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特表2024-536441豊富なメソ細孔構造を有する接触分解触媒およびその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】豊富なメソ細孔構造を有する接触分解触媒およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/08 20060101AFI20240927BHJP
   C10G 11/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B01J29/08 Z
C10G11/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521153
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 CN2022122059
(87)【国際公開番号】W WO2023056863
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】202111174446.2
(32)【優先日】2021-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523143774
【氏名又は名称】中石化石油化工科学研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】于善青
(72)【発明者】
【氏名】林偉
(72)【発明者】
【氏名】袁帥
(72)【発明者】
【氏名】劉雨晴
(72)【発明者】
【氏名】張傑瀟
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA01B
4G169BA07B
4G169BA10B
4G169CC05
4G169DA06
4G169EA02Y
4G169EC06X
4G169EC06Y
4G169FB04
4G169FB63
4G169FC02
4G169FC05
4G169ZA05B
4G169ZF04A
4G169ZF04B
4H129AA02
4H129CA01
4H129DA04
4H129KA02
4H129KB02
4H129KB06
4H129KC03X
4H129KC09X
4H129KC14X
4H129KC15X
4H129KC15Y
4H129KC16X
4H129KC17X
4H129NA19
4H129NA37
(57)【要約】
豊富なメソ細孔構造を有する接触分解触媒およびその調製方法。前記触媒は、乾燥状態に基づいて、酸化アルミニウムに基づくメソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムを10重量%~35重量%、酸化物に基づく酸性化バインダーを5重量%~30重量%、酸化物に基づく第2のバインダーを2重量%~20重量%、モレキュラーシーブを20重量%~60重量%、ならびにクレーを5重量%~50重量%含む。前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムは、擬ダイアスポア構造を有する酸化アルミニウムであり、全細孔容積は0.5mL/g~2.0mL/gであり、ここで、5nm~100nmの孔の細孔容積は前記全細孔容積の80%超を占め、平均細孔径は5nm~30nmであり、比表面積は250m/g~450m/gである。前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムに対する前記酸性化バインダーの質量比は、0.5~1.0である。本発明において提供される前記接触分解触媒は、豊富なメソ細孔構造を有し、低温窒素吸着法によって測定される全細孔容積は0.200mL/g以上であり、2nm~100nmのメソ細孔およびマクロ細孔の細孔容積は前記全細孔容積の70%超を占め、4nm~50nmのメソ細孔の細孔容積は前記全細孔容積の60%超を占める。そのため、耐消耗性に優れ、重質油転化能力が向上し、コークス選択性が大幅に改善される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触分解のための組成物であって、
前記組成物は、前記組成物の乾燥重量に基づいて、メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウム10重量%~35重量%、酸性化バインダー5重量%~30重量%、第2のバインダー2重量%~20重量%、ゼオライト20重量%~60重量%、ならびにクレー5重量%~50重量%を含み、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムに対する前記酸性化バインダーの重量比は0.5~1.0であり;前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムは擬ベーマイト構造を有する酸化アルミニウムであり、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムは、全細孔容積0.5mL/g~2.0mL/g、平均細孔径5nm~30nm、および比表面積250m/g~450m/gを有し、ここで、5nm~100nmの細孔の細孔容積は前記全細孔容積の80%以上を占め;ここで、噴霧乾燥および焼成の後、前記組成物は、3.0%時間-1以下、好ましくは1.0%時間-1~3.0%時間-1の消耗指数、および、70%以上、好ましくは80%~100%の前記5nm~100nmの細孔の細孔容積保持率を有し;前記5nm~100nmの細孔の前記細孔容積保持率は以下のように計算される、接触分解のための組成物:
前記5nm~100nmの細孔の前記細孔容積保持率=接触分解触媒中の前記5nm~100nmの細孔の前記細孔容積/(前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウム中の前記5nm~100nmの細孔の前記細孔容積×前記接触分解触媒中の前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムの含有量)。
【請求項2】
前記組成物は、前記組成物の乾燥重量に基づいて、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウム10重量%~30重量%、前記酸性化バインダー8重量%~25重量%、前記第2のバインダー2重量%~15重量%、前記ゼオライト30重量%~45重量%、ならびに前記クレー10重量%~40重量%を含み、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムに対する前記酸性化バインダーの重量比は0.5~0.8であり;前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムは擬ベーマイト構造を有する酸化アルミニウムであり、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムは、0.7mL/g~1.5mL/gの全細孔容積、6nm~20nmの平均細孔径、および300m/g~400m/gの比表面積を有し、ここで、前記5nm~100nmの細孔の前記細孔容積は、前記全細孔容積の80%~95%を占めることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酸性化バインダーは、pH値1.0~5.0の水性形態であり;前記第2のバインダーは、前記酸性化バインダーと同じであるか、または異なることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記酸性化バインダーは、アルミニウムゾル、シリカゾル、シリカアルミニウムゾルからなる群から選択される1つ以上であり、前記第2のバインダーは、酸性化擬ベーマイト、シリカゾル、アルミニウムゾル、シリカアルミニウムゾル、リン酸アルミニウムゾル、ジルコニウムゾルからなる群から選択される1つ以上であり、前記第2のバインダーに対する前記酸性化バインダーの重量比は0.5~5.0であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記酸性化バインダーはアルミニウムゾルであり、前記第2のバインダーは前記酸性化擬ベーマイトであることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記クレーは、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト、セピオライトおよび珪藻土からなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ゼオライトは、NaY型ゼオライト、NaY型ゼオライトを改質した後に得られるシリカ-アルミナ比の高いYゼオライト、MFI型ゼオライト、およびβゼオライトからなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記NaY型ゼオライトを改質した後に得られるシリカ-アルミナ比の高いYゼオライトは、HY、REY、REHY、USYまたはREUSYであることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
順に実施される以下の工程を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物を使用する接触分解触媒の調製方法:
(1)メソ細孔およびマクロ細孔構造を有する酸化アルミニウム、クレーおよび必要に応じて全ての酸性化バインダー、ならびに脱イオン水を均一に混合および撹拌し、酸性化スラリーを得る工程;
(2)前記酸性化スラリーにゼオライトを添加し、均一に混合および撹拌して、第2のスラリーを得る工程;および
(3)前記第2のスラリーに第2のバインダーを添加し、混合および撹拌し、得られた混合スラリーを噴霧乾燥し、焼成する工程。
【請求項10】
前記触媒の乾燥重量に基づいて、
前記工程(1)において、前記メソ細孔構造およびマクロ細孔構造を有する前記酸化アルミニウム10重量%~35重量%、前記クレー5重量%~50重量%、前記酸性化バインダー5重量%~30重量%を脱イオン水と混合し、15分以上パルプ化して酸性化スラリーを得;前記得られた酸性化スラリーの固形分含有量は15重量%~40重量%であり;
前記工程(2)において、前記ゼオライト20重量%~60重量%を前記酸性化スラリーに添加し、混合し、15分以上パルプ化して、15重量%~40重量%の固形分含有量を有する前記第2のスラリーを得;および/または
前記工程(3)において、前記第2のバインダー2重量%~20重量%は、前記第2のスラリーに添加され、前記得られた混合スラリーは、15重量%~40重量%の固形分含有量を有することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法において、他の酸を添加しないことを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
請求項9または10に記載の方法によって、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物から調製された、接触分解触媒。
【請求項13】
低温窒素吸着法によって決定される、前記接触分解触媒の前記全細孔容積は0.200mL/g以上であり、ここで、細孔径2nm~100nmを有するメソ細孔およびマクロ細孔の前記細孔容積は前記全細孔容積の70%以上を占め、4nm~50nmのメソ細孔の前記細孔容積は前記全細孔容積の60%以上を占めることを特徴とする、請求項12に記載の接触分解触媒。
【請求項14】
低温窒素吸着法によって決定される、前記接触分解触媒の前記全細孔容積は0.200mL/g~0.300mL/gであり;
ここで、前記細孔径2nm~100nmを有する前記メソ細孔およびマクロ細孔の前記細孔容積は、前記全細孔容積の75%~95%、または80%~95%を占め;および/または
ここで、前記4nm~50nmのメソ細孔の前記細孔容積は、前記全細孔容積の65%~85%を占めることを特徴とする、請求項12または13に記載の接触分解触媒。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、石油精製触媒の分野に関するものであり、特に、豊富なメソ細孔構造を有する接触分解触媒およびその調製方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
炭素排出規制および低炭素燃料基準の公布および実施は、石油精製産業に大きな影響を及ぼしている。石油の精製および処理における従来の装置として、接触分解装置は、触媒のコークス化および再生により、精製産業における二酸化炭素の主要な排出源となっている。したがって、コークス収率を低減することは、接触分解装置からの炭素排出を削減する最も効果的な方法である。しかし、原料の重質化および劣化が進むにつれて、接触分解触媒の前記コークス収率は高いままである。メソ細孔構造およびマクロ細孔構造を有する触媒は、反応物分子および生成物分子の迅速な拡散を促進し、コークス前駆体の生成を減少させ、同時に、前記触媒のストリッピング性能の向上、およびストリッピングされ得る前記コークスの減少を促進する。したがって、豊富なメソ細孔構造およびマクロ細孔構造を有する接触分解触媒の開発が不可欠である。
【0003】
重質油分子の直径は、約3nm~10nmである。拡散の制限をなくすために、前記接触分解触媒の細孔径の最適範囲は、重質油分子の直径の2倍~6倍であり、6nm~60nmの細孔径範囲に相当する。しかし、従来の接触分解触媒の細孔径は4nmより小さく、重質油分解のニーズを満たすことができない。
【0004】
CN1436835Aは、接触分解触媒およびその調製方法を開示している。前記触媒は、平均細孔径が3nm以下のメソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムを5重量%~60重量%、ゼオライトを5重量%~60重量%、バインダーを5重量%~40重量%、ならびにクレーを5重量%~85重量%含む。接触分解触媒の調製方法は、噴霧、焼成、洗浄および乾燥を経た後、ゼオライトを、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウム、バインダー、ならびにクレーと均一に混合して調製する。しかし、前記接触分解触媒中の直径2nm超を有する細孔容積は、依然として0.2mL/g未満である。
【0005】
CN106179476Aは、接触分解触媒、ならびにその調製方法および応用を開示している。前記接触分解触媒は、(0-0.2)NaO(40-85)Al(10-55)SiO(0.5-10)P(0.5-10)Mの無水化学式において、擬ベーマイト結晶構造を有するメソ細孔活物質を1重量%~50重量%含む。ここで、金属Mは、Mg、ならびにIIB族元素、IIIB族元素、IVB族元素およびVIIB族元素、ならびに元素周期表におけるランタニド希土類元素からなる群から選択される1つ以上であり、yは、前記金属MがM酸化物に形成されるときの前記金属Mの最高価数状態であり、xおよびyの数値は、MおよびOの価数を釣り合わせることを可能にする。この接触分解触媒は、低いコークス選択性および高い接触分解活性を有し、重質油の接触分解において高いディーゼル収率および低い硫黄含有量のガソリンを得ることができる。しかし、調製された触媒はメソ細孔構造およびマクロ細孔構造を欠いている。
【0006】
CN105688977Aは、擬ベーマイトを含む接触分解触媒の調製方法を開示している。前記方法は:擬ベーマイトの一部とケイ素含有溶液とを15分間以上混合および撹拌して、改質擬ベーマイトAを調製する工程;前記改質擬ベーマイトA、残留擬ベーマイトBおよびパルプ化用クレーを混合して、擬ベーマイトを含むマトリックススラリーを調製する工程;前記マトリックススラリーおよびゼオライトスラリーを混合し、均質化し、成形し、乾燥し、イオン交換して、接触分解触媒を得る工程;を含む。前記方法に従って調製された前記触媒は、マクロ細孔径が主に100nm超に分布する高いマクロ細孔容積を有し、5nm~100nmのメソ細孔構造およびマクロ細孔構造を欠く。
【0007】
しかし、メソ細孔およびマクロ細孔を有する材料はそれ自体の接着性が乏しいため、それらを直接添加することは前記触媒の強度に影響を及ぼし、メソ細孔およびマクロ細孔を有する材料の添加量が制限され、その結果、前記メソ細孔構造およびマクロ細孔構造の増加は微々たるものである。したがって、メソ細孔構造が豊富で耐消耗性に優れた接触分解触媒を調製することは、依然として注目を集める研究課題である。
【0008】
〔発明の概要〕
前記課題を解決するために、本発明は、豊富なメソ細孔構造を有する接触分解触媒およびその調製方法を提供する。この接触分解触媒は、良好な消耗指数、豊富なメソ細孔構造、強い重質油転化能力、および良好なコークス選択性を有する。
【0009】
一方、本発明は、接触分解のための組成物を提供し、前記組成物は、前記組成物の乾燥重量に基づいて、メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウム10重量%~35重量%、酸性化バインダー5重量%~30重量%、第2のバインダー2重量%~20重量%、ゼオライト20重量%~60重量%、ならびにクレー5重量%~50重量%を含み、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムに対する前記酸性化バインダーの重量比は0.5~1.0であり;前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムは擬ベーマイト構造を有する酸化アルミニウムであり、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムは、全細孔容積0.5mL/g~2.0mL/g、平均細孔径5nm~30nm、および比表面積250m/g~450m/gを有し、ここで、5nm~100nmの細孔径を有する細孔の細孔容積は前記全細孔容積の80%以上を占める。好ましくは、噴霧乾燥および焼成の後、前記組成物は、3.0%時間-1以下、好ましくは1.0%時間-1~3.0%時間-1の消耗指数、および、70%以上、好ましくは80%~100%の前記5nm~100nmの細孔の細孔容積保持率を有し;前記5nm~100nmの細孔の前記細孔容積保持率=接触分解触媒中の前記5nm~100nmの細孔の前記細孔容積/(前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウム中の前記5nm~100nmの細孔の前記細孔容積×前記接触分解触媒中の前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムの含有量)である。
【0010】
一実施形態では、前記組成物は、前記組成物の乾燥重量に基づいて、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウム10重量%~30重量%、前記酸性化バインダー8重量%~25重量%、前記第2のバインダー2重量%~15重量%、前記ゼオライト30重量%~45重量%、ならびに前記クレー10重量%~40重量%を含み、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムに対する前記酸性化バインダーの重量比は0.5~0.8であり;前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムは擬ベーマイト構造を有する酸化アルミニウムであり、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムは、0.7mL/g~1.5mL/gの全細孔容積、6nm~20nmの平均細孔径、および300m/g~400m/gの比表面積を有し、ここで、5nm~100nmの細孔径を有する前記細孔の前記細孔容積は、前記全細孔容積の80%~95%を占める。
【0011】
一実施形態では、前記酸性化バインダーは、アルミニウムゾル、シリカゾル、シリカアルミニウムゾルからなる群から選択される1つ以上であり、好ましくはアルミニウムゾルまたはシリカゾルである。前記第2のバインダーは、酸性化擬ベーマイト、シリカゾル、アルミニウムゾル、シリカアルミニウムゾル、リン酸アルミニウムゾル、ジルコニウムゾルからなる群から選択される1つ以上であり、好ましくはアルミニウムゾル、シリカゾル、または酸性化擬ベーマイトである。前記第2のバインダーに対する前記酸性化バインダーの重量比は0.5~5.0である。
【0012】
一実施形態では、前記ゼオライトは、NaY型ゼオライト、NaY型ゼオライトを改質した後に得られるシリカ-アルミナ比の高いYゼオライト(HY、REY、REHY、USY、またはREUSYなど)、MFI型ゼオライト、およびβゼオライトからなる群から選択される1つ以上である。
【0013】
一実施形態では、前記クレーは、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト、セピオライト、珪藻土など、触媒成分として機能し得る様々なクレーである。
【0014】
一方、本発明は、本発明による前記組成物を使用する接触分解触媒の調製方法も提供し、この方法は以下の工程を含み、これらの工程は好ましくは順に実施される:
(1)メソ細孔およびマクロ細孔構造を有する酸化アルミニウム、クレーおよび必要に応じて全ての酸性化バインダーを均一に混合および撹拌し、酸性化スラリーを得る工程;
(2)前記酸性化スラリーにゼオライトを添加し、均一に混合および撹拌して、第2のスラリーを得る工程;および
(3)前記第2のスラリーに第2のバインダーを添加し、混合および撹拌し、得られた混合スラリーを噴霧乾燥し、焼成して、本発明の前記接触分解触媒を得る工程。
【0015】
一実施形態では、本発明によって提供される前記調製方法に従い、前記工程(1)において、前記触媒の乾燥重量に基づいて、メソ細孔およびマクロ細孔構造を有する前記酸化アルミニウム10重量%~35重量%、前記クレー5重量%~50重量%、前記酸性化バインダー5重量%~30重量%を脱イオン水と混合し、15分以上パルプ化して酸性化スラリーを得る。前記得られた酸性化スラリーの固形分含有量は、15重量%~40重量%である。
【0016】
一実施形態では、前記工程(2)において、前記ゼオライト20重量%~60重量%を前記酸性化スラリーに添加し、混合し、15分以上パルプ化して、15重量%~40重量%の固形分含有量を有する前記第2のスラリーを得る。
【0017】
一実施形態では、前記工程(3)において、前記第2のバインダー2重量%~20重量%を前記第2のスラリーに添加し、前記得られた混合スラリーは、15重量%~40重量%の固形分含有量を有する。
【0018】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、本発明の前記組成物を使用して前記接触分解触媒を調製する前記方法において、他の酸は添加されない。本発明の目的のために、「他の酸を添加しない」とは、前記触媒の調製のために必要とされる酸性化が、本発明による前記酸性化バインダーを通して完全に実施されることを意味する。これに対応して、本発明による方法では、酸性化のためであろうと他の目的であろうと、一般に使用される塩酸などの他の酸は添加されない。
【0019】
さらに、本発明は、本発明に記載の前記方法に従って本発明の前記組成物によって調製される、接触分解触媒も提供する。
【0020】
一実施形態では、本発明に従って提供される前記接触分解触媒は、豊富なメソ細孔構造を有する。前記低温窒素吸着法によって決定される、前記接触分解触媒の前記全細孔容積は0.200mL/g以上、好ましくは0.200mL/g~0.300mL/gであり、ここで、細孔径2nm~100nmを有する前記メソ細孔およびマクロ細孔の前記細孔容積は前記全細孔容積の70%以上、好ましくは75%~95%を占め、4nm~50nmの細孔径を有する前記メソ細孔径の前記細孔容積は前記全細孔容積の60%以上、好ましくは65%~85%を占める。
【0021】
本発明は、先行技術と比較して以下の利点を有する:一方、先行技術では、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムを酸性化して前記触媒の消耗性能を向上させる;しかし、前記酸性化によって元のメソ細孔構造およびマクロ細孔構造が消失し、その結果、前記触媒の前記重質油転化能力および前記コークス選択性が低下する;一方、先行技術では、前記メソ細孔酸化アルミニウム材料およびマクロ細孔酸化アルミニウム材料を、酸性化することなく、前記触媒に直接添加して、前記マクロ細孔容積を増大させているが、これは前記触媒の消耗性能の悪化につながる。これに対して、本発明の前記接触分解触媒の前記調製方法によれば、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムの前記メソ細孔構造およびマクロ細孔構造が保持され、前記重質油転化能力および前記コークス選択性が向上し、同時に前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムによる触媒強度への悪影響が克服される。
【0022】
したがって、本発明によって提供される前記接触分解触媒は、従来の触媒と比較して、4nm~50nmの豊富なメソ細孔構造を有し、良好な耐消耗強度を有し、触媒重質油転化能力が向上し、コークス選択性が著しく改善される。
【0023】
〔図面の説明〕
図1は、本発明において使用される前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムの細孔分布図である。
【0024】
図2は、実施例1に従って調製された前記接触分解触媒の細孔分布図である。
【0025】
図3は、比較例1に従って調製された前記接触分解触媒の細孔分布図である。
【0026】
〔具体的な実施形態〕
本願を、図面および実施例を組み合わせて、以下のようにさらに詳細に説明する。これらの図解を通じて、本願の特徴および利点がより明瞭かつ明確になるであろう。
【0027】
さらに、以下に説明される本願の異なる実施形態に関わる技術的特徴は、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0028】
本発明は、接触分解のための組成物を提供し、前記組成物は、前記組成物の乾燥重量に基づいて、10重量%~35重量%、好ましくは10重量%~30重量%のメソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウム、5重量%~30重量%、好ましくは8重量%~25重量%の酸性化バインダー、2重量%~20重量%、好ましくは2重量%~15重量%の第2のバインダー、20重量%~60重量%、好ましくは30重量%~45重量%のゼオライト、ならびに5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%のクレーを含み;前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムに対する前記酸性化バインダーの重量比は0.5~1.0、好ましくは0.5~0.8である。前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムは、擬ベーマイト構造を有する酸化アルミニウムであり、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムは、全細孔容積が0.5mL/g~2.0mL/g、好ましくは0.7mL/g~1.5mL/g、平均細孔径が5nm~30nm、好ましくは6nm~20nm、および比表面積が250m/g~450m/g、好ましくは300m/g~400m/gであり、ここで、前記5nm~100nmの細孔の前記細孔容積は前記全細孔容積の80%以上、好ましくは80%~95%を占める。好ましくは、噴霧乾燥および焼成の後、前記組成物は、3.0%時間-1以下、好ましくは1.0%時間-1~3.0%時間-1の消耗指数、および70%以上、好ましくは80%~100%の5nm~100nmの細孔の細孔容積保持率を有し;前記5nm~100nmの細孔の前記細孔容積保持率=前記接触分解触媒中の前記5nm~100nmの細孔の前記細孔容積/(前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウム中の前記5nm~100nmの細孔の前記細孔容積×前記接触分解触媒中の前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムの含有量)である。
【0029】
一実施形態では、擬ベーマイト構造を有する前記酸化アルミニウムは、特許US4010116およびUS4206085に提供される方法に従って調製することができ、その全文を参照として紹介する。
【0030】
一実施形態では、前記酸性化バインダーは、アルミニウムゾル、シリカゾル、シリカアルミニウムゾルからなる群から選択される1つ以上、好ましくはアルミニウムゾルであり得、前記第2のバインダーは、酸性化擬ベーマイト、シリカゾル、アルミニウムゾル、シリカアルミニウムゾル、リン酸アルミニウムゾル、ジルコニウムゾルのうちの1つ以上、好ましくは酸性化擬ベーマイトを指す。
【0031】
一実施形態では、前記ゼオライトは、NaY型ゼオライト、NaY型ゼオライトを改質した後に得られるシリカ-アルミナ比の高いYゼオライト(REY、HY、REHY、USY、REUSYなど)、MFI型ゼオライト、βゼオライトからなる群から選択される1つ以上であり得る。
【0032】
一実施形態では、前記クレーは、触媒成分として機能し得る、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト、セピオライト、珪藻土などの種々のクレーである。これらのクレーは、当業者によって一般に知られている。
【0033】
本発明はまた、本発明による前記組成物を使用する接触分解触媒の調製方法も提供し、前記方法は以下の工程を含み、これらの工程は好ましくは順に実施される:
(1)メソ細孔およびマクロ細孔構造を有する酸化アルミニウム、クレーおよび酸性化バインダーを均一に混合および撹拌し、酸性化スラリーを得る工程;
(2)前記酸性化スラリーにゼオライトを添加し、均一に混合および撹拌して、第2のスラリーを得る工程;および
(3)前記第2のスラリーに第2のバインダーを添加し、混合および撹拌し、得られた混合スラリーを噴霧乾燥し、焼成して、本発明の前記接触分解触媒を得る工程。
【0034】
一実施形態では、本発明によって提供される前記調製方法に従い、前記工程(1)において、メソ細孔およびマクロ細孔構造を有する前記酸化アルミニウム、クレー、酸性化バインダー、を脱イオン水と混合し、15分以上、好ましくは20分間~60分間パルプ化して、15重量%~40重量%の固形分含有量を有する酸性化スラリーを得る。
【0035】
一実施形態では、前記工程(2)において、ゼオライトを前記得られた酸性化スラリーに添加し、混合し、15分以上、好ましくは20分間~60分間パルプ化して、15重量%~40重量%の固形分含有量を有する第2のスラリーを得る。
【0036】
一実施形態では、前記工程(3)において、第2のバインダーを、得られた第2のスラリーに添加し、前記得られた混合スラリーは15重量%~40重量%の固形分含有量を有する。
【0037】
一実施形態では、前記噴霧乾燥および焼成は既存の方法に従って実施され、本発明において特に必要な要件はない。また、当該方法は、既存の方法に従って実施することができ、本発明において特に必要な要件はない、触媒焼成後の洗浄および乾燥などの処理も含む。
【0038】
本発明はまた、接触分解触媒も提供し、前記接触分解触媒は、本発明に記載の前記方法に従って本発明の前記組成物によって調製される。本発明に従って提供される前記接触分解触媒は、豊富なメソ細孔構造を有する。前記低温窒素吸着法によって決定される、前記接触分解触媒の前記全細孔容積は0.200mL/g以上、好ましくは0.200mL/g~0.300mL/gであり、ここで、2nm~100nmのメソ細孔およびマクロ細孔の前記細孔容積は前記全細孔容積の70%以上、好ましくは75%~95%を占め、4nm~50nmのメソ細孔の前記細孔容積は前記全細孔容積の60%以上、好ましくは65%~85%を占める。
【0039】
〔実施例〕
以下の実施例は、読者に本発明の本質とそれがもたらす有益な効果とをよりよく理解してもらうことを目的として、本発明のさらなる説明を提供するものであるが、本発明の実施可能な範囲に対するいかなる制限としても理解されるべきではない。
【0040】
以下の実施例において前記接触分解触媒を調製するために使用される原料を以下に記載する:カオリンは76重量%の固形分含有量を有し;アルミニウムゾルは21.5重量%の酸化アルミニウム含量を有し;シリカゾルは27.0重量%のSiO含量を有し;従来の擬ベーマイトならびにメソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムの特性を表1に示し;前記酸性化擬ベーマイトは12.0重量%の固形分含有量を有し;酸性化されるときの酸化アルミニウムに対する酸(HCl)のモル比は0.20であり;使用される希土類超微粒子Y型ゼオライトREUSYは、85.0重量%の固形分含有量、24.51Aのセル定数を有し、重量%含有量に基づいて、1.6%のNaO含有量、12.0%のRE含有量を有する。前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムA~Dは、Sinopec Catalyst社によって提供され、それらの特性を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
分析方法および評価方法は以下の通りである:
比表面積および細孔容積の分析:米国Micromeritics社製のASAP 2405N V1.01自動吸着分析装置を用いることによって、低温窒素吸着静的容積測定法に従い、試料を1.33×10-2Pa、300℃で4時間、真空ガス除去を行い、吸着媒体としてNを用いることによって、77.4Kにおける前記試料の吸脱着等温線を測定した。BET式に従って、前記試料の比表面積を計算した。p/p=0.98の相対圧力で前記試料によって吸着されたNの容積を測定し、液体窒素の容積、すなわち全細孔容積に換算した。微小孔容積はt-プロット法に従って計算した。2つの間の差は、2nm~100nmのメソ細孔およびマクロ細孔の容積であり、ここで、4nm~50nmのメソ細孔と、5nm~100nmのメソ細孔およびマクロ細孔と、の両方の細孔容積は、ピークフィッティング法を用いて求める。
【0043】
触媒強度:一定量の触媒を固定装置に入れ、一定気流下で5時間吹き込み粉砕し、最初の1時間を除く最後の4時間の平均消耗%を触媒消耗指数と呼び、1時間当たりの%で測定する。当該方法および規格は、エアリフト法Q/SYLS0518-2002による。
【0044】
前記接触分解触媒の評価:前記接触分解触媒を、固定床エージング装置にて、800℃、100%スチームで12時間予備エージングした後、ACE装置にて評価する。反応原油の特性を表8に示す。反応温度は500℃であり、油に対する前記触媒の重量比は8.04である。ここで、転化率=ガソリン収率+液化ガス収率+乾性ガス収率+コークス収率、コークス選択性=コークス収率/転化率である。
【0045】
実施例1
カオリン142g、ならびに前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムA114gを水291gに加え、15分間撹拌した後、アルミニウムゾル279gを加え、60分間撹拌を続けた後、酸性化スラリーを得た;前記酸性化スラリーにゼオライトスラリー(REUSYゼオライト155gを含み、前記ゼオライトスラリー中の固形分含有量は35重量%である)を加え、30分間撹拌を続けた後、第2のスラリーを得た;前記第2のスラリーにアルミニウムゾル93gを加え、30分間撹拌を続けた後、得られた全スラリーを噴霧乾燥して成型し、次いで500℃で2時間焼成して、本発明の接触分解触媒C1を得た。得られた触媒C1の細孔分布を図2に示す。前記触媒の組成および特性を表2に示す。
【0046】
実施例2
カオリン153g、ならびに前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムB86gを水440gに加え、30分間撹拌した後、アルミニウムゾル186gを加え、60分間撹拌を続けた後、酸性化スラリーを得た;前記酸性化スラリーにゼオライトスラリー(REUSYゼオライト169gを含み、前記ゼオライトスラリー中の固形分含有量は38重量%である)を加え、40分間撹拌を続けた後、第2のスラリーを得た;前記酸性化擬ベーマイト333gを前記第2のスラリーに加え、60分間撹拌を続けた後、得られた全スラリーを噴霧乾燥して成型し、次いで500℃で2時間焼成して、本発明の接触分解触媒C2を得た。前記触媒の組成および特性を表2に示す。
【0047】
実施例3
カオリン100g、ならびに前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムC139gを水578gに加え、20分間撹拌した後、アルミニウムゾル279gとシリカゾル74gとを加え、60分間撹拌を続けた後、酸性化スラリーを得た;前記酸性化スラリーにゼオライトスラリー(REUSYゼオライト141gを含み、前記ゼオライトスラリー中の固形分含有量は38重量%である)を加え、60分間撹拌を続けた後、第2のスラリーを得た;前記第2のスラリーにアルミニウムゾル111gを加え、30分間撹拌を続けた後、得られた全スラリーを噴霧乾燥して成型し、次いで500℃で2時間焼成して、本発明の接触分解触媒C3を得た。前記触媒の組成および特性を表2に示す。
【0048】
実施例4
カオリン153g、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムD56g、ならびにアルミニウムゾル149gを水179gに加え、均一に混合し、90分間撹拌した後、酸性化スラリーを得た;前記酸性化スラリーにゼオライトスラリー(REUSYゼオライト179gを含み、前記ゼオライトスラリー中の固形分含有量は35重量%である)を加え、60分間撹拌を続けた後、第2のスラリーを得た;前記第2のスラリーに前記酸性化擬ベーマイト500gを加え、60分間撹拌を続けた後、得られた全スラリーを噴霧乾燥して成型し、次いで550℃で1.5時間焼成し、本発明の接触分解触媒C4を得た。前記触媒の組成および特性を表2に示す。
【0049】
実施例5
カオリン63g、ならびに前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムD169gを水474gに加え、45分間撹拌した後、アルミニウムゾル372gを加え、60分間撹拌を続けた後、酸性化スラリーを得た;前記酸性化スラリーにゼオライトスラリー(REUSYゼオライト155gを含み、前記ゼオライトスラリー中の固形分含有量は35重量%である)を加え、60分間撹拌を続けた後、第2のスラリーを得た;前記第2のスラリーにシリカゾル74gを加え、30分間撹拌を続けた後、得られた全スラリーを噴霧乾燥して成型し、次いで500℃で2時間焼成して、本発明の接触分解触媒C5を得た。前記触媒の組成および特性を表2に示す。
【0050】
比較例1
本比較例では、まず前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムを、塩酸を用いて酸性化し、次いで接触分解触媒を調製する従来の酸性化法を用いている。
【0051】
前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムA114gを水286gに加え、15分間撹拌した後、(酸アルミニウム重量比0.2に従って)酸性化のために36%塩酸16gを加え、60分間撹拌した後、酸性化スラリーを得た;水138gにカオリン142gを加え、60分間撹拌した後、ゼオライトスラリー(REUSYゼオライト155gを含み、ゼオライトスラリーの固形分含有量は35重量%である)を加え、30分間撹拌を続けた後、第2のスラリーを得た;前記酸性化スラリーを前記第2のスラリーと混合し30分間撹拌し、次いでアルミニウムゾル372gを加えて、60分間均一に混合した。得られたスラリーを噴霧乾燥して成型した後、500℃で2時間焼成して比較触媒DC1を得た。得られた触媒DC1の細孔分布を図3に示す。前記触媒の組成および特性を表2に示す。
【0052】
比較例2
本比較例では、前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムを、酸性化バインダーと予備混合することなく、接触分解触媒の調製に直接使用した。
【0053】
前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムA114g、ならびにカオリン142gを水811gに加え、60分間撹拌した後、酸性化スラリーを得た;ゼオライトスラリー(REUSYゼオライト155gを含み、前記ゼオライトスラリー中の固形分含有量は35重量%である)を加え、30分間撹拌を続けた後、第2のスラリーを得た;引き続きアルミニウムゾル372gを加えて30分間均一に混合し、得られた全スラリーを噴霧乾燥して成型し、500℃で2時間焼成して、比較触媒DC2を得た。前記触媒の組成および特性を表2に示す。
【0054】
比較例3
CN1436835Aの実施例1に記載された方法に従って、接触分解触媒を調製した。
【0055】
前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムA615g、REUSYゼオライト1555g、アルミニウムゾル1628g、カオリン2093g、ならびに脱イオン水9000gを十分に混合し、2時間撹拌し、均質化および噴霧乾燥して成型し、得られた微小球を450℃で0.5時間焼成して、コントロール触媒DC3を得た。前記触媒の組成および特性を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
実施例6
実施例1~5で調製した前記触媒C1~C5および比較例1~3で調製した前記触媒DC1~DC3を、固定床エージング装置にて、800℃、100%スチームで12時間予備エージングした後、ACE装置にて評価した。反応原油の特性を表3に示す。反応温度は500℃であり、油に対する触媒の重量比は8.02である。ここで、転化率=ガソリン収率+液化ガス収率+乾性ガス収率+コークス収率、全液収率=液化ガス収率+ガソリン収率+ディーゼル収率、コークス選択性=コークス収率/転化率である。評価結果を表4に示す。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
表2および図面に示すように、比較例1~3と比較して、実施例1~5では、前記全細孔容積、ならびに、前記マクロ細孔およびメソ細孔の割合が有意に増加したが、依然として良好な耐消耗性を維持している。これに対応して、表4の結果から、比較例1~3で調製した前記触媒DC1~DC3と比較して、本発明の実施例で調製した前記触媒C1~C5は、重質油収率が低下し、全液収率が上昇し、コークス収率が低下し、コークス選択性が著しく向上していることがわかる。このことから、本発明によって調製された前記接触分解触媒は、豊富なマクロ細孔構造およびメソ細孔構造を有し、この接触分解触媒は、優れた重質油分解能力および良好なコークス選択性をもたらすとともに、良好な触媒強度を有することが分かる。
【0061】
本願を好ましい実施形態と組み合わせて上記に例示している。しかし、これらの実施形態は例示的なものに過ぎず、例示的な目的を果たすに過ぎない。これに基づいて、本出願に対して様々な置換および改良を行うことができ、これらは全て本出願の保護範囲内に入る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1図1は、本発明において使用される前記メソ細孔およびマクロ細孔を有する酸化アルミニウムの細孔分布図である。
図2図2は、実施例1に従って調製された前記接触分解触媒の細孔分布図である。
図3図3は、比較例1に従って調製された前記接触分解触媒の細孔分布図である。
図1
図2
図3
【国際調査報告】