(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】温度制御される空間を温度制御するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20240927BHJP
F25B 13/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F25B13/00 M
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024520523
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2022076419
(87)【国際公開番号】W WO2023052244
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】102021211049.5
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102022201790.0
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524123311
【氏名又は名称】エクールテック・グロスコフ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・ズース
【テーマコード(参考)】
3L092
【Fターム(参考)】
3L092BA06
3L092BA08
3L092BA26
3L092DA03
3L092FA09
3L092FA22
(57)【要約】
空間制限体(20)が温度制御される空間(5)を周囲領域(21)から分離する状態で、温度制御される空間を温度制御するための装置は、蒸発器(4)、凝縮器(2)、圧縮機(1)、および膨張要素(3)を伴う一次ヒートポンプ回路であって、一次ヒートポンプ回路は可燃性などの自然の一次作動流体を含み、蒸発器(4)、液化装置(2)、圧縮機(1)、および膨張要素(3)は、温度制御される空間の外部に配置される、一次ヒートポンプ回路と、熱交換器(7、10)を介して、蒸発器(4)または凝縮器(2)に熱的に結合され、蒸発器(4)または凝縮器(2)から流体的に分離されると共に、温度制御される空間(5)に配置され、一次作動流体と異なる二次流体を含む配管構成(15a、15b)を介して熱交換器(7、10)に接続される温度制御要素(11、14)を備える二次回路であって、配管構成(15a、15b)は空間制限体(20)を貫通する、二次回路と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間制限体(20)が温度制御される空間(5)を周囲領域(21)から分離する状態で、前記温度制御される空間を温度制御するための装置であって、
蒸発器(4)、凝縮器(2)、圧縮機(1)、および膨張要素(3)を伴う一次ヒートポンプ回路であって、前記一次ヒートポンプ回路は自然の一次作動流体を含み、前記蒸発器(4)、前記液化装置(2)、前記圧縮機(1)、および前記膨張要素(3)は、前記温度制御される空間の外部に配置される、一次ヒートポンプ回路と、
熱交換器(7、10)を介して、前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)に熱的に結合され、前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)から流体的に分離されると共に、前記温度制御される空間(5)に配置され、前記一次作動流体と異なる二次流体を含む配管構成(15a、15b)を介して前記熱交換器(7、10)に接続される温度制御要素(11、14)を備える二次回路であって、前記配管構成(15a、15b)は前記空間制限体(20)を貫通する、二次回路と、
制御信号(31、32)への応答として、前記一次ヒートポンプ回路が、エネルギーを前記熱交換器(7、10)から消散させるために冷凍モードで構成され、前記装置が、前記温度制御要素(11、14)を介して、前記空間(5)を冷凍モードで冷却するように構成される一方で、エネルギーが前記熱交換器(7、10)に供給されるように、前記一次ヒートポンプ回路を除霜モードで制御するための制御装置(30)と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記二次流体は、作動温度範囲において蒸気と液体との間の相の変化を含み、不燃性であり、前記一次作動流体は、容易に燃えやすいか、ほとんど燃えないか、もしくは毒性があり、または、炭化水素、一部ハロゲン化された炭化水素、もしくはアンモニウム化合物の群に属する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御装置(30)は、前記熱交換器(7、10)に結合される前記一次ヒートポンプ回路の要素(2、4)が、その機能を、蒸発から凝縮へと切り替えるように、または、凝縮から蒸発へと切り替えるように、前記制御信号(31)を介して前記一次ヒートポンプ回路を制御するように構成される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御信号(32)への応答として、前記二次回路における搬送方向を逆にするように構成される制御可能ポンプ(8)が、前記二次回路に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記制御信号は、前記装置が時間における規則的または不規則な点において前記除霜モードにさせられるように、前記温度制御要素(11、14)におけるセンサ、前記温度制御される空間(5)におけるセンサ、または、クロック発振器に由来する、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記一次ヒートポンプ回路の前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)は、前記熱交換器(10)に一体化させられるように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記熱交換器(7、10)および前記温度制御要素(11、14)は、最大で50メートルまで離間されるように配置されるか、または、内部ステータまたは外部ステータを備えるポンプ(8)が前記配管構成(15a、15b)に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記熱交換器(7、10)は、マイクロチャンネル熱交換器、プレート式熱交換器、またはフィン付き熱交換器を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記温度制御要素(11、14)は、マイクロチャンネル熱交換器、プレート式熱交換器、またはフィン付き熱交換器を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記二次回路は熱サイフォンサイクルとして構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記熱交換器(7、10)は熱交換器液体空間(10a)と熱交換器蒸気空間(10b)とを備え、前記温度制御要素は温度制御蒸気空間(11b)と温度制御液体空間(11a)とを備え、前記熱交換器(7、10)と前記温度制御要素(11、14)とは、蒸気の二次流体が、前記熱交換器蒸気空間(10b)と前記温度制御蒸気空間(11b)との間の前記配管構成の第1の領域(15b)において流れることができ、液体の二次流体が前記熱交換器液体空間(10a)と前記温度制御液体空間(11a)との間の前記配管構成の第2の領域(15)において流れることができるように、互いに対して配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記熱交換器(7、10)は、前記二次流体で満液にされるように前記温度制御要素(11、14)に対して配置され、温度制御は加熱であり、前記熱交換器(7、10)は前記一次ヒートポンプ回路の前記凝縮器(2)に結合される、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記温度制御要素(14)は、前記二次流体で満液にされるように前記熱交換器(7、10)に対して配置され、温度制御は冷却であり、前記熱交換器(7、10)は前記一次ヒートポンプ回路の前記蒸発器(4)に結合される、請求項10または11に記載の装置。
【請求項14】
前記温度制御要素(11、14)は、細長く、水平線に対して斜めの配向を備え、前記二次流体は、重力、ポンプ力、もしくは送風機力のため、または、前記温度制御要素においてそれに応じて配置された熱交換器のため、液体状態において上から下へと流れる、請求項10から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記熱交換器(10)は、
前記一次作動流体のための第1の接続部分(41)と、
前記一次作動流体のための第2の接続部分(42)と、
前記二次流体のための第3の接続部分(15a)と、
前記二次流体のための第4の接続部分(15b)と、
前記一次作動流体のための前記第1の接続部分(41)と前記一次作動流体のための前記第2の接続部分(42)との間で延びる通路部分(40)と、
前記二次流体のための前記第3の接続部分(15a)と前記二次流体のための前記第4の接続部分(15b)との間に延び、前記通路部分(40)が配置される相互作用領域(43)であって、前記通路部分(40)は、前記相互作用領域(43)に熱的に結合され、前記相互作用領域(43)から流体的に分離される、相互作用領域(43)と、
を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記圧縮機(1)は、前記制御信号(31)によって、前記一次ヒートポンプ回路の搬送方向において逆にされるように制御可能となるように、前記一次ヒートポンプ回路において構成される、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記圧縮機(1)はコンベヤホイールを備え、前記搬送方向を逆にするために、前記圧縮機は、前記制御信号(31)への応答として、前記コンベヤホイールの回転方向を逆にするように構成される、または、
前記圧縮機は四方弁を備え、前記搬送方向を逆にするために、前記圧縮機は、前記制御信号(31)への応答として、前記冷凍モードに基づいて、前記圧縮機の吸い込み側を前記蒸発器(4)から流体的に分離し、前記圧縮機の吸い込み側を前記凝縮器(2)に流体的に接続するか、もしくは、前記圧縮機の圧力側を前記凝縮器(2)から流体的に分離し、前記圧縮機の圧力側を前記蒸発器(4)に流体的に接続するように構成される、または、
前記圧縮機は四方弁を備え、前記搬送方向を逆にするために、前記圧縮機は、前記制御信号(31)への応答として、前記除霜モードに基づいて、前記圧縮機の吸い込み側を前記凝縮器(2)から流体的に分離し、前記圧縮機の吸い込み側を前記蒸発器(4)に流体的に接続するか、もしくは、前記圧縮機の圧力側を前記蒸発器(4)から流体的に分離し、前記圧縮機の圧力側を前記凝縮器(2)に流体的に接続するように構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記温度制御要素(11、14)を越えて空気を移動させるように、前記空間制限体(20)の中の前記温度制御される空間に配置される送風機(35)、または、
前記一次ヒートポンプ回路の前記凝縮器を越えて空気を移動させるように、前記空間制限体(20)の外部に配置される送風機、
をさらに備える、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記温度制御要素(11、14)は、前記二次流体のためのいくつかの通路を伴う液体-空気熱交換器を備えるか、または、マイクロチャンネル熱交換器、プレート式熱交換器、もしくはフィン付き熱交換器として構成され、
前記温度制御要素(11、14)は、液体状態での前記二次流体が前記熱交換器における前記二次流体のための前記いくつかの通路の少なくとも90%を通じて流れるように配置される、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記装置は、前記温度制御される空間を冷却するために構成され、前記温度制御要素(11、14)は、前記温度制御要素(11、14)が、液体状態での前記二次流体によって、最大で90%まで、または完全に満液にされるように、および、前記熱交換器が、液体状態での前記二次流体によって、最大で10%まで満液にされる、または蒸気の二次流体によって完全に包囲されるように、測地学的に前記熱交換器(7、10)の下方に配置される、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、前記温度制御される空間(5)を加熱するために構成され、前記温度制御要素(11、14)は、前記熱交換器(7、10)が、液体の前記二次流体によって、最大で90%まで、または完全に満液にされるように、および、前記温度制御要素(11、14)が、液体の前記流体によって、最大で10%まで満液にされる、または、蒸気の二次流体によって満液にされるだけ、もしくは蒸気の二次流体が用途されるように、測地学的に前記熱交換器(10)の上方に配置される、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
ポンプなしで、前記配管構成(15a、15b)を通る前記二次流体の循環が重力により起こるように構成される、請求項20または21に記載の装置。
【請求項23】
前記熱交換器(7、10)は、前記一次ヒートポンプ回路の前記蒸発器(4)または前記一次ヒートポンプ回路の前記凝縮器(2)と、配管によって互いから分離されるかまたは1つの同じ空間に配置される前記一次ヒートポンプ回路と前記二次ヒートポンプ回路とを熱的に結合するための前記熱交換器(10)と、を備える、請求項1から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
空間(5)を前記空間(5)の周囲領域(21)から分離する空間制限体(20)と、
請求項1から23のいずれか一項に記載の装置と、
を備える、温度制御される空間(5)。
【請求項25】
水上、道路上、レール上、空中、または宇宙において運ばれるために、移動輸送コンテナとして、または、車両における空間として構成される、請求項24に記載の温度制御される空間。
【請求項26】
固定の建物における空間として、または、独立した不動の空間として構成される、請求項24または25に記載の温度制御される空間。
【請求項27】
空間制限体(20)が温度制御される空間(5)を周囲領域(21)から分離する状態で、
蒸発器(4)、凝縮器(2)、圧縮機(1)、および膨張要素(3)を伴う一次ヒートポンプ回路であって、前記蒸発器(4)、前記液化装置(2)、前記圧縮機(1)、および前記膨張要素(3)は、前記温度制御される空間の外部に配置される、一次ヒートポンプ回路と、
熱交換器(7、10)を介して、前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)に熱的に結合され、前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)から流体的に分離されると共に、前記温度制御される空間(5)に配置され、前記一次作動流体と異なる二次流体を含む配管構成(15a、15b)を介して前記熱交換器(7、10)に接続される温度制御要素(11、14)を備える二次回路であって、前記配管構成(15a、15b)は前記空間制限体(20)を貫通する、二次回路と、
によって、前記温度制御される空間を温度制御するための方法であって、
前記一次ヒートポンプ回路において、自然の一次作動流体を使用するステップと、
前記二次回路の前記配管構成(15a、15b)において、前記一次作動流体と異なる二次流体を使用するステップと、
冷凍モードでは、エネルギーが前記熱交換器(7、10)から消散させられ、前記冷凍モードでは、前記空間(5)は前記温度制御要素(11、14)を介して冷却される一方で、制御信号(31、32)への応答として、除霜モードにおいて、エネルギーが前記熱交換器(7、10)に供給されるように前記一次ヒートポンプ回路を除霜モードで制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項28】
空間制限体(20)が温度制御される空間(5)を周囲領域(21)から分離する状態で、前記温度制御される空間を温度制御するための装置であって、
蒸発器(4)、凝縮器(2)、圧縮機(1)、および膨張要素(3)を伴う一次ヒートポンプ回路であって、前記一次ヒートポンプ回路は自然の一次作動流体を含み、前記蒸発器(4)、前記液化装置(2)、前記圧縮機(1)、および前記膨張要素(3)は、前記温度制御される空間の外部に配置される、一次ヒートポンプ回路と、
熱交換器(7、10)を介して、前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)に熱的に結合され、前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)から流体的に分離されると共に、前記温度制御される空間(5)に配置され、前記一次作動流体と異なる二次流体を含む配管構成(15a、15b)を介して前記熱交換器(7、10)に接続される温度制御要素(11、14)を備える二次回路であって、前記配管構成(15a、15b)は前記空間制限体(20)を貫通する、二次回路と、
を備える装置を製造するための方法であって、
自然の一次作動流体を前記一次ヒートポンプ回路へと導入するステップと、
前記空間制限体(20)を貫通する配管構成(15a、15b)を製造するステップと、
前記一次作動流体と異なる二次流体を前記配管構成(15a、15b)へと導入するステップと、
制御信号(31、32)への応答として、前記一次ヒートポンプ回路が、エネルギーを前記熱交換器(7、10)から消散させるために冷凍モードで構成され、前記装置が、前記温度制御要素(11、14)を介して、前記空間(5)を冷凍モードで冷却するように構成される一方で、エネルギーが前記熱交換器(7、10)に供給されるように、前記一次ヒートポンプ回路を除霜モードで制御するための制御装置(30)を製造するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御される空間を温度制御することに関し、詳細には、移動式または固定式の冷凍の用途における冷凍または熱の発生および分配に関する。
【0002】
詳細には、本発明は、移動式の冷凍用途または加熱用途における冷凍または熱の発生または分配のための方法および装置に関し、例えば、圧縮冷凍機械を用いて冷凍または加熱される、冷凍構造もしくは加熱構造を伴う路上用の動力車、トレーラ、もしくはセミトレーラのために、鉄道用もしくは海上用の冷凍もしくは加熱の構造またはコンテナのために、または、概して、換気もしくは空調の用途で温度制御される空間のために使用できる。
【0003】
さらに、本発明は、バス、または鉄道輸送における鉄道用客車など、移動式の用途における快適な空調の分野でも使用できる。しかしながら、原則として、純粋に技術的な視点から、本明細書に記載されている解決策は固定での用途において有利に使用できるため、本発明をこれらの分野に規制する必要はない。
【背景技術】
【0004】
圧縮冷凍機械は冷凍機械の最も一般的な設計である。この設計は、液体から気体へと、または気体から液体へと集合状態が変化するときに、蒸発熱の物理的効果を使用する。圧縮冷凍機械では、適切な熱力学特性を伴う冷媒が、
図2Aに示されているような閉じたサイクルで移動させられる。この場合、冷媒は集合状態の様々な変化を次々に受ける。気体の冷媒は、初めに圧縮機1によって圧縮される。続く熱交換器(または伝熱器)2(過程の凝縮器またはヒートシンク)において、冷媒は熱を放出する間に凝縮(液化)させられる。続いて、凝縮させられた冷媒は、圧力を低下させるために、膨張要素3を介して、または、最も単純な場合にはダイヤフラムまたはキャピラリチューブを介して、蒸発圧力へと膨張させられる。この過程において、冷媒は冷たくなる。下流の第2の熱交換器4(または伝熱器)(過程の蒸発器または熱源)において、冷媒は、低温において熱を吸収する間に蒸発する(蒸発冷却)。この過程において吸収される熱は、冷凍システムによって使用される冷たさを表している。吸収された熱流量は冷凍能力と称される。そのため、蒸発器は、冷凍される品物を熱源とできる限り直接的な接触とさせることで熱交換損失を最小限に保つように、冷凍構造において、冷凍コンテナにおいて、または、概して、用途の冷却される閉じた空間5において、直接的に有利に位置付けられる。ここで、サイクルが再び開始する。過程は、圧縮機を介して、機械的仕事(駆動力)を供給することで、外部から進行するように保たれなければならない。冷媒は、低い温度レベルにおいて熱出力を吸収し、より高い温度レベルにおいて技術的仕事を供給することで、通常その熱出力を周囲領域に発散させる。記載されている同一の過程は、
図2Bに示されているように、システムの凝縮器によって発せられた凝縮器熱が冷凍能力または蒸発器に供給されるエネルギーの代わりに使用される場合、ヒートポンプ過程と称される。この用途では、これは、システムの構成要素の適切な過程の制御および構成によって、用途の記載されている構造または閉じた内部空間へと、加熱の目的のための熱の形態でのエネルギーを供給する能力を結果的にもたらす。これを達成するための方法のうちの1つは、閉じた構造に位置付けられる熱交換器が構造の動作の間に加熱するような方法で、圧縮機の圧力側出口をその熱交換器に接続することである。そのために、残りの構成要素は、冷凍のための記載された用途の過程に従って、その機能を遂行する。熱供給は、閉じた空間における熱交換器の効率的な除霜を達成するために使用することもでき、その除霜は、時間制御またはデマンド制御のいずれかによって行うことができる。
【0005】
冷媒サイクルは、以下の4つの構成要素、すなわち、圧縮機1、凝縮器2、膨張要素3、および蒸発器4から本質的に成る。単段または多段の冷凍システムでは、区別は概して高圧側と低圧側との間で行われる。高圧側は、圧縮機の圧力側から、膨張要素への冷媒の入口まで延びる。低圧側は、膨張要素を出る冷媒の出口から圧縮機入口までの冷媒サイクルの一部を含む。これは、冷媒サイクルがヒートポンプとして動作させられる場合にも当てはまり、つまり、凝縮器によって提供される熱出力が、蒸発器の冷凍能力の代わりに使用される。記載されているように、熱出力は、用途を加熱するために、または、蒸発器を除霜するために、使用できる。
【0006】
用途に拘わらず、サイクルにおける循環の過程で使用される冷媒は、環境への影響ができるだけ少なく、コスト効果が高く、具体的にはエネルギー効率が高くされるべきである。冷媒の環境に有害な影響の重要な評価基準は、その地球温暖化係数(GWP)である。この値は、CO2(二酸化炭素)のGWP値に関連して、冷媒について与えられる。定義により、CO2は1のGWP値を有する。冷媒としてしばしば使用されているFガス(またはフッ素ガス)について、地球温暖化係数は数千の値を有する可能性がある。これはさらに、その生産、使用、または排気の間に大気へと放出され1キログラムのFガスが、数トンのCO2の温室効果と同等であり得ることを意味する。
【0007】
Fガスの最も重要な構成要素は、炭素、水素、およびフッ素である。Fガスは、しばしば非常にゆっくりと分解し、ひとたび放出されると、数百年間または数千年間にわたって大気に留まることもある。その滞留時間および地球温暖化係数のレベルに拘わらず、Fガスが分解するときに分解生成物が形成される。これらの物質は、トリフルオロ酢酸またはフッ化水素などであり、人または環境に長期間の悪影響をしばしば有する。これらの理由のため、国際的な立法が、規制および条例を用いて、冷媒としてのFガスの使用を益々規制しているか、または、さらには禁止している。消費者および冷凍技術の使用者によるだけでなく、社会全体にもよる冷媒としてのFガスの容認は低下してきており、結果として、冷媒およびヒートポンプの製造業界は、Fガスの使用に基づく既存の冷凍技術の代替を益々求めている。
【0008】
特許文献1は、ヒートポンプと、消費者側回路と、消費者側回路におけるガス分離器として構成されているバッファタンクと、を伴うヒートポンプシステムを示している。プロパンがヒートポンプで使用されており、ヒートポンプは建物の外部の安全な領域に配置されている。
【0009】
特許文献2は車両の空調のための構成を示しており、第1のサイクルが冷凍モードと加熱モードとの間で切り替えることができる。CO2が、第1の超臨界的に動作可能なサイクルにおける熱交換流体として循環する。車両のモータ駆動のための冷却剤が第2のサイクルで循環する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国実用新案出願第202022100810号明細書
【特許文献2】独国特許出願第102007039195号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
温度制御される空間を温度制御するための向上した概念を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の装置、請求項24に記載の温度制御される空間、請求項27に記載の温度制御される空間を温度制御するための装置を動作させるための方法、または、請求項28に記載の度制御される空間を温度制御するための装置を製造するための方法によって、解決される。
【0013】
空間制限体が温度制御される空間を周囲領域から分離する状態で、温度制御される空間を温度制御するための装置が、蒸発器、凝縮器、圧縮機、および膨張要素を伴う一次ヒートポンプ回路を含み、一次ヒートポンプ回路は自然の一次作動流体を備え、蒸発器、凝縮器、圧縮機、および膨張要素は、温度制御される空間の外部に配置される。この装置は、熱交換器を介して、蒸発器および凝縮器に熱的に結合され、蒸発器および凝縮器から流体的に分離される回路であって、温度制御される空間に配置され、一次流体と異なる二次流体を備える配管構成を介して熱交換器に接続される1つ以上の温度制御要素を備える回路をさらに含み、配管構成は空間制限体を貫通する。
【0014】
本発明は、温度制御される空間の外部に、つまり、温度制御される空間の周囲領域に配置される一次ヒートポンプ回路において、可燃性など、生命体によって吸い込まれるときに閉じた空間にとって好ましくない特性を有し得る自然の一次作動流体が使用されるという発見に基づかれている。他方では、典型的には無害である、または、不燃性であるため生命体にとって危険性が低い異なる二次流体が、二次回路で使用される。したがって、本発明によれば、一方で、圧縮および一次ヒートポンプ回路にとって好ましい特性を有し、他方で、温度制御される(閉じた)空間における温度制御にとって好ましい特性を有する一次作動流体と二次流体とが、互いと組み合わせられ得る。
【0015】
具体的には、自然冷媒の例としての可燃性の一次作動流体の使用は、圧縮冷凍サイクル/加熱サイクルにおいて、高い環境適合性と良好なエネルギー効率特性とを可能にする。他方では、このような冷媒/加熱剤は、概して、その可燃性のため、相当な追加的な労力によってでしか閉じた空間で使用できない。このような冷媒は、例えば、プロパン(R290)またはプロペン(R1270)などの炭化水素(HC)である。Fガス以外の他の一次作動流体には、若干だけ可燃性であるが、閉じた空間において人体に対して毒性があり、そのため望ましくないNH3またはNH3/DME(R723)がある。冷凍のためのこのグループの作動流体には、その分子構成のため可燃性であるフッ素化された炭化水素もある。
【0016】
他方では、不燃性であり、そのため危険性の低い冷媒/熱伝達媒体が二次回路で使用でき、この冷媒/熱伝達媒体は、冷凍または熱の発生のためには使用されず、冷熱の分配および熱の分配のためだけに使用され、理想的には、冷熱または熱を輸送するときに相の変化を受ける。好ましくは、熱輸送の間にその集合状態を変化させる二次流体が使用される。熱が一定の温度において吸収または放出され、熱サイフォンの原理が、蒸気と液体との間における密度の差によって駆動される。
【0017】
空間制限体を貫通する配管構成と、空間の外部に配置される、熱交換器の少なくとも一部を含む一次ヒートポンプ回路の要素と、は可燃性などの自然の作動流体が閉じた空間に入るのを防止する。輸送される熱/冷熱を伴う非臨界の熱媒体だけが閉じた空間に入り、輸送された熱/冷熱を、温度制御要素を介して空間へと放出する。温度制御要素は、典型的には二次流体-空気の熱交換器となるが、熱交換器は一次作動流体-二次流体の熱交換器となる。そのため、熱交換器は、加熱が温度制御として達成される場合、一次ヒートポンプ回路の凝縮器に結合される。しかしながら、冷却が温度制御として使用される場合、熱交換器は一次ヒートポンプ回路の蒸発器に熱的に結合される。好ましい実施形態では、蒸発器および凝縮器は、一次ヒートポンプ回路の対応する要素が圧縮機の動作方向に依存して両方の機能を実施することができるように構成される。
【0018】
さらに、熱交換器の実施は、一次ヒートポンプ回路の実際の蒸発器または凝縮器が一次作動流体-二次流体の熱交換器に直列で接続されるような方法で構成され得る。代替で、機能は単一の要素で一体化させることもでき、これは、一方では、一次ヒートポンプ回路において蒸発/凝縮を達成し、他方では、熱または冷熱を一次ヒートポンプ回路から二次回路へと伝達する。一次作動流体-二次流体の熱交換器が一次ヒートポンプ回路の実際の凝縮器または蒸発器に直列で接続される場合、2つの要素の配置、つまり、一次ヒートポンプ回路の実際の凝縮器または蒸発器が、実際の条件に応じて自由に選択可能に、一次作動流体の流れの方向において、一次作動流体-二次流体の熱交換器の前または後に配置される。一次ヒートポンプ回路の蒸発または凝縮の2つの機能と、2つの流体が互いから厳格に分離されている一方で、一方の流体から他方の流体への熱伝達の機能と、が単一の要素へと一体化される場合、この要素も、温度制御される空間の外部に配置され、つまり、温度制御される空間から空間制限体によって分離される周囲領域に配置される。
【0019】
好ましい実施形態では、温度制御要素は、相転移を伴う空気-二次流体の熱交換器である。この場合、二次回路の配管構成は、液体の二次流体が流れる第1の部分と、蒸気の二次流体が流れる第2の部分と、を備える。実施に依存して、二次回路は、重力と、二次流体の気相と液相との間の密度における差と、のみにより、二次流体が二次回路において輸送されるような方法で、駆動部なしに、つまり、熱サイフォンの概念だけに従って、実施することができる。しかしながら、実施形態に依存して、ポンプは、二次流体の循環を支援するために、配管構成の液体運搬部にも配置され得るか、または、ファンが配管構成の蒸気運搬部に配置され得る。
【0020】
特に、二次回路においてこのような支援を使用するとき、二次回路における汲み上げまたは送風の方向に依存して、温度制御要素の凍結を回避し、延いては効率の損失を回避するために、温度制御される空間において、通常の冷凍用途の間における特定の時間に除霜を行わせる制御装置を提供することが好ましい。また、制御装置によって制御されるポンプまたはファンは、例えば、空気条件が広い温度範囲にわたって達成される場合、一定の温度が達成されるときなど、温度制御される空間が実際に加熱されるとき、選択された時間に冷凍モードに切り替わるために使用することもできる。
【0021】
好ましくは、制御装置は、一次ヒートポンプ回路においてサイクルを逆に変化させるようにも構成され、これは、例えば、蒸発器が熱交換器に結合されるような方法、つまり、冷却用途が行われているような方法で一次ヒートポンプ回路が動作する場合に、圧縮機の搬送方向を切り替えることで蒸発器が凝縮器になるような方法で一次ヒートポンプ回路が動作するように、圧縮機の搬送方向を逆にすることと等価である。これは熱を熱交換器に供給し、これは、熱が温度制御される空間にも供給されることを意味する。搬送方向を切り替えることは、圧縮機が、圧縮機ホイールの回転方向を切り替えることで、または、一次ヒートポンプ回路の蒸発器および凝縮器の圧力側および吸い込み側に結合される四方弁を切り替えることで、達成することができる。
【0022】
二次回路が、ポンプまたはファンを有していない場合、つまり、圧縮機の搬送方向を切り替えることで、または、一次ヒートポンプ回路における弁を用いてなど、冷凍サイクルを逆にすることで、熱サイフォンの原理に従って単に動作する場合、切り替えが、短い期間の除霜の間に冷凍モードから加熱モードへと行われるか、または、温度制御の目的などのために、「通常の」加熱モードから冷凍モードへと行われる一方で、冷熱または熱を温度制御される要素へ供給もすることが、達成され得る。
【0023】
冷媒としてのFガスの使用の代替は、いわゆる自然冷媒の使用である。炭化水素(HC)の使用は、具体的には、これらの物質が、Fガスと対照的に、非常に小さく無視できるほどの地球温暖化係数を有し、冷媒の過程の高いエネルギー効率を可能とし、そのため、極小さい駆動エネルギーだけが単位冷凍能力または単位加熱能力あたりで必要とされるのでここでは特に有利である。炭化水素の欠点はその高い可燃性であり、これは、本明細書で検討されている冷凍構造および冷凍コンテナなどでの小さい閉じた空間だけでなく、冷却または空調される他の閉じた空間での使用を制限する、または、安全な使用を実質的に排除する。
【0024】
危険性を最小限にするために、したがって目的は、できるだけ少ない冷媒を使用することであり、冷媒が、閉じた冷凍構造および冷凍コンテナ、ならびに、空調される他の閉じた空間へ入るのを防止することである。これは、冷媒の充填レベルをできるだけ低く保つために、最小の冷媒体積を伴う冷凍のための構成要素の使用をもたらす。マイクロチャンネル技術およびプレート式熱交換器が、熱交換器のための特に適した技術である。また、全体のシステムのコンパクト性、および、しばしば使用される冷媒収集器などの貯蔵容積の回避が、考慮されなければならない。圧縮機は、過程のために必要とされる冷媒質量をさらに減らすために、小さい冷媒容積と、油の低い充填レベルとを有するべきである。冷媒の低減または最小化のこの手法は、過程で使用されるすべての他の構成要素にも当てはまり、理想的には、それらの構成要素を選択および位置決めするときに考慮されるべきである。
【0025】
本発明の好ましい実施形態が、添付の図面を参照して以下において詳細に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による、温度制御される空間を温度制御するための装置の図である。
【
図2A】空間を冷却するための単純な一次ヒートポンプ回路の図である。
【
図2B】空間を加熱するための単純な一次ヒートポンプ回路の図である。
【
図3】一次ヒートポンプ回路の蒸発器または凝縮器に結合される熱交換器を伴う温度制御のための装置の図である。
【
図4】熱サイフォンの概念を伴う好ましい実施形態による温度制御のための装置の図である。
【
図5】冷凍のための熱サイフォンの概念による本発明の好ましい実施形態の図である。
【
図6】加熱のために熱サイフォンの概念による温度制御のための装置のさらなる実施形態の図である。
【
図7】ポンプ方向に依存して、冷凍または加熱のためのポンプ支援された熱サイフォンの実施の図である。
【
図9】加熱のためのポンプ支援された熱サイフォンの概念による温度制御のための装置についての好ましい実施形態の図である。
【
図10】冷凍のためのポンプ支援された熱サイフォンの概念の図である。
【
図11】加熱のためのポンプ支援された熱サイフォンの概念の図である。
【
図12】冷凍のための配管構成の蒸気運搬部において送風機を伴う、本発明による温度制御のための装置の実施を示す図である。
【
図13】流体的に分離され、熱的に結合された熱交換器の概略図である。
【
図14】液体の二次流体の(可変の)液体レベルを伴う、実際の蒸発器または凝縮器から分離された熱交換器の概略的な実施の図である。
【
図15】二次流体のための通路が、送風機によって駆動された空気が流れることができるフィンを介して接続されている、斜めに配置された温度制御要素の概略図である。
【
図16A】一体化された要素としてのプレート式熱交換器と、垂直に配置されたエアレジスタとを伴う、冷凍のための本発明による温度制御のための装置の実施の図である。
【
図16B】一体化された要素と、同様の高さにおいて垂直に配置された温度制御要素と、ポンプとを伴う、加熱のための本発明による温度制御のための装置の実施の図である。
【
図16C】一体化された要素と、同様の高さにおいて垂直に配置された温度制御要素と、ポンプとを伴う、冷却のための本発明による温度制御のための装置の実施の図である。
【
図17A】一体化された要素としてのプレート式熱交換器と、垂直に配置され、交互の方法で構成されたエアレジスタとを伴う、冷凍のための本発明による温度制御のための装置の実施の図である。
【
図17B】プレート式熱交換器として構成された一体化された要素の実施の図である。
【
図17C】
図17Bの一体化された要素としてのプレート式熱交換器と、垂直に配置され、交互の方法で構成されたエアレジスタとを伴う、冷凍のための本発明による温度制御のための装置の実施の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、空間制限体20が温度制御される空間5を周囲領域から分離する状態で、温度制御される空間5を温度制御するための装置を示している。装置は、蒸発器4、凝縮器2、圧縮機1、および膨張要素3を伴う一次ヒートポンプ回路6を含み、一次ヒートポンプ回路は自然の一次作動流体を備え、蒸発器4、凝縮器2、圧縮機1、および膨張要素3は、温度制御される空間5の外部に配置される。本発明による装置は、熱交換器7を介して、蒸発器4および凝縮器2に熱的に結合され、蒸発器4および凝縮器2から流体的に分離され、温度制御要素14を備える二次回路をさらに含む。温度制御要素14は、温度制御される空間5に配置され、配管構成15aおよび15bを介して熱交換器7に接続される。配管構成は、一次流体と異なる二次流体を備える。さらに、配管構成15aおよび15bは空間制限体を貫通するように構成される。
【0028】
二次回路が熱交換器7を介して蒸発器4に結合されるとき、構成は、温度制御される空間にとっての冷凍(または冷却)モードにある。そのため、温度制御は冷凍であり、温度制御要素14は冷凍要素として機能する。対照的に、二次回路が熱交換器7を介して一次ヒートポンプ回路の凝縮器2に結合されるとき、温度制御のための装置は加熱装置として使用され、温度制御の空間5は加熱し、温度制御要素14は加熱要素として機能する。
【0029】
したがって、熱交換器7は、蒸発器または液化装置だけでなく、様々な図面に示されている熱交換器10も備え得る。温度制御要素14は、様々な図面に示されている熱交換器11から成り得る、または、
図15のセンサまたは送風機など、1つまたはいくつかの追加の要素を備え得る。
【0030】
好ましい実施形態では、制御装置30が、その搬送方向において一次ヒートポンプ回路の圧縮機1を切り替えるように、つまり、制御信号31を介して、一次作動流体の流れ方向に関して一次ヒートポンプ回路を切り替えるように、設けられる。二次回路が同じ結合であれば、これは、二次回路の機能も変更されることを実現し、つまり、二次回路は冷凍モードまたは加熱モードにある。二次回路が通常は冷凍モードにある場合、加熱モードは、温度制御要素14の除霜を達成するように使用される。しかしながら、二次回路が主に加熱モードである場合、間欠的な冷凍が特定の設定温度帯を維持するために使用されてもよい。制御信号31または制御信号32を、制御装置30から、二次回路に可及的に配置される要素8などのポンプまたは送風機の要素に出力するための主導権は、センサ、クロック発振器、または、制御入力33によって示されているような外部信号から生じ得る。しかしながら、制御装置がセンサ入力またはクロック発振器を介して制御されるように構成される場合、クロック発振器またはセンサ入力は制御入力33に接続される、または、制御入力33は存在せず、制御信号31/32の出力についての主導権は制御装置30から発生させられる。
【0031】
圧縮機の搬送方向を切り替えることは、いくつかの方法で達成することができる。一実施形態では、圧縮機1はコンベヤホイールを有する。この場合、圧縮機は、搬送方向を逆にするために、制御信号31への応答として、コンベヤホイールの回転方向を逆にするように構成される。
【0032】
他の実施形態では、圧縮機は四方弁を含む。この場合、搬送方向を逆にするために、圧縮機は、制御信号31への応答として、例えば冷凍モードに基づいて、圧縮機の吸い込み側を蒸発器4から流体的に分離し、圧縮機の吸い込み側を凝縮器2に流体的に接続する、または、圧縮機の圧力側を凝縮器2から流体的に分離し、圧縮機の圧力側を蒸発器4に流体的に接続するように構成される。この場合、冷凍モードにあった要素は、加熱モードまたは除霜モードにおいて凝縮器の機能を引き受ける。
【0033】
除霜モードに基づいて、搬送方向を逆にするために、圧縮機の吸い込み側は、凝縮器(除霜モードでは蒸発器であった)から流体的に分離され、蒸発器4(除霜モードでは凝縮器であった)に流体的に接続され、圧縮機の圧力側は、蒸発器4(除霜モードでは凝縮器であった)から流体的に分離され、凝縮器2(除霜モードでは蒸発器であった)に流体的に接続される。
【0034】
図1に示されているように、二次回路には、二次回路において、具体的には配管構成15a、15bにおいて二次流体を循環させるように、ポンプ8が設けられ得る。二次流体は、温度制御要素14が相の変化なしで熱交換器として機能するとき、二次液体であり得る。しかしながら、温度制御要素14が、
図4~
図12、
図15に示されているように、相の変化を伴う熱交換器として機能する場合、例えば、配管構成の一部15aなどの一部は液体運搬部であり、一部15bなどの他の一部は、二次回路における配管構成の蒸気運搬部である。
【0035】
図3に示されているような冷凍過程6は、記載した構成要素および冷媒を使用するとき、初めに記載したのと同じ原理に従って実施されるが、唯一の違いは、充填の量がここでは相当に低減されることであり、冷媒は構造またはコンテナの内部に到達することができず、かなり低減した危険性で、可燃性の冷媒を冷凍および熱発生のために使用させることができる。
【0036】
冷媒の過程の発生した冷熱および熱は、続いて、プレート式熱交換器7などの適切な熱交換器を介して、いわゆる二次流体である不燃性の安全な作動流体で、冷凍構造、冷凍コンテナ、または、一般的に冷却される空間へと間接的に輸送される。そのため、冷凍システムは、冷凍のための一次サイクルと、冷熱または熱の輸送のための二次サイクルと、から成る。
【0037】
発生した冷熱および熱を分配するための二次サイクルは異なる方法で実施できる。適切なポンプ8から搬送され、それによって、冷却される空間から熱を除去するか、または加熱される空間へと熱を導入し、二次サイクル9における相の変化なしで、機械の冷媒運搬部へと、つまり一次サイクルへと熱を輸送するブラインを使用する能力がある。
【0038】
さらなる変形が、相の変化を伴って同じくポンプを用いて搬送され、閉じた空間の熱交換器を通じて流れ、この方法では、閉じた空間から熱を除去するか、または熱を導入する物質の使用である。この場合、二次サイクルは、機械の冷媒で満たされた一部分、つまり一次サイクルへと熱を輸送する。有利には、相の変化は、二次流体を汲み上げる能力を確保するように、相の液体-気体の変化である。スラリの形態、つまり水っぽい氷とグリコールとの混合物の形態での固体から液体への相の変化は、概して除外されない。
【0039】
強制駆動される二次サイクルは、つまりポンプの使用を伴い、ポンプが二次システムの流れ抵抗を必ず克服するためのエネルギーを可能性として必要とするという欠点を有する。ポンプの使用を必要としない代替は、熱サイフォンサイクルとしての二次サイクルの設計であり、
図4に示されている。この場合、作動流体は、蒸気の形態での二次サイクル(二次流体)を、熱交換器(一次サイクルの蒸発器)の上方部10bへと導入することで、および、液体としての下方領域10aに存在する二次サイクル(二次流体)によって、機械の冷凍部分の蒸発器10において、二次サイクル(二次流体)の相の変化で凝縮させられる。ここで、適切な配管を用いて、液体作動媒体は、冷却される閉じた空間へと案内され、その空間において、液体作動媒体は、液体形態11aで下方部に入り、気体形態11bで上方部を出る冷却器11へと流れ、続いて、機械7の冷凍部分の熱交換器10へと再び導かれ、次に、熱交換器10において、作動媒体は、再び凝縮させられ、水平化をもたらす重力だけを介して、冷凍空間における冷却機へと戻るように流れる。この自己循環は、対応するエネルギー消費と故障の危険性とを伴うポンプを必要とせず、使用される最小限の数の構成要素だけを必要とするという利点を有する。二次サイクルは、システムを動作させるとき、駆動する圧力差が、測地学的な高さの差によって、および/または、熱サイフォン効果によって、作り出されるように設計される必要がある。この場合、冷凍の場合に冷却器が満液にされる場合に特に好ましいが、これは冷却器の空気側の最大限の使用を確保するためである。
【0040】
熱が閉じた空間へと輸送される必要がある使用の場合、または、蒸発器が除霜される使用の場合、エネルギーを熱交換器10へと供給し、二次流体の液相10aを蒸発させ、二次流体が気相10bとしての熱交換器を出て、二次流体を適切な配管を介して閉じた空間における熱交換器11へと供給することで、過程が逆にされる。冷媒は、蒸気11bとして閉じた空間における熱交換器11へと入り、凝縮させられ、その熱を消散させ、その液体形態11aにおいて熱交換器を出て、機械の冷凍の熱交換器10へと戻るように流れ、熱交換器10において蒸発過程が再び開始する。熱を閉じた空間へと輸送するとき、この過程も、重力により両方の構成要素においてレベル平準化を常に有することで、2つの熱交換器における液相の測地学的な高さの差に専ら基づいて実施される。
【0041】
このように設計されるとき、記載されている方法の各々はサイクルの逆転も可能にし、そのため、閉じた空間5における
図4の熱交換器11は除霜と加熱との両方を行うことができる。冷却される空間の使用に依存して、この過程は、1日に数回行うことができ、素早く信頼できる除霜を行うことができるようにするための要件がある。除霜過程は、
図5に示されているように、冷凍システムとしてもはや動作しておらず、ヒートポンプモードまたは加熱ガスモードへと切り替わっている、一次サイクルである機械の冷凍部分によって実現される。したがって、記載されているように、ヒートポンプモードでは、凝縮器は蒸発器になり、蒸発器は凝縮器になる。加熱ガスモードでは、冷媒サイクルの凝縮器には凝縮器を通る流れが発生しなくなり、熱は代わりに蒸発器で消散される。したがって、機械の冷凍ユニットが熱を二次サイクルへと輸送し、二次サイクルが熱を冷凍コンテナへと輸送する可能性があり、そのため、冷凍コンテナにおける冷却器11も加熱されることを可能とし、コンテナにおける冷却器を素早く効率的に除霜することを可能にする。同じことは、外部温度がコンテナにおける目標温度を下回る場合、コンテナの連続的な加熱動作にも当てはまる。
【0042】
機械の冷凍部分の凝縮器だけでなく、閉じた空間またはコンテナにおける熱交換器も、空気側における適切な送風機によって発生させられる強制対流で通常は動作させられる。機械の冷凍部分と同様に、一次サイクルも、二次サイクルに対して、作動媒体の充填量が最小に保たれることと、小さい内部容積だけでなく小さい熱質量も有する冷却器が、除霜過程をできるだけ素早く行い、そのためできるだけエネルギー効率良く行うことができるように使用されることと、が考慮されるべきである。したがって、マイクロチャンネル技術など、要件に特に対応する小さい冷媒充填量と材料の最小の使用とを伴うすべての熱交換器が、閉じた空間における熱交換器11のために使用できる。フィン付き熱交換器などの他の構造も代替として使用できる。両方の熱交換器の種類が、満液の手法で理想的に動作させられる。
【0043】
熱サイフォンの解決策の使用を通じてのポンプの省略や、結果的に生じるエネルギーの利点だけでなく、システムの複雑性の低減のため、このような解決策は、先に記載されている先行技術と比較して具体的な利点を有し、そのため、好ましくは最大で10メートルの空間的な距離と、50kW未満の冷凍能力および加熱能力と、を伴い、特に好ましくは、2つの熱交換器10および11の間で最大で2メートルであり、10kW未満の小さい冷凍能力および加熱能力を伴うコンパクトなシステムの分野において、好ましいとされる。
【0044】
検討されている使用の場合、冷凍機械が閉じた空間を加熱するためにも使用できることは必要でなく、必要な場合、
図5に示されているように、冷媒が熱交換器10を通じて流れる、熱交換器11を閉じた空間5において測地学的に熱交換器10の下方に配置することは、いずれの場合でも有利である。この場合、閉じた空間における熱交換器11が、冷媒が流れる熱交換器10のどれだけ下方に位置決めされるかは、無関係である。熱交換器同士を互いに対して配置することは、閉じた空間における熱交換器11が、各々の動作点において二次流体11aで完全に満たされることを確保する一方で、冷媒が流れる熱交換器10は、蒸気の冷媒10aが包囲された空間5における熱交換器11から熱交換器10へと搬送される状態で、その全体の表面積で、蒸気の冷媒10aの凝縮のために利用可能である。
【0045】
図6に示されている、熱だけが閉じた空間へと導入される必要がある場合、空間5に配置された熱交換器11は、冷媒が通って流れる熱交換器10の測地学的に上方に位置付けられると有利である。ここで、測地学的な高さにおける差が用途において実際にどのように選択されるかは、関係する。いずれの場合でも、熱交換器10に供給されるエネルギーが二次流体を蒸発させ、続いて蒸気11bが閉じた空間5における熱交換器11へと流れ、そこで、その事前に捕獲されていた熱を、凝縮の間に空間へと消散することが確保される。熱消散の後、重力によって駆動され、凝縮した二次流体11aは熱交換器10を通じて戻るように流れ、冷媒は、そこで、熱供給によって再び蒸発させることができるように、熱交換器10を通って流れる。
【0046】
図4に示されている、構成要素の配置の特定の設置の状況および動作条件において、閉じた空間5への伝達された出力の障害が可能性としてあり得る。例えば、これは、互いに対する水平方向の配置の可能性の構造的な限度のため、熱交換器10および/または11の設置高さの可及的な限度のため、または、例えば、2つの熱交換器10および11の間の接続配管が、できるだけ少ない圧力損失で流れを確保するのに十分な寸法とできない理由であるといった、全体的な構造の限度のためであり得る。
【0047】
これらの場合は、
図7に示されている解決策を使用し、ここでは、ポンプ8が上記の欠点のための救済手段である。この場合、このポンプが、従来使用されているポンプとは対照的に、大きい搬送高さの意味において、具体的な搬送行程を有する必要はないが、いずれの場合でも、記載されている熱サイフォン効果によって与えられる、熱交換器10および11における液体レベルの自己補正を支援するだけであることが、必須である。望ましくは、自立した流れの支援が、例えば、または具体的には、閉じた空間に位置付けられる熱交換器11が上記の理由のために冷却および加熱され得るように、二次流体の両方の流れ方向において、固定子120の極性を切り替えることで、回転子13の回転方向の逆転によって行われる。
【0048】
図8は、このようなポンプ8について、2つの概念的な構造の可能性を示している。
図8Aは、プロペラ140を駆動するモータの回転子13および固定子120が配管に位置付けられ、そのため二次流体の中に位置付けられているポンプの変形を示している。この構成では、モータを駆動する電気エネルギーは、二次流体を導く管を貫いて案内でき、これは、モータを管において同時に位置決めする構成要素150によって確保され得る。
【0049】
図8bは、ポンプモータの固定子120が、二次流体が通って流れる管の外側の大気に位置付けられる一方で、シャフトを介してプロペラ140を駆動する回転子13が管の中の流体流れに位置付けられるポンプの変形を示している。この構造では、固定子120を通じて磁場を発生させるために電気エネルギーを案内することが必要ではない。この構造は、プロペラ140の回転方向を逆にし、それによって、固定子における極性を逆にすることで、または、陰位の他の適切な対策によって、二次流体の流れ方向を逆にすることを可能にもする。
【0050】
図7では、
図4に示されているような熱交換器10および11の配置において、このようなポンプが使用されるときの2つの熱交換器10および11における二次流体の液体レベル10aおよび11aの結果的に生じる高さの差が示されている。閉じた空間5における熱交換器11が、冷媒に接続された熱交換器10折り高い液体レベル11aを有することが分かる。これは、閉じた空間5における熱交換器11のより大きい表面積に冷媒を用途することを可能にする一方で、同時に、熱交換器10において二次流体を凝縮させるためのより大きい表面積10bを利用可能にし、2つの熱交換器の伝達されるエネルギーを増加させる。
【0051】
ポンプの搬送方向を、ポンプのモータの極性を変えることで逆にする能力は、
図9に示されている閉じた空間5を加熱するために、または、熱交換器11が凍結されている場合に除霜を行うために、熱交換機11を加熱する使用の状況を結果的にもたらす。この状況において、ポンプは、液体の二次流体11aを閉じた空間5における熱交換器11から吸い込み、二次流体11aを冷媒運搬熱交換器11へと搬送するが、これは、熱交換器における二次流体の液相10aが熱交換器11における液体レベルより高い理由である。したがって、二次流体の蒸発のためのより大きい利用可能な表面積が熱交換器10にある一方で、熱交換器11に凝縮のためのより大きい表面積11bがあり、2つの熱交換器の能力を増加させている。
【0052】
最後に、
図10および
図11は、同じ測地学的な高さにおける2つの熱交換器10および11の配向が構造的な状況のため可能ではない場合に結果的に生じる使用の場合を示している。
図10は、冷媒運搬熱交換器10が、閉じた空間5に位置付けられる熱交換器11の下方に位置付けられる場合を示している。ポンプは、二次流体11aの液体レベルが冷媒運搬熱交換器における液体レベル10aの上方にあるような度合いまで、二次流体11aの液体レベルを持ち上げることができる。したがって、連続的な状況により損なわれる可能性にも拘らず、熱交換の機能は維持される。
【0053】
図11は、冷媒運搬熱交換器10が、閉じた空間5において熱交換器11の測地学的に上方に位置付けられる場合を示している。この使用の場合、ポンプは、冷媒運搬熱交換器10における二次流体の液体レベル10aが閉じた空間5における熱交換器11の液体レベル11aの上方にあることの責任を担う。
【0054】
ポンプが二次流体の流れを支援するために使用される
図7~
図11に示されている場合の代替で、二次流体の気相が独占的に流れる搬送装置12を配管に導入することも可能である。二次流体の自然流れ方向における二次流体の気相を支援する構成要素の構成は、原理的に、
図7~
図11に示されているポンプ8の構成に対応しており、違いは、蒸気を搬送するのに特に適している形状を有する搬送要素などによって、搬送手段12が気体の流体の流れに最適化され得ることである。
【0055】
図12に示されている場合では、搬送手段12は、気相11bを、閉じた空間5における熱交換器11から、蒸気の形態10bでの二次流体が液相10aを置き換える熱交換器10に向けて搬送し、そのため、
図12に示されている熱交換器10における流体と熱交換器11における流体との間の測地学的な高さの差の責任を担う。
図12に示されている図示の搬送手段12の用途は、
図7に示されている場合に対応しているが、ポンプ8を搬送ユニット12で置き換え、それぞれの図示されている方向における二次流体の循環を支援することで、
図9~
図11に示されている使用の場合に完全に用途することもできる。
【0056】
図13は、二次回路と一次ヒートポンプ回路とを結合するための熱交換器の概略的な配置を示している。具体的には、膨張要素3から到着する一次作動流体のための、符号14aで指示されている通路と、熱交換器7から出て行く一次ヒートポンプ流体のための、符号14bで指示されている通路であって、圧縮機1に接続される通路と、が熱交換器へと入る。
【0057】
同時に、配管構成の第1の部分15aが、熱交換器7へと入るとして示されており、熱交換器7へと入る配管構成の第2の部分15bも図示されている。
図13における符号22は、一次ヒートポンプ回路から二次ヒートポンプ回路への熱伝達が起こる実効帯域を指示している。具体的には、炭化水素などから作られる非常に効果的な自然冷媒が一次ヒートポンプ回路で使用できる一方で、可燃性の危険性のない二次流体が空間制限体20の中で使用できるように、2つのサイクルが熱的に結合されているが、流体的に分離されている。
【0058】
図1は、熱交換器が空間5の完全に外部に配置され、二次回路の実際の配管が熱交換器の外側の空間制限体20を貫通していることを例示しているが、熱交換器7の配置は、熱交換器7の外側限界の中にすでに配置されている実効領域22に対する供給または排出が、空間制限体を貫通する配管構成として機能するように、空間制限体20に「埋め込まれる」ように構成されてもよい。これは、
図13において、熱交換器7の外側限界の中に配置され、熱交換器7の中の配管構成15aおよび15bによって貫通させられる点線20aまたは20bによって指示されている。
【0059】
図14は、具体的には熱交換器の特別な実施に関する、温度制御のための装置の好ましい実施形態を示している。具体的には、プレート式熱交換器またはロウ付けプレート式熱交換器として構成できる熱交換器7は、符号10で示されており、熱交換器の機能と凝縮器2または蒸発器4とを合体する相互要素によって構成される。
図14によるものの代替である実施では、熱交換器10は、蒸発器または凝縮器の前に接続されてもよく、つまり、2つの別々の要素として実施されてもよい。代替で、熱交換器10の2つの要素と蒸発器/凝縮器4または2との順序は、蒸発器の出力された液体が熱交換器へと送り込まれるように逆にされてもよい。
【0060】
しかしながら、両方の機能を1つの要素10へと一体化することが好ましいとされる。一次作動流体は、
図14に示されている通路40において流れ、拡張器41によって送り込まれ、収集器42によって配管14bへと戻るようにまとめられ、第2の流体が接続部15aおよび15bを介して流れる。蒸発器4として機能する熱交換器の場合、高温の蒸気が、温度制御される空間から配管15bを介して熱交換器10へと送り込まれる。これは、一次作動流体が通路40へと入った後に蒸発させられ、蒸気が収集器42によって収集させられ、その蒸気が圧縮機1によって吸い込まれることをもたらす。接続部15bによって供給される二次蒸気は、蒸発器のため、通路40の外側で凝縮し、可変液体レベルを伴う領域へと滴る。冷却された液体は、次に、温度制御される空間を冷却するように、サイフォンの原理を用いて、または、ポンプを用いて、連結部15aを介して
図15の温度制御要素へと持って行かれる。
【0061】
逆の場合、つまり、温度制御される部屋が加熱される場合、交換器は一次作動流体のための凝縮器として作用する。この場合、蒸気の圧縮された温かい一次作動流体が通路40へと流れ、通路40は、ここでは拡張器として作用する要素42を介して、冷たい液体の二次流体においてできるだけ遠くに位置付けられる。これを通じて、一次作動流体は通路40の内側で凝縮し、ここでは収集器として作用する要素41を介して、液体として熱交換器10を離れる。これを通じて、二次流体は熱交換器10において蒸発し、蒸気が、空間を加熱するように、接続部15bを通じて温度制御要素11、14へと流れる。これを通じて、二次流体は、温度制御要素において凝縮し、再び蒸発させられるように、サイフォンの原理により、またはポンプを介して、液体として熱交換器へと戻る。
【0062】
図14は熱交換器10を示しており、この熱交換器10は可変液体レベルを含み、このレベルは、効果的な熱交換器体積の一部分を覆い、
図14に示されている実施形態では何もない他の部分を残す。これは、熱交換器10が完全に満液にされていない
図4、
図5、
図7、
図9、
図10、
図11、
図12の場合に対応することになる。具体的には、熱交換器は、液体レベルとは別に、下方領域10aが二次液体で満たされる一方で、上方領域10bが、蒸気の二次流体が配置される蒸気空間となるように構成される。同時に、配管構成の第1の部分15aは液体運搬部であるが、配管構成の第2の部分15bは蒸気運搬部である。したがって、第2の配管構成の直径は、蒸気ができるだけ効率的に流れ出ることができ、十分な空間を有するように、第1の部分の直径より相当に大きいことが、好ましいとされる。
【0063】
また、熱交換器10は、膨張要素または収集要素41が配管14aをマイクロチャンネル熱交換器の個々の通路へと結合する容積式マイクロチャンネル熱交換器として示されているが、収集要素または膨張要素42は、外力側における液体(2つの別の要素の場合)または蒸気(一体化された要素および冷凍動作の場合)の一次流体を収集または分配し、別々の実施の場合、その液体または蒸気を蒸発器または凝縮器に供給するだけである。これは
図14では示されていないが、より良好な熱交換を提供するようにフィンがマイクロ通路同士の間に配置されてもよく、フィンは、泡が要素10において上昇することができるように、または、滴が要素10において上から下へと落下することができるように、好ましくは多孔性とされる。
【0064】
実施形態による装置では、一次ヒートポンプ回路の蒸発器4または液化装置2は、熱交換器10に一体化させられるように構成される。例えば、
図14に関して、熱交換器10は、一次作動流体のための収集器または拡張器41といった第1の接続部分と、一次作動流体のための収集器または拡張器42といった第2の接続部分と、二次流体のための第3の接続部分15aと、二次流体のための第4の接続部分15bと、一次作動流体のための第1の接続部分41と一次作動流体のための第2の接続部分42との間で延びる通路部分40と、を備える。
【0065】
さらに、二次流体のための第3の接続部分15aと、二次流体のための第4の接続部分15bと、の間で延びる相互作用領域43が提供される。通路部分40は相互作用領域43に配置され、通路部分40は、相互作用領域43に熱的に結合されており、相互作用領域43から流体的に分離されている。
【0066】
一次回路の凝縮および蒸発は、相互作用空間の中の通路部分において行われる。さらに、相互作用領域における一次回路においての凝縮または蒸発のため、通路部分における外側において一次流体の蒸発または凝縮がある。好ましくは、相互作用領域は、壁によって制限され、可変液体レベルを有する容積である。
【0067】
図15は、二次流体-空気の熱交換器として構成される温度制御要素の好ましい実施を示しており、この熱交換器は、概略的なマイクロチャンネル熱交換器としてここでも構成される。フィンによって接続された二次流体のための通路がここでも示されている。さらに、空間に配置され、空間に存在する空気を、温度制御要素14を通じて吹く送風機35が、温度制御要素の上方に示されている。さらに、
図15は、任意選択の斜めの配置、つまり、
図3~
図12の熱サイフォン用途およびポンプ用途で示されているような水平線に対して角度αを伴う配置を示している。これは、
図9において例示で示されているように、温度制御要素が完全に満液にされない場合、温度制御要素における通路の下左方の領域だけが二次流体で満たされる一方で、通路の上方部が蒸気の二次流体で満たされるという事実をもたらす。しかしながら、
図5に示されているように、温度制御要素が完全に満液にされる場合、通路における二次流体は、蒸気が配管15bを介して
図14の熱交換器10へと送り込まれるように配管構成の第2の部分15bの接続点を介して消散され得る小さい蒸気空間11bだけがあるように、蒸気配管15bの接続点まで、つまり上部まで到達する。また、
図15における温度制御要素の液体配管15aは、熱交換器10の下部における接続部15aに接続される。
【0068】
図14は、一次作動流体から二次流体への熱交換の機能が蒸発器の中で起こり、同時に、蒸発または凝縮の機能が一次ヒートポンプ回路において起こるように、さらなる実施形態としての一体化された要素における熱交換器および蒸発器または凝縮器の機能を示している。
【0069】
図16Aは、一体化された要素としてのプレート式熱交換器と、垂直に配置されたエアレジスタと、を伴う、冷凍のための本発明による温度制御のための装置の実施を示している。さらに、冷却された二次流体を、エアレジスタが垂直に配置された温度制御要素11へと汲み上げるポンプ8が提供される。温度制御要素は、斜めまたは完全に垂直に配置される必要はない。温度制御要素は、温度制御される空間における熱による二次流体の蒸発が行え、蒸発した二次流体が連結部15bを介して熱交換器10の蒸気空間に到達することができる限り、任意の配置および構成を有することができる。
【0070】
図16Bは、一体化された要素と、同様の高さにおいて垂直に配置された温度制御要素と、ポンプと、を伴う、加熱のための本発明による温度制御のための装置の実施を示している。要素10および11において異なる液体レベルを達成するポンプ8がここでも配置されている。ポンプ8がない場合、または、待機中のポンプ8がある場合、2つのレベルはサイフォンの原理のため同じ高さになる。液体を熱交換器10および一次回路へと汲み上げるポンプ8が、一体化された熱交換器が同時に凝縮器2としても機能するように動作させられるため、熱交換器における二次流体は、凝縮器の温かい通路領域において蒸発させられ、温度制御要素へ押し込まれる。そこで、温かい蒸気の二次流体はその熱を温度制御される空間へと消散し、これによって二次流体はエアレジスタにおいて凝縮し、ポンプを通じて交換機10へと戻される。
【0071】
図16Cは、一体化された要素と、同様の高さにおいて垂直に配置された温度制御要素と、ポンプと、を伴う、冷凍のための本発明による温度制御のための装置の実施を示している。要素10および11において異なる液体レベルを達成するポンプ8がここでも配置されている。ポンプ8がない場合、または、待機中のポンプ8がある場合、2つのレベルは連通管の原理のため同じ高さになる。液体を熱交換器10および一次回路へと汲み上げるポンプ8が、一体化された熱交換器が同時に蒸発器2としても機能するように動作させられるという事実のため、蒸発した二次流体は、熱交換器において、蒸発器の冷たい通路領域で凝縮させられ、ポンプを介して、冷却された液体として温度制御要素へ押し込まれる。そこで、冷たい液体の二次流体は、温度制御要素における同じ蒸発によって、温度制御される空間から熱を吸収する。この蒸気は、再び凝縮するように要素10に戻る。
【0072】
図17Aは、一体化された要素としてのプレート式熱交換器と、垂直に配置され、交互の方法で構成されたエアレジスタと、を伴う、冷凍のための本発明による温度制御のための装置の実施を示している。ポンプ8は、要素10、11が二次流体に対して同じ圧力を有するため、流体循環を支援するだけである。
【0073】
図17Bは、プレート式熱交換器として構成された一体化された要素の実施を示している。この要素は、一次作動流体および二次流体のため4つの接続部分41、42、15a、15bを含み、それら接続部分41、42、15a、15bは、カバープレートを貫いて延び、封止プレートによって分離される。一次流体のためのこの通路領域40と相互作用領域43とは、通路プレートによって実現される。したがって、一次流体は、二次流体から流体的に分離されるが、二次流体に熱的に結合される。
【0074】
図17Cは、
図17Bの一体化された要素としてのプレート式熱交換器と、垂直に配置され、交互の方法で構成されたエアレジスタと、を伴う、冷凍のための本発明による温度制御のための装置の実施を示している。ポンプは、プレート式熱交換器とエアレジスタとで異なる液体レベルを達成する。待機中のポンプの場合、液体レベルは同じ高さを有することになる。
【0075】
続いて、本発明の好ましい実施が例としてまとめられている。
【0076】
1. 道路上、レール上、水上、または地上における、好ましくは移動の用途または固定の用途での、好ましくは閉じた空間の温度制御のための、つまり、要求されるように冷凍または加熱するための冷凍システムであって、
機械の冷凍部分が、好ましくは閉じた温度制御される空間に直接的な接触を有していない、および/または、
二次回路は、システムの冷凍部分からの冷媒が、用途の好ましくは閉じた内部空間へと到達することができることを防止する、および/または、
冷凍と冷熱分配との間の分離は冷凍部分において可燃性の冷媒または作動流体を伴う、および/または、
好ましくは、空間に配置される、または、空間と連通して配置されるシステムの冷熱分配部において、液体集合状態と気体集合状態との間で相の変化を伴う不燃性の流体が使用される、および/または、
二次流体を通じての冷熱分配のための必要な電気駆動力が、好ましくは、冷凍または加熱のための機械の全体の必要な駆動力の10パーセント未満である、冷凍システム。
【0077】
2. 冷熱分配のための二次サイクル流体の作動圧力が、冷凍のためのシステム部分の流体の作動圧力を上回る、例1に記載の機械。
【0078】
3. 二次サイクルは、電気駆動力が必要とされないように、熱サイフォンの解決策として純粋に構成される、例1または2に記載の機械。
【0079】
4. 二次サイクルは、熱サイフォンの原理を用いた自然循環を支援し、そのため冷凍または加熱の動作も支援する、両方の流れ方向において有効である二次流体のためのポンプ手段を備える、例1から3のいずれかに記載の機械。
【0080】
5. 機械は内部空間を冷却するために使用されるだけであり、内部空間における熱交換器が、冷凍部と冷熱分配システム部との間の熱交換器より測地学的に低く位置付けられる、例1から4のいずれかに記載の機械。
【0081】
6. 機械は内部空間を加熱するために使用されるだけであり、内部空間における熱交換器が、冷凍部と冷熱分配システム部との間の熱交換器より測地学的に高く位置付けられる、例1から5のいずれかに記載の機械。
【0082】
7. 単独で、または、例1から6のいずれかに記載の機械との組み合わせで、内部空間の冷凍動作および加熱動作を支援するように、駆動モータの回転方向の変更と、搬送ユニットの対応する適切な形状と、を用いて、液相または気相における二次流体を、流れ方向の手法で両方の搬送方向へと汲み上げることができるポンプ手段。
【0083】
8. 単独で、または、例1から6のいずれかに記載の機械との組み合わせで、専ら二次流体の気相における圧力差の発生を介して、サイクルにおける循環を支援するように、サイクルへと導入される二次流体の循環を支援するための搬送手段。
【0084】
9. モータの電流通過領域が、二次流体が通って流れる管の外部に位置付けされる、例7に記載のポンプ手段。
【0085】
10. モータの電流通過領域が、二次流体が通って流れる管の内部に位置付けされる、例7に記載のポンプ手段。
【0086】
いくつかの態様がデバイスの文脈の中で記載されてきたが、前記態様は、デバイスのブロックまたは構造の要素が、対応する方法ステップまたは方法ステップの特徴としても理解されるように、対応する方法の記載も表していることは、理解されるものである。それと類似して、方法ステップの文脈の中で、または方法ステップとして記載された態様は、対応するデバイスの対応するブロック、詳細、または特徴の記載も表している。方法ステップのうちの一部または全部が、マイクロプロセッサ、プログラム可能コンピュータ、または電子回路などのハードウェアデバイスを使用する間に実施されてもよい。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップの一部またはいくつかが、このようなデバイスによって実施され得る。
【0087】
上記の実施形態は、本発明の原理の例示を表しているだけである。他の当業者が、本明細書に記載されている構成および詳細の改良および変更を理解することになることは、理解される。これは、本発明が、実施形態の説明および検討を用いて本明細書において提示された特定の詳細によってではなく、以下の請求項の範囲だけによって限定されることが意図されているためである。
【符号の説明】
【0088】
1 圧縮機
2 熱交換器、伝熱器、凝縮器、ヒートシンク、液化装置
3 膨張要素
4 第2の熱交換器、伝熱器、蒸発器
5 温度制御される空間
6 冷却過程
7 熱交換器、プレート式熱交換器
8 要素、ポンプ
10 熱交換器、相互要素
10a 下方領域、液相、液体レベル
10b 上方領域、気相、表面積
11 閉じた空間における熱交換器、冷却器
11a 液体形態、二次流体、液体レベル
11b 気体形態、蒸気、表面積、気相、蒸気空間
12 搬送装置、搬送手段、搬送ユニット
13 回転子
14 温度制御要素
14a、14b 通路、配管
15 構成要素
15a 配管構成の第1の部分、液体運搬部、接続部分
15b 配管構成の第2の部分、蒸気運搬部、接続部分
15a 第3の接続部分
15b 第4の接続部分
20、20a、20b 空間制限体
22 実効帯域
30 制御装置
31、32 制御信号
33 制御入力
35 送風機
40 通路部分
41、42 拡張器、収集器、膨張要素、収集要素、接続部分、相互作用領域
43 相互作用領域
120 固定子
140 プロペラ
【手続補正書】
【提出日】2023-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間制限体(20)が温度制御される空間(5)を周囲領域(21)から分離する状態で、前記温度制御される空間を温度制御するための装置であって、
蒸発器(4)、凝縮器(2)、圧縮機(1)、および膨張要素(3)を伴う一次ヒートポンプ回路であって、前記一次ヒートポンプ回路は自然の一次作動流体を含み、前記蒸発器(4)、前記液化装置(2)、前記圧縮機(1)、および前記膨張要素(3)は、前記温度制御される空間の外部に配置される
のに適切である、一次ヒートポンプ回路と、
熱交換器(7、10)を介して、前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)に熱的に結合され、前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)から流体的に分離されると共に、前記温度制御される空間(5)に配置され
るように構成され、前記一次作動流体と異なる二次流体を含む配管構成(15a、15b)を介して前記熱交換器(7、10)に接続される
ように構成される温度制御要素(11、14)を備える二次回路であって、前記配管構成(15a、15b)は前記空間制限体(20)を貫通する
のに適切であり、前記二次回路は熱サイフォンサイクルとして構成され、制御信号(32)への応答として、前記二次回路における搬送方向を逆にするように構成される制御可能ポンプ(8)が、前記二次回路に配置される、二次回路と、
ここで、前記装置は、冷凍モードにおいて、前記温度制御要素(11、14)を用いて、前記空間(5)を冷却するように構成されており、
制御信号(31、32)への応答として、
前記冷凍モードにおいて、エネルギーが前記熱交換器(7、10)から前記一次ヒートポンプ回路を通じて消散されるように、および、除霜モードにおいて、前記温度制御要素(11、14)を除霜するために、エネルギーが前記一次ヒートポンプ回路を通じて前記熱交換器(7、10)に供給され、前記二次回路における前記搬送方向が前記制御可能ポンプ(8)によって逆にされるように、前記一次ヒートポンプ回路においてヒートポンプサイクルを逆にさせるように構成される制御装置(30)と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記制御装置(30)は、前記熱交換器(7、10)に結合される前記一次ヒートポンプ回路の要素(2、4)が、その機能を、蒸発から凝縮へと切り替えるように、または、凝縮から蒸発へと切り替えるように、前記制御信号(31)を介して、前記一次ヒートポンプ回路の前記ヒートポンプサイクルを逆にさせるように構成される、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御信号は、前記装置が時間における規則的または不規則な点において前記除霜モードにさせられるように、前記温度制御要素(11、14)におけるセンサ、前記温度制御される空間(5)におけるセンサ、または、クロック発振器に由来する、請求項
1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記一次ヒートポンプ回路の前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)は、前記熱交換器(10)に一体化させられるように構成される、請求項1から
3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記熱交換器(7、10)および前記温度制御要素(11、14)は、最大で50メートルまで離間されるように配置さ
れ、内部ステータまたは外部ステータを備える
前記制御可能ポンプ(8)が前記配管構成(15a、15b)に配置される、請求項1から
4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記熱交換器(7、10)は、マイクロチャンネル熱交換器、プレート式熱交換器、またはフィン付き熱交換器を備える、請求項1から
5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記温度制御要素(11、14)は、マイクロチャンネル熱交換器、プレート式熱交換器、またはフィン付き熱交換器を備える、請求項1から
6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記熱交換器(7、10)は熱交換器液体空間(10a)と熱交換器蒸気空間(10b)とを備え、前記温度制御要素は温度制御蒸気空間(11b)と温度制御液体空間(11a)とを備え、前記熱交換器(7、10)と前記温度制御要素(11、14)とは、蒸気の二次流体が、前記熱交換器蒸気空間(10b)と前記温度制御蒸気空間(11b)との間の前記配管構成の第1の領域(15b)において流れることができ、液体の二次流体が前記熱交換器液体空間(10a)と前記温度制御液体空間(11a)との間の前記配管構成の第2の領域(15)において流れることができるように、互いに対して配置される、請求項1から
7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記温度制御要素(14)は、前記二次流体で満液にされるように前記熱交換器(7、10)に対して配置され、
前記冷凍モードにおいて、温度制御は冷却であり、前記熱交換器(7、10)は前記一次ヒートポンプ回路の前記蒸発器(4)に結合される、請求項
1または8に記載の装置。
【請求項10】
前記温度制御要素(11、14)は、細長く、水平線に対して斜めの配向を備え、前記二次流体は、重力、ポンプ力、もしくは送風機力のため、または、前記温度制御要素
(11、14)においてそれに応じて配置された熱交換器
(7、10)のため、液体状態において上から下へと流れる、請求項
1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記熱交換器(10)は、
前記一次作動流体のための第1の接続部分(41)と、
前記一次作動流体のための第2の接続部分(42)と、
前記二次流体のための第3の接続部分(15a)と、
前記二次流体のための第4の接続部分(15b)と、
前記一次作動流体のための前記第1の接続部分(41)と前記一次作動流体のための前記第2の接続部分(42)との間で延びる通路部分(40)と、
前記二次流体のための前記第3の接続部分(15a)と前記二次流体のための前記第4の接続部分(15b)との間に延び、前記通路部分(40)が配置される相互作用領域(43)であって、前記通路部分(40)は、前記相互作用領域(43)に熱的に結合され、前記相互作用領域(43)から流体的に分離される、相互作用領域(43)と、
を備える、請求項1から
10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記圧縮機(1)は、前記制御信号(31
、32)によって、
前記ヒートポンプサイクルを逆にさせるために、前記一次ヒートポンプ回路の搬送方向において逆にされるように制御可能となるように、前記一次ヒートポンプ回路において構成される、請求項1から
11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記圧縮機(1)はコンベヤホイールを備え、前記搬送方向を逆にするために、前記圧縮機は、前記制御信号(31
、32)への応答として、前記コンベヤホイールの回転方向を逆にするように構成される、または、
前記圧縮機は四方弁を備え、前記搬送方向を逆にするために、前記圧縮機は、前記制御信号(31
、32)への応答として、前記冷凍モードに基づいて、前記圧縮機の吸い込み側を前記蒸発器(4)から流体的に分離し、前記圧縮機の吸い込み側を前記凝縮器(2)に流体的に接続するか、もしくは、前記圧縮機の圧力側を前記凝縮器(2)から流体的に分離し、前記圧縮機の圧力側を前記蒸発器(4)に流体的に接続するように構成される、または、
前記圧縮機は四方弁を備え、前記搬送方向を逆にするために、前記圧縮機は、前記制御信号(31
、32)への応答として、前記除霜モードに基づいて、前記圧縮機の吸い込み側を前記凝縮器(2)から流体的に分離し、前記圧縮機の吸い込み側を前記蒸発器(4)に流体的に接続するか、もしくは、前記圧縮機の圧力側を前記蒸発器(4)から流体的に分離し、前記圧縮機の圧力側を前記凝縮器(2)に流体的に接続するように構成される、請求項
12に記載の装置。
【請求項14】
前記温度制御要素(11、14)を越えて空気を移動させるように、前記空間制限体(20)の中の前記温度制御される空間に配置される送風機(35)、または、
前記一次ヒートポンプ回路の前記凝縮器を越えて空気を移動させるように、前記空間制限体(20)の外部に配置される送風機、
をさらに備える、請求項1から
13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記熱交換器(7、10)は、前記一次ヒートポンプ回路の前記蒸発器(4)または前記一次ヒートポンプ回路の前記凝縮器(2)と、配管によって互いから分離されるかまたは1つの同じ空間に配置される前記一次ヒートポンプ回路と前記二次ヒートポンプ回路とを熱的に結合するための前記熱交換器(10)と、を備える、請求項1から
14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
空間(5)を前記空間(5)の周囲領域(21)から分離する空間制限体(20)と、
請求項1から
15のいずれか一項に記載の装置と、
を備える、温度制御される空間(5)。
【請求項17】
水上、道路上、レール上、空中、または宇宙において運ばれるために、移動輸送コンテナとして、または、車両における空間として構成される、請求項
16に記載の温度制御される空間。
【請求項18】
固定の建物における空間として、または、独立した不動の空間として構成される、請求項
16または
17に記載の温度制御される空間。
【請求項19】
空間制限体(20)が温度制御される空間(5)を周囲領域(21)から分離する状態で、
蒸発器(4)、凝縮器(2)、圧縮機(1)、および膨張要素(3)を伴う一次ヒートポンプ回路であって、前記蒸発器(4)、前記液化装置(2)、前記圧縮機(1)、および前記膨張要素(3)は、前記温度制御される空間の外部に配置される、一次ヒートポンプ回路と、
熱交換器(7、10)を介して、前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)に熱的に結合され、前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)から流体的に分離されると共に、前記温度制御される空間(5)に配置され、前記一次作動流体と異なる二次流体を含む配管構成(15a、15b)を介して前記熱交換器(7、10)に接続される温度制御要素(11、14)を備える二次回路であって、前記配管構成(15a、15b)は前記空間制限体(20)を貫通
し、前記二次回路は熱サイフォンサイクルとして構成され、制御信号(32)への応答として、前記二次回路における搬送方向を逆にするように構成される制御可能ポンプ(8)が、前記二次回路に配置される、二次回路と、
によって、前記温度制御される空間を温度制御するための方法であって、
前記一次ヒートポンプ回路において、自然の一次作動流体を使用するステップと、
前記二次回路の前記配管構成(15a、15b)において、前記一次作動流体と異なる二次流体を使用するステップと、
ここで、冷凍モードにおける温度制御が、前記温度制御要素(11、14)を用いて前記空間(5)を冷却することを含み、
制御信号(31、32)への応答として、前記冷凍モード
において、エネルギーが前記熱交換器(7、10)から
前記一次ヒートポンプ回路を通じて消散されるように、および、除霜モードにおいて、
前記温度制御要素(11、14)を除霜するために、エネルギーが
前記一次ヒートポンプ回路を通じて前記熱交換器(7、10)に供給され
、前記二次回路における前記搬送方向が前記制御可能ポンプ(8)によって逆にされるように、前記一次ヒートポンプ回路においてヒートポンプサイクルを逆にさせるステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
空間制限体(20)が温度制御される空間(5)を周囲領域(21)から分離する状態で、前記温度制御される空間を温度制御するための装置であって、
蒸発器(4)、凝縮器(2)、圧縮機(1)、および膨張要素(3)を伴う一次ヒートポンプ回路であって、前記一次ヒートポンプ回路は自然の一次作動流体を含み、前記蒸発器(4)、前記液化装置(2)、前記圧縮機(1)、および前記膨張要素(3)は、前記温度制御される空間の外部に配置される、一次ヒートポンプ回路と、
熱交換器(7、10)を介して、前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)に熱的に結合され、前記蒸発器(4)または前記凝縮器(2)から流体的に分離されると共に、前記温度制御される空間(5)に配置され、前記一次作動流体と異なる二次流体を含む配管構成(15a、15b)を介して前記熱交換器(7、10)に接続される温度制御要素(11、14)を備える二次回路であって、前記配管構成(15a、15b)は前記空間制限体(20)を貫通
し、前記二次回路は熱サイフォンサイクルとして構成され、制御信号(32)への応答として、前記二次回路における搬送方向を逆にするように構成される制御可能ポンプ(8)が、前記二次回路に配置され、冷凍モードにおいて、前記装置は、前記温度制御要素(11、14)を用いて、前記空間(5)を冷却するように構成される、二次回路と、
を備える装置を製造するための方法であって、
自然の一次作動流体を前記一次ヒートポンプ回路へと導入するステップと、
前記空間制限体(20)を貫通する配管構成(15a、15b)を製造するステップと、
前記一次作動流体と異なる二次流体を前記配管構成(15a、15b)へと導入するステップと、
前記制御信号(31、32)への応答として、
前記冷凍モードにおいて、エネルギーが前記熱交換器(7、10)から
前記一次ヒートポンプ回路を通じて消散されるように、および、除霜モード
において、前記温度制御要素(11、14)を除霜するように、エネルギーが前記一次ヒートポンプ回路を通じて前記熱交換器(7、10)に供給され、前記二次回路における搬送方向が前記制御可能ポンプ(8)を用いて逆にされるように、前記一次ヒートポンプ回路においてヒートポンプサイクルを逆にさせるように構成される制御装置(30)を製造するステップと、
を含む、方法。
【国際調査報告】