IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ▲畢▼▲勝▼普生物科技有限公司の特許一覧

特表2024-536544高周波QRS群のデータ分析方法及び装置
<>
  • 特表-高周波QRS群のデータ分析方法及び装置 図1
  • 特表-高周波QRS群のデータ分析方法及び装置 図2
  • 特表-高周波QRS群のデータ分析方法及び装置 図3
  • 特表-高周波QRS群のデータ分析方法及び装置 図4
  • 特表-高周波QRS群のデータ分析方法及び装置 図5
  • 特表-高周波QRS群のデータ分析方法及び装置 図6
  • 特表-高周波QRS群のデータ分析方法及び装置 図7
  • 特表-高周波QRS群のデータ分析方法及び装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】高周波QRS群のデータ分析方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/366 20210101AFI20240927BHJP
【FI】
A61B5/366
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523115
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 CN2022102597
(87)【国際公開番号】W WO2023071268
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111281766.8
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524142574
【氏名又は名称】▲畢▼▲勝▼普生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 小▲欽▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲慶▼▲璽▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲慶▼▲紅▼
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127GG01
4C127GG02
4C127GG16
4C127JJ03
(57)【要約】
高周波QRS群のデータ分析方法及び装置を提供する。方法は、少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するステップ(S110)と、高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成するステップ(S120)と、高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算するステップ(S130)と、リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップ(S150)と、を含む。高周波QRS波形を簡単に定量化し、医者が心電図を読影する時間を短縮させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非診断用の高周波QRS群のデータ分析方法であって、
少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するステップと、
高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成するステップと、
高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算するステップと、
リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップと、を含み、
高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算するステップは、
高周波QRS波形データのうち山又は谷での特定点データを取得するステップであって、前記特定点データは、時間値とRMS電圧値を含み、前記特定点データは、心電図中の特定点の座標であり、特定点は、山又は谷の位置にある、ステップと、
特定点データを第2関数に入力し、第2関数から波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を出力するステップと、を含む、ことを特徴とする非診断用の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項2】
高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成した後、
前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形データの種類及び数に基づいて、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第1カテゴリ又は第2カテゴリに分類するステップをさらに含み、
前記リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップは、
リード陽性指標、波形変化形状指標、及び陽性位置が分類されたカテゴリに応じて、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項3】
少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するステップは、
少なくとも1つの心電図胸部リード及び/又は肢リードを介して出力される、少なくとも1つのサンプリング周期の高周波QRS波形データを取得するステップであって、高周波QRS波形データは、人体に貼り付けられた電極パッチで収集された電流信号から150HZ~250HZの範囲のデータ信号を抽出して処理することにより得られるステップを含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項4】
高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成する前記ステップは、
高周波QRS波形データから運動時間帯の波形データを取り、運動時間帯の波形データのうちRMS電圧値が最大のデータを第1基準点として選択し、時間が第1基準点よりも後のRMS電圧値が最小の点を第2基準点として選択するステップと、
第1関数によって第1基準点のRMS電圧値と第2基準点のRMS電圧値との差を計算して振幅の絶対値を得、振幅の絶対値と第1基準点のRMS電圧値との比を計算して振幅低下の相対値を得、振幅の絶対値及び振幅低下の相対値でリード陽性指標を構成するステップであって、絶対値及び振幅低下の相対値は、予め設定された条件を満たし、リード陽性指標は、陽性であることを示す、ステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項5】
前記第2関数は、隣接する特定点の間の振幅値から波形振幅を計算し、単一の高周波QRS波形データから計算された最大の波形振幅を選択し、最大の波形振幅から計算された振幅閾値未満の波形振幅をフィルタリングし、保持した波形振幅に対応する特定点データを時系列に接続し、形状関数を得て、形状関数によって波形変化形状指標を得る、ことを特徴とする請求項1に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項6】
前記波形変化形状指標は、第1形状カテゴリと、第2形状カテゴリと、第3形状カテゴリと、を含み、前記第1形状カテゴリは、U字形及びL字形のうちの少なくとも1つを含み、前記第2形状カテゴリは、W字形、V字形、及びM字形のうちの少なくとも1つを含み、前記第3形状カテゴリは、平型及び逆V字形のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項7】
リード陽性指標、波形変化形状指標、及び陽性位置が分類されたカテゴリに応じて、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップは、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が5つよりも大きく、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第1注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が5つよりも大きく、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第2注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第3注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第4注目レベルとしてラベリングことと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第5注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第6注目レベルとしてラベリングことと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第7注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第8注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第9注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第10注目レベルとしてラベリングすることとを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項8】
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形データの種類及び数に基づいて、第1予め設定されたルールに従って、陽性位置を第1カテゴリ又は第2カテゴリに分類する前記ステップは、
前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形が胸部リードによるものであり、且つ胸部リードから出力される高周波QRS波形データがV1、V2、V3、V4、V5、及びV6のうちの複数の組み合わせである場合、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第1カテゴリに分類するステップと、
前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形が肢リードによるものであり、且つ肢リードから出力される高周波QRS波形データがI、II、III、aVL、aVF、及びaVRのうちの複数の組み合わせである場合、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第2カテゴリに分類するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項9】
非診断用の高周波QRS群のデータ分析装置であって、
少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するデータ取得モジュールと、
高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成するリード陽性指標計算モジュールと、
高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算する波形変化形状指標計算モジュールと、
リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするラベリングモジュールと、を含み、
高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算するステップは、
高周波QRS波形データのうち山又は谷での特定点データを取得するステップであって、前記特定点データは、時間値とRMS電圧値を含み、前記特定点データは、心電図中の特定点の座標であり、特定点は、山又は谷の位置にある、ステップと、
特定点データを第2関数に入力し、第2関数から波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を出力するステップと、を含む、ことを特徴とする非診断用の高周波QRS群のデータ分析装置。
【請求項10】
メモリとプロセッサを含み、前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ機器であって、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~8のいずれか1項に記載の高周波QRS群のデータ分析方法のステップを実現する、ことを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項11】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、請求項1~8のいずれか1項に記載の高周波QRS群のデータ分析方法のステップを実現する、ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、医療機器の技術分野に関し、特に高周波QRS群のデータ分析方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心電図(ECG)は、心臓のさまざまな心室を構成する筋肉群の電気活動を表し、心電図(ECG)信号は、身体表面の電極又は埋め込み型電極からの信号データの記録であり、電極信号データの記録は、心臓内の電気活動によって引き起こされる身体電位の変化を表す。心電図(ECG)は、ベクトルであり、心臓のさまざまな部分がさまざまな場所に分布しており、電流信号はさまざまな速度で体のさまざまな部分を通過し、それによって、心臓のさまざまな部分を区別することができる心電図(ECG)信号を収集することができ、心臓のさまざまな部分の心電図(ECG)信号を分析、処理することで、患者の心臓の健康情報を取得できる。
【0003】
従来技術では、心電図(ECG)を用いて心臓の活動に関する情報を検出、分析していたが、この情報はP-QRS-Tセグメントに集中しており、特にQRSセグメントのデータから、グラフィックスが長くなったり、おかしくなったりするかどうかを判断して、心臓の活動に病変があるかどうかを判断する。一般に、既存の心電図(ECG)信号の主な周波数範囲は0.05Hz~100Hzであり、一般的な心臓活動に関する病変の多くは、この周波数範囲で関連情報を取得することができるが、100Hzを超える高周波範囲の心電図(ECG)信号では、心臓活動に関する病変についてのさらに貴重な情報が得られる。
【0004】
ただし、高周波QRSセグメントのデータの既存の分析と処理は一部の分野でのみ研究されているが(例えば、論文High-Frequency Electrocardiogram Analysis of the EntireQRS in the Diagnosisand Assessment of Coronary Artery Disease.Abboundなど,Progress inCardiovascularDiseases journal,Vol.XXXV,No.5,1993年3月/4月)、より広い用途に一般化することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に鑑み、上記の技術的課題に対して、医師の読影効率を向上させることができる、高周波QRS群のデータ分析方法及び装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
高周波QRS群のデータ分析方法であって、
少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するステップと、
高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成するステップと、
高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算するステップと、
リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップと、を含む。
【0007】
一実施例では、高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成した後、
前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形データの種類及び数に基づいて、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第1カテゴリ又は第2カテゴリに分類するステップをさらに含む。リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングする前記ステップは、リード陽性指標、波形変化形状指標、及び陽性位置が分類されたカテゴリに応じて、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップを含む。
【0008】
一実施例では、少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するステップは、少なくとも1つの心電図胸部リード及び/又は肢リードを介して出力される、少なくとも1つのサンプリング周期の高周波QRS波形データを取得するステップであって、高周波QRS波形データは、人体に貼り付けられた電極パッチで収集された電流信号から150HZ~250HZの範囲のデータ信号を抽出して処理することにより得られる、ステップを含む。
【0009】
一実施例では、高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成する前記ステップは、高周波QRS波形データから運動時間帯の波形データを取り、運動時間帯の波形データのうちRMS電圧値が最大のデータを第1基準点として選択し、時間が第1基準点よりも後のRMS電圧値が最小の点を第2基準点として選択するステップと、第1関数によって第1基準点のRMS電圧値と第2基準点のRMS電圧値との差を計算して振幅の絶対値を得、振幅の絶対値と第1基準点のRMS電圧値との比を計算して振幅低下の相対値を得、振幅の絶対値及び振幅低下の相対値でリード陽性指標を構成するステップと、を含み、絶対値及び振幅低下の相対値は、予め設定された条件を満たし、リード陽性指標は、陽性であることを示す。
【0010】
一実施例では、高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算するステップは、高周波QRS波形データのうち山又は谷での特定点データを取得するステップであって、前記特定点データは、時間値とRMS電圧値を含み、前記特定点データは、心電図中の特定点の座標であり、特定点は、山又は谷の位置にある、ステップと、特定点データを第2関数に入力し、第2関数から波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を出力するステップと、を含む。
【0011】
一実施例では、前記第2関数は、隣接する特定点の間の振幅値から波形振幅を計算し、単一の高周波QRS波形データから計算された最大の波形振幅を選択し、最大の波形振幅から計算された振幅閾値未満の波形振幅をフィルタリングし、保持した波形振幅に対応する特定点データを時系列に接続し、形状関数を得て、形状関数によって波形変化形状指標を得る。
【0012】
一実施例では、前記波形変化形状指標は、第1形状カテゴリと、第2形状カテゴリと、第3形状カテゴリと、を含み、前記第1形状カテゴリは、U字形及びL字形のうちの少なくとも1つを含み、前記第2形状カテゴリは、W字形、V字形、及びM字形のうちの少なくとも1つを含み、前記第3形状カテゴリは、平型及び逆V字形のうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
一実施例では、リード陽性指標、波形変化形状指標、及び陽性位置が分類されたカテゴリに応じて、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップは、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が5つよりも大きく、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第1注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が5つよりも大きく、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第2注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第3注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第4注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第5注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第6注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第7注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第8注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第9注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第10注目レベルとしてラベリングすることと、を含む。
【0014】
一実施例では、リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形データの種類及び数に基づいて、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第1カテゴリ又は第2カテゴリに分類する前記ステップは、前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形が胸部リードによるものであり、且つ胸部リードから出力される高周波QRS波形データがV1、V2、V3、V4、V5、及びV6のうちの複数の組み合わせである場合、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第1カテゴリに分類するステップと、前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形が肢リードによるものであり、且つ肢リードから出力される高周波QRS波形データがI、II、III、aVL、aVF、及びaVRのうちの複数の組み合わせである場合、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第2カテゴリに分類するステップと、を含む。
【0015】
高周波QRS群のデータ分析装置であって、
少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するデータ取得モジュールと、
高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成するリード陽性指標計算モジュールと、
高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算する波形変化形状指標計算モジュールと、
リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするラベリングモジュールと、を含む。
【0016】
メモリとプロセッサを含み、前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ機器であって、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、
少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するステップと、
高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成するステップと、
高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算するステップと、
リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップと、を実現する。
【0017】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、
少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するステップと、
高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成するステップと、
高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算するステップと、
リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップと、を実現する。
【発明の効果】
【0018】
上記の高周波QRS群のデータ分析方法、装置、コンピュータ機器、及び記憶媒体では、高周波QRS波形データに対して第1関数、第2関数処理を行い、リード陽性指標及び指示波形変化が属する形状カテゴリを得ることによって、数と種類から心臓疾患の重症度を評価することができ、また、データを定量化することにより、最終的に注目レベルを設定して医者の参照用に提供するため、医者が心電図を読影するときの主観性を低減させ、その時間を削減させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施例における高周波QRS群のデータ分析方法の応用環境図である。
図2】一実施例における高周波QRS波形の模式図である。
図3】一実施例における高周波QRS群のデータ分析方法の流れ模式図である。
図4】別の実施例における高周波QRS群のデータ分析方法の流れ模式図である。
図5】一実施例における波形形状カテゴリの模式図である。
図6】一実施例における高周波QRS群のデータ分析装置の構造ブロック図である。
図7】一実施例における高周波QRS群のデータ分析装置の構造ブロック図である。
図8】一実施例におけるコンピュータ機器の内部構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願の目的、技術的解決手段及び利点をより明確に理解するために、以下では、図面及び実施例を参照して、本願をさらに詳細に説明する。本明細書に記載された特定の実施例は、単に本願を説明するためにのみ使用され、本願を限定するために使用されないことを理解されたい。
【0021】
本願による高周波QRS群のデータ分析方法は、図1に示す応用環境に応用される。ここで、端末102は、ネットワークを介してサーバ104と通信し、高周波QRS波形データを取得してサーバ104に送信する。サーバ104は、少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得し、高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成し、高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算し、リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングする。端末102は、各種のパソコン、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、及びポータブルウェアラブルデバイスであってもよいが、これらに限定されるものではなく、サーバ104は、独立したサーバ又は複数のサーバで構成されるサーバ集群で実装されてもよい。
【0022】
QRS群は、心電図におけるQ波、R波、及びS波の集合であり、QRS群は、左心室と右心室の脱分極電位と時間の変化を反映しており、1番目の下向きの波はQ波であり、上向きの波はR波であり、次の下向きの波はS波である。QRS群の開始点からQRS群の終了点までの時間はQRS制限時間である。高周波とは、周波数が100HZ以上、持続時間が10msを超え、幅が82uv以下の電気的変化を指す。本願では、QRS群は、QRS波形出力によって表示される。高周波QRS波形とは、周波数が100HZ以上、持続時間が10msを超え、幅が82uv以下の電気的変化によって出力が制御されるQRS群を指す。高周波QRS波形図では、横座標は信号のサンプリング時間であり、縦座標はRMS電圧であり、実効電圧とも呼ばれ、図2に示すように、高周波QRS波形データの種類はV4であり、RMS電圧の単位はuVであり、時間の単位は分である。
【0023】
一実施例では、図3に示すように、以下のS110~S150を含む高周波QRS群のデータ分析方法を提供する。
【0024】
S110:少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得する。
【0025】
心電図のサンプリングにおいて、例えば、10個の電極パッチを用いてサンプリングする。電極パッチは、人体の胸部及び四肢に配置され、12個の心電図リードを形成し、この12個の心電図リードは、12個の高周波QRS波形データを出力し、高周波QRS波形データの種類は、それぞれ、V1、V2、V3、V4、V5、V6、I、II、III、aVL、aVF、及びaVRである。電極パッチの数は、他の数であってもよく、それによって、様々なニーズに応じて心電図のサンプリングを行えることが理解される。
【0026】
S120:高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成する。
【0027】
第1関数は、高周波QRS波形データを処理することで、運動前の所定時間内、運動中、及び運動後の所定時間内の、高周波QRS波形においてRMS電圧低下が最も多く最も早い2つの基準点の間の振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算することに用いられ、振幅の絶対値は、2つの基準点について差分処理を行うことにより得られ、振幅低下の相対値は、振幅の絶対値とRMS電圧が最高の基準点のRMS電圧値とから百分率を計算したものである。振幅低下の相対値及び振幅の絶対値は、主に人体運動時の心臓の血流の変化を評価する指標である。
【0028】
S130:高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算する。
【0029】
第2関数は、高周波QRS波形データを処理することで、高周波QRS波形の全体的な形状を決定することに用いられ、このような形状からは、心臓の血流変化の周波数及び幅を決定することができる。具体的には、例えば、第2関数は、予め設定された形状に従って高周波QRS波形画像と1つずつマッチングし、高周波QRS波形の形状カテゴリを決定することができ、例えば、予め設定された形状が「U」字形である場合、高周波QRS波形画像とマッチングした結果、マッチング度が予め設定された値(80%)に達した場合、両方のマッチングが成功し、高周波QRS波形データは第1形状カテゴリにおけるU字形である。あるいは、第2関数は、高周波QRS波形データから形状変化を表す特定点を選択し、特定点で構成される図形の変化から高周波QRS波形データに対応する形状カテゴリを決定し、例えば、特定点で構成される図形がLである場合、高周波QRS波形データは、第1形状カテゴリにおけるL字形に属する。さらに、あるいは、第2関数は、高周波QRS波形データから形状変化を表す特定点を選択し、複数の特定点のRMS電圧のそれぞれの変化から高周波QRS波形データに対応する形状カテゴリを決定し、例えば、複数の特定点のRMS電圧には、低-高-低-高-低のような変化が認められた場合、高周波QRS波形データは、第2形状カテゴリにおけるM字形である。
【0030】
S150:リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングする。
【0031】
リード陽性指標と波形変化形状指標との組み合わせに基づいて判定分析を行い、心臓の健康のレベルを総合的に判定することによって、様々な注目レベルを設定し、次のステップの検査及び治療に供する。第2予め設定されたルールとしては、リード陽性指標から陽性高周波QRS波形の数を決定し、波形変化形状から異常データの種類を判断し、それによって、総合的に分析し、医者の参照として有用な心電図の指標データを決定することができる。また、注目レベルは、様々な注意レベルを表し、医者は、注目レベル及び臨床症状に応じて診断と治療の推奨を行うことができる。高周波QRS波形データ及び注目レベルをまとめて印刷して、検査結果レポートを生成することができ、それによって、医者の読影効率を向上させることができる。
【0032】
上記の高周波QRS群のデータ分析方法では、高周波QRS波形データに対して第1関数、第2関数処理を行い、リード陽性指標及び波形変化が属する形状カテゴリを得ることによって、数と種類から心臓疾患の重症度を評価することができ、また、データを定量化することにより、最終的に注目レベルを設定して医者の参照用に提供するため、医者が心電図を読影するときの主観性を低減させ、その時間を削減させる。
【0033】
一実施例では、図4に示すように、ステップS130の後、前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形データの種類及び数に基づいて、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第1カテゴリ又は第2カテゴリに分類するS140をさらに含む。ステップS150は、リード陽性指標、波形変化形状指標、及び陽性位置が分類されたカテゴリに応じて、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップを含む。
【0034】
陽性の高周波QRS波形データが多いほど、心臓に問題がある可能性が高くなる。また、高周波QRS波形データの種類に基づいて、心臓のどの部分(左心房、左心室、右心房、右心室)に問題がある可能性があるかを判断できる。第1予め設定されたルールは、この原則に基づいて決定され、主に問題の位置と重症度を評価し、陽性位置を2つのカテゴリに分類するために使用される。
【0035】
リード陽性指標、波形変化形状指標、及び陽性位置が分類されたカテゴリの組み合わせから判定分析を行い、心臓の健康のレベルを総合的に判定することによって、様々な注目レベルを設定し、次のステップの検査及び治療に供する。第2予め設定されたルールとしては、陽性の高周波QRS波形データの種類の組み合わせから、心臓のどの位置にデータ異常が発生した可能性があるかを判断し、波形変化形状から異常データの種類を判断し、それによって、総合的に分析し、医者の参照として有用な心電図の指標データを決定することができる、また、注目レベルは、様々な注意レベルを表し、医者は、注目レベル及び臨床症状に応じて診断と治療の推奨を行うことができる。高周波QRS波形データ及び注目レベルをまとめて印刷して、検査結果レポートを生成することができ、それによって、医者の読影効率を向上させることができる。
【0036】
一実施例では、少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するステップは、少なくとも1つの心電図胸部リード及び/又は肢リードを介して出力される、少なくとも1つのサンプリング周期の高周波QRS波形データを取得するステップであって、高周波QRS波形データは、人体に貼り付けられた電極パッチで収集された電流信号から150HZ~250HZの範囲のデータ信号を抽出して処理することにより得られる、ステップを含む。
【0037】
ここで、高周波QRS波形データは、胸部リード及び/又は肢リードを含む1つ又は複数の心電図リードによるものであってもよい。
【0038】
本実施例では、人体の高周波QRS波形データをサンプリングする際には、安静段階、運動段階、及び回復段階の3つの段階に分けてデータをサンプリングする。人体の様々な状態での心臓の血流変化による電気信号をサンプリングすることによって、人間の心臓の健康状態をより直観的に反映できるため、生成された検査結果レポートを医師が参照及び診断に使用できる。本実施例における運動段階は、上記の運動時間帯の概念とは異なり、運動時間帯は、運動前の所定時間、運動中、及び運動後の所定時間を含み、運動前の所定時間は安静段階にあり、運動中は運動段階全体を含み、運動後の所定時間は回復段階にあり、運動前の所定時間、運動中、及び運動後の所定時間は、連続した時間帯である。
【0039】
一実施例では、前記高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成するステップは、高周波QRS波形データから運動時間帯の波形データを取り、運動時間帯の波形データのうちRMS電圧値が最大のデータを第1基準点として選択し、時間が第1基準点よりも後のRMS電圧値が最小の点を第2基準点として選択するステップと、第1関数によって第1基準点のRMS電圧値と第2基準点のRMS電圧値との差を計算して振幅の絶対値を得、振幅の絶対値と第1基準点のRMS電圧値との比を計算して振幅低下の相対値を得、振幅の絶対値及び振幅低下の相対値でリード陽性指標を構成するステップであって、絶対値及び振幅低下の相対値は、予め設定された条件を満たし、リード陽性指標は、陽性であることを示す、ステップと、を含む。
【0040】
運動時間帯の波形データは、運動前の所定時間、運動中、及び運動後の所定時間の波形データを含み、例えば、運動時間帯の波形データは、運動前の100秒内の波形データ、運動中の波形データ、及び運動後20秒内の波形データを含む。
【0041】
第1基準点及び第2基準点は、時間値とRMS電圧値を含み、第1基準点の時間は、運動前の所定時間、運動中、及び運動後の所定時間であってもよく、第2基準点の時間は、運動中、及び運動後の所定時間であってもよく、また、第1基準点と第2基準点は、選択プロセス中に患者の年齢、身長、体重、その他のパラメータに従って適切に調整される。例えば、第1基準点の値は(0.5min、2.5uV)であり、第2基準点の値は(0.15min、2uV)であり、振幅の絶対値S=2.5-2=0.5(uV)であり、振幅低下の相対値J=(0.5÷2.5)×100%=20%である。予め設定された条件は、振幅の絶対値が0.5uVを超え、かつ振幅低下の相対値が50%を超えることであってもよい。もちろん、検査環境が異なると、異なる予め設定された条件が可能である。
【0042】
1つの任意の実施例では、絶対値及び振幅低下の相対値が、予め設定された条件を満たし、リード陽性指標が、陽性であることを示す場合、心電図における当該高周波QRS波形を警告色でラベリングし、例えば、心電図において当該高周波QRS波形を赤色で表示する。もちろん、警告色は赤色に限定されるものではなく、通常の高周波QRS波形と区別できる色であれば、黄色、茶色等であってもよい。
【0043】
一実施例では、高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算するステップは、高周波QRS波形データのうち山又は谷での特定点データを取得するステップであって、前記特定点データは、時間値とRMS電圧値を含み、前記特定点データは、心電図中の特定点の座標であり、特定点は、高周波QRS波形の山又は谷の位置にある、ステップと、特定点データを第2関数に入力し、第2関数から波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を出力するステップと、を含む。
【0044】
一実施例では、前記第2関数は、隣接する特定点の間の振幅値から波形振幅を計算し、単一の高周波QRS波形データから計算された最大の波形振幅を選択し、最大の波形振幅から計算された振幅閾値未満の波形振幅をフィルタリングし、保持した波形振幅に対応する特定点データを時系列に接続し、形状関数を得て、形状関数によって波形変化形状指標を得る。
【0045】
隣接する特定点の間のRMS電圧値を減算したものを絶対値にすることで、波形振幅を得、2つずつ隣接する複数の特定点の波形振幅を計算した後、最大の波形振幅を選択する。いくつかの特定点の間の振幅変化が小さいことから、心臓の血流変化が明らかではないと考えられる場合、これらを考慮に入れなくてもよい。フィルタリング条件は、最大の波形振幅から計算される振幅閾値によって決まる。振幅閾値は、最大の波形振幅の一定の割合を占め、たとえば、最大の波形振幅の20%が振幅閾値として選択される。もちろん、20%は本願の制限ではなく、波形の変化に応じて他の比の値を選択することもできる。最後に、保持された波形振幅に対応する特定点データを見つけ、それらの特定点データを時系列に接続する。形状関数は接続された波形の関数を表し、波形変化形状指標はその形状関数に基づいて決定される。
【0046】
一実施例では、前記波形変化形状指標は、第1形状カテゴリと、第2形状カテゴリと、第3形状カテゴリと、を含み、前記第1形状カテゴリは、U字形及びL字形のうちの少なくとも1つを含み、前記第2形状カテゴリは、W字形、V字形、及びM字形のうちの少なくとも1つを含み、前記第3形状カテゴリは、平型及び逆V字形のうちの少なくとも1つを含む。
【0047】
図5に示すように、図5(a)の波形変化は、第1カテゴリにおけるU字形であり、図5(b)の波形変化は、第1カテゴリにおけるL字形であり、図5(c)の波形変化は、第2カテゴリにおけるW字形であり、図5(d)の波形変化は、第2カテゴリにおけるV字形であり、図5(e)の波形変化は、第2カテゴリにおけるM字形であり、図5(f)の波形変化は、第3カテゴリにおける平型であり、図5(g)の波形変化は、第3カテゴリにおける逆V字形である。波形変化は、QRS波形全体の変化傾向である。
【0048】
一実施例では、リード陽性指標、波形変化形状指標、及び陽性位置が分類されたカテゴリに応じて、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップは、リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が5つよりも大きく、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第1注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が5つよりも大きく、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第2注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第3注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第4注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第5注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第6注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第7注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第8注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第9注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第10注目レベルとしてラベリングすることと、を含む。
【0049】
第1注目レベル~第10注目レベルは、心臓の問題のさまざまな程度をデータ化して、診断プロセス中に医師の参考として使用できる。例えば、第1注目レベルは、閉塞性冠動脈疾患の可能性があり、病院での臨床治療が必要であることを示し得る。第2注目レベルは、冠微小循環障害などの非閉塞性冠動脈疾患の可能性があり、病院での臨床治療が必要であることを示し得る。第3注目レベル及び第4注目レベルは、閉塞性冠動脈疾患の可能性があり、確認するにはさらなる検査が必要であることを示し得る。第5注目レベル及び第6注目レベルは、非閉塞性冠動脈疾患の可能性があり、確認するにはさらなる検査が必要であることを示し得る。第7注目レベル及び第8注目レベルでは、さらなる検査が必要である。第9注目レベル及び第10注目レベルでは、このグループの人々を亜健康管理状態に分類でき、定期的な再検査のみが必要である。リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形がなく、かつ被験者に不快症状がない場合、心臓が健康で、定期的な健康診断だけで十分であることを示す。
【0050】
一実施例では、前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形データの種類及び数に基づいて、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第1カテゴリ又は第2カテゴリに分類するステップは、前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形が胸部リードによるものであり、且つ胸部リードから出力される高周波QRS波形データがV1、V2、V3、V4、V5、及びV6のうちの複数の組み合わせである場合、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第1カテゴリに分類するステップと、前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形が肢リードによるものであり、且つ肢リードから出力される高周波QRS波形データがI、II、III、aVL、aVF、及びaVRのうちの複数の組み合わせである場合、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第2カテゴリに分類するステップと、を含む。
【0051】
なお、図3及び図4のフローチャート中のステップは、矢印で示された順序に示されているが、必ずしも矢印で示された順序で実行されるわけではないことが理解されるべきである。本明細書に明示的に記載されていない限り、これらのステップの実行には厳密な順序制限はなく、これらのステップは別の順序で実行されてもよい。さらに、図3及び図4のサブステップの少なくとも一部は、必ずしも同じ時間に完了するのではなく、異なる時間に実行することができる、複数のステップ又は複数の段階を含むことができ、これらのステップ又は段階の実行順序は、必ずしも連続的ではなく、他のステップ又は他のステップにおけるステップ又は段階の少なくとも一部と順番に又は交互に実行することができる。
【0052】
一実施例では、図6に示すように、高周波QRS群のデータ分析装置を提供し、この高周波QRS群のデータ分析装置は、データ取得モジュール210と、リード陽性指標計算モジュール220と、波形変化形状指標計算モジュール230と、ラベリングモジュール250と、を含み、
データ取得モジュール210は、少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得する。
【0053】
リード陽性指標計算モジュール220は、高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成する。
【0054】
波形変化形状指標計算モジュール230は、高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算する。
【0055】
ラベリングモジュール250は、リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングする。
【0056】
一実施例では、図7に示すように、前記高周波QRS群のデータ分析装置は、前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形データの種類及び数に基づいて、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第1カテゴリ又は第2カテゴリに分類する陽性位置決定モジュール240をさらに含む。前記ラベリングモジュール250は、さらに、リード陽性指標、波形変化形状指標、及び陽性位置が分類されたカテゴリに応じて、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングする。
【0057】
一実施例では、データ取得モジュール210は、さらに、少なくとも1つの心電図胸部リード及び/又は肢リードを介して出力される、少なくとも1つのサンプリング周期の高周波QRS波形データを取得し、高周波QRS波形データは、人体に貼り付けられた電極パッチで収集された電流信号から150HZ~250HZの範囲のデータ信号を抽出して処理することにより得られる。一実施例では、前記リード陽性指標計算モジュール220は、高周波QRS波形データから運動時間帯の波形データを取り、運動時間帯の波形データのうちRMS電圧値が最大のデータを第1基準点として選択し、時間が第1基準点よりも後のRMS電圧値が最小の点を第2基準点として選択する基準点選択ユニットと、第1関数によって第1基準点のRMS電圧値と第2基準点のRMS電圧値との差を計算して振幅の絶対値を得、振幅の絶対値と第1基準点のRMS電圧値との比を計算して振幅低下の相対値を得、振幅の絶対値及び振幅低下の相対値でリード陽性指標を構成するリード陽性指標計算ユニットであって、絶対値及び振幅低下の相対値は、予め設定された条件を満たし、リード陽性指標は、陽性であることを示す、リード陽性指標計算ユニットと、を含む。
【0058】
一実施例では、前記波形変化形状指標計算モジュール230は、高周波QRS波形データのうち山又は谷での特定点データを取得する特定点データ取得ユニットであって、前記特定点データは、時間値とRMS電圧値を含み、前記特定点データは、心電図中の特定点の座標であり、特定点は、山又は谷の位置にある、特定点データ取得ユニットと、特定点データを第2関数に入力し、第2関数から波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を出力する関数処理ユニットと、を含む。
【0059】
一実施例では、前記第2関数は、隣接する特定点の間の振幅値から波形振幅を計算し、単一の高周波QRS波形データから計算された最大の波形振幅を選択し、最大の波形振幅から計算された振幅閾値未満の波形振幅をフィルタリングし、保持した波形振幅に対応する特定点データを時系列に接続し、形状関数を得て、形状関数によって波形変化形状指標を得る。
【0060】
一実施例では、述波形変化形状指標は、第1形状カテゴリと、第2形状カテゴリと、第3形状カテゴリと、を含み、前記第1形状カテゴリは、U字形及びL字形のうちの少なくとも1つを含み、前記第2形状カテゴリは、W字形、V字形、及びM字形のうちの少なくとも1つを含み、前記第3形状カテゴリは、平型及び逆V字形のうちの少なくとも1つを含む。
【0061】
一実施例では、前記ラベリングモジュール250は、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が5つよりも大きく、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第1注目レベルとしてラベリングする第1ラベリングユニットと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が5つよりも大きく、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第2注目レベルとしてラベリングする第2ラベリングユニットと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第3注目レベルとしてラベリングする第3ラベリングユニットと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第4注目レベルとしてラベリングする第4ラベリングユニットと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第5注目レベルとしてラベリングする第5ラベリングユニットと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第6注目レベルとしてラベリングする第6ラベリングユニットと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第7注目レベルとしてラベリングする第7ラベリングユニットと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第8注目レベルとしてラベリングする第8ラベリングユニットと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第9注目レベルとしてラベリングする第9ラベリングユニットと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第10注目レベルとしてラベリングする第10ラベリングユニットと、を含む。
【0062】
一実施例では、前記陽性位置決定モジュール240は、前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形が胸部リードによるものであり、且つ胸部リードから出力される高周波QRS波形データがV1、V2、V3、V4、V5、及びV6のうちの複数の組み合わせである場合、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第1カテゴリに分類する第1分類ユニットと、前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形が肢リードによるものであり、且つ肢リードから出力される高周波QRS波形データがI、II、III、aVL、aVF、及びaVRのうちの複数の組み合わせである場合、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第2カテゴリに分類する第2分類ユニットと、を含む。
【0063】
高周波QRS群のデータ分析装置に関する具体的な限定は、高周波QRS群のデータ分析方法に関する上記限定を参照することができるので、ここでは詳しく説明しない。上記の高周波QRS群のデータ分析装置の各モジュールの全部又は一部は、ソフトウェア、ハードウェア、及びこれらの組み合わせによって実現されてもよい。上記の各モジュールは、ハードウェアの形態でコンピュータ機器のプロセッサに埋め込まれてもよいし、コンピュータ機器のプロセッサから独立してもよく、ソフトウェアの形態でコンピュータ機器のメモリに記憶されてもよく、それによって、上記の各モジュールに対応する操作を実行するためのプロセッサ呼び出しを容易にする。
【0064】
一実施例では、コンピュータ機器が提供され、このコンピュータ機器は、図8に示すような内部構造図を有することができるサーバであってもよい。このコンピュータ機器は、システムバスを介して接続されたプロセッサと、メモリと、ネットワークインターフェースとを含む。ここで、このコンピュータ機器のプロセッサは、計算及び制御能力を提供するために使用される。このコンピュータ機器のメモリは、不揮発性記憶媒体と、内部メモリとを含む。この不揮発性記憶媒体は、オペレーティングシステムと、コンピュータプログラムと、データベースとを記憶している。この内部メモリは、不揮発性記憶媒体におけるオペレーティングシステム及びコンピュータプログラムの動作のための環境を提供する。このコンピュータ機器のデータベースは、高周波QRS波形データを記憶するために使用される。このコンピュータ機器のネットワークインターフェースは、ネットワーク接続を介して外部の端末と通信するために使用される。このコンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、高周波QRS群のデータ分析方法を実現する。
【0065】
当業者であれば、図8に示す構造は、本願の態様に関連する部分的な構造のブロック図にすぎず、本願の態様が適用されるコンピュータ機器を限定するものではなく、具体的なコンピュータ機器は、図に示されているよりも多く又は少ない構成要素を含むか、ある構成要素を組み合わせるか、又は異なる構成要素配置を有することができることを理解できる。
【0066】
一実施例では、メモリとプロセッサを含み、メモリは、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ機器であって、
プロセッサは、コンピュータプログラムを実行すると、上記の各方法のステップを実現する、コンピュータ機器がさらに提供される。
【0067】
一実施例では、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると上記の各方法のステップを実現する、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【0068】
当業者であれば、上記の実施例の方法における流れの全部又は一部を実施することは、不揮発性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよく、実行されると、上記の方法の実施例のような流れを含むことができるコンピュータプログラムによって、関連するハードウェアに命令することによって達成されてもよいことを理解することができる。ここで、本願による実施例において使用されるメモリ、記憶装置、データベース、又は他の媒体への任意の引用は、不揮発性及び揮発性メモリのうちの少なくとも1つを含んでもよい。不揮発性メモリは、読み出し専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、磁気テープ、フロッピーディスク、フラッシュメモリ、又は光メモリなどを含んでもよい。揮発性メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)又は外部キャッシュメモリを含んでもよい。例として、RAMは、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:Static Random Access Memory)又はダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:Dynamic Random Access Memory)などの様々な形態をとってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0069】
以上の実施例の各構成要件は任意に組み合わせることができ、説明を簡潔にするために、上記の実施例における各構成要件の可能な組み合わせをすべて記述していないが、これらの構成要件の組み合わせに矛盾がない限り、すべて本明細書に記載された範囲であるとみなすべきである。
【0070】
上記の実施例は、本願のいくつかの実施形態を説明したものに過ぎず、その説明はより具体的かつ詳細であるが、これによって発明特許の範囲を限定するものと理解することはできない。当業者にとっては、本願の構想から逸脱することなく、若干の変形及び改良を加えることができ、これらは、いずれも本願の保護範囲に属する。したがって、本願の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に準ずるものとする。
【符号の説明】
【0071】
102 端末
104 サーバ
210 データ取得モジュール
220 リード陽性指標計算モジュール
230 波形変化形状指標計算モジュール
240 陽性位置決定モジュール
250 ラベリングモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非診断用の高周波QRS群のデータ分析方法であって、
少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するステップと、
高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成するステップと、
高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算するステップと、
リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップと、を含み、
高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算するステップは、
高周波QRS波形データのうち山又は谷での特定点データを取得するステップであって、前記特定点データは、時間値とRMS電圧値を含み、前記特定点データは、心電図中の特定点の座標であり、特定点は、山又は谷の位置にある、ステップと、
特定点データを第2関数に入力し、第2関数から波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を出力するステップと、を含む、ことを特徴とする非診断用の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項2】
高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成した後、
前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形データの種類及び数に基づいて、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第1カテゴリ又は第2カテゴリに分類するステップをさらに含み、
前記リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップは、
リード陽性指標、波形変化形状指標、及び陽性位置が分類されたカテゴリに応じて、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項3】
少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するステップは、
少なくとも1つの心電図胸部リード及び/又は肢リードを介して出力される、少なくとも1つのサンプリング周期の高周波QRS波形データを取得するステップであって、高周波QRS波形データは、人体に貼り付けられた電極パッチで収集された電流信号から150HZ~250HZの範囲のデータ信号を抽出して処理することにより得られるステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項4】
少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するステップは、
少なくとも1つの心電図胸部リード及び/又は肢リードを介して出力される、少なくとも1つのサンプリング周期の高周波QRS波形データを取得するステップであって、高周波QRS波形データは、人体に貼り付けられた電極パッチで収集された電流信号から150HZ~250HZの範囲のデータ信号を抽出して処理することにより得られるステップを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項5】
高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成する前記ステップは、
高周波QRS波形データから運動時間帯の波形データを取り、運動時間帯の波形データのうちRMS電圧値が最大のデータを第1基準点として選択し、時間が第1基準点よりも後のRMS電圧値が最小の点を第2基準点として選択するステップと、
第1関数によって第1基準点のRMS電圧値と第2基準点のRMS電圧値との差を計算して振幅の絶対値を得、振幅の絶対値と第1基準点のRMS電圧値との比を計算して振幅低下の相対値を得、振幅の絶対値及び振幅低下の相対値でリード陽性指標を構成するステップであって、絶対値及び振幅低下の相対値は、予め設定された条件を満たし、リード陽性指標は、陽性であることを示す、ステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項6】
高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成する前記ステップは、
高周波QRS波形データから運動時間帯の波形データを取り、運動時間帯の波形データのうちRMS電圧値が最大のデータを第1基準点として選択し、時間が第1基準点よりも後のRMS電圧値が最小の点を第2基準点として選択するステップと、
第1関数によって第1基準点のRMS電圧値と第2基準点のRMS電圧値との差を計算して振幅の絶対値を得、振幅の絶対値と第1基準点のRMS電圧値との比を計算して振幅低下の相対値を得、振幅の絶対値及び振幅低下の相対値でリード陽性指標を構成するステップであって、絶対値及び振幅低下の相対値は、予め設定された条件を満たし、リード陽性指標は、陽性であることを示す、ステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項7】
前記第2関数は、隣接する特定点の間の振幅値から波形振幅を計算し、単一の高周波QRS波形データから計算された最大の波形振幅を選択し、最大の波形振幅から計算された振幅閾値未満の波形振幅をフィルタリングし、保持した波形振幅に対応する特定点データを時系列に接続し、形状関数を得て、形状関数によって波形変化形状指標を得る、ことを特徴とする請求項1に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項8】
前記波形変化形状指標は、第1形状カテゴリと、第2形状カテゴリと、第3形状カテゴリと、を含み、前記第1形状カテゴリは、U字形及びL字形のうちの少なくとも1つを含み、前記第2形状カテゴリは、W字形、V字形、及びM字形のうちの少なくとも1つを含み、前記第3形状カテゴリは、平型及び逆V字形のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項9】
リード陽性指標、波形変化形状指標、及び陽性位置が分類されたカテゴリに応じて、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするステップは、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が5つよりも大きく、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第1注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が5つよりも大きく、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第2注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第3注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第4注目レベルとしてラベリングことと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第5注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が3つ以上5つ以下であり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第6注目レベルとしてラベリングことと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第7注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがYESであり、波形変化形状指標が第1形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第8注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第1カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第9注目レベルとしてラベリングすることと、
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形の数が1つ又は2つであり、不快症状データがNOであり、波形変化形状指標が第2形状カテゴリであり、かつ陽性位置が第2カテゴリである場合、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルを第10注目レベルとしてラベリングすることとを含む、ことを特徴とする請求項に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項10】
リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形データの種類及び数に基づいて、第1予め設定されたルールに従って、陽性位置を第1カテゴリ又は第2カテゴリに分類する前記ステップは、
前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形が胸部リードによるものであり、且つ胸部リードから出力される高周波QRS波形データがV1、V2、V3、V4、V5、及びV6のうちの複数の組み合わせである場合、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第1カテゴリに分類するステップと、
前記リード陽性指標が陽性を示す高周波QRS波形が肢リードによるものであり、且つ肢リードから出力される高周波QRS波形データがI、II、III、aVL、aVF、及びaVRのうちの複数の組み合わせである場合、第1予め設定されたルールに従って陽性位置を第2カテゴリに分類するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の高周波QRS群のデータ分析方法。
【請求項11】
非診断用の高周波QRS群のデータ分析装置であって、
少なくとも1つの心電図リードを介して出力される高周波QRS波形データを取得するデータ取得モジュールと、
高周波QRS波形データから第1関数によって振幅低下の相対値及び振幅の絶対値を計算し、リード陽性指標を形成するリード陽性指標計算モジュールと、
高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算する波形変化形状指標計算モジュールと、
リード陽性指標及び波形変化形状指標に基づき、第2予め設定されたルールによって分析し、前記高周波QRS波形データに対応する注目レベルをラベリングするラベリングモジュールと、を含み、
高周波QRS波形データから第2関数によって、波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を計算するステップは、
高周波QRS波形データのうち山又は谷での特定点データを取得するステップであって、前記特定点データは、時間値とRMS電圧値を含み、前記特定点データは、心電図中の特定点の座標であり、特定点は、山又は谷の位置にある、ステップと、
特定点データを第2関数に入力し、第2関数から波形変化が属する形状カテゴリを示すための波形変化形状指標を出力するステップと、を含む、ことを特徴とする非診断用の高周波QRS群のデータ分析装置。
【請求項12】
メモリとプロセッサを含み、前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ機器であって、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~10のいずれか1項に記載の高周波QRS群のデータ分析方法のステップを実現する、ことを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項13】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、請求項1~10のいずれか1項に記載の高周波QRS群のデータ分析方法のステップを実現する、ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【国際調査報告】