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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】冷却モジュール及びヘッドライト
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/48 20180101AFI20240927BHJP
   F21S 41/00 20180101ALI20240927BHJP
   F21V 29/50 20150101ALI20240927BHJP
   F21V 29/65 20150101ALI20240927BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20240927BHJP
   F21V 29/71 20150101ALI20240927BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240927BHJP
   F21W 102/10 20180101ALN20240927BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240927BHJP
【FI】
F21S45/48
F21S41/00
F21V29/50
F21V29/65
F21V29/67 100
F21V29/71
H05K7/20 H
F21W102:10
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520660
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2022076960
(87)【国際公開番号】W WO2023072517
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021005388.5
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】ムラー,アクセル
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322EA01
5E322EA10
5E322FA09
(57)【要約】
本発明は、冷却要素(3)を備えた冷却モジュール(1)に関し、冷却要素(3)は、閉鎖中間部材(15)と、その中間部材の2つの側(5、16)における熱伝導要素(4)と、を有し、さらに、空気のための供給装置を備えている。本発明による冷却モジュールは、供給装置が一体型のツインファン(6)として形成されており、このツインファン(6)が冷却要素(4)に、一方では、中間部材の一方の側の周囲空気を供給し、他方では、中間部材の他方の側の周囲空気を供給することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却要素(3)を備えた冷却モジュール(1)であって、
前記冷却要素(3)は、閉鎖中間部材(15)を有し、前記中間部材(15)は、
前記冷却要素(3)の両側(5、16)に位置する領域を相互にシールし、前記中間部材(15)の2つの側(5、16)に熱伝導要素(4)を有し、前記冷却モジュール(1)は、更に空気のための供給装置を備える、冷却モジュール(1)において、
前記供給装置は、一体型のツインファン(6)として形成されており、前記ツインファン(6)は、一方では、前記中間部材(15)の一方の側(5)の周囲空気を前記冷却要素(3)に供給し、他方では、前記中間部材(15)の他方の側(16)の周囲空気を前記冷却要素(3)に供給し、前記ツインファン(6)は、相互にシールされた2つのファンホイールと、前記2つのファンホイールのための共通の電気的な駆動モータ(18)と、を有することを特徴とする、冷却モジュール(1)。
【請求項2】
前記電気的な駆動モータ(18)は、前記2つのファンホイールの間において中央に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の冷却モジュール(1)。
【請求項3】
前記ツインファン(6)は、ラジアルファンとして形成されていることを特徴とする、請求項1から2までのいずれか一項記載の冷却モジュール(1)。
【請求項4】
前記ツインファン(6)は、前記中間部材(15)の各側から圧力側において前記周囲空気を各側(5、16)の前記熱伝導要素(4)に供給するように形成されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項記載の冷却モジュール(1)。
【請求項5】
前記熱伝導要素(4)は、冷却リブ又は冷却フィンガとして形成されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項記載の冷却モジュール(1)。
【請求項6】
前記中間部材(15)の前記側のそれぞれに空気供給開口部(19)及び空気排出開口部(20)を備えたハウジング(2)に前記冷却モジュール(1)は組み込まれており、前記吸気開口部(19)及び排気開口部(20)は、前記ハウジング(2)の対向する側に配置されている、且つ/又は前記ハウジング(2)の1つの側の対向する部分に配置されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項記載の冷却モジュール(1)。
【請求項7】
閉鎖された内部容積部(13)と、透明なカバープレート(23)と、照明手段(24)と、前記照明手段(23)を機械的且つ/又は電気的に制御する手段(25、26)と、を備え、更に請求項1から6のいずれか一項記載の冷却モジュール(1)を備える、ヘッドライト(21)において、
前記冷却モジュール(1)の中間部材(15)が、前記内部容積部(13)の境界の一部を形成することで、前記一方の側(5)の前記熱伝導要素(4)は前記内部容積部に突出し、前記他方の側(16)の前記熱伝導要素(4)は前記周囲環境(14)に突出することを特徴とする、ヘッドライト(21)。
【請求項8】
前記ツインファン(6)は、一方では、空気を内部容積部(14)において循環させ、前記冷却要素(3)の前記一方の側(5)に搬送し、他方では、周囲空気を、前記冷却要素(3)の前記他方の側(16)に供給するように設計されていることを特徴とする、請求項7記載のヘッドライト(21)。
【請求項9】
車両の前照灯として形成されていることを特徴とする、請求項7又は8記載のヘッドライト(21)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部により詳細に定義されているような、冷却要素を備えた冷却モジュールに関する。更に本発明は、特に自動車用の、その種の冷却モジュールを備えたヘッドライトに関する。
【背景技術】
【0002】
現代のヘッドライトは、動作中に熱を放出する多数のコンポーネントを内部に有している。それらのコンポーネントは、発光手段として今日一般的に使用されているLED以外では、ステッピングモータ及び制御装置である。時として非常に大きい電流によって、更には配線の電気抵抗によって、ケーブル及び接点の領域には熱が生じる。ヘッドライトの一般的には閉鎖されている内部容積部の過熱によって性能の低下を強いられることになるか、又はそれどころか構成部材の損傷がもたらされる恐れがあることから、そのような過熱を回避するために、ヘッドライトの内部容積部から廃熱を排出する必要がある。典型的には、このために、フロントガラス又はカバーガラスとも称されるカバープレートを介する熱移送が利用される。特に車両に使用される場合、これによって、車両の走行中の空気流による相応の循環を用いて比較的大量の熱を排出することができる。ヘッドライトのプラスチックハウジングは、確かにそれ自体、熱移送にも寄与するが、しかしながら、ここでは、使用される材料、また一般的に設けられている、周囲の構成部材との距離が比較的短い組み付け箇所が、効率的な熱伝達を制限する。従って、ハウジングを介しては、廃熱の極一部しか、例えば車両のエンジンルームに放出できない。
【0003】
廃熱の排出を改善するための1つのアプローチは、典型的には、廃熱を発生させる構成部材からカバープレートまで、その廃熱を的を絞った方法で輸送し、そのカバープレートの領域において廃熱を放出することができるようにするために、ヘッドライト内部において冷却要素及びファンを使用することである。この文脈において、特許文献1による冷却エアダクトを備えた車両ヘッドライトを参照することができる。
【0004】
しかしながら、総じて、カバープレートを介した熱移送は、特に車両速度が低い場合、又は車両が停止してる場合、また高温時には、無限に向上させることはできない。最悪のシナリオとしては、例えば、車両が停止している際にハイビームがスイッチオンされ、更に太陽光がヘッドライトのカバープレートに入射することが考えられる。しかしながら、そのようなシナリオにおいてだけではなく、日常において発生する多くのシナリオにおいても、特に低い走行速度でのその種のシナリオにおいても、ヘッドライト内部には、本来有意義である温度又は所望の温度よりも高い温度が存在する。これによって、実際には、温度上昇時には、構成部材の効率が低下するので、一方では構成部材を保護するため、他方では廃熱がそれ以上発生しないようにするために、構成部材の出力を低下させなければならない。
【0005】
従って、従来技術からは、ヘッドライトの閉鎖された容積内部においてファンを動作させる以外に、一方の側はヘッドライトの内部に配置されており、他方の側はヘッドライトの外部に配置されている2つの側を有する冷却要素を使用することも公知である。この文脈に関しては、特許文献2を参照することができる。その明細書には、基本的には、その種の冷却要素が開示されており、周囲環境に存在する部分と、ヘッドライトの内部に存在する部分との間での熱伝導性の接続が、ここでは熱電式の冷却器として形成されている、即ち内部から外部への熱流に能動的に影響を及ぼすように形成されている中間部材を介して行われる。この構造は、ヘッドライトの内部容積部に配置されているファンと共に、確かにその構造内の温度を低下させることはできるが、しかしながら、総じて非常に煩雑であり、また一方ではこの熱電式の冷却器の制御、他方では内部容積部に組み付けられているファンの制御の両方が必要になる。
【0006】
特許文献3には、LEDを冷却するために、2つの並列ファンによって冷却空気を流すヒートシンクの使用が開示されている。仕切板を介して、並列ファンの空気流がヒートシンクに到達する前に不必要に強く混合されないようにすることができる。
【0007】
非常に複雑な冷却が行われるヘッドライトは、特許文献4から公知である。ここでは、ヘッドライトが、液体熱交換器、又は液体熱交換器及び冷却リブを介してヘッドライトの内部領域に接続されている空調回路を介して冷却される。この構造の製造は複雑であり、多くの構成部材を必要とし、また空調回路のコンポーネントをヘッドライトに隣接させて位置決めするために、相応に多くの構造空間を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013113529号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102007057056号明細書
【特許文献3】特開2015-103335号公報
【特許文献4】国際公開第2020/053068号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、従来技術において説明した構造に比べて改善されており、とりわけ、改善されたヘッドライトに使用することができる、改善された一体型の冷却モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、上記の課題は、請求項1の特徴を備えた冷却モジュールによって解決される。有利な実施形態及び発展形態は、請求項1に従属する請求項から明らかになる。更に、上記の課題は、請求項7の特徴と、その種の冷却モジュールを備えたヘッドライトによって解決される。ここでも、ヘッドライトの有利な実施形態及び発展形態は、請求項7に従属する請求項から明らかになる。
【0011】
本発明による冷却モジュールは、一方では、冷却要素を備え、他方では、空気のための供給装置を備えた、一体型の冷却モジュールである。冷却要素は、その両側に横たわる領域を互いにシールする閉鎖された中間部材と、その中間部材の2つの側における熱伝導要素と、を含む。本発明によれば、供給装置が一体型のツインファンとして形成されており、このツインファンが冷却装置に、一方では中間部材の一方の側から周囲空気を供給し、他方では中間部材の他方の側から周囲空気を供給する。即ち、冷却装置は、例えば、一方の側及び他方の側において熱伝導要素を備えたプレートである。それらの熱伝導要素は、本発明による一体型の冷却モジュールの有利な発展形態によれば、熱伝導リブ若しくは熱伝導フィンとして、又は熱伝導フィンガ、熱伝動ピン若しくは熱伝導突起として形成されていてもよい。それらの部材の組み合わせ、又は表面を粗面化するなどの、各側における冷却要素の表面を拡大される他の措置との組み合わせも考えられる。
【0012】
この冷却要素のみを介して、熱伝導要素を備えた一方の側から、熱伝導要素を備えた他方の側への熱移送を行うことができる。ツインファンによって、両側において並行して空気を流すことができるので、例えば、一方の側においては暖気を冷却のために第1の側の熱伝導要素へと供給することができ、またそれと同時に、他方の側においては、第1の側から第2の側に伝達される廃熱を排出するために、より冷たい空気を供給することができる。
【0013】
本発明によれば、ツインファンが相互にシールされた2つのファンホイールと、それら2つのファンホイールのための共通の電気的な駆動モータと、を有する。この構造は極めて簡潔且つ効率的であり、ハードウェア、スペース及びエネルギについての僅かなコストでもって、良好な機能性を実現する。とりわけ、2つのファンホイールのための電気的な駆動モータは、それら2つのファンホイールの間において中央に配置することができる。
【0014】
ツインファンは、極めて好適な発展形態によれば、ラジアルファンとして形成することができるので、このラジアルファンは吸い込んだ空気を、例えば、冷却要素のそれぞれの側又はその面に関して側方に吸い上げ、続いて、中間部材の各側の表面を介して、とりわけ熱伝導要素間を通過させて再び放出させる。つまり、一方の側においては、暖気を効率的に熱伝導要素に供給することができるので、熱が一方の側から他方の側に供給され、またそれと同時に、他方の側では、冷却空気を同じように供給することができ、それによって、第1の側から第2の側へと移送される熱が効率的に排出される。
【0015】
即ち、この特に好適な実施形態では、ツインファンが、冷却要素又はその中間部材の各側から圧力側において周囲空気を熱伝導要素に供給し、従って、ラジアルファンとしての上述の実施形態では、とりわけその方向に垂直な方向において周囲空気を相応に吸い込む。
【0016】
原理的には、その種の冷却モジュールは一体型の冷却モジュールとして、熱が一方の側から他方の側に伝達されるべき箇所において、特に狭小の構造空間を有する構成部材において常に使用することができる。何故ならば、ここでは、本発明による冷却モジュールによって実現される、高集積で小型の構造が得られるからである。
【0017】
つまりこの場合、本発明による冷却モジュールの非常に有利な発展形態によれば、この構造をハウジングに一体的に統合することができ、このハウジングは、反対側に位置する2つの側において、ツインファンの吸引空気のための空気供給開口部と、その空気供給開口部に対して距離を置いて、冷却要素の熱伝導要素を通過して流れた空気を排気するための空気排出開口部と、を有する。即ち、冷却要素及びツインファンを、その種のハウジング内に効率的に配置することができる。この場合、ハウジングは、壁の適切な切り欠きに挿入することができる。このために、例えば、ねじ止め又はクリップ止めを行うことができる。この場合、壁の一方の側から、壁の他方の側への熱移送を行うことができる。1つの駆動モータ用の電気的な接続部が出力源に接続されるだけで、これを極めて簡単且つ効率的に行うことができる。更なる措置、接続などは必要とされない電力の供給は、壁の一方の側から行ってもよいし、他方の側から行ってもよいが、このことは、実装に関してどちらが好適であるかによる。
【0018】
好適には、ヘッドライトの領域において使用される。閉鎖された内部容積部と、透明なカバープレートと、少なくとも発光ダイオード、その制御電子装置などを含む照明手段と、を備えたその種のヘッドライトを、本発明による冷却モジュールを介して理想的に冷却することができる。請求項7に記載の本発明によるヘッドライトでは、冷却モジュールの冷却素子の中間部材が、内部容積部の境界の一部を形成し、それによって、一方の側の熱伝導要素が内部容積部に突出しており、他方の側の熱伝導要素が周囲環境に突出している。ヘッドライトの完全にシールされた内部容積部においては、生じた熱がツインファンの一方の側を介して、冷却要素又はその熱伝導要素へと誘導される。その後、熱は、ヘッドライトの完全にシールされた内部容積部から、冷却要素又はその中間部材を通過して、他方の側において、そこにある熱伝導要素に到達する。熱はそこにおいて周囲環境に放出され、このことは、周囲空気によって支援される。周囲空気は、ツインファンの別の部分によって、対応する熱伝導要素を通過して案内され、それによって、強制的な対流による冷却が達成される。
【0019】
これに対応して、ヘッドライトの非常に有利な構成によれば、ツインファンは、一方では内部容積部において空気を循環させて、冷却モジュールの冷却要素に供給するように、また他方では周囲空気を冷却要素の他方の側に供給するように設計されている。ここで、2つの空気流は物理的に隔てられているので、従って空気は混合されない。熱をそのようにして効率的にヘッドライトから排出することができるので、カバープレートを介する熱放出に加えて、例えばエンジンルームなどの付加的な領域での熱放出も行うことができる。
【0020】
原理的には、その種のヘッドライトの使用が、考えられるあらゆる用途に適している場合であっても、特に、このヘッドライトを前照灯として車両において、特に自動車において、ここではとりわけレールを走行しない陸上車両、例えば乗用車又は重量物運搬車において使用することができる。
【0021】
本発明による冷却モジュール及び本発明によるヘッドライトの更に有利な実施形態は、下記において図面を参照しながらより詳細に説明する実施例より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による冷却モジュールの可能な実施形態の、一部が切り取られた側面図を示す。
図2図1による冷却モジュールの断面の平面図を示す。
図3】本発明による一実施形態における車両ヘッドライトの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1においては、その全体に参照番号1が付されている、一体型の冷却モジュールの側面図が見て取れる。ここでは、観察者に対向する側5における一部の冷却ピン4が示唆されている冷却要素3が見えるようにするために、一体型の冷却モジュール1のハウジング2の一部が切り取られて示されている。この冷却要素3の他に、ハウジング2には、ラジアルファンとして形成されているツインファン6が組み込まれているが、実際にはハウジング2によって覆われていることから、ラジアルファンホイール7の内の一方が破線によってハウジング内に示されている。
【0024】
ここで、その機能性については、図2の断面図において見て取れることができる平面において最も良く表されている。冷却モジュール1のハウジング2は、参照番号9が付された壁の開口部8に受容されている。このために、壁9と、ハウジングにおけるフランジ11との間において、周囲に延びるシール10が設けられている。この接続は、例えば、接着、ねじ止め、リベット接合などによって実現することができる。特に、この接続をクリップ止めによって実現することができ、これに関して、図2においては、ハウジングの一部として示唆されているクリップ12を見て取ることができる。図2において、ハウジングが上部から開口部8に挿入されると、とりわけ中に入ったシール10が変形することによって、このハウジングを簡単且つ効率的に壁9にクリップ止めすることができ、それによって構造が完全にシールされる。
【0025】
ここで、壁9の下方には、参照番号13が付された内部容積部が存在するものとし、また上方には、参照番号14が付された、冷却モジュール1の周囲における外部容積部が存在するものとする。ここでは、冷却モジュール1を介して、熱が、2つの容積部13、14の内の一方から他方へと伝達され、例えば、内部容積部13から、構造の周囲を成す外部容積14に伝達される。冷却要素3は、閉鎖中間部材15を有し、この中間部材15は、内部容積部13に対向する領域が外部容積14に対向する領域によってシールされるようにハウジング2内に収容されている。冷却要素3又はその中間部材15のここでは下方に向けられた側5は、冷却ピン4の一部を担持しており、またそれとは反対側の第2の側16も同様に冷却ピン4の一部を担持している。2つの側5、16に隣接する領域のシーリングは、ハウジングを通って更に延びており、また冷却要素3の中間部材15に対して面一に配置されている中間壁17によって延長されている。この中間壁17は、電気的な駆動モータ18のための開口部を有し、この駆動モータ18は、ツインファン6の一部であって、それぞれが案内羽根7を備えた2つのインペラを並行して駆動させる。ここで、2つのインペラの領域は、中間壁7及び駆動モータ18によって同様に相互にシールされているので、ハウジング2が壁9の開口部8に組み付けられてシールされると、外部容積14に対する内部容積部13の完全なシーリングが実現される。
【0026】
内部容積部13に対向する、図示された冷却モジュール1の下側では、空気が空気供給開口部19を介して内部容積部13から吸い込まれ、回転する案内羽根7によって、冷却要素3の第1の側5の冷却ピン4間を通過するように供給される。この際、空気は、冷却要素3の冷却ピン4に熱を放出し、ハウジング2の内部容積部に対向する側の出口開口部20から再び流出するので、空気は相応に冷却される。これによって、内部容積部13における空気の循環が実現され、例えば、図3に更に示されているようなヘッドライト21の内部容積部13における空気の循環が実現される。この循環と同時に、冷却要素3の冷却ピン4の領域において、循環する空気が冷却される。
【0027】
冷却ピン4及び中間部材15を備えた冷却要素3は、例えば、アルミニウム製であってもよい。その場合、熱は、中間部材15の第1の側5の冷却ピン4から、中間部材15を通り、冷却要素3又はその中間部材15の第2の側16の冷却ピン4へと非常に良好に案内される。ツインファン6によって、図2の下側に図示されたインペラの他に、図2の上側に図示された案内羽根7を備えたインペラも動く。2つのインペラは、共通の電気的な駆動モータ18の単一のシャフトに配置することができ、従って同一の速度で回転する。それらのインペラの内の一方の回転速度を変更するための伝動装置も原理的には考えられる。インペラは、とりわけ相互に同様に構成されている。ツインファン6による換気が行われる、図2の上側に示した領域においては、外部容積部14の周囲空気が、その領域に存在する空気供給開口部19を介して吸い込まれ、一体型の冷却モジュール1の他の部分と同様に、第2の側16における冷却ピン4の間を通過して空気排出開口部20へと流れる。外部容積部14からの周囲空気は、冷却要素3又はその中間部材15の第2の側16の冷却ピン4から熱を吸収し、周囲環境に排出することができる。これによって、容積が流体的に相互に接続されることなく、内部容積部13の効率的な冷却が実現される。これらの容積はむしろ、完全にシールされている。
【0028】
これは、図3に図示されている、既に言及したヘッドライト21において特に重要な役割を担う。ヘッドライトの構造は、ハウジング22及び透明なカバープレート23から成る。このカバープレート23の下には、単に一例ではあるが、発光ダイオードを備えた2つのフィールド24が配置されている。この他に、ハウジング22内、ひいてはヘッドライト21の内部容積部13には、制御装置25並びにステッピングモータ26が例示的に示されている。ヘッドライト21の内部容積部13にあるそれらの構成要素は廃熱を発生させ、この廃熱は、実際の多くの場合、カバープレート23のみを介して排出することができる。ここで冷却を改善し、それによってヘッドライト21の内部容積部13におけるコンポーネントの高い性能を達成し、その際にそれらのコンポーネントの過熱が生じないようにするために、図3に図示されているような冷却モジュール1がヘッドライト21に組み込まれている。ヘッドライトのハウジング22の一部は、図2に図示された壁9を形成する。つまり、冷却モジュール1を介して、熱がヘッドライト21の内部容積部13から、ヘッドライト21を包囲する容積部、従って、図2による構造では外部容積部に相当する容積部に伝達される。更にヘッドライト21の内部容積部13自体も、ヘッドライト21内部の電気的なコンポーネント、特に光学的なコンポーネントに損傷を及ぼす恐れがある湿気の浸入を阻止するために、気密にシールすることができる。
【0029】
一体型の冷却モジュール1の構造は、極めて効率的であり、また小型である。カバープレート23を介する冷却に加えて、ヘッドライト21を包囲する他の領域、例えばエンジンルーム、車両ボディの中空部などの領域における冷却も実現される。この構造は、極めて簡潔且つ効率的である。ヘッドライト21の内側容積部13からも、また外側容積部14からも電気的に接続することができる。共通の駆動モータ18に対して、1つの電気的な接続部しか必要とされないので、この共通の駆動モータ18は、ここでは煩雑な閉ループ制御、開ループ制御などを必要とすることなく、例えば、ライトのスイッチオン時にその動作を開始する。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却要素(3)を備えた冷却モジュール(1)であって、
前記冷却要素(3)は、閉鎖中間部材(15)を有し、前記中間部材(15)は、
前記冷却要素(3)の両側(5、16)に位置する領域を相互にシールし、前記中間部材(15)の2つの側(5、16)に熱伝導要素(4)を有し、前記冷却モジュール(1)は、更に空気のための供給装置を備える、冷却モジュール(1)において、
前記供給装置は、一体型のツインファン(6)として形成されており、前記ツインファン(6)は、一方では、前記中間部材(15)の一方の側(5)の周囲空気を前記冷却要素(3)に供給し、他方では、前記中間部材(15)の他方の側(16)の周囲空気を前記冷却要素(3)に供給し、前記ツインファン(6)は、相互にシールされた2つのファンホイールと、前記2つのファンホイールのための共通の電気的な駆動モータ(18)と、を有することを特徴とする、冷却モジュール(1)。
【請求項2】
前記電気的な駆動モータ(18)は、前記2つのファンホイールの間において中央に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の冷却モジュール(1)。
【請求項3】
前記ツインファン(6)は、ラジアルファンとして形成されていることを特徴とする、請求項1から2までのいずれか一項記載の冷却モジュール(1)。
【請求項4】
前記ツインファン(6)は、前記中間部材(15)の各側から圧力側において前記周囲空気を各側(5、16)の前記熱伝導要素(4)に供給するように形成されていることを特徴とする、請求項1記載の冷却モジュール(1)。
【請求項5】
前記熱伝導要素(4)は、冷却リブ又は冷却フィンガとして形成されていることを特徴とする、請求項1記載の冷却モジュール(1)。
【請求項6】
前記中間部材(15)の前記側のそれぞれに空気供給開口部(19)及び空気排出開口部(20)を備えたハウジング(2)に前記冷却モジュール(1)は組み込まれており、前記吸気開口部(19)及び排気開口部(20)は、前記ハウジング(2)の対向する側に配置されている、且つ/又は前記ハウジング(2)の1つの側の対向する部分に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の冷却モジュール(1)。
【請求項7】
閉鎖された内部容積部(13)と、透明なカバープレート(23)と、照明手段(24)と、前記照明手段(23)を機械的且つ/又は電気的に制御する手段(25、26)と、を備え、更に請求項1記載の冷却モジュール(1)を備える、ヘッドライト(21)において、
前記冷却モジュール(1)の中間部材(15)が、前記内部容積部(13)の境界の一部を形成することで、前記一方の側(5)の前記熱伝導要素(4)は前記内部容積部に突出し、前記他方の側(16)の前記熱伝導要素(4)は前記周囲環境(14)に突出することを特徴とする、ヘッドライト(21)。
【請求項8】
前記ツインファン(6)は、一方では、空気を内部容積部(14)において循環させ、前記冷却要素(3)の前記一方の側(5)に搬送し、他方では、周囲空気を、前記冷却要素(3)の前記他方の側(16)に供給するように設計されていることを特徴とする、請求項7記載のヘッドライト(21)。
【請求項9】
車両の前照灯として形成されていることを特徴とする、請求項7又は8記載のヘッドライト(21)。
【国際調査報告】