(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】飽和蒸気を使用して作製されたデンプン組成物
(51)【国際特許分類】
C08B 30/00 20060101AFI20240927BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20240927BHJP
C13B 10/00 20110101ALI20240927BHJP
【FI】
C08B30/00
A23L33/125
C13B10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523415
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2022046217
(87)【国際公開番号】W WO2023076023
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512035620
【氏名又は名称】コーンプロダクツ ディベロップメント インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】ニルス キルガスト
(72)【発明者】
【氏名】マルクス バイアー
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィト ベンツェル
(72)【発明者】
【氏名】ユリカ バゼダ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C090
【Fターム(参考)】
4B018MD34
4B018MD48
4B018MD50
4B018MD53
4B018MD57
4B018MF04
4C090AA04
4C090BA13
4C090BC01
4C090BD07
4C090CA04
4C090CA19
4C090DA27
(57)【要約】
本明細書は、デンプンを加工するための方法であって、熱水性流体を、デンプンに、最大約45%(デンプンの重量%)の量で適用することによる、方法を開示する。流体の種類に応じて、デンプンを凝集させるため、又はデンプンを予備蒸解若しくはアルファ化するためのプロセスが使用され得る。この方法は、天然及び変性デンプンに適用すると有用であり、約2%(デンプンの重量%)未満の含水量を有する熱抑制デンプンをアルファ化する又は凝集させるために特に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプンを加工するための方法であって、デンプンを供給することと、熱水性流体を、前記デンプンに、最大約45%(前記デンプンの重量%)の量で適用することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記熱水性流体が、前記デンプンに、約10%~20%又は約10%~15%の量で適用され、前記方法が、前記デンプンを凝集させ、前記熱水性流体が、結合剤である、請求項1の請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記熱水性流体が、約20%~、又は約25%~、又は約30%~、又は約35%~約45%、又は~約40%の量で適用され、前記熱水性流体が、予備蒸解され、任意選択で、前記デンプンは、前記デンプンが偏光下で見た場合にマルタ直交回折パターンを示さないようにアルファ化される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記凝集された又は予備蒸解されたデンプンを、最大約15%、又は約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%、又は~約12%(重量%)の含水量を有するように乾燥させることを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記デンプンが、トウモロコシ、ワキシーコーン、米、もち米、タピオカ、ワキシータピオカ、ジャガイモ、ワキシーポテト、エンドウ、ヒヨコマメ、レンズマメ、ソラマメ、キノア、サゴ、及びそれらの混合物からなる群からのものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記熱水性流体が、天然デンプンに適用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記熱水性流体が、変性デンプンに適用され、好ましくは、前記変性が、熱抑制である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記デンプンが、2%(重量%)未満の水分を有し、任意選択で、前記デンプンが、熱抑制デンプンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記熱水性流体が、前記デンプンに、約10%~20%又は約10%~15%の量で適用され、前記デンプンが、天然デンプンであり、前記方法が、
a.前記デンプンに適用される前記熱水性流体は、前記熱水性流体を適用した後、前記デンプンが、凝集デンプンであって、緩衝化され、かつ約4.5~約9.5のpHにpH調整された前記デンプンである凝集デンプンであるように、緩衝剤及び酸又は塩基を更に含み、好ましくは前記デンプンが、約4.5~約7.0のpHに調整され、より好ましくは、前記デンプンが、約4.5~約5.5のpHに調整される、ことと、
b.前記凝集され、緩衝化され、pH調整されたデンプンを約2%(前記デンプンの重量%)未満の含水量まで脱水して、デンプン凝集物を提供することと、
c.無水又は実質的に無水の前記デンプン凝集物を約100℃~約200℃の温度で最大約20時間凝集させ、それによって前記デンプン凝集物を熱的に抑制して、熱抑制凝集デンプンを得ることと、を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記熱水性流体が、熱抑制デンプンに適用され、任意選択で、前記熱抑制デンプンが、マイクロ-ビスコ-アミログラフ試験を使用して測定したとき、約2000mPa
*s未満、若しくは約1500mPa
*s未満、又はa)約300mPa
*s未満、b)約300mPa
*s~約300mPa
*s、及びc)約800mPa
*s~約1600mPa
*sからなる群から選択される範囲内のピーク熱粘度を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記熱水性流体が、熱抑制デンプンに、約10%~約20%又は約10%~約15%の量で適用されて、凝集熱抑制デンプンを得、必要に応じて、前記凝集熱抑制デンプンを約10%~約15%(前記デンプンの重量%)の含水量まで乾燥させる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記熱水性流体が、熱抑制デンプンに、約20%~約40%、又は約25%~約40%の量で適用されて、アルファ化熱抑制デンプンを得、任意選択で、前記アルファ化熱抑制デンプンが、最大約15%、又は約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%、又は~約12%(重量%)の含水量まで乾燥される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
a.熱水性流体を、熱抑制デンプンに、最大約40%(前記デンプンの重量%)の範囲内である第1の量で適用することによって、熱抑制デンプンの凝集物を形成することと、
b.熱水性流体を、前記熱抑制凝集デンプンに、前記第1の量よりも多いが最大約40%(前記デンプンの重量%)の範囲内である第2の量で適用することによって、前記凝集熱抑制デンプンをアルファ化することと、を更に含み、
任意選択で、前記アルファ化凝集熱抑制デンプンが、最大約15%、又は約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%、又は~約12%(重量%)の含水量まで乾燥される、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記熱水性流体が、約2%(前記デンプンの重量%)未満の含水量を有する熱抑制デンプンに適用される、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記熱水性流体が、流動床反応器又は中空管反応器のうちの1つ以上において、前記デンプンに適用される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記デンプンが、凝集又はアルファ化され、同じ反応器内で乾燥される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記デンプンが、凝集又はアルファ化され、異なる反応器内で乾燥される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記熱水性流体が、約70℃~、又は約75℃~、又は約80℃~、又は約85℃~、又は約90℃~、又は約95℃~、又は~約99℃、又は約70℃~約99℃、又は~約95℃、又は~約90℃、又は~約85℃、又は~約80℃、又は~約75℃の温度を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記熱水性流体が、飽和蒸気である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記熱水性流体が、約100℃超、又は約110℃超、又は約120℃超、又は約100℃~約200℃、又は~約190℃、又は~約180℃、又は~約170℃、又は~約160℃、又は~約150℃の温度を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセスに従って作製される、アルファ化熱抑制デンプン又はアルファ化凝集熱抑制デンプン。
【請求項22】
6%のデンプン固形分及びpH6を有する水性デンプンスラリーが、前記スラリーを加熱することなく、約2000mPa
*s未満若しくは約1500mPa
*s未満の粘度、又はa)約300mPa
*s未満、b)約300mPa
*s~約800mPa
*s、及びc)約800mPa
*s~約1600mPa
*sからなる群から選択される範囲の粘度を有する、請求項21に記載のアルファ化熱抑制デンプン又はアルファ化凝集熱抑制デンプン。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載のプロセスにより作製されたデンプン及び第2の食用成分を含む食品であって、好ましくは、前記デンプンが、アルファ化熱抑制デンプン又はアルファ化凝集熱抑制デンプンである、食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、飽和蒸気として適用することができる制限量の水を使用してデンプン又は小麦粉製品を加工する方法を開示する。少なくともいくつかの実施形態では、本方法を無水デンプン又は小麦粉製品に適用して、凝集製品、予備蒸解(pre-cooked)製品、及びアルファ化製品のうちの1つ以上を得る。
【背景技術】
【0002】
デンプンは、グルコースを蓄えるために植物によって作製されるポリマーである。デンプンは、特定の植物器官、例えば種子又は塊茎に主に存在する。植物器官を粉砕して小麦粉を形成することができ、デンプンを小麦粉から分離して本質的に純粋なデンプンを得ることができる。粉の他の部分、例えばタンパク質は、食品中の小麦粉の機能に影響を及ぼし得るが、小麦粉内のデンプンは、本質的に単離デンプンのように挙動する。したがって、便宜上、本明細書内で、デンプンへの言及は、別段の記載がない限り、本質的に純粋なデンプン及び小麦粉への言及を含む。例えば、本明細書は、デンプン及び約1%超のタンパク質を含む製品を意味する小麦粉に言及してもよく、又は約1%未満のタンパク質を有する本質的に純粋なデンプン製品に言及してもよい。
【0003】
デンプンは、その天然形態において顆粒状である一般的な食品成分である。天然デンプンは水に不溶性であり、スラリーから容易に沈降する。しかし、水性流体中で(例えば、蒸解中に)加熱されると、デンプン顆粒は水和し、膨潤し、最終的に断片化してデンプンポリマーアミロース及びアミロペクチンを放出する。前述のプロセスはゼラチン化と呼ばれ、最終生成物はゼラチン化デンプンと呼ばれる。
【0004】
ゼラチン化の段階の各々は、食品作製プロセスにおいて有用であり得る。いくつかの食品作製プロセスでは、加工中に蒸解される未蒸解デンプンを有することが有用であり得る。他の食品プロセスでは、予備蒸解されたデンプンを使用することが有用であり得る。予備蒸解したデンプンは、少なくともゼラチン化プロセスを開始し、その結果、予備蒸解されたデンプンは、その後、加工されるときに完全に蒸解することがより容易になり、場合によっては、デンプンの更なる蒸解の必要性がなくなる。例えば、予備蒸解されたデンプンは、未蒸解のデンプンと比較して、蒸解中により膨潤しやすいか、又は冷水中により容易に分散若しくは容易に膨潤するか、又は冷水中に可溶性であるか、又はこれらの属性のいくつかの組み合わせである。ゼラチン化点まで予備蒸解され、固体生成物として回収され、食品作製プロセスにおいて使用することができるデンプンは、アルファ化デンプンと呼ばれる。簡単にするために、本明細書において、予備蒸解されたデンプンという用語は、完全にアルファ化されるまでデンプンを予備蒸解することを含む任意の程度まで予備蒸解されたデンプンを意味する。
【0005】
また、デンプンは、食品作製プロセス中に一貫した予測可能なテクスチャを提供するように変性させることができる。化学的変性、物理的変性、及び酵素的変性を含む多くのデンプン変性が知られており、当技術分野で一般的に使用されている。天然デンプンを予備蒸解又はアルファ化するのと同じ理由で、変性デンプンを予備蒸解又はアルファ化することも一般的であり、場合によっては有用である。
【0006】
天然及び変性デンプンの両方は、一般に、様々な方法を使用して予備蒸解(及びアルファ化)される。2つは、大量の水を使用するドラム乾燥又は噴霧乾燥である。例えば、ドラム乾燥又は噴霧蒸解の第1の工程は、2相組成物であるデンプンスラリーを作製することであり、これは物質の2つの状態が存在することを意味する。すなわち、デンプンスラリー中には、デンプンの固相と液体水又は他の水性液体の液相とが存在する。ドラム乾燥又は噴霧乾燥中は、デンプン又は小麦粉を蒸解するが、過剰の水を蒸発させなければならず、これはエネルギー集約的である。
【0007】
本明細書に開示される方法は、単相プロセスを使用することによって従来の予備蒸解技術を改善し、これは、デンプンを蒸解するために使用される全ての水性流体がデンプンによって吸収され、その結果、単一の固体デンプン相のみが蒸解プロセス中に存在することを意味する。水性流体は、熱水若しくは熱水性液体として、又は飽和蒸気として適用することができる。単相系は、デンプンをドラム乾燥又は噴霧蒸解するのに必要な量よりも少ない量の水中でデンプンを蒸解する。本明細書に記載の方法は、天然及び変性デンプンの両方に適用可能であり、デンプンをアルファ化するのに有用である。好ましい実施形態では、本明細書に記載の方法は、その無水状態の熱抑制デンプンに適用することを含む熱抑制デンプンに適用して、熱抑制デンプンをアルファ化することができる。また、本明細書に開示されるのは、本明細書に記載される記載方法に従って作製される予備蒸解されたデンプンである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】熱抑制ワキシーキャッサバデンプンをドラム乾燥させ、染色させ、偏光下で100倍の倍率で見た写真である。
【
図2】熱抑制ワキシーキャッサバデンプンをスプレー乾燥させ、染色させ、偏光下で100倍の倍率で見た写真である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書に記載される任意の実施形態では、デンプンは、デンプンを提供することと、熱水性流体を、デンプンに、最大約45%(デンプンの重量%)の量で適用することと、を含む、方法(単相法である)で処理される。いくつかの実施形態では、熱流体は、水の沸点又は水の沸点に近い温度を有する水又は水性液体として適用される。本明細書で開示される方法の少なくともいくつかの実施形態では、熱水性液体は、約70℃~、又は約75℃~、又は約80℃~、又は約85℃~、又は約90℃~、又は約95℃~約99℃、又は約70℃~約99℃、又は~約95℃、又は~約90℃、又は~約85℃、又は~約80℃、又は~約75℃の温度を有する。他の実施形態では、熱水性流体は、飽和蒸気として適用され、約100℃超、又は約110℃超、又は約120℃100℃超、又は約110℃超、又は約120℃超、又は約100℃~約200℃、又は~約190℃、又は~約180℃、又は~約170℃、又は~約160℃、又は~約150℃の温度を有する。少なくともいくつかの実施形態では、熱水性流体は、約2%(重量%)未満の含水量を有するデンプンに適用される。
【0010】
本明細書に記載の方法の様々な実施形態では、異なる効果を得るために、熱水性流体を異なる量でデンプンに適用することができる。いくつかの実施形態では、熱水性流体は、デンプンに、デンプンの約10%~約20%、又は約10%~約15%(重量%)の量で適用される。このような実施形態では、熱水性流体は、凝集デンプンを作製し、これは1つ以上の接着されたデンプン顆粒を含む組成物である。いくつかの実施形態では、本明細書は、デンプンを凝集させるための方法であって、飽和蒸気を、デンプンに、約10%~20%又は約10%~15%の量で適用することによる、方法を開示する。他の実施形態では、本明細書は、デンプンを凝集させるための方法であって、熱水性液体を、デンプンに、約10%~約20%、又は約10%~約15%の量で適用することによる、方法を開示し、液体は、約70℃~、又は約75℃~、又は約80℃~、又は約85℃~、又は約90℃~、又は約95℃~、又は~約99℃、又は約70℃~約99℃、又は~約95℃、又は~約90℃、又は~約85℃、又は~約80℃、又は~約75℃の温度を有する。少なくともいくつかの実施形態では、水分は、約2%(重量%)未満の含水量を有するデンプンに適用される。
【0011】
他の実施形態では、熱水性流体は、デンプンに、約20%~、又は約25%~、又は約30%~、又は約35%~約45%、又は~約40%(デンプンの重量%)の量で適用される。このような実施形態では、熱水性流体は、デンプンを予備蒸解する。記載されたいくつかの実施形態では、このプロセスはデンプンをアルファ化する。
【0012】
他の実施形態では、本明細書は、デンプンを予備蒸解する方法であって、飽和蒸気を、デンプンに、約20%~、又は約25%~、又は約30%~、又は約35%~約45%、又は~約40%(デンプンの重量%)の量で適用することを含む、方法を開示する。他の実施形態では、本明細書は、デンプンをアルファ化する方法であって、飽和蒸気を、デンプンに、約20%~、又は約25%~、又は約30%~、又は約35%~約45%、又は~約40%(デンプンの重量%)の量で適用することを含む、方法を開示する。
【0013】
他の実施形態では、本明細書は、デンプンを予備蒸解する方法であって、有する熱水性液体を、デンプンに、約20%~、又は約25%~、又は約30%~、又は約35%~約45%、又は~約40%(デンプンの重量%)の量で適用することを含む、方法を開示する。なお他の実施形態では、本明細書は、デンプンをアルファ化する方法であって、飽和蒸気を、デンプンに、約20%~、又は約25%~、又は約30%~、又は約35%~約45%、又は~約40%(デンプンの重量%)の量で適用することを含む、方法を開示する。熱水性液体を使用する実施形態では、液体は、約70℃~、又は約75℃~、又は約80℃~、又は約85℃~、又は約90℃~、又は約95℃~約99℃、又は約70℃~約99℃、又は~約95℃、又は~約90℃、又は~約85℃、又は~約80℃、又は~約75℃の温度を有する。
【0014】
本明細書に記載される任意の実施形態では、凝集、予備蒸解又はアルファ化の後、凝集され又は予備蒸解され又はアルファ化されたデンプンは、最大約15%、又は約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%、又は~約12%(デンプンの重量)、又は天然デンプンの平衡含水量までの含水量を有するように乾燥され得る。
【0015】
様々な実施形態では、凝集され、予備蒸解され、又はアルファ化されるために提供されるデンプンは、トウモロコシ、ワキシーコーン、米、もち米、タピオカ、ワキシータピオカ、ジャガイモ、ワキシーポテト、エンドウ、ヒヨコマメ、レンズマメ、ソラマメ、キノア、サゴ、及びそれらの混合物を含むがこれらに限定されない任意の好適な植物源由来のものである。
【0016】
様々な実施形態では、凝集され、又は予備蒸解され、又はアルファ化されるデンプンは、天然のデンプンである。
【0017】
様々な実施形態では、凝集され、予備蒸解され、又はアルファ化されるデンプンは、変性デンプンである。変性デンプンは、デンプンを変性させるために使用される当技術分野で知られている任意の方法を使用して変性され得る。一般的なデンプン変性には、アジピン酸又は無水物、POCl3、又はトリメタリン酸ナトリウムを使用した架橋などの化学変性が含まれるが、これらに限定されない。その他の化学変性には、酸化プロピレン、例えば、酢酸、無水酢酸、コハク酸、オクテニル-コハク酸などを使用するデンプンへの化学的部分の付加が含まれる。変性デンプンは、本明細書に開示されているプロセスに使用するために食用である必要はなく、例えば、カチオン性、アニオン性、及びシリコンベースの部分を付加することができる。デンプンは、酸又は塩基又は酵素を使用して加水分解することができる。デンプンは酸化され得る。デンプンは、アニーリング、熱抑制、又はその他のタイプの熱水分処理を有するような、様々な熱及び水分プロセスを使用して物理的に変性され得る。少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスを使用して凝集され、又は予備蒸解され、又はアルファ化されるデンプンは変性デンプン、好ましくは約2%(デンプンの重量%)未満の含水量を有する熱抑制デンプンである。
【0018】
凝集され、予備蒸解され、又はアルファ化される変性デンプンに関しては、デンプンを変性する任意のプロセスを使用して、ベース材料を提供することができる。少なくともいくつかの方法では、デンプンは、凝集、予備蒸解、又はアルファ化するために使用されるのと同じ反応器でデンプンを変性される。有用な反応器の例としては、流動床反応器(流動床反応器とも呼ばれる)及びLoedigeから入手可能なCoriMix反応器のような中空管反応器が挙げられる。この変性反応は、気相中で塩基デンプンを反応物と反応させてもよい。中空管反応器では、反応物は液体であってもよいが、スラリーを形成するために(すなわち、デンプンが全ての液体を吸収する単相プロセスにおいて)必要とされる量よりも少ない量で、デンプンに適用される。このような単相プロセスでは、デンプンの含水量が増加し、デンプンが濡れているように見えたり、又はデンプンケーキの形態になったりする可能性があるが、デンプンは粉末状材料のままであり、液体中に分散しない。反応器のレイアウトに応じて、デンプンは、同じ反応器内で、又は一連の反応器内で連続的な形態で、変性されかつ予備蒸解され、又は変性されかつアルファ化され、又は変性されかつ凝集され得る。他の実施形態では、デンプンは、1つ以上の反応器でバッチ処理され、変性されかつ予備蒸解され、又は変性されかつアルファ化され、又は変性されかつ凝集され得る。
【0019】
少なくともいくつかの実施形態では、凝集され、又は予備蒸解され、又はアルファ化されるベースデンプンは、熱抑制デンプンである。熱抑制プロセスは、デンプンが化学架橋デンプンのように水溶液中で機能するようにデンプンの機能を変化させる。デンプンを熱的に抑制するための様々な方法が知られている。有用な方法は、国際公開第2020-139997号に記載されている(その全体が本明細書に組み込まれる)。概して、熱抑制デンプンは、天然デンプンを、緩衝剤、一般に有機酸又は塩基の塩を含有する液体に浸漬することによって作製される。デンプンを浸漬して、緩衝剤をデンプン顆粒に移動させる。次いで、緩衝化デンプンは、使用される緩衝液に依存して、約4~約9.5の範囲のpHを有するようにpH調整される。次いで、緩衝化され、pH調整されたデンプンは、約2%(デンプンの重量%)未満の含水量を有するように脱水され、所望の程度の熱抑制を得るのに十分な時間、約100℃~約200℃の温度に加熱される。得られた熱抑制デンプンは本質的に無水であり、2%未満の含水量まで脱水され、次いでデンプンを熱抑制するのに十分な時間、水の沸点を超えて更に加熱される。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、熱抑制プロセスの終わりに得られる本質的に無水の熱抑制デンプンに熱水性流体を適用する。他の実施形態では、熱抑制デンプンは冷却され、本明細書に記載される凝集及び予備蒸解方法を使用する前に、デンプンが大気から水分を吸収することを可能にする。熱抑制デンプンを凝集、予備蒸解、又はアルファ化するための本明細書に記載の方法の様々な実施形態では、熱水性流体は、約2%(デンプンの重量%)未満の含水量を有する熱抑制デンプン出発材料に適用される。
【0021】
本明細書に記載される様々な実施形態では、熱水性流体は、熱抑制凝集デンプンを得るための量で、又は予備蒸解された若しくはアルファ化された熱抑制デンプンを得るための量で、又は予備蒸解された若しくはアルファ化されかつ凝集された熱抑制凝集デンプンを得るための量で、熱抑制デンプンに適用される。
【0022】
最初に凝集プロセスに言及すると、任意の実施形態では、本明細書は、凝集デンプンを熱的に抑制するための方法を記載し、これは、デンプンが凝集され、次いで凝集デンプンが熱的に抑制されることを意味する。デンプン出発物質は、天然デンプンであってもよく、又はアルファ化デンプンであってもよい。アルファ化される場合、デンプンは、本明細書に記載の方法を使用してアルファ化され得る(好ましくはアルファ化される)。本明細書に記載される任意の実施形態では、凝集デンプンを熱的に抑制するための方法は、デンプンを提供することと、熱水性流体を、デンプンに、約10%~約20%、又は約10%~約15%(デンプンの重量%)の量で適用することと、を含み、熱水性流体は、緩衝剤及び酸又は塩基を含む。熱水性流体はデンプンを凝集させ、デンプンのpHを約4.0~約9.5のpHに調整する。本方法は、凝集され、緩衝化され、pH調整されたデンプンを約2%(デンプンの重量%)未満の含水量まで脱水することと、及び脱水されたデンプン凝集物を約100℃~約200℃の温度で最大約20時間熱処理し、それによってデンプン凝集物を熱抑制して、熱抑制凝集デンプンを得ることと、を更に含む。この段落に記載される方法のいくつかの実施形態では、デンプンは緩衝化され、約4.0~約7.0のpH範囲、より好ましくは約4.0~、又は約4.5~約6.5、又は~約5.5のpH範囲のpHを有するデンプンを得るために、デンプンに熱水性液体を適用することによってpH調整される。
【0023】
熱抑制に続いて、熱抑制デンプンは、任意の公知の技術を使用して再湿潤され得る。いくつかの実施形態では、熱抑制凝集デンプンは、スラリーを形成するのに十分な水分で熱抑制凝集デンプンを洗浄し、続いて熱抑制凝集デンプンを約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%又は~約12%(デンプンの重量%)の含水量まで乾燥することによって再湿潤される。
【0024】
他の実施形態では、本明細書は、熱抑制デンプンを凝集させるための方法を記載し、これは、デンプンが熱的に抑制され、次いで、本明細書に記載される方法を使用して凝集されることを意味する。そのような実施形態では、出発熱抑制デンプンは、任意の既知の熱抑制プロセスを使用して、任意の望ましい程度まで熱抑制される。熱抑制の程度は、スラリーが加熱されるにつれて、規定されたpH及びデンプン固形分の水性デンプンスラリーの経時的な粘度の変化を測定するマイクロ-ビスコ-アミログラフ試験を使用して測定することができる。
【0025】
本明細書に記載される任意の実施形態では、凝集熱抑制デンプンを得るために出発材料として使用される熱抑制デンプンは、約2000MPa*s未満又は1500MPa*s未満のホットピーク粘度(本明細書に定義されるマイクロ-ビスコ-アミログラフ試験を使用して測定される)を有する。少なくともいくつかの実施形態では、出発熱抑制デンプンは、a)約300MPa*s未満、b)約300MPa*s~約800MPa*s、及びc)約800MPa*s~約1600MPa*sからなる群から選択される範囲のピーク高温粘度を有する。
【0026】
任意の実施形態では、本明細書は、飽和蒸気を、熱抑制デンプンに、約10%~約20%(デンプンの重量%)、又は約10%~約15%の量で適用して、凝集熱抑制デンプンを得ることと、必要に応じて、凝集熱抑制デンプンを、最大約15%、又は約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%、又は~約12%(デンプンの重量%)の含水量まで、又は天然デンプンの平衡含水量まで乾燥させることと、を含む、方法を記載している。好ましくは、熱抑制デンプン出発材料は、約2%(デンプンの重量%)未満の含水量を有する。
【0027】
任意の実施形態では、本明細書は、熱水性液体を、熱抑制デンプンに、デンプンの約10重量%~約20重量%、又は約10重量%~約15重量%の量で適用して、凝集熱抑制デンプンを得ることと、必要に応じて、凝集熱抑制デンプンを、最大約15%、又は約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%、又は~約12%(デンプンの重量%)の含水量まで乾燥させることと、を含む、方法を記載している。熱水性液体を使用する実施形態では、液体は、約70℃~、又は約75℃~、又は約80℃~、又は約85℃~、又は約90℃~、又は約95℃~約99℃、又は約70℃~約99℃、又は~約95℃、又は~約90℃、又は~約85℃、又は~約80℃、又は~約75℃の温度を有する。好ましくは、熱抑制デンプン出発材料は、約2%(デンプンの重量%)未満の含水量を有する。
【0028】
ここで、熱抑制デンプンを予備蒸解及びアルファ化する方法を参照すると、デンプン出発デンプン材料は、任意のプロセスを使用して及び任意の所望の程度の熱抑制まで熱抑制された熱抑制デンプンである。出発熱抑制デンプンは、凝集熱抑制デンプン又は熱抑制凝集デンプンであってもよい。
【0029】
任意の実施形態では、本明細書は、約20%~、又は約25%~、又は約30%~、又は約35%~約45%、又は~約40%(デンプンの重量%)の量の熱抑制デンプンに飽和蒸気を適用して予備蒸解された又はアルファ化された熱抑制デンプンを得ることを含む方法を記載しており、任意選択で、予備蒸解された又はアルファ化された熱抑制デンプンは、次いで、最大約15%、又は約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%、又は~約12%(デンプンの重量%)の含水量まで、又は天然デンプンの平衡含水量まで乾燥される。好ましくは、そのような実施形態では、熱抑制デンプン出発材料は、約2%(デンプンの重量%)未満の含水量を有する。
【0030】
任意の実施形態では、本明細書は、最大約45%(デンプンの重量%)である第1の量で飽和蒸気を熱抑制デンプンに適用することによって熱抑制デンプンの凝集物を形成することと、第1の量より多いが最大約45%(デンプンの重量%)である第2の量で飽和蒸気を熱抑制凝集デンプンに適用することによって凝集熱抑制デンプンをアルファ化することと、を含み、任意選択で、アルファ化凝集熱抑制デンプンは、次いで、最大約15%、又は約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%、又は~約12%(デンプンの重量%)の含水量まで乾燥される含水量まで乾燥される、方法を記載している。好ましくは、そのような実施形態では、熱抑制デンプン出発材料は、約2%(デンプンの重量%)未満の含水量を有する。
【0031】
任意の実施形態では、本明細書は、熱水性液体を、熱抑制デンプンに、約20%~、又は約25%~、又は約30%~、又は約35%~約45%、又は~約40%(デンプンの重量%)の量で適用して、予備蒸解された又はアルファ化された熱抑制デンプンを得ることを含む方法を記載しており、任意選択で、予備蒸解された又はアルファ化された熱抑制デンプンは、次いで、最大約15%、又は約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%、又は~約12%(デンプンの重量)の含水量まで、又は天然デンプンの平衡含水量まで乾燥される。好ましくは、熱抑制デンプン出発材料は、約2%(デンプンの重量%)未満の含水量を有する。熱水性液体を使用する実施形態では、液体は、約70℃~、又は約75℃~、又は約80℃~、又は約85℃~、又は約90℃~、又は約95℃~約99℃、又は約70℃~約99℃、又は~約95℃、又は~約90℃、又は~約85℃、又は~約80℃、又は~約75℃の温度を有する。
【0032】
任意の実施形態では、本明細書は、最大約45%(デンプンの重量%)である第1の量で熱水性液体を熱抑制デンプンに適用することによって熱抑制デンプンの凝集物を形成することと、第1の量より多いが最大約45%(デンプンの重量%)である第2の量で熱水性液体を熱抑制凝集デンプンに適用することによって凝集熱抑制デンプンを予備蒸解又はアルファ化することと、を含み、任意選択で、予備蒸解又はアルファ化された凝集熱抑制デンプンは、次いで、最大約15%、又は約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%、又は~約12%(デンプンの重量%)の含水量まで乾燥される含水量まで乾燥される、方法を記載している。好ましくは、熱抑制デンプン出発材料は、約2%(デンプンの重量%)未満の含水量を有する。熱水性液体を使用する実施形態では、液体は、約70℃~、又は約75℃~、又は約80℃~、又は約85℃~、又は約90℃~、又は約95℃~約99℃、又は約70℃~約99℃、又は~約95℃、又は~約90℃、又は~約85℃、又は~約80℃、又は~約75℃の温度を有する。
【0033】
有利なことに、熱抑制デンプンを凝集させ、予備蒸解し、及びアルファ化するための記載された方法は、熱抑制プロセスの加熱段階の後に、飽和蒸気又は熱水性液体が熱抑制デンプンに適用されることを可能にする。したがって、いくつかの実施形態では、熱抑制デンプンを、それが熱的に抑制された場所から異なる反応器に移動させる必要なく、熱的にデンプンを凝集させ、予備蒸解し、アルファ化するためのプロセスを、熱抑制デンプンに適用することができる。いくつかの実施形態では、デンプンを冷却して少なくともいくらかの周囲水分を吸収させることなく、熱水性流体を熱抑制デンプンに適用することができる。任意の実施形態では、熱水性流体は、約2%(デンプンの重量%)未満の含水量を有する熱抑制デンプンに適用することができる。
【0034】
本明細書に記載された方法から得られる熱抑制デンプンは、凝集されているか、予備蒸解されているか、又はアルファ化されているか、あるいはそれらのいくつかの組み合わせであるかに関係なく、洗浄及び乾燥させて所望の最終含水量を得るか、単相プロセスで再湿潤して所望の含水量を得るか、又は洗浄若しくは単相再湿潤工程を使用せずに周囲条件下で冷却及び再湿潤することができる。
【0035】
任意の実施形態では、デンプンは、同じ反応器、若しくは同じタイプの反応器、又は異なる反応器又は異なるタイプの反応器内で、乾燥され、凝集され、予備蒸解され、又はアルファ化され得る。
【0036】
任意の実施形態では、デンプンは、連続プロセス又はバッチで乾燥され、凝集され、予備蒸解され、又はアルファ化され得る。
【0037】
デンプンを凝集、又は予備蒸解、又はアルファ化するのに有用な反応器は、熱水性流体をデンプンに適用することができる密閉反応器である。有用な反応器としては、流動床反応器が挙げられ、これは、バッチでデンプンを凝集、予備蒸解、若しくはアルファ化するように設定され得るか、又は連続プロセスでデンプンを加工するように構成され得る。流体(又は流動床反応器)は、デンプンが流体様特性を帯びるように、容器の空間内でデンプンのような粉末状材料を分散させるために容器にガスを注入するポートを有する中空容器である。空気、飽和蒸気、又は分散液体を含む様々なガスを注入することができ、これらはデンプンに対する水性流体の重量パーセントを提供する量で注入することができる。水性流体及びデンプンの温度が本明細書に記載のレベルに維持されるように、ガスを加熱することができ、及び/又は流動床反応器の中空容器をジャケットで覆うか、又は他の加熱機構を提供することができる。
【0038】
他の好適な反応器としては、中空管の内側に対して材料を押圧するブレードを備える中空管反応器、又は回転若しくは他の方法によって反応器の長さを通して材料を押し込むスクリュー状デバイス若しくは他のデバイスが挙げられる。そのような反応器は、デンプン、又は蒸気、液体水溶液、液体水、又は他の材料を中空管に入れることができる様々な開口部を含む。本明細書に記載の方法を実施する際に、デンプン、水性流体などが中空管に入って通過する流量は、デンプンに対する水性流体の重量パーセントが本明細書に記載のレベルになるように計量される。そのような反応器は、ジャケットで覆われてもよく、又は流体及びデンプンの温度が本明細書に記載されるレベルに維持されるように中空管内の材料を加熱するための他の機構を備えていてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、有用な反応器は、リング層型又はリング乾燥機型反応器である。このタイプのそのような反応器は、Lodige Process Technology,Paderborn,Germany,GEA Barr-Rosin,Hudson,Wisconsin,USA,又はBepex International LLC,Minnesota,USAを含むがこれらに限定されない様々な供給業者から入手可能である。有用な反応器は、Horizontal Ploughshare Mixers,Littleford Agitated Vacuum Dryers,CoriMix mixersなどの名称で当業界で知られ得る。前述のリストは、反応器のタイプに関して例示することを意図したものであり、限定するものではない。
【0039】
また、本明細書に開示されるのは、本明細書に記載される任意のプロセスを使用して作製されるデンプンである。少なくともいくつかの実施形態では、記載される方法によって得られるデンプンは、アルファ化デンプン又はアルファ化熱抑制デンプンである。好ましい実施形態では、本明細書に記載の方法によって作製されるデンプンは、中空管反応器中でアルファ化される。中空管中でアルファ化されたデンプンは、アルファ化中にデンプンに適用されるせん断のレベルが様々であるため、拡大下で溶液中のデンプンを見ることによって、ドラム乾燥及び噴霧蒸解のような方法を使用してアルファ化されたデンプンと区別することができる。アルファ化中に適用されるせん断は、デンプン粒子を引き裂き、多くの断片化された粒子をもたらし、概してギザギザの縁を有するデンプン顆粒を提供する。
【0040】
ドラム乾燥は比較的高いせん断プロセスである。ドラム乾燥したアルファ化熱抑制デンプンの写真(偏光フィルタを使用して100倍に拡大)を
図1に提示する。噴霧蒸解は、ドラム乾燥プロセスと比較して、比較的低いせん断プロセスである。
図2は、噴霧蒸解されたアルファ化熱抑制デンプンの写真を提示する。
図1と比較して、
図2のデンプンは、概して、比較的滑らかな外周又は縁を有する無傷の粒子を有する。本明細書に記載されるデンプンをアルファ化するためのプロセス及び熱抑制デンプンをアルファ化するためのプロセスは、記載されるプロセスを使用すると、せん断が、全ての水性流体が蒸解及びせん断の間にデンプンによって吸収される系において熱抑制デンプンに適用されるため、ドラム乾燥及び噴霧乾燥とは異なるせん断を適用する。対照的に、ドラム乾燥及び噴霧蒸解の両方では、デンプンは、別個の液相中に分散されたデンプンの固体デンプン相を有するスラリー中で蒸解及びせん断される。アルファ化中にせん断を適用するために本明細書に記載される方法を使用することにより、ドラム乾燥を使用してアルファ化された熱抑制デンプンと比較して、噴霧乾燥を使用してアルファ化されたデンプン及び熱抑制デンプンよりも差別化されたテクスチャ及び外観を有するアルファ化デンプン及びアルファ化熱抑制デンプンが提供される。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書は、前述の請求項のいずれかに記載のプロセスに従って作製されたアルファ化熱抑制デンプン、及びアルファ化凝集熱抑制デンプンを記載する。本明細書に記載の凝集アルファ化デンプンは、少なくとも水溶液が凝集デンプン顆粒を一緒に保持する結合剤の能力を破壊するので、水溶液中によく分散する。(理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載されている凝集プロセス中に、少量のデンプンが部分的に蒸解され、水溶性になると考えられ、この可溶化デンプンは乾燥すると、別々のデンプン顆粒を結合することができると考えられている。)デンプン凝集物が水に添加されると、水は顆粒間の結合を溶解し、そうでなければデンプン粒子を一緒に保持する表面張力の破壊を引き起こし、これをもたらし、デンプンを分散させる傾向がある。
【0042】
追加的に、本明細書に記載される方法の好ましい実施形態では、凝集又はアルファ化プロセスは、本プロセスにおいて使用されるデンプンの所望の機能を破壊しない。少なくともいくつかの実施形態では、アルファ化凝集熱抑制デンプンは、冷水溶液に粘度を提供し、すなわち、更なる加熱を必要としない。本明細書に記載される任意の実施形態では、本明細書に記載されるプロセスを使用して凝集、アルファ化、又はその両方が行われた熱抑制デンプンは、6%のデンプン及びpH6を有し、加熱せずに、a)約300MPa*s未満、b)約300MPa*s~約800MPa*s、及びc)約800MPa*s~約1600MPa*sからなる群から選択される範囲の粘度を有するデンプンスラリーを提供する。
【0043】
本明細書に記載される方法を使用して作製されるデンプンを含む食品組成物も本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、デンプンは、アルファ化されるか、若しくは凝集されるか、又はその両方である。他の実施形態では、デンプンは、本明細書に記載される方法に従ってアルファ化されるか、若しくは凝集されるか、又はその両方である熱抑制デンプンである。更に他の実施形態では、デンプンは凝集され、次いで熱的に抑制されるか、若しくはアルファ化されるか、又はその両方である。本明細書に記載される食品組成物の任意の実施形態では、組成物は、デンプン及び第2の成分を含み、デンプンは、任意の量、例えば、食品組成物の約1重量%~約99重量%の量で使用される。
【0044】
任意の実施形態では食品組成物は、第2の成分として甘味料を含む。有用な甘味料としては、デキストロース、アルロース、タガトース、フルクトース、グリセロール、スクロース、エリスリトール、レバウディオシド(A、B、J、Mなど)、グルコシル化ステビアグリコシド、及び高フルクトースコーンシロップを含むコーンロップが挙げられるがこれらに限定されない。甘味料は、固体、又は粉末、又は液体、又はシロップの形態で提供され得る。
【0045】
任意の実施形態では食品組成物は、第2の成分としてガム又はガム様材料を含む。有用なガム及びガム様材料としては、ゲル化デンプン、アラビアゴム、キサンタンガム、タラガム、コンニャク、カラギーナン、ローカストビーンガム、ゲランガム、グアーガム、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0046】
任意の実施形態では食品組成物は、第2の成分として油、又は脂肪、又は水性成分を含む。有用な油としては、トウモロコシ油、オリーブ油、キャノーラ油、ヒマワリ油、ナタネ油、パーム油、ヤシ油などの植物油が挙げられるがこれらに限定されない。有用な脂肪(植物油以外)としては、例えば、動物性脂肪及び乳脂肪が挙げられる。有用な水性成分としては、例えば、水、ミルク、シロップ、又は他の炭水化物含有液体、又は酸性液体、又は塩基性液体が挙げられる。
【0047】
任意の実施形態では、本明細書に記載されるような1つを含む食品組成物は、食品組成物において一般的に使用される様々な他の香料、調味料、及び着色料を更に含み得る。
【0048】
任意の実施形態では、食品組成物は水性組成物であり、これらに限定されないが、注ぐことができるドレッシング及びスプーンで使用できるドレッシングを含むドレッシング、果実フィリング(及びパイに使用されるかどうか関係なく他の同様の果実調製物)を含むパイフィリング及びクリームフィリング、ホワイトソース及びチーズソース、グレービーソース、模造及びライトシロップ、プリン、カスタード、ヨーグルト、サワークリーム、パスタ、乳製品ベースの飲料を含む飲料、グレーズ、スープ、並びにベビーフードなどを含む、冷水膨潤性デンプンが有用である。
【0049】
本明細書における「ワキシーデンプン」への言及は、低アミロースデンプン、すなわち約5%未満又は約3%未満又は本質的に0%のアミロースを意味する。植物源に依存して、アミロース対アミロペクチンの比は変動し得る。しかしながら、植物は、生産される本質的に全てのデンプンがアミロペクチンであるように育種することができる。そのような種は、当業界では、ワキシー種、例えば、ワキシーコーン又はもち米と呼ばれ得る。一般に、ワキシー植物種は、約5%未満のアミロース(重量%)、より一般的には本質的に0%のアミロースを産生するように育種される。
【0050】
本明細書における「天然」デンプンへの言及は、例えば、物理的、化学的、又は酵素的プロセスを使用して変性されていないデンプンを意味する。一般に、天然デンプン及び天然小麦粉は、天然デンプンは、偏光下で見た場合にマルタ直交様回折パターンを生じる結晶構造を有するため、デンプン(又は小麦粉内のデンプン)の顕微鏡検査によって同定することができる。対照的に、ゼラチン化(及びアルファ化)デンプンは結晶化度を有さず、したがって偏光下で見た場合に識別可能な回折パターンを有さない。
【0051】
用語「アルファ化」デンプン及びその文法上の変形は、当技術分野において公知の用語であり、当技術分野におけるそれらの完全な意味に従って本明細書において使用される。アルファ化という用語の意味の完全な理解を制限することなく、本明細書に記載される技術の理解を容易にするために、アルファ化デンプンの以下の特性が参照される。アルファ化デンプンは、デンプンの天然の顆粒構造を破壊するために予備蒸解される。アルファ化プロセスは、熱抑制デンプンを含む天然又は変性デンプンに適用することができる。デンプンは、その意図された機能を提供することができるように、例えば、更なる蒸解なしに水溶液に粘度を提供するように、アルファ化される。この意味で、アルファ化デンプンは、当技術分野において、インスタントデンプン又は冷水膨潤性デンプン又は冷水可溶性デンプン又は予備蒸解デンプンと称され得る。デンプンがアルファ化されているかどうかは、偏光下でデンプンを見ることによって決定することができる。顆粒状デンプンは、マルタ直交回折パターンを示す。非顆粒状デンプンは示さない。また、周囲圧力では、デンプンは、少なくとも植物源、並びにデンプンが変性されるかどうか、及びどのように変性されるかに応じて、異なる温度でアルファ化する。しかしながら、概して、周囲圧力では、デンプンは60℃~80℃の温度でアルファ化する。
【0052】
「予備蒸解デンプン」への言及は、デンプンが完全にアルファ化され、次いで固体形態で回収される点を含む任意の温度まで加熱されるようにデンプンを加工することを意味する。予備蒸解されたデンプンは、部分的にアルファ化されていても、又は完全にアルファ化されていてもよい。
【0053】
本明細書における「飽和蒸気」への言及は、温度が測定される絶対圧力における、その液体状態の蒸発点よりも高い温度の蒸気である。例えば、通常の(平均海面)環境条件下では、水は約100℃の蒸発点(沸点としても知られる)を有する。水から構成される飽和蒸気は、通常の環境条件下では約100℃超の温度を有する。
【0054】
本明細書における「熱抑制」デンプンへの言及は、化学架橋デンプンのように水溶液中で機能するように、天然デンプンの機能を改変するプロセスで作製されたデンプンを意味する。どの程度デンプンが熱的に抑制されるかは、マイクロ-ビスコ-アミログラフ試験を使用して評価することができる。そのような試験(以下に定義される)は、デンプンスラリーが加熱されるにつれて、スラリーの粘度が経時的にどのように変化するかを測定する。熱抑制デンプンは、様々な程度の抑制を有するように作製することができる。例えば、本明細書において、デンプンは、軽度に、中程度に、及び高度に抑制されていると称される。実際には、熱抑制デンプンは、食品用途を作製するために使用される加工条件に基づいて食品用途のために選択される。より具体的には、抑制デンプンは、食品を作製するプロセスを通して一定の粘度を提供する可能性が最も高いように選択される。例えば、より過酷な食品加工条件が使用される場合、より高度に熱抑制デンプンが使用される。
【0055】
本明細書内で、「軽度に」、「中程度に」、及び「高度に」抑制された熱抑制デンプンは、加熱段階中の最高粘度(「ピーク高温粘度」)に従って、pH6でのマイクロ-ビスコ-アミログラフ試験を使用して記載されている。熱抑制されたという定義を満たす必要はないが、好ましい実施形態では、熱抑制デンプンは、Brabender(登録商標)GmbH&Co.KGによって製造されたビスコ-アミログラフ又はマイクロ-ビスコ-アミログラフの加熱段階中に粘度破壊を有さない。また、様々な好ましい実施形態を参照すると、スラリーが95℃で15分間保持され、スピンドル速度が75RPMである間に、粘度がピーク粘度で一定のままであるか、又は粘度が増加するので、スラリーは「粘度破壊なし」を有し得る。これに関連して、本明細書で使用される場合、「軽度熱抑制デンプン」は、800MPa*sを超~1600MPa*sのピーク高温粘度を有する。「中程度熱抑制デンプン」は、300~800MPa*sのピーク高温粘度を有する。「高度熱抑制デンプン」は、300MPa*s未満のピーク高温粘度を有する。Brabenderビスコ-アミログラフ又はマイクロ-ビスコ-アミログラフは、一般に、Brabenderユニット(BU)MPa*s、又はcmgを使用して粘度測定値を報告することができる。
【0056】
本明細書中の「マイクロ-ビスコ-アミログラフ試験」への言及は、以下の試験を意味する。6%(重量%)のデンプンを、緩衝化し、pHをpH6に調整した水溶液と混合することによって、デンプンの水性スラリーを得る。75rpmの速度、6℃/分の速度で回転するBrabenderビスコ-アミログラフ又はマイクロ-ビスコ-アミログラフ機を使用して、スラリーを約50℃から約95℃の温度まで加熱及び撹拌し、スラリーを95℃で15分間保持する。50°から95°への加熱と95°での保持とを組み合わせて、本明細書では、マイクロ-ビスコ-アミログラフ試験の「加熱段階」と呼ぶ。抑制の程度を決定するためのスラリーの有用な属性は、ピーク高温粘度であり、これは、試験の加熱段階中に得られる最高粘度である。マイクロ-ビスコ-アミログラフ試験は、加熱段階が完了すると終了してもよい。この定義には必要ではないが、マイクロ-ビスコ-アミログラフ試験は、試験の加熱段階を完了した後に継続してもよい。概して、この段階の間、スラリーは、スラリーが周囲温度及び最終定常状態粘度(又はゲル化組成物)に近づくまで、周囲条件又は制御された条件下で冷却され、本明細書では「冷却段階」と呼ばれる。冷却段階は、任意の所望の時間にわたって行うことができるが、通常、加熱を停止した後約30分以内に完了し、これは、試験の開始から合計で約1時間である。
【0057】
本明細書内の「単相プロセス」への言及は、固相が湿っているように見え、材料のケーキ又は塊として存在し得るが、混合物内に固相のみが存在するように、全ての溶液がデンプン又は小麦粉によって吸収される量で、デンプン又は小麦粉に水分(水溶液)を加えるプロセスを意味する。ここで、相は物質の状態を指し、したがって、全ての液体又は気体(蒸気)が吸収され、デンプンの単一固相のみが存在するので、系は単相を有する。単相プロセスは、物質の2つの異なる状態、すなわち固体(デンプン)相及び液相が存在するスラリーを生成する過剰な水分を添加するプロセスとは区別される。
【0058】
使用法に関して、本明細書は、熱抑制凝集デンプンを指し、これは、後に熱抑制される凝集デンプンである。本明細書は、凝集熱抑制デンプンにも言及し、これは、次いで凝集熱抑制デンプンを指す。
【0059】
数字を修飾するための「約」の使用は、プラス又はマイナス10%を記述した数を含むことを意味する。特許請求の範囲における値の法的に許容される記述は、概ねその値を意味する。特許請求の範囲、又は明細書における約の使用は、対象にする等価物の全範囲を制限することを意図するものではない。
【0060】
不定冠詞「a」又は定冠詞「the」の記述は、文脈が別様に明確に規定しない限り、1つ以上を意味することを意味する。
【0061】
特定の実施形態を例示及び説明してきたが、当業者であれば、前述の明細書を読んだ後、方法、及び本技術の変更、均等物での置換、及びその他の種類の改変を実施することができる。上記の各態様及び実施形態はまた、他の態様及び実施形態のいずれか又は全てに関して開示されるような、かかる変形形態又は態様を含むか、又はそれらに組み込まれることができる。
【0062】
本技術はまた、本技術の個々の態様の単一の例示として意図される、本明細書に記載される態様に関して限定されるものではない。当業者には明らかであるように、本技術の多くの修正及び変更は、その趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本技術の範囲内の機能的に等価な方法は、本明細書で列挙されるものに加えて、前述の記載から当業者に明らかとなろう。かかる修正及び変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本技術は、当然のことながら、変化し得る、方法、複合体、試薬、化合物、組成物、標識化合物、又は生物学的系に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別途記載のない限り、又は別様に文脈と明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書で使用される用語は、態様の説明のみを目的とするものであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。それゆえ、本明細書は、添付の特許請求の範囲、その定義、及びそれらの任意の等価物のみによって示される本技術の広さ、範囲、及び趣旨のみの例示としてみなされることが意図される。本明細書中の言語は、いかなる特許請求されていない要素も必須であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0063】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書で具体的に開示されていない任意の要素(複数可)、限定(複数可)のない状況で好適に実践され得る。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む、挙げられる(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、拡大的に読み取られ、限定するものではない。追加的に、本明細書で用いられる用語及び表現は、説明の用語として使用されており、限定するものではなく、かかる用語及び表現の使用において示され及び記載される特徴又はその部分の任意の等価物を排除する意図はないが、特許請求される技術の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。追加的に、「から本質的になる」という語句は、具体的に列挙されたそれらの要素、並びに特許請求の範囲の技術の基本的及び新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素を含むと理解されよう。「からなる」という語句は、指定されていない任意の要素を除外する。
【0064】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載されている場合、当業者は、本開示がまた、マーカッシュ群のメンバーの任意の個々のメンバー又はサブグループに関して記載されることを認識するであろう。一般的な開示内に含まれるより狭い種及び下位集団の各々はまた、その技術の一部を形成する。これは、切除された材料が本明細書に具体的に記述されているかどうかにかかわらず、属から任意の主題を除去する条件又は否定的な制限を有する技術の概念の記載を含む。
【0065】
当業者に理解されるように、任意の及び全ての目的のため、特に記載された説明を提供するという観点から、本明細書に開示される全ての範囲はまた、任意の及び全ての可能な部分範囲及びそれらの部分範囲の組み合わせも包含する。いかなる列記された範囲も、少なくとも半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割されている同じ範囲を十分に説明かつ可能にするものと容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、下3分の1、中3分の1、及び上3分の1などに容易に分割することができる。また、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「超」、「未満」などの言語は全て、記述された数を含み、後に上で考察される部分範囲に分割され得る範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は、各々の個々の部材を含み、各別個の値は、本明細書において個々に記述されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0066】
本明細書に開示される技術は、以下の態様を参照してより良く理解することができ、態様は、例示目的のために提供され、いかなる方法においても制限するものではない。
【0067】
デンプンを加工するための方法であって、デンプンを供給することと、熱水性流体を、デンプンに、最大約45%(デンプンの重量%)の量で適用することと、を含む、方法。
【0068】
熱水性流体が、デンプンに、約10%~20%又は約10%~15%の量で適用され、方法が、デンプンを凝集させ、熱水性流体が、結合剤である、請求項1の請求項に記載の方法。
【0069】
熱水性流体が、約20%~、又は約25%~、又は約30%~、又は約35%~約45%、又は~約40%の量で適用され、熱水性流体が、予備蒸解され、任意選択で、デンプンは、デンプンが偏光下で見た場合にマルタ直交回折パターンを示さないようにアルファ化される、請求項1に記載の方法。
【0070】
凝集された又は予備蒸解されたデンプンを、最大約15%、又は約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%、又は~約12%(重量%)の含水量を有するように乾燥させることを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0071】
デンプンが、トウモロコシ、ワキシーコーン、米、もち米、タピオカ、ワキシータピオカ、ジャガイモ、ワキシーポテト、エンドウ、ヒヨコマメ、レンズマメ、ソラマメ、キノア、サゴ、及びそれらの混合物からなる群からのものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0072】
熱水性流体が、天然デンプンに適用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0073】
熱水性流体が、変性デンプンに適用され、好ましくは、変性が、熱抑制である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0074】
デンプンが、2%(重量%)未満の水分を有し、任意選択で、デンプンが、熱抑制デンプンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0075】
熱水性流体が、デンプンに、約10%~20%又は約10%~15%の量で適用され、デンプンが、天然デンプンであり、方法が、デンプンに適用される熱水性流体は、熱水性流体を適用した後、デンプンが、凝集デンプンであって、緩衝化され、かつ約4.5~約9.5のpHにpH調整されたデンプンである凝集デンプンであるように、緩衝剤及び酸又は塩基を更に含み、好ましくはデンプンが、約4.5~約7.0のpHに調整され、より好ましくは、デンプンが、約4.5~約5.5のpHに調整される、ことと、凝集され、緩衝化され、pH調整されたデンプンを約2%(デンプンの重量%)未満の含水量まで脱水して、デンプン凝集物を提供することと、無水又は実質的に無水のデンプン凝集物を約100℃~約200℃の温度で最大約20時間熱処理し、それによってデンプン凝集物を熱抑制して、熱抑制凝集デンプンを得ることと、を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【0076】
熱水性流体が、熱抑制デンプンに適用され、任意選択で、熱抑制デンプンが、マイクロ-ビスコ-アミログラフ試験を使用して測定したとき、約2000mPa*s未満、若しくは約1500mPa*s未満、又はa)約300mPa*s未満、b)約300mPa*s~約300mPa*s、及びc)約800mPa*s~約1600mPa*sからなる群から選択される範囲内の、ピーク熱粘度を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0077】
熱水性流体が、熱抑制デンプンに、約10%~約20%又は約10%~約15%の量で適用されて、凝集熱抑制デンプンを得、必要に応じて、凝集熱抑制デンプンを約10%~約15%(デンプンの重量%)の含水量まで乾燥させる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0078】
熱水性流体が、熱抑制デンプンに、約20%~約40%、又は約25%~約40%の量で適用されて、アルファ化熱抑制デンプンを得、任意選択で、アルファ化熱抑制デンプンが、最大約15%、又は約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%、又は~約12%(重量%)の含水量まで乾燥される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
熱水性流体を、熱抑制デンプンに、最大約40%(デンプンの重量%)の範囲内である第1の量で適用することによって、熱抑制デンプンの凝集物体を形成することと、熱水性流体を、熱抑制凝集デンプンに、第1の量よりも多いが最大約40%(デンプンの重量%)の範囲内である第2の量で適用することによって、凝集熱抑制デンプンをアルファ化することと、を更に含み、任意選択で、アルファ化凝集熱抑制デンプンが、最大約15%、又は約4%~、又は約6%~、又は約8%~約15%、又は~約12%(重量%)の含水量まで乾燥される、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【0080】
熱水性流体が、約2%(デンプンの重量%)未満の含水量を有する熱抑制デンプンに適用される、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【0081】
熱水性流体が、流動床反応器又は中空管反応器のうちの1つ以上において、デンプンに適用される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【0082】
デンプンが、凝集又はアルファ化され、同じ反応器内で乾燥される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【0083】
デンプンが、凝集又はアルファ化され、異なる反応器内で乾燥される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0084】
熱水性流体が、約70℃~、又は約75℃~、又は約80℃~、又は約85℃~、又は約90℃~、又は約95℃~又は~約99℃、又は約70℃~約99℃、又は~約95℃、又は~約90℃、又は~約85℃、又は~約80℃、又は~約75℃の温度を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
熱水性流体が、飽和蒸気である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
熱水性流体が、約100℃を超える、又は約110℃を超える、又は約120℃を超える、又は約100℃~約200℃、又は~約190℃、又は~約180℃、又は~約170℃、又は~約160℃、又は~約150℃の温度を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセスに従って作製される、アルファ化熱抑制デンプン又はアルファ化凝集熱抑制デンプン。
【0088】
6%のデンプン固形分及びpH6を有する水性デンプンスラリーが、スラリーを加熱することなく、約2000mPa*s未満若しくは約1500mPa*s未満の粘度、又はa)約300mPa*s未満、b)約300mPa*s~約800mPa*s、及びc)約800mPa*s~約1600mPa*sからなる群から選択される範囲の粘度を有する、請求項21に記載のアルファ化熱抑制デンプン又はアルファ化凝集熱抑制デンプン。
【0089】
請求項1~22のいずれか一項に記載のプロセスにより作製されたデンプン及び第2の食用成分を含む食品であって、好ましくは、デンプンが、アルファ化熱抑制デンプン又はアルファ化凝集熱抑制デンプンである、食品。
【0090】
本明細書に開示される技術は、以下の実施例を参照してより良く理解することができ、実施例は、例示目的のために提供され、いかなる方法においても制限するものではない。
【0091】
実施例1-熱抑制されアルファ化されたデンプン及びそれらの作製するためのプロセス
本明細書に記載されるドラム乾燥、噴霧乾燥、又は単相法のうちの1つを使用してアルファ化された、アルファ化熱抑制デンプン間の差異は、以下の実施例に描写される。
【0092】
実施例1a-ドラム乾燥したアルファ化熱抑制デンプン
ドラム乾燥プロセスは当技術分野で公知であり、概して、デンプンスラリーの薄膜を回転加熱ドラムに適用することによって作用する。ドラムは、スラリー中のデンプンを蒸解し、それをアルファ化し、スラリーから水分を蒸発させる。アルファ化され、乾燥されたデンプンはドラムから掻き取られ、フレーク様の、部分的に無傷の、部分的にせん断されたデンプン顆粒形状の最終製品を提供する(しかし、デンプンは、偏光下で見た場合に顆粒状デンプンがマルタ直交デンプン回折パターンを示すという意味で顆粒状ではなく、ドラム乾燥デンプンは、偏光下で見た場合にマルタ回折パターンを示さない)。ドラム乾燥デンプンは、一般に、特定の粒径を得るために粉砕される。Ingredion Incorporatedから入手可能な市販のアルファ化デンプンを参照すると、より粗い粉砕物は、粒子の約55%(体積比)が200メッシュ(孔径74ミクロン)のふるい上に沈降するような粒度分布を有し得、より細かい粉砕物は、最大約1.0%の粒子が500メッシュ(孔径25ミクロン)のふるい上に沈降する粒度分布を有し得る。食品において、脱水されたドラム乾燥デンプンは、パルプ状のテクスチャを有することができ、これは、より細かく粉砕されたドラム乾燥デンプン製品を使用することによって目立たなくすることができる。
【0093】
図1は、ヨウ素で染色した後の、Ingredion Incorporatedから入手可能なドラム乾燥した熱抑制ワキシーキャッサバデンプンの写真である。このデンプンは、ドラム熱抑制ワキシーキャッサバデンプンを果汁中で33分間水和することによって調製した(果汁中7%デンプン、乾燥基準)。次いで、果汁分散液中のデンプン0.1gをヨウ素溶液0.1gと混合した(以下のように計算した。6.5gヨウ化カリウム+1.3gヨウ素/100mL脱イオン水、JT Bakerからの溶液)。染色されたデンプンを、偏光フィルタを使用して100倍の倍率で観察した。
図1を参照すると、デンプン顆粒中にマルタ直交回折パターンは存在せず、デンプンがアルファ化されたことを実証した。多くのギザギザの小さい形状が見られ、ドラムからのせん断がデンプンの多くを引き裂いたことを指し示すことに留意されたい。
【0094】
実施例1b-噴霧蒸解されたアルファ化熱抑制デンプン
噴霧蒸解プロセスは公知であり、概して、高温蒸気を使用してデンプンを蒸解しながら、デンプンスラリーを狭い環状開口に通すことによって作用する。蒸気は、円形の蒸気開口を通過し、デンプンスラリーの流れに向かって、デンプンスラリーの流れを横切って放射状に進む。これはデンプンを蒸解し、同時にそれをアルファ化する。次に、アルファ化デンプンスラリーを噴霧ノズルに通してデンプンを回収する。噴霧蒸解されたデンプンの粒径は、ノズルサイズによって制御され、これは目視検査によって確認することができる。
【0095】
図2は、ヨウ素で染色した後の、噴霧乾燥した熱抑制ワキシーキャッサバデンプンの写真である。
図1に示したデンプンと同じ方法を使用して、拡大のためにデンプンを調製した(果汁中のドラム熱抑制ワキシーキャッサバデンプン(果汁中7%デンプン、乾燥ベース)の33分間の水和。次に、果汁分散液中のデンプン0.1gをヨウ素溶液0.1gと混合した(以下のように計算、ヨウ化カリウム6.5g+1.3gヨウ素/脱イオン水100mL、JT.Bakerからの溶液)。
図2を参照すると、デンプン顆粒にマルタ直交回折パターンは存在せず、デンプンがアルファ化されていることが確認された。見られるように、不規則な形状ではあるが、デンプンは、
図1のデンプンのドラム乾燥された熱抑制ワキシーコーンデンプンよりも概して滑らかな表面を有していた。ギザギザの縁が比較的少ないことは、噴霧蒸解したデンプンがほとんど無傷のままであることを示し、ドラム乾燥法で得られたデンプン製品よりもせん断(断片化)の兆候が少ないことを示した。
【0096】
実施例1c-単相アルファ化熱抑制デンプン(予言的実施例)
記載された方法の好ましい実施形態では、熱抑制デンプンは、Gebrueder Lodige Maschinenbau GmbHから入手可能なCoriMix反応器などの中空管反応器を使用して、単相プロセスにおいてアルファ化される。熱水を反応器に供給して、本明細書に記載の量のデンプンを脱水する。より具体的には、CoriMix反応器によって供給される熱でデンプンがアルファ化するように、デンプンに十分な水分を提供するために水が添加される。好ましいプロセスは、再湿潤されておらず、したがって約2%(重量%)未満の含水量を有する熱抑制デンプンから開始し、デンプンが20%超又は30%超から最大約45%の水分(重量%)まで水和されるように十分な熱水を添加する。
【0097】
操作において、CoriMix反応器は、中空管の長さを通してデンプンを押し込み、デンプンがアルファ化する際にデンプンにせん断力を適用する。しかしながら、ドラム乾燥とは異なり、デンプンは水中でスラリー化されず、プロセス中に単相で存在するので、せん断から生じるデンプンへの損傷は、ドラム乾燥について観察されるよりも少ないことが予想される。したがって、単相プロセスでアルファ化された製品は、ドラム乾燥されたアルファ化熱抑制デンプンよりもギザギザ及び破れが少なく、噴霧蒸解されたアルファ化熱抑制デンプンよりもギザギザ及び破れが多い外観を有すると予想される。デンプンは、噴霧乾燥又はドラム乾燥デンプンのいずれかと同等の粘度を提供するが、例えば約500メッシュを有する細かく粉砕されたドラム乾燥された熱抑制デンプンよりも少ないパルプ状テクスチャを提供することが更に予想される。
【国際調査報告】