(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】マルチダイスタッキングにおける積層インダクタ
(51)【国際特許分類】
H01L 25/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01L25/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523422
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2022078231
(87)【国際公開番号】W WO2023069912
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518065991
【氏名又は名称】アデイア セミコンダクター ボンディング テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ギリアン
(72)【発明者】
【氏名】ファウンテン ガイウス ギルマン ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ハーバ ベルガセム
(72)【発明者】
【氏名】カトカー ラジェシュ
(57)【要約】
積層電磁コイルを有するマイクロ電子デバイスを開示する。1つの例では、マイクロ電子デバイスが、第1の半導体素子と、第1の半導体素子上に配置された第2の半導体素子とを含むことができる。マイクロ電子デバイスは、電磁コイルを含むこともできる。電磁コイルの第1の部分及び電磁コイルの第2の部分は、第1の半導体素子によって離間することができる。第1の半導体素子を貫通する第1の導電性ビアが、電磁コイルの第1及び第2の部分を接続することができる。このようなマイクロ電子デバイスを形成する方法も開示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電子デバイスであって、
第1の基板を有する第1の半導体素子と、
前記第1の半導体素子上に配置された、第2の基板を有する第2の半導体素子と、
電磁コイルと、
を備え、前記電磁コイルの第1の部分及び前記電磁コイルの第2の部分が少なくとも前記第1の半導体素子の前記第1の基板によって離間し、前記第1の半導体素子を貫通する第1の導電性ビアが前記電磁コイルの前記第1及び第2の部分を接続する、
マイクロ電子デバイス。
【請求項2】
前記電磁コイルは、インダクタとして動作するように構成される、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項3】
前記電磁コイルは、単巻変圧器として動作するように構成される、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項4】
前記電磁コイルは、変圧器の一部として動作するように構成される、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項5】
前記第2の半導体素子は、介在接着剤を使用せずに前記第1の半導体素子に直接結合される、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項6】
前記第1及び第2の半導体素子間の界面が、導体-導体及び誘電体-誘電体ダイレクトボンドを含む、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項7】
前記電磁コイルの前記第1の部分は、前記第1の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層に配置される、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項8】
前記電磁コイルの前記第1の部分は、前記第1の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層の最も外側の金属化層に配置される、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項9】
前記第1の半導体素子は、前記第1の基板の表面上に配置され、前記電磁コイルの前記第1の部分は、前記基板の前記表面上の金属化層に配置される、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項10】
前記電磁コイルの前記第1の部分は、前記第1の半導体素子の関連するBEOL層を外部基板に結合する第1の結合層に配置される、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項11】
前記第1の半導体素子の前記関連するBEOL層は、介在接着剤を使用せずに前記外部基板に直接結合される、
請求項10に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項12】
前記第1の結合層は接着剤を含む、
請求項10に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項13】
前記電磁コイルの前記第1の部分は矩形の螺旋状巻線を有する、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項14】
前記電磁コイルの前記第2の部分は、前記第2の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層に配置される、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項15】
前記電磁コイルの前記第2の部分は、前記第2の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層の最も外側の金属化層に配置される、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項16】
前記第2の半導体素子は、前記第1の半導体素子の表面上に配置され、前記電磁コイルの前記第2の部分は、前記第1の半導体素子の前記表面上の金属化層に配置される、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項17】
前記電磁コイルの前記第2の部分は、前記第2の半導体素子の関連するBEOL層を前記第1の半導体素子に結合する第2の結合層に配置される、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項18】
前記第2の半導体素子の前記関連するBEOL層は、介在接着剤を使用せずに前記第1の半導体素子に直接結合される、
請求項17に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項19】
前記第2の結合層は接着剤を含む、
請求項17に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項20】
前記電磁コイルの前記第2の部分は矩形の螺旋状巻線を有する、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項21】
前記第2の半導体素子上に配置された第3の半導体素子をさらに備え、前記電磁コイルの第3の部分が少なくとも前記第2の半導体素子の前記第2の基板によって前記電磁コイルの前記第2の部分から離間し、前記第2の半導体素子を貫通する第2の導電性ビアが前記電磁コイルの前記第2及び第3の部分を接続する、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項22】
前記第1の半導体素子は集積デバイスダイを含む、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項23】
前記第2の半導体素子は集積デバイスダイを含む、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項24】
前記電磁コイルは金属ワイヤを含み、該金属ワイヤの最小直径は少なくとも0.5μmである、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項25】
前記電磁コイルの前記第1及び第2の部分間に、電気接地に接続されるように構成された金属化層が配置される、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項26】
前記電磁コイルは、電気的接続のために構成された少なくとも3つのアクセスポイントを含む、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項27】
前記電磁コイルは、単巻変圧器として動作するように構成される、
請求項26に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項28】
さらなる電磁コイルをさらに備える、
請求項1に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項29】
前記電磁コイル及び前記さらなる電磁コイルは、変圧器として動作するように構成される、
請求項28に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項30】
前記さらなる電磁コイルの2つの部分が前記半導体素子の少なくとも1つの基板によって離間する、
請求項28に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項31】
前記さらなる電磁コイルの一部が、前記半導体素子のうちの1つに関連するバックエンド(BEOL)層に配置される、
請求項28に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項32】
前記さらなる電磁コイルの一部が、前記半導体素子のうちの1つに関連するバックエンド(BEOL)層の最も外側の金属化層に配置される、
請求項28に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項33】
前記さらなる電磁コイルの一部が、前記半導体素子間の結合層に配置される、
請求項28に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項34】
前記さらなる電磁コイルの一部が矩形の螺旋状巻線を有する、
請求項28に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項35】
前記さらなる電磁コイルは金属ワイヤを含み、該金属ワイヤの最小直径は少なくとも0.5μmである、
請求項28に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項36】
マイクロ電子デバイスであって、
第1の基板を有する第1の半導体素子と、
前記第1の半導体素子上に配置された、第2の基板を有する第2の半導体素子と、
前記第1の半導体素子の前記第1の基板に隣接する第1の電磁コイルと、
前記第2の半導体素子の前記第2の基板に隣接する第2の電磁コイルと、
を備え、
前記第1の電磁コイル及び前記第2の電磁コイルは、少なくとも前記第1の半導体素子の前記第1の基板によって離間し、
前記第1の電磁コイル及び前記第2の電磁コイルの少なくとも一方が、直接結合のために構成された層に配置される、
マイクロ電子デバイス。
【請求項37】
前記第1の電磁コイルは、前記第1の半導体素子の関連するBEOL層を外部基板に直接結合する第1の結合層に配置される、
請求項36に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項38】
前記第1の半導体素子の前記関連するBEOL層は、介在接着剤を使用せずに前記外部基板に直接結合される、
請求項37に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項39】
前記第2の電磁コイルは、前記第2の半導体素子の関連するBEOL層を前記第1の半導体素子に直接結合する第2の結合層に配置される、
請求項37に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項40】
前記第2の電磁コイルは、前記第2の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層に配置される、
請求項37に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項41】
前記第2の電磁コイルは、前記第2の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層の最も外側の金属化層に配置される、
請求項37に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項42】
前記第1の電磁コイルは矩形の螺旋状巻線を有する、
請求項36に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項43】
前記第2の電磁コイルは、前記第2の半導体素子の関連するBEOL層を前記第1の半導体素子に直接結合する結合層に配置される、
請求項36に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項44】
前記第2の半導体素子の前記関連するBEOL層は、介在接着剤を使用せずに前記第1の半導体素子に直接結合される、
請求項43に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項45】
前記第1の電磁コイルは、介在接着剤を使用せずに前記第1の半導体素子の関連するBEOL層を外部基板に直接結合する層に配置される、
請求項43に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項46】
前記第1の電磁コイルは、前記第1の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層に配置される、
請求項43に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項47】
前記第1の電磁コイルは、前記第1の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層の最も外側の金属化層に配置される、
請求項43に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項48】
前記第2の電磁コイルは矩形の螺旋状巻線を有する、
請求項36に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項49】
前記第1の半導体素子は集積デバイスダイを含む、
請求項36に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項50】
前記第2の半導体素子は集積デバイスダイを含む、
請求項36に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項51】
前記第1の電磁コイルは金属ワイヤを含み、該金属ワイヤの最小直径は少なくとも0.5μmである、
請求項36に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項52】
前記第2の電磁コイルは金属ワイヤを含み、該金属ワイヤの最小直径は少なくとも0.5μmである、
請求項36に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項53】
前記第1の電磁コイル及び前記第2の電磁コイルは、変圧器として動作するように構成される、
請求項36に記載のマイクロ電子デバイス。
【請求項54】
マイクロ電子デバイスを形成する方法であって、
第1の半導体素子と、該第1の半導体素子に隣接する第1のコイル状構造とを準備し、前記第1の半導体素子を第1の導電性ビアが貫通するようにすることと、
第2の半導体素子と、該第2の半導体素子に隣接する第2のコイル状構造とを準備することと、
前記第1のコイル状構造及び前記第2のコイル状構造が前記第1の導電性ビアによって接続されるように前記第2の半導体素子を前記第1の半導体素子に結合し、前記第1のコイル状構造及び前記第2のコイル状構造が前記第1の半導体素子によって離間するようにすることと、
を含む方法。
【請求項55】
前記第2の半導体素子は、介在接着剤を使用せずに前記第1の半導体素子に直接結合される、
請求項54に記載のマイクロ電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本特許出願は、2021年10月19日に出願された米国仮特許出願第63/262,733号の利益を主張するものであり、この文献の内容はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本分野は、集積受動部品(integrated passive components)を含むマイクロエレクトロニクスに関する。
【背景技術】
【0003】
電子システムでは、コンデンサ、抵抗器及びインダクタなどの受動電子部品が重要な役割を果たす。例えば、受動部品は信号の変換に役立ち、システム内の能動素子の性能を向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、受動部品の使用時には、消費電力及び望ましくない結合を抑えることが必要な場合がある。さらに、受動電子部品のオンチップ集積では、形状又は配線設計の制約に直面することもある。従って、集積電子システムにおける受動電子部品の設計を改善することが継続的に必要とされている。
【0005】
以下、限定ではなく一例として示す図面を参照しながら具体的な実装について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】複数の積層半導体素子を含むマイクロ電子デバイスに埋め込まれた電磁コイルの実施形態例の概略的断面図である。
【
図2】複数の積層半導体素子を含むマイクロ電子デバイスに埋め込まれた電磁コイルの別の実施形態例の概略的断面図である。
【
図3】複数の積層半導体素子を含むマイクロ電子デバイスに埋め込まれた電磁コイルの別の実施形態例を示す概略的断面図である。
【
図4】
図1に示す複数の積層半導体素子を含むマイクロ電子デバイスに埋め込まれた単巻変圧器の、説明を容易にするために単巻変圧器コイルを取り囲む構造の一部を除去した概略的斜視図である。
【
図5】複数の積層半導体素子を含むマイクロ電子デバイスに埋め込まれた一次電磁コイル及び二次電磁コイルで形成された変圧器の概略的斜視図である。
【
図6】3つの積層半導体素子を含むマイクロ電子デバイスに埋め込まれた直列配列及び並列配列の2つの電磁コイルの実施形態例の概略的断面図である。
【
図7】複数(例えば、4つ)の積層半導体素子を含むマイクロ電子デバイスに埋め込まれた電磁コイルの実施形態例の、隣接するコイル間の距離及びコイル金属線の厚みを示す概略的断面図である。
【
図8】単一の半導体素子に埋め込まれた電磁コイルの実施形態例の、隣接するコイル間の距離及びコイル金属線の厚みを示す概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
集積回路技術で使用されるオンチップインダクタ又は電磁コイルは、能動素子のバックエンド(back end of line:BEOL)層内に作製することができる。このようなインダクタ及び/又は電磁コイルは、例えば約0.2μmの厚みの金属線などの細い金属線で形成することができる。さらに、このようなインダクタでは各コイル部分が単一のBEOL層内に形成されるので、隣接するコイル部分間の距離が非常に小さい。従って、このようなインダクタは、細い金属線に起因して電気抵抗が高く、コイル部分が互いに密集しているためコイル部分間の自己容量結合、すなわちいわゆる寄生容量が高いことにより、効率が低くなってしまうことがある。従って、改善されたオンチップインダクタの設計が継続的に必要とされている。
【0008】
高Q値(品質係数)、低抵抗及び/又は低自己結合容量を達成できる集積インダクタ又は電磁コイルを含むマイクロエレクトロニクスを開示する。1つの実施形態では、積層チップの複数のバックエンド(BEOL)層に、例えば垂直方向にわたる電磁コイルを開示する。例えば、マイクロエレクトロニクスシステムは、少なくとも2つのチップ又は半導体素子に埋め込まれた電磁コイルを含むことができ、少なくとも1つの半導体素子、又はチップの半導体基板は、電磁コイルの隣接する2つのコイル部分間に配置される。本開示の文脈では、バックエンド(BEOL)層が、電気的フィーチャをもたらす1又は2以上の導電材料層を含むことができるとともに、導電性フィーチャを絶縁する1又は2以上の誘電材料層をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、BEOL層を、コイル部分が埋め込まれた最外層(又は最外層に近い層)を含むウェハ製造の一部として製造することができる。いくつかの実施形態では、ウェハ製造で形成されるBEOL層がコイル部分を含まず、コイル部分を配線層(routing layer)又は結合層(bonding layer)の一部として後で追加することもできる。従って、様々な実施形態では、(単複の)コイル部分をいずれかの好適な金属化層又は配線層に埋め込むことができる。(単複の)BEOL層の誘電材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸炭窒化シリコンなどの無機誘電体を含むことができる。
【0009】
図を参照すると、
図1は、第1の半導体素子10、第2の半導体素子20及び第3の半導体素子30を含む複数(例えば、3つ)の積層半導体素子(例えば、ダイ/チップ)を有するマイクロ電子デバイス例1の概略的断面図である。
図1に示すように、インダクタ又は電磁コイル101は、第1のBEOL層16、第2のBEOL層26及び第3のBEOL層36内にそれぞれ配置された第1の金属コイル部分12、第2の金属コイル部分22及び第3の金属コイル部分32を有し、これらのBEOL層は、第1の半導体素子10、第2の半導体素子20及び第3の半導体素子30のそれぞれの半導体基板18、28、38(本明細書では半導体基板層とも呼ぶ)上に配置される。半導体基板18、28、38は、シリコンなどのいずれかの好適なタイプの半導体を含むことができ、半導体素子10、20、30の能動側にはデバイス(例えば、能動回路)をパターニングすることができる。本明細書に示す様々な実施形態はスタック内に3つの半導体素子を含んでいるが、スタック内にはいずれかの好適な数(例えば、2つ、4つ又は5つ以上)の半導体素子を設けることができる。
【0010】
図1では、スタックの最下部に配置された第1の半導体素子10が、半導体素子10の表側すなわち活性側(active side)に、第1の半導体基板層18上に配置されたBEOL層16を有し、BEOL層16には第1のコイルフィーチャ12が配置される。スタックの真ん中に挟まれた第2の半導体素子20は、半導体素子20の表側に、第2の半導体基板層28上に配置されたBEOL層26を有し、第2のBEOL層26には第2のコイルフィーチャ22が配置される。スタックの最上部に配置された第3の半導体素子30は、半導体素子30の表側に、第3の半導体基板層38上に配置されたBEOL層36を有することができ、第3のBEOL層36には第3のコイルフィーチャ32が配置される。
【0011】
第2の半導体素子20は、素子の表側に、第2のBEOL層26上に配置された結合層25をさらに含む。様々な実施形態では、結合層25が、例えばBEOL層26の最外層などの、第2のBEOL層26の一部であることができる。結合層25は、第1の半導体素子10の第1の基板層18に直接結合して結合界面23を形成することができる。結合層25は、導電性コンタクトフィーチャと、導電性コンタクトフィーチャを取り囲む非導電性フィールド領域(nonconductive field regions)とを有することができる。結合層25の各非導電性フィールド領域は、基板18の非導電性領域の、基板の半導体材料又は基板上の非導電性結合層(図示せず)のいずれかに直接結合することができる。導電性コンタクトフィーチャは、基板18の対応する導電性フィーチャに直接結合することができる。
【0012】
同様に、第3の半導体素子30は、第3の素子30の表側に、第3のBEOL層36上に配置された結合層35をさらに含む。結合層35は、第2の半導体素子20の第2の半導体基板28に直接結合して結合界面33を形成することができる。結合層35は、導電性コンタクトフィーチャと、導電性コンタクトフィーチャを取り囲む非導電性フィールド領域とを有することができ、結合層35の各非導電性フィールド領域は、基板28の非導電性領域の、基板の半導体材料又は基板上の非導電性結合層(図示せず)のいずれかに直接結合することができる。導電性コンタクトフィーチャは、基板28の対応する導電性フィーチャに直接結合することができる。
図1には、各半導体素子10、20、30の裏面の金属化層を明確に示していないが、各素子の表側すなわち活性側には多層BEOL金属化物が形成される一方で、素子の裏面にも1又は2以上の金属化層を形成することができると理解される。また、裏面の(単複の)金属化層上には結合層を形成することができ、或いは裏面の上部金属化層が、真上に配置された半導体素子の結合層に直接結合する用意がある金属コンタクト機能を取り囲む誘電材料を有する結合層であることもできる。さらに、
図1には素子の活性側を下向きに示しているが、半導体素子は、いずれかの半導体素子の活性側が上向き又は下向きになるようにいずれかの好適な形で配向することができると理解されたい。
【0013】
図1に示すように、断面図で示す複数の金属線を有する電磁コイル101の第1のコイル部分12と、やはり断面図で示す複数の金属線を有する電磁コイル101の第2のコイル部分22は、ほぼ第1の半導体素子10の厚みだけ離間することができる。例えば、第1のコイル部分12及び第2のコイル部分22は、第1の半導体素子10の厚み+第2の半導体素子20の結合層25の厚みだけ離間することができる。いくつかの実施形態では、結合層25の厚みが第1の基板18の厚みよりも実質的に小さいことができる。基板貫通ビア(through substrate via:TSV)として形成できる第1の半導体素子10を貫通する導電性ビア14が、電磁コイル101の第1のコイル部分12を第2のコイル部分22に接続する。導電性ビア14と第2のコイル部分22との間の電気的接続は、第1の半導体素子10が結合界面23に沿って第2の半導体20に直接結合されることによって行うことができる。
【0014】
同様に、第2のコイル部分22及び第3のコイル部分32は、ほぼ第2の半導体素子20の厚みだけ離間することができる。基板貫通ビア(TSV)として形成できる第2の半導体20を貫通する導電性ビア24が、電磁コイル101の第2のコイル部分22を第3のコイル部分32に接続する。導電性ビア24と第3のコイル部分32との間の電気的接続は、第2の半導体素子20が結合界面33に沿って第3の半導体30に直接結合されることによって行うことができる。導電性ビア34は、第2の半導体素子20及び第1の半導体素子10を貫通して半導体素子10の下面まで延びることができる。導電性ビア34は、半導体素子10及び20の各々に基板貫通ビア(TSV)として形成し、直接結合時に共に接続することができる。しかしながら、他の実施形態では、導電性ビア34を、例えばマイクロ電子デバイス1の3つの半導体素子が直接結合された後にビアラストプロセス(via last process)によって形成することもできる。ビア34の下端には、金属コンタクトパッド31を設けることができる。図示のように、コイル部分12、コイル部分22及びコイル部分32は、マイクロ電子デバイス1に埋め込まれたインダクタ又は電磁コイルを形成するように直列に接続することができる。
図1に示すように、デバイス1にはコンタクトパッド11を介して電流を入力することができる。電流は、第1のコイル部分12、導電性ビア14、第2のコイル部分22、導電性ビア24、第3のコイル部分32、及び導電性ビア34を通過することができる。電流は、コンタクトパッド31によってデバイス1から出力することができる。
【0015】
電磁コイル101のコイル部分が複数のBEOL層にわたり、半導体素子によって離間しているので、コイル部分間の結合容量を大幅に低減して電磁コイルの性能、すなわちQ値を大幅に高めることができる。いくつかの実施形態では、電磁コイル101の第1のコイル部分12と第2のコイル部分22との間に、例えば電気接地に接続されるように構成された導電面などの接地面を配置することができる。例えば、電磁コイル101の第1のコイル部分12と第2のコイル部分22との間に配置された金属化層を接地面として使用することができる。接地面は、電磁コイル101の第1のコイル部分12及び第2のコイル部分22を容量的に分離(capacitively decouple)して電磁コイルの性能をさらに高めることができる。同様に、第2のコイル部分22と第3のコイル部分32との間にも接地面を配置して同様の機能を果たすことができる。
【0016】
最も外側の金属化層又はBEOLスタックの前方の数層に電磁コイルを形成すると、BEOL層内の連続する外側層に連続して太くなる金属線を使用することができるので、電磁コイルの電気抵抗を低くすることができる。従って、
図1では、第1のコイル部分12を第1のBEOL層16の外側(例えば、最も外側)の金属化層に配置し、第2のコイル部分22及び第3のコイル部分32をそれぞれの結合層25及び35の真下の層にそれぞれ配置することが有利である。他の実施形態では、コイル部分22、32をそれぞれの結合層25、35(例えば、BEOL構造の最も外側の金属化層)に配置することができる。いくつかの実施形態では、第1の半導体素子10の第1のBEOL層16の活性側をウェハ、ダイ又は集積デバイスなどの外部基板に直接結合することができる。
【0017】
図2に、
図1に示すマイクロ電子デバイス1の別の実施形態を示しており、ここではマイクロ電子デバイス2の実施形態例の概略的断面図を示す。
図1に示す半導体素子と同様に、
図2にも、例えば共に積層された第1の半導体素子40、第2の半導体素子50及び第3の半導体素子60などの複数の半導体素子を示す。第1の半導体素子40は、表側から裏側に、第1の半導体基板層48に接続された第1のBEOL層46を含む。第2の半導体素子50は、表側から裏側に、結合層55、第2のBEOL層56及び第2の半導体基板層58を含む。第3の半導体素子60は、表側から裏側に、結合層65、第3のBEOL層66及び第3の半導体基板層68を含むことができる。
【0018】
マイクロ電子デバイス2も、
図1のマイクロ電子デバイス1と同様に、第1の半導体素子40に配置された第1の金属コイル部分42と、第2の半導体素子50に配置された第2の金属コイル部分52と、第3の半導体素子60に配置された第3の金属コイル部分62とを有するインダクタ又は電磁コイル102を含む。
図2のマイクロ電子デバイス2と
図1のマイクロ電子デバイス1との間の1つの相違点は、最も外側の結合層55及び65内にそれぞれの下層のBEOL層56及び66の代わりに第2のコイル部分52及び第3のコイル部分62がそれぞれ配置されている点である。
【0019】
上述したように、最外層(又は外層)に存在することには、金属フィーチャ寸法が広く太くなり、従って電気抵抗及び自己結合容量が低くなるという利点がある。
図1の電磁コイル101と同様に、電磁コイル102の第1のコイル部分42及び第2のコイル部分52も、ほぼ第1の半導体素子40の厚みだけ離間し、基板貫通ビア(TSV)として形成できる導電性ビア44によって接続することができる。さらに、第2のコイル部分52及び第3のコイル部分62は、ほぼ第2の半導体素子50の厚みだけ離間し、TSVとして形成できる導電性ビア54によって接続することができる。第3の導電性ビア64は、第2の半導体素子50及び第1の半導体素子40を貫通して半導体素子40の下面まで延びることができる。導電性ビア64は、半導体素子40及び50の各々にTSVとして形成し、直接結合時に共に接続することができる。或いは、導電性ビア64は、例えばマイクロ電子デバイス2の3つの半導体素子が直接結合された後にビアラストプロセスによって形成することもできる。
【0020】
図2に示すように、コイル部分42、コイル部分52及びコイル部分62は、マイクロ電子デバイス2に埋め込まれたインダクタ又は電磁コイル102を形成するように直列に接続することができる。電流は、導電性コンタクトパッド41において第1のコイル部分42に流れ、導電性ビア44を通じて第2のコイル部分52に流れた後に、導電性ビア54、第3のコイル部分62、導電性ビア64に流れ、最後にコンタクトパッド61において出力される。第2の半導体素子50の金属化結合層55は、第1の半導体素子40の第1の半導体基板層48に直接結合して結合界面53を形成することができる。第1の半導体素子40の第1の基板48は、導電性コンタクトパッド及び周囲の誘電材料を含む結合層を上部に有することができ、これらの導電性コンタクトパッド及び周囲の誘電材料は、第2の半導体素子50の金属化結合層55に配置された第2のコイル部分52のコンタクトパッド及び周囲の誘電材料にそれぞれ直接結合される。同様に、第3の半導体素子60の結合層65は、第2の半導体素子50の第2の半導体基板層58に直接結合して結合界面63を形成することが好ましい。また、第2の半導体素子50の第2の基板58は、導電性コンタクトパッド及び周囲の誘電材料を含む金属化結合層を上部に有することができ、これらの導電性コンタクトパッド及び周囲の誘電材料は、第3の半導体素子60の金属化結合層55に配置された第3のコイル部分62のコンタクトパッド及び周囲の誘電材料にそれぞれ直接結合される。電磁コイル102の隣接するコイル部分は、少なくとも半導体素子の厚みだけ離間しているので、コイル部分間の結合容量を大幅に低減してインダクタ性能を大幅に高めることができる。
【0021】
図3に、
図2のマイクロ電子デバイス1のさらに別の実施形態を示しており、ここではマイクロ電子デバイス3の実施形態例が、第1の半導体素子70、第2の半導体素子80及び第3の半導体素子90などの複数の積層半導体素子(例えば、ダイ/チップ)を含む。第1の半導体素子70は、表側から裏側に、第1のBEOL層76及び第1の基板層78を含む。第2の半導体素子80は、表側から裏側に、金属化結合層85、第2のBEOL層86及び第2の基板層88を含む。第3の半導体素子90は、表側から裏側に、金属化結合層95、第3のBEOL層96及び第3の基板層98を含む。マイクロ電子デバイス3も、第1の半導体素子70に配置された第1の金属コイル部分72と、第2の半導体素子80に配置された第2の金属コイル部分82と、第3の半導体素子90に配置された第3の金属コイル部分92とを有するインダクタ又は電磁コイル103を含む。
【0022】
図3のマイクロ電子デバイス3は、
図2のマイクロ電子デバイス2と同様に、電磁コイル103の3つのコイル部分72、82及び92が全て最も外側の金属化層内に配置されている。なお、上述したように、結合層85、95は、BEOL層86、96の一部(例えば、最外層)であることができると理解されたい。図示の実施形態では、第2のコイル部分82及び第3のコイル部分92をそれぞれ結合層85、95に埋め込むことができる。上述したように、コイル部分72、82及び92を最外層に設けることで、より広く厚い金属フィーチャ寸法を利用できるようになり、従って電気抵抗及び自己結合容量が低くなるという利点を得ることができる。電磁コイル103の第1のコイル部分72及び第2のコイル部分82は、ほぼ第1の半導体素子70の厚みだけ離間することができる。また、第2のコイル部分82及び第3のコイル部分92は、ほぼ第2の半導体素子80の厚みだけ離間することができる。さらに、2つの導電性ビア74及び94は、第1の半導体素子70及び第2の半導体素子80を貫通して、3つのコイル部分72、82及び92を半導体素子70の下面に接続することができる。2つの導電性ビア74及び94は、最初に基板貫通ビア(TSV)として半導体素子70及び80に形成し、その後に3つの半導体を直接結合する際に接合することができる。或いは、上述したようにビアをビアラストTSVとして形成することもできる。
【0023】
図3に示すように、3つのコイル部分72、82、92は並列に接続することができる。
図3に示すように、電流は、コンタクトパッド71を介してデバイスに入り込み、3つのコイル部分72、82及び92を並列に通過することができる。ビア74は、第1、第2及び第3のコイル部分72、82、92間の並列電気接続をもたらすことができる。その後、電流は導電性ビア94に沿って進み、コンタクトパッド91を介してデバイス3から離れることができる。第2の半導体素子80の結合層85は、上部に結合層を配置できる第1の半導体素子70の第1の基板層78に直接結合することができる。同様に、第3の半導体素子90の金属化結合層95は、上部に結合層を配置できる第2の半導体素子90の第2の基板層98に直接結合することができる。3つの半導体素子70、80及び90の直接結合は、2つの隣接する素子間に2つの結合界面83及び93をそれぞれ形成する。ビア74及び94は、これらが基板貫通ビア(TSV)である場合、直接結合時に結合界面83において第2のコイル部分82のコンタクトパッド82a及び82bにそれぞれ結合され、結合界面93において第3のコイル部分92のコンタクトパッド92a及び92bにそれぞれ結合される。ビア74及び94がビアラストTSVである場合には、3つのコイル部分への接続をビアラストプロセス中に形成することができる。電磁コイル103の隣接するコイル部分は少なくとも半導体素子の厚みだけ離間しているので、コイル部分間の結合容量を大幅に低減してインダクタ性能を大幅に高めることができる。
【0024】
様々な実施形態では、コイル部分が、その上の半導体素子又はその下の半導体素子の表面又はその付近の層内に存在することができる。例えば、
図1では、第1の半導体素子10と第2の半導体素子20との間に存在する電磁コイル101の第2のコイル部分22を、第2の半導体素子20の第2のBEOL層22内に配置することができる。或いは、第2のコイル部分22は、第2の半導体素子20に面する第1の半導体素子10の上側に存在する、第1の半導体素子10の金属化層内に配置することもできる。どちらの配置でも、電磁コイル101の第1のコイル部分12及び第2のコイル部分22は、少なくとも第1の半導体素子10の基板層18によって離間することができる。同様に、電磁コイル101の第2のコイル部分22及び第3のコイル部分32は、第1の半導体素子20の少なくとも基板層28によって離間することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、積層半導体素子を、介在接着剤を使用せずに互いに直接結合することができる。いくつかの実施形態では、半導体素子に関連するBEOL層を半導体素子上に堆積させることができる。いくつかの実施形態では、半導体素子のBEOL層の結合層(例えば、最上層又は最下層)を、隣接する(例えば、下層又は上層の)半導体素子に直接結合することができる。例えば、
図1の第2の半導体素子20の結合層25は、第1の半導体素子10の、例えば結合層に直接結合することができる。いくつかの実施形態では、半導体素子を貫通する導電性ビアを、別の半導体素子に配置されたコイル部分に直接結合することができる。例えば、
図3では、導電性ビア74と、半導体素子80の結合層85に配置された電磁コイル102のコイル部分82とを、接着剤を使用せずに直接結合することができる。他の実施形態では、70などの半導体素子を貫通して70などの半導体素子の裏側の1又は2以上の金属化層に電気的に接続された74などの導電性ビアを、80などの別の半導体素子に配置された電磁コイルの82などのコイル部分に直接結合することができる。さらなる実施形態では、第1の半導体素子の裏側の電磁コイルのコイル部分が、第2の半導体素子の表側のコイル部分に接続される。いくつかの例では、92aなどの1つのコンタクトパッドのみを使用して結合が行われ、82などの1つのコイル部分が80などの第1の素子の金属化層に形成され、92などの別のコイル部分が90などの第2の素子の金属化層に形成される。他の例では、複数のコンタクトパッドを使用して電磁コイルの複数の金属コイル部分を結合することができ、例えば2つの素子の2つのコイルを共に結合することによって1つの太い均質なコイルを形成することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、非導電性結合層などの結合層を使用して、半導体素子のBEOL層を、ダイスタックが実装された別の半導体素子、キャリア又はパッケージ基板などの基板に結合することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、結合層が、カリフォルニア州サンノゼのAdeia社から市販されているZIBOND(登録商標)プロセス及びDBI(登録商標)プロセスなどの、室温、大気圧ダイレクトボンディング(room temperature, atmospheric pressure direct bonding)のために構成される。他の実施形態では、結合層が、カリフォルニア州サンノゼのAdeia社から市販されているDBI(登録商標)Ultraプロセスなどの、低温ダイ-ウェハ又はダイ-ダイハイブリッドボンディング技術のために構成される。他の実施形態では、結合層が接着剤結合のために構成される。
【0028】
図4は、金属線の一部を露出させるために周囲構造を部分的に除去したマイクロ電子デバイス4の実施形態例を示す概略的斜視図である。
図4のマイクロ電子デバイス4は、
図1のマイクロ電子デバイス1と同様に、第1の半導体素子110、第2の半導体素子120及び第3の半導体素子130を含む。マイクロ電子デバイス4も、第1の半導体素子110、第2の半導体素子120及び第3の半導体素子130の対応するBEOL層(例えば、BEOLスタックの最外層の結合層又は埋め込み層)にそれぞれが配置された第1の金属コイル部分112、第2の金属コイル部分122及び第3の金属コイル部分132を有する電磁コイル104を含む。第1のコイル部分112及び第2のコイル部分122は、少なくとも第2の半導体素子120の基板層によって離間することができる。第2のコイル部分122及び第3のコイル部分132は、少なくとも第3の半導体素子130の基板層によって離間することができる。従って、コイル部分間の結合容量を大幅に低減して電磁コイルの性能を大幅に高めることができる。
図4の電磁デバイス4における半導体素子は、
図1のデバイス1における半導体素子と比べて上向きの活性面を有することができる。さらに、第1のコイル部分112を第2のコイル部分122に接続する第1の導電性ビア(例えば、TSV)114、及び第2のコイル部分122を第3のコイル部分132に接続する第2の導電性ビア(例えば、TSV)124は、異なる垂直面に配置することができる。また、
図4には、電磁コイル104が、BEOL層又は結合層に配置された矩形の螺旋状巻線構造を有することができることをさらに示す。
【0029】
図4には、
図1に関連して説明した電磁コイル101を使用して単巻変圧器を形成できることを示す。
図4では、電磁コイル104上に、例えば第1のタッピングポイント117、第2のタッピングポイント127及び第3のタッピングポイント137などの複数(例えば、3つ)のタッピングポイント(アクセスポイント)が設けられている。
図4に示すように、電流は、第3のコイル部分132の端部に位置する入力部131から第1のコイル部分112の端部に位置する出力部111に向かう方向に流れることができる。入力部131及び出力部111にわたって入力電圧V0が供給され、第1のタッピングポイント117、第2のタッピングポイント127又は第3のタッピングポイント137において出力電圧がタップされると、タッピングポイントと出力部111との間で異なる出力電圧を得ることができる。例えば、第1のタッピングポイント117が出力のためにアクセスを受けた場合、このポイントは第1のコイル部分112上に位置して導電性ビア114に近いので、出力電圧は入力電圧V0の1/3に近いがそれ未満であることができる。第2のタッピングポイント127が出力のためにアクセスを受けた場合、このポイントは第2のコイル部分122上に位置して第2の導電性ビア124に近いので、出力電圧は入力電圧V0の2/3に近いがそれ未満であることができる。このように、単巻変圧器を設けて異なる電圧を生じることができる。
【0030】
図5に、説明を容易にするために周囲構造を除去した、互いに積み重なった複数(例えば、2つ)の電磁コイルを含む変圧器を概略的に示す。変圧器は、一次電磁コイル106及び二次電磁コイル105を含む。
図5に示すように、一次電磁コイル106のコイル部分は、二次電磁コイル105のコイル部分と共に相互積層(inter-stacked)することができる。例えば、一次電磁コイル106の第1のコイル部分155は、二次電磁コイル105の第1のコイル部分145と第2のコイル部分146との間に相互積層される。一次電磁コイル106の第2のコイル部分156は、二次電磁コイル105の第2のコイル部分146と第3のコイル部分147との間に相互積層される。一次電磁コイル106の第3のコイル部分157は、二次電磁コイル105の第3のコイル部分147と第4のコイル部分148との間に相互積層される。
【0031】
図5の概略的斜視図には、一次電磁コイル106の金属コイル層を接続する導電性ビアも示す。例えば、第1の導電性ビア153Aは、一次電磁コイル106の第1のコイル部分155と第2のコイル部分156とを接続する。第2の導電性ビア153Bは、一次電磁コイル106の第2のコイル部分156と第3のコイル部分157とを接続する。また、第3の導電性ビア153Cは、一次電磁コイル106の第3のコイル部分157と第4のコイル部分158とを接続する。この斜視図の角度では、二次電磁コイル105の金属コイル層を接続する導電性ビアは見えない。
図5に示す概略的斜視図によれば、入力部154及び出力部152にわたって一次電磁コイル106に電圧が付与されると、二次電磁コイル105は、関連する2つの電磁コイル105及び106間のコイル巻数比によって決定される電圧で入力部144及び出力部142にわたって電流を供給する。
【0032】
図6は、例えば第1の半導体素子160、第2の半導体素子170及び第3の半導体素子180などの複数(例えば、3つ)の積層半導体素子(例えば、ダイ/チップ)を有するマイクロ電子デバイス例6の概略的断面図である。
図6のマイクロ電子デバイス6は、例えば相互積層されて配置された第1の電磁コイル107及び第2の電磁コイル108などの複数(例えば、2つ)の電磁コイルも含む。1つの例では、2つの電磁コイルの各々が、積層半導体素子の複数のBEOL層又は結合層に配置されたコイル部分を有する。各電磁コイルの隣接するコイル部分は、半導体素子の基板によって離間することができる。半導体素子を貫通する導電性ビアが、電磁コイルの異なるコイル部分を接続することができる。
【0033】
図6では、第1の電磁コイル107について言えば、第1の半導体素子160の第1のBEOL層166に第1のコイル部分162が配置され、第2の半導体素子170の結合層175に第2のコイル部分172が配置され、第3の半導体素子180の第3のBEOL層186に第3のコイル部分182が配置される。複数の導電性ビア164及び165が、第1の半導体素子160及び第2の半導体170を貫通して第1の電磁コイル107のコイル部分162、172及び182を接続し、3つのコイル部分が並列に接続された状態にすることができる。導電性ビア164、165は、半導体素子160、170に形成された個々のTSVであることができ、結合界面171において共に結合され、直接結合が行われる場合には結合界面181において第1の電磁コイル107の第3のコイル部分182のコンタクトパッドに結合される。或いは、導電性ビア164、165は、マイクロ電子デバイス6の3つの半導体素子160、170及び180が直接結合された後に形成されるビアラストTSVによって形成することもできる。
【0034】
さらに、第2の電磁コイル108については、第2の半導体素子170の第2のBEOL層176に第1のコイル部分173が配置され、第3の半導体素子180の結合層185に第2のコイル部分183が配置される。導電性ビア161が第1の半導体素子160の下面から半導体素子を貫通して第1のコイル部分173を接続する。第2の導電性ビア177が第2の半導体素子170を貫通して、第1のコイル部分173を第2の電磁コイル108の第2のコイル部分183に接続する。第3の導電性ビア179が第2の半導体素子170及び第1の半導体素子160を貫通して、第2のコイル部分183を第1の半導体素子160の下面に接続する。ここでも、導電性ビア161、177及び179は半導体素子160及び170に形成することができ、積層素子の直接結合が行われる場合にはその後に結合界面171及び181において結合される。或いは、ビア179は、例えば3つの半導体素子160、170及び180を直接結合した後にビアラストプロセスによって形成することもできる。
【0035】
第2及び第3の半導体素子170及び180の各々では、第1の電磁コイル107のためのコイル部分172及び182を有する金属化層、及び第2の電磁コイル108のためのコイル部分173及び183を有する金属化層が、(単複の)誘電材料又は別の金属化層で形成された少なくとも別の層によってそれぞれ離間することができる。入力部191に電流が流れ、第1の電磁コイル107を通じて出力部193から出ると、電流は第2の電磁コイル107に誘導され、入力部195から出力部197に流れることができる。或いは、独自の機能を果たす2つの電磁コイルを動作させることもできる。
【0036】
図1、
図2、
図3、
図4及び
図6には、3つのダイ又は半導体素子にわたる電磁コイル例を示しているが、開示する電磁コイルは、マルチダイスタックにおいて2つ又は3よりも多くの半導体素子にわたることもできると理解されたい。いくつかの実施形態では、同じダイスタック内に2又は3以上の別の電磁コイル又はインダクタを配置することができ、この場合、電磁コイル/インダクタの各々は、例えばダイスタック内の複数の半導体素子/ダイにわたることができる。
【0037】
図7及び
図8に、
図1~
図5に示す積層され結合された半導体素子による電磁コイル又はインダクタの容量結合の低減及びQ値の増加を示す。
図6は、第1のBEOL層216及び第1の基板層218を有する第1の半導体素子210と、第2のBEOL層226及び第2の基板層228を有する第2の半導体素子220と、第3のBEOL層236及び第3の基板層238を有する第3の半導体素子230と、第4のBEOL層246及び第4の基板層248を有する第4の半導体素子240とを含む、互いに積層された複数(例えば、4つ)の半導体素子を示す概略的断面図である。4つの半導体素子210、220、230及び240は直接結合される。BEOL層の各々は、内部に配置された電磁コイルのコイル部分を有することができる。図示の実施形態例では、第1のコイル部分212、第2のコイル部分222、第3のコイル部分232及び第4のコイル部分242を含む全部で4つのコイル部分が存在する。電磁コイルの各隣接するコイル部分は、少なくとも半導体素子のそれぞれの基板218、228、238、248によって距離d
mだけ離間することができる。
図6では、コイル部分を形成する金属線の厚みをt
mとして示す。
【0038】
比較すると、
図8には、基板層268を有する単一の半導体素子260のBEOLスタック層266に配置された第1のコイル部分261、第2のコイル部分262、第3のコイル部分263及び第4のコイル部分264を含む、電磁コイルの複数(例えば、4つ)の部分を示す。
図8では、隣接するコイル部分間の距離をD
sとして表し、各金属コイル部分層の厚みをt
sとして表す。
図7のマイクロ電子デバイス7では、1つのコイル部分から次のコイル部分までの距離d
mが、概ね半導体素子の厚みであることができる。対照的に、
図8に示す単一の半導体素子260におけるコイル部分間距離d
sは、隣接するコイル部分を隔てる単一のBEOL層程度であり、積層されたダイ/チップ配置と単一のダイ/チップ配置との間のコイル部分間距離比d
m/d
sは、10~50の範囲であることができる。一方で、
図7のマイクロ電子デバイス7では、より太く幅広の金属線を有する(例えば、(単複の)結合層を含む)外側BEOL層のうちの1つに各コイル部分を作製することができる。
図8の単一半導体素子260では、電磁コイルのコイル部分を多くのBEOL層に形成することができる。従って、厚み比t
m/t
sは概ね5~10の範囲内である。
【0039】
インダクタ又は電磁コイルの容量結合C及び品質係数Qは、以下の方程式によって求めることができ、
ここで、E
0及びE
rは誘電率であり、
R
0は抵抗率であり、
μは透磁率であり、
Nはコイルの巻数であり、
lは1層のワイヤの長さであり、
wはインダクタ線の幅であり、
dは隣接するコイル間の間隔である。
【0040】
開示する実施形態で説明したような多段積層半導体素子(multi-stacked semiconductor elements)を含むマイクロ電子デバイス内に配置された電磁コイルと、単一半導体素子に配置された電磁コイルとを比較するために、上記質問では2つの電磁コイルの容量結合C及び品質係数Qの比率が表される。並べ替え及び因子排除により、Q比(Q-ratio)及びC比(C-ratio)を以下のように示すことができる。
【0041】
上述したdm/ds及びtm/tsのデータ範囲を適用することにより、Q比及びC比を計算することができる。従って、本明細書に開示するような多段積層半導体素子を有するマイクロ電子デバイスに埋め込まれる電磁コイルのQ値は、単一半導体素子に形成される電磁コイルのQ値の約25~100倍であることができる。また、C係数比較では、本明細書に開示するような多段積層半導体素子内の同じ電磁コイルが、単一半導体素子内に形成された電磁コイルの約0.02~0.1であることができる。
【0042】
電子素子
ダイは、いずれかの好適なタイプの集積デバイスダイを意味することができる。例えば、集積デバイスダイは、(プロセッサダイ、コントローラダイ、又はメモリダイなどの)集積回路、微小電気機械システム(MEMS)ダイ、光学デバイス、又は他のいずれかの好適なタイプのデバイスダイなどの電子部品を含むことができる。いくつかの実施形態では、電子部品が、コンデンサ、インダクタ、又は他の表面実装デバイスなどの受動デバイスを含むことができる。様々な実施形態では、ダイの活性表面又はその付近において(トランジスタのような能動部品などの)回路をパターニングすることができる。活性表面は、ダイの裏面とは反対のダイの側に存在することができる。裏面は、いずれかの能動回路又は受動デバイスを含むこと又は含まないことができる。
【0043】
集積デバイスダイは、結合面と、結合面とは反対側の裏面とを含むことができる。結合面は、導電性ボンドパッドを含む複数の導電性ボンドパッドと、導電性ボンドパッドに近接する非導電材料とを有することができる。いくつかの実施形態では、集積デバイスダイの導電性ボンドパッドを、介在接着剤を使用せずに基板又はウェハの対応する導電性パッドに直接結合することができ、集積デバイスダイの非導電材料を、介在接着剤を使用せずに基板又はウェハの対応する非導電材料の一部に直接結合することができる。接着剤を使用しない直接結合(ダイレクトボンディング)については、米国特許第7,126,212号、第8,153,505号、第7,622,324号、第7,602,070号、第8,163,373号、第8,389,378号、第7,485,968号、第8,735,219号、第9,385,024号、第9,391,143号、第9,431,368号、第9,953,941号、第9,716,033号、第9,852,988号、第10,032,068号、第10,204,893号、第10,434,749号、及び第10,446,532号全体に記載されており、これらの各文献の内容はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0044】
ダイレクトボンディング法及びダイレクトボンディング構造の例
本明細書で開示する様々な実施形態は、介在接着剤を使用せずに2つの素子を互いに直接結合できるダイレクトボンディング構造に関する。(集積デバイスダイ、ウェハなどの)半導体素子であることができる2又は3以上の電子素子を互いに積層又は結合して結合構造を形成することができる。1つの素子の導電性コンタクトパッドを、別の素子の対応する導電性コンタクトパッドに電気的に接続することができる。結合構造では、いずれかの好適な数の素子を積層することができる。コンタクトパッドは、非導電性結合領域内に形成された金属パッドを含むことができ、再配線層(RDL)などの下層の金属化物に接続することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、接着剤を使用せずに素子が互いに直接結合される。様々な実施形態では、第1の素子の非導電材料又は誘電材料を、接着剤を使用せずに第2の素子の対応する非導電性又は誘電場領域に直接結合することができる。非導電材料は、第1の素子の非導電性結合領域又は結合層と呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、第1の素子の非導電材料を、誘電体-誘電体結合技術を使用して第2の素子の対応する非導電材料に直接結合することができる。例えば、誘電体-誘電体結合は、少なくとも米国特許第9,564,414号、第9,391,143号及び第10,434,749号に開示されているダイレクトボンディング技術を使用して接着剤を使用せずに形成することができ、これらの各文献の内容はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。直接結合のための好適な誘電材料としては、以下に限定するわけではないが、酸化ケイ素、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素などの無機誘電体、或いは炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、又はダイヤモンド状炭素などの炭素を挙げることができる。いくつかの実施形態では、誘電材料が、エポキシ、樹脂又は成形材料などのポリマー材料を含まない。
【0046】
様々な実施形態では、介在接着剤を使用せずにハイブリッドダイレクトボンドを形成することができる。例えば、誘電体結合面を高度に滑らかに研磨することができる。結合面を洗浄し、プラズマ及び/又はエッチャントに曝して表面を活性化することができる。いくつかの実施形態では、活性化後又は活性化中(例えば、プラズマ及び/又はエッチングプロセス中)に表面を化学種で終端させることができる。理論によって制限されるわけではないが、いくつかの実施形態では、結合面における化学結合を切断するために活性化プロセスを実行することができ、終端プロセスは、直接結合中の結合エネルギーを高めるさらなる化学種を結合面において提供することができる。いくつかの実施形態では、活性化及び終端化が、例えばプラズマ又はウェットエッチング液で表面を活性化して終端化することなどの同じプロセスで行われる。他の実施形態では、ダイレクトボンディングのためのさらなる化学種をもたらすように結合面を別の処理で終端させることもできる。様々な実施形態では、終端化化学種(terminating species)が窒素を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、結合面をフッ素に曝すことができる。例えば、層及び/又は結合界面付近には、1又は複数のフッ素ピークが存在することができる。従って、ダイレクトボンディング構造では、2つの誘電材料間の結合界面が、結合界面における窒素含有量及び/又はフッ素ピークが高い非常に滑らかな界面を含むことができる。活性化処理及び/又は終端化処理のさらなる例は、米国特許第9,564,414号、第9,391,143号、及び第10,434,749号に記載されており、これらの各文献の内容はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0047】
様々な実施形態では、第1の素子の導電性コンタクトパッドを、第2の素子の対応する導電性コンタクトパッドに直接結合することもできる。例えば、ハイブリッドボンディング技術を使用して、上述したように調製された共有結合的に直接結合された誘電体-誘電体表面を含む結合界面に沿って導体-導体ダイレクトボンディングを提供することができる。様々な実施形態では、導体-導体(例えば、コンタクトパッド-コンタクトパッド)ダイレクトボンド及び誘電体-誘電体ハイブリッドボンドを、少なくとも米国特許第9,716,033号及び第9,852,988号に開示されているダイレクトボンディング技術を使用して形成することができ、これらの各文献の内容はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0048】
例えば、誘電体結合面は、上述したように調製して、介在接着剤を使用せずに互いに直接結合することができる。(非導電性誘電場領域によって取り囲むことができる)導電性コンタクトパッドも、介在接着剤を使用せずに互いに直接結合することができる。いくつかの実施形態では、それぞれのコンタクトパッドを、誘電場領域又は非導電性結合領域の外面(例えば、上面)から下方に、例えば30nm未満、20nm未満、15nm未満、又は10nm未満だけ、例えば2nm~20nmの範囲内、又は4nm~10nmの範囲内で凹ませることができる。いくつかの実施形態では、本明細書で説明した結合ツールにおいて非導電性結合領域を室温で接着剤を使用せずに互いに直接結合し、その後に結合構造をアニール処理することができる。アニール処理は別の装置で行うことができる。コンタクトパッドは、アニール処理すると膨張して互いに接触し、金属-金属ダイレクトボンディングを形成することができる。カリフォルニア州サンノゼのAdeia社から市販されているDirect Bond Interconnect又はDBI(登録商標)などのハイブリッドボンディング技術を使用することで、ダイレクトボンド界面を横切って接続されたパッドの高密度化(例えば、規則的アレイのための小さな又は微細なピッチ)を有利に可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ボンディングパッドのピッチ、又は結合された素子のうちの1つの素子の結合面に埋め込まれた導電性トレースのピッチが、40ミクロン未満、又は10ミクロン未満、或いは2ミクロン未満であることができる。いくつかの用途では、ボンディングパッドの寸法のうちの1つの寸法に対するボンディングパッドのピッチの比率が5未満又は3未満であり、場合によっては2未満であることが望ましい。他の用途では、結合された素子のうちの1つの素子の結合面に埋め込まれた導電性トレースの幅が0.3~3ミクロンに及ぶことができる。様々な実施形態では、コンタクトパッド及び/又はトレースが銅を含むことができるが、他の金属が適することもある。
【0049】
このように、ダイレクトボンディングプロセスでは、介在接着剤を使用せずに第1の素子を第2の素子に直接結合することができる。いくつかの構成では、第1の素子が、シンギュレートされた集積デバイスダイなどのシンギュレートされた素子を含むことができる。他の構成では、第1の素子が、シンギュレーション時に複数の集積デバイスダイを形成する複数(例えば、数十、数百、又はそれよりも多く)の素子領域を含むキャリア又は基板(例えば、ウェハ)を含むことができる。本明細書で説明した実施形態では、ダイであるか、それとも基板であるかにかかわらず、第1の素子をホスト基板とみなし、ピックアンドプレース又はロボットエンドエフェクタから第2の素子を受け取るように結合ツール内の支持体上に実装することができる。図示の実施形態の第2の素子はダイを含む。他の構成では、第2の素子が、キャリア又は基板(例えば、ウェハ)を含むことができる。
【0050】
本明細書で説明したように、第1及び第2の素子は、接着剤を使用せずに互いに直接結合することができ、これは堆積プロセスとは異なる。1つの用途では、結合構造における第1の素子の幅が第2の素子の幅と同様であることができる。他のいくつかの実施形態では、接着構造における第1の素子の幅が第2の素子の幅と異なることができる。結合構造における大きい方の素子の幅又は面積は、小さい方の素子の幅又は面積よりも少なくとも10%大きいことができる。従って、第1及び第2の素子は非堆積素子を含むことができる。さらに、直接結合構造は、堆積層とは異なり、ナノボイドが存在する欠陥領域を結合界面に沿って含むことができる。ナノボイドは、結合面の活性化(例えば、プラズマへの曝露)に起因して形成されることがある。上述したように、結合界面は、活性化及び/又は最後の化学処理プロセスからの材料の濃度を含むことができる。例えば、活性化に窒素プラズマを利用する実施形態では、結合界面に窒素ピークが形成されることがある。活性化に酸素プラズマを利用する実施形態では、結合界面に酸素ピークが形成されることがある。いくつかの実施形態では、結合界面が、酸窒化ケイ素、酸炭窒化ケイ素、又は炭窒化ケイ素を含むことができる。本明細書で説明するように、直接結合は、ファンデルワールス結合(van Der Waals bonds)よりも強い共有結合を含むことができる。結合層は、高度に滑らかに平坦化された研磨表面を含むこともできる。例えば、結合層は、2nm二乗平均平方根(RMS)未満又は1nm RMS未満の表面粗さを有することができる。
【0051】
様々な実施形態では、コンタクトパッド間の金属-金属結合を、銅粒が結合界面を横切って互いに成長するように接合することができる。いくつかの実施形態では、銅が、結合界面を横切る銅の拡散を向上させるように111結晶面に沿って配向された粒子を有することができる。結合界面は、結合されたコンタクトパッド又はその付近の非導電性結合領域間に実質的に間隙が存在しないように、結合されたコンタクトパッドの少なくとも一部まで実質的に完全に延びることができる。いくつかの実施形態では、コンタクトパッドの下方に(例えば、銅を含むことができる)バリア層を設けることができる。しかしながら、他の実施形態では、例えば米国特許出願公開第2019/0096741号に記載されるようにコンタクトパッドの下方にバリア層が存在しないこともでき、この文献はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0052】
1つの態様では、マイクロ電子デバイスを開示する。マイクロ電子デバイスは、第1の半導体素子を含むことができる。マイクロ電子デバイスは、第1の半導体素子上に配置された第2の半導体素子を含むこともできる。マイクロ電子デバイスは、電磁コイルを含むこともできる。電磁コイルの第1の部分及び電磁コイルの第2の部分は、第1の半導体素子によって離間する。第1の半導体素子を貫通する第1の導電性ビアが、電磁コイルの第1及び第2の部分を接続する。
【0053】
1つの実施形態では、電磁コイルがインダクタとして動作するように構成される。
【0054】
1つの実施形態では、電磁コイルが単巻変圧器として動作するように構成される。
【0055】
1つの実施形態では、電磁コイルが変圧器の一部として動作するように構成される。
【0056】
1つの実施形態では、第2の半導体素子が、介在接着剤を使用せずに第1の半導体素子に直接結合される。
【0057】
1つの実施形態では、第1及び第2の半導体素子間の界面が、導体-導体及び誘電体-誘電体ダイレクトボンドを含む。
【0058】
1つの実施形態では、電磁コイルの第1の部分が、第1の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層に配置される。
【0059】
1つの実施形態では、電磁コイルの第1の部分が、第1の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層の最も外側の金属化層に配置される。
【0060】
1つの実施形態では、第1の半導体素子が基板の表面上に配置され、電磁コイルの第1の部分が基板の表面上の金属化層に配置される。
【0061】
1つの実施形態では、電磁コイルの第1の部分が、第1の半導体素子の関連するBEOL層を基板に結合する第1の結合層に配置される。
【0062】
1つの実施形態では、第1の半導体素子の関連するBEOL層が、介在接着剤を使用せずに基板に直接結合される。
【0063】
1つの実施形態では、第1の結合層が接着剤を含む。
【0064】
1つの実施形態では、電磁コイルの第1の部分が矩形の螺旋状巻線を有する。
【0065】
1つの実施形態では、電磁コイルの第2の部分が、第2の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層に配置される。
【0066】
1つの実施形態では、電磁コイルの第2の部分が、第2の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層の最も外側の金属化層に配置される。
【0067】
1つの実施形態では、第2の半導体素子が第1の半導体素子の表面上に配置され、電磁コイルの第2の部分が第1の半導体素子の表面上の金属化層に配置される。
【0068】
1つの実施形態では、電磁コイルの第2の部分が、第2の半導体素子の関連するBEOL層を第1の半導体素子に結合する第2の結合層に配置される。
【0069】
1つの実施形態では、第2の半導体素子の関連するBEOL層が、介在接着剤を使用せずに第1の半導体素子に直接結合される。
【0070】
1つの実施形態では、第2の結合層が接着剤を含む。
【0071】
1つの実施形態では、電磁コイルの第2の部分が矩形の螺旋状巻線を有する。
【0072】
1つの実施形態では、マイクロ電子デバイスが、第2の半導体素子上に配置された第3の半導体素子をさらに含み、電磁コイルの第3の部分が第2の半導体素子によって電磁コイルの第2の部分から離間し、第2の半導体素子を貫通する第2の導電性ビアが電磁コイルの第2及び第3の部分を接続する。
【0073】
1つの実施形態では、第1の半導体素子が集積デバイスダイを含む。
【0074】
1つの実施形態では、第2の半導体素子が集積デバイスダイを含む。
【0075】
1つの実施形態では、電磁コイルが金属ワイヤを含み、金属ワイヤの最小直径が少なくとも0.5μmである。
【0076】
1つの実施形態では、電磁コイルの第1の部分と電磁コイルの第2の部分との間の間隔が少なくとも5μmである。
【0077】
1つの実施形態では、電磁コイルの第1及び第2の部分間に、電気接地に接続されるように構成された金属化層が配置される。
【0078】
1つの実施形態では、電磁コイルが、電気的接続のために構成された少なくとも3つのアクセスポイントを含む。
【0079】
1つの実施形態では、電磁コイルが単巻変圧器として動作するように構成される。
【0080】
1つの実施形態では、マイクロ電子デバイスがさらなる電磁コイルをさらに含む。
【0081】
1つの実施形態では、電磁コイル及びさらなる電磁コイルが変圧器として動作するように構成される。
【0082】
1つの実施形態では、さらなる電磁コイルの2つの部分が半導体素子のうちの少なくとも1つによって離間する。
【0083】
1つの実施形態では、さらなる電磁コイルの一部が、半導体素子のうちの1つに関連するバックエンド(BEOL)層に配置される。
【0084】
1つの実施形態では、さらなる電磁コイルの一部が、半導体素子のうちの1つに関連するバックエンド(BEOL)層の最も外側の金属化層に配置される。
【0085】
1つの実施形態では、さらなる電磁コイルの一部が半導体素子間の結合層に配置される。
【0086】
1つの実施形態では、さらなる電磁コイルの一部が矩形の螺旋状巻線を有する。
【0087】
1つの実施形態では、さらなる電磁コイルが金属ワイヤを含み、金属ワイヤの最小直径が少なくとも0.5μmである。
【0088】
1つの実施形態では、さらなる電磁コイルの2つの部分間の間隔が少なくとも5μmである。
【0089】
1つの態様ではマイクロ電子デバイスを開示する。マイクロ電子デバイスは、第1の半導体素子を含むことができる。マイクロ電子デバイスは、第1の半導体素子上に配置された第2の半導体素子を含むこともできる。マイクロ電子デバイスは、第1の半導体素子に隣接する第1の電磁コイルを含むこともできる。マイクロ電子デバイスは、第2の半導体素子に隣接する第2の電磁コイルを含むこともできる。第1の電磁コイル及び第2の電磁コイルは、第1の半導体素子によって離間する。第1の電磁コイル及び第2の電磁コイルの少なくとも一方は、直接結合のために構成された層に配置される。
【0090】
1つの実施形態では、第1の電磁コイルが、第1の半導体素子の関連するBEOL層を基板に直接結合する第1の結合層に配置される。
【0091】
1つの実施形態では、第1の半導体素子の関連するBEOL層が、介在接着剤を使用せずに基板に直接結合される。
【0092】
1つの実施形態では、第2の電磁コイルが、第2の半導体素子の関連するBEOL層を第1の半導体素子に直接結合する第2の結合層に配置される。
【0093】
1つの実施形態では、第2の電磁コイルが、第2の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層に配置される。
【0094】
1つの実施形態では、第2の電磁コイルが、第2の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層の最も外側の金属化層に配置される。
【0095】
1つの実施形態では、第1の電磁コイルが矩形の螺旋状巻線を有する。
【0096】
1つの実施形態では、第2の電磁コイルが、第2の半導体素子の関連するBEOL層を第1の半導体素子に直接結合する結合層に配置される。
【0097】
1つの実施形態では、第2の半導体素子の関連するBEOL層が、介在接着剤を使用せずに第1の半導体素子に直接結合される。
【0098】
1つの実施形態では、第1の電磁コイルが、介在接着剤を使用せずに第1の半導体素子の関連するBEOL層を基板に直接結合する層に配置される。
【0099】
1つの実施形態では、第1の電磁コイルが、第1の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層に配置される。
【0100】
1つの実施形態では、第1の電磁コイルが、第1の半導体素子に関連するバックエンド(BEOL)層の最も外側の金属化層に配置される。
【0101】
1つの実施形態では、第2の電磁コイルが矩形の螺旋状巻線を有する。
【0102】
1つの実施形態では、第1の半導体素子が集積デバイスダイを含む。
【0103】
1つの実施形態では、第2の半導体素子が集積デバイスダイを含む。
【0104】
1つの実施形態では、第1の電磁コイルが金属ワイヤを含み、金属ワイヤの最小直径が少なくとも0.5μmである。
【0105】
1つの実施形態では、第2の電磁コイルが金属ワイヤを含み、金属ワイヤの最小直径が少なくとも0.5μmである。
【0106】
1つの実施形態では、第1の電磁コイルと第2の電磁コイルとの間の間隔が少なくとも5μmである。
【0107】
1つの実施形態では、第1の電磁コイル及び第2の電磁コイルが変圧器として動作するように構成される。
【0108】
1つの態様では、マイクロ電子デバイスを形成する方法を開示する。方法は、第1の半導体素子と、第1の半導体素子に隣接する第1のコイル状構造とを準備することを含むことができる。第1の導電性ビアが第1の半導体素子を貫通する。方法は、第2の半導体素子と、第2の半導体素子に隣接する第2のコイル状構造とを準備することを含むこともできる。方法は、第1のコイル状構造及び第2のコイル状構造が第1の導電性ビアによって接続されるように、第2の半導体素子を第1の半導体素子に結合することを含むこともできる。第1のコイル状構造及び第2のコイル状構造は、第1の半導体素子によって離間する。
【0109】
1つの実施形態では、第2の半導体素子が、介在接着剤を使用せずに第1の半導体素子に直接結合される。
【0110】
文脈において別途明確に必要としていない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、「含む、備える(comprise、comprising、include、including)」などの単語は、排他的又は網羅的な意味ではなく包含的な意味で、すなわち「含むけれどもそれに限定されない(including,but not limited to)」という意味で解釈すべきである。本明細書で一般的に使用される「結合された(coupled)」という単語は、直接、或いは1又は2以上の中間要素を介して接続できる2又は3以上の要素を意味する。同様に、本明細書で一般的に使用される「接続された(connected)」という単語も、直接、或いは1又は2以上の中間要素を介して接続できる2又は3以上の要素を意味する。また、本出願において、「本明細書で(herein)」「上記で(above)」「下記で(below)」及び同様の趣旨の単語を使用している場合、これらの単語は本出願全体を示すものであり、本出願のいずれか特定の部分を示すものではない。さらに、本明細書において、第1の要素を第2の要素「上に(on)」又は第2の要素を「覆って(over)」存在するものとして説明する場合、第1の要素は、第1及び第2の要素が直接接触するように第2の要素上に又は第2の要素を覆って直接存在することも、或いは第1及び第2の要素間に1又は2以上の要素が介在するように第2の要素上に又は第2の要素を覆って間接的に存在することもできる。上記の詳細な説明における単数又は複数を用いた単語は、文脈上可能な場合にはそれぞれ複数又は単数を含むこともできる。2又は3以上の項目のリストを参照する際の「又は(or)」という単語は、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目全て、及びリスト内の項目のいずれかの組み合わせ、といった単語の解釈を全て網羅する。
【0111】
さらに、本明細書で使用する、とりわけ「~できる(can、could、might、may)」、及び「例えば(e.g.、for example、such as)」などの条件語は、別途明確に言及していない限り、又は使用する文脈内で別様に理解されない限り、一般に特定の特徴、要素及び/又は状態を含む実施形態もあれば、それらを含まない実施形態もあることを伝えるように意図される。従って、このような条件語は、一般に特徴、要素及び/又は状態が1又は2以上の実施形態に何としても必要であることを意味するように意図するものではない。
【0112】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は一例として提示したものにすぎず、本開示の範囲を限定するように意図するものではない。実際に、本明細書で説明した新規の装置、方法及びシステムは他の様々な形態で具現化することもでき、さらに、本開示の趣旨から逸脱することなく、本明細書で説明した方法及びシステムの形態の様々な省略、置換及び変更を行うこともできる。例えば、ブロックについては所与の配置で示しているが、別の実施形態は、異なるコンポーネント及び/又は回路トポロジーを使用して同様の機能を実行することもでき、いくつかのブロックを削除、移動、追加、細分化、結合及び/又は変更することもできる。これらのブロックの各々は、様々な異なる方法で実装することができる。上述した様々な実施形態の要素及び行為のいずれかの好適な組み合わせを組み合わせてさらなる実施形態を提供することもできる。添付の特許請求の範囲及びその同等物は、本開示の範囲及び趣旨に含まれるような形態又は修正も対象とするように意図される。
【国際調査報告】