(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】オレフィン転化触媒、その調製方法およびその用途
(51)【国際特許分類】
B01J 29/70 20060101AFI20240927BHJP
B01J 29/08 20060101ALI20240927BHJP
C07C 15/067 20060101ALI20240927BHJP
C07C 2/84 20060101ALI20240927BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
B01J29/70 Z
B01J29/08 Z
C07C15/067
C07C2/84
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522046
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 CN2022125061
(87)【国際公開番号】W WO2023061435
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】202111195240.8
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】509128052
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司上海石油化工研究院
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI RESEARCH INSTITUTE OF PETROCHEMICAL TECHNOLOGY SINOPEC
【住所又は居所原語表記】NO.1658 PUDONG BEI ROAD,PUDONG NEW AREA,SHANGHAI 201208,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】李為
(72)【発明者】
【氏名】周亞新
(72)【発明者】
【氏名】呉暦斌
(72)【発明者】
【氏名】王月梅
(72)【発明者】
【氏名】侯敏
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA04
4G169AA08
4G169BA01B
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BB04B
4G169BC10B
4G169BC22B
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4G169CB66
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4G169EC09X
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4G169EC14X
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4G169EC27
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4G169FB66
4G169ZA04A
4G169ZA05B
4G169ZA19A
4G169ZA19B
4G169ZA32A
4G169ZA32B
4G169ZA41A
4G169ZA41B
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC28
4H006BA71
4H006BC10
4H006BC11
4H006DA15
4H006DA25
4H039CA41
4H039CH30
(57)【要約】
オレフィン転化触媒、その調製方法およびその用途が開示されている。オレフィン転化触媒は、質量部で以下の成分を含む:a)50~90部の、12員環以上の構造を有するモレキュラーシーブ;b)酸化物換算で、0.1~10部の、IA族金属元素、IIA族金属元素、またはそれらの組み合わせから選択される添加成分;c)酸化物換算で、0.1~10部の、ケイ素、ゲルマニウム、ビスマス、スズ、ホウ素、ガリウムまたはそれらの組み合わせから選択される修飾成分;およびd)10~49部の担体成分。芳香族リッチ留出油中の少量のオレフィンを転化するために上記触媒を使用すると、同触媒は、高活性、安定性、長寿命、および、オレフィンの有効利用いう特徴を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量部で以下の成分を含む、オレフィン転化触媒:
a)50~90部、好ましくは55~80部の、12員環以上の構造を有するモレキュラーシーブ;
b)酸化物換算で、0.1~10部、好ましくは1.0~8.0部の、IA族金属元素、IIA族金属元素、またはそれらの組み合わせから選択される添加成分;
c)酸化物換算で、0.1~10部、好ましくは1.0~8.0部の、ケイ素、ゲルマニウム、ビスマス、スズ、ホウ素、ガリウムまたはそれらの組み合わせから選択される修飾成分;および
d)10~49部、好ましくは15~40部の担体成分。
【請求項2】
前記モレキュラーシーブが、Y、β、MCM-22、MCM-56、SAPO-5、SAPO-37、SAPO-40、RZM-3またはそれらの組み合わせから選択され;
好ましくは、前記モレキュラーシーブは、Y、β、MCM-56、MCM-22、SAPO-5、SAPO-37、またはそれらの組み合わせから選択され;
さらに好ましくは、前記モレキュラーシーブにおけるSiO
2/Al
2O
3モル比は2~60、好ましくは5~30である、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記触媒は、BET窒素吸脱着法により特徴付けられる、次の細孔分布を有する:直径0.5nm超2.0nm未満のミクロ細孔の細孔容積が全細孔容積の4~28%、好ましくは5~22%を占め、直径2~50nmのメソ細孔の細孔容積が全細孔容積の6~50%、好ましくは10~40%を占める、請求項1または2に記載の触媒。
【請求項4】
前記触媒において、ミクロ細孔の細孔容積に対するメソ細孔の細孔容積の比が0.5~8.0、好ましくは0.8~4.5である、請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
前記モレキュラーシーブの質量と前記触媒の全細孔容積に対する前記触媒のメソ細孔容積の比との積に対する酸化物換算の前記添加成分の質量の比が、0.50以下、好ましくは0.08~0.35である、請求項3または4に記載の触媒。
【請求項6】
前記担体成分は、アルミナ、アルミナ含有粘土、シリカ、またはそれらの組み合わせから選択されるか、またはそれらから誘導され、好ましくは、アルミナ、カオリン、アタパルガイト、ベントナイト、珪藻土、シリカ、またはそれらの組み合わせから選択されるか、またはそれらから誘導され、より好ましくはアルミナである、請求項1~5の何れか1項に記載の触媒。
【請求項7】
前記添加成分は、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムまたはそれらの組み合わせから選択され、好ましくはマグネシウムである、請求項1~6の何れか1項に記載の触媒。
【請求項8】
前記修飾成分は、ケイ素と、スズ、ビスマス、ゲルマニウム、ガリウムおよびホウ素から選択される少なくとも1種との組み合わせであり、好ましくはケイ素とスズとの組み合わせであり;
好ましくは、ケイ素と非ケイ素修飾成分との質量比は、酸化物換算で、0.1~10.0:1、好ましくは1.5~5.0:1である、請求項1~7の何れか1項に記載の触媒。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載のオレフィン転化触媒を調製する方法であって、以下の工程を含む方法:
(1)前記モレキュラーシーブ、前記担体、および前記添加成分の前駆体の混合物を成形し、乾燥および焼成して成形体を得る;ならびに
(2)前記成形体に修飾成分を担持させ、乾燥および焼成して触媒を得る。
【請求項10】
工程(1)における前記添加成分の前駆体は、前記添加成分の可溶性塩、好ましくは硝酸塩、ハロゲン化物、ハロゲン酸塩(haloate)またはそれらの組み合わせであり;
工程(2)における前記修飾成分の前駆体のうち、ケイ素の前駆体は、有機ケイ素であり;ゲルマニウム、ビスマス、ガリウム、およびスズの前駆体は、それらの可溶性塩であり;ホウ素の前駆体は、ホウ酸であり;
好ましくは、ケイ素の前駆体は、オルトケイ酸エチル、シリコーンオイル、メチルシリケート、炭素数1~4のアルキルを有するシロキサンモノマー、および炭素数1~4のアルキルを有するハロシロキサンモノマー、またはそれらの組み合わせから選択され、前記シリコーンオイルは、好ましくは、フェニルメチルシリコーンオイル、アミノシリコーンオイル、ヒドロキシルシリコーンオイル、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(2)における担持工程は、まず、ケイ素の前駆体を成形体に含浸させ、かつ担持させ、次に、ゲルマニウム、ビスマス、スズ、ガリウムおよびホウ素、またはそれらの組合せから選択される他の修飾成分の前駆体を成形体に含浸させ、かつ担持させる工程を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
工程(2)において、乾燥条件は、次を含み:乾燥温度が30~200℃、好ましくは60℃~150℃、乾燥時間が0.1~72時間、好ましくは1~48時間;焼成条件は、次を含み:焼成温度が400~650℃、好ましくは450~600℃、焼成時間が0.5~8時間、好ましくは1~5時間;乾燥および焼成が不活性雰囲気中で行われる、請求項9~11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
芳香族リッチ留出油に含まれるオレフィンを転化する方法であって、オレフィンを含む芳香族リッチ留出油と、請求項1~8の何れか1項に記載のオレフィン転化触媒とを接触反応させる工程を含む方法。
【請求項14】
前記芳香族リッチ留出油は、改質油、異性化反応生成物、抽出芳香族炭化水素混合物、またはそれらの組合せから選択され;前記芳香族リッチ留出油に含まれる芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエン、C8芳香族炭化水素、C9芳香族炭化水素、またはそれらの組み合わせであり;前記芳香族リッチ留出油において、オレフィン含有量は、臭素指数によって表され、当該臭素指数は、100~2800mgBr/100g、好ましくは300~2000mgBr/100gである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記反応は、非水素条件下で実施され、反応条件は、次を含む:反応温度が130~350℃、好ましくは130~260℃であり、反応圧力が0.5~4.0MPa、好ましくは0.5~3.0MPaであり、液時体積空間速度が0.5~35h
-1、好ましくは0.5~8h
-1である、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本願は触媒の分野に関するものであり、特にオレフィン転化触媒、その調製方法および用途に関する。
【0002】
〔背景技術〕
石油芳香族の中で最大の生産能力を持つベンゼン類の生成物は、主に芳香族複合ユニット、エチレンユニット、および精製ユニットから生産される。芳香族炭化水素混合物のうち、中間の製造プロセスから必然的にオレフィン化合物が一定量発生する。これらのオレフィン化合物の化学的性質は比較的活性であり、新しい成分を生成しやすく、この新しい成分は、生成物の品質に大きな影響を与える可能性があり、また下流設備の定常運転にも支障をきたす。パラ-キシレンのような高品質の芳香族生成物を得、後工程に問題がないことを保証するために、改質プロセス、芳香族抽出プロセス、異性化プロセス、およびトルエン不均化プロセスの後に、微量のオレフィン化合物を除去する必要がある。現在の技術では、上記のオレフィンは不良資源として除去されるが、有効利用されていない。
【0003】
伝統的な芳香族炭化水素の脱アルケン化精製剤として、白土は、活性が低く、寿命が短く、使用量が多く、再生できず、頻繁に交換する必要がある。白土は、安全な生産に悪影響を及ぼすだけでなく、廃棄白土は環境を汚染し、高い廃棄コストが必要となる。このため、モレキュラーシーブによるオレフィン除去精製技術が開発されている。当該技術は、工業用白土の代わりに活性中心を増やしたモレキュラーシーブ触媒を使用し、その比較的大きな比表面積および酸含有量を利用して、長いシングルサイクルの耐用年数とトータルの耐用年数とを達成し、オレフィンを不純物として除去するものである。しかし、失活のたびにその場で触媒を再生する必要がある。モレキュラーシーブの再生プロセスの間、高温の炭素燃焼により、モレキュラーシーブ触媒の活性が低下しやすい。再生プロセスの間、大量のオレフィン生成物は、二酸化炭素および水を発生させ、大気中に排出され、多くの資源を浪費する。
【0004】
CN102008976A、CN103041841B、CN102039160BおよびCN104907090Aは、いずれも、オレフィン除去触媒の主活性成分としてモレキュラーシーブを使用しており、オレフィン除去反応プロセスに適するように様々な方法で改良され、触媒のコーキングおよび失活が早くなりすぎることを防止している。触媒寿命は比較的長くなるが、オレフィン生成物の有機物はより多く吸着され、寿命は長くない。同時に、会合および分解が多いため、装置の安定的な運転に影響する。その中で、CN102008976Aに開示されたオレフィン除去触媒は、主活性成分としてケイ素のアルミニウムに対する比率が高いReUSYモレキュラーシーブ、第二活性成分としてモルデナイト、バインダーとしてアルミナを使用している。高分子のオレフィン不純物は触媒内を拡散しにくく、これにより、コーキングおよび触媒活性中心の失活が生じる。CN103041841Bは、芳香族炭化水素非水素化オレフィン除去触媒およびその調製方法を開示しており、原料としてYモレキュラーシーブを含む廃棄接触分解触媒を使用して、芳香族炭化水素非水素化オレフィン除去触媒を製造する。金属含有量が5000μg/g未満の廃棄接触分解触媒とアルミナ乾燥ゴム粉末とを混合して長尺状に押し出し、540℃で4時間焼成して芳香族炭化水素非水素化オレフィン除去触媒を得る。この方法は、不活性化した触媒の再活性化のみを目的とし、触媒調製コストの低減により触媒コストを低減するものであり、実際の製造サイクルを改善するものではない。CN102039160Bに紹介されている改質油オレフィン除去触媒は、20~90部のモレキュラーシーブと、10~80部の、SiO2、Al2O3またはそれらの混合物から選択される少なくとも1種と、Mo、Zr、Nbまたはその酸化物から選択される少なくとも1種の金属、Cl、Br、Sまたはその酸化物から選ばれる少なくとも1種の元素、F、Pまたはその酸化物から選ばれる少なくとも1種の元素を含む1つの触媒とを使用しており、触媒の再生サイクルを効果的に長くしているが、Cl、Br、S、およびFを含むので再生できない。また、コークスにより活性が覆われやすい、すなわちブロックされやすく、寿命が短く、除去後のオレフィンは使用できない。CN104907090Aは、触媒改質油精製オレフィン除去触媒およびその調製方法を紹介し、当該触媒は、30%~70%のAl2O3と、30%~70%の、活性中心としてAl酸化物を有するモレキュラーシーブとを含み、含浸法により調製される。当該触媒は、モレキュラーシーブ中の活性中心がコーキングにより容易にブロックされ、オレフィンを除去した後、使用することができない。
【0005】
オレフィン除去のもう一つの方法は水素化技術である。水素化技術は、オレフィンと水素とを反応させて二重結合を飽和させ、オレフィンを選択的に除去する。しかし、前記技術は、一部の高価な芳香族炭化水素において不飽和芳香族環を必然的に水素化するため、不可逆的に非芳香族炭化水素が発生し、装置全体の生産能力が低下する。例えば、CN1448474Aでは、活性金属成分として貴金属が使用されている。水素化性能が過剰になるため、過剰な水素化性能を抑制するためにアルカリ金属およびアルカリ土類金属が添加剤として使用されている。しかし、芳香族炭化水素の損失は高く、0.5重量%近くに達し、このことは芳香族処理のコスト上昇に直結する。CN101260320Aでは、エッグシェル型モードを使用して金属分布を最適化し、過剰な水素化性能を低減しているが、芳香族の損失は依然として避けられない。CN108636399Aでは、オレフィンを除去するために、非貴金属による水素化方法が使用されている。この方法は、水素を消費するだけでなく、触媒を使用する前に還元および活性化が必要である。この方法は、実際の産業への適用は難しい。同時に、運転中に芳香族炭化水素の一部が失われることは避けられず、活性を安定的に維持することも難しい。
【0006】
上記の触媒は、脱オレフィン化を行うために異なる改質方法を用いている。モレキュラーシーブによるオレフィン除去法は寿命が短く、水素化技術はコスト高で操作が難しい。いずれの方法においても、オレフィンを十分に利用できず、芳香族の製造コストが上昇する。
【0007】
〔発明の概要〕
オレフィン除去触媒がコークス化し易く、失活し易く、安定性が悪く、寿命が短いという従来技術の問題点を解決するために、本発明の目的は、オレフィン転化触媒及びその調製方法、並びに用途を提供することにある。芳香族リッチな改質油において、この触媒をオレフィンの転化に用いると、活性安定性が高く、寿命が長く、かつ、オレフィンを有効に利用できるという利点がある。
【0008】
上記の目的を達成するために、一方では、本願は、質量部で以下の成分を含む、オレフィン転化触媒を提供する:
a)50~90部の12員環以上の構造を有するモレキュラーシーブ;
b)酸化物換算で、0.1~10部の、IA族金属元素、IIA族金属元素、またはそれらの組み合わせから選択される添加成分;
c)酸化物換算で、0.1~10部の、ケイ素、ゲルマニウム、ビスマス、スズ、ホウ素、ガリウムまたはそれらの組み合わせから選択される修飾成分;および
d)10~49部の担体成分。
【0009】
別の態様において、本願は、本願の触媒を調製する方法を提供する:
(1)前記モレキュラーシーブ、前記担体、および前記添加成分の前駆体の混合物を成形し、乾燥および焼成して成形体を得る;ならびに
(2)前記成形体に修飾成分を担持させ、乾燥および焼成して触媒を得る。
【0010】
さらに別の態様において、本願は、芳香族リッチ留出油に含まれるオレフィンを転化する方法であって、オレフィンを含む芳香族リッチ留出油と、本願の触媒とを接触反応させる工程を含む方法を提供する。
【0011】
本願の触媒を芳香族リッチ留出油中の少量のオレフィンの転化プロセスに使用すると、芳香族リッチ原料中のオレフィンおよび芳香族炭化水素は、アルキル化反応、不均化反応、トランスアルキル化反応、または重質芳香族炭化水素の軽質化反応等を通じて、オレフィンを必要な芳香族成分(C-8芳香族炭化水素等)に効果的に転化することができる。それは、芳香族リッチ留出油中のオレフィンの含有量を減少させるだけでなく、芳香族リッチ留出油中の有用な芳香族炭化水素成分の含有量を増加させる。また、高沸点の生成物の発生を制限することもできる。さらに、触媒の活性安定性と耐用年数とを大幅に向上させ、これにより、オレフィン転化触媒の単一サイクル寿命を現行のオレフィン除去触媒の寿命の2~8倍超に増加させることができる。
【0012】
〔図面の説明〕
図面は、本願のさらなる理解を提供するために使用され、本明細書の一部を構成する。これらは、以下の具体的な実施形態とともに本願を説明するために使用されるが、本願を限定するものではない。
【0013】
図面において:
図1は、実施例1で得られた触媒のメソ細孔分布の、BET測定結果およびt-プロット法による計算結果である。
【0014】
〔発明の詳細な説明〕
以下、図面を参照して本願の具体的な実施形態を詳細に説明する。なお、ここで説明する具体的な実施形態は、本願を例示し説明するためのものであって、本願を限定するためのものではないことを理解されたい。
【0015】
本明細書で開示される任意の特定の数値(数値範囲の端点を含む)は、数値の正確な値に限定されるものではなく、当該正確な値の±5%以内のすべての可能な値等の、正確な値に近似する値も包含するものと理解されたい。さらに、開示された数値範囲について、範囲の端点値間、端点値と範囲内の特定点値との間、および各特定点値間の任意の組み合わせにより、1つまたは複数の新たな数値範囲を得ることができ、これらの新たな数値範囲も、本明細書で具体的に開示されているとみなされるべきである。
【0016】
特に断らない限り、本明細書で使用される用語は、当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本明細書において用語が定義され、その定義が当業者の一般的な理解と異なる場合、本明細書における定義が優先するものとする。
【0017】
本願では、液体窒素吸脱着装置を用いて、モレキュラーシーブおよび触媒の細孔容積並びに細孔径分布を測定する。測定方法は以下の通りである:液体窒素飽和温度(77K)で試験を実施し、異なる相対圧力を通してN2等温吸脱着曲線を求め、t-プロット法により細孔容積および細孔分布を求める;実験中の相対圧力は0.001~0.995である。
【0018】
本願では、触媒の組成は蛍光X線分析法(XRF)によって決定される。
【0019】
本願では、ミクロ細孔の細孔容積、メソ細孔の細孔容積および全細孔容積を液体窒素吸脱着BET法により測定し、t-プロット法により算出し、全細孔容積は相対圧0.995における一点法により算出する。
【0020】
本願において、明示的に記載されているものを除き、記載されていない事項または項目は、変更することなく、当該技術分野において公知のものにそのまま適用されるものとする。さらに、本明細書に記載された任意の実施形態は、本明細書に記載された1つまたは複数の他の実施形態と自由に組み合わせることができ、それによって形成された技術的解決策または技術的思想は、本発明の当初の開示または当初の記録の一部とみなされ、その組み合わせが明らかに不合理であると当業者が考えない限り、本開示において開示または予想されていない新たな内容とはみなされないものとする。
【0021】
教科書および雑誌記事などを含むがこれに限定されず、本明細書で言及されるすべての特許文献および非特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0022】
第1の態様において、本願は、質量部で以下の成分を含む、オレフィン転化触媒を提供する:
a)50~90部の、12員環以上の構造を有するモレキュラーシーブ;
b)酸化物換算で、0.1~10部の、IA族金属元素、IIA族金属元素、またはそれらの組み合わせから選択される添加成分;
c)酸化物換算で、0.1~10部の、ケイ素、ゲルマニウム、ビスマス、スズ、ホウ素、ガリウムまたはそれらの組み合わせから選択される修飾成分;および
d)10~49部の担体成分。
【0023】
本願の触媒において、「添加成分」は、モレキュラーシーブおよび担体成分が形成される前に触媒中に導入され、主にモレキュラーシーブ粒の外表面に分布していることが走査型電子顕微鏡エネルギー分光法(SEM-EDS)により検出できる。例えば、蛍光X線分析法で測定した触媒中の添加成分の総含有量に対するSEM-EDSで測定したモレキュラーシーブ粒の外表面上の添加成分の含有量の割合は、50%以上であり、例えば、50~98%、60~98%、または70~95%である。
【0024】
本願の触媒では、モレキュラーシーブおよび担体成分が形成された後に、「修飾成分」が触媒に導入される。非シリカの修飾成分については、SEM-EDSによる特性評価を通じて、モレキュラーシーブ粒の外表面に分布する部分がその総量に対して相対的に小さいことが検出され得、主にモレキュラーシーブ粒の内部に分布するはずであることが示される。例えば、蛍光X線分析法で測定した触媒中の添加成分の総含有量に対する、SEM-EDSで測定したモレキュラーシーブ粒の外表面上の添加成分の含有量の割合は、50%未満であり、例えば、10~45%、10~40%または10~35%である。
【0025】
特定の理論に限定されるものではないが、本願の触媒において、添加成分は、コロイドが担体に吸着することを防止し、反応生成物のさらなる反応を抑制することができ、修飾成分は、細孔流路径を調整することができる機能を有し、アルキル化反応生成物が生成する際に、C9芳香族炭化水素からC8芳香族炭化水素を生成する確率を高めることができる機能を有すると考えられる。
【0026】
好ましい実施形態において、モレキュラーシーブは、12員環または18員環の構造を有するものから選択され、好ましくは、Yゼオライト(USYなど)、βゼオライト、MCM-22、MCM-56、SAPO-5、SAPO-37、SAPO-40、RZM-3、またはそれらの組み合わせから選択される。さらに好ましくは、ゼオライトは、Y、β、MCM-56、MCM-22、またはそれらの組み合わせから選択される。特に好ましくは、モレキュラーシーブにおいて、SiO2/Al2O3モル比は、2~60、好ましくは5~30であり、例えば8、10、12、15、18、20、22、25、または28である。
【0027】
特定の好ましい実施形態において、モレキュラーシーブは、アンモニウム型モレキュラーシーブである。本願によれば、用語「アンモニウム型モレキュラーシーブ」は、当該技術分野において一般的に理解される意味を有し、具体的には、骨格Alまたは他の非ケイ素元素上の酸性部位をアンモニア誘導モレキュラーシーブに結合させることによって得られるゼオライトを指し、それは、一般に、合成プロセス中にアンモニウムイオンを含む合成溶液を使用するか、合成後にアンモニウムイオンを含む溶液とモレキュラーシーブとをイオン交換するか、または、アンモニアガスと水素型モレキュラーシーブとを結合させることによって得ることができる。
【0028】
好ましい実施形態において、担体成分は、アルミナ、アルミナ含有粘土、シリカ、またはそれらの組み合わせから選択されるか、または誘導され、好ましくは、アルミナ、カオリン、アタパルガイト、ベントナイト、珪藻土、シリカ、またはそれらの組み合わせから選択されるか、または誘導され、より好ましくは、アルミナである。
【0029】
好ましい実施形態では、添加成分は、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、またはそれらの組み合わせから選択され、好ましくはマグネシウムである。
【0030】
好ましい実施形態では、触媒は、BET窒素吸脱着法により特徴付けられる、次の細孔分布を有する:直径が0.5nm超2.0nm未満のミクロ細孔の細孔容積が全細孔容積の4~28%、好ましくは5~22%、例えば8%、10%、12%、15%、18%または20%を占め、直径2~50nmのメソ細孔の細孔容積が全細孔容積の6~50%、好ましくは10~40%、例えば15%、20%、25%、30%または35%を占める。
【0031】
さらに好ましい実施形態では、触媒において、ミクロ細孔の細孔容積に対するメソ細孔の細孔容積の比は、0.5~8.0、好ましくは0.8~4.5であり、例えば1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、または4.0である。
【0032】
本願の触媒では、触媒中の添加成分の含有量は、主にモレキュラーシーブと結合し、活性中心はモレキュラーシーブの流路の表面に分布しているので、モレキュラーシーブの含有量と相関し、さらにはモレキュラーシーブの全細孔容積に対するメソ細孔容積の比と相関する。好ましくは、モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する酸化物換算の添加成分の質量の比は、0.50以下、好ましくは0.08~0.35であり、例えば、0.1、0.12、0.15、0.18、0.20、0.22、0.25、0.28、0.30または0.32である。
【0033】
好ましい実施形態では、修飾成分は、ケイ素と、スズ、ビスマス、ゲルマニウム、ガリウムおよびホウ素から選択される少なくとも1種との組み合わせであり、好ましくはケイ素とスズとの組み合わせである。好ましくは、酸化物換算で、ケイ素と非ケイ素修飾成分(すなわち、スズ、ビスマス、ゲルマニウム、ガリウム、ホウ素、またはそれらの組み合わせ)との質量比は、0.1~10.0:1、好ましくは1.5~5.0:1であり、例えば、2.0:1、2.5:1、3.0:1、3.5:1、4.0:1、または4.5:1である。
【0034】
触媒の好ましい実施形態において、モレキュラーシーブは、質量部で、55部~80部、例えば58部、60部、65部、68部、70部、72部、または、75部である。
【0035】
触媒の好ましい実施形態において、担体成分は、質量部で、15部~40部であり、例えば、18部、20部、22部、25部、28部、30部、32部、35部、または、38部である。
【0036】
触媒の好ましい実施形態において、添加成分は、質量部で、1.0部~8.0部であり、例えば、1.5部、2.0部、2.5部、3.0部、3.5部、4.0部、4.5部、5.0部、5.5部、6.0部、6.5部、7.0部、または、7.5部である。
【0037】
触媒の好ましい実施形態において、修飾成分は、質量部で、1.0部~8.0部であり、例えば、1.5部、2.0部、2.5部、3.0部、3.5部、4.0部、4.5部、5.0部、5.5部、6.0部、6.5部、7.0部、または、7.5部である。
【0038】
特定の好ましい実施形態では、触媒の総量は、質量部で、100部である。
【0039】
第2の態様において、本願は、オレフィン転化触媒を調製する方法であって、以下の工程を含む方法を提供する:
(1)12員環以上の構造を有するモレキュラーシーブ、担体および添加成分の前駆体を含む混合物を成形し、乾燥および焼成して成形体を得る;ならびに
(2)修飾成分の前駆体を成形体に担持させ、乾燥させ、任意で焼成して触媒を得る。
【0040】
本願の方法において、ステップ(1)におけるモレキュラーシーブ、担体および添加成分、ならびにステップ(2)における修飾成分は、本願の第1の態様で説明した通りであり、ここでの再度の説明は省略する。
【0041】
好ましい実施形態において、BET窒素吸脱着法によって特徴付けられるように、ステップ(2)で得られる触媒は、以下の細孔分布特性を有する:
直径0.5nm超2.0nm未満のミクロ細孔の細孔容積が全細孔容積の4~28%、好ましくは5~22%、例えば、8%、10%、12%、15%、18%、または20%を占め、直径が2~50nmのメソ細孔の細孔容積は、全細孔容積の6~50%、好ましくは10~40%、例えば、15%、20%、25%、30%、または35%を占める。
【0042】
さらに好ましい実施形態では、モレキュラーシーブにおいて、ミクロ細孔容積に対するメソ細孔容積の比は、0.4~4.5、例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5または4.0である。
【0043】
さらに好ましい実施形態では、モレキュラーシーブの質量と全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する酸化物換算の添加成分の質量の比は、0.50以下、好ましくは0.08~0.35、例えば、0.1、0.12、0.15、0.18、0.20、0.22、0.25、0.28、0.30または0.32である。
【0044】
好ましい実施形態において、ステップ(1)で使用される担体は、アルミナ、アルミナ含有粘土、シリカ、またはそれらの組み合わせから選択され、好ましくはアルミナ、カオリン、アタパルガイト、ベントナイト、珪藻土、シリカ、またはそれらの組み合わせから選択され、より好ましくはアルミナである。
【0045】
好ましい実施形態では、添加成分の前駆体は、添加成分の可溶性塩、好ましくは添加成分の硝酸塩、ハロゲン化物、ハロゲン酸塩(haloate)、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0046】
本願の方法において、ステップ(1)における成形は、押出成形、タブレット成形などの従来の成形方法を採用することができる。成形の必要性に応じて、硝酸などの成形助剤、押出助剤(セスバニア粉末など)、水、またはこれらの組み合わせを添加することができる。
【0047】
好ましい実施形態では、ステップ(1)にて説明した乾燥条件は、以下を含む:乾燥温度は30~300℃、好ましくは60~260℃、乾燥時間は0.5~72時間、好ましくは1~48時間;焼成条件は以下の通りである:焼成温度は450~700℃、好ましくは450~600℃、焼成時間は0.2~30時間、好ましくは1~24時間。乾燥および焼成は、酸素含有雰囲気(空気、酸素など)で行う。
【0048】
好ましい実施形態において、ステップ(2)で使用される修飾成分の前駆体のうち、ケイ素の前駆体は、有機ケイ素であり、例えば、オルトケイ酸エチル、シリコーンオイル(好ましくは、フェニルメチルシリコーンオイル、アミノシリコーンオイル、ヒドロキシルシリコーンオイル、またはそれらの組み合わせから選択される)、メチルシリケート、炭素数1~4のアルキル基を有するシロキサンモノマー、および炭素数1~4のアルキル基を有するハロシロキサン(クロロシランなど)モノマーまたはそれらの組み合わせである;ゲルマニウム、ビスマス、ガリウムおよびスズの前駆体は、それらの可溶性塩であり、例えば、硝酸塩、ハロゲン化物、ハロゲン酸塩、硫酸塩等であり得、ホウ素の前駆体は、ホウ酸などであり得る。
【0049】
好ましい実施形態では、ステップ(2)における担持は、以下の方法で行われる:まず、ケイ素の前駆体を成形体に含浸させ、かつ担持させ、次に、ゲルマニウム、ビスマス、スズ、ガリウムおよびホウ素、またはそれらの組み合わせから選択される他の修飾成分を含浸させ、かつ担持させる。さらに好ましい実施形態において、ステップ(2)の具体的な工程は、シリコーンを含む含浸溶液を成形体に含浸させること、それを乾燥させてケイ素含有成形体を得ること、次いで、ゲルマニウム、ビスマス、スズ、ガリウムおよびホウ素、またはそれらの組み合わせから選択される他の修飾成分の前駆体を含む含浸溶液をケイ素含有成形体に含浸させること、それを乾燥および焼成して触媒を得ることを含む。より好ましくは、シリコーン含有含浸液に使用される溶媒は、トルエン、アルカン(好ましくは炭素数5~16のもの)、またはそれらの組み合わせであり、ケイ素含有成形体を調製する際の乾燥条件は、乾燥温度30~200℃、乾燥時間0.1~72時間を含み、乾燥は不活性雰囲気下(窒素など)で行われる。好ましくは、含浸は、等容量含浸法を採用する。
【0050】
好ましい実施形態において、ステップ(2)にて説明された乾燥条件は、次を含む:乾燥温度は30~200℃、好ましくは60~150℃、乾燥時間は0.1~72時間、好ましくは1~48時間;焼成条件は、次を含む:焼成温度は400~650℃、好ましくは450~600℃、焼成時間は0.5~8時間、好ましくは1~5時間。好ましくは、乾燥および焼成は、不活性雰囲気(窒素など)下で行われる。
【0051】
第3の態様において、本願は、本願の方法によって調製されたオレフィン転化触媒を提供する。
【0052】
具体的な実施形態において、本願の方法によって得られるオレフィン転化触媒の様々な特性は、本願の第1の態様で説明した通りであり、ここでは改めて説明しない。
【0053】
第4の態様において、本願は、芳香族リッチ留出油に含まれるオレフィンの転化における本願のオレフィン転化触媒の用途を提供する。
【0054】
第5の態様において、本願は、芳香族リッチ留出油に含まれるオレフィンを転化する方法であって、オレフィンを含む芳香族リッチ留出油と、本願のオレフィン転化触媒とを接触反応させる工程を含む方法を提供する。
【0055】
好ましい実施形態において、芳香族リッチ留出油は、改質油、異性化反応生成物、抽出芳香族炭化水素混合物、またはそれらの組み合わせから選択される。さらに好ましくは、芳香族リッチ留出油の蒸留範囲は、75~220℃であり、含まれる芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、C8芳香族炭化水素、C9芳香族炭化水素、またはそれらの組み合わせであってよい。例えば、異性化反応生成物は、芳香族炭化水素複合ユニットの吸着分離によりパラ-キシレンを除去した後の、混合C8芳香族炭化水素の異性化反応により生成したパラ-キシレン含有生成物であってもよい。混合C8芳香族炭化水素は、主に、エチルベンゼン、キシレンおよび少量のオレフィンを含み、オレフィンを除去するために吸着分離前に精製する必要がある;抽出された芳香族炭化水素混合物は、抽出ユニットから抽出された液体であり得、主にベンゼンおよびトルエン、並びに少量のオレフィンを含み、適格なベンゼンおよびトルエン製品を得るために精製し、オレフィンを除去する必要がある。
【0056】
好ましい実施形態では、芳香族リッチ留出油において、オレフィン含量は、臭素指数によって表され、臭素指数は、100~2800mgBr/100g、好ましくは300~2000mgBr/100gである。
【0057】
好ましい実施形態において、反応は、非水素条件下で実施され、反応条件は以下を含む:反応温度が130~350℃であり、反応圧力が0.5~4.0MPaであり、液時体積空間速度が0.5~35h-1である。好ましくは、反応条件は、次を含む:反応温度が130~260℃であり、反応圧力が0.5~3.0MPaであり、液時体積空間速度が0.5~8h-1である。
【0058】
[実施例]
以下、実施例を参照して本願を詳細に説明するが、本願の保護範囲は実施例に限定されるものではない。
【0059】
以下の実施例および比較例において、細孔容積および細孔分布は、BET法に従って液体窒素吸脱着装置を用いて測定した。測定方法は以下の通りである:試験は液体窒素飽和温度(77K)で行い、相対圧力を変えてN2等温吸脱着曲線を求め、t-プロット法により細孔分布を求めた。実験中の相対圧力は0.001-0.995であった。全細孔容積は、相対圧力0.995において一点法により算出した。
【0060】
以下の実施例および比較例では、触媒の組成を蛍光X線分析法で測定し、装置はPhilips Co Magix 601を使用した。
【0061】
以下の実施例および比較例において、SEM-EDS特性評価はPhilips XL30走査型電子顕微鏡を使用して完了した。測定の際、粒子上に平行線をとり、垂直方向に20等分して測定し、平均値を求めて結果を得た。
【0062】
[実施例1]
アンモニア性MCM-22モレキュラーシーブ100g(SiO
2/Al
2O
3のモル比は15、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の19%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の45%を占める)および擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65%硝酸6g、および硝酸マグネシウム水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体を100g採取し、フェニルメチルシリコーンオイルを含む含浸溶液50g(溶媒はトルエン)に浸漬した後、窒素下、70℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化スズに対するシリカの質量比が2.0となるように、等容量の硫酸スズ水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で5時間乾燥し、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は64.5%であり、担体の含有率(成形時に使用する担体に対するモレキュラーシーブの相対比が決定されるため、得られた触媒の全アルミニウム含有率からモレキュラーシーブ中のアルミニウム含有率を算出でき、得られた触媒のモレキュラーシーブの含有率および担体の含有率が決定される、以下も同様)は27.5%であり、シリカの質量含有率は3.6%、酸化スズの質量含有率は1.8%(SEM-EDS分析によると、モレキュラーシーブ粒の外表面に分散した酸化スズの含有率は0.6%)、酸化マグネシウムの質量含有率は2.1%(SEM-EDS分析によると、モレキュラーシーブ粒の外表面に分散した酸化マグネシウムの含有率は2.0%)であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の32%を占める)の0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の11%を占める)に対する比は2.9であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.10であった。得られた触媒のメソ細孔分布のBET測定とt-プロット法による計算結果とを
図1に示す。
【0063】
触媒5gを採取し、臭素指数1520mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は52.0%)の改質油を、30h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させて評価した。260時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を2.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は54.3%であった。
【0064】
[実施例2]
アンモニア性MCM-22モレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は15、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の15%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の35%を占める)および擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65重量%硝酸6g、および硝酸ナトリウム水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体を100g採取し、フェニルメチルシリコーンオイルを含む含浸溶液50g(溶媒はトルエン)に浸漬した後、窒素下、70℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次に、試料100gを採取し、硝酸ビスマスの等容量水溶液に、酸化ビスマスに対するシリカの質量比が4.9となるように浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で5時間乾燥し、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は62.4%、担体の含有率は26.7%、シリカの質量含有率は7.8%、酸化ビスマスの質量含有率は1.6%、酸化ナトリウムの質量含有率は1.1%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の23.0%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の8.5%を占める)に対する比は2.7であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.077であった。
【0065】
触媒5gを採取し、臭素指数1520mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は52%)の改質油を、30h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させて評価した。240時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を3.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は55.5%であった。
【0066】
[実施例3]
アンモニア性USYモレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は12、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の20%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の20%を占める)および擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65重量%硝酸6g、および硝酸マグネシウム水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体を100g採取し、オルトケイ酸エチルを含む含浸液50g(溶媒はトルエン)に浸漬した後、窒素下、70℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、塩化ゲルマニウムの等容量エタノール溶液に、酸化ゲルマニウムに対するシリカの質量比が5.0となるように浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で5時間乾燥し、窒素雰囲気下、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は64.3%、担体の含有率は27.5%、シリカの質量含有率は4.0%、酸化ゲルマニウムの質量含有率は0.8%、酸化マグネシウムの質量含有率は3.0%であり、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の11.8%を占める)に対する2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の13.5%を占める)の比は1.1であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.346であった。
【0067】
触媒5gを採取し、臭素指数1520mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は52%)の改質油を30h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させて評価した。120時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を2.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は52.5%であった。
【0068】
[実施例4]
アンモニア性MCM-22モレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は15、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の25%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の35%を占める)および擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65重量%硝酸6g、および硝酸マグネシウム水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体を100g採取し、フェニルメチルシリコーンオイルを含む含浸溶液50g(溶媒はトルエン)に浸漬した後、窒素下、70℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化ホウ素に対するシリカの質量比が2.0となるように、等容量のホウ酸水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で10時間乾燥し、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は65.5%、担体の含有率は28.2%、シリカの質量含有率は2.0%、酸化ホウ素の質量含有率は1.0%、酸化マグネシウムの質量含有率は3%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の23.1%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の16%を占める)に対する比は1.4であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.20であった。
【0069】
触媒5gを採取し、臭素指数910mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は57.1%)の改質油を30h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させ、生成物にスチレンおよびキシレンのアルキル化生成物(ジメチルフェニル,フェニル-1,2-エタン)を0.059%添加して評価した。300時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超え、300時間後、生成物中でジメチルフェニル、フェニル-1,2-エタンが増加した:0.058%。上記改質油を3.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は57.5%であった。
【0070】
[実施例5]
アンモニア性MCM-22モレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は15、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の12%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の50%を占める)および擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65重量%硝酸6g、および硝酸マグネシウム水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体を100g採取し、フェニルメチルシリコーンオイルを含む含浸液50g(溶媒はトルエン)に浸漬した後、窒素下、70℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化スズに対するシリカの質量比が1.0となるように、等量の硫酸スズ水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で10時間乾燥し、650℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は57.2%、担体の含有率は24.6%、シリカの質量含有率は5.0%、酸化スズの質量含有率は5.0%、酸化マグネシウムの質量含有率は7.9%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の48%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の9.9%を占める)に対する比は4.8であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.288であった。
【0071】
触媒5gを採取し、臭素指数910mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は57.1%)の改質油を30h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させて評価した。500時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を3.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は58.2%であった。
【0072】
[実施例6]
アンモニア性USYモレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は6、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の22%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の33%を占める)および擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、硝酸ナトリウム水溶液、および硝酸マグネシウム水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体を100g採取し、アミノシリコーンオイルを含む含浸液50g(溶媒はヘプタン)に浸漬した後、窒素下、26℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化ビスマスに対するシリカの質量比が10.0となるように、等容量の硝酸ビスマスの水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で8時間乾燥し、650℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は60.7%、担体の含有率は26.0%、シリカの質量含有率は7.0%、酸化ビスマスの質量含有率は0.7%、酸化マグネシウムの質量含有率は5.0%、酸化ナトリウムの質量含有率は0.2%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の21.3%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の12.8%を占める)に対する比は1.7であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.402であった。
【0073】
触媒5gを採取し、臭素指数1520mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は57.1%)の改質油を10h-1、1.9MPa、温度180℃で反応させて評価した。160時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を2.0h-1、1.9MPa、温度180℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は57.5%であった。
【0074】
[実施例7]
アンモニア性USYモレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は6、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の20%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の33%を占める)および擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、硝酸ナトリウム水溶液、および硝酸マグネシウム水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、試料100gを採取し、アミノシリコーンオイルを含む含浸溶液50g(溶媒はヘプタン)に浸漬した後、窒素下、26℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次に、試料100gを採取し、酸化スズに対するシリカの質量比が10.0となるように、等容量の硫酸スズ水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で8時間乾燥し、500℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は66.0%、担体の含有率は28.1%、シリカの質量含有率は3.5%、酸化スズの質量含有率は0.35%、酸化マグネシウムの質量含有率は0.8%、酸化ナトリウムの質量含有率は0.6%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の22.6%を占める)の0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の13.0%を占める)に対する比は1.7であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.094であった。
【0075】
触媒5gを採取し、臭素指数1520mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は52.0%)の改質油を8h-1、1.9MPa、温度170℃で反応させて評価した。90時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を2.0h-1、1.9MPa、温度170℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は53.1%であった。
【0076】
[実施例8]
アンモニア性USYモレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は6、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の21%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の30%を占める)とシリカゾル(酸化ケイ素40重量%含有)30gとカオリン20gとを採取し、ここにセスバニア粉末12g、並びに、硝酸ナトリウムおよび硝酸カルシウムの水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体100gを採取し、メチルシリコーンオイルを含む含浸溶液50g(溶媒はヘプタン)に浸漬した後、窒素下、26℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化ビスマスに対するシリカの質量比が10.0となるように、硝酸ビスマスの等容量水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で8時間乾燥し、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は64.3%、担体の含有率は27.7%、シリカ添加成分の質量含有率は6.0%、酸化ビスマスの質量含有率は0.6%、酸化カルシウムの質量含有率は0.3%、酸化ナトリウムの質量含有率は1.2%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の23.1%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の13.1%を占める)に対する比は1.8であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.093であった。
【0077】
触媒5gを採取し、臭素指数1106mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は48.1%)の改質油を、30h-1、1.9MPa、温度280℃で反応させて評価した。260時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を2.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は50.1%であった。
【0078】
[実施例9]
アンモニア性USYモレキュラーシーブ90g(SiO2/Al2O3のモル比は6、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の11%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の29%を占める)、珪藻土30g、およびアタパルジャイト30gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、および硝酸マグネシウム水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体100gを採取し、クロロシランを含む含浸溶液50g(溶媒はヘプタン)に浸漬した後、窒素下、26℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化ビスマスに対するシリカの質量比が5.0となるように、等容量の硝酸ビスマス水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で8時間乾燥し、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は55.2%、担体の含有率は36.6%、シリカの質量含有率は5.0%、酸化ビスマスの質量含有率は1.0%、酸化マグネシウムの質量含有率は2.0%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の17.0%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の5.6%を占める)に対する比は3.0であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.213であった。
【0079】
触媒5gを採取し、臭素指数1106mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は48.1%)の改質油を6h-1、1.9MPa、温度160℃で反応させて評価した。150時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を2.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は48.6%であった。
【0080】
[実施例10]
アンモニア性βゼオライト100g(SiO2/Al2O3のモル比は19、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の35%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の30%を占める)、シリカゾル(酸化ケイ素40重量%含有)40gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、および硝酸マグネシウム水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、550℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体を100g採取し、オルトケイ酸エチルを含む含浸溶液50g(溶媒はエタノール)に浸漬した後、窒素下、26℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化スズに対するシリカの質量比が1.0となるように、等容量の硫酸スズ水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で8時間乾燥し、500℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は81.8%、担体の含有率は13.0%、シリカの質量含有率は2.0%、酸化スズの質量含有率は2.0%、酸化マグネシウムの質量含有率は1.0%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の25.6%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の27.1%を占める)に対する比は0.94であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.048であった。
【0081】
触媒5gを採取し、臭素指数1106mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は48.1%)の改質油を、15h-1、1.9MPa、温度195℃で反応させて評価した。210時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を2.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は49.8%であった。
【0082】
[実施例11]
アンモニア性MCM-56モレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は20、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の20%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の48%を占める)、シリカゾル(酸化ケイ素40重量%含有)40gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、および硝酸マグネシウム水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、550℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体を100g採取し、オルトケイ酸エチルを含む含浸溶液50g(溶媒はエタノール)に浸漬した後、窒素下、26℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、等容量の硫酸スズ水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で8時間乾燥し、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は73.5%、担体の含有率は11.7%、シリカの質量含有率は5.2%、酸化スズの質量含有率は1.8%、酸化マグネシウムの質量含有率は7.5%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の38.1%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の13.5%を占める)に対する比は2.82であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.268であった。
【0083】
触媒5gを採取し、臭素指数1106mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は48.1%)の改質油を、30h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させて評価した。700時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を3.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は50.1%であった。
【0084】
触媒5gを採取し、臭素指数208mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は98.5%、非芳香族炭化水素の質量含有率は1.41%、C9芳香族炭化水素の質量含有率は0.09%)の異性化生成物を用いて、30h-1、1.9MPa、温度175℃で反応させて評価した。650時間後、出口での臭素指数は20mgBr/100gを超えた。上記改質油を5.0h-1、1.9MPa、温度170℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は98.49%であった。
【0085】
触媒5gを採取し、臭素指数180mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、ベンゼンの質量含有率は32.02%、非芳香族炭化水素の質量含有率は0.05%、トルエン芳香族炭化水素の質量含有率は67.93%)の異性化生成物を用いて、36h-1、1.9MPa、温度180℃の条件で反応させて評価した。750時間後、出口での臭素指数は20mgBr/100gを超えた。上記原料を5.0h-1、1.9MPa、温度170℃で反応させ、芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、ベンゼンおよびトルエンの質量含有率は99.95%であった。
【0086】
[実施例12]
アンモニア性USYモレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は12、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の20%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の20.5%を占める)、擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65重量%硝酸6g、および硝酸マグネシウム水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、試料100gを採取し、等容量の塩化ゲルマニウムのエタノール溶液に浸漬した後、窒素下、120℃で5時間乾燥し、窒素下、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は67.1%、担体の含有率は28.9%、酸化ゲルマニウムの質量含有率は0.8%、酸化マグネシウムの質量含有率は3.0%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の13.0%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の12.9%を占める)に対する比は1.01であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.344であった。
【0087】
触媒5gを採取し、臭素指数1520mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は52.0%)の改質油を10h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させて評価した。180時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を1.5h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は52.6%であった。
【0088】
[実施例13]
アンモニア性MCM-22モレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は15、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の25%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の35%を占める)および擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65重量%硝酸6g、および硝酸カルシウム水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体を100g採取し、フェニルメチルシリコーンオイルを含む含浸溶液50g(溶媒はトルエン)に浸漬した後、窒素下、70℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化ホウ素に対するシリカの質量比が2.0となるように、等容量のホウ酸水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で10時間乾燥し、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は64.5%、担体の含有率は27.8%、シリカの質量含有率は2.2%、酸化カルシウムの質量含有率は1.2%、酸化ホウ素の質量含有率は4.1%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の23.6%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の15.2%を占める)に対する比は1.57であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.267であった。
【0089】
触媒5gを採取し、臭素指数910mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は57.1%)の改質油を30h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させて評価した。358時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超え、300時間後にはジメチルフェニル、フェニル-1,2-エタンが生成物中に増加した:0.058%。上記改質油を3.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させ、C8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は57.4%であった。
【0090】
[実施例14]
アンモニア性SAPO-5モレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比0.4、SiO2/P2O5のモル比1、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の31.0%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の15.1%を占める)および擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)98.2gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65重量%硝酸6g、および硝酸ナトリウム2.7gを水10gに溶解した溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次に、この成形体100gを採取し、メチルシリコーンオイルを含む含浸溶液(溶媒はトルエン、シリコーンオイルの粘度は100cps)50gに浸漬した後、窒素下、70℃で3時間処理して溶媒を除去し、150℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化スズに対するシリカの質量比が1.0となるように、等容量の硫酸スズ水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で10時間乾燥し、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は59.0%、担体の含有率は38.8%、シリカの質量含有率は2.2%、酸化ナトリウムの質量含有率は0.6%、酸化スズの質量含有率は0.5%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の9.1%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の17.7%を占める)に対する比は0.51であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.11であった。
【0091】
触媒5gを採取し、臭素指数630mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は52.8%)の改質油を10h-1、1.9MPa、温度220℃で反応させて評価した。170時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を2.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は53.5%であった。
【0092】
[実施例15]
アンモニア性SAPO-37モレキュラーシーブ20g(SiO2/Al2O3のモル比が0.43、SiO2/P2O5のモル比が1、細孔分布は以下の通り:細孔分布は細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の31.1%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の14.9%を占める)および擬ベーマイト(67重量%のアルミナを含む)27.0gを採取し、ここに4gのセスバニア粉末、65重量%硝酸1.5g、および硝酸カリウム0.7gを水4gに溶解した溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体を20g採取し、メチルシリコーンオイルを含む含浸溶液(溶媒はトルエン、シリコーンオイル10%、シリコーンオイル粘度100cps)10gに浸漬した後、窒素下、70℃で3時間処理して溶媒を除去し、150℃で10時間乾燥した。次に、試料15gを採取し、酸化スズに対するシリカの質量比が1.0となるように、等容量の硫酸スズ水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で10時間乾燥し、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は53.8%、担体の含有率は43.8%、シリカの質量含有率は0.8%、酸化カリウムの質量含有率は0.6%、酸化スズの質量含有率は0.5%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の8.1%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の16.2%を占める)に対する比は0.50であった。モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.16であった。
【0093】
触媒5gを採取し、臭素指数630mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は52.8%)の改質油を8h-1、2.9MPa、温度300℃で反応させて評価した。190時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を2.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は53.0%であった。
【0094】
[比較例1]
アンモニア性USYモレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は12、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の20%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の20.5%を占める)、擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65重量%硝酸6gおよび適量の水を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で10時間乾燥し、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒は、添加成分および修飾成分を含まず、モレキュラーシーブ含有率が69.7%、担体含有率が30.2%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の14.0%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の13.8%を占める)に対する比は1.01であった。
【0095】
触媒5gを採取し、臭素指数1520mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は52.5%)の改質油を、30h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させて評価した。30時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を2.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は51.2%であった。
【0096】
[比較例2]
アンモニア性USYモレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は12、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の20%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の20.5%を占める)、擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65重量%硝酸6gを加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体100gを採取し、オルトケイ酸エチルを含む含浸溶液50g(溶媒はトルエン)に浸漬した後、窒素下、70℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化ゲルマニウムに対するシリカの質量比が5.0となるように、等量の塩化ゲルマニウムのエタノール溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で5時間乾燥し、窒素雰囲気下、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒は、添加成分を含まず、モレキュラーシーブの含有率が66.4%、担体の含有率が28.5%、シリカの質量含有率が4.0%、酸化ゲルマニウムの質量含有率が0.8%であり、2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の13.4%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の13%を占める)に対する比は1.03であった。
【0097】
触媒5gを採取し、臭素指数1520mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は52.0%)の改質油を、30h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させて評価した。82時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を2.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は51.5%であった。
【0098】
[比較例3]
アンモニア性MCM-22モレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は15、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の12%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の20%を占める)、擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65重量%硝酸6g、硝酸マグネシウム水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体を100g採取し、フェニルメチルシリコーンオイルを含む含浸溶液50g(溶媒はトルエン)に浸漬した後、窒素下、70℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化スズに対するシリカの質量比が1.0となるように、等容量の硫酸スズ水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で10時間乾燥し、窒素雰囲気下、650℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は47.3%、担体の含有率は20.3%、シリカの質量含有率は5.0%、酸化スズの質量含有率は15.1%、酸化マグネシウムの質量含有率は12.1%であり;2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の12.3%を占める)の、ミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の6.7%を占める)に対する比は1.84であり;モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は2.1であった。
【0099】
触媒5gを採取し、臭素指数910mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は57.1%)の改質油を、30h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させて評価した。228時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を3.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は56.8%であった。
【0100】
[比較例4]
アンモニア性MCM-22モレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は18、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の5%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の36%を占める)、擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65重量%硝酸6g、硝酸ビスマス水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体100gを採取し、フェニルメチルシリコーンオイルを含む含浸溶液50g(溶媒はトルエン)に浸漬した後、窒素下、70℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化ホウ素に対するシリカの質量比が2.0となるように、等容量のホウ酸水溶液に浸漬し、窒素中で、120℃で10時間乾燥した後、窒素雰囲気下、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は64.5%、担体の含有率は27.8%、シリカの質量含有率は2.2%、酸化ビスマスの質量含有率は1.2%、酸化ホウ素の質量含有率は4.1%であり;2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の22.2%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の3.0%を占める)に対する比は7.40であり;モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.286であった。
【0101】
触媒5gを採取し、臭素指数9100mgBr/100g(オレフィン含量は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含量は57.1%)の改質油を、30h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させて評価した。358時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超え、300時間後にはジメチルフェニル、フェニル-1,2-エタンが生成物中で増加した:0.058%。上記改質油を3.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させ、C8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は57.0%であった。
【0102】
[比較例5]
アンモニア性MCM-22モレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は20、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の25%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の8%を占める)、擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65重量%硝酸6g、および硝酸ビスマス水溶液を加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形体を100g採取し、フェニルメチルシリコーンオイルを含む含浸溶液50g(溶媒はトルエン)に浸漬した後、窒素下、70℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化ホウ素に対するシリカの質量比が2.0となるように、等容量のホウ酸水溶液に浸漬し、窒素中、120℃で10時間乾燥した後、窒素雰囲気下、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は64.5%、担体の含有率は27.8%、シリカの質量含有率は2.2%、酸化ビスマスの質量含有率は1.2%、酸化ホウ素の質量含有率は4.1%であり;2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の6.5%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の15.9%を占める)に対する比は0.41であり;モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.954であった。
【0103】
触媒5gを採取し、臭素指数910mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は57.1%)の改質油を30h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させて評価した。358時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超え、300時間後にはジメチルフェニル、フェニル-1,2-エタンが生成物中で増加した:0.058%。上記改質油を3.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させ、C8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は56.9%であった。
【0104】
[比較例6]
アンモニア性MCM-22モレキュラーシーブ100g(SiO2/Al2O3のモル比は20、細孔分布は以下の通り:細孔径0.5~2.0nmの細孔容積が全細孔容積の25%を占め、細孔径2~50nmの細孔容積が全細孔容積の8%を占める)、擬ベーマイト(アルミナ67重量%含有)65gを採取し、ここにセスバニア粉末12g、65重量%硝酸6gを加え、混合物を混練して成形した後、空気雰囲気中、120℃で12時間乾燥し、580℃で2時間焼成して成形体を得た。次いで、この成形触媒100gを採取し、等容量の硝酸マグネシウム含有溶液40gに浸漬し、室温で7時間保持した後、180℃で6時間乾燥し、次いで、フェニルメチルシリコーンオイルを含む含浸溶液50g(溶媒はトルエン)に浸漬し、窒素下、70℃で3時間処理して溶媒を除去し、120℃で10時間乾燥した。次いで、試料100gを採取し、酸化ホウ素に対するシリカの質量比が2.0となるように、等容量のホウ酸水溶液に浸漬した後、窒素雰囲気下、120℃で10時間乾燥し、550℃で3時間焼成して触媒を得た。得られた触媒において、モレキュラーシーブの含有率は64.0%、担体の含有率は27.9%、酸化マグネシウムの質量含有率は1.5%、シリカの質量含有率は2.2%、酸化ホウ素の質量含有率は4.1%であり;2~50nmのメソ細孔の細孔容積(全細孔容積の7.2%を占める)の、0.5~2nmのミクロ細孔の細孔容積(全細孔容積の15.4%を占める)に対する比は0.47であり;モレキュラーシーブの質量と触媒の全細孔容積に対するメソ細孔容積の比との積に対する添加成分(酸化物換算)の質量の比は0.416であった。
【0105】
触媒5gを採取し、臭素指数910mgBr/100g(オレフィン含有率は臭素指数で表し、C8芳香族炭化水素の質量含有率は57.1%)の改質油を、30h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させて評価した。158時間後、出口での臭素指数は200mgBr/100gを超えた。上記改質油を3.0h-1、1.9MPa、温度200℃で反応させてC8芳香族炭化水素の含有率を評価したところ、C8芳香族炭化水素の質量含有率は56.4%であった。
【0106】
以上、本願発明の好ましい実施形態について詳細に説明した。しかしながら、本願発明は、上述の実施形態における特定の詳細に限定されたものではない。本願発明の技術的思想の範囲内において、本願発明の技術的解決手段に様々な簡単な変更を加えることができ、これらの簡単な変更は全て本願発明の保護範囲に属する。
【0107】
加えて、上述の具体的な実施形態に記載された各具体的な技術的特徴は、矛盾がない限り、任意の適切な方法で組み合わせることができることに留意すべきである。不必要な繰り返しを避けるため、本願では、様々な可能な組み合わせについてこれ以上説明しない。
【0108】
また、本願の思想に反しない限り、本願の各種実施形態を任意に組み合わせて実施することも可能であり、それらも本願に開示された内容とみなすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【
図1】実施例1で得られた触媒のメソ細孔分布の、BET測定結果およびt-プロット法による計算結果である。
【国際調査報告】