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特表2024-536487方向性相互連結サイプ及び/又はスロット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】方向性相互連結サイプ及び/又はスロット
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/12 20060101AFI20240927BHJP
   B29D 30/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B60C11/12 A
B60C11/12 C
B60C11/12 D
B29D30/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522143
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022077734
(87)【国際公開番号】W WO2023064704
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/256,542
(32)【優先日】2021-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィシュト,ジュニア,ポール ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】セヴェリン,デイビッド エム.
【テーマコード(参考)】
3D131
4F501
【Fターム(参考)】
3D131BB11
3D131BC12
3D131BC18
3D131EB11V
3D131EB11W
3D131EB11X
3D131EB82V
3D131EB82W
3D131EB91V
3D131EB91W
3D131EB98V
3D131EB98W
3D131LA28
4F501TA01
4F501TB26
4F501TL36
4F501TV21
(57)【要約】
【解決手段】 一態様では、タイヤが提供され、そのタイヤは、トレッドリブ又はトレッドブロックのうちの少なくとも1つを含むトレッド部分と、トレッドリブ又はトレッドブロックに含まれるサイプと、を備え、サイプは、互いに対向する、横方向に延在する直線部分どうしの間に、軸方向に位置する中央S字形部分を含み、サイプは、第1の周方向に傾斜する複数のキー部分を含み、サイプは、第2の周方向に傾斜する複数の戻り部分を含み、戻り部分はキー部分どうしを接続し、第1のキー部分は、トレッドリブ又はトレッドブロックのトレッド表面と交差する。複数のキー部分は、角度KAで傾斜し、複数の戻り部分は角度RAで傾斜し、角度KA対角度RAの比は少なくとも5:1である。
【選択図】図2E

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッドリブ又はトレッドブロックのうちの少なくとも1つを備えるトレッド部分、及び
前記トレッドリブ又は前記トレッドブロックに含まれるサイプ、を備えるタイヤであって、
前記サイプは、互いに対向する、横方向に延在する直線部分どうしの間に、軸方向に配置された中央S字形部分を含み、
前記サイプは、第1の周方向に傾斜する複数のキー部分を含み、
前記サイプは、第2の周方向に傾斜する複数の戻り部分を含み、
前記戻り部分は、前記キー部分どうしを連結し、
第1のキー部分は、前記トレッドリブ又は前記トレッドブロックのトレッド表面と交差する、タイヤ。
【請求項2】
前記複数のキー部分は、前記トレッド表面に対して接線方向の周方向から角度KAで傾斜しており、前記複数の戻り部分は、前記トレッド表面に対して接線方向の周方向から角度RAで傾斜しており、前記角度KA対前記角度RAの比は、少なくとも5:1である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記角度KA対前記角度RAの比が、5:1と6:1との間である、請求項2に記載のタイヤ。
【請求項4】
各キー部分が、幅KWを有し、各戻り部分が、幅RWを有し、前記幅KW対前記幅RWの比が、3:4である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記サイプは、半径方向最外側のトレッド表面サイプ幅TSWを有し、前記サイプは、周方向幅を有する半径方向最内側の終端部分を有し、前記終端部分の周方向幅は、前記幅TSWの半分である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記第1のキー部分は、前記トレッド表面と交差してキーエッジを形成する、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項7】
中央S字形部分を含まず、横方向に延在する直線部分のみを含むサイプを更に備え、前記サイプは、第1の周方向に傾斜する複数のキー部分を含み、前記サイプは、第2の周方向に傾斜する複数の戻り部分を含み、前記戻り部分は、前記キー部分どうしを接続し、第1のキー部分は、前記トレッドリブ又は前記トレッドブロックのトレッド表面と交差する、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項8】
トレッドリブ又はトレッドブロックのうちの少なくとも1つを備えるトレッド部分、及び
前記トレッドリブ又は前記トレッドブロックに含まれるサイプ、を備えるタイヤであって、
前記サイプは、前記トレッド表面に対して接線方向の前記周方向から角度KAで第1の周方向に傾斜する複数のキー部分を含み、
前記サイプは、前記トレッド表面に対して接線方向の前記周方向から角度RAで第2の周方向に傾斜する複数の戻り部分を含み、
前記戻り部分は、前記キー部分どうしを接続し、
第1のキー部分は、前記トレッドリブ又は前記トレッドブロックの前記トレッド表面と交差し、
前記角度KA対前記角度RAの比は、少なくとも5:1である、タイヤ。
【請求項9】
前記角度KA対前記角度RAの比が、5:1と6:1との間である、請求項8に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記サイプは、互いに対向する、横方向に延在する直線部分どうしの間に、軸方向に配置された中央S字形部分を含む、請求項8に記載のタイヤ。
【請求項11】
各キー部分が、幅KWを有し、各戻り部分が、幅RWを有し、前記幅KW対前記幅RWの比が、3:4である、請求項8に記載のタイヤ。
【請求項12】
前記サイプは、半径方向最外側のトレッド表面サイプ幅TSWを有し、前記サイプは、周方向幅を有する半径方向最内側の終端部分を有し、前記終端部分の周方向幅は、前記幅TSWの半分である、請求項8に記載のタイヤ。
【請求項13】
前記第1のキー部分は、前記トレッド表面と交差してキーエッジを形成する、請求項8に記載のタイヤ。
【請求項14】
中央S字形部分を含まず、横方向に延在する直線部分のみを含むサイプを更に備え、前記サイプは、第1の周方向に傾斜する複数のキー部分を含み、前記サイプは、第2の周方向に傾斜する複数の戻り部分を含み、前記戻り部分は、前記キー部分どうしを接続し、第1のキー部分は、前記トレッドリブ又は前記トレッドブロックのトレッド表面と交差する、請求項8に記載のタイヤ。
【請求項15】
上側モールド挿入部分と、
下側サイプ形成部分であって、
第1の周方向に角度KAで傾斜する複数のキー部分、及び
第2の周方向に角度RAで傾斜する複数の戻り部分、
を含む下側サイプ形成部分と、
を備えるタイヤサイプブレードであって、
前記戻り部分は、前記キー部分どうしを接続し、
第1キー部分が、前記上側モールド挿入部分に連結され、
前記角度KA対前記角度RAの比は、少なくとも5:1である、タイヤサイプブレード。
【請求項16】
前記角度KA対前記角度RAの比が、5:1と6:1との間である、請求項15に記載のタイヤサイプブレード。
【請求項17】
前記タイヤサイプブレードは、互いに対向する、横方向に延在する直線部分どうしの間に、軸方向に配置された中央S字形部分を含む、請求項15に記載のタイヤサイプブレード。
【請求項18】
各キー部分が、幅KWを有し、各戻り部分が、幅RWを有し、前記幅KW対前記幅RWの比が、3:4である、請求項15に記載のタイヤサイプブレード。
【請求項19】
前記タイヤサイプブレードは、半径方向最外側のトレッド表面サイプ幅TSWを有し、前記タイヤサイプブレードは、周方向幅を有する半径方向最内側の終端部分を有し、前記終端部分の周方向幅は、前記幅TSWの半分である、請求項15に記載のタイヤサイプブレード。
【請求項20】
前記上側モールド挿入部は中心線CLを有し、前記中心線CLは前記終端部を通って延在する、請求項19に記載のタイヤサイプブレード。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
タイヤは、多くの場合、様々な道路条件において性能を最適化するように設計される。例えば、タイヤは、雪道/凍結道路条件と乾燥した道路条件とにおける性能を最適化するように設計された、トレッドの特徴を含み得る。
【0002】
雪及び氷の中でトラクションを得ることは、タイヤのトレッドに「噛み込みエッジ」を設けることによって達成することができる。これらの「噛み込みエッジ」は、サイプ又はスロットの形態であることが多い。しかしながら、サイプ又はスロットが多すぎると、トレッドブロック又はリブの剛性が失われる可能性があり、これは、特に乾燥した道路条件において、タイヤの性能の最適化にとって望ましくない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、必要とされているのは、雪上及び氷上のトラクションと乾燥した道路上のトラクションとのバランスをとるタイヤのトレッドの特徴である。
【0004】
一態様では、タイヤが提供され、そのタイヤは、トレッドリブ又はトレッドブロックのうちの少なくとも1つを含むトレッド部分と、トレッドリブ又はトレッドブロックに含まれるサイプと、を備え、サイプは、互いに対向する、横方向に延在する直線部分どうしの間に、軸方向に位置する中央S字形部分を含み、サイプは、第1の周方向に傾斜する複数のキー部分を含み、サイプは、第2の周方向に傾斜する複数の戻り部分を含み、戻り部分はキー部分どうしを接続し、第1のキー部分は、トレッドリブ又はトレッドブロックのトレッド表面と交差する。
【0005】
別の一態様では、タイヤが提供され、そのタイヤは、トレッドリブ又はトレッドブロックのうちの少なくとも1つを備えるトレッド部分と、トレッドリブ又はトレッドブロックに含まれるサイプとを備え、サイプは、トレッド表面に対して接線方向の周方向から角度KAで第1の周方向に傾斜する複数のキー部分を含み、サイプは、トレッド表面に対して接線方向の周方向から角度RAで第2の周方向に傾斜する複数の戻り部分を含み、戻り部分は、キー部分どうしを接続し、第1のキー部分は、トレッドリブ又はトレッドブロックのトレッド表面と交差し、角度KA対角度RAの比は、少なくとも5:1である。
【0006】
別の一態様では、タイヤサイプブレードが提供され、タイヤサイプブレードは、上側モールド挿入部分と、第1の周方向に角度KAで傾斜する複数のキー部分と、第2の周方向に角度RAで傾斜する複数の周方向に角度RAで傾斜した複数の戻り部分とを含み、戻り部分はキー部分どうしを接続し、第1のキー部分は、上側モールド挿入部分に接続し、角度KA対角度RAの比は、少なくとも5:1である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図は、様々な例示的態様を例解し、様々な例示的態様を例解するために使用されるにすぎない。図において、同様の要素は、同様の参照符号を有する。
図1図1は、方向性相互連結サイプ及び/又はスロット110を有するトレッドブロック106を有するタイヤトレッド100の平面図を示す。
図2A図2Aは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロットを形成するためのサイプブレード230の立面断面図を示す。
図2B図2Bは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロットを形成するためのサイプブレード230の立面断面図を示す。
図2C図2Cは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロットを形成するためのサイプブレード230の立面断面図を示す。
図2D図2Dは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロットを形成するためのサイプブレード230の別の配列の立面断面図を示す。
図2E図2Eは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロットを形成するためのサイプブレード230の斜視図を示す。
図2F図2Fは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロットを形成するためのサイプブレード230の斜視図を示す。
図3A図3Aは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロット310を有するトレッドブロック306の斜視図を示す。
図3B図3Bは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロット310を有するトレッドブロック306の立面図を示す。
図3C図3Cは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロット310を有するトレッドブロック306の平面図を示す。
図3D図3Dは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロット310を有するトレッドブロック306の分解斜視図を示す。
図3E図3Eは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロット310を有するトレッドブロック306の部分斜視図を示す。
図4A図4Aは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロット410を有するトレッドブロック406の部分立面図を示す。
図4B図4Bは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロット410を有するトレッドブロック406の部分立面図を示す。
図4C図4Cは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロット410を有するトレッドブロック406の部分立面図を示す。
図4D図4Dは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロット410を有するトレッドブロック406の部分立面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で説明する軸線及び平面は、図に示されており、タイヤの周方向に配向された周方向軸線C、タイヤの半径方向に配向された半径方向軸線R、及びタイヤの軸方向に配向された軸方向軸線Aを含む。
【0009】
図1は、方向性相互連結サイプ及び/又はスロット110を有するトレッドブロック106を有するタイヤトレッド100を示す。トレッド100は、トレッド表面101を含み、トレッド表面101は、駆動面に接触するトレッド100の半径方向外側表面である。トレッド100は、1つ以上の周方向溝104によって画定されるブロック列に配向された複数のブロック106を含み得るが、それらのブロック列には、例えば、ショルダー列160、中間列162、及び1つ以上の中心列164が含まれる。あるいは、タイヤトレッド100は、独立したブロック106の代わりに、(1つ以上の周方向溝104によって画定される)リブを含んでもよく、リブは、前述のショルダーの配向、中間の配向、及び中心の配向に配向される。
【0010】
タイヤトレッド100は、1つ以上の方向性相互連結サイプ及び/又はスロット110を含む。サイプ及び/又はスロット110は、横方向に延在する直線部分114どうしの間に軸方向に配向された、中央S字形部分112を含んでもよい。サイプ及び/又はスロット110は、例えば、例示的なタイヤトレッド100のショルダー列160にのみ図示されているように、直線部分114のみを含んでもよい。タイヤトレッド100は、各配列(中央S字形部分112を有する、又は中央S字形部分112を有さない)のサイプ及び/又はスロット110を含んでもよい。これらの代替的なサイプ及び/又はスロット配列110は、図示されるように、異なるブロック列160、162、164に含まれてもよく、又は同じブロック列160、162、164内で、若しくは更には同じブロック106内で混合されてもよいということが企図される。
【0011】
簡潔さ及び読みやすさのために、本明細書で使用される「サイプ」という用語は、サイプ及び/又はスロットを指すことを意図しており、これは、トレッドブロック若しくはリブ内の任意の小さな切込み、及び/又はトレッドブロックを周方向に分離するか若しくはトレッドリブを分割する任意の小さな横方向溝を指し得る。用語「サイプ」の使用は、本明細書で使用されるスロットを除外することを意図していない。
【0012】
図2A図2Fは、例えば、図1に示されるサイプ及び/又はスロット110を含む、方向性相互連結サイプ及び/又はスロットを形成するためのサイプブレード230の様々な可能な態様を示す。
【0013】
サイプブレード230は、上側モールド挿入部分232と、下側サイプ形成部分234とを含む。
【0014】
上側部分232は、中心線CLを含む。上側部分232は、周方向トレッド表面サイプ幅TSWを含み、これは、トレッド表面(例えば、トレッド表面101)におけるサイプ(例えば、サイプ及び/又はスロット110)の幅である。幅TSWは、約0.60mmであってもよい。幅TSWは0.60mmであってもよい。幅TSWは、約0.50mm~約0.70mmであってもよい。幅TSWは、0.50mm~0.70mmであってもよい。幅TSWは、約0.40mm~約0.80mmであってもよい。幅TSWは、0.40mm~0.80mmであってもよい。幅TSWは、約0.30mm~約0.90mmであってもよい。幅TSWは、0.30mm~0.90mmであってもよい。
【0015】
下側部分234は、複数のキー部分236を含む。第1のキー部分236は、上側部分232の半径方向内側にあり、上側部分に直接接続されている。各キー部分236は、戻り部分238によって別のキー部分236に接続される。
【0016】
一態様では、下側部分234は、その半径方向最も外側の位置に(上側部分232の半径方向すぐ内側に)、第1のキー部分236であって、そこから半径方向内向きに延びる第1の戻り部分238を有する第1のキー部分236と、第1の戻り部分238から半径方向内向きに延びる第2のキー部分236であって、そこから半径方向内向きに延びる第2の戻り部分238を有する第2のキー部分236と、最後に、第2の戻り部分238から半径方向内向きに延びる第3のキー部分236とを含む。
【0017】
各キー部分236は、トレッド表面(例えば、トレッド表面101)に対して接線方向に測定された、周方向からの角度KAで傾斜している。各キー部分236は、同じ方向に(例えば、第1の周方向に)傾斜している。角度KAは、約60度であってもよい。角度KAは60度であってもよい。角度KAは、約55度~約65度であってもよい。角度KAは、55度~65度であってもよい。角度KAは、約50度~約70度であってもよい。角度KAは、50度~70度であってもよい。角度KAは、約45度~約75度であってもよい。角度KAは、45度~75度であってもよい。
【0018】
各戻り部分238は、トレッド表面(例えば、トレッド表面101)に対して接線方向に測定された、周方向からの角度RAで傾斜している。各戻り部分238は、各キー部分236の方向(例えば、第1の周方向)とは反対の、同じ方向(例えば、第2の周方向)に傾斜している。角度RAは、約11度であってもよい。角度RAは、11度であってもよい。角度RAは、約9度~約15度であってもよい。角度RAは、9度~15度であってもよい。角度RAは、約7度~約19度であってもよい。角度RAは、7度~19度であってもよい。角度RAは、約5度~約23度であってもよい。角度RAは、5度~23度であってもよい。
【0019】
角度KA対角度RAの比は、少なくとも5:1である。角度KA対角度RAの比は、5:1~6:1である。
【0020】
各キー部分236は、幅KWを含む。幅KWは、各キー部分236の長手方向を横断して(長手方向から90度で)測定される。幅KWは、約0.30mmであってもよい。幅KWは0.30mmであってもよい。幅KWは、約0.25mm~約0.40mmであってもよい。幅KWは、0.25mm~0.40mmであってもよい。幅KWは、約0.20mm~約0.50mmであってもよい。幅KWは、0.20mm~0.50mmであってもよい。幅KWは、約0.15mm~約0.60mmであってもよい。幅KWは、0.15mm~0.60mmであってもよい。
【0021】
各戻り部分238は、幅RWを含む。幅RWは、各戻り部分238の長手方向を横断して(長手方向から90度で)測定される。幅RWは、約0.40mmであってもよい。幅RWは0.40mmであってもよい。幅RWは、約0.35mm~約0.50mmであってもよい。幅RWは、0.35mm~0.50mmであってもよい。幅RWは、約0.30mm~約0.60mmであってもよい。幅RWは、0.30mm~0.60mmであってもよい。幅RWは、約0.25mm~約0.70mmであってもよい。幅RWは、0.25mm~0.70mmであってもよい。
【0022】
幅KW対幅RWの比は、3:4であってもよい。
【0023】
第1のキー部分236は、トレッド表面101などのトレッド表面(上側部分232と下側部分234との間の接合部)からの半径方向高さKH1である第1の頂点で、第1の戻り部分238に接合する。
【0024】
図2Aに示される態様では、高さKH1は、約2.76mmであってもよい。高さKH1は、2.76mmであってもよい。高さKH1は、約2.50mm~約3.00mmであってもよい。高さKH1は、2.50mm~3.00mmであってもよい。高さKH1は、約2.00mm~約3.50mmであってもよい。高さKH1は、2.00mm~3.50mmであってもよい。高さKH1は、約1.50mm~約4.00mmであってもよい。高さKH1は、1.50mm~4.00mmであってもよい。図2Aは、例えば、ショルダーリブ又はショルダーブロック列(例えば、ショルダー列160)にサイプ及び/又はスロットを形成するための、サイプブレード230であってもよい。
【0025】
図2Bに示される態様では、高さKH1は、約2.17mmであってもよい。高さKH1は、2.17mmであってもよい。高さKH1は、約2.00mm~約2.50mmであってもよい。高さKH1は、2.00mm~2.50mmであってもよい。高さKH1は、約1.50mm~約3.00mmであってもよい。高さKH1は、1.50mm~3.00mmであってもよい。高さKH1は、約1.00mm~約3.5mmであってもよい。高さKH1は、1.00mm~3.50mmであってもよい。図2Bは、例えば、中間リブ又は中間ブロック列(例えば、中間列162)内にサイプ及び/又はスロットを形成するための、サイプブレード230であってもよい。
【0026】
図2Cに示す態様では、高さKH1は、約1.48mmであってもよい。高さKH1は、1.48mmであってもよい。高さKH1は、約1.25mm~約1.75mmであってもよい。高さKH1は、1.25mm~1.75mmであってもよい。高さKH1は、約1.00mm~約2.00mmであってもよい。高さKH1は、1.00mm~2.00mmであってもよい。高さKH1は、約0.75mm~約2.25mmであってもよい。高さKH1は、0.75mm~2.25mmであってもよい。図2Cは、例えば、中央リブ又は中央ブロック列(例えば、中央列164)にサイプ及び/又はスロットを形成するための、サイプブレード230であってもよい。
【0027】
第2のキー部分236は、第1の頂点からの半径方向高さKH2である第2の頂点で、第2の戻り部分238に接合する。
【0028】
図2Aに示す態様では、高さKH2は、約2.17mmであってもよい。高さKH2は、2.17mmであってもよい。高さKH2は、約2.00mm~約2.50mmであってもよい。高さKH2は、2.00mm~2.50mmであってもよい。高さKH2は、約1.50mm~約3.00mmであってもよい。高さKH2は、1.50mm~3.00mmであってもよい。高さKH2は、約1.00mm~約3.5mmであってもよい。高さKH2は、1.00mm~3.50mmであってもよい。KH1対KH2の比は、約1.27であってもよく、1.27であってもよく、約1.20~約1.30であってもよく、1.20~1.30であってもよく、約1.15~約1.35であってもよく、1.15~1.35であってもよく、約1.10~約1.40であってもよく、1.10~1.40であってもよい。
【0029】
図2Bに示される態様では、高さKH2は、約2.17mmであってもよい。高さKH2は、2.17mmであってもよい。高さKH2は、約2.00mm~約2.50mmであってもよい。高さKH2は、2.00mm~2.50mmであってもよい。高さKH2は、約1.50mm~約3.00mmであってもよい。高さKH2は、1.50mm~3.00mmであってもよい。高さKH2は、約1.00mm~約3.5mmであってもよい。高さKH2は、1.00mm~3.50mmであってもよい。KH1対KH2の比は、約1.00であってもよく、1.00であってもよく、約0.95~約1.05であってもよく、0.95~1.05であってもよく、約0.90~約1.10であってもよく、0.90~1.10であってもよく、約0.85~約1.15であってもよく、0.85~1.15であってもよい。
【0030】
図2Cに示される態様では、高さKH2は、約2.17mmであってもよい。高さKH2は、2.17mmであってもよい。高さKH2は、約2.00mm~約2.50mmであってもよい。高さKH2は、2.00mm~2.50mmであってもよい。高さKH2は、約1.50mm~約3.00mmであってもよい。高さKH2は、1.50mm~3.00mmであってもよい。高さKH2は、約1.00mm~約3.5mmであってもよい。高さKH2は、1.00mm~3.50mmであってもよい。KH1対KH2の比は、約0.68であってもよく、0.68であってもよく、約0.65~約0.70であってもよく、0.65~0.70であってもよく、約0.60~約0.75であってもよく、0.60~0.75であってもよく、約0.55~約0.80であってもよく、0.55~0.80であってもよい。
【0031】
サイプブレード230は、末端部分239において半径方向内向きに終端する。一態様では、中心線CLは、末端部分239を通って延在する。別の一態様では、中心線CLは、末端部分239を通って延在してもよい。末端部分239は、幅TSWの半分である周方向幅を含んでもよい。
【0032】
図2Dは、サイプブレード230A(図2A)、230B(図2B)、及び230C(図2C)を並置して示す。第1及び第2の頂点の高さ、並びにKH1及びKH2の値は、各サイプブレードどうしの間で異なる。サイプブレードによってトレッド内に形成されたキーエッジ(例えば、キーエッジ350)は、トレッドがキー部分236に沿って摩耗する間に存在するが、トレッドが戻り部分238を通って摩耗する短い期間には存在しない。図示されるように、サイプブレードは、第1及び第2の頂点の高さ並びにKH1及びKH2の値が、タイヤの摩耗中にキーエッジの存在を確実にするようにオフセットされるように構成されてもよい。
【0033】
図2Eに示されるように、サイプブレード230は、横方向に延在する直線部分244どうしの間に軸方向に配向された、中央S字状部分242を含んでもよい。
【0034】
図2Fに示されるように、サイプブレード230は、中央S字状部分を含まなくてもよく、横方向に延在する直線部分244のみを含んでもよい。
【0035】
図3A図3Eは、方向性相互連結サイプ及び/又はスロット310を有するトレッドブロック306を示す。
【0036】
サイプ及び/又はスロット310は、トレッド表面301からトレッドブロック306内に、半径方向内向きに延在する。サイプ及び/又はスロット310は、横方向に延在する直線部分314どうしの間に軸方向に配向された、中央S字形部分312を含んでもよい。サイプ及び/又はスロット310は、例えば、例示的なタイヤトレッド100の図1のショルダー列160のみに示されるように、直線部分314のみを含んでもよい。
【0037】
サイプ及び/又はスロット310は、上でサイプブレード230のキー部分236及び戻り部分238に関して説明したような、キー部分346及び戻り部分348を含む。
【0038】
キー部分346は、キー部分346がトレッド表面301と合流する鋭い(鋭角の)キーエッジ350を形成する。キーエッジ350は、トレッドブロック306が転がり方向DRで道路に係合するときに、トラクションを増加させる。キーエッジ350は、トレッド表面301と雪及び/又は氷で覆われた走行面との間の摩擦を増加させることによって、雪上及び/又は氷上でのトラクションを増加させる。キーエッジ350は、雪及び氷の表面を「噛み込む」ことによってトラクションを増加させるという利益を提供して、転がり方向DRへの加速中に、これらの表面上でのトラクションを増加させることができる。キーエッジ350は、トレッド表面301に対して、(上で図2A図2Cにおいて言及したような)角度KAを形成する。
【0039】
図4A図4Dは、様々な摩耗段階における方向性相互連結サイプ及び/又はスロット410を有するトレッドブロック406を示す。
【0040】
図4A及び図4Bは、第1のキー部分446を通して摩耗するトレッドブロック406のトレッド表面401を示す。キーエッジ450は、トレッドブロック406のこれらの摩耗段階に存在する。すなわち、トレッドブロック406が摩耗するにつれて、トレッド表面401は半径方向内向きに移動し、サイプ及び/又はスロット410の異なる部分と交差する。
【0041】
図4Cは、キーエッジ450を含まない第1の戻り部分448を通じて摩耗するトレッド表面401を示す。
【0042】
図4Dは、第2のキー部分446を通って摩耗するトレッド表面401を示し、この状態では、キーエッジ450が再び存在する。
【0043】
キー部分446の角度(例えば、角度KA)と戻り部分448の角度(例えば、角度RA)との差に起因して、トレッド表面401が半径方向内向きに摩耗するとき、サイプ及び/又はスロット410は、その摩耗の期間が戻り部分448におけるよりも長い間、キー部分446においてトレッド表面401と交差する。図示のように、サイプ及び/又はスロット410は、キーエッジ450を含み、キー部分446は、トレッド表面401と交差する。
【0044】
上述の様々な態様に関して、本明細書に記載のキーエッジを有するサイプ及び/又はスロットを有するタイヤトレッドは、そのような特徴を欠くタイヤトレッドと比較して、雪の中及び/又は氷の中でのトラクションが改善されている。本明細書に記載されたキーエッジを有するトレッドは、標準的なスノータイヤと比較して、前方への転がり(加速)方向DRにおいて、雪上でのトラクションの増加という利益を有し得る。あるいは、記載されたキーエッジは、サイプ及び/又はスロットの配向に応じて、標準的なスノータイヤと比較して、後方への転がり(制動)方向DRにおいて、雪上でのトラクションの増加という利益を有し得る。
【0045】
従来技術の設計は、非常に高い横方向エッジ密度を有するトレッドパターン及び空隙パターン(すなわち、軸方向に延在する)によって、雪上でのトラクションを増加させようとしたが、これは乾燥した道路上での性能の低下をもたらす。本明細書に記載のサイプ及び/又はスロットは、雪上性能を大幅に向上させ、横方向エッジ密度を低減するためのトレッドパターンの修正を可能にし、したがって、乾燥性能に対する有害な影響を低減及び/又は排除する。その結果、上述のサイプ及び/又はスロットを有するトレッドパターンは、上述のサイプ及び/又はスロットを有さないトレッドパターンと比較して、追加的な雪上性能及び乾燥性能を有する。加えて、様々なサイプ及び/又はスロット間のKH1及びKH2の異なる値によって、改善された雪上でのトラクションが、トレッドパターンのいかなる摩耗状態においても存在し得る。
【0046】
加えて、本明細書に記載される、サイプ及び/又はスロットの、キー部分及び戻り部分が交互に設けられる形状は、制動、加速、及び横方向への操縦の下で、自己接触(相互連結)する相互連結サイプ側壁を作り出す。トレッドブロックのこの相互連結態様は、制動、加速、及び/又は横方向の操縦下で、ブロックの剛性を増加させるように作用し得る。
【0047】
「含む(includes又はincluding)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲で使用される範囲において、「備える/含む(comprising)」という用語は、特許請求項で移行語として用いられる際に解釈される用語と同様に、包括的であることが意図される。更に、「又は(or)」という用語が用いられる(例えば、A又はB)範囲において、「A若しくはB、又は両方」を意味することが意図されている。本出願人らが「両方ではなくA又はBのみ」を示すことを意図する場合、「両方ではなくA又はBのみ(only A or B but not both)」という用語が用いられる。したがって、本明細書における「又は」という用語の使用は、排他的ではなく、包括的である。Bryan A.Garner,A Dictionary of Modern Legal Usage 624(2d.Ed.1995)を参照されたい。また、「中に(in)」又は「中へ(into)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「上に(on)」又は「上へ(onto)」を追加的に意味することが意図される。「実質的に」という用語が本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、タイヤ製造で利用可能な精度の度合いを考慮に入れることが意図される。「選択的に」という用語が本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、装置の使用者が、装置の使用時に、必要又は所望に応じて、構成要素の特徴又は機能を作動又は停止させ得る、構成要素の状態を指すことが意図される。「動作可能に接続され」という用語が本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、特定された構成要素が指定された機能を実行するように接続されていることを意味することが意図される。本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、複数形を含む。最後に、「約(about)」という用語が数値と併せて使用される場合、その数値の±10%を包含することが意図される。言い換えれば、「約10」は、9~11までを意味することができる。
【0048】
上述のとおり、本出願は、その実施形態及び態様の説明によって例解され、実施形態及び態様は、かなり詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲をこのような詳細に制限すること、又は、いかようにも限定することは、本出願人らの意図ではない。追加の利点及び変更は、本出願の利益を享受しながら、当業者に容易に明らかになるであろう。したがって、本出願は、本出願のより広い態様において、具体的な詳細、示された用例、又は参照されたいずれの装置にも限定されない。全体的な発明概念の趣旨又は範囲から逸脱することなく、このような詳細、例、及び装置からの逸脱がなされ得る。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
【手続補正書】
【提出日】2024-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッドリブ又はトレッドブロックのうちの少なくとも1つを備えるトレッド部分、及び
前記トレッドリブ又は前記トレッドブロックに含まれるサイプ、を備えるタイヤであって、
前記サイプは、前記トレッド表面に対して接線方向の前記周方向から角度KAで第1の周方向に傾斜する複数のキー部分を含み、
前記サイプは、前記トレッド表面に対して接線方向の前記周方向から角度RAで第2の周方向に傾斜する複数の戻り部分を含み、
前記戻り部分は、前記キー部分どうしを接続し、
第1のキー部分は、前記トレッドリブ又は前記トレッドブロックの前記トレッド表面と交差し、
前記角度KA対前記角度RAの比が、5:1と6:1との間である、タイヤ。
【請求項2】
前記サイプは、互いに対向する、横方向に延在する直線部分どうしの間に、軸方向に配置された中央S字形部分を含む、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
各キー部分が、幅KWを有し、各戻り部分が、幅RWを有し、前記幅KW対前記幅RWの比が、3:4である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記第1のキー部分は、前記トレッド表面と交差してキーエッジを形成する、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項5】
中央S字形部分を含まず、横方向に延在する直線部分のみを含むサイプを更に備え、前記サイプは、第1の周方向に傾斜する複数のキー部分を含み、前記サイプは、第2の周方向に傾斜する複数の戻り部分を含み、前記戻り部分は、前記キー部分どうしを接続し、第1のキー部分は、前記トレッドリブ又は前記トレッドブロックのトレッド表面と交差する、請求項1に記載のタイヤ。

【国際調査報告】