(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】プレフィルドパッチ
(51)【国際特許分類】
A61M 35/00 20060101AFI20240927BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61M35/00
A61M37/00 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522428
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 KR2022016123
(87)【国際公開番号】W WO2023068864
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0141091
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0135685
(32)【優先日】2022-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518358859
【氏名又は名称】ラブンピープル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LABNPEOPLE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】チョ,スンヨン
(72)【発明者】
【氏名】クァク,ヨンクォン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA61
4C267AA72
4C267BB31
4C267BB40
4C267CC01
4C267CC05
4C267GG16
4C267GG43
4C267HH08
(57)【要約】
本発明は、皮膚に付着する接着層と、前記接着層上に設けられ、有効成分又は薬物が貯蔵されるカプセルと、前記カプセルに設けられた吐出孔と連結されるハンドルと、を含み、前記ハンドルは、ユーザによって前記カプセルから分離されて前記吐出口を開放させることを特報とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に付着する接着層と、
前記接着層上に設けられ、有効成分又は薬物が貯蔵されるカプセルと、
前記カプセルに形成された吐出口と連結されるハンドルと、を含み、
前記ハンドルは、ユーザによって前記カプセルから分離されて前記吐出口を開放させることを特徴とする、プレフィルドパッチ。
【請求項2】
前記カプセルは、前記接着層よりも皮膚に近接して配置されたまま前記接着層の一面に設けられ、前記接着層が形成する平面積よりも小さい平面積を有することを特徴とする、請求項1に記載のプレフィルドパッチ。
【請求項3】
前記ハンドルの長さ方向の一端部は、前記カプセルに形成された吐出口を遮断し、前記ハンドルの長さ方向の他端部は、前記接着層の外部に露出することを特徴とする、請求項1に記載のプレフィルドパッチ。
【請求項4】
前記吐出口は、多数設けられ、前記ハンドルの一端部は、前記吐出口の個数と対応する個数に分岐することを特徴とする、請求項3に記載のプレフィルドパッチ。
【請求項5】
前記カプセルが形成する平面的よりは大きく、前記接着層が形成する平面的よりは小さい平面積を有したまま前記接着層に付着して設けられるマイクロニードルをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載のプレフィルドパッチ。
【請求項6】
前記マイクロニードルは、
前記接着層に付着する基板部と、
前記基板部に多数形成される担持孔と、
前記担持孔を区画する前記基板部の部位に突設され、皮膚に挿入される挿入針と、を含むことを特徴とする、請求項5に記載のプレフィルドパッチ。
【請求項7】
前記カプセルに形成された吐出口は、前記担持孔と対応することを特徴とする、請求項6に記載のプレフィルドパッチ。
【請求項8】
前記基板部には、
前記カプセルと連結された前記ハンドルの部位が前記カプセル上から分離されるときに、前記ハンドルの移動に干渉しないように案内するガイド領域が形成されることを特徴とする、請求項5に記載のプレフィルドパッチ。
【請求項9】
前記マイクロニードルは、前記吐出口を介して排出された有効成分又は薬物が流動できる経路を提供する担持溝を含み、
前記担持溝は、前記基板部が形成する面積の一部から前記挿入針の端に向かって延設されることを特徴とする、請求項6に記載のプレフィルドパッチ。
【請求項10】
前記担持溝に担持された有効成分又は薬物を前記挿入針の端に案内するスリット溝をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のプレフィルドパッチ。
【請求項11】
前記マイクロニードルは、生体吸収性金属で形成されるものを含み、前記生体吸収性金属は、マグネシウム、カルシウム、亜鉛および鉄のうちの少なくとも一つの成分を含むことを特徴とする、請求項6に記載のプレフィルドパッチ。
【請求項12】
前記接着層の周り領域に付着する離型紙をさらに含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のプレフィルドパッチ。
【請求項13】
前記離型紙は、一対で設けられ、前記接着層の周り領域に付着し、
前記一対の離型紙は、互いに異なる方向に移動して前記接着層から分離され、
前記一対の離型紙のうちのいずれか一つの離型紙は、前記ハンドルに付着することを特徴とする、請求項12に記載のプレフィルドパッチ。
【請求項14】
皮膚に付着する接着層と、
前記接着層に設けられ、有効成分又は薬物が貯蔵されるカプセルと、
前記カプセルと一体に連結されるハンドルと、を含み、
前記ハンドルがユーザによって引っ張られると、前記カプセルは、有効成分又は薬物が吐出できるように切開されることを特徴とする、プレフィルドパッチ。
【請求項15】
前記ハンドルの長さ方向の一端部は、前記カプセルと一体に連結され、前記ハンドルの長さ方向の他端部は、前記接着層の外部に露出されることを特徴とする、請求項14に記載のプレフィルドパッチ。
【請求項16】
前記ハンドルの長さ方向の一端部と直接的に連結される前記カプセルの部位には、切断線又は切り取り線が形成されることを特徴とする、請求項15に記載のプレフィルドパッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に付着して液状の有効成分又は薬物を体内に伝達するように構成されたプレフィルドパッチ(prefilled patch)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、体内に有効成分又は薬物を伝達するための方法としては、薬物を服用する方法や、注射を介して薬物を注入する方法、皮膚を介して薬物を吸収させる方法などがある。
【0003】
これらの方法のうち、経口投与、すなわち、薬物を服用する方法は、頭痛、眠気、めまい、神経症傾向などの中枢神経系副作用と悪心、消化不良、下痢、消化性潰瘍、胃腸管出血、胃腸管穿孔などの深刻な胃腸系関連副作用を起こすことができるため、短期療法のみへの使用が制限されている。
【0004】
また、注射によって薬物を注入する方法は、皮膚を介して針を挿入して体内に薬物を直接注入するので吸収が迅速であるが、専門家によってのみ投与しなければならないという煩わしさがあり(自己投与困難)、一般に直径数mmの針を利用するので、注射するときの痛みにより患者の順応度が良くない。
【0005】
前記副作用及び欠点をなくすために、経皮投与による薬物送達システム(drug delivery system)の開発が盛んに行われている。
【0006】
通常、皮膚を介して吸収させる薬物は、液剤、クリーム剤、ゲル剤などの形態に剤形化されているが、液剤、クリーム剤、ゲル剤は、製剤の特性上、用量調節が困難であり、べたつきや被覆汚染などの問題点がある。
【0007】
そこで、薬物を含むパッチを皮膚に貼り付けて皮膚を介して薬物を吸収させる方法が用いられている。
【0008】
パッチを用いた薬物投与方式は、皮膚を介して薬物が吸収されるので、薬物服用による副作用、例えば、胃腸障害、食餌への影響などを防止することができ、注射時の痛みと不便をなくすことができるため、その便利さにより近年その使用が次第に増加している実情である。
【0009】
パッチは、薬物が通過できない薬物不透過性のバッキング層(backing layer)と、薬物透過性を有する薬物透過膜と、パッチを皮膚に密着させる粘着剤層とを大きく含んで構成でき、薬物が貯蔵される貯蔵空間は、バッキング層と薬物透過膜との間に設けられる。
【0010】
このようなパッチの大きな短所は、皮膚を介した薬物の吸収率が低いため、皮膚の透過障壁としての機能を減少させなければならないという点であるが、一般的にパッチを介した薬物吸収率は約20%程度と知られており、現在まで吸収率向上のための方法として皮膚吸収促進剤の使用や前駆薬物の利用などの化学的方法と、イオン浸透療法や電気泳動法などの物理的方法が知られている。
【0011】
しかし、これらの公知の方法を利用するとしても、薬物吸収率を満足すべきレベルまで向上させるには未だ限界があるので、薬効を期待するためには吸水率を考慮して過多な薬物の使用が不可避である。
【0012】
特に、皮膚吸収促進剤は、使用しようとする製剤の設計形式又は構成成分の物理化学的性質に応じてその種類が決定され、効果を示すためには一定水準以上の濃度が必要であるが、皮膚吸収促進剤を添加する場合、時間経過による結晶生成の防止が容易でなく、付着力及び凝集力などの粘着物性が使用に適さないように変化するという短所がある。
【0013】
また、電気を利用する技術は、パッチが電池、電極、回路及びその他の部品を持たなければならないため、製品の構成が複雑になり、大きさが大きくなって価格が高価であるうえ、使用後に廃棄物が多量に発生するという問題点がある。
【0014】
これにより、有効成分又は薬物の皮膚吸収率を高めるために、有効成分又は薬物を担持した溶融型ポリマーマイクロニードルが開発されたが、薬物担持量が少なく、ポリマーの強度限界のためマイクロニードルの皮膚浸透効率が劣り、皮膚付着時に垂直方向ではなく傾斜面で付着する場合にマイクロニードルが折れてしまうという限界があり、未だ医学的目的には商用化し難いという短所がある。
【0015】
したがって、本出願人は、かかる問題点を解決するために本発明を開発し、これに関連した先行技術文献としては、韓国特許第10-0847222号の「吸収率の増加した相変異皮膚美容パッチ」がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上述した問題点を解決するためのもので、液状の有効成分又は薬物の蒸発を防止して皮膚吸収率を高め、高容量の有効成分又は薬物を貯蔵することができるように構成されたプレフィルドパッチを提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、皮膚に付着した際に、皮膚の曲率により液状の有効成分又は薬物がパッチの外部に漏れることを防止するように構成されたプレフィルドパッチを提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明は、液状の有効成分又は薬物が皮膚に速やかに浸透するように構成されたプレフィルドパッチを提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、液状の有効成分と薬物が貯蔵されたカプセルをユーザが簡便に開放させて薬物を皮膚に排出させることができるように構成されたプレフィルドパッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、皮膚に付着する接着層と、前記接着層上に設けられ、有効成分又は薬物が貯蔵されるカプセルと、前記カプセルに形成された吐出口と連結されるハンドルと、を含み、前記ハンドルは、ユーザによって前記カプセルから分離されて前記吐出口を開放させることができる。
【0021】
また、前記カプセルは、前記接着層よりも皮膚に近接して配置されたまま前記接着層の一面に設けられ、前記接着層が形成する平面積よりも小さい平面積を有することができる。
【0022】
また、前記ハンドルの長さ方向の一端部は、前記カプセルに形成された吐出口を遮断し、前記ハンドルの長さ方向の他端部は、前記接着層の外部に露出することができる。
【0023】
また、前記吐出口は、多数設けられ、前記ハンドルの一端部は、前記吐出口の個数と対応する個数に分岐することができる。
【0024】
また、前記カプセルが形成する平面的よりは大きく、前記接着層が形成する平面的よりは小さい平面積を有したまま前記接着層に付着して設けられるマイクロニードルをさらに含むことができる。
【0025】
また、前記マイクロニードルは、前記接着層に付着する基板部と、前記基板部に多数形成される担持孔と、前記担持孔を区画する前記基板部の部位に突設され、皮膚に挿入される挿入針と、を含むことができる。
【0026】
また、前記カプセルに形成された吐出口は、前記担持孔と対応することができる。
【0027】
また、前記基板部には、前記カプセルに連結された前記ハンドルの部位が前記カプセル上から分離されるときに、前記ハンドルの移動に干渉しないように案内するガイド領域が形成されることができる。
【0028】
また、前記マイクロニードルは、前記吐出口を介して排出された有効成分又は薬物が流動できる経路を提供する担持溝を含み、前記担持溝は、前記基板部が形成する面積の一部から前記挿入針の端に向かって延設されることができる。
【0029】
また、前記担持溝に担持された有効成分又は薬物を前記挿入針の端に案内するスリット溝をさらに含むことができる。
【0030】
また、前記マイクロニードルは、生体吸収性金属で形成されるものを含み、前記生体吸収性金属は、マグネシウム、カルシウム、亜鉛および鉄のうちの少なくとも一つの成分を含むことができる。
【0031】
また、前記接着層の周り領域に付着する一対の離型紙をさらに含み、前記一対の離型紙は、互いに異なる方向に移動して前記接着層から分離され、前記一対の離型紙のうちのいずれか一方は、前記ハンドルに付着することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチは、皮膚に付着した接着層の内部でカプセルが有効成分又は薬物を吐出させる構成を持つため、有効成分又は薬物が蒸発する現象を防止し、皮膚と持続的に接触するようにして皮膚吸収率を高めることができる。
【0033】
また、本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチは、接着層とカプセルの下部側にマイクロニードルを備えるので、カプセルに貯蔵された有効成分又は薬物をマイクロニードルを介して皮下に容易に伝達するとともに皮膚を刺激して有益な効果を提供することができる。
【0034】
また、本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチは、挿入針に形成された担持溝及びスリット溝を介して、担持孔に貯蔵された有効成分又は薬物、或いは基板部の表面に留まる有効成分又は薬物を皮下に伝達させる構成を提供するので、有効成分又は薬物を皮下に速やかに浸透及び拡散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチの斜視図である。
【0036】
【
図2】
図1に示されたプレフィルドパッチが皮膚に付着した状態を示す断面図である。
【0037】
【
図3】本発明の一実施形態によるカプセルとハンドルとの結合関係を示す斜視図である。
【0038】
【
図4】本発明の一実施形態によるカプセルの底部に多様な形態の吐出孔が形成された様子を示す底面図である。
【0039】
【
図5】本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチにマイクロニードルが設けられた状態を底部から見た斜視図である。
【0040】
【
図6】
図5に示されたプレフィルドパッチの平面図である。
【0041】
【
図7】
図5に示されたプレフィルドパッチが皮膚に付着した状態を示す断面図である。
【0042】
【
図8】
図5に示されたマイクロニードルの平面図である。
【0043】
【
図9】本発明の一実施形態によるマイクロニードルの挿入針を正面から見た図である。
【0044】
【0045】
【
図11】本発明の一実施形態による挿入針が皮膚中に挿入された状態を示す断面図である。
【0046】
【
図12】接着層の厚さと有効成分量による有効成分の吐出有無及び漏出有無を示す実験結果表である。
【0047】
【
図13】本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチに離型紙が設けられた状態を示す平面図である。
【0048】
【
図14】本発明の一実施形態によるハンドルがカプセルと一体に連結された状態を示す斜視図である。
【0049】
【
図15】
図14に示されたハンドルが矢印方向に引っ張られる様子を示す斜視図である。
【0050】
【
図16】
図14に示されたハンドルがカプセルから完全に分離された状態を示す斜視図である。
【0051】
【
図17】
図16に示された離型紙が除去された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の利点および特徴、ならびにそれらの達成方法は、添付図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると明らかになるであろう。
【0053】
しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現されるものであり、但し、本実施形態は、本発明の開示を完全たるものにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0054】
以下、
図1~
図16を参照して、本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチを詳細に説明する。本発明を説明するにあたり、関連する公知の機能或いは構成についての具体的な説明は、発明の要旨を不明確にするために省略される。
【0055】
図1は、本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチの斜視図、
図2は、
図1に示されたプレフィルドパッチが皮膚に付着した状態を示す断面図、
図3は、本発明の一実施形態によるカプセルとハンドルとの結合関係を示す斜視図、
図4は、本発明の一実施形態によるカプセルの底部に多様な形態の吐出孔が形成された様子を示す底面図、
図5は、本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチにマイクロニードルが設けられた状態を底部から見た斜視図、
図6は、
図5に示されたプレフィルドパッチの平面図、
図7は、
図5に示されたプレフィルドパッチが皮膚に付着した状態を示す断面図、
図8は、
図5に示されたマイクロニードルの平面図、
図9は、本発明の一実施形態によるマイクロニードルの挿入針を正面から見た図、
図10は、
図9に示された挿入針の斜視図、
図11は、本発明の一実施形態による挿入針が皮膚中に挿入された状態を示す断面図、
図12は、接着層の厚さと有効成分量による有効成分の吐出有無及び漏出有無を示す実験結果表、
図13は、本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチに離型紙が設けられた状態を示す平面図、
図14は、本発明の一実施形態によるハンドルがカプセルと一体に連結された状態を示す斜視図、
図15は、
図14に示されたハンドルが矢印方向に引っ張られる様子を示す斜視図、
図16は、
図14に示されたハンドルがカプセルから完全に分離された状態を示す斜視図、
図17は、
図16に示された離型紙が除去された状態を示す斜視図である。
【0056】
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチ100は、皮膚に付着する接着層110と、前記接着層110上に設けられ、有効成分又は薬物が貯蔵されるカプセル120と、前記カプセル120に形成された吐出口121と連結されるハンドル130と、を含むことができる。
【0057】
前記接着層110は、身体の多様な部位に付着できるように、その周り部が曲率を有することができ、多様な大きさと平面形態を有することができる。また、接着層110は、人体に無害であり、伸縮性を有する素材で製作できる。
【0058】
すなわち、接着層110が付着するユーザの皮膚は、完全平らな状態ではなく、曲率を有するため、これに対応してその周り部が曲線形態を有することが好ましい。また、曲率を有する皮膚に付着した接着層110がユーザの動きに応じて圧力を受けるため、その圧力によって、有効成分又は薬物が貯蔵されたカプセル120から自然に有効成分又は薬物が皮膚に吐出されることができる。
【0059】
接着層110の一面には、公知の接着性物質がコーティング又は塗布できる。ちなみに、接着層110の一面は皮膚と直接接触する部分であり、接着層の他面は外部に向かう面であると言える。
【0060】
したがって、接着層110の一面は、離型紙(図示せず)に付着した状態をなしてから、ユーザによって使用されるときに離型紙から分離されて皮膚に付着することができる。
【0061】
前記カプセル120は、前記接着層110よりも皮膚に向かって近接するように配置され、パウチ形状を有したまま接着層110の一面に設けられることができる。
【0062】
また、カプセル120は、有効成分又は薬物が貯蔵できる内部空間を提供し、接着層110の平面積よりも小さい平面積を有することができる。
【0063】
参考までに、接着層110とカプセル120は、軟性を有する薄膜フィルム又はポリマー素材で製作されることができ、ユーザが内部を肉眼で確認することができるように透明素材で製作されることが好ましい。
【0064】
図3及び
図4に示すように、皮膚と対向するカプセル120の一面には吐出口121が形成される。吐出口121は、カプセル121の内部空間に貯蔵された有効成分又は薬物を皮膚に向かって排出させる役割を果たし、カプセル120の一面に少なくとも一つ設けられることができる。
【0065】
本発明の一実施形態では、カプセル120の一面に一対の吐出口121が互いに間隔を置いて形成されることが図面上に示されている。
【0066】
また、吐出口121は、
図4に示すように、円形、十字形、一字形、円形の形状をすることができ、後述するハンドル130によって遮断できる。
【0067】
前記ハンドル130は、
図1~
図3に示すように、カプセル120に形成された吐出口121を遮断する役割を果たし、かつ、ユーザからカプセル120の一面から分離されて吐出口121を開放させる役割を果たす。
【0068】
すなわち、ハンドル130の長さ方向の一端部は、前記カプセル120に形成された吐出口121を遮断し、ハンドル130の長手方向の他端部は、接着層110の外部に露出することができる。
【0069】
ユーザが接着層の外部に露出したハンドル130の長手方向の他端部を引っ張ると、ハンドル130の長さ方向の一端部がカプセル120の一面から分離されて接着層110の外部に離脱することができる。すると、カプセル120の一面に形成された吐出口121が開放され、カプセル120の内部空間に貯蔵された有効成分又は薬物が皮膚に向かって吐出されることができる。
【0070】
カプセル120の内部空間から放出された有効成分又は薬物は、接着層110の付着している皮膚領域全体に拡散して皮膚に吸収されることができる。
【0071】
ちなみに、カプセル120に貯蔵される有効成分又は薬物は、疾病の予防と治療を目的とする成分を含んでおり、これに限定されず、遺伝子物質、皮膚美容のためのEGF(Epidermal Growth Factor:上皮細胞成長因子)又はヒアルロン酸(Hyaluronic acid)であってもよい。
【0072】
ハンドル130の一端部は、
図1及び
図3に示すように、吐出口121の個数と対応する個数に分岐することができる。本発明の一実施形態では、一対の吐出口121が対応して形成されたハンドル130の一端部が二股に分かれており、これにより、ハンドル130が全体的に「Y」字状を有することが図面上に示されている。
【0073】
一方、ハンドル130は、ユーザが引っ張ったとき、カプセル120から容易に分離できるように、相対的に接着層110とカプセル120との接着強度よりも低い接着強度を持っている。また、ハンドル130の長さ方向の一端部は、接着方式又は熱融着方式でカプセル120の一面に付着するので、ハンドル130の引張強度を、吐出口121の周辺部に形成された接着強度よりも大きく設定することにより、ユーザがハンドル130を引っ張ったときにハンドル130の長手方向の部位が切れてしまう現象が防止できる。そして、カプセル120の引張強度は、ハンドル130と吐出口との接着強度よりも当然に大きいといえる。
【0074】
したがって、ユーザは、
図2に示すように、接着層110が皮膚に付着すると、接着層110の外部に露出したハンドル130の長手方向の他端部を引っ張ってカプセル120の底部から容易に分離することができる。
【0075】
上述したような状態でユーザが接着層110をもう一度皮膚に密着させると、カプセル120から吐出された有効成分又は薬物が、接着層110が形成する領域の外側に漏出せずに皮膚に吸収できる。
【0076】
特に、
図2の(b)に示すように、接着層110が屈曲のある皮膚に付着すると、カプセル120が屈曲のある皮膚表面形態に対応しながら内部圧力が上昇するため、前記内部圧力によって吐出口121が開放されることにより、貯蔵していた薬物又は有効成分が自然に皮膚に伝達できる。
【0077】
したがって、本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチ100は、屈曲のある皮膚に対応して接着層110とカプセル120が変形するため、予め設定された皮膚上で遊動せずに密着した状態を維持することができ、ユーザが別途の圧力をカプセル120に付加しなくても身体の動きによる皮膚変形によってカプセル120が圧力の提供を受けて薬物又は有効成分を皮膚に容易に吐出することができる。
【0078】
また、本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチ100は、
図5~
図10に示すように、カプセル120が形成する平面的よりは大きく、接着層110が形成する平面的よりは小さい平面積を有したまま、前記接着層110の一面に付着して設けられるマイクロニードル200をさらに含むことができる。
【0079】
前記マイクロニードル200は、接着層110に付着する基板部210と、前記基板部210に多数形成される担持孔220と、前記担持孔220を区画する前記基板部210の部位に突設され、皮膚に挿入される挿入針230と、を含むことができる。
【0080】
基板部210は、所定の面積と厚さを有する薄い薄板の形状を有することができ、前述したように、接着性物質がコーティング又は塗布された接着層110の一面に設けられることができる。正確には、
図7に示すように、接着層110とカプセル120の下部側に配置できる。
【0081】
基板部210は、付着しようとする皮膚部位に対応して多様なサイズ及び形状に製作でき、屈曲のある皮膚と気密に接触することができるように多様な曲率をもって形成できる。ちなみに、本発明の一実施形態では、基板部210が接着層110の形状と同一の形状を有することが図面上に示されている。
【0082】
担持孔220は、プレスを用いた成形方式、又はレーザーを用いたカッティング装置を利用して基板部210に形成されることができ、基板部210の表面上に間隔を置いて多数設けられることができる。
【0083】
担持孔220は、円形又は正多角形の形状に基板部110に設けられることができ、基板部110の構造的耐久性を高めるために、正六角形の形状に形成されることが好ましい。
【0084】
担持孔220が正六角形の形状に形成される場合、基板部210はハニカム(honeycomb)構造を有することができる。
【0085】
ハニカム構造を有する基板部210は、担持孔220の内側に横たえられた状態で配置された挿入針230を垂直方向に立てるためにプレスで加圧するときに、多数の担持孔220の間に配置された基板部210の部位がプレスの加圧片に影響されて変形又は破損する現象を防止することができる。
【0086】
より具体的には、プレスの可動金型に設けられた加圧片が担持孔220に挿入される過程で横たえられた状態で配置された挿入針230を加圧して垂直方向に折曲させるが、この際、多数の担持孔220の間に配置された基板部210の部位が前記加圧片に影響されて変形又は破損するおそれがある。
【0087】
しかし、本発明の一実施形態によるマイクロニードル200は、担持孔220を正六角形の形状に設けて基板部210をハニカム構造で形成することができるため、基板部210の全体的な強度を増加させてプレスを用いた作業工程上における基板部210の変形又は破損を防止することができる。
【0088】
上述したように構成された担持孔220は、カプセル120の吐出口121を介して吐出された有効成分又は薬物が貯蔵できる空間を提供する。すなわち、吐出口121を介して吐出された有効成分又は薬物は、基板部210の平面領域に沿って拡散して担持孔220に貯蔵されることができる。
【0089】
また、担持孔220は、カプセル120に形成された吐出口121と対応する位置に形成されることが好ましい。すなわち、カプセル120の一面からハンドル130が分離されると、吐出口121を介して有効成分又は薬物が円滑に吐出されて拡散するように、担持孔220と吐出口121は互いに対応する位置に形成されることが好ましい。
【0090】
また、担持孔220は、基板部210に付着した接着層110が皮膚とさらに付着できるようにする役割も果たす。言い換えれば、担持孔220と対応する位置に配置された接着層110は、担持孔220を介して皮膚と付着することもできる。
【0091】
基板部210が皮膚と密着すると、基板部210と接触していない接着層110の周り領域のみ皮膚に付着するため、基板部210が皮膚上で遊動することがある。しかし、基板部210には多数の担持孔220が形成されるため、これらの担持孔220を通過して接着層110の接着面が皮膚に付着することができる。よって、ユーザが身体を動かしても基板部210が最初の付着部位に固定的に配置できる。
【0092】
一方、基板部210は、
図7に示すように、接着層110が皮膚に付着すると、皮膚と密着した状態をなすため、ハンドル130を分離する過程でハンドル130の移動に干渉しないことが好ましい。
【0093】
したがって、基板部210には、
図8に示すように、ハンドル130の形状と対応するガイド領域240が設けられることが好ましい。
【0094】
前記ガイド領域240は、カプセル120に連結されたハンドル130の長手方向の一端部がカプセル120上から分離されるときに、ハンドル130の移動に干渉しないようにハンドル130の移動経路を提供する。よって、ユーザが、カプセル120に貯蔵された有効成分又は薬物を吐出させるためにハンドル130を引っ張ると、ハンドル130は、基板部210に形成されたガイド領域240に沿って移動するため、基板部210に妨害されることなく容易に移動してカプセル120上から容易に分離できる。
【0095】
前記挿入針230は、担持孔220が正多角形の形状に形成された場合に、
図10に示すように、担持孔220を区画する基板部210の内側辺部の中央に設けられることができる。
【0096】
もし、挿入針230が担持孔220を区画する基板部210の内側頂点部位に設けられると、水平方向に横たえられていた挿入針230を折曲させる作業過程(プレスによる加圧工程)で挿入針230が折れるおそれがある。よって、挿入針230が折れることを防止するために、担持孔220を区画する基板部210の内側辺部の中央に挿入針230を設けることが好ましい。
【0097】
挿入針230は、担持孔220に貯蔵された有効成分又は薬物、或いは、基板部210の表面に伝達された有効成分又は薬物が皮膚中に浸透できるようにする。
【0098】
図7に示すように、接着層110が皮膚に付着すれば、多数の挿入針230は皮下に挿入され、この過程でカプセル120に貯蔵された有効成分又は薬物が多数の挿入針230を介して皮下内に伝達できる。
【0099】
本発明の一実施形態では、挿入針230が担持孔220を基準として一定パターンを置いて多数配置されているため、吐出口121を介して吐出された有効成分又は薬物が多数の挿入針230によって皮下に均一に伝達できる。
【0100】
また、本発明の一実施形態によるマイクロニードル200は、
図9~
図11に示すように、吐出口121を介して排出された有効成分又は薬物が流動できる経路を提供する担持溝231をさらに含むことができる。
【0101】
前記担持溝231は、基板部210が形成する面積の一部から挿入針230の端に向かって延び、基板部210と挿入針230に所定の深さを持ったまま形成されることができる。
【0102】
基板部210に形成された担持溝231の部位は、基板部210の表面に拡散した有効成分又は薬物を挿入針230に伝達する役割を果たす。
【0103】
すなわち、カプセル120の吐出口121が開放されると、カプセル120に貯蔵された有効成分が、薬物が、基板部210が形成する平面領域に拡散するので、このとき、拡散した有効成分又は薬物は、担持孔220が形成された方向に流動して担持孔220に貯蔵されるか、或いは前記担持孔220が設けられていない基板部210の表面領域に留まる。
【0104】
このとき、基板部210に形成された担持溝231の部位は、
図11に示すように、担持孔220の表面領域に溜まった有効成分又は薬物を挿入針230に伝達する役割を果たす。
【0105】
挿入針230に形成された担持溝231の部位は、
図11に示すように、担持孔220に貯蔵された有効成分又は薬物を皮下に伝達する役割を果たし、また、基板部210に形成された担持溝231から伝達された有効成分又は薬物の伝達を受けて皮下に伝達する役割を果たす。
【0106】
すなわち、挿入針230が皮膚に挿入されると、皮下組織の収縮力によって挿入針230と皮下との間に隙間が形成されないため、有効成分又は薬物が浸透し難い。本発明の一実施形態による担持溝230は、皮膚の収縮力を考慮して設けられた構成要素であり、カプセル120から吐出された有効成分又は薬物が皮下に既に挿入された挿入針230に流動するようにして、皮下に有効成分又は薬物を容易に伝達することができるようにする。
【0107】
前記担持溝231は、基板部210と挿入針230の一面及び他面にそれぞれ形成されることが好ましい。
【0108】
なぜなら、基板部210の一面及び他面に留まる有効成分又は薬物、および、担持孔220に貯蔵された有効成分又は薬物を皮下に効率よく伝達するためには、いずれか一つの表面に担持溝231を形成するよりも、両側の表面にそれぞれ担持溝231を形成することがさらに効率的であるからである。
【0109】
例えば、基板部210の他面と挿入針230の他面にのみ担持溝231が形成されると、基板部210の一面側に留まる有効成分又は薬物が流動しうる経路が形成されないため、基板部210の一面に持続的に留まり、結局、皮膚に吸収されないか或いは皮下に浸透しない現象が発生する。
【0110】
また、挿入針230の一面と対向する皮下部位にも有効成分又は薬物が全く伝達されないため、有効成分又は薬物による効果が半減する現象が発生する。ここで、基板部210の一面は、皮膚と対向して皮膚に直接接触する面であるといえる。
【0111】
したがって、基板部210の一面に流動して留まる有効成分又は薬物を皮下に容易に伝達する側面では、
図11に示すように、担持溝231を基板部210と挿入針230の一面及び他面にそれぞれ形成することが好ましい。すると、有効成分又は薬物が、
図11に示された矢印A方向及び矢印B方向に流動しながら、挿入針230の一面及び他面とそれぞれ対向する皮下領域に効果的に伝達できる。
【0112】
また、本発明の一実施形態によるマイクロニードル200は、
図9~
図11に示すように、前記担持溝231に担持された有効成分又は薬物を前記挿入針230の端に案内するスリット溝232をさらに含むことができる。
【0113】
前記スリット溝232は、前述したように、担持溝231に貯蔵された有効成分又は薬物が挿入針230の先端を経由して皮下に容易に流動できるようにする。
【0114】
前記担持溝231は、
図11に示すように、挿入針230の端を介して有効成分又は薬物が排出できるようにし、その長さ方向の一端は、前記挿入針230に形成された担持溝231と連通可能に連結され、長さ方向の他端は、挿入針230の端と連結されることができる。
【0115】
したがって、担持溝231に流動した有効成分又は薬物は、スリット溝232を経由して挿入針230の端に排出されることができる。
【0116】
言い換えれば、挿入針230の一面及び他面にそれぞれ形成された担持溝231は、対向する皮下領域に有効成分又は薬物を伝達するのに対し、スリット溝232に流動した薬物は、挿入針230の端と対向する皮下領域に有効成分又は薬物を伝達する役割を果たす。
【0117】
したがって、担持溝231とスリット溝232によって有効成分又は薬物が皮下に均一に伝達されることができる。
【0118】
ちなみに、基板部210に形成される担持孔220、挿入針230、担持溝231及びスリット溝232は、公知のリソグラフィ(Lithography)又はエッチング(Etching)技法によって前記基板部210上で形成されることができる。
【0119】
また、基板部210と挿入針230は、生体吸収性金属として活用されるマグネシウム、カルシウム、亜鉛および鉄のうちの少なくとも一つの成分を含む金属で製作されることができる。
【0120】
参考までに、生体吸収性金属は、整形外科用インプラントに応用するためにマグネシウムを基盤とする合金が製作されて国内外で商用化された事例があり、整形外科用インプラントに適用された生体吸収性金属は、安全な骨折固定のために体内で分解速度を最大限下げるか或いは耐食性を向上させることに焦点が合わせられている。
【0121】
しかし、本発明の一実施形態によるマイクロニードル200を形成する生体吸収性金属は、整形外科用に適用された生体吸収性金属とは異なり、体内で分解速度を加速化して皮下で薬物放出と共にミネラル供給が可能なメカニズムが適用できる。
【0122】
例えば、生体吸収性金属として活用されるマグネシウム、カルシウム、亜鉛は、体内の水と反応して水素ガスを放出し、分解されるメカニズムを保有することができる。
【0123】
上述した生体吸収性金属で形成された基板部210と挿入針230は、皮下でイオン及び分解産物を放出し、その副産物により生成される水素ガスが皮下内で膨潤効果を提供してシワ改善効果も誘導することができる。
【0124】
併せて、生体吸収性金属の構成成分であるマグネシウムと亜鉛が生体内に挿入されて生成される副産物であるZnOとMgClは、皮下に留まりながら基板部210と挿入針230に担持された有効成分又は薬物が皮下に吸収されることを向上させる薬物送達強化剤(enhancer)の役割も果たすことができる。したがって、生体吸収性金属で形成された前記基板部210と挿入針230は、それ自体に担持している薬物を皮下に効果的に伝達することができる。
【0125】
参考までに、
図12には、接着層110の厚さとカプセル120に貯蔵される有効成分量に応じて有効成分の皮膚伝達有無および漏出有無を確認する実験結果表が示されている。
【0126】
図12に示すように、接着層の厚さを0.5mm、1mm、2mmに設定し、カプセル120に貯蔵される有効成分量を0.01ml/cm
2、0.005ml/cm
2、0.01ml/cm
2、1ml/cm
2、3ml/cm
2に設定したとき、カプセル120に貯蔵された有効成分の皮膚伝達有無と漏出有無を確認することができる。
【0127】
実験結果表の試料1に示すように、接着層110の厚さが0.5mmであり、カプセル120に貯蔵された有効成分量が0.01ml/cm2である場合には、カプセル120から皮膚に有効成分が吐出されることを確認することができた。しかし、カプセル120から吐出された有効成分が接着層110の外部に漏出する現象が発生した。
【0128】
実験結果表の試料2に示すように、接着層110の厚さが1mmであり、カプセル120に貯蔵された有効成分量が0.005ml/cm2である場合には、カプセル120から皮膚に有効成分が吐出されないことを確認することができた。
【0129】
実験結果表の試料3に示すように、接着層110の厚さが1mmであり、カプセル120に貯蔵された有効成分量が0.01ml/cm2である場合には、カプセル120から皮膚に有効成分が吐出されることを確認することができるとともに、カプセル120から吐出された有効成分が接着層110の外部に漏出しないことを確認することができた。
【0130】
実験結果表の試料4に示すように、接着層110の厚さが1mmであり、カプセル120に貯蔵された有効成分量が1ml/cm2である場合には、カプセル120から皮膚に有効成分が吐出されることを確認することができるとともに、カプセル120から吐出された有効成分が接着層110の外部に漏出しないことを確認することができた。
【0131】
実験結果表の試料5に示すように、接着層110の厚さが1mmであり、カプセル120に貯蔵された有効成分量が3ml/cm2である場合には、カプセル120から皮膚に有効成分が吐出されることを確認することができた。しかし、カプセル120から吐出された有効成分が接着層110の外部に漏出する現象が発生した。
【0132】
実験結果表の試料6に示すように、接着層110の厚さが2mmであり、カプセル120に貯蔵された有効成分量が1ml/cm2である場合には、カプセル120から皮膚に有効成分が吐出されることを確認することができるとともに、カプセル120から吐出された有効成分が接着層110の外部に漏出しないことを確認することができた。
【0133】
実験結果表の試料7に示すように、接着層110の厚さが2mmであり、カプセル120に貯蔵された有効成分量が3ml/cm2である場合には、カプセル120から皮膚に有効成分が吐出されることを確認することができた。しかし、カプセル120から吐出された有効成分が接着層110の外部に漏出する現象が発生した。
【0134】
実験結果表から確認できるように、接着層110の厚さが小さければ、皮膚との接着力が低下して有効成分が漏出しうる隙間が形成されるので、カプセル120から吐出された有効成分が接着層110の外部に漏出する現象が発生した。
【0135】
また、カプセル120に貯蔵される有効成分量が大きいほど、カプセル120から吐出された有効成分が接着層110の外部に漏出する現象が発生した。
【0136】
したがって、接着層110の厚さとカプセル120に貯蔵される有効成分量を最適に設定することが好ましく、より好ましくは、接着層110の厚さを1mm~2mmに設定し、カプセル120に貯蔵される有効成分量を0.01ml/cm2~2ml/cm2に設定したとき、カプセル120に貯蔵された有効成分が皮膚に容易に伝達されるとともに、外部に漏出する現象も防止することができる。
【0137】
また、本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチ100は、
図13に示すように、一対の離型紙141、142をさらに含むことができる。
【0138】
離型紙141、142は、基板部210と接触していない接着層110の周り領域に付着することができ、折り畳み線Lを基準として接着層110から分離されることができる。
【0139】
例えば、一側の離型紙141は、折り畳み線Lを基準として接着層110から矢印A方向に分離され、他側の離型紙142は、折り畳み線を基準として接着層110から矢印B方向に分離されることができる。
【0140】
一方、他側の離型紙142は、ハンドル130と連結されることができる。前記他側の離型紙142は、カプセル120に形成された吐出口121を遮断するハンドル130を含む面積を有したまま、接着層110の周り領域に付着することができ、このとき、ハンドル130の長さ方向の一端部位及び他端部位に付着することができる。
【0141】
すなわち、他側の離型紙142は、カプセル120と重ならないハンドル130の長手方向部位に付着することができる。
【0142】
したがって、ユーザが接着層110上から他側の離型紙141を矢印B方向に分離させると、ハンドル130が他側の離型紙141と共に接着層110から分離されることができる。すると、カプセル120の吐出口121が開放されながら皮膚に伝達される。
【0143】
以下、本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチの製造方法を例に挙げて説明する。
【0144】
本発明の一実施形態によるプレフィルドパッチの製造方法は、カプセル120に吐出口121を穿設する第1ステップと、前記第1ステップで形成された吐出口121にハンドル130を接合させる第2ステップと、前記第2ステップで形成されたカプセル120に薬物又は有効成分を充填した後、密封させる第3ステップと、接着層110の周り部に離型紙141、142を付着させる第4ステップと、前記第4ステップで離型紙141、 142に直接付着していない接着層110の中央部位に、前記第3ステップで密封されたカプセル120を付着させる第5ステップと、前記第5ステップを完了した前記接着層110にマイクロニードル200の基板部210を付着させる第6ステップと、を含むことができる。
【0145】
まず、第1ステップでは、カプセル120を構成する第1フィルムおよび第2フィルムのうちのいずれか一つに吐出口121を形成する過程であるといえる。第1フィルムと第2フィルムは、薬物又は有効成分が収容できる空間を提供する構成要素であり、後述する第3ステップでシールされる。参考までに、カプセル120に孔を形成して吐出口121を設ける方式は、公知の様々な穿孔方式が使用できる。
【0146】
第2ステップでは、吐出口121が形成されたカプセル120のフィルム部位にハンドル130の長手方向の端ブを接合させることができる。
【0147】
第3ステップでは、カプセル120の第1フィルムと第2フィルムによって形成された内部空間に薬物又は有効成分を充填させることができる。このとき、第1フィルムと第2フィルムの一側部位は、既にシールされた状態となることが好ましい。そして、薬物又は有効成分が充填されると、第1フィルムと第2フィルムの他側部位が最終的にシールされて密封状態をなすことができる。
【0148】
第4ステップは、接着層110と離型紙141、142とを結合させるステップであるといえる。具体的には、接着層110が形成する全体面積のうち、一面の縁領域に離型紙141、142を付着させるステップであるといえる。実質的に、接着層110の縁領域がその他の構成要素に干渉せずに皮膚と直接的に接触する部分であるので、その部位の接着性を維持させるために離型紙141、142が付着することが好ましい。
【0149】
第5ステップでは、離型紙141、142に付着していない接着層110の中央部に、ハンドル130が連結されたカプセル120を付着させることができる。このとき、吐出口121が形成されていないカプセル120のフィルムは、接着層110の接着面と対向するように配置されたまま前記接着面に付着し、吐出口121が形成されたカプセル120のフィルムとハンドル130は、その反対側に位置する。
【0150】
第6ステップは、選択的に行われる工程であって、前述したマイクロニードル200を接着層110の接着面に付着させるステップであるといえる。すなわち、マイクロニードル200が持つ本来的な機能と、カプセル120に貯蔵された薬物又は有効成分の皮下伝達効果を実現するために、前記第6ステップが行われることができる。
【0151】
前記第6ステップで製造されたプレフィルドパッチは、最終的に包装されて出荷できる。
【0152】
これまで本発明による具体的な実施形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変形が可能であるのはもちろんである。
【0153】
例えば、カプセル120の内部空間には、生体吸収性金属で構成されたマイクロニードル200と反応して基板部210又は挿入針230の色を変化させる成分が貯蔵されてもよい。
【0154】
したがって、マイクロニードル200の変色度合いに応じてユーザの体状態をチェックすることもでき、また、試薬を用いて各種ウイルスや疾病感染の有無を診断するパッチにも使用することができる。
【0155】
また、
図14~
図17に示すように、ハンドル130は、カプセル120と一体に連結されることができる。ちなみに、
図14には、ユーザの皮膚と対向するプレフィルドパッチ100の一面の部位が示されている。
【0156】
図14に示すように、ハンドル130の長さ方向の一端部は、カプセル120と一体に連結されることができる。
【0157】
そして、
図15及び
図16に示すように、ユーザによって接着層110の外側に露出したハンドル130の長手方向の他端部が引っ張られてカプセル120上から分離されると、前記ハンドル130の長手方向の一端と一体に連結されていた前記カプセル120の部位が切開されることができる。
【0158】
図16及び
図17に示すように、ハンドル130が分離されながら発生したカプセル120の切開部位が有効成分又は薬物を吐出させる吐出口の役割を果たすので、前記カプセル120に別途の吐出口を形成する必要がない。また、カプセル120を製造する過程でハンドル130が形成されるので、別途にハンドル130を製造した後、カプセル120にハンドル130を接合させる工程も省略することができる。
【0159】
一方、ハンドル130は、ユーザが引っ張ったとき、その長手方向の一端部がカプセル120から容易に取り外されることが好ましい。したがって、前記ハンドル130の長手方向の一端部と直接的に連結される前記カプセル120の部位は、相対的に残りの部位よりも低い強度を有することができる。
【0160】
或いは、前記ハンドル130の長手方向の一端部と直接的に連結されるカプセル120の部位には、切断線又は切り取り線が形成されてもよい。よって、ユーザがハンドル130の長手方向の他端部を引っ張ると、前記ハンドル130の長さ方向の一端部は、切断線(cutting line)又は切り取り線によってカプセル120上から容易に取り外されることができる。
【0161】
参考までに、切断線又は切り取り線は、ハンドル130の長手方向の一端部と直接的に連結されるカプセル120の部位において、前記ハンドル130の分離方向に沿って形成される溝からなることができ、前記溝は、一つ又は複数個で前記ハンドル130と前記カプセル120との連結部位に形成されることができる。
【0162】
そして、切断線又は切り取り線をなす溝は、レーザーを用いた公知のハーフカット工程、又はブレード形成工程によって形成できる。
【0163】
したがって、本発明の範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明は、医療分野や皮膚美容分野などの多様な産業分野で販売されて使用できる。
【国際調査報告】