(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】GABA A γ1受容体のポジティブアロステリックモジュレーターとしてのベンゾジアゼピン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 243/24 20060101AFI20240927BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240927BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240927BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240927BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240927BHJP
A61K 31/5513 20060101ALI20240927BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20240927BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C07D243/24 CSP
A61P25/08
A61P15/00
A61P25/24
A61P1/14
A61P25/28
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/20
A61P25/22
A61P25/18
A61P21/04
A61P25/00
A61K31/5513
C07D487/04 155
A61K31/5517
C07D487/04 151
C07D487/04 154
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520938
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2022077509
(87)【国際公開番号】W WO2023057415
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】バルテルス,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】チェチェーレ,ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ゴッビ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナンデス,マリア-クレメンシア
(72)【発明者】
【氏名】フム,ローラント
(72)【発明者】
【氏名】オリバーレス・モラレス,アンドレス・ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】パティニー-アダム,アンジェリーク
(72)【発明者】
【氏名】ランツ-シュミット,ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,クリスティアン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC56
4C086CB11
4C086CB12
4C086CB13
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA22
4C086ZA69
4C086ZA81
4C086ZA96
(57)【要約】
本発明は、一般式(I)又は(II)を有する新規な複素環式化合物及びその薬学的に許容され得る塩を提供し、式中、可変部分はここに記載の通りである。
該化合物を含む医薬組成物、該化合物の製造プロセス及び該化合物を医薬として使用する方法、特に急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害の処置又は予防のために該化合物を使用する方法がさらに提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)若しくは(II):
【化1】
(式中、
【化2】
は、以下:
【化3】
から選択され;
Xは、C-R
6及び窒素から選択され;
Wは、C又はNであり;
R
1は、水素、C
1-C
6-アルキル、カルバモイル、C
1-C
6-アルキル-NH-C(O)-、(C
1-C
6-アルキル)
2N-C(O)-、C
3-C
10-シクロアルキル-NH-C(O)-、及び3~14員ヘテロシクロアルキル-C(O)-から選択され;前記3~14員ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン及びC
1-C
6-アルコキシから選択される1個の置換基で任意選択的に置換されており;
R
1aは、水素及びC
1-C
6-アルキルから選択されるか;又は
R
1及びR
1aは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3-C
10-シクロアルケニルを形成し;
R
2は、水素及びC
1-C
6-アルキルから選択され;
R
3は、クロロ及びブロモから選択され;
R
4は、C
1-C
3-アルキル、ハロ-C
1-C
2-アルキル、及びハロゲンから選択され;
R
5は、水素及びハロゲンから選択され;
R
6は、水素及びハロゲンから選択される)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
【化4】
が、以下:
【化5】
から選択され;
R
1が、水素、C
1-C
6-アルキル、及び3~14員ヘテロシクロアルキル-C(O)-から選択され;前記3~14員ヘテロシクロアルキルが、1個のC
1-C
6-アルコキシ置換基で置換されており;
R
1aが、C
1-C
6-アルキルである、請求項1に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
【化6】
が、以下:
【化7】
から選択され;
R
1が、水素、メチル及びメトキシアゼチジン-C(O)-から選択され;
R
1aが、メチルである、請求項2に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項4】
R
2が水素及びメチルから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の式(I)若しくは(II)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項5】
R
3がクロロである、請求項1~4のいずれか一項に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項6】
R
4がメチル、CF
3及びクロロから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項7】
R
5がハロゲンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
R
5がクロロ及びフルオロから選択される、請求項7に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
R
6が水素である、請求項1~8のいずれか一項に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
【化8】
が、以下:
【化9】
から選択され;
Xが、C-R
6及び窒素から選択され;
R
1が、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-アルキル-NH-C(O)-、C
3-C
10-シクロアルキル-NH-C(O)-、及び3~14員ヘテロシクロアルキル-C(O)-から選択され;前記3~14員ヘテロシクロアルキルが、ハロゲン及びC
1-C
6-アルコキシから選択される1個の置換基で任意選択的に置換されており;
R
1aが、水素及びC
1-C
6-アルキルから選択されるか;又は
R
1及びR
1aが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3-C
10-シクロアルケニルを形成し;
R
2が、水素及びC
1-C
6-アルキルから選択され;
R
3が、クロロであり;
R
4が、C
1-C
3-アルキル、ハロ-C
1-C
2-アルキル、及びハロゲンから選択され;
R
5が、ハロゲンであり;
R
6が、水素及びハロゲンから選択される、請求項1に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項11】
【化10】
が、以下:
【化11】
から選択され;
Xが、C-R
6及び窒素から選択され;
R
1が、水素、C
1-C
6-アルキル、及び3~14員ヘテロシクロアルキル-C(O)-から選択され;前記3~14員ヘテロシクロアルキルが、1個のC
1-C
6-アルコキシ置換基で置換されており;
R
1aが、C
1-C
6-アルキルであり;
R
2が、水素及びC
1-C
6-アルキルから選択され;
R
3が、クロロであり;
R
4が、C
1-C
3-アルキル、ハロ-C
1-C
2-アルキル、及びハロゲンから選択され;
R
5が、ハロゲンであり;
R
6が、水素である、請求項10に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
【化12】
が、以下:
【化13】
から選択され;
Xが、C-R
6及び窒素から選択され;
R
1が、水素、メチル及びメトキシアゼチジン-C(O)-から選択され;
R
1aが、メチルであり;
R
2が、水素及びメチルから選択され;
R
3が、クロロであり;
R
4が、メチル、CF
3、及びクロロから選択され;
R
5が、クロロ及びフルオロから選択され;及び
R
6が、水素である、請求項11に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項13】
前記式(I)若しくは(II)の化合物が、以下:
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン;
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1,7-ジメチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン;
3-(7,8-ジクロロ-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル)-4-フルオロ-フェノール;
3-[(4S)-7,8-ジクロロ-1,4-ジメチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-4-フルオロフェノール;
(5S)-8,9-ジクロロ-7-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-5-メチル-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン;
8,9-ジクロロ-7-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン;
[7,8-ジクロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン;
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン;
3-[7-クロロ-1-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-4-フルオロ-フェノール;
3-[7-クロロ-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-4-フルオロ-フェノール;
3-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-4-フルオロ-フェノール;
8-クロロ-7-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-9-(トリフルオロメチル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン;
6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン;
3-(7,8-ジクロロ-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル)-2,4-ジフルオロ-フェノール;
8,9-ジクロロ-7-(2,6-ジフルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン;
3-[(4S)-7,8-ジクロロ-1,4-ジメチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-2,4-ジフルオロ-フェノール;
[7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン;
(5S)-8,9-ジクロロ-7-(2,6-ジフルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)-5-メチル-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン;
[7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン;
6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール;
[(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)メタノン;
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール;
6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール;
6-[(10S)-6-クロロ-10-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1,9,12-トリアザテトラシクロ[9.6.0.02,7.013,17]ヘプタデカ-2,4,6,8,11,13(17)-ヘキサエン-8-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール;
6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロピリジン-2-オール;
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール;
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール;
6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール;
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール;
アゼチジン-1-イル-[(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシピリジン-2-イル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]メタノン;
(4S)-7-クロロ-N-シクロプロピル-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド;
(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-N-イソプロピル-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド
から選択される、請求項1に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項14】
前記式(I)若しくは(II)の化合物が、以下:
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン;
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1,7-ジメチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン;
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン;
[7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン;
6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール;
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール
から選択される、請求項13に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
治療活性物質として使用するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩と、治療上不活性な担体とを含む、医薬組成物。
【請求項17】
対象における急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害を処置又は予防するための方法であって、有効量の請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は請求項16に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法における、請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は請求項16に記載の医薬組成物の使用。
【請求項19】
請求項17に記載の方法に使用するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害を処置又は予防するための医薬を製造するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用。
【請求項21】
前記急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害が、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、加齢性認知低下、レット症候群、プラダー・ウィリー症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脆弱X障害、統合失調症に関連する陰性及び/又は認知症候、遅発性ジスキネジア、不安、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害、破壊的、衝動制御及び行動障害、トゥレット症候群(TS)、強迫性障害(OCD)、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、パーキンソン病(PD)、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、認知症、神経変性症状における行動及び心理学的症候(BPS)、多発脳梗塞性認知症、動揺、精神病、物質誘導性精神病性障害、攻撃性、摂食障害、鬱病、慢性アパシー、無快感症、慢性疲労、季節性情動障害、産後鬱病、眠気、性機能障害、双極性障害、てんかん並びに疼痛から選択される、請求項17に記載の方法、請求項18及び20に記載の使用、並びに請求項19に記載の使用のための化合物、その薬学的に許容され得る塩、又は医薬組成物。
【請求項22】
上に記載される発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物における治療又は予防に有用な有機化合物、特にGABAAγ1受容体ポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)としての活性を示し、したがってGABAAγ1受容体関連の疾患又は症状の処置又は予防に有用な新規ベンゾジアゼピン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
主要な抑制性神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)の受容体は、2つの主要なクラスに分けられる。(1)リガンド開口型イオンチャネルスーパーファミリーのメンバーであるGABAA受容体及び(2)Gタンパク質連結受容体ファミリーのメンバーであるGABAB受容体。膜結合ヘテロ五量体タンパク質ポリマーであるGABAA受容体複合体は、主にα、β及びγサブユニットから構成される。GABAA受容体は、リガンド開口型塩化物チャネル及びヒト脳における抑制性神経伝達の主要なメディエーターである。
【0003】
最も一般的な化学量論が2つのα、2つのβ及び1つのγサブユニットである五量体として集合するGABAA受容体サブユニットをコードする19個の遺伝子が存在する。GABAAサブユニットの組み合わせは、機能的、回路的及び行動的な特異性を生じさせる。γ1サブユニットを含有するGABAA受容体(GABAAγ1)は、辺縁系におけるそれらの豊富な発現並びに独特の生理学的及び薬理学的特性のために特に興味深い。GABAAγ1サブユニット含有受容体は、γ2サブユニット含有受容体よりも豊富ではないが(脳におけるGABAA受容体の全発現の約5~10%)、扁桃体延長部(終線の中心核、内側核、及び床核)、外側中隔、視床下部及び淡蒼球/黒質などの重要な脳領域における濃縮された脳mRNA及びタンパク質分布を示す。これらの構造は、動機付けされた社会的及び情動的行動を調節する皮質下辺縁回路の相互接続されたコアを形成する。異常又は疾患の症状では、この回路の過剰動員は、摂食及び社会的相互作用を阻害しながら、不安、覚醒、攻撃性、恐怖及び防御を促進する。
【0004】
社会的及び感情的に関連する刺激を処理するための重要な領域である辺縁皮質領域(扁桃体延長部/視床下部領域と協調した機能的ネットワークを形成することが知られている)における活動亢進は、様々な精神障害、神経障害、神経発達障害、神経変性障害、気分障害、動機付け障害及び代謝障害の共通の特徴である。そのような疾患状態では、γ1サブユニット含有GABAA受容体の特徴的な解剖学的分布を考慮すると、GABAAγ1ポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)は、症候又は疾患改変剤として有効な処置であり得る。
【0005】
複数の証拠が、脳内の主要な抑制性神経伝達系であるGABA作動性シグナル伝達系の機能障害に起因する興奮性/抑制性(E/I)神経伝達間の不均衡が、種々のCNS障害の病因の中心にあることを示唆している。CNSにおけるGABAAγ1サブユニット含有受容体の分布及び機能を考えると、これらの症状において、それらは重要な脳回路内の阻害レベルを回復させ、その結果E/Iバランスを回復させるための、非常に魅力的な標的である。
【0006】
本発明の文脈において特に興味深いCNS障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)であり、その中核症状及び関連する併存症、例えば不安及び過敏症、社会不安障害(社会恐怖症)及び全般性不安障害を含む。ASDは、2つのコアドメインにおける障害:社会的交流及びコミュニケーションにおける障害、並びに反復的又は制限された行動、興味、又は活動の存在を特徴とする複雑で不均一な神経発達障害である(American Psychiatric Association 2013)。
【0007】
社会性不足の中核症状及びASDの制限された/反復的な行動について承認された薬理学的処置は存在しないが、ASDの情動的及び生理学的な併存症の大部分については不十分な治療選択肢のみが利用可能である。結果として、この障害は依然として満たされていない医学的必要性の高い領域である。ASDの関連症候に対する現在承認されている処置は、ASD症候に関連する過敏症の処置に適応される抗精神病薬(リスペリドン及びアリピプラゾール)に限定されている。新たな証拠は、脳内の主要な抑制性神経伝達系であるGABA作動系がASDの病態生理学において重要な役割を果たすことを示唆している。
【0008】
陽電子放射断層撮影研究(PET)及び磁気共鳴分光法(MRS)を用いた遺伝子研究及びイメージング研究の両方が、ASDにおけるGABA作動性シグナル伝達の変化を示唆している。GABAAγ1をコードする遺伝子GABRG1は、α2、α4及びβ1 GABAA受容体サブユニットをコードする遺伝子を有するクラスタ内の第4染色体(マウスChr.5)に位置する。GABRG1を破壊する染色体4p12の逆位を含む稀なCNVが自閉症の兄弟姉妹(Horike et al.,2006)において、同様にまた、ADHDの1つの症例におけるGABRG1喪失において認められている。4p12遺伝子クラスタにおける突然変異は、不安症、物質乱用及び摂食障害のリスク増加に関連しており、GABRG1/4p12と情動機能障害との間の関連性を提供する。MRS研究は、ASDにおけるGABAレベルの変化を見出し、特にいくつかの最近の研究は、ASDを患う子供におけるGABAの減少及び体性感覚機能の変化を示した。これらの観察と一致して、ASD及びTS患者の死後組織から抑制性介在ニューロンの数の減少が見出された。さらに、低下したGABA合成酵素であるグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)65及び67が自閉症患者の頭頂皮質及び小脳皮質において見出された。ヒトにおける強力な証拠は、GABAAγ1サブユニット含有扁桃体延長部/視床下部領域と協調した機能的ネットワークを形成することが知られている辺縁皮質領域のASDにおける特異的機能不全を指摘している。これらの領域:皮質/外側扁桃体、島皮質、PFC、及び帯状回は、社会的及び感情的に関連する刺激を処理するための鍵であると認識されている。行動転帰を調整するこれらの領域との特定のパートナーシップを形成する皮質下核は、空間分解能の限界のために研究が困難であることが多いが、多くの証拠は、ASDにおけるこれらの皮質から皮質下への接続の過剰動員を指摘している。さらに、近年の高分解能研究は、扁桃体延長部の活動/機能的な接続性と情動状態との間の明確な関連を提供する。新皮質と比較して実質的な分子及び細胞の多様性を示すそのような高度に特定された辺縁部皮質下領域を標的とすることは、全体的な脳状態の広範な調節を回避しながら、ASDの影響を受ける社会的感情回路の安全かつ特異的な治療的調節のための正確なエントリーポイントを作り出す。非選択的BZDによるGABAA受容体活性の増強は、ASDのマウスモデルにおいて行動障害を改善することが示されているが、GABAAα1γ2サブタイプによって媒介される鎮静のために非常に狭い治療マージンが観察された。これらの所見は、GABAAγ1受容体を介したGABA作動性伝達の再平衡が、非選択的ベンゾジアゼピンの副作用なしにASDの症候を改善し得るという考えを裏付けている。
【0009】
本発明の化合物は、所与の濃度(例えばEC20)のガンマアミノ酪酸(GABA)でGABA作動性電流(塩化物の流入)を増加させることによってγ1含有GABAA受容体の機能を選択的に増強する選択的GABAAγ1受容体ポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)である。本発明の化合物は、γ2含有サブタイプ(例えば、α1γ2、α2γ2、α3γ2及びα5γ2)と比較して、γ1含有サブタイプ(α5γ1、α2γ1、α1γ1)に対して高いPAM有効性及び結合選択性を有する。したがって、本発明の化合物は、γ2含有GABAAサブタイプに対して選択的であり、γ1含有サブタイプに対して低い親和性を有するアルプラゾラム、トリアゾラム、エスタゾラム及びミダゾラムなどの古典的なベンゾジアゼピン薬物から強く区別される。γ1サブタイプの脳分布に適合して、選択的GABAAγ1 PAMは、非選択的GABAA調節因子(例えばベンゾジアゼピン)の副作用なしに、重要な脳領域(例えば、扁桃体延長部:終線の中心核、内側核、及び床核、外側中隔、視床下部及び淡蒼球/黒質)においてGABA作動性シグナル伝達を回復させるであろう。
【0010】
上記を考慮すると、本明細書に記載の選択的GABAAγ1 PAM及びそれらの薬学的に許容され得る塩及びエステルは、単独で又は他の薬物と組み合わせて、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、加齢性認知低下、レット症候群、プラダー・ウィリー症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脆弱X障害、統合失調症に関連する陰性及び/又は認知症候、遅発性ジスキネジア、不安、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害、破壊的、衝動制御及び行動障害、トゥレット症候群(TS)、強迫性障害(OCD)、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、パーキンソン病(PD)、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、認知症、神経変性症状における行動及び心理学的症候(BPS)、多発脳梗塞性認知症、動揺、精神病、物質誘導性精神病性障害、攻撃性、摂食障害、鬱病、慢性アパシー、無快感症、慢性疲労、季節性情動障害、産後鬱病、眠気、性機能障害、双極性障害、てんかん並びに疼痛を含む急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害の処置又は予防のための疾患改変剤として又は症候剤として有用である。
【発明の概要】
【0011】
第1の態様では、本発明は、式(I)又は(II):
【化1】
(式中、可変部分は本明細書中で定義される通りである)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0012】
一態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)又は(II)の化合物の製造プロセスを提供し、該プロセスは、本明細書のスキーム1~14のいずれか1つに記載の通りである。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載のプロセスに従って製造される場合の、本明細書に記載の式(I)又は(II)の化合物を提供する。
【0014】
さらなる態様では、本発明は、治療活性物質としての使用のための、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩と、治療上不活性な担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、対象における急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害を処置又は予防する方法に使用するための、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
本発明の特定の態様、実施形態又は実施例に関連して記載される特徴、整数、特性、化合物、化学的部分又は基は、両立しない場合を除き、本明細書に記載される任意の他の態様、実施形態又は実施例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)に開示された特徴の全て、及び/又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスの工程の全ては、そのような特徴及び/又は工程の少なくとも一部が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わされ得る。本発明は、いずれの前述の実施形態の細部にも限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規な1つ若しくは任意の新規な組合せ、又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスの工程の任意の新規な1つ若しくは任意の新規な組合せに及ぶ。
【0018】
「アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子(「C1-C6-アルキル」)、例えば1、2、3、4、5又は6個の炭素原子の一価又は多価の、例えば一価又は二価の直鎖又は分岐飽和炭化水素基を指す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~3個の炭素原子、例えば、1、2又は3個の炭素原子を含有する。アルキルのいくつかの非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、2-プロピル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル及び2,2-ジメチルプロピルが挙げられる。アルキルの特に好ましいが非限定的な例としては、メチル及びエチルが挙げられる。
【0019】
用語「アルコキシ」とは、酸素原子を介して親分子部分に結合した、上で定義されたアルキル基を指す。特段ことわらない限り、アルコキシ基は、1~6個の炭素原子を含有する(「C1-C6-アルコキシ」)。いくつかの好ましい実施形態では、アルコキシ基は、1~4個の炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、アルコキシ基は、1~3個の炭素原子を含有する。アルコキシ基のいくつかの非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ及びtert-ブトキシが挙げられる。アルコキシの特に好ましいが非限定的な例は、メトキシである。
【0020】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)又はヨード(I)を指す。好ましくは、「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)又はブロモ(Br)を指す。「ハロゲン」又は「ハロ」の特に好ましいが非限定的な例は、フルオロ(F)及びクロロ(Cl)である。
【0021】
本明細書で使用する「シクロアルキル」という用語は、3~10個の環炭素原子の、飽和単環式又は二環式の炭化水素基を指す(「C3-C10シクロアルキル」)。いくつかの好ましい実施形態では、シクロアルキル基は、3~8個の環炭素原子の飽和単環式炭化水素基である。「二環式シクロアルキル」とは、2つの炭素原子を共有する2つの飽和炭素環からなるシクロアルキル部分(すなわち、2つの環を分離する架橋が、単結合であるか、又は1つ若しくは2つの環原子の鎖であるかのいずれかである)及びスピロ環部分(すなわち2つの環が1つの共通の環原子を介して接続されている)を指す。好ましくは、シクロアルキル基は、3~6個の環炭素原子、例えば、3、4、5又は6個の炭素原子の飽和単環式炭化水素基である。シクロアルキルのいくつかの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びスピロ[2.3]ヘキサン-5-イルが挙げられる。
【0022】
本明細書で使用する「シクロアルケニル」という用語は、3~10個の環炭素原子の部分的に不飽和の単環式又は二環式の炭化水素基を指す(「C3-C10シクロアルケニル」)。いくつかの好ましい実施形態では、シクロアルケニル基は、3~8個の環炭素原子の部分不飽和単環式炭化水素基である。「二環式シクロアルケニル」とは、2つの炭素原子を共有する2つの飽和炭素環からなるシクロアルケニル部分(すなわち、2つの環を分離する架橋が、単結合であるか、又は1つ若しくは2つの環原子の鎖であるかのいずれかである)及びスピロ環部分(すなわち2つの環が1つの共通の環原子を介して接続されている)を指し、2つの炭素環のうちの少なくとも1つは部分的に不飽和である。好ましくは、シクロアルケニル基は、3~6個の環炭素原子、例えば、3、4、5又は6個の炭素原子の部分不飽和単環式炭化水素基である。シクロアルケニルのいくつかの非限定的な例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル及びスピロ[2.3]ヘキサ-5-エン-5-イルが挙げられる。
【0023】
用語「ヘテロシクリル」又は「ヘテロシクロアルキル」は、飽和又は部分不飽和の単環式又は二環式,好ましくは3~14個の環原子、好ましくは3~10個の環原子、より好ましくは3~8個、最も好ましくは3~6個の環原子の単環式環系を指し、ここで、該環原子の1、2、又は3個は、N、O及びSから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である。好ましくは、該環原子の1~2個は、N及びOから選択され、残りの環原子は炭素である。「二環式ヘテロシクリル」とは、2つの環原子を共有する2つの環からなる複素環部分(すなわち、2つの環を分離する架橋が、単結合であるか、又は1つ若しくは2つの環原子の鎖であるかのいずれかである)及びスピロ環部分(すなわち2つの環が1つの共通の環原子を介して接続されている)を指す。ヘテロシクリル基のいくつかの非限定的な例としては、アゼチジン-3-イル;アゼチジン-2-イル;オキセタン-3-イル;オキセタン-2-イル;オキサゾリジニル;ピペリジル;ピペラジニル;ピロリジニル;2-オキソピロリジン-1-イル;2-オキソピロリジン-3-イル;5-オキソピロリジン-2-イル;5-オキソピロリジン-3-イル;2-オキソ-1-ピペリジル;2-オキソ-3-ピペリジル;2-オキソ-4-ピペリジル;6-オキソ-2-ピペリジル;6-オキソ-3-ピペリジル;1-ピペリジニル;2-ピペリジニル;3-ピペリジニル;4-ピペリジニル;モルホリノ(例えば、モルホリン-2-イル又はモルホリン-3-イル);チオモルホリノ;ピロリジニル(例えば、ピロリジン-3-イル);1-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン;2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン;5-オキサ-2-アザスピロ[3.4]オクタン;6-オキサ-2-アザスピロ[3.4]オクタン;5-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノン;6-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン;7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン;3-オキサ-6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;3-チア-6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタン;3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-イル;2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル;2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル;2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル;及び2,3,3a,4,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピロール-5-イルが挙げられる。ヘテロシクリルの好ましいが非限定的な例としては、アゼチジニルが挙げられる。
【0024】
「ハロアルキル」という用語は、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、ハロゲン原子、好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルキル基を指す。好ましくは、「ハロアルキル」とは、アルキル基の1、2又は3個の水素原子が、ハロゲン原子、最も好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルキル基を指す。ハロアルキルの非限定的な例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、2-フルオロエチル及び2,2-ジフルオロエチルである。ハロアルキルの特に好ましいが非限定的な例は、トリフルオロメチルである。
【0025】
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、生物学的に又はその他望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、特に塩酸、並びにギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインなどの有機酸と共に形成される。加えて、これらの塩は、無機塩基又は有機塩基を遊離酸に添加することにより調製され得る。無機塩基から誘導される塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩等が含まれるがこれらに限定されない。有機塩基から誘導される塩には、第一級、第二級及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂等の塩が含まれるがこれらに限定されない。式(I)の化合物の特定の薬学的に許容され得る塩は、塩酸塩、フマル酸塩、ギ酸塩、乳酸塩(特にL-(+)-乳酸から誘導される)、酒石酸塩(特にL-(+)-酒石酸から誘導される)及びトリフルオロ酢酸塩である。
【0026】
式(I)の化合物は、数個の不斉中心を含有することができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体などのエナンチオマーの混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体のラセミ体又はジアステレオ異性体のラセミ体の混合物の形態で存在することができる。
【0027】
Cahn-Ingold-Prelog則によれば、不斉炭素原子は、「R」又は「S」立体配置のものであり得る。
【0028】
本明細書で使用される「処置」という用語には、(1)状態、障害若しくは症状を抑制すること(例えば、疾患の発症又は維持処置の場合には疾患の再発、疾患の少なくとも1つの臨床症候又は無症状性症候の発症を停止、低減又は遅延させること);及び/又は(2)症状を緩和すること(すなわち、状態、障害若しくは症状、又はその臨床症候若しくは無症状性症候の少なくとも1つの退行を引き起こすこと)が含まれる。処置されるべき患者に対する利益は、統計的に有意であるか、又は少なくとも患者若しくは医師にとって認識可能であるかのいずれかである。しかしながら、疾患を処置するために患者へ医薬が投与される場合、結果は必ずしも有効な処置でなくともよいことが理解されるであろう。
【0029】
本明細書で使用される「予防(prophylaxis)」又は「予防(prevention)」という用語は、状態、障害若しくは症状に罹患し得る又はこれらに罹患しやすい素因を有し得るが、当該状態、障害又は症状の臨床症候又は無症状性症候をいまだ経験していない又は示していない対象、特にヒトにおいて生じる当該状態、障害又は症状の臨床症候の出現を防止又は遅延させることを含む。
【0030】
本明細書で使用される「対象」という用語には、ヒト及び非ヒトの両方が含まれ、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ネズミ、ウシ、ウマ及びブタが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい実施形態において、用語「対象」とは、ヒトを指す。
【0031】
略語のuMはマイクロモルを意味し、記号μMと同等である。
【0032】
略語のuLはマイクロリットルを意味し、記号μLと同等である。
【0033】
略語のugはマイクログラムを意味し、記号のμgと同等である。
【0034】
本発明の化合物
第1の態様では、本発明は、式(I)又は(II):
【化2】
(式中、
【化3】
は、以下:
【化4】
から選択され;
Xは、C-R
6及び窒素から選択され;
Wは、C又はNであり;
R
1は、水素、C
1-C
6-アルキル、カルバモイル、C
1-C
6-アルキル-NH-C(O)-、(C
1-C
6-アルキル)
2N-C(O)-、C
3-C
10-シクロアルキル-NH-C(O)-、及び3~14員ヘテロシクロアルキル-C(O)-から選択され;該3~14員ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン及びC
1-C
6-アルコキシから選択される1個の置換基で任意選択的に置換されており;
R
1aは、水素及びC
1-C
6-アルキルから選択されるか;又は
R
1及びR
1aは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3-C
10-シクロアルケニルを形成し;
R
2は、水素及びC
1-C
6-アルキルから選択され;
R
3は、クロロ及びブロモから選択され;
R
4は、C
1-C
3-アルキル、ハロ-C
1-C
2-アルキル、及びハロゲンから選択され;
R
5は、水素及びハロゲンから選択され;
R
6は、水素及びハロゲンから選択される)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0035】
一実施形態では、本発明による化合物は、式(I):
【化5】
(式中、可変部分は本明細書に記載される通りである)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0036】
一実施形態では、本発明による化合物は、式(II):
【化6】
(式中、可変部分は本明細書に記載される通りである)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0037】
好ましい実施形態では、本発明による化合物は、
【化7】
が、
【化8】
から選択され;残りの可変部分が本明細書に記載される通りである、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
一実施形態では、本発明による化合物は、
【化9】
が、
【化10】
であり;残りの可変部分が本明細書に記載される通りである、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0038】
一実施形態では、本発明による化合物は、
【化11】
が、
【化12】
であり;残りの可変部分が本明細書に記載される通りである、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0039】
一実施形態では、本発明による化合物は、
【化13】
が、
【化14】
であり;残りの可変部分が本明細書に記載される通りである、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0040】
一実施形態では、本発明による化合物は、
【化15】
が、
【化16】
であり;残りの可変部分が本明細書に記載される通りである、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0041】
一実施形態では、本発明による化合物は、
【化17】
が、
【化18】
であり;残りの可変部分が本明細書に記載される通りである、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0042】
一実施形態では、本発明による化合物は、R1がC1-C6-アルキルであり、残りの可変部分が本明細書に記載される通りである、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0043】
一実施形態では、本発明による化合物は、R1がメチルであり、残りの可変部分が本明細書に記載される通りである、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0044】
一実施形態では、本発明は、
【化19】
が、以下:
【化20】
から選択され;
R
1が、水素、C
1-C
6-アルキル、及び3~14員ヘテロシクロアルキル-C(O)-から選択され;該3~14員ヘテロシクロアルキルが、1個のC
1-C
6-アルコキシ置換基で置換されており;
R
1aが、C
1-C
6-アルキルである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0045】
好ましい実施形態では、本発明は、
【化21】
が、以下:
【化22】
から選択され;
R
1が、水素、メチル及びメトキシアゼチジン-C(O)-から選択され;
R
1aが、メチルである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0046】
一実施形態において、本発明は、
R1が、水素、C1-C6-アルキル、及び3~14員ヘテロシクロアルキル-C(O)-から選択され;該3~14員ヘテロシクロアルキルが、1個のC1-C6-アルコキシ置換基で置換されており;
R1aが、C1-C6-アルキルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0047】
好ましい実施形態において、本発明は、
R1が、水素、メチル及びメトキシアゼチジン-C(O)-から選択され;
R1aが、メチルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0048】
好ましい実施形態では、本発明は、R2が水素及びメチルから選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0049】
好ましい実施形態では、本発明は、R3がクロロである、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0050】
好ましい実施形態では、本発明は、R4がメチル、CF3、及びクロロから選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0051】
特に好ましい実施形態では、本発明は、R4がメチル及びCF3から選択される、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0052】
一実施形態では、本発明は、R4がメチルである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0053】
一実施形態では、本発明は、R4がCF3である、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0054】
一実施形態では、本発明は、R4がクロロである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0055】
一実施形態では、本発明は、R5がハロゲンである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0056】
好ましい実施形態では、本発明は、R5がクロロ及びフルオロから選択される、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0057】
一実施形態では、本発明は、R5がクロロである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0058】
一実施形態では、本発明は、R5がフルオロである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0059】
一実施形態では、本発明は、R6が水素である、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0060】
一実施形態では、本発明は、R6がハロゲンである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0061】
一実施形態では、本発明は、R6がフルオロである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0062】
一実施形態では、本発明は、R6が水素又はフルオロである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0063】
一実施形態では、本発明は、
【化23】
が、以下:
【化24】
から選択され;
Xが、C-R
6及び窒素から選択され;
R
1が、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-アルキル-NH-C(O)-、C
3-C
10-シクロアルキル-NH-C(O)-、及び3~14員ヘテロシクロアルキル-C(O)-から選択され;該3~14員ヘテロシクロアルキルが、ハロゲン及びC
1-C
6-アルコキシから選択される1個の置換基で任意選択的に置換されており;
R
1aが、水素及びC
1-C
6-アルキルから選択されるか;又は
R
1及びR
1aが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
3-C
10-シクロアルケニルを形成し;
R
2が、水素及びC
1-C
6-アルキルから選択され;
R
3が、クロロであり;
R
4は、C
1-C
3-アルキル、ハロ-C
1-C
2-アルキル、及びハロゲンから選択され;
R
5が、ハロゲンであり、
R
6が、水素及びハロゲンから選択される、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0064】
好ましい実施形態では、本発明は、
【化25】
が、以下:
【化26】
から選択され;
Xが、C-R
6及び窒素から選択され;
R
1が、水素、C
1-C
6-アルキル、及び3~14員ヘテロシクロアルキル-C(O)-から選択され;該3~14員ヘテロシクロアルキルが、1個のC
1-C
6-アルコキシ置換基で置換されており;
R
1aが、C
1-C
6-アルキルであり;
R
2が、水素及びC
1-C
6-アルキルから選択され;
R
3が、クロロであり;
R
4が、C
1-C
3-アルキル、ハロ-C
1-C
2-アルキル、及びハロゲンから選択され;
R
5が、ハロゲンであり、
R
6が、水素である、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0065】
特に好ましい実施形態では、本発明は、
【化27】
が、以下:
【化28】
から選択され;
Xが、C-R
6及び窒素から選択され;
R
1が、水素、メチル及びメトキシアゼチジン-C(O)-から選択され;
R
1aが、メチルであり;
R
2が、水素及びメチルから選択され;
R
3が、クロロであり;
R
4が、メチル、CF
3、及びクロロから選択され;
R
5が、クロロ及びフルオロから選択され;及び
R
6が、水素である、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0066】
一実施形態では、本発明は、該式(I)若しくは(II)の化合物が、以下:
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン;
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1,7-ジメチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン;
3-(7,8-ジクロロ-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル)-4-フルオロ-フェノール;
3-[(4S)-7,8-ジクロロ-1,4-ジメチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-4-フルオロフェノール;
(5S)-8,9-ジクロロ-7-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-5-メチル-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン;
8,9-ジクロロ-7-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン;
[7,8-ジクロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン;
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン;
3-[7-クロロ-1-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-4-フルオロ-フェノール;
3-[7-クロロ-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-4-フルオロ-フェノール;
3-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-4-フルオロ-フェノール;
8-クロロ-7-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-9-(トリフルオロメチル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン;
6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン;
3-(7,8-ジクロロ-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル)-2,4-ジフルオロ-フェノール;
8,9-ジクロロ-7-(2,6-ジフルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン;
3-[(4S)-7,8-ジクロロ-1,4-ジメチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-2,4-ジフルオロ-フェノール;
[7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン;
(5S)-8,9-ジクロロ-7-(2,6-ジフルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)-5-メチル-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン;
[7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン;
6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール;
[(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)メタノン;
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール;
6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール;
6-[(10S)-6-クロロ-10-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1,9,12-トリアザテトラシクロ[9.6.0.02,7.013,17]ヘプタデカ-2,4,6,8,11,13(17)-ヘキサエン-8-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール;
6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロピリジン-2-オール;
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール;
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール;
6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール;
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール;
アゼチジン-1-イル-[(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシピリジン-2-イル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]メタノン;
(4S)-7-クロロ-N-シクロプロピル-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド;
(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-N-イソプロピル-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド
から選択される、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0067】
好ましい実施形態では、本発明は、該式(I)若しくは(II)の化合物が、以下:
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン;
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1,7-ジメチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オン;
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン;
[7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン;
6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール;
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール
から選択される、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0068】
特に好ましい実施形態では、本発明は、該式(I)若しくは(II)の化合物が、6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オンである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0069】
特に好ましい実施形態では、本発明は、該式(I)若しくは(II)の化合物が、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1,7-ジメチル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2-オンである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0070】
特に好ましい実施形態では、本発明は、該式(I)若しくは(II)の化合物が、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オンである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0071】
特に好ましい実施形態では、本発明は、該式(I)若しくは(II)の化合物が、[7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノンである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0072】
特に好ましい実施形態では、本発明は、該式(I)若しくは(II)の化合物が、6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オールである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0073】
特に好ましい実施形態では、本発明は、該式(I)若しくは(II)の化合物が、5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オールである、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0074】
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載の式(I)又は(II)の化合物の薬学的に許容され得る塩、特に塩酸塩、フマル酸塩、乳酸塩(特にL-(+)-乳酸から誘導される)、酒石酸塩(特にL-(+)-酒石酸から誘導される)及びトリフルオロ酢酸塩から選択される薬学的に許容され得る塩を提供する。なおさらなる特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)又は(II)による化合物をそれらの遊離形態で(すなわち、それぞれ「遊離塩基」又は「遊離酸」として)提供する。
【0075】
製造プロセス
本明細書に記載の式(I)及び(II)の化合物を製造するためのプロセスもまた、本発明の目的である。
【0076】
本発明の式(I)又は(II)の化合物の調製は、逐次的又は収束的な合成経路で行うことができる。本発明の化合物の合成は、以下のスキームで示される。得られた生成物の反応及び精製を行うために必要な技能は、当業者に知られている。以下のプロセスの説明で使用される置換基及び指数は、反対の指示がない限り、本明細書で前に、及び特許請求の範囲において、示される意味を有する。より詳細には、式(I)及び(II)の化合物は、以下に示す方法、実施例に示す方法、又は類似の方法によって製造することができる。個々の反応工程のための適切な反応条件は、当業者に知られている。また、記載される反応に影響を及ぼす文献に記載される反応条件については、例えば以下を参照されたい:Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations,3rd Edition,Richard C.Larock.John Wiley&Sons,New York,NY.2018)。溶媒の存在下又は不存在下で反応を実施することが便利である。使用される溶媒の性質に関しては、それが反応又は関与する試薬に悪影響を及ぼさず、かつそれが試薬を少なくともある程度溶解することができるならば、特に制限はない。記載された反応は広範囲の温度にわたって起こる可能性があり、正確な反応温度は本発明にとって重要ではない。-78℃~還流温度までの温度範囲で記載された反応を行うのが便利である。反応に要する時間もまた、多くの因子、特に反応温度及び試薬の性質に依存して、大きく変動し得る。しかしながら、記載された中間体及び化合物を得るには、通常、0.5時間~数日の期間で十分である。反応順序はスキームに示された順序に限定されないが、出発材料及びそれらのそれぞれの反応性に応じて、反応工程の順序を自由に変更することができる。出発材料は、市販されているか、又は以下に示す方法に類似する方法、本明細書に引用された参考文献若しくは実施例に記載されている方法、又は当技術分野で知られている方法によって調製することができる。
【0077】
本発明の式(I)又は(II)の化合物の調製は、逐次的又は収束的な合成経路で行うことができる。本発明の合成は、以下の一般的なスキームで示される。得られた生成物の反応及び精製を行うために必要な技能は、当業者に知られている。以下のプロセスの説明で使用される置換基及び指数は、反対の指示がない限り、本明細書で前に示される意味を有する。
【0078】
より詳細には、式(I)及び(II)の化合物は、以下に示す方法、実施例に示す方法、又は類似の方法によって製造することができる。個々の反応工程のための適切な反応条件は、当業者に知られている。反応順序はスキーム1~14に示された順序に限定されないが、出発材料及びそれらのそれぞれの反応性に応じて、反応工程の順序を自由に変更することができる。出発材料は、市販されているか、又は以下に示す方法に類似する方法、本明細書に引用された参考文献若しくは実施例に記載されている方法、又は当技術分野で知られている方法によって調製することができる。
【0079】
式(I)及び(II)の本化合物並びにそれらの薬学的に許容され得る塩は、特に例示される経路及び条件に制限されることなく、以下のスキーム1~14に記載されるプロセスによって調製することができる。
【0080】
スキーム1によれば、式(I)の化合物は、スキーム1に記載のプロセスに従って2工程で得ることができる。ラクタム(III)を、炭酸カリウム又は炭酸セシウムなどの塩基の存在下でハロゲン化アルキル(例えば、ヨードメタン)でN-アルキル化してN-アルキルラクタム(IV)を得ることができ、これを酸性条件下(臭化水素酸、トリフルオロ酢酸など)又はルイス酸性条件下(三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、ヨードトリメチルシランなど)で脱保護して式(I)の化合物を得ることができる。
【化29】
【0081】
スキーム1:式(I)のベンゾジアゼピンの合成
スキーム2によれば、式(IIa)の化合物は、式(III)のラクタムから調製することができる。
【化30】
【0082】
スキーム2:式(IIa)のベンゾジアゼピンの合成
Lawesson試薬又はP2S5を使用したチオネーション反応の後、ラクタム(III)は対応するチオラクタム(V)に変換される。Pellizzari型プロセスを介したヒドラジド(VI)とのそれらの反応により、一般式(VII)の1,2,4-トリアゾールが得られる。あるいは、1,2,4-トリアゾール(VII)は、チオラクタム(V)とヒドラジンとの反応によってヒドラゾン(VIII)を形成し、続いて対応するトリアルキルオルトアセテート又は酸クロリド(IX)で処理することによって得ることができる。さらに、ラクタム(III)は、水素化ナトリウムなどの強塩基の存在下でビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィンクロリド及びヒドラジド(VI)などのアミドカップリング試薬で処理することによって、式(VII)の化合物に直接変換することができる。式(IIa)の最終誘導体は、酸性条件下(臭化水素酸、トリフルオロ酢酸など)又はルイス酸性条件下(三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、ヨードトリメチルシランなど)での化合物(VII)の脱保護反応によって得ることができる。
【0083】
本発明の特定の実施形態では、式(IIc)の化合物は、以下に記載されるプロセス(スキーム3)に従ってラクタム(III)から調製することができる。O-(ジフェニルホスフィニル)ヒドロキシルアミンなどの適切な試薬を用いたラクタム(III)の求電子的アミノ化により、式(X)の中間体が得られる。それらのイミダート(XI)との熱環化縮合反応により、式(XII)の1,2,4-トリアゾールが得られ、これを酸性条件下(臭化水素酸、トリフルオロ酢酸など)又はルイス酸性条件下(三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、ヨードトリメチルシランなど)で脱保護して、式(IIc)の最終誘導体を得ることができる。
【化31】
【0084】
スキーム3:式(IIc)のベンゾジアゼピンの合成
本発明の特定の実施形態では、式(IId)の化合物は、スキーム4に従って調製することができる。
【化32】
【0085】
スキーム4:式(IId)のベンゾジアゼピンの合成
R1=COOAlkによって定義される化合物(XII)(スキーム3に記載)の選択であるエステル(XIII)を、イソプロピルマグネシウムクロリドなどの適切な触媒を添加して又は添加せずにアミン(XIV)と反応させて、式(XV)の化合物を形成する。あるいは、エステル(XIII)は、塩基性条件下で、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムの水溶液又はアルコール溶液での処理によって、対応する酸(XVI)にけん化することができる。次に、誘導体(XV)は、酸(XVI)とアミンHNR4R5(XIV)との間の標準的なアミドカップリング反応によって得られる。酸性条件下(臭化水素酸、トリフルオロ酢酸など)又はルイス酸性条件下(三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、ヨードトリメチルシランなど)での化合物(XV)のさらなる脱保護により、化合物(IId)が得られる。同様に、酸(XVI)を上記のように脱保護して化合物(XVII)を形成し、次いでカップリング試薬の存在下でアミン(XIV)とカップリングして、一般式(IId)の最終誘導体を形成することができる。
【0086】
本発明のさらなる実施形態では、式(IIe)のイミダゾールは、以下に記載されるように調製することができる(スキーム5)。
【化33】
【0087】
スキーム5:式(IIe)のベンゾジアゼピンの合成
チオラクタム(V)をアンモニアと反応させて、式(XVIII)のアミジンを形成する。酸触媒作用下でプロパルギルアミンとの反応後、アミジン(XVIII)をメチルイミダゾール(XIX)に変換することができ、次いで、これを酸性条件下(臭化水素酸、トリフルオロ酢酸など)又はルイス酸性条件下(三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、ヨードトリメチルシランなど)で脱保護して、式(IIe)の最終誘導体を得ることができる。
【0088】
本発明のさらなる実施形態では、式(IIf)のイミダゾールは、スキーム6に記載されるように調製することができる。
【0089】
ラクタム(III)を、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(BOP-Cl)などの適切なカップリング試薬を用いた活性化の際にアミノアルコホール(XX)と反応させて中間体(XXI)を形成し、これを酸化条件下で環化して式(XXII)のイミダゾールを提供することができる。酸性条件下(臭化水素酸、トリフルオロ酢酸など)又はルイス酸性条件下(三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、ヨードトリメチルシランなど)での脱保護反応の後、式(IIf)の最終誘導体が得られる。
【化34】
【0090】
スキーム6:式(IIf)のベンゾジアゼピンの合成
本発明のさらなる実施形態では、式(IIg)の化合物は、スキーム7に示されるように調製することができる。
【化35】
【0091】
スキーム7:式(IIg)のベンゾジアゼピンの合成
式(XVIII)のアミジンをブロモピルビン酸エチルでアルキル化して式(XXIII)のエステルを形成し、これを塩基性条件下でけん化して酸(XXIV)を形成することができる。アミン(XIV)及び適切なカップリング試薬とのアミド形成反応後、酸(XXIV)をアミド(XXV)に変換することができる。酸性条件下(臭化水素酸、トリフルオロ酢酸など)又はルイス酸性条件下(三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、ヨードトリメチルシランなど)での化合物(XXV)の最終脱保護反応により、一般式(IIg)の最終誘導体が得られる。
【0092】
本発明のさらなる実施形態では、式(IIh)の化合物は、スキーム8に記載されるように調製することができる。
【化36】
【0093】
スキーム8:式(IIh)のベンゾジアゼピンの合成
式(XVIII)のアミジンをプロピオル酸エチルと反応させて、式(XXVI)のピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オンを形成する。酸性条件下(臭化水素酸、トリフルオロ酢酸など)又はルイス酸性条件下(三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、ヨードトリメチルシランなど)でのそれらの最終脱保護反応により、式(IIh)の最終誘導体が得られる。
【0094】
さらに、スキーム9に詳述されているように、チオラクタム(V)を2-アミノシクロペンタノールと反応させてアルコール(XXVII)を形成することができ、これをデス-マーチン-ペルヨージナンで酸化してイミダゾール(XXVIII)を得ることができる。酸性条件下(臭化水素酸、トリフルオロ酢酸など)又はルイス酸性条件下(三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、ヨードトリメチルシランなど)でのそれらの最終脱保護により、一般式(IIi)の最終誘導体が得られる。
【化37】
【0095】
スキーム9:式(IIi)のベンゾジアゼピンの合成<u>
本発明のさらなる実施形態では、式(IIj)の化合物は、スキーム10に記載されるように調製することができる。
【化38】
【0096】
スキーム10:式(IIj)のベンゾジアゼピンの合成
ラクタム(III)をアルキルイソシアノアセテート(XXIX)と反応させて、式(XXX)のイミダゾールを形成する。標準条件下でのけん化及び酸性条件下(臭化水素酸、トリフルオロ酢酸など)又はルイス酸性条件下(三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、ヨードトリメチルシランなど)でのそれらの最終脱保護により、カルボン酸(XXXI)が得られる。標準的なアミド形成条件下でのアミン(XIV)とのそれらの反応により、最終誘導体(IIj)が得られる。さらに、イミダゾール(XXX)を、イソプロピルマグネシウムクロリドなどの適切な触媒を添加して、又は添加せずに、アミン(XIV)と反応させて、式(XXXII)の中間体を形成することができる。酸性条件下(臭化水素酸、トリフルオロ酢酸など)又はルイス酸性条件下(三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、ヨードトリメチルシラン)での脱保護反応の後、一般式(IIj)の最終誘導体を得ることができる。
【0097】
ラクタム(III)及びそれらの前駆体の合成は、以下のスキームにおいて強調されている。
【0098】
ラクタム(III)は、スキーム11に従って合成することができる。市販の2-アミノ安息香酸(XXXIII)を無水酢酸中で加熱してベンゾオキサジン-4-オン(XXXIV)を形成することができる。次に、対応するアリール化合物(XXXV)から金属化反応によって調製されたグリニャール試薬又は有機リチウム試薬を、制御された温度下でベンゾオキサジン-4-オン(XXXIV)と反応させて、式(XXXVI)のケトンを得ることができる。酸性条件下でのN-アセトアミド加水分解の後、式(XXXVI)の化合物を式(XXXVII)のアミノベンゾフェノンに変換する。好都合には、このジャンクションにおいて、R
4のハロゲンを、N-クロロスクシンイミド(NCS)、N-ブロモスクシンイミド(NBS)又はN-ヨードスクシンイミド(NIS)で処理することによって導入して、式(XXXVIII)の中間体を得ることができる。2-アミノ酢酸エチル塩酸塩との最終熱環化反応により、式(IIIa)の所望のO保護ラクタム構成要素が得られる。あるいは、アミド(XL)は、ピリジン中で塩化ホスホリル(POCl
3)に曝露した際のN-Boc保護L-アミノ酸(XXXIX)とのカップリング、又はHATU、HBTUなどのようなカップリング試薬との反応によって得ることができる。N-Boc保護基の除去は、鉱酸(例えばHCl)又は有機酸(例えばトリフルオロ酢酸)を用いて実施して、式(XLI)のアミンを得ることができる。酸性媒体(例えば、トルエン中のシリカ又はエタノール中のピバル酸)及び熱(80~110℃)によって促進される最終的な分子内縮合反応により、式(IIIb)の所望のラクタム構成要素が提供される。
【化39】
【0099】
スキーム11:ラクタム(IIIa)及び(IIIb)の合成
あるいは、スキーム12によれば、アニリン(XLII)を、塩基(例えばジイソプロピルエチルアミン)の存在下で二炭酸ジ-tert-ブチルで処理することによってtert-ブチルオキシカルボニルなどの適切な保護基で保護して、化合物(XLIII)を得ることができる。n-BuLiを用いた低温での化合物(XLIII)の位置選択的金属化、その後のアルデヒド(XLIV)への1,2-付加により、式(XLV)の第二級アルコールが得られる。その後の二酸化マンガンを用いたケトン(XLVI)への酸化、続いて有機酸(例えばジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸)を用いた脱保護反応により、式(XXXVIII)のアミノベンゾフェノンが得られる。
【化40】
【0100】
スキーム12:アミノベンゾフェノン(XXXVIII)の代替合成
さらに、スキーム13によれば、n-BuLiを用いた低温での臭化アリール(XLVII)の位置選択的金属化、その後のアルデヒド(XLIV)への1,2-付加により、式(XLVIII)の第二級アルコールが得られる。その後のケトン(XLIX)への酸化、続いてカルバメート(L)とのパラジウム触媒カップリングにより、式(XLVI)の保護アミノベンゾフェノンが得られた。
【化41】
【0101】
スキーム13:アミノベンゾフェノン(XLVI)の合成
さらに、構造(III)のラクタムは、銅触媒を使用して、ヨードラクタム(III)をメチル2,2-ジフルオロ-2-(フルオロスルホニル)アセテートなどのトリフルオロメチル化剤と反応させることによって合成することができる(スキーム14参照)。
【化42】
【0102】
スキーム14:ラクタム(III)の合成
特に、スキーム1~14に記載されたプロセスでは、採用された特定の反応条件に応じて、キラル中心でのラセミ化が様々な程度(20~100%)で起こる。結果として、単一のエナンチオマー(97%を超えるエナンチオマー過剰率(ee))を得るためには、式(I)及び(II)の最終誘導体のキラル精製(例えば、HPLC又はSFCによる)が必要である。
【0103】
特に、採用される特定の反応条件に応じて、キラル中心の部分的なラセミ化が起こり得る。結果として、エナンチオマー過剰率(ee)が97%を超える最終誘導体を得るためには、式(I)及び(II)の最終誘導体のキラル精製(例えば、HPLC又はSFCによって)が必要である。
【0104】
一態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)及び(II)の化合物の製造プロセスを提供し、該プロセスは、上記のスキーム1~14のいずれか1つに記載の通りである。
【0105】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に開示されるプロセスに従って製造された場合の、本明細書に記載の式(I)及び(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0106】
本発明の化合物の使用
背景セクションにおいて説明され、実験セクションにおいて例示されるように、式(I)又は(II)の化合物、及びそれらの薬学的に許容され得る塩は、それらをGABAAγ1受容体に関連する疾患又は合併症の処置又は予防のために有用にする有益な薬理学的特性を有する。
【0107】
一態様では、本発明は、治療活性物質としての使用のための、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0108】
さらなる態様では、本発明は、対象における急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害を処置又は予防する方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0109】
さらなる態様では、本発明は、対象における急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害を処置又は予防する方法における、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩、又は本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【0110】
さらなる態様では、本発明は、対象における急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害を処置又は予防する方法における使用のための、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩、又は本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
【0111】
さらなる態様では、本発明は、急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害を処置又は予防するための医薬を製造するための、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0112】
一実施形態では、該急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、加齢性認知低下、レット症候群、プラダー・ウィリー症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脆弱X障害、統合失調症に関連する陰性及び/又は認知症候、遅発性ジスキネジア、不安、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害、破壊的、衝動制御及び行動障害、トゥレット症候群(TS)、強迫性障害(OCD)、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、パーキンソン病(PD)、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、認知症、神経変性症状における行動及び心理学的症候(BPS)、多発脳梗塞性認知症、動揺、精神病、物質誘導性精神病性障害、攻撃性、摂食障害、鬱病、慢性アパシー、無快感症、慢性疲労、季節性情動障害、産後鬱病、眠気、性機能障害、双極性障害、てんかん並びに疼痛から選択される。
【0113】
一実施形態では、該急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、アルツハイマー病、軽度認知障害(MCI)、加齢性認知低下、統合失調症に関連する陰性及び/又は認知症候、双極性障害、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、レット症候群、プラダー・ウィリー症候群、てんかん、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)並びに脆弱X障害から選択される。
【0114】
好ましい実施形態では、該急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、アルツハイマー病、統合失調症に関連する陰性及び/又は認知症候並びに心的外傷後ストレス障害(PTSD)から選択される。
【0115】
好ましい実施形態では、該急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、レット症候群、アンジェルマン症候群、心的外傷後ストレス障害及び脆弱X障害から選択される。
【0116】
好ましい実施形態では、該急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、レット症候群、心的外傷後ストレス障害及び脆弱X障害から選択される。
【0117】
好ましい実施形態では、該急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)及びアンジェルマン症候群から選択される。
【0118】
特に好ましい実施形態では、該急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)である。
【0119】
特に好ましい実施形態では、該急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、アンジェルマン症候群である。
【0120】
さらに特に好ましい実施形態では、該急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、不安及び過敏症、社会不安障害(社会恐怖症)及び全般性不安障害などの中核症状及び関連する併存症を標的とする自閉症スペクトラム障害(ASD)である。
【0121】
さらに特に好ましい実施形態では、該急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、社会不安障害(社会恐怖症)及び全般性不安障害から選択される。
医薬組成物及び投与
【0122】
一態様において、本発明は、本明細書で定義された式(I)若しくは(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩と、1つ又は複数の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。例示的な医薬組成物は、以下の実施例セクションに記載されている。
【0123】
さらなる態様では、本発明は、急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害を処置又は予防するための式(I)若しくは(II)の化合物、又は上で定義したそれらの薬学的に許容され得る塩、及び1つ又は複数の薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0124】
式(I)又は(II)の化合物、及びその薬学的に許容され得る塩は、(例えば、医薬製剤の形態で)医薬として使用することができる。医薬製剤は、経口(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセル、溶液、エマルション又は懸濁液の形態)、経鼻(例えば、点鼻薬の形態)、又は直腸(例えば、坐薬の形態)などで、体内に投与することができる。しかしながら、投与は、筋肉内又は静脈内(例えば、注射溶液又は注入溶液の形態)などで非経口的に行うこともできる。
【0125】
式(I)又は(II)の化合物、及びその薬学的に許容され得る塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、及び硬質ゼラチンカプセルの製造のための薬学的に不活性な無機又は有機賦形剤で処理することができる。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等は、例えば、錠剤、糖衣錠、及び硬質ゼラチンカプセルの賦形剤として使用することができる。
軟質ゼラチンカプセルに適した賦形剤は、例として、植物油、ワックス、油脂、半固形物及び液体ポリオール等である
【0126】
溶液及びシロップの製造に適した賦形剤は、例として、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコースなどである。
【0127】
注射溶液のための適切な賦形剤は、例としては、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。
【0128】
坐薬のための適切な賦形剤は、例として、天然又は硬化した油、ワックス、油脂、半固体又は液体ポリオールなどである。
【0129】
さらに、医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、粘度増加物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、又は酸化防止剤を含有することができる。本発明の医薬製剤は更に、他の治療上価値のある物質を含有することができる。
【0130】
投薬量は広範に変化させることができ、当然、各特定の場合における個々の要件に適合させる。一般に、経口投与の場合、約0.1mg~20mg/kg体重、好ましくは約0.5mg~4mg/kg体重(例えば、約300mg/人)の毎日の投薬量を、好ましくは1~3の個々の投与量に分けて、例えば同じ量で構成し得るのが適切であろう。しかしながら、それが示されている場合、本明細書で与えられた上限を超えることができることは明らかである。
【実施例】
【0131】
本発明は、以下の実施例を参照することによってより充分に理解される。しかしながら、特許請求の範囲は、本実施例の範囲に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0132】
調製例がエナンチオマーの混合物として得られる場合、純粋なエナンチオマーは、本明細書に記載の方法によって、又は当業者に公知の方法、例えばキラルクロマトグラフィー(例えば、キラルSFC)若しくは結晶化などによって、分離することができる。
【0133】
特に記載のない限り、全ての反応例及び中間体は、アルゴン雰囲気下で調製した。
【0134】
構成要素の合成
構成要素は、以下の合成手順に従って製造することができる。
【0135】
構成要素A
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化43】
【0136】
a)5-クロロ-2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン
2-アミノ-6-クロロ安息香酸(15.0g、87.4mmol)の無水酢酸(200mL)溶液を140℃で2時間撹拌した。反応溶液を真空中で濃縮した。残渣をアセトニトリルに懸濁し、固体をフィルタにかけ、濾過ケークを真空中で乾燥させると、表題化合物(11.3g、66%)が白色固体として得られた。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 2.47(3H,s)7.47(1H,dd,J=8.1,0.9Hz)7.53(1H,dd,J=7.9,1.0Hz)7.67(1H,dd,J=8.1,8.0Hz).
【0137】
b)N-[3-クロロ-2-(2-フルオロ-5-メトキシ-ベンゾイル)フェニル]アセトアミド
2-ブロモ-1-フルオロ-4-メトキシベンゼン(5.45g、26.6mmol)のTHF(200mL)中の溶液に、n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5m、12.8mL、31.9mmol)を-78℃で添加した。1時間撹拌した後、5-クロロ-2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン(5.20g、26.6mmol)を混合物に添加し、撹拌を-78℃でさらに1時間続けた。混合物を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Phenomenex luna C18、10μm、250×50mm、水中0.05% HCl/アセトニトリル)によって精製して、表題化合物(3.63g、42%)を淡黄色固体として得た。MS:322.1([{35Cl}M+H]+),324.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0138】
c)(2-アミノ-6-クロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン
エタノール(50mL)中のN-[3-クロロ-2-(2-フルオロ-5-メトキシ-ベンゾイル)フェニル]アセトアミド(4.00g、12.4mmol)の溶液にHCl水溶液(37%、53.3mL、640mmol)を添加した。混合物を100℃で2時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。残渣をDCMに溶解し、飽和NaHCO3水溶液及び水で連続的に洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮すると、表題化合物(2.87g、83%)が灰白色固体として得られた。MS:280.0([{35Cl}M+H]+),282.0([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0139】
d)(6-アミノ-2,3-ジクロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン
(2-アミノ-6-クロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン(1.00g、3.58mmol)及びN-クロロスクシンイミド(430mg、3.22mmol)のDMF(20mL)中溶液を0℃で2時間撹拌した。混合物を水でクエンチし、DCMで抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Phenomenex Synergi C18、10μm、150×25mm、水中0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル)によって精製して、表題化合物(367mg、33%)を淡黄色固体として得た。MS:313.9([{35Cl,35Cl}M+H]+),315.9([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0140】
e)6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
グリシンエチルエステル塩酸塩(2.89g、20.7mmol)及び(6-アミノ-2,3-ジクロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン(650mg、2.07mmol)のピリジン(30mL)中溶液を100℃で16時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Phenomenex Synergi C18、10μm、150×25mm、水中0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル)によって精製して、表題化合物(280mg、38%)を黄色固体として得た。MS:353.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),355.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0141】
構成要素B
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化44】
【0142】
a)(6-アミノ-3-ブロモ-2-クロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン
構成要素Adの実験と同様に、N-クロロスクシンイミドの代わりにN-ブロモスクシンイミドを使用して(2-アミノ-6-クロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン(構成要素Ac)を表題化合物(1.63g、64%)に変換すると、淡黄色固体として得られた。MS:357.9([{79Br,35Cl}M+H]+),359.9([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0143】
b)7-ブロモ-6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
構成要素Aeの実験と同様に、(6-アミノ-3-ブロモ-2-クロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノンを淡黄色固体(860mg、38%)として表題化合物(1.63g、64%)に変換すると、淡黄色固体として得られた。MS:396.9([{79Br,35Cl}M+H]+),398.9([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0144】
c)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
7-ブロモ-6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(600mg、1.51mmol)、メチルボロン酸(117mg、1.96mmol)、リン酸カリウム(641mg、3.02mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1.10g、1.51mmol)のDMF(12mL)中溶液を、窒素下にて80℃で6時間撹拌した。反応物をメタノールで希釈し、Celiteプラグを通してフィルタにかけ、濾液を真空中で濃縮した。残渣を水で処理し、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Phenomenex Synergi C18、10μm、150×25mm、水中0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル)によって精製して、表題化合物(230mg、45%)を淡褐色固体として得た。MS:333.1([{79Br,35Cl}M+H]+),335.1([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0145】
構成要素C
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化45】
【0146】
a)tert-ブチルN-[2-[3,4-ジクロロ-2-(2-フルオロ-5-メトキシ-ベンゾイル)アニリノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート
ピリジン(50mL)中の(6-アミノ-2,3-ジクロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン(構成要素A d、2.00g、6.37mmol)の溶液にBoc-DL-Ala-OH(1.81g、9.55mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、次いで、三塩化ホスホリル(1.56g、10.2mmol)を添加し、混合物を0℃で1時間撹拌した。混合物を飽和NaHCO3水溶液の添加によってクエンチし、DCMで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル/酢酸エチル10:1~1:1)によって精製すると、表題化合物(2.5g、81%)が黄色油状物として得られた。MS:385.1([{35Cl,35Cl}M+H-Boc]+),387.1([{35Cl,37Cl}M+H-Boc]+),ESI pos.
【0147】
b)2-アミノ-N-[3,4-ジクロロ-2-(2-フルオロ-5-メトキシ-ベンゾイル)フェニル]プロパンアミド
酢酸エチル(10mL)中のtert-ブチルN-[2-[3,4-ジクロロ-2-(2-フルオロ-5-メトキシ-ベンゾイル)アニリノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート(2.00g、4.12mmol)の溶液にHCl(酢酸エチル中4m、10mL、40mmol)を添加した。混合物を0℃で3時間撹拌した。水を添加し、固体NaHCO3を徐々に添加することによってpHを9に調整し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、真空中で濃縮して、表題化合物(1.5g、94%)を黄色油状物として得た。MS:385.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),387.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0148】
c)6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【0149】
2-アミノ-N-[3,4-ジクロロ-2-(2-フルオロ-5-メトキシ-ベンゾイル)フェニル]プロパンアミド(1.67g、4.34mmol)のトルエン(100mL)中溶液に、シリカゲル(8.00g、133mmol)を添加し、混合物を90℃で15時間撹拌した。混合物を冷却し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル/酢酸エチル10:1~0:1)によって精製すると(別のバッチと共に、0.52mmolスケール)、表題化合物(1.5g、84%)が黄色固体として得られた。MS:367.1 1([{35Cl,35Cl}M+H]+),369.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0150】
構成要素D
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化46】
【0151】
a)(6-アミノ-2-クロロ-3-ヨード-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン
構成要素A dの実験と同様に、N-クロロスクシンイミドの代わりにN-ヨードスクシンイミドを使用して(2-アミノ-6-クロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン(構成要素A c)を表題化合物(1.20g、59%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:405.9([{35Cl}M+H]+),407.9([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0152】
b)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-ヨード-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
構成要素A eの実験と同様に、(6-アミノ-2-クロロ-3-ヨード-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノンを表題化合物(2.78g、40%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:445.1([{35Cl}M+H]+),447.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
c)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【0153】
HMPA(10.0mL、1.98mmol)を含有するDMF(20mL)中の、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-ヨード-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(1.00g、1.98mmol、純度88%)、メチル2,2-ジフルオロ-2-(フルオロスルホニル)アセテート(1.14g、5.95mmol)及びヨウ化銅(756mg、3.97mmol)の混合物を、窒素下にて70℃で16時間撹拌した。混合物を冷却し、水/酢酸エチル1:1に注いだ。懸濁液をフィルタにかけ、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル中0~50%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(450mg、59%)が褐色油状物として得られた。MS:387.0([{35Cl}M+H]+),389.0([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0154】
構成要素E
6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化47】
【0155】
a)tert-ブチルN-[3,4-ジクロロ-2-[(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-ヒドロキシ-メチル]フェニル]カルバメート
tert-ブチルリチウム(THF中1m、18.0mL、18mmol)の溶液を、THF(100mL)中のtert-ブチルN-(3,4-ジクロロフェニル)カルバメート(4.00g、15.3mmol)の溶液に-78℃で滴下した。0.5時間撹拌した後、2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-ベンズアルデヒド(3.15g、18.3mmol)を-78℃で混合物に添加し、撹拌をさらに0.5時間続けた。混合物を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、室温に加温し、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣を石油エーテル/DCM 50:1に懸濁し、固体をフィルタにかけ、真空中で乾燥させると、表題化合物(2.10g、32%)が白色固体として得られた。MS:456.0([{35Cl,35Cl}M+Na]+),458.0([{35Cl,37Cl}M+Na]+),ESI pos.
b)tert-ブチルN-[3,4-ジクロロ-2-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-ベンゾイル)フェニル]カルバメート
【0156】
臭化カリウム(80mg、0.67mmol)、NaHCO3(145mg、1.73mmol)、TEMPO(73mg、0.47mmol)、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.4m、13mL、5.2mmol)のDCM(130mL)及び水(65mL)中溶液に、tert-ブチルN-[3,4-ジクロロ-2-[(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-ヒドロキシ-メチル]フェニル]カルバメート(1.80g、4.14mmol)を添加し、反応混合物を25℃で16時間撹拌した。反応物をDCMで希釈し、有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮すると、表題化合物(1.50g、84%)が淡黄色油状物として得られた。MS:331.9([{35Cl,35Cl}M+H-Boc]+),333.9([{35Cl,37Cl}M+H-Boc]+),ESI pos.
【0157】
c)(6-アミノ-2,3-ジクロロ-フェニル)-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)メタノン塩酸塩
酢酸エチル(20mL)中のtert-ブチルN-[3,4-ジクロロ-2-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-ベンゾイル)フェニル]カルバメート(1.50g、3.47mmol)の溶液にHCl(酢酸エチル中4m、7.5mL、30mmol)を添加した。混合物を20℃で3時間撹拌した。沈殿した固体をフィルタにかけ、高真空中で乾燥させると、表題化合物(1.40g、定量的)が淡黄色油状物として得られた。MS:331.9([{35Cl,35Cl}M+H]+),333.9([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.この粗材料を、さらなる精製を行わずに次の工程でそのまま使用した。
【0158】
d)6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
構成要素A eの実験と同様に、(6-アミノ-2,3-ジクロロ-フェニル)-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)メタノン塩酸塩を表題化合物(500mg、37%)に変換すると、赤色固体として得られた。MS:371.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),373.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0159】
構成要素F
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化48】
【0160】
a)tert-ブチルN-[2-[3-クロロ-2-(2-フルオロ-5-メトキシ-ベンゾイル)-4-ヨード-アニリノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート
構成要素Caの実験と同様に、(6-アミノ-2-クロロ-3-ヨード-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン(構成要素Da、1.00g、2.47mmol)を表題化合物(980mg、69%)に変換すると、淡黄色油状物として得られた。MS:599.0([{35Cl}M+Na]+),601.0([{37Cl}M+Na]+),ESI pos.
【0161】
b)2-アミノ-N-[3-クロロ-2-(2-フルオロ-5-メトキシ-ベンゾイル)-4-ヨード-フェニル]プロパンアミド
構成要素C bの実験と同様に、tert-ブチルN-[2-[3-クロロ-2-(2-フルオロ-5-メトキシ-ベンゾイル)-4-ヨード-アニリノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート(860mg、1.49mmol)を表題化合物(580mg、82%)に変換すると、淡黄色油状物として得られた。MS:476.9([{35Cl}M+H]+),478.9([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
c)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-ヨード-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
構成要素C cの実験と同様に、2-アミノ-N-[3-クロロ-2-(2-フルオロ-5-メトキシ-ベンゾイル)-4-ヨード-フェニル]プロパンアミド(650mg、1.36mmol)を表題化合物(500mg、80%)に変換すると、淡黄色油状物として得られた。MS:458.9([{35Cl}M+H]+),460.9([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0162】
d)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
構成要素D cの実験と同様に、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-ヨード-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(500mg、1.09mmol)を表題化合物(275mg、63%)に変換し、これを淡黄色油状物として得た。MS:458.9([{35Cl}M+H]+),460.9([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0163】
構成要素G
6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化49】
【0164】
a)tert-ブチルN-[2-[3,4-ジクロロ-2-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-ベンゾイル)アニリノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート
【0165】
構成要素Caの実験と同様に、(6-アミノ-2,3-ジクロロ-フェニル)-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)メタノン(構成要素E c、4.1g、12mmol)を表題化合物(4.5g、72%)に変換すると、褐色油状物として得られた。MS:403.0([{35Cl,35Cl}M+H-Boc]+),405.0([{35Cl,37Cl}M+H-Boc]+),ESI pos.この粗材料を、さらなる精製を行わずに次の工程でそのまま使用した。
【0166】
b)2-アミノ-N-[3,4-ジクロロ-2-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-ベンゾイル)フェニル]プロパンアミド
構成要素Cbの実験と同様に、tert-ブチルN-[2-[3,4-ジクロロ-2-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-ベンゾイル)アニリノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメートを表題化合物(3.2g、89%)に変換すると、褐色油状物として得られた。MS:403.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),405.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.この粗材料を、さらなる精製を行わずに次の工程でそのまま使用した。
【0167】
c)6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
構成要素C cの実験と同様に、2-アミノ-N-[3,4-ジクロロ-2-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-ベンゾイル)フェニル]プロパンアミドを表題化合物(500mg、33%)に変換すると、淡黄色油状物として得られた。MS:385.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),387.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0168】
構成要素H
(3S)-6-クロロ-5-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化50】
【0169】
a)[6-ブロモ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)メタノール
N,N-ジイソプロピルアミン(294mg、0.414mL、2.91mmol)の無水テトラヒドロフラン(8mL)中溶液に、-20℃でn-BuLi(ヘキサン中1.6m、1.68mL、2.68mmol)を滴下した。-20℃で15分間撹拌した後、LDA溶液を-60℃に冷却した。4-ブロモ-2-クロロ-1-(トリフルオロメチル)ベンゼン(580mg、2.24mmol)の無水テトラヒドロフラン(2mL)中溶液を滴下した。混合物を-60℃で45分間撹拌し、次いで、3-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルバルデヒド(486mg、3.13mmol)を一度に添加した。反応混合物を撹拌下で0℃に加温した。反応混合物をNH4Cl水溶液でクエンチし、酢酸エチル(2×60mL)で抽出した。有機層を水(60mL)及びブライン(60mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~30%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(880mg、95%)が白色固体として得られた。MS:414.0([{79Br,35Cl}M+H]+),416.0([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0170】
b)[6-ブロモ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)メタノン
[6-ブロモ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)メタノール(878mg、2.12mmol)のジクロロメタン(5mL)中溶液に、23℃で二酸化マンガン(3.68g、42.4mmol)を添加した。反応混合物を23℃で60時間撹拌した。懸濁液を濾別した。濾液を真空中で濃縮して、表題化合物(855mg、97 %)を白色固体として得た。MS:412.0([{79Br,35Cl}M+H]+),414.0([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0171】
c)tert-ブチルN-[3-クロロ-2-(3-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル)-4-(トリフルオロメチル)フェニル]カルバメート
密閉チューブ内に、[6-ブロモ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)メタノン(79mg、0.191mmol)、tert-ブチルカルバメート(38.1mg、0.326mmol)及びリン酸三カリウム(73mg、0.345mmol)及びトルエン(2mL)を添加し、アルゴンをバブリングすることによって懸濁液を15分間脱気した。次いで、rac-BINAP-Pd-G4(57.8mg、0.057mmol)を添加し、バブリングを5分間続けた:チューブを密閉し、反応混合物を100℃で16時間撹拌した。反応物を水(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×40mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~30%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(49mg、57%)が白色泡状物として得られた。MS:447.1([{35Cl}M+H]+),449.1([{37Cl}M+H]+),ESI neg.
【0172】
d)[6-アミノ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)メタノン
tert-ブチルN-[3-クロロ-2-(3-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル)-4-(トリフルオロメチル)フェニル]カルバメート(57mg、0.127mmol)のジクロロメタン(20mL)中溶液に0℃でトリフルオロ酢酸(290mg、0.200mL、2.54mmol)を添加した。淡褐色反応混合物を23℃で16時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン(20mL)に溶解し、飽和NaHCO3水溶液(20mL)を添加した。水層をジクロロメタン(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を水(20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮して、表題化合物(43mg、89%)を黄色油状物として得た。MS:349.0([{35Cl}M+H]+),351.0([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0173】
e)tert-ブチルN-[(1S)-2-[3-クロロ-2-(3-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル)-4-(トリフルオロメチル)アニリノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート
構成要素C aの実験と同様に、[6-アミノ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)メタノンを表題化合物(185mg、67%)に変換すると、白色泡状物として得られた。MS:518.2([{35Cl}M+H]+),520.2([{37Cl}M+H]+),ESI neg.
f)(2S)-2-アミノ-N-[3-クロロ-2-(3-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル)-4-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド
【0174】
構成要素Hdの実験と同様に、tert-ブチルN-[(1S)-2-[3-クロロ-2-(3-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル)-4-(トリフルオロメチル)アニリノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメートを表題化合物(153mg、100%)に変換すると、無色油状物として得られた。MS:420.1([{35Cl}M+H]+),422.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
g)(3S)-6-クロロ-5-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【0175】
構成要素Ccの実験と同様に、(2S)-2-アミノ-N-[3-クロロ-2-(3-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル)-4-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを表題化合物(141mg、96%)に変換すると、白色固体として得られた。MS:402.1([{35Cl}M+H]+),404.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0176】
構成要素I
(3S)-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化51】
【0177】
a)[6-ブロモ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)メタノール
構成要素Haの実験と同様に、3-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルボアルデヒドの代わりに3-クロロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルボアルデヒドを使用して、4-ブロモ-2-クロロ-1-(トリフルオロメチル)ベンゼンを表題化合物(13.48g、81%)に変換すると、白色固体として得られた。MS:430.0([{79Br,35Cl}M+H]+),432.0([{81Br,35Cl又は79Br,37Cl}M+H]+),434.0([{81Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
b)[6-ブロモ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)メタノン
【0178】
構成要素Hbの実験と同様に、[6-ブロモ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)メタノールを表題化合物(13.54g、100%)に変換し、無色油状物として得られた。MS:428.0([{79Br,35Cl}M+H]+),430.0([{81Br,35Cl又は79Br,37Cl}M+H]+),432.0([{81Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
c)tert-ブチルN-[(1S)-2-[3-クロロ-2-(3-クロロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル)-4-(トリフルオロメチル)アニリノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート
【0179】
構成要素Hcの実験と同様に、tert-ブチルカルバメートの代わりにtert-ブチルN-[(1S)-2-アミノ-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメートを使用して、[6-ブロモ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)メタノンを表題化合物(570mg、75%)に変換すると、淡黄色泡状物として得られた。MS:536.3([{35Cl,35Cl}M+H]+),538.2([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
d)(2S)-2-アミノ-N-[3-クロロ-2-(3-クロロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル)-4-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド
【0180】
構成要素Hdの実験と同様に、tert-ブチルN-[(1S)-2-[3-クロロ-2-(3-クロロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル)-4-(トリフルオロメチル)アニリノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメートを表題化合物(1.3g、99%)に変換すると、淡黄色油状物として得られた。MS:436.2([{35Cl,35Cl}M+H]+),438.2([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0181】
e)(3S)-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
構成要素Ccの実験と同様に、(2S)-2-アミノ-N-[3-クロロ-2-(3-クロロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル)-4-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを表題化合物(1.13g、90%)に変換すると、淡黄色泡状物として得られた。MS:418.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),420.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0182】
構成要素J
(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化52】
【0183】
a)6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-ピリジン-2-カルバルデヒド
-25℃~-30℃に冷却した2-ベンゾキシ-5-フルオロ-ピリジン(CAS 1305322-95-5、2g、9.35mmol)の無水テトラヒドロフラン(38mL)中混合物に、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルマグネシウムクロリド塩化リチウム錯体(THF/トルエン中1m、11.52g、12mL、12mmol)を滴下した。混合物を-25℃~-30℃で0.5時間、次いで0℃で0.5時間及び室温で0.5時間撹拌した。反応混合物を-25℃~-30℃に冷却し、N,N-ジメチルホルムアミド(2.83g、3mL、38.74mmol)を滴加した。混合物を-25℃~30℃で45分間及び室温で0.5時間撹拌し、次いで、氷浴で加温し、水(340uL、18.87mmol)、引き続いて酢酸(540uL、9.43mmol)の添加によってクエンチした。反応混合物を硫酸ナトリウムのパッドでフィルタにかけ、酢酸エチルですすいだ。濾液をISOLUTE HM-Nに吸着させ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中0~5%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(1.21g、53%)が淡黄色固体として得られた。MS:232.1([M+H]+),ESI pos.
【0184】
b)(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-[6-ブロモ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]メタノール
構成要素Haの実験と同様に、3-フルオロ-6-メトキシ-ピリジン-2-カルボアルデヒドの代わりに6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-ピリジン-2-カルボアルデヒドを使用して、4-ブロモ-2-クロロ-1-(トリフルオロメチル)ベンゼンを表題化合物(6.8g、78%)に変換すると、淡黄色固体として得られた。MS:490.0([{79Br,35Cl}M+H]+),492.0([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0185】
c)(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-[6-ブロモ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]メタノン
構成要素Hbの実験と同様に、(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-[6-ブロモ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]メタノールを表題化合物(6.44g、93%)に変換すると、淡黄色固体として得られた。MS:488.0([{79Br,35Cl}M+H]+),490.0([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0186】
d)tert-ブチルN-[(1S)-2-[2-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-ピリジン-2-カルボニル)-3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)アニリノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート
構成要素Hcの実験と同様に、tert-ブチルカルバメートの代わりにtert-ブチルN-[(1S)-2-アミノ-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメートを使用して、(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-[6-ブロモ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニルメタノンを表題化合物(3.09g、85%)に変換すると、淡褐色泡状物として得られた。MS:594.3([{35Cl}M-H]+),596.2([{37Cl} M-H]+),ESI neg.
e)(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【0187】
tert-ブチルN-[(1S)-2-[2-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-ピリジン-2-カルボニル)-3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)アニリノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート(4.5g、6.8mmol)のトルエン(100mL)中溶液に、室温シリカゲル(40~200メッシュ、26.95g、448mmol)、4Aモレキュラーシーブ(3g)及びトリフルオロ酢酸(1.55g、1.05mL、13.59mmol)を添加した。混合物を110℃で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、フィルタにかけ、酢酸エチル及びメタノールで洗浄した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~20%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(3.3g、97%)が淡黄色固体として得られた。MS:478.2([{35Cl}M+H]+),480.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0188】
11C放射性標識前駆体1
5-[5-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-フルオロ-フェニル]-6,7-ジクロロ-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化53】
【0189】
a)tert-ブチルN-[3,4-ジクロロ-2-[(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-ヒドロキシ-メチル]フェニル]カルバメート
tert-ブチルN-(3,4-ジクロロフェニル)カルバメート(5.82g、22.2mmol)のTHF(64mL)中溶液に、-90℃でtert-ブチルリチウム、ペンタン中1.7m(28.7ml、48.8mmol)をドライアイス冷却滴下漏斗から滴下し、得られた混合物を-85℃でさらに0.5時間撹拌した。次いで、-85~-90℃でドライアイス冷却滴下漏斗からTHF(16ml)中の2-フルオロ-5-メトキシベンズアルデヒド(3.76g、24.4mmol)の溶液を滴下した。-90~-85℃でさらに0.5時間撹拌した後、混合物を-65℃まで加温し、次いで、飽和NH4Cl水溶液の滴下によってクエンチした。混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をDCMに懸濁し、固体をフィルタにかけ、高真空中で乾燥させると、表題化合物(4.29g、46%)が白色固体として得られた。MS:414.2([{35Cl,35Cl}M-H]-),416.2([{35Cl,37Cl}M-H]-),ESI neg.
【0190】
b)(6-アミノ-2,3-ジクロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン
DCM(200mL)中のtert-ブチルN-[3,4-ジクロロ-2-[(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-ヒドロ-キシメチル]フェニル]カルバメート(8.60g、20.8mmol)の溶液に22℃でトリフルオロ酢酸(47.3g、415mmol)を加え、混合物を22℃で2時間撹拌した。溶液を真空中で濃縮した。残渣(別のバッチ-17.9mmol-規模と合わせた)を飽和NaHCO3水溶液で処理し、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮すると、表題化合物(11.0g、90%)が黄色固体として得られた。MS:314.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),316.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0191】
c)6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
(6-アミノ-2,3-ジクロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン(8.35g、26.6mmol)のピリジン(165mL)中溶液を90℃に加熱し、次いで、エチルグリシネート塩酸塩(26.0g、186mmol)を一度に添加し、得られた混合物を110℃で4時間撹拌した。混合物を90℃に冷却し、次いで、さらにエチルグリシネート塩酸塩(14.8g、106mmol)を添加し、110℃での撹拌を16時間続けた。混合物を室温に冷却し、真空中で濃縮した。残渣を飽和NaHCO3水溶液で処理し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中10~100%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(5.47g、58%)が黄色固体として得られた。MS:353.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),355.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0192】
d)6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(500mg、1.42mmol)のDCM(15mL)中の淡黄色溶液に、-65℃で三臭化ホウ素(1.77g、7.08mmol)を滴下した。混合物を-20℃まで温め、0.5時間撹拌した。混合物を半飽和NaHCO3でクエンチし、DCMで抽出した。有機層を半飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。水層を再び酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。両方の残渣を合わせ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中10~100%酢酸エチル)によって精製した後、MTBE/ヘプタンから結晶化させて、表題化合物(220mg、46%)を淡黄色固体として得た。MS:339.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),341.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
e)5-[5-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-フルオロ-フェニル]-6,7-ジクロロ-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【0193】
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(175mg、0.516mmol)のDMF(1.75mL)中溶液に、22℃でイミダゾール(77.3mg、1.14mmol)を添加し、続いてtert-ブチルジメチルクロロシラン(85.5mg、0.568mmol)を添加し、得られた混合物を22℃で0.5時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮した。残渣をNaOH水溶液(0.1m)で処理し、酢酸エチルで抽出した。有機層をNaOH水溶液(0.1m)及びブラインで連続的に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~30%酢酸エチル)によって精製した後、酢酸エチル/ヘプタンから結晶化すると、表題化合物(122mg、52%)が白色固体として得られた。MS:453.2([{35Cl,35Cl}M+H]+),455.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0194】
11C放射性標識前駆体2
5-[5-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-フルオロ-フェニル]-6-クロロ-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化54】
【0195】
a)5-クロロ-2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン
構成要素Aaの実験と同様に、2-アミノ-6-クロロ-安息香酸を表題化合物(23.8g、70%)に変換すると、褐色固体として得られた。1H NMR(CDCl3,300MHz)δ ppm:2.45(s,3 H),7.45(dd,J=8.06,1.21Hz,1 H),7.51(dd,J=8.06,1.21Hz,1 H),7.65(dd,J=1.00Hz,1 H).
【0196】
b)N-[3-クロロ-2-(2-フルオロ-5-メトキシ-ベンゾイル)フェニル]アセトアミド
構成要素Abの実験と同様に、5-クロロ-2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オンを表題化合物(8.84g、53%)に変換すると、淡黄色固体として得られた。MS:322.1([{35Cl}M+H]+),324.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0197】
c)(2-アミノ-6-クロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン
構成要素Acの実験と同様に、N-[3-クロロ-2-(2-フルオロ-5-メトキシ-ベンゾイル)フェニル]アセトアミドを表題化合物(17.96g、定量的)に変換すると、褐色油状物として得られた。MS:280.1([{35Cl}M+H]+),282.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0198】
d)(6-アミノ-3-ブロモ-2-クロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン
構成要素Bdの実験と同様に、(2-アミノ-6-クロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノンを表題化合物(15.24g、66%)に変換すると、褐色固体として得られた。MS:358.0([{79Br,35Cl}M+H]+),360.0([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0199】
e)7-ブロモ-6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
構成要素Beの実験と同様に、(6-アミノ-3-ブロモ-2-クロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノンを表題化合物(2.47g、45%)に変換し、緑色固体として得られた。MS:397.0([{79Br,35Cl}M+H]+),399.0([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0200】
f)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
構成要素Bfの実験と同様に、7-ブロモ-6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(3.57g、8.98mmol)を表題化合物(2.40g、80%)に変換すると、淡黄色固体として得られた。MS:333.1([{79Br,35Cl}M+H]+),335.1([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
g)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【0201】
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(500mg、1.50mmol)のDCM(15mL)中溶液に、-65℃で三臭化ホウ素(1.88g、7.51mmol)を添加した。混合物を-60℃で0.5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃に加温し、0.5時間撹拌した。混合物を飽和NaHCO3でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル中10~100%酢酸エチル)によって精製した後、酢酸エチル/ヘプタンから結晶化すると、表題化合物(177mg、37%)が淡黄色固体として得られた。MS:319.1([{79Br,35Cl}M+H]+),321.1([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0202】
h)5-[5-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-フルオロ-フェニル]-6-クロロ-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(184mg、0.577mol)のDMF(1.8mL)中溶液に、22℃でイミダゾール(86.5mg、1.27mmol)を添加し、続いてtert-ブチルジメチルクロロシラン(95.7mg、0.635mmol)を添加し、混合物を22℃で1時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、NaOH水溶液(0.1m)で処理し、酢酸エチルで抽出した。有機層をNaOH水溶液(0.1m)及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル中0~45%酢酸エチル)によって精製した後、酢酸エチル/ヘプタンから結晶化すると、表題化合物(110mg、44%)が白色固体として得られた。MS:433.2([{79Br,35Cl}M+H]+),435.2([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl}M+H]+),ESI pos.
実施例
【0203】
実施例1
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化55】
【0204】
a)6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素A、120mg、0.340mmol)、ヨードメタン(1.00g、7.05mmol)及び炭酸カリウム(70mg、0.51mmol)のDMF(3mL)中溶液を25℃で0.5時間撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Phenomenex Synergi C18、10μm、150×25mm、水中0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル)によって精製して、表題化合物(114mg、91%)を白色固体として得た。MS:367.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),369.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0205】
b)6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(80mg、0.22mmol)の0℃のDCM(9mL)中溶液に、三臭化ホウ素(273mg、1.09mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、室温まで温め、さらに5時間撹拌した。反応物を氷水でクエンチし、DCMで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Phenomenex Synergi C18、10μm、150×25mm、水中0.225%ギ酸/アセトニトリル)によって精製して、表題化合物(59mg、77%)を白色固体として得た。MS:353.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),355.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0206】
実施例2
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1,7-ジメチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化56】
【0207】
a)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,7-ジメチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
実施例1aの実験と同様に、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素B)を表題化合物(76mg、36%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:347.1([{35Cl}M+H]+),349.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0208】
b)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1,7-ジメチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
実施例1bの実験と同様に、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,7-ジメチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オンを表題化合物(72mg、83%)に変換すると、灰白色固体として得られた。MS:333.0([{35Cl}M+H]+),335.0([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0209】
実施例3
3-(7,8-ジクロロ-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル)-4-フルオロ-フェノール
【化57】
【0210】
a)6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素A、500mg、1.42mmol)のDCM(15mL)中溶液に、-65℃で三臭化ホウ素(1.77g、7.08mmol)を滴加し、混合物を-20℃で0.5時間撹拌した。混合物を半飽和NaHCO3でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を半飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル中10~100%酢酸エチル)によって精製した後、MTBE/石油エーテルから結晶化すると、表題化合物(220mg、46%)が淡黄色固体として得られた。MS:339.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),341.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0211】
b)5-[5-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-フルオロ-フェニル]-6,7-ジクロロ-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(300mg、0.885mmol)のDMF(12mL)中溶液に、tert-ブチルジメチルクロロシラン(162mg、1.07mmol)及びイミダゾール(90mg、1.3mmol)を添加した。混合物を25℃で16時間撹拌し、水でクエンチし、DCMで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル中10~50%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(380mg、95%)が淡黄色固体として得られた。MS:453.2([{35Cl,35Cl}M+H]+),455.2([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0212】
c)5-[5-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-フルオロ-フェニル]-6,7-ジクロロ-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
5-[5-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-フルオロ-フェニル]-6,7-ジクロロ-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(380mg、0.838mmol)及びLawesson試薬(407mg、1.01mmol)のトルエン(20mL)中混合物を100℃で5時間撹拌した。反応混合物を冷却し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル中0~33%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(110mg、28%)が白色個体として得られた。MS:469.2([{35Cl,35Cl}M+H]+),471.2([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0213】
d)tert-ブチル-[3-(7,8-ジクロロ-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル)-4-フルオロ-フェノキシ]-ジメチル-シラン
5-[5-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-フルオロ-フェニル]-6,7-ジクロロ-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン(100mg、0.213mmol)及びアセチルヒドラジド(63mg、0.85mmol)の1-ブタノール(10mL)中溶液を115℃で16時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM中0~25%メタノール)によって精製すると、表題化合物(95mg、91%)が淡黄色油状物として得られた。MS:491.2([{35Cl,35Cl}M+H]+),493.2([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0214】
e)3-(7,8-ジクロロ-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル)-4-フルオロ-フェノール
tert-ブチル-[3-(7,8-ジクロロ-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル)-4-フルオロ-フェノキシ]-ジメチル-シラン(95mg、0.19mmol)のDCM(1mL)中溶液に、トリフルオロ酢酸(2.0mL、25.96mmol)を添加し、混合物を50℃で5時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、残渣を分取HPLC(Phenomenex Luna C18、15μm、150×40mm、水中0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル)及びさらに分取TLC(シリカ、DCM/メタノール10:1)によって精製して、表題化合物(35mg、48%)を白色固体として得た。MS:377.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),379.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0215】
実施例4
4-フルオロ-3-[(4S)-7,8-ジクロロ-1,4-ジメチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]フェノール
【化58】
【0216】
a)6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
実施例3cの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素C)を表題化合物(530mg、85%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:383.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),385.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0217】
b)7,8-ジクロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,4-ジメチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン
実施例3dの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオンを表題化合物(200mg、95%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:405.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),407.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
c)4-フルオロ-3-[(4S)-7,8-ジクロロ-1,4-ジメチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]フェノール
【0218】
7,8-ジクロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,4-ジメチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン(190mg、0.470mmol)のDCM(10mL)中混合物に、三臭化ホウ素(143mg、0.570mmol)を添加し、混合物を0℃で3時間撹拌した。反応混合物をメタノールでクエンチし、次いで、水を添加し、生成物をDCMで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Phenomenex Gemini-NX C18、3μm、75×30mm、水中0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル)、引き続いてキラルSFC(Daicel Chiralpak AD、10μm、250×30mm、エタノール中0.1% NH4OH;40%)によって精製すると(別のバッチと組み合わせ、0.02mmol規模)、表題化合物(39mg、20%)が白色固体として得られた。MS:391.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),393.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0219】
実施例5
(5S)-8,9-ジクロロ-7-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-5-メチル-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
【化59】
【0220】
a)6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-アミン
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン(300mg、0.783mmol)及び水酸化アンモニウム水溶液(33%、0.20mL、0.78mmol)のTHF/メタノール5:1(7.2mL)中混合物を50℃で16時間撹拌した。反応混合物を冷却し、真空中で濃縮すると、表題化合物(280mg、98%)が黄色油状物として得られた。この粗材料を、さらなる特性評価を行わずに次の工程でそのまま使用した。
【0221】
b)8,9-ジクロロ-7-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-5-メチル-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
エタノール(6mL)中の6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-アミン(280mg、0.765mmol)及びプロピオル酸エチル(375mg、3.82mmol)の混合物を50℃で16時間撹拌した。反応混合物を冷却し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM/メタノール1:0~10:1)によって精製すると(別のバッチと組み合わせ、0.115mmol規模)、表題化合物(310mg、97%)が淡黄色固体として得られた。MS:418.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),420.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0222】
c)(5S)-8,9-ジクロロ-7-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-5-メチル-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
実施例4cの実験と同様に、8,9-ジクロロ-7-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-5-メチル-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オンを表題化合物(50mg、17%)に変換すると、白色固体として得られた。MS:404.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),406.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0223】
実施例6
8,9-ジクロロ-7-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
【化60】
【0224】
a)6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
実施例3cの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素A)を表題化合物(230mg、定量的)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:369.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),371.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0225】
b)6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-アミン
実施例5aの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオンを表題化合物(260mg、定量的)に変換すると、黄色油状物として得られた。粗生成物を、さらなる特性評価を行わずに次の工程でそのまま使用した。
【0226】
c)8,9-ジクロロ-7-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
実施例5bの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-アミンを表題化合物(180mg、89%)に変換すると、褐色油状物として得られた。MS:404.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),406.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0227】
d)8,9-ジクロロ-7-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
実施例1bの実験と同様に、8,9-ジクロロ-7-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オンを表題化合物(44mg、25%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:390.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),392.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0228】
実施例7
[7,8-ジクロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン
【化61】
【0229】
a)1-アミノ-6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素A、350mg、0.991mmol)のDMF(10mL)中混合物に、炭酸セシウム(327mg、1.00mmol)を添加した。混合物を25℃で0.5時間撹拌し、次いで、O-ジフェニルホスフィニルヒドロキシルアミン(255mg、1.09mmol)を添加した。混合物を25℃でさらに4時間撹拌し、次いで、水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル/酢酸エチル5:1~0:1)によって精製すると、表題化合物(290mg、79%)が黄色油状物として得られた。MS:368.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),370.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0230】
b)エチル7,8-ジクロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキシレート
エタノール(10mL)中の1-アミノ-6,7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(280mg、0.760mmol)及びエチル2-エトキシ-2-イミノ-アセテート(105mg、0.720mmol)の混合物を還流で4時間撹拌し、次いで、100℃まで加温し、さらに4時間撹拌した。混合物を冷却し、次いで、さらにエチル2-エトキシ-2-イミノ-アセテート(105mg、0.720mmol)を添加し、加熱還流を16時間継続した。この手順を3回繰り返して、LCMSによってモニターしたところ半分の変換が得られた。反応混合物を冷却し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル/酢酸エチル5:1~1:1)によって精製すると、表題化合物(160mg、65%)が黄色油状物として得られた。MS:449.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),451.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0231】
c)7,8-ジクロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸
エチル7,8-ジクロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキシレート(160mg、0.494mmol)のエタノール(5mL)中混合物に、NaOH水溶液(1m、1.0mL、1.0mmol)を滴加した。反応混合物を25℃で1時間撹拌した。HCl水溶液(1m)をpH4~5までゆっくり添加した。形成された懸濁液をフィルタにかけた。回収した固体を水で洗浄し、高真空中で乾燥させると、表題化合物(90mg、43%)が白色固体として得られた。MS:421.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),423.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0232】
d)[7,8-ジクロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン
3-メトキシアゼチジン塩酸塩(38mg、0.31mmol)のDMF(5mL)中溶液に、7,8-ジクロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸(88mg、0.21mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.10mL、0.57mmol)及びT3P(酢酸エチル中50%、1.0mL、1.7mmol)を添加した。混合物を25℃で2時間撹拌し、次いで、水に溶解し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣(別のバッチと組み合わせ、5μmolスケール)を分取HPLC(Phenomenex Gemini-NX C18、3μm、75×30mm、水中0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル)によって精製して、表題化合物(35mg、33%)を淡黄色固体として得た。MS:490.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),492.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0233】
e)[7,8-ジクロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン
実施例1bの実験と同様に、[7,8-ジクロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノンを表題化合物(3.4mg、13%)に変換すると、白色固体として得られた。MS:476.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),478.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0234】
実施例8
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化62】
【0235】
a)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
実施例1 aの実験と同様に、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素D)を表題化合物(142mg、86%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:401.2([{35Cl}M+H]+),403.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0236】
b)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
実施例1 bの実験と同様に、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オンを表題化合物(68mg、50%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:387.0([{35Cl}M+H]+),389.0([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0237】
実施例9
3-[7-クロロ-1-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-4-フルオロ-フェノール
【化63】
【0238】
a)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
実施例3cの実験と同様に、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素D)を表題化合物(290mg、62%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:403.0([{35Cl}M+H]+),405.0([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0239】
b)7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン
実施例3dの実験と同様に、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオンを表題化合物(85mg、90%)に変換すると、黄色油状物として得られた。MS:425.1([{35Cl}M+H]+),427.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0240】
c)3-[7-クロロ-1-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-4-フルオロ-フェノール
実施例1bの実験と同様に、7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピンを表題化合物(10mg、12%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:411.1([{35Cl}M+H]+),413.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0241】
実施例10
3-[7-クロロ-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-4-フルオロ-フェノール
【化64】
【0242】
a)7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン
実施例3dの実験と同様に、アセチルヒドラジドの代わりにギ酸ヒドラジドを使用して、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン(実施例9 a)を表題化合物(74mg、81%)に変換すると、黄色油状物として得られた。MS:411.0([{35Cl}M+H]+),413.0([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
b)3-[7-クロロ-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-4-フルオロ-フェノール
実施例1 bの実験と同様に、7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピンを表題化合物(22mg、31%)に変換すると、白色固体として得られた。MS:397.0([{35Cl}M+H]+),399.0([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0243】
実施例11
8-クロロ-7-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-9-(トリフルオロメチル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
【化65】
【0244】
a)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-アミン
実施例5aの実験と同様に、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオンを表題化合物(106mg、定量的)に変換すると、黄色油状物として得られた。この粗生成物を、さらなる特性評価を行わずに次の工程でそのまま使用した。
【0245】
b)8-クロロ-7-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-9-(トリフルオロメチル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
実施例5bの実験と同様に、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-アミンを表題化合物(93mg、86%)に変換すると、褐色油状物として得られた。MS:438.1([{35Cl}M+H]+),440.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0246】
c)8-クロロ-7-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-9-(トリフルオロメチル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
実施例1bの実験と同様に、8-クロロ-7-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-9-(トリフルオロメチル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オンを表題化合物(23mg、26%)に変換すると、白色固体として得られた。MS:424.0([{35Cl}M+H]+),426.0([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0247】
実施例12
6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化66】
【0248】
a)6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
実施例1aの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素E)を表題化合物(50mg、48%)に変換すると、淡黄色油状物として得られた。MS:384.9([{35Cl,35Cl}M+H]+),386.9([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0249】
b)6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
実施例1bの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オンを表題化合物(26mg、54%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:370.9([{35Cl,35Cl}M+H]+),372.9([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0250】
実施例13
3-(7,8-ジクロロ-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル)-2,4-ジフルオロ-フェノール
【化67】
【0251】
a)6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
実施例3cの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素E)を表題化合物(300mg、72%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:387.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),389.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0252】
b)7,8-ジクロロ-6-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン
実施例3dの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオンを表題化合物(77mg、73%)に変換すると、淡黄色固体として得られた。MS:409.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),411.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0253】
c)3-(7,8-ジクロロ-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル)-2,4-ジフルオロ-フェノール
実施例1bの実験と同様に、7,8-ジクロロ-6-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピンを表題化合物(28mg、40%)に変換すると、白色固体として得られた。MS:394.9([{35Cl,35Cl}M+H]+),396.9([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0254】
実施例14
8,9-ジクロロ-7-(2,6-ジフルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
【化68】
【0255】
a)6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-アミン
実施例5aの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオンを表題化合物(210mg、定量的)に変換すると、黄色固体として得られた。この粗材料を、さらなる特性評価を行わずに次の工程でそのまま使用した。
【0256】
c)8,9-ジクロロ-7-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
実施例5bの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-アミンを表題化合物(105mg、48%)に変換すると、淡黄色油状物として得られた。MS:422.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),424.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0257】
d)8,9-ジクロロ-7-(2,6-ジフルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
実施例1bの実験と同様に、8,9-ジクロロ-7-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オンを表題化合物(13mg、13%)に変換すると、白色固体として得られた。MS:408.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),410.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0258】
実施例15
[7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン
【化69】
【0259】
a)メチル7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキシレート
6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素D、100mg、0.259mmol)、ジメチル-p-トルイジン(280mg、2.07mmol)及びオキシ塩化リン(0.04mL、0.4mmol)のDCE(5mL)中溶液を85℃で3時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、飽和NaHCO3水溶液でクエンチし、DCMで抽出した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。一方、イソシアノ酢酸メチル(27mg、0.27mmol)を、カリウムtert-ブトキシド(29mg、0.26mmol)のDMF(3mL)中混合物に-30℃で添加し、5分間撹拌した。次いで、上記の粗イミドイルクロリド-中間体を反応溶液に-30℃で添加し、さらに30分間撹拌した。反応混合物を室温に加温し、酢酸でクエンチした。5分間撹拌した後、混合物を氷水に注ぎ、固体NaHCO3で飽和させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM/メタノール1:0~5:1)、引き続いて分取HPLC(Phenomenex Synergi C18、10μm、150×25mm、水中0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル)によって精製すると、表題化合物(23mg、19%)が淡黄色固体として得られた。MS:468.1([{35Cl}M+H]+),470.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0260】
b)7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸
メチル7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキシレート(23mg、0.050mmol)のDCM(1mL)中溶液に、三臭化ホウ素(15mg、0.060mmol)を添加した。混合物を20℃で40時間撹拌した。追加の三臭化ホウ素(15mg、0.060mmol)を添加し、20℃での撹拌を16時間継続して変換を完了させた。反応混合物を氷水でクエンチし、真空中で濃縮すると、表題化合物(17mg、79%)が黄色固体として得られた。この粗材料を、さらなる特性評価を行わずに次の工程においてそのまま使用した。
【0261】
c)[7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン
3-メトキシアゼチジン塩酸塩(8.5mg、0.070mmol)のDMF(2mL)中溶液に、7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸(15mg、0.034mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.02mL、0.1mmol)及びT3P(酢酸エチル中50%、0.5mL、0.8mmol)を添加した。混合物を25℃で2時間撹拌した。追加の3-メトキシアゼチジン塩酸塩(8.5mg、0.070mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.02mL、0.1mmol)及びT3P(酢酸エチル中50%、0.5mL、0.8mmol)を添加した。反応混合物を25℃でさらに40時間撹拌し、次いで、(別のバッチと共に、5μmolスケール)を水に溶解し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Phenomenex Synergi C18、10μm、150×25mm、水中0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル)、引き続いてSFC(Daicel Chiralpak IC、10μm、250×30mm、メタノール中0.1% NH4OH、40%)によって精製すると、表題化合物(3.1mg、16%)が淡黄色固体として得られた。MS:509.1([{35Cl}M+H]+),511.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0262】
実施例16
[7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン
【化70】
【0263】
a)1-アミノ-6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
実施例7 aの実験と同様に、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素D)を表題化合物(264mg、74%)に変換すると、黄色油状物として得られた。MS:402.2([{35Cl}M+H]+),404.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0264】
b)エチル7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキシレート
実施例7bの実験と同様に、1-アミノ-6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オンを表題化合物(151mg、48%)に変換すると、黄色油状物として得られた。MS:483.1([{35Cl}M+H]+),485.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0265】
c)7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸
実施例15bの実験と同様に、エチル7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキシレート(149mg、0.309mmol)を表題化合物(98mg、72%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:441.0([{35Cl}M+H]+),443.0([{37Cl}M+H]+),ESI pos.この粗物質を精製せずにそのまま次の工程に使用した。
【0266】
b)[7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン
実施例7dの実験と同様に、3-メトキシアゼチジン塩酸塩を使用して、7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸(98mg、0.22mmol)を表題化合物(17.4mg、15%)に変換すると、淡黄色固体として得られた。MS:510.1([{35Cl}M+H]+),512.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0267】
実施例17
4-フルオロ-3-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]フェノール
【化71】
【0268】
a)6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
実施例3 cの実験と同様に、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素F)を表題化合物(170mg、59%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:417.0([{35Cl}M+H]+),419.0([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0269】
b)7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン
実施例3dの実験と同様に、6-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン(160mg、0.384mmol)を表題化合物(125mg、74%)に変換すると、淡黄色固体として得られた。MS:439.0([{35Cl}M+H]+),441.0([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0270】
c)4-フルオロ-3-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]フェノール
実施例4cの実験と同様に、7-クロロ-6-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピンを表題化合物(23mg、24%)に変換すると、白色固体として得られた。MS:425.1([{35Cl}M+H]+),427.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0271】
実施例18
(5S)-8,9-ジクロロ-7-(2,6-ジフルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)-5-メチル-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
【化72】
【0272】
a)6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
実施例3cの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素G)を表題化合物(680mg、定量的)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:400.9([{35Cl,35Cl}M+H]+),402.9([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0273】
b)6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-アミン
実施例5aの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオンを表題化合物(800mg、定量的)に変換すると、黄色油状物として得られた。この粗材料を、さらなる特性評価を行わずに次の工程においてそのまま使用した。
【0274】
c)8,9-ジクロロ-7-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-5-メチル-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
実施例5bの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-アミンを表題化合物(540mg、83%)に変換すると、褐色油状物として得られた。MS:435.9([{35Cl,35Cl}M+H]+),437.9([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0275】
d)(5S)-8,9-ジクロロ-7-(2,6-ジフルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)-5-メチル-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オン
実施例4cの実験と同様に、8,9-ジクロロ-7-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-5-メチル-5H-ピリミド[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-オンを、淡黄色固体として表題化合物(64mg、12%)に変換した。MS:422.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),424.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0276】
実施例19
2,4-ジフルオロ-3-[(4S)-7,8-ジクロロ-1,4-ジメチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]フェノール
【化73】
【0277】
a)7,8-ジクロロ-6-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,4-ジメチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン
実施例3dの実験と同様に、6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオンを表題化合物(220mg、67%)に変換すると、淡黄色固体として得られた。MS:423.0([{35Cl,35Cl}M+H]+),425.0([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0278】
b)2,4-ジフルオロ-3-[(4S)-7,8-ジクロロ-1,4-ジメチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]フェノール
実施例4cの実験と同様に、7,8-ジクロロ-6-(2,6-ジフルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,4-ジメチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピンを、白色固体として表題化合物(39mg、19%)に変換した。MS:408.9([{35Cl,35Cl}M+H]+),410.9([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0279】
実施例20
6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール
【化74】
【0280】
a)(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン
(3S)-6-クロロ-5-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素H、200mg、0.498mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)中溶液に、0℃でNaH(鉱油中60%分散液、39.8mg、0.996mmol)を添加して、淡黄色懸濁液を得た。0℃で10分間撹拌した後、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(253.5mg、0.996mmol)を添加し、反応混合物を0℃で2時間撹拌した。次いで、アセチルヒドラジド(92.2mg、1.24mmol)を添加し、反応混合物を室温で60分間撹拌した。さらなるアセチルヒドラジド(92.2mg、1.24mmol)を添加し、撹拌を50℃でさらに2時間続け、暗橙色の懸濁液を得た。次いで、反応混合物を1,4-ジオキサン(10mL)で希釈し、80℃で16時間撹拌し、次いで、水(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。有機層を水(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~50%酢酸エチル、次いで酢酸エチル中10%メタノール)によって精製すると、表題化合物(80mg、36%)が無色油状物として得られた。MS:440.1([{35Cl}M+H]+),442.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0281】
b)5-フルオロ-6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール
実施例4cの実験と同様に、(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピンをエナンチオピュアな(+)-表題化合物(25mg、59%)に変換すると、灰白色固体として得られた。MS:426.2([{35Cl}M+H]+),428.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0282】
実施例21
[(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)メタノン
【化75】
【0283】
a)(3S)-1-アミノ-6-クロロ-5-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
実施例7aの実験と同様に、(3S)-6-クロロ-5-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素H)を表題化合物(289mg、94%)に変換すると、淡黄色泡状物として得られた。MS:417.2([{35Cl}M+H]+),419.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0284】
b)エチル(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキシレート
実施例7bの実験と同様に、(3S)-1-アミノ-6-クロロ-5-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オンを表題化合物(254mg、74%)に変換すると、淡黄色泡状物として得られた。MS:498.3([{35Cl}M+H]+),500.3([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0285】
c)(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸
実施例7cの実験と同様に、エチル(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキシレートを表題化合物(242mg、95%)に変換すると、白色固体として得られ、これをさらに精製することなく次の工程にそのまま使用した。MS:470.1([{35Cl}M+H]+),472.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0286】
d)[(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)メタノン
実施例7dの実験と同様に、T3Pの代わりに3-フルオロアゼチジン塩酸塩及び1-プロパンホスホン酸無水物(酢酸エチル中50%)を使用して、(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸を表題化合物(193mg、79%)に変換すると、白色泡状物として得られた。MS:527.1([{35Cl}M+H]+),529.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0287】
e)[(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)メタノン
実施例4cの実験と同様に、[(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)メタノンをエナンチオピュアな表題化合物(3mg、38%)に変換すると、無色油状物として得られた。MS:513.3([{35Cl}M+H]+),515.3([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0288】
実施例22
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール
【化76】
【0289】
a)(4S)-7-クロロ-6-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン
実施例20aの実験と同様に、(3S)-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素I)を表題化合物(61mg、36%)に変換すると、淡黄色泡状物として得られた。MS:456.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),458.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0290】
b)5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール
実施例4cの実験と同様に、(4S)-7-クロロ-6-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピンをエナンチオピュアな(+)-表題化合物(18mg、56%)に変換すると、淡黄色泡状物として得られた。MS:442.2([{35Cl}M+H]+),444.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0291】
実施例23
6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール
【化77】
【0292】
a)(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
実施例3cの実験と同様に、(3S)-5-(6-ベンゾキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素J)を表題化合物(478mg、81%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:494.2([{35Cl}M+H]+),496.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0293】
b)(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イミン
実施例5aの実験と同様に、(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオンを表題化合物(165mg、84%)に変換すると、褐色油状物として得られた。MS:477.3([{35Cl}M+H]+),479.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0294】
c)(4S)-6-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン
(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イミン(103mg、0.247mmol)の1-ブタノール(3mL)中溶液に、室温でプロパルギルアミン(108.8mg、0.126mL、1.98mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(9.4mg、0.049mmol)を添加した。反応混合物を密閉チューブ中120℃で4時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。残渣をDCMで希釈し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM中1%メタノール)によって精製すると、表題化合物(137mg、73%)が橙色油状物として得られた。MS:515.3([{35Cl}M+H]+),517.3([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0295】
d)6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール
(4S)-6-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン(137mg、0.253mmol)のジクロロメタン(7ml)中溶液に、25℃でN,N-ジメチルアニリン(612.6mg、0.64mL、5.06mmol)及び塩化アルミニウム(505.6mg、3.79mmol)を一度に滴下した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、セライトパッドを通してフィルタにかけ、MeOH/DCM 1:1で洗浄した。濾液を真空中で濃縮した。残渣を、Dubleccoのリン酸緩衝液とDCMとの間で分割した。水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中0~100%酢酸エチル、次いで酢酸エチル中0~5%メタノール)、次いでキラルSFC(Daicel Chiralcel OJ-H、15%メタノール)によって精製して、エナンチオピュアな(+)-表題化合物(17mg、33%)を淡黄色固体として得た。MS:425.2([{35Cl}M+H]+),427.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0296】
実施例24
6-[(10S)-6-クロロ-10-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1,9,12-トリアザテトラシクロ[9.6.0.02,7.013,17]ヘプタデカ-2(7),3,5,8,11,13(17)-ヘキサエン-8-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール
【化78】
【0297】
a)(1S)-2-[(E/Z)-[(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イリデン]アミノ]シクロペンタノール
(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン(実施例23 a、455mg、0.737mmol)のエタノール(5.4mL)及び水(2.7mL)中混合物に、炭酸ナトリウム(242mg、2.28mmol)、引き続いてトランス-2-アミノシクロペンタノール塩酸塩(305mg、2.22mmol)を添加した。反応混合物を80℃で一晩撹拌し、室温に冷却し、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチル(60mL)と水(10mL)との間で分配した。水層を酢酸エチル(60mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~50%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(300mg、69%)が灰白色泡状物として得られた。MS:561.3([{35Cl}M+H]+),563.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0298】
b)(10S)-8-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-10-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1,9,12-トリアザテトラシクロ[9.6.0.02,7.013,17]ヘプタデカ-2(7),3,5,8,11,13(17)-ヘキサエン
(1S)-2-[(E/Z)-[(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イリデン]アミノ]シクロペンタノール(296mg、0.501mmol)のジクロロメタン(3.6mL)中溶液に、0℃でデス-マーチンペルヨージナン(256mg、0.604mmol)を添加した。反応混合物を0℃で1.5時間撹拌した。別のデス-マーチンペルヨージナン(255mg、0.602mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で2.5時間撹拌し、次いで、飽和NaHCO3水溶液(5mL)及びNa2S2O3水溶液(5mL)でクエンチし、室温で15分間激しく撹拌した。次いで、二相混合物をジクロロメタン(2×60mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をISOLUTE HM-Nに吸着させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中、0~5%メタノール)によって精製すると、表題化合物(134mg、49%)が淡黄色油状物として得られた。MS:541.2([{35Cl}M+H]+),543.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0299】
c)6-[(10S)-6-クロロ-10-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1,9,12-トリアザテトラシクロ[9.6.0.02,7.013,17]ヘプタデカ-2(7),3,5,8,11,13(17)-ヘキサエン-8-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール
実施例23dの実験と同様に、(10S)-8-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-10-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1,9,12-トリアザテトラシクロ[9.6.0.02,7.013,17]ヘプタデカ-2(7),3,5,8,11,13(17)-ヘキサエンをエナンチオピュアな(+)-表題化合物(19mg、46%)に変換すると、褐色泡状物として得られた。MS:451.2([{35Cl}M+H]+),453.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0300】
実施例25
6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール
【化79】
【0301】
a)(3S)-1-アミノ-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
実施例7aの実験と同様に、(3S)-5-(6-ベンゾキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素J)を表題化合物(817mg、85%)に変換すると、黄色泡状物として得られた。MS:493.3([{35Cl}M+H]+),495.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0302】
b)(4S)-6-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン
実施例7bの実験と同様に、エチル2-エトキシ-2-イミノ-アセテートの代わりにエチルアセチミデート塩酸塩を使用して、(3S)-1-アミノ-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オンを表題化合物(617mg、58%)に変換すると、淡黄色のワックス状固体として得られた。MS:516.3([{35Cl}M+H]+),518.3([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0303】
c)6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール
実施例23dの実験と同様に、(4S)-6-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピンをエナンチオピュアな(+)-表題化合物(83mg、42%)に変換すると、淡黄色固体として得られた。MS:426.2([{35Cl}M+H]+),428.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0304】
実施例26
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール
【化80】
【0305】
a)(3S)-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオン
実施例3cの実験と同様に、(3S)-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素I)を表題化合物(531mg、74%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:434.2([{35Cl,35Cl}M+H]+),436.2([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0306】
b)(3S)-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イミン
実施例5aの実験と同様に、(3S)-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-チオンを表題化合物(541mg、94%)に変換すると、黄色泡状物として得られた。MS:417.2([{35Cl,35Cl}M+H]+),419.2([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0307】
c)(4S)-7-クロロ-6-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン
実施例23cの実験と同様に、(3S)-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イミンを表題化合物(389mg、70%)に変換すると、淡黄色泡状物として得られた。MS:455.2([{35Cl,35Cl}M+H]+),457.2([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0308】
d)5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール
実施例23dの実験と同様に、(4S)-7-クロロ-6-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピンをエナンチオピュアな(+)-表題化合物(132mg、44%)に変換すると、淡褐色泡状物として得られた。MS:441.2([{35Cl}M+H]+),443.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0309】
実施例27
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール
【化81】
【0310】
a)2-[(E/Z)-[(3S)-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イリデン]アミノ]プロパン-1-オール
(3S)-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素I、203mg、0.485mmol)のテトラヒドロフラン(9.7mL)中溶液に、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、58.3mg、1.46mmol)を添加した。10℃で10分間撹拌した後、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(247.1mg、0.97mmol)を添加し、反応混合物を0℃で2時間撹拌した。次いで、dl-アラニノール(182mg、0.19mL、2.43mmol)を添加し、反応混合物を23℃で1時間撹拌し、次いで、水及びNH4Cl水溶液(20mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×60mL)で抽出した。合わせた有機層を水(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~50%酢酸エチル、次いで酢酸エチル中0~10%メタノール)によって精製すると、表題化合物(91mg、38%)が淡黄色油状物として得られた。MS:475.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),477.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0311】
b)(4S)-7-クロロ-6-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン
実施例24bの実験と同様に、2-[(E/Z)-[(3S)-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イリデン]アミノ]プロパン-1-オールを表題化合物(77mg、86%)に変換すると、淡黄色油状物として得られた。MS:455.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),457.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0312】
c)5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール
実施例4cの実験と同様に、(4S)-7-クロロ-6-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピンをエナンチオピュアな(-)-表題化合物(13mg、44%)に変換すると、白色固体として得られた。MS:441.2([{35Cl}M+H]+),443.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0313】
実施例28
6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール
【化82】
【0314】
a)2-[(E/Z)-[(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イリデン]アミノ]プロパン-1-オール
実施例27aの実験と同様に、(3S)-5-(6-ベンゾキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素J)を表題化合物(269mg、40%)に変換すると、橙色泡状物として得られた。MS:535.3([{35Cl}M+H]+),537.3([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0315】
b)(4S)-6-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン
実施例24bの実験と同様に、2-[(E/Z)-[(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イリデン]アミノ]プロパン-1-オールを表題化合物(154mg、59%)に変換すると、淡黄色泡状物として得られた。MS:515.4([{35Cl}M+H]+),517.3([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0316】
c)6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]-5-フルオロ-ピリジン-2-オール
実施例4cの実験と同様に、(4S)-6-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピンをエナンチオピュアな(+)-表題化合物(75mg、47%)に変換すると、淡褐色固体として得られた。MS:425.3([{35Cl}M+H]+),427.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0317】
実施例29
5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール
【化83】
【0318】
a)(3S)-1-アミノ-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
実施例7aの実験と同様に、(3S)-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素I)を表題化合物(267mg、91%)に変換すると、白色泡状物として得られた。MS:433.2([{35Cl,35Cl}M+H]+),435.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
b)(4S)-7-クロロ-6-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン
【0319】
実施例7bの実験と同様に、(3S)-1-アミノ-6-クロロ-5-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オンを表題化合物(193mg、67%)に変換すると、白色泡状物として得られた。MS:456.1([{35Cl,35Cl}M+H]+),458.1([{35Cl,37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0320】
c)5-クロロ-6-[(4S)-7-クロロ-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-6-イル]ピリジン-2-オール
実施例23dの実験と同様に、(4S)-7-クロロ-6-(3-クロロ-6-メトキシ-2-ピリジル)-2,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピンをエナンチオピュアな(+)-表題化合物(32mg、44%)に変換すると、淡褐色泡状物として得られた。MS:442.1([{35Cl}M+H]+),444.1([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0321】
実施例30
アゼチジン-1-イル-[(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]メタノン
【化84】
【0322】
a)3-[(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-2-イミノ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-1-イル]-2-オキソプロパン酸
(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イミン(473mg、0.893mmol)、K2CO3(370.2mg、2.68mmol)及びブロモピルビン酸エチル(580.3mg、0.374mL、2.68mmol)の混合物を室温で3日間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮して得た。残渣をエタノール(1mL)中90℃で4時間加熱し、次いで、真空中で濃縮すると、表題化合物(0.8g、78%)が暗褐色粘性油状物として得られた。MS561.2([{35Cl}M-H]+),563.1([{37Cl}M-H]+),ESI neg.
【0323】
b)アゼチジン-1-イル-[(4S)-6-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-7-クロロ-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]メタノン
3-[(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-2-イミノ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-1-イル]-2-オキソプロパン酸(319mg、0.340mmol)、HATU(193.9mg、0.510mmol)、アゼチジン(58.2mg、1.02mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(219.7mg、0.29mL、1.7mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(3.2mL)中混合物を25℃で90分間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~70%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(41mg、21%)が淡黄色粉末として得られた。MS:584.3([{35Cl}M+H]+),586.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0324】
c)アゼチジン-1-イル-[(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]メタノン
アゼチジン-1-イル-[(4S)-6-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-7-クロロ-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-イル]メタノン(41mg、0.070mmol)のアセトニトリル(1.1mL)中混合物に、トリメチルヨードシラン(43.5mg、30uL、0.211mmol)を室温で添加した。混合物を80℃で3時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM中0~10%MeOH)、次いでキラルSFC(Daicel Chiralcel IH、0.2% DEAを含有する15~30%メタノール)によって精製すると、エナンチオピュアな(+)-表題化合物(2mg、12%)が白色粘性油状物として得られた。MS:494.3([{35Cl}M+H]+),496.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0325】
実施例31
(4S)-7-クロロ-N-シクロプロピル-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド
【化85】
【0326】
a)tert-ブチルN-[(1S)-2-(シクロプロピルアミノ)-1-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-エチル]カルバメート
(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-ヒドロキシ-プロパン酸(1.5g、7.31mmol)の無水テトラヒドロフラン(37ml)中溶液に、シクロプロピルアミン(1.28g、1.58mL、21.93mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.83g、3.74mL、21.93mmol)及びT3P(11.63g、10.77mL、18.27mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)を添加し、混合物を5分間撹拌した。水相を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM中0~2%MeOH)によって精製すると、表題化合物(618mg、31%)が白色粉末として得られ、これをさらに特性評価することなく次の工程にそのまま使用した。
【0327】
b)(2S)-2-アミノ-N-シクロプロピル-3-ヒドロキシ-プロパンアミド塩酸塩
tert-ブチルN-[(1S)-2-(シクロプロピルアミノ)-1-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-エチル]カルバメート(618mg、2.28mmol)の酢酸エチル(15mL)中溶液に0℃でHCl(ジオキサン中4m、5.7mL、22.77mmol)を滴加し、混合物を0℃から室温で一晩撹拌した。反応混合物をフィルタにかけ、固体を真空中で乾燥させると、表題化合物(380mg、92%)が白色粉末として得られ、これをさらに精製することなく次の工程にそのまま使用した。1H NMR(D2O,300MHz)δ ppm:0.40-0.56(m,2 H),0.61-0.81(m,2 H),2.51-2.64(m,1 H),3.77-4.00(m,3 H).
【0328】
c)2-[(E/Z)-[(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イリデン]アミノ]-N-シクロプロピル-3-ヒドロキシプロパンアミド
(3S)-5-(6-ベンゾキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素J、120mg、0.251mmol)の無水テトラヒドロフラン(4mL)中溶液に0℃でNaH(鉱油中60%分散液、30.1mg、0.753mmol)を添加した。10℃で10分間撹拌した後、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(127.9mg、0.502mmol)を添加し、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。最後に、(2S)-2-アミノ-N-シクロプロピル-3-ヒドロキシ-プロパンアミド塩酸塩(164.2mg、0.753mmol)及びDIPEA(129.8mg、0.172mL、1.mmol)を添加し、反応混合物を室温で60分間撹拌した。反応混合物を水及び飽和NH4Cl水溶液(10ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×10ml)で抽出した。合わせた有機層を水(10ml)及びブライン(10ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~80%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(48mg、32%)が淡黄色粉末として得られた。MS:604.5([{35Cl}M+H]+),606.4([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0329】
d)(4S)-6-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-7-クロロ-N-シクロプロピル-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド
実施例24bの実験と同様に、2-[(E/Z)-[(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イリデン]アミノ]-N-シクロプロピル-3-ヒドロキシ-プロパンアミドを表題化合物(26mg、45%)に変換すると、淡黄色粉末として得られた。MS:584.4([{35Cl}M+H]+),586.3([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0330】
e)(4S)-7-クロロ-N-シクロプロピル-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド
実施例23dの実験と同様に、(4S)-6-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-7-クロロ-N-シクロプロピル-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミドをエナンチオピュアな(+)-表題化合物(5mg、39%)に変換すると、薄灰色粉末として得られた。MS:494.3([{35Cl}M+H]+),496.2([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0331】
実施例32
(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-N-イソプロピル-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド
【化86】
【0332】
a)tert-ブチルN-[(1S)-1-(ヒドロキシメチル)-2-(イソプロピルアミノ)-2-オキソ-エチル]カルバメート
実施例31aの実験と同様に、シクロプロピルアミンの代わりにイソプロピルアミンを使用して、(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-ヒドロキシ-プロパン酸を表題化合物(139mg、12%)に変換すると、灰白色の粘性油状物として得られ、これをさらに特性評価することなく次の工程でそのまま使用した。
【0333】
b)(2S)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-N-イソプロピル-プロパンアミド塩酸塩
実施例31bの実験と同様に、tert-ブチルN-[(1S)-1-(ヒドロキシメチル)-2-(イソプロピルアミノ)-2-オキソ-エチル]カルバメートを表題化合物(144mg、95%)に変換すると、白色粉末として得られ、これをさらに精製することなく次の工程にそのまま使用した。1H NMR(DMSO-d6,300MHz)δ ppm:1.04-1.14(m,6 H),3.23-3.56(m,2 H),3.64-3.77(m,2 H),3.86(dd,J=13.90,6.65Hz,1 H),5.30-5.70(m,1 H),8.17(br s,2 H),8.37(br d,J=7.05Hz,1 H).
【0334】
c)2-[(E/Z)-[(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イリデン]アミノ]-3-ヒドロキシ-N-イソプロピル-プロパンアミド
実施例31cの実験と同様に、(2S)-2-アミノ-N-シクロプロピル-3-ヒドロキシ-プロパンアミド塩酸塩の代わりに(2S)-2-アミノ-3-ヒドロキシ-N-イソプロピル-プロパンアミド塩酸塩を使用して、(3S)-5-(6-ベンゾキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素J)を表題化合物(88mg、42%)に変換すると、橙色粘性油状物として得られた。MS:606.4([{35Cl}M+H]+),608.4([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0335】
d)(4S)-6-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-7-クロロ-N-イソプロピル-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド
実施例24bの実験と同様に、2-[(E/Z)-[(3S)-5-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-6-クロロ-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イリデン]アミノ]-3-ヒドロキシ-N-イソプロピル-プロパンアミドを表題化合物(42mg、55%)に変換すると、淡黄色粉末として得られた。MS:586.4([{35Cl}M+H]+),588.3([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0336】
e)(4S)-7-クロロ-6-(3-フルオロ-6-ヒドロキシ-2-ピリジル)-N-イソプロピル-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド
実施例23dの実験と同様に、(4S)-6-(6-ベンジルオキシ-3-フルオロ-2-ピリジル)-7-クロロ-N-イソプロピル-4-メチル-8-(トリフルオロメチル)-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミドをエナンチオピュアな(+)-表題化合物(9mg、36%)に変換すると、薄桃色粉末として得られた。MS:496.3([{35Cl}M+H]+),498.3([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0337】
参照化合物RE-A
7-クロロ-5-(2-クロロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化87】
【0338】
a)6-クロロ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-3,1-ベンゾオキサジン-2,4-ジオン
6-クロロ-1H-3,1-ベンゾオキサジン-2,4-ジオン(1.00g、5.06mmol)のテトラヒドロフラン(15mL)中混合物に、1-(クロロメチル)-4-メトキシ-ベンゼン(832mg、0.746mL、5.31mmol)及びヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(935mg、2.53mmol)を添加した。混合物を室温で5分間撹拌した後、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、223mg、5.57mmol)を添加した。反応混合物を19時間撹拌し、次いで、酢酸(1.05g、1mL、17.5mmol)の滴加によってクエンチした。反応混合物を30分間撹拌し、Dicalite(登録商標)でフィルタにかけ、テトラヒドロフランで洗浄し、濾液を真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~40%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(1.28g、80%)が淡黄色固体として得られた。1H NMR(CDCl3,300MHz)δ ppm:3.79(3H,s,OCH3),5.23(2H,s,ArCH2N),6.86-6.91(2H,m,ArH),7.11(1H,d,J=8.87Hz,ArH),7.20-7.25(2H,m,ArH),7.57(1H,dd,J=8.87,2.62Hz,ArH),8.11(1H,d,J=2.62Hz,ArH).
【0339】
b)7-クロロ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-3,4-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2,5-ジオン
6-クロロ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-3,1-ベンゾオキサジン-2,4-ジオン(4.80g、15.1mmol)とグリシン(1.36g、18.1mmol)の混合物に酢酸(50mL)を加えた。反応混合物を130℃で43時間撹拌し、放冷し、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン(50mL)と水(40mL)に分配した。水層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で約pH8に緩衝した。相を分離し、水層をジクロロメタン(2×75mL)及び酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を別々にブライン(2×100mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、合わせ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~70%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(3.59g、72%)が白色固体として得られた。MS:331.1[{35Cl}M+H]+,333.1[{37Cl}M+H]+,ESI pos.
【0340】
c)5,7-ジクロロ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
7-クロロ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-3,4-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2,5-ジオン(211mg、0.638mmol)のトルエン(3mL)中溶液に、N,N-ジメチルアニリン(155mg、0.162mL、1.28mmol)及び三塩化ホスホリル(127mg、0.077mL、0.829mmol)を添加した。反応混合物を80℃で18時間撹拌し、冷却させ、次いで、氷冷水(5mL)でクエンチした。混合物を15分間撹拌し、次いで、氷冷水(5mL)と酢酸エチル(10mL)に分配した。相を分離し、有機層を氷冷水(2×10mL)及び氷冷ブライン(2×10mL)で迅速に洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮して、表題化合物(193mg、純度90%、78%)を茶色ワックス状固体として得た。残渣を、さらなる精製を行わずに次の工程でそのまま使用した。MS:349.1[{35Cl}M+H]+,351.1[{37Cl}M+H]+,ESI pos.
【0341】
d)7-クロロ-5-(2-クロロ-5-メトキシ-フェニル)-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
1,2-ジメトキシエタン(0.400mL)中の5,7-ジクロロ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(40.0mg、0.115mmol)の混合物に、(2-クロロ-5-メトキシフェニル)ボロン酸(21.4mg、0.115mmol)、テトラキス(トリフェニルホスファン)パラジウム(0)(2.65mg、2.29μmol)及び炭酸ナトリウム水溶液(2m、0.172mL、0.344mmol)を添加した。反応混合物を80℃で3時間撹拌し、冷却し、次いで、酢酸エチル(10mL)と水(10mL)に分配した。相を分離し、水層を酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×20mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~50%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(46.0mg、88%)が白色固体として得られた。MS:455.1[{35Cl,35Cl}M+H]+,457.1[{35Cl,37Cl}M+H]+,459.1[{37Cl,37Cl}M+H]+,ESI pos.
【0342】
e)7-クロロ-5-(2-クロロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
7-クロロ-5-(2-クロロ-5-メトキシ-フェニル)-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(320mg、0.703mmol)のアセトニトリル(20.1mL)及び水(3.35mL)中混合物に、硝酸ジアンモニウムセリウム(IV)(1.35g、2.46mmol)を少しずつ添加した。反応混合物を室温で6.5時間撹拌し、次いで、水(50mL)と酢酸エチル(50mL)に分配した。相を分離し、水層を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×100mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~50%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(187mg、79%)が灰白色固体として得られた。MS:335.1[{35Cl,35Cl}M+H]+,337.1[{35Cl,37Cl}M+H]+,339.1[{37Cl,37Cl}M+H]+,ESI pos.
【0343】
f)7-ジクロロ-5-(2-クロロ-5-メトキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
7-クロロ-5-(2-クロロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(30.0mg、89.5μmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(0.500mL)中混合物に、ヨウ化メチル(22.9mg、10.1μL、0.161mmol)及び水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、4.3mg、0.107mmol)を添加した。混合物を室温で5時間撹拌し、次いで、水(20mL)と酢酸エチル(20mL)に分配した。相を分離し、水層を酢酸エチル(2×15 mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×50 mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~5%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(17.0mg、54%)が淡褐色ワックス状固体として得られた。MS:349.1[{35Cl,35Cl}M+H]+,351.1[{35Cl,37Cl}M+H]+,353.1[{37Cl,37Cl}M+H]+,ESI pos.
【0344】
g)7-クロロ-5-(2-クロロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
7-クロロ-5-(2-クロロ-5-メトキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(10.0mg、0.0286mmol)のジクロロメタン(0.130mL)の混合物に、-20℃で三臭化ホウ素(ジクロロメタン中1m、0.100mL、0.100mmol)を添加した。混合物を室温まで温め、1時間撹拌し、次いで、メタノール(0.100mL)及び水酸化ナトリウム水溶液(2m、0.100mL)を注意深く加えることによってクエンチし、30分間撹拌した。次いで、混合物を水(10mL)とジクロロメタン(10mL)に分配した。相を分離し、水層をジクロロメタン(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層を水(20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製すると、表題化合物(6.60mg、69%)が灰白色固体として得られた。MS:335.1[{35Cl,35Cl}M+H]+,337.1[{35Cl,37Cl}M+H]+,339.1[{37Cl,37Cl}M+H]+,ESI pos.1H NMR(CDCl3,300MHz)δ ppm:3.44(3H,s,NCH3),3.83(1H,br d,J=10.7Hz,COCH2N),4.85(1H,br d,J=10.7Hz,COCH2N),6.80(1H,dd,J=8.7,3.0Hz,ArH),7.03(1H,d,J=3.0Hz,ArH),7.09(1H,d,J=2.4Hz,ArH),7.12(1H,d,J=8.7Hz,ArH),7.29(1H,d,J=8.9Hz,ArH),7.50(1H,dd,J=8.9,2.4Hz,ArH),7.72(1H,br s,ArOH).
【0345】
参照化合物RE-B
7-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
【化88】
【0346】
a)2-アミノ-5-クロロ-N-メトキシ-N-メチル-ベンズアミド
2-アミノ-5-クロロ-安息香酸(4.0g、23.3mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)中混合物に、N.N’-カルボニルジイミダゾール(4.16g、25.6mmol)、引き続いてトリエチルアミン(4.42mL、35.0mmol)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、O,N-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(2.5g、25.6mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、酢酸エチル(200mL)で希釈した。有機層を飽和炭酸ナトリウム水溶液(100mL)及びブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中30%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(3.4g、54%)が白色固体として得られた。MS:215.1[{35Cl}M+H]+,ESI pos.
【0347】
b)(2-アミノ-5-クロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン
2-アミノ-5-クロロ-N-メトキシ-N-メチル-ベンズアミド(1.57g、7.32mmol)及び2-ブロモ-1-フルオロ-4-メトキシ-ベンゼン(1.5g、7.32mmol)の無水テトラヒドロフラン(40mL)中混合物に、窒素下-78℃でn-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6m、9.15mL、14.63mmol)を添加した。得られた溶液を30分間撹拌し、次いで、希塩酸水溶液(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中60%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(800mg、30%)が黄色油状物として得られた。MS:279.8[{35Cl}M+H]+,281.8([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0348】
c)7-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
ピリジン(15mL)中の(2-アミノ-5-クロロ-フェニル)-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)メタノン(250mg、0.89mmol)の混合物に、グリシンメチルエステル塩酸塩(997mg、8.94mmol)を加えた。反応混合物を110℃で16時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中50%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(30mg、11%)が淡黄色固体として得られた。MS:318.9[{35Cl}M+H]+,320.8([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0349】
d)7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中の7-クロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(300mg、0.94mmol)の混合物に、ヨードメタン(2672mg、18.82mmol)及び炭酸カリウム(195mg、1.41mmol)を加えた。反応混合物を25℃で1時間撹拌し、次いで、水(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中50%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(160mg、44%)が淡黄色固体として得られた。MS:332.9[{35Cl}M+H]+,334.8([{37Cl}M+H]+),ESI pos.
【0350】
e)7-クロロ-5-(2-フルオロ-5-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
7-ジクロロ-5-(2-フルオロ-5-メトキシ-フェニル)-1-メチル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(160mg、0.48mmol)のジクロロメタン(10mL)中混合物に、0℃でBBr3(ジクロロメタン中1m、2.4mL、2.4mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、室温まで温め、さらに5時間撹拌した。反応物を氷水(10mL)でクエンチし、ジクロロメタン(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(X-Select CSH C18、0.1%ギ酸を含有する水/アセトニトリル)によって精製して、表題化合物(40mg、25%)を白色固体として得た。MS:319.3[{35Cl}M+H]+,ESI pos.1H NMR(DMSO-d6,400MHz)δ ppm:3.31(3H,s,NCH3),3.84(1H,br d,J=9.6Hz,COCH2N),4.65(1H,br d,J=10.5Hz,COCH2N),6.93-6.97(1H,m),7.00(1H,br s),7.07(1H,br d,J=8.3Hz),7.64(1H,br s),9.68(1H,br s).
【0351】
アッセイ手順
γ1含有GABAAサブタイプのための膜調製及び結合アッセイ
GABAAγ1サブユニット含有受容体における化合物の親和性を、組成α5β2γ1、α2β2γ1、α1β2γ1のヒト(一過性トランスフェクト)受容体を発現するHEK293F細胞(ThermoFisher R79007)からの膜への[3H]RO7239181(67.3 Ci/mmol;Roche)結合についての競合によって測定した。α2サブユニット含有受容体のより良好なタンパク質発現のために、ヒトGABAAα2サブユニットの28アミノ酸長シグナルペプチド(Met1~Ala28)をヒトGABAAα5サブユニットの31アミノ酸長シグナルペプチド(Met1~Ser31)で置換した。
【0352】
異なるGABAA受容体サブタイプを発現するHEK293F細胞から収集したペレットを、マンニトール緩衝液pH7.2~7.4(マンニトール0.29M、トリエチルアミン10mM、酢酸10mM、EDTA 1mM+プロテアーゼ阻害剤(20タブレットComplete、Roche Diagnosticsカタログ番号05 056 489 001/リットル))に再懸濁し、2回洗浄し、次いで、同じバッファーに1:10~1:15の希釈で再懸濁した。Parr容器#4637中、435psiで15分間懸濁液を撹拌することによって細胞破壊を行い、次いで懸濁液を1000xgで15分間、4℃で遠心分離した(Beckman Avanti J-HC;ローターJS-4.2)。上清(S1)を2lのSchottフラスコに移し、ペレット(P1)をマンニトール緩衝液で175mlまで再懸濁した。再懸濁したペレットを250ml Corning遠心ビーカーに移し、1500xgで10分間、4℃で遠心分離した(Beckman Avanti J-HC;ローターJS-4.2)。次いで、上清(S1)を2lのSchottフラスコに移し、ペレットを廃棄した。上清(S1)を500mlのBeckmanポリプロピレン遠心ビーカー中、15’000xgで30分間、4℃で遠心分離した(Beckman Avanti J-20 XP;ローターJLA-10.500)。ペレット(P2)をマンニトール緩衝液1:1に再懸濁し、-80℃で凍結した。上清(S2)を100mlのBeckmanポリプロピレン遠心管中、48000xgで50分間、4℃で遠心分離した(Beckman Avanti J-20 XP;ローターJA-18)。上清(S3)を廃棄し、ペレット(P3)を1:1マンニトール緩衝液で再懸濁した。P2及びP3タンパク質濃度を、標準としてウシ血清アルブミンを用いてBIORAD Standardアッセイ法で決定し、NANO-Drop 1000で測定した。膜懸濁液をアリコート(500μl/チューブ)にし、必要になるまで-80℃で保存した。
【0353】
膜ホモジネートを再懸濁し、リン酸カリウム10mM、KCl 100mM結合緩衝液(pH7.4)中でポリトロン化し(Polytron PT1200E Kinematica AG)、以前の実験で決定した最終アッセイ濃度にした。
【0354】
放射性リガンド結合アッセイを、100μLの細胞膜、1.5nM(α5β2γ1)又は20~30nM(α1β2γ1、α2β2γ1)の濃度の[3H]RO7239181、及び[0.3-10000]×10-9Mの範囲の試験化合物を含有する200μLの体積(96ウェルプレート)で行った。非特異的結合は、10×10-6(α5β2γ1)及び30×10-6M RO7239181によって定義され、典型的には全結合の5%未満(α5β2γ1)及び20%未満(α1β2γ1、α2β2γ1)を表した。アッセイを4℃で1時間平衡までインキュベートし、次いで、膜を、Filtermate 196ハーベスタ(Packard BioScience)を用いてユニフィルタ(0.3%ポリエチレンイミン中で20~50分間プレインキュベーションしたGF/Cフィルタが結合した96ウェル白色マイクロプレート)上でフィルタにかけ、冷リン酸カリウム10mM pH7.4、KCl 100mM結合緩衝液で4回洗浄した。無水化後、フィルタ保持放射能を液体シンチレーションカウンティングによって検出した。Ki値は、Excel-Fit(Microsoft)を使用して計算し、2つの決定の手段である。
【0355】
添付の実施例の化合物を上記アッセイで試験し、好ましい化合物が、100nM以下のGABAAγ1サブユニット含有受容体(例えば、α5β2γ1、α2β2γ1、α1β2γ1)からの[3H]RO7239181の置換に対するKi値を有することが分かった。Ki(nM)<50を有する化合物が最も好ましい。ヒト(h)受容体を発現するHEK293細胞に対する結合親和性を測定する上記のアッセイによって得られた代表的な試験結果を表1に示す。
【0356】
[
3H]RO7239181,6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-1-(トリトリチオメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オンの調製
【化89】
【0357】
a)6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
マイクロ波チューブに、7-ブロモ-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(構成要素A(下記参照)、450mg、1.17mmol)、トリメチルボロキシン(205mg、228μL、1.63mmol)、炭酸カリウム(242mg、1.75mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(67.4mg、58.4μmol)を装入した。脱気した1,4-ジオキサン(8.1mL)及びH2O(2.7ml)を添加し、次いで、バイアルに蓋をした。懸濁液をマイクロ波中130℃で30分間反応させて完全に変換した。混合物を蒸発させ、飽和NaHCO3水溶液(20mL)で処理し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、溶媒を蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、40g、CH2Cl2/ヘプタン中EtOAc 10%~40%~70%)によって精製すると、表題化合物(344mg、92%)が淡黄色固体として得られた。MS(ESI):321.1([M+H]+).
【0358】
b),6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-1-(トリトリチオメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
THF(200μL)中の[3H]メチルノシレート(1.85 GBq、50 mCi、0.61μmol)の溶液に、THF(200μL)に溶解したN-デスメチル前駆体6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(0.43mg、1.34μmol)及び10当量のナトリウムtert-ブチレート(THF中0.5m、13.4μmol)を加えた。室温で4時間撹拌した後、反応混合物をH2Oで処理し、蒸発させ、粗生成物をHPLC(X-Terra Prep RP-18、10×150mm、MeCN/H2O(5%のMeCNを含有)40:60、4ml/分、230nm)によって精製した。純粋なトリチウム標識化合物を固相抽出(Sep-Pak Plus C18)によって単離し、エタノール溶液としてカートリッジから溶出すると、>99%放射化学純度で1.6 GBq(43.2 mCi)の標的化合物が得られ、質量分析(MS)によって決定される比放射能は2.49 TBq/mmol(67.3 Ci/mmol)であった。標識化合物の同一性は、HPLC(非標識参照標準を同時注射することによって)及びMSによって確認した。
MS:m/z=335[M(H)+H]+(16%),337[M(3H)+H]+(0%),339[M(3H2)+H]+(16%),341[M(3H3)+H]+(68%).
【0359】
γ2含有GABAAサブタイプのための膜調製及び結合アッセイ
GABAAγ2サブユニット含有受容体における化合物の親和性を、組成α1β3γ2のヒト(一過性トランスフェクト)受容体を発現するHEK293F細胞への[3H]フルマゼニル(81.1 Ci/mmol;Roche)結合についての競合によって測定した。
【0360】
異なるGABAAγ2受容体サブタイプを発現するHEK293F細胞から収集したペレットをマンニトール緩衝液pH7.2~7.4に再懸濁し、GABAAγ1サブユニット含有受容体を発現する細胞について上記のように処理した。
【0361】
放射性リガンド結合アッセイを、100μLの細胞膜、1nMの濃度の[3H]フルマゼニル及び[0.1・10-3-10]×10-6Mの範囲の試験化合物を含有する200μLの体積(96ウェルプレート)で行った。非特異的結合は10-5Mジアゼパムによって定義され、典型的には全結合の5%未満であった。アッセイを4℃で1時間平衡までインキュベートし、Packardハーベスタを用いた濾過及び氷冷洗浄緩衝液(50mMトリス;pH7.5)での洗浄によってGF/Cユニフィルタ(Packard)上に回収した。無水化後、フィルタ保持放射能を液体シンチレーションカウンティングによって検出した。Ki値は、Excel-Fit(Microsoft)を使用して計算し、2つの決定の手段である。
【0362】
添付の実施例の化合物を上記アッセイで試験し、好ましい化合物は、100nM以上のヒトGABA
A受容体のα1β3γ2サブタイプからの[
3H]フルマゼニルの置換について大きなK
i値を有することが分かった。K
i α1β3γ2(nM)>300を有する化合物が最も好ましい。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、γ2サブユニット含有GABA
A受容体と比較して、γ1サブユニット含有GABA
A受容体に選択的に結合する。特に、本発明の化合物は、10倍を超える「K
i α1β3γ2(nM)/K
i α2β2γ1(nM)」として定義されるγ2/γ1選択性比、又は1を超える「Log[K
i α1β3γ2(nM)/K
i α2β2γ1(nM)]」として定義されるLogSelを有する。ヒト(h)受容体を発現するHEK293細胞に対する結合親和性を測定する上記のアッセイによって得られた代表的な試験結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0363】
GABAA受容体の機能的発現:
ツメガエル卵母細胞の調製
成熟段階V~VIのアフリカツメガエル卵母細胞を、GABAA受容体サブユニットをコードするクローン化mRNAの発現に使用した。RNAマイクロインジェクションの準備ができた卵母細胞をドイツEcocyteのCastrop-Rauxelから購入し、実験まで20℃で改変Barth培地(mMでの組成:NaCl 88、KCl 1、NaHCO3 2.4、HEPES 10、MgSO4 0.82、CaNO3 0.33、CaCl2 0.33、pH=7.5)に保存した。
【0364】
ツメガエル卵母細胞のマイクロインジェクション
卵母細胞を、Roboinject自動装置(MultiChannelSystems,Reutlingen,Germany)を使用したマイクロインジェクションのために96ウェルプレートに蒔いた。所望のGABAA受容体サブタイプのサブユニットのRNA転写物を含有するおよそ50nLの水溶液を各卵母細胞に注射した。RNA濃度は20~200pg/μL/サブユニットとの間の範囲であり、パイロット実験で調整して、GABAA受容体ベンゾジアゼピン(BZD)結合部位における参照ベンゾジアゼピンポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)であるフルニトラゼパム、トリアゾラム及びミダゾラムの適切なサイズ及び最大効果のGABA応答を得た。卵母細胞を実験まで20℃で改変Barth培地(mMでの組成:NaCl 88、KCl 1、NaHCO3 4、HEPES 10、MgSO4 0.82、CaNO3 0.33、CaCl2 0.33、pH=7.5)に保った。
【0365】
電気生理学
mRNAのマイクロインジェクション後3~5日目に、Roboocyte機器(MultiChannelSystems,Reutlingen,Germany)を使用して電気生理学的実験を行った。実験中、卵母細胞を、NaCl 90、KCl 1、HEPES 5、MgCl2 1、CaCl2 1を(mM単位で)含有する溶液(pH7.4)によって絶えず過熱した。卵母細胞を、KCl 1M+K-アセテート1.5Mを含有する溶液で満たし、-80mVに電圧固定した2つのガラス製マイクロ電極(抵抗:0.5~0.8 MΩ)によって突き刺した。記録は、Roboocyte 2電極電圧クランプシステム(Multichannelsystem)を使用して室温で行った。1.5分間の初期平衡期間の後、GABAを最大電流応答(EC20)のおよそ20%を引き起こす濃度で1.5分間添加した。2.5分の別の休止間隔の後、GABAを再び添加し、同様の振幅及び形状の応答を誘発した。この2回目のGABA適用の開始の0.5分後、GABAが依然として存在している間に、そのKi α2β2γ1のおよそ30倍に相当する濃度の試験化合物を添加した。GABA適用中及びその直前及び直後に、10Hzのデジタル化速度で電流トレースを記録した。
【0366】
各化合物及び濃度を少なくとも3つの卵母細胞で試験した。異なる化合物濃度に対して異なる卵母細胞を使用した。参照PAM、フルニトラゼパム、トリアゾラム及びミダゾラムは、α2β2γ1 GABAA受容体サブタイプ発現卵母細胞におけるGABA誘導電流をおよそ60%増強した。
【0367】
データ分析
分析のために、1回目及び2回目のGABA応答のデジタル化された電流トレースを重ね合わせ、必要に応じて、等しい最大振幅に再スケーリングした。試験化合物適用の時間間隔中の2つの応答間の比を点ごとに計算した。得られた「比のトレース」の極値を「GABA EC20の調節%」(100*(増加倍数-1))として表される化合物の有効性(「増加倍数」)とした。
【0368】
【0369】
参照化合物
ベンゾジアゼピン参照化合物(古典的な市販のベンゾジアゼピン)及び以下に列挙するそれらの構造類似体を、GABA
A受容体α1β2γ1及びα2β2γ1サブタイプ並びにGABA
A受容体α1β3γ2サブタイプに対するそれらの親和性について試験した。結果を表3に示す。参照実施例RE-A及びRE-Bは、本明細書に記載されるように調製されている。
【化90】
【0370】
【0371】
本発明の化合物を含む医薬組成物の調製
【0372】
式(I)の化合物を含む錠剤を以下のように製造する。
【表4】
【0373】
製造手順
1.成分1、2、3及び4を混合し、精製水で顆粒化する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な粉砕機器に通す。
4.成分5を添加し、3分間混合する;適切なプレスで圧縮する。
【0374】
式(I)の化合物を含むカプセルを以下のように製造する。
【表5】
【0375】
製造手順
1.成分1、2及び3を適切なミキサで30分間混合する。
2.成分4及び5を添加し、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0376】
式Iの化合物ラクトース及びコーンスターチを最初にミキサで混合し、次いで粉砕機で混合する。混合物をミキサに戻す;タルクを添加し、近似的に(thoapproximatively)混合する。混合物を機械によって適切なカプセル、例えば硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0377】
式(I)の化合物を含む注射溶液を以下のように製造する。
【表6】
【国際調査報告】