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特表2024-536420恒温保管可能なスマートインスリン注射装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】恒温保管可能なスマートインスリン注射装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/00 20060101AFI20240927BHJP
   A61M 5/44 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61M5/00 518
A61M5/44 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521054
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 KR2022010574
(87)【国際公開番号】W WO2023075089
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0147592
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0147593
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523428903
【氏名又は名称】エムキュア カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Mcure Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】54-2, Joeom-ro, Jijeong-myeon, Wonju-si, Gangwon-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,マン キュ
(72)【発明者】
【氏名】クワク,ホ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソク チャン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE14
4C066LL05
4C066QQ82
4C066QQ84
(57)【要約】
本発明は、恒温保管可能なスマートインスリン注射装置に関し、特に、ケーシングと;前記ケーシング内部に設置され、インスリン注入時に皮膚に密着するガイドが下端に設置されたシリンジと、インスリンが貯蔵された状態で前記シリンジ内部に収容され、上側にピストンが設置され、下側に前記ガイドに包囲される針が具備されたカートリッジと、前記カートリッジのピストンを押して前記針を通してインスリンを皮膚内に注入するインスリン注入部と、前記シリンジに冷気または温気を供給してカートリッジが収容されたシリンジ内部の温度を設定された温度範囲内に維持させるペルチェモジュールを含んで構成され、インスリン注入後にカートリッジに残っているインスリンを恒温状態で保管し、インスリンが変質しないように長期間保管することができる効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング10と、
前記ケーシング10の内部に設置され、インスリン注入時に皮膚に密着するガイド21が下端に設置されたシリンジ20と、
インスリンが貯蔵された状態で前記シリンジ20の内部に収容され、上側にピストン32が設置され、下側に前記ガイド21に包囲される針31aが具備されたカートリッジ30と、
前記カートリッジ30のピストン32を押して前記針31aを通してインスリンを皮膚S内に注入するインスリン注入部40と、
前記シリンジ20に冷気または温気を供給して、カートリッジ30が収容されたシリンジ20内部の温度を設定された温度範囲内に維持させるペルチェモジュール50と、
を含んで構成される、恒温保管可能なスマートインスリン注射装置。
【請求項2】
前記インスリン注入部40は、
駆動モータ41と、
前記駆動モータ41のモータ軸に連結されてモータ軸と共に回転するスクリューシャフト42と、
前記スクリューシャフト42に連結され、シリンジ20内を前進することにより、前記カートリッジ30のピストン32を押圧するピストン押圧ブロック43で構成される、
請求項1に記載の恒温保管可能なスマートインスリン注射装置。
【請求項3】
前記ペルチェモジュール50は、
前記シリンジ20の温度を測定する温度センサー51と、
前記温度センサー51で測定された値に応じて冷気または温気を発生させるペルチェ素子52と、
前記ペルチェ素子52の一側面に面接され、前記シリンジ20に接触して冷気または温気を伝達する伝導板53と、
前記ペルチェ素子52の他側面に面接されるヒートシンク54と、
前記ヒートシンク54に風を提供する送風ファン55で構成される
請求項1に記載の恒温保管可能なスマートインスリン注射装置。
【請求項4】
前記ガイド21が皮膚Sに密着されたとき、前記カートリッジ30と前記シリンジ20の間の空気を吸引して皮膚Sが引き上げられるようにすることで、皮膚Sが自動的に針31aに刺されるようにする吸引部60をさらに含んで構成された、
請求項1に記載の恒温保管可能なスマートインスリン注射装置。
【請求項5】
前記吸引部60は、
一側端部が前記カートリッジ30と前記シリンジ20の間の空間に連通する吸引チューブ61と、
前記吸引チューブ61の他側端部が前記カートリッジ30とシリンジ20の間の空間にある空気を吸引する真空ポンプ62と、
前記吸引チューブ61の管路上または吸引チューブ61の端部に設置され、吸引される空気の圧力を測定する圧力センサー63で構成された、
請求項4に記載の恒温保管可能なスマートインスリン注射装置。
【請求項6】
前記インスリン注入部40とペルチェモジュール50及び吸引部60と電気的に連結された制御部70をさらに含み、
前記制御部70は、インスリン注入量、インスリン注入回数、シリンジ20温度に関する情報を表示すると共に、通信網で連結されたスマートフォンに転送する、
請求項4に記載の恒温保管可能なスマートインスリン注射装置。
【請求項7】
前記シリンジ20の温度が設定された温度範囲外にある場合、前記スマートフォンを通じて前記ペルチェモジュール50を作動させるように制御部70に命令する、
請求項6に記載の恒温保管可能なスマートインスリン注射装置。
【請求項8】
前記ケーシング10の上端には、前記吸引部60によって吸引された空気を外部に排出する複数のエア排出孔81が縁に沿って形成されたエンドキャップ80が設置されている、
請求項4に記載の恒温保管可能なスマートインスリン注射装置。
【請求項9】
前記ケーシング10の内部には、前記吸引部60とインスリン注入部40に電気を供給するバッテリー90が設置され、
前記エンドキャップ80には、前記バッテリー90に電気を供給して貯藏されるようにする充電穴82が形成された、
請求項8に記載の恒温保管可能なスマートインスリン注射装置。
【請求項10】
前記カートリッジ30は、
下端に針31aが具備され、内部にインスリンが貯藏されたシリンダー31と、
前記シリンダー31の内外に前後進可能に設置されるピストン32と、
前記ピストン32の下端に設置され、インスリンに振動を与える振動子33と、
前記振動子33の外側面を囲み、ピストン32の前進時に一緒に前進してインスリンを加圧する振動子カバー34で構成された、
請求項1に記載の自動注入可能なスマートインスリン注射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン注射装置に関し、特に、インスリンを恒温状態で保管できるインスリンペン型の恒温保管可能なスマートインスリン注射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、体内のインスリン不足により、血液中のグルコース血糖が正常な人よりもその濃度が高くなることで発生する慢性疾患性疾患であり、患者の多くは血糖降下剤であるインスリンを定期的に投薬する必要がある。
【0003】
インスリン投与のためには、インスリン注射装置やインスリンペンなどを使用するのが一般的である。
【0004】
ここで、インスリン注射装置は、ユーザー(患者)が注射装置の針を直接皮膚に刺した後、注射装置のピストンを押して注射装置内に貯藏されているインスリンを注入し、その後廃棄されるため、通常は使い捨てで使用される。
【0005】
そして、インスリンペンは、複数回注入できる量のインスリンが貯藏されたカートリッジを自動注入装置に装着し、ユーザー(患者)が針を皮膚に直接刺した後、自動注入装置に備えられたボタンを押して、インスリンが皮膚内に自動的に注入されるようにする。
【0006】
このようなインスリンペンは、カートリッジ内に複数回使用できるインスリンが貯藏されているため、インスリンを1回注入した後は、残ったインスリンを恒温状態で保管しなければインスリンの変質を防ぐことができない。
【0007】
しかし、インスリンペンには恒温状態を維持できる構造がないため、残ったインスリンを恒温維持が可能な別の保管装置に入れて保管するのが一般的である。従って、それだけインスリンの保管が面倒で、持ち運びが難しいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するために創案されたもので、カートリッジ内に貯藏されているインスリンを恒温状態で保管することにより、インスリンの変質を防止することができるインスリンペン型の恒温保管可能なスマートインスリン注射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置は、ケーシングと;前記ケーシングの内部に設置され、インスリン注入時に皮膚に密着するガイドが下端に設置されたシリンジと、インスリンが貯藏された状態で前記シリンジ内部に収容され、上側にピストンが設置され、下側に前記ガイドに包囲される針が具備されたカートリッジと、前記カートリッジのピストンを押して前記針を通してインスリンを皮膚内に注入するインスリン注入部と、前記シリンジに冷気または温気を供給して、カートリッジが収容されたシリンジ内部の温度を設定された温度範囲内に維持させるペルチェモジュールを含んで構成される。
【0010】
ここで、前記インスリン注入部は、駆動モータと、前記駆動モータのモータ軸に連結され、モータ軸と共に回転するスクリューシャフトと、前記スクリューシャフトに連結され、シリンジ内で前進することによって前記カートリッジのピストンを押すピストン押圧ブロックとで構成される。
【0011】
そして、前記ペルチェモジュールは、前記シリンジの温度を測定する温度センサと、前記温度センサーで測定された値に応じて冷気または温気を発生させるペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の一側面に面接され、前記シリンジに接触して冷気または温気を伝達する伝導板と、前記ペルチェ素子の他側面に面接されるヒートシンクと、前記ヒートシンクに風を提供する送風ファンで構成される。
【0012】
また、前記ガイドが皮膚に密着したとき、前記カートリッジとシリンジの間の空気を吸引して皮膚が引き上げられるようにすることで、皮膚が自動的に針に刺されるようにする吸引部をさらに含んで構成される。
【0013】
また、前記吸引部は、一側端部が前記カートリッジとシリンジの間の空間に連通する吸引チューブと、前記吸引チューブの他側端部に連結され、前記カートリッジとシリンジの間の空間にある空気を吸引する真空ポンプと、前記吸引チューブの管路上または前記吸引チューブの端部に設置され、吸引される空気の圧力を測定する圧力センサーとで構成される。
【0014】
また、前記インスリン注入部とペルチェモジュール及び吸引部と電気的に連結された制御部をさらに含み、前記制御部は、インスリン注入量、インスリン注入回数、シリンジ温度に関する情報を表示するとともに、通信網で連結されたスマートフォンに転送する。
【0015】
また、前記シリンジの温度が設定された温度範囲外にある場合、前記制御部は、前記スマートフォンを介して前記ペルチェモジュールを作動させるように制御部に命令する。
【0016】
また、前記ケーシングの上端には、前記吸引部によって吸引された空気を外部に排出する多数のエア排出孔が縁に沿って形成されたエンドキャップが設置される。
【0017】
また、前記ケーシング内部には、前記吸引部とインスリン注入部に電気を供給する電池が設置され、前記エンドキャップには、前記電池に電気を供給して貯蔵されるようにする充電孔が形成されている。
【発明の効果】
【0018】
前記のように構成される本発明の恒温保管可能なスマートインスリン注射装置は、カートリッジが収容されるシリンジの温度をペルチェモジュールの作動によって一定に維持させることができるので、インスリン注入後にカートリッジに残っているインスリンを恒温状態で保管し、インスリンが変質しないように長期間保管することができるという利点がある。
【0019】
また、ユーザーがガイドを皮膚に密着させた後は、吸引部によって空気が吸引されて真空が形成され、皮膚が上方に持ち上げられ、針に自動的に刺され、皮膚が針に刺された後は、インスリン注入部が自動的に作動してインスリンが皮膚内に自動注入されることで、インスリン注入に対する恐怖感や拒否感を減らすことができる効果がある。
【0020】
また、制御部を通じてインスリン注入量、注入回数、シリンジの温度などに関する様々な情報を提供され、インスリン注射装置の状態をリアルタイムでチェックすることができるだけでなく、インスリン注射装置がすぐそばになくても、携帯電話の操作によってペルチェモジュールを操作することで、遠隔でシリンジの温度を調節することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置を示す図である。
図2図2は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置を示す図である。
図3図3は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置を示す図である。
図4図4は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置を示す図である。
図5図5は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置を示す図である。
図6図6は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置を示す図である。
図7図7は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置の断面を示す図である。
図8図8は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置のペルチェ素子から冷気または温熱がシリンジに伝達される様子を示す図である。
図9図9は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置の吸引部が作動して空気を吸引する様子を示す図である。
図10図10は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置のインスリン注入部が作動する様子を示す図である。
図11図11は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置が作動し、皮膚が持ち上げられて針に刺された後、インスリンが注入される様子を示す図である。
図12図12は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置のカートリッジを示す図である。
【0022】
[発明の実施のための最良の形態]
前記課題を解決するための本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置は、ケーシングと、前記ケーシング内部に設置され、インスリン注入時に皮膚に密着するガイドが下端に設置されたシリンジと、インスリンが貯藏された状態で前記シリンジ内部に収容され、上側にピストンが設置され、下側に前記ガイドに包囲される針が具備されたカートリッジと、前記カートリッジのピストンを押して前記針を通してインスリンを皮膚内に注入するインスリン注入部と、前記シリンジに冷気または温気を供給してカートリッジが収容されたシリンジ内部の温度を設定された温度範囲内に維持させるペルチェモジュールを含んで構成される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置の実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1乃至図6は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置を示す図である。図7は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置の断面を示す図である。
【0025】
そして、図8は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置のペルチェ素子から冷気又は温熱がシリンジに伝達される様子を示す図である。
【0026】
また、図9は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置の吸引部が作動して空気を吸引する様子を示す図である。図10は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置のインスリン注入部が作動する様子を示す図である。図11は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置が作動して皮膚が持ち上げられて針に刺された後、インスリンが注入される様子を示す図である。図12は、本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置のカートリッジを示す図である。
【0027】
本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置は、ケーシング10と、前記ケーシング10の内部に設置されるシリンジ20と、内部にインスリンが貯藏されたカートリッジ30と、前記カートリッジ30に貯藏されたインスリンを皮膚S内に注入させるインスリン注入部40と、前記シリンジ20に冷気または温気を供給するペルチェモジュール50と、前記シリンジ20とカートリッジ30の間を真空にする吸引部60と、前記ケーシング10に備えられた制御部70と、前記ケーシング10に設置されるエンドキャップ80を含んで構成される。
【0028】
前記ケーシング10は、本発明によるインスリン注射装置の外形を構成するもので、シリンジ20、カートリッジ30、インスリン注入部40、ペルチェモジュール50、吸引部60などを内部に収容する。このようなケーシング10は、シリンジカバー11と、前記シリンジカバー11の上端に設置されたトップカバー12で構成される。
【0029】
そして、ケーシング10のトップカバー12には、オン(ON)/オフ(OFF)スイッチ12aが備えられており、前記オン/オフスイッチ12aをオンONさせたとき、インスリン注射装置が活性化されて動作が可能な状態に切り替わる。
【0030】
前記シリンジ20は、内部が空洞の管状であり、下端にガイド21が設置され、内部にカートリッジ30が収容される。
【0031】
前記ガイド21は、インスリン注入時に下端がユーザー(患者)の皮膚Sに密着接触するもので、下側に行くほど直径が大きくなる。このようなガイド21は、透明、半透明または不透明素材などで製造することができるが、ガイド21内部にあるカートリッジ30の針31aを見えないようにして針31aに対する恐怖感をなくす必要があるという点では、不透明素材で製造することが望ましい。
【0032】
そして、ガイド21は、上端部分がシリンジ20の下端に設置され、シリンジ20とカートリッジ30の間に形成される空間の下側部分を密閉することにより、吸引部60がシリンジ20とカートリッジ30間の空気を吸引する際に、外部の空気がシリンジ20の下側を通ってシリンジ20内部に流入することを防止する。
【0033】
ここで、ガイド21は、下側に行くほど直径が大きくなる形状であり、シリンジ20の端部に固定されて下端が皮膚Sに密着され、前記シリンジ20とカートリッジ30間の空気が吸引されて皮膚Sが引き上げられる時から針31aを通じてインスリンが皮膚内部に噴射されるまで、移動せずにその密着状態を維持する。
【0034】
前記カートリッジ30は、シリンジ20内部に収容され、上側にピストン32が設置され、下側にガイド21によって包囲される針31aが具備されている。従って、ピストン32を押すと、内部に貯藏されたインスリンが針31aを介して皮膚S内部に注入される。
【0035】
補足すると、カートリッジ30は、シリンダー31と、前記シリンダー31に設置されるピストン32と、前記ピストン32に設置される振動子33と、前記振動子33に設置される振動子カバー34で構成される。
【0036】
前記シリンダー31は、内部にインスリンが貯蔵されており、下端にインスリンを皮膚S内に注入するための針31aが設けられている。
【0037】
前記ピストン32は、シリンダー31の内外に前後進可能に設置されるものであり、シリンダー31の内部に前進したとき、インスリンが針31aを通して皮膚Sの内部に注入されるようにする。
【0038】
前記振動子33は、ピストン32の下端に設置され、インスリンに振動を与えることでインスリンを混合する。
【0039】
前記振動子カバー34は、振動子33の外側面を囲み、ピストン32の前進時に一緒に前進し、シリンダー31内のインスリンを加圧する。
【0040】
一方、カートリッジ30は、前記のような構造に限定されるものではなく、市販されている様々な形態と構造のカートリッジが提示されているが、インスリン注入部40によって加圧されてインスリンが針31aを通して皮膚S内部に注入されるものであればどれでもよい。
【0041】
前記インスリン注入部40は、カートリッジ30のピストン32を押して針31aを介してインスリンを皮膚S内に注入する。補足すると、インスリン注入部40は、針31aを直接的に前進させて針31aが皮膚Sを刺すようにするのではなく、ガイド21が皮膚Sに密着した状態で針31aはその位置にそのまま停止しており、吸引部60の作動によって皮膚Sが持ち上げられ、皮膚Sが針31aに刺される。
【0042】
すなわち、吸引部60によってシリンジ20とカートリッジ30間の空気が吸引され、シリンジ20内部の圧力が真空に近い状態に低下すると、皮膚が上方に持ち上げられ、このように持ち上げられる過程で皮膚Sが針に刺される。
【0043】
そして、インスリン注入部40は、吸引部60によって吸引される空気の圧力が一定時間一定範囲内に維持されると、カートリッジ30のピストン32を押す。すなわち、後述する吸引部60の真空ポンプ62によってシリンジ20とカートリッジ30間の空気が吸引され、この時、後述する圧力センサー63が測定する圧力値が一定範囲内で一定時間維持されると、自動的にインスリン注入部40が作動して皮膚S内にインスリンが注入される。
【0044】
前記のようなインスリン注入部40は、駆動モータ41と、前記駆動モータ41のモータ軸に連結されるスクリューシャフト42と、前記スクリューシャフト42に連結されるピストン押圧ブロック43で構成される。
【0045】
前記駆動モータ41は、電源が供給されると、モータ軸が回転する。
【0046】
前記スクリューシャフト42はシリンジ20の内部に挿入され、駆動モータ41のモータ軸と共に回転する。このようなスクリューシャフト42は、外周面に螺旋が形成されている。
【0047】
前記ピストン押圧ブロック43は、内周面がこのスクリューシャフト42と螺旋結合され、スクリューシャフト42が回転すると、シリンジ20内で一直線に前後進する。
【0048】
ピストン押圧ブロック43が前進すると、カートリッジ30のピストン32を加圧し、ピストン32が薬物を針31a側に押し出すようにする。
【0049】
補足すると、シリンジ20内部には一対のレール22が形成されており、ピストン押圧ブロック43の外側面には前記レール22に挟まれるリブ43aが突出形成されており、スクリューシャフト42が回転する時、リブ43aはレール22に沿って直線的に前進し、ピストン押圧ブロック43が前進することでカートリッジ30のピストン32を加圧する。
【0050】
前記ペルチェモジュール50は、シリンジ20に冷気または温気を供給して、カートリッジ30が収容されたシリンジ20内部の温度を設定された温度範囲内に維持させる。インスリン一定量を注入した後、カートリッジ30内部に残っているインスリンが変質せずに安全に保管されるためには、インスリンの種類によって一定温度以下または一定温度以上で保管しなければならないが、このように適切な保管温度を維持するために、本発明ではシリンジ20内部を所望の温度範囲内に合わせるペルチェモジュール50を使用する。
【0051】
このようなペルチェモジュール50は、温度センサー51と、冷気または温気を発生させるペルチェ素子52と、前記ペルチェ素子52の一側面に面接される伝導板53と、前記ペルチェ素子52の他側面に面接されるヒートシンク54と、前記ヒートシンク54に風を提供する送風ファン55で構成される。
【0052】
前記温度センサー51はシリンジ20に設置されてシリンジ20の温度を測定し、測定された温度値は制御部70に転送されて表示される。
【0053】
前記ペルチェ素子52は、温度センサー51で測定した値によって冷気または温気を発生させる。すなわち、シリンジ20内部の温度がインスリンの適正保管温度に満たない場合には、制御部70の命令により、ペルチェ素子52から温気を発生させ、インスリンの適正保管温度を超える場合には、制御部70の命令により、ペルチェ素子52から冷気を発生させるものである。
【0054】
前記伝導板53は、シリンジ20とペルチェ素子52を連結するものであり、熱伝導率に優れた金属で製作され、一側がペルチェ素子52に連結され、他側がシリンジ20に連結され、ペルチェ素子52から冷気または温気が提供され、この冷気または温気をシリンジ20に伝達する。この時、シリンジ20も熱伝導率に優れた金属で製作し、冷気または温気をよく伝達されることが望ましい。
【0055】
前記ヒートシンク54は、ペルチェ素子52から発生する熱を放散する。
【0056】
前記送風ファン55は、ヒートシンク54で行われる熱の発散を促進する。
【0057】
前記吸引部60は、ガイド21が皮膚Sに密着したとき、カートリッジ30とシリンジ20の間に形成される空間の空気を吸引してその空間に真空圧を形成させることにより、皮膚Sが引き上げられるようにし、このように引き上げられる皮膚Sが針31aに刺さるようにするのが吸引部60である。このように持ち上げられた皮膚Sがガイド21内部の針31aに自動的に刺さることになる。
【0058】
このような吸引部60は、吸引チューブ61と、前記吸引チューブ61に連結されて空気を吸引する真空ポンプ62と、前記真空ポンプ62によって吸引される空気の圧力を測定する圧力センサー63で構成される。
【0059】
前記吸引チューブ61は、一旦シリンジ20を貫通し、カートリッジ30とシリンジ20の間の空間に連通される。
【0060】
前記真空ポンプ62は、吸引チューブ61の他側端部に接続され、カートリッジ30とシリンジ20の間の空間にある空気を吸引する。これにより、カートリッジ30とシリンジ20の間に真空または真空に近い空気圧が形成され、この圧力変化により皮膚Sが針31a側に引き上げられる。
【0061】
前記圧力センサー63は、吸引チューブ61の管路上に設置されるか、吸引チューブ61の端部に設置され、真空ポンプ62によって吸引される空気の圧力を測定する。このように測定された圧力値は、制御部70に転送されて表示される。
【0062】
前記制御部70は、ケーシング10のトップカバー12に設けられるもので、インスリン注入部40とペルチェモジュール50及び吸引部60と電気的に連結され、これらを制御して作動させたり、作動停止させたりする。
【0063】
このような制御部70は、インスリン注入量、インスリン注入回数、シリンジ20内部の圧力、シリンジ20の温度などに関する情報をインスリン注入部40や吸引部60及び温度センサー51等から提供されて表示するとともに、有線・無線通信網を介して連結されたスマートフォンに転送する。したがって、スマートフォンを通じて前記のような情報を確認することができる。
【0064】
一方、シリンジ20の温度が設定された温度範囲外にある場合には、スマートフォンを通じてペルチェモジュール50を作動させるように制御部70に命令することができる。
【0065】
つまり、シリンジ20の温度がインスリンを保管するのに適切な温度でないことをスマートフォンを通じて確認した場合、ユーザーはスマートフォンを通じて制御部70に信号を転送してペルチェモジュール50を作動させるようにするのである。
【0066】
前記エンドキャップ80は、ケーシング10の上端、すなわち、トップカバー12の上端に設置されるもので、吸引部60によって吸引された空気を外部に排出する多数のエア排出孔81が形成される。
【0067】
前記エア排出孔81は、円形をなすようにエンドキャップ80の縁に沿って一定間隔で形成される。
【0068】
一方、ケーシング10の内部には、蓄電可能なバッテリー90が設置され、吸引部60、インスリン注入部40、ペルチェモジュール50及び制御部70等に電気を供給することにより、インスリン注射装置を無線で使用可能にし、このバッテリー90に電気を供給して貯藏されるようにする充電穴82がエンドキャップ80の中央に形成される。
【0069】
前記のように構成された本発明による恒温保管可能なスマートインスリン注射装置の動作の様子を簡単に説明すると、次の通りである。
【0070】
まず、オン/オフスイッチ12aを操作してオンONさせると、吸引部60が作動し始め、この状態でガイド21をユーザー(患者)の皮膚Sに接触させる。
【0071】
ガイド21が皮膚Sに接触した状態で、吸引部60によってシリンジ20とカートリッジ30間の空気が吸引され、エア排出孔81を通じて外部に空気が排出されるが、この過程が続くと、シリンジ20とカートリッジ30間の空間の圧力が下がり、皮膚Sが上方に持ち上げられる。
【0072】
皮膚Sが持ち上げられると、針31aが自動的に皮膚Sに刺さる。
【0073】
針31aが皮膚Sに刺された後、圧力センサー63が測定する圧力値が一定時間一定範囲内に維持されると、インスリン注入部40が作動し、ピストン押圧ブロック43がカートリッジ30のピストン32を押してインスリンが皮膚S内に注入される。
【0074】
このようにインスリンが皮膚S内に注入される状態を一定時間、例えば、10秒維持する。このように維持する理由は、インスリン注入時間を十分に確保しながら、注入初期にインスリン逆流によるインスリン損失を防止するためである。
【0075】
インスリン注入が一定時間維持された後、吸引部60とインスリン注入部40に供給された電気が遮断され、真空状態が解除され、インスリンがもはや皮膚Sに注入されない。
【0076】
このような制御部70は、インスリン注入量、インスリン注入回数、シリンジ20内部の圧力、シリンジ20の温度などに関する情報をインスリン注入部40や吸引部60及び温度センサー51等から提供されて表示するとともに、有線・無線通信網を介して連結されたスマートフォンに転送する。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、インスリンを恒温状態で保管できる恒温保管可能なスマートインスリン注射装置に関し、バイオ産業や医療機器に関連する産業に幅広く使用できる。
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【国際調査報告】