASは、少なくとも20週間持続され得る。LLDASは、少なくとも24週間持続され得る。LLDASは、少なくとも28週間持続され得る。LLDASは、少なくとも32週間持続され得る。LLDASは、少なくとも36週間持続され得る。LLDASは、少なくとも40週間持続され得る。LLDASは、少なくとも44週間持続され得る。LLDASは、少なくとも48週間持続され得る。LLDASは、少なくとも52週間持続され得る。
【0025】
LLDASは、処置の少なくとも52、48、44、40、36、32、28、24、20、16、又は12週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも52週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも48週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも44週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも36週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも32週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも28週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも24週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも20週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも16週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも12週目までに達成され得る。LLDASは、少なくとも2週間持続され得る。LLDASは、少なくとも4週間持続され得る。LLDASは、少なくとも6週間持続され得る。LLDASは、少なくとも8週間持続され得る。LLDASは、少なくとも12週間持続され得る。LLDASは、少なくとも16週間持続され得る。LLDASは、少なくとも20週間持続され得る。LLDASは、少なくとも24週間持続され得る。LLDASは、少なくとも28週間持続され得る。LLDASは、少なくとも32週間持続され得る。LLDASは、少なくとも36週間持続され得る。LLDASは、少なくとも40週間持続され得る。LLDASは、少なくとも44週間持続され得る。LLDASは、少なくとも48週間持続され得る。LLDASは、少なくとも52週間持続され得る。
【0026】
また、本発明は、SLEの処置を必要とする対象においてSLEを処置する方法であって、対象に、治療的に有効な量のI型IFN受容体(IFNAR1)阻害剤を投与することを含み、対象においてSLE疾患活動性を解消する方法に関する。SLE疾患活動性を解消することは、BILCA応答を含み得る。SLE疾患活動性を解消することは、完全BILCA(crBICLA)応答を含み得る。crBILCA応答は、処置の28週目までに得られ得る。対象においてSLE疾患活動性を解消することは、対象におけるLLDASの達成を含み得る。LLDASは、処置の少なくとも52、48、44、40、36、32、28、24、20、16、又は12週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも52週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも48週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも44週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも36週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも32週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも28週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも24週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも20週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも16週目までに達成され得る。LLDASは、処置の少なくとも12週目までに達成され得る。対象においてSLE疾患活動性を解消することは、対象におけるLLDASの達成及びcrBILCA応答を含み得る。LLDASは持続され得る。
【0027】
また、本発明は、痛みの処置を必要とする対象において痛みを処置する方法であって、対象に、治療的に有効な量のI型IFN受容体(IFNAR1)阻害剤を投与することを含み、対象はSLEを患っており、対象において痛みを緩和する方法に関する。痛みは、身体の痛みであり得る。痛みは、腹痛、頭痛、及び/又はレイノー現象と関連した痛みであり得る。
【0028】
本発明の方法は、対象において疲労感を引き下げ得る。
【0029】
本発明の方法は、対象の気分を向上させ得る。
【0030】
本発明の方法は、対象の身体機能を向上させ得る。
【0031】
本発明の方法は、対象におけるSLE疾患活動性を引き下げ得る。SLE疾患活動性の引下げは、BILCA及び/又はSRI(4)応答を含み得る。
【0032】
4.2 IFNAR1阻害剤
「I型インターフェロン受容体阻害剤」は、インターフェロン-α及びインターフェロン-β等のI型インターフェロンリガンドの受容体に対して拮抗的である分子を指す。そのような阻害剤は、患者への投与に続き、好ましくは、IFI6、RSAD2、IFI44、IFI44L、IFI27、MX1、IFIT1、HERC5、ISG15、LAMP3、OAS3、OAS1、EPST1、IFIT3、LY6E、OAS2、PLSCR1、SIGLECI、USP18、RTP4、及びDNAPTP6からなる群から選択される少なくとも1つ(好ましくは少なくとも4つ)の薬力学的(PD)マーカー遺伝子の発現の引下げを実現する。少なくとも4つの遺伝子は、適切には、IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2であり得る。「I型インターフェロン受容体」は、好ましくは、インターフェロンα/β受容体(IFNAR)である。
【0033】
例えば、I型インターフェロン受容体阻害剤は、I型IFN活性を(受容体を阻害することによって)阻害する抗体又はその抗原結合断片であり得る。(I型IFN活性を阻害する)適切な抗体又はその抗原結合断片の例として、インターフェロンα/β受容体(IFNAR)アンタゴニストがある。I型インターフェロン受容体阻害剤は、I型IFN活性を阻害する抗体又はその抗原結合断片であり得る。加えて、又は代わりに、I型インターフェロン受容体阻害剤は、(例えば、I型インターフェロン受容体活性の薬理学的阻害用の)I型インターフェロン受容体の小分子阻害剤であり得る。
【0034】
IFNAR1阻害剤は、IFNAR1に特異的なヒトモノクローナル抗体であり得る。IFNAR1阻害剤は、IFNAR1に特異的な、修飾されたIgG1クラスヒトモノクローナル抗体であり得る。
【0035】
抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域1(HCDR1)を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域2(HCDR2)を含み得る。抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域3(HCDR3)を含み得る。抗体は、アミノ酸配列配列番号を含む軽鎖可変領域相補性決定領域1(LCDR1)を含み得る。抗体は、アミノ酸配列配列番号7を含む軽鎖可変領域相補性決定領域2(LCDR2)を含み得る。抗体は、アミノ酸配列配列番号8を含む軽鎖可変領域相補性決定領域3(LCDR3)を含み得る。
【0036】
抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むヒト重鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖定常領域を含み得る。抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含むヒト重鎖定常領域を含み得る。抗体は、Fc領域内に、Kabatに記載されるEUインデックスによって付番されるL234Fのアミノ酸置換を含み得、前記抗体は、少なくとも1つのFcリガンドに対して、非修飾抗体と比較して、引き下げられた親和性を示す。抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むヒト重鎖を含み得る。抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖を含み得る。
【0037】
抗体は、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域1(HCDR1);(b)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域2(HCDR2);c)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域3(HCDR3);(d)アミノ酸配列配列番号6を含む軽鎖可変領域相補性決定領域1(LCDR1);(b)アミノ酸配列配列番号7を含む軽鎖可変領域相補性決定領域2(LCDR2);c)アミノ酸配列配列番号8を含む軽鎖可変領域相補性決定領域3(LCDR3)を含み得る。
【0038】
抗体は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むヒト重鎖;及び(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖を含み得る。
【0039】
IFNAR1阻害剤は、アニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。
【0040】
4.3 医薬組成物
また、本発明は、本発明の方法に用いられる医薬組成物に関する。医薬組成物は、IFNAR1阻害剤を含み得る。IFNAR1阻害剤は、IFNAR1に特異的なヒトモノクローナル抗体であり得る。IFNAR1阻害剤は、IFNAR1に特異的な修飾されたIgG1クラスヒトモノクローナル抗体であり得る。
【0041】
抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域1(HCDR1)を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域2(HCDR2)を含み得る。抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域3(HCDR3)を含み得る。抗体は、アミノ酸配列配列番号を含む軽鎖可変領域相補性決定領域1(LCDR1)を含み得る。本抗体は、アミノ酸配列配列番号7を含む軽鎖可変領域相補性決定領域2(LCDR2)を含み得る。抗体は、アミノ酸配列配列番号8を含む軽鎖可変領域相補性決定領域3(LCDR3)を含み得る。
【0042】
抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むヒト重鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖定常領域を含み得る。抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含むヒト重鎖定常領域を含み得る。抗体は、Fc領域内に、Kabatに記載されるEUインデックスによって付番されるL234Fのアミノ酸置換を含み得、前記抗体は、少なくとも1つのFcリガンドに対して、非修飾抗体と比較して、引き下げられた親和性を示す。抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むヒト重鎖を含み得る。抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖を含み得る。
【0043】
抗体は、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域1(HCDR1);(b)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域2(HCDR2);c)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域相補性決定領域3(HCDR3);(d)アミノ酸配列配列番号6を含む軽鎖可変領域相補性決定領域1(LCDR1);(b)アミノ酸配列配列番号7を含む軽鎖可変領域相補性決定領域2(LCDR2);c)アミノ酸配列配列番号8を含む軽鎖可変領域相補性決定領域3(LCDR3)を含み得る。
【0044】
抗体は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むヒト重鎖;及び(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むヒト軽鎖を含み得る。
【0045】
IFNAR1阻害剤は、アニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。
【0046】
4.4 デバイス
また、本発明は、本発明のいずれかの使用のための医薬組成物を含む注射デバイスに関する。
【0047】
注射デバイス内の医薬品は、>105mg(すなわち105mg超)且つ<150mg(すなわち150mg未満)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。注射デバイス内の医薬組成物は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。注射デバイス内の医薬組成物は、120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。注射デバイス内の医薬組成物中のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの濃度は、150mg/mlであり得る。注射デバイス内の医薬組成物の容量は、少なくとも約0.8mlであり得る。医薬組成物の容量は、約0.8mlであり得る。
【0048】
注射デバイス内の医薬組成物は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアント、約25~150mMのリシン塩及び非荷電賦形剤を含み得る。注射デバイス内の医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。注射デバイス内の医薬組成物は、50mMのリシンHClを含み得る。医薬組成物は、130mMのトレハロース二水和物を含み得る。注射デバイス内の医薬組成物は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアント、約25~150mMのリシン塩及び非荷電賦形剤を含み得る。注射デバイス内の医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。医薬組成物は、50mMのリシンHClを含み得る。注射デバイス内の医薬組成物は、130mMのトレハロース二水和物を含み得る。注射デバイス内の医薬組成物は、0.05%ポリソルベート80を含み得る。注射デバイス内の医薬組成物は、25mMヒスチジン/ヒスチジンHClを含み得る。注射デバイス内の医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアント、50mMのリシンHCl、130mMのトレハロース二水和物、0.05%のポリソルベート80、及び25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含み得る。
【0049】
別の態様において、本発明は、単位用量を含む注射デバイスに関する。単位用量は、>105mg(すなわち少なくとも105mg)且つ<150mg(すなわち150mg未満)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。単位用量は、≦135mg(すなわち135mg以下)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。単位用量は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。注射デバイス内の単位用量は、120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。注射デバイス内の単位用量は、>105mg且つ<150mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントから本質的になり得る。注射デバイス内の単位用量は、≦135mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントから本質的になり得る。注射デバイス内の単位用量は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントから本質的になり得る。注射デバイス内の単位用量中のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの濃度は、約150mg/mlであり得る。注射デバイス内の単位用量の容量は、1ml未満であり得る。注射デバイス内の単位用量は、容量が約0.5~約1mlであり得る。単位用量の濃度は、約0.8mlであり得る。単位用量の容量は、0.8mlであり得る。注射デバイス内の単位用量は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアント、約25~150mMのリシン塩及び非荷電賦形剤の製剤を含み得る。注射デバイス内の単位用量は、150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアント、25~150mMのリシン塩及び非荷電賦形剤の製剤を含み得る。単位用量は、25mMのヒスチジン-HCL、130mMのトレハロース、及び0.05w/v%のポリソルベート80の製剤を含む。製剤は、pHが約5.9であり得る。
【0050】
注射デバイスは、プレフィルドシリンジ(PFS)であってもよい。注射デバイスは、アクセサライズドプレフィルドシリンジ(AFPS)であってもよい。注射デバイスは、オートインジェクタ(AI)であってもよい。
【0051】
4.5 用量及び投与方法
方法は、静脈内用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを対象に投与することを含み得る。静脈内用量は、≧300mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。静脈内用量は、≦1000mgであり得る。静脈内用量は、約300mg、約900mg、又は約1000mgであり得る。静脈内用量は、4週間毎に(Q4W)投与され得る。
【0052】
方法は、皮下用量のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与することを含み得る。皮下用量は、>105mg且つ<150mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。皮下用量は、≦135mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得る。皮下用量は、約120mgであり得る。皮下用量は、単回投与ステップで投与され得る。皮下用量は、6~8日の間隔にて投与され得る。皮下用量は、週1回投与され得る。皮下用量は、容量が約0.5~約1mであり得る。皮下用量は、容量が約0.8mlであり得る。
【0053】
また、本発明は、本発明の方法に用いられる単位用量に関し、単位用量は、>105mg且つ≦150mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含む。
【0054】
単位用量は、≦135mg(すなわち135mg以下)のアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。単位用量は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。単位用量は、120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。単位用量は、>105mg且つ<150mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントから本質的になり得る。単位用量は、≦135mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントから本質的になり得る。単位用量は、約120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントから本質的になり得る。単位用量中のアニフロルマブ又はその機能的バリアントの濃度は、約150mg/mlであり得る。単位用量の容量は1ml未満であり得る。用量又は単位用量は、容量が約0.5~約1mlであり得る。単位用量の濃度は、約0.8mlであり得る。単位用量の容量は、0.8mlであり得る。単位用量は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアント、約25~150mMのリシン塩及び非荷電賦形剤の製剤を含み得る。単位用量は、150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアント、25~150mMのリシン塩及び非荷電賦形剤の製剤を含み得る。単位用量は、25mMのヒスチジン-HCL、130mMのトレハロース、及び0.05w/v%のポリソルベート80の製剤を含む。製剤は、pHが約5.9であり得る。
【0055】
用量又は単位用量の投与は、血漿1mlあたり≧10μg(すなわち10μg以上)の、患者におけるアニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度(すなわち≧10μg/mlの血漿濃度)を実現し得る。用量又は単位用量の投与は、約10~100μg/mlの、対象におけるアニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度を実現し得る。用量又は単位用量の投与は、約20~80μg/mlの、対象におけるアニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度を実現し得る。用量又は単位用量の投与は、約30~70μg/mlの、対象におけるアニフロルマブ又はその機能的バリアントの血漿濃度を実現し得る。用量又は単位用量の投与は、≧20μg/ml(すなわち20μg/ml以上)の、対象におけるアニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度を実現し得る。用量又は単位用量の投与は、≧30μg/ml(すなわち30μg/ml以上)の、対象におけるアニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度を実現し得る。用量又は単位用量の投与は、≧40μg/ml(すなわち40μg/ml以上)の、対象におけるアニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度を実現し得る。用量又は単位用量の投与は、約20~100μg/mlの、対象におけるアニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度を実現し得る。用量又は単位用量の投与は、約30~80μg/mlの、対象におけるアニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度を実現し得る。用量又は単位用量の投与は、約40~70μg/mlの、対象におけるアニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度を実現し得る。
【0056】
用量又は単位用量は、(Q4W)毎に1回投与される300mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントの静脈内用量の投与によって実現される治療効果と少なくとも同等である処置効果を対象において提供し得る。用量又は単位用量は、4週間毎に1回(Q4W)の300mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントの静脈内用量の投与によって実現されるアニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度よりも高い、対象におけるアニフロルマブ又はその機能的バリアントのトラフ濃度を実現し得る。アニフロルマブ又はその機能的バリアントは、医薬組成物内に含まれ得る。医薬組成物は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアント、約25~150mMのリシン塩及び非荷電賦形剤を含み得る。医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。医薬組成物は、50mMのリシンHClを含み得る。医薬組成物は、130mMのトレハロース二水和物を含み得る。医薬組成物は、0.05%のポリソルベート80を含み得る。医薬組成物は、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含み得る。医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアント、50mMのリシンHCl、130mMのトレハロース二水和物、0.05%のポリソルベート80、及び25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含み得る。
【0057】
本発明の方法は、6~8日の間隔にて用量又は単位用量を投与することを含み得る。用量又は単位用量は、週1回(QW)投与され得る。用量又は単位用量は、120mgのアニフロルマブ又はその機能的バリアントであり得、方法は、当該用量を週1回(QW)単回投与ステップで投与することを含む。換言すれば、方法は、120mg QWのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを投与することを含む。用量又は単位用量は、少なくとも約4週間、週1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約8週間、週1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約12週間、週1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約16週間、週1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約20週間、週1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約24週間、週1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約28週間、週1回投与され得る。用量又は単位用量は、少なくとも約32週間、週1回投与され得る。用量又は単位用量は、約8週間、週1回投与され得る。用量又は単位用量は、単回皮下投与ステップで適切な送達が可能となる容量を有し得る。用量又は単位用量は、約0.5~約1mlの容量を有し得る。用量又は単位用量は、1ml未満の容量を有し得る。用量又は単位用量は、約0.8mlの容量を有し得る。
【0058】
4.6 対象
対象は、ヒト対象であり得る。対象は、成体であり得る。対象は、I型IFN遺伝子シグネチャが上昇した患者であり得る。対象は、用量又は単位用量の投与前にI型インターフェロン刺激遺伝子シグネチャ(IFNGS)検査で高値である患者であり得る。対象は、全血中の遺伝子IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2の上昇があり得る。方法は、用量又は単位用量による処置前にIFNGS検査で高値である患者として対象を特定することを含んでもよい。方法は、対象の全血中の遺伝子IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2の発現を測定することを含んでもよい。方法は、対象の全血中の遺伝子IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2の発現をRT-PCRによって測定することを含んでもよい。
【0059】
対象は、中程度から重度のSLEを患い得る。
【0060】
対象は、処置前にI型インターフェロン刺激遺伝子シグネチャ(IFNGS)検査で高値の患者であり得る。方法は、処置前にIFNGS検査で高値の患者として対象を特定することを含み得る。
【0061】
4.7 ステロイド
本発明の方法は、対象に標準治療(SOC)を施すことを含んでもよい。本発明の方法は、対象にステロイドを投与することを含んでもよい。本発明の方法は、対象においてステロイドを控えることを含み得、対象に投与されるステロイドの用量は、ベースラインの控える前の用量から控えた後の用量まで漸減する。
【0062】
SLEを患う多くの患者は、コルチコステロイド(グルココルチコイド、経口コルチコステロイド、OCS)を受ける。しかしながら、コルチコステロイドは、臓器障害と関連がある。アニフロルマブは、SLE患者においてコルチコステロイド(グルココルチコイド)の漸減(ステロイドを控えること)を可能にする。処置方法又は方法は、コルチコステロイドを対象に投与することを含んでもよく、場合によっては、コルチコステロイドは、経口コルチコステロイドである。方法は、対象に投与されるコルチコステロイドの用量を漸減すること(ステロイドを控えること)を含み得る。方法は、第1の用量のコルチコステロイドを投与し、その後、第2の用量のコルチコステロイドを投与することを含んでもよく、第2の用量のコルチコステロイドは、第1の用量のコルチコステロイドよりも少ない。第2の用量のコルチコステロイドは、約7.5mgのプレドニゾン等価用量以下であり得る。第2の用量のコルチコステロイドは、5mgのプレドニゾン等価用量以下であり得る。方法又は処置方法は、第2の用量のコルチコステロイドを1日1回投与することを含んでもよい。第1の用量のコルチコステロイドは、約10mgのプレドニゾン等価量であり得る。方法は、患者に投与されるコルチコステロイドの用量を1日あたり10mg以上から1日あたり10mg未満に漸減することを含み得る。方法又は処置方法は、第2の用量のコルチコステロイドを1日1回投与することを含み得る。方法は、数週間維持されるコルチコステロイドの用量を引き下げた投与を可能にし得る。第2の用量のコルチコステロイドは、少なくとも24週間投与され得る。第2の用量のコルチコステロイドは、少なくとも28週間投与され得る。
【0063】
方法は、対象においてステロイドを控えることを含み得、対象に投与されるステロイドの用量は、ベースラインの控える前の用量から控えた後の用量まで漸減する。控えた後の用量は、≦7.5mg/日のプレドニゾン又はプレドニゾン等価用量であり得る。控える前の用量は、20mg/日のプレドニゾン又はプレドニゾン等価用量であり得る。ステロイドは、グルココルチコイドを含み得る。ステロイドは、経口グルココルチコイドを含み得る。ステロイドは、ヒドロコルチゾン、モメタゾン、フルチカゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノロン、フルランドレノロンアセトニド、シクレソニド、ブデソニド、ベクロメタゾン、デフラザコート、フルニソリド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチゾール、トリアムシノロン、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、酪酸クロベタゾール、コルチゾン、コルチコステロン、クロコルトロン、ジヒドロキシコルチゾン、アルクロメタゾン、アムシノニド、吉草酸ジフルコルトロン、フルコルトロン、フルプレドニデン、フルアンドレノロン(fluandrenolone)、フルオロメトロン、ハルシノニド、ハロベタゾール、デソニド、ジフロラゾン、フルランドレノリド、フルオシノニド、プレドニカルバート、デスオキシメタゾン、フルプレドニゾロン、プレドニゾン、アゼラスチン、21-リン酸デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノニド、ハロプレドン、17-吉草酸ヒドロコルチゾン、17-酪酸ヒドロコルチゾン、21-酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、21-リン酸プレドニゾロン、プロピオン酸クロベタゾール、トリアムシノロンアセトニド、又はそれらの混合物からなる群から選択され得る。ステロイドはプレドニゾンであり得る。
【0064】
SLEを患う多くの患者は、コルチコステロイド(グルココルチコイド、経口コルチコステロイド、OCS)を受ける。しかしながら、コルチコステロイドは、臓器障害と関連がある。アニフロルマブは、SLE患者においてコルチコステロイド(グルココルチコイド)の漸減(ステロイドを控えること)を可能にする。処置方法又は方法は、コルチコステロイドを対象に投与することを含んでもよく、場合によっては、コルチコステロイドは、経口コルチコステロイドである。方法は、対象に投与するコルチコステロイドの用量を漸減すること(ステロイドを控えること)を含み得る。方法は、第1の用量のコルチコステロイドを投与し、その後、第2の用量のコルチコステロイドを投与することを含んでもよく、第2の用量のコルチコステロイドは、第1の用量のコルチコステロイドよりも少ない。第2の用量のコルチコステロイドは、約7.5mgのプレドニゾン等価用量以下であり得る。第2の用量のコルチコステロイドは、5mgのプレドニゾン等価用量以下であり得る。方法又は処置方法は、第2の用量のコルチコステロイドを1日1回投与することを含み得る。第1の用量のコルチコステロイドは、約10mgのプレドニゾン相当量であり得る。方法は、患者に投与するコルチコステロイドの用量を1日あたり10mg以上から1日あたり10mg未満に漸減することを含み得る。方法又は処置方法は、第2の用量のコルチコステロイドを1日1回投与することを含んでもよい。方法は、数週間維持されるコルチコステロイドの用量を引き下げた投与を可能にし得る。第2の用量のコルチコステロイドは、少なくとも24週間投与され得る。第2の用量のコルチコステロイドは、少なくとも28週間投与され得る。
【0065】
方法は、対象においてステロイドを控えることを含み得、対象に投与されるステロイドの用量は、ベースラインの控える前の用量から控えた後の用量まで漸減する。控えた後の用量は、≦7.5mg/日のプレドニゾン又はプレドニゾン等価用量であり得る。控える前の用量は、20mg/日のプレドニゾン又はプレドニゾン等価用量であり得る。ステロイドは、グルココルチコイドを含み得る。ステロイドは、経口グルココルチコイドを含み得る。ステロイドは、ヒドロコルチゾン、モメタゾン、フルチカゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノロン、フルランドレノロンアセトニド、シクレソニド、ブデソニド、ベクロメタゾン、デフラザコート、フルニソリド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチゾール、トリアムシノロン、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、酪酸クロベタゾール、コルチゾン、コルチコステロン、クロコルトロン、ジヒドロキシコルチゾン、アルクロメタゾン、アムシノニド、吉草酸ジフルコルトロン、フルコルトロン、フルプレドニデン、フルアンドレノロン、フルオロメトロン、ハルシノニド、ハロベタゾール、デソニド、ジフロラゾン、フルランドレノリド、フルオシノニド、プレドニカルバート、デスオキシメタゾン、フルプレドニゾロン、プレドニゾン、アゼラスチン、21-リン酸デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノニド、ハロプレドン、17-吉草酸ヒドロコルチゾン、17-酪酸ヒドロコルチゾン、21-酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、21-リン酸プレドニゾロン、プロピオン酸クロベタゾール、トリアムシノロンアセトニド、又はそれらの混合物からなる群から選択され得る。ステロイドはプレドニゾンであり得る。
【0066】
4.8 キット
また、本発明は、本発明の注射デバイス及び使用説明書を含むキットに関する。使用説明書は、医薬組成物の皮下投与についての使用説明書を含んでもよい。キットは、パッケージングを含んでもよく、パッケージングは、注射デバイス及び使用説明書を保持するように構成されている。使用説明書は、方法及び本発明の方法を明記してもよい。使用説明書は、医薬組成物が、SLEを患う対象を目標達成に向けて処置する方法、及び/又は痛みの処置を必要とする対象において痛みを処置する方法であって、対象はSLEを患っている、方法に用いられることを明記してもよい。
【0067】
また、本発明は、本発明のキットを製造する方法に関する。
【0068】
使用説明書は、I型IFN阻害剤がSLE患者での使用に認可されていることを明記してもよい。使用説明書は、I型IFN阻害剤が方法又は本発明の方法での使用に認可されていることを明記してもよい。
【0069】
4.9 製剤
アニフロルマブ又はその機能的バリアントは、医薬組成物内に含まれ得る。医薬組成物は、約150~200mg/mlのアニフロルマブ又はその機能的バリアント、約25~150mMのリシン塩及び非荷電賦形剤を含み得る。医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアントを含み得る。医薬組成物は、50mMのリシンHClを含み得る。医薬組成物は、130mMのトレハロース二水和物を含み得る。医薬組成物は、0.05%のポリソルベート80を含み得る。医薬組成物は、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含み得る。医薬組成物は、150mg/mLのアニフロルマブ又はその機能的バリアント、50mMのリシンHCl、130mMのトレハロース二水和物、0.05%のポリソルベート80、及び25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含み得る。
【0070】
対象への投与に適し、且つアニフロルマブを含む安定な製剤については、米国特許第10125195B1号明細書(この文献は、その全体が本明細書に組み込まれる)に詳述されている。
【0071】
5 定義
5.1 I型IFN受容体阻害剤
「I型インターフェロン受容体阻害剤」は、インターフェロン-α及びインターフェロン-β等のI型インターフェロンリガンドの受容体に対して拮抗的である分子を指す。そのような阻害剤は、患者への投与に続き、好ましくはIFI6、RSAD2、IFI44、IFI44L、IFI27、MX1、IFIT1、HERC5、ISG15、LAMP3、OAS3、OAS1、EPST1、IFIT3、LY6E、OAS2、PLSCR1、SIGLECI、USP18、RTP4、及びDNAPTP6からなる群から選択される少なくとも1つ(好ましくは少なくとも4つ)の薬力学的(PD)マーカー遺伝子の発現の引下げを実現する。少なくとも4つの遺伝子は、適切には、IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2であり得る。「I型インターフェロン受容体」は、好ましくは、インターフェロンα/β受容体(IFNAR)である。
【0072】
例えば、I型インターフェロン受容体阻害剤は、I型IFN活性を(受容体を阻害することによって)阻害する抗体又はその抗原結合断片であり得る。(I型IFN活性を阻害する)適切な抗体又はその抗原結合断片の例として、インターフェロンα/β受容体(IFNAR)アンタゴニストがある。
【0073】
加えて、又は代わりに、I型インターフェロン受容体阻害剤は、(例えば、I型インターフェロン受容体活性の薬理学的阻害用の)I型インターフェロン受容体の小分子阻害剤であり得る。
【0074】
I型インターフェロン受容体阻害剤は、I型IFN活性を阻害する抗体又はその抗原結合断片であり得る。特に好ましいI型インターフェロン受容体阻害剤は、抗体アニフロルマブ又はその機能的バリアントである。アニフロルマブは、IFNAR1(α、β、及びωインターフェロンに対する受容体)を標的にするモノクローナル抗体である。アニフロルマブに関する開示は、米国特許第7,662,381号明細書及び米国特許第9,988,459号明細書において見出すことができ、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
5.1.1 アニフロルマブ
アニフロルマブ(MEDI-546、anifro、ANI)は、I型インターフェロン受容体(IFNAR1)のサブユニット1に対するヒト免疫グロブリンG1カッパ(IgG1κ)モノクローナル抗体(mAb)である。アニフロルマブは、IFNARシグナル伝達を下方制御して、IFN誘導性遺伝子の発現を抑制する。アニフロルマブに関する開示は、米国特許第7662381号明細書及び米国特許第9988459号明細書において見出すことができ、これらの文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。アニフロルマブに関する配列情報は、表5-1:配列において記載されている。
【0076】
【表1】
【0077】
アニフロルマブは、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5のそれぞれHCDR1、HCDR2、及びHCDR3(又はその機能的バリアント);並びに配列番号6、配列番号7、及び配列番号8のそれぞれLCDR1、LCDR2、及びLCDR3(又はその機能的バリアント)を含む免疫グロブリンである。アニフロルマブは、配列番号1のVH及び配列番号2のVLを含む免疫グロブリンである。
【0078】
アニフロルマブの定常領域は、非修飾抗体と比較して、少なくとも1つのFcリガンドに対するアニフロルマブの親和性が低下するように修飾されている。アニフロルマブは、Fc領域内に、Kabat(1991,NIH Publication 91-3242,National Technical Information Service,Springfield,Va.)に記載されるEUインデックスによって付番されるL234Fのアミノ酸置換を含む、IFNAR1に特異的な修飾されたIgGクラスのモノクローナル抗体である。アニフロルマブは、Fc領域内に、Kabat(1991,NIH Publication 91-3242,National Technical Information Service,Springfield,Va.)に記載されるEUインデックスによって付番されるL234F、L235E、及び/又はP331Sのアミノ酸置換を含む、IFNAR1に特異的な修飾されたIgGクラスのモノクローナル抗体である。アニフロルマブは、配列番号9の軽鎖定常領域を含む抗体である。アニフロルマブは、配列番号10の重鎖定常領域を含む抗体である。アニフロルマブは、配列番号9の軽鎖定常領域及び配列番号10の重鎖定常領域を含む抗体である。アニフロルマブは、配列番号11の重鎖を含む抗体である。アニフロルマブは、配列番号12の軽鎖を含む抗体である。アニフロルマブは、配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖を含む抗体である。
【0079】
アニフロルマブの機能性バリアントは、アニフロルマブと同じ機能を実行する配列バリアントである。アニフロルマブの機能性バリアントは、アニフロルマブと同じ標的に結合し、且つアニフロルマブと同じエフェクタ機能を有するバリアントである。機能的アニフロルマブバリアントとして、アニフロルマブの抗原結合断片、並びにアニフロルマブの抗体及び免疫グロブリン誘導体が挙げられる。機能的バリアントとして、バイオシミラー及び互換性のある生成物が挙げられる。用語バイオシミラー及び互換性のある生成物は、FDA及びEMAによって定義されている。用語バイオシミラーは、認可された(例えば、FDAで認可された)生物学的生成物(参照生成物、例えばアニフロルマブ)と構造の観点で高度に類似しており、且つ薬物動態、安全性、及び有効性の観点で参照生成物と臨床的に意味がある差異のない生物学的生成物を指す。バイオシミラーの臨床的に意味がある差異の存在は、ヒト薬物動態(曝露)及び薬力学的(応答)研究、並びに臨床免疫原性の評価において評価され得る。互換性のある生成物は、所与のあらゆる患者において参照生成物と同じ臨床結果をもたらすことが想定されるバイオシミラーである。
【0080】
例えば、参照(アニフロルマブ)抗体のバリアントは、配列番号3と比較した場合に最大で2つのアミノ酸の差異を有する重鎖CDR1;配列番号4と比較した場合に最大で2つのアミノ酸の差異を有する重鎖CDR2;配列番号5と比較した場合に最大で2つのアミノ酸の差異を有する重鎖CDR3;配列番号6と比較した場合に最大で2つのアミノ酸の差異を有する軽鎖CDR1;配列番号7と比較した場合に最大で2つのアミノ酸の差異を有する軽鎖CDR2;及び配列番号8と比較した場合に最大で2つのアミノ酸の差異を有する軽鎖CDR3を含み得、バリアント抗体は、アニフロルマブの標的(例えばIFNAR)に、好ましくは同じ親和性で結合する。
【0081】
参照(アニフロルマブ)抗体のバリアントは、配列番号3と比較した場合に最大で1つのアミノ酸の差異を有する重鎖CDR1;配列番号4と比較した場合に最大で1つのアミノ酸の差異を有する重鎖CDR2;配列番号5と比較した場合に最大で1つのアミノ酸の差異を有する重鎖CDR3;配列番号6と比較した場合に最大で1つのアミノ酸の差異を有する軽鎖CDR1;配列番号7と比較した場合に最大で1つのアミノ酸の差異を有する軽鎖CDR2;及び配列番号8と比較した場合に最大で1つのアミノ酸の差異を有する軽鎖CDR3を含み得、バリアント抗体は、アニフロルマブの標的(例えばIFNAR)に、場合によっては同じ親和性で結合する。
【0082】
バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合に、1つのCDRあたり最大で2つ(場合によっては、最大で1つ)のアミノ酸の差異が存在することを条件として、CDR全体で最大で5、4、又は3つのアミノ酸差異を有し得る。バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合に、1つのCDRあたり最大で2つのアミノ酸の差異が存在することを条件として、CDR全体で最大で2つ(場合によっては、最大で1つ)のアミノ酸差異を有し得る。バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合に、1つのCDRあたり最大で1つのアミノ酸の差異が存在することを条件として、CDR全体で最大で2つ(場合によっては、最大で1つ)のアミノ酸差異を有し得る。
【0083】
バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合に、1つのフレームワーク領域あたり最大で2つ(場合によっては、最大で1つ)のアミノ酸の差異が存在することを条件として、フレームワーク領域全体で最大で5、4、又は3つのアミノ酸差異を有し得る。場合によっては、バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合に、1つのフレームワーク領域あたり最大で2つのアミノ酸の差異が存在することを条件として、フレームワーク領域全体で最大で2つ(場合によっては、最大で1つ)のアミノ酸の差異を有する。場合によっては、バリアント抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合に、1つのフレームワーク領域あたり最大で1つのアミノ酸の差異が存在することを条件として、フレームワーク領域全体で最大で2つ(場合によっては、最大で1つ)のアミノ酸の差異を有する。
【0084】
バリアント抗体は、本明細書中に記載される可変重鎖及び可変軽鎖を含み得、重鎖は、本明細書中の重鎖配列と比較した場合に最大で14個のアミノ酸の差異(各CDR内に最大で2つのアミノ酸の差異及び各フレームワーク領域内に最大で2つのアミノ酸の差異)を有し;軽鎖は、本明細書中の軽鎖配列と比較した場合に最大で14個のアミノ酸の差異(各CDR内に最大で2つのアミノ酸の差異及び各フレームワーク領域内に最大で2つのアミノ酸の差異)を有し;バリアント抗体は、参照(アニフロルマブ)抗体と同じ標的抗原(例えばIFNAR)に、好ましくは同じ親和性で結合する。
【0085】
バリアント重鎖又は軽鎖は、参照重鎖又は軽鎖の「機能的等価物」と称され得る。バリアント抗体は、本明細書中に記載される可変重鎖及び可変軽鎖を含み得、重鎖は、本明細書中の重鎖配列と比較した場合に最大で7つのアミノ酸の差異(各CDR内に最大で1つのアミノ酸の差異及び各フレームワーク領域内に最大で1つのアミノ酸の差異)を有し;軽鎖は、本明細書中の軽鎖配列と比較した場合に最大で7つのアミノ酸の差異(各CDR内に最大で1つのアミノ酸の差異及び各フレームワーク領域内に最大で1つのアミノ酸の差異)を有し;バリアント抗体は、参照(アニフロルマブ)抗体と同じ標的抗原(例えばIFNAR)に、好ましくは同じ親和性で結合する。
【0086】
5.2 ステロイド
経口コルチコステロイド(OCS、グルココルチコイド)として、プレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、及びトリアムシノロンが挙げられる。経口プレドニゾンの等価用量の例を、表5-2に示す。
【0087】
【表2】
【0088】
5.3 治験
5.3.1 第2相/第II相/ピボタル研究
第II相研究では、有効性に関する予備的データが収集される。第2相研究において、研究者らは、薬剤が開発されている疾患又は症状を患っている一群の患者に、薬物を投与する。典型的には数百人の患者が関係する当該研究は、薬物が有益かを示すほどには十分に大きくない。その代わりに、第2相研究は、研究者に追加的な安全性データを提供する。研究者は、これらのデータを用いて、リサーチクエスチョンを洗練させて、研究方法を開発して、新しい第3相リサーチプロトコルを設計する。
【0089】
5.3.2 第3相/第III相/ピボタル研究又は治験
研究者は、生成物が処置利益を特定の集団に提供するか否かを実証する第3相研究を設計する。時折ピボタル研究として知られている当該研究に、300~3,000人の参加者が関わる。第3相研究は、安全性データの大部分を提供する。以前の研究において、あまり一般的でない副作用が気付かれないままであったかもしれないことはあり得る。当該研究の持続期間がより大規模且つより長期であることから、結果は、長期にわたるか、又は稀な副作用を示す可能性がより高い。EMA及びFDA等の規制機関は、通常、生成物が、新薬認可前に、安全であり、且つ利用可能な薬物療法と比べて(より良好でなくても)少なくとも有効であることを実証する第III相治験を要求している。第III相治験では、通常、たとえ第II相治験の合格後であっても、不合格となる。
【0090】
5.4 剤型
単位用量(単位用量形態、薬学的単位用量、又は薬学的単位用量形態とも称される)は、単一の単位から形成される用量である。単位用量(単位用量形態)は、単回投与ステップで対象に投与するのに適している。単位用量(単位用量形態)は、単回単位容器、例えば、単回使用のプレフィルドシリンジ又はオートインジェクタ内にパッケージされ得る。単位用量は、所定量の薬物を含有する単回用量単位としてオーダーし、パッケージし、取り扱い、且つ投与することができるという利点を提供する。単位用量は、投与ミスを減少させ、且つ廃棄物を減らす。
【0091】
5.5 PK/PD
SC投与及びIV投与によって得ることができる血漿レベルは、薬物の用量の投与後に抗体への身体曝露を反映する血漿薬物濃度-時間曲線(AUC)に基づいて比較することができる。例えば、臨床研究の間に、患者の血漿薬物濃度-時間プロファイルを、いくつかの時点にて血漿濃度を測定することによってプロットすることができる。インシリコモデリングアプローチを使用した場合、所与のあらゆる用量についての血漿薬物濃度-時間が予測され得る。次に、AUC(曲線下面積)を、血漿薬物濃度-時間曲線の積分によって算出することができる。適切な方法論が、その全体が参照により本明細書中に組み込まれるTummala et.al.27に記載されている。本明細書中に記載される実施例において、PKパラメータを、Phoenix WinNonlin V/6.2(Certara,Inc.、Princeton、New Jersey、USA)による非コンパートメント分析によって算出して、血清濃度-時間曲線下面積(AUC)、クリアランス(CL、CL/F)、最大血清濃度(Cmax)、及び最大血清濃度に達するまでの時間(tmax)を含めた。全てのデータを、SAS System V.9.2(SAS Institute,Inc.、Cary、NC、USA)で分析した。
【0092】
好都合には、SC投与によって得ることができるAUCの、IV投与によって得ることができるAUCに対する比率(AUCSC/AUCIV)を算出することができ、投与経路によって提供されるバイオアベイラビリティの数値比較を実現することができる。本明細書における「AUC比」への言及は、AUCSC/AUCIV比を意味する。統計的ロバスト性を提供するために、AUC比は好ましくは、複数の反復実験(又は計算シミュレーション)から算出される平均値、中央値、又はモード値(例えば平均値)である。このアプローチを、実施例を参照して示す。平均値、中央値、又はモード値(好ましくは平均値)は、多数の患者(又は多数の計算シミュレーション)から得られたデータをプールすることによって導き出され得る。ゆえに、AUC比は、多数の患者におけるAUCの平均値、中央値、又はモード値(好ましくは平均値)を反映し得る。
【0093】
5.6 薬物動態の用語集
曲線下面積(AUC):薬物曝露の尺度となる、時間に対する血漿薬物濃度の曲線下の面積。
【0094】
ave:定常状態の平均濃度。
【0095】
max:血漿中の薬物の最大(又はピーク)濃度。
【0096】
min:最小血漿中薬物濃度。
【0097】
trough:次の用量の投与直前の定常状態での血漿中薬物濃度。トラフ血漿濃度(定常状態での投与間隔の終了時[次回投与の直前にとった]の測定濃度)。
【0098】
LLOQ:定量下限、適切な精度及び正確さで定量することができる試料中の分析物の最小量。
【0099】
線形薬物動態:血中又は血漿中の薬物濃度が用量の増大に比例して増大し、消失速度が濃度に比例する場合、薬物は線形薬物動態を示すと言われる。薬物のクリアランス及び分布容量は、用量に依存しない。
【0100】
非線形薬物動態:線形薬物動態とは対照的に、血中又は血漿中の薬物濃度は、用量の増大に比例して増大しない。これらのクリアランス及び分布容量は、投与される用量に応じて変動し得る。非線形性は、吸収、分布、及び/又は排泄プロセスのあらゆる構成要素と関連し得る。
【0101】
5.7 送達デバイス
抗体の皮下投与を実現するだけでなく、自己投与する能力(例えば家庭用)は、アクセサライズドプレフィルドシリンジ(APFS)、オートインジェクタ(AI)、又はそれらの組合せを介した皮下投与によってさらに増強され得る。そのようなデバイスは、皮下用量の抗体を投与するのに十分に耐容性があり、且つ信頼できることが見出されており、患者のケアを最適化するための更なるオプションを提供する。実際、そのようなデバイスは、患者にとっての頻繁な来診の負担を低減し得る。適切なAPFSデバイスの例が、Ferguson et.al.28(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0102】
本発明者らによって解明された用量は、APFSデバイスが典型的には1mlの最大用量を投与するので、APFS投与との関連でさらに利点を提供する。>105mg~<155mgの範囲の用量を、約0.8mlの容量によって容易に収容することができ、その結果、本発明の用量は、APFS及びAI投与に非常に適している。比較のため、アニフロルマブの粘度が原因で、より大きな用量(具体的には>150mgの用量)が、>1mlの容量で投与される必要があり(少なくとも2回のSC注射を必要とするが、患者に不都合である)、複数のプレフィルドデバイスを必要とする。
【0103】
送達デバイスは、用量の手動によるSC投与を可能にするように設計された、単回使用のディスポーザブルシステムであってもよい。
【0104】
5.8 エンドポイント
5.8.1 BILAG-2004(イギリス諸島ループス評価群-2004)
BILAG-2004は、臨床症状の重篤度の変化を捕捉することができる9つの臓器系(全身、粘膜皮膚、精神神経病、筋骨格、心呼吸系、消化管、眼、腎臓、及び血液学)によるトランスレーショナルな指数である。これは、設計による順序尺度を有し、グローバルスコアを有さず;むしろ直近の4週を、これに先行する4週と比較することによって、異なる臓器系を通じた疾患活動性を一目で分かるように記録する。これは、医師の処置意図の原則に基づいており、疾患活動性をAからEの5つの異なるレベルにカテゴリ化する:
・グレードAは、免疫抑制剤及び/又は>20mg/日の用量のプレドニゾン若しくはその等価物を必要とする非常に活動性の高い疾患を表す
・グレードBは、より低い用量のコルチコステロイド、局所ステロイド、局所免疫抑制剤、抗マラリア薬、又はNSAIDを必要とする中程度の疾患活動性を表す
・グレードCは、軽度の安定を示す
・グレードDは、疾患活動性がないが、系が以前に冒されたことを意味する
・グレードEは、現在又は以前の疾患活動性がないことを示す
【0105】
BILAG-2004は、処置の意図の原則に基づいて開発されたが、処置は、スコアリング指数とは関連しない。活動性症状の存在のみがスコアリングに影響する。
【0106】
粘膜皮膚又は筋骨格臓器系におけるBILAGにより定義される改善は、それぞれ発疹又は関節炎を表した。
【0107】
5.8.2 BICLA(BILAGベースの複合ループス評価)
BICLAは、最初に疾患活動性指数の専門家コンセンサスによって導かれた複合指数である。BICLA応答は、(1)エントリ時に疾患活動性が中程度又は重度の全ての身体系におけるベースラインBILAGスコアの向上の少なくとも1つのグラデーション(例えば、全A(重病)スコアの、B(中程度)、C(軽度)、又はD(活動性なし)への引下げ、及び全Bスコアの、C又はDへの引下げ);(2)新たなBILAG Aの不在又は複数の新たなBILAG Bスコア;(3)総SLEDAIスコアの、ベースラインからの悪化なし;(4)医師のグローバル評価の有意な悪化なし(≦10%);及び(5)処置失敗なし(非プロトコル処置の開始)と定義される。
【0108】
特に、対象は、以下の基準が満たされるならば、BICLA応答者である:
a)1つの新しいBILAG-2004 A又は複数の新しいBILAG-2004 Bの項目によって定義される、全ベースラインBILAG-2004 Aの、B/C/Dへの引下げ、及びベースラインBILAG-2004 Bの、C/Dへの引下げ、並びに他の臓器系におけるBILAG-2004の悪化なし;
b)SLEDAI-2Kにおける>0ポイントのベースラインからの増大と定義されるような、SLEDAI-2Kのベースラインからの悪化なし;
c)3ポイントのPGA VASでの≧0.30ポイントの増大によって定義される、対象のループス疾患活動性のベースラインからの悪化なし;
d)治験薬の中断又は評価前のプロトコルで許容された閾値を超える制限付き薬物療法の使用なし。
【0109】
完全解消(crBICLA、修飾BICLA(mBICLA)とも称される)応答は、全ベースラインBILAG-2004活動性の完全解消(全ベースラインA/BスコアからD;C又はDスコアの悪化なし)を必要とする。
【0110】
5.8.3 CLASI(皮膚エリテマトーデス疾患面積及び重篤度指数炎症性疾患活動性)
皮膚エリテマトーデス疾患面積及び重篤度指数(CLASI)は、CLEを患う患者における皮膚活動性及び損傷を特異的に追跡する手段として、2005年に開発された29。CLASIは、身体の各部分における皮膚疾患活動性及び損傷を別々に定量化する簡素なシングルページツールである30。CLASIは、皮膚活動性のサマリースコア(CLASI-A)及び損傷のサマリースコア(CLASI-D)を特徴とする。
【0111】
5.8.4 ループス低疾患活動性状態(LLDAS)
ループス低疾患活動性状態は、SLEにおける低疾患活動性状態の定義の必要性に応えて開発されて、当該疾患において試験されることとなる目標達成に向けた処置戦略が可能となった31
【0112】
5.8.5 SRI(全身性エリテマトーデス応答者指数≧4)
対象は、以下の基準が全て満たされれば、SRI(4)を達成する。
・SLEDAI-2Kにおける≧4ポイントのベースラインからの引下げ;
・1以上のBILAG-2004 A又は2以上によって定義される、新たな冒された臓器系がない
・BILAG-2004を用いてベースラインと比較される、BILAG-2004 B項目;
・3ポイントのPGA VASでの≧0.30ポイントの増大によって定義される、対象のループス疾患活動性におけるベースラインからの悪化なし。
【0113】
SRI(X)(X=5、6、7、又は8)は、以下の基準を満たす対象の割合によって定義される。
・SLEDAI-2Kにおける≧Xポイントのベースラインからの引下げ;
・1以上のBILAG-2004 A若しくは2によって定義される、新たな冒された臓器系なし、又は
・BILAG-2004を用いてベースラインと比較される、より多くのBILAG-2004 Bの項目;
・以下によって定義される、対象のループス疾患活動性におけるベースラインからの悪化なし
・3ポイントのPGA VASでの≧0.30ポイントの増大
【0114】
5.8.6 患者報告アウトカム(PRO)
5.8.6.1 Short Form 36 Health Survey(SF-36)バージョン2(急性)
SF-36-v2(急性)は、健康の8つのドメイン:身体機能、身体的健康に起因する役割制限、身体の痛み、全体的健康感、活力、社会的機能、感情の問題に起因する役割制限、及びメンタルヘルスを測定する多目的36項目調査である。SF-36-v2(急性)は、これらの8つの健康ドメイン毎のスケールスコア、並びに身体的及び精神的な健康の集約尺度:身体コンポーネントサマリ及び精神コンポーネントサマリをもたらす。
【0115】
5.8.6.2 慢性疾患療法-疲労感の機能評価(FACIT-F)
FACIT-Fは、以前の7日にわたる疲労の影響を評価するための、対象が完成させる13項目のアンケートである。応答は、0(Not at All)から4(Very Much)に及ぶ。最終スコアは、応答の合計であり、0から52に及ぶ;スコアが高いほど、良好なQoLを示す32。スコアの>3ポイントの変化が、臨床的に意味があるとみなす。
【0116】
5.8.6.3 EuroQol 5 Dimension 5レベル(EQ-5D-5L)
EQ-5D-5Lは、以下の5つの側面:運動、セルフケア、日常活動、疼痛/不快感、及び不安/抑うつで構成される33。各側面は、増大する困難度のレベルを反映する5つの応答オプション(問題なし、僅かな問題、中程度の問題、重度の問題、及び無力な/極度の問題)を有する。EQ-5D-5L健康状態は、EQ-5D-5L Crosswalk Project由来の値セットを用いて、単一の指数値に変換されることとなる。また、アンケートは、対象が自身の健康を0~100のスケールで格付けすることが求められるVAS(EQ-5D VAS)を含み、0は考えられる最悪の健康状態であり、100は考えられる最良の健康状態である。
【0117】
5.8.6.4 ループスクオリティ・オブ・ライフ(LupusQoL)
LupusQoLは、McElhone et al,200734によって開発されたループスに特有のHRQoLアンケートであり、Jolly et al,201035によってさらに証明された。評価は、8つのドメイン:身体的健康、痛み、プランニング、親密な関係、他者への負担、感情の健康、身体の画像、及び疲労感にグループ化される34項目からなる。項目応答が、5ポイントの口頭の応答スケール(0~4;常に~一度もない;及びスコア化されない該当なし応答)を用いて捕捉される。平均生ドメインが、ドメインにおける項目数で割られた項目応答の合計として算出される。続いて、平均生ドメインは、4で割られて、100を乗算されて、0(最悪のHRQoL)から100(最良のHRQoL)に及ぶ変換スコアとされる。
【0118】
5.8.6.5 患者健康アンケート抑うつスケール(PHQ-8)
PHQ-8は、うつ病性障害のDSM-IV診断が基づく9つの基準のうちの8つからなる36。PHQ-8は、最近の2週にわたる抑うつの徴候を評価する。
【0119】
5.8.6.6 痛み数値的評価スケール(NRS)
数値的評価スケール(NRS)において、患者は、痛み強度に最も合う0~10、0~20、又は0~100の数字を円で囲むことを求められる37。ゼロは通常、「全く痛みなし」を表すのに対して、上限は、「これまでの最悪の痛み」を表す。
【0120】
5.8.7 SLEDAI-2K(全身性エリテマトーデス疾患活動性指数2000)
SLEDAI-2K疾患活動性指数は、各々が定義を有する臓器徴候のリストからなる。認定調査者又は指定医師は、SLEDAI-2K評価を完了させて、各症状が直近の4週以内に「存在する」か「不在である」かを判定することとなる。また、評価は、SLEDAI-2Kのラボカテゴリの評価用の血液及び尿の収集を含む。
【0121】
SLEDAI-2K評価は、24のループス関連項目からなる。SLEDAI-2K評価は重み付け手段であり、そこでは記述子に対して特定臓器の「重み」が乗じられる。例えば、腎臓の記述子には4が乗じられ、中枢神経の記述子には8が乗じられ、これらの重み付けされた臓器徴候が、最終スコアに合計される。SLEDAI-2Kスコア範囲は0~105ポイントであり、0は無活動性疾患を示す。SLEDAI-2Kスコアは、ループス疾患活動性の有効で信頼できる高感度な臨床的評価である。臨床値及びラボ値のための来院に先立つ30日の時間枠を用いて算出されたSLEDAI-2Kは、ウィンドウが10日のSLEDAI-2Kと類似することが示されている38
【0122】
SLEDAI-2Kにより定義される発疹の解消は、ベースラインでの発疹についてスコアが≧2である人々について、52週目にてスコア0と定義される。
【0123】
5.9 I型IFN遺伝子シグネチャ(IFNGS)
I型IFNは、SLEの病因において中心的役割を果たすと考えられ、この経路の阻害は、アニフロルマブによって標的にされる。I型IFNの発現と抗IFN療法に対する応答との関係を理解するため、対象の疾患がI型IFNの活性化によって駆動されるかを知ることが必須である。しかしながら、I型IFNの直接的測定には、課題が残っている。そうしたことから、特定のmRNAマーカーのセットに及ぼす標的タンパク質の過剰発現の効果を評価するための、転写物に基づくマーカーが開発された。当該マーカーの発現は、全血において容易に検出され、SLEにおける皮膚等の罹患組織における発現との相関を示す。SLE対象についての転写物スコアの二峰性分布は、IFN検査で高値の亜集団及び低値の亜集団を定義することを支援する(図1)。I型IFN検査は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011028933A1号パンフレットに記載されている。I型IFN遺伝子シグネチャを用いて、対象がI型IFN遺伝子シグネチャ(IFNGS)検査で高値の患者又はIFNGS検査で低値の患者であることを識別し得る。IFNGS検査は、対象の全血中で、3つの参照遺伝子;18S、ACTB、及びGAPDHと比較して、遺伝子IFI27、IFI44、IFI44L、及びRSAD2の発現を測定する。検査の結果は、IFN誘導性遺伝子発現が低レベル又は高レベルの2群に患者を分類する、予め確立されたカットオフと比較されるスコアである(図1)。
【0124】
遺伝子の発現は、RT-PCRによって測定され得る。遺伝子の検出に適したプライマー及びプローブは、国際公開第2011028933号パンフレットにおいて見出され得る。IFNGS検査に関する遺伝子発現を測定するのに適したキットは、Brohawn et al.39(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるQIAGEN therascreen(登録商標)IFIGx RGQ RT-PCRキット(IFIGxキット)である。
【0125】
6 実施例1:MUSE、ClinicalTrial.gov識別子:NCT01438489
MUSEは、標準治療(SOC)SLEに対する応答が不十分な慢性の中程度~重度の活動性SLEを患う成人参加者における2つの静脈内(IV)処置レジメンの有効性及び安全性を評価するための第2相多国間マルチセンター無作為化二重盲検プラセボ対照並行群研究であった。治験薬(アニフロルマブ又はプラセボ)を4週(28日)毎に固定用量として合計13用量投与した。
【0126】
MUSEは、Furie et al.201720(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)にさらに詳細に記載されている。
【0127】
7 実施例2:TULIP I及びII、ClinicalTrial.gov識別子:NCT02446912及びNCT02446899
TULIP I及びTULIP IIは、標準治療(SOC)処置を受けながら、中程度~重度の活動性自己抗体陽性全身性エリテマトーデス(SLE)を患う対象において、プラセボと比較して2回用量のアニフロルマブの静脈内(IV)処置レジメンの有効性及び安全性を評価するための第3相マルチセンター多国籍無作為化二重盲検プラセボ対照研究であった。
【0128】
7.1.1 制限付き薬物療法
対象が以下の1つを受けたならば、対象は、非応答者とみなした。スルファサラジン;ダナゾール;ダプソン;アザチオプリン>200mg/日又は0週目(1日目)よりも多い1日用量;ミコフェノール酸モフェチル>2.0g/日又はミコフェノール酸>1.44g/日又は0週目(1日目)よりも多い1日用量;経口、SC、又は筋肉内メトトレキサート>25mg/週又は0週目(1日目)よりも多い1日用量;ミゾリビン>150mg/日又は0週目(1日目)よりも多い1日用量;経口、SC、又は筋肉内メトトレキサートの投与経路の何らかの変化;静脈内コルチコステロイド>40mg/日であるが、≦1gm/日メチルプレドニゾロン又は等価物;筋肉内コルチコステロイド>80mg/日メチルプレドニゾロン又は等価物;皮下又は筋肉内コルチコステロイド前駆体;OCS>40mg/日のプレドニゾン又は等価物による処置;>14日の投与期間の1日目の用量を上回るOCSによる処置;生体半減期が長いコルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン、ベタメタゾン);カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス[局所を含む])又はレフルノミドが挙げられるがこれらに限定されない他の免疫抑制剤。シクロスポリン点眼薬は、研究での使用を許容した。
【0129】
TULIP Iは、その全体が参照により本明細書に組み込まれるFurie et al.201921にさらに詳細に記載されている。TULIP IIの結果は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Morand et al.202019に示される。
【0130】
8 実施例3:第2相及び第3相アニフロルマブ治験に使用される新規のストリンジェント結果尺度
8.1 背景
全身性エリテマトーデス(SLE)患者の処置は、疾患活動性を低下させ、且つ紅斑を予防しようとしており、考えられる最も低い用量のグルココルチコイド(GC)により維持されるべきである。イギリス諸島ループス評価群(BILAG)ベースの複合ループス評価(BICLA)は、SLE治験においてたびたび評価されるグローバル疾患活動性の評価である。BICLA応答は、BILAG-2004によって評価される、ベースラインにて影響される全てのドメインの向上、他のBILAG-2004ドメインの悪化なし、並びにSLE疾患活動性指数2000(SLEDAI-2K)及び医師のグローバル評価(PGA)の双方のベースラインと比較して悪化なしを必要とする。
【0131】
I型インターフェロン受容体抗体であるアニフロルマブを受けた全身性エリテマトーデス(SLE)患者は、第2相MUSE、並びに第3相TULIP-1及びTULIP-2治験において、52週目(W)のプラセボと比較して、BILAGベースの複合ループス評価(BICLA)応答率がより大きかった。また、アニフロルマブを受けている患者は、プラセボと比較して、紅斑がより少なく、より多くの患者は、グルココルチコイド(GC)を漸減させることができた。
【0132】
8.2 目的
TULIP-2、TULIP-1、及びMUSEから、SLE患者において、プラセボと比較してアニフロルマブ処置応答を評価するために、よりストリンジェントなBICLA定義、並びに二重BICLA及びSLE応答者指数(SRI[4])応答を必要とする新規のエンドポイントを用いた。
【0133】
8.3 方法
MUSE、TULIP-1、及びTULIP-2は、標準治療にも拘わらず、中等度から重度のSLEを患う患者における静脈アニフロルマブ(48週間で4週毎)の無作為化プラセボ対照52週治験であった。ベースラインにてGC≧10mg/日を受けている患者について、≦7.5mg/日への漸減は、W40までに達成されて、W52まで持続されたならば、持続されているとみなした。ベースラインにてGC<10mg/日を受けている患者について、GC漸減は、W40用量がベースライン用量以下であれば、W40~W52まで増大なく持続した。この事後分析において、5つの新規のエンドポイントについての応答率を、以下の患者について、アニフロルマブ300mgとプラセボ群との間で比較した:1)BICLA及びSRI(4)の双方の応答基準を満たした;2)GC漸減を持続しながらW52 BICLA応答を達成した;3)W12後に、W52のBICLA応答、及び紅斑(紅斑は、来院前と比較して≧1の新しいBILAG-2004 A又は≧2の新しいBILAG-2004 Bスコアとして定義した)なしを達成した;4)W12後にGC漸減を持続しながら、且つ紅斑なしに、W52 BICLA応答を達成した;5)全てのベースラインBILAG-2004活動性の完全解消を必要とするW52での修飾BICLA(mBICLA、crBICLA)応答(全ベースラインA/BスコアからD;C又はDスコアの悪化なし)を達成した。
【0134】
8.3.1 新規のストリンジェント結果尺度
この事後分析において、5つの新規のエンドポイントについての応答率を、以下の患者について、アニフロルマブ300mgとプラセボ群との間で比較した:1)BICLA及びSRI(4)の双方の応答基準を満たした;2)GC漸減を持続しながらW52 BICLA応答を達成した;3)W12後に、W52のBICLA応答、及び紅斑(紅斑は、来院前と比較して≧1の新しいBILAG-2004 A又は≧2の新しいBILAG-2004 Bスコアとして定義した)なしを達成した;4)W12後にGC漸減を持続しながら、且つ紅斑なしに、W52 BICLA応答を達成した;5)全てのベースラインBILAG-2004活動性の完全解消を必要とするW52での修飾BICLA(crBICLA)応答(全ベースラインA/BスコアからD;C又はDスコアの悪化なし)を達成した(表8-1)。
【0135】
【表3】
【0136】
8.3.2 統計分析
応答率、処置差異、95%信頼区間(CI)、オッズ比、標準誤差、及び名目上のP値を、層化コクラン・マンテル・ヘンツェルアプローチ6(層化因子:スクリーニング時のSLEDAI-2Kのスコア、1日目GC投薬量、及びスクリーニング時のインターフェロン遺伝子シグネチャ[IFNGS]状況)を用いて算出した。
【0137】
8.4 結果
評価した患者は、アニフロルマブ300mg(MUSE、n=99;TULIP-1及びTULIP-2、n=180)又はプラセボ(MUSE、n=102;TULIP-1、n=184;TULIP-2、n=182)を受けた。人口統計及びベースライン疾患特徴は、概して平衡した(表8-2)。
【0138】
プラセボに対してアニフロルマブ300mgを選好する応答率差異が、MUSE、TULIP-1、及びTULIP-2にわたって、全5つのストリンジェントBICLAエンドポイントについて観察された(図3)。プラセボと比較して、より多くの患者が、アニフロルマブによりW52でのBICLA及びSRI(4)の双方について、応答基準を満たした(処置差異、14.3%~28.6%;名目P≦0.004)。プラセボと比較して、より大きな割合の患者が、アニフロルマブによりW52にてBICLA応答があり、GC漸減が持続していた。プラセボと比較して、より多くの患者が、アニフロルマブにより、W12の後に紅斑なしで、W52にてBICLA応答があった。プラセボと比較して、より多くの患者が、アニフロルマブによりW52にてBICLA応答があり、GC漸減が持続し、且つW12の後に紅斑なしであった(処置差異、15.3%~19.3%;名目P≦0.006)。プラセボと比較して、より多くの患者が、アニフロルマブによりW52にてcrBICLA応答(ベースライン疾患活動性の完全解消を必要とする)を達成した(処置差異、11.1%~14.1%;名目P≦0.017)。
【0139】
プラセボに対してアニフロルマブ300mgを選好するオッズ比が、52週目に全5つのエンドポイントについて観察された:
- BICLA応答+GC漸減の持続、範囲:1.72~3.97
- BICLA応答+12週目の後の紅斑なし、範囲:2.30~3.47
- BICLA応答+12週目の後の紅斑なし+GC漸減の持続、範囲:2.65~4.16
- 完全解消BICLA(crBICLA)応答(BILAG-2004 A/Bスコアの完全解消を必要とする)、範囲:2.45~2.74
- BICLA+SRI(4)応答、範囲:1.89~3.76
【0140】
crBICLA応答について、プラセボに対してアニフロルマブを選好する陽性処置差異が、約32週目から観察されて(TULIP-1において28週目)、TULIP-2、TULIP-1、及びMUSEにおいて52週目まで持続した(図3)。
【0141】
【表4】
【0142】
8.5 結論
SLE患者における第2相及び第3相の治験では、アニフロルマブ処置は、プラセボと比較して、5つの新規の、ストリンジェントBICLAベースのエンドポイント定義を用いて、GC漸減が持続し、且つ紅斑なしのBICLA応答、ベースライン疾患活動性の完全解消を必要とするBICLA応答、並びに二重BICLA及びSRI(4)応答が挙げられる疾患制御の向上と一貫して関連した。全てのベースラインBILAG-2004 A/Bスコアの完全解消を必要とするcrBICLA応答は、早くも28週目から52週目まで持続した。これらの結果は、グローバル疾患活動性を引き下げて、紅斑を制御して、GC使用を最小にする(SLE患者における重要な処置目的)アニフロルマブの能力を支持している。
【0143】
9 実施例4:患者報告アウトカムに関するBICLA応答の臨床有意味性:アニフロルマブによる中程度~重度のSLEの処置
9.1 概要
9.1.1 背景
イギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価(BICLA)は、全身性エリテマトーデス(SLE)治験における処置応答の証明されたグローバル尺度であるが、患者報告アウトカム(PRO)を含まない。患者見込みからのBICLA応答の臨床有意味性を理解するために、発明者らは、中等度から重度のSLEを患う患者におけるアニフロルマブの第3相TULIP-1及びTULIP-2治験由来のプールしたデータを用いて、BICLA応答によって、処置群によって、PROを分析した。
【0144】
9.1.2 方法
この事後分析は、Short Form 36 Health Survey(SF-36-v2)及びループスクオリティ・オブ・ライフ(LupusQoL)を用いて健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQoL)を、慢性疾患療法-疲労感の機能評価(FACIT-F)、痛み数値的評価スケール、及び疾患活動性のPatient Global Assessment(PtGA)を用いて疲労感を評価した。ベースラインからの変化、並びにPRO向上≧最小臨床重要差(MCID)及びスコア≧規範値を報告する患者の割合を、BICLA応答者及び非応答者において、処置群によって比較した。
【0145】
9.1.3 研究結果
TULIP-1及びTULIP-2治験における726人の患者のうち、283人がBICLA応答者であり、443人がBICLA非応答者であった。BICLA応答者は、PtGA、SF-36、LupusQoL、FACIT-F、及び痛みにおいて、52週目のベースラインからのより大きい平均向上を報告した(全ての名目p<0.005)。非応答者と比較して、より多くのBICLA応答者が、52週目にて、向上≧MCID[範囲41~70%(77/187~184/264)対11~19%(33/286~76/398)]及びスコア≧規範値[範囲17~49%(47/283~139/283)対7~31%(30/443~135/443)]を報告した。補足的分析として、アニフロルマブ処置患者は、プラセボと比較して、SF-36、LupusQoL、及びFACIT-Fのより大きな向上を報告した。
【0146】
9.1.4 解釈
アニフロルマブにより処置したより多くのSLE患者は、BICLA応答を達成した。BICLA応答者は、非応答者と比較して、PtGA、HRQoL、疲労感、及び痛みの統計学的に有意であり、且つ臨床的に意味がある改善を報告した。アニフロルマブを受けているSLE患者が、プラセボよりも多く、HRQoL及び疲労感の改善を報告した。
【0147】
9.2 文脈における研究
9.2.1 この研究前の証拠
全身性エリテマトーデス(SLE)無作為化対照治験(RCT)におけるプライマリエンドポイントは、通常、臨床医が評価する複合尺度、例えば、中等度から重度のSLEを患う患者におけるアニフロルマブのTULIP-2及びTULIP-1(セカンダリエンドポイント)第3相RCTに用いられるイギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価(BILAG)である。現在まで、BICLAが、>20件のSLE治験に利用されてきた。複合応答者指数、例えば、BICLA及びSLE応答者指数4(SRI[4])は、疾患グローバル改善を判定し、あらゆる臓器系において意味のある悪化がないことを確実にし、且つ医師のグローバル評価を含むが、患者の見解から疾患又はその処置の影響への洞察を提供しない。患者報告アウトカム(PRO)は、疾患の固有の態様を測定するが、患者の幸福の変化が、医師により評価される疾患活動性の改善によって直接反映されると仮定することができない。疾患活動性尺度とPROとの間の不一致が、治験において、臨床診療において繰り返し示されてきた。Outcome Measures in Rheumatology(OMERACT)コンセンサスグループ及び米国食品医薬品局は、疾患活動性、臓器損傷、健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQoL)、有害事象、及びSLE RCTに利用される経済的コストの尺度を推奨してきた。BICLA応答の効果をPROと直接比較する以前の研究は、BICLA応答者の分析において、一般的なPRO測定のみを、又はSLEに特有のPRO測定のみを含んだ。
【0148】
9.2.2 この研究の付加価値:
アニフロルマブの第3相TULIP治験由来のプールしたデータの事後分析は、疾患及びその処置の患者の報告による影響を捕捉するための多次元アプローチ:HRQoL、疲労感、痛み、及び疾患活動性の患者グローバル評価(PtGA)に基づいて、患者の見込みからBICLA応答の臨床有意味性を評価した。全てのPRO尺度にわたって、BICLA応答者は、非応答者と比較して、統計学的に有意であり、且つ臨床的に意味がある、より大きな向上を報告した。アニフロルマブは、標準的なSLE療法に加えて、患者の報告による肉体的及び精神的な健康及び疲労感を改善した。
【0149】
9.2.3 全ての入手可能な証拠の含意
BICLA応答は、患者の見込みからの意味がある結果である。BICLA応答者は、非応答者と比較して、疾患活動性が改善し、紅斑がより少なく、且つ累積グルココルチコイド投薬量がより低くなり、より良好なHRQoL、疲労感、痛み、及び疾患活動性の改善を報告する。プラセボと比較して、アニフロルマブにより処置されたより多くの患者が、BICLA応答者であった。応答は、HRQoL、疲労感、痛み、及びPtGAの臨床的に意味がある改善を伴った。これらの結果は、中等度から重度のSLEを患う患者のための有効な処置オプションとしてのアニフロルマブの使用を支持する。
【0150】
9.3 緒言
全身性エリテマトーデス(SLE)は、健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQoL)に影響を与える再発性寛解型(relapsing,remitting)慢性自己免疫疾患であり40、かなりの罹患率及び死亡率の増大と関連する41。SLEの多臓器性の、且つ異質な性質を考えると、Outcome Measures in Rheumatology(OMERACT)国際コンセンサスエフォートは、SLEでの無作為化対照治験(RCT)及び縦断観察研究における5つのコアセットドメイン:疾患活動性、臓器損傷、HRQoL、有害事象、及び経済的コストの評価を推奨した42
【0151】
患者報告アウトカム(PRO)は、RCT及び臨床診療において治療法を評価する重要な態様であり、SLE患者における処置利益の重要な評価である42。SLE疾患活動性及び損傷の臨床尺度及びラボ尺度は、患者の日常生活に及ぼすSLEの疾患関連の影響及び処置関連の影響を評価しない。PROは、情報、例えば、徴候重篤度、疾患の影響、及びHRQoLの障害を捕捉し、実際に、且つRCTにおいてSLE処置の有効性を評価する場合に、応答の複合尺度への重要な補足物となる。
【0152】
I型インターフェロン(IFN)受容体サブユニット1に対するヒトモノクローナル抗体であるアニフロルマブの第3相TULIP-1(NCT02446912)及びTULIP-2(NCT02446899)治験におけるグローバル疾患活動性の改善を、イギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価(BICLA)を用いて評価した19,21。アニフロルマブを受けているBICLA応答者は、TULIP-1(セカンダリエンドポイント)及びTULIP-2(プライマリエンドポイント)RCTにおいて、52週目にてプラセボと統計学的に異なった。
【0153】
事後分析は、処置群割当てに関係なく、第3相TULIP RCT由来のプールしたデータを用いて、対非応答者と比較して、BICLA応答者によって報告される上述のPROの向上を試験した。また、PROを、処置群によって評価した。
【0154】
9.4 方法
9.4.1 患者及び研究設計
これは、52週プラセボ無作為化対照治験(RCT)TULIP-1及びTULIP-2由来のプールしたデータの事後分析であった。治験の設計及び方法は、以前に詳述されている19,21。簡潔に、標準療法にも拘わらず、中等度から重度のSLEを患う患者を無作為化して、48週間4週毎に静脈内にアニフロルマブ300mg又はプラセボを受けさせた。全ての患者は、18~70歳であり、米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)のSLE分類基準を満たした。活動性の重度のループス腎炎又は神経精神病学的SLEを患う患者は、除外した。
【0155】
9.4.2 研究エンドポイント及び評価
TULIP-1及びTULIP-2治験からプールした患者のデータを、2つのサブグループにおいて分析した:1)BICLA応答者対非応答者(処置群割当てに関係なく52週目のBICLA応答)及び2)処置群(アニフロルマブ300mg対プラセボ)。TULIP-1治験における150mg処置群の患者は、この分析に含めなかった。BICLA応答を、以下の全てと定義した:全ベースラインBILAG-2004のA及びBドメインスコアの、それぞれB/C/D及びC/Dへの引下げ(他のBILAG-2004臓器系における悪化なし);全身性エリテマトーデス疾患活動性指数2000(SLEDAI-2K)スコアの(ベースラインから52週目までの)増大なし、又は医師のグローバル評価(PGA)スコアの(ベースラインから≧3ポイントの)増大なし;研究処置の中止なし;並びにプロトコルで許容された閾値を超える制限付き薬物療法の使用なし。
【0156】
発明者らは、PtGA、HRQoL(SF-36バージョン2(急性)を用いる)及びLupusQoL、疲労感(FACIT-Fを用いる)、並びに痛みを評価した。PtGAを、0~100mmのビジュアルアナログスケール(VAS)により測定した。SF-36は、8つのドメイン(身体機能、身体の役割、身体の痛み、健康状態、活力、社会的機能、感情の役割、及びメンタルヘルス)を測定する。ドメインスコアが標準化されて、0(最悪)から100(最良)に及ぶ;スコアが高いほど良好なHRQoLを示す。肉体的及び精神的なコンポーネントサマリ(PCS及びMCS)スコアを、ドメインのz変換標準ベーススコアリングを重み付けすることによって算出する(平均50、及び標準偏差10)。LupusQoLは、8つのドメイン:身体的健康、痛み、疲労感、感情の健康、プランニング、親密な関係、他者への負担、及び身体の画像を含有し、SF-36に用いられるように設計される。8つのドメイン毎のスコアは、0(最悪)から100(最良)に及ぶ。FACIT-Fは、疲労感の13項目の患者報告尺度である。全ての項目を合計して、0から52の範囲の単一の疲労感スコアを生じさせる;スコアが高いほど、良好な機能及び/又は少ない疲労感を表す14,15。0(痛みなし)から10(考えられる最悪の痛み)までの11ポイントのNRSにより、患者の報告による痛みを捕捉した。
【0157】
9.4.3 BICLA応答(BICLA応答者対非応答者)による分析
PtGA、SF-36、LupusQoL、FACIT-F、及び痛みNRSの、ベースラインから52週目までの変化を比較した。スパイダグラムを、ベースラインドメイン値、並びに年齢及び性別がマッチする健康なUS対象(SF-36のみ)と比較して、各SF-36及びLupusQoLドメインにおける52週目スコアを示すように準備した。向上≧ベースラインから52週目までの最小臨床重要差(MCID)を報告する患者の割合を、SF-36、LupusQoL、及びFACIT-Fについて評価した。SF-36 PCS及びMCSスコアについてのMCIDは、8つのSF-36ドメインにおいて、それぞれ≧2・5ポイント及び≧5・0ポイントの向上である18。LupusQoLのMCIDを、身体的健康において≧3・4、痛みにおいて≧8・5、疲労感において≧3・9、感情の健康において≧3・4、プランニングにおいて≧6・5、親密な関係において≧9・2、他者への負担において≧5・3、及び身体の画像において≧1・1のベースラインからの変化として定義した19。FACIT-FのMCIDを、≧4・0ポイントの向上と定義する20。
【0158】
スコア≧52週目のSF-36及びFACIT-Fにおける規範値を報告するBICLA応答者及び非応答者の割合を評価した。SF-36ドメインについてのこのプロトコル集団にマッチする規範スコア年齢/性別は、身体機能(83・25)、身体の役割(82・96)、身体の痛み(72・75)、健康状態(69・95)、活力(55・82)、社会的機能(83・30)、感情の役割(86・68)、及びメンタルヘルス(73・34)を含む;FACIT-Fについての規範スコアは、43・6である21。
【0159】
疲労感(SF-36の活力ドメイン、LupusQoL疲労感ドメイン、及びFACIT-F)と痛み(SF-36の身体の痛み、LupusQoLの痛み、及び痛みNRS)のPRO測定値間の相関を、BICLA応答者及び非応答者において52週目に評価した。
【0160】
9.4.4 処置群(アニフロルマブ300mg対プラセボ)による分析
ベースラインから52週目までの変化、及び向上≧SF-36、LupusQoL、及びFACIT-Fの52週目のMCIDを報告する患者(PRO応答者)の割合を、処置群によって比較した。
【0161】
9.4.5 統計分析
TULIP-1 RCT及びTULIP-2 RCTの類似した設計により、結果をプールすることができた。BICLA応答による、処置群による、ベースラインから52週目までの変化の比較、95%信頼区間(CI)、及び名目P値は、スクリーニング時のSLEDAI-2Kスコアのベースライン値、群、来院、研究、及び層化因子、1日目経口グルココルチコイド投薬量、並びにスクリーニング時のI型IFN遺伝子シグネチャ試験状況についての固定された効果との反復尺度についての混合モデルを用いた。向上≧PROのMCIDを報告する患者の割合、及び95%CIを、層化因子による層化コクラン・マンテル・ヘンツェルアプローチを用いて算出した。欠損データは、欠損データを伴う初回来院については次期に繰り越した最近の観察を用いて帰属させた;欠損データを伴うその後の来院は帰属させなかった。応答者分析について、変数のあらゆるコンポーネントを、ミッシングデータにより導き出すことができなければ、患者は、その来院について非応答者と分類した。プールしたTULIP-1及びTULIP-2データの評価について、TULIP-1データを、TULIP-2の制限付き薬物療法規則に従って分析した。ピアソン相関係数を、係数がゼロと等しいという仮説を検定する名目p値と一緒に示す。これらの分析法は、多重比較について対照化せず、名目p値と共に示す。
【0162】
9.5結果
9.5.1 ベースライン特徴
データを、TULIP-1 RCT及びTULIP-2 RCTにおいて、726人の患者からプールした。これらの726人の患者のうち、366人がプラセボを受け(TULIP-1及びTULIP-2において、それぞれ184人及び182人の患者)、360人がアニフロルマブ300mgを受けた(各治験において180人の患者)。合計で、処置群割当てに関係なく、283人のBICLA応答者及び443人のBICLA非応答者がいた。患者人口統計及びベースライン疾患特徴は、BICLA応答者及び非応答者(表9-1)、並びにアニフロルマブ300mg及びプラセボ群(表9-2)にわたって概して平衡したが、BICLA応答者のより大きな割合が、BILAG-2004 A項目が≧1であり、且つより低い割合が、SLEDAI-2Kスコアが≧10であったことを除く。PtGA、SF-36(PCS、MCS、及び8つのドメインを含む)、LupusQoLドメイン、FACIT-F、及び痛みについてのベースラインスコアは、BICLA応答者及び非応答者(表9-1)、並びにアニフロルマブ群及びプラセボ群(表9-2)にわたって概して類似していた。
【0163】
【表5】
【0164】
【表6】
【0165】
9.5.2 BICLA応答者対非応答者におけるPRO
ベースラインから52週目までのPtGAスコアの、BICLA非応答者よりも大きな向上が、BICLA応答者によって報告された(最小二乗[LS]平均-16・1対-4・2、名目P<0・0001)(表9-3)。図4及び図5のスパイダグラムは、ベースライン及び52週目にてBICLA応答者対非応答者によって報告されるLS平均SF-36及びLupusQoLドメインスコアを要約する。52週目に、BICLA応答者は、PCS、MCS、及び全8つのSF-36ドメインの(全ての名目p<0・001)(図4及び表9-3)、全てのLupusQoLドメインの(全ての名目p<0・001;密接な関係、名目p=0・005)(図5及び表9-3)、非応答者よりも大きな向上を報告した。BICLA応答者によって報告されるFACIT-Fスコア及び痛みNRSスコアのLS平均向上は、52週目の非応答者よりも大きい(双方とも名目p<0・001)(表9-3)。SF-36(身体機能、身体の痛み、活力、及びメンタルヘルス)及びLupusQoL(身体的健康、痛み、疲労感、及び感情の健康)の比較可能なドメインにおいて、BICLA応答者によって報告されるベースラインからの向上が、最初の処置後評価にて起こって、52週目まで維持された(図6)。
【0166】
【表7】
【0167】
52週目に、BICLA応答者のより大きな割合(非応答者と比較)が、臨床的に意味がある向上≧PCS、MCS、及びSF-36の全8つのドメインのMCIDを報告し、51~70%(140/276[MCS]~184/264[身体の役割])対15~19%(63/416[PCS]~76/398[身体の役割])に及び(図7A)、全てのLupusQoLドメインを報告した:41~66%(77/187[親密な関係]~152/231[プランニング])対11~18%(33/286[親密な関係]~74/410[疲労感])(図7B)に及んだ。BICLA応答者のより大きな割合(非応答者と比較)が、FACIT-F向上≧52週目のMCIDを報告した:56%(155/276)対15%(66/439)(図7C)。
【0168】
ベースラインにて、SF-36及びFACIT-Fスコア≧規範値を報告する患者の割合は、BICLA応答者及び非応答者の双方において低かった(<35%)。しかしながら、スコア≧ベースラインでの規範値を報告するBICLA応答者の割合は、概して、BICLA非応答者と比較して、とりわけSF-36 MCS、並びに身体の痛み、活力、及び社会的機能ドメインスコアにおいて、より高かった(図8)。52週目に、BICLA応答者のより大きな割合(非応答者と比較)が、スコア≧PCS、MCS、及びSF-36の全8つのドメインにおける規範値を報告した:17~49%(47/283[健康状態]~139/283[メンタルヘルス])対7~31%(30/443[健康状態]~135/443[メンタルヘルス])及びFACIT-F(図8):27%(76/283)対10%(46/443)。スコア≧52週目の規範値を報告するBICLA応答者の割合は、4つの身体SF-36ドメイン(身体機能、身体の役割、身体の痛み、及び健康状態)、及び活力ドメイン、並びに結果的にPCSスコアにおいて、ベースラインから2倍超であったが、スコア≧52週目の規範値を報告するBICLA非応答者の割合は、社会的機能、感情の役割、及びメンタルヘルスドメイン、並びに結果的にMCSスコアにおいて、ベースラインから低下した。
【0169】
患者の報告による疲労感の測定値の相関分析は、SF-36活力ドメイン、LupusQoL疲労感ドメイン、及びFACIT-Fが、BICLA応答者群の別なく、強く関連することを示し(相関係数>0・75、全ての名目p<0・0001)、最も強い相関がFACIT-FとLupusQoL疲労感との間で明白であった(表9-4)。類似した結果が、患者の報告による痛みにおいて観察された。SF-36の身体の痛みドメイン及びLupusQoLの痛みドメインは、BICLA応答者及び非応答者の双方において、強く相関した(相関係数0・72及び0・67、双方の名目p<0・0001)(表9-4)。痛みNRSは、SF-36の身体の痛みドメイン及びLupusQoLの痛みドメインと強く負に相関した(全ての名目p<0・0001)。
【0170】
【表8】
【0171】
9.5.3 プラセボと比較した、アニフロルマブ300mgを受けた患者によって報告されるPRO
アニフロルマブを受けた患者において観察されるSF-36、LupusQoL、及びFACIT-FのベースラインからのLS平均変化は、全てのドメインにわたって、プラセボと比較して、数値的により大きかった(表9-5)。経時的に、アニフロルマブ処置患者は、プラセボと比較して、4つのSF-36ドメイン(身体機能、身体の痛み、活力、及びメンタルヘルス;8週目)及びLupusQoL比較可能ドメイン(身体的健康、痛み、疲労感、及び感情の健康;12週目)において、最初の評価時に、ベースラインからの数値的により大きなLS平均変化を報告した。これらの差異は、LupusQoL身体的健康ドメイン及び感情の健康ドメインを除いて、52週目まで維持された(図9)。
【0172】
【表9】
【0173】
52週目に、プラセボと比較して数値的により大きな割合のアニフロルマブ処置患者が、臨床的に意味がある向上≧PCS、MCS、及びSF-36の全8つのドメイン、全てのLupusQoLドメイン、並びにFACIT-FのMCIDを報告した(図10)。処置差は、LupusQoLドメインよりもSF-36ドメインにおいて最も大きく、LupusQoLの親密な関係ドメインにおいて最も小さかった。
【0174】
9.6.考察
SLE患者は、HRQoL及び持続性疲労感の重大な障害を報告する。第3相TULIP-1 RCT及びTULIP-2 RCTにおいて、ベースラインのHRQoLスコア及び疲労感スコアは低く、PtGAスコア及び痛みスコアは高かった。このことは、当該疾患の重要な影響を反映している。TULIP RCTにおける処置に対する応答を、疾患活動性の改善又は悪化を測定するための治験エンドポイントとしての使用用に開発された、複合応答者指数BICLAを用いて測定したが、これはPROを含まない。ゆえに、所望の処置目標を満たす患者にとっての影響及び意味は、捕捉されない。プラセボと比較して、アニフロルマブで処置したより多くの患者が、TULIP RCTにおいてBICLA応答者であった。ゆえに、これらの分析の目的は、BICLA応答者であることの臨床有意味性を患者の観点から評価することであった。疾患活動性の引下げに加えて、ここで報告される分析は、非応答者と比較して、TULIP RCTにおけるBICLA応答者が、PtGA;SF-36 PCS、MCS、及び全8つのドメイン;全LupusQoLドメイン;FACIT-F;並びに臨床的に意味がある痛みスコアのより大きな向上を報告したことを示す。また、報告される向上≧SF-36、LupusQoL、及びFACIT-FのMCIDによって判定される、PRO応答者と分類される患者の割合は、BICLA応答者において、非応答者よりも大きかった。最後に、52週目に、非応答者と比較したより多くのBICLA応答者は、スコア≧SF-36 PCS、MCS、及びFACIT-Fにおける規範値、並びに全てのSF-36ドメインにおけるマッチする規範スコアを報告した。
【0175】
多くの場合、SLEにおける疾患活動性の臨床尺度と、疾患及びそのHRQoLに及ぼす影響の患者の認識との間に、不一致が存在し得る。発明者らの分析は、患者の観点から、中等度から重度のSLEを患う患者においてBICLA応答者であることの臨床有意味性を支持し、且つ疾患活動性の改善のグローバル利益を反映する。
【0176】
OMERACTは、一般的であり(SF-36)、且つ疾患に特有の(LupusQoL)HRQoL手段及び疲労感手段が、RCTにおける補完的な評価、及びSLE患者における縦断観察研究として一緒に用いられることを推奨している。公開されている分析に基づいて、全3つの手段(SF-36、LupusQoL、及びFACIT-F)が、RCTに登録されたSLE患者の変化に対して、信頼性が高く、有効であり、応答性であり、且つ高感度であり、治験及びLOSにおいて支えとなる尺度としての使用に推奨される。SF-36、LupusQoL、及びFACIT-Fは、SLE患者に従う健康状況の知覚される変化に応答性であり、比較可能なドメインは、強く相関することが示された。発明者らの分析によって示されるように、BICLA応答者であった患者は、患者にとって臨床的に意味があるこれらのPROのより大きな向上を報告し、一般集団の健康に等しいか、又はそれを超えるレベルでのHRQoL及び疲労感の改善を報告する患者の割合の、BICLA応答者を選好する大きな差異があった。
【0177】
一般的なSF-36と対照的に、LupusQoLは、SLE患者にとって重要である健康状況の特定の態様を含み、例えば、身体の画像及び外観、自信、並びに社会的支援があり、これらは、4つのドメイン:プランニング、他者への負担、身体の画像、及び親密な関係に組み込まれる。非応答者よりも多くのBICLA応答者が、LupusQoLと相関する、ループスに特有のドメイン及びSF-36のドメインのより大きな向上及び応答を報告した。これらの向上は、処置開始の早くも4~12週後にBICLA応答者によって報告されて、経時的に概して増大した。
【0178】
疲労感及び痛みが、SLEの最も一般的な臨床症状であり、不十分な身体検査、及び日常生活に及ぼす影響が大きい精神機能と関連する。FACIT-Fスコアの平均向上は、非応答者よりもBICLA応答者において大きかった。同様に、BICLA応答者はまた、SF-36活力ドメインのより大きな向上を報告した。これは、FACIT-F14及びLupusQoL疲労感ドメインと相関する。発明者らの相関分析の結果は、患者の報告による疲労感のこれらの3つの測定値間の強い相関を示す。加えて、患者の報告による痛み尺度において、BICLA応答者対非応答者によって報告される一貫した向上は、高度に相関した。アニフロルマブ処置により、中等度から重度のSLEを患うより多くの患者が、双方のTULIP RCTにおいてBICLA応答を達成した。また、これらの分析では、BICLA応答者によって報告されるHRQoL及び疲労感の利益は、プラセボと比較して、アニフロルマブ処置により観察された。処置差は、いくつかのドメインにおいて小さかったが、アニフロルマブにより処置したより多くの患者は、全3つのPRO手段(SF-36、LupusQoL、及びFACIT-F)の臨床的に意味がある向上を報告した。
【0179】
結論として、中等度から重度のSLEを患う患者において、BICLA応答者は、疾患活動性、HRQoL、疲労感、及び痛みの改善を報告した。これらの結果は、患者の経験及び疾患の影響、並びに他の臨床応答、例えば、より少ない紅斑、持続する経口グルココルチコイド漸減、及びより少ない医学的資源利用に関するBICLA応答者定義の重要性を支持する。また、これらのデータは、アニフロルマブ処置による疾患活動性の引下げが、患者の報告によるHRQoL、疲労感、及び痛みを改善することを示唆する。
【0180】
10 実施例5:全身性エリテマトーデス患者のためのアニフロルマブによる結果間の「原因となるカスケード」:処置、臨床因子、徴候、患者機能、及び健康関連クオリティ・オブ・ライフ間の直接的関係及び間接的関係の試験
10.1 概要
10.1.1 背景
全身性エリテマトーデス(SLE)は、健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQoL)をかなり損ない、患者報告アウトカム(PRO)は、疾患活動性によって捕捉されない疾患の固有の態様を測定する。治験環境にあるSLE患者における、PROによる直接的処置利益の測定は、困難である。この事後分析では、構造式モデリングを用いて、第3相TULIP-1治験及びTULIP-2治験由来のプールしたデータにおけるアニフロルマブ、疾患活動性、及びPRO間の相互作用の「原因となるカスケード」を試験した。
【0181】
10.1.2 方法
データを、TULIP-1治験(n=364)及びTULIP-2治験(n=362)からプールした。これらは、静脈アニフロルマブ(48週間4週毎に300mg)の無作為化プラセボ対照52週治験であった。発明者らは、仮定した相互作用モデルにおいて、4つの臨床尺度(BICLA、BILAG-2004、SLEDAI-2K、及びグルココルチコイド投薬量の変化)及び6つのPRO尺度(SF-36、FACIT-F、EQ-5D、LupusQoL、PHQ-8、及び痛みNRS)の、ベースラインから24週目及び52週目までの変化を評価した。
【0182】
10.1.3 結果
発明者らの仮定モデルは、プールしたTULIP治験データへの適合が許容可能であった。24週目に、重要なパスが、プラセボと比較した場合に、アニフロルマブ処置が、BICLA、BILAG-2004、SLEDAI-2K、及びグルココルチコイド投薬量の変化によって測定した疾患活動性の改善に及ぼす直接的効果を有することを明らかにした。同様に、これらの臨床尺度は、痛みを緩和し、これにより、疲労感、身体機能、気分/感情、及びHRQoLが改善した。モデルがグルココルチコイド投薬量の変化の尺度としてグルココルチコイド漸減数を組み込んだ場合に、グルココルチコイド漸減に及ぼすアニフロルマブの処置効果が、52週目にて保持されていなかった。しかしながら、52週目の処置が、BICLAに及ぼす直接的効果により、HRQoLを間接的に向上させた。
【0183】
10.1.4 結論
アニフロルマブは、痛み、疲労感、気分、及び身体機能が挙げられるHRQoLの態様の、患者の報告による有意な向上と関連する。これらの利益は、疾患活動性、及びグルココルチコイド投薬量の引下げに及ぼすアニフロルマブ処置の直接的効果に由来する。
【0184】
10.2 緒言
全身性エリテマトーデス(SLE)は、あらゆる臓器系を冒し得る複雑な、慢性の、且つ異質性の自己免疫疾患であり、SLE患者は、種々の臨床症状を示す43。当該臨床症状は、大多数の患者について破壊的であり、身体機能の引下げ、雇用の損失、健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQoL)に及ぼす大きな影響、頻繁な入院、累積し、且つ不可逆性の臓器障害、及び早期の死亡率の原因となり得る。臓器障害は、SLE疾患活動性それ自体から蓄積して、処置関連の悪影響は、グルココルチコイド及び他の免疫抑制剤の慢性使用と関連した。疾患活動性全体、並びにステロイド及び他の非特異的免疫抑制剤の付随する使用を減らす一方で、紅斑、共存症、及び長期の臓器障害を引き下げる、疾患に特有の作用機構によるSLEの新規の処置について、医学的な必要性は実質的に満たされていないままである。
【0185】
新しい治療オプションを評価するほとんどのSLE臨床研究は、臓器に特有のグローバル疾患の臨床尺度及びラボ尺度で構成される複合エンドポイント、並びにプライマリエンドポイントとしての臨床医等級分け重篤度評価を含む。これらの臨床医評価結果の向上は、調査薬物の治療的価値を支持する証拠を提供するが、患者がどのように感じ、且つ機能するかを直接的に捕捉していない。したがって、SLE処置の有効性を評価する場合に、PROは、疾患活動性及び障害の複合尺度への重要な補足物である。
【0186】
本発明者らは、アニフロルマブによる処置が、疾患活動性の臨床評価の向上をもたらすように、効果の「原因となるカスケード」を仮定し、グルココルチコイドの使用を減らし、且つHRQoLを向上させた。この仮定した「原因となるカスケード」において、考えられる作用機構、及び処置と患者機能との因果連鎖における媒介変数を考慮することは、重要である。ゆえに、処置とHRQoL間の有意な直接的関係があり得なくとも、これらの媒介変数を介した、処置とHRQoL間の有意な間接的関係があり得る。
【0187】
本分析の目的は、TULIP治験において、プラセボと比較して、アニフロルマブにより処置したSLE患者についての臨床評価、徴候、患者機能、及びHRQoL間で、原因となるカスケード(すなわち、直接的関係及び間接的関係)を試験することであった。
【0188】
10.3 方法
これは、第3相無作為化プラセボ対照二重盲検52週TULIP-1及びTULIP-2治験由来のプールしたデータの事後分析であった。患者は、18~70歳であり、米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)の改訂SLE分類基準を満たした44。患者を無作為化して、標準治療に加えて、48週間4週毎にプラセボ又はアニフロルマブ(300mg)の静注を受けさせた。ベースラインにて経口グルココルチコイド≧10mg/日(プレドニゾン又は等価物)を受けている患者について、8週~40週の間に≦7.5mg/日に漸減させるプロトコル義務試行を必須とした;また、漸減を、ベースラインにて<10mg/日の経口グルココルチコイドを受けている患者について容認した。安定した経口グルココルチコイド投薬量を、全ての患者において、40週~52週の間に必須とした。
【0189】
10.3.1 結果
発明者らは、4つの臨床尺度及び6つのPRO尺度を評価した。臨床尺度は、イギリス諸島ループス評価群ベースの複合ループス評価(BICLA)44,45、イギリス諸島ループス評価群-2004(BILAG-2004)46、全身性エリテマトーデス疾患活動性指数2000(SLEDAI-2K)48,49、並びに2つの異なる方法:(1)グルココルチコイド投薬量漸減数及び(2)ベースラインからのグルココルチコイド投薬量変化パーセンテージで測定した、グルココルチコイド投薬量の変化を含んだ。PRO尺度は、Short Form 36 Health Survey(SF-36)バージョン2(急性)、慢性疾患療法-疲労感の機能評価(FACIT-F)、EuroQol 5 Dimension 5レベル(EQ-5D-5L)及び視覚的アナログスケール(EQ-5D VAS)47,48、ループスクオリティ・オブ・ライフ(LupusQoL)34、8項目の患者健康アンケート抑うつスケール36、並びに痛み数値的評価スケール(NRS)を含んだ。
【0190】
10.3.2 臨床尺度及びPRO尺度
10.3.2.1 BILAGベースの複合ループス評価(BICLA)
BICLA応答者と分類されることとなる患者について、向上(部分的であるか、又は完全な)が、ベースラインにて疾患によって冒された全てのBILAG-2004臓器系において必要とされた。具体的には、BICLA応答は、以下の基準が満たされるならば、達成された:全てのベースラインBILAG-2004 Aの、B/C/Dへの、ベースラインBILAG-2004 Bの、C/Dへの引下げ、及び他の臓器系におけるBILAG悪化なし(1つの新しいBILAG-2004 A又は複数の新しいBILAG-2004 B項目と定義;>0ポイントのベースラインからの増大と定義される、SLEDAI-2Kでのベースラインからの悪化なし;医師のグローバル評価視覚的アナログスケール(スケール0~3)で≧0.3ポイントの増大によって定義される患者のループス疾患活動性のベースラインからの悪化なし;治験薬の中断なし;並びに評価前のプロトコルで許容された閾値を超える制限付き薬物療法の使用なし。
【0191】
10.3.2.2 イギリス諸島ループス評価群-2004(BILAG-2004)
BILAG-2004は、臨床症状の重篤度の変化を捕捉することができる9つの臓器系(全身、粘膜皮膚、精神神経病、筋骨格、心呼吸系、消化管、眼、腎臓、及び血液学)によるトランスレーショナルな指数である。これは、医師の処置意図の原則に基づいており、異なる臓器系の全体にわたる疾患活動性を、A(重度)からE(現在又は以前の疾患活動性なし)までの5つの異なるレベルにカテゴリ化する。BILAG-2004は、処置の意図の原則に基づいて開発されたが、処置は、スコアリング指数とは関連しない;活動性症状の存在のみがスコアリングに影響する。
【0192】
10.3.2.3 全身性エリテマトーデス疾患活動性指数2000(SLEDAI-2K)
SLEDAI-2Kは、各々が定義を有する臓器徴候のリストからなる。認定調査者又は指定医師は、SLEDAI-2K評価を完了させて、各症状が直近の4週以内に「存在する」か「不在である」かを判定することとなる。また、評価は、SLEDAI-2Kのラボカテゴリの評価用の血液及び尿の収集を含む。
【0193】
SLEDAI-2K評価は、24のループス関連項目からなる。SLEDAI-2K評価は重み付け手段であり、そこでは記述子に対して特定臓器の「重み」が乗じられる。例えば、腎臓の記述子には4が乗じられ、中枢神経の記述子には8が乗じられ、これらの重み付けされた臓器徴候が、最終スコアに合計される。SLEDAI-2Kスコア範囲は0~105ポイントであり、0は無活動性疾患を示す。SLEDAI-2Kスコアは、ループス疾患活動性の有効で信頼できる高感度な臨床的評価である。臨床値及びラボ値のための来院に先立つ30日の時間枠を用いて算出されたSLEDAI-2Kは、ウィンドウが10日のSLEDAI-2Kと類似することが示されている。28日のタイムフレームを、本研究に用いた。
【0194】
10.3.2.4 グルココルチコイドの引下げ
TULIP治験における重要なセカンダリエンドポイントは、40週目にて≦7.5mg/日の目標への、52週目まで維持されるグルココルチコイド漸減であった。≦7.5mg/日へのグルココルチコイド漸減が、全ての患者において試みられることとなり、ベースライングルココルチコイド投薬量は、1プロトコルあたり、8週目から40週目まで≧10mg/日であった。漸減させる試みを、グルココルチコイドを<10mg/日受けている患者において行うことができた。安定した経口グルココルチコイド投薬量を、40週目から52週目まで必須とした。現在の分析のために、治験の間のグルココルチコイド使用の変化は、2つの異なる方法:(1)8週目から24週目、8週目から40週目の間で患者が漸減した数のカウント、及び(2)ベースラインと24週目の間の、ベースラインと52週目の間のグルココルチコイド投薬量の、ベースラインからの変化パーセンテージで測定した。
【0195】
10.3.2.5 Short Form 36バージョン2(急性形態;SF-36-V2)
Short Form 36バージョン2(SF-36-v2)(急性)は、健康の8つのドメイン:身体機能、身体的健康に起因する役割制限、身体の痛み、全体的健康感、活力、社会的機能、感情的な問題に起因する役割制限、及びメンタルヘルスを測定する多目的36項目調査である。SF-36-v2(急性)は、これらの8つの健康ドメイン毎のスケールスコア、並びに身体的及び精神的な健康の2つの集約尺度:身体コンポーネントサマリ(PCS)及び精神コンポーネントサマリ(MCS)をもたらす。SF-36急性形態は、1週間の想起期間がある。
【0196】
10.3.2.6 慢性疾患療法-疲労感の機能評価
慢性疾患療法-疲労感の機能評価(FACIT-F)は、以前の7日にわたる疲労の影響を評価するための、患者が完成させる13項目のアンケートである。応答は、0(not at all)から4(very much)に及ぶ。最終スコアは、最終項目スコアの合計として導き出され、0から52に及ぶ;総スコアが高いほど、良好なHRQoLを示す32。スコアの>3ポイントの変化が、臨床的に意味があるとみなす49
【0197】
10.3.2.7 EuroQol 5 Dimension 5レベル(EQ-5D-5L)
EuroQoL 5 Dimension(EQ-5D-5L)は、以下の5つの側面:運動、セルフケア、日常活動、疼痛/不快感、及び不安/抑うつで構成される33。側面毎に、患者は今日、健康を最もよく説明する1つの応答オプションを選択することが求められる。各側面は、増大する困難度のレベルを反映する5つの応答オプション(問題なし、僅かな問題、中程度の問題、重度の問題、及び無力な/極度の問題)を有する。また、アンケートは、患者が自身の健康を0~100のスケールで格付けすることが求められるビジュアルアナログスケール(VAS)を含み、0は考えられる最悪の健康状態であり、100は考えられる最良の健康状態である。
【0198】
10.3.2.8 ループスクオリティ・オブ・ライフ(LupusQoL)
LupusQoLは、34項目の、SLEに特有のHRQoL尺度である。LupusQoLは、SLEを患う成人に用いるために英国において開発されて34、米国においてさらに証明された。手段は、8つのドメイン(身体的健康[8項目]、痛み[3項目]、プランニング[3項目]、親密な関係[2項目]、他者への負担[3項目]、感情の健康[6項目]、身体の画像[5項目]、及び疲労感[4項目])からなる。項目毎に、患者は、直近の4週間でどれくらいの頻度で感じたかについて、最も近い応答を選択するように求められる。
【0199】
10.3.2.9 8項目の患者健康アンケート抑うつスケール(PHQ-8)
抑うつを、標準化且つ証明されたPHQ-8により捕捉した。これは、うつ病性障害のDSM-IV診断が基づく9つの基準のうちの8つからなる36。項目毎のスコアを合計して、0(抑うつ症状なし)から24ポイント(重度の抑うつ)までの総スコアをもたらす(2週間の想起期間がある)。
【0200】
10.3.2.10 痛み数値的評価スケール(痛みNRS)
患者の報告による痛み全体を、11ポイントのNRS(0=痛みなし;10=考えられる最悪の痛み)により捕捉した(1週間の想起期間があった)。
【0201】
10.3.3 患者の報告によるコンセプト
PROをさらに、HRQoL(痛み、疲労感、身体機能、気分/感情、及びHRQoL)の5つの重要な、患者の報告によるコンセプトに分けて、多重インジケータモデル化アプローチ(各々コンセプトの基礎をなす多重PRO及びPROドメインが測定される)を用いて測定した(表10-1)。SF-36によって捕捉される8つのドメインのうち、身体機能、身体の役割、身体の痛み、活力、及びメンタルヘルスを重要なコンセプトに用いた。また、LupusQoLは、8つのドメインを捕捉し、これらのうち、身体的健康、痛み、疲労感、及び感情の健康を重要なコンセプトに用いた。
【0202】
【表10】
【0203】
10.3.4 分析
構造式モデル化(SEM)パス分析を用いて、臨床変数及びPRO変数の直接的及び間接的な効果を評価した。分析を最初に、各治験において別々に行い、300mg及びプラセボアームの患者のみを含めた。TULIP-1は、この分析において含めなかったアニフロルマブ150mgの群を含んだ。結果が各治験において類似していたならば、2件の治験をプールした。分析を、ベースラインの、24週目及び52週目のデータを用いて行った。なぜなら、これらの3つの時点が、全ての対象PROを含んだからである。全てのSEM分析を、Mplusバージョン8.4(Muthen & Muthen、Los Angeles、CA)を用いて行った。
【0204】
10.3.5 仮定モデル
図11は、本分析の基礎であった仮定モデルを示す。ベースライン後に、処置が、BICLA、BILAG-2004、及びSLEDAI-2Kの応答の臨床尺度に及ぼす直接的な効果を有すると仮定して、グルココルチコイド投薬量の引下げをもたらすと予測した。加えて、処置がBICLA応答及びSLEDAI-2K/BILAG-2004スコアの向上をもたらすならば、グルココルチコイド投薬量の引下げとも関連するはずであると、臨床尺度とグルココルチコイド引下げとの相関(両矢印)を予測した。
【0205】
このモデルにおいて、臨床尺度及びグルココルチコイド投薬量の引下げは、痛みに直接的に影響を与えると予想した。すなわち、予測されるように処置が機能するならば、臨床スコアの向上及びグルココルチコイド投薬量の引下げをもたらして、患者の報告による痛みの緩和に至る。患者の報告による痛みの緩和と共に、疲労感の引下げ及び身体機能の向上がある。より少ない疲労感及び身体機能の向上と共に、気分の向上及びHRQoLの最終的向上が見られると予想した(図11)。
【0206】
このモデルを、処置の差分効果を試験するために、24週目及び52週目のベースライン後来院に当て嵌める。ベースラインモデルも分析も、処置効果がベースラインにて観察されないので、示さない。適合度の4つの試験(モデルカイ二乗とその自由度及びP値、比較適合度指標[CFI]50、近似値の二乗平均平方根誤差(root mean square error of approximation)[RMSEA]51、及び標準化した二乗平均平方根残差(standardized root mean square residual)[SRMR])を用いて、仮定モデルの、観察データへの対応を評価した。
【0207】
10.4 結果
合計で726人の患者をモデルに含め、TULIP-1から364人、TULIP-2から362人であった。これらの726人の患者のうち、366人はプラセボを受け(TULIP-1において184人、TULIP-2において182人)、360人はアニフロルマブ300mgを受けた(各治験において180人の患者)。プールした患者人口統計及び臨床的特徴は、個々の治験及びプールした患者データの双方において、処置群(アニフロルマブ300mg及びプラセボ)の全体にわたって概して平衡した(表10-2)。ベースラインにてアニフロルマブ群及びプラセボ群において、患者の80.8%及び83.1%がそれぞれグルココルチコイドを受けており、52.8%及び50.5%がグルココルチコイド≧10mg/日を受けていた。
【0208】
【表11】
【0209】
仮定モデルは、別々に治験毎のデータへの適合が許容可能であり、治験及び時点双方の全体にわたって一致しており、且つCFI、RMSEA、及びSRMRの推定値に従う許容可能なサイズのものであった(CFIは0.931から0.953に及んだ;RMSEAは0.065から0.087に及んだ;SRMRは0.036から0.049に及んだ)。加えて、構築体間の関係は、治験及び時点の全体にわたって一致していた。したがって、TULIP治験を、これらの分析用にプールした。プールされる分析について、適合統計は、BICLA応答及びグルココルチコイド漸減数、並びにBICLA応答及びグルココルチコイド投薬量の変化パーセンテージを含む24週目及び52週目のデータを用いて、モデルについて許容可能なサイズのものであった(表10-3)。24週目のRMSEAは、CFI及びSRMRと比較して、僅かに上昇した(好ましい値≦0.08)(双方とも良好な適合を示した)(表10-3)。
【0210】
【表12】
【0211】
表10-4は、ベースライン(PROのみ)、24週目及び52週目のモデル生成平均(SD)PROスコア、グルココルチコイド漸減数、及びグルココルチコイド投薬量のベースラインからの変化パーセントを示す。PROスコアの最も大きな差異は、ベースラインから24週目までに生じ、小さな漸進的変化だけがPROについて24週目から52週目までに生じた。
【0212】
【表13】
【0213】
10.4.1 PROの、BICLA応答及びグルココルチコイド投薬量漸減数との関係
図12Aは、8週目から24週目までのBICLA応答及びグルココルチコイド投薬量漸減数を臨床尺度として含んだ、24週目のプールしたデータについてのモデルを示す。有意である(P<0.05)パスのみを示す。モデルは、アニフロルマブアーム内の人々が、BICLA応答者である可能性が高く、この期間中にグルココルチコイド投薬量漸減がより多い可能性が高いことを示す。BICLA応答及びより高いグルココルチコイド投薬量漸減数の双方が、患者の報告による痛みをより低くした。
【0214】
痛みの緩和と共に、疲労感の引下げ(β=0.84)、身体機能の増大(β=-0.48)、及びHRQoLの向上(β=-0.58)があった。患者の報告による疲労感が減ると、身体機能の対応する向上(β=-0.48)、患者の気分の向上(β=-1.03)、及びHRQoLの向上(β=-0.42)があった。患者の身体機能が向上すると、HRQoLの向上(β=0.33)があった。最後に、気分が向上すると、HRQoLの向上(β=0.54)があった(図12A)。
【0215】
52週目に、一部のパスは、24週目に観察される有意性(処置とグルココルチコイド漸減数との間、又はBICLAとグルココルチコイド漸減数との間が挙げられる)を保持しなかった(図12B)。加えて、HRQoLと身体機能と疲労感との間の有意な関係はもはやなかった。残りの有意なパスのうち、モデルは、24週目と同様に、プラセボアームにおける患者と比較して、アニフロルマブで処置した患者が、BICLA応答者であり、痛みがより少なく、疲労感がより少なく、身体機能がより良好であり、且つ気分及びHRQoLがより良好である可能性が高いことを示す。
【0216】
10.4.2 PROの、BICLA応答及びグルココルチコイド投薬量の変化パーセンテージとの関係
BICLA応答及びグルココルチコイド投薬量の変化パーセンテージを含んだ、プールしたデータにおける24週目のモデルにおいて観察された有意なパスは、アニフロルマブアームにおける患者が、BICLA応答者である可能性が高く、ベースラインから24週目までのグルココルチコイド投薬量の低下がより大きい可能性が高いことを示す(図13A)。加えて、BICLA応答とグルココルチコイド投薬量のベースラインからの変化パーセンテージとの間の相関は、BICLA応答者である人々もまた、この期間中のグルココルチコイド投薬量の低下がより大きいことを示す。BICLA応答及びグルココルチコイド投薬量のより大きな低下の双方が、患者の報告による痛みをより低くした。
【0217】
痛みの緩和と共に、疲労感の引下げ(β=0.84)、身体機能の増大(β=-0.48)、及びHRQoLの向上(β=-0.58)があった。患者の報告による疲労感が減ると、身体機能の対応する向上(β=-0.48)、患者の気分の向上(β=-1.03)、及びHRQoLの向上(β=-0.43)があった。患者の身体機能が向上すると、HRQoLの向上(β=0.33)があった。最後に、気分が向上すると、HRQoLの向上(β=0.55)があった(図13A)。
【0218】
BICLA応答及びグルココルチコイド投薬量漸減数を含むモデルと対照的に、52週目に、処置とグルココルチコイド投薬量のベースラインからの変化パーセンテージとの間、BICLA応答とグルココルチコイド投薬量のベースラインからの変化パーセンテージとの間に、有意な関係がある(図13B)。しかしながら、HRQoLと身体機能と疲労感との間の有意な関係はもはやなかった。
【0219】
モデルパスの有意性のこれらの差異にも拘わらず、52週目に、モデルは、プラセボアームにおける患者と比較して、アニフロルマブで処置した患者が、BICLA応答者であり、グルココルチコイド投薬量の低下がより大きく、痛みがより少なく、疲労感がより少なく、身体機能がより良好であり、且つ気分及びHRQoLがより良好である可能性が高いことを示す(図13B)。
【0220】
10.4.3 PROの、BILAG-2004及びSLEDAI-2Kとの関係
また、発明者らは、グルココルチコイド漸減数及びグルココルチコイド投薬量の引下げパーセンテージの双方について、24週目及び52週目の仮定モデルにおいて、臨床尺度BILAG-2004及びSLEDAI-2Kを評価した(図13A図13D)。モデル由来の結果は、BICLAについて示されたものとほぼ同一であった(図12及び図13)(プラセボ群における患者と比較して、アニフロルマブにより処置した患者における、臨床応答と、より少ない痛みと、より少ない疲労感と、より良好な身体機能と、より良好な気分及びHRQoLとの間の有意な間接的関係が挙げられる(図14A図14D))。
【0221】
10.5 考察
この分析では、発明者らは、TULIP-1治験及びTULIP-2治験に登録した中等度から重度のSLEを患う患者のHRQoL及び徴候との処置及び疾患活動性の関係を理解しようとした。仮定モデルの評価は、一貫して、アニフロルマブによる処置と、疾患活動性の臨床尺度と、HRQoLの多数のドメインとの間で、効果の原因となるカスケードが存在することを示した。アニフロルマブ処置は、患者の報告による痛み又は患者の報告による疲労感、身体機能、気分、又はHRQoLに及ぼす直接的な効果がなかった。その代わりに、1型IFN経路に及ぼす効果を介した、アニフロルマブによる処置が、これらの変数に、疾患活動性の臨床尺度(BICLA、BILAG-2004、SLEDAI-2K、及びグルココルチコイド投薬量の変化)に及ぼす効果を介して、間接的に影響を与えた。
【0222】
TULIP治験は、疲労感(FACIT-F)、痛み(痛みNRS)、及び抑うつ(PHQ-8)が挙げられる患者の健康状況の完全補足物を捕捉するための、一般的であり、且つ特定のHRQoL尺度SF-36及びLupusQoL、並びに追加のHRQoL尺度を含んだ。これらの尺度を、アニフロルマブの患者の報告による有効性を評価するために、モデルにおける5つの重要な患者の報告によるコンセプトに組み込んだ。アニフロルマブ処置が臨床医評価疾患活動性及びPROの双方を向上させるという結果は、OMERACTによって推奨される処置有効性の多数の尺度の値を強調する。
【0223】
治験環境にあるSLE患者における、PROによる直接的処置利益の測定は、困難且つ複雑である。PROと疾患活動性指数との間の不十分な相関、及び患者と、疾患活動性の医師の評価との間の不一致は双方とも、SLEにおいて非常によく知られている。バックグラウンド薬物、グルココルチコイド使用、紅斑、及び共存症が挙げられる多数の要因が、処置応答を混乱させて、HRQoLに大きく影響を与え得る。TULIP治験における患者は、グルココルチコイド、免疫抑制剤、及び抗マラリア薬の組合せを含む標準療法を受ける一方、グルココルチコイドを漸減させようともしていた。52週目までに、患者は、グルココルチコイドを漸減させる試みが平均約2回であった。加えて、アニフロルマブで処置した33%及びプラセボ群の43%の患者が、治験の間に1つ以上の紅斑を有した。ゆえに、これらの要因は、PROに及ぼすアニフロルマブの処置効果の直接的評価に影響する可能性がある。これらの分析は、直接的及び間接的な処置効果の仮定モデルにより、処置とPRO間の関係の橋渡しをすることを試みた。24週目及び52週目にて観察される重要な経路は、アニフロルマブで処置した患者が、BICLA応答者である可能性が高いことを示した。プラセボ群における患者と比較して、経口グルココルチコイド投薬量の低下がより大きく、痛みがより少なく、疲労感がより少なく、身体機能がより良好であり、且つ気分及びHRQoLがより良好である。効果は間接的にモデル化されているけれども、これらの結果は、アニフロルマブによる処置が、患者の報告による徴候を引き下げて、HRQoLを向上させる点で有効であることを示唆している。
【0224】
発明者らは、BICLA応答及びグルココルチコイド漸減数の双方の分析において、24週目と比較して、52週目に一部の重要な経路の損失を観察した。最も重要なのは、処置とグルココルチコイド漸減との間の経路の損失であった。しかしながら、重要な間接的効果が、BICLA応答と、痛み、気分、身体機能、及びHRQoLとの間で残っていた。重要な経路におけるこれらの差異は、ほとんどの効果が起こったベースラインと24週目との間よりも24週目と52週目との間のPROの平均変化のより小さな差異によっておそらく駆動される。ベースラインからの変化パーセンテージに関して経口グルココルチコイドの引下げを調査すると、52週目に幾分ロバストな結果が得られた。処置と24週目に提示されるグルココルチコイド投薬量の変化パーセンテージとの間の重要な経路は、52週目にて保存されていた。これは、様々な方法でのグルココルチコイド投薬量変化の調査を支持する。
【0225】
この分析は、制限があった。グルココルチコイド投薬量のベースラインからの変化パーセンテージについての変数は、算出のためにベースライン並びに24週目及び52週目由来の投薬量情報のみを用いた;異なる時点間の投薬量の変化は考慮しなかった。同様に、グルココルチコイド投薬量漸減のカウントは、投薬量のいかなる増大も考慮しなかった(漸減のみ考慮した)。それでもなお、2つの異なるアプローチを介したグルココルチコイド使用の変化の測定は、アニフロルマブの作用機構の予想と一致する比較可能な結果をもたらした。これは、結果が真実であり、且つ意味があるという信頼度を与える。第2の制限は、仮定モデルが治験毎に同じように適合するかをチェックするのに、モデル不変性の形式経験的試験が行われなかったというものである。しかしながら、パラメータ推定値のサイズ及び比較可能な適合統計、並びに2件の治験にわたる結果の一貫性は、モデルが双方の治験集団について類似しており、治験をプールすることが正当化される信頼度を与えた。
【0226】
結論として、これらの分析において仮定モデルによって評価したTULIP治験のPRO結果は、アニフロルマブが、痛み、疲労感、気分、及び身体機能が挙げられるHRQoLの態様の報告された有意な向上と関連することを示す。これらの利益は、疾患活動性及びグルココルチコイド投薬量の引下げに及ぼすアニフロルマブ処置の直接的効果に由来する。これらの分析は、SLEの患者経験に関して処置利益を評価する場合に、徴候及びHRQoLの近位の臨床尺度及びより遠位の尺度に及ぼす処置の効果を考慮する有用性を支持する。
【0227】
11 実施例6:2件の第3相治験におけるアニフロルマブに応答するループス低疾患活動性状態の達成
11.1 背景/目的
ループス低疾患活動性状態(LLDAS)は、SLEについての目標達成に向けた処置(T2T)エンドポイントである。したがって、LLDAS達成は、SLE処置目的である。TULIP-2(NCT02446899)第3相治験において、アニフロルマブ(I型IFN受容体mAb)の有効性を、BILAGベースの複合ループス評価(BICLA)応答を用いて実証した。これらの結果は、TULIP-1(NCT02446912)において支持された。発明者らは、アニフロルマブ処置が、プールしたTULIPデータにおけるLLDAS達成の増大と関連するかを調査した。
【0228】
11.2 方法
TULIP-1/-2は、標準療法にも拘わらず中程度から重度のSLEを患う、SLEについてのACR 1997基準を満たす適格患者における、IVアニフロルマブ(Q4W、48週)の無作為化プラセボ対照52週治験であった。アニフロルマブ300mg群及びプラセボ群についてのプールしたデータを、LLDAS達成についての時点によって分析した(以下の全てとして定義:主要な臓器活性なしでSLEDAI-2K<4、新しい疾患活動性なし、医師のグローバル評価[0~3]<1、プレドニゾン又は等価物<7.5mg/日、及び十分に耐容性がある標準免疫抑制剤投与)。処置群間のLLDASの最初の達成までの時間を、Cox回帰モデルを用いて比較した一方、応答を、ロジスティック回帰を用いて比較した。全てのP値は名目である。
【0229】
11.3 結果
処置群を選ばない(agnostic)分析では、114人(13.9%)の患者が、52週目にLLDASを達成した。また、これらの患者のうち、102人(89.5%)がBICLA応答者であった(分析は、TULIP-1アニフロルマブ150mgの群を含んだ)。52週目の318人のBICLA応答者のうち、102人(32.0%)がLLDASを達成した。このことは、BICLA応答なしでのLLDAS達成の可能性が低いことを示す。LLDAS達成は、52週の治験にわたって増大して、プラセボよりもアニフロルマブ300mgによってより早く達成された(図15)(最初のLLDASまでの時間、HR 1.76、95%CI 1.35~2.30、P<0.001)。52週目に、アニフロルマブ処置患者の17.5%及びプラセボ患者の10.6%が、LLDASにあった(OR 1.8、95%CI 1.2~2.8、P=0.008)。より多くの累積時間(P<0.001)及び時間のパーセンテージ(P<0.001)が、LLDASにおいて、プラセボよりもアニフロルマブを受けている患者によって費やされ、≧20%(OR 1.8、95%CI 1.2~2.7、P=0.004)、≧50%(OR 1.9、95%CI 1.0~3.4、P=0.035)のLLDAS閾値での累積時間が、アニフロルマブを支持した。アニフロルマブ処置患者は、≧3回の連続来院(18.6%対12.5%、OR 1.6、95%CI 1.1~2.4、P=0.024)、≧5回の連続来院(11.2%対7.7%、OR 1.5、95%CI 0.9~2.6、P=0.106)、又は≧7回の連続来院(6.8%対2.7%、OR 2.6、95%CI 1.2~5.6、P=0.014)について、持続LLDASにある可能性が高かった。
【0230】
11.4 結論
発明者らは、LLDASが治験における達成可能なT2Tエンドポイントであることを実証する。驚くべきことに、LLDASはBICLAよりもストリンジェントであるが、LLDAS達成は、アニフロルマブによる処置後にBICLA応答と高度に同時に起こることが示された。また、アニフロルマブ処置は、驚くべきことに、SLE患者におけるより早期の、より頻繁な、より長期間にわたって持続するLLDAS達成と関連した。
12 実施例7:3つのアニフロルマブ第2/3相治験由来のデータを用いた、TULIP-1アニフロルマブ治験におけるBICLA及びSRI(4)結果についての不一致の調査
【0231】
12.1 緒言
アニフロルマブは、第2b相MUSE治験において、その後の2件の第3相治験、TULIP-1及びTULIP-2において、中等度から重度のSLEを患う患者において調査したI型インターフェロン受容体に対するヒトモノクローナル抗体である19~21。これらの治験では、応答を、BICLA複合指数及びSRI(4)複合指数の双方を用いて評価した19~21。SRI(4)ベースの結果は、MUSEにおけるプライマリエンドポイントであった。ロバストな結果があれば、当初、TULIP-1及びTULIP-2の双方についてのプライマリエンドポイントとして選択した。その後、BICLA(MUSE及びTULIP-1においてもロバストな結果を出したセカンダリエンドポイント)を、TULIP-2データセットの非盲検化前のTULIP-2におけるプライマリエンドポイントと称した22。TULIP-2において、アニフロルマブ300mgは、52週目にBICLA応答及びSRI(4)応答の双方によって測定して、プラセボと比較して、統計学的に有意な利益を実証した;類似した結果が、MUSEにおいても観察された19~22。TULIP-1において、BICLA応答に及ぼすアニフロルマブ300mgの効果は、TULIP-2及びMUSEにおいて見られるのと類似したマグニチュードのものであった;しかしながら、MUSE及びTULIP-2において見られるように、SRI(4)によるアニフロルマブとプラセボとの処置差異は、統計学的有意性を達成しなかった。
【0232】
BICLA及びSRI(4)は双方とも、グローバルSLE疾患活動性の臨床的に意味がある要素を評価する一方、それらの基本的な測定基準特性の差異により、所与の患者の応答が、これらの結果尺度によって一貫性を示さずに分類され得ると認識されている。BICLAが固定されるBILAG-2004指数は、重篤度及び処置する医師の意図に従って、各徴候を等級分けする;また、徐々に増大する、臨床的に意味がある向上又は悪化を捕捉する。対照的に、SRI(4)が固定されるSLEDAI-2Kは、重篤度から独立した各徴候の二分スコア(存在又は不在)からなり、且つ個々の項目に異なる数の点を割り当てて、SLEDAI-2K要素の差分重さが生じる。BICLA応答者であるには、患者は、全ての重度の(BILAG-2004A)、又は中程度の(BILAG-2004 B)臨床症状の少なくとも部分的な改善が、ベースラインにて影響されなければならないが、SRI(4)応答者であるには、患者は、十分な徴候の完全解消が、ベースラインにて影響されて、総SLEDAI-2Kスコアを≧4ポイント引き下げる必要がある。
【0233】
TULIP-1治験においてアニフロルマブによる統計学的に有意なSRI(4)処置差異の欠如を理解するために、発明者らは、TULIP-1及びTULIP-2治験、並びにMUSE治験にわたる患者毎のBICLA結果及びSRI(4)結果の一致を調査した。
【0234】
12.2 患者及び方法
12.2.1 患者及び研究設計
TULIP-1、TULIP-2、及びMUSEのための詳細な方法が以前に報告されており、研究設計、組入れ及び除外基準、並びに患者の処分を含んだ19~21。TULIP-1、TULIP-2、及びMUSEは、標準療法にも拘わらず自己抗体陽性の中程度から重度のSLEを患う成人患者の無作為二重盲検52週治験であった。TULIP-1、TULIP-2、及びMUSEは、アニフロルマブ300mgを評価した。アニフロルマブ150mg及び1000mg用量群もまた、TULIP-1及びMUSEにおいてそれぞれ評価した。ここで、発明者らは、アニフロルマブ300mg(静脈、48週間4週毎)又はプラセボの目標用量を受けた患者由来のデータを分析した。
【0235】
TULIP-1及びTULIP-2において、標的への経口グルココルチコイド(プレドニゾン又は等価物)を≦7.5mg/日に漸減させる試みが、8週目から40週目の間で、ベースラインにて経口グルココルチコイド≧10mg/日を受けている患者に必須であり、漸減は、40週目から52週目まで維持されるならば、持続するとみなした。MUSEにおいて、経口グルココルチコイドの漸減は、全ての患者に奨励されたが、調査者の裁量であった。
【0236】
12.2.2 BICLA及びSRI(4)のエンドポイント
TULIP-1、TULIP-2、及びMUSE治験は、52週目のBICLA応答及びSRI(4)応答の分析を含んだ。BICLA応答を、以下の全てと定義した:全ベースラインBILAG-2004A及びBドメインスコアの、それぞれB/C/D及びC/Dへの引下げ、並びに≧1の新しいBILAG-2004Aドメインスコア又は≧2の新しいBILAG-2004Bドメインスコアによって定義した他のBILAG-2004臓器系における悪化なし;SLEDAI-2Kスコアにおける(ベースラインからの)増大なし;医師のグローバル評価(PGA)スコアの増大(ベースラインからの≧0.3ポイント)なし;プロトコル許可閾値を超える制限付き薬物療法の使用なし;並びに治験薬の中断なし。SRI(4)応答を、以下の全てと定義した:SLEDAI-2Kの≧4ポイント引下げ;<1の新しいBILAG-2004 A臓器ドメインスコア又は<2の新しいBILAG-2004 B臓器ドメインスコア;PGAの増大(ベースラインからの≧0.3ポイント)なし;プロトコル許可閾値を超える制限付き薬物療法の使用なし;並びに治験薬の中断なし。
【0237】
12.2.3 BICLA結果及びSRI(4)結果に関する一致の評価
TULIP-1、TULIP-2、及びMUSEにおいて、52週目のBICLA及びSRI(4)応答者状況の評価を、アニフロルマブ300mg又はプラセボを受けた全ての患者について実行した。患者は、BICLA結果及びSRI(4)結果での一致によってグループ化した。一致するサブグループは、BICLA応答者及びSRI(4)応答者(「二重」応答者)である患者、又はBICLA非応答者及びSRI(4)非応答者である患者を含んだ。一致しないサブグループは、BICLA非応答者及びSRI(4)応答者、又はBICLA応答者及びSRI(4)非応答者である患者を含んだ。
【0238】
一致するサブグループ及び一致しないサブグループをさらに、ベースライン人口統計及び臨床的特徴、治験の間のグルココルチコイド漸減、並びにBILAG-2004及びSLEDAI-2Kの臓器ドメインにわたるベースラインから52週目までの応答について評価した。また、ベースラインから52週目までの関節カウント変化を評価した。
【0239】
12.2.4 統計分析
アニフロルマブ群において二重BICLA及びSRI(4)応答を達成する患者の割合(並びに対応する処置差異、95%信頼区間[CI]、及び名目P値)を、プラセボ群におけるものと、層化因子を制御するコクラン・マンテル・ヘンツェル(CMH)アプローチを用いて比較した(スクリーニング時のSLEDAI-2Kスコア[<10対≧10]、1日目のグルココルチコイド1日用量[<10mg/日対≧10mg/日]、及びスクリーニング時のI型インターフェロン遺伝子シグネチャ状況[高対低])(18)。一致パーセンテージ及びコーエンのカッパ係数を、各研究におけるBICLA応答とSRI(4)応答との一致の尺度として用いた。一致パーセンテージを、スコアの総数で割った一致スコアの数として算出した(MUSEにおける一致パーセンテージは、ベースラインでのBILAG-2004 A又はBスコアが≧1の全患者に基づいた)。コーエンのカッパ係数(κ、理論最大値で割った、観察一致が見込み単独によって予想されるものを超える量と定義[19])を用いて、2つのエンドポイント間の一致/信頼性の程度を評価し:κ<0は「一致なし」であり、κ=0~0.20は「わずかな一致」であり、κ=0.21~0.40は「まずまずの一致」であり、κ=0.41~0.60は「中程度の一致」であり、κ=0.61~0.80は「かなりの一致」であり、κ=0.81~1.0は「完全な一致」である(20)。
【0240】
12.3 結果
12.3.1 患者
TULIP-1(アニフロルマブ、n=180;プラセボ、n=184)、TULIP-2(アニフロルマブ、n=180;プラセボ、n=182)、及びMUSE(アニフロルマブ、n=99;プラセボ、n=102)におけるアニフロルマブ300mg及びプラセボ群を評価した。患者人口統計及び臨床的特徴は、TULIP-1、TULIP-2、及びMUSEにわたって、個々の治験内で、処置群を比較した場合に、処置群の全体にわたって概して平衡した(表12-1)。大部分の患者(全群において>91%)は女性であった。ベースラインにて、平均SLEDAI-2Kスコアは、10.7から11.5に及び、全ての処置群の約半分は、BILAG-2004 Aスコアが≧1であった(45.0%~52.5%)。合計で、患者の78.3%~86.3%が、あらゆる用量の経口グルココルチコイドを受けており、45.6%~62.7%が、グルココルチコイド≧10mg/日のプレドニゾン又は等価物を受けており、45.1%~53.5%が、免疫抑制剤を受けていた。
【0241】
【表14】
【0242】
12.3.2 BICLA及びSRI(4)の一致
TULIP-1、TULIP-2、及びMUSEにおける患者についての52週目のBICLA及びSRI(4)応答者状況の一致を、図16に要約する。3件の治験にわたって、患者の85.4%(TULIP-1)、83.7%(TULIP-2)、及び78.0%(MUSE)のBICLA結果及びSRI(4)結果が一致した。コーエンのカッパ分析は、結果間の実質的な一致を示した(TULIP-1及びTULIP-2:κ=0.7、名目P<0.001;MUSE:κ=0.6、名目P<0.001)。
【0243】
TULIP-1において、BICLA応答者及びSRI(4)応答者(二重応答者)の双方である患者の割合は、アニフロルマブ群について42.2%、プラセボ群について27.7%であった(図16)。この処置差は、統計学的に有意であり(14.3%;95%CI:4.6、24.0;名目P=0.004)、TULIP-2(アニフロルマブ43.3%、プラセボ26.4%;差異:16.9%;95%CI:7.2、26.7;名目P<0.001)において、MUSE(アニフロルマブ48.5%、プラセボ20.8%、差異、27.7%:95%CI:15.7、41.5;名目P<0.001)において観察される差異と一致した。
【0244】
12.3.3 BICLA及びSRI(4)の不一致
各研究におけるより小さな割合の患者のBICLA結果及びSRI(4)結果が一致しなかった(図16)。TULIP-2及びMUSEにおいて、不一致のパターンは、処置群にわたって概して類似していた。しかしながら、TULIP-1において、この分析の重要な結果の1つは、アニフロルマブ300mg群(n=12、6.7%)よりも、プラセボ群(n=28、15.2%)におけるより多くの患者が、BICLA非応答者/SRI(4)応答者であった;ゆえに、プラセボ群は、研究についてのSRI(4)処置効果全体を-8.5パーセントポイント引き下げた。このサブグループは、総TULIP-1集団の11.0%(n=40)を含み、更なる調査の根拠となった。
【0245】
12.3.4 TULIP-1 BICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループにおける人口統計、臨床的特徴、及びグルココルチコイド使用
患者人口統計は、一致するサブグループ及びTULIP-1集団全体と比較して、BICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループにおいて類似していた(表12-2)。TULIP-1において、プラセボを受けているより高い割合の患者(アニフロルマブと比較)が、東欧の出身であった(38.0%対28.9%)。これは、BICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループにおいて最も顕著であり、ほぼ29パーセントポイントのより大きなベースライン不均衡が存在した(プラセボ53.6%対アニフロルマブ25.0%)。
【0246】
【表15】
【0247】
TULIP-1 BICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループにおいて、プラセボ群の患者は、アニフロルマブ300mg処置患者よりもベースラインSLEDAI-2Kスコア及び関節カウントが低かった(表12-2)。また、プラセボ群は、Aなし、且つ2≧BILAG-2004 Bスコアの患者の割合が低かった。ベースライン疾患活動性のこれらの処置群不均衡は、TULIP-1の他のサブグループのいずれにおいても、また、TULIP-2におけるサブグループのいずれにおいても観察されなかった(表12-3、表12-4)。ベースラインでの臓器障害を表12-5に示す。
【0248】
【表16】
【0249】
【表17】
【0250】
【表18】
【0251】
TULIP-1 BICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループにおいて、プラセボ群及びアニフロルマブ群は、あらゆる用量の、又はベースラインにて≧10mg/日の経口グルココルチコイドを受けている患者の割合が異ならなかった。しかしながら、ベースラインの平均1日グルココルチコイド用量は、アニフロルマブ群におけるよりもプラセボ群において低かったが、標準偏差は大きかった(平均[SD]、9.5[5.8]mg/日対11.6[5.8]mg/日)(表12-6)。また、≦7.5mg/日へのグルココルチコイド漸減を達成した患者の割合は、プラセボ群において、アニフロルマブ300mg群におけるよりも低かった(53.3%対71.4%)(図17)。疾患活動性と同様に、研究の間のグルココルチコイド使用の程度における処置群間のこれらの不均衡は、一致TULIP-1サブグループにおいて観察されなかった。
【0252】
【表19】
【0253】
12.3.5 TULIP-1 BICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループにおけるSRI(4)応答特徴
TULIP-1 BICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループにおいて、プラセボ群の患者の大多数(22/28、78.6%)は、関節炎応答の結果としての、SRI(4)応答に必要とされるSLEDAI-2Kの4-ポイント引下げを達成した(図18A、表12-7);注目すべきは、プラセボ群の患者の25.0%(7/28)は、関節炎ドメインにおいてのみ解消を達成したが、アニフロルマブ群の患者には、関節炎ドメインにだけ制限される応答はなかった(表12-7)。アニフロルマブ300mg群において、SRI(4)応答に至るドメイン向上のはるかに大きな変動があった。
【0254】
【表20】
【0255】
上述の結果を考慮して、発明者らは、SLEDAI-2K関節炎応答があった患者のベースライン関節カウントを求めた。SLEDAI-2K関節炎応答があったプラセボ群の22/28人のBICLA非応答者/SRI(4)応答者の間で、11人の患者(50.0%)が、このサブグループの2/6人(33.3%)のアニフロルマブ処置患者と比較して、ベースラインにて関節腫脹が<6、圧痛関節が<6であった(図19)。加えて、SLEDAI-2K関節炎応答があったプラセボ群の22人の患者のうち、12人がベースラインにて≧10mg/日のグルココルチコイドを受けていた。そのうち、5人(41.6%)が、グルココルチコイドを≦7.5mg/日に漸減させることができなかった。これに対し、SLEDAI-2K関節炎を解消した6人のアニフロルマブ処置患者のうち、ベースラインにて≧10mg/日のグルココルチコイドを受けていた4人の患者のいずれも、グルココルチコイドを≦7.5mg/日に漸減できなかった。
【0256】
12.3.6 TULIP-1 BICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループにおけるBICLA非応答の理由
また、TULIP-1 BICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループにおいて、SLEDAI-2Kの4ポイント引下げをもたらす項目に関する応答を達成した患者は、BILAG-2004について同じ器官ドメインが向上した。しかしながら、このサブグループの患者は、BICLA非応答者であった。なぜなら、BICLA応答が、研究登録時に中程度又は重度であった全てのベースラインBILAG-2004徴候の向上を必要とし、当該患者は、52週目にて他の未解消の臓器障害があったからである。TULIP-1 BICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループにおけるBICLA非応答の最も共通する理由は、アニフロルマブ群(8/12人、66.7%)及びプラセボ群(24/28人、85.7%)の双方において、BILAG-2004発疹の改善を欠いていた(図18B、表12-8)。
【0257】
【表21】
【0258】
全体として、このサブグループにおいて、発疹に起因するBICLA非応答、及び関節炎に起因するSRI(4)応答の組合せが、20人(71.4%)のプラセボ患者及び5人(41.7%)のアニフロルマブ処置患者において出現した(表12-9)。
【表22】
【0259】
12.4 考察
SLE患者の処置のためのアニフロルマブ臨床開発計画では、アニフロルマブを選好する一致したBICLA及びSRI(SRI)(4)の結果が、TULIP-1治験においてではなくTULIP-2及びMUSE治験において観察された。ここで、発明者らは、全3件の治験にわたって個々の患者レベルにてBICLA及びSRI(4)の結果を研究して、双方の複合エンドポイント間での高いレベルの一致を見出した。ストリンジェントな「二重応答者」基準を満たす(すなわち、BICLA及びSRI[4]応答定義の双方を満たす)TULIP-1における患者の割合は、アニフロルマブを選好し(処置差14.3%)、TULIP-2において見られる「二重応答者」についての効果サイズに類似していた(処置差16.9%)。このことは、SLE患者におけるグローバル疾患活動性に及ぼすアニフロルマブの有利な効果を支持する。
【0260】
一致しない結果が、全3件の治験における患者の小さな割合において観察された。TULIP-2治験及びMUSE治験と対照的に、一致しない患者の割合が、アニフロルマブ処置群及びプラセボ処置群において概して類似していた場合、BICLA非応答者/SRI(4)応答者は、TULIP-1におけるプラセボ群において、より高頻度で観察された。患者のこのサブグループは、TULIP-1における有意なSRI(4)処置差の欠如をおそらく担った。
【0261】
TULIP-1におけるBICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループにおいて、SRI(4)応答の主たる理由は、関節炎のSLEDAI-2K解消(重み4ポイント)であり、これはそれ自体、SRI(4)応答を達成するのに十分であった。このシングルドメイン応答は、他の全てのベースライン臓器ドメイン活動性も改善しない限り、BICLA応答を達成するのに十分でない。また、SLEDAI-2K応答を達成したBICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループの患者は、同等のBILAG-2004臓器ドメインが向上した。しかしながら、BICLA応答は、全ての中程度から重度のベースライン徴候の向上を必要とするので、BICLA応答についての基準を満たすほど十分に向上しなかった、追加の臨床症状、主に発疹を患う患者を、BICLA非応答者以外のSRI(4)応答者として分類した。
【0262】
SRI(4)応答が関節炎解消単独によって駆動され得るので、発明者らは、TULIP-1におけるBICLA非応答者/SRI(4)応答者群においてSRI(4)応答を達成するのに解消された駆動関節がどれくらいの数かを評価して、ベースライン関節スコアがアニフロルマブ群におけるよりもプラセボ群においてより低い傾向があることを見出した。したがって、SLEDAI-2K関節炎応答は、プラセボ群において、アニフロルマブ群よりも容易に達成することができた。このTULIP-1サブグループにおける別の重要な観察は、≦7.5mg/日へのグルココルチコイド漸減を達成したアニフロルマブ群と比較して、プラセボ群における患者のより低い割合であった。したがって、ベースラインにて駆動関節が≦6の患者のより高い割合と結び付けた、より低い程度のグルココルチコイド漸減(より大きなグルココルチコイド曝露をもたらす)が、アニフロルマブ群と比較して、プラセボ群において、SRI(4)応答のある患者の割合を上昇させた可能性がある。
【0263】
グルココルチコイド漸減の変動は、標準療法の使用の地域差異を反映し得る。TULIP-1の一致しないサブグループは、西欧と比較して、東欧由来の患者の割合がより高かった。以前の国際的な起始コホート研究において、グルココルチコイド投薬量要件に影響することが知られている患者要因の調整の後ですら、グルココルチコイド使用において有意なセンター間変動があった。TULIP-1の観察は、グルココルチコイド処方行動の医師の変動が、考慮されないならば、治験結果の不均衡を生み出し得るという考えを支持する。
【0264】
発明者らの分析は、個々の患者の間で一致しないBICLA結果及びSRI(4)結果の可能性を強調する。エプラツズマブの第2相プラセボ対照研究において、プラセボ群におけるSRI(4)応答率は、活動性群におけるものよりも高く、BICLA応答率は、全ての処置群におけるSRI(4)応答率よりも低かった52。同様に、ウステキヌマブの第2相治験における類似したSRI(4)及びBICLAプラセボ応答率(33%)にも拘わらず、SRI(4)ウステキヌマブ応答率は62%であったが、BICLA応答率は35%であった53。特に、グローバルSLE疾患活動性の尺度としてBICLA及びSRI(4)を比較する2つのレビューは、双方ともSLE研究における主たるエンドポイントとして用いるのに実行可能なツールである一方、研究中の集団の、研究設計の差異が、各尺度の結果に影響を与え得ると結論した54,55。本明細書中で示されるTULIP-1結果は、重要な活性臓器(すなわち、関節炎;4 SLEDAI-2Kポイントに値する)の重み付けにより、SRI(4)応答が単一の臓器ドメイン解消単独によって満たされ得るならば、BICLA/SRI(4)不一致が、活性臓器ドメインが2つ以上の患者において起こる可能性が高いことを示唆している。
【0265】
TULIP-1データのこのセカンダリ分析は、一部の重要な教えを将来のSLE治験設計に提供する。ベースラインでの活性臓器ドメイン数及び関節カウント、グルココルチコイド処方/漸減実施、並びに/又は治験への補充の地域の変動は全て、一致しないBICLA結果及びSRI(4)結果のリスクを増大させ得る。これらの人口統計及びベースラインでの臨床要因の不均衡が、潜在的に、主要アウトカムを危うくする;したがって、全ての努力がなされて、治験へのエントリ時に、治験のランニングの間に、当該要因の十分な平衡化を確実にしなければならない。加えて、関節炎ドメイン内の駆動関節カウントについての最小閾値、並びに他の徴候、例えば、発疹、口腔潰瘍、及び脱毛症についての閾値を設定することで、ベースラインにて疾患活動性が低い患者において1つ又は2つの高度に重み付けされた臓器ドメインの向上によって混乱(confounded)し得るSRI(4)等のエンドポイントのストリンジェンシが向上し得る。
【0266】
結論として、個々の患者レベルの分析において、発明者らは、アニフロルマブのTULIP-1、TULIP-2、及びMUSE治験における大部分の患者が、BICLA及びSRI(4)に関して結果が一致することを見出した。全3件の治験において、ストリンジェントなBICLA及びSRI(4)「二重応答者」基準を満たした患者の一部は、プラセボよりもアニフロルマブを選好した。一致しないBICLA非応答者/SRI(4)応答者サブグループが、全3件の治験において特定され、このサブグループは、TULIP-1のプラセボ群において過度に示された。不一致は、大部分は、ベースラインBILAG-2004 A又はBスコアによる全てのドメインの向上についてのBICLAのストリンジェント要件と結び付けた単一の臓器(関節炎)向上に対するSRI(4)の感受性によって駆動された。一致しないプラセボ処置患者は、地域の補充変動を示し、ベースライン疾患活動性及び関節カウントがより低くなる傾向があり、グルココルチコイドを漸減させさそうになかった。ベースライン要因への細心の注意及びグルココルチコイド漸減の変動の最小化が、将来のSLE治験に必須である。
【0267】
13 実施例8:注射デバイス
アニフロルマブは、プレフィルドシリンジ(PFS)(図20A)又はオートインジェクタ(AI)(図20B)等の注射デバイス[1][9]によって投与される。
【0268】
13.1 オートインジェクタ
アニフロルマブは、オートインジェクタ[1]によって投与され得る。オートインジェクタを、分解図(図21A)及びアセンブル形態(図21B図21C)で示す。ラベル[4]をオートインジェクタ[1]に巻き付かせて貼付する(図22C)。オートインジェクタは、オートインジェクタハウジング[3]、キャップ、及びキャップリムーバ[2]、並びに駆動ユニット[5]を有する。液体のアニフロルマブ製剤単位用量[6]を、オートインジェクタハウジング[3]内に含める。単位用量[6]は、視界窓[7]を通じて見ることができる。
【0269】
13.2 アクセサライズドプレフィルドシリンジ
アニフロルマブは、アクセサライズドプレフィルドシリンジ(APFS)[8]によって投与され得る。APFS[8]は、図22Aにおけるアセンブル形態で、図22Bにおける分解図で示す一次容器[9]内に含まれる単位用量のアニフロルマブ[6]を含む。一次容器[9]は、プランジャストッパ[16]を有する。一次容器は、0.8mlの名目上の充填容量[17]を有するが、0.8mlよりもやや多く含有し得る。一次容器[9]内の空間の残りは、気泡[18]によって占められる。気泡[18]は、サイズが3~5mm、場合によっては4mmであり得る。一次容器[9]は、ストッパ位置[19]が規定されている。
【0270】
アクセサライズドプレフィルドシリンジ(APFS)の一次容器[9]は、ニードルガード[12]、フィンガーフランジ[11]、及びプランジャロッド[13]を備えるPFSアセンブリ[8]内に提供される(図22C図22D)。ラベル[14]は、PFSアセンブリ[8]内に一次容器[9]と共に提供される。ラベル[14]は、ラベル配置位置[15]においてシリンジ[9]周囲に巻き付けられている。
【0271】
13.3 パッケージング
注射デバイス[1][8]は、キット[20]内に提供される(図23)。ラベル[4][14]は、パッケージング内にAPFS又はオートインジェクタと共に提供される。ラベルは、注射デバイス[1]、[8]の使用説明書を含む。パッケージングは、タンパーシールを含む。
【0272】
参考文献
本明細書中で言及される全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
(1)Pons-Estel,G.J.;Alarcon,G.S.;Scofield,L.;Reinlib,L.;Cooper,G.S.Understanding the Epidemiology and Progression of Systemic Lupus Erythematosus.Arthritis Rheum 2010;39(4):257-268.https://doi.org/10.1016/j.semarthrit.2008.10.007.
(2)McCauliffe,D.P.Cutaneous Lupus Erythematosus.Semin Cutan Med Surg 2001,20(1),14-26.https://doi.org/10.1053/sder.2001.23091.
(3)Uva,L.;Miguel,D.;Pinheiro,C.;Freitas,J.P.;Marques Gomes,M.;Filipe,P.Cutaneous Manifestations of Systemic Lupus Erythematosus.Autoimmune Dis 2012,2012,834291.https://doi.org/10.1155/2012/834291.
(4)Zayat,A.S.;Md Yusof,M.Y.;Wakefield,R.J.;Conaghan,P.G.;Emery,P.;Vital,E.M.The Role of Ultrasound in Assessing Musculoskeletal Symptoms of Systemic Lupus Erythematosus:A Systematic Literature Review.Rheumatology(Oxford)2016,55(3),485-494.https://doi.org/10.1093/rheumatology/kev343.
(5)Sa,C.;E,A.;A,R.;D,I.Damage and mortality in a group of British patients with systemic lupus erythematosus followed up for over 10 yearsHttps://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19359343/(accessed 2021-02-08).https://doi.org/10.1093/rheumatology/kep062.
(6)Murimi-Worstell,I.B.;Lin,D.H.;Nab,H.;Kan,H.J.;Onasanya,O.;Tierce,J.C.;Wang,X.;Desta,B.;Alexander,G.C.;Hammond,E.R.Association between Organ Damage and Mortality in Systemic Lupus Erythematosus:A Systematic Review and Meta-Analysis.BMJ Open 2020,10(5),e031850.https://doi.org/10.1136/bmjopen-2019-031850.
(7)Doria,A.;Briani,C.Lupus:Improving Long-Term Prognosis.Lupus 2008,17(3),166-170.https://doi.org/10.1177/0961203307087612.
(8)Petri,M.Long-Term Outcomes in Lupus.Am J Manag Care 2001,7(16 Suppl),S480-485.
(9)Zonana-Nacach,A.;Barr,S.G.;Magder,L.S.;Petri,M.Damage in Systemic Lupus Erythematosus and Its Association with Corticosteroids.Arthritis Rheum 2000,43(8),1801-1808.https://doi.org/10.1002/1529-0131(200008)43:8<1801::AID-ANR16>3.0.CO;2-O.
(10)Urowitz,M.B.;Bookman,A.A.;Koehler,B.E.;Gordon,D.A.;Smythe,H.A.;Ogryzlo,M.A.The Bimodal Mortality Pattern of Systemic Lupus Erythematosus.Am J Med 1976,60(2),221-225.https://doi.org/10.1016/0002-9343(76)90431-9.
(11)Patel,D.D.;Antoni,C.;Freedman,S.J.;Levesque,M.C.;Sundy,J.S.Phase 2 to Phase 3 Clinical Trial Transitions:Reasons for Success and Failure in Immunologic Diseases.Journal of Allergy and Clinical Immunology 2017,140(3),685-687.https://doi.org/10.1016/j.jaci.2017.04.029.
(12)Dowden,H.;Munro,J.Trends in Clinical Success Rates and Therapeutic Focus.Nature Reviews Drug Discovery 2019,18(7),495-496.https://doi.org/10.1038/d41573-019-00074-z.
(13)Eisenberg,R.WHY CAN’T WE FIND A NEW TREATMENT FOR SLE? J Autoimmun 2009,32(3-4),223-230.https://doi.org/10.1016/j.jaut.2009.02.006.
(14)Gomez,A.;Qiu,V.;Cederlund,A.;Borg,A.;Lindblom,J.;Emamikia,S.;Enman,Y.;Lampa,J.;Parodis,I.AdverseHealth-Related Quality of Life Outcome Despite Adequate Clinical Response to Treatment in Systemic Lupus Erythematosus.Frontiers in Medicine 2021,8,471.https://doi.org/10.3389/fmed.2021.651249.
(15)Blair,H.A.;Duggan,S.T.Belimumab:A Review in Systemic Lupus Erythematosus.Drugs 2018,78(3),355-366.https://doi.org/10.1007/s40265-018-0872-z.
(16)Navarra,S.V.;Guzman,R.M.;Gallacher,A.E.;Hall,S.;Levy,R.A.;Jimenez,R.E.;Li,E.K.-M.;Thomas,M.;Kim,H.-Y.;Leon,M.G.;Tanasescu,C.;Nasonov,E.;Lan,J.-L.;Pineda,L.;Zhong,Z.J.;Freimuth,W.;Petri,M.A.;BLISS-52 Study Group.Efficacy and Safety of Belimumab in Patients with Active Systemic Lupus Erythematosus:A Randomised,Placebo-Controlled,Phase 3 Trial.Lancet 2011,377(9767),721-731.https://doi.org/10.1016/S0140-6736(10)61354-2.
(17)Furie,R.;Petri,M.;Zamani,O.;Cervera,R.;Wallace,D.J.;Tegzova,D.;Sanchez-Guerrero,J.;Schwarting,A.;Merrill,J.T.;Chatham,W.W.;Stohl,W.;Ginzler,E.M.;Hough,D.R.;Zhong,Z.J.;Freimuth,W.;van Vollenhoven,R.F.;BLISS-76 Study Group.A Phase III,Randomized,Placebo-Controlled Study of Belimumab,a Monoclonal Antibody That Inhibits B Lymphocyte Stimulator,in Patients with Systemic Lupus Erythematosus.Arthritis Rheum 2011,63(12),3918-3930.https://doi.org/10.1002/art.30613.
(18)van Vollenhoven,R.F.;Petri,M.;Wallace,D.J.;Roth,D.A.;Molta,C.T.;Hammer,A.E.;Tang,Y.;Thompson,A.Cumulative Corticosteroid Dose Over Fifty-Two Weeks in Patients With Systemic Lupus Erythematosus:Pooled Analyses From the Phase III Belimumab Trials.Arthritis Rheumatol 2016,68(9),2184-2192.https://doi.org/10.1002/art.39682.
(19)Morand,E.F.;Furie,R.;Tanaka,Y.;Bruce,I.N.;Askanase,A.D.;Richez,C.;Bae,S.-C.;Brohawn,P.Z.;Pineda,L.;Berglind,A.;Tummala,R.Trial of Anifrolumab in Active Systemic Lupus Erythematosus.New England Journal of Medicine 2020,382(3),211-221.https://doi.org/10.1056/NEJMoa1912196.
(20)Furie,R.;Khamashta,M.;Merrill,J.T.;Werth,V.P.;Kalunian,K.;Brohawn,P.;Illei,G.G.;Drappa,J.;Wang,L.;Yoo,S.;Investigators,for the C.S.Anifrolumab,an Anti-Interferon-α Receptor Monoclonal Antibody,in Moderate-to-Severe Systemic Lupus Erythematosus.Arthritis & Rheumatology(Hoboken,N.j.)2017,69(2),376.https://doi.org/10.1002/art.39962.
(21)Furie,R.A.;Morand,E.F.;Bruce,I.N.;Manzi,S.;Kalunian,K.C.;Vital,E.M.;Ford,T.L.;Gupta,R.;Hiepe,F.;Santiago,M.;Brohawn,P.Z.;Berglind,A.;Tummala,R.Type I Interferon Inhibitor Anifrolumab in Active Systemic Lupus Erythematosus(TULIP-1):A Randomised,Controlled,Phase 3 Trial.The Lancet Rheumatology 2019,1(4),e208-e219.https://doi.org/10.1016/S2665-9913(19)30076-1.
(22)Tanaka,Y.;Tummala,R.Anifrolumab,a Monoclonal Antibody to the Type I Interferon Receptor Subunit 1,for the Treatment of Systemic Lupus Erythematosus:An Overview from Clinical Trials.Modern Rheumatology 2020,0(0),1-12.https://doi.org/10.1080/14397595.2020.1812201.
(23)Golder,V.;Tsang-A-Sjoe,M.W.P.Treatment Targets in SLE:Remission and Low Disease Activity State.Rheumatology 2020,59(Supplement_5),v19-v28.https://doi.org/10.1093/rheumatology/keaa420.
(24)Parodis,I.;Emamikia,S.;Gomez,A.;Gunnarsson,I.;van Vollenhoven,R.F.;Chatzidionysiou,K.Clinical SLEDAI-2K Zero May Be a Pragmatic Outcome Measure in SLE Studies.Expert Opinion on Biological Therapy 2019,19(2),157-168.https://doi.org/10.1080/14712598.2019.1561856.
(25)Waldheim,E.;Ajeganova,S.;Bergman,S.;Frostegard,J.;Welin,E.Variation in Pain Related to Systemic Lupus Erythematosus(SLE):A 7-Year Follow-up Study.Clin Rheumatol 2018,37(7),1825-1834.https://doi.org/10.1007/s10067-018-4079-1.
(26)Greco,C.M.;Rudy,T.E.;Manzi,S.Adaptation to Chronic Pain in Systemic Lupus Erythematosus:Applicability of the Multidimensional Pain Inventory.Pain Med 2003,4(1),39-50.https://doi.org/10.1046/j.1526-4637.2003.03001.x.
(27)Tummala,R.;Rouse,T.;Berglind,A.;Santiago,L.Safety,Tolerability and Pharmacokinetics of Subcutaneous and Intravenous Anifrolumab inHealthy Volunteers.Lupus Sci Med 2018,5(1),e000252.https://doi.org/10.1136/lupus-2017-000252.
(28)Ferguson,G.T.;Mansur,A.H.;Jacobs,J.S.;Hebert,J.;Clawson,C.;Tao,W.;Wu,Y.;Goldman,M.Assessment of an Accessorized Pre-Filled Syringe forHome-Administered Benralizumab in Severe Asthma.J Asthma Allergy 2018,11,63-72.https://doi.org/10.2147/JAA.S157762.
(29)Albrecht,J.;Taylor,L.;Berlin,J.A.;Dulay,S.;Ang,G.;Fakharzadeh,S.;Kantor,J.;Kim,E.;Militello,G.;McGinnis,K.;Richardson,S.;Treat,J.;Vittorio,C.;Van Voorhees,A.;Werth,V.P.The CLASI(Cutaneous Lupus Erythematosus Disease Area and Severity Index):An Outcome Instrument for Cutaneous Lupus Erythematosus.J Invest Dermatol 2005,125(5),889-894.https://doi.org/10.1111/j.0022-202X.2005.23889.x.
(30)Klein,R.S.;Morganroth,P.A.;Werth,V.P.Cutaneous Lupus and the CLASI Instrument.Rheum Dis Clin North Am 2010,36(1),33-51.https://doi.org/10.1016/j.rdc.2009.12.001.
(31)Franklyn,K.;Lau,C.S.;Navarra,S.V.;Louthrenoo,W.;Lateef,A.;Hamijoyo,L.;Wahono,C.S.;Chen,S.L.;Jin,O.;Morton,S.;Hoi,A.;Huq,M.;Nikpour,M.;Morand,E.F.Definition and Initial Validation of a Lupus Low Disease Activity State(LLDAS).Annals of the Rheumatic Diseases 2016,75(9),1615-1621.https://doi.org/10.1136/annrheumdis-2015-207726.
(32)Yellen,S.B.;Cella,D.F.;Webster,K.;Blendowski,C.;Kaplan,E.Measuring Fatigue and Other Anemia-Related Symptoms with the Functional Assessment of Cancer Therapy(FACT)Measurement System.J Pain Symptom Manage 1997,13(2),63-74.https://doi.org/10.1016/s0885-3924(96)00274-6.
(33)EuroQol Group.EuroQol--a New Facility for the Measurement ofHealth-Related Quality of Life.Health Policy 1990,16(3),199-208.https://doi.org/10.1016/0168-8510(90)90421-9.
(34)McElhone,K.;Abbott,J.;Shelmerdine,J.;Bruce,I.N.;Ahmad,Y.;Gordon,C.;Peers,K.;Isenberg,D.;Ferenkeh-Koroma,A.;Griffiths,B.;Akil,M.;Maddison,P.;Teh,L.-S.Development and Validation of a Disease-SpecificHealth-Related Quality of Life Measure,the LupusQol,for Adults with Systemic Lupus Erythematosus.Arthritis Rheum 2007,57(6),972-979.https://doi.org/10.1002/art.22881.
(35)Jolly,M.;Pickard,A.S.;Wilke,C.;Mikolaitis,R.A.;Teh,L.-S.;McElhone,K.;Fogg,L.;Block,J.Lupus-SpecificHealth Outcome Measure for US Patients:The LupusQoL-US Version.Ann Rheum Dis 2010,69(1),29-33.https://doi.org/10.1136/ard.2008.094763.
(36)Kroenke,K.;Spitzer,R.L.The PHQ-9:A New Depression Diagnostic and Severity Measure.Psychiatric Annals 2002,32(9),509-515.https://doi.org/10.3928/0048-5713-20020901-06.
(37)Haefeli,M.;Elfering,A.Pain Assessment.Eur Spine J 2006,15(Suppl 1),S17-S24.https://doi.org/10.1007/s00586-005-1044-x.
(38)Touma,Z.;Urowitz,M.;Gladman,D.SLEDAI-2K for a 30-Day Window.Lupus 2010,19(1),49-51.https://doi.org/10.1177/0961203309346505.
(39)Interferon-Inducible Gene Expression Kit As a Potential Diagnostic Test for Anifrolumab:Analytical Validation for Use in Clinical Trials.ACR Meeting Abstracts.
(40)Drenkard,C.;Bao,G.;Dennis,G.;Kan,H.J.;Jhingran,P.M.;Molta,C.T.;Lim,S.S.Burden of Systemic Lupus Erythematosus on Employment and Work Productivity:Data from a Large Cohort in the Southeastern United States.Arthritis Care Res(Hoboken)2014,66(6),878-887.https://doi.org/10.1002/acr.22245.
(41)Bruce,I.N.;O’Keeffe,A.G.;Farewell,V.;Hanly,J.G.;Manzi,S.;Su,L.;Gladman,D.D.;Bae,S.-C.;Sanchez-Guerrero,J.;Romero-Diaz,J.;Gordon,C.;Wallace,D.J.;Clarke,A.E.;Bernatsky,S.;Ginzler,E.M.;Isenberg,D.A.;Rahman,A.;Merrill,J.T.;Alarcon,G.S.;Fessler,B.J.;Fortin,P.R.;Petri,M.;Steinsson,K.;Dooley,M.A.;Khamashta,M.A.;Ramsey-Goldman,R.;Zoma,A.A.;Sturfelt,G.K.;Nived,O.;Aranow,C.;Mackay,M.;Ramos-Casals,M.;van Vollenhoven,R.F.;Kalunian,K.C.;Ruiz-Irastorza,G.;Lim,S.;Kamen,D.L.;Peschken,C.A.;Inanc,M.;Urowitz,M.B.Factors Associated with Damage Accrual in Patients with Systemic Lupus Erythematosus:Results from the Systemic Lupus International Collaborating Clinics(SLICC)Inception Cohort.Ann Rheum Dis 2015,74(9),1706-1713.https://doi.org/10.1136/annrheumdis-2013-205171.
(42)Strand,V.;Gladman,D.;Isenberg,D.;Petri,M.;Smolen,J.;Tugwell,P.Endpoints:Consensus Recommendations from OMERACT IV.Outcome Measures in Rheumatology.Lupus 2000,9(5),322-327.https://doi.org/10.1191/096120300678828424.
(43)Kaul,A.;Gordon,C.;Crow,M.K.;Touma,Z.;Urowitz,M.B.;van Vollenhoven,R.;Ruiz-Irastorza,G.;Hughes,G.Systemic Lupus Erythematosus.Nat Rev Dis Primers 2016,2,16039.https://doi.org/10.1038/nrdp.2016.39.
(44)Hochberg,M.C.Updating the American College of Rheumatology Revised Criteria for the Classification of Systemic Lupus Erythematosus.Arthritis Rheum 1997,40(9),1725.https://doi.org/10.1002/art.1780400928.
(45)STULL,D.E.;KERCHER,K.;KOSLOSKI,K.D.PhysicalHealth and Long-Term Care:A Multidimensional Approach.American Behavioral Scientist 1996,39(3),317-335.https://doi.org/10.1177/0002764296039003008.
(46)Yee,C.-S.;Farewell,V.;Isenberg,D.A.;Rahman,A.;Teh,L.-S.;Griffiths,B.;Bruce,I.N.;Ahmad,Y.;Prabu,A.;Akil,M.;McHugh,N.;D’Cruz,D.;Khamashta,M.A.;Maddison,P.;Gordon,C.British Isles Lupus Assessment Group 2004 Index Is Valid for Assessment of Disease Activity in Systemic Lupus Erythematosus.Arthritis Rheum 2007,56(12),4113-4119.https://doi.org/10.1002/art.23130.
(47)Hurst,N.P.;Jobanputra,P.;Hunter,M.;Lambert,M.;Lochhead,A.;Brown,H.Validity of Euroqol--a GenericHealth Status Instrument--in Patients with Rheumatoid Arthritis.Economic andHealth Outcomes Research Group.Br J Rheumatol 1994,33(7),655-662.https://doi.org/10.1093/rheumatology/33.7.655.
(48)Hurst,N.P.;Kind,P.;Ruta,D.;Hunter,M.;Stubbings,A.MeasuringHealth-Related Quality of Life in Rheumatoid Arthritis:Validity,Responsiveness and Reliability of EuroQol(EQ-5D).Br J Rheumatol 1997,36(5),551-559.https://doi.org/10.1093/rheumatology/36.5.551.
(49)Cella,D.;Eton,D.T.;Lai,J.-S.;Peterman,A.H.;Merkel,D.E.Combining Anchor and Distribution-Based Methods to Derive Minimal Clinically Important Differences on the Functional Assessment of Cancer Therapy(FACT)Anemia and Fatigue Scales.J Pain Symptom Manage 2002,24(6),547-561.https://doi.org/10.1016/s0885-3924(02)00529-8.
(50)Bentler,P.M.Comparative Fit Indexes in Structural Models.Psychol Bull 1990,107(2),238-246.https://doi.org/10.1037/0033-2909.107.2.238.
(51)Steiger,J.H.Structural Model Evaluation and Modification:An Interval Estimation Approach.Multivariate Behavioral Research 1990,25(2),173-180.https://doi.org/10.1207/s15327906mbr2502_4.
(52)Talk:Systemic Lupus Erythematosus Responder Index Assessment of Responders in EMBLEM,a Phase IIb Study in Patients with Moderate to Severe Systemic Lupus Erythematosus(2011 ACR/ARHP Annual Scientific Meeting)https://acr.confex.com/acr/2011/webprogram/Paper22284.html(accessed 2021-08-25).
(53)van Vollenhoven,R.F.;Hahn,B.H.;Tsokos,G.C.;Wagner,C.L.;Lipsky,P.;Touma,Z.;Werth,V.P.;Gordon,R.M.;Zhou,B.;Hsu,B.;Chevrier,M.;Triebel,M.;Jordan,J.L.;Rose,S.Efficacy and Safety of Ustekinumab,an IL-12 and IL-23 Inhibitor,in Patients with Active Systemic Lupus Erythematosus:Results of a Multicentre,Double-Blind,Phase 2,Randomised,Controlled Study.Lancet 2018,392(10155),1330-1339.https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)32167-6.
(54)Thanou,A.;Chakravarty,E.;James,J.A.;Merrill,J.T.Which Outcome Measures in SLE Clinical Trials Best Reflect Medical Judgment? Lupus Sci Med 2014,1(1),e000005.https://doi.org/10.1136/lupus-2013-000005.
(55)Pike,M.C.;Kelley,L.Data Quality Challenges in Systemic Lupus Erythematosus Trials:How Can This Be Optimized? Curr Rheumatol Rep 2012,14(4),324-333.https://doi.org/10.1007/s11926-012-0261-7.
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13-1】
図13-2】
図14-1】
図14-2】
図14-3】
図14-4】
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【配列表】
2024536320000001.xml
【国際調査報告】