(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ポリプロピレンランダムコポリマーを製造するための気相プロセス
(51)【国際特許分類】
C08F 2/01 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
C08F2/01
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521045
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 CN2021122509
(87)【国際公開番号】W WO2023056573
(87)【国際公開日】2023-04-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】リー,ドンシェン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,ピン
(72)【発明者】
【氏名】アーデルト,デビッド・エム
(72)【発明者】
【氏名】ホラク,アンドレイ
【テーマコード(参考)】
4J011
【Fターム(参考)】
4J011AA04
4J011AB03
4J011BA01
4J011BB04
4J011DA06
4J011DB13
4J011DB23
4J011DB27
4J011MA01
4J011MA04
4J011MA14
4J011MA18
4J011MB02
(57)【要約】
流動床反応器中でポリプロピレンランダムコポリマーを製造するための気相プロセスが提供される。このプロセスは、触媒的に活性なポリオレフィン粒子の床を含有する反応容器中に流動媒体を供給することを含む。一実施形態では、流動媒体は、プロピレンガス、C2及び/又はC4~C8α-オレフィンコモノマー、水素、及び不活性ガスを含む。流動媒体の、と定義された運動量フラックスは、7.0N/m
2以上であり、反応器に入るときの反応器循環ガスの凝縮レベルは、25重量%未満である。上式において、ρ
gは流動媒体の密度であり、SGVは流動媒体のガス空塔速度である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動床反応器中でポリプロピレンランダムコポリマーを製造するプロセスであって、流動媒体を、触媒活性ポリオレフィン粒子の床を含有する反応器容器中に供給することを含み、前記流動媒体は、プロピレンガス、C2及び/又はC4~C8α-オレフィンコモノマー(複数可)、水素、及び少なくとも一種の不活性ガスを含み、
【数1】
と定義される前記流動媒体の運動量フラックスが、7.0N/m
2以上であり、式中、ρ
gは前記流動媒体の密度であり、SGVは前記流動媒体のガス空塔速度であり、前記反応器に入るときの反応器循環ガスの凝縮レベルが約25重量%以下である、プロセス。
【請求項2】
前記流動媒体の前記運動量フラックスが8.3N/m
2以上である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記不活性ガスが窒素を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記不活性ガスがプロパンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
触媒を前記反応容器中に供給することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記SGVが約0.34m/秒以上である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記コモノマーがエチレンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記コモノマーが1-ブテンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記ポリプロピレンランダムコポリマーが、プロピレンモノマー単位を約80~約99.5モル%の量で含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記流動媒体が、プロパンを約6モル%以上の量で含有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記流動媒体が、窒素を約11モル%以上の量で含有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記流動媒体が、窒素及びプロパンを、窒素のモル%とプロパンのモル%との合計が約10%超になるような量で含有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記流動媒体の前記密度が、約55kg/m
3超である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記反応器に入るときの前記反応器循環ガスの凝縮レベルが約20重量%以下である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
ρ
gが約70kg/m
3以下である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
プロパンが前記流動媒体の25モル%未満を構成する、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリオレフィンポリマーの一種であるポリプロピレンは、一般に、プロピレンモノマーに基づく線状構造を有する。ポリプロピレンの1つのタイプは、ポリプロピレンランダムコポリマーであり、これは、プロピレンモノマーと、ポリプロピレン鎖内にランダムに散在するエチレン及び/又は1-ブテンなどの少なくとも一種の他のα-オレフィンのコモノマー(複数可)と、を使用して生成される。ポリプロピレンランダムコポリマーは、パイプ、包装、織物、成形、及び他の用途に特に有用な特性を示す。
【0002】
ポリプロピレンを製造するための1つの方法は、典型的には気相重合と呼ばれている。気相重合中、1つ以上のモノマーが触媒と接触して、流動媒体によって流動化状態に維持されたポリマー粒子の床を形成し、床は当該モノマーを含有する。典型的な気相重反応器は、流動床を含む容器と、分配プレート(分配板とも呼ばれる)と、生成物排出システムと、を含む。触媒を重合反応器中に供給し、流動媒体の一部を形成するオレフィンモノマーと接触させることができる。
【0003】
気相プロセスを用いてポリプロピレンを製造する場合、ポリマー粒子から流動化ガスへの効率的な熱伝達によって反応器の動作温度を維持することが重要である。熱を適切に除去することができないと、ポリマー粒子の軟化及び/又は溶融を引き起こす可能性があり、これは更に、粒子の凝集、反応器壁上のシーティング、最悪の場合、分配プレート及び生成物排出システムのチャンク形成(chunking)及び閉塞を引き起こす可能性があり、洗浄のために反応器の停止を必要とするが、これは典型的には反応器を数日間オフラインにする。
【0004】
他のポリプロピレンタイプと比較して、ランダムコポリマーは、製造が相対的により困難である。例えば、コモノマーの存在は、反応熱を増加させ、ポリマーの溶融温度を低下させ得るが、これは、ホモポリマー製造と比較してより多くの熱を除去する必要があることを意味し、ポリマー粒子は比較的「粘着性」である傾向がある。このように、ポリマー粒子からガスへの効率的な熱伝達は、ポリプロピレンランダムコポリマーを製造する場合に特に重要である。適切な反応器温度、凝縮レベル、及びプロピレン分圧を選択するための正しい操作ガイドラインに従っても、ランダムコポリマー操作は、ポリマー凝集、不安定な反応器温度、異常な流動化かさ密度(FBD)/床レベル、反応器内のホットスポットなどの問題を依然として有し得る。
【0005】
気相ポリプロピレンプロセスにおける熱伝達を改善するための以前の試みには、機械的撹拌機の使用及び比較的高いガス空塔速度(superficial gas velocity)での操作が含まれていた。しかしながら、機械的撹拌器を追加することは、反応器内のポリマー粒子床を撹拌及び混合するのを助けるが、潜在的なファウリングのための余分な表面、反応器内の可動部品の信頼性、高い動作圧力下での軸の封止、停電の懸念などの追加の負の結果を有する。更に、サイクルガスコンプレッサの能力の結果としてのガス空塔速度の実際的な限界がある。したがって、更なる改善が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、概して、流動床反応器中でポリプロピレンランダムコポリマーを製造するための気相プロセスに関する。このプロセスは、触媒活性ポリオレフィン粒子の床を含有する反応容器中に流動媒体を供給することを含む。
【0007】
一実施形態では、流動媒体は、プロピレンガス、C2及び/又はC4~C8α-オレフィンコモノマー、水素、及び少なくとも一種の不活性ガスを含む。流動媒体の、
【0008】
【数1】
と定義された運動量フラックスは、7.0N/m
2以上であり、反応器に入るときの反応器循環ガスの凝縮レベルは、25重量%未満である。上式において、ρ
gは流動媒体の密度であり、SGVは流動媒体のガス空塔速度である。
【0009】
本開示の他の特徴及び態様は、以下でより詳細に考察される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示による気相重合プロセスの一実施形態の図式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明が、以下の説明に記載される構造又はプロセス工程の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方式で実施又は実行することができる。
【0012】
概して、本開示は、流動床反応器中でポリプロピレンランダムコポリマーを製造するための気相プロセスに関する。本発明者らは、予期せぬことに、反応器安定性が、少なくとも部分的に流動床反応器内の流動媒体の運動量フラックスの関数であることを発見した。本明細書で使用される運動量フラックは
【0013】
【数2】
として定義され、式中、SGVは、流動床反応器の反応ゾーンの流動媒体のガス空塔速度であり、ρ
gは、反応器内の流動媒体の密度である。上式に示されるように計算される場合、運動量フラックスはN/m
2の単位を有する。流動媒体のガス空塔速度は、流動媒体の体積流量を流動床反応器の反応ゾーンの断面積で割ったものとして定義される。
【0014】
理論に束縛されるものではないが、流動媒体のガス空塔速度を増加させ、その密度を増加させると、粒子対ガス熱伝達係数が大きくなり、ポリマー粒子から流動媒体への重合熱の除去がより効率的になると考えられる。より効率的な熱伝達は、ポリマーの軟化又は溶融を引き起こし得るホットスポットを防止するのに役立つ。最終的に、このより効率的な熱伝達は、粒子凝集、シーティング、及びチャンク形成のない反応器の非常に安定した動作を可能にする。
【0015】
このような問題が発生したときに反応器条件を操作して、反応器のチャンク形成及び完全停止を防止する方法はあるが、積極的又は繊細な操作なしに安定した運転を維持できることが好ましい。本発明者らは、驚くべきことに、低運動量フラックスで動作する反応器はチャンク形成する傾向があり、中程度の運動量フラックスを有する反応器は何らかの特別な操作によって連続的に動作させることができ、高運動量フラックスで動作する反応器は繊細な操作を必要とせずに安定かつ確実に動作する傾向があると同時に、粒状ポリマー生成物の良好な粒子形態も提供するので、運動量フラックスが反応器安定性の強い指標であることを見出した。
【0016】
本発明者らはまた、再循環流中のコンプレッサの容量に起因して流動媒体のSGVに実際的な限界があるので、運動量フラックスは、反応器全圧の増加によって流動媒体の密度を増加させることによって増加させることができることを発見した。プロピレンガスの分圧を増加させることは、全圧及びガス密度を増加させるのに役立ち得るが、それはまた、ホットスポット及びポリマー粒子凝集をもたらす重合反応の過熱などの、防止されることが意図されるいくつかの操作上の問題を引き起こし得る。実際に、プロピレンの分圧及びコモノマー(複数可)の分圧は、過熱を引き起こさずに良好な触媒生産性を提供するために適切な範囲に維持される必要がある。したがって、プロピレン又はコモノマー(複数可)の分圧の代わりに不活性ガスの分圧を意図的に増加させることは、反応器全圧及びガス密度を増加させ、したがって「過剰」重合を引き起こすことなく運動量フラックスを増加させるための有効かつ安全な方法であることが見出された。例えば、プロピレンガス供給物中に不純物として通常存在する1つの不活性ガスはプロパンである。したがって、比較的高いプロパン分圧でランダム共重合のために反応器を操作することが望ましい。これは、ベント回収システムの操作を介して反応器中に蓄積するプロパンの比較的高いレベルを維持すること、及び/又は反応器への供給物中に追加のプロパンを添加することによって行うことができる。
【0017】
プロピレン供給物は非常に少量のプロパンしか含有せず、追加のプロパンを供給することは、プロパンを購入するコストに加えて、プロパン精製システムのためのコストなどの余分なコストを伴う可能性があるので、システム内に蓄積される利用可能なプロパンには限界があり得る。加えて、プロパンレベルが反応器中で非常に高い場合、多くのマイナスの結果を伴う可能性がある。例えば、高レベルのプロパンは、反応器に入るときに過度に高レベルの循環ガスを凝縮させる可能性があるが、これは、生成物排出システム(PDS)の圧力を上昇させ、PDS及び生成物脱気カラム中の樹脂の温度を低下させる。これは、良好な樹脂脱気を達成することの困難さ、より低い操作効率(すなわち、最終ポリマー生成物に対する消費されたモノマー及びコモノマーの比の増加を伴う)を引き起こし得るベント回収システムのより高い負荷、及び起こり得る樹脂粒子粘着性をもたらし得る。凝縮物が蒸発する前の有効ガス速度は比較的低いので、過剰なレベルの凝縮はまた、反応器の底部付近での混合が不十分であるという懸念をもたらし得る。これに関して、典型的には、凝縮のレベルは、約25%以下、いくつかの実施形態では約20%以下、いくつかの実施形態では約17%以下である。したがって、追加的又は代替的に、運動量フラックスを増加させるために使用される不活性ガスは、窒素などの非凝縮性ガスを含むことができる。窒素は通常、流動媒体中に不活性ガスとして存在する。例えば、窒素は、気相重合反応器中のノズル及び圧力タップをパージするためのガス流に由来する。反応器の始動中、モノマー及びコモノマー(複数可)が反応器に導入される前に窒素は流動媒体としても多用される。このように、流動媒体の運動量フラックスを増加させる別の便利で有利な方法は、反応器内の窒素の分圧を増加させることである。好ましくは、凝縮可能な不活性ガスの濃度が過剰な循環ガスの濃縮(condening)を防止するのに十分な低さを維持する限り、流動媒体は、プロパン及び窒素の両方を比較的高濃度で有する。しかしながら、これらの不活性ガスは最も容易に入手可能であり得るが、モノマー/コモノマーを重合させないか、又は反応を阻害しない限り、任意の不活性ガスを使用して全圧を増加させ、したがって流動媒体の密度を増加させることができる。
【0018】
7.0N/m2以上の運動量フラックスで反応器を操作することは、安定かつ強固な共重合の望ましい結果を提供することが見出された。好ましくは、運動量フラックスは、8.3N/m2以上、例えば8.5N/m2以上、例えば9N/m2以上、例えば9.5N/m2以上である。典型的には、運動量フラックスは、20N/m2未満、例えば18N/m2未満、例えば15N/m2未満である。
【0019】
ガス空塔速度(SGV)は、ポリマー粒子の床が流動化する最小速度である最小流動化速度によって下限が制限される。好ましくは、SGVは、0.34m/秒以上、例えば0.36m/秒以上、例えば0.38m/秒以上、例えば0.39m/秒以上、例えば0.4m/秒以上である。SGVは、典型的には0.6m/秒未満であるが、反応器からの微粒子の過剰なキャリーオーバーを伴うなどの、反応器動作が望ましくなくなるコンプレッサ能力又は速度によって制限される。
【0020】
流動媒体のガス密度ρgは、好ましくは、約55kg/m3以上、例えば約57kg/m3以上、例えば約58kg/m3以上、例えば約59kg/m3以上、例えば約60kg/m3以上である。流動媒体のガス密度は、典型的には、約80kg/m3未満、例えば約70kg/m3未満である。
【0021】
上述したように、不活性ガスはプロパンを含むことが好ましい。一実施形態では、プロパンは、流動媒体の約4モル%以上、例えば流動媒体の約6モル%以上、例えば流動媒体の約8モル%以上、例えば流動媒体の約10モル%以上、例えば流動媒体の約12モル%以上を構成する。典型的には、プロパンは、流動媒体の約40モル%未満、例えば流動媒体の約30モル%以下、例えば流動媒体の約25重量%以下、例えば流動媒体の約20重量%以下を構成する。
【0022】
別の実施形態では、不活性ガスは窒素を含む。好ましくは、窒素は、流動媒体の約4モル%以上、例えば流動媒体の約6モル%以上、例えば流動媒体の約7モル%以上、例えば流動媒体の約9モル%以上、例えば流動媒体の約11モル%以上、例えば流動媒体の約13モル%以上、例えば流動媒体の約15モル%以上、例えば流動媒体の約19モル%以上、例えば流動媒体の約25モル%以上を構成する。典型的には、窒素は流動媒体の約60モル%未満を構成する。
【0023】
一実施形態では、流動媒体はプロパン及び窒素の両方を含有する。好ましくは、流動媒体中のプロパンのモル%と窒素のモル%との合計は、約10%以上、例えば約16%以上、例えば約25%以上、例えば約32%以上である。典型的には、プロパンのモル%と窒素のモル%との合計は、約70%未満である。
【0024】
一般に、本明細書に記載の重合は、流動床気相反応器中で行われる。重合は、プロピレンと、C2及びC4~8から選択される少なくとも一種のオレフィンコモノマーと、を触媒系を用いて、好ましくは水素の存在下で反応させて、プロピレン系ポリマーを生成することによって行われる。触媒系は、メタロセン触媒系若しくはチーグラー・ナッタ触媒系、又はチーグラー・ナッタ触媒とメタロセン触媒との混合物であってもよい。好ましくは、触媒系はチーグラー・ナッタ触媒系である。
【0025】
プロピレンポリマーは、プロピレンコポリマー(単一のコモノマーを有する)若しくはターポリマー(2つのコモノマーを有する)、又は更により多くのコモノマーを有するものであり得る。本明細書で使用される場合、プロピレンコポリマーという用語は、単一のコモノマー又は複数のコモノマーを有する実施形態を指すために広く使用され、したがってターポリマーを含む。ポリマーがターポリマーである場合、好ましくは、コモノマーの1つはエチレンである。一種のみのコモノマーが使用される場合、ランダムコポリマーは、好ましくはエチレン又は1-ブテンとのプロピレンランダムコポリマーである。重合の温度は、好ましくは約50~約90℃、例えば約55~約75℃、又は代替的に約58~約68℃である。水素が存在する場合、重合に使用される水素とプロピレンとの比は、好ましくは約0.003~約0.25、例えば約0.005~約0.18である。
【0026】
ASTM D1238に従って測定される、製造されたプロピレンポリマーのメルトフローレート(MFR)は、典型的には約0.15~約400g/10分であり、MFRの測定は、安定した反復可能な測定を提供するために酸化防止剤の添加を含む。使用される酸化防止剤は、典型的には、2000ppmのCyanox-2246、2000ppmのIrgafos-168、若しくは1000ppmのZnO、又はそれらの等価物を含む。好ましくは、メルトフローレートは約0.15~約250g/10分である。より好ましくは、メルトフローレートは、約0.2~約200g/10分である。このメルトフローレートは、その後のビスブレーキングなしで反応器で製造された物質について測定される。
【0027】
図1を参照すると、例示目的のみのために、流動床反応器における気相重合プロセスの一実施形態が示されている。
図1に示されるように、本システムは、反応ゾーン12及び減速ゾーン14を含む気相反応器10を含む。特に、SGVを計算する目的のために、反応ゾーンの断面積が使用されるべきである。例示的な一実施形態では、反応ゾーンの高さと直径との比は、約2:1~約7:1の範囲で変化し得る。
【0028】
反応ゾーン12は、反応ゾーンを通って流れる流動媒体の形態の、成長しつつある及び成長したポリマー粒子、重合性モノマー(複数可)、並びに他のガス状成分(不活性ガス及び任意選択で水素を含む)の床を含む。上記に説明されたように、流動媒体(典型的には、反応器の大部分において気体状態である)のSGVは、流動床を形成するのに十分なものである。例えば、ガス空塔速度は、最小流動化速度の1.5倍より大きくてもよく、例えば、2.5倍より大きくてもよく、例えば、4倍より大きくてもよい。
【0029】
補給流動媒体(重合中に消費されたものを補給するための新鮮なポリオレフィンモノマー(複数可)など)は、一般に、点18でプロセスに供給され、再循環ライン22で組み合わされるか、又はコンプレッサ30の上流などのサイクルループ中の他の位置でプロセスに供給される。リサイクル流の組成は、典型的には、ガス分析器21によって測定される。反応器10中のSGVは、コンプレッサ30を通過する流動媒体の流量を調整することによって調整することができる。ガス分析器21は、
図1に示すように、コンプレッサ30と熱交換器24との間の点で、リサイクルされたガスを試験するように配置することができる。
【0030】
リサイクル流22に含まれる流動媒体は、床より下の点26で底部に向かって反応器10に供給される。反応器10は、床を均一に流動化するのを補助し、流動床に含まれる固体粒子を支持するためのガス分配プレート28を含んでいてもよい。床を上向きに通過して、床から出る流動媒体は、発熱重合反応によって発生する反応熱を除去する。
【0031】
図1に示すように、流動媒体は、反応器10を通って減速ゾーン14に流れる。減速ゾーン14内で、大部分の粒子は、重力によって反応ゾーン12内の高密度流動床に落下して戻るが、少量の微粒子は、流動媒体によって反応器から出てサイクルループ内に運ばれる。
【0032】
リサイクルされた流動媒体は、コンプレッサ30中で圧縮され、熱交換器24を通過する。熱交換器24は、流動媒体が反応器を通過する際に吸収した重合反応熱を、流動媒体が反応器10に戻される前に除去するためのものである。一態様では、反応器10は、反応器への入口に設置された流体流デフレクタ32を含んでいてもよく、それにより、分配プレート28の下の空間に流動媒体をより良好に分配するのを助け、含有されるポリマー粒子が沈降して固体塊に凝集するのを防止し、沈降するか又は分離される可能性がある任意の粒子及び任意選択で濃縮液体を維持して同伴させるか、又は再び同伴させる。分配プレート28は、流動媒体が、反応器の全断面積において、均一な速度及び均一な量の担持された微粉粒子及び任意選択的に均一な量の凝縮液体を伴って反応ゾーン12中の流動床に入ることを可能にする。
【0033】
反応によって生成された粒状ポリオレフィンポリマー樹脂は、ライン44を通って反応器10から排出される。
【0034】
一実施形態では、重合触媒は、ノズル42からライン48を通って反応器10に入る。
【0035】
触媒流48は、触媒粒子、任意選択的に鉱物油又は液体アルカンなどの懸濁液、及びキャリア流体を含む。触媒粒子(例えば、鉱物油中に懸濁させることによってスラリーの形態で)及びキャリア流体は、ノズル42を通して反応器10に注入され得る。好ましくは、体積基準で、触媒流48は、主にキャリア流体を含有する。例えば、キャリア流体は、好ましくは、触媒流48の体積の50%超、例えば60%超、例えば70%超を占める。
【0036】
触媒流48中のキャリア流体は、モノマー、コモノマー、不活性炭化水素、不活性ガス、又はそれらの混合物を含み得る。一実施形態では、例えば、キャリア流体は、液体プロピレンなどの液体モノマーである。液体プロピレンがキャリア流体として使用される場合、触媒流48の流量は、概して、約15kg/時超、例えば約25kg/時超、例えば約55kg/時超である。液体プロピレンがキャリア流体として使用される場合、触媒流48の流量は、概して、約250kg/時未満、例えば約200kg/時未満である。
【0037】
あるいは、キャリア流体は、窒素ガスなどの不活性ガスであってもよい。窒素ガスがキャリア流体である場合、触媒流48の流量は、概して、約3kg/時超、例えば約5kg/時超、例えば約9kg/時超であってもよく、概して、約55kg/時未満、例えば約45kg/時未満、例えば約30kg/時未満であってもよい。
【0038】
触媒流48に加えて、
図1に示すように、システムは、反応器10内に放出されるまで触媒流48とは別個の支持ガス流47を更に含むことができる。一実施形態では、例えば、支持ガス流47は、支持ガスが触媒注入管の先端に非常に近い管の先端で放出されるように、ノズル42を通して気相反応器10に供給される。典型的には、支持ガスは、触媒注入管と同軸に配置された支持管内を流れる。
【0039】
存在する場合、支持ガス流は、一般に、モノマー、コモノマー、不活性炭化水素、不活性ガス、又はこれらの混合物を含む。一実施形態では、例えば、支持ガスは、オレフィンガスなどのモノマーガスを含み得る。1つの特定の実施形態では、例えば、支持ガスは、気化したプロピレンであり得る。好ましくは、支持ガスの流量は、約40kg/時超、例えば約50kg/時超、例えば約60kg/時超である。支持ガスの流量は、好ましくは約600kg/時未満、例えば約550kg/時未満、例えば約500kg/時未満である。
【0040】
一実施形態では、触媒系は、チーグラー・ナッタ触媒組成物である。チーグラー・ナッタ触媒組成物は、典型的には、遷移金属ハロゲン化物(すなわち、チタン、クロム、バナジウム)を含有するプロ触媒、有機アルミニウム化合物などの共触媒、及び任意選択的に外部電子供与体を含む。
【0041】
全ての異なる種類のチーグラー・ナッタ触媒が、本開示の方法において使用され得る。チーグラー・ナッタ触媒は、固体触媒成分を含む。固体触媒成分は、(i)マグネシウム、(ii)周期表第IV~VIII族の元素の遷移金属化合物、(iii)ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、並びに/又は(i)及び/若しくは(ii)のアルコキシド、並びに(iv)(i)、(ii)、及び(iii)の組み合わせを含み得る。好適な触媒成分の非限定的な例としては、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、及びマグネシウム、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウム、及びこれらの組み合わせのアルコキシドが挙げられる。
【0042】
一実施形態では、触媒成分の調製は、混合マグネシウム及びチタンアルコキシドのハロゲン化を含む。
【0043】
様々な実施形態では、触媒成分は、マグネシウム部分化合物(MagMo)、混合マグネシウムチタン化合物(MagTi)、又は安息香酸含有塩化マグネシウム化合物(BenMag)である。一実施形態では、触媒前駆体は、マグネシウム部分(「MagMo」)前駆体である。MagMo前駆体は、マグネシウム部分を含む。好適なマグネシウム部分の非限定的な例としては、無水塩化マグネシウム及び/又はそのアルコール付加物、マグネシウムアルコキシド若しくはアリールオキシド、混合マグネシウムアルコキシハライド、及び/又はカルボキシル化マグネシウムジアルコキシド又はアリールオキシドが挙げられる。一実施形態では、MagMo前駆体は、マグネシウムジ(C1~4)アルコキシドである。更なる実施形態では、MagMo前駆体は、ジエトキシマグネシウムである。
【0044】
別の実施形態では、触媒成分は、混合マグネシウム/チタン化合物(「MagTi」)である。「MagTi前駆体」は、式MgdTi(ORe)fXgを有し、式中、Reは、1~14個の炭素原子又はCOR’を有する脂肪族又は芳香族炭化水素基であり、R’は、1~14個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素基であり、各ORe基は、同じであるか、又は異なり、Xは、独立して、塩素、臭素、又はヨウ素、好ましくは塩素であり、dは、0.5~56、又は2~4であり、fは、2~116、又は5~15であり、gは、0.5~116、又は1~3である。前駆体は、その調製に使用される反応混合物からアルコールを除去する制御された沈殿によって調製される。一実施形態では、反応媒体は、芳香族液体、特に塩素化芳香族化合物、最も特にクロロベンゼンと、アルカノール、特にエタノールとの混合物を含む。好適なハロゲン化剤としては、四臭化チタン、四塩化チタン又は三塩化チタン、特に四塩化チタンが挙げられる。ハロゲン化に使用される溶液からアルカノールを除去すると固体の前駆体が沈殿するが、これは特に望ましい形状及び表面積を有する。更に、得られた前駆体は、一般に、粒径が特に均一である。
【0045】
別の実施形態では、触媒前駆体は、安息香酸含有塩化マグネシウム材料(「BenMag」)である。本明細書で使用される場合、「安息香酸含有塩化マグネシウム」(「BenMag」)は、安息香酸内部電子供与体を含有する触媒(すなわち、ハロゲン化触媒成分)であり得る。BenMag材料は、ハロゲン化チタンなどのチタン部分も含み得る。安息香酸内部供与体は不安定であり、触媒及び/又は触媒合成中に他の電子供与体によって置き換えられ得る。好適な安息香酸基の非限定的な例としては、安息香酸エチル、安息香酸メチル、p-メトキシ安息香酸エチル、p-エトキシ安息香酸メチル、p-エトキシ安息香酸エチル、p-クロロ安息香酸エチルが挙げられる。一実施形態では、安息香酸基は、安息香酸エチルである。一実施形態では、BenMag触媒成分は、安息香酸化合物の存在下で、任意の触媒成分(すなわち、MagMo前駆体又はMagTi前駆体)のハロゲン化の生成物であり得る。
【0046】
別の実施形態では、固体触媒成分は、マグネシウム部分、チタン部分、エポキシ化合物、有機ケイ素化合物、及び内部電子供与体から形成することができる。一実施形態では、有機リン化合物を固体触媒成分に組み込むこともできる。例えば、一実施形態では、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物は、エポキシ化合物、有機リン化合物、及び炭化水素溶媒を含む混合物中に溶解することができる。得られた溶液を、有機ケイ素化合物の存在下、チタン化合物で処理し、任意選択的に内部電子供与体で処理して、固体沈殿物を形成することができる。次いで、固体沈殿物を更なる量のチタン化合物で処理することができる。触媒を形成するために使用されるチタン化合物は、次の化学式:
Ti(OR)gX4-g
[式中、各Rは、独立して、C1~C4アルキルであり、Xは、Br、Cl、又はIであり、gは、0、1、2、3、又は4である]を有することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、有機ケイ素は、モノマー化合物又はポリマー化合物である。有機ケイ素化合物は、-Si-O-Si-基を1分子中又は他の分子間に含有し得る。有機ケイ素化合物の他の例示的な例としては、ポリジアルキルシロキサン及び/又はテトラアルコキシシランが挙げられる。そのような化合物は、個々に使用され得るか、又はそれらの組み合わせとして使用され得る。有機ケイ素化合物は、アルミニウムアルコキシド及び内部電子供与体と組み合わせて使用することができる。
【0048】
上記で言及したアルミニウムアルコキシドは、式Al(OR’)3[式中、各R’は、個々に、20個までの炭素原子を有する炭化水素である]を有するものであってもよい。これは、各R’が個々にメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチルなどである場合を含み得る。
【0049】
ハロゲン化物含有マグネシウム化合物の例としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、及びフッ化マグネシウムが挙げられる。一実施形態では、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物は塩化マグネシウムである。
【0050】
エポキシ化合物の例としては、式:
【0051】
【化1】
(式中、「a」は、1、2、3、4、又は5からであり、Xは、F、Cl、Br、I、又はメチルであり、R
aは、H、アルキル、アリール、又はシクリルである)のグリシジル含有化合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、アルキルエポキシドは、エピクロロヒドリンである。いくつかの実施形態では、エポキシ化合物は、ハロアルキルエポキシド又は非ハロアルキルエポキシドである。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、エポキシ化合物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-エポキシブタン、2,3-エポキシブタン、1,2-エポキシヘキサン、1,2-エポキシオクタン、1,2-エポキシデカン、1,2-エポキシドデカン、1,2-エポキシテトラデカン、1,2-エポキシヘキサデカン、1,2-エポキシオクタデカン、7,8-エポキシ-2-メチルオクタデカン、2-ビニルオキシラン、2-メチル-2-ビニルオキシラン、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,2-エポキシ-7-オクテン、1-フェニル-2,3-エポキシプロパン、1-(1-ナフチル)-2,3-エポキシプロパン、1-シクロヘキシル-3,4-エポキシブタン、1,3-ブタジエンジオキシド、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、シクロペンテンオキシド、シクロオクテンオキシド、α-ピネンオキシド、2,3-エポキシノルボルナン、リモネンオキシド、シクロデカンエポキシド、2,3,5,6-ジエポキシノルボルナン、スチレンオキシド、3-メチルスチレンオキシド、1,2-エポキシブチルベンゼン、1,2-エポキシオクチルベンゼン、スチルベンオキシド、3-ビニルスチレンオキシド、1-(1-メチル-1,2-エポキシエチル)-3-(1-メチルビニルベンゼン)、1,4-ビス(1,2-エポキシプロピル)ベンゼン、1,3-ビス(1,2-エポキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1、1-エポキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、1,2-エポキシ-4-フルオロブタン、1-(2,3-エポキシプロピル)-4-フルオロベンゼン、1-(3,4-エポキシブチル)-2-フルオロベンゼン、1-(2,3-エポキシプロピル)-4-クロロベンゼン、1-(3,4-エポキシブチル)-3-クロロベンゼン、4-フルオロ-1,2-シクロヘキセンオキシド、6-クロロ-2,3-エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン、4-フルオロスチレンオキシド、1-(1,2-エポキシプロピル)-3-トリフルオロベンゼン、3-アセチル-1,2-エポキシプロパン、4-ベンゾイル-1,2-エポキシブタン、4-(4-ベンゾイル)フェニル-1,2-エポキシブタン、4、4’-ビス(3,4-エポキシブチル)ベンゾフェノン、3,4-エポキシ-1-シクロヘキサノン、2,3-エポキシ-5-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3-アセチルスチレンオキシド、4-(1,2-エポキシプロピル)ベンゾフェノン、グリシジルメチルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチル3,4-エポキシブチルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、グリシジル4-tert-ブチルフェニルエーテル、グリシジル4-クロロフェニルエーテル、グリシジル4-メトキシフェニルエーテル、グリシジル2-フェニルフェニルエーテル、グリシジル1-ナフチルエーテル、グリシジル2-フェニルフェニルエーテル、グリシジル1-ナフチルエーテル、グリシジル4-インドリルエーテル、グリシジルN-メチル-α-キノロン-4-イルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2-ジグリシジルオキシベンゼン、2、2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、トリス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン、ポリ(オキシプロピレン)トリオールトリグリシジルエーテル、フェノールノボラックのグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-4-メトキシシクロヘキサン、2,3-エポキシ-5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン、4-メトキシスチレンオキシド、1-(1,2-エポキシブチル)-2-フェノキシベンゼン、グリシジルホルメート、グリシジルアセテート、2,3-エポキシブチルアセテート、グリシジルブチレート、グリシジルベンゾエート、ジグリシジルテレフタレート、ポリ(グリシジルアクリレート)、ポリ(グリシジルメタクリレート)、グリシジルアクリレートと別のモノマーとのコポリマー、グリシジルメタクリレートと別のモノマーとのコポリマー、1,2-エポキシ-4-メトキシカルボニルシクロヘキサン、2,3-エポキシ-5-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、エチル4-(1,2-エポキシエチル)ベンゾエート、メチル3-(1,2-エポキシブチル)ベンゾエート、メチル3-(1,2-エポキシブチル)-5-フェニルベンゾエート、N、N-グリシジル-メチルアセトアミド、N、N-エチルグリシジルプロピオンアミド、N,N-グリシジルメチルベンズアミド、N-(4,5-エポキシペンチル)-N-メチル-ベンズアミド、N,N-ジグリシルアニリン、ビス(4-ジグリシジルアミノフェニル)メタン、ポリ(N,N-グリシジルメチルアクリルアミド)、1,2-エポキシ-3-(ジフェニルカルバモイル)シクロヘキサン、2,3-エポキシ-6-(ジメチルカルバモイル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-(ジメチルカルバモイル)スチレンオキシド、4-(1,2-エポキシブチル)-4’-(ジメチルカルバモイル)ビフェニル、4-シアノ-1,2-エポキシブタン、1-(3-シアノフェニル)-2,3-エポキシブタン、2-シアノスチレンオキシド、及び6-シアノ-1-(1,2-エポキシ-2-フェニルエチル)ナフタレン、からなる群から選択される。
【0053】
有機リン化合物の例としては、トリアルキルリン酸エステルなどのリン酸エステルが使用され得る。そのような化合物は、式:
【0054】
【化2】
[式中、R
1、R
2、及びR
3は、各々独立して、メチル、エチル及び直鎖又は分岐鎖(C
3~C
10)アルキル基からなる群から選択される]によって表すことができる。一実施形態では、トリアルキルリン酸エステルは、トリブチルリン酸エステルである。
【0055】
更に別の実施形態では、実質的に球状のMgCl2-nEtOH付加物は、噴霧結晶化プロセスによって形成されてもよい。このプロセスでは、nが1~6であるMgCl2-nROH溶融物は、容器の上部に20~80℃の温度で不活性ガスを導入しながら容器の内側で噴霧される。溶融物液滴は、不活性ガスが-50~20℃の温度で導入される結晶化領域に移され、溶融物液滴を球形状の非凝集化固体粒子に結晶化する。球状のMgCl2粒子は、次いで、所望のサイズに分類される。望ましくないサイズの粒子は、リサイクルすることができる。触媒合成のための好ましい実施形態では、球状のMgCl2前駆体は、約8~150マイクロメートル、好ましくは10~100マイクロメートル、最も好ましくは10~30マイクロメートルの間の平均粒径(Malvern d50)を有する。
【0056】
触媒成分は、ハロゲン化によって固体触媒に変換され得る。ハロゲン化は、内部電子供与体の存在下で触媒成分をハロゲン化剤と接触させることを含む。ハロゲン化は、触媒成分中に存在するマグネシウム部分を、チタン部分(チタンハロゲン化物など)が堆積されているハロゲン化マグネシウム担体へと変換する。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、ハロゲン化中、内部電子供与体は、(1)マグネシウム系担体上のチタンの位置を調節し、(2)マグネシウム及びチタン部分の、それぞれのハロゲン化物への変換を促し、(3)変換中にハロゲン化マグネシウム担体の結晶サイズを調節すると考えられる。したがって、内部電子供与体の提供は、立体選択性が向上した触媒組成物をもたらす。
【0057】
ある実施形態では、ハロゲン化剤は、式Ti(ORe)fXh(式中、Re及びXは、上記のように定義され、fは、0~3の整数であり、hは、1~4の整数であり、f+hは、4である。ある実施形態では、ハロゲン化剤は、TiCl4である)を有するハロゲン化チタンである。更なる実施形態では、ハロゲン化は、塩素化又は非塩素化芳香族液体、例えばジクロロベンゼン、o-クロロトルエン、クロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、又はキシレンの存在下で行われる。更に別の実施形態では、ハロゲン化は、ハロゲン化剤と塩素化芳香族液体との混合物であって、40~60体積パーセントのハロゲン化剤、例えばTiCl4を含む混合物の使用によって行われる。
【0058】
反応混合物は、ハロゲン化中に加熱され得る。触媒成分及びハロゲン化剤は、約10℃未満、例えば約0℃未満、例えば約-10℃未満、例えば約-20℃未満、例えば約-30℃未満の温度で最初に接触される。初期温度は、一般に、約-50℃超であり、例えば約-40℃超である。次いで、混合物を0.1~10.0℃/分の速度で、又は1.0~5.0℃/分の速度で加熱する。内部電子供与体は、ハロゲン化剤と触媒成分との間の最初の接触期間の後に、後で添加され得る。ハロゲン化の温度は、20℃~150℃(又はそれらの間の任意の値若しくは部分範囲)、又は0℃~120℃である。ハロゲン化は、内部電子供与体が実質的に存在しない状態で5~60分、又は10~50分の期間にわたって継続され得る。
【0059】
触媒成分、ハロゲン化剤、及び内部電子供与体の接触の仕方は変化し得る。一実施形態では、触媒成分は、最初に、ハロゲン化剤及び塩素化芳香族化合物を含有する混合物と接触される。得られた混合物を撹拌し、必要に応じて加熱し得る。次に、前駆体を単離又は回収することなく、内部電子供与体を同じ反応混合物に添加する。前述のプロセスは、自動プロセス制御によって制御される様々な成分を添加して、単一の反応器内で行われ得る。
【0060】
一実施形態では、触媒成分は、ハロゲン化剤と反応する前に内部電子供与体と接触される。
【0061】
触媒成分と内部電子供与体との接触時間は、少なくとも-30℃、又は少なくとも-20℃、又は少なくとも10℃から最大150℃、最大120℃、又は最大115℃、又は最大110℃の温度で、少なくとも10分、又は少なくとも15分、又は少なくとも20分、又は少なくとも1時間である。
【0062】
一実施形態では、触媒成分、内部電子供与体、及びハロゲン化剤は、同時に又は実質的に同時に添加される。
【0063】
ハロゲン化手順は、必要に応じて1回、2回、3回、又はそれ以上繰り返され得る。一実施形態では、得られた固体材料は、反応混合物から回収され、少なくとも約10分間、又は少なくとも約15分間、又は少なくとも約20分間、及び最大約10時間、又は最大約45分、又は最大約30分の間、少なくとも約-20℃又は少なくとも約0℃、又は少なくとも約10℃から最大約150℃、又は最大約120℃、又は最大約115℃の温度で塩素化芳香族化合物中のハロゲン化剤の混合物と同じ(又は異なる)内部電子供与体成分が存在しない状態(又は存在下)で1回以上接触される。
【0064】
前述のハロゲン化手順の後、得られた固体触媒組成物は、例えば、湿性フィルタケーキを生成するため、濾過により最終プロセスで用いられる反応媒体から分離される。次いで、湿性フィルタケーキを液体希釈剤ですすぐ、又は洗浄して、未反応のTiCl4を除去することができ、必要に応じて、残留液体を除去するために乾燥させてもよい。典型的には、得られた固体触媒組成物は、イソペンタン、イソオクタン、イソヘキサン、ヘキサン、ペンタン、又はオクタンなどの脂肪族炭化水素などの液体炭化水素である「洗浄液体」で1回以上洗浄される。次いで、固体触媒組成物は、分離及び乾燥され、又は炭化水素、特に更なる貯蔵若しくは使用のために鉱物油などの比較的重質の炭化水素中でスラリー化され得る。
【0065】
一実施形態では、得られる固体触媒組成物は、総固形分重量に基づいて約1.0重量パーセント~約6.0重量パーセント、又は約1.5重量パーセント~約4.5重量パーセント、又は約2.0重量パーセント~約3.5重量パーセントのチタン含有量を有する。固体触媒組成物中のチタンとマグネシウムとの重量比は、好適には約1:3~約1:160、又は約1:4~約1:50、又は約1:6~1:30である。一実施形態では、内部電子供与体は、約0.005:1~約1:1、又は約0.01:1~約0.4:1の内部電子供与体とマグネシウムとのモル比で触媒組成物中に存在し得る。重量パーセントは、触媒組成物の総重量に基づく。
【0066】
触媒組成物は、固体触媒組成物の単離の前又は後に、以下の手順の1つ以上によって更に処理されてもよい。所望であれば、固体触媒組成物を更なる量のハロゲン化チタン化合物と接触(ハロゲン化)させてもよい。これは、メタセシス条件下で、フタロイルジクロリド又はベンゾイルクロリドなどの酸塩化物と交換されてもよいし、すすぐか、又は洗浄、熱処理してもよいし、又はエージングしてもよい。前述の更なる手順は、任意の順序で組み合わせられてもよく、別々に使用されてもよく、又は全く使用されなくてもよい。
【0067】
上述したように、触媒組成物は、マグネシウム部分、チタン部分、及び内部電子供与体の組み合わせを含み得る。触媒組成物は、触媒成分及び内部電子供与体を内部電子供与体が組み込まれたマグネシウム部分とチタン部分との組み合わせに変換する前述のハロゲン化手順によって、生成される。触媒組成物が形成される触媒成分は、マグネシウム部分前駆体、混合マグネシウム/チタン前駆体、安息香酸含有塩化マグネシウム前駆体、マグネシウム、チタン、エポキシ、及びリン前駆体、又は球状前駆体を含む、上述の触媒前駆体のいずれかであり得る。
【0068】
様々な異なる種類の内部電子供与体が、固体触媒成分に組み込まれ得る。一実施形態では、内部電子供与体は、フェニレン置換ジエステルなどのアリールジエステルである。一実施形態では、内部電子供与体は、以下の化学構造を有し得、
【0069】
【化3】
式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、各々1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、このヒドロカルビル基は、分岐鎖若しくは直鎖構造を有するか又は7~15個の炭素原子を有するシクロアルキル基を含み、E
1及びE
2は、同じであっても異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を有するアルキル、1~20個の炭素原子を有する置換アルキル、1~20個の炭素原子を有するアリール、1~20個の炭素原子を有する置換アリール、又は1~20個の炭素原子を有し、任意選択的にヘテロ原子を含んでいてもよい不活性官能基からなる群から選択され、X
1及びX
2は、各々O、S、アルキル基、又はNR
5であり、R
5は、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であるか、又は水素である。
【0070】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」及び「炭化水素」という用語は、分岐鎖若しくは非分岐鎖の飽和若しくは不飽和の、環式、多環式、縮合、又は非環式種、並びにそれらの組み合わせを含む、水素及び炭素原子のみを含有する置換基を指す。ヒドロカルビル基の非限定的な例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、及びアルキニル基が挙げられる。
【0071】
本明細書で使用される場合、「置換ヒドロカルビル」及び「置換炭化水素」という用語は、1つ以上の非ヒドロカルビル置換基により置換されたヒドロカルビル基を指す。非ヒドロカルビル置換基の非限定的な例は、ヘテロ原子である。本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」は、炭素又は水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、周期表の第IV、V、VI、及びVII族からの非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例としては、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、N、O、P、B、S、及びSiが挙げられる。置換ヒドロカルビル基はまた、ハロヒドロカルビル基及びケイ素含有ヒドロカルビル基を含む。本明細書で使用される場合、「ハロヒドロカルビル」基という用語は、1つ以上のハロゲン原子により置換されたヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用される場合、「ケイ素含有ヒドロカルビル基」という用語は、1つ以上のケイ素原子により置換されたヒドロカルビル基である。ケイ素原子(複数可)は、炭素鎖中にあってもよく、又はなくてもよい。
【0072】
一態様では、置換フェニレンジエステルは以下の構造(I)を有する。
【0073】
【0074】
一実施形態では、構造(I)は、イソプロピル基であるR1及びR3を含む。R2、R4、及びR5~R14の各々は、水素である。
【0075】
一実施形態では、構造(I)は、R1、R5、及びR10の各々をメチル基として含み、R3は、t-ブチル基である。R2、R4、R6~R9、及びR11~R14のそれぞれは水素である。
【0076】
一実施形態では、構造(I)は、R1、R7、及びR12のそれぞれをメチル基として含み、R3はt-ブチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0077】
一実施形態では、構造(I)は、R1をメチル基として含み、R3は、t-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれはエチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0078】
一実施形態では、構造(I)は、R1、R5、R7、R9、R10、R12、及びR14の各々をメチル基として含み、R3は、t-ブチル基である。R2、R4、R6、R8、R11、及びR13のそれぞれは水素である。
【0079】
一実施形態では、構造(I)は、R1をメチル基として含み、R3は、t-ブチル基である。R5、R7、R9、R10、R12、及びR14のそれぞれはi-プロピル基である。R2、R4、R6、R8、R11、及びR13のそれぞれは水素である。
【0080】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,536,372号に詳細に記載されているR1~R14の各々の代替物を含む、構造(II)~(V)からなる群から選択される構造を有する。
【0081】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれはエトキシ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0082】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれはフッ素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0083】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれは塩素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0084】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれは臭素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0085】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれはヨウ素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0086】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R6、R7、R11、及びR12のそれぞれは塩素原子である。R2、R4、R5、R8、R9、R10、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0087】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R6、R8、R11、及びR13のそれぞれは塩素原子である。R2、R4、R5、R7、R9、R10、R12、及びR14のそれぞれは水素である。
【0088】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R2、R4、及びR5~R14のそれぞれはフッ素原子である。
【0089】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれはトリフルオロメチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0090】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれはエトキシカルボニル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0091】
一実施形態では、R1はメチル基であり、R3はt-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれはエトキシ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0092】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれはジエチルアミノ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0093】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は、2、4、4-トリメチルペンタン-2-イル基である。R2、R4、及びR5~R14のそれぞれは水素である。
【0094】
一実施形態では、構造(I)は、R1及びR3を含み、これらの各々は、sec-ブチル基である。R2、R4、及びR5~R14のそれぞれは水素である。
【0095】
一実施形態では、構造(I)は、各々メチル基であるR1及びR4を含む。R2、R3、R5~R9、及びR10~R14のそれぞれは水素である。
【0096】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含む。R4は、i-プロピル基である。R2、R3、R5~R9、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0097】
一実施形態では、構造(I)は、R1、R3、及びR4を含み、これらの各々は、i-プロピル基である。R2、R5~R9、及びR10~R14のそれぞれは水素である。
【0098】
別の態様では、内部電子供与体はフタレート化合物であり得る。例えば、フタレート化合物は、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジアミル、フタル酸ジイソアミル、フタル酸メチルブチル、フタル酸エチルブチル、又はフタル酸エチルプロピルであり得る。
【0099】
上記の固体触媒成分に加えて、本開示のチーグラー・ナッタ触媒系はまた、共触媒を含むことができる。共触媒は、アルミニウム、リチウム、亜鉛、スズ、カドミウム、ベリリウム、マグネシウムの水素化物、アルキル、又はアリール、及びこれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、共触媒は、式R3Alで表されるヒドロカルビルアルミニウム共触媒であり、式中、各Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はヒドリド基であり、少なくとも1つのRは、ヒドロカルビル基であり、2つ又は3つのR基は、環式基に接続され、ヘテロ環式構造を形成することができ、各Rは、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロカルビル基である各Rは、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する。更なる実施形態では、各アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、そのようなヒドロカルビル基は、混合基であってもよく、すなわち、基は、アルキル、アリール、及び/又はシクロアルキル基を含有し得る。好適なラジカルの非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、5,5-ジメチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、イソデシル、n-ウンデシル、n-ドデシルである。
【0100】
好適なヒドロカルビルアルミニウム化合物の非限定的な例は、次のとおりである:トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジ-n-ヘキシルアルミニウム、二水素化イソブチルアルミニウム、二水素化n-ヘキシルアルミニウム、ジイソブチルヘキシルアルミニウム、イソブチルジヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリ-n-デシルアルミニウム、トリ-n-ドデシルアルミニウム。一実施形態では、助触媒は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、及び水素化ジ-n-ヘキシルアルミニウムから選択される。
【0101】
一実施形態では、共触媒は、トリエチルアルミニウムである。アルミニウムとチタムンのモル比は、約5:1~約500:1、又は約10:1~約200:1、又は約15:1~約150:1、又は約20:1~約100:1である。別の実施形態では、アルミニウムとチタンとのモル比は、約45:1である。
【0102】
好適な触媒組成物は、固体触媒成分と、共触媒と、2つ以上の異なる成分の混合外部電子供与体(M-EED)であり得る外部電子供与体と、を含み得る。好適な外部電子供与体又は「外部供与体」としては、1つ以上の選択性制御剤(SCA)及び/又は1つ以上の活性制限剤(ALA)が挙げられる。本明細書で使用される場合、「外部供与体」は、触媒性能を改変するプロ触媒形成とは関係なく添加される成分、又は成分の混合物を含む組成物である。本明細書で使用される場合、「活性制限剤」は、触媒の存在下で重合温度が閾値温度(例えば、約95℃を超える温度)を上回って上昇するにつれて触媒活性を低下させる組成物である。「選択性制御剤」は、ポリマーのタクチシティを改善する組成物であり、改善されたタクチシティは、一般に、増加したタクチシティ若しくは減少したキシレン可溶分、又はこれらの両方を意味すると理解される。上記定義は相互に排他的ではなく、単一の化合物が、例えば、活性制限剤及び選択性制御剤の両方として分類され得ることが理解されるべきである。
【0103】
本開示に従った選択性制御剤は、一般に有機ケイ素化合物である。例えば、一態様では、選択性制御剤はアルコキシシランであり得る。
【0104】
一実施形態では、アルコキシシランは、一般式:SiRm(OR’)4-m(I)を有してもよく、式中、Rは、独立して、出現ごとに、水素、あるいは任意選択的に1つ以上の第14、15、16、若しくは17族のヘテロ原子を含有する1つ以上の置換基により置換されたヒドロカルビル又はアミノ基であり、当該Rは、水素及びハロゲンを除く最大20個の原子を含有し、R’は、C1~4アルキル基であり、mは、0、1、2、又は3である。一実施形態では、Rは、C6~12アリール、アルキル若しくはアラルキル、C3~12シクロアルキル、C3~12分岐状アルキル、又はC3~12環式若しくは非環式アミノ基であり、R’はC1~4アルキルであり、mは、1又は2である。一実施形態では、例えば、第2の選択性制御剤はn-プロピルトリエトキシシランを含むことができる。使用可能な他の選択性制御剤としては、プロピルトリエトキシシラン又はジイソブチルジメトキシシランを挙げることができる。
【0105】
一実施形態では、触媒系は、活性制限剤(ALA)を含み得る。ALAは、重合反応器の不具合を抑制するか、又はそうでなければ防止し、重合プロセスの継続を確実にする。典型的には、チーグラー・ナッタ触媒の活性は、非常に高いレベルに達するまでは、反応器温度が上昇するにつれて増加する。チーグラー・ナッタ触媒はまた、典型的には、生成されたポリマーの融点温度近くで高い活性を維持する。発熱重合反応によって発生した熱は、ポリマー粒子から凝集物を形成させる可能性があり、最終的にポリマー製造プロセスの継続を中断することにつながる場合がある。ALAは、高温で触媒活性を低下させ、それによって、反応器の不具合を防止し、粒子の凝集を低減(又は防止)し、重合プロセスの継続を確実にする。
【0106】
活性制限剤はカルボン酸エステルであってもよい。脂肪族カルボン酸エステルは、C4~C30脂肪族酸エステルであってもよく、モノ又はポリ(2つ以上の)エステルであってもよく、直鎖又は分岐状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよく、及びこれらの任意の組み合わせであってもよい。C4~C30脂肪族酸エステルはまた、1つ以上の第14、15、又は16族のヘテロ原子を含有する置換基により置換され得る。好適なC4~C30脂肪族酸エステルの非限定的な例としては、脂肪族C4~30モノカルボン酸のC1~20アルキルエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸のC1~20アルキルエステル、脂肪族C4~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アリルモノ及びジエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アルキルエステル、並びにC2~100(ポリ)グリコール又はC2~100(ポリ)グリコールエーテルのC4~20モノ又はポリカルボキシレート誘導体が挙げられる。更なる一実施形態では、C4~C30脂肪族酸エステルは、ラウレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、オレエート、セバケート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジアセテート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジミリステート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジラウレート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジオレエート、グリセリルトリ(アセテート)、C2~40脂肪族カルボン酸のグリセリルトリ-エステル、及びそれらの混合物であり得る。更なる実施形態では、C4~C30脂肪族エステルは、イソプロピルミリステート、ジ-n-ブチルセバケート及び/又はペンチルバレレートである。
【0107】
一実施形態では、選択性制御剤及び/又は活性制限剤は、別々に反応器内に添加され得る。別の実施形態では、選択性制御剤及び活性制限剤は、事前に一緒に混合され、次いで混合物として反応器内に添加され得る。加えて、選択性制御剤及び/又は活性制限剤は、異なる方法で反応器に添加され得る。例えば、一実施形態では、選択性制御剤及び/又は活性制限剤は、流動化床反応器などの反応器に直接添加され得る。あるいは、選択性制御剤及び/又は活性制限剤は、例えばサイクルループ(例えば、
図1のライン22)を通して供給することによって、反応器容積に間接的に添加され得る。選択性制御剤及び/又は活性制限剤は、反応器に供給される前にサイクルループ内で反応器サイクルガスと組み合わせられてもよい。
【0108】
チーグラー・ナッタ触媒に加えて、本開示のプロセスは、メタロセン触媒も使用することができる。メタロセン触媒は、少なくとも1つの第3族~第12族金属原子に結合した1つ以上のCp配位子(シクロペンタジエニル及びシクロペンタジエニとアイソローバルな配位子)と、少なくとも1つの金属原子に結合した1つ以上の脱離基(複数可)と、を有する「ハーフサンドイッチ」及び「フルサンドイッチ」化合物を含むことができる。
【0109】
Cp配位子は、1つ以上の環又は環系(複数可)であり、その少なくとも一部は、シクロアルカジエニル配位子及び複素環式類似体などのπ結合系を含む。環(複数可)又は環系(複数可)は、典型的には、第13~16族原子から選択される原子を含み、いくつかの実施形態では、Cp配位子を構成する原子は、炭素、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リン、ゲルマニウム、ホウ素、アルミニウム、及びこれらの組み合わせから選択され、炭素が環員の少なくとも50%を構成する。例えば、Cp配位子(複数可)は、置換及び非置換シクロペンタジエニル配位子及びシクロペンタジエニルに対してイソローバルの配位子から選択されてもよい。このような配位子の非限定的な例としては、シクロペンタジエニル、シクロペンタフェナントレニル、インデニル、ベンゾインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセン、フェナントリンデニル(phenanthrindenyl)、3-ベンゾフルオレニル、9-フェニルフルオレニル、8-H-シクロペント[a]アセナフチレニル、7-H-ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2-9]アントレン、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、それらの水素化バージョン(例えば、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル、又は「H4Ind」)、それらの置換バージョン(以下でより詳細に考察及び記載される)、及びそれらの複素環式バージョンが挙げられる。
【0110】
メタロセン化合物の金属原子「M」は、第3~12族原子及びランタニド族原子から選択されてもよく、又は第3~10族原子から選択されてもよく、又はSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、及びNiから選択されてもよく、又は第4族、5族、及び6族原子から選択されてもよく、又はTi、Zr、若しくはHf原子であってもよく、又はHfであってもよく、又はZrであってもよい。金属原子「M」の酸化状態は、0~+7の範囲であってもよく、又は+1、+2、+3、+4、若しくは+5であってもよく、又は+2、+3若しくは+4であってもよい。金属原子「M」に結合した基は、別段の指示がない限り、以下の構造及び構造に記載の化合物が電気的に中性であるようなものである。Cp配位子(複数可)は、金属原子Mと少なくとも1つの化学結合を形成して、「メタロセン触媒成分」を形成する。Cp配位子は、置換/引き抜き反応をあまり受けないという点で、金属原子Mに結合した脱離基とは異なる。
【0111】
一実施形態では、メタロセン触媒は、以下の式:
(C5Rx)yR’z(C5Rm)MQn-y-1
[式中、
Mは、元素の周期表の第IIIB族~第VIII族の金属であり、(C5Rx)及び(C5Rm)は、Mに結合された同じ又は異なるシクロペンタジエニル又は置換シクロペンタジエニル基であり、
Rは、同じであるか、又は異なり、水素、又は1~20個の炭素原子を含有するアルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、若しくはアリールアルキル基などのヒドロカルビル基であるか、又は2個の炭素原子が一緒に接続してC4~C6環を形成し、
R’は、C1~C4置換若しくは非置換のアルキレン基、ジアルキル若しくはジアリールゲルマニウム若しくはケイ素、又は2つの(C5Rx)及び(C5Rm)環を架橋するアルキル若しくはアリールホスフィン若しくはアミン基であり、
Qは、1~20個の炭素原子を有するアリール、アルキル、アルケニル、アルキルアリール、若しくはアリールアルキル基などのヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルボキシ基、又はハロゲンであり、互いに同じであっても異なっていてもよく、
zは、0又は1であり、
yは、0、1又は2であり、
yは0である場合、zが0であり、
nは、Mの原子価状態に応じて0、1、2、3、又は4であり、
n-yは1超である]によって表される。
【0112】
上の式によって表されるメタロセンの例示的であるが非限定的な例としては、ジアルキルメタロセン、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル及びジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ-ネオペンチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ-ネオペンチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジベンジル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウムジメチル;モノアルキルメタロセン、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムメチルクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムエチルクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムフェニルクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムエチルクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムメチルブロミド;トリアルキルメタロセン、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリメチル、シクロペンタジエニルジルコニウムトリフェニル、及びシクロペンタジエニルジルコニウムトリネオペンチル、シクロペンタジエニルジルコニウムトリメチル、シクロペンタジエニルハフニウムトリフェニル、シクロペンタジエニルハフニウムトリネオペンチル、及びシクロペンタジエニルハフニウムトリメチル;モノシクロペンタジエニルチタノセン、例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロリド、ペンタエチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロリド;ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル、式ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム=CH2によって表されるカルベン、及びこの試薬の誘導体;置換ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)化合物、例えば、ビス(インデニル)チタニウムジフェニル又はジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル又はジハロゲン化物;ジアルキル、トリアルキル、テトラ-アルキル及びペンタ-アルキルシクロペンタジエニルチタニウム化合物、例えば、ビス(1,2-ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル又はジクロリド、ビス(1,2-ジエチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル又はジクロリド;ケイ素、ホスフィン、アミン又は炭素架橋したシクロペンタジエン錯体、例えば、ジメチルシリルジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニル又はジクロリド、メチルホスフィンジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニル又はジクロリド、メチレンジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニル又はジクロリド及び他のジハロゲン化物錯体など;並びに架橋したメタロセン化合物、例えば、イソプロピル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリドジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルメチレン(2、2,5-ジメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジイソプロピルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジイソブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジイソプロピルメチレン(2,5-ジメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、ジイソプロピルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、ジイソブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、ジイソプロピルメチレン(2,5-ジメチルシクロペンタジエニルフルオレニル)チタニウムジクロリド、ラセミ体-エチレンビス(1-インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(1-インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-1,1,2,2-テトラメチルシラニレンビス(1-インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-1,1,2,2-テトラメチルシラニレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウム(IV)、ジクロリド、エチリデン(1-インデニルテトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(2-メチル-4-t-ブチル-1-シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-エチレンビス(1-インデニル)ハフニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ハフニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(1-インデニル)ハフニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ハフニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-1,1,2,2-テトラメチルシラニレンビス(1-インデニル)ハフニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-1,1,2,2-テトラメチルシラニレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ハフニウム(IV)、ジクロリド、エチリデン(1-インデニル-2,3,4,5-テトラメチル-1-シクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-エチレンビス(1-インデニル)チタニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)チタニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(1-インデニル)チタニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)チタニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-1,1,2,2-テトラメチルシラニレンビス(1-インデニル)チタニウム(IV)ジクロリドラセミ体-1,1,2,2-テトラメチルシラニレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)チタニウム(IV)ジクロリド、及びエチリデン(1-インデニル-2,3,4,5-テトラメチル-1-シクロペンタジエニル)チタニウムIV)ジクロリドが挙げられる。
【0113】
メタロセン触媒と共に活性剤を使用することもできる。活性剤は、例えば、アルミノキサンであってもよい。使用され得る活性剤としては、次の一般式:
M3M4
vX2
cR3
b-cの共触媒を更に含み、
[式中、M3は、周期表の第IA族、第IIA族及び第IIIA族の金属であり、M4は、周期表の第IA族の金属であり、vは、0~1の数であり、各X2は、任意のハロゲンであり、cは、0~3の数であり、各R3は、一価の炭化水素基又は水素であり、bは、1~4の数であり、b-cは、少なくとも1である]を有するものが挙げられる。
【0114】
本発明の実施に適した第IA族、第IIA族又は第IIIA族金属を1つだけ有する化合物には、次式:
M3R3
k
[式中、
M3は、リチウム、ナトリウム、ベリリウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、亜鉛、カドミウム、及びガリウムなどの第IA族、第IIA族又は第IIIA族の金属であり、
kは、M3の原子価に依存して1、2又は3に等しく、この原子価は、通常、M3が属する特定の族(すなわち、IA、IIA又はIIIA)に依存し、
各R3は、任意の一価炭化水素基であり得る]を有する化合物が含まれる。好適なR3基の例としては、式(V)に関連して上述したR3基のいずれかが挙げられる。
【0115】
本開示は、以下の実施例を参照してよりよく理解され得る。
【実施例】
【0116】
試験方法:
メルトフローレートは、ASTM D1238-01に従って、2.16kg荷重、230℃の条件下で測定した。
【0117】
ガス空塔速度(SGV)は、ベンチュリ装置によって測定した。
【0118】
流動媒体の組成をオンラインGCによって測定し、これをチェックガスで頻繁に較正して、全ての成分の合計が99%~101%であることを確実にした。
【0119】
BWR(Benedict-Webb-Rubin)式を使用して、ガス組成、温度、及び圧力を用いて、ガス密度(ρg)を即座に計算した。
【0120】
全圧は、化学業界で一般的に使用される圧力計によって測定した。
【0121】
使用した触媒の説明:
触媒1は、米国特許出願公開第2010/0173769(A1)号の実施例4に従って作製した。
【0122】
触媒2は、米国特許出願公開第20200283553(A1)号に従って作製した。
【0123】
触媒3は、米国特許第9,593,182号の実施例10に従って作製した。
【0124】
触媒4は、米国特許第5,604,172号に従って作製した。
【0125】
使用した外部電子供与体の説明:
供与体1は、米国特許出願公開第2011/0152067(A1)号の実施例J1に従って作製した。
【0126】
供与体2は、米国特許出願公開第2011/0152067(A1)号の実施例H1に従って作製した。
【0127】
供与体3は、米国特許出願公開第2019/0194438(A1)号の実施例IE1に従って作製した。
【0128】
供与体4は、米国特許出願公開第2011/0152067(A1)号の実施例B1に従って作製した。
【0129】
供与体5は、米国特許出願公開第2011/0152067(A1)号の実施例I1に従って作製した。
【0130】
種々のポリプロピレンランダムコポリマーを商業規模の流動床反応器で製造した。各実験の動作条件を下の表1に列挙する。加えて、反応動作の安定性を各実験について評価した。実験10及び11は比較例である。
【0131】
Atty。整理番号GRAC-59-P(W10297-00)
【0132】
【0133】
本発明に対するこれら及び他の修正及び変更は、添付の特許請求の範囲により具体的に記載されている本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。加えて、様々な実施形態の態様は、全部又は一部において相互に交換され得ることを理解されたい。更に、当業者は、前述の説明が単なる例示によるものであり、そのような添付の特許請求の範囲に更に記載されるように本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
【国際調査報告】