(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】導電粒子の流動性を制御した異方導電性接着フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
C09J 7/35 20180101AFI20240927BHJP
H01R 11/01 20060101ALI20240927BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240927BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20240927BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C09J7/35
H01R11/01 501C
C09J201/00
C09J163/00
H01B13/00 501Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521830
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 KR2022013649
(87)【国際公開番号】W WO2023068559
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0140166
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522011285
【氏名又は名称】エイチアンドエス ハイ テック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】H&S HIGHTECH CORP.
【住所又は居所原語表記】(Gwanpyeong-dong) 62-7, Techno 1-ro, Yuseong-gu, Daejeon 34014 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ,キュ マン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン ソク
(72)【発明者】
【氏名】コ,ビョン ウク
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AA13
4J004AB05
4J004BA03
4J004EA05
4J004FA05
4J040DF001
4J040EC061
4J040EC071
4J040JA09
4J040JB02
4J040KA16
4J040KA32
4J040LA06
4J040LA09
4J040MA02
4J040NA17
4J040NA20
4J040PA30
4J040PA33
(57)【要約】
本発明による異方導電性接着フィルムは、高分子の高いモジュラス(Modulus)を通じて導電粒子を強い力で固定させて、圧着工程における導電粒子の移動を最小化する。特に、導電粒子が含まれた非流動性導電層は、高分子樹脂のモジュラス力で導電粒子を固定させるために半硬化工程を通じて形成され、これによって、圧着工程にて圧力によってレジンフローが発生する際に導電粒子の動きを最小化する。また、半硬化した高分子フィルム層の上部(上方)および下部(下方)に接着層を形成し、半硬化フィルムによって低下する物性、例えば、接着力、信頼性、接続抵抗などを向上させて異方導電性接着フィルムの物性を最適化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1離型フィルム上に、導電粒子が分散した熱硬化性樹脂組成物をコーティングした後、示差走査熱量分析法を用いて測定した下記式1による硬化率が40%以上および60%以下になるように半硬化させて非流動性導電層を形成する第1段階と、
第2離型フィルム上に、導電粒子を含まない熱硬化性樹脂組成物をコーティングし、第1接着性非導電層を形成する第2段階と、
第3離型フィルム上に、導電粒子を含まない熱硬化性樹脂組成物をコーティングし、第2接着性非導電層を形成する第3段階と、
前記非流動性導電層の上部に、前記第1接着性非導電層を、ラミネーション工程を通じて積層する第4段階と、
前記第1離型フィルムを除去した後、露出した前記非流動性導電層の下部に、前記第2接着性非導電層を、ラミネーション工程を通じて積層する第5段階とを含む、異方導電性接着フィルムの製造方法。
[式1] 硬化率(%)=[1-(初期熱量値)/(半硬化後の熱量値)]×100
【請求項2】
前記導電層のモジュラスは、10,000~50,000Pa・sであることを特徴とする請求項1に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記導電層のモジュラスは、前記第1および第2非導電層のモジュラスと比べて2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記第1および第2非導電層のモジュラスは、1,000~5,000Pa・sの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記導電層、前記第1および第2非導電層の前記熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記導電層の厚さは、前記導電粒子の平均粒径と比べて2μmを超えないことを特徴とする請求項1に記載の異方導電性接着フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方導電性接着剤を用いた回路接続技術に関し、より詳細には、互いに対向する2つの回路部材を相互接続するに際して、厚さ方向に対向する2つの電極を電気的に導通させると同時に、面方向には隣り合う電極同士の間に絶縁性を維持することができる回路接続用異方導電性接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置の小型化および薄型化に伴って、回路部材が高密度化および高精密化されている。これによって、微細回路の接続のためには、従来の溶接またはハンダ付けなどの方式では対応が困難であった。このような問題を解決するために、異方導電性接着剤が開発されたが(日本国特開昭51-21192号)、異方導電性接着剤(Anisotropic Conductive Adhesives)は、硬化樹脂を含む接着成分に導電粒子を配合させ、かつ当該含有量を調節することによって、厚さ方向には互いに対向する2つの電極を電気的に導通させ、同時に面方向には隣り合う電極同士の間に絶縁性を維持できる回路接続部材をいう。このような異方導電性接着剤は、ディスプレイ素子、半導体素子などの製造時に、様々な回路部材を電気的に接続および接着させる目的で広く用いられている。
【0003】
近年、電子回路の集積度が増加し、電極同士の間のピッチ(Pitch)がますます微細化されていて、これによって、回路電極のサイズ(面積)も次第に小型化されている。しかも、最近、身体に取り付けて使用できる様々なウェラブルデバイス(Wearable Device)の開発および商用化がさらに加速化している。したがって、電極同士の間のピッチが、微細な電子回路および/または柔軟性を有する回路基板に適用される場合にも、回路部材同士の間の電気的接続信頼性を維持できる異方導電性接着剤が切実に要求されている。
【0004】
特に、ディスプレイ装置の高解像度および小型化に伴い、COG(Chip on glass)、COP(Chip on plastic)の接続構造に適用される異方導電性接着フィルムでは、導電粒子の密度が高いので、導電粒子が互いに連結される現象を抑制することが、信号の安定性にとって非常に重要である。また、導電粒子の密度が高い異方導電性接着フィルムでは、圧着時に、レジンのフロー性によって導電粒子が凝集する現象が発生する場合、異方導電性接着フィルムの性能に致命的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、異方導電性接着フィルムに関し、より詳細には、極微細ピッチ用の異方導電性接着フィルムの製造方法に関し、導電粒子が含まれた高分子フィルム層を、半硬化を通じて高いレジンのモジュラス力で固定させるのであって、圧力によるレジンフローの発生時に、導電粒子を強い固定力で固定するようにして、圧着工程にて導電粒子の移動を最小化できる異方導電性接着フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の目的は、以上で言及した目的に制限されず、言及されていない他の目的は、下記の記載から明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による異方導電性接着フィルムの製造方法は、第1離型フィルム上に、導電粒子が分散した熱硬化性樹脂組成物をコーティングした後、示差走査熱量分析法を用いて測定した下記式1による硬化率が40%以上および60%以下になるように半硬化させて非流動性導電層を形成する第1段階と、第2離型フィルム上に導電粒子を含まない熱硬化性樹脂組成物をコーティングすることで、第1接着性非導電層を形成する第2段階と、第3離型フィルム上に導電粒子を含まない熱硬化性樹脂組成物をコーティングすることで、第2接着性非導電層を形成する第3段階と、前記非流動性導電層の上部(上方)に、前記第1接着性非導電層を、ラミネーション工程を通じて積層する第4段階と、前記第1離型フィルムを除去した後、露出した前記非流動性導電層の下部(下方)に前記第2接着性非導電層を、ラミネーション工程を通じて積層する第5段階とを含むことを特徴とする。
【0008】
[式1] 硬化率(%)=[1-(初期熱量値)/(半硬化後の熱量値)]×100
【0009】
ここで、前記導電層のモジュラスは、10,000~50,000Pa・sであることを特徴とする。
【0010】
また、前記導電層のモジュラスは、前記第1および第2非導電層のモジュラスより2倍以上であることを特徴とする。
【0011】
また、前記第1および第2非導電層のモジュラスは、1,000~5,000Pa・sの範囲内であることを特徴とする。
【0012】
前記導電層、前記第1および第2非導電層の前記熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含んでもよい。
【0013】
また、前記導電層の厚さは、前記導電粒子の平均粒径に対して(と比べて)2μmを超えないことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、異方導電性接着フィルムを用いて回路部材を接続させるとき、圧着工程で発生する導電粒子の移動を最小化して、電極間に介在する導電粒子の捕捉数を増加させ、また、流失した導電粒子の凝集を最小化して電気素子の接続信頼性を向上させることができる。特に、COGまたはCOPの接続構造に適用するに際して、導電層の上部(上方)および下部(下方)に配置される非導電層の物性を、必要に応じて適宜に制御して形成することができるので、それぞれ異なる構造の基板に対して、最適化された異方導電性接着フィルムを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による異方導電性接着フィルムの断面を示すイメージである。
【
図2】本発明による異方導電性接着フィルムの導電層に対する示差走査熱量分析結果であり、半硬化工程の前と後の熱容量グラフを示す。
【
図3】導電層の硬化率に依存する、異方導電性接着フィルムの捕捉率と接続抵抗との相関関係を示すグラフである。
【
図4】導電層および非導電層についての、温度に依存する粘度の変化を示すグラフ(1)である。
【
図5】導電層および非導電層についての、温度に依存する粘度の変化を示すグラフ(2)である。
【
図6】導電層および非導電層についての、温度に依存する粘度の変化を示すグラフ(3)である。
【
図7】本発明による異方導電性接着フィルムの製造工程を概略的に示す図である。
【
図8】本発明による異方導電性接着フィルムの積層工程を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<発明の実施のための最良の形態>
本発明による異方導電性接着フィルムの製造方法は、第1離型フィルム上に導電粒子が分散した熱硬化性樹脂組成物をコーティングした後、示差走査熱量分析法を用いて測定した下記式1による硬化率が40%以上および60%以下になるように半硬化させて非流動性導電層を形成する第1段階と、第2離型フィルム上に導電粒子を含まない熱硬化性樹脂組成物をコーティングすることで、第1接着性非導電層を形成する第2段階と、第3離型フィルム上に導電粒子を含まない熱硬化性樹脂組成物をコーティングすることで、第2接着性非導電層を形成する第3段階と、前記非流動性導電層の上部(上方)に、前記第1接着性非導電層を、ラミネーション工程を通じて積層する第4段階と、前記第1離型フィルムを除去した後、露出した前記非流動性導電層の下部(下方)に前記第2接着性非導電層を、ラミネーション工程を通じて積層する第5段階とを含むことを特徴とする。
【0017】
[式1] 硬化率(%)=[1-(初期熱量値)/(半硬化後の熱量値)]×100
【0018】
ここで、前記導電層のモジュラスは、10,000~50,000Pa・sであることを特徴とする。
【0019】
また、前記導電層のモジュラスは、前記第1および第2非導電層のモジュラスより2倍以上であることを特徴とする。
【0020】
また、前記第1および第2非導電層のモジュラスは、1,000~5,000Pa・sの範囲内であることを特徴とする。
【0021】
前記導電層、前記第1および第2非導電層の前記熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含んでもよい。
【0022】
また、前記導電層の厚さは、前記導電粒子の平均粒径に対して(と比べて)2μmを超えないことが好ましい。
【0023】
<発明の実施のための形態>
本発明は、様々な変更を加えることができ、様々な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示し、これを詳細な説明を通じて詳細に説明しようとする。しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物や代替物を含むものと理解すべきである。また、本発明を説明するに際して、関連した公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0024】
本発明は、高分子の高いモジュラス(Modulus)を通じて導電粒子を強い力で固定させて、圧着工程で導電粒子の移動を最小化する。特に、導電粒子が含まれた非流動性導電層は、高分子樹脂のモジュラス力で導電粒子を固定させるために、半硬化工程を通じて形成され、これによって、圧着工程にて圧力によってレジンフローが発生する際に、導電粒子の動きを最小化する。また、半硬化した高分子フィルム層の上部(上方)および下部(下方)に接着層を形成し、半硬化フィルムによって低下する物性、例えば、接着力、信頼性、接続抵抗などを向上させて、異方導電性接着フィルムの物性を最適化する。
【0025】
本発明による異方導電性接着フィルムは、導電粒子が分散した導電層および導電粒子が含まれない接着性非導電層を積層して製造することができる。ここで、導電層および非導電層は、熱硬化性樹脂組成物で形成され、この際、導電層は、導電粒子を含有し、非導電層は、導電粒子が含有されていない。
【0026】
導電層および非導電層にそれぞれ使用される熱硬化性樹脂組成物は、硬化樹脂、硬化剤を含んでもよい。
【0027】
ここで、硬化樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂などを用いることができ、特に限定されない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、または変性エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を用いることができ、また、アクリル系樹脂としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレートなどのアクリル樹脂を用いることができる。
【0028】
また、硬化剤としては、例えば、有機過酸化物といったラジカル系硬化剤、潜在性硬化剤としてスルホニウム塩、オニウム塩などを硬化樹脂の種類によって適宜選択して使用することができる。
【0029】
また、熱硬化性樹脂組成物は、フィルム形成用樹脂としてフェノキシ樹脂などをさらに含んでもよいし、必要に応じて回路部材との接着性を向上させるためにカップリング剤をさらに含んでもよい。カップリング剤は、特に制限されず、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤などを、異方導電性接着フィルムの接続性および絶縁性を向上させるために使用することができる。
【0030】
また、導電層に含有される導電粒子は、回路部材が接着されてなる接合体において互いに対向する電極間を電気的に接続させるために使用され、導電粒子としては、特に制限されないが、極微細ピッチを有する回路部材の接続のために、1μm~10μmであることが好ましい。導電粒子としては、導電性金属粒子または樹脂粒子の表面に金属をコーティングした粒子などを使用することができる。
【0031】
以下で説明する実施例としては、熱硬化性樹脂組成物としてのエポキシレジン45~55wt.%と、開始剤としての4-ヒドロキシフェニルメチル-1-ナフチルメチルスルホニウム5~10wt.%と、フィルム形成用樹脂としてのフェノキシ樹脂10~15wt.%を使用し、導電粒子としては、ニッケルボール5~10wt.%を使用した。
【0032】
本発明による異方導電性接着フィルムは、導電層および非導電層で構成され、ここで、導電層は、熱硬化性樹脂組成物に導電粒子を分散させた後に半硬化させて形成する。半硬化した導電層は、ボンディング工程時に導電粒子を囲むポリマー層にフロー性が発生し、回路部材の電極に電気的に接続される。
図1は、本発明による異方導電性接着フィルムの断面を示す。ここで、導電層の厚さは、導電粒子の平均粒径と比べて2μmを超えないように形成されることが好ましいが、これは、導電層の厚さが導電粒子の平均粒径に比べて2μmを超える場合、導電粒子の表面を囲む半硬化状態のレジンがボンディング工程で導電粒子の表面に残留しうるのであり、また、導電層の厚さが大きいことから導電粒子に印加される圧力荷重が減少するためである。
【0033】
導電層110は、硬化樹脂としてのエポキシ樹脂、および硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物に導電粒子130を分散させた後、乾燥温度条件を50~100℃とし、コーティング速度を1~5m/min程度に調節して、エポキシ樹脂の熱による反応時間を最適化することによって、半硬化工程を進めた。また、非導電層120は、導電層と同じ硬化樹脂および硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物を用いて形成され、半硬化工程を完了した導電層に積層され、異方導電性接着フィルムでもって製造される。
【0034】
導電層の半硬化工程は、熱硬化性樹脂組成物をベースフィルム上に塗布した後、乾燥区間での乾燥温度条件およびコーティング速度を調節して、硬化樹脂の熱による反応時間を制御する。これによって、導電層の半硬化状態は、硬化率を測定することによって確認することができる。導電層110の硬化率を計算するために、DSC(Differential Scanning Calorimetry)示差走査熱量分析法を用いて、半硬化の前および後の熱容量を測定した。
図2は、1分当たり10℃の昇温条件で、半硬化工程の前(非流動層の初期熱量値)と後(非流動層乾燥後の熱量値)に測定した熱容量グラフを示す。このように測定した熱容量分析結果に基づいて、下記[式1]による硬化率を算出した。
【0035】
[式1] 硬化率(%)=[1-(初期熱量値)/(半硬化後の熱量値)]×100
【0036】
硬化率が30~70%の各サンプル(導電層フィルムサンプル)により非導電層を同じ条件で積層して最終異方導電性接着フィルムを製造した後、それぞれ製造された異方導電性接着フィルムの物性を評価するために、バンプ面積1500μm2、ピッチ20μmの回路部材を含むチップにボンディング工程を進めて、それぞれのサンプル別に、捕捉率および接続抵抗を測定した。測定結果は、下記の表1の通りである。
【0037】
【0038】
表1から明らかなように、硬化率40%未満(サンプル1)では、導電粒子の捕捉数の減少によって、接続抵抗が大きくなるという問題が発生し、60%超過(サンプル5)の場合には、圧着不足により接続抵抗が大きくなることが分かる。
図3は、本実施例で確認した導電層の硬化率に対する捕捉率および接続抵抗の相関関係を示した。
【0039】
図4~
図6は、レオメータ(Rheometer machine)を用いて25~200℃の温度範囲で、導電層(Conductive layer)の硬化率が40%(
図4)、50%(
図5)および60%(
図6)の場合に、導電層(Conductive layer)と非導電層(Non-conductive layer)のそれぞれに対する粘度(単位Pa・s)を測定した結果を示した(測定条件Ramp rate:10℃/min、角周波数:1.0rad/s)。異方導電性接着フィルムがボンディングされるときの各層の流動性を確認した。
図4~
図6から明らかなように、半硬化した導電層110の硬化率によりモジュラス(最低溶融粘度)が増加するが、硬化率を40~60%に制御すると、導電層のモジュラスを10,000~50,000Pa・sに調節することができる(
図4から硬化率が40%の導電層のモジュラスは29,800Pa・sであり、
図5から硬化率が50%の導電層のモジュラスは40,100Pa・sであり、
図6から、硬化率が60%の導電層のモジュラスは49,905Pa・sであることを確認できる)。この場合、ボンディング工程で発生するレジンフロー現象により、電極間の接触に関与せずに流失する導電粒子の数を最小化することができ、これによって、安定した接続抵抗を得ることができる。導電層のモジュラスが10,000Pa・s未満であれば、本圧着時にレジンのフロー性が高いことから、電極の間に存在する導電粒子の流失が多量に発生する。また、導電層のモジュラスが50,000Pa・sを超えると、レジンの硬度(Hardness)が大きくなることから、本圧着時に圧着効果が顕著に減少し、接続抵抗が大きく上昇するという問題が発生する。また、導電層のモジュラスは、非導電層のモジュラスに比べて2倍以上であることが好ましい。非導電層と比べて導電層のモジュラスが2倍以上の場合、圧着工程で非導電層のレジンフローによる導電粒子の流失を最小化することができる。また、非導電層のモジュラス(最低溶融粘度)は、1,000~5,000Pa・sの範囲内であることが好ましい(本実施例において非導電層のモジュラスは、2,178Pa・sと確認された。
図4~
図6参照)。非導電層のモジュラスが1,000Pa・s未満であれば、高い流動性により圧着工程中に気泡が発生しうるのであり、5,000Pa・s超過であれば、低い流動性に起因して接続構造物に対する充填性が減少する。
【0040】
異方導電性接着フィルムの接着特性と信頼性の観点から、接着特性を具現する上部および下部に配置される非導電層120は、導電層110と同じ熱硬化性樹脂を使用することによって層間整合性を向上させて信頼性を高めることができる。
【0041】
導電層の高い粘度で回路電極の間に介在する導電粒子の流失を最小化することができる。従来の異方導電性接着フィルムの場合、粒子捕捉率が約30%であるのに対し、本発明による異方導電性接着フィルムは、40%~60%のレベルに捕捉率が大きく向上しうる。このように向上した捕捉率を有する異方導電性接着フィルムを用いる場合、微細ピッチ接続における導電粒子の流動とそれによる他の凝集により発生する電気的短絡現象を、根本的に解決することができる。したがって、粒子捕捉数が増加した分だけ、従来の異方導電性接着フィルムに比べて、高価な導電粒子の含有量を大きく削減しても、微細ピッチにて同等のレベルの捕捉数を具現することができるので、異方導電性接着フィルムの製造費用を大きく節減できる。
【0042】
特に、COGおよびCOP用異方導電性接着フィルムの場合、微細ピッチを要求するので、平面接続断面積が狭く設計され、バンプとパネルとの間で導電に参加する導電粒子の数が小さくなる。そのため、従来のCOGおよびCOP用の異方導電性接着フィルムの場合、導電粒子の密度が数万pcs/mm2に達するほど高密度で導電粒子が含有される。本発明による異方導電性接着フィルムをCOGおよびCOPの接続構造に使用する場合、導電粒子の含有量を大幅に削減しても、導電粒子の流動を画期的に制御することができるので、小さい導電密度でも安定した導電粒子の捕捉数を確保することができる。
【0043】
また、COGの場合、チップ構造を有する上部基板に丈夫な(rigid)下部基板が適用される基材物性を有し、COPの場合、チップ構造を有する上部基板にフィルム構造の下部基板が適用される基材物性を有する。本発明の場合、2つの非導電層に導電層が介在した多層構造で設計され、導電層の上部および下部に配置される非導電層にそれぞれ異なる物性の非導電層を適用することができるので、それぞれ異なる構造の基板に対しても最適化された異方導電性接着フィルムを提供することができる。
【0044】
本発明による異方導電性接着フィルムは、次のように製造することができる。
図7から明らかなように、第1離型フィルム210上に導電粒子が分散した熱硬化性樹脂組成物をコーティングした後、示差走査熱量分析法を用いて測定した式1による硬化率が40%以上および60%以下になるように半硬化させて非流動性導電層110を形成する。この際、導電層110の厚さは、導電粒子の平均粒径より2μmを超えない厚さで形成する。次に、第2離型フィルム220上に導電粒子を含まない熱硬化性樹脂組成物をコーティングし、第1接着性非導電層121を形成する。同様に、第3離型フィルム230上に導電粒子を含まない熱硬化性樹脂組成物をコーティングし、第2接着性非導電層122を形成する。その後、非流動性導電層110の上部(上方)に第1接着性非導電層121を、ラミネーション工程を通じて積層する。そして、第1離型フィルム210を除去した後、露出した非流動性導電層110の下部(下方)に第2接着性非導電層122を、ラミネーション工程を通じて積層する。
【0045】
非流動性導電層の形成工程、第1および第2接着性非導電層の積層工程は、前述した工程順序に制限されず、あらかじめ製造された非流動性導電層が形成されたフィルム、第1接着性非導電層が形成されたフィルム、第2接着性非導電層が形成されたフィルムを用いて、
図8から明らかなように、1回のラミネーション工程を行って、異方導電性接着フィルムを形成することもできる。また、第2離型フィルムおよび第3離型フィルムのうちのいずれか1つを除去した後、ロール形状の製品としての最終品を製造することができる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲内で変形された形態で具現することができる。したがって、ここで説明した本発明の実施例は、限定的な観点でなく、説明的な観点で考慮すべきであり、本発明の範囲は、前述した説明でなく、特許請求範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるすべての相違点は、本発明に含まれると解すべきである。
【国際調査報告】