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特表2024-536349キネマティックの軌道決定のための速度プリセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】キネマティックの軌道決定のための速度プリセット
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024520587
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2022077249
(87)【国際公開番号】W WO2023057324
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】102021125628.3
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505257752
【氏名又は名称】フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンキン,エリク
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS01
3C707BS24
3C707LS15
3C707LU01
3C707LV14
3C707LV19
(57)【要約】
本発明は、軌道の所与の経路に従ってキネマティックのポーズ空間における軌道を決定することに関する。ここで、軌道は、特定のアプリケーションのためにキネマティックによってたどられるべきである。軌道を決定するために使用されるポーズ空間のメトリックが基づく、キネマティックの作業空間内の点集合は、アプリケーションに基づいて決定される。経路に基づいて、軌道は、キネマティックが軌道をたどるときに、メトリックに基づくポーズ速度が所定の最大速度以下であるように決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キネマティックのポーズ空間内の軌道を決定するための方法であって、前記軌道は、特定のアプリケーションのために前記キネマティックによってたどられるべきであり、前記方法は、
最大速度と、
前記ポーズ空間内の前記軌道の経路と
を取得すること(S1100)と、
前記アプリケーションに基づいて、前記軌道を決定するために使用される前記ポーズ空間のメトリックが基づく前記キネマティックの作業空間内の点集合を決定すること(S1120)と、
前記キネマティックが前記軌道をたどるときに、前記メトリックに基づくポーズ速度が前記最大速度以下であるように、前記経路に基づいて前記軌道を決定すること(S1140)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記軌道は、前記経路に従って前記キネマティックの位置および向きの時間経過に対応し、
前記点は、前記キネマティックの前記位置および向きに対する前記作業空間内のそれぞれの位置を示し、
前記キネマティックの前記位置および向きに関する相対位置が変化しないように、前記軌道をたどる間に前記キネマティックとともに移動し、および/または
前記軌道をたどるときに前記キネマティックの前記位置および向きの前記時間経過に対応する座標系において静止し、
前記ポーズ速度は、前記軌道をたどるときに前記点が移動する速度のうちの最大速度に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記点は、前記作業空間内の静止領域に対応し、
前記ポーズ速度は、前記点が前記キネマティックとともに移動する空間によって掃引される速度のうちの最大速度に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記軌道は、前記経路に従って前記キネマティックの位置および向きの時間経過に対応し、
前記点は、相対点および絶対点を含み、
前記相対点は、前記キネマティックの前記位置および向きに対する前記作業空間内のそれぞれの位置を示し、
前記キネマティックの前記位置および向きに関する相対位置が変化しないように、前記軌道をたどるときに前記キネマティックとともに移動し、および/または
前記軌道をたどるときに前記キネマティックの前記位置および向きの前記時間経過に対応する座標系において静止し、
前記絶対点は、前記作業空間内の静止領域に対応し、
前記ポーズ速度は、
前記相対点が前記軌道をたどるときに移動し、
前記絶対点が前記キネマティックとともに移動する空間によって各々掃引される、
速度のうちの最大速度に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記軌道を決定することは、
前記経路を経路セクションに分割することと、
前記経路セクションのうちの1つをたどるときに前記点が受ける変位のうちの最大変位を推定することと、
前記最大速度と前記推定された最大変位とに基づいて、前記軌道をたどるときに前記経路セクションがたどられる持続時間を推定することと、
少なくとも前記推定された持続時間内に前記経路セクションがたどられるように前記軌道を決定することと
を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記最大変位は、前記点に対応する空間ボリュームの表面上に位置する前記点のうちの1つまたは複数の変位に基づいて推定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記軌道は、前記キネマティックが前記軌道をたどるときに、
メトリックに基づくポーズ加速度が所定の最大加速度以下であり、および/または
メトリックに基づくポーズ躍度が所定の最大躍度以下である、
ように決定される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記点集合は、
ツールおよび/または作業座標系の、および/または
ピボット点の、
位置に基づいて決定される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
キネマティックを制御するための制御装置であって、前記制御装置は、
最大速度と、
ポーズ空間内の軌道の経路と、
前記軌道を決定するために使用される前記ポーズ空間のメトリックが基づく前記キネマティックの作業空間内の点集合と
を取得するように、および
前記キネマティックが前記軌道をたどるときに、前記メトリックに基づくポーズ速度が前記最大速度以下であるように、前記経路に基づいて前記軌道を決定するように適合される、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の最大速度を考慮に入れて、キネマティック(Kinematics、運動)のポーズ空間内の軌道を決定するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットの制御システムにおいて頻繁に発生する問題は、ポーズ空間内の所与の経路に基づく軌道の計算である。安全上の理由から、例えば、速度プリセットは通常、遵守されなければならない。ここで重要な態様は、それがキネマティックのポーズ空間内の軌道であることであるが、ロボットの速度は通常、「実」3次元空間内で制限されるべきである。これは、そのような速度プリセットの取り扱いを複雑にし、とりわけ、ロボットの不均一な動きにつながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は、軌道を決定するときに速度プリセットの処理を改善し、特にそれをより柔軟にするという問題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
問題は、独立請求項の特徴を有する本発明によって解決される。いくつかの好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0005】
本発明は、軌道を決定するときに実行されるアプリケーションに適合する作業空間内の点に基づいてキネマティックの速度を決定するという考えに基づいている。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、キネマティックのポーズ空間内の軌道を決定するための方法が提供され、軌道は、特定のアプリケーションのためにキネマティックによってたどられるべきである。方法は、(i)最大速度と、ポーズ空間内の軌道の経路とを取得することと、(ii)アプリケーションに基づいて、軌道を決定するために使用されるポーズ空間のメトリックが基づくキネマティックの作業空間内の点集合を決定することと、(iii)キネマティックが軌道をたどるときに、メトリックに基づくポーズ速度が最大速度以下であるように、経路に基づいて軌道を決定することとを含む。
【0007】
一般に、第1の態様の実施形態では、軌道は、経路に従ってキネマティックの位置および向きの時間経過に対応してもよく、点は、キネマティックの位置および向きに対する作業空間内のそれぞれの位置を示し、(i)キネマティックの位置および向きに関する相対位置が変化しないように、軌道をたどるときにキネマティックとともに移動し、および/または(ii)軌道をたどるときにキネマティックの位置および向きの時間経過に対応する座標系において静止し、(iii)ポーズ速度は、軌道をたどるときに点が移動する速度のうちの最大速度に対応する。
【0008】
点は、例えば、作業空間内の静止領域に対応することができ、ポーズ速度は、点がキネマティックとともに移動する空間によって掃引される速度のうちの最大速度に対応することができる。
【0009】
一般に、第1の態様の実施形態では、軌道は、経路に従ってキネマティックの位置および向きの時間経過に対応してもよく、点は、相対点および絶対点を含む。相対点は、キネマティックの位置および向きに対する作業空間内のそれぞれの位置を示す。例えば、(i)相対点は、キネマティックの位置および向きに関する相対位置が変化しないように、軌道をたどるときにキネマティックとともに移動し、および/または(ii)相対点は、軌道をたどるときにキネマティックの位置および向きの時間経過に対応する座標系において静止する。絶対点は、作業空間内の静止領域に対応する。ポーズ速度は、(i)相対点が軌道をたどるときに移動し、(ii)絶対点がキネマティックとともに移動する空間によって掃引される、速度のうちの最大速度に対応する。
【0010】
軌道を決定することは、第1の態様の実施形態では、(i)経路を経路セクションに分割することと、(ii)経路セクションのうちの1つをたどるときに点が受ける変位のうちの最大変位を推定することと、(iii)最大速度と推定された最大変位とに基づいて、軌道をたどるときに経路セクションがたどられる持続時間を推定することと、(iv)少なくとも推定された持続時間内に経路セクションがたどられるように軌道を決定することとを含んでもよい。
【0011】
例えば、最大変位は、点に対応する空間ボリュームの表面上に位置する点のうちの1つまたは複数の変位に基づいて推定されることができる。
【0012】
一般に、第1の態様の実施形態では、軌道は、キネマティックが軌道をたどるときに、(i)メトリックに基づくポーズ加速度が所定の最大加速度以下であり、および/または(ii)メトリックに基づくポーズ躍度が所定の最大躍度以下であるように決定されてもよい。
【0013】
第1の態様のいくつかの実施形態では、点集合は、(i)ツールおよび/または作業座標系のロケーション、および/または(ii)ピボット点のロケーションに基づいて決定される。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、キネマティックを制御するための制御装置が提供される。制御装置は、(i)最大速度と、(ii)ポーズ空間内の軌道の経路と、(iii)軌道を決定するために使用されるポーズ空間のメトリックが基づくキネマティックの作業空間内の点集合とを取得するように適合される。制御装置は、キネマティックが軌道をたどるときに、メトリックに基づくポーズ速度が最大速度以下であるように、経路に基づいて軌道を決定するようにさらに適合される。
【0015】
一般に、第2の態様の実施形態では、軌道は、経路に従ってキネマティックの位置および向きの時間経過に対応してもよく、点は、キネマティックの位置および向きに対する作業空間内のそれぞれの位置を示し、(i)キネマティックの位置および向きに関する相対位置が変化しないように、軌道をたどるときにキネマティックとともに移動し、および/または(ii)軌道をたどるときにキネマティックの位置および向きの時間経過に対応する座標系において静止し、(iii)ポーズ速度は、軌道をたどるときに点が移動する速度のうちの最大速度に対応する。
【0016】
点は、例えば、作業空間内の静止領域に対応することができ、ポーズ速度は、点がキネマティックとともに移動する空間によって掃引される速度のうちの最大速度に対応することができる。
【0017】
一般に、第2の態様の実施形態では、軌道は、経路に従ってキネマティックの位置および向きの時間経過に対応してもよく、点は、相対点および絶対点を含む。相対点は、キネマティックの位置および向きに対する作業空間内のそれぞれの位置を示す。例えば、(i)相対点は、キネマティックの位置および向きに関する相対位置が変化しないように、軌道をたどるときにキネマティックとともに移動し、および/または(ii)相対点は、軌道をたどるときにキネマティックの位置および向きの時間経過に対応する座標系において静止する。絶対点は、作業空間内の静止領域に対応する。ポーズ速度は、(i)相対点が軌道をたどるときに移動し、(ii)絶対点がキネマティックとともに移動する空間によって掃引される、速度のうちの最大速度に対応する。
【0018】
第2の態様の実施形態では、制御装置は、(i)経路を経路セクションに分割し、(ii)経路セクションのうちの1つをたどるときに点が受ける変位のうちの最大変位を推定し、(iii)最大速度と推定された最大変位とに基づいて、軌道をたどるときに経路セクションをたどる持続時間を推定し、(iv)少なくとも推定された持続時間内に経路セクションがたどられるように軌道を決定するように適合される。
【0019】
例えば、最大変位は、点に対応する空間ボリュームの表面上に位置する点のうちの1つまたは複数の変位に基づいて推定されることができる。
【0020】
一般に、第2の態様の実施形態では、軌道は、キネマティックが軌道をたどるときに、(i)メトリックに基づくポーズ加速度が所定の最大加速度以下であり、および/または(ii)メトリックに基づくポーズ躍度が所定の最大躍度以下であるように決定されてもよい。
【0021】
第2の態様のいくつかの実施形態では、点集合は、(i)ツールおよび/または作業座標系のロケーション、および/または(ii)ピボット点のロケーションに基づいて決定される。
【0022】
本発明のさらなる詳細、利点および特徴は、本明細書に記載されていないすべての詳細に関して明示的に参照される以下の説明および図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】直列キネマティックの一例の概略図である。
図2】並列キネマティックの一例の概略図である。
図3】コンフィギュレーション空間、作業空間、直接キネマティックおよび間接キネマティックの間の関係の概略図である。
図4】ポーズメトリックの一般的な決定の概略図である。
図5】DISPメトリックを使用したポーズメトリックの決定の概略図である。
図6】ポーズを変化させたときの相対点の変位の概略図である。
図7】2自由度の直列ロボットの概略図である。
図8図7のロボットが例示的な移動を実行するときに相対点が受ける変位の概略図である。
図9図7のロボットが例示的な移動を実行するときに絶対点が受ける変位の概略図である。
図10】螺旋移動の概略図である。
図11】軌道を決定するための例示的なステップを示す流れ図である。
図12】軌道を決定するための例示的なデバイスのブロック図である。
図13】経路セクションの弧長の概略図である。
図14】ポーズのシーケンスの概略図である。
図15図14に示すポーズのシーケンスに対応する経路長の概略図である。
図16】第1の例示的な速度プロファイルの概略図である。
図17】第2の例示的な速度プロファイルの概略図である。
図18】ポーズを変化させることによる2つの物体の変位の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、(例えば、ロボットの)キネマティックの軌道を決定するための方法、ならびにそのような方法を実行するように適合された、軌道を決定するための制御装置に関する。本発明は、例えば回転アジャスタを有する並列キネマティック、ならびに直列、混成キネマティック、特に積層キネマティックを含む。
【0025】
キネマティック
ロボット工学では、基本的に、直列と並列のキネマティックの主なクラスの間で区別される。直列キネマティックは、開いたキネマティックチェーンを形成するための一連のリンク(例えば、直線軸および/または回転軸)からなるが、並列キネマティックは、いくつかの閉じたキネマティックチェーンからなる。これについては以下でより詳細に説明する。また、上述の並列および直列キネマティックの組合せである、いわゆる混成キネマティックも存在する。
【0026】
直列キネマティック
直列キネマティックは、個々の移動軸が次々に、したがって直列に配置されている開いたキネマティックチェーンの古典的な構造を指す。したがって、キネマティックチェーンは、ジョイントによって互いに接続された一連のいくつかの物体(チェーンのリンク)である。チェーンの個々のリンクは、剛体または、例えば、長さ調整可能な要素とすることができる。ロボットによっては、それらは腕/脚部とも呼ばれる。
【0027】
ジョイントは、2つのリンクを接続し、異なる自由度を有することができる。ジョイントおよびリンクの配置およびタイプは、個々のリンクによって記述され得る経路曲線に影響を及ぼす。キネマティックチェーンは、産業用および他のロボットの可能な動きを計画および計算する際に重要な役割を果たす。
【0028】
直列キネマティックの古典的な例は、SCARAロボット(「選択的適合アセンブリロボットアーム(Selective Compliance Assembly Robot Arm)」の略称)であり、特定のポーズは通常、2つの異なるコンフィギュレーションベクトルで実現される。
【0029】
図1は、いくつかのリンクおよびジョイントを有する直列キネマティックの一例を概略的に示す。示されるように、これらのリンクは、1つまたは複数の方向に直線的に移動することができ、1つの平面内で回転運動を実行することができ、関節構造を有し、および/または長さが調整可能である。
【0030】
並列キネマティック
並列キネマティックは、いくつかの閉じたキネマティックチェーンからなるキネマティックを指す。実際には、並列ロッドキネマティックは、2つの平面を互いに相対的に移動させるように結合する並列移動軸に使用されることが多い。したがって、各駆動装置は、(エンド)エフェクタ(例えばツールキャリア)に直接接続される。結果として、駆動装置は、直列キネマティックの場合のように、すべての追従するリンクおよび駆動装置の質量を負荷されない。すべての駆動装置が同時に、すなわち互いに並列に移動すると、負荷はすべての案内要素にわたって(より)均等に分配される。結果として生じる低い移動質量は、高い機械的精度を維持しながら、高い速度および加速度で極端なダイナミクスを可能にする。直列機構に対する別の違いは、駆動装置、特にモータおよびギア機構が、並列キネマティックにおいて静止したままであることである。これは、そのようなロボットのダイナミクスおよび性能を最適化するだけでなく、それらのエネルギーバランスも最適化する。したがって、高い反復精度および速度を有する単純な移動シーケンスが必要とされる場合、並列キネマティックがしばしば使用される。並列キネマティックの古典的な例は、ヘキサポッドおよびデルタロボットである。
【0031】
図2は、6ロッドキネマティック、したがって可変長の脚、および12個の受動ジョイントを有する並列キネマティックの一例を概略的に示す。したがって、図示のキネマティックは、本明細書ではヘキサポッドとも呼ばれるStewartプラットフォームである。
【0032】
ポーズ空間(ポーズ、ポーズパラメータ)
ポーズは、一般に、オブジェクトの位置および向きであると理解される。したがって、ポーズは、特殊ユークリッド群SE(3)の要素で識別することができる。ポーズは、いわゆるポーズパラメータによって指定される。パラメータ表示の選択は一意ではない。ポーズは、例えば、いわゆるワールド座標系またはベース座標系における3つのデカルト座標および3つの配向角によって指定することができる。ヘキサポッドのポーズの例示的なパラメータ表示は、例えば、ポーズパラメータ(X、Y、Z、U、V、W)によって行うことができる。この文脈において、(X、Y、Z)は、デカルト軸/座標における位置を示し、例えば、単位「ミリメートル」を有することができる。(U、V、W)は、角度、例えばオイラー角のサブタイプであるカルダン角(360/360)であり、向きまたは回転を示す。
【0033】
これにより、ワールド座標系は空間内で固定されたままであり、ロボットの動きから独立している。したがって、ポーズはワールド座標で与えられるとも言われる。したがって、ポーズの記述は空間に関連しており、すなわち、位置および向きは、「実」3次元空間、いわゆる作業空間で記述される。しかし、他の座標やパラメータを用いて(一意に)ポーズを指定することも可能である。したがって、以下では、ポーズパラメータという用語は、一般に、ポーズを指定するために使用される座標またはパラメータを指す。これに関連して、ポーズは、ポーズパラメータの各々の特定の値に対応する。これらの値を組み合わせて、ポーズを一意に特徴付けるポーズパラメータのベクトルを形成することができる。逆に、ポーズは、ポーズパラメータのベクトルを指定することによって、したがってポーズパラメータの各々の値を指定することによって定義または指定される。特に、ポーズパラメータは、「正規」ワールド座標(したがって、例えば、3つの空間座標が位置を指定し、3つの角度が向きを指定する)であってもよい。
【0034】
ここでのポーズという用語は、例えば、それぞれのキネマティックのエンドエフェクタのポーズを指す。これに関連して、エンドエフェクタは、例えば、キネマティックチェーンにおける最後のリンクを指す。それは通常、実際のハンドリングタスクを実行するための構成要素またはアセンブリである。言い換えれば、エフェクタは、ロボット(すなわち、キネマティック)とその環境との実際の相互作用を引き起こす。特に、エンドエフェクタは、移動されるツール、ツールキャリア、グリッパ、またはプラットフォーム(例えば、ヘキサポッドの場合)であり得る。
【0035】
ここでのポーズ空間は、理論的に考えられるポーズの空間、したがって空間内の剛体の可能な位置の集合を指す。したがって、ポーズはポーズ空間の要素に対応する。ポーズ空間は、ユークリッド空間内のすべての回転および並進からなる特殊ユークリッド群SE(3)で識別することができる。これにより、SE(3)からの各要素は、ポーズに(厳密に)対応する(その逆も成り立つ)。より正確には、SE(3)からの要素は、その要素が所与の基準ポーズに適用されたときに生じるポーズで識別される。作業空間またはSE(3)の多くのパラメータ表示がある。1つの可能なパラメータ表示は、変位+カルダン角の指定である。変位は、例えば、デカルト座標における基準点までの距離によって指定することができる。カルダン角は向きを示す。もちろん、カルダン角の代わりに、実際のオイラー角または他の角を使用することもできる。
【0036】
さらに、ロボットは、ポーズ空間において、例えばエンドエフェクタの任意のポーズを一般には実際に実現することができないことに留意されたい。一方では、実際にとられ得るポーズは、キネマティックのジオメトリ、特にリンクの長さによって制限される。さらに、ロボットは、ジョイントに対して6自由度を有する必要はない。この場合、実際にとられ得るポーズの空間は一般に6次元ではなく、ポーズは6未満のパラメータによって指定され得る。例えば、ロボットの移動の自由度(例えば、エフェクタの位置)を1つの平面に制限することが考えられる。
【0037】
コンフィギュレーション空間(ジョイント座標)
コンフィギュレーション空間は、個々の機械構成要素(ジョイント、腕など)の可能なコンフィギュレーションの空間を記述する。したがって、それはキネマティックの独立な自由度の次元を有する。これらの自由度は、ジョイント角度および/または例えば、長さ調整可能な要素(腕/脚)の長さであり得る。個々のジョイント座標(角度、長さ)を組み合わせてコンフィギュレーションベクトル、したがってコンフィギュレーション空間内のベクトルを形成することができる。これは、ジョイント座標に対応する個々の値の範囲(角度範囲および/または長さ範囲)のデカルト積としてのコンフィギュレーション空間の表現に対応する。
【0038】
例えば、Stewartプラットフォーム(ヘキサポッドとしても知られる)の場合、コンフィギュレーション空間は6つの可変脚長さによって与えられ、コンフィギュレーションベクトルは6つの脚のそれぞれに対応する長さを指定する。したがって、ヘキサポッドのコンフィギュレーション空間KHexは、脚の可能な長さに対応する個々の区間のデカルト積として理解することができる。
【0039】
【数1】
【0040】
式中、Lmin(i)およびLmax(i)は、i番目の脚の可能な最小または最大の(許容可能なまたは使用される)長さを示す。
【0041】
直接キネマティック
図3に示すように、直接キネマティック、順キネマティックまたは順変換は、エンドエフェクタのポーズ(位置および向き)をロボットの所与のジョイント角度および/または所与の長さ調整可能なリンクの長さからどのように決定できるかという問題を扱う。それは、間接キネマティックに対する論理的な対応物である。したがって、直接キネマティックは、所与の脚の長さおよび/または脚の角度から、すなわち所与のコンフィギュレーションベクトルからポーズを計算することを可能にし、コンフィギュレーション空間から作業空間またはポーズ空間への写像に対応する。
【0042】
間接キネマティック
間接キネマティック、逆キネマティック、逆キネマティックまたは後方変換は、ワールド座標またはポーズパラメータによって与えられるエフェクタの位置および向きを個々のジョイント座標に変換する。したがって、図3に示すように、それは直接キネマティックに対する論理的な対応物であり、作業空間またはポーズ空間からコンフィギュレーション空間への写像に対応する。したがって、間接キネマティックは、所与のポーズからのリンクのジョイント角度および/または長さの計算を可能にする。間接キネマティックは、一意である必要はないことに留意されたい。言い換えれば、所与のポーズを異なるコンフィギュレーションベクトルによって実現することができる。これは、例えばSCARAロボットにしばしば当てはまる。
【0043】
間接キネマティックの計算は、典型的には、特定のポーズ(目標ポーズ)がとられる場合に必要であり、したがって、目標ポーズに対応するジョイントコンフィギュレーションが必要である。次いで、例えば目標ポーズをとるために、決定されたコンフィギュレーションベクトルを用いてキネマティックを制御することができる。この制御は、現在のコンフィギュレーションベクトルと、前記経路の始点または終点としての目標ポーズに対応するコンフィギュレーションベクトルとに基づくコンフィギュレーション空間内の経路の計算を含み得る。したがって、キネマティックは、その終点が目標ポーズに対応する軌道を通るようにすることができる。
【0044】
軌道と経路
ポーズのシーケンスは、経路と呼ばれる。シーケンスは、例えば、キネマティックによってとられるポーズの中断のないシーケンスとすることができる。
【0045】
これは、経路速度も定義される軌道という用語とは区別される。より正確には、移動中にロボットによってとられるポーズの時間経過は、軌道と呼ばれる。言い換えれば、軌道は、時間間隔からポーズ空間への写像である。この写像の像は、経路のポーズ集合を形成する。ここで、経路には多くの異なる軌道があり、すなわち異なる軌道は同じ経路を有することができることに留意されたい。
【0046】
ロボット工学における一般的なタスクは、所与の経路(および経路のどの端が開始ポーズに対応し、かつ/またはどの端が終了ポーズに対応するかの指定)に基づく軌道の決定である。これに関連して、軌道は、軌道を通って走行するときに経路によって指定されたシーケンスで経路のポーズを通ってキネマティックが走行するように決定されるべきである。したがって、決定された軌道は、経路に応じたキネマティックの位置および向きの時間経過に対応する。
【0047】
したがって、軌道を決定するとき、ロボットが経路の各ポーズで経路をたどる速度は、ポーズ空間のメトリックおよび結果として生じる経路の長さに基づいて決定される。作業空間内のロボットの速度を指す特定の速度プリセットが、通常は維持されるべきである。
【0048】
メトリック形式
メトリック形式は、作業空間の限定された点集合および作業空間のメトリックの関数として表現することができるポーズ空間上のメトリックである。点集合は、この集合の恒等写像のポーズ変換が点集合のすべての点座標をそれ自体に写像する場合に限り適格である。例えば、1つの点のみからなる集合は、この点の周りの回転をポーズ変化に写像することができない。
【0049】
メトリック確立集合
以下でより詳細に説明するように、本発明によれば、集合メトリックに基づいてポーズメトリックを定義するために、作業空間点のメトリック確立集合が使用される。メトリック確立集合は、作業空間の有限個の点の点集合であってもなくてもよい。メトリック確立集合は、適格な点集合である。
【0050】
このようにして、速度プリセットは、軌道を決定するとき、特に軌道を計算するときに、効果的かつ柔軟に定義および/または考慮することができる。ポーズメトリックは2つのポーズ間の距離を定義するので、例えば、定義された長さの経路セクションを経路セクションがたどる対応する時間で除算することによって、ポーズ空間内のパス長および速度を計算することも可能である。回転により、作業空間内の点速度は位置依存性であり、旋回点または現在の回転軸の位置にも依存するため、メトリック確立集合は、設定されたシステム速度が作業空間内のどの点で局所的に優勢な点速度に対応するかを明確にする(または定義する)。ピボット点までの距離が大きい点は、最高速度を有する。メトリック確立集合を使用することにより、ファイバ整列中に移動するファイバ端部にどのデカルト速度および角速度が存在すべきかを定義することが可能である。走査速度の包括的な制御は、例えば、走査結果を改善することができる。特に、ファイバ整列のすぐ近くの速度制限は、走査速度を制御しやすくし、結果を改善することができる。
【0051】
例えば、メトリック確立集合を使用することにより、自由に選択された小ボリューム内のすべての点が少なくともほぼ同じ指定されたシステム速度で移動することを保証することが可能である。大ボリュームでは、速度定義は、ボリューム内の最も速い点に基づくことができる。すべてのタイプの回転運動、特に回転運動の回転軸、ならびにデカルト運動にも関連するピボット点の位置を制御することができる。角速度は自由に選択可能な係数を使用して局所的にデカルト速度に結合することができるため、この柔軟性は、特に走査プロセスの精度を向上させる。
【0052】
また、衝突のリスクを低減することができる。衝突検出アルゴリズムが差し迫った接近の領域を決定すると、安全な速度プリセットを局所的に設定することができる。ボリュームにおける、および/またはそれらとともに移動される物体の、自由に構成可能で変更可能な速度は、手術用ロボット、工作機械などのような、マイクロアセンブリにおけるヘキサポッドの技術的アップグレードを提供する。
【0053】
メトリック確立集合は、例えば、ホストソフトウェアを介して作業空間内で定義することができ、またはコントローラコマンドを介して作業空間内で自由に選択することができる。この集合は、例えば、個々の点や球などを組み合わせて得ることができる。特に、敏感な装置の個々の点は、制御されるべき速度点としてメトリック確立集合に追加することができる。
【0054】
これは、ポーズのメトリックをパラメータ表示し、したがって、この集合に関連する速度(ここでは集合速度またはポーズ速度と呼ばれる)を定義することを可能にする。ポーズ速度はメトリック確立集合に関連し、ポーズ速度とこの集合の点の速度との間には密接な関係があるため、より明確にするためには、ポーズ速度と同一の用語である集合速度が導入される。ポーズ速度は、経路の一部または時間間隔にわたって平均化された速度とすることができる。
【0055】
これにより、デカルト運動、回転運動、および混合運動のための均一な速度プリセットが可能になる。この集合速度の1つの利点は、移動される物の周りの包囲ボリュームを使用して適切なメトリックを定義することができ、したがって、「物の上または中での」最速点が高々システム速度(すなわち、指定された最大速度)で移動することを確実にすることである。
【0056】
システム速度は、軌道全体に対して指定された最大速度であり、これを超えるべきではない。したがって、システム速度は、軌道をたどるときにロボットが移動すべき最大速度であり、これは必ずしも実際に到達または達成可能な最大速度である(ことは可能ではあるが)必要はない。特に、システム速度は、軌道の目標速度、したがって軌道を移動するときにロボットが有するべき速度とすることができる。したがって、それは、軌道をたどるときに実現されるべきシステム(したがってロボット)の目標速度とすることができる。システム速度は、任意の他の境界条件(例えば、制限された加速度)に準拠しながら時間最適化された軌道を設計するためのパラメータである。特に短い経路の場合、最大加速度を制限するために目標システム速度を達成できないことがよくある。
【0057】
これにより、安全かつ迅速かつ容易に速度を指定することができる。さらに、速度は、移動される物体に特に合わせて調整することができる。
【0058】
メトリック確立集合の点は、相対点および/または絶対点であることができる。言い換えれば、メトリック確立集合の点は、相対点および/または絶対点を含むことができる。以下に説明するように、相対点および/または絶対点という用語は、キネマティックの位置および/または向きが変化するときの点の変換挙動を指す。したがって、相対点の変位距離は、絶対点と比較して異なるアルゴリズムで処理される。
【0059】
相対点
相対点は、キネマティックの位置および向きに対する作業空間内の位置を示す。それらは、軌道をたどるときにキネマティックの位置および向きに対して相対位置が変化しないようにキネマティックとともに移動する。言い換えれば、相対点は、軌道をたどるときのキネマティックの位置および向きの時間経過に対応する座標系において静止する。したがって、あらゆるポーズの1つの態様が変換または座標変換であるため、相対点は、沿って移動されるときにポーズ変換を受ける点である。
【0060】
相対点は、例えば、軌道をたどるときにキネマティックとともに移動し、沿って移動される物体(例えば、ツール)の形状に対応するキネマティックの作業空間内の点とすることができる。それらは、物体を包囲する、または物体のエンベロープを画定することができる。「沿って移動する物体」という用語は、同じく沿って移動される移動プラットフォームまたはエンドエフェクタを指すことができる。しかしながら、それは、ツールまたは他の物体などの別の物体であってもよい。相対点はまた、例えば、それが物体の推定形状である場合、物体の内側または物体の近くに位置することができる。物体点の凸エンベロープが物体を埋め込む、すなわち物体を含む場合、物体のすべての点の最大速度の真の推定が可能である。
【0061】
この点で、本出願におけるキネマティックの位置および向きという用語は、例えば、キネマティックのエンドエフェクタの位置および向き(すなわち、ポーズ)を指すことに留意されたい。
【0062】
【数2】
【0063】
相対点を使用して、移動する個々の物体の速度を指定することができる。したがって、沿って移動される物体の速度は、特に影響を受ける可能性がある。これにより、通常のシステム速度をはるかに上回る速度を指令することが可能になる。これは、例えば、ブームを介して移動プラットフォームに取り付けられ、したがって角回転中に広範囲にわたって枢動される本体に適用される。例えば、自動車の組立て中に運ばれるエンジンフードの移動を考える。その場合、フードは通常、ロボット/ヘキサポッド自体よりもかなり大きい。
【0064】
絶対点
絶対点は、作業空間内のそれぞれの位置を示す。したがって、絶対点は、作業空間内の静止領域、例えば、絶対点によって与えられる凸エンベロープに対応する。もちろん、絶対点はキネマティックのポーズに対して表現することもできるが、キネマティックの位置および/または向きが変化してもワールド座標におけるその位置は変化しない。言い換えれば、絶対点のワールド座標は、キネマティックの位置および/または向きが変化するときに不変のままであるが、キネマティックの位置に対するその相対位置は変化する。
【0065】
したがって、絶対点は、軌道をたどるときにキネマティックとともに移動しない。衝突の危険がある場所での速度を制限するために、すなわち保護ゾーン(そこでは、例えば、人々が存在することができる)を定義するために、絶対点を使用することができる。
【0066】
任意の空間ボリューム内の速度プリセットの可能性は、例えばファイバ整列における走査アルゴリズムの結果を改善する。デカルト空間速度の制御はまた、局所的な速度制限で敏感な機器などを保護することに関しても改善される。
【0067】
ポーズメトリック
ポーズメトリックは、各ポーズ対に非負の実関数値を割り当てる。ここでの用語は、メトリックの数学的基準を満たす関数を含む。しかしながら、例えば、疑似メトリックである、またはポーズ空間全体で定義されていないヒューリスティック関数などの他の適切な関数も使用することができる。メトリックは、キネマティックシステムの動作中に任意に変更することができ、またはそれぞれのアプリケーションに適合させることができる。これは、特に、点のメトリック確立集合および/または
【0068】
【数3】
【0069】
の基礎となるノルムを変更/調整する(点を追加および/または削除する)ことによって行うことができる。
【0070】
ポーズメトリックによって定義される2つのポーズ間の距離は、ポーズ距離または集合距離とも呼ばれる。次いで、このメトリックに基づいてポーズ速度を定義することもできる。したがって、このポーズ速度は、作業空間内の移動された点および/または移動されていない点からなる点集合に関連する。この点集合における最も速い点の速度は、定義により、好ましいメトリックの現在のポーズ速度に対応する。集合速度は、例えば、時間で割った集合距離であり、ポーズ距離は、ポーズ変換によって生じる集合距離に等しい。したがって、ポーズ空間内のポーズの速度は、
【0071】
【数4】
【0072】
におけるポイント速度に分解される。ポーズ速度は、デカルト運動を含み、同時にポーズの角速度を含む。同様に、ポーズ加速度、ポーズ躍度、ポーズ加加加速度などを定義することができる。
【0073】
ポーズの距離概念、特にメトリックの定義は、ここではシステム速度とも呼ばれる単一の最大速度を指定することを可能にする。したがって、並進速度および角速度の両方を指定する必要はない。角速度と並進速度とは互いにリンクしている。システム速度は集合速度であり、好ましいメトリックでその点で生じる速度を指す。したがって、システム速度は集合距離に基づく。生じる集合距離は、適切なメトリック確立集合の選択によって影響を受ける可能性がある。メトリック確立集合は、状況に応じていつでも都合よく適合させることができる。
【0074】
2つのポーズpとpとの間の距離および/またはポーズメトリックを定義するために、一般に、(必ずしもすべてではないが)ワールド座標系におけるメトリック確立集合の点の変位(相対点について)および/または沿って移動された座標系における(仮想)変位(絶対点について)に依存する任意の適切な関数を使用することができる。特に、
【0075】
【数5】
【0076】
で定義された任意のノルムに基づいて、これらの変位の大きさに依存する関数をポーズメトリックとして使用することができる。したがって、ポーズメトリックは、メトリック確立集合に依存する、上記で定義された集合メトリックによって決定される。これらは、1つまたは複数の移動剛体および/または1つまたは複数の静止空間領域に対応する点であり得る。
【0077】
例えば、移動の開始ポーズP(0)から目標ポーズP(n)までの経路が与えられ、これはさらなるセクションに分割されてもよい。パス上のポーズの完全なシーケンスは、P(0)、P(1)、P(2)...P(n)、n>0、である。目的は、通常、移動の実行中に多くの支持点を有する移動補間を提供するために、個々のポーズ距離の長さを非常に短く保つことであることに留意されたい。ポイントツーポイント経路を数百の中間位置に細分することは、しばしば理にかなっている。
【0078】
ここで、aを、ワールド座標で与えられる作業空間の点とする。ポーズP(s)とP(s+1)との間の点の変位距離、s<n、が求められる。
【0079】
【数6】
【0080】
【数7】
【0081】
図4は、メトリック確立集合、メトリック形式、およびR上の任意のメトリックからどのようにしてポーズメトリックが取得されるかの一般的なケースを示す。したがって、メトリック形式は、2つの引数からポーズメトリックを形成する。
【0082】
図5は、RのユークリッドメトリックとDISPメトリックとからユークリッドDISPメトリックが形成される好適な場合を示す。
【0083】
メトリック確立集合が相対点のみを含む場合、2つのポーズの一方から他方に移動するときにメトリック確立集合の点が受ける変位のうちの大きさに関する最大変位が、ポーズpおよびpに距離として割り当てられる。メトリック確立集合が相対点のみを含む場合、2つのポーズの一方から他方に移動するときにメトリック確立集合の点が受ける変位のうちの大きさに関する最大変位が、ポーズ1および2に距離として割り当てられる。2つのポーズ間の距離は、2つのポーズの一方から2つのポーズの他方に移動するときに、メトリック確立集合の点が変位する最大距離である。したがって、ポーズ距離は、並進の結果として大きさに関して最大の変位を受けるメトリック確立集合の点の並進距離によって与えられる。
【0084】
絶対点に関する限り、DISPメトリックは、2つのポーズpおよびpに、pからpへポーズとともに移動する座標系における絶対点が受ける変位のうちの大きさに関する最大変位を割り当てる。したがって、絶対点によって与えられる空間ボリュームのポーズ速度は、物体がこの空間要素に接近するときに物体がとる速度を示す。
【0085】
メトリック確立集合が相対点および絶対点を含む場合、2つのポーズ間の距離は、大きさに関して、ワールド座標系における相対点の変位と、沿って移動される座標系(例えば、TOOL座標系)における絶対点の変位とのうちの最大変位に対応する。そして、ポーズ速度は、(大きさに関して)速度のうちの最大速度に対応し、それによって、
(i)相対点は、(例えば、ワールド座標系において)軌道をたどるときに移動し、
(ii)絶対点は、キネマティック(例えば、TOOL座標系)とともに移動する空間によって各々掃引され、かつ/または絶対点は、軌道がたどられるときにTOOL座標系において移動する。
【0086】
したがって、移動する物体のポーズ速度は、例えば、移動する敏感な物体をその速度を低く保つことによって損傷から保護することができる。一方、空間要素のポーズ速度は、作業空間内で静止している物体を、この空間要素内に位置するロボットの動きから保護することができる。
【0087】
このように、ユークリッドノルムを用いたDISPメトリックの特殊なケースは、ユークリッドDISPメトリックと呼ばれる。
【0088】
【数8】
【0089】
1.正定値性:d(x,y)=0⇔x=y
2.対称性:d(x,y)=d(y,x)
3.三角不等式:d(x,z)<=d(x,y)+d(y,z)
本発明者らのメトリック確立集合は適格な点の量であるため、DISPメトリックは(1)を満たす。
【0090】
DISPメトリックは、定義により(2)を満たす。
三角不等式はユークリッドメトリックにも適用されるため、性質(3)は、個々の点のユークリッドメトリックからメトリック確立集合に直接移転する。dA,2についても同様である。
【0091】
ここで、相対点および絶対点の異なる処理を図7図9を参照して説明する。図7は、2自由度を有する直列ロボットを左側に上面図で、および右側に側面図で示す。このロボットでは、リニアアクチュエータ101、103の上に回転アクチュエータ102、104が載っている。リニアアクチュエータはX方向の移動を可能にし、回転アクチュエータ102はW方向の重畳移動を可能にする。
【0092】
図8は、沿って移動される(すなわち、ここでは相対点によって単純化されている)物体の移動を示し、したがって相対点の取り扱いを示している。物体201は、ロボットが軌道をたどるときに作業空間内を移動する。ここで、ロボットはポーズシーケンス202、203、204および205で移動される。回転アクチュエータに取り付けられた物体201は、ロボットの移動に追従する。その位置はロボットの右側に示されている。物体は、シーケンス206、207および208で変位を受ける。対応する矢印は変位の方向を示し、その長さは使用されるメトリックによって決定される。202から205までのシーケンスの移動がそれぞれ同じポーズ速度で実行される場合、矢印の長さに比例する時間がそれぞれの移動に割り当てられる。物体に対して均一なポーズ速度を指定することは、移動する物体が2つのポーズ間の経路上で常に同じ速度を有することを意味する。したがって、物体のポーズ速度がここで指定される。
【0093】
図9は、作業空間の空間ボリューム301の仮想移動を示す。この空間ボリュームのポーズはロボットの移動の影響を受けないままであるため、移動はここでは仮想と呼ばれる。ロボットは再び、ポーズシーケンス202、203、204および205で移動される。ボリューム要素301のポーズ(ここでは絶対点によって表される)がロボットのポーズに対して記述される場合、可変の従属ポーズをボリューム要素に割り当てることができる。例えば、ポーズ302からポーズ303に変化すると、点の変位はロボットの変位とは対照的に仮想であるため、矢印306で示すような変位が発生する。図9の矢印方向は、図8の矢印方向と同じである。点の周りの空間の移動が考慮された場合、対象のボリューム要素の周りの空間の見かけの動きであるため、方向は反転されて描かれなければならない。図に示すように、302~305において、空間要素は所定の位置に留まるが、次々に仮想変位306、307、308を受ける。これらの変位に基づいて、仮想速度も空間要素に起因することができる。したがって、図9の経路長は、元のポーズのシーケンスを点集合に適用することによって取得されるのではなく、代わりに、それぞれの逆ポーズ変化のシーケンスを使用することによって取得され、各新しいポーズ変化は元の開始ポーズで開始する。
【0094】
図8および図9は、同じ距離関数に基づいて2つの異なる方法で距離を得ることができることを示しており、一方は作業空間に対して移動するオブジェクト(図8)、他方は環境が移動しているように見える静止オブジェクト(図9)の場合を考える。次に、オブジェクトが移動しているか静止しているかに応じて、同じ点集合および指令されたポーズの同一のシーケンスの1つの同じ距離関数からどのように異なる経路長が生じるかが示される。異なる経路長はまた、異なる軌道または異なる速度経過をもたらす。この例では、図8の矢印208の長さは矢印308の長さとは異なり、矢印の長さは経路セクションの長さを表す。これは、軌道決定アルゴリズムにおいて、物体のポーズ速度と空間ボリュームの仮想ポーズ速度とを区別しなければならないことを明確に示している。
【0095】
その凸エンベロープが空でないボリュームを形成する任意の点集合は、速度定義のためのメトリック確立集合に追加され、またはそれを構成することができる。逆に、対応する凸エンベロープは、ボリュームを張る空間内の有限点集合に対して形成することができる。可視化空間に設定された適格点の凸エンベロープは、例えば多面体の形状を有する。ユークリッドDISPメトリックが使用される場合、形成された多面体内のいかなる点も、本発明による軌道を生成するときに、そのコーナーにおける最大点速度を超えることはできない。したがって、敏感な領域は、柔軟に、かつほとんど計算の手間をかけずに保護することができる。メトリック確立集合はまた、例えば、敏感な装置を包含する作業空間内の球であることもできる。この場合、球は有限点集合によって包囲される。点は、メトリック確立集合に追加され、または、メトリック確立集合は、球ボリュームおよび/または球表面の点を含む。この場合、球の直径および球の原点を指定することができる。上記のように、球内の点は球表面の集合速度を超えることはできない。計算を容易にするために、所定の回転軸は、経路を定義するときにカルダン角の代わりにピボット点またはTCP(ツール中心点(Tool Center Point))に配置することができる。以下に示すように、これにより、集合距離のより高速な計算が可能になる。球は、多面体、例えば正20面体によって任意の精度で近似することもできることに留意されたい。
【0096】
集合速度の簡略化された計算
以下に説明するように、多くの場合、数点からなる部分集合の集合速度を決定することによって、または必要に応じてそれを推定するだけで、空間ボリュームなどの無限個の点の集合の集合速度を決定することが可能である。これにより、集合速度の計算を大幅に簡略化することができる。
【0097】
例えば、一般に、最大変位は、その移動が考慮される空間ボリュームの表面上に位置する1つまたは複数のメトリック確立点の変位に基づいて推定することができる。言い換えれば、最大変位は、特に、メトリック確立点の有限部分集合の変位に基づいて推定することができる。これは、例えば、メトリック確立点に対応する空間ボリュームの表面上に位置する1つ、いくつか、または複数の点に基づいて行うことができる。したがって、いくつかの実施形態では、集合速度を決定するために、境界点のうちの1つまたはいくつかのみが考慮される。
【0098】
1)内点の速度制限
ここで、凸多面体の点の最大速度が、多面体の表面上にある少なくとも1つの点によって実現されることが示される。特に、多面体の各点には、その頂点(異なる時点では、これは当然異なる頂点であり得る)の少なくとも1つの速度以下の速度があることが示される。この速度制限は、有限集合からなるメトリック確立集合の凸エンベロープの速度制限を達成することができるので、ユークリッドDISPメトリックに特別な意味を与える。
【0099】
速度は、ここでは速度ベクトルの大きさとして理解される。多面体が並進的にのみ移動する場合、すべての点が同じ速度を有するため、示すべきことは何もない。
【0100】
したがって、以下では、回転も含む変位のみを扱う。シャールの定理によれば空間内の任意の物体のあらゆる最も一般的な変位は螺旋によって表すことができるという事実が利用される。この螺旋の概念には、純粋な回転の場合も含まれる。
【0101】
シャールの定理は、図10に示すように、剛体のあらゆる変位は螺旋運動である、すなわち常に軸Qが存在するため、軸Qに沿った同時並進hを伴う角度wの回転が所与の変位を生成すると主張する。Hおよび/またはwは、値0をとることができる。
【0102】
図10からも分かるように、多面体点の瞬間速度は、螺旋軸からの距離のみに依存する。より正確には、点の速度は、螺旋軸からの距離とともに増大する。もちろん、これは数学的に示すこともできる。したがって、最大速度の位置を決定することは、純粋に幾何学的なタスクに帰着する。
【0103】
この主張を実証するために、多面体点の位置は以下の同値類に分割される。ここで、いくつかの類では、各点にさらに大きな距離を有する点があるため、回転軸からの距離の上限を実現する回転軸からの距離を有する点がないことが、それらの代表すべてに当てはまることを証明することが重要である。多面体における最大速度の存在は、そのコンパクト性および多面体における速度分布の連続性から従う。
【0104】
1.多面体の内部
多面体の内部では、開集合においては、定義により、その点の各々の周りにイプシロン近傍を見つけることができ、各イプシロン近傍は、より大きな距離に向かって「移動する余地」を提供するため、距離の上限は、どの点でも実現され得ない。
【0105】
2.端面の内部
端面(多面体の側面)の内側の任意の点を考える。その場合、端面の平面内を通る任意の2つの異なる直線をこの点に通すことができる。
【0106】
ケース1:直線の一方が螺旋軸と交差する。その場合、この点の周りの角のイプシロン近傍を考慮すると、螺旋軸までの距離がさらに大きい点の存在が結論される。したがって、集合の選択された点において上限は実現されない。
【0107】
ケース2:螺旋軸と交差する直線がない。この場合、2つの直線のうちの少なくとも1つは、螺旋軸に平行に延びることができるため、2つの直線のうちの少なくとも1つは、螺旋軸に対してある角をなす。その場合、それは、この点を通り、螺旋軸とねじれの位置にある直線を与える。2つの直線がねじれの位置にある場合、それらはそれらの距離に関して極大値を有さない。したがって、集合の選択された点において上限は実現されない。
【0108】
3.辺の内部
ケース1:辺の直線が螺旋軸と交差する:再び任意の点の周りのイプシロン近傍を考慮すると、螺旋軸からさらに大きな距離に他の点が存在することが結論される。したがって、辺のどの内点でも上限は実現されない。
【0109】
ケース2:回転軸と辺の直線とが互いにある角をなす。ねじれの位置にある直線の場合については、上記で既に説明した。
【0110】
ケース3:辺が軸に平行である場合、2つの境界コーナーおよび内部辺要素は両方とも最大距離の点集合に属するか、または両方ともそれに属さない。辺の内部に最大距離がある場合、辺の2つのコーナー点にも最大値を見つけることができる。
【0111】
全体的な結果は、距離の上限がコーナー点で実現されなければならず、その場合、それは最大値である。
【0112】
同様に、球の内部には、速度が球の表面上よりも大きい点を見つけることができないことを示すことができる。
【0113】
2)回転する球
直線の周りを安定して回転する球は、特に直線がその中心を通過する場合、一定の集合速度を有する。並進移動を球の回転に重ね合わせることができる。球の表面上にあるが回転軸上にないすべての点の速度は、一般に絶えず変化し、周期的に繰り返される。最高速度の点も絶えず変化している。それにもかかわらず、集合速度は一定のままである。集合速度を計算するための入力値は、並進の方向ベクトル、並進の速度、球の半径および角速度である。結果は、最大速度およびその大きさの方向ベクトルである。
【0114】
回転と並進の両方を含むポーズAからポーズBへの経路が、並進が重ね合わされた直線の周りの回転によって表される場合、設定距離は経路上の回転角または並進距離に比例するため、軌道決定は単純化される。点の周りの空間内の各回転は、オイラーの定理に従って、この点を通る回転軸の周りの回転として実現することができる。
【0115】
本発明によれば、ポーズの軌道は、ポーズメトリックに基づいて決定され、ポーズの経路は予め決定される。軌道を決定するための例示的な方法を図11に示す。軌道は、特定のアプリケーションのためにキネマティックによってたどられるべきである。
【0116】
アプリケーションという用語は、特定のタスクまたは活動、すなわち、例えば、ロボットが移動するときにどのツールおよび/またはオブジェクトに沿って移動するかを指すことができる。しかしながら、アプリケーションという用語はまた、(代替的または追加的に)特定の状況、したがってそのようなタスクが実行される状況、条件、環境および/またはフレームワーク条件を指すことができる。これは、例えば、人が存在する可能性があり、したがって強化された安全条件が遵守されなければならないかどうか、および存在する場合にはそうであるかどうかを含む。
【0117】
本方法は、アプリケーションに基づいて、メトリック確立集合の点が決定されるステップS1120を含む。上記で説明したように、これらは、軌道を決定するために使用されるポーズ空間のメトリックが基づくキネマティックの作業空間内の点である。方法はステップS1100を含み、最大速度(したがって、システム速度)がS1100で取得される。本方法は、ポーズ空間内の軌道の経路を取得するステップS1100を含む。システム速度の取得および経路の取得は、同じステップで実行されてもよいし、別々のステップで実行されてもよい。経路は、目標ポーズおよび終了ポーズに基づく計算によって取得することができる。システム速度は、例えば、ユーザが入力することができる。ステップS1100およびS1120は、任意の順序で行うことができる。
【0118】
方法は、キネマティックが軌道をたどるときに、メトリックに基づくポーズ速度がシステム速度以下であるように、所与の経路に基づいて軌道を決定するステップS1140をさらに含む。
【0119】
提示された方法によれば、別の実施形態によれば、キネマティックを制御するための制御装置1200が提供される。そのような制御装置1200は、図12に示されており、(i)システム速度と、(ii)ポーズ空間内の軌道の経路と、(iii)軌道を決定するために使用されるポーズ空間のメトリックが基づくキネマティックの作業空間内の点集合とを取得するように適合される。制御装置1200は、キネマティックが軌道をたどるときに、メトリックに基づくポーズ速度がシステム速度以下であるように、経路に基づいて軌道を決定するようにさらに適合される。
【0120】
制御装置1200は、任意のハードウェアで実現することができる。例えば、それは、プログラム可能なプロセッサ1210上のソフトウェアとして実行されてもよい。あるいは、専用のハードウェアユニットが制御装置1200を表してもよい。特殊なハードウェアとプログラム可能なハードウェアとの混合があり得る。好ましい実施形態では、制御装置1200は分散され、その機能は、複数のプロセッサ1210、1220またはハードウェアユニット上で実行されてもよい。特に、直列または並列キネマティックを制御する機能は、ローカル制御システムによって実行されてもよく、空間の補間および/または空間ユニットへの分割の計算は、コンピュータなどの外部デバイスで実行されてもよい。他の構成も可能である。
【0121】
軌道決定-ステップS1140
軌道決定ステップS1140では、所与の経路および所与のシステム速度に基づいて軌道が決定される。経路の指定はまた、開始点および/または終了点の指定を含むことができる。より具体的には、(軌道をたどるときに)ポーズ速度がシステム速度以下になるように軌道が決定される。特に、軌道は、ポーズ速度が常に可能な限り高いが、システム速度以下であるように決定することができる。したがって、システム速度は、軌道を決定するときの目標速度とすることができる。ポーズ加速度、ポーズ躍度などの指定もある場合、これらも考慮される。既に述べたように、軌道は、時間間隔から経路のポーズの集合への写像であり、経路は一端から他端までたどられる。経路は、キネマティックがとらなければならないポーズのシーケンスを定義する。軌道はまた、所与のシーケンスがたどられる速度を決定する。したがって、軌道は、経路に応じたキネマティックの位置および向きの時間経過に対応する。
【0122】
軌道決定において、軌道は、ポーズメトリックに基づいて経路長を経路に割り当て、経過時間に対する経路長の関数を定義することによって、ポーズの所与の経路から取得することができる。関数は、キネマティックポーズメトリックパラメータ(例えば、ポーズ速度、ポーズ加速度など)に従って決定することができる。例えば、経路は、ポーズメトリックによって与えられる経路長sに従ってパラメータ表示することができる。vmaxは指定された最大速度、したがってシステム速度を表すとして、経路長s(t)=t・vmaxが使用される場合、経路は指定された最大速度でたどられる。しかしながら、実際には、加速度、例えば力のより複雑な速度プロファイルに対する制限がある。
【0123】
例えば、経路は、最初にいくつかの経路セクションに分割することができる。分割は、開始位置のパラメータベクトルaと目標位置のパラメータベクトルbとの線形結合によって得ることができる。中間位置は、パラメータベクトルc=s*a+(1-s)bを用いて得られ、sは]0,1[からとられる。次に、特にDISPメトリックを使用する場合、経路セクションのうちの1つ、いくつか、またはすべてに対して以下のステップを実行することができる。
【0124】
(i)メトリック確立集合の点変位距離を使用してポーズ距離を推定する。特に、例えばユークリッドDISPメトリックが使用される場合、このステップは、経路セグメントをたどるときに点が受ける変位のうちの最大変位を推定することができる。言い換えれば、ここでは、経路セグメントの2つの端に対応する2つのポーズ間の(ポーズメトリックに基づく)ポーズ距離が計算される。
【0125】
(ii)システム速度および推定最大変位に基づいて、軌道をたどるときに経路セクションをたどる持続時間を推定する。このステップでは、持続時間は、例えば、推定された最大変位をシステム速度で除算することによって推定することができる。
【0126】
その場合、軌道は、少なくとも推定時間内に経路セクションがたどられるように決定される。これは、経路セクションにおける速度がシステム速度以下であることを意味する。
【0127】
加速度、躍度など
既に述べたように、ポーズメトリックは、ポーズメトリックに基づくポーズ速度の定義と同様に、ポーズ加速度、ポーズ躍度などを定義するためにも使用することができる。本発明による速度について説明した軌道決定のための方法は、ポーズ加速度、ポーズ躍度、および他の一般化されたキネマティック変数に適用または拡張することもできる。特に、軌道は、一般に、キネマティックが軌道をたどるときに、(i)メトリックに基づくポーズ加速度が所定の最大加速度以下であり、および/または(ii)メトリックに基づくポーズ躍度が所定の最大躍度以下であるような経路から開始して決定することができる。
【0128】
特別な座標系
メトリック確立集合を使用した速度プリセットは、作業座標系またはツール座標系などの特別な座標系と併せて使用することもできる。特に、メトリック確立集合は、ツールおよび/または作業座標系の位置に基づいて決定することができる。したがって、メトリック確立集合は、点を追加および/または除去することによって作業座標系および/またはツール座標系の位置に適合される。調整は、任意選択的に、自動機構を介してこれらの座標系の位置にリンクすることができ、その結果、座標系のコンフィギュレーションが変化したときに、例えば制御装置内で自動的に調整される。
【0129】
例えば、エンジンブロックがフライスカッタで機械加工される場合、作業座標系はエンジンブロックに取り付けられ、ツール座標系はフライスカッタに取り付けられる。ツール、フライスは、ワークピースの位置および向きが固定されたままであるため、移動されて動作する。ツール座標系は、最初にキネマティックの初期化ポーズを参照し、それとともに移動する。
【0130】
これらの座標系を設定する場合、例えばツール座標系の原点を包み込む点を自動的に設定したり、作業座標系の原点の周りの領域を包み込む点を設定したりすることができる。ツール座標系の周りの点は、カッタの速度を定義し、メトリック確立集合に対する相対点として追加されるべきである。作業原点領域の周りの点は、これらの点の凸エンベロープの近くのすべてのもの(カッタなど)が中程度の速度を超えないようにすることができる。これらの点(作業座標系)はもちろん移動してはならず、したがって、絶対点のメトリック確立集合に追加されなければならない。
【0131】
好ましい実施形態では、例えば正20面体として近似される球が、メトリック確立集合としてツール座標系の原点の周りに配置される。その結果、ツールの位置が変化してもデカルト運動と回転運動との関係は変化せず、ツールの位置が変化しても回転運動の軌道は変化しない。ここでも、角速度は、球のサイズを介してシステム速度に結合することができる。
【0132】
ピボット点
メトリック確立集合を使用した速度プリセットは、ピボット点と併せて使用することもできる。特に、メトリック確立集合は、ピボット点の位置に基づいて決定することができる。
【0133】
例えば、特にファイバ整列を用いた角度走査の場合、ピボット点の周りに球状シェルの形態でメトリック確立集合を設定することができる。これは、相対点が移動するファイバ端部で使用されることを意味する。これにより、角速度をデカルト速度に対して、球形シェルの半径による軌道への影響でスケーリングすることができる。集合が設定されると、走査の位置を過大な点速度から保護することができる。特に、点が均等に配置された球面の半径は、球の中心(例えば、カッタ先端部)の周りを回転するときのデカルト速度と回転速度との間の関係を決定し、これはツールを移動させるときにも関連する。
【0134】
開始ポーズAから終了ポーズBまでの経路の適切なレイアウトにより、そのポーズパラメータはピボット点を参照し、例えば、軌道計算において単純化および加速を達成することができる。オイラーの定理がここで使用され、それによれば、ある点を中心としたRにおけるすべての回転は、この点を通る回転軸を中心とした回転によって実現することができる。四元数計算を使用して、回転および回転のパラメータ表示における変換を処理することが望ましい。回転軸および回転角度は、例えば、四元数表現におけるポーズAからポーズBへの向きの変化の変換から生じる。球がポーズAからポーズBに移動するとき、デカルト速度および回転速度が一定であり、回転が球の中心を通る回転軸の周りで行われる場合、球の表面上の最も速い点の速度は、上記のように一定のままである。自由に移動する「空間的に拘束されていない」、その中心を通る軸の周りで並進および回転する球の場合、球の表面の少なくとも1つの(変化する)点で生じる一定の最大速度を見つけることができ、これは適切な類推であり、移動の経路に対応する。
【0135】
経路の角度パラメータが回転軸および固定軸を中心とした回転角度、したがって四元数表現であるように選択される場合、ジンバル回転の場合のように、経路をたどるときに不要なジャイロ力は発生せず、これはシャカーヘキサポッドに関連する可能性があり、一般に、例えばヘキサポッドの自然振動の励起を低減することができる。ポーズパラメータが経路上で線形に補間され、経路セクションの長さが同じである場合、変換行列はまた、ポーズセクションごとに一定のままである。その場合、回転行列は常に再計算される必要はない。この計算の節約は、ヘキサポッド(フライトシミュレータ)用の費用効果の高い制御システムを使用する場合に関連し得る。
【0136】
移動剛体の経路の弧長
移動する質点の経路曲線(または経路とも呼ばれる)の弧長の計算は、図13に示されており、移動する剛体の経路(またはより正確にはそのポーズ)の弧長の計算を類推として説明する。ここでの「経路の弧長」という記述用語は、「経路長」と同じことを意味し、ポーズ空間における経路長と同義である。
【0137】
【数9】
【0138】
したがって、ここで図14図17を参照してより詳細に説明するように、ねじれとデカルト変位の両方を含むポーズの距離尺度が必要である。図14は、2次元空間における2次元物体の一連のポーズを示し、隣接するポーズのユークリッドDISP距離が示されている。図15は、図14のポーズ経路を用いたメトリックに基づく移動物体のポーズ経路からの経路長の抽出を示している。図16および図17は、図14のように経路に割り当てることができ、したがって軌道を形成するために経路を補完することができる速度曲線を示す。
【0139】
図14は、途切れた曲線を示す。左側は、ポーズ401で始まる三角形の物体の経路の最初の部分を表し、右側は経路の終端セクションを示す。初期ポーズ401の三角形の物体が移動され、その3つのコーナー点のみが、連続するポーズ間の距離を決定するために使用される。経路上では、左から右へのシーケンスにおいて、三角形は様々な中間ポーズで示されている。曲線上の中間ポーズの集合は経路を定義し、その正確な経路は補間によって決定されなければならない。ポーズのシーケンスにおいて、物体の2つのポーズ間の変位および回転ならびに不規則性は、図14において明確にするためにそれらの程度において特に強調されている。ここでは原理のみを示している。ここに示すメトリックは、ユークリッドDISPメトリックである。2つのポーズ間の距離は、この距離定義のために選択されたこれらの点、すなわち三角形の頂点の変位距離の最大値である。401および402などの連続する三角形の頂点間の矢印は、最大距離を有する1対の点を示す。この距離は、2つのポーズ間の距離関数の基礎となる距離である。
【0140】
図15では、図14に示す距離を棒グラフで示している。501は、経路の左セクション、502は、経路の右セクションを指す。バーの高さは2つのポーズ間の距離に対応し、バーの幅は1である。バー503の高さは、ポーズ401と402との間の距離に対応し、最後のバー504は、ポーズ404とその先行するものとの間の距離に対応する。すべてのバーの面積の合計は、ポーズのシーケンスから生じる経路の経路長に対応する。軌道は、2つの連続するポーズ間の移動の持続時間を定義することによって作成することができる。
【0141】
図16および図17では、速度プロファイルが時間に対してプロットされている。プロファイルは、区間をたどる時間を指定することで、経路長を適切に用いて様々な仕様で得られる速度プロファイルを示している。経路とともに示される速度プロファイルは、軌道を規定する。図16および図17中の図において、経路は目標速度に達するのに十分な長さであると仮定した。経路がこれには短すぎる場合、図16および図17の速度曲線は質的に異なる方法で示される。
【0142】
図16にS字プロファイルモードにおける速度プロファイルを示す。プロファイルの下の面積は、経路長に対応する。ここで、躍度は値{-j,0,j}をとることができ、加速度の量は間隔[-a,a]に制限される。ここで位置601に示されている所望の最大速度vの量は、ロボットコントローラで選択されたシステム速度に対応する。
【0143】
図17は、台形プロファイルを示す。プロファイルの下の面積は再び、経路長に対応する。このプロファイルには、経路長と、値{-a,0,a}をとることができる加速度と、位置701に示される目標速度であってもよいシステム速度の量が与えられる。許容最高速度vの量は、ロボットコントローラにおいて選択されたシステム速度に対応する。
【0144】
図5および図6の頻繁に使用される速度プロファイルに加えて、複数の他の速度プロファイルが考えられる。速度プロファイル5および6は、2つのポーズ間の移動、いわゆるポイントツーポイント移動に使用されることが多い。VIA点として知られる追加の中間ポーズが軌道上で到達または接近される場合、速度プロファイルは通常より複雑である。ここで速度プロファイルを使用して提示される瞬間速度は、ポーズのメトリックに基づくポーズ速度である。分かるように、この速度は、ユークリッドDISPメトリックに基づく、図14の三角形表面のすべての点の最大速度でもある。同様に、図16および図17の加速度および躍度はそれぞれ、三角形の頂点にキネマティック情報として伝達する。
【0145】
頻繁な方向反転を伴う高度に動的なキネマティック(シェーカーヘキサポッド)の場合、速度および加速度ならびに他のパラメータのベクトル的考察によって軌道決定を補足することもできる。例えば、考慮されなければならない方向反転または経路の方向の変化の領域では、軌道はより低い速度を与えられ、これはまたより低い加速度などをもたらす。
【0146】
脚リフト速度の制御および制限
ポーズメトリックに関連する速度プリセットは、最初は、Stewartプラットフォームの脚の偏向速度とは無関係である。偏向速度は、リニアアクチュエータとして単独で見たときの脚の速度を指す。原則として、これらの偏向速度は制限されなければならない。単純な可能性は、図10の219の脚の上側の6つの旋回点を組み合わせてメトリック確立集合にし、この集合のポーズ速度を脚の最大許容偏向速度に制限することである。幾何学的な理由から、これは脚の偏向速度をこの値に制限し、プラットフォームの速度も賢明なレベルに制限される。
【0147】
別の可能性は、コンフィギュレーション空間(=ジョイント空間)のメトリックの基礎として上位6つのピボット点のメトリック確立集合を採用し、コンフィギュレーション空間内の距離を考慮することである。ユークリッドDISPメトリック(この場合はコンフィギュレーション空間における)で得られたこれらの距離は、最大脚偏向速度に対応する。ヒューリスティックな方法で、ポーズ空間のメトリックを作業空間のメトリックとリンクさせ、それらから軌道を生成することが可能である。メトリックが互いにどのようにリンクされ得るかは、「いくつかの物体の同時検討」という見出しの下で以下に説明される。このようなコンフィギュレーション空間の特別な考慮事項は、脚の速度の考慮事項がヘキサポッドにとって副次的に重要であるため、産業用ロボットなどの直列ロボットにとってより関連性がある。
【0148】
いくつかの物体の同時検討
以下に説明するように、単一の点集合と、それによって与えられるメトリックとに基づく速度の決定を一般化することができる。
【0149】
これらの一般化はかなり有益であり得る。例えば、ハンドリング技術がロボット工学で使用される場合、異なる物体に対して異なる最大速度(=ポーズ速度)を同時に維持すること、すなわち異なるシステム速度を指定することは興味深い。これは、いくつかの物体がエンドエフェクタに取り付けられている場合、または基準座標系内で移動していないいくつかの物体が考慮される場合、いくつかの物体(空間コンテンツ)が常に同時に移動するためである。
【0150】
物体の特別な場合として、速度が最初はボード全体にわたって制限される大きなボリュームを定義したい場合がある。このボリュームは、ロボット/ヘキサポッドの移動プラットフォームの直近の周囲であってもよく、包囲矩形によって画定される。原則として、そのような包囲ボリュームも考慮されるべきである。異なる最大速度が監視/定義される空間コンテンツは、互いに貫通してもよい。
【0151】
2点の量を用いた2次元の場合の手順を図18に説明する。2つの物体K1およびK2は、同じポーズ変換の結果として変位される。両方の物体は、それらのコーナー点によって以下のように識別される。第1の物体K1は位置変換によって位置801から位置802に変位し、第2の物体K2は同じ位置変換によって位置804から位置805に変位する。
【0152】
2つの物体の各々はそれ自体のメトリックを定義し、それにより、2つのメトリックがポーズ空間内の2つの物体によって定義される。メトリックは、MおよびMとして識別される。これは、メトリックを表す、1対のポーズ(Pa,Pb)から非負の実数への2つの写像を定義する。両方のメトリックのタイプはこの例では同一であり、例えばユークリッドDISPメトリックである。ポーズ距離は、それぞれ803および804とラベル付けされている。
【0153】
写像MおよびMに基づいて、第3の写像を次のように定義することができる。
【0154】
【数10】
【0155】
この写像もメトリックMであり、2つの物体に適用されると、両方の物体のポーズ速度を等しく制限することができる。代替的または追加的に、相対点の2つ以上のメトリック確立点集合を1つのメトリック確立点集合に統合することもできる。同様に、絶対点の2つ以上のメトリック確立点集合を組み合わせて、メトリック確立点集合を形成することもできる。
【0156】
次の規則を使用して新しいメトリックを作成することも可能である。
【0157】
【数11】
【0158】
ここで、sは正の実数であり、最大ポーズ速度を表す。このメトリックMが使用される場合、物体K2のポーズ速度は、K1の最大物体速度と比較して1/sだけ異なる最大ポーズ速度に制限される。例は2つの物体を指す。ただし、この方法は2つの物体に限定されない。
【0159】
このようにして、ジョイント空間およびポーズ空間のメトリックから新しいメトリックを作成することもできる。
【0160】
要約すると、本発明は、軌道の所与の経路に従ってキネマティックのポーズ空間における軌道を決定することに関する。ここで、軌道は、所与のアプリケーションのためにキネマティックによってたどられるべきである。軌道を決定するために使用されるポーズ空間のメトリックが基づく、キネマティックの作業空間内の点集合は、アプリケーションに基づいて決定される。経路に基づいて、軌道は、キネマティックが軌道をたどるときに、メトリックに基づくポーズ速度が所定の最大速度以下であるように決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キネマティックのポーズ空間内の軌道を決定するための方法であって、前記軌道は、特定のアプリケーションのために前記キネマティックによってたどられるべきであり、前記方法は、
最大速度と、
前記ポーズ空間内の前記軌道の経路と
を取得すること(S1100)と、
前記アプリケーションに基づいて、前記キネマティックの作業空間内の点の集合を決定すること(S1120)と、
前記キネマティックが前記軌道をたどるときに、メトリックに基づくポーズ速度が前記最大速度以下であるように、前記経路に基づいて前記軌道を決定すること(S1140)と
を含み、前記メトリックは、前記点の集合に基づき、ポーズ間の距離を定義する前記ポーズ空間のメトリックである、方法。
【請求項2】
前記軌道は、前記経路に従って前記キネマティックの位置および向きの時間経過に対応し、
前記点は、前記キネマティックの前記位置および向きに対する前記作業空間内のそれぞれの位置を示し、
前記キネマティックの前記位置および向きに関する相対位置が変化しないように、前記軌道をたどる間に前記キネマティックとともに移動し、および/または
前記軌道をたどるときに前記キネマティックの前記位置および向きの前記時間経過に対応する座標系において静止し、
前記ポーズ速度は、前記軌道をたどるときに前記点が移動する速度のうちの最大速度に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記点は、前記作業空間内の静止領域に対応し、
前記ポーズ速度は、前記点が前記キネマティックとともに移動する空間によって掃引される速度のうちの最大速度に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記軌道は、前記経路に従って前記キネマティックの位置および向きの時間経過に対応し、
前記点は、相対点および絶対点を含み、
前記相対点は、前記キネマティックの前記位置および向きに対する前記作業空間内のそれぞれの位置を示し、
前記キネマティックの前記位置および向きに関する相対位置が変化しないように、前記軌道をたどるときに前記キネマティックとともに移動し、および/または
前記軌道をたどるときに前記キネマティックの前記位置および向きの前記時間経過に対応する座標系において静止し、
前記絶対点は、前記作業空間内の静止領域に対応し、
前記ポーズ速度は、
前記相対点が前記軌道をたどるときに移動し、
前記絶対点が前記キネマティックとともに移動する空間によって各々掃引される、
速度のうちの最大速度に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記軌道を決定することは、
前記経路を経路セクションに分割することと、
前記経路セクションのうちの1つをたどるときに前記点が受ける変位のうちの最大変位を推定することと、
前記最大速度と前記推定された最大変位とに基づいて、前記軌道をたどるときに前記経路セクションがたどられる持続時間を推定することと、
少なくとも前記推定された持続時間内に前記経路セクションがたどられるように前記軌道を決定することと
を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記最大変位は、前記点に対応する空間ボリュームの表面上に位置する前記点のうちの1つまたは複数の変位に基づいて推定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記軌道は、前記キネマティックが前記軌道をたどるときに、
メトリックに基づくポーズ加速度が所定の最大加速度以下であり、および/または
メトリックに基づくポーズ躍度が所定の最大躍度以下である、
ように決定される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記点の集合は、
ツールおよび/または作業座標系の、および/または
ピボット点の、
位置に基づいて決定される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
キネマティックを制御するための制御装置であって、前記制御装置は、
最大速度と、
ポーズ空間内の軌道の経路と
記キネマティックの作業空間内の点の集合と
を取得するように、および
前記キネマティックが前記軌道をたどるときに、メトリックに基づくポーズ速度が前記最大速度以下であるように、前記経路に基づいて前記軌道を決定するように適合され、前記メトリックは、前記点の集合に基づき、ポーズ間の距離を定義する前記ポーズ空間のメトリックである、制御装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キネマティックのポーズ空間内の軌道を決定するための方法であって、前記軌道は、特定のアプリケーションのために前記キネマティックによってたどられるべきであり、前記方法は、
最大速度と、
前記ポーズ空間内の前記軌道の経路と
を取得すること(S1100)と、
前記アプリケーションに基づいて、前記キネマティックの作業空間内の点の集合を決定すること(S1120)と、
前記キネマティックが前記軌道をたどるときに、メトリックに基づくポーズ速度が前記最大速度以下であるように、前記経路に基づいて前記軌道を決定すること(S1140)と
を含み、前記メトリックは、前記点の集合に基づき、ポーズ間の距離を定義する前記ポーズ空間のメトリックである、方法。
【請求項2】
前記軌道は、前記経路に従って前記キネマティックの位置および向きの時間経過に対応し、
前記点は、前記キネマティックの前記位置および向きに対する前記作業空間内のそれぞれの位置を示し、
前記キネマティックの前記位置および向きに関する相対位置が変化しないように、前記軌道をたどる間に前記キネマティックとともに移動し、および/または
前記軌道をたどるときに前記キネマティックの前記位置および向きの前記時間経過に対応する座標系において静止し、
前記ポーズ速度は、前記軌道をたどるときに前記点が移動する速度のうちの最大速度に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記点は、前記作業空間内の静止領域に対応し、
前記ポーズ速度は、前記点が前記キネマティックとともに移動する空間によって掃引される速度のうちの最大速度に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記軌道は、前記経路に従って前記キネマティックの位置および向きの時間経過に対応し、
前記点は、相対点および絶対点を含み、
前記相対点は、前記キネマティックの前記位置および向きに対する前記作業空間内のそれぞれの位置を示し、
前記キネマティックの前記位置および向きに関する相対位置が変化しないように、前記軌道をたどるときに前記キネマティックとともに移動し、および/または
前記軌道をたどるときに前記キネマティックの前記位置および向きの前記時間経過に対応する座標系において静止し、
前記絶対点は、前記作業空間内の静止領域に対応し、
前記ポーズ速度は、
前記相対点が前記軌道をたどるときに移動し、
前記絶対点が前記キネマティックとともに移動する空間によって各々掃引される、
速度のうちの最大速度に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記軌道を決定することは、
前記経路を経路セクションに分割することと、
前記経路セクションのうちの1つをたどるときに前記点が受ける変位のうちの最大変位を推定することと、
前記最大速度と前記推定された最大変位とに基づいて、前記軌道をたどるときに前記経路セクションがたどられる持続時間を推定することと、
少なくとも前記推定された持続時間内に前記経路セクションがたどられるように前記軌道を決定することと
を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記最大変位は、前記点に対応する空間ボリュームの表面上に位置する前記点のうちの1つまたは複数の変位に基づいて推定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記軌道は、前記キネマティックが前記軌道をたどるときに、
メトリックに基づくポーズ加速度が所定の最大加速度以下であり、および/または
メトリックに基づくポーズ躍度が所定の最大躍度以下である、
ように決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記点の集合は、
ツールおよび/または作業座標系の、および/または
ピボット点の、
位置に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
キネマティックを制御するための制御装置であって、前記制御装置は、
最大速度と、
ポーズ空間内の軌道の経路と、
前記キネマティックの作業空間内の点の集合と
を取得するように、および
前記キネマティックが前記軌道をたどるときに、メトリックに基づくポーズ速度が前記最大速度以下であるように、前記経路に基づいて前記軌道を決定するように適合され、前記メトリックは、前記点の集合に基づき、ポーズ間の距離を定義する前記ポーズ空間のメトリックである、制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0144
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0144】
図16および図17の頻繁に使用される速度プロファイルに加えて、複数の他の速度プロファイルが考えられる。速度プロファイル5および6は、2つのポーズ間の移動、いわゆるポイントツーポイント移動に使用されることが多い。VIA点として知られる追加の中間ポーズが軌道上で到達または接近される場合、速度プロファイルは通常より複雑である。ここで速度プロファイルを使用して提示される瞬間速度は、ポーズのメトリックに基づくポーズ速度である。分かるように、この速度は、ユークリッドDISPメトリックに基づく、図14の三角形表面のすべての点の最大速度でもある。同様に、図16および図17の加速度および躍度はそれぞれ、三角形の頂点にキネマティック情報として伝達する。
【国際調査報告】