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特表2024-536405薬剤送達デバイスのための補助デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】薬剤送達デバイスのための補助デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/31 20060101AFI20240927BHJP
   A61M 5/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61M5/31 520
A61M5/00 500
A61M5/142 530
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520999
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2022076937
(87)【国際公開番号】W WO2023057273
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】21201605.9
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・セール
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ85
(57)【要約】
薬剤送達デバイスの除去可能なキャップに取り付けられる補助デバイスであって、補助デバイスは、除去可能なキャップ(21)に取り付け可能なハウジング(11)を含み、ハウジング(11)は、バッテリーモジュール(15)であって、バッテリー(14a、14b)、および、バッテリーモジュール(15)に動作可能に接続されているスイッチ(16)を含む、バッテリーモジュール(15)と、バッテリーモジュール(15)に動作可能に接続されている活性化クリップ(12)と、を収容するように構成されており、活性化クリップ(12)は、スイッチ(16)に動作可能に接続されている。補助デバイスは、通信モジュール(13)を含み、通信モジュール(13)は、バッテリーモジュール(15)に接続可能であり、または、バッテリーモジュールの一部として含まれており、外部デバイスにデータを送信するように構成されており、データは、スイッチ(16)のステータスに直接的に関係付けられる情報を含む。補助デバイス(1)は、絶縁ストリップ(113A、113B)をさらに含み、絶縁ストリップ(113A、113B)の第1の部分(1131)は、スイッチ(16)と活性化クリップ(12)との間にスライド可能に配置されており、第2の部分(1132)は、薬剤送達デバイス(20)のハウジング(22)に取り付け可能である。補助デバイス(1)は、最初に、第1の状態(S1)にあり、第1の状態(S1)では、通信モジュール(13)がバッテリーモジュール(15)から電力を受け取ることを防止されており、ハウジング(22)に対する除去可能なキャップ(21)の第1の移動(M1)または第2の移動(M2)は、補助デバイス(1)を第2の状態(S2)に変化させ、第2の状態(S2)では、バッテリー(14a、14b)が通信モジュール(13)に電力を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイス(20)の除去可能なキャップ(21)に取り付けられる補助デバイス(1)であって、前記補助デバイス(1)は、前記除去可能なキャップ(21)に取り付け可能なハウジング(11)を含み、
前記ハウジングは、
- バッテリーモジュール(15)と、
- 前記バッテリーモジュール(15)に接続されている活性化クリップ(12)と、
- 第1の表面および第2の表面を有するスイッチ(16)であって、前記第1の表面は、前記バッテリーモジュールに接続されており、前記第2の表面は、前記活性化クリップに接続可能であり、接続されたときに接触エリアを生成させる、スイッチ(16)と、
- 通信モジュール(13)であって、前記通信モジュール(13)は、前記バッテリーモジュール(15)に接続可能であり、または、前記バッテリーモジュールの一部として含まれており、外部デバイスにデータを送信するように構成されており、前記データは、前記スイッチのステータスに直接的に関係付けられる情報を含む、通信モジュール(13)と、
を収容するように構成されており、
前記補助デバイス(1)は、絶縁ストリップ(113A、113B)をさらに含み、前記絶縁ストリップ(113A、113B)は、第1の部分(1131)および第2の部分(1132)を有しており、前記第1の部分(1131)は、前記スイッチ(16)と前記活性化クリップ(12)との間の接触エリアよりも大きい所定のエリアを有しており、前記第2の部分(1132)は、近位端部と遠位端部との間に長手方向軸線に沿って延在する前記薬剤送達デバイス(20)のハウジング(22)に取り付け可能であり、
前記補助デバイス(1)は、最初に、第1の状態(S1)にあり、前記第1の状態(S1)では、前記絶縁ストリップの前記第1の部分が、スイッチと前記活性化クリップとの間にスライド可能に配置されており、前記通信モジュール(13)が前記バッテリーモジュール(15)から電力を受け取ることを防止されるようになっており、前記除去可能なキャップ(21)が、第1の移動(M1)および/または第2の移動(M2)によって、前記薬剤送達デバイスの前記ハウジング(22)に対して前記近位端部に向かって除去され、前記除去可能なキャップ(21)の除去は、前記補助デバイス(1)を第2の状態(S2)に変化させ、前記第2の状態(S2)では、前記絶縁ストリップの前記第1の部分が、前記スイッチと前記活性化クリップとの間の前記接触エリアから除去され、その後に、前記バッテリーモジュール(15)が、前記通信モジュール(13)に電力を提供する、補助デバイス(1)。
【請求項2】
前記絶縁ストリップ(113A)は、可撓性であり、または、前記薬剤送達デバイス(20)の外側表面および/もしくは内側表面の形状に適合可能であり、または、前記絶縁ストリップ(113A)は、前記薬剤送達デバイス(20)の前記外側表面および/もしくは前記内側表面にマッチする形状を含む、請求項1に記載の補助デバイス(1)。
【請求項3】
前記絶縁ストリップ(113A)は、前記長手方向軸線に沿って延在しており、前記第1の部分(1131)は、前記補助デバイス(1)の前記ハウジング(11)の中に配置されており、前記第2の部分(1132)は、前記補助デバイスの前記ハウジング(11)の前記遠位端部に向かって延在している、請求項1または2のいずれか一項に記載の補助デバイス(1)。
【請求項4】
前記第1の移動(M1)は、前記薬剤送達デバイスの前記ハウジングに対する、前記近位端部に向かう、前記除去可能なキャップ(21)の線形の移動である、請求項3に記載の補助デバイス(1)。
【請求項5】
前記絶縁ストリップ(113B)は、前記薬剤送達デバイス(20)の前記ハウジング(22)の周りに円周方向に延在しており、前記第1の部分(1131)は、前記補助デバイス(1)の前記ハウジング(11)の中に配置されており、前記第2の部分は、前記補助デバイス(1)の前記ハウジング(11)から円周方向に延在している、請求項1に記載の補助デバイス(1)。
【請求項6】
前記第2の移動(M2)は、最初に回転移動であり、次いで線形の移動であり、もしくは、その逆であるか、または、前記薬剤送達デバイスの前記ハウジングに対する、前記近位端部に向かう、前記除去可能なキャップの螺旋状の移動もしくは線形の移動である、請求項5に記載の補助デバイス(1)。
【請求項7】
前記補助デバイス(1)は、接着パッド(111)をさらに含み、前記接着パッド(111)は、前記補助デバイス(1)を前記除去可能なキャップ(21)にしっかりと取り付けて保持するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の補助デバイス(1)。
【請求項8】
前記バッテリーモジュール(15)または前記通信モジュール(13)は、前記薬剤送達デバイス(20)のコンポーネントのうちの少なくとも1つの運動またはステータスを検出するように構成されている1つまたは複数のセンサーを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の補助デバイス(1)。
【請求項9】
前記補助デバイス(1)は、任意の他のモジュールに接続可能なセンサーモジュールをさらに含み、前記センサーモジュールは、前記薬剤送達デバイス(20)のコンポーネントのうちの少なくとも1つの運動またはステータスを検出するように構成されている1つまたは複数のセンサーを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の補助デバイス(1)。
【請求項10】
前記モジュールのいずれかが、前記ハウジングから除去可能であり、再使用可能である、請求項1から9のいずれか一項に記載の補助デバイス(1)。
【請求項11】
前記バッテリーモジュールまたは前記通信モジュールは、前記薬剤送達デバイスについてのデータ情報を取得して記憶するように構成されているレコーダーを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の補助デバイス(1)。
【請求項12】
前記通信モジュールによるデータ送信は、前記レコーダーが前記バッテリーから電力を受け取ったときに開始する、請求項11に記載の補助デバイス(1)。
【請求項13】
前記補助デバイスは、ロギングモジュールをさらに含み、前記ロギングモジュールは、任意の他のモジュールに接続可能であり、または、任意の他のモジュールの一部として含まれており、前記ロギングモジュールは、前記除去可能なキャップが除去されたときに、前記薬剤送達デバイスの運動をトラッキングすることを開始するように構成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の補助デバイス(1)。
【請求項14】
前記補助デバイスは、メモリーモジュールをさらに含み、前記メモリーモジュールは、任意の他のモジュールに接続可能であり、または、任意の他のモジュールの一部として含まれており、前記メモリーモジュールは、前記データを記憶するように構成されており、前記通信モジュールは、前記外部デバイスに前記データをワイヤレスに送信するように構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の補助デバイス(1)。
【請求項15】
ハウジング(22)と、前記ハウジングの中に位置決めされている薬剤コンテナと、前記ハウジングの終端端部を通ってアクセス可能な用量送達出口部と、除去可能なキャップ(21)であって、前記ハウジングに取り付けられており、前記用量送達出口部が、前記除去可能なキャップが前記薬剤送達デバイスから完全に除去されない限り、アクセス可能になることを防止されるようになっている、除去可能なキャップ(21)と、請求項1から14のいずれか一項に記載の補助デバイス(1)と、を含む、薬剤送達デバイス(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤送達デバイスに取り付ける補助デバイスに関し、補助デバイスは、薬剤送達デバイスに関する固有の情報を送信することができる情報プロバイダーとして機能することが可能である。補助デバイスは、薬剤送達デバイスからの被覆の除去によって活性化させられる。補助デバイスは、薬剤送達デバイスの使用を監視することが可能であり、外部スマートデバイスと通信することが可能である。
【背景技術】
【0002】
薬剤送達デバイス、特に、自己投与による薬剤送達のために設計されているものは、何年にもわたって市販されている。デバイスが非専門家によって取り扱われるようにするために、デバイスは、使用しやすくて直感的でなければならない。さらに、薬剤の多くは、生命維持に必要であり、または、患者にとって少なくとも非常に重要であるので、処方されたスキームにしたがって患者が投薬しているという情報を取得するという、医師および他の専門家からの要望が存在している。所望の情報は、薬剤のタイプ、送達時間、日付、用量サイズ、たとえば、無菌性などの安全情報を含むことが可能である。また、薬剤またはデバイス自体が偽造品であるかどうかまたは改ざんされているかどうかも重要である。同様に、医師にとって有益であり得る情報は、正しい手順を使用しておよび使用説明書にしたがって薬剤が服用されているかどうか;薬剤送達の前および間に薬剤が所定の温度に維持されていること;薬剤送達デバイスがインジェクターであるときに、正しい注入深さが使用されており、正しい注入速度が使用されていることに関する。
【0003】
薬剤送達デバイスから情報を取得するためのシステムが知られている。たとえば、特許文献1は、投薬情報を提示および分配するためのシステムを開示しており、薬剤送達デバイスは、通信メカニズムを備えて配置されており、通信メカニズムは、たとえば、セルラーまたはモバイルフォンまたはパーソナルデジタルアシスタント(PDA)などの外部デバイスとの通信を可能にすることとなる。好適な通信規格は、Bluetooth(登録商標)である。薬剤送達デバイスは、たとえば、用量送達シーケンスを監視および登録するための複数のセンサーを備えて配置されている。次いで、その思想は、薬剤送達デバイスにそのような特徴を提供する代わりに、たとえば、そのディスプレイ、そのプロセッサー、そのキーボードなどの外部デバイスの機能性を使用することである。外部デバイスへの機能性の移転は、そのような機能性を提供される薬剤送達デバイスと比較して、薬剤送達デバイスのコストを低減させることとなる。
【0004】
しかし、特許文献1による解決策に伴う欠点は、Bluetooth回路または、ANTもしくはZigBee(登録商標)などのような同様のワイヤレス通信システムが薬剤送達デバイスのハウジングの中へ組み込まれているということである。回路に給電するためのそのバッテリーを備えた通信システムは、薬剤送達デバイスの中に専用のスペースを必要とする。アドオンのバッテリーモジュールを収容するために既存のデバイス設計を操作することは、予期せぬ規制上の問題を引き起こす可能性がある。公知のデータ収集デバイスに伴う別の問題は、バッテリーモジュールが製造されて薬剤送達デバイスに取り付けられる時点で、電源が電子回路に直接的に接続されるということである。これは、時期尚早のバッテリーの消耗を引き起こす可能性がある。追加的に、そのようなシステムは、バッテリーモジュールを活性化させる別個の特定のステップをユーザーが実施することを必要とし、それは、常に成功的に実施されるとは限らない可能性がある。
【0005】
したがって、既存の設計を修正すること、または、通信システムが提供することができる追加の機能性を既存の設計に容易に提供することは、それほど容易ではない。そうであるので、自動的であり、および、薬剤送達デバイスの通常の使用の一部として、無菌性バリアの破壊(breach)の前に実施される活性化システムを提供する必要性が存在しており、それは、無菌性バリアが除去される前に保護ユニットの除去シーケンスによって活性化させられる検出メカニズムを提供し、それによって、医療用送達デバイスの無菌性バリアの破壊を記録および信号伝達するための補助デバイスを活性化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/084116号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、複数の薬剤送達デバイスに適用可能であり、たとえば、注入針を備えるまたは備えない注入デバイス、たとえば、粉末吸入器、エーロゾル駆動吸入器、ガス吸入器などのすべての種類の吸入器、マウスピースまたは鼻ピースを有するネブライザー、タブレット形態の薬剤のためのディスペンサーなどの特定の用量の薬剤をユーザーに送達することができる複数のデバイスを含むことが可能である。薬剤送達デバイスは、使い捨てのタイプまたは再使用可能なタイプのいずれかのものであることが可能であり、特定の形態の特定の薬剤のために適切に配置されている薬剤コンテナを提供されることが可能である。さらに、医療用デバイスは、それに限定されないが、自動的に、半自動的に、または手動で、1つまたは複数の用量の薬剤を送達するデバイスを含む。
【0008】
以下の説明において、スマートデバイスという語句が使用されることとなる。この文脈において、スマートデバイスは、コンピュータープログラムを実行することができるプロセッサーまたは処理回路、ならびに、異なる外部ソースから取り込まれるプログラムおよびデータを記憶するためのストレージスペースを提供される電子デバイスを含むことが可能である。処理回路は、たとえば、データの検出および/または送信に関する任意の本明細書に開示された動作を実行することができる、適切な中央処理装置(CPU)、マルチプロセッサー、マイクロコントローラー、デジタル信号プロセッサー(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのうちの1つまたは複数の任意の組み合わせを使用することが可能である。スマートデバイスは、通信システムを提供されており、通信システムは、異なるデータベースにアクセスするために、データネットワークと通信することができるということがさらに理解されるべきである。データベースは、いわゆる、クラウドサービスであるインターネットを介して、および/または、ローカルエリアネットワークに直接的に接続されており、ローカルエリアネットワークを介してアクセスされるデータベースを介して、アクセスされることが可能であるということが理解されるべきである。この文脈におけるスマートデバイスは、双方向通信のためのある種のヒューマン-マシンインターフェースを含むということがさらに理解されるべきである。ヒューマン-マシンインターフェースは、ディスプレイ、キーボード、マイクロホン、ラウドスピーカー、周辺機器の接続のためのI/Oポートを含むことが可能である。さらに、スマートデバイスは、ネットワークとのワイヤレス通信のためのアンテナを提供されることが可能である。また、スマートデバイスは、NFCタグと通信することができる受信および送信メカニズム、ならびに、NFCタグとの通信を確立およびハンドリングすることができるプログラムを備えて配置されることが可能である。また、スマートデバイスは、Li-Fi(light-fidelity)技術を介して通信することができる受信および送信メカニズムを備えて配置されることが可能である。
【0009】
本発明の目的は、既存の薬剤送達デバイスに取り付け可能な補助デバイスのための活性化メカニズムを提供することであり、ここで、取り付けは、薬剤送達デバイスの既存の設計が修正されるかまたはその他の方法で変化されることを必要としない。とりわけ好適な補助デバイスは、情報プロバイダーデバイスであり、情報プロバイダーデバイスは、複数の異なる薬剤送達デバイスの上でおよびそれらとともに使用されることが可能であり、とりわけ、薬剤の自己投与のために薬剤送達デバイスの上で使用するように構成されている。好ましくは、そのような情報プロバイダーを備えて配置されている薬剤送達デバイスは、従来の外部スマートデバイスとともに使用されることが可能であり、従来の外部スマートデバイスは、市場において一般的であり、自己投与のために薬剤送達デバイスを取り扱う患者の大部分によって使用される。
【0010】
本開示において、「遠位方向」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達デバイスの使用の間に用量送達部位から離れる方を向く方向を指す。「遠位パーツ/端部」という用語が使用されるときに、これは、薬剤送達デバイスの使用中に、用量送達部位から最も遠くに離れて位置付けされている送達デバイスのパーツ/端部、または、その部材のパーツ/端部を指す。それに対応して、「近位方向」という用語が使用されるときに、これは、薬剤送達デバイスの使用の間に用量送達部位の方を向く方向を指す。「近位パーツ/端部」という用語が使用されるときに、これは、薬剤送達デバイスの使用中に、用量送達部位の最も近くに位置付けされている薬剤送達デバイスのパーツ/端部、または、その部材のパーツ/端部を指す。
【0011】
さらに、「長手方向の」、「長手方向に」、「軸線方向に」、および「軸線方向の」という用語は、近位端部から遠位端部へ延在する、ならびに、デバイスまたはそのコンポーネントに沿って延在する、典型的には、デバイスおよび/またはコンポーネントの最も長い延在の方向に延在する方向を指す。
【0012】
同様に、「横断方向の」、「横断的な」、および「横断的に」という用語は、長手方向に対して概して垂直の方向を指す。
【0013】
本明細書で使用されているように、「薬剤」という用語は、制御された様式でたとえば、カニューレまたは中空の針などの送達手段を通過させられることができる任意の薬剤含有流動性薬品、たとえば、液体、溶液、ゲル、または微細懸濁液などを包含することを意味している。代表的な薬剤は、たとえば、ペプチド、タンパク質、およびホルモンなどの医薬品、生物学的に由来する薬剤または活性剤、ホルモン剤ならびに遺伝子ベースの薬剤、栄養製剤、および、固体(ディスペンスされる)または液体の両方の形態の他の物質を含む。例示的な実施形態の説明において、インスリンの使用への参照が行われることとなる。それに対応して、「皮下の」輸液または注入という用語は、被検者への経皮的な送達の任意の方法を包含することを意味している。
【0014】
本開示において、「モジュール」という用語は、自己完結型のユニットまたはアイテム、たとえば、電子コンポーネント、または、電子コンポーネントおよび関連の配線のアッセンブリなどを包含することを意味しており、それは、それ自体で、定義されたタスクを実施し、より大きなシステムを形成するために他のそのようなユニットとリンク接続されることが可能である。
【0015】
一般的に、特許請求の範囲において使用されるすべての用語は、本明細書において明示的に別段の定義がない限り、その技術分野におけるそれらの通常の意味にしたがって解釈されるべきである。エレメント、装置、部材、コンポーネント、手段などに対するすべての言及は、明示的に別段の記述がない限り、エレメント、装置、部材コンポーネント、手段などの少なくとも1つの事例を参照するものとしてオープンに解釈されるべきである。
【0016】
医療用注入デバイスと関連した自動的という用語は、送達の間に薬剤を排出するために必要とされる力をデバイスのユーザーが送達することなく、インジェクターデバイスが注入を実施することができるということを意味している。力は、スプリングのような弾性力、または、電気モーター、または、送達力を提供するための任意の他の適切な手段によって、自動的に送達される。
【0017】
本発明の第1の態様は、薬剤送達デバイスの除去可能なキャップに取り付けられる補助デバイスに関する。補助デバイスは、除去可能なキャップに取り付け可能なハウジングを含み、ハウジングは、バッテリーモジュールと、バッテリーモジュールに接続されている活性化クリップと、第1の表面および第2の表面を有するスイッチであって、第1の表面は、バッテリーモジュールに接続されており、第2の表面は、活性化クリップに接続可能であり、接続されたときに接触エリアを生成させる、スイッチと、通信モジュールであって、通信モジュールは、バッテリーモジュールに接続可能であり、または、バッテリーモジュールの一部として含まれており、外部デバイスにデータを送信するように構成されており、データは、スイッチのステータスに直接的に関係付けられる情報を含む、通信モジュールと、を収容するように構成されている。補助デバイスは、絶縁ストリップをさらに含み、絶縁ストリップは、第1の部分および第2の部分を有しており、第1の部分は、スイッチと活性化クリップとの間の接触エリアよりも大きい所定のエリアを有しており、第2の部分は、近位端部と遠位端部との間に長手方向軸線に沿って延在する薬剤送達デバイスのハウジングに取り付け可能であり、補助デバイスは、最初に、第1の状態S1にあり、第1の状態S1では、絶縁ストリップの第1の部分が、スイッチと活性化クリップとの間にスライド可能に配置されており、通信モジュールがバッテリーモジュールから電力を受け取ることを防止されるようになっており、除去可能なキャップが、第1の移動M1および/または第2の移動M2によって、薬剤送達デバイスのハウジングに対して近位端部に向かって除去される。除去可能なキャップの除去は、補助デバイスを第2の状態S2に変化させ、第2の状態S2では、絶縁ストリップの第1の部分が、スイッチと活性化クリップとの間の接触エリアから除去され、その後に、バッテリーモジュールが、通信モジュールに電力を提供する。
【0018】
補助デバイスの利点は、任意の既存の薬剤送達デバイスがそのようなスマートデバイスと組み合わされてアップグレードされることが可能であるということである。さらに、ユーザーがデバイスのキャップを外したときにのみ、補助デバイスの電力供給および電力消費が開始するので、バッテリーサイズは、小さくなっていることが可能であり、デバイスの予期される使用時間に限定されることが可能であり、長い保存可能期間のために配置されていない。
【0019】
随意的に、絶縁ストリップは、可撓性であり、または、薬剤送達デバイスの外側表面および/もしくは内側表面の形状に適合可能であり、または、絶縁ストリップは、薬剤送達デバイスの外側表面および/もしくは内側表面にマッチする形状を含む。
【0020】
随意的に、絶縁ストリップは、長手方向に沿って延在しており、第1の部分は、補助デバイスのハウジングの中に配置されており、第2の部分は、補助デバイスのハウジングの遠位端部に向かって延在している。
【0021】
随意的に、第1の移動は、薬剤送達デバイスのハウジングに対する、近位端部に向かう、除去可能なキャップの線形の移動である。
【0022】
絶縁ストリップが部分的に補助デバイスの中にあり、ハウジングに部分的に取り付けられているという利点は、除去可能なキャップがデバイスから完全に取り去られたときにのみ、すなわち、除去可能なキャップが近位方向に線形の移動M1を実施するときにのみ、補助デバイスが活性化させられるということである。したがって、除去可能なキャップのわずかな長手方向移動は、補助デバイスを活性化させない。
【0023】
代替的に、絶縁ストリップは、薬剤送達デバイスのハウジングの周りに円周方向に延在しており、第1の部分は、補助デバイスのハウジングの中に配置されており、第2の部分は、補助デバイスのハウジングから円周方向に延在している。
【0024】
随意的に、第2の移動M2は、最初に回転移動であり、次いで線形の移動であり、もしくは、その逆であるか、または、薬剤送達デバイスのハウジングに対する、近位端部に向かう、除去可能なキャップの螺旋状の移動もしくは線形の移動である。
【0025】
円周方向に配置されている絶縁ストリップの利点は、捩じり移動および引っ張り移動によってキャップを外す薬剤送達デバイスが、補助デバイスによって容易にアップグレードされることが可能であるということである。
【0026】
利点は、無菌性バリアの偶発的な破壊が補助デバイスによって検出されるということである。たとえば、医療用送達デバイスのキャップを外した後に所定用量の薬剤を投与することを忘れる可能性のある、精神障害を患う患者は、通信モジュールからの情報を受信した外部システムによって注意喚起されることが可能である。また、薬剤送達デバイスの大きなストックの中の個々の薬剤送達デバイスの無菌性破壊は、このように監視されることが可能である。
【0027】
随意的に、補助デバイスは、接着パッドをさらに含み、接着パッドは、補助デバイスをキャップにしっかりと取り付けて保持するように構成されている。
【0028】
利点は、多数の薬剤送達デバイスに対する高い適合性、および、スマートデバイスを既存のモデルに追加するための設備である。
【0029】
随意的に、バッテリーモジュールまたは通信モジュールは、薬剤送達デバイスのコンポーネントのうちの少なくとも1つの運動またはステータスを検出するように構成されている1つまたは複数のセンサーを含む。
【0030】
利点は、薬剤送達および/または薬剤送達デバイスの薬剤コンポーネントの混合プロセスの監視である。
【0031】
随意的に、補助デバイスは、任意の他のモジュールに接続可能なセンサーモジュールをさらに含み、前記センサーモジュールは、薬剤送達デバイスのコンポーネントのうちの少なくとも1つの運動またはステータスを検出するように構成されている1つまたは複数のセンサーを含む。
【0032】
モジュール式の利点は、センサーコンポーネントが容易に再使用され、他の補助デバイスの中に再配置されることが可能であるということである。たとえば、バッテリーモジュールが寿命の終わりに到達して廃棄されなければならないときに、センサーモジュールは、補助デバイスからのバッテリーモジュールから分離され、新しいバッテリーモジュールに追加されることが可能である。
【0033】
随意的に、モジュールのいずれかが、ハウジングから除去可能であり、再使用可能である。
【0034】
随意的に、バッテリーモジュールまたは通信モジュールは、薬剤送達デバイスについてのデータ情報を取得して記憶するように構成されているレコーダーを含む。
【0035】
利点は、薬剤についての特定のデータ、患者の投薬の詳細、または、環境データが、収集および送信されることが可能であるということである。たとえば、患者の薬剤摂取が監視されることが可能であり、または、薬剤が特定の温度で保管または使用されなければならず、これが薬剤送達デバイスに適用されなかった場合には、ユーザーは通知されることが可能である。または、バッチについての特定の情報、または、患者の特定の治療的投与計画についての情報が、その上に記憶されることが可能である。
【0036】
随意的に、通信モジュールによるデータ送信は、レコーダーがバッテリーから電力を受け取ったときに開始する。
【0037】
随意的に、補助デバイスは、ロギングモジュールをさらに含み、ロギングモジュールは、任意の他のモジュールに接続可能であり、または、任意の他のモジュールの一部として含まれており、ロギングモジュールは、除去可能なキャップが除去されたときに、薬剤送達デバイスの運動をトラッキングすることを開始するように構成されている。
【0038】
随意的に、補助デバイスは、メモリーモジュールをさらに含み、メモリーモジュールは、任意の他のモジュールに接続可能であり、または、任意の他のモジュールの一部として含まれており、メモリーモジュールは、データを記憶するように構成されており、通信モジュールは、外部デバイスにデータをワイヤレスに送信するように構成されている。
【0039】
第2の態様は、ハウジングと、ハウジングの中に位置決めされている薬剤コンテナと、ハウジングの終端端部を通ってアクセス可能な用量送達出口部と、除去可能なキャップであって、除去可能なキャップは、ハウジングに取り付けられており、用量送達出口部が、除去可能なキャップが薬剤送達デバイスから完全に除去されない限り、アクセス可能になることを防止されるようになっている、除去可能なキャップと、先行するオプションのいずれか1つによる補助デバイスとを含む、薬剤送達デバイスに関する。
【0040】
本発明のこれらのおよび他の態様ならびに本発明に伴う利点は、以下の詳細な説明および添付の図面から明らかになることとなる。
【0041】
ここで、本発明の実施形態は、単なる例として、添付の図面を参照して説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1A】補助デバイスが薬剤送達デバイスに取り付けられた状態の薬剤送達デバイスを示す図である。
図1B図1Aの補助デバイスの側面図である。
図1C図1Aの補助デバイスを3次元斜視図で示す図である。
図2A図1Aの取り付けられた補助デバイスを伴う薬剤送達デバイスを上面図で示す図である。
図2B図1Aの取り付けられた補助デバイスを伴う薬剤送達デバイスを背面図で示す図である。
図2C図1Aの取り付けられた補助デバイスを伴う薬剤送達デバイスを側面図で示す図である。
図3A】補助デバイスを上面図で示す図である。
図3B】補助デバイスを側面図で示す図である。
図3C】補助デバイスを斜視背面図で示す図である。
図3D】補助デバイスを背面図で示す図である。
図4A】パーツのさらなる分割を伴う代替的な補助デバイスを示す図である。
図4B】パーツのさらなる分割を伴う代替的な補助デバイスを示す図である。
図4C】パーツのさらなる分割を伴う代替的な補助デバイスを示す図である。
図4D】補助デバイスの遠位上面図である。
図4E】補助デバイスの近位上面図である。
図5】補助デバイスの分解図である。
図6A】通信モジュールが取り去られた状態で薬剤送達デバイスに取り付けられている補助モジュールを示す図である。
図6B】第1の状態S1における、薬剤送達デバイスに対する補助デバイスの活性化クリップ、絶縁ストリップ、スイッチ、および接着パッドの配置を示す図である。
図6C】第1の状態S1における、活性化クリップ、絶縁ストリップ、スイッチ、およびバッテリーモジュールの配置を示す図である。
図7A】第1の状態S1における、絶縁ストリップが円周方向に配置された状態で薬剤送達デバイスに取り付けられている補助デバイスを示す図である。
図7B】第2の状態(S2)における、薬剤送達デバイスの除去可能なキャップの捩じり移動および引っ張り移動を伴う図7Aのデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
説明されている実施形態に対するさまざまな修正が可能であり、特許請求の範囲によって定義されている本発明から逸脱することなく、当業者に思い付くこととなる。
【0044】
例示的な方法およびシステムが、本明細書で説明されている。「例」、「例示的な」、および「例示目的の」という語は、「例、事例、または図示としての役割を果たす」ということを意味するように本明細書で使用されるということが理解されるべきである。「例」である、「例示的な」ものである、または「例示目的のための」ものであるとして本明細書で説明されている任意の実施形態または特徴は、必ずしも、他の実施形態または特徴を上回って好適なまたは有利なものとして解釈されるとは限らない。本明細書で説明されている例示的な実施形態は、限定することを意味するものではない。本開示の態様は、一般的に本明細書で説明されているように、および、図に図示されているように、多種多様な異なる構成で配置され、置換され、組み合わされ、分離され、および設計されることが可能であり、それらのすべてが、本明細書で明示的に企図されているということが容易に理解されることとなる。
【0045】
そのうえ、図に示されている特定の配置は、限定するものとして見られるべきではない。他の実施形態は、所与の図に示されているそれぞれのエレメントのより多くまたはより少なく含むことが可能であるということが理解されるべきである。さらに、図示されているエレメントのうちのいくつかは、組み合わせられるかまたは省略されることが可能である。さらに、例示的な実施形態は、図に示されていないエレメントを含むことが可能である。
【0046】
別段の指示がない限り、「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書では単にラベルとして使用されており、これらの用語が言及するアイテムに対して、序列的な要件、位置的な要件、または階層的な要件を課すことを意図していない。そのうえ、たとえば、「第2の」アイテムへの言及は、たとえば、「第1の」またはより低く付番されたアイテム、および/または、たとえば、「第3の」またはより高く付番されたアイテムの存在を必要とせず、または、それを除外しない。
【0047】
本明細書で使用されているように、特定の機能を実施する「ように構成されている」装置、エレメント、および方法は、実際に、単にさらなる修正の後に特定の機能を実施する可能性を有するのではなく、変更なしに特定の機能を実施することができる。換言すれば、特定の機能を実施する「ように構成されている」装置、エレメント、および方法は、具体的には、特定の機能を実施する目的のために、選択され、生成され、実装され、利用され、プログラムされ、および/または設計されている。本明細書で使用されているときに、「ように構成されている」は、装置、エレメント、および方法がさらなる修正なしに特定の機能を実施することを可能にする、装置、エレメント、および方法の既存の特質を指す。本開示の目的のために、特定の機能を実施する「ように構成されている」ものとして説明されている装置、エレメント、および方法は、追加的にまたは代替的に、その機能を実施する「ように適合されている」、および/または、その機能を実施する「ように動作可能である」ものとして、説明されることが可能である。
【0048】
さらに、以下の説明において、薬剤送達デバイスという語句が使用されることとなる。この文脈において、薬剤送達デバイスは、特定の用量の薬剤をユーザーに送達することができる複数のデバイスを含むことが可能である。薬剤送達デバイスは、使い捨てのタイプまたは再使用可能なタイプのいずれかのものであることが可能であり、特定の形態の特定の薬物のために適切に配置されている薬剤コンテナを提供されることが可能である。
【0049】
図1Aおよび図2A図2Cは、薬剤送達デバイス20に取り付けられているときの補助デバイス1を示している。この例では、薬剤送達デバイス20は、遠位端部から近位端部へ延在するチューブ状の細長い本体部を有している。薬剤送達デバイスは、ハウジング22を含み、ハウジング22は、薬剤コンテナ、活性化メカニズム、薬剤送達部材を収容するように配置されている。近位端部には、薬剤送達部材を保護する除去可能なキャップ21がある。補助デバイス1は、除去可能なキャップから薬剤送達デバイス20の遠位端部に向かって長手方向に延在するハウジング11を含む。図1Aおよび図2A図2Cに示されている例では、補助デバイスのハウジング11は、除去可能なキャップ21の長手方向寸法の上方に部分的に延在しており、ハウジング11の一部分が、薬剤送達デバイス20のハウジング22の上に配置されるようになっている。
【0050】
図に示されていない代替的な例において、補助デバイスのハウジングは、除去可能なキャップ21を越えて延在していない。たとえば、補助デバイスのハウジングは、除去可能なキャップを円周方向に包囲するc字クリップ形状を有することが可能である。代替的に、ハウジングは、キャップの断面形態を採用しており、すなわち、それは、キャップの近位端部または頂部に追加されることが可能である。
【0051】
補助デバイス1のハウジング11を薬剤送達デバイス20の除去可能なキャップ21に取り付けることは、本例では、図3D図5、および図6Bに示されているように、接着パッド111を含む。補助デバイスは、除去可能なキャップ21に接着して取り付けられる。接着パッド111は、優先的には、キャップに可逆的にまたは不可逆的に糊付けするように構成されている接着糊を含む。代替的に、接着パッド111は、補助デバイス1を除去可能なキャップ21に可逆的に取り付けるための吸引メカニズム、たとえば、マイクロ吸引カップを備えた表面を含む。さらに代替的に、接着パッド111は、磁気パッドであり、磁気パッドは、補助デバイスをキャップに磁気的に取り付ける。
【0052】
補助デバイスのc字クリップ形状のハウジングを備えた上記の代替的な例では、取り付けパッドは、弾性のc字クリップの形態を有することが可能であり、弾性のc字クリップは、弾性力単独で、または、上記の任意の接着例と組み合わせて、キャップに取り付けられた場所に補助デバイスを保持する。
【0053】
補助デバイスの断面キャップ形状を備えた上記の例では、接着パッドのさまざまなバージョン、すなわち、糊付け、吸引、または磁気的なタイプが適用可能であり、さらに、補助デバイスをキャップに取り付けるために、補助デバイスは、ネジ山付き手段をさらに含むことが可能である。このケースでは、接着パッドまたはネジ山付き手段は、単独でまたは組み合わせて使用されることが可能である。
【0054】
補助デバイスのハウジング11は、さまざまなモジュールを受け取るように構成されている。図5に図示されているように、ハウジング11は、通信モジュール13、バッテリーモジュール15、スイッチ16、および活性化クリップ12を受け入れており、バッテリーモジュール15は、回路基板に配置されている回路基板151と、1つまたは複数のバッテリー14a、14bと、随意的に、バッテリー装着構造体141a、141bとを含む。随意的に、補助デバイスは、図に示されていないセンサーモジュールを含み、たとえば、センサーモジュールは、温度、湿度、移動、光、音、または振動のためのセンサー、または、電界センサーもしくは磁界センサーを含む。
【0055】
随意的に、補助デバイスは、薬剤送達デバイス、患者、薬剤、または任意の他の関連の有用なデータに関係するデータを記憶するためのデータストレージ手段を含む。たとえば、それは、通信モジュール13のためのインストラクションを備えたコンピュータープログラムをさらに記憶することが可能である。
【0056】
たとえば、通信モジュール13が、多種多様な薬剤送達デバイスおよび薬剤のために設計されているときには、特定の薬剤送達デバイスまたは薬剤または患者に関係付けられるそれぞれのコンピュータープログラムが、薬剤送達デバイスタイプまたはその中に含有される薬剤に特化されたストレージ手段の中に記憶されることが可能である。例を挙げると、あるタイプの薬剤は、特定の温度で保管されなければならないが、保管温度とは異なる温度で投与されなければならない。このケースでは、温度センサーは、温度データをデータストレージデバイスに送信し、データストレージデバイスは、データおよびコンピュータープログラムを通信モジュールに送信し、通信モジュールは、コンピュータープログラムの実行のときに、保管温度が以前に破壊されたことがないという通知、および、投与のための温度が到達されたという通知をユーザーに送る。ユーザーに送られる通知は、たとえば、ワイヤレス通信を介して、スマートフォン、コンピューター、もしくは別個の表示デバイス、または、任意の他の適当な表示デバイスに送られる。
【0057】
随意的に、通信モジュール13は、ユーザーへの通知を示すディスプレイモジュールをさらに含む。図に示されていないディスプレイモジュールは、代替的に、薬剤送達デバイスに取り付けられるか、または、薬剤送達デバイスの中に一体化されることが可能である。この例におけるディスプレイモジュールは、次いで、補助デバイスの通信モジュール13に接続可能である。随意的に、ディスプレイモジュールは、触覚的な、視覚的な、および/または可聴の信号伝達のための追加的な信号伝達エレメントをさらに含む。たとえば、触覚的な信号伝達のための振動発生器、および、可聴の信号伝達のためのスピーカーなどである。
【0058】
いくつかの例において、バッテリーモジュール15および通信モジュール13は、単一のモジュールとして設計されており、単一のモジュールは、たとえば、新しいバッテリー、スイッチ、および活性化クリップとともに再使用され、それらと再組み立てされることが可能である。
【0059】
図3Aから図3Dに図示されているように、補助デバイスは、絶縁ストリップ113Aを備えて配置されており、絶縁ストリップの第1の部分は、図3Cおよび図3Dに示されているように、補助デバイスのハウジング11の中に配置されており、絶縁ストリップの第2の部分は、薬剤送達デバイス20のハウジングに取り付けられるように構成されており、これは、たとえば、図2Aおよび図6Aに見られることが可能である。活性化クリップ12は、クリップの第1の部分121がバッテリーモジュール15に動作可能に接続されるように形状決めされており、さらに、第2の部分122は、それが絶縁ストリップ113A、113Bのための支持部を提供するように形成されており、この例では、第2の部分122は、バッテリーモジュール15への接続部から、間隔を離して配置されたスイッチ16に向かって、長手方向に延在しており、スイッチ16も、図6Cに示されているバッテリーモジュール15に接続されている。絶縁ストリップ113A、113Bの第1の部分1131は、図6Bおよび図6Cに図示されている、活性化クリップ12の第2の部分122とスイッチ16との間に配置されている。補助デバイス1の第1の状態(S1)では、絶縁ストリップ113A、113Bは、通信モジュールがバッテリーモジュールから電力を受け取ることを防止する。通信モジュール13を活性化させるために、絶縁ストリップ113A、113Bは、スイッチと活性化クリップとの間の接触が確立されるように、移動される必要がある。これは、バッテリー14a、14bが通信モジュール13に電力を提供するように、絶縁ストリップの第1の部分1131がスイッチ16と活性化クリップ12との間の接触エリアから除去されるときに、薬剤送達デバイスのハウジング22に対する除去可能なキャップ21の第1の移動M1または第2の移動M2が補助デバイス1を第2の状態S2に変化させるときに実現される。通信モジュール13がバッテリーから電力を受け取ったときに、通信モジュールは、たとえば、外部デバイスまたはディスプレイに通知を送ることが可能である。さらに、バッテリーモジュールは、直接的にまたは通信モジュールを介して、センサーモジュールに電力を提供することが可能である。図6A図6Cに示されているような例では、バッテリーモジュール15への活性化クリップ12の接続は、スイッチ16から長手方向に間隔を離して配置されており、これは、活性化の前の絶縁ストリップ113A、113Bのための長手方向のトラベル距離を提供する。または、換言すれば、除去可能なキャップ21は、近位方向に特定の距離を移動(M1)しなければならず、トラベル距離は、活性化クリップ12の第2の部分122における絶縁ストリップの初期位置によって設定される。したがって、最大トラベル距離は、スイッチ16の位置とバッテリーモジュール15への活性化クリップ12の接続部の位置との間の距離である。利点は、絶縁ストリップ113A、113Bが遠位方向にスイッチ16を越えて移動することなく、除去可能なキャップ21が偶発的に近位方向に特定の距離をトラベルすることが可能であるということである。補助デバイス1の第1の状態S1において上記に引用されているように、絶縁ストリップ113A、113Bは、通信モジュールがバッテリーモジュールから電力を受け取ることを防止する。除去可能なキャップ21の除去は、取り付けられている補助デバイス1を近位方向に移動させ、それによって、移動(M1、M2)は、線形の移動、円周方向の移動、もしくは螺旋状の移動のうちのいずれか1つ、または、それらの任意の組み合わせであることが可能である。近位方向への補助デバイス1の変位は、スイッチ16および活性化クリップ12を近位方向に移動させ、それによって、絶縁ストリップ113A、113Bは、スイッチおよび活性化クリップの接触エリアから移動し、換言すれば、絶縁ストリップ113A、113Bは、スイッチ16の位置を越えて移動し、スイッチ16と活性化クリップ12との間の接触を可能にする。このように、偶発的な活性化は起こり得ない。絶縁ストリップ113A、113Bの第2の部分1132は、接着部分を有しており、接着部分によって、絶縁ストリップは、薬剤送達デバイス20のハウジング22に取り付けられており、換言すれば、補助デバイス1が薬剤送達デバイス20に取り付けられているときに、補助デバイス1のハウジング11は、接着パッド111を介して、除去可能なキャップ21に取り付けられており、絶縁ストリップ113A、113Bは、絶縁ストリップ113A、113Bの接着部分を介して、薬剤送達デバイスのハウジング22に取り付けられている。
【0060】
図7Aおよび図7Bに示されている代替的な例では、絶縁ストリップは、薬剤送達デバイス20のハウジング22の周りに円周方向に巻き付けられており、絶縁ストリップ113Bの第2の部分1132は、薬剤送達デバイスのハウジング22において円周方向に取り付けられている。除去可能なキャップ21は、活性化が起こる前に捩じられることが可能である。このように、最初に除去可能なキャップ21を捩じり、次いで、除去可能なキャップ21を引っ張る移動を含む移動M2が、補助デバイス1を活性化させるために必要である。
【0061】
絶縁ストリップの第2の部分1132は、ユーザーが見ることができる外部側に情報をさらに含むことが可能である。たとえば、QRコード(登録商標)、RFIDタグ、温度センサー(閾値温度が到達された場合に色を変化させるセンサー)、ホログラム、ラベルなど、さまざまなタグが想定されることが可能である。
【0062】
図に示されていない代替的な例において、補助デバイスは、キャップに解放不能に連結されており、それは、キャップの中に一体化されることが可能である。この例では、補助デバイスは、絶縁ストリップを備えて配置されている。絶縁ストリップの第1の部分は、補助デバイスのハウジング11の中に、すなわち、キャップの中に配置されており、絶縁ストリップの第2の部分は、薬剤送達デバイス20のハウジングに取り付けられるように構成されている。さらなる例において、1つまたは複数のバッテリーおよび随意的にバッテリー装着構造体を含むバッテリーモジュールは、除去可能なキャップの中に一体化されており、補助デバイスは、除去可能なキャップの中のバッテリーモジュールに電気的に接続されている。このように、補助デバイスは、外部バッテリーモジュールへの接続を有している。本明細書で説明されている補助デバイスのモジュール式の態様は、異なるニーズのための異なるモジュールと組み合わせる利点を有しており、これは、デバイスの容易な適合および修正を可能にする。さらに、任意の既存の薬剤送達デバイスは、基礎となる薬剤送達デバイスを変化させることなく、スマートデバイス機能によって容易にアップグレードされることが可能である。より多くの機能性および安全性が、既存のデバイスを修正することなく、既存のデバイスに追加されることが可能である。モジュール式の構造によって、補助デバイスは、さらに、全体的にまたは部分的に再使用されることが可能である。活性化が除去可能なキャップによってトリガーされることによって、除去バッテリー寿命およびバッテリーサイズが最適化されることが可能である。そして、これは、デバイスの材料コストを低下させ、補助デバイスのよりコンパクトな設計を可能にする。
【0063】
図に示されていないさらなる例において、除去可能なキャップ21が引き離され、通信モジュールがスイッチ16と活性化クリップ12との接触によって活性化させられた後に、除去可能なキャップ21が薬剤送達部材の上に戻されるときに、絶縁ストリップが、スイッチと活性化クリップとの間に再位置決めされるように構成されており、電力供給が再び中断されるようになるように、絶縁ストリップが配置されている。このように、活性化メカニズムは、再使用可能であり、それは、マルチドーズのまたは再使用可能なデバイスにとって利点である可能性がある。
【0064】
さまざまな態様および実施形態が本明細書で開示されてきたが、他の態様および実施形態が、当業者に明らかになることとなる。デバイスおよび方法の異なる態様の中のおよびそれらの間のすべての実施形態は、文脈が明確にそうでないことを指定していない限り、組み合わせられることが可能である。本明細書で開示されているさまざまな態様および実施形態は、図示の目的のためのものであり、限定することを意図するものではなく、真の範囲は、特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0065】
1 補助デバイス
11 ハウジング
12 活性化クリップ
121 第1の部分
122 第2の部分
13 通信モジュール
14a、14b バッテリー
141a、141b バッテリー装着構造体
15 バッテリーモジュール
151 回路基板
16 スイッチ
20 薬剤送達デバイス
21 除去可能なキャップ
22 ハウジング
111 接着パッド
113A、113B 絶縁ストリップ
1131 第1の部分
1132 第2の部分
M1 第1の移動
M2 第2の移動
S1 第1の状態
S2 第2の状態
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
【国際調査報告】