(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】平坦な木材要素を有する木材-コンクリート複合スラブ、その製造方法、及びそのような木材-コンクリート複合スラブを有する構造物
(51)【国際特許分類】
E04B 5/12 20060101AFI20240927BHJP
E04B 5/38 20060101ALI20240927BHJP
E04B 5/36 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
E04B5/12
E04B5/38 C
E04B5/36
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024522189
(86)(22)【出願日】2022-10-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2022078753
(87)【国際公開番号】W WO2023062238
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524137891
【氏名又は名称】インプレニア シュヴァイツ アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】524137905
【氏名又は名称】ウォルトガルマリーニ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クンディッヒ、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】クライス、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】キューブラー、ヴォルフラム
(57)【要約】
本発明は、スラブの相対的な固有重量にほとんど依存せずにスパンを達成することができる、平坦な木材要素を有する木材-コンクリート複合スラブに関する。スラブ層構造は、木材層、遮断層、及びコンクリート層(4)を含む。一実施形態では、層構造は、少なくとも1つの支持手段(8)によって中断され、この支持手段は、少なくともコンクリート層(4)及び遮断層を横断し、少なくとも木材層まで下方に延在する。この内部支持手段(8)は、複合層から突出する変形例で形成することもできる。異なる実施形態では、高レベルの防音のために、スラブは、その遮断層内に異なる密度の2つの遮断材料を含み、高密度遮断材料は、木材層上に直接置かれ、これは、振動減衰手段として作用することが意図される。更なる実施形態では、平坦な木材要素を形成する木材-コンクリート複合スラブの木材パネルは、それを通して張力を伝達するために、互いに対して張力がかけられる。本発明によれば、大きなスパン寸法を有する木材-コンクリート複合スラブの製造中の効率を大幅に高めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材-コンクリート複合スラブであって、その支持構造が、コンクリートの1つの構成要素と、それに耐せん断的に接続された木材の1つの構成要素とを備え、前記スラブが、下から上に、最初に、前記スラブの前記複合材において引張荷重を受けることができる平面状に延在する木材構成要素、すなわち木材層(1)と、それに続く遮断層(3)と、最後にコンクリート層(4)とを備える層構造(1、3、4)を含み、前記せん断コネクタ(9)が前記複合スラブ内に組み込まれ、そのうちの少なくとも1つのせん断コネクタ(9)が前記木材層(1)内及び前記コンクリート層(4)内に同時に突出し、そうすることで前記遮断層(3)を貫通し、前記スラブの前記層構造(3、4)が少なくとも1つの支持手段(8)によって中断され、前記支持手段が少なくとも前記コンクリート層(4)及び前記遮断層(3)を横断し、その結果、少なくとも前記木材層(1)まで下方に延在し、前記木材層(1)が一緒にされた木材ビーム及び/又は前記木材層(1)から構成されず、前記層厚に対する前記層の最下部において、前記木材における材料除去機械加工が施されておらず、それによって手付かずのままである、木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの支持手段(8)が、前記複合スラブから下方及び/又は上方に突出することによって、前記複合スラブからその長さにわたって部分的又は完全に突出する、請求項1に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項3】
前記支持手段(8)の、その長さの一部にわたって下向きに成形された前記突出部が、前記支持手段(8)に下方で接続する柱(18)のキャピタルとして設計されている、請求項2に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの支持手段(8)が、補強鋼(10、11、12、13)及び/又は補強材(42)として少なくとも1つの下部フランジ(21b)を有する鋼形材(20)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項5】
前記1つの支持手段(8)又は前記複数の支持手段(8)が、その/それらの重量が合計でスラブ総重量の最大10%を構成するように、その/それらの数に関して寸法決め又はサイズ設定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項6】
前記複合スラブの前記スパンの最大50%の拡張、前記拡張されたスパンの最大9mの全長の場合、前記スラブのスパン依存重量増加はスラブ重量の10%を超えず、スラブ厚さは、スラブ計画設計におけるより大きな柔軟性を保証するために、5~10cmだけ変化する、請求項1~5のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項7】
少なくとも2つのスラブモジュールを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブの製造方法であって、
a.前記スラブモジュールは各々層構造(1、3、4)で形成され、その結果、下から上へ、まず、前記せん断コネクタ(9)がその下端でその中に固定された前記木材層(1)が製造され、次に、前記遮断層(3)が形成され、最後に、前記せん断コネクタ(9)の上端が前記コンクリート層(4)に固定されるように、前記コンクリート層(4)がその補強材(15)と共に適用され、
b.前記スラブモジュールは、1つ又は複数の支持体上のそれらのために予め定められた位置に置かれ、
i.前記2つのスラブモジュールが当接し、それによって、前記スラブモジュールのうちの少なくとも1つの前記木材層(1)上の、材料適用から一時的に除外された接触面(35)によって底部が画定され、その前記遮断層及びコンクリート層(3、4)によって横方向に画定される中間空間(41)を形成する、
又は
ii.前記支持体のうちの少なくとも1つは、両側に段(47)を形成する下側突出部を形成する予め製造された支持部材(49)であり、いずれの場合も、前記段(47)上で、スラブモジュールは前記支持部材(49)上に支持され、このように支持された前記スラブモジュールの前記コンクリート層(4)の間で、前記支持部材(49)の上方に中間空間(41)が残される、のいずれかであり、
c.前記中間空間(41)内に、支持手段補強材(4210、11、12、13、20)が挿入され、前記隣接するコンクリート補強材(15)に接続され、
d.前記中間空間(41)がコンクリート(48)で充填され、その硬化により、前記支持手段(8)が完全に形成される、製造方法。
【請求項8】
各スラブモジュールについて、
a0.最初に、前記せん断コネクタ(9)が前記木材層(1)に導入されて固定されることによって前記木材層(1)が加工され、型枠(31)が更なる層(3、4)の構築のために前記木材層(1)を包囲し、前記型枠(31)が前記木材層(1)上の可能な接触面(35)を画定し、
a1.前記遮断層(3)は、前記型枠(31)内の前記木材層(1)上に形成され、
a2.前記コンクリート層(4)のための前記補強材(15)が、次いで、前記型枠(31)内の前記遮断層(3)の上に配置され、
a3.前記コンクリート層(4)が前記型枠(31)内に注入され、前記コンクリート層(4)が硬化した後、前記型枠(31)が除去され、それによって前記スラブモジュールが形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記上部に突出する支持手段(8)について、
d0.上方に延在するコンクリート型枠が前記中間空間(41)に適用され、
d1.前記対応して画定された空間がコンクリート(48)で充填され、
d2.前記コンクリート型枠は、前記コンクリート(48)が硬化した後に再び除去され、それによって、上部に突出する前記支持手段(8)が完全に形成される、請求項7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記支持構造が、コンクリートの構成要素と、それに耐せん断的に接続された木材の構成要素とを備える木材-コンクリート複合スラブであって、前記スラブは、層構造(1、3、4)を含み、前記層構造(1、3、4)は、下から上に、最初に、前記スラブの前記複合材において引張荷重を受けることができる平面状に延在する木材構成要素、すなわち木材層(1)と、それに続く遮断層(3)と、最後にコンクリート層(4)とを備え、せん断コネクタ(9)が前記複合スラブに設置され、前記遮断層(3)は、少なくとも1つのせん断コネクタ(9)が前記木材層(1)及び前記コンクリート層(4)に同時に突出し、そうすることで前記遮断層(3)を貫通し、前記遮断層(3)は、密度又は比重が異なる少なくとも2つの遮断材料を含み、より高密度の遮断材料は、前記スラブ複合材の引張荷重を受けることができるこの木材層(1)の上に直接配置されるか、その上に直接置かれ、前記木材層(1)の慣性を増加させ、振動減衰手段として作用するように意図され、前記木材層(1)は、一緒にされた木材ビームから構成されず、及び/又は前記木材層(1)は、前記層厚に関して前記層の最下部において、前記木材における材料除去機械加工が施されておらず、それによって手付かずのままであり、前記スラブの前記層構造(3、4)は、前記スラブの上に支持手段なしで延在するか、又は少なくとも1つの支持手段(8)が少なくとも前記コンクリート層(4)及び前記遮断層(3)を横断し、その結果少なくとも前記木材層(1)まで下方に延在するかのいずれかである、木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項11】
低密度遮断材料の上部層(3b)が、高密度遮断材料の下部層(3a)の上に載っている、請求項10に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項12】
前記低密度遮断材料が空気からなるように前記スラブ内に空洞が形成され、前記コンクリート層(4)が前記空洞の上方の永久コンクリート型枠(2)上に載置される、請求項10又は11のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項13】
前記低密度遮断材料の材料として空気が排除されているか、又は前記スラブが空気で構成される空洞を含まない、請求項10~12のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項14】
前記遮断材料の密度又は比重の差が0.5~2t/m
3である、請求項10~13のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項15】
前記高密度遮断材料の接触圧力が、1m
2当たり0.7~1.4kNであり、前記低密度の遮断材料の前記接触圧力が、1m
2当たり0.1~0.4kNである、請求項10~14のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項16】
前記高密度遮断材料は、破砕コンクリートから作られたコンクリート粒状物、又は破砕コンクリートとメーソンリーとの混合粒状物からなり、前記低密度遮断材料は、軽量建築材料からなる、請求項10~15のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブにおける前記木材層(1)の振動減衰による防音としての、異なる密度又は比重の少なくとも2つの遮断材料の使用。
【請求項18】
少なくとも2つのスラブモジュールを有する、請求項10~16のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブの製造方法であって、
a.前記スラブモジュールが各々それらの層構造(1、3、4)で形成され、それにより、下から上に、前記せん断コネクタ(9)がそれらの下端でそこに固定された状態で前記木材層(1)が最初に製造され、
b.次に、前記木材層(1)の前記慣性を増加させ、振動減衰手段として作用するように意図された高密度遮断材料を最初に導入することによって、少なくとも2つの遮断材料を用いて前記遮断層(3)が形成され、次に、この目的のために、低密度遮断材料が配置されるか、又は空洞が開放されたままであり、
c.最後に、前記せん断コネクタ(9)がその上端で前記コンクリート層(4)に固定されるように、前記コンクリート層(4)がその補強材(15)と共に作り出され、少なくとも第2のスラブモジュールへの接続のために、その補強材(15)が前記コンクリート層(4)の凹部(39)から突出し、
d.完全に作成されたスラブモジュールが、1つ又は複数の支持体上の予め定められた位置に置かれ、前記隣接するコンクリート層(4)の前記補強材(15)が摩擦接続されることによって前記少なくとも第2のスラブモジュールに接続され、その後、前記凹部(39)がコンクリート打ちされる、製造方法。
【請求項19】
各スラブモジュールについて、
a0.最初に、前記せん断コネクタ(9)が前記木材層(1)に導入されて固定されることによって前記木材層(1)が処理され、型枠(31)が前記更なる層(3、4)の構築のために前記木材層(1)を包囲し、
c0.前記遮断層(3)が製造された後、これは、前記型枠(31)内に前記コンクリート層(4)のための前記補強材(15)を挿入するために使用され、
c1.前記コンクリート層(4)が型枠(31)内に注入され、前記コンクリート層(4)が硬化した後、前記型枠(31)が除去され、それによって前記スラブモジュールが形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
木材-コンクリート複合スラブであって、その支持構造は、コンクリートの構成要素と、それに対して耐せん断的に接続された木材の構成要素とを備え、前記スラブは、層構造(1、4)を備え、前記層構造(1、4)は、下から上に、最初に、平面状に延在し、前記スラブの前記複合材において引張荷重を受けることができる木材構成要素、すなわち、木材層(1)と、遮断層(3)及び最後にコンクリート層(4)のいずれかが続き、又は、前記遮断層(3)がない場合には、コンクリート層(4)が続き、前記木材層(1)は、いずれの場合においても、1つの木材パネルが前記当接接続において形成された分割面において、それぞれの他の木材パネルに対して垂直に押圧することで、互いに往復的に張力を受ける、少なくとも2つの当接する木材パネルを含み、このようにして互いに対して張力がかけられた木材パネルの各々において、その下側が手付かずのまま残され、この少なくとも1つの箱形空間(24;24a、24c)が木材パネルに形成され、前記分割面の遠い側に配置された前記木材パネルの凹部(24;24a、24b、24c)と共に、前記2つの木材パネルに設けられそれらをまたぐ通路を形成するように、少なくとも1つの凹部(24;24a、24b、24c)が材料除去によって作成され、前記木材パネルは、前記分割面から見て、前記分割面に垂直な方向及び離れる方向に、それらの1つ又は後方の箱形空間(24;24a)の後方に延在する領域に手付かずのまま残り、したがって、他の使用のための後方の手付かずの材料(29)が形成され、前記張力付与手段(26a,26b,26c)が前記通路内に導入され、各端部において少なくとも1つの箱形空間(24;24a)に固定され、この張力付与手段(26a,26b,26c)の張力付与の結果として、前記木材パネルが互いに引っ張られ、前記木材層(1)が一緒になった木材ビームから構成されず、及び/又は前記木材層(1)が、層厚に関連して層の最下部において、木材における材料除去機械加工が施されておらず、それによって手付かずのままであり、前記スラブの前記層構造(3、4)が、前記スラブ上に支持手段を伴わずに延在するか、又は遮断層(3)が存在する場合、少なくとも1つの支持手段(8)が少なくとも前記コンクリート層(4)及び前記遮断層(3)を横断し、結果として少なくとも前記木材層(1)まで下方に延びるかのいずれかである、木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項21】
手付かずのまま残された前記領域は、前記1つ又は後方の箱形空間(24;24a)の後方に直接隣接し、前記分割面に垂直な方向に延在する、請求項20に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項22】
前記手付かずのまま残された領域は、前記分割面に位置する前記木材パネルの端部とは反対側の前記木材パネルの端部まで延在するか、又は前記領域が、更なる木材パネルと共に張力を付与するために配置された同じ木材パネルの箱形空間(24;24a)まで延在する、請求項20又は21のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項23】
前記張力付与手段(26a、26b、26c)が、前記木材パネル内の、前記分割面の上流の位置に当接する、請求項20~22のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項24】
前記少なくとも1つの箱形空間(24;24a、24c)が、前記上部に向かって開くように、又は前記上部及び前記端面に向かって開くように設計されている、請求項20~23のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項25】
前記張力付与手段(26a、26b、26c)の固定具(26a)を収容するための前記少なくとも1つの箱形空間(24;24a、24c)の形状が長方形である、請求項20~24のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項26】
i.張力付与手段(26a、26b、26c)が、前記通路に緩く挿入され、前記分割面から見て、前記木材パネルの手付かずの材料(27)に、予備の/残っている/接触していない前方に対して圧力で当接するように張力が付与され、その中を通る中空チャネル(24b)の場合、この理由だけで手付かずではないので、前記当接する木材パネルは、前記分割面に対して垂直に互いに対して往復的に張力が付与される、及び/又は
ii.前記張力付与手段(26a、26b、26c)は、前記後方の手付かずの材料(29)の少なくとも1つの端面(28b)が固定手段から自由なままであるように、前記少なくとも1つの、又は前記分割面から見て前記後方の箱形空間(24)に固定される、のいずれかである、請求項20~25のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項27】
前記2つの木材パネルにまたがる前記通路が、前記分割面に対して対称的に除去されて、前記木材パネルの前記凹部(24;24a、24b、24c)が、同一に製造することができる、及び/又は前記張力付与手段(26a、26b、26c)が、側部から独立して使用することができる、請求項20~26のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項28】
前記張力付与手段構成要素(26a、26b、26c)が、前記分割面に対して対称な配置を形成し、及び/又は前記張力付与手段構成要素(26a、26b、26c)が、前記分割面に対して直角に作用するように配置される、請求項20~27のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項29】
前記張力付与手段(26a、26b、26c)は、
i.前記端部に固定されたねじ頭(26a)を有するねじ接続として、又は
ii.前記端部に固定され、張力付与アーム(26b)によって把持される張力付与ブロック(26a)を有するレバー作動張力付与ロックとして、又は
iii.くさび接続(26a、26c)であって、前記くさび接続(26a、26c)のために、その中を通る中空チャネル(24b)の場合にはこの理由だけでは手付かずではない前方の手付かずの材料(27)が、前記分割面まで両方の木材パネルに到達し、張力付与くさび(26c)及び対向くさび(26a)が、分割面から見て前記前方の手付かずの材料(27)の後方の近い側の木材パネルの箱形空間(24)内に配置され、ねじ山付きロッド(26b)が、対向くさび(26a)及び張力付与ブロック(26a)と共に、遠い側の前記木材パネルの前記対向する箱形空間(24)内に固定され、前記張力付与ブロック(26a)と張力付与ブロックとして作用する前記張力を付与されたくさび(26a、26c)との間に位置する前記前方の手付かずの材料(27)が、前記張力付与くさび(26c)が叩き下げられるか、叩き込まれるか、又は締め付けられると圧力を受ける、くさび接続(26a、26c)として実現される、請求項20~28のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項30】
前記凹部(24)は各々、前記分割面から見て、後方チャンバ(24a)及び前方チャンバ(24c)を形成し、前記後方チャンバ(24a)及び前記前方チャンバ(24c)は、前記前方の手付かずの材料(27)内の中空チャネル(24b)を介して接続され、それによって、前記材料は、前記中空チャネル(24b)によってのみ手付かずではなく、前記張力付与手段(26a、26b、26c)は各々、ねじ頭(26a)又は張力付与ブロック(26a)によって前記後方チャンバ(24a)内の端部側に固定され、いずれの場合も、近い側の木材パネルの前記前方チャンバ(24c)は、前記当接軸の遠い側に位置する前記木材パネルの前記前方チャンバ(24c)と共に、上部が開いている共通チャンバ(25)を形成し、連続的なねじ接続(26b、26c)が、前記中空チャネル(24b)及び前記共通チャンバ(25)を介して実現され、前記ねじ接続は、スリーブ(26c)の固定位置回転によって、中央ナット及び前記ナットによって一緒に引っ張ることができる2つのねじ山付きパイプ部分を含む継手によって、又はニップルによってのいずれかによって、前記共通チャンバ(25)内で張力をかけることができる、請求項20~29のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項31】
a.張力をかけるべき前記木材パネルの各々において、前記少なくとも1つの凹部(24)が、少なくとも1つの箱形空間(24;24a、24c)を形成するように材料除去によって作成され、
b.次いで、前記木材パネルが当接して置かれ、それらの凹部(24)が、前記2つの木材パネルにわたって広がる凹部通路を形成し、
c.前記張力付与手段(26a、26b、26c)が、前記通路に導入され、各端部において前記少なくとも1つの又は後方の箱形空間(24;24a)に固定され、
d.前記張力付与手段(26a、26b、26c)が上から張力を付与される、請求項20~30のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブの製造方法。
【請求項32】
i.前記張力付与手段(26a、26b、26c)が、前記通路に緩く挿入され、引張応力下で、予備の/残っている/接触していない前方の手付かずの材料(27)に対して圧力で当接するように固定され、前記前方の手付かずの材料(27)は、中空チャネル(24b)がその中を通る場合、この理由だけで手付かずではないので、前記当接する木材パネルは、前記分割面に対して垂直に互いに対して往復的に張力が付与される、及び/又は
ii.前記張力付与手段(26a、26b、26c)は、前記後方の手付かずの材料(29)の少なくとも1つの端面(28b)が固定手段から自由なままであるように、前記少なくとも1つの又は後方の箱形空間(24)内に固定される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
a.前記凹部(24)は、いずれの場合にも、前記前方の手付かずの材料(27)内の中空チャネル(24b)を介して接続される後方チャンバ(24a)及び前方チャンバ(24c)を形成し、前記手付かずの材料は、前記中空チャネル(24b)のみによって手付かずではなく、
b.近い側の木材パネルの前方チャンバ(24a)は、いずれの場合も、前記当接軸の遠い側に位置する前記木材パネルの前方チャンバ(24a)と共に、上部が開いた共通チャンバ(25)を形成し、
c.前記張力付与手段(26a、26b、26c)は、ねじ頭(24a)又は張力付与ブロック(24a)によって前記後方チャンバ(24a)内に固定され、
d.連続的なねじ接続が、前記中空チャネル(24b)及び共通チャンバ(25)を介して実現され、このねじ接続は、スリーブ(26c)の固定位置回転によって、中央ナット及び前記ナットによって一緒に引っ張ることができる2つのねじ山付きパイプ部分を含む継手によって、又はニップルによって、共通チャンバ(25)内で張力が付与される、請求項31~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの支持手段(8)が補強されている、請求項1~6、10~16、20~30のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項35】
前記少なくとも1つの支持手段(9)が鉄筋コンクリート製である、請求項1~6、10~16、20~30、34のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項36】
前記遮断層(3)を横切る少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)は、前記複合材の最下支持層を最上支持層に接続する、請求項1~6、10~16、20~30、34~35のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項37】
前記木材層(1)が、前記スラブの前記複合材において引張荷重を受けることができる最下支持層として設計され、及び/又は前記コンクリート層(4)が最上支持層として設計される、請求項1~6、10~16、20~30、34~36のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項38】
前記木材層(1)と前記コンクリート層(4)との間に生じるせん断力が、少なくとも2つの異なる方向において前記せん断コネクタ(9)によって増加して吸収され得る、請求項1~6、10~16、20~30、34~37のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項39】
前記木材層(1)と前記コンクリート層(4)との間で任意の方向に生じるせん断力を吸収することができる、請求項1~6、10~16、20~30、34~38のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項40】
遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、前記木材層(1)及び前記コンクリート層(4)に同時に突出し、それによって前記木材層(1)の前記木材及び前記コンクリート層(4)の前記コンクリート内に保持される、請求項1~6、10~16、20~30、34~39のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項41】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、前記木材層(1)から前記コンクリート層(4)に一体部分を介して通じている、請求項1~6、10~16、20~30、34~40のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項42】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、前記木材層(1)及び前記コンクリート層(4)にポジティブロック方式で、したがって遊びなく一体化され、それによって、前記せん断コネクタ(9)が移動不能かつ変形不能な方式で埋め込まれる、請求項1~6、10~16、20~30、34~41のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項43】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、前記木材層(1)と前記コンクリート層(4)との間に耐せん断接続を形成するために変化させずに設置できるような形状を有する、請求項1~6、10~16、20~30、34~42のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項44】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、ブラケットとして設計されていない、請求項1~6、10~16、20~30、34~43のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項45】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、穿孔シートではない、請求項1~6、10~16、20~30、34~44のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項46】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、管として、形材として、又は押出形材、すなわち押出法からの形材として設計される、請求項1~6、10~16、20~30、34~45のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項47】
遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは複合スラブの各せん断コネクタ(9)は、フランジを有するか又は有さない管として設計され、管は、円形若しくは楕円形の断面を有する管部分、又は多角形管の形態の管部分を有するか又は形成する、請求項1~6、10~16、20~30、34~46のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項48】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、一体設計を有する、請求項1~6、10~16、20~30、34~47のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項49】
遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、その一方の端部で前記木材層(1)に突出し、その他方の端部で前記コンクリート層(4)に突出し、したがって前記木材及びコンクリート内に完全に埋め込まれる、請求項1~6、10~16、20~30、34~48のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項50】
遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、前記少なくとも1つの支持手段(8)の外側に延在し、及び/又はコンクリートで充填された前記木材層(1)のチャネルの外側に延在し、及び/又は前記コンクリート層(4)からの前記コンクリートの突出部の外側に延在する、請求項1~6、10~16、20~30、34~49のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項51】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)若しくは各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、支持手段(8)の一部を形成しない若しくはそれに接続されない、又は支持手段(8)として設計されない、及び/又はコンクリートで充填された前記木材層(1)のチャネルの一部を形成しない、又はそのように存在しない若しくはそれに接続されない、及び/又は前記コンクリート層(4)からの前記コンクリートの突出部の一部を形成しない、又はそのように存在しない若しくはそれに接続されない、請求項1~6、10~16、20~30、34~50のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項52】
せん断コネクタ(9)が、前記スラブ内に設置されたせん断コネクタ(9)全体の少なくとも50%の重量割合を有し、少なくとも1つの支持手段(8)の外側、及び/又はコンクリートで充填された前記木材層(1)のチャネルの外側、及び/又は前記コンクリート層(4)からの前記コンクリートの突出部の外側に設置される、請求項1~6、10~16、20~30、34~51のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項53】
前記木材層(1)がチャネルなしで設計される、請求項1~6、10~16、20~30、34~52のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項54】
木材層(1)とコンクリート層(4)との間のせん断接続が、前記木材層(1)内及び前記コンクリート層(4)内に保持された機械的に組み込まれたせん断コネクタ(9)によってのみ実現され、したがって、せん断接続が、ポジティブロックを介しても表面結合を介しても実現されない、請求項1~6、10~16、20~30、34~53のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項55】
前記遮断層(3)を横断する前記少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は任意のせん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、圧入及び/又は接着によって前記木材層(1)内に保持される、請求項1~6、10~16、20~30、34~54のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項56】
端部が木材層(1)及び前記コンクリート層(4)に突出する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)が、前記遮断層(3)の前記遮断材料を直接貫通しており、したがって全ての側部が囲まれており、前記遮断材料が空気から構成されていない、請求項1~6、10~16、20~30、34~55のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項57】
前記遮断層(3)を貫通し、前記木材層(1)及び前記コンクリート層(4)の両方に突出する前記せん断コネクタ(9)の各々が、その端部が前記遮断層(3)の前記遮断材料を直接貫通しており、したがって、全ての側部が前記遮断材料によって囲まれており、前記遮断材料が空気から構成されていない、請求項1~6、10~16、20~30、34~56のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項58】
前記遮断層(3)が、それを横切る前記せん断コネクタ(9)及び存在する任意の支持手段(8)と同じ厚さである、請求項1~6、10~16、20~30、34~57のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項59】
前記遮断層(3)の前記遮断材料が、前記木材層によって完全に保持され、したがって、下部型枠を必要としない、請求項1~6、10~16、20~30、34~58のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項60】
前記スラブの単軸支持効果がある場合、すなわち、前記スラブの単軸荷重伝達の場合、前記木材層(1)は、前記荷重伝達の方向に引張荷重を受けることができる、請求項1~6、10~16、20~30、34~59のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項61】
前記木材層(1)が、前記スラブの最大スパンにわたって引張荷重を受ける、請求項1~6、10~16、20~30、34~60のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項62】
前記木材層(1)が、前記少なくとも1つの支持手段(8)の全長にわたって、又は全長に沿って引張荷重を受ける、請求項1~6、10~16、20~30、34~61のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項63】
前記木材層(1)が、その下に延びる1つ又は複数の支持手段(8)上に載置される必要がないように構成されている、請求項1~6、10~16、20~30、34~62のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項64】
前記木材層(1)が、木材ビームとして設計された1つ又は複数の支持手段(8)上に載置される必要がないように構成されている、請求項1~6、10~16、20~30、34~63のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項65】
前記木材層(1)の最下層部分が、表面を覆うように前記木材層(1)全体にわたって延在する、請求項1~6、10~16、20~30、34~64のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項66】
前記木材層(1)が、その最下層部分が前記底部に向かって終端している、請求項1~6、10~16、20~30、34~65のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項67】
前記木材層(1)が、その最下層部分と共に連続した下面を形成する、請求項1~6、10~16、20~30、34~66のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項68】
前記木材層(1)が、当接する木材パネルを含むか、又は当接する木材パネルから形成される、請求項1~6、10~16、20~30、34~67のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項69】
前記凹部(24;24a,24b,24c)が、上から見たときにそれが前記木材パネル内に少なくとも1つの箱形空間(24;24a、24c)を形成するように材料除去によって作成される、請求項20~30、34~68のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項70】
互いに対して往復的に張力をかけられた前記少なくとも2つの当接する木材パネルの張力付与により、それらは、恒久的な張力で互いに対して張力をかけられ、互いに対して所定の位置に保持されるだけではなくなる、請求項1~6、10~16、20~30、34~69のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項71】
互いに対して往復的に張力をかけられた前記少なくとも2つの当接する木材パネルへの前記張力付与は、互いに対して往復的に張力をかけられた前記2つの木材パネルの分割面の両側のパネル領域を介して実現され、前記パネル領域は、前記張力付与方向における前記木材パネルの長さの一部のみを含む、請求項1~6、10~16、20~30、34~70のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項72】
前記木材層(1)の最下層部分自体が、高さを有する層を形成する、請求項1~6、10~16、20~30、34~71のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項73】
前記木材層(1)の最下層部分の前記木材が、互いに対して張力をかけられた前記木材パネルの前記張力付与方向に対して垂直に延びる前記分割面の位置における継ぎ目まで継ぎ目なく連続している、請求項1~6、10~16、20~30、34~72のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項74】
前記木材層(1)が、その下側において、材料除去機械加工が施されておらず、したがって手付かずのまま残されている、請求項1~6、10~16、20~30、34~73のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項75】
前記木材層(1)が平坦なスラブ下端として終端する、請求項1~6、10~16、20~30、34~74のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項76】
前記最下層部分が高さを有する、請求項1~6、10~16、20~30、34~75のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項77】
前記最下層部分の高さが少なくとも5mmである、請求項76に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項78】
前記木材層(1)が、個々の木材ビームの形態のいかなる構成要素も含まない、請求項1~6、10~16、20~30、34~77のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項79】
前記木材層(1)が、直交集成板、単板積層材、又は無垢木材の木材材料からなる、請求項1~6、10~16、20~30、34~78のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項80】
前記木材層(1)がボードスタック材から形成されていない、請求項1~6、10~16、20~30、34~79のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項81】
前記木材層(1)が木材パネルから形成されていない、請求項1~6、10~16、20~30、34~80のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項82】
前記スラブの前記層コース(1、3、4)が、前記少なくとも1つの支持手段(8)の両側で連続している、請求項1~6、10~16、20~30、34~81のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項83】
前記少なくとも1つの支持手段(8)又は前記コンクリート層(4)の前記コンクリートの突出部が、前記木材層(1)と同一平面上にある、請求項1~6、10~16、20~30、34~82のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項84】
前記複合スラブには、せん断コネクタ(9)が設置され、そのうち少なくとも1つのせん断コネクタ(9)が、前記木材層(1)及び前記コンクリート層(4)に同時に突出し、それによって前記遮断層(3)を横断する、請求項1~6、10~16、20~30、34~83のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項85】
前記スラブ複合材中の前記木材層(1)が、前記スラブの設置状態において引張応力を受ける、請求項1~6、10~16、20~30、34~84のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項86】
請求項1~6、10~16、20~30、34~85のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項87】
請求項1~6、10~16、20~30、34~86のいずれか一項以上に記載の1つ又は複数の組込み木材-コンクリート複合スラブを有する建物(50)。
【請求項88】
住居用及び/又はオフィスビル、行政用ビル、学校、教育施設、集合場所、展示館又は市民会館、会議及びコンサートホール、図書館、博物館、貯蔵庫、ショッピングセンター、ホテル、アクアティクスセンター、スポーツスタジアム、駅、又は空港として設計されている、請求項87に記載の建物(50)。
【請求項89】
25mから始まる全高を有する高層建物(50a)として設計されている、請求項87又は88のいずれか一項に記載の建物(50)。
【請求項90】
請求項1~6、10~16、20~30、34~86のいずれか一項以上に記載の1つ又は複数の組込み木材-コンクリート複合スラブを有し、前記スラブは、水平位置及び/又は45°までの傾斜位置に設置される、請求項87~89のいずれか一項以上に記載の建物(50)。
【請求項91】
請求項7~9、18~19、31~33のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項92】
請求項1~6、10~16、20~30、34~86のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブを作成するための、請求項7~9、18~19、31~33のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項93】
請求項87~90のいずれか一項以上に記載の建物を作成するための、請求項7~9、18~19、31~33のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項94】
請求項1~6、10~16、20~30、34~86のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブにおける、請求項17に記載の使用。
【請求項95】
請求項87~90のいずれかに記載の建物に設置される、請求項1~6、10~16、20~30、34~86のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブにおける、請求項17に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦な木材要素を有する木材-コンクリート複合スラブに関する。純粋なコンクリートスラブと比較して、このスラブはかなり軽量であることを特徴とする。従来の木材-コンクリート複合スラブと比較しても、本発明によるスラブは、より軽量で細長い設計を提供する。これに関連して、スパンは、スラブの相対的な固有重量にほとんど依存せずに、このスラブシステムで達成することができる(すなわち、スラブ面積で計算される)。本発明は更に、そのようなスラブの製造方法、使用、及び1つ又は複数のそのような木材-コンクリート複合スラブを有する建物に関する。
【0002】
大きなスパンを有するスラブが非常に望ましい。特に、高層建物のような複数階及び多数階の建物では、それらは、空間利用率の向上及び階のスラブ計画設計に可変性を提供する。更に、大きなスラブスパン寸法は、階内に設置しなければならない耐荷重壁及び柱が少なくて済むので、その後の改造における柔軟性も生み出す。やはり木材-コンクリート複合スラブを使用して大きなスラブスパンを達成することは、全ての場合において非常に望ましい。
【0003】
しかしながら、大きなスパン寸法は、任意のスラブ計画に対して同じ課題を提起する。つまり、必要とされる曲げ剛性及び耐荷重能力を作用させられるようにするために、スラブは十分な静的高さを必要とする。これは、木材-コンクリート複合スラブの場合にも、その固有重量に反映される。木材上にコンクリートを有する従来の実施形態では、スラブの固有重量は高さに比例して増加する。これは、荷重を支持すべき建物の垂直支持構造及び基礎に対応する要件を課す。特に、多くの階を有する高層建築では、これは大きな課題である。更に、スラブ厚さが大きいと、建物の特定の高さに対してスラブが少なくなる可能性があるので、利用には弊害がある。したがって、特別な木材-コンクリート複合スラブのおかげで、前述の欠点なしに、より大きいスパンを実現することができることが望ましい。
【0004】
木材ビーム、すなわち線形木材構成要素を有する木材-コンクリート複合スラブは、オフィス及び住居用建物において、また時には高層建物においても既に見られるが、木材-コンクリート複合スラブ構造は、完全に確立され得るために、まだ全ての問題を解決していない。前述のスラブが使用される、すなわち、木材ビームが散在しているので、それらは建築上の観点から限られた程度までしか十分ではない。単にスラブを通る軸方向格子としての木材の比較的控えめな使用では、建築材料木材の生態学的可能性も十分に引き出すことができない。CO2貯蔵手段としてのその特性とは全く別に、木材は、加工中の汚染物質放出が比較的低く、同様に、設備に必要なエネルギー消費が低い。その結果、木材-コンクリート複合スラブにおける木材構成要素の寸法が大きくなると、建物の気候の影響に対してプラスの効果のみを有し、これは、いずれの場合にも非常に望ましい。しかしながら、ここでは2つの問題に直面する。
【0005】
一方では、複合スラブにおいてより多くの木材を使用すると、計画のための制限的な防火対策も必要となる。平坦な木材要素を有する木材-コンクリート複合スラブの実施形態では、このようなスラブが、最下複合層として仕上げられた審美的に魅力的な下端を提供することができるので、静的要件及び建築要件を同時に満たすことができることは事実である。しかしながら、この場合、支持体は邪魔であり、そのため、可燃性の平坦な木材要素は、内側に、特に大きなスパン寸法を有する空間に簡単に露出させることができない。防火要件は、建物がより多くのスラブを備えるほど、又は避難経路がより長くなるほど、より制限的になる傾向があり、当然ながら、用途及び建物内の居住者の数も役割を果たす。
【0006】
他方では、木材-コンクリート複合スラブ中の木材の割合が大きいことは、それが提供する防音性も低いことを意味する。コンクリートよりも実質的に軽量の複合パートナーとして、木材ははるかに容易に振動を励起することができる。したがって、固体伝搬音は、平坦な木材要素を有する木材-コンクリート複合スラブ内で比較的容易に伝搬することができ、建物の使用者によって知覚され得る。これは、特にアパート、オフィスビル、学校、大学、図書館などの教育施設、及び一般的に防音に高い要求がある場所におけるそのようなスラブの使用を妨げる。特に、これは、建物を使用する異なる当事者から音響的に隔離されなければならない別個の利用ユニット、例えば、アパート及びオフィスユニット、教育施設の部屋ユニットなどを有する建物において、スラブが個々のユニットの移行点において中断されなければならないことを意味する。これは、スラブの静力学及びスラブアセンブリの効率の両方に対して不利な影響を有する。
【0007】
説明した問題により、第1に固有重量の比例的な増加のため、第2に防火要件のため、第3に音の伝播のために、大きなスパンを有する平坦な木材要素を有する従来の木材-コンクリート複合スラブは使用できない。このようなスラブでは、建物のユーティリティユニット又はアパートユニットを最終的に適切にスパンすることができないので、比較的小さなスパンのスラブ要素が依然として使用されており、これもまた建設及び組立の効率を損なう。
【0008】
木材及びコンクリート構成要素を含む多数の構造が、過去数十年で従来技術において知られるようになった。そのような設計提案のいくつかを以下に示す。
【0009】
1941年に公開された米国特許第2 268 311(A)号は、コンクリート製の支持構造を有するスラブ構造を開示している。断面がV字形の下方に突出するリブを有するコンクリート上部スラブは、その下側で完全に囲まれている。プラスターコーティングで作られた下側の水平に延びる層は、以下のように仕上げ段階で懸架することができる。
図2に示す実施形態によれば、木材スラット(木材胴縁)が、当該スラットを介してリブ上に懸架され、リブは、リブの長手方向において、底部でハンガーとして側翼を形成する。この場合、個々の木材スラットの先端は、フランジの下で辛うじて互いに接触する。
図7による別の変形例では、スラットは、リブに固定された上反りU字形ブラケットを介してリブの長手方向に正確に嵌合する凹部に沿って押され、次いで、そのブラケット端部が横方向に曲げられる。プラスターベースパネルは、このように固定されたスラットに適用することができる。コンクリート支持構造と石膏ベーススラットとの間の接続は、スラットが懸架される支持手段の位置においてのみ実現される。
【0010】
1942年に公開されたスイス特許第223 498号では、支持木材構成要素が木材ビームの形態で設計されている木材-コンクリート複合構造が提示されている。これらの木材ビームは、それらの上側に凹部を有し、その中にコンクリートが上から浸透してそれらを充填することができる。耐せん断表面接着は、木材とコンクリートとの絡み合いによって実現される。充填体-いわゆるHourdiブロック-は、木材ビームの間に置かれ、各々が木材ビーム上で横方向に支持される。ここでも、せん断接続は支持手段の位置においてのみ実現される。
【0011】
1988年に公開された欧州特許出願公開第0 280 228(A1)号には、木材-コンクリート構造の別の提案が見られる。そこに提示されているスラブ構造の支持木材構成要素は、互いに平行に延び、互いに離間しているビームの形態で設計されている。これらは下部スラブ閉鎖部を形成する。この上に、コンクリート上部スラブが載る遮断層が、型枠によって保持される。後者は、鋼管を介して木材ビームに接続される。この目的のために、型枠及び遮断層の両方に凹部が存在し、その結果として、接続管が木材ビーム内に下方に貫通する。接続管の上端部は、上部スラブのコンクリート内に鋳造される。したがって、せん断接続は、支持手段の位置においてのみ実現される。
【0012】
1958年に公開されたドイツ特許第10 37 687(B)号は、鉄筋コンクリートリブ又は鉄筋コンクリートビームスラブを開示している。底部に形成された現場打ちコンクリートリブは、木材、金属又はプラスチックで作られた支持レールによって横方向に枠組みされる。これらの支持レールは、予め製造されたコンクリートスラブのための支持体として機能する。他方でそれらは、現場打ちコンクリートリブのための恒久的な型枠として、それらの下に配置されたプラスターベース、すなわち、管状メッシュマット、プレート、又は軽量プレートと相互作用する。支持レールは、一方では支持壁に支持され、他方では柱及び横ビームからなる木材ヨークに支持されている。この文献は、コンクリート並びに支持レール又は木材ヨークに係合するせん断コネクタを開示していない。
【0013】
1973年に公開された文献フランス特許第2 143 603(A1)号は、上反りT形材を有する鋼ビームを含むスラブ構造を開示している。恒久的な型枠を構成するHourdiブロックは、上反りTビームの肩部上に配置される。Hourdiブロックの比較的厚い中間層は、発泡軽量材料(発泡ポリウレタン、Styropor、又は商標名Kegecellで知られている材料)で作られ、より高密度の上部遮断層(例えば、アスベストセメントパネル、石膏ボードパネルなどからなる)によって上部が覆われる。発泡軽量材料の下には、チップボードパネルなどの層が続く。したがって、上側Hourdi層の遮断材料は、チップボード層上に載置される厚い中間Hourdi層の発泡軽量材料よりもはるかに高い密度を有する。厚い中間Hourdi層の同じ発泡軽量材料の更なる層が、これらのHourdiブロックから懸架されるか、又は下からチップボードパネルに釘打ちされる。これはまた、視覚的仕上げ層としてプラスターボード層を底部に備えている。ここでも、コンクリート内及び木材内に突出するせん断コネクタを有するせん断接続は開示されていない。
【0014】
米国特許出願公開第2018/0328019(A1)号は、スラブパネルと、スラブパネルから離間された天井パネルとで作られたスラブ天井パネルを示しており、スラブパネルと天井パネルとの間にC字形断面を有する鋼形材の形態で支持手段が設置されている。スラブと天井パネルとの間の接続は、アルミニウム又は鋼からなるこれらの金属支持手段によってのみ形成され、金属支持手段は、上部で金属隔壁層にねじ込まれ、底部で有利には不燃性材料からなるスラブ層にねじ込まれる。スラブと天井パネルとの間に形成された空洞であって、金属支持手段も貫通して延在する空洞において、断熱又は防音のための遮断材料が、下部天井層から離れて配置される。
【0015】
最後に、ボードスタック材システムが、2006年に公開された米国特許出願公開第2006/179741(A1)号に提示されている。個々のボードスタック材要素は互いの上に積み重ねられ、硬材ダボで接続される。この目的のために、ダボが挿入される孔がボードスタック材要素に穿孔される。設置中のダボの含水率は軟材からなるボードスタック材要素の含水率よりも低いので、水分平衡が経時的に確立される。ここで、硬材ダボは膨張又は膨潤する。等方圧が生成され、この等方圧は、ボードスタック材要素のボアホールの内壁に半径方向に向けられる。ボードスタック材要素の結合は、これのみによる。個々の硬材ダボは、好ましくはボードスタック材全体を貫通する。しかしながら、代替的に、単一の硬材ダボをより短く設計することもできる。しかしながら、ボードスタック材要素は、ダボの結果としての接触圧力に起因して、互いに対して引っ張られない。しかしながら、ボードスタック材要素は、その長さに応じて張力をかけることができ、この目的のために、その最下部に凹部が設けられ、この凹部は、ボードスタック材要素が一緒に置かれたときにケーブルなどを挿入するためのチャネルを形成する。このようなボードスタック材木材建築システムは、後述するように、木材-コンクリート複合スラブにも適している。
【0016】
1997年に公開されたカナダ特許第2 176 450(A1)号では、ビームに対して横方向に一緒に積み重ねられた多数の個々の木材構成要素からなる木材ビームが提示されている。木材ビームの両側に張られたケーブルが、これらの木材構成要素を通って延びている。この目的のために、固定具プレート又は中空箱が、ビームの最も外側の木材構成要素に適用され、ケーブルは、油圧プレスによって最終的にその上に張力をかけられる。このタイプの張力付与は、木材ビームの両側に空間が存在する場合、例えば、それ自体のコンクリートベースから距離を置いて取り付けられるブームの場合に適している。
【0017】
上述した最後の2つの文献を除いて、上述した解決策の全ては、支持手段(木材、コンクリート、金属支持手段)又は下向きに形成されたコンクリート上部スラブのコンクリートからの突出部を開示している。それによって、コンクリートと木材との間の接続が、(対応する構造の木材構成要素が支持機能を担うかどうかにかかわらず)支持手段又はコンクリートの突出部を貫通することが明らかである。これは、コンクリートと木材との接続の正確にこれらの位置においてスラブの実質的な重量集中をもたらす。したがって、このような木材-コンクリート接続は、スラブの総重量と相関する。一般に、せん断コネクタなどの木材-コンクリート接続が、1つ又は複数の支持手段及び/又はコンクリートで充填された木材構成要素のチャネル又はコンクリートの突出部に配置される場合、大きなスラブ重量負荷の問題に関して最初に説明したように、かなりの木材含有量を有し、したがってコンクリート上部スラブへの強い接続が必要とされる、大きなスパンにわたって延在する木材-コンクリート複合スラブの構築は、非常に困難であることが分かる。
【0018】
この背景に対して、本発明の目的は、最初に述べた建物のための木材-コンクリート複合スラブにおける木材のエネルギー効率の良い建築可能性を更に引き出すことである。特に、スラブは、重量の増加が少ない大きなスパンを可能にすべきである。このようにして、そのようなユニットを使用して、空間に関して、及び別個の住居、オフィス、又はユーティリティユニットを有する建物において、スパンを包括的にカバーすることも可能であるはずである。スラブの性質に起因して、木材、したがって、防火及び/又は防音要件を満たしながら、原則として可燃性であり、軽量であり、音を良好に伝導する材料で作られた層で内側の空間を閉鎖することも可能であるはずである。したがって、スラブ下端として、木材層は、内部構造に関して特徴的に作られる。更に、本発明の目的は、そのような木材-コンクリート複合スラブ及びその効率的な工業生産のための方法、並びに遮断材料を使用する木材-コンクリート複合スラブの防音設計を特定することである。更に、本発明の目的は、1つ又は複数のそのような木材-コンクリート複合スラブを有する建物を特定することである。
【0019】
この目的は、セクション[0020]~[00120]に従って、及びセクション[00121]の特許請求の範囲を参照して以下に明確に定義されるような、本発明による特徴の組み合わせによって達成される。セクション番号付けを伴う後方参照は、補助的なものとして理解されるべきである。ここで、本発明の定義に重要なことは以下の通りである。最小数の特徴で規定される装置(木材-コンクリート複合スラブ、建物)については、装置の有利な実施形態として、一部又は他の全ての装置特徴との任意の組み合わせも開示される。同様に、最小数の特徴を用いて定義される方法に関して、一部又は全ての更なる方法特徴との任意の組み合わせが、方法の有利な実施形態として開示される。同様に、全ての方法を用いて、その様々な可能な装置特徴を有する装置(木材-コンクリート複合スラブ、建物)を作成又は製造することができ、いずれの場合も方法の有利な実施形態として開示される。更に、様々な可能な装置特徴を有する装置(木材-コンクリート複合スラブ、建物)における使用を実現することができ、したがって、使用の有利な実施形態として開示される。
【発明の概要】
【0020】
本発明は、木材-コンクリート複合スラブであって、その支持構造が、コンクリートの構成要素と、それに耐せん断的に接続された木材の構成要素とを含み、スラブが、下から上に、最初に、スラブの複合材において引張荷重を受けることができる平面状に延在する木材構成要素、すなわち木材層と、それに続く遮断層と、最後にコンクリート層とを含む層構造を含み、せん断コネクタが複合スラブに設置され、少なくとも1つのせん断コネクタが木材層及びコンクリート層に同時に突出し、それによって遮断層を貫通し、スラブの層構造が、少なくとも1つの支持手段によって中断され、当該支持手段が、少なくとも木材層まで下方に延在することによって、少なくともコンクリート層及び遮断層を横断する、スラブに関する。
【0021】
有利な一実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0020]による特徴の組み合わせを含み、少なくとも1つの支持手段は、複合スラブから下方及び/又は上方に突出することによって、複合スラブから部分的に又は完全にその長さにわたって突出する。
【0022】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0020]又は[0021]のうちの1つによる特徴の組み合わせを含み、支持手段の、その長さにわたって部分的に下向きに成形された突出部は、支持手段に隣接する柱のキャピタルとして設計される。
【0023】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0020]~[0022]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、少なくとも1つの支持手段は、補強鋼及び/又は補強材として少なくとも1つの下部フランジを有する鋼形材を含む。
【0024】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0020]~[0023]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、1つ又は複数の支持手段は、それらの重量がスラブの総重量の最大10%であるように、それらの数に関して寸法決めされる。
【0025】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0020]~[0024]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、複合スラブのスパンの最大50%の拡張、拡張されたスパンの最大9mの全長の場合、スラブのスパン依存重量増加はスラブ重量の10%を超えず、スラブ厚さは、スラブ計画設計におけるより大きな柔軟性を保証するために、5~10cmだけ変化する。
【0026】
本発明はまた、少なくとも2つのスラブモジュールを有する、セクション[0020]~[0025]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する木材-コンクリート複合スラブの製造方法に関し、
a.スラブモジュールは各々層構造で形成され、その結果、下から上へ、まず、せん断コネクタがその下端でその中に固定された木材層が製造され、次に、遮断層が形成され、最後に、せん断コネクタの上端がコンクリート層に固定されるように、コンクリート層がその補強材と共に適用され、
b.スラブモジュールは、1つ又は複数の支持体上のそれらのために予め定められた位置に置かれ、
i.2つのスラブモジュールが当接し、それによって、スラブモジュールのうちの少なくとも1つの木材層上の、材料適用から一時的に除外された接触面によって下方が画定され、その遮断層及びコンクリート層によって側方が画定される中間空間を形成する、
又は
ii.支持体のうちの少なくとも1つは、両側に段を形成する下側突出部を形成する予め製造された支持部材であり、いずれの場合も、段上でスラブモジュールは支持部材上に支持され、このように支持されたスラブモジュールのコンクリート層の間で、支持部材の上方に中間空間が残される、のいずれかであり、
c.支持手段補強材が、中間空間に挿入され、隣接するコンクリート補強材に接続され、
d.中間空間がコンクリートで充填され、その硬化により、支持手段が完全に形成される。
【0027】
有利な実施形態によれば、本方法は、セクション[0026]による特徴の組み合わせを含み、各スラブモジュールについて
a0.最初に、せん断コネクタが木材層に導入されてそこに固定されることによって木材層が加工され、型枠が更なる層の構築のために木材層を包囲し、型枠が木材層上の任意の接触面を画定し、
a1.遮断層は、型枠内の木材層上に形成され、
a2.次いで、遮断層の上で、コンクリート層のための補強材が型枠内に挿入され、
a3.コンクリート層が型枠内に注入され、当該層が硬化した後、型枠が除去され、それによってスラブモジュールが形成される。
【0028】
更なる有利な実施形態によれば、本方法は、セクション[0026]又は[0027]のうちの1つによる特徴の組み合わせを含み、上部に突出する支持手段について、
d0.上部で接続し、上部で延在するコンクリート型枠が中間空間に適用され、
d1.対応して画定された空間がコンクリートで充填され、
d2.コンクリート型枠は、コンクリートが硬化した後に再び除去され、それによって上部の支持手段が完全に形成される。
【0029】
本発明は更に、木材-コンクリート複合スラブであって、その支持構造が、コンクリートの構成要素と、それに耐せん断的に接続された木材の構成要素とを含み、スラブが、下から上に、最初に、スラブの複合材において引張荷重を受けることができる平坦な木材構成要素、すなわち木材層と、それに続く遮断層と、最後にコンクリート層とを含む層構造を含み、せん断コネクタが複合スラブに設置され、その少なくとも1つのせん断コネクタが木材層及びコンクリート層に同時に延在し、そうすることで遮断層を貫通し、遮断層が、異なる密度又は比重の少なくとも2つの遮断材料を含み、高密度遮断材料が、スラブ複合材においてこの木材層上に直接配置され、引張荷重を受けることができ、又はその上に直接載置され、それによって木材層の慣性が増加し、振動減衰手段として作用することが意図される、スラブに関する。
【0030】
有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]による特徴の組み合わせを含み、スラブの層構造は、支持手段なしでスラブ上に延在するか、又は少なくとも1つの支持手段が少なくともコンクリート層及び遮断層を横断し、したがって少なくとも木材層まで下方に延在する。
【0031】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]又は[0030]の1つによる特徴の組み合わせを含み、低密度遮断材料の上部層は、高密度遮断材料の下部層の上に置かれる。
【0032】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]~[0031]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、低密度遮断材料が空気からなるようにスラブ内に空洞が形成され、コンクリート層は空洞の上の永久コンクリート型枠上に置かれる。
【0033】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]~[0032]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、低密度遮断材料の材料として空気が排除されているか、又はスラブは空気で構成された空洞を含まない。
【0034】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]~[0033]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、遮断材料の密度又は比重の差は、0.5~2t/m3である。
【0035】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]~[0034]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、高密度遮断材料の接触圧力は、1m2当たり0.7~1.4kNであり、低密度遮断材料の接触圧力は、1m2当たり0.1~0.4kNである。
【0036】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]~[0035]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、高密度遮断材料は、破砕コンクリートから作られたコンクリート粒状物、又は破砕コンクリートとメーソンリーとの混合粒状物からなり、低密度遮断材料は、軽量建築材料からなる。
【0037】
更に、本発明は、セクション[0020]~[0036]の1つ又は複数に記載の特徴の任意の組み合わせによる、木材-コンクリート複合スラブにおける木材層の振動減衰による防音としての、異なる密度又は比重の少なくとも2つの遮断材料の使用、又はセクション[0020]~[0036]の1つ又は複数に記載の特徴の任意の組み合わせによる、木材-コンクリート複合スラブにおける木材層の振動減衰による防音としての、方向依存配置又は方向依存順序での、異なる密度又は比重の少なくとも2つの遮断材料の使用に関する。
【0038】
加えて、本発明は、少なくとも2つのスラブモジュールを有する、セクション[0029]~[0036]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせによる木材-コンクリート複合スラブの製造方法に関し、
a.スラブモジュールが各々それらの層構造で形成され、それにより、下から上に、せん断コネクタがそれらの下端でそこに固定された状態で木材層が製造され、
b.次に、少なくとも2つの遮断材料を用いて遮断層が形成され、まず、木材層の慣性を増大させ、振動減衰手段として作用するように意図された高密度遮断材料を導入し、次に、この目的のために、低密度の遮断材料を配置するか、又は空洞を開いたままにし、
c.最後に、せん断コネクタの上端がコンクリート層に固定されるように、コンクリート層がその補強材と共に作り出され、少なくとも第2のスラブモジュールへの接続のために、その補強材は、その凹部においてコンクリート層から突出し、
d.完全に作成されたスラブモジュールが、1つ又は複数の支持体上のそのために予め定められた位置に置かれ、隣接するコンクリート層の補強材が摩擦接続されることによって少なくとも第2のスラブモジュールに接続され、その後、凹部がコンクリート打ちされる。
【0039】
有利な実施形態によれば、本方法は、セクション[0038]による特徴の組み合わせを含み、各スラブモジュールについて、
a0.最初に、せん断コネクタが木材層に導入されてそこに固定されることによって木材層が処理され、型枠が更なる層の構築のために木材層を包囲し、
c0.遮断層を形成した後、コンクリート層のための補強材が、遮断層の上で型枠内に挿入され、
c1.コンクリート層が型枠内に注入され、これが硬化した後、型枠が除去され、それによってスラブモジュールが形成される。
【0040】
本発明は更に、木材-コンクリート複合スラブであって、その支持構造が、コンクリートの構成要素と、それに耐せん断的に接続された木材の構成要素とを含み、スラブが、下から上に、最初に、平坦な木材構成要素、すなわち、スラブの複合材において引張荷重を受けることができる木材層を含み、次に、遮断層及び最後にコンクリート層が続くか、又は遮断層がない場合には、コンクリート層が続くか、又は直接続く層構造を含み、木材層が、少なくとも2つの当接する木材パネルを含み、これらは互いに対して往復的に張力をかけられ、一方の木材パネルが、それらが当接するときに形成される分割面において他方の木材パネルに対して垂直に押圧し、このように互いに張力がかけられた各木材パネルでは、下面は手付かずのままにして、少なくとも1つの箱形空間が木材パネルに形成され、分割面の遠い側に位置する木材パネルの凹部が2つの木材パネルにまたがる凹部通路を形成するように、材料除去によって少なくとも1つの凹部が形成され、分割面から見て、木材パネルが分割面から垂直に離れる方向にそれらの1つ又は後方の箱形空間の後方に延在する空間内に手付かずのまま残され、したがってそこに他の使用のための後方の手付かずの材料を形成し、張力付与手段が通路内に導入され、少なくとも1つの箱形空間内の各端部に固定され、それにより、木材パネルは、張力付与手段が締められる結果として互いに張力をかけられる、スラブに関する。
【0041】
有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]による特徴の組み合わせを含み、スラブの層構造は、支持手段なしでスラブ上に延在するか、又は少なくとも1つの支持手段が、遮断層が存在する場合は少なくともコンクリート層及び遮断層を横断し、その結果、少なくとも木材層まで下方に延在する。
【0042】
有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]又は[0041]による特徴の組み合わせを含み、手付かずのまま残された領域は、1つ又は後方の箱形空間のすぐ後ろに隣接し、分割面から垂直に離れる方向に延在する。
【0043】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0042]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、手付かずのまま残された領域は、分割面に位置する木材パネルの端部とは反対側の木材パネルの一端まで延在するか、又は領域は、更なる木材パネルと共に張力をかけるように配置された同じ木材パネルの箱形空間まで延在する。
【0044】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0043]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、張力付与手段は、木材パネル内の分割面の上流の位置に当接する。
【0045】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0044]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、張力付与手段は、木材パネルの分割面又は端面に直接当接しない。
【0046】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0045]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、少なくとも1つの箱形空間は、上部に向かって開くように、又は上部及び端部に向かって開くように設計される。
【0047】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0046]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、張力付与手段の固定部を収容するための少なくとも1つの箱形空間は長方形である。
【0048】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0047]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、
i.張力付与手段は、通路に緩く挿入され、分割面から見て、木材パネルの手付かずの材料に、予備の/残っている/接触していない前面に対して圧力で当接することによって張力が付与され、その中を通る中空チャネルの場合、この理由だけで手付かずではなく、又は、分割面に対して直角に作用する張力付与手段のために木材パネルの中を通る中空チャネルの場合、この理由だけで手付かずではないので、当接する木材パネルは、分割面に対して垂直に互いに対して往復的に張力が付与される、及び/又は、
ii.張力付与手段は、後方の手付かずの材料の少なくとも1つの端面が固定手段から自由なままであるように、少なくとも1つの、又は分割面から見て後方の箱形空間に固定される、のいずれかである。
【0049】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0048]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、2つの木材パネルにまたがる通路は、分割面に対して対称的に除去され、その結果、木材パネルの凹部を同一に製造することができ、及び/又は張力付与手段を側部から独立して使用することができ、及び/又は張力付与手段を側部から独立して使用して、分割面に直角に作用させることができる。
【0050】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0049]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、張力付与手段構成要素は、分割面に対して対称な配置を形成し、及び/又は張力付与手段構成要素は、分割面に対して直角に作用するように配置される。
【0051】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0050]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、張力付与手段は、
i.端部に固定されたねじ頭を有するねじ接続として、又は
ii.端部に固定され、張力付与アームによって把持される張力付与ブロックを有するレバー作動張力付与ロックとして、又は
iii.くさび接続であって、くさび接続のために、前方の手付かずの材料(その中を通る中空チャネルの場合、この理由だけで手付かずではなく、又はその中を通る、分割面に対して直角に作用する張力付与手段のための中空チャネルの場合、この理由だけで手付かずではない)が、2つの木材パネル上でそれぞれ分割面まで達し、分割面から見て近い側の木材パネルの箱形空間内の張力付与くさび及び対向くさびが、前方の手付かずの材料の後ろに配置され、対向くさび及び張力付与ブロックを有するねじ山付きロッドが、遠い側の木材パネルの対向する箱形空間内に固定され、その結果、張力付与くさびが叩き下げられるか、叩き込まれるか、又は締め付けられると、張力付与ブロックとして作用する張力をかけられたくさびとの間に位置する前方の手付かずの材料が圧力を受ける、くさび接続として、実現される。
【0052】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0051]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、凹部は各々分割面から見て、前方の手付かずの材料内の中空チャネルを介して接続された後方チャンバ及び前方チャンバを形成し、その結果、当該前方の手付かずの材料は、中空チャネルによってのみ手付かずではなく、又はその結果、当該前方の手付かずの材料は、分割面に直角に作用する張力付与手段のための中空チャネルによってのみ手付かずではなく、張力付与手段は、ねじ頭又は張力付与ブロックによって後方チャンバ内の各端部に固定され、いずれの場合も、近い側の木材パネルの前方チャンバは、当接軸の遠い側に位置する木材パネルの前方チャンバと共に上部が開いた共通チャンバを形成し、中空チャネル及び共通チャンバを介して連続ねじ接続が実現され、このねじ接続は、スリーブの固定位置回転によって、中央ナット及び当該ナットによって一緒に引っ張ることができる2つのねじ山付きパイプ部分を含む継手によって、又はニップルによってのいずれかによって、共通チャンバ内で張力をかけることができる。
【0053】
更に、本発明は、セクション[0040]~[0052]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせによる木材-コンクリート複合スラブの製造方法であって、方法では、
a.張力をかけるべき木材パネルにおいて、少なくとも1つの凹部が各々、少なくとも1つの箱形空間を形成するように材料除去によって形成され、
b.次いで、木材パネルが当接して置かれ、それらの凹部が、2つの木材パネルにわたって広がる凹部通路を形成し、
c.張力付与手段が、通路に導入され、端部において、いずれの場合も少なくとも1つの又は後方の箱形空間に固定され、
d.張力付与手段が上から張力を付与される。
【0054】
有利な実施形態によれば、本方法は、セクション[0053]による特徴の組み合わせを含み、方法では、
i.張力付与手段は、通路に緩く挿入され、予備の/残っている/手付かずの前方の手付かずの材料に引張応力を受けたときに、その中を通る中空チャネルの場合には、この理由だけで手付かずではなく、又は分割面に対して直角に作用する張力付与手段のためにその中を通る中空チャネルの場合には、この理由だけで手付かずではなく、当該張力付与手段に対して圧力を受けて、その結果当接する木材パネルが分割面に対して垂直に互いに対して往復的に張力を付与される、及び/又は
ii.張力付与手段は、後方の手付かず材料の少なくとも1つの端面が固定手段から自由なままであるように、少なくとも1つの又は後方の箱形空間内に固定される。
【0055】
更なる有利な実施形態によれば、本方法は、セクション[0053]又は[0054]の1つによる特徴を含み、
a.凹部は各々、後方チャンバ及び前方チャンバを形成し、これらは、前方の手付かずの材料内の中空チャネルを介して接続され、当該材料は、中空チャネルのみによって手付かずではなく、又は当該材料は、分割面に対して直角に作用する張力付与手段のための中空チャネルのみによって手付かずではなく、
b.いずれの場合も、近い側の木材パネルの前方チャンバは、当接軸の遠い側に位置する木材パネルの前方チャンバと共に、上部が開いた共通チャンバを形成し、
c.張力付与手段は、ねじ頭又は張力付与ブロックによって各端部において後方チャンバ内に固定され、
d.連続的なねじ接続が、中空チャネル及び共通チャンバを介して実現され、このねじ接続は、スリーブの固定位置回転によって、中央ナット及び当該ナットによって一緒に引っ張ることができる2つのねじ山付きパイプ部分を含む継手によって、又はニップルによって、共通チャンバ内で張力が付与される。
【0056】
有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0020]~[0025]、[0029]~[0036]、[0040]~[0052]のうちの1つ又は複数による特徴と、以下のセクション[0057]~[00111]に提示される特徴の1つ又は複数との任意の組み合わせを含み、すなわち、
木材層は、木材において材料除去機械加工が施されておらず、したがって、最下層部分において手付かずであり、又は、木材層は、層厚に対して最下層であるその層の部分において材料除去機械加工が施されておらず、したがって、手付かずであり、又は、木材層は、木材において材料除去機械加工が施されておらず、したがって、その層厚の最下部において手付かずのまま残され、
少なくとも1つの支持手段が補強されており、
少なくとも1つの支持手段が鉄筋コンクリート製であり、
遮断層を横切る少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、複合材の最下支持層を最上支持層に接続し、
木材層は、複合スラブにおいて引張荷重を受けることができる最下支持層として設計され、及び/又はコンクリート層は、最上支持層として設計され、
木材層とコンクリート層との間に生じるせん断力は、せん断コネクタによって少なくとも2つの異なる方向に吸収され得るか、又はせん断コネクタによって少なくとも2つの異なる方向に増加して吸収され得るか、又はせん断コネクタによって少なくとも2つの互いに垂直な異なる方向に増加して吸収され得るか、又は木材層とコンクリート層との間に生じるせん断力は、せん断コネクタによって少なくとも22つの異なる方向に、すなわちせん断コネクタが列を形成する互いに垂直な2つの方向に増加して吸収され得るか、又は木材層とコンクリート層との間に生じるせん断力は、せん断コネクタによって2つの異なる方向に、すなわちせん断コネクタが列を形成する互いに垂直な2つの方向に増加して吸収され得るか、又は木材層とコンクリート層との間に生じるせん断力は、せん断コネクタによって増加して、すなわちせん断コネクタが列を形成する互いに垂直な2つの方向に増加して吸収され得、
木材層とコンクリート層との間に生じるせん断力は、任意の方向に吸収することができ、又は木材層とコンクリート層との間に生じるせん断力は、せん断コネクタによって任意の方向に吸収することができ、
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、木材層及びコンクリート層に同時に突出し、それによって木材層の木材及びコンクリート層のコンクリートに保持され、
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、木材層の一体部分を越えてコンクリート層に至り、
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又はせん断コネクタのうちの各々、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、木材層及びコンクリート層にポジティブロック方式で、したがって遊びなく設置され、それにより、せん断コネクタが不変かつ変形不能に埋め込まれ、
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、木材層とコンクリート層との間に耐せん断接続を形成するために、せん断コネクタを変化させずに設置することができるか、又はその形状を変化させずに設置することができるような形状を有し、
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、スターラップとして設計されておらず、
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、穿孔シートではなく、
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、管として、形材として、又は押出形材として、すなわち押出法からの形材として設計され、
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、フランジを有するか又は有さない管として設計され、管は、円形若しくは楕円形の断面を有する管部分、又は多角形管の形態の管部分を有するか又は形成し、
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは一体に設計され、
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、その一方の端部が木材層内に突出し、その他方の端部がコンクリート層内に突出し、したがって木材及びコンクリート内に完全に埋め込まれ、
遮断層を貫通する少なくとも1つのせん断コネクタ又はせん断コネクタの各々、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、少なくとも1つの支持手段の外側に延在するか、又は少なくとも1つの支持手段に埋め込まれず、及び/又はコンクリートで充填された木材層のチャネルの外側に延在するか、又はコンクリートで充填された木材層のチャネルに埋め込まれず、及び/又はコンクリート層からのコンクリートの突出部、特にコンクリートの下突出部の外側に延在するか、又はコンクリート層からのコンクリートの突出部、特にコンクリートの下側突出部に埋め込まれず、
遮断層を貫通する少なくとも1つのせん断コネクタ若しくは各せん断コネクタ、又は複合スラブの各せん断コネクタは、支持手段の一部を形成しない、又は支持手段に接続されない、又は支持手段として設計されない、及び/又はコンクリートで充填された木材層のチャネルの一部を形成しない、又はそのように存在しない、又はそのように接続されない、及び/又はコンクリート層からのコンクリートの突出部、特にコンクリートの下方への突出部の一部を形成しない、又はそのように存在しない、又はそのように接続されず、
少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも75%又は少なくとも80%又は少なくとも90%の重量割合を有するせん断コネクタ、又はスラブに設置された全てのせん断コネクタが、少なくとも1つの支持手段の外側に、及び/又はコンクリートで充填された木材層のチャネルの外側に、及び/又はコンクリート層からのコンクリートの突出部の外側、特にコンクリートの下方への突出部の外側に延び、又は設置され、
木材層はチャネルなしで設計され、
木材層内及びコンクリート層内に保持されたせん断コネクタは、複合スラブ内に機械的に設置されるか、又は、木材層とコンクリート層との間のせん断接続は、木材層内及びコンクリート層内に保持された機械的に組み込まれたせん断コネクタによってのみ実現され、せん断接続は、ポジティブ接続を介しても表面結合を介しても実現されず、
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、圧入及び/又は接着によって木材層内に保持され、
端部が木材層及びコンクリート層に突出する少なくとも1つのせん断コネクタは、遮断層の遮断材料を直接貫通し、したがって全ての側部で囲まれ、遮断材料は空気から構成されず、
遮断層を貫通し、その端部が木材層及びコンクリート層に突出するせん断コネクタの各々は、遮断層の遮断材料を直接貫通し、したがって全ての側部で囲まれ、遮断材料は空気から構成されず、
遮断層は、それを通過するせん断コネクタ及び存在し得る任意の支持手段まで、及び/又はそれを除いて、同じ厚さであり、
遮断層の遮断材料は、木材層によって完全に保持され、したがって、下部型枠を必要とせず、
スラブが単軸荷重支持効果を有する場合、すなわち、スラブが一軸荷重伝達を有する場合、木材層は、荷重伝達の方向に引張荷重を受けることができ、
木材層は、スラブの最大スパンにわたって引張荷重を受けることができ、
木材層は、少なくとも1つの支持手段の全長にわたって、又は全長に沿って引張荷重を受けることができ、
木材層は、その下に延在する1つ又は複数の支持手段上に載る必要がないように構成され、
木材層は、木材層の下に延在する木材ビームとして設計された1つ又は複数の支持手段又は木材ビームとして設計された支持手段上に載る必要がないように構成され、
木材層の最下層部分は、木材層全体にわたって延在し、
最下層部分を有する木材層は、底部に向かって終端し、
木材層は、その最下層部分と共に連続した下端を形成し、
木材層は、当接する木材パネルを含むか、又はそのように形成され、
凹部は、上から見て木材パネル内に少なくとも1つの箱形空間を形成するように材料除去によって形成され、
互いに対して往復的に張力をかけられた少なくとも2つの当接する木材パネルへの張力付与により、それらは、恒久的な張力で互いに対して張力をかけられ、互いに対して所定の位置に保持されるだけではなくなり、
互いに対して往復的に張力をかけられた少なくとも2つの当接する木材パネルへの張力付与は、いずれの場合も、互いに対して張力をかけられた2つの木材パネルの分割面の両側のパネル領域にわたって実現され、パネル領域は、張力付与方向における木材パネルの長さの一部のみを含み、
木材層の最下層部分自体が、高さを有する層を形成し、
木材層の最下層部分の木材は、互いに対して張力をかけられた木材パネルの張力付与方向に対して垂直に延びる分割面の位置及び/又は分割面に沿って継ぎ目まで、継ぎ目のない連続的な設計を有し、
木材層は、その下側において、材料除去機械加工が施されておらず、したがって手付かずのまま残され、
木材層は、その下側に、係合部、切込み部、又はフライス加工部がないままであり、したがって手付かずのまま残され、
木材層を画定する下側は、手付かずのスラブ下端を形成し、
木材層は、平坦なスラブ下端として底部で終端し、
最下層部分は、上部に延在部又は高さを有し、
最下層部分の上部への延在部、又は最下層部分の高さは、少なくとも5mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも15mm、又は少なくとも20mm、又は少なくとも25mmであり、
木材層は、一列に配置された木材ビームから構成されていないか、又は木材層は、個々の木材ビームの形態の構成要素から構成されていないか、又は木材層は、個々の木材ビームの形態の構成要素を全く含まず、
木材材料からなる木材層は、直交集成板、単板積層材又は無垢木材から製造され、
木材層はボードスタック材から形成されておらず、
木材層は木材チップから形成されておらず、
スラブの層コースは、少なくとも1つの支持手段の両側で連続しており、
少なくとも1つの支持手段又はコンクリート層のコンクリートの突出部、特にコンクリートの下方への突出部は、木材層に同一平面上に隣接し、
せん断コネクタが複合スラブ内に設置され、そのうちの少なくとも1つのせん断コネクタが、木材層内及びコンクリート層内に同時に突出し、それによって遮断層を貫通し、
スラブ複合材内の木材層は、スラブの設置状態において引張荷重を受ける。
【0057】
加えて、本発明は、セクション[0020]~[0025]、[0029]~[0036]、[0040]~[0052]、[0056]~[00111]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する1つ又は複数の設置された木材-コンクリート複合スラブを含む建物に関する。
【0058】
本発明の有利な実施形態は、セクション[00112]による特徴の組み合わせを有する建物であって、住居用及び/又はオフィスビル、行政用ビル、教育施設、展示館又は市民会館、会議及びコンサートホール、図書館、博物館、貯蔵庫、ショッピングセンター、ホテル、アクアティクスセンター、スポーツスタジアム、駅、又は空港として設計されている、建物に関する。
【0059】
本発明の更なる有利な実施形態は、セクション[00112]又は[00113]のいずれかによる特徴の組み合わせを有する建物であって、25mから始まる全高を有する高層建物として設計されている、建物に関する。
【0060】
本発明の更なる有利な実施形態は、セクション[0020]~[0025]、[0029]~[0036]、[0040]~[0052]、[0056]~[00111]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する1つ又は複数の組込み木材-コンクリート複合スラブを備えた、セクション[00112]~[00114]のうちの1つ又は複数による建物に関し、スラブは、水平位置及び/又は45°までの傾斜位置若しくは60°までの傾斜位置に設置される。
【0061】
本発明の有利な実施形態はまた、セクション[0026]~[0028]、[0038]~[0039]、[0053]~[0055]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する方法に関する。
【0062】
本発明の更なる有利な実施形態は、セクション[0026]~[0028]、[0038]~[0039]、[0053]~[0055]のうちの1つ又は複数のセクションによる特徴の任意の組み合わせを有する、[0020]~[0025]、[0029]~[0036]、[0040]~[0052]、[0056]~[00111]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する木材-コンクリート複合スラブを作成するための方法に関する。
【0063】
本発明の更なる有利な実施形態は、セクション[00112]~[00115]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する建物を作成するための、セクション[0026]~[0028]、[0038]~[0039]、[0053]~[0055]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する方法に関する。
【0064】
更に、本発明の有利な実施形態は、セクション[0037]~[0020]、[0025]~[0036]、[0040]~[0052]、[0056]~[00111]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する木材-コンクリート複合スラブにおける、セクション[0029]による特徴の組み合わせを有する使用に関する。
【0065】
本発明の更なる有利な実施形態は、セクション[00112]~[00115]の1つ又は複数に記載の特徴の任意の組み合わせを有する建物に組み込まれる、セクション[0020]~[0025]、[0029]~[0036]、[0040]~[0052]、[0056]~[00111]の1つ又は複数に記載の特徴の任意の組み合わせを有する木材-コンクリート複合スラブにおいて、セクション[0037]に記載の特徴の組み合わせを有する使用に関する。
【0066】
本発明の目的は、請求項1、10又は20のいずれかに記載の特徴を有する木材-コンクリート複合スラブによっても達成される。本発明による木材-コンクリート複合スラブの有利な実施形態は、従属請求項2~6、11~16、21~30、及び34~86に記載されている。この目的は、請求項7、18、又は31のいずれかに記載の特徴を有する方法、並びに請求項8~9、19、32~33、及び91~93に記載の方法の有利な実施形態によっても達成される。更に、本発明の目的は、請求項17に記載の使用によって、又は請求項94若しくは95のいずれかに記載の使用の有利な実施形態として達成される。この目的は、請求項87に記載の建物及び請求項88~90に記載の建物の有利な実施形態によっても達成される。
【0067】
本発明による木材-コンクリート複合スラブを用いて大きなスパンをかけることができ、同時に魅力的な外観を有するので、それらは、住居用建物だけでなく、オフィスビル及び行政用ビル、特に、オープンプランオフィスデザインを有する学校及び教育施設においても、特に大きなサイズの建物、典型的に大きな面積のスラブを有するそのような建物をいくつか挙げると、例えば会議施設、展示館及び市民会館、会議及びコンサートホール、図書館、博物館、貯蔵庫、ショッピングセンター、ホテル、アクアティクスセンター、スポーツスタジアム、鉄道駅、及び空港などにおいても、非常に広く多様な用途を見出すことができる。本発明によるスラブの典型的な使用分野は、多層構造、特に高層構造に関し、これは、概して、アパート及び/又はオフィスユニットが、異なるサイズ及び様々なレイアウトでそこに収容されるためであり、スラブは、それによって実現され得るスパン寸法のおかげでこの柔軟性を提供する。従来のスラブシステムとは対照的に、本発明による木材-コンクリート複合スラブはまた、特に高層建物において、建物の支持構造及び基礎にレリーフをもたらす。防音に高い要求が課される場合であっても、本発明によるスラブ設計は、その比較的軽量な設計のために際立つことができる。このようにして、それは、持続可能な、影響の少ない建設及び生活品質に対する現代の要求を同時に満たし、したがって、都市の多層建設及び高層建設に非常に適している。適用可能な基準に従って高層建物として認定される建物の高さは、通常、その全高について約25~50メートルの間で変化する。以下において、高層建物とは、常に、約25メートルの全高から始まる建物であると理解される。言うまでもなく、本発明によるスラブは、あまり複雑でないか又はあまり要件が厳しくない建築構造物に有利に設置することもでき、その適用領域は、排他的ではないが、一般に高層建築に関する。
【0068】
図面では、本発明による木材-コンクリート複合スラブ及び1つ又は複数のそのような組込みスラブを有する建物が例示的な実施形態に基づいて示されており、それらの特色及びそれらの製造が以下の説明で詳細に記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図面は以下の通りである。
【
図1a】線形木材構成要素及びそれに沿って延びる接続要素を有する従来の木材-コンクリート複合スラブの一例を示す斜視平面図である。
【
図1b】ボードスタック材で作られた平坦な木材要素と、その溝内に延びる接続要素とを有する従来の木材-コンクリート複合スラブの一例を示す斜視図であって、部分的に切り取られて示されている。
【
図2a】スラブの内部に埋め込まれた鉄筋コンクリート支持手段を有する、本発明による木材-コンクリート複合スラブの実施形態の層構造の断面図を示す。
【
図2b】スラブの内部に埋め込まれた支持手段を有する本発明による木材-コンクリート複合スラブの実施形態の層構造の断面を示し、支持手段は鋼ビームを含む。
【
図3】2層の遮断層を有する本発明による木材-コンクリート複合スラブの更なる実施形態の層構造の断面図を示す。
【
図4a】更なる木材パネルへの張力接続のために緩く挿入された固定具を有する木材パネルの長手方向断面を示す。
【
図4b】木材パネルの引張力接続を生成する前の、2つの当接する木材パネルの長手方向断面を示す。
【
図4c】
図4bによる構成の長手方向断面を示すが、ここでは木材パネルが摩擦方式で相互に張力をかけられている。
【
図4d】緩く挿入された張力付与ロックによって相互に張力をかけられた2つの当接する木材パネルの長手方向断面図を示す。
【
図4e】ねじ山付きロッド及びその上に延在するスリーブを有するテンションスピンドルを示す。
【
図4f】木材パネルの分割面に対して当接軸の方向から見た、張力付与手段接続のための異なる形状の切り込み又はフライス加工部分を有する、木材パネルの予備の/残っている/接触していない前方の手付かずの材料の断面図を示す。
【
図4g】木材パネルにねじ込まれた張力付与クロージャによって互いに対して張力をかけられた2つの当接する木材パネルの長手方向断面を示す。
【
図4h】横方向に固定された張力付与ブロックを有する木材パネルの凹部の断面図を示す。
【
図4i】くさび張力付与によって互いに対して張力をかけられた2つの当接する木材パネルの長手方向断面を示す。
【
図4j】U字型の切り込み又はフライス加工された部分を有する張力付与くさびを示しており、それによって、張力付与くさびは、ねじ山付きロッド上を滑ることができる。
【
図4k】木材パネルの分割面に沿って対称である張力付与配置において互いに対して張力をかけられた2つの当接する木材パネルの長手方向断面を示す。
【
図5a】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5b】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5c】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5d】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5e】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5f】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5g】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5h】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5i】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5j】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5k】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5l】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5m】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図6】有利に配置された内部支持手段を有する、例示的なスラブ計画に基づく本発明による木材-コンクリート複合スラブの概略的な支持構造概念を示す。
【
図7】内部支持手段を備えた本発明による木材-コンクリート複合スラブの断面図であり、上部及び下部でスラブに隣接し、図面平面の背後に延在する柱を示す。
【
図8】支持手段を備えた本発明による木材-コンクリート複合スラブの断面図であり、支持手段はスラブの内部に埋め込まれ、上方に突出し、その突出部は中空スラブに一体化され、上部及び底部でスラブに隣接し、図面平面の背後に延在する柱を示す。
【
図9】支持手段を備えた本発明による木材-コンクリート複合スラブの断面図であり、支持手段はスラブの内部に埋め込まれ、底部で突出し、上部及び底部でスラブに隣接し、図面平面の背後に延在する柱を示す。
【
図10a】
図9に類似した断面を示し、内部支持手段の突出部は、キャピタルのアームとして設計されており、このアームは、シート平面に対して垂直に下側コラムから両側に延びており、コラムに向かって下方への傾斜は、ここで見ることができる側に補助破線で示されている。
【
図10b】
図10aの切断線A-Aによる支持構造の断面を示し、その長さに従って図面平面の背後に延在するキャピタルの図を示し、
図10aに見られるように、上部で接続する支持手段の対応する関連部分は、シート平面内に延在するスラブの層複合材によって覆われ、スラブは、シート平面に垂直に両側で上部柱から離れて延在する2つの更なる内部案内支持手段を含み、そのうちの1つの支持手段が断面で見られる。
【
図11】本発明による少なくとも1つ、典型的には複数の組込み木材-コンクリート複合スラブを有する建物のスラブ平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本開示のために、いくつかの用語を以下に定義する。
・木材-コンクリート複合スラブ:その支持構造が、コンクリートの構成要素(コンクリート要素)と、それに対して耐せん断的に接続された木材の構成要素(木材要素)とを含むスラブ。
・木材-コンクリート複合スラブにおけるせん断接続:木材支持要素からのコンクリート支持要素のせん断に対して十分な抵抗を提供する耐せん断接続。
・層:均一な塊(すなわち、他のタイプの塊によって浸透されないか、又は層の拡張を介して起こる材料変化によって影響を受ける塊)であって、平面拡張において、他のものの上、下、又は間の特定の高さ内にあり、したがって平面拡張に沿った高さを有する。
・木材-コンクリート複合スラブの木材層:製材形態の木材とは対照的に、当該スラブの複合材において平面配向で延在する木材の層/平坦な木材要素/木材。
・支持要素:これらは、その形状に加えて、バータイプ及び表面支持構造、又は柱、ビーム、若しくはブラケット(バータイプ支持構造)、並びにシート、パネル、及びシェル(表面支持構造)における荷重伝達のタイプによって区別される。
・ロッド:一次元、すなわち線形の要素は、幅(b)及び高さ(h)の断面寸法が長さ(l)と比較して小さいロッドである。一般に、以下が境界範囲として適用される:l≧2b及びl≧2h。
・柱:主にその軸に負荷されたロッド。
・ビーム:主に軸に対して垂直に、すなわち曲げによって応力が加えられたロッド。
・スラブ支持手段:スラブ荷重を受け入れ、それを他の構成要素に方向転換するビーム。
・支持層:支持構造体の層として設計された構成要素。
【0071】
最初に、線形木材構成要素を有する従来の木材-コンクリート複合スラブの切り抜きが、
図1aを参照して記載及び説明される。図示の例では、下から上に向かって、まず、建物の内部に目に見えるように突出し、互いに離間して配置された木材ビーム5、次に永久コンクリート型枠2、最後にコンクリート層4がある。多数の木材-コンクリート接続要素6は、この場合、木材ビーム5に沿って斜めの角度で規則的に配置され、対で交差するねじ6の形態であり、複合材を貫通する。型枠2は同時に、木材支持構造とその上に形成されたコンクリート層4との間の分割面をマークし、その中にねじ6の上部が鋳込まれ、木材ビーム5への耐せん断接続を生成する。引張応力を吸収し、コンクリート内の亀裂を最小限に抑えるために、最小限の補強材(
図1aでは見えない)がコンクリート層4に流し込まれる。木材ビーム5は主に引張応力を受けるが、コンクリート層4のコンクリートは主に圧縮を受ける。
【0072】
図1bは、従来の木材-コンクリート複合スラブの代替的な実施形態、すなわち、平坦な木材-コンクリート複合スラブの切り抜きを示す。木材支持構造体は、平坦な木材要素又は木材層1として設計され、ほとんどの場合、直交集成板、接着積層木材、単板積層材、又は無垢木材などの木材材料から作られる。ここに示された例では、木材層1は、ボード層から形成され、ボード層は、垂直に次々に配置され、互いの上に縁状に積み重ねられ、ボードスタック材要素でもある。これらの要素を接着剤なしで接合するために、キルン乾燥された硬材ダボが、要素の表面に対して垂直に要素内に設置され、精密嵌合ボアホールがそれぞれ隣接する要素内に導入される。外側乾燥ダボがそれぞれ隣接するボードスタック材要素のボアホール内に挿入された後、木材ダボが水分で富化されると、これらは膨張し、したがってボアホール内で圧縮される。このようにして形成された木材層1には、互いに離間した溝又はチャネル7が形成される。ここではダボ又はねじの形態の接続要素6が、スラブ表面に対して垂直なせん断コネクタとしてその中に導入される。コンクリート層4が形成された後、コンクリートで充填されたチャネル7は、その接続要素6と共に、せん断継手として作用する。また、木材-コンクリート複合スラブのこの実施形態では、引張応力を吸収し、亀裂を回避するために、最小限の補強材がコンクリート層4に挿入される。このような従来の平坦な木材-コンクリート複合スラブは、スラブスパンが小さく保護仕様が低い一戸建ての建物又は他の建物において十分に実現することができる。スラブ構造が大きくなればなるほど、また、建物の保護仕様が高くなればなるほど、それらを使用する価値は低くなる。
【0073】
従来の木材-コンクリート複合スラブを、複数団体の建物、高層建物、又は他の大型の建物において好都合に使用できるようにするために、特に、大きな/長いスパンが実現される場合に、それらの耐荷重能力に対するより大きな要件が設定される。最初に説明したように、スラブの設計厚さ、すなわちスラブの高さは、スラブがより曲げ剛性になるように、より顕著でなければならない。
図1bに示されるような従来のスラブ構造の場合、これは、耐荷重複合層がより高く、又はより厚くなるように設計されなければならないことを意味し、これはスラブをより堅固にし、より重くする。スラブ複合パートナー(木材、コンクリート、せん断接着、及び二次加工を含む)によるコスト配分では、約60%のみ、又は原料価格が高い段階では、木材の割合に関して更に多くを省くことができる。より厚い木材層1は、スラブを実質的により高価にする。その代わりに、主にコンクリート層4がより厚くされるか、又はコンクリート層4のみがより厚くされる場合、木材パートナーは、比較的薄い層として、もはや、実際に意図された複合材に寄与することができなくなる。複合材中のコンクリート木材比は悪化する。次いで、スラブ内の比較的高価な木材層1の有用な価値について疑問が生じ、必要とされるコンクリートの量を考慮すると、完全にコンクリートで作ることもできる。しかしながら、古典的なコンクリートスラブが設置されている場合、木材層1を除去すると、固有重量が著しく高くなる。比較のために、鉄筋コンクリートは、約2.5t/m
3の密度を有するが、木材及び木材材料の密度は、したがって、3~10分の1である(例えば、トウヒ材:0.35t/m
3)。その結果、スラブのスパンの増加又は延長は、実質的により多くの材料を使用してのみ実現することができ、これは、全体として、特にコンクリートの使用量が多い場合に重要であることが分かった。平坦な木材-コンクリート複合スラブの複合層の比例増加の場合、スパンの50%延長、例えば6mから9mへの延長は、スパンに応じて約50%から70%であるスラブの重量の増加を伴う。以下に説明する本発明による木材-コンクリート複合スラブの実施形態では、スパンに応じて10%以下の重量増加で、例えば6mから9mへのスパンの50%延長を実現することができる。スラブ厚さは約5~10cmしか変化しない。典型的には、約6mから9mへのスラブスパンの1.5倍増加に対するスパン依存重量増加は、約5~7cmのスラブ厚さの変動でスラブ重量のわずか約5~7%である。これは、木材-コンクリート複合スラブについてこれまで知られていなかったスラブ計画設計における柔軟性を可能にする。
【0074】
図2aは、平坦な木材要素を有する本発明による木材-コンクリート複合スラブの実施形態の層構造の断面を示す。この実施形態では、それは、特別な特徴として、スラブの空間的広がり内に囲まれ、したがって、以下で「内部支持手段」と呼ばれる線形支持手段を有する。この場合、それは、少なくともコンクリート層4及び遮断層3を貫通し、したがって、複合層3、4が、その支持手段8の各側方フランク16に空間的に隣接するように、すなわち、
図2aのシート平面に垂直なその長さに延在する両側でそれに隣接するように、スラブの層構造3、4を中断する。本実施形態では、鉄筋コンクリート製の内部支持手段8の高さHは280mmであり、その幅Wは600mmである。支持手段8のこの寸法は、ここでは単に例示的な寸法として理解されるべきである。それらは、建物特有の要件に従って選択されるが、典型的には、支持手段8の幅については300mm~700mmの範囲内にあり、その高さについては150mm~350mmの範囲内にある。支持手段8は、コンクリート層4に同一平面上に隣接し、平坦な木材要素、すなわち木材層1まで下方に延在する。スラブから突出する内部支持手段8の変形例では、後述するように、その高さは通常400~700mmである。要件に応じて、スラブ内の支持手段8は、異なる寸法のものと組み合わされるか、又は突出部を有するものと有さないものと組み合わされる。上述したように、ここで提示される内部支持手段8は、木材層1まで下方に延在し、木材層1と摩擦接続される。この場合、木材構造ねじの形態の接続要素6が木材層1に導入される。これらは、ここでは木材層1に直角にねじ込まれており、したがって、可能な限り空間を節約するように支持手段8内に配置されている。したがって、それらは斜めにねじ込むこともできる。木材層1から突出する接続要素又は木材構造ねじ6の上部は、内部支持手段8のコンクリートに鋳込まれ、それによって、支持手段8のコンクリートと木材層1との間に密接な接続が形成される。他の木材-コンクリート接合手段6、例えばプラグ金属又は複合ダボを手で機械的に導入又は接着することもでき、あるいは内部支持手段8を木材層1に平面的に接着することもできる。木材サブスラブ1に対して、それに摩擦接続された内部支持手段8は、いわばコーティングとして作用する。
【0075】
木材ベースの材料、例えば直交集成板(CLT)、特に単板積層材(LVL)の使用は、木材層1にとって有利であることが判明している。積層体層の繊維平行配置と比較して、横方向に配置された部分を有する積層体は、基本的に、積層体の方向独立性を高め、その結果、積層体全体の剛性及び強度を高める。時には、これは木材層1の細長い設計を可能にする。このような直交集成された木材系材料のガラス又は炭素繊維強化変種も、曲げ剛性木材層1に適している。好ましくは、ドイツ語の専門用語で「バウブッハ」と呼ばれるブナ材LVLが使用される。非常に高い強度及び剛性のおかげで、バウブッハは、軟材材料と比較して実質的により薄い構成要素に加工することができる。スラブの典型的な実施形態では、木材層1は、60mmの厚さを形成し、したがって、従来技術による比較可能な平坦な木材-コンクリート複合スラブの約半分の厚さのサブスラブを形成する。
【0076】
遮断層3は、木材層1とコンクリート層4との間の中間空間に収容されている。本発明の有利な変形実施形態では、遮断層3は、異なる密度又は異なる比重の遮断材料で作られた複数の層で設計され、最大密度の層が木材層1の下に位置する。これについては後述する。上部コンクリートスラブと木材サブスラブ1との間隔の結果として、大きな曲げ剛性を与える静的高さが作り出される。本実施例では、この間隔又は中間空間の高さは170mmであり、スラブの他の実施形態では、通常、100~250mmの高さ、好ましくは120mm~190mmであるように設計される。木材層1とコンクリート層4との間に、この実施形態では鋼管の形態のせん断コネクタ9が垂直に設置されている。耐荷重性コンクリート層1及び木材層4は、この鋼管継手の格子によって、耐せん断的に互いに接続される。信頼できるスペーサとしてせん断力を吸収するか、又は複合層1、4間のせん断運動を効果的に防止する限り、4チャネル又はマルチチャネル管又は圧延形材もこの目的のために使用することができる。スラブの設計に応じて、上述したせん断コネクタ9の寸法は、通常、長さ/高さが200mm~350mmであり、直径又は対角線が50mm~150mmである。せん断コネクタ9は、上部でコンクリート層4内に突出しており、コンクリート層4内にせん断コネクタ9がコンクリート打ちされている。それらは底部で木材層1内に突出している。この目的のために、せん断コネクタ9は各々、木材層1の凹部30に直接挿入され、接着され、又は埋め込まれる。代替的に、それらは、例えば、それらを鋼ホルダに溶接することによって間接的に挿入することもでき、次いで、鋼ホルダは、木材層1の凹部30に接着されるか又は埋め込まれる。モルタルや接着剤を使用しないので環境に優しい変形例では、端部側の雄ねじを有する鋼管9をねじ込むために、使用される鋼管9ごとに木材層1に雌ねじがフライス加工される。スラブスパン及びそのペイロードに応じて、通常、1m2当たり3本から6本の間の鋼管が、せん断流に対応して分散して設置される。
【0077】
頂部に向かって、スラブは、コンクリート層4の鉄筋コンクリート上部スラブ及び内部支持手段8の上部で終端する。コンクリート層4の補強材15は、接続補強材12を介してベルバットジョイント14によって内部支持手段8の領域内に延在する。接続補強材12には、ここでは曲げ補強ロッドが用いられている。典型的な支持手段補強材42としての内部支持手段8における引張補強材10及び圧力補強材11、並びにスターラップ補強材13も概略的に示されている。衝撃音遮断体22が下に敷かれたスクリード/サブスラブ23は、通常、コンクリート上部スラブを覆う。任意選択で、スクリード23の上部にスラブカバーが続く。このようにして構成されたスラブは、その上のスラブカバーを含めて、350mm~450mmの全厚で実現することができる。このようにして、それは、コンクリート層及び木材層の両方が実質的により強く/より厚くなるように設計されなければならない同じ耐荷重能力の従来の平坦な木材-コンクリート複合スラブよりも細い/薄い設計を有する。多層構造、特に高層構造の場合、これは建物の利用に決定的な影響を及ぼす。例えば80メートルの所定の建物高さにおいて、本発明によるスラブは、従来の木材-コンクリート複合スラブよりも1~2階多い階を容易に達成することができる。
【0078】
図2bは、内部支持手段8の代替実施形態を有する本発明による木材-コンクリート複合スラブの層構造の断面を示す。この場合、当該支持手段は、変更されたH形断面形状の鋼ビーム20を備えて設計され、
図2bのシート平面に垂直な両側でその長さにわたって延在する。下側フランジ21bと比較して、形材20の上側フランジ21aは、意図的に短い翼を有しており、その結果、支持手段8の組み立て中に木材構造ねじ6を現場で木材層1にねじ込むことができ、この目的のためのアクセスは開放されている。他の輪郭形状、例えば、逆T字形ビーム、L字形ビーム等も可能であり、これらは、フランジ21bで木材層1上に支持され、そこにねじ留め又は接着することができる。しかしながら、追加の上部フランジ21aによって、より高い剛性を達成することができる。接着された鋼ビーム20の場合には、対称H形材のような交差軸対称形状も設置することができる。図示の実施形態では、内部支持手段8は、補強材として、
図2bに接続補強材12と共に示されている従来の補強鋼と、他方では鋼形材ビーム20とを含む。鋼ビーム20の周囲の空間には遮断材料が充填されている。接続補強材12を有する内部支持手段8の上部は、現場打ちコンクリートで鋳造され、その結果、連続コンクリート上部スラブが形成される。明らかに、この実施形態では、内部支持手段8はまた、スラブのコンクリート層4及び遮断層3に、各側方フランク16、側方鋼形材表面、及び側方コンクリート表面で隣接し、したがって、その層構造3、4を中断する。上記の説明は、この支持手段8の幅W及び高さHの好ましい寸法に当てはまる。もちろん、内部補強コンクリートと鋼形材支持手段8との組み合わせをスラブの層複合材に組み込むこともできる。
【0079】
スラブ内に埋め込まれ、その層構造を中断する支持手段8の概念は、空間最適化され、同時に非常に効率的な曲げ補強を提供する。スラブが静的に増大する中間空間の可能な限り最良の使用の下で、スラブは、最小の重量入力で曲げ剛性化される。中間空間に負荷をかける遮断材料は比較的軽量であるが、必要に応じて、1つ又は複数の内部支持手段8が、補強材が最も効果的に作用する位置で使用される。内部支持手段8は、従来の支持手段の配置のために考慮されなければならないであろう空間的な構造上の特殊性にかかわらず、いわば非常に効果的な「補強リブ」としてスラブを通って延びている。非常に狙いを定めた補強のおかげで、鋼及びコンクリートの使用を比較的少なくして、スラブの剛性及び耐荷重能力を決定的に高めることができる。内部支持手段8に割り当てられる、本発明による最適化された木材-コンクリート複合スラブの重量割合は、スラブ重量のわずか約10%以下である。比較可能なコンクリートスラブと比較した重量削減は、本発明によるスラブでは約30%であり、これはかなりのものである。本発明による木材-コンクリート複合スラブの全長9mへのスパンの50%延長は、スラブの重量の増加が10%以下、又は5~7%であっても、容易に実現することができる。
【0080】
このスラブ構造では、従来技術による平坦な木材-コンクリート複合スラブと比較して、比較的実質的に低い固有重量でより大きなスパン寸法を達成することができるので、層間範囲までの拡大した面積被覆率のスラブ概念化の可能性を開く。具体的には、そのようなスラブ計画の場合、スラブ計画の幾何学的形状を恒久的に固定する空間(主に耐荷重壁)を通って延在する耐荷重構成要素を省くことが可能である。したがって、本発明によるスラブシステムは、ますます高速に変化する使用ニーズを考慮して、建物のための大きな再利用の可能性を提供する。経済的効率とは別に、大量の改造なしに経時的に多くの方法で使用され得る場合、これは建物の持続可能性バランスに対して非常にプラスの効果を有する。
【0081】
言うまでもなく、このスラブシステムによって提供される利点は、大型建物において更に重要になりつつある。しかしながら、特に、異なる建物部分及び/又は多数の別個の使用ユニットを有する大きな建物において、典型的には住宅又はオフィス目的のために、静的な問題とは別に、平坦な木材要素を有するそのようなユニットにまたがる木材-コンクリート複合スラブを設置する別の理由がある。これは、建物の非工業的使用のために高い要求が課される防音保護のためである。原則として、アパートの基準が高ければ高いほど、防音要件も高くなる。
【0082】
その結果、振動を励起し音を伝達するために、軽量の構成要素は重い構成要素よりも優れている。室内に露出された軽量木材層1を有する平坦な木材-コンクリート複合スラブは、音を良好に伝搬し、したがって、困難な開始位置を有する。したがって、従来の木材-コンクリート複合スラブでは、コンクリート層4は、実際に静的に必要とされるよりも厚く作られることが多い。本発明によるスラブに関して、防音は更に大きな課題を意味する。なぜなら、スラブは、更に低い重量で同じ静的目的を達成し、比較的軽量の木材層1もコンクリート層4から依然として距離を置いており、したがってある程度独立的に振動することができるからである。
【0083】
本発明によるスラブの一実施形態では、この問題は、中間層3が異なる遮断材料を有する少なくとも2つの層、すなわち多層で充填されることによって対処される。この目的のために、遮断層3は、比較的重い又は高密度の遮断材料を有する下部層3aを有する。このようにして、木材層1に負荷をかけ、したがって振動に十分に反応しないようにするために、追加の質量を集中的に木材層1の上及び上方に導入することができる。中間層の残りの空間は、軽量又は低密度の遮断材料で充填される。これらの遮断材料の量比は、それぞれの防音規則に適合させることができ、したがって、高級住宅建築標準及び一戸建て住宅において典型的であるような非常に高い要件も満たすことができる。このようにして、様々な空間及び用途のカテゴリに対して包括的かつ使用可能なスラブを達成することができるが、従来の木材-コンクリート複合スラブは、音の伝達を抑制するために、アパート若しくはオフィスユニットの仕切り壁、又は他の用途若しくは建築部品の他の別個のユニットを突破しなければならない。
【0084】
したがって、本発明によるスラブの好ましい変形形態では、比較的密度の高い又は重い遮断材料が、より密度の低い又は軽い遮断材料と協働するように提供される。この目的のために、中間空間によってコンクリート上部スラブから離間された木材層1は、振動に対するスラブの感受性を低下させることを特に課される。
【0085】
図3は、本発明による木材-コンクリート複合スラブの実施形態を、その層構造の断面で示す。下から上に向かって、最初に木材層1が見られ、次に比較的密な/重い遮断材料で作られた遮断層3aがその上に直接載せられる。これにより、木材層1に集中的に荷重をかけることができる。好ましい実施形態では、そのような密度又は比重の遮断材料は、下部遮断層3aについて、特に音に関連するスラブ又は木材層の荷重のために中間空間の最大でも半分の割合のみ、有利には中間空間の半分未満、例えば、ここでは
図3から分かるように、ほんのわずかしか占めないように選択される。低密度又は軽量の遮断材料の遮断層3bが、下部遮断層3aの上に続き、最終的にコンクリート層4によって覆われる。3つ以上の層の場合、主に木材層1に荷重がかかるため、下から上に向かって重量が減少するように配置される。3つ以上の層の場合、それらの遮断材料の密度又は比重は、木材層1の方向に増加する。これは、木材層1を十分に耐振動性にするために、木材層1の目標とする荷重をもたらすことを意図している。このようにして、より高い防音要件は、最終的に、中間空間内の区別されない重量入力の場合よりも比較的軽いスラブの総重量で満たすことができる。
【0086】
バルク材料は、遮断材料として非常に適している。例えば、破砕コンクリートからなるコンクリート粒状物、又は破砕コンクリートとメーソンリーとの混合粒状物が、底部層3aに推奨される。このような粒状物は、リサイクルされた建築材料から100%製造することができ、そのため、リサイクルコンクリート粒状物又はリサイクル混合粒状物と呼ばれる。充填物又はリーンコンクリート(好ましくは、粒状物から作られる)も、木材層1の防音特有の荷重のための遮断材料として考慮される。上部遮断層3bの遮断材料としては、例えば純粋な廃ガラスから製造される発泡ガラス砂利などのバルク材料の形態の軽量建築材料が適していることが判明している。リサイクルされた建築材料は、せいぜい無視できる程度までしか建物の環境に影響を与えないため、このような遮断材料が非常に好ましい。
【0087】
更に、少なくとも2層の遮断層3の最上層3aのための一般的に最も軽い遮断材料として、空気を好都合に使用することもできる。こうして形成された空洞3bの上に載るコンクリート層4は、次に、永久コンクリート型枠2上の底部で支持されなければならない。
【0088】
有利には、少なくとも2層の遮断層3の遮断材料は、非常に異なる材料密度を有する。これにより、木材層1は、より一層濃縮され、したがってより標的化されるように充填されるが、残りの中間空間は特に重要ではない。木材の上側に適用される再生コンクリート粒状物から作られる比較的重い遮断層[密度:約1.3~2.0t/m3]と、この上にある発泡ガラス砂利から作られる著しく軽い遮断層[密度:約0.2~0.3t/m3]とを選択すると、本発明によるスラブは、防音要件を満たしながら、スラブ面積単位当たりの固有重量を著しく節約する。2つの選択された遮断材料の密度又は比重の差は、好ましくは約0.5~2t/m3である。次に、遮断体の層3a、3bは、対応する空間比で中間空間3に導入され、重い層3aは底部にある。スラブ面積1m2当たり約0.7~1.4kNの重い遮断材料の接触圧力があり、スラブ面積1m2当たり約0.1~0.4kNの軽い遮断材料の接触圧力がある場合、空間ユニット及び階の音響分離について非常に良好な値が得られる。特定の状況に応じて、重い遮断材料のスラブ面積1m2当たり約0.9kNの接触圧力、及び軽い遮断材のスラブ面積1m2当たり約0.25kNの接触圧力が、良好なスラブ重量/音響比を提供する。いずれにしても、多層遮断層3によって充填された空間は、スラブの重量バランスに影響を及ぼし、スラブは、最小限の重量増加でスパンの増加という課題を依然として満たし、それによって高い遮音値を達成する。その防音に特化した荷重によって、それは、防音質量のためのそれぞれの仕様を個別に満たすことができる。
【0089】
図3に示されるように、1つ又は複数の衝撃音遮断パネル22、サブスラブ23、及び適用可能であればスラブ被覆が、典型的には、コンクリート上部スラブ上の最終段階において上部に続く。ここに示された切り抜きは、内部支持手段8を有していない。前述の
図2a及び
図2bに示したように、このような1つ又は複数の支持手段8を、遮断体に隣接する隆起部分に同様に収容することができることは言うまでもない。次いで、遮断層3は、有利には、後で説明するように、遮断層3内の接続に関連する中断部を除いて、1つ又は複数の任意の内部支持手段8によってのみ構造的に中断される。音響分離がこれを提供する場合、多層遮断層3a、3bによるこのタイプのスラブ荷重が使用される。いずれの場合でも、本発明によるスラブは、内部支持手段構成なしで、少なくとも2層の遮断層3を有する音響的に最適化された変形形態で対処することもできる。この場合、遮断層3a、3bは、支持構造によって中断されることなく、複合スラブの全スパン寸法にわたって延在する。本発明によるスラブのこのような実施形態は、スラブの十分な曲げ剛性が、耐せん断的に固定されたコンクリート層4からの木材層1の間隔によってのみ保証される場合に使用することができる。少なくとも2層の遮断層3を有するこのようなスラブの製造については後述する。
【0090】
木材-コンクリート複合スラブの剛性及び耐荷重能力を増加させるための更なる鍵は、平坦な木材要素1を形成するように組み合わされる木材パネルの接続にある。コンクリート上部スラブは、その補強材15と共に、常に2軸支持のために設計されているが、木材層1は、少なくとも従来技術によれば、全体としてスラブを一方向にのみ支持する。確かに、木材-コンクリート複合スラブに使用される木材ベースの材料は、通常、横方向に積層される。したがって、このような寸法で積層された木材材料で作られた木材パネルは、2つの軸上で荷重を支えることができる。しかしながら、実際には、典型的なスパンを有するスラブの木材層1は、通常、単一の連続的に化粧張りされたパネルとして製造することができない。むしろ、この木材層1は、複数の木材パネルから構成され、各スラブ要素は、簡略化のために、単一のベニヤ木材パネルと、その上に配置されたコンクリート上部スラブ4又は複合層3、4とからなる。しかしながら、複数の連続するスラブ要素木材パネルによって形成された大面積木材層1が、2つの軸上で連続的に荷重に耐えることができるように、個々の木材パネルの引張力接続が必要とされる。したがって、一実施形態では、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、2つの軸上で荷重を支える木材パネルの密接な張力を提供する。全体として、スラブの非常に高い耐荷重能力は、特に接続要素又は張力付与手段の重量が無視できるので、追加の重量なしに達成することができる。
【0091】
木材-コンクリート複合スラブの好ましい実施形態において、後者は、少なくとも2つの当接する木材パネルを含み、それらは、以下に提示される接続システムを用いて引張力によって互いに対して張力をかけられる。この目的のために、少なくとも1つの凹部24は、いずれの場合も、第1に、張力付与手段26a、26b、26cを収容するための少なくとも1つの箱形空間を形成し、第2に、これらの凹部24が、パネルの当接位置において、連続的な凹部25又は木材パネルを横断する通路を形成するように、木材パネルの下側をそのまま残して、木材パネルに切削又はフライス加工される。最後方の箱形空間24の後方では、木材パネルは、いずれの場合も手付かずであり、すなわち、この目的のために穿孔、ねじ留めなどが行われておらず、そこで別の方法で使用することができる後方の手付かずの材料29を形成する。これにより、木材層1内に好ましい空間条件が形成される。主にせん断接続手段6の取付け中に、木材層1の溝又はチャネル7に導入される鋼管、接着剤、又は他の木材-コンクリート接続要素6のいずれであっても、この目的のために可能な限り包括的に手付かずの状態で木材層1を使用できることが有利であることが分かる。木材パネルの後方の手付かずの材料29の端面28bは、張力付与手段26a、26b、26cのための固定のいずれの場合でも、例えば接着剤によっても、自由なままとすることができる。接続システムの張力付与手段26a、26b、26cは、当接層の凹部24によって形成された通路に挿入され、取り付けられる。張力付与手段26a、26b、26cは、いずれの場合も、木材パネルの最後方の箱形空間24、24a内の端部で固定され、その結果、張力付与手段26a、26b、26cが引張応力を受けると、そこに固定された木材パネルが互いに引っ張られ、したがって一緒に張力が付与される。このようにして一緒にプレスされた少なくとも2つの木材パネルから形成された接続部を通して引張力を効果的に伝えることができる。これにより、連続した平坦な木材要素1に接続された木材パネルの2軸耐荷重能力が得られる。複数のそのような凹部24は、典型的には、木材パネルの当接軸に沿って規則的な間隔で配置される。
【0092】
木材パネルは、有利には、同一の寸法及び配置の凹部24を有する。次に、同じ位置に同じ凹部24を有する木材パネルを予め製造することができ、その結果、接続部が形成されるとき、一般に特定の側に注意を払う必要がない。したがって、各予め製造された木材パネルは、当接軸の近い側又は遠い側に配置することができる。また、凹部24は、後述するように、複数の小さな箱形空間24a、24cとそれらの連続した接続部24bとから形成することもできる。接続システムの好ましい変形例では、張力付与手段26a、26b、26cは、凹部24内に緩く挿入されるだけでよい。張力付与のために、張力付与手段26a、26b、26cは、木材との係合によって木材パネルにねじ留め、ダボ留め、接着、又は他の方法で固定される必要がない。むしろ、木材パネルは、張力付与のために必要とされる凹部24を除いて、手付かずのままとすることができる。したがって、この変形例は、迅速に実現するのに特に簡単であり、特に設置するのが極めて容易である。張力付与手段26a、26b、26cを取り付ける際に不具合が生じた場合、木材は不可逆的に損傷を受けることがない。更なる好ましい実施形態では、張力付与手段の構成要素26a、26b、26cは、対称配置を形成するように互いに接合され、これは、接続システムを更に簡略化する。
【0093】
しかしながら、当接層における木材パネルのポジティブロックが詳細にどのように形成されるかは重要ではない。さねはぎ設計では、木材パネルの端面は、有利には、鋭角から鈍角まで先細になるさねを備え、他方の木材パネルの端面は、対応して深さが狭くなる溝を備え、その結果、木材パネルは、互いに対して良好に押されることができ、次いで、正確に嵌合する様式で互いに位置合わせされる。そうでなければ、張力をかけるべき木材パネルの端面を平坦に設計し、バットジョイントを形成するように互いに接合することもできる。ここで提示される接続システムの実施形態の全ては、遮断層3を有するか又は有さない平坦な木材要素1を有する木材-コンクリート複合スラブ上で、したがって従来技術による木材-コンクリート複合スラブ上でも達成することができる。
【0094】
図4a~
図4cによる木材パネルの長手方向断面に基づいて、対称張力調整装置を有する特定の実施形態を説明する。最初に、既に挿入された固定具を有する単一の木材パネルが
図4aに示されている。木材パネルは特別な凹部24を有する。それは、後方及び前方の箱形空間又はチャンバ24a、24cと、これらのチャンバ24a、24cを接続する中空チャネル24bとからなる。最後方チャンバ24aの後ろでは、木材パネルは手付かずであり、後方の手付かずの材料29と呼ばれ、中空チャネル24bは、この中空チャネル24bを除いて手付かずである前方の手付かず材料27内に延びる。両チャンバ24a、24cは上方に向かって開口しており、前方チャンバ24cは付加的に端面で開口している。このようにして、固定部を簡便に設置することができる。ねじ頭26aは、後方チャンバ24a内に緩く挿入され、中空チャネル24bを通って後方チャンバ24a内に案内されたねじ山付きロッド26bにねじ込まれる。この寸法により、ねじ頭26aは中空チャネル24b内に嵌合しない。したがって、それは、最大でも前方の手付かずの材料27の後端面28aまで移動させることができ、それに当接し、それによって張力付与ブロック26aとして作用する。
【0095】
図4bにおいて、2つのそのような木材パネルは、破線の分離線によって示されるように、ポジティブロック方式で一緒に押し込まれる。当接軸は、シート平面内に延びる。前方チャンバ24cは、端面で開口しているので、当接位置において上方に向かって開口する共通チャンバ25を形成する。最後に、全てのチャンバ24a、24cは、パネルにまたがるように又は連続的にこの共通チャンバ25によって接続される。張力付与手段(図示の例ではスリーブ26c)は、共通チャンバ25内に緩く挿入される。ねじ頭26aは後方チャンバ24a内に遊びを有するので、中空チャネル24bから出るねじ山付きロッド26bをスリーブ26c内にねじ込むために、共通チャンバ25内の前方に空間が形成されるように、ねじ頭26aを後方に十分に押すことができる。2つのねじ山付きロッド26bのねじ山は、設計によって反対である。したがって、ねじ込まれるスリーブ26cは、反時計回りの雌ねじを有し、その反対側に時計回りの雌ねじを有する。次に、スリーブ26cが固定位置で回転されると、これは、ねじ頭26aが後方チャンバ24a内の前方の手付かずの材料27の後端面28aに当接するまで、ねじ山付きロッド26bを両側で均一に引っ張る。
【0096】
固定位置でスリーブ26cを更に回転させると、
図4cに示されるように、2つの木材パネルの強い張力が達成される。ねじ頭26aは各々、前方の手付かずの材料27の後端面28aに押し付けられ、したがって張力付与ブロックとして作用する。この張力付与システム26a、26b、26cは、明らかに、側部から独立した方法で使用することができる。有利には、ねじ山付きロッド26bは、ねじ頭26aと共に、
図4aに示すように工場で設置され、その後、建設現場でスリーブ26cと共に引っ張られるだけでよい。2つの対向するねじ山を有するスリーブ26cの代わりに、中央ナットと、当該ナットによって一緒に引っ張られ得る2つのねじ山付きパイプ部分とを含む継手を使用することができ、ねじ山付きロッドは、この目的のために同じねじ山回転方向を有する。機械的に対照的な接続システムは、スリーブニップル接続によっても機能する。スリーブ26cの代わりに、これは、静止位置で張力をかけるために共通チャンバ25内で回転され、したがって、ねじ山付きロッド26bの代わりに対応する雌ねじを有する2つのスリーブを一緒に引っ張る、対向ねじを有するニップルである。これらのねじ接続の全ての変形例は、それらの構成要素26a、26b、26cと共に、木材パネルの分割面に対して対称な設計を形成する(この目的のために、ねじの回転方向は考慮されない)。この場合、張力付与手段は、例えば、固定手段26aのねじ留め、ダボ接合、又は接着などによって、木材パネルに固定的に接続又は固定される必要はない。したがって、木材パネルに容易かつ効率的に一緒に張力をかけることができる。この目的のために、それらは同一に予め製造され、接続システムの設置のために容易に交換することができる。
【0097】
図4dに示すように、張力付与レバー26cを有する張力付与ロックも、張力付与手段26a、26b、26cとして適している。各木材パネルは、唯一の凹部24として、上部が開き、端面が部分的に開いた箱形空間を有するように切り抜かれ、前方の手付かずの材料27は分割面まで延在する。これらの凹部24の後ろでは、
図4dの後方の手付かずの材料29に見られるように、木材パネルは手付かずである。凹部24は同一に設計することができ、これは木材パネルの予備製造における誤差を防止する。木材パネルの当接位置では、前方で張力が加えられる2つの木材パネルを横切って延びる通路が、共通の凹部25の形態で形成され、それを介して動作可能な接続が形成される。この目的のために、張力付与レバー/張力付与フックが固定された張力付与ブロック26aがチャンバ24内に緩く挿入される。ここでは右側の張力付与ブロック26aにヒンジ止めされた張力付与アーム26bは、それに対向する左側の張力付与ブロック26aの引張フックの周りに配置され、それによって張力付与手段はチャンバ24内の両側に固定され、したがって固定具を木材パネルにしっかりと接続する必要はない。張力付与レバー26cを旋回させることによって、張力付与アーム26bは右に引っ張られ、張力付与ブロック26aを前方の手付かずの材料27に対して押圧し、木材パネルを互いに対して完全に引っ張る。張力付与ロックは、ここでは対称に設計されていないが、側面とは独立して使用することができる。もちろん、分割面に対して対称に設計された両面張力付与レバークロージャを使用することもできる。張力付与アームを有する張力付与レバーの代わりに、両側に関節接続されたフック又はハンドルを有するねじ設計を使用することができ、フック又はハンドルは、2つの張力付与ブロック26aに係合し、例えば、そこに一体成形されたカム、ボルトなどの周りに係合する。この例として、ねじ山付きロッド26bと、その上を延びる六角形スリーブ26cとを有するテンションスピンドルが
図4eに示されている。
【0098】
本図は概略的な表現にすぎないことが理解されるであろう。実際には、固定具26aが直接圧力を加える前方の手付かずの材料27は、非常に長く又は深く、例えば0.2~0.5m以上の長さに設計され、したがって張力付与ブロック26aよりもはるかに長く寸法決めされる。したがって、対照的な接続システムは、木材パネルの長い又は深い範囲にわたって係合し、強い張力に耐える。張力付与アーム26bの長さ又は関節に応じて、張力付与アーム26bは、隣接する当接パネルの張力付与ブロック26aに対して把持するために、前方の手付かずの材料27を貫通して穿孔された中空チャネル24bを通して案内することもできる。
図4fは、右側の画像におけるこのタイプの中空チャネル24bを示しており、そこでは、木材パネルの分割面に向かう当接軸の方向に前方の手付かずの材料27の方を見る。しかしながら、テンションスピンドルのような対称張力付与締結具の場合、少なくとも力伝達の位置又はそのスリーブ26cの位置において、通路は開いていなければならず、すなわち、張力付与のためにアクセス可能でなければならない。この目的のために、
図4a~
図4cに概略的に示すように、前方の手付かずの材料27又は他の凹部24にU字形又は矩形の切り抜きを有する実施形態が適している。
【0099】
張力付与締結具の代替的な実施形態では、張力付与ブロック26aは各々、木材パネルに固定的に接続され、例えば、接着され、又は
図4gによる例のように、ねじ止めされる。実施形態に応じて、固定具は、スラブ及び/又は箱形空間若しくは凹部24の側壁にのみ取り付けられる。これは、
図4hによる分割面に平行な凹部24の断面の切り抜きにおける2つの例で示される。右側の図では、張力付与ブロック26aはU字形であり、凹部24内のその内部から横方向に固定することができる。原理的には、張力付与ブロック26aは、両方の実施形態において、空間条件に応じて、横方向及び底部に向かって固定することができ、これは好都合である。これらの固定された固定具は、木材への有害な影響を比較的低く保ち、後方の手付かずの材料29の端面28bを常に固定手段がないままにする。凹部24の底部にのみ固定された張力付与ブロック26aの場合、凹部24の最後方の全ての側壁、又はこの場合には唯一の側壁は、固定手段がないままである。これらの凹部24の後ろでは、木材パネルは手付かずである。これらは同様に製造することができる。固定的に固定される張力付与ロックはまた、側部から独立した方法で使用可能であり、上述したものと同様に対称的に実現することもできる。
【0100】
更なる変形例では、
図4iに示すように、張力付与くさび26c及び対向くさび26aによって木材パネルに張力をかけることができる。くさび26a、26cは、
図4iの右側に見られる木材パネルの同じ箱形凹部24内に配置される。張力付与くさび26cが叩き下げられるか、叩き込まれるか、締め付けられる結果として、対向くさび26aは、右に並進移動し、遠い側の木材パネルの対向する箱形凹部24内の張力付与ブロック26a内に固定され、近い側の木材パネル内の対向くさび26aと共に固定されたねじ山付きロッド26bを引っ張る。各木材パネル上の前方の手付かずの材料27は、張力付与ブロック26aによって、及び張力付与ブロックとして作用するくさび26a、26cによって他方に押し付けられ、それによって木材パネルが互いにしっかりと引っ張られる。このくさび接続は、側部とは独立して使用することもできる。張力付与くさび26cは、底部に好ましくはU字型の凹部を有しており、この凹部によって張力付与くさび26cはねじ山付きロッド26b上を滑る。このくさび形状を
図4jに示す。張力付与くさび26cのより短い実施形態では、張力付与くさび26cは、完全に引っ張られた状態であってもねじ山付きロッド26bに到達しない。
図4kは、箱状凹部24内の張力付与くさび26c及び対向くさび26aを有するくさび張力付与の対称的な変形例を示す。示された張力付与の全ての変形例に対して、凹部24は、木材パネルにおいて同一に切り抜かれ得る。箱状凹部24の後ろでは、木材パネルは手付かずのままであり、例えば、せん断コネクタ6、9の挿入のためにそこで使用することができる。
【0101】
本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造により、スラブをモジュール設計で予め製造し、次に建設現場で所定の位置に組み立てることができるので、高度の工業的予備製造を達成することができる。とりわけ、これは、大きなスパン寸法を有するスラブの製造中の建設及び組立効率を高める。以下、本発明によるスラブの製造方法について詳細に説明する。
【0102】
単一スラブモジュールの場合、最下スラブ層-木材層1-が最初に処理される。これは、典型的には、単一の継ぎ目のない木材パネルとして化粧張りされる。
図5aに見られるように、せん断コネクタ9が挿入される位置において、最初に説明した凹部30が木材層1に切削又はフライス加工された。ここに示す変形例では、鋼管9が接着されており、膨張したエポキシ接着剤がそれらの周囲に環状に示されている。フィルム32で裏打ちされた型枠31は、木材サブスラブ1をその縁部領域に沿って包囲する。更に、型枠31の側部領域に沿って一定間隔でフィルム32の膨らみを見ることができる。これらの中には、例えば硬質ポリスチレン発泡体で作られたプレースホルダ33があり、したがって、後でスラブモジュールを摩擦接続することができるようにするために、その空間は、その後の材料の適用中に自由に保たれる。
【0103】
図5bでは、3列のせん断コネクタ9が木材層1上に配置され、木材層1に接続されている。ここで、型枠31は部分的に覆われており、それによってプレースホルダ33の図が明確になる。フィルム32は、型枠31の周りに配置され、その後の材料適用を横方向に封止するために、底部で木材スラブ1に接着される。建築技術要素などの任意の接続部及び構成要素は、木材層1上に直接設置される。
【0104】
図5cでは、最下スラブ層又は木材層1の上側が再び見られるが、この図では型枠31がない。水の浸透から保護されるべき交換不可能な物体を有する博物館、図書館、及び貯蔵庫として厳密には使用されない建物における防火のために通例であるように、スプリンクラシステム34がこの上側に設置された。同様に、前方凹部24cが認識可能であり、前方凹部24cは、この好ましいスラブ設計において木材層1に切削又はフライス加工され、この場合、木材層1の長手方向側部にわたって規則的に分散され、その後、横方向に隣接するモジュールの木材層1と接続し、張力をかける。ここでは木材ブロックによって覆われている後方凹部24aは、充填される遮断材料料が浸透することができず、したがってそれを詰まらせることができないように、後方凹部の後ろに配置される。これらはまた、例えばフィルム被覆によって防止することができる。いずれにしても、個々のモジュールの木材層1の張力付与は、木材層1が2つの軸上で連続的に荷重を支えるように設計される場合にのみ、本発明の好ましい実施形態に関係する。
【0105】
スラブモジュールが完成した後にクレーンによって持ち上げられるようにするために、木材層1における荷重処理アタッチメント44の固定具が有利に適用される。持ち上げベルト44の場合、例えば木材層1に固定され、木材層1の表面でベルト44に張力をかける張力付与ブロック(好ましくはわずかに面取りされている)が適している。スラブ要素における荷重処理アタッチメント44の固定が省略される場合、完成した要素は、代わりに、例えば、同じ巻き上げベルトを使用して持ち上げることができる。
【0106】
図5dは、次の方法ステップを示しており、このステップでは、遮断層3を構成するための遮断材料が木材層1の上に充填又は注入などされる。本実施形態では、遮断材料としてセルロース繊維が吹き込まれ、それによって、セルロース繊維はコンパクトな塊を形成する。モジュールに沿って両側に見ることができるセルロース繊維は、ここでは、遮断層3から突出するせん断コネクタ9を覆う。フィルム32は、遮断層3をその縁部領域にわたって取り囲むことができるように、型枠31内に置かれた。このようにして、好ましくは個々の材料層の間に分離フィルム36を有する多層遮断層3も充填又は注入、吹き込みなどされる。2層の遮断層3の場合、例えば、コンクリート粒状物の下部層と、その上の発泡ガラス砂利のより軽い層(好ましくは、より重い遮断層からより軽い遮断層への高さの比が1:1~1:4である)が、遮断層として適している。
図5dに示すように、遮断層3の適切な高さを確保するために、測定ロッド43が有利に使用される。型枠31のための補助フレーム37の柱を通して、型枠31によって囲まれず、したがって、後に適用される遮断層3及びコンクリート層4から除外される木材層1の一部を見ることができる。木材層1のこの部分は、後に木材層1の上及び上方にある内部支持手段8のための接触面35を形成する。
【0107】
遮断層3が完全に適用された後、フィルム32のフラップは内側に折り曲げられ、遮断層3はその側面の全周をフィルム32によって取り囲まれる。更に、次に導入されるフレッシュコンクリートが遮断層3に浸透しないように、層剥離フィルム36が上部遮断層上に配置される。
図5eに見られるように、開口部が分離フィルム36に切り込まれ、その開口部から、せん断コネクタ9の上端部が出ることができ、固定された荷重処理アタッチメント44の場合、ガイド45の当該開口部から出ることができる。したがって、せん断コネクタ9の端部は、次に施工されるコンクリート層4内に突出し、次にコンクリート層4と密接に接続する。しかしながら、最初に、コンクリート層4のために補強材15が挿入され、格子構造における補強ロッドの従来の多層(この場合、2層、典型的には4層配置)を有する。
図5eでは、遮断層3の左内側のプレースホルダ33も、型枠31上に明確に見ることができる。したがって、これらの領域は、コンクリートのその後の適用のために除外される。
【0108】
コンクリート化プロセスを
図5fに示す。この場合、フレッシュコンクリートは既に型枠31内に注入されており、特に振動させられ、その結果、フレッシュコンクリートは、コンパクトで平坦な上部層4として遮断層3(ここではもはや見えない)上に定着する。せん断コネクタ9の上端もコンクリート層4によって完全に覆われているので、もはや見えない。ここで、プレースホルダ33は所々で露出している。荷重処理アタッチメント44のためのガイド45は、コンクリート層4から上部に突出している。コンクリート層4が硬化した後、型枠31が取り外され、挿入されたプレースホルダ33が取り外されるか又は突き出される。このようにして、スラブモジュールが完全に形成され、組み立ての準備が整う。
【0109】
図5gは、支持体38上の2つのそのようなスラブモジュールを示しており、それらは典型的には輸送のために積み重ねられる。モジュールは、建設現場に移動させることができ、そこで組み立てて木材-コンクリート複合スラブを形成することができるように、道路輸送可能なサイズで作成される。遮断層3がその側面の全周にわたってフィルム32によって取り囲まれており、したがって保持されている様子が分かる。複合材の下に突出するモジュールの木材層1の突出部も形成され、これが上部に開放面35を形成することが分かる。これらは、以下に説明するように、所定の位置に注入されたフレッシュコンクリートで充填される。
【0110】
図5hは、単一のスラブモジュールが、それに対して予め定められた位置にそれを配置するために、クレーン装置を用いてリフティングベルト44上でどのように持ち上げられるかを示す。支持体として、柱18又は耐力壁などの支持構造の垂直に設置された垂直構成要素、及び/又は例えばブレースの形態の一時的なスラブ支持体のいずれかが設けられる。これらは、スラブが完全に形成された後に再び除去される。図示されたモジュールにおいて、凹部39は、規則的な間隔で両方の長手方向側部に、すなわち、プレースホルダ33が以前に配置されていた場所に配置される。したがって、これらの位置にはコンクリートがないか、又は木材凹部24cの上には遮断材料及びコンクリートがない。排除された凹部39のおかげで、このモジュールは、各長手方向側部において隣接するモジュールに摩擦接続され得る。端と端を接して置かれるモジュールは、それらの端面にいかなる凹部39も有さないことが理解される。意図された摩擦接続に応じて、モジュール側部は、隣接する要素を有する対応するモジュールの1つ、2つ、3つ、又は4つの側部に張力をかけるために、そのような凹部39を備えることができる。
【0111】
図5iには、複数の当接モジュールで構成された結果として生じるスラブの一部が示されている。クレーン輸送のための持ち上げベルト44は、部分的にはまだ取り外されていない。隣接する要素の凹部39は、互いに対向して位置するようになり、それらと共に共通の凹部40を形成し(場合によってはコンクリート層1のみにおいてであるが、この場合は遮断層3を貫通する)、その結果として、共通の凹部25を形成するために同様に互いに接合される凹部24cは、モジュール木材層1の張力付与のために上からアクセス可能である。張力付与手段26a、26b、26cは、木材層1の凹部25内で張力をかけられ、空洞は、それぞれ隣接するモジュールコンクリート層4の下縁まで遮断材料で充填される。これは、現場でできるだけ少ないコンクリートを設置する努力がなされるので、いずれの場合も有利である。支持手段によって必要とされる中断部を除いて、遮断層3は、連続スラブ層としてモジュール方式で実現される。次に、補強材15が挿入され、隣接するモジュールの補強材に接続される。
図5iでは、露出した接触点35が木材層1上にはっきりと見えており、木材層1は、1つ又は複数の更なるモジュールが木材層1に接続された後、中間空間41を形成するか、又は中間空間41を底部で画定する。これは、後に内部支持手段8に注入される。ここに示されたモジュール群は、それらの木材層1にわたって互いに垂直に延びる2つの中間空間41を既に含んでいる。遮断層3及びコンクリート層4は、これらの中間空間41に沿って互いに連続して離間していることが分かる。
【0112】
支持手段補強材42は、これらの最初は自由な中間空間41内に設置される。
図5jに示すような画像が得られる。更に、コンクリート層4から出る補強ロッド15も凹部40内に見ることができる。隣接するコンクリート補強材15が完全に設置された後の、それらの摩擦接続のためのそのような凹部40が、
図5kに別個に示されている。
図5lは、長手方向補強材としての引張及び圧縮補強材10、11を有する典型的な支持手段補強材42を示しており、この平面図では、とりわけ、圧縮補強材11を見ることができる。長手方向補強材10、11は、スターラップ補強材13によって囲まれている。接続補強材12は、曲げられた補強ロッドから形成され、ここでは、スペースの理由から、
図2aによる実施形態の代わりに、水平に挿入される。この接続補強材12は、コンクリート層4から出ている補強ロッド15にベルバットジョイント14を介して摩擦接続されている。木材-コンクリート接続手段6(この場合、木材構造ねじ6)は、図では明らかではなく、木材-コンクリート接続手段6は、木材サブスラブ1と共に鋳造される内部支持手段8の密接な接続を形成するために、木材層1に導入されている。一方、鋼ビーム形状20を有する内部支持手段8の一実施形態では、内部支持手段8は、中間空間41に挿入され、木材層1に摩擦接続される。次に、まだ残っている空間は、上部において、隣接するコンクリート層4の下縁と同一平面上に隣接するまで、遮断材料で充填される。次に、接続補強材12を備えた補強材が、隣接するコンクリート層4の間のコンクリートで打設される残りの空間41に配置され、それらの補強材15に摩擦接続される。
【0113】
完全に補強された中間空間41は、コンクリート48で充填され、特に
図5mで行われるように、凹部40も同様に平滑化される。木材層1まで達する凹部40内に遮断材料が配置されない場合、凹部は現場打ちコンクリート48で完全に充填される。しかしながら、これは、フレッシュコンクリート48を用いた最終的な鋳造物が可能な限り低く保たれるので、むしろ典型的ではない。しかしながら、接続に必要なコンクリート中断物の場合、スラブの遮断層3は、モジュール上に準連続的に組み立てられる。ここでは、まだ湿っているコンクリート48に見られるように、内部支持手段8が新たに形成される。加えて、まだコンクリートで固めるべき凹部40が概略的に示されている。フレッシュコンクリート48の硬化により、木材-コンクリート複合スラブは、平坦な木材要素を有する耐荷重性であるように形成される。
【0114】
いずれにしても、本発明によるスラブのモジュール式製造方法は、革新的で、時間を節約し、費用効果の高い方法である。高度の事前製作により、これらの利点がもたらされ、それによって、大面積複合スラブを非常に効率的に組み立てることができる。内部支持手段8は、ここではもっぱら現場で作成されたが、必ずしもそうであるとは限らない。底部に向かって突出する内部支持手段8の実施形態の場合、予め製造された支持手段構成要素49を使用することが好都合であることが分かる。後で説明するように、支持手段8の最終的な鋳造のみが現場打ちコンクリート48で行われる。
【0115】
内部支持手段8を有さない本発明によるスラブの他の実施形態では、それに関連する方法ステップは単に省略される。例えば、一変形形態では、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、少なくとも2つのスラブモジュールからモジュール方式で、防音性が高いが支持手段がない複合スラブとして製造することができる。それらの層構造のために、下から上に、まず、木材層1が、いずれの場合においても製造され、せん断コネクタ9は、それらの下端でその中に固定される。次に、遮断層3は、少なくとも2つの層3a、3bで形成され、木材層1の上に集中した質量を導入するために、比較的高密度の遮断材料が下部層3aに導入され、それによって木材層1に荷重がかかり、したがって耐振動性となる。比較的低密度の遮断材料が、少なくとも1つの上部層3bに導入される。最後に、遮断層3を貫通するせん断コネクタ9の上端がコンクリート層4に固定されるように、コンクリート層4にも補強材15が適用される。この実施形態では、モジュールは、内部支持手段8を介して摩擦接続されていないので、凹部39が少なくとも1つのモジュールのコンクリート層4に設けられ、補強材15は、隣接するコンクリート層4の補強材15に摩擦接続されるために凹部から出る。次に、これらの凹部39もコンクリート打ちされる。したがって、モジュールの木材層1は、互いに対して摩擦によって張力をかけることもできることは言うまでもない。この場合、凹部39はコンクリート層4だけでなく遮断層3にも設けられているので、張力をかけられる木材層1は張力をかけるために上方からアクセス可能である。次に、完全に形成されたスラブモジュールは、1つ又は複数の支持体上の予め定められた位置に置かれ、上述したように少なくとも第2のスラブモジュールに接続され、凹部39がコンクリート打ちされる。このようにして音響的に最適化された木材-コンクリート複合スラブの製造方法は、高い建設効率及び組立効率を特徴とする。大きなスパンを有するスラブは、原則として、そのようなモジュールによって少ないステップで作成することができる。
【0116】
それらの欠点にかかわらず、従来の木材-コンクリート複合スラブは、良好な耐荷重信頼性も提供する。以下の考察のために、通常の場合と火災の場合とが区別される。通常の場合、通常の建築作業が想定され、主荷重、追加荷重、及び特殊荷重の異なる組み合わせが、それらの発生確率、それらの持続時間などに関して測定される。従来の木材-コンクリート複合スラブの寸法では、通常の場合、可燃性木材層1が損なわれるような火災の場合であっても十分である快適な静的予備力が達成される。一方で、そのような木材-コンクリート複合スラブは、それらが主にトウヒ材などの軟材から設計され、したがって静力学上の理由からかなりの厚さを有する必要があるという点で有益である。この理由だけで、これらの木材層1は、火災の場合に直ちに破損することはない。更に、木材は燃焼プロセス中に分解されて木炭及び可燃性ガスを形成し、このようにして形成された炭素層は、木材と比較して著しく低い熱伝導率のために非常に良好な遮断体を形成する。このようにして、内側木材は熱の影響から長期間保護され、その結果、厚い木材層1は、火災の場合であっても依然として十分な静的寄与を提供する。しかしながら、細長いスラブシステムは、ここでは欠点をもたらす。
【0117】
まず第1に、十分な防火は、建物の支持構造が、少なくともその完全な避難に必要な限り、崩壊に対して安全なままであることを必要とする。避難時間は、建物構造、特に避難経路の設計及び寸法に従って計算され、建物内の階数が増加するにつれて長くなる。加えて、構成要素は、防火の観点から、通常、耐荷重及び/又は防火区画形成機能に従って分類される。線形構成要素と平面構成要素も区別される。これを考慮して、建物には、より高い又はより深い支持体が取り付けられる。木材-コンクリート複合スラブの木材層1は可燃性平面状であるので、その静的性能が火災の場合であっても基本的に十分であるとしても、耐荷重構成要素は、防火技術に関してそのように批判されることが多い。これは、通常、避難経路の計画及び寸法決定、及び/又は例えば石膏ボードパネルなどによる木材層の耐火被覆における精巧な手段によって改善することができる。この結果、正確には、その位置、階数、及び広がりに起因して高い防火要件に定期的にカバーされている建物では、平坦な木材要素を有する木材-コンクリート複合スラブの使用は、大きな利点にもかかわらず、適切ではないか、又は効果がない。
【0118】
しかしながら、本発明によるスラブシステムは、そのような以前には使用されていなかった適用分野を利用するために使用することもできる。避難中に建物内の居住者の数が0に向かう傾向があるという状況を使用することができる。したがって、火災によって影響を受ける支持構造体は、最大荷重の約50~60%のみに耐えることができればよく、連続的にではなく、避難が完了するまでのみ耐えることができればよい。本発明による木材-コンクリート複合スラブは、支持木材層1が平坦な耐荷重構成要素の要件を受けないように、その内部支持手段概念のおかげでこの条件を満たすことができる。不燃性スラブ支持構造又はコンクリート層4及び内部支持手段8で作られた残りの支持構造は、可燃性木材層1の欠如を完全に補償することができるので、木材層1は、臨界期間の間、静的な寄与をする必要がない。火災の場合、従来の平坦な木材-コンクリート複合スラブ、すなわち、全体として不可欠である耐荷重性の平坦な構成要素は損傷を受けるが、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、比較すると、いずれにしても静的に消耗可能な構成要素のみを含む。これは、特に、木材層1が被覆されないままであることができ、したがって、平坦な耐荷重構成要素に対する要件にもかかわらず、目に見えて目立つままであることができるという事実につながる。例外は、静的な消耗性を超える特別な要件を有する避難経路である。しかしながら、いずれにしても、内部支持手段8は有利な条件を作り出すので、原則として、建物に対して提供される防火対策はより少なく又はより低いもので済む。
【0119】
図6は、本発明による木材-コンクリート複合スラブを使用した多層建物又は高層建物のスラブ計画に基づく概略的な支持構造概念を示す。例えばエレベータ及び/又は階段吹き抜けが収容される補強耐荷重建物コア17は、ファサード19に沿って建物の内部に配置された垂直柱18と同様に、耐荷重壁と共に耐荷重壁に隣接するスラブのための支持体を形成する。見て分かるように、スラブは、コア17とファサード19との間の領域全体に及び、実質的な寸法に及ぶ。同時に、建物コア17を除いて、建物の内部に耐荷重壁は見られない。これは、内部支持手段8のインテリジェントな配置によるものであり、内部支持手段8は、建物内部において、点支持体としてたった2つの柱18のみで対処する一方で、外側支持体としてファサード19の柱18を共有し、角支持体としてコア17を共有するので、可能な限り空間を遮るものがない。この場合、最初に説明したように、内部支持手段8は、完全に鉄筋コンクリート製であってもよいし、鋼形材20を備えていてもよいし、これらの変形例が互いに組み合わされていてもよい。本発明によるスラブの本実施形態では、内部支持手段8は、2つのカテゴリに分けることができる。スラブ面の長手方向(
図6の水平方向)において、第1の内部支持手段8aは各々、一方の端部が建物コア17上に支持され、他方の端部がファサード柱18上に支持された状態で配置される。これらは、常に、すなわち、通常の場合及び火災の場合の両方において、ここで選択された支持構造ジオメトリにおいて不可欠であるので、そのように呼ばれる。コア17及びファサード19により、それらは4つの大きなスラブ領域を画定する。それに対して横方向に、すなわち、
図6の垂直方向に延びて、ハッチングされた第2の内部支持手段8bが見える。それらの名称が示唆するように、スラブはそれらの寄与がなくても要求される耐荷重能力を提供することができるので、それらは通常あまり重要ではない。通常の場合、4つの大きなスラブ領域の支持方向が示され、スラブ全体にわたって分配されて描かれており、そのような大きなスラブ領域の主支持方向(最大応力を有する支持方向)が大きな矢印で示され、その補助支持方向(より少ない負荷を有する支持方向)が小さな矢印で示されている。第2の支持手段8bは、通常、スラブの荷重伝達において決定的又は重要な役割を果たさないので、この目的のために隠されなければならず、スラブは、第2の支持手段なしで本考慮事項を支持する。
【0120】
火災の場合にのみ、例えばスプリンクラシステム34の故障により木材層1が火災損傷した場合、水平荷重の吸収及び垂直支持体18への伝達がスラブの全ての支持手段8a、8bに分配されることが可能でなければならない。その場合、それらは全て、残りの支持構造の不可欠な構成要素を形成する。ここで、全ての内部支持手段8a、8bを含むスラブが、多数のより小さなスラブ領域に分割されることが決定的である。なぜなら、この静的分析によれば、第2の内部支持手段8bもまた、荷重吸収又は荷重伝達に作用するからである。したがって、スラブの新しい主支持方向及び副支持方向も、これらのより小さいスラブ領域に関係しており、これは、明確にするためにここでは具体的に示されていない。その結果、能動的支持手段8a、8b上に支持されるスラブ領域は小さくなり、そのため、比較的薄いコンクリート層4は、スラブのこのカセットスラブ構造において関連する避難期間にわたって階にまたがることができ、倒壊に対して安全である。木材層1、又は少なくとも火災の危険性があるその関連部分は、この期間中、クラッドのように静的であるとみなすことができる。したがって、木材層1は、耐火性の方法で被覆される必要もなく、代わりに、美観的な、連続した、したがって途切れのないスラブ下端を階の内部に提供する。もちろん、それにもかかわらず、木材層1は、例えば特定の美観に関して望ましい場合、又は例えば避難経路に沿ってそれが一般的に規定される場合には、内側に、又はいくつかの場所のみに塗装することができる。本実施形態では、建物コア17は、出口経路も同時に形成する。いずれにしても、通常は静的に余分である内部支持手段8bを有するそのような内部支持手段概念のおかげで、建物に対する防火要件を著しく低減することができる。
【0121】
本発明によるスラブの他の実施形態では、内部支持手段8は、火災の場合の一時的な静的救済策として概念化することもできる。1つ又は複数の支持手段8を第1の支持手段8としてのみ、又は第1の内部支持手段8としてのみ有する逆の場合も、これが防火に関して実現可能である場合には考えられる。いずれにしても、スラブの剛性/質量比は、最初に既に説明したように、通常の方法で荷重が加えられる支持構造に内部支持手段8を組み込むことによって最適化され、その重量が低減され、その高さが最小化され、実現可能な建物の階数が最大化される。内部支持手段8、8a、8b上に分配される最適化された木材-コンクリート複合スラブの重量割合は、スラブ重量の約10%だけであるか、又は更に少ない。曲げ剛性の増加及び関連する利点は、いくつかの点でこの重量を上回る。したがって、通常の建築作業であっても、支持される荷重を内部支持手段8、8aに静的に分散させること、すなわち、内部支持手段8aの少なくとも一部を第1の支持構造の構成要素として設計することが望ましい。
【0122】
図6によるスラブ計画は、単に例示的な実施形態として理解されるべきである。スラブの寸法、特に内部支持手段8の寸法は、もちろん各建物の特性に適合させることができる。しかしながら、原理的には、内部支持手段8は、スラブの力プロファイルに追従し、スラブをかなり小さなスラブ領域に分割するように分配される。ここで「賢明」とは、内部支持手段8の付随する垂直支持が建物の内部をできるだけ損なわず、それにもかかわらずスラブがその目的のために十分な曲げ剛性を有するように設計されることを意味する。したがって、内部支持手段8は、有利には柱18上のみで支持される。柱18という用語は、主としてその長手方向軸の方向に荷重を吸収して伝達する垂直に設置された構成要素を意味するものと理解される。これらは空間を最小限に制限するだけである。いずれの場合でも、せいぜい非耐荷重壁を立設又は解体しなければならないため、スラブ計画はほぼ望み通りに使用することができる。
【0123】
図7は、背景の上部及び下部においてスラブに隣接する柱18を有する支持構成を示す。スラブの切り抜きは、
図2aから知られているような構造を示しており、補強材の図示は省略されている。しかしながら、木材-コンクリート接続要素は、ここで使用される木材構造ねじ6の形態で示されている。下側の柱18がスラブと交わるところで、木材層1は凹部を有し、その結果、それは全ての側部で柱18と同一平面である。組み立て中、予め製造されたスラブモジュールは、柱18の周りの一時的な支持体上に配置される。
図7は、2つのスラブ要素の当接する木材層1の分離線を示す。内部支持手段8は、開いたままであるそれらの接触面35上に鋳造され、木材層1内の凹部の位置で下部柱18に一体的に接続する。現場打ちコンクリート48が硬化すると、これはスラブの支持体として作用する。加えて、作用力を効果的に伝達するために、上部柱18が隣接して接続され、垂直支持構造体を上階に延在させる。好ましくは、複数の柱18が内部支持手段8に沿って配置される。柱18の長さにわたって規則的な間隔で柱18に取り付けられた内部支持手段8を有する支持構造構成が一般的である。これらの柱18と協働して、内部支持手段8は、非常に効率的な支持構造グリッドを形成する。建物の内部の大部分は、耐荷重性の平面建物構造がないままであるか、又は特定の点で柱18によって区切られているだけである。
【0124】
場合によっては、特に高い曲げ補強を達成するために、内部支持手段の断面を増加させる、すなわちスラブ層複合材の高さを超えさせることができることが有利である。複合スラブからの内部支持手段8のこのような上側又は下側突出部の可能性を以下に示す。
【0125】
図8による支持構成は、中空スラブ、すなわち、例えば電気接続、及び電気通信、衛生、加熱、及び換気設備などを収容するための空洞を含むシステムスラブ構造タイプに適している。空洞46は同時に、コンクリート層4を超える内部支持手段8の断面拡大のための空間を作り出す。このような断面拡大は、内部支持手段8の全長にわたって、又は局所的にのみ、例えば柱18の上方の限定された領域において行うことができる。単に局所的な突出部は、空洞46内のケーブルルーティングのための連続的な障壁を形成しないので、有利であることが分かる。内部支持手段8は、端部を取り外した後、外側から見えないままである。設置は、
図7に関して上述したのと同様に実行されるが、ここでは更に、上部で隣接し、複合スラブ平面から上方に延びるコンクリート型枠が、鋳造される支持手段8のための中間空間41に適用され、それによって、支持手段8は、最終的に鋳造されると、上部でスラブから突出するという違いがある。内部支持手段8は、通常、サブスラブ/スクリード23まで注入されるのではなく、むしろ、特にケーブル経路が連続支持手段として設計される場合、ケーブル経路のために空隙が確保される。最大設計では、内部支持手段8はサブスラブ23まで延在し、したがってケーブル経路の詳細な調整を必要とする。いずれにしても、内部支持手段8の上部から出る隆起部分は、特定の状況に応じて寸法決めすることができる。上に位置する階が使用されない場合、例えば最上階において、上部に突出する支持手段8は、段としてサブスラブを越えて突出することもでき、又はサブスラブ23を省略することもできる。
【0126】
図9は、底部で複合スラブから出ている内部支持手段8を示す。その突出により、内部支持手段は光学的に知覚可能であり、従来の支持手段に似ている。このタイプの支持手段設計は、スラブ構造が上部に対応する突出部を許容しない場合に特に適している。そのような目に見える実施形態は、主に、静力学に関して本来的かつ常に不可欠である支持手段8aであり、したがって、その光学的効果は許容可能である。製造又は組み立てのために、
図9に均一なハッチングで提供されるような支持部材49は、有利には、別個の構成要素として予め製造され、既に作成された柱18上に支持される。次に、同様に予め製造されたスラブ要素が支持部材49上に置かれる。この目的のために、支持部材49は、両側に段47を形成する下側突出部を形成し、その上にスラブ要素を配置することができる。最後の方法ステップにおいて、スラブモジュールのコンクリート層4の間の支持部材49の上のまだ空いている領域は、現場でコンクリート48で充填され、その結果として、内部支持手段8の上端がそれに一体的に接続される。有利には、コンクリート層4は、遮断層3の上に縁部領域を依然として確保しており、この縁部領域は、モジュールを内部支持手段8に特に堅固に接続するためにコンクリートで充填される。明確にするために、
図9の現場打ちコンクリート48の最終鋳造物は、予め製造されたスラブ要素及び予め製造された支持部材49のコンクリートとは異なるハッチングが施されている。底部で突出する内部支持手段8は、対応する一時的なコンクリート型枠を取り付けることによって最終的に上方に鋳造することもできることは言うまでもない。
【0127】
構造上の観点から、内部支持手段8の下側突出部は、光学的に支配的であり、したがって望ましくないものとして知覚され得る。ここでは、
図10aの断面図に示すようなキャピタル構成によって救済策が提供される。ここに示す構成は、
図9からの構成に対応するが、内部支持手段8の突出部がその全長にわたって同じ深さに延びていない点が異なる。むしろ、その深さは柱18に向かって増大し、したがって、キャピタルの横アームと光学的に一体的に形成される。
図10aでは、このキャピタルアームは、シート平面から見た方向にシート平面の後ろの柱18に向かって延びている。柱18に対するキャピタルアームの傾斜は、互いに斜めに配向された破線で示されている。
【0128】
図10bは、
図10aの切断線A-Aを通る図を示しており、したがって、キャピタルは、横方向の図における下部コラム18の上端として見ることができる。内部支持手段8の2つのキャピタルアームは、各々柱18から離れて延び、明らかに限定された部分にわたってのみ延びる。ここで覆われる支持手段8の内部延在部分は、次の支持構造まで、又はそれを超えて連続的に延在することができる。先の
図10aに示す図についての切断線A-Aも描かれており、そこに視線方向についての情報を提供する。しかしながら、
図10bでは、支持手段ガイドのこの変形例又は内部支持手段8の突出部の実施形態も有利であり得る理由が明らかである。連続的により深いスラブ部分の代わりに、スラブ高さは、ここでは柱18の周りの領域においてのみ影響を受ける。このように形成された支持手段突出部は、視覚的に目立たず、それにもかかわらず、決定的な曲げ補強を提供する。内部支持手段8は、キャピタルアームを有する支持部材49に基づいて予め製造され、
図9による構成と同様に設置される。
【0129】
図10bによるスラブ複合材では、更なる内部支持手段8が、キャピタルの延在方向に対して横方向に見える。これは、外部から見えず、現場打ちコンクリート48で製造され、予め製造された内部支持手段8の位置で、キャピタルに一体的に形成され、適切な接続補強材12でキャピタルに接続される内部支持手段8である。同様に、純粋に内部で案内される支持手段8が、ここに示す配置の反対側に延びる。
【0130】
内部支持手段8の突出した変形例に基づいて、例えば、最初に記載されたスラブの製造方法がどのように適合又は変更され得るかが示される。スラブ製造方法は、支持手段製造の両方の変形(全て現場で、又は部分的に事前製作され、部分的に現場で)について以下のように要約することができる。本発明によるスラブは、少なくとも2つのスラブモジュールから組み立てられ、スラブモジュールは、いずれの場合も、その層構造を伴って作成され、したがって、下から上に、せん断コネクタ9がその下端でその中に固定された木材層1が最初に製造される。次に、遮断層が形成される。好ましくは、それは少なくとも2つの遮断材料層3a、3bで形成され、比較的高密度の遮断材料が下部層3aに導入されて木材層1の上及び上方に集中的に質量を導入して木材層1に負荷をかけ、したがって木材層1を耐振動性にする一方で、比較的低密度の遮断材料が少なくとも1つの上部層3bに導入される。せん断コネクタ9は遮断層3を貫通している。最後に、コンクリート層4がその補強材15と共に製造され、せん断コネクタ9がその上端でコンクリート層4に固定される。この後、スラブモジュールは、1つ又は複数の支持体上のそれらのために予め定められた位置に置かれる。この目的のために、2つのスラブモジュールは以下のいずれかである。
i.当接し、それによって中間空間41を形成する。これは、スラブモジュールの少なくとも1つの木材層1上の、材料適用から一時的に除外された接触面35によって底部で画定され、その遮断層3及びコンクリート層4によって横方向に画定される。
代替的に、スラブモジュールは以下の上に支持される。
ii.下側突出部を形成し、両側に段47を形成する少なくとも1つの予め製造された支持部材49。次に、支持部材49上のスラブモジュールは、これらの段47の各々に支持される。モジュールのコンクリート層4の間の中間空間41は、支持部材49の上に残されたままである。
【0131】
支持手段補強材42は、i.又はii.に従って形成された中間空間41に挿入され、スラブモジュールの隣接するコンクリート層4の補強材15に接続される。次に、中間空間41にコンクリート48が充填され、その硬化によって、複合スラブ内に埋め込まれ、場合によっては上部及び/又は下部で層複合材から突出する支持手段8が完全に形成される。内部支持手段8の上側突出部のために、対応する中間空間41に隣接する上方に延びるコンクリート型枠が上部に適用され、結果として拡張された空間41はコンクリート48で充填される。コンクリート48が硬化した後、コンクリート型枠は再び除去され、それによって、上方に突出する支持手段8が完全に形成される。
【0132】
様々な実施形態は、内部支持手段8が、時には審美的に設計された突出形状を通して、非常に様々な方法で設計され得ることを証明する。スラブ層複合材から突出する内部支持手段8は、非常に大きな曲げ補強に起因して垂直支持体を密に配置する必要がないので、スラブ計画設計において更に大きな柔軟性を可能にする。他方では、全ての内部支持手段8をスラブ内で消失させることも望ましい場合がある。組み合わされた変形例では、例えば、第1の内部支持手段8aのみが突出することもでき、一方、火災が発生した場合を除いて、いずれにしても無視できる静的寄与をする第2の支持手段8bは、スラブに完全に一体化される。その場合、それらはまた、純粋な一時的要素として光学的効果を有さないが、これは第1の内部支持手段8において許容される。どの内部支持手段8をスラブからどこに突出させるかについての決定は、建築的に動機づけられ、静的に十分に実施され得る。最後に、各建物は、それ自体のタイプを有し、これが、1つ又は他の実施形態の変形例がそれに応じてより良く適している理由である。いずれにしても、内部支持手段8は個々に選択することができ、必要であれば、異なる実施形態を互いに組み合わせることができ、スラブ内に設置されていない従来の支持手段を必要に応じて補足することもできる。
【0133】
図11は、ここでは全高80mの高層建物50aとして設計された建物50を示す。典型的には、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、建物コア17を除いて各階に設置され、各階にまたがっている。ここでは、複合スラブが木材層1を有する内側で終端し、内部構造に関して特徴的に作られるように、防火及び防音要件が満たされる。本発明によるスラブを使用することにより、当該高層建築50aで合計28階を達成することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 平坦な木材要素、木材層
2 コンクリート型枠、コンクリートと木材支持構造との間の分割面
3 遮断層
3a 比較的重い遮断材料の層
3b 比較的軽い遮断材料の層
4 コンクリート層
5 木材ビーム
6 木材とコンクリートとの間に要素を接続する木材ねじ
7 溝、せん断チャネル
8 内部支持手段
8a 第1の内部支持手段8
8b 第2の内部支持手段8
9 せん断コネクタ、鋼管
10 支持手段8の引張補強材
11 支持手段8の圧縮補強材
12 支持手段8上のコンクリート層4の補強材15のための接続補強材
13 支持手段8のスターラップ補強材
14 補強材12、15を接続するためのベルバットジョイント
15 コンクリート層4の補強材、補強ロッド
16 支持手段8の側面
17 支持建物コア
18 垂直支持柱
19 建物のファサード壁
20 鋼ビーム形材
21a 鋼形材20の上部フランジ
21b 鋼形材20の下部フランジ
22 衝撃音遮断断熱パネル
23 サブスラブ、スクリード
24 木材パネルの凹部
24a 後方凹部
24b 木材パネルの前方の手付かずの材料27を通る中空チャネル、この場合の手付かずの材料27は、中空チャネル24bのみによって手付かずではない
24c 前方凹部
25 木材パネルにまたがる共通凹部
26 張力付与手段
26a 固定具張力付与ブロック、ねじ頭、対向くさび
26b 固定具のための接続手段ねじ山付きロッド、張力付与アーム
26c 力伝達手段スリーブ、レバー、張力付与くさび
27 中空チャネル24bを除いて手付かずのままである、木材パネルの前方の手付かずの材料
28a 木材パネルの前方の手付かずの材料27の後端面
28b 木材パネルの後方の手付かずの材料29の端面
29 木材パネルの後方の手付かずの材料
30 木材層1の凹部
31 スラブモジュール用の型枠
32 遮断材料の少なくとも横方向のフレーミングのためのフィルム
33 プレースホルダ
34 スプリンクラシステム
35 後に形成される内部支持手段8のための木材層1上の接触面
36 層分離フィルム
37 モジュール型枠31用の補助フレーム
38 スラブモジュール用のスタックマガジン
39 コンクリート層4又はコンクリート層4及び遮断層3における凹部
40 凹部39によって形成された共通凹部
41 内部支持手段8に現場打ちコンクリートを注入するための中間空間
42 支持手段補強材
43 測定ロッド
44 荷重処理アタッチメント、持ち上げベルト
45 荷重処理アタッチメント44のためのガイド
46 中空スラブの下の空洞
47 段
48 予め製造された内部支持手段8の現場打ちコンクリート
49 予め製造された支持部材
50 建物
50a 高層建物
【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材-コンクリート複合スラブであって、その支持構造が、コンクリートの1つの構成要素と、それに耐せん断的に接続された木材の1つの構成要素とを備え、前記スラブが、下から上に、最初に、前記スラブの前記複合材において引張荷重を受けることができる平面状に延在する木材構成要素、すなわち木材層(1)と、それに続く遮断層(3)と、最後にコンクリート層(4)とを備える層構造(1、3、4)を含み、前記せん断コネクタ(9)が前記複合スラブ内に組み込まれ、そのうちの少なくとも1つのせん断コネクタ(9)が前記木材層(1)内及び前記コンクリート層(4)内に同時に突出し、そうすることで前記遮断層(3)を貫通し、前記スラブの前記層構造(3、4)が少なくとも1つの支持手段(8)によって中断され、前記支持手段が少なくとも前記コンクリート層(4)及び前記遮断層(3)を横断し、その結果、少なくとも前記木材層(1)まで下方に延在し、前記木材層(1)が一緒にされた木材ビーム及び/又は前記木材層(1)から構成されず、前記層厚に対する前記層の最下部において、前記木材における材料除去機械加工が施されておらず、それによって手付かずのままである、木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの支持手段(8)が、前記複合スラブから下方及び/又は上方に突出することによって、前記複合スラブからその長さにわたって部分的又は完全に突出する、請求項1に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項3】
前記支持手段(8)の、その長さの一部にわたって下向きに成形された前記突出部が、前記支持手段(8)に下方で接続する柱(18)のキャピタルとして設計されている、請求項2に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの支持手段(8)が、補強鋼(10、11、12、13)及び/又は補強材(42)として少なくとも1つの下部フランジ(21b)を有する鋼形材(20)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項5】
前記1つの支持手段(8)又は前記複数の支持手段(8)が、その/それらの重量が合計でスラブ総重量の最大10%を構成するように、その/それらの数に関して寸法決め又はサイズ設定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項6】
前記複合スラブの前記スパンの最大50%の拡張、前記拡張されたスパンの最大9 mの全長の場合、前記スラブのスパン依存重量増加はスラブ重量の10%を超えず、スラブ厚さは、スラブ計画設計におけるより大きな柔軟性を保証するために、5~10 cmだけ変化する、請求項1~5のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項7】
少なくとも2つのスラブモジュールを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブの製造方法であって、
a.前記スラブモジュールは各々層構造(1、3、4)で形成され、その結果、下から上へ、まず、前記せん断コネクタ(9)がその下端でその中に固定された前記木材層(1)が製造され、次に、前記遮断層(3)が形成され、最後に、前記せん断コネクタ(9)の上端が前記コンクリート層(4)に固定されるように、前記コンクリート層(4)がその補強材(15)と共に適用され、
b.次に、前記スラブモジュールは、1つ又は複数の支持体上のそれらのために予め定められた位置に置かれ、
i.前記2つのスラブモジュールが当接し、それによって、前記スラブモジュールのうちの少なくとも1つの前記木材層(1)上の、材料適用から一時的に除外された接触面(35)によって底部が画定され、その前記遮断層及びコンクリート層(3、4)によって横方向に画定される中間空間(41)を形成する、
又は
ii.前記支持体のうちの少なくとも1つは、両側に段(47)を形成する下側突出部を形成する予め製造された支持部材(49)であり、いずれの場合も、前記段(47)上で、スラブモジュールは前記支持部材(49)上に支持され、このように支持された前記スラブモジュールの前記コンクリート層(4)の間で、前記支持部材(49)の上方に中間空間(41)が残される、のいずれかであり、
c.前記中間空間(41)内に、支持手段補強材(4210、11、12、13、20)が挿入され、前記隣接するコンクリート補強材(15)に接続され、
d.前記中間空間(41)がコンクリート(48)で充填され、その硬化により、前記支持手段(8)が完全に形成される、製造方法。
【請求項8】
各スラブモジュールについて、
a0.最初に、前記せん断コネクタ(9)が前記木材層(1)に導入されて固定されることによって前記木材層(1)が加工され、型枠(31)が更なる層(3、4)の構築のために前記木材層(1)を包囲し、前記型枠(31)が前記木材層(1)上の可能な接触面(35)を画定し、
a1.前記遮断層(3)は、前記型枠(31)内の前記木材層(1)上に形成され、
a2.前記コンクリート層(4)のための前記補強材(15)が、次いで、前記型枠(31)内の前記遮断層(3)の上に配置され、
a3.前記コンクリート層(4)が前記型枠(31)内に注入され、前記コンクリート層(4)が硬化した後、前記型枠(31)が除去され、それによって前記スラブモジュールが形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記上部に突出する支持手段(8)について、
d0.上方に延在するコンクリート型枠が前記中間空間(41)に適用され、
d1.前記対応して画定された空間がコンクリート(48)で充填され、
d2.前記コンクリート型枠は、前記コンクリート(48)が硬化した後に再び除去され、それによって、上部に突出する前記支持手段(8)が完全に形成される、請求項7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記支持構造が、コンクリートの構成要素と、それに耐せん断的に接続された木材の構成要素とを備える木材-コンクリート複合スラブであって、前記スラブは、層構造(1、3、4)を含み、前記層構造(1、3、4)は、下から上に、最初に、前記スラブの前記複合材において引張荷重を受けることができる平面状に延在する木材構成要素、すなわち木材層(1)と、それに続く遮断層(3)と、最後にコンクリート層(4)とを備え、せん断コネクタ(9)が前記複合スラブに設置され、前記遮断層(3)は、少なくとも1つのせん断コネクタ(9)が前記木材層(1)及び前記コンクリート層(4)に同時に突出し、そうすることで前記遮断層(3)を貫通し、前記遮断層(3)は、密度又は比重が異なる少なくとも2つの遮断材料を含み、より高密度の遮断材料は、前記スラブ複合材の引張荷重を受けることができるこの木材層(1)の上に直接配置されるか、その上に直接置かれ、どちらの場合にも前記木材層(1)の慣性を増加させ、振動減衰手段として作用するように意図され、前記木材層(1)は、一緒にされた木材ビームから構成されず、及び/又は前記木材層(1)は、前記層厚に関して前記層の最下部において、前記木材における材料除去機械加工が施されておらず、それによって手付かずのままであり、前記スラブの前記層構造(3、4)は、前記スラブの上に支持手段なしで延在するか、又は少なくとも1つの支持手段(8)が少なくとも前記コンクリート層(4)及び前記遮断層(3)を横断し、その結果少なくとも前記木材層(1)まで下方に延在するかのいずれかである、木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項11】
低密度遮断材料の上部層(3b)が、高密度遮断材料の下部層(3a)の上に載っている、請求項10に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項12】
前記低密度遮断材料が空気からなるように前記スラブ内に空洞が形成され、前記コンクリート層(4)が前記空洞の上方の永久コンクリート型枠(2)上に載置される、請求項10又は11のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項13】
前記低密度遮断材料の材料として空気が排除されているか、又は前記スラブが空気で構成される空洞を含まない、請求項10~12のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項14】
前記遮断材料の密度又は比重の差が0.5~2t/m
3である、請求項10~13のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項15】
前記高密度遮断材料の接触圧力が、1m
2当たり0.7~1.4kNであり、前記低密度の遮断材料の前記接触圧力が、1m
2当たり0.1~0.4kNである、請求項10~14のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項16】
前記高密度遮断材料は、破砕コンクリートから作られたコンクリート粒状物、又は破砕コンクリートとメーソンリーとの混合粒状物からなり、前記低密度遮断材料は、軽量建築材料からなる、請求項10~15のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブにおける前記木材層(1)の振動減衰による防音としての、異なる密度又は比重の少なくとも2つの遮断材料の使用。
【請求項18】
少なくとも2つのスラブモジュールを有する、請求項10~16のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブの製造方法であって、
a.前記スラブモジュールが各々それらの層構造(1、3、4)で形成され、それにより、下から上に、前記せん断コネクタ(9)がそれらの下端でそこに固定された状態で前記木材層(1)が最初に製造され、
b.次に、前記木材層(1)の前記慣性を増加させ、振動減衰手段として作用するように意図された高密度遮断材料を最初に導入することによって、少なくとも2つの遮断材料を用いて前記遮断層(3)が形成され、次に、この目的のために、低密度遮断材料が配置されるか、又は空洞が開放されたままであり、
c.最後に、前記せん断コネクタ(9)がその上端で前記コンクリート層(4)に固定されるように、前記コンクリート層(4)がその補強材(15)と共に作り出され、少なくとも第2のスラブモジュールへの接続のために、その補強材(15)が前記コンクリート層(4)の凹部(39)から突出し、
d.完全に作成されたスラブモジュールが、1つ又は複数の支持体上の予め定められた位置に置かれ、前記隣接するコンクリート層(4)の前記補強材(15)が摩擦接続されることによって前記少なくとも第2のスラブモジュールに接続され、その後、前記凹部(39)がコンクリート打ちされる、製造方法。
【請求項19】
各スラブモジュールについて、
a0.最初に、前記せん断コネクタ(9)が前記木材層(1)に導入されて固定されることによって前記木材層(1)が処理され、型枠(31)が前記更なる層(3、4)の構築のために前記木材層(1)を包囲し、
c0.前記遮断層(3)が製造された後、これは、前記型枠(31)内に前記コンクリート層(4)のための前記補強材(15)を挿入するために使用され、
c1.前記コンクリート層(4)が型枠(31)内に注入され、前記コンクリート層(4)が硬化した後、前記型枠(31)が除去され、それによって前記スラブモジュールが形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
木材-コンクリート複合スラブであって、その支持構造は、コンクリートの構成要素と、それに対して耐せん断的に接続された木材の構成要素とを備え、前記スラブは、層構造(1、4)を備え、前記層構造(1、4)は、下から上に、最初に、平面状に延在し、前記スラブの前記複合材において引張荷重を受けることができる木材構成要素、すなわち、木材層(1)と、遮断層(3)及び最後にコンクリート層(4)のいずれかが続き、又は、前記遮断層(3)がない場合には、コンクリート層(4)が続き、前記木材層(1)は、いずれの場合においても、1つの木材パネルが前記当接接続において形成された分割面において、それぞれの他の木材パネルに対して垂直に押圧することで、互いに往復的に張力を受ける、少なくとも2つの当接する木材パネルを含み、このようにして互いに対して張力がかけられた木材パネルの各々において、その下側が手付かずのまま残され、この少なくとも1つの箱形空間(24;24a、24c)が木材パネルに形成され、前記分割面の遠い側に配置された前記木材パネルの凹部(24;24a、24b、24c)と共に、前記2つの木材パネルに設けられそれらをまたぐ通路を形成するように、少なくとも1つの凹部(24;24a、24b、24c)が材料除去によって作成され、前記木材パネルは、互いに対して相互に張力がかけられ、前記分割面から見て、各々、前記分割面に垂直な方向及び離れる方向に、それらの1つ又は後方の箱形空間(24;24a)の後方に延在する領域に手付かずのまま残り、したがって、他の使用のための後方の手付かずの材料(29)が形成され、前記張力付与手段(26a,26b,26c)が前記通路内に導入され、各端部において少なくとも1つの箱形空間(24;24a)に固定され、この張力付与手段(26a,26b,26c)の張力付与の結果として、前記木材パネルが互いに引っ張られ、前記木材層(1)が一緒になった木材ビームから構成されず、及び/又は前記木材層(1)が、層厚に関連して層の最下部において、木材における材料除去機械加工が施されておらず、それによって手付かずのままであり、前記スラブの前記層構造(3、4)が、前記スラブ上に支持手段を伴わずに延在するか、又は遮断層(3)が存在する場合、少なくとも1つの支持手段(8)が少なくとも前記コンクリート層(4)及び前記遮断層(3)を横断し、結果として少なくとも前記木材層(1)まで下方に延びるかのいずれかである、木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項21】
手付かずのまま残された前記領域は、前記1つ又は後方の箱形空間(24;24a)の後方に直接隣接し、前記分割面に垂直な方向に延在する、請求項20に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項22】
前記手付かずのまま残された領域は、前記分割面に位置する前記木材パネルの端部とは反対側の前記木材パネルの端部まで延在するか、又は前記領域が、更なる木材パネルと共に張力を付与するために配置された同じ木材パネルの箱形空間(24;24a)まで延在する、請求項20又は21のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項23】
前記張力付与手段(26a、26b、26c)が、前記木材パネル内の、前記分割面の上流の位置に当接する、請求項20~22のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項24】
前記少なくとも1つの箱形空間(24;24a、24c)が、前記上部に向かって開くように、又は前記上部及び前記端面に向かって開くように設計されている、請求項20~23のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項25】
前記張力付与手段(26a、26b、26c)の固定具(26a)を収容するための前記少なくとも1つの箱形空間(24;24a、24c)の形状が長方形である、請求項20~24のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項26】
i.張力付与手段(26a、26b、26c)が、前記通路に緩く挿入され、前記分割面から見て、前記木材パネルの手付かずの材料(27)に、予備の/残っている/接触していない前方に対して圧力で当接するように張力が付与され、その中を通る中空チャネル(24b)の場合、この理由だけで手付かずではないので、前記当接する木材パネルは、前記分割面に対して垂直に互いに対して往復的に張力が付与される、及び/又は
ii.前記張力付与手段(26a、26b、26c)は、前記後方の手付かずの材料(29)の少なくとも1つの端面(28b)が固定手段から自由なままであるように、前記少なくとも1つの、又は前記分割面から見て前記後方の箱形空間(24)に固定される、のいずれかである、請求項20~25のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項27】
前記2つの木材パネルにまたがる前記通路が、前記分割面に対して対称的に除去されて、前記木材パネルの前記凹部(24;24a、24b、24c)が、同一に製造することができる、及び/又は前記張力付与手段(26a、26b、26c)が、側部から独立して使用することができる、請求項20~26のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項28】
前記張力付与手段構成要素(26a、26b、26c)が、前記分割面に対して対称な配置を形成し、及び/又は前記張力付与手段構成要素(26a、26b、26c)が、前記分割面に対して直角に作用するように配置される、請求項20~27のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項29】
前記張力付与手段(26a、26b、26c)は、
i.前記端部に固定されたねじ頭(26a)を有するねじ接続として、又は
ii.前記端部に固定され、張力付与アーム(26b)によって把持される張力付与ブロック(26a)を有するレバー作動張力付与ロックとして、又は
iii.くさび接続(26a、26c)であって、前記くさび接続(26a、26c)のために、その中を通る中空チャネル(24b)の場合にはこの理由だけでは手付かずではない前方の手付かずの材料(27)が、前記分割面まで両方の木材パネルに到達し、張力付与くさび(26c)及び対向くさび(26a)が、分割面から見て前記前方の手付かずの材料(27)の後方の近い側の木材パネルの箱形空間(24)内に配置され、ねじ山付きロッド(26b)が、対向くさび(26a)及び張力付与ブロック(26a)と共に、遠い側の前記木材パネルの前記対向する箱形空間(24)内に固定され、前記張力付与ブロック(26a)と張力付与ブロックとして作用する前記張力を付与されたくさび(26a、26c)との間に位置する前記前方の手付かずの材料(27)が、前記張力付与くさび(26c)が叩き下げられるか、叩き込まれるか、又は締め付けられると圧力を受ける、くさび接続(26a、26c)として実現される、請求項20~28のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項30】
前記凹部(24)は各々、前記分割面から見て、後方チャンバ(24a)及び前方チャンバ(24c)を形成し、前記後方チャンバ(24a)及び前記前方チャンバ(24c)は、前記前方の手付かずの材料(27)内の中空チャネル(24b)を介して接続され、それによって、前記材料は、前記中空チャネル(24b)によってのみ手付かずではなく、前記張力付与手段(26a、26b、26c)は各々、ねじ頭(26a)又は張力付与ブロック(26a)によって前記後方チャンバ(24a)内の端部側に固定され、いずれの場合も、近い側の木材パネルの前記前方チャンバ(24c)は、前記当接軸の遠い側に位置する前記木材パネルの前記前方チャンバ(24c)と共に、上部が開いている共通チャンバ(25)を形成し、連続的なねじ接続(26b、26c)が、前記中空チャネル(24b)及び前記共通チャンバ(25)を介して実現され、前記ねじ接続は、スリーブ(26c)の固定位置回転によって、中央ナット及び前記ナットによって一緒に引っ張ることができる2つのねじ山付きパイプ部分を含む継手によって、又はニップルによってのいずれかによって、前記共通チャンバ(25)内で張力をかけることができる、請求項20~29のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項31】
a.張力をかけるべき前記木材パネルの各々において、前記少なくとも1つの凹部(24)が、少なくとも1つの箱形空間(24;24a、24c)を形成するように材料除去によって作成され、
b.次いで、前記木材パネルが当接して置かれ、それらの凹部(24)が、前記2つの木材パネルにわたって広がる凹部通路を形成し、
c.前記張力付与手段(26a、26b、26c)が、前記通路に導入され、各端部において前記少なくとも1つの又は後方の箱形空間(24;24a)に固定され、
d.次いで、前記張力付与手段(26a、26b、26c)が上から張力を付与される、請求項20~30のいずれか一項に記載の木材-コンクリート複合スラブの製造方法。
【請求項32】
i.前記張力付与手段(26a、26b、26c)が、前記通路に緩く挿入され、引張応力下で、予備の/残っている/接触していない前方の手付かずの材料(27)に対して圧力で当接するように固定され、前記前方の手付かずの材料(27)は、中空チャネル(24b)がその中を通る場合、この理由だけで手付かずではないので、前記当接する木材パネルは、前記分割面に対して垂直に互いに対して往復的に張力が付与される、及び/又は
ii.前記張力付与手段(26a、26b、26c)は、前記後方の手付かずの材料(29)の少なくとも1つの端面(28b)が固定手段から自由なままであるように、前記少なくとも1つの又は後方の箱形空間(24)内に固定される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
a.前記凹部(24)は、いずれの場合にも、前記前方の手付かずの材料(27)内の中空チャネル(24b)を介して接続される後方チャンバ(24a)及び前方チャンバ(24c)を形成し、前記手付かずの材料は、前記中空チャネル(24b)のみによって手付かずではなく、
b.近い側の木材パネルの前方チャンバ(24a)は、いずれの場合も、前記当接軸の遠い側に位置する前記木材パネルの前方チャンバ(24a)と共に、上部が開いた共通チャンバ(25)を形成し、
c.前記張力付与手段(26a、26b、26c)は、ねじ頭(24a)又は張力付与ブロック(24a)によって前記後方チャンバ(24a)内に固定され、
d.連続的なねじ接続が、前記中空チャネル(24b)及び共通チャンバ(25)を介して実現され、このねじ接続は、スリーブ(26c)の固定位置回転によって、中央ナット及び前記ナットによって一緒に引っ張ることができる2つのねじ山付きパイプ部分を含む継手によって、又はニップルによって、共通チャンバ(25)内で張力が付与される、請求項31~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの支持手段(8)が補強されている、請求項1~6、10~16、20~30のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項35】
前記少なくとも1つの支持手段(9)が鉄筋コンクリート製である、請求項1~6、10~16、20~30、34のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項36】
前記遮断層(3)を横切る少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)は、前記複合材の最下支持層を最上支持層に接続する、請求項1~6、10~16、20~30、34~35のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項37】
前記木材層(1)が、前記スラブの前記複合材において引張荷重を受けることができる最下支持層として設計され、及び/又は前記コンクリート層(4)が最上支持層として設計される、請求項1~6、10~16、20~30、34~36のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項38】
前記木材層(1)と前記コンクリート層(4)との間に生じるせん断力が、少なくとも2つの異なる方向において前記せん断コネクタ(9)によって増加して吸収され得る、請求項1~6、10~16、20~30、34~37のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項39】
前記木材層(1)と前記コンクリート層(4)との間で任意の方向に生じるせん断力を吸収することができる、請求項1~6、10~16、20~30、34~38のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項40】
遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、前記木材層(1)及び前記コンクリート層(4)に同時に突出し、それによって前記木材層(1)の前記木材及び前記コンクリート層(4)の前記コンクリート内に保持される、請求項1~6、10~16、20~30、34~39のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項41】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、前記木材層(1)から前記コンクリート層(4)に一体部分を介して通じている、請求項1~6、10~16、20~30、34~40のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項42】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、前記木材層(1)及び前記コンクリート層(4)にポジティブロック方式で、したがって遊びなく一体化され、それによって、前記せん断コネクタ(9)が移動不能かつ変形不能な方式で埋め込まれる、請求項1~6、10~16、20~30、34~41のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項43】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、前記木材層(1)と前記コンクリート層(4)との間に耐せん断接続を形成するために変化させずに設置できるような形状を有する、請求項1~6、10~16、20~30、34~42のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項44】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、ブラケットとして設計されていない、請求項1~6、10~16、20~30、34~43のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項45】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、穿孔シートではない、請求項1~6、10~16、20~30、34~44のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項46】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、管として、形材として、又は押出形材、すなわち押出法からの形材として設計される、請求項1~6、10~16、20~30、34~45のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項47】
遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは複合スラブの各せん断コネクタ(9)は、フランジを有するか又は有さない管として設計され、管は、円形若しくは楕円形の断面を有する管部分、又は多角形管の形態の管部分を有するか又は形成する、請求項1~6、10~16、20~30、34~46のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項48】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、一体設計を有する、請求項1~6、10~16、20~30、34~47のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項49】
遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、その一方の端部で前記木材層(1)に突出し、その他方の端部で前記コンクリート層(4)に突出し、したがって前記木材及びコンクリート内に完全に埋め込まれる、請求項1~6、10~16、20~30、34~48のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項50】
遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、前記少なくとも1つの支持手段(8)の外側に延在し、及び/又はコンクリートで充填された前記木材層(1)のチャネルの外側に延在し、及び/又は前記コンクリート層(4)からの前記コンクリートの突出部の外側に延在する、請求項1~6、10~16、20~30、34~49のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項51】
前記遮断層(3)を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)若しくは各せん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、支持手段(8)の一部を形成しない若しくはそれに接続されない、又は支持手段(8)として設計されない、及び/又はコンクリートで充填された前記木材層(1)のチャネルの一部を形成しない、又はそのように存在しない若しくはそれに接続されない、及び/又は前記コンクリート層(4)からの前記コンクリートの突出部の一部を形成しない、又はそのように存在しない若しくはそれに接続されない、請求項1~6、10~16、20~30、34~50のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項52】
せん断コネクタ(9)が、前記スラブ内に設置されたせん断コネクタ(9)全体の少なくとも50%の重量割合を有し、少なくとも1つの支持手段(8)の外側、及び/又はコンクリートで充填された前記木材層(1)のチャネルの外側、及び/又は前記コンクリート層(4)からの前記コンクリートの突出部の外側に設置される、請求項1~6、10~16、20~30、34~51のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項53】
前記木材層(1)がチャネルなしで設計される、請求項1~6、10~16、20~30、34~52のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項54】
木材層(1)とコンクリート層(4)との間のせん断接続が、前記木材層(1)内及び前記コンクリート層(4)内に保持された機械的に組み込まれたせん断コネクタ(9)によってのみ実現され、したがって、せん断接続が、ポジティブロックを介しても表面結合を介しても実現されない、請求項1~6、10~16、20~30、34~53のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項55】
前記遮断層(3)を横断する前記少なくとも1つのせん断コネクタ(9)又は任意のせん断コネクタ(9)、あるいは前記複合スラブの各せん断コネクタ(9)が、圧入及び/又は接着によって前記木材層(1)内に保持される、請求項1~6、10~16、20~30、34~54のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項56】
端部が木材層(1)及び前記コンクリート層(4)に突出する少なくとも1つのせん断コネクタ(9)が、前記遮断層(3)の前記遮断材料を直接貫通しており、したがって全ての側部が囲まれており、前記遮断材料が空気から構成されていない、請求項1~6、10~16、20~30、34~55のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項57】
前記遮断層(3)を貫通し、前記木材層(1)及び前記コンクリート層(4)の両方に突出する前記せん断コネクタ(9)の各々が、その端部が前記遮断層(3)の前記遮断材料を直接貫通しており、したがって、全ての側部が前記遮断材料によって囲まれており、前記遮断材料が空気から構成されていない、請求項1~6、10~16、20~30、34~56のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項58】
前記遮断層(3)が、それを横切る前記せん断コネクタ(9)及び存在する任意の支持手段(8)と同じ厚さである、請求項1~6、10~16、20~30、34~57のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項59】
前記遮断層(3)の前記遮断材料が、前記木材層によって完全に保持され、したがって、下部型枠を必要としない、請求項1~6、10~16、20~30、34~58のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項60】
前記スラブの単軸支持効果がある場合、すなわち、前記スラブの単軸荷重伝達の場合、前記木材層(1)は、前記荷重伝達の方向に引張荷重を受けることができる、請求項1~6、10~16、20~30、34~59のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項61】
前記木材層(1)が、前記スラブの最大スパンにわたって引張荷重を受ける、請求項1~6、10~16、20~30、34~60のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項62】
前記木材層(1)が、前記少なくとも1つの支持手段(8)の全長にわたって、又は全長に沿って引張荷重を受ける、請求項1~6、10~16、20~30、34~61のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項63】
前記木材層(1)が、その下に延びる1つ又は複数の支持手段(8)上に載置される必要がないように構成されている、請求項1~6、10~16、20~30、34~62のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項64】
前記木材層(1)が、木材ビームとして設計された1つ又は複数の支持手段(8)上に載置される必要がないように構成されている、請求項1~6、10~16、20~30、34~63のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項65】
前記木材層(1)の最下層部分が、表面を覆うように前記木材層(1)全体にわたって延在する、請求項1~6、10~16、20~30、34~64のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項66】
前記木材層(1)が、その最下層部分が前記底部に向かって終端している、請求項1~6、10~16、20~30、34~65のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項67】
前記木材層(1)が、その最下層部分と共に連続した下面を形成する、請求項1~6、10~16、20~30、34~66のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項68】
前記木材層(1)が、当接する木材パネルを含むか、又は当接する木材パネルから形成される、請求項1~6、10~16、20~30、34~67のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項69】
前記凹部(24;24a,24b,24c)が、上から見たときにそれが前記木材パネル内に少なくとも1つの箱形空間(24;24a、24c)を形成するように材料除去によって作成される、請求項20~30、34~68のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項70】
互いに対して往復的に張力をかけられた前記少なくとも2つの当接する木材パネルの張力付与により、それらは、恒久的な張力で互いに対して張力をかけられ、互いに対して所定の位置に保持されるだけではなくなる、請求項1~6、10~16、20~30、34~69のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項71】
互いに対して往復的に張力をかけられた前記少なくとも2つの当接する木材パネルへの前記張力付与は、互いに対して往復的に張力をかけられた前記2つの木材パネルの分割面の両側のパネル領域を介して実現され、前記パネル領域は、前記張力付与方向における前記木材パネルの長さの一部のみを含む、請求項1~6、10~16、20~30、34~70のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項72】
前記木材層(1)の最下層部分自体が、高さを有する層を形成する、請求項1~6、10~16、20~30、34~71のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項73】
前記木材層(1)の最下層部分の前記木材が、互いに対して張力をかけられた前記木材パネルの前記張力付与方向に対して垂直に延びる前記分割面の位置における継ぎ目まで継ぎ目なく連続している、請求項1~6、10~16、20~30、34~72のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項74】
前記木材層(1)が、その下側において、材料除去機械加工が施されておらず、したがって手付かずのまま残されている、請求項1~6、10~16、20~30、34~73のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項75】
前記木材層(1)が平坦なスラブ下端として終端する、請求項1~6、10~16、20~30、34~74のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項76】
前記最下層部分が高さを有する、請求項1~6、10~16、20~30、34~75のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項77】
前記最下層部分の高さが少なくとも5mmである、請求項76に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項78】
前記木材層(1)が、個々の木材ビームの形態のいかなる構成要素も含まない、請求項1~6、10~16、20~30、34~77のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項79】
前記木材層(1)が、直交集成板、単板積層材、又は無垢木材の木材材料からなる、請求項1~6、10~16、20~30、34~78のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項80】
前記木材層(1)がボードスタック材から形成されていない、請求項1~6、10~16、20~30、34~79のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項81】
前記木材層(1)が木材パネルから形成されていない、請求項1~6、10~16、20~30、34~80のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項82】
前記スラブの前記層コース(1、3、4)が、前記少なくとも1つの支持手段(8)の両側で連続している、請求項1~6、10~16、20~30、34~81のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項83】
前記少なくとも1つの支持手段(8)又は前記コンクリート層(4)の前記コンクリートの突出部が、前記木材層(1)と同一平面上にある、請求項1~6、10~16、20~30、34~82のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項84】
前記複合スラブには、せん断コネクタ(9)が設置され、そのうち少なくとも1つのせん断コネクタ(9)が、前記木材層(1)及び前記コンクリート層(4)に同時に突出し、それによって前記遮断層(3)を横断する、請求項1~6、10~16、20~30、34~83のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項85】
前記スラブ複合材中の前記木材層(1)が、前記スラブの設置状態において引張応力を受ける、請求項1~6、10~16、20~30、34~84のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項86】
請求項1~6、10~16、20~30、34~85のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項87】
請求項1~6、10~16、20~30、34~86のいずれか一項以上に記載の1つ又は複数の組込み木材-コンクリート複合スラブを有する建物(50)。
【請求項88】
住居用及び/又はオフィスビル、行政用ビル、学校、教育施設、集合場所、展示館又は市民会館、会議及びコンサートホール、図書館、博物館、貯蔵庫、ショッピングセンター、ホテル、アクアティクスセンター、スポーツスタジアム、駅、又は空港として設計されている、請求項87に記載の建物(50)。
【請求項89】
25mから始まる全高を有する高層建物(50a)として設計されている、請求項87又は88のいずれか一項に記載の建物(50)。
【請求項90】
請求項1~6、10~16、20~30、34~86のいずれか一項以上に記載の1つ又は複数の組込み木材-コンクリート複合スラブを有し、前記スラブは、水平位置及び/又は45°までの傾斜位置に設置される、請求項87~89のいずれか一項以上に記載の建物(50)。
【請求項91】
請求項7~9、18~19、31~33のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項92】
請求項1~6、10~16、20~30、34~86のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブを作成するための、請求項7~9、18~19、31~33のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項93】
請求項87~90のいずれか一項以上に記載の建物を作成するための、請求項7~9、18~19、31~33のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項94】
請求項1~6、10~16、20~30、34~86のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブにおける、請求項17に記載の使用。
【請求項95】
請求項87~90のいずれかに記載の建物に設置される、請求項1~6、10~16、20~30、34~86のいずれか一項以上に記載の木材-コンクリート複合スラブにおける、請求項17に記載の使用。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦な木材要素を有する木材-コンクリート複合スラブに関する。純粋なコンクリートスラブと比較して、このスラブはかなり軽量であることを特徴とする。従来の木材-コンクリート複合スラブと比較しても、本発明によるスラブは、より軽量で細長い設計を提供する。これに関連して、スパンは、スラブの相対的な固有重量にほとんど依存せずに、このスラブシステムで達成することができる(すなわち、スラブ面積で計算される)。本発明は更に、そのようなスラブの製造方法、使用、及び1つ又は複数のそのような木材-コンクリート複合スラブを有する建物に関する。
【0002】
大きなスパンを有するスラブが非常に望ましい。特に、高層建物のような複数階及び多数階の建物では、それらは、空間利用率の向上及び階のスラブ計画設計に可変性を提供する。更に、大きなスラブスパン寸法は、階内に設置しなければならない耐荷重壁及び柱が少なくて済むので、その後の改造における柔軟性も生み出す。やはり木材-コンクリート複合スラブを使用して大きなスラブスパンを達成することは、全ての場合において非常に望ましい。
【0003】
しかしながら、大きなスパン寸法は、任意のスラブ計画に対して同じ課題を提起する。つまり、必要とされる曲げ剛性及び耐荷重能力を作用させられるようにするために、スラブは十分な静的高さを必要とする。これは、木材-コンクリート複合スラブの場合にも、その固有重量に反映される。木材上にコンクリートを有する従来の実施形態では、スラブの固有重量は高さに比例して増加する。これは、荷重を支持すべき建物の垂直支持構造及び基礎に対応する要件を課す。特に、多くの階を有する高層建築では、これは大きな課題である。更に、スラブ厚さが大きいと、建物の特定の高さに対してスラブが少なくなる可能性があるので、利用には弊害がある。したがって、特別な木材-コンクリート複合スラブのおかげで、前述の欠点なしに、より大きいスパンを実現することができることが望ましい。
【0004】
木材ビーム、すなわち線形木材構成要素を有する木材-コンクリート複合スラブは、オフィス及び住居用建物において、また時には高層建物においても既に見られるが、木材-コンクリート複合スラブ構造は、完全に確立され得るために、まだ全ての問題を解決していない。前述のスラブが使用される、すなわち、木材ビームが散在しているので、それらは建築上の観点から限られた程度までしか十分ではない。単にスラブを通る軸方向格子としての木材の比較的控えめな使用では、建築材料木材の生態学的可能性も十分に引き出すことができない。CO2貯蔵手段としてのその特性とは全く別に、木材は、加工中の汚染物質放出が比較的低く、同様に、設備に必要なエネルギー消費が低い。その結果、木材-コンクリート複合スラブにおける木材構成要素の寸法が大きくなると、建物の気候の影響に対してプラスの効果のみを有し、これは、いずれの場合にも非常に望ましい。しかしながら、ここでは2つの問題に直面する。
【0005】
一方では、複合スラブにおいてより多くの木材を使用すると、計画のための制限的な防火対策も必要となる。平坦な木材要素を有する木材-コンクリート複合スラブの実施形態では、このようなスラブが、最下複合層として仕上げられた審美的に魅力的な下端を提供することができるので、静的要件及び建築要件を同時に満たすことができることは事実である。しかしながら、この場合、支持体は邪魔であり、そのため、可燃性の平坦な木材要素は、内側に、特に大きなスパン寸法を有する空間に簡単に露出させることができない。防火要件は、建物がより多くのスラブを備えるほど、又は避難経路がより長くなるほど、より制限的になる傾向があり、当然ながら、用途及び建物内の居住者の数も役割を果たす。
【0006】
他方では、木材-コンクリート複合スラブ中の木材の割合が大きいことは、それが提供する防音性も低いことを意味する。コンクリートよりも実質的に軽量の複合パートナーとして、木材ははるかに容易に振動を励起することができる。したがって、固体伝搬音は、平坦な木材要素を有する木材-コンクリート複合スラブ内で比較的容易に伝搬することができ、建物の使用者によって知覚され得る。これは、特にアパート、オフィスビル、学校、大学、図書館などの教育施設、及び一般的に防音に高い要求がある場所におけるそのようなスラブの使用を妨げる。特に、これは、建物を使用する異なる当事者から音響的に隔離されなければならない別個の利用ユニット、例えば、アパート及びオフィスユニット、教育施設の部屋ユニットなどを有する建物において、スラブが個々のユニットの移行点において中断されなければならないことを意味する。これは、スラブの静力学及びスラブアセンブリの効率の両方に対して不利な影響を有する。
【0007】
説明した問題により、第1に固有重量の比例的な増加のため、第2に防火要件のため、第3に音の伝播のために、大きなスパンを有する平坦な木材要素を有する従来の木材-コンクリート複合スラブは使用できない。このようなスラブでは、建物のユーティリティユニット又はアパートユニットを最終的に適切にスパンすることができないので、比較的小さなスパンのスラブ要素が依然として使用されており、これもまた建設及び組立の効率を損なう。
【0008】
木材及びコンクリート構成要素を含む多数の構造が、過去数十年で従来技術において知られるようになった。そのような設計提案のいくつかを以下に示す。
【0009】
1941年に公開された米国特許第2 268 311(A)号は、コンクリート製の支持構造を有するスラブ構造を開示している。断面がV字形の下方に突出するリブを有するコンクリート上部スラブは、その下側で完全に囲まれている。プラスターコーティングで作られた下側の水平に延びる層は、以下のように仕上げ段階で懸架することができる。
図2に示す実施形態によれば、木材スラット(木材胴縁)が、当該スラットを介してリブ上に懸架され、リブは、リブの長手方向において、底部でハンガーとして側翼を形成する。この場合、個々の木材スラットの先端は、フランジの下で辛うじて互いに接触する。
図7による別の変形例では、スラットは、リブに固定された上反りU字形ブラケットを介してリブの長手方向に正確に嵌合する凹部に沿って押され、次いで、そのブラケット端部が横方向に曲げられる。プラスターベースパネルは、このように固定されたスラットに適用することができる。コンクリート支持構造と石膏ベーススラットとの間の接続は、スラットが懸架される支持手段の位置においてのみ実現される。
【0010】
1942年に公開されたスイス特許第223 498号では、支持木材構成要素が木材ビームの形態で設計されている木材-コンクリート複合構造が提示されている。これらの木材ビームは、それらの上側に凹部を有し、その中にコンクリートが上から浸透してそれらを充填することができる。耐せん断表面接着は、木材とコンクリートとの絡み合いによって実現される。充填体-いわゆるHourdiブロック-は、木材ビームの間に置かれ、各々が木材ビーム上で横方向に支持される。ここでも、せん断接続は支持手段の位置においてのみ実現される。
【0011】
1988年に公開された欧州特許出願公開第0 280 228(A1)号には、木材-コンクリート構造の別の提案が見られる。そこに提示されているスラブ構造の支持木材構成要素は、互いに平行に延び、互いに離間しているビームの形態で設計されている。これらは下部スラブ閉鎖部を形成する。この上に、コンクリート上部スラブが載る遮断層が、型枠によって保持される。後者は、鋼管を介して木材ビームに接続される。この目的のために、型枠及び遮断層の両方に凹部が存在し、その結果として、接続管が木材ビーム内に下方に貫通する。接続管の上端部は、上部スラブのコンクリート内に鋳造される。したがって、せん断接続は、支持手段の位置においてのみ実現される。
【0012】
1958年に公開されたドイツ特許第10 37 687(B)号は、鉄筋コンクリートリブ又は鉄筋コンクリートビームスラブを開示している。底部に形成された現場打ちコンクリートリブは、木材、金属又はプラスチックで作られた支持レールによって横方向に枠組みされる。これらの支持レールは、予め製造されたコンクリートスラブのための支持体として機能する。他方でそれらは、現場打ちコンクリートリブのための恒久的な型枠として、それらの下に配置されたプラスターベース、すなわち、管状メッシュマット、プレート、又は軽量プレートと相互作用する。支持レールは、一方では支持壁に支持され、他方では柱及び横ビームからなる木材ヨークに支持されている。この文献は、コンクリート並びに支持レール又は木材ヨークに係合するせん断コネクタを開示していない。
【0013】
1973年に公開された文献フランス特許第2 143 603(A1)号は、上反りT形材を有する鋼ビームを含むスラブ構造を開示している。恒久的な型枠を構成するHourdiブロックは、上反りTビームの肩部上に配置される。Hourdiブロックの比較的厚い中間層は、発泡軽量材料(発泡ポリウレタン、Styropor、又は商標名Kegecellで知られている材料)で作られ、より高密度の上部遮断層(例えば、アスベストセメントパネル、石膏ボードパネルなどからなる)によって上部が覆われる。発泡軽量材料の下には、チップボードパネルなどの層が続く。したがって、上側Hourdi層の遮断材料は、チップボード層上に載置される厚い中間Hourdi層の発泡軽量材料よりもはるかに高い密度を有する。厚い中間Hourdi層の同じ発泡軽量材料の更なる層が、これらのHourdiブロックから懸架されるか、又は下からチップボードパネルに釘打ちされる。これはまた、視覚的仕上げ層としてプラスターボード層を底部に備えている。ここでも、コンクリート内及び木材内に突出するせん断コネクタを有するせん断接続は開示されていない。
【0014】
米国特許出願公開第2018/0328019(A1)号は、スラブパネルと、スラブパネルから離間された天井パネルとで作られたスラブ天井パネルを示しており、スラブパネルと天井パネルとの間にC字形断面を有する鋼形材の形態で支持手段が設置されている。スラブと天井パネルとの間の接続は、アルミニウム又は鋼からなるこれらの金属支持手段によってのみ形成され、金属支持手段は、上部で金属隔壁層にねじ込まれ、底部で有利には不燃性材料からなるスラブ層にねじ込まれる。スラブと天井パネルとの間に形成された空洞であって、金属支持手段も貫通して延在する空洞において、断熱又は防音のための遮断材料が、下部天井層から離れて配置される。
【0015】
最後に、ボードスタック材システムが、2006年に公開された米国特許出願公開第2006/179741(A1)号に提示されている。個々のボードスタック材要素は互いの上に積み重ねられ、硬材ダボで接続される。この目的のために、ダボが挿入される孔がボードスタック材要素に穿孔される。設置中のダボの含水率は軟材からなるボードスタック材要素の含水率よりも低いので、水分平衡が経時的に確立される。ここで、硬材ダボは膨張又は膨潤する。等方圧が生成され、この等方圧は、ボードスタック材要素のボアホールの内壁に半径方向に向けられる。ボードスタック材要素の結合は、これのみによる。個々の硬材ダボは、好ましくはボードスタック材全体を貫通する。しかしながら、代替的に、単一の硬材ダボをより短く設計することもできる。しかしながら、ボードスタック材要素は、ダボの結果としての接触圧力に起因して、互いに対して引っ張られない。しかしながら、ボードスタック材要素は、その長さに応じて張力をかけることができ、この目的のために、その最下部に凹部が設けられ、この凹部は、ボードスタック材要素が一緒に置かれたときにケーブルなどを挿入するためのチャネルを形成する。このようなボードスタック材木材建築システムは、後述するように、木材-コンクリート複合スラブにも適している。
【0016】
1997年に公開されたカナダ特許第2 176 450(A1)号では、ビームに対して横方向に一緒に積み重ねられた多数の個々の木材構成要素からなる木材ビームが提示されている。木材ビームの両側に張られたケーブルが、これらの木材構成要素を通って延びている。この目的のために、固定具プレート又は中空箱が、ビームの最も外側の木材構成要素に適用され、ケーブルは、油圧プレスによって最終的にその上に張力をかけられる。このタイプの張力付与は、木材ビームの両側に空間が存在する場合、例えば、それ自体のコンクリートベースから距離を置いて取り付けられるブームの場合に適している。
【0017】
上述した最後の2つの文献を除いて、上述した解決策の全ては、支持手段(木材、コンクリート、金属支持手段)又は下向きに形成されたコンクリート上部スラブのコンクリートからの突出部を開示している。それによって、コンクリートと木材との間の接続が、(対応する構造の木材構成要素が支持機能を担うかどうかにかかわらず)支持手段又はコンクリートの突出部を貫通することが明らかである。これは、コンクリートと木材との接続の正確にこれらの位置においてスラブの実質的な重量集中をもたらす。したがって、このような木材-コンクリート接続は、スラブの総重量と相関する。一般に、せん断コネクタなどの木材-コンクリート接続が、1つ又は複数の支持手段及び/又はコンクリートで充填された木材構成要素のチャネル又はコンクリートの突出部に配置される場合、大きなスラブ重量負荷の問題に関して最初に説明したように、かなりの木材含有量を有し、したがってコンクリート上部スラブへの強い接続が必要とされる、大きなスパンにわたって延在する木材-コンクリート複合スラブの構築は、非常に困難であることが分かる。
【0018】
この背景に対して、本発明の目的は、最初に述べた建物のための木材-コンクリート複合スラブにおける木材のエネルギー効率の良い建築可能性を更に引き出すことである。特に、スラブは、重量の増加が少ない大きなスパンを可能にすべきである。このようにして、そのようなユニットを使用して、空間に関して、及び別個の住居、オフィス、又はユーティリティユニットを有する建物において、スパンを包括的にカバーすることも可能であるはずである。スラブの性質に起因して、木材、したがって、防火及び/又は防音要件を満たしながら、原則として可燃性であり、軽量であり、音を良好に伝導する材料で作られた層で内側の空間を閉鎖することも可能であるはずである。したがって、スラブ下端として、木材層は、内部構造に関して特徴的に作られる。更に、本発明の目的は、そのような木材-コンクリート複合スラブ及びその効率的な工業生産のための方法、並びに遮断材料を使用する木材-コンクリート複合スラブの防音設計を特定することである。更に、本発明の目的は、1つ又は複数のそのような木材-コンクリート複合スラブを有する建物を特定することである。
【0019】
この目的は、セクション[0020]~[00120]に従って、及びセクション[00121]の特許請求の範囲を参照して以下に明確に定義されるような、本発明による特徴の組み合わせによって達成される。セクション番号付けを伴う後方参照は、補助的なものとして理解されるべきである。ここで、本発明の定義に重要なことは以下の通りである。最小数の特徴で規定される装置(木材-コンクリート複合スラブ、建物)については、装置の有利な実施形態として、一部又は他の全ての装置特徴との任意の組み合わせも開示される。同様に、最小数の特徴を用いて定義される方法に関して、一部又は全ての更なる方法特徴との任意の組み合わせが、方法の有利な実施形態として開示される。同様に、全ての方法を用いて、その様々な可能な装置特徴を有する装置(木材-コンクリート複合スラブ、建物)を作成又は製造することができ、いずれの場合も方法の有利な実施形態として開示される。更に、様々な可能な装置特徴を有する装置(木材-コンクリート複合スラブ、建物)における使用を実現することができ、したがって、使用の有利な実施形態として開示される。
【発明の概要】
【0020】
本発明は、木材-コンクリート複合スラブであって、その支持構造が、コンクリートの構成要素と、それに耐せん断的に接続された木材の構成要素とを含み、スラブが、下から上に、最初に、スラブの複合材において引張荷重を受けることができる平面状に延在する木材構成要素、すなわち木材層と、それに続く遮断層と、最後にコンクリート層とを含む層構造を含み、せん断コネクタが複合スラブに設置され、少なくとも1つのせん断コネクタが木材層及びコンクリート層に同時に突出し、それによって遮断層を貫通し、スラブの層構造が、少なくとも1つの支持手段によって中断され、当該支持手段が、少なくとも木材層まで下方に延在することによって、少なくともコンクリート層及び遮断層を横断する、スラブに関する。
【0021】
有利な一実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0020]による特徴の組み合わせを含み、少なくとも1つの支持手段は、複合スラブから下方及び/又は上方に突出することによって、複合スラブから部分的に又は完全にその長さにわたって突出する。
【0022】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0020]又は[0021]のうちの1つによる特徴の組み合わせを含み、支持手段の、その長さにわたって部分的に下向きに成形された突出部は、支持手段に隣接する柱のキャピタルとして設計される。
【0023】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0020]~[0022]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、少なくとも1つの支持手段は、補強鋼及び/又は補強材として少なくとも1つの下部フランジを有する鋼形材を含む。
【0024】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0020]~[0023]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、1つ又は複数の支持手段は、それらの重量がスラブの総重量の最大10%であるように、それらの数に関して寸法決めされる。
【0025】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0020]~[0024]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、複合スラブのスパンの最大50%の拡張、拡張されたスパンの最大9mの全長の場合、スラブのスパン依存重量増加はスラブ重量の10%を超えず、スラブ厚さは、スラブ計画設計におけるより大きな柔軟性を保証するために、5~10cmだけ変化する。
【0026】
本発明はまた、少なくとも2つのスラブモジュールを有する、セクション[0020]~[0025]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する木材-コンクリート複合スラブの製造方法に関し、
a.スラブモジュールは各々層構造で形成され、その結果、下から上へ、まず、せん断コネクタがその下端でその中に固定された木材層が製造され、次に、遮断層が形成され、最後に、せん断コネクタの上端がコンクリート層に固定されるように、コンクリート層がその補強材と共に適用され、
b.スラブモジュールは、1つ又は複数の支持体上のそれらのために予め定められた位置に置かれ、
i.2つのスラブモジュールが当接し、それによって、スラブモジュールのうちの少なくとも1つの木材層上の、材料適用から一時的に除外された接触面によって下方が画定され、その遮断層及びコンクリート層によって側方が画定される中間空間を形成する、
又は
ii.支持体のうちの少なくとも1つは、両側に段を形成する下側突出部を形成する予め製造された支持部材であり、いずれの場合も、段上でスラブモジュールは支持部材上に支持され、このように支持されたスラブモジュールのコンクリート層の間で、支持部材の上方に中間空間が残される、のいずれかであり、
c.支持手段補強材が、中間空間に挿入され、隣接するコンクリート補強材に接続され、
d.中間空間がコンクリートで充填され、その硬化により、支持手段が完全に形成される。
【0027】
有利な実施形態によれば、本方法は、セクション[0026]による特徴の組み合わせを含み、各スラブモジュールについて
a0.最初に、せん断コネクタが木材層に導入されてそこに固定されることによって木材層が加工され、型枠が更なる層の構築のために木材層を包囲し、型枠が木材層上の任意の接触面を画定し、
a1.遮断層は、型枠内の木材層上に形成され、
a2.次いで、遮断層の上で、コンクリート層のための補強材が型枠内に挿入され、
a3.コンクリート層が型枠内に注入され、当該層が硬化した後、型枠が除去され、それによってスラブモジュールが形成される。
【0028】
更なる有利な実施形態によれば、本方法は、セクション[0026]又は[0027]のうちの1つによる特徴の組み合わせを含み、上部に突出する支持手段について、
d0.上部で接続し、上部で延在するコンクリート型枠が中間空間に適用され、
d1.対応して画定された空間がコンクリートで充填され、
d2.コンクリート型枠は、コンクリートが硬化した後に再び除去され、それによって上部の支持手段が完全に形成される。
【0029】
本発明は更に、木材-コンクリート複合スラブであって、その支持構造が、コンクリートの構成要素と、それに耐せん断的に接続された木材の構成要素とを含み、スラブが、下から上に、最初に、スラブの複合材において引張荷重を受けることができる平坦な木材構成要素、すなわち木材層と、それに続く遮断層と、最後にコンクリート層とを含む層構造を含み、せん断コネクタが複合スラブに設置され、その少なくとも1つのせん断コネクタが木材層及びコンクリート層に同時に延在し、そうすることで遮断層を貫通し、遮断層が、異なる密度又は比重の少なくとも2つの遮断材料を含み、高密度遮断材料が、スラブ複合材においてこの木材層上に直接配置され、引張荷重を受けることができ、又はその上に直接載置され、それによって木材層の慣性が増加し、振動減衰手段として作用することが意図される、スラブに関する。
【0030】
有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]による特徴の組み合わせを含み、スラブの層構造は、支持手段なしでスラブ上に延在するか、又は少なくとも1つの支持手段が少なくともコンクリート層及び遮断層を横断し、したがって少なくとも木材層まで下方に延在する。
【0031】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]又は[0030]の1つによる特徴の組み合わせを含み、低密度遮断材料の上部層は、高密度遮断材料の下部層の上に置かれる。
【0032】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]~[0031]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、低密度遮断材料が空気からなるようにスラブ内に空洞が形成され、コンクリート層は空洞の上の永久コンクリート型枠上に置かれる。
【0033】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]~[0032]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、低密度遮断材料の材料として空気が排除されているか、又はスラブは空気で構成された空洞を含まない。
【0034】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]~[0033]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、遮断材料の密度又は比重の差は、0.5~2t/m3である。
【0035】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]~[0034]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、高密度遮断材料の接触圧力は、1m2当たり0.7~1.4kNであり、低密度遮断材料の接触圧力は、1m2当たり0.1~0.4kNである。
【0036】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0029]~[0035]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、高密度遮断材料は、破砕コンクリートから作られたコンクリート粒状物、又は破砕コンクリートとメーソンリーとの混合粒状物からなり、低密度遮断材料は、軽量建築材料からなる。
【0037】
更に、本発明は、セクション[0020]~[0036]の1つ又は複数に記載の特徴の任意の組み合わせによる、木材-コンクリート複合スラブにおける木材層の振動減衰による防音としての、異なる密度又は比重の少なくとも2つの遮断材料の使用、又はセクション[0020]~[0036]の1つ又は複数に記載の特徴の任意の組み合わせによる、木材-コンクリート複合スラブにおける木材層の振動減衰による防音としての、方向依存配置又は方向依存順序での、異なる密度又は比重の少なくとも2つの遮断材料の使用に関する。
【0038】
加えて、本発明は、少なくとも2つのスラブモジュールを有する、セクション[0029]~[0036]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせによる木材-コンクリート複合スラブの製造方法に関し、
a.スラブモジュールが各々それらの層構造で形成され、それにより、下から上に、せん断コネクタがそれらの下端でそこに固定された状態で木材層が製造され、
b.次に、少なくとも2つの遮断材料を用いて遮断層が形成され、まず、木材層の慣性を増大させ、振動減衰手段として作用するように意図された高密度遮断材料を導入し、次に、この目的のために、低密度の遮断材料を配置するか、又は空洞を開いたままにし、
c.最後に、せん断コネクタの上端がコンクリート層に固定されるように、コンクリート層がその補強材と共に作り出され、少なくとも第2のスラブモジュールへの接続のために、その補強材は、その凹部においてコンクリート層から突出し、
d.完全に作成されたスラブモジュールが、1つ又は複数の支持体上のそのために予め定められた位置に置かれ、隣接するコンクリート層の補強材が摩擦接続されることによって少なくとも第2のスラブモジュールに接続され、その後、凹部がコンクリート打ちされる。
【0039】
有利な実施形態によれば、本方法は、セクション[0038]による特徴の組み合わせを含み、各スラブモジュールについて、
a0.最初に、せん断コネクタが木材層に導入されてそこに固定されることによって木材層が処理され、型枠が更なる層の構築のために木材層を包囲し、
c0.遮断層を形成した後、コンクリート層のための補強材が、遮断層の上で型枠内に挿入され、
c1.コンクリート層が型枠内に注入され、これが硬化した後、型枠が除去され、それによってスラブモジュールが形成される。
【0040】
本発明は更に、木材-コンクリート複合スラブであって、その支持構造が、コンクリートの構成要素と、それに耐せん断的に接続された木材の構成要素とを含み、スラブが、下から上に、最初に、平坦な木材構成要素、すなわち、スラブの複合材において引張荷重を受けることができる木材層を含み、次に、遮断層及び最後にコンクリート層が続くか、又は遮断層がない場合には、コンクリート層が続くか、又は直接続く層構造を含み、木材層が、少なくとも2つの当接する木材パネルを含み、これらは互いに対して往復的に張力をかけられ、一方の木材パネルが、それらが当接するときに形成される分割面において他方の木材パネルに対して垂直に押圧し、このように互いに張力がかけられた各木材パネルでは、下面は手付かずのままにして、少なくとも1つの箱形空間が木材パネルに形成され、分割面の遠い側に位置する木材パネルの凹部が2つの木材パネルにまたがる凹部通路を形成するように、材料除去によって少なくとも1つの凹部が形成され、分割面から見て、木材パネルが分割面から垂直に離れる方向にそれらの1つ又は後方の箱形空間の後方に延在する空間内に手付かずのまま残され、したがってそこに他の使用のための後方の手付かずの材料を形成し、張力付与手段が通路内に導入され、少なくとも1つの箱形空間内の各端部に固定され、それにより、木材パネルは、張力付与手段が締められる結果として互いに張力をかけられる、スラブに関する。
【0041】
有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]による特徴の組み合わせを含み、スラブの層構造は、支持手段なしでスラブ上に延在するか、又は少なくとも1つの支持手段が、遮断層が存在する場合は少なくともコンクリート層及び遮断層を横断し、その結果、少なくとも木材層まで下方に延在する。
【0042】
有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]又は[0041]による特徴の組み合わせを含み、手付かずのまま残された領域は、1つ又は後方の箱形空間のすぐ後ろに隣接し、分割面から垂直に離れる方向に延在する。
【0043】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0042]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、手付かずのまま残された領域は、分割面に位置する木材パネルの端部とは反対側の木材パネルの一端まで延在するか、又は領域は、更なる木材パネルと共に張力をかけるように配置された同じ木材パネルの箱形空間まで延在する。
【0044】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0043]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、張力付与手段は、木材パネル内の分割面の上流の位置に当接する。
【0045】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0044]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、張力付与手段は、木材パネルの分割面又は端面に直接当接しない。
【0046】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0045]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、少なくとも1つの箱形空間は、上部に向かって開くように、又は上部及び端部に向かって開くように設計される。
【0047】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0046]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、張力付与手段の固定部を収容するための少なくとも1つの箱形空間は長方形である。
【0048】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0047]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、
i.張力付与手段は、通路に緩く挿入され、分割面から見て、木材パネルの手付かずの材料に、予備の/残っている/接触していない前面に対して圧力で当接することによって張力が付与され、その中を通る中空チャネルの場合、この理由だけで手付かずではなく、又は、分割面に対して直角に作用する張力付与手段のために木材パネルの中を通る中空チャネルの場合、この理由だけで手付かずではないので、当接する木材パネルは、分割面に対して垂直に互いに対して往復的に張力が付与される、及び/又は、
ii.張力付与手段は、後方の手付かずの材料の少なくとも1つの端面が固定手段から自由なままであるように、少なくとも1つの、又は分割面から見て後方の箱形空間に固定される、のいずれかである。
【0049】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0048]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、2つの木材パネルにまたがる通路は、分割面に対して対称的に除去され、その結果、木材パネルの凹部を同一に製造することができ、及び/又は張力付与手段を側部から独立して使用することができ、及び/又は張力付与手段を側部から独立して使用して、分割面に直角に作用させることができる。
【0050】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0049]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、張力付与手段構成要素は、分割面に対して対称な配置を形成し、及び/又は張力付与手段構成要素は、分割面に対して直角に作用するように配置される。
【0051】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0050]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、張力付与手段は、
i.端部に固定されたねじ頭を有するねじ接続として、又は
ii.端部に固定され、張力付与アームによって把持される張力付与ブロックを有するレバー作動張力付与ロックとして、又は
iii.くさび接続であって、くさび接続のために、前方の手付かずの材料(その中を通る中空チャネルの場合、この理由だけで手付かずではなく、又はその中を通る、分割面に対して直角に作用する張力付与手段のための中空チャネルの場合、この理由だけで手付かずではない)が、2つの木材パネル上でそれぞれ分割面まで達し、分割面から見て近い側の木材パネルの箱形空間内の張力付与くさび及び対向くさびが、前方の手付かずの材料の後ろに配置され、対向くさび及び張力付与ブロックを有するねじ山付きロッドが、遠い側の木材パネルの対向する箱形空間内に固定され、その結果、張力付与くさびが叩き下げられるか、叩き込まれるか、又は締め付けられると、張力付与ブロックとして作用する張力をかけられたくさびとの間に位置する前方の手付かずの材料が圧力を受ける、くさび接続として、実現される。
【0052】
更なる有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0040]~[0051]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを含み、凹部は各々分割面から見て、前方の手付かずの材料内の中空チャネルを介して接続された後方チャンバ及び前方チャンバを形成し、その結果、当該前方の手付かずの材料は、中空チャネルによってのみ手付かずではなく、又はその結果、当該前方の手付かずの材料は、分割面に直角に作用する張力付与手段のための中空チャネルによってのみ手付かずではなく、張力付与手段は、ねじ頭又は張力付与ブロックによって後方チャンバ内の各端部に固定され、いずれの場合も、近い側の木材パネルの前方チャンバは、当接軸の遠い側に位置する木材パネルの前方チャンバと共に上部が開いた共通チャンバを形成し、中空チャネル及び共通チャンバを介して連続ねじ接続が実現され、このねじ接続は、スリーブの固定位置回転によって、中央ナット及び当該ナットによって一緒に引っ張ることができる2つのねじ山付きパイプ部分を含む継手によって、又はニップルによってのいずれかによって、共通チャンバ内で張力をかけることができる。
【0053】
更に、本発明は、セクション[0040]~[0052]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせによる木材-コンクリート複合スラブの製造方法であって、方法では、
a.張力をかけるべき木材パネルにおいて、少なくとも1つの凹部が各々、少なくとも1つの箱形空間を形成するように材料除去によって形成され、
b.次いで、木材パネルが当接して置かれ、それらの凹部が、2つの木材パネルにわたって広がる凹部通路を形成し、
c.張力付与手段が、通路に導入され、端部において、いずれの場合も少なくとも1つの又は後方の箱形空間に固定され、
d.張力付与手段が上から張力を付与される。
【0054】
有利な実施形態によれば、本方法は、セクション[0053]による特徴の組み合わせを含み、方法では、
i.張力付与手段は、通路に緩く挿入され、予備の/残っている/手付かずの前方の手付かずの材料に引張応力を受けたときに、その中を通る中空チャネルの場合には、この理由だけで手付かずではなく、又は分割面に対して直角に作用する張力付与手段のためにその中を通る中空チャネルの場合には、この理由だけで手付かずではなく、当該張力付与手段に対して圧力を受けて、その結果当接する木材パネルが分割面に対して垂直に互いに対して往復的に張力を付与される、及び/又は
ii.張力付与手段は、後方の手付かず材料の少なくとも1つの端面が固定手段から自由なままであるように、少なくとも1つの又は後方の箱形空間内に固定される。
【0055】
更なる有利な実施形態によれば、本方法は、セクション[0053]又は[0054]の1つによる特徴を含み、
a.凹部は各々、後方チャンバ及び前方チャンバを形成し、これらは、前方の手付かずの材料内の中空チャネルを介して接続され、当該材料は、中空チャネルのみによって手付かずではなく、又は当該材料は、分割面に対して直角に作用する張力付与手段のための中空チャネルのみによって手付かずではなく、
b.いずれの場合も、近い側の木材パネルの前方チャンバは、当接軸の遠い側に位置する木材パネルの前方チャンバと共に、上部が開いた共通チャンバを形成し、
c.張力付与手段は、ねじ頭又は張力付与ブロックによって各端部において後方チャンバ内に固定され、
d.連続的なねじ接続が、中空チャネル及び共通チャンバを介して実現され、このねじ接続は、スリーブの固定位置回転によって、中央ナット及び当該ナットによって一緒に引っ張ることができる2つのねじ山付きパイプ部分を含む継手によって、又はニップルによって、共通チャンバ内で張力が付与される。
【0056】
有利な実施形態によれば、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、セクション[0020]~[0025]、[0029]~[0036]、[0040]~[0052]のうちの1つ又は複数による特徴と、以下のセクション[0057]~[00111]に提示される特徴の1つ又は複数との任意の組み合わせを含み、すなわち、
【0057】
木材層は、木材において材料除去機械加工が施されておらず、したがって、最下層部分において手付かずであり、又は、木材層は、層厚に対して最下層であるその層の部分において材料除去機械加工が施されておらず、したがって、手付かずであり、又は、木材層は、木材において材料除去機械加工が施されておらず、したがって、その層厚の最下部において手付かずのまま残され、
【0058】
少なくとも1つの支持手段が補強されており、
【0059】
少なくとも1つの支持手段が鉄筋コンクリート製であり、
【0060】
遮断層を横切る少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、複合材の最下支持層を最上支持層に接続し、
【0061】
木材層は、複合スラブにおいて引張荷重を受けることができる最下支持層として設計され、及び/又はコンクリート層は、最上支持層として設計され、
【0062】
木材層とコンクリート層との間に生じるせん断力は、せん断コネクタによって少なくとも2つの異なる方向に吸収され得るか、又はせん断コネクタによって少なくとも2つの異なる方向に増加して吸収され得るか、又はせん断コネクタによって少なくとも2つの互いに垂直な異なる方向に増加して吸収され得るか、又は木材層とコンクリート層との間に生じるせん断力は、せん断コネクタによって少なくとも22つの異なる方向に、すなわちせん断コネクタが列を形成する互いに垂直な2つの方向に増加して吸収され得るか、又は木材層とコンクリート層との間に生じるせん断力は、せん断コネクタによって2つの異なる方向に、すなわちせん断コネクタが列を形成する互いに垂直な2つの方向に増加して吸収され得るか、又は木材層とコンクリート層との間に生じるせん断力は、せん断コネクタによって増加して、すなわちせん断コネクタが列を形成する互いに垂直な2つの方向に増加して吸収され得、
【0063】
木材層とコンクリート層との間に生じるせん断力は、任意の方向に吸収することができ、又は木材層とコンクリート層との間に生じるせん断力は、せん断コネクタによって任意の方向に吸収することができ、
【0064】
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、木材層及びコンクリート層に同時に突出し、それによって木材層の木材及びコンクリート層のコンクリートに保持され、
【0065】
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、木材層の一体部分を越えてコンクリート層に至り、
【0066】
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又はせん断コネクタのうちの各々、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、木材層及びコンクリート層にポジティブロック方式で、したがって遊びなく設置され、それにより、せん断コネクタが不変かつ変形不能に埋め込まれ、
【0067】
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、木材層とコンクリート層との間に耐せん断接続を形成するために、せん断コネクタを変化させずに設置することができるか、又はその形状を変化させずに設置することができるような形状を有し、
【0068】
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、スターラップとして設計されておらず、
【0069】
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、穿孔シートではなく、
【0070】
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、管として、形材として、又は押出形材として、すなわち押出法からの形材として設計され、
【0071】
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、フランジを有するか又は有さない管として設計され、管は、円形若しくは楕円形の断面を有する管部分、又は多角形管の形態の管部分を有するか又は形成し、
【0072】
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは一体に設計され、
【0073】
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、その一方の端部が木材層内に突出し、その他方の端部がコンクリート層内に突出し、したがって木材及びコンクリート内に完全に埋め込まれ、
【0074】
遮断層を貫通する少なくとも1つのせん断コネクタ又はせん断コネクタの各々、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、少なくとも1つの支持手段の外側に延在するか、又は少なくとも1つの支持手段に埋め込まれず、及び/又はコンクリートで充填された木材層のチャネルの外側に延在するか、又はコンクリートで充填された木材層のチャネルに埋め込まれず、及び/又はコンクリート層からのコンクリートの突出部、特にコンクリートの下突出部の外側に延在するか、又はコンクリート層からのコンクリートの突出部、特にコンクリートの下側突出部に埋め込まれず、
【0075】
遮断層を貫通する少なくとも1つのせん断コネクタ若しくは各せん断コネクタ、又は複合スラブの各せん断コネクタは、支持手段の一部を形成しない、又は支持手段に接続されない、又は支持手段として設計されない、及び/又はコンクリートで充填された木材層のチャネルの一部を形成しない、又はそのように存在しない、又はそのように接続されない、及び/又はコンクリート層からのコンクリートの突出部、特にコンクリートの下方への突出部の一部を形成しない、又はそのように存在しない、又はそのように接続されず、
【0076】
少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも75%又は少なくとも80%又は少なくとも90%の重量割合を有するせん断コネクタ、又はスラブに設置された全てのせん断コネクタが、少なくとも1つの支持手段の外側に、及び/又はコンクリートで充填された木材層のチャネルの外側に、及び/又はコンクリート層からのコンクリートの突出部の外側、特にコンクリートの下方への突出部の外側に延び、又は設置され、
【0077】
木材層はチャネルなしで設計され、
【0078】
木材層内及びコンクリート層内に保持されたせん断コネクタは、複合スラブ内に機械的に設置されるか、又は、木材層とコンクリート層との間のせん断接続は、木材層内及びコンクリート層内に保持された機械的に組み込まれたせん断コネクタによってのみ実現され、せん断接続は、ポジティブ接続を介しても表面結合を介しても実現されず、
【0079】
遮断層を横断する少なくとも1つのせん断コネクタ又は各せん断コネクタ、あるいは複合スラブの各せん断コネクタは、圧入及び/又は接着によって木材層内に保持され、
【0080】
端部が木材層及びコンクリート層に突出する少なくとも1つのせん断コネクタは、遮断層の遮断材料を直接貫通し、したがって全ての側部で囲まれ、遮断材料は空気から構成されず、
【0081】
遮断層を貫通し、その端部が木材層及びコンクリート層に突出するせん断コネクタの各々は、遮断層の遮断材料を直接貫通し、したがって全ての側部で囲まれ、遮断材料は空気から構成されず、
【0082】
遮断層は、それを通過するせん断コネクタ及び存在し得る任意の支持手段まで、及び/又はそれを除いて、同じ厚さであり、
【0083】
遮断層の遮断材料は、木材層によって完全に保持され、したがって、下部型枠を必要とせず、
【0084】
スラブが単軸荷重支持効果を有する場合、すなわち、スラブが一軸荷重伝達を有する場合、木材層は、荷重伝達の方向に引張荷重を受けることができ、
【0085】
木材層は、スラブの最大スパンにわたって引張荷重を受けることができ、
【0086】
木材層は、少なくとも1つの支持手段の全長にわたって、又は全長に沿って引張荷重を受けることができ、
【0087】
木材層は、その下に延在する1つ又は複数の支持手段上に載る必要がないように構成され、
【0088】
木材層は、木材層の下に延在する木材ビームとして設計された1つ又は複数の支持手段又は木材ビームとして設計された支持手段上に載る必要がないように構成され、
【0089】
木材層の最下層部分は、木材層全体にわたって延在し、
【0090】
最下層部分を有する木材層は、底部に向かって終端し、
【0091】
木材層は、その最下層部分と共に連続した下端を形成し、
【0092】
木材層は、当接する木材パネルを含むか、又はそのように形成され、
【0093】
凹部は、上から見て木材パネル内に少なくとも1つの箱形空間を形成するように材料除去によって形成され、
【0094】
互いに対して往復的に張力をかけられた少なくとも2つの当接する木材パネルへの張力付与により、それらは、恒久的な張力で互いに対して張力をかけられ、互いに対して所定の位置に保持されるだけではなくなり、
【0095】
互いに対して往復的に張力をかけられた少なくとも2つの当接する木材パネルへの張力付与は、いずれの場合も、互いに対して張力をかけられた2つの木材パネルの分割面の両側のパネル領域にわたって実現され、パネル領域は、張力付与方向における木材パネルの長さの一部のみを含み、
【0096】
木材層の最下層部分自体が、高さを有する層を形成し、
【0097】
木材層の最下層部分の木材は、互いに対して張力をかけられた木材パネルの張力付与方向に対して垂直に延びる分割面の位置及び/又は分割面に沿って継ぎ目まで、継ぎ目のない連続的な設計を有し、
【0098】
木材層は、その下側において、材料除去機械加工が施されておらず、したがって手付かずのまま残され、
【0099】
木材層は、その下側に、係合部、切込み部、又はフライス加工部がないままであり、したがって手付かずのまま残され、
【0100】
木材層を画定する下側は、手付かずのスラブ下端を形成し、
【0101】
木材層は、平坦なスラブ下端として底部で終端し、
【0102】
最下層部分は、上部に延在部又は高さを有し、
【0103】
最下層部分の上部への延在部、又は最下層部分の高さは、少なくとも5mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも15mm、又は少なくとも20mm、又は少なくとも25mmであり、
【0104】
木材層は、一列に配置された木材ビームから構成されていないか、又は木材層は、個々の木材ビームの形態の構成要素から構成されていないか、又は木材層は、個々の木材ビームの形態の構成要素を全く含まず、
【0105】
木材材料からなる木材層は、直交集成板、単板積層材又は無垢木材から製造され、
【0106】
木材層はボードスタック材から形成されておらず、
【0107】
木材層は木材チップから形成されておらず、
【0108】
スラブの層コースは、少なくとも1つの支持手段の両側で連続しており、
【0109】
少なくとも1つの支持手段又はコンクリート層のコンクリートの突出部、特にコンクリートの下方への突出部は、木材層に同一平面上に隣接し、
【0110】
せん断コネクタが複合スラブ内に設置され、そのうちの少なくとも1つのせん断コネクタが、木材層内及びコンクリート層内に同時に突出し、それによって遮断層を貫通し、
【0111】
スラブ複合材内の木材層は、スラブの設置状態において引張荷重を受ける。
【0112】
加えて、本発明は、セクション[0020]~[0025]、[0029]~[0036]、[0040]~[0052]、[0056]~[00111]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する1つ又は複数の設置された木材-コンクリート複合スラブを含む建物に関する。
【0113】
本発明の有利な実施形態は、セクション[00112]による特徴の組み合わせを有する建物であって、住居用及び/又はオフィスビル、行政用ビル、教育施設、展示館又は市民会館、会議及びコンサートホール、図書館、博物館、貯蔵庫、ショッピングセンター、ホテル、アクアティクスセンター、スポーツスタジアム、駅、又は空港として設計されている、建物に関する。
【0114】
本発明の更なる有利な実施形態は、セクション[00112]又は[00113]のいずれかによる特徴の組み合わせを有する建物であって、25mから始まる全高を有する高層建物として設計されている、建物に関する。
【0115】
本発明の更なる有利な実施形態は、セクション[0020]~[0025]、[0029]~[0036]、[0040]~[0052]、[0056]~[00111]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する1つ又は複数の組込み木材-コンクリート複合スラブを備えた、セクション[00112]~[00114]のうちの1つ又は複数による建物に関し、スラブは、水平位置及び/又は45°までの傾斜位置若しくは60°までの傾斜位置に設置される。
【0116】
本発明の有利な実施形態はまた、セクション[0026]~[0028]、[0038]~[0039]、[0053]~[0055]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する方法に関する。
【0117】
本発明の更なる有利な実施形態は、セクション[0026]~[0028]、[0038]~[0039]、[0053]~[0055]のうちの1つ又は複数のセクションによる特徴の任意の組み合わせを有する、[0020]~[0025]、[0029]~[0036]、[0040]~[0052]、[0056]~[00111]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する木材-コンクリート複合スラブを作成するための方法に関する。
【0118】
本発明の更なる有利な実施形態は、セクション[00112]~[00115]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する建物を作成するための、セクション[0026]~[0028]、[0038]~[0039]、[0053]~[0055]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する方法に関する。
【0119】
更に、本発明の有利な実施形態は、セクション[0020]~[0025]、[0029]~[0036]、[0040]~[0052]、[0056]~[00111]のうちの1つ又は複数による特徴の任意の組み合わせを有する木材-コンクリート複合スラブにおける、セクション[0037]による特徴の組み合わせを有する使用に関する。
【0120】
本発明の更なる有利な実施形態は、セクション[00112]~[00115]の1つ又は複数に記載の特徴の任意の組み合わせを有する建物に組み込まれる、セクション[0020]~[0025]、[0029]~[0036]、[0040]~[0052]、[0056]~[00111]の1つ又は複数に記載の特徴の任意の組み合わせを有する木材-コンクリート複合スラブにおいて、セクション[0037]に記載の特徴の組み合わせを有する使用に関する。
【0121】
本発明の目的は、請求項1、6又は9のいずれかに記載の特徴を有する木材-コンクリート複合スラブによっても達成される。本発明による木材-コンクリート複合スラブの有利な実施形態は、従属請求項2~4に記載されている。この目的は、請求項5、8、又は10のいずれかに記載の特徴を有する方法によっても達成される。更に、本発明の目的は、請求項7に記載の使用によって達成される。この目的は、請求項11~13に記載の建物によっても達成される。
【0122】
本発明による木材-コンクリート複合スラブを用いて大きなスパンをかけることができ、同時に魅力的な外観を有するので、それらは、住居用建物だけでなく、オフィスビル及び行政用ビル、特に、オープンプランオフィスデザインを有する学校及び教育施設においても、特に大きなサイズの建物、典型的に大きな面積のスラブを有するそのような建物をいくつか挙げると、例えば会議施設、展示館及び市民会館、会議及びコンサートホール、図書館、博物館、貯蔵庫、ショッピングセンター、ホテル、アクアティクスセンター、スポーツスタジアム、鉄道駅、及び空港などにおいても、非常に広く多様な用途を見出すことができる。本発明によるスラブの典型的な使用分野は、多層構造、特に高層構造に関し、これは、概して、アパート及び/又はオフィスユニットが、異なるサイズ及び様々なレイアウトでそこに収容されるためであり、スラブは、それによって実現され得るスパン寸法のおかげでこの柔軟性を提供する。従来のスラブシステムとは対照的に、本発明による木材-コンクリート複合スラブはまた、特に高層建物において、建物の支持構造及び基礎にレリーフをもたらす。防音に高い要求が課される場合であっても、本発明によるスラブ設計は、その比較的軽量な設計のために際立つことができる。このようにして、それは、持続可能な、影響の少ない建設及び生活品質に対する現代の要求を同時に満たし、したがって、都市の多層建設及び高層建設に非常に適している。適用可能な基準に従って高層建物として認定される建物の高さは、通常、その全高について約25~50メートルの間で変化する。以下において、高層建物とは、常に、約25メートルの全高から始まる建物であると理解される。言うまでもなく、本発明によるスラブは、あまり複雑でないか又はあまり要件が厳しくない建築構造物に有利に設置することもでき、その適用領域は、排他的ではないが、一般に高層建築に関する。
【0123】
図面では、本発明による木材-コンクリート複合スラブ及び1つ又は複数のそのような組込みスラブを有する建物が例示的な実施形態に基づいて示されており、それらの特色及びそれらの製造が以下の説明で詳細に記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0124】
図面は以下の通りである。
【
図1a】線形木材構成要素及びそれに沿って延びる接続要素を有する従来の木材-コンクリート複合スラブの一例を示す斜視平面図である。
【
図1b】ボードスタック材で作られた平坦な木材要素と、その溝内に延びる接続要素とを有する従来の木材-コンクリート複合スラブの一例を示す斜視図であって、部分的に切り取られて示されている。
【
図2a】スラブの内部に埋め込まれた鉄筋コンクリート支持手段を有する、本発明による木材-コンクリート複合スラブの実施形態の層構造の断面図を示す。
【
図2b】スラブの内部に埋め込まれた支持手段を有する本発明による木材-コンクリート複合スラブの実施形態の層構造の断面を示し、支持手段は鋼ビームを含む。
【
図3】2層の遮断層を有する本発明による木材-コンクリート複合スラブの更なる実施形態の層構造の断面図を示す。
【
図4a】更なる木材パネルへの張力接続のために緩く挿入された固定具を有する木材パネルの長手方向断面を示す。
【
図4b】木材パネルの引張力接続を生成する前の、2つの当接する木材パネルの長手方向断面を示す。
【
図4c】
図4bによる構成の長手方向断面を示すが、ここでは木材パネルが摩擦方式で相互に張力をかけられている。
【
図4d】緩く挿入された張力付与ロックによって相互に張力をかけられた2つの当接する木材パネルの長手方向断面図を示す。
【
図4e】ねじ山付きロッド及びその上に延在するスリーブを有するテンションスピンドルを示す。
【
図4f】木材パネルの分割面に対して当接軸の方向から見た、張力付与手段接続のための異なる形状の切り込み又はフライス加工部分を有する、木材パネルの予備の/残っている/接触していない前方の手付かずの材料の断面図を示す。
【
図4g】木材パネルにねじ込まれた張力付与クロージャによって互いに対して張力をかけられた2つの当接する木材パネルの長手方向断面を示す。
【
図4h】横方向に固定された張力付与ブロックを有する木材パネルの凹部の断面図を示す。
【
図4i】くさび張力付与によって互いに対して張力をかけられた2つの当接する木材パネルの長手方向断面を示す。
【
図4j】U字型の切り込み又はフライス加工された部分を有する張力付与くさびを示しており、それによって、張力付与くさびは、ねじ山付きロッド上を滑ることができる。
【
図4k】木材パネルの分割面に沿って対称である張力付与配置において互いに対して張力をかけられた2つの当接する木材パネルの長手方向断面を示す。
【
図5a】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5b】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5c】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5d】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5e】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5f】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5g】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5h】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5i】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5j】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5k】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5l】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図5m】本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造方法を時系列で示す。
【
図6】有利に配置された内部支持手段を有する、例示的なスラブ計画に基づく本発明による木材-コンクリート複合スラブの概略的な支持構造概念を示す。
【
図7】内部支持手段を備えた本発明による木材-コンクリート複合スラブの断面図であり、上部及び下部でスラブに隣接し、図面平面の背後に延在する柱を示す。
【
図8】支持手段を備えた本発明による木材-コンクリート複合スラブの断面図であり、支持手段はスラブの内部に埋め込まれ、上方に突出し、その突出部は中空スラブに一体化され、上部及び底部でスラブに隣接し、図面平面の背後に延在する柱を示す。
【
図9】支持手段を備えた本発明による木材-コンクリート複合スラブの断面図であり、支持手段はスラブの内部に埋め込まれ、底部で突出し、上部及び底部でスラブに隣接し、図面平面の背後に延在する柱を示す。
【
図10a】
図9に類似した断面を示し、内部支持手段の突出部は、キャピタルのアームとして設計されており、このアームは、シート平面に対して垂直に下側コラムから両側に延びており、コラムに向かって下方への傾斜は、ここで見ることができる側に補助破線で示されている。
【
図10b】
図10aの切断線A-Aによる支持構造の断面を示し、その長さに従って図面平面の背後に延在するキャピタルの図を示し、
図10aに見られるように、上部で接続する支持手段の対応する関連部分は、シート平面内に延在するスラブの層複合材によって覆われ、スラブは、シート平面に垂直に両側で上部柱から離れて延在する2つの更なる内部案内支持手段を含み、そのうちの1つの支持手段が断面で見られる。
【
図11】本発明による少なくとも1つ、典型的には複数の組込み木材-コンクリート複合スラブを有する建物のスラブ平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0125】
本開示のために、いくつかの用語を以下に定義する。
・木材-コンクリート複合スラブ:その支持構造が、コンクリートの構成要素(コンクリート要素)と、それに対して耐せん断的に接続された木材の構成要素(木材要素)とを含むスラブ。
・木材-コンクリート複合スラブにおけるせん断接続:木材支持要素からのコンクリート支持要素のせん断に対して十分な抵抗を提供する耐せん断接続。
・層:均一な塊(すなわち、他のタイプの塊によって浸透されないか、又は層の拡張を介して起こる材料変化によって影響を受ける塊)であって、平面拡張において、他のものの上、下、又は間の特定の高さ内にあり、したがって平面拡張に沿った高さを有する。
・木材-コンクリート複合スラブの木材層:製材形態の木材とは対照的に、当該スラブの複合材において平面配向で延在する木材の層/平坦な木材要素/木材。
・支持要素:これらは、その形状に加えて、バータイプ及び表面支持構造、又は柱、ビーム、若しくはブラケット(バータイプ支持構造)、並びにシート、パネル、及びシェル(表面支持構造)における荷重伝達のタイプによって区別される。
・ロッド:一次元、すなわち線形の要素は、幅(b)及び高さ(h)の断面寸法が長さ(l)と比較して小さいロッドである。一般に、以下が境界範囲として適用される:l≧2b及びl≧2h。
・柱:主にその軸に負荷されたロッド。
・ビーム:主に軸に対して垂直に、すなわち曲げによって応力が加えられたロッド。
・スラブ支持手段:スラブ荷重を受け入れ、それを他の構成要素に方向転換するビーム。
・支持層:支持構造体の層として設計された構成要素。
【0126】
最初に、線形木材構成要素を有する従来の木材-コンクリート複合スラブの切り抜きが、
図1aを参照して記載及び説明される。図示の例では、下から上に向かって、まず、建物の内部に目に見えるように突出し、互いに離間して配置された木材ビーム5、次に永久コンクリート型枠2、最後にコンクリート層4がある。多数の木材-コンクリート接続要素6は、この場合、木材ビーム5に沿って斜めの角度で規則的に配置され、対で交差するねじ6の形態であり、複合材を貫通する。型枠2は同時に、木材支持構造とその上に形成されたコンクリート層4との間の分割面をマークし、その中にねじ6の上部が鋳込まれ、木材ビーム5への耐せん断接続を生成する。引張応力を吸収し、コンクリート内の亀裂を最小限に抑えるために、最小限の補強材(
図1aでは見えない)がコンクリート層4に流し込まれる。木材ビーム5は主に引張応力を受けるが、コンクリート層4のコンクリートは主に圧縮を受ける。
【0127】
図1bは、従来の木材-コンクリート複合スラブの代替的な実施形態、すなわち、平坦な木材-コンクリート複合スラブの切り抜きを示す。木材支持構造体は、平坦な木材要素又は木材層1として設計され、ほとんどの場合、直交集成板、接着積層木材、単板積層材、又は無垢木材などの木材材料から作られる。ここに示された例では、木材層1は、ボード層から形成され、ボード層は、垂直に次々に配置され、互いの上に縁状に積み重ねられ、ボードスタック材要素でもある。これらの要素を接着剤なしで接合するために、キルン乾燥された硬材ダボが、要素の表面に対して垂直に要素内に設置され、精密嵌合ボアホールがそれぞれ隣接する要素内に導入される。外側乾燥ダボがそれぞれ隣接するボードスタック材要素のボアホール内に挿入された後、木材ダボが水分で富化されると、これらは膨張し、したがってボアホール内で圧縮される。このようにして形成された木材層1には、互いに離間した溝又はチャネル7が形成される。ここではダボ又はねじの形態の接続要素6が、スラブ表面に対して垂直なせん断コネクタとしてその中に導入される。コンクリート層4が形成された後、コンクリートで充填されたチャネル7は、その接続要素6と共に、せん断継手として作用する。また、木材-コンクリート複合スラブのこの実施形態では、引張応力を吸収し、亀裂を回避するために、最小限の補強材がコンクリート層4に挿入される。このような従来の平坦な木材-コンクリート複合スラブは、スラブスパンが小さく保護仕様が低い一戸建ての建物又は他の建物において十分に実現することができる。スラブ構造が大きくなればなるほど、また、建物の保護仕様が高くなればなるほど、それらを使用する価値は低くなる。
【0128】
従来の木材-コンクリート複合スラブを、複数団体の建物、高層建物、又は他の大型の建物において好都合に使用できるようにするために、特に、大きな/長いスパンが実現される場合に、それらの耐荷重能力に対するより大きな要件が設定される。最初に説明したように、スラブの設計厚さ、すなわちスラブの高さは、スラブがより曲げ剛性になるように、より顕著でなければならない。
図1bに示されるような従来のスラブ構造の場合、これは、耐荷重複合層がより高く、又はより厚くなるように設計されなければならないことを意味し、これはスラブをより堅固にし、より重くする。スラブ複合パートナー(木材、コンクリート、せん断接着、及び二次加工を含む)によるコスト配分では、約60%のみ、又は原料価格が高い段階では、木材の割合に関して更に多くを省くことができる。より厚い木材層1は、スラブを実質的により高価にする。その代わりに、主にコンクリート層4がより厚くされるか、又はコンクリート層4のみがより厚くされる場合、木材パートナーは、比較的薄い層として、もはや、実際に意図された複合材に寄与することができなくなる。複合材中のコンクリート木材比は悪化する。次いで、スラブ内の比較的高価な木材層1の有用な価値について疑問が生じ、必要とされるコンクリートの量を考慮すると、完全にコンクリートで作ることもできる。しかしながら、古典的なコンクリートスラブが設置されている場合、木材層1を除去すると、固有重量が著しく高くなる。比較のために、鉄筋コンクリートは、約2.5t/m
3の密度を有するが、木材及び木材材料の密度は、したがって、3~10分の1である(例えば、トウヒ材:0.35t/m
3)。その結果、スラブのスパンの増加又は延長は、実質的により多くの材料を使用してのみ実現することができ、これは、全体として、特にコンクリートの使用量が多い場合に重要であることが分かった。平坦な木材-コンクリート複合スラブの複合層の比例増加の場合、スパンの50%延長、例えば6mから9mへの延長は、スパンに応じて約50%から70%であるスラブの重量の増加を伴う。以下に説明する本発明による木材-コンクリート複合スラブの実施形態では、スパンに応じて10%以下の重量増加で、例えば6mから9mへのスパンの50%延長を実現することができる。スラブ厚さは約5~10cmしか変化しない。典型的には、約6mから9mへのスラブスパンの1.5倍増加に対するスパン依存重量増加は、約5~7cmのスラブ厚さの変動でスラブ重量のわずか約5~7%である。これは、木材-コンクリート複合スラブについてこれまで知られていなかったスラブ計画設計における柔軟性を可能にする。
【0129】
図2aは、平坦な木材要素を有する本発明による木材-コンクリート複合スラブの実施形態の層構造の断面を示す。この実施形態では、それは、特別な特徴として、スラブの空間的広がり内に囲まれ、したがって、以下で「内部支持手段」と呼ばれる線形支持手段を有する。この場合、それは、少なくともコンクリート層4及び遮断層3を貫通し、したがって、複合層3、4が、その支持手段8の各側方フランク16に空間的に隣接するように、すなわち、
図2aのシート平面に垂直なその長さに延在する両側でそれに隣接するように、スラブの層構造3、4を中断する。本実施形態では、鉄筋コンクリート製の内部支持手段8の高さHは280mmであり、その幅Wは600mmである。支持手段8のこの寸法は、ここでは単に例示的な寸法として理解されるべきである。それらは、建物特有の要件に従って選択されるが、典型的には、支持手段8の幅については300mm~700mmの範囲内にあり、その高さについては150mm~350mmの範囲内にある。支持手段8は、コンクリート層4に同一平面上に隣接し、平坦な木材要素、すなわち木材層1まで下方に延在する。スラブから突出する内部支持手段8の変形例では、後述するように、その高さは通常400~700mmである。要件に応じて、スラブ内の支持手段8は、異なる寸法のものと組み合わされるか、又は突出部を有するものと有さないものと組み合わされる。上述したように、ここで提示される内部支持手段8は、木材層1まで下方に延在し、木材層1と摩擦接続される。この場合、木材構造ねじの形態の接続要素6が木材層1に導入される。これらは、ここでは木材層1に直角にねじ込まれており、したがって、可能な限り空間を節約するように支持手段8内に配置されている。したがって、それらは斜めにねじ込むこともできる。木材層1から突出する接続要素又は木材構造ねじ6の上部は、内部支持手段8のコンクリートに鋳込まれ、それによって、支持手段8のコンクリートと木材層1との間に密接な接続が形成される。他の木材-コンクリート接合手段6、例えばプラグ金属又は複合ダボを手で機械的に導入又は接着することもでき、あるいは内部支持手段8を木材層1に平面的に接着することもできる。木材サブスラブ1に対して、それに摩擦接続された内部支持手段8は、いわばコーティングとして作用する。
【0130】
木材ベースの材料、例えば直交集成板(CLT)、特に単板積層材(LVL)の使用は、木材層1にとって有利であることが判明している。積層体層の繊維平行配置と比較して、横方向に配置された部分を有する積層体は、基本的に、積層体の方向独立性を高め、その結果、積層体全体の剛性及び強度を高める。時には、これは木材層1の細長い設計を可能にする。このような直交集成された木材系材料のガラス又は炭素繊維強化変種も、曲げ剛性木材層1に適している。好ましくは、ドイツ語の専門用語で「バウブッハ」と呼ばれるブナ材LVLが使用される。非常に高い強度及び剛性のおかげで、バウブッハは、軟材材料と比較して実質的により薄い構成要素に加工することができる。スラブの典型的な実施形態では、木材層1は、60mmの厚さを形成し、したがって、従来技術による比較可能な平坦な木材-コンクリート複合スラブの約半分の厚さのサブスラブを形成する。
【0131】
遮断層3は、木材層1とコンクリート層4との間の中間空間に収容されている。本発明の有利な変形実施形態では、遮断層3は、異なる密度又は異なる比重の遮断材料で作られた複数の層で設計され、最大密度の層が木材層1の下に位置する。これについては後述する。上部コンクリートスラブと木材サブスラブ1との間隔の結果として、大きな曲げ剛性を与える静的高さが作り出される。本実施例では、この間隔又は中間空間の高さは170mmであり、スラブの他の実施形態では、通常、100~250mmの高さ、好ましくは120mm~190mmであるように設計される。木材層1とコンクリート層4との間に、この実施形態では鋼管の形態のせん断コネクタ9が垂直に設置されている。耐荷重性コンクリート層1及び木材層4は、この鋼管継手の格子によって、耐せん断的に互いに接続される。信頼できるスペーサとしてせん断力を吸収するか、又は複合層1、4間のせん断運動を効果的に防止する限り、4チャネル又はマルチチャネル管又は圧延形材もこの目的のために使用することができる。スラブの設計に応じて、上述したせん断コネクタ9の寸法は、通常、長さ/高さが200mm~350mmであり、直径又は対角線が50mm~150mmである。せん断コネクタ9は、上部でコンクリート層4内に突出しており、コンクリート層4内にせん断コネクタ9がコンクリート打ちされている。それらは底部で木材層1内に突出している。この目的のために、せん断コネクタ9は各々、木材層1の凹部30に直接挿入され、接着され、又は埋め込まれる。代替的に、それらは、例えば、それらを鋼ホルダに溶接することによって間接的に挿入することもでき、次いで、鋼ホルダは、木材層1の凹部30に接着されるか又は埋め込まれる。モルタルや接着剤を使用しないので環境に優しい変形例では、端部側の雄ねじを有する鋼管9をねじ込むために、使用される鋼管9ごとに木材層1に雌ねじがフライス加工される。スラブスパン及びそのペイロードに応じて、通常、1m2当たり3本から6本の間の鋼管が、せん断流に対応して分散して設置される。
【0132】
頂部に向かって、スラブは、コンクリート層4の鉄筋コンクリート上部スラブ及び内部支持手段8の上部で終端する。コンクリート層4の補強材15は、接続補強材12を介してベルバットジョイント14によって内部支持手段8の領域内に延在する。接続補強材12には、ここでは曲げ補強ロッドが用いられている。典型的な支持手段補強材42としての内部支持手段8における引張補強材10及び圧力補強材11、並びにスターラップ補強材13も概略的に示されている。衝撃音遮断体22が下に敷かれたスクリード/サブスラブ23は、通常、コンクリート上部スラブを覆う。任意選択で、スクリード23の上部にスラブカバーが続く。このようにして構成されたスラブは、その上のスラブカバーを含めて、350mm~450mmの全厚で実現することができる。このようにして、それは、コンクリート層及び木材層の両方が実質的により強く/より厚くなるように設計されなければならない同じ耐荷重能力の従来の平坦な木材-コンクリート複合スラブよりも細い/薄い設計を有する。多層構造、特に高層構造の場合、これは建物の利用に決定的な影響を及ぼす。例えば80メートルの所定の建物高さにおいて、本発明によるスラブは、従来の木材-コンクリート複合スラブよりも1~2階多い階を容易に達成することができる。
【0133】
図2bは、内部支持手段8の代替実施形態を有する本発明による木材-コンクリート複合スラブの層構造の断面を示す。この場合、当該支持手段は、変更されたH形断面形状の鋼ビーム20を備えて設計され、
図2bのシート平面に垂直な両側でその長さにわたって延在する。下側フランジ21bと比較して、形材20の上側フランジ21aは、意図的に短い翼を有しており、その結果、支持手段8の組み立て中に木材構造ねじ6を現場で木材層1にねじ込むことができ、この目的のためのアクセスは開放されている。他の輪郭形状、例えば、逆T字形ビーム、L字形ビーム等も可能であり、これらは、フランジ21bで木材層1上に支持され、そこにねじ留め又は接着することができる。しかしながら、追加の上部フランジ21aによって、より高い剛性を達成することができる。接着された鋼ビーム20の場合には、対称H形材のような交差軸対称形状も設置することができる。図示の実施形態では、内部支持手段8は、補強材として、
図2bに接続補強材12と共に示されている従来の補強鋼と、他方では鋼形材ビーム20とを含む。鋼ビーム20の周囲の空間には遮断材料が充填されている。接続補強材12を有する内部支持手段8の上部は、現場打ちコンクリートで鋳造され、その結果、連続コンクリート上部スラブが形成される。明らかに、この実施形態では、内部支持手段8はまた、スラブのコンクリート層4及び遮断層3に、各側方フランク16、側方鋼形材表面、及び側方コンクリート表面で隣接し、したがって、その層構造3、4を中断する。上記の説明は、この支持手段8の幅W及び高さHの好ましい寸法に当てはまる。もちろん、内部補強コンクリートと鋼形材支持手段8との組み合わせをスラブの層複合材に組み込むこともできる。
【0134】
スラブ内に埋め込まれ、その層構造を中断する支持手段8の概念は、空間最適化され、同時に非常に効率的な曲げ補強を提供する。スラブが静的に増大する中間空間の可能な限り最良の使用の下で、スラブは、最小の重量入力で曲げ剛性化される。中間空間に負荷をかける遮断材料は比較的軽量であるが、必要に応じて、1つ又は複数の内部支持手段8が、補強材が最も効果的に作用する位置で使用される。内部支持手段8は、従来の支持手段の配置のために考慮されなければならないであろう空間的な構造上の特殊性にかかわらず、いわば非常に効果的な「補強リブ」としてスラブを通って延びている。非常に狙いを定めた補強のおかげで、鋼及びコンクリートの使用を比較的少なくして、スラブの剛性及び耐荷重能力を決定的に高めることができる。内部支持手段8に割り当てられる、本発明による最適化された木材-コンクリート複合スラブの重量割合は、スラブ重量のわずか約10%以下である。比較可能なコンクリートスラブと比較した重量削減は、本発明によるスラブでは約30%であり、これはかなりのものである。本発明による木材-コンクリート複合スラブの全長9mへのスパンの50%延長は、スラブの重量の増加が10%以下、又は5~7%であっても、容易に実現することができる。
【0135】
このスラブ構造では、従来技術による平坦な木材-コンクリート複合スラブと比較して、比較的実質的に低い固有重量でより大きなスパン寸法を達成することができるので、層間範囲までの拡大した面積被覆率のスラブ概念化の可能性を開く。具体的には、そのようなスラブ計画の場合、スラブ計画の幾何学的形状を恒久的に固定する空間(主に耐荷重壁)を通って延在する耐荷重構成要素を省くことが可能である。したがって、本発明によるスラブシステムは、ますます高速に変化する使用ニーズを考慮して、建物のための大きな再利用の可能性を提供する。経済的効率とは別に、大量の改造なしに経時的に多くの方法で使用され得る場合、これは建物の持続可能性バランスに対して非常にプラスの効果を有する。
【0136】
言うまでもなく、このスラブシステムによって提供される利点は、大型建物において更に重要になりつつある。しかしながら、特に、異なる建物部分及び/又は多数の別個の使用ユニットを有する大きな建物において、典型的には住宅又はオフィス目的のために、静的な問題とは別に、平坦な木材要素を有するそのようなユニットにまたがる木材-コンクリート複合スラブを設置する別の理由がある。これは、建物の非工業的使用のために高い要求が課される防音保護のためである。原則として、アパートの基準が高ければ高いほど、防音要件も高くなる。
【0137】
その結果、振動を励起し音を伝達するために、軽量の構成要素は重い構成要素よりも優れている。室内に露出された軽量木材層1を有する平坦な木材-コンクリート複合スラブは、音を良好に伝搬し、したがって、困難な開始位置を有する。したがって、従来の木材-コンクリート複合スラブでは、コンクリート層4は、実際に静的に必要とされるよりも厚く作られることが多い。本発明によるスラブに関して、防音は更に大きな課題を意味する。なぜなら、スラブは、更に低い重量で同じ静的目的を達成し、比較的軽量の木材層1もコンクリート層4から依然として距離を置いており、したがってある程度独立的に振動することができるからである。
【0138】
本発明によるスラブの一実施形態では、この問題は、中間層3が異なる遮断材料を有する少なくとも2つの層、すなわち多層で充填されることによって対処される。この目的のために、遮断層3は、比較的重い又は高密度の遮断材料を有する下部層3aを有する。このようにして、木材層1に負荷をかけ、したがって振動に十分に反応しないようにするために、追加の質量を集中的に木材層1の上及び上方に導入することができる。中間層の残りの空間は、軽量又は低密度の遮断材料で充填される。これらの遮断材料の量比は、それぞれの防音規則に適合させることができ、したがって、高級住宅建築標準及び一戸建て住宅において典型的であるような非常に高い要件も満たすことができる。このようにして、様々な空間及び用途のカテゴリに対して包括的かつ使用可能なスラブを達成することができるが、従来の木材-コンクリート複合スラブは、音の伝達を抑制するために、アパート若しくはオフィスユニットの仕切り壁、又は他の用途若しくは建築部品の他の別個のユニットを突破しなければならない。
【0139】
したがって、本発明によるスラブの好ましい変形形態では、比較的密度の高い又は重い遮断材料が、より密度の低い又は軽い遮断材料と協働するように提供される。この目的のために、中間空間によってコンクリート上部スラブから離間された木材層1は、振動に対するスラブの感受性を低下させることを特に課される。
【0140】
図3は、本発明による木材-コンクリート複合スラブの実施形態を、その層構造の断面で示す。下から上に向かって、最初に木材層1が見られ、次に比較的密な/重い遮断材料で作られた遮断層3aがその上に直接載せられる。これにより、木材層1に集中的に荷重をかけることができる。好ましい実施形態では、そのような密度又は比重の遮断材料は、下部遮断層3aについて、特に音に関連するスラブ又は木材層の荷重のために中間空間の最大でも半分の割合のみ、有利には中間空間の半分未満、例えば、ここでは
図3から分かるように、ほんのわずかしか占めないように選択される。低密度又は軽量の遮断材料の遮断層3bが、下部遮断層3aの上に続き、最終的にコンクリート層4によって覆われる。3つ以上の層の場合、主に木材層1に荷重がかかるため、下から上に向かって重量が減少するように配置される。3つ以上の層の場合、それらの遮断材料の密度又は比重は、木材層1の方向に増加する。これは、木材層1を十分に耐振動性にするために、木材層1の目標とする荷重をもたらすことを意図している。このようにして、より高い防音要件は、最終的に、中間空間内の区別されない重量入力の場合よりも比較的軽いスラブの総重量で満たすことができる。
【0141】
バルク材料は、遮断材料として非常に適している。例えば、破砕コンクリートからなるコンクリート粒状物、又は破砕コンクリートとメーソンリーとの混合粒状物が、底部層3aに推奨される。このような粒状物は、リサイクルされた建築材料から100%製造することができ、そのため、リサイクルコンクリート粒状物又はリサイクル混合粒状物と呼ばれる。充填物又はリーンコンクリート(好ましくは、粒状物から作られる)も、木材層1の防音特有の荷重のための遮断材料として考慮される。上部遮断層3bの遮断材料としては、例えば純粋な廃ガラスから製造される発泡ガラス砂利などのバルク材料の形態の軽量建築材料が適していることが判明している。リサイクルされた建築材料は、せいぜい無視できる程度までしか建物の環境に影響を与えないため、このような遮断材料が非常に好ましい。
【0142】
更に、少なくとも2層の遮断層3の最上層3aのための一般的に最も軽い遮断材料として、空気を好都合に使用することもできる。こうして形成された空洞3bの上に載るコンクリート層4は、次に、永久コンクリート型枠2上の底部で支持されなければならない。
【0143】
有利には、少なくとも2層の遮断層3の遮断材料は、非常に異なる材料密度を有する。これにより、木材層1は、より一層濃縮され、したがってより標的化されるように充填されるが、残りの中間空間は特に重要ではない。木材の上側に適用される再生コンクリート粒状物から作られる比較的重い遮断層[密度:約1.3~2.0t/m3]と、この上にある発泡ガラス砂利から作られる著しく軽い遮断層[密度:約0.2~0.3t/m3]とを選択すると、本発明によるスラブは、防音要件を満たしながら、スラブ面積単位当たりの固有重量を著しく節約する。2つの選択された遮断材料の密度又は比重の差は、好ましくは約0.5~2t/m3である。次に、遮断体の層3a、3bは、対応する空間比で中間空間3に導入され、重い層3aは底部にある。スラブ面積1m2当たり約0.7~1.4kNの重い遮断材料の接触圧力があり、スラブ面積1m2当たり約0.1~0.4kNの軽い遮断材料の接触圧力がある場合、空間ユニット及び階の音響分離について非常に良好な値が得られる。特定の状況に応じて、重い遮断材料のスラブ面積1m2当たり約0.9kNの接触圧力、及び軽い遮断材のスラブ面積1m2当たり約0.25kNの接触圧力が、良好なスラブ重量/音響比を提供する。いずれにしても、多層遮断層3によって充填された空間は、スラブの重量バランスに影響を及ぼし、スラブは、最小限の重量増加でスパンの増加という課題を依然として満たし、それによって高い遮音値を達成する。その防音に特化した荷重によって、それは、防音質量のためのそれぞれの仕様を個別に満たすことができる。
【0144】
図3に示されるように、1つ又は複数の衝撃音遮断パネル22、サブスラブ23、及び適用可能であればスラブ被覆が、典型的には、コンクリート上部スラブ上の最終段階において上部に続く。ここに示された切り抜きは、内部支持手段8を有していない。前述の
図2a及び
図2bに示したように、このような1つ又は複数の支持手段8を、遮断体に隣接する隆起部分に同様に収容することができることは言うまでもない。次いで、遮断層3は、有利には、後で説明するように、遮断層3内の接続に関連する中断部を除いて、1つ又は複数の任意の内部支持手段8によってのみ構造的に中断される。音響分離がこれを提供する場合、多層遮断層3a、3bによるこのタイプのスラブ荷重が使用される。いずれの場合でも、本発明によるスラブは、内部支持手段構成なしで、少なくとも2層の遮断層3を有する音響的に最適化された変形形態で対処することもできる。この場合、遮断層3a、3bは、支持構造によって中断されることなく、複合スラブの全スパン寸法にわたって延在する。本発明によるスラブのこのような実施形態は、スラブの十分な曲げ剛性が、耐せん断的に固定されたコンクリート層4からの木材層1の間隔によってのみ保証される場合に使用することができる。少なくとも2層の遮断層3を有するこのようなスラブの製造については後述する。
【0145】
木材-コンクリート複合スラブの剛性及び耐荷重能力を増加させるための更なる鍵は、平坦な木材要素1を形成するように組み合わされる木材パネルの接続にある。コンクリート上部スラブは、その補強材15と共に、常に2軸支持のために設計されているが、木材層1は、少なくとも従来技術によれば、全体としてスラブを一方向にのみ支持する。確かに、木材-コンクリート複合スラブに使用される木材ベースの材料は、通常、横方向に積層される。したがって、このような寸法で積層された木材材料で作られた木材パネルは、2つの軸上で荷重を支えることができる。しかしながら、実際には、典型的なスパンを有するスラブの木材層1は、通常、単一の連続的に化粧張りされたパネルとして製造することができない。むしろ、この木材層1は、複数の木材パネルから構成され、各スラブ要素は、簡略化のために、単一のベニヤ木材パネルと、その上に配置されたコンクリート上部スラブ4又は複合層3、4とからなる。しかしながら、複数の連続するスラブ要素木材パネルによって形成された大面積木材層1が、2つの軸上で連続的に荷重に耐えることができるように、個々の木材パネルの引張力接続が必要とされる。したがって、一実施形態では、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、2つの軸上で荷重を支える木材パネルの密接な張力を提供する。全体として、スラブの非常に高い耐荷重能力は、特に接続要素又は張力付与手段の重量が無視できるので、追加の重量なしに達成することができる。
【0146】
木材-コンクリート複合スラブの好ましい実施形態において、後者は、少なくとも2つの当接する木材パネルを含み、それらは、以下に提示される接続システムを用いて引張力によって互いに対して張力をかけられる。この目的のために、少なくとも1つの凹部24は、いずれの場合も、第1に、張力付与手段26a、26b、26cを収容するための少なくとも1つの箱形空間を形成し、第2に、これらの凹部24が、パネルの当接位置において、連続的な凹部25又は木材パネルを横断する通路を形成するように、木材パネルの下側をそのまま残して、木材パネルに切削又はフライス加工される。最後方の箱形空間24の後方では、木材パネルは、いずれの場合も手付かずであり、すなわち、この目的のために穿孔、ねじ留めなどが行われておらず、そこで別の方法で使用することができる後方の手付かずの材料29を形成する。これにより、木材層1内に好ましい空間条件が形成される。主にせん断接続手段6の取付け中に、木材層1の溝又はチャネル7に導入される鋼管、接着剤、又は他の木材-コンクリート接続要素6のいずれであっても、この目的のために可能な限り包括的に手付かずの状態で木材層1を使用できることが有利であることが分かる。木材パネルの後方の手付かずの材料29の端面28bは、張力付与手段26a、26b、26cのための固定のいずれの場合でも、例えば接着剤によっても、自由なままとすることができる。接続システムの張力付与手段26a、26b、26cは、当接層の凹部24によって形成された通路に挿入され、取り付けられる。張力付与手段26a、26b、26cは、いずれの場合も、木材パネルの最後方の箱形空間24、24a内の端部で固定され、その結果、張力付与手段26a、26b、26cが引張応力を受けると、そこに固定された木材パネルが互いに引っ張られ、したがって一緒に張力が付与される。このようにして一緒にプレスされた少なくとも2つの木材パネルから形成された接続部を通して引張力を効果的に伝えることができる。これにより、連続した平坦な木材要素1に接続された木材パネルの2軸耐荷重能力が得られる。複数のそのような凹部24は、典型的には、木材パネルの当接軸に沿って規則的な間隔で配置される。
【0147】
木材パネルは、有利には、同一の寸法及び配置の凹部24を有する。次に、同じ位置に同じ凹部24を有する木材パネルを予め製造することができ、その結果、接続部が形成されるとき、一般に特定の側に注意を払う必要がない。したがって、各予め製造された木材パネルは、当接軸の近い側又は遠い側に配置することができる。また、凹部24は、後述するように、複数の小さな箱形空間24a、24cとそれらの連続した接続部24bとから形成することもできる。接続システムの好ましい変形例では、張力付与手段26a、26b、26cは、凹部24内に緩く挿入されるだけでよい。張力付与のために、張力付与手段26a、26b、26cは、木材との係合によって木材パネルにねじ留め、ダボ留め、接着、又は他の方法で固定される必要がない。むしろ、木材パネルは、張力付与のために必要とされる凹部24を除いて、手付かずのままとすることができる。したがって、この変形例は、迅速に実現するのに特に簡単であり、特に設置するのが極めて容易である。張力付与手段26a、26b、26cを取り付ける際に不具合が生じた場合、木材は不可逆的に損傷を受けることがない。更なる好ましい実施形態では、張力付与手段の構成要素26a、26b、26cは、対称配置を形成するように互いに接合され、これは、接続システムを更に簡略化する。
【0148】
しかしながら、当接層における木材パネルのポジティブロックが詳細にどのように形成されるかは重要ではない。さねはぎ設計では、木材パネルの端面は、有利には、鋭角から鈍角まで先細になるさねを備え、他方の木材パネルの端面は、対応して深さが狭くなる溝を備え、その結果、木材パネルは、互いに対して良好に押されることができ、次いで、正確に嵌合する様式で互いに位置合わせされる。そうでなければ、張力をかけるべき木材パネルの端面を平坦に設計し、バットジョイントを形成するように互いに接合することもできる。ここで提示される接続システムの実施形態の全ては、遮断層3を有するか又は有さない平坦な木材要素1を有する木材-コンクリート複合スラブ上で、したがって従来技術による木材-コンクリート複合スラブ上でも達成することができる。
【0149】
図4a~
図4cによる木材パネルの長手方向断面に基づいて、対称張力調整装置を有する特定の実施形態を説明する。最初に、既に挿入された固定具を有する単一の木材パネルが
図4aに示されている。木材パネルは特別な凹部24を有する。それは、後方及び前方の箱形空間又はチャンバ24a、24cと、これらのチャンバ24a、24cを接続する中空チャネル24bとからなる。最後方チャンバ24aの後ろでは、木材パネルは手付かずであり、後方の手付かずの材料29と呼ばれ、中空チャネル24bは、この中空チャネル24bを除いて手付かずである前方の手付かず材料27内に延びる。両チャンバ24a、24cは上方に向かって開口しており、前方チャンバ24cは付加的に端面で開口している。このようにして、固定部を簡便に設置することができる。ねじ頭26aは、後方チャンバ24a内に緩く挿入され、中空チャネル24bを通って後方チャンバ24a内に案内されたねじ山付きロッド26bにねじ込まれる。この寸法により、ねじ頭26aは中空チャネル24b内に嵌合しない。したがって、それは、最大でも前方の手付かずの材料27の後端面28aまで移動させることができ、それに当接し、それによって張力付与ブロック26aとして作用する。
【0150】
図4bにおいて、2つのそのような木材パネルは、破線の分離線によって示されるように、ポジティブロック方式で一緒に押し込まれる。当接軸は、シート平面内に延びる。前方チャンバ24cは、端面で開口しているので、当接位置において上方に向かって開口する共通チャンバ25を形成する。最後に、全てのチャンバ24a、24cは、パネルにまたがるように又は連続的にこの共通チャンバ25によって接続される。張力付与手段(図示の例ではスリーブ26c)は、共通チャンバ25内に緩く挿入される。ねじ頭26aは後方チャンバ24a内に遊びを有するので、中空チャネル24bから出るねじ山付きロッド26bをスリーブ26c内にねじ込むために、共通チャンバ25内の前方に空間が形成されるように、ねじ頭26aを後方に十分に押すことができる。2つのねじ山付きロッド26bのねじ山は、設計によって反対である。したがって、ねじ込まれるスリーブ26cは、反時計回りの雌ねじを有し、その反対側に時計回りの雌ねじを有する。次に、スリーブ26cが固定位置で回転されると、これは、ねじ頭26aが後方チャンバ24a内の前方の手付かずの材料27の後端面28aに当接するまで、ねじ山付きロッド26bを両側で均一に引っ張る。
【0151】
固定位置でスリーブ26cを更に回転させると、
図4cに示されるように、2つの木材パネルの強い張力が達成される。ねじ頭26aは各々、前方の手付かずの材料27の後端面28aに押し付けられ、したがって張力付与ブロックとして作用する。この張力付与システム26a、26b、26cは、明らかに、側部から独立した方法で使用することができる。有利には、ねじ山付きロッド26bは、ねじ頭26aと共に、
図4aに示すように工場で設置され、その後、建設現場でスリーブ26cと共に引っ張られるだけでよい。2つの対向するねじ山を有するスリーブ26cの代わりに、中央ナットと、当該ナットによって一緒に引っ張られ得る2つのねじ山付きパイプ部分とを含む継手を使用することができ、ねじ山付きロッドは、この目的のために同じねじ山回転方向を有する。機械的に対照的な接続システムは、スリーブニップル接続によっても機能する。スリーブ26cの代わりに、これは、静止位置で張力をかけるために共通チャンバ25内で回転され、したがって、ねじ山付きロッド26bの代わりに対応する雌ねじを有する2つのスリーブを一緒に引っ張る、対向ねじを有するニップルである。これらのねじ接続の全ての変形例は、それらの構成要素26a、26b、26cと共に、木材パネルの分割面に対して対称な設計を形成する(この目的のために、ねじの回転方向は考慮されない)。この場合、張力付与手段は、例えば、固定手段26aのねじ留め、ダボ接合、又は接着などによって、木材パネルに固定的に接続又は固定される必要はない。したがって、木材パネルに容易かつ効率的に一緒に張力をかけることができる。この目的のために、それらは同一に予め製造され、接続システムの設置のために容易に交換することができる。
【0152】
図4dに示すように、張力付与レバー26cを有する張力付与ロックも、張力付与手段26a、26b、26cとして適している。各木材パネルは、唯一の凹部24として、上部が開き、端面が部分的に開いた箱形空間を有するように切り抜かれ、前方の手付かずの材料27は分割面まで延在する。これらの凹部24の後ろでは、
図4dの後方の手付かずの材料29に見られるように、木材パネルは手付かずである。凹部24は同一に設計することができ、これは木材パネルの予備製造における誤差を防止する。木材パネルの当接位置では、前方で張力が加えられる2つの木材パネルを横切って延びる通路が、共通の凹部25の形態で形成され、それを介して動作可能な接続が形成される。この目的のために、張力付与レバー/張力付与フックが固定された張力付与ブロック26aがチャンバ24内に緩く挿入される。ここでは右側の張力付与ブロック26aにヒンジ止めされた張力付与アーム26bは、それに対向する左側の張力付与ブロック26aの引張フックの周りに配置され、それによって張力付与手段はチャンバ24内の両側に固定され、したがって固定具を木材パネルにしっかりと接続する必要はない。張力付与レバー26cを旋回させることによって、張力付与アーム26bは右に引っ張られ、張力付与ブロック26aを前方の手付かずの材料27に対して押圧し、木材パネルを互いに対して完全に引っ張る。張力付与ロックは、ここでは対称に設計されていないが、側面とは独立して使用することができる。もちろん、分割面に対して対称に設計された両面張力付与レバークロージャを使用することもできる。張力付与アームを有する張力付与レバーの代わりに、両側に関節接続されたフック又はハンドルを有するねじ設計を使用することができ、フック又はハンドルは、2つの張力付与ブロック26aに係合し、例えば、そこに一体成形されたカム、ボルトなどの周りに係合する。この例として、ねじ山付きロッド26bと、その上を延びる六角形スリーブ26cとを有するテンションスピンドルが
図4eに示されている。
【0153】
本図は概略的な表現にすぎないことが理解されるであろう。実際には、固定具26aが直接圧力を加える前方の手付かずの材料27は、非常に長く又は深く、例えば0.2~0.5m以上の長さに設計され、したがって張力付与ブロック26aよりもはるかに長く寸法決めされる。したがって、対照的な接続システムは、木材パネルの長い又は深い範囲にわたって係合し、強い張力に耐える。張力付与アーム26bの長さ又は関節に応じて、張力付与アーム26bは、隣接する当接パネルの張力付与ブロック26aに対して把持するために、前方の手付かずの材料27を貫通して穿孔された中空チャネル24bを通して案内することもできる。
図4fは、右側の画像におけるこのタイプの中空チャネル24bを示しており、そこでは、木材パネルの分割面に向かう当接軸の方向に前方の手付かずの材料27の方を見る。しかしながら、テンションスピンドルのような対称張力付与締結具の場合、少なくとも力伝達の位置又はそのスリーブ26cの位置において、通路は開いていなければならず、すなわち、張力付与のためにアクセス可能でなければならない。この目的のために、
図4a~
図4cに概略的に示すように、前方の手付かずの材料27又は他の凹部24にU字形又は矩形の切り抜きを有する実施形態が適している。
【0154】
張力付与締結具の代替的な実施形態では、張力付与ブロック26aは各々、木材パネルに固定的に接続され、例えば、接着され、又は
図4gによる例のように、ねじ止めされる。実施形態に応じて、固定具は、スラブ及び/又は箱形空間若しくは凹部24の側壁にのみ取り付けられる。これは、
図4hによる分割面に平行な凹部24の断面の切り抜きにおける2つの例で示される。右側の図では、張力付与ブロック26aはU字形であり、凹部24内のその内部から横方向に固定することができる。原理的には、張力付与ブロック26aは、両方の実施形態において、空間条件に応じて、横方向及び底部に向かって固定することができ、これは好都合である。これらの固定された固定具は、木材への有害な影響を比較的低く保ち、後方の手付かずの材料29の端面28bを常に固定手段がないままにする。凹部24の底部にのみ固定された張力付与ブロック26aの場合、凹部24の最後方の全ての側壁、又はこの場合には唯一の側壁は、固定手段がないままである。これらの凹部24の後ろでは、木材パネルは手付かずである。これらは同様に製造することができる。固定的に固定される張力付与ロックはまた、側部から独立した方法で使用可能であり、上述したものと同様に対称的に実現することもできる。
【0155】
更なる変形例では、
図4iに示すように、張力付与くさび26c及び対向くさび26aによって木材パネルに張力をかけることができる。くさび26a、26cは、
図4iの右側に見られる木材パネルの同じ箱形凹部24内に配置される。張力付与くさび26cが叩き下げられるか、叩き込まれるか、締め付けられる結果として、対向くさび26aは、右に並進移動し、遠い側の木材パネルの対向する箱形凹部24内の張力付与ブロック26a内に固定され、近い側の木材パネル内の対向くさび26aと共に固定されたねじ山付きロッド26bを引っ張る。各木材パネル上の前方の手付かずの材料27は、張力付与ブロック26aによって、及び張力付与ブロックとして作用するくさび26a、26cによって他方に押し付けられ、それによって木材パネルが互いにしっかりと引っ張られる。このくさび接続は、側部とは独立して使用することもできる。張力付与くさび26cは、底部に好ましくはU字型の凹部を有しており、この凹部によって張力付与くさび26cはねじ山付きロッド26b上を滑る。このくさび形状を
図4jに示す。張力付与くさび26cのより短い実施形態では、張力付与くさび26cは、完全に引っ張られた状態であってもねじ山付きロッド26bに到達しない。
図4kは、箱状凹部24内の張力付与くさび26c及び対向くさび26aを有するくさび張力付与の対称的な変形例を示す。示された張力付与の全ての変形例に対して、凹部24は、木材パネルにおいて同一に切り抜かれ得る。箱状凹部24の後ろでは、木材パネルは手付かずのままであり、例えば、せん断コネクタ6、9の挿入のためにそこで使用することができる。
【0156】
本発明による木材-コンクリート複合スラブの製造により、スラブをモジュール設計で予め製造し、次に建設現場で所定の位置に組み立てることができるので、高度の工業的予備製造を達成することができる。とりわけ、これは、大きなスパン寸法を有するスラブの製造中の建設及び組立効率を高める。以下、本発明によるスラブの製造方法について詳細に説明する。
【0157】
単一スラブモジュールの場合、最下スラブ層-木材層1-が最初に処理される。これは、典型的には、単一の継ぎ目のない木材パネルとして化粧張りされる。
図5aに見られるように、せん断コネクタ9が挿入される位置において、最初に説明した凹部30が木材層1に切削又はフライス加工された。ここに示す変形例では、鋼管9が接着されており、膨張したエポキシ接着剤がそれらの周囲に環状に示されている。フィルム32で裏打ちされた型枠31は、木材サブスラブ1をその縁部領域に沿って包囲する。更に、型枠31の側部領域に沿って一定間隔でフィルム32の膨らみを見ることができる。これらの中には、例えば硬質ポリスチレン発泡体で作られたプレースホルダ33があり、したがって、後でスラブモジュールを摩擦接続することができるようにするために、その空間は、その後の材料の適用中に自由に保たれる。
【0158】
図5bでは、3列のせん断コネクタ9が木材層1上に配置され、木材層1に接続されている。ここで、型枠31は部分的に覆われており、それによってプレースホルダ33の図が明確になる。フィルム32は、型枠31の周りに配置され、その後の材料適用を横方向に封止するために、底部で木材スラブ1に接着される。建築技術要素などの任意の接続部及び構成要素は、木材層1上に直接設置される。
【0159】
図5cでは、最下スラブ層又は木材層1の上側が再び見られるが、この図では型枠31がない。水の浸透から保護されるべき交換不可能な物体を有する博物館、図書館、及び貯蔵庫として厳密には使用されない建物における防火のために通例であるように、スプリンクラシステム34がこの上側に設置された。同様に、前方凹部24cが認識可能であり、前方凹部24cは、この好ましいスラブ設計において木材層1に切削又はフライス加工され、この場合、木材層1の長手方向側部にわたって規則的に分散され、その後、横方向に隣接するモジュールの木材層1と接続し、張力をかける。ここでは木材ブロックによって覆われている後方凹部24aは、充填される遮断材料料が浸透することができず、したがってそれを詰まらせることができないように、後方凹部の後ろに配置される。これらはまた、例えばフィルム被覆によって防止することができる。いずれにしても、個々のモジュールの木材層1の張力付与は、木材層1が2つの軸上で連続的に荷重を支えるように設計される場合にのみ、本発明の好ましい実施形態に関係する。
【0160】
スラブモジュールが完成した後にクレーンによって持ち上げられるようにするために、木材層1における荷重処理アタッチメント44の固定具が有利に適用される。持ち上げベルト44の場合、例えば木材層1に固定され、木材層1の表面でベルト44に張力をかける張力付与ブロック(好ましくはわずかに面取りされている)が適している。スラブ要素における荷重処理アタッチメント44の固定が省略される場合、完成した要素は、代わりに、例えば、同じ巻き上げベルトを使用して持ち上げることができる。
【0161】
図5dは、次の方法ステップを示しており、このステップでは、遮断層3を構成するための遮断材料が木材層1の上に充填又は注入などされる。本実施形態では、遮断材料としてセルロース繊維が吹き込まれ、それによって、セルロース繊維はコンパクトな塊を形成する。モジュールに沿って両側に見ることができるセルロース繊維は、ここでは、遮断層3から突出するせん断コネクタ9を覆う。フィルム32は、遮断層3をその縁部領域にわたって取り囲むことができるように、型枠31内に置かれた。このようにして、好ましくは個々の材料層の間に分離フィルム36を有する多層遮断層3も充填又は注入、吹き込みなどされる。2層の遮断層3の場合、例えば、コンクリート粒状物の下部層と、その上の発泡ガラス砂利のより軽い層(好ましくは、より重い遮断層からより軽い遮断層への高さの比が1:1~1:4である)が、遮断層として適している。
図5dに示すように、遮断層3の適切な高さを確保するために、測定ロッド43が有利に使用される。型枠31のための補助フレーム37の柱を通して、型枠31によって囲まれず、したがって、後に適用される遮断層3及びコンクリート層4から除外される木材層1の一部を見ることができる。木材層1のこの部分は、後に木材層1の上及び上方にある内部支持手段8のための接触面35を形成する。
【0162】
遮断層3が完全に適用された後、フィルム32のフラップは内側に折り曲げられ、遮断層3はその側面の全周をフィルム32によって取り囲まれる。更に、次に導入されるフレッシュコンクリートが遮断層3に浸透しないように、層剥離フィルム36が上部遮断層上に配置される。
図5eに見られるように、開口部が分離フィルム36に切り込まれ、その開口部から、せん断コネクタ9の上端部が出ることができ、固定された荷重処理アタッチメント44の場合、ガイド45の当該開口部から出ることができる。したがって、せん断コネクタ9の端部は、次に施工されるコンクリート層4内に突出し、次にコンクリート層4と密接に接続する。しかしながら、最初に、コンクリート層4のために補強材15が挿入され、格子構造における補強ロッドの従来の多層(この場合、2層、典型的には4層配置)を有する。
図5eでは、遮断層3の左内側のプレースホルダ33も、型枠31上に明確に見ることができる。したがって、これらの領域は、コンクリートのその後の適用のために除外される。
【0163】
コンクリート化プロセスを
図5fに示す。この場合、フレッシュコンクリートは既に型枠31内に注入されており、特に振動させられ、その結果、フレッシュコンクリートは、コンパクトで平坦な上部層4として遮断層3(ここではもはや見えない)上に定着する。せん断コネクタ9の上端もコンクリート層4によって完全に覆われているので、もはや見えない。ここで、プレースホルダ33は所々で露出している。荷重処理アタッチメント44のためのガイド45は、コンクリート層4から上部に突出している。コンクリート層4が硬化した後、型枠31が取り外され、挿入されたプレースホルダ33が取り外されるか又は突き出される。このようにして、スラブモジュールが完全に形成され、組み立ての準備が整う。
【0164】
図5gは、支持体38上の2つのそのようなスラブモジュールを示しており、それらは典型的には輸送のために積み重ねられる。モジュールは、建設現場に移動させることができ、そこで組み立てて木材-コンクリート複合スラブを形成することができるように、道路輸送可能なサイズで作成される。遮断層3がその側面の全周にわたってフィルム32によって取り囲まれており、したがって保持されている様子が分かる。複合材の下に突出するモジュールの木材層1の突出部も形成され、これが上部に開放面35を形成することが分かる。これらは、以下に説明するように、所定の位置に注入されたフレッシュコンクリートで充填される。
【0165】
図5hは、単一のスラブモジュールが、それに対して予め定められた位置にそれを配置するために、クレーン装置を用いてリフティングベルト44上でどのように持ち上げられるかを示す。支持体として、柱18又は耐力壁などの支持構造の垂直に設置された垂直構成要素、及び/又は例えばブレースの形態の一時的なスラブ支持体のいずれかが設けられる。これらは、スラブが完全に形成された後に再び除去される。図示されたモジュールにおいて、凹部39は、規則的な間隔で両方の長手方向側部に、すなわち、プレースホルダ33が以前に配置されていた場所に配置される。したがって、これらの位置にはコンクリートがないか、又は木材凹部24cの上には遮断材料及びコンクリートがない。排除された凹部39のおかげで、このモジュールは、各長手方向側部において隣接するモジュールに摩擦接続され得る。端と端を接して置かれるモジュールは、それらの端面にいかなる凹部39も有さないことが理解される。意図された摩擦接続に応じて、モジュール側部は、隣接する要素を有する対応するモジュールの1つ、2つ、3つ、又は4つの側部に張力をかけるために、そのような凹部39を備えることができる。
【0166】
図5iには、複数の当接モジュールで構成された結果として生じるスラブの一部が示されている。クレーン輸送のための持ち上げベルト44は、部分的にはまだ取り外されていない。隣接する要素の凹部39は、互いに対向して位置するようになり、それらと共に共通の凹部40を形成し(場合によってはコンクリート層1のみにおいてであるが、この場合は遮断層3を貫通する)、その結果として、共通の凹部25を形成するために同様に互いに接合される凹部24cは、モジュール木材層1の張力付与のために上からアクセス可能である。張力付与手段26a、26b、26cは、木材層1の凹部25内で張力をかけられ、空洞は、それぞれ隣接するモジュールコンクリート層4の下縁まで遮断材料で充填される。これは、現場でできるだけ少ないコンクリートを設置する努力がなされるので、いずれの場合も有利である。支持手段によって必要とされる中断部を除いて、遮断層3は、連続スラブ層としてモジュール方式で実現される。次に、補強材15が挿入され、隣接するモジュールの補強材に接続される。
図5iでは、露出した接触点35が木材層1上にはっきりと見えており、木材層1は、1つ又は複数の更なるモジュールが木材層1に接続された後、中間空間41を形成するか、又は中間空間41を底部で画定する。これは、後に内部支持手段8に注入される。ここに示されたモジュール群は、それらの木材層1にわたって互いに垂直に延びる2つの中間空間41を既に含んでいる。遮断層3及びコンクリート層4は、これらの中間空間41に沿って互いに連続して離間していることが分かる。
【0167】
支持手段補強材42は、これらの最初は自由な中間空間41内に設置される。
図5jに示すような画像が得られる。更に、コンクリート層4から出る補強ロッド15も凹部40内に見ることができる。隣接するコンクリート補強材15が完全に設置された後の、それらの摩擦接続のためのそのような凹部40が、
図5kに別個に示されている。
図5lは、長手方向補強材としての引張及び圧縮補強材10、11を有する典型的な支持手段補強材42を示しており、この平面図では、とりわけ、圧縮補強材11を見ることができる。長手方向補強材10、11は、スターラップ補強材13によって囲まれている。接続補強材12は、曲げられた補強ロッドから形成され、ここでは、スペースの理由から、
図2aによる実施形態の代わりに、水平に挿入される。この接続補強材12は、コンクリート層4から出ている補強ロッド15にベルバットジョイント14を介して摩擦接続されている。木材-コンクリート接続手段6(この場合、木材構造ねじ6)は、図では明らかではなく、木材-コンクリート接続手段6は、木材サブスラブ1と共に鋳造される内部支持手段8の密接な接続を形成するために、木材層1に導入されている。一方、鋼ビーム形状20を有する内部支持手段8の一実施形態では、内部支持手段8は、中間空間41に挿入され、木材層1に摩擦接続される。次に、まだ残っている空間は、上部において、隣接するコンクリート層4の下縁と同一平面上に隣接するまで、遮断材料で充填される。次に、接続補強材12を備えた補強材が、隣接するコンクリート層4の間のコンクリートで打設される残りの空間41に配置され、それらの補強材15に摩擦接続される。
【0168】
完全に補強された中間空間41は、コンクリート48で充填され、特に
図5mで行われるように、凹部40も同様に平滑化される。木材層1まで達する凹部40内に遮断材料が配置されない場合、凹部は現場打ちコンクリート48で完全に充填される。しかしながら、これは、フレッシュコンクリート48を用いた最終的な鋳造物が可能な限り低く保たれるので、むしろ典型的ではない。しかしながら、接続に必要なコンクリート中断物の場合、スラブの遮断層3は、モジュール上に準連続的に組み立てられる。ここでは、まだ湿っているコンクリート48に見られるように、内部支持手段8が新たに形成される。加えて、まだコンクリートで固めるべき凹部40が概略的に示されている。フレッシュコンクリート48の硬化により、木材-コンクリート複合スラブは、平坦な木材要素を有する耐荷重性であるように形成される。
【0169】
いずれにしても、本発明によるスラブのモジュール式製造方法は、革新的で、時間を節約し、費用効果の高い方法である。高度の事前製作により、これらの利点がもたらされ、それによって、大面積複合スラブを非常に効率的に組み立てることができる。内部支持手段8は、ここではもっぱら現場で作成されたが、必ずしもそうであるとは限らない。底部に向かって突出する内部支持手段8の実施形態の場合、予め製造された支持手段構成要素49を使用することが好都合であることが分かる。後で説明するように、支持手段8の最終的な鋳造のみが現場打ちコンクリート48で行われる。
【0170】
内部支持手段8を有さない本発明によるスラブの他の実施形態では、それに関連する方法ステップは単に省略される。例えば、一変形形態では、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、少なくとも2つのスラブモジュールからモジュール方式で、防音性が高いが支持手段がない複合スラブとして製造することができる。それらの層構造のために、下から上に、まず、木材層1が、いずれの場合においても製造され、せん断コネクタ9は、それらの下端でその中に固定される。次に、遮断層3は、少なくとも2つの層3a、3bで形成され、木材層1の上に集中した質量を導入するために、比較的高密度の遮断材料が下部層3aに導入され、それによって木材層1に荷重がかかり、したがって耐振動性となる。比較的低密度の遮断材料が、少なくとも1つの上部層3bに導入される。最後に、遮断層3を貫通するせん断コネクタ9の上端がコンクリート層4に固定されるように、コンクリート層4にも補強材15が適用される。この実施形態では、モジュールは、内部支持手段8を介して摩擦接続されていないので、凹部39が少なくとも1つのモジュールのコンクリート層4に設けられ、補強材15は、隣接するコンクリート層4の補強材15に摩擦接続されるために凹部から出る。次に、これらの凹部39もコンクリート打ちされる。したがって、モジュールの木材層1は、互いに対して摩擦によって張力をかけることもできることは言うまでもない。この場合、凹部39はコンクリート層4だけでなく遮断層3にも設けられているので、張力をかけられる木材層1は張力をかけるために上方からアクセス可能である。次に、完全に形成されたスラブモジュールは、1つ又は複数の支持体上の予め定められた位置に置かれ、上述したように少なくとも第2のスラブモジュールに接続され、凹部39がコンクリート打ちされる。このようにして音響的に最適化された木材-コンクリート複合スラブの製造方法は、高い建設効率及び組立効率を特徴とする。大きなスパンを有するスラブは、原則として、そのようなモジュールによって少ないステップで作成することができる。
【0171】
それらの欠点にかかわらず、従来の木材-コンクリート複合スラブは、良好な耐荷重信頼性も提供する。以下の考察のために、通常の場合と火災の場合とが区別される。通常の場合、通常の建築作業が想定され、主荷重、追加荷重、及び特殊荷重の異なる組み合わせが、それらの発生確率、それらの持続時間などに関して測定される。従来の木材-コンクリート複合スラブの寸法では、通常の場合、可燃性木材層1が損なわれるような火災の場合であっても十分である快適な静的予備力が達成される。一方で、そのような木材-コンクリート複合スラブは、それらが主にトウヒ材などの軟材から設計され、したがって静力学上の理由からかなりの厚さを有する必要があるという点で有益である。この理由だけで、これらの木材層1は、火災の場合に直ちに破損することはない。更に、木材は燃焼プロセス中に分解されて木炭及び可燃性ガスを形成し、このようにして形成された炭素層は、木材と比較して著しく低い熱伝導率のために非常に良好な遮断体を形成する。このようにして、内側木材は熱の影響から長期間保護され、その結果、厚い木材層1は、火災の場合であっても依然として十分な静的寄与を提供する。しかしながら、細長いスラブシステムは、ここでは欠点をもたらす。
【0172】
まず第1に、十分な防火は、建物の支持構造が、少なくともその完全な避難に必要な限り、崩壊に対して安全なままであることを必要とする。避難時間は、建物構造、特に避難経路の設計及び寸法に従って計算され、建物内の階数が増加するにつれて長くなる。加えて、構成要素は、防火の観点から、通常、耐荷重及び/又は防火区画形成機能に従って分類される。線形構成要素と平面構成要素も区別される。これを考慮して、建物には、より高い又はより深い支持体が取り付けられる。木材-コンクリート複合スラブの木材層1は可燃性平面状であるので、その静的性能が火災の場合であっても基本的に十分であるとしても、耐荷重構成要素は、防火技術に関してそのように批判されることが多い。これは、通常、避難経路の計画及び寸法決定、及び/又は例えば石膏ボードパネルなどによる木材層の耐火被覆における精巧な手段によって改善することができる。この結果、正確には、その位置、階数、及び広がりに起因して高い防火要件に定期的にカバーされている建物では、平坦な木材要素を有する木材-コンクリート複合スラブの使用は、大きな利点にもかかわらず、適切ではないか、又は効果がない。
【0173】
しかしながら、本発明によるスラブシステムは、そのような以前には使用されていなかった適用分野を利用するために使用することもできる。避難中に建物内の居住者の数が0に向かう傾向があるという状況を使用することができる。したがって、火災によって影響を受ける支持構造体は、最大荷重の約50~60%のみに耐えることができればよく、連続的にではなく、避難が完了するまでのみ耐えることができればよい。本発明による木材-コンクリート複合スラブは、支持木材層1が平坦な耐荷重構成要素の要件を受けないように、その内部支持手段概念のおかげでこの条件を満たすことができる。不燃性スラブ支持構造又はコンクリート層4及び内部支持手段8で作られた残りの支持構造は、可燃性木材層1の欠如を完全に補償することができるので、木材層1は、臨界期間の間、静的な寄与をする必要がない。火災の場合、従来の平坦な木材-コンクリート複合スラブ、すなわち、全体として不可欠である耐荷重性の平坦な構成要素は損傷を受けるが、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、比較すると、いずれにしても静的に消耗可能な構成要素のみを含む。これは、特に、木材層1が被覆されないままであることができ、したがって、平坦な耐荷重構成要素に対する要件にもかかわらず、目に見えて目立つままであることができるという事実につながる。例外は、静的な消耗性を超える特別な要件を有する避難経路である。しかしながら、いずれにしても、内部支持手段8は有利な条件を作り出すので、原則として、建物に対して提供される防火対策はより少なく又はより低いもので済む。
【0174】
図6は、本発明による木材-コンクリート複合スラブを使用した多層建物又は高層建物のスラブ計画に基づく概略的な支持構造概念を示す。例えばエレベータ及び/又は階段吹き抜けが収容される補強耐荷重建物コア17は、ファサード19に沿って建物の内部に配置された垂直柱18と同様に、耐荷重壁と共に耐荷重壁に隣接するスラブのための支持体を形成する。見て分かるように、スラブは、コア17とファサード19との間の領域全体に及び、実質的な寸法に及ぶ。同時に、建物コア17を除いて、建物の内部に耐荷重壁は見られない。これは、内部支持手段8のインテリジェントな配置によるものであり、内部支持手段8は、建物内部において、点支持体としてたった2つの柱18のみで対処する一方で、外側支持体としてファサード19の柱18を共有し、角支持体としてコア17を共有するので、可能な限り空間を遮るものがない。この場合、最初に説明したように、内部支持手段8は、完全に鉄筋コンクリート製であってもよいし、鋼形材20を備えていてもよいし、これらの変形例が互いに組み合わされていてもよい。本発明によるスラブの本実施形態では、内部支持手段8は、2つのカテゴリに分けることができる。スラブ面の長手方向(
図6の水平方向)において、第1の内部支持手段8aは各々、一方の端部が建物コア17上に支持され、他方の端部がファサード柱18上に支持された状態で配置される。これらは、常に、すなわち、通常の場合及び火災の場合の両方において、ここで選択された支持構造ジオメトリにおいて不可欠であるので、そのように呼ばれる。コア17及びファサード19により、それらは4つの大きなスラブ領域を画定する。それに対して横方向に、すなわち、
図6の垂直方向に延びて、ハッチングされた第2の内部支持手段8bが見える。それらの名称が示唆するように、スラブはそれらの寄与がなくても要求される耐荷重能力を提供することができるので、それらは通常あまり重要ではない。通常の場合、4つの大きなスラブ領域の支持方向が示され、スラブ全体にわたって分配されて描かれており、そのような大きなスラブ領域の主支持方向(最大応力を有する支持方向)が大きな矢印で示され、その補助支持方向(より少ない負荷を有する支持方向)が小さな矢印で示されている。第2の支持手段8bは、通常、スラブの荷重伝達において決定的又は重要な役割を果たさないので、この目的のために隠されなければならず、スラブは、第2の支持手段なしで本考慮事項を支持する。
【0175】
火災の場合にのみ、例えばスプリンクラシステム34の故障により木材層1が火災損傷した場合、水平荷重の吸収及び垂直支持体18への伝達がスラブの全ての支持手段8a、8bに分配されることが可能でなければならない。その場合、それらは全て、残りの支持構造の不可欠な構成要素を形成する。ここで、全ての内部支持手段8a、8bを含むスラブが、多数のより小さなスラブ領域に分割されることが決定的である。なぜなら、この静的分析によれば、第2の内部支持手段8bもまた、荷重吸収又は荷重伝達に作用するからである。したがって、スラブの新しい主支持方向及び副支持方向も、これらのより小さいスラブ領域に関係しており、これは、明確にするためにここでは具体的に示されていない。その結果、能動的支持手段8a、8b上に支持されるスラブ領域は小さくなり、そのため、比較的薄いコンクリート層4は、スラブのこのカセットスラブ構造において関連する避難期間にわたって階にまたがることができ、倒壊に対して安全である。木材層1、又は少なくとも火災の危険性があるその関連部分は、この期間中、クラッドのように静的であるとみなすことができる。したがって、木材層1は、耐火性の方法で被覆される必要もなく、代わりに、美観的な、連続した、したがって途切れのないスラブ下端を階の内部に提供する。もちろん、それにもかかわらず、木材層1は、例えば特定の美観に関して望ましい場合、又は例えば避難経路に沿ってそれが一般的に規定される場合には、内側に、又はいくつかの場所のみに塗装することができる。本実施形態では、建物コア17は、出口経路も同時に形成する。いずれにしても、通常は静的に余分である内部支持手段8bを有するそのような内部支持手段概念のおかげで、建物に対する防火要件を著しく低減することができる。
【0176】
本発明によるスラブの他の実施形態では、内部支持手段8は、火災の場合の一時的な静的救済策として概念化することもできる。1つ又は複数の支持手段8を第1の支持手段8としてのみ、又は第1の内部支持手段8としてのみ有する逆の場合も、これが防火に関して実現可能である場合には考えられる。いずれにしても、スラブの剛性/質量比は、最初に既に説明したように、通常の方法で荷重が加えられる支持構造に内部支持手段8を組み込むことによって最適化され、その重量が低減され、その高さが最小化され、実現可能な建物の階数が最大化される。内部支持手段8、8a、8b上に分配される最適化された木材-コンクリート複合スラブの重量割合は、スラブ重量の約10%だけであるか、又は更に少ない。曲げ剛性の増加及び関連する利点は、いくつかの点でこの重量を上回る。したがって、通常の建築作業であっても、支持される荷重を内部支持手段8、8aに静的に分散させること、すなわち、内部支持手段8aの少なくとも一部を第1の支持構造の構成要素として設計することが望ましい。
【0177】
図6によるスラブ計画は、単に例示的な実施形態として理解されるべきである。スラブの寸法、特に内部支持手段8の寸法は、もちろん各建物の特性に適合させることができる。しかしながら、原理的には、内部支持手段8は、スラブの力プロファイルに追従し、スラブをかなり小さなスラブ領域に分割するように分配される。ここで「賢明」とは、内部支持手段8の付随する垂直支持が建物の内部をできるだけ損なわず、それにもかかわらずスラブがその目的のために十分な曲げ剛性を有するように設計されることを意味する。したがって、内部支持手段8は、有利には柱18上のみで支持される。柱18という用語は、主としてその長手方向軸の方向に荷重を吸収して伝達する垂直に設置された構成要素を意味するものと理解される。これらは空間を最小限に制限するだけである。いずれの場合でも、せいぜい非耐荷重壁を立設又は解体しなければならないため、スラブ計画はほぼ望み通りに使用することができる。
【0178】
図7は、背景の上部及び下部においてスラブに隣接する柱18を有する支持構成を示す。スラブの切り抜きは、
図2aから知られているような構造を示しており、補強材の図示は省略されている。しかしながら、木材-コンクリート接続要素は、ここで使用される木材構造ねじ6の形態で示されている。下側の柱18がスラブと交わるところで、木材層1は凹部を有し、その結果、それは全ての側部で柱18と同一平面である。組み立て中、予め製造されたスラブモジュールは、柱18の周りの一時的な支持体上に配置される。
図7は、2つのスラブ要素の当接する木材層1の分離線を示す。内部支持手段8は、開いたままであるそれらの接触面35上に鋳造され、木材層1内の凹部の位置で下部柱18に一体的に接続する。現場打ちコンクリート48が硬化すると、これはスラブの支持体として作用する。加えて、作用力を効果的に伝達するために、上部柱18が隣接して接続され、垂直支持構造体を上階に延在させる。好ましくは、複数の柱18が内部支持手段8に沿って配置される。柱18の長さにわたって規則的な間隔で柱18に取り付けられた内部支持手段8を有する支持構造構成が一般的である。これらの柱18と協働して、内部支持手段8は、非常に効率的な支持構造グリッドを形成する。建物の内部の大部分は、耐荷重性の平面建物構造がないままであるか、又は特定の点で柱18によって区切られているだけである。
【0179】
場合によっては、特に高い曲げ補強を達成するために、内部支持手段の断面を増加させる、すなわちスラブ層複合材の高さを超えさせることができることが有利である。複合スラブからの内部支持手段8のこのような上側又は下側突出部の可能性を以下に示す。
【0180】
図8による支持構成は、中空スラブ、すなわち、例えば電気接続、及び電気通信、衛生、加熱、及び換気設備などを収容するための空洞を含むシステムスラブ構造タイプに適している。空洞46は同時に、コンクリート層4を超える内部支持手段8の断面拡大のための空間を作り出す。このような断面拡大は、内部支持手段8の全長にわたって、又は局所的にのみ、例えば柱18の上方の限定された領域において行うことができる。単に局所的な突出部は、空洞46内のケーブルルーティングのための連続的な障壁を形成しないので、有利であることが分かる。内部支持手段8は、端部を取り外した後、外側から見えないままである。設置は、
図7に関して上述したのと同様に実行されるが、ここでは更に、上部で隣接し、複合スラブ平面から上方に延びるコンクリート型枠が、鋳造される支持手段8のための中間空間41に適用され、それによって、支持手段8は、最終的に鋳造されると、上部でスラブから突出するという違いがある。内部支持手段8は、通常、サブスラブ/スクリード23まで注入されるのではなく、むしろ、特にケーブル経路が連続支持手段として設計される場合、ケーブル経路のために空隙が確保される。最大設計では、内部支持手段8はサブスラブ23まで延在し、したがってケーブル経路の詳細な調整を必要とする。いずれにしても、内部支持手段8の上部から出る隆起部分は、特定の状況に応じて寸法決めすることができる。上に位置する階が使用されない場合、例えば最上階において、上部に突出する支持手段8は、段としてサブスラブを越えて突出することもでき、又はサブスラブ23を省略することもできる。
【0181】
図9は、底部で複合スラブから出ている内部支持手段8を示す。その突出により、内部支持手段は光学的に知覚可能であり、従来の支持手段に似ている。このタイプの支持手段設計は、スラブ構造が上部に対応する突出部を許容しない場合に特に適している。そのような目に見える実施形態は、主に、静力学に関して本来的かつ常に不可欠である支持手段8aであり、したがって、その光学的効果は許容可能である。製造又は組み立てのために、
図9に均一なハッチングで提供されるような支持部材49は、有利には、別個の構成要素として予め製造され、既に作成された柱18上に支持される。次に、同様に予め製造されたスラブ要素が支持部材49上に置かれる。この目的のために、支持部材49は、両側に段47を形成する下側突出部を形成し、その上にスラブ要素を配置することができる。最後の方法ステップにおいて、スラブモジュールのコンクリート層4の間の支持部材49の上のまだ空いている領域は、現場でコンクリート48で充填され、その結果として、内部支持手段8の上端がそれに一体的に接続される。有利には、コンクリート層4は、遮断層3の上に縁部領域を依然として確保しており、この縁部領域は、モジュールを内部支持手段8に特に堅固に接続するためにコンクリートで充填される。明確にするために、
図9の現場打ちコンクリート48の最終鋳造物は、予め製造されたスラブ要素及び予め製造された支持部材49のコンクリートとは異なるハッチングが施されている。底部で突出する内部支持手段8は、対応する一時的なコンクリート型枠を取り付けることによって最終的に上方に鋳造することもできることは言うまでもない。
【0182】
構造上の観点から、内部支持手段8の下側突出部は、光学的に支配的であり、したがって望ましくないものとして知覚され得る。ここでは、
図10aの断面図に示すようなキャピタル構成によって救済策が提供される。ここに示す構成は、
図9からの構成に対応するが、内部支持手段8の突出部がその全長にわたって同じ深さに延びていない点が異なる。むしろ、その深さは柱18に向かって増大し、したがって、キャピタルの横アームと光学的に一体的に形成される。
図10aでは、このキャピタルアームは、シート平面から見た方向にシート平面の後ろの柱18に向かって延びている。柱18に対するキャピタルアームの傾斜は、互いに斜めに配向された破線で示されている。
【0183】
図10bは、
図10aの切断線A-Aを通る図を示しており、したがって、キャピタルは、横方向の図における下部コラム18の上端として見ることができる。内部支持手段8の2つのキャピタルアームは、各々柱18から離れて延び、明らかに限定された部分にわたってのみ延びる。ここで覆われる支持手段8の内部延在部分は、次の支持構造まで、又はそれを超えて連続的に延在することができる。先の
図10aに示す図についての切断線A-Aも描かれており、そこに視線方向についての情報を提供する。しかしながら、
図10bでは、支持手段ガイドのこの変形例又は内部支持手段8の突出部の実施形態も有利であり得る理由が明らかである。連続的により深いスラブ部分の代わりに、スラブ高さは、ここでは柱18の周りの領域においてのみ影響を受ける。このように形成された支持手段突出部は、視覚的に目立たず、それにもかかわらず、決定的な曲げ補強を提供する。内部支持手段8は、キャピタルアームを有する支持部材49に基づいて予め製造され、
図9による構成と同様に設置される。
【0184】
図10bによるスラブ複合材では、更なる内部支持手段8が、キャピタルの延在方向に対して横方向に見える。これは、外部から見えず、現場打ちコンクリート48で製造され、予め製造された内部支持手段8の位置で、キャピタルに一体的に形成され、適切な接続補強材12でキャピタルに接続される内部支持手段8である。同様に、純粋に内部で案内される支持手段8が、ここに示す配置の反対側に延びる。
【0185】
内部支持手段8の突出した変形例に基づいて、例えば、最初に記載されたスラブの製造方法がどのように適合又は変更され得るかが示される。スラブ製造方法は、支持手段製造の両方の変形(全て現場で、又は部分的に事前製作され、部分的に現場で)について以下のように要約することができる。本発明によるスラブは、少なくとも2つのスラブモジュールから組み立てられ、スラブモジュールは、いずれの場合も、その層構造を伴って作成され、したがって、下から上に、せん断コネクタ9がその下端でその中に固定された木材層1が最初に製造される。次に、遮断層が形成される。好ましくは、それは少なくとも2つの遮断材料層3a、3bで形成され、比較的高密度の遮断材料が下部層3aに導入されて木材層1の上及び上方に集中的に質量を導入して木材層1に負荷をかけ、したがって木材層1を耐振動性にする一方で、比較的低密度の遮断材料が少なくとも1つの上部層3bに導入される。せん断コネクタ9は遮断層3を貫通している。最後に、コンクリート層4がその補強材15と共に製造され、せん断コネクタ9がその上端でコンクリート層4に固定される。この後、スラブモジュールは、1つ又は複数の支持体上のそれらのために予め定められた位置に置かれる。この目的のために、2つのスラブモジュールは以下のいずれかである。
i.当接し、それによって中間空間41を形成する。これは、スラブモジュールの少なくとも1つの木材層1上の、材料適用から一時的に除外された接触面35によって底部で画定され、その遮断層3及びコンクリート層4によって横方向に画定される。
代替的に、スラブモジュールは以下の上に支持される。
ii.下側突出部を形成し、両側に段47を形成する少なくとも1つの予め製造された支持部材49。次に、支持部材49上のスラブモジュールは、これらの段47の各々に支持される。モジュールのコンクリート層4の間の中間空間41は、支持部材49の上に残されたままである。
支持手段補強材42は、i.又はii.に従って形成された中間空間41に挿入され、スラブモジュールの隣接するコンクリート層4の補強材15に接続される。次に、中間空間41にコンクリート48が充填され、その硬化によって、複合スラブ内に埋め込まれ、場合によっては上部及び/又は下部で層複合材から突出する支持手段8が完全に形成される。内部支持手段8の上側突出部のために、対応する中間空間41に隣接する上方に延びるコンクリート型枠が上部に適用され、結果として拡張された空間41はコンクリート48で充填される。コンクリート48が硬化した後、コンクリート型枠は再び除去され、それによって、上方に突出する支持手段8が完全に形成される。
【0186】
様々な実施形態は、内部支持手段8が、時には審美的に設計された突出形状を通して、非常に様々な方法で設計され得ることを証明する。スラブ層複合材から突出する内部支持手段8は、非常に大きな曲げ補強に起因して垂直支持体を密に配置する必要がないので、スラブ計画設計において更に大きな柔軟性を可能にする。他方では、全ての内部支持手段8をスラブ内で消失させることも望ましい場合がある。組み合わされた変形例では、例えば、第1の内部支持手段8aのみが突出することもでき、一方、火災が発生した場合を除いて、いずれにしても無視できる静的寄与をする第2の支持手段8bは、スラブに完全に一体化される。その場合、それらはまた、純粋な一時的要素として光学的効果を有さないが、これは第1の内部支持手段8において許容される。どの内部支持手段8をスラブからどこに突出させるかについての決定は、建築的に動機づけられ、静的に十分に実施され得る。最後に、各建物は、それ自体のタイプを有し、これが、1つ又は他の実施形態の変形例がそれに応じてより良く適している理由である。いずれにしても、内部支持手段8は個々に選択することができ、必要であれば、異なる実施形態を互いに組み合わせることができ、スラブ内に設置されていない従来の支持手段を必要に応じて補足することもできる。
【0187】
図11は、ここでは全高80mの高層建物50aとして設計された建物50を示す。典型的には、本発明による木材-コンクリート複合スラブは、建物コア17を除いて各階に設置され、各階にまたがっている。ここでは、複合スラブが木材層1を有する内側で終端し、内部構造に関して特徴的に作られるように、防火及び防音要件が満たされる。本発明によるスラブを使用することにより、当該高層建築50aで合計28階を達成することができる。
【符号の説明】
【0188】
1 平坦な木材要素、木材層
2 コンクリート型枠、コンクリートと木材支持構造との間の分割面
3 遮断層
3a 比較的重い遮断材料の層
3b 比較的軽い遮断材料の層
4 コンクリート層
5 木材ビーム
6 木材とコンクリートとの間に要素を接続する木材ねじ
7 溝、せん断チャネル
8 内部支持手段
8a 第1の内部支持手段8
8b 第2の内部支持手段8
9 せん断コネクタ、鋼管
10 支持手段8の引張補強材
11 支持手段8の圧縮補強材
12 支持手段8上のコンクリート層4の補強材15のための接続補強材
13 支持手段8のスターラップ補強材
14 補強材12、15を接続するためのベルバットジョイント
15 コンクリート層4の補強材、補強ロッド
16 支持手段8の側面
17 支持建物コア
18 垂直支持柱
19 建物のファサード壁
20 鋼ビーム形材
21a 鋼形材20の上部フランジ
21b 鋼形材20の下部フランジ
22 衝撃音遮断断熱パネル
23 サブスラブ、スクリード
24 木材パネルの凹部
24a 後方凹部
24b 木材パネルの前方の手付かずの材料27を通る中空チャネル、この場合の手付かずの材料27は、中空チャネル24bのみによって手付かずではない
24c 前方凹部
25 木材パネルにまたがる共通凹部
26 張力付与手段
26a 固定具張力付与ブロック、ねじ頭、対向くさび
26b 固定具のための接続手段ねじ山付きロッド、張力付与アーム
26c 力伝達手段スリーブ、レバー、張力付与くさび
27 中空チャネル24bを除いて手付かずのままである、木材パネルの前方の手付かずの材料
28a 木材パネルの前方の手付かずの材料27の後端面
28b 木材パネルの後方の手付かずの材料29の端面
29 木材パネルの後方の手付かずの材料
30 木材層1の凹部
31 スラブモジュール用の型枠
32 遮断材料の少なくとも横方向のフレーミングのためのフィルム
33 プレースホルダ
34 スプリンクラシステム
35 後に形成される内部支持手段8のための木材層1上の接触面
36 層分離フィルム
37 モジュール型枠31用の補助フレーム
38 スラブモジュール用のスタックマガジン
39 コンクリート層4又はコンクリート層4及び遮断層3における凹部
40 凹部39によって形成された共通凹部
41 内部支持手段8に現場打ちコンクリートを注入するための中間空間
42 支持手段補強材
43 測定ロッド
44 荷重処理アタッチメント、持ち上げベルト
45 荷重処理アタッチメント44のためのガイド
46 中空スラブの下の空洞
47 段
48 予め製造された内部支持手段8の現場打ちコンクリート
49 予め製造された支持部材
50 建物
50a 高層建物
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材-コンクリート複合スラブであって、その支持構造が、コンクリートの1つの構成要素と、それに耐せん断的に接続された木材の1つの構成要素とを備え、前記スラブが、下から上に、最初に、前記スラブの前記複合材において引張荷重を受けることができる平面状に延在する木材構成要素、すなわち木材層(1)と、それに続く遮断層(3)と、最後にコンクリート層(4)とを備える層構造(1、3、4)を含み、前記せん断コネクタ(9)が前記複合スラブ内に組み込まれ、そのうちの少なくとも1つのせん断コネクタ(9)が前記木材層(1)内及び前記コンクリート層(4)内に同時に突出し、そうすることで前記遮断層(3)を貫通し、前記スラブの前記層構造(3、4)が少なくとも1つの支持手段(8)によって中断され、前記支持手段が少なくとも前記コンクリート層(4)及び前記遮断層(3)を横断し、その結果、少なくとも前記木材層(1)まで下方に延在し、前記木材層(1)が一緒にされた木材ビーム及び/又は前記木材層(1)から構成されず、前記層厚に対する前記層の最下部において、前記木材における材料除去機械加工が施されておらず、それによって手付かずのままである、木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの支持手段(8)が、補強鋼(10、11、12、13)及び/又は補強材(42)として少なくとも1つの下部フランジ(21b)を有する鋼形材(20)を含む、請求項1に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項3】
前記1つの支持手段(8)又は前記複数の支持手段(8)が、その/それらの重量が合計でスラブ総重量の最大10%を構成するように、その/それらの数に関して寸法決め又はサイズ設定される、請求項1に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項4】
前記複合スラブの前記スパンの最大50%の拡張、前記拡張されたスパンの最大9mの全長の場合、前記スラブのスパン依存重量増加はスラブ重量の10%を超えず、スラブ厚さは、スラブ計画設計におけるより大きな柔軟性を保証するために、5~10cmだけ変化する、請求項1に記載の木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項5】
少なくとも2つのスラブモジュールを有する、請求項1に記載の木材-コンクリート複合スラブの製造方法であって、
a.前記スラブモジュールは各々層構造(1、3、4)で形成され、その結果、下から上へ、まず、前記せん断コネクタ(9)がその下端でその中に固定された前記木材層(1)が製造され、次に、前記遮断層(3)が形成され、最後に、前記せん断コネクタ(9)の上端が前記コンクリート層(4)に固定されるように、前記コンクリート層(4)がその補強材(15)と共に適用され、
b.前記スラブモジュールは、1つ又は複数の支持体上のそれらのために予め定められた位置に置かれ、
i.前記2つのスラブモジュールが当接し、それによって、前記スラブモジュールのうちの少なくとも1つの前記木材層(1)上の、材料適用から一時的に除外された接触面(35)によって底部が画定され、その前記遮断層及びコンクリート層(3、4)によって横方向に画定される中間空間(41)を形成する、
又は
ii.前記支持体のうちの少なくとも1つは、両側に段(47)を形成する下側突出部を形成する予め製造された支持部材(49)であり、いずれの場合も、前記段(47)上で、スラブモジュールは前記支持部材(49)上に支持され、このように支持された前記スラブモジュールの前記コンクリート層(4)の間で、前記支持部材(49)の上方に中間空間(41)が残される、のいずれかであり、
c.前記中間空間(41)内に、支持手段補強材(4210、11、12、13、20)が挿入され、前記隣接するコンクリート補強材(15)に接続され、
d.前記中間空間(41)がコンクリート(48)で充填され、その硬化により、前記支持手段(8)が完全に形成される、製造方法。
【請求項6】
前記支持構造が、コンクリートの構成要素と、それに耐せん断的に接続された木材の構成要素とを備える木材-コンクリート複合スラブであって、前記スラブは、層構造(1、3、4)を含み、前記層構造(1、3、4)は、下から上に、最初に、前記スラブの前記複合材において引張荷重を受けることができる平面状に延在する木材構成要素、すなわち木材層(1)と、それに続く遮断層(3)と、最後にコンクリート層(4)とを備え、せん断コネクタ(9)が前記複合スラブに設置され、前記遮断層(3)は、少なくとも1つのせん断コネクタ(9)が前記木材層(1)及び前記コンクリート層(4)に同時に突出し、そうすることで前記遮断層(3)を貫通し、前記遮断層(3)は、密度又は比重が異なる少なくとも2つの遮断材料を含み、より高密度の遮断材料は、前記スラブ複合材の引張荷重を受けることができるこの木材層(1)の上に直接配置されるか、その上に直接置かれ、前記木材層(1)の慣性を増加させ、振動減衰手段として作用するように意図され、前記木材層(1)は、一緒にされた木材ビームから構成されず、及び/又は前記木材層(1)は、前記層厚に関して前記層の最下部において、前記木材における材料除去機械加工が施されておらず、それによって手付かずのままであり、前記スラブの前記層構造(3、4)は、前記スラブの上に支持手段なしで延在するか、又は少なくとも1つの支持手段(8)が少なくとも前記コンクリート層(4)及び前記遮断層(3)を横断し、その結果少なくとも前記木材層(1)まで下方に延在するかのいずれかである、木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項7】
請求項6に記載の木材-コンクリート複合スラブにおける前記木材層(1)の振動減衰による防音としての、異なる密度又は比重の少なくとも2つの遮断材料の使用。
【請求項8】
少なくとも2つのスラブモジュールを有する、請求項6に記載の木材-コンクリート複合スラブの製造方法であって、
a.前記スラブモジュールが各々それらの層構造(1、3、4)で形成され、それにより、下から上に、前記せん断コネクタ(9)がそれらの下端でそこに固定された状態で前記木材層(1)が最初に製造され、
b.次に、前記木材層(1)の前記慣性を増加させ、振動減衰手段として作用するように意図された高密度遮断材料を最初に導入することによって、少なくとも2つの遮断材料を用いて前記遮断層(3)が形成され、次に、この目的のために、低密度遮断材料が配置されるか、又は空洞が開放されたままであり、
c.最後に、前記せん断コネクタ(9)がその上端で前記コンクリート層(4)に固定されるように、前記コンクリート層(4)がその補強材(15)と共に作り出され、少なくとも第2のスラブモジュールへの接続のために、その補強材(15)が前記コンクリート層(4)の凹部(39)から突出し、
d.完全に作成されたスラブモジュールが、1つ又は複数の支持体上の予め定められた位置に置かれ、前記隣接するコンクリート層(4)の前記補強材(15)が摩擦接続されることによって前記少なくとも第2のスラブモジュールに接続され、その後、前記凹部(39)がコンクリート打ちされる、製造方法。
【請求項9】
木材-コンクリート複合スラブであって、その支持構造は、コンクリートの構成要素と、それに対して耐せん断的に接続された木材の構成要素とを備え、前記スラブは、層構造(1、4)を備え、前記層構造(1、4)は、下から上に、最初に、平面状に延在し、前記スラブの前記複合材において引張荷重を受けることができる木材構成要素、すなわち、木材層(1)と、遮断層(3)及び最後にコンクリート層(4)のいずれかが続き、又は、前記遮断層(3)がない場合には、コンクリート層(4)が続き、前記木材層(1)は、いずれの場合においても、1つの木材パネルが前記当接接続において形成された分割面において、それぞれの他の木材パネルに対して垂直に押圧することで、互いに往復的に張力を受ける、少なくとも2つの当接する木材パネルを含み、このようにして互いに対して張力がかけられた木材パネルの各々において、その下側が手付かずのまま残され、この少なくとも1つの箱形空間(24;24a、24c)が木材パネルに形成され、前記分割面の遠い側に配置された前記木材パネルの凹部(24;24a、24b、24c)と共に、前記2つの木材パネルに設けられそれらをまたぐ通路を形成するように、少なくとも1つの凹部(24;24a、24b、24c)が材料除去によって作成され、前記木材パネルは、前記分割面から見て、前記分割面に垂直な方向及び離れる方向に、それらの1つ又は後方の箱形空間(24;24a)の後方に延在する領域に手付かずのまま残り、したがって、他の使用のための後方の手付かずの材料(29)が形成され、前記張力付与手段(26a,26b,26c)が前記通路内に導入され、各端部において少なくとも1つの箱形空間(24;24a)に固定され、この張力付与手段(26a,26b,26c)の張力付与の結果として、前記木材パネルが互いに引っ張られ、前記木材層(1)が一緒になった木材ビームから構成されず、及び/又は前記木材層(1)が、層厚に関連して層の最下部において、木材における材料除去機械加工が施されておらず、それによって手付かずのままであり、前記スラブの前記層構造(3,4)が、前記スラブ上に支持手段を伴わずに延在するか、又は遮断層(3)が存在する場合、少なくとも1つの支持手段(8)が少なくとも前記コンクリート層(4)及び前記遮断層(3)を横断し、結果として少なくとも前記木材層(1)まで下方に延びるかのいずれかである、木材-コンクリート複合スラブ。
【請求項10】
a.張力をかけるべき前記木材パネルの各々において、前記少なくとも1つの凹部(24)が、少なくとも1つの箱形空間(24;24a、24c)を形成するように材料除去によって作成され、
b.次いで、前記木材パネルが当接して置かれ、それらの凹部(24)が、前記2つの木材パネルにわたって広がる凹部通路を形成し、
c.前記張力付与手段(26a、26b、26c)が、前記通路に導入され、各端部において前記少なくとも1つの又は後方の箱形空間(24;24a)に固定され、
d.前記張力付与手段(26a、26b、26c)が上から張力を付与される、請求項9に記載の木材-コンクリート複合スラブの製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の1つ又は複数の組込み木材-コンクリート複合スラブを有する建物(50)。
【請求項12】
請求項6に記載の1つ又は複数の組込み木材-コンクリート複合スラブを有する建物(50)。
【請求項13】
請求項9に記載の1つ又は複数の組込み木材-コンクリート複合スラブを有する建物(50)。
【国際調査報告】