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特表2024-536557癌患者の治療のための葉酸及びビタミンB6による5-フルオロウラシルの薬理学的調節
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  • 特表-癌患者の治療のための葉酸及びビタミンB6による5-フルオロウラシルの薬理学的調節 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】癌患者の治療のための葉酸及びビタミンB6による5-フルオロウラシルの薬理学的調節
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/513 20060101AFI20240927BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 31/4415 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K31/513
A61K31/519
A61K31/4415
A61K31/675
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P35/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523260
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2022078836
(87)【国際公開番号】W WO2023066865
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】2111099
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524144246
【氏名又は名称】マショヴェ,ダヴィド
【氏名又は名称原語表記】MACHOVER,David
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】マショヴェ,ダヴィド
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC18
4C086BC43
4C086CB09
4C086DA38
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA65
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
必要とする被験者の乳癌治療における使用のための、フルオロピリミジン(i)と、B6ビタマー(ii)と、葉酸(iii)と、を含む抗腫瘍医薬組成物。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする被験者の乳癌治療における使用のための、フルオロピリミジン(i)と、B6ビタマー(ii)と、葉酸(iii)と、を含む抗腫瘍医薬組成物。
【請求項2】
必要とする被験者の乳癌の治療において、同時、別個又は逐次に使用される請求項1に記載の抗腫瘍医薬組成物。
【請求項3】
前記フルオロピリミジンは、5-フルオロウラシル、カペシタビン、5-フルオロ-2’-デオキシウリジン、フトラフール、エミテフル、エニルラシル/5-FU、S-1、UFT及びこれらの混合物から成る群から選択される請求項1又は2に記載の使用のための抗腫瘍医薬組成物。
【請求項4】
前記フルオロピリミジンは、5-フルオロウラシルである請求項1~3のいずれか1項に記載の使用のための抗腫瘍医薬組成物。
【請求項5】
前記B6ビタマーは、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、これらの5’-リン酸化誘導体、これらの酢酸エステル、これらの薬理学的に適合可能な塩及びこれらの混合物から成る群から選択される請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のための抗腫瘍医薬組成物。
【請求項6】
前記B6ビタマーは、ピリドキシン及びピリドキサミンから成る群から選択される請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のための抗腫瘍医薬組成物。
【請求項7】
前記B6ビタマーは、フルオロピリミジンの最適な相乗効果に必要な血漿PLP又は細胞内PLPレベル以上のレベルを達成するのに十分な高用量で投与される請求項1~6のいずれか1項に記載の使用のための抗腫瘍医薬組成物。
【請求項8】
前記フォレートは、葉酸、ジヒドロフォレート、テトラヒドロフォレート、5-メチルテトラヒドロフォレート、5,10-メチレンテトラヒドロフォレート、5-ホルミルテトラヒドロフォレート、5,10-メテニルテトラヒドロフォレート、10-ホルミルテトラヒドロフォレート、5-ホルミニノテトラヒドロフォレート、[6RS]-5-ホルミルテトラヒドロフォレート及びこれらのフォレートの活性立体異性体、[6S]-5-ホルミルテトラヒドロフォレート、[6R]-5,10-メチレンテトラヒドロフォレート、これら薬理学的に適合可能な塩及びこれらの混合物から成る群から選択される請求項1~7のいずれか1項に記載の使用のための抗腫瘍医薬組成物。
【請求項9】
前記フォレートは、5-ホルミルテトラヒドロフォレート、[6S]-5-ホルミルテトラヒドロフォレート又はカルシウムレボフォリナート若しくはナトリウムレボフォリナートである請求項1~8のいずれか1項に記載の使用のための抗腫瘍医薬組成物。
【請求項10】
前記組成物は、1又は複数の免疫療法剤、化学療法剤又は放射線療法剤とともに、連続又は併用して投与される請求項1~9のいずれか1項に使用のための抗腫瘍医薬併用。
【請求項11】
必要とする被験者の乳癌治療における使用のための、フルオロピリミジン(i)と、B6ビタマー(ii)と、葉酸(iii)と、を含み、前記治療は、
1日目に、
a)10~30分間、好ましくは約15分間で、100~1000mg/m、好 ましくは200mg/mのフォレート、好ましくはカルシウムレボフォリナート又はアルフォリチキソリンを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
b)10~30分間、好ましくは約15分間で、3000mg超の用量のB6ビタマー、好ましくは、ピリドキシン及びピリドキサミンを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
c)2時間で、5-FU100~1000mg/m、好ましくは約600mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
d)22時間かけ、5-FU100~500mg/m、好ましくは約350mg/mを含む静注内注入で投与するステップを含み、
前記a)からd)のステップを、2日目に繰り返し、
任意に、
1)1日目に、前記a)からd)のステップの前に、
i)30~180分、好ましくは120分かけて、オキサラト白金(1-OHP)50~100mg/m、好ましくは約85mg/mを含む静脈内ボーラス投与し、任意に続いて、
ii)10分から60分間、好ましくは約30分間で、カンプトテシン-11(CPT11)100~200mg/m、好ましくは約180mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、
2)1日目及び2日目に、c)及びd)のステップの間に、10分から30分間、好ましくは約15分間で、3000mg超のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む静脈内ボーラスを投与する抗腫瘍医薬組成物。
【請求項12】
必要とする被験者の乳癌治療における使用のための、フルオロピリミジン(i)と、B6ビタマー(ii)と、葉酸(iii)と、を含み、前記治療は、
I-1日目に、
a)約120分間、オキサラト白金(1-OHP、オキサリプラチン)約85mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
b)約30分間、カンプトテシン-11(CPT11、イリノテカン)約180mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
c)約15分間、レボフォリナート及びアルフォリチキソリンから選択されるフォレート約200mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
d)10分から30分間、好ましくは約15分間で、3000mg超の用量のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
e)約2時間で、5-FU約625mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、任意に続いて、
f)22時間、5-FU約375mg/mを含む第2の静脈内ボーラスを投与し、
2日目に、
a)約15分間、レボフォリナート及びアルフォリチキソリンから選択されるフォレート約200mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
b)10分から30分間、好ましくは約15分間で、3000mg超の用量のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
c)約2時間で、5-FU約625mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、任意に続いて、
d)22時間、5-FU約375mg/mを含めて静脈内注入し、
又は、
II-1日目に、
a)約120分間、オキサラト白金(1-OHP、オキサリプラチン)約85mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
b)約30分間、カンプトテシン-11(CPT11、イリノテカン)約180mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
c)約15分間、レボフォリナート及びアルフォリチキソリンから選択されるフォレート約200mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
d)10分から30分間、好ましくは約15分間で、3000mg超の用量のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
e)約2時間、5-FU約625mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、任意に続いて、
f)10分から30分間、好ましくは約15分の間、3000mg超の用量のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む第2の静脈内ボーラスを投与し、続いて、
g)22時間、5-FU約375mg/mを含む連続注入を投与し、
2日目に、
a)約15分間、レボフォリナート及びアルフォリチキソリンから選択されるフォレート約200mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
b)10分から30分間、好ましくは約15分間で、3000mg超の用量のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
c)約2時間で、5-FU約625mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、任意に続いて、
d)10分から30分間、好ましくは約15分の間、3000mg超の用量のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む第2の静脈内ボーラスを投与し、続いて、
e)22時間、5-FU約375mg/mを含めて静脈内注入する抗腫瘍医薬組成物。
【請求項13】
必要とする被験者の癌の治療において、請求項10又は11に記載の使用のための、(i)フルオロピリミジンと、(ii)B6ビタマーと、(iii)フォレートと、を含み、前記癌は、膀胱癌、血液癌、骨癌、骨髄癌、脳癌、乳癌、大腸癌、食道癌、胃腸癌、歯肉癌、頭部癌、腎癌、肝癌、肺癌、鼻咽頭癌、首癌、卵巣癌、前立腺癌、皮膚癌、胃癌、睾丸癌、舌癌、膵癌又は子宮癌、特に進行性大腸癌及び転移性大腸癌を含む大腸癌並びに膵腺癌から選択される抗腫瘍医薬組成物。
【請求項14】
必要とする被験者の癌、特に、進行性大腸癌及び転移性大腸癌を含む大腸癌と、膵腺癌との治療において、請求項10又は11に記載の使用のための、(i)フルオロピリミジンと、(ii)B6ビタマーと、(iii)フォレートと、を含み、前記治療は、14日ごとに実施する抗腫瘍医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ピリドキサール5’-リン酸は、ビタミンB6の補酵素型であり、高濃度であると、5-フルオロウラシル(5-FU又はFUra)と葉酸(FA)に曝露された癌細胞で細胞毒性を増強することが知られている。進行性乳癌患者27名において、高用量のピリドキシン(PN)がFUra及びFAを含むレジメンの抗腫瘍活性に及ぼす効果について試験を行った。未治療患者18名のうち、腫瘍にHER2過剰発現が見られない12名は患者群Iであり、HER2過剰発現の6名は患者群IIであり、以前に化学療法を受けた9名の患者は患者群IIIに含めた。患者群IはFAC(ドキソルビシン、シクロホスファミド、FUra、FA)又はAVCF(ドキソルビシン、ビノレルビン、シクロホスファミド、FUra、FA)を受けた後にTCbF(パクリタキセルカルボプラチン、FUra、FA)を受けた。患者群II及びIIIはTCbFを受けた。ピリドキシンは、各FA及びFUraの前に静脈内投与した(1,000~3,000mg/日)。患者群IIはトラスツズマブとペルツズマブも受けた。26名の患者が反応を示した。患者群Iの患者3名がCRであり、9名が減少率62~98%のPRであり、患者群IIの患者4名がCRであり、2名が減少率98%のPRであった。患者群IIIの測定定可能患者7名のうち、2名がCRを達成し、5名が減少率81~94%のPRであった。反応までの中央値期間は3.4ヶ月であった。予期しない毒性は発現しなかった。このパイロット試験は、高用量のビタミンB6がFUra及びFAを含むレジメンの抗腫瘍作用を高めることを示唆している。
【背景技術】
【0002】
フルオロデオキシウリジン一リン酸(FdUMP)は、5-フルオロウラシル(FUra)の活性代謝物であり、チミジル酸合成酵素(TS)とフォレート補酵素型のN5-N10メチレンテトラヒドロプテロイルグルタミン酸(CH-HPteGlu)に結合し、TSを不活性化する[FdUMP-TS-CH-HPteGlu]三元複合体を形成する。この三元複合体の解離は、CH-HPteGluが最大1mM超レベルの広い濃度範囲にわたって増加するにつれて減少する1~3(非特許文献1~3)。高濃度の最大20μMのN5-ホルミルテトラヒドロプテロイルグルタミン酸[5-HCO-HPteGlu;フォリン酸(FA);ロイコボリン]と共に、フルオロデオキシウリジンに癌細胞をin vitroで曝露すると、単独のフルオロピリミジンよりも多くの三元複合体が形成され、細胞毒性効果が徐々に増大する(非特許文献4)。FdUMPによるTS阻害はチミジン三リン酸(dTTP)の合成を阻害し、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)貯留の不均衡を引き起こし、デオキシウリジントリリン酸(dUTP)とフルオロデオキシウリジントリリン酸(FdUTP)の蓄積につながることによって、遺伝子DNAミスマッチを含むDNA複製欠陥や、複製フォーク進行の変化を誘発し、DNA損傷細胞応答を引き起こし、最終的には細胞死に至る5~8(非特許文献5~8)。
【0003】
これらの薬理学的原理を臨床応用することによって、単独のFUraよりも抗腫瘍効果が優れた高用量のFAと併用したFUraのレジメンが導かれ、現在では大腸、胃、膵臓の腺癌患者の治療に用いられている9,10(非特許文献9~10)。しかし、この調節による抗癌効果をさらに高めようとする試みが成功したことが確認されていない。おそらく、この併用による効果は、どのタイプのフォレートをさらに高用量で使用しても、化合物の投与法を変更しても、克服できない限界に達している。
【0004】
葉酸によるフルオロピリミジンの調節の効果は癌細胞によって変化する。この変化は、フォレートのポリグルタメート化の違い11(非特許文献11)と、細胞内CH-HPteGlu貯留の拡張能力に関連している。還元フォレートへの曝露による細胞内CH-HPteGlu濃度の変化は、以前に試験されていた11~20(非特許文献11~20)。報告データから、癌細胞にあらゆる量のフォレートを補っても、三元複合体の最大安定性を得るために、FdUMPのTSへの結合強度を高めるのに必要なCH-HPteGluの最大濃度レベルまで持続的に上昇させる可能性は低い2,3(非特許文献2~3)。ほとんどの試験では、CH-HPteGluの濃度上昇は限定的であり、三元複合体の最適な安定化に必要なレベルをはるかに下回り、フォレート曝露中止後は、急速に減少した11~20(非特許文献11~20)。これらの所見説明の一つとしては、癌細胞でのフォレートの急速な代謝回転であり21(非特許文献21)、CH-HPteGluをN5-メチルテトラヒドロプテロイルグルタミン酸(CH-HPteGlu)に不可逆的に還元することが挙げられる(図1)。また、癌細胞でのCH-HPteGlu貯留の拡張能力が劣るのは、このフォレートの産生が不十分ことによると考えられる。テトラヒドロプテロイルグルタミン酸(HPteGlu)からCH-HPteGluの合成は、2つの経路によって行われる。第1の経路は、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(SHMT)によって触媒されるグリシン及びCH-HPteGluの形成によるセリンのCβのHPteGluへの変換である。SHMTは、普遍的はピリドキサール5’-リン酸(PLP)依存性酵素であり、細胞代謝のための一炭素単位の主要源である22~25(非特許文献22~25)。第2の経路は、グリシン分解を触媒してミトコンドリアでCH-HPteGluを形成するグリシン分解系である26,27(非特許文献26~27)。還元フォレート及びビタミンB6を併用してフルオロピリミジンを調節する目的の試験の根拠は、SHMTアポ酵素が補酵素に結合する低親和性にある。ヒトを含む様々な哺乳動物由来のSHMTは、Kd値が250nMから27μMで補酵素と結合する22~25(非特許文献2~25)が、赤血球で自然発生するPLPレベルは約30~100nmol/Lの細胞でほぼ変化し、SHMT活性が細胞内PLP濃度の変化に敏感であることを示している27,28(非特許文献27~28)ことがわかっている。ビタミンB6の可用性によって、細胞内のフォレート媒介一炭素代謝が顕著に変化する。ピリドキシン欠乏培地で培養されたヒト乳癌MCF-7細胞は、PLPレベル、SHMT活性、S-アデノシルメチオニンレベルが減少した。これらの細胞にPLPを添加すると、ピリドキシン(PN)欠乏培地で培養した細胞で測定されたものよりも、SHMT活性が大幅に増大した24(非特許文献24)。ラットにビタミンB6欠乏食を与えると、肝臓のPLPレベル及びSHMT活性が減少し、セリンからのメチル基によるホモシステインからメチオニンへの再メチル化の減少が伴う。すなわち、SHMT触媒によるCH-HPteGluの合成が減少し、それに続いてメチオニンシンターゼの補酵素であるCH-HPteGluの合成が減少したことによる(図129(非特許文献29)。
【0005】
これらのデータから、腫瘍内で、自然発生するPLPレベルは、三元複合体の安定性を高めることによって、FdUMPによるTS阻害を改善するために必要な量で、HPteGluをCH-HPteGluに、細胞内でSHMT依存的に変換することを可能にするには少なすすぎると、我々は仮定した30(非特許文献30)。癌細胞内のPLPレベルの変化によるSHMT活性の変化を検証するため、ヒト大腸癌細胞株HT29、HCT116及びマウス白血病細胞株L1210を用いてin vitroで実験を行い、細胞増殖時のFUra、FA及びPLP間の相互作用を調査した30(非特許文献30)。FUraに曝露された癌細胞を高濃度のPLP及びFAに相前後して補完することは、3つの細胞株でFUraの細胞毒性活性を増強し、HT29とL1210細胞では強力な増殖抑制相乗効果が見られる一方、HCT116細胞では加算効果が見られた。このような所見は、癌細胞にPLPを供給することによってSHMT活性が増大することから、CH-HPteGlu貯留が拡張するという仮説を支持している。
【0006】
薬物動態実験がマウスの細胞内で実施され、細胞内PLP貯留の拡張によるin vivoで達成されるビタミンB6によるFUraの生化学的調節のための生理的能力、及び考えられる限界について試験された30(非特許文献30)。BALB/cマウスに、ピリドキサミン(PM)又はピリドキシン(PN)を450mg/kgの高用量で、時間0のみ(t0)、又は時間0及び開始から12時間後の2回(すなわち、t0とt12hに)腹腔内投与し、一定間隔でサンプリングが行われた。試験によると、非リン酸化B6ビタマーの非経口投与後の赤血球PLPレベルは、SHMTが補酵素に結合するKd値の範囲内の濃度レベルまで上昇し22~25(非特許文献22~25)、新たに合成されたPLPは、細胞から急速に排出されることがわかった30(非特許文献30)。注射後12時間で基準濃度に減少し、B6ビタマーの投与を12時間間隔で繰り返しても測定可能な蓄積効果は見られなかった。ビタミンB6投与後の細胞内PLPレベルの急速な減少は、ヒトでも報告されている27,28(非特許文献27~28)。これらのデータから、FUra及びFAで処置される患者に高用量の非リン酸化B6ビタマーを投与することによって、腫瘍内の細胞内PLPレベルが上昇し、CH-HPteGlu合成が増大して、長期的なTS阻害と抗腫瘍効果が強化されると考えた。これらの実験から得られたデータの追加分析30(非特許文献30)により、PMを腹腔内投与されたマウスの赤血球内PLPピーク濃度レベル及び注射から12時間のPLPの濃度対時間曲線下面積(PLP中AUCt0-t12hnmol・12時間/L細胞)は、PNを投与された動物で測定されたものより、それぞれ、3.7倍及び6.7倍大きかった(図2)。これらの非リン酸化B6ビタマー間の細胞内での薬物動態の顕著な相違は、補酵素の変換の違いによって説明されうる。PM及びPNは、それぞれPMP及びPNPで、ATP依存性ピリドキサールキナーゼ(PLK)によってリン酸化され、フラビンモノヌクレオチド(FMN)依存性ピリドキシン(ピリドキサミン)5′-リン酸オキシダーゼ(PNPOx)によってPLPに酸化されるが31~34(非特許文献31~34)、PMPに対するPNPOxの親和性がPNPよりも高いと報告されており、PNPOxのPMP及びPNPに対するK値は、それぞれ1.0μM、1.8μMであった34(非特許文献34)。両ビタマーに共通の触媒シーケンスに加えて、PMPは、ピリドキサミンアミノトランスフェラーゼによる触媒経路を介してPLPに可逆的に変換されると記載されている31~33(非特許文献31~33)。細胞内PLP貯留を拡張するために、PMの腹腔内投与には、PNに勝る利点がある可能性を考慮する本明細書に示す所見を調査するためには、さらに試験が必要である。
【0007】
乳癌患者の治療のための化学療法レジメンは、主に2~4種類の細胞毒性薬を連続併用投与されることが多く、アントラサイクリン、タキサン、ビンカアルカロイド、アルキル化剤、白金配位化合物、フルオロピリミジンを含む。現在使用されている標準的なレジメンは有効だが、腫瘍が進行した段階の患者には、抗腫瘍効果が限定的であり、反応率は40~60%の範囲で、約10%の患者が完全寛解を達成する35,36(非特許文献35~36)。乳癌が進行した患者にFUra及び葉酸を単剤投与、あるいは第2の細胞毒性薬と併用投与した第II相試験は、好ましい結果となった37~44(非特許文献37~44)。これらの試験で報告された反応率は、単剤としてFUra及び葉酸による治療を受けた患者で36~41%の範囲であり、FUra及びFAをパクリタキセル又はビノレルビンと併用投与を受けた患者では28~70%の範囲であった。しかし、FUra及びFAの調節によるスキーマは乳癌の第1選択治療のオプションの一部としては、これまで広く認識されていない。
【0008】
本明細書では、根治的な切除や放射線療法が適用できない進行乳癌患者を対象とした代わりのパイロット試験を報告する。これらの患者の標準治療レジメンには、FUra及びFAの併用が含まれており、この併用レジメンに高用量のピリドキシン(PN)を追加することで構成されている。ヒトで様々な状態の治療に使用され高用量のピリドキシンは、安全であると報告されていたが、極めて高い用量で長期間投与した場合に感覚性末梢神経障害を引き起こした45,46(非特許文献45~46)。これらの先行データから、ビタミンB6を短期間投与した後に、薬物を使用しない期間を置き、ヒトで毒性が報告されている用量よりも遥かに少ない用量であれば、患者を神経障害の高リスクに晒す可能性は低くなると考えた。しかし、試験中、ピリドキシンの用量を徐々に増加させ、神経学的徴候や症状に特に注意を払って進めた。
【0009】
高用量FA及びPNによるFUraの調節は、切除不能又は転移性の大腸腺癌、膵臓腺癌、食道扁平上皮癌の患者治療のためのパイロット試験で用いられている47(非特許文献47)。FUra及びFAを含む標準的な化学療法レジメンに高用量PNを追加することによって、これら同じレジメンをPNなしで使用した場合に予測したものよりも、早期で抗腫瘍反応率が高くなり、毒性に悪影響を及ぼさない重要なものとなった。
【0010】
本試験には、2014年12月から2021年2月に、単一施設内で治療を受けた進行性乳腺癌患者27名を含めた。患者は、炎症性乳癌を伴うか否かに関わらず、遠隔リンパ節、骨及び/又は内臓の転移、あるいは遠隔転移のみに関与する高度進行性局所腫瘍病変を出現していた。登録した患者数が限られており、かつ、含めた時点で腫瘍が広範囲に及んでいたため、事例分析的アプローチを用いた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Santi,D.V.,McHenry,C.S.,&Sommer,H.「Mechanism of interaction of thymidylate synthetase with 5-fluorodeoxyuridylate」.Biochemistry.13,471~481 (1974)
【非特許文献2】Danenberg,P.V.&Danenberg,K.D.「Effect of 5,10-methylenetetrahydrofolate on the dissociation of 5-Fluoro-2’-deoxyuridylate from thymidylate synthetase:evidence for an ordered mechanism」.Biochemistry.17,4018~4024 (1978)
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、必要とする被験者の乳癌の治療における使用のための、(i)フルオロピリミジンと、(ii)B6ビタマーと、(iii)フォレートと、を含む抗腫瘍医薬組成物である。
【0013】
本出願において使用する「ビタミンB6」という用語は、ビタミンB6のバイオアッセイにおいて、あらゆる生物活性を示すあらゆる化合物又は化合物の混合物を指す。ビタミンB6には、ピリドキシン(ピリドキソール又はPNとしても知られる)、ピリドキサール(PL)、ピリドキサミン(PM)、上記3つの化合物の5’-リン酸化誘導体であるピリドキシン5’-リン酸(PNP)、つまり、ピリドキサミン5’-リン酸(PMP)、ピリドキサール5’-リン酸(PLP)、これらの酢酸エステル、それらの薬理学的に許容される塩、及び試験済み有機体内でPLP、PNP又はPMPに変換可能な関連誘導体又は化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による抗腫瘍医薬組成物は、これを必要とする被験者の乳癌の治療における使用のために、同時に、別個に、あるいは逐次に投与することができる。
【0015】
必要とする被験者の乳癌の治療における使用のための、本発明による抗腫瘍医薬組成物において、フルオロピリミジンは5-フルオロウラシル、カペシタビン、5-フルオロ-2’-デオキシウリジン、フトラフール、エミテフル、エニルラシル/5-FU、S-1、UFT及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0016】
必要とする被験者の乳癌の治療における使用のための、本発明による抗腫瘍医薬組成物において、フルオロピリミジンは、好ましくは5-フルオロウラシルである。
【0017】
必要とする被験者の乳癌の治療における使用のための、本発明による抗腫瘍医薬組成物において、B6ビタマーは、好ましくは、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、これらの5’-リン酸化誘導体、これらの酢酸エステル、これらの薬理学的に適合可能な塩及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0018】
必要とする被験者の乳癌の治療における使用のための、本発明による抗腫瘍医薬組成物において、B6ビタマーは、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンから成る群から選択される。
【0019】
さらに特に、本発明は、その目的に対して、必要とする被験者の乳癌の治療における使用のための抗腫瘍医薬組成物を有し、B6ビタマーは、フルオロピリミジンの最適な相乗効果に必要な血漿PLP又は細胞内PLPレベル以上のレベルを達成するのに十分な高用量で投与される。
【0020】
必要とする被験者の乳癌の治療における使用のための、本発明による抗腫瘍医薬組成物において、フォレートは、葉酸、ジヒドロフォレート、テトラヒドロフォレート、5-メチルテトラヒドロフォレート、5,10-メチレンテトラヒドロフォレート(MTHF)、5-ホルミルテトラヒドロフォレート、5,10-メテニルテトラヒドロフォレート、10-ホルミルテトラヒドロフォレート、5-ホルミニノテトラヒドロフォレート、[6RS]-5-ホルミルテトラヒドロフォレート及びこれらのフォレートの活性立体異性体、[6S]-5-ホルミルテトラヒドロフォレート(レボフォリナート)、[6R]-5,10-メチレンテトラヒドロフォレート([6R]-MTHF)、これらのフォレートのヘミ硫酸塩を含む薬理学的に適合可能な塩及びこれらの混合物から成る群から選択される。特に、[6R]-MTHFのヘミ硫酸塩(アルフォリチキソリン、モデュフォリン(登録商標))及びレボフォリナートのカルシウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
【0021】
必要とする被験者の乳癌の治療における使用のための、本発明による抗腫瘍医薬組成物において、フォレートは、最も好ましくは、5-ホルミルテトラヒドロフォレート又は[6S]-5-ホルミルテトラヒドロフォレート、[6R]-MTHFのヘミ硫酸塩(アルフォリチキソリン、モデュフォリン(登録商標))又はレボフォリナートのカルシウム塩又はナトリウム塩から成る群から選択される。好ましいレボフォリナート塩は、そのカルシウム塩である。
【0022】
さらに特に、本発明は、その目的に対して、必要とする被験者の乳癌の治療における使用のための抗腫瘍医薬組成物を有し、該組成物は(i)フルオロピリミジンと、(ii)B6ビタマーと、(iii)フォレートと、を含み、1又は複数の免疫療法剤、化学療法剤又は放射線療法剤とともに、連続して又は併用して投与される
【0023】
本出願で使用する「患者」という用語は、ヒト男性又はヒト女性を指す。女性の乳癌が男性の乳癌よりも多く見られるため、本発明は、特に女性の乳癌患者を対象とする。
【0024】
本発明による使用のための医薬組成物の各成分が投与される条件は、以下のように要約する。
【0025】
本発明の文脈において、フルオロピリミジンを静脈内投与する場合、ボーラス投与、例えば1時間から12時間の短期間の静脈内注入、連続注入、又はこれらの方法の混合によって使用してもよい。通常、FUraのボーラスは、3~5週間ごとの5日間にわたり1日あたり370~500mg/mの用量で、あるいは週に500mg/mの用量で被験者に投与してもよい。あるいは、少なくとも22時間で、FUraの連続注入を、1回あたり22時間かけて、1又は複数回行っててもよい。FUraの連続投与には、400mg/mの静脈内ボーラス用量に続いて、2日間で22時間かけて600mg/mを投与することを含めてもよい。あるいは、FUraの400mg/mのボーラス用量に続いて、46時間で、2400mg/mを投与してもよい。
【0026】
ビタミンB6欠乏症を治療するために従来使用されるビタミンB6の用量は、当業者によく知られている。通常、ビタミンB6欠乏症を治療するために使用されるビタミンB6の従来用量は、1.3~300mg/日であり、さらに特には、50~300mg/日である。特に、本発明の文脈で用いるビタミンB6は、ビタミンB6欠乏症を治療するために従来使用される用量の少なくとも2倍以上、特に少なくとも3倍以上、少なくとも4倍以上、少なくとも5倍以上、少なくとも6倍以上、少なくとも7倍以上、少なくとも8倍以上、少なくとも9倍以上、少なくとも10倍以上、少なくとも20倍以上、少なくとも30倍以上、少なくとも40倍以上又は少なくとも50倍以上の用量で投与される。本発明の文脈では、さらに高用量のビタミンB6も使用することができる。特に、本発明で使用するビタミンB6(例えばPN、PL、PM又はこれらの5’-リン酸化誘導体)は、フルオロピリミジンの最適な相乗効果のために必要な血漿PLP及び/又は細胞内PLPレベル以上のレベルを達成するために、高用量(及び/又は様々な投与方法、すなわち、急速静脈内注入;短期静脈内注入;又は様々な期間の連続静脈内注入)で投与され、通常、160μmol/L以上である。
【0027】
本発明で使用するフォレートは、経口的又は非経口的、特に、経口的、静脈内、筋肉内、皮下に投与される。静脈内投与される場合、フォレートは、ボーラス投与、連続注入、又はその併用によって使用してもよい。通常、フォレート、特に葉酸は、20~1000mg/m/日の用量、さらに特には、25~500mg/m/日の用量、特に、50~400mg/m/日の用量、さらに特には、100~200mg/m/日の用量で投与してもよい。特定の実施形態では、フォレート、特に葉酸は、低用量、すなわち25mg/m/日未満の用量で投与してもよい。あるいは、フォレート、特に葉酸は、高用量、すなわち200mg/m/日超の用量で投与してもよい。特にフォレート、特に葉酸は、治療的に有効な血漿濃度、すなわち10mMの血漿濃度を許容するために、高用量で投与してもよい。
【0028】
本発明は、その目的に対して、必要とする被験者の癌、特に、進行性大腸癌及び転移性大腸癌を含む大腸癌、並びに膵腺癌の治療における使用のための抗腫瘍医薬組成物を有し、該組成物は(i)フルオロピリミジンと、(ii)B6ビタマーと、(iii)フォレートと、を含み、前記治療は、次のステップを含む。
a)1日目に、10~30分間、好ましくは約15分間で、100~1000mg/m、好ましくは200mg/mのフォレート、好ましくはカルシウムレボフォリナート又はアルフォリチキソリンを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
b)10~30分間、好ましくは約15分間で、3000mg超の用量のB6ビタマー、好ましくは、ピリドキシン及びピリドキサミンを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
c)2時間で、5-FU100~1000mg/m、好ましくは約600mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
d)22時間かけ、5-FU100~500mg/m、好ましくは約350mg/mを含む静注内注入で投与し、
前記a)からd)のステップを、2日目に繰り返し、
任意に、
1)1日目に、上記のa)からd)のステップの前に、
i)30~180分、好ましくは120分かけて、オキサラト白金(1-OHP)50~100mg/m、好ましくは約85mg/mを含む静脈内ボーラス投与し、任意に続いて、
ii)10分から60分間、好ましくは約30分間で、カンプトテシン-11(CPT11)100~200mg/m、好ましくは約180mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し
及び/又は
2)1日目及び2日目に、前記c)及びd)のステップの間に、10分から30分間、好ましくは約15分間で、3000mg超のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む静脈内ボーラスを投与する。
【0029】
上述するように、治療ステップa)からd)の1日目には、先行して、オキサラト白金(1-OHP)の静脈内ボーラスを投与することができ、任意に続いて、カンプトテシン-11(CPT11)の静脈内ボーラスを投与することができる。
【0030】
さらに特には、フルオロピリミジン、B6ビタマー及びフォレートの投与前に、白金誘導体(好ましくはオキサラト白金(1-OHP))及び/又はカンプトテシン誘導体(好ましくはCPT11)の任意投与することは、進行性大腸癌及び転移性大腸癌並びに膵腺癌のような消化器癌の治療に適している。
【0031】
別の癌種、特に、乳癌の治療を考慮する場合、フルオロピリミジン、B6ビタマー及びフォレートの投与に加えて、アントラサイクリン系、特に、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ピラルビシン又はピクサントロンなどの抗癌生成物を投与することができる。乳癌の治療において、フルオロピリミジン、B6ビタマー及びフォレートに加えて投与することができる他の抗癌生成物には、タキサン系、好ましくは、パクリタキセル、ナブパクリタキセル又はドセタキセル;ビンブラスチン、ビノレルビン(ナベルビン)、ビンクリスチン及びビンデシンなどのビンカアルカロイド系;シクロホスファミド又は白金誘導体化合物、好ましくはカルボプラチンが含まれる。
【0032】
本発明は、その目的に対して、必要とする被験者の癌、特に、乳癌の治療における使用のための抗腫瘍医薬組成物を有し、該組成物は、(i)フルオロピリミジンと、(ii)B6ビタマーと、(iii)フォレートと、を含み、前記治療は、次のステップを含む。
a)1日目に、フォレート、好ましくは、レボフォリナートカルシウム又はアルフォリチキソリンの静脈内ボーラスを投与し、続いて、
b)B6ビタマー、好ましくは、ピリドキシン及びピリドキサミンを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
c)2時間で、5-FUを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
d)5-FUを含む静脈内注入し、
任意に、
e)前記a)からd)のステップを、2~4日目に繰り返し、
1日目に、前記a)からd)のステップの前に、アントラサイクリン、特にダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ピラルビシン若しくはピクサントロン、並びに/又はタキサン系、好ましくはパクリタキセル、ナブパクリタキセル若しくはドセタキセル、並びに/又はビンブラスチン、ビノレルビン(ナベルビン)、ビンクリスチン及び/若しくはビンデシンなどのビンカアルカロイド系;シクロホスファミド、並びに/又は白金誘導体、好ましくはカルボプラチンを投与する。
【0033】
本発明は、その目的に対して、必要とする被験者の癌、特に、進行性大腸癌及び転移性大腸癌を含む大腸癌並びに膵腺癌の治療における使用のための抗腫瘍医薬組成物を有し、該組成物は(i)フルオロピリミジンと、(ii)B6ビタマーと、(iii)フォレートと、を含み、前記治療は、14日ごとに実施する。2日間のプロトコルは、最適な抗腫瘍効果が得られる限り、14日ごとに繰り返す。最適な抗腫瘍効果とは、腫瘍退縮又は少なくとも腫瘍サイズの安定として定義することができる。
【0034】
B6ビタマーの3000mg超の用量は、最適な生物学的効果(Optimal Biological Dose又はOBD)を得る用量を意味する。超高用量のB6ビタマーは、本発明の実施において、有利に使用することができる。このような高用量又は超高用量のB6ビタマーは、3000mg、6000mg、12000mg、18000mg以上のオーダーでありうる。
【0035】
さらに特に、本発明は、その目的に対して、必要とする被験者の癌の治療において、請求項10に記載の使用のための抗腫瘍医薬組成物を有し、該組成物は(i)フルオロピリミジンと、(ii)B6ビタマーと、(iii)フォレートと、を含み、前記癌は、膀胱癌、血液癌、骨癌、骨髄癌、脳癌、乳癌、大腸癌、食道癌、胃腸癌、歯肉癌、頭部癌、腎癌、肝癌、肺癌、鼻咽頭癌、首癌、卵巣癌、前立腺癌、皮膚癌、胃癌、睾丸癌、舌癌、膵癌又は子宮癌、特に進行性大腸癌及び転移性大腸癌並びに膵腺癌から選択される。
【0036】
好ましい実施形態では、本発明は以下の非限定的な方法に従って、14日ごとに実施することができる。
【0037】
スキーマ1
1日目に、
1)約120分間、オキサラト白金(1-OHP、オキサリプラチン)約85mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
2)約30分間、カンプトテシン-11(CPT11、イリノテカン)約180mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
3)約15分間、レボフォリナート及びアルフォリチキソリンから選択されるフォレート約200mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
4)10分から30分間、好ましくは約15分間で、3000mg超の用量のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
5)約2時間で、5-FU約625mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、任意に続いて、
6)22時間、5-FU約375mg/mを含めて静脈内注入し、
2日目に、
1)約15分間、レボフォリナート及びアルフォリチキソリンから選択されるフォレート約200mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
2)10分から30分間、好ましくは約15分間で、3000mg超の用量のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
3)約2時間で、5-FU約625mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、任意に続いて、
4)22時間、5-FU約375mg/mを含めて静脈内注入する。
【0038】
スキーマ2
1日目に、
1)約120分間、オキサラト白金(1-OHP、オキサリプラチン)約85mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
2)約30分間、カンプトテシン-11(CPT11、イリノテカン)約180mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
3)約15分間、レボフォリナート及びアルフォリチキソリンから選択されるフォレート約200mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
4)10分から30分間、好ましくは約15分間で、3000mg超の用量のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
5)約2時間、5-FU約625mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、任意に続いて、
6)10分から30分間、好ましくは約15分間、3000mg超のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む第2の静脈内ボーラスを投与し、続いて、
7)22時間、5-FU約375mg/mを含む連続注入を投与し、
2日目に、
1)約15分間、レボフォリナート及びアルフォリチキソリンから選択されるフォレート約200mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
2)10分から30分間、好ましくは約15分間で、3000mg超の用量のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む静脈内ボーラスを投与し、続いて、
3)約2時間で、5-FU約625mg/mを含む静脈内ボーラスを投与し、任意に続いて、
4)10分から30分間、好ましくは約15分の間、3000mg超の用量のB6ビタマー、好ましくはピリドキシン及びピリドキサミンを含む第2の静脈内ボーラスを投与し、続いて、
5)22時間、5-FU約375mg/mを含めて静脈内注入する
【0039】
一部の実施形態においては、癌、特に、乳癌、進行性大腸癌及び転移性大腸を癌含む大腸癌並びに膵臓腺癌の治療において、上述の使用のための本発明の合剤又は組成物は、抗癌化合物、化学療法剤又は放射線療法剤などの1又は複数の治療活性剤とともに、逐次又は同時に投与される。
【0040】
「抗癌化合物」という用語の意味は、当技術分野では一般的であり、チロシンキナーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ受容体(TKR)阻害剤、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤、抗EGFR化合物、抗HER2化合物、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)経路阻害剤、インターフェロン療法、アルキル化剤、代謝拮抗物質、免疫療法剤、インターフェロン(IFN)、インターロイキン、及び以下に記載するような化学療法剤などの抗癌療法に使用される抗癌化合物を指す。
【0041】
「チロシンキナーゼ阻害剤」又は「TKI」という用語の意味は、当技術分野では一般的であり、チロシンキナーゼを阻害する化合物、チロシンキナーゼ受容体阻害剤(TKRI)、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤、EGFR拮抗剤などのあらゆる様々な治療剤又は治療薬を指す。また、「チロシンキナーゼ阻害剤」又は「TKI」という用語の意味は、当技術分野では一般的であり、受容体型及び/又は非受容体型チロシンキナーゼの選択的又は非選択的阻害剤として作用するあらゆる様々な治療剤又は薬剤を指す。本発明の実施形態の方法に使用するのに適したチロシンキナーゼ阻害剤及び関連化合物の例としては、エルロチニブ、スニチニブ(スーテント;SU11248)、ダサチニブ(BMS-354825)、PP2、BEZ235、サラカチニブ、ゲフィチニブ(イレッサ)、エルロチニブ(タルセバ;OSI-1774)、ラパチニブ(GW572016;GW2016)、カネルチニブ(CI1033)、セマキシニブ(SU5416)、バタラニブ(PTK787/ZK222584)、ソラフェニブ(BAY43-9006)、イマチニブ(グリベック;STI571)、レフルノミド(SU101)、バンデタニブ(ザクティマ;ZD6474)、MK-2206(8-[4-アミノシクロブチル]フェニル]-9-フェニル-1,2,4-トリアゾロ[3,4-f][1,6]ナフチリジン-3(2H)-オン塩酸塩)、これらの誘導体、これらの類似体及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このような阻害剤の他の例としては、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、カネルチニブ、BMS-599626(AC-480)、ネラチニブ、KRN-633、CEP-11981、イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、AZM-475271、CP-724714、TAK-165、スニチニブ、バタラニブ、CP-547632、バンデタニブ、ボスチニブ、レスタウルチニブ、タンヅチニブ、ミドスタウリン、エンザスタウリン、AEE-788、パゾパニブ、アキシチニブ、モタセニブ、OSI-930、セジラニブ、KRN-951、ドバチニブ、セリシクリブ、SNS-032、PD-0332991、MKC-I(Ro-317453;R-440)、ソラフェニブ、ABT-869、ブリバニブ(BMS-582664)、SU-14813、テラチニブ、SU-6668(TSU-68)、L-21649、MLN-8054、AEW-541及びPD-0325901が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書に用いるEGFRチロシンキナーゼ阻害剤は、エルロチニブ、ラパチニブ、ロシレチニブ(CO-1686)、ゲフィチニブ、ダコミチニブ(PF-00299804)、アファタニブ、ブリガチニブ(AP26113)、WJTOG3405、NEJ002、AZD9291、HM61713、EGF816、ASP8273、AC0010から成るが、これらに限定されない群から選択される化合物を含むが、これらに限定されない。抗体EGFR阻害剤の例には、セツキシマブ、パニツムマブ、マツズマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、ネシツムマブ、イムガツズマブ(GA201,RO5083945)及びABT-806が挙げられる。
【0043】
一部の実施形態において、本発明の合剤又は組成物は、化学療法剤と共に投与する。化学療法剤という用語は、腫瘍増殖を抑制する効果がある化学化合物を指す。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えばチオテパ及びシクロホスファミド;アルキルスルホネート類、例えばブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン類、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ;エチレンイミン類及びメチルメラミン類、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロールメラミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(例えば、合成類似体のトポテカン又はイリノテカン);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(例えば、そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成類似体);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(例えば合成類似体、KW-2189及びCBI-TMI);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えば、カリケアミシン、特にカリケアミシン(11及びカリケアミシン211、例えば、非特許文献58、ダイネミシン、例えばダイネミシンA;エスペラミシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連したクロモプロテイン系エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カルビシン、カルミノマイシン(canninomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(例えばモルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン(idanrbicin)、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン(nogalarnycin)、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン(streptomgrin)、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えばメトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン、5-FU;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充物質、例えばフォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド(aldophospharnide glycoside);アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エフロルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド、例えばメイタンシン及びアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲンナニウム(spirogennanium);テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン(2,2’,2’’-trichlorotriethylarnine);トリコテセン(特にT-2毒素、ベルカリンA(verracurin A)、ロリジンA、及びアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール(mitobromtol);ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(タキソール(登録商標))やドセタキセル(タキソテール(登録商標));クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチンやカルボプラチンなどの白金類似体;オキサリプラチン(1-OHP,オキサラト白金エロキサチン(登録商標));ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;カペシタビン;並びに上記のいずれかの薬理学的に許容される塩、酸、又は誘導体が含まれる。また、この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用するホルモン拮抗剤、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼを阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びトレミフェン(ファレストン)などのエストロゲン拮抗薬;並びにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリンなどのアンドロゲン拮抗薬:並びに、上記いずれかの薬理学的に許容される塩、酸又は誘導体も含まれる。
【0044】
一部の実施形態において、本発明の合剤又は組成物は免疫療法剤と共に投与される。本明細書において使用する「免疫療法剤」という用語は、癌細胞に対する生体の免疫応答を間接的に若しくは直接的に増強、刺激、若しくは増大させ、及び/又は、他の抗癌療法の副作用を低減する化合物、組成物、又は処置を指す。非特異的免疫療法剤は、一般的に、サイトカイン又は非サイトカインアジュバントとして分類される。適切なサイトカインとしては、インターフェロン、インターロイキン、及びコロニー刺激因子が挙げられるがこれらに限定されない。本発明によって考えられるインターフェロン(IFN)としては、一般的な種類のIFN、IFN-アルファ(IFN-α)、IFN-ベータ(IFN-β)、及びIFN-ガンマ(IFN-γ)が挙げられる。組換え型IFN-αは、ロフェロン(ロシュ製薬)及びイントロンA(シェリング社)として市販されている。本発明によって考えられるインターロイキンとしては、IL-2、IL-4、IL-11及びIL-12が挙げられる。市販されている組換え型インターロイキンの例としては、プロロイキン(登録商標)(IL-2;カイロン社)及びニューメガ(登録商標)(IL-12;ワイス製薬)が挙げられる。ザイモジェネティクス社(シアトル、ワシントン州)は、組換え型IL-21を現在試験中であり、これもまた本発明の合剤への使用に考えられる。本発明によって考えられるコロニー刺激因子(CSF)としては、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF又はフィルグラスチム)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF又はサルグラモスチム)及びエリスロポエチン(エポエチンアルファ、ダルベポエチン)が挙げられる。1又は複数の増殖因子を用いての処置は、従来の化学療法を受けている被験者において新たな血球の生成を刺激するのに役立ちうる。したがって、CSFを用いての処置は、化学療法に伴う副作用を低減させるのに役立ち、またより高用量の化学療法剤の使用が可能である。様々な組換え型コロニー刺激因子、例えば、ニューポジェン(登録商標)(G-CSF;アムジェン社)、ニューラスタ(ペグフィルグラスチム(pelfilgrastim);アムジェン社)、ロイキン(GM-CSF;バーレックス社)、プロクリット(エリスロポエチン;オーソバイオテック社)、エポジェン(エリスロポエチン;アムジェン社)、アラネスプ(Arnesp)(エリスロポエチン)が市販されている。特異的標的又は非特異的標的を有することに加えて、免疫療法剤は能動的であってもよく、すなわち、生体自身の免疫応答を刺激することができるか、又はそれらは受動的であってもよく、すなわち、生体にとって外的に発生した免疫系成分を含んでいてもよい。受動的特異的免疫療法は典型的には、癌細胞の表面上に見られる特定の抗原に対して特異的であるか、又は特定の細胞増殖因子に対して特異的である、1又は複数のモノクローナル抗体の使用を含む。
【0045】
本発明の合剤に包含させるのに適した癌免疫療法剤として現在使用されているモノクローナル抗体としては、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、イブリツモマブチウキセタン(ゼバリン(登録商標))、トシツモマブ(ベキサール(登録商標))、セツキシマブ(C-225、アービタックス(登録商標))、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ(登録商標))、アレムツズマブ(キャンパス(登録商標))、及びBL22が挙げられるがこれらに限定されない。他の例としては、抗CTLA4抗体(例えば、イピリムマブ)、抗PD1抗体、抗PDL1抗体、抗TIMP3抗体、抗LAG3抗体、抗B7H3抗体、抗B7H4抗体、又は抗B7H6抗体が挙げられる。一部の実施形態では、抗体にはB細胞を減少させる抗体を含む。典型的なB細胞を減少させる抗体には、抗CD20モノクローナル抗体[例えば、リツキシマブ(ロシュ)、イブリツモマブチウキセタン(バイエルシェーリング)、トシツモマブ(グラクソスミスクライン)、AME-133v(アプライドモレキュラーエボリューション)、オクレリズマブ(ロシュ)、オファツムマブ(HuMax-CD20、Gemnab)、TRU-015(トルビオン)、IMMU-106(イムノメディック)]、抗CD22抗体[例:エプラトゥズマブ、非特許文献59]、抗CD79a抗体、抗CD27抗体、又は抗CD19抗体、抗BAFF-R抗体(例:ベリムマブ)、抗APRIL抗体(例:抗ヒトAPRIL抗体)、及び抗IL-6抗体[例:非特許文献60~61に以前に記述されたもの]が挙げられる。免疫療法処置は、同種移植、特に、造血幹細胞HSCによる同種移植から成ってもよい。免疫療法治療は、非特許文献62に記載されているような免疫療法処置から成ってもよい。免疫療法処置では、被験者の循環リンパ球、NK細胞が分離され、in vitroで増幅され、被験者に再投与される。活性化したリンパ球又はNK細胞は、最も好ましくは、以前に血液又は腫瘍のサンプルから単離され、in vitroで活性化(又は「拡大」)した被験者自身の細胞である。
【0046】
癌治療に使用してもよい刺激チェックポイントの例には、CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITR及びICOSが挙げられる。抑制チェックポイント分子の例には、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、CD277、IDO、KIR、PD-1、PD-L1、LAG-3、TIM-3、VISTAが挙げられる。
【0047】
一部の実施形態において、本発明の合剤又は組成物は、放射線療法剤と共に投与される 本明細書に用いる「放射線療法剤」という用語は、癌を治療又は改善するために効果的であると当業者に知られている任意の放射線療法剤を指すものであり、限定されない。
【0048】
本明細書で使用する「放射線療法」という用語の意味は、当技術分野では一般的であり、癌治療にイオン化放射線を用いることを指す。イオン化放射線は、治療する領域(標的組織)の細胞を損傷させたり、破壊したりすることにより、これらの細胞の遺伝物質を破壊し、増殖し続けることを不可能にする。広く使用される放射線療法の種類には、光子、例えばX線を利用したものがある。
【0049】
さらなる治療活性剤は、制吐剤でありうる。適切な制吐剤には、メトクロプロミド、ドムペリドン、プロクロルペラジン、プロメタジン、クロルプロマジン、トリメトベンズアミド、オンダンセトロン、グラニセトロン、ヒドロキシジン、アセチルロイシン、アリザプリド、アザセトロン、ベンズキナミド、ビエタノーチン、ブロモプリド、ブクリジン、クレボプリド、シクリジン、ジメンヒドリネート、ジフェニドール、ドラセトロン、メクリジン、メタラタール、メトピマジン、ナビロン、スコポラミン、スルピリド、テトラヒドロカンナビノール、トリエチルペラジン、チオプロペラジン、トロピセトロンが含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態においては、抗吐剤はグラニセトロン又はオンダンセトロンである。
【0050】
別の実施形態では、さらなる治療活性剤は造血コロニー刺激因子でありうる。適切な造血コロニー刺激因子には、フィルグラスチム、サルグラモスチム、モルグラモスチム及びエポエチンアルファが含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
さらに別の実施形態では、他の治療活性剤はオピオイド又は非オピオイド鎮痛剤でありうる。適切なオピオイド鎮痛薬には、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、オキシモルホン、オキシコドン、メトポン、アポモルヒネ、ブプレノルフィン、メペリジン、ロペルミド(lopermide)、エトヘプタジン、ベタプロジン(betaprodine)、ジフェノキシレート、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、レボルファノール、デキストロメトルファン、フェナゾシン、ペンタゾシン、シクラゾシン、メタドン、イソメタドン及びプロポキシフェンが含まれるが、これらに限定されない。適切な非オピオイド鎮痛薬には、アスピリン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ジクロフィナク(diclofinac)、ジフルシナル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ケトロラック、メクロフェナメート、メファナム酸、ナブメトン、ナプロシン、ピロキシカム及びスリンダクが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
さらに他の実施形態では、さらなる治療活性薬は、抗不安薬でありうる。適切な抗不安薬には、ブスピロン並びにジアゼパム、ロラゼパム、オキサザパム、クロルアゼペート、クロナゼパム、クロルジアゼポキシド及びアルプラゾラムなどのベンゾジアゼピンが含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
好ましい実施形態においては、消化器癌の治療において、フルオロピリミジン、B6ビタマー及び葉酸に加えて使用できる抗癌化合物は、オキサリプラチン(1-OHP、オキサラト白金 エロキサチン(登録商標))などの白金配位化合物及び/又はトポテカン又はイリノテカンなどのカンプトテシン誘導体及び/又はベバシズマブ(アバスチン(登録商標))などの抗血管新生化合物でありうる。
【0054】
一実施形態においては、前記さらなる活性化合物は、同一の組成物に含めるか、あるいは、別々に投与してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】5-フルオロウラシル、葉酸及びピリドキシンを含むレジメンで治療した進行性乳癌患者の特徴を示す表である。 1 患者は次のように分類する。I 腫瘍にHER2過剰発現が見られない未治療患者(1~12);II、腫瘍にHER2過剰発現が見られる(3+)未治療患者(13~18);III、腫瘍にHER2過剰発現が見られないが、以前に化学療法を受けた患者(19~27)。 2 以前に乳房切除術を受けた患者。 3LC 小葉癌;DC 管腔癌;EE Elston-Ellis病理学的グレード;Ki67 癌細胞の発現率;ER エストロゲン受容体;PR プロゲステロン受容体。 4 腋窩は、原発癌と反対側の腋窩の転移リンパ節を指す。
図2】5-フルオロウラシル、葉酸及びピリドキシンを含むレジメンで治療した進行性乳癌患者の治療成績を示す表である。 1 分類には、I 腫瘍にHER2過剰発現が見られない未治療患者(1~12);II、腫瘍にHER2過剰発現が見られる(3+)未治療患者(13~18);III、腫瘍にHER2過剰発現が見られないが以前に治療を受けた患者(19~27)。 2 レジメンの構成は本明細書に記載している。 3 FUra及びFAの各注射前のPNの中央値用量(×103mg/日)。 4 抗腫瘍反応、すなわち、総直径減少が30%以上を達成するまでの時間。 5 大部分の転移が消失し、部分反応(PR)を達成した患者は、治療前の同じ腫瘍と、評価時の持続性腫瘍のサイズを比較することによって、RECIST値を計算した。 6 PET(PERCIST)によって評価した除脂肪体重によって正規化した18FDGの最大標準摂取値(peakSUL)の変化率。 7 病理学的反応は、以前に乳房切除術を受けた患者において、根絶を目的とした乳房切除及び局所的切除によって評価した。8 以前に乳房切除術を受けた患者。9 患者24のEFS期間。Na 未評価。
図3】葉酸代謝経路と、FdUMPによるチミジル酸合成酵素の阻害を示す。 フォレート:H2PteGlu:7,8-ジヒドロフォレート;H4PteGlu:5,6,7,8-テトラヒドロフォレート;CH-HPteGlu:5,10-メチルテトラヒドロフォレート;CH-HPteGlu:5-メチルテトラヒドロフォレート;CH+-H4PteGlu:5,10-メテニルテトラヒドロフォレート;10-HCO-H4PteGlu:10-ホルミルテトラヒドロフォレート;CHNH-H4PteGlu:5-ホルミミノテトラヒドロフォレート;[6S]-5-HCO-H4PteGlu:5-ホルミルテトラヒドロフォレート(FA;[6S]-レウコボリン) 酵素:TS:チミジル酸合成酵素;SHMT:セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(PLP依存性酵素で、細胞質のSHMT1及びミトコンドリアのSHMT2のイソフォームを含む);GCS:グリシン分解系(ミトコンドリア)。TS阻害に関わる他の化合物及び物質:dUMP:デオキシウリジル酸;dTMP:チミジル酸;L-HCy:L-ホモシステイン;L-Met:L-メチオニン;FUra:5-フルオロウラシル;FdUMP:フルオロデオキシウリジル酸;[FdUMP-TS-CH-HPteGlu]:TS阻害をもたらす三元複合体
図4】マウスに高用量のピリドキシン又はピリドキサミンを非経口投与後のビタミンB6の赤血球薬物動態を示す。 赤血球内のピリドキサミン5’-リン酸(PMP)とピリドキサール5’-リン酸(PLP)のレベルは、高用量のピリドキシン(PN)又はピリドキサミン(PM)を腹腔内投与後のマウスで測定した。BALB/cマウス(各時点で2匹)に対し、PN又はPMを時間0でのみ、あるいは時間0及び開始後12時間に2回、450mg/kgで投与した。非リン酸化ビタミンB6による調査については、PMP及びPLPの測定を、実験開始から1、3、6、12、24時間で行った。以下の表は、注射後12時間のPLP及びPMPの最大濃度レベル及び濃度-時間曲線下面積を示している。
【表1】
図5】FUra、FA及びピリドキシンを含むレジメンで治療した進行性乳癌患者の臨床反応及び代謝反応の定量化を表す。 横座標の患者は、I 腫瘍にHER2過剰発現が見られない未治療患者(1~12);II、腫瘍にHER2過剰発現が見られる(3+)未治療患者(13~18);III、腫瘍にHER2過剰発現が見られないが以前に治療を受けた患者(19~27)を含む。標的数が高く、大部分の転移が消失し、部分的反応を達成した患者では、治療前に存在した腫瘍の同じ画像と評価時の残存画像のサイズを比較することにより、径和(RECIST)の減少率を計算した。代謝反応は、PETスキャンによって得た除脂肪体重で正規化した18FDGの最大標準摂取量の値(SULpeak)の変化率(PERCIST)によって評価した。-30%の点線は、変化なしと抗腫瘍反応との境界を表す。3名の反応者は、この方法でも評価しなかった(ヒストグラムでna);1名(12)には、以降の評価を妨げる急速な腫瘍進行があった。;1名の患者(19)は、解剖学的に測定可能な腫瘍がなく、もう1名(18)は、診察時に初期評価を妨げるPS4であった。
図6】FUra、高用量の葉酸及びピリドキシンを含むレジメンで治療した進行性乳癌患者の血漿腫瘍マーカーレベルの変化を表す。 図中の丸印は、治療による血漿腫瘍マーカーの変化を、抗腫瘍活性の評価時での終点に対する基準値と比率として示す。基準値濃度が正常値上限の2倍以上である血漿腫瘍マーカーを有する患者のみを示す。白丸は、マーカーが正常値上限以下となった患者を示す。黒丸は、マーカーレベルが減少したが、正常値上限を超える患者を示す。X軸の患者群には、I 腫瘍にHER2過剰発現が見られない未治療患者;II 腫瘍にHER2過剰発現が見られる(3+)未治療患者;III 腫瘍にHER2過剰発現が見られないが以前に治療を受けた患者を含む。
図7】FUra、葉酸及びピリドキシンを含むレジメンで治療した27名の進行性乳癌患者のイベント時系列を表す。 縦座標の患者群には、I 腫瘍にHER2過剰発現が見られない未治療患者(1~12);II 腫瘍にHER2過剰発現が見られる(3+)未治療患者(13~18);III 腫瘍にHER2過剰発現が見られないが以前に治療を受けた患者(19~27)を含む。患者は、図1図2及び図5と同じ順番で番号を割り振っている。棒グラフは、24番の患者を除く全例で無進行生存期間(PFS)を表し、24番の患者では無イベント生存期間(EFS)を表す。棒グラフ内の黒太線は、FUra、葉酸及びピリドキシンによる治療期間を表し、矢印はこの評価時点で進行中の治療を示す。黒色の四角形は、治療に対する反応、すなわち、30%以上の直和減少が記録された時点を示す。黒丸は乳房切除術又は根絶術が行われた時点を表す。白色の三角形は、治療に対して持続的反応を示す1名の患者において、試験脱落につながるイベントがあった時点を示す。黒色の三角形は、それまでの治療に対する反応があった患者において、腫瘍進行が起きた時点を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
実施例
資料及び方法
本試験は、パリ大学ポール・ブルース病院腫瘍内科部、パリ公立病院連合、パリ=サクレー大の承認を受けた。試験は、ヘルシンキ宣言の基本原則に従って実施した。全患者に、治療に関する論理的根拠、潜在する利益及びリスクについて説明した。全患者から、試験参加について書面インフォームドコンセントを得た。
【0057】
患者
処置前に、以前に化学療法を受けていないか、あるいは以前に化学療法ラインを2回まで受けたことがある進行性の管状乳腺癌又は小葉腺乳癌で、予後不良の特徴がある患者を含めた。以前に治療を受けた患者は、術前(ネオアジュバント)又は術後のアジュバント療法として1つの化学療法レジメン、及び/又は、進行性疾患に対する治療ラインを1回受けていたと考えられる。前回の化学療法は、試験に参加する少なくとも3ヶ月前に終了している必要があった。前回のホルモン療法は、あらゆる種類で認めた。多くの患者が、診察時において、腫瘍範囲が大きく、一般状態が不良であったため、根絶目的の手術及び放射線療法、さらには利用可能な治験には適格ではないと考えた。
【0058】
37歳から75歳(中央値50歳)の27名の患者を含めた。以前に化学療法を受けていない18名の患者のうち、6名には、免疫組織化学によって評価したヒト上皮増殖因子受容体2(Her2/neu;HER2)を過剰発現(3+)している腫瘍があり、12名には、そのような腫瘍はなかった。この18名の患者のうち、9名は遠隔リンパ節、骨、軟部組織、及び/又は内臓の転移を伴う局所進行切除不能腫瘍で、9名は炎症性乳癌であり、そのうち6名には遠隔転移もあった。AJCC解剖学的ステージは、IIIBが2名、IIICが1名、IVが15名であった。以前に化学療法を受けておらず、腫瘍にHER2過剰発現が見られない12名の患者のうち2名のうち、再発する1年前及び21年前に実施した乳房全切除術の解剖学的領域で、1名は結節状皮膚湿潤を、もう1名は結節性皮膚浸潤、筋層浸潤及び同側腋窩リンパ節腫脹を発現していた。18名の未治療患者のうち、15名にはERを発現する腫瘍があり、3名にはそのような腫瘍はなかった(表1)。9名の患者は、乳癌ステージIVと診断され、本試験に参加する1.5年から25年(平均8.4年)前に化学療法を受けていた。この中で4名は、ネオアジュバント療法又はアジュバント療法のみを受けており、3名は進行性疾患に対して化学療法ラインを1回のみ受けており、2名はネオアジュバント療法又はアジュバント療法と、その後に、転移性疾患治療のために化学療法ライン1回とを受けていた。治療を受けた9名全員が、アントラサイクリン系化学療法を受けており、8名がタキサン系化学療法も受けていた。この9名の患者のうち8名が、化学療法レジメンの一部としてFUraの投与を受け、そのうち4名が葉酸とともにFUraの投与を受けていた。このうちの全員には、HER2過剰発現腫瘍はなかった。9名の患者のうち6名にはERを発現する腫瘍があり、3名はトリプルネガティブ癌と言われていた。以前に化学療法を受けており、ERを発現する腫瘍がある6名の患者は、さまざまな形で内分泌療法を受けていた。以前に化学療法を受けていた9名の患者のうち8名は、遠隔リンパ節、骨、軟部組織及び/又は内臓の転移で測定可能な腫瘍があり、1名は局所進行性疾患があった。1名の患者は骨転移のみであった。全患者が以前に乳房切除術を受けていた(表1)。
【0059】
CA15-3高値の15名の患者では、血漿腫瘍マーカーレベルの初期値高値(上限値の2倍以上)が認められ、7名は、CEA高値を伴い、8名は、さらに/あるいはCA125レベル高値であった。大部分の患者で腫瘍負荷が高いことが記録されていた(表1及び表2)。診察時のEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のPerformance Status(PS)スコアは、12名が0~1、5名が2、10名が3~4であった(表1)。2名の患者には、有害なBRCA2遺伝子変異があった。
【0060】
処置
患者は、我々の標準的な処置法で採用し、患者の疾患及び臨床的特異性に対する治療に対して指示したFUra及びFAの併用を含む導入化学療法レジメンを受け、各FA及びFUraの投与とともに、高用量のピリドキシンを補充した(表2)。4つの異なる併用レジメンを、各分類及び/又は患者の臨床的特異性に応じて単独又は逐次で使用した。レジメンは、次の通りである。(a)FACは、21日ごとの1日間コースであり、1日目にドキソルビシン40mg/mを静脈内投与;1日目にシクロホスファミド500mg/mを静脈内投与;FUra500mg/mを2時間で静脈内投与;葉酸(FA;[6R,S]-5-ホルミルテトラヒドロプテロイルグルタミン酸;[6R,S]-5-HCO-HPteGlu)200mg/mを15分間で静脈内投与;(b)AVCFは、21日ごとに4日間コースであり、1日目にドキソルビシン40mg/mを静脈内投与;1日目にビノレルビン25mg/mを静脈内投与;1日目から4日目にシクロホスファミド250mg/m/日を静脈内投与;1日目から4日目にFUra400mg/m/日を2時間で静脈内投与;1日目から4日目にFA200mg/m/日を15分で静脈内投与;(c)TCbFは、21日ごとに4日間のコースであり、1日目にパクリタキセル175mg/mを静脈内投与;1日目にカルボプラチンAUC=5mg/ml・分を静脈内投与;1日目から4日目にFUra400mg/m/日を2時間で静脈内投与;1日目から4日目にFA200mg/m/日を15分で静脈内投与;(d)VCbFは、21日ごとに4日間のコースであり、1日目にビノレルビン25mg/mを静脈内投与;1日目にカルボプラチンAUC=5mg/ml・分を静脈内投与;1日目から4日目でFUra400mg/m/日を2時間で静脈内投与;1日目から4日目でFA200mg/m/日を15分で静脈内投与。全治療コースで、各コースの初日から顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を併用した。
【0061】
FACレジメン及びAVCFレジメンに含まれるドキソルビシンは、左室駆出率が基準値から10%以上減少した場合に中断した。TCbFレジメンに含むパクリタキセルは、程度によらない持続性の感覚鈍麻、知覚異常及び/若しくは異常感覚、並びに/又は四肢痛を伴う感覚性末梢神経障害(SPN)の症状が初めて記録した場合に中断した。ビノレルビンを含む化学療法(すなわちVCbF)は、重度の造血障害がある患者、あるいはタキサン系薬剤による毒性が以前に誘発した患者に対してTCbFの代わりに指示され、試験期間中に患者にパクリタキセル誘発性SPNが発現した場合には、TCbFの代わりに使用した。
【0062】
以前に治療を受けておらず、腫瘍にHER2過剰発現が見られない12名の患者のうち、8名は、アントラサイクリンを含む化学療法(4~6回コース)の初回コースを受けた後、TCbFのコースを受け、その後、上述の理由により必要に応じてTCbFの代わりにVCbFを受けた。アントラサイクリンを含む化学療法は、6名の患者でAVCF、2名でFACであった。AVCF及びFACは、2名が血液学的障害(1名は骨髄増殖性疾患、もう1名は広範な骨髄転移及び自己免疫性血小板減少症による重度の骨髄血球減少症があった)、2名が軽度の心肺機能障害のため回避し、これら4名の患者は、タキサン及びビノレルビンを含むレジメンのみを受けた(表2)。以前に治療を受けておらず、腫瘍にHER2過剰発現が見られる(3+)腫瘍がある6名の患者は、抗Her2/neuヒト化モノクローナル抗体トラスツズマブ(21日ごとに6mg/kgを静脈内投与)、及びペルツズマブ(21日ごとに420mg/患者を静脈内投与)と併用してTCbFを受けた。以前に治療を受けた9名の患者に対する導入化学療法は、7名にTCbF、2名にVCbFであった(表2)。腫瘍にER発現が見られる閉経前患者は、長期間、黄体形成ホルモン放出ホルモン類似体(LHRHa)を受けた。
【0063】
ビタミンB6は、6つの相互転換可能な化合物(すなわち、B6ビタマー)の総称であり、つまり、ピリドキシン(PN)、ピリドキサミン(PM)、ピリドキサール(PL)及びこれらの各5’リン酸化体のピリドキシン5’-リン酸(PNP)、ピリドキサミン5’-リン酸(PMP)及び補酵素のピリドキサール5’-リン酸(PLP)を指し27,32,33(非特許文献27,32~33)、市販されている唯一の非経口用B6ビタマーの塩酸ピリドキシン(250mgバイアルで入手可能)は、使用するレジメンのスケジュールに定められた日数にわたり、FA及びFUraの各注射の30分前に静脈内注射した(すなわち、FACレジメンでは1日、AVCF、TCbF、VCbFレジメンでは4日連続)。マウスで得られた薬物動態データに基づき30(非特許文献30)、マウスデータからヒトに投与量を変換するための近似係数を使用し48(非特許文献48)、ピリドキシンの1日用量は、本試験の期間中に、患者において1,000mg/日から最大3,000mg/日に増加した。後者は、上述のようにマウスで調査された高用量PM及びPN450mg/kgにほぼ相当するものであり30(非特許文献30)、これらの動物では、アポSHMTへのPLP結合に対して報告されているK最大値の範囲内で、細胞内PLP濃度がピークレベルに上昇した。これは現在の臨床試験の根拠となる理論を支持する要件である(図222~25(非特許文献22~25)。FUra及びFAの各投与に伴うPNの初回開始用量は1,000mg/日であった。その後、我々は次回コースで500~1,000mg/日ずつピリドキシンの患者内用量漸増を行った。前回、PNに起因すると思われるあらゆる形態の毒性が患者に記録されなかった場合、次回では、患者へのPNの初回開始用量は2,000mg/日に増加し、その後最大3,000mg/日まで増加した(表2)。
【0064】
上記の3つの患者群において、TCbFのコース数は事前に制限されておらず、パクリタキセル誘発性SPNが発現した場合は、VCbFに代えた(表2)コースは、患者の状態、治療の耐容性、腫瘍の表現型特異性、並びに腫瘍医及び臨床会議への照会による決定に応じて、推定した最大限の抗腫瘍反応が達成されるまで、個別に繰り返した。残存腫瘍の切除が可能となる完全反応又は部分反応を大きく達成した複数の患者に対しては、根絶を目的とした乳房切除術又は乳房部分切除術を提案し、その後、限定回数の術後コースを実施し、その後、化学療法を中止した。化学療法終了後、ERを発現する腫瘍のある患者は、長期間にわたってアロマターゼ阻害剤治療を受け、閉経前患者ではLHRHaを併用し、腫瘍にHER2過剰発現が見られる患者は、さらに1年間、3週間ごとにトラスツズマブを受けた。各患者の進行データ及び無イベント生存データを示す(表2及び図5)。患者が受けたさまざまな導入後療法により、我々は、主に、FUra、葉酸及びピリドキシンを含むレジメンで達成した抗腫瘍反応の大きさ及び特性に焦点を当て、その抗腫瘍作用を評価した。
【0065】
結果
抗腫瘍反応は、測定不能な腫瘍病変のフォローアップとともに、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)に従って、解剖学的に測定可能な腫瘍の径和の変化と、PET Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(PERCIST)に従って、陽電子放射断層撮影(PET)スキャンによって測定し、除脂肪体重より正規化したFDG摂取ピーク標準値(SULpeak18(非特許文献18)の変化とを、定期臨床検査及び血漿腫瘍マーカー測定と合わせて、試験することにより評価した49(非特許文献49)。病理学的反応(TNMAJCC診断)の評価は、完全反応を示すか、あるいは部分的反応を大きく達成し、乳房切除術又は根絶を目的とした部分切除術を受けた複数の患者に対して行った。また、治療後の画像の異常が続く以前病変があった部位で、画像下経皮生検による病巣の病理学的評価も複数の患者で得た。
【0066】
27名の患者のうち、26名が治療に反応し、1名が進行性疾患であった。導入療法によって、早期かつ大幅に腫瘍反応が得られた。
【0067】
以前に化学療法を受けておらず、腫瘍にHER2過剰発現が見られない腫瘍がある患者
この群には12名の患者を含めた。10名の患者を初診時に含み、2名の患者は、全乳房切除術のそれぞれ1年(患者10)、21年(患者8)後に再発しため治療を受けていた(表1)。12名の患者のうち、3名が臨床的CRを達成し、9名が大幅な腫瘍縮小率(最大径和の減少率は98、98、96、89、89、79、64、63、62%)のPRを達成し、治療前に存在していた遠隔転移が9名の患者で消失した(表1、表2、図3)。当初マーカーが高かった6名の患者では、治療開始から血漿CA15-3レベルが4~36倍減少し、そのうち3名が正常値となった(表2及び図4)。PETスキャンで評価した11名の患者のうち、7名が代謝的CRを達成し、4名のSULpeak値が85、84、55、50%減少した代謝的PRを達成した。病理学的反応は、5名の患者に対して乳房切除術又は根絶目的の切除により評価した。乳房切除術を受けた3名の患者のうち、臨床的CR及び代謝的CRとなった1名(患者3)にはpCR(ypT0N0)があり、もう1名(患者6)は臨床的に96%縮小し、代謝的CRにはypT1bN0ステージの最小限の原発性残存があり、もう1名(患者9)は、臨床的PR(79%縮小)と代謝的PR(85%縮小)となり、ypT1cN1aステージの限定的な残存腫瘍があった。以前に根絶的乳房切除術を受けた2名の患者は、臨床的PR及び代謝的PRを達成し、一方(患者8)には、腋窩リンパ節腫大及び結節性皮膚浸潤、もう一方(患者10)には結節性浸潤があり、その後、腫瘍標的がほぼ消失していたこの両名の患者は、根絶を目的として乳房切除部位とリンパ節郭清部位の軟部組織切除を行い、径和1cm未満の残存腫瘍を切除した。さらに、腫瘍直径が98%減少し、代謝的CRを達成した1名の反応者(患者4)には乳房の残存腫瘍がなく、部分的反応者1名(患者7)には、残存画像の経皮生検によって評価すると、持続性の乳房腫瘍浸潤が最小限であった。12名の患者のうち、4名が無進行生存期間(PFS)7ヶ月、22ヶ月、38ヶ月、51ヶ月後に再発し、他の8名は治療開始からPFS期間が4ヶ月+、12ヶ月+、15ヶ月+、16ヶ月+、28ヶ月+、39ヶ月+、39ヶ月+、49ヶ月+であった(表2、図3及び図5)。
【0068】
以前に化学療法を受けておらず、腫瘍にHER2過剰発現が見られる患者
この患者群に含む6名の患者のうち、4名が臨床的CRを達成し、2名が径和減少率98%のPRを達成した。反応には、4名の患者で治療前に存在していた遠隔転移の消失を伴っていた。当初マーカーが高かった3名の患者で、血漿CA15-3レベルが2.4~518倍減少し、3名全員のレベルが正常になった(表2及び図4)。PETスキャンで評価した5名の患者のうち、4名が代謝的CRを達成し、1名がSULpeak値が93%減少して代謝的PRを達成した。臨床的完全反応者4名では、乳房切除術により病理学的反応を評価した。SULpeak値が93%以上減少した3名の患者(患者13~15)が、ypT0N0ステージの病理学的CRを達成し、代謝的CRであった1名の患者(患者16)は、もはやHER2過剰発現のないypT1bN0ステージの浸潤性乳管原発腫瘍の残存があった。さらに、腫瘍直径が98%減少した代謝的CRとなった1名の反応者(患者17)は、残存画像の経皮的生検によって評価した際、乳房及び結節に残存腫瘍はなかった。6名の患者のうち1名は治療開始から27ヶ月後に再発し、他の5名は、PFS期間が17ヶ月+、38ヶ月+、61ヶ月+、64ヶ月+、65ヶ月+であった(表2、図3及び図5)。
【0069】
以前に化学療法を受けた患者
9名の患者のうち、8名が治療に反応し、1名が進行性疾患であった。臨床的に測定可能な疾患のある7名の反応者のうち、2名が臨床的CRを達成し、5名が径和の縮小率が94、91、88、88、81%でPRを達成した(表2及び図3)。臨床的に測定不可能な腫瘍があり、骨転移のみであった1名の患者は、初期の溶骨性病変のすべてに対して骨化密度が高くなり、代謝的CRを達成した(患者19)。反応では、治療前に7名の患者に存在していた遠隔転移が消失していた。当初マーカーが高かった6名の患者で、血漿CA15-3レベルが基準値から2~110倍減少し、そのうち4名が正常値になった(図4)。PETスキャンで評価した8名の患者のうち、5名が代謝的CRを達成し、3名がSULpeak値が93、91、47%減少した代謝的PRを達成した。治療に反応した全患者は以前に乳房切除術を受けており、病理学的反応は評価していなかった。8名の反応者のうち5名は、治療開始から13、15、27、34、54ヶ月後に再発し、幼少期のユーイング肉腫に対する遺伝毒性化学療法及び放射線療法を受け、その後、乳癌手術後の治療を受けた1名の患者は、乳癌に対する本導入療法完了後18ヶ月で致命的なAMLと診断された。AML診断時には、乳癌の進行はなく、無イベント生存(EFS)期間は30ヶ月だった(患者24)。本報告時点で、2名の部分反応者は、疾患進行の兆候がなく、導入療法を終了し、PFS期間はそれぞれ12ヶ月+、23ヶ月+であった(表2、図3及び図5)。
【0070】
26名の反応者のうち、23名が、PETスキャン評価(PERCIST)とともに臨床的反応評価(RECIST)受けた。両方法による減少率の一致は、臨床的CRを達成した7名(30%)の患者で見られ(図3及び表2)、臨床的CRとなった2名の患者及び臨床的PRとなった13名の患者(65%)で、15%以下の減少率(平均減少率8%)の中程度の差が見られ、臨床的PRであった1名の患者(患者22)で減少率が47%を記録した。後者の差は、治療下で骨化した単一の骨転移部位ではFDG摂取値が高く持続したが18(非特許文献18)、他のすべての転移病巣は、周囲背景からは区別できないFDG摂取値であった。両方の方法で評価されなかった3名の反応者のうち、1名の部分反応者(患者12)は急速に進行する腫瘍増殖によって、それ以上評価が行えず、1名の代謝的完全反応者(患者19)は初診時に臨床的に測定可能な腫瘍がなく、1名の完全反応者(患者18)は初診時にPS4であり、初期評価を完了することができず、後者は、最終評価時のPETスキャンが正常であった。骨転移があった11名の反応者全員が、骨再石灰化を経験し、3名の患者では、胸膜に関与した漿膜滲出が消失した。抗腫瘍反応が急速に得られ(表2)、治療開始から客観的反応を達成するまでに要した期間は、約1.7ヶ月から8.4ヶ月(中央値、3.4ヶ月)であった。反応は、全例で腫瘍関連症状の消失を伴っていた。
【0071】
各治療コース開始前の毒性評価では、異常な毒性や、使用した各レジメンで予測した以上の毒性作用は、記録されなかった。TCbFレジメンで治療した24名の患者のうち11名(46%)が、パクリタキセルの累積量が156~2833mg/m(平均1604mg/m)による感覚性末梢神経障害のために、パクリタキセルの投与を中断した。この中には、TCbFの1回目のコース後に四肢痛及び知覚異常を伴う重度のSPNがあった1名の患者が含まれる。パクリタキセル誘発性神経障害がある患者で、化学療法を中断したり、VCbFで継続した場合、神経症状は漸次減少し、その後、フォローアップ中に大部分の患者で消失した。TCbF下でSPNを発現しなかった13名の患者は、神経障害がある患者が受けたよりも少ない平均累積量のパクリタキセル(平均983mg/m、範囲570~1240mg/m)を受けた。以前にパクリタキセルなしでVCbFを含む化学療法を受けた2名の患者はSPNを発現しなかった。上述するようにパクリタキセルの中断を除いて、異常又は想定外に過剰な血液学的毒性及び/又は臓器毒性による細胞増殖抑制剤の減量、あるいはコース間隔の延長の必要がなかった。17q-染色体異常マーカーがある急性骨髄性白血病の一例が、以前に遺伝毒性細胞増殖抑制剤及び放射線療法を受けていた1名の患者で、導入療法の終了から18ヶ月後に発症した。
【0072】
考察
進行性乳癌患者の長期成績に関する化学療法の抗腫瘍作用の臨床的意義は、効果的に治療可能であるが、本質的には不治の病で困難であり、幅広く議論される問題である。併用化学療法レジメンは、抗腫瘍反応、進行及び生存までの時間に関して単剤療法よりも統計学的に有意な利点を示したが35,36(非特許文献35~36)、併用療法は、生活の質に悪影響を及ぼすような毒性をもたらす。さらに、表現型の副特異性に選択されない患者にとって、最も活性なものの中で認められた標準的な併用レジメンは存在しないのは、タキサン含有併用は、反応率及びPFSの点で、アントラサイクリン系併用より有意で、わずかに優れているにすぎず、生存に対してはそうではないからである36(非特許文献36)。併用療法の中で、様々な組成の白金誘導体含有レジメンは、反応率及び無イベント生存期間において非白金併用療法よりも若干効果があると報告されており、この統計学的有意差は、トリプルネガティブ進行性乳癌患者群では、より顕著であり、生存期間のわずかな改善も見られた50(非特許文献50)。注目すべきは、導入療法の抗腫瘍効果の程度に結び付く長期予後の改善が、高リスク局所乳癌患者が術前導入療法を受けた試験から、強く示されていることである。多数の試験のメタ分析は、術前治療下で病理学的完全反応を達成した患者の無イベント生存期間及び生存期間が、残存腫瘍がある患者よりもはるかに長期であったことを示し、これらの統計学的に有意な改善は、長期間維持されている51(非特許文献51)。しかし、表現型が異なる腫瘍の患者群で変動する病理学的CR率は、導入療法を受けた局所乳癌患者全員の約20%にしか臨床的CRは達成されておらず51(非特許文献51)、これは化学療法を必要とするこの新生物の全患者群に適用可能で強力な新戦略が必要であることを強調している。
【0073】
化学療法の抗腫瘍作用を向上させる試みとして、我々は、FUra及び葉酸を含む標準レジメンに高用量のピリドキシンを加えることによって、FUra及びFAの細胞毒性活性を調節する新規方法を調査した。本明細書に示す群に含めた27名の患者のうち26名が治療反応を急速に得た。しかし、この顕著な高反応率や、反応を得るのに必要な短期中央値3.4ヶ月は、含まれる患者数が限られているため、以前の治療コースと比較することはできない。以前に治療していない患者18名の全員が切除不能な乳腺癌を発現し、その大部分に多数の遠隔転移があったが、大きな抗腫瘍反応が得られた(表2)。これらの患者は、長期間持続する完全反応、及び大幅な腫瘍減少率を伴う部分反応を達成し、特に、腫瘍にHER2過剰発現が見られる患者は、抗Her-2/neu単クローン抗体による化学療法、好ましくはトラスツズマブ及びペルツズマブの併用療法を受けた。患者による以前の試験で予測した通り、より顕著な好成績を得た52(非特許文献52)。さらに、腫瘍径が96%以上減少し、臨床反応を得て、乳房切除術を受けた12名の未治療患者のうち6名のうち、2名には、ypT1bN0ステージの小さな残存腫瘍のみがあり、4名が病理学的CRを達成した(表2、図3)。さらに、腫瘍減少率が98%であった他の2名の反応者では、導入療法後の残存画像を超音波指向生検によって評価すると、乳房内には、残存腫瘍はなかった。まだ部分的ではあるが、これらの結果は、ERを発現しているか否かに関わらず、またHER2/neuを過剰発現しているか否かに関わらず、以前治療を受けておらず、手術不能な進行性及び/又は転移性乳癌患者では、大幅な腫瘍減少、さらには最終的には疾患根絶の達成において、本明細書に記載する治療の能力を示している。また、以前に治療を受けていた患者も、長期間持続する臨床的及び代謝的な完全反応と、大幅な腫瘍減少率を伴う部分反応と、さらには遠隔転移の消失も達成した。反応者8名のうち7名は、以前に、FUraを含む併用化学療法レジメンによる治療を受け、そのうち4名は葉酸の投与も受けていた。FUraに葉酸及び高用量B6ビタマーを追加することによって、フルオロピリミジンへの以前の耐性を克服できるかどうかを調査するためには、さらなる試験が必要である。本PN用量増加パイロット試験では、抗腫瘍反応の大きさや反応を得る速度を、治療期間中に各患者が投与を受けたB6ビタマーの中央日用量と相関させることはできない(表2)。この問題を調査するためには、薬物動態モニタリングによる用量設定試験を含む大規模試験が必要である。
【0074】
各コース開始前の治療による毒性評価では、B6ビタマーを含まない各レジメンで予測した以上の毒性も、予期しない毒性効果も見つけることはできなかった。特に、高累積量のピリドキシンの使用によって、TCbFレジメン入れたようなパクリタキセル使用で予測したよりも、感覚性末梢神経障害の発症率が高まることや、重症化することはなかった。TCbFの初回コースを受けた後、早期に急性末梢神経障害を発症した1名の患者を除き、感覚性末梢神経障害により用量制限となった患者が投与されたパクリタキセルの累積量は、以前に報告された範囲内であった53,54(非特許文献53~54)。
【0075】
本明細書で報告した顕著な高反応率に加えて、大抵の場合に腫瘍負荷が高い患者が急速に得た腫瘍反応の顕著な大きさによれば、高用量のビタミンB6を追加すれば、FUra及びFAを含む標準化学療法併用レジメンによる抗腫瘍活性を強く高める可能性を示唆している。抗腫瘍反応の大きさと反応を得る速さは、固形腫瘍における抗腫瘍作用の指標として報告されている。トラスツズマブ併用化学療法による治療を受けた進行性大腸癌患者55,56(非特許文献35~56)及びHER2過剰発現が見られる進行乳癌患者の試験から、導入細胞増殖抑制療法下で、早期腫瘍縮小及び抗腫瘍反応深度が長期予後改善に関連して報告されている55,56(非特許文献35~56)。これらの患者では早期腫瘍縮小と大きな抗腫瘍反応は、好ましい長期成果の予測因子であった55~57(非特許文献55~57)。
【0076】
本試験で見られた顕著な抗腫瘍活性は、標準形式で投与される併用レジメンで報告されるものとは異なると思われる。本試験で達成した抗腫瘍活性の強度は、FUra、FA及びPNを含むレジメンで治療を受けた進行性消化器癌患者に最近報告されたものと同等レベルである47(非特許文献47)FA及び高用量B6ビタマーを併用してFUraの増強作用を示すためには、潜在的FUra感受性腫瘍がある患者に対する組み合わせスキーマによる第II相試験の第1ステップが必要となる。本明細書で報告したマウス実験は、CH-HPteGluのSHMT依存性合成を促進してFUraの調節を改善すると考えられるPLP細胞内貯留を拡張するためには、非経口投与PMが、PNより有利であることを示す。これらの所見の調査には、まず、臨床使用のためのピリドキサミンの生産及び開発が必要である。細胞内PLPレベルに焦点を当てたビタミンB6の薬物動態学的試験は、実験データに従ってフルオロピリミジンの調節を最適化するために、このような試験を追加する必要がある。

図1
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図5
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図7
【国際調査報告】