(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】モジュール化燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240927BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20240927BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20240927BHJP
H01M 8/04111 20160101ALI20240927BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20240927BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20240927BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240927BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/2475
H01M8/04014
H01M8/04111
H01M8/0612
H01M8/12 101
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521065
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2022077830
(87)【国際公開番号】W WO2023057580
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522066067
【氏名又は名称】ターボ システムズ スウィツァーランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】ティソ ジャン-フランソワ
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AA07
5H127AB03
5H127AB04
5H127AB14
5H127AB17
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA03
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA13
5H127BA28
5H127BA34
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB24
5H127BB37
(57)【要約】
モジュール化燃料電池システム(100)が開示される。モジュール化燃料電池システム(100)は、複数の燃料電池モジュール(110,410)を含み、各燃料電池モジュールは、吸入ガスインターフェース(113,114)および排気ガスインターフェース(112,412)を備える。モジュール化燃料電池システム(100)は、燃料電池モジュール(110,410)の吸入ガスインターフェース(113)の各々に連結された吸入ガスマニホルド(140)と、燃料電池モジュール(110,410)の排気ガスインターフェース(112)の各々に連結された吸入ガスマニホルド(130)とをさらに含む。モジュール化燃料電池システム(100)はさらに、コンプレッサ(152)およびタービン(151)を備えた少なくとも1つのターボチャージャを有するターボ過給システム(150)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール化燃料電池システム(100)であって、
‐複数の燃料電池モジュール(110,410)を含み、各燃料電池モジュール(110,410)は、燃料電池(111)、吸入空気を前記燃料電池モジュール(110,410)に提供する吸入空気インターフェース(113,413)、および排気ガスを前記燃料電池モジュール(110,410)から運び去る排気ガスインターフェース(112,412)を備え、
‐前記燃料電池モジュール(110,410)の前記吸入空気インターフェース(113)の各々に連結された吸入空気マニホルド(140)を含み、前記吸入空気マニホルド(140)は、複数のモジュール(141,142,143)を収容し、各吸入空気モジュール(141,142,143)は、吸入空気を前記吸入空気マニホルド(140)から前記吸入空気インターフェース(113)のうちの少なくとも1つに提供するために少なくとも1つの隣接の吸入空気モジュール(141,142,143)に解除可能に連結されるとともに、前記吸入空気インターフェース(113)のうちの少なくとも1つに解除可能に連結されており、
‐前記燃料電池モジュール(110,410)の排気ガスインターフェース(120)の各々に連結された排気ガスマニホルド(130)を含み、前記排気ガスマニホルド(130)は、複数の排気ガスモジュール(131,132,133)を収容し、各排気ガスモジュール(131,132,133)は、排気ガスを前記排気ガスインターフェース(112)のうちの少なくとも1つから受け入れるために少なくとも1つの隣接の排気ガスモジュール(131,132,133)に解除可能に連結されるとともに、前記排気ガスインターフェース(112)のうちの少なくとも1つに解除可能に連結されており、
‐コンプレッサ(152)およびタービン(151)を備えた少なくとも1つのターボチャージャを有するターボ過給システム(150)を含み、前記タービン(151)は、前記排気ガスを前記排気ガスマニホルド(130)から受け入れるために前記排気ガスマニホルド(130)と流体連通状態にあり、前記コンプレッサ(152)は、過給後の吸入空気を前記吸入空気マニホルド(140)に提供するために前記吸入空気マニホルド(140)と流体連通状態にある、モジュール化燃料電池システム。
【請求項2】
前記複数の燃料電池モジュール(110,410)は、第1の燃料電池モジュール(110)および第2の燃料電池モジュール(410)を含み、前記第2の燃料電池モジュール(410)の総出力電力は、前記第1の燃料電池モジュール(110)の総出力電力よりも大きく、好ましくは、前記第2の燃料電池モジュール(410)の総出力電力は、前記第1の燃料電池モジュール(110)の総出力電力の少なくとも2倍であり、より好ましくは、前記第2の燃料電池モジュール(410)の総出力電力は、前記第1のタイプの燃料電池モジュール(110)の総出力電力の整数倍である、請求項1記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項3】
複数の燃料電池サブモジュール(310)を備えた複合燃料電池モジュール(210)をさらに含み、各燃料電池サブモジュール(310)は、燃料電池、吸入空気を前記燃料電池サブモジュール(310)に提供する吸入空気サブインターフェース(313)、および排気ガスを前記燃料電池サブモジュール(310)から運び去る排気ガスサブインターフェース(312)を含み、好ましくは、前記燃料電池サブモジュール(310)は、前記第1の燃料電池モジュール(110)である、請求項1または2記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項4】
前記第2の燃料電池モジュール(410)と前記複合燃料電池モジュール(210)の総出力電力は、実質的に同じであり、かつ/あるいは前記燃料電池モジュール(410)および前記複合燃料電池モジュール(210)は各々、実質的に同一サイズのハウジング(224)を含む、請求項3記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項5】
前記複合燃料電池モジュール(210)は、吸入空気モジュール(141,142,143)のうちの1つを前記複数の燃料電池サブモジュール(310)の前記吸入空気サブインターフェース(313)の各々に連結する吸入空気サブマニホルド(170)、および前記排気ガスモジュール(131,132,133)のうちの1つを前記複数の燃料電池サブモジュール(310)の前記排気ガスサブインターフェース(312)の各々に連結する排気ガスサブマニホルド(160)をさらに含む、請求項3または4記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項6】
熱を吸入空気と排気ガスとの間で交換するよう構成された外部熱交換器(180)をさらに含む、請求項1~5のうちいずれか一に記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項7】
前記外部熱交換器(180)は、熱を前記吸入空気から前記タービン(151)の上流側の前記排気ガスに伝達するよう構成されている、請求項6記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項8】
前記外部熱交換器(180)の第1の部分が前記コンプレッサ(152)の下流側にかつ前記吸入空気マニホルド(140)の上流側に配置され、前記外部熱交換器(180)の第2の部分が前記排気ガスマニホルド(130)の下流側にかつ前記タービン(151)の上流側に配置され、好ましくは、前記第1の部分は、熱を前記第2の部分に伝達するよう構成されている、請求項6または7記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項9】
前記外部熱交換器(180)は、熱を前記タービン(151)の下流側の前記排気ガスから前記コンプレッサ(152)の下流側の前記吸入空気に伝達するよう構成されている、請求項6記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項10】
前記外部熱交換器(180)の第1の部分が前記コンプレッサ(152)の下流側にかつ前記吸入空気マニホルド(140)の上流側に配置され、前記外部熱交換器(180)の第2の部分が前記タービン(151)の下流側に配置され、好ましくは、前記第2の部分は、熱を前記第1の部分に伝達するよう構成され、オプションとして、前記ターボ過給システム(150)は、前記外部熱交換器(180)を含む、請求項6または9記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項11】
前記吸入空気マニホルド(140)および前記排気ガスマニホルド(130)と並列に連結された少なくとも2つのターボチャージャを含む、請求項1~10のうちいずれか一に記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項12】
前記複数の燃料電池モジュール(110)の各々は、前記燃料電池(111)を前記排気ガスインターフェース(112)に連結する排気ガスライン(125)をさらに含み、前記モジュール化燃料電池システムは、前記排気ガスライン(125)内に配置された内部熱交換器(122)、アフタバーナ(121)、およびオキシダイザならびに前記内部熱交換器と前記アフタバーナと前記オキシダイザの組み合わせをさらに含み、オプションとして、前記排気ガスライン(125)内に直列に配置された前記内部熱交換器(122)と前記アフタバーナ(121)を含み、前記アフタバーナ(121)は、好ましくは、前記内部熱交換器(122)の上流側に位置している、請求項1~11のうちいずれか一に記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項13】
前記複数の燃料電池モジュール(110)の各々は、前記燃料電池(111)を燃料供給インターフェース(115)に連結する燃料供給ラインをさらに含み、前記モジュール化燃料電池システムは、前記燃料供給ライン内に配置された蒸気発生器(128)、プレリフォーマ(126)、リフォーマおよびシフト反応器のうちの1つをさらに含む、請求項1~12のうちいずれか一に記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項14】
前記複数の燃料電池モジュール(110,410)の各々および/または前記複合燃料電池モジュール(210)の各々は、水供給インターフェース(114)を含み、前記燃料電池システム(100)は、
‐前記燃料電池モジュール(110,410)および/または前記複合燃料電池モジュール(210)の前記水供給インターフェース(114)の各々に連結された水供給マニホルド(190)をさらに含み、前記水供給マニホルド(190)は、複数の水供給モジュール(191,192,193)を収容し、各水供給モジュール(191,192,193)は、少なくとも隣接の水供給モジュール(191,192,193)に解除可能に連結されるとともに、少なくとも1つの水供給インターフェース(114)に解除可能に連結されている、請求項1~13のうちいずれか一に記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項15】
前記複数の燃料電池モジュール(110,410)の各々および/または前記複合燃料電池モジュール(210)の各々は、燃料供給インターフェース(115)を含み、前記燃料電池システム(100)は、
‐前記燃料電池モジュール(110,410)の前記燃料供給インターフェース(115)の各々および/または前記複合燃料電池モジュール(210)の各々に連結された燃料供給マニホルドをさらに含み、前記燃料供給マニホルドは、複数の燃料供給モジュールを収容し、各燃料供給モジュールは、少なくとも隣接の燃料供給モジュールに解除可能に連結されるとともに、少なくとも1つの燃料供給インターフェース(115)に解除可能に連結されている、請求項1~14のうちいずれか一に記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項16】
前記燃料供給マニホルドおよび/または前記水供給マニホルド(190)に連結された外部蒸気発生器、外部プレリフォーマ、外部リフォーマおよび外部シフト反応器のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項14または15記載のモジュール化燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、モジュール化燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、クリーンで静かであり、しかも効率的な発電を提供する潜在的能力を秘めている。熱エネルギーを利用するエンジンとは異なり、燃料電池は、水素ガスの変換と関連した化学エネルギーを電気に変換する電気化学プロセスまたはバッテリのようなプロセスを用いる。燃料電池システムは、大量の電気出力を生じさせるための技術分野において用いられている。燃料電池システムは、数個の燃料電池を含み、そしてオプションとして、ターボチャージャまたはターボ過給システムを含む。
【0003】
先行技術のシステムの1つの欠点は、燃料電池システムの個々のコンポーネントが顧客の要望にフレキシブルに対応できないということにある。例えば、多くの場合、燃料電池システムは、特定の出力電力向きに設計されており、すなわち、このシステムの燃料電池、ターボチャージャおよび他の全ての追加のコンポーネント(例えば、水供給システムまたは排気ガスシステム)は、特定の出力電力を有する特定のシステム向きに設計されている。所望の用途が他のパラメータ、例えば異なる出力電力を必要とする場合、燃料電池システム全体は、例えばターボチャージャを燃料電池に合わせるために、しかも適当な供給および排気システムを提供するために再設計される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改良型燃料電池システムについての需要が絶えず存在する。特に、極めてフレキシブルでありしかも、特定の用途向きにコンポーネントの各々を再設計する必要なく、大きな出力電力範囲を限定された数のコンポーネントでカバーすることができる燃料電池システムが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述のことに照らして、独立形式の請求項1に記載されたモジュール化燃料電池システムが提供される。さらなる観点、さらなる利点、およびさらなる特徴は、特許請求の範囲の記載、本明細書、および添付の図面から明らかである。
【0006】
本発明の一観点によれば、モジュール化燃料電池システムが提供される。モジュール化燃料電池システムは、複数の燃料電池モジュールを含む。各燃料電池モジュールは、燃料電池、吸入空気を燃料電池モジュールに提供する吸入空気インターフェース、および排気ガスを燃料電池モジュールから運び去る排気ガスインターフェースを備える。モジュール化燃料電池システムは、燃料電池モジュールの吸入空気インターフェースの各々に連結された吸入空気マニホルドを含む。吸入空気マニホルドは、複数のモジュールを収容している。各吸入空気モジュールは、吸入空気を吸入空気マニホルドから吸入空気インターフェースのうちの少なくとも1つに提供するために少なくとも1つの隣接の吸入空気モジュールに解除可能に連結されるとともに、吸入空気インターフェースのうちの少なくとも1つに解除可能に連結されている。モジュール化燃料電池システムは、燃料電池モジュールの排気ガスインターフェースの各々に連結された排気ガスマニホルドをさらに含む。排気ガスマニホルドは、複数の排気ガスモジュールを収容している。各排気ガスモジュールは、排気ガスを排気ガスインターフェースのうちの少なくとも1つから受け入れるために少なくとも1つの隣接の排気ガスモジュールに解除可能に連結されるとともに、排気ガスインターフェースのうちの少なくとも1つに解除可能に連結されている。モジュール化燃料電池システムは、コンプレッサおよびタービンを備えた少なくとも1つのターボチャージャを有するターボ過給システムをさらに含む。タービンは、排気ガスを排気ガスマニホルドから受け入れるために排気ガスマニホルドと流体連通状態にあり、コンプレッサは、過給後の吸入空気を吸入空気マニホルドに提供するために吸入空気マニホルドと流体連通状態にある。
【0007】
当業者であれば、以下の詳細な説明を読むと、また、添付の図面を参照すると、追加の特徴および追加の利点を認識するであろう。
【0008】
図に示されたコンポーネントは、必ずしも縮尺どおりではなく、そうではなくて、本発明の原理を説明する際に強調がなされている。さらに、図中、同一の参照符号は、タイヤの部分を指示している。添付の図面は、本発明の諸実施形態に関し、これらの添付の図面について以下に記載している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本明細書において説明する実施形態としてのモジュール化燃料電池システムの略図である。
【
図2a】本明細書において説明する実施形態としての燃料電池モジュールの略図である。
【
図2b】本明細書において説明する別の実施形態としての燃料電池モジュールの略図である。
【
図3】本明細書において説明する実施形態としての複合燃料電池モジュールの略図である。
【
図4】本明細書において説明する別の実施形態としてのモジュール化燃料電池システムの略図である。
【
図5a】本明細書において説明する別の実施形態としてのモジュール化燃料電池システム装置の一部の略図である。
【
図5b】本明細書において説明する別の実施形態としてのモジュール化燃料電池システム装置の一部の略図である。
【
図5c】本明細書において説明する別の実施形態としてのモジュール化燃料電池システムの略図である。
【
図6】本明細書において説明する別の実施形態としてのモジュール化燃料電池システムの一部の略図である。
【
図7】本明細書において説明する別の実施形態としてのモジュール化燃料電池システム装置の一部の略図である。
【
図8】本明細書において説明する別の実施形態としてのモジュール化燃料電池システム装置の一部の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
今、種々の実施形態を詳細に参照するが、これら実施形態の1つ以上の実施例が各図に示されている。各実施例は、説明のために提供されており、本発明の限定として意図されてはいない。例えば、1つの実施形態の一部として図示しまたは説明する特徴は、任意他の実施形態に用いることができまたは任意他の実施形態と関連して用いることができ、それによりさらに別の実施形態がもたらされる。本発明は、かかる改造および変形を含むことが意図されている。
【0011】
図面についての以下の説明の範囲内において、同一の参照符号は、同一または類似のコンポーネントを指している。一般に、個々の実施形態に関する相違点のみを説明する。別段の指定がなければ、1つの実施形態における一部分または一観点の説明は、別の実施形態における対応の部分または観点にも当てはまると言える。
【0012】
例示的に
図1を参照すると、モジュール化燃料電池システム100が記載されている。モジュール化燃料電池システム100は、複数の燃料電池モジュール110、吸入空気マニホルド140、排気ガスマニホルド130およびターボ過給システム150を含む。
【0013】
図2aを例示的に参照すると、燃料電池モジュール110が記載されている。燃料電池モジュール110は、燃料電池111を含む。燃料電池111は、単一の燃料電池、もしくは燃料電池のスタック(4個の燃料電池のスタックを示す
図2aに示されている)または複数の個々の燃料電池もしくは燃料電池スタックであるのがよい。
【0014】
燃料電池モジュール110は、吸入空気を燃料電池モジュール110に提供する吸入空気インターフェース113、および排気ガスを燃料電池モジュール110から運び去る排気ガスインターフェース112をさらに含む。インターフェースは、外部装置または外部流体ラインを燃料電池モジュール110に連結する連結箇所と見なすことも可能である。
【0015】
燃料電池モジュール110は、吸入空気ライン127をさらに含むのがよく、吸入空気ライン127は、吸入空気インターフェース113および燃料電池111に機械的に結合されている。吸入空気ラインは、吸入空気インターフェース113を燃料電池111に流体結合し、そしてまた、吸入空気、特に過給後の吸入空気を燃料電池モジュール110の外部に位置するコンポーネントから吸入空気インターフェース113および吸入空気ライン127経由で燃料電池111に運搬することができるようになっている。
【0016】
燃料電池モジュール110は、排気ガスライン125をさらに含むのがよく、排気ガスライン125は、排気ガスインターフェース112および燃料電池111に機械的に結合されている。排気ガスライン125は、排気ガスインターフェース112を燃料電池111に流体結合し、そしてまた、排気ガス、特に過給後排気ガスを燃料電池111から、排気ガスライン125および排気ガスインターフェース112経由で、燃料電池モジュール110の外部に位置するコンポーネントに運搬することができるようになっている。
【0017】
燃料電池モジュール110は、ハウジング124を含むのがよい。吸入空気インターフェース113と排気ガスインターフェース112は、ハウジング124中に組み込まれるのがよい。好ましい実施形態では、ハウジングは、パーツハウジングまたは容器である。
【0018】
図1に戻ってこれを参照すると、燃料電池システム100は、吸入空気マニホルド140をさらに含む。吸入空気マニホルドは、燃料電池モジュール110の吸入空気インターフェース113の各々に連結され、特に、機械的にかつ流体的に結合されている。吸入空気マニホルド140は、複数の吸入空気モジュール141,142,143を収容している。各吸入空気モジュール141,142,143は、少なくとも1つの隣接の吸入空気モジュール141,142,143に解除可能に連結され、好ましくは流体的にかつ機械的に解除可能に結合されるとともに、吸入空気を吸入空気マニホルド140から吸入空気インターフェース113のうちの少なくとも1つに提供するために吸入空気インターフェース113のうちの少なくとも1つに連結され、好ましくは流体的にかつ機械的に解除可能に結合されている。
【0019】
吸入空気モジュールは、ほぼ同じ構造および寸法形状のものである。吸入空気マニホルド140は、コンポーネントのタイプを可能な限り少なくした状態で、燃料電池との相互連結システムを単純化するとともに、燃料電池システム100、特に燃料電池システム100の出力電力の単純なスケール変更を容易にするためにタイプの相違が可能な限り少ない吸入空気モジュール141,142,143を含む。代表的には、各吸入空気モジュールは、燃料電池モジュール110の同じ数の吸入空気インターフェース113に連結されている。好ましくは、各吸入空気モジュールは、燃料電池モジュール110の各単一の吸入空気インターフェース113にそれぞれ連結される。
【0020】
図示の実施形態では、吸入空気マニホルド140は、1つ以上の結合吸入空気モジュール141を収容するのがよく、吸入空気モジュール141は各々、2つの隣接の吸入空気モジュールに結合している。吸入空気マニホルド140は、末端吸入空気モジュール143をさらに収容するのがよく、この末端吸入空気モジュールは、1つの隣接の吸入空気モジュール141だけに連結されている。末端吸入空気モジュール143は、末端吸入空気モジュール143に解除可能に連結されるのがよい末端側壁から離れて位置する結合吸入空気モジュール141と実質的に同一であるのがよい。吸入空気マニホルド140は、吸入空気マニホルド140をターボ過給システム150に連結する流入空気モジュール142をさらに収容するのがよい。流入空気モジュール142は、吸入空気マニホルド140をターボ過給システム150に連結するインターフェースから離れて位置する結合吸入空気モジュール141と実質的に同一であるのがよい。
【0021】
燃料電池システム100は、排気ガスマニホルド130をさらに含む。排気ガスマニホルド130は、燃料電池モジュール110の排気ガスインターフェース112の各々に連結され、特に、機械的にかつ流体的に結合されている。排気ガスマニホルド130は、複数の吸入空気モジュール131,132,133を収容している。各排気ガスモジュール131,132,133は、少なくとも1つの隣接の排気ガスモジュール131,132,133に解除可能に連結され、好ましくは流体的にかつ機械的に解除可能に結合されるとともに、排気ガスを排気ガスマニホルドのうちの少なくとも1つ112から受け入れるために排気ガスインターフェースのうちの少なくとも1つ112に連結され、好ましくは流体的にかつ機械的に解除可能に結合されている。
【0022】
排気ガスモジュールは、ほぼ同じ構造および寸法形状のものである。排気ガスモジュールは、吸入空気モジュールと比較して、実質的に同一の構造および寸法形状のものであるのがよい。排気ガスモジュール130は、コンポーネントのタイプを可能な限り少なくした状態で、燃料電池システム100、特に燃料電池システム100の出力電力の単純なスケール変更を容易にするためにタイプの相違が可能な限り少ない排気ガスモジュール131,132,133を含む。代表的には、各排気ガスモジュールは、燃料電池モジュール110の同じ数の排気ガスインターフェース112に連結されている。好ましくは、各排気ガスモジュールは、燃料電池モジュール110の単一の排気ガスインターフェース113の各々にそれぞれ連結される。
【0023】
図示の実施形態では、排気ガスマニホルド130は、1つ以上の結合排気ガスモジュール131を収容するのがよく、排気ガスモジュール131は各々、2つの隣接の排気ガスモジュールに結合している。排気ガスマニホルド130は、末端排気ガスモジュール133をさらに収容するのがよく、この末端排気ガスモジュールは、1つの隣接の排気ガスモジュール131だけに連結されている。末端排気ガスモジュール133は、末端排気ガスモジュール143に解除可能に連結されるのがよい末端側壁から離れて位置する結合排気ガスモジュール131と実質的に同一であるのがよい。排気ガスマニホルド130は、排気ガスマニホルド130をターボ過給システム150に連結する流出ガスモジュール132をさらに収容するのがよい。流出ガスモジュール132は、排気ガスマニホルド130をターボ過給システム150に連結するインターフェースから離れて位置する結合排気ガスモジュール131と実質的に同一であるのがよい。
【0024】
吸入空気マニホルド140、排気ガスマニホルド130ならびに燃料電池の単純化された相互連結システム(インターフェース)は、互いに異なるコンポーネントを極めて僅かしか必要としない状態で、必要に応じて燃料電池システム100をフレキシブルにスケール変更することができるようになっている。本発明の吸入空気マニホルド140および排気ガスマニホルド130はまた、すでに組み立てられた燃料電池システム、または所望のシステムパラメータが変わった場合にすでに使用可能な状態にある燃料電池システムをその後に改造することができる。例えば、本発明のすでに設置された燃料電池システムは、燃料電池システム全体を設計し直す必要なく、さらにスケールアップできる。その代わりに、かかる場合には僅かな追加のコンポーネントを設ける必要がある。さらに、本発明の燃料電池システムは、燃料電池モジュールと種々の供給マニホルド(例えば、吸気マニホルドや排気マニホルド)とターボ過給システム(以下にさらに説明する)との間の明確な境界を考慮に入れている。これにより、燃料電池システムを全体的に良好に見渡すことができるとともに、燃料電池システムへの単純化されたアクセスが可能になっている。
【0025】
さらに
図1を参照すると、燃料電池システム100は、ターボ過給システム150を含む。ターボ過給システム150は、コンプレッサ152およびタービン151を有する少なくとも1つのターボチャージャを含む。ターボチャージャは、シャフト付きターボチャージャであるのがよく、この場合、コンプレッサ152とタービン151は、シャフトにより機械的に結合されている。シャフト付きターボチャージャでは、好ましくは、電気ターボチャージャ(シャフトに電気的に動力供給することができまたはシャフトから電力を得ることができる)であるのがよい。変形例として、ターボチャージャは、好ましくはシャフトによって結合されていない電気コンプレッサと電気タービンを有してもよい。タービン151は、排気ガスを排気ガスマニホルド130から受け入れるために排気ガスマニホルド130と流体連通状態にあり、コンプレッサ152は、過給後吸入空気を吸入空気マニホルド140に提供するために吸入空気マニホルド140と流体連通状態にある。
【0026】
本発明の燃料電池システムは、1つ以上のターボチャージャを備えた1つの過給ターボシステムを含み、このターボ過給システムは、過給空気を吸入空気マニホルド全体に提供し、次に、過給空気は、個々の燃料電池モジュールに配分される。各燃料用の別個のターボチャージャを含む燃料電池システムと比較して、本発明の燃料電池システムは、(ターボ過給)コンポーネントの個数を実質的に減らすことができ、したがってコストを減少させることができる。さらに、本発明の燃料電池システムは、有利には、大形ターボ過給システムを含み、この大形ターボ過給システムは、数個の小形のターボチャージャを含む場合と比較して、ターボ過給効率を著しく増大させ、かくして燃料電池システム全体のエネルギー効率を著しく高める。
【0027】
本発明の燃料電池システム100は、好ましくは、可能な限り少ない互いに異なるタイプの燃料電池モジュールを備えた状態で構成される。好ましい実施形態では、燃料電池システムは、2個または3個の互いに異なるタイプの燃料電池モジュールを含むに過ぎない。2個または3個の互いに異なるタイプの燃料電池モジュールは各々、出力電力および/またはハウジングのサイズが異なるのがよい。例えば、燃料電池システム100の電力範囲を、2個または3個の互いに異なるタイプの燃料電池モジュール110を含んだだけの状態で、25kWから最大100MWまでの間にすることができる。本発明の燃料電池システムはさらに、各々が互いに異なるタイプの燃料電池を一緒に収容した互いに異なるタイプの燃料電池モジュールを組み合わせる可能性を考慮に入れている。
【0028】
一実施形態によれば、複数の燃料電池モジュールは、第1の燃料電池モジュール110および第2の燃料電池モジュール410(第2の燃料電池モジュール410の一例が
図4に示されている)を含むのがよい。第1の燃料電池モジュール110および第2の燃料電池モジュール410は、好ましくは、同一タイプのコンポーネントを含み、また、達成可能な出力電力が異なっているに過ぎない。第1および第2の燃料電池モジュールはまた、出力電力およびサイズ、例えばハウジング124のサイズが互いに異なるのがよい。総出量電力は、それぞれの燃料電池モジュールの技術的設計目標である最大電力を意味している(全体として、それぞれの燃料電池モジュール内に収容された燃料電池または燃料電池スタックの全ての合計を意味している)。
【0029】
第2の燃料電池モジュール410の総出量電力は、第1の燃料電池モジュール110の総出力電力よりも大きいのがよい。好ましくは、第2の燃料電池モジュール410の総出力電力は、第1の燃料電池モジュール110の総出力電力の少なくとも2倍である。より好ましくは、第2の燃料電池モジュール410の総出力電力は、第1の燃料電池モジュール110の総出力電力の整数倍である。
【0030】
例えば、第1の燃料電池モジュール110は、25kWという総出力電力を有するのがよく、第2の燃料電池モジュール410は、100kWという総出力電力を有するのがよい。モジュール化燃料電池システム全体は、複数の第1の燃料電池モジュール110および複数の第2の燃料電池モジュール410を備えただけの状態で構成できる。より大形のメガワット級の出力電圧燃料電池システムは、数十個または数百個の第1(および第2の)燃料電池モジュールを含むのがよい。
【0031】
一実施形態よれば、モジュール化燃料電池システム100は、複合燃料電池モジュール210をさらに含む。複合燃料電池モジュール210の実施例が、
図3および
図4に示されている。複合燃料電池モジュール210は、複数の燃料電池サブモジュール310を有する。複合燃料電池モジュール210は、複合燃料電池モジュール210が吸入空気を燃料電池サブモジュール310に提供する吸入空気インターフェース213、および排気ガスを燃料電池サブモジュール310から運び去る排気ガスインターフェース212を有しているという点で燃料電池モジュール110(および第2の燃料電池モジュール410)にほぼ同じである。
【0032】
燃料電池サブモジュール310は、好ましくは、本明細書において開示する任意の実施形態によれば、第1の燃料電池モジュール110に対応しているのがよい。具体的に言えば、各燃料電池サブモジュール310は、1つ以上の燃料電池または1つ以上の燃料電池スタック、吸入空気を燃料電池サブモジュール310に提供する吸入空気サブインターフェース313、および排気ガスを燃料電池サブモジュール310から運び去る排気ガスサブインターフェース312を有する。かくして、吸入空気を吸入空気マニホルド140から吸入空気インターフェース213経由で、次に吸入空気サブインターフェース313経由で燃料電池サブモジュールに運ぶことができる。排気ガスを燃料電池サブモジュール310から排気ガスサブインターフェース312経由で、次に排気ガスインターフェース212経由で排気ガスマニホルド130に運ぶことができる。
【0033】
一実施形態では、第2の燃料電池モジュール410と複合燃料電池モジュール210の総出力電力は、実質的に同一である。この実施形態では、第2の燃料電池モジュール410の総出力電力は、第1の燃料電池モジュール110の総出力電力の整数倍である。かくして、複合燃料電池モジュール210は、対応した整数個の第1の燃料電池モジュール110を燃料電池サブモジュール310として利用することによって、第2の燃料電池モジュール410と同一の総出力電力を持つよう設計されているのがよい。例えば、第1の燃料電池モジュールの総出力電力は、25kWであるのがよく、複合燃料電池モジュール210が4つの第1の燃料電池モジュール110を含むのがよく、それにより、結果的に、総出力電力が100kWとなる。複合燃料電池は、そのフレキシビリティ(生産および点検整備目的について)に起因して、部品についてより容易な管理を可能にする。複合燃料電池はまた、後の段階におけるシステムのグレードアップを単純化し、例えば、より高い電力の燃料電池が利用できるようになった場合、ユーザは、かかる燃料電池をグレードアップした燃料電池で置き換えることができる。複合燃料電池はまた、市場の要件に対する燃料電池システムのフレキシブルな調節を可能にする。
【0034】
複合燃料電池モジュール210は、ハウジング224をさらに有するのがよい。複合燃料電池モジュール210のハウジング224と第2の燃料電池モジュール410のハウジングは各々、実質的に同一サイズのものであるのがよい。
図4に示すように、燃料電池システム100は、複合燃料電池モジュール210と第2の燃料電池モジュール410をフレキシブルに組み立てて構成されたものであるのがよい。燃料電池システム100は、複合燃料電池モジュール210および/または第1の燃料電池モジュール110および/または第2の燃料電池モジュール410の任意の組み合わせをフレキシブルに組み立てて構成されてもよい。
【0035】
複合燃料電池モジュール210は、吸入空気モジュール141,142,143のうちの1つ、および特に吸入空気インターフェース213を複数の燃料電池サブモジュール310の吸入空気サブインターフェース313の各々に機械的にかつ流体的に結合する吸入空気サブマニホルド170をさらに有するのがよい。複合燃料電池モジュール210は、排気ガスモジュール131,132,133のうちの1つ、および特に排気ガスインターフェース212を複数の燃料電池サブモジュール310の排気ガスサブインターフェース312の各々に機械的にかつ流体的に結合する排気ガスサブマニホルド160をさらに有するのがよい。
【0036】
吸入空気サブマニホルド170および排気ガスサブマニホルド160は、吸入空気マニホルド140および排気ガスマニホルド130に対応した仕方で構成されるのがよい。排気ガスサブマニホルド160は、複数の排気ガスサブモジュール161,162,163、例えば1つ以上の結合排気ガスサブモジュール161、1つ以上の末端排気ガスサブモジュール163、および排気ガスインターフェース212と結合する1つ以上の流出ガスサブモジュール162を有するのがよい。
【0037】
吸入空気サブマニホルド170は、複数の吸入空気サブモジュール171,172,173、例えば1つ以上の結合吸入空気サブモジュール171、1つ以上の末端吸入空気サブモジュール173、および吸入空気インターフェース213に結合する1つ以上の吸入空気サブモジュール172を有するのがよい。
【0038】
一実施形態によれば、モジュール化燃料電池システム100は、熱を吸入空気と排気ガスとの間で交換するよう構成された外部熱交換器180を含む。外部熱交換器180の実施例が
図5a~
図5cに示されている。「外部」という用語は、燃料電池モジュールの外部に位置するものとしてまたは燃料電池モジュールの一部ではないものとして理解されるべきである。以下にさらに説明するように、燃料電池モジュールは、幾つかの実施形態では、内部熱交換器を含むのがよく、かかる内部熱交換器は、熱を同一の燃料電池モジュールの部分内で交換する。他方、外部熱交換器は、熱をモジュール化燃料電池システム100の部分相互間で交換し、それにより好ましくは、燃料電池モジュールの全てに影響が及ぼされる。外部熱交換器180は、好ましくは、熱エネルギーを排気ガスマニホルド130の下流側の位置のところで排気ガスからまたは排気ガスに伝達するよう構成されるとともに/あるいはエネルギーをターボ過給システム150の下流側の位置のところで吸入空気からまたは吸入空気へ伝達するよう構成される。特定の実施形態では、外部熱交換器180は、燃料および/または水を予熱するよう使用されるのがよい。外部熱交換器180は、有利には、燃料電池システムに一度連結される必要があるだけであり、かくして、設計が単純化されるとともに燃料電池システムを製造する時間およびコストが減少する。
【0039】
1つの実施形態では、外部熱交換器180は、熱を吸入空気からタービン151の上流側に位置する排気ガスに伝達するよう構成されている。この実施形態では、燃料電池111が低温燃料電池、例えば固体高分子形燃料電池(PEMFC)である場合に特に有利である。かかる場合、燃料電池111を出た排気ガスは、例えば、80℃という温度を有する場合がある。ターボ過給システム150を出た過給後吸入空気の温度は、100℃から300℃までの範囲にある場合がある。熱を吸入空気からタービン151の上流側に位置する排気ガスに伝達することにより、吸入空気の温度を低温燃料電池を動作させるのに適した温度まで減少させることができ、他方、タービン151の上流側の排気ガスの熱エネルギーを増大させることができ、かかる熱エネルギーは、ターボ過給システム150を動作させるのに必要なエネルギーコストを減少させるために使用できる。外部熱交換器180をこの実施形態ではアフタバーナ(過給後吸入空気のための)ともいう場合がある。
図5bは、熱が吸入空気からタービン151の上流側の排気ガスに伝達される一実施形態を示している。
【0040】
外部熱交換器180は、第1の部分または第1の流体流れ通路および第2の流体流れ通路を有するのがよく、この場合、熱は、第1の流体流れ通路と第2の流体流れ通路との間で交換される。第1の流体流れ通路は、好ましくは、(過給後)吸入空気を流すために構成され、第2の流体流れ通路は、好ましくは、排気ガスを流すために構成されている。外部熱交換器180の第1の部分は、コンプレッサ152の下流側に、好ましくは、ターボ過給システムの最高圧力コンプレッサの下流側に、かつ吸入空気マニホルド140の上流側に配置される。外部熱交換器180の第2の部分は、排気ガスマニホルド130の下流側に、好ましくはターボ過給システムの最高圧力タービンの上流側に配置される。第1の部分は、好ましくは、熱を第2の部分に伝達するよう構成される。
【0041】
1つの実施形態では、外部熱交換器180は、熱をタービン151の上流側の排気ガスからコンプレッサ152の下流側の吸入空気に伝達するよう構成されている。この実施形態は、燃料電池111が高温燃料電池、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC)である場合に特に有利である。かかる場合、燃料電池111を出た排気ガス温度は、例えば、800℃である場合がある。ターボ過給システムを出た後であっても、排気ガスの温度は、350℃以上である場合があり、例えば600℃である。ターボ過給システム150を出たターボ過給後吸入空気の温度は、200℃から300℃までの範囲にあるのがよい。熱を(最低圧力)タービン151の下流側の排気ガスから伝達することにより、吸入空気の温度を高圧燃料電池を動作させるのに適した温度まで増大させることができる。熱エネルギーは、ターボ過給システムの上流側の排気ガスから抽出されることはなく、その結果、ターボ過給システムは、エネルギーを発生させることができる一方で、ターボ過給システムを出た排気ガスの過剰の熱だけが用いられ、かかる過剰の熱は、上述のように構成されていなければ、無駄になる恐れがある。
図5aは、熱がタービン151の下流側の排気ガスからコンプレッサ152の下流側の吸入空気に伝達される実施形態を示している。
【0042】
外部熱交換器180は、第1の部分または第1の流体流れ通路および第2の部分または第2の流体流れ通路を有するのがよく、この場合、熱は、第1の流体流れ通路と第2の流体流れ通路との間で交換される。第1の流体流れ通路は、好ましくは、(過給後)吸入空気を流すために構成され、第2の流体流れ通路は、好ましくは、排気ガスを流すために構成されている。外部熱交換器180の第1の部分は、コンプレッサ152の下流側に、好ましくはターボ過給システムの最高圧コンプレッサの下流側に、かつ吸入空気マニホルド140の上流側に配置される。外部熱交換器180の第2の部分は、タービンの下流側に、好ましくはターボ過給システムの最低圧タービンの下流側に配置される。第2の部分は、好ましくは、熱を第1の部分に伝達するよう構成される。
【0043】
ターボ過給システム150は、外部熱交換器180を含むのがよい。例えば、外部熱交換器180は、ターボ過給システム150と一体に形成されるのがよい。
【0044】
図2bは、燃料電池モジュール110内に含まれるのがよい追加のオプションとしてのコンポーネントを示している。
図2bは、幾つかの特徴を示しているが、理解されるべきこととして、これら特徴の各々を図示の他の特徴とは別個独立に燃料電池モジュール110内に含めることができる。さらに、燃料電池モジュール110について示された特徴の各々はまた、第2の燃料電池モジュール410または複合燃料電池モジュール210内に含めることができる。これらコンポーネントのうちの1つ以上を燃料電池モジュール中に設けることにより、燃料電池システムのサイズをフレキシブルに適合させることができ、しかも燃料電池システムの組み立てが単純化される。
【0045】
燃料電池モジュールは、排気ガスライン125を有するのがよい。燃料電池モジュール110は、排気ガスライン125内に配置された内部熱交換器122、アフタバーナ121およびオキシダイザのうちの少なくとも1つを含むのがよい。好ましい実施形態では、燃料電池モジュール110は、排気ガスライン125内に配置された内部熱交換器122、およびアフタバーナ121またはオキシダイザを含む。内部熱交換器122および/またはアフタバーナ121および/またはオキシダイザは各々、排気ガスライン125内に直列に配置されるのがよい。アフタバーナ121またはオキシダイザは、好ましくは、内部熱交換器122の上流側に配置される。オキシダイザは、フレームレスオキシダイザ、触媒オキシダイザおよびサーマルオキシダイザから選択された1つであるのがよい。アフタバーナおよび/またはオキシダイザは、高温燃料電池、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC)を用いる場合に特に有益であると言える。低温燃料電池、例えば固体高分子形燃料電池(PEMFC)の場合、アフタバーナおよび/またはオキシダイザはまた、有利には、有害ガスを分解するとともに対応の化学エネルギーの一部を回収するよう採用されるのがよい。
【0046】
内部熱交換器を外部熱交換器に加えてまたは外部熱交換器の代替手段として設けることができる。内部熱交換器はまた、利用可能な熱エネルギーを有効な仕方で用いることができるようにし、かくして、エネルギー消費量および環境への優しさに関して燃料電池システムを改善する。
【0047】
上述したように、内部熱交換器122は、熱を同一の燃料電池モジュール110の部分内で交換するよう構成されている。内部熱交換器は、第1の部分または第1の流体通路および第2の部分または第2の流体流れ通路を有するのがよい。第1の流体流れ通路は、好ましくは(過給後)吸入空気の流れを通すよう構成され、第2の流体流れ通路は、好ましくは、排気ガスの流れを通すよう構成される。内部熱交換器122の第2の部分は、好ましくは、排気ガスライン125内に配置される。内部熱交換器122の第1の部分は、好ましくは、燃料電池モジュール110の吸入空気ライン127内に配置される。吸入空気ライン127が例えば
図2bに示されている。
【0048】
1つの実施形態では、内部熱交換器122は、熱を排気ガスから燃料電池モジュール110内の吸入空気に伝達するよう構成されている。この実施形態は、燃料電池111が高温燃料電池、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC)である場合に特に有利である。この実施形態では、内部熱交換器122を吸入空気ヒータという場合がある。内部熱交換器の第1の部分は、好ましくは、燃料電池111のカソードの上流側に配置されるのがよい。
【0049】
もう1つの実施形態では、内部熱交換器122は、熱を吸入空気から燃料電池111内の排気ガスに伝達するよう構成されている。熱は、ターボ過給システム150の上流側の箇所で排気ガスに伝達される。この実施形態は、燃料電池111が低温燃料電池、例えば固体高分子形燃料電池(PEMFC)である場合に特に有利である。
【0050】
この実施形態では、内部熱交換器122を排気ガスヒータという場合がある。内部熱交換器の第1の部分は、好ましくは、燃料電池111のカソードの上流側にかつ/あるいはプレリフォーマまたはリフォーマ(両方とも、以下にさらに詳細に説明する)の上流側には位置されるのがよい。
【0051】
一実施形態によれば、内部熱交換器122および/または外部熱交換器180は、第3の部分または第3の流れ流体通路を有するのがよい。第3の流体流れ通路は、好ましくは、燃料または水の流れを通すよう構成される。内部熱交換器122および/または外部熱交換器180は、熱を排気ガスまたは吸入空気から水および/または燃料に伝達するよう構成されるのがよい。換言すると、内部熱交換器122および/または外部熱交換器180の第1の部分または第2の部分は、熱を第3の部分に伝達するよう構成されているのがよい。この実施形態は、燃料電池111が高温燃料電池、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC)である場合に特に有利であり、というのは、高温燃料サプライおよび/または高温水サプライが高温燃料電池モジュールを動作させる上で必要とされるからである。
【0052】
追加的または代替的に、内部熱交換器122は、第1の部分または第1の流れ流体通路または第2の部分または第2の流体流れ通路を有するのがよい。第1の流体流れ通路は、好ましくは、燃料または水の流れを通すよう構成され、これに対し、第2の流体流れ通路は、好ましくは、排気ガスのために構成されている。内部熱交換器122は、熱を排気ガスから水および/または燃料に伝達するよう構成されているのがよい。換言すると、内部熱交換器122の第2の部分は、熱を第1の部分に伝達するよう構成されるのがよい。
【0053】
燃料電池モジュール110を燃料供給インターフェース115に連結する燃料供給ラインをさらに有するのがよい。追加的にまたは代替的に、燃料電池モジュール電池110は、燃料電池モジュール110の1つ以上の水供給インターフェース114に連結された1本以上の水供給ラインをさらに有するのがよい。燃料供給インターフェース115および水供給インターフェース114は、燃料電池システム100の単純なスケール変更、特に燃料電池システム100の出力電力の単純なスケール変更を容易にするための完全にモジュール式のシステムとして燃料電池モジュール110を設計することができるようにする。水は、液体としての水または水の蒸気(水蒸気)であるのがよい。後者の場合、燃料電池モジュールの一部ではない蒸気発生器は、水の流れを水供給インターフェース114に供給することができる。燃料電池モジュール110が2つ以上の水供給インターフェース114を有する場合、水供給インターフェースのうちの1つは、液体としての水を供給するよう構成されるのがよく、水供給インターフェースのうちの第2の1つは水蒸気を供給するよう構成されるのがよい。変形例として、燃料電池モジュール110は、水供給インターフェース114を有さなくてもよく、水は、燃料電池111によって、例えば以下にさらに説明するアノード再循環ブロワによって供給できる。
【0054】
燃料は、炭化水素ガスまたは炭化水素ガス混合物を含むのがよい。好ましい実施形態では、燃料は、水素、メタン、液化天然ガス(LNG)、アンモニア、メタノールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されるのがよい。
【0055】
燃料電池モジュール110は、燃料供給ライン内に配置された蒸気発生器128、プレリフォーマ126、リフォーマおよびシフト反応器のうちの少なくとも1つをさらに有するのがよい。加うるに、水供給ラインは、水供給インターフェース114を蒸気発生器128、プレリフォーマ126、リフォーマおよびシフト反応器のうちの少なくとも1つ、好ましくはプレリフォーマ126に連結するのがよい。開始材料(燃料)を化学的に反応させることができ、かくして、これがプレリフォーマ126、リフォーマおよびシフト反応器の上流側かつ下流側の異なるガス混合物に対応することができるが、燃料供給インターフェース115を燃料電池に連結するライン全体は、燃料供給ラインと見なされる。
【0056】
プレリフォーマ126および/またはリフォーマおよび/またはシフト反応器は各々、排気ガスライン125内に直列に配置されるのがよい。プレリフォーマ126は、好ましくは、リフォーマおよびシャフト反応器の上流側に配置される。リフォーマは、好ましくは、シフト反応器の上流側に配置される。蒸気発生器128は、好ましくは、水供給インターフェース114の下流側にかつプレリフォーマ126および/またはリフォーマおよび/またはシフト反応器および/または燃料電池111の上流側に配置される。変形例として、蒸気発生器は、プレリフォーマおよび/またはリフォーマおよび/または水‐ガス化学反応型シフト反応器の一構成要素であってもよい。
【0057】
プレリフォーマは、特に燃料、例えば高級炭化水素分子、の反応によってメタンを生産するよう構成されるのがよい。リフォーマは、特に燃料、例えば炭化水素と水蒸気の反応によって水素および一酸化炭素を生産するよう構成されるのがよい。シフト反応器は、水‐ガスシフト化学反応を促進しまたは引き起こすよう構成されるのがよい。シフト反応器は、反応体中に含まれる水素と比較して、水素の量を増大させるよう構成されているのがよい。蒸気発生器128は、液体としての水を蒸気に変換するよう構成されているのがよい。蒸気発生器には、好ましくは予熱水、例えば内部熱交換器122によって加熱された水が供給される。
【0058】
燃料電池111が高温燃料電池、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC)である場合、燃料電池モジュール110は、代表的には、リフォーマを収容しておらず、オプションとして、特に燃料が炭化水素燃料を含む場合にはプレリフォーマ126を収容するのがよい。燃料電池111が低温燃料電池、例えば固体高分子形燃料電池(PEMFC)である場合、燃料電池モジュール110は、代表的には、燃料が水素である場合にはリフォーマを収容していないが、特に燃料がメタンまたは炭化水素燃料を含む場合、例えば残存する一酸化炭素を酸化するためにリフォーマまたはシフト反応器を収容するのがよい。
【0059】
モジュール化燃料電池システム100は、燃料電池モジュール110,410および/または複合燃料電池モジュール210の水供給インターフェース114の各々に流体的にかつ機械的に結合された水供給マニホルド190をさらに含むのがよい。水供給マニホルドの一例が
図6に示されている。水供給マニホルド190は、複数の水供給モジュール191,192,193を有する。各水供給モジュール191,192,193は、少なくとも隣接の水供給モジュール191,192,193に流体的に結合されるとともに機械的に解除可能に連結され、しかも少なくとも1つの水供給インターフェース114に解除可能に連結されている。水供給マニホルド190は、水を蒸気発生器128および/またはプレリフォーマ126および/またはリフォーマおよび/または水‐ガス化学反応型シフト反応器および/または燃料電池111に供給するよう構成されている。
【0060】
水供給モジュール191,192,193は、互いにほぼ同じ構造および寸法形状のものである。代表的には、各水供給モジュールは、燃料電池モジュール110の同数の水供給インターフェース114に、好ましくは1つの単一水供給インターフェース114に連結される。水供給マニホルド190および排気ガスマニホルド130または吸入空気マニホルド140は、対応した仕方で構成されるのがよく、例えば、水供給マニホルド190は、複数の水供給モジュール191,192,193、例えば1つ以上の連結水供給モジュール191、1つ以上の末端水供給モジュール193、および水源と結合可能な1つ以上の流入水モジュール192を含むのがよい。
【0061】
モジュール化燃料電池システム100は、燃料電池モジュール110,410および/または複合燃料電池モジュール210の燃料供給インターフェース115の各々に流体的にかつ機械的に結合された燃料供給マニホルドをさらに含むのがよい。燃料供給マニホルドは、複数の燃料供給モジュールを有する。各燃料供給モジュールは、少なくとも隣接の燃料供給モジュールに流体的に結合されるとともに機械的に解除可能に連結され、しかも少なくとも1つの燃料供給インターフェース115に解除可能に連結されている。燃料供給マニホルドは、燃料をプレリフォーマ126および/またはリフォーマおよび/または水‐ガス反応型シフト反応器および/または燃料電池111に供給するよう構成されている。
【0062】
燃料供給モジュールは、互いにほぼ同じ構造および寸法形状のものである。代表的には、各燃料モジュールは、燃料電池モジュール110の同数の燃料インターフェース115、好ましくは1つの単一燃料供給インターフェース115に連結されている。燃料供給マニホルドおよび排気ガスマニホルド130または吸入空気マニホルド140は、対応した仕方で構成されるのがよく、例えば、燃料供給マニホルドは、複数の燃料供給モジュール、例えば1つ以上の結合燃料供給モジュール、1つ以上の末端燃料供給モジュール、および燃料源と結合可能な1つ以上の流入燃料モジュールを含むのがよい。
【0063】
燃料供給マニホルドおよび水供給マニホルド190は、コンポーネントのタイプを可能な限り少なくした状態で、燃料電池システム100、特に燃料電池システム100の出力電力の単純なスケール変更を容易にする。
【0064】
一実施形態によれば、モジュール化燃料電池システム100は、外部蒸気発生器および/または外部プレリフォーマのうちの少なくとも一方、外部リフォーマおよび水供給マニホルド190を含むのがよい。上述したように、「外部」という用語は、燃料電池モジュールの外部に位置するものとしてまたは燃料電池モジュールの一部ではないものとして理解されるべきである。この実施形態は、燃料電池システム100全体のためには、1つの単一蒸気発生器および/または1つの単一プレリフォーマ、および/または1つの単一リフォーマおよび/または1つの単一のシフト反応器を提供すればよいようになっている。この実施形態では、燃料電池モジュールの水供給ラインおよび水供給インターフェース114を省くことができる。水供給マニホルドに代えて、(単一の)水供給ラインが外部蒸気発生器および/または外部プレリフォーマおよび/または外部リフォーマおよび/または外部シフト反応器を外部水源にれんけつすることができる。外部プレリフォーマ、外部リフォーマおよび外部シフト反応器のうちの少なくとも1つが燃料供給インターフェース115の上流側に配置されるのがよい。外部プレリフォーマ、外部リフォーマおよび外部シフト反応器のうちの少なくとも1つを含むモジュール化燃料電池システムは、コンポーネントの数を減らした単純な設計を考慮に入れている。さらに、燃料供給モジュール用のインターフェースの数を減少させることができ、それにより燃料電池システムのスケールをフレキシブルに適合させるのが容易になる。
【0065】
モジュール化燃料電池システム100は、複数の外部蒸気発生器および/または各燃料供給モジュールのための外部プレリフォーマおよび/または外部リフォーマおよび/または外部シフト反応器を含むのがよい。モジュール化燃料電池システム100は、外部プレリフォーマ、外部リフォーマおよび外部シフト反応器のうちの少なくとも1つを含むのがよい。換言すると、外部プレリフォーマ、外部リフォーマおよび外部シフト反応器のうちの少なくとも1つは、各燃料供給モジュール内に配置されるのがよい。
【0066】
一実施形態によれば、ターボ過給システム150は、少なくとも2つのターボチャージャを含むのがよい。
【0067】
1つの例示の実施形態では、少なくとも2つのターボチャージャが吸入空気マニホルド140および排気ガスマニホルド130と並列に連結されるのがよい。ターボチャージャの各々は、タービンおよびコンプレッサを含む。少なくとも2つのターボチャージャのうちの1つ以上は、シャフト付きターボチャージャであるのがよく、この場合、コンプレッサ152とタービン151は、シャフトを介して機械的に結合され、または変形例として、別個の電気コンプレッサおよび別個の電気タービンを含んでもよい。少なくとも2つのターボチャージャの各々は、本明細書において説明したような外部熱交換器180を有するのがよい。吸入空気マニホルド140の上流側の空気流の流路および/または排気ガスマニホルド130の下流側の排気ガスの流路は、2つ以上の平行な流路に分割(枝分かれ)されるのがよく、ターボチャージャの各々は、平行な流路のうちの一方と流体連通状態にある。
【0068】
もう1つの例示の実施形態では、少なくとも2つのターボチャージャは、吸入空気マニホルドおよび排気空気マニホルドと直列に連結されるのがよい。ターボチャージャのうちの1つを低圧ターボチャージャという場合があり、ターボチャージャのうちの1つを高圧ターボチャージャという場合がある。低圧ターボチャージャおよび/または高圧ターボチャージャは、電気ターボチャージャであるのがよく、特に、別個の電気コンプレッサおよび別個の電気タービンを含む。代表的には、直列連結された少なくとも2つのターとチャージャを含むターボ過給システムは、本明細書において説明する外部熱交換器180を1つしか含まないのがよい。
【0069】
追加的にまたは代替的に、ターボ過給システムは、低圧ターボチャージャと高圧ターボチャージャとの間に配置されたインタークーラを含んでもよく、あるいは、3つ以上のターボチャージャの場合、ターボ過給システムは、隣り合うターボチャージャの各対相互間に配置されたインタークーラを含むのがよい。インタークーラは、第1の部分または第1の流体流れ通路および第2の部分または第2の流体流れ通路を有するのがよい。
【0070】
1つの例示の実施形態では、第1の流体流れ通路は、好ましくは、流体または水の流れを通すよう構成され、これに対し、第2の流体流れ通路は、好ましくは、過給後吸入空気のために構成されている。第2の流体流れ通路は、好ましくは、低圧圧縮機と高圧圧縮機との間、または隣接の対をなすコンプレッサ相互間に配置される。インタークーラは、熱を過給後吸入空気から水または燃料に伝達するよう構成されているのがよい。換言すると、インタークーラの第2の部分は、熱を第1の部分に伝達するよう構成されているのがよい。有利には、インタークーラは、過給後吸入空気の熱エネルギーを用いて燃料電池モジュールの動作のために加熱される必要のある水および/または燃料を加熱することができるようになっている。この実施形態は、燃料電池が高温燃料電池である場合に特に有利であると言え、この場合、高圧タービンに由来する排気ガスは、低圧コンプレッサに由来する吸入空気の温度よりも高い温度を有することができ、したがって、インタークーラ経由で吸入空気を冷却するために使用できない。したがって、インタークーラは、熱エネルギーを別の仕方で利用することができるようになっている。
【0071】
1つの例示の実施形態では、第1の流体流れ通路は、好ましくは、排気ガス向きに構成され、これに対し、第2の流体流れ通路は、好ましくは、過給後吸入空気向きに構成されている。第1の流体流れ通路は、好ましくは、高圧タービンと低圧タービンとの間、または隣接の1対のタービン相互間に配置される。第2の流体流れ通路は、好ましくは、低圧コンプレッサと低圧コンプレッサとの間、または隣接の1対のコンプレッサ相互間に配置される。インタークーラは、熱を過給後吸入空気から排気ガスに伝達するよう構成されているのがよい。換言すると、インタークーラの第2の部分は、熱を第1の部分に伝達するよう構成されているのがよい。有利には、インタークーラは、過給後吸入空気の熱エネルギーを用いて排気ガスを加熱することができるようになっており、それにより、次のタービン段階における電力および効率が向上する。この実施形態は、燃料電池が低温燃料電池であるのに特に有利であると言え、この場合、高圧タービンに由来する排気ガスは、低圧コンプレッサに起因する吸入空気の温度よりも低い温度を有することができる。
【0072】
上述の例示の実施形態はまた、各々直列に配置された2つ以上のターボチャージャを有する2つ以上の並行ターボ過給サブシステムを設けることによって互いに組み合わせ可能である。上述の例示の実施形態はまた、2つ以上の並行ターボ過給サブシステムを有することによって互いに組み合わせ可能であり、ターボ過給システムのうちの1つ以上は、ターボチャージャを1つだけ含み、ターボ過給サブシステムのうちの1つ以上は、直列に配置された2つ以上のターボチャージャを含む。
【0073】
代表的には、各並行ターボ過給サブシステムは、たった1つの外部熱交換器180および/または上述したように、低圧ターボチャージャと高圧ターボチャージャとの間、または各対の隣り合うターボチャージャ相互間に配置されたインタークーラを有するのがよい。
【0074】
外部熱交換器180は、特に高温燃料電池、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC)を用いる場合に最低圧ターボチャージャと一体的に形成されるのがよい。この場合、ターボ熱は、最低圧タービンの上流側位置から燃料電池の下流側に位置する最高圧力段コンプレッサ後の位置まで伝達されるのがよい。
【0075】
図7は、直列に配置された3つのターボチャージャを備えるターボチャージャ過給システムを含む燃料電池システムを示している。ターボ過給システムは、高圧タービン153、中圧タービン154、低圧タービン155、高圧コンプレッサ156、中圧コンプレッサ157および低圧コンプレッサ158を含む。燃料電池システムは、外部熱交換器をさらに含む。第1の流体流れ通路は、(過給後)吸入空気の流れを通すよう構成され、第2の流体流れ通路は、排気ガスの流れを通すよう構成されている。外部熱交換機180の第1の部分は、ターボ過給システムの最高圧コンプレッサ156の下流側にかつ吸入空気マニホルド140の上流側に配置されている。外部熱交換器180の第2の部分は、ターボ過給システムの最低圧タービン155の下流側に配置されている。第2の部分は、好ましくは、熱を第1の部分に伝達するよう構成されている。好ましくは、ターボ過給システムは、各対のコンプレッサ相互間のインタークーラ、すなわち、高圧コンプレッサ156と中間圧コンプレッサ157との間の1つのインタークーラ、および中圧コンプレッサ157と低圧コンプレッサ158との間の1つのインタークーラを含むのがよい。
図7に示す実施形態は、燃料電池111が高温燃料電池である場合に特に有利である。
【0076】
燃料電池システムは、ターボチャージャの各々のための外部熱交換器180を含むのがよい。各外部熱交換器180は、特に低温燃料電池を用いる場合にターボチャージャのうちの1つと一体に形成されるのがよい。各段では、熱は、圧縮機の後から対応のタービンの上流側に(前に)進むことができる。
【0077】
図8は、直列に配置された3つのターボチャージャを備えたターボ過給システムを含む燃料電池システムを示している。ターボ過給システムは、高圧タービン153、中圧タービン154、低圧タービン155、高圧コンプレッサ156、中圧コンプレッサ157および低圧コンプレッサ158を含む。燃料電池システムは、ターボチャージャの各々のために外部熱交換器180を含む。各段では、熱は、コンプレッサの後から対応のタービンの上流側に(前に)進む。
図8に示す実施形態は、燃料電池111が低温燃料電池である場合に特に有利である。
【0078】
燃料電池モジュール110は、内部電気接続システム、および電気接続インターフェースをさらに有する。モジュール化燃料電池システムは、燃料電池システム、および特に燃料電池モジュールの動作を制御する制御システム、および外部電気接続システムを含むのがよい。外部電気接続システムは、制御システムに接続されるとともに燃料電池モジュール110の各々の電気接続インターフェースに接続されるのがよい。
【0079】
モジュール化燃料電池システムは、冷却回路を含むのがよく、燃料電池モジュール110は、1つ以上の冷却回路インターフェース、例えば入口および出口接続部をさらに含むのがよい。冷却用流体は、水、空気または任意他の適当な冷却剤流体であるのがよい。
【0080】
燃料電池モジュール110は、アノード再循環ブロワ123をさらに含むのがよく、このアノード再循環ブロワの一例が
図2bに示されている。アノード再循環ブロワ123は、燃料電池111によって消費されなかった水素および/または燃料電池111のアノードから出た水をプレリフォーマおよび/またはリフォーマおよび/または水‐ガス反応型シフト反応器および/または燃料電池の燃料入口(例えば、水素送り込み部)に送り戻すよう構成されているのがよい。
【0081】
本発明の燃料電池システムは、極めて様々な燃料消費量の互いに異なる用途範囲向きに利用されるのがよい。例えば、燃料電池システムは、自動車用途、ならびに熱電併給(CHP)用途に用いられるが、コストの劇的な削減が期待することができるMW出力電力を必要とする大規模用途にも利用できる。
【0082】
上述のことは、諸実施形態に関するが、基本的な範囲から逸脱することなく他の実施形態および別の実施形態を想到することができ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【符号の説明】
【0083】
100 モジュール化燃料電池システム
110,410 燃料電池モジュール
111 燃料電池
112,412 排気ガスインターフェース
113,413 吸入空気インターフェース
114 水供給インターフェース
115 燃料供給インターフェース
121 アフタバーナ
122 内部熱交換器
123 アノード再循環ブロワ
124,224 ハウジング
125 排気ガスライン
126 プレリフォーマ
127 吸入空気ライン
130 排気ガスマニホルド
131,132,133 排気ガスモジュール
140 吸入空気マニホルド
141,142,143 吸入空気モジュール
150 ターボ過給システム
151 タービン
152 コンプレッサ
153 高圧タービン
154 中圧タービン
155 低圧タービン
156 高圧コンプレッサ
157 中圧コンプレッサ
158 低圧コンプレッサ
160 排気ガスサブマニホルド
161,162,163 排気ガスサブモジュール
170 空気サブマニホルド
171,172,173 吸入空気サブモジュール
180 外部熱交換器
190 水供給マニホルド
191,192,193 水供給モジュール
210 複合燃料電池モジュール
212 排気ガスインターフェース
213 吸入空気インターフェース
310 燃料電池サブモジュール
312 排気ガスサブインターフェース
313 吸入空気サブインターフェース
【手続補正書】
【提出日】2024-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール化燃料電池システム(100)であって、
‐複数の燃料電池モジュール(110,410)を含み、各燃料電池モジュール(110,410)は、燃料電池(111)、吸入空気を前記燃料電池モジュール(110,410)に提供する吸入空気インターフェース(113,413)、および排気ガスを前記燃料電池モジュール(110,410)から運び去る排気ガスインターフェース(112,412)を備え、
‐前記燃料電池モジュール(110,410)の前記吸入空気インターフェース(113)の各々に連結された吸入空気マニホルド(140)を含み、前記吸入空気マニホルド(140)は、複数のモジュール(141,142,143)を収容し、各吸入空気モジュール(141,142,143)は、吸入空気を前記吸入空気マニホルド(140)から前記吸入空気インターフェース(113)のうちの少なくとも1つに提供するために少なくとも1つの隣接の吸入空気モジュール(141,142,143)に解除可能に連結されるとともに、前記吸入空気インターフェース(113)のうちの少なくとも1つに解除可能に連結されており、
‐前記燃料電池モジュール(110,410)の排気ガスインターフェース(120)の各々に連結された排気ガスマニホルド(130)を含み、前記排気ガスマニホルド(130)は、複数の排気ガスモジュール(131,132,133)を収容し、各排気ガスモジュール(131,132,133)は、排気ガスを前記排気ガスインターフェース(112)のうちの少なくとも1つから受け入れるために少なくとも1つの隣接の排気ガスモジュール(131,132,133)に解除可能に連結されるとともに、前記排気ガスインターフェース(112)のうちの少なくとも1つに解除可能に連結されており、
‐コンプレッサ(152)およびタービン(151)を備えた少なくとも1つのターボチャージャを有するターボ過給システム(150)を含み、前記タービン(151)は、前記排気ガスを前記排気ガスマニホルド(130)から受け入れるために前記排気ガスマニホルド(130)と流体連通状態にあり、前記コンプレッサ(152)は、過給後の吸入空気を前記吸入空気マニホルド(140)に提供するために前記吸入空気マニホルド(140)と流体連通状態にある、モジュール化燃料電池システム。
【請求項2】
前記複数の燃料電池モジュール(110,410)は、第1の燃料電池モジュール(110)および第2の燃料電池モジュール(410)を含み、前記第2の燃料電池モジュール(410)の総出力電力は、前記第1の燃料電池モジュール(110)の総出力電力よりも大きい、請求項1記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項3】
複数の燃料電池サブモジュール(310)を備えた複合燃料電池モジュール(210)をさらに含み、各燃料電池サブモジュール(310)は、燃料電池、吸入空気を前記燃料電池サブモジュール(310)に提供する吸入空気サブインターフェース(313)、および排気ガスを前記燃料電池サブモジュール(310)から運び去る排気ガスサブインターフェース(312)を含む、請求項1または2記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項4】
前記第2の燃料電池モジュール(410)と前記複合燃料電池モジュール(210)の総出力電力は、実質的に同じであり、かつ/あるいは前記燃料電池モジュール(410)および前記複合燃料電池モジュール(210)は各々、実質的に同一サイズのハウジング(224)を含む、請求項3記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項5】
前記複合燃料電池モジュール(210)は、吸入空気モジュール(141,142,143)のうちの1つを前記複数の燃料電池サブモジュール(310)の前記吸入空気サブインターフェース(313)の各々に連結する吸入空気サブマニホルド(170)、および前記排気ガスモジュール(131,132,133)のうちの1つを前記複数の燃料電池サブモジュール(310)の前記排気ガスサブインターフェース(312)の各々に連結する排気ガスサブマニホルド(160)をさらに含む、請求項3記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項6】
熱を吸入空気と排気ガスとの間で交換するよう構成された外部熱交換器(180)をさらに含む、請求項1に記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項7】
前記外部熱交換器(180)は、熱を前記吸入空気から前記タービン(151)の上流側の前記排気ガスに伝達するよう構成されている、請求項6記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項8】
前記外部熱交換器(180)の第1の部分が前記コンプレッサ(152)の下流側にかつ前記吸入空気マニホルド(140)の上流側に配置され、前記外部熱交換器(180)の第2の部分が前記排気ガスマニホルド(130)の下流側にかつ前記タービン(151)の上流側に配置される、請求項6または7記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項9】
前記外部熱交換器(180)は、熱を前記タービン(151)の下流側の前記排気ガスから前記コンプレッサ(152)の下流側の前記吸入空気に伝達するよう構成されている、請求項6記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項10】
前記外部熱交換器(180)の第1の部分が前記コンプレッサ(152)の下流側にかつ前記吸入空気マニホルド(140)の上流側に配置され、前記外部熱交換器(180)の第2の部分が前記タービン(151)の下流側に配置される、請求項6または9記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項11】
前記吸入空気マニホルド(140)および前記排気ガスマニホルド(130)と並列に連結された少なくとも2つのターボチャージャを含む、請求項1に記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項12】
前記複数の燃料電池モジュール(110)の各々は、前記燃料電池(111)を前記排気ガスインターフェース(112)に連結する排気ガスライン(125)をさらに含み、前記モジュール化燃料電池システムは、前記排気ガスライン(125)内に配置された内部熱交換器(122)、アフタバーナ(121)、およびオキシダイザならびに前記内部熱交換器と前記アフタバーナと前記オキシダイザの組み合わせをさらに含み、オプションとして、前記排気ガスライン(125)内に直列に配置された前記内部熱交換器(122)と前記アフタバーナ(121)を含む、請求項1に記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項13】
前記複数の燃料電池モジュール(110)の各々は、前記燃料電池(111)を燃料供給インターフェース(115)に連結する燃料供給ラインをさらに含み、前記モジュール化燃料電池システムは、前記燃料供給ライン内に配置された蒸気発生器(128)、プレリフォーマ(126)、リフォーマおよびシフト反応器のうちの1つをさらに含む、請求項1に記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項14】
前記複数の燃料電池モジュール(110,410)の各々および/または前記複合燃料電池モジュール(210)の各々は、水供給インターフェース(114)を含み、前記燃料電池システム(100)は、
‐前記燃料電池モジュール(110,410)および/または前記複合燃料電池モジュール(210)の前記水供給インターフェース(114)の各々に連結された水供給マニホルド(190)をさらに含み、前記水供給マニホルド(190)は、複数の水供給モジュール(191,192,193)を収容し、各水供給モジュール(191,192,193)は、少なくとも隣接の水供給モジュール(191,192,193)に解除可能に連結されるとともに、少なくとも1つの水供給インターフェース(114)に解除可能に連結されている、請求項1に記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項15】
前記複数の燃料電池モジュール(110,410)の各々および/または前記複合燃料電池モジュール(210)の各々は、燃料供給インターフェース(115)を含み、前記燃料電池システム(100)は、
‐前記燃料電池モジュール(110,410)の前記燃料供給インターフェース(115)の各々および/または前記複合燃料電池モジュール(210)の各々に連結された燃料供給マニホルドをさらに含み、前記燃料供給マニホルドは、複数の燃料供給モジュールを収容し、各燃料供給モジュールは、少なくとも隣接の燃料供給モジュールに解除可能に連結されるとともに、少なくとも1つの燃料供給インターフェース(115)に解除可能に連結されている、請求項1に記載のモジュール化燃料電池システム。
【請求項16】
前記燃料供給マニホルドおよび/または前記水供給マニホルド(190)に連結された外部蒸気発生器、外部プレリフォーマ、外部リフォーマおよび外部シフト反応器のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項14または15記載のモジュール化燃料電池システム。
【国際調査報告】