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特表2024-536351ガイドポリマーを使用することによって試料中の標的ポリマーを決定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ガイドポリマーを使用することによって試料中の標的ポリマーを決定する方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20240927BHJP
   C12Q 1/6816 20180101ALI20240927BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20240927BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240927BHJP
   C12N 9/22 20060101ALI20240927BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6816 Z ZNA
C12Q1/6876 Z
C12N15/11 Z
C12N9/22
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520606
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2022077537
(87)【国際公開番号】W WO2023057432
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】2114183.3
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511252899
【氏名又は名称】オックスフォード ナノポール テクノロジーズ ピーエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】594202523
【氏名又は名称】モナシュ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラクマル・ニシャンタ・ジャヤシンゲ
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス・ジェイン・ウォーレス
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・アレクサンダー・グティエレス
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・アン・ダンストン
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー・アラン・スパイサー
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029CC01
4B029CC02
4B029FA15
4B029GA08
4B029GB10
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QR14
4B063QR32
4B063QR35
4B063QS39
4B063QX05
(57)【要約】
本発明は、概して、生物学的細孔を使用して標的ポリマー、特に、標的ポリヌクレオチドを検出及び/又は分析する方法に関する。本発明はまた、この方法を実施するための新規システムに関する。方法は、多くの用途を有する。特に、方法は、診断、多型の検出、及びV(D)Jレパトア解析に使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定する方法であって、
a)前記試料を、(i)前記標的ポリマーの一部に結合し、(ii)ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に結合するか、又はそれに付着するガイドポリマーと接触させることであって、前記ガイドポリマー及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、前記試料に存在する任意の標的ポリマーと複合体を形成する、接触させることと、
b)前記試料を、開口部を有する生物学的細孔を含む膜であって、前記開口部が、前記細孔を通る前記複合体の転位を可能にする、膜と接触させることと、
c)前記膜を横切って電位差を印加し、1つ以上の電気的測定値を取ることと、
d)前記細孔を通る前記複合体の前記転位に起因する電気的効果の存在又は不在をモニターし、それによって前記試料中の前記標的ポリマーの存在又は不在を決定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記細孔を通る前記複合体のポリマー誘導型エフェクタータンパク質部分の転位が、前記細孔を通って転位する前記複合体の標的ポリマー部分に関連付けられる前記電気的効果よりも、(i)より長い電気的効果、(ii)より顕著である電気的効果、及び(iii)より複雑である電気的効果のうちの1つ以上をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(c)が、前記膜を横切って電位差を印加し、前記細孔を通って流れる電流を測定することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記細孔を通る前記複合体の前記ポリマー誘導型エフェクタータンパク質部分の転位が、前記細孔を通って転位する前記複合体の前記標的ポリマー部分に関連付けられる電流効果よりも、(i)より長い電流効果、(ii)より顕著である電流効果、及び(iii)より複雑である電流効果のうちの1つ以上をもたらす、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
より複雑な電気的又は電流効果が、(i)一貫性のない効果、(ii)ノイズ、及び(iii)電気的ステッピング事象のうちの1つ以上を含む、請求項2又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記標的ポリマーに関連付けられる前記電気的又は電流効果が、前記ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に関連付けられる前記電気的又は電流効果の前及び/又は後に観察される、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記標的ポリマーが、標的ポリヌクレオチドである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記標的ポリヌクレオチドが、二本鎖であるか、若しくは二本鎖領域を含み、かつ/又はDNA、DNA/RNAハイブリッド、若しくはRNAである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ガイドポリマーが、ガイドポリヌクレオチドであり、前記ポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、ポリヌクレオチ誘導型エフェクタータンパク質である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ガイドポリヌクレオチドが、ガイドRNAであり、前記ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が、RNA誘導型エフェクタータンパク質である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記RNA誘導型エフェクタータンパク質が、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ、又は前記RNA誘導型エンドヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性が無効化されているRNA誘導型エンドヌクレアーゼである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
a)前記RNA誘導型エンドヌクレアーゼの1つ以上の触媒ヌクレアーゼ部位が不活性化されている、かつ/又は
b)前記RNA誘導型エンドヌクレアーゼが、Cas、Cas12a、若しくはC2c2である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記Casが、Cas9である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ガイドポリヌクレオチドが、前記標的ポリマー中の配列に結合するヌクレオチド配列と、前記ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質に結合するヌクレオチド配列とを含む、請求項7~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ガイドポリヌクレオチドが、前記標的ポリヌクレオチド中の配列に結合するcrRNAと、tracrRNAとを含むガイドRNAである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ガイドRNAが、sgRNAである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ガイドポリマー、前記ポリマー誘導型エフェクタータンパク質、又は存在する場合に前記標的ポリマーが、前記膜に結合することができるアンカーを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記アンカーが、コレステロールを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(a)が、前記試料及び前記細孔を、2つ以上のガイドポリマーであって、それらの各々が、(i)前記標的ポリマーの一部に結合し、(ii)2つ以上のポリマー誘導型エフェクタータンパク質に結合するか、又はそれらに付着する、2つ以上のガイドポリマーと接触させることを含み、前記2つ以上のガイドポリマー及び2つ以上のポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、前記試料に存在する任意の標的ポリマーと2つ以上の複合体を形成し、ステップ(d)が、前記細孔を通る前記2つ以上の複合体の前記転位に起因する2つ以上の電気的又は電流効果の存在又は不在をモニターし、それによって前記試料中の前記標的ポリマーの存在又は不在を決定することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記2つ以上のガイドポリマーが、前記標的ポリマーの異なる部分に結合する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記2つ以上のポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、異なるポリマー誘導型エフェクタータンパク質又は異なるRNA誘導型エフェクタータンパク質である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記細孔を通って転位する前記2つ以上の複合体の標的ポリマー部分に関連付けられる前記電気的又は電流効果が、前記細孔を通って転位する前記2つ以上の複合体のポリマー誘導型エフェクタータンパク質部分に起因する前記電気的又は電流効果の間で観察される、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
存在する場合、前記標的ポリマーの量又は前記標的ポリマーの1つ以上の特徴を決定することを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上の特徴が、(i)前記標的ポリマーの長さ、(ii)前記標的ポリマーのアイデンティティー、(iii)前記標的ポリマーの配列、(iv)前記標的ポリマーの二次構造、及び(v)前記標的ポリマーが修飾されているか否かから選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記細孔が、天然に存在する生物学的細孔又は天然に存在する生物学的細孔の修飾されたバージョンである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記天然に存在する生物学的細孔が、補体成分9(C9)、パーフリンゴリジンO、プレウロトリシン(Pleurotolysin)、リステリオリシン、パーフォリン-2、ガスデルミン-A3、L-、P-及びM-リングタンパク質、II型分泌系タンパク質D、GspD、InvG、VirB7、SpoIIIAG、Cag8、Cag3、Cag、又はIV型分泌系装置タンパク質CagY、WzzB、ペントラキシン、Afp2、主要なヴォールトタンパク質、チオレドキシン依存性ペルオキシダーゼ還元酵素、Arf-GAP、呼吸器合胞体ウイルスリボ核タンパク質、チクングニアウイルス非構造タンパク質1、PRC、YaxA、XaxA、若しくはPrgHにおける他のタンパク質である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記細孔が、人工生物学的細孔である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記細孔が、DNAオリガミ細孔である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記膜が、(i)トリブロックコポリマー膜又は(ii)固体層であり、前記生物学的細孔が、前記固体層内の細孔内に存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定するためのシステムであって、
c)(i)存在する場合に前記標的ポリマーの一部に結合し、(ii)ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に結合するか、又はそれに付着するガイドポリマーであって、前記ガイドポリマー及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、前記試料に存在する任意の標的ポリマーと複合体を形成する、ガイドポリマーと、
d)生物学的細孔であって、前記細孔を通る前記複合体の転位を可能にする開口部を有する、生物学的細孔と、を含む、システム。
【請求項31】
前記細孔が、膜内に存在する、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記システムが、前記膜を横切って電圧を印加し、1つ以上の電気的測定値を取るように適合されている、請求項30又は31に記載のシステム。
【請求項33】
前記システムが、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法を実行するように適合されている、請求項30~32のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、生物学的細孔を使用して標的ポリマー、特に、標的ポリヌクレオチドを検出及び/又は分析する方法に関する。本発明はまた、この方法を実施するための新規システムに関する。方法は、多くの用途を有する。特に、方法は、診断、多型の検出、及びV(D)Jレパトア解析に使用され得る。
【背景技術】
【0002】
幅広い用途にわたる迅速かつ安価なポリマー(例えば、DNA又はRNA)配列決定及び同定技術が現在必要とされている。既存の技術は、主に、多量のポリヌクレオチドを生成するために増幅技法に依存し、信号検出のために多量の専門蛍光薬剤を必要とするため、時間がかかり、高価である。
【0003】
生物学的細孔(及び他のナノ細孔)は、ポリマー及び様々な小分子のための直接的な電気的バイオセンサとして大きな可能性を有する。特に、最近は、潜在的なDNA配列決定技術としてナノ細孔が注目されている。
【0004】
ナノ細孔にわたって電位が印加されると、ヌクレオチドなどの分析物が特定の時間バレル中に一時的に滞留する場合、電流の流れに変化がある。ヌクレオチドのナノ細孔検出は、既知のシグネチャー及び持続時間の電流変化をもたらす。鎖配列決定方法では、単一のポリヌクレオチド鎖は細孔を通過させ、ヌクレオチドのアイデンティティーが誘導される。鎖配列決定は、細孔を通るポリヌクレオチドの移動を制御するために分子ブレーキの使用を含み得る。
【0005】
固体細孔は、Cas9含有プローブを使用して標的DNA配列を同定するために使用されている(Yang et al.,Nano Lett.2018,18,10,6469-6474及びWeckman et al.,ACS Sens.2019,4,8,2065-2072)。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、RNA及びDNAなどのガイドポリマー、並びにCRISPR遺伝子編集機構の一部を形成するRNA誘導型エフェクタータンパク質及びDNA誘導型エフェクタータンパク質などのポリマー誘導型エフェクタータンパク質との組み合わせにおける生物学的細孔についての新規用途を同定している。特に、本発明者らは、試料中の1つ以上の標的ポリヌクレオチドの存在、不在、又は量について試験するために、関連RNA誘導型エフェクタータンパク質とともに使用することができる修飾ガイドRNA配列を設計している。本発明者らは、生物学的細孔とともに、RNAなどのガイドポリマー、及びガイドRNA誘導型エフェクタータンパク質などのポリマー誘導型エフェクタータンパク質を使用して標的ポリマーを検出する方法を開発している。特に、本発明者らは、標的ポリマー及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、生物学的細孔と異なって相互作用し、異なる電気的測定値をもたらすことを驚くべきことに同定している。電気的測定値の間のこれらの差は、標的ポリマーの存在又は不在をより効率的に同定するために使用され得る。ポリマー誘導型エフェクタータンパク質と生物学的細孔との間の相互作用に起因する電気的測定値の変化は、固体細孔で観察されたものとは完全に異なる(Weckman et al.,ACS Sens.2019,4,8,2065-2072及びYang et al.上記)。生物学的細孔では、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、標的ポリマーに関連付けられるものよりも長く、より顕著で、より複雑な電気的効果をもたらす。このタイプの効果は、固体細孔では見られない(Yang et al.及びWeckman et al.上記は、Cas9に起因する電流において短く、鋭い遮断を見た)。本発明者らは、この驚くべき電気的効果が、生物学的細孔との予期しない相互作用に起因すると考えている。以下でより詳細に論じられるように、異なるポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、異なる電気的効果(すなわち、異なるシグナル)を生み出すことができ、これは、本発明の文脈において(例えば、異なる標的ポリマーを検出するために)利用され得る。
【0007】
方法は、様々な方法で行うことができるが、それらが標的ポリヌクレオチド(複数可)などの標的ポリマー(複数可)を選択するために、ガイドRNAなどのガイドポリマー及びRNA誘導型エフェクタータンパク質などのポリマー誘導型エフェクタータンパク質を使用し、標的ポリマー、ガイドポリマー、及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質を含む複合体の生物学的細孔への送達を伴うという共通点を有する。方法は、C2c2を使用するRNA編集システムを含む、他のポリマー誘導型タンパク質エフェクターシステムに拡張することができる。ガイドRNAなどのガイドポリマーは、ナノ細孔に基づく検出方法における使用に特に適合され得る。
【0008】
本発明者らによって開発された方法は、高感度であり、試料中の他の成分から標的ポリマー(複数可)を抽出するために別々の分離ステップを必要とすることなく、試料中の微量の標的ポリマーを検出するために使用することができる。したがって、方法は、簡単であり、富化又は精製ステップなどの複雑なステップを必要としない。したがって、方法は、迅速であり、迅速な結果並びに粗製試料及び/又は「汚れた」試料からの結果を得るために使用することができる。方法は、したがって、迅速な診断が必要とされる診断環境において特に有用である。方法はまた、遺伝子又はゲノムの特定の断片又は領域を標的とするのに特に有用である。方法の主な利点は、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、標的又はアダプターの測定の前に標的ポリマーから積極的に除去される必要がないことである。標的ポリマーは、典型的には、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に依然として結合している間に検出又は特徴付けされる。いくつかの実施形態では、方法は、試料中の他の成分からの標的ポリマー(複数可)の分離を容易にするために特異的に設計されたガイドポリマーを使用する。
【0009】
方法は、本質的に分離ステップを含むので、多くの他のポリマー配列を含有する試料において、ポリヌクレオチド配列などのポリマー配列における関心領域を特徴付ける、例えば配列決定することを可能にする。例えば、大きなゲノムに存在する関心遺伝子のみが配列決定され得る。配列決定は、SNPを含有する領域、又はT細胞中のV(D)J領域などの他の関心領域に限定することができる。これは、複雑な又は時間のかかる断片化又はプルダウン試料調製方法を必要とせずに所望の情報にアクセスしながら、感度及び効率を改善させる。それはまた、関心標的ポリマー、例えば、標的ポリヌクレオチドの断片のみが測定されるか、又はその増加した割合が試料中の全ポリマー断片に対して測定されるので、ナノ細孔実験の実施にかかる時間を短縮する 非標的ポリマーの量が標的ポリマーの量に対して過剰にある場合、標的ポリマーを検出するのにかかる時間は、非標的ポリマーの除去又はこれを測定する必要性の低下のため、有意に短縮され得る。方法はまた、PCR又は他の標的富化アプローチを必要としないことから利益を得る。
【0010】
本発明は以下を提供する:
-試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定する方法であって、
a)試料を、(i)標的ポリマーの一部に結合し、(ii)ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に結合するか、又はそれに付着するガイドポリマーと接触させることであって、ガイドポリマー及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、試料に存在する任意の標的ポリマーと複合体を形成する、接触させることと、
b)試料を、開口部を有する生物学的細孔を含む膜であって、細孔を通る複合体の転位を可能にする、膜と接触させることと、
c)膜を横切って電位差を印加し、1つ以上の電気的測定値を取ることと、
d)細孔を通る複合体の転位に起因する電気的効果の存在又は不在をモニターし、それによって試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定することと、を含む、方法、並びに
-試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定するためのシステムであって、
a)(i)存在する場合に標的ポリマーの一部に結合し、(ii)ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に結合するか、又はそれに付着するガイドポリマーであって、ガイドポリマー及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、試料に存在する任意の標的ポリマーと複合体を形成する、ガイドポリマーと、
b)細孔を通る複合体の転位を可能にする開口部を有する生物学的細孔と、を含む、システム。
【0011】
図は、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、シスチャンバ内の5nMの3.6kbのDNAによる100mVで得られる電流トレースの例を示す。シグナルにおけるスパイクは、細孔を通るDNAの転位に対応する。
図2図2は、単一のCas9プローブが付着しているDNA試料がフローセル中にある、80mVで得られる電流トレースの例を示す。Cas9プローブは、一端から約387塩基である3.6kb鎖上の位置3213に結合するcrRNAとしてのEnlam86を有する。この例では、漫画に示されているように、Cas9が最も近くにあるDNAの末端が最初に細孔に入り、DNAに起因するシグナルがCas9シグナルの前ではなく後に観察されることで証明されている。
図3図3は、単一のCas9プローブが付着しているDNA試料がフローセル中にある、80mVで得られる電流トレースの例を示す。Cas9プローブは、一端から約387塩基である3.6kb鎖上の位置3213に結合するcrRNAとしてのEnlam86を有する。この例では、漫画に示されているように、Cas9が最も近くにあるDNAの末端が最後に細孔に入り、DNAに起因するシグナルがCas9シグナルの後ではなく前に観察されることで証明されている。
図4図4は、単一のCas9プローブが付着しているDNA試料がフローセル中にある、80mVで得られる電流トレースの例を示す。Cas9プローブは、DNAの中央に近い3.6kb鎖上の位置2057に結合するcrRNAとしてのEnlam87を有する。DNAに起因するシグナルは、Cas9シグナルの前及び後の両方で観察される。
図5図5は、2つのCas9プローブが付着しているDNA試料がフローセル中にある、100mVで得られる電流トレースの例を示す。Cas9プローブは、3.6kb鎖上の位置218及び位置3368にそれぞれ結合し、3000を超える塩基の分離をもたらすAR837又はEnlam51のいずれかを有する。DNAに起因するシグナルは、2つのCas9シグナルの間で観察されるが、第1のシグナルの前又は第2のシグナルの後では観察されない。
図6図6は、3つのCas9プローブが付着しているDNA試料がフローセル中にある、800mVで得られる電流トレースの例を示す。Cas9プローブは、完全長ラムダ鎖上の位置4010、25515、及び44609にそれぞれ結合し、プローブ間のおよそ20000塩基の分離をもたらすEnlam5、Enlam26、又はEnlam45のいずれかを有する。DNAに起因するシグナルは、3つのCas9シグナルの間で観察される。この図には、異なる一部が何に対応しているかが注釈されている。
図7図7は、IV曲線電圧プロファイルの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示される生成物及び方法の異なる適用が、当該技術分野における特定の必要性に適合され得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することが意図されないことも理解されるべきである。
【0014】
更に、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数の指示物を含む。したがって、例えば、「ポリマー」への言及は、2つ以上のポリマーを含み、「ポリヌクレオチド」は、2つ以上のポリヌクレオチドを含み、「アンカー」への言及は、2つ以上のアンカーを指し、「ヘリカーゼ」への言及は、2つ以上のヘリカーゼを含み、「細孔」への言及は、2つ以上の細孔などを含む。
【0015】
本明細書で引用される全ての刊行物、特許及び特許出願は、上記又は下記にかかわらず、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書において言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示された場合と同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物及び特許又は特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲に対して、本明細書は、任意のかかる矛盾する資料に取って代わる及び/又はそれに優先することを意図している。
【0016】
用語
本明細書における全ての例では、標的ポリマー「の存在又は不在を決定する」という言葉は、標的ポリマーを「検出する」と交換可能である。したがって、本発明の方法は、標的ポリマーを検出する方法に関する場合があり、ステップ(d)は、細孔を通る複合体の転位に起因する電気的効果を検出し、それによって試料中の標的ポリマーを検出することを含み得る。本発明のシステムは、試料中の標的ポリマーを検出するためのものであり得る。
【0017】
本発明の方法
本発明は、4つのステップを含む、試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定する方法を提供する。ステップ(a)では、試料を、(i)標的ポリマーの一部に結合し、(ii)ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に結合するか、又はそれに付着するガイドポリマーと接触させ、ガイドポリマー及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、試料に存在する任意の標的ポリマーと複合体を形成する。試料を、ガイドポリマー及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質と接触させる。ステップ(b)では、試料を、細孔を通る複合体の転位を可能にする開口部を有する生物学的細孔を含む膜と接触させる。ステップ(c)では、電位差を、膜を横切って印加し、1つ以上の電気的測定値を取る。ステップ(d)では、細孔を通る複合体の転位に起因する電気的効果の存在又は不在をモニターし、試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定する。複合体は、存在する場合に標的ポリマー、及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質を含み、したがって、細孔を通る複合体の転位に起因する電気的効果は、標的ポリマー及びタンパク質の両方に関する情報を提供することができる。これは、以下でより詳細に論じられる。ステップ(a)及び(b)は、同時に又はいずれかの順序で連続して実施され得る。
【0018】
方法は、(a)複合体を形成するために、試料を、(i)標的ポリマー中の配列に結合し、(ii)ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に結合するか、又はそれに付着するガイドポリマーと接触させることであって、試料が、狭窄を有する生物学的細孔を含む膜であって、前記狭窄が、細孔を通る複合体の転位を可能にする、膜と接触し、細孔に電位が印加される、接触させることと、(b)複合体の少なくとも一部分が細孔に対して移動する際に1つ以上の電気的測定値を取って、複合体の存在又は不在を検出し、それによって試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定することと、を含み得る。ステップ(b)は、細孔を通って流れる電流を測定することを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、(a)試料を、標的ポリマー中の配列に結合するガイドポリマー、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質、及び狭窄を有する生物学的細孔を含む膜であって、前記狭窄が、細孔を通る複合体の転位を可能にする、膜と接触させることと、(b)膜を横切って電位差を印加することと、(c)試料、ガイドポリマー、及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質の細孔との相互作用に起因する1つ以上の電気的測定値を取るか、又は別のシグナルを測定して、ガイドポリマー、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質、及び標的ポリマーを含む複合体の存在又は不在を決定し、それによって試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定することと、を含む。ステップ(c)は、細孔を通って流れる電流の測定を含み得る。
【0020】
方法は、多数の異なる方法で実施することができる。方法は、様々な異なる適用を行うために使用することができる。方法は、例えば、単一の標的ポリマーの、又は多数の標的ポリマーの存在又は不在を決定するために使用され得る。方法は、定量的であり得る。例えば、試料に存在する標的ポリマーの量(濃度など)を、本発明の方法を使用して決定することができ、及び/又は試料に存在する異なるポリマーの相対量を決定することができる。方法は、多型の存在若しくは不在及び/又は多型のアイデンティティーなどの、標的ポリマーに関する更なる情報を提供することができる。
【0021】
方法は、ガイドポリマーに付着したアダプターが細孔と相互作用するかどうかを決定することを含み得る。方法は、標的ポリマーに結合していないアダプターを含むガイドポリマーが細孔と相互作用しないように実施され得る。典型的には、かかる未結合ガイドポリマーは、膜貫通電位が膜に印加される前に洗い流される。標的ポリマーは、アダプターを含む結合ガイドポリマーが洗い流されるのを防止するために、表面、例えば膜にテザリングされ得る。標的ポリマーは、それに直接、例えば、その末端の一方に付着した膜アンカーなどのテザーを有し得る。代替的に、膜アンカーなどのテザーを含む第2のガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質を使用して、標的ポリマーを表面、例えば、膜にテザリングすることができる。
【0022】
標的ポリマーがテザリングされている表面は、ビーズであり得る。
【0023】
アダプターは、典型的には標的ポリマーに特有であり、細孔と相互作用すると異なるシグナルを生じる。各々が異なる標的ポリマーについて選択的であり、異なるアダプターを有する、複数のガイドポリマーを試料に添加して、細孔と相互作用する異なるアダプターによって引き起こされる異なるシグナルに基づいて異なる標的ポリマーを検出及び/又は定量化することができる。この実施形態では、アダプターは、バーコードを含むと考えられ得る。
【0024】
方法は、異なるポリマー配列に結合する複数のガイドポリマーを使用し得る。異なるポリマー配列は、例えば、同じ標的ポリマー中の異なる配列(例えば、標的ポリマーの異なる部分)、異なる標的ポリマーの配列又は標的ポリマー内の代替配列、例えば、多型を包含する配列、例えば、一塩基多型(SNP)であり得る。ステップ(a)は、好ましくは、試料を2つ以上のガイドポリマーと接触させることを含み、2つ以上のガイドポリマーが、標的ポリヌクレオチド中の異なる配列に、又は異なる標的ポリヌクレオチドの配列に結合する。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法は、標的ポリマーを更に特徴付けることを含み得る。例えば、方法は、標的ポリヌクレオチドなどの標的ポリマーの全部又は一部を配列決定することを含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法は、2つ以上のガイドポリマー及び2つ以上のポリマー誘導型エフェクタータンパク質を使用する。例えば、ステップ(a)は、好ましくは、試料及び細孔を、2つ以上のガイドポリマーであって、それらの各々が、標的ポリマーの一部に結合する、2つ以上のガイドポリマー及び2つ以上のポリマー誘導型エフェクタータンパク質と接触させることを含み、2つ以上のガイドポリマー及び2つ以上のポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、試料に存在する任意の標的ポリマーと2つ以上の複合体を形成する。2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上などの任意の数の2つ以上のガイドポリマー及びガイドポリマー誘導型エフェクタータンパク質が使用され得る。2つ以上のガイドポリマーの数は、典型的には、2つ以上のガイドポリマー誘導型エフェクタータンパク質の数と同じである。複合体の数は、典型的には、2つ以上のガイドポリマーの数及び2つ以上のガイドポリマー誘導型エフェクタータンパク質の数と同じであり、上に列挙された数のうちのいずれかであり得る。これらの実施形態では、ステップ(d)は、好ましくは、細孔を通る2つ以上の複合体の転位に起因する電気的又は電流効果の存在又は不在をモニターし、それによって試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定することを含む。電気的又は電流効果の数は、典型的には、2つ以上の複合体の数と同じである。2つ以上のガイドポリマーは、好ましくは、標的ポリマーの異なる配列又は一部に結合する。それらの配列又は一部は、同じ標的ポリマー内の異なる標的ポリマーに存在してもよく、又は標的ポリマーに存在し得るSNPなどの代替配列であってもよい。2つ以上のガイドポリマーは、好ましくは、同じ標的ポリマーの異なる部分に結合する。これは、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上などの2つ以上の複合体が個々の標的ポリマー上に形成され、細孔を通って転位し、複数の電気的又は電流効果をもたらすことを意味する。これは、以下でより詳細に論じられる。2つ以上のポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、異なるポリマー誘導型エフェクタータンパク質又は異なるRNA誘導型エフェクタータンパク質である。2つ以上のポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、異なるポリマー誘導型エフェクタータンパク質であるか、又は異なるRNA誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、異なる電気的効果をもたらす。2つ以上のポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、以下でより詳細に論じられるもののうちのいずれかであり得る。2つのタンパク質は、それらが異なるタンパク質又はCas及びCpf1などのタンパク質相同体である場合、あるいはそれらがCas9などの同じタンパク質に由来し、それらのうちの1つが、例えば、置換、欠失、若しくは付加を介して修飾されるか、又はそれらの両方が異なる方法で修飾される場合、異なる。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法は、標的ポリマーの異なる領域に結合し、2つ以上の複合体を形成する2つ以上のガイドポリマー及び/又は2つ以上のポリマー誘導型エフェクタータンパク質を使用して、標的ポリマーの存在、不在、又は量を検出することを含み得、標的ポリマーへの2つ以上の異なるガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質の結合が、標的ポリマーが試料に存在する場合、細孔を通る複合体の転位を可能にする、生物学的細孔を通る検出可能な電気的シグナル、例えば、検出可能な電流変化をもたらす。シグナルは、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクター複合体のうちの1つにおけるアダプターに特徴的であり得、シグナルは、そのガイドポリマーが膜アンカーを含む第2のガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に「連結される」場合にのみ観察されるか、又は主にその場合に観察され、この「連結」は、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質の両方が標的ポリマーに結合している場合に生じる。言い換えれば、標的ポリマーは、アダプターを含むガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクター複合体を、膜アンカーを含むガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクター複合体に「連結する」のに役立つ。ポリマー誘導型エフェクタータンパク質が膜アンカーを含む実施形態では、付着は、タンパク質自体を介して、例えば、strep-tag/flag-tag/his-tagの使用によって行われ得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、方法は、試料を細孔と接触させる前に、試料中の他のポリマーから標的ポリマーを分離する必要なしに、標的ポリマーを選択的に配列決定することができるように、各標的ポリマーを標的ポリマーに特異的なガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体でマーキングすることによって、細孔を通る複合体の転位を可能にする生物学的細孔を使用して標的ポリマーを選択的に特徴付けること、例えば、配列決定することを含み得る。
【0029】
例えば、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体は、標的ポリマーのみ膜にテザリングされるように膜アンカーでタグ付けされ得る。試料中の他のポリマーは、洗い流され得る。代替的に、ポリマーに沿って移動することができるポリマー結合タンパク質は、例えば、当該技術分野で既知の技術を使用して、試料中のポリマーの末端に結合させることができ、ポリマー結合タンパク質は、例えば、ポリマー結合タンパク質の移動に必要な補因子を付加することによって、複合体形成後にポリマーに沿って移動させることができる。この実施形態では、結合ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体は、標的ポリマー上のポリマー結合タンパク質をストールさせる一方、ポリマー結合タンパク質は、非標的ポリマーの末端からプロセシングされる。次いで、膜貫通電位が印加されると、電位の力及び細孔との接触は、標的ポリマーが細孔を通って転位するように、結合ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体を標的ポリマーから変位させる。ポリマー結合タンパク質が結合していない非標的ポリマーは、シグナルが検出されないように、又は得られる任意のシグナルが標的ポリマーの細孔との相互作用に起因するシグナルから容易に区別することができるように、急速に細孔を通過する。標的及び非標的ポリマーの両方を含む、試料中のポリマーの3’末端鎖は、例えば、エキソヌクレアーゼを使用して分解され得る。このように、標的ポリマーを選択的に特徴付け、例えば、配列決定することができる。ポリマー結合タンパク質は、例えば、ATP又は別のヌクレオシドなどの補因子及びγsGTPを付加することによってポリマーに沿って移動させることができる。
【0030】
別の実施形態では、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質を使用して、選択された点でポリマーを切断することができる。これは、関心領域に関する方法によって得られる、配列情報などの情報を限定するために使用され得る。例えば、ヌクレアーゼ活性を有する2つのポリマー誘導型エフェクタータンパク質を使用して、関心ポリマー断片を得ることができる。代替として、不活性化又は無効化ヌクレアーゼ活性を有する修飾ポリマー誘導型エフェクタータンパク質を使用して上記のようにポリマー結合タンパク質をストールさせることができ、第2のポリマー誘導型エフェクタータンパク質を使用して特徴付けられる断片を切断することができる。この実施形態は、例えば、特にV(D)Jレパトア解析用途において有用である。
【0031】
更に、いくつかの実施形態では、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体は、標的ポリマーを、細孔を通過する電流に対するガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体の効果を使用して標的ポリマーの存在若しくは不在を決定、定量化、又は同定することができるように、タグ付け又は標識する。
【0032】
例えば、アダプターは、膜にテザリングされた標的ポリマーに結合している場合にのみ細孔と相互作用するため、ガイドポリマー又はポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、膜アンカーでタグ付けされた標的ポリマーを同定するために使用され得るアダプターに付着させることができる。未結合ガイドポリマー及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、洗い流され得る。各々が異なる標的ポリマーについて選択的であり、異なるアダプターを有する、複数のガイドポリマーを試料に添加して、細孔と相互作用する異なるアダプターによって引き起こされる異なるシグナルに基づいて異なる標的ポリマーを検出及び/又は定量化することができる。
【0033】
代替的に、標的ポリマーに結合しているガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体は、標的ポリマーが、細孔を通る複合体の転位を可能にする生物学的細孔を通過するときに検出可能なシグナルを生成し得る。
【0034】
生物学的細孔が、ポリマー及び結合ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体の通過を可能にするのに十分に大きいために、細孔を通るポリマー/ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体の通過は、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体が細孔を通過するときに認識可能なシグナルを生成するであろう。このシグナルは、以下でより詳細に論じられる。したがって、1つ以上のガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体を使用して標的ポリマーを同定することができる。例えば、ガイドポリマーは、特定の多型が標的ポリマーに存在する場合にのみ結合するように設計され得る。標的ポリマーが細孔を通過するときに観察される結合ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体に起因するシグナルの数、又は標的ポリマーが細孔を通過するときの特定のシグナルの存在若しくは不在は、多型の存在又は不在を示し得る。ガイドポリマー、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質、及び/又は標的ポリマーのうちの1つ以上は、典型的には、方法を実施することを可能にするように修飾される。
【0035】
方法は、標的ポリヌクレオチドなどの標的ポリマーの量、又は標的ポリヌクレオチドなどの標的ポリマーの1つ以上の特徴を決定することを更に含み得る。1つ以上の特徴は、典型的には、(i)標的ポリマー又はポリヌクレオチドの長さ、(ii)標的ポリマー又はポリヌクレオチドのアイデンティティー、(iii)標的ポリマー又はポリヌクレオチドの配列、(iv)標的ポリマー又はポリヌクレオチドの二次構造、及び(v)標的ポリマー又はポリヌクレオチドが修飾されているか否かから選択される。これらの特徴は、WO2018/060740に記載されている。{i}、{ii}、{iii}、{iv}、{v}、{i,ii}、{i,iii}、{i,iv}、{i,v}、{ii,iii}、{ii,iv}、{ii,v}、{iii,iv}、{iii,v}、{iv,v}、{i,ii,iii}、{i,ii,iv}、{i,ii,v}、{i,iii,iv}、{i,iii,v}、{i,iv,v}、{ii,iii,iv}、{ii,iii,v}、{ii,iv,v}、{iii,iv,v}、{i,ii,iii,iv}、{i,ii,iii,v}、{i,ii,iv,v}、{i,iii,iv,v}、{ii,iii,iv,v}、又は{i,ii,iii,iv,v}などの(i)~(v)の任意の組み合わせが本発明に従って測定され得る。(i)~(v)の全てにおいて、標的ポリマーは、好ましくは、標的ポリヌクレオチドである。
【0036】
ステップ(a)は、試料を複合体のうちの1つ以上の成分が結合することができるビーズ(例えば、微粒子)と接触させることを更に含み得る。代替的に、(a)で使用される成分のうちの1つ以上、例えば、標的ポリマー、ガイドポリマー、又はポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、ビーズ(例えば、微粒子)に予備結合させることができる。ガイドポリマー及び/又はポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、それに付着したビーズに結合することができる結合部分を有し、ステップ(a)においてガイドポリマー若しくはポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、ビーズに結合しているか、又はステップ(a)は、試料をビーズと接触させることを更に含む。
【0037】
試料は、水性媒体中で提供されてもよく、又は代替的に試料は、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質及びガイドポリマーを含有する水性媒体に添加されてもよい。水性媒体は、典型的には、膜を横切る電位差の印加後に細孔を通してイオン流を提供するためにイオンを含むであろう。水性媒体はまた、典型的には緩衝液を含むであろう。水性媒体は、典型的には、6~9の範囲のpH及び/又はNaClなどの約100~約200mM塩の範囲のイオン濃度を有する。
【0038】
ビーズは、典型的には、水性媒体よりも密度が高く、媒体に浸透して膜と接触し、よって膜表面でアンカーに結合している種の濃度を効果的に高める。
【0039】
方法では、印加される電位は、電圧電位であり得る。代替的に、印加される電位は、化学的電位であり得る。この例は、両親媒性層にわたって塩勾配を使用している。塩勾配は、例えば、Holden et al.,J Am Chem Soc.2007 Jul 11:129(27):8650-5に開示されている。
【0040】
ガイドポリマー及び/又はエフェクタータンパク質は、標的ポリマーに架橋され得る。
【0041】
方法を使用して、標的分子の富化後の複合体バックグラウンド中に1つ以上、例えば、2、3、4、5、6、7 8、9、10、20、30個以上の標的ポリマーを検出することができる。一実施形態では、配列決定、例えば、ナノ細孔配列決定が検出に使用される。したがって、この実施形態では、標的DNA分子は、主にその配列によって同定され得る。
【0042】
方法は、マルチプレックスアッセイとして実施され得る。マルチプレックスアッセイは、異なるバーコードを利用し得る。例えば、異なるバーコードは、異なるアダプター上にあり得る。バーコードは、例えば、各々、バーコードを細孔によって同定することを可能にする別個のヌクレオチド配列を有し得る。一実施形態では、バーコード配列は、試料をガイドポリマー及びポリマー誘導型結合タンパク質と接触させる前に、試料中の全てのポリマーにライゲーションされ得る。第2のバーコードは、試料をガイドポリマー及びポリマー誘導型結合タンパク質と接触させる前に、第2の試料に添加することができる。第1及び第2の試料は、ガイドポリマー及びポリマー誘導型結合タンパク質の添加の前又は後、好ましくは、ガイドポリマー及びポリマー誘導型結合タンパク質が標的ポリマーに結合した後に組み合わせることができる。試料のプール化が、ガイドポリマー及びポリマー誘導型結合タンパク質が標的ポリマーに結合した後に起こる場合、精製ステップ(ストレス、非標的結合タンパク質の除去、及び/又は非標的ポリマーの除去を含む)は、プール化の前又は後に実施され得る。複数の試料、例えば、2、3、4、5、6、7 8、9、10、20、30個の試料は、バーコードで標識され、次いで、この方法で組み合わせることができる。この実施形態では、全ての試料は、例えば、同じフローセルを使用して、同時に配列決定し、それらのバーコードアダプターを使用して同定することができる。
【0043】
別の実施形態では、バーコード及び配列決定アダプターは、ガイドポリマー及びポリマー誘導型結合タンパク質が標的ポリマーに結合した後に添加され得る。例えば、バーコード及び配列決定アダプターは、ビーズ上でライゲーションされ得る。標的装填バーコード付き適合ビーズは、ガイドポリマー及びポリマー誘導型結合タンパク質が標的ポリマーに結合した後、及び任意選択的に1つ以上の精製ステップ(ストレス、非標的結合タンパク質の除去、及び/又は非標的ポリマーの除去など)が実施された後に、試料に添加され得る。
【0044】
方法は、標的ポリマーに特異的に結合していない、任意のポリマー誘導型エフェクタータンパク質及び/又はガイドポリマー、例えば、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体を除去することを含み得る。試料に存在する、標的ポリマーに結合していない、過剰なポリマー誘導型エフェクタータンパク質及び/又はガイドポリマー、例えば、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体は、標的ポリマー/ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体の細孔との相互作用をモニターするときにバックグラウンドを生成することができる。標的ポリマーに特異的に結合していないガイドポリマー、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質、及び/又はポリマー誘導型エフェクタータンパク質/ガイドポリマー複合体は、試料中のポリマーを表面、例えば、ビーズ又はカラムに結合することによって、ガイドポリマー、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質、及び標的ポリマーを含む複合体から分離され得る。標的ポリマーはまた、試料中のガイドポリマー、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質、及び/又はポリマー誘導型エフェクタータンパク質/ガイドポリマー複合体を表面、例えば、ビーズ又はカラムに結合することによって、試料中の非標的ポリマーから分離され得る。標的ポリマー(複数可)は、例えば、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体上の捕捉部分を介する「プルダウン」によってバックグラウンドから分離され得る。
【0045】
方法は、ステップ(b)の前に標的ポリマーに特異的に結合していない任意のポリマー誘導型エフェクタータンパク質を選択的に変性することを含み得る。ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体結合の「オフターゲット」効果は、結合ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体に熱及び/又は化学ストレスを加えることによって低減され得る。典型的には、この実施形態では、非標的結合ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、加えられた熱ストレス又は化学ストレスによって選択的に変性される。適用された熱又は化学処理は、遊離ポリマー誘導型エフェクタータンパク質(すなわち、試料中のポリマーに結合していないが、ガイドポリマーに結合していてもよいポリマー誘導型エフェクタータンパク質)及び非標的結合ポリマー誘導型エフェクタータンパク質(すなわち、試料中のポリマーに非特異的に結合しているポリマー誘導型エフェクタータンパク質、又は「オフターゲット」ポリマー誘導型エフェクタータンパク質)のみが変性されるように選択することができる。標的結合ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、熱ストレス又は化学ストレス中に標的ポリマーに結合したままである。任意のオフターゲットポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、試料中のポリマーへのその非特異的結合から放出される。一実施形態では、ガイドポリマー中の対応する配列に正確に相補的である標的配列に結合しているポリマー誘導型エフェクタータンパク質のみは、ストレス中にポリマーに結合したままである。
【0046】
尿素(例えば、最大6M、5M、又は4M)、塩酸グアニジニウム、極端なpH(酸性又はアルカリ性、例えば、pH6、pH5、若しくはpH4未満、又はpH8、pH9、若しくはpH10超)、又は高塩濃度などの任意の好適な化学ストレスを使用することができる。好適な条件は、当業者によって容易に決定され得る。
【0047】
化学ストレスは、標的ポリマーへのポリマー誘導型エフェクタータンパク質の特異的結合を破壊することなく、ポリマーへのポリマー誘導型エフェクタータンパク質の非特異的結合の選択的破壊をもたらす任意の期間にわたって実施され得る。化学ストレスは、約30秒~約10分間、例えば約1分、約2分、約3分、約5分、約6分、約7分、約8分、又は約9分間実施されてもよい。
【0048】
熱ストレスは、任意の好適な温度で実施することができる。典型的には、温度は、ポリマーへのポリマー誘導型エフェクタータンパク質の非特異的結合を破壊するのに十分高いが、標的ポリマーへのポリマー誘導型エフェクタータンパク質の特異的結合が破壊されないように十分に低い。例えば、試料は、約40℃~約65℃、例えば、約45℃~約65℃、約50℃~約60℃、又は約55℃の温度に加熱することができる。
【0049】
熱ストレスは、標的ポリマーへのポリマー誘導型エフェクタータンパク質の特異的結合を破壊することなく、ポリマーへのポリマー誘導型エフェクタータンパク質の非特異的結合の選択的破壊をもたらす任意の期間にわたって実施され得る。熱ストレスは、約30秒~約10分間、例えば約1分、約2分、約3分、約5分、約6分、約7分、約8分、又は約9分間実施されてもよい。
【0050】
過剰の未結合ポリマー誘導型エフェクタータンパク質及び/又はガイドポリマーを除去するために、精製ステップが使用され得る。これは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)及び塩化ナトリウムを試料に添加し、試料に存在するポリマーがビーズに結合するように試料をカルボキシル基でコーティングされた常磁性ビーズと接触させることによって達成され得る。好適なビーズは市販のSPRIビーズを含み、当該技術分野で既知の標準的なプロトコルが使用され得る。一実施形態では、標的ポリマー/ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体は、その後、表面、例えば、異なる捕捉ビーズを使用して、非標的ポリマーから分離され得る。典型的には、ここで、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、標的ポリマー/ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体を表面に特異的に結合するために使用される結合部分を含有し得る。任意の非結合ポリマーは、洗い流され得る。標的ポリマー/ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体は、任意の好適な手段によって表面から溶出させることができ、又は表面は、例えば、表面がビーズである場合、複合体を細孔に送達するために使用することができる。
【0051】
「オフターゲット」効果は、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質上、例えば、ガイドポリマー上の第1の結合部分を使用する、捕捉表面上の標的ポリマー/ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体の精製、標的ポリマー/ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体を溶出すること、及びガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質上、例えば、ガイドポリマー上の第2の結合部分を使用して標的ポリマー/ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体を第2の特異的捕捉表面に移すことによって更に最小化され得る。これは、例えば、第1の結合部分及び第2の結合部分の両方が末端伸長部、又はガイドポリマー上のオリゴヌクレオチドに結合することができる他の一本鎖ポリマー配列である場合に達成され得る。ガイドポリマー上の第1の末端伸長部は、第1の捕捉表面、例えば、ビーズ上の第1の捕捉オリゴヌクレオチドに相補的な配列を有し、ガイドポリマー上の第2の末端伸長部は、第2の捕捉表面、例えば、ビーズ上の第2の捕捉オリゴヌクレオチドに相補的な配列を有する。これを構成する1つの方法は、ビーズ、カラム、又は表面上の標的ポリマーの捕捉に使用される3’DNA伸長部を含むcrRNAであり、tracrRNAは、5‘DNA伸長部を含む。第1の捕捉表面、例えば、ビーズからの標的の放出は、トーホールド変位として知られる現象によってもたらされ得る。
【0052】
標的ポリマー/ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体は、まず、第1の末端伸長部に相補的な第1の捕捉オリゴヌクレオチドを担持するビーズ上での捕捉によって非標的ポリマーから分離される。非標的ポリマーは、洗い流される。標的ポリマー/ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体は、ガイドポリマー上の第1の末端伸長部とビーズへの結合について競合する競合オリゴヌクレオチドの添加を介する、トーホールド変位によってビーズから溶出され得る。この実施形態では、第1の捕捉オリゴヌクレオチドは、第1の末端伸長部より長く、第1の配列及び第2の配列を含み、第1の配列は、第1の末端伸長部中の配列と相補的であり、第1及び第2の配列は、ともに競合オリゴヌクレオチドの配列と相補的である。典型的には、第1の配列は、約5~約40、例えば、約10~約30又は約15~約25ヌクレオチド、例えば、約20ヌクレオチドの長さを有し、第2の配列は、約5~約40、例えば、約10~約30又は約15~約25ヌクレオチド、例えば、約20ヌクレオチドの長さを有する。競合オリゴヌクレオチドは、約10~約80、例えば、約20~約60、又は約30~約50ヌクレオチド、例えば、約40ヌクレオチドの長さを有し得る。第1の捕捉オリゴヌクレオチドは、約10~約80、例えば、約20~約60又は約30~約50ヌクレオチド、例えば、40ヌクレオチドの長さを有し得る。捕捉オリゴヌクレオチドは競合オリゴヌクレオチドと同じ長さを有してもよく、又は捕捉オリゴヌクレオチド及び競合オリゴヌクレオチドが第1及び第2の配列の両方にわたって相補的である配列を有するという条件で、捕捉オリゴヌクレオチドは競合オリゴヌクレオチドより長くても短くてもよい。この実施形態では、第1の末端伸長部は、5’末端伸長部の5’末端又は3’末端伸長部の3’末端にある、第1の捕捉オリゴヌクレオチド中の配列と相補的でない配列を有する、末端部分と、第1の捕捉オリゴヌクレオチド中の第1の配列と相補的である配列を有する部分とを含む。第1の末端伸長部の末端部分は、典型的には、約2~約10ヌクレオチド、例えば、約3、4、5、又は6ヌクレオチドの長さを有し得る。第1の捕捉オリゴヌクレオチドに相補的である第1の末端伸長部の部分は、典型的には、約5~約40、例えば、約10~約30又は約15~約25ヌクレオチド、例えば、約20ヌクレオチドの長さを有し得る。
【0053】
標的ポリマー/ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体の溶出後、複合体は、ガイドポリマー上の第2の末端伸長部を介して第2の「送達」ビーズに結合させる。第2の「送達」ビーズは、第2の末端伸長部に相補的な第2の捕捉オリゴヌクレオチドを含む。第2の捕捉オリゴヌクレオチドは、約5~約40、例えば、約10~約30若しくは約15~約25ヌクレオチド、例えば、約20ヌクレオチドの長さ、又は約10~約80、例えば、約20~約60若しくは約30~約50ヌクレオチド、例えば、約40ヌクレオチドの長さを有し得る。第2の末端伸長部は、約5~約40、例えば、約10~約30、又は約15~約25ヌクレオチド、例えば、約20ヌクレオチドの長さを有し得る。第2の捕捉オリゴヌクレオチドは、第2の末端伸長部と同じ長さを有し得るか、又は第2の捕捉オリゴヌクレオチド及び第2の末端伸長部が約5~約40、例えば、約10~約30若しくは約15~約25ヌクレオチド、例えば、約20ヌクレオチドの長さにわたって相補的である配列を有するという条件で、第2の捕捉オリゴヌクレオチドは、末端伸長部より長くても短くてもよい。第2の末端伸長部は、第1の捕捉ヌクレオチド、第1の末端伸長部、又は競合オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする配列を有する。第2の捕捉オリゴヌクレオチドはまた、第1の捕捉ヌクレオチド、第1の末端伸長部、又は競合オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする配列を有する。
【0054】
したがって、ガイドポリマーが第1の末端伸長部及び第2の末端伸長部を含む場合、方法は、ステップ(b)の前に、
(i)試料を、それに結合している第1の末端伸長部に相補的な配列を含む第1の捕捉オリゴヌクレオチドを有する表面と、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリマー複合体が表面に結合するように接触させることと、
(ii)表面に結合しているガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリマー複合体を競合オリゴヌクレオチドと、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリマー複合体が表面から放出されるように接触させることと、
(iii)ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリマー複合体をそれに結合している第2の末端伸長部に相補的な配列を含む第2の捕捉オリゴヌクレオチドを有するビーズと、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質/標的ポリマー複合体がビーズに結合するように接触させることと、任意選択的に
(iv)ビーズを細孔に送達することと、を含み得る。
【0055】
方法は、好ましくは、膜及び/又はビーズに結合していないガイドポリマー、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質、及び/又はポリヌクレオチドを洗い流すステップを更に含む。
【0056】
本発明の異なる実施形態では、以下があり得る:(i)熱若しくは化学ストレス、過剰な未結合及び/若しくは非標的結合ポリマー誘導型エフェクタータンパク質を除去するための精製、又はトーホールド精製なし、(ii)熱又は化学ストレスのみ、(iii)過剰な未結合及び/又は非標的結合ポリマー誘導型エフェクタータンパク質を除去するための精製のみ、(iv)トーホールド精製のみ、(v)熱又は化学ストレス並びに過剰な未結合及び/又は非標的結合ポリマー誘導型エフェクタータンパク質を除去するための精製、(vi)熱又は化学ストレス及びトーホールド精製、(vii)過剰な未結合及び/又は非標的結合ポリマー誘導型エフェクタータンパク質を除去するための精製並びにトーホールド精製、あるいは(viii)熱又は化学ストレス、過剰な未結合及び/又は非標的結合ポリマー誘導型エフェクタータンパク質を除去するための精製、並びにトーホールド精製。
【0057】
標的ポリマー/ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体が結合しているビーズは、複合体を細孔に送達するために使用され得る。例えば、ビーズは、磁性であり得、ビーズに結合している標的ポリマーは、フローセルの下に配置された磁界の印加によって細孔を含むフローセルのウェル中に引き込まれ得るか、又は重力によって沈降させることができる。配列決定は、テザー、例えばビーズを膜にテザリングする、ビーズ上のアダプター末端にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド-コレステロールテザーを流すことによって開始することができる。代替的に、テザーは、ビーズ-標的ポリマーコンジュゲートが添加される前に膜に導入することができる。例えば、アダプター末端にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド-コレステロールテザーは、ビーズ-標的ポリマー(複数可)が添加される前に、泳動用緩衝液及びテザーを、フローセルを通して流すことによってフローセル中の膜に組み込まれ得る。この状況では、ビーズ-標的ポリマー(複数可)がフローセルに添加される場合、それらはコレステロールによって膜内にアンカリングされるオリゴヌクレオチドに遭遇するときに膜にテザリングされるようになる。
【0058】
いくつかの実施形態では、標的ポリマーは、ナノ細孔配列決定に適合され得る。例えば、試料中のポリマーの全てが、方法のステップ(a)の前に一方又は両方の末端に添加された配列決定アダプターを有し得る。試料中のポリマーは、配列決定アダプターの添加の前に断片化され得る。代替的に、標的ポリマーは、ステップ(a)後に一方又は両方の末端に添加された配列決定アダプターを有し得る。ステップ(a)後に、試料中のポリマーは、好ましくは断片化され、かつ/又はガイドポリマー及び/若しくはポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは標的ポリマーに架橋される。この実施形態では、配列決定アダプターは、非標的ポリマーからの標的の分離前又は後に添加され得る。配列決定アダプターは、典型的には、ポリマーに沿って移動することができるポリマー結合タンパク質を含む。配列決定アダプターがステップ(a)後に添加されるとき、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質/ガイドポリマー複合体は、標的ポリマーに結合したままである。アダプターの結合後、いくつかの実施形態では、概して、標的ポリマーがアダプター添加の前に非標的ポリマーから分離された場合、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質/ガイドポリマー複合体は、アダプターに装填されたポリマーに沿って移動することができるポリマー結合タンパク質によって変位され得る。ポリマーに沿って移動することができるポリマー結合タンパク質によるポリマー誘導型エフェクタータンパク質/ガイドポリマー複合体の変位は、ポリマー結合タンパク質がポリマーに沿って移動するのに必要な1つ以上の補因子の添加によって制御することができる。
【0059】
標的ポリマーは、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質を介して、表面、例えば、カラム又はビーズに結合しながら、その自由末端のいずれか又は両方へのアダプターのライゲーションによって、ナノ細孔配列決定に適合され得る。末端は、アダプター結合を容易にするためにdAテール化され得る。
【0060】
標的ポリマー
標的ポリマーは、任意のポリマーであり得る。好適なポリマーとしては、オリゴヌクレオチド、RNA又はDNAなどのポリヌクレオチド、タンパク質、ポリペプチド、オリゴ糖、多糖、又はそれらの存在若しくは特徴に関する情報が価値を有する他のポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
標的ポリマーは、好ましくは、標的ポリヌクレオチドである。ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)などの核酸であり得る。ポリヌクレオチドは、DNAの1本の鎖にハイブリダイズされたRNAの1本の鎖を含み得る。ポリヌクレオチドは、当該技術分野で既知の任意の合成核酸、例えば、ペプチド核酸(PNA)、グリセロール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、ロックド核酸(LNA)、又はヌクレオチド側鎖を有する他の合成ポリマーであり得る。PNA骨格は、ペプチド結合によって連結された繰り返しN-(2-アミノエチル)-グリシン単位で構成される。GNA骨格は、ホスホジエステル結合によって連結された繰り返しグリコール単位で構成される。TNA骨格は、ホスホジエステル結合によって一緒に連結された繰り返しトレオース糖で構成される。LNAは、リボース部分の2’酸素と4’炭素とを接続する過剰な架橋を有する、上述のリボヌクレオチドから形成される。
【0062】
ポリヌクレオチドは、好ましくは、DNA、RNA、又はDNA若しくはRNAハイブリッド、最も好ましくは、DNAである。標的ポリヌクレオチドは、ガイドポリヌクレオチド及びポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質が結合する二本鎖領域を含む。標的ポリペプチドは、二本鎖であり得る。標的ポリペプチドは、一本鎖領域並びに他の構造、例えばヘアピンループ、三重螺旋、及び/又は四重螺旋を有する領域を含み得る。DNA/RNAハイブリッドは、同じ鎖上にDNAとRNAとを含み得る。好ましくは、DNA/RNAハイブリッドは、RNA鎖にハイブリダイズした1つのDNA鎖を含む。
【0063】
標的ポリヌクレオチドは、任意の長さであり得る。例えば、ポリヌクレオチドは、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、又は少なくとも500ヌクレオチド長若しくはヌクレオチド対長であり得る。標的ポリヌクレオチドは、1000個以上のヌクレオチド若しくはヌクレオチド対、5000個以上のヌクレオチド若しくはヌクレオチド対の長さ、又は100000個以上のヌクレオチド若しくはヌクレオチド対の長さであり得る。標的ポリヌクレオチドはオリゴヌクレオチドであってもよい。オリゴヌクレオチドは、典型的には、40以下、30以下、20以下、10以下、又は5以下のヌクレオチドなどの、50以下のヌクレオチドを有する短いヌクレオチドポリマーである。標的オリゴヌクレオチドは、好ましくは、約20~約25ヌクレオチド長などの、約15~約30ヌクレオチド長である。例えば、オリゴヌクレオチドは、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、又は約30ヌクレオチド長であり得る。
【0064】
標的ポリマーは、疾患及び/又は微生物に関連付けられるポリマーであり得る。
【0065】
方法は、約2~50個、3~40個、4~30個、5~25個、6~15個、又は8~10個などの複数の標的ポリマーを検出し得る。標的ポリマーは、ポリマーの群であり得る。例えば、群は、特定の表現型に関連付けられ得る。群は、特定の種類の細胞に関連付けられ得る。例えば、群は、細菌細胞を示し得る。群は、ウイルス、真菌、細菌、マイコバクテリウム、又は寄生生物を示し得る。
【0066】
標的ポリマーは、特定の疾患又は状態に関連付けられるバイオマーカーであるか又はそれを含む、2つ以上のポリマーの群であり得る。バイオマーカーは、疾患又は状態を診断又は予後診断するために使用することができる。バイオマーカーの好適なパネルは、当該技術分野で既知であり、例えば、Edwards,A.V.G.et al.(2008)Mol.Cell.Proteomics 7,p1824-1837、Jacquet,S.et al.(2009),Mol.Cell.Proteomics 8,p2687-2699、Anderson N.L.et al(2010)Clin.Chem.56,177-185に記載されている。疾患又は状態は、好ましくは、がん、冠状動脈性心疾患及び心血管疾患を含む心疾患、又は結核若しくは敗血症などの感染性疾患である。
【0067】
標的オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、好ましくは、マイクロRNA(又はmiRNA)又は低分子干渉RNA(siRNA)である。2つ以上の標的ポリヌクレオチドの群は、2つ以上のmiRNAの群であり得る。本発明での使用に好適なmiRNAは、当該技術分野で周知である。例えば、好適なmiRNAは、公開されているデータベースに保存される(Jiang Q.,Wang Y.,Hao Y.,Juan L.,Teng M.,Zhang X.,Li M.,Wang G.,Liu Y.,(2009)miR2Disease:a manually curated database for microRNA deregulation in human disease.Nucleic Acids Res.)。
【0068】
標的ポリマーは、好ましくは、リーダー配列を含む。かかる配列は、WO2018/060740に論じられている。
【0069】
ポリマー誘導型エフェクタータンパク質
ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、ガイドポリマーを介して標的ポリマーに結合する任意のタンパク質であり得る。ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、非限定的な例として、アプタマーなどのガイドオリゴヌクレオチド、又は標的ポリマーの一部に結合する抗体などのガイドポリペプチドに結合するか、又はそれらに付着され得る。
【0070】
ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質である。この実施形態では、ガイドポリマーは、好ましくは、ガイドポリヌクレオチドである。ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、ガイドポリヌクレオチドに結合するか、又はそれに付着し、ガイドポリヌクレオチドが結合する標的ポリマー、好ましくは標的ポリヌクレオチドに結合する任意のタンパク質であり得る。ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、標的ポリヌクレオチド認識ドメイン及び少なくとも1つのヌクレアーゼドメインを含む。認識ドメインは、ガイドポリヌクレオチド(例えば、RNA)及び標的ポリヌクレオチド(例えば、DNA)を結合する。ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、二本鎖ポリヌクレオチドの一方若しくは両方の鎖を切断する1つのヌクレアーゼドメインを含有し得るか、又は第1のヌクレアーゼドメインが標的ポリヌクレオチドの一方の鎖の開裂のために配置され、第2のヌクレアーゼドメインが標的ポリヌクレオチドの相補鎖の開裂のために配置される、2つのヌクレアーゼドメインを含有し得る。ヌクレアーゼドメインは、活性又は不活性であり得る。例えば、ヌクレアーゼドメイン、又は2つのヌクレアーゼドメインの一方若しくは両方は、突然変異によって不活性化され得る。
【0071】
ガイドポリヌクレオチドは、ガイドRNA、ガイドDNA、又はDNA及びRNAの両方を含むガイドであり得る。ガイドポリヌクレオチドは、好ましくは、ガイドRNAである。したがって、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、RNA誘導型エフェクタータンパク質である。
【0072】
RNA誘導型エフェクタータンパク質は、ガイドRNAに結合するか、又はそれに付着する任意のタンパク質であり得る。RNA誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、標的ポリヌクレオチドに結合するガイドRNAの領域ではないガイドRNAの領域に結合する。例えば、ガイドRNAがcrRNA及びtracrRNAを含む場合、RNA誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、tracrRNAに結合し、crRNAは、典型的には、標的ポリヌクレオチドなどの標的ポリマーに結合する。RNA誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、標的ポリヌクレオチドにも結合する。標的ポリヌクレオチドに結合するガイドRNAの領域は、RNA誘導型エフェクタータンパク質にも結合し得る。RNA誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、標的ポリヌクレオチドの二本鎖領域に結合する。RNA誘導型エフェクタータンパク質が結合する標的ポリヌクレオチドの領域は、典型的には、ガイドRNAがハイブリダイズする配列の近くに位置する。ガイドRNA及びRNA誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、複合体を形成し、この複合体は、次いでガイドRNAの配列によって決定される部位で標的ポリヌクレオチドに結合する。
【0073】
RNA誘導型エフェクタータンパク質は、ガイドRNAが結合する配列の上流又は下流に結合し得る。例えば、RNA誘導型エフェクタータンパク質は、ガイドRNAが結合する配列の隣に位置するDNA中のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)に結合し得る。PAMは、5’-NGG-3’(式中、Nは任意の塩基である)、5’-NGA-3’、5’-YG-3’(式中、Yはピリミジンである)、5’TTN-3’、又は5’-YTN-3’などの、短い(10未満、典型的には2~6塩基対)配列である。異なるRNA誘導型エフェクタータンパク質は、異なるPAMに結合する。RNA誘導型エフェクタータンパク質は、特に、標的がRNA又はDNA/RNAハイブリッドである場合、PAMを含まない標的ポリヌクレオチドに結合し得る。
【0074】
RNA誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、RNA誘導型エンドヌクレアーゼなどのヌクレアーゼである。RNA誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、Casタンパク質である。RNA誘導型エフェクタータンパク質は、Cas、Csn2、Cpf1、Csf1、Cmr5、Csm2、Csy1、Cse1、又はC2c2であり得る。Casタンパク質は、Cas3、Cas4、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、又はCas10dであり得る。好ましくは、Casタンパク質は、Cas9である。Cas、Csn2、Cpf1、Csf1、Cmr5、Csm2、Csy1、又はCse1は、好ましくは、標的ポリヌクレオチドが二本鎖DNA領域を含む場合に使用される。C2c2は、好ましくは、標的ポリヌクレオチドが二本鎖RNA領域を含む場合に使用される。
【0075】
RecAファミリー由来のタンパク質などのDNA誘導型エフェクタータンパク質は、DNAを標的化するために使用され得る。使用され得るRecAファミリーからのタンパク質の例は、RecA、RadA、及びRad51である。RNA誘導型エンドヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性は、無効化され得る。RNA誘導型エンドヌクレアーゼの1つ以上の触媒ヌクレアーゼ部位は、不活性化され得る。例えば、RNA誘導型エンドヌクレアーゼが2つの触媒ヌクレアーゼ部位を含む場合、触媒部位の一方又は両方は、不活性化され得る。典型的には、触媒部位のうちの一方は、それが特異的に結合するポリヌクレオチドのうちの一方の鎖を切断し、他方の触媒部位は、ポリヌクレオチドの反対の鎖を切断するであろう。したがって、RNA誘導型エンドヌクレアーゼは、標的ポリヌクレオチドの二本鎖領域の両方の鎖、一方の鎖を切断するか、又はどちらの鎖も切断しない場合がある。
【0076】
ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、Cas9である。Cas9は、標的認識及びヌクレアーゼローブを含む2ローブマルチドメインタンパク質構造を有する。認識ローブは、ガイドRNA及びDNAを結合する。ヌクレアーゼローブは、標的DNAの相補鎖及び非相補鎖の開裂のために配置されるHNH及びRuvCヌクレアーゼドメインを含有する。Cas9の構造は、Nishimasu,H.,et al.,(2014)Crystal Structure of Cas9 in Complex with Guide RNA and Target DNA.Cell 156,935-949に詳述されている。Cas9の関連PDB参照は、5F9R(標的DNA開裂のためにプライミングされた単一誘導型RNA及び二本鎖DNAと複合した触媒活性Streptococcus pyogenes CRISPR-Cas9の結晶構造)である。
【0077】
Cas9は、野生型Cas9と比較して低減したオフターゲット結合を示す「特異性強化型」Cas9であり得る。かかる「特異性強化型」Cas9の例は、S.pyogenes Cas9 D10A/H840A/K848A/K1003A/R1060Aである。ONLP12296は、TEV開裂可能なリンカーとともにC末端Twin-Strepタグを有するS.pyogenes Cas9 D10A/H840A/K848A/K1003A/R1060Aのアミノ酸配列である。
【0078】
RNA誘導型エンドヌクレアーゼの触媒部位は、突然変異によって不活性化され得る。突然変異は、置換、挿入、又は欠失突然変異であり得る。例えば、1つ以上、例えば2、3、4、5、又は6つのアミノ酸が、置換又は触媒部位に挿入又は触媒部位から欠失され得る。突然変異は、触媒部位での単一のアミノ酸の場合、好ましくは置換挿入であり、より好ましくは置換である。当業者であれば、RNA誘導型エンドヌクレアーゼの触媒部位及びそれらを不活性化する突然変異を容易に同定することができるであろう。例えば、RNA誘導型エンドヌクレアーゼがCas9である場合、一方の触媒部位はD10での変異によって、他方はH640での変異によって不活性化され得る。
【0079】
標的ポリヌクレオチドを切断しない不活性化(「死んだ」)ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、したがって方向性バイアスを示さない。標的ポリヌクレオチドを切断する活性(「生きた」)ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質は、切断部位の2つの末端のうちの一方のみに結合したままであり得、したがっていくらかの方向性バイアスを示し得る。
【0080】
ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、長期間にわたって標的ポリマーに結合したままである。ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、少なくとも約1~少なくとも約10、例えば、約2~約8時間又は約4~約6時間にわたって標的ポリマーに結合したままである。
【0081】
ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、典型的には、存在する場合に標的ポリマーに結合したままであり、複合体の一部として細孔を通って転位する。タンパク質の転位は、本発明に従って測定され、情報を提供する電気的又は電流効果を生み出す。これは、以下でより詳細に論じられる。
【0082】
ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、本発明の方法における使用のために特異的に修飾され得る。タンパク質は、コレステロールなどの膜に結合することができるアンカーを含み得る。ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、それに付着した表面に結合することができる結合部分を有する。表面は、好ましくは、ビーズの表面である。
【0083】
ガイドポリマー
ガイドポリマーは、標的ポリマーに結合し、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質の標的ポリマーへの結合を媒介することができる。ガイドポリマーは、それが標的ポリマーに結合することを可能にする任意の構造を有し得る。それは、標的ポリマーを参照して上述のポリマーのうちのいずれかであり得る。ガイドポリマーは、好ましくは、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、オリゴ糖、又は多糖である。ガイドポリペプチド又はタンパク質は、好ましくは、ジンクフィンガー結合タンパク質、転写活性化因子様エフェクター(TALE)、転写因子、制限酵素、DNA結合タンパク質若しくは酵素、抗体、又は抗体断片である。好適な抗体断片は当該技術分野で既知であり、Fab、Fab’、(Fab’)2、FV、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Bis-scFv、ミニボディ、Fab2、及びFab3が挙げられるが、これらに限定されない。ガイドオリゴヌクレオチドは、好ましくは、アプタマーである。
【0084】
ガイドポリマーは、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に結合し得る。この文脈では、ガイドポリマーは、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に結合し得るか、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質によって結合され得るか、又はその両方であり得る。ガイドポリマーは、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に付着し得る。例えば、ストレプトアビジン/ビオチンを使用して、ガイドポリマーをポリマー誘導型エフェクタータンパク質に付着させるための好適な方法は、当該技術分野で既知である。ポリマー誘導型エフェクターは、好ましくは、ガイドポリマーに共有結合される。例えば、クリック化学を使用する共有結合は、WO2018/060740に論じられている。
【0085】
ガイドポリマーは、好ましくは、ガイドポリヌクレオチドである。この場合では、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質である。ガイドポリヌクレオチドは、好ましくは、標的ポリマーに結合することができるか、又は標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができる配列を含む。ガイドポリヌクレオチドは、好ましくは、標的ポリマー中の配列に結合するヌクレオチド配列、及びポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質に結合するヌクレオチド配列を含む。ガイドポリヌクレオチドは、好ましくは、標的ポリヌクレオチド中の配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列、及びポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質に結合するヌクレオチド配列を含む。ガイドポリヌクレオチドは、それが標的ポリマーに結合/ハイブリダイズし、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質に結合することを可能にする任意の構造を有し得る。
【0086】
標的ポリマーがポリヌクレオチドである場合、ガイドポリヌクレオチドは、典型的には、標的ポリヌクレオチド中の約20ヌクレオチドの配列にハイブリダイズする。ガイドポリヌクレオチドが結合する配列は、約10~約40、例えば、約15~約30、好ましくは約18~約25、例えば、約19、20、21、22、23、又は24ヌクレオチドであり得る。ガイドポリヌクレオチドは、典型的には、標的ポリヌクレオチドの二本鎖領域の一本鎖に相補的である。ガイドポリヌクレオチドは、好ましくは、標的ポリヌクレオチドの配列、又は標的ポリヌクレオチド中の配列に相補的である、約10~約40、例えば、約15~約30、好ましくは約18~約25、例えば、約19、20、21、22、23、又は24ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。相補性の程度は、好ましくは、正確である。
【0087】
ガイドポリヌクレオチドは、好ましくは、ガイドRNAである。ガイドRNAは、PAMに対して5’である標的ポリヌクレオチド中の領域に相補的であり得る。これは、標的ポリヌクレオチドがDNAを含む場合、特にRNAエフェクタータンパク質がCas9又はCpf1である場合に好ましい。ガイドRNAは、グアニンに隣接する標的ポリヌクレオチド中の領域に相補的であり得る。これは、標的ポリヌクレオチドがRNAを含む場合、特にRNAエフェクタータンパク質がC2c2である場合に好ましい。
【0088】
ガイドRNAは、それが標的ポリヌクレオチド及びRNA誘導型エフェクタータンパク質に結合することを可能にする任意の構造を有し得る。ガイドRNAは、標的ポリヌクレオチドの配列に結合するcrRNA及びtracrRNAを含み得る。tracrRNAは、典型的には、RNA誘導型エフェクタータンパク質に結合する。ガイドRNAの典型的な構造は、当該技術分野で既知である。例えば、crRNAは、典型的には、一本鎖RNAであり、tracrRNAは、典型的には、一本鎖がcrRNAの3’末端に結合している二本鎖領域及びcrRNAに結合していない鎖の3’末端にヘアピンループを形成する一部を有する。crRNA及びtracrRNAは、単一片sgRNAとしてインビトロで転写され得る。ガイドRNAは、好ましくは、sgRNAである
【0089】
ガイドRNAは、追加のRNA塩基若しくはDNA塩基又は他の核酸塩基などの他の成分を含み得る。ガイドRNA中のRNA及びDNA塩基は、天然塩基又は修飾塩基であり得る。ガイドRNAの代わりにガイドDNAが使用され、RNA誘導型エフェクタータンパク質の代わりにDNA誘導型エフェクタータンパク質が使用され得る。標的ポリヌクレオチドがRNAである場合、ガイドDNA及びDNA誘導型エフェクタータンパク質の使用が好ましいことがある。
【0090】
ガイドポリマーは、本発明の方法における使用のために特異的に修飾され得る。方法は、(i)任意選択的に、バーコード及び/若しくはリーダー配列を含む、アダプター配列、並びに/又は(ii)膜に結合することができるアンカーを含む、ガイドポリマー、特にガイドRNAを使用し得る。アンカーは、好ましくは、コレステロールである。アンカーは、好ましくは、ガイドポリマー上の伸長部にハイブリダイズされたポリヌクレオチドを介して、ガイドポリヌクレオチドなどのガイドポリマーに付着している。標的ポリマーは、好ましくは、それに付着した膜に結合することができるアンカーを有し、ガイドポリマーは、好ましくは、それに付着したアダプター及び/又はリーダー配列を有する。
【0091】
ガイドポリマーは、好ましくは、それに付着した表面に結合することができる結合部分を有する。表面はビーズの表面である。結合部分は、好ましくは、ガイドポリヌクレオチド上の末端伸長部である。ガイドポリマーは、好ましくは、任意選択的にガイドポリヌクレオチド上の末端伸長部である、2つの結合部分を含む。
【0092】
ガイドポリマーは、(i)アダプター、及び/又は(ii)膜に結合することができるアンカーが付着されている、本明細書で論じられるガイドポリマーのいずれかであり得る。
【0093】
(i)アンカー又は(ii)アダプターは、例えば、tracrRNAの5’末端、tracrRNAの3’末端、crRNAの3’末端、又は内部に存在し得、tracrRNA及びcrRNAはsgRNAに含まれる。(i)アンカー又は(ii)アダプターは、例えば、化学基又はスペーサーを介して、crRNAの5’末端に添加され得る。(i)アンカー又は(ii)アダプターは、化学基又はスペーサーを介してガイドポリマーに添加され得る。(i)アンカー又は(ii)アダプターは、化学基、例えば、チオール、クリック基、ビオチンなどを介するか、又はDNA、RNA、PNA、BNA、LNA、TNAスペーサーを介する、任意の好適な手段、例えば、ライゲーションによって、ガイドポリマーの5’又は3’末端、例えば、tracrRNAの5’若しくは3’末端、又はcrRNAの5’若しくは3’末端に付着され得る。スペーサーがポリヌクレオチドである場合、スペーサーは、約1~約30、例えば、約2~約20、約3~約15、約4~約10、例えば、約5、6、7 8、又は9ヌクレオチドの長さを有し得る。
【0094】
アンカーは、ガイドポリマー中の末端伸長部又は内部ループ配列に相補的であるオリゴヌクレオチド(アンカーオリゴヌクレオチド)に付着され得る。tracrRNAの5’末端、tracrRNAの3’末端、crRNAの3’末端、又はcrRNAの5’末端は、例えば、約5~約40、例えば、約10~約30又は約15~約25ヌクレオチド、例えば、約20ヌクレオチドの長さを有する末端伸長部を有し得る。アンカーオリゴヌクレオチドは、末端伸長部と同じ長さを有してもよく、又はアンカーオリゴヌクレオチド及び末端伸長部が約5~約40、例えば、約10~約30又は約15~約25ヌクレオチド、例えば、約20ヌクレオチドの長さにわたって相補的である配列を有するという条件で、アンカーオリゴヌクレオチドは、末端伸長部より長くても短くてもよい。アンカーオリゴヌクレオチドは、例えば、約5~約40、例えば、約10~約30又は約15~約25ヌクレオチド、例えば、約20ヌクレオチドの長さを有し得る。内部ループ配列は、上で特定された長さのいずれかを有し得る。
【0095】
ガイドポリマーは、合成的に修飾され得る。crRNA及びtracrRNAの5’及び3’末端の両方を修飾することができる。参照により本明細書に組み込まれる、Lee et al.,(2017)Synthetically modified guide RNA and donor DNA are a versatile platform for CRISPR-Cas9 engineering.eLIFE;6:e25312を参照されたい。合成修飾は、DNA、RNA、PNA、LNA、BNA、DNAスペーサー、RNAスペーサー、及び脱塩基スペーサー、例えばSp18を含む、ガイドRNA(又はガイドDNA)への修飾又は人工塩基の組み込みを含み得る。代替的に、修飾は、平面疎水性分子、化学タグ、蛍光分子、アプタマー配列、アミン、アジド、アルキン、チオール、クリック基、ビオチンなどのヌクレオチド塩基と構造的に無関係である化学部分での修飾を含み得る。
【0096】
ガイドポリマーがガイドポリヌクレオチドである場合、ガイドポリヌクレオチドは、それに付着したポリヌクレオチドに沿って移動することができるポリヌクレオチド結合タンパク質を有し得る。ポリヌクレオチド結合タンパク質は、ガイドポリヌクレオチドの鎖の一方の末端付近に、典型的には5’末端付近に結合させることができる。ポリヌクレオチド結合タンパク質が結合している末端は、典型的には、アダプター、好ましくはリーダー配列を含むアダプターの添加によって修飾される。ガイドRNAがリーダー配列を含む場合、ポリヌクレオチド結合タンパク質は、典型的には、リーダー配列に結合している。
【0097】
ガイドRNAがcrRNAを含む場合、ポリヌクレオチド結合タンパク質は、crRNAに沿って移動することができるように配置され得る。かかるガイドRNAは、標的ポリマーの存在又は不在を検出するために、crRNAが細孔を通って転位する方法において有用である。
【0098】
ガイドポリマーは、ビーズ又はカラムなどの表面上の標的ポリマーの捕捉を可能にするように特異的に適合され得る。これは、ガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体が結合している標的ポリマーを捕捉し、試料中の非標的ポリマーから分離することを可能にし、次いで、これを洗い流すことができる。ガイドポリマーは、ビーズ又はカラムなどの表面に結合している捕捉オリゴヌクレオチドの配列に相補的である配列を有する、3’又は5’末端での末端伸長部を含み得る。例えば、捕捉オリゴヌクレオチドは、親和性タグによって表面に結合させることができる。任意の好適な親和性タグが使用され得る。1つの例は、ビオチン-ストレプトアビジン親和性タグである。捕捉オリゴヌクレオチドは、約5~約40、例えば、約10~約30若しくは約15~約25ヌクレオチド、例えば、約20ヌクレオチドの長さ、又は約10~約80、例えば、約20~約60若しくは約30~約50ヌクレオチド、例えば、約40ヌクレオチドの長さを有し得る。末端伸長部は、約5~約40、例えば、約10~約30、又は約15~約25ヌクレオチド、例えば、約20ヌクレオチドの長さを有し得る。捕捉オリゴヌクレオチドは、末端伸長部と同じ長さを有してもよく、又は捕捉オリゴヌクレオチド及び末端伸長部が約5~約40、例えば、約10~約30又は約15~約25ヌクレオチド、例えば、約20ヌクレオチドの長さにわたって相補的である配列を有するという条件で、捕捉オリゴヌクレオチドは、末端伸長部より長くても短くてもよい。
【0099】
ガイドポリマーは、第1の結合部分及び第2の結合部分を含み得る。第1の結合部分及び第2の結合部分の両方が、ガイドポリマー上の、末端伸長部、又はオリゴヌクレオチドに結合することができる他の一本鎖ポリマー配列であり得る。ガイドポリマー上の第1の末端伸長部は、第1の捕捉表面、例えば、ビーズ上の第1の捕捉オリゴヌクレオチドに相補的な配列を有し得、ガイドポリマー上の第2の末端伸長部は、第2の捕捉表面、例えば、ビーズ上の第2の捕捉オリゴヌクレオチドに相補的な配列を有し得る。このcrRNAを構成する1つの方法は、ビーズ、カラム、又は表面上の標的分子の捕捉に使用される3’DNA伸長部を含み、tracrRNAは、5’DNA伸長部を含む。一実施形態では、第1の末端伸長部は、5’末端伸長部の5’末端又は3’末端伸長部の3’末端にある、第1の捕捉オリゴヌクレオチド中の配列と相補的でない配列を有する、末端部分と、第1の捕捉オリゴヌクレオチド中の第1の配列と相補的である配列を有する部分とを含む。第1の末端伸長部の末端部分は、典型的には、約2~約10ヌクレオチド、例えば、約3、4、5、又は6ヌクレオチドの長さを有し得る。第1の捕捉オリゴヌクレオチドに相補的である第1の末端伸長部の部分は、典型的には、約5~約40、例えば、約10~約30又は約15~約25ヌクレオチド、例えば、約20ヌクレオチドの長さを有し得る。
【0100】
第2の末端伸長部は、第1の捕捉ヌクレオチド、第1の末端伸長部、又は競合オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする配列を有する。第2の捕捉オリゴヌクレオチドはまた、第1の捕捉ヌクレオチド、第1の末端伸長部、又は競合オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする配列を有する。末端伸長部は、ガイドポリマーの5’又は3’末端、例えば、tracrRNAの5’若しくは3’末端又はcrRNAの5’若しくは3’末端などに付着され得る。末端伸長部は、任意の好適な手段によってガイドポリマーに付着され得る。末端伸長部は、例えば、化学基若しくはスペーサー、例えば、ライゲーションを介して、化学基、例えば、チオール、クリック基、ビオチンなどを介して、又はDNA、RNA、PNA、BNA、LNA、TNAスペーサーを介して添加されてもよい。スペーサーがポリヌクレオチドである場合、スペーサーは、約1~約30、例えば、約2~約20、約3~約15、約4~約10、例えば、約5、6、7、8、又は9ヌクレオチドの長さを有し得る。末端伸長部は、tracrRNAの5’末端、tracrRNAの3’末端、crRNAの3’末端、crRNAの5’末端に存在してもよく、又は例えば、tracrRNA及びcrRNAがsgRNAに含まれる場合、ガイドRNAに内部的に添加された配列によって置換されてもよい。内部配列が末端伸長部について本明細書に記載される機能を果たすために使用される場合、それは典型的にはガイドポリマー内のループ構造中に存在するか、又はそうでなければ捕捉オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションのためにアクセス可能である。
【0101】
試料
試料は、任意の好適な試料であり得る。試料は、典型的には、標的ポリマーのうちの少なくとも1つを含有することが知られているか、又は含有することが疑われるものである。方法は、細孔への送達のための標的ポリマーを選択するために使用することができる。試料の他の成分は洗い流され得、例えば、それらは細孔を含む細胞から流され得る。かかる他の成分としては、下記:折り畳まれても折り畳まれなくてもよいタンパク質、ペプチド、炭水化物、非標的ポリマーなどのポリマー、及び細胞破片のうちの1つ以上が挙げられる。
【0102】
試料は、生体試料であってもよい。本発明は、任意の有機体又は微生物から得られたか又は抽出された試料上で、インビトロで実施され得る。有機体又は微生物は、典型的には、古細菌、原核生物、又は真核生物であり、典型的には、植物界、動物界、真菌界、モネラ界、及び原生生物界の5つの界のうちの1つに属する。本発明は、任意のウイルスから得られたか又は抽出された試料上で、インビトロで実施され得る。
【0103】
試料は、好ましくは、流体試料である。試料は、通常は、体液を含む。体液は、ヒト又は動物から取得してもよい。ヒト又は動物は、疾患を有する、疾患を有する疑いがある、又は疾患の危険性があるものであってもよい。試料は、尿、リンパ液、唾液、粘液、精液、又は羊水であってもよいが、好ましくは、全血、血漿、又は血清である。典型的には、試料は、ヒト由来のものであるが、代替的には、別の哺乳動物由来のもの、例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ若しくはブタなどの商業的に飼育されている動物由来のもの、又は代替的には、ネコ若しくはイヌなどのペットであってもよい。
【0104】
代替的に、植物由来の試料は、典型的には、穀物、豆類、果物、又は野菜などの市販の作物、例えば、小麦、大麦、オート麦、セイヨウアブラナ、トウモロコシ、大豆、米、バナナ、リンゴ、トマト、ジャガイモ、ブドウ、タバコ、豆、レンズ豆、サトウキビ、ココア、綿、茶、又はコーヒーから取得する。
【0105】
試料は、非生体試料であってもよい。非生体試料は、好ましくは、液状試料である。非生体試料の例としては、外科用流体、水、例えば飲料水、海水、又は河川水、及び臨床検査用の試薬が挙げられる。
【0106】
試料は、典型的には、アッセイされる前に、例えば、遠心分離によって、又は不必要な分子若しくは細胞、例えば赤血球を濾過して取り除く膜への通過によって処理され得る。試料は、採取された直後に測定されてもよい。試料はまた、典型的には、アッセイの前に、好ましくは-70℃未満で保管され得る。
【0107】
試料は、ゲノムDNAを含み得る。ゲノムDNAは、断片化されてもよく、又は方法のステップ(a)は、ゲノムDNAを断片化することを更に含んでもよい。DNAは、任意の好適な方法によって断片化され得る。例えば、DNAを断片化する方法は、当該技術分野で既知である。かかる方法は、MuAトランスポザーゼなどのトランスポザーゼを使用し得る。
【0108】
試料は、T細胞DNAを含み得る。
【0109】
試料は、非標的ポリマーを含み得る。一実施形態では、標的ポリヌクレオチド及び非標的ポリヌクレオチドは、同じ遺伝子又はゲノムに由来し得る。
【0110】
電気的測定値及び効果
ステップ(c)は、膜を横切って電位を印加することを含む。印加される電位は、電圧電位であり得る。代替的に、印加される電位は、化学的電位であり得る。この例は、以下で論じられる膜のうちのいずれかなどの膜を横切る塩勾配を使用することである。塩勾配は、Holden et al.,J Am Chem Soc.2007 Jul 11;129(27):8650-5に開示されている。いくつかの実例において、ポリヌクレオチドの配列を推定又は判定するために、細孔に対してポリヌクレオチドが移動する間の、細孔を通過する電流が使用される。これは、鎖配列決定である。
【0111】
ステップ(c)はまた、1つ以上の電気的測定値を取ることを含む。好適な電気的測定値としては、電流測定、コンダクタンス測定、キャパシタンス測定、インピーダンス測定、トンネル効果測定(Ivanov AP et al.,Nano Lett.2011 Jan 12;11(1):279-85)、FET測定(国際出願第 WO2005/124888号)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの測定が任意の数及び組み合わせで、方法において行われ得る。1つ以上の電気的測定値は、膜貫通電流測定値、例えば、細孔を通って流れるイオン電流の測定値を含み得る。
【0112】
1つ以上の光学的測定は、1つ以上の電気的測定と組み合わせられ得る(Soni GV et al.,Rev Sci Instrum.2010 Jan;81(1):014301)。1つ以上の光学的測定は、Chen et al.,Nat Commun 9,1733(2018)に記載されるものであり得る。
【0113】
電気的測定は、Stoddart D et al.,Proc Natl Acad Sci,12;106(19):7702-7、Lieberman KR et al,J Am Chem Soc.2010;132(50):17961-72、及び国際出願第2000/28312号に記載されるような標準的な単一チャネル記録装置を使用して行われ得る。代替的に、電気的測定は、例えば、国際出願第 WO2009/077734号及び国際出願第2011/067559号に記載されるような、マルチチャネルシステムを使用して行われ得る。
【0114】
ステップ(c)は、好ましくは、膜を横切って電位差を印加し、細孔を通って流れる電流を測定することを含む。ステップ(d)は、好ましくは、細孔を通る複合体の転位に起因する電流効果の存在又は不在をモニターし、それによって試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定することを含む。
【0115】
ステップ(d)は、細孔を通る複合体の転位に起因する電気的効果、好ましくは、電流効果の存在又は不在をモニターし、それによって試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定することを含む。効果は、複合体が転位するための細孔と相互作用する、ガイドポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド誘導型エフェクタータンパク質、及び標的ポリヌクレオチドによって形成された複合体を示す。細孔を通って転位するガイドポリマー及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質のみに関連付けられる電気的又は電流効果が見られる場合、標的ポリマーは試料に存在しない。細孔を通って転位する複合体(すなわち、ガイドポリマー、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質、及び標的ポリマー)に関連付けられる電気的又は電流効果が見られる場合、標的ポリマーは試料に存在する。2つの効果の間の差は、以下で論じられる。
【0116】
効果はまた、複合体、標的ポリヌクレオチド、又はガイドポリヌクレオチドの成分のうちの1つに付着したアダプターの細孔を通る転位によって引き起こされ得る。この場合では、効果は、複合体、標的ポリヌクレオチド、又はガイドポリヌクレオチドの成分のうちの1つに付着したアダプターの細孔を通る転位を示す。方法は、好ましくは、アダプターの細孔との相互作用の存在又は不在を決定することを含む。アダプターは、好ましくは、バーコードを含む。
【0117】
効果は、1つ以上の電気的測定値を使用してモニターされる。効果は、典型的には、1つ以上の電気的測定値の1つ以上の態様における測定された変化である。1つ以上の態様としては、1つ以上の電気的測定値の量、持続時間、一貫性、及び複雑さを含むが、これらに限定されない。持続時間は、効果が生物学的細孔内に滞留する複合体又はその一部に関連するため、滞留時間としても既知である。これらの態様のいくつかは、以下でより詳細に論じられる。効果は、好ましくは、細孔を通って流れる電流の量、持続時間、一貫性、及び複雑さのうちの1つ以上などの、1つ以上の態様における測定された変化である。
【0118】
複合体は、存在する場合に標的ポリマー、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質、及びガイドポリマーを含むため、(単なるガイドポリマー及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質とは対照的に)細孔を通る複合体の転位に起因する電気的又は電流効果は、標的ポリマーの存在に関する情報、並びに標的ポリマー及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質の両方に関する情報を提供する。かさ高いポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、細孔と相互作用し、それが転位する際に細孔の開口部内の空間を占有するため、典型的には、電流の流れなどの1つ以上の電気的測定値に対して長く、顕著で、複雑な効果をもたらす。対照的に、標的ポリマーは、より少ない相互作用及びより少ない細孔開口部の遮断で細孔をすばやく通って移動するため、典型的には、電流の流れなどの1つ以上の電気的測定値に対してより短く、より顕著でなく、より複雑でない効果を有する。これらの異なる効果により、本発明の方法は、標的ポリマーが存在するか否かを決定することを可能にする。標的ポリマーは、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質及び結合/付着ガイドポリマーの効果のみが見られる場合、不在である。標的ポリマーは、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質及び結合/付着ガイドポリマーの効果に加えて、標的ポリマー効果が見られる場合に存在する。
【0119】
細孔を通る複合体のポリマー誘導型エフェクタータンパク質部分の転位は、好ましくは、細孔を通って転位する複合体の標的ポリマー部分に関連付けられる電気的効果よりも、(i)より長い電気的効果、(ii)より顕著である電気的効果、及び(iii)より複雑である電気的効果のうちの1つ以上をもたらす。細孔を通る複合体のポリマー誘導型エフェクタータンパク質部分の転位は、好ましくは、細孔を通って転位する複合体の標的ポリマー部分に関連付けられる電気的効果よりも、(i)、(ii)、(iii)、(i)及び(ii)、(i)及び(iii)、(ii)及び(iii)、又は(i)、(ii)、及び(iii)である電気的効果をもたらす。細孔を通る複合体のポリマー誘導型エフェクタータンパク質部分の転位は、好ましくは、細孔を通って転位する複合体の標的ポリマー部分に関連付けられる電気的効果よりも、(i)より長い電気的効果、(ii)より顕著である電気的効果、及び(iii)より複雑である電気的効果をもたらす。これらの実施形態では、ガイドポリマーは、典型的には、それが転位する際にポリマー誘導型エフェクタータンパク質に結合/付着する。ガイドポリマーは、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に共有結合されてもよい。かさ高いタンパク質の効果は、典型的には、結合/付着ガイドポリマーの任意の観察可能な効果をマスクする。
【0120】
細孔を通って転位するタンパク質に起因する効果が、細孔を通って転位する標的ポリマーに起因する効果よりも長い持続時間(又はより長い時間)にわたって生じる場合、効果はより長い。細孔を通って転位するタンパク質に起因する1つ以上の電気的測定値の量の変化が、細孔を通って転位する標的ポリマーに起因する1つ以上の電気的測定値の量の変化よりも長い持続時間(又はより長い時間)にわたって生じる場合、効果はより長い。
【0121】
細孔を通って転位するタンパク質に起因する効果が、細孔を通って転位する標的ポリマーに起因する効果よりも大きい場合、効果はより顕著である。細孔を通って転位するタンパク質に起因する1つ以上の電気的測定値の量の変化が、細孔を通って転位する標的ポリマーに起因する1つ以上の電気的測定値の量の変化よりも大きい場合、効果はより顕著である。
【0122】
より複雑な効果は、好ましくは、細孔を通って転位する標的ポリマーに起因する効果と比較した場合、(i)一貫性がなく、(ii)ノイズが多く、(iii)ステッピング事象を伴う、細孔を通って転位するポリマー誘導型エフェクタータンパク質に起因する効果を含む。より複雑な効果は、好ましくは、細孔を通って転位する標的ポリマーに起因する1つ以上の電気的測定値のうちの1つ以上の態様における測定された変化と比較した場合、(i)一貫性がなく、(ii)ノイズが多く、(iii)ステッピング事象を伴う、細孔を通って転位するポリマー誘導型エフェクタータンパク質に起因する1つ以上の電気的測定値のうちの1つ以上の態様における測定された変化を含む。より複雑な効果は、(i)、(ii)、(iii)、(i)及び(ii)、(i)及び(iii)、(ii)及び(iii)、又は(i)、(ii)、及び(iii)を含み得る。
【0123】
ステップ(c)は、好ましくは、細孔を通って流れる電流を測定することを含む。細孔を通る複合体のポリマー誘導型エフェクタータンパク質部分の転位は、好ましくは、細孔を通って転位する複合体の標的ポリマー部分に関連付けられる電流効果よりも、(i)より長い電流効果、(ii)より顕著である電流効果、及び(iii)より複雑である電流効果のうちの1つ以上をもたらす。効果は、上記に並べられるような(i)~(iii)の任意の組み合わせであり得る。細孔を通る複合体のポリマー誘導型エフェクタータンパク質部分の転位は、より好ましくは、細孔を通って転位する複合体の標的ポリマー部分に関連付けられる電流効果よりも、(i)より長い電流効果、(ii)より顕著である電流効果、及び(iii)より複雑である電流効果をもたらす。
【0124】
細孔を通って転位するタンパク質に起因する電流の変化が、細孔を通って転位する標的ポリマーに起因する電流の変化よりも長い持続時間(又はより長い時間)にわたって生じる場合、電流効果はより長い。
【0125】
細孔を通って転位するタンパク質に起因する電流の変化が、細孔を通って転位する標的ポリマーに起因する電流の変化よりも大きい場合、電流効果はより顕著である。ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、好ましくは、細孔を通って転位する際に、開放細孔電流に少なくとも約20%の変化をもたらす。ポリマー誘導型エフェクタータンパク質は、より好ましくは、細孔を通って転位する際に、開放細孔電流に少なくとも約30%の変化、少なくとも約40%の変化、少なくとも約50%の変化、少なくとも約60%の変化、少なくとも約70%の変化、又は少なくとも約80%の変化をもたらす。ガイドポリマーは、典型的には、それが転位する際にポリマー誘導型エフェクタータンパク質に結合/付着する。標的ポリマーは、好ましくは、細孔を通って転位する際に、開放細孔電流に約10%以下の変化をもたらす。標的ポリマーは、好ましくは、細孔を通って転位する際に、開放細孔電流に約9%以下の変化、約8%以下の変化、約7%以下の変化、約6%以下の変化、又は約5%以下の変化をもたらす。
【0126】
より複雑な電流効果は、好ましくは、(i)一貫性のない効果、(ii)ノイズ、及び(iii)電気的ステッピング事象のうちの1つ以上を含む。これらの実施形態では、ガイドポリマーは、典型的には、それが転位する際にポリマー誘導型エフェクタータンパク質に結合/付着する。ガイドポリマーは、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に共有結合されてもよい。かさ高いタンパク質の効果は、典型的には、結合/付着ガイドポリマーの任意の観察可能な効果をマスクする。効果は、上記に並べられるような(i)~(iii)の任意の組み合わせであり得る。
【0127】
1つのガイドポリマー及び1つのポリマー誘導型エフェクタータンパク質が1つの複合体を形成するために使用される場合、標的ポリマーに関連付けられる電気的又は電流効果は、好ましくは、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に関連付けられる電気的又は電流効果の前及び/又は後に観察される。タイミングは、ガイドポリマーが標的ポリマーに結合する場所に依存するであろう。標的ポリマーの一端で又は標的ポリマーの一端に向かって、ガイドポリマーが結合する/複合体が形成される場合、標的ポリマーに関連付けられる電気的又は電流効果は、好ましくは、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質及びガイドポリマーに関連付けられる電気的又は電流効果の前又は後に観察される。それが前か後かは、最初に、標的ポリヌクレオチドの自由末端(前)か、又はガイドポリマー誘導型エフェクタータンパク質及びガイドポリマーが結合した末端(後)が細孔に入るかどうかに依存する。
【0128】
2つ以上のガイドポリマー及び2つ以上のポリマー誘導型エフェクタータンパク質が2つ以上の複合体を形成するために使用される場合、細孔を通って転位する2つ以上の複合体の標的ポリマー部分に関連付けられる電気的又は電流効果は、細孔を通って転位する2つ以上の複合体のポリマー誘導型エフェクタータンパク質部分に関連付けられる電気的又は電流効果の前及び/又は後に観察され得る。細孔を通って転位する2つ以上の複合体の標的ポリマー部分に関連付けられる電気的又は電流効果は、細孔を通って転位する2つ以上の複合体のポリマー誘導型エフェクタータンパク質部分に起因する電気的又は電流効果の間で観察され得る。例えば、2つのガイドポリマー及び2つのポリマー誘導型エフェクタータンパク質が標的ポリマーの各末端に複合体を形成するように使用される場合、1つの複合体の効果、続いて標的ポリマーの効果、続いて第2の複合体の効果が見られる。任意の数のガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質の組み合わせを使用して、標的ポリマーの異なる部分に結合し、観察可能な電気的又は電流効果の異なる組み合わせを提供することができる。細孔を通って転位する標的ポリマーに関連付けられる電気的又は電流効果は、細孔を通って転位する2つ以上のポリマー誘導型エフェクタータンパク質に起因する2つ以上の電気的又は電流効果の(a)前及び/又は後、並びに(b)その間で観察され得る。
【0129】
方法は、細孔に対してポリマーが移動する際の細孔を通過する電流を測定することを伴い得る。したがって、装置はまた、電位を印加し、膜及び細孔を横切る電気的シグナルを測定することができる電気回路を備え得る。方法は、パッチクランプ又は電圧クランプを使用して実施され得る。方法は、好ましくは、電圧クランプの使用を伴う。
【0130】
方法は、細孔に対してポリマーが移動する際の細孔を通過する電流の測定を伴い得る。タンパク質細孔を通るイオン電流を測定するために好適な条件は、当該技術分野で既知であり、実施例において開示される。方法は、典型的には、膜及び細孔を横切って印加される電圧を用いて実行される。使用される電圧は、典型的には、+5V~-5V、例えば+4V~-4V、+3V~-3V、又は+2V~-2Vである。使用される電圧は、典型的には、-600mV~+600mV、又は-400mV~+400mVである。使用される電圧は、好ましくは、-400mV、-300mV、-200mV、-150mV、-100mV、-50mV、-20mV、及び0mVから選択される下限並びに+10mV、+20mV、+50mV、+100mV、+150mV、+200mV、+300mV、及び+400mVから独立して選択される上限を有する範囲にある。使用される電圧は、より好ましくは、100mV~240mVの範囲、最も好ましくは、120mV~220mVの範囲にある。増加した印加電位を使用することによって、細孔による異なるヌクレオチド間の区別を増加させることが可能である。
【0131】
方法は、典型的には、金属塩、例えばアルカリ金属塩、ハロゲン塩、例えば塩化物塩、例えばアルカリ金属塩化物塩などの任意の電荷担体の存在下で実施される。電荷担体としては、イオン性液体又は有機塩、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、トリメチルフェニルアンモニウムクロリド、フェニルトリメチルアンモニウムクロリド、又は1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリドを挙げることができる。上述の例示的な装置では、塩は、チャンバ内の水溶液中に存在する。塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化セシウム(CsCl)、又はフェロシアン化カリウムとフェリシアン化カリウムとの混合物が典型的に使用される。KCl、NaCl、及びフェロシアン化カリウムとフェリシアン化カリウムとの混合物が好ましい。電荷担体は、膜を横切って非対称であり得る。例えば、電荷担体のタイプ及び/又は濃度は、膜の各側で異なり得る。
【0132】
塩濃度は、飽和であり得る。塩濃度は、3M以下であり、典型的には、0.1~2.5M、0.3~1.9M、0.5~1.8M、0.7~1.7M、0.9~1.6M、又は1M~1.4Mであり得る。塩濃度は、好ましくは、150mM~1Mである。方法は、好ましくは、少なくとも0.3M、例えば、少なくとも0.4M、少なくとも0.5M、少なくとも0.6M、少なくとも0.8M、少なくとも1.0M、少なくとも1.5M、少なくとも2.0M、少なくとも2.5M、又は少なくとも3.0Mの塩濃度を使用して実施される。高い塩濃度は、高いシグナル対ノイズ比を提供し、正常な電流変動のバックグラウンドに対する、ヌクレオチドの存在を示す電流の同定を可能にする。
【0133】
方法は、通常は、緩衝液の存在下で実施される。上述の例示的な装置では、緩衝液は、チャンバ内の水溶液中に存在する。本発明の方法において、任意の緩衝液を使用することができる。典型的には、緩衝液は、リン酸緩衝液である。他の好適な緩衝液は、HEPES及びTris-HCl緩衝液である。方法は、典型的には、4.0~12.0、4.5~10.0、5.0~9.0、5.5~8.8、6.0~8.7、又は7.0~8.8、又は7.5~8.5のpHで実行される。使用されるpHは、好ましくは、約7.5である。
【0134】
方法は、0℃~100℃、15℃~95℃、16℃~90℃、17℃~85℃、18℃~80℃、19℃~70℃、又は20℃~60℃で実施され得る。方法は、典型的には、室温で実施され得る。方法は、任意選択的に、酵素機能を支持する温度、例えば約37℃で実施される。
【0135】
細孔
本発明の方法は、細孔を通る複合体の転位を可能にする開口部又はチャネルを有する生物学的細孔を使用する。細孔開口部又はチャネルの最小直径は、細孔を通る複合体の転位を可能にするのに十分な大きさである。細孔は、細孔を通る複合体の転位を可能にする開口部又はチャネルに狭窄を有し得る。開口部又はチャネルは、好ましくは、細孔を通る複合体の転位を可能にし、細孔とポリマー誘導型エフェクタータンパク質との間の1つ以上の相互作用を可能にする。細孔開口部又はチャネルの最小直径は、細孔を通る複合体の転位を可能にするのに十分な大きさであり、細孔とポリマー誘導型エフェクタータンパク質との間の1つ以上の相互作用を可能にする。細孔は、細孔を通る複合体の転位を可能にし、細孔とポリマー誘導型エフェクタータンパク質との間の1つ以上の相互作用を可能にする開口部又はチャネルに狭窄を有し得る。1つ以上の相互作用は、物理的相互作用、立体的相互作用、静電気的相互作用、水素結合及びファンデルワールス相互作用から選択され得る。
【0136】
開口部又はチャネルは、好ましくは、少なくとも約5nmの直径、例えば、少なくとも約5.5nm、少なくとも約6nm、少なくとも約7nm、少なくとも約8nm、少なくとも約9nm、少なくとも約10nm、少なくとも約11nm、又は少なくとも約12nmの直径である。開口部又はチャネルは、典型的には、約20nm未満の直径であるが、最大約100nmの直径であり得る。開口部又はチャネルは、好ましくは、約5nm~約20nmの直径、例えば、約6nm~約19nm、約7nm~約18nm、約8nm~約17nm、約9nm~約16nm、又は約10nm~約15nmの直径である。ポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ、例えば、Cas、(以前はCpf1として知られていた)Cas12a、又はC2c2である場合、開口部又はチャネルは、好ましくは、約11nm~約13nm、例えば、約12nmの直径である。ポリマー誘導型エフェクタータンパク質がCas9である場合、開口部又はチャネルは、好ましくは、約11nm~約13nm、例えば、約12nmの直径である。ポリマー誘導型エフェクタータンパク質の最大寸法は、好ましくは、生物学的細孔の開口部又はチャネルよりも小さい、約3nm以下、例えば、約2nm以下又は約1nm以下である。
【0137】
生物学的細孔は、ある程度、膜を横切る構造である。それは、印加された電位によって駆動される水和イオンが膜を横切って又は膜内を流れることを可能にする。細孔は、典型的には、水和イオンが膜の一方の側から膜の他方の側に流れることができるように、膜全体を横切る。しかしながら、細孔は、膜を横切る必要はない。それは一端で閉鎖されている場合もある。例えば、細孔は、膜内のウェル、ギャップ、チャネル、トレンチ、又はスリットであり得、それに沿って又はその中に水和イオンが流れることができる。
【0138】
生物学的細孔は、ポリペプチド、タンパク質、又はポリヌクレオチドなどの生体物質から構築される細孔である。生物学的細孔は、天然に存在する生物学的細孔又は天然に存在する生物学的細孔の修飾バージョンであり得る。好適な修飾は、当該技術分野で既知であり、以下で論じられる。
【0139】
生物学的細孔は、好ましくは、タンパク質細孔である。タンパク質細孔は、ポリヌクレオチドなどの、水和イオンが膜の一方の側から膜の他方の側に流れることを可能にする、ポリペプチド又はポリペプチドの集合体である。本発明では、タンパク質細孔は、印加される電位によって駆動される水和イオンが膜の一方の側から他方に流れることを可能にする細孔を形成することができる。タンパク質細孔は、ポリヌクレオチドが、トリブロックコポリマー膜などの膜の一方の側から他方に流れることを可能にする。タンパク質細孔は、DNA又はRNAなどのポリヌクレオチドを、細孔を通して移動させることを可能にする。細孔は、複合体が、トリブロックコポリマー膜などの膜の一方の側から他方に流れることを可能にする。
【0140】
タンパク質細孔は、1つ以上の翻訳後修飾(PTM)を含み得る。1つ以上のPTMは、リン酸化、グリコシル化、脂質化、及びジスルフィド結合の形成から選択され得る。1つ以上のPTMは、野生型又は天然に存在する細孔と比較して修飾され得る。例えば、タンパク質細孔内の1つ以上の異なるアミノ酸がリン酸化され得る。タンパク質細孔は、これらのPTMのうちの1つ以上を欠いていてもよい。
【0141】
タンパク質細孔は、好ましくは、グリコシル化されている。タンパク質細孔のグリコシル化は、修飾され得る。タンパク質細孔のグリコシル化は、好ましくは、野生型又は天然に存在する細孔と比較して修飾される。グリコシル化は、任意の方法で修飾され得る。修飾グリコシル化は、(a)グリコシル化されているタンパク質細孔内の1つ以上の異なるアミノ酸、(b)変化されている1つ以上のグリカンの性質、(c)変化されているグリコシル化の種類、又は(a)、(b)、(c)、(a)及び(b)、(a)及び(c)、(b)及び(c)、若しくは(a)、(b)、及び(c)などのそれらの任意の組み合わせを含み得る。グリコシル化されているタンパク質細孔内の1つ以上の異なるアミノ酸としては、グリコシル化されていない野生型若しくは天然に存在する細孔内で典型的にグリコシル化される1つ以上のアミノ酸、グリコシル化されている野生型若しくは天然に存在する細孔内で典型的にグリコシル化されない1つ以上のアミノ酸、及び/又は異なるアミノ酸に移動されている1つ以上のグリカンが挙げられるが、これらに限定されない。グリコシル化の種類は、N連結グリコシル化からO連結グリコシル化へ、又はその逆に変化され得る。タンパク質細孔は、好ましくは(脱グリコシル化としても既知の)グリコシル化されないか、又は好ましくはグリコシル化を欠く。
【0142】
タンパク質細孔は、モノマー又はオリゴマーであり得る。細孔は、好ましくは、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、又は少なくとも16のサブユニットなどのいくつかの繰り返しサブユニットから構成されている。細孔は、好ましくは、ヘキサマー、ヘプタマー、オクタマ-、又はナノマー細孔である。細孔は、ホモオリゴマー又はヘテロオリゴマーであり得る。補体成分9(C9)は、典型的には、22merである。
【0143】
タンパク質細孔は、典型的には、それを通ってイオンが流れ得るバレル又はチャネルを含む。細孔のサブユニットは、典型的には、中心軸を取り囲み、鎖を膜貫通βバレル若しくはチャネル又は膜貫通α-ヘリックスバンドル若しくはチャネルに供する。
【0144】
タンパク質細孔のバレル又はチャネルは、典型的には、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質、及びヌクレオチド、ポリヌクレオチド、又は核酸との相互作用を促進するアミノ酸を含む。これらのアミノ酸は、好ましくは、存在する場合にバレル又はチャネルの狭窄付近に位置する。タンパク質細孔は、典型的には、アルギニン、リジン、若しくはヒスチジンなどの1つ以上の正電荷アミノ酸、又はチロシン若しくはトリプトファンなどの芳香族アミノ酸を含む。これらのアミノ酸は、典型的には、細孔と、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質、及びヌクレオチド、ポリヌクレオチド、又は核酸との間の相互作用を促進する。
【0145】
タンパク質細孔は、好ましくは、補体成分9(C9)、パーフリンゴリジンO、プレウロトリシン(Pleurotolysin)、リステリオリシン、パーフォリン-2、ガスデルミン-A3、L-、P-及びM-リングタンパク質、II型分泌系タンパク質D、GspD、InvG、VirB7、SpoIIIAG、Cag8、Cag3、Cag、又はIV型分泌系装置タンパク質CagY、WzzB、ペントラキシン、Afp2、主要なヴォールトタンパク質、チオレドキシン依存性ペルオキシダーゼ還元酵素、Arf-GAP、呼吸器合胞体ウイルスリボ核タンパク質、チクングニアウイルス非構造タンパク質1、PRC、YaxA、XaxA、若しくはPrgHにおける他のタンパク質である。ポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、Cas、(以前はCpf1として知られていた)Cas12a、又はC2c2などのRNA誘導型エンドヌクレアーゼである場合、細孔は、好ましくはC9である。ポリマー誘導型エフェクタータンパク質がCas9である場合、細孔は、好ましくはC9である。C9は、オリゴマーである。本発明の文脈において、C9細孔は、C9タンパク質モノマーのオリゴマーである。
【0146】
生物学的細孔は、人工生物学的細孔であり得る。好適な細孔は、当該技術分野で既知であり、DNAオリガミ細孔(Langecker et al.,Science,2012;338:932-936)及びポリマー修飾固体細孔が挙げられるが、これらに限定されない。固体細孔は、上述のポリマーのいずれかで修飾され得る。
【0147】
生物学的細孔は、膜内に存在する。膜は、好ましくは、トリブロックコポリマー膜などの両親媒性層又は固体層である。膜は、WO2018/060740に論じられている。生物学的細孔は、両親媒性膜内のタンパク質細孔又はDNAオリガミ細孔などの人工細孔であり得る。生物学的細孔は、固体層内のタンパク質細孔又はDNAオリガミ細孔などの人工細孔であり得る。
【0148】
固体層は、マイクロエレクトロニクス材料、Si、A1、及びSiOなどの絶縁材料、ポリアミドなどの有機及び無機ポリマー、Teflon(登録商標)などのプラスチック、又は二成分付加硬化シリコーンゴムなどのエラストマー、並びにガラスが挙げられるが、これらに限定されない、有機及び無機材料の両方から形成され得る。固体層は、グラフェンから形成されてもよい。好適なグラフェン層は、WO2009/035647に開示されている。Yusko et al.,Nature Nanotechnology,2011;6:253-260、及び米国特許出願第2013/0048499号は、微粒子を使用しない固体層内の細孔へのタンパク質の送達を記載している。
【0149】
タンパク質細孔などの本明細書に記載されるタンパク質のいずれも、例えば、ヒスチジン残基(hisタグ)、アスパラギン酸残基(aspタグ)、ストレプトアビジンタグ、フラッグタグ、SUMOタグ、GSTタグ、若しくはMBPタグの付加によって、又はポリペプチドがかかる配列を天然に含有しない細胞からのそれらの分泌を促進するためのシグナル配列の付加によって、修飾してそれらの同定又は精製を補助することができる。遺伝的タグを導入することの代替は、細孔又は構造体上の天然の又は操作された位置上にタグを化学反応させることである。これの例は、ゲルシフト試薬を、細孔の外側に操作されたシステインに反応させることであろう。これは、溶血毒ヘテロオリゴマーを分離するための方法として示されている(Chem Biol.1997 Jul;4(7):497-505)。
【0150】
モノマーは、顕示標識(revealing label)で標識され得る。顕示標識は、細孔が検出されることを可能にする任意の好適な標識であり得る。好適な標識としては、蛍光分子、放射性同位体、例えば、125I、35S、酵素、抗体、抗原、ポリヌクレオチド、及びビオチンなどのリガンドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0151】
タンパク質細孔などの本明細書に記載されるタンパク質のいずれも、合成的に又は組換え手段によって作製することができる。例えば、細孔は、インビトロ翻訳及び転写(IVTT)によって合成され得る。細孔のアミノ酸配列は、非天然型アミノ酸を含むように、又はタンパク質の安定性を増加させるように修飾され得る。タンパク質が合成手段によって生成される場合、そのようなアミノ酸は生成中に導入してもよい。細孔はまた、合成生成又は組換え生成のいずれかの後に変更してもよい。
【0152】
タンパク質細孔などの本明細書に記載されるタンパク質のいずれも、当該技術分野で既知の標準的な方法を使用して生成することができる。細孔又は構造体をコードするポリヌクレオチド配列は、当該技術分野における標準的な方法を使用して誘導及び複製され得る。細孔又は構造体をコードするポリヌクレオチド配列は、当該技術分野における標準的な方法を使用して細菌宿主細胞において発現され得る。細孔は、組換え発現ベクターからのポリペプチドのインサイツ発現によって細胞において生成され得る。発現ベクターは、任意選択的に、ポリペプチドの発現を制御するために誘導性プロモーターを担持する。これらの方法は、Sambrook,J.and Russell,D.(2001).Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Edition.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYに記載されている。
【0153】
細孔は、タンパク質生成有機体からの任意のタンパク質液体クロマトグラフィーシステムによる精製後に、又は組換え発現後に大規模に生成されてもよい。典型的なタンパク質液体クロマトグラフィーシステムとしては、FPLC、AKTAシステム、Bio-Cadシステム、Bio-Rad BioLogicシステム、及びGilson HPLCシステムが挙げられる。
【0154】
装置、条件、及びアレイ
方法は、WO2008/102120、及び/又はWO2018/060740に記載されている装置及び条件を使用して実施され得る。
【0155】
膜は、典型的には、各膜が好ましくは生物学的細孔を含む、膜のアレイの一部である。したがって、本発明は、膜のアレイを使用して標的ポリマーを検出する方法を提供する。アレイは、WO2018/060740に記載されているもののいずれかであり得る。
【0156】
追加の実施形態
アダプター、結合、リンカー、アンカー、リーダー配列、配列決定アダプター若しくはYアダプター、ヘアピンループ、ビーズ若しくは微粒子、膜、アレイ、ポリヌクレオチド結合タンパク質、及び関連する遊離ヌクレオチド、又は補因子は、WO2018/060740に記載されているもののいずれかであり得る。
【0157】
アンカーは、Jones et al.,J.Am.Chem.Soc.2021,143,22,8305-8313に記載されているもののうちの1つであり得る。アンカーは、好ましくは、コレステロールである。
【0158】
診断
本発明の方法は、疾患又は状態を診断又は予後診断するために使用することができる。疾患又は状態は、好ましくは、がん、冠状動脈性心疾患、心血管疾患、結核、又は敗血症である。疾患又は状態の例は、WO2018/060740に並べられている。
【0159】
多重方法を使用する実施形態では、2個以上の標的ポリマー(例えば、少なくとも5個以上、10個以上、20個以上、又は30個以上)の不在の存在が決定され得るために、上に列挙された疾患のうちのいずれかの2つ以上(例えば、3、4、5、6つ以上)を予後診断又は診断することが可能である。したがって、複数(例えば、少なくとも2個以上、少なくとも3個以上、少なくとも10個以上、少なくとも20個以上、又は少なくとも30個以上)の標的ポリマーを検出及び/又は分析するための多重方法が提供される。
【0160】
方法は、微生物又は微生物の群に由来するポリヌクレオチドなどのポリマーを検出するためにも使用され得る。これは、疾患診断及びモニターに有用であるが、他の用途も有する。例えば、方法は、腸内又は膣内フローラ、皮膚上又は他の場所に存在する微生物を分析するために使用され得る。微生物は、例えば、細菌、ウイルス、真菌、又はマイコバクテリウムであり得る。方法は、どの感染因子が疾患を引き起こしているのかを決定するために、よって治療の最良コースを決定するために使用され得る。例えば、尿路感染症及び他の感染症は、ますます抗細菌薬耐性を発現させている。方法は、感染症の原因である細菌を決定するために、よって感染症を首尾よく治療するであろう抗生物質又は他の治療を同定するために使用され得る。
【0161】
方法は、ゲノムDNAを特徴付けるために使用され得る。1つの特定の例示的な実施形態では、方法は、SNPなどの多型を同定するために使用され得る。別の実施形態では、本発明の方法は、例えばV(D)J領域のレパトア解析に使用され得る。かかる方法は、解析のために血液細胞、又はT細胞由来の試料を使用し得る。
【0162】
方法は、未知のポリマー配列を特徴付けるためにも使用され得る。
【0163】
システム
本発明はまた、本発明の方法を実行するためのシステムを提供する。システムは、試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定するためのものである。本発明の文脈において、「システム」及び「キット」という用語は交換可能である。したがって、本発明は、試料中の標的ポリマーの存在又は不在を決定するためのキットを提供する。
【0164】
システム又はキットは、(i)存在する場合に標的ポリマーの一部に結合し、(ii)ポリマー誘導型エフェクタータンパク質に結合するか、又はそれに付着するガイドポリマーを含み、ガイドポリマー及びポリマー誘導型エフェクタータンパク質が、試料に存在する任意の標的ポリマーと複合体を形成する。本発明の方法に関連する上述の実施形態のいずれも、本発明のシステムに等しく適用される。
【0165】
システム又はキットはまた、細孔を通る複合体の転位を可能にする開口部を有する生物学的細孔を含む。本発明の方法に関連して論じられる細孔のいずれも、本発明のシステムに存在し得る。
【0166】
細孔は、好ましくは、膜内に存在する。好適な膜は上述されている。システム又はキットは、上に開示される膜、例えば、両親媒性層、トリブロックコポリマー膜、又は固体層のいずれかであってもよい。
【0167】
システム又はキットは、好ましくは、膜を横切って電圧を印加し、1つ以上の電気的測定値を取るように適合される。好適な適合は、WO2018/060740に論じられている。
【0168】
システム又はキットは、ポリヌクレオチド及び/又はリーダー配列に沿って移動することができるポリヌクレオチド結合タンパク質を更に含み得る。キットは、マイクロ粒子を更に含み得る。
【0169】
ガイドポリマー、ポリマー誘導型エフェクタータンパク質、アンカー、アダプター、ポリヌクレオチド結合タンパク質、リーダー配列、及び/又はマイクロ粒子は、本明細書に定義されるもののいずれかであり得る。システム又はキットは、ガイドポリマー又はガイドポリマー/ポリマー誘導型エフェクタータンパク質複合体のパネルを含み得る。パネルは、典型的には、特定の微生物、疾患に関連するマーカー、特定の多型などを検出するなどの特定の目的のために設計されている。
【0170】
システム又はキットは、上で言及される実施形態のいずれかを実施することを可能にする1つ以上の他の試薬又は器具を追加的に含み得る。かかる試薬又は器具には、以下、好適な緩衝液(複数可)(水溶液)、対象から試料を得るための手段(容器又は針を含む器具など)、ポリヌクレオチドを増幅及び/若しくは発現させるための手段、上記に定義されるような膜、又は電圧若しくはパッチクランプ装置のうちの1つ以上が含まれる。試薬は、流体試料が試薬を再懸濁するために使用されるように、乾燥状態でシステム又はキット中に存在し得る。システム又はキットはまた、任意選択的に、システム若しくはキットを本明細書に記載される方法で使用することを可能にする指示、又は方法が使用され得る有機体に関する詳細を含み得る。システム又はキットは、磁石又は電磁石を含み得る。システム又はキットは、任意選択的に、ヌクレオチドを含み得る。
【0171】
システム又はキットは、末端伸長部、又は本明細書に記載の第1及び第2の末端伸長部を有するガイドポリマーと、捕捉オリゴヌクレオチド、又は本明細書に記載の第1及び第2の捕捉オリゴヌクレオチドとを含み得る。システム又はキットは、本明細書に記載の競合オリゴヌクレオチドを更に含み得る。システム又はキットは、親和性分子対の2分の1(例えば、ストレプトアビジン)を含むビーズと、親和性分子対の他の半分(例えば、ビオチン)を含む第1及び第2の捕捉オリゴヌクレオチドとを更に含み得る。第1及び第2の捕捉オリゴヌクレオチドは、各々、別々の表面、例えば、別々のビーズの集団に結合されてもよい。第1の捕捉オリゴヌクレオチドは、例えば、「精製」ビーズ又は「精製」カラムに結合されてもよい。第2の捕捉オリゴヌクレオチドは、例えば、「送達」ビーズに結合されてもよい。「精製」ビーズ及び/又は「送達」ビーズは、磁性であり得る。
【0172】
以下の実施例は、本発明を例示する。
【実施例
【0173】
材料
以下の材料を使用した。
●dCas9(Cas9-Spy-(D10A/H840A)):これの配列は、WO2018/060740に開示されている
●3.6kbの二本鎖線形ラムダDNA(配列番号1)
●全長二本鎖線形ラムダDNA
●tracrRNA(IDT altR)
●CRISPR RNA(Enlam86、Enlam87、AR837、Enlam51、Enlam5、Enlam26、Enlam45)
●ミニオン(Minion)
●C9モノマー
●オリゴマー化緩衝液(10mMのHEPES-NaOH、50mMのNaCl、pH7.5、0.02mg/mLのアンフィポール)
●シス及びトランスにおけるメディエーター緩衝液を有するミニオンフローセル
●メディエーター緩衝液(300mMのフェリシアン化カリウム、300mMのフェロシアン化カリウム、1MのLiCl、50mMのHEPES-NaOH、pH8)
●結合緩衝液(25mMのHEPES-NaOH、pH8.0、150mMのNaCl、1mMのMgCl2)
●LiCl緩衝液(2MのLiCl、25mMのHEPES-NaOH、pH8)又は任意の他の好適な緩衝液
●2×LiCl緩衝液(4MのLiCl、50mMのHEPES-NaOH、pH8)又は任意の他の好適な2×緩衝液
●熱ブロック
【0174】
C9オリゴマー化プロトコル
C9モノマーをオリゴマー化緩衝液中で1mg/mlに希釈し、摂氏37度で少なくとも30分間、及び最大24時間インキュベートする。これは、オリゴマー化された細孔を生成する。
【0175】
ミニオンフローセル上への細孔挿入
オリゴマー化された細孔を取り、メディエーター緩衝液中で1/20,000に希釈する。ミニオンフローセルに300uLを添加し、細孔挿入スクリプトを実行する。このスクリプトは、100mVで始まる電圧ランプを印加し、それを10秒間保持した後、電圧を5mVから105mVに増加させ、更に10秒間保持する。それは、終了する時点で450mVの電圧に達するまで、電圧を5mVずつ増加させ続け、各電圧において10秒間保持する。スクリプトの持続時間中、電流は各チャネルでモニターされ、50pAを超える電流が検出されると、スクリプトはチャネルをオフにして電圧を0に設定するであろう。スクリプトが終了したら、1mLのメディエーター緩衝液をフローセルを通して流す。次いで、1mLのLiCl緩衝液をフローセルを通して流す。これにより、細孔を有するLiClフローセルが生成される。
【0176】
DNAのみの試料の調製
LiCl緩衝液中で3.6kbの二本鎖線形ラムダDNAを5nMに希釈する。
【0177】
単一のCas9プローブが付着しているDNA試料の調製
1.摂氏90度に2分間加熱し、次いで氷の上に10分間置くことによって、10uMのtracrRNAを急冷する。
【0178】
2.結合緩衝液を含有するエッペンドルフタンパク質Lo-Bindチューブに、以下の順序で以下の成分を添加し、5uL反応について記載されているようにステップ間でインキュベートする。各添加後にピペッティングすることによって混合する。
a)3uMのdCas9。
b)6uMの急冷tracrRNA。
c)室温で5分間インキュベートする。
d)7.5uMのCRISPR RNA。
e)室温で5分間インキュベートする。
f)150nMの3.6kbの二本鎖線形ラムダDNA。
g)室温で少なくとも20分間インキュベートする。
【0179】
3.ステップ2で調製した5uLの試料を取り、145uLのLiCl緩衝液を添加する。これで、フローセルに添加する準備が完了する。
【0180】
複数のCas9プローブが付着しているDNA試料の調製
1.摂氏90度に2分間加熱し、次いで氷の上に10分間置くことによって、10uMのtracrRNAを急冷する。
【0181】
2.結合緩衝液を含有するエッペンドルフタンパク質Lo-Bindチューブに、以下の順序で以下の成分を添加し、5uL反応について記載されているようにステップ間でインキュベートする。各添加後にピペッティングすることによって混合する。各プローブについて別々にこのステップを行う。
a)3uMのdCas9。
b)6uMの急冷tracrRNA。
c)室温で5分間インキュベートする。
d)7.5uMのCRISPR RNA。
e)室温で5分間インキュベートする。
【0182】
3.エッペンドルフタンパク質Lo-Bindチューブに、上記ステップ2で調製した5uLの各プローブ試料、及び150uLにおける濃度が5nMとなるような十分な3.6kbの二本鎖線形ラムダDNAを添加する。このポットにおける実際の濃度は、プローブの数に依存して変化するであろう。室温で少なくとも20分間インキュベートする。
【0183】
4.ステップ3で調製した試料に、75uLの2×LiCl緩衝液、及び最大150uLの総体積を取るのに十分な水を添加する。これで、フローセルに添加する準備が完了する。
【0184】
ミニオンプラットフォームにおける電気生理学実験
細孔を有するLiClフローセルにおける電流値を評価し、必要に応じて、0pAに限りなく近い値を読み取るように電圧オフセットを適用する。各レベルで30秒間保持する、10mVステップにおける0mVから+-100mVにランプするIVカーブを実行する(図7を参照)。サンプリング周波数は30kHzに設定する。これは、試料が添加される前の対照セクションとして役立つ。
【0185】
前述の2つのセクションのいずれかで生成された150uLの試料をミニオンフローセルに添加し、IVカーブ測定を繰り返す。
【0186】
結果
これらを図1図7に示す。
【0187】
配列
3.6kbの二本鎖線形ラムダDNA(配列番号1)
GCCATCAGATTGTGTTTGTTAGTCGCTGCCATCAGATTGTGTTTGTTAGTCGCTTTTTTTTTTTGGAATTTTTTTTTTGGAATTTTTTTTTTGCGCTAACAACCTCCTGCCGTTTTGCCCGTGCATATCGGTCACGAACAAATCTGATTACTAAACACAGTAGCCTGGATTTGTTCTATCAGTAATCGACCTTATTCCTAATTAAATAGAGCAAATCCCCTTATTGGGGGTAAGACATGAAGATGCCAGAAAAACATGACCTGTTGGCCGCCATTCTCGCGGCAAAGGAACAAGGCATCGGGGCAATCCTTGCGTTTGCAATGGCGTACCTTCGCGGCAGATATAATGGCGGTGCGTTTACAAAAACAGTAATCGACGCAACGATGTGCGCCATTATCGCCTAGTTCATTCGTGACCTTCTCGACTTCGCCGGACTAAGTAGCAATCTCGCTTATATAACGAGCGTGTTTATCGGCTACATCGGTACTGACTCGATTGGTTCGCTTATCAAACGCTTCGCTGCTAAAAAAGCCGGAGTAGAAGATGGTAGAAATCAATAATCAACGTAAGGCGTTCCTCGATATGCTGGCGTGGTCGGAGGGAACTGATAACGGACGTCAGAAAACCAGAAATCATGGTTATGACGTCATTGTAGGCGGAGAGCTATTTACTGATTACTCCGATCACCCTCGCAAACTTGTCACGCTAAACCCAAAACTCAAATCAACAGGCGCCGGACGCTACCAGCTTCTTTCCCGTTGGTGGGATGCCTACCGCAAGCAGCTTGGCCTGAAAGACTTCTCTCCGAAAAGTCAGGACGCTGTGGCATTGCAGCAGATTAAGGAGCGTGGCGCTTTACCTATGATTGATCGTGGTGATATCCGTCAGGCAATCGACCGTTGCAGCAATATCTGGGCTTCACTGCCGGGCGCTGGTTATGGTCAGTTCGAGCATAAGGCTGACAGCCTGATTGCAAAATTCAAAGAAGCGGGCGGAACGGTCAGAGAGATTGATGTATGAGCAGAGTCACCGCGATTATCTCCGCTCTGGTTATCTGCATCATCGTCTGCCTGTCATGGGCTGTTAATCATTACCGTGATAACGCCATTACCTACAAAGCCCAGCGCGACAAAAATGCCAGAGAACTGAAGCTGGCGAACGCGGCAATTACTGACATGCAGATGCGTCAGCGTGATGTTGCTGCGCTCGATGCAAAATACACGAAGGAGTTAGCTGATGCTAAAGCTGAAAATGATGCTCTGCGTGATGATGTTGCCGCTGGTCGTCGTCGGTTGCACATCAAAGCAGTCTGTCAGTCAGTGCGTGAAGCCACCACCGCCTCCGGCGTGGATAATGCAGCCTCCCCCCGACTGGCAGACACCGCTGAACGGGATTATTTCACCCTCAGAGAGAGGCTGATCACTATGCAAAAACAACTGGAAGGAACCCAGAAGTATATTAATGAGCAGTGCAGATAGAGTTGCCCATATCGATGGGCAACTCATGCAATTATTGTGAGCAATACACACGCGCTTCCAGCGGAGTATAAATGCCTAAAGTAATAAAACCGAGCAATCCATTTACGAATGTTTGCTGGGTTTCTGTTTTAACAACATTTTCTGCGCCGCCACAAATTTTGGCTGCATCGACAGTTTTCTTCTGCCCAATTCCAGAAACGAAGAAATGATGGGTGATGGTTTCCTTTGGTGCTACTGCTGCCGGTTTGTTTTGAACAGTAAACGTCTGTTGAGCACATCCTGTAATAAGCAGGGCCAGCGCAGTAGCGAGTAGCATTTTTTTCATGGTGTTATTCCCGATGCTTTTTGAAGTTCGCAGAATCGTATGTGTAGAAAATTAAACAAACCCTAAACAATGAGTTGAAATTTCATATTGTTAATATTTATTAATGTATGTCAGGTGCGATGAATCGTCATTGTATTCCCGGATTAACTATGTCCACAGCCCTGACGGGGAACTTCTCTGCGGGAGTGTCCGGGAATAATTAAAACGATGCACACAGGGTTTAGCGCGTACACGTATTGCATTATGCCAACGCCCCGGTGCTGACACGGAAGAAACCGGACGTTATGATTTAGCGTGGAAAGATTTGTGTAGTGTTCTGAATGCTCTCAGTAAATAGTAATGAATTATCAAAGGTATAGTAATATCTTTTATGTTCATGGATATTTGTAACCCATCGGAAAACTCCTGCTTTAGCAAGATTTTCCCTGTATTGCTGAAATGTGATTTCTCTTGATTTCAACCTATCATAGGACGTTTCTATAAGATGCGTGTTTCTTGAGAATTTAACATTTACAACCTTTTTAAGTCCTTTTATTAACACGGTGTTATCGTTTTCTAACACGATGTGAATATTATCTGTGGCTAGATAGTAAATATAATGTGAGACGTTGTGACGTTTTAGTTCAGAATAAAACAATTCACAGTCTAAATCTTTTCGCACTTGATCGAATATTTCTTTAAAAATGGCAACCTGAGCCATTGGTAAAACCTTCCATGTGATACGAGGGCGCGTAGTTTGCATTATCGTTTTTATCGTTTCAATCTGGTCTGACCTCCTTGTGTTTTGTTGATGATTTATGTCAAATATTAGGAATGTTTTCACTTAATAGTATTGGTTGCGTAACAAAGTGCGGTCCTGCTGGCATTCTGGAGGGAAATACAACCGACAGATGTATGTAAGGCCAACGTGCTCAAATCTTCATACAGAAAGATTTGAAGTAATATTTTAACCGCTAGATGAAGAGCAAGCGCATGGAGCGACAAAATGAATAAAGAACAATCTGCTGATGATCCCTCCGTGGATCTGATTCGTGTAAAAAATATGCTTAATAGCACCATTTCTATGAGTTACCCTGATGTTGTAATTGCATGTATAGAACATAAGGTGTCTCTGGAAGCATTCAGAGCAATTGAGGCAGCGTTGGTGAAGCACGATAATAATATGAAGGATTATTCCCTGGTGGTTGACTGATCACCATAACTGCTAATCATTCAAACTATTTAGTCTGTGACAGAGCCAACACGCAGTCTGTCACTGTCAGGAAAGTGGTAAAACTGCAACTCAATTACTGCAATGCCCTCGTAATTAAGTGAATTTACAATATCGTCCTGTTCGGAGGGAAGAACGCGGGATGTTCATTCTTCATCACTTTTAATTGATGTATATGCTCTCTTTTCTGACGTTAGTCTCCGACGGCAGGCTTCAATGACCCAGGCTGAGAAATTCCCGGACCCTTTTTGCTCAAGAGCGATGTTAATTTGTTCAATCATTTGGTTAGGAAAGCGGATGTTGCGGGTTGTTGTTCTGCGGGTTCTGTTCTTCGTTGACATGAGGTTGCCCCGTATTCAGTGTCGCTGATTTGTATTGTCTGAAGTTGTTTTTACGTTAAGTTGATGCAGATCAATTAATACGATACCTGCGTCATAATTGATTATTTGACGTGGTTTGATGGCCTCCACGCACGTTGTGATATGTAGATGATAATCATTATCACTTTACGGGTCCTTTCCGGTGAAAAAAAAGGTACCAAAAAAAACATCGTCGTGAGTAGTGAACCGTAAGC
Enlam86
このDNA配列に結合するであろうIDTから順序付けられたaltR cas9 tracr
GGGTCATTGAAGCCTGCCGT(配列番号2):
Enlam87
このDNA配列に結合するであろうIDTから順序付けられたaltR cas9 tracr:
GGTTTCTTCCGTGTCAGCAC(配列番号3)
AR837
このDNA配列に結合するであろうIDTから順序付けられたaltR cas9 tracr:
TCATGTCTTACCCCCAATAA(配列番号4)
Enlam51
このDNA配列に結合するであろうIDTから順序付けられたaltR cas9 tracr:
AATCAGCGACACTGAATACG(配列番号5)
Enlam5
このDNA配列に結合するであろうIDTから順序付けられたaltR cas9 tracr:
CGTGGGCGTACTTTATGGGGCGG(配列番号6)
Enlam26
このDNA配列に結合するであろうIDTから順序付けられたaltR cas9 tracr:
CGGACTGCGATAATAAGTGGTGG(配列番号7)
Enlam45
このDNA配列に結合するであろうIDTから順序付けられたaltR cas9 tracr:
TGTGGTAGTGAGATGAAAAGAGG(配列番号8)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
2024536351000001.xml
【国際調査報告】