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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】歯切り盤の状態を監視する方法
(51)【国際特許分類】
   B23F 23/12 20060101AFI20240927BHJP
   G05B 19/4155 20060101ALI20240927BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B23F23/12
G05B19/4155 V
G05B19/18 W
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521173
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2022077838
(87)【国際公開番号】W WO2023061851
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】070374/2021
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599172531
【氏名又は名称】ライシャウァー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディーツ,クリスティアーン
【テーマコード(参考)】
3C025
3C269
【Fターム(参考)】
3C025HH00
3C269AB06
3C269BB17
3C269EF39
3C269KK08
3C269MN05
3C269MN21
3C269MN28
3C269MN29
3C269MN44
(57)【要約】
複数の機械軸を有する工作機械1の状態を監視する方法において、機械軸の少なくともいくつかが試験サイクルにおいて系統的に試験され、関連付けられた状態データが測定を行うことによって確認される。これに基づいて、EOLデータが予測される。このデータは、歯切り盤を使用して加工されるワークピースを含む歯車機構のノイズ挙動と相関する。状態データがEOLデータから予測される逆方向も開示されている。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機械軸を有する歯切り盤の状態を監視する方法であって、
a)少なくとも一部の前記機械軸が系統的に作動され、関連付けられた機械測定データが取得される試験サイクルを実行することと、
b)前記機械測定データのスペクトル分析を行い、前記機械測定データから機械スペクトルデータを計算することと、
c)前記機械スペクトルデータに基づいて、前記歯切り盤を用いて加工されたワークピースが、ギアトレインに取り付けられて、前記ギアトレイン内で相手歯車と噛み合って回転するときに、EOLスペクトルにおいてどの次数で励起が予想されるのかを示す予測EOLスペクトルデータを求めることと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
d)前記予測EOLスペクトルデータ又は前記予測EOLスペクトルデータから導出された少なくとも1つの量を出力すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予測EOLスペクトルデータを求めることは、伝播係数を前記機械スペクトルデータに適用することを含み、前記伝播係数は、前記機械スペクトルデータが求められた前記機械軸と前記ワークピースとの間の運動学的リンケージに依存する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記予測EOLスペクトルデータは、作動される機械軸ごとに個別に求められる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記a)~c)は、数回繰り返され、
ワークピースは、前記試験サイクルの合間に前記歯切り盤を用いて加工され、前記試験サイクルは、加工ツールがワークピースと加工噛み合いをしていない加工が中止している間に実行され、
実行された前記試験サイクル、加工された前記ワークピース又は時間の関数としての前記予測EOLスペクトルデータの推移が、可視化され及び/又は特に回帰分析によって分析される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法であって、
複数の基準機械について、前記基準機械において実行される複数の基準試験サイクルによって求められる基準機械スペクトルデータが取得可能であり、
前記基準機械スペクトルデータから、予測基準EOLスペクトルデータが求められ、
監視されている前記歯切り盤の前記機械スペクトルデータに基づいて求められた前記予測EOLスペクトルデータは、前記予測基準EOLスペクトルデータ又は前記予測基準EOLスペクトルデータから導出された量と比較され、
前記予測基準EOLスペクトルデータの統計分析を任意選択で含む、前記方法。
【請求項7】
複数の機械軸を有する歯切り盤の状態を監視する方法であって、
a)前記歯切り盤によって加工されたワークピースを備えるギアトレインに対して、前記ギアトレイン内で前記ワークピースが相手歯車と噛み合って回転し、関連付けられたEOL測定データが求められるEOL試験を行うことと、
b)前記EOL測定データのスペクトル分析を行い、前記EOL測定データからEOLスペクトルデータを計算することと、
c)前記EOLスペクトルデータに基づいて、予測状態データであって、少なくとも1つの機械軸の前記予測状態データが、その機械軸のどの次数が計算された前記EOLスペクトルデータと一致するのかを示す前記予測状態データを求めることと、
を含む、前記方法。
【請求項8】
d)前記予測状態データ又は前記予測状態データから導出された少なくとも1つの量を出力すること、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
e)少なくとも一部の前記機械軸が系統的に作動され、関連付けられた機械測定データが取得される試験サイクルを実行することと、
f)前記機械測定データから機械スペクトルデータが計算される、前記機械測定データのスペクトル分析を行うことと、
g)前記機械スペクトルデータに基づいて、前記歯切り盤によって加工されたワークピースが、ギアトレインに取り付けられて、前記ギアトレイン内で相手歯車と噛み合って回転するときに、EOLスペクトルにおいてどの次数で励起が予想されるのかを示す予測EOLスペクトルデータを求めることと、
を更に含み、
前記予測状態データを求めることは、前記EOL測定データから計算された前記EOLスペクトルデータを前記予測EOLスペクトルデータと比較することを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
機械学習アルゴリズムのトレーニングデータセットを作成する方法であって、
a)少なくとも一部の機械軸が系統的に作動され、関連付けられた状態データが測定によって求められる試験サイクルを実行することと、
b)歯切り盤が、前記状態データに対応する状態にある間に、前記歯切り盤を用いて少なくとも1つのワークピースを加工することと、
c)加工された前記ワークピースをギアトレインに取り付けることと、
d)前記ギアトレインに対して、前記EOL試験において、前記ギアトレイン内で前記ワークピースは相手歯車と噛み合って回転し、関連付けられたEOLデータが求められるEOL試験を行うことと、
e)前記状態データ及び前記対応するEOLデータを前記トレーニングデータセットに格納することと、
f)複数の試験サイクルに対して、同じ公称形状を有し、同じ加工条件下で加工されたワークピースについて前記a)~e)を繰り返すことと、
を含む、前記方法。
【請求項11】
機械学習アルゴリズムをトレーニングする方法であって、前記機械学習アルゴリズムは、請求項10に記載のトレーニングデータセットを使用してトレーニングされる、前記方法。
【請求項12】
複数の機械軸を有する歯切り盤の状態を監視する方法であって、
請求項10に記載のトレーニングデータセットを用いてトレーニングされた機械学習アルゴリズムが前記方法において使用されることを特徴とする、前記方法。
【請求項13】
前記機械学習アルゴリズムは、前記歯切り盤の状態データを入力変数として有し、予測EOLデータを出力変数として有し、
前記方法は、
a)少なくとも一部の前記機械軸が系統的に作動され、関連付けられた状態データが測定によって求められる試験サイクルを実行することと、
b)前記状態データを前記トレーニングされたMLアルゴリズムに入力変数として供給することによって、前記状態データに基づいて予測EOLデータを求めることと、
c)前記予測EOLスペクトルデータ又は前記予測EOLスペクトルデータから導出された少なくとも1つの量を任意選択で出力することと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記機械学習アルゴリズムは、EOLデータを入力変数として有し、前記歯切り盤の予測状態データを出力変数として有し、
前記方法は、
a)ギアトレインに対して、前記ギアトレイン内における前記ワークピースは相手歯車と噛み合って回転し、関連付けられたEOLデータが求められるEOL試験を行うことと、
b)前記EOLデータを前記トレーニングされたMLアルゴリズムに入力変数として供給することによって、前記EOLデータに基づいて予測状態データを求めることと、
c)前記予測状態データ又は前記予測状態データから導出された少なくとも1つの量を任意選択で出力することと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記機械学習アルゴリズムは、分類アルゴリズム、特に人工ニューラルネットワーク若しくはサポートベクターマシン、又はランダムフォレストである、請求項10~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記状態データは、機械軸の振動挙動に関して前記機械軸の状態と相関し、特に、機械測定データのスペクトル分析によって計算された機械スペクトルデータを含み、及び/又は
前記EOLデータは、前記ギアトレインのノイズ挙動と相関し、特に、EOL測定データのスペクトル分析によって計算されたEOLスペクトルデータを含む、請求項10~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
複数の機械軸を有する歯切り盤の状態を監視する装置であって、
プロセッサ(451)と、コンピュータープログラムが記憶されている記憶媒体(452)とを備え、
前記コンピュータープログラムは、前記プロセッサにおいて実行されると、以下のステップ、すなわち、
前記歯切り盤の試験サイクルであって、少なくとも一部の前記機械軸が系統的に作動され、関連付けられた状態データが測定によって求められる前記試験サイクルによって求められた前記状態データを受信するステップと、
前記歯切り盤を用いて加工されたワークピースを備えるギアトレインのノイズ挙動と相関された予測EOLデータを前記状態データに基づいて求めるステップと、
を実行する、前記装置。
【請求項18】
複数の機械軸を有する歯切り盤の状態を監視する装置であって、
プロセッサ(451)と、コンピュータープログラムが記憶されている記憶媒体(452)とを備え、
前記コンピュータープログラムは、前記プロセッサにおいて実行されると、以下のステップ、すなわち、
前記歯切り盤によって加工されたワークピースを備えるギアトレインにおけるEOL試験であって、前記ギアトレインにおける前記ワークピースが、相手歯車と噛み合って回転し、関連付けられたEOLデータが求められる前記EOL試験によって求められた前記EOLデータを受信するステップと
少なくとも1つの機械軸の振動挙動に関して少なくとも1つの前記機械軸の状態と相関する予測状態データを前記EOLデータに基づいて求めるステップと、
を実行する、前記装置。






【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯付きワークピースを加工する歯切り盤、特に、歯車研削盤の状態を監視する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯切り盤における歯付きワークピース、特に、外歯車又は内歯車の硬化仕上げの際に、指定された公称形状に対する実際に製造されたワークの実形状との公差として現れる製造偏差が自然に発生する。製造偏差は、とりわけ、歯切り盤の様々なコンポーネントの故障や摩耗によって、又は、コンポーネントの不適切な組み立てによって引き起こされる可能性がある。例えば、製造偏差は、駆動部が歯切り盤のスライドを機械コントローラーによって指定された公称位置以外の位置に移動させること、スピンドルのベアリングが摩耗すること、又は振動が十分に減衰するように機械部品が互いに適切に接続されていないことなどによって、引き起こされる可能性がある。
【0003】
硬化仕上げは、通常、ワークピースの加工における最後のステップである。この加工ステップの後、ワークピースは、ギアトレインに組み付けられる。組み付け後、ギアトレインの最終試験(「EOL試験」)が、EOL試験台(EOL:End of Line(ライン末端))上で行われる。特に、ギアトレインのノイズ挙動が試験される。ワークピースの製造偏差は、多くの場合に、望ましくないノイズ励起をもたらす。欠陥のない機械における加工中に発生する可能性がある最小の製造偏差であっても、ノイズをもたらす可能性がある。特に、電気駆動部にあっては、ギアトレインのコンポーネントが、主なノイズ源となるときがあり、ギアトレイン内で発生するノイズが、特に憂慮される。
【0004】
EOL試験中に、ギアトレインにノイズが発生しやすいことが判明した場合に必要となる高額な分解作業を回避するために、ワークピースをギアトレインに取り付ける前に、ワークピースによって引き起こされるノイズ挙動を予測できることが望ましい。測定されたギアトレインのノイズ挙動から、歯切り盤における特定の原因に関する直接的な結論を得ることができることも望ましい。
【0005】
特許文献1は、歯切り盤における補正及び/又は修正を伴う歯面の硬化仕上げの方法を開示している。この方法では、トランスミッション又は試験装置内で互いに噛み合う歯車対が、それぞれの相手歯面を考慮に入れて加工され、関連したワークピースの歯面には、周期的なうねりの補正又は修正が施される。歯車測定装置及び/又はトランスミッションにおける歯車対の回転距離の誤差測定によって、回転誤差の程度が求められる。この測定結果は、歯切り盤において製作される歯車対の歯面に対する周期的な歯面うねりの補正についての振幅、周波数及び位相位置を規定する入力値として役立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第20140256223号
【発明の概要】
【0007】
[第1の態様:ノイズ励起の予測]
第1の態様において、本発明の目的は、歯切り盤を用いて加工されたワークピースを備えるギアトレインにおける擾乱ノイズの発生を早期の段階で予測する、歯切り盤の状態を監視する方法を提供することである。
【0008】
この目的は、請求項1に記載の方法によって達成される。更なる実施形態は、従属請求項に記載される。
【0009】
したがって、複数の機械軸を有する歯切り盤の状態を監視する方法であって、以下のステップ、すなわち:
a)少なくとも一部分の機械軸が系統的に作動され、関連付けられた機械測定データが取得される試験サイクルを実行するステップと、
b)機械測定データのスペクトル分析を行い、機械測定データから機械スペクトルデータを計算するステップと、
c)機械スペクトルデータに基づいて、歯切り盤を用いて加工されたワークピースが、ギアトレインに取り付けられて、ギアトレイン内で相手歯車と噛み合って回転するときに、EOLスペクトルにおいてどの次数で励起が予想されるのかを示す予測EOLスペクトルデータを求めるステップと、
を含む、方法が開示される。
【0010】
本方法は、d)予測EOLスペクトルデータ又は予測EOLスペクトルデータから導出された少なくとも1つの量を出力すること、
を含むことができる。
【0011】
提案された方法に関して、機械測定データは、機械軸が選択的に作動している間に、試験サイクルにおいて上記のように求められる。試験サイクルは、歯切り盤の加工が中止している間に行われる。すなわち、試験サイクルの間、歯切り盤の加工ツールは、ワークピースと加工噛み合いをしていない。機械測定データは、特に、加速度センサーを用いて求められる加速度値、位置センサーを用いて求められる位置値、及び/又は電流センサーを用いて求められる電流値とすることができる。機械軸が作動している間、機械コンポーネントの周期的な励起がどの周波数又は次数において発生するのかを求めるために、機械スペクトルデータ(機械のスペクトル状態データ)が、スペクトル分析(特に次数分析)によって機械測定データから計算される。
【0012】
機械スペクトルデータに基づいて、EOLスペクトルデータが予測される。この予測は、以下の考察に基づいている。すなわち、機械コンポーネントの励起は、加工中に、製造されたワークピースに伝播される。加工ツール(工作機械)が、機械軸を使用してドレスされるとき、これらの励起は、そのようにドレスされるツールにも伝播され、そのツールから加工中にワークピースに更に伝播される。個々の機械コンポーネントの間の既知の運動学的リンケージを利用し、選択された加工パラメーターを考慮に入れると、そのような励起が製造されたワークピースにどのように影響するのかを計算することが可能である。特に、そのような励起は、ワークピースの歯面に周期的な偏差(うねり)をもたらす可能性がある。「運動学的リンケージ」又は「運動学的連鎖」という表現は、加工プロセス中に、一つのコンポーネントの動きが、別のコンポーネントに伝達されていく様相を示すのに使用される。加工プロセスにおいて、ツールスピンドルとワークピーススピンドルとの間の運動学的リンケージ、すなわち、ツールの運動とワークピースの運動との相関関係が、中心的な役割を果たす。歯切り盤が、創成研削盤又はスカイビング加工機等の創成プロセスによりワークピースを加工する機械である場合に、このリンケージは、ワークピースとツールとの間の転がり噛み合いによって特徴付けられ、ワークピースの形状及びツールの形状によって決定される。ツールの周期的な励起が、このリンケージによってワークピース歯面にうねりとしてどのように伝播されるかは、容易に計算することができる。特に、ツールの回転に基づいて、その原因となるツールの励起の次数が知られている場合には、うねりによって発生するギアトレイン内の励起が、ワークピースの回転に基づいて、どのような次数になるかを計算することは容易に可能である。これらの2つの次数の間の比は、以下では「伝播係数」と称する。運動が伝播される他の全てのコンポーネントについて、これらのコンポーネントのうちの1つの振動が他のコンポーネントにどのように影響するのかを計算すること、特に、これらのコンポーネントの摂動次数と、EOLスペクトルにおける結果として生じる摂動次数との間の対応する伝播係数を計算することも可能である。
【0013】
したがって、予測EOLスペクトルデータを計算することには、伝播係数を機械スペクトルデータに適用することを含めることができ、ここで、伝播係数は、機械スペクトルデータが求められた機械軸とワークピースとの間の運動学的リンケージに依存する。
【0014】
したがって、予測EOLスペクトルデータは、指定された方法によって取得される。これらの予測EOLスペクトルデータは、実際の機械の状態の試験に基づいており、したがって、事前に知られていない可能性がある機械における摂動源を含み、その結果、機械の既知の設計のみに基づいたEOLスペクトルデータの計算又はシミュレーションに含めることができない。その結果、本方法は、ノイズ励起が、仕上げられたギアトレインにおいて、どの次数で発生するのかの信頼できる予測を可能にする。このように、ワークピースがギアトレインに実際に取り付けられる前であっても、ノイズ励起を予測することができる。影響を受けたワークピースは、除外することができ、必要に応じて、より詳細に検査することができ、したがって、完全に組み立てられたギアトレインの煩雑な分解を回避することができる。加えて、予想されるノイズの発生をもたらすエラーの原因を特定し、除去するための対策を講じることができる。
【0015】
予測EOLスペクトルデータを求めることは、必ずしも様々な次数におけるノイズ強度を定量的に予測することではなく、むしろ、まず第一にどの次数が「摂動次数」であるのか、すなわち、どの次数がそもそも大きなノイズ強度を有すると予想されるのかを定性的に示すことであることに留意することは重要である。特に、予測EOLスペクトルデータは、摂動次数及び関連する強度インジケーターを含むことができ、強度インジケーターは、摂動次数における予想摂動強度の推定値(非常に粗い推定値にすぎない可能性がある)を表す。
【0016】
特に、予測EOLスペクトルデータは、作動される機械軸ごとに個別に求めることができる。すなわち、試験サイクル中に動作される機械軸ごとに、個々の機械測定データが求められ、この個々の機械測定データから、個々の機械スペクトルデータが計算され、これに基づいて、個々のEOLスペクトルデータが、作動される機械軸ごとに予測される。このようにして、どの機械軸がEOLスペクトルデータにおけるどの摂動次数を引き起こす可能性があるのかを予測することが可能になる。
【0017】
好ましくは、ステップa)~c)は数回繰り返され、
ワークピースは、試験サイクルの合間に歯切り盤を用いて加工され、試験サイクルは、加工ツールがワークピースと加工噛み合いをしていない加工が中止している間に実行される。次いで、試験サイクル又は時間の関数としての予測EOLスペクトルデータの推移が、可視化され及び/又は分析される。これは、単一の試験サイクルに基づく予測EOLスペクトルデータは、ほとんど価値のないものになることがあり得るという考えに基づいている。一方、加工中に、歯切り盤コンポーネントの摩耗又は故障が発生する可能性があり、その場合には、予測EOLスペクトルデータに大きな変化が現れる。したがって、予測EOLスペクトルデータの時間的な推移を考慮することが提案される。予測EOLスペクトルデータの時間変化を適切に可視化することによって、時間の経過とともにノイズ励起の挙動の著しい変化が生じると予想される摂動次数を視覚的に容易に特定することができる。計算されたEOLスペクトルデータの推移は、数値的にも分析することができる。例えば、数値分析は、少なくとも2次の多項式等の適切な回帰関数を使用して、選択された摂動次数又は全ての摂動次数の予想摂動強度の回帰分析を行うことを含むことができる。例えば、少なくとも1つの摂動次数が、特定の警告基準を満たす摂動強度の勾配を有すると予想される場合には、これに基づいて、警告インジケーターを決定して出力することができる。
【0018】
多くの異なる基準試験サイクルにおいて求められる多くの基準機械についての基準機械スペクトルデータが取得可能である場合には、これらの基準機械スペクトルデータのそれぞれから基準EOLスペクトルデータを予測することができる。その場合に、評価対象の機械の予測EOLスペクトルデータを、基準機械の予測基準EOLスペクトルデータ又はそれらのデータから導出された量と比較することによって、評価対象の機械の予測EOLスペクトルデータを自動的に評価することが可能であり、したがって、特別な知識を必要とせず、評価の基礎として測定されたEOLスペクトルを必要とすることなく、予想されるノイズの問題を自動的に推論することが可能である。特に、このために予測基準EOLスペクトルデータの統計分析を行うことができる。この手法及び更なる実施形態の根底にある考えに関しては、本出願と同日付けで出願された同じ出願人による「工作機械の状態を監視する方法」という発明の名称の特許出願を参照されたい。この特許出願の内容は、その全体が参照により本開示に援用される。
【0019】
[第2の態様:ノイズ問題を引き起こすコンポーネントの特定]
逆のことも可能である。すなわち、ワークピースがギアトレインにおいて相手歯車と噛み合って回転している間、EOL試験台においてEOL測定値を測定し、EOL測定値のスペクトル分析を行って、測定されたEOLスペクトルデータを求め、EOLスペクトルデータから、歯切り盤状態の個々のコンポーネントのいずれかが、それらの状態に起因して、EOLスペクトルデータに摂動次数を引き起こしているのかを結論付けることも可能である。EOL測定値は、EOL試験台の任意の適切なセンサー、特に、加速度センサー及び回転誤差を求めるセンサーによって求めることができる。
【0020】
したがって、複数の機械軸を有する歯切り盤の状態を監視する方法であって、以下のステップ、すなわち:
a)歯切り盤によって加工されたワークピースを備えるギアトレインに対して、ギアトレイン内でワークピースが相手歯車と噛み合って回転し、関連付けられたEOL測定データが求められるEOL試験を行うステップと、
b)EOL測定データのスペクトル分析を行い、EOL測定データからEOLスペクトルデータを計算するステップと、
c)EOLスペクトルデータに基づいて、予測状態データであって、少なくとも1つの機械軸の予測状態データが、その機械軸のどの次数が計算されたEOLスペクトルデータと一致するのかを示す予測状態データを求めるステップと、
を含、方法が開示される。
【0021】
本方法は、
d)予測状態データ又は予測状態データから導出された少なくとも1つの量を出力すること、
を含むことができる。
【0022】
この方法を用いると、歯切り盤を用いて加工されたワークピースがギアトレインに取り付けられた後に実際に発生した摂動ノイズの原因が、どの機械軸、及び、該当する場合にはこれらの機械軸のどのコンポーネントにあるのかに関する結論を得ることができる。この方法は、歯切り盤のコンポーネント間の運動学的リンケージが既知であり、選択された加工パラメーターが考慮される場合に、歯切り盤のコンポーネントについて求められた測定データの次数から、ギアトレインにおけるワークピースの回転に関連した摂動ノイズの次数を容易に計算することができるということも利用する。
【0023】
特に、この方法は、歯切り盤自体における状態測定を必要とすることなく実行することができる。一方、この方法が歯切り盤における状態測定と組み合わされると、特定の利点が得られる。この点において、本方法は、
e)少なくとも一部の機械軸が系統的に作動され、関連付けられた機械測定データが取得される試験サイクルを実行することと、
f)機械測定データから機械スペクトルデータが計算される、スペクトル分析を行うことと、
g)機械スペクトルデータに基づいて、歯切り盤によって加工されたワークピースが、ギアトレインに取り付けられて、ギアトレイン内で相手歯車と噛み合って回転するときに、EOLスペクトルにおいてどの次数で励起が予想されるのかを示す予測EOLスペクトルデータを求めることと、
を更に含むことができ、 予測状態データを求めることは、EOL測定データから計算されたEOLスペクトルデータを予測EOLスペクトルデータと比較することを含む。
【0024】
ギアトレインの試運転中に測定によって求められたEOLスペクトルデータを、歯切り盤の測定データから予測されたEOLスペクトルデータと比較することによって、摂動ノイズの原因を特に信頼性をもって求めることができる。
【0025】
[第3の態様:機械学習アルゴリズムの使用]
これまで論述してきた方法は、歯切り盤のコンポーネント間の運動学的リンケージの知識を必要とする。別の態様において、本発明は、運動学的リンケージの知識がなくても、機械状態の測定に基づくギアトレインのノイズ挙動の予測、又は、ギアトレインの測定されたノイズ挙動からの歯切り盤の状態に関する結論の取得を可能にする方法を提供する。この方法は、トレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用する。このアルゴリズムの入力変数は歯切り盤の状態データであり、出力変数は歯切り盤の予想されるノイズ挙動の特徴を示す予測EOLデータであるか、又は、入力変数がEOLデータであり、出力変数が機械の予想される状態の特徴を示す予測状態データである。
【0026】
機械学習アルゴリズムは、以下の手順、すなわち、
a)少なくとも一部の機械軸が系統的に作動され、関連付けられた状態データが測定によって求められる試験サイクルを実行することと、
b)歯切り盤が、状態データに対応する状態にある間に、歯切り盤を用いて少なくとも1つのワークピースを加工することと、
c)加工されたワークピースをギアトレインに取り付けることと、
d)ギアトレインに対して、ギアトレイン内でワークピースは相手歯車と噛み合って回転し、関連付けられたEOLデータが求められるEOL試験を行うことと、
e)状態データ及び対応するEOLデータをトレーニングデータセットに格納することと、
f)複数の試験サイクルに対して、同じ公称形状を有し、同じ加工条件下で加工されたワークピースについてステップa)~e)を繰り返すことと、
g)機械学習アルゴリズムをトレーニングデータセットでトレーニングすることと、
を使用してトレーニングされる。
【0027】
したがって、トレーニングデータセットは、同じ公称形状を有し、同じ加工条件下で加工され、同じタイプのギアトレインに取り付けられた複数のワークピースの多数の状態データを対応するEOLデータとともに含む。
【0028】
公称形状は、特に、歯直角モジュール、歯数及び歯のねじれ角等の量を含むが、指定された歯面修正等の更なる量を含んでもよい。加工状態は、特に、機械軸が加工動作中に同じように移動される場合には、同じであるとみなされる。例えば、創成研削が加工プロセスとして使用される場合において、ワークピースが、同じ半径方向の送り、同じ軸方向送り率、同じシフト速度で加工され、ツールの回転速度が全てのワークピースについて同じであり、使用される研削ウォームが全てのワークピースについて同じ条数及び同じピッチ高さを有することで、その結果として、ワークピースの回転速度も同じである場合には、
加工状態は同じである。
研削ウォームが、回転するディスク状のドレスツールを用いてドレスされるドレス可能な研削ウォームである場合には、ドレッシング中の状態、特に、ドレッシングプロセス中のツールスピンドルの回転速度及びドレスツールの回転速度も、加工パラメーターの一部である。
【0029】
機械学習アルゴリズムは、状態データ及び対応するEOLデータを用いてトレーニングされる。
その結果、機械学習アルゴリズムは、歯切り盤のコンポーネント間の運動学的リンケージの知識を必要とすることなく、状態データに基づくEOLデータの予測又はその逆のEOLデータに基づく状態データの予測を行うことができる。
【0030】
これに関して使用することができる多くの異なるタイプの機械学習アルゴリズムが知られており、トレーニングデータセットの構造は、それに応じて変化し得る。特に、分類アルゴリズムが、実際の実施には適している。このために、出力変数は、限られた数のクラスに削減することができる。例えば、入力変数がEOLデータであり、出力変数が予測状態データである場合に、予測状態データは、例えば、機械軸ごとに1つの実数値から構成することができる。各値は、その場合に、例えば、該当する機械軸が観測されたEOLデータの原因である確率を示すことができる。トレーニングデータは、その場合に、機械軸ごとに単一の実数状態値を表す状態データと、関連付けられたEOLデータとを含むことになる。例えば、入力変数が状態データであり、出力変数が予測EOLデータである場合に、予測EOLデータは、比較的少数の次数(実際面で特に重要な次数)について次数ごとに1つの実数値から構成することができる。各値は、その場合に、例えば、該当する次数の予測相対スペクトル強度を示すことができる。トレーニングデータは、その場合に、対応するEOLデータを含むことになる。もちろん、全く異なる、より一層複雑な出力量も考えることができる。実際に実施する場合には、例えば、人工ニューラルネットワーク(ANN:artificial neural network)又はサポートベクターマシン(SVM:support vector machine)が適している。特に簡単な例では、入力変数は状態データとすることができ、出力変数は、EOL試験台におけるギアトレイン全体の包括的なノイズ挙動を特徴付ける単一の実数値である。例えば、ランダムフォレストが、そのような値を予測する機械学習アルゴリズムとして適している。そのような値を用いると、例えば、予想される問題のあるノイズ挙動を容易に検出することができ、影響を受けたワークピースがギアトレインに取り付けられるのを防ぐために対策を講じることができる。
【0031】
状態データは、一般に、機械軸の振動挙動に関する機械軸の状態と相関する様々な種類のデータを含むことができる。特に、状態データは、第1の態様及び第2の態様に関して定義された機械スペクトルデータを含むことができる。
【0032】
EOLデータは、ギアトレインのノイズ特性と相関する様々なタイプのデータも含むことができる。特に、EOLデータは、第1の態様及び第2の態様に関して定義されたEOLスペクトルデータを含むことができる。
【0033】
トレーニングデータは、データベースに記憶することができる。このデータベースは、監視されている機械から遠隔に配置することができる。このデータベースは、クラウドで、例えば、サービスとして複数のユーザーによって共有されるコンピューターリソースの形態で実装することもできる。評価コンピューターは、機械学習アルゴリズムのトレーニングするために、データベースにアクセスすることができる。この評価コンピューターは、好ましくは工作機械から空間的に離れている。この評価コンピューターは、ネットワーク接続によって工作機械に接続される。この評価コンピューターも、単一の物理装置である必要はなく、クラウドで実装することができる。
【0034】
本発明は、プロセッサと、コンピュータープログラムが記憶されている記憶媒体とを備える、複数の機械軸を有する歯切り盤の状態を監視する装置を更に提供する。コンピュータープログラムは、プロセッサにおいて実行されると、上記で説明した方法のうちの1つの方法ステップの少なくとも一部分を実行する。本発明は、対応するコンピュータープログラムを更に提供する。このコンピュータープログラムは、不揮発性記憶媒体上に記憶することができる。
【0035】
本発明の好ましい実施形態が、以下で図面を参照して説明される。図面は、本発明のこれらの好ましい実施形態の例示を目的とするものであり、これらの好ましい実施形態の限定を目的とするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、創成研削盤の概略図である。
図2図2は、測定サイクルにおいて取得されたスペクトルデータを説明する図である。
図3図3は、EOL試験台を有する概略図である。
図4A図4Aは、機械コンポーネントの次数を、EOL試験台においてギアトレインに取り付けられるワークピースの次数に変換する表から抜粋したものを示す図である。
図4B図4Bは、機械コンポーネントの次数を、EOL試験台においてギアトレインに取り付けられるワークピースの次数に変換する表から抜粋したものを示す図である。
図5図5は、スペクトル予測データを説明する図である。
図6図6は、摂動次数における摂動強度の時間的な推移の概略図である。
図7図7は、機械学習アルゴリズムを示す概略図である。
図8図8は、機械学習アルゴリズムの例示的なトレーニングデータの抜粋を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[創成研削盤の例示的な構造]
図1は、歯切り盤の一例としての創成研削盤1を示しており、以下、これを略して「機械」とも称する。機械1は、機械ベッド11を有し、この機械ベッド上で、ツールキャリア12が半径方向の送り方向Xに沿って変位可能にガイドされる。ツールキャリア12は、軸方向スライド13を保持し、軸方向スライド13は、ツールキャリア12に対して軸方向の送り方向Zに沿って変位可能にガイドされる。研削ヘッド14は、軸方向スライド13に取り付けられており、加工対象の歯車のねじれ角に適合するように、X方向(いわゆるA軸)に平行に延びる旋回軸の周りに旋回することができる。また、研削ヘッド14は、ツールスピンドル15を研削ヘッド14に対してシフト方向Yに沿ってシフトさせることができるシフトスライドを保持する。ウォーム形状の歯型の砥石(研削ウォーム)16が、ツールスピンドル15にクランプされている。研削ウォーム16は、ツールスピンドル15によって駆動されて、ツール軸Bの周りを回転する。
【0038】
機械ベッド11には、旋回軸C3の周りの少なくとも3つの位置の間で旋回することができるタレットの形態の旋回ワークピースキャリア20も搭載されている。2つの同一のワークピーススピンドルが、ワークピースキャリア20に直径方向に互いに対向して取り付けられている。これらのワークピーススピンドルのうち、関連するテールストック22を伴う一方のワークピーススピンドル21のみが図1において見えている。ワークピースは、ワークピーススピンドルのそれぞれにクランプされ、ワークピース軸C1又はC2の周りを回転するように駆動可能である。図1に見えているワークピーススピンドル21は、このワークピーススピンドル21にクランプされたワークピース23を、研削ウォーム16を用いて加工することができる加工位置に位置している。180°オフセットされ、図1において見えていないもう1つのワークピーススピンドルは、完成したワークピースをこのスピンドルから取り除くことができるとともに新たな未加工部材をこのスピンドルにクランプすることができるワークピース交換位置に位置している。ドレス装置30が、ワークピーススピンドルに対して90°オフセットされて取り付けられている。
【0039】
機械1は、このように、対応する駆動部の制御下で移動させることができるスライド又はスピンドル等の多数の可動コンポーネントを有する。これらの駆動部は、技術の世界では、多くの場合に「NC軸」若しくは「機械軸」と称されるか、又は、「軸」と略称される。場合によっては、この呼称には、スライド又はスピンドル等の駆動部によって駆動されるコンポーネントも含まれる。
【0040】
機械1は、多数のセンサーも有する。例として、2つのセンサー18,19のみが図1に概略的に示されている。センサー18は、研削スピンドル15のハウジングの振動を検出する加速度センサー(振動センサー)である。センサー19は、ツールキャリア12に対するZ方向に沿った軸方向スライド13の位置を検出する位置センサーである。一方で、機械1は、これらに加えて、複数の更なるセンサーも備える。これらのセンサーには、特に、1つの直線軸の実際の位置をその都度検出する更なる位置センサーと、1つの回転軸の回転位置をその都度検出する回転角センサーと、1つの軸の駆動電流をその都度検出する電流センサーと、1つの駆動されるコンポーネントの振動をその都度検出する更なる振動センサーとが含まれる。
【0041】
機械1の全ての駆動される軸は、機械コントローラー40によってデジタル制御される。機械コントローラー40は、いくつかの軸モジュール41と、制御コンピューター42と、制御パネル43とを備える。制御コンピューター42は、制御パネル43からのオペレーターコマンドと、機械1の様々なセンサーからのセンサー信号とを受信し、これらから軸モジュール41に対する制御コマンドを計算する。また、制御コンピューター42は、動作パラメーターを制御パネル43に表示用に出力する。軸モジュール41は、それらの出力においてそれぞれ1つの機械軸の制御信号を提供する。
【0042】
監視装置44が、制御コンピューター42に接続されている。
【0043】
監視装置44は、機械1に関連付けられた別個のハードウェアユニットとすることができる。監視装置44は、それ自体既知のインターフェース、例えば既知のProfinet(プロフィネット)規格を介して制御コンピューター42に接続することもできるし、ネットワーク、例えばインターネットを介して制御コンピューター42に接続することもできる。監視装置44は、空間的に機械1の一部であってもよいし、機械1から空間的に遠隔に位置していてもよい。
【0044】
監視装置44は、機械の動作中に制御コンピューター42から様々な異なる測定データを受信する。制御コンピューターから受信する測定データの中には、制御コンピューター42によって直接取得されたセンサーデータ、及び制御コンピューター42によって軸モジュール41から読み出されたデータが含まれ、例えば、様々な機械軸の目標位置及び軸モジュールにおける目標電流消費を示すデータが含まれる。
【0045】
監視装置44は、任意選択で、更なるセンサーからのセンサーデータを測定データとして直接受信するそれ自身のアナログセンサー入力及び/又はデジタルセンサー入力を有することができる。更なるセンサーは、通常、実際の加工プロセスの制御に直接必要とされないセンサー、例えば、振動を検出する加速度センサー、又は温度センサーである。
【0046】
監視装置44は、代替的に、例えば、制御コンピューター42のプロセッサにおいて実行される機械コントローラー40のソフトウェアコンポーネントとして実装することができるし、以下でより詳細に説明するサービスサーバー45のソフトウェアコンポーネントとして設計することもできる。サービスサーバー45は、概略的にのみ示されているプロセッサ451と、記憶媒体452とを有する。
【0047】
監視装置44は、サービスサーバー45と直接、又は、インターネット及びウェブサーバー47を介して通信する。サービスサーバー45は、同様に、データベースDBを有するデータベースサーバー46と通信する。これらのサーバーは、機械1から遠隔に位置していてもよい。サーバーは、、物理的に単一の装置である必要はない。特に、サーバーは、いわゆる「クラウド」における仮想ユニットとして実装されてもよい。
【0048】
サービスサーバー45は、ウェブサーバー47を介して端末装置48と通信する。端末装置48は、特に、受信データ及びそれらの評価を可視化するウェブブラウザーを実行することができる。端末装置には、特別な計算能力は要求されない。例えば、エンドデバイスは、デスクトップコンピューター、ノートブックコンピューター、タブレットコンピューター、携帯電話等とすることができる。
【0049】
[ワークピースロットの加工]
以下では、ワークピースが機械1を用いてどのように加工されるのかを説明する。
【0050】
まだ加工されていないワークピース(未加工部材)を加工するために、ワークピースは、自動ワークピースチェンジャーによって、ワークピース交換位置にあるワークピーススピンドルにクランプされる。ワークピースの交換は、加工位置にあるもう1つのワークピーススピンドルにおける別のワークピースの加工と並行して行われる。加工対象の新たなワークピースがクランプされ、別のワークピースの加工が完了すると、加工対象の新たなワークピースを有するスピンドルが加工位置に移動するように、ワークピースキャリア20はC3軸の周りに180°旋回される。旋回プロセスの前及び/又は間に、歯合せ動作が、関連付けられた歯合せプローブを用いて実行される。このために、ワークピーススピンドル21が回転され、ワークピース23の歯溝の位置が、歯合せプローブ24を用いて測定される。転がり角が、これに基づいて求められる。
【0051】
加工対象のワークピース23を保持するワークピーススピンドルが加工位置に到達すると、ツールキャリア12をX軸に沿って移動させることによって、ワークピース23は、研削ウォーム16と衝突することなく噛み合わされる。ワークピース23は、この時、転がり噛み合いした研削ウォーム16によって加工される。加工中に、ワークピースは、半径方向Xの送りを一定として、Z軸に沿って連続的に前進される。加えて、ツールスピンドル15は、研削ウォーム16の未使用のエリアを連続的に加工に使用するために、ゆっくりと且つ連続的にシフト軸Yに沿って移動される(いわゆるシフト移動)。
【0052】
ワークピース加工と並行して、完成したワークピースは、もう1つのワークピーススピンドルから取り除かれ、別の未加工部材がこのスピンドルにクランプされる。
【0053】
一定数のワークピースを加工した後、研削ウォーム16を使用し続けたことにより、研削ウォームの切れ味が過度に悪くなり及び/又は歯面の形状が過度に不正確になった場合には、研削ウォームはドレスされる。このために、ワークピースキャリア20は、ドレス装置30が研削ウォーム16と対向する位置に達するように±90°旋回される。このとき、研削ウォーム16は、ドレスツール33を用いてドレスされる。ドレスツールは、ここでは、回転するドレスホイールである。
【0054】
[歯切り盤の試験サイクル]
加工が中止されている間に、監視装置44は機械コントローラー42と連携して試験サイクルを実行し、機械1の個々のコンポーネント又は全てのコンポーネントの状態が調べられる。そのような試験サイクル中に、選択された一部の機械軸又は全ての機械軸が系統的に作動され、機械に対する測定が行われる。
【0055】
例えば、直線的に移動可能コンポーネントのそれぞれが、関連付けられた機械軸とともに移動し、そのコンポーネントの現在の瞬間的な位置が、上述の位置センサーを用いて連続的に求められる。この処理から、仕様(公称位置)と測定(実際の位置)との間の位置偏差が継続的に求められ、監視装置44に送信される。同じことが、回転駆動されるスピンドルについても行うことができ、その場合には、回転角センサーが位置偏差を求めるのに使用される。
【0056】
選択された機械軸の振動挙動も、該当する機械軸が稼働されている間に求められる。これらのコンポーネントに接続された加速度センサー(振動センサー)が、このために使用される。振動測定の結果も、監視装置44に送信される。
【0057】
さらに、機械軸の駆動モーターが稼働されている間、それらの駆動モーターの消費電力が連続的に求められる。例えば、軸モジュール41内に組み込まれた電流センサーを、このために使用することができる。電流測定の結果も、監視装置44に送信される。
【0058】
この全ては、1つの機械軸が単独で作動されている間に行うことができる。ただし、2つ以上の機械軸が同時に作動されるときの機械の挙動が記録されるように、2つ以上の機械軸を組み合わせて作動させることも可能である。この場合に、例えば、単一の機械軸が作動するときの振動挙動のみに基づいて予想されるよりも大きな振動が増幅されて発生する可能性もあるし、2つの機械軸が同期して作動するときにのみ求めることができるコントローラー誤差が検出される可能性もある。
【0059】
[状態データ]
監視装置44は、受信された測定データから様々な状態データを求める。これらの状態データによって、機械又はその個々のコンポーネントの状態についての直接又は間接的な結論を得ることが可能になる。特に、状態データは、スペクトル分析によって測定データから取得されたスペクトルデータを含む。完全なスペクトルを求めることもできるし、選択された離散的な励起周波数におけるスペクトル強度のみを求めることもできる。
【0060】
図2は、フィルタリング及びFFT演算によって、機械軸(ここではB軸、すなわちツールスピンドル)の作動中に記録される加速度センサー、位置センサー又は電流センサーの時間信号から取得することができるスペクトルの一例を示している。図2のスペクトルは、該当する機械軸の回転周波数の整数倍及び非整数倍(次数)において、いくつかの明確に視認することができるピークを含む。
【0061】
例えば、ツールの回転速度及びその倍数における強いピークは、ツールスピンドルの同芯性の誤差を示す可能性がある。ツールの回転速度のより高い倍数におけるピークは、ツールスピンドルにおけるベアリング損傷を示す可能性があり、ベアリング次数は、倍数から推論することができる。ベアリング次数が判明すると、ピークの原因となるベアリングを特定することができる。
【0062】
監視装置44は、このように取得された状態データをサービスサーバー45に送信する。
【0063】
[EOL試験]
仕上げ加工されたワークピースは、ギアトレインにそれぞれ取り付けられる。ギアトレインは、出荷前にEOL試験台において試験される。これについては、図3を参照してより詳細に説明する。
【0064】
図3は、機械1を、既に上述した様々なサーバー45~47及び端末装置48とともに非常に概略的に示している。また、非常に概略的なEOL試験台2も示されている。このEOL試験台は、ウェブサーバー47を介してサービスサーバー45と通信する。
【0065】
前述したように、機械1は、加速度センサー(振動センサー)51、位置センサー52、及び電流センサー53を含む複数のセンサーを有する。同じく前述したように、機械は、これらのセンサーを使用して測定データを収集し、これらの測定データから導出される状態データをサービスサーバー45に送信する。
【0066】
EOL試験台も、様々なセンサーを有し、これらのセンサーには、ギアトレインに取り付けられたワークピースが相手歯車と噛み合って回転するときの音響信号を測定する加速度センサー54、回転角センサー等が含まれる。EOL試験台は、これらからスペクトル分析によってEOLデータを計算し、それらのEOLデータのサービスサーバー45への送信も行う。
【0067】
[サービスサーバー]
サービスサーバー45は、受信データを処理し、必要に応じて受信データから更なる量を計算し、必要に応じて受信データ及び計算された更なる量をデータベースDBに記憶する。特に、サービスサーバーは、以下のデータを記憶する。
・状態データが求められた機械と、試験サイクルにおける関連付けられた動作(特に、作動される機械軸)、及び、試験サイクルの時間を一意に識別可能な関連付けられた状態識別データを有する状態データ;
・ワークピースの一意の識別を可能にするワークピース識別データを伴う各ワークピースの加工プロセスのプロセスデータ;
・関連付けられたワークピース識別データを伴うEOL試験台からのEOLデータ。
【0068】
サービスサーバーは、データベースからデータを読み取り、マージすることができる。特に、サービスサーバーは、特定のワークピースのEOLデータを、関連付けられたプロセスデータ及び処理状態に対する機械状態を最もよく特徴付けるそれらの機械状態データとマージして、それぞれデータセットを形成することができる。
【0069】
[運動学的リンケージに基づくEOLスペクトルにおける摂動ノイズ励起の予測]
サービスサーバーは、EOL試験台において摂動次数の強度の定性的予測を行うことができる。このために、サービスサーバーは、EOL試験台において対応する予想励起スペクトル(EOLスペクトル)を図2のスペクトルから計算する。
【0070】
この計算において、サービスサーバーは、機械1のコンポーネント間の既知の運動学的リンケージを利用する。これについては、図4A及び図4Bを参照してより詳細に説明する。
【0071】
図4Aは、B軸(すなわちツールスピンドル)の既知の可能な摂動次数と、EOLスペクトルにおける対応する予想摂動次数とが入力された表の一セクションの一例を示している。本例において、これらの摂動次数は、ツールスピンドルとワークピースとの間の運動学的リンケージによって、すなわちツールとワークピースとの間の転がり噛み合いによって与えられ、ワークピース及び研削ウォームの形状によって決まる固定比率3.45にある。比喩的に言えば、この比率は、B軸の振動がワークピースの歯面上のうねりにどのように伝播されるのかを示している。この比率は、研削ウォームとワークピースとの間の接触状態を考慮に入れることによって計算することができる。この比率は、以下では「伝播係数」と称する。B軸の可能な摂動次数は、B軸のコンポーネントの次数、例えばベアリング次数及びモーター次数が知られている場合には、事前に計算することができる。B軸の実際の摂動次数は、測定によって求めることができる。
【0072】
図4Bは、Y軸(すなわちシフト軸)の可能な摂動次数と、EOLスペクトルにおける対応する予想摂動次数とが入力された表の一セクションの一例を示している。この表は、一方で、これらの摂動次数の原因となる可能性があるY軸の異なるコンポーネント、例えばボールスクリュー駆動部BSDと駆動モーターとを区別し、他方で、ワークピース加工(研削)及びドレッシング中の振動に起因するEOLスペクトルにおける摂動次数を区別する。研削中の振動は、ワークピースの歯面上の歯面波紋(うねり)に直結する。ドレッシング中の振動は、最初に研削ウォーム上の歯面波紋をもたらし、そこから研削中のワークピース歯面上の歯面波紋にも変換される。Y軸の可能な摂動次数とEOLスペクトルにおける結果の摂動次数との間の対応する伝播係数も、運動学的リンケージと、研削中及びドレッシング中の加工パラメーターとが既知である場合には、容易に計算することができる。Y軸の可能な摂動次数は、再度、測定又は計算することができる。
【0073】
機械軸の可能性のある摂動次数と、その結果としてのEOLスペクトルにおける摂動次数とについてのこのタイプの分析は、研削プロセスに関与する機械軸ごとに行うことができる。
【0074】
次に、EOLスペクトルの予測が、機械における試験サイクルにおいて求められたスペクトルと、機械軸の摂動次数とEOLスペクトルにおける関連付けられた摂動次数との間の既知の伝播係数とに基づいて行われる。これについては、図5を参照してより詳細に説明する。図5は、試験サイクルにおけるB軸の試験が、図2のスペクトルをもたらしたときに予想された予測EOLスペクトルを示している。この予測EOLスペクトルは、図2のスペクトルと本質的に同じであるが、一例として上記に既述した伝播係数3.45によって横軸に沿って引き伸ばされている。しかしながら、このEOLスペクトルの絶対信号値は、慎重に考察されるべきである。すなわち、結局のところ、所与の摂動次数のEOL信号が実際にどの程度強いのかは、原因となる機械軸の対応する摂動次数の強度だけでなく、ワークピース加工中の多数の他の要因及びギアトレイン内におけるワークピースの取り付け状態にも依存する。この点において、図5のスペクトルでは、予想される信号強度について定量的な説明を行うことはできない。しかしながら、図5のスペクトルは、該当する機械軸のスペクトルに存在する摂動次数に起因して、どの摂動次数がEOLスペクトルに実際に存在するのかの予測を可能にするとともに、これらの摂動次数における予想される信号強度の定性的推定を可能にする。例えば、図5のスペクトルは、特に不快なものとして知覚されるノイズを引き起こす特定の対象となる摂動次数における信号強度の粗い推定を可能にする。そのような摂動次数は、図5では一例として円のマークが付けられている。
【0075】
全体として、どのような原因に起因して、どの程度の信号強度を有するどのような摂動次数が、EOLスペクトルにおいて予想されるかについて、適切な予測を行うことができる。
【0076】
例えば、ツールスピンドルの摩耗したベアリングは、ツールスピンドルの振動を引き起こす可能性があり、これらの振動(ツールの回転に関連する振動)の次数はベアリングの次数によって決まる。ベアリングの次数は、ベアリングの設計に起因し、多くの場合にベアリング製造元から取得することができる。したがって、試験サイクルにおいて測定される振動の直接の原因は、摩耗したベアリングにあり得る。これらの振動は、例えば、ワークピーススピンドルのハウジング上にある加速度センサーによって測定することができる。振動は、加工プロセスによってワークピースに伝播され、歯面上の周期的な偏差(波紋/うねり)としてワークピースに現れる。ギアトレインに取り付けた後、これらの波紋は、ワークピースが相手歯車と歯が噛み合って回転するときにノイズ励起として現れる。ギアトレインにおけるワークピースの回転に関係したこれらのノイズ励起の次数は、上記考察に基づいて容易に計算することができる。このようにして、摩耗したベアリングがギアトレインのノイズスペクトルにどのように影響を与えるのかを計算することが可能である。
【0077】
図5の計算されたスペクトルだけでは、予想される信号強度について定量的に説明することはできない。しかしながら、この予想されるスペクトルが試験サイクルごとにどのように変化するのかを観測することによって、どの摂動次数がどのように変化するのかを非常に良好に推定することができる。これについては、図6を参照して以下に例示する。図6は、特定の次数(ここでの次数は52)のEOL試験台における予想スペクトル強度Iが、機械を用いて加工されたワークピースの数の関数としてプロットされている図を示している。予想されるノイズ強度が、時間の経過とともに大幅に増加していることを見て取ることができる。適切な回帰関数(ここでは2次回帰関数)に当てはめることによって、この増加を定量化することができ、求められた回帰パラメーターに応じて、適切なアクションを誘発させることができ、例えば、警告信号を発することができる。異なるEOL次数における予想される信号強度の時間的な推移も適切な方法で可視化することができる。これによって、経験の浅いユーザーであってもノイズの問題を解明することが可能になる。
【0078】
[運動学的リンケージに基づく摂動のソースの特定]
逆のことも可能である。すなわち、EOLスペクトルが、EOL試験台において測定によって求められた場合に、上記考察を使用して、どの機械軸及び必要に応じて機械軸のどのコンポーネントが、測定されたEOLスペクトルにおいて摂動次数を引き起こしたのかを推定することができる。このために、機械軸のどの次数が、測定されたEOLスペクトルにおける摂動次数に対応するのかが逆算され、機械軸のスペクトルにおける予想される摂動次数が、このように逆算された次数に対応するコンポーネントが探索される。このプロセスは、容易に自動化することができる。
【0079】
[運動学的リンケージの知識を伴わない手順]
駆動トレインの運動学的リンケージが判明していない場合、又は、他の理由から計算に使用されるべきでない場合には、機械学習アルゴリズムを使用して、特定のEOL摂動次数での信号強度を予測したり、摂動源を特定したりすることが可能である。
【0080】
これについては、以下で図7を参照して説明する。
図7は、人工ニューラルネットワーク(ANN)の非常に単純化された概略図である。この例では、このネットワークは、3つの入力と2つの出力、そして、1つの隠れた層のみを有する。実際には、ANNは、通常、より多くの入力、出力及び隠れた層を有する。
【0081】
本例では、機械の軸B、軸Y及び軸Zのうちの1つの振動傾向をそれぞれ特徴付ける状態データが、ANNの入力に供給される。ANNは、2つの特定のEOL次数、ここでは次数52及び59における予想スペクトル強度として、このデータから予測EOLスペクトルデータを計算する。
【0082】
ANNは、トレーニングデータを用いて事前にトレーニングされたものである。図8は、そのようなトレーニングデータの一セクションの一例を示している。
図8は、一方で、機械の多くの試験サイクルから求められた状態データが入力された表を示している。他方で、ギアトレインにおけるEOL測定によって取得された次数52及び59でのスペクトル強度として、EOLデータが入力される。これらのギアトレインには、状態データが取得された状態(すなわち、それぞれの試験サイクルの直前及び/又は直後に)で、機械を用いて加工されたワークピースが取り付けられていた。表は、このタイプの行を非常に多く含む。表は、図1及び図3のデータベースDBから取得することができる。ANNは、このデータを用いてそれ自体既知の方法でトレーニングされたものである。したがって、ANNは、機械の状態(状態データによって表される)が上述した次数におけるどのEOL強度をもたらすものなのかを確実に予測することができる。
【0083】
逆のことも可能である。すなわち、対応するANNの入力変数は、EOLデータとすることができ、出力データは、予測状態データとすることができる。
【0084】
もちろん、上記例は非常に単純化されているが、基本的な手法を明示している。ANNの代わりに、他のタイプのMLアルゴリズム、特に他の既知の分類器を使用することができる。
【0085】
[結果の出力及び可視化]
これらの分析の結果の視覚化は、プラットフォームに依存せずに、任意のクライアントコンピューター上でウェブブラウザーを介して行うことができる。他の評価尺度も、それに応じてプラットフォームに依存することなく実施することができる。これによって、遠隔であっても分析が容易になる。特に、任意の機械の状態を任意のモバイルデバイスからクラウドを介して詳細に確認することができる。
【0086】
加えて、対処が必要な状況になった場合には、対応するメッセージを、SMS、プッシュメッセージ又は電子メールを介して自動的に送信することが考えられる。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】