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特表2024-536369腫瘍または線維症の診断および療法における使用のためのフィブロネクチン結合ペプチド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】腫瘍または線維症の診断および療法における使用のためのフィブロネクチン結合ペプチド
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/78 20060101AFI20240927BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20240927BHJP
   A61K 38/39 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 49/14 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240927BHJP
   C07K 14/715 20060101ALN20240927BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240927BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20240927BHJP
【FI】
C07K14/78
A61K45/00
A61K47/64
A61K38/39
A61K49/14
A61P35/00
A61P37/02
A61P9/10 101
A61P25/00
A61P3/10
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P11/00
A61P1/16
A61P13/12
C07K14/715 ZNA
C12N15/12
C12N15/113 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520766
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2021025388
(87)【国際公開番号】W WO2023057034
(87)【国際公開日】2023-04-13
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年10月 6日 韓国特許庁に提出した追加実験データを通じて公開 令和2年10月13日 欧州特許庁に提出した追加実験データを通じて公開 令和2年12月22日 日本特許庁に提出した追加実験データを通じて公開
(71)【出願人】
【識別番号】508374139
【氏名又は名称】エー・テー・ハー・チューリッヒ
【氏名又は名称原語表記】ETH ZUERICH
(71)【出願人】
【識別番号】501494414
【氏名又は名称】パウル・シェラー・インスティトゥート
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル,ビオラ
(72)【発明者】
【氏名】チャブリア,マムタ
(72)【発明者】
【氏名】バルプレーダ,ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】トラクセル,ベリンダ
(72)【発明者】
【氏名】ベーエ,マルティン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC01
4C076CC07
4C076CC11
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC21
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084AA17
4C084BA01
4C084BA19
4C084DA40
4C084NA13
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA451
4C084ZA452
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB151
4C084ZB152
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC351
4C084ZC352
4C085KA27
4C085KA28
4C085KA29
4C085KB82
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA18
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA10
(57)【要約】
本発明は、腫瘍または線維症の診断および療法において有用な、FnI5BS-L1-FnI4BS-L2-FnI3BS-L3-FnI2BSの配列によるフィブロネクチン結合ペプチドに関する。本ペプチドは、従来技術と比較してフィブロネクチン結合および体内分布特性の向上を示す。その上、本ペプチドは、ペイロードにコンジュゲートすることができ、がんおよび線維症を含む、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患の治療および/または予防において有用である。また、本ペプチドは、がんおよび線維症を含む、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患の診断において有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FnI5BS-L1-FnI4BS-L2-FnI3BS-L3-FnI2BS
の配列を含むフィブロネクチン結合ペプチドであって、
式中、
FnI5BSが、
Gln-Val-Thr-Thr-Gly-Ser-Asn(配列番号1)、
Gln-Val-Thr-Thr-Ala-Ser-Asn(配列番号2)、
Gln-Val-Thr-Thr-Val-Ser-Asn(配列番号3)、および
Gln-Val-Thr-Thr-Ser-Ser-Asn(配列番号4)
から選択されるポリペプチド配列であり、
FnI4BSが、
Val-Glu-Phe-Thr-Glu-Glu-Ser(配列番号5)、
Val-Glu-Phe-Ser-Glu-Glu-Ser(配列番号6)、
Val-Glu-Phe-Cys-Glu-Glu-Ser(配列番号7)、
Val-Glu-Phe-Asn-Glu-Glu-Ser(配列番号8)、および
Val-Glu-Phe-Gln-Glu-Glu-Ser(配列番号9)
から選択されるポリペプチド配列であり、
FnI3BSが、Gly-Ile-Val-Thr-Gly-Ala-Val(配列番号10)の配列のポリペプチドであり、
FnI2BSが、His-Thr-Thr-Val-Glu-Asp-Thr(配列番号11)の配列のポリペプチドであり、
L1、L2、およびL3が、それぞれ0、1または2つのアミノ酸残基を含むポリペプチド配列である、
フィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項2】
FnI5BSが、配列番号1による配列のポリペプチドであり、および/または
FnI4BSが、配列番号5による配列のポリペプチドである、
請求項1に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項3】
FnI5BSが、配列番号1による配列のポリペプチドであり、
FnI4BSが、配列番号5による配列のポリペプチドである、
請求項1または2に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項4】
L1が、単一アミノ酸残基Leuであり、ならびに/または
L2が、Leu、Ile、Val、Ala、およびMetから選択される単一アミノ酸残基、好ましくは、Leuであり、ならびに/または
L3が、Ser-Aspの配列のジペプチドである、
請求項1~3のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項5】
L1が、単一アミノ酸残基Leuであり、
L2が、単一アミノ酸残基Leuであり、
L3が、Ser-Aspの配列のジペプチドである、
請求項1~4のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項6】
Gln-Val-Thr-Thr-Gly-Ser-Asn-Leu-Val-Glu-Phe-Thr-Glu-Glu-Ser-Leu-Gly-Ile-Val-Thr-Gly-Ala-Val-Ser-Asp-His-Thr-Thr-Val-Glu-Asp-Thr(配列番号12)のポリペプチド配列を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項7】
配列番号12によるポリペプチド配列を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項8】
好ましくは、蛍光偏光アッセイの使用により決定したとき、Kが5.0nMまたはこれよりも密接なFib1(配列番号14)に対する結合により特徴づけられる、請求項1~7のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項9】
ペイロードにさらにコンジュゲートする、フィブロネクチン結合ペプチドであって、前記ペイロードが、前記ポリペプチド配列のNもしくはC末端にアミド結合により直接的にコンジュゲートするか、または前記ペイロードが、前記ポリペプチド配列のNもしくはC末端にリンカーを介してコンジュゲートする、請求項1~8のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項10】
前記リンカーが、ペプチド部分、PEG部分、カダベリンに由来する部分またはC1-12アルキレン部分を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項11】
前記ペイロードが、生物活性分子またはイメージング剤である、請求項1~10のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項12】
前記ペイロードが、生物活性分子である、請求項11に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項13】
前記生物活性分子が、細胞増殖抑制剤、細胞毒性剤、サイトカイン、転写因子阻害物質、プロテアソーム阻害物質およびプロテアーゼ阻害物質、アポトーシス調節物質、細胞周期調節物質、血管新生阻害物質、ホルモンまたはホルモン誘導体、光線力学療法分子、サーモアブレーション療法用のナノ粒子およびマイクロ粒子、放射性核種、miRNA、siRNA、および免疫調節抗原分子からなる群から選択され、
好ましくは、前記細胞増殖抑制剤が、ドキソルビシン、パクリタキセル、クロラムブシル、トポテカン、およびビンクリスチンから選択され、
好ましくは、前記サイトカインが、インターロイキン2、インターロイキン7、インターフェロンγ、および腫瘍壊死因子から選択され、
好ましくは、前記転写因子阻害物質が、クルクミン、リバビリン、およびゲニステインから選択され、
好ましくは、前記アポトーシス調節物質が、イマチニブ、エルロチニブ、およびブリオスタチンから選択され、
好ましくは、前記細胞周期調節物質が、フラボピリドールおよびロスコビチンから選択され、
好ましくは、前記血管新生阻害物質が、エンドスタチン、セレコキシブ、ADH-1(エクスヘリン)、およびスニチニブから選択され、
好ましくは、前記ホルモンおよび前記ホルモン誘導体が、フルタミド、ホスフェストロール、タモキシフェン、およびレラキシンから選択され、
好ましくは、前記放射性核種が、68Ga、64Cu、90Y、111In、131I、161Tb、169Er、および177Luから選択され、
好ましくは、前記miRNAまたは前記siRNAが、CD40、CD80またはCD86に対して特異的なmiRNAまたはsiRNAである、
請求項12に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項14】
前記生物活性分子が、パクリタキセル、クロラムブシル、エンドスタチン、スニチニブ、インターロイキン7、177Lu、および111Inからなる群から選択される、請求項13に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項15】
前記ペイロードが、イメージング剤である、請求項11に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項16】
前記イメージング剤が、放射性核種、蛍光色素、化学発光剤、生物発光剤、分光的に分解可能な無機蛍光半導体ナノ結晶、金属ナノ粒子、ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素、比色分析標識、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテンまたはタンパク質を含む、請求項15に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項17】
前記イメージング剤が、放射性核種、MRI活性化合物、超音波コントラスト剤、フルオロフォア、PET用およびSPECT用のマーカーからなる群から選択され、好ましくは、44Sc、64Cu、67/68Ga、99mTc、111In、遠赤色/近IRスペクトル領域におけるフルオロフォア、ならびにGdベースのMRIコントラスト剤および酸化Fe粒子ベースのMRIコントラスト剤から選択される、請求項15に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項18】
前記イメージング剤が、68Ga、99mTc、111In、44Sc、および64Cuから選択される、請求項17に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項19】
前記ペイロードが、放射性核種、好ましくは、67Cu、90Y、111In、131I、161Tb、169Er、および177Luから選択される放射性核種か、または好ましくは、44Sc、64Cu、67/68Ga、99Tc、および111Inから選択される放射性核種、を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項20】
前記ペイロードが、[111In]In-NODAGA部分である、請求項1~10のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチド。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチドおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項22】
療法における使用のための、請求項1~14、19、および20のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患の治療または予防における使用のための、請求項1~14、19、および20のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
病的フィブロネクチン凝集と関連する前記疾患が、線維症、がん、リンパ浮腫、免疫疾患、自己免疫疾患、およびアテローム動脈硬化症からなる群から選択される、請求項23に記載の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項23に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項25】
前記自己免疫疾患が、全身性硬化症、1型糖尿病、グレーブス病、多発性硬化症、および関節リウマチから選択される、請求項24に記載の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項24に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項26】
前記線維症が、肺線維症、肝線維症、および腎線維症から選択される、請求項24に記載の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項24に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項27】
前記がんが、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、前立腺がん、腎臓がん、膵臓がん、および肺がんから選択される、請求項24に記載の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項24に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項28】
前記肺がんが、非小細胞肺がんである、請求項27に記載の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項27に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項29】
診断における使用のための、請求項1~11もしくは15~20のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項30】
病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患の診断における使用のための、請求項1~11もしくは15~20のいずれか1項に記載のフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項31】
病的フィブロネクチン凝集と関連する前記疾患が、線維症、がん、リンパ浮腫、免疫疾患、自己免疫疾患、およびアテローム動脈硬化症からなる群から選択される、請求項30に記載の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項30に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項32】
前記自己免疫疾患が、全身性硬化症、1型糖尿病、グレーブス病、多発性硬化症、および関節リウマチから選択される、請求項31に記載の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項31に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項33】
前記線維症が、肺線維症、肝線維症、および腎線維症から選択される、請求項31に記載の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項31に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項34】
前記がんが、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、前立腺がん、腎臓がん、膵臓がん、および肺がんから選択される、請求項31に記載の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項31に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項35】
前記肺がんが、非小細胞肺がんである、請求項34に記載の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは請求項34に記載の使用のための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、腫瘍または線維症の診断および療法における使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドに関する。本ペプチドは、従来技術と比較してフィブロネクチン結合および体内分布特性の向上を示す。その上、本ペプチドは、ペイロードにコンジュゲートすることができ、がんおよび線維症を含む、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患の治療および/または予防において有用である。また、本ペプチドは、がんおよび線維症を含む、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患の診断において有用である。
【0002】
背景
フィブロネクチン(Fn)は、細胞外マトリックス(ECM)の高分子量(約440kDa)の糖タンパク質であり、インテグリンと呼ぶ膜貫通受容体タンパク質に結合する(Hynes, R. O. (2009)、Science 326巻(5957号): 1216-1219)。インテグリンと同様に、フィブロネクチンは、他の結合パートナーの中でも細胞外マトリックス(ECM)成分、例えば、コラーゲン、フィブリン、およびヘパラン硫酸プロテオグリカンに結合する。フィブロネクチンは、一対のジスルフィド結合により結合する2つのほぼ同一の単量体からなるタンパク質二量体として存在する。フィブロネクチンタンパク質は、単一の遺伝子から生成されるが、このmRNA前駆体の選択的スプライシングにより、いくつかのアイソフォームの生成が引き起こされる。可溶性血漿フィブロネクチンは、血漿の主要なタンパク質成分であり、肝細胞により生成され、体液中を約300μg/mLの高濃度で循環する。不溶性細胞フィブロネクチンは、ECMの主要な成分である。これは、種々の細胞、主に線維芽細胞により可溶性タンパク質二量体として分泌され、次いで、複雑な細胞媒介プロセスにおいて会合して不溶性マトリックスを構築する。
【0003】
フィブロネクチンは、細胞接着、増殖、遊走、および分化において主要な役割を果たし、創傷治癒および胚発生のようなプロセスにおいて重要である。
【0004】
フィブロネクチンの発現、分解、および構築の変化は、がんおよび線維症を含む多くの病態と関連している。腫瘍および腫瘍由来細胞株において観察される形態学的変化のいくつかは、フィブロネクチン発現の変化、フィブロネクチン分解の増加、および/またはフィブロネクチン結合受容体、例えば、種々のインテグリンの型(α5β1、αvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6またはαvβ8インテグリン)の発現の変化に起因している。
【0005】
肺癌、特には、非小細胞肺癌では、フィブロネクチン発現は増加する。フィブロネクチンに対する肺癌細胞の接着により、腫瘍原性が増強され、アポトーシスを誘導する化学療法剤に対する抵抗性が付与される。フィブロネクチンは、脊椎動物アンドロゲン受容体と相互作用する性腺ステロイドを刺激することが示されており、これは、サイクリンDおよび細胞周期制御に関与する関連遺伝子の発現を制御することが可能である。このような知見は、フィブロネクチンが、肺腫瘍の増殖/生存および療法に対する抵抗性を高めることができ、新たな抗がん薬の開発のための標的を表し得ることを示唆する。フィブロネクチンは、放射線抵抗性の潜在的バイオマーカーとして作用する。FN-FGFR1融合は、リン酸塩尿性間葉腫瘍において頻繁に生じる。
【0006】
国際公開第2007/128563号では、腫瘍または慢性炎症疾患、特には、アテローム動脈硬化症、関節炎、および乾癬を治療するための医薬の製造用の、癌胎児性フィブロネクチン(ED-B)の細胞外ドメインに特異的に結合する抗体またはこの機能性断片、ならびにサイトカインIL-10、IL-15、IL-24、およびGM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)から選択される特定のエフェクターを含む、融合タンパク質を教示している。ED-Bは、91アミノ酸III型相同ドメインであり、組織リモデリングが生じるときは常に一次転写のレベルで選択的スプライシングの機構によりフィブロネクチン分子に挿入され[Zardiら、Embo J. 6巻(8号): 2337-42 (1987)]、健常な成人の組織において本質的に検出不能である。この発現は、ECMのリモデリングおよび血管新生と強力に関連する。ドメインは、多くの高悪性度腫瘍に豊富に存在し、腫瘍の型に応じて、優位に血管性またはびまん性間質性のいずれかの発現パターンを呈する[Carnemollaら、J. Cell Biol. 108巻(3号): 1139-48 (1989)]。
【0007】
ペプチドと比較して、生きた生物学的標的を標的化するためのナノ粒子および抗体は、標的組織におけるこれらの透過性および保持に関しては、大幅に後退している(Wilhelmら、Analysis of nanoparticle delivery to tumours、Nature Reviews Materials 1、(2016) 1-12を参照)。
【0008】
抗体は、150kDaの分子量および15~20nmの流体力学半径を有する大型のタンパク質である。その上、抗体およびこの断片は、環境的および代謝的負荷に対して相対的に感受性である。小型の抗体断片、例えば、Fab認識パターンである単量体および二量体であっても、それぞれがおよそ50~100kDaのサイズを有する高分子を表す。小型の標的化合物としては、タンパク質、ペプチド、核酸ベースのリガンド、例えば、アプタマー、および低分子が挙げられる[Bertrandら、Advanced Drug Delivery Reviews 66巻、(2014): 2-25]。このような小型の分子は、標的組織におけるさらに迅速な拡散および標的組織のさらに迅速な標的化の利点を有し、これによって病的組織、例えば、がんまたは線維症においてさらに相同な分布が生じる。
【0009】
しかし、治療用ペプチドの主要かつ一般的に許容される一つの弱点は、血漿中の不十分な安定性であり、これにより半減期が短くなり、したがって治療または診断における有効性が低下する。血清中のペプチドの急速な分解により、標的タンパク質に対する親和性の低下が生じることが頻繁に観察される。したがって、安定化戦略を導入しなければならない。進化工学によって、関連するヒト類似体よりもヒト血中で高い代謝安定性を示す、両生類および爬虫類に主に起源を有する天然ペプチドが存在する。安定性を向上させる別の可能性は、ペプチド内の代謝切断部位を化学的に変化させるものである。これは、非天然アミノ酸による天然アミノ酸の置換またはアミド結合の化学修飾を含む。
【0010】
細菌性創傷感染症の状況では、Chabriaら(Nature Communications、1:135、2010、1-9)は、水素結合骨格を介する細菌FnBRの特異的結合が、in vitroでFn線維を「伸展」させることによって力学的に調節可能であることを報告しており、Fn線維に対する細菌性アドヘシンの特異的結合を不活化するほど十分に、細胞により生じる力が強いことを示唆している。したがって、この著者は、Fn含有ECMのメカノバイオロジーにより、細菌性および細胞性の結合現象、病原性、および感染過程を調節し得ると推測している。
【0011】
Caoら[PNAS、109巻、19号:7251-7256、2015年5月8日]は、ファージディスプレイに基づく分子プローブLNLPHGおよびRFSAFYを報告しており、これは、力により誘導される原線維フィブロネクチンの構造状態、いわゆるFn線維の「弛緩」(LNLPHGが優先的に結合する)状態および「緊張」(RFSAFYが優先的に結合する)状態をin vivoで識別する。SRWYRI、ARERFY、およびGSNSKYを呈するファージは、低度ではあるが著しい結合親和性で、弛緩状態でも優先的に結合する。ランダムにファージディスプレイを行うペプチドプローブは、手動で突出させたフィブロネクチン(Fn)線維、細胞由来FnECM、およびex vivoでの生体肺切片に対して緊張選択的結合を示した。この著者らは、未修飾のネイティブECM微小環境における分子緊張現象のマッピングだけでなく、疾患と関連する構造の変化状態におけるFn(ECM)の標的化に対して、このようなペプチドプローブの将来の使用可能性について推測している。一方、著者らは、人工緊張条件下で観察された、線維内Fnの伸展性およびFnIII型ドメインのアンフォールディング現象が、in vivoで実際に生じるという直接的証拠が未だ存在しないことを認めている。したがって、特に、ペプチド単独ではなく、このようなペプチドを呈するファージの検査のみが行われたため、Fnの「弛緩」または「緊張」状態のいずれかを同定するペプチドが、腫瘍マーカーとして機能し得るか否かは非常に推論的である。Hertigら(Nano Lett.、12巻、5132-5168、2012)は、細菌由来Fn結合タンパク質(FnBP)の単離およびさらなる改変を開示している。天然FnBPは、細菌細胞膜に共有結合し、内因的に障害されたいくつかのFn結合リピート(FnBR)を含有し得る。興味深いことには、いくつかのグラム陽性細菌およびスピロヘータが発現したFnBRは、相同性をほとんど示さないが、すべてFnの同一ドメインを認識して結合する。保存された残基は、FnI結合モチーフに主に見出されており、E-D/E-T/Sモチーフは、高度に保存され、ほぼすべてのFnBRに見出される。Fnは、5つのFnIモジュールを備え、これらは、ペプチドリンカーにより隔たり、すべてがFnBP結合パートナーとして作用し得る。
【0012】
まとめると、フィブロネクチンは、組織の血漿およびECMにおいて優勢なタンパク質であり、線維症およびがんの組織において上方制御され得る。フィブロネクチンのスプライスバリアントは、スプライスバリアントに特異的ながん型の標的化に対して有用性を有する。天然に存在するFnBPおよびファージディスプレイに基づくFnBPの結合は、Fnの天然の弛緩状態および人工的緊張状態によって異なり得る(S. Arnoldini、A. Moscaroli、M. Chabria、M. Hilbert、S. Hertig、R. Schibli、M. Behe、およびV. Vogel、「Novel peptide probes to assess the tensional state of fibronectin fibers in cancer.」、Nat Commun、8巻、1号、p. 1793、2017年11月;C. M. Fonta、S. Arnoldini、D. Jaramillo、A. Moscaroli、A. Oxenius、M. Behe、およびV. Vogel、「Fibronectin fibers are highly tensed in healthy organs in contrast to tumors and virus-infected lymph nodes.」、Matrix Biology Plus、8巻、p. 100046、2020年11月)。
【0013】
国際公開第2017/216223号の文書では、診断または治療剤に結合するフィブロネクチン結合ペプチドを含む組成物をさらに教示している。
【0014】
発明の概要
本発明の目的は、フィブロネクチン、特には、Fib1構築物に対する親和性が向上し、体内分布特性が向上した、新規のフィブロネクチン結合ペプチド配列を提供することであった。
【0015】
この目的は、本明細書に記載し、本特許請求の範囲により特徴づけられる、実施形態により達成される。
【0016】
本発明者らは、3つのアミノ酸置換および2つの欠失がFnBPA5配列(配列番号13)に由来するFnBPA5.1配列が、蛍光偏光アッセイにより測定したとき、Fib1に対する親和性の驚くべき向上を示すことを見出した(実施例1、図1)。本発明者らは、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドの体内分布をさらに試験し、驚くべきことに、放射性同位元素で標識したFnBPA5.1配列の腫瘍における取込みが、PC3異種移植マウスを用いた実験(実施例4、図4ならびに実施例6および7、図6)、ならびに同所および同系の67NR乳腺腫瘍マウスにおける試験(実施例5、図5ならびに実施例8および9、図7)において実証したとき、従来技術から公知のFnBPA5配列と比較して向上したことを見出した。さらに驚くべきことには、同時に、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドの脾臓および肝臓における取込みが、従来技術から公知のFnBPA5配列と比較して低下することを実証することが確立された。これは、当業者に公知のように、体内分布の観点から所望の特徴である。
【0017】
本発明は、次の実施形態において要約する。
第1の実施形態では、本発明は、
FnI5BS-L1-FnI4BS-L2-FnI3BS-L3-FnI2BS
の配列を含むフィブロネクチン結合ペプチドに関し、
式中、
FnI5BSは、
Gln-Val-Thr-Thr-Gly-Ser-Asn(配列番号1)、
Gln-Val-Thr-Thr-Ala-Ser-Asn(配列番号2)、
Gln-Val-Thr-Thr-Val-Ser-Asn(配列番号3)、および
Gln-Val-Thr-Thr-Ser-Ser-Asn(配列番号4)
から選択されるポリペプチド配列であり、
FnI4BSは、
Val-Glu-Phe-Thr-Glu-Glu-Ser(配列番号5)、
Val-Glu-Phe-Ser-Glu-Glu-Ser(配列番号6)、
Val-Glu-Phe-Cys-Glu-Glu-Ser(配列番号7)、
Val-Glu-Phe-Asn-Glu-Glu-Ser(配列番号8)、および
Val-Glu-Phe-Gln-Glu-Glu-Ser(配列番号9)
から選択されるポリペプチド配列であり、
FnI3BSは、Gly-Ile-Val-Thr-Gly-Ala-Val(配列番号10)の配列のポリペプチドであり、
FnI2BSは、His-Thr-Thr-Val-Glu-Asp-Thr(配列番号11)の配列のポリペプチドであり、
L1、L2、およびL3は、それぞれ0、1または2つのアミノ酸残基を含むポリペプチド配列である。
【0018】
特定の実施形態では、本発明は、FnI5BSが、配列番号1による配列のポリペプチドであり、および/またはFnI4BSが、配列番号5による配列のポリペプチドである、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0019】
さらに特定の実施形態では、本発明は、FnI5BSが、配列番号1による配列のポリペプチドであり、FnI4BSが、配列番号5による配列のポリペプチドである、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0020】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、L1が、単一アミノ酸残基Leuであり、ならびに/またはL2が、Leu、Ile、Val、Ala、およびMetから選択される単一アミノ酸残基、好ましくは、Leuであり、ならびに/またはL3が、Ser-Aspの配列のジペプチドである、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0021】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、L1が、単一アミノ酸残基Leuであり、L2が、単一アミノ酸残基Leuであり、L3が、Ser-Aspの配列のジペプチドである、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0022】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、Gln-Val-Thr-Thr-Gly-Ser-Asn-Leu-Val-Glu-Phe-Thr-Glu-Glu-Ser-Leu-Gly-Ile-Val-Thr-Gly-Ala-Val-Ser-Asp-His-Thr-Thr-Val-Glu-Asp-Thr(配列番号12)のポリペプチド配列を含む、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0023】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、配列番号12を有するポリペプチド配列を有する、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0024】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、好ましくは、蛍光偏光アッセイの使用により決定したとき、Kが5.0nMまたはこれよりも密接なFib1(配列番号14)に対する結合により特徴づけられる、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0025】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、ペイロードにさらにコンジュゲートする、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0026】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、ペイロードが、このポリペプチド配列のNもしくはC末端にアミド結合により直接的にコンジュゲートするか、またはペイロードが、このポリペプチド配列のNもしくはC末端にリンカーを介してコンジュゲートする、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0027】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、リンカーが、ペプチド部分、PEG部分、カダベリンに由来する部分またはC1-12アルキレン部分を含む、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0028】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、ペイロードが、生物活性分子(BAM)またはイメージング剤である、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0029】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、ペイロードが、生物活性分子(BAM)である、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0030】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、生物活性分子が、細胞増殖抑制剤、細胞毒性剤、サイトカイン、転写因子阻害物質、プロテアソーム阻害物質およびプロテアーゼ阻害物質、アポトーシス調節物質、細胞周期調節物質、血管新生阻害物質、ホルモンまたはホルモン誘導体、光線力学療法分子、サーモアブレーション療法用のナノ粒子およびマイクロ粒子、放射性核種、miRNA、siRNA、および免疫調節抗原分子からなる群から選択される、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0031】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、生物活性分子が、パクリタキセル、クロラムブシル、エンドスタチン、スニチニブ、インターロイキン7、177Lu、および111Inからなる群から選択される、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0032】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、ペイロードがイメージング剤である、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0033】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、イメージング剤が、放射性核種、蛍光色素、化学発光剤、生物発光剤、分光的に分解可能な無機蛍光半導体ナノ結晶、金属ナノ粒子、ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素、比色分析標識、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテンまたはタンパク質を含む、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0034】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、イメージング剤が、放射性核種、MRI活性化合物、超音波コントラスト剤、フルオロフォア、PET用およびSPECT用のマーカーからなる群から選択され、好ましくは、44Sc、64Cu、67/68Ga、99mTc、111In、遠赤色/近IRスペクトル領域におけるフルオロフォア、ならびにGdベースのMRIコントラスト剤および酸化Fe粒子ベースのMRIコントラスト剤から選択される、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0035】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、イメージング剤が、68Ga、99mTc、111In、44Sc、および64Cuから選択される、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0036】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、ペイロードが、放射性核種、好ましくは、67Cu、90Y、111In、131I、161Tb、169Er、および177Luから選択される放射性核種か、または好ましくは、44Sc、64Cu、67/68Ga、99mTc、および111Inから選択される放射性核種、を含む、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0037】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、ペイロードが、[111In]In-NODAGA部分である、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0038】
さらなる実施形態では、本発明は、本明細書に記載のフィブロネクチン結合ペプチドおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0039】
またさらなる実施形態では、本発明は、療法における使用のための、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物に関する。
【0040】
またさらなる実施形態では、本発明は、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患の治療または予防における使用のための、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物に関する。
【0041】
特定の実施形態では、本発明は、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患が、線維症、がん、リンパ浮腫、免疫疾患、自己免疫疾患、およびアテローム動脈硬化症からなる群から選択される、本発明の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の使用のための医薬組成物に関する。
【0042】
さらに特定の実施形態では、本発明は、自己免疫疾患が、全身性硬化症、1型糖尿病、グレーブス病、多発性硬化症、および関節リウマチから選択される、本発明の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の使用のための医薬組成物に関する。
【0043】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、線維症が、肺線維症、肝線維症、および腎線維症から選択される、本発明の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の使用のための医薬組成物に関する。
【0044】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、がんが、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、前立腺がん、腎臓がん、膵臓がん、および肺がんから選択される、本発明の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の使用のための医薬組成物に関する。
【0045】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、肺がんが、非小細胞肺がんである、本発明の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の使用のための医薬組成物に関する。
【0046】
さらなる実施形態では、本発明は、診断における使用のための、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物に関する。
【0047】
さらなる実施形態では、本発明は、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患の診断における使用のための、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物に関する。
【0048】
特定の実施形態では、本発明は、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患が、線維症、がん、リンパ浮腫、免疫疾患、自己免疫疾患、およびアテローム動脈硬化症からなる群から選択される、本発明の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の使用のための医薬組成物に関する。
【0049】
さらに特定の実施形態では、本発明は、自己免疫疾患が、全身性硬化症、1型糖尿病、グレーブス病、多発性硬化症、および関節リウマチから選択される、本発明の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の使用のための医薬組成物に関する。
【0050】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、線維症が、肺線維症、肝線維症、および腎線維症から選択される、本発明の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の使用のための医薬組成物に関する。
【0051】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、がんが、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、前立腺がん、腎臓がん、膵臓がん、および肺がんから選択される、本発明の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の使用のための医薬組成物に関する。
【0052】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、肺がんが、非小細胞肺がんである、本発明の使用のためのフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の使用のための医薬組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】配列番号14によるフィブロネクチンのN末端30kDa断片(Fib1)に対するCy5標識FnBPA5.1およびFnBPA5の親和性測定。曲線は、蛍光偏光の三つ組による測定を示す。エラーバーは標準偏差を示す。解析はGraphPadPrismを使用して行った。KはnMにより示す。
図2】弛緩(7%の緊張)または伸展(380%の緊張)した線維のAlexa488標識フィブロネクチンに対するCy5標識ペプチドの強度比。正規化値:弛緩したフィブロネクチン線維に対する各ペプチドの強度比の平均値を1に設定し、これに従って残りの値を調整した。線維10~15種のデータの標準偏差をエラーバーにより示す。P値は、独立両側スチューデントt検定から得た(GraphPadPrism)。
図3】37℃で最高24時間のヒト血漿におけるインキュベーション時の[111In]In-FnBPA5.1の分解動態。データ点は、平均値±SDを示す(n=3)。データは、非線形フィットによりフィッティングした(GraphPadPrism)。
図4】注射後24時間のPC-3腫瘍担持CD1nu/nuマウスにおける111In標識NODAGA-FnBPA5およびこの改変型NODAGA-FnBPA5.1の体内分布。結果は、1グラム当たりの%実投与量の平均±SDとして示す(n=4)。
図5】注射後24時間の67NR腫瘍担持マウスにおける111In標識NODAGA-FnBPA5およびこの改変型NODAGA-FnBPA5.1の体内分布。結果は、1グラム当たりの%実投与量の平均±SDとして示す(n=4)。
図6】同所および同系の67NR乳腺腫瘍モデルにおける[111In]In-NODAGA FnBPA5.1注射後24時間のSPECT画像(A)およびオートラジオグラフ(B)。
図7】ブレオマイシンによる気管内滴下後14日および[111In]In-NODAGA FnBPA5.1注射後24時間のマウス肺のSPECT画像(上)およびオートラジオグラフ(下)。
【0054】
発明の詳細な説明
本発明は、次の実施形態において詳細に記載する。本明細書に記載の特徴のすべての組合せを想定することが理解されるべきである。
【0055】
フィブロネクチン結合ペプチド
第1の実施形態では、本発明は、
FnI5BS-L1-FnI4BS-L2-FnI3BS-L3-FnI2BS
の配列を含むフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0056】
本明細書に定義するFnI5BSは、
Gln-Val-Thr-Thr-Gly-Ser-Asn(配列番号1)、
Gln-Val-Thr-Thr-Ala-Ser-Asn(配列番号2)、
Gln-Val-Thr-Thr-Val-Ser-Asn(配列番号3)、および
Gln-Val-Thr-Thr-Ser-Ser-Asn(配列番号4)
から選択されるポリペプチド配列である本発明による、FnI5結合配列を指す。
【0057】
好ましくは、FnI5BSは、配列番号1による配列のポリペプチドである。
【0058】
本明細書に定義するFnI4BSは、
Val-Glu-Phe-Thr-Glu-Glu-Ser(配列番号5)、
Val-Glu-Phe-Ser-Glu-Glu-Ser(配列番号6)、
Val-Glu-Phe-Cys-Glu-Glu-Ser(配列番号7)、
Val-Glu-Phe-Asn-Glu-Glu-Ser(配列番号8)、および
Val-Glu-Phe-Gln-Glu-Glu-Ser(配列番号9)
から選択されるポリペプチド配列である本発明による、FnI4結合配列を指す。
【0059】
好ましくは、FnI4BSは、配列番号5による配列のポリペプチドである。
【0060】
したがって、好ましくは、本発明は、FnI5BSが、配列番号1による配列のポリペプチドであり、および/またはFnI4BSが、配列番号5による配列のポリペプチドである、実施形態に関する。さらに好ましい実施形態では、FnI5BSは、配列番号1による配列のポリペプチドであり、FnI4BSは、配列番号5による配列のポリペプチドである。
【0061】
本明細書において定義するとき、FnI3結合配列を指すFnI3BSは、Gly-Ile-Val-Thr-Gly-Ala-Val(配列番号10)の配列のポリペプチドである。
【0062】
本明細書においてさらに定義するとき、FnI2結合配列を指すFnI2BSは、His-Thr-Thr-Val-Glu-Asp-Thr(配列番号11)の配列のポリペプチドである。
【0063】
L1、L2、およびL3は、それぞれ0、1または2つのアミノ酸残基を含むポリペプチド配列である。L1、L2、およびL3は、FnI5結合配列(FnI5BS)およびFnI4結合配列(FnI4BS)、FnI4結合配列(FnI4BS)およびFnI3結合配列(FnI3BS)、ならびにFnI3結合配列(FnI3BS)およびFnI2結合配列(FnI2BS)にそれぞれ連結するリンカーである。同時に、L1、L2、およびL3は、好ましくは、フィブロネクチンの残基との直接的相互作用により結合親和性に必ずしも寄与しない。
【0064】
したがって、L1は、0、1または2つのアミノ酸残基を含むポリペプチド配列である。好ましくは、L1は、単一アミノ酸残基Leuである。
【0065】
L2は、0、1または2つのアミノ酸残基を含むポリペプチド配列である。好ましくは、L2は、Leu、Ile、Val、Ala、およびMetから選択される単一アミノ酸残基である。より好ましくは、L2はLeuである。
【0066】
L3は、0、1または2つのアミノ酸残基を含むポリペプチド配列である。好ましくは、L3は、Ser-Aspの配列のジペプチドである。
【0067】
最も好ましくは、本発明の実施形態では、L1は、単一アミノ酸残基Leuであり、L2は、単一アミノ酸残基Leuであり、L3は、Ser-Aspの配列のジペプチドである。
【0068】
好ましくは、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、Gln-Val-Thr-Thr-Gly-Ser-Asn-Leu-Val-Glu-Phe-Thr-Glu-Glu-Ser-Leu-Gly-Ile-Val-Thr-Gly-Ala-Val-Ser-Asp-His-Thr-Thr-Val-Glu-Asp-Thr(配列番号12)のポリペプチド配列を含む。より好ましくは、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、配列番号12によるポリペプチド配列を有する。
【0069】
本発明のFnBPA5.1の好ましい配列(配列番号12)は、次の点において従来技術のFnBPA5配列(配列番号13)とは異なる。
- 従来技術から公知のFnBPA5(配列番号13)の配列における5番目のGlu残基(FnI5BS配列-配列番号1の5番目に対応する)は、グリシンと置換する。
- FnBPA5の従来技術配列(配列番号13)の12番目のAsp残基(FnI4BS配列-配列番号5の4番目に対応する)は、Thr残基と置換する。
- FnBPA5の従来配列(配列番号13)の16番目のThr残基(L2の第1の残基に対応する)は、Leuと置換する。
- FnBPA5の従来配列(配列番号13)の17番目のLys残基および34番目のLys残基は、欠失させる。
【0070】
本発明者らは、驚くべきことに、本明細書においてFnBPA5.1配列(配列番号12)と呼ぶ、生じるペプチド配列が、Fib1に対する親和性の向上、腫瘍における取込みの向上、ならびに脾臓および肝臓における取込みの低下を示すことを見出した。同一位置における同様の置換が、本明細書に記載のように、Fib1への親和性に対する同一の作用により生じ、ならびに/または腫瘍における取込みの向上と脾臓および肝臓における取込みの低下とが引き起こされる可能性を有すると当業者が考え得ることが認められている。したがって、本発明は、FnBPA5配列(配列番号13)の5番目のGlu残基を、グリシンと同様の特性を有する残基、例えば、Ala、Val、およびSerから選択される残基と置換した実施形態をも包含する。FnI5BSとも呼ぶ、生じるFnI5結合配列は、配列番号2~4から選択される。本発明は、FnBPA5の従来配列(配列番号13)の12番目のAsp残基を、Thrと同様の特性を有する残基、例えば、Ser、Cys、Asn、およびGlnから選択される残基と置換した実施形態をさらに包含する。FnI4BSとも呼ぶ、生じるFnI5結合配列は、配列番号6~9から選択される。FnBPA5の従来配列(配列番号13)の16番目のThr残基は、Leuと同様の特性を有する残基、例えば、Ile、Val、Ala、およびMetから選択される残基と置換し得ると当業者はさらに考え得る。
【0071】
本発明は、フィブロネクチンに結合し、特には、Fib1に結合する、本明細書に記載のフィブロネクチン結合ペプチドを包含する。好ましくは、本明細書に定義する本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、従来技術から公知のFnBPA5ペプチドとも呼ぶ配列番号13によるペプチドについて測定した親和性よりも良好な親和性で、フィブロネクチン、好ましくは、Fib1に結合する。図1に示すように、Fib1に対するFnBPA5ペプチドの前記親和性は、K=102.3nMに相当する。
【0072】
好ましくは、前記親和性は、蛍光異方性アッセイの使用により、N末端付加Cy5標識を有するペプチドを使用して測定可能である(調製実施例1に記載のように)。測定についての詳細なプロトコルは、実施例1に含む。
【0073】
したがって、好ましい実施形態では、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、好ましくは、本明細書に記載のように蛍光異方性アッセイの使用により決定したとき、Kが100nMまたはこれよりも密接な、50nMまたはこれよりも密接な、25nMまたはこれよりも密接な、10nMまたはこれよりも密接な、5.0nMまたはこれよりも密接な、Fib1(配列番号14による構築物)に対する結合により特徴づけられる。「またはこれよりも密接な」の用語は、好ましくは、高い親和性を指し、低いK値により表し得る。
【0074】
フィブロネクチン結合ペプチドペイロードコンジュゲート
さらなる実施形態では、本発明は、ペイロードにさらにコンジュゲートした、以上に記載の、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。換言すれば、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、ある特定の実施形態では、ペイロードに結合する。
【0075】
本発明によれば、フィブロネクチン結合ペプチドおよびペイロードが生理学的条件下、好ましくは、血漿中で十分安定に結合して、この成分が標的部位に達するまでこれらと物理的および/または化学的に連結/配分/結合する限り、フィブロネクチン結合ペプチドおよびペイロードを相互に結合する方法に関する特定の制限は存在しない。フィブロネクチン結合ペプチドおよびペイロードは、共有結合的または非共有結合的に、例えば、疎水性相互作用、ファンデルワールス力、静電気引力等により、あるいは1つもしくは複数のスペーサーまたは少なくとも1つのリンカーを介して相互に結合し得る。前記リンカーは、ある特定の実施形態では、切断可能なリンカーであり得る。「切断可能なリンカー」の表現は、物理的または化学的に切断することが可能な任意のリンカーを意味する。物理的切断の例は、光、放射線放射または熱による切断であり、一方、化学的切断の例は、酸化還元反応による切断、加水分解、pH依存性切断または酵素による切断を含む。
【0076】
本明細書において理解されるように、ペイロード部分は、好ましくは、アミノ酸残基(例えば、アミノ酸側鎖)に対する、ペイロード部分のコンジュゲーションに適した、当技術分野において公知のまたは本発明に記載の任意の化学的カップリングを使用して、本発明のフィブロネクチン結合ペプチド内の任意のアミノ酸残基(または本発明のフィブロネクチン結合ペプチド内の適する任意の化学基)に直接的にコンジュゲートさせることができる。したがって、前記カップリングにより、ペイロード部分と本発明のフィブロネクチン結合ペプチドのアミノ酸(例えば、アミノ酸側鎖)との間に間隔を空けて1つまたは複数の化学基が生じることがあり、この基は、当技術分野において公知のように、カップリング反応の結果として形成する。
【0077】
あるいは、本明細書に記載のように、ペイロード部分は、本発明のフィブロネクチン結合ペプチド内の任意のアミノ酸残基に間接的に、すなわち、リンカー基を介してコンジュゲートし得る。このような実施形態では、ペイロードは、リンカー基にコンジュゲートし、このリンカー基は、本発明のフィブロネクチン結合ペプチド内のアミノ酸残基にコンジュゲートする。ペイロードとリンカー基との間およびリンカー基と本発明のフィブロネクチン結合ペプチドのアミノ酸残基または化学基との間のコンジュゲーションは、このようなコンジュゲーションをもたらすのに適する、本明細書に記載のまたはさもなければ当技術分野において公知の、任意のコンジュゲーション方法および/または化合物であり得る。
【0078】
ペイロード部分のコンジュゲーションは、本発明のフィブロネクチン結合ペプチド内の任意のアミノ酸残基に対して方向づけられ得る。したがって、ペイロード部分は、本発明のフィブロネクチン結合ペプチド内のアミノ酸残基に直接的または間接的にコンジュゲートし得る。好ましくは、ペイロード部分は、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドのN末端またはC末端に存在するアミノ酸残基に直接的または間接的にコンジュゲートし得る。あるいはまたは加えて、ペイロード部分は、本発明のフィブロネクチン結合ペプチド内の内部アミノ酸残基に直接的または間接的にコンジュゲートし得る。本開示を通じて使用するとき、内部残基または内部化学基は、ペプチド鎖の末端に存在しない、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドのアミノ酸残基または化学基に言及する。当技術分野において公知のように、コンジュゲーション方法(直接的または間接的にかかわらず)では、一方または両方の部位のコンジュゲーションの化学修飾(例えば、アミノ酸残基の修飾および/またはペイロード部分の修飾)を必要とし得る。したがって、本発明は、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドの化学修飾も包含する。
【0079】
好ましくは、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、ペイロードが前記ポリペプチド配列のNまたはC末端にアミド結合により直接的にコンジュゲートする、実施形態に関する。さらに好ましくは、ペイロードは、前記ポリペプチド配列のNまたはC末端にアミド結合により直接的にコンジュゲートする。
【0080】
あるいは、ペイロードは、前記ポリペプチド配列のNまたはC末端にリンカーを介してコンジュゲートし得る。本発明の好ましいリンカーは、ペプチド部分、PEG部分、カダベリンに由来する部分、およびC1-12アルキレン部分から選択される部分を含む。好ましくは、リンカーは、ペプチド部分を含む。好ましくは、ペプチド部分であるリンカーは、Gly-Gly-Glyの配列またはCys-Gly-Gly-Gly(配列番号15)の配列である。当業者に理解されるように、リンカーは、N末端アセチル化し得る。
【0081】
ペイロードは、好ましくは、アミド結合形成またはマレイミド-チオールコンジュゲーションによりリンカーにコンジュゲートし得る。
【0082】
本発明のペイロードは、特に制限されない。好ましい実施形態では、ペイロードは、生物活性分子(BAM)またはイメージング剤である。
【0083】
本発明のある特定の好ましい実施形態では、ペイロードは、生物活性分子(BAM)である。
【0084】
好ましくは、本発明により包含する生物活性分子は、細胞増殖抑制剤、細胞毒性剤、サイトカイン、転写因子阻害物質、プロテアソーム阻害物質およびプロテアーゼ阻害物質、アポトーシス調節物質、細胞周期調節物質、血管新生阻害物質、ホルモンまたはホルモン誘導体、光線力学療法分子、サーモアブレーション療法用のナノ粒子およびマイクロ粒子、放射性核種、miRNA、siRNA、および免疫調節抗原分子からなる群から選択される。
【0085】
本明細書において理解されるように、好ましくは、細胞増殖抑制剤は、ドキソルビシン、パクリタキセル、クロラムブシル、トポテカン、およびビンクリスチンから選択される。
【0086】
本明細書においてさらに理解されるように、好ましくは、サイトカインは、インターロイキン2、インターロイキン7、インターフェロンγ、および腫瘍壊死因子から選択される。本発明によるペイロードとしての使用にさらに適するサイトカインは、例えば、インターロイキン2、インターロイキン7、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンIα、インターフェロンIβ、インターフェロンγ-Iβ、腫瘍壊死因子、およびこれらの任意の誘導体である。
【0087】
本明細書においてさらに理解されるように、転写因子阻害物質は、好ましくは、クルクミン、リバビリン、およびゲニステインから選択される。本発明によるペイロードとしての使用にさらに適する転写因子阻害物質は、例えば、NF-KBの活性化を阻害する化合物、例えば、クルクミン(ジフェルロイルメタン)、エピガロカテキン-3-没食子酸(EGCG;緑茶ポリフェノール)、フェナントロリン、ピロリンジチオカルバ-メート(PDTC)、ケルセチン、テポキサリン(5-(4-クロロフェニル)-N-ヒドロキシ-(4-メトキシフェニル)-N-メチル-1H-ピラゾール-3-プロパン-アミド)、PMC(2,2,5,7,8-ペンタメチル-6-ヒドロキシクロマン)、ベンジルイソシアネート、レスベラトロール、ゲニステイン、ルペオール、リコピン、パネポキシドン、エポキシキノマイシンC、デヒドロキシメチルエポキシ-キノマイシン(DHMEQ)、シクロエポキシドン、グリオトキシン、ならびに1-KB-アルファリン酸化および/もしくは分解阻害物質、例えば、PS-1,145、BAY-11-7082(E3[(4-メチルフェニル)-スルホニル]-2-プロペンニトリル)、BAY-11-7085(E3[(4-t-ブチルフェニル)-スルホニル]-2-プロペンニトリル)、シクロエポキシドン;1-ヒドロキシ-2-ヒドロキシ-メチル-3-ペンタ-l-エニルベンゼン、サンギナリン(プソイドケレリトリン、13-メチル-[l,3]-ベンゾ-ジオキソロ-[5,6-c]-l,3-ジオキソロ-4,5フェナントリジニウム)、スルファサラジン、カプサイシン(8-メチル-N-バニリル-6-ノネンアミド)、エモジン(3-メチル-l,6,8-トリヒドロキシ-アントラキノン)、アーブスタチン(チロシンキナーゼ阻害物質)、エストロゲン(E2)、グリオトキシン、ゲニステイン、レシニフェラトキシン、ならびにNF-KBの種々の阻害物質、例えば、ベータ-アミロイドタンパク質、グルココルチコイド(デキサメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン)、レプトマイシンB(LMB)、Ο,Ο’-ビスミリストイルチアミンジスルフィド(BMT)、ADPリボシル化阻害物質、例えば、二環式、三環式もしくは四環式ラクタム、1,8-ナフタルイミド誘導体、フェナントリジン-6-オン、3,4-ジヒドロ-5-メチル-イソキノリン-1(2H)-オン、ベンゾオキサゾール-4-カルボキサミド、1,6-ナフチリジン-5(6H)-オン、キナゾリン[3,4-d]ピリミジン-4(3H)-オン、1,5-ジヒドロキシイソキノリン、2-メチル-キナゾリン-4[3H]-オン、l,llb-ジヒドロ-[2H]ベンゾピラノ[4,3,2-de]イソキノリン-3-オン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、アトルバスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害物質)、カルシトリオール(1a,25-ジヒドロキシビタミンD3)、E3330(キノン誘導体)、ハービマイシンA、ヒペリシン、ヒドロキノン(HQ)、KT-90(モルフィン合成誘導体)、メビノリン、5’-メチルチオアデノシン(MTA)、ペントキシフィリン(1-(5’-オキソヘキシル)3,7-ジメチルキサンチン、PTX)、フェニル-N-tert-ブチルニトロン(PBN)、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、キナプリル(ACE阻害物質)、リバビリン、分泌型白血球プロテアーゼ阻害物質(SLPI)、セロトニン誘導体(N-(p-クマロイル)セロトニン)、シリマリン、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、D609(ホスファチジルコリン-ホスホ-リパーゼC阻害物質)、R031-8220(PKG阻害物質)、SB203580(p38MAPK阻害物質)、トリプトライド(PG490、漢方抽出物)、LY294,002、メサラミン、ワートマニン(真菌代謝物)、またはCHS828(N-(6-(p-クロロフェノキシ)-ヘキシル)-N’-シアノ-N,,-4-ピリジルグアニジン)、セスキテルペンラクトン、例えば、パルテノリド、ヘレナリン、ミラー9Eエノリド(miller-9E-enolid)、およびブドレインA(budlein A)である。
【0088】
本明細書において理解されるように、プロテアソーム阻害物質およびプロテアーゼ阻害物質は、好ましくは、ペプチドアルデヒド:ALLnL(N-アセチル-ロイシニル-ロイシニル-ノルロイシナール、MG101)、LLM(N-アセチル-ロイシニル-ロイシニル-メチオナール)、Z-LLnV(カルボベンゾキシル-ロイシニル-ロイシニル-ノルバリナール、MG115)、Z-LLL(カルボベンゾキシル-ロイシニル-ロイシニル-ロイシナール、MG132)、ボロン酸誘導体、例えば、PS-273、PS-293、PS-296、PS-303、PS-305、PS-313、PS-321、PS-325、PS-334、PS-341、PS-364、PS-352、PS-383、ラクタシスチン、ベータ-ラクトン、ボロン酸ペプチド、ユビキチンリガーゼ阻害物質、デオキシスパガリン、APNE(N-アセチル-DL-フェニルアラニン-ベータ-ナフチルエステル)、BTEE(N-ベンゾイルL-チロシン-エチルエステル)、DCIC(3,4-ジクロロイソクマリン)、DFP(ジイソプロピルフルオロリン酸)、TPCK(N-アルファ-トシル-L-フェニルアラニンクロロメチルケトン)、およびTLCK(N-アルファ-トシル-L-リシンクロロメチルケトン)から選択される。
【0089】
本明細書においてさらに理解されるように、アポトーシス調節物質は、好ましくは、イマチニブ、エルロチニブ、およびブリオスタチンから選択される。本発明によるペイロードとしての使用にさらに適するアポトーシス調節物質は、例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害物質、例えば、R115777、SCH66336、BMS214662、イマチニブ、17-AAG、EGFR阻害物質、例えば、ZD1839、ZD647、BIBW2992、またはエルロチニブ、MEK阻害物質、例えば、PD032590、RAF阻害物質、例えば、BAY43-9006、PKG阻害物質、例えば、UCN-01、PKC-412、ブリオスタチン、ISIS-3521、LY333531、サフィンゴール、CGP-41251(ミドスタウリン)、HDAC阻害物質、例えば、スベロイル-3-アミノピリジンアミドヒドロキサム酸、ロニダミン、アポプチン、サバイビン、ラパマイシン、CCI-779、RAD001(エベロリムス)、PXD101、チロシンキナーゼ阻害物質、例えば、イレッサ、OSI-774、STI-571、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ経路における酵素阻害物質、例えば、PD-098059、U-0126である。本発明による使用に特に好ましい細胞周期調節物質は、例えば、フラボピリドール、ブリオスタチン1、ロスコビチン、BMS-387032、ペリフォシンまたはロバスタチンである。
【0090】
本明細書においてさらに理解されるように、好ましくは、細胞周期調節物質は、フラボピリドールおよびロスコビチンから選択される。
【0091】
本明細書においてさらに理解されるように、血管新生阻害物質は、好ましくは、エンドスタチン、セレコキシブ、ADH-1(エクスヘリン)、およびスニチニブから選択される。本発明によるペイロードとしての使用にさらに適する血管新生阻害物質は、例えば、サリドマイド、エンドスタチン、セレコキシブ、ABT-510、コンブレスタチンA4、ダルテパリン、ジメチル-キサンテノン酢酸、レナリドミド、LY317615(エンザスタウリン)、PPI-2458、ADH-1(エクスヘリン)、AG-013736、AMG-706、AZD2171、Bay43-9006(ソラフェニブ)、BMS-582664、CH IR-265、GW786034(パゾパニブ)、PI-88、PTK787/ZK222584(バタラニブ)、RAD001(エベロリムス)、SU11248(スニチニブ)、スラミン、XL184、ZD6474、ATN-161またはEMO121974(シレンギチド)、およびトロンボスポンジン1を含むサポシンA由来ペプチドである(好ましくは、米国特許出願公開第2015/0320825号の配列番号4(DWLPK)および5(DWLP)を特徴とする)。
【0092】
本明細書においてさらに理解されるように、ホルモンおよびホルモン誘導体は、好ましくは、フルタミド、ホスフェストロール、タモキシフェン、およびレラキシンから選択される。本発明によるペイロードとしての使用にさらに適するホルモンまたはホルモン誘導体は、例えば、アミノグルテミド(aminogluthemid)、ブセレリン、酢酸シプロテロン、ドロロキシフェン、エチニルエストラジオール、フルタミド、ホルメスタン、ホスフェストロール、カプロン酸ゲストノロン、ゴセレリン、リュープロレリン、リネストレノール、メドロゲストン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、オクトレオチド、リラキシン、タモキシフェン、トレミフェン、トリプトレリン、アナストロゾール、エキセメスタンまたはレトロゾールである。
【0093】
本明細書においてさらに理解されるように、適するmiRNAおよびsiRNAは、例えば、CD40、CD80、およびCD86に対して特異的なもの、ならびにまた、クラスター化して規則的な配置の短い回文構造リピート(CRISPR)成分を標的とする、遺伝子編集目的のための任意の薬剤、または免疫系を調節する抗原、例えば、インスリン関連抗原、P31、全グリアジン、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(好ましくは、アミノ酸35~55)、プロテオリピドタンパク質1(好ましくは、アミノ酸139~151および178~191)、第V因子(好ましくは、アミノ酸75~89、1723~1737、および2191~2210)である。
【0094】
放射性核種は、好ましくは、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたはリンカーに直接的に結合しないが、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドにペイロードとしてコンジュゲート可能な複合体またはキレート物質に含まれることが理解されるべきである。したがって、本明細書において理解されるように、ペイロードとしての放射性核種について言及するとき、キレート物質に放射性核種を帯電させる物質であるとして理解されることを意味する。本発明のフィブロネクチン結合ペプチドにコンジュゲートし得るキレート物質は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、デスフェリオキサミン(DFO)およびトリエチレンテトラミン(TETA)、1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデイカン-4,11-二酢酸(CB-TE2A);エチレンジアミン四酢酸(EDTA);エチレングリコールビス(2-アミノエチル)-N,N,N’,N’-四酢酸(EGTA);1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA);エチレンビス-(2-4ヒドロキシ-フェニルグリシン)(EHPG);5-Cl-EHPG;5BrEHPG;5-Me-EHPG;5t-Bu-EHPG;5-sec-Bu-EHPG;ベンゾジエチレントリアミン五酢酸(ベンゾ-DTPA);ジベンゾ-DTPA;フェニル-DTPA、ジフェニル-DTPA;ベンジル-DTPA;ジベンジル-DTPA;ビス-2(ヒドロキシベンジル)-エチレン-ジアミン二酢酸(HBED)およびこの誘導体;Ac-DOTA;ベンゾ-DOTA;ジベンゾ-DOTA;1,4,7-トリアザシクロノナンΝ,Ν’,Ν’’-三酢酸(NOTA);ベンゾ-NOTA;1,4,7-トリアザシクロノナンΝ,Ν’-二酢酸N’’-グルタミン酸(NODAGA)、ベンゾ-TETA、ベンゾ-DOTMA(ここで、DOTMAは、1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,7,10-テトラ(メチル四酢酸)である)、ベンゾ-TETMA(ここで、TETMAは、1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-(メチル四酢酸)である);1,3-プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)の誘導体;トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA);1,5,10-N,N’,N’’-トリス(2,3-ジヒドロキシベンゾイル)-トリカテコレート(LICAM)の誘導体;ならびに1,3,5-N,N’,N’’-トリス(2,3-ジヒドロキシベンゾイル)アミノメチルベンゼン(MECAM)、または他の金属キレート物質を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、ペイロードは、2つ以上のキレート物質を含み得る。他の好ましいキレート物質は、環式DPTA(ジエチレントリアミン五酢酸)無水物、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、およびOTA(l,4,7-トリアゾナン-l,4,7-四酢酸)からなる群から選択され得る。
【0095】
本明細書においてさらに理解されるように、放射性核種は、ある特定の実施形態では、好ましくは、67Cu、90Y、111In、131I、161Tb、169Er、および177Luから選択される。本発明における使用に特に好ましい放射性核種は、177Luまたは131Iである。あるいは、放射性核種は、90Yおよび111Inからなる群から選択され得る。さらに適する放射性核種としては、β62Cu、64Cu、68Ga、76Br、82Rb、124I、44Sc、43Sc、89Srまたは他の任意のβ放射同位元素)、β(例えば、90Y、177Lu、161Tb、64Cu、67Cu、47Scまたは他の任意のβ発光放射同位元素)、α(225Ac、213Bi、211At、223/25Raまたは他の任意のa放射同位元素)、もしくはオージェ電子放射物質(161Tb、169Er、111Inまたは他の任意のオージェ電子放射同位元素)、または治療適用可能な放射性物質の任意の組合せを放射するものが挙げられる。
【0096】
最も好ましくは、生物活性分子は、パクリタキセル、クロラムブシル、エンドスタチン、スニチニブ、インターロイキン7、177Lu、および111Inからなる群から選択される。
【0097】
本発明のさらなる実施形態では、ペイロードは、イメージング剤である。イメージング剤は、当技術分野において公知の任意のイメージング剤であり得る。本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、イメージング剤にコンジュゲートするとき、in vitroおよび/またはin vivoでの細胞および/または組織の可視化において使用し得る。フィブロネクチン結合ペプチドをin vitroでの標的細胞または組織の可視化に使用するとき、イメージング条件下で機能性のイメージング剤を選択する。in vivoでの標的細胞および/または組織の可視化に使用するイメージング剤にも、同様の基準を適用する。しかし、in vivoでの適用では、イメージング剤が生体適合性であり、例えば、イメージング剤を含む本発明の化合物を投与する対象に対して毒性さもなければ有害な作用を有しないように、さらに注意しなければならない。
【0098】
「イメージング剤」の用語は、本明細書において使用するとき、コンジュゲートする薬剤(例えば、本発明の化合物)の検出を容易とする任意の要素、分子、官能基、化合物、これらの断片または部分を指す。イメージング剤の例としては、種々のリガンド、放射性核種、蛍光色素(特定の例となる蛍光色素については、以下を参照)、化学発光剤(例として例えば、アクリジニウムエステル、安定化ジオキセタン等)、生物発光剤、分光的に分解可能な無機蛍光半導体ナノ結晶(すなわち、量子ドット)、金属ナノ粒子(例えば、金、銀、銅、白金等)、ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素(酵素の特定の例については、以下を参照)、比色分析標識(例として例えば、色素、コロイド金等)、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテン、および抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能なタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。イメージング剤は、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに直接的もしくは間接的にリンカーを介してコンジュゲートし得るか、またはイメージング剤は、本発明の化合物に直接的もしくは間接的にリンカーを介してコンジュゲートする分子に含まれ得ることが理解されるべきである。当業者は、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたはリンカーに直接的にコンジュゲートし得るイメージング剤、および本発明の化合物またはリンカーにコンジュゲート可能な分子への包埋を必要とするイメージング剤を理解している。例えば、イメージング剤が放射性核種である場合、放射性核種は、好ましくは、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたはリンカーにコンジュゲート可能な分子に包埋する(例えば、キレート物質によりキレート化して前記分子の部分とする)。
【0099】
好ましくは、イメージング剤は、放射性核種、蛍光色素、化学発光剤、生物発光剤、分光的に分解可能な無機蛍光半導体ナノ結晶、金属ナノ粒子、ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素、比色分析標識、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテンまたはタンパク質を含む。好ましくは、イメージング剤は、放射性核種、蛍光色素、化学発光剤または生物発光剤を含む。
【0100】
別の実施形態では、イメージング剤は、放射性核種、MRI活性化合物、超音波コントラスト剤、フルオロフォア、PET用およびSPECT用のマーカーからなる群から選択され、好ましくは、44Sc、64Cu、67/68Ga、99mTc、111In、遠赤色/近IRスペクトル領域におけるフルオロフォア、ならびにGdベースのMRIコントラスト剤および酸化Fe粒子ベースのMRIコントラスト剤から選択される。
【0101】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、イメージング剤が、99mTc、111In、44Sc、および64Cuから選択される、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0102】
またさらに特定の実施形態では、本発明は、ペイロードが、放射性核種、好ましくは、64Cu、90Y、111In、131I、161Tb、169Er、および177Luから選択される放射性核種か、または好ましくは、44Sc、64Cu、67/68Ga、99mTc、および111Inから選択される放射性核種、を含む、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに関する。
【0103】
ある特定の実施形態では、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、1つまたは複数のコントラスト/イメージング剤(例えば、蛍光色素、(キレート化)放射性核種(SPECT、PET)、MR活性剤、CT剤)にコンジュゲートし得る。
【0104】
ある特定の実施形態では、コントラスト/イメージング剤は、医学的または生物学的イメージング用の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドにコンジュゲートし得る。本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、陽電子放射断層撮影(PET)、単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、光学生物発光イメージング、光学蛍光イメージング、およびこれらの組合せを含み得る、ある特定のイメージング技術において有用であり得る。ある特定の実施形態では、コントラスト/イメージング剤は、PET、SPECT、CT、MRI、および光学イメージング用の当技術分野において公知の任意の分子、物質または化合物であり得る。コントラスト剤は、放射性核種、放射性金属、陽電子放射物質、ベータ放射物質、ガンマ放射物質、アルファ放射物質、常磁性金属イオン、および超常磁性金属イオンであり得る。コントラスト剤は、ヨウ素、フッ素、Cu、Zr、Lu、At、Yt、Ga、In、Tc、Gd、Dy、Fe、Mn、Ba、およびBaSOを含むが、これらに限定されない。
【0105】
ある特定の実施形態では、イメージング剤は、蛍光レポーターであり得る。ある特定の実施形態では、蛍光レポーターは、近赤外または遠赤色色素であり得る。ある特定の実施形態では、蛍光レポーターは、フルオロフォア、蛍光色素、色素、ピグメント、蛍光遷移金属、および蛍光タンパク質からなる群から選択され得る。ある特定の実施形態では、蛍光レポーターは、Cy5、Cy5.5、Cy2、FITC、TRITC、Cy7、FAM、Cy3、Cy3.5、テキサスレッド、ROX、HEX、JA133、AlexaFluor488、AlexaFluor546、AlexaFluor633、AlexaFluor555、AlexaFluor647、DAPI、TMR、R6G、GFP、増強GFP、CFP、ECFP、YFP、Citrine、Venus、YPet、CyPet、AMCA、SpectrumGreen、SpectrumOrange、SpectrumAqua、リサミン、およびユーロピウムからなる群から選択される。
【0106】
例となるイメージング剤としては、例えば、次が挙げられる:Cy5.5、Cy5、Cy7.5、およびCy7(GE(登録商標)Healthcare社);AlexaFluor660、AlexaFluor680、AlexaFluor790、およびAlexaFluor750(Invitrogen社);VivoTag(商標)680、VivoTag(商標)S680、VivoTag(商標)S750(VISEN Medical社);Dy677、Dy682、Dy752、およびDy780(Dyomics(登録商標)社);DyLight(登録商標)547および/またはDyLight(登録商標)647(Pierce社);HiLyteFluor(商標)647、HiLyteFluor(商標)680、およびHiLyteFluor(商標)750(AnaSpec(登録商標)社);IRDye(登録商標)800CW、IRDye(登録商標)800RS、およびIRDye(登録商標)700DX(Li-Cor(登録商標));ADS780WS、ADS830WS、およびADS832WS(AmericanDyeSource社);XenoLightCF(商標)680、XenoLightCF(商標)750、XenoLightCF(商標)770、およびXenoLightDiR(Caliper(登録商標)LifeSciences社);ならびにKodak(登録商標)X-SIGHT(登録商標)650、Kodak(登録商標)X-SIGHT691、Kodak(登録商標)X-SIGHT751(Carestream(登録商標)Health社)。
【0107】
好ましくは、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、ペイロードが[111In]In-NODAGA部分である実施形態に関する。
【0108】
医薬組成物
さらなる実施形態では、本発明は、本明細書に記載のフィブロネクチン結合ペプチドおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。本明細書に詳述するように、好ましくは、ペイロードコンジュゲート(すなわち、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドに直接的または間接的にリンカーを介してのいずれかでコンジュゲートした、生物活性分子またはイメージング剤)を含む、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、標的細胞または組織に対するペイロードの標的化に影響し得る。ある特定の実施形態では、ペイロードコンジュゲートは、標的細胞へのペイロードの細胞内輸送にも影響し得る。したがって、好ましい実施形態では、本発明は、本発明のフィブロネクチン結合ペプチド、例えば、ペイロードコンジュゲート、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物を包含する。
【0109】
このような担体または賦形剤は、生理食塩水、緩衝生理食塩水、ブドウ糖、水、グリセロール、エタノール、および/またはこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。また、医薬組成物は、治療する所与の疾患の治療用のさらなる治療剤を含み得る。製剤化は、投与方法に適するように行う。一般には、ポリペプチドを投与する方法は、当技術分野において周知であり、本発明のコンジュゲートの投与に適用することができる。
【0110】
投与は、血液との最終的接触部位へフィブロネクチン結合ペプチドを導入するのに通常使用される経路のいずれかにより行う。経口経路および非経口経路を含む、このようなフィブロネクチン結合ペプチドおよびこれらのコンジュゲートを本発明の状況において患者に投与するのに適する方法が利用可能である。2つ以上の経路を使用して特定の組成物を投与することが可能であるが、特定の経路により、別の経路よりも即時かつ有効な作用または反応が可能となることが多い。
【0111】
好ましくは、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドのペイロードコンジュゲートは、非経口的投与方法によって、特には、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮内、皮下、くも膜下腔内、眼内、眼球後、肺内または関節内による手段によって投与する。このような投与経路および適切な製剤は、一般に当業者に公知である。非経口投与に適する製剤は、水性および非水性の等張滅菌注射液を含み、これらは、抗酸化物質、緩衝液、静菌物質、ならびに意図するレシピエントの血液によって製剤を等張性とする溶質、ならびに懸濁剤を含有し得る水性および非水性の滅菌懸濁液、可溶化物質、増粘剤、安定化物質、ならびに保存物質を含み得る。また、フィブロネクチン結合ペプチドおよびこれらのコンジュゲートは、リポソームにより投与することができる。
【0112】
本発明のフィブロネクチン結合ペプチドおよびこのコンジュゲートは、単独かまたは他の適する成分と併用し、エアロゾル製剤に生成して(すなわち、「噴霧」可能)吸入により投与することもできる。エアロゾル製剤は、圧縮した許容される噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等中に生成することができる。
【0113】
好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、凍結乾燥形態に生成して投与前に再構成する。医薬組成物再構成用の緩衝液および溶液は、医薬製剤とともに生成して、投与用の本発明の水性組成物を生成し得る。
【0114】
薬学的に許容される担体は、ある程度、投与する特定の組成物、ならびに組成物の投与に使用する特定の方法により決定する。したがって、本発明の医薬組成物に適する非常に多様な製剤が存在する。薬学的に許容される担体および賦形剤は、当技術分野において周知であり、本発明の1つまたは複数のコンジュゲートは、周知の方法により医薬組成物に製剤化することができる(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第21版、A. R. Gennaro編、Mack Publishing Company (2005);Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins、S. FrokjaerおよびL. Hovgaard編、Taylor & Francis (2000);ならびにHandbook of Pharmaceutical Excipients、第3版、A. Kibbe編、Pharmaceutical Press (2000)を参照)。
【0115】
本発明の1つまたは複数のフィブロネクチン結合ペプチドおよび/またはこのペイロードコンジュゲートを含む医薬組成物は、任意選択で、1つまたは複数の適切なin vitroおよび/またはin vivoでの疾患動物モデルにおいて検査して、有効性、組織代謝を確認し、当技術分野において周知の方法に従って投与量を推定する。したがって、本発明による組成物の適する用量が、レシピエントの年齢、健康、および体重、併用治療の種類、必要に応じて、望ましい治療頻度および作用の性質に依存することが理解される。しかし、投与量は、当業者が決定するように、過度の実験を行うことなく、個々の対象に応じて決定する。治療剤の総用量は、複数回用量または単回用量で投与し得る。ある特定の実施形態では、組成物は単独で投与し、他の実施形態では、組成物は、その疾患または他のその症候に対する他の治療薬と併用して投与する。
【0116】
本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、単独か、または安定性を増強し、これらを含有する医薬組成物の投与を容易とし、溶解または分散の向上をもたらし、阻害活性を向上させ、補助療法を可能とする等の、他の活性成分を含むアジュバントと併用して投与し得る。有利には、このような併用療法では、低投与量の従来の治療薬を利用し、このため、このような薬剤を単剤療法として使用するときにあり得る毒性および有害副作用の発生が回避される。上記のフィブロネクチン結合ペプチドは、従来の治療薬または他のアジュバントと単一の医薬組成物中で物理的に混合し得る。
【0117】
患者に投与する用量は、本発明の状況では、患者において有益な治療応答に経時的に影響するか、または例えば、病原体による感染を阻害して、病状の症候または他の適切な活性を適用に応じて低減または予防するのに十分な用量である。用量は、特定の組成物/製剤の有効性、利用するBAMポリペプチドコンジュゲートの活性、安定性または血清半減期、および患者の状態、ならびに治療する患者の体重または表面積により決定する。また、用量のサイズは、特定の患者における特定の組成物/製剤の投与に伴う任意の有害副作用の存在、性質、および程度等により決定する。一部の実施形態では、投与量のレベルは、70kgの患者では約0.5μg~100mg/用量の範囲である。1日当たり1回用量で十分であり得るが、1日当たり最高5回用量で投与し得る。経口用量では、最高2000mg/日が必要とされ得る。放射性核種療法では、4~8週間ごとに2~8回の用量が適用可能であり得る。当業者に理解されるように、特定の因子に応じて低または高用量を必要とし得る。例えば、特定の用量および治療計画は、患者の一般的健康プロファイル、患者の障害の重症度および経過またはこの障害に対する体質、ならびに治療する医師の判断のような因子に依存する。例えば、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、他のペプチドベースの医薬と同様に投与することができる。
【0118】
本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、他のペプチドベースの医薬の製剤化方法と同様にカプセルに製剤化し得る。各カプセルは、100~500、好ましくは、150~300、より好ましくは、200~250mgの本発明の化合物を含有し得る。例えば、本発明の化合物用のカプセル中の非薬用成分は、カプセル殻:D&C黄色10号、FD&C青色1号、FD&C赤色3号、FD&C黄色6号、ゼラチン、および二酸化チタンである。100のボトル(Martindale: the complete drug reference、第34版、2005、Pharmaceutical Press、p 612も参照)。
【0119】
治療適用
一実施形態では、本発明は、療法における使用のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本明細書に上記の本発明の医薬組成物に関する。療法は、好ましくは、治療および/または予防、より好ましくは、治療として本明細書において理解される。
【0120】
さらなる実施形態では、本発明は、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患の治療または予防における使用のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物に関する。「病的フィブロネクチン凝集」の用語は、本明細書において使用するとき、所与の部位に沈着するフィブロネクチンの量が健常状態における量よりも多い、任意の疾患または状態を指す。例えば、病的フィブロネクチン凝集は、線維症またはがんにおいて通常見出される。
【0121】
本明細書において使用するとき、「線維症」の用語は、線維症により特徴づけられる任意の疾患を指してもよく、全身性硬化症、多巣性線維性硬化症、移植片対宿主疾患強皮症、腎性全身性線維症、臓器特異的線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、進行性塊状線維症、クローン病、ケロイド、関節線維症、ペイロニー病、デュピュイトラン拘縮、癒着性関節包炎等を含むが、これらに限定されない。例示的な臓器特異的線維症としては、肺線維症、肺高血圧症、嚢胞性線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肝線維症、腎線維症、膵臓線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、リンパ節線維症、角膜線維症、線維軟骨、子宮内膜症等が挙げられるが、これらに限定されない。多くの線維症疾患、障害または状態は、罹患組織における細胞外マトリックスの蓄積の障害および/または過剰を有する。線維症は、炎症と関連し、基礎疾患の症候として生じ、および/または外科手技もしくは創傷治癒能の制限による傷害により発症し得る。
【0122】
「がん」または「腫瘍」は、本明細書において使用するとき、体の臓器および系の正常機能に干渉する制御不能な細胞増殖を指す。がんの例としては、B細胞リンパ腫(ホジキンリンパ腫および/または非ホジキンリンパ腫)、脳腫瘍、乳がん、大腸がん、肺がん、肝細胞がん、胃がん、膵臓がん、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、尿路がん、甲状腺がん、腎臓がん、癌腫、メラノーマおよび他の皮膚がん、頭頸部がん(好ましくは、頭頸部扁平上皮癌)、脳がん、ならびに制限されないが、アンドロゲン依存性前立腺がんおよびアンドロゲン非依存性前立腺がんを含む前立腺がんが挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
好ましくは、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患は、可溶性血漿フィブロネクチンおよび/または不溶性ECMフィブロネクチンの異常凝集と関連する疾患である。したがって、本発明は、可溶性血漿フィブロネクチンおよび/または不溶性ECMフィブロネクチンの異常凝集と関連する疾患の治療および/または予防における使用のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本明細書に上記の本発明の医薬組成物に関する。
【0124】
さらに好ましくは、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患は、線維症、がん、リンパ浮腫、免疫疾患、自己免疫疾患、およびアテローム動脈硬化症からなる群から選択される。したがって、本発明は、線維症、がん、リンパ浮腫、免疫疾患、自己免疫疾患、およびアテローム動脈硬化症から選択される疾患の治療および/または予防における使用のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本明細書に上記の本発明の医薬組成物に関する。
【0125】
本明細書において理解されるように、自己免疫疾患は、好ましくは、全身性硬化症、1型糖尿病、グレーブス病、多発性硬化症、および関節リウマチから選択される。したがって、本発明は、全身性硬化症、1型糖尿病、グレーブス病、多発性硬化症、および関節リウマチから選択される疾患の治療および/または予防における使用のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本明細書に上記の本発明の医薬組成物に関する。
【0126】
本明細書においてさらに理解されるように、好ましくは、線維症は、肺線維症、肝線維症、および腎線維症から選択される。したがって、本発明は、肺線維症、肝線維症、および腎線維症から選択される疾患の治療および/または予防における使用のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本明細書に上記の本発明の医薬組成物に関する。
【0127】
本明細書においてさらに理解されるように、がんは、好ましくは、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、前立腺がん、腎臓がん、膵臓がん、および肺がんから選択される。したがって、本発明は、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、前立腺がん、腎臓がん、膵臓がん、および肺がんから選択される疾患の治療および/または予防における使用のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本明細書に上記の本発明の医薬組成物に関する。
【0128】
好ましくは、肺がんは、非小細胞肺がんである。したがって、本発明は、非小細胞肺がんの治療および/または予防における使用のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本明細書に上記の本発明の医薬組成物に関する。
【0129】
本発明は、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患の治療または予防における使用のための医薬の製造のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物の使用にさらに関する。病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患は、本明細書に上記の疾患である。
【0130】
したがって、本発明は、可溶性血漿フィブロネクチンおよび/または不溶性ECMフィブロネクチンの異常凝集と関連する疾患の治療または予防における使用のための医薬の製造のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物の使用にさらに関する。
【0131】
さらにしたがって、本発明は、線維症、がん、リンパ浮腫、免疫疾患、自己免疫疾患、およびアテローム動脈硬化症から選択される疾患の治療または予防における使用のための医薬の製造のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物の使用にさらに関する。
【0132】
さらにしたがって、本発明は、全身性硬化症、1型糖尿病、グレーブス病、多発性硬化症、および関節リウマチから選択される疾患の治療または予防における使用のための医薬の製造のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物の使用にさらに関する。
【0133】
さらにしたがって、本発明は、肺線維症、肝線維症、および腎線維症から選択される疾患の治療または予防における使用のための医薬の製造のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物の使用にさらに関する。
【0134】
さらにしたがって、本発明は、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、前立腺がん、腎臓がん、膵臓がん、および肺がんから選択される疾患の治療または予防における使用のための医薬の製造のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物の使用にさらに関する。
【0135】
さらにしたがって、本発明は、非小細胞肺がんの治療または予防における使用のための医薬の製造のための、本明細書に上記の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物の使用にさらに関する。
【0136】
さらなる実施形態では、本発明は、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患の治療または予防の方法(好ましくは、治療の方法)に関する。前記方法は、治療有効量の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。本明細書における対象は、好ましくは、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患に罹患している、好ましくは、ヒト対象として定義する。病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患は、本明細書において上に定義する疾患である。
【0137】
したがって、本発明は、可溶性血漿フィブロネクチンおよび/または不溶性ECMフィブロネクチンの異常凝集と関連する疾患の治療または予防の方法(好ましくは、治療の方法)にさらに関する。前記方法は、治療有効量の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
【0138】
さらにしたがって、本発明は、線維症、がん、リンパ浮腫、免疫疾患、自己免疫疾患、およびアテローム動脈硬化症から選択される疾患の治療または予防の方法(好ましくは、治療の方法)にさらに関する。前記方法は、治療有効量の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
【0139】
さらにしたがって、本発明は、全身性硬化症、1型糖尿病、グレーブス病、多発性硬化症、および関節リウマチから選択される疾患の治療または予防の方法(好ましくは、治療の方法)にさらに関する。この方法は、治療有効量の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
【0140】
さらにしたがって、本発明は、肺線維症、肝線維症、および腎線維症から選択される疾患の治療または予防の方法(好ましくは、治療の方法)にさらに関する。前記方法は、治療有効量の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
【0141】
さらにしたがって、本発明は、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、前立腺がん、腎臓がん、膵臓がん、および肺がんから選択される疾患の治療または予防の方法(好ましくは、治療の方法)にさらに関する。前記方法は、治療有効量の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
【0142】
さらにしたがって、本発明は、非小細胞肺がんの治療または予防の方法(好ましくは、治療の方法)にさらに関する。前記方法は、治療有効量の本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
【0143】
特には、有用な本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、本明細書において上記のように、生物活性分子をペイロードとして有するものである。
【0144】
診断的使用
さらなる実施形態では、本発明は、診断における使用のための、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物に関する。好ましくは、本発明は、病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患の診断における使用のための、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物に関する。病的フィブロネクチン凝集と関連する疾患は、本明細書において上記の疾患である。
【0145】
本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物は、線維症、がん、リンパ浮腫、免疫疾患、自己免疫疾患、およびアテローム動脈硬化症からなる群から選択される疾患の診断において有用である。したがって、本発明は、線維症、がん、リンパ浮腫、免疫疾患、自己免疫疾患、およびアテローム動脈硬化症からなる群から選択される疾患の診断における使用のための、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物に関する。
【0146】
さらにしたがって、本発明は、好ましくは、全身性硬化症、1型糖尿病、グレーブス病、多発性硬化症、および関節リウマチから選択される、自己免疫疾患の診断における使用のための、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物に関する。
【0147】
さらにしたがって、本発明は、好ましくは、肺線維症、肝線維症、および腎線維症から選択される、線維症の診断における使用のための、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物に関する。
【0148】
さらにしたがって、本発明は、好ましくは、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、前立腺がん、腎臓がん、膵臓がん、および肺がんから選択される、がんの診断における使用のための、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物に関する。
【0149】
さらにしたがって、本発明は、非小細胞肺がんの診断における使用のための、本発明のフィブロネクチン結合ペプチドまたは本発明の医薬組成物に関する。
【0150】
特に有用な本発明のフィブロネクチン結合ペプチドは、本明細書に上記のように、イメージング剤をペイロードとして有するものである。
【実施例
【0151】
実施例
次の実施例は、本発明を単に例示するものであり、添付の特許請求の範囲により定義する本発明の範囲を制限するものとして解釈するべきではない。
【0152】
調製実施例1-NODAGAまたはCy5標識フィブロネクチン結合ペプチドの調製
NODAGAおよび/またはシアニン5(Cy5)コンジュゲートフィブロネクチン結合ペプチド(配列番号12によるFnBPA5.1配列または配列番号13によるFnBPA5配列の)を合成して、95%を超えるHPLC純度を得た。ペプチドコンジュゲートは、アミド結合形成またはマレイミド-チオールコンジュゲーションにより所望の部分(例えば、NODAGAまたはCy5)をフィブロネクチン結合ペプチドのN末端に導入することによって合成した。3つのグリシンの短いスペーサー(およびマレイミド-チオール化学反応により得られたコンジュゲートの場合、さらなるシステイン残基)をフィブロネクチン結合ペプチドの最後のN末端アミノ酸とペイロード(本明細書ではNODAGA、Cy5)との間に加えると、次の構造が生じた。
ペイロード-GGG-フィブロネクチン結合ペプチド
または
ペイロード-CGGG-フィブロネクチン結合ペプチド
【0153】
ペプチドコンジュゲートを凍結乾燥粉末として95%を超えるHPLC純度で得た。直鎖ペプチド配列を自動化固相ペプチド合成により標準的Fmoc/tBuプロトコルを利用して合成し、その後、フィブロネクチン結合配列のN末端におけるマレイミド-チオールコンジュゲーションによる最終コンジュゲーション工程によって、最終的NODAGAまたはCy5コンジュゲートを生成した。3つのグリシンの短いスペーサーおよびさらなるシステイン残基をフィブロネクチン結合配列の最後のN末端アミノ酸と機能付与基(キレート物質、色素)との間に導入した。
【0154】
NODAGA-FnBPA5.1(配列:Ac-C(Mal-NODAGA)-GGG-QVTTGSNLVEFTEESLGIVTGAVSDHTTVEDT)(配列番号16)は、マレイミド-NODAGA(Chematech社、仏国、Dijion)とのN末端Cys活性化配列のコンジュゲーションによって、Bachem社(スイス国、Bubendorf)から入手した。
【0155】
Cy5-FnBPA5.1(配列:C(Mal-Cy5)-GGG-QVTTGSNLVEFTEESLGIVTGAVSDHTTVEDT)(配列番号17)は、Cy5マレイミド(Lumiprobe社、独国、Hannover)とのN末端Cys活性化配列(Cys-FnBPA5.1、PSL GmbH社、独国、Heidelberg)のコンジュゲーションによって入手した。Cys-FnBPA5.1をPBS(50mM、pH5.5)により濃度30mMに溶解した。Cy5-マレイミドの追加後(1当量)、溶液を最長2時間撹拌した。希釈時に(×10)、RP-HPLC(Merck-Hitachi社LaChromHPLC)により、JupiterProteo90Å、4μm、250×10mm、Phenomenex社(独国、Aschaffenburg)RP C18半調製カラム上で、混合物を直接的に精製した。MeCN+0.1%TFA(A)およびH2O+0.1%TFA(B)を移動相として利用し、B中A30~90%の15分間にわたる勾配を利用した。凍結乾燥時に、Cy5-FnBPA5.1を青色粉末として95%を超える純度で得た。MALDI-FTICR-MS:Cy5-FnBPA5.1 4215.0114ではm/zを[M+H]+で算出、検出:4215.0114。
【0156】
111In]In-NODAGA-FnBPA5.1を調製するために、NODAGA-FnBPA5.1を10%DMF TraceSELECT(登録商標)Water(Sigma-Aldrich社、スイス国、Buchs)により1mg/mLに溶解し、TraceSELECT(登録商標)Waterで最終濃度0.1mMにさらに希釈した。コンジュゲートは、モル活性6MBq/nmolの無金属酢酸アンモニウム(0.5M、pH5.5)中[111In]InCl(Mallinckrodt社、スイス国、Wollerau)で標識した後、50℃で15分のインキュベーション工程を行った。EppendorfThermomixer comfort(Eppendorf社、独国、Hamburg)を標識混合物の加熱と同時に振盪とに使用した。標識時、反応混合物のアリコートをRP-γHPLCによる品質管理に供した。111In標識ペプチドのRP-γHPLCは、GabiStarガンマ検出器(Raytest社、独国、Straubenhardt)を備えるAgilent社1200SeriesGradientHPLC(米国、SantaClara)上で実施した。MeCN+0.1%TFA(A)およびH2O+0.1%TFA(B)を移動相として利用した。放射性標識反応物の品質管理は、ReproSilPur、120Å、3μm、100×4.6mm(Dr.MaischGmbH社、独国)RP C18解析カラム上で、10分にわたるB中A10~80%の範囲の勾配により、流量1mL/分で行った。
【0157】
実施例1-蛍光偏光を使用したFib1に対するCy5標識FnBPA5.1の親和性決定
親和性測定実験では、Cy5-FnBPA5.1(配列番号12による)およびCy5-FnBPA5(配列番号13による)(48nM)を種々の濃度の配列番号14によるフィブロネクチンのFib1-N末端30kDa断片(0nM~4.5μM)とPBS pH7.4中で混合した。試料を1時間インキュベートし(37℃、70rpm)、蛍光偏光を三つ組でPherastarFSXプレートリーダー(BMG Labtech社;Optic module:FP590-50 675-50 675-50)を使用して測定した。バックグラウンド蛍光は、減算し、蛍光偏光は、異方性に変換し、Pallicerらにより記載の結合式を使用してフィッティングして(Pallicer, J. M.およびKramer, S. D. (2012) Evaluation of fluorescence anisotropy to assess drug-lipid membrane partitioning、J Pharm Biomed Anal 71巻、219-227)解離定数Kを求めた。結果は図1に示す。
【0158】
N末端FnI1-5モジュールを含有するフィブロネクチンの30kDaN末端断片であるFib1は、ヒト胚性腎細胞(HEK-293)において発現した。このために、Ni-NTAアガロース(Qiagen社、スイス国、Basel)を用いた親和性精製用の、C末端に6-Hisタグを含有するFib1のcDNAを哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1+(Invitrogen社、スイス国、Basel)のHindIII/BamHI部位にクローニングした。ベクターへの適切なcDNA挿入は、DNAシーケンシング(Microsynth社、スイス国、Balgach)により確認した。HEK-293細胞は、リン酸カルシウム法を使用してトランスフェクトした。ジェネテシン選択後、最も効率的な細胞クローンを生成に使用し、これまでに記載のように細胞培養上清からFib1を精製した(Grunberg, J.、Knogler, K.、Waibel, R.、およびNovak-Hofer、I. (2003). High-yield production of recombinant antibody fragments in HEK-293 cells using sodium butyrate、Biotechniques 34巻、968-972)。最終的に、Fib1をPBS pH7.4に対して透析した。
【0159】
実施例2-フィブロネクチン線維伸展アッセイ
フィブロネクチンは、ヒト血漿(ZurcherBlutspendedienstSRK、スイス国)からゼラチンセファロースクロマトグラフィーを使用して抽出した。フィブロネクチン線維は、PBS中のフィブロネクチンの濃縮液滴(非標識タンパク質95%およびA488標識タンパク質5%)からシャープピペットチップを使用して手動で採取し、柔軟性シリコーンシート(SMI社、米国)上に沈着させ、すすぎ、PBSで再水和させた。その後、Littleら(Little, W. C.、Smith, M. L.、Ebneter, U. & Vogel, V. Assay to mechanically tune and optically probe fibrillar fibronectin conformations from fully relaxed to breakage. Matrix Biol. 27巻、451-461 (2008))が定義するように線維を弛緩(約7%の緊張)または伸展(約380%の緊張)のいずれかの状態とした。線維またはシリコーンシートに対する結合リガンドの非特異的接着を回避するためのBSA(Sigma-Aldrich社、スイス国、Buchs)を用いたブロッキング工程後に、線維をCy5標識FnBPA5または5.1(150nM)とともに1時間インキュベートし、洗浄工程後に共焦点顕微鏡を用いて画像化した。結果は図2に示す。
【0160】
実施例3-血漿安定性試験
7.5MBqの111In[In]-NODAGA FnBPA5.1をヒト血漿(KantonsspitalAarau、スイス国)中37℃で穏やかに撹拌しながらインキュベートすることにより、FnBPA5.1の血漿安定性を評価した。種々の時点で(0、0.5、1、4、および24時間)、アリコートを採り出し、等量のMeCNを加えることによってタンパク質を沈殿させた。遠心分離時に(14000rpm、10分)、上清をMini-UniPrepフィルターによりMiniPrepWhatmanチューブ(WhatmanInc.社、米国、NJ)を通して濾過し、RP-γHPLCにより解析した。データは、0分時点の参照試料に対して正規化した、個々の時点で回収した検査化合物のパーセンテージとして表す。結果は図3に示す。
【0161】
実施例4-PC-3異種移植における体内分布
動物試験は、スイス国動物保護法に従って認可AG75700の下に行った。腫瘍移植では、PBS100μL中PC-3細胞5×10細胞を、イソフルラン/酸素による麻酔下の雌CD1 nu/nuマウス(CharlesRiver社、独国)の両肩に皮下注射した。腫瘍の増殖を定期的に点検し、ノギスを使用して腫瘍を測定した。腫瘍移植後5週間に、およそ100~150kBqの対応する111In標識放射性トレーサーを、PBSで1~1.5MBq/mLの濃度に事前に希釈して、マウスに尾静脈注射した。p.i.後24時間に、COを使用してマウスを安楽死させた。目的の臓器を回収し、秤量し、ガンマカウンターを用いて注射溶液100μLを含有する3つの標準物質とともに計数した。1グラム当たりの実投与量のパーセンテージ(%IA/g)を100%に設定した標準物質の平均に基づいて算出した。結果は図4に示す。
【0162】
実施例5-同所および同系の乳腺腫瘍モデルにおける体内分布
動物試験は、スイス国動物保護法に従って認可AG75700の下に行った。腫瘍移植では、PBS50μL中67NR細胞40’000細胞を、イソフルラン/酸素による麻酔下の雌Balb/cマウス(CharlesRiver社、独国)の第4の乳頭の乳房脂肪体に皮下注射した。腫瘍の増殖を定期的に点検し、ノギスを使用して腫瘍を測定した。腫瘍移植後2週間に、およそ100~150kBqの対応する111In標識放射性トレーサーを、PBSで1~1.5MBq/mLの濃度に事前に希釈して、マウスに尾静脈注射した。p.i.後24時間に、COを使用してマウスを安楽死させた。目的の臓器を回収し、秤量し、ガンマカウンターを用いて注射溶液100μLを含有する3つの標準物質とともに計数した。1グラム当たりの実投与量のパーセンテージ(%IA/g)を100%に設定した標準物質の平均に基づいて算出した。結果は図5に示す。
【0163】
実施例6-同所および同系の乳腺腫瘍モデル-SPECT/CTイメージング試験
67NR乳腺腫瘍を有する雌Balb/cマウスに、10~15MBqの111In標識NODAGA-FnBPA5.1を、PBSで10~15MBq/mLの濃度に事前に希釈して尾静脈注射した。p.i.後24時間に、マウスをイソフルラン/酸素により麻酔し、NanoSPECT/CTカメラ(MedisoMedicalImagingSystems社、ハンガリー、Budapest)によるSPECT/CTスキャンに供した。データは、HiSPECTソフトウェア(バージョン1.4.3049、ScivisGmbH社、独国、Gottingen)により再構成し、VivoQuant(バージョン3.5、inviCRO ImagingServices andSoftware社、米国、Boston)を使用して解析した。SPECT画像は、再構成後フィルターの適用後に処理した。活性のスケールは、0~3.9Bq/ボクセルに設定した。結果は図6のAに示す。
【0164】
実施例7-同所および同系の乳腺腫瘍モデル-オートラジオグラフィー
実施例6のSPECT/CTマウスのCOによる安楽死後、ヘパリン50’000単位を添加した酢酸リンゲル液10mLによる灌流を、右心室を通じて直ちに適用した。その後、OCT/PBS(50:50)5mLを注入し、腫瘍を摘出し、ドライアイス上のOCTに配置した。完全凍結後、凍結切片10μmを切り取り、30分間乾燥させ、高分解能リン光体スクリーンに16時間曝露した。スクリーンは、リン光体撮像装置(CyclonePlus、PerkinElmer社)を使用して解析した。結果は図6のBに示す。
【0165】
実施例8-ブレオマイシン誘導線維症の肺疾患実験モデル-SPECT/CTイメージング試験
雌C57BL/6マウスに2U/kg体重のブレオマイシン(BleomycinBaxter)を滴下注入した。このために、ケタミン(80mg/kg体重)およびキシラジン(10mg/kg)の混合物の腹腔内注射によりマウスを麻酔した。100%酸素を含有するチャンバーに5~10分間マウスを放置した後、ブレオマイシンの気管内適用を行った。
【0166】
ブレオマイシン滴下後2週間に、10~15MBqの[111In]In-NODAGA FnBPA5.1を、PBSで10~15MBq/mLの濃度に事前に希釈して、マウスに尾静脈注射した。p.i.後24時間に、マウスをイソフルラン/酸素により麻酔し、NanoSPECT/CTカメラ(MedisoMedicalImagingSystems社、ハンガリー、Budapest)によるSPECT/CTスキャンに供した。データは、HiSPECTソフトウェア(バージョン1.4.3049、ScivisGmbH社、独国、Gottingen)により再構成し、VivoQuant(バージョン3.5、inviCRO ImagingServices andSoftware社、米国、Boston)を使用して解析した。SPECT画像は、再構成後フィルターの適用後に処理した。活性のスケールは、0~2.6Bq/ボクセルに設定した。結果は図7に示す。
【0167】
実施例9-ブレオマイシン誘導線維症の肺疾患実験モデル-オートラジオグラフィー
実施例8のSPECT/CTマウスのCOによる安楽死後、ヘパリン50’000単位を添加した酢酸リンゲル液10mLによる灌流を、右心室を通じて直ちに適用した。その後、OCT/PBS(50:50)5mLを注入し、腫瘍を摘出し、ドライアイス上のOCTに配置した。完全凍結後、凍結切片10μmを切り取り、30分間乾燥させ、高分解能リン光体スクリーンに16時間曝露した。スクリーンは、リン光体撮像装置(CyclonePlus、PerkinElmer社)を使用して解析した。結果は図7に示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
2024536369000001.app
【国際調査報告】