(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電気的プラグイン接続部用の雄型多極コネクタ基体
(51)【国際特許分類】
H01R 13/514 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01R13/514
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521044
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2022070761
(87)【国際公開番号】W WO2023016788
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021208878.3
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ルートヴィヒ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス メナッハー
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087JJ08
5E087RR01
5E087RR07
5E087RR25
(57)【要約】
本発明は、雄型多極コネクタ基体に関し、当該雄型多極コネクタ基体は、片側が開口した複数のプラグイン収容部(3)を含み、これらのプラグイン収容部(3)は、雄型多極コネクタ基体の延在方向(8)に配置され、それらはプラグイン要素を収容するように構成され、各プラグイン収容部(3)は、固有の底部プレート(4)を有し、隣接するプラグイン収容部(3)の間に、特に全ての隣接するプラグイン収容部(3)の間に、片側が開口したそれぞれ1つの接続ポケット(5)が配置され、この接続ポケット(5)は、自身に相互に隣接するプラグイン収容部(3)を相互に接続し、プラグイン収容部(3)は、底部プレート(4)が載置される平面(E)を起点として第1の方向(Z1)に突出し、接続ポケット(5)は、平面(E)を起点として第1の方向(Z1)とは逆向きの第2の方向(Z2)に突出し、接続ポケット(5)の開口側(50)及びプラグイン収容部(3)の開口側(30)は、実質的に同等の方向に配向されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄型多極コネクタ基体であって、
前記雄型多極コネクタ基体は、片側が開口した複数のプラグイン収容部(3)を含み、前記プラグイン収容部(3)は、前記雄型多極コネクタ基体の延在方向(8)に配置されかつプラグイン要素を収容するように構成されており、
各プラグイン収容部(3)は、固有の底部プレート(4)を有し、
隣接するプラグイン収容部(3)の間に、特に全ての隣接するプラグイン収容部(3)の間に、片側が開口したそれぞれ1つの接続ポケット(5)が配置され、前記接続ポケット(5)は、自身に相互に隣接するプラグイン収容部(3)を相互に接続し、
前記プラグイン収容部(3)は、前記底部プレート(4)が載置される平面(E)を起点として第1の方向(Z1)に突出し、前記接続ポケット(5)は、前記平面(E)を起点として前記第1の方向(Z1)とは逆向きの第2の方向(Z2)に突出し、
前記接続ポケット(5)の開口側(50)及び前記プラグイン収容部(3)の開口側(30)は、実質的に同等の方向に配向されている、雄型多極コネクタ基体。
【請求項2】
前記プラグイン収容部(3)の前記底部プレート(4)は、第1の壁厚Dlを有し、前記プラグイン収容部(3)の側壁(31)は、第2の壁厚D2を有し、次の不等式、0.3×Dl<D2<0.65×Dlが満たされ、特に、D2=0.5×Dlである、請求項1に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項3】
前記底部プレート(4)から突出する、前記プラグイン収容部(3)の前記側壁(31)の前記第2の壁厚D2は、前記接続ポケット(5)のポケット側壁(52)の第3の壁厚D3に等しい、請求項1又は2に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項4】
前記接続ポケット(5)の基準プレート(51)の第4の壁厚D4は、前記接続ポケット(5)の前記ポケット側壁(52)の前記第3の壁厚D3に等しい、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項5】
前記平面(E)は、前記底部プレート(4)の中心平面であり、
前記プラグイン収容部(3)の前記側壁(31)は、前記底部プレート(4)の前記中心平面を起点として第1の長さL1を有し、
前記接続ポケット(5)の前記ポケット側壁(52)は、前記基準プレート(51)の内側底部(53)を起点として前記底部プレート(4)の中心平面まで第2の長さL2を有し、
前記第1の長さL1は、前記第2の長さL2の少なくとも2倍の長さである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項6】
次の不等式、0.15xL1<L2<0.5xL1が満たされ、特に、次の不等式、0.2xL1<L2<0.38xL1が満たされ、さらに特に、L2=0.33xL1である、請求項5に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項7】
前記接続ポケット(5)の前記開口側(50)は、前記プラグイン収容部(3)の前記底部プレート(4)の内側底部(40)の高さに存在する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項8】
前記プラグイン収容部(3)の少なくとも1つの側壁(31)及び前記接続ポケット(5)のポケット側壁(52)は、共通の壁部平面(W)に存在する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項9】
前記プラグイン収容部(3)の全ての側壁(31)は、前記雄型多極コネクタ基体の延在方向(8)に対して垂直な第1の方向(Z1)に沿って存在し、それぞれ、前記接続ポケット(5)の前記ポケット側壁(52)のうちの1つと共通の壁部平面(W)に存在する、請求項8に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項10】
前記雄型多極コネクタ基体(1)は、射出成形部品であり、特に、材料として繊維で強化されたプラスチックが使用される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項11】
前記プラグイン収容部(3)の側壁(31)内及び前記接続ポケット(5)のポケット側壁(52)内の前記繊維は、前記プラグイン収容部(3)の前記底部プレート(4)に対して実質的に垂直に配向されている、請求項10に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項12】
前記繊維は、ガラス繊維であり、前記プラスチックは、ポリアミド又はポリブチレンテレフタレートである、請求項10又は11に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項13】
前記ガラス繊維は、前記雄型多極コネクタ基体(1)の材料における20~40体積%の範囲にある割合を有している、請求項12に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項14】
前記材料は、PA66GF30であり、又は、PBTGF30である、請求項12又は13に記載の雄型多極コネクタ基体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的プラグイン接続部用の、特に自動車の制御装置用の雄型多極コネクタ基体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的プラグインコネクタ用の雄型多極コネクタ又はプラグイン型多極コネクタ又はピン型多極コネクタは、従来技術から公知である。それらは、例えば、雄型多極コネクタ基体又はプラグイン型多極コネクタ基体又はピン型多極コネクタ基体からなり、通常は、絶縁体として構成され、その中には、導電性のブレード、ピン、又は、一般的に接触接続要素(多くの場合は、いわゆる「雄型接触接続要素」)が差し込まれており又は打ち込まれている。例えば、独国特許出願公開第102019216354号明細書には、簡略化されたプリント基板取り付け用の雄型多極コネクタ又はピン型多極コネクタ又はプラグイン型多極コネクタが開示されている。雄型多極コネクタの可変の幾何形状要素に基づいて、特に極数の多い自動車の制御装置用の雄型多極コネクタにおいては、雄型多極コネクタ基体の射出成形製造の際に収縮及び/又は歪みが発生する可能性がある。もちろん、雄型多極コネクタ基体には、特に高い寸法要求を課する必要がある。制御装置の方向においては、プリント基板上のピンの接触接続とハウジングに対するシールとが保証されるべきである。ケーブルハーネスの方向においては、対向コネクタに対する接触接続、ロック及びシールを確実にする必要がある。サイズと非対称の構造とに基づいて、雄型多極コネクタの強い収縮の他にも撓みが頻繁に生じる。この問題を解決するために、例えば、ガラスビーズを含んだ等方的収縮性のプラスチックが補強要素として使用される。しかしながら、その強度は、自動車の雄型多極コネクタの要件については不十分である。さらに、雄型多極コネクタは、2成分射出成形過程で製造することも可能である。これにより、歪みを低減することは可能となるが、このことは複雑な金型技術につながり、特に、雄型多極コネクタの製造時間を長引かせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102019216354号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の開示
これに対して、本発明に係る、請求項1の特徴を有する雄型多極コネクタ基体又はプラグイン型多極コネクタ基体は、雄型多極コネクタ基体の歪み及び/又は収縮及び/又は撓みを回避又は大幅に低減することができるという利点を有する。したがって、雄型多極コネクタ基体は、特に高い寸法維持度を有する。これにより、車両において制御装置との接続などに使用される雄型多極コネクタに対する高い要求を満たすことができる。この場合、雄型多極コネクタ基体は、単に例えば射出成形において製造することができる。本雄型多極コネクタ基体は、この種の例示的なケースにおいては、特に容易にかつコスト効率のよい特に大量生産に適した製造が可能である。次いで、好適には、製造のために等方的収縮性の材料しか使用できないわけではなく、このことは、好適には、製造のための材料について非常に多くの選択を可能にさせる。さらに好適には、例えば底部プレートに沿った挿入部品も不要にさせることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このことは、本発明によれば、雄型多極コネクタ基体が、片側が開口した複数のプラグイン収容部を含み、これらのプラグイン収容部は、雄型多極コネクタ基体の延在方向に配置されかつ例えばケーブルハーネスのプラグイン要素を収容するように構成されていることによって達成される。各プラグイン収容部は、ここでは、固有の底部プレートを有している。隣接するプラグイン収容部の間に、片側が開口した接続ポケットが配置され、この接続ポケットは、自身に相互に隣接するプラグイン収容部を相互に接続する。ここでは、例えば、全ての隣接するプラグイン収容部の間に、片側が開口したそれぞれ1つの接続ポケットが配置されることが想定されるものとしてよい。プラグイン収容部は、プラグイン収容部の底部プレートが存在する平面Eを起点として第1の方向Z1に突出し、接続ポケットは、平面Eを起点として第1の方向Z1とは逆向きの第2の方向Z2に突出する。さらに、接続ポケットの開口側及びプラグイン収容部の開口側は、実質的に同等の方向に配向されている。それにより、2つの開口側は、実質的に相互に平行に存在している。
【0006】
ここでは、「実質的に同等の方向に」という表現には、これらの方向が相対的に相互に40°までの角度を含み得ることが理解されるであろう。好適には、この角度は、最大で30°、より好適には最大で20°、より好適には10°、さらにより好適には3°以下である。
【0007】
いわゆる雄型多極コネクタ基体は、ここでは、プラグイン型多極コネクタ基体又はピン型多極コネクタ基体という用語と同義に使用することができる。雄型多極コネクタ基体又はプラグイン型多極コネクタ基体又はピン型多極コネクタ基体内には、接触接続要素(例えば、雄型接触接続要素)が配置され、それらは、例えば、正方形、長方形、楕円形の断面又は円形の断面も有し得ることが理解される。次いで、個々の接触接続要素は、通常は、対向プラグイン要素内に配置された対向接触接続要素(例えば、雌型対向接触接続要素)によって接触接続される。
【0008】
プラグイン収容部は、少なくとも片側が開口した構成であることが理解される。例えば、プラグイン収容部は、底部プレートを起点として、底部プレートとは反対側が開口し、それによってプラグをプラグイン収容部に差し込むことが可能である環状のフランジを有し得る。しかしながら、そのような機械的案内要素として機能するフランジが、例えばある程度の可撓性を得るための側方溝を有することも考えられる。このケースでは、フランジ、ひいてはプラグイン収容部は、少なくとも部分的に複数の側面において、又は、複数の側面上において、開口して構成されている。
【0009】
同様に、接続ポケットは少なくとも片側が開口した構成である。このことは、接続ポケットが、例えば、さらに少なくとも1つのさらなる側面上でも、例えば、第1の方向に対して垂直に形成される側面上でも少なくとも部分的に開口するように形成されるものとしてよいことを意味する。
【0010】
少なくとも1つの接続ポケットが、雄型多極コネクタ基体に設けられている。この少なくとも1つの接続ポケットは、相互に隣接する2つのプラグイン収容部の間に配置されている。したがって、例えば、3つ、4つ又はそれ以上のプラグイン収容部を有する雄型多極コネクタ基体の場合でも、単一の接続ポケットを設けるだけで十分であるなる場合もある。もちろん、複数の接続ポケットを設けるものとしてもよい。好適な例示的実施形態においては、それぞれ2つの相互に隣接するプラグイン収容部の間にそれぞれ1つの接続ポケットが設けられる。もちろん、相互に隣接するプラグイン収容部の間の領域に複数の接続ポケットが配置されるものとしてもよい。
【0011】
それにより、プラグイン収容部と実質的に同等の方向に開いている開口した接続ポケットを設けることにより、雄型多極コネクタ基体の製造中又は製造後の歪みが回避可能となり、特に、例えば長さが80mmを超える非常に長い基体及び/又は少なくとも2つのプラグイン収容部を有する基体の場合には、長手方向の撓みも回避可能となり、又は、少なくとも最大で0.5mmの値、好適には最大で0.3mmの値まで制限することができる。ここでは、特に、接続ポケットが、プラグイン収容部における角度歪みを回避させることができる。それにより、等方的収縮性の材料のみが使用可能であること、又は、2成分射出成形若しくは例えば別個に設ける補強要素などの雄型多極コネクタ基体における歪み回避のための他の複雑な手段を必要とすることなしに、雄型多極コネクタ基体の歪みの最小化が達成可能となる。
【0012】
特に、片側が開口したプラグイン収容部は、異なる幾何形状を有し得るものであり、異なるプラグイン要素用に設計されるものとしてもよい。片側が開口したプラグイン収容部は、好適には、一方のみが開口した側面を有するカップ状に形成され、特に、実質的に四角形で、好適には丸み付けられた角を伴って設けられている。さらに好適には、基体の片側が開口したプラグイン収容部の高さが同等のである。プラグイン収容部のプラグイン要素(対向コネクタ)は、好適には、プラグイン収容部内に完全に収容される。プラグイン収容部の内部においては、プラグイン収容部に対する電気的コンタクトが製造される。この目的のために、プラグイン収容部内には、例えば、接触接続ピン又はフラットブレードなどの例えばそれぞれ複数の接触接続要素が配置可能であるものとしてよい。これらの接触接続要素は、例えば、完成された雄型多極コネクタ基体内に成型又は他の手法により挿入することができ又は挿入されるものとしてもよい。プラグイン収容部は、異なる幾何学的寸法を有し得るものであり、特に好適には、付加的な案内要素及び/又はプラグイン要素の正常で適正な姿勢及び位置に差し込むための要素(いわゆる調整要素)を有し得るものである。プラグイン要素は、例えば、接触接続要素と電気的な接触接続を形成することができるソケットコンタクトを有する。
【0013】
さらに好適には、プラグイン収容部が底部プレートの平面Eから突出する第1の方向Z1と、接続ポケットが平面Eから突出する第2の方向Z2とは、平面Eに対して垂直である。
【0014】
従属請求項は、本発明の好適な発展形態を示す。
【0015】
好適には、プラグイン収容部の底部プレートは、第1の壁厚Dlを有し、プラグイン収容部の側壁は、第2の壁厚D2を有する。ここでは、次の不等式、0.3×Dl<D2<0.65×Dlが満たされる。特に、ここでは、D2=0.5×Dlである。このようにして、好適には、雄型多極コネクタ基体の特に良好な安定性を、特に延在方向に沿って又は平面Eに沿って確実にすることができる。同時に、材料を好適に節約することができる。なぜなら、側壁の第2の壁厚D2が主にプラグイン要素のための案内機能と位置決め機能とを有し、したがって、底部プレートと同等の安定性を必要としないからである。そのため、さらに好適には、プラグイン収容部を相互に狭幅に位置決めすることができ、このことは貴重なスペースを節約する。さらに好適には、この種の設計は、雄型多極コネクタ基体の特に歪みの少ない実施形態を促進する。なぜなら、平面Eから突出する体積が比較的少ないからである。
【0016】
さらなる発展形態においては、底部プレートから突出する、プラグイン収容部の側壁の第2の壁厚D2は、接続ポケットのポケット側壁の第3の壁厚D3に等しい。これにより、特に射出成形過程時に、射出成形材料の均等な分布を確実にすることができる。しかしながら、他の製造方法(例えば、中実材からのフライス加工又は3D印刷など)の場合にも特に簡単な製造が生じる。提案された発展形態のために上述した不等式は、必ずしも満たされる必要はないことが理解される。
【0017】
さらなる発展形態においては、接続ポケットの基準プレートの第4の壁厚D4は、接続ポケットのポケット側壁の第3の壁厚D3に等しい。これにより、好適には、製造過程が特に簡素化される。また、これにより、厚さ測定の形態の品質管理も著しく簡素化される。提案された発展形態は、上記で提案された2つの発展形態に依存することなく行うことができることが理解される。つまり、提案された発展形態は、これらに対して代替的又は付加的に使用することができる。
【0018】
本発明のさらに好適な実施形態によれば、平面Eは、底部プレートの中心平面であり、ここで、プラグイン収容部の側壁は、底部プレートの中心平面を起点として第1の長さL1を有し、ここで、接続ポケットのポケット側壁は、接続ポケットの基準プレートの内側底部を起点として底部プレートの中心平面まで第2の長さL2を有し、第1の長さL1は、第2の長さL2の少なくとも2倍の長さである。これにより、好適には、特に容易にかつコスト効率よく製造可能な雄型多極コネクタ基体が作成される。なぜなら、(第2の長さL2によって与えられる)この種のポケット深さの空洞化又はこの種のポケット深さの除去成形は、複雑な再加工を必要とすることなくまだ合理的な労力で可能だからである。この種のポケット深さに必要な工具は、コスト効率よく製造し保守管理することができる。さらに、好適には、この種のポケット深さを有する接続ポケットは、プラグイン収容部の側面とは反対側である、雄型多極コネクタ基体の側面に比較的わずかなスペースしか必要としない。接続ポケットの側面には、例えば電子コンポーネント、例えば制御装置が配置されるものとしてよい。この側面に使用可能な空間は、通常、極めて手短に見積もられる。したがって、この種のポケット深さにより、付加的所要空間と雄型多極コネクタ基体の歪みの低減との間の合理的な妥協点がもたらされる。さらに、好適には、この種のポケット深さにより、特に歪みの少ない雄型多極コネクタ基体を提供することができる。換言すれば、これにより、ポケット側壁の第2の長さL2が、雄型多極コネクタ基体の歪みを回避するのに十分な大きさであることが保証される。基本的には、用途に応じて他のポケット深さも考えられる。プラグイン収容部の底部プレートの中心平面は、ここでは、底部プレートの中心に存在しており、そのため、底部プレートの厚さは、2つの等しい部分領域に分割される。提案された発展形態は、他の提案された発展形態に依存することなく行うことができることが理解される。つまり、提案された発展形態は、これらに対して代替的又は付加的に使用することができる。
【0019】
さらに好適には、次の不等式、0.15×L1<L2<0.5×L1が満たされ、特に、次の不等式、0.2×L1<L2<0.38×L1が満たされ、特に好適には、L2=0.33×L1である。これにより、上述の利点が生じる。特に、提案された関係により、平面Eの下方の使用可能な空間(つまり、プラグイン収容部の側面とは反対側である平面Eの側面)と歪みの少なさとの間の特に好適な妥協点を生じさせることができる。また、これらの関係のために、雄型多極コネクタ基体を製造するための工具は、特に容易に製造することができ、又は、3D印刷又は中実材からのフライス加工などにおける製造過程も依然としてコスト効率がよいことを挙示することができる。最終的に、この種の関係においては品質管理も、例えば、寸法及び/又は材料厚さの測定という形態で非常にコスト効率がよいことを挙示することができる。
【0020】
さらに好適には、接続ポケットの開口側は、プラグイン収容部の底部プレートの内側底部の高さで終端し、又は、接続ポケットの開口側は、プラグイン収容部の底部プレートの内側底部の高さに存在する。これにより、好適には、特に簡素に設計された接続ポケットの幾何形状が提供される。このことは、特に簡素でコスト効率のよい製造及び品質管理を可能にする。
【0021】
プラグイン収容部の少なくとも1つの側壁及び接続ポケットのポケット側壁が共通の壁部平面Wに存在するならば、雄型多極コネクタ基体の特に簡素でコスト効率のよい構造が達成される。好適には、例えば、雄型多極コネクタ基体の延在方向に対して垂直に又は実質的に垂直に延在する、プラグイン収容部の複数又は全ての側壁、及び、接続ポケットの複数又は全てのポケット側壁さえもが共通の壁部平面Wに存在する。
【0022】
特に好適には、プラグイン収容部の全ての側壁は、雄型多極コネクタ基体の延在方向に対して垂直な第1の方向Z1に沿って存在し、それぞれ、接続ポケットのポケット側壁のうちの1つと共通の壁部平面Wに存在する。雄型多極コネクタ基体の延在方向に対して垂直な第1の方向の配置構成により、好適には、雄型多極コネクタの特に容易な製造が可能になる。なぜなら、このケースにおいては、対向コネクタも、延在平面に対して垂直にプラグイン収容部に差し込まれるからである。その結果、接触接続要素は、特に容易に雄型多極コネクタ基体に挿入することができる。
【0023】
雄型多極コネクタ基体の剛性をさらに向上させ、好適にはコスト効率のよい製造を可能にするために、雄型多極コネクタ基体は射出成形部品である。ここでは、材料として、例えば繊維で強化されたプラスチックを使用することができる。繊維強化されたプラスチックは、ここでは剛性を高め、この場合、雄型多極コネクタ基体はそれにもかかわらず射出成形を用いて容易にかつコスト効率よく製造可能である。
【0024】
本発明のさらに好適な実施形態によれば、プラグイン収容部の側壁内及び接続ポケットのポケット側壁内の繊維は、プラグイン収容部の底部プレートに対して実質的に垂直(垂直方向に対して±20°、好適には垂直方向に対して±10°)に配向されている。特に、75%~100%までの繊維の割合が、プラグイン収容部の底部プレートに対して実質的に垂直に配向されている。特に好適には、プラグイン収容部の底部プレートに対して垂直に配向される繊維の割合は、85%~95%の範囲にあり、特に90%である。これにより、好適には、プラグイン収容部の側壁の特に高い剛性及び堅牢性が保証され、それによって、これらの側壁は、頻繁に行われるプラグイン過程、及び/又は、強い圧力下で行われるプラグイン過程においても、損傷から保護される。同時に、これによって側壁の壁厚も低減することができ、そのため、材料を節約することができ、さらにプラグイン収容部を近傍に並べることができ、このことは、貴重なスペースの節約となる。接続ポケットについての異方性収縮に対する一種の補償要素として好適には、繊維の同等の方向性が想定される。ここでは、繊維の長手方向、つまりその最も長い延在方向が、底部プレートに対する角度の決定のための基準点を形成することが理解される。
【0025】
繊維強化されたプラスチックに使用される繊維は、好適にはガラス繊維であり、ここで、プラスチックは、さらに好適には、ポリアミド又はポリブチレンテレフタレートである。これにより、好適には、特にコスト効率よく容易に製造可能な雄型多極コネクタ基体を作成することができる。さらに好適には、この種の雄型多極コネクタ基体が、比較的わずかな材料使用量でも特に安定している。この雄型多極コネクタ基体は、好適には十分に高い(例えば少なくとも80℃までの)耐熱性も有しており、わずかな温度(例えば-40℃)にも損傷なく耐える。
【0026】
ガラス繊維は、さらに好適には、雄型多極コネクタ基体の材料における20~40体積%、特に30体積%の範囲にある割合を有している。これにより、好適には、少ない材料投入で特に高い安定性をもたらすことができる。
【0027】
好適には、雄型多極コネクタ基体用の材料は、PA66GF30又はPBTGF30である。これにより、特にコスト効率のよい雄型多極コネクタ基体を作成することが可能となり、これは容易に製造可能であり、わずかな材料投入で高い安定性を有し、広い温度範囲(例えば、-40℃~80℃)で非常に高い耐性を有し、その他にも媒体(例えば、塩水、ブレーキ液などの攻撃的な媒体)に対する耐性が非常に高い。
【0028】
特に好適にはプラグイン収容部の第1の幅Blは、接続ポケットの第2の幅B2以上である。プラグイン収容部の第1の幅Bl及び接続ポケットの第2の幅B2は、ここでは、例えば平面E内で決定することができる。これらは、好適には、雄型多極コネクタ基体の長手方向の延在方向に対して実質的に垂直に延在している。これにより、好適には、接続ポケットは、平面Eの下方の特に貴重な空間をわずかだけ占めることができ、好適には材料を節約することができる。雄型多極コネクタ基体は、これによってよりコンパクトでより軽量に構築される。
【0029】
さらに、本発明は、本発明に係る雄型多極コネクタ基体又はプラグイン型多極コネクタ基体を含む電気的プラグイン接続部に関する。
【0030】
本発明は、本発明に係る雄型多極コネクタ基体を有する電気的プラグイン接続部を備えた車両用、特に自動車用の制御装置にも関する。
【0031】
以下においては、本発明の好適な実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の好適な第1の実施例による雄型多極コネクタ基体を示す概略的縦断面図である。
【
図2】
図1の雄型多極コネクタ基体を示す概略的平面図である。
【
図3】
図1の雄型多極コネクタ基体と、電気的接触接続部用のピン形態での雄型多極コネクタ基体に取り付けるべき複数の接触接続要素とを示す概略的透視図である。
【
図4】
図1の雄型多極コネクタ基体を示す拡大された概略的部分断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施例による雄型多極コネクタ基体を示す概略的部分断面図である。
【
図6】代替的な雄型多極コネクタ基体を示す概略的部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の好適な実施形態
以下においては、
図1乃至
図4を参照して、本発明の第1の好適な実施例による雄型多極コネクタ基体1又はプラグイン型多極コネクタ基体又はピン型多極コネクタ基体を詳細に説明する。
【0034】
図1及び
図2から明らかなように、雄型多極コネクタ基体1は、片側が開口した複数のプラグイン収容部3を含んでいる。これらのプラグイン収容部3は、雄型多極コネクタ基体1の延在方向8に一列に配置されている。プラグ収容部又はプラグイン収容部3は、ここでのこの実施例においては、丸み付けされた角と、正確に1つの開口側30とを有する単に例示的な立方体形状に形成されている。それらは、他の基本的な形状(例えば台形、円形、三角形など)を有し得るものであり、例えば、側面にスリット又は孔部が形成されるものとしてもよい。
【0035】
特に、
図2から明らかなように、プラグイン収容部3は、異なるサイズを有している。プラグイン収容部3は、ここでは、例えばケーブルハーネスのプラグなど、図示されていないプラグイン要素を収容するように構成されている。
【0036】
さらに、
図2から明らかなように、プラグイン収容部3は、ここでは単に例示的に全てが同等の第1の幅Blを有している。この第1の幅Blは、ここでは、雄型多極コネクタ基体1の延在方向8に対して垂直な幅を規定している。
【0037】
雄型多極コネクタ基体1は、雄型多極コネクタ10又はプラグイン型多極コネクタ又はピン型多極コネクタの一部であり、これらは、
図3に一種の分解図で概略的に示されているように、電気的接触接続部のために複数の(平坦な)ブレード又は(平坦又は円形の)ピン2(一般に:任意の断面を有する接触接続要素)を有している。
図2から明らかなように、これらのピンは異なって(ここでは、正方形と長方形の断面に)形成され、完成された又は取り付けられた状態において、雄型多極コネクタ基体を通って開口したプラグイン収容部3の内側領域に進入する。それらは、例えば、最初は湾曲していない状態で、例えば、雄型多極コネクタ基体1に打ち込まれ又は差し込まれ得るものであり、それに続いて、例えば
図3に示されている形状に湾曲される。
【0038】
それにより、ここで単に例示的に示されている雄型多極コネクタ10は、極数の多い雄型多極コネクタであり、これは、例えば自動車の制御装置の電気的接触接続部用に構成されている。雄型多極コネクタ10は、プリント基板などへのピン2の正確な接触接続と、プラグイン収容部3に差し込まれる(ここでは図示されていない)プラグイン要素の接点との正確な接触接続とを保証するために、ここでは最高の寸法要件を満たさなければならない。さらに、プラグイン収容部とプラグイン要素との間の差込接続の確実なシールも可能でなければならない。最終的には、雄型多極コネクタ10の上面(プラグイン収容部の側面)から雄型多極コネクタ10の下面までの媒体シール性が保証されるべきである。
【0039】
雄型多極コネクタ基体1は、この実施形態においては、単なる例示的な射出成形構成部品であり、この場合、射出成形用の材料として、好適には繊維で強化されたプラスチックが使用される。次いで、雄型多極コネクタ基体1が射出成形された後、この実施例においては、ピン2が、雄型多極コネクタ基体1の片側から、各プラグイン収容部3の底部を形成する底部プレート4を貫通して打ち込まれ又は差し込まれ得るものである。ここでは、他の製造方法、例えば、中実材からのフライス加工や3D印刷なども可能であることが理解される。さらに、他の材料、例えば充填材を含まないプラスチック又は例えば球状充填材を含むプラスチックも使用可能であることが理解される。基本的には、セラミックなども使用することができる。
【0040】
さらに特に
図1から明らかなように、相互に隣接するプラグイン収容部3の間に、片側が開口したそれぞれ1つの接続ポケット5が配置されている。接続ポケット5は、ここでは、それぞれ相互に隣接して配置されたプラグイン収容部3を相互に接続する。ここでは、全てのそれぞれ相互に隣接するプラグイン収容部3の間に、それぞれ1つの接続ポケット5が必ずしも配置されなければならないわけではないことが理解される。
【0041】
プラグイン収容部3の底部プレート4が存在する平面Eは、雄型多極コネクタ基体1を、プラグイン収容部3が配置されている上方部分と、接続ポケット5が配置されている下方部分とに分割する。
【0042】
それにより、プラグイン収容部3は、平面Eを起点として、この例示的な実施形態においては垂直に、第1の方向Z1に突出し、接続ポケット5は、平面Eを起点として、この例示的な実施形態においては垂直に、第1の方向Z1とは逆向きの第2の方向Z2に突出する。接続ポケット5は、ここでは、ここでの例示的なそれぞれ1つの開口側50のみを同様に有し、ここで、接続ポケット5の開口側50及びプラグイン収容部の開口側30は、ここでの例示的な同等の方向に、詳細には、第1の方向Z1に配向されている。
【0043】
図2の平面図から明らかなように、接続ポケット5は、延在方向8に対して垂直に規定される第2の幅B2を有する。この第2の幅B2は、ここでは、開口されたプラグイン収容部3の第1の幅Blよりも小さい。第2の幅B2は、ここでは、第1の幅Blの75%~90%までの範囲(0.75×Bl~0.9×Bl)に存在する。
【0044】
平面図(
図2)において、接続ポケット5は、ここでは例示的にそれにより同様に実質的に長方形の形状を有するが、ただし、これらは延在方向8においてプラグイン収容部3よりも著しく狭幅に形成されている。例えば、延在方向8に沿った長さは、延在方向8に沿った隣接するプラグイン収容部3の長さの約5%~20%である。例えば、接続ポケット5は、延在方向8に沿って少なくとも0.5mm、好適には少なくとも1mmの長さを有する。このようにして、接続ポケット5は、特に容易に製造することができる。次いで、それは歪みに特に良好に対向的に作用することができる。延長方向に沿った接続ポケット5の長さは、例えば、好適には0.5mm~7mmの範囲、好適には1mm~5mmの範囲にあることができる。このようにして、接続ポケット5は容易に製造することができる。それは、一方では、歪みを最小化するのに十分な対抗応力をもたらすことができ、同時に、雄型多極コネクタ基体1の弱体化又は不安定化に対抗的に作用することができる。
【0045】
したがって、
図1及び
図2から明らかなように、全ての相互に隣接するプラグイン収容部3の間に、それぞれ1つの別個の接続ポケット5が形成されている。これらの接続ポケット5は、平面Eを起点としてプラグイン収容部3(上方部分)と比較して平面Eの他の側(下方部分)に存在するため、雄型多極コネクタ基体1の射出成形過程中に(又は3D印刷中などにも)生じ得る寸法誤差、特に歪みを補正することができる。したがって、ここでは、材料の選択はもはや重要ではなくなり、すなわち、寸法維持度は、充填材を含まないプラスチックや例えば球状の充填材を含むプラスチックなどの材料でも、繊維状の充填材を含むプラスチックでも達成される。これにより、特別な製造技術(2成分射出成形)や歪みを最小化するための特別な挿入部品なしで、最大限の寸法維持度のもとに非常に自由な材料の選択が可能になる。同時に、この目標は、下方部分にわずかな付加的所要空間を用いるだけで達成することができる。したがって、接続ポケット5の幾何学的パラメータの選択により、射出成形過程中の歪みに所期のように影響を与えることが、非常に簡単でコスト効率のよい手段を用いて、追加スペースや追加材料をごくわずかしか必要とせずに実行することが可能になる。
【0046】
接続ポケット5は、この実施例においては、正確に1つの開口側50を有する立方体形状の構造も有し、ここで、さらなる側面は、少なくとも部分的に開口して構成されるものとしてもよい。
【0047】
図4は、
図1の雄型多極コネクタ基体1を通る断面図である。接続ポケット5は、ここでは、基準プレート51及び4つのポケット側壁52を有する。平面Eから最も離れている基準プレート51は、ここでは、延在方向8においてタイロッドに相当する効果を有する。これにより、特に、第1の方向Z1におけるプラグイン収容部3の伸長に基づきプラグイン収容部の側壁31において生じ得る、プラグイン収容部3の角度歪みを回避することが可能となる。
【0048】
図4は、異なる幾何形状、特に延在方向8における異なる(長手方向の)伸長を有する2つの相互に隣接するプラグイン収容部3を詳細に示している。
【0049】
図4からさらに明らかなように、プラグイン収容部3の底部プレート4は、第1の壁厚Dlを有し、プラグイン収容部3の側壁31は、第2の壁厚D2を有する。ここでは、第1の壁厚Dlは、第2の壁厚D2の2倍の大きさである。
【0050】
さらに、接続ポケット5は、接続ポケット5のポケット側壁52の第3の壁厚D3を有している。接続ポケット5の基準プレート51の第4の壁厚D4は、第3の壁厚D3に等しい。したがって、この実施例においては、第1の壁厚Dlが、第2の壁厚D2の2倍の大きさであることが当てはまる。プラグイン収容部3及び接続ポケット5の第2の壁厚D2、第3の壁厚D3、及び、第4の壁厚D4は、同等の大きさである。他の比率も同様に考えられる。
【0051】
さらに、延在方向8に対して垂直であるプラグイン収容部3の側壁31は、接続ポケット5のポケット側壁52と共通の壁部平面Wに存在する。したがって、これらの壁部平面Wは、平面Eと直角に交差する。ここでは、これらの壁部平面Wは、全て相互に平行である。
【0052】
図4からさらに明らかなように、プラグイン収容部3の側壁31は、底部プレート4の中心平面を形成する平面Eを起点として第1の長さL1を有し、ここで、接続ポケット5のポケット側壁52は、基準プレート51の内側底部53を基点として底部プレート4の中心平面まで第2の長さL2を有する。ここでは、この実施例での説明のために、L2がL1の約33%であるように選択されている。それにより、接続ポケット5の第2の長さL2は、プラグイン収容部3の第1の長さL1の約1/3に過ぎない。このようにして、第2の長さL2は、例えば、制御装置のプリント基板が配置され得る下方部分に不必要に長く突出しない。例えば、接続ポケット5の第2の長さL2は、6mm~15mmの間の範囲、好適には8mm~12mmの間の範囲におくことができる。
【0053】
さらに、接続ポケット5の開口側50は、
図4から詳細に明らかなように、プラグイン収容部3の内側底部40の高さに存在する。つまり、接続ポケット5は、この実施例においては、例えば、内側底部40を超えて雄型多極コネクタ基体1の上方部分内に突出する固有の壁部を有していない。
【0054】
さらに
図1乃至
図3から明らかなように、雄型多極コネクタ10は、プラグイン収容部3の配置構成を完全に取り囲む周方向縁部領域7をさらに含んでいる。この周方向縁部領域7は、
図1から明らかなように、プラグイン収容部3の底部プレート4の高さに存在する。この周方向縁部領域7は、ここでは、雄型多極コネクタ10の付加的剛性を提供している。
【0055】
さらに
図1及び
図3から明らかなように、この実施形態においては、例示的に雄型多極コネクタ10は、さらに周方向補強縁部6を含む。この周方向補強縁部6は、この実施例においてはフランジ方式で、周方向縁部領域7から第2の方向Z2の方向へ約90°の角度で突出している。周方向補強縁部6は、ここでは、さらに補強リブ60を有している。この補強リブ60は、ここでは、周方向補強縁部6の外側(径方向外側)に向かって突出している。
図1から明らかなように、平面Eに対してこの補強リブ60は、接続ポケット5の内側底部53が平面Eに対するよりも幾分近傍に配置されている。
【0056】
したがって、その開口側50がプラグイン収容部3の開口側30と実質的に同等の方向、詳細には第1の方向Z1の方向へ配向されている接続ポケット5を設けることにより、雄型多極コネクタ10の歪みを回避することができる。これにより、射出成形時だけでなく、3D印刷時などにおいても、雄型多極コネクタ10の優れた寸法精度を達成することができる。雄型多極コネクタ基体1のための材料として、この実施例においては、好適には、ガラス繊維で強化されたプラスチック、特にポリアミド又はポリブチレンテレフタレートが使用される。ガラス繊維は、好適には、雄型多極コネクタ基体1の材料における約30体積%の範囲の割合を有する。ここでは、ガラス繊維の少なくとも90%は、平面Eに対して実質的に垂直な(90°±20°)同等の方向に配向されている。
【0057】
ここでは、雄型多極コネクタ基体は、例えば、射出成形方法において大量生産部品として簡単な手法で製造することができ、この場合、歪みなしの状態は、他の製造方法や他の材料の使用でも達成可能である。
【0058】
特に好適には、雄型多極コネクタ10は、5つ又は6つの直列に配置されたプラグイン収容部3を有する。ここでは、好適には、最大で336個の極が、ピン2の形態で設けられているが、この場合、本発明は、より多くの数の接触接続要素においても機能する。好適には、それぞれ隣接するプラグイン収容部3の間に接続ポケット5が設けられる。それにより、n個のプラグイン収容部3が設けられている場合、好適にはn-1個の接続ポケットが生じる。ここでは、これらの接続ポケット5は、雄型多極コネクタ基体1の雄型多極コネクタの重量をわずかに増加させるだけである。なぜなら、接続ポケット5は、片側が開口して構成されており、また、下方部分に過度に突出していないからである。したがって、接続ポケットの付加的重量には、ポケット側壁52の重量のみがかかわるだけである。なぜなら、本発明に係る雄型多極コネクタ10は、一貫したプレートをもはや有さないからである。
【0059】
図5は、本発明の第2の実施例による雄型多極コネクタ基体1を示す。同一又は機能的に同等の部品には、第1の実施例と同一の参照符号が付されている。
【0060】
第1の実施例とは異なって、第2の実施例においては、平面Eに対して垂直な接続ポケット5の第2の長さL2が異なるように構成されている。第2の実施例においては、接続ポケットの内側底部53から平面Eまでのポケット側壁52の第2の長さL2は、平面Eからプラグイン収容部3の開口側30までの第1の長さL1の約20%に過ぎない。したがって、接続ポケット5は、第2の方向Z2の方向へ第1の実施例よりも幾分短く形成される。これにより、雄型多極コネクタ基体1の下方部分における貴重な空間を節約することができ、例えば、プリント基板を雄型多極コネクタ基体1の近傍に配置することができる。それにもかかわらず、雄型多極コネクタ基体1の歪みは、接続ポケット5の内側底部53のタイロッドとしての効果によって達成することができる。
図4の実施例とは異なって、ここでは、
図5の実施例について、以下のこと、すなわち、プラグイン収容部3及び接続ポケット5の第1の壁厚Dl、第2の壁厚D2、第3の壁厚D3、及び、第4の壁厚D4は、ひとまとめにして実質的に同等の大きさであり、したがって、ほぼDl=D2=D3=D4が当てはまる。それ以外は、この実施例は先行の実施例に対応しているので、そこに与えられた説明を参照することができる。
【0061】
それにより、2つの実施例に対しては、開口されたプラグイン収容部3と同等の方向に開口する接続ポケット5を設けることにより、底部プレート4の第1の壁厚Dlの中心に存在する平面Eの上方及び下方の応力間のバランスが達成されることに留意すべきである。ここでは、片側が開口した接続ポケット5により、雄型多極コネクタの基体用の射出成形部品における歪み問題の当業者にとっても驚くほど簡単な解決手段を達成することができる。隣接するプラグイン収容部3及びそれらの間に存在する接続ポケット5が、実質的に同等の方向に配向された開口側30,50を有していれば、本発明の効果にとって十分であることに留意すべきである。ここでは、これらの開口側30,50の方向は、例えば、相互に40°まで、好適には20°までの角度を含み得る。
【0062】
図6に示されているように、プラグイン収容部3の開口側30の方向が、介在する接続ポケット5の開口側50の方向に対してほぼ90°に存在するのであれば、雄型多極コネクタ基体1の歪み低減は基本的にも達成される。したがって、ここでは、片側が開口した複数のプラグイン収容部3を有し、これらのプラグイン収容部3が、雄型多極コネクタ基体の延在方向8に配置されかつプラグイン要素を収容するように構成されている雄型多極コネクタ基体1が想定される。各プラグイン収容部3は、固有の底部プレート4を有する。隣接するプラグイン収容部3の間に、特に全ての隣接するプラグイン収容部3の間に、片側が開口したそれぞれ1つの接続ポケット5が配置され、これらの接続ポケット5は、自身に相互に隣接するプラグイン収容部3を相互に接続する。プラグイン収容部3は、底部プレート4が存在する平面Eを起点として第1の方向Z1に突出し、接続ポケット5は、平面Eを起点として第1の方向Z1とは逆向きの第2の方向Z2に突出する。次いで、接続ポケット5の開口側50及びプラグイン収容部3の開口側30が、実質的に90°±40°、特に±30°、さらに特に±20°、さらに特に±10°、さらに特に±3°だけ相互に配向されていることが想定される。このことは、例えば、接続ポケット5のポケット側壁52のうちの1つ、又は、基準プレート51が、少なくとも部分的に、例えば、その面積の少なくとも20%、好適には少なくとも30%まで開口していることによって達成することができる。次いで、雄型多極コネクタ基体1の上側に対するシール性は、例えば、シール要素9、又は、例えば第2の厚さD2の最大30%若しくは第1の厚さD1の最大15%を有する非常に薄い射出成形スキン若しくはシール底部の形成によって生じさせることができる。本明細書に記載された上記の発展形態及び実施形態、並びに、従属請求項に記載された上記の発展形態及び実施形態は、同様にこれらの配置構成にも適用され、これらの配置構成を参照することが理解される(これは、例えば、壁厚及び壁厚相互の比、側壁の長さ及びそれらの相互の比、壁部、底部、及び、ポケットの幾何学的配置関係、製造方式、材料などに適用される)。
図1乃至
図4及び
図5の実施例では、当該実施形態において、例えば、接続ポケット5のそれぞれ右方又は左方の側壁52に開口部が形成されるものとしてよい。また(左方/右方の)交互の開口部も考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄型多極コネクタ基体であって、
前記雄型多極コネクタ基体は、片側が開口した複数のプラグイン収容部(3)を含み、前記プラグイン収容部(3)は、前記雄型多極コネクタ基体の延在方向(8)に配置されかつプラグイン要素を収容するように構成されており、
各プラグイン収容部(3)は、固有の底部プレート(4)を有し、
隣接するプラグイン収容部(3)の間に、特に全ての隣接するプラグイン収容部(3)の間に、片側が開口したそれぞれ1つの接続ポケット(5)が配置され、前記接続ポケット(5)は、自身に相互に隣接するプラグイン収容部(3)を相互に接続し、
前記プラグイン収容部(3)は、前記底部プレート(4)が載置される平面(E)を起点として第1の方向(Z1)に突出し、前記接続ポケット(5)は、前記平面(E)を起点として前記第1の方向(Z1)とは逆向きの第2の方向(Z2)に突出し、
前記接続ポケット(5)の開口側(50)及び前記プラグイン収容部(3)の開口側(30)は、実質的に同等の方向に配向されている、雄型多極コネクタ基体。
【請求項2】
前記プラグイン収容部(3)の前記底部プレート(4)は、第1の壁厚D
1を有し、前記プラグイン収容部(3)の側壁(31)は、第2の壁厚D2を有し、次の不等式、0.3×D
1<D2<0.65×D
1が満たされ、特に、D2=0.5×D
1である、請求項1に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項3】
前記底部プレート(4)から突出する、前記プラグイン収容部(3)の前記側壁(31)の前記第2の壁厚D2は、前記接続ポケット(5)のポケット側壁(52)の第3の壁厚D3に等しい、請求項
2に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項4】
前記接続ポケット(5)の基準プレート(51)の第4の壁厚D4は、前記接続ポケット(5)の前記ポケット側壁(52)の前記第3の壁厚D3に等しい、請求項
3に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項5】
前記平面(E)は、前記底部プレート(4)の中心平面であり、
前記プラグイン収容部(3)の前記側壁(31)は、前記底部プレート(4)の前記中心平面を起点として第1の長さL1を有し、
前記接続ポケット(5)の前記ポケット側壁(52)は、前記基準プレート(51)の内側底部(53)を起点として前記底部プレート(4)の中心平面まで第2の長さL2を有し、
前記第1の長さL1は、前記第2の長さL2の少なくとも2倍の長さである、請求項
4に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項6】
次の不等式、0.15xL1<L2<0.5xL1が満たされ、特に、次の不等式、0.2xL1<L2<0.38xL1が満たされ、さらに特に、L2=0.33xL1である、請求項5に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項7】
前記接続ポケット(5)の前記開口側(50)は、前記プラグイン収容部(3)の前記底部プレート(4)の内側底部(40)の高さに存在する、請求項
1に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項8】
前記プラグイン収容部(3)の少なくとも1つの側壁(31)及び前記接続ポケット(5)のポケット側壁(52)は、共通の壁部平面(W)に存在する、請求項
1に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項9】
前記プラグイン収容部(3)の全ての側壁(31)は、前記雄型多極コネクタ基体の延在方向(8)に対して垂直な第1の方向(Z1)に沿って存在し、それぞれ、前記接続ポケット(5)の前記ポケット側壁(52)のうちの1つと共通の壁部平面(W)に存在する、請求項8に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項10】
前記雄型多極コネクタ基体(1)は、射出成形部品であり、特に、材料として繊維で強化されたプラスチックが使用される、請求項
1に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項11】
前記プラグイン収容部(3)の側壁(31)内及び前記接続ポケット(5)のポケット側壁(52)内の前記繊維は、前記プラグイン収容部(3)の前記底部プレート(4)に対して実質的に垂直に配向されている、請求項10に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項12】
前記繊維は、ガラス繊維であり、前記プラスチックは、ポリアミド又はポリブチレンテレフタレートである、請求項
10に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項13】
前記ガラス繊維は、前記雄型多極コネクタ基体(1)の材料における20~40体積%の範囲にある割合を有している、請求項12に記載の雄型多極コネクタ基体。
【請求項14】
前記材料は、PA66GF30であり、又は、PBTGF30である、請求項
10に記載の雄型多極コネクタ基体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的プラグイン接続部用の、特に自動車の制御装置用の雄型多極コネクタ基体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的プラグインコネクタ用の雄型多極コネクタ又はプラグイン型多極コネクタ又はピン型多極コネクタは、従来技術から公知である。それらは、例えば、雄型多極コネクタ基体又はプラグイン型多極コネクタ基体又はピン型多極コネクタ基体からなり、通常は、絶縁体として構成され、その中には、導電性のブレード、ピン、又は、一般的に接触接続要素(多くの場合は、いわゆる「雄型接触接続要素」)が差し込まれており又は打ち込まれている。例えば、独国特許出願公開第102019216354号明細書には、簡略化されたプリント基板取り付け用の雄型多極コネクタ又はピン型多極コネクタ又はプラグイン型多極コネクタが開示されている。雄型多極コネクタの可変の幾何形状要素に基づいて、特に極数の多い自動車の制御装置用の雄型多極コネクタにおいては、雄型多極コネクタ基体の射出成形製造の際に収縮及び/又は歪みが発生する可能性がある。もちろん、雄型多極コネクタ基体には、特に高い寸法要求を課する必要がある。制御装置の方向においては、プリント基板上のピンの接触接続とハウジングに対するシールとが保証されるべきである。ケーブルハーネスの方向においては、対向コネクタに対する接触接続、ロック及びシールを確実にする必要がある。サイズと非対称の構造とに基づいて、雄型多極コネクタの強い収縮の他にも撓みが頻繁に生じる。この問題を解決するために、例えば、ガラスビーズを含んだ等方的収縮性のプラスチックが補強要素として使用される。しかしながら、その強度は、自動車の雄型多極コネクタの要件については不十分である。さらに、雄型多極コネクタは、2成分射出成形過程で製造することも可能である。これにより、歪みを低減することは可能となるが、このことは複雑な金型技術につながり、特に、雄型多極コネクタの製造時間を長引かせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102019216354号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の開示
これに対して、本発明に係る、請求項1の特徴を有する雄型多極コネクタ基体又はプラグイン型多極コネクタ基体は、雄型多極コネクタ基体の歪み及び/又は収縮及び/又は撓みを回避又は大幅に低減することができるという利点を有する。したがって、雄型多極コネクタ基体は、特に高い寸法維持度を有する。これにより、車両において制御装置との接続などに使用される雄型多極コネクタに対する高い要求を満たすことができる。この場合、雄型多極コネクタ基体は、単に例えば射出成形において製造することができる。本雄型多極コネクタ基体は、この種の例示的なケースにおいては、特に容易にかつコスト効率のよい特に大量生産に適した製造が可能である。次いで、好適には、製造のために等方的収縮性の材料しか使用できないわけではなく、このことは、好適には、製造のための材料について非常に多くの選択を可能にさせる。さらに好適には、例えば底部プレートに沿った挿入部品も不要にさせることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このことは、本発明によれば、雄型多極コネクタ基体が、片側が開口した複数のプラグイン収容部を含み、これらのプラグイン収容部は、雄型多極コネクタ基体の延在方向に配置されかつ例えばケーブルハーネスのプラグイン要素を収容するように構成されていることによって達成される。各プラグイン収容部は、ここでは、固有の底部プレートを有している。隣接するプラグイン収容部の間に、片側が開口した接続ポケットが配置され、この接続ポケットは、自身に相互に隣接するプラグイン収容部を相互に接続する。ここでは、例えば、全ての隣接するプラグイン収容部の間に、片側が開口したそれぞれ1つの接続ポケットが配置されることが想定されるものとしてよい。プラグイン収容部は、プラグイン収容部の底部プレートが存在する平面Eを起点として第1の方向Z1に突出し、接続ポケットは、平面Eを起点として第1の方向Z1とは逆向きの第2の方向Z2に突出する。さらに、接続ポケットの開口側及びプラグイン収容部の開口側は、実質的に同等の方向に配向されている。それにより、2つの開口側は、実質的に相互に平行に存在している。
【0006】
ここでは、「実質的に同等の方向に」という表現には、これらの方向が相対的に相互に40°までの角度を含み得ることが理解されるであろう。好適には、この角度は、最大で30°、より好適には最大で20°、より好適には10°、さらにより好適には3°以下である。
【0007】
いわゆる雄型多極コネクタ基体は、ここでは、プラグイン型多極コネクタ基体又はピン型多極コネクタ基体という用語と同義に使用することができる。雄型多極コネクタ基体又はプラグイン型多極コネクタ基体又はピン型多極コネクタ基体内には、接触接続要素(例えば、雄型接触接続要素)が配置され、それらは、例えば、正方形、長方形、楕円形の断面又は円形の断面も有し得ることが理解される。次いで、個々の接触接続要素は、通常は、対向プラグイン要素内に配置された対向接触接続要素(例えば、雌型対向接触接続要素)によって接触接続される。
【0008】
プラグイン収容部は、少なくとも片側が開口した構成であることが理解される。例えば、プラグイン収容部は、底部プレートを起点として、底部プレートとは反対側が開口し、それによってプラグをプラグイン収容部に差し込むことが可能である環状のフランジを有し得る。しかしながら、そのような機械的案内要素として機能するフランジが、例えばある程度の可撓性を得るための側方溝を有することも考えられる。このケースでは、フランジ、ひいてはプラグイン収容部は、少なくとも部分的に複数の側面において、又は、複数の側面上において、開口して構成されている。
【0009】
同様に、接続ポケットは少なくとも片側が開口した構成である。このことは、接続ポケットが、例えば、さらに少なくとも1つのさらなる側面上でも、例えば、第1の方向に対して垂直に形成される側面上でも少なくとも部分的に開口するように形成されるものとしてよいことを意味する。
【0010】
少なくとも1つの接続ポケットが、雄型多極コネクタ基体に設けられている。この少なくとも1つの接続ポケットは、相互に隣接する2つのプラグイン収容部の間に配置されている。したがって、例えば、3つ、4つ又はそれ以上のプラグイン収容部を有する雄型多極コネクタ基体の場合でも、単一の接続ポケットを設けるだけで十分であるなる場合もある。もちろん、複数の接続ポケットを設けるものとしてもよい。好適な例示的実施形態においては、それぞれ2つの相互に隣接するプラグイン収容部の間にそれぞれ1つの接続ポケットが設けられる。もちろん、相互に隣接するプラグイン収容部の間の領域に複数の接続ポケットが配置されるものとしてもよい。
【0011】
それにより、プラグイン収容部と実質的に同等の方向に開いている開口した接続ポケットを設けることにより、雄型多極コネクタ基体の製造中又は製造後の歪みが回避可能となり、特に、例えば長さが80mmを超える非常に長い基体及び/又は少なくとも2つのプラグイン収容部を有する基体の場合には、長手方向の撓みも回避可能となり、又は、少なくとも最大で0.5mmの値、好適には最大で0.3mmの値まで制限することができる。ここでは、特に、接続ポケットが、プラグイン収容部における角度歪みを回避させることができる。それにより、等方的収縮性の材料のみが使用可能であること、又は、2成分射出成形若しくは例えば別個に設ける補強要素などの雄型多極コネクタ基体における歪み回避のための他の複雑な手段を必要とすることなしに、雄型多極コネクタ基体の歪みの最小化が達成可能となる。
【0012】
特に、片側が開口したプラグイン収容部は、異なる幾何形状を有し得るものであり、異なるプラグイン要素用に設計されるものとしてもよい。片側が開口したプラグイン収容部は、好適には、一方のみが開口した側面を有するカップ状に形成され、特に、実質的に四角形で、好適には丸み付けられた角を伴って設けられている。さらに好適には、基体の片側が開口したプラグイン収容部の高さが同等のである。プラグイン収容部のプラグイン要素(対向コネクタ)は、好適には、プラグイン収容部内に完全に収容される。プラグイン収容部の内部においては、プラグイン収容部に対する電気的コンタクトが製造される。この目的のために、プラグイン収容部内には、例えば、接触接続ピン又はフラットブレードなどの例えばそれぞれ複数の接触接続要素が配置可能であるものとしてよい。これらの接触接続要素は、例えば、完成された雄型多極コネクタ基体内に成型又は他の手法により挿入することができ又は挿入されるものとしてもよい。プラグイン収容部は、異なる幾何学的寸法を有し得るものであり、特に好適には、付加的な案内要素及び/又はプラグイン要素の正常で適正な姿勢及び位置に差し込むための要素(いわゆる調整要素)を有し得るものである。プラグイン要素は、例えば、接触接続要素と電気的な接触接続を形成することができるソケットコンタクトを有する。
【0013】
さらに好適には、プラグイン収容部が底部プレートの平面Eから突出する第1の方向Z1と、接続ポケットが平面Eから突出する第2の方向Z2とは、平面Eに対して垂直である。
【0014】
従属請求項は、本発明の好適な発展形態を示す。
【0015】
好適には、プラグイン収容部の底部プレートは、第1の壁厚D1を有し、プラグイン収容部の側壁は、第2の壁厚D2を有する。ここでは、次の不等式、0.3×D1<D2<0.65×D1が満たされる。特に、ここでは、D2=0.5×D1である。このようにして、好適には、雄型多極コネクタ基体の特に良好な安定性を、特に延在方向に沿って又は平面Eに沿って確実にすることができる。同時に、材料を好適に節約することができる。なぜなら、側壁の第2の壁厚D2が主にプラグイン要素のための案内機能と位置決め機能とを有し、したがって、底部プレートと同等の安定性を必要としないからである。そのため、さらに好適には、プラグイン収容部を相互に狭幅に位置決めすることができ、このことは貴重なスペースを節約する。さらに好適には、この種の設計は、雄型多極コネクタ基体の特に歪みの少ない実施形態を促進する。なぜなら、平面Eから突出する体積が比較的少ないからである。
【0016】
さらなる発展形態においては、底部プレートから突出する、プラグイン収容部の側壁の第2の壁厚D2は、接続ポケットのポケット側壁の第3の壁厚D3に等しい。これにより、特に射出成形過程時に、射出成形材料の均等な分布を確実にすることができる。しかしながら、他の製造方法(例えば、中実材からのフライス加工又は3D印刷など)の場合にも特に簡単な製造が生じる。提案された発展形態のために上述した不等式は、必ずしも満たされる必要はないことが理解される。
【0017】
さらなる発展形態においては、接続ポケットの基準プレートの第4の壁厚D4は、接続ポケットのポケット側壁の第3の壁厚D3に等しい。これにより、好適には、製造過程が特に簡素化される。また、これにより、厚さ測定の形態の品質管理も著しく簡素化される。提案された発展形態は、上記で提案された2つの発展形態に依存することなく行うことができることが理解される。つまり、提案された発展形態は、これらに対して代替的又は付加的に使用することができる。
【0018】
本発明のさらに好適な実施形態によれば、平面Eは、底部プレートの中心平面であり、ここで、プラグイン収容部の側壁は、底部プレートの中心平面を起点として第1の長さL1を有し、ここで、接続ポケットのポケット側壁は、接続ポケットの基準プレートの内側底部を起点として底部プレートの中心平面まで第2の長さL2を有し、第1の長さL1は、第2の長さL2の少なくとも2倍の長さである。これにより、好適には、特に容易にかつコスト効率よく製造可能な雄型多極コネクタ基体が作成される。なぜなら、(第2の長さL2によって与えられる)この種のポケット深さの空洞化又はこの種のポケット深さの除去成形は、複雑な再加工を必要とすることなくまだ合理的な労力で可能だからである。この種のポケット深さに必要な工具は、コスト効率よく製造し保守管理することができる。さらに、好適には、この種のポケット深さを有する接続ポケットは、プラグイン収容部の側面とは反対側である、雄型多極コネクタ基体の側面に比較的わずかなスペースしか必要としない。接続ポケットの側面には、例えば電子コンポーネント、例えば制御装置が配置されるものとしてよい。この側面に使用可能な空間は、通常、極めて手短に見積もられる。したがって、この種のポケット深さにより、付加的所要空間と雄型多極コネクタ基体の歪みの低減との間の合理的な妥協点がもたらされる。さらに、好適には、この種のポケット深さにより、特に歪みの少ない雄型多極コネクタ基体を提供することができる。換言すれば、これにより、ポケット側壁の第2の長さL2が、雄型多極コネクタ基体の歪みを回避するのに十分な大きさであることが保証される。基本的には、用途に応じて他のポケット深さも考えられる。プラグイン収容部の底部プレートの中心平面は、ここでは、底部プレートの中心に存在しており、そのため、底部プレートの厚さは、2つの等しい部分領域に分割される。提案された発展形態は、他の提案された発展形態に依存することなく行うことができることが理解される。つまり、提案された発展形態は、これらに対して代替的又は付加的に使用することができる。
【0019】
さらに好適には、次の不等式、0.15×L1<L2<0.5×L1が満たされ、特に、次の不等式、0.2×L1<L2<0.38×L1が満たされ、特に好適には、L2=0.33×L1である。これにより、上述の利点が生じる。特に、提案された関係により、平面Eの下方の使用可能な空間(つまり、プラグイン収容部の側面とは反対側である平面Eの側面)と歪みの少なさとの間の特に好適な妥協点を生じさせることができる。また、これらの関係のために、雄型多極コネクタ基体を製造するための工具は、特に容易に製造することができ、又は、3D印刷又は中実材からのフライス加工などにおける製造過程も依然としてコスト効率がよいことを挙示することができる。最終的に、この種の関係においては品質管理も、例えば、寸法及び/又は材料厚さの測定という形態で非常にコスト効率がよいことを挙示することができる。
【0020】
さらに好適には、接続ポケットの開口側は、プラグイン収容部の底部プレートの内側底部の高さで終端し、又は、接続ポケットの開口側は、プラグイン収容部の底部プレートの内側底部の高さに存在する。これにより、好適には、特に簡素に設計された接続ポケットの幾何形状が提供される。このことは、特に簡素でコスト効率のよい製造及び品質管理を可能にする。
【0021】
プラグイン収容部の少なくとも1つの側壁及び接続ポケットのポケット側壁が共通の壁部平面Wに存在するならば、雄型多極コネクタ基体の特に簡素でコスト効率のよい構造が達成される。好適には、例えば、雄型多極コネクタ基体の延在方向に対して垂直に又は実質的に垂直に延在する、プラグイン収容部の複数又は全ての側壁、及び、接続ポケットの複数又は全てのポケット側壁さえもが共通の壁部平面Wに存在する。
【0022】
特に好適には、プラグイン収容部の全ての側壁は、雄型多極コネクタ基体の延在方向に対して垂直な第1の方向Z1に沿って存在し、それぞれ、接続ポケットのポケット側壁のうちの1つと共通の壁部平面Wに存在する。雄型多極コネクタ基体の延在方向に対して垂直な第1の方向の配置構成により、好適には、雄型多極コネクタの特に容易な製造が可能になる。なぜなら、このケースにおいては、対向コネクタも、延在平面に対して垂直にプラグイン収容部に差し込まれるからである。その結果、接触接続要素は、特に容易に雄型多極コネクタ基体に挿入することができる。
【0023】
雄型多極コネクタ基体の剛性をさらに向上させ、好適にはコスト効率のよい製造を可能にするために、雄型多極コネクタ基体は射出成形部品である。ここでは、材料として、例えば繊維で強化されたプラスチックを使用することができる。繊維強化されたプラスチックは、ここでは剛性を高め、この場合、雄型多極コネクタ基体はそれにもかかわらず射出成形を用いて容易にかつコスト効率よく製造可能である。
【0024】
本発明のさらに好適な実施形態によれば、プラグイン収容部の側壁内及び接続ポケットのポケット側壁内の繊維は、プラグイン収容部の底部プレートに対して実質的に垂直(垂直方向に対して±20°、好適には垂直方向に対して±10°)に配向されている。特に、75%~100%までの繊維の割合が、プラグイン収容部の底部プレートに対して実質的に垂直に配向されている。特に好適には、プラグイン収容部の底部プレートに対して垂直に配向される繊維の割合は、85%~95%の範囲にあり、特に90%である。これにより、好適には、プラグイン収容部の側壁の特に高い剛性及び堅牢性が保証され、それによって、これらの側壁は、頻繁に行われるプラグイン過程、及び/又は、強い圧力下で行われるプラグイン過程においても、損傷から保護される。同時に、これによって側壁の壁厚も低減することができ、そのため、材料を節約することができ、さらにプラグイン収容部を近傍に並べることができ、このことは、貴重なスペースの節約となる。接続ポケットについての異方性収縮に対する一種の補償要素として好適には、繊維の同等の方向性が想定される。ここでは、繊維の長手方向、つまりその最も長い延在方向が、底部プレートに対する角度の決定のための基準点を形成することが理解される。
【0025】
繊維強化されたプラスチックに使用される繊維は、好適にはガラス繊維であり、ここで、プラスチックは、さらに好適には、ポリアミド又はポリブチレンテレフタレートである。これにより、好適には、特にコスト効率よく容易に製造可能な雄型多極コネクタ基体を作成することができる。さらに好適には、この種の雄型多極コネクタ基体が、比較的わずかな材料使用量でも特に安定している。この雄型多極コネクタ基体は、好適には十分に高い(例えば少なくとも80℃までの)耐熱性も有しており、わずかな温度(例えば-40℃)にも損傷なく耐える。
【0026】
ガラス繊維は、さらに好適には、雄型多極コネクタ基体の材料における20~40体積%、特に30体積%の範囲にある割合を有している。これにより、好適には、少ない材料投入で特に高い安定性をもたらすことができる。
【0027】
好適には、雄型多極コネクタ基体用の材料は、PA66GF30又はPBTGF30である。これにより、特にコスト効率のよい雄型多極コネクタ基体を作成することが可能となり、これは容易に製造可能であり、わずかな材料投入で高い安定性を有し、広い温度範囲(例えば、-40℃~80℃)で非常に高い耐性を有し、その他にも媒体(例えば、塩水、ブレーキ液などの攻撃的な媒体)に対する耐性が非常に高い。
【0028】
特に好適にはプラグイン収容部の第1の幅B1は、接続ポケットの第2の幅B2以上である。プラグイン収容部の第1の幅B1及び接続ポケットの第2の幅B2は、ここでは、例えば平面E内で決定することができる。これらは、好適には、雄型多極コネクタ基体の長手方向の延在方向に対して実質的に垂直に延在している。これにより、好適には、接続ポケットは、平面Eの下方の特に貴重な空間をわずかだけ占めることができ、好適には材料を節約することができる。雄型多極コネクタ基体は、これによってよりコンパクトでより軽量に構築される。
【0029】
さらに、本発明は、本発明に係る雄型多極コネクタ基体又はプラグイン型多極コネクタ基体を含む電気的プラグイン接続部に関する。
【0030】
本発明は、本発明に係る雄型多極コネクタ基体を有する電気的プラグイン接続部を備えた車両用、特に自動車用の制御装置にも関する。
【0031】
以下においては、本発明の好適な実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の好適な第1の実施例による雄型多極コネクタ基体を示す概略的縦断面図である。
【
図2】
図1の雄型多極コネクタ基体を示す概略的平面図である。
【
図3】
図1の雄型多極コネクタ基体と、電気的接触接続部用のピン形態での雄型多極コネクタ基体に取り付けるべき複数の接触接続要素とを示す概略的透視図である。
【
図4】
図1の雄型多極コネクタ基体を示す拡大された概略的部分断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施例による雄型多極コネクタ基体を示す概略的部分断面図である。
【
図6】代替的な雄型多極コネクタ基体を示す概略的部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の好適な実施形態
以下においては、
図1乃至
図4を参照して、本発明の第1の好適な実施例による雄型多極コネクタ基体1又はプラグイン型多極コネクタ基体又はピン型多極コネクタ基体を詳細に説明する。
【0034】
図1及び
図2から明らかなように、雄型多極コネクタ基体1は、片側が開口した複数のプラグイン収容部3を含んでいる。これらのプラグイン収容部3は、雄型多極コネクタ基体1の延在方向8に一列に配置されている。プラグ収容部又はプラグイン収容部3は、ここでのこの実施例においては、丸み付けされた角と、正確に1つの開口側30とを有する単に例示的な立方体形状に形成されている。それらは、他の基本的な形状(例えば台形、円形、三角形など)を有し得るものであり、例えば、側面にスリット又は孔部が形成されるものとしてもよい。
【0035】
特に、
図2から明らかなように、プラグイン収容部3は、異なるサイズを有している。プラグイン収容部3は、ここでは、例えばケーブルハーネスのプラグなど、図示されていないプラグイン要素を収容するように構成されている。
【0036】
さらに、
図2から明らかなように、プラグイン収容部3は、ここでは単に例示的に全てが同等の第1の幅B
1を有している。この第1の幅B
1は、ここでは、雄型多極コネクタ基体1の延在方向8に対して垂直な幅を規定している。
【0037】
雄型多極コネクタ基体1は、雄型多極コネクタ10又はプラグイン型多極コネクタ又はピン型多極コネクタの一部であり、これらは、
図3に一種の分解図で概略的に示されているように、電気的接触接続部のために複数の(平坦な)ブレード又は(平坦又は円形の)ピン2(一般に:任意の断面を有する接触接続要素)を有している。
図2から明らかなように、これらのピンは異なって(ここでは、正方形と長方形の断面に)形成され、完成された又は取り付けられた状態において、雄型多極コネクタ基体を通って開口したプラグイン収容部3の内側領域に進入する。それらは、例えば、最初は湾曲していない状態で、例えば、雄型多極コネクタ基体1に打ち込まれ又は差し込まれ得るものであり、それに続いて、例えば
図3に示されている形状に湾曲される。
【0038】
それにより、ここで単に例示的に示されている雄型多極コネクタ10は、極数の多い雄型多極コネクタであり、これは、例えば自動車の制御装置の電気的接触接続部用に構成されている。雄型多極コネクタ10は、プリント基板などへのピン2の正確な接触接続と、プラグイン収容部3に差し込まれる(ここでは図示されていない)プラグイン要素の接点との正確な接触接続とを保証するために、ここでは最高の寸法要件を満たさなければならない。さらに、プラグイン収容部とプラグイン要素との間の差込接続の確実なシールも可能でなければならない。最終的には、雄型多極コネクタ10の上面(プラグイン収容部の側面)から雄型多極コネクタ10の下面までの媒体シール性が保証されるべきである。
【0039】
雄型多極コネクタ基体1は、この実施形態においては、単なる例示的な射出成形構成部品であり、この場合、射出成形用の材料として、好適には繊維で強化されたプラスチックが使用される。次いで、雄型多極コネクタ基体1が射出成形された後、この実施例においては、ピン2が、雄型多極コネクタ基体1の片側から、各プラグイン収容部3の底部を形成する底部プレート4を貫通して打ち込まれ又は差し込まれ得るものである。ここでは、他の製造方法、例えば、中実材からのフライス加工や3D印刷なども可能であることが理解される。さらに、他の材料、例えば充填材を含まないプラスチック又は例えば球状充填材を含むプラスチックも使用可能であることが理解される。基本的には、セラミックなども使用することができる。
【0040】
さらに特に
図1から明らかなように、相互に隣接するプラグイン収容部3の間に、片側が開口したそれぞれ1つの接続ポケット5が配置されている。接続ポケット5は、ここでは、それぞれ相互に隣接して配置されたプラグイン収容部3を相互に接続する。ここでは、全てのそれぞれ相互に隣接するプラグイン収容部3の間に、それぞれ1つの接続ポケット5が必ずしも配置されなければならないわけではないことが理解される。
【0041】
プラグイン収容部3の底部プレート4が存在する平面Eは、雄型多極コネクタ基体1を、プラグイン収容部3が配置されている上方部分と、接続ポケット5が配置されている下方部分とに分割する。
【0042】
それにより、プラグイン収容部3は、平面Eを起点として、この例示的な実施形態においては垂直に、第1の方向Z1に突出し、接続ポケット5は、平面Eを起点として、この例示的な実施形態においては垂直に、第1の方向Z1とは逆向きの第2の方向Z2に突出する。接続ポケット5は、ここでは、ここでの例示的なそれぞれ1つの開口側50のみを同様に有し、ここで、接続ポケット5の開口側50及びプラグイン収容部の開口側30は、ここでの例示的な同等の方向に、詳細には、第1の方向Z1に配向されている。
【0043】
図2の平面図から明らかなように、接続ポケット5は、延在方向8に対して垂直に規定される第2の幅B2を有する。この第2の幅B2は、ここでは、開口されたプラグイン収容部3の第1の幅B
1よりも小さい。第2の幅B2は、ここでは、第1の幅B
1の75%~90%までの範囲(0.75×B
1~0.9×B
1)に存在する。
【0044】
平面図(
図2)において、接続ポケット5は、ここでは例示的にそれにより同様に実質的に長方形の形状を有するが、ただし、これらは延在方向8においてプラグイン収容部3よりも著しく狭幅に形成されている。例えば、延在方向8に沿った長さは、延在方向8に沿った隣接するプラグイン収容部3の長さの約5%~20%である。例えば、接続ポケット5は、延在方向8に沿って少なくとも0.5mm、好適には少なくとも1mmの長さを有する。このようにして、接続ポケット5は、特に容易に製造することができる。次いで、それは歪みに特に良好に対向的に作用することができる。延長方向に沿った接続ポケット5の長さは、例えば、好適には0.5mm~7mmの範囲、好適には1mm~5mmの範囲にあることができる。このようにして、接続ポケット5は容易に製造することができる。それは、一方では、歪みを最小化するのに十分な対抗応力をもたらすことができ、同時に、雄型多極コネクタ基体1の弱体化又は不安定化に対抗的に作用することができる。
【0045】
したがって、
図1及び
図2から明らかなように、全ての相互に隣接するプラグイン収容部3の間に、それぞれ1つの別個の接続ポケット5が形成されている。これらの接続ポケット5は、平面Eを起点としてプラグイン収容部3(上方部分)と比較して平面Eの他の側(下方部分)に存在するため、雄型多極コネクタ基体1の射出成形過程中に(又は3D印刷中などにも)生じ得る寸法誤差、特に歪みを補正することができる。したがって、ここでは、材料の選択はもはや重要ではなくなり、すなわち、寸法維持度は、充填材を含まないプラスチックや例えば球状の充填材を含むプラスチックなどの材料でも、繊維状の充填材を含むプラスチックでも達成される。これにより、特別な製造技術(2成分射出成形)や歪みを最小化するための特別な挿入部品なしで、最大限の寸法維持度のもとに非常に自由な材料の選択が可能になる。同時に、この目標は、下方部分にわずかな付加的所要空間を用いるだけで達成することができる。したがって、接続ポケット5の幾何学的パラメータの選択により、射出成形過程中の歪みに所期のように影響を与えることが、非常に簡単でコスト効率のよい手段を用いて、追加スペースや追加材料をごくわずかしか必要とせずに実行することが可能になる。
【0046】
接続ポケット5は、この実施例においては、正確に1つの開口側50を有する立方体形状の構造も有し、ここで、さらなる側面は、少なくとも部分的に開口して構成されるものとしてもよい。
【0047】
図4は、
図1の雄型多極コネクタ基体1を通る断面図である。接続ポケット5は、ここでは、基準プレート51及び4つのポケット側壁52を有する。平面Eから最も離れている基準プレート51は、ここでは、延在方向8においてタイロッドに相当する効果を有する。これにより、特に、第1の方向Z1におけるプラグイン収容部3の伸長に基づきプラグイン収容部の側壁31において生じ得る、プラグイン収容部3の角度歪みを回避することが可能となる。
【0048】
図4は、異なる幾何形状、特に延在方向8における異なる(長手方向の)伸長を有する2つの相互に隣接するプラグイン収容部3を詳細に示している。
【0049】
図4からさらに明らかなように、プラグイン収容部3の底部プレート4は、第1の壁厚D
1を有し、プラグイン収容部3の側壁31は、第2の壁厚D2を有する。ここでは、第1の壁厚D
1は、第2の壁厚D2の2倍の大きさである。
【0050】
さらに、接続ポケット5は、接続ポケット5のポケット側壁52の第3の壁厚D3を有している。接続ポケット5の基準プレート51の第4の壁厚D4は、第3の壁厚D3に等しい。したがって、この実施例においては、第1の壁厚D1が、第2の壁厚D2の2倍の大きさであることが当てはまる。プラグイン収容部3及び接続ポケット5の第2の壁厚D2、第3の壁厚D3、及び、第4の壁厚D4は、同等の大きさである。他の比率も同様に考えられる。
【0051】
さらに、延在方向8に対して垂直であるプラグイン収容部3の側壁31は、接続ポケット5のポケット側壁52と共通の壁部平面Wに存在する。したがって、これらの壁部平面Wは、平面Eと直角に交差する。ここでは、これらの壁部平面Wは、全て相互に平行である。
【0052】
図4からさらに明らかなように、プラグイン収容部3の側壁31は、底部プレート4の中心平面を形成する平面Eを起点として第1の長さL1を有し、ここで、接続ポケット5のポケット側壁52は、基準プレート51の内側底部53を基点として底部プレート4の中心平面まで第2の長さL2を有する。ここでは、この実施例での説明のために、L2がL1の約33%であるように選択されている。それにより、接続ポケット5の第2の長さL2は、プラグイン収容部3の第1の長さL1の約1/3に過ぎない。このようにして、第2の長さL2は、例えば、制御装置のプリント基板が配置され得る下方部分に不必要に長く突出しない。例えば、接続ポケット5の第2の長さL2は、6mm~15mmの間の範囲、好適には8mm~12mmの間の範囲におくことができる。
【0053】
さらに、接続ポケット5の開口側50は、
図4から詳細に明らかなように、プラグイン収容部3の内側底部40の高さに存在する。つまり、接続ポケット5は、この実施例においては、例えば、内側底部40を超えて雄型多極コネクタ基体1の上方部分内に突出する固有の壁部を有していない。
【0054】
さらに
図1乃至
図3から明らかなように、雄型多極コネクタ10は、プラグイン収容部3の配置構成を完全に取り囲む周方向縁部領域7をさらに含んでいる。この周方向縁部領域7は、
図1から明らかなように、プラグイン収容部3の底部プレート4の高さに存在する。この周方向縁部領域7は、ここでは、雄型多極コネクタ10の付加的剛性を提供している。
【0055】
さらに
図1及び
図3から明らかなように、この実施形態においては、例示的に雄型多極コネクタ10は、さらに周方向補強縁部6を含む。この周方向補強縁部6は、この実施例においてはフランジ方式で、周方向縁部領域7から第2の方向Z2の方向へ約90°の角度で突出している。周方向補強縁部6は、ここでは、さらに補強リブ60を有している。この補強リブ60は、ここでは、周方向補強縁部6の外側(径方向外側)に向かって突出している。
図1から明らかなように、平面Eに対してこの補強リブ60は、接続ポケット5の内側底部53が平面Eに対するよりも幾分近傍に配置されている。
【0056】
したがって、その開口側50がプラグイン収容部3の開口側30と実質的に同等の方向、詳細には第1の方向Z1の方向へ配向されている接続ポケット5を設けることにより、雄型多極コネクタ10の歪みを回避することができる。これにより、射出成形時だけでなく、3D印刷時などにおいても、雄型多極コネクタ10の優れた寸法精度を達成することができる。雄型多極コネクタ基体1のための材料として、この実施例においては、好適には、ガラス繊維で強化されたプラスチック、特にポリアミド又はポリブチレンテレフタレートが使用される。ガラス繊維は、好適には、雄型多極コネクタ基体1の材料における約30体積%の範囲の割合を有する。ここでは、ガラス繊維の少なくとも90%は、平面Eに対して実質的に垂直な(90°±20°)同等の方向に配向されている。
【0057】
ここでは、雄型多極コネクタ基体は、例えば、射出成形方法において大量生産部品として簡単な手法で製造することができ、この場合、歪みなしの状態は、他の製造方法や他の材料の使用でも達成可能である。
【0058】
特に好適には、雄型多極コネクタ10は、5つ又は6つの直列に配置されたプラグイン収容部3を有する。ここでは、好適には、最大で336個の極が、ピン2の形態で設けられているが、この場合、本発明は、より多くの数の接触接続要素においても機能する。好適には、それぞれ隣接するプラグイン収容部3の間に接続ポケット5が設けられる。それにより、n個のプラグイン収容部3が設けられている場合、好適にはn-1個の接続ポケットが生じる。ここでは、これらの接続ポケット5は、雄型多極コネクタ基体1の雄型多極コネクタの重量をわずかに増加させるだけである。なぜなら、接続ポケット5は、片側が開口して構成されており、また、下方部分に過度に突出していないからである。したがって、接続ポケットの付加的重量には、ポケット側壁52の重量のみがかかわるだけである。なぜなら、本発明に係る雄型多極コネクタ10は、一貫したプレートをもはや有さないからである。
【0059】
図5は、本発明の第2の実施例による雄型多極コネクタ基体1を示す。同一又は機能的に同等の部品には、第1の実施例と同一の参照符号が付されている。
【0060】
第1の実施例とは異なって、第2の実施例においては、平面Eに対して垂直な接続ポケット5の第2の長さL2が異なるように構成されている。第2の実施例においては、接続ポケットの内側底部53から平面Eまでのポケット側壁52の第2の長さL2は、平面Eからプラグイン収容部3の開口側30までの第1の長さL1の約20%に過ぎない。したがって、接続ポケット5は、第2の方向Z2の方向へ第1の実施例よりも幾分短く形成される。これにより、雄型多極コネクタ基体1の下方部分における貴重な空間を節約することができ、例えば、プリント基板を雄型多極コネクタ基体1の近傍に配置することができる。それにもかかわらず、雄型多極コネクタ基体1の歪みは、接続ポケット5の内側底部53のタイロッドとしての効果によって達成することができる。
図4の実施例とは異なって、ここでは、
図5の実施例について、以下のこと、すなわち、プラグイン収容部3及び接続ポケット5の第1の壁厚D
1、第2の壁厚D2、第3の壁厚D3、及び、第4の壁厚D4は、ひとまとめにして実質的に同等の大きさであり、したがって、ほぼD
1=D2=D3=D4が当てはまる。それ以外は、この実施例は先行の実施例に対応しているので、そこに与えられた説明を参照することができる。
【0061】
それにより、2つの実施例に対しては、開口されたプラグイン収容部3と同等の方向に開口する接続ポケット5を設けることにより、底部プレート4の第1の壁厚D1の中心に存在する平面Eの上方及び下方の応力間のバランスが達成されることに留意すべきである。ここでは、片側が開口した接続ポケット5により、雄型多極コネクタの基体用の射出成形部品における歪み問題の当業者にとっても驚くほど簡単な解決手段を達成することができる。隣接するプラグイン収容部3及びそれらの間に存在する接続ポケット5が、実質的に同等の方向に配向された開口側30,50を有していれば、本発明の効果にとって十分であることに留意すべきである。ここでは、これらの開口側30,50の方向は、例えば、相互に40°まで、好適には20°までの角度を含み得る。
【0062】
図6に示されているように、プラグイン収容部3の開口側30の方向が、介在する接続ポケット5の開口側50の方向に対してほぼ90°に存在するのであれば、雄型多極コネクタ基体1の歪み低減は基本的にも達成される。したがって、ここでは、片側が開口した複数のプラグイン収容部3を有し、これらのプラグイン収容部3が、雄型多極コネクタ基体の延在方向8に配置されかつプラグイン要素を収容するように構成されている雄型多極コネクタ基体1が想定される。各プラグイン収容部3は、固有の底部プレート4を有する。隣接するプラグイン収容部3の間に、特に全ての隣接するプラグイン収容部3の間に、片側が開口したそれぞれ1つの接続ポケット5が配置され、これらの接続ポケット5は、自身に相互に隣接するプラグイン収容部3を相互に接続する。プラグイン収容部3は、底部プレート4が存在する平面Eを起点として第1の方向Z1に突出し、接続ポケット5は、平面Eを起点として第1の方向Z1とは逆向きの第2の方向Z2に突出する。次いで、接続ポケット5の開口側50及びプラグイン収容部3の開口側30が、実質的に90°±40°、特に±30°、さらに特に±20°、さらに特に±10°、さらに特に±3°だけ相互に配向されていることが想定される。このことは、例えば、接続ポケット5のポケット側壁52のうちの1つ、又は、基準プレート51が、少なくとも部分的に、例えば、その面積の少なくとも20%、好適には少なくとも30%まで開口していることによって達成することができる。次いで、雄型多極コネクタ基体1の上側に対するシール性は、例えば、シール要素9、又は、例えば第2の厚さD2の最大30%若しくは第1の厚さD1の最大15%を有する非常に薄い射出成形スキン若しくはシール底部の形成によって生じさせることができる。本明細書に記載された上記の発展形態及び実施形態、並びに、従属請求項に記載された上記の発展形態及び実施形態は、同様にこれらの配置構成にも適用され、これらの配置構成を参照することが理解される(これは、例えば、壁厚及び壁厚相互の比、側壁の長さ及びそれらの相互の比、壁部、底部、及び、ポケットの幾何学的配置関係、製造方式、材料などに適用される)。
図1乃至
図4及び
図5の実施例では、当該実施形態において、例えば、接続ポケット5のそれぞれ右方又は左方の側壁52に開口部が形成されるものとしてよい。また(左方/右方の)交互の開口部も考えられる。
【国際調査報告】