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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】浄化器用の薄層及び層状モジュール
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/02 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B01D21/02 F
B01D21/02 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520522
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 ES2022070495
(87)【国際公開番号】W WO2023052660
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P202130915
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524123148
【氏名又は名称】ダブリューエスエスダイナミクス・ソシエダッド・リミターダ
【氏名又は名称原語表記】WSSDYNAMICS, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス ゴメス,ペドロ ロベルト
(57)【要約】
プレート(5)を有する浄化器用の薄層(1)であって、プレート(5)には、プレート(5)の上端部分(5a)から下端縁部(5d)まで延びる長手方向直線リブ(10)と、翼部(40)を有すると共に、各一対のリブの間に介挿して矢状方向(S)で突出するV字形壁を伴う突出部(30)を形成する、長手方向直線折り目(15)と、上端部分(5a)に設けられ、上端縁部(5c)まで矢状方向(S)の後方に延びる平坦部(20a)を画定する上端横方向折り目(20)と、矢状方向(S)で後方に湾曲するように設けられる下端横方向折り目(60)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一部品から形成される長方形又は正方形のプレート(5)を備える浄化器用の薄層(1)であって、前記プレート(5)には、
-前記プレート(5)の上端部分(5a)から前記プレートの下端縁部(5d)まで延びる複数の長手方向直線リブ(10)と、
-複数の長手方向直線折り目(15)であって、前記折り目(15)のそれぞれが、前記プレート(5)の前記上端部分(5a)から前記プレート(5)の前記下端縁部(5d)まで延び、前記折り目(15)のそれぞれが、一対の長手方向リブ(10)間に介挿され、それにより、前記一対の長手方向リブ(10)間に備えられる空間が、矢状方向(S)で前方に突出するとともにその角部に前記長手方向直線折り目(15)が位置するV字形壁を伴う突出部(30)を画定する、複数の長手方向直線折り目(15)と、
-複数の翼部(40)であって、1つの翼部(40)が、各長手方向直線折り目(15)の前記矢状方向の前部に配置され、1つの翼部(40)が、各長手方向直線折り目(15)の前記矢状方向の後部に更に配置される、複数の翼部(40)と、
-4つの端部翼部(40”)であって、1つの端部翼部(40”)が、前記プレート(5)の長手方向縁部のそれぞれの前記矢状方向の前記前部に配置され、1つの端部翼部(40”)が、前記プレート(5)の前記長手方向縁部のそれぞれの前記矢状方向の前記後部に更に配置される、4つの端部翼部(40”)と、
-前記プレート(5)の前記上端部分(5a)に設けられ、折り目点から前記プレート(5)の前記上端縁部(5c)まで一定の距離だけ前記矢状方向(S)の後方に延びる平坦部(20a)を画定する上端横方向折り目(20)と、
-前記プレート(5)の下端部分(5b)に、前記下端部分(5b)が前記矢状方向(S)で後方に湾曲するように設けられる下端横方向折り目(60)と、
が設けられることを特徴とする薄層(1)。
【請求項2】
前記翼部(40)及び前記端部翼部(40”)が前記プレート(5)の前記上端部分(5a)から前記プレートの下端縁部(5d)まで延びる、請求項1に記載の浄化器用の薄層(1)。
【請求項3】
前記プレート(5)は、プラスチック射出技術を用いて製造されるプラスチックプレートである、請求項1又は2に記載の浄化器用の薄層(1)。
【請求項4】
前記プレート(5)の前記上端部分(5a)から前記プレート(5)の前記下端縁部(5d)まで延びる少なくとも1つの長手方向直線構造折り目(15’)を更に備え、前記構造折り目(15’)が一対の長手方向直線リブ(10)間に介挿され、それにより、前記一対の長手方向リブ(10)間に備えられる前記空間は、前記矢状方向(S)で前方に突出するとともにその角部に前記構造折り目(15’)が位置するV字形壁を伴う構造突出部(30’)を画定し、前記構造突出部(30’)の前記V字形壁によって規定される角度は、従来の突出部(30)の壁によって規定される前記角度よりも鋭角である、請求項1から3のいずれか一項に記載の浄化器用の薄層(1)。
【請求項5】
複数の構造翼部(40’)を更に備え、1つの構造翼部(40’)が、各長手方向直線構造折り目(15’)の前記矢状方向の前記前部に配置され、1つの構造翼部(40’)が、各長手方向直線構造折り目(15’)の前記矢状方向の前記後部に更に配置される、請求項4に記載の浄化器用の薄層(1)。
【請求項6】
構造折り目(15’)には、支持要素を収容するようになっている穿孔(50a,50b)を備える少なくとも1つの固定点が設けられる、請求項4に記載の浄化器用の薄層(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの構造折り目(15’)には、前記上端横方向折り目(20)に最も近い穿孔(50a)を備える上端固定点と、前記下端横方向折り目(60)の下方で前記下端部分(5b)内に位置する穿孔(50b)を備える下端固定点とが設けられる、請求項6に記載の浄化器用の薄層(1)。
【請求項8】
前記上端部分(5a)の前記平坦部(20a)には、その2つの長手方向縁部のそれぞれに、上端長手方向閉鎖部(85)が設けられる、請求項1から7のいずれか一項に記載の浄化器用の薄層(1)。
【請求項9】
前記プレート(5)が構成するそれぞれの前記長手方向直線リブ(10)ごとにV字形ディフレクタ(70)が設けられ、前記V字形ディフレクタ(70)は、前記上端横方向折り目(20)の前記平坦部(20a)に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の浄化器用の薄層(1)。
【請求項10】
前記上端部分(5a)の前記平坦部(20a)の下端面には複数の突部(90)が設けられ、前記突部(90)のそれぞれは、前記プレート(5)の前記長手方向直線折り目(15)のうちの1つ又は前記長手方向直線構造折り目(15’)のうちの1つと整列されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の浄化器用の薄層(1)。
【請求項11】
互いに直接接触することなく平行に配置され、支持要素に取り付けられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の2つ以上の薄層(1)を備える、浄化器用の層状モジュール(100)。
【請求項12】
前記薄層(1)は、
-前記薄層(1)のそれぞれの前記プレート(5)の前記下端部分(5b)が水平に対して65°~80°の傾斜を有し、前記上端横方向折り目(20)と前記下端横方向折り目(60)との間に備えられる前記プレートの中間部が水平に対して45°~65°の傾斜を有するように、かつ
-前記薄層(1)のそれぞれの前記プレート(5)の前記上端部分(5a)の前記平坦部(20a)が10°~-10°の範囲に含まれる角度を水平と成すように、
配置される、請求項11に記載の層状モジュール(100)。
【請求項13】
-前記薄層(1)のそれぞれには、前記上端横方向折り目(20)に最も近い穿孔(50a)を備える上端固定点と、前記下端部分(5b)に位置する穿孔(50b)を備える下端固定点とを備える少なくとも1つの構造折り目(15’)が設けられ、
-前記支持要素がねじ付きロッド(140a,140b)の少なくとも2つのグループを備え、第1のグループのねじ付きロッド(140a)は、前記薄層の前記上端固定点の前記穿孔(50a)と交差するように配置され、第2のグループのねじ付きロッド(140b)は、前記薄層(1)の前記プレートの前記下端固定点の前記穿孔(50b)と交差するように配置される、
請求項11又は12に記載の浄化器用の層状モジュール(100)。
【請求項14】
-薄層(5)の上端固定点に配置される少なくとも1つの上端スペーサ(105a)であって、前記第1のグループの前記ねじ付きロッド(140a)の少なくとも1つが貫通できるようにする貫通孔が設けられる、少なくとも1つの上端スペーサ(105a)と、
-薄層(5)の下端固定点に配置される少なくとも1つの下端スペーサ(105b)であって、前記第2のグループの前記ねじ付きロッド(140b)の少なくとも1つが貫通できるようにする貫通孔が設けられる、少なくとも1つの下端スペーサ(105b)と、
を更に備える、請求項13に記載の浄化器用の層状モジュール(100)。
【請求項15】
前記薄層(5)の前記下端縁部付近に配置される前記下端スペーサ(105b)には、好ましくは、支持ベース(120)に結合するための結合手段(130)が設けられる、請求項14に記載の浄化器用の層状モジュール(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、限定はしないが、廃水処理プラント及び飲料水処理プラントにおける、懸濁固体の形態の不純物によって汚染された排出物を処理するための装置及び設備の技術分野に属する。
【0002】
より具体的には、本発明の目的は、層状浄化器に使用されることを意図した薄層、並びに層状浄化器に使用されることを意図した層状モジュールである。
【背景技術】
【0003】
浄化器は、排水中に存在する懸濁固体不純物を除去するための、特に、廃水の浄化及び消費のための水の処理における、排水(すなわち、産業設備内を流れる液体)の浄化プロセスにおいて通常使用される装置である。
【0004】
本発明における目的の浄化器は、「層状」型のものであり、その性能を高める目的で層状モジュールが設けられる。浄化器に前記層状モジュールを組み込むことにより、処理される流出流量を増加させること、又は固体浄化効率を増加させることが可能になる。
【0005】
薄層は、平行に配置され、一連のチャネルを画定するプレート又はプロファイルである。薄層は、浄化器タンクの内部に中間の高さで設置され、通常は水平に対して45°~65°の角度を形成する傾斜した向きでタンクの表面全体を覆う。
【0006】
水は、薄層の下方のタンクの下端部分から浄化器に入り、処理された水は、薄層の上方のタンクの上端部分を通って排出されるので、水は、薄層によって形成された傾斜チャンルを通って循環しなければならない。この傾斜は、各層状チャネルの下側に水中に存在する固体の蓄積を生じさせ、それらが排出されるタンクの下端に向かうそれらの浄化を加速する。ここで固体の大部分を含まない水は、処理プロセスを継続するためにタンクを出る流出チャネルの方向に、その上端領域を通って層状チャネルを出る。
【0007】
層状浄化器の主な問題及びそれらの効率が低下する主な理由は、設置された層状チャネルの1つ1つを通る均一な上向きの流れを達成することが不可能であることである。
【0008】
薄層がそれらの機能を適切に果たすために、前記薄層を通る流れは、設置された表面全体にわたって可能な限り均一でなければならず、言い換えれば、各設置された層状チャネルの上昇速度は、それらの全てにおいて同じでなければならない。層状チャネルを通過する理論速度は、設置された層状表面積で除算されたタンクへの流出流量によって与えられ、これは固体が層状チャネルの下側に到達するのに十分な時間を有する速度である。しかしながら、実際には、この状況はほとんど起こらない。流出物投入のための入口はタンクの下端側領域の特定の点で作られなければならないので、これらの入口流の方向はタンクの表面に平行であり、その後、それらはそれらの方向を上方に変え、薄層を横切り、排出チャネルを見つけなければならない。速度を受ける全ての流出物に存在する慣性に起因して、これは、薄層の特定の領域がより大きな流れを受ける傾向が常にあり、理論的な設計速度よりもはるかに高い、これらの領域に設置された薄層を通る上昇速度を生成することを意味する。
【0009】
更に、薄層又は層状モジュールが固定される支持システムは、通常、必要な強度を提供するプロファイル及び耐荷重梁(load-bearing beams)を使用して作られる。それらの形状及びサイズに応じて、これらの支持システムの表面は、層状モジュールの下で発生し、ディフレクタとして作用し、層状チャネルが非常に高い上昇速度で機能する領域を生成する流れの通過に対する障害となる。
【0010】
したがって、これらの優先領域では、設計速度の3~7倍の上昇速度を見つけることが一般的である。これは、固体がこれらの領域で浄化する時間がないことを意味し、層状チャネルがその上端出口を通って残り、非常に高い効率損失及び早期の汚染をもたらす。坑道チャネル(spillway channels)を通る水の均一な排出を考えると、優先領域を通って流れる水は、一旦層状チャネルを通過すると、対応する坑道チャネル領域を通って排出される層状設備上の水平経路をたどる。効率損失は、処理済み水と共に流出路を通って排出される懸濁固体の一部によるものであり、早期汚染は、これらの水平経路中に層状パッケージ及びその構造上に堆積する固体の一部によるものである。
【0011】
ほとんどの場合、層状浄化タンクは、薄層が上向きの流れを有する代わりに、いかなる流れも示さないか、又は優先領域を通って流れる過剰な流れを補償するために下向きの流れを有する領域を有する。
【0012】
異なる層状領域を通過する速度のこれらの不均衡による効率損失は非常に高くなる可能性があり、最も一般的な値は性能損失の40~60%である。換言すれば、均質な速度で理論設計に従って浄化されるべき固体の40~60%が浄化される。
【0013】
更に、早期の汚損が発生するため、タンクをより頻繁に停止して洗浄しなければならず、処理プラントの総容量が減少し、メンテナンスコストが増加する。
【0014】
例えば、この同じ出願人が所有するスペイン特許第P201830839号によって開示され、「浄化器用の薄層及び浄化器用の層状モジュール」に関するものなど、前述の問題を解決するために特別に設計された新しい薄層が最近開発された。
【0015】
P201830839に記載されている薄層及び層状モジュールは、対応する特許に記載されているように、一般的な技術に存在する様々な問題に効果的に対処するが、設置された薄層の異なる領域を通る上昇速度の不均等な分布に起因する効率損失を完全に排除しない。
【0016】
更に、前述の問題に対処するための他の装置も開発されており、例えば、この同じ出願人によって所有され、「層状浄化器のためのフローバランス及び日焼け止め装置」に関する特許第P202031173号に開示されている装置などがある。
【0017】
P202031173によって開示された流量平衡装置は、層状浄化器における速度不均衡の問題を解決するとともに、モジュールに太陽光に対する保護を提供することを目的としている。
【0018】
本発明は、層状モジュール上の日射の問題を効果的に解決するが、層状浄化器の異なる領域を通る流れの不均衡を完全かつ確実に排除するものではない。したがって、前記バランス調整装置が最適なバランスを達成するためには、水の通過中の圧力降下を増加させることが適切であり、これはその特徴である。
【0019】
更に、それは追加の部品であるため、層状モジュールの追加の製造及び組み立てコストを伴う。
【0020】
一方、特許P201830839の目的である層状モジュールは、それを構成する各薄層によって区切られた横方向の連続チャネルを示し、チャネル内部の速度勾配に起因して生成される水力性能を改善する。タンクの長手方向、したがってチャネルの方向に垂直な流れを有する水分布を有する浄化器タンクでは、特許P201830839によるモジュールと、出願P202031173によるバランサとによって形成されたアセンブリは、良好な性能を示し、最大速度と最小速度との間の差を低減し、したがって浄化器の効率を明らかに改善する。
【0021】
一方、水分布がタンクを横断する場合、水は優先的な流れ領域に位置する薄層を通ってより高速で上昇し、バランサに到達し、このバランサは、その流れの一部をその下端領域及びモジュールの高領域を通ってチャネルの横断方向に迂回させる。この場合、バランサによる効果が小さくなり、効率の向上が小さくなる。
【0022】
同様に、幾つかの層状浄化器の設置では、文献P202031173によるバランサは、設置された全ての薄層を通る上昇速度を十分にバランスさせるために必要な圧力降下を必ずしもそれ自体で達成することができず、したがって、流出路チャネルを排除することができない。
【0023】
一般に、任意の層状浄化技術において改善する別の態様は、各層状チャネルの入口で生じる移行長に起因する性能損失である。薄層下の分配流が層状チャネルへの入口に到達する速度及び角度に応じて、層体制がダクト内部の完全に平行な流線で安定化されるまで、各層状チャネルの全長の一定の距離にわたって続く乱流が発生する場合がある。層状ダクトの浄化は、この最後の条件が満たされた場合にのみ効率的であり、したがって、効率が十分に高くない入口からの流路の特定の長さが存在し得る。入口速度、入射角、及びチャネルの幾何学的形状に応じて、この移行距離は、層状チャネルの全長の10から40%だけ延長することができる。
【0024】
更に、層状チャネルの入口領域は、その排出プロセスにおいてチャネルの全長に沿ってグループ化された固体を蓄積し、したがって、流出物の入口に利用可能なその部分が減少する。これは、入口での流出物の速度、乱流を増加させ、前述の移行長さを必要以上に長く延ばすことに再び寄与する。同様に、チャネルの下端部分における固形物のこの蓄積及び前述の速度の増加は、この領域に存在する固形物の一部の上方への流れによる巻き込みに有利である。
【0025】
文献P202031173による流量バランス及び日焼け止め装置と共に使用される特許P201830839による薄層及び層状モジュールは、長手方向の水分配を伴う設備において良好な性能を示し、不均衡は過度に顕著ではなく、小型及び中型の浄化器に非常に適している。一方、異なる領域間で高速不均衡を示す大型タンクでは、望ましい効率目標は達成されない。
【0026】
ファウリングに関しては、特許P201830839による薄層及び層状モジュールの性能は、その長手方向の曲率を考慮すると最適であるが、一方で、前述の不均衡に起因して特定の領域で高速が発生する設備では、移行長さは必要よりも長く延びる可能性がある。これらの条件下では、層状チャネルのこの第1の部分は、水平に対して傾斜角が小さいため、システムの容量に最も寄与するものであるため、より顕著な効率損失が生じる。
【0027】
結論として、文献P201830839及びP202031173に開示されている開発は、特定の特徴を有する設備、一般に、あまり顕著でない不均衡を示す小型及び中型の浄化器に非常に適している。しかしながら、水の分配に非常に顕著な不均衡を示す大型施設の場合、それらの結果はそれほど有望ではなく、そのため、望ましい容量及び効率の目的を達成するとともに、溢流路なしで行うことができる層状浄化装置を開発する必要が依然としてある。
【発明の概要】
【0028】
本発明は、前述の技術の問題を修正又は低減するとともに、技術に更なる利点を提供することを意図している。
【0029】
また、その設計は、特許P201530891によれば、自動清掃装置の動作を確実かつ最適化するために必要な特徴を有する。
【0030】
この目的のために、本発明の第1の目的は、単一部品から形成される長方形又は正方形のプレートを備える浄化器用の薄層において、プレートには、
-プレートの上端部分からプレートの下端縁部まで延びる複数の長手方向直線リブと、
-複数の長手方向直線折り目であって、折り目のそれぞれが、プレートの上端部分からプレートの下端縁部まで延び、前記折り目のそれぞれが、一対の長手方向リブ間に介挿され、それにより、前記一対の長手方向リブ間に備えられる空間が、矢状方向で前方に突出するとともにその角部に長手方向直線折り目が位置するV字形壁を伴う突出部を画定する、複数の長手方向直線折り目と、
-複数の翼部であって、1つの翼部が、各長手方向直線折り目の矢状方向の前部に配置され、1つの翼部が、各長手方向直線折り目の矢状方向の後部に更に配置される、複数の翼部と、
-4つの端部翼部であって、1つの端部翼部が、プレートの長手方向縁部のそれぞれの矢状方向の前部に配置され、1つの端部翼部が、プレートの長手方向縁部のそれぞれの矢状方向の後部に更に配置される、4つの端部翼部と、
-プレートの上端部分に設けられ、折り目点からプレートの上端縁部まで一定の距離だけ矢状方向の後方に延びる平坦部を画定する上端横方向折り目と、
-プレートの下端部分に、前記下端部分が矢状方向で後方に湾曲するように設けられる下端横方向折り目と、
が設けられる、薄層に関する。
【0031】
本発明に係る浄化器のための、流れ均質化システムを独自の構造に組み込んだこれらの薄層の特定の設計により、優先的な流れ領域に位置するかどうかにかかわらず、異なる層状チャネルの速度差を大幅に低減することが可能である。したがって、非常に低速又は負の速度で作動する層状チャネルを有する領域も回避される。
【0032】
更に、翼部が層状モジュールの幅全体にわたって互いに独立したチャネルを形成することを考えると、優先領域からの流れがより高速で上昇し、次いでモジュールの高領域を通って均質化システムの下を移動することが防止される。
【0033】
このようにして、本発明に係る層状モジュールによって形成された層状設備では、タンクのヘッドから縦方向であろうとタンクの側面から横方向であろうと、浄化される流出物の分配のタイプに関係なく、改善された性能が達成され、更に、組み込まれた均質化システムを通る流れの十分なバランスは、上記バランスを達成するために水の均一な抽出がもはや必要ではないので、流出路チャネルを排除することを可能にする。
【0034】
これにより、全ての層状チャネルが平均設計速度に近い速度で動作することが可能になり、その結果、水中に存在する固体は、各層状チャネルの下側に到達する時間があり、層状チャネルを一緒にグループ化し、その下端開口を通して浄化器の基部に向かって層状チャネルを残す。このようにして、層状設備は、設計値に近い効率値で動作する。
【0035】
高速で作動する流路の存在を防止することにより、いくらかの固体がその上端部分を通って流路を出る可能性が低減され、これらの固体の一部が層状設備の上端面に堆積されるときに生じる通常の効率損失及び早期の付着が生じる。これにより、薄層の維持及び洗浄作業が減少する。
【0036】
更に、本発明の薄層を考慮すると、層状パッケージ下の流出物流が層状チャネルの入口に到達する向きにかかわらず、移行長を短縮して平行流線を有する安定した層流を確立することによって生じる乱流を低減することが可能である。これらの乱流、したがって移行長さは、層状チャネルへの入口速度に正比例し、したがって、優先領域に位置するチャネルで発生するであろう入口速度を低減することによって、入口速度に関連する移行長さも低減され、全てのチャネルの性能を最適化し、移行長さに関連する効率損失を低減する。
【0037】
同様に、入口領域における層状チャネルの水平に対するより大きな傾斜は、移行領域が薄層の下端折り目を越えて層状チャネルの作業領域まで延びるのを防止する。チャネルのこのより大きな傾斜はまた、この入口領域における固形物の排出に有利であり、前述の蓄積を回避し、入口流に利用可能な通路セクションを増加させ、その速度を低下させ、乱流を減少させ、入口流出物の流れによる固形物の一部の移行長さ及びエントレインメントを減少させる。
【0038】
本発明に係る薄層の好ましい実施形態では、長手方向直線折り目に設けられた翼部と、長手方向縁部に設けられた端部翼部の両方が、プレートの上端部分からその下端縁部まで延びる。
【0039】
一方、単一部品プレートは、プラスチック射出技術を用いて製造されたプラスチックプレートであることが好ましい。
【0040】
ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)、再生プラスチック又はそれらの組み合わせは、本発明に係る薄層の単一部品プレートを製造するための好ましいプラスチック材料の非限定的な例である。
【0041】
この意味で、プラスチック押出もプラスチック熱成形も、薄層に本発明に記載されているような複雑な幾何学的形状を装備させることができないことに留意することが重要である。薄層に異なる厚さ、穿孔、長手方向折り目及び横方向折り目、異なる位置のリブなどを装備することは、最新技術に存在する前述の技術では不可能である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、薄層は、翼部を備えるとともにプレートの上端部分から下端縁部まで延びる少なくとも1つの長手方向直線構造折り目を備え、前記構造折り目は、一対の長手方向直線リブの間に介挿され、それにより、前記一対の長手方向リブ間に含まれる空間は、矢状方向で前方に突出するとともに角部に構造折り目が位置するV字形壁を有する構造突出部を画定し、構造突出部のV字形壁によって規定される角度は、必要な機械的強度を提供するために、従来の突出部の壁によって規定される角度よりも鋭角である。
【0043】
構造折り目は、好ましくは、より大きな厚さと、支持要素を収容するようになっている穿孔を含む少なくとも1つの固定点とを備える。前記穿孔は、好ましくは円錐形である。
【0044】
本発明の好ましい実施形態では、薄層は、上端横方向折り目に最も近い穿孔を含む上端固定点と、その下端部分及び下端横方向折り目の下に位置する穿孔を含む下端固定点とを備えた少なくとも1つの構造折り目を備える。
【0045】
好ましくは、薄層はまた、複数の構造翼部を備え、1つの構造翼部は、各長手方向直線構造折り目の矢状方向の前部に配置され、1つの構造翼部は、各長手方向直線構造折り目の矢状方向の後部に更に配置される。
【0046】
更により好ましくは、プレートの上端部分の平坦部には、その2つの長手方向縁部のそれぞれに、上端長手方向閉鎖部が設けられる。
【0047】
同様に、プレートが構成するそれぞれの長手方向直線リブごとに、V字形ディフレクタが好ましくは設けられ、前記V字形ディフレクタは、上端横方向折り目の平坦部の下端面に配置される。
【0048】
薄層の平坦部の部分的な重なりを考えると、V字形ディフレクタは、隣接する薄層の平坦部の上端面に載置され、幾つかの機能を果たし、一方では、設置された全てのモジュールで流量バランスを達成し、浄化プロセスを改善するために必要な値まで圧力降下を増加させるために、流出流路を部分的に閉じる。更に、それらは、自動洗浄装置、例えばスペイン特許第201530891号明細書に開示されているような自動洗浄装置のノズルによって生成された流れを収集して導くことを可能にする。
【0049】
隣接する薄層間の前記重なりは、層状チャネルの内部に到達する太陽光の量も減少させ、その結果、藻類の成長及びその中の微生物学的プロセスの問題を減少させるので、有利である。
【0050】
更により好ましくは、上端横方向折り目の平坦部の下端面には複数の突出部が設けられ、前記突出部のそれぞれは、プレートの長手方向直線折り目のうちの1つ又は長手方向直線構造折り目のうちの1つと整列されている。
【0051】
本発明の第2の態様は、互いに直接接触することなく平行に配置され、支持要素に取り付けられた、本発明の第1の態様に係る2つ以上の薄層を含む浄化器用の層状モジュールに関する。
【0052】
本発明に係る浄化器のための層状モジュールの好ましい実施形態では、薄層は、
-薄層のそれぞれのプレートの下端部分が水平に対して65~80°の傾斜を有し、上端横方向折り目と下端横方向折り目との間に備えられるプレートの中間部が水平に対して45~65°の傾斜を有するように、かつ
-各薄層のプレートの上端部分の平坦部が1°~10°の範囲に含まれる角度を水平と成すように、
配置される。
【0053】
前段落で説明した構成は、各層状モジュールに設けられた薄層が以下の特徴を有することを意味する。
-薄層は互いに平行であり、その作業位置において水平に対して45°~65°の間の角度でその主長手方向(中間領域)を画定する。
-薄層は、各長手方向直線リブの両側の平面の表面と、それらの間の中間隔壁を完成させる長手方向折り目上に位置する翼部とによって画定される複数の独立した層状チャネルを画定する。
-前記層状チャネルは、その下端領域において、下端縁部と下端横方向折り目との間に含まれ、水平に対して65°~80°の間の傾斜、すなわちその中間領域よりも大きい傾斜を有する。
-更に、層状チャネルは、その下端領域及び下端横方向折り目の前に側口を有する。長手方向直線折り目に設けられた翼部、長手方向縁部に設けられた端部翼部、及び、適切な場合には、構造折り目に設けられた構造翼部によって生成された開口;
-上端横方向折り目から画定された平坦部は、水平に対して小さい角度(1°~10°の間に含まれる)を示し、これにより、そのすぐ後ろに位置する薄層の平坦部の一部と重なることが可能になり、均質化システムをそれ自体の構造に組み込む。
-この重なりは、水の通過に利用可能な部分を減少させ、その速度、したがってその圧力降下を増加させ、それが層状モジュール自体に組み込まれた流量バランスシステムとして機能する理由である。更に、太陽放射に対する保護に役立つ。
【0054】
本発明の好ましい実施形態では、層状モジュールは、以下を特徴とする。
-薄層のそれぞれは、少なくとも1つの長手方向構造折り目を備え、上端横方向折り目に最も近い穿孔を含む上端固定点と、前記長手方向構造折り目の下端部分に位置する穿孔を含む下端固定点とを備え、
-支持要素は、ねじ付きロッドの少なくとも2つのグループを備え、第1のグループのねじ付きロッドは、薄層の上端固定点の穿孔と交差するように配置され、第2のグループのねじ付きロッドは、薄層の下端固定点の穿孔と交差するように配置される。
【0055】
更に、層状モジュールは、好ましくは、
-薄層の上端固定点に配置される少なくとも1つの上端スペーサであって、第1のグループのねじ付きロッドの少なくとも1つが貫通できるようにする貫通孔が設けられる、少なくとも1つの上端スペーサ、及び
-薄層の下端固定点に配置される少なくとも1つの下端スペーサであって、第2のグループのねじ付きロッドの少なくとも1つが貫通できるようにする貫通孔が設けられる、少なくとも1つの下端スペーサ、
も備える。
【0056】
これらのスペーサには、好ましくは、少なくとも1つのねじ付きロッドを収容し、薄層を横切って接合されるようになっている円錐台形ブッシングが設けられ、少なくとも他のブッシングが別の隣接するスペーサに設けられる。各薄層とのスペーサの支持及び締結領域において、前記スペーサは、好ましくは、一旦層状モジュールが組み立てられると、各薄層の配向を決定する傾斜を有する。
【0057】
好ましくは、端部品は、層状モジュールの各端部で支持要素を完成させ、アセンブリを固定する締結手段、好ましくはナットの正しい支持を容易にするねじ付きロッドに垂直な垂直面をそれに備える。
【0058】
薄層の下端縁部付近に配置される下端スペーサには、支持ベースに結合するための結合手段が設けられることが好ましい。
【0059】
前記支持ベースは、浄化器のタンク内に配置されるようになっており、モジュールを支持するためのベースとして機能することに加えて、浮上防止装置としても機能する。
【0060】
本発明の好ましい実施形態では、支持ベースは、下端スペーサを結合するための結合手段が収容される少なくとも1つの逆T字形輪郭を備える。
【0061】
本発明をより容易に理解できるようにするために、図面のセットの非常に簡単な説明を以下に提供する。これらの図面は、前記発明の実施形態に明示的に関連し、その非限定的な例が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明に係る薄層の第1の実施形態の斜視図である。
図2】本発明に係る薄層の第2の実施形態の斜視図である。
図3A図1の薄層の上端部分をより詳細に示す拡大図である。
図3B図1の薄層の下端部分をより詳細に示す拡大図である。
図4】薄層の一実施形態の上端部分をより詳細に示す拡大図であり、その上端部分の平坦部には、流出物通路チャネルを部分的に閉じるためのV字形部分及び突出部が設けられる。
図5A】本発明に係る層状モジュールの想定し得る実施形態を示す。
図5B図5Aの層状モジュールの上端部分をより詳細に示す拡大図である。
図5C図5Aの層状モジュールの下端部分をより詳細に示す拡大図である。
図5D図5Aの層状モジュールの部分分解側面図である。
図5E図5Aの層状モジュールの下端図の拡大詳細図である。
【符号の説明】
【0063】
(1)薄層
(5)プレート
(5a)薄層の上端部分
(5b)薄層の下端部分
(5c)薄層の上端縁部
(5d)薄層の下端縁部
(10)長手方向直線リブ
(15)長手方向直線折り目
(15’)長手方向直線構造折り目
(20)上端横方向折り目
(20a)横方向折り目の平坦部
(30)突出部
(30’)構造突出部
(40)翼部(長手方向直線折り目に設けられる)
(40’)構造翼部(長手方向直線構造折り目に設けられる)
(40”)端部翼部(プレートの長手方向縁部に設けられる)
(50a)上端穿孔
(50b)下端穿孔
(60)下端横方向折り目
(70)V字形ディフレクタ
(85)上端長手方向閉鎖部
(90)突部
(100)層状モジュール
(105a)上端スペーサ
(105b)上端スペーサ
(110a)上端部
(110b)下端部
(120)支持ベース
(130)支持ベースに結合するための結合手段
(140a)ロッドの第1のグループ
(140b)ロッドの第2のグループ
(150)側口
(L)長手方向
(T)横方向
(S)矢状方向
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明の様々な好ましい実施形態を以下に記載する。
【0065】
本明細書及び添付の図面を通して、同等又は類似の機能を有する要素は、同じ参照番号で示される。
【0066】
図1は、本発明に係る薄層(1)の第1の実施形態を示す。更に、より明確にするために、前記図は、本発明の目的を説明するのに必要な以下の方向、すなわち、長手方向(L)、横方向(T)及び矢状方向(S)を示す。
【0067】
ここに示す実施形態では、前記薄層は、上端縁部(5c)で終端する上端部分(5a)と、下端縁部(5d)で終端する下端部分(5b)とを備えた単一部品長方形プレート(5)を含む。更に、端部翼部(40”)は、プレート(5)の2つの長手方向縁部のそれぞれに配置される。
【0068】
プレート(5)は、その上端部分(5a)から下端縁部(5d)まで延びる複数の長手方向直線リブ(10)を備える。
【0069】
同様に、プレート(5)の上端部分(5a)から下端縁部(5d)まで延びる長手方向直線折り目(15)が設けられている。更に、折り目(15)のそれぞれは、一対の長手方向リブ(10)の間に介挿され、それにより、前記一対の長手方向リブ(10)の間に含まれる空間は、突出部(30)又はリッジを画定し、V字形壁は、矢状方向(S)に前方に突出し、その角部に長手方向直線折り目(15)が配置される。
【0070】
長手方向直線折り目(15)のそれぞれには、その長手方向延在部全体に沿って延びる折り目上に翼部(40)が設けられる。
【0071】
同様に、プレート(5)には、上端部分(5a)に設けられ、平坦部(20a)を画定する上端横方向折り目(20)が設けられる。前記平坦部(20a)は、折り目点からプレート(5)の上端縁部(5c)まで一定の距離だけ矢状方向(S)に後方に延びる。
【0072】
更に、プレート(5)の下端部分(5b)には、矢状方向(S)に後方に湾曲する下端横方向折り目(60)が設けられ、それにより、薄層がその作動位置にあるとき、プレートの前記下端部分(5b)は、上端横方向折り目(20)と下端横方向折り目(60)との間に含まれる中間部よりも大きい角度を水平に対して形成する。
【0073】
図1に示す実施形態では、浄化器のための薄層(1)はまた、プレート(5)の上端部分(5a)から下端縁部(5d)まで延びる長手方向直線構造折り目(15’)を含む。前記構造折り目(15’)には、穿孔(50a及び50b)の周囲を除いて、その長手方向延在部の大部分にわたって長手方向に延びる構造翼部(40’)が設けられている。
【0074】
各構造折り目(15’)は、一対の長手方向直線リブ(10)の間に介挿され、その結果、前記一対の長手方向リブ(10)の間に含まれる空間は、矢状方向(S)に前方に突出し、構造折り目(15’)がその角部に位置するV字形壁を有する構造突出部(30’)を画定する。構造突出部(30’)のV字形壁によって規定される角度は、従来の突出部(30)の壁によって規定される角度よりも鋭角であり、その機械的強度を高めるためにより大きな厚さを有する。
【0075】
本発明のこの実施形態では、構造折り目(15’)は、穿孔(50a)が設けられた上端固定点と、穿孔(50b)が設けられた下端固定点とを備える。穿孔(50a,50b)は、層状モジュール支持要素の一部であるロッドを収容するようになっている。
【0076】
図3A及び図3Bは、図1の薄層の上端部分及び下端部分をそれぞれ示す拡大図である。
【0077】
したがって、例えば、図3Aは、とりわけ、従来の突出部(30)と薄層の構造突出部(30’)の両方を明確に示している。上端部分(5a)の平坦部(20a)に設けられた上端長手方向閉鎖部(85)も示されている。
【0078】
その部分に関して、図3Bは、例えば、プレートの下端縁部(5d)及び下端固定点に対応する穿孔(50b)を特に明確に示す。
【0079】
図2は、それに関する限り、図1の実施形態のものと非常に類似した要素を備えた、本発明に係る薄層(1)の第2の実施形態の斜視図である。しかしながら、図2は、本発明の好ましい実施形態におけるV字形ディフレクタ(70)の配置を概略的に示している。前記V字形ディフレクタ(70)は、シートメタルの上端横方向折り目の平坦部(20a)の下端面の下に配置され、図2に示す視点から見ることができる。
【0080】
図4は、本発明による薄層の別の実施形態を示し、これはまた、シートメタルの上端横方向折り目の平坦部(20a)の下端面の下にV字形ディフレクタ(70)を備え、更に突出部(90)を備えている。後で詳細に説明するように、本発明で企図されるV字形ディフレクタ(70)及び突出部(90)の両方は、層状チャネルを部分的に閉塞して水の通過部分を減少させ、その通過速度を増加させ、したがって、浄化プロセス中にその性能を改善するために発生する圧力降下を増加させることを意図している。
【0081】
図5A図5B図5C図5D及び図5Eは、本発明による浄化器のための層状モジュール(100)の可能な実施形態を示す。モジュール(100)は、互いに直接接触することなく、平行に配置された複数の薄層(1)を備える。
【0082】
前記図に示す本発明の実施形態では、薄層(1)のそれぞれは、穿孔(50a)を含む上端固定点及び穿孔(50b)を含む下端固定点を備えた2つの長手方向構造折り目を備えている。
【0083】
層状モジュール(100)は、ねじ付きロッド(140a)及び(140b)の2つのグループを更に備える(図4Dに見える)。層状モジュールの組み立てられた動作状態では、第1のグループのねじ付きロッド(140a)は、薄層(1)の上端固定点の穿孔(50a)を横切る一方で、第2のグループのねじ付きロッド(140b)は、薄層の下端固定点の穿孔(50b)を横切る。
【0084】
更に、上端スペーサ(105a)は、隣接する薄層(1)の各対の間の上端固定点に配置される。上端スペーサ(105a)には、第1のグループのねじ付きロッド(140a)の一方をその中に収容することを可能にする円錐台形ブッシングを備えた貫通孔が設けられている。図5Dに示すように、それぞれの上端部品(110a)は、層状モジュール(100)の最初の薄層(1)の前及び最後の薄層(1)の後に配置される。
【0085】
同様に、下端スペーサ(105b)は、隣接する薄層(1)の各対の間の下端固定点に配置される。下端スペーサ(105b)にはまた、第2のグループのねじ付きロッド(140b)の一方をその中に収容することを可能にする円錐台形ブッシングを有する貫通孔が設けられる。同様に、図5Dに示すように、それぞれの下端部品(110b)は、層状モジュール(100)の最初の薄層(1)の前及び最後の薄層(1)の後に配置される。
【0086】
更に、下端スペーサ(105b)には、浄化器のタンクの内側に配置されるようになっている逆T字形プロファイルの支持ベース(120)に結合するための結合手段(130)が設けられ、モジュールを支持するためのベースとして機能することに加えて、浮上防止装置としても機能する。
【0087】
これらの結合手段(130)は、前記セパレータの下端部分に配置され、各逆T字形輪郭の上端部分に嵌合する2つのピンからなる。ピン及びプロファイルの幾つかの穿孔は、モジュールを支持プロファイルに固定する貫通要素を収容することを可能にする。貫通要素は、例えば、ねじ又はリベットであってもよい。
【0088】
浄化タンクの寸法に応じて、構造プロファイル又は梁は、支持ベース又は逆T字形プロファイルに追加の強度を提供するために必要とされ得る。
【0089】
図5Eは、層状モジュールのこの実施形態において、各薄層(5)のプレートがその下端部分において、その中間部よりも水平に対してより大きな傾斜を示すという事実に起因して、側口(150)が層状チャネルの下端部分にどのように形成されるかを示す。
【0090】
図5A図5Eに示す本発明の好ましい実施形態では、層状モジュール(100)が浄化タンク内に組み立てられて配置されると、前記モジュール(100)は以下の特徴を有する。
-それを含む全ての薄層(1)は、互いに平行に配置されている。
-このように形成された層状モジュール(100)は、各長手方向リブ(10)、翼部(40)、構造翼部(40’)、及び適切な場合には端部翼部(40”)の両側の平面の表面によって区切られた独立した層状チャネルを有する。これらのチャネルの幾何学的形状は、下端横方向折り目(60)から上端横方向折り目(20)の高さまで一定のままであり、その幾何学的形状は、低断面平坦チャネルに変換される。
-各薄層の上端平坦領域(20a)は、隣接する薄層の平坦領域(20a)と部分的に重なり合う。上端折り目の角度に応じて、このオーバーラップ領域内の各薄層の下端面と上端面との間の自由距離は、2~6mmになる。重複領域は、好ましくは、15~25mm延びる。
図5Bに詳細に示すように、各重複領域において、隣接する薄層(1)の平坦領域の上端面に載置されたV字形ディフレクタ(70)は、平坦領域の下端面の下に収容され、水の通過に対する閉鎖部を生成する。更に、V字形ディフレクタ(70)間で、隣接する薄層の平坦領域の上端面に載置された突部(90)は、平坦領域の下端面の下に収容される。重複領域内の水の通過を部分的に閉鎖するV字形ディフレクタ(70)と突部(90)との間には、通水路セクションを制限するスロットが形成され、したがってその時点での速度及び発生する圧力降下を増加させる。
【0091】
V字形ディフレクタ(70)のサイズ及び薄層(1)間の重なり合う表面間の分離距離に応じて、長さ8mm~20mm及び高さ2mm~6mmのスロットが形成されることが好ましい。しかしながら、この寸法設定は、各設備の必要性に応じて異なり得る。
【0092】
スロットの上端構成は、形成された各チャネルが同じサイズの2つのスロットを有するようなものであり、その結果、チャネルを通って流れる全ての水は、その通路部分によって決定される速度で、2つのスロットのアセンブリを必ず通過しなければならず、前記速度に対応する圧力降下を生成する。
-V字形ディフレクタ(70)と、各薄層(1)の平坦領域の下端面の下に収容され、隣接する薄層と重なり合う領域にある突部とによってもたらされる可変部分の連続スロットの形態の部分閉鎖部の幾何学的形状は、水の通過の突然の狭窄に関連する圧力降下、最も狭い領域のスロットを通るまさに通過に関連する圧力降下、及び最も狭い領域のスロットを通過した後の流れの漸進的な膨張に関連する圧力降下を生成する。この圧力降下のセットは、優先経路領域に存在する水の慣性を停止するのに必要な圧力降下よりもはるかに高い。高速水が優先領域に位置する層状ダクトに到達すると、各チャネルのスロット内の公称流れで生成された圧力降下は、流れが著しく増加するのを防ぎ、モジュールの下の流れをチャネルに向けてそらし、より低い流量を有する傾向があり、設置された全てのチャネルで上昇速度を平準化する。
-V字形ディフレクタ及び各薄層の平坦領域の下端面の下に隣接する薄層と重なる領域に収容された直線状突部によってもたらされる閉鎖部の形状は、洗浄機器のノズルによって生成される流れの受け取り及び集中を容易にし、ノズルによって推進される加圧水を通過スロットの方向に導く。
-独立したチャネルを生成することにより、水が層状モジュールに対して横方向に移動するのを防ぐ。これにより、優先領域で高い上昇速度が発生することが防止され、この流れがモジュールの上端部分に到達したときに閉鎖システムの下でモジュールの他の領域又は隣接するモジュールに移動することが防止される。
-薄層の幾何学的形状を考えると、各層状チャネルは、水が入るその下端領域において水平に対してより大きな傾斜(65°~80°)を有する部分を備える。方向の変化による乱流は、ほとんどこの領域で発生し、浄化が効果的でない移行距離を減少させる。この領域が通過すると、水は、水平に対してより低い傾斜(45°~65°)で、層状チャネルの作業領域、言い換えればその中間領域を通って上昇し続けるが、安定した層状領域に典型的な平行流線を既に示しており、プロセスの性能を高める。同様に、そのより大きな傾斜を考慮すると、この入口領域は固形物の排出に有利であり、チャネルの入口での固形物の蓄積を防止し、水の通過に利用可能な表面積を増加させ、その入口速度を低下させ、再び上方向への固形物の同伴を最小にする。
-この下端領域では、長手方向翼部(40、40’及び40”)は、層状チャネルが側部領域で部分的に開くようなサイズである。横方向の水の分布又は横方向成分を有する分布では、これらの開口は、流れの一部が低速で隣接するチャネルへの開口を通過することを可能にし、部分的に積層され、入口の乱流及び無効な移行領域の低減に再び寄与する。
【0093】
各モジュール(100)は、タンク内及びその支持ベース(120)上の最終的な配置において、隣接するモジュールと位置合わせされ、互いに完全に結合され、その結果、前に配置されたモジュールの最後の薄層は、下に配置された最初のモジュール薄層と同じ態様で重なる。
【0094】
しかしながら、本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるべきではない。当業者は、本明細書で提供される説明に照らして他の実施形態を開発することができる。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
【国際調査報告】