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特表2024-536501ワイヤレス・サラウンド・サウンド・システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ワイヤレス・サラウンド・サウンド・システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522250
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 US2022046398
(87)【国際公開番号】W WO2023064352
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/254,938
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518357715
【氏名又は名称】ファセット・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】クリスマス,コイ
(72)【発明者】
【氏名】サンチャゴ,アジ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,エリック・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】メンデルソーン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】バーリン,エドウイン
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA31
5D220AB01
(57)【要約】
1つ以上のプロセッサと、コンピューティング命令を格納する1つ以上の非一時的記憶デバイスとを含むシステムおよび方法。コンピューティング命令は、1つ以上のプロセッサ上で実行し、スピーカにおいてオーディオ・ソース・データを受信する動作と、スピーカ上において、デジタル信号処理アルゴリズムをオーディオ・ソース・データに適用して、後処理オーディオ・データを作成する動作と、スピーカ上において、後処理オーディオ・データをエンコードする動作と、後処理オーディオ・データを、エンコードされたものとして、スピーカを介して出力する動作とを実行するように構成される。本明細書では、他の実施形態も開示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
コンピューティング命令を格納する1つ以上の非一時的コンピュータ読み取り可能記憶デバイスと、
を備え、
前記コンピューティング命令が、前記1つ以上のプロセッサ上で実行し、前記1つ以上のプロセッサに、
スピーカにおいてオーディオ・ソース・データを受信する動作と、
前記スピーカ上において、デジタル信号処理アルゴリズムを前記オーディオ・ソース・データに適用して、後処理オーディオ・データを作成する動作と、
前記スピーカ上において、前記後処理オーディオ・データをエンコードする動作と、
前記後処理オーディオ・データを、エンコードされたものとして、前記スピーカを介して出力する動作と、
を実行させるように構成される、システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、前記オーディオ・ソース・データがパケットを構成し、前記パケットが、
(1)物理レイヤ通信プロトコル部と、
(2)これに続く、標準化通信プロトコル・ヘッダ部と、
(3)これに続く、トランスポート・レイヤ・プロトコル部と、
(4)標準化通信プロトコル・メッセージ部と、
を含む、システム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムにおいて、前記後処理オーディオ・データをエンコードする動作が、
前記後処理オーディオ・データを少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルに分割する動作と、
前記少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルの周波数コンポーネント間におけるバランスを調節する動作と、
を含む、システム。
【請求項4】
請求項3記載のシステムにおいて、前記バランスを調節する動作が、
等化エフェクトおよびフィルタリング・エレメントの内1つ以上を適用する動作を含む、システム。
【請求項5】
請求項3記載のシステムにおいて、
前記スピーカが複数のスピーカを含み、
前記後処理オーディオ・データを、エンコードされたものとして、送信する動作が、
前記少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルの内第1オーディオ・データ・チャネルを、前記複数のスピーカの内第1スピーカに送信する動作と、
前記少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルの内第2オーディオ・データ・チャネルを、前記複数のスピーカの内、前記複数のスピーカの前記第1スピーカとは異なる、第2スピーカに送信する動作と、
を含む、システム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムにおいて、
前記コンピューティング命令が、更に、前記1つ以上のプロセッサ上で実行し、前記プロセッサに、
電源ケーブルから交流信号を受信する動作と、
前記交流信号を使用して、時間基軸信号を生成する動作と、
を実行させ、
前記デジタル信号処理アルゴリズムを適用する動作が、
前記デジタル信号処理アルゴリズムを前記オーディオ・ソース・データおよび前記時間基軸信号に適用して、前記後処理オーディオ・データを作成する動作を含む、システム。
【請求項7】
請求項6記載のシステムにおいて、前記時間基軸信号を生成する動作が、
前記交流信号および位相ロック・ループ回路を使用して、前記時間基軸信号を生成する動作を含む、システム。
【請求項8】
請求項6記載のシステムにおいて、前記時間基軸信号が、所定のサンプル・レートの無ジッタ基準周波数を含む、システム。
【請求項9】
請求項1記載のシステムにおいて、前記コンピューティング命令が、更に、前記1つ以上のプロセッサ上で実行し、前記プロセッサに、
前記スピーカにおいて前記オーディオ・ソース・データを受信した後に、欠損軽減方法を前記オーディオ・ソース・データに適用する動作を実行させる、システム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムにおいて、前記欠損軽減方法が、(1)パケット内挿補間方法、(2)スペクトル分析方法、(3)ボリューム・データを使用するパケット交換方法、および(4)非可逆圧縮パケットを使用するパケット交換方法の内1つ以上を含む、システム。
【請求項11】
コンピューティング命令の実行によって実施される方法であって、前記コンピューティング命令が、1つ以上のプロセッサにおいて実行するように構成され、更に非一時的コンピュータ読み取り可能媒体において格納されるように構成され、前記方法が、
スピーカにおいてオーディオ・ソース・データを受信するステップと、
前記スピーカ上において、デジタル信号処理アルゴリズムを前記オーディオ・ソース・データに適用して、後処理オーディオ・データを作成するステップと、
前記スピーカ上において、前記後処理オーディオ・データをエンコードするステップと、
エンコードした前記後処理オーディオ・データを前記スピーカを介して出力させるステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、前記オーディオ・ソース・データがパケットを構成し、前記パケットが、
(1)物理レイヤ通信プロトコル部と、
(2)これに続く、標準化通信プロトコル・ヘッダ部と、
(3)これに続く、トランスポート・レイヤ・プロトコル部と、
(4)標準化通信プロトコル・メッセージ部と、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法において、前記後処理オーディオ・データをエンコードするステップが、
前記後処理オーディオ・データを少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルに分割するステップと、
前記少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルの周波数コンポーネント間におけるバランスを調節するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記バランスを調節するステップが、
等化エフェクトおよびフィルタリング・エレメントの内1つ以上を適用するステップを含む、方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法において、
前記スピーカが複数のスピーカを含み、
前記後処理オーディオ・データを、エンコードされたものとして、送信するステップが、
前記少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルの内第1オーディオ・データ・チャネルを、前記複数のスピーカの内第1スピーカに送信するステップと、
前記少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルの内第2オーディオ・データ・チャネルを、前記複数のスピーカの内、前記複数のスピーカの前記第1スピーカとは異なる、第2スピーカに送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
請求項11記載の方法であって、更に、
電源ケーブルから交流信号を受信するステップと、
前記交流信号を使用して、時間基軸信号を生成するステップと、
を含み、
前記デジタル信号処理アルゴリズムを適用するステップが、
前記デジタル信号処理アルゴリズムを前記オーディオ・ソース・データおよび前記時間基軸信号に適用して、前記後処理オーディオ・データを作成するステップを含む、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記時間基軸信号を生成するステップが、
前記交流信号および位相ロック・ループ回路を使用して、前記時間基軸信号を生成するステップを含む、方法。
【請求項18】
請求項16記載の方法において、前記時間基軸信号が、所定のサンプル・レートの無ジッタ基準周波数を含む、方法。
【請求項19】
請求項11記載の方法であって、更に、
前記スピーカにおいて前記オーディオ・ソース・データを受信した後に、欠損軽減方法を前記オーディオ・ソース・データに適用するステップを含む、方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記欠損軽減方法が、(1)パケット内挿補間方法、(2)スペクトル分析方法、(3)ボリューム・データを使用するパケット交換方法、および(4)非可逆圧縮パケットを使用するパケット交換方法の内1つ以上を含む、方法。
【請求項21】
命令が格納されている非一時的、有形コンピュータ読み取り可能記憶媒体を含む製品であって、前記命令が、プロセッサによる実行に応答して、前記プロセッサに、
スピーカにおいてオーディオ・ソース・データを受信する動作と、
前記スピーカ上において、デジタル信号処理アルゴリズムを前記オーディオ・ソース・データに適用して、後処理オーディオ・データを作成する動作と、
前記スピーカ上において、前記後処理オーディオ・データをエンコードする動作と、
前記後処理オーディオ・データを、エンコードされたものとして、前記スピーカを介して出力する動作と、
を実行させる、製品。
【請求項22】
請求項21記載の製品において、前記オーディオ・ソース・データがパケットを構成し、前記パケットが、
(1)物理レイヤ通信プロトコル部と、
(2)これに続く、標準化通信プロトコル・ヘッダ部と、
(3)これに続く、トランスポート・レイヤ・プロトコル部と、
(4)標準化通信プロトコル・メッセージ部と、
を含む、製品。
【請求項23】
請求項21記載の製品において、前記後処理オーディオ・データをエンコードする動作が、
前記後処理オーディオ・データを少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルに分割する動作と、
前記少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルの周波数コンポーネント間におけるバランスを調節する動作と、
を含む、製品。
【請求項24】
請求項23記載の製品において、前記バランスを調節する動作が、
等化エフェクトおよびフィルタリング・エレメントの内1つ以上を適用する動作を含む、製品。
【請求項25】
請求項23記載の製品において、
前記スピーカが複数のスピーカを含み、
前記後処理オーディオ・データを、エンコードされたものとして、送信する動作が、
前記少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルの内第1オーディオ・データ・チャネルを、前記複数のスピーカの内第1スピーカに送信する動作と、
前記少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルの内第2オーディオ・データ・チャネルを、前記複数のスピーカの内、前記複数のスピーカの前記第1スピーカとは異なる、第2スピーカに送信する動作と、
を含む、製品。
【請求項26】
請求項21記載の製品において、
前記方法が、更に、
電源ケーブルから交流信号を受信するステップと、
前記交流信号を使用して、時間基軸信号を生成するステップと、
を含み、
前記デジタル信号処理アルゴリズムを適用する動作が、
前記デジタル信号処理アルゴリズムを前記オーディオ・ソース・データおよび前記時間基軸信号に適用して、前記後処理オーディオ・データを作成する動作を含む、製品。
【請求項27】
請求項26記載の製品において、前記時間基軸信号を生成する動作が、
前記交流信号および位相ロック・ループ回路を使用して、前記時間基軸信号を生成する動作を含む、製品。
【請求項28】
請求項26記載の製品において、前記時間基軸信号が、所定のサンプル・レートの無ジッタ基準周波数を含む、製品。
【請求項29】
請求項21記載の製品において、前記命令が、
前記スピーカにおいて前記オーディオ・ソース・データを受信した後に、欠損軽減方法を前記オーディオ・ソース・データに適用する、製品。
【請求項30】
請求項29記載の製品において、前記欠損軽減方法が、(1)パケット内挿補間方法、(2)スペクトル分析方法、(3)ボリューム・データを使用するパケット交換方法、および(4)非可逆圧縮パケットを使用するパケット交換方法の内1つ以上を含む、製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互引用
[0001] 本願は、2021年10月12日に出願された米国仮特許出願第63/254,938号の権利を主張する。この出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
分野
[0002] 本開示は、一般的には、ワイヤレス・スピーカ・システムに関し、更に特定すれば、ワイヤレス・サラウンド・サウンド・スピーカ・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0003] 従前からのサラウンド・サウンド・スピーカ・システムは、複数のスピーカを備えるが、ホーム・シアター環境において設置する、等化する、および操作するのは難しい場合がある。今日の高級な家庭用マルチスピーカ・サラウンド・サウンド・システムの多くは、厄介な配線を必要とし、これを部屋中に引き回し、嵩張る受信機またはプリアンプと接続しなければならない。質素な装飾を要求しつつ最高品質のオーディオを求める顧客の要望のために、サウンドバーが登場したが、サウンドバー・システムは十分に高品質のオーディオを伝えることができない。更に、このようなシステムは、高性能フォーマット(high-end format)に見られる高度なサラウンド・サウンドおよびエフェクトには不向きである。
【発明の概要】
【0003】
[0004] 種々の実施形態において、本開示は、サラウンド・サウンドを実現するシステムおよび方法を提供する。サラウンド・サウンドを実施するシステムは、1つ以上のプロセッサと、コンピューティング命令を格納する1つ以上の非一時的コンピュータ読み取り可能記憶デバイスとを備えることができる。コンピューティング命令は、1つ以上のプロセッサ上で実行し、1つ以上のプロセッサに、スピーカにおいてオーディオ・ソース・データを受信する動作と、スピーカ上において、デジタル信号処理アルゴリズムをオーディオ・ソース・データに適用して、後処理オーディオ・データを作成する動作と、スピーカ上で、後処理オーディオ・データをエンコードする動作と、後処理オーディオ・データを、エンコードされたものとして、スピーカを通じて出力する動作とを実行させるように構成される。
【0004】
[0005] 種々の実施形態において、オーディオ・ソース・データは、パケットを構成し(comprise)、パケットは、物理レイヤ通信プロトコル部と、これに続く標準化通信プロトコル・ヘッダ部と、これに続くトランスポート・レイヤ・プロトコル部および標準化通信プロトコル・メッセージ部とを含む。種々の実施形態において、後処理オーディオ・データをエンコードする動作は、後処理オーディオ・データを少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルに分割し、少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルの周波数成分間におけるバランスを調節する動作を含む。種々の実施形態において、バランスを調節する動作は、等化エフェクトおよびフィルタリング・エレメントの内1つ以上を適用する動作を含む。
【0005】
[0006] 種々の実施形態において、スピーカは、複数のスピーカを含み、後処理オーディオ・データを、エンコードされたものとして、送信する動作は、少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルの内、第1オーディオ・データ・チャネルを、複数のスピーカの内第1スピーカに送信する動作と、少なくとも2つの異なるオーディオ・データ・チャネルの内第2オーディオ・データ・チャネルを、複数のスピーカの内、複数のスピーカの第1スピーカとは異なる、第2スピーカに送信する動作とを含む。種々の実施形態において、コンピューティング命令は、更に、1つ以上のプロセッサ上で実行し、交流信号を電源ケーブルから受電する動作と、交流信号を使用して、時間基軸信号(time based signal)を生成する動作とを、プロセッサに実行させるように構成され、デジタル信号処理アルゴリズムを適用する動作は、デジタル信号処理アルゴリズムをオーディオ・ソース・データおよび時間基軸信号に適用して、後処理オーディオ・データを作成する動作を含む。
【0006】
[0007] 種々の実施形態において、時間基軸信号を生成する動作は、交流信号と位相ロック・ループ回路とを使用して、時間基軸信号を生成する動作を含む。種々の実施形態において、時間基軸信号は、所定のサンプル・レートの無ジッタ(jitter-free)基準周波数を含む。種々の実施形態において、コンピューティング命令は、更に、1つ以上のプロセッサ上で実行し、スピーカにおいてオーディオ・ソース・データを受け取った後に、欠損軽減方法(dropout mitigation method)をオーディオ・ソース・データに適用する動作を、プロセッサに実行させるように構成されている。種々の実施形態において、欠損軽減方法は、パケット内挿補間方法、スペクトル分析方法、ボリューム・データを使用するパケット交換方法、および非可逆圧縮パケットを使用するパケット交換方法の内1つ以上を含む。
【0007】
[0008] 以上で述べた特徴およびエレメントは、本明細書において明示的に別段の記載がない限り、統合して種々の組み合わせにしてもよく、これらの組み合わせが除外されることはない。これらの特徴およびエレメント、更に開示する実施形態の動作は、以下の説明および添付図面を参照すれば、一層明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[0009] 本明細書の結論部において、本開示の主題を特定して指摘し、明確に特許請求する。しかしながら、本開示の更に完全な理解は、詳細な説明および特許請求の範囲を参照し、図面と関連付けて検討することによって、得ることができる。図面において、同様の番号は同様のエレメントを示す。
図1】種々の実施形態によるサラウンド・サウンド・システムの種々のシステム・コンポーネントを示すブロック図である。
図2】種々の実施形態によるサラウンド・サウンド・システムにおける制御モジュールのブロック図である。
図3】種々の実施形態によるサラウンド・サウンド・システムにおけるワイヤレス・スピーカのブロック図である。
図4】種々の実施形態によるサラウンド・サウンド・システムにおけるデータ制御方式を示す。
図5】種々の実施形態によるサラウンド・サウンド・システムにおけるワイヤレス・スピーカのブロック図である。
図6】種々の実施形態によるサラウンド・サウンド・システムにおけるプロセス・フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0016] 複数の実施形態は、システムを含むことができる。このシステムは、1つ以上のプロセッサと、コンピューティング命令を格納する1つ以上の非一時的コンピュータ読み取り可能記憶デバイスとを含むことができる。コンピューティング命令は、1つ以上のプロセッサ上で実行し、1つ以上のプロセッサに、スピーカにおいてオーディオ・ソース・データを受信する動作と、スピーカ上で、デジタル信号処理アルゴリズムをオーディオ・ソース・データに適用して、後処理オーディオ・データを作成する動作と、
スピーカ上において、後処理オーディオ・データをエンコードする動作と、後処理オーディオ・データを、エンコードされたものとして、スピーカを通じて出力する動作とを、実行させるように構成することができる。
【0010】
[0017] 種々の実施形態は、方法を含む。この方法は、コンピューティング命令の実行によって、実装することができる。コンピューティング命令は、1つ以上のプロセッサにおいて実行するように構成され、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体に格納されるように構成される。この方法は、スピーカにおいてオーディオ・ソース・データを受信するステップと、スピーカ上で、デジタル信号処理アルゴリズムをオーディオ・ソース・データに適用して、後処理オーディオ・データを作成するステップと、スピーカ上で、後処理オーディオ・データをエンコードするステップと、後処理オーディオ・データを、エンコードされたものとして、スピーカを通じて出力するステップとを含むことができる。
【0011】
[0018] 本明細書における例示的な実施形態の詳細な説明では、添付図面を参照する。添付図面は、種々の例示的な実施形態を、代表例およびその最良の態様として示す。これらの種々の例示的な実施形態は、当業者が本開示を実施することを可能にするように、十分に詳細に説明するが、他の実施形態も実現できること、そして本開示の主旨および範囲から逸脱することなく、論理的、化学的、および機械的変更を行ってもよいことは、理解されてしかるべきである。つまり、本明細書における詳細な説明は、例示の目的に限って提示されるのであり、限定ではない。例えば、方法またはプロセスの記載では、そのいずれにおいて列挙されるステップも、任意の順序で実行することができ、提示される順序に必ずしも限定されない。更に、単数に言及するときはいつでも、複数の実施形態も含まれ、1つよりも多いコンポーネントまたはステップに言及するときはいつでも、1つの実施形態またはステップも含むことができる。また、取付(attaced)、固定(fixed)、接続(connected)等に言及するときはいつでも、永続的、取り外し可能、一時的、部分的、完全、および/または他のあらゆる可能な取付(attachment)の選択肢も含むことができる。加えて、接触がない(または同様の語句)ことに言及するときはいつでも、少ない接触または最小限の接触も含むことができる。
【0012】
[0019] ホーム・シアター・システムのようなオーディオ・システムは、複数のスピーカ(例えば、2、4、6、8、10、12、14、34、またはユーザが所望するいずれの数量でもよい)を有することができる。従前からの集中増幅型システム(central amplifier based system)は、多数対の配線を必要とすることが多く、最も典型的なのは、各スピーカを駆動するために1対の配線を必要とすることである。これに関して、従前からのシステムは、設置するのが厄介であり、時間がかかると言って差し支えない。
【0013】
[0020] 本明細書において説明するように、本システムは、各スピーカに、独立した電源、増幅器、およびオーディオをストリーミングするためのデータ・トランスポート・インターフェースを設けることによって、従前からのシステムの問題を軽減するのに役立つ。これに関して、増幅器をスピーカと同じエンクロージャに配置することによって、増幅器の電力およびスペクトル特性をスピーカおよびそのエンクロージャの特性に合わせて調整し、こうすることによって効率および音質を高めることができる。スピーカ・システムの送信ユニット(即ち、制御モジュール)は、入力セクション、処理システム、Bluetoothトランシーバ、データ・トランスポート・デバイス、および電源を備えることができる。
【0014】
[0021] 入力セクションは、HDMI(登録商標)、TOSLink、デジタル同軸(Digital coax)、アナログ入力の形態としたオーディオ信号、.mp3または.wavファイルのような格納データ、あるいはストリーミング・ネットワーク、コンピュータ、電話機、またはタブレットからのオーディオのようなデータ・ソースを受け入れることができる。オーディオは、サンプル当たり16、24、32、および/または他のビット数の未圧縮サンプルの1つ以上のデジタル・ストリームとして、44.1ksps、48ksps、96kspsのデータ・レートで、および/または他のサンプル・レートで入力されるか、あるいは変換することもできる。オーディオは、ステレオ、4チャネル、5.1、7.1、および/またはその他の形態というような、多数のチャネルに対応することもできる。また、例えば、DOLBY ATMOS(商標)のようなスペイシャライザ(spatializer)による処理に合わせて、フォーマットすることもできる。
【0015】
[0022] 処理システムは、様々な機能を実行することができる。これは、着信したオーディオ信号をサンプリングし直し、ストリームを所望の出力サンプル・レートに変換することができる。これは、オーディオを処理し、等化(equalization)、室内音響補償、音声強調のようなデジタル信号処理(DSP)機能を提供し、および/またはエコーや空間分離強調のような特殊エフェクトを付加することができる。エフェクトは、全てのオーディオ・チャネルに適用することができ、または各スピーカ・チャネルに別々に適用することもできる。処理システムは、BLUETOOTH(登録商標)インターフェースを介して、スマートフォンまたはタブレットと通信し、音量、等化レベル、および/またはエフェクトの選択というようなパラメータのユーザ制御を可能にすることができる。処理されたデジタル・オーディオ・チャネルを、パケットのストリームに変換し、データ・トランスポート・デバイスを介してスピーカに送ることができる。
【0016】
[0023] トランシーバは、制御モジュールにおける処理システムと、スマートフォンまたはタブレットのようなデバイスとの間において、システムのユーザ制御のために、リンクを提供する。尚、BLUETOOTH(登録商標)インターフェースは、例示的なインターフェースの一形式であり、他の可能性には、WiFi、独自のワイヤレス・リンク、および/または有線接続を含んでもよいことは認められよう。スマートフォンまたはタブレットは、専用のインターフェース・デバイスと置き換えること、またはこれによって拡張する(augment)こともできる。
【0017】
[0024] データ・トランスポート・デバイスは、パケット化されたデジタル・オーディオ・データをスピーカ・モジュールに送ることができる。送信方法は、WiFi、HaLow、White Space Radio、60GHz無線、独自の無線設計、および/またはG.Hnのような電力線搬送Ethernetでもよい。種々の実施形態において、このデバイスのための帯域幅は、その殆ど(例えば、60%および99%の間、または80%および99%の間、または90%および99%の間)が、制御モジュールからスピーカへの方向に向けられるが、少量のデータを他の方向に送り、システムにおいてアクティブなスピーカを発見すること、および/または少量のデータがシステム制御データを構成することもできる。オーディオ・データをストリーミングすることに加えて、スピーカの動作状況を制御するために、何らかの制御情報をパケットに含ませることもできる。このような制御情報は、例えば、音量および無音機能、ならびにあらゆるDSP機能の制御を含むことができる。DSP機能は、スピーカ・モジュールに実装することもできる。他の制御機能には、システムがアイドル状態から使用状態に移行しつつあるときに、休眠中(低電力モード)にある任意のスピーカを起動するための起動メッセージを含むことができる。
【0018】
[0025] デジタル・オーディオ・データは、スピーカのデータ・トランスポート・デバイスによって受信することができる。このデータは、スピーカのプロセッサを通過する。プロセッサは、スピーカ特性に合わせるために、信号整形のようなDSPアルゴリズムを使用して、信号を変更することができる。特定のスピーカに必要とされる駆動信号は、そのスピーカを駆動する増幅器に送られる。電源回路は、スピーカ・ユニットにおける全てのデバイスに電力を供給する。
【0019】
[0026] 多くのデータ・トランスポート・システムは、帯域幅が限られている。この帯域幅を最大限利用するためには、データ圧縮を使用すると有利であるのはもっともである。FLACのような可逆圧縮は、所望のオーディオ品質を維持しつつ、データ・レートを低下させることができる。非可逆的圧縮は、必要なデータ・レートを更に低下させることができるが、音質を犠牲にする。圧縮の選択は、スピーカの台数およびデータ・トランスポート・システムの利用可能な帯域幅に応じて変えることができる。
【0020】
[0027] 種々の実施形態において、このシステムは、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)を通信に採用することができる。UDPは、低レベル・パケット化データ通信に対応する(comprise)が、受信される保証はない。ハンドシェーキングを想定しないことによって、オーバーヘッドを低減する。対照的に、送信制御プロトコル(TCP)通信は、配信を保証するパケット化データである。しかしながら、TCP通信は、再送信による遅延の危険性を含み、このために、実用上の閾値を超えてシステム・レイテンシが高まり勝ちになる。例えば、ワイヤレス・オーディオ・システムをビデオ・ソースと併せて使用する場合、ビデオとオーディオとの間における同期に伴う問題を回避するためには、レイテンシを低くしなければならない。種々の実施形態において、システム・レイテンシは、25ms未満、または20ms未満、または15ms未満、または5ms未満である。
【0021】
[0028] 種々の実施形態において、このシステムは、データ・トランスポート・システムに通例発生する欠損の特性(character)に応じて、1つ以上の欠損軽減方法を採用することができる。例えば、パケット損失が頻繁でなく、欠損があるときに失われる連続パケットの数が少ない(例えば、4つ未満)場合、このシステムは第1の損失パケット処理(handling)方法を採用することができる。第1の方法は、欠落の前に受信した最後のサンプルと、欠落後に最初に受信したサンプルとの内挿補間によって、失ったデータを埋めるステップを含むことができる。第2の方法は、最後に受信した正しいパケット、およびギャップ後の最初の正しいパケットのスペクトル分析を実行し、次いで周波数および位相ドメインにおいて内挿補間するステップを含むことができる。データ欠損を軽減するためにこのシステムによって採用される第3の方法は、1つのチャネルからのオーディオが他のチャネルからのオーディオのどこに類似するか判定することである。これに関して、1つのスピーカからの1つのパケットが失われた場合、聴取者に気付くような影響を生ずることなく、このシステムによって、異なるスピーカに向けたパケットに交換することができる。この交換は、様々なスピーカ間における全体的なボリューム(volume)の差、および/または複数の周波数帯域における差を追跡し比較することによって、質を高め、1つのチャネル・サウンドを他に似せる(make more like)ように構成されたパケット交換イコライザを生成することができる。このシステムによって採用することができる第4の欠落パケット処理(handle)方法は、各パケットに、後続のパケット・データの非可逆圧縮バージンを含ませることである。通常の動作では、この非可逆圧縮データを無視することができる。損失パケットに応答して、関連するパケットの以前の非可逆圧縮バージョンにおいて既に受信されている圧縮データから、この損失パケットのためのデータを構築することができる。
【0022】
[0029] 種々の実施形態において、このシステムは、時間基軸補正を実行することができる。制御モジュールは、データを公称レートで(例えば、毎秒48,000サンプル)送ることができる。このレートは、制御モジュールにおける水晶発振器または他の時間基軸(time base)に依存してもよく、またはユニットに着信する(come in)データ上にエンコードしてもよい。したがって、この周波数は、少量であるが測定可能な量だけ、公称周波数よりも高くてもまたは低くてもよい。各スピーカは、これらのサンプルのパケットを受け取り、これらが制御モジュールにおいて生成されたときと正確に同じレートで、これらを再生しなければならない。しかしながら、スピーカがこれを行わず、代わりにそれ自体の時間基軸を使用し、制御モジュールにおける時間基軸よりも速いまたは遅いおそれがある場合、ときの経過と共に、スピーカは制御モジュールに先立つか、または制御モジュールよりも遅れることになる。これに関して、容易に気付く不愉快な時間差がスピーカ間に生じ、このため聴取者にとって音質低下を招き易くなる。各スピーカにおいてローカル時間基軸を使用することから発生するおそれがある他の問題は、スピーカが制御モジュールよりも遅く動作する場合、メモリが使い尽くされるまでにパケットが蓄積する(例えば、先入れ先出し(FIFO)メモリにおいて)事態に陥るおそれがあることである。スピーカが制御モジュールよりも速く動作する場合、スピーカが新たなサンプルを出力する準備が整っても、待ち行列にはパケットがないという事態が発生する。
【0023】
[0030] このシステムは、時間基軸補正プロセスを実行することができる。最初に、スピーカにおいて受信するパケットを、スピーカのFIFOバッファにローカルに格納する。FIFOバッファは、電源投入時には空の場合もあるが、数パケットを受け取った後には、FIFOバッファは公称数のパケット(例えば、4パケット)を収容する。パケット内にあるサンプル数に応じて、システムのレイテンシを設定するために、この公称数を使用することができる。また、FIFOバッファは、先に説明したように、いずれの逸失パケットでも充填する欠損軽減方法を可能にする。新たなパケットがFIFOバッファに挿入されるに連れて、FIFOバッファはサイズが大きくなり、パケットが引き出されスピーカに送られるに連れて、FIFOバッファは小さくなる。サンプル出力周波数を設定する発振器を位相ロック・ループによって制御することができる。周波数制御は、スピーカ内にある処理ユニットによって、システム・ソフトウェアにおいて調節することができる。FIFOバッファが、公称数よりも少ないパケットをその内部に有する場合、これに応答して、出力サンプル・レートを低下させる。FIFOバッファが、公称数よりも多いパケットをその内部に有する場合、これに応答して、出力サンプル・レートを上昇させる。このように、このシステムは大まかに正しい出力レートを維持することができる。
【0024】
[0031] FIFOバッファ内にあるパケットの数が正確に公称数であるとき、このシステムは、位相比較器およびループ・フィルタを使用して、着信パケットの周波数を合わせることができる。パケットがプロセッサによって受け取られる毎に、プロセッサは受取イベントにタイム・スタンプを付ける。このタイム・スタンプは、発振器によって駆動されるカウンタでもよい。これに関して、発振器は出力周波数を設定することもできる。このクロックを使用して測定することによって、このシステムは、スピーカにおいて正確に同じ周波数を測定したときに、制御モジュールにおけるサンプル・レートを合わせることができる。タイム・スタンプは、出力サンプル・レートに対して着信パケットの位相を測定する際に、高いビット精度(many bits of accuracy)が得られるように十分な分解能で生成される。次いで、この位相測定値をロー・パス・フィルタにかけ、位相ロック・ループの発信周波数を調節するために、このシステムによって入力として使用することができる。これに関して、このシステムは、制御モジュールにおけるサンプルの平均周波数に一致しこれに追従する、安定した出力周波数を供給することができる。
【0025】
[0032] 種々の実施形態において、制御モジュールが、どのスピーカがアクティブであるか識別することを可能にするために、各スピーカは「心拍」パケット(heartbeat packet)を送信ユニットに、例えば、5Hzのような低い周波数で送ることができる。心拍パケットは、例えば、スピーカの配置(例えば、右前、中央、左後ろ、サブウーハ等)、その具体的なチャネル番号、および/またはIPアドレスのような、スピーカについての情報を含むことができる。制御モジュールは、種々の心拍パケットをタイムアウト・プロセス(timeout process)によって監視し、複数のスピーカの内どれが現在アクティブであり、オーディオを再生するために利用可能であるか判定することができる。制御モジュールは、この情報をユーザに、ユーザ・デバイスにネーティブなアプリを介して提供することができる。
【0026】
[0033] 全てのオーディオ・ソースがアイドル状態にあるときおよび/または制御モジュールの電源が切られているとき、制御モジュールは、スリープ・モードに入るために、複数のスピーカの各々にコマンドを送信することができる。スリープ・モードでは、スピーカはそれらの消費電力を動作電力から低消費電力に落とす。スリープ・モードにある間、スピーカは周期的にトランスポート・チャネルを監視して、送信機が、使用に備えて再度起動することを、スピーカに命令しているか否か判断するだけでよい。
【0027】
[0034] 種々の実施形態において、そして図1を参照すると、ワイヤレス・サラウンド・サウンドのための例示的なシステム100が示されている。システム100は、オーディオ/ビジュアル・ソース(A/Vソース)102、制御モジュール104、1つ以上のスピーカ(例えば、複数のワイヤレス・スピーカ108)、およびユーザ・デバイス112を含むことができる。スピーカ108は、少なくとも1つの主スピーカ116(例えば、前方スピーカ)と、例えば、サブウーハまたは後方スピーカのような、副スピーカ118とを含む。スピーカ108については、以下で図3を参照して、更に詳しく説明する。
【0028】
[0035] 種々の実施形態において、制御モジュール104は、システム100の種々のシステム、エンジン、およびコンポーネントにアクセスするための中央ネットワーク・エレメントまたはハブとして構成することができる。制御モジュール104は、コンピュータを利用するシステムでもよく、および/またはシステム100の種々のシステム、エンジン、およびコンポーネントへのアクセス・ポイントを提供するように構成されたソフトウェア・コンポーネントでもよい。制御モジュール104は、第1インターフェース106を介して、A/Vソース102と通信することができる。制御モジュールは、第2インターフェース110を介して、スピーカ108と通信することができる。種々の実施形態において、制御モジュール104は、第4インターフェース120を介して、スピーカ108と通信することができる。制御モジュール104は、第2インターフェース110および第4インターフェース120を介して、同時にスピーカ108と通信することができる。制御モジュール104は、第3インターフェース114を介して、ユーザ・デバイス112と通信することができる。これに関して、制御モジュール104は、ユーザ・デバイス112からシステム100の種々のシステム、エンジン、およびコンポーネント(例えば、スピーカ108および/またはA/Vソース102のような)への通信を可能にするとしてよい。これに関して、このシステムは、高品位オーディオ信号をデータ(例えば、コマンドおよび制御信号等)と共に、制御モジュール104と通信するように構成された任意の形式または数のスピーカに送信することができる。
【0029】
[0036] 種々の実施形態において、第1インターフェース106は、例えば、高品位マルチメディア・インターフェース(HDMI:High-Definition Multimedia Interface)、DisplayPort、USB-C、AES3、AES47、S/PDIF、BLUETOOTH(登録商標)等のような、オーディオおよび/またはビジュアル・インターフェースでもよい。種々の実施形態において、第1インターフェース106、第2インターフェース110、および/または第3インターフェース114の内任意のものが、例えば、IEEE802.11、IEEE802.15、BLUETOOTH(登録商標)等のような、物理レイヤ・プロトコル上で動作するインターフェースというようなワイヤレス・データ・インターフェースでもよい。種々の実施形態において、第4インターフェース120は、オーディオ・データを搬送するように構成された電力線通信(PLC: Powerline Communication)型インターフェースでもよい。以下で更に詳しく説明するように、システム100の種々のシステム、エンジン、およびコンポーネントの各々は、更に、ワイヤレス・デバイス用GRAVITY(商標)標準化通信プロトコル(SCP:Standardized Communication Protocol)によって通信するように構成することもできる。以下で更に詳しく説明するように、これは、物理レイヤ・プロトコル上で動作可能で、アリゾナ州、ScottsdaleのFasetto,Incによって提供されている。
【0030】
[0037] 種々の実施形態において、ユーザ・デバイス112は、第3インターフェース114を介して、システム100と通信するソフトウェアおよび/またはハードウェアを備えることができ、第3インターフェース114は、ユーザ等が制御モジュール104にアクセスすることを可能にするように構成された、ハードウェアおよび/またはソフトウェアを備えている。ユーザ・デバイスは、ユーザが第3インターフェース114およびシステム100を介して通信することを可能にするように構成された、任意の適したデバイスを備えることができる。ユーザ・デバイスは、例えば、パーソナル・コンピュータ、パーソナル・デジタル・アシスタント、携帯電話機、離遠隔制御デバイス等を含むことができ、ユーザに、命令をシステム100に送信させることができる。種々の実施形態において、本明細書において説明するユーザ・デバイス112は、制御モジュール104と通信するために、ウェブ・アプリケーションまたはネーティブ・アプリケーションを実行することができる。ネーティブ・アプリケーションは、例えば、ダウンロード、物理媒体、またはアプリ・ストア(app store)を通じて、ユーザ・デバイス112上にインストールすることができる。ネーティブ・アプリケーションは、ユーザ・デバイス112のオペレーティング・システムと共に使用するために提供される開発コード・ベースを利用し、ユーザ・デバイス112上に格納または表示されたデータを操作し、制御モジュール104と通信するためにシステム・コールを実行することができる。ウェブ・アプリケーションは、ウェブ・ブラウザと互換性があり、ウェブ・ブラウザ上で実行するように明確に書くことができる。つまり、ウェブ・アプリケーションは、システム100と共に動作する、ブラウザ型アプリケーションとすることができる。
【0031】
[0038] 種々の実施形態において、そして図2も更に参照すると、制御モジュール104が示されている。制御モジュール104は、コントローラ200、A/V受信機202、トランスコード・モジュール(transcoding module)204、エフェクト処理モジュール(FXモジュール)206、ユーザ・デバイス・インターフェース208、スピーカ・インターフェース210(例えば、送信機またはトランシーバのような)、電源212、および電力線通信変調/復調器(PLCモデム)214を含むことができる。
【0032】
[0039] 種々の実施形態において、コントローラ200は、プロセッサを備えることができ、システム100の種々のシステム、エンジン、およびコンポーネントにアクセスするための中央ネットワーク・エレメントまたはハブとして構成することができる。種々の実施形態において、コントローラ200を1つのプロセッサに実装することもできる。種々の実施形態において、コントローラ200は、1つ以上のプロセッサおよび/または1つ以上の有形、非一時的メモリとして実装することができ、更にこれらを含むこともでき、ロジックを実装することができる場合もある。各プロセッサは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、あるいはその他のプログラマブル・ロジック・デバイス、ディスクリート・ゲート、またはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア・コンポーネント、もしくはこれらの任意の組み合わせにすることができる。コントローラ200は、命令の実行に応答して、例えば、コントローラ200と通信するように構成された非一時的、有形、コンピュータ読み取り可能媒体上に格納されている命令に応答して、種々の論理動作を実行するように構成されたプロセッサを備えることができる。
【0033】
[0040] システム・プログラム命令および/またはコントローラ命令は、非一時的、有形コンピュータ読み取り可能媒体上にロードすることができる。非一時的、有形コンピュータ読み取り可能媒体上には、命令が格納されており、コントローラによる実行に応答して、コントローラに種々の動作を実行させる。「非一時的」(non-transitory)という用語は、一時的な伝搬信号(propagating transitory signals)自体のみを特許請求の範囲から除去するというのが共通認識であり、単なる一時的な伝搬信号自体には該当しない全ての標準的なコンピュータ読み取り可能媒体に対する権利を放棄するのではない。言い換えると、「非一時的コンピュータ読み取り可能媒体」および「非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体」という用語の意味は、Re Nuijtenにおいて、 35U.S.C.§101に基づいて特許可能な主題の範囲に該当しないと判断された種類の一時的コンピュータ読み取り可能媒体のみを除外すると解釈されてしかるべきである。
【0034】
[0041] 種々の実施形態において、A/V受信機202は、第1インターフェース106を介して、ソース・オーディオ・データをA/Vソース102から受信するように構成されている。コントローラ200は、更なる処理のために、ソース・オーディオ・データをトランスコード・モジュール204に渡すことができる。種々の実施形態において、トランスコード・モジュール204は、第1エンコーディングと第2エンコーディングとの間における変換動作を実行するように構成されている。例えば、トランスコード・モジュール204は、ソース・オーディオを第1エンコーディングから第2エンコーディングに変換し、FXモジュール206による更なる処理のために、トランスコード・オーディオ・データを生成することができる。種々の実施形態において、トランスコード・モジュール204は、例えば、Dolby Digital、DTS、ATMOS、Sony Dynamic Digital Sound(SDDS)等としてエンコードされた情報というような、ソース・オーディオ・データ内に含まれる1つ以上のオーディオ情報チャネルをデコードおよび/またはトランスコードするように構成することができる。これに関して、トランスコード・モジュール204は、複数のオーディオ情報チャネルを含むトランスコード・オーディオ・データを生成することができ、このトランスコード・オーディオ・データを更に本システムによって処理することもできる。
【0035】
[0042] 種々の実施形態において、FXモジュール206は、1つ以上のデジタル信号処理(DSP)エレメントを備えることができ、またはトランスコード・オーディオ・データの周波数成分間でバランスを調節するように構成することができる。これに関して、FXモジュール206は、等化モジュールとして振る舞い、トランスコード・オーディオ・データ内にある1つ以上の周波数帯域のエネルギを強める、または弱めることができる。種々の実施形態において、FXモジュール206は、例えば、ソース・オーディオ・データの望ましくない要素(undesired element)および/または不要な要素(unwanted element)を排除または低減するように構成されたバンドパス・フィルタのような、1つ以上のフィルタリング・エレメントを含むこともできる。同様に、FXモジュールは、トランスコード・オーディオ・データを変更するように構成された1つ以上のエフェクト・エレメントおよび/またはエフェクト機能を含むこともできる。例えば、エフェクト機能は、トランスコード・オーディオ・データのデータ品質を高めることができ、ルーム・モード(room mode)に合わせて補正することができ、ディストーション・エフェクト(distortion effects)、ダイナミック・エフェクト(dynamic effects)、変調、ピッチ/周波数偏移、タイム-ベースト(time-based)、フィードバック、サステイン(sustain)、等化、および/または他のエフェクトを適用することができる。種々の実施形態において、FXモジュールは、オーバー・ジ・エア更新(over-the-air update)を受信するように定められたソフトウェアでもよく、および/またはオーバー・ジ・エア更新(over-the-air update)を受信するように構成することもできる。これに関して、本システムは、新たなエフェクト機能および/またはユーザ定義のエフェクト機能をロードすることを可能にするとして差し支えない。種々の実施形態において、FXモジュール206は、任意の数のエフェクト機能をトランスコード・オーディオ・データに適用し、オーディオ情報チャネルを含むオーディオ・データを生成し、所望のエフェクトをかけるように構成することができる。種々の実施形態において、FXモジュール206は、データ・レートを変更するために、オーディオ・ストリームをサンプリングし直すこともできる。コントローラ200は、エフェクトがかけられた(effected)オーディオ・データをスピーカ・インターフェース210に渡すことができる。
【0036】
[0043] 種々の実施形態において、FXモジュールのDSP機能は、完全に制御モジュール104内に常駐するのであり、スピーカにおいて追加の処理が行われることはない。種々の実施形態において、そして端的に図3も参照しながら以下で論ずるように、FXモジュール206の機能は、複数のスピーカ300の各々のDSP306によって組み込まれるのでもよい。これに関して、複数のスピーカ300の1つ以上に内蔵されたDSPを通じて、ソフトウェア定義FXモジュール機能を実装することによって、制御モジュール104を小型化し、複雑さを低減することができる。
【0037】
[0044] 種々の実施形態において、スピーカ・インターフェース210は、第2インターフェース110を介して、複数のスピーカ108と通信するように構成することができる。種々の実施形態において、スピーカ・インターフェース210は、複数の通信チャネルを備えることができ、各通信チャネルは、複数のスピーカ108の内1つのスピーカと関連付けられる。コントローラ200は、オーディオ情報のチャネルの各々を複数のスピーカ108に割り当てることができる。例えば、スピーカ・インターフェース210は、エフェクトがかけられたオーディオ・データの第1チャネルを、主スピーカ116の通信チャネルに割り当てることができ、エフェクトがかけられたオーディオ・データの第2チャネルを、副スピーカ118の通信チャネルに割り当てることができる。これに関して、このシステムは、オーディオ情報の複数のチャネルを複数のスピーカに、1対1に基づいて、割り当てることができる。これによって、スピーカ・インターフェース210は、プロセッサによってオーディオ情報を種々のチャネルのスピーカにストリーミングする処理を、促進することができる。種々の実施形態において、スピーカ・インターフェース210は、更に、命令(例えば、制御コマンド)をスピーカに分散するように構成することもできる。
【0038】
[0045] 種々の実施形態において、スピーカ・インターフェース210は、PLCモデム214を含むことができる。これに関して、スピーカ・インターフェース210は、第4インターフェース120を介して、複数のスピーカ108と通信するように構成することができる。スピーカ・インターフェース210は、制御コマンドのみを第2インターフェース110を介して分散し、オーディオ情報のみを第4インターフェース120を介して分散するように構成することができる。種々の実施形態において、スピーカ・インターフェースは、全ての制御コマンドおよびオーディオ・データを、第2インターフェース110のみを介して、または第4インターフェース120のみを介して、分散するように構成することもできる。
【0039】
[0046] 種々の実施形態において、ユーザ・デバイス・インターフェース208は、第3インターフェース114を介した、コントローラ200とユーザ・デバイス112との間における通信を可能にするように構成されている。ユーザ・デバイス・インターフェース208は、ユーザ・デバイス112から制御コマンドを受信するように構成することができる。ユーザ・デバイス・インターフェース208は、コマンド確認を返送するように、または他のデータをユーザ・デバイス112に返送するように構成することができる。例えば、ユーザ・デバイス・インターフェース208は、制御モジュール104についての性能情報、エフェクトがかけられたオーディオ・データ、スピーカ・インターフェース210のステータス、スピーカ108の性能またはステータス等を返送するように構成することができる。種々の実施形態において、ユーザ・デバイス・インターフェース208は、更に、ユーザ・デバイス112からソース・オーディオ・データを受信するように構成することができる。
【0040】
[0047] 種々の実施形態において、電源212は電力を受けるように構成されている。更に、電源212は、受けた電力をシステム100の種々のコンポーネントに配電するように構成することができる。
【0041】
[0048] 種々の実施形態において、そして更に図3も参照すると、複数のスピーカ108の中から例示のスピーカ300が示されている。スピーカ300は、電力を受け、この電力をスピーカ300の種々のコンポーネントに配電するように構成された電源302を含む。更に、スピーカ300は、トランシーバ304、DSP306、増幅器308、およびスピーカ・ドライバ310を備えることができる。種々の実施形態において、トランシーバ304は、第2インターフェース110を介して、制御モジュール104から、割り当てられたオーディオ情報のチャネルおよび制御コマンドを受信するように構成されている。種々の実施形態において、トランシーバは、更に、スピーカ300についてのステータス情報および他のデータを、制御モジュール104に受け渡すように構成することができる。種々の実施形態において、トランシーバ304は、ユーザ・デバイス112と直接通信するように構成することもできる。
【0042】
[0049] 種々の実施形態において、DSP306は、割り当てられたオーディオ・チャネルを受け取り、例えば、サウンド・エフェクト・アルゴリズムのような、1つ以上のデジタル信号処理機能をオーディオ・データに適用するように構成することができる。これに関して、DSP306は、FXモジュール206によって既に処理されているオーディオ・データに対して、更に他のエフェクト機能を実行することもできる。種々の実施形態において、DSP306は、制御モジュール104からのコマンドに応答して、更に他の処理を実行することができる。例えば、制御モジュールは、部屋内におけるその特定の場所に基づいて、スピーカ300の出力を等化する処理機能、所望の室内特性(room profile)をエミュレートする処理機能、1つ以上のエフェクト(たとえば、リバーブ、エコー、ゲート、フランジ(flange)、コーラス等)を追加する処理機能等を適用するように、DSPに命令することができる。先に論じたように、種々の実施形態において、DSP306は、FXモジュール206の全ての機能を含み、実装することができる。全ての機能は、ソフトウェアで定めることができる。これに関して、DSP306は、DSPオーディオ・チャネルを生成することができ、更に処理するために、DSPオーディオ・チャネルを増幅器308に受け渡すことができる。増幅器308は、DSPオーディオ・チャネルを受け取ることができ、DSPオーディオ・チャネルの信号強度を増幅して駆動信号を生成し、スピーカ・ドライバ310に受け渡すことができる。種々の実施形態において、スピーカ・ドライバ310は、駆動信号を増幅器308から受け取り、応答して、駆動信号310をサウンドに変換することができる。
【0043】
[0050] 先に論じたように、そして図4も更に参照すると、ワイヤレス・サラウンド・サウンドに合ったデータ制御方式の模式図が示されている。種々の実施形態において、ユーザ・デバイス112、A/Vソース102、制御モジュール104、およびスピーカ108の各々は、更に、SCPを介して通信するように構成することができる。種々の実施形態において、SCPはネットワーク・レイヤ・プロトコルを備えることができる。種々の実施形態において、システムは、SCPヘッダ404をパケットまたはデータグラム400の先頭に付けることができる。これに関して、SCPヘッダは、物理レイヤ通信プロトコル402(例えば、802.11、802.15等)データと、トランスポート・レイヤ・プロトコル406(例えば、TCP/IP、UDP、DCCP等)データとの間に挿入することができる。システム100のエレメントは、SCPヘッダ404を認識し、関連するSCPメッセージ408を識別するように構成することができる。次いで、このシステムは、SCPメッセージ408に基づいて、種々のアクションまたは命令を実行することができる。
【0044】
[0051] 例えば、SCPは、デバイス(例えば、スピーカ108、制御モジュール104、およびユーザ・デバイス112のような)が、互いに発見する能力、生データの転送を要求する能力、データの受信時に確認を送信する能力、およびデータ送信に伴うステップを実行する能力を定めることができる。SCPは、種々のDSP機能を切り替えるまたは適用するため、電源302を入れるまたは切るため、増幅器308によって出力される信号強度に作用させる(affect)等のために、スピーカ300に対して種々の制御コマンドを定めることができる。種々の実施形態において、SCPは、制御モジュール104が、FXモジュール206および/またはDSP306のエフェクト機能を変更する能力、トランスコード・モジュール204のコードを選択する能力、オーディオ・ソース・データを選択する能力、電源212を入れるまたは切る能力、スピーカ・インターフェース210のインターフェースを割り当てるまたは変更する能力等を定めることができる。これに関して、SCPは、システム100に実装されると、選択した個々のスピーカ(例えば、主スピーカ116)またはスピーカの集合体(例えば、主スピーカ116および副スピーカ118)にオーディオ信号処理機能をデプロイするために、複数のスピーカ300の各々に対するリアル・タイムの個別制御を可能にする。信号処理機能とは、例えば、周波数整形、ダイアログ-エンハンスメント(dialogue-enhancement)、ルーム・モード補正(room mode correction)、エフェクト機能、等化機能、トーン制御、バランス、レベルおよびボリューム制御等のような機能である。これによって、システム100は、スピーカ300のサウンド出力特性の個別制御を可能にする。
【0045】
[0052] 更に図5も参照すると、複数のスピーカ108の内例示的なスピーカ500が示されている。スピーカ500は、スピーカ300と同様の特徴、外形、構造、材料、製造技法、および/または内部コンポーネントを備えるが、PLCモデム512を含む。スピーカ500の電源502は、電力を受け、この電力をスピーカ500の種々のコンポーネントに配電するように構成されている。種々の実施形態において、PLCモデム512は、電源502のモジュールを備えることもできる。更に、スピーカ500は、トランシーバ504、DSP506、増幅器508、およびスピーカ・ドライバ510も備えることがえきる。種々の実施形態において、トランシーバ504は、第2インターフェース110を介して、制御コマンドを制御モジュール104から受信するように構成されている。
【0046】
[0053] PLCモデム512は、例えば、制御モジュール104からスピーカ500にブロードキャストすることができる複数のチャネルのオーディオ情報というような、オーディオ情報を、第4インターフェース120を介して受信するように構成することができる。種々の実施形態において、制御コマンドは、割り当てられたオーディオ情報チャネルに関して、チャネル選択のような、PLCモデムに宛てた命令を含むことができる。PLCモデム512は、チャネル選択に基づいて、複数のオーディオ情報チャネルから、割り当てられたオーディオ情報チャネルを抜き取るように構成することができる。種々の実施形態において、トランシーバ504は、更に、スピーカ500についてのステータス情報および他のデータを制御モジュール104に受け渡すように構成することができる。種々の実施形態において、トランシーバ504はユーザ・デバイス112と直接通信することもできる。
【0047】
[0054] 更に図6を参照すると、種々の実施形態にしたがって、システム100においてオーディオ・データをストリーミングするプロセス600が示されている。このシステムは、例えば、HDMIソースのようなオーディオ・ソース・データ602を、第1インターフェース106を介して受信することができる。オーディオ・ソース・データ602を暗号化することもできる。このシステムは、例えば、解読モジュールまたはアルゴリズム(例えば、HDCP鍵を使用するHDMIデコーダ)によって、オーディオ・ソース・データを解読することができる(ステップ604)。応答して、このシステムは1つ以上の解読データ・ストリームを生成することができる(608)。例えば、オーディオ・ソース・データを、8チャネル・オーディオ・ソース・データにすることもでき、HDMIデコーダの出力を、8チャネル並列I2Sデータ・ストリームにすることもできる。
【0048】
[0055] このシステムは、第1デジタル信号処理(DSP)アルゴリズムを、解読したデータ・ストリームに適用する(ステップ610)。例えば、このシステムはDOLBY ATMOS(商標)処理を適用することができる。この処理は、ステップ604においてデコードした8チャネルのデータから、34チャネルまでのオーディオを生成することができる。第1DSPアルゴリズムを適用したことに応答して、このシステムは複数のオーディオ・データ・チャネル612を生成することができる。種々の実施形態において、このシステムは、追加のDSPアルゴリズム(例えば、第2DSPアルゴリズム、第3DSPアルゴリズム、...、第nDSPアルゴリズム)を複数のオーディオ・データ・チャネルに適用することができる(ステップ614)。ステップ614の更に他の処理には、所望通りの音量、等化、または他のエフェクトを含むことができる。エフェクトは、全てのチャネルに適用することができ、または個々にもしくはグループ毎に、別々に各チャネルに適用することもできる。種々の実施形態において、複数のオーディオ・データ・チャネルの各チャネルは、チャネル特定DSPアルゴリズム(即ち、複数のオーディオ・データ・チャネル毎に1つずつ割り当てられるアルゴリズム)によって処理することができる。これに関して、このシステムは後処理オーディオ・データ(例えば、エフェクトがかけられたデータ)616を生成することができる。後処理オーディオ・データは、複数のスピーカの中の各スピーカと1対1で関連付けられた、複数のオーディオ・ストリームを構成することができる。種々の実施形態において、以下で説明するように、時間基軸生成プロセス628によって生成される時間基軸信号によって供給されるサンプル・レートと一致させるように、サンプル・レートを変換する追加の処理を適用することもできる。
【0049】
[0056] 種々の実施形態において、複数のスピーカに送信するために、後処理オーディオ・データ616をエンコードして、エンコード後処理オーディオ・データ620を生成することができる(ステップ618)。例えば、後処理オーディオ・データ616をイーサネット・データとしてエンコードすることができる。オーディオ・ストリームをパケットにロードし、時間基軸信号によって設定されたサンプル・レートによって決められるレートで送ることができる。エンコード後処理オーディオ・データ620は、送信のために、第4インターフェースに受け渡すことができる(ステップ622)。例えば、H.Gnのようなプロトコルを実装し、電源ケーブル624に結合されたイーザネット型PLCモデムに、イーサネット・エンコード・データを受け渡すことができる。
【0050】
[0057] 種々の実施形態において、このシステムは、電力信号626を電力ケーブル624から受信することができる。電力信号は、50Hzまたは50Hzと60Hzとの間の交流信号にすればよく、または電力ケーブル624上で変調された他の信号でもよい。プロセス628は、電力信号に基づいて時間基軸信号を生成することができる。種々の実施形態において、プロセス628は、位相ロック・ループ回路を備えることができ、所望のサンプル・レートおよびその倍数で、比較的ジッタがない基準周波数を生成する。例えば、プロセス628は、48kHzのサンプル・レート、および256×48kHz,即ち、12.288MHzを、基準クロックまたは時間基軸信号630として、生成することができる。基準クロックまたは時間基軸信号630は、デジタル信号処理を推進するため、ならびにシステム100およびプロセス600の種々のシステムおよびモジュールを駆動するために使用することができる。
【0051】
[0058] 各スピーカにおいて、PLCモデム632は、エンコード・データを受信し、イーサネット・パケット634を抽出することができる。PLCモデム632は、イーサネット・パケット634を、スピーカのプロセッサ636に、更に他の処理のために、受け渡すことができる。プロセッサ636は、対応するスピーカ642に当てられたパケットだけを受け入れることができる。プロセッサ636は、パケットを再現してオーディオ・データ638を生成し、スピーカ642を駆動するように構成されたデジタル入力オーディオ増幅器640に、オーディオ・データ638を受け渡すことができる。種々の実施形態において、オーディオ・データは、I2Sを介して受け渡すことができる。
【0052】
[0059] 本明細書では、具体的な実施形態に関して、効果(benefit)、他の利点、および問題に対する解決策について説明した。更に、本明細書に含まれる種々の図に示す接続線は、種々のエレメント間における代表的な機能関係および/または物理的結合を表すことを意図する。尚、実際のシステムには、多くの代替または追加の機能関係もしくは物理的接続も存在してよいことは、注記してしかるべきである。しかしながら、効果、利点、問題に対する解決策、および何らかの効果、利点、または解決策を生じさせる、あるいは一層顕著にさせることができるエレメントであっても、これらが本開示の肝要な、必須の、または不可欠な特徴もしくはエレメントであると解釈してはならない。
【0053】
[0060] 本開示の範囲は、したがって、添付する特許請求の範囲以外の何ものにも限定されないこととする。特許請求の範囲において、単数形のエレメントに言及するときは、特に「唯一無二」であると明示されないのであれば、そのように意味するのではなく、「1つ以上」を意味することを意図している。更に、「A、B、またはCの内少なくとも1つ」と同様の語句が請求項において使用される場合、この語句は、ある実施形態ではAだけが存在してもよく、ある実施形態ではBだけが存在してもよく、ある実施形態ではCだけが存在してもよく、または1つの実施形態においてエレメントA、B、およびCの任意の組み合わせが存在してもよいこと、例えば、AおよびB、AおよびC、BおよびC、またはAおよびBおよびCが存在してもよいことを意味するように解釈されることを意図している。図全体を通して、異なる部分を示すためには異なる網掛けを使用するが、必ずしも材料が同じであることを示すのでも、異なることを示すのでもない。
【0054】
[0061] 本明細書では、システム、方法、および装置を提供する。本明細書における詳細な説明において、「一実施形態」(one embodiment)、「実施形態」(an embodiment)、「実施形態例」(example embodiment)等に言及するときは、説明する実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含むのはもっともであるが、あらゆる実施形態がその特定の特徴、構造または特性を必ずしも含まなくてもよいことを示す。更に、このような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造、または特性についてある実施形態と関連付けて記載されるとき、明示的に記載されているか否かには関係なく、このような特徴、構造、または特性を他の実施形態と関連付けて実施することは、当業者の知識の範囲内であることを具申する。説明を読んだ後には、どのように本開示を代替実施形態において実現するかについては、当業者には明白であろう。
【0055】
[0062] 更に、本開示におけるエレメント、コンポーネント、または方法ステップは、いずれも、そのエレメント、コンポーネント、または方法ステップが特許請求の範囲において明示的に記載されているか否かには関係なく、公衆に献上される(dedicated to the public)ことは意図していない。請求項のエレメントは、そのエレメントが「~のための手段」(means for)という語句を使用して明示的に記載されていなければ、35U.S.C.112(f)を引き合いに出すことは意図していない。本明細書において使用する場合、「備える」(comprises)、「備えている」(comprising)という用語、またはその他のあらゆる変形は、エレメントのリストを構成するプロセス、方法、品目(article)、または装置が、これらのエレメントを含むだけでなく、明示的には列挙されていない他のエレメント、あるいはこのようなプロセス、方法、品目、または装置に固有の他のエレメントも含むことができるように、非排他的な包含に該当する(cover)ことを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】