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特表2024-536527アンテナ特性が向上した金属ICカード、及び金属ICカードの製造方法
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  • 特表-アンテナ特性が向上した金属ICカード、及び金属ICカードの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】アンテナ特性が向上した金属ICカード、及び金属ICカードの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522553
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 KR2022018472
(87)【国際公開番号】W WO2023090975
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0160987
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519035218
【氏名又は名称】コナ エム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヨンフン
(72)【発明者】
【氏名】ナム キスン
(72)【発明者】
【氏名】キム ドング
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA04
5J047EF02
(57)【要約】
本発明は、無線ICチップが搭載され、金属ボディを含む無線ICカードであって、前記金属ボディに開口形成され、前記無線ICチップを収容するICチップ収容部と、前記ICチップ収容部の一側から前記金属ボディの外縁方向に切開して形成されるスリット部と、前記金属ボディの下面に形成され、前記無線ICチップと電気的に接続されるアンテナと、を含み、前記アンテナは、1つ以上のアンテナパターンが前記ICチップ収容部を中心に巻回されるように形成され、第1パターンの一端が前記スリット部と所定の第1距離だけ隣接した前記金属ボディの第1接合位置に電気的に接続されることにより、前記アンテナの巻回方向に連続する方向に延長形成され、前記第1接合位置は、前記スリット部が備えられた金属ボディの少なくとも一部が前記第1パターンの巻回を構成するように予め設定された位置である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ICチップが搭載され、金属ボディを含む無線ICカードであって、
前記金属ボディに開口形成され、前記無線ICチップを収容するICチップ収容部と、
前記ICチップ収容部の一側から前記金属ボディの外縁方向に切開して形成されるスリット部と、
前記金属ボディの下面に形成され、前記無線ICチップと電気的に接続されるアンテナと、を含み、
前記アンテナは、1つ以上のアンテナパターンが前記ICチップ収容部を中心に巻回されるように形成され、第1パターンの一端が前記スリット部と所定の第1距離だけ隣接した前記金属ボディの第1接合位置に電気的に接続されることにより、前記アンテナの巻回方向に連続する方向に延長形成され、
前記第1接合位置は、前記スリット部が備えられた金属ボディの少なくとも一部が前記第1パターンの巻回を構成するように予め設定された位置である、金属ボディを含む無線ICカード。
【請求項2】
前記アンテナの第2パターンの一端は、前記第1接合位置から前記スリット部を中心に前記第1距離だけ離隔して、前記第1接合位置と互いに対向する隣接位置に形成された第2接合位置に電気的に接続される、請求項1に記載の金属ボディを含む無線ICカード。
【請求項3】
前記第1パターンの他端は前記無線ICチップの第1接点に接続され、前記第2パターンの他端は前記無線ICチップの第2接点に接続される、請求項2に記載の金属ボディを含む無線ICカード。
【請求項4】
前記スリット部は、前記金属ボディの前記外縁まで前記ICチップ収容部の幅に対応して、予め設定された幅に形成される、請求項1に記載の金属ボディを含む無線ICカード。
【請求項5】
前記第1パターンの一端は、前記第1接合位置に異方伝導性又は伝導性特性を有する接着素材を用いて、或いは前記接着素材に相応する電気的接着接続方式を用いて、前記金属ボディに電気的に接続処理される、請求項1に記載の金属ボディを含む無線ICカード。
【請求項6】
前記第1接合位置には、
前記金属ボディにアノダイズ処理を行った後、前記第1パターンの一端が電気的に接続されるように予めエッチング処理される、請求項1に記載の金属ボディを含む無線ICカード。
【請求項7】
無線ICチップが搭載され、金属ボディを含む無線ICカードの製造方法であって、
前記無線ICチップを収容するように設けられるICチップ収容部を前記金属ボディに開口形成するステップと、
前記ICチップ収容部の一側から前記金属ボディの外縁方向に切開して形成されるスリット部を加工するステップと、
前記金属ボディの下面に前記無線ICチップと電気的に接続されるアンテナを接続させるステップと、を含み、
前記アンテナは、1つ以上のアンテナパターンが前記ICチップ収容部を中心に巻回されるように形成され、第1パターンの一端が前記スリット部と所定の第1距離だけ隣接した前記金属ボディの第1接合位置に電気的に接続されることにより、前記アンテナの巻回方向に連続する方向に延長形成され、
前記第1接合位置は、前記スリット部が備えられた金属ボディの少なくとも一部が前記第1パターンの巻回を構成するように予め設定された位置である、金属ボディを含む無線ICカードの製造方法。
【請求項8】
前記アンテナの第2パターンの一端は、前記第1接合位置から前記スリット部を中心に前記第1距離だけ離隔して、前記第1接合位置と互いに対向する隣接位置に形成された第2接合位置に電気的に接続される、請求項7に記載の金属ボディを含む無線ICカードの製造方法。
【請求項9】
前記第1パターンの他端は前記無線ICチップの第1接点に接続され、前記第2パターンの他端は前記無線ICチップの第2接点に接続される、請求項8に記載の金属ボディを含む無線ICカードの製造方法。
【請求項10】
前記スリット部を加工するステップは、
前記金属ボディの前記外縁まで前記ICチップ収容部の幅に対応する所定の幅に切開して前記スリット部を形成させるステップを含む、請求項7に記載の金属ボディを含む無線ICカードの製造方法。
【請求項11】
前記接続させるステップは、
前記第1接合位置に、異方伝導性又は伝導性特性を有する接着素材を用いて、或いは前記接着素材に相応する電気的接着接続方式を用いて、前記第1パターンの一端を前記金属ボディに電気的に接続処理するステップを含む、請求項7に記載の金属ボディを含む無線ICカードの製造方法。
【請求項12】
前記金属ボディにアノダイズ処理を行うステップと、
前記アノダイズ処理された金属ボディの前記第1接合位置が前記第1パターンの一端と電気的に接続されるように予めエッチング処理するステップをさらに含む、請求項7に記載の金属ボディを含む無線ICカードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属カード及び金属カードの製造方法に関し、より具体的には、アンテナ特性が向上した金属ICカード、及び金属ICカードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、クレジットカードは、現金に代わって使用できるだけでなく、近年では大容量の情報を収録することが可能なICチップが内蔵されたスマートカードとして開発され、決済のみならず、各種メンバーシップカードなどとして積極的に活用されている。
【0003】
このようなスマートカード市場で、様々な材質を用いた特殊カードが開発されている。特に、VIP顧客のために差別化された金属材質のクレジットカードが開発されており、金属カードは、金属光沢が表出される高品位のクレジットカードを実現して特殊顧客に提供された。
【0004】
しかし、従来の金属カードは、金属の特性上、リーダー機と非接触式で通信するときにアンテナの動作が難しいため、RF機能やATM利用などが制限されることが多かった。また、薄い薄膜の金属シートを用いて或いは金属粉末を薄くコーティングして製作するものなので、金属カードの表面に紋様及び文字の形成が難しく、軽すぎる材質で形成される場合、金属が持つ重量感を感じることができないという問題点もあった。したがって、このような金属カードの限界を克服し、金属特有の重量と美感を表現することができる金属カードの開発が求められている実情である。
【0005】
例えば、先行技術である韓国登録実用新案第20-0382725号の金属薄膜プラスチックカードは、合成樹脂からなるコアシートの上下面には、コアシートよりも小さいサイズの金属薄膜がそれぞれ貼り付けられてコアシートの上下面の周りには余白が形成され、余白にはアンテナコイルが周りに沿って設置されるカードについて開示している。しかし、このような先行技術は、アンテナと金属との接触を避けるためにカードの中心部の一部に金属を配置するものであって、全体的な美感が低下し、カード全体に金属の質感を表現することが難しいという限界がある。
【0006】
これにより、最近は、これを解決するために、SUS材質の金属シート層と、別途に分離されたアンテナ層を独立に備えさせ、アンテナ層と接触式ICチップとを有線又は無線接続することにより、有無線決済などを可能にする金属素材カードが台頭している。
【0007】
しかし、金属素材カードの無線機能のための構造は、アンテナコイルが受信する周波数信号が金属カードの金属部材と干渉を起こすか或いは妨げられないように、中間に遮蔽層などが形成されなければならないため、製造時にその厚さが厚くなり、アンテナ感度も良くないという欠点が存在する。
【0008】
このような欠点により、現在の無線通信が可能な金属素材カードは、遮蔽層を考慮した周波数チューニング実行などの後処理作業における難易度が高い状態であり、これは、製造単価の上昇を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するために案出されたもので、その目的は、向上したアンテナ感度と、周波数チューニングの容易性を提供することができ、別途の遮蔽層なしにも薄い厚さの完全な金属素材カードを提供することができる金属カード、及び金属カードの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の実施形態によれば、無線ICチップが搭載され、金属ボディを含む無線ICカードであって、前記金属ボディに開口形成され、前記無線ICチップを収容するICチップ収容部と、前記ICチップ収容部の一側から前記金属ボディの外縁方向に切開して形成されるスリット部と、前記金属ボディの下面に形成され、前記無線ICチップと電気的に接続されるアンテナと、を含み、前記アンテナは、1つ以上のアンテナパターンが前記ICチップ収容部を中心に巻回されるように形成され、第1パターンの一端が前記スリット部と所定の第1距離だけ隣接した前記金属ボディの第1接合位置に電気的に接続されることにより、前記アンテナの巻回方向に連続する方向に延長形成され、前記第1接合位置は、前記スリット部が備えられた金属ボディの少なくとも一部が前記第1パターンの巻回を構成するように予め設定された位置である、金属ボディを含む無線ICカードが提供される。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明の実施形態によれば、無線ICチップが搭載され、金属ボディを含む無線ICカードの製造方法であって、前記無線ICチップを収容するように設けられるICチップ収容部を前記金属ボディに開口形成するステップと、前記ICチップ収容部の一側から前記金属ボディの外縁方向に切開して形成されるスリット部を加工するステップと、前記金属ボディの下面に前記無線ICチップと電気的に接続されるアンテナを接続させるステップと、を含み、前記アンテナは、1つ以上のアンテナパターンが前記ICチップ収容部を中心に巻回されるように形成されるが、第1パターンの一端が前記スリット部と所定の第1距離だけ隣接した前記金属ボディの第1接合位置に電気的に接続されることにより、前記アンテナの巻回方向に連続する方向に延長形成され、前記第1接合位置は、前記スリット部が備えられた金属ボディの少なくとも一部が前記第1パターンの巻回を構成するように予め設定された位置である、金属ボディを含む無線ICカードの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、金属素材カードの金属シートの形状をスリット構造に形成し、スリットを中心とする隣接位置にアンテナコイルの少なくとも一端が延長形成され、金属シートがアンテナコイルの延長された巻回パターンを有するように構成することにより、向上したアンテナ感度と、周波数チューニングの容易さを提供することができ、別途の遮蔽層なしに薄い厚さの完全な金属素材カードを提供することができる金属カード、及び金属カードの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による無線ICカードの前面を示す図である。
図2】本発明の実施形態による無線ICカードとアンテナとの接点結合関係を具体的に示す図である。
図3】本発明の他の実施形態による接点位置間の関係を示す図である。
図4】本発明の他の実施形態による接点位置の対応関係及びテスト結果を説明するための図である。
図5】本発明の実施形態による単一接点位置が形成される場合を説明するための図である。
図6】本発明の実施形態によるスリット側面部接点位置が形成される場合を説明するための図である。
図7】本発明の実施形態による無線ICカードの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施形態を持つことができるので、特定の実施形態を図面に例示し、詳細に説明しようとする。
【0015】
しかし、これは、本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術の範囲に含まれるすべての変更、均等物又は代替物を含むものと理解されるべきである。
【0016】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するために使用されたものに過ぎず、本発明を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「からなる」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部分品又はこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部分品又はこれらの組み合わせなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0017】
他に定義しない限り、技術用語や科学用語を含んでここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を持っている。一般的に使われる辞典に定義されている用語は、関連技術の文脈上で持つ意味と一致する意味を持つものと解釈されるべきであり、本出願で明らかに定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。本発明を説明するにあたり、全体的な理解を容易にするために、図面上の同一の構成要素については同一の参照符号を使用し、同一の構成要素についての重複説明は省略する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態による金属カード100の前面を示す図であり、図2は、本発明の実施形態による金属カード100の背面のアンテナ接続構造をより具体的に示す図である。
【0020】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態による金属カード100は、図1に示すように、前面には接触及び非接触を支援する有線・無線デュアルインターフェース通信方式のICチップ110が実装されるクレジットカードが例示でき、カード会社を識別するための文字などが様々な方法によって形成(印刷或いはマーキング或いはエッチング、NC加工、レーザー加工など)できる。
【0021】
また、本発明の実施形態による金属カード100の素材は、そのボディが弾性復元力の良いスーパーチタン、スカンチウム、SUS、アルミニウム系、銅系などの伝導性を持っている導体のうちのいずれか1つの金属材質で製造できる。
【0022】
特に、本発明の実施形態による金属カード100の金属ボディ150は、金属カード特有の材質と重量感を表現するコアシートであって、SUS(steel use stainless、ステンレス鋼)又はチタン、アルミニウム、銅材質で形成できる。
【0023】
金属ボディ150のコアシートの金属素材は、金属の特性を表現するための、材質と重量が考慮されるだけでなく、加工工程に耐えるための耐久性、摩耗度、変性程度などを考慮して選択できる。一実施形態として、SUSからなるコアシートは、腐食に強く、熱処理が可能な素材であり得る。熱処理とは、金属をある温度に加熱して冷却速度に応じてある目的の性質や金属組織に改善する操作工程をいう。金属ボディ150のコアシートは、接着性のために表面の一部又は全部に凹凸があり得る。また、コアシートは、金属カード100の製造時に、強度と復元力が向上するように熱処理工程を介して加工することができる。
【0024】
そして、本発明の実施形態による金属カード100の金属ボディ150には、ICチップ110を収容するために、前記金属ボディ150に開口形成され、前記ICチップ110を収容するICチップ収容部111が備えられることができる。前記収容部111は、金属ボディ150に対する打ち抜き加工、エッチング加工又はNC加工などによって、前記ICチップ110の位置及び形状に対応する面積及び深さだけ、前記金属ボディ150を開口して設けられることができる。
【0025】
そして、本発明の実施形態による金属ボディ150には、前記ICチップ収容部111の一側から前記金属ボディの外縁方向に切開して形成されるスリット部130が含まれることができる。
【0026】
ここで、スリット部130は、本発明の実施形態による金属カード100のアンテナ特性を向上させながら、金属ボディ150が無線信号を遮蔽しないようにする切開領域であり得る。例えば、スリット部130は、前記金属ボディ150の外縁まで前記ICチップ収容部の幅に対応して、予め設定された幅に形成されるスリット構造を含むことができ、直線、ジグザグ、対角線、鋸歯構造などの様々な形状を有するスリット構造が形成できる。ここで、前記予め設定された幅は、ICチップ収容部の幅よりも狭い幅、広い幅、又は同じ幅に設定されてもよい。
【0027】
ここで、前記スリット部130の構造により、前記金属ボディ150は、無線電磁信号に対応するインダクタンスを有する。したがって、金属ボディ150は、本発明の実施形態によるアンテナ120の一端が接続される場合、アンテナ120に備えられる1つの巻線コイルとして機能することができる。これにより、金属ボディ150自体を1つのアンテナ120のコイルとして活用することができ、これは、金属カード100の無線アンテナ送受信性能を向上させながらもチューニング過程を短縮することができ、別途の遮蔽層などを除去することができるため、より薄い形態の有利な金属カード100を製造することができる。このためのアンテナ120の形成、および金属ボディ150との接合接続方式と接続構造については、より具体的に後述する。
【0028】
また、前記スリット部130は、電気的に絶縁された素材で充填されるか、或いは開口状態に維持されることができる。例えば、前記スリット部130には、PVC素材の補強ピンや接合体、ゴム補強素材などが挿入されることにより、金属カード100の全体的な形状及び耐久性を維持することができる。
【0029】
また、図2に示すように、前記金属ボディ150の下面には、前記無線ICチップ110と電気的に接続され、カードリーダーなどの外部装置との無線信号を送受信するアンテナ120が備えられることができる。
【0030】
ここで、前記アンテナ120は、外部装置との無線信号を送受信しながら、ICチップ110と電気的に接続されて通信機能を行うように、前記ICチップ収容部111を中心に巻回形成される一つ以上のアンテナパターンを含むことができる。
【0031】
そして、アンテナ120は、上述したように金属ボディ150がアンテナパターンの1巻回を形成することができるように接合接続されることができるので、アンテナ120は、金属ボディ150の第1接合位置121及び第2接合位置122のうちの少なくとも1つに各パターンの一端が接続されることができる。
【0032】
より具体的には、アンテナ120は、第1パターンの一端が前記スリット部130と所定の第1距離だけ隣接した前記金属ボディの第1接合位置121に接続され、第2パターンの一端がスリット部130と所定の第2距離だけ隣接した前記金属ボディの第2接合位置122に電気的に接続されることにより、各第1パターン及び第2パターンは、前記アンテナ120の巻回方向に連続する方向に延長形成されるように構成されることができる。
【0033】
ここで、前記第1接合位置121及び第2接合位置122は、前記スリット部130を中心に前記第1距離及び前記第2距離だけ離隔して、互いに対向する隣接位置に形成されることができる。前記第1距離と前記第2距離は、互いに同じでも異なってもよい。
【0034】
また、前記各パターンの一端は、金属ボディ150の第1接合位置121及び第2接合位置122に電気的な接合方式で接続されることができ、異方伝導性特性を有する接着素材などが用いられることができる。例えば、異方伝導性フィルム(ACF)、異方伝導性ペースト(ACP)、伝導性接着剤、SMT(Surface Mount Technology)などの電気的接合接続方式が例示されることができる。
【0035】
また、通常、金属ボディ150は、絶縁のためのアノダイズ処理が予め行われることができるが、このような電気的接合接続のために、各第1接合位置121及び第2接合位置122には、局所的なエッチング処理が予め行われることができる。
【0036】
また、各第1接合位置121に接続された第1パターンの他端又は第2接合位置122に接続された第2パターンの他端は、ICチップ110の第1接点部112及び第2接点部113にそれぞれ接続されることができる。
【0037】
ただし、図2における接点部112、113は、アンテナ120とICチップ110とが電気的に有線接続される場合を例示したものであり、アンテナ120とICチップ110とが電気的に無線接続される場合には、前記接点部112、113の構成は省略されてもよい。
【0038】
このような方式でアンテナ120パターンの少なくとも一端と金属ボディ150とを接続することにより、金属ボディ150がアンテナ120の電流方向に沿って延びる1つの巻回パターンとして形成できる。
【0039】
これにより、金属カード100に別途の遮蔽層を備えるか或いは複雑な製造工程を経ることなく、良好なアンテナ特性が形成できる。
【0040】
図3は、本発明の実施形態による接点位置間の関係を示す図である。
【0041】
図3を参照すると、本発明の実施形態による第1接合位置121及び第2接合位置122は、スリット部130を中心に互いに対向するように設定されることができ、スリット部130から所定の第1距離D1及び第2距離D2だけそれぞれ離隔して形成されることができる。
【0042】
これにより、アンテナ120パターンは、第1接合位置121と第2接合位置122との接続位置を考慮してICチップ収容部111を中心に巻回形成されることができ、巻回される方向は、ICチップ110との電気的接続による電流方向に対応することができる。
【0043】
特に、第1接合位置121と第2接合位置122は、互いに対向するが、一定の傾斜を有する対角線方向の位置に設けられることができる。これは、電流の流れ方向を考慮したものであり、アンテナ120によって形成されたアンテナコイルパターンの電流方向と、スリット部130を有する金属ボディ150に流れる電流の方向とが同一に形成されれば、前述したようなアンテナ形成が可能である。
【0044】
したがって、図2に示すようなアンテナ特性及び電流方向を考慮した位置接続によって、金属ボディ150は、ICチップ110と電気的に接続された1つのアンテナの一部として機能することができる。
【0045】
図4は、本発明の他の実施形態による接点位置の対応関係及びテスト結果を説明するための図である。
【0046】
図4に示すように、それぞれの1番~9番の第1接合位置121に対応するそれぞれの1番~9番の第2接合位置122が形成されることができる。
【0047】
本発明の実施形態による接合位置は、スリット部130を中心に互いに対向するように形成され、金属ボディ150に流入する電流方向を維持させることができれば、その位置が限定されず、様々な位置に形成されることができる。したがって、図4は、本発明の実施形態による様々な位置に離隔して形成される第1接合位置121及び第2接合位置122の様々な実施形態を示している。
【0048】
また、下記表1に示すように、各接点位置にアンテナ120を接続させてテストした結果、全ての位置ごとに概ね高い認識距離及び適正なアンテナ周波数特性が形成されることを確認することができた。
【表1】
【0049】
一方、前述したように、アンテナコイルの電流方向を3番位置で反対に接続させた結果、VSWRは26.8Mhz/2.1であって、無線認識が失敗する結果を確認することができた。このような結果は、金属ボディ150が単純金属体ではなく1つのコイルとして円滑に作用することができることを十分に説明すると理解でき、金属ボディ150と一体に結合されたアンテナ120に対する周波数チューニング過程によって簡便かつ迅速に金属カード100を製造することができる。
【0050】
図5は、本発明の実施形態による単一接点位置が形成される場合を説明するための図である。
【0051】
図5を参照すると、本発明の実施形態による金属ボディ150とアンテナ120との接点は第1接合位置121の一箇所にのみ接合形成され、アンテナ120の他の一端はオープンされた構造に形成されてもよい。
【0052】
この場合、金属ボディ150とアンテナ120との間のオープンされた領域では、カップリングが形成でき、カップリング調節によるアンテナ特性及びチューニングなどがさらに容易に行われることができる。カップリング領域に電気的には接続されないオープン構造を固定的に形成するために、本発明の実施形態による第3接合位置123がさらに形成されることができ、接合素材は、PVCやプラスチック接着剤などの絶縁性素材で形成できる。
【0053】
図6は、本発明の実施形態によるスリット側面部接点位置が形成される場合を説明するための図である。
【0054】
図6を参照すると、本発明の実施形態によるスリット部130は、金属ボディ150を切開して形成することにより、側面部131がさらに備えられることができ、本発明の実施形態による第1接合位置121は、側面部131に備えられることもできる。
【0055】
これにより、図6に示すように、金属ボディ150の下部のアンテナレイヤに位置したアンテナ120から、少なくとも一部が前記スリット部130の側面部131に接合接続されることができる。接合接続された第1接合位置121の位置及び方向は、アンテナ120の巻回パターンの電流方向を延びる方向に形成されることができ、前記金属ボディ150が1つのコイルのような役割を果たすように構成されることができる。
【0056】
図7は、本発明の実施形態による無線ICカードの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【0057】
図7を参照すると、まず、金属ボディ150は、絶縁のためのアノダイズ処理、及び前記第1接合位置121に対応するエッチング処理が行われる(S101)。
【0058】
そして、金属ボディ150には、ICチップ110を収容するための位置及び深さによるミリングが処理されることにより、開口形成されたICチップ収容部111が形成される(S102)。
【0059】
その後、金属ボディ150には、ICチップ収容部111の一側から金属ボディ150の外縁方向に切開して形成されるスリット部130が加工される(S103)。
【0060】
その後、前記金属ボディ150の下面に予めエッチングされた第1接合位置121には、前記無線ICチップ110と電気的に接続されるアンテナ120の少なくとも一端部を接合するが、前記スリット部130の備えられた金属ボディ150が前記アンテナパターンの巻回を延長形成するように構成される。
【0061】
また、金属カード100に対するアンテナ特性を考慮した周波数チューニングを行う(S107)。
【0062】
以上のように図面及び明細書で最適な実施形態が開示された。ここで特定の用語が使用されたが、これは、本発明を説明するための目的で使用されたものに過ぎず、意味を限定するか或いは請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限するために使用されたものではない。したがって、当技術分野における通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形及び均等な他の実施形態が可能であることを理解するであろう。よって、本発明の真正な技術的保護範囲は、添付された請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0063】
100 金属カード
110 ICチップ
111 ICチップ収容部
130 スリット部
150 金属ボディ
120 アンテナ
121 第1接点位置
122 第2接点位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】