(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】吸収性物品のための上層システム
(51)【国際特許分類】
A61F 13/511 20060101AFI20240927BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20240927BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20240927BHJP
A61F 13/537 20060101ALI20240927BHJP
A61F 13/512 20060101ALI20240927BHJP
A61F 13/472 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61F13/511 300
A61F13/511 200
A61F13/534 100
A61F13/53 300
A61F13/537 210
A61F13/512
A61F13/53 100
A61F13/472
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520651
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 US2022077878
(87)【国際公開番号】W WO2023064746
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】ピエトロ、チェチェット
(72)【発明者】
【氏名】ミサエル、オマール、アビレス
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド、エイ、ビアンズ
(72)【発明者】
【氏名】オリビア、ミーブ、ニューマン
(72)【発明者】
【氏名】ホセ、エンリケ、ベタンクール
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA03
3B200AA15
3B200BA01
3B200BA08
3B200BA09
3B200BA14
3B200BB03
3B200BB21
3B200CA11
3B200DA13
3B200DA14
3B200DB01
3B200DB02
3B200DB12
3B200DC01
3B200DC02
3B200DC04
3B200EA01
(57)【要約】
女性用衛生パッドが開示される。パッドは、不織布ウェブを含むトップシートと、トップシートの下の流体管理層とを含み得る。ウェブは、1.5~2.5の平均デニール及びシース-コア構成を有する2成分ステープル繊維を含み得、約18gsm~40gsmの坪量、並びに複数のランダムに分布した繊維間結合を有し、隣接する繊維のシースが、圧縮されずに互いに融着されている。40:60~60:40の重量比で、シースはPEを含んでもよく、コアはPETを含んでもよい。ウェブは、主に疎水性繊維から形成されてもよく、又はウェブは、30:70~70:30の重量比で親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドを含んでもよく、繊維親水性は、表面処理組成物の適用によって達成される。トップシートは、固着防止剤の局所適用を有してもよく、かつ/又はトップシートを貫通する孔のパターンを有してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維性不織布ウェブを含む液体透過性トップシート(20)と、前記トップシートの下の繊維性流体管理層(30)と、前記流体管理層の下の吸収性構造体(40)と、前記吸収性構造体の下のバックシート(50)とを含む、女性用衛生パッド(10)であって、
前記繊維性不織布ウェブが、2成分ステープルトップシート繊維を含み、前記トップシート繊維が、
1.5~2.5の平均デニールを有し、
シース-コア構成であって、前記シース成分がポリエチレン(PE)を含み、前記コア成分がポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、PE:PETの重量比が、40:60~60:40である、シース-コア構成を有し、かつ
親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドであって、親水性繊維と疎水性繊維との重量比が、約30:70~70:30、より好ましくは約35:65~65:35、更により好ましくは約40:60~60:40であり、前記親水性繊維の親水性が、表面処理組成物の適用によって達成される、親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドを含み、
前記繊維性不織布ウェブが、約18gsm~40gsm、より好ましくは約20gsm~30gsm、更により好ましくは約22gsm~26gsmの坪量を有し、
前記繊維性不織布ウェブが、複数のランダムに分布した繊維間結合を含み、隣接する繊維のシースが、圧縮せずに互いに融着されており、
前記トップシートが、固着防止剤の局所適用を有する、女性用衛生パッド。
【請求項2】
前記流体管理層(30)が、前記流体管理層の約10パーセント~約60パーセントの重量分率の再生セルロースの吸収性繊維と、前記流体管理層の約25パーセント~約70パーセントの重量分率の2成分剛化繊維と、前記流体管理層の約15パーセント~約70パーセントの重量分率の弾性繊維とを含むカード処理ステープル繊維を含む、請求項1に記載の女性用衛生パッド。
【請求項3】
前記吸収性繊維が、約0.6~2.4dtex、より好ましくは約0.9~2.1dtex、更により好ましくは約1.1~1.9dtex、最も好ましくは約1.3~1.7dtexである、請求項2に記載の女性用衛生パッド。
【請求項4】
前記剛化繊維が、約1.0dtex~6dtex、より好ましくは約1.5dtex~5dtex、又は更により好ましくは約2.0dtex~4dtexである、請求項2又は3に記載の女性用衛生パッド。
【請求項5】
前記剛化繊維が、シース-コア構成を有する2成分繊維であり、コア成分が、PETを含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の女性用衛生パッド。
【請求項6】
前記弾性繊維が、約4dtex~15dtex、又はより好ましくは約5dtex~12dtex、又は更により好ましくは約6dtex~10dtexである、請求項2~5のいずれか一項に記載の女性用衛生パッド。
【請求項7】
前記弾性繊維が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項6に記載の女性用衛生パッド。
【請求項8】
前記流体管理層が、複数のランダムに分布した繊維間結合を含み、隣接する繊維が、圧縮せずに互いに融着されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の女性用衛生パッド。
【請求項9】
前記流体管理層が、複数の層を含み、その繊維構成要素が、z方向に一体化されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の女性用衛生パッド。
【請求項10】
前記トップシートが、それを貫通する孔のパターンを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の女性用衛生パッド。
【請求項11】
前記孔が、0.5mm
2~2.5mm
2、好ましくは0.6mm
2~1.2mm
2の平均面積を有する、請求項10に記載の女性用衛生パッド。
【請求項12】
前記孔が、6パーセント~25パーセント、より好ましくは8パーセント~18パーセント、更により好ましくは10パーセント~15パーセントの開口面積を集合的に構成する、請求項10又は11に記載の女性用衛生パッド。
【請求項13】
前記固着防止剤が、ポリプロピレングリコール材料、及び任意で担体を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の女性用衛生パッド。
【請求項14】
繊維性不織布ウェブを含む液体透過性トップシート(20)と、前記トップシートの下の繊維性流体管理層(30)と、前記流体管理層の下の吸収性構造体(40)と、前記吸収性構造体の下のバックシート(50)とを含む、女性用衛生パッド(10)であって、
前記繊維性不織布ウェブが、2成分ステープルトップシート繊維を含み、前記トップシート繊維が、
1.5~2.5の平均デニールを有し、
シース-コア構成であって、前記シース成分がポリエチレン(PE)を含み、前記コア成分がポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、PE:PETの重量比が、40:60~60:40である、シース-コア構成を有し、かつ
前記繊維性不織布ウェブの主な重量分率で、好ましくは全てが疎水性であり、
前記繊維性不織布ウェブが、約18gsm~40gsm、より好ましくは約20gsm~30gsm、更により好ましくは約22gsm~26gsmの坪量を有し、
前記繊維性不織布ウェブが、複数のランダムに分布した繊維間結合を含み、隣接する繊維のシースが、圧縮せずに互いに融着されており、
前記トップシートが、それを貫通する孔のパターンを有する、女性用衛生パッド。
【請求項15】
前記トップシートが、固着防止剤の局所適用を有し、前記固着防止剤が、ポリプロピレングリコール材料、及び任意で担体を含む、請求項14に記載の女性用衛生パッド。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な設計の吸収性物品が、月経液、尿、及び糞便を含む身体滲出物を遮断、捕捉、封じ込め、及び吸収する目的で、下着、外衣、寝具などの汚れを回避するために滲出物を管理する目的で、長年にわたって使用されてきた。
【0002】
吸収性物品の1つのタイプである女性用衛生パッド(「生理用ナプキン」、「月経用パッド」などとしても知られる)は、月経中の月経液の排出を管理するために女性によって使用されてきた。典型的な女性用衛生パッドには、パッドの身体/着用に面する表面を形成する液体透過性トップシートと、パッドの外方に面する表面を形成し、パッドによって吸収された流体がパッドの外方に面する表面に移動して出ることを防止するバリアとして機能する液体不透過性バックシートと、パッドの所望の着用/使用期間中に、捕捉、分配、吸収、封じ込め、及び貯蔵を含む、多かれ少なかれ任意の所望の組み合わせで流体処理機能を果たす吸収性構造体とが含まれる。典型的なパッドは、対象となる使用者のパンツの股領域の内側に配置されるように構成され、形作られ、サイズが決められている。多くのパッドは、バックシートの外方に面する表面上に接着剤の1つ以上の付着物を含み、着用者がパッドを下着の内側表面に貼り付けて、着用/使用中にパッドを好適な位置に保持できるようにしている。
【0003】
女性用衛生パッド用のトップシートを形成するために、様々な材料が開発され、使用されてきた。
【0004】
いくつかの例では、トップシートは、そこに形成された孔のパターンを有するポリマーフィルムで形成することができる。孔は、排出された流体がトップシートを通過して、その下に配置されたパッドの吸収性構成要素に移ることを可能にする役割を果たす。しかしながら、消費者市場の一部の部分では、皮膚への感触を含み得る様々な理由から、フィルムトップシートを好まない場合がある。
【0005】
他の例では、トップシートは、繊維性不織布ウェブ材料から形成されてもよい。不織布の特徴の無数の組み合わせが可能である。繊維性構成要素は、不定で様々な長さの比較的長い繊維であってもよく、又はステープル繊維であってもよい。それらは、天然繊維(例えば、綿繊維)、半合成繊維(例えば、再生セルロース(例えば、レーヨン、ビスコース、リヨセル等))繊維を含んでもよい。それらは、単一成分繊維又は多成分繊維を含んでもよい。繊維は、比較的真っ直ぐであってもよく、又はカールしていてもよく、又は捲縮していてもよい。紡糸繊維は、様々な熱可塑性ポリマー成分から紡糸することができる。前駆体バット又は構成繊維の集積体は、統合されてもよく、繊維は一緒に保持され、それによってウェブは、繊維交絡、繊維間融着、繊維間結合剤/接着剤結合などを含む様々な機構によって付与された布様特性及び構造的一体性を有する。任意の所望の選択の様々な種類の繊維を所望の重量比でブレンドして、不織布ウェブを構成する。構成繊維又は不織布ウェブの任意の部分又は全体を処理して、繊維表面に疎水性若しくは親水性、又はそれらの任意の組み合わせ若しくは配置を付与又は増加させることができる。
【0006】
一般に、女性用衛生パッドのトップシートが、以下のものであることが使用者によって望ましい。
-月経液を容易に受け入れ、それを通してz方向下向きに、下にある吸収性構成要素への月経液の迅速な通過(迅速な捕捉)を促進する。
-月経液がx-y方向に広がることに抵抗し及び月経液による汚染に抵抗する。
-下にある吸収性構成要素からの流体の再捕捉に抵抗し、流体がそれを通してz方向上向きに移動して(再湿潤)、着用者に面する表面に戻る(それにより、着用者に濡れた感触、並びに/又は不完全な吸収及びより効果的でない保護の認識を引き起こす)ことに抵抗する。
-下にある吸収性構成要素によって吸収された月経液を、(効果的な吸収及び清潔さの認識のために)それを通して見ることから、実用的に最大限に隠す。
-着用者の皮膚に対して柔らかく快適であり、流体侵入後を含めて乾燥している感触である。
【0007】
これらの目的は、ある程度相反する。例えば、流体をz方向の下向きに容易に吸い上げる不織布ウェブ材料のトップシートはまた、流体をある程度保持するか、又は流体をz方向の上向きに容易に吸い上げて戻す(再湿潤)か、又はx-y方向に沿って流体を吸い上げて広がりを引き起こす傾向があり得る。逆に、吸収性構成要素から着用者に面する表面へのz方向の流体移動に抵抗するトップシートは、x-y方向の流体移動/吸い上げにも抵抗し得るが、流体を容易に受け入れず、それを吸収性構成要素へ容易に通過させない可能性もある(遅い捕捉)。実質的な透過性(例えば、大きな細孔容積によって提供される)を有するウェブは、流体を容易に受け入れて通過させることができるが、加工ライン上で処理するには機械的堅牢性が不十分である可能性があるか、又は消費者/使用者に受け入れられるには、不透明性が不十分であるか、若しくは外観が実質的に不十分である可能性がある。相反する目的を可能な限り満たすために、上記で特定された異なる構成要素、構成、及び特徴の無数の組み合わせを通じて、様々な手法が試みられてきた。しかしながら、改善の機会は残っている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書は、本発明としてみなされる主題を詳細に示しかつ明確に特許請求する特許請求の範囲をもって完結するが、本発明は、以下の説明文を添付の図面と併せて読むことで更に深い理解がなされるものと考えられる。一部の図は、より明確に他の要素を示す目的のために、選択された要素を省略することによって簡略化されている場合がある。一部の図中のそのような要素の省略は、対応する書面による説明の中で明確に叙述されている場合を除き、例示的な実施形態のいずれかの中の特定要素の有無を必ずしも示すものではない。いずれの図面も必ずしも一定の縮尺に従っていない。
【
図1A】吸収性物品の一例の(z方向に沿った)概略平面図である。
【
図1B】
図1Aに示される吸収性物品の吸収性コア成分層の例の(z方向に沿った)概略平面図である。
【
図2】流体管理層を製造するように構成され得る装置の配置及びプロセスの例の概略図である。
【
図3】流体管理層のz方向平面に沿った断面の一例の概略図である。
【
図4】貫通する孔のパターンを有する不織布ウェブ材料の一部の(z方向に沿った)平面図画像である。
【
図5】貫通する孔を有する不織布ウェブ材料の一部の平面図(z方向に沿った)拡大画像である。
【
図6】本明細書に記載の捕捉時間及び再湿潤測定法で使用される染み透りプレートの上面図である。
【
図7】本明細書に記載の捕捉時間及び再湿潤測定法で使用される染み透りプレートの底面図である。
【
図8A】本明細書に記載の捕捉時間及び再湿潤測定法で使用される染み透りプレートの、
図6に示されるz方向及び線A-Aによって画定される平面に沿った断面図である。
【
図8B】本明細書に記載の捕捉時間及び再湿潤測定法で使用される染み透りプレートの、
図6に示されるz方向及び線B-Bによって画定される平面に沿った断面図である。
【
図9A】本明細書に記載の捕捉時間及び再湿潤測定法を使用して測定された、10個のプロトタイプ女性用衛生パッドの試料について測定された第2の捕捉時間を示す図表である。
【
図9B】本明細書に記載の捕捉時間及び再湿潤測定法を使用して測定された、10個のプロトタイプ女性用衛生パッドの試料について測定された第2の捕捉時間を示す図表である。
【
図10A】本明細書に記載の捕捉時間及び再湿潤測定法を使用して測定された、10個のプロトタイプ女性用衛生パッドの試料について測定された表面自由流体(surface free fluid、SFF)及び再湿潤の合計を示す図表である。
【
図10B】本明細書に記載の捕捉時間及び再湿潤測定法を使用して測定された、10個のプロトタイプ女性用衛生パッドの試料について測定された表面自由流体(surface free fluid、SFF)及び再湿潤の合計を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
本明細書で使用する場合、以下の用語は後に指定される意味を有するものとする。
【0010】
「吸収性物品」は、液体を吸収する及び/又は封じ込める着用可能デバイスを指し、より詳細には、着用者の身体に対して又は近接して配置されて、身体から排出される様々な滲出物を吸収及び封じ込めるデバイスを指す。吸収性物品としては、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁下着(例えば、ライナー、パッド、及びブリーフ)、及び/又は女性用衛生パッド(例えば、「生理用ナプキン」、「月経用パッド」、「パンティライナー」などとしても知られる)を含む女性用衛生用品を挙げることができる。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「一体化された」とは、不織布材料の繊維が正及び/又は負のZ方向(不織布材料の厚さの方向)に撚り合わされ、交絡され、及び/又は押し込まれ/引き出された不織布材料の繊維を記述するために使用される。不織布ウェブの繊維を一体化するためのいくつかの例示的なプロセスとしては、スパンレース法及びニードルパンチ法が挙げられる。スパンレース法(「水流交絡」又は(「水流強化(hydroenhancing)」)としても知られるは、繊維を交絡させるために、機械方向に沿って搬送されている前駆体バット又は繊維の集積体に向けられた複数の高圧水ジェットを使用する。ニードルパンチ法(「ニードリング」としても知られる)は、前駆体バット又は繊維の集積体の繊維をz方向に機械的に押し、かつ/又は引っ張り、それらをバット又は集積体中の他の繊維と絡ませるために特別な機能を備えたニードルを使用することを含む。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「カード処理」は、本明細書に記載される流体管理層の構造的特徴を記述するために使用される。カード処理不織布は、「ステープル長繊維」としても知られる、特定の有限長さに切断された繊維で形成される。ステープル長繊維は、任意の選択された長さのものであってよい。例えば、ステープル長繊維は、最大120mmの長さから、10mm程度の短い長さに切断することができる。しかしながら、特定の群の繊維がステープル長繊維である場合、カード処理不織布中の繊維の各々の長さは、ほぼ同じ、すなわち、ステープル長である。2つ以上の組成の繊維が不織布ウェブ、例えばポリプロピレン繊維及びビスコース繊維を含むウェブに含まれる場合、同じ組成の繊維の各々の長さは実質的に同じであってもよいが、それぞれの繊維組成のそれぞれのステープル繊維の長さは異なっていてもよい。
【0013】
ステープル繊維とは対照的に、例えばスパンボンド又はメルトブローン不織布ウェブ製造プロセスにおいて紡糸によって製造されるものなどのフィラメントは、通常、ステープル長繊維ではない。代わりに、これらのフィラメントは、「連続」繊維として特徴付けられることがあり、これは、それらのフィラメントが、比較的長く不定の長さであり、それらのステープル繊維対応物のように、紡糸後に特定の長さに切断されないことを意味する。
【0014】
「横方向」とは、女性用衛生パッドなどの吸収性物品、又はその構成要素に関して、パッドが正常に着用され、着用者が均等で真っ直ぐな正常な立位をとったときに、胴体に近接する着用者の脚の上部の前面に接する水平線に平行な方向を指す。女性用衛生パッドなどの物品の任意の構成要素又は特徴の「幅」寸法は、横方向に沿って測定される。物品又はその構成要素が水平面上に平らに配置されるとき、「横」方向は、上で定義されるように、それが着用されたときの構造体に対する横方向に一致する。開かれて水平平面上に平らに配置される女性用衛生パッドのような物品に関して、「横」とは、長手方向に対して垂直かつ水平平面に平行な方向を指す。
【0015】
女性用衛生パッド又はその構成要素などの吸収性物品の「横軸」とは、パッド又は構成要素が水平面上に平らに配置されるときに、x-y平面内に位置し、パッド又は構成要素の長さを等分する横線である。横軸は長手方向軸に対して垂直である。
【0016】
「長手方向」とは、女性用衛生パッドなどの吸収性物品、又はその構成要素に関して、横方向に垂直な方向を指す。物品の任意の構成要素又は特徴の「長さ」寸法は、その前方範囲からその後方範囲まで長手方向に沿って測定される。女性用衛生パッドなどの物品又はその構成要素が、水平面上に平らに配置されるとき、「長手」方向は、上で定義されたように、着用されたときのパッドに対して横方向に垂直である。
【0017】
女性用衛生パッド又はその構成要素の「長手方向軸」とは、パッドが水平面上に平らに配置されるときに、x-y平面内に位置し、パッド又は構成要素の幅を等分する長手方向の線である。長手方向軸は、横軸に対して垂直である。
【0018】
吸収性物品、例えば女性用衛生パッド、又はその構成要素に関して、水平面上に平らに配置されるとき、「x-y平面」とは、物品又は構成要素の水平面又は任意の層によって占められる任意の水平面を意味する。
【0019】
吸収性物品、例えば女性用衛生パッド又はその構成要素に関して、「z方向」とは、水平面上に平らに配置されるとき、x-y平面に垂直/直交する方向である。
【0020】
「上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「上に」、「下に」、「下の」、「超隣接」、「下にある」という用語、及び相対的な垂直位置に関する同様の用語は、本明細書で使用される場合、女性用衛生パッドなどの吸収性物品の層、構成要素、又は他の特徴を指すためにz方向に対するものであり、着用者に面する表面が上方に向けられ、外方に面する表面が下方に向けられた状態で、水平面上に平らに配置されたときに見えるパッドに対して解釈されるべきである。
【0021】
女性用衛生パッドなどの吸収性物品、又はその構成要素若しくは構造体に関して、「着用者に面する」は、使用時に構成要素又は構造体の別の特徴よりも着用者の近くに位置する構成要素又は構造体の特徴を指す相対的な位置用語である。例えば、トップシートは、トップシートの反対側の外方に面する表面よりも着用者の近くに位置する着用者に面する表面を有する。
【0022】
女性用衛生パッドなどの吸収性物品、又はその構成要素若しくは構造体に関して、「外方に面する」は、使用時に構成要素又は構造体の別の特徴よりも着用者から遠くに位置する構成要素又は構造体の特徴を指す相対的な位置用語である。例えば、トップシートは、トップシートの反対側の着用者に面する表面よりも着用者から遠くに位置する外方に面する表面を有する。
【0023】
女性用衛生パッド又はその構成要素などの吸収性物品に関して本明細書で使用するとき、「機械方向」又は「MD(Machine Direction)」は、加工/製造装置を通る物品又は構成要素の流れに平行な方向を指す。
【0024】
女性用衛生パッド又はその構成要素などの吸収性物品に関して本明細書で使用するとき、「機械横方向」又は「CD」は、機械方向に対し垂直/直交する方向を指す。
【0025】
「主要な」及びその形態は、組成、材料、特徴などによって構成される吸収性物品又はその構成要素の重量、体積、表面積などの量を特徴付けるために使用される場合、吸収性物品又はその構成要素のそのような重量、体積、表面積などの大部分が、組成、材料、特徴などによって構成されることを意味する。
【0026】
全体-吸収性物品、女性用衛生パッド
図1Aを参照すると、女性用衛生パッド10などの本明細書で企図される吸収性物品は、着用者に面する表面と、反対側の外方に面する表面とを含む。液体透過性トップシート20は、着用者に面する表面の少なくとも一部分を形成することができ、液体不透過性バックシートは、外方に面する表面の少なくとも一部分を形成することができる。吸収性構造体40を含む吸収性コアは、トップシートとバックシートとの間に配置され、流体管理層30は、吸収性構造体40とトップシート20との間に含まれ、配置され得る。(本明細書に記載される流体管理層は、時には当該技術分野において「捕捉/分配層」、「分配層」又は「二次トップシート」として知られており、その目的は、流体噴出からのエネルギーを必要な程度まで消散させ、下にある吸収性構造体が流体を摂取及び吸収するのに必要な時間の間に排出された流体が占有する一時的な空間容積を提供し、吸収性構造体全体に流体を分配してその有効利用を最大化することである。)これらの特徴を共有する吸収性物品の非限定的な例としては、女性用衛生パッド(「生理用ナプキン」、「月経用パッド」などとしても知られる)、使い捨て失禁用パッド、使い捨て失禁下着、使い捨て乳児用おむつ、及び使い捨て乳児/小児用トレーニングパンツが挙げられる。
【0027】
トップシート20及びバックシート50は、一緒に接合されて、パッド10の外周を形成及び画定することができる。吸収性構造体40及び流体管理層30はそれぞれ、外周の横方向及び長手方向内側に配置された外側周辺部を有するようなサイズにされる。吸収性構造体40及び流体管理層30は、x-y方向において互いに実質的に同様又は同一の寸法及び形状であってもよく、又はそれぞれ異なるx-y寸法及び/若しくは形状を有してもよい。一方若しくは両方は、
図1Aに示唆されるような長方形形状を有するように製造されてもよく、又は一方若しくは両方は、楕円形状、スタジアム形状、角丸長方形形状、砂時計形状、ピーナッツ形状などの任意の他の好適な形状を有するように製造されてもよい。長手方向縁部に沿って凹状輪郭を有する形状は、いくつかの例では、着用者の身体との向上した快適性及び/又は適合性を提供し得る。
【0028】
トップシート20は、任意の好適な取り付け機構による取り付けによってバックシート50に接合し得る。トップシート20とバックシート50とは、物品の外周部において互いに直接接合されてもよく、それらを吸収性構造体40、流体管理層30、及び/又はトップシート20とバックシート50との間に配置された更なる層に直接接合することによって、互いに間接的に接合されてもよい。この間接接合又は直接接合は、当該技術分野において周知である好適な取り付け機構によって達成することができる。取り付け機構の非限定的な例としては、例えば融着結合、超音波結合、圧力結合、接着結合、又はこれらの任意の好適な組み合わせが挙げられ得る。
【0029】
トップシート
全体
一般に、トップシート20は、着用者の皮膚に対して適合し、柔らかな感触で、刺激を与えないものであることが望ましい。好適なトップシート材料としては、着用者の身体に向かって方向付けられ、かつ身体に接触して、流体がトップシートを通って着用者の皮膚に逆流することなく、身体の排泄物が通って急速に浸透することを可能にする、液体透過性材料が挙げられる。トップシートは、それを通して流体の迅速な移動を可能にすることができる一方、ローション組成物を、着用者の皮膚の外側部分又は内側部分上に移動又は移行させることもできる。トップシートは不織布材料を備え得る。
【0030】
不織布繊維トップシート20は、不織布ウェブを作製する任意の既知の手順により製造することができ、この非限定例としては、スパンボンドプロセス、カード処理、ウェットレイド、エアレイド、メルトブローイングプロセス、ニードルパンチ法、機械交絡、熱機械交絡、及び水流交絡が挙げられる。
【0031】
トップシートとしての使用に好適な不織布材料は、1つの繊維層を含んでいてもよく、あるいは、同じ組成又は異なる組成を含み得る複数の不織布層の積層体(例えば、スパンボンド-メルトブローン積層体)であってもよい。1つの特定の例では、トップシートは、カード処理されたエアスルー結合不織布である。
【0032】
本明細書で企図されるトップシートは、フィルムによって占められるトップシートx-y表面積のいかなる主要な部分も含まない。女性用衛生パッド用のいくつかの現在知られているトップシートは、単独で、又は隣接して配置された不織布ウェブ材料と組み合わせて、ハイドロフォーミングフィルム又は真空成形フィルムなどの有孔フィルムを含む。フィルムは、液体が再び表面に現れて、着用者に接触するのを防止するのに役立ち得る。しかしながら、本発明者らは、本明細書に記載の特徴を有するトップシートが、特に本明細書に記載の流体管理層と組み合わせて、トップシートのx-y表面積の主要部分にわたってフィルムを含むトップシートを有するパッドと同等以上の再湿潤を効果的に防止することができることを見出した。理論に束縛されるものではないが、流体管理層内の各層における繊維タイプ及び繊維タイプの線密度を慎重に選択することにより、適切に短い液体捕捉時間及び低再湿潤の所望の組み合わせが得られ、従来の不織布トップシートに関連するこれらの相反する目的における典型的なトレードオフを克服することができるものと考えられる。改善された性能は、独特の不織布トップシートと本開示の流体管理層との新規組み合わせから明らかである。
【0033】
坪量
トップシート不織布は、少なくとも約15gsm、より好ましくは少なくとも約40gsm、又は最も好ましくは少なくとも約60gsm(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が列挙される)の坪量で製造され得る。いくつかの例では、本明細書で企図される不織布トップシートは、約15gsm~80gsm、より好ましくは約20gsm~60gsm、又は最も好ましくは約20gsm~40gsm(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が列挙される)の坪量を有するように製造され得る。特定の例では、トップシート不織布は、約18gsm~40gsm、より好ましくは約20gsm~30gsm、更により好ましくは約22gsm~26gsm(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が列挙される)の坪量で製造され得る。望ましい坪量の範囲は、範囲の下端では、加工に必要なウェブ引張強度のレベルの必要性によって、並びに不透明度のレベル及びロフト(loft)、感触及び外観の実体に対する消費者の好みによって影響を受ける。望ましい坪量の範囲は、範囲の上端では、好適な迅速な流体捕捉及びトップシートを通る流体の通過の必要性、並びに材料コストの問題によって影響を受ける。
【0034】
繊維組成
トップシートとして使用するのに好適な織布材料及び不織布材料の非限定的な例としては、天然繊維、例えば、100パーセントオーガニックコットンを含む、綿、改質天然繊維、半合成繊維(例えば、再生セルロースから紡糸された繊維)、合成繊維(例えば、ポリマー樹脂から紡糸された繊維)、又はこれらの組み合わせから作製された繊維性材料が挙げられる。合成繊維は、単一ポリマー又はポリマーのブレンドから紡糸された繊維を含み得る。合成繊維は、単成分繊維、2成分繊維又は多成分繊維を含むことができる。(本明細書において、2成分又は多成分繊維は、他の部分のものとは異なる単一のポリマー又は単一の均質なポリマーブレンドからそれぞれ形成された明確に識別可能な成分部分に分割された断面を有する繊維である。そのような繊維及びその作製プロセスは、当該技術分野において既知である。実質的に円形の断面を有する2成分繊維構成の例としては、並列構成又は「パイスライス」構成、偏心シース-コア構成及び同心シース-コア構成が挙げられる。
【0035】
本明細書で企図される不織布トップシートは、成分の化学的性質の無数の組み合わせを有する繊維を含むことができる。例えば、繊維は、ポリエチレン(polyethylene、PE)及び/又はポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)などのポリマー材料から紡糸されてもよい。繊維は、2成分繊維の形態で紡糸されてもよい。いくつかの例では、2成分繊維は、シース-コア2成分構成において、シース成分として別のポリマーと組み合わせた第1のポリマー(例えば、PET)のコア成分を有してもよい。より特定の例において、PEは、PETコア成分と組み合わせてシース成分を形成してもよい。PET成分を含む繊維は、不織布ウェブに嵩高さ及び弾性、並びに結果として得られるクッション性の感触を提供するのに役立つように選択されてもよい。加えて、弾性を有するPET成分を含む繊維は、含まれる場合、ウェブがそれを貫通して作り出される孔の面積及び寸法を保持するのに役立つ。
【0036】
他のポリマー材料が含まれていてもよい。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、コポリエチレンテレフタレート、コポリプロピレン、及び他の熱可塑性樹脂から紡糸された繊維が含まれていてもよい。より低い融解温度を有するポリマーが、シース-コア2成分繊維が含まれるシース成分を形成することが望ましい場合がある。加えて、理論に束縛されるものではないが、コアとしてのポリエチレンテレフタレートの使用は、トップシートに弾性を付与するのに役立ち得ると考えられる。
【0037】
繊維が紡糸され得るポリマー成分としてのポリエチレンは、他の潜在的に有用なポリマーと比較して、比較的低い融解温度を有し、比較的滑らかな/絹のような表面感触を示す。PETは、比較的高い融解温度を有し、比較的大きな剛性及び弾性を示す。したがって、いくつかの実施例では、シース成分が主にポリエチレンであり、コア成分が主にPETであるシース-コア2成分構成のトップシート不織布繊維が望ましい場合がある。ポリエチレンは、繊維に絹のような感触を付与し、したがってトップシートに絹のような感触を付与するのに有用であり、隣接する/接触する繊維のシースをポリエチレンのより低い融解温度で融解及び融合させる熱処理によって繊維間結合を可能にするのに有用であり、一方、PETは、弾性を付与するのに有用であり、熱処理プロセスで融解しない。本発明者らは、そのようなPE/PETシース-コア2成分繊維における好適な重量比が約40:60~約60:40であり得ることを見出した。
【0038】
表面処理(親水性/疎水性)
繊維の表面は、その化学組成に依存して、本質的に、親水性又は疎水性のいずれかである。例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのいくつかのタイプのポリマーから紡糸又は他の方法で形成された繊維の表面は、本質的に疎水性である。対照的に、再生セルロースから紡糸された繊維(例えば、レーヨン、ビスコース、リヨセルなど)などの他のタイプの繊維の表面は、本質的に親水性である。天然繊維の表面は、本質的に親水性又は疎水性である可能性があるが、これは繊維が受けた処理に依存し得る。例えば、収穫されたままの綿繊維は、天然油及び/又はワックスのコーティングを有し、したがってそれらの表面は疎水性である。しかしながら、それらが精練及び漂白を含むプロセスを受けた後、油及び/又はワックスは除去され、繊維表面は親水性になる。
【0039】
紡糸合成ステープル繊維の製造業者及び/又は供給業者は、現在、例えば、カード処理プロセスにおいて潤滑性を提供する目的で、表面仕上げ剤又は加工助剤の形態のコーティングを繊維に施している。これらの表面仕上げ剤又は加工助剤は、疎水性又は親水性のいずれかとなるように配合されてもよく、吸収性物品の通常の着用期間にわたって水性流体に溶解しないという点で、本明細書の目的のために実質的に耐久性があり得る。したがって、紡糸合成ステープル繊維の製造業者又は供給業者は、疎水性又は親水性表面仕上げのいずれかを有する繊維を提供することができ、現在、不織布材料産業におけるいくつかの製造業者がこれを行っている。
【0040】
紡糸された合成ステープル繊維は、本質的に疎水性若しくは親水性のいずれかの表面を有して得られ得るか、又は購入者の選択でそれらの表面を親水性若しくは疎水性にする表面仕上げを有して得られ得ることに留意すると、親水性(「親水性繊維」)若しくは疎水性(「疎水性繊維」)のいずれかである表面を有する繊維を選択するか、又は両方のタイプの繊維のブレンドを選択することが望ましい場合がある。
【0041】
いくつかの例では、トップシートの繊維構成要素は、重量基準で、主に、実質的に、若しくは完全に疎水性であるか、又は繊維表面仕上げによって疎水性にされることが好ましい場合がある。主に疎水性繊維成分を有する不織布ウェブから形成されたトップシートは、再湿潤に対して抵抗性がある。一方、そのような不織布ウェブの繊維構造内の孔又は繊維間空隙のサイズが十分に大きくない場合、トップシートは、着用に面する表面からその下の物品の吸収性コア成分への流体の通過に抵抗し得、すなわち、本明細書に記載されるように、他の特徴が組み合わせて含まれない限り、容易に/迅速に流体を捕捉しない。
【0042】
他の例では、トップシートが形成されるウェブ材料の部分の一部、大部分(表面積による)、又は全てを構成する繊維は、疎水性繊維及び親水性繊維の両方のブレンドであってもよい。このような例では、親水性繊維は、トップシートの着用者に面する表面から下の吸収性コア成分まで流体を吸い上げるのに役立つことができ、一方、疎水性繊維は、トップシートが再湿潤に抵抗するのに役立つことができる。本発明者らは、そのような例に対してバランスをうまくとることができることを発見した。
【0043】
したがって、いくつかの例では、トップシート不織布は、疎水性繊維と親水性繊維との混合物を含んでもよい。例えば、不織布は、繊維の少なくとも約40重量パーセント、より好ましくは少なくとも約50重量パーセント、又は最も好ましくは少なくとも約60重量パーセント(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が含まれる)の親水性繊維を含んでもよい。より具体的な例では、不織布トップシートは、約40重量パーセント~70重量パーセント、より好ましくは約45重量パーセント~68重量パーセント、又は最も好ましくは約50重量パーセント~65重量パーセント(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が列挙される)の親水性繊維を含んでもよい。トップシート不織布は、30:70~70:30、より好ましくは35:65~65:35、更により好ましくは40:60~60:40の親水性繊維対疎水性繊維の重量比で、親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドを含んでもよい。上述したように、親水性繊維の親水性は、表面処理組成物の適用によって達成され得る。
【0044】
理論に束縛されるものではないが、繊維の大部分が親水性である場合、本明細書に記載の他の特徴と組み合わせることで流体捕捉速度を改善することができる一方で、再湿潤に対してマイナスの又は許容できない程のマイナスの様式で過度に影響を与えないものと考えられる。より少ない再湿潤が目標である場合、その逆が真であり得る。この状況では、より高い重量分率の疎水性繊維が望ましい場合がある。
【0045】
線密度
繊維は、典型的には、デニール又はデシテックスとして表されるような線密度仕様によって製造され、選択され、購入される。所与のポリマー構成の繊維について、線密度は、繊維サイズ/直径と相関する。
【0046】
トップシートを構成する繊維は、約1.0~3.0デニール、より好ましくは約1.5~2.5デニール、更により好ましくは約1.8~2.2デニールの平均線密度を有するように選択されてもよく、これらの範囲内の部分範囲の全ての組み合わせが本明細書で企図される。上述の範囲内で様々な線密度を有する繊維も同様に選択され、含まれてもよい。
【0047】
理論に束縛されるものではないが、本明細書で企図されるような特定の選択されたベースの不織布について、約3.0デニールを超える線密度を有する繊維を含めることは、そのような比較的大きい繊維はより剛性である傾向があるため、一部の消費者にとって十分な柔らかさの感触を欠くトップシートをもたらし得ると考えられる。逆に、約1.0デニール未満の線密度を有する繊維を選択すると、繊維間の間隙空間/空隙が過度に小さくなり、トップシートを通る流体の捕捉及び移動がより困難になる。
【0048】
ステープル繊維の長さ
好適な繊維は、少なくとも約30mm、40mm、若しくは50mm、最大約55mm、又は約30~55mm、若しくは約35~52mmの長さを有するステープル繊維であってもよく、当該範囲についてこの範囲内の1mm刻みに列挙する。特定の例では、ステープル繊維は、約38mmの長さを有してもよい。
【0049】
孔
本発明者らは、比較的小さいサイズ/線密度の繊維、及び/又は主に、実質的に、若しくは完全に疎水性である繊維から形成されるトップシート不織布において、捕捉速度が、ウェブを通る孔のパターンを形成することによって実質的に増加され得ることを見出した。一般に、好ましい孔は、不織布ウェブ内の平均孔/空隙サイズよりも実質的に大きいサイズを有する。孔は、任意の好適な公知のピン打ち抜きプロセスによって形成され得る。プロセスは、任意の所望のパターンで配置されたピンであって、ピン付き円筒形ローラから半径方向に延在し、表面にピン受容ホールを有する嵌合円筒形ローラと結合される、ピンの使用を含んでもよい。一方又は両方のローラは、不織布ウェブ繊維を融解させることなく、それらの軟化及び塑性変形を引き起こすのに十分な温度まで加熱されてもよい。これらのローラ間のニップを通る不織布ウェブ材料の通過は、不織布構造内の繊維の位置のx方向及びy方向並びにz方向に沿った永続的又は実質的に永久的な変位をもたらすことができ、それによって、ウェブが巻き取り、巻き出し及び吸収性物品製造プロセスなどの後続/下流プロセスにおいて操作される際に、それらのサイズ及び形状を実質的に保持するウェブを通る孔を作り出す。好ましくは、孔-形成プロセスは、熱処理によるウェブの結合に続き、より多くの寸法安定な及び形状安定な孔のより確実な形成を提供する。
【0050】
貫通する孔501のパターンを有するトップシート不織布ウェブ材料500の部分の例が、
図4に示される。不織布ウェブ材料を通る孔の例の拡大画像を
図5に示す。孔は、x-y方向に沿った繊維の容易に識別可能な変位によって作成され、その結果、材料を構成する繊維間のランダムに配置された孔又は空隙よりも比較的大きい、不織布ウェブを通るz方向の開口の周囲を画定する変位した繊維の集中した群をもたらすという点で、不織布ウェブ材料を通るランダムに配置された孔又は空隙とは区別される。孔は、0.5mm
2~2.5mm
2、好ましくは約0.6mm
2~1.2mm
2の平均x-y寸法孔面積を付与するように構成されたプロセス及び装置を介してウェブを通して作り出すことができ、これらの範囲内の部分範囲の全ての組み合わせが本明細書で企図される。本明細書において、孔のx-y寸法面積は、孔の周囲の変位した繊維の集中部503の視覚的に識別可能な内側縁部によって画定される。主構造及び/又は周囲の変位した繊維の集中部から逃れ、孔の主開口領域内に又はそれを通って交差する可能性がある逸脱した個々の繊維(例示的な例として、
図5に示される逸脱した個々の繊維504)は、本明細書の目的のために孔面積から減算されるとはみなされない。更に、理論に束縛されるものではないが、孔の形状が長すぎる円形又は狭すぎる場合、流体捕捉速度が悪影響を受ける可能性があると考えられる。したがって、孔は、限定された最大平均x-y方向アスペクト比(x-y方向の最大寸法:最小寸法)を有することが望ましい場合がある。したがって、孔の平均アスペクト比の平均は、約2.5:1~1:2.5、より好ましくは約1.5:1~1:1.5、又は最も好ましくは約1:1であることが望ましい場合があり、これらの範囲内の部分範囲の全ての組み合わせが本明細書で企図される。更に、ウェブの構造的一体性及び孔の形状完全性を保持する目的のために、トップシートの大部分又は全体ではないにしても、少なくとも関心領域25(以下に定義される「ROI(region of interest)」、
図1Aを参照されたい)における孔の大部分又は全てのx-y平面形状が、鋭い角を有しない、丸みを帯びた形状(例えば、円形、卵形(oval)、卵形(ovoid)、楕円形、スタジアムなど)であることが好ましい。したがって、孔を作り出すために使用されるピン付きローラは、ローラの軸に向かって半径方向内向きの方向に沿って見たときに、鋭い角を有しないピンを有することが望ましい場合がある。
【0051】
集合的に、トップシートの関心対象の部分における全ての孔の孔面積は、トップシート不織布における開口x-y平面面積(「開口面積」)となる。より微細なデニールの繊維及び/又は主に疎水性である繊維の構成から生じ得る流体捕捉に対する潜在的な障害を効果的に軽減するために、本発明者らは、所望の平均孔サイズと組み合わせて、所望の開口面積を特定した。したがって、孔は、含まれる場合、6パーセント~25パーセント、より好ましくは8パーセント~18パーセント、更により好ましくは10パーセント~15パーセントの開口面積を集合的に提供することが望ましい場合があり、これらの範囲内の部分範囲の全ての組み合わせが本明細書で企図される。そのような量の開口面積は、流体管理層及び/又は吸収性構造体を覆うトップシートの部分の実質的に全体に、又は少なくとも、以下に定義される(及び
図1Aを参照されたい)関心領域25(「ROI」)に存在することが好ましい。これらの範囲の下限は、有効性/性能の必要性によって課せられ、孔は、本明細書に記載される目的に含まれ得るように効果的であるために、少なくとも最小量の開口面積を提供されるべきである。これらの範囲の上限は、消費者が受け入れられる必要性によって課せられ、開口面積が大きすぎると、消費者は、トップシートが脆弱であるか又は品質が悪いと知覚する可能性があり、更に、トップシートは、その下に流体を保持すること、及びトップシートの下の吸収性構成要素内に存在する吸収された流体による汚れを隠すことにおいて効果が低くなる。
【0052】
図1Aを参照すると、本明細書で企図される目的のために、関心領域25(「ROI」)は、長手方向の長さが60.0mm、横方向の幅が30.0mmであり、流体管理層のx-y平面内の長手方向及び横方向の中心に中心がある、トップシートの長方形部分である。ROI 25の開口面積パーセント割合は、その中の孔501の集合的な存在によって、その内部を通ってz方向に開口している、その中のx-y面積の割合である。別の言い方をすれば、ROI内の開口面積パーセント割合は、ROI内の孔のx-y面積の合計を1800mm
2で割って、100%を掛けたものである。
【0053】
ROIにおける開口面積パーセント割合は、いくつかの例では、トップシート不織布ウェブ材料の製造業者に与えられた又は提供された仕様から得ることができる。これが利用できない場合、それは、上記の孔面積のx-y寸法面積の説明及び「開口面積」の説明と一致する様式で適用され得る任意の好適な測定技法を介して測定されてもよく、これには、以下に説明される孔開口面積測定法を含んでもよいが、これに限定されない。
【0054】
結合
一般に、トップシート不織布を形成する繊維は、カード処理/繊維レイダウンプロセスに続いて結合されて、ウェブが、下流/後続のプロセスにおいて、及び使用者/着用者による使用中にトップシートの形態でその構造を実質的に保持するのに必要な布様構造及び引張強度(MD及びCDの両方において)を付与することが望ましい。機械的圧縮スポット結合(加熱エネルギーの適用を伴う又は伴わない)、接着剤結合などの他の結合方法の代替として、エアスルー加熱(air-through heating)による結合は、繊維間細孔/空隙サイズ及びロフトを維持し、不織布に弾性を付与しながら、繊維間結合を作成し、ウェブに構造完全性を付与するのに有効であることが見出されている。好適なプロセスの例では、選択された加熱温度に加熱された空気は、カード処理された繊維ウェブがオーブン又は加熱チャンバを通って機械方向に沿ってキャリアベルト上で搬送される際に、カード処理された繊維ウェブを通して(真空を介して)吹き込まれ及び/又は引き込まれる。加熱空気の温度及び速度、並びに曝露時間を含む動作パラメータが適切に調整される場合、繊維網内に複数のランダムに分布した繊維間結合が作成され得、これはウェブに構造的一体性を付与する。構成繊維が、例えば、シース成分がコア成分の融解温度よりも低い融解温度を有するポリマーであるシース-コア2成分繊維である場合、このプロセスは、シースの完全な融解及び構造の損失なしに、隣接する接触繊維のシースの間に融合結合が形成され、同時にコアが適所に融解せずに残るように構成され得る。このようなプロセスでは、結合は、圧縮を適用することなく、ひいては、付随するウェブのキャリパの損失及び繊維間細孔/空隙のサイズの減少なく、形成することができる。
【0055】
適用される固着防止剤
吸収性物品は、トップシートの着用者に面する表面の少なくとも一部分に適用される固着防止剤を含んでもよく、固着防止剤はポリプロピレングリコール材料を含む。本明細書に記載される適用される固着防止剤は、使用者/着用者の皮膚への月経液の付着を低減すること、及びトップシートの着用者に面する表面からそれを通って下の流体管理層及び/又は吸収性構造体層への月経液の移動を促進にすることを含む機能を果たすと考えられる。これらの機能を果たすことは、特に月経液の繰り返しの排出後に、使用者/着用者の皮膚及びトップシートの清潔さの知覚を高めることができる。その中で有用な好適な固着防止剤及び/又は界面活性剤の例は、米国特許出願公開第2009/0221978号(組成物は「ローション」と呼ばれる)及び米国特許第8,178,748号に開示されている。
【0056】
固着防止剤は、ポリプロピレングリコール(「PPG(polypropylene glycol)」)材料を含んでもよい。いくつかの例では、固着防止剤は、ポリプロピレングリコール材料、好ましくはポリプロピレングリコールなどのポリプロピレングリコールホモポリマー、及び任意で担体から本質的になってもよい。他の例では、固着防止剤は、ポリプロピレングリコールコポリマー、ポリプロピレングリコール界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリプロピレングリコール材料を含んでもよい。ポリプロピレングリコール材料を含む固着防止剤は、トップシートへの月経液の付着を低減させるのに役立ち得、使用者/着用者に固着防止剤が接触移動した場合、皮膚への流体の付着を低減させ、それによってトップシート上の汚れを低減させ、皮膚の汚れを低減させる。固着防止剤はまた、吸収性物品の連続的な流体捕捉を改善するのに役立ち得る。
【0057】
固着防止剤は、任意の既知の様式で、任意の既知のパターンで、トップシート20の着用者に面する表面に適用されてもよい。例えば、固着防止剤は、ほぼ平行な長手方向又は横方向に配向されたストライプ又はバンドのパターンで適用されてもよい。トップシート不織布の任意の部分又はその任意の三次元特徴部を圧縮又は変位させることを回避するために、固着防止剤を噴霧によって適用することが望ましい場合がある。実質的に均一に噴霧適用することが好ましい場合がある。
【0058】
適用される固着防止剤の量は変化してもよく、特定のニーズに合わせて調整することができる。例えば、理論に束縛されるものではないが、固着防止剤は、少なくとも約0.1gsm、0.5gsm、1gsm、2gsm、3gsm、4gsm、5gsm、10gsm、最大約15gsm、又は最大約12gsm、又は最大約10gsmの有効なレベルで適用され得ると考えられる。これらの上限を超えても有効性は更に向上しないと考えられ、したがって、これらの上限を超える坪量での適用は、固着防止剤の不必要な使用(浪費)になる可能性がある。固着防止剤は、上に列挙したレベルのいずれかによって定義される任意の部分範囲内で適用することができる(例えば、約0.1gsm~約15gsm)。これらのレベルは、固着防止剤が実際に適用されるトップシート表面の面積を指す。流体管理層及び/又は吸収性コアを覆うトップシートの表面積の大部分、実質的に全て、又は全てが、適用された固着防止剤を有することが好ましい場合がある。これは、考えられているように、固着防止剤がトップシートの再湿潤に抵抗する能力を高めることができるためである。
【0059】
本明細書で企図される固着防止剤は、非PPG由来界面活性剤及び他の表面改質剤を含む他の固着防止剤よりも顕著な利点を提供する。この利点は、女性用衛生パッドに特に有用であると考えられ得る。理論に束縛されるものではないが、本明細書で特定されるPPG材料の優れた流体処理特性は、月経の水成分に作用する表面エネルギー処理とは対照的に、PPG材料が月経液の固体成分に作用する方法の結果であると考えられる。表面エネルギー処理は、表面エネルギー処理の有効性を阻害する可能性がある、月経液中の極性及び分散性成分の存在のために、有効性が低い可能性がある。本明細書で特定されるPPG材料は、典型的には、月経液に容易に溶解しないので、流体に溶解することなく表面を効果的にコーティングすることができ、これは、電子供与性双極子が負の双極子をもつタンパク質をはじく水和バリアを提供し、それによって月経液が物品の表面又は着用者の皮膚に付着しにくくする。着用者の皮膚及び/又はトップシートへの月経液のより少ない付着は、トップシートを通るより良好でより速い流体移動、並びに使用済み製品上のより少ない、より小さい、及び/又はより少ない目に見える汚れパターンを促進する。
【0060】
本明細書で特定されるPPG材料は、固着防止剤中の一成分として適用することができるか、又はそのまま(すなわち、固着防止剤はPPG材料からなる)適用することができる。PPG材料は、そのままで及び/又は固着防止剤の一部として、所望の流体処理特性及び着用者の皮膚の所望の処置に応じて、様々な量レベルで適用することができる。PPG材料は、フルコート、ストライプ又はバンド(MD又はCD方向に配向される)、液滴、螺旋パターン、及び他のパターンなどの任意のパターンでトップシートの外側表面に適用され得る。PPG材料を含む固着防止剤はまた、存在する場合、チャネル又はエンボス加工領域の近くに配置されてもよい。
【0061】
本明細書で企図される固着防止剤は、PPG材料を含んでもよい。本明細書で企図される目的に好適なPPG材料としては、PPGホモポリマー材料、PPGコポリマー材料、及びPPG界面活性剤材料、並びにこれらの混合物が挙げられる。固着防止剤は、他の任意の成分を更に含んでもよい。一実施形態では、固着防止剤は、PPG材料、好ましくはポリプロピレングリコールから本質的になるか、又はそれからなる。別の実施形態では、固着防止剤は、ポリプロピレングリコールコポリマー、ポリプロピレングリコール界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されるPPG材料を含む。
【0062】
本明細書で企図される固着防止剤は、固着防止剤の約0.1重量%~100重量%のレベルでPPG材料を含むことができる。いくつかの例では、固着防止剤は、固着防止剤の約10重量%未満、好ましくは約0.5重量%~8重量%、より好ましくは約1重量%~5重量%のPPG材料を含むことができる。他の例では、固着防止剤は、固着防止剤の少なくとも約50重量%、好ましくは約75重量%~100重量%、より好ましくは約90重量%~100重量%のPPG材料を含むことができる。
【0063】
好適なPPGホモポリマー材料としては、以下の式に対応するものを挙げることができる:
【0064】
【化1】
-式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ベンジル、アセトカルボニル、プロピオカルボニル、ブチロカルボニル、イソブチロカルボニル、ベンゾカルボニル、フマロカルボニル、アミノベンゾカルボニル、カルボキシメチレン、アミノプロピレン、アルキル化グルコース、アルキル化スクロース、アルキル化セルロース、アルキル化デンプン又はホスフェートであり、Rは、好ましくは水素又はメチルであり、
-R1は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ベンジル、アセトカルボニル、プロピオカルボニル、ブチロカルボニル、イソブチロカルボニル、ベンゾカルボニル、フマロカルボニル、アミノベンゾカルボニル、カルボキシメチレン、アミノプロピレン、アルキル化グルコース、アルキル化スクロース、アルキル化セルロース、アルキル化デンプン又はホスフェートであり、R1は、好ましくは水素又はメチルであり、
-nは、3~160、好ましくは5~120、より好ましくは10~100、更により好ましくは20~80である。
【0065】
任意で、PPGホモポリマーは、そのモノマー原料の一部として低レベルのグリセロール又はブタンジオールを含んでもよい。含まれる場合、グリセロール又はブタンジオール対プロピレングリコールの好ましい比は、1:1000~1:2、最も好ましくは1:100~1:5であり得る。PPGホモポリマーは、必ずしも限定されないが、CAS番号25322-69-4、25791-96-2及び25231-21-4を有してもよく、後者が最も好ましい。
【0066】
好適なPPGホモポリマー材料の非限定的な例としては、ポリプロピレングリコール4000、例えばPluriol P-4000(BASF)、Alkapol PPG-4000(Alkaril Chemical)及びNiax Polyol PPG 4025(Union Carbide);ポリプロピレングリコール3500;ポリプロピレングリコール3000、例えばNiax PPG 3025(Union Carbide);ポリプロピレングリコール2000、例えばAlkanol PPG-2000(Alkaril Chemical)及びPluriol P-2000(BASF)、ポリプロピレングリコール1200、例えばAlkapol PPG-1200(Alkaril Chemical)及びGlucam P-20 Humectant(Noveon);ポリプロピレングリコール1000、例えばNiax PPG 1025(Union Carbide);ポリプロピレングリコール600、例えばAlkanol PPG-600(Alkaril Chemical)及びGlucam P-10 Humectant(Noveon);ポリプロピレングリコール400、例えばAlkanol PPG-425(Alkaril Chemical)。ポリプロピレングリコール4000グリセロールエーテル、例えばPluriol T-4000(BASF);ポリプロピレングリコール2000グリセロールエーテル、ポリプロピレングリコール2000ブタンジオールエーテル、ポリプロピレングリコール1500グリセロールエーテル、例えばPluriol T-1500(BASF)、ポリポリプロピレン(polypolypropylene)グリコール4000とモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコール2000とジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール4000とモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコール2000とモノブイチル(monobuytyl)エーテル、ポリプロピレングリコール1200とジブチルエーテル、ポリプロピレングリコール4000とビス(2-アミノプロピルエーテル)、PPG-10メチルグルコースエーテル及びPPG-20メチルグルコースエーテルが挙げられる。
【0067】
好適なPPGホモポリマー材料は、典型的には、約400~10,000、好ましくは約600~6,000、より好ましくは約1,200~4,800の数平均分子量を有する。
【0068】
好適なPPGコポリマー材料としては、ポリプロピレングリコールセグメントが、コポリマー構造の内部ブロック成分として及び/又は末端成分として存在するものが挙げられる。以下の式は、内部ブロック成分及び末端ブロック成分を示す:
【0069】
【化2】
式中、xは、2~120、好ましくは2~80、より好ましくは3~60であり、yは、2~100、好ましくは2~50、より好ましくは3~30であり、R2は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ベンジル、アセトカルボニル、プロピオカルボニル、ブチロカルボニル、イソブチロカルボニル、ベンゾカルボニル、フマロカルボニル、アミノベンゾカルボニル、カルボキシメチレン、アミノプロピレン、アルキル化グルコース、アルキル化スクロース、アルキル化セルロース、アルキル化デンプン又はホスフェートであり、R2は、好ましくは水素、メチル、エチル、イソプロピル又はイソブチルである。
【0070】
本発明の固着防止剤のためのPPGとのプロポキシル化コポリマーを形成するのに好適なポリマーとしては、アルキルメチコン、フェニルメチコン、ジメチコン、アルキルトリメチコン、フェニルトリメチコン、ポリオール、ポリエーテル(例えば、ポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン)、ポリイミン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリエステルのホモポリマー、並びにこれらのポリマー単位の1つ又は複数を含有するコポリマーが挙げられる。好適なポリマーの非限定的な例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエチルイミン、ポリアクリル酸、ポリ(エチレン-co-アクリル酸)、ポリメタクリル酸、ポリ(エチレン-co-メタクリル酸)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリビニルピロリドン、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)、ポリ(ブタンジオール)、ポリ(ネオペンチルグリコール)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(エチレングルタメート)、ポリ(ブチレングルタメート)、ポリ(エチレンセバケート)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリカプロラクトン、及びポリグリセロールが挙げられる。
【0071】
好適なPPGコポリマー材料の非限定的な例としては、PPG-12ジメチコン、例えば、Sisoft 910(Momentive);ビス-PPG-15ジメチコン/IPDIコポリマー、例えばPolyderm-PPI-SI-WI(Alzo);PPG/ポリカプロラクトンブロックコポリマー;PPG/ポリブタンジオール/PEGトリブロックコポリマー;ポリエチルイミン/PPGコポリマー及びポリアクリル酸-g-PPGグラフトコポリマーが挙げられる。
【0072】
別の好適なPPG材料としては、PPG界面活性剤材料が挙げられる。以下の式は、PPGセグメントが頭部官能基の一部を構成する好適なPPG界面活性剤材料を表す:
【0073】
【化3】
式中、R3は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルキレンアミン、アルキレンアミド、アルキレンホスフェート、アルキレンカルボン酸、アルキレンスルホン酸塩及び炭素元素の最大数6以下のアルキレンクワット(quat)であり、R4は、オクチル、ノニル、デシル、イオスデシル(iosdecyl)、ラウリル、ミリスチル、セチル、イソヘキサデシル、オレイル、ステアリル、イソステアリル、タローオイル(tallowoyl)、リノレイル、ホホバ、ラノリン、ベヘニル、C24~C28アルキル、C30~C45アルキル、ジノニルフェニル、ドデシルフェニル、又はソヤ(soya)であり、zは、1~100、好ましくは2~30、より好ましくは3~25であり、Fは、エーテル基(オキシ、グリセリル、グルコース、ソルビタン、スクロース、モノエタノールアミン又はジエタノールアミンを含む)、エステル基(エステル、グリセリルエステル、グルコースエステル、ソルビタンエステル又はスクロースエステルを含む)、アミン基、アミド基、及びリン酸エステル基からなる群から選択される官能基である。
【0074】
以下の式は、PPGセグメントが内部ブロック基を構成する好適なPPG界面活性剤材料を表す:
【0075】
【化4】
式中、R5は、ヘキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、イソデシル、ラウリル、ココイル、ミリスチル、セチル、イソヘキサデシル、オレイル、ステアリル、イソステアリル、タロー(tallow)、リノレイル、オクチルフェニル、又はノニルフェニルであり、rは、1~120、好ましくは4~50、より好ましくは6~30であり、Gはエーテル、エステル、アミン又はアミド結合である。
【0076】
好適なPPG界面活性剤材料の非限定的な例としては、PPG-30セチルエーテル、例えばHetoxol C30P(Global Seven);PPG-20メチルグルコースエーテルジステアレート、例えばGlucam P-20ジステアレートエモリエント(Noveon)、PPG-20メチルグルコースエーテルアセテート、PPG-20ソルビタントリステアレート、PPG-20メチルグルコースエーテルジステアレート、PPG-20ジステアレート、PPG-15ステアリルエーテル、例えばAlamol-E(Croda-Uniqema)及びProcetyl 15(Croda)、PPG-15ステアリルエーテルベンゾエート、PPG-15イソヘキサデシルエーテル、PPG-15ステアレート、PPG-15ジココエート、PPG-12ジラウレート、PPG-11ステアリルエーテル、例えばVaronic APS(Evonik);PPG-10セチルエーテル、例えばProcetyl 10(Croda);PPG-10グリセリルステアレート、PPG-10ソルビタンモノステアレート、PPG-10硬化ヒマシ油、PPG-10セチルホスフェート、PPG-10タローアミン、PPG-10オレアミド、PPG-10セチルエーテルホスフェート、PPG-10ジノニルフェノレート、PPG-9ラウレート、PPG-8ジオクテート、PPG-8ジエチルへキシレート、PPG-7ラウリルエーテル、PPG-5ラノリンワックスエーテル、PPG-5スクロースココエート、PPG-5ラノリンワックス、PPG-4ホホバアルコールエーテル、PPG-4ラウリルエーテル、PPG-3ミリスチルエーテル、例えばPromyristyl PM-3(Croda)、PPG-3ミリスチルエーテルプロピオネート、例えばCrodamol PMP(Croda)、PPG-3ベンジルエーテルミリステート、例えばCrodamol STS(Croda)、PPG-3硬化ヒマシ油、例えばHetester HCP(Alzo)、PPG-3-ヒドロキシエチルソイアミド(soyamide)、PPG-2コカミド、PPG-2ラノリンアルコールエーテル及びPPG-1ヤシ油脂肪酸イソプロパノールアミド、例えばAmizett IPC(川研ファインケミカル)が挙げられる。好適なPPG材料の特に好ましい例は、BASF Corporation(Florham Park,New Jersey,USA)及び/又はBASF SE(Ludwigshafen,Germany)によってCETIOL Eとして販売されている製品などのPPG-15ステアリルエーテルである。
【0077】
本明細書で企図される固着防止剤は、固着防止剤の約60重量%~99.9重量%、好ましくは約70重量%~99.5重量%、より好ましくは約80重量%~99重量%の範囲の総担体濃度で担体を含み得る。
【0078】
本明細書で好適な担体には、特に植物若しくは動物起源の、天然油若しくは脂肪などの油又は脂肪、又は、天然油若しくは脂肪誘導体が挙げられ得る。非限定的な例としては、アボカド油、アンズ油、アンズ核油、ババス油、ルリジサ油、ルリジサ種子油、カレンジュラ油、椿油、キャノーラ油、ニンジン油、カシューナッツ油、ヒマシ油、カモミール油、チェリーピット油、チア油、ヤシ油、タラ肝油、トウモロコシ油、トウモロコシ胚芽油、綿実油、ユーカリ油、月見草油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油、ジュニパー油、核油、アマニ油、マカダミア油、メドウフォーム種子油、メンヘーデン油、ミンク油、モリンガ油、モルティエラ油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、落花生油、桃仁油、ナタネ油、ローズヒップ油、ベニバナ油、サンドルウッド(sandlewood)油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ヒマワリ種子油、甘扁桃油、トール油、ティーツリー油、カブ種子油、クルミ油、コムギ胚芽油、ガジュツ(zadoary)油、又はそれらの硬化誘導体が挙げられる。植物起源の硬化油又は脂肪としては、例えば、硬化ヒマシ油、落花生油、ダイズ油、カブ種子油、綿実油、ヒマワリ油、パーム油、核油、アマニ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ゴマ油、カカオバター、シアバター及びヤシ油を挙げることができる。
【0079】
脂肪及び油の他の非限定的な例としては、バター、C12~C18酸トリグリセリド、椿油、カプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/リノール酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カカオバター、C10~C18トリグリセリド、卵油、エポキシ化ダイズ油、グリセリルトリアセチルヒドロキシステアレート、グリセリルトリアセチルリシノリエート、グリコスフィンゴリピド、ヒト胎盤脂質、ハイブリッドベニバナ油、ハイブリッドヒマワリ種子油、硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油ラウレート、硬化ヤシ油、硬化綿実油、硬化C12~C18トリグリセリド、硬化魚油、硬化ラード、硬化メンヘーデン油、硬化ミンク油、硬化オレンジラフィー油、硬化パーム核油、硬化パーム油、硬化落花生油、硬化サメ肝油、硬化ダイズ油、硬化タロー、硬化植物油、ラノリン及びラノリン誘導体、ラノリンアルコール、ラード、ラウリン酸/パルミチン酸/オレイン酸トリグリセリド、レスケレーラ(lesquerella)油、マレエート化ダイズ油、メドウフォーム油、牛脚油、オレイン酸/リノール酸トリグリセリド、オレイン酸/パルミチン酸/ラウリン酸/ミリスチン酸/リノール酸トリグリセリド、オレオステアリン、オリーブ殻油、大網脂質、オレンジラフィー油、ペンガワージャンビ(pengawar djambi)油、ペンタデスマバター(pentadesma butter)、リン脂質、ピスタチオナッツ油、胎盤脂質、ナタネ油、米ぬか油、サメ肝油、シアバター、スフィンゴ脂質、タロー、トリベヘニン、トリカプリン、トリカプリリン、トリヘプタノイン、トリヒドロキシメトキシステアリン、トリヒドロキシステアリン、トリイソノナノイン、トリイソステアリン、トリラウリン、トリリノレイン、トリリノレニン、トリミリスチン、トリオクタノイン、トリオレイン、トリパルミチン、トリセバシン、トリステアリン、トリウンデカノイン、植物油、コムギふすま脂質など、及びそれらの混合物が挙げられ得る。好適な担体の特に好ましい例は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドである。この材料は、例えばMYRITOL 318、BASF Corporation(Florham Park,New Jersey,USA)及び/又はBASF SE(Ludwigshafen,Germany)の製品として現在入手可能である。
【0080】
他の好適な担体としては、モノ又はジグリセリド、例えば、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖、置換又は非置換の脂肪酸又は脂肪酸混合物から誘導されるモノ又はジグリセリドが挙げられ得る。モノ又はジグリセリドの例としては、モノ又はジ-C12~24脂肪酸グリセリド、具体的にはモノ又はジ-C16~20脂肪酸グリセリド、例えばグリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレートが挙げられる。
【0081】
担体はまた、直鎖C6~C22脂肪酸と分岐アルコールとのエステルを含み得る。
【0082】
本明細書で企図される担体はまた、ステロール、フィトステロール、及びステロール誘導体を含み得る。本発明の固着防止剤において使用され得るステロール及びステロール誘導体としては、17位に尾部を有し、極性基を有さないβ-ステロール、例えば、コレステロール、シトステロール、スチグマステロール、及びエルゴステロール、並びにC10~C30コレステロール/ラノステロールエステル、コレカルシフェロール、コレステリルヒドロキシステアレート、コレステリルイソステアレート、コレステリルステアレート、7-デヒドロコレステロール、ジヒドロコレステロール、ジヒドロコレステリルオクチルデカノエート、ジヒドロラノステロール、ジヒドロラノステリルオクチルデカノエート、エルゴカルシフェロール、トール油ステロール、ダイズステロールアセテート、ラナステロール、ダイズステロール、アボカドステロール、「AVOCADIN」(Parsippany,N.J.のCroda Ltdの商品名)、ステロールエステル及び類似の化合物、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。フィトステロールの市販の例は、Cognis Corporation(Cincinnati,Ohio)からのGENEROL 122 N PRL精製ダイズステロールである。
【0083】
吸収性コア
流体管理層
吸収性コアは、流体管理層30を含み得る。
【0084】
本明細書で企図される流体管理層は、カード処理された一体化繊維の構造化された集積体を含んでもよい。流体管理層は、吸収性物品にキャリパを追加し、典型的には圧縮性であり、弾性であるように構成及び構造化されてもよく、これは物品に柔らかさの感触及び/又は「クッション性」の感触を付与することができる。多くの場合、吸収性物品用の層構成要素を構成する際に弾性と柔らかさとの間にトレードオフが存在する。より柔らかい(すなわち、より順応性又は柔軟な)材料は、1つ以上の方向への力を加えた結果生じる変形後に、それらの形状を回復する傾向がより低い場合がある。また、その逆は、弾性材料に当てはまる場合がある。吸収性物品の構成要素として典型的に含まれる材料の中で、弾性材料は、力を加えた結果生じる変形後に、それらの元のサイズ及び/又は形状を回復するが、それらは「柔らかい」感触として知覚されない場合がある。加えて、多くの吸収性物品又はその層構成要素は、乾燥時に良好な弾性特性を示すことができるが、液体を吸収すると、それらの弾性は、大幅に減少する。本明細書で企図される吸収性物品は、乾燥状態及び湿潤状態の両方において良好な弾性特性を示す。
【0085】
本明細書で企図される流体管理層用の組成及び構造の柔軟性及び弾性の利点に加えて、汚れサイズの制御及びより迅速な流体捕捉が得られ得る。汚れサイズは、吸収性物品が使用者によって知覚される様式において重要である。女性用衛生パッドの場合、使用/着用期間後にパッド上に見える汚れがx-y方向に沿って比較的大きい場合、使用者は、汚れの外観及びパッドの外周へのその近接性に基づいて、パッドが機能不全に近づいていると知覚する場合がある。対照的に、より小さい汚れは、汚れの端がパッドの外周の実質的に長手方向及び/又は横方向に短く位置するので、パッドが機能不全に近づいていないという知覚を作り出すことによって、使用者/着用者に安心させる効果を有することができる。
【0086】
パッドの流体捕捉速度は、迅速な捕捉が使用者/着用者に乾いた清潔感を感じさせるのを助けることができるので、使用者/着用者にとって重要であると考えられ得る。パッドがトップシートから排出された流体を排出するのに比較的長い時間を必要とすると、それは使用者に湿りを感じさせ、不潔に感じさせる場合がある。
【0087】
上述のように、本明細書で企図される流体管理層30は、一体化されたカード処理繊維の不織布材料から形成されてもよい。本明細書で企図される流体管理層は、互いに一体化されたカード処理繊維の1つ以上のウェブを含んでもよい。単一のカード処理ウェブのみが含まれる場合、単一ウェブの繊維は、一体化され得る。
【0088】
流体管理層30の組成、製造方法、及び構成の組み合わせの無数の変形例を設計及び製造することができる。しかしながら、多くの状況において、流体管理層は、排出された流体の迅速な捕捉/取り込みを可能にするのに十分な細孔容積を有することが望ましい場合がある。
【0089】
複数のカード処理ウェブが、流体管理層を構成するために含まれてもよく、互いに異なっていてもよい。例えば、1つのカード処理ウェブは、他の1つ以上のものとは異なる繊維成分及び/又はそれらのブレンドを有してもよい。例えば、第1のカード処理ウェブが吸収性物品において着用者に面する表面に最も近いと仮定すると、第1のカード処理ウェブの繊維構成要素の選択及び製造プロセスは、第1のウェブが流体管理層の1つ以上の下にあるカード処理ウェブよりも大きい細孔容積を有するように構成されてもよい。下にある第2又は中間カード処理ウェブが含まれてもよく、同様に構成されてもよい。対照的に、下にある第3の又は最下のカード処理ウェブは、第1及び第2のカード処理ウェブの空隙空間から流体を引き出し、これらの液体の侵入を下にある吸収性構造体に、又はその全体に効果的に分配するように構成されてもよい。流体管理層を構成するカード処理ウェブのうちの1つの繊維構成が、流体管理層を構成する別のカード処理ウェブの繊維構成と異なる場合(それぞれのカード処理ウェブの繊維が一体化されているか否かにかかわらず)、流体管理層は、本明細書では不均一構成とみなされる。あるいは、流体管理層を構成するカード処理ウェブが全て同じ繊維構成を有する場合、流体管理層は、本明細書では均質構成とみなされる。
【0090】
流体管理層を構成する複数のカード処理ウェブの繊維が一体化された後、それぞれのカード処理ウェブは容易に分離することができない。しかしながら、流体管理層の各カード処理ウェブは、層(layer)内に層(stratum)を形成する。各層は、その繊維が上に隣接する/下にあるカード処理ウェブに一体化されている場合であっても、z方向に沿ったその少なくとも一部分についてその固有の特性を保持することができる。流体管理層は、トップシートを通る流体の通過に対するあらゆる抵抗、又はトップシートの組成及び/又は構成の結果として存在し得る、トップシートが流体に対して有し得る引力を克服するのに十分な大きさの毛管作用又は吸い上げる力を介して、トップシートを通して及びトップシートから流体を引き込むことができる。流体管理層はまた、分配機能と共に、一時的なリザーバとして細孔容積を提供することによって流体の噴出を受け入れて封じ込めることができ、吸収性構造体を効率的に利用し、流体を摂取して吸収する時間を与えることができる。
【0091】
柔らかいクッション性の感触、良好な弾性及び流体処理特性を示す吸収性物品が、本明細書において企図される。これらの特性を付与するために、流体管理層のキャリパが重要であると考えられ得る。特に、従来のスパンレースラインからのウェブの典型的なキャリパは、0.03mm/gsm~0.12mm/gsmのキャリパ係数(坪量10gsm当たりのキャリパ)を達成する。対照的に、本明細書で企図される流体管理層は、少なくとも0.13mm/gsm、少なくとも約0.15mm/gsm、又は約0.2mm/gsm(これらの範囲内の任意の値及びそれらにより作成される任意の範囲が含まれる)のキャリパ係数を示すことができる。本明細書で企図される流体管理層は、0.13mm/gsm~約0.3mm/gsm、又は約0.14mm/gsm~約0.25mm/gsm、又は約0.15mm/gsm~約0.22mm/gsm(これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が含まれる)のキャリパ係数を有することができる。プロトタイプ試料1及び比較試料1について、以下にキャリパデータが提供される。本開示の流体管理層のキャリパ及びキャリパ係数は、本明細書に開示されるキャリパ及びキャリパ係数試験方法によって測定することができる。上述したキャリパ係数は、以下に説明するキャリパ測定法を使用して得られたキャリパに関するものであることに留意することが重要である。
【0092】
キャリパ係数の増加を得るために、比較的単純なプロセスを利用してスパンレースウェブを製造することができることが発見された。通常、水流交絡ラインを通るウェブ経路は、曲がりくねっており、ウェブは圧縮応力及び引張応力の両方に供された。この曲がりくねったウェブ経路は、その後の処理に耐えるのに十分な引張強度をウェブに付与するのに必要な程度まで、繊維を絡ませるのに十分な大きさの水ジェット圧力を必要とする。これらの水ジェットは通常、ウェブの両面に向けられる。ウェブ引張強度のために十分な交絡を引き起こすのに必要な水圧は、一般に、所望の流体取り扱い細孔構造を付与するのに必要な圧力よりも大きく、また、得られる水流交絡/スパンレースウェブのキャリパの実質的な減少を引き起こす。加えて、通常、ウェブは、それが様々な真空ドラム及びロールに沿って搬送される際に、かなりのz方向の圧縮及び機械方向の引張応力を受けるため、追加の水ジェットは、層の構成繊維を更に交絡させることができる。乾燥機ドラムに沿った更なる搬送により、ウェブは、乾燥機ドラムに追加のz方向圧縮力及び機械方向引張力を受ける。
【0093】
しかしながら、本発明者らは、半径方向の圧縮応力/過剰な引張力を低減する簡素化されたウェブ経路の使用、及び流体管理層内の繊維の適切な選択によって、流体管理層が製造されるウェブのキャリパを保持することができることを発見した。プロセスを簡素化するために、ロールの使用及び利用される水ジェットの数は、減少され得る。結果として得られる繊維交絡の程度は、従来のプロセスによって提供される程度ほど大きくはないが、本明細書に開示されるような繊維の適切な組み合わせの選択によって、十分な引張強度をウェブに付与することができ、例えば、それらが互いに接触する部分でそれらの間に融着を引き起こす熱処理プロセスによって融着させることができる剛化繊維である。本明細書に記載されるような簡素化された経路及び適切な繊維選択により、製造業者は、これまで達成できなかったキャリパ係数を流体管理層ウェブ材料に付与することができる。
【0094】
重要なことに、本明細書で企図されるように製造されたプロトタイプ流体管理層材料の試料のキャリパ係数は、保管及び輸送のためにロールに巻かれたプロトタイプ材料のキャリパデータから導出された。そのような巻き付けの前に同じ材料のキャリパ測定を行うことができ、その結果、更に高いキャリパ係数が得られると考えられる。しかしながら、このような巻き付け前のキャリパ測定は、吸収性物品の構成要素として実際に使用される流体管理層材料を必ずしも表すものではない場合があり、吸収性物品は、通常、製造後に保管及び輸送のためにロールに巻き付けられる。
【0095】
本明細書で企図される流体管理層は、最大75グラム/平方メートル(grams per square meter、gsm)の坪量、又は最大70gsmの坪量、又は約30gsm~75gsm、若しくはより好ましくは約45gsm~70gsm、若しくは更により好ましくは約50gsm~65gsmの坪量(これらの範囲内の任意の値及びそれらにより作成される任意の範囲が含まれる)を有することができる。
【0096】
いくつかのタイプの吸収性物品は、上述したような大きな坪量を有する流体管理層を必要としない場合がある。例えば、パンティライナーは、一般に月経用パッドと同じ需要下に置かれず、月経パッドと同じレベルの吸収能力を有していないが、上述のものと比較してより小さい坪量の流体管理層を含むのに適している可能性がある。例えば、パンティライナーの流体管理層は、約20gsm~70gsm、又は約35gsm~65gsm、又は更には約40gsm~60gsm(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が含まれる)の坪量で製造され得る。1つの特定の例では、本開示の流体管理層は、約45gsm~55gsmの坪量で製造することができる。流体管理層の坪量は、以下に記載される坪量測定法によって決定され得る。
【0097】
本発明者らはまた、層が不均質であるスパンレース材料のみならず、層が均質である、例えば、各層が同じ繊維構成を有するスパンレース材料に対しても、流体管理層にキャリパを作り出すための処理技術を利用することができることを見出した。加えて、本発明者らは、驚くべきことに、適切な繊維選択と共にこのプロセスで製造されたスパンレース材料はまた、典型的なスパンレースプロセスにより製造されるスパンレース材料を上回る改善された流体取り扱い性能と共に、良好な弾性及び圧縮からの回復を提供できることを見出した。
【0098】
繊維一体化の結果として、十分な引張強度及び/又は安定性を追加するために、流体管理層の構成材料内に接着剤又は結合剤を含める必要がない。加えて、本明細書で企図される流体管理層のカード処理不織布は、所望の性能特性を与える様々な好適な繊維タイプから製造することができる。本明細書で企図される例では、流体管理層は、剛化繊維、吸収性繊維、及び弾性繊維の組み合わせを含むことができる。
【0099】
吸収性繊維は、排出された流体を吸収する能力を流体管理層に付与するために含まれてもよい。ウェブの熱処理時に一緒に結合する働きをし、それによって流体管理層により大きな剛性及び弾性を付与するために、剛化繊維が含まれてもよい。ウェブに圧縮力を加えた後にその形状及びキャリパを回復する能力を強化するために、弾性繊維を含めることができる。
【0100】
一体化の安定化効果を高めるため、捲縮カード処理繊維を含めることができる。吸収性繊維、剛化繊維、及び弾性繊維のうちの1つ以上は、一体化前に捲縮されてもよい。例えば、合成繊維が利用される場合、これらの繊維は、噛み合う歯を有する一対のローラ間のニップを通過することによって機械的に捲縮され得る。吸収性繊維は、機械的に捲縮されてもよく、及び/又は化学的に誘導された捲縮を付与されてもよい。
【0101】
含まれる吸収性繊維の量は、トップシートを通して及び/又はトップシートから排出された流体を引き込む流体管理層の能力に影響を与え得る。しかしながら、吸収性繊維が液体を吸収すると、それらの構造的一体性の一部を失う傾向がある。構造的一体性の損失により、流体管理層の弾性が低下し、バンチング及び漏れの増加を引き起こす又は悪化させる可能性がある。したがって、原理的には、流体管理層内の吸収性繊維の割合が比較的大きいと、排出された流体をトップシートから迅速に排出する際に比較的より効果的になり得るが、これはまた、上述したように、吸収性物品に関する他の問題又は欠点をもたらし得る。
【0102】
流体管理層中の吸収性繊維の割合が大きすぎることに関連する潜在的な問題を考慮して、本発明者らは、上記で特定された利点と欠点とのバランスをとるために、流体管理層中の吸収性繊維の適切な重量分率が、約10パーセント~60パーセント、より好ましくは約15パーセント~50パーセント、更により好ましくは約20パーセント~40パーセント(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が含まれる)の吸収性繊維であってよいことを見出した。1つの特定例では、流体管理層は、約20重量パーセント~30重量パーセントの吸収性繊維を含むことができる。吸収性繊維、弾性繊維、及び/又は剛化繊維の重量分率は、以下に開示する材料組成分析方法によって決定することができる。
【0103】
吸収性繊維の湿潤によって引き起こされる流体管理層の構造的一体性の低下を軽減するために、流体管理層は、適切な重量分率の弾性繊維から構成されてもよく、弾性繊維は、使用中に課される圧縮荷重の適用後に流体管理層がその形状及び/又はキャリパを回復する能力を強化する。したがって、流体管理層は、約15重量パーセント~70重量パーセント、又は約20重量パーセント~60重量パーセント、又は約25重量パーセント~50重量パーセント(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が列挙される)の弾性繊維を含むように構成され得る。1つの特定の例では、流体管理層は、約30重量パーセント~40重量パーセントの弾性繊維を含むことができる。
【0104】
流体管理層の弾性を更に強化し、その結果として吸収性物品の弾性を更に強化するために、剛化繊維を含めることができる。繊維のブレンド、集積及びレイダウンに続いて、前駆体繊維集積体内の剛化繊維は、流体管理層材料の熱処理を介して互いに結合され得る。剛化繊維のこの結合により、流体管理層の弾性及び剛性を高める支持マトリックスを作り出す。したがって、流体管理層は、約25重量パーセント~70重量パーセント、又は約30重量パーセント~60重量パーセント、又は更には約40重量パーセント~55重量パーセント(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が列挙される)の剛化繊維で構成され得る。1つの特定の例では、流体管理層は、約40重量パーセント~50重量パーセントの剛化繊維を含むことができる。
【0105】
キャリパ、弾性、及び柔らかいクッション性の感触が目的である場合、剛化繊維の重量分率を、流体管理層内の弾性繊維の重量分率よりも大きいか実質的に等しくすることができる。吸収性繊維の重量分率は、弾性繊維及び/又は剛化繊維の重量分率よりも小さくすることができる。一般に、吸収性繊維の重量分率がより高いほど、トップシートから排出された流体の迅速な捕捉に有益であると考えられているが、吸収性繊維がトップシートに近接して配置される場合、流体管理層の下の吸収性構造体にとって、吸収性繊維から流体を引き出すことが有益であり得る。流体管理層内の吸収性繊維の重量分率が比較的大きい場合、流体管理層内の吸収性繊維から流体を排出するために、その下の比較的大きな吸収性構造体が必要となる場合がある。これは、一般に、より大きな材料コストを課すことになる。したがって、吸収性繊維対剛化繊維の重量比の適切なバランスは、約1:7~2:1、又は1:4~1.5:1、又は更には1:2~1:1(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が列挙される)となるように選択することができる。同様に、吸収性繊維対弾性繊維の重量比は、約1:7~3:1、又は1:2~2:1、又は更には1:1.5~1:1となるように選択することができる。
【0106】
流体管理層が成人用失禁用品、月経物品、ライナー、又は他の衛生物品に含まれるかどうかに関係なく、流体管理層の、トップシートから液体を捕捉して引き出し、トップシートの下の位置に流体を吸い上げる能力により、使用者/着用者には、流体の排出後の時点でトップシートが濡れていると感じない。これを達成するために、本発明者らは、本明細書で論じるように製造された流体管理層の相対的に増加したキャリパが、流体管理層の相対的に増加した空隙容積を介して、流体捕捉を強化できることを見出した。所与の坪量における相対的に大きいキャリパは、相対的に大きい空隙容積及びより高い透過性に等しい。加えて、流体管理層の比較的大きいキャリパはまた、流体管理層の不透明度のレベルを増加させ、それによって流体汚れのマスキング効果を増加させることができる。
【0107】
流体管理層内の各層を構成する繊維の種類を慎重に選択し、繊維の線密度(繊維サイズと相関する)を選択することにより、好適に迅速な捕捉及び低い再湿潤という所望の目的を満たすことができる。個々の層の繊維タイプについては、以下で論じられる。
【0108】
本明細書の目的のために、以下の「第1の」層、「第2の層」などへの言及は、トップシートの下の、上から下への層の出現順序を指す。「第1の」層は、流体管理層の最上部にあり、トップシートに最も近いなどである。
【0109】
本明細書で企図される流体管理層で使用するための吸収性繊維の好適な線密度値(デシテックス単位、又は「dtex」で表される)は、以下の通りである。例えば、吸収性繊維の平均線密度は、約1dtex~7dtex、又は約1.4dtex~6dtex、又は更には約1.7dtex~5dtex(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が列挙される)となるように選択することができる。1つの特定の例では、含まれる吸収性繊維は、約0.6~2.4dtex、より好ましくは約0.9~2.1dtex、更により好ましくは約1.1~1.9dtex、最も好ましくは約1.3~1.7dtexの平均線密度を有するように選択されてもよい。(吸収性繊維、剛化繊維及び弾性繊維の平均デシテックスは、この情報が製造業者又は供給業者から知られていないか又は入手可能でない場合、本明細書に開示される繊維デシテックス法によって決定されてもよい。)
【0110】
流体管理層の吸収性繊維は、任意の好適な断面プロファイル形状を有してもよい(断面は、繊維が真っ直ぐであるとき、繊維の長さのより長い方の寸法に垂直な平面に沿って存在する)。好適な形状のいくつかの例としては、三葉形、「H」、「Y」、「X」、「T」、円形、又はフラットリボン形が挙げられ得る。更に、吸収性繊維は、中実、中空又は多中空の断面を有することができる。本明細書に記載される流体管理層で利用するための好適な多葉形吸収性繊維の他の例は、米国特許第6,333,108号、同第5,634,914号、及び同第5,458,835号に開示されている。三葉形繊維形状は、吸い上げを改善し、不透明性及び汚れ隠蔽特性を改善することができる。好適な三葉形レーヨン繊維は、Kelheim Fibres GmbH(Kelheim,Germany)から入手可能であり、GALAXYという商品名で販売されている。上述したように、各層は、異なる形状の吸収性繊維を含んでもよいが、全てのカード処理装置が、層間(between)/層間(among)でのそのような変動を扱うのに適しているわけではない。1つの特定の例では、流体管理層は、丸い(円形の)形状を有する吸収性繊維を含んでもよい。
【0111】
吸収性繊維は、任意の好適な吸収性材料を含み得る。吸収性繊維性材料のいくつかの例としては、綿、セルロース(例えば、木材)パルプ、再生セルロース(レーヨン、ビスコース、リヨセルなど)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。1つの例では、流体管理層30は、ビスコース繊維を含むことができる。
【0112】
吸収性繊維のステープル長は、約20mm~100mm、又は30mm~50mm、又は更には35mm~45mm(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が列挙される)となるように選択され得る。一般に、木材パルプの繊維長は、約4~6mmであり、パルプ繊維が短すぎるため、従来のカード処理機では使用できない。したがって、流体管理層内の繊維として木材パルプが所望される場合、カード処理ウェブにパルプをブレンドして、加えるための追加の処理が必要となり得る。いくつかの例では、パルプは、カード処理ウェブ間にエアレイドされてもよく、この組み合わせは、続いて一体化される。別の例として、パルプから作られたティッシュをカード処理ウェブと組み合わせて利用してもよく、この組み合わせは、続いて一体化することができる。
【0113】
前述のように、吸収性繊維に加えて、本開示の流体管理層は、剛化繊維を含んでもよい。流体管理層に構造的一体性を与える助けとするために、剛化繊維を含めることができる。剛化繊維は、機械方向及び/又は機械幅方向に流体管理層の構造的一体性を高めるのに役立つことができ、これにより、使い捨て吸収性物品に組み込むために流体管理層を処理する際のウェブの取り扱いを容易にすることができる。
【0114】
剛化繊維の好適な線密度値のいくつかの例は、以下の通りである。剛化繊維は、約1.0dtex~6dtex、又はより好ましくは約1.5dtex~5dtex、又は更により好ましくは約2.0dtex~4dtex(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が列挙される)となるように選択されてもよい。特定の例において、剛化繊維は、約1.8dtex~2.6dtex、又はより好ましくは約2.2dtexであってもよい。
【0115】
好適な剛化繊維の例としては、ポリエチレン及びポリエチレンテレフタレート成分又はポリエチレンテレフタレート及びコポリエチレンテレフタレート成分を含む2成分繊維が挙げられ得る。2成分繊維の構成要素は、シース-コア配置、並列配置、同心シース-コア配置、偏心シース-コア配置、三葉形配置、又は他の好適な配置で配置されてもよい。1つの特定の例では、剛化繊維は、シース成分がポリエチレンを含む、同心シース-コア配置で配置されたポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート成分を有する2成分繊維を含み得る。
【0116】
シース-コア配置を有する2成分繊維において他の材料も有用であり得るが、本発明者らは、コア成分に含まれるポリエチレンテレフタレートの剛性が、構造に弾性を付与するのに有用であることを見出した。同時に、比較的低い融解温度を有し、シース成分に含まれる剛化繊維のポリエチレン成分は、熱処理を介して繊維を互いに結合させる役割を果たすことができ、複数のランダムに配置された繊維間結合が構造全体にわたって生成され得る。これは、機械方向(MD)及び機械幅方向(CD)の両方においてウェブの引張強度を高めることができる。更に、剛化繊維(例えば、ポリエチレン-PETシース-コア2成分繊維)の低融点成分間の結合は、繊維間の滑りを制限する傾向があるマトリックス構造を生成し、それによって材料の弾性を増加させる。
【0117】
剛化繊維を含めることによってもたらされる利点のうちの1つは、繊維交絡プロセス後に一体化された不織布を熱処理することができることである。流体管理層又はその層を構成する剛化繊維の重量分率が増加するにつれて、より多くの繊維間結合/接続点が生成される。結合/接続点が多すぎると、流体管理層が消費者に受け入れられるには過度に硬くなり、使用者/着用者の快適さ及び/又は柔らかさの知覚に悪影響を与える可能性がある。したがって、流体管理層に含まれる剛化繊維の重量分率の選択は、吸収性物品を設計する際に重要であると考えられ得る。
【0118】
熱剛化プロセスにおいて、加熱温度の選択は、剛化繊維の構成組成、加熱装置の設計及び動作パラメータ、並びにウェブ加工速度(すなわち、加熱環境への曝露時間)によって部分的に影響され得る。流体管理層にわたって均一な剛性を付与するために、加熱装置及び動作パラメータは、流体管理層ウェブに均一な加熱を提供するように設定されるべきである。温度の小さな変動であっても、剛化繊維間の繊維間結合の形成、及び結果として生じる流体管理層の引張強度にかなりの影響を与える可能性がある。利用され得る好適な熱剛化プロセスの例は、エアスルー加熱であり、選択された加熱温度に加熱された空気が、ウェブによって画定されるより大きい平面にほぼ直交する方向に沿ってウェブを通して吹き込まれ、及び/又は(真空を介して)引き込まれる。
【0119】
上述したように、本開示の流体管理層は、弾性繊維を含んでもよい。弾性繊維を含めることで、流体管理層がその透過性及び圧縮後の形状及び寸法の回復を維持するのを助けることができる。任意の好適な径の繊維を用いることができる。例えば、弾性繊維は、約4dtex~15dtex、又は約5dtex~12dtex、又は更には約6dtex~10dtex(具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれらにより作成される任意の範囲が列挙される)の線密度(サイズ/直径と相関する)を有し得る。1つの特定の例では、流体管理層は、可変断面、例えば、円形及び中空螺旋を有する弾性繊維を含み得るか、かつ/又は可変デシテックスを有する弾性繊維を含み得る。更に別の特定の例では、本開示の弾性繊維は、約10デシテックスを有してもよい。弾性繊維は、中空であってもよい。
【0120】
弾性繊維は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又は当該技術分野において既知の他の好適な熱可塑性プラスチックなどの任意の好適な熱可塑性プラスチックから構成/紡糸されてもよい。弾性繊維構成要素の他の好適な例としては、ポリエステル/共押出ポリエステルが挙げられる。弾性繊維の他の好適な例としては、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレートなどの2成分繊維が挙げられ得る。これらの2成分繊維は、シース及びコアとして構成され得る。2成分繊維の利用及び包含は、材料の坪量を増加させる費用対効果が高い手段を提供し得るのに加えて、細孔径分布の最適化も可能にする。弾性繊維のステープル長は、約20mm~100mm、又は約30mm~50mm、又は更には約35mm 45mmとなるように選択できる。熱可塑性繊維は、任意の好適な構造又は断面プロファイル形状を有することができる。例えば、熱可塑性繊維は、円形であってもよく、又は他の形状、例えば、螺旋状、波形楕円形、三葉形、波形リボン形などを有してもよい。更に、含まれる弾性繊維は、中実、中空、又は多中空であってもよい。弾性繊維は、中実であり、丸い断面プロファイル形状であってよい。
【0121】
任意で、弾性繊維は、螺旋捲縮又は平坦捲縮であってもよい。弾性繊維は、約4~12捲縮/インチ(crimps per inch、cpi)、又は約4~8cpi、又は約5~7cpi、又は約9~10cpiの捲縮値を有してもよい。
【0122】
弾性繊維の特定の非限定的な例は、Wellman International Ltd/Indorama Ventures(Mullagh,Kells Co.Meath,Republic of Ireland)から商品名H1311及びT5974で入手することができる。本明細書に詳述されるカード処理されたステープル繊維不織布に利用するのに好適な弾性繊維の他の例は、米国特許第7,767,598号に開示されている。
【0123】
剛化繊維及び弾性繊維は慎重に選択されるべきである。例えば、剛化繊維及び弾性繊維又はそれらの成分の構成化学的性質は類似していてもよいが、弾性繊維の組成は、それらの融解温度が剛化繊維の組成の融解温度よりも高くなるように選択するべきであることが望ましい場合がある。そうでなければ、熱処理中に、弾性繊維と剛化繊維との間に結合が形成されて、過度に硬い構造がもたらされる可能性がある。
【0124】
本明細書に開示されるgsm範囲内で、流体管理層中の吸収性繊維の重量分率が約30パーセントを超える場合、弾性繊維及び/又は剛化繊維は、慎重に選択されるべきである。本明細書に記載されるような少なくとも0.13以上のキャリパ係数を有する柔らかくクッション性のある流体管理層の場合、弾性繊維及び/又は剛化繊維は、湿潤時の吸収性繊維の構造的一体性の損失を相殺するように選択することができる。例えば、比較的高いデシテックスの弾性繊維は、湿潤時に吸収性繊維によって示される剛性の損失を軽減するのに有用であり得る。そのような例では、約5dtex~15dtex、又は約6dtex~12dtex、又は更には約7dtex~10dtexの線密度を有する弾性繊維を利用することができる。
【0125】
あるいは、又は組み合わせて、剛化繊維は、構造的一体性を更に高めるように選択されてもよい。例えば、剛化繊維は、シースがコポリエチレンテレフタレート(co-polyethylene terephthalate、CoPET)であるシース-コア構成の2成分繊維を含んでもよい。しかしながら、そのような材料の変更により、更なる問題が発生し得る。例えば、流体管理層内の材料の接合は、熱処理により達成される融着とは対照的に、接着剤又は結合剤を介してのみ行われる可能性がある。
【0126】
他の例では、材料選択及びプロセスは、剛化繊維間により多くの結合をもたらすように構成されてもよい。吸収性繊維が流体管理層の約30重量パーセント超を構成する場合、剛化繊維が結合する際の熱が増加する可能性があり、かつ/又は曝露時間を増加する可能性がある。これにより、剛化繊維マトリックス内の結合の数を増加させることができ、それにより、湿潤時の吸収性繊維の剛性の損失を軽減することができる。しかしながら、結合数の増加により、剛性の増加が生じる。剛性の増加により、使用者による柔らかさの知覚を減少させることがある。
【0127】
同様に、それに加えて、又はその代わりに、吸収性繊維が約30重量パーセント以上を構成する場合、吸収性繊維の剛性の損失を軽減するために剛化繊維の線密度を増加させることができる。そのような例では、剛化繊維の線密度は、約3dtex~6dtex、又は約4dtex~6dtexとなるように選択することができる。
【0128】
流体管理層の「湿潤崩壊」に対する解決策は、単に、剛化繊維及び/又は弾性繊維の線密度を増加させることであるように思われるかもしれないが、それらの選択及び割合はバランスがとられるべきである。特に粘性流体の場合、本明細書で企図される流体管理層は、物品の着用者に面する表面から液体を引き出すのに役立つある程度の毛管現象を有するべきである。比較的高いデシテックスの繊維を含むことは、キャリパ保持の利点を有することができるが、毛管現象を減少させる場合があり、これは、流体管理層がトップシートから流体を引き出す能力を減少させる。
【0129】
本明細書で企図される流体管理層は、様々な吸収性物品に組み込まれてもよい。本明細書で企図される女性用衛生パッドの形態の吸収性物品の概略図の非限定的な例が、
図1Aに示されている。反映されているように、本明細書で企図されるパッド10は、トップシート20、バックシート50、及びトップシート20とバックシート50との間に配置された吸収性構造体40を含み得る。トップシート20と吸収性構造体40との間には、流体管理層30が配置され得る。パッドは、着用者に面する表面60と、反対側の外方に面する表面62とを有している。着用者に面する表面60は主にトップシート20によって形成され、外方に面する表面62は主にバックシート50によって形成される。追加の構成要素(図示せず)が、着用者に面する表面60及び/又は外方に面する表面62に近接して含まれてもよい。例えば、吸収性物品が失禁用パッドである場合、パッド10の長手方向軸100に概ね平行に延在する一対のバリアカフが着用者に面する表面60の一部を形成してもよい。同様に、(使用するため、パッドを下着内の適切な位置に貼り付けるために使用者/着用者によって使用される)1つ以上の付着物固定接着剤が、バックシート50上に存在してもよく、吸収性物品の外方に面する表面62の一部を形成してもよい。
【0130】
流体管理層30の構成の非限定的な例が
図1Bに概略的に示される。反映されているように、流体管理層30は、横方向軸200に概ね平行に延在し得る対向する端縁部32A及び32Bと、長手方向軸100に概ね平行に延在し得る側縁部31A及び32Bとを有し得る。同様に、吸収性構造体40は、横方向軸200に概ね平行に延在し得る対向する端縁部42A及び42Bと、長手方向軸100に概ね平行に延在し得る側縁部41A及び41Bとを有してもよい。
【0131】
図に反映されているように、流体管理層30の端縁部32A及び32Bの各々は、吸収性構造体40の長手方向外側に配置することができる。しかしながら、これは必ずしも必要ではない。例えば、端縁部32A及び/又は32Bは、吸収性構造体40と同一の広がりを有してもよく、あるいは端縁部32A及び/又は32Bは、吸収性構造体40の端縁部42A及び/又は42Bの長手方向内側に配置されてもよい。
【0132】
同様に、側縁部31A及び/又は31Bは、吸収性構造体40の側縁部41A及び/又は41Bの横方向外側に配置することができる。あるいは、側縁部31A及び/又は31Bは、吸収性構造体40の側縁部41A及び/又は41Bと横方向に同一の広がりを有してもよい。
【0133】
本開示の流体管理層を形成するためのプロセスを実施するように構成された製造ラインに沿った装置の配置が、
図2に概略的に示されている。反映されているように、複数のカード処理機210、220、及び230はそれぞれ、カード処理ウェブ214、224、及び234を各々形成することができ、これは、機械方向MDに沿って移動するキャリアベルト240上に堆積される。カード処理ウェブ214、224、及び234の各々は、それぞれシュート212、222、232を介してキャリアベルト240に提供されてもよい。一般に、カード処理機は、所望の生産速度で処理及び排出することができる繊維材料の体積及び質量に制限を有する場合があり、結果として、カード処理機は、生産することができるカード処理繊維ウェブの坪量に関して上限が課される場合がある。したがって、比較的低い坪量/より低いキャリパの流体管理層については、単一のカード処理機が、所望の生産速度で所望の坪量に達するように、カード処理繊維の集積体をレイダウンするのに十分であり得る。より大きい所望の坪量/より大きいキャリパの流体管理層の場合、
図2に示唆されるように、所望の坪量に達するように、集積された繊維のカード処理ウェブを「積み重ねる」ために、2台、3台、又はそれ以上のカード処理機が必要とされ得る。第1のカード処理ウェブ214がキャリアベルト240上に堆積された後、第2のカード処理ウェブ224が、キャリアベルト240上の第1のカード処理ウェブ214上(on)/上部(over)に堆積される。同様に、第3のカード処理ウェブ234(含まれている場合)は、キャリアベルト240上の第2のカード処理ウェブ224及び第1のカード処理ウェブ214上/上部に堆積される。
【0134】
続いて、1つ以上のカード処理ウェブ214、224、及び234は、ウェブの繊維を交絡させ、それらをz方向に一体化するためにニードル及び/又は高圧水ジェットのいずれかを利用し得る一体化装置250に搬送される。カード処理プロセス及び一体化プロセスはいずれも、当該技術分野では知られているものである。
【0135】
プロセスでは、3台よりも少ない又は3台よりも多いカード処理機が利用されてもよい。例えば、本明細書で企図される流体管理層は、2台のカード処理機のみを利用して製造されてもよい。そのような例では、第1のカード処理ウェブ214は、キャリアベルト240上に堆積される。続いて、第2のカード処理ウェブ224は、第1のカード処理ウェブ214上/上部に堆積される。次いで、第1のカード処理ウェブ214及び第2のカード処理ウェブ224は、本明細書に記載されるように一体化される。
【0136】
図2に概略的に示される装置の配置を用いて、様々な構成の流体管理層を製造することができる。しかしながら、目的は、流体管理層が、流体の迅速な捕捉を可能にするのに十分な細孔容積を有し、また、流体をトップシートから離して保持して再湿潤の可能性を低減することもできることである。これらの設計目的を念頭において、カード処理ウェブ、例えば214、224、及び/又は234、カード処理ウェブの繊維組成は、互いに異なるように選択することができる。第1のカード処理ウェブが吸収性物品の着用者に面する表面に最も近くに位置するものと仮定した場合、第1のカード処理ウェブ214の繊維の選択は、このウェブに関連する細孔容積をより多くなるようにすることができる。第2のカード処理ウェブ224も同様に構成することができる。対照的に、第3のカード処理ウェブ234は、第1及び第2のカード処理ウェブ214及び224の空隙空間/細孔容積から流体を引き出し、流体を、吸収性構造体に及び吸収性構造体全体にわたって分配するように適合された繊維組成を有してもよい。あるいは、第1のカード処理ウェブ214、第2のカード処理ウェブ224、及び第3のカード処理ウェブ234は、同様の繊維組成を有してもよい。
【0137】
本明細書で企図される流体管理層のz方向に沿った平面を通る断面の非限定的な例の概略図を
図3に提供する。示されるように、流体管理層30は、層30の着用者に面する表面である第1の表面300aと、外方に面する表面である反対側の第2の表面300bとを有する。第1の表面300aと第2の表面300bとの間で、流体分配層30は、カード処理ウェブの連続的なレイダウンから生じる、z方向に沿った2つ以上の識別可能な層30a、30b、30cを有してもよい。層は、繊維一体化界面ゾーン30b、30dによって大まかに画定することができ、1つのカード処理ウェブの繊維は、上述のプロセスによって、上に隣接する又は下にあるカード処理ウェブの繊維と一体化されている。
【0138】
好適な流体管理層(例えば、「二次トップシート」又は「捕捉/分配層」としても知られる)の例は、米国特許出願第16/831,862号、同第16/831,854号、同第16/832,270号、同第16/831,865号、同第16/831,868号、同第16/831,870号、同第16/831,879号、及び同第17/490,193号、並びに米国仮特許出願第63/086,701号に更に記載されている。追加の好適な例は、米国特許第9,504,613号、国際公開第2012/040315号、及び米国特許出願公開第2019/0021917号に記載されている。
【0139】
吸収性構造体
本開示の吸収性構造体40は、卵形(oval)、スタジアム形、長方形、非対称形状、ピーナッツ形、台形、角丸台形、卵形(ovoid)、及び砂時計形を含むが、これらに限定されない任意の好適な形状を有し得る。いくつかの例では、吸収性構造体40は、例えば、端部領域よりも長手方向中間領域において狭い、輪郭形状を有してもよい。他の例としては、吸収性構造体は、パッドの一方の端部領域では幅がより広く、パッドの他方の端部領域では幅が狭くなるように先細になっている、テーパ形状を有し得る。吸収性構造体40は、MD及びCD方向に様々な剛度を有することができる。
【0140】
吸収性構造体40の構成及び構造は変化してもよい(例えば、吸収性構造体40は、変化するキャリパゾーン、親水性勾配、超吸収性勾配、又はより低い平均密度及びより低い平均坪量の捕捉ゾーンを有してもよい)。更に、吸収性構造体40の寸法及び吸収能力も、様々な着用者に適応するように変更されてもよい。しかしながら、吸収性構造体40の合計吸収能力は、使い捨て吸収性物品又は失禁用パッド10の設計負荷及び意図された用途に適合するものであるべきである。
【0141】
いくつかの例では、吸収性構造体40は、各々が特定の特徴及び/又は機能を有する複数の層を含んでもよい。いくつかの例では、吸収性構造体40は、吸収性構造体の吸収性構成要素を包み込むために含まれるラップ(図示せず)を含んでもよい。ラップは、1つ以上の不織布材料、ティッシュ、フィルム若しくは他の材料、又はこれらの積層体によって形成されてもよい。一態様では、ラップは、単一の材料、基材、積層体、又はそれ自体の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる他の材料のみから形成され得る。
【0142】
吸収性構造体40は、例えば、第1及び第2の積層体内でSAP又は他の吸収性材料を固定化するのを助けるために、1つ以上の接着剤を含むことができる。
【0143】
様々なコア設計を有する比較的多量の超吸収性ポリマー(「SAP(superabsorbent polymer)」-「吸収性ゲル化材料」又は「AGM(absorbent gelling material)」としても知られる)を含む好適な吸収性構造体は、米国特許第5,599,335号、欧州特許第1 447 066号、国際公開第95/11652号、米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号、及び国際公開第2012/052172号に開示されている。
【0144】
吸収性構造体への追加が企図される。吸収性構造体への潜在的な追加は、米国特許第4,610,678号、同第4,673,402号、同第4,888,231号、及び同第4,834,735号に記載されている。吸収性構造体は、米国特許第5,234,423号及び同第5,147,345号に記載されるような、吸収性貯蔵コアの上部に配置された化学的に剛化された繊維の捕捉/分配コアを含む二重コアシステムを模倣する層を更に含んでもよい。これらは、以下に記載される本発明の吸収性構造体の積層体の効果を打ち消さないか、又は効果と競合しない程度に有用であると考えられ得る。
【0145】
本開示の吸収性物品に使用することができる好適な吸収性構造体40の更なる例が、米国特許出願公開第2018/0098893号及び同第2018/0098891号に記載されている。
【0146】
上述したように、本明細書で企図される流体管理層を含む吸収性物品は、aa貯蔵層を含むことができる。
図1A及び
図1Bに戻って参照すると、貯蔵層は一般に、吸収性構造体40が描かれている位置に対応する位置に配置される。貯蔵層は、吸収性構造体に関して記載したように構成されてもよい。貯蔵層は、従来の吸収性材料を含有してもよい。縮みセルロース詰め物(creped cellulose wadding)、毛羽立てられたセルロース繊維、レーヨン繊維又はビスコース繊維、及び粉砕木材パルプ繊維(エアフェルト又はフラッフパルプとしても知られる)、及び織物繊維など従来の吸収性材料に加えて、貯蔵層には、流体を吸収してヒドロゲルを形成する超吸収性材料の粒子又は繊維も含まれる場合がある。(このような材料は、吸収性ゲル化材料(absorbent gelling material、AGM)としても知られている。)AGMは、典型的には、AGMの乾燥重量当たり比較的大量の体液を吸収し、それを適度な圧力下で保持することができる。例えば、酢酸セルロース、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル(ORLONなど)、ポリ酢酸ビニル、不溶性ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル、2成分繊維、3成分繊維、これらの混合物などポリマーから紡糸された合成繊維もまた、二次貯蔵層内に含めることができる。貯蔵層はまた、再湿潤の変化を低減するのに役立ち得る、充填剤材料、例えば、パーライト、珪藻土、バーミキュライト、又は他の好適な材料を含むことができる。
【0147】
貯蔵層又は流体貯蔵層は、全体に均一な分布で吸収性ゲル化材料(AGM)を含んでもよく、又は不均一な分布でそれを含んでもよい。AGMは、チャネル又はポケットへの堆積を介して分配及び/又は集中されてもよく、ストライプ、十字パターン、渦巻き、ドット、又は想像できる任意の他の二次元又は三次元パターンを含むパターンで堆積されてもよい。AGMは、一対の繊維状カバー層の間に挟まれてもよい。AGMは、単一の繊維状カバー層によって少なくとも部分的に封入されてもよい。
【0148】
貯蔵層の一部を、実質的に超吸収性材料/AGMのみで形成することができるか、又は毛羽立てられた若しくは剛化された繊維の形態のセルロース繊維のバット若しくは集積体などの好適な担体構造中に分配及び分散されたAGMから形成することができる。貯蔵層の1つの非限定的な例は、実質的にAGM粒子又は繊維のみから形成される第1の層を含んでもよく、この第1の層は、セルロース繊維内のAGM粒子又は繊維の分布から形成される第2の層上に配置又は堆積される。
【0149】
本明細書で企図される吸収性物品(例えば、生理用ナプキン、失禁用製品)において利用され得る、超吸収性材料/AGMの層、及び/又はセルロース繊維のバット若しくは他の集積体内に分散される超吸収性材料/AGMの層により形成される吸収性構造体の例は、米国特許出願公開第2010/0228209(A1)号に開示されている。様々なコア設計を備えた比較的多量のSAP/AGMを含む吸収性構造体は、米国特許第5,599,335号、欧州特許第1 447 066号、国際公開第95/11652号、米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号、国際公開第2012/052172号、米国特許第8,466,336号、及びCarlucciの米国特許第9,693,910号に開示されている。これらは、吸収性構造体又は貯蔵層を構成するために使用することができる。
【0150】
バックシート
バックシート50は、吸収性構造体40の下に配置されてもよく、物品の最外層となり、物品の外方に面する表面を形成することができる。バックシート50は、当該技術分野において既知の任意の好適な取り付け方法によって、吸収性構造体40及び/又はトップシート(外周の周り)に接合されてもよい。例えば、バックシート50は、接着剤の均一な連続層、接着剤のパターン化された層、又は接着剤の独立した線、螺旋、若しくは点の配列によって、吸収性構造体40に固定され得る。代替的に、取り付け方法は、熱接着、圧着、超音波接着、動的機械的接着、若しくは当該技術分野で既知の他の任意の好適な取り付け方法又はこれらの取り付け方法の組み合わせの使用を含んでもよい。
【0151】
バックシート50は、通常の使用条件下では、液体(例えば、尿、月経液)に対して不透過性、又は実質的に不透過性であってもよく、薄いプラスチックフィルムから製造されてもよいが、他の可撓性の液体不透過性材料も使用することができる。バックシート50は、吸収性構造体40に吸収及び封じ込められた滲出物が、物品10と接触又は近接し得る下着、外衣、寝具などを濡らすことを防止又は少なくとも抑制し得る。しかしながら、いくつかの例では、バックシート50は、蒸気が吸収性構造体40から逃げることを可能にするように構成されてもよく(すなわち、「通気性」である)、一方、いくつかの例では、バックシート50は、蒸気不透過性であるように構成されてもよい(すなわち、非通気性)。バックシート50は、ポリエチレン又はポリプロピレンのフィルムなどのポリマーフィルムを含んでいてもよい。バックシート50に好適な材料は、例えば、おおよそ0.012mm(0.5mil)~0.051mm(2.0mil)の厚さを有する熱可塑性フィルムである。当該技術分野において既知の任意の好適な液体不透過性バックシートが本発明で利用され得る。
【0152】
バックシート50は、吸収性構造体40内に吸収され保持された流体がパッドの外方に面する表面に移動するのを防止するバリアとして機能する。好ましい材料は、快適さのために柔らかさ及び共形性を提供し、かつ動きによって望ましくない音が生じないように低ノイズである、柔らかく滑らかで柔軟性のある、液体及び蒸気を通す材料である。
【0153】
バックシートを形成するのに好適な材料の非限定的な例は、米国特許第5,885,265号、同第6,462,251号、同第6,623,464号、及び同第6,664,439号に記載されている。好適な二層又は多層通気性バックシートの例としては、米国特許第3,881,489号、同第4,341,216号、同第4,713,068号、同第4,818,600号、欧州特許第203 821号、同第710 471号、同第710 472号、及び同第793 952号に記載されているものが挙げられる。好適な単層通気性バックシートの更なる例としては、英国特許出願公開第A2184 389号、同第A2184390号、同第A2184391号、米国特許第4,591,523号、同第3 989 867号、同第3,156,242号、及び国際公開第97/24097号に記載されているものが挙げられる。
【0154】
バックシートは、約20gsm~50gsmの坪量を有する不織布ウェブであってもよい。一実施形態では、バックシートは、Fiberweb Neubergerから商品名F102301001で入手可能な4デニールポリプロピレン繊維の、疎水性の23gsmスパンボンド不織布ウェブであってよい。バックシートは、米国特許第6,436,508号に記載されるように、不溶性の液体膨潤性材料でコーティングされていてもよい。
【0155】
バックシートは、外方に面する側と、反対側の着用者に面する側とを有する。バックシートの外方に面する側は、非接着領域と接着領域とを含むことができる。接着領域は、使用者/着用者が、下着の着用者に面する表面に使用に適した位置にパッドを貼り付けることを可能にする目的で、任意の従来の手段によって設けることができる。感圧性接着剤が、この目的に対して十分に機能することが見出されている。
【0156】
実験例
実験及び発見の目的のために、本発明者らは、本明細書で企図されるトップシート及び流体管理層の様々な構成を含む女性用衛生パッドの形態の吸収性物品のプロトタイプ試料の大量の製造及び試験を行った。プロトタイプ試料は以下の特徴を有していた。
【0157】
トップシート
全てのプロトタイプ試料のトップシートは、約24gsmの坪量を有していた。
【0158】
全てのプロトタイプ試料のためのトップシートは、38mmの平均ステープル長及び2の平均デニールを有するカード処理ステープル長繊維の不織布ウェブから切断された。繊維は、コア成分がPETであり、シース成分がLDPEである同心シース-コア構成を有する2成分であり、成分の重量比は1:1であった。不織布ウェブは、カード処理繊維のエアスルー熱結合によって作り出された複数のランダムに分布した繊維間結合を含んでいた。
【0159】
トップシートは、概して長手方向に配向された不連続な一連の狭い螺旋経路に適用された感圧性接着剤の適用を介して、下に配置された流体管理層に貼り付けられた。流体管理層は、同様の様式で、下に配置された吸収性構造体に貼り付けられた。
【0160】
更なる詳細は、以下に特定されるように試料ごとに変化した。
【0161】
試料#1:トップシート不織布は、親水性繊維の重量対疎水性繊維の重量の比が60:40である親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドから形成された。
【0162】
試料#2:トップシート不織布は、親水性繊維の重量対疎水性繊維の重量の比が60:40である親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドから形成された。トップシートは、約1重量パーセントのPPG-15ステアリルエーテル及び約99重量パーセントのカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドからなる固着防止剤の適用を有し、固着防止剤は、約2gsmの適用レベルで着用者に面する表面上に噴霧されていた。
【0163】
試料#3:トップシート不織布は、親水性繊維の重量対疎水性繊維の重量の比が60:40である親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドから形成された。不織布は、それを通る孔の規則的なパターンを有し、孔は、0.55mm2の平均サイズを有し、約3パーセントの開口面積を構成していた。
【0164】
試料#4:トップシート不織布は、親水性繊維の重量対疎水性繊維の重量の比が60:40である親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドから形成された。不織布は、それを通る孔の規則的なパターンを有し、孔は、0.60mm2の平均サイズを有し、約12パーセントの開口面積を構成していた。
【0165】
試料#5:トップシート不織布は、親水性繊維の重量対疎水性繊維の重量の比が60:40である親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドから形成された。不織布は、それを通る孔の規則的なパターンを有し、孔は、0.60mm2の平均サイズを有し、約12パーセントの開口面積を構成していた。トップシートは、約1重量パーセントのPPG-15ステアリルエーテル及び約99重量パーセントのカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドからなる固着防止剤の適用を有し、固着防止剤は、約2gsmの適用レベルで着用者に面する表面上に噴霧されている。
【0166】
試料#6:トップシート不織布は、親水性繊維の重量対疎水性繊維の重量の比が60:40である親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドから形成された。不織布は、それを通る孔の規則的なパターンを有し、孔は、2.3mm2の平均サイズを有し、約19パーセントの開口面積を構成していた。
【0167】
試料#7:トップシート不織布は、完全に疎水性繊維から形成され、孔を有さず、固着防止剤の適用も有さなかった。
【0168】
試料#8:トップシート不織布は、完全に疎水性繊維から形成された。不織布は、それを通る孔の規則的なパターンを有し、孔は、0.55mm2の平均サイズを有し、約3パーセントの開口面積を構成していた。
【0169】
試料#9:トップシート不織布は、完全に疎水性繊維から形成された。不織布は、それを通る孔の規則的なパターンを有し、孔は、0.60mm2の平均サイズを有し、約12パーセントの開口面積を構成していた。
【0170】
試料#10:トップシート不織布は、完全に疎水性繊維から形成された。不織布は、それを通る孔の規則的なパターンを有し、孔は、2.30mm2の平均サイズを有し、約19パーセントの開口面積を構成した。
【0171】
流体管理層
全てのプロトタイプ試料は、トップシートの下に配置された、実質的に共通の構造及び組成の流体管理層を含んでいた。共通流体管理層は、約65gsmの坪量を有した。これは、約20重量パーセントの、1.3dtexのビスコース繊維と、約30重量パーセントの、10dtexの中空スパイラルポリエチレンテレフタレート繊維と、約50重量パーセントの、同心シース-コア構成を有する2.2dtexの2成分繊維であって、コア成分がPETであり、シース成分がPEであり、約1:1のPET:PEの重量比である、2成分繊維と、から構成されていた。これらの2成分繊維は、約2.2の平均デシテックスを有していた。流体管理層は、各々が同じ均質な繊維のブレンドを有する2つの層を有し、軽く水流交絡され、エアスルー熱結合された。
【0172】
吸収性構造体
全てのプロトタイプ試料は、流体管理層の下に配置された、実質的に共通の構造及び組成の吸収性構造を含んでいた。一般的な吸収性構造体は、パルプ繊維、吸収性ゲル化材料、及び2成分繊維のエアレイドブレンドであり、182gsmの坪量を有し、Glatfelter Corporation(Charlotte,North Carolina,USA)からフェストゥーンウェブ(festooned web)形態で予め製造されて入手可能であった。吸収性構造体の構造及び組成は、様々なプロトタイプ試料の間で測定された性能の差において重要な役割を有するとは考えられない。
【0173】
バックシート
全てのプロトタイプ試料は、吸収性構造体の下に配置された、押出ポリエチレンフィルムのシートから形成された共通のバックシートを含んでいた。
【0174】
試験結果及びデータ
10個全てのプロトタイプ試料の量を、以下に示す捕捉時間及び再湿潤測定法を使用して測定及び試験に供した。
【0175】
図9A及び
図9Bは、10個の試料の各々について測定された第2の捕捉時間(ACQ-2)を報告する。本明細書の目的のために、第2の捕捉時間(ACQ-2)は、ある期間にわたって使用/着用され、いくらかの流体を吸収したが、その後の非活動又は比較的低い活動の期間に続く使用者/着用者の身体位置の突然の変化に伴って起こり得るような比較的大きな流体の排出に曝される女性用衛生パッドの流体捕捉を反映するので、実際の使用者の経験に最も関連すると考えられる。図表内の30秒マークに引かれた太い水平線は、関連する消費者/使用者に許容される最も長い捕捉時間であると本発明者らが考えるものを表す。
【0176】
図10A及び
図10Bは、10個の試料の各々について測定された表面自由流体(SFF)及び再湿潤の合計を報告する。本明細書の目的のために、この合計は、かなりの量の流体を吸収したパッドが、適度な圧力下で流体がトップシートの表面に戻ることを可能にする程度を反映するので、実際の使用者の経験に最も関連すると考えられ、これは使用者/着用者にとって不満足な湿潤感の原因を反映する。図表中の400ミリグラムマークに引かれた太い水平線は、関連する消費者/使用者に許容される最も高いSFF+再湿潤であると本発明者らが考えるものを表す。
【0177】
図9A、
図9Bの図表から、プロトタイプ試料1~6、9及び10は、許容可能と考えられる第2の取得時間を示したが、プロトタイプ試料7及び8は示さなかったことが分かり得る。
【0178】
図10A及び
図10Bの図表から、プロトタイプ試料2、5及び8~10は、許容可能であると考えられるSFF+再湿潤値を示したが、プロトタイプ試料1、3、4、6及び7は示さなかったことが分かり得る。
【0179】
このデータから、本明細書の評価によれば、プロトタイプ試料2、5、9及び10が最も成功したと結論付けることができる。
【0180】
試験及び測定方法
キャリパ
試験片のキャリパ又は厚さは、試料が載置される基準プラットフォームと、特定の時間にわたって試料上に特定の量の圧力をかける押さえとの間の距離として測定される。全ての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験片は、試験前に少なくとも2時間、この環境で調整される。
【0181】
キャリパは、0.50kPa±0.01kPaの定常圧力を試験片にかけることができる押さえを備えた手動式マイクロメータで測定される。手動式マイクロメータは、0.01mmまでの正確な読み取り値を有する自重型器具である。好適な器具は、VWR Internationalから入手可能なMitutoyo Series 543 ID-C Digimatic、又は等価物である。押さえは、試験片よりも小さい直径を有し、必要な圧力をかけることが可能な、平坦な接地した円形可動面である。好適な押さえは、25.4mmの直径を有するが、測定される試料の大きさに応じて、より小さい押さえ又はより大きい押さえを使用することができる。試験片は、押さえの表面よりも大きく、かつ押さえの表面に平行な水平の平坦な基準プラットフォームによって支持される。システムは、製造業者の指示に従って較正及び操作される。
【0182】
必要に応じて、吸収性物品から取り出すことによって試験片を得る。試験片を吸収性物品から切除するとき、そのプロセスで試験片の層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。試験片は、折り目又は皺を含まない領域から得られ、押さえよりも大きくなければならない。
【0183】
キャリパを測定するために、最初に、水平の平坦な基準プラットフォームに対してマイクロメータをゼロにする。試験位置が押さえの下で中心にある状態で、試験片をプラットフォーム上に置く。全圧力が試験片にかかるまで、3.0mm±1.0mm/秒の下降速度で押さえを静かに下げる。5秒待った後、試験片のキャリパを0.001mm単位で記録する。同様に、合計10個の複製試験片について繰り返す。全てのキャリパ測定値について算術平均を計算し、キャリパとして0.001mm単位で報告する。
【0184】
キャリパ係数
キャリパ係数は、前述したように、試料の坪量10gsm当たりのキャリパである。したがって、式は、キャリパ/(坪量/10)である。
【0185】
坪量
シート又はウェブ材料の試料の坪量は、材料の単層の単位面積(平方メートル単位)当たりの質量(グラム単位)である。他に知られていないか又は利用可能でない場合、坪量は、EDANA公定法NWSP 130.1を使用して測定することができる。試験サンプルの塊を既知の面積に切断し、0.0001グラムの精度の分析天秤を用いて試料の質量を測定する。全ての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験試料は、試験前に少なくとも2時間、この環境でコンディショニングされる。
【0186】
測定は、原材料のロール若しくはシートから採取した試験試料、又は吸収性物品から切除した材料層から得られた試験試料について行う。材料層を吸収性物品から切除する際には、そのプロセスで試料層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。切除した層は、残留接着剤を含んではならない。接着剤が全て確実に除去されるよう、材料自体に悪影響を及ぼすことなく接着剤を溶解する好適な溶媒中に層を浸漬する。このような溶媒の1つに、THF(任意の便宜のよい供給元から入手可能な一般用途のテトラヒドロフラン、CAS109-99-9)がある。溶媒浸漬後、材料層を材料の不要な延伸又は他の変形を防止するような形で完全に風乾させる。材料が乾燥した後、試験片を得る。試験片は、任意の固有の材質変動が考慮されるように、可能な限り大きくなければならない。
【0187】
NISTにトレーサブルな較正された鋼製金属定規又は同等物を使用して、単層試験片の寸法を測定する。試験片の面積を計算し、0.0001平方メートル単位で記録する。分析天秤を使用して試験片の質量を取得し、0.0001グラム単位で記録する。質量(グラム単位)を面積(平方メートル単位)で除算して坪量を計算し、0.01グラム/平方メートル(grams per square meter、gsm)単位で記録する。同じ要領で、合計10個の複製試験片について試験を繰り返す。坪量の算術平均を計算し、0.01グラム/平方メートル単位で報告する。
【0188】
材料の組成分析
他に情報が入手できない場合、複数の繊維タイプの混合物を含む試験片の定量的化学組成をISO1833-1を使用して決定する。全ての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%に維持された実験室内で実施する。
【0189】
分析は、原材料のロール若しくはシートから採取した試験試料、又は吸収性物品から切除した材料層から得られた試験試料について行う。材料層を吸収性物品から切除する際には、そのプロセスで試料層にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。切除した層は、残留接着剤を含んではならない。接着剤が全て確実に除去されるよう、材料自体に悪影響を及ぼすことなく接着剤を溶解する好適な溶媒中に層を浸漬する。このような溶媒の1つに、THF(任意の便宜のよい供給元から入手可能な一般用途のテトラヒドロフラン、CAS109-99-9)がある。溶媒浸漬後、材料層を材料の不要な延伸又は他の変形を防止するような形で完全に風乾させる。材料を乾燥させた後、試験片を得て、ISO1833-1に従って試験してその化学組成を定量的に決定する。
【0190】
平均繊維デシテックス(dtex)又はデニール
織物ウェブ(例えば、織布、不織布、エアレイド)は、材料の個別の繊維から構成されている。繊維は、ある点では、デニールの単位又はデシテックスの単位で報告されるそれらの線質量密度によって特徴付けられる。デシテックス値は、10,000メートルの繊維中に存在するその繊維の質量をグラム単位で表したものである。デニール値は、9,000メートルの繊維中に存在するその繊維の質量をグラム単位で表したものである。材料ウェブ中の繊維の平均デシテックス値又はデニール値は、多くの場合、仕様の一部として製造業者によって報告されている。繊維の平均デシテックス値又はデニール値が他では既知でない又は入手できない場合、走査電子顕微鏡法(scanning electron microscopy、SEM)などの好適な顕微鏡法によって繊維の断面積を測定し、FT-IR(Fourier Transform Infrared、フーリエ変換赤外線)分光法及び/又はDSC(Dynamic Scanning Calorimetry、動的走査熱量測定)などの好適な技法を用いて繊維の組成を決定した後、組成物の密度についての文献の値を用いて10,000メートルの繊維(デシテックスの場合)又は9,000メートルの繊維(デニールの場合)中に存在する繊維の質量をグラム単位で計算することによって、計算することができる。
【0191】
全ての試験は、23℃±2.0℃の温度及び50%±2%の相対湿度に維持された室内で実施され、試料は、試験前に少なくとも2時間、同じ環境条件下で調整される。
【0192】
必要に応じて、関心対象のウェブ材料の代表的な試料を吸収性物品から切除することができる。この場合、試料が伸張、歪み、又は汚染しないようにウェブ材料を切除する。
【0193】
SEM画像を得たら、以下のように分析して、繊維の断面積を決定する。ウェブ材料の試料の断面を分析するため、試験片を以下のように調製する。折り目又は皺を含まないおおよそ1.5cm(高さ)×2.5cm(長さ)の試験片をウェブから切断する。試料を液体窒素中で浸漬し、試験片の長さに沿って縁部をかみそり刃(VWR Single Edge Industrial Razor blade No.9、外科用炭素鋼)を用いて折り取る。試験片に金をスパッタコートし、次いで両面導電性テープ(Cu、electron microscopy sciencesより入手可能な3M)を使用してSEMマウントに接着する。測定される断面の任意の斜め歪みを最小限にするため、試験片の向きを、断面が検出器に対してできるだけ垂直となるようにする。SEM画像を、試験片中に存在する繊維の断面が明確に示されるような十分な解像度で得る。繊維断面の形状は様々に異なり、繊維によっては複数の個別のフィラメントで構成されるものもある。それにかかわらず、繊維断面のそれぞれの面積が測定される(例えば、円形繊維では直径、楕円形繊維では長軸及び短軸、より複雑な形状では画像解析を用いて)。繊維断面が不均質な断面組成を示す場合、各認識可能な成分の面積を記録し、各成分についてdtexの寄与度を計算した後、合計する。例えば、繊維が2成分繊維である場合、コア及びシースについて断面積を別々に測定し、コア及びシースからのdtex寄与度をそれぞれ計算して、合計する。繊維が中空である場合には、繊維のdtexに大きく寄与しない空気からなる繊維の内側部分を断面積から除外する。全体として、少なくとも100回の断面積のこのような測定を試料中に存在する各繊維タイプに対して行い、それぞれについて平方マイクロメートル(μm2)の単位で表した断面積の算術平均akを0.1μm2単位で記録する。
【0194】
繊維の組成を、FTIR分光法などの一般的な特性評価法を用いて決定する。より複雑な繊維組成(ポリプロピレンコア/ポリエチレンシースの2成分繊維など)の場合には、繊維組成を完全に特徴付けるために一般的な技法(例えば、FTIR分光法及びDSC)の組み合わせが必要とされる場合もある。ウェブ材料中に存在する各繊維タイプについて、このプロセスを繰り返す。
【0195】
ウェブ材料中の各繊維タイプの平均デシテックスdk値は、以下のように計算される。
dk=10 000m×ak×ρk×10-6
式中、dkの単位は(計算された長さ10,000メートル当たりの)グラム数であり、akの単位はμm2であり、ρkの単位はグラム/立方センチメートル(g/cm3)である。平均デシテックスは、繊維タイプ(例えば、PP、PET、セルロース、PP/PET2成分)と共に0.1g単位(計算された長さ10,000メートル当たり)で報告される。ウェブ材料中の各繊維タイプの平均デニール値は、そのデシテックスdk値×0.9である。
【0196】
孔パーセント開口面積測定法
開口面積パーセントは、フラットベッドスキャナを使用して取得された有孔トップシート試験片の画像上で測定される。スキャナは、2400dpiの解像度及び8ビットグレースケールで反射率モードで走査することができる。好適なスキャナは、Epson America Inc.(Long Beach,California,USA)製のEpson Perfection V750 Pro、又は実質的に同様の機能を有するものである。スキャナは、画像分析プログラムを実行するコンピュータに接続されている。好適なプログラムは、ImageJ v.1.47(National Institute of Health,USA)、又は実質的に同様の機能を有するものである。試験片画像は、取得されたNIST認定定規の画像に対して距離較正される。最大のコントラストを可能にするために、試験片は、画像を取得する前に、均一な黒色の不透明な背景シートで裏打ちされる。全ての測定は、約23±2℃及び約50±2%の相対湿度に維持された空調室内で行われる。
【0197】
測定結果を、以下のように作製する。
【0198】
関心対象の吸収性物品の必要な数の試料を得る。測定試験片を得るために、着用者に面する側を上にして、水平で平坦な作業面に平坦な構成で、試料吸収性物品をその周囲にテープで固定する(すなわち、流体管理層が下にある領域にはテープで固定しない)。存在する場合、(例えば、レッグカフ(leg cuff)に)含まれる任意の弾性材料は、物品を平らに広げることを容易にするために切断されてもよい。物品の流体捕捉層を覆う有孔トップシートの領域の外側境界が識別され、マークが付けられる。次に、新しいかみそり刃又は他の同等の新しい鋭利な切断器具を用いて、このマークを付けられた外側境界の周囲及びそれを貫通して、トップシート及び任意の接着された下層を切断する。次に、この切り取られた部分から、孔の歪みを回避するために、その長手方向及び横方向の寸法が変化しないように、孔あきトップシートの試験片を下にある層から慎重に分離し取り出す。トップシートが接着剤を介して下層に接着される場合、分離を試みる前に、接着剤を溶解し、トップシート不織布ウェブ材料を構成する繊維のポリマー材料を溶解することなく、下層からのトップシートの容易な分離を可能にするのに好適な任意の溶媒を適用する。(多くの例において、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)は、この目的に適した溶媒であり得る。繊維自体を構成するポリマーを溶解しない限り、溶媒が繊維上に塗布された表面仕上げコーティングを溶解するかどうかは問題ではない。)測定試験片を構成する表面シートの切り取り部分を取り出したら、その着用者に面する側を識別する。関心対象の吸収性物品の5つの試料から得られた5つの複製測定試験片を、測定のために調製する。試験片は、画像化前に、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%で2時間にわたってコンディショニングされる。
【0199】
画像は以下のように得られる。
【0200】
定規が、スキャナガラスの側面に平行に配向されるようにスキャナベッド上に配置される。定規の画像(較正画像)は、2400dpi(おおよそ94画素/mm)の解像度及び8ビットグレースケールの反射モードで取得される。較正画像は、圧縮前のTIFF書式ファイルとして保存される。較正画像を取得した後、定規をスキャナガラスから取り外し、全ての試験片を同じ走査条件下で走査する。
【0201】
測定試験片は、試験片の身体に面する側の表面がスキャナのガラス表面に向いている状態で、スキャナベッドの中央に平らに寝かせて配置される。試験片の角及び縁は、取り外し前の物品に対するように、その元の長手方向及び横方向の寸法が保持されるように固設される。試験片は、それぞれ、その長軸がスキャナのガラス表面の側面に平行に及び短軸が垂直に整列するように配向される。黒い背景を試料の上に置き、スキャナの蓋が閉じられ、試験片全体の走査画像が、較正画像に使用されたのと同じ設定で取得される。画像は、非圧縮のTIFF書式ファイルとして保存される。残りの4つの複製試験片が、同様の様式で走査され、保存される。
【0202】
試験片画像は以下のように解析される。画像分析プログラムにおいて較正画像ファイルを開き、画像化された定規を使用して画像解像度を較正して、1ミリメートル当たりのピクセル数を決定する。次に、画像分析プログラムで試験片画像を開き、較正画像から決定された画像解像度を使用して距離スケールを設定する。ここで、60.0mmの長手方向軸に沿った長手方向寸法及び30.0mmの横方向寸法を有する、試料片を中心とした長手方向及び横方向の長方形断面(関心領域、又は「ROI」)を特定し、ROI内に存在する孔の画像を視覚的に検査する。ここで、ソフトウェアツールを使用して、ROI内の孔の各々(及びROIの端におけるその任意の部分的な部分)の輪郭を手動で描く。適切な輪郭は、孔の周囲の変位した繊維の集中部503の視覚的に識別可能な内側縁部に沿って描かれる。主構造及び/又は周囲の変位した繊維の集中部から逃れ、孔の主開口領域内に又はそれを通って交差する可能性がある逸脱した個々の繊維(例示的な例として、
図5に示される逸脱した個々の繊維504)は、本明細書の目的のために孔面積から減算されるとはみなされない。)次いで、ソフトウェアを使用して、ROI内の各個別の孔の輪郭(全体及び部分)内の面積を測定し、それぞれを0.01mm
2単位で記録し、それらの合計を計算する。各個別の孔の面積は、開口領域の視覚的に識別可能な輪郭内のx-y表面積として定義され、ウェブの機械的貫通、及びウェブを貫通する孔を生成する穿孔プロセスにおける繊維のx-y方向変位によって生成される。(例えば、
図5を参照すると、個々の孔の領域501及び視覚的に識別可能な境界502が示されている。図示された孔の暗い領域は、この特定の画像が作成された試験片の裏当てとして使用される黒い画用紙の画像である。ROI内の全ての孔の面積の合計を、0.01mm
2単位で孔面積として記録する。次に、孔面積をROI面積(1800mm
2)で割り、次に100を掛けて、開口面積として0.1%単位で記録する。
【0203】
同様に、残りの4つの複製試験片画像に対して手順全体を繰り返す。5つ全ての複製試験片にわたる開口面積の算術平均を計算し、平均開口面積として0.1%単位で報告する。
【0204】
捕捉時間及び再湿潤測定法
この方法は、本明細書に記載されるように調製された新たな人工月経液(nAMF)が充填された吸収性物品について、噴出捕捉時間、界面自由流体量、並びに低圧及び高圧再湿潤値を測定する方法を説明する。前処理ステップに続いて、既知量のnAMFを吸収性物品に3回導入する。吸収性物品がnAMFの各用量を捕捉するのに必要な時間は、染み透りプレート及び電子回路間隔タイマーを使用して測定される。各液体用量の後、流体が染み透りプレートの底面から濾紙に移動する際に、界面自由流体(Interfacial Free Fluid、IFF)を重量測定法で測定する。続いて、最後の液体投与の後に低圧及び高圧再湿潤を測定する。表面自由流体(SFF)は、吸収性物品のトップシート内に残る流体の量である。SFFは、低圧(0.1psi)で再湿潤を行うことによって測定される。SFFを測定した直後に、より高圧(0.5psi)の再湿潤を実行して、吸収性物品の全体的な再湿潤を決定する。全ての試験は、23℃±2℃、相対湿度50%±2%に維持された室内で行われる。
【0205】
装置及び供給品
染み透りプレート構成
図6、
図7、
図8A及び
図8Bを参照すると、染み透りプレート601は、長さ10.2cm(y方向)×幅10.2cm(x方向)×高さ3.1cmの全体寸法を有する透明なプレキシガラス又は同等物から作製されている。(本明細書における全ての位置及び空間的言及は、染み透りプレートが底面を下にして水平面に置かれたときに有するような染み透りプレートの向きを想定している。本測定法の説明におけるx、y及びz方向への全ての言及は、
図6、
図7、
図8A及び
図8Bに現れるx、y及びz方向矢印指標への言及に関してのみであり、本明細書の他の場所に現れるそのような言及に必ずしも適用されない。円形開口部及び直径25mmの円筒壁を備えた中央試験流体ウェル608は、プレートの上面で開口し、プレートの上面から15mmの深さまで垂直下方(z方向)に延在し、次いで半径方向内向きに曲がって、試験流体ポート603の直径に一致する直径まで均一に先細りしながら、上面から更に7.5mm垂直下方に延在する円錐壁を画定する。試験流体ポート603は、試験流体ウェル608と同心/同軸であり、6.6mmの直径を有する円筒壁を有し、上面から5mmだけ更に垂直下方に長手方向流体チャネル607まで延在する。長手方向流体チャネル607は、プレートの底部に機械加工されるか又は他の方法で形成される。長手方向流体チャネル607は、チャネルの中間点において(試験流体ポート603において)上方に(z方向に)3.5mm延在し、次いで、チャネルの各長手方向端部に向かって0.72°の角度607aで下方に傾斜する、垂直側壁によって画定される、プレートの最底面からの深さを有する。長手方向の流体チャネルは、流体が下にある試験試料上に導入されることを可能にし、流体チャネル607によって境界付けられたx-y領域に沿って流れることを可能にするように、プレートの底面で開いている。流体チャネル607は、試験流体ポート603の下で中心に置かれ、その長さは、プレートを通る電極604のx方向経路の長さに対して垂直なy方向に延びる。長手方向流体チャネル607は、5mmのx方向幅及び80mmのy方向長さを有し、チャネルの全周にわたって1.0mmの半径607bで丸められた上部角部を有する。長手方向流体チャネル607の対向する遠位端における壁は、x-y平面において2.5mmの円筒半径609を有する。
【0206】
2つの矩形キャビティ602(長さ(x方向)80.5mm×幅(y方向)24.5mm×深さ(z方向)25mm)が、流体ポート603の外側に対称的に配置され、プレートのy方向軸を中心とする。これらには、長手方向流体チャネル607によって画定される面積を減算することなく、本明細書の目的のために10.2cm×10.2cm=104.04cm2であるとみなされる、プレートに画定される総x-y面積にわたって0.10psi(7.0g/cm2)の圧力を提供するように、プレートと加重材料との総質量を調節するために必要とされる程度まで、鉛ショット(又は他の加重材料)が装填されてもよい。電極604は、プレート601に埋め込まれ、各々が、2つの外部バナナジャック606のうちの一方と、長手方向流体チャネル607の内壁605上で、他方の対向位置との間の電気的接続を提供する。端部がポート603内に露出している電極604の最下部は、プレート601の最底面から1.57mmである。回路間隔タイマーは、ジャック606に接続されて、2つの電極604間のインピーダンス又は抵抗を監視し、ポート603へのnAMFの導入(電極間の電気的接続を確立する、及び/又は電極間のインピーダンス又は抵抗を大幅に減少させる)から、nAMFがポート603及びチャネル607からテスト試験片内へ電極より下のレベルまで排出される(電極間の電気的接続を切断する、及び/又は電極間のインピーダンス又は抵抗を大幅に増加させる)までの時間を測定する。回路間隔タイマーは、0.01秒の分解能を有する。
【0207】
前処理プレート
前処理プレート(図示せず)を前処理重り(図示せず)と組み合わせて使用して、以下に特定する全流体用量の導入前に、nAMFの液滴を試験片の表面に適用して、試料の表面を下塗りする。前処理プレートは長方形であり、透明なプレキシガラス又は同等物でできており、長さ14インチ(35.6cm)×幅8インチ(20.3cm)であり、厚さ/キャリパは約0.25インチ(6.4mm)である。前処理プレートには、各々直径5mmの5つの円形マーカーで1cm間隔で(中心から中心まで)マークを付けられ、プレートの長手方向軸に沿って中央に配置されている。5つの中央マーカーは、プレートの長手方向軸の横方向の中点に中心がある。これらのマーカーは、nAMF液滴の配置を示す。マーカーは前処理プレートの下側に配置され、前処理プレートの上面を通して見ることができるような任意の方法で、フライス加工するか、又は永久マーカー若しくは同等物で簡単に描くことができる。
【0208】
前処理重り
前処理重り(図示せず)は、x及びy寸法が10.2cm×10.2cmであり、平坦で滑らかな剛性材料(例えば、ステンレス鋼)からなる。前処理重りは、726g±0.5gの総質量を有し、前処理重りの底部104.04cm2表面積にわたって0.10psi(7.0g/cm2)の圧力をもたらす。
【0209】
IFFゴムパッド
界面流体量を測定する場合、平坦な表面を有するゴムパッド(「IFFゴムパッド」)(図示せず)が使用される。IFFゴムパッドは、40Aデュロメータ及び1/8インチの厚さ/キャリパを有する高強度ネオプレンゴム(W.W.Grainger,Inc、品番1DUV4から入手可能、又は同等物)から作製され、6インチ(15.2cm)×6インチ(15.2cm)の寸法に切断した。
【0210】
再湿潤重りアセンブリ
試験の再湿潤部分全体に対して、10.2cm×10.2cm(104.04cm2)の表面積にわたって0.5psi(35.1g/cm2)を適用するように構成されたパッド入り重りアセンブリ(「再湿潤重りアセンブリ」)(図示せず)が必要とされる。最湿潤重りアセンブリは、以下のように構築される。
【0211】
1枚のポリエチレンフィルム(厚さ約25ミクロン、x-y方向に約22.5cm平方、任意の便利な供給源から)を水平作業面上に平らに置く。ポリウレタンフォーム片(厚さ25mm、密度1.0lb/ft3、IDL 24psi、Concord-Renn Co.,Cincinnati,OHから入手可能、又は同等物)を10.2cm×10.2cmに切断し、次いでフィルムの上の中心位置に置く。次いで、一片の透明なプレキシガラス(10.2cm×10.2cm、厚さ約6.4mm)をポリウレタンフォームの上に積み重ねる。次に、ポリエチレンフィルムをポリウレタンフォームの下で穏やかにピンと引っ張り、ポリウレタンフォームの下から外向きに延びるポリエチレンフィルムの部分を、ポリウレタンフォーム及びプレキシガラスプレートの上部に巻き付け、透明テープでその周りに固定する。好適な質量の金属重りを選択し、アセンブリの総質量(再湿潤重りアセンブリ)が3.6kg±0.1kgになるように、プレキシガラスプレートの上に積み重ね、それに固定する。
【0212】
濾紙
IFF、SFF及び全体的な再湿潤ステップのために、様々な数の濾紙層(図示せず)が必要とされる。試験前に、使用する濾紙は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で少なくとも2時間調整する必要がある。好適な濾紙は、坪量が約88gsm、厚さが約249ミクロン、吸収速度が約5秒を有し、Ahlstrom-Munksjo(Mt.Holly Springs,PA)からグレード632又は同等物として入手可能である。濾紙の各シートは、5インチ×5インチ(12.7cm×12.7cm)の寸法を有する正方形である。
【0213】
手順
1)試験前に、試験試料(関心対象の吸収性物品の例)は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で少なくとも2時間調整される。
2)試験試料をそれらの外装から取り出し、必要に応じて、取り扱い中に製品を押し下げたり引っ張ったりしないように注意して、包装を開けて製品を広げる。皺を滑らかにするための試みはなされていない。はさみを使用して、存在する場合、ウィングを接続する任意の接着剤被覆剥離紙を切断し、着用者に面する表面を上に向けて(すなわち、外方に面する側を下に向けて)水平作業面上に試料を置く。
3)各試料について、以下のように投与位置を決定する。投与位置は、流体管理層の長手方向軸及び横軸の中点の交点である。投与位置が特定されたら、黒色の微細先端の油性マーカーを使用して、それを小さな点でマークする。
4)試料の各試験について、試験試料を以下のようにnAMFで前処理する。
a)前処理プレートを、円形マーカーを有する側が下向きになるように水平作業面上に置く。
b)単一チャネルの固定容量ピペッターを使用して、50μLのnAMFを前処理プレートの上側の5つの円形マーカーのそれぞれの上にある5つの位置のそれぞれに分注する。
c)試験試料の長手方向軸と前処理プレートの長手方向軸とを位置合わせし、試験試料上の予めマークされた投与位置が前処理プレート上のnAMFの中心液滴の上部の中心に位置するように試験試料を前処理プレートの上に配置し、試験試料は、試料の着用者に面する表面を下にして、前処理プレートに面するように配置する。
d)前処理プレートの上部に適切に配置した後、試験試料を下ろして前処理プレートと接触させ、次いで、前処理重りを試験試料の外方に面する(上方に面する)側の上部(over)/上(onto)に迅速に置き、前処理プレート上のnAMFの投与位置/中央液滴の上部の中心に位置するようにし、40秒後にアラームが鳴るように設定されたストップウォッチ型タイマーを直ちに開始する。40秒が経過した後、前処理重りを試験試料から取り除き、試験試料を前処理プレートから取り外す。着用者に面する側が上を向くように試験試料をひっくり返し、それを水平作業面上に置き、次のステップに迅速に進める。
5)第1の捕捉時間(ACQ-1)は、以下のように測定される。
a)電子回路インターバルタイマーを染み透りプレート601に接続し、タイマーをゼロにする。
b)染み透りプレート601の下側の長手方向流体チャネル607の長さ(y方向)軸と、試験試料の長手方向軸とを位置合わせし、流体ポート603が試験試料上の予めマークされた投与位置の上部の中心に位置することが確実となるように、試験試料の着用者に面する表面の上に染み透りプレート601を配置する。試験試料に適用された中心のnAMF液滴は、ここで、試験試料上の投与位置で流体ポート603を通して見えるはずである。
c)試験試料の上部に適切に配置した後、染み透りプレート601を試験試料の上部/上に静かに置く。
d)容量調節可能なピペッターを使用して、2.0mLのnAMFを染み透りプレート601の流体ウェル608に分注する。流体を、3秒以内に、流体ウェル608の壁の円錐部分に沿って、飛散することなく円滑に分配する。流体がポート603に入ると、電極604間の電気的接続が流体を介して確立され、回路間隔タイマーが計時を開始する。流体が試験試料によって捕捉されると、電極604間の電気的接続が切断され、回路間隔タイマーが計時を停止する。回路間隔タイマーが計時を停止した直後に、2分後にアラームがなるように設定されたストップウォッチ型タイマーを開始し、この時間の間、染み透りプレートを試験試料上に置いたままにする。回路間隔タイマー上に表示された最初の捕捉時間(ACQ-1)を0.1秒単位で即座に記録する。
e)2分が経過した後、第1の界面自由流体(IFF-1)を以下のように測定する。
i)IFFゴムパッドを水平作業面上に置く。このIFF-1測定のための濾紙の最初の1枚の新しいシート(IFF-1濾紙シート)を秤量し、その重量をIFF-1初期として記録する。IFF-1濾紙シートをIFFゴムパッドの上に置き、適合させ、その上部の中心に位置するように置く。プレートを適合させ、濾紙の中心にくるように、試験試料からIFF-1濾紙シートへと染み透りプレート601を迅速に持ち上げて移動させ、8分後にアラームが鳴るように設定されたストップウォッチ型タイマーを直ちに始動させる。
ii)8分タイマーで10秒が経過した後、染み透りプレートをIFF-1濾紙から取り外し、以前と全く同じ配置にある試験試料上に穏やかに戻す。
iii)次の10秒以内に、IFF-1濾紙の質量を0.0001g単位で測定し、IFF-1最終として記録する。
6)試験試料についての第2の捕捉時間(ACQ-2)を以下のように測定する。
a)予め設定されたタイマーに従って8分が経過した後、調整可能な容量ピペッターを使用して、4.0mLの用量のnAMFを染み透りプレート601の流体ウェル608に分注する。流体を、3秒以内に、流体ウェル608の壁の円錐部分に沿って、飛散することなく円滑に分配する。回路間隔タイマーが計時を停止した直後に、2分後にアラームが鳴るように設定されたストップウォッチ型タイマーを開始し、この時間の間、染み透りプレートを試験試料上に置いたままにする。回路間隔タイマー上に表示された第2の取得時間(ACQ-2)を0.1秒単位で即座に記録する。
b)2分経過後、第2の界面自由流体(IFF-2)を以下のように測定する。
i)IFFゴムパッドを水平作業面上に置く。このIFF-2測定のための濾紙の2枚目の新しいシート(IFF-2濾紙シート)を秤量し、重量をIFF-2初期として記録する。IFF-2濾紙シートをIFFゴムパッドの上に置き、適合させ、その上部の中心に位置するように置く。プレートを適合させ、濾紙の中心にくるように、試験試料からIFF-2濾紙シートへと染み透りプレート601を迅速に持ち上げて移動させ、8分後にアラームが鳴るように設定されたストップウォッチ型タイマーを直ちに始動させる。
ii)8分タイマーで10秒が経過した後、染み透りプレートをIFF-2濾紙から取り外し、以前と全く同じ配置にある試験試料上に穏やかに戻す。
iii)次の10秒以内に、IFF-2濾紙の質量を0.0001g単位で測定し、IFF-2最終として記録する。
7)第3の取得時間(ACQ-3)は、以下のように測定される。
a)予め設定されたタイマーに従って8分が経過した後、調整可能な容量ピペッターを使用して、2.0mLの用量のnAMFを染み透りプレート601の流体ウェル608に分注する。流体を、3秒以内に、流体ウェル608の壁の円錐部分に沿って、飛散することなく円滑に分配する。回路間隔タイマーが計時を停止した直後に、2分後にアラームがなるように設定されたストップウォッチ型タイマーを開始し、この時間の間、染み透りプレートを試験試料上に置いたままにする。回路間隔タイマー上に表示される第3の取得時間(ACQ-3)を0.1秒単位で即座に記録する。
b)2分経過後、第2の界面自由流体(IFF-3)を以下のように測定する。
i)IFFゴムパッドを水平作業面上に置く。このIFF-3測定のための濾紙の3枚目の新しいシート(IFF-3濾紙シート)を秤量し、重量をIFF-3初期として記録する。IFF-3濾紙シートをIFFゴムパッドの上に置き、適合させ、その上部の中心に位置するように置く。プレートを適合させ、濾紙の中心にくるように、試験試料からIFF-3濾紙シートへと染み透りプレート601を迅速に持ち上げて移動させ、8分後にアラームが鳴るように設定されたストップウォッチ型タイマーを直ちに始動させる。
ii)8分タイマーで10秒が経過した後、染み透りプレートをIFF-3濾紙シートから取り外し、プレートの底面が作業面に接触しないように、それを横にして置く。
iii)次の10秒以内に、IFF-3濾紙シートの質量を0.0001g単位で測定し、IFF-3最終として記録する。
8)以下のように表面自由流体(SFF)を測定する。このSFF測定のための濾紙の5枚の新しいシートの第1のニートスタック(SFF濾紙スタック)を秤量し、重量をSFF初期として記録する。予め設定されたタイマーに従って8分が経過した後、SFF濾紙スタックを、試験試料の着用者に面する側の上に、それが投与位置の上部の中心に位置するように置く。次に、プレートの底部側が濾紙スタックの中心にくるように、染み透りプレート601をSFF濾紙スタックの上に置き、10秒でアラームを鳴らすように設定されたストップウォッチ型タイマーを直ちに始動させる。10秒が経過した後、染み透りプレート601を濾紙スタックから取り外し、脇に置いておく。SFF濾紙スタックの質量を0.0001g単位で測定し、SFF最終として記録する。直ちに次のステップに進む。
9)全体的な再湿潤を以下のように測定する。このREWET測定のための濾紙の5枚の新しいシートの第2のニートスタック(REWET濾紙スタック)を秤量し、REWET初期として重量を記録する。REWET濾紙スタックを、試験試料の着用者に面する側の上に、それが投与位置の上部の中心に位置するように置く。次に、再湿潤重りアセンブリをREWET濾紙スタックの上に、重りがスタックの中心にくるように置き、30秒でアラームが鳴るように設定されたストップウォッチ型タイマーを直ちに始動させる。30秒が経過した後、再湿潤重量アセンブリを取り外し、REWET濾紙スタックの質量を0.0001g単位で測定し、次いでREWET最終として記録する。
10)次の試料を試験する前に、試験試料を廃棄し、流体ウェル608、流体ポート603、長手方向流体チャネル607、及び底面を含む染み透りプレート601を完全に洗浄し、次いで乾燥させる。
11)以下のように、測定されたパラメータの各々について次の計算を行う。IFF-1最終からIFF-1初期を引くことによってIFF-1を計算し、0.0001g単位で記録する。IFF-2最終からIFF-2初期を引くことによってIFF-2を計算し、0.0001g単位で記録する。IFF-3最終からIFF-3初期を引くことによってIFF-3を計算し、0.0001g単位で記録する。SFF最終からSFF初期を引くことによってSFFを計算し、0.0001g単位で記録する。REWET最終からREWET初期を引くことによって全体の再湿潤を計算し、0.0001g単位で記録する。
【0214】
同じ要領で、合計3個の複製試験試料について全手順を繰り返す。各パラメータについて報告値は、0.1秒単位での各取得時間(ACQ-1、ACQ-2、及びACQ-3)、0.0001g単位での界面自由流体(IFF-1、IFF-2、及びIFF-3)、0.0001g単位での表面自由流体(SFF)、及び0.0001g単位での全体再湿潤について、3つの個別に記録された測定値の平均である。
【0215】
新しい人工月経液(New Artificial Menstrual Fluid、nAMF)の調製
新しい人工月経液(nAMF)は、脱線維ヒツジ血液、リン酸緩衝生理食塩水、及び粘液成分の混合物である。nAMFは、23℃で7.40~9.00センチポアズの粘度を有するように調製される。
【0216】
nAMFの粘度は、低粘度回転粘度計(好適な機器は、AMETEK Brookfield、Middleboro,MAから入手可能な、Brookfield ULアダプタを備えたBrookfield DV2T又は、同等物である)を使用して測定される。粘度範囲のための適切なサイズのスピンドルが選択され、器具は、製造元に従って操作及び較正される。測定は、23℃±1℃及び60rpmで行われる。結果は、0.01センチポアズ単位で報告される。
【0217】
nAMF調製に必要な試薬としては、38%以上のヘマトクリット値を有する脱線維ヒツジ血液(無菌条件下で採取、Cleveland Scientific,Inc.(Bath,OH)、又は適切な同等の供給源から入手可能)、2%水溶液として調製されるとき、3~4センチストークスの標的粘度を有する胃粘素(粗形態、滅菌済み、American Laboratories,Inc.(Omaha,NE)、又は適切な同等の供給源から入手可能)、リン酸ナトリウム二塩基性無水物(試薬グレード)、塩化ナトリウム(試薬グレード)、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物(試薬グレード)、安息香酸ナトリウム(試薬グレード)、ベンジルアルコール(試薬グレード)、及び蒸留水(各々VWR International又は適切な同等の供給源から入手可能)が挙げられる。
【0218】
リン酸緩衝生理食塩水は、2つの個々に調製された溶液(溶液A及び溶液B)からなる。1Lの溶液Aを調製するために、1.38±0.005gのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物及び8.50±0.005gの塩化ナトリウムを1000mLのメスフラスコに添加し、蒸留水を容器容積まで添加する。完全に混合する。1Lの溶液Bを調製するために、1.42±0.005gのリン酸ナトリウム二塩基性無水物及び8.50±0.005gの塩化ナトリウムを1000mLのメスフラスコに添加し、蒸留水を容器容積まで添加する。完全に混合する。約200mLのリン酸緩衝生理食塩水溶液を調製するために、49.50g±0.10gの溶液A及び157.50g±0.10gの溶液Bを、密閉性の高い蓋を有する十分なサイズのボトルに添加する。次いで、1.0gの安息香酸ナトリウム及び1.60gのベンジルアルコールを撹拌棒と共にボトルに添加し、脇に置いておく。
【0219】
nAMFの粘液成分は、リン酸緩衝生理食塩水と胃粘素との混合物である。粘液成分に添加する胃粘素の量は、調製したnAMFの最終粘度に直接影響する。目標粘度範囲(23℃及び60rpmで7.4~9.0センチポアズ)内でnAMFを得るために必要とされる胃粘素の量を決定するために、粘液成分中に様々な量の胃粘素を有する3バッチのnAMFを調製し、次いで、3つの点を通る最小2乗法で線形フィットを行い、濃度対粘度曲線から必要とされる正確な量を内挿する。胃粘素の適切な範囲は通常、nAMFの400mLバッチあたり13~15グラムであるが、これは、ムチンの供給業者、年齢、及びロット(生産バッチ)に基づいて大きく異なり得る。
【0220】
約200mLの粘液成分を調製するために、所定量の胃粘素を、予め調製されたリン酸緩衝化溶液を含むボトルに添加し、次いで蓋をする。ボトルをリストアクションシェーカーに最高速度で5分間置く。5分後、粘膜成分入ったフラスコをリストアクションシェーカーから取り出し、磁気撹拌プレート上に置く。ムチンの塊が存在しなくなるまで少なくとも2時間撹拌し、次いでフラスコから撹拌棒を取り出す。ホモジナイザーを使用して、粘液成分を10,000rpmで5分間ブレンドする。好適なホモジナイザーは、S18N-19G分散ツール(19mm固定子直径、12.7mm回転子直径、回転子と固定子との間の0.4mm間隙)を備えたT18 Ultra-Turraxであり、両方ともIKA Works,Inc(Wilmington,NC)又は好適な同等の供給源から入手可能である。最終混合ステップの後、ULアダプタを備えた粘度計を使用して、23℃±1℃及び20rpmで、粘液成分の粘度を0.01センチポアズ単位で測定及び記録する。調製された粘液成分の粘度が9.0~11.0センチポアズの目標範囲内にあることを確認する。
【0221】
nAMFは、粘液成分とヒツジ血液の50:50混合物である。ヒツジ血液及び粘液成分の温度を23℃±1℃であることを確認する。約400mLのnAMFを調製するために、200gの粘液成分を少なくとも500mL容量のガラス瓶に添加する。次に、200gのヒツジ血液を撹拌棒と共にボトルに加える。完全に混合するまで磁気撹拌プレート上で混合する。調製されたnAMFの粘度が、ULアダプタを備えた粘度計を使用して23℃±1℃及び60rpmで測定した場合に7.4~9.0センチポアズの目標範囲内であることを確認する。粘度が高すぎる場合、先に調製したリン酸緩衝生理食塩水溶液を0.5gずつ添加し、続いて2分間撹拌し、次いで目標範囲に達するまで粘度を再確認することによって、粘度を調整することができる。
【0222】
認定されたnAMFは、即時使用を意図しない限り、4℃で冷蔵する必要がある。nAMFは、調製後、気密容器中で4℃で最大48時間保存できる。試験前に、nAMFは、23℃±1℃に保つ必要がある。試験が完了した後に、いかなる未使用部分も廃棄される。
***
【0223】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に明記されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「おおよそ40mm」を意味することが意図される。
【0224】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは関連出願を含む、本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいずれの発明に対する先行技術であるともみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献又は複数の参考文献と組み合わせたときに、そのようないずれの発明も教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文献における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文献内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文献においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0225】
本発明の特定の実施形態を例示及び記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのこのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【0226】
上記の説明を考慮して、以下の非限定的な実施例が企図される。これらの実施例のいずれも、他と同様に、本明細書の開示の全体又は部分に基づいて、1つ以上の後続の非仮特許出願において特許請求される可能性がある。
1.繊維性不織布ウェブを含む液体透過性トップシート(20)と、トップシートの下の繊維性流体管理層(30)と、流体管理層の下の吸収性構造体(40)と、吸収性構造体の下のバックシート(50)とを含む、女性用衛生パッド(10)であって、
繊維性不織布ウェブが、2成分ステープルトップシート繊維を含み、トップシート繊維が、
1.5~2.5の平均デニールを有し、
シース-コア構成であって、シース成分がポリエチレン(PE)を含み、コア成分がポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、PE:PETの重量比が、40:60~60:40である、シース-コア構成を有し、かつ
親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドであって、親水性繊維と疎水性繊維との重量比が、約30:70~70:30、より好ましくは約35:65~65:35、更により好ましくは約40:60~60:40であり、親水性繊維の親水性が、表面処理組成物の適用によって達成される、親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドを含み、
繊維性不織布ウェブが、約18gsm~40gsm、より好ましくは約20gsm~30gsm、更により好ましくは約22gsm~26gsmの坪量を有し、
繊維性不織布ウェブが、複数のランダムに分布した繊維間結合を含み、隣接する繊維のシースが、圧縮せずに互いに融着されており、
トップシートが、固着防止剤の局所適用を有する、女性用衛生パッド。
2.流体管理層(30)が、流体管理層の約10パーセント~約60パーセントの重量分率の再生セルロースの吸収性繊維と、流体管理層の約25パーセント~約70パーセントの重量分率の2成分剛化繊維と、流体管理層の約15パーセント~約70パーセントの重量分率の弾性繊維とを含むカード処理ステープル繊維を含む、実施例1に記載の女性用衛生パッド。
3.吸収性繊維が、約1dtex~7dtex、又はより好ましくは約1.4dtex~6dtex、又は更により好ましくは約1.7dtex~5dtexである、実施例2に記載の女性用衛生パッド。
4.吸収性繊維が、約0.6~2.4dtex、より好ましくは約0.9~2.1dtex、更により好ましくは約1.1~1.9dtex、最も好ましくは約1.3~1.7dtexである、実施例2に記載の女性用衛生パッド。
5.剛化繊維が、約1.0dtex~6dtex、より好ましくは約1.5dtex~5dtex、又は更により好ましくは約2.0dtex~4dtexである、実施例2~4のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
6.剛化繊維が、シース-コア構成を有する、実施例2~5のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
7.コア成分が、PETを含む、実施例6に記載の女性用衛生パッド。
8.シース成分が、PEを含む、実施例6又は7のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
9.弾性繊維が、約4dtex~15dtex、又はより好ましくは約5dtex~12dtex、又は更により好ましくは約6dtex~10dtexである、実施例2~8のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
10.弾性繊維が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、実施例9に記載の女性用衛生パッド。
11.弾性繊維が、2成分繊維である、実施例2~10のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
12.弾性繊維が、シース-コア構成を有する、実施例11に記載の女性用衛生パッド。
13.コア成分が、PP及び/又はPETを含み、シース成分が、PP及び/又はPEを含む、実施例12に記載の女性用衛生パッド。
14.流体管理層が、複数のランダムに分布した繊維間結合を含み、隣接する繊維が、圧縮せずに互いに融着されている、実施例1~13のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
15.流体管理層が、複数の層を含む、実施例1~14のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
16.流体管理層の繊維が、z方向に一体化されている、実施例1~15のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
17.トップシートが、それを貫通する孔のパターンを有する、実施例1~16のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
18.孔が、0.5mm2~2.5mm2、好ましくは0.6mm2~1.2mm2の平均面積を有する、実施例17に記載の女性用衛生パッド。
19.孔が、6パーセント~25パーセント、より好ましくは8パーセント~18パーセント、更により好ましくは10パーセント~15パーセントの開口面積を集合的に構成する、実施例17又は18のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
20.固着防止剤が、ポリプロピレングリコール材料、及び任意で担体を含む、実施例1~19のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
21.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコールコポリマー、ポリプロピレングリコール界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施例20に記載の女性用衛生パッド。
22.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコールコポリマーであり、当該ポリプロピレングリコールコポリマーが、内部ブロック成分及び末端ブロック成分を含み、当該内部ブロック成分が、次式を有し、
【0227】
【0228】
【化6】
式中、xは、2~120であり、yは、2~100であり、R2は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ベンジル、アセトカルボニル、プロピオカルボニル、ブチロカルボニル、イソブチロカルボニル、ベンゾカルボニル、フマロカルボニル、アミノベンゾカルボニル、カルボキシメチレン、アミノプロピレン、アルキル化グルコース、アルキル化スクロース、アルキル化セルロース、アルキル化デンプン又はホスフェートである、実施例21に記載の女性用衛生パッド。
23.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコールコポリマーであり、当該ポリプロピレングリコールコポリマーが、PPG-12ジメチコン、ビス-PPG-15ジメチコン/IPDIコポリマー、PPG/ポリカプロラクトンブロックコポリマー、PPG/ポリブタンジオール/PEGトリブロックコポリマー、ポリエチルイミン/PPGコポリマー、ポリアクリル酸-g-PPGグラフトコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施例21に記載の女性用衛生パッド。
24.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコール界面活性剤であり、当該ポリプロピレングリコール界面活性剤が、次式を有し、
【0229】
【化7】
式中、R3は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルキレンアミン、アルキレンアミド、アルキレンホスフェート、アルキレンカルボン酸、アルキレンスルホン酸塩又は炭素元素の最大数6以下のアルキレンクワット(quat)であり、R4は、オクチル、ノニル、デシル、イオスデシル(iosdecyl)、ラウリル、ミリスチル、セチル、イソヘキサデシル、オレイル、ステアリル、イソステアリル、タローオイル(tallowoyl)、リノレイル、ホホバ、ラノリン、ベヘニル、C24~C28アルキル、C30~C45アルキル、ジノニルフェニル、ドデシルフェニル、又はソヤ(soya)であり、zは、1~100であり、Fは、エーテル基、エステル基、アミン基、アミド基、及びリン酸エステル基からなる群から選択される官能基である、実施例21に記載の女性用衛生パッド。
25.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコール界面活性剤であり、当該ポリプロピレングリコール界面活性剤が、次式を有し、
【0230】
【化8】
式中、R5は、ヘキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、イソデシル、ラウリル、ココイル、ミリスチル、セチル、イソヘキサデシル、オレイル、ステアリル、イソステアリル、タロー、リノレイル、オクチルフェニル、又はノニルフェニルであり、rは、1~120であり、Gは、エーテル、エステル、アミン又はアミド結合である、実施例21に記載の女性用衛生パッド。
26.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコール界面活性剤であり、当該ポリプロピレングリコール界面活性剤が、PPG-30セチルエーテル、PPG-20メチルグルコースエーテルジステアレート、PPG-20メチルグルコースエーテルアセテート、PPG-20ソルビタントリステアレート、PPG-20メチルグルコースエーテルジステアレート、PPG-20ジステアレート、PPG-15ステアリルエーテル、PPG-15ステアリルエーテルベンゾエート、PPG-15イソヘキサデシルエーテル、PPG-15ステアレート、PPG-15ジココエート、PPG-12ジラウレート、PPG-11ステアリルエーテル、PPG-10セチルエーテル、PPG-10グリセリルステアレート、PPG-10ソルビタンモノステアレート、PPG-10硬化ヒマシ油、PPG-10セチルホスフェート、PPG-10タローアミン、PPG-10オレアミド、PPG-10セチルエーテルホスフェート、PPG-10ジノニルフェノレート、PPG-9ラウレート、PPG-8ジオクテート、PPG-8ジエチルへキシレート、PPG-7ラウリルエーテル、PPG-5ラノリンワックスエーテル、PPG-5スクロースココエート、PPG-5ラノリンワックス、PPG-4ホホバアルコールエーテル、PPG-4ラウリルエーテル、PPG-3ミリスチルエーテル、PPG-3ミリスチルエーテルプロピオネート、PPG-3ベンジルエーテルミリステート、PPG-3硬化ヒマシ油、PPG-3-ヒドロキシエチルソイアミド、PPG-2コカミド、PPG-2ラノリンアルコールエーテル、PPG-1ヤシ油脂肪酸イソプロパノールアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施例21に記載の女性用衛生パッド。
27.ポリプロピレングリコール界面活性剤が、PPG-15ステアリルエーテルである、実施例26に記載の女性用衛生パッド。
28.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコールホモポリマーであり、当該ポリプロピレングリコールホモポリマーが次式を有し、
【0231】
【化9】
式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ベンジル、アセトカルボニル、プロピオカルボニル、ブチロカルボニル、イソブチロカルボニル、ベンゾカルボニル、フマロカルボニル、アミノベンゾカルボニル、カルボキシメチレン、アミノプロピレン、アルキル化グルコース、アルキル化スクロース、アルキル化セルロース、アルキル化デンプン又はホスフェートであり、R1は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ベンジル、アセトカルボニル、プロピオカルボニル、ブチロカルボニル、イソブチロカルボニル、ベンゾカルボニル、フマロカルボニル、アミノベンゾカルボニル、カルボキシメチレン、アミノプロピレン、アルキル化グルコース、アルキル化スクロース、アルキル化セルロース、アルキル化デンプン又はホスフェートであり、nは、3~160である、請求項20に記載の女性用衛生パッド。
29.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコールである、請求項20に記載の女性用衛生パッド。
30.ポリプロピレングリコールが、約400~約10,000の数平均分子量を有する、実施例29に記載の女性用衛生パッド。
31.担体が、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを含む、実施例20~30のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
32.固着防止剤が、ポリプロピレングリコール材料及び担体から本質的になる、実施例1~31のいずれかに記載の吸収性物品。
33.繊維性不織布ウェブを含む液体透過性トップシート(20)と、トップシートの下の繊維性流体管理層(30)と、流体管理層の下の吸収性構造体(40)と、吸収性構造体の下のバックシート(50)とを含む、女性用衛生パッド(10)であって、
繊維性不織布ウェブが、2成分ステープルトップシート繊維を含み、トップシート繊維が、
1.5~2.5の平均デニールを有し、
シース-コア構成であって、シース成分がポリエチレン(PE)を含み、コア成分がポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、PE:PETの重量比が、40:60~60:40である、シース-コア構成を有し、かつ
繊維性不織布ウェブの主な重量分率で、好ましくは全てが疎水性であり、
繊維性不織布ウェブが、約18gsm~40gsm、より好ましくは約20gsm~30gsm、更により好ましくは約22gsm~26gsmの坪量を有し、
繊維性不織布ウェブが、複数のランダムに分布した繊維間結合を含み、隣接する繊維のシースが、圧縮せずに互いに融着されており、
トップシートが、それを貫通する孔のパターンを有する、女性用衛生パッド。
34.孔が、0.5mm
2~2.5mm
2、好ましくは0.6mm
2~1.2mm
2の平均面積を有する、実施例33に記載の女性用衛生パッド。
35.孔が、6パーセント~25パーセント、より好ましくは8パーセント~18パーセント、更により好ましくは10パーセント~15パーセントの開口面積を集合的に構成する、実施例33又は34のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
36.トップシートが、固着防止剤の局所適用を有する、実施例33~35のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
37.固着防止剤が、ポリプロピレングリコール材料、及び任意で担体を含む、実施例36に記載の女性用衛生パッド。
38.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコールコポリマー、ポリプロピレングリコール界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施例37に記載の女性用衛生パッド。
39.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコールコポリマーであり、当該ポリプロピレングリコールコポリマーが、内部ブロック成分及び末端ブロック成分を含み、当該内部ブロック成分が、次式を有し、
【0232】
【0233】
【化11】
式中、xは、2~120であり、yは、2~100であり、R2は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ベンジル、アセトカルボニル、プロピオカルボニル、ブチロカルボニル、イソブチロカルボニル、ベンゾカルボニル、フマロカルボニル、アミノベンゾカルボニル、カルボキシメチレン、アミノプロピレン、アルキル化グルコース、アルキル化スクロース、アルキル化セルロース、アルキル化デンプン又はホスフェートである、実施例38に記載の女性用衛生パッド。
40.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコールコポリマーであり、当該ポリプロピレングリコールコポリマーが、PPG-12ジメチコン、ビス-PPG-15ジメチコン/IPDIコポリマー、PPG/ポリカプロラクトンブロックコポリマー、PPG/ポリブタンジオール/PEGトリブロックコポリマー、ポリエチルイミン/PPGコポリマー、ポリアクリル酸-g-PPGグラフトコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施例38に記載の女性用衛生パッド。
41.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコール界面活性剤であり、当該ポリプロピレングリコール界面活性剤が、次式を有し、
【0234】
【化12】
式中、R3は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルキレンアミン、アルキレンアミド、アルキレンホスフェート、アルキレンカルボン酸、アルキレンスルホン酸塩又は炭素元素の最大数6以下のアルキレンクワットであり、R4は、オクチル、ノニル、デシル、イソデシル、ラウリル、ミリスチル、セチル、イソヘキサデシル、オレイル、ステアリル、イソステアリル、タロイル、リノレイル、ホホバ、ラノリン、ベヘニル、C24~C28アルキル、C30~C45アルキル、ジノニルフェニル、ドデシルフェニル、又はソヤであり、zは、1~100であり、Fは、エーテル基、エステル基、アミン基、アミド基、及びリン酸エステル基からなる群から選択される官能基である、実施例38に記載の女性用衛生パッド。
42.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコール界面活性剤であり、当該ポリプロピレングリコール界面活性剤が、次式を有し、
【0235】
【化13】
式中、R5は、ヘキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、イソデシル、ラウリル、ココイル、ミリスチル、セチル、イソヘキサデシル、オレイル、ステアリル、イソステアリル、タロー、リノレイル、オクチルフェニル、又はノニルフェニルであり、rは、1~120であり、Gは、エーテル、エステル、アミン又はアミド結合である、実施例38に記載の女性用衛生パッド。
43.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコール界面活性剤であり、当該ポリプロピレングリコール界面活性剤が、PPG-30セチルエーテル、PPG-20メチルグルコースエーテルジステアレート、PPG-20メチルグルコースエーテルアセテート、PPG-20ソルビタントリステアレート、PPG-20メチルグルコースエーテルジステアレート、PPG-20ジステアレート、PPG-15ステアリルエーテル、PPG-15ステアリルエーテルベンゾエート、PPG-15イソヘキサデシルエーテル、PPG-15ステアレート、PPG-15ジココエート、PPG-12ジラウレート、PPG-11ステアリルエーテル、PPG-10セチルエーテル、PPG-10グリセリルステアレート、PPG-10ソルビタンモノステアレート、PPG-10硬化ヒマシ油、PPG-10セチルホスフェート、PPG-10タローアミン、PPG-10オレアミド、PPG-10セチルエーテルホスフェート、PPG-10ジノニルフェノレート、PPG-9ラウレート、PPG-8ジオクテート、PPG-8ジエチルへキシレート、PPG-7ラウリルエーテル、PPG-5ラノリンワックスエーテル、PPG-5スクロースココエート、PPG-5ラノリンワックス、PPG-4ホホバアルコールエーテル、PPG-4ラウリルエーテル、PPG-3ミリスチルエーテル、PPG-3ミリスチルエーテルプロピオネート、PPG-3ベンジルエーテルミリステート、PPG-3硬化ヒマシ油、PPG-3-ヒドロキシエチルソイアミド、PPG-2コカミド、PPG-2ラノリンアルコールエーテル、PPG-1ヤシ油脂肪酸イソプロパノールアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施例38に記載の女性用衛生パッド。
44.ポリプロピレングリコール界面活性剤が、PPG-15ステアリルエーテルである、実施例43に記載の女性用衛生パッド。
45.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコールホモポリマーであり、当該ポリプロピレングリコールホモポリマーが次式を有し、
【0236】
【化14】
式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ベンジル、アセトカルボニル、プロピオカルボニル、ブチロカルボニル、イソブチロカルボニル、ベンゾカルボニル、フマロカルボニル、アミノベンゾカルボニル、カルボキシメチレン、アミノプロピレン、アルキル化グルコース、アルキル化スクロース、アルキル化セルロース、アルキル化デンプン又はホスフェートであり、R1は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ベンジル、アセトカルボニル、プロピオカルボニル、ブチロカルボニル、イソブチロカルボニル、ベンゾカルボニル、フマロカルボニル、アミノベンゾカルボニル、カルボキシメチレン、アミノプロピレン、アルキル化グルコース、アルキル化スクロース、アルキル化セルロース、アルキル化デンプン又はホスフェートであり、nは、3~160である、請求項37に記載の女性用衛生パッド。
46.ポリプロピレングリコール材料が、ポリプロピレングリコールである、請求項37に記載の女性用衛生パッド。
47.ポリプロピレングリコールが、約400~約10,000の数平均分子量を有する、実施例46に記載の女性用衛生パッド。
48.担体が、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを含む、実施例37~47のいずれかに記載の女性用衛生パッド。
49.固着防止剤が、ポリプロピレングリコール材料及び担体から本質的になる、実施例36~48のいずれかに記載の吸収性物品。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維性不織布ウェブを含む液体透過性トップシート(20)と、前記トップシートの下の繊維性流体管理層(30)と、前記流体管理層の下の吸収性構造体(40)と、前記吸収性構造体の下のバックシート(50)とを含む、女性用衛生パッド(10)であって、
前記繊維性不織布ウェブが、2成分ステープルトップシート繊維を含み、前記トップシート繊維が、
1.5~2.5の平均デニールを有し、
シース-コア構成であって、前記シース成分がポリエチレン(PE)を含み、前記コア成分がポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、PE:PETの重量比が、40:60~60:40である、シース-コア構成を有し、かつ
親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドであって、親水性繊維と疎水性繊維との重量比が、約30:70~70:30、より好ましくは約35:65~65:35、更により好ましくは約40:60~60:40であり、前記親水性繊維の親水性が、表面処理組成物の適用によって達成される、親水性繊維と疎水性繊維とのブレンドを含み、
前記繊維性不織布ウェブが、約18gsm~40gsm、より好ましくは約20gsm~30gsm、更により好ましくは約22gsm~26gsmの坪量を有し、
前記繊維性不織布ウェブが、複数のランダムに分布した繊維間結合を含み、隣接する繊維のシースが、圧縮せずに互いに融着されており、
前記トップシートが、固着防止剤の局所適用を有する、女性用衛生パッド。
【請求項2】
前記流体管理層(30)が、前記流体管理層の約10パーセント~約60パーセントの重量分率の再生セルロースの吸収性繊維と、前記流体管理層の約25パーセント~約70パーセントの重量分率の2成分剛化繊維と、前記流体管理層の約15パーセント~約70パーセントの重量分率の弾性繊維とを含むカード処理ステープル繊維を含む、請求項1に記載の女性用衛生パッド。
【請求項3】
前記吸収性繊維が、約0.6~2.4dtex、より好ましくは約0.9~2.1dtex、更により好ましくは約1.1~1.9dtex、最も好ましくは約1.3~1.7dtexである、請求項2に記載の女性用衛生パッド。
【請求項4】
前記剛化繊維が、約1.0dtex~6dtex、より好ましくは約1.5dtex~5dtex、又は更により好ましくは約2.0dtex~4dtexである、請求項2又は3に記載の女性用衛生パッド。
【請求項5】
前記剛化繊維が、シース-コア構成を有する2成分繊維であり、コア成分が、PETを含む、請求項2
又は3に記載の女性用衛生パッド。
【請求項6】
前記弾性繊維が、約4dtex~15dtex、又はより好ましくは約5dtex~12dtex、又は更により好ましくは約6dtex~10dtexである、請求項2
又は3に記載の女性用衛生パッド。
【請求項7】
前記弾性繊維が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項6に記載の女性用衛生パッド。
【請求項8】
前記流体管理層が、複数のランダムに分布した繊維間結合を含み、隣接する繊維が、圧縮せずに互いに融着されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載の女性用衛生パッド。
【請求項9】
前記流体管理層が、複数の層を含み、その繊維構成要素が、z方向に一体化されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載の女性用衛生パッド。
【請求項10】
前記トップシートが、それを貫通する孔のパターンを有する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の女性用衛生パッド。
【請求項11】
前記孔が、0.5mm
2~2.5mm
2、好ましくは0.6mm
2~1.2mm
2の平均面積を有する、請求項10に記載の女性用衛生パッド。
【請求項12】
前記孔が、6パーセント~25パーセント、より好ましくは8パーセント~18パーセント、更により好ましくは10パーセント~15パーセントの開口面積を集合的に構成する、請求項1
0に記載の女性用衛生パッド。
【請求項13】
前記固着防止剤が、ポリプロピレングリコール材料、及び任意で担体を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の女性用衛生パッド。
【請求項14】
繊維性不織布ウェブを含む液体透過性トップシート(20)と、前記トップシートの下の繊維性流体管理層(30)と、前記流体管理層の下の吸収性構造体(40)と、前記吸収性構造体の下のバックシート(50)とを含む、女性用衛生パッド(10)であって、
前記繊維性不織布ウェブが、2成分ステープルトップシート繊維を含み、前記トップシート繊維が、
1.5~2.5の平均デニールを有し、
シース-コア構成であって、前記シース成分がポリエチレン(PE)を含み、前記コア成分がポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、PE:PETの重量比が、40:60~60:40である、シース-コア構成を有し、かつ
前記繊維性不織布ウェブの主な重量分率で、好ましくは全てが疎水性であり、
前記繊維性不織布ウェブが、約18gsm~40gsm、より好ましくは約20gsm~30gsm、更により好ましくは約22gsm~26gsmの坪量を有し、
前記繊維性不織布ウェブが、複数のランダムに分布した繊維間結合を含み、隣接する繊維のシースが、圧縮せずに互いに融着されており、
前記トップシートが、それを貫通する孔のパターンを有する、女性用衛生パッド。
【請求項15】
前記トップシートが、固着防止剤の局所適用を有し、前記固着防止剤が、ポリプロピレングリコール材料、及び任意で担体を含む、請求項14に記載の女性用衛生パッド。
【国際調査報告】