(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】レドーム、レドームに用いられる積層板および複合板、ならびにそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 5/28 20060101AFI20240927BHJP
C08J 5/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B32B5/28 Z
C08J5/04 CES
C08J5/04 CFD
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521135
(86)(22)【出願日】2022-10-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 CN2022123897
(87)【国際公開番号】W WO2023056949
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】202111179971.3
(32)【優先日】2021-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】リー,リヤーンユエン
(72)【発明者】
【氏名】シュヨン,カイ
【テーマコード(参考)】
4F072
4F100
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
レドーム、レドームに用いられる積層板および複合板、並びに製造方法を提供する。レドームは、複合板に対して、軟化処理およびホットロールプレス処理を実施することにより製造される。複合板を構成する積層板は、順に積層された第1の層、第2の層、および第3の層を有する。第1の層および第3の層は、同じ構造であり、同じ材料で構成される。第1の層および第3の層は、各々、連続繊維織物と熱可塑性樹脂とを複合化することにより形成される。第2の層は、発泡材料で構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レドームに用いられる複合板であって、
中間層および該中間層と組み合わされた表面層を有し、
前記表面層は、第1の繊維と、該第1の繊維同士の間に充填された熱可塑性樹脂とを有し、
前記表面層および前記中間層は、第1の方向に配置され、該第1の方向は、当該複合板の厚さ方向である、複合板。
【請求項2】
前記第1の繊維の融点は、前記熱可塑性樹脂の融点よりも高い、請求項1に記載の複合板。
【請求項3】
前記表面層の熱可塑性樹脂は、前記中間層と同じ材料で構成される、請求項1に記載の複合板。
【請求項4】
前記中間層は、熱可塑性発泡材料で構成される、請求項1または3に記載の複合板。
【請求項5】
前記表面層における前記第1の繊維は、織物繊維構造であり、前記表面層における前記熱可塑性樹脂は、前記織物繊維構造の隙間に充填される、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項6】
前記表面層における前記第1の繊維は、無機繊維および/または有機繊維を含む、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項7】
前記表面層における前記無機繊維は、不規則に配列されている、請求項6に記載の複合板。
【請求項8】
前記表面層における前記無機繊維は、ガラス繊維であり、該ガラス繊維は、不規則に配列され、ガラスマットを形成している、請求項7に記載の複合板。
【請求項9】
前記表面層における前記無機繊維は、ガラス繊維、玄武岩繊維、安山岩繊維、ケイ酸アルミニウム繊維、窒化ホウ素繊維、酸化アルミニウム繊維、および石英繊維の少なくとも一つを含む、請求項6に記載の複合板。
【請求項10】
前記表面層の有機繊維は、ポリプロピレン繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレングリコールテレフタレート繊維、およびポリトリメチレンテレフタレート繊維の少なくとも1つを含む、請求項6に記載の複合板。
【請求項11】
前記織物繊維構造の織り方は、平織り、角平織り(square plain weaving)、畝織り(rib weaving)、綾織り(twill weaving)、および朱子織り(satin weaving)のいずれか一つを含む、請求項5に記載の複合板。
【請求項12】
前記表面層における前記第1の繊維は、前記第1の方向に配列された複数の繊維層を有し、
前記複数の繊維層の2つの繊維層における繊維間の夾角は、第1のプリセット角度である、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項13】
前記第1のプリセット角度は、30°、45°、および60°の少なくとも1つを含む、請求項12に記載の複合板。
【請求項14】
当該複合板は、さらに、耐候着色層を有し、
該耐候着色層は、前記表面層の前記中間層から遠い側に配置される、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項15】
当該複合板は、さらに、耐候着色層を有し、
該耐候着色層および前記表面層は、一体成形されている、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項16】
当該複合板は、サンドイッチ構造であり、該サンドイッチ構造は、A型サンドイッチ構造またはC型サンドイッチ構造である、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項17】
前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリカーボネート、およびポリフェニレンオキシドの少なくとも1つを含む、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項18】
ホットプレスまたは圧縮成形により、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板を用いて製造されたレドームであって、
中間層と、該中間層に結合された表面層とを有し、前記表面層は、第1の繊維と、該第1の繊維の間に充填された熱可塑性樹脂とを有する、レドーム。
【請求項19】
前記表面層における前記熱可塑性樹脂は、前記中間層と同じ材料で構成される、請求項18に記載のレドーム。
【請求項20】
前記中間層は、熱可塑性発泡材料で構成される、請求項18に記載のレドーム。
【請求項21】
当該レドームは、サンドイッチ構造を使用し、
前記サンドイッチ構造は、A型サンドイッチ構造またはC型サンドイッチ構造である、請求項18に記載のレドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、高分子材料の分野に関し、特に、レドーム、レドームに用いられる積層板および複合板、ならびにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レドームは、アンテナシステムが外部環境による影響を受けないように保護する構造体である。パッシブアンテナがシングルバンドおよびマルチバンドからフルバンドに発展するにつれ、パッシブマルチバンドまたはフルバンドのアンテナは、MMアクティブアンテナと一体化されている。その結果、アンテナ1の全体の重量は大きく増加し、50kg以上に達している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのような大重量のアンテナは、ベアアンテナの輸送または搬送の過程で、振動衝撃、落下衝撃のような衝撃を受けやすく、取り付けサイトで踏まれ、取り付けおよび昇降の過程でスイングすることにより、タワーに衝突する可能性がある。アンテナを外部の衝撃から保護するため、
図1に示すように、アンテナ1の外側にレドーム10を配置し、衝撃に耐えられるようにする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本願では、前述の技術的課題を解決するため、レドーム、レドームに用いられる積層板および複合板、ならびにそれらの製造方法が提供される。技術的解決策は、以下の通りである。
【0005】
第1の態様では、本願により、レドームに用いられる複合板であって、中間層および該中間層と組み合わされた表面層を有し、前記表面層は、第1の繊維と、該第1の繊維同士の間に充填された熱可塑性樹脂とを有し、前記表面層および前記中間層は、第1の方向に配置され、該第1の方向は、当該複合板の厚さ方向である、複合板が提供される。厚さ方向は、複合板で構成されたレドームの内表面がレドームの外表面を指す方向、またはレドームの外表面がレドームの内表面を指す方向であることが理解され得る。第1の繊維の間に熱可塑性樹脂が充填されることにより、表面層の緻密性を高めることができ、表面層の耐衝撃特性を向上させることができる。これにより、より耐衝撃特性の高いレドームを製造することができる。
【0006】
第1の態様および想定される実施形態を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、複合板は、サンドイッチ構造であり、サンドイッチ構造は、A型サンドイッチ構造またはC型サンドイッチ構造である。特に、想定される実施形態において、複合板は、中間層と、第1の表面層と、および第2の表面層とを有し、これらは中間層と組み合わされ、第1の表面層、中間層、および第2の表面層は、A型サンドイッチ構造に基づいて順次配置され、第1の表面層および第2の表面層は、同じ材料で構成され、同じ構造である。別の想定される実施形態では、複合板は、C型サンドイッチ構造に基づいて順次配置された、第1の表面層、第3の層、中間層、第4の層、および第2の表面層を有し、中間層は、第3の層および第4の層と組み合わされ、第1の表面層、第3の層、第4の層、および第2の表面層は、同じ材料で構成され、同じ構造である。
【0007】
第1の態様を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、前記第1の繊維の融点は、前記熱可塑性樹脂の融点よりも高い。これにより、複合板を構成する積層板に対してホットプレスを行う際に、熱可塑性樹脂が熱によって溶融される一方、第1の繊維は溶融されず、従って、溶融した熱可塑性樹脂を第1の繊維同士の間に充填することができる。想定される実施形態では、第1の繊維は、高融点繊維であることが理解され得る。高融点繊維は、低融点繊維に対する。高融点繊維の特定の温度値は、複合板の製造プロセスに関係する。ただし、どの製造プロセスが使用されるかにかかわらず、複合板が加熱を介して形成される場合、加熱を介して到達される温度は、高融点繊維を溶融させないようにされる必要があることが理解される。
【0008】
また、一般に、低融点繊維の融点は、110℃から150℃の範囲であることに留意する必要がある。従って、高融点繊維の融点は、低融点繊維の融点よりも高ければよい。別の想定される実施形態では、低融点繊維の融点範囲は、代替的に別の温度範囲であってもよい。これに対応して、第1の繊維の融点範囲は、代替的に別の温度範囲であってもよい。例えば、一部の無機繊維の融点は、1000℃超に達してもよい。第1の繊維の融点の特定の値は、本願において限定されないことが理解される。
【0009】
第1の態様および想定される実施形態を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、前記表面層の熱可塑性樹脂は、前記中間層と同じ材料で構成される。この場合、表面層および中間層を結合するために追加の接着剤を使用する必要はなく、表面層は、中間層とより良好に組み合わせることができる。これにより、材料がある程度節約され、表面層と中間層との組み合わせ率が向上し、最終的に製造される複合板の耐衝撃特性がさらに向上する。別の想定される実施形態では、中間層の材料は、代替的に、その特性および融点が表面層における熱可塑性樹脂の特性および融点に近い材料であってもよいことが理解され得る。これは、本願では特に限定されない。またこれは、表面層と中間層との組み合わせにつながる。
【0010】
第1の態様および想定される実施形態を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、中間層は、熱可塑性発泡材料で構成される。中間層は、発泡材料で構成され、その結果、複合板の全体重量を低減することができ、複合板の軽量化をさらに実現することができる。
【0011】
第1の態様および想定される実施形態を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、前記表面層における前記第1の繊維は、織物繊維構造であり、前記表面層における前記熱可塑性樹脂は、前記織物繊維構造の隙間に充填される。織物構造は、外部衝撃によって生じる応力を逸散させることができることが理解され得る。従って、表面層の第1の繊維に織物繊維構造を用いることにより、表面層の耐衝撃特性を向上させることができる。熱可塑性樹脂が織物繊維構造の隙間に充填されることにより、表面層の緻密性がより高められ、表面層の耐衝撃特性がより向上する。
【0012】
いくつかの想定される実施形態では、織物繊維構造の製織方式は、平織り、角平織り、畝織り、綾織り、および朱子織のいずれか1つを含む。本願では、織物維織物構造の特定の織り方は、限定されないことが理解される。
【0013】
第1の態様および想定される実施形態を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、前記表面層における前記第1の繊維は、無機繊維および/または有機繊維を含む。
【0014】
第1の態様および想定される実施形態を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、前記表面層における前記無機繊維は、不規則に配列されている。特定の規則に従って織ることにより形成された構造と比較して、この方法では、外部衝撃によって生じる応力をより良好に逸散させることができ、その結果、表面層の耐衝撃特性が改善される。
【0015】
第1の態様および想定される実施形態を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、前記表面層における前記無機繊維は、ガラス繊維であり、該ガラス繊維は、不規則に配列され、ガラスマットを形成している。
【0016】
第1の態様および想定される実施形態を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、前記表面層における前記無機繊維は、ガラス繊維、玄武岩繊維、安山岩繊維、ケイ酸アルミニウム繊維、窒化ホウ素繊維、酸化アルミニウム繊維、および石英繊維の少なくとも一つを含む。無機繊維の特定の形態および特定の種類は、本願において限定されないことが理解される。
【0017】
第1の態様および想定される実施形態を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、前記表面層の有機繊維は、ポリプロピレン繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレングリコールテレフタレート繊維、およびポリトリメチレンテレフタレート繊維の少なくとも1つを含む。本願において、有機繊維の特定の形態および特定の種類は、限定されないことが理解される。
【0018】
第1の態様および想定される実施形態を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、前記表面層における前記第1の繊維は、前記第1の方向に配列された複数の繊維層を有し、前記複数の繊維層の2つの繊維層における繊維間の夾角は、第1のプリセット角度である。複数の繊維層のうちの2つの繊維層における繊維同士の間の挟角は、第1のプリセット角度に基づいて配置され、2つの繊維層が千鳥状となることが理解される。これにより、表面層の耐衝撃特性が向上する。従って、第1のプリセット角度の値は、本願における第1のプリセット角度の値が、2つの繊維層における繊維を平行にすることができない場合を除き、本願では限定されない。
【0019】
第1の態様および想定される実施形態を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、前記第1のプリセット角度は、30°、45°、および60°の少なくとも1つを含む。また、本願において、第1のプリセット角度の値は、代替的に、0ではない別の値であってもよい。これは、本願において特に限定されない。
【0020】
第1の態様および想定される実施形態を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、当該複合板は、さらに、耐候着色層を有し、該耐候着色層は、前記表面層の前記中間層から遠い側に配置される。複合板の美観および耐候性を向上させるため、耐候性着色層は、当該複合板の表面層に配置されてもよいことが理解され得る。
【0021】
また、いくつかの想定される実施形態では、材料を節約するため、耐候性着色層と表面層とを一体形成してもよい。
【0022】
第1の態様および想定される実施形態を参照すると、第1の態様の想定される実施形態では、熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリカーボネート、およびポリフェニレンオキシドの少なくとも1つを含む。本願において、熱可塑性樹脂の特定の形態および特定の種類は、限定されないことが理解される。
【0023】
第2の態様では、本願により積層板が提供される。当該積層板は、第1の態様および第1の態様の想定される実施形態のいずれか1つによる複合板を形成するために使用される。積層板は、積層された少なくとも2つの第1の層と、少なくとも1つの第2の層とを有し、第1の層は、前記第1の繊維と熱可塑性樹脂とを複合化することにより形成され、少なくとも2つの第1の層および少なくとも1つの第2の層は、第2の方向に千鳥状に配置され、第2の方向は、積層板の厚さ方向であり、第2の方向は、第1の方向に平行である。
【0024】
厚さ方向とは、積層板で構成されるレドームの内表面がレドームの外表面を指す方向、またはレドームの外表面がレドームの内表面を指す方向であることに留意する必要がある。
【0025】
第2の態様において、第1の態様と同様の構造および材料の有益な効果については、第1の態様の関連する説明が参照されることに留意する必要がある。本願では、再度詳細は説明されない。
【0026】
想定される実施形態では、2つの第1の層は、それぞれ、2つの表面層を形成する:積層板の上部表面層および下部表面層、すなわち、第1の層および第3の層である。また第2の層は、積層板の中間層を形成する。想定される実施形態では、第2の層は、発泡板で構成される。第2の層の密度は、0.15g/m3から1.4g/m3、好ましくは0.4から1.0g/m3の範囲である。第2の層の厚さは、0.5mmから3mmの範囲である。さらに、想定される実施形態では、発泡板の第2の層の密度は0.4g/cm3であり、発泡板の第2の層の厚さは1mmであり、軽量化の要求および耐衝撃特性要求をより良好に満たすことができるレドームが製造される。
【0027】
第2の態様を参照すると、第2の態様の想定される実施形態では、熱可塑性樹脂は、第2の繊維を含み、第1の層は、第1の繊維と第2の繊維を複合化することによって形成された複合繊維を織ることにより形成された織物構造を含み、第1の繊維の融点は、第2の繊維の融点よりも高い。この場合、積層板に対してホットプレスが実施されると、第1の層の第2の繊維は、溶融して第1の繊維により形成された織物構造の隙間に充填され、第1の層の緻密性を高めることができる。これにより、第1の層の耐衝撃特性が向上する。
【0028】
第2の態様および想定される実施形態を参照すると、第2の態様の想定される実施形態では、第1の繊維は、無機繊維および/または有機繊維を含む。
【0029】
第2の態様および想定される実施形態を参照すると、第2の態様の想定される実施形態では、第1の層は、複合材料繊維を織ることにより形成された織物構造を含む。複合材料繊維は、第1の有機材料で構成されたカーネル構造と、カーネル構造の周囲に配置され、第2の有機材料で構成されたシェル構造と、を有する。第1の有機材料の融点は、第2の有機材料の融点よりも高い。いくつかの想定される実施形態では、代わりに複合材料繊維が使用され、織物構造が形成されてもよいことが理解され得る。複合材料繊維は、第1の有機材料で構成されたカーネル構造と、第2の有機材料で構成されたシェル構造とを有し、第1の有機材料の融点は、第2の有機材料の融点よりも高い。この場合、複合材料繊維で構成される織物構造に対してホットプレスを実施すると、第2の有機材料で構成されたシェル構造が溶融し、織物構造の隙間に充填され、第1の層の緻密性を高めることができる。これにより、第1の層の耐衝撃特性が向上する。いくつかの想定される実施形態では、複合材料繊維を織ることによって形成された第1の層の表面密度は、450g/m2である。
【0030】
第2の態様および想定される実施形態を参照すると、第2の態様の想定される実施形態では、第1の層における第1の繊維は、一方向連続繊維であり、第1の層は、プリプレグテープの複数の層を含み、プリプレグテープは、一方向連続繊維が熱可塑性樹脂によって覆われた後に形成される単方向テープであり、プリプレグテープの複数の層のプリプレグテープの2つの層の間の挟角は、第2のプリセット角度である。一方向連続繊維の長さは、一般的な一方向繊維の長さよりも長く、使用される一方向連続繊維は、一方向連続繊維および熱可塑性樹脂によって形成されるプリプレグテープにより、良好な伸張性を発現できることが理解され得る。ただし、これは、本願における第1の繊維の種類の形態に対する限定を構成しない。別の想定される実施形態では、別の長さの一方向繊維が代替的に使用されてもよい。これは、本願では限定されない。
【0031】
第2の態様および想定される実施形態を参照すると、第2の態様の想定される実施形態では、第2のプリセット角度は、30°、45°、および60°の少なくとも1つを含む。また、本願において、第2のプリセット角度の値は、代替的に、0ではない別の値であってもよい。これは、本願では特に限定されない。
【0032】
想定される実施形態では、以下のように、複数の層のプリプレグテープの2つのプリプレグテープの層の間の挟角は、第2のプリセット角度である。複数の層のプリプレグテープのプリプレグテープの2つの隣接する層の間の挟角は、第2のプリセット角度であり、または複数の層のプリプレグテープの任意の2つの層のプリプレグテープ間の挟角は、第2のプリセット角度である。これは、本願では限定されない。別の想定される実施形態では、複数の層のプリプレグテープのプリプレグテープの2つの層の間の挟角は、異なる値を有する第2のプリセット角度であってもよい。例えば、プリプレグテープの第1の層、第2の層、第3の層、および第4の層乃至第6の層のプリプレグテープがあり、プリプレグテープの第1の層とプリプレグテープの第2の層と間の挟角は、45°であり、プリプレグテープの第3の層とプリプレグテープの第4の層と間の挟角は、60°などであることが仮定される。これはいずれも、本願では限定されない。
【0033】
第2の態様および想定される実施形態を参照すると、第2の態様の想定される実施形態では、熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂フィルムおよび/または熱可塑性樹脂粉末を含む。想定される実施形態において、熱可塑性樹脂は、フィルムまたは粉末の形態であってもよいことが理解され得る。熱可塑性樹脂がフィルムの形態である場合、熱可塑性樹脂フィルムは、1つの層であってもよく、熱可塑性樹脂フィルムの層は、第1の層の、第2の層から離れた側に配置される。積層板に対してホットプレスが実施されると、熱可塑性樹脂フィルムは、溶融し、第1の繊維とより良好に複合化され、第1の層が形成される。別の想定される実施形態では、代わりに、2つの熱可塑性樹脂フィルムがあり、一方の層は、第1の層の第2の層とは反対の側に積層され、他方の層は、第1の層の第2の層に近い側に積層されてもよい。熱可塑性樹脂フィルムと第1の層との間の相対的な位置関係は、本願では限定されないことが理解される。
【0034】
第3の態様では、本願により、第1の態様および第1の態様の想定される実施形態のいずれか1つによる複合板を製造する方法が提供される。当該方法は、二重鋼テープまたは二重テフロン(登録商標)テープを用いて、予め設定された温度で、第2の態様および第2の態様の想定される実施形態のいずれか1つによる積層板における第1の層および第2の層に対して、ホットプレスを連続的に実施して、複合化により複合板を形成するステップを有する。想定される実施形態では、予め設定された温度範囲は、170℃から240℃である。特に、二重鋼テープまたは二重テフロン(登録商標)テープを用いて、第2の態様および第2の態様の想定される実施形態のいずれか1つによる積層板の第1の層および第2の層に対して、170℃から240℃でホットプレスを実施して、複合板が形成される。
【0035】
予め設定された温度の設定は、特定の製造プロセスに関連することが理解される。前述の170℃から240℃は、単なる一例である。別の想定される実施形態では、予め設定された温度範囲は、別の範囲であってもよい。これは、本願では限定されない。
【0036】
第4の態様では、本願により、第1の態様および第1の態様の想定される実施形態のいずれか1つによる複合板を製造する方法が提供される。当該方法は、第2の態様および第2の態様の想定される実施形態のいずれか1つによる積層板における第1の層に対して、二重鋼テープまたは二重テフロン(登録商標)テープを用いて、予め設定された温度でホットプレスを実施し、第3の層を形成するステップと、第3の層と第2の層とを互い違いに積層し、二重鋼テープまたは二重テフロン(登録商標)テープを用いて、予め設定された温度で、互い違いに積層された第3の層および第2の層に対してホットプレスを実施し、複合化することにより複合板を形成するステップと、を有する。想定される実施形態では、予め設定された温度範囲は、170℃から240℃である。特に、ホットプレスは、第2の態様および第2の態様の想定される実施形態のいずれか1つによる積層板における第1の層に対して、二重鋼テープまたは二重テフロン(登録商標)テープを用いて、170℃から240℃で実施され、第3の層が形成され、その後、第3の層および第2の層が互い違いに積層され、二重鋼テープまたは二重テフロン(登録商標)テープを用いて、170℃から240℃で第2の層および第3の層に対してホットプレスが実施され、複合化により複合板が形成される。また、予め設定された温度の設定は、特定の製造プロセスに関連することが理解される。前述の170℃から240℃は、単なる一例である。別の想定される実施形態では、予め設定された温度範囲は、別の範囲であってもよい。これは、本願では限定されない。
【0037】
第5の態様では、本願によりレドームが提供される。当該レドームは、第1の態様および第1の態様の想定される実施形態のいずれか1つに記載の複合板を用いて製造され、特に、第1の態様および第1の態様の想定される実施形態のいずれか1つに記載の複合板を用いて、ホットプレスまたは圧縮成形により製造される。レドームは、中間層および該中間層に結合された表面層を有し、前記表面層は、第1の繊維と、該第1の繊維の間に充填された熱可塑性樹脂とを含む。ある想定される実施形態では、当該方法は、第1の態様および第1の態様の想定される実施形態のいずれか一項に記載の複合板を190℃から240℃で1分から3分間、連続的に加熱し、前記複合板を軟化させるステップと、前記複合板に対してロールプレスまたは圧縮成形を実施し、前記レドームを製造するステップと、を有する。
【0038】
第5の態様を参照すると、第5の態様の想定される実施形態では、表面層の熱可塑性樹脂は、中間層と同じ材料で構成される。
【0039】
第5の態様および想定される実施形態を参照すると、第5の態様の別の想定される実施形態では、中間層は、熱可塑性発泡材料で構成される。
【0040】
第5の態様および想定される実施形態を参照すると、第5の態様の別の想定される実施形態では、レドームは、サンドイッチ構造を使用し、該サンドイッチ構造は、A型サンドイッチ構造またはC型サンドイッチ構造である。
【0041】
第6の態様では、本願によりレドームが提供される。当該レドームは、第2の態様および第2の態様の想定される実施形態のいずれか1つによる積層板を使用することにより製造される。特に、レドームを製造する方法は、第2の態様および第2の態様の想定される実施形態のいずれか1つによる積層板に対して、二重鋼テープまたは二重テフロン(登録商標)テープを用いて、予め設定された温度で、ホットプレスを連続的に実施し、複合化を通して複合板を形成するステップと、前記複合板に対してホットプレスまたは圧縮成形を実施して、レドームを製造するステップと、を有し、前記レドームは、中間層および該中間層と組み合わされた表面層を有し、前記表面層は、第1の繊維と、該第1の繊維の間に充填された熱可塑性樹脂とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】ある実施形態によるアンテナおよびレドームの配置の例の概略図である。
【
図2】ある実施形態によるアンテナを吊り上げるシナリオの一例の概略図である。
【
図3(A)】ある実施形態による衝撃試験の一例の概略図である。
【
図3(B)】本発明の実施形態による衝撃ハンマーの構造の一例を示す概略図である。
【
図4】ある実施形態によるガラス繊維レドームの層構造の一例の概略図である。
【
図5】ある実施形態によるガラス繊維レドームを製造するプロセスの一例の概略的なフローチャートである。
【
図6】ある実施形態によるガラス繊維レドームの層構造の一例の概略図である。
【
図7】ある実施形態によるレドームの層構造の一例の概略図である。
【
図8(A)】ある実施形態によるレドームの表面層を形成するプリプレグ101-1の概略図である。
【
図8(B)】ある別の実施形態によるレドームの表面層を形成するプリプレグ101-2の概略図である。
【
図8(C)】あるさらに別の実施形態によるレドームの表面層を形成するプリプレグ101-3の概略図である。
【
図9】ある実施形態によるレドームの構造の概略図である。
【
図10】ある実施形態によるレドームを製造するプロセスの一例のフローチャートである。
【
図11(A)】ある実施形態によるファイバの構造の概略図である。
【
図11(B)】ある実施形態によるレドームを製造するための、成形前のプレートの
図8のPa領域における構造の部分拡大図である。
【
図11(C)】ある実施形態によるレドームを製造するための、成形前のプレートの
図8のPb領域における構造を示す部分拡大図である。
【
図11(D)】ある実施形態による別のファイバの構造の概略図である。
【
図12】ある実施形態によるレドームを製造するプロセスの一例のフローチャートである。
【
図13】ある実施形態によるレドームの層構造の一例を示す概略図である。
【
図14】
図12における衝撃試験後のレドームの表面状態の概略図である。
【
図15】ある実施形態によるレドームの層構造の一例の模式図である。
【
図16(A)】他の実施形態によるファイバの構造の一例の概略図である。
【
図16(B)】他の実施形態によるレドームを製造するための、成形前の板の
図8のPa領域における構造の部分拡大図である。
【
図16(C)】他の実施形態によるレドームを製造するための、成形前の板の
図8のPb領域における構造の部分拡大図である。
【
図17(A)】ある実施形態によるレドームを製造するための、成形前の板の
図10のPa領域の構造を示す部分拡大図である。
【
図17(B)】他の実施形態によるレドームを製造するための、成形後のプレートの
図10のPb領域における構造を示す部分拡大図である。
【
図17(C)】さらに別の実施形態によるレドームを製造するための、成形前の板の
図10におけるPa領域の別の構造を示す部分拡大図である。
【
図18(A)】さらに別の実施形態による、成形前の第1表面層の
図10におけるPa領域における構造の部分拡大図である。
【
図18(B)】さらに別の実施形態による、予備成形後の第1の表面層の
図10におけるPa領域における構造の部分拡大図である。
【
図18(C)】さらに別の実施形態によるレドームを製造するための、成形前の板の
図10におけるPa領域の構造の部分拡大図である。
【
図18(D)】さらに別の実施形態によるレドームを製造するための、成形後の板の
図10のPb領域における構造の部分拡大図である。
【
図19(A)】さらに別の実施形態によるレドームを製造するための、成形前の板の
図10のPa領域における構造の部分拡大図である。
【
図19(B)】さらに別の実施形態によるレドームを製造するための、成形後の板の
図10のPb領域における構造の部分拡大図である。
【
図20(A)】さらに別の実施形態によるレドームを製造するための、成形前の板の
図10のPa領域における構造の部分拡大図である。
【
図20(B)】さらに別の実施形態によるレドームを製造するための、成形後の板の
図10のPb領域における構造の部分拡大図である。
【
図21(A)】さらに別の実施形態によるレドームを製造するための、成形前の板の
図10におけるPa領域の構造の部分拡大図である。
【
図21(B)】さらに別の実施形態によるレドームを製造するための、成形後の板の
図10のPb領域における構造の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本願の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするため、添付図面を参照して、本願の実施形態をより詳細に説明する。
【0044】
前述のように、アンテナは、吊り上げ過程において衝撃を受ける。例えば、
図2に示すように、アンテナ1を吊り上げる際、アンテナ1は、壁またはタワーMにおける障害物Xに衝突する場合がある。この衝撃に耐えるため、アンテナ1は、通常、
図1に示すレドーム10内に配置される。また、レドーム10が良好な耐衝撃性を有することを確認するため、
図3(A)に示す衝撃試験方法が工学的に通常使用され、レドーム10が耐衝撃特性要件を満たすかどうかが検出される。
【0045】
特に、
図3(A)に示すように、試験員は、通常、300mm×300mmのレドーム試験サンプル板40を選択し、次に、
図3(B)に示す衝撃ハンマー3を使用して、レドーム試験サンプル板40の上方1.3mの高さからレドーム試験サンプル板40に垂直に衝撃を与え、レドーム10が耐衝撃特性を満たすかどうかが検出される。
図3(B)に示すように、衝撃ハンマー3は、衝撃ハンマーの端部31と、カウンタウェイトとして使用される着脱可能な鉄製ブロック32とを有する。ある実施形態では、試験員は、鉄ブロック32の量を増加または減少させ、衝撃ハンマー3の衝撃力を変化させ、異なる力でレドームに対して耐衝撃特性試験を行うことを選択してもよい。これは、本出願において限定されない。
【0046】
また、レドーム試験サンプル板40のサイズ、および衝撃ハンマー3の垂直衝撃高さは、単なる一例である。いくつかの他の実施形態では、
その代わりに、
レドーム試験サンプル板40は、より大きいサイズ、例えば、450mm×450mmを有してもよく、または代替的に、より小さいサイズ、例えば、200mm×200mm、400mm×200mmなどを有してもよい。レドーム試験サンプル板40のサイズおよび形状は、この用途に限定されない。同様に、衝撃ハンマー3の垂直方向の衝撃高さも、一例である。一部の他の実施形態では、衝撃ハンマー3の垂直衝撃高さは、代替的に、より高くても、より低くてもよい。これは、被評価レドーム試験サンプル板40上で実施される必要がある特定の試験項目に関連することが理解され得る。衝撃ハンマー3の垂直衝撃高さは、この用途に限定されない。
【0047】
ある実施形態では、レドーム10が良好な耐衝撃特性を有し得るように、ガラス繊維レドームが提供される。
図4に示すように、ガラス繊維レドーム10’は、第1の表面層100’、中間層200’、および第2の表面層300’を有し、これらは順に積層される。第1の表面層100’および第2の表面層300’は、ガラスマットで形成され、中間層200’は、一方向のガラス繊維ヤーン(糸)で形成される。
【0048】
具体的には、ある実施形態では、ガラス繊維レドーム10’を製造する方法が提供される。
図4および
図5を参照すると、ガラス繊維レドーム10’を製造するプロセスは、
上部ガラスマット101’は、上部第1のヤーンホイール21を通過し、
一方向ガラス繊維ヤーン102’は、中間の第2のヤーンホイール22を通過し、下部ガラスマット103’は、下部第1のヤーンホイール21を通過し、
その後、上部ガラスマット101’、一方向ガラス繊維ヤーン102’および下部ガラスマット103’は、不飽和ポリエステル樹脂を含む接着剤溝23に浸漬される
ことを含むことが理解される。
【0049】
完全に含浸された後、上部ガラスマット101’、一方向ガラス繊維ヤーン102’、および下部ガラスマット103’は、ガイドプレート24を使用することにより、積層構造を形成し、該積層構造において、第1の層100’は、ガラスマットであり、中間層200’は、一方向ガラス繊維ヤーンであり、第2の層300’は、ガラスマットであり、その後、モールド25に入れられる。モールド25内では、ガラスマット、一方向ガラス繊維ヤーンおよび不飽和ポリエステル樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂の硬化反応に必要な温度(通常150℃乃至180℃の範囲)に加熱される。高温での硬化反応の後、不飽和ポリエステル樹脂は、ガラスマットと一方向ヤーンを結合し、複合カバー体が形成される。その後、複合カバー体は、引っぱられて切断され、ガラス繊維レドームが得られる。
【0050】
ただし、
図6に示すように、ガラス繊維レドームにおいて、第1の層100’は、上部ガラスマット101’を含み、中間層200’は、一方向ガラス繊維ヤーン102’を含み、第2の層300’は、下部ガラスマット103’を含む。ガラスマットは、化学的接着剤を用いてまたは機械的作用により、連続した原料繊維または短く切断された原料繊維を無方向に結合することにより形成される。従って、ガラス繊維レドームの第1の表面層100’の耐衝撃特性は、あまり良好ではない。また、ガラス繊維レドームの中間層200’は、d
3に沿って延在する一方向ヤーンであり、一方向ヤーンの耐衝撃特性は、あまり良好ではない。その結果、レドーム10’における第1の層100’、中間層200’、第2の層300’は、
図6におけるd
1の方向に層間で容易に分離され、その後、中間層200’に衝撃力が印加される。中間層200’としての一方向ヤーンが衝撃を受けると、中間層は、
図6に示すd
2の方向に容易に分離される。その結果、
図5および
図6に示す複合構造を有するレドーム10’は、衝撃を受けた際に容易にクラックが生じ、すなわち、レドーム10’の耐衝撃特性は、良好ではない。
【0051】
また、ガラス繊維レドーム10’のガラス繊維含有量は高く、通常、80%よりも高い。ガラス繊維の密度は、2.7g/cm3であり、ガラス繊維の誘電率(誘電率、Dk)は、6.13である。その結果、ガラス繊維で構成されたガラス繊維レドーム10’の密度は、高く(>1.9g/cm3)、Dkも4.0から4.8であり、誘電損失(誘電正接、Df)値は、0.01から0.03の範囲である。詳細を表1に示す。
【0052】
【表1】
誘電率は、媒質として真空を用いて構成されたキャパシタの静電容量に対する、媒質として絶縁体材料を用いて構成されたキャパシタの静電容量の比を表し、ここでキャパシタは、同じサイズである。誘電率は、電解質を分極させて電荷を貯蔵する能力を表し得る。誘電損失は、交流電界中に配置された媒体の内部加熱(温度上昇)という形でのエネルギー損失を表す。誘電率および誘電損失は、共同して、媒体の誘電特性を表す。誘電率および誘電損失が小さいほど、媒体の誘電特性は良好となる。誘電率および誘電損失が大きいほど、媒体の誘電特性は低下する。従って、ガラス繊維レドーム10’の誘電特性および耐衝撃特性は、いずれもあまり良好ではない。
【0053】
ガラス繊維レドーム10’の前述の問題を克服するため、本願のある実施形態では、レドーム10が提供される。
図7に示すように、レドーム10を構成する積層板は、順次積層された、第1の層101、第2の層102、および第3層103を有する。第1の層101および第3層103は、同じ構造であり、同じ材料で構成される。積層とは、複数の板の層が順次配置されることを意味する。レドーム10を形成する積層板とは、レドーム10に用いられる板が積層された後の状態を表し、例えば、以降では、複合板を形成するための板の群を表す。積層板は、複合板を形成する前の原料板の材料特性および構造特性を表す。
【0054】
図7に示すように、ある実施形態では、レドーム10を形成する積層板1aは、さらに、耐候性着色層104を有してもよい。耐候性着色層104は、第1の層101の第2の層102から遠い側に積層され、または耐候性着色層104は、第3の層103の第2の層102から遠い側に積層される。耐候性着色層104は、レドーム10の全体的な美観および耐候性を向上させるように構成される。いくつかの実施形態では、耐候性着色層104、第1の層101、第2の層102、および第3の層103は、d
1の方向の反対方向に順次積層される。
【0055】
いくつかの実施形態では、板の層の量を低減し、積層板1aのホットプレスの困難性を低減するため、耐候性着色層104および第1の層101は、一体的に形成されることが理解され得る。例えば、第1の層101におけるPP繊維の一部が耐候性着色層104を形成する。あるいは、耐候性着色層104および第3の層103が一体的に形成される。例えば、第3層103におけるPP繊維の一部が耐候性着色層104を形成する。
【0056】
ある実施形態では、レドーム10の質量を低減するため、第2の層102は、有機発泡構造である。有機発泡構造体は、ガラス繊維レドーム10’を製造する際に使用されるガラス繊維よりも軽量であり、レドーム10の質量を効果的に低減することができる。これは、さらに、レドーム10の軽量化の要件を満たす。
【0057】
ある実施形態では、
図8(A)に示すように、第1の層101は、連続繊維織物と熱可塑性樹脂とを複合することにより得られるプリプレグ層101-1であってもよい。この場合、プリプレグ層101-1に対してホットプレスが実施される際、熱可塑性樹脂材料が溶融された後にも、確実に連続繊維が依然として織物構造であるようにすることができる。これにより、レドーム10の耐衝撃特性が向上する。プリプレグ層101-1は、例えば、無機繊維および有機繊維で構成される複合繊維を織り込んで形成された織物である。別の例として、プリプレグ層101-1は、高融点有機繊維および低融点有機繊維で構成される繊維を織り込んで形成された織物である。さらに別の例の場合、プリプレグ層101-1は、高融点有機物および低融点有機物を複合化(compound)して形成されたコア-シェル繊維を編むことにより形成された織物である。あるいは、さらに別の例では、プリプレグ層101-1は、無機繊維-織物と熱可塑性樹脂とを複合化して形成されてもよい。コアシェル繊維は、コア部と、該コア部を取り囲む周囲部とを有する。コア部は、高融点材料で構成され、周囲部は、低融点材料で構成される。例えば、コア部は、高融点有機材料で構成され、周囲部は、低融点有機材料で構成される。別の例では、コア部は、無機材料で構成され、リング部は、有機材料で構成される。
【0058】
他の実施形態では、
図8(B)に示すように、第1の層101は、一方向連続繊維と熱可塑性樹脂とを複合化して得られたプリプレグテープを組み合わせることにより得られたプリプレグ層101-2であってもよい。プリプレグテープは、所定の厚さを有する一方向テープであり、該一方向テープは、繊維を一方向に配列し、有機樹脂を用いて含浸し、巻き付けることにより形成される。プリプレグテープにおける一方向連続繊維の材料は、
図8(A)における高融点材料または高融点繊維の材料と一致し、プリプレグテープにおける熱可塑性樹脂の材料は、
図8(A)における低融点繊維または低融点材料の材料と一致してもよい。プリプレグ層101-2は、0°/90°でプリプレグテープの数層を積層して複合化することにより形成される。
図8(A)と比較すると、プリプレグ層101-2のプリプレグテープの配置方法は、プリプレグ層101-1のそれとは異なる点で、差異がある。プリプレグ層101-1は、織りの方法を使用し、プリプレグ層101-2は、0°および90°での積層および複合化の方法を使用する。0°および90°は単なる例であることが理解され得る。別の実施形態では、一方向連続無機繊維と熱可塑性樹脂とを複合化して得られたプリプレグテープは、他の角度、例えば、30°、45°、または60°等で交互に積層して複合化されてもよい。特定の角度は、本願において限定されない。積層および複合化は、以下のように理解され得る。プリプレグテープの2つの層があり、第1の層上のプリプレグテープは、第1の方向に配列され、第2の層上のプリプレグテープは、第2の方向に配列され、第1方向は、第2方向と平行ではないが、第1の層は、第2の層と平行であると仮定する。あるいは、
図8(B)の無機繊維は、比較的高い融点を有する有機繊維であってもよいことが理解され得る。
【0059】
さらに別の実施形態では、
図8(C)に示すように、第1の層101は、不規則無機繊維と熱可塑性樹脂とを複合化することにより得られるプリプレグ層101-3であってもよい。
図8(A)および
図8(B)に示されるようなプリプレグ層101-1およびプリプレグ層101-2における無機繊維の規則的な配置態様(例えば、織り構造または0°および90°の積層構造)と比較すると、プリプレグ層101-3における無機繊維の配置態様は、不規則であり(例えば、ガラスマット)、第1の表面層の能力が高められ、外部衝撃により生じる応力が散逸される。これにより、プリプレグ層101-3で構成されるレドームの耐衝撃特性が向上する。
【0060】
図8(A)乃至
図8(C)のプリプレグ層における高融点繊維は、異なる方向に配列されたメッシュ構造を有する。ガラス繊維レドーム10’の中間層200’における一方向ヤーンの構造欠陥と比較して、本願におけるこのレドーム10は、外部衝撃により生じる応力を完全に伝達および逸散させることができる。従って、レドームは、より良好な耐衝撃特性を有する。
【0061】
ある実施形態における成形前のレドームの表面層構造を説明した後、以下では、引き続き、成形後の構造、成形方法、およびレドームの必要な原材料を説明する。原料は、レドームを形成するために必要な材料である。
【0062】
具体的には、
図9に示すように、レドーム10の構造は、順次積層された、第1の表面層100X、中間層200X、および第2の表面層300Xを有する。第1の表面層100Xは、メッシュ構造に配列された繊維110と熱可塑性樹脂120とを複合化して形成され、中間層200Xは、有機発泡構造であり、第2の表面層300Xおよび第1の表面層100Xは、同じ構造であり、同じ材料で構成される。ある実施形態では、繊維は、有機繊維または無機繊維であってもよい。
【0063】
ある実施形態では、無機繊維は、ガラス繊維、玄武岩繊維、安山岩繊維、アルミニウムケイ酸繊維、窒化ホウ素繊維、酸化アルミニウム繊維、および石英繊維の少なくとも1つを含む。無機繊維の種類は、本願において特に限定されない。
【0064】
ある実施形態では、有機繊維は、PP繊維、PE繊維、PBT繊維、PET繊維、およびPTT繊維の少なくとも1つを含む。有機繊維の種類は、本願において特に限定されない。
【0065】
ある実施形態では、繊維の織り方は、平織り、角平織り、畝織り、綾織り、および朱子織りのいずれか1つであってもよい。繊維の織り方は、本願において特に限定されない。好ましくは、繊維の織り方は、平織りである。
【0066】
ある実施形態では、熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン(ポリプロピレン繊維、PP)、ポリエチレン(ポリエチレン、PE)、ポリ塩化ビニル(ポリ塩化ビニル、PVC)、ポリブチレンテレフタレート(ポリブチレンテレフタレート、PBT)、ポリエチレングリコールテレフタレート(ポリエチレングリコールテレフタレート、PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(ポリトリメチレンテレフタレート、PTT)、ポリカーボネート(ポリカーボネート、PC)、およびポリフェニレンオキシド(ポリフェニレンオキシド、PPO)の少なくとも1つを含む。熱可塑性樹脂の種類は、本願において特に限定されない。
【0067】
ある実施形態では、中間層200Xの有機発泡構造の材料は、熱可塑性樹脂の材料と同じであり、第1の表面層100Xと中間層200Xとの間、および第2の表面層300Xと中間層200Xとの間の融合が改善され、レドーム10の機械的特性が改善される。
【0068】
具体的には、
図10に示すように、レドーム10の成形プロセスは、以下のステップを有する。
【0069】
S1001:層を上から下に順次積層する。
【0070】
図に示すように、ある実施形態では、第1の表面層100を形成するプリプレグ層101、中間層200を形成する有機発泡材料層102、および第2の表面層300を形成するプリプレグ層103は、Aタイプのサンドイッチ構造に基づいて上から下に順次積層され、レドームを製造するための層アーキテクチャ1aが形成される。
【0071】
別の代替実施形態では、プリプレグ層および有機発泡材料層は、C型サンドイッチ構造に基づいて上から下に順次積層され、レドーム10を製造するための複合板1bが形成される。C型サンドイッチ構造は、A型サンドイッチ構造と同様であるため、ここではこれ以上説明しない。
【0072】
レドームは、外部環境に長時間露出されるため、ある実施形態では、レドームの耐候性を向上させるため、第1の表面層100を形成するプリプレグ層101上に、耐候性着色層104がさらに追加されてもよいことが理解され得る。これにより、レドームの耐候性を向上させることができる上、レドームの外観美を向上させることができる。
【0073】
各層の具体的な材料選択については、以下の実施形態において具体的に説明する。詳細はここでは説明しない。
【0074】
S1002:積層を介して得られた層アーキテクチャに対してホットプレスを実施して、複合板を形成する。
【0075】
層101、102、103を積層された後、
図10に示す積層板1aが形成される。次に、積層板1aに対してホットプレスが実施され、複合板1bが形成される。
図10からわかるように、複合板1bは、順次積層された、第1の表面層100、中間層200、および第2の表面層300を有する。
【0076】
プリプレグ層の異なる組成および組成比に関し、積層によって得られた層アーキテクチャに対してホットプレスを実施する温度も異なることが留意される。ホットプレスを実施する具体的な温度は、以下の実施形態において詳細に説明される。詳細はここでは説明しない。
【0077】
いくつかの実施形態では、複合板1bのサイズは、所定のサイズであり、該所定のサイズは、レドームのサイズと同等であり、すなわち、1つの複合板1bを用いて、1つのレドームが形成されることが理解され得る。別の代替的な実施形態では、複合板1bは、連続板であり、レドームが形成される前に、プレ複合化板1bは、さらに、適当なサイズに切断される必要がある。
【0078】
S1003:複合板1bを加熱して軟化させ、成形してレドームを得る。
【0079】
成形は、ロールプレス成形であっても、圧縮成形であってもよい。例えば、複合板1bを得た後、該複合板1bは、所定時間加熱して軟化され、その後、軟化した複合板1bに対してロールプレスまたは圧縮成形が実施され、レドームが製造される。なお、複合板1bの組成および組成比が異なると、複合板1bに対してホットプレスを実施する温度および時間も異なることに留意する必要がある。この部分の内容は、以下の実施形態において具体的に詳細に説明される。詳細はここでは説明しない。
【0080】
前述の成形ステップにおいて、複合板1bの成形ステップは、さらに、レドームの成形ステップと統合されてもよく、すなわち、積層によって得られた層アーキテクチャに対してホットプレスおよび成形が実施され、レドームが得られることが理解され得る。
【0081】
特に、
図11(A)、
図11(B)、および
図11(C)には、本願のある実施形態による成形前後の前述の板の構造の概略図を示す。
図11(A)は、ファイバの断面図であり、
図11(B)は、
図10におけるPa領域の拡大図であり、
図11(C)は、
図10におけるPb領域の拡大図である。
【0082】
ある実施形態では、繊維は複合繊維であり、該複合繊維は、高融点繊維および低融点繊維を複合化することにより形成される。高融点繊維は、無機繊維であってもよく、あるいは高融点有機繊維であってもよい。低融点繊維は、有機繊維である。
【0083】
例えば、
図11(A)に示すように、複合繊維は、無機繊維iと有機繊維iiとを複合化することにより形成される。無機繊維iは、ガラス繊維であり、有機繊維iiは、PP繊維である。
図11(A)において、白丸はガラス繊維の断面形状を示し、黒丸は、PP繊維の断面形状を示し、破線Lで囲まれた領域は、ガラス繊維およびPP繊維で構成される複合繊維の境界を示している。これは、単に例示の目的のものである。実際の構造では、破線Lによって表される境界は、存在しないことが理解され得る。
【0084】
また別の実施形態では、
図11(D)に示すように、複合繊維は、異なる材料の繊維を含むコア-シェル構造であり、該コアシェル構造のコア部は、高融点PP繊維で構成され、コアシェル構造の外周部は、低融点PP繊維で構成されてもよい。
【0085】
以下、この点について詳細に説明する。
【0086】
図11(B)から、成形前の積層板1aは、第1の層101a、第2の層102a、および第3の層103aを有することが分かる。第1の層101a、第2の層102a、および第3の層103aは、A型サンドイッチ構造に基づいて上部から底部まで配列される。
【0087】
第1の層101aは、ガラス繊維とPP繊維を所定の重量比で混合することにより複合繊維(
図11(A)参照)で構成され、該複合繊維は、平織り方法において、第1の層101aに織り込まれている。第2の層102aは、PP発泡材で構成される。第3の層103aの構造および材料は、第1の層101aの構造および材料と一致する。ここでは、詳細は再び説明されない。前述の材料をA型サンドイッチ構造に基づいて積層し、積層板1aを形成する。積層板1aの厚さは、S
1である。
【0088】
ある実施形態では、第1の層101aの坪量は、200g/m2から1500g/m2の範囲であり、好ましくは、第1の層101aの坪量は、400g/m2から1000g/m2の範囲である。
【0089】
ある実施形態では、PP繊維は、代わりに別の有機繊維、例えば、PE繊維、PBT繊維、PET繊維、およびPTT繊維の少なくとも1つであってもよい。
【0090】
ある実施形態では、ガラス繊維は、代替的に、別の無機繊維、例えば、玄武岩繊維、安山岩繊維、ケイ酸アルミニウム繊維、窒化ホウ素繊維、酸化アルミニウム繊維、および石英繊維の少なくとも1つであってもよい。無機繊維の種類は、本願において特に限定されない。
【0091】
ある実施形態では、レドーム10の重量を低減するため、本願のこの実施形態におけるレドーム10の第2の層102aは、主として軽量充填材料で構成される。例えば、第2の層102aは、PP板、PE板、PBT板、PET板、PTT板、PC板、PPO板、および軽量PPガラスマット強化熱可塑性樹脂(glass mat reinforced thermoplastics、GMT)複合板の少なくとも一つで構成されてもよい。軽量充填材の種類は、本願において限定されない。
【0092】
第2の層102aの質量をさらに低減するため、第2の層102aは、代替的に、より軽量の発泡材料を使用してもよい。例えば、第2の層102aは、PP発泡板、PE発泡板、PVC発泡板、PBT発泡板、PET発泡板、PTT発泡板、PC発泡板、PPO発泡板の少なくとも一つで構成されてもよい。ある実施形態では、第2の層102aの密度は、0.15g/cm3から1.4g/cm3の範囲、好ましくは0.4g/cm3から1.0g/cm3の範囲である。第2の層102aの厚さは、0.5mmから3mmの範囲である。
【0093】
ある実施形態では、レドーム10が軽量要件を満たし得るように、第2の層102aの材料は、PP発泡板である。さらに、本願による複数の試験が実施された後、PP発泡板の密度が0.4g/cm3であり、PP発泡板の厚さが1mmである場合、レドーム10の軽量化効果はより良好となる。
【0094】
次に、
図11(B)に示す構造に基づいて配置された第1の層101a、第2の層102a、および第3の層103aに対して、170℃から240℃の範囲の温度で二重鋼テープまたは二重テフロン(登録商標)テープを用いることにより、ホットプレスおよび複合化が連続的に行われ、次に、室温冷却が実施され、
図11(C)に示す複合板1bが得られる。複合板1bの第1の表面層100aのPP繊維と第2の表面層300aのPP繊維とが溶融して液体となり、ガラス繊維は、織り込まれた状態のまま残り、溶融を介して得られた液体PPは、第1の表面層100aにおけるガラス繊維同士の間および第2の表面層300aにおけるガラス繊維同士の間に充填され、凝固後に複合板1bが形成される。この場合、複合板1bの厚さは、S
2であり、S
2がS
1よりも小さいことは容易に理解できる。
【0095】
次に、複合板1bが加熱され、ロールプレスまたは圧縮成形が行われる。具体的には、複合板1bは、190℃から240℃において、1分から3分間連続的に加熱され軟化され、その後、ロールプレスまたは圧縮成形が実施され、
図10に示すレドーム10が得られる。
【0096】
ある実施形態では、複合繊維は、代替的に、角平織り、畝織り、綾織り、朱子織り等のような方法で織られてもよい。複合繊維の織り方は、本願において限定されない。好ましくは、複合繊維は、平織りで織られる。
【0097】
ある実施形態では、レドーム10の耐衝撃特性を高めるため、複合繊維は、60:40の重量比に基づいて、ガラス繊維とPP繊維を混合することにより得られる複合繊維であってもよく、複合繊維が織られた後に得られる第1の層101aの坪量は、600g/m2である。いくつかの他の実施形態では、複合繊維におけるPP繊維に対するガラス繊維の重量比は、(90:10)から(50:50)の範囲であってもよいことが理解され得る。坪量とは、材料の重量をグラム/平方メートルで表したものであることに留意する必要がある。第1の層101aは、一例として使用されている。坪量は、ガラス繊維およびPP繊維によって形成された複合材料の重量を単位平方メートル当たりのグラムで表したものである。
【0098】
以下の表2には、複合板1bを用いて製造されたレドームの特性を示す。
【0099】
【表2】
表2と表1の比較から、本願におけるレドームの耐衝撃特性は、著しく改善されることが分かる。これは、重量が約90kgであるレドームの要件を満たし得る。表1における材料を用いて製造されたレドームの誘電率および誘電損失と比較すると、誘電率は2だけ減少し、誘電損失は0.0244だけ減少する。誘電率は、媒体として真空を用いて製造されたキャパシタの静電容量に対する媒体として絶縁物質を用いて製造されたキャパシタの静電容量の比を表し、ここで、キャパシタは、同じサイズである。また、誘電率は、電解質を分極させ電荷を貯蔵する能力を表す。誘電損失は、交流電界中に配置された媒体の内部加熱(温度上昇)という形でのエネルギー損失を表す。誘電率および誘電損失は、共同して媒体の誘電特性を表す。誘電率および誘電損失が小さいほど、媒体の誘電特性は良好となる。誘電率および誘電損失が大きいほど、媒体の誘電特性は低下する。従って、本願におけるレドームは、表1の材料を使用することによって製造されたレドームよりも良好な誘電特性を有する。
【0100】
また、第1の表面層100aおよび第2の表面層300aは、織繊維メッシュ構造であり、耐えることができる落下ハンマー衝撃が上昇し、2.2kg超(例えば、3kg、4kgのような値)まで増加してもよい。ガラス繊維レドーム10’が1.3kgの落下ハンマー衝撃にしか耐えられないことに比べて、耐落下ハンマー衝撃特性も、大きく改善される。
【0101】
また、前述の実施形態では、中間層200aは、発泡構造である。ガラス繊維レドーム10’がガラス繊維構造を完全に使用する場合に比べて、重量は、0.6Aだけ低減される。すなわち、本願おけるレドーム10は、より軽量である。
【0102】
また、前述のことから、本願におけるレドームの第1の表面層100aおよび第2の表面層300aは、無機繊維と熱可塑性樹脂材料を混合することによって得られる複合材料を使用することが分かる。熱可塑性樹脂のような有機材料のみを用いて製造されたレドームは、より良好な誘電特性を有するが、熱可塑性樹脂の耐衝撃性は大きく低下する。別の実施形態における熱可塑性樹脂のみを用いて製造されたレドームと比較して、本願におけるレドーム10では、無機繊維と熱可塑性樹脂材料との複合材料が使用される。そのため、耐衝撃特性と誘電特性との間のバランスが達成される。
【0103】
例えば、
図12に示すプラスチックレドーム10’は、
図12に示す押出成形プロセスを用いて製造される。具体的には、プラスチックレドーム10’は、熱可塑性押出機30で熱可塑性粒子を押し出し、その後熱可塑性粒子をモールド内に押し出し、冷却し、引抜きし、切断することにより得られる。
図13から、プラスチックレドーム10’は、1つの層101’のみを有し、この層101’も熱可塑性材料で構成されていることが分かる。熱可塑性粒子内のガラス繊維の有効長さは、通常、2mm未満であるため、熱可塑性粒子で構成された層101’中のガラス繊維の長さは、より短い。従って、プラスチックレドーム10’の耐衝撃特性は、良好ではないことが理解される。
図2に示す衝撃試験では、プラスチックレドーム10’は、穴があきやすい傾向にある。例えば、
図14に示すプラスチックレドーム10’に対して、
図2に示す衝撃試験を行った後には、穴Yが生じる。
【0104】
また、本実施形態のレドーム10は、第1の表面層100a、中間層200a、および第2の表面層300aの間の密着性を向上させるため、第1の表面層100a、中間層200a、および第2の表面層300aには、全て同じ熱可塑性樹脂材料が使用される。例えば、PP繊維は、中間層の熱可塑性材料と同じである。この設計に基づいて、複合板1bを製造する場合、PP繊維のみを加熱して溶融させる必要があり、その後、ホットプレスを行うことにより、第1の表面層100a、中間層200a、および第2の表面層300aは、より強固に相互に接合され得る。レドームの層が異なる材料を使用する別の実施形態と比べて、従って、接着剤を使用してレドームの層がしっかりと接合された構造をより堅固にする必要がある別の実施形態と比較して、本実施形態は、より良好な耐衝撃特性を有する上、材料が節約され、より環境フレンドリーとなる。
【0105】
ある実施形態では、例えば、
図15において接着性レドーム10’が提供される。接着レドーム10’は、第1の層100’、第2の層400’、第3の層200’、第4の層400’、および第5の層300’を有する。第1の層100’は上部表面層であり、第2の層400’は接着剤であり、第3の層200’はコア層(または中間層)であり、第4の層400’も接着剤であり、第5の層300’は下部表面層である。ポリウレタン系接着剤またはフェノール樹脂系接着剤を用いて、上部表面層100’、下部表面層300’およびコア層200’が接合される。上部表面層100’および下部表面層300’は、繊維強化熱可塑性複合材料(長繊維強化熱可塑性複合材料もしくは連続繊維強化熱可塑性複合材料)、または繊維強化熱可塑性複合材料と遷移材料(遷移材料は繊維マットまたは不織布である)との積層材料で構成される。コア層200’に用いられる発泡材料は、ポリウレタン発泡材料、フェノール樹脂発泡材料、エポキシ樹脂発泡材料等のような、熱硬化性材料である。
【0106】
前述の構造の解析から、接着レドーム10’の上部表面層および下部表面層300’には繊維強化熱可塑性複合材料が使用され、長繊維強化熱可塑性複合材料のガラス繊維は短く、長繊維強化熱可塑性複合材料の耐衝撃特性は低いので、接着レドーム10’の耐衝撃特性は、比較的低いことが分かる。また、接着レドーム10’のコア層200’には、熱硬化性発泡材料が使用されるため、上部表面層および下部表面層は、接着剤を使用してコア層と接着(または結合)される必要がある。接着剤の接合品質を確保するため、表面層、接着層、コア層、接着層、および表面層を最初に積層し(
図15に示すように)、気泡を排出し、その後、高温硬化および接合を行う必要がある。処理プロセスは、多くの段階を有し、複雑でコストがかかる。また、熱硬化性発泡材料は、熱可塑性を有さず、前述の構造に基づいて得られる複合板は、可塑性を有さず、2回目の処理を行うことができない。従って、複合板は、平坦形状のレドームの加工にしか適用できない。このため、
図10に示すような複雑な構造のレドームの成形には対応できない。
【0107】
以上、PP繊維およびガラス繊維により複合繊維を形成し、この複合繊維をプリプレグ層101-1に織り込むプロセスについて説明した。ある実施形態では、複合繊維は、代替的に、低融点材料および高融点材料を複合化することによって形成された、コアシェル繊維であってもよいことが理解され得る。コアシェル繊維は、コア部および周囲部を有する。コア部は、複合繊維の延在方向に延在し、周囲部は、コア部の周囲に配置され、複合繊維の延在方向に延在する。
【0108】
特に、
図16(A)、
図16(B)および
図16(C)には、本願のある実施形態による成形前および成形後の前述の板の構造の概略図を示す。
図16(A)はファイバの断面図であり、
図16(B)は
図10のPa領域の拡大図であり、
図16(C)は
図10におけるPb領域の拡大図である。
【0109】
図16(A)に示すように、複合材料繊維のコア部i(すなわち、カーネル部)は、高融点PP材料で構成され、複合材料繊維の周囲部ii(すなわち、シェル部)は、低融点PP材料で構成される。
【0110】
複合材料繊維のコア部分は、代替的に、高融点無機繊維/または高融点有機繊維で構成されてもよいことが理解され得る。詳細はここでは説明しない。以下、複合材料繊維のコア部が高融点PP材料で構成され、複合材料繊維の周囲部が低融点PP材料で構成される例を用いて、複合材料繊維の成形プロセスと、成形後の複合材料繊維の特性について説明する。
【0111】
この前に、以下の実施形態と
図11における前述の実施形態との間の違いは、繊維形態が異なることであることが留意される。具体的には、以下の実施形態では、織物に織り込むために使用される繊維は、コアシェル型の単繊維であるが、
図11では、織物に織り込むために使用される繊維は、複数種の繊維が混合された後の繊維束である。他の同じステップおよび製織方法については、
図10および
図11の関連する説明が参照され、ここでは、これ以上記載は提供されない。
【0112】
具体的には、
図16(B)に示すように、成形前の積層板1aは、順番に積層された第1の層101b、第2の層102b、第3層103bを有する。明るい円は、高融点PP材料を表し、暗いリングは、低融点PP材料を表す。第1の層101bは、低融点PP材料と高融点PP材料とを複合化することにより形成された複合材料繊維を平織り方式で織ることにより形成され、第2の層102bは、依然PP発泡材料で構成されていることが分かる。この場合、積層板1aの厚さは、S
3となる。
【0113】
ある実施形態では、複合材料繊維は、代替的に、角平織り、畝織り、綾織り、朱子織り等の方法で織られてもよい。複合材料繊維の織り方は、本願において限定されない。
【0114】
ある実施形態では、レドーム10の耐衝撃特性を高めるため、低融点PP材料および高融点PP材料を複合化することにより形成された複合材料繊維を織ることによって形成された、第1の層101bの面密度は、450g/m2である。
【0115】
ある実施形態では、レドーム10が軽量化の要求を満たすことを可能にするため、第2の層102bの材料は、PP発泡板である。さらに、発明者により実施された複数の試験の後、PP発泡板の密度が0.4g/cm3であり、PP発泡板の厚さが1mmである場合、製造されたレドームは、軽量化の要求をより良好に満たすことができ、より良好な耐衝撃特性も有する。
【0116】
次に、
図16(B)に示す構造に基づいて配置された第1の層101b、第2の層102b、および第3の層103bに対して、160℃から170℃の温度範囲で二重鋼テープまたは二重テフロン(登録商標)テープを使用することにより、ホットプレスおよび複合化が行われ、次に、室温冷却が行われ、
図16(C)に示す複合板1bが得られる。
図16(C)から、第1の層100bにおける低融点PP材料は、溶融して液体になり、内層の高融点PP材料は、繊維状であって織り込まれた状態のままであり、溶融を介して得られた低融点液体PP材料は、第1の層100bにおける高融点PP繊維材料の間に充填されていることが分かる。また、ホットプレスが実施されているため、複合板1bの厚さは、S
4であり、S
4がS
3よりも小さいことは容易に理解できる。
【0117】
最後に、複合板1bを加熱して、ロールプレスまたは圧縮成形する。具体的には、複合板1bは、軟化のため、160℃から170℃で1分から3分間、連続的に加熱され、その後ロールプレスまたは圧縮成形が実施され、
図10に示すレドーム10が得られる。
【0118】
以下の表3には、複合板1bを用いて製造されたレドームの特性を示す。
【0119】
【表3】
表3と表1の間の比較から、本実施形態におけるレドームの第1の層101bは、高融点PP材料と低融点PP材料を複合化することにより形成された複合材料繊維を織ることによって形成されること、すなわち、PP材料の含有量が増加することが分かる。従って、レドームの耐衝撃特性が大幅に向上し、耐えることができる落下ハンマー衝撃が増加し、3.1kg超(例えば、4kg、5kg等の値)まで高めることができる。また、本願におけるレドームは、PP繊維材料で構成される。PP材料は、ガラス繊維よりも軽く、低い誘電損失を有し、低い誘電率を有する。従って、表1のガラス繊維を使用して製造されるレドームの重量と比較して、本実施形態のレドームの重量は、73%だけ低減することができ、誘電損失および誘電率はより低くなり、誘電特性がより良好となる。
【0120】
表3と表2の比較から、本実施形態で製造されたレドーム10の第1の層101bは、低融点PP材料および高融点PP材料で構成される複合材料繊維を織り込んで形成されているのに対し、表2に対応するレドームは、特定の重量比に基づいてガラス繊維およびPP繊維を用いることにより得られた複合繊維を織り込んで形成されており、PP繊維の誘電率(2.3)は、ガラス繊維の誘電率(6.13)よりも低いことが分かる。従って、PP繊維の誘電特性は、ガラス繊維の誘電特性よりも良好である。また、PP繊維は、弾性変形がより大きく、衝撃吸収能力が高い。従って、PP繊維の耐衝撃特性は、ガラス繊維の耐衝撃特性よりも良好である。このように、表2に対応するレドームと比較して、表3に対応するレドームは、より良好な誘電特性および耐衝撃特性も有することができる。
【0121】
前述のように、織り込み方式で、複合繊維または複合材料繊維でプリプレグ層を形成することにより、前述の図面に示すような積層板1aが得られる。その後、二重鋼テープまたは二重テフロン(登録商標)テープを用いてホットプレスが実施され、複合板1bが得られる。プリプレグ複合板1bは、軟化のために加熱され、ホットロールプレスすることにより、
図10に示すレドームが得られる。積層板1aの第1の層および第3の層の各々は、複合繊維および複合材料繊維を織ることにより得られる織物で構成される。別の代替実施形態では、積層板1aの第1の層および第3の層の各々は、高融点繊維の織物とPPフィルムとを複合化することにより形成された複合層であってもよい。高融点繊維織物の製織方法は、前述の実施形態における製織方法と同じであってもよいことが理解され得る。本願では、詳細は再度説明されない。
【0122】
特に、
図17(A)は、
図10におけるPa領域の拡大図であり、
図17(B)は、
図10におけるPb領域の拡大図である。
図17(A)に示すように、成形前の積層板1aは、第1の層101c、第2の層102c、および第3の層103cを有する。第1の層101c、第2の層102c、および第3の層103cは、A型サンドイッチ構造に基づいて上から下に順に配置され、第1の層101cは、第1のサブ層101c1および第2のサブ層101c2を含む。白丸は、ガラス繊維を表す。第1のサブ層101c1は、PPフィルムの層で構成され、第2のサブ層101c2は、織り込むことにより得られるガラス繊維織物で構成され、第2の層102cは、PP発泡材料で構成される。この場合、積層板1aの厚さは、S
5となる。第3の層103cは、第1の層101cと同様である。本願では、詳細は再度説明されない。
【0123】
ある実施形態では、第1のサブ層101c1および第2のサブ層101c2は、40:60の重量比に基づいて第1の層101cを形成し、第2のサブ層101c2の坪量は、400g/m2である。
【0124】
ある実施形態では、第2の層102cの密度は、0.4g/cm3であり、第2の層102cの厚さは、1mmである。
【0125】
次に、
図17(A)に示す構造に基づいて配置された第1のサブ層101c1、第2のサブ層101c2、第2の層102c、および第3の層103cに対して、二重鋼テープを使用することにより、170℃から240℃の温度範囲でホットプレスおよび複合化が実施され、その後、室温冷却が実施され、
図17(B)に示す複合板1bが得られる。
図17(B)から分かるように、第1のサブ層101c1におけるPPフィルムは、溶融して液体となり、第2の層101c2におけるガラス繊維は、織り込まれた状態のままであり、溶融を介して得られた液体のPP材料は、第2のサブ層101c2におけるガラス繊維織物のガラス繊維間に充填される。また、ホットプレスが実施され、第1のサブ層101c1が溶融して液体になるため、複合板1bの厚さはS
6となる。S
6がS
5よりも小さいことは容易に理解できる。
【0126】
次に、複合板1bが加熱され、ロールプレスまたは圧縮成形される。具体的には、複合板1bは、軟化のため、190℃から240℃で1分から3分間、連続的に加熱され、その後、ロールプレスまたは圧縮成形が実施され、
図10に示すレドーム10が得られる。
【0127】
以下の表4には、複合板1bを用いて製造されたレドームの特性を示す。
【0128】
【表4】
本実施形態のレドームの第1の層101cは、ガラス繊維織物およびPPフィルムにより形成される。ホットプレスにより溶融された後、PPフィルムは、ガラス繊維織物のガラス繊維間に充填され、より緻密な第1の表面層100cが形成される。従って、本実施形態のレドームの耐衝撃特性は、表1および表2に対応する材料を用いて製造されたレドームの耐衝撃特性よりも良好である。
【0129】
表4と表1との比較から、以下のように理解することができる。まず、本実施形態のレドームの表面層は、ガラス繊維織物およびPPフィルムで構成され、表面層の厚さが同じ場合、本実施形態のレドームの表面層のガラス繊維含有率は、表1におけるガラス繊維のガラス繊維含有率よりも低く、PP樹脂の誘電率(2.3)および誘電損失(0.002)は、表1におけるガラス繊維の誘電率(4.8)および誘電損失(0.03)よりも低い。従って、本実施形態のレドームは、より良好な誘電特性を有する。第2に、本実施形態のレドームの第1の表面層100cにおけるガラス繊維は、織物状態であり、前述のように、表1におけるガラス繊維レドームに使用される一方向ガラス繊維ヤーンと比較して、織物構造は、一方向構造に比べて、応力をより良好に伝達および逸散させることができる。従って、本実施形態におけるレドームの表面層は、より良好な耐衝撃特性を有し、耐えることができる落下ハンマー衝撃が増加し、2.65kg超(例えば、3kg、4kgなどの値)まで耐え得るようになる。
【0130】
図17(A)および
図17(B)から、PPフィルムの2つの層が存在してもよく、1つの層は、第1の層の第2の層から遠ざかる側に配置され、他の層は、第3の層の第2の層から遠ざかる側に配置されることが分かる。別の代替実施形態では、4層のPPフィルムが存在してもよく、2つの層は、それぞれ、2つの側に配置される:すなわち、1つの側は、第1の層の第2の層から遠ざかる側であり、1つの側は、第1の層の第2の層と面する側である。また、他の2つの層は、それぞれ、2つの側に配置される:すなわち、1つの側は、第3の層の第2の層から遠ざかる側であり、1つの側は、第3の層の第2の層と面する側である。
【0131】
具体的には、
図17(C)は、
図10におけるPa領域の別の拡大図である。
図17(C)に示すように、成形前の積層板1aは、第1の層101c、第2の層102c、および第3の層103cを有する。第1の層101cは、順番に積層された第1サブ層101c1、第2のサブ層101c2、および第3のサブ層101c1を含む。第1のサブ層101c1および第3のサブ層101c1は、PPフィルムで構成され、第2のサブ層101c2は、ガラス繊維織物で構成される。
【0132】
図17(A)に示す構造と比較すると、
図17(C)では、第1の層101cを形成するサブ層の数および材料のみが異なる。具体的には、
図17(C)では、第1の層101cを構成する3つのサブ層があり、PPフィルムによって形成された第1のサブ層が第2のサブ層101c2の下側に追加された構造となっている。
【0133】
さらに、レドーム10の耐衝撃特性を向上させるため、ある実施形態では、無機繊維が織られて織物となり、次に、無機繊維を織ることにより形成された層の上に熱可塑性樹脂フィルムの層が追加され、プリプレグ層が形成されてもよい。プリプレグ層に対してホットプレスが実施されると、プリプレグ層中の熱可塑性樹脂フィルムが溶融して液体になり、その後、無機繊維を織ることにより形成された織物の薄層に含浸され、第1の表面層100dが形成される。そのような設計では、無機繊維および熱可塑性樹脂がより緊密に組み合わされるだけではなく、レドームの表面層の耐衝撃特性が改善されすることも理解され得る。
【0134】
別の代替的な実施形態では、プリプレグ層は、代わりに、PPフィルムおよび高融点繊維織物を使用することによって用いて予め形成されてもよい。
【0135】
図18(A)は、成形前の第1の表面層100dの
図10におけるPa領域の構造の部分拡大図であり、
図18(B)は、予備成形後の第1の表面層100dの
図10におけるPa領域の構造の部分拡大図である。
図18(A)および
図18(B)に示すように、成形前の第1の表面層100dの構造は、順番に積層された第1のサブ層101d1、第2のサブ層101d2、および第3のサブ層101d1を含む。複合板1bが製造される前に、順番に積層された第1のサブ層101d1、第2のサブ層101d2、および第3のサブ層101d1が最初に製造され、第1の層101dとなる。第3の層103dは、第1の層101dと同様である。本願では、詳細は再度説明されない。
【0136】
図18(C)は、
図10におけるPa領域の拡大図であり、
図18(D)は、
図10におけるPb領域の拡大図である。
図18(C)に示すように、成形前の積層板1aは、第1の層101d、第2の層102d、および第3の層103dを有する。第1の層101d、第2の層102d、および第3の層103dは、Aタイプのサンドイッチ構造に基づいて、上から下に順に配置される。この場合、積層板1aの厚さはS
7となる。
【0137】
次に、
図18(C)に示す構造に基づいて配置された第1の層101d、第2の層102d、および第3の層103dに対して、二重鋼テープを使用することにより、170℃から240℃の温度範囲でホットプレスおよび複合化が行われ、次に、室温冷却が実施され、
図18(D)に示す複合板1bが得られる。複合板1bの厚さはS
8である。第1の層101dおよび第3の層103dが予め形成されているため、S
8はS
7とほぼ等しいことが理解され得る。
【0138】
次に、複合板1bが加熱され、ロールプレスまたは圧縮成形される。具体的には、複合板1bは、軟化のため190℃から240℃で1分から3分間連続的に加熱され、その後、ロールプレスまたは圧縮成形が実施され、
図10に示すレドーム10が得られる。
【0139】
前述の記載から、複合繊維または複合材料繊維がプリプレグ層に織り込まれ、前述の図面に示す積層板1aが得られることは、容易に理解される。その後、二重鋼テープまたは二重テフロン(登録商標)テープを用いて、ホットプレスが実施され、熱可塑性プリプレグ複合板1bが得られる。積層板1aのため、プリプレグ複合板1bは、軟化のため加熱され、成形され、
図10に示すレドームが得られる。複合板1bにおける高融点繊維は、織り込まれた状態である。別の代替実施形態では、複合板1bの高融点繊維は、千鳥状に配置されてもよい。
【0140】
ある実施形態では、プリプレグテープは、0°および90°で積層する方法で配置され、(
図8(B)に示されるような)プリプレグ層が形成されてもよいことが理解され得る。0°は、プリプレグテープにおける繊維の延在方向が複合板の延在方向と同じであることを意味し、90°は、プリプレグテープにおける繊維の延在方向が複合板の延在方向に対して垂直であることを意味することが理解され得る。
【0141】
以下、この点について詳細に説明する。
図19(A)は、
図10におけるPa領域の拡大図であり、
図19(B)は、
図10におけるPb領域の拡大図である。
【0142】
具体的には、
図19(A)に示すように、成形前の積層板1aは、第1の層101e、第2の層102e、および第3の層103eを有する。第1の層101e、第2の層102e、および第3の層103eは、A型サンドイッチ構造に基づいて上から下に配置される。第1の層101eは、上から下に、第1のサブ層101e1および第2のサブ層101e2を含む。第1のサブ層101e1の繊維は、90°で配置され、第2のサブ層101e2の繊維は、0°で配置される。第2の層102eの繊維は、PP発泡材で構成される。第3の層103eは、上から下に、第2のサブ層103e2および第1のサブ層103e1を含む。第1のサブ層103e1の繊維は、90°で配置され、第2のサブ層103e2の繊維は、0°で配置される。この場合、積層板1aの厚さは、S
9となる。
【0143】
別の代替実装形態では、第1の層101eは、上から下に第1のサブ層101e1および第2のサブ層101e2を含む。第1のサブ層101e1の繊維は、0°に配置され、第2のサブ層101e2の繊維は、90°に配置される。第2の層102eは、PP発泡材で構成される。第3の層103eは、上から下に、第2のサブ層103e2および第1のサブ層103e1を含む。第1のサブ層103e1の繊維は、0°に配置され、第2のサブ層103e2の繊維は、90°に配置される。
【0144】
前述の方法のいずれか1つにおいて複合板1bが得られた後、複合板1bの厚さは、S
10となり、ここでS
10はS
9と等しい。複合板1bは、加熱され、ロールプレスまたは圧縮成形される。具体的には、複合板1bは、軟化のため190℃から240℃で1分から3分間連続的に加熱され、その後、ロールプレスまたは圧縮成形が実施され、
図10に示すレドーム10が得られる。
【0145】
以下の表5には、複合板1bを用いて製造されたレドームの特性を示す。
【0146】
【表5】
本実施形態のレドーム10に用いられる材料および構造は、前述の実施形態のレドーム10と同様である。表5と表1の比較から、本実施形態におけるレドーム10の耐衝撃特性は、著しく改善され、耐えることができる衝撃は、3kgよりも大きく(例えば、4kg、5kgなど)、ガラス繊維レドーム10’に対する落下ハンマー衝撃1.3kgよりも大きく、誘電率は、表1における材料を使用して製造されたレドームの誘電率よりも低く、誘電損失も有意に低減されることが分かる。従って、本実施形態のレドームは、ガラス繊維レドーム10’よりも良好な誘電特性を有する。また、中間層200eは、有機発泡構造を使しているため、本実施形態のレドームの軽量性は、ガラス繊維レドーム10’の軽量性よりも低く、また、純粋なプラスチックを使用するプラスチックレドーム10’の軽量性よりも有意に低い。
【0147】
表5と表2の比較から、本実施形態における第1の表面層100eは、特定の角度で複数のプリプレグテープの層を配置することにより形成されるため、表2に対応するレドーム10と比較して、本願の本実施形態におけるレドーム10は、表2における複合繊維を織ることにより形成された織物よりも良好な耐衝撃特性を有することが分かる。
【0148】
ある実施形態では、複合繊維または複合材料繊維は、代替的に、0°および90°で積層するように配置され、繊維が千鳥状に配置されたプリプレグ層(図示せず)が形成されてもよい。
【0149】
この前に、
図20(A)および
図20(B)に示される実施形態と
図19(A)および
図19(B)に示される実施形態との間の違いは、プリプレグ層を形成する方法にあることが留意される。具体的には、
図19(A)および
図19(B)のプリプレグ層は、千鳥状に配置されたプリプレグテープを配置することにより形成されるのに対し、
図20(A)および
図20(B)のプリプレグ層は、千鳥状に配置された複合繊維または複合材料繊維を織ることにより形成される。
【0150】
以下、この点について詳細に説明する。
図20(A)は、
図10におけるPa領域の拡大図であり、
図20(B)は、
図10におけるPb領域の拡大図である。この前に、以下の実施形態と
図11における前述の実施形態との間の違いは、第1の表面層100aを形成する際の配置方法にあることが留意される。
図11において、PP繊維およびガラス繊維で構成される複合繊維では、規則織構造が採用されている。本実施形態では、複合繊維には、規則的な積層構造が採用されており、各層における複合繊維の方向は、一方向である。例えば、2層の積層構造が使用されていると仮定する。この場合、第1の層における複合繊維の配列方向は、第1方向(例えば0°)であり、第2の層における複合繊維の配列方向は、第2方向(例えば90°)である。
【0151】
ある実施形態では、複合繊維は、表2におけるPP繊維およびガラス繊維を複合化することにより形成されてもよく、または表3における低融点PP材料および高融点PP材料を複合化することにより形成されてもよく、または一方向ガラス繊維ヤーンおよび熱可塑性樹脂を複合化することにより形成されたプリプレグテープであってもよいことが理解され得る。複合繊維を形成する方法は、本願において限定されない。
【0152】
具体的には、
図20(A)に示すように、成形前の積層板1aは、第1の層101f、第2の層102f、および第3の層103fを有する。第1の層101f、第2の層102f、および第3の層103fは、A型サンドイッチ構造に基づいて上から下に配置される。第1の層101fは、上から下に、第1のサブ層101f1および第2のサブ層101f2を含む。第1のサブ層101f1における複合繊維は、90°で配置され、第2のサブ層101f2における複合繊維は、0°で配置される。第2の層102fにおける複合繊維は、PP発泡材料で構成される。第3の層103fは、上から下に、第2のサブ層103f2および第1のサブ層103f1を含む。第1のサブ層103f1の複合繊維は、90°で配置され、第2のサブ層103f2の複合繊維、は0°で配置される。
【0153】
別の代替実装形態では、第1の層101fは、上から下に第1のサブ層101f1および第2のサブ層101f2を含む。第1のサブ層101f1における複合繊維は、0°に配置され、第2のサブ層101f2における複合繊維は、90°に配置される。第2の層102fは、PP発泡材料で構成される。第3の層103fは、上から下に、第2のサブ層103f2および第1のサブ層103f1を含む。第1のサブ層103f1における複合繊維は、0°に配置され、第2のサブ層103f2における複合繊維は、90°に配置される。
【0154】
前述の材料は、A型サンドイッチ構造に基づいて積層され、積層板1aが得られる。積層板1aの厚さは、S11である。ある実施形態では、第1の層101fの坪量は、750g/m2であり、第1の層101fの厚さは、0.5mmである。
【0155】
ある実施形態では、PP繊維は、代替的に、別の有機繊維、例えば、PE、PBT、PET、およびPTTの少なくとも1つであってもよい。
【0156】
ある実施形態では、レドーム10の重量を低減するため、本願の本実施形態におけるレドーム10の第2の層102fは、主として軽量充填材料で構成される。例えば、第2の層102fは、PP板、PE板、PBT板、PET板、PTT板、PF板、PPO板、および軽量PPガラスマット強化熱可塑性樹脂(glass mat reinforced thermoplastics、GMT)複合板の少なくとも一つで構成されてもよい。軽量充填材の種類は、この用途に限定されない。
【0157】
第2の層102fの質量をさらに低減するため、第2の層102fは、代替的に、より軽量の発泡材料を使用してもよい。例えば、第2の層102fは、PP発泡板、PE発泡板、PVF発泡板、PBT発泡板、PET発泡板、PTT発泡板、PF発泡板、およびPPO発泡板の少なくとも1つで形成されてもよい。ある実施形態では、第2の層102fの密度は、0.15g/m3から1.4g/m3、好ましくは0.4g/m3から1.0g/m3の範囲である。第2の層102fの厚さは、0.5mmから3mの範囲である。
【0158】
ある実施形態では、レドーム10が軽量化の要求を満たすことを可能にするため、第2の層102fは、PP発泡板で構成される。また、発明者による複数の試験が実施された後、PP発泡板の密度が0.4g/m3であり、PP発泡板の厚さが1mmである場合、レドーム10の軽量化効果がより優れることが分かった。
【0159】
次に、
図20(A)に示す構造に基づいて配置された第1の層101f、第2の層102f、および第3の層103fに対して、二重鋼テープまたは二重テフロン(登録商標)テープを使用することにより、190℃から240℃の温度範囲でホットプレスおよび複合化が連続的に行われ、その後室温冷却が実施され、
図20(B)に示す複合板1bが得られる。この場合、複合板1bの厚さは、S
12であり、S
12がS
11よりも小さいことは容易に理解できる。
【0160】
積層板1aに対してホットプレスを実施して複合板1bを得る効果を高め、複合板1bの反りおよび変形を回避するため、ある実施形態では、第1の表面層100fおよび第2の表面層300fは、中間層200fに対して対称にされる。一例として、
図20(B)が用いられる。第1の表面層100fは、第1のサブ表面層100f1および第2のサブ表面層100f2を含み、第1のサブ表面層100f1は、第2のサブ表面層100f2の中間層200fから離れた側に配置される。第2の表面層300fは、第1のサブ表面層300f1および第2のサブ表面層300f2を含み、第1のサブ表面層300f1は、第2のサブ表面層300f2の中間層200fから離れた側に配置される。
【0161】
第1のサブ表面層100f1におけるガラス繊維の配置方法および第1のサブ表面層300f1におけるガラス繊維の配置方法は、両方とも90°であり、第2のサブ表面層100f2におけるガラス繊維の配置方法および第2のサブ表面層300f2におけるガラス繊維の配置方法は、両方とも0°である。これに対応して、第1の層101fおよび第3の層103fは、第2の層102fの2つの側に対称に分配される。
【0162】
ある実施形態では、ガラス繊維、ガラス繊維とPP繊維との複合繊維、またはPP繊維が層ごとに織られまたは積層されるように設計される前述の実施形態との相違点は、連続繊維が不規則な態様で配列され、その後、PPフィルムと共に第1の層101gが形成されることである。特定の秩序で織ることにより形成されたプリプレグフ織物と比較して、本実施形態における第1の層101gは、応力を伝達し逸散させる際により良好な効果を有する。
【0163】
具体的には、
図21に示すように、
図21(A)は、
図10におけるPa領域の拡大図であり、
図21(B)は、
図10におけるPb領域の拡大図である。
図21(A)に示すように、成形前の積層板1aは、第1の層101g、第2の層102g、および第3の層103gを含む。第1の層101g、第2の層102g、および第3の層1013gは、A型サンドイッチ構造に基づいて上から下に順に配置される。また、第1の層101gは、第1のサブ層101g1および第2のサブ層101g2により構成される。第1のサブ層101g1は、PPフィルムの層で構成され、第2のサブ層101g2は、ガラスマットで構成され、第2の層102gは、PP発泡材料で構成される。この場合、積層板1aの厚さは、S
13となる。
【0164】
レドーム10の耐衝撃特性を高めるため、ある実施形態では、第1の層101gのガラス繊維含有量は、50%であり、面密度は450g/cm3である。ある実施形態では、第2の層102gの密度は0.4g/cm3であり、第2の層102gの厚さは、1mmである。
【0165】
次に、
図21(A)に示す構造に基づいて配置された第1のサブ層101g1、第2のサブ層101g2、第2の層102g、および第3の層103gに対して、二重鋼テープを使用することにより、190℃から240℃の温度範囲でホットプレスおよび複合化が実施され、その後、室温冷却が実施され、
図21(B)に示す複合板1bが得られる。
図21(B)から、第1のサブ層101g1のPPフィルムは、溶融して液体となり、第2のサブ層101g2のガラス繊維マットは、ランダムな分布状態のままであり、溶融によって得られた液体低融点PPは、第2のサブ層101g2におけるガラスマットの間に充填されることが分かる。また、ホットプレスが実施され、第1のサブ層101g1が溶融して液体になるため、複合板1bの厚さは、S
14となり、S
14がS
13よりも小さいことは容易に理解できる。
【0166】
次に、複合板1bは、加熱され、ロールプレスまたは圧縮成形される。具体的には、複合板1bは、軟化のため190℃から240℃で1分から3分間連続的に加熱され、その後、ロールプレスまたは圧縮成形が実施され、
図10に示すレドーム10が得られる。
【0167】
以下の表6には、複合板1bを用いて製造されたレドームの特性を示す。
【0168】
【表6】
表6と表1との比較から、本実施形態におけるレドームの第1の層101gは、ガラスマットおよびPPフィルムにより形成され、ホットプレスを介して溶融された後、ガラスマットの間にPPフィルムが充填され、その結果、ガラスマットがよりコンパクトになり、第1の表面層100gの耐衝撃特性が改善され、耐えることができる落下ハンマー衝撃が最大1.8kg超(例えば、2kgまたは3kg)まで増大し得ることが分かる。また、ガラスマット、PPフィルム、PP発泡板が使用されるため、表1に示す材料を使用して製造されたレドームの重量と比較して、本願の本実施形態で製造されたレドームの重量は、62%減少する。さらに、表6から、本願の本実施形態で製造されたレドームの誘電率(3.0)および誘電損失(0.006)は、表1のガラス繊維の誘電率(4.8)および誘電損失(0.03)よりも低く、従って、本願の本実施形態で製造されたレドームは、より良好な誘電特性を有することが分かる。
【0169】
レドーム10は、長期間屋屋外に暴露されるため、レドーム10の耐候性および外観の美感に対する要求も存在することが理解され得る。従って、レドームの外観の美感を向上させるため、
図2から
図10に示す積層板1aの第1の層に、耐候性着色層104が追加されてもよく、これにより、レドームの外観美が向上するとともに、レドームの表面層の耐候性も改善される。また、ある実施形態では、PPフィルムまたはPP繊維および耐候性着色層104は、一体的に設計されてもよい。例えば、ガラス繊維の平織り織物と、PPフィルムとにより形成される第1の層101gにおいて、PPフィルムは、耐候性着色層として設計され、ガラス繊維の平織り織物に積層(tiled)され、共同で第1の層101gが形成されてもよい。これは、本願では限定されない。
【0170】
本願の実施形態の記載において、特に明確に記載され限定されない限り、「設置」、「との接続」、および「接続」と言う用語は、広い意味で理解される必要があることが留意される。例えば、接続は、固定接続であってもよく、中間体媒体を使用することによる間接接続であってもよく、または2つの素子間の内部通信もしくは2つの素子間の相互作用関係であってもよい。当業者は、特定の場合に基づいて、本願の実施形態における前述の用語の特定の意味を理解することができる。
【0171】
本願の明細書、特許請求の範囲、および実施形態の添付図面において、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」等のような用語(存在する場合)は、類似の対象物を区別することを意図するものであり、必ずしも特定の順序またはシーケンスを示すものではない。そのように使用されるデータは、適切な状況において相互互換可能であり、従って、記載された本願の実施形態は、例示されまたは記載された順序以外の順序で実施され得ることが理解され得る。また、「含む」、「有する」という用語、およびそれらの任意の他の変化形は、非排他的な含有を網羅することが意図される。例えば、ステップまたはユニットのリストを含む、プロセス、方法、システム、製品または装置は、必ずしも明示的に記載されたステップまたはユニットに限定されるものではなく、明示的に記載されていない他のステップまたはユニット、あるいはプロセス、方法、製品もしくは装置に固有の他のステップまたはユニットを有してもよい。
【0172】
最後に、前述の実施形態は、単に本願の実施形態の技術的解決策を説明することを意図するものであり、本願の実施形態の技術的解決策を限定するものではないことに留意する必要がある。本願の実施形態は、前述の実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者には、本願の実施形態の技術的解決策の範囲から逸脱せずに、前述の実施形態に記載の技術的解決策に対して依然修正を行うことができ、またはその一部のもしくは全ての技術的特徴に対して等価な置換を行うことができることを理解する必要がある。
【符号の説明】
【0173】
1 アンテナ
1a 積層板
1b 複合板
3 衝撃ハンマー
10 レドーム
21 第1のヤーンホイール
22 第2のヤーンホイール
23 接着溝
24 ガイドプレート
25 金型
30 熱可塑性押出機
31 衝撃ハンマーの端部
32 鉄塊
40 レドーム試験サンプル板
100 第1の表面層
101 第1の層
102 第2の層
103 第3の層
104 耐候性着色層
200 中間層
300 第2の表面層
x 障害物
Y 空孔
M 塔。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レドームに用いられる複合板であって、
中間層および該中間層と組み合わされた表面層を有し、
前記表面層は、第1の繊維と、該第1の繊維同士の間に充填された熱可塑性樹脂とを有し、
前記表面層および前記中間層は、第1の方向に配置され、該第1の方向は、当該複合板の厚さ方向である、複合板。
【請求項2】
前記第1の繊維の融点は、前記熱可塑性樹脂の融点よりも高い、請求項1に記載の複合板。
【請求項3】
前記表面層の熱可塑性樹脂は、前記中間層と同じ材料で構成される、請求項1に記載の複合板。
【請求項4】
前記中間層は、熱可塑性発泡材料で構成される、請求項1または3に記載の複合板。
【請求項5】
前記表面層における前記第1の繊維は、織物繊維構造であり、前記表面層における前記熱可塑性樹脂は、前記織物繊維構造の隙間に充填される、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項6】
前記表面層における前記第1の繊維は、無機繊維および/または有機繊維を含む、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項7】
前記表面層における前記無機繊維は、不規則に配列されている、請求項6に記載の複合板。
【請求項8】
前記表面層における前記無機繊維は、ガラス繊維であり、該ガラス繊維は、不規則に配列され、ガラスマットを形成している、請求項7に記載の複合板。
【請求項9】
前記表面層における前記無機繊維は、ガラス繊維、玄武岩繊維、安山岩繊維、ケイ酸アルミニウム繊維、窒化ホウ素繊維、酸化アルミニウム繊維、および石英繊維の少なくとも一つを含む、請求項6に記載の複合板。
【請求項10】
前記表面層の有機繊維は、ポリプロピレン繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレングリコールテレフタレート繊維、およびポリトリメチレンテレフタレート繊維の少なくとも1つを含む、請求項6に記載の複合板。
【請求項11】
前記織物繊維構造の織り方は、平織り、角平織り(square plain weaving)、畝織り(rib weaving)、綾織り(twill weaving)、および朱子織り(satin weaving)のいずれか一つを含む、請求項5に記載の複合板。
【請求項12】
前記表面層における前記第1の繊維は、前記第1の方向に配列された複数の繊維層を有し、
前記複数の繊維層の2つの繊維層における繊維間の夾角は、第1のプリセット角度である、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項13】
前記第1のプリセット角度は、30°、45°、および60°の少なくとも1つを含む、請求項12に記載の複合板。
【請求項14】
当該複合板は、さらに、耐候着色層を有し、
該耐候着色層は、前記表面層の前記中間層から遠い側に配置される、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項15】
当該複合板は、さらに、耐候着色層を有し、
該耐候着色層および前記表面層は、一体成形されている、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項16】
当該複合板は、サンドイッチ構造であり、該サンドイッチ構造は、A型サンドイッチ構造またはC型サンドイッチ構造である、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項17】
前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリカーボネート、およびポリフェニレンオキシドの少なくとも1つを含む、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板。
【請求項18】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の複合板を有するレドーム。
【請求項19】
前記表面層における前記熱可塑性樹脂は、前記中間層と同じ材料で構成される、請求項18に記載のレドーム。
【請求項20】
前記中間層は、熱可塑性発泡材料で構成される、請求項18に記載のレドーム。
【請求項21】
当該レドームは、サンドイッチ構造を使用し、
前記サンドイッチ構造は、A型サンドイッチ構造またはC型サンドイッチ構造である、請求項18に記載のレドーム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
レドームは、アンテナシステムが外部環境による影響を受けないように保護する構造体である。パッシブアンテナがシングルバンドおよびマルチバンドからフルバンドに発展するにつれ、パッシブマルチバンドまたはフルバンドのアンテナは、MMアクティブアンテナと一体化されている。その結果、アンテナの全体の重量は大きく増加し、50kg以上に達している。
【国際調査報告】