(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】非対称クリップアプライヤ及びカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/128 20060101AFI20240927BHJP
A61B 17/122 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61B17/128
A61B17/122 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522245
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 US2022046399
(87)【国際公開番号】W WO2023064353
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515257519
【氏名又は名称】テレフレックス メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TELEFLEX MEDICAL INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ボイヤーズ ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】デ ヨング アレクサンドリア
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD16
4C160DD26
4C160DD70
4C160MM33
(57)【要約】
クリップアプライヤが外科用クリップの第1のレッグ部材に係合する第1のジョー部材と、外科用クリップの第2のレッグ部材に係合する第2のジョー部材とを有するのがよい。第1のジョー部材と第2のジョー部材のうちの少なくとも一方は、クリップアプライヤの中間平面に関して非対称である。クリップカートリッジが第1の軸線及び第2の軸線を備えたベースを有するのがよく、第2の軸線は、第1の軸線に垂直であり、クリップカートリッジは、外科用クリップを受け入れる少なくとも1つの空所を確定する複数の壁を有するのがよい。複数の壁のうちの少なくとも1つは、第1の軸線の第1の側に設けられた第1の壁部分及び第1の軸線の第2の側に設けられた第2の壁部分を有する。第1の壁部分と第2の壁部分は、第2の軸線に対して互いにオフセットしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用クリップを止めるよう構成されたクリップアプライヤであって、前記クリップアプライヤは、
前記外科用クリップの第1のレッグ部材に係合するよう構成された第1のジョー部材と、
前記外科用クリップの第2のレッグ部材に係合するよう構成された第2のジョー部材とを有し、
前記第1のジョー部材及び前記第2のジョー部材のうちの少なくとも一方は、前記クリップアプライヤの中間平面に関して非対称である、クリップアプライヤ。
【請求項2】
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材の両方は、前記クリップアプライヤの前記中間平面に関して非対称である、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項3】
前記第1及び前記第2のジョー部材のうちの少なくとも一方は、前記クリップアプライヤの前記中間平面の第1の側に第1の幅を有すると共に、前記クリップアプライヤの前記中間平面の第2の側に第2の幅を有し、前記第1の幅は、前記第2の幅よりも広い、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項4】
前記第1及び前記第2のジョー部材のうちの少なくとも一方は、長手方向チャネルの第1の側に設けられた第1の長手方向壁及び前記長手方向チャネルの第2の側に設けられた第2の長手方向壁を有し、前記第1の長手方向壁の横方向幅は、前記第2の長手方向壁の横方向幅よりも広い、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項5】
前記第1のジョー部材は、前記第1のジョー部材の遠位端を貫通して延びる第1の長手方向チャネルを有すると共に/或いは、前記第2のジョー部材は、前記第2のジョー部材の遠位端を貫通して延びる第2の長手方向チャネルを有する、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項6】
前記第1のジョー部材は、前記第1のレッグ部材に設けられた少なくとも1つのボスを受け入れるよう構成された少なくとも1つの第1の凹部を有し、前記第2のジョー部材は、前記第2のレッグ部材に設けられた少なくとも1つのボスを受け入れるよう構成された少なくとも1つの第2の凹部を有し、前記第1及び前記第2のジョー部材のうちの少なくとも一方は、前記第1の凹部及び前記第2の凹部に沿って前記クリップアプライヤの前記中間平面に関して非対称である、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項7】
前記第1のジョー部材は、前記少なくとも1つの第1の凹部の閉じられた横方向側部を有し、前記第2のジョー部材は、前記少なくとも1つの第2の凹部の閉じられた横方向側部を有する、請求項6記載のクリップアプライヤ。
【請求項8】
前記第1のジョー部材の前記少なくとも1つの第1の凹部は、開かれた横方向側部及び閉じられた横方向側部を有し、前記第2のジョー部材の前記少なくとも1つの第2の凹部は、開かれた横方向側部及び閉じられた横方向側部を有する、請求項6記載のクリップアプライヤ。
【請求項9】
前記第1及び前記第2のジョー部材の各々は、角度付きの遠位表面を有する、請求項1~8記載のクリップアプライヤ。
【請求項10】
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材は、組み立て時、放射対称である、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項11】
前記第1及び前記第2のジョー部材のうちの少なくとも一方は、前記外科用クリップが開き形態にあるときに前記外科用クリップの近位部分を横方向に安定化するよう構成された安定化部材を有する、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項12】
前記第1及び前記第2のジョー部材のうちの少なくとも一方に設けられていて、前記クリップアプライヤが閉じ形態にあるときに前記安定化部材を受け入れるよう構成された長手方向チャネルをさらに有する、請求項11記載のクリップアプライヤ。
【請求項13】
前記第1のジョー部材は、第1の安定化部材を有し、前記第2のジョー部材は、第2の安定化部材を有し、前記第1及び前記第2の安定化部材は、前記外科用クリップが開き形態にあるときに前記外科用クリップの前記近位部分を受け入れるよう構成されている、請求項12記載のクリップアプライヤ。
【請求項14】
前記第1のジョー部材と前記第2のジョー部材は、少なくとも実質的に同一である、請求項1記載のクリップアプライヤ。
【請求項15】
クリップアプライヤシステムであって、
請求項1記載の前記クリップアプライヤと、
前記外科用クリップを装填するために前記クリップアプライヤを受け入れるよう構成された少なくとも1つの空所を有するクリップカートリッジと、を含み、前記少なくとも1つの空所は、中間平面に関して非対称である、クリップアプライヤシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの空所は、放射対称である、請求項15記載のクリップアプライヤシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの空所は、前記クリップカートリッジのオフセット壁部分によって形成されている、請求項15記載のクリップアプライヤシステム。
【請求項18】
少なくとも1つの外科用クリップを貯蔵するようさせたクリップカートリッジであって、前記クリップカートリッジは、
第1の軸線及び第2の軸線を備えたベースを有し、前記第2の軸線は、前記第1の軸線に垂直であり、
前記少なくとも1つの外科用クリップを受け入れるよう構成された少なくとも1つの空所を画定する複数の壁を有し、
前記複数の壁のうちの少なくとも1つは、前記第1の軸線の第1の側に設けられた第1の壁部分及び前記第2の軸線の第2の側に設けられた第2の壁部分を有し、前記第1の壁と前記第2の壁は、前記第2の軸線に関して互いにオフセットしている、クリップカートリッジ。
【請求項19】
前記複数の壁の各々は、前記第2の軸線に関して互いにオフセットしている、請求項18記載のクリップカートリッジ。
【請求項20】
前記複数の壁のうちの前記少なくとも1つは、前記第1の壁部分と前記第2の壁部分との間に中央部分を有する、請求項18記載のクリップカートリッジ。
【請求項21】
前記第1の壁部分及び前記第2の壁部分は、前記中央部分よりも狭い幅を有する、請求項20記載のクリップカートリッジ。
【請求項22】
前記中央部分の中心を貫通した前記第2の軸線は、前記第1の壁部分及び前記第2の壁部分のうちの少なくとも一方の中心を貫通した前記第2の軸線に対してオフセットしている、請求項21記載のクリップカートリッジ。
【請求項23】
前記少なくとも1つの空所は、該空所の中間平面に関して非対称である、請求項18記載のクリップカートリッジ。
【請求項24】
前記少なくとも1つの空所は、放射対称である、請求項18記載のクリップカートリッジ。
【請求項25】
前記ベースを覆って設けられていて、前記少なくとも1つの外科用クリップを前記少なくとも1つの空所の中に解放可能に保持するよう構成されたリテーナをさらに有する、請求項18記載のクリップカートリッジ。
【請求項26】
前記複数の壁のうちの隣り合う壁相互間に延びる少なくとも1つの支持部材をさらに有する、請求項18記載のクリップカートリッジ。
【請求項27】
前記第1の軸線は、前記ベースの長手方向軸線であり、前記第2の軸線は、前記ベースの横方向軸線である、請求項18記載のクリップカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容(本発明)は、一般に、医療器具に関し、特に、外科用クリップを組織に止めるクリップアプライヤ及びカートリッジに関する。
【0002】
〔関連出願の引照〕
本願は、2021年10月14日に出願された米国特許仮出願第63/255,926号の優先権主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
組織(例えば、血管、リンパ節、神経、胆嚢管、又は心組織)の結紮は、多くの外科的処置においてよく見受けられる手技である。現行の結紮システムは、外科用クリップ、クリップアプライヤ、及び/又はカートリッジを含む場合が多い。クリップアプライヤは、外科用クリップを把持してカートリッジから取り出して外科用クリップを組織に止め、それにより、例えば、血管(例えば、動脈又は静脈)を結紮するためにユーザによって用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、クリップアプライヤシステムの1つ以上の特徴を改良する必要があると認識している。例えば、現行のクリップアプライヤは、中間平面に関して対称(面対称)である。このことは、クリップアプライヤとカートリッジとの間のインターフェース不良に起因して、外科用クリップの装填が不適切になる場合がある。例えば、カートリッジは、クリップアプライヤのルーズな嵌まり具合をもたらす場合があり、その結果、クリップアプライヤに設けられているクリップ保持特徴部が外科用クリップに設けられているインターフェースと適切に整列してこれに係合することができない場合がある。この結果、外科用クリップは、クリップアプライヤに対する固定度が不十分になり、それにより外科用クリップがクリップアプライヤから落下すると共に/或いは組織に適切に止められない場合がある。
【0005】
開示するクリップアプライヤ、カートリッジ、及び/又はクリップアプライヤシステムは、これらの問題のうちの1つ以上、及び/又は先行技術の他の問題を軽減すると共に/或いは解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点は、外科用クリップを止めるよう構成されたクリップアプライヤであって、クリップアプライヤは、外科用クリップの第1のレッグ部材に係合するよう構成された第1のジョー部材と、外科用クリップの第2のレッグ部材に係合するよう構成された第2のジョー部材とを有し、第1のジョー部材及び第2のジョー部材のうちの少なくとも一方は、クリップアプライヤの中間平面に関して非対称であることを特徴とするクリップアプライヤに関する。
【0007】
幾つかの実施形態では、第1のジョー部材と第2のジョー部材の両方は、クリップアプライヤの中間平面に関して非対称である。幾つかの実施形態では、第1及び第2のジョー部材のうちの少なくとも一方は、クリップアプライヤの中間平面の第1の側に第1の幅を有すると共に、クリップアプライヤの中間平面の第2の側に第2の幅を有し、第1の幅は、第2の幅よりも広い。幾つかの実施形態では、第1及び第2のジョー部材のうちの少なくとも一方は、長手方向チャネルの第1の側に設けられた第1の長手方向壁及び長手方向チャネルの第2の側に設けられた第2の長手方向壁を有し、第1の長手方向壁の横方向幅は、第2の長手方向壁の横方向幅よりも広い。幾つかの実施形態では、第1のジョー部材は、第1のジョー部材の遠位端を貫通して延びる第1の長手方向チャネルを有すると共に/或いは、第2のジョー部材は、第2のジョー部材の遠位端を貫通して延びる第2の長手方向チャネルを有する。幾つかの実施形態では、第1のジョー部材は、第1のレッグ部材に設けられた少なくとも1つのボスを受け入れるよう構成された少なくとも1つの第1の凹部を有し、第2のジョー部材は、第2のレッグ部材に設けられた少なくとも1つのボスを受け入れるよう構成された少なくとも1つの第2の凹部を有し、第1及び第2のジョー部材のうちの少なくとも一方は、第1の凹部及び第2の凹部に沿ってクリップアプライヤの中間平面に関して非対称である。幾つかの実施形態では、第1のジョー部材は、少なくとも1つの第1の凹部の閉じられた横方向側部を有し、第2のジョー部材は、少なくとも1つの第2の凹部の閉じられた横方向側部を有する。幾つかの実施形態では、第1のジョー部材の少なくとも1つの第1の凹部は、開かれた横方向側部及び閉じられた横方向側部を有し、第2のジョー部材の少なくとも1つの第2の凹部は、開かれた横方向側部及び閉じられた横方向側部を有する。幾つかの実施形態では、第1及び第2のジョー部材の各々は、角度付きの遠位表面を有する。幾つかの実施形態では、第1のジョー部材と第2のジョー部材は、組み立て時、放射対称である。幾つかの実施形態では、第1及び第2のジョー部材のうちの少なくとも一方は、外科用クリップが開き形態にあるときに外科用クリップの近位部分を横方向に安定化するよう構成された安定化部材を有する。幾つかの実施形態では、クリップアプライヤは、第1及び第2のジョー部材のうちの少なくとも一方に設けられていて、クリップアプライヤが閉じ形態にあるときに安定化部材を受け入れるよう構成された長手方向チャネルをさらに有する。幾つかの実施形態では、第1のジョー部材は、第1の安定化部材を有し、第2のジョー部材は、第2の安定化部材を有し、第1及び第2の安定化部材は、外科用クリップが開き形態にあるときに外科用クリップの近位部分を受け入れるよう構成されている。幾つかの実施形態では、第1のジョー部材と第2のジョー部材は、少なくとも実質的に同一である。
【0008】
第2の観点は、クリップアプライヤシステムであって、上述のクリップアプライヤと、外科用クリップを装填するためにクリップアプライヤを受け入れるよう構成された少なくとも1つの空所を有するクリップカートリッジとを含み、少なくとも1つの空所は、中間平面に関して非対称であることを特徴とするクリップアプライヤシステムに関する。少なくとも1つの空所は、放射対称である。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの空所は、クリップカートリッジのオフセット壁部分によって形成されている。
【0009】
本発明の第3の観点は、少なくとも1つの外科用クリップを貯蔵するようさせたクリップカートリッジであって、クリップカートリッジは、第1の軸線及び第2の軸線を備えたベースを有し、第2の軸線は、第1の軸線に垂直であり、クリップカートリッジは、少なくとも1つの外科用クリップを受け入れるよう構成された少なくとも1つの空所を画定する複数の壁をさらに有し、複数の壁のうちの少なくとも1つは、第1の軸線の第1の側に設けられた第1の壁部分及び第2の軸線の第2の側に設けられた第2の壁部分を有し、第1の壁と第2の壁は、第2の軸線に関して互いにオフセットしていることを特徴とするクリップカートリッジに関する。
【0010】
幾つかの実施形態では、複数の壁の各々は、第2の軸線に関して互いにオフセットした第1の壁部分と第2の壁部分を有する。幾つかの実施形態では、複数の壁のうちの少なくとも1つは、第1の壁部分と第2の壁部分との間に中央部分を有する。幾つかの実施形態では、第1の壁部分及び第2の壁部分は、中央部分よりも狭い幅を有する。幾つかの実施形態では、中央部分の中心を貫通した第2の軸線は、第1の壁部分及び第2の壁部分のうちの少なくとも一方の中心を貫通した第2の軸線に対してオフセットしている。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの空所は、当該空所の中間平面に関して非対称である。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの空所は、放射対称である。幾つかの実施形態では、クリップカートリッジは、ベースを覆って設けられていて、少なくとも1つの外科用クリップを少なくとも1つの空所の中に解放可能に保持するよう構成されたリテーナをさらに有する。幾つかの実施形態では、クリップカートリッジは、複数の壁のうちの隣り合う壁相互間に延びる少なくとも1つの支持部材をさらに有する。幾つかの実施形態では第1の軸線は、ベースの長手方向軸線であり、第2の軸線は、ベースの横方向軸線である。
【0011】
本発明の第4の観点は、本明細書において説明するクリップアプライヤ及びクリップカートリッジを含むクリップアプライヤシステムに関する。
【0012】
本発明を容易に理解できるようにするために、本発明は、添付の図面に例示として示されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のクリップアプライヤの例示の実施形態の側面図である。
【
図2】本発明に従って外科用クリップが装填された
図1のクリップアプライヤのジョー機構体の例示の実施形態の側面図である。
【
図3】
図1及び
図2のクリップアプライヤのジョー機構体の斜視図である。
【
図4】外科用クリップが装填された
図1~
図3のクリップアプライヤのジョー機構体の正面図である。
【
図5】本発明に従ってクリップカートリッジから外科用クリップが装填されている
図1のクリップアプライヤの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
同一又は類似の部分を示すために同一の参照符号を図面及び以下の詳細な説明に用いる。
【0015】
本発明は、一般に、外科用クリップの装填及び/又は安定性の実現を容易にするよう構成されたカートリッジ、クリップカートリッジ、及び/又はクリップアプライヤ組立体に関する。幾つかの実施形態では、クリップアプライヤ及びクリップカートリッジは、外科用クリップの適切かつ一貫した装填を保証するための合致するキー溝形インターフェースを有するのがよい。キー溝形インターフェースは、クリップアプライヤのジョー部材が少なくとも遠位部分のところで中間平面に関して非対称であることによって提供できる。非対称性は、ジョー部材の各々が中間平面の互いに横方向反対の側に異なる幾何学的形状及び/又は材料を有することによって作れる。例えば、各ジョー部材は、中間平面から見て互いに反対の側に位置し、そして少なくとも部分的に長手方向チャネルの反対側に設けられた長手方向壁の遠位部分によって定められた互いに異なる幅を備える側部を有するのがよい。幾つかの実施形態では、ジョー部材は、少なくとも実質的に同一であるのがよく、その結果、ジョー部材は、組み立て時、放射対称である。ジョー部材の形状は、外科用クリップの確実な装填を可能にするために少なくとも1つの空所の対応の形状と一致するのがよい。例えば、カートリッジは、中間平面に関して非対称であり、そしてジョー部材の幅に一致しかつ互い違いに配置された壁部分によって形成された空所を有するのがよい。
【0016】
さらに、非対称ジョー部材は、比較的高いジョーの構造的健全性を提供することができる一方で、重量及び/又は可視性に対する悪影響を最小限に抑えることができる。さらに、ジョー部材の各々は、ジョー部材の第1の横方向側部で閉じられ、ジョー部材の第2の横方向側部で開かれた少なくとも1つのクリップ保持特徴部(例えば、1対の凹部)を有するのがよい。閉じられた横方向側部は、ジョー部材内における外科用クリップの横方向安定性を向上させることができると共に、外科用クリップが弛んだり、外科用クリップがこれを付けるための適正な位置に操作しているとき、或いは突き当てられ又は押されているときであっても位置合わせ不良状態になったりかつ/或いは落下したりするのを阻止するのを助けることができる。ジョー部材の各々の開かれた横方向側部は、少なくとも1つのクリップ保持特徴部中への外科用クリップインターフェース(例えば、少なくとも1つのボス部材)の装填の視覚的確認を可能にすることができる。かくして、ジョー部材は、可視性及び/又はクリップ分離に悪影響を及ぼすことがない。ジョー部材はさらにまた、先端部のところに設けられていて、そしてアプライヤジョーの当初におけるトロカールによる導入及び体内ナビゲーションを助ける傾斜した又は角度付きの遠位表面を有するのがよい。
【0017】
図1は、例示のクリップアプライヤ10の側面図、
図2は、外科用クリップ200が装填されたクリップアプライヤ10の例示のジョー機構体16の側面図、
図3は、ジョー機構体16の斜視図である。図示のように、クリップアプライヤ10は、シャフト14の近位端に連結されたハンドル機構体12及びシャフト14の遠位端に連結されたジョー機構体16を有するのがよい。
【0018】
ハンドル機構体12は、ジョー機構体16を作動させるよう互いに可動的に結合された第1のハンドル部材18と第2のハンドル部材20を含むのがよい。例えば、第1のハンドル部材18と第2のハンドル部材20は、回動可能に互いに取り付けられるのがよい。第1のハンドル部材18は、細長いシャフト14に対して長手方向に固定されるのがよく、第2のハンドル部材20は、細長いシャフト14のルーメンを貫通したアクチュエータロッド(図示せず)に対して長手方向に固定されるのがよい。第2のハンドル部材20を第1のハンドル部材18に対して回動させることにより、アクチュエータロッドを細長いシャフト14中に通して長手方向に並進させる(例えば、後退させると共に/或いは前進させる)ことができ、それによりジョー機構体16を開き位置と閉じ位置との間でヒンジピン22回りに作動させ又は回動させることができる。例えば、アクチュエータロッドは、遠位端の互いに反対側の横方向側部に取り付けられた1つ以上の駆動ボス部材24を有するのがよい。駆動ボス部材24は、細長いシャフト14内に設けられた1本以上の細長い案内チャネル26ならびに第1及び第2のジョー部材102,104の各々内に設けられた角度付き駆動チャネル28,30中で摺動するのがよい。ばね32がジョー機構体16を閉じ又は部分的閉じ形態から開き又は部分的開き形態に付勢するために第1のハンドル部材18と第2のハンドル部材20との間に設けられるのがよい。例示のハンドル・作動機構体が米国特許第6,733,514号明細書にさらに記載されており、この米国特許を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。しかしながら、ハンドル及び/又は作動機構体の他の実施形態を含めることができる。
【0019】
外科用クリップ200は、ヒンジ部材206のところで回動可能に結合された近位端部分を有する第1のレッグ部材202と第2のレッグ部材204を有するのがよい。外科用クリップ200は、1つ以上のラッチ止め機構体を有するのがよい。例えば、第1のレッグ部材202は、フック部分208を備えた遠位端部分を有するのがよく、第2のレッグ部材204は、先端部材210を備えた遠位端部分を有するのがよい。第1のレッグ部材202及び/又は第2のレッグ部材204は、ヒンジ部材206を介して開き形態と閉じラッチ止め形態との間で互いに対して回動するよう構成されているのがよい。フック部分208は、凸状遠位表面及び凹状近位表面を備えたC字形であるのがよい。先端部材210は、遠位端のところに溝を有するのがよい。外科用クリップ200は、1つ以上の係合部分をさらに有するのがよい。例えば、第1のレッグ部材202は、フック部分208の近位側で遠位端部分に設けられた1つ以上のボス部材212を有するのがよく、第2のレッグ部材204は、先端部材210のところで遠位端部分に設けられた1つ以上のボス部材214を有するのがよい。1つ以上のボス部材212,214は、外科用クリップ200を組織に止めている間、外科用クリップ200をクリップアプリケータ10に固定することができる。1つ以上のボス部材212,214は、第1及び第2のレッグ部材202,204の互いに反対の側から横方向に延びるのがよい。例えば、第1のレッグ部材202は、フック部分208の互いに反対の側から横方向に延びかつフック部分208の幅にわたって延びるブリッジ部材によって互いに連結されたボス部材212を有するのがよい。第2のレッグ部材204は、先端部材210の互いに反対の側から横方向に延びていて先端部材210の溝だけ隔てられたボス部材214を有するのがよい。
【0020】
第1及び第2のレッグ部材202,204は各々、それぞれの近位端部分と遠位端部分との間で実質的にその長さ全体にわたって延びる曲率又は湾曲部を有するのがよい。第1のレッグ部材202は、凸状の外面及び凹状の内面を有するのがよく、第2のレッグ部材204は、凹状の外面及び凸状の内面を有するのがよい。ヒンジ部材206は、内面を互いに接合した凹状の内面及び外面を互いに接合した凸状の外面を有するのがよい。閉じられる際、フック部分208の凸状外面は、先端部材210のところに設けられたカム作用斜切面に係合するのがよく、レッグ部材202,204のうちの一方又はこれら両方は、レッグ部材202,204が引き続き互いに押されているときに偏向するのがよい。フック部分208が先端部材210の周りに偏向すると共に/或いは伸長するのに合わせて第1のレッグ部材202が伸長し又は真っ直ぐになるのがよく、かつ/或いは第2のレッグ部材204が縮むのがよい。レッグ部材202,204は、外科用クリップ200の自然な状態における弾性に起因して、ラッチ止め形態の際の曲率に逆戻りするのがよい。かくして、フック部分208は、ラッチ止め形態では先端部材210を凹状の近位表面内に受け入れることができる。第1のレッグ部材202の表面220,222及び第2のレッグ部材204の表面224,226の曲率半径は、クランプされた組織(例えば、結紮された血管)の幅全体にわたって加えられる圧迫力の比較的均等な分布を提供するよう実質的に互いに一致するのがよい。ラッチ止め機構体の安全性は、クランプされた組織が外科用クリップ200の閉じに抗して反力を及ぼし、それにより、レッグ部材202,204が偏向すると共に伸長して先端部材210をフック部分208中にさらに動かす際に確保される。外科用クリップ200の例示の実施形態が米国特許第4,834,096号明細書及び同第5,100,416号明細書にさらに開示されており、これら米国特許を参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。しかしながら、外科用クリップの他の形態を採用することができる。
【0021】
図2~
図4に示すように、ジョー機構体16は、第1のレッグ部材202に係合するよう構成された第1のジョー部材102及び第2のレッグ部材204に係合するよう構成された第2のジョー部材104を含むのがよい。第1のジョー部材102及び/又は第2のジョー部材104は、外科用クリップ200を開き形態と閉じ形態との間で動かすために、ヒンジピン22によって互いに対して回動するよう構成されているのがよい。かくして、ジョー機構体は、開き形態にあるときにカートリッジ300(例えば、
図5~
図7)から外科用クリップ200が装填され、そして回動して閉じ形態になって外科用クリップ200を組織に止めるよう構成されているのがよい。
【0022】
図2及び
図3にさらに示すように、第1のジョー部材102は、第1の長手方向チャネル122を備えた第1の内面120、ジョー部材102の遠位部分106に設けられた少なくとも1つの第1の凹部124、及び第1のジョー部材102の近位部分108に設けられた第1の安定化部材126を有するのがよい。第1の長手方向チャネル122は、第1のジョー部材102の第1の長手方向壁128と第2の長手方向壁129を隔てることができる。第2のジョー部材104は、第2の長手方向チャネル132を備えた第2の内面130、遠位部分106に設けられた少なくとも1つの第2の凹部134、及び近位部分108に設けられた第2の安定化部材136を有するのがよい。第2の長手方向チャネル132は、第2のジョー部材104の第3の長手方向壁138と第4の長手方向壁139を隔てることができる。幾つかの実施形態では、第1及び第2の長手方向チャネル122,132のうちの少なくとも一方は、第1及び第2のジョー部材102,104の遠位端をそれぞれ貫通して延びるのがよく、かくして、第1及び第2の長手方向壁128,129の遠位端及び/又は第3及び第4の長手方向壁138,139の遠位端を隔てている。しかしながら、幾つかの実施形態では、第1及び第2のジョー部材102,104のうちの少なくとも一方は、遠位端のところが閉じられるのがよく、その結果、それぞれの長手方向壁128,129,138,139は、それぞれ対応の長手方向チャネル122,132を閉じるよう互いに結合するようになっている。第1及び第2の長手方向壁128,129は各々、長手方向チャネル122だけ隔てられた第1の凹部124を有するのがよく、第3及び第4の長手方向壁138,139の各々は、第2の長手方向チャネル132だけ隔てられた第2の凹部134を有するのがよい。
【0023】
凹部124,134は、第1及び第2のレッグ部材202,204のボス部材212,214を解除可能に受け入れ又は保持することによって、装填中、外科用クリップ200をクリップアプライヤ10に固定することができる。凹部124,134は、ボス部材212,214に対応する断面を有するのがよい。かくして、図示のように、凹部124,134は、ボス部材212,214の円形断面を受け入れるよう実質的に半円形の溝であるのがよい。しかしながら、凹部124,134は、ボス部材212,214の他の形状向きの他の形状を有することができる。取り付け中、クリップアプライヤ10は、ボス部材212,214との係合により第1のレッグ部材202と第2のレッグ部材204を互いに押し付けて外科用クリップ200を閉じることができ、これについては本明細書においてさらに説明する。第1の長手方向チャネル122は、装填及び/又は取り付け中、第1のレッグ部材202の少なくとも一部分を受け入れることができ、かつ/或いは第2の長手方向チャネル132は、装填及び/又は取り付け中、第2のレッグ部材の少なくとも一部分を受け入れることができる。
【0024】
第1及び第2の安定化部材126,136は、横方向力を外科用クリップ200の近位側の部分(例えば、ヒンジ部材206)に加えて外科用クリップ200を横方向に安定化すると共に/或いは尻振り(fish-tailing)を阻止し又は減少させるよう構成されているのがよい。安定化部材126,136は、それぞれのジョー部材102,104と一体であるのがよい。安定化部材126,136は、実質的に剛性であるのがよく、また、開き形態及び閉じ形態においてジョー部材102,104の長手方向軸線に実質的に並行に延びると共に、外科用クリップ200を受け入れる長手方向空間をこれら安定化部材相互間に形成するのがよく、かくして安定化部材126,136は、外科用クリップ200の近位部分の互いに反対の側上に位置決めされるのがよい。安定化部材126,136は、閉じられる際、フック部分208が先端部材210周りに偏向しているときにレッグ部材202,204が細長くなることができるようにするために外科用クリップ200に近位側のところで当接しないのがよい。安定化部材126,136は、クリップアプライヤ10が閉じ形態にあるとき、対向したジョー部材102,104の長手方向チャネル122,132の広幅の近位部分123,133内に受け入れられるのがよい。安定化部材126,136のそれ以上の特徴及び実施形態が米国特許出願公開第2011/0007751号明細書にさらに開示されており、この米国特許出願公開を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0025】
第1及び第2のジョー部材102,104のうちの少なくとも一方(例えば、両方)は、ジョー機構体16の初期のトロカールによる導入及びジョー機構体16の体内ナビゲーションを助けるよう遠位部分106に設けられた傾斜し又は角度付きの表面110を有するのがよい。角度付き表面110は、カム作用面を提供して外科用クリップ200を第1のジョー部材102と第2のジョー部材104との位置まで案内することによって、外科用クリップ200の装填をさらに助けることができる。角度付き表面110は、クリップアプライヤ10の中央平面に関して対称であるのがよい。角度付き遠位表面110は、垂直又は圧縮方向において第1及び第2のジョー部材102,104の各々の実質的に高さ全体にわたって延びて第1及び第2のジョー部材102,104上に外側遠位先端部112を形成するのがよい。
【0026】
図4にさらに示すように、第1及び第2のジョー部材102,104の遠位部分106のうちの少なくとも一方は、クリップアプライヤ10の中間平面(MP)に関して非対称であるのがよい。例えば、第1のジョー部材102の遠位部分106は、第1のジョー部材102の第1の側面と中間平面(MP)との間に第1の幅(W1)を有すると共に、第1のジョー部材102の第2の側面と中間平面(MP)との間に第2の幅(W2)を有するのがよい。同様に、第2のジョー部材104の近位部分106は、第2のジョー部材104の第1の側面と中間平面(MP)との間に第3の幅(W3)を有すると共に、第2のジョー部材104の第2の側面と中間平面(MP)との間に第4の幅(W4)を有するのがよい。図示のように、第1の幅(W1)と第4の幅(W4)は、垂直方向に整列するのがよく、かつ第2の幅(W2)と第3の幅(W3)は、垂直方向に整列するのがよい。第1の幅(W1)と第3の幅(W3)は、中間平面(MP)の互いに反対の側に位置するのがよく、第2の幅(W2)と第4の幅(W4)は、中間平面(MP)の互いに反対の側に位置するのがよい。第1の幅(W1)は、第2の幅(W2)よりも広いのがよく、かつ/或いは第3の幅(W3)は、第4の幅(W4)よりも広いのがよい。幾つかの実施形態では、組み立て時に第1及び第2のジョー部材102,104を中央点に関して放射対称であるようにするために、第1の幅(W1)と第3の幅(W3)が等しいのがよく、かつ第2の幅(W2)と第4の幅(W4)が等しいのがよい。かくして、放射対称である場合、第1及び第2のジョー部材102,104は、いずれか180°の向きでカートリッジ300中に挿入できる。また、放射対称性により、クリップアプライヤ10の製造を容易にすることができ、第1及び第2のジョー部材102,104を少なくとも実質的に同一であり(一方を回して組み立てる)、そして同一のプロセスで(例えば、同一の金型を用いて)製造できるようにする。しかしながら、幾つかの実施形態(図示せず)では、第1のジョー部材102と第2のジョー部材104は、同一でなくてもよい。例えば、第1のジョー部材102と第2のジョー部材104は、組み立て時に非放射対称であってもよく、その結果、第1の幅(W1)と第3の幅(W3)は、互いに等しくない場合があり、かつ/或いは第2の幅(W2)と第4の幅(W4)は、互いに等しくない場合がある。非放射対称である場合、ジョー部材102,104は、単一の向きでしかジョー部材102,104の挿入を可能にしない仕方でカートリッジ300にキー止めされるのがよい。例えば、クリップアプライヤ10は、第1のジョー部材102を第1のレッグ部材202を収容したカートリッジの一部分中にのみ挿入することができ、しかも第2のジョー部材104を第2のレッグ部材204を収容したカートリッジ300の一部分中にのみ挿入することができるよう寸法決めされるのがよい。非放射対称性は、例えば、第1のレッグ部材202と第2のレッグ部材204が実質的に互いに異なる長さを有しかつ/或いは係合のために互いに異なるジョー構造体を必要とする実施形態に利用できる。
【0027】
中間平面(MP)に関する第1のジョー部材102及び/又は第2のジョー部材104の非対称性は、第1及び第2の長手方向壁128,129の遠位部分の互いに異なる幅、及び/又は第3及び第4の長手方向壁138,139の遠位部分の互いに異なる幅によって少なくとも部分的に規定されるのがよい。図示のように、第1の長手方向壁128と第4の長手方向壁139は、垂直方向に整列しているのがよく、第2の長手方向壁129と第3の長手方向壁138は、垂直方向に整列しているのがよい。第1の長手方向壁128と第3の長手方向壁138は、中間平面(MP)の互いの反対の側に位置しているのがよく、第2の長手方向壁129と第4の長手方向壁139は、中間平面(MP)の互いに反対側の側に位置しているのがよい。第1の長手方向壁128の遠位部分は、第2の長手方向壁129の遠位部分の幅よりも広い幅を有するのがよく、かつ/或いは第3の長手方向壁138の遠位部分の幅は、第4の長手方向壁139の遠位部分の幅よりも広いのがよい。さらに、第1のジョー部材102は、少なくとも1つの凹部124の横断平面に沿って中間平面(MP)に関して非対称であるのがよく、かつ/或いは第2のジョー部材104は、少なくとも1つの凹部134の横断平面に沿って中間平面(MP)に関して非対称であるのがよい。第1及び第3の長手方向壁128,138は、幅が広いので、クリップアプライヤ10の側面上に設けられていてそれぞれの凹部124,134の周辺側部を閉じる側壁又は端キャップ140を有するのがよく、それにより、これら凹部内に受け入れられたボス部材212,214の保持具合及び外科用クリップの長手方向位置合わせ具合が向上する。第2及び第4の長手方向壁129,139は、幅が狭いので、クリップアプライヤ10の側面のそれぞれの凹部124,134の開いた横方向表面を有するのがよく、それにより、これら凹部内に受け入れられたボス部材212,214の可視化が可能になって適正な保持を保証することができる。
【0028】
図5~
図7は、外科用クリップ200が装填されるよう構成されたカートリッジ300を示している。カートリッジ300は、カートリッジ本体310及び可撓性リテーナ350を有するのがよい(
図6及び
図7に示すように)。
【0029】
カートリッジ本体310は、ベース312及びベース312から延びる複数の壁314を有するのがよく、隣り合う壁314相互間には、1つ以上の空所316が形成されるのがよい。1つ以上の外科用クリップ200は、隣り合う壁314相互間に延びた状態で空所316内に配置された1つ以上の支持部材318によって支持されるのがよい。例えば、各外科用クリップ200のヒンジ部材206は、支持部材318に係合するのがよく、第1及び第2のレッグ部材202,204は、支持部材318の互いに反対側の側部をまたぐのがよい。支持部材318は、カートリッジ本体310又はベース312の長手方向軸線(L
LONG)に沿って隣り合う壁314の中央部分320相互間に延びるのがよい。
図5は、外科用クリップ200がクリップアプライヤ10にカートリッジ300が装填されている状態を示している。カートリッジ300は、外科用クリップ200を格納形態において空所316内に受け入れることができる。カートリッジ300は、クリップアプライヤ10を開き形態で受け入れて外科用クリップ200をクリップアプライヤ10上に装填することができる。
【0030】
壁314のうちの少なくとも1つは、長手方向軸線に垂直な中央部分320から横方向軸線(LLAT)に沿って延びる第1の壁部分322と第2の壁部分324を有するのがよい。第1の壁部分322は、横方向で見て互いに平行であるのがよく、かつ各端が長手方向線に沿って互いに境界を共有するのがよい。同様に、第2の壁部分324は、横方向で見て互いに平行であるのがよく、かつ各端が長手方向線に沿って互いに境界を共有するのがよい。隣り合う第1の壁部分322は、第1のレッグ部材202を受け入れる空所316の一部分を画定するのがよく、隣り合う第2の壁部分324は、第2のレッグ部材204を受け入れる空所316の一部分を画定するのがよい。壁314のうちの少なくとも1つに関し、第1の壁部分322と第2の壁部分324は、互い違いに位置しているのがよく、かつ/或いは横方向軸線に関して互いに及び/又は中央部分320に対してオフセットしているのがよい。例えば、幾つかの実施形態では、第1の壁部分322の中心を貫通した横方向軸線は、第2の壁部分324の中心を貫通した横方向軸線と整列しないのがよい。さらに、中央部分320の中心を貫通した横方向軸線は、第1及び第2の壁部分322,324の中心を貫通した横方向軸線のうちの少なくとも一方と整列しないのがよい。幾つかの実施形態では、第1の壁部分322の幅全体(長手方向で見て)は、横方向軸線に関し、第2の壁部分324の幅全体(長手方向で見て)とオーバーラップしないのがよい。さらに、第1及び第2の壁部分322,324の各々の幅(長手方向で見て)は、中央部分320の幅(長手方向で見て)よりも小さいのがよい。かくして、幾つかの実施形態では、第1の壁部分322の全てと第2の壁部分324の全ては、カートリッジ本体310の横方向軸線に関して互いにオフセットした状態で延びるのがよい。したがって、カートリッジ本体310及び/又は1つ以上の空所316は、クリップアプライヤ10とのキー止めを容易にするようカートリッジ本体310の横軸線に沿って中間平面に関して非対称であるのがよい。カートリッジ本体310及び/又は1つ以上の空所316は、製造を容易にするために中央点に関して放射対称であるのがよい。例えば、カートリッジ本体310及び/又は1つ以上の空所316は、それぞれの中心点に関して放射対称性を有するのがよい。しかしながら、幾つかの実施形態(図示せず)では、空所316のうちの1つ以上は、非放射対称であるのがよく、その結果、ジョー部材102,104は、上述したようにただ1つの向きでのみジョー部材102,104の挿入を可能にする仕方でカートリッジ300にキー止めできるようになっている。例えば、クリップアプライヤ10は、第1のジョー部材102が第1のレッグ部材202にのみ係合するようになっており、かつ第2のジョー部材104が第2のレッグ部材204にのみ係合するよう寸法決めされるのがよい。
【0031】
可撓性リテーナ350は、ベース312を覆うようカートリッジ本体310を覆って位置決めされるのがよい。可撓性リテーナ350は、別々に形成されるのがよく、そして可撓性リテーナ350の孔360がベース312から延びるピン340を受け入れる状態でベース312に固定されるのがよい。外科用クリップ204をカートリッジ300内に固定するために、可撓性リテーナ350は、可撓性リテーナ350の周囲356から空所316中に横方向内方に延びる複数のタブ352,354を有するのがよい。タブ352,354外科用クリップ200が格納及び/又は輸送中にカートリッジ300から落下するのを阻止するためにレッグ部材202,204及び/又はボス部材212,214に係合するのがよい。タブ352,354は、第1及び第2のジョー部材102,104が空所316中に挿入されているときに下方に撓むことができ、それにより外科用クリップ200を可撓性リテーナ350から外すことができる。複数のタブ352,354は、カートリッジ300の長手方向軸線の第1の側に位置する隣り合う第1の壁部分322相互間に延びる第1のタブ352及びカートリッジ300の長手方向軸線の第2の側に位置する隣り合う第2の壁部分324相互間に延びる第2のタブ354を含むのがよい。さらに
図7に示すように、第1のタブの横方向軸線と第2のタブの横方向軸線は、上述したように、第1及び第2の壁部分322,324のオフセット形態に合致してこれと交互に位置するようオフセットしているのがよい。可撓性リテーナ350とカートリッジ本体310の取り付けの安全性を高めるために、周囲316は、可撓性リテーナ350の周りに延びる1つ以上の垂直壁によって形成されるのがよい。
【0032】
カートリッジ本体310は、一体に形成されるのがよい。例えば、これらコンポーネントは、射出成形により形成された一体プラスチック本体であるのがよい。しかしながら、コンポーネントのうちの1つ以上を別々に形成し、例えば溶接又は接着剤により取り付けてもよいことが想定される。外科用クリップ200の保持及び/又はカートリッジ300の製造に関するそれ以上の説明が米国特許第6,880,699号明細書に見受けられ、この米国特許を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0033】
本発明の多くの特徴及び多くの利点は、詳細な説明から明らかであり、かくして、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲に属する本発明のかかる全ての特徴及び利点を含むものである。さらに、多くの改造及び変形が当業者には容易に想到されるので、本発明を図示すると共に説明した構成及び作用そのものに限定することは望ましくなく、したがって、本発明の範囲に属する全ての適当な改造例及び均等例を採用することができる。
【国際調査報告】