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特表2024-536470比較的長期の有効寿命を持つ電気化学装置のためのモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】比較的長期の有効寿命を持つ電気化学装置のためのモジュール
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/65 20210101AFI20240927BHJP
   H01M 8/2465 20160101ALI20240927BHJP
   H01M 8/0228 20160101ALI20240927BHJP
   H01M 8/0258 20160101ALI20240927BHJP
   H01M 8/0206 20160101ALI20240927BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20240927BHJP
   H01M 8/2404 20160101ALI20240927BHJP
   H01M 8/0208 20160101ALI20240927BHJP
   C25B 1/042 20210101ALI20240927BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240927BHJP
   C25B 9/70 20210101ALI20240927BHJP
【FI】
C25B9/65
H01M8/2465
H01M8/0228
H01M8/0258
H01M8/0206
H01M8/12 101
H01M8/2404
H01M8/12 102A
H01M8/0208
C25B1/042
C25B9/00 A
C25B9/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521853
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 FR2022051886
(87)【国際公開番号】W WO2023062304
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】2110725
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・ディ・イオリオ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ・シャトルー
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー・ムージャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルディーヌ・パルクー
(72)【発明者】
【氏名】マガリ・レティエ
【テーマコード(参考)】
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA07
4K021DC01
4K021DC03
4K021EA05
4K021EA08
5H126AA08
5H126AA12
5H126AA14
5H126AA22
5H126BB06
5H126DD17
5H126GG02
5H126GG08
5H126HH00
5H126JJ02
(57)【要約】
電気化学セル(CL)と相互接続器(I)の積層体と、二つの相互接続器(I)の間にありセル(CL)を取り囲む電気的絶縁要素と、を含む電気化学モジュールのための相互接続器(I)であって、各セル(CL)は二つの相互接続器(I)の間に配置され、前記相互接続器(I)と電気的及び機械的に接触し、相互接続器は、その中間にある気体供給及び気体収集室を規定する二枚のエンドプレートの間で受け取られる少なくとも一枚の中間板を含み、中間板は、n個の側方分岐領域(6)を含む側方領域により外的に区切られた中央領域を含み、nは少なくとも1に等しく、各側方拡張部は、積層体内で相互接続器(I)と直接隣り合った中間板の側方拡張部(6)に向かって移動可能に構成されており、二つの相互接続器(I)の間に電気伝導性を持たせるためにそれと接触するように構成され、中間板は、側方分岐領域(6)において二枚のエンドプレートのうちの少なくとも一枚によって覆われていない、相互接続器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セル(CL)と相互接続器(I)の積層体と、電気的絶縁要素(2)と、を含み、各セル(CL)は二つの相互接続器(I)の間に配置され、前記相互接続器(I)と電気的及び機械的に接続し、前記電気的絶縁要素(2)はそれぞれ二つの相互接続器(I)の間に挟まれ、セル(CL)を取り囲む、電気化学モジュールのための相互接続器(I)であって、
前記相互接続器(I)は、その中間にある気体供給及び気体収集室を規定する二枚のエンドプレート(10、12)の間で受け取られる少なくとも一枚の中間板(8)を含み、前記中間板(8)は、n個の側方分岐領域(6)を含む側方領域(ZL)により外的に区切られた中央領域(ZC)を含み、nは少なくとも1に等しく、各側方分岐領域(6)は、積層体内で相互接続器(I)と直接隣り合った中間板の側方分岐領域(6)に向かって移動可能に構成されており、二つの相互接続器(I)の間に電気伝導性を持たせるためにそれと接触するように構成されており、前記中間板(8)は、側方分岐領域(6)において二枚のエンドプレート(10,12)のうちの少なくとも一枚によって覆われていない、相互接続器。
【請求項2】
n個の側方分岐領域(6)の全部又は一部が前記中間板(8)のn個の露出領域(6)という形をとり、二枚のエンドプレート(10、12)の少なくとも一枚に重ねられておらず、特に、前記中間板(8)の一つ又は複数の角に位置するn個の露出領域(6)という形をとる、請求項1に記載の相互接続器。
【請求項3】
n個の側方分岐領域(6)の全部又は一部が、前記中間板(8)の側方領域(ZL)に関して外部に突出したn個の側方拡張部(6)の形をとり、前記n個の側方拡張部は特にエンドプレート(10、12)の縁を超えて側方に拡張している、請求項1又は2に記載の相互接続器。
【請求項4】
前記側方分岐領域(6)が積層体の軸の周りの各相互接続器(I)の外郭の周りに分布している、請求項1~3のいずれか一項に記載の相互接続器。
【請求項5】
前記側方分岐領域(6)が前記中間板と一体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の相互接続器。
【請求項6】
前記側方分岐領域(6)が、例えばコバルトマンガン合金又はコバルトセリウム合金などの電気伝導性材料に覆われ、腐食を防止する、請求項1~5のいずれか一項に記載の相互接続器。
【請求項7】
電気化学セル(CL)と請求項1~6のいずれか一項に記載の相互接続器(I)との積層体と、電気的絶縁要素(2)と、を含む電気化学装置のためのモジュールであって、
各セル(CL)が二つの相互接続器(I)の間に置かれ、前記相互接続器(I)と電気的及び機械的に接触し、直接隣り合った二つの相互接続器の前記側方分岐領域(6)は少なくとも部分的に対面している、モジュール。
【請求項8】
直接隣り合った二つの相互接続器(I)にある前記側方分岐領域(6)の間に、特に、金のゲート及び/又は金のペーストといった電気伝導性要素が加えられている、請求項7に記載のモジュール。
【請求項9】
二つの相互接続器(I)にある側方分岐領域(6)により形成された分岐表面と、二つの相互接続器(I)の間に位置するセルの活性表面と、の比率が、1/100から1/2の間であり、好ましくは1/10に等しい、請求項7又は8に記載のモジュール。
【請求項10】
各電気的絶縁要素(2)が側方分岐領域(6)を覆っている、請求項7~9のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項11】
各電気的絶縁要素(2)が、側方分岐領域(6)に一致する電気的絶縁要素の一部を取り除くことを促進するための事前切断部(20)を含む、請求項10に記載のモジュール。
【請求項12】
請求項7~11のいずれか一項に記載のモジュールと、セルへの気体供給と、各セルに対して生成された気体収集と、直列にセルに供給するように構成された電力供給と、を含む、固体酸化物電解装置。
【請求項13】
請求項7~11のいずれか一項に記載のモジュールと、水素分子(H)及び酸素分子(O)、又はメタン(CH)及び空気のセルへの供給と、各セルから生成された気体の収集と、各電気化学セルから生成された電流を収集するための手段と、を含む、固体酸化物燃料電池。
【請求項14】
請求項7~11のいずれか一項に記載のモジュールのセルを短絡させる方法であって、次の工程:
おそらく変形によって、前記側方分岐領域(6)を互いに向かって動かすために、前記セルの両側に直接配置された相互接続器(I)のn個の側方分岐領域(6)を接触するように配置する工程と、
二つの相互接続器(I)の間に電気伝導性のあるn個の経路を形成するために前記側方分岐領域(6)を連結する工程と、を含む、方法。
【請求項15】
それらの連結に先立って、各側方分岐領域(6)上の酸化物層を摩耗により除去する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は比較的長期の有効寿命を持つ電気化学装置のためのモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学装置は高温における電気分解に用いられることがあり、固体酸化物電解セル(SOEC)の積層体を含み、又は、燃料電池として固体酸化物燃料電池(SOFC)の積層体を備え得る。
【0003】
そのような装置は、二枚の固定板の間に固定された電気化学セルの積層体を含むモジュール又は積層体を備える。セルは電気的に直列に接続されている。
【0004】
各電気化学セルは二つの電極の間に電解質を含む。相互接続板は、セル同士の間に配置され、セル同士が確実に電気的接続をするようにしている。さらに、相互接続板により、セルへの気体供給及び各セルでの生成気体の収集が徹底されている。欧州特許第3183379号には、相互接続板又は接続器が、確実に、電気的接続及びセル内での気体拡散をする例が記載されている。相互接続器は三枚の薄い板を含む。その内の一枚は中間板として知られており、他二枚の板の間に配置されている。他二枚の板はエンドプレートとして知られる。中間板は、酸素及び水素室内の気体を確実に拡散させる。
【0005】
エンドプレートの一方は枠組みを形成し、中間板上の開口部を区切り、また、セルを受け取り、そのセルはその後中間板と接触する。電流は、セル及び相互接続器の領域を通って、下端から上端へ、又は、上端から下端へ流れ、それらはセルに垂直に連携している。
【0006】
稼働中、アノード及びカソードは電気化学反応の反応場(site)である。一方で、電解質は、電気化学装置が電気分解様式で稼働しているのか、燃料電池様式で稼働しているのかにより、カソードからアノードへ、逆もまた同様に、イオンの移動を可能にする。
【0007】
したがって、電気分解様式においては、カソード区画は、水蒸気の供給及び特に水素のような水の還元による生成物の排出を可能にする。一方で、アノード区画は排出気体を介して、カソードからアノードへ移動してきたO2-イオンの酸化により生成した酸素分子の排出を確実に行う。
【0008】
基本的な電気化学セルにより水蒸気を電気分解する機構(「SOEC」様式)は以下の通りである。この電気分解の間、基本的な電気化学セルはカソードからアノードへ流れる電流によって供給される。カソード区画により流通させられた水蒸気は、その後、以下の半反応式に従う電流の効果によって還元される。
2HO+4e→2H+2O2-
【0009】
この反応中に生成する水素分子は、その後、排出される。一方、この還元中に生成したO2-イオンは、電解質を介してカソードからアノードへ移動し、アノードでは以下の半反応式に従いO2-イオンが酸素分子へと酸化される。
2O2-→O+4e
【0010】
次に、このようにして形成された酸素分子は、アノード区画中を循環している排出気体により排出される。
【0011】
水蒸気の電気分解は下記の反応式に対応する。
2HO→2H+O
【0012】
燃料電池様式(SOFC)では、カソード区画に空気が注入され、分解してO2―イオンになる。O2―イオンはアノードへ向かって移動し、アノード区画内を循環している水素分子と反応して水を形成する。燃料電池には代わりにCHと空気が供給される。
【0013】
燃料電池様式で稼働することにより電流を生み出すことができる。
【0014】
これらのシステムは600℃以上1000℃以下の温度域で稼働することができる。
【0015】
相互接続板とセルの間の良好な電気的接続及び積層体の密閉を確実にするために、固定板は積層体に型締力を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許第3183379号
【特許文献2】EP1362100
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
セルの積層体及び相互接続器の温度制御は複雑である。実際に、例えばSOECにおいては、各セルにおける全電流及び端子の電圧により特徴づけられる、使用される稼働点に応じて、吸熱又は発熱反応が起こる。セルについては、端子の電圧が1.3V未満の場合、セルは電気化学反応の間熱を消費するが、端子の電圧が1.3Vより大きい場合、セルは熱を生成する。熱の生成又は消費は積層体内の熱勾配を引き起こすため、この熱制御は複雑である。これらの勾配は、物体の破壊を引き起こし得る熱機械ストレスを生み出す。さらに、著しい温度上昇により、ガラス又はガラスセラミック製の場合には特に、相互接続器間の密閉は損傷を受ける可能性がある。
【0018】
例えば電気的接続が不十分であったり、セルの劣化が原因で、セルに欠陥がある場合、端子の電圧は増加し、その結果熱を生成する。
【0019】
加熱現象はそのうちの少なくとも一つのセルに欠陥がある燃料電池においても発生する。
【0020】
それにもかかわらず、その密閉が複雑であり、また、積層体が脆いため、例えばガラス又はガラスセラミックにより密閉されたセラミックの部分を含むとき、欠陥のあるセルを取り替えるために積層体を取り除くことは不可能である。その結果、多くのセルで構成される積層体の場合、たとえ一つのセルが正常に稼働しなくても、積層体全体が停止されなければならない。
【0021】
さらに、セル上での還元気体の流通に関して問題が起きた際、再酸化して絶縁体になり得ることにも留意されたい。この場合、絶縁段階が存在するので積層体一式が稼働することは不可能である。
【0022】
積層体に含まれるセルの数が多いと、これらのリスクはより大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
従って、本発明の一つの目的は、加熱源を制限する及び/又は絶縁セルを回避する手段を有することにより比較的長期の有効寿命を持つ電気化学装置のためのモジュールを提案することである。
【0024】
上記の目的は、電気化学セルの積層体を含む電気化学モジュールのための相互接続器及びセルの間に挿入された相互接続器によって達成される。相互接続器は、それ又はそれらの端子の電圧が高すぎるとき及び/又はセルが絶縁性のときに、一つ又は複数の電気化学セルを短絡させることができるようにするための手段を含む。
【0025】
それゆえ、セル又はその電気的接続の劣化によりセルが過剰な加熱の箇所であるとき及び/又は特に再酸化によりセルが絶縁性になったとき、セルは電気的に絶縁性になるだろう。セルはもはや稼働しないが、モジュールは稼働し続けることができ、特に過熱により積層体が破壊する危険性は排除される。欠陥のあるセルは置き換えられないため、こうしてモジュールは、捨て去られている従来技術のモジュールと比較して長期の寿命を持つ。
【0026】
よって、その側面の一つによると、本発明の目的は、電気化学セルと、相互接続器の積層体と、電気的絶縁要素と、を含む電気化学モジュールのための相互接続器であり、各セルは二つの相互接続器の間に配置され、前記相互接続器と電気的及び機械的に接続し、各電気的絶縁要素は二つの相互接続器の間に配置され、セルを取り囲んでいる。前記相互接続器は、その間にある気体供給及び気体収集室を規定する二枚のエンドプレートの間で受容される少なくとも一枚の中間板を含み、中間板は、n個の側方分岐領域を含む側方領域により外的に区切られた中心領域を含み、nは少なくとも1に等しく、各側方分岐領域は、積層体内で直接隣接する相互接続器の中間板における側方分岐領域に向かって移動可能であるように構成されており、二つの相互接続器の間における電気伝導を供給するためにそれと接触するように構成されており、中間板は側方分岐領域にある二枚のエンドプレートのうちの少なくとも一枚に覆われていない。
【0027】
言い換えると、モジュールは積層体内のセルを選択的に短絡させるための手段を組み込む。
【0028】
本発明に係る相互接続器は一つ又は複数の下記の特徴を、単独で又は可能性のある任意の技術的組み合わせに従ってさらに含むことができる。
【0029】
第一の側面によると、n個の側方分岐領域の全て又は一部は、二枚のエンドプレートのうち少なくとも一枚の上に重ねられていない、中間板のn個の露出領域の形でよく、特に、中間板の一つ又は複数の角に位置するn個の露出領域という形になってもよい。それらは特に、二枚のエンドプレートのうちの少なくとも一枚を切ることにより得られてよい。
【0030】
第二の側面によると、n個の側方分岐領域の全て又は一部は、中間板の側方領域との関連で外部に突出したn個の側方拡張部という形になってもよい。n個の側方拡張部は特に、エンドプレートの縁を超えて横方向に拡張している。従って、相互接続器は一つ又は複数の突起を含み、又は、つまみも含んでもよく、側方領域から突き出ており、二つの相互接続器の間にあるセルを短絡させるために、積層体の真上又は真下に位置する相互接続器の突起と接続されていてもよい。
【0031】
短絡させる手段は、短絡される相互接続器及びセルアセンブリのインピーダンスより小さいインピーダンスを持つように構成されている。
【0032】
極めて好ましくは、側方分岐領域は、積層体の軸の周りにある各相互接続器の外郭上に分布していてもよく、それにより短絡したセルの上流及び下流にあるセルの稼働に課された妨害を制限することができる。
【0033】
側方分岐領域は中間板と一体になっていてもよい。
【0034】
さらに、側方分岐領域は例えばコバルトマンガン又はコバルトセリウム合金といった電気伝導性材料に覆われ、腐食を防いでいてもよい。
【0035】
そのうえ、別の側面によると、本発明のもう一つの目的は先に定義したような電気化学セル及び相互接続器の積層体と、電気的絶縁要素と、を含む電気化学装置のためのモジュールであり、各セルは二つの相互接続器の間に配置され、前記相互接続器と電気的及び機械的に接続し、直接的に隣接した二つの相互接続器の前記側方分岐領域は少なくとも部分的に対向している。
【0036】
電気絶縁性要素は雲母でできていてもよい。
【0037】
有利には、電気伝導性要素は、直接的に隣接した二つの相互接続器の前記側方分岐領域の間に加えられてもよく、特に、金のゲート及び/又は金のペーストでよい。
【0038】
さらに、二つの相互接続器の側方分岐領域により形成された分岐表面と、二つの相互接続器の間に位置するセルの活性表面と、の比率は、1/100から1/2の間でよく、好ましくは1/10に等しい。
【0039】
各電気的絶縁要素は側方分岐領域を覆っていてもよい。
【0040】
さらに、各電気的絶縁要素は、側方分岐領域に一致する電気的絶縁要素の一部を取り除くことを促進するための事前切断部を含んでもよい。
【0041】
加えて、電気的絶縁要素は二つの相互接続器の間の密封も供給してよい。
【0042】
そのうえ、別の側面による本発明のもう一つの目的は、先に定義されたようなモジュールと、セルへの気体供給と、各セルで生成された気体の収集と、直列にセルに供給するように構成された電力供給と、を含む、固体酸化物電気分解装置である。
【0043】
別の側面による本発明のもう一つの目的は、先に定義されたようなモジュールと、水素分子(H)及び酸素分子(O)又はメタン(CH)及び空気のセルへの供給と、各セルにより生成した気体の収集と、各電気化学セルにより生成した電流を収集するための手段と、を含む固体酸化物燃料電池である。
【0044】
さらに、別の側面による本発明のもう一つの目的は、先に定義したような、セルを短絡させるための方法であって、次の工程:
おそらく変形によって、側方分岐領域を互いに向かって動かすために、前記セルの両側に直接配置された相互接続器のn個の側方分岐領域を接触するように配置する工程と、
二つの相互接続器の間の電気伝導性のあるn個の経路を形成するために側方分岐領域を連結する工程と、を含む、方法。
【0045】
連結はスポット溶接によって達成されてもよい。
【0046】
加えて、本方法は、それらの連結に先立って、各側方分岐領域上の酸化物層を摩耗により除去する工程を含んでもよい。
【0047】
本発明は以下の説明と添付図面に基づきよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】電流がすべてのセルを通り抜ける状態にある本発明に係る電気化学装置のモジュールの例を示す概略図である。
図2】セルが短絡している状態にある図1のモジュールを示す図である。
図3】本発明に係る相互接続器の例を示す斜視図である。
図4図3に示される相互接続器の分解図である。
図5】本発明に係るモジュールの実施形態のもう一方の例を示す詳細図である。
図6】本発明に係る相互接続器の別の例を示す全体図の一部である。
図7】二つの欠陥のあるセルを含み、モジュールのもう一方のセルと直列に接続されており、モジュールを通過する電流を変化させたモジュールの、セルごとの電圧変化を示すグラフである。
図8図7に示すモジュールのセルごとの、モジュールを通過する電流を与えることによる電圧変化を示すグラフであり、本発明の効果により二つの欠陥のあるセルが電気的に短絡させられている。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1及び2において、本発明に基づく電気化学装置のためのモジュールの実施形態の一例の概略図が見られる。
【0050】
モジュールが属してよい電気化学装置は、高温電気分解用に(SOEC様式)又は燃料電池として(SOFC様式)実装されることを意図されてもよい。
【0051】
モジュールは電気化学セル又は固体酸化物セルの積層体を含む。基本的な電気化学セルCLはそれぞれカソードと、アノードと、アノード及びカソードの間に配置される電解質と、から形成される。電解質は固体で、緻密なイオン伝導体であり、アノード及びカソードは多孔質層である。
【0052】
モジュールはさらに相互接続器Iを含み、二つの連続するセルの間にそれぞれ挿入されており、あるセルのアノードと隣接するセルのカソードの間を確実に電気的に接続する。相互接続器Iは基本的なセルの直列接続を確実にする。
【0053】
モジュールが含むセルは1個以上数百個以下であってよく、好ましくは25個以上100個以下である。
【0054】
相互接続器は、互いに接触している電極の表面における流体区画を区切ることもする。
【0055】
基本的な電気化学セルCLのアノードと接触する相互接続器Iの表面は、アノード区画として知られる区画を区切り、基本的な電気化学セルCLのカソードと接触する相互接続器Iの表面は、カソード区画として知られる区画を区切る。
【0056】
アノード区画及びカソード区画のそれぞれにより、前記気体を流通及び収集することが可能になる。
【0057】
例えば、水の電気分解の際に、カソード区画はカソードの水蒸気供給を確実にし、生成した水素を排出する。アノード区画は、確実に排出気体を循環させ、アノードで生成した酸素を排出する。
【0058】
モジュールはモジュールの両側に配置される端子板Pを含んでもよい。端子板は電気伝導性である。
【0059】
装置は気体を流通させるための管(提示されていない)及び気体を収集するための管も含む。
【0060】
一般に、電気化学装置は二つの固定板が備わった固定システム(提示されていない)も含み、積層方向で、モジュールの両側に配置され、タイロッドを介して積層体に型締力を及ぼすことが意図されている。
【0061】
二枚の固定板の両方又は一方には、少なくとも一本の気体循環管が備わり、これは固体酸化物積層体に気体を供給又は固体酸化物積層体から気体を排出するために、気体入口から気体出口へと気体を循環させることを可能とする。
【0062】
気体入口及び気体出口はそれぞれ、固定板の最も大きい表面を持つ面の一方及び他方に配置される。
【0063】
各相互接続器Iは略平坦な形をし、中央領域ZC及び中央領域ZCを取り囲む側方領域ZLを含む。
【0064】
相互接続器はセルよりも大きな表面積を有し、各セルは一つの面により相互接続器の中央領域ZCに接触し、他の一面によりもう一方の相互接続器の中央領域ZCに接触している。
【0065】
電気的絶縁要素2は相互接続器の間、より詳しくは、同一のセルに接触している二つの相互接続器の側方領域ZLの間に挟まれている。電気的絶縁要素2はセルを囲む枠を形成している。電気的絶縁手段は、例えば、雲母、蛭石、サーミキュライト、又は高温における優れた断熱特性を有する任意の他の材料でできている。
【0066】
例えば好ましくは、ガラスセラミックと関連付けられた電気的絶縁要素2は、密閉を確実にする。そのような要素の一例は、EP1362100に記載されており、例えば雲母などの補助手段を備え、セルを取り囲み、相互接続器の側方領域と接触し、例えばガラス又はガラスセラミック製の密閉を確実にする手段である。補助手段は相互接続器と接触した二つの表面を接続するために両側を通り抜ける経路を含む。モジュールの作製中、ガラスの溶解を引き起こすために十分な圧力及び熱が与えられ、ガラスは経路の中を流れて二つの相互接続器を接触させるに至り、密閉を確実にする。
【0067】
さらに、電気分解装置の場合に直列にセルに供給するため、又は燃料電池の場合に生成した電流を収集するため、積層体を電気的に接続する手段が提供される。図1では、電気的接続手段は、下部の端子板に接続された電流ロッドC1及び上部の端子板に接続された電流ロッドC2を含む。好ましくは、電流は底面から上方に流れる。
【0068】
各相互接続器Iは短絡手段4を含む。セルの一面と接触している相互接続器Iの短絡手段4は、セルのもう一方の面と接触している相互接続器Iの短絡手段4と連携して、本セルを短絡させることができる。従って、電気分解装置の場合、それに流れる電流を制限し、その端子の電圧と、熱の生成を減少させる。
【0069】
本発明によると、短絡手段4は、相互接続器Iにある一つ又は複数の側方分岐領域6を含み、図1~5の例にある側方拡張部6という形及び、図6の例にある露出領域6という形をとる。
【0070】
中間板8は、これらの側方分岐領域6にあるエンドプレート10、12により有利に覆われているとは言えない。
【0071】
図1~5の例にあるような側方拡張の形をとる側方分岐領域6は、相互接続器Iの外縁から拡張する。これにより、積層体内でこの又はこれらの拡張部が積層体の外部側方表面全体から突出する。
【0072】
図6の例では、側方分岐領域6は、点在する中間板8を、特に、図6に見られるような中間板8の角や頂点を覆わないように一回又は複数回にわたるエンドプレート10、12の修正により得られた露出領域6の形をとる。従って、これらの角においてはエンドプレート10、12は縮められる。
【0073】
言い換えると、エンドプレート10、12の少なくとも一方を縮め、且つ/又は中間板8をその側方領域ZLを超えて拡張することにより、側方分岐領域6が得られる。
【0074】
側方分岐領域6はこのように、積層体の真下又は真上に配置された相互接続器Iの側方分岐領域6と接触するように配置されるために、側方拡張部6の場合は特に変形させられる可能性がある。
【0075】
積層体では、相互接続器Iの各側方分岐領域6は少なくとも部分的に、各相互接続器Iの側方分岐領域6に沿うように配置され、有利には、各相互接続器Iの側方分岐領域6に完全に沿っている。従って、相互接続器Iの通常形態から中間平面へ単純な変形をすることによる各側方分岐領域6は特に、真上又は真下に配置された相互接続器Iの側方分岐領域6と接触して配置されてもよい。相互接続器Iの中間平面は平面で、相互接続器Iは拡張し、その最大の寸法を有する。
【0076】
セルの両側に配置された二つの相互接続器Iの側方分岐領域6が接して配置され、そして好ましくは図2に示されるように仮付け(Tacking)により組み立てられるとき、セルは電気的に短絡させられ、そして好ましくは電流が側方分岐領域6を経由して流れる。非常に小さい電流もまた、セル内を流れる。仮付けにより、側方分岐領域6を取り囲む要素が劣化する危険性を制限しつつ、効果的に組み立てができる。代わりに、材料の追加による溶接をすることで接続がなされ、それにもかかわらず、積層体の残りを劣化させないために特定の予防策が取られなくてはならない。特に図6に示すような露出した拡張部の場合、接続に有利に働くように、高い伝導性を持つ物質を、例えば、金のゲート、金のペースト又は任意の他の高い伝導性を持つ物質を、二つの側方分岐領域6の間に加えることも可能である。
【0077】
好ましくは、短絡手段は突起を形成する複数の側方拡張部を含み、これらが相互接続器の外縁全体の周辺に分布している。セルが短絡させられると、二つの相互接続器のちょうど間を流れる電流の分布が、その後より均質になり、このことは短絡させられたセルの上流及び下流に位置するセルの稼働に好ましい。上流及び下流は積層体内で電流が流れる方向に関して考慮されている。さらに、積層体の不使用領域、言い換えれば中央領域ZCの外部では、加熱が減じられて相殺される。側方拡張部の加熱は電気分解装置にとって重要ではない。
【0078】
図3及び4では、本発明に関する相互接続器の一つ目の実施形態の例を見ることができる。そして図6では、本発明に関する相互接続器の二つ目の実施形態の例を見ることができる。図3及び4はここに描写されるが、図6の同一の参照符号は、同一の又は類似した要素を指定する。
【0079】
したがって、相互接続器Iは中間板8及び二枚のエンドプレート10、12を含み、エンドプレートの間には中間板8が受け入れられている。短絡手段を有さないそのような相互接続器の構造の一例が、欧州特許第3183379号に記載されている。
【0080】
三枚の板はそれらの間を供給室に区切る。例えば、電気分解装置の場合、中間板8により、プレート10の酸素で室に、また、プレート12の水素で室に、気体を供給可能になる。
【0081】
中間板8は、セル表面と接触することを意図された中央部8.1と、穴14を含む中央部8.1を取り囲む側方部8.2と、を含む。この例では、側方部8.2は四つの穴群を含み、それぞれが中間板8の外縁8.3に沿って分布している。穴は溝形状(slot shape)をし、一端に対して垂直であり、一端に対して平行な穴により接続されている。
【0082】
第1エンドプレート10は、セルを取り囲めるように中をくり抜かれた中央部10.1と、中央部を取り囲む側方部10.2と、を含む。側方部10.2は四つの穴16を含み、それぞれが第1エンドプレートの外縁10.3に平行な向きに拡張する。各穴は細長い溝により形成される。
【0083】
第2エンドプレート12は中央部及び側方部を含む。側方部は、四つの穴18を含み、それぞれが第2エンドプレートの外縁に平行な向きに拡張する。各穴は細長い溝により形成される。
【0084】
ここで、本発明の範囲内で、「穴」とは、板の片側に開口する穴を意味する。
【0085】
三枚の板8、10、12は、例えば円形且つ/又は楕円形の形をした案内穴19も含み、案内ロッドを通り抜けられるようにしている。これらのロッドは様々な段階において、締め付けの間に案内されることを可能にし、保持力が積層体の上部で差し出され、表面全体に伝導される。
【0086】
中間板8及び二枚のエンドプレート10、12は同一の表面、又は、実質的に同一の表面を持ち、三枚の板が重ね合わせられると、積層体の四つの側方表面を規定するために、三枚の板の外縁は垂直方向に沿って互いに整列し、積層体の側方表面を形成する。他の板の形状は、例えば、多角形、又は円形や楕円の形状でさえも、考慮されることができると理解されるだろう。
【0087】
好ましくは、板は金属シートであり、有利にはフェライト鋼でできている。板の厚さは、一般的には0.1mm以上1mm以下であり、有利には0.2mmに等しい厚さである。
【0088】
さらに、中間板8は、図3及び4の例にある側方拡張部6を含む。しかし、図6の例では、露出した側方領域6に関する。
【0089】
セルと相互接続器が積層されるとき、相互接続器Iの側方拡張部6は積層体の側方表面から突出し、利用可能になる。
【0090】
この例では、板の各縁8.3の上に三つの拡張部が与えられる。拡張部は四つの外縁上に配置される。角の方が利用しやすいため、示された例にあるように、各角の両側に拡張部が提供されている。側方拡張部の数は限定されず、組み立て品が十分に大きい表面を表すように、各拡張部の表面次第で選択される。その結果、側方拡張部の組み立てにより形成された分岐表面の電気伝導性が、短絡させられるセルの電気伝導性よりも優れる。
【0091】
この例では、側方拡張部は長方形の形状を有し、これにより熱伝導を好む側方拡張部の間に、大きな接触面を提供できる。他の形状をとることも可能であり、例えば三角形や部分的な円形もある。
【0092】
有利には、100cmの活性表面、すなわち、セルの表面及び中間板の中央領域8.1の表面に対応する、について、側方拡張部の全てにより形成された平面内の分岐の表面の合計は1cm以上50cm以下であり、好ましくは10cmに等しい。
【0093】
有利には、分岐表面と活性表面の比率は1/100から1/2の間であり、好ましくは1/10に等しい。
【0094】
側方拡張部の数は有利には4個以上24個以下であり、より好ましくは、図3及び4に示されるように12個に等しい数である。
【0095】
そのような実施形態では、欠陥のあるセルの電圧は実質的に0V以上0.5V以下に、好ましくは0.1Vに等しい値にまで、減じられてもよい。
【0096】
有利な実施形態の例では、少なくとも側方拡張部は、例えば、コバルトマンガン又はコバルトセリウム合金の層など、腐食を防止する層に覆われている。よって、二つの相互接続器の側方拡張部を接続する間、電気的に絶縁性の酸化物層によっては電気伝導性は減じられない。その代わりに、接続が生成されている間、側方拡張部上に形成され得る酸化物層を取り除くという段階が、特に接触が意図されている表面において提供される。この除去は例えば摩耗によりなされる。
【0097】
別の実施形態の例では、各中間板は中間板の側方縁を拡張することにより形成された一つの側方拡張部を含む。もう一方の相互接続器の中間板との接続は複雑になり得るにもかかわらず、この例は大きな分岐表面を提供するという利点がある。
【0098】
好ましくは、側方拡張部は中間板と一体であり、それにより電気抵抗が低下し、製造が簡素化する。側方拡張部は中間板の残りを同時に切断することにより生成されてもよい。その代わりに、側方拡張部は、例えば溶接により中間板に固定される。
【0099】
有利には、側方拡張部及びエンドプレート10、12と同様に中間板もCrofer22又はK41型のフェライト鋼からなる。
【0100】
図5に示される実施形態の有利な例は、二つの相互接続器の間にあるセルが正常に稼働する限り、側方拡張部6を覆い、その結果、重ねられた二つの側方拡張部6の間にも電気的絶縁を確実にするために、電気的絶縁要素2は平面上の広がりを持つ。
【0101】
二つの相互接続器の間の接続が、これら二つの相互接続器の間に置かれたセルを短絡させるように望まれるとき、側方拡張部を覆う要素2の一部は取り除かれ、対面する側方拡張部を接触して置くことができるようにする。
【0102】
非常に有利には、側方拡張部6に一致する電気的絶縁要素2の一部は、事前切断部20により区切られ、必要があれば簡単な破損によりそれらを取り除くことを容易にする。
【0103】
ここで、セルを短絡させるための方法の一例を記載する。
【0104】
積層体内で欠陥のあるセルが探知されるとき、装置の稼働を劣化させないために、積層体のほかの部分から電気的に絶縁させることが決められた。なお、この探知は例えば積層体の寿命状態の変化を監視するために実施される各セルの電圧測定により得られる。
【0105】
欠陥のあるセルの両側に位置する中間板の側方拡張部6は、互いに向かって面外の方向へ動かされる。すなわち、各側方拡張部6は、もう一方の中間板と対面する側方拡張部6へ向かって変形させられる。その後、好ましくは仮溶接により、それらは一体にさせられる。側方拡張部の厚さは数十mm規模であるため、簡単に変形させられてもよいことに留意する。さらに、対面する二つの側方拡張部の間の距離は、セル及びそれが接触する層の厚さと同じ規模、すなわち1mm規模である。その結果、側方拡張部が接触するように配置するために求められる変形は少ない。
【0106】
二つの中間板にある側方拡張部はその後全て接続され、欠陥のあるセルよりもその電気伝導性が優れているような分岐表面を形成する。そして、図2に概略的に示されるように電流iは一方の中間板からもう一方へ直接流れ、欠陥のあるセルの電圧は降下し、熱を発生しなくなる。
【0107】
本発明の有効性を説明するために、積層体にある各セルの端子における電圧が、25個のセルからなり100cmの活性表面を持つ積層体の場合に、印加された電流に応じて測定され、積層体は電気分解の状態で稼働している。気体は、水蒸気90%と水素10%の混合気体を6Nml/min/cell/cmの流量で流す。
【0108】
図7では、電流i(A)を徐々に増加させたときの、時間(h)にわたる電圧(V)の変化を見ることができる。受け入れ可能な電流の最大値は15Aであり、それより大きな電流を印可すると二つのセルの電圧が1.4Vを超えるからである。これらの二つのセルは欠陥がある。この電圧を超えると、それらは熱を発生する。
【0109】
図8では、同一の積層体に対し同一の条件で、50Aの電流を印加した時の電圧変化を見ることができるが、欠陥のあるセルは絶縁されている。二つの欠陥のあるセルには0.1V規模の電圧が生じ、その他のセルはセル電圧が1.4Vを超えることなく正常に稼働し、水素が生成されることが分かる。さらに、分岐を有するセルの電圧の耐久性が良いことが観察される。加えて、積層体の温度もまた測定され、安定性が示され、本発明の有効性を証明した。
【0110】
本発明により、モジュールの稼働を保護し、その有効寿命を拡張するために、欠陥のある一つ又は複数のセルを絶縁することは、比較的容易である。
【符号の説明】
【0111】
2:電気的絶縁要素
4:短絡手段
6:側方分岐領域
8:中間板
8.1:中央部
8.2:側方部
8.3:外縁
10:エンドプレート
10.1:中央部
10.2:側方部
10.3:外縁
12:エンドプレート
14:穴
16:穴
18:穴
19:案内穴
20:事前切断部
I:相互接続器
i:電流
P:端子板
CL:電機化学セル
C1:電流ロッド
C2:電流ロッド
ZC:中央領域
ZL:側方領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セル(CL)と相互接続器(I)の積層体と、電気的絶縁要素(2)と、を含み、各セル(CL)は二つの相互接続器(I)の間に配置され、前記相互接続器(I)と電気的及び機械的に接続し、前記電気的絶縁要素(2)はそれぞれ二つの相互接続器(I)の間に挟まれ、セル(CL)を取り囲む、電気化学モジュールのための相互接続器(I)であって、
前記相互接続器(I)は、その中間にある気体供給及び気体収集室を規定する二枚のエンドプレート(10、12)の間で受け取られる少なくとも一枚の中間板(8)を含み、前記中間板(8)は、n個の側方分岐領域(6)を含む側方領域(ZL)により外的に区切られた中央領域(ZC)を含み、nは少なくとも1に等しく、各側方分岐領域(6)は、積層体内で相互接続器(I)と直接隣り合った中間板の側方分岐領域(6)に向かって移動可能に構成されており、二つの相互接続器(I)の間に電気伝導性を持たせるためにそれと接触するように構成されており、前記中間板(8)は、側方分岐領域(6)において二枚のエンドプレート(10,12)のうちの少なくとも一枚によって覆われていない、相互接続器。
【請求項2】
n個の側方分岐領域(6)の全部又は一部が前記中間板(8)のn個の露出領域(6)という形をとり、二枚のエンドプレート(10、12)の少なくとも一枚に重ねられておらず、特に、前記中間板(8)の一つ又は複数の角に位置するn個の露出領域(6)という形をとる、請求項1に記載の相互接続器。
【請求項3】
n個の側方分岐領域(6)の全部又は一部が、前記中間板(8)の側方領域(ZL)に関して外部に突出したn個の側方拡張部(6)の形をとり、前記n個の側方拡張部は特にエンドプレート(10、12)の縁を超えて側方に拡張している、請求項1又は2に記載の相互接続器。
【請求項4】
前記側方分岐領域(6)が積層体の軸の周りの各相互接続器(I)の外郭の周りに分布している、請求項1に記載の相互接続器。
【請求項5】
前記側方分岐領域(6)が前記中間板と一体である、請求項1に記載の相互接続器。
【請求項6】
前記側方分岐領域(6)が、例えばコバルトマンガン合金又はコバルトセリウム合金などの電気伝導性材料に覆われ、腐食を防止する、請求項1に記載の相互接続器。
【請求項7】
電気化学セル(CL)と請求項1に記載の相互接続器(I)との積層体と、電気的絶縁要素(2)と、を含む電気化学装置のためのモジュールであって、
各セル(CL)が二つの相互接続器(I)の間に置かれ、前記相互接続器(I)と電気的及び機械的に接触し、直接隣り合った二つの相互接続器の前記側方分岐領域(6)は少なくとも部分的に対面している、モジュール。
【請求項8】
直接隣り合った二つの相互接続器(I)にある前記側方分岐領域(6)の間に、特に、金のゲート及び/又は金のペーストといった電気伝導性要素が加えられている、請求項7に記載のモジュール。
【請求項9】
二つの相互接続器(I)にある側方分岐領域(6)により形成された分岐表面と、二つの相互接続器(I)の間に位置するセルの活性表面と、の比率が、1/100から1/2の間であり、好ましくは1/10に等しい、請求項7に記載のモジュール。
【請求項10】
各電気的絶縁要素(2)が側方分岐領域(6)を覆っている、請求項7に記載のモジュール。
【請求項11】
各電気的絶縁要素(2)が、側方分岐領域(6)に一致する電気的絶縁要素の一部を取り除くことを促進するための事前切断部(20)を含む、請求項10に記載のモジュール。
【請求項12】
請求項7~11のいずれか一項に記載のモジュールと、セルへの気体供給と、各セルに対して生成された気体収集と、直列にセルに供給するように構成された電力供給と、を含む、固体酸化物電解装置。
【請求項13】
請求項7~11のいずれか一項に記載のモジュールと、水素分子(H)及び酸素分子(O)、又はメタン(CH)及び空気のセルへの供給と、各セルから生成された気体の収集と、各電気化学セルから生成された電流を収集するための手段と、を含む、固体酸化物燃料電池。
【請求項14】
請求項7~11のいずれか一項に記載のモジュールのセルを短絡させる方法であって、次の工程:
おそらく変形によって、前記側方分岐領域(6)を互いに向かって動かすために、前記セルの両側に直接配置された相互接続器(I)のn個の側方分岐領域(6)を接触するように配置する工程と、
二つの相互接続器(I)の間に電気伝導性のあるn個の経路を形成するために前記側方分岐領域(6)を連結する工程と、を含む、方法。
【請求項15】
それらの連結に先立って、各側方分岐領域(6)上の酸化物層を摩耗により除去する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】