(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】タイ層組成物およびそれを組み込む多層チューブ
(51)【国際特許分類】
F16L 11/08 20060101AFI20240927BHJP
A61L 29/04 20060101ALI20240927BHJP
A61L 29/06 20060101ALI20240927BHJP
A61L 29/14 20060101ALI20240927BHJP
A61L 31/04 20060101ALI20240927BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20240927BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20240927BHJP
A61L 29/02 20060101ALI20240927BHJP
A61L 31/02 20060101ALI20240927BHJP
B32B 1/08 20060101ALI20240927BHJP
F16L 11/12 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F16L11/08 B
A61L29/04 100
A61L29/06
A61L29/14
A61L31/04 110
A61L31/06
A61L31/14
A61L29/02
A61L31/02
B32B1/08
F16L11/12 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520542
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022045499
(87)【国際公開番号】W WO2023059536
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515289369
【氏名又は名称】ノードソン・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Nordson Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】バッシュ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ションブズ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,リリアン
【テーマコード(参考)】
3H111
4C081
4F100
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA15
3H111BA25
3H111BA29
3H111CB04
3H111CB05
3H111CB14
3H111CB29
3H111CC01
3H111DA08
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3H111EA04
4C081AC07
4C081AC08
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4C081CA021
4C081CA031
4C081CA071
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4C081CA181
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4C081EA05
4F100AB04C
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4F100AL02C
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4F100JL11
4F100YY00B
(57)【要約】
内層およびタイ層を含む多層チューブを記載する。内層はフッ素化ポリマーを含み、多層チューブの内径を規定する内表面と、内層の厚さだけ内表面から離れた外表面とを有する。タイ層は官能化スチレンブロック共重合体を含み、内層の外表面に配置される。多層チューブがさらに外層を含む場合、多層チューブは、内層および外層のみを含む多層チューブと比較して、改善された剥離強度を示す。また、多層チューブの製造方法および多層チューブを含む物品を記載する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む内層であって、前記内層は、多層チューブの内径を規定する内表面と、内層の厚さだけ内表面から離れた外表面とを有する、内層;および
前記内層の外表面上に配置された官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層
を含む多層チューブ。
【請求項2】
前記官能化スチレンブロック共重合体が、無水マレイン酸グラフトスチレンブロック共重合体を含む、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項3】
前記官能化スチレンブロック共重合体が、無水マレイン酸グラフトポリ(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)(SEBS-g-MA)を含む、請求項1または2に記載の多層チューブ。
【請求項4】
前記官能化スチレンブロック共重合体が25重量%を超えるスチレンを含む、請求項1~3のいずれか1記載の多層チューブ。
【請求項5】
さらに、前記タイ層が前記内層と外層との間に配置されるように、前記タイ層上に配置された外層をさらに含む、請求項1~4のいずれか1記載の多層チューブ。
【請求項6】
前記外層が、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリアミド/ポリエーテルブロック共重合体、ポリエステル、コポリエステル、ステンレス鋼、ガラス、またはそれらの組合せを含む、請求項5に記載の多層チューブ。
【請求項7】
前記外層がポリアミド/ポリエーテルブロック共重合体を含む、請求項5または請求項6に記載の多層チューブ。
【請求項8】
前記タイ層が約2.5μm~約30μmの厚さを有する、請求項1~7のいずれか1記載の多層チューブ。
【請求項9】
補強層をさらに含む、請求項1~8のいずれか1記載の多層チューブ。
【請求項10】
前記補強層がワイヤコイルを含む、請求項9に記載の多層チューブ。
【請求項11】
前記内層の外表面がエッチングされている、請求項1~10のいずれか1記載の多層チューブ。
【請求項12】
前記多層チューブが、タイ層を含まない他の同一の多層チューブと比較して、少なくとも約25%の剥離強度の増加を示す、請求項1~11のいずれか1記載の多層チューブ。
【請求項13】
前記多層チューブが、タイ層を含まない他の同一の多層チューブと比較して、約25%~約250%の剥離強度の増加を示す、請求項1~12のいずれか1記載の多層チューブ。
【請求項14】
官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層コーティング組成物からのタイ層を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む内層の外表面に形成すること
を含む多層チューブの製造方法。
【請求項15】
前記タイ層を形成するのに先立ち、内層の外表面をエッチングすること
をさらに含む、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記タイ層を形成することが、前記タイ層コーティング組成物中に内層を浸漬することを含む、請求項14または請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記多層チューブの長さの少なくとも一部に沿って、ワイヤコイルから形成された補強層を形成することをさらに含む、請求項14~16のいずれか1記載の製造方法。
【請求項18】
前記補強層を形成することが、前記タイ層にワイヤーを巻き付けることを含む、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記タイ層が外層と内層との間に配置されるように、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、またはそれらの組合せを含む外層をタイ層上に形成すること
をさらに含む、請求項14~18のいずれか1記載の製造方法。
【請求項20】
前記官能化スチレンブロック共重合体が、無水マレイン酸グラフトポリ(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)(SEBS-g-MA)を含む、請求項14~19のいずれか1記載の製造方法。
【請求項21】
請求項1~14のいずれかに記載の多層チューブまたは請求項14~20のいずれかに記載の製造方法から形成された多層チューブを含む血管内医療デバイス。
【請求項22】
請求項1~14のいずれかに記載の多層チューブまたは請求項14~20のいずれかに記載の製造方法から形成された多層チューブを含むカテーテル。
【請求項23】
請求項1~14のいずれかに記載の多層チューブまたは請求項14~20のいずれかに記載の方法から形成された多層チューブを含む医療用チューブ。
【請求項24】
フッ素化ポリマーを含む内層であって、前記内層は、多層チューブの内径を規定する内表面と、前記内層の厚さだけ内表面から離れた外表面とを有する、内層;および
前記内層の前記外表面上に配置された官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層
を含む多層チューブ。
【請求項25】
前記官能化スチレンブロック共重合体が、無水マレイン酸グラフトスチレンブロック共重合体を含む、請求項24に記載の多層チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フッ素化ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))を含む内層と、内層の外表面(または、外面:outer surface)に配置される官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層(または、タイレイヤ-、結合層もしくは密着層:tie layer)とを含む多層チューブ(または、多層管:multilayer tube)を開示する。フッ素化ポリマー層、タイ層、およびさらなるポリマー層を含む多層チューブは、フッ素化ポリマー層およびさらなるポリマー層単独と比較して、改善された剥離強度を示すことができる。
【背景技術】
【0002】
(背景)
ポリマーチューブ(またはポリマー製チューブ:polymeric tube)は、血管内医療デバイスのごとき多数の用途に使用されている。ガイドワイヤー、カテーテル、医療用チューブ類(または、チューブもしくは管類:tubing)を含む種々の血管内医療デバイスにより、医療従事者はステントまたは他の埋込み型デバイスの送達のごとき処置を行うことができる。いくつかの場合において、埋込み型デバイスは患者の血管系に都合のよい部位から挿入され、血管系を介して標的部位に送達される。カテーテルまたは医療用チューブ類の内壁のコーティングまたはライナー(または、内張り:liner)を一般的に用いて、滑らかな(または、平滑:smooth)内表面(または、内面:inner surface)を提供する。滑らかな内表面は、埋込み型デバイスまたは他の送達構成要素がカテーテルまたは医療用チューブ類の内腔を通って押される際のそれらに対する摩擦を低減し得る。コーティング、チューブ類またはライナーとして広く使用されている1つの材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0003】
PTFEは、耐薬品性(または、化学的抵抗性:chemical resistance)、耐高温性(または、高温抵抗性)、生体適合性、低摩擦係数を含めた多数の有益な特性を有する。医療用途において、PTFEチューブ類の表面をエッチングプロセスを介して改質して、表面を化学的に活性化して、外側ジャケット層または他の隣接層への接着強度を増加し得る。しかしながら、PTFEライナーのエッチング効率は、紫外線(UV)、湿度および保存期間により影響されかねない。効率低下を回避するために、PTFEライナーの製造後、できるだけ早期に隣接層を適用する(または、塗布する:apply)ことが勧められるが、サプライチェーンにおけるリードタイム(lead time)および他の要因が、これを困難にしかねない。摩擦係数の変化の結果、PTFEライナーと、それが使用されるチューブ類またはジャケットとの間の接着性は、望ましくない可能性がある。
【0004】
結果的に、ポリマージャケットに改善された接着(または、接着性:adhesion)を有するPTFE系ライナーについての必要性が存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
この要約は、いくつかの例を提供することを意図し、いかなる意味においても本発明の範囲を限定することを意図していない。例えば、本要約の実施例に含まれるいずれの特徴も、特許請求の範囲が明示的にその特徴を記載しない限り、特許請求の範囲により必要とされない。また、本要約の例および本開示の他の箇所に記載される特徴、構成要素、ステップ(または、工程)、概念などは、種々の方法で組み合わせることができる。本開示の他の箇所に記載される種々の特徴またはステップは、本明細書に要約された実施例に含まれ得る。
【0006】
本開示は、フッ素化ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))を含む内層と、内層の外表面(または、外面:outer surface)に配置される官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層(または、タイレイヤ-、結合層もしくは密着層:tie layer)とを含む多層チューブ(または、多層管:multilayer tube)を開示する。フッ素化ポリマー層、タイ層、およびさらなるポリマー層を含む多層チューブは、フッ素化ポリマー層およびさらなるポリマー層単独と比較して、改善された剥離強度を示すことができる。
【0007】
1つの例示的な態様において、多層チューブは、フッ素化ポリマーを含む内層を含み、内層は、多層チューブの内径を規定する内表面と、内層の厚さだけ内表面から離れた外表面と、内層の外表面上に配置された官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層とを有する。
【0008】
もう一つの例示的な態様において、多層チューブは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む内層を含み、内層は、多層チューブの内径を規定する内表面と、内層の厚さだけ(または、によって)内表面から離れた外表面と、内層の外表面上に配置された官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層とを有する。
【0009】
もう一つの例示的な態様において、多層チューブの製造方法は、官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層コーティング組成物から、フッ素化ポリマーを含む内層の外表面にタイ層を形成することを含む。
【0010】
もう一つの例示的な態様において、血管内医療デバイスは、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の多層チューブを含む。
【0011】
もう一つの例示的な態様において、カテーテルは、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の多層チューブを含む。
【0012】
もう一つの例示的な態様において、医療用チューブは、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の多層チューブを含む。
【0013】
複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の官能化スチレンブロック共重合体(または、ブロックコポリマー)は、無水マレイン酸グラフトスチレンブロック共重合体を含む。複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の官能化スチレンブロック共重合体は、無水マレイン酸グラフトポリ(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)(SEBS-g-MA)を含む。複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の官能化スチレンブロック共重合体は、25重量%を超えるスチレンを含む。
【0014】
複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の多層チューブは、タイ層が内層と外層との間に配置されるように、タイ層上に配置された外層をさらに含む。複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の外層は、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリアミド/ポリエーテルブロック共重合体、ポリエステル、コポリエステル、ステンレス鋼、ガラス、またはそれらの組合せを含む。複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の外層は、ポリアミド/ポリエーテルブロック共重合体を含む。
【0015】
複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様のタイ層は、約2.5μm~約30μmの厚さを有する。
【0016】
複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の多層チューブは、補強層(または、強化層:reinforcement layer)をさらに含む。複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の補強層は、ワイヤーコイルを含む。
【0017】
複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の内層の外表面は、エッチングされる。
【0018】
複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の多層チューブは、タイ層を含まない他の同一の多層チューブと比較して、少なくとも約25%の剥離強度の増加を示す。複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の多層チューブは、タイ層を含まない他の同一の多層チューブと比較して、約25%~約250%の剥離強度の増加を示す。
【0019】
複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の多層チューブの製造方法は、タイ層を形成するのに先立ち内層の外表面をエッチングする(または、食刻する:etching)ことを含む。
【0020】
複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の多層チューブの製造方法は、内層をタイ層コーティング組成物に浸漬することを含む。複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の多層チューブの製造方法は、多層チューブの長さの少なくとも一部に沿ってワイヤコイルから形成される補強層を形成することを含む。複数の態様において、本明細書に提供されるいずれかの他の態様の補強層の形成は、タイ層にワイヤーを巻き付けることを含む。複数の態様において、本明細書のいずれかの他の態様の多層チューブの製造方法は、タイ層が外層と内層との間に配置されるように、タイ層上にポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、またはそれらの組合せを含む外層を形成することを含む。
【0021】
本発明の性質および有利さのさらなる理解は、特に、同様の部品には同様の参照数字が付されている添付図面と併せて考慮される場合に、以下の記載および特許請求の範囲に記載されている。
【0022】
(図面の簡単な説明)
本開示の実施態様の種々の態様をさらに明確化するために、添付図面の種々の態様を参照して、特定の実施例および実施態様のより具体的な説明を行う。これらの図面は、本開示の例示的な実施態様のみを示し、したがって、本開示の範囲を限定するものとはみなされないことが理解される。さらに、いくつかの実施例については図を縮尺通りに描くことができるが、すべての実施例について必ずしも図を縮尺通りに描いていない。本開示の実施例および他の特徴および利点は、添付図面の使用を介して、さらに具体的かつ詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本明細書に示され説明される1つ以上の態様による多層チューブの軸方向(または、軸:axial)断面図である。
【
図2】
図2は、各種試料(X軸)の剥離強度(Y軸;ニュートン単位)を示す棒グラフである。
【
図3】
図3は、実施例に記載のPTFEライナーAおよび補強層を組み込んだ比較試料の剥離強度(Y軸;ニュートン単位)を示す棒グラフである。
【
図4】
図4は、補強層がなく、実施例に記載された種々のPTFEライナー、タイ層および外層を含む試料の剥離強度(Y軸;ニュートン単位)を示す棒グラフである。
【
図5】
図5は、実施例に記載したPTFEライナーB、補強層およびPEBAX外層を組み込んだ試料の剥離強度(Y軸;ニュートン単位)を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(詳細な説明)
以下の説明は、本開示の例示の実施態様を示す添付図面を参照する。異なる構造および操作を有する他の実施態様も、本開示の範囲から逸脱しない。
【0025】
本開示は、官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層、タイ層およびフッ素化ポリマー内層を含む多層チューブ、タイ層を含む多層チューブの製造方法、および多層チューブを含む物品に指向される。フッ素化ポリマー層およびさらなる層を含む多層チューブは、さらなるポリマー層のみを含む他の同一の多層チューブと比較して、改善された剥離強度を示し得る。
【0026】
図1は、例示的な多層チューブ100の軸方向断面を示す。多層チューブ100は、内層102、タイ層104および外層106を含む。タイ層104は内層102と外層106との間に配置される。本開示において、多層チューブ100は、内層102およびタイ層104を含み得る。結果的に、外層106は本開示のいくつかの態様において任意であることを理解すべきである。さらに、本開示に従って他の層(例えば、補強層、第4の層、第5の層など)を加え得る。
【0027】
多層チューブ100は、多層チューブの長さに沿って軸方向に延在する。多層チューブ100の長さは広く変化し、例えば、長さ15メートル(m)以上であることができる。また、多層チューブ100は、内層102の内表面によって規定される内径IDを含む。同様に、内径IDは、本開示のいくつかの態様において変化できる。本開示のいくつかの態様において、内径IDはカテーテル用途での使用に適している。多層チューブ100は、他の形状も考えられ可能であるが、一般的に円筒形状(cylindrical shape)を有し得る。
【0028】
さらに、内層102は、内層102の厚さt1だけ内表面から離れた(または、分離された、もしくは隔てられた:separated)外表面を含む。壁厚は、一般的には実質的に均一であると記載でき、多層チューブ100の外周で、または多層チューブ100の長さに沿ってかなりには変化しない。
【0029】
本開示において、内層102は、一般的に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、またはフッ素化エチレン-プロピレン共重合体(FEP)のごときフッ素化ポリマーを含む。フッ素化ポリマー(本明細書ではフッ素樹脂ということもある)は、高い耐熱性および耐薬品性を示しつつ、多層チューブ100の内表面に低い摩擦係数を付与する。種々のフッ素化ポリマー樹脂は、商業的に入手でき、本明細書に提供されるフッ素化ポリマーチューブまたはライナーを形成するために使用できる。本開示の種々の態様において、内層102は実質的にフッ素化ポリマーからなり、すなわち、さらなる成分(例えば、フィラー(または、充填材もしくは充填剤:filler))は内層102に意図的に添加されない。
【0030】
図1に示すごとく、タイ層104は内層102の外表面上に配置される。換言すれば、タイ層104は多層チューブ100の内層102の同心円状に(concentrically)外側にある。本開示の種々の態様において、タイ層104は内層102の外表面上に直接的に配置され、タイ層104と内層102との間に介在層(intervening layer)は存在しない。タイ層104は、タイ層104の第1表面とタイ層104の第2表面とを分離する厚さt
2を有する。本開示の種々の態様において、タイ層104の厚さt
2は、約2.5μm~約30μm、例えば、約2.5μm~約25μm、または約3μm~約20μmであり、その中のいずれかおよびすべての範囲およびサブ範囲を含む。
【0031】
タイ層104は、一般的に官能化スチレンブロック共重合体を含む組成物(本明細書では「タイ層コーティング組成物」ということがある)から形成される。本開示の複数の態様において、官能化スチレンブロック共重合体は、グラフト化合物(grafting compound)が結合したスチレンブロック共重合体である。種々のグラフト化合物が当該技術分野で知られ得るが、極性グラフト化合物、より詳細にはマレイン化グラフト化合物が、本開示の種々の態様において使用される。本開示の複数の態様において、グラフト化合物は無水マレイン酸である。官能化スチレンブロック共重合体中のグラフト化合物の量は、特定の態様に依存して変更できるが、本開示の種々の態様において、グラフト化合物は、官能化スチレンブロック共重合体の総重量に基づいて約1重量%を超え約5重量%未満の量で存在し、例えば、約1重量%~約3重量%であり、その中のいずれかおよびすべての範囲およびサブ範囲を含む。本開示の特定の態様において、官能化スチレンブロック共重合体は、官能化スチレンブロック共重合体の総重量に基づいて、約1.4重量%~約2重量%のグラフト化合物を含む。
【0032】
本開示において、スチレンブロック共重合体は線形(または、線状)構造を有し得るが、いくつかの態様において、スチレンブロック共重合体は分岐ポリマーもしくはラジアルポリマー(radial polymer)または官能化ブロック共重合体も包含できる。1つ以上の態様において、スチレンブロック共重合体は、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)、またはそれらの組合せを含み得る。本開示の複数の態様において、スチレンブロック共重合体は、スチレンブロック共重合体の総重量に基づいて25重量%以上のスチレン、例えば、30重量%以上のスチレンを有するスチレンブロック共重合体である。本開示のいくつかの態様において、スチレンブロック共重合体は、25重量%~50重量%のスチレン、または30重量%~45重量%のスチレンを含み、その中のいずれかの範囲およびサブ範囲を含む。
【0033】
本開示の特定の態様において、官能化スチレンブロック共重合体は、無水マレイン酸グラフトSEBS(SEBS-g-MA)である。種々の商業的に入手可能な官能化スチレンブロック共重合体は、タイ層における使用に適切であり得、限定されるものではないが、Kraton Corporation(テキサス州ヒューストン)から入手可能であるスチレンおよびエチレン/ブチレンをベースとし、1.0重量%~2.0重量%の無水マレイン酸(例えば、1.0重量%~2.0重量%、1.4重量%~2.0重量%、1.0重量%~1.7重量%、または1.4重量%~1.7重量%)で官能化されたポリスチレン含量が30%の線形トリブロック共重合体であるKRATON FG1901Gポリマーまたは、スチレンおよびエチレン/ブチレンをベースとし、0.7重量%~1.3重量%の無水マレイン酸(例えば、0.7重量%~1.3重量%、1.0重量%~1.3重量%、0.7重量%~1.2重量%、または1.0重量%~1.2重量%である)で官能化されたポリスチレン含有量が13%の線形トリブロック共重合体であるKRATON FG1924Gポリマーを含む。
【0034】
本開示の種々の態様において、タイ層104を形成する組成物(すなわち、タイ層コーティング組成物)は、実質的に官能化スチレンブロック共重合体からなり、すなわち、タイ層104を形成する組成物にさらなる成分(例えば、フィラー)は意図的に添加されない。本開示のある特定の態様において、タイ層104を形成する組成物は、実質的にSEBS-g-MAからなる。本開示の種々の態様において、タイ層104を形成する組成物は官能化スチレンブロック共重合体からなり、すなわち、タイ層104を形成する組成物にはさらなる成分(例えば、フィラー)は存在しない。本開示のある特定の態様において、タイ層104を形成する組成物はSEBS-g-MAからなる。本開示の種々の態様において、タイ層104を形成する組成物はタッキファイヤー(または、粘着付与剤:tackifier)を除外する。本開示の種々の態様において、タイ層104を形成する組成物は、非SEBSタッキファイヤーを除外する。特定の態様において、タイ層104を形成する組成物は、SEBSまたはSEBS-g-MAに加えて、非SEBS-g-MAタッキファイヤーまたはタッキファイヤーを除外する。本開示の種々の態様において、タイ層104を形成する組成物は、エチレン/αオレフィン共重合体を除外する。本開示の複数の態様において、タイ層104を形成する組成物は、タッキファイヤーおよびエチレン/αオレフィン共重合体を除外する。
【0035】
理論に拘束されることなく、内層と外層との接着を改善させることに加えて、タイ層はUV光および/または湿気の悪影響に対して内層を保護し、それによって内層がより長い保存期間を有することを可能にすると考えられる。
【0036】
図1において、多層チューブ100はさらに、所望の外層106を含む。外層106は「ジャケット」ということができ、多層チューブ100に異なる物理的特性を付与するために多層チューブ100に加えることができる。例えば、外層106は多層チューブ100に強度および剛性を付与し得る。外層106は、いずれかの適切な厚さを有することができ、含まれる場合には、多層チューブ100の長さの全部または一部に沿って延在し得る。本開示の複数の態様において、外層106は、異なる長さおよび硬度の1つまたは複数のセグメント(または、部分もしくは区分:segment)で構成され、多層チューブ100の異なる長手方向(または、縦)セクションに異なる特性を付与するために使用できる。
【0037】
外層106は、当該技術分野において知られ使用されるいずれかの材料を含み得る。本開示の複数の態様において、外層106は、ステンレス鋼、ガラス、ポリマー、またはそれらの組合せもしくは誘導体(または、派生物:derivative)を含む。外層106に含まれるポリマーは、限定するものではないが例として、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド/ポリエーテルブロック共重合体、ポリエステル、コポリエステル、または、限定されるものではないが、ポリアミド/ポリエーテルブロック共重合体を含めたそれらの組合せもしくは誘導体を含み得る。使用に適切な商業的に入手可能な材料は、限定するものではないが、例として、TECOFLEX(The Lubrizol Corporation(Wickliffe,Ohio)から入手可能な脂肪族ポリエーテルベースの熱可塑性ポリウレタン)、PEBAX(Arkema S.A.(フランス)から入手可能なポリエーテルブロックアミド)、VESTAMID(Evonik Industries AG(ドイツ)から入手可能なポリアミド12)の商標下で入手可能な製品を含む。
【0038】
本開示の複数の態様において、外層106は実質的にポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、またはそれらの組合せからなり、すなわち、外層106にはさらなる成分(例えば、フィラー)は意図的に添加されない。しかしながら、いくつかの態様において、外層106は、限定されるものではないが、当該技術分野において公知であり使用し得る放射線不透過性(radiopaque)フィラーまたは放射線不透過性ナノクレイ(nanoclay)を含めた1つ以上の添加剤を含む。放射線不透過性フィラーは、限定なくして、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、三酸化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、タングステン、タンタル、白金、金、およびそれらの組合せを含む。
【0039】
本明細書では「外層(または、外側層:outer layer)」というが、1つ以上のさらなる層が外層106の外側表面上に配置されることが考えられる。例えば、本開示のいくつかの態様において、熱収縮層(図示せず)が外層上に配置され、多層チューブ100の形成中に多層チューブ100に半径方向内向き(radially inward)の力を付与する。熱収縮層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはフッ素化エチレンプロピレン共重合体(FEP)のごときフッ素重合体またはポリオレフィン材料から形成し得る。熱収縮層は、以下により詳細に説明されるごとく、さらなる加工(または、処理:processing)中に多層チューブ100の全体形状を保持するため、形状保持構造といい得る。
【0040】
ステンレス鋼、ニチノール、または他の材料から形成されたハイポチューブ(hypotube)、コイル、または他の補強構造の形態の補強層を、所望により多層チューブ100に組み込み得る。補強層は、含まれる場合、多層チューブ100に支持および/または構造を提供できる。補強層は、多層チューブ構造内の他の位置に配置することもできるが、本開示の種々の態様において、タイ層と外層との間に配置される。例えば、本開示の複数の態様において、ハイポチューブ、コイル、または他の補強構造は、内層102またはタイ層104に埋め込まれる。本開示の複数の態様において、多層チューブ100は高分子繊維を排除する。本明細書で使用される「高分子繊維(または、ポリマー繊維もしくはポリメリックテキストル:polymeric textile)」なる用語は、限定されるものではないが、織る、編むのごとき種々の方法のいずれか1つによって組み合わせた(interlaced)高分子繊維(またはポリマー繊維:polymeric fiber)、糸(または、より糸:thread)または糸(yarn)から作製された材料をいう。
【0041】
コイルは、当該技術分野で知られ使用し得るいずれかの適切なピッチおよび対応する表面積被覆率(coverage)を有することができる。本開示の複数の態様において、コイルは、25%~75%、30%~70%、40%~60%、または45%~55%の表面積被覆率(ここに含まれるすべての範囲およびサブ範囲を含む)を有する。ある特定の態様において、多層チューブ100は補強層としてステンレス鋼コイルを含む。
【0042】
また、本開示は、多層チューブを含む物品に指向される。かかる物品の例としては、限定されるものではないが、カテーテルおよび医療用チューブを含めた血管内医療デバイスが挙げられる。本開示の複数の態様において、血管内医療デバイスは本開示の多層チューブを含む。血管内医療デバイスは、カテーテルおよび/または医療用チューブを含む。
【0043】
多層チューブ100を形成するには、限定されるものではないが、フィルムキャスティング(film casting)およびラム押出成形を含めた、種々の方法のいずれか1つを使用し得る。本開示のいくつかの態様において、内層102は、金属基材(例えば、ワイヤー)上に材料を押出すことによって形成し得る。押出後、内層で被覆された基材を約345℃を超える温度で焼結して、内層102の粒子を溶融し、実質的に均一な内層102を形成し得る。次いで、生成物は冷却され、内層102は基板から取り出し得る。内層102を形成する他の方法は、当該技術分野で知られており、使用されている。さらに、実質的に内層102からなる商業的に入手可能なチューブを獲得し、加工して多層チューブ100を形成することが考えられる。かかる商業的に入手可能なチューブは、限定されるものではないが、例として、Zeus Industrial Products, Inc.(サウスカロライナ州オレンジバーグ)、Nordson Medical(ペンシルバニア州イーストン)、Junkosha Inc.(日本)、TE Connectivity Corporation(ペンシルバニア州バーウイン)、Medibrane Ltd.(イスラエル)、Creganna Unlimited Company(アイルランド)、およびDuke Extrusion(カリフォルニア州サンタクルーズ)から入手可能なものを含む。
【0044】
本開示の態様において、内層102は外表面にエッチングされるが、本開示の他の態様において、内層102はエッチングまたは他の表面修飾(surface modification)プロセスに付されない。エッチングは、例えば、内層の外表面を数百オングストローム以上(例えば、約2.5×10-5mm)の深さまでエッチングするのに有効な時間、内層102をフッ素のごときエッチング液に曝露することによって内層を化学的にエッチングすることを含むことができる。
【0045】
タイ層コーティング組成物は、いずれかの適切な方法を用いて内層の外表面に適用される。例えば、タイ層コーティング組成物は、ディップコーティング、スプレーコーティング、塗装、ドリップコーティング(drip coating)、押出コーティング、または他の適切なコーティング方法を介して適用できる。複数の態様において、タイ層コーティング組成物は、分散液の形態にて官能化スチレンブロック共重合体を含む。例えば、官能化スチレンブロック共重合体を溶媒(例えば、トルエン)中に分散させて、タイ層コーティング組成物を形成し得る。内層102の外表面に適用後、タイ層コーティング組成物を乾燥させてタイ層104を形成する。本開示の他の態様において、タイ層コーティング組成物は、官能化スチレンブロック共重合体の溶融形態である。内層102の外表面に適用後、溶融したタイ層コーティング組成物を冷却し固化してタイ層104を形成する。
【0046】
補強層を含む複数の態様において、補強層はタイ層104の表面の少なくとも一部に配置される。補強層がワイヤコイルである場合のごときいくつかの態様において、補強層をタイ層104に埋込むことができる。例えば、タイ層104を形成するために、タイ層組成物の乾燥前または乾燥中に、ワイヤーを多層チューブに巻き付けることができる。本開示の他の複数の態様において、補強層は、タイ層104の外側表面上に配置できる(例えば、タイ層104の形成に続いて多層チューブに巻き付けることができる)。本開示のさらに他の複数の態様において、補強層は、タイ層コーティング組成物を適用するのに先立ち、内層の表面の一部に配置できる。
【0047】
外層106を含む複数の態様において、外層106は、外層を構成する材料をタイ層104上に配置することによって形成される。例えば、外層106は、外層をタイ層104および/または補強層にコーティングとして適用することにより、タイ層104上に配置し得る。所望の外層106を達成するために外層106をコーティングするいずれの適切な形態も必要に応じて用い得る。他の例において、高分子材料(または、ポリマー材料:polymeric material)は、内層102およびタイ層104を含む多層チューブが挿入されるチューブの形態であることができる。しかしながら、タイ層104上に外層106を形成する他の方法を、本開示の特定の態様に依存して用い得る。
【0048】
本開示の種々の態様において、ヒートシール層が多層チューブ100上にさらに配置される。次いで、内層102、タイ層104、外層106、およびヒートシール層を含む多層チューブ100を、本開示に従ってラミネート(または、積層:laminated)または溶融加工(melt processed)する。
【0049】
本開示の多層チューブは、官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層を含まない他の同一の多層チューブと比較して、より大きな剥離強度を示す。本開示の複数の態様において、剥離強度は、約25%を超えて約50%を超えて、約55%を超えて、約100%を超えて、約150%を超えて、または約200%を超えて改善される。本開示の複数の態様において、剥離強度は、約25%~約250%、約30%~約225%、約50%~約225%、約100%~約225%、約50%~約110%、またはこれらの範囲内のいずれかの範囲もしくはサブ範囲で改善される。本開示の複数の態様において、剥離強度は、8.5ニュートン(N)を超える、例えば、約9.0Nを超える、約9.5Nを超える、約10.0Nを超える、約10.5Nを超える、約11.0Nを超える、約12.0Nを超える、約13.0Nを超える、約14.0Nを超える、約14.5Nを超える、約15.0Nを超える、約15.5Nを超える、約16.0Nを超える、約16.5Nを超えるまたは約17.0Nを超える。本開示の複数の態様において、剥離強度は、約8.5N~約20.0N、約9.0N~約19.5N、約9.5N~約19.0N、約9.5N~約18.5N、約10.0N~約18.0N、約14.0N~約18.0N、またはこれらの範囲内のいずれかの範囲もしくはサブ範囲である。
【0050】
実施例
以下の実施例は、本開示の種々の態様をより良く示すためのものであるが、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0051】
以下の実施例において、以下の材料を使用した:
【0052】
PTFEライナーAは、Zeus Industrial Products Inc.により供給された0.035インチの壁厚を有する0.254インチの内径ラム押出しPTFEエッチング(etched)ライナーである。
【0053】
PTFEライナーBは、Nordson Medicalにより提供された壁厚0.035インチを有する内径0.254インチのラム押出PTFEエッチングライナーである。
【0054】
TECOFLEX EG-80Aは、The Lubrizol Corporation(オハイオ州ウィックリフ)から入手可能な脂肪族ポリエーテルベースの熱可塑性ポリウレタンである。
【0055】
PEBAX 55Dは、Arkema S.A.(フランス)から入手可能なポリエーテルブロックアミドである。
【0056】
VESTAMID ML21は、Evonik Industries AG(ドイツ)から入手可能なポリアミド12である。
【0057】
ESTANE 58810は、The Lubrizol Corporation(オハイオ州ウィックリフ)から入手可能な熱可塑性ポリウレタンである。
【0058】
KRATON FG1901Gポリマーは、スチレンおよびエチレン/ブチレンをベースとし、1.4重量%~2.0重量%の無水マレイン酸で官能化されたポリスチレン含有率30%の線形トリブロック共重合体であり、Kraton Corporation(テキサス州ヒューストン)から入手可能である。
【0059】
PTFEライナーAを使用した比較試料(試料C1~C12)は、表1に示すごとく、タイ層を含まないもの、TECOFLEX EG-80Aから形成されたタイ層を含むもの、PEBAX 55Dから形成されたタイ層を含むもの、またはポリアミド12から形成されたタイ層を含むものをZeusから入手した。
【0060】
粘度をモニターしつつ、PTFEライナーB単独(試料C13~C14)、またはPTFEライナーBに対してESTANE 58810(試料C15~C20)を含むタイ層組成物を適用することにより、さらなる比較試料(試料C13~C20)を調製した。PTFEライナーの内径は支持されておらず、タイ層組成物がPTFEライナーの内表面に接触するのを防ぐため、両端が塞がれた。タイ層は、約6μmの平均厚さを有した。
【0061】
KRATON FG1901Gポリマーを含むタイ層組成物をPTFEライナーBに適用することにより、本開示の種々の態様によるタイ層を含む6つの試料(試料I1~I6)を調製した。特に、KRATON FG1901Gポリマーをメスシリンダー中で溶かし、粘度をモニターしつつ、制御された抽出速度でPTFEライナーに適用した。PTFEライナーの内径は支持されておらず、タイ層組成物がPTFEライナーの内表面に接触するのを防ぐため、両端が塞がれた。タイ層は、約7.5μmの平均厚さを有した。
【0062】
表1に示すごとく、補強材を含むまたは含まない試料を評価した。補強層を有する試料について、0.004インチ×0.012インチ×0.024インチのピッチの304ステンレス鋼コイルを使用し、表面積被覆率50%を提供した。
【0063】
外層は、表1に示すごとく、3つの異なる素材:TECOFLEX EG-80A、PEBAX 55DおよびVESTAMID ML21の1つから選択された。
【0064】
【0065】
試料を構成するため、PTFEライナー(表1に示すタイ層の有無にて)を、外径0.63mm(0.0249インチ)×長さ30cm(12インチ)のハイポチューブに張った。PTFEライナーの長さは約20cmから約28cm(約8インチから約11インチ)であった。
【0066】
補強層を含む試料について、ライナーの中間(または、メディアルもしくは内側:medial)12.7cm(5インチ)に0.1mm(0.004インチ)×0.3mm(0.012インチ)の304ステンレス鋼ワイヤーを0.6mm(0.024インチ)ピッチで巻き付けた。コイル端は、シングルパルスモードでスポットサイズ0.30mm、180V、1.0msのレーザー溶接で終端(terminated)した。
【0067】
対応するPTFEライナーと同様の長さを有する、表1の各試料に示された外層を、試料上に配置した。次いで、長さ17.7cm(7インチ)の9.5mm(3/8インチ)FEP熱収縮片(heat shrink)を試料上に配置した。各試料の中間12.7cm(5インチ)を縦型ラミネーターでラミネートした。ラミネーション・パラメーターは、表2に示すごとく、外層の材料に基づいて決定された。試料をラミネーターから取り出し、熱収縮層を取り除き、試験用に試料を半分に切断した。
【0068】
【0069】
表3に示すパラメーターを用いて、インストロン引張試験で1試験当たり5単位の剥離強度を測定した。
【0070】
【0071】
試験用に補強層を含む試料を調製するため、試料がコイルセクションの層間剥離(delamination)からのデータのみを含むことを保証するように第1の数層のコイル層が露出するまで、外層から剥離した。変位(displacement)および力の値はゼロにした。次いで、下部グリップでPTFEライナーを挟み、上部グリップで対応する試料の外層を挟み、試料を空気圧グリップに挟んだ。試料は、PTFEライナーまたは外層にたるみ(slack)がないことを確認した。
【0072】
得られたデータを表4および
図2~5に示す。特に、表4に報告した値は、特定の20mm範囲の変位の平均値である。データのばらつきのため、変位範囲は試験ごとに変動するが、同じデータセット内のすべての試験試料が安定化した後に10mm生じた第1の20mm増加と定義される。この平均値は、一貫した値の範囲を提供したため、報告される。表4に報告される値は、TECOFLEX EG-80A外層の値を除き、初期ランプアップおよびランプダウンの値を除外した力の値を平均化することによって得られた値と一致する。外層にTECOFLEX EG-80Aを含む試料について得られたデータに関して、外層の弾性がデータにノイズおよび振動を生じさせると考えられ、結果としてこのデータを除外した。
【0073】
【0074】
表4に示すごとく、補強層(例えば、コイルワイヤー)の付加は、PEBAX 55DおよびVESTAMID ML21の外層について剥離強度を低下させることが判明した。理論に拘束されることなく、補強層は外層に結合するPTFEライナーの能力を低下させると考えられる。特に、試料の目視検査は、ライナーと補強層が接触しているセクション(または、部分:section)では、ライナーのエッチングが残っていたが、外層とライナーが接触しているセクションでは、剥離試験中にエッチングが除去されたことを示した。
【0075】
しかしながら、
図2および表5に示すごとく、タイ層の付加は、剥離強度に対する補強層のネガティブな効果を大きく低下させた。特に、タイ層を含む試料(TECOFLEX EG-80A、PEBAX 55D、VESTAMID ML21、ESTANE 58810、およびKRATON FG1901から形成されたタイ層を含む)は、タイ層を含まないが補強層を含む試料により示された剥離強度の39.44%の平均低下と比較して、補強層の付加の結果として、剥離強度のわずか9.21%の平均低下を示した。
【0076】
表5:各種タイ層ケミストリーの影響の比較
【表5】
【0077】
しかしながら、タイ層は、
図2~5および表5に示すごとく、量の変更により接着を増加させた。特に、KRATON FG1901を含むタイ層は、TECOFLEX EG-80A、PEBAX 55D、VESTAMID ML21、またはESTANE 58810を含むタイ層を有するライナーと比較して、ライナーの剥離強度を改善させた。注目すべきことに、VESTAMID ML21をタイ層として含むこと(試料C11およびC12)は、VESTAMID ML21タイ層を含まない他の同一の多層チューブ(例えば、試料C5およびC6)と比較して、剥離強度を実際に低下させた。補強層およびタイ層に対応する外層を含むPTFEライナーAに対する、TECOFLEX EG-80A、PEBAX 55D、VESTAMID ML21を含むタイ層の使用効果を
図3に示す。
【0078】
図4は、VESTAMID(nylon)およびPEBAX外層を有する補強層のない各種試料の剥離強度を示す。
図4に示すごとく、KRATONタイ層を含む試料は、双方の外層ケミストリー(chemistry)について剥離強度の増加を示す。
【0079】
図5は、PTFEライナーB、補強層およびPEBAX外層を含む各種試料の剥離強度を示す。ESTANEタイ層(C18)は対照(C14)よりも増加した剥離強度を示したが、KRATONタイ層(I4)の使用は、ESTANEタイ層さえよりも増加した剥離強度を生じた。
【0080】
PTFEライナーBを含む試料のベースライン接着(または、接着力:adhesion)は、補強層を含む試料および含まない試料の双方について、PTFEライナーAを含む試料のベースライン接着よりも大きかった(各々、55.74%および29.73%)。
【0081】
本開示の種々の発明の態様、概念および特徴は、本開示の例示の複数の態様において組み合わせて具体化されるものとして本明細書に記載および示し得るが、これらの種々の態様、概念および特徴は、本開示の多数の代替的態様において、個々に、またはそれらの種々の組合せおよびサブ組合せのいずれかで使用し得る。本明細書に明示的に排除されない限りは、かかる組合せおよびサブ組合せのすべては、本出願の範囲内にあることが意図される。依然としてさらに、本開示の種々の態様、概念および特徴に関する本開示の種々の代替的態様-例えば、代替的な材料、構造、構成、方法、デバイスおよび構成要素、形態、適合性(fit)および機能に関する代替的態様など-は本明細書に記載し得るが、かかる記載は、現在知られているか、または後に開発されるかに拘わらず、本開示の利用可能な代替的態様の完全なリストまたは網羅的なリストであることを意図しない。当業者ならば、たとえ本開示のかかる態様が本明細書に明示的に開示されていなくても、本発明の態様、概念、または特徴の1つ以上を、本開示のさらなる態様および本出願の範囲内の用途に容易に採用し得る。
【0082】
さらに、本明細書において、たとえ本開示のいくつかの特徴、概念または態様が、好ましい配置または方法であるとして記載されているとしても、かかる記載は、明示的にそのように記載されない限りは、かかる特徴が必須または必要であることを示唆することを意図するものではない。依然としてさらに、本出願の理解を助けるために、例示的または代表的な値および範囲を含み得るが、かかる値および範囲は限定的な意味で解釈されるものではなく、明示的にそのように記載される場合にのみ、臨界的な値または範囲であることが意図される。
【0083】
さらに、種々の態様、特徴および概念が、本明細書において、発明的または開示の一部を形成するものとして明示的に特定し得るが、かかる特定は排他的であることを意図するものではなく、むしろ、特定の開示のかかるものまたは一部として明示的に特定されることなく、本明細書に十分に記載される発明的な態様、概念および特徴が存在する場合があり、開示は、代わりに、添付の特許請求の範囲に記載される。例示的な方法またはプロセスの記載は、すべての場合に必要であるとして、すべてのステップを含めることに限定されず、また、明示的にそのように記載されていない限りは、ステップの提示順序が必須または必要であると解釈されるものでもない。特許請求の範囲に使用されている語句は、その通常の意味をすべて有しており、明細書の記載によって何ら限定されない。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む内層であって、前記内層は、多層チューブの内径を規定する内表面と、内層の厚さだけ内表面から離れた外表面とを有する、内層;および
前記内層の外表面上に配置された官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層
を含む多層チューブ。
【請求項2】
前記官能化スチレンブロック共重合体が、無水マレイン酸グラフトスチレンブロック共重合体を含む、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項3】
前記官能化スチレンブロック共重合体が、無水マレイン酸グラフトポリ(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)(SEBS-g-MA)を含む、請求項
1に記載の多層チューブ。
【請求項4】
前記官能化スチレンブロック共重合体が25重量%を超えるスチレンを含む、請求項
1に記載の多層チューブ。
【請求項5】
さらに、前記タイ層が前記内層と外層との間に配置されるように、前記タイ層上に配置された外層をさらに含む、請求項
1に記載の多層チューブ。
【請求項6】
前記外層が、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリアミド/ポリエーテルブロック共重合体、ポリエステル、コポリエステル、ステンレス鋼、ガラス、またはそれらの組合せを含む、請求項5に記載の多層チューブ。
【請求項7】
前記外層がポリアミド/ポリエーテルブロック共重合体を含む、請求項
5に記載の多層チューブ。
【請求項8】
前記タイ層が約2.5μm~約30μmの厚さを有する、請求項
1に記載の多層チューブ。
【請求項9】
補強層をさらに含む、請求項1~8のいずれか1記載の多層チューブ。
【請求項10】
前記補強層がワイヤコイルを含む、請求項9に記載の多層チューブ。
【請求項11】
前記内層の外表面がエッチングされている、請求項
1に記載の多層チューブ。
【請求項12】
前記多層チューブが、タイ層を含まない他の同一の多層チューブと比較して、少なくとも約25%の剥離強度の増加を示す、請求項
1に記載の多層チューブ。
【請求項13】
前記多層チューブが、タイ層を含まない他の同一の多層チューブと比較して、約25%~約250%の剥離強度の増加を示す、請求項
1に記載の多層チューブ。
【請求項14】
官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層コーティング組成物からのタイ層を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む内層の外表面に形成すること
を含む多層チューブの製造方法。
【請求項15】
前記タイ層を形成するのに先立ち、内層の外表面をエッチングすること
をさらに含む、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記タイ層を形成することが、前記タイ層コーティング組成物中に内層を浸漬することを含む、請求項1
4に記載の製造方法。
【請求項17】
前記多層チューブの長さの少なくとも一部に沿って、ワイヤコイルから形成された補強層を形成することをさらに含む、請求項1
4に記載の製造方法。
【請求項18】
前記補強層を形成することが、前記タイ層にワイヤーを巻き付けることを含む、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記タイ層が外層と内層との間に配置されるように、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、またはそれらの組合せを含む外層をタイ層上に形成すること
をさらに含む、請求項1
4に記載の製造方法。
【請求項20】
前記官能化スチレンブロック共重合体が、無水マレイン酸グラフトポリ(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)(SEBS-g-MA)を含む、請求項1
4に記載の製造方法。
【請求項21】
請求項
1に記載の多層チューブまたは請求項1
4に記載の製造方法から形成された多層チューブを含む血管内医療デバイス。
【請求項22】
請求項
1に記載の多層チューブまたは請求項1
4に記載の製造方法から形成された多層チューブを含むカテーテル。
【請求項23】
請求項
1に記載の多層チューブまたは請求項1
4に記載の方法から形成された多層チューブを含む医療用チューブ。
【請求項24】
フッ素化ポリマーを含む内層であって、前記内層は、多層チューブの内径を規定する内表面と、前記内層の厚さだけ内表面から離れた外表面とを有する、内層;および
前記内層の前記外表面上に配置された官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層
を含む多層チューブ。
【請求項25】
前記官能化スチレンブロック共重合体が、無水マレイン酸グラフトスチレンブロック共重合体を含む、請求項24に記載の多層チューブ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
さらに、種々の態様、特徴および概念が、本明細書において、発明的または開示の一部を形成するものとして明示的に特定し得るが、かかる特定は排他的であることを意図するものではなく、むしろ、特定の開示のかかるものまたは一部として明示的に特定されることなく、本明細書に十分に記載される発明的な態様、概念および特徴が存在する場合があり、開示は、代わりに、添付の特許請求の範囲に記載される。例示的な方法またはプロセスの記載は、すべての場合に必要であるとして、すべてのステップを含めることに限定されず、また、明示的にそのように記載されていない限りは、ステップの提示順序が必須または必要であると解釈されるものでもない。特許請求の範囲に使用されている語句は、その通常の意味をすべて有しており、明細書の記載によって何ら限定されない。
本願発明は以下の態様を含む。
(態様1)
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む内層であって、前記内層は、多層チューブの内径を規定する内表面と、内層の厚さだけ内表面から離れた外表面とを有する、内層;および
前記内層の外表面上に配置された官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層
を含む多層チューブ。
(態様2)
前記官能化スチレンブロック共重合体が、無水マレイン酸グラフトスチレンブロック共重合体を含む、態様1に記載の多層チューブ。
(態様3)
前記官能化スチレンブロック共重合体が、無水マレイン酸グラフトポリ(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)(SEBS-g-MA)を含む、態様1または2に記載の多層チューブ。
(態様4)
前記官能化スチレンブロック共重合体が25重量%を超えるスチレンを含む、態様1~3のいずれか1記載の多層チューブ。
(態様5)
さらに、前記タイ層が前記内層と外層との間に配置されるように、前記タイ層上に配置された外層をさらに含む、態様1~4のいずれか1記載の多層チューブ。
(態様6)
前記外層が、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリアミド/ポリエーテルブロック共重合体、ポリエステル、コポリエステル、ステンレス鋼、ガラス、またはそれらの組合せを含む、態様5に記載の多層チューブ。
(態様7)
前記外層がポリアミド/ポリエーテルブロック共重合体を含む、態様5または態様6に記載の多層チューブ。
(態様8)
前記タイ層が約2.5μm~約30μmの厚さを有する、態様1~7のいずれか1記載の多層チューブ。
(態様9)
補強層をさらに含む、態様1~8のいずれか1記載の多層チューブ。
(態様10)
前記補強層がワイヤコイルを含む、態様9に記載の多層チューブ。
(態様11)
前記内層の外表面がエッチングされている、態様1~10のいずれか1記載の多層チューブ。
(態様12)
前記多層チューブが、タイ層を含まない他の同一の多層チューブと比較して、少なくとも約25%の剥離強度の増加を示す、態様1~11のいずれか1記載の多層チューブ。
(態様13)
前記多層チューブが、タイ層を含まない他の同一の多層チューブと比較して、約25%~約250%の剥離強度の増加を示す、態様1~12のいずれか1記載の多層チューブ。
(態様14)
官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層コーティング組成物からのタイ層を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む内層の外表面に形成すること
を含む多層チューブの製造方法。
(態様15)
前記タイ層を形成するのに先立ち、内層の外表面をエッチングすること
をさらに含む、態様14に記載の製造方法。
(態様16)
前記タイ層を形成することが、前記タイ層コーティング組成物中に内層を浸漬することを含む、態様14または態様15に記載の製造方法。
(態様17)
前記多層チューブの長さの少なくとも一部に沿って、ワイヤコイルから形成された補強層を形成することをさらに含む、態様14~16のいずれか1記載の製造方法。
(態様18)
前記補強層を形成することが、前記タイ層にワイヤーを巻き付けることを含む、態様17に記載の製造方法。
(態様19)
前記タイ層が外層と内層との間に配置されるように、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、またはそれらの組合せを含む外層をタイ層上に形成すること
をさらに含む、態様14~18のいずれか1記載の製造方法。
(態様20)
前記官能化スチレンブロック共重合体が、無水マレイン酸グラフトポリ(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)(SEBS-g-MA)を含む、態様14~19のいずれか1記載の製造方法。
(態様21)
態様1~14のいずれかに記載の多層チューブまたは態様14~20のいずれかに記載の製造方法から形成された多層チューブを含む血管内医療デバイス。
(態様22)
態様1~14のいずれかに記載の多層チューブまたは態様14~20のいずれかに記載の製造方法から形成された多層チューブを含むカテーテル。
(態様23)
態様1~14のいずれかに記載の多層チューブまたは態様14~20のいずれかに記載の方法から形成された多層チューブを含む医療用チューブ。
(態様24)
フッ素化ポリマーを含む内層であって、前記内層は、多層チューブの内径を規定する内表面と、前記内層の厚さだけ内表面から離れた外表面とを有する、内層;および
前記内層の前記外表面上に配置された官能化スチレンブロック共重合体を含むタイ層
を含む多層チューブ。
(態様25)
前記官能化スチレンブロック共重合体が、無水マレイン酸グラフトスチレンブロック共重合体を含む、態様24に記載の多層チューブ。
【国際調査報告】