(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】腎臓疾患の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 35/22 20150101AFI20240927BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240927BHJP
A61L 27/38 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K35/22
A61P13/12
A61L27/38 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522027
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 US2022078153
(87)【国際公開番号】W WO2023064925
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519031841
【氏名又は名称】ベルトラム, ティモシー エー.
(71)【出願人】
【識別番号】519031830
【氏名又は名称】ジャイン, ディーパク
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラム, ティモシー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャイン, ディーパク
【テーマコード(参考)】
4C081
4C087
【Fターム(参考)】
4C081AB16
4C081BA12
4C081CD34
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB41
4C087BB64
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA81
(57)【要約】
糖尿病性慢性腎臓疾患を患うヒト患者の腎臓機能を改善する自家(例えば選択)腎細胞治療薬の使用が本明細書において提供される。1回目及び2回目の注射で投与される治療薬を使用することにより、少なくとも1年間にわたって患者の腎臓機能、例えば、推定糸球体濾過量が増加し、かつ腎臓疾患中に下降する他の臨床パラメーターが安定化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖尿病性慢性腎臓疾患(D-CKD)を患うヒト患者についての腎臓機能を改善する方法であって、
選択腎細胞(SRC)集団を含む治療用組成物の1回目及び2回目の注射を、前記ヒト患者の少なくとも一方の腎臓の腎皮質へと投与することを含み、それにより前記患者についての腎臓機能が改善され、
ここで、前記1回目及び2回目の注射は、およそ3ヶ月から12ヶ月の間の期間離して投与され、
ここで、前記治療用組成物は、推定腎臓重量1グラム当たり約1.0×10
6個~9.0×10
6個の前記SRC集団の細胞を含み、
ここで、前記SRC集団は、前記患者の腎臓生検の培養された腎細胞から調製された生体活性腎細胞を含む、方法。
【請求項2】
前記腎臓機能の改善は、
前記患者の推定糸球体濾過量(eGFR)の増加、及び/又は、
前記患者の尿アルブミン-クレアチニン比(uACR)の安定化又は低下、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記腎臓機能の改善は、
腎臓による赤血球生成、
腎臓による血中カリウムレベル若しくは血清カリウムレベル、
腎臓による血中リンレベル若しくは血清リンレベル、又は、
腎臓による血中カルシウムレベル若しくは血清カルシウムレベル、
の1つ以上の制御の回復を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記腎臓機能の改善は、前記患者のeGFRの増加を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ヒト患者のeGFRの増加は、第1の時点から第2の時点まで前記患者のeGFRが約1ml/分/1.73m
2~10ml/分/1.73m
2増加することを含み、
前記第1の時点は、前記1回目の注射の投与のおよそ1ヶ月以内であり、かつ、
前記第2の時点は、前記1回目の注射の投与のおよそ1年後である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ヒト患者のeGFRの増加は、第1の時点から第2の時点まで前記患者のeGFRが約1ml/分/1.73m
2~10ml/分/1.73m
2増加することを含み、
前記第1の時点は、前記2回目の注射の投与のおよそ1ヶ月以内であり、かつ、
前記第2の時点は、前記2回目の注射の投与のおよそ1年後である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記患者のeGFRの増加は、約1ml/分/1.73m
2~5ml/分/1.73m
2の増加である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記患者のeGFRの増加は、約1ml/分/1.73m
2~5ml/分/1.73m
2の増加である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記患者のeGFRの増加は、約1ml/分/1.73m
2~3ml/分/1.73m
2の増加である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記患者のeGFRの増加は、約1ml/分/1.73m
2~3ml/分/1.73m
2の増加である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記患者のeGFRの増加は、約3ml/分/1.73m
2~5ml/分/1.73m
2の増加である、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記患者のeGFRの増加は、約3ml/分/1.73m
2~5ml/分/1.73m
2の増加である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記ヒト患者のeGFRの増加は、第1の時点から第2の時点まで前記患者のeGFRが少なくとも約2ml/分/1.73m
2、又は少なくとも約3ml/分/1.73m
2、又は少なくとも約4ml/分/1.73m
2、又は少なくとも約5ml/分/1.73m
2増加することを含み、
前記第1の時点は、前記1回目又は2回目の注射の投与のおよそ1ヶ月以内であり、かつ、
前記第2の時点は、前記1回目又は2回目の注射のそれぞれの投与のおよそ1年後である、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記腎臓機能の改善は、前記患者のuACRの安定化又は低下を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記腎臓機能の改善は、前記患者のuACRの安定化を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記uACRの安定化は、第1の時点から第2の時点まで前記患者のuACRが約20%以内に維持されることを含み、
前記第1の時点は、前記1回目又は2回目の注射の投与のおよそ1ヶ月以内であり、かつ、
前記第2の時点は、前記1回目又は2回目の注射のそれぞれの投与のおよそ1年後である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記腎臓機能の改善は、前記腎臓による赤血球生成の制御の回復を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項18】
前記腎臓による赤血球生成の制御の回復は、前記患者の血中ヘモグロビンレベルが正常範囲内で安定化する又はその範囲内に戻ることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記腎臓機能の改善は、前記腎臓による血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの制御の回復を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項20】
前記腎臓機能の改善は、前記腎臓による血中リン酸レベル又は血清リン酸レベルの制御の回復を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項21】
前記腎臓機能の改善は、前記腎臓による血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの制御の回復を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項22】
前記腎臓機能の改善は、前記腎臓による血液濾過の増加を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記患者の腎臓機能は、第1の時点から第2の時点まで改善し、
前記第1の時点は、前記1回目又は2回目の注射の投与のおよそ1ヶ月以内であり、かつ、
前記第2の時点は、前記1回目又は2回目の注射のそれぞれの投与のおよそ1年後である、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ヒト患者の腎臓機能の改善は、前記患者の腎代替療法の防止を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記腎代替療法は、
透析、又は、
腎臓移植、
を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ヒト患者は、およそ20ml/分/1.73m
2を超えるeGFRを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ヒト患者は、およそ20ml/分/1.73m
2未満のeGFRを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記腎臓機能の改善は、eGFRの下降速度の低下を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記eGFRの下降速度の低下は、少なくとも約25%の低下である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記eGFRの下降速度の低下は、少なくとも約35%の低下である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記eGFRの下降速度の低下は、少なくとも約45%の低下である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記腎臓機能の改善は、前記患者の腎代替療法の防止を更に含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記腎代替療法は、透析又は腎臓移植を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記腎代替療法の防止は、透析の遅延を含み、かつ前記透析の遅延は、少なくとも約4ヶ月の遅延である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記透析の遅延は、少なくとも約6ヶ月の遅延である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記透析の遅延は、少なくとも約1年の遅延である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記透析の遅延は、少なくとも約2年の遅延である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記1回目及び2回目の注射は、およそ3ヶ月離して、又はおよそ6ヶ月離して、又はおよそ9ヶ月離して、又はおよそ12ヶ月離して投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記1回目及び2回目の注射は、およそ3ヶ月~9ヶ月離して投与される、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記1回目及び2回目の注射は、およそ6ヶ月~12ヶ月離して投与される、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記1回目及び2回目の注射は、およそ6ヶ月~9ヶ月離して投与される、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記1回目及び2回目の注射は、経皮注射である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
糖尿病性慢性腎臓疾患(D-CKD)を患うヒト患者についての腎臓機能を改善する方法であって、
選択腎細胞(SRC)集団を含む治療用組成物の1回目の注射を、前記ヒト患者の少なくとも一方の腎臓の腎皮質へと投与することと、
前記1回目の注射からおよそ3ヶ月~18ヶ月後にトリガー事象が確認された場合、前記治療用組成物の2回目の注射を、前記ヒト患者の少なくとも一方の腎臓の腎皮質へと投与することと、
を含み、それにより前記患者についての腎臓機能が改善され、
ここで、前記トリガー事象は、
(a)患者のベースラインeGFRに対する患者のeGFRの低下若しくは僅かな変化、又は、
(b)患者のベースラインuACRに対する患者のuACRの増加若しくは僅かな変化、
を含み、
ここで、前記2回目の注射は、前記トリガー事象が確認された後のおよそ30日以内に投与され、
ここで、前記治療用組成物は、推定腎臓重量1グラム当たり約1.0×10
6個~9.0×10
6個の前記SRC集団の細胞を含み、
ここで、前記SRC集団は、前記患者の腎臓生検の培養された腎細胞から調製された生体活性腎細胞を含む、方法。
【請求項44】
前記患者のベースラインeGFR又はベースラインuACRは、それぞれ、前記1回目の注射のおよそ60日前から前記1回目の注射の間の範囲内の時間での患者のeGFR又はuACRである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記患者のベースラインeGFR又はベースラインuACRは、それぞれ、前記1回目の注射のおよそ60日前の時間での患者のeGFR又はuACRである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記患者のベースラインeGFR又はベースラインuACRは、それぞれ、ほぼ前記1回目の注射の時間での患者のeGFR又はuACRである、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記患者のベースラインeGFR又はベースラインuACRは、患者のeGFR又はuACRのベースラインの平均であり、
前記患者のeGFR又はuACRのベースラインの平均は、2つの時点での2人の患者のeGFR又はuACRの測定値を平均したものであり、
前記2つの時点は、前記1回目の注射のおよそ60日前から前記1回目の注射の間からの時点である、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記患者のベースラインeGFR又はベースラインuACRは、患者のeGFR又はuACRのベースラインの平均であり、
前記患者のeGFR又はuACRのベースラインの平均は、3つの時点での3人の患者のeGFR又はuACRの測定値を平均したものであり、
前記3つの時点は、前記1回目の注射のおよそ60日前から前記1回目の注射の間からの時点である、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記トリガー事象は、患者のベースラインeGFRに対する患者のeGFRの低下又は僅かな変化が持続していると判定された場合に確認される、請求項43~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記患者のベースラインeGFRに対する患者のeGFRの低下又は僅かな変化は、その低下又は僅かな変化が少なくとも約30日間維持される場合に持続していると判定される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記患者のベースラインeGFRに対する患者のeGFRの低下又は僅かな変化は、その低下又は僅かな変化が少なくとも約60日間維持される場合に持続していると判定される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記患者のベースラインeGFRに対する患者のeGFRの低下又は僅かな変化は、その低下又は僅かな変化が少なくとも約90日間維持される場合に持続していると判定される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記患者のベースラインeGFRに対する患者のeGFRの低下又は僅かな変化は、少なくとも約5%である、請求項43~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記トリガー事象は、患者のベースラインuACRに対する患者のuACRの増加又は僅かな変化が持続していると判定された場合に確認される、請求項43~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記患者のuACRの増加又は僅かな変化は、患者のベースラインuACRに対する増加又は僅かな変化が少なくとも7日間維持される場合に持続していると判定される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記患者のuACRの増加又は僅かな変化は、患者のベースラインuACRに対する増加又は僅かな変化が少なくとも30日間維持される場合に持続していると判定される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記患者のuACRの増加又は僅かな変化は、患者のベースラインuACRに対する増加又は僅かな変化が少なくとも60日間維持される場合に持続していると判定される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記患者のuACRの増加又は僅かな変化は、患者のベースラインuACRに対する増加又は僅かな変化が少なくとも90日間維持される場合に持続していると判定される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記患者のuACRの増加又は僅かな変化は、患者のベースラインuACRに対する少なくとも約20%及び少なくとも約30mg/gの増加である、請求項43~48又は請求項54~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記増加又は僅かな変化は、少なくとも約30%及び少なくとも約30mg/gである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記患者のベースラインeGFRは、約25ml/分/1.73m
2未満であり、かつ前記トリガー事象は、前記患者のベースラインeGFRに対する約5%の患者のeGFRの低下を含む、請求項43~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記患者のベースラインeGFRは、約25ml/分/1.73m
2~約35ml/分/1.73m
2であり、かつ前記トリガー事象は、前記患者のベースラインeGFRに対する約10%の患者のeGFRの低下を含む、請求項43~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記患者のベースラインeGFRは、約35ml/分/1.73m
2~約45ml/分/1.73m
2であり、かつ前記トリガー事象は、前記患者のベースラインeGFRに対する約20%の患者のeGFRの低下を含む、請求項43~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記患者のベースラインeGFRは、少なくとも約45ml/分/1.73m
2であり、かつ前記トリガー事象は、前記患者のベースラインeGFRに対する約25%の患者のeGFRの低下を含む、請求項43~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記トリガー事象は、患者のeGFRの低下を含み、かつ前記低下は、前記患者のベースラインeGFRに対する約25%の低下である、請求項43~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記1回目の注射及び前記2回目の注射の投与は、前記患者の異なる腎臓の腎皮質への投与である、請求項43~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記トリガー事象の確認を更に含み、ここで、前記トリガー事象の確認は、前記1回目の注射後に患者のeGFRを少なくとも1回決定する工程を含む、請求項43~53又は請求項61~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記患者のeGFRは、前記1回目の注射後に少なくとも2回決定される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記トリガー事象の確認を更に含み、ここで、前記トリガー事象の確認は、前記1回目の注射後に患者のuACRを少なくとも1回決定する工程を含む、請求項43~48又は請求項54~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記患者のuACRは、前記1回目の注射後に少なくとも2回決定される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記腎臓機能の改善は、
前記患者の推定糸球体濾過量(eGFR)の安定化又は増加、及び/又は、
前記患者の尿アルブミン-クレアチニン比(uACR)の安定化又は低下、
を含む、請求項43~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記腎臓機能の改善は、
腎臓による赤血球生成、
腎臓による血中カリウムレベル若しくは血清カリウムレベル、
腎臓による血中リンレベル若しくは血清リンレベル、又は、
腎臓による血中カルシウムレベル若しくは血清カルシウムレベル、
の1つ以上の制御の回復を含む、請求項43~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記ヒト患者の腎臓機能の改善は、前記患者の腎代替療法の防止を更に含む、請求項43~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記腎代替療法は、
透析、又は、
腎臓移植、
を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記SRC集団は、低酸素条件に曝露された培養された腎細胞から調製される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記SRC集団の細胞は、およそ1.04g/mLを超える浮遊密度を示す、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記SRC集団は、(i)ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)-1を発現する細胞、(ii)サイトケラチン18(CK18)を発現する細胞、(iii)血管内皮成長因子(VEGF)を分泌する細胞、及び(iv)腎損傷分子-1(KIM-1)を分泌する細胞を含み、
ここで、前記SRC集団の細胞の少なくとも約4.5%がGGT-1を発現し、かつ前記SRC集団の細胞の少なくとも約80%がCK18を発現する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記SRC集団は、少なくとも1つの腎形成マーカーを発現する細胞を含み、
ここで、前記腎形成マーカーは、SIXホメオボックス2(SIX2)、オッドスキップ関連1(OSR1)、LIMホメオボックス1(LHX1)、トランスフェクション中の再構成(RET)、又は線維芽細胞成長因子8(FGF8)の1つ以上を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記少なくとも1つの腎形成マーカーは、LHX1を含み、かつ、
前記集団の細胞の少なくとも約15%がLHX1を発現する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記SRC集団は、(i)LHX1を発現する細胞、(ii)ネフリンを発現する細胞、及び(iii)ポドシンを発現する細胞を含み、
ここで、前記SRC集団の細胞の少なくとも約70%がネフリンを発現し、前記SRC集団の細胞の少なくとも約80%がポドシンを発現し、かつ前記SRC集団の細胞の少なくとも約15%がLHX1を発現する、請求項1~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記SRC集団は、腎尿細管細胞を含み、かつ、
腎尿細管細胞のパーセンテージは、前記SRC集団中の方が前記培養された腎細胞中よりも高い、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記SRC集団は、糸球体細胞を含み、かつ、
糸球体細胞のパーセンテージは、前記SRC集団中の方が前記培養された腎細胞中よりも高い、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記SRC集団は、尿細管周囲間質細胞を含み、かつ、
尿細管周囲間質細胞のパーセンテージは、前記SRC集団中の方が前記培養された腎細胞中よりも高い、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記治療用組成物は、推定腎臓重量1グラム当たりおよそ3.0×10
6個の前記SRC集団の細胞を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年10月14日に出願された米国仮出願第63/255,885号、2022年2月8日に出願された米国仮出願第63/307,801号、及び2022年3月18日に出願された米国仮出願第63/321,204号(これら3件は「腎臓疾患の治療」と題されており、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に対する優先権の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
慢性腎臓疾患(CKD)は、治療的介入がなければ悪化することになる進行性の腎症を特徴としており、最終的に患者は末期腎疾患(ESRD)に至る可能性がある。CKDは、しばしば高血圧症及び腎血管疾患を含む根底にある併存症及び/又は危険因子のおかげで有害な転帰を伴う(非特許文献1)。重篤な併存症のため、CKDを患う患者は生存して末期腎疾患(ESRD)まで進行するよりも早期に死亡する可能性が5倍~11倍高い(非特許文献2、非特許文献3)。
【0003】
糖尿病性腎症において、糸球体の脱落及び進行性尿細管線維症を伴うネフロン喪失の病理形態学的順序が詳細に説明されている(非特許文献4)。CKDの他の原因と同様に、ネフロン喪失が始まると糸球体の修復は起こり得ない。CKDについての最も標準的な治癒処置は、単一の又は関連する併存症に影響を与える腎臓における生化学的経路を標的とする小分子であるが、新たなネフロンは生成されないため、根底にある糸球体及び尿細管間質の機能不全は変わらぬままである。最終的に、ESRDまで進行した患者においては、生存のために腎代替療法(透析又は移植)が必要とされる。
【0004】
罹患した腎臓の機能を改善するCKD治療措置に対して医療ニーズが存在する。罹患した腎臓の機能を改善することにより、腎臓の主要な機能である血液の濾過が改善し得るだけでなく、腎代替療法の必要性を遅らせ又は妨げることもでき、及び/又はCKDに関連する併存症を緩和することもできる。腎自家細胞療法(REACT)は、ヒトCKD患者の腎皮質へと注射される自家腎細胞、例えば選択腎細胞(SRC)集団を含む治療用組成物である。CKD患者に対するREACTの2回の注射の投与は、目下、例えば少なくとも部分的に推定糸球体濾過量(eGFR)を少なくとも1年間を含む時間の経過にわたって一貫して増加させることにより、CKD患者の腎臓機能を改善することが実証されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Khan et al., 2002、Stenvinkel P.著の「慢性腎臓疾患-公衆衛生上の優先順位及び早発性心血管疾患の前触れ(Chronic kidney disease - a public health priority and harbinger of premature cardiovascular disease)」J Intern med. 2010; 268:456-67
【非特許文献2】Collins et al., 2003
【非特許文献3】Smith et al., 2004
【非特許文献4】Lowen J, Grone EF, Gross-Weissmann ML, et al.著の「糖尿病性腎症におけるネフロン喪失の病理形態学的順序(Pathomorphological sequence of nephron loss in diabetic nephropathy.)」 Am J Physiol Renal Physiol 2021; 321: F600-F616
【発明の概要】
【0006】
本開示は、糖尿病性慢性腎臓疾患(D-CKD)を患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法を記載する。この方法において、選択腎細胞(SRC)集団を含む治療用組成物の1回目及び2回目の注射をヒト患者の少なくとも一方の腎臓の腎皮質へと投与する。治療用組成物の1回目及び2回目の注射を、およそ3ヶ月から12ヶ月の間の期間離して投与する。治療用組成物は、推定腎臓重量1グラム当たり約1.0×106個~9.0×106個のSRC集団の細胞を含む。SRC集団は、患者の腎臓生検の培養された腎細胞から調製された生体活性腎細胞を含む。それにより1回目及び2回目の注射を投与するとヒト患者の腎臓機能が改善される。
【0007】
本開示は、D-CKDを患うヒト患者についての腎臓機能を改善する更に別の方法を記載する。この方法において、SRC集団を含む治療用組成物の1回目の注射をヒト患者の少なくとも一方の腎臓の腎皮質へと投与する。1回目の注射のおよそ3ヶ月~18ヶ月後にトリガー事象が確認された場合、治療用組成物の2回目の注射をヒト患者の少なくとも一方の腎臓の腎皮質に投与する。トリガー事象は、患者のベースラインeGFRに対する患者のeGFRの低下若しくは僅かな変化であり得るか、又は患者のベースラインuACRに対する患者のuACRの増加若しくは僅かな変化であり得る。トリガー事象が確認された後のおよそ30日以内に2回目の注射を投与する。治療用組成物は、推定腎臓重量1グラム当たり約1.0×106個~9.0×106個のSRC集団の細胞を含む。SRC集団は、患者の腎臓生検の培養された腎細胞から調製された生体活性腎細胞を含む。それにより1回目及び2回目の注射を投与するとヒト患者の腎臓機能が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】2回のREACT(例えばSRC含有)注射を受けた進行性2型D-CKD患者におけるeGFRの変化を示すデータを示す図である。eGFRの変化が、患者群全体について示され、別個に、治療に対する低レスポンダーとして分類された患者及び中/高レスポンダーとして分類された患者について示されている(p=0.768、ANOVA)。
【
図2A-2B】2回のREACT(例えばSRC含有)注射を受けたD-CKD患者におけるSRC注射に対するeGFR(
図2AにおいてはsCrのみを使用した2009 CKD-EPIに基づくeGFR、
図2Bにおいてはクレアチニン及びシスタチンCを使用した2012 CKD-EPIに基づくeGFR)の応答を示す図である。0日目は1回目の注射の日を表す。
【
図3A-3C】2回のREACT(例えばSRC含有)注射で治療されたD-CKD患者対標準治療(SOC)で治療されたD-CKD患者における、本源的な臨床腎臓機能マーカーである推定糸球体濾過(eGFR;REACTで治療された患者については上の実線及び破線、並びにSOCで治療された患者については下の実線及び破線;
図3A及び
図3C)及びアルブミン尿(尿アルブミン対クレアチニン比(UACR);
図3B)の中間解析の結果を示す図である。
【
図4】2回のREACT(例えばSRC含有)注射を受けたD-CKD患者対SOCで治療されたD-CKD患者におけるeGFRの変化を比較するデータを示す図である。上の実線及び破線はREACTで治療された患者であり、下の実線及び破線はSOCで治療された患者である。p値を、両側ウェルチ2標本t検定を使用して計算した。
【
図5A-5F】FACSで評価され、2回のREACT(例えばSRC含有)注射を受けた患者のD-CKDサブセットにおける、尿中アルブミン/クレアチニン(UAUC;
図5A)、ヘモグロビン(
図5B)、血清リン酸塩(
図5C)、血清カリウム(
図5D)、血圧(
図5E)、及びインタクト副甲状腺ホルモン(iPTH;
図5F)の安定化を示すデータを示す図である。安定化応答が、患者群全体について示され、別個に、低レスポンダーとして分類された患者及び中/高レスポンダーとして分類された患者について示されている。
【
図6A-6C】2回のREACT(例えばSRC含有)注射で治療されたD-CKD患者対SOCで治療されたD-CKD患者における、ヘモグロビン(
図6A)、血清カルシウム(
図6B)、及び血清リン(
図6C)の中間解析の結果を示す図である。明色のバーはREACT治療である。暗色のバーはSOC治療である。
【
図7】2回のREACT(例えばSRC含有)注射を受けた後期ステージIVのD-CKDにおけるeGFR(CKD-EPIクレアチニン2009方程式)の応答を示す図である。線形混合効果モデル:コホート(破線)及び個々の患者(実線)の傾きによる注射前及び注射後のeGFR。1回目の注射時(時間=0)に傾きの減速が起こる。傾きは、注射前の年間-6.5mL/分/1.73m
2から注射後の-3.9mL/分/1.73m
2へと減速、例えば改善する。
【
図8】後期ステージIVのD-CKD患者についての、1回目の注射時からの外挿された注射前のeGFRの傾き(-6.5ml/分/1.73m
2)及び10mL/分/1.73m
2のeGFRでの透析開始を想定した介入なしでの透析までの推定時間(およそ10.1ヶ月);透析までの推定時間を30ヶ月まで拡張した1回目のSRC含有注射後の計算されたeGFRの傾きの改善(2.6ml/分/1.73m
2)を示すグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、糖尿病性慢性腎臓疾患(D-CKD)を患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法が記載される。D-CKDにおいて、CKDは、時間の経過にわたって腎臓内の血管及びネフロンに損傷を与える高血糖値に起因する1型糖尿病又は2型糖尿病の合併症であり得る。腎臓が損傷されると、それらの機能が低下し、腎臓疾患が引き起こされる。さらに、糖尿病は腎臓内の血管だけでなく細い血管にも損傷を与えるため、糖尿病は高血圧症の原因となる場合もある。D-CKD患者における高血圧症の関与はCKDを加速させる。したがって、D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、患者は1型糖尿病を患うD-CKD患者又は2型糖尿病を患うD-CKD患者であり得る。腎臓機能を改善する方法において、患者は1型糖尿病又は2型糖尿病を患うD-CKD患者であっても、及び/又は高血圧症、例えば高血圧を患っていてもよい。
【0010】
D-CKDを患うヒト患者についての腎臓機能を改善する方法において、患者のCKDは、ステージIのCKD、ステージIIのCKD、ステージIIIのCKD、又はステージIVのCKDに分類され得る。D-CKDを患う患者がステージIのCKDにあると分類される場合、患者はおよそ90mL/分/1.73m2を超えるeGFRを有し得るが、正常よりも高いレベルの血中のタンパク質、例えばアルブミンを検出することによるか、正常よりも高いレベルの尿中の尿素を検出し、正常よりも高いレベルのクレアチニンを検出することによるか、又はイメージング技術、例えばCTスキャン、磁気共鳴イメージング、超音波、若しくは造影X線を使用して構造的損傷を検出することによって決定される腎臓損傷の兆候を有し得る。D-CKDを患う患者がステージIIのCKDにあると分類される場合、患者はおよそ60mL/分/1.73m2~89mL/分/1.73m2のeGFRを有し得る。D-CKDを患う患者がステージIIIのCKDにあると分類される場合、患者はおよそ30mL/分/1.73m2~59mL/分/1.73m2のeGFRを有し得る。D-CKDを患う患者がステージIVのCKDにあると分類される場合、患者はおよそ15mL/分/1.73m2~29mL/分/1.73m2のeGFRを有し得る。上記方法によって治療されるD-CKDを患う患者は、およそ15mL/分/1.73m2~90mL/分/1.73m2、15mL/分/1.73m2~75mL/分/1.73m2、15mL/分/1.73m2~60mL/分/1.73m2、15mL/分/1.73m2~45mL/分/1.73m2、15mL/分/1.73m2~30mL/分/1.73m2、15mL/分/1.73m2~20mL/分/1.73m2、14mL/分/1.73m2~20mL/分/1.73m2、20mL/分/1.73m2~90mL/分/1.73m2、20mL/分/1.73m2~75mL/分/1.73m2、20mL/分/1.73m2~60mL/分/1.73m2、20mL/分/1.73m2~45mL/分/1.73m2、20mL/分/1.73m2~30mL/分/1.73m2、30mL/分/1.73m2~90mL/分/1.73m2、30mL/分/1.73m2~75mL/分/1.73m2、30mL/分/1.73m2~60mL/分/1.73m2、30mL/分/1.73m2~45mL/分/1.73m2、40mL/分/1.73m2~90mL/分/1.73m2、40mL/分/1.73m2~75mL/分/1.73m2、40mL/分/1.73m2~60mL/分/1.73m2、又は50mL/分/1.73m2~90mL/分/1.73m2のeGFRを有し得る。上記方法によって治療されるD-CKDを患う患者は、およそ20mL/分/1.73m2未満のeGFRを有し得るか、又は約20mL/分/1.73m2から約50mL/分/1.73m2の間、若しくは約20mL/分/1.73m2から約60mL/分/1.73m2の間、若しくは約20mL/分/1.73m2から約90mL/分/1.73m2の間のeGFRを有し得る。
【0011】
D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、腎臓機能の改善は、患者のeGFRの増加、又は患者のuACRの安定化若しくは減少であり得るか、又はそれらを含み得る。D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、腎臓機能の改善は、腎臓による赤血球生成、腎臓による血中カリウムレベル又は血清カリウムレベル、腎臓による血中リンレベル又は血清リンレベル、及び/又は腎臓の血中カルシウム又は血清カルシウムの制御の回復であり得るか、又はそれらを含み得る。D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、腎臓機能の改善は、例えばeGFRの安定化(下降速度の低下)若しくは増加又はuACRの安定化として決定され得る、腎臓による血液濾過の増加であり得るか、又はそれを含み得る。
【0012】
D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、患者の腎臓機能の改善により患者のeGFRが増加する場合、患者のeGFRの増加は、約1ml/分/1.73m2~10ml/分/1.73m2、約1ml/分/1.73m2~9ml/分/1.73m2、約1ml/分/1.73m2~8ml/分/1.73m2、約1ml/分/1.73m2~7ml/分/1.73m2、約1ml/分/1.73m2~6ml/分/1.73m2、約1ml/分/1.73m2~5ml/分/1.73m2、約1ml/分/1.73m2~4ml/分/1.73m2、約1ml/分/1.73m2~3ml/分/1.73m2、又は約3ml/分/1.73m2~5ml/分/1.73m2の増加であり得る。この増加は、治療用組成物による1回目又は2回目の注射の投与からおよそ1ヶ月の患者のeGFRに対する増加であり得る。患者のeGFRの増加は、少なくとも約1ml/分/1.73m2、少なくとも約2ml/分/1.73m2、少なくとも約3ml/分/1.73m2、少なくとも約4ml/分/1.73m2、又は少なくとも約5ml/分/1.73m2の増加であり得る。この増加は、治療用組成物による1回目又は2回目の注射の投与からおよそ1ヶ月の患者のeGFRに対する増加であり得る。
【0013】
D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、腎臓機能の改善により患者のuACRが安定化又は低下する場合、腎臓機能の改善により患者のuACRが安定化し得る。腎臓機能の改善により患者のuACRが安定化する場合、患者のuACRは、約20%以内、約19%以内、約18%以内、約17%以内、約16%以内、約15%以内、約14%以内、約13%以内、約12%以内、約11%以内、約10%以内、約9%以内、約8%以内、約7%以内、約6%以内、約5%以内、約4%以内、約3%以内、約2%以内、又は約1%以内のレベルで維持され得る。これは、治療用組成物による1回目又は2回目の注射の投与からおよそ1ヶ月の患者のuACRに対して約20%以内、約19%以内、約18%以内、約17%以内、約16%以内、約15%以内、約14%以内、約13%以内、約12%以内、約11%以内、約10%以内、約9%以内、約8%以内、約7%以内、約6%以内、約5%以内、約4%以内、約3%以内、約2%以内、又は約1%以内のレベルで維持され得る。腎臓機能の改善により患者のuACRが低下する場合、患者のuACRは、約1%~20%、約1%~19%、約1%~18%、約1%~17%、約1%~16%、約1%~15%、約1%~14%、約1%~13%、約1%~12%、約1%~11%、約1%~10%、約1%~9%、約1%~8%、約1%~7%、約1%~6%、約1%~5%、約5%~20%、約5%~15%、又は約10%~20%低下し得る。この低下は、治療用組成物による1回目又は2回目の注射の投与からおよそ1ヶ月の患者のuACRに対する低下であり得る。
【0014】
D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、腎臓機能の改善により腎臓による赤血球生成の制御が回復する場合、腎臓による赤血球生成の制御の回復により、患者の血中ヘモグロビンレベルは正常レベル、例えば約13.0g/dLから17.5g/dLの間で安定化し得るか、又は患者の血中ヘモグロビンレベルは正常レベル、例えば約13.0g/dLから17.5g/dLの間に戻り得る。赤血球生成の制御により患者の血中ヘモグロビンレベルが安定化する場合、その安定化により患者の血中ヘモグロビンは約13.0g/dLから17.5g/dLの間のレベルで維持され得る。患者の血中ヘモグロビンレベルを約13.0g/dLから17.5g/dLの間のレベルで維持するのに、患者の血中ヘモグロビンレベルが時間の経過にわたって静的である必要はないことが理解されるであろう。むしろ、患者の血中ヘモグロビンレベルの約13.0g/dLから17.5g/dLの間のレベルでの維持では、患者の血中ヘモグロビンレベルの変化により約13.0g/dL~17.5g/dLの範囲から外れる患者の血中ヘモグロビンレベルが引き起こされない限り、患者の血中ヘモグロビンレベルの、例えば約0.5g/dL未満の変化、約1.0g/dL未満、約1.5g/dL未満、又は約2.0g/dL未満の変化が許容されると理解されるであろう。腎臓機能の改善により腎臓による赤血球生成の制御が回復し、かつD-CKD患者の血中ヘモグロビンレベルが約13.0g/dL未満である場合、赤血球生成の制御の回復により、患者の血中ヘモグロビンは少なくとも約13.0g/dLまで増加し、その後、患者の血中ヘモグロビンレベルは約13.0g/dLから17.5g/dLの間で維持され得る。腎臓機能の改善により腎臓による赤血球生成の制御が回復し、かつD-CKD患者の血中ヘモグロビンレベルが約13.0g/dL未満である場合、赤血球生成の制御の回復により、例えば患者の血中ヘモグロビンレベルが少なくとも約0.5g/dL、少なくとも約1.0g/dL、少なくとも約1.5g/dL、又は少なくとも約2.0g/dL増加することによって、患者の血中ヘモグロビンは少なくとも約13.0g/dLまで増加し、その後、約13.0g/dLから17.5g/dLの間になると、患者の血中ヘモグロビンは約13.0g/dLから17.5g/dLの間のレベルで維持され得る。
【0015】
D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、腎臓機能の改善により患者の腎臓による血中カリウム又は血清カリウムの制御が回復し、かつD-CKD患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが約3.5mmol/Lから5.0mmol/Lの間である場合、腎臓による患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの制御の回復により、患者の血中カリウム又は血清カリウムは約3.5mmol/Lから5.0mmol/Lの間のレベルで維持され得る。患者の血中カリウム又は血清カリウムを約3.5mmol/Lから5.0mmol/Lの間のレベルで維持するのに、患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが時間の経過にわたって静的である必要はないことが理解されるであろう。むしろ、患者の血中カリウム又は血清カリウムの約3.5mmol/Lから5.0mmol/Lの間のレベルでの維持では、患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの変化により約3.5mmol/L~5.0mmol/Lの範囲から外れる患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが引き起こされない限り、患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの、例えば約0.5mmol/L未満の変化、約1.0mmol/L未満、約1.5mmol/L未満、又は約2.0mmol/L未満の変化が許容されると理解されるであろう。腎臓機能の改善により患者の腎臓による血中カリウム又は血清カリウムの制御が回復し、かつD-CKD患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが約5.0mmol/Lを超える場合、患者の腎臓による血中カリウム又は血清カリウムの制御の回復は、患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが少なくとも約5.0mmol/Lまで低下し、その後、患者の血中カリウム又は血清カリウムが約3.5mmol/Lから5.0mmol/Lの間のレベルで維持される制御であり得る。腎臓機能の改善により患者の腎臓による血中カリウム又は血清カリウムの制御が回復し、かつD-CKD患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが約5.0mmol/Lを超える場合、患者の腎臓による血中カリウム又は血清カリウムの制御の回復は、例えば患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが少なくとも約0.5mmol/L、少なくとも約1.0mmol/L、少なくとも約1.5mmol/L、又は少なくとも約2.0mmol/L減少することによって、患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが少なくとも約5.0mmol/Lまで減少し、その後、約3.5mmol/Lから5.0mmol/Lの間になると、患者の血中カリウム又は血清カリウムが約3.5mmol/Lから5.0mmol/Lの間のレベルで維持される制御であり得る。
【0016】
D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、腎臓機能の改善により患者の腎臓による血中リン又は血清リンの制御が回復し、かつD-CKD患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが約3.5mg/dLから5.5mg/dLの間である場合、腎臓による患者の血中リンレベル又は血清リンレベルの制御の回復は、患者の血中リン又は血清リンが約3.5mg/dLから5.5mg/dLの間のレベルで維持される制御であり得る。患者の血中リン又は血清リンを約3.5mg/dLから5.5mg/dLの間のレベルで維持するのに、患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが時間の経過にわたって静的である必要はないことが理解されるであろう。むしろ、患者の血中リン又は血清リンの約3.5mg/dLから5.5mg/dLの間のレベルでの維持では、患者の血中リンレベル又は血清リンレベルの変化により約3.5mg/dL~5.5mg/dLの範囲から外れる患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが引き起こされない限り、患者の血中リンレベル又は血清リンレベルの、例えば約0.5mg/dL未満、約1.0mg/dL未満、約1.5mg/dL未満、又は約2.0mg/dL未満の変化が許容されると理解されるであろう。腎臓機能の改善により患者の腎臓による血中リン又は血清リンの制御が回復し、かつD-CKD患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが約5.5mg/dLを超える場合、患者の腎臓による血中リン又は血清リンの制御の回復は、患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが少なくとも約5.5mg/dLまで低下し、その後、患者の血中リン又は血清リンが約3.5mg/dLから5.5mg/dLの間のレベルで維持される制御であり得る。腎臓機能の改善により患者の腎臓による血中リン又は血清リンの制御が回復し、かつD-CKD患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが約5.5mg/dLを超える場合、患者の腎臓による血中リン又は血清リンの制御の回復は、例えば患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが少なくとも約0.5mg/dL、少なくとも約1.0mg/dL、少なくとも約1.5mg/dL、又は少なくとも約2.0mg/dL減少することによって、患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが少なくとも約5.5mg/dLまで減少し、その後、約3.5mg/dLから5.5mg/dLの間になると、患者の血中リン又は血清リンが約3.5mg/dLから5.5mg/dLの間のレベルで維持される制御であり得る。
【0017】
D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、腎臓機能の改善により患者の腎臓による血中カルシウム又は血清カルシウムの制御が回復し、かつD-CKD患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが約8.5mg/dLから10.5mg/dLの間である場合、患者の腎臓による血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの制御の回復は、患者の血中カルシウム又は血清カルシウムが約8.5mg/dLから10.5mg/dLの間のレベルで維持される制御であり得る。患者の血中カルシウム又は血清カルシウムを約8.5mg/dLから10.5mg/dLの間のレベルで維持するのに、患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが時間の経過にわたって静的である必要はないことが理解されるであろう。むしろ、患者の血中カルシウム又は血清カルシウムの約8.5mg/dLから10.5mg/dLの間のレベルでの維持では、患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの変化により約8.5mg/dL~10.5mg/dLの範囲から外れる患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが引き起こされない限り、患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの、例えば約0.5mg/dL未満、約1.0mg/dL未満、約1.5mg/dL未満、又は約2.0mg/dL未満の変化が許容されると理解されるであろう。腎臓機能の改善により患者の腎臓による血中カルシウム又は血清カルシウムの制御が回復し、かつD-CKD患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが約8.5mg/dL未満である場合、患者の腎臓による血中カルシウム又は血清カルシウムの制御の回復は、患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが少なくとも約8.5mg/dLまで増加し、その後、患者の血中カルシウム又は血清カルシウムが約8.5mg/dLから10.5mg/dLの間のレベルで維持される制御であり得る。腎臓機能の改善により患者の腎臓による血中カルシウム又は血清カルシウムの制御が回復し、かつD-CKD患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが約8.5mg/dL未満である場合、患者の腎臓による血中カルシウム又は血清カルシウムの制御の回復は、例えば患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが少なくとも約0.5mg/dL、少なくとも約1.0mg/dL、少なくとも約1.5mg/dL、又は少なくとも約2.0mg/dL増加することによって、患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが少なくとも約8.5mg/dLまで増加し、その後、約8.5mg/dLから10.5mg/dLの間になると、患者の血中カルシウム又は血清カルシウムが約8.5mg/dLから10.5mg/dLの間のレベルで維持される制御であり得る。
【0018】
D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、腎臓機能の改善により患者の腎臓による血液濾過が増加する場合、患者の腎臓による濾過の増加は、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、又は少なくとも約15%の増加であり得る。この増加は、治療用組成物による1回目又は2回目の注射の投与からおよそ1ヶ月以内の時間での患者の腎臓血液濾過に対する増加であり得る。D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、腎臓機能の改善により患者の腎臓による血液濾過が増加する場合、患者の腎臓による濾過の増加は、約1%から15%の間、約1%から12%の間、約1%から10%の間、約1%から7%の間、約1%から5%の間、約3%から15%の間、約3%から12%の間、約3%から10%の間、約3%から7%の間、約3%から5%の間、5%から15%の間、約5%から12%の間、約5%から10%の間、又は約5%から7%の間の増加であり得る。この増加は、治療用組成物による1回目又は2回目の注射の投与からおよそ1ヶ月の患者の腎臓血液濾過に対する増加であり得る。患者の腎臓による濾過は、腎臓濾過を測定する当業者によって知られるあらゆる臨床アッセイ又は臨床検査を使用して決定又は確認され得る。このようなアッセイ又は検査としては、限定されるものではないが、eGFRを決定するもの、例えばシスタチン-C、血清クレアチニン、イオヘキソールを決定するもの、又は核シンチグラフィー分析(例えば、Tc-99m DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸))、及び/又はuACRを測定するものが挙げられる。D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能の改善により患者の腎臓による血液濾過が増加し、かつ患者の血液濾過の増加がeGFRにより決定される場合、腎臓機能の増加は、患者のeGFRを(例えば、患者のeGFRの下降速度を少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%のeGFRだけ低下させることによって)安定化し得るか、又は(例えば、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%)増加し得る。D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能の改善により患者の腎臓の血液濾過が増加し、かつ患者の血液濾過が患者のeGFRの下降速度の低下によって決定される場合、患者は、例えば約20mL/分/1.73m2未満のeGFRを有するステージIVのCKD又は後期ステージIVのCKDにおけるD-CKD患者であってよく、かつeGFRの下降速度の低下は少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%の低下であり得る。
【0019】
D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、腎臓機能の改善は、患者のeGFRの増加、患者のuACRの安定化又は低下、及び/又は患者の腎臓による血液濾過の増加の2つ又は3つ全てのいずれかの組合せであり得るか、又はそれらを含み得る。D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、腎臓機能の改善は、腎臓による赤血球生成、腎臓による血中カリウムレベル又は血清カリウムレベル、腎臓による血中リンレベル又は血清リンレベル、及び/又は腎臓による血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの2つ、又は3つ、又は4つ全てのいずれかの組合せの制御の回復であり得る。D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法において、腎臓機能の改善は、腎臓による赤血球生成の制御の回復、腎臓による血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの制御の回復、腎臓による血中リンレベル又は血清リンレベルの制御の回復、腎臓による血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの制御の回復、患者のeGFRの増加、患者のuACRの安定化又は低下、及び/又は患者の腎臓による血液濾過の増加の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つ全てのいずれかの組合せであり得るか、又はそれらを含み得る。
【0020】
D-CKDを患うヒト患者の腎臓機能を改善する方法のいずれかにおいて、腎臓機能の改善(例えば、患者のeGFRの増加、患者のuACRの安定化又は低下、患者の腎臓による赤血球生成の制御の回復、患者の腎臓による血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの制御の回復、患者の腎臓による血中リンレベル又は血清リンレベルの制御の回復、患者の腎臓による血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの制御の回復、及び/又は血液濾過の増加(例えば、患者の腎臓による安定化(eGFRの下降速度の低下)))は、第1の時点からの第2の時点に対する測定可能又は決定可能な改善であり得る。第1の時点は、治療用組成物による1回目の注射の投与前又は投与後のおよそ3ヶ月以内の時間であり得る。第1の時点は、治療用組成物の1回目の注射の投与前又は投与後のおよそ12週間~1週間以内、およそ12週間~2週間以内、およそ12週間~3週間以内、およそ12週間~4週間以内、およそ8週間~1週間以内、およそ8週間~2週間以内、およそ8週間~3週間以内、又はおよそ8週間~4週間以内の時間であり得る。第1の時点は、治療用組成物による1回目の注射の投与前又は投与後のおよそ1ヶ月以内の時間であり得る。第1の時点は、治療用組成物の1回目の注射の投与前又は投与後のおよそ1日~30日以内、およそ1日~28日以内、およそ1日~26日以内、およそ1日~24日以内、およそ1日~22日以内、およそ1日~20日以内、およそ1日~18日以内、およそ1日~16日以内、およそ1日~14日以内、およそ1日~12日以内、およそ1日~10日以内、およそ1日~8日以内、およそ1日~6日以内、およそ1日~4日以内、又はおよそ1日~2日以内の時間であり得る。第1の時点は、治療用組成物による1回目の注射の投与前又は投与後の約24時間以内であり得る。
【0021】
代替的に、第1の時点は、治療用組成物の2回目の注射の投与前又は投与後の約3ヶ月以内の時間であり得る。第1の時点は、治療用組成物による2回目の注射の投与前又は投与後のおよそ12週間~1週間以内、およそ12週間~2週間以内、およそ12週間~3週間以内、およそ12週間~4週間以内、およそ8週間~1週間以内、およそ8週間~2週間以内、およそ8週間~3週間以内、又はおよそ8週間~4週間以内の時間であり得る。第1の時点は、治療用組成物の2回目の注射の投与前又は投与後の約1ヶ月以内の時間であり得る。第1の時点は、治療用組成物の2回目の注射の投与前又は投与後のおよそ1日~30日、およそ1日~28日、およそ1日~26日、およそ1日~24日、およそ1日~22日、およそ1日~20日、およそ1日~18日、およそ1日~16日、およそ1日~14日、およそ1日~12日、およそ1日~10日、およそ1日~8日、およそ1日~6日、およそ1日~4日、又はおよそ1日~2日の時間であり得る。第1の時点は、治療用組成物による2回目の注射の前又は後の約24時間以内の時間であり得る。
【0022】
第1の時点と比較した第2の時点は、治療用組成物による1回目の注射の投与のおよそ1年後の時間であり得る。第2の時点は、治療用組成物による1回目の注射の投与のおよそ9ヶ月後、およそ10ヶ月後、およそ11ヶ月後、およそ12ヶ月後、およそ13ヶ月後、およそ14ヶ月後、およそ15ヶ月後、およそ16ヶ月後、およそ17ヶ月後、およそ18ヶ月後、およそ19ヶ月後、およそ20ヶ月後、およそ21ヶ月後、およそ22ヶ月後、およそ23ヶ月後、又はおよそ24ヶ月後の時間であり得る。第2の時点は、治療用組成物による1回目の注射の投与のおよそ9ヶ月~24ヶ月後、およそ9ヶ月~22ヶ月後、およそ9ヶ月~20ヶ月後、およそ9ヶ月~18ヶ月後、およそ10ヶ月~24ヶ月後、およそ12ヶ月~24ヶ月後、およそ12ヶ月~20ヶ月後、又はおよそ12ヶ月~18ヶ月後の時間であり得る。
【0023】
第2の時点は、代替的に、治療用組成物による2回目の注射の投与のおよそ1年後の時間であり得る。第2の時点は、治療用組成物による2回目の注射の投与のおよそ9ヶ月後、およそ10ヶ月後、およそ11ヶ月後、およそ12ヶ月後、およそ13ヶ月後、およそ14ヶ月後、およそ15ヶ月後、およそ16ヶ月後、およそ17ヶ月後、およそ18ヶ月後、およそ19ヶ月後、およそ20ヶ月後、およそ21ヶ月後、およそ22ヶ月後、およそ23ヶ月後、又はおよそ24ヶ月後の時間であり得る。第2の時点は、治療用組成物による2回目の注射の投与のおよそ9ヶ月~24ヶ月後、およそ9ヶ月~22ヶ月後、およそ9ヶ月~20ヶ月後、およそ9ヶ月~18ヶ月後、およそ10ヶ月~24ヶ月後、およそ12ヶ月~24ヶ月後、およそ12ヶ月~20ヶ月後、又はおよそ12ヶ月~18ヶ月後の時間であり得る。
【0024】
例として、腎臓機能の改善により患者のeGFRが増加するヒトD-CKD患者についての腎臓機能を改善する方法において、患者のeGFRは、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射のいずれかの投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射のいずれかの投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月後の第2の時点まで増加し得る。患者の腎臓機能の改善により、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、治療用組成物による1回目の注射の投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点まで、患者のeGFRは増加し得る。腎臓機能の改善により、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、治療用組成物による2回目の注射の投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点まで、患者のeGFRは増加し得る。腎臓機能の改善により、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、治療用組成物による1回目の注射の投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点まで、患者のeGFRは約1ml/分/1.73m2~10ml/分/1.73m2、約1ml/分/1.73m2~5ml/分/1.73m2、約1ml/分/1.73m2~3ml/分/1.73m2、又は約3ml/分/1.73m2~5ml/分/1.73m2増加し得る。腎臓機能の改善により、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、治療用組成物による2回目の注射の投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点まで、患者のeGFRは約1ml/分/1.73m2~10ml/分/1.73m2、約1ml/分/1.73m2~5ml/分/1.73m2、約1ml/分/1.73m2~3ml/分/1.73m2、又は約3ml/分/1.73m2~5ml/分/1.73m2増加し得る。腎臓機能の改善により、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、治療用組成物による1回目の注射の投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点まで、患者のeGFRは少なくとも約2ml/分/1.73m2、又は少なくとも約3ml/分/1.73m2、又は少なくとも約4ml/分/1.73m2、又は少なくとも約5ml/分/1.73m2増加し得る。腎臓機能の改善により、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、治療用組成物による2回目の注射の投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点まで、患者のeGFRは少なくとも約2ml/分/1.73m2、又は少なくとも約3ml/分/1.73m2、又は少なくとも約4ml/分/1.73m2、又は少なくとも約5ml/分/1.73m2増加し得る。腎臓機能の改善は、時間の経過にわたって続く増加、例えば、患者のeGFRが、第1の時点から第1の時点と第2の時点との間のほぼ中間点まで増加し、第1の時点と第2の時点との間のほぼ中間点の間から第2の時点まで再び増加する増加であり得る。eGFRの増加は同一である必要はない。例えば、腎臓機能の改善は、第1の時点が治療用組成物の1回目又は2回目の注射の投与から約1ヶ月以内であり、かつ第2の時点が治療用組成物の1回目又は2回目のそれぞれの注射の投与の約12ヶ月後である場合、患者のeGFRが第1の時点から第1の時点から約6ヶ月まで増加し、第1の時点から約6ヶ月から第2の時点まで再び増加するような増加であり得る。ここでも、増加は同じである、例えば同一である必要はない。
【0025】
腎臓機能の改善により患者のuACRが安定化又は低下するヒトD-CKD患者についての腎臓機能を改善する方法において、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射のいずれかの投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目又は2回目のいずれかの投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月後の第2の時点まで患者のuACRは安定化又は低下し得る。腎臓機能の改善により、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、治療用組成物による1回目の注射の投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点まで患者のuACRは安定化又は低下し得る。腎臓機能の改善により、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、治療用組成物による2回目の注射の投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点まで患者のuACRは安定化又は低下し得る。腎臓機能の改善が患者のuACRの安定化である場合、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、治療用組成物による1回目又は2回目の注射のそれぞれの投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点まで、患者のuACRは約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、又は約1%未満変化し得る。腎臓機能の改善が患者のuACRの低下であるか又はそれを含む場合、低下は、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、治療用組成物による1回目又は2回目の注射のそれぞれの投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点までの約1%~20%、約1%~19%、約1%~18%、約1%~17%、約1%~16%、約1%~15%、約1%~14%、約1%~13%、約1%~12%、約1%~11%、約1%~10%、約1%~9%、約1%~8%、約1%~7%、約1%~6%、又は約1%~5%の低下であり得る。
【0026】
腎臓機能の改善が腎臓による赤血球生成の制御の回復であり得るヒトD-CKD患者についての腎臓機能を改善する方法において、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射のいずれかの投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射のそれぞれの投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月後の第2の時点まで、患者の腎臓による赤血球生成の制御の回復が時間の経過にわたって起こり得る。患者の血中ヘモグロビンレベルが正常範囲内、例えば、約13.0g/dLから17.5g/dLの間であるため、患者の腎臓による赤血球生成の制御の回復が患者の血中ヘモグロビンレベルの安定化である場合、腎臓による患者の血中ヘモグロビンレベルの安定化は、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点までの患者の血中ヘモグロビンレベルの正常範囲での維持であり得る。患者の血中ヘモグロビンレベルが正常範囲内、例えば、約13.0g/dLから17.5g/dLの間であるため、患者の腎臓による赤血球生成の制御の回復が患者の血中ヘモグロビンレベルの安定化である場合、腎臓による患者の血中ヘモグロビンレベルの安定化は、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点までの患者の血中ヘモグロビンレベルの正常範囲での維持であり得る。患者の血中ヘモグロビンレベルが約13.0g/dLを下回るため、患者の腎臓による赤血球生成の制御の回復により患者の血中ヘモグロビンレベルが増加し、その後、これが正常範囲内(例えば、約13.0g/dLから17.5g/dLの間)で維持される場合、患者の腎臓による赤血球生成の制御の回復により、患者の血中ヘモグロビンレベルは少なくとも約13.0g/dLまで増加し、その後、これは、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点まで正常範囲内(例えば、約13.0g/dLから17.5g/dLの間)で維持され得る。患者の血中ヘモグロビンレベルが約13.0g/dLを下回るため、患者の腎臓による赤血球生成の制御の回復により患者の血中ヘモグロビンレベルが増加し、その後、これが正常範囲内(例えば、約13.0g/dLから17.5g/dLの間)で維持される場合、患者の腎臓による赤血球生成の制御の回復により、患者の血中ヘモグロビンレベルは少なくとも約13.0g/dLまで増加し、その後、これは、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点まで正常範囲内(例えば、約12.0g/dLから17.5g/dLの間)で維持され得る。
【0027】
腎臓機能の改善が腎臓による血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの制御の回復であり得るヒトD-CKD患者についての腎臓機能を改善する方法において、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射のいずれかの投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射のそれぞれの投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月後の第2の時点まで、患者の腎臓による血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの制御の回復が時間の経過にわたって起こり得る。患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが正常範囲内、例えば、約3.5mmol/Lから5.0mmol/Lの間であるため、患者の腎臓による血中カリウム又は血清カリウムの制御の回復が患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの安定化である場合、腎臓による患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの安定化は、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点までの患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの正常範囲での維持であり得る。患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが正常範囲内、例えば、約3.5mmol/Lから5.0mmol/Lの間であるため、患者の腎臓による血中カリウム又は血清カリウムの制御の回復が患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの安定化である場合、腎臓による患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの安定化は、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点までの患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの正常範囲での維持であり得る。患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが約5.0mmol/Lを超えるため、患者の腎臓による血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの制御の回復により患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが減少し、その後、これが正常範囲内(例えば、約3.5mmol/Lから5.0mmol/Lの間)で維持される場合、患者の腎臓による血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの制御の回復により、患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルは少なくとも約5.0mmol/Lまで減少し、その後、これは、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点まで正常範囲内(例えば、約3.5mmol/Lから5.0mmol/Lの間)で維持され得る。患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが約5.0mmol/Lを超えるため、患者の腎臓による血中カリウム又は血清カリウムの制御の回復により患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルが減少し、その後、これが正常範囲内(例えば、約3.5mmol/Lから5.0mmol/Lの間)で維持される場合、患者の腎臓による血中カリウム又は血清カリウムの制御の回復により、患者の血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルは少なくとも約5.0mmol/Lまで減少し、その後、これは、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点まで正常範囲内(例えば、約3.5mmol/Lから5.0mmol/Lの間)で維持され得る。
【0028】
腎臓機能の改善が腎臓による血中リンレベル又は血清リンレベルの制御の回復であり得る場合、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射のいずれかの投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射のそれぞれの投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月後の第2の時点まで、患者の腎臓による血中リンレベル又は血清リンレベルの制御の回復が時間の経過にわたって起こり得る。患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが正常範囲内、例えば、約3.5mg/dLから5.5mg/dLの間であるため、患者の腎臓による血中リン又は血清リンの制御の回復が患者の血中リンレベル又は血清リンレベルの安定化である場合、腎臓による患者の血中リンレベル又は血清リンレベルの安定化は、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点までの患者の血中リンレベル又は血清リンレベルの正常範囲での維持であり得る。患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが正常範囲内、例えば、約3.5mg/dLから5.5mg/dLの間であるため、患者の腎臓による血中リン又は血清リンの制御の回復が患者の血中リンレベル又は血清リンレベルの安定化である場合、腎臓による患者の血中リンレベル又は血清リンレベルの安定化は、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点までの患者の血中リンレベル又は血清リンレベルの正常範囲での維持であり得る。患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが約5.5mg/dLを超えるため、患者の腎臓による血中リンレベル又は血清リンレベルの制御の回復により患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが減少し、その後、これが正常範囲内(例えば、約3.5mg/dLから5.5mg/dLの間)で維持される場合、患者の腎臓による血中カリウムレベル又は血清カリウムレベルの制御の回復により、患者の血中リンレベル又は血清リンレベルは少なくとも約5.5mg/dLまで減少し、その後、これは、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点まで正常範囲内(例えば、約3.5mg/dLから5.5mg/dLの間)で維持され得る。患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが約5.5mg/dLを超えるため、患者の腎臓による血中リン又は血清リンの制御の回復により患者の血中リンレベル又は血清リンレベルが減少し、その後、これが正常範囲内(例えば、約3.5mg/dLから5.5mg/dLの間)で維持される場合、患者の腎臓による血中リン又は血清リンの制御の回復により、患者の血中リンレベル又は血清リンレベルは少なくとも約5.5mmol/Lまで減少し、その後、これは、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点まで正常範囲内(例えば、約3.5mg/dLから5.5mg/dLの間)で維持され得る。
【0029】
腎臓機能の改善が腎臓による血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの制御の回復であり得るヒトD-CKD患者についての腎臓機能を改善する方法において、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射のいずれかの投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射のそれぞれの投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月後の第2の時点まで、患者の腎臓による血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの制御の回復が時間の経過にわたって起こり得る。患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが正常範囲内、例えば、約8.5mg/dLから10.5mg/dLの間であるため、患者の腎臓による血中カルシウム又は血清カルシウムの制御の回復が患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの安定化である場合、腎臓による患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの安定化は、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点までの患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの正常範囲での維持であり得る。患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが正常範囲内、例えば、約8.5mg/dLから10.5mg/dLの間であるため、患者の腎臓による血中カルシウム又は血清カルシウムの制御の回復が患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの安定化である場合、腎臓による患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの安定化は、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点までの患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの正常範囲での維持であり得る。患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが約8.5mg/dL未満であるため、患者の腎臓による血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの制御の回復により患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが増加し、その後、これが正常範囲内(例えば、約8.5mg/dLから10.5mg/dLの間)で維持される場合、患者の腎臓による血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルの制御の回復により、患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルは少なくとも約8.5mg/dLまで増加し、その後、これは、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点まで正常範囲内(例えば、約8.5mg/dLから10.5mg/dLの間)で維持され得る。患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが約8.5mg/dL未満であるため、患者の腎臓による血中カルシウム又は血清カルシウムの制御の回復により患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルが増加し、その後、これが正常範囲内(例えば、約8.5mg/dLから10.5mg/dLの間)で維持される場合、患者の腎臓による血中カルシウム又は血清カルシウムの制御の回復により、患者の血中カルシウムレベル又は血清カルシウムレベルは少なくとも約8.5mmol/Lまで増加し、その後、これは、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による2回目の注射の投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月(およそ12ヶ月又は18ヶ月又は24ヶ月)後の第2の時点まで正常範囲内(例えば、約8.5mg/dLから10.5mg/dLの間)で維持され得る。
【0030】
腎臓機能の改善により患者の腎臓による血液濾過が増加するヒトD-CKD患者の腎臓機能を改善する方法において、患者の腎臓による血液濾過の増加は、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射のいずれかの投与の約1ヶ月以内の第1の時点から、例えば治療用組成物による1回目又は2回目の注射のそれぞれの投与のおよそ12ヶ月~24ヶ月後の第2の時点までの増加であり得る。患者の腎臓機能の改善は、これが患者の腎臓による血液濾過の増加である場合、例えば治療用組成物による1回目の注射の約1ヶ月以内の第1の時点から、治療用組成物による1回目の注射の投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点までの増加であり得る。患者の腎臓機能の改善は、例えば治療用組成物による2回目の注射の約1ヶ月以内の第1の時点から、治療用組成物による2回目の注射の投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点までの患者の腎臓による血液濾過の増加であり得る。患者の腎臓機能の改善は、治療用組成物による1回目又は2回目の注射の投与の約1ヶ月以内であり得る第1の時点から、治療用組成物による1回目又は2回目の注射のそれぞれの投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点までの約1%から15%の間、約1%から10%の間、約1%から5%の間、約5%から15%の間、又は約5%から10%の間の腎臓機能の増加であり得る。患者の腎臓機能の改善は、これがeGFRの安定化として判定される場合、治療用組成物による1回目又は2回目の注射の投与の約1ヶ月以内であり得る第1の時点から、治療用組成物による1回目又は2回目の注射のそれぞれの投与の約12ヶ月~24ヶ月後、例えばおよそ12ヶ月後又は18ヶ月後又は24ヶ月後であり得る第2の時点までのeGFRの下降速度の(例えば、少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%の)低下であり得る。患者の腎臓機能の改善は、時間の経過にわたって続く患者の腎臓による血液濾過の増加、例えば、患者の腎臓による血液濾過が、第1の時点から第1の時点と第2の時点との間のほぼ中間点まで増加し、第1の時点と第2の時点との間のほぼ中間点の間から第2の時点まで再び増加する増加であり得る。患者の腎臓による血液濾過の増加は同一である必要はない。例えば、腎臓機能の改善は、第1の時点が治療用組成物の1回目又は2回目の注射の投与から約1ヶ月以内であり、かつ第2の時点が治療用組成物の1回目又は2回目の注射のそれぞれの投与の約12ヶ月後である場合、患者の腎臓による濾過が第1の時点から第1の時点から約6ヶ月まで増加し、第1の時点から約6ヶ月から第2の時点まで再び増加するような増加であり得る。ここでも、増加は同じ、例えば同一である必要はない。
【0031】
例えばSRCを含む治療用組成物の1回目及び2回目の用量の投与は腎臓機能を改善し得るため、腎臓機能を改善する方法は更に、患者の腎代替療法、例えば透析又は腎臓移植を防止することができる。患者の腎代替療法の防止は、患者の透析の必要性の防止であり得る。患者の透析の必要性の防止は、治療用組成物の1回目又は2回目の注射の投与から少なくとも5年間、少なくとも6年間、少なくとも7年間、少なくとも8年間、少なくとも9年間、少なくとも10年間、少なくとも11年間、少なくとも12年間、少なくとも13年間、少なくとも14年間、少なくとも15年間、少なくとも16年間、少なくとも17年間、少なくとも18年間、少なくとも19年間、又は少なくとも20年間の防止であり得る。患者の透析は、患者の血液透析又は腹膜透析(連続携行式腹膜透析、連続周期的腹膜透析、又は間欠的腹膜透析)であり得る。患者の腎代替療法の防止は、患者の腎臓移植の必要性の防止であり得る。患者の腎臓移植の必要性の防止は、治療用組成物の1回目又は2回目の注射の投与から少なくとも5年間、少なくとも6年間、少なくとも7年間、少なくとも8年間、少なくとも9年間、少なくとも10年間、少なくとも11年間、少なくとも12年間、少なくとも13年間、少なくとも14年間、少なくとも15年間、少なくとも16年間、少なくとも17年間、少なくとも18年間、少なくとも19年間、又は少なくとも20年間の防止であり得る。
【0032】
本明細書に開示される、例えばSRCを含む治療用組成物の1回目及び2回目の注射をD-CKD患者に投与した腎臓機能の改善は、D-CKD患者の腎臓機能を改善することができる何らかの治療薬又は治療レジメンの初めての実証であると考えられる。特に注目すべきは、治療用SRC含有組成物の注射を2回受けたD-CKD患者が腎臓機能の改善を示しただけでなく、これらの患者が長期間、例えば少なくとも1年間にわたって改善された腎臓機能又は腎臓機能の改善を示したことである。SRC含有治療用組成物による2回の注射の投与からの効果及び持続効果によりD-CKD患者の腎代替療法を防止することが可能となり、これらの患者のCKDの併存症を緩和する治療、例えば貧血を緩和するEPOの必要性(又はその治療への依存)を低減し得る。これらの臨床所見以上に、SRC含有治療用組成物による注射を2回受けたD-CKD患者は腎臓機能の改善を示したため、SRCは成人D-CKD患者の罹患した腎臓において腎形成様活性を惹起又は媒介する可能性があり得る。また、ヒトにおいてネフロンの再生、すなわち新腎形成は妊娠36週目頃に実質的に完了すると考えられているため、この含意は重要である。
【0033】
本明細書に開示される、例えばSRC含有治療用組成物の1回目及び2回目の注射を投与した腎臓機能のこれらの改善は、後期ステージIVのD-CKDにおける患者、例えば、約20mL/分/1.73m2未満のeGFRを有する患者において更に観察された。ステージVのD-CKD間近のD-CKD患者は、末期腎臓疾患への急速な経過を遅らせる利用可能な療法が殆どないという課題に直面している。D-CKDのこのステージでの殆どの管理アルゴリズムは、熱心な高血圧症コントロール等のD-CKD併存症に焦点を当てている。さらに、DKDのこのステージでは、患者及び家族は透析する時期が差し迫っていることを認識している。それにもかかわらず、本明細書に開示されるSRC治療薬の1回目及び2回目の注射の投与により、腎臓濾過の改善、例えばeGFRの下降速度の低下、及び腎代替療法、例えば透析までの時間の遅延がもたらされた。例えば、SRC含有治療薬の1回目及び2回目の注射を投与した、およそ20ml/分/1.73m2未満のeGFRを有するD-CKD患者の腎臓機能には、eGFRの下降速度の(少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%の)低下、及び腎代替療法の防止、例えば、透析又は腎臓移植の(少なくとも約4ヶ月、6ヶ月、1年、1.5年、2年、2.5年、3年、4年等の)遅延が認められる。
【0034】
したがって、CKD患者の腎臓機能を改善することができる治療用組成物で投与されるSRC又はSRC集団の細胞としては、生体活性腎細胞、又は生物学的活性、例えば薬理学的活性若しくは治療活性を有する細胞が挙げられる。SRCの生体活性細胞の生物学的活性、例えば薬理学的活性又は治療活性としては、腎機能の増強、腎恒常性の改善、腎組織治癒の促進、腎組織線維症の軽減、腎組織炎症の軽減、腎再生の促進、又は腎組織修復の促進のうちのいずれか1つ以上を挙げることができる。
【0035】
本明細書に示される方法において患者の腎臓機能を改善する治療用組成物で投与されるSRC又はSRC集団の細胞は、患者の腎臓組織、患者の腎臓生検、又は患者の腎臓組織若しくは腎臓生検から樹立された細胞のin vitro培養物(まとめて「出発腎細胞集団」と呼称され得る)から調製され得る。出発腎細胞集団は、患者の腎臓組織又は患者の腎臓生検から樹立された細胞のin vitro培養物である場合に、腎臓組織又は腎臓生検の解離された細胞(例えば、腎臓組織又は腎臓生検から細切及び/又は酵素消化を介して解離された細胞)を含む、赤血球及び破片を除去する処理がなされていても又はなされていなくてもよい腎細胞調製物であり得る。
【0036】
本明細書に示される方法において患者の腎臓機能を改善する治療用組成物で投与されるSRC又はSRC集団の細胞は、分離工程を含む方法を介して、出発腎細胞集団(例えば、患者の腎臓組織、患者の腎臓生検、又は患者の腎臓組織若しくは腎臓生検から樹立された細胞のin vitro培養物)から調製され得る。分離工程は、1回、2回、又は3回より多く継代されていない出発腎細胞集団の細胞をそれらの浮遊密度に基づいて分離する工程であり得る。分離工程が細胞をそれらの浮遊密度に基づいて分離する工程である場合に、その分離工程は、グリセロール、グルコース、OptiPrep(商標)、Percoll(商標)、又はFicoll(商標)-Paque等の密度勾配媒体を使用する単段階又は多段階の連続密度勾配又は不連続密度勾配を利用することができる。このような密度勾配媒体をこうして使用した結果として、出発腎細胞集団(又は多くとも1回、2回、若しくは3回継代された出発腎細胞集団)の細胞を、例えば細胞ペレットであり得る1つ以上の区別可能な画分に分離することができ、その画分からSRC又はSRC集団の細胞を明確に識別し、単離することができる。区別可能な画分(複数の場合もある)は、画分(複数の場合もある)中の細胞の浮遊密度が約1.045g/mL超、又は1.045g/mL超、又は1.045g/mL以上である画分であり得る。区別可能な画分(複数の場合もある)は、画分(複数の場合もある)中の細胞の浮遊密度が約1.04g/mL超、又は1.04g/mL超、又は1.04g/mL以上、又は約1.0419g/mL超、又は1.0419g/mL超、又は1.0419g/mL以上である画分であり得る。区別可能な画分(複数の場合もある)は、浮遊密度が約1.045g/mLから約1.091g/mLの間、又は約1.045g/mLから約1.052g/mLの間である画分であり得る。代替的に、分離工程は、出発腎細胞集団の細胞(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されていない出発腎細胞集団の細胞)を、これらが表面上に特定のマーカーを発現するかどうかに基づいて分離する工程であり得る。分離工程が細胞をそれらの特定の細胞表面マーカーの発現に基づいて分離する場合に、分離工程は、フローサイトメトリーを利用する工程であり得る。フローサイトメトリーは、出発腎細胞集団(又は多くとも1回、2回、若しくは3回継代された出発腎細胞集団)から腎上皮細胞、腎尿細管細胞、腎尿細管上皮細胞、又は腎近位尿細管細胞に特徴的なネフリン等の特定の表面マーカーのそれらの発現に基づいて細胞を選別してSRCを単離することができる。
【0037】
本明細書に示される方法において患者の腎臓機能を改善する治療用組成物で投与されるSRC又はSRC集団の細胞は更に低酸素耐性であり得る。SRC又はSRC集団の細胞は更に、出発腎細胞集団の細胞(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されていない出発腎細胞集団の細胞)が、例えば分離工程の前に低酸素条件に曝されているため低酸素耐性であり得る。出発腎細胞集団の細胞(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されていない出発腎細胞集団の細胞)が低酸素条件に曝されている場合、出発腎細胞集団の細胞(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されていない出発腎細胞集団の細胞)は、約20%未満、又は約15%未満、又は約10%未満、又は約9%未満、又は約8%未満、又は約7%未満、又は約6%未満、又は約5%未満の酸素、又は約4%未満の酸素、又は約3%未満の酸素、又は約2%未満の酸素の酸素レベルで培養されていてよい。これらの細胞は、約20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、又は2%未満の酸素レベルで、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも20時間、少なくとも24時間、少なくとも30時間、少なくとも36時間、少なくとも42時間、少なくとも48時間、約6時間から48時間の間、約6時間から24時間の間、約6時間から12時間の間、約12時間から48時間の間、約12時間から24時間の間、約12時間から18時間の間、約18時間から48時間の間、又は約18時間から24時間の間にわたって培養されていてよい。
【0038】
概して、SRC(又はSRC集団の細胞)を、出発腎細胞集団、例えば、患者の腎臓組織又は患者の腎臓生検から樹立された細胞のin vitro培養物から調製することができる。出発腎細胞集団、例えば、患者の腎臓組織又は腎臓生検から樹立された細胞のin vitro培養物を、多くとも1回、又は多くとも2回、又は多くとも3回継代することによって拡大培養することができる。代替的に、所望であれば、腎臓組織又は腎臓生検から樹立された細胞のin vitro培養物の細胞を凍結保存した後に、多くとも1回、又は多くとも2回、又は多くとも3回継代することによって拡大培養することができる。細胞を拡大培養したら、これらを凍結保存してもよい。拡大培養された細胞を、凍結保存されているか否かにかかわらず、分離工程に供することも、又は低酸素培養条件に続いて分離工程に供することもできる。SRCは、分離工程を実施することによって単離可能である。SRCが単離されたら、これらを凍結及び/又は分析した後に治療用組成物において使用してもよい。
【0039】
本明細書に示される方法において患者の腎臓機能を改善する治療用組成物で投与されるSRC又はSRC集団の細胞は、出発腎細胞集団から調製された生体活性腎細胞又は低酸素耐性生体活性腎細胞を含むものとして説明され得る。本明細書に示される方法において患者の腎臓機能を改善する治療用組成物で投与されるSRC又はSRC集団の細胞は、分離工程後に出発腎細胞集団(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されていない出発腎細胞集団の細胞)から調製された生体活性腎細胞又は低酸素耐性生体活性腎細胞を含むものとして説明され得る。
【0040】
SRC又はSRC集団の細胞は更に、例えば、出発腎細胞集団(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されておらず、分離工程に供されていても又は供されていなくてもよい出発腎細胞集団の細胞)から調製された生体活性腎細胞又は低酸素耐性生体活性腎細胞として説明されるのに加えて、それらの他の多くの特徴のいずれかに従って説明され得る。例えば、SRC又はSRC集団の細胞は更に、例えば、出発腎細胞集団(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されておらず、分離工程に供されていても又は供されていなくてもよい出発腎細胞集団の細胞)から調製された生体活性腎細胞又は低酸素耐性生体活性腎細胞として説明されるのに加えて、そこに含まれる特徴的な細胞型に従って説明され得る。例えば、SRC又はSRC集団の細胞は更に、腎上皮細胞、腎尿細管細胞、腎尿細管上皮細胞、又は腎近位尿細管細胞を含むものとして説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞は更に、これらの腎細胞型(例えば、腎上皮細胞、腎尿細管細胞、腎尿細管上皮細胞、又は腎近位細胞)を出発腎細胞集団よりも高いパーセンテージで含むものとして説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞は、出発腎細胞集団(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されていない出発腎細胞集団の細胞)が分離工程に供されるため、これらの腎細胞型(例えば、腎上皮細胞、腎尿細管細胞、腎尿細管上皮細胞、又は腎近位細胞)を出発腎細胞集団よりも高いパーセンテージで含み得る。SRC又はSRC集団の細胞は、出発腎細胞集団よりも高いパーセンテージで腎上皮細胞、腎尿細管細胞、腎尿細管上皮細胞、及び/又は腎近位細胞を含むことに加え、糸球体細胞、足細胞、集合尿細管細胞、及び/又は血管細胞等の他の腎細胞型を含むものとして説明され得る。
【0041】
別の例として、SRC又はSRC集団の細胞は更に、例えば、出発腎細胞集団(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されておらず、分離工程に供されていても又は供されていなくてもよい出発腎細胞集団の細胞)から調製された生体活性腎細胞又は低酸素耐性生体活性腎細胞として説明されるのに加えて、尿細管細胞型、糸球体細胞型、及び/又は尿細管周囲間質細胞型を含む細胞型に従って説明され得る。
【0042】
代替的に、SRC又はSRC集団の細胞は更に、例えば、出発腎細胞集団(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されていない出発腎細胞集団の細胞)から調製された生体活性腎細胞又は低酸素耐性生体活性腎細胞として説明されるのに加えて、実施される場合にSRCを分離工程で選択し得た特徴、例えば浮遊密度に従って説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞が、浮遊密度による分離工程を使用する方法によって出発腎細胞集団(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されていない出発腎細胞集団の細胞)から調製される場合、SRCは更に、約1.045g/mLを超える、1.045g/mLを超える、約1.045g/mL以上、約1.04g/mLを超える、1.04g/mLを超える、又は約1.04g/mL以上、約1.0419g/mLを超える、1.0419g/mLを超える、約1.0419g/mL以上、約1.045g/mLから約1.091g/mLの間、又は約1.045g/mLから約1.052g/mLの間の浮遊密度を有する出発腎臓細胞集団(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されていない出発腎細胞集団の細胞)から調製された腎細胞として特徴付けられ得る。
【0043】
異なる一例において、SRC又はSRC集団の細胞は更に、例えば、出発腎細胞集団(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されておらず、分離工程に供されていても又は供されていなくてもよい出発腎細胞集団の細胞)から調製された生体活性腎細胞又は低酸素耐性生体活性腎細胞を含むものとして説明されるのに加えて、表面マーカーの発現特徴及び/又は或る特定の産物の分泌に従って説明され得る。例えば、SRC又はSRC集団の細胞は更に、ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)-1を発現する細胞及び/又はサイトケラチン(CK)を発現する細胞を含むものとして説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞が更にGGT-1を発現する細胞を含むものとして説明される場合、SRC又はSRC集団の細胞は更に、約4%から82%の間、約4.5%から80%の間、約4.5%から75%の間、約4.5%から70%の間、少なくとも約4.5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、又は少なくとも約20%の細胞がGGT-1を発現する細胞又は細胞集団として説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞が更にCK、例えばCK18を発現する細胞を含むものとして説明される場合、SRC又はSRC集団の細胞は更に、約80%から100%の間、約80%から97%の間、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも84%、少なくとも86%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、又は少なくとも94%の細胞がCK、例えばCK18を発現する細胞又は細胞集団として説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞が更にGGT-1を発現する細胞及びCK18を発現する細胞を含むものとして説明される場合、SRC又はSRC集団の細胞は更に、約4%から82%の間の細胞がGGT-1を発現し、かつ約80%から100%の細胞がCK18を発現するか、又は少なくとも約4.5%の細胞がGGT-1を発現し、かつ少なくとも約80%の細胞がCK18を発現するか、又は少なくとも約10%の細胞がGGT-1を発現し、かつ少なくとも約82%の細胞がCK18を発現するか、又は少なくとも約18%の細胞がGGT-1を発現し、かつ少なくとも約82%の細胞がCK18を発現する細胞又は細胞集団として説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞は更に、GGT-1を発現する細胞及びCK、例えばCK18を発現する細胞を含むことによるだけでなく、血管内皮成長因子(VEGF)及び/又は腎損傷分子-1(KIM-1)を分泌する細胞を含むことによっても説明され得る。このような場合、SRC又はSRC集団の細胞は更に、細胞がVEGFを分泌し、細胞がKIM-1を分泌し、約4%から82%の間の細胞がGGT-1を発現し、かつ約80%から100%の細胞がCK18を発現するか、又は細胞がVEGFを分泌し、細胞がKIM-1を分泌し、少なくとも約4.5%の細胞がGGT-1を発現し、かつ少なくとも約80%の細胞がCK18を発現するか、又は細胞がVEGFを分泌し、細胞がKIM-1を分泌し、少なくとも約10%の細胞がGGT-1を発現し、かつ少なくとも約82%の細胞がCK18を発現するか、又は細胞がVEGFを分泌し、細胞がKIM-1を分泌し、少なくとも約18%の細胞がGGT-1を発現し、かつ少なくとも約82%の細胞がCK18を発現する細胞又は細胞集団として説明され得る。
【0044】
代替的に、SRC又はSRC集団の細胞は更に、例えば、出発腎細胞集団(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されておらず、分離工程に供されていても又は供されていなくてもよい出発腎細胞集団の細胞)から調製された生体活性腎細胞又は低酸素耐性生体活性腎細胞として説明されるのに加えて、それらの腎形成マーカーの発現特徴に従って説明され得る。例えば、SRC又はSRC集団の細胞は更に、それらが腎形成マーカーであるSIXホメオボックス2(SIX2)、オッドスキップ関連1(odd-skipped-related 1)(OSR1)、LIMホメオボックス1(LHX1)、トランスフェクション中の再構成(rearranged during transfection)(RET)、又は線維芽細胞成長因子8(FGF8)の1つ以上を発現する腎細胞を含むことによって説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞は更に、それらが1つ以上の腎形成マーカーを発現する腎細胞を含むことによって更に説明される場合、それらがLHX1を発現する又はSIX2を発現する又はLHX1及びSIX2の両方を発現する腎細胞を含むことによって説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞が更にLHX1を発現する細胞を含むものとして説明される場合、SRC又はSRC集団の細胞は更に、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、約15%から約80%の間、約20%から約80%の間、約15%から約75%の間、約15%から約70%の間、又は約20%から約80%の間の細胞がLHX1を発現する細胞又は細胞集団として説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞が更にSIX2を発現する細胞を含むものとして説明される場合、SRC又はSRC集団の細胞は更に、約0.02%から約15.0%の間、又は約0.02%から約10.0%の間、又は約0.02%から約9.0%の間、又は約0.02%から約8.0%の間、又は約0.02%から約7.0%の間、又は約0.02%から約6.0%の間、又は約1.0%から約15.0%の間、又は約1.0%から約10.0%の間、又は約1.0%から約9.0%の間、又は約1.0%から約8.0%の間、又は約1.0%から約7.0%の間、又は約1.0%から約6.0%の間の細胞がSIX2を発現する細胞又は細胞集団として説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞が更にRETを発現する細胞を含むものとして説明される場合、SRC又はSRC集団の細胞は更に、約45%から約95%の間、又は約45%から約94%の間、又は約45%から約93%の間、又は約45%から約92%の間、又は約45%から約91%の間、又は約45%から約90%の間、又は約45%から約89%の間、又は約45%から約88%の間の細胞がRETを発現する細胞又は細胞集団として説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞がOSR1を発現する細胞を含むものとして説明される場合、SRC又はSRC集団の細胞は更に、約30%から約86%の間、又は30%から約84%の間、又は約30%から約82%の間、又は約30%から約80%の間、又は約40%から約90%の間、又は約40%から約85%の間、又は約45%から約90%の間、又は約45%から約85%の間、又は約50%から約90%の間、又は約50%から約85%の間の細胞がOSR1を発現する細胞又は細胞集団として説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞がFGF8を発現する細胞を含むものとして説明される場合、SRC又はSRC集団の細胞は更に、0%を超えて最大約60%まで、0%を超えて最大約59%まで若しくは最大約58%まで、又は0%を超えて最大約57%まで、又は0%を超えて最大約56%まで、又は0%を超えて最大約55%まで、又は約1%から約64%の間、又は約1%から約54%の間、又は約1%から約44%の間、又は約1%から約34%の間、又は1%から約24%の間の細胞がFGF8を発現する細胞又は細胞集団として説明され得る。
【0045】
SRC又はSRC集団の細胞は更に、例えば、出発腎細胞集団(又は1回、2回、若しくは3回より多く継代されておらず、分離工程に供されていても又は供されていなくてもよい出発腎細胞集団の細胞)から調製された生体活性腎細胞又は低酸素耐性生体活性腎細胞として説明されるのに加えて、それらの腎形成マーカー及び他の表面マーカーの発現特徴に従って説明され得る。例えば、SRC又はSRC集団の細胞は更に、ネフリン、ポドシン、及びLHX1を発現する腎細胞を含むものとして説明され得る。SRC又はSRC集団の細胞が更にネフリン、ポドシン、及びLHX1を発現する細胞を含むことによって説明される場合、SRC又はSRC集団の細胞は更に、(i)少なくとも約70%、少なくとも約72%、少なくとも約75%、少なくとも約77%、少なくとも約80%、少なくとも約82%、少なくとも約85%、少なくとも約87%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、又は少なくとも約97%の細胞がネフリンを発現する、及び/又は(ii)少なくとも約80%、少なくとも約82%、少なくとも約84%、少なくとも約86%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約94%、少なくとも約96%、又は少なくとも約98%の細胞がポドシンを発現する、及び/又は(iii)少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、約15%から約80%の間、約20%から約80%の間、約15%から約75%の間、約15%から約70%の間、又は約20%から約80%の間の細胞がLHX1を発現する細胞又は細胞集団として説明され得る。
【0046】
SRC又はSRC集団の細胞は、ヒドロゲル組成物形態又は液体組成物形態の治療用組成物に製剤化され得る。ヒドロゲル組成物形態又は液体組成物形態はヒアルロン酸を含んでもよく、又はヒアルロン酸を含まなくてもよい。
【0047】
治療用組成物がヒドロゲル組成物形態である場合、SRC又はSRC集団の細胞を温度感受性細胞安定化生体材料と組み合わせることができる。温度感受性細胞安定化生体材料は、或る特定の温度ではゲル状態であり、他の温度では液体である生体材料であり得る。例えば、生体材料が温度感受性である場合、生体材料は、約8℃以下でゲル状態であり、ほぼ周囲温度以上で実質的に液体状態であり、かつ約8℃からほぼ周囲温度の間で固液遷移状態であっても、又は約4℃以下でゲル状態であり、約37℃以上で液体状態であり、かつ約8℃から約18℃の間で固液遷移状態であっても、又は約2℃以下でゲル状態であり、約37℃以上で液体状態であり、かつ約8℃から約18℃の間で固液遷移状態であっても、又は約2℃以下でゲル状態であり、かつ約37℃以上で液体状態であっても、又は約4℃以下でゲル状態であり、かつ約34℃以上で液体状態であっても、又は約6℃以下でゲル状態であり、かつ約32℃以上で液体状態であってもよい。
【0048】
さらに、治療用組成物がヒドロゲル組成物形態であり、かつSRC又はSRC集団の細胞が温度感受性細胞安定化生体材料と組み合わされる場合、生体材料は、1種以上の天然起源又は組換えのタンパク質又はペプチドを含むか、又はそれらから構成され得る。天然起源又は組換えのタンパク質又はペプチドは、組換え由来の細胞外マトリックスタンパク質、又は腎臓若しくは別の組織若しくは器官を起源とする細胞外マトリックス、又はゼラチンであり得る。温度感受性細胞安定化生体材料がゼラチンであるか又はそれを含む場合、ゼラチンは、ブタI型αIコラーゲン又は組換えヒトI型αIコラーゲン等のI型αIコラーゲンに由来し得る。温度感受性細胞安定化生体材料がゼラチンであるか又はそれを含む場合、ゼラチンは、治療用組成物中に約0.5重量/容量(w/v)%~約1重量/容量(w/v)%、又は約0.8%(w/v)~約0.9%(w/v)、又は約0.75%(w/v)若しくは約0.88%(w/v)で存在し得る。SRC又はSRC集団の細胞は、生体材料1mL当たりのSRCの数が1mL当たり約20×106個の細胞、1mL当たり約40×106個の細胞、1mL当たり約60×106個の細胞、1mL当たり約100×106個の細胞、1mL当たり約120×106個の細胞、1mL当たり約140×106個の細胞、1mL当たり約160×106個の細胞、1mL当たり約180×106個の細胞、又は1mL当たり約200×106個の細胞であるように、生体材料、例えばゼラチン中で製剤化され得る。
【0049】
SRC又はSRC集団の細胞は、生体材料と組み合わされる場合、生体材料、例えばゼラチン全体に分散され得る。SRC又はSRC集団の細胞は、生体材料と組み合わされる場合、生体材料全体に実質的に均一に分配され得る。SRC又はSRC集団の細胞は、生体材料と組み合わされる場合、これらの細胞が生体材料中で沈降又は凝集しないように、生体材料、例えばゼラチン全体に分散され得る。
【0050】
代替的に、治療用組成物は液体組成物であってよい。治療用組成物が液体組成物である場合、SRC又はSRC集団の細胞をあらゆる適切な液体、例えば、適切な細胞貯蔵培地若しくは細胞培養培地、生理食塩水、又はそれらの組合せと合わせて、直ちに使用するか、又はそれを使用するタイミングまで凍結保存することができる。治療用組成物が液体組成物である場合、SRC又はSRC集団の細胞を生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、ポリエチレングリコール等の薬学的に許容可能な担体又は添加剤、及び/又はそれらのあらゆる組合せ中に懸濁することができる。
【0051】
D-CKDを患う患者についての腎臓機能を改善する方法において、治療用組成物、例えばSRCを含む組成物を、注射により、例えば患者の少なくとも一方の腎臓の腎皮質への注射によりD-CKD患者に投与することができる。注射は、直接的な開腹術を介した注射、直接的な腹腔鏡手術を介した注射、経腹的な注射、又は経皮的な注射であってよい。治療用組成物、SRCを含む組成物を、腎臓の腎皮質への経皮注射によってD-CKD患者に投与しても、又はガイドカニューレを経皮的に挿入して腎臓被膜に穿刺した後、富化された不均一腎細胞集団を腎臓内に注入することによって投与してもよい。SRCを含む治療用組成物の投与は、患者の一方又は両方の腎臓の腎皮質への注射による投与であってよい。SRCを含む治療用組成物の投与は、1回目の注射が患者の一方の腎臓の腎皮質における注射であり、2回目の注射が患者のもう一方の腎臓の腎皮質における注射である2回の注射による投与であってよい。
【0052】
治療用組成物、例えばSRCを含む組成物の投与は、注射により投与される場合、患者の少なくとも一方の腎臓の腎皮質に治療的有効量のSRCを注射することができる。SRCの治療的有効用量は、患者の腎臓の、例えばグラム単位での推定重量に基づいて決定され得る。治療的有効用量としては、患者の推定腎臓重量1グラム当たり約1.0×106個~9.0×106個のSRC(SRC/g KWest)を挙げることができる。治療的有効用量としては、患者の1gのKWest当たり約1.0×106個、約2.0×106個、約3.0×106個、約4.0×106個、約5.0×106個、約6.0×106個、約7.0×106個、約8.0×106個、約9.0×106個、約2.0×106個~7.0×106個、約4.0×106個から7.0×106個の間、又は約5.0×106個から7.0×106個の間のSRCを挙げることができる。
【0053】
D-CKD患者についての腎機能を改善する方法において、SRCを含む治療用組成物の投与は1回目及び2回目の注射による投与であってよい。1回目及び2回目の注射は、およそ3ヶ月から12ヶ月の間の期間離して投与され得る。1回目及び2回目の注射は、およそ3ヶ月離して、およそ4ヶ月離して、およそ5ヶ月離して、およそ6ヶ月離して、およそ7ヶ月離して、およそ8ヶ月離して、およそ9ヶ月離して、およそ10ヶ月離して、およそ11ヶ月離して、又はおよそ12ヶ月離して投与され得る。1回目及び2回目の注射は、およそ3ヶ月から6ヶ月の間の期間離して、およそ6ヶ月から9ヶ月の間の期間離して、およそ9ヶ月から12ヶ月の間の期間離して、およそ3ヶ月から9ヶ月の間の期間離して、およそ6ヶ月から9ヶ月の間の期間離して、又はおよそ6ヶ月から12ヶ月の間の期間離して投与され得る。
【0054】
D-CKD患者についての腎機能を改善する方法において、SRCを含む治療用組成物の投与は1回目及び2回目の注射による投与であってよく、ここで、2回目の注射は、投与される場合、必ずしも1回目の注射の予め定められた時間後、例えばおよそ3ヶ月~12ヶ月後に投与される必要はない。むしろ、2回目の注射は、投与される場合、1回目の注射後の時間間隔中にトリガー事象が確認される限り、トリガー事象が確認された場合にD-CKD患者に投与され得る。
【0055】
1回目の注射後の時間間隔中にトリガー事象が確認された後に2回目の注射がD-CKD患者に投与される場合、その時間間隔は、D-CKD患者における1回目の注射の投与後のおよそ2ヶ月から80ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から74ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から70ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から64ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から60ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から56ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から52ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から48ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から44ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から40ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から36ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から32ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から28ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から24ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から20ヶ月の間、又はおよそ2ヶ月から18ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から80ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から74ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から70ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から64ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から60ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から56ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から52ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から48ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から44ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から40ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から36ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から32ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から28ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から24ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から20ヶ月の間、又はおよそ3ヶ月から18ヶ月の間であり得る。
【0056】
1回目の注射後の、例えば2ヶ月から36ヶ月の間の時間間隔中にトリガー事象が確認された後に2回目の注射がD-CKD患者に投与される場合、2回目の注射は、トリガー事象が確認された約30ヶ月以内にD-CKDに投与され得る。1回目の注射後の、例えば2ヶ月から36ヶ月の間の時間間隔中にトリガー事象が確認される場合、2回目の注射は、トリガー事象が確認された約14日以内、16日以内、18日以内、20日以内、22日以内、24日以内、26日以内、28日以内、30日以内、32日以内、34日以内、36日以内、38日以内、40日以内、42日以内、44日以内、又は46日以内にD-CKDに投与され得る。2回目の注射は、トリガー事象が確認された約2週間~8週間後、2週間~7週間後、2週間~6週間後、2週間~5週間後、2週間~4週間後、4週間~8週間後、4週間~6週間後、3週間~6週間後、又は4週間~5週間後に投与され得る。
【0057】
1回目の注射後の時間間隔(例えば、2ヶ月から36ヶ月の間)中に確認される場合に2回目の注射の投与のトリガーとなるトリガー事象は、患者のeGFRにおいて確認されるベースラインからの低下又は僅かな変化、例えば患者のベースラインeGFRに対する低下又は僅かな変化であり得る。治療用組成物による2回目の注射のトリガーとなるトリガー事象は、患者のuACRにおいて確認されるベースラインからの増加又は僅かな変化、例えば患者のベースラインuACRに対する増加又は僅かな変化であり得る。患者のベースラインeGFR又はベースラインuACRにおける僅かな変化は、患者のベースラインeGFR若しくはベースラインuACRからの約0.0%の変化であり得るか、又は患者のベースラインeGFR若しくはベースラインuACRからの僅かな増加若しくは減少(例えば、約2.0%以内)の変化であり得る。
【0058】
患者のベースラインeGFR又はベースラインuACRは、1回目の注射のおよそ90日前から1回目の注射日までの間のあらゆる時間での患者のeGFR又はuACRであり得る。患者のベースラインeGFR又はベースラインuACRは、1回目の注射の投与のおよそ60日前から1回目の注射日までの間のあらゆる時間での患者のeGFR又はuACRであり得る。患者のベースラインeGFR又はベースラインuACRは、1回目の注射の投与のおよそ45日前、30日前、又は15日前から1回目の注射日までの間のあらゆる時間での患者のeGFR又はuACRであり得る。患者のベースラインeGFR又はベースラインuACRは、1回目の注射の投与のおよそ90日前、およそ85日前、およそ80日前、およそ75日前、およそ70日前、およそ65日前、およそ60日前、およそ55日前、およそ50日前、およそ45日前、およそ40日前、およそ35日前、およそ30日前、およそ25日前、およそ20日前、およそ15日前、およそ10日前、およそ5日前、又は1回目の注射日での患者のeGFR又はuACRであり得る。患者のベースラインeGFR又はベースラインuACRは、1回目の注射の投与のおよそ90日前、60日前、45日前、30日前、又は15日前から1回目の注射日までの間の患者の2回又は3回又は4回のeGFR又はuACRの測定の平均であり得る。
【0059】
1回目の注射後の時間間隔中に確認されることにより2回目の注射の投与のトリガーとなり得るトリガー事象は、ベースラインに対する患者のeGFRの僅かな変化であり得るか、又はベースラインに対する約5%の患者のeGFRの低下であり得る。ベースラインに対する患者のeGFRの低下又は僅かな変化は、約0.0%、2.5%、5.0%、7.5%、10.0%、12.5%、15.0%、17.5%、20.0%、22.5%、25.0%、27.5%、又は30.0%の低下であり得る。患者のベースラインeGFRが最大約25ml/分/1.73m2である場合、トリガー事象は、ベースラインに対する約0%~5%又は5%の患者のeGFRの低下であり得る。患者のベースラインeGFRがおよそ25ml/分/1.73m2から35ml/分/1.73m2の間である場合、トリガー事象は、ベースラインに対する約0%~10%又は10%の患者のeGFRの低下であり得る。患者のベースラインeGFRがおよそ30ml/分/1.73m2から40ml/分/1.73m2の間である場合、トリガー事象は、ベースラインに対する約0%~15%又は15%の患者のeGFRの低下であり得る。患者のベースラインeGFRがおよそ35ml/分/1.73m2から45ml/分/1.73m2の間である場合、トリガー事象は、ベースラインに対する約0%~20%又は20%の患者のeGFRの低下であり得る。患者のベースラインeGFRが少なくとも約40ml/分/1.73m2である場合、トリガー事象は、ベースラインに対する約0%~25%又は25%の患者のeGFRの低下であり得る。患者のベースラインeGFRが少なくとも約45ml/分/1.73m2である場合、トリガー事象は、ベースラインに対する約0%~30%又は30%の患者のeGFRの低下であり得る。1回目の注射後の時間間隔中に確認されることにより2回目の注射の投与のトリガーとなり得るトリガー事象は、1回目の注射の投与後の時点で患者のeGFRを決定する工程を実施したことによって確認され得る。患者のeGFRが決定される時点(複数の場合もある)は、1回目の注射の少なくとも1週間後、2週間後、6週間後、8週間後、10週間後、12週間後、14週間後、16週間後、18週間後、20週間後、22週間後、24週間後、7ヶ月後、8ヶ月後、10ヶ月後、12ヶ月後、14ヶ月後、16ヶ月後、18ヶ月後、20ヶ月後、22ヶ月後、又は24ヶ月後であり得る。
【0060】
1回目の注射後の時間間隔中に確認されることにより2回目の注射の投与のトリガーとなり得るトリガー事象は、ベースラインに対する患者のuACRの僅かな変化であり得るか、又はベースラインに対する約20%の増加であり得る。1回目の注射後の時間間隔中に確認されることにより2回目の注射の投与のトリガーとなり得るトリガー事象は、ベースラインに対する少なくとも約2.5%、5.0%、7.5%、10.0%、12.5%、15%、17.5%、20.0%、22.5%、25.0%、27.5%、30.0%、32.5%、35.0%、37.5%、40.0%、42.5%、45%、47.5%、又は50.0%の患者のuACRの増加を確認することであり得る。ベースラインに対する患者のuACRの増加は、少なくとも約20%及び少なくとも約30mg/gの増加であり得る。ベースラインに対する患者のuACRの増加は、少なくとも約30mg/gの増加であることに加えて、約2.5%、5.0%、7.5%、10.0%、12.5%、15%、17.5%、20.0%の増加であり得る。1回目の注射後の時間間隔中に確認されることにより2回目の注射の投与のトリガーとなり得るトリガー事象は、1回目の注射の投与後の少なくとも1つの時点で患者のuACRを決定する工程を実施したことによって確認され得る。患者のuACRが決定される時点(複数の場合もある)は、1回目の注射の少なくとも1週間後、2週間後、6週間後、8週間後、10週間後、12週間後、14週間後、16週間後、18週間後、20週間後、22週間後、24週間後、7ヶ月後、8ヶ月後、10ヶ月後、12ヶ月後、14ヶ月後、16ヶ月後、18ヶ月後、20ヶ月後、22ヶ月後、又は24ヶ月後であり得る。
【0061】
1回目の注射後の時間間隔中に確認されることにより2回目の注射の投与のトリガーとなり得るトリガー事象は、例えば本明細書において先で論じたように、患者のベースラインeGFRに対する患者のeGFRの持続的な低下又は持続的な僅かな変化であり得る。1回目の注射後の時間間隔中に確認されることにより2回目の注射の投与のトリガーとなり得るトリガー事象は、例えば本明細書において先で論じたように、患者のベースラインuACRに対する患者のuACRの持続的な増加又は持続的な僅かな変化であり得る。ベースラインに対するeGFRの持続的な低下若しくは持続的な僅かな変化、又はベースラインに対するuACRの持続的な増加若しくは持続的な僅かな変化は、或る期間にわたって維持されるもの、例えば、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日間、少なくとも30日間、少なくとも45日間、少なくとも60日間、少なくとも75日間、又は少なくとも90日間維持され得るものであり得る。
【0062】
したがって、トリガー事象は、これが患者のeGFRの持続的な低下又は持続的な僅かな変化である場合、少なくとも約7日間、14日間、21日間、28日間、30日間、45日間、60日間、75日間、又は90日間維持される患者のeGFRの低下又は僅かな変化であり得る。例として、トリガー事象が、患者のベースラインeGFRに対する少なくとも約5%の患者のeGFRの持続的な低下である場合、トリガー事象は、少なくとも約7日間、14日間、21日間、28日間、30日間、45日間、60日間、75日間、又は90日間維持される、患者のベースラインeGFRの少なくとも約5%の低下として確認され得る。トリガー事象が、患者のベースラインeGFRに対する少なくとも約25%の患者のeGFRの持続的な低下である場合、トリガー事象は、少なくとも約7日間、14日間、21日間、28日間、30日間、45日間、60日間、75日間、又は90日間維持される、患者のベースラインeGFRの少なくとも約25%の低下として確認され得る。任意の期間(例えば、少なくとも約7日、14日、21日、28日、30日、45日、60日、75日、又は90日)にわたるeGFRのそのような持続的な低下(例えば、少なくとも5%)は、ベースラインに対する患者のeGFRの低下が、或る特定のパーセンテージ(例えば、少なくとも約5%)低下すると、その或る特定のパーセンテージの低下で維持されること、又は時間の経過にわたって(例えば、少なくとも約7日、14日、21日、28日、30日、45日、60日、75日、又は90日にわたって)更に低下し続けることを必要としないと理解されるであろう。むしろ、任意の期間(例えば、少なくとも約7日、14日、21日、28日、30日、45日、60日、75日、又は90日)にわたるeGFRの持続的な低下(例えば、少なくとも5%)は、これが或る特定のパーセンテージ(例えば、少なくとも約5%)低下すると、時間の経過にわたって(例えば、少なくとも約7日、14日、21日、28日、30日、45日、60日、75日、又は90日にわたって)その或る特定のパーセンテージの低下だけの低下が少なくとも維持される患者のeGFRを指し得る。ベースラインeGFRに対する患者のeGFRの持続的な低下又は僅かな変化は、治療用SRC含有組成物による1回目の注射の投与後の多数の時点(例えば、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、少なくとも4点、少なくとも5点、少なくとも6点、少なくとも7点、少なくとも8点、少なくとも9点、少なくとも10点の時点)で患者のeGFRを決定することによって確認され得る。投与後の多数の時点はあらゆる頻度で存在してよく、規則的な間隔で存在する必要はない。
【0063】
トリガー事象は、これが患者のuACRの持続的な増加又は持続的な僅かな変化である場合、少なくとも約7日間、14日間、21日間、28日間、30日間、45日間、60日間、75日間、又は90日間維持されると確認される患者のuACRの増加又は僅かな変化であり得る。例として、トリガー事象が、ベースラインに対する少なくとも30mg/g及び少なくとも約20%の患者のuACRの持続的な増加である場合、トリガー事象は、少なくとも約7日間、14日間、21日間、28日間、30日間、45日間、60日間、75日間、又は90日間維持される、患者のベースラインuACRの少なくとも30mg/g及び少なくとも20%の増加として確認され得る。トリガー事象が、ベースラインに対する少なくとも約20%の患者のuACRの持続的な増加である場合、トリガー事象は、少なくとも約7日間、14日間、21日間、28日間、30日間、45日間、60日間、75日間、又は90日間維持される、患者のベースラインuACRの少なくとも約20%の増加として確認され得る。任意の期間(例えば、少なくとも約7日、14日、21日、28日、30日、45日、60日、75日、又は90日)にわたるuACRの持続的な増加(例えば、少なくとも30mg/g及び少なくとも20%)は、ベースラインに対する患者のuACRの増加が、30mg/g及び或る特定のパーセンテージ(例えば、少なくとも約20%)増加すると、30mg/g及びその或る特定のパーセンテージの増加で維持されること、又は時間の経過にわたって(例えば、少なくとも約7日、14日、21日、28日、30日、45日、60日、75日、又は90日にわたって)更に増加し続けることを必要としないと理解されるであろう。むしろ、任意の期間(例えば、少なくとも約7日、14日、30日、45日、60日、75日、又は90日)にわたるuACRのあらゆる持続的な増加(例えば、少なくとも約7日、14日、21日、28日、30日、45日、60日、75日、又は90日)は、これが約30mg/g及び或る特定のパーセンテージ(例えば、少なくとも約20%)増加すると、時間の経過にわたって(例えば、少なくとも約7日、14日、30日、45日、60日、75日、又は90日にわたって)約30mg/gの増加が少なくとも維持され、その或る特定のパーセンテージ(例えば、少なくとも約20%)以上に増加したままとなる患者のuACRを指し得る。ベースラインuACRに対する患者のuACRの持続的な増加又は僅かな変化は、治療用SRC含有組成物による1回目の注射の投与後の多数の時点(例えば、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、少なくとも4点、少なくとも5点、少なくとも6点、少なくとも7点、少なくとも8点、少なくとも9点、少なくとも10点の時点)で患者のuACRを決定することによって確認され得る。投与後の多数の時点はあらゆる頻度で存在してよく、規則的な間隔で存在する必要はない。
【0064】
特定された値(例えば、時間の単位/量、細胞数、患者のeGFR、改善のパーセンテージ、マーカーを発現する細胞のパーセンテージ、用量等)に関する、全体にわたる「約」又は「およそ」の使用は、特定された値が、例えば正確に特定された通りではない範囲内であることを可能にするものと理解されるべきである。例えば、特定された値に関する「約」又は「およそ」の使用は、この値が、特定された値の3%(より大きい又はより小さい)、4%(より大きい又はより小さい)、5%(より大きい又はより小さい)、6%(より大きい又はより小さい)、7%(より大きい又はより小さい)、8%(より大きい又はより小さい)、9%(より大きい又はより小さい)、又は10%(より大きい又はより小さい)の範囲内であることを許容し得る。
【0065】
当業者は、日常的な実験を使用するだけで、本明細書において記載される特定の実施形態に対する多くの均等物を認識し、又は把握することができるであろう。そのような均等物は、添付の特許請求の範囲により包含されることが意図される。
【0066】
本明細書において挙げられる全ての出版物、特許、及び特許出願は、それぞれの個々の出版物、特許、又は特許出願の全体が引用することにより具体的にかつ個別に本明細書の一部をなすことを示すのと同じ程度で、引用することにより本明細書の一部をなす。
【実施例】
【0067】
実施例1-2用量の自家腎細胞(SRC)治療薬によりD-CKD患者における腎臓機能が回復する
序論.細胞ベースの再生療法は、疾患を調節又は後退させ、CKDについての新しい単独の又は補完的な治療をもたらす能力を有し得る。自家腎細胞(SRC)治療薬による2回の注射が2型D-CKDを伴う患者における腎臓機能を改善し得るかどうかを判定する研究を行った。
【0068】
方法//研究集団:20mL/分/1.73m2~50mL/分/1.73m2のeGFRを有する30歳~80歳のD-CKD患者は親研究(NCT02836574)における登録資格があった。ナトリウム-グルコース輸送タンパク質2(SGLT2)受容体遮断治療は禁忌ではなかった。患者を併存症に対する標準治療で管理した。REACTで治療された第II相親研究からの患者のサブセット分析をFACSによって分析した。
【0069】
書面によるインフォームドコンセントを得た後、患者をスクリーニング来院で登録した。この来院は、SRC含有治療薬による1回目の注射のおよそ3ヶ月前に行われた。糖尿病関連の合併症を除き、機能不全に陥る併存症を伴う患者を除外した。データの公開について書面によるインフォームドコンセントに同意したSRC治療薬による1回目及び2回目の注射を受けた患者並びにSRC治療薬による1回の注射を受けた2人の患者を、
図1、
図4、及び
図5に示されるサブ解析対象集団に含めた。
【0070】
方法/データ収集:1回目の注射時、及び1回目の注射後の少なくとも1年間3ヶ月ごとに臨床データを収集した。
【0071】
方法/自家腎細胞製剤の調製:全ての患者に標準的な経皮腎臓生検を行った。腎臓細胞を患者の生検から単離し、単離した腎臓細胞を拡大培養し処理して、SRC治療薬に含める細胞を取得した。SRC治療薬に含めるSRCの調製は(例えば、Bruce, A.T. et al.著の「機能腎細胞のex vivo培養及び分離(Ex vivo culture and separation of function renal cells.)」 Methods Mol. Biol. 1001(2013):53、Halberstadt, C. et al.著の「腎臓への移植用の選択腎細胞の製剤(Formulation of selected renal cells for implantation into a kidney.)」 Methods Mol. Biol. 1001(2013):279)に記載されている。SRCを調製した後、SRCを熱不安定性ヒドロゲル中で製剤化して、REACTと呼ばれ得る新鮮な製品を作製した。
【0072】
方法/自家腎細胞製剤の投与:患者のSRC治療薬の1回目のコンピューター断層撮影(CT)ガイド下経皮注射を生検のおよそ3ヶ月後に投与した。患者のSRC治療薬の2回目の経皮注射を1回目の注射の3ヶ月~6ヶ月後に投与した。静脈内ミダゾラム及びフェンタニルを使用した意識下鎮静プロトコルの下で終日入院処置を行った。
【0073】
方法/臨床・検査データ:1回目のSRC治療薬注射時、及び1回目の注射後の少なくとも1年間3ヶ月ごとに臨床・検査データを収集した。生化学的な尺度は、電解質、ヘモグロビン、血清クレアチニン(sCr)、尿素窒素(BUN)、リン、カルシウム、カリウム、重炭酸塩、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、対数変換されたインタクト副甲状腺ホルモン(PTH)、及び対数変換された尿中アルブミン/sCr比(UACR)を含んでいた。eGFRをIDMSで追跡可能な血清sCr単独についての2009 CKD-EPI式を使用して、かつsCr及びシスタチンCについての2012 CKD-Epi式(認定標準物質を用いた比濁法)を使用して推定した(Levey AS, Stevens LA, Schmid CH, et al.著の「糸球体濾過量を推定する新しい方程式(A new equation to estimate glomerular filtration rate.)」 Annals of internal medicine 2009; 150: 604-612、Inker LA, Schmid CH, Tighiouart H, et al.著の「血清クレアチニン及びシスタチンCからの糸球体濾過量の推定(Estimating glomerular filtration rate from serum creatinine and cystatin C.)」 The New England journal of medicine 2012; 367: 20-29)。1回目のSRC治療薬注射を受ける前及び受けた後でコホートを分析して、介入前のeGFRの傾きを確立した。患者を、それらの年換算のeGFRの傾き(ml/分/1.72m2単位)に基づいて低レスポンダー(0未満)、中レスポンダー(≧0~2)、及び高レスポンダー(>2)に分類したが、分析の目的で、中レスポンダー群と高レスポンダー群とを合わせて、低レスポンダー群と比較した。
【0074】
方法/有害事象(AE):AEを、医薬規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)(MedDRA)バージョン23.0からの基本語及び器官別大分類への報告に従って事象の重篤度及び強度によって決定した。
【0075】
方法/統計:人口統計学的尺度及び検査尺度のスクリーニングには単純な記述統計を使用した。正規分布パラメーター(シャピロ-ウィルク正規性検定によって決定)を、括弧内に平均値及び標準偏差として表した。正規分布していないパラメーターを、正規分布したものと同様に対数変換した。縦断データを、線形混合効果モデル(LMEM;Follmann D, Wu M.著の「情報のある欠測データに対するランダム効果を有する近似一般化線形モデル(An approximate generalized linear model with random effects for informative missing data.)」 Biometrics 1995; 51: 151-168)を使用して比較した。サンプルサイズが小さかったため、検出力計算を行わなかった。UACRについて、一部の患者は、無作為尿試料ではなく24時間尿において決定された尿中クレアチニン及び微量アルブミンを有し、ここで無作為UACRを補完した。
【0076】
結果/データ解析対象集団における患者:28人の患者が試験のサブ解析対象集団に組み入れられる資格を有した。28人のうち、2人は1回の注射のみを受けており(1人は1回目の注射後にクロピドグレルを開始し、2人目は高血圧症がコントロールされていなかった)、6人はデータの公開に同意しなかった(2人は高レスポンダーであった)。したがって、このサブ解析データセットにデータが示されているSRC治療薬注射を2回受けた患者(20人)又は注射を1回受けた患者(2人)の最終的な数は22人である。解析に組み入れられるこれら22人の患者において、血圧は変化しなかった(データは示していない)。これら22人の患者の特徴を表1に列記する。
【0077】
【0078】
これらの患者のうち3人だけがリン酸吸着剤を服用しており、2人がエリスロポエチン補充を受けており、4人がカリウム吸着剤を服用していたため、検査所見に対する薬物の影響を分析しなかった。
【0079】
ベースラインでは、患者は、37.3±8.91mL/分/1.73m2の平均CKD-EPI 2009 eGFR及び7.0±1.05の平均HgbA1cを有していた。eGFRの予想される下降と一致して、1回目の注射時にeGFRは33.0±8.39mL/分/1.73m2に下がった。
【0080】
結果/D-CKD患者のeGFRに対する療法の影響:2回のSRC治療薬注射のうち2回目の投与の1年後、サブ解析対象集団における20人のD-CKD患者の群は、eGFR下降の安定化を示した。
図1を参照のこと。LMEMを使用すると、SRC注射前(-4.12mL/分/1.73m
2)とSRC注射後(-1.23mL/分/1.73m
2)との間で全コホートにおいて年換算のeGFRの傾きが有意に改善した(p=0.019)。sCrに基づく2009 CKD-EPI方程式を使用すると、年換算のeGFRの傾きは、注射前には-3.98mL/分/1.73m
2であり、注射後には-1.27mL/分/1.73m
2に改善された(
図2Aを参照のこと)。sCr及びシスタチンCに基づく2012 CKD-EPI方程式を使用すると、年換算のeGFRの傾きは、注射前には-4.69mL/分/1.73m
2であり、注射後には-1.69mL/分/1.73m
2に改善された(p=0.007)(
図2Bを参照のこと)。
【0081】
サブ解析対象集団の患者は、臨床的に関連があると考えられる3種類の腎機能応答のうちの1つを有することが観察された:eGFRの実質的な改善及び+2より大きい治療後の傾きを有する高レスポンダー(n=4)、0から+2の間の傾きを有する中レスポンダー(n=3)、並びに0mL/分/1.73m2未満の傾きを有する低レスポンダー(n=15)。全体として、eGFRの傾きは全ての患者においてより負の値がより小さくになったことから、これは腎臓機能の安定化を示唆しており、負の傾きを有する患者でも幾らかの改善が示された。注目すべきことに、正の傾きを有する患者は、開始時により高いeGFRを有していた。
【0082】
正の注射後のeGFRの傾きを有する7人の患者(32%)(「中レスポンダー」及び「高レスポンダー」)は、2回のSRC治療薬注射の間により長い時間、例えばおよそ1ヶ月を有する傾向があり(p=0.0906)、それらの1回目の注射後の開始eGFRの傾きは40.8±8.26mL/分/1.73m2であった(残りの「低レスポンダー」の傾きよりも高い、n=15[31.5±8.11mL/分/1.73m2、p=0.03、t検定])。これらの7人の患者はまた4.5±1.99のlog UACRを有した(他の15人の患者と比較した値よりも低い(6.5±1.71、p=0.07、t検定))。それらの平均SRC含有累積用量は10.4±2.84mLであり、他の15人の患者と有意差はなかった(11.2±2.74mL、p=0.5649)。他の検査値には差がなかった(データは示していない)。
【0083】
この試験における患者のより多くの対象集団からのデータを調査し、SRC治療薬で治療された患者のeGFRとSOC療法で治療された患者のeGFRとを比較したところ、SRCがCKD患者のeGFRに対して劇的な効果を有することが明らかになった。
図3A、
図3C、及び
図4は、SRC治療薬の2回の注射で治療されたD-CKD患者についてはeGFRが時間の経過にわたって増加するのに対し、SOC療法で治療されたD-CKD患者のeGFRは増加しないことを示している。2回目のSRC治療薬注射後、D-CKD患者のeGFRは少なくとも1年間にわたって一貫して5mL/分/1.73m
2増加した。このeGFRの一貫した改善は、D-CKD用のどの療法の場合にも治療剤の場合にも観察されなかった。予想通り、SOCで治療されたD-CKD患者のeGFRは、同じ1年間の期間にわたって一貫して下降した。
【0084】
結果/腎臓機能の検査評価に対する療法の影響:全体として、SRC治療薬の2回の注射により、全てのD-CKD患者において、尿中微量アルブミン/クレアチニン比(UAUC;
図5A)、ヘモグロビン(
図5B)、血清カリウム(
図5D)、血圧(
図5E)、血清リン酸塩(
図5C)、及びインタクト副甲状腺ホルモン(iPTH、
図5F)が安定化した。ここで、中/高レスポンダー群ではカリウムが低下し、iPTHが低下する傾向があった。
【0085】
検査パラメーターについてのLMEM分析により、注射前の年間4.88mg/dLから注射後の年間0.56mg/dLまでの有意により低い年換算のBUNの傾きが示され(p=0.045)、また、カリウム、ヘモグロビン、及び腎性骨異栄養症のバイオマーカーの安定化が示された。表2を参照のこと。log PTH及びlog UACRの僅かな悪化が観察されたが、これらの変化は臨床的に関連性がない可能性があり、参加者数が少ないため調整することができなかった。HbA1cレベルはeGFR回復の要因ではなかった。REACT注射を1回だけ受けた1人の患者を除いて、血圧は変化しなかった。
【0086】
【0087】
これらのパラメーターの幾つかに対するSRC治療薬の2回の注射の投与の影響をよりよく示すのに、SRCで治療されたD-CKD患者及びSOCで治療されたD-CKD患者から得られた結果の比較を行った。SRC治療薬の少なくとも1用量が投与された28人の患者とSOC療法を受けた42人の患者とを比較すると、SRC治療薬が投与された患者ではわずか11.80%の変化というUACRの安定化がほぼ認められたのに対し、SOC療法を受けた患者では188%というはるかに大きな変化が認められたことが明らかとなる。
図3Bを参照のこと。ヘモグロビン(
図6A)、血清カルシウム(
図6B)、及び血清リン(
図6C)を直接比較すると、SRC治療薬で治療されたD-CKD患者は安定している又は改善するのに対し、SOCで治療された患者は下降に向かう傾向があったことが分かる。
【0088】
結果/重篤な有害事象:CKDの併存症及びメタボリックシンドロームにより、サブセット集団では有害事象がよく見られる。腎臓生検及びSRC注射に関連する重篤な有害事象はなかった。器官別大分類に基づいて計61件の有害事象が発生し、ここで、最もよく見られる5つのカテゴリーは心臓、感染症、腎臓、呼吸器、及び代謝のものであった(表3を参照)。2回の注射を受けた患者のうち、2人は対象となるSAEを患っていた:1人の患者では肺の扁平上皮癌が認められ、左肺虚脱/閉塞後肺炎及び高カルシウム血症が引き起こされ、2回目の注射の12ヶ月後に死に至ったが、検死解剖は家族によって拒否された。2人目の患者は2回目の注射の11ヶ月後にESKDを発症し、血液透析にかけられた。
【0089】
【0090】
結果/要約:SRC治療薬の2回の注射により、2型糖尿病性腎臓疾患を伴う成人における腎臓機能の改善に成功した。全ての患者にeGFRの傾きの改善が見られ、40パーセントがeGFRの改善、例えば増加を示した(中/高レスポンダー)。少なくとも1年間にわたって、D-CKD患者のeGFRの下降を一貫して食い止めるか、又はD-CKD患者のeGFRを増加させることが観察された治療剤は他にはなかった。
【0091】
また、2回の注射の投与により、患者の検査パラメーター(カリウム、重炭酸塩、カルシウム、リン酸塩、インタクトPTH、及びヘモグロビン)も安定化された。SRC治療薬を2回投与することによって、罹患した腎臓の主要な濾過機能が回復し得ることが裏付けられるため、このことも注目に値する。また、2回の用量を投与することにより、罹患した腎臓に対する多くの腎機能が回復するため、D-CKDに付随する併存症、例えば貧血にも対処することができることも実証される。
【0092】
実施例2-2用量の自家腎細胞(SRC)治療薬により後期ステージ4のD-CKD患者における腎臓機能が回復する
序論.20ml/分/1.72m2未満のeGFRを有するD-CKD患者の場合、治療措置によりESKDへの進行は食い止められない。実際、この進行したCKDステージでは腎臓機能の喪失が加速していることを考慮すると、管理措置は多くの場合無駄であると考えられる。後期ステージ4の糖尿病性腎臓疾患を伴う30歳~65歳の患者にSRC治療薬の2回の注射を投与するシングルアーム試験を実施した。この試験により、透析についてのリスクが非常に高い集団でさえも、腎臓機能の改善、例えばeGFRの下降速度の低下が達成され得ることが明らかになった。
【0093】
方法/試験デザイン.この試験は、実施例1に記載された試験(臨床試験識別番号NCT02836574)を拡張したものであった。簡潔に言えば、この試験は、最初のスクリーニング評価の60日以内に腎生検を行って、患者のSRC治療薬の製造用の患者材料(patient material)を取得するように設計された。製造後、患者のSRC治療薬の1回目の注射を投与した。2回目の注射を1回目の注射から3ヶ月~6ヶ月で投与した。2回目の注射後24ヶ月間にわたって、患者を追跡調査した。
【0094】
方法/患者.14ml/分/1.73m2~20ml/分/1.73m2のeGFRを有する2型糖尿病及び後期ステージ4のDKDに罹った成人は、試験に組み入れられる資格を有した。組み入れ基準及び除外基準を、スクリーニング来院時、腎生検前、及びSRC治療薬による各注射前に評価した。適格基準を満たし、IRBが承認した書面によるインフォームドコンセントを提出した患者に、全身検査、心電図、及び検査評価(血液学、化学パネル全体(full chemistry panel)、シスタチンC、女性の妊娠検査、及び尿中微量アルブミン対クレアチニン比)を行った。
【0095】
スクリーニング来院中に、患者に認定身体検査(qualification physical exams)、組み入れ/除外基準の最終レビュー、及び各腎臓が総腎機能に何パーセント寄与しているかを測定する腎シンチグラフィー研究(分腎機能スキャン)を行った。超音波により、解剖学的特徴を備えた2つの腎臓が存在し、経皮生検に適していることが確認された。腎臓のサイズ及び容積を磁気共鳴イメージング又はCTスキャンで決定して、注射されるSRC製品の用量を計算した。
【0096】
方法/腎生検及び治療用組成物の調製.最初のスクリーニング評価の60日以内に、各患者にいずれかの腎臓の画像ガイド下経皮腎生検を行った。SRC含有治療薬の製造に十分な材料を提供するのに、2個~4個の腎臓生検コアを収集した。腎臓生検を、局所標準治療、意識下鎮静、及び観察を伴う外来処置として行った。治療薬の注射後の出血を、試験プロトコルに従って、処置後の超音波測定及びヘモグロビン測定によって判定した。腎臓生検コアを、特殊な輸送媒体中で一晩かけて米国ノースカロライナ州のProKidneyへと輸送した。
【0097】
腎生検からのSRCの調製は(例えば、Bruce, A.T. et al.著の「機能腎細胞のex vivo培養及び分離(Ex vivo culture and separation of function renal cells.)」 Methods Mol. Biol. 1001(2013):53、Halberstadt, C. et al.著の「腎臓への移植用の選択腎細胞の製剤(Formulation of selected renal cells for implantation into a kidney.)」 Methods Mol. Biol. 1001(2013):279)に記載されている。SRCを調製した後、1mL当たり100×106個の細胞の濃度の熱不安定性ゼラチンベースのヒドロゲル中で製剤化した。
【0098】
方法/SRC含有治療薬の投与.CT画像のガイド下で腎生検を受けた同じ腎臓の腎皮質にSRCを経皮注射した。投与される用量は、腎容積解析によって決定された推定腎臓重量1gあたり3×106個の細胞であり、ここで、投薬容量範囲は3ミリリットル~8ミリリットルであった。全ての注射を、必要に応じて標準用量のフェンタニル及びミダゾラムを使用して意識下鎮静のもとで外来処置として行った(Stavas J, Gerber D, Coca SG, Silva AL, et al.著の「2型糖尿病慢性糖尿病性腎臓疾患に対する新規の腎自家細胞療法:臨床試験デザイン(Novel Renal Autologous Cell Therapy for Type 2 Diabetes Mellitus Chronic Diabetic Kidney Disease: Clinical Trial Design.)」 Am J Nephrol. 2022 Jan 14:1-9、Yu H, Sonntag PD, Bream PR, et al.著の「糖尿病の慢性腎臓疾患に対する腎細胞療法の新規の経皮局所注射技術の安全性及び実現可能性(Safety and Feasibility of a Novel Percutaneous Locoregional Injection Technique of Renal Cellular Therapy for Chronic Kidney Disease of Diabetes.)」 Kidney Int. Rep. 2021 Jun 19;6(9):2486-2490)。注射後の腎超音波並びにヘモグロビンレベル及びヘマトクリットレベルを回復期間中及び24時間時に取得して、出血性有害事象を確認した。各患者に、生検が取得された同じ腎臓において3ヶ月~6ヶ月離して2回の注射を投与した。
【0099】
方法/追跡調査評価:SRC治療薬による1回目の注射後の1日目、7日目、14日目、28日目(±3日)及び2ヶ月目、3ヶ月目、4ヶ月目、及び5ヶ月目(±7日)、並びに2回目の注射後の1日目、7日目、14日目、28日目(±3日)及び2ヶ月目及び3ヶ月目(±7日)に患者の評価を行った。2回目の注射後、治療後の6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月、及び24ヶ月を通した安全性及び有効性の評価を行った。スクリーニング中及び研究の終了時に非造影MRIを実施して、形態学的変化を評価した。1回目及び2回目の注射前、2回目の注射の6ヶ月後及び12ヶ月後、並びに研究の終了時に、腎シンチグラフィーにより分腎機能を評価した。
【0100】
方法/疾患進行の分類.安定した腎機能を有する患者及び腎代替療法が必要な患者に従って患者を分類した。SRC治療薬による注射の投与前に、Tangri et al.(Tangri N, Stevens L, Griffith J, et al.著の「慢性腎臓疾患から腎不全への進行についての予測モデル(A predictive model for progression of chronic kidney disease to kidney failure.)」 JAMA. 2011;305(15):1553-1559、腎不全リスク方程式(Kidney Risk Failure Equation)(8変数)、https://qxmd.com/calculate/calculator_125/kidney-failure-risk-equation-8-variable(2022年2月21日にアクセス))に基づいて腎不全リスク方程式(8変数)を用いて透析のリスクを計算した。
【0101】
方法/有害事象.生検関連有害事象、処置関連有害事象、及び細胞関連有害事象を、医薬規制用語集バージョン23.0に従って重篤度及び強度に基づきモニタリングし、基本語及び器官別大分類へと記録した。さらに、その他の全ての遠隔有害事象を記録した。
【0102】
方法/統計分析方法.全ての分析は、患者の人口統計的な臨床・検査情報を特徴付ける記述的な性質のものであった。カテゴリー変数を頻度数及びパーセンテージによって要約した。正規分布した連続変数を平均及び標準偏差を示すことによって要約し、他の点では、正規分布していない連続変数について中央値を報告した。年率換算のeGFRの傾きを、ランダム切片及び傾きに相関がある縦断線形混合効果モデル(LMEM)を使用して計算した(Vonesh E, Tighiouart H, Ying J et al.著の「慢性腎臓疾患の臨床試験における傾きベースのエンドポイントについての混合効果モデル(Mixed-effects models for slope-based endpoints in clinical trials of chronic kidney disease.)」 Stat Med. 2019;38:4218-4239)。UACRはランダムUACRとして報告されたが、ランダムUACRが欠落しており、24時間のUACRが収集された場合は、それを補完した。ベースラインを患者の1回目のSRC治療薬注射の投与前の最後の測定値として定義した。
【0103】
結果/患者.5人の男性及び5人の女性をこの研究に登録した。10人の患者に19回のSRC含有治療薬注射を行った(1人の参加者は1回だけ注射を受けた)。全ての患者のコア生検試料から、治療薬に含めるSRCを調製するのに十分な量の物質がもたらされた。患者のベースラインの特徴は次の通りであった:3人のヒスパニック系又はラテン系、7人の非ヒスパニック系、7人の白人。平均及び標準偏差(SD)は、年齢については58.9(5.22)歳、BMIについては35.8(8.2)、診断時の年齢については58.9(5.22)歳であり、2型糖尿病を伴った期間は13.7年(範囲5~27)であった。ベースラインの検査結果及び併用薬物を含むコホートの更なる特徴については、表4を参照のこと。
【0104】
【0105】
結果/患者の腎臓機能の改善.研究コホートでは、eGFRの傾きは、注射前の年間-6.5ml/分/1.73m
2から、SRC含有治療薬の2回目の注射後の年間-3.9ml/分/1.73m
2へと変化した。
図7を参照のこと。研究コホートにおける個々の患者では、注射前及び注射後の傾きを比較すると、10人中6人にeGFRの改善(例えば、進行の遅延(安定化))が見られるのに対し、10人中4人にeGFRの進行が見られることが示された。
【0106】
SRC含有注射後13.5ヶ月の時点で、3人の患者は透析を開始していなかった。2人は2回目の注射の15ヶ月後(計21ヵ月の追跡調査)であったが、3人目の患者は2回目の注射後に透析をせずに糖尿病関連心筋梗塞により死亡した。この患者は管理上の過誤により亡くなったと見なされた。更なる1人の患者は2回目の注射後にCOVID-19感染症により死亡した。この患者はCOVID-19に関する入院中に血液透析の最初のエピソードの翌日に死亡し、単回の透析セッションにもかかわらず透析数に含めた。
【0107】
16.2ヶ月の中央時間(6ヶ月~28ヶ月の範囲)で、7人の患者が腎代替療法を必要とし、ここで、初回透析時点で、eGFRは6ml/分/1.73m
2~16ml/分/1.73m
2であった。19ml/分/1.73m
2のスクリーニングeGFRを有する1人の患者には急速な悪化及び重度のタンパク尿が見られ、1回目の注射の6ヶ月後に透析が開始された。現在までに、残りの全ての参加者が2回の注射を受けている。1回目の注射時から注射前のeGFRの傾き(-6.5ml/分/1.73m
2)を直線外挿すると、患者がSRC治療薬で治療されていなかった場合、約10ml/分/1.73m
2のeGFRで透析を開始すると仮定すると、透析までの時間は10.1ヶ月になると概算される。
図8を参照のこと。この透析までの概算の時間は、慢性腎不全コホート(CRIC)研究と一致している。この研究では、3aから5までの各CKDステージに費やされた中央時間を評価した。この研究における15.5ml/分/1.7m
2のベースラインeGFRに相当するステージ5は0.8年の中央時間を有した。例えばCKDステージ5の患者の場合の約10ヶ月という透析までの概算の時間の一致は、この研究における患者が、その高い併存症にもかかわらず、SRC含有治療薬が投与されなかった場合よりも良好な経過をたどったという示唆を裏付けるものである(Ku et al., Clin. J. Am. Soc. Nephrol. 13(2018):693-701)。
【0108】
2回のSRC含有注射のうちの2回目の注射の15ヶ月後に透析を受けていない2人の患者はeGFRの傾きの安定性を示した。ステージ4の安定化したCKDを有し、より低い予測スコア(65%及び75%)を有するこれらの2人の患者では、透析群(UACRの範囲1487mg/g~10889mg/g)と比較してより低いアルブミン尿が見られた(407mg/g及び719mg/gのUACR)。
【0109】
各患者についての透析までの時間を表5に示す。表5には、1回目の注射前に行われた腎不全リスク方程式(8変数)を用いて計算された透析リスクも示されている。7人の患者は、5年以内にESKDに達することに関する91%超の予測スコアを有していた。
【0110】
【0111】
結果/有害事象.10回の単回腎生検及びSRC含有治療薬の19回の経皮注射の全ての中で、輸血又は介入を必要としない2件の腎血腫の事例(1件は生検後で1件は注射後)があった。1人の患者は生検後に動静脈瘻を発症し、これは7日足らずで自然消退した。最もよく見られる器官別大分類の副作用は、腎泌尿器障害のカテゴリー(n=7)及び感染症のクラスにあり、ここで、2人はCOVID-19感染症であり、1人は非COVID-19肺炎であった。全ての重篤な有害事象については表6を参照のこと。
【0112】
【0113】
結果/要約.SRC含有治療薬の2回の注射の投与により、高リスク(例えば、後期ステージ4のD-CKD)患者集団において、腎機能の改善及び疾患進行の安定化に成功した。これらの高リスク患者における腎臓機能の改善に成功したことで、ESRD及び透析の必要性を遅延させることができた。
【国際調査報告】