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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】スイッチの短絡保護装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/08 20060101AFI20240927BHJP
   H03K 17/082 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H03K17/08 C
H03K17/082
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523447
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 KR2022015314
(87)【国際公開番号】W WO2023068627
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0138622
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0122387
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515276668
【氏名又は名称】アイユーシーエフ-エイチワイユー(インダストリー-ユニバーシティ コーオペレーション ファウンデーション ハンヤン ユニバーシティ)
【氏名又は名称原語表記】IUCF-HYU (INDUSTRY-UNIVERSITY COOPERATION FOUNDATION HANYANG UNIVERSITY)
【住所又は居所原語表記】222, Wangsimni-ro, Seongdong-gu, Seoul 04763, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】キム,レヨン
(72)【発明者】
【氏名】ミン,ソンス
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX25
5J055AX34
5J055AX55
5J055BX16
5J055DX13
5J055DX22
5J055EY01
5J055EY10
5J055EY12
5J055EZ09
5J055EZ10
(57)【要約】
スイッチの短絡保護装置が開示される。本発明の第1実施形態による短絡保護装置は、スイッチの出力電圧を測定して、測定電圧として出力する電圧測定部と、測定電圧を、指定された帯域幅でフィルタリングして、第1電圧を出力するフィルタ部と、指定された基準電圧と第1電圧とを比較する比較部と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチの短絡を検出してスイッチを保護する、スイッチの短絡保護装置において、
前記スイッチの出力電圧を測定して、測定電圧として出力する電圧測定部と、
前記測定電圧を、指定された帯域幅でフィルタリングして、第1電圧を出力するフィルタ部と、
指定された基準電圧と前記第1電圧とを比較する比較部と、
を備える、スイッチの短絡保護装置。
【請求項2】
前記フィルタ部は、
指定された周波数領域のみを通過させることができる帯域通過フィルタ及び、指定された帯域幅以上の成分をフィルタリングすることができるローパスフィルタのうち一つ以上を含む、請求項1に記載のスイッチの短絡保護装置。
【請求項3】
前記第1電圧と前記基準電圧との間のマージンを調整するために、前記第1電圧を既定のゲインで増幅して、第2電圧として出力する増幅部、
をさらに備え、
前記比較部は、前記第2電圧と前記基準電圧とを比較する、請求項1に記載のスイッチの短絡保護装置。
【請求項4】
前記電圧測定部は、
前記スイッチの出力端にカソードが連結されるダイオードと、
前記ダイオードのアノードに一端が連結される第1抵抗と、
前記第1抵抗の他端と所定の供給電源Vgとを連結する第2抵抗と、
を含み、
前記第1抵抗の他端での電圧を、前記測定電圧として出力する、請求項3に記載のスイッチの短絡保護装置。
【請求項5】
前記フィルタ部は、
前記第1抵抗の他端に一端が連結される第3抵抗と、
前記第3抵抗の他端と所定の接地とを連結するキャパシタと、
を含み、
前記キャパシタにかかる電圧を、前記第1電圧として出力する、請求項4に記載のスイッチの短絡保護装置。
【請求項6】
前記増幅部は、
前記第3抵抗の他端を第1入力端(+)とする増幅器と、
前記増幅器の出力端と前記増幅器の第2入力端(-)とを連結する第4抵抗と、
前記増幅器の第2入力端(-)と所定の接地とを連結する第5抵抗と、
を含み、
前記増幅器の出力端での電圧を、前記第2電圧として出力する、請求項5に記載のスイッチの短絡保護装置。
【請求項7】
前記スイッチは、電力スイッチであり、
前記出力電圧は、前記電力スイッチのドレイン電圧である、請求項1に記載のスイッチの短絡保護装置。
【請求項8】
前記電力スイッチのゲートに駆動電源を供給するゲート駆動部と、
前記比較部の出力によって前記ゲート駆動部を制御して、前記電力スイッチをターンオンまたはターンオフさせる制御部と、
をさらに備える、請求項7に記載のスイッチの短絡保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチの短絡保護装置に係り、さらに詳細には、スイッチの短絡を検出してスイッチを保護する、スイッチの短絡保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力素子は、電力の変換や制御を行う半導体素子であって、整流ダイオード、電力トランジスタ、トライアック(triac)などが産業、情報、通信、交通、電力、家庭などの各分野に多様に使われている。電力素子は、代表的にMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)、IGBT(insulated gate bipolar transistor)、BJT(Bipolar Junction Transistor)、電力集積回路(IC)などがあり、このうち、特に高速スイッチングが可能であり、かつ駆動回路の損失の少ないMOSFETが注目されている。
【0003】
MOSFETが多様なアプリケーションに応用されるためには、必ず素子の安定性が確保されねばならない。特に、MOSFETスイッチに短絡が発生すれば、数百ナノ秒内にMOSFETスイッチが焼損(break down)される恐れがあって、スイッチ短絡如何を速く判断することができる装置が必要である。
【0004】
図1は、従来技術による電力スイッチの短絡保護回路を示す図面である。
【0005】
図1を参考すれば、従来の電力スイッチ120の短絡保護回路100は、電圧測定部130で電力スイッチ120のドレイン電圧を測定して、キャパシタ140を介して測定電圧Vsを出力する。そして、比較部150は、測定電圧Vsと既定の基準電圧V*とを比べて、測定電圧Vsが基準電圧V*以上になれば、比較部150は、電力スイッチ120が短絡されたと判断する。
【0006】
従来技術による電力スイッチ120の短絡保護回路100は、電力スイッチ120のドレイン電圧を測定するため、電力スイッチ120のスイッチング動作で発生する、ドレイン電圧の変動によるノイズに弱い。
【0007】
これらのノイズは、電圧測定部130で測定した測定電圧Vsに加えられて、電力スイッチ120が正常動作中であるにもかかわらず、測定電圧Vsを基準電圧V*より大きくすることができて、短絡保護回路100の誤動作を引き起こす。
【0008】
このような誤動作を低減させるために、キャパシタ140のサイズを増大させて測定電圧Vsの増加する速度を緩めて、電力スイッチ120のスイッチング過渡状態で発生するノイズの影響を低める方案を考えられる。しかし、このような方法は、電力スイッチ120が短絡された時にも測定電圧Vsの増加する速度が遅くなり、これは、短絡保護速度が遅くなるということを意味するところ、電力スイッチ120の焼損をもたらす。
【0009】
よって、従来技術による短絡保護回路100では、ノイズへの耐性と短絡保護速度の性能とは、相反関係(trade off)であって、いずれも満たすことは困難であるという問題点がある。
【0010】
また、従来技術の電圧測定部130の出力である測定電圧Vsは、電力スイッチ120のドレイン電圧に依存するため、電力スイッチ120のドレイン電圧が小さすぎる場合、測定電圧Vsも小さい値を形成することがある。この場合、短絡を判断するために、比較部150の基準電圧V*も不可避に小さい値に設定されねばならず、これは、基準電圧V*と測定電圧Vsとの間のマージンを縮めて、短絡保護回路100が外部ノイズに弱くなるという問題点がある。
【0011】
本発明の背景になる技術部分に記載している事項は、発明の背景を理解するためのものであり、当業者には既知の従来技術であると断定されてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、スイッチに短絡が発生した場合、速く上昇するドレイン電圧を、測定電圧と感知して、速くスイッチをターンオフさせることによって、スイッチの焼損(break down)を防止することができるスイッチの短絡保護装置を提供しようとする。
【0013】
また、測定電圧に含まれている高周波数ノイズを減衰させて、ノイズに対する耐性を高めることができる、スイッチの短絡保護装置を提供しようとする。
【0014】
また、ドレイン電圧が小さい値を形成する場合、指定されたゲインで増幅させ、基準電圧も十分に大きい値に設定して、マージンを十分に維持することができるスイッチの短絡保護装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一側面によれば、スイッチの出力電圧を測定して、測定電圧として出力する電圧測定部と、前記測定電圧を、指定された帯域幅でフィルタリングして、第1電圧を出力するフィルタ部と、指定された基準電圧と前記第1電圧とを比較する比較部と、を備える、スイッチの短絡保護装置が提供される。
【0016】
実施形態によって、前記フィルタ部は、指定された周波数領域のみを通過させることができる帯域通過フィルタ(band pass filter)及び、指定された帯域幅以上の成分をフィルタリングすることができるローパスフィルタ(low pass filter)のうち一つ以上を含む。
【0017】
実施形態によって、前記第1電圧と前記基準電圧との間のマージンを調整するために、前記第1電圧を既定のゲインで増幅して、第2電圧として出力する増幅部をさらに備えるが、前記比較部は、前記第2電圧と前記基準電圧とを比較する。
【0018】
実施形態によって、前記電圧測定部は、前記スイッチの出力端にカソードが連結されるダイオードと、前記ダイオードのアノードに一端が連結される第1抵抗と、前記第1抵抗の他端と所定の供給電源Vgとを連結する第2抵抗と、を含むが、前記第1抵抗の他端での電圧を、前記測定電圧として出力する。
【0019】
実施形態によって、前記フィルタ部は、前記第1抵抗の他端に一端が連結される第3抵抗と、前記第3抵抗の他端と所定の接地(ground)とを連結するキャパシタと、を含むが、前記キャパシタにかかる電圧を、前記第1電圧として出力する。
【0020】
実施形態によって、前記増幅部は、前記第3抵抗の他端を第1入力端(+)とする増幅器と、前記増幅器の出力端と前記増幅器の第2入力端(-)とを連結する第4抵抗と、前記増幅器の第2入力端(-)と所定の接地とを連結する第5抵抗と、を含むが、前記増幅器の出力端での電圧を、前記第2電圧として出力する。
【0021】
実施形態によって、前記スイッチは、電力スイッチであり、前記出力電圧は、前記電力スイッチのドレイン電圧である。
【0022】
実施形態によって、前記電力スイッチのゲートに駆動電源を供給するゲート駆動部と、前記比較部の出力によって前記ゲート駆動部を制御して、前記電力スイッチをターンオンまたはターンオフさせる制御部と、をさらに備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態によるスイッチの短絡保護装置は、スイッチに短絡が発生した場合、速く上昇するドレイン電圧を、測定電圧と感知して、速くスイッチをターンオフさせることによって、スイッチの焼損(break down)を防止することができるという長所がある。
【0024】
また、本発明の実施形態によるスイッチの短絡保護装置は、測定電圧に含まれている高周波数ノイズを減衰させて、ノイズに対する耐性を高めることができるという長所がある。
【0025】
また、本発明の実施形態によるスイッチの短絡保護装置は、ドレイン電圧が小さい値を形成する場合、指定されたゲインで増幅させて、基準電圧も十分に大きい値と設定して、マージンを十分に維持することができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来技術による電力スイッチの短絡保護回路の例示図である。
図2】本発明の第1実施形態による短絡保護装置を例示する図面である。
図3】本発明の第1実施形態による短絡保護装置を例示する回路図である。
図4】従来技術による短絡保護回路と、本発明の第1実施形態による短絡保護装置のシミュレーション結果である。
図5】本発明の第2実施形態による短絡保護装置を例示する図面である。
図6】従来技術による短絡保護回路と、本発明の第2実施形態による短絡保護装置のシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、多様な変換を加えることができ、かつ様々な実施形態を有することができるところ、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明で詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態によって限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変換、均等物ないし代替物を含むと理解されねばならない。
【0028】
本発明を説明するに際して、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の趣旨を不要に不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、本発明の説明過程で用いられる数字(例えば、第1、第2など)は、一つの構成要素を他の構成要素から区分するための識別記号に過ぎない。
【0029】
また、明細書の全般にわたって、一構成要素が他の構成要素と「連結される」か、または「接続する」などと言及された時には、前記一構成要素が前記他の構成要素と直接連結されるか、または直接接続することもあるが、特に逆の記載が存在しない以上、中間にさらに他の構成要素を介して連結されるか、または接続することもあると理解されねばならない。
【0030】
また、明細書の全般にわたって、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは、特に逆の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。また、明細書に記載の「…部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、一つ以上のハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合で具現されうるということを意味する。
【0031】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0032】
図2は、本発明の第1実施形態によるスイッチの短絡保護装置(以下、「短絡保護装置」と称する)を例示する図面である。
【0033】
図2を参考すれば、本発明の第1実施形態による短絡保護装置200は、電圧測定部230、フィルタ部240、増幅部250、及び比較部260を備える。
【0034】
以下、本発明を説明するに際して、スイッチ220は、MOSFETを用いた電力スイッチとして例示して説明するが、本発明が適用されうるスイッチは、これに限定されるものではない。例えば、スイッチは、MOSFET(metal oxide semiconductor field effect
transistor)、IGBT(insulated gate bipolar transistor)、BJT(Bipolar Junction Transistor)、電力集積回路(IC)などを用いた多様なスイッチである。
【0035】
駆動部210は、スイッチ220に電力を供給する構成である。例えば、スイッチ220が、MOSFETである場合、駆動部210は、スイッチ220のゲート電力を提供することができ、ゲートに電力を供給されたMOSFETは導通されて、スイッチ220がターンオンされる。駆動部210は、スイッチ220がターンオン/ターンオフされるように、多様に備えられる。
【0036】
本発明の第1実施形態による電圧測定部230は、スイッチ220の出力電圧を測定して、測定電圧Vsとして出力する。
【0037】
例えば、スイッチ220が、MOSFETで具現された電力スイッチである場合、駆動部210が、所定の電力を、スイッチ220であるMOSFETのゲートに提供すれば、スイッチ220が導通されて、スイッチ220に電流が流れるようになり、スイッチ220の内部抵抗(導通抵抗)によって、スイッチ220に電圧が印加される。電圧測定部230は、スイッチ220のドレイン電圧を測定して、測定電圧Vsとして出力する。
【0038】
本発明の第1実施形態によるフィルタ部240は、測定電圧Vsを入力されて、指定された帯域幅でフィルタリングして、第1電圧V1として出力する。
【0039】
スイッチ220に短絡が発生すれば、数百ナノ秒内にスイッチ220が焼損されるところ、本発明の実施形態による短絡保護装置200は、スイッチ220の短絡如何を速く判断せねばならない。
【0040】
このために、フィルタ部240は、スイッチ220の短絡時に速く増加する測定電圧Vsを通過させ、それと同時に、スイッチングの動作時に発生する高周波数のノイズをフィルタリングする帯域幅を有することができる。
【0041】
例えば、フィルタ部240は、指定された周波数領域のみを通過させることができる帯域通過フィルタ、または低い周波数成分のみを通過させるローパスフィルタである。
【0042】
例えば、フィルタ部240は、1次RCローパスフィルタ、2次RCローパスフィルタ、2次RLCローパスフィルタ、2次RC帯域通過フィルタなどの受動フィルタと、増幅器が内蔵された1次RC能動ローパスフィルタ、サレンキー型フィルタ(Sallen-Key filter)などの能動フィルタのうち一つ以上を含む。
【0043】
本発明の第1実施形態によれば、スイッチ220のスイッチング動作時に発生するドレイン電圧の変動によって、測定電圧Vsに含まれている高周波数ノイズは、フィルタ部240によって減衰されて、スイッチ220の正常動作中の短絡保護装置200の誤動作を防止することができる。
【0044】
本発明の第1実施形態による増幅部250は、第1電圧V1を既定の増幅比(以下、「ゲイン」と称する)で増幅して、第2電圧V2に出力することができる。
【0045】
増幅部250は、フィルタ部240と類似して、スイッチ220の短絡時に速く増加する測定電圧Vsを通過させられるほどの、十分な帯域幅を有することができる。よって、本発明の実施形態による短絡保護装置200は、スイッチ220に短絡が発生する時に速く増加する測定電圧Vsを認知して、スイッチ220に短絡が発生したことを認知することができるところ、速かにスイッチ220を保護することができるという長所がある。
【0046】
例えば、増幅部250は、増幅器(例えば、OP-AMP)を活用した反転/非反転増幅器などの、本発明の出願時に公知された多様な増幅器のうち、いずれか一つである。
【0047】
例えば、スイッチ220の特性によって、増幅部250は、ゲインが1である電圧フォロワ(voltage follower)として使われうる。
【0048】
増幅部250は、前述したように、第1電圧V1を、既定のゲインで増幅して第2電圧V2として出力することで、第2電圧V2と基準電圧V*との間のマージンを調整することができるという長所がある。
【0049】
以下、詳細に説明する。
【0050】
短絡保護装置200は、スイッチ220自体のノイズ及び/または外部的要因によるノイズによる短絡の誤認検出を防止するために、測定電圧Vsと基準電圧V*との間のマージンを、一定レベルまたはそれ以上に維持する必要がある。
【0051】
図1に例示された従来技術の短絡保護回路100によれば、スイッチ(図1の120)のドレイン電圧が小さい値を有する状況である場合、基準電圧V*も、不可避に小さい値に設定され、その結果、測定電圧Vsと基準電圧V*との間のマージンが小さくなる。この場合、小さなノイズでも測定電圧Vsが基準電圧V*以上になって、スイッチ(図1の120)が正常作動中であるにもかかわらず、短絡保護回路(図1の100)が、スイッチ120が短絡されたと誤認する恐れがある。
【0052】
本発明の第1実施形態による増幅部250は、フィルタ部240の出力である第1電圧V1を、指定されたゲインで増幅させて、第2電圧V2として出力することで、スイッチ220のドレイン電圧が小さい値を有する状況でも、比較部260の入力電圧である第2電圧V2が、相対的にさらに大きい電圧を形成するようにする。この場合、結果的に、第2電圧V2と基準電圧V*との間のマージンが増加するところ、本発明の第1実施形態による短絡保護装置200は、外部ノイズに対するさらに高い耐性を有することができるという長所がある。
【0053】
本発明の第1実施形態による比較部260は、第2電圧V2と基準電圧V*とを比較する。ここで、第2電圧V2が基準電圧V*より小さい時に比較部260が出力する値と、第2電圧V2が基準電圧V*以上である時に比較部260が出力する値とは、相異なるように設定される。これにより、短絡保護装置200は、比較部260の出力値を通じて、スイッチ220が短絡されたかどうかを判断することができる。
【0054】
駆動部210は、電力スイッチに駆動電源を供給して、スイッチをターンオン/ターンオフさせることができ、これは、本発明の出願時に公知された多様な構成のうち一つである。
【0055】
また、本発明の第1実施形態による短絡保護装置200は、比較部260の出力によって駆動部210を制御して、結果的に、スイッチ220をターンオンまたはターンオフさせる制御部(図示せず)を備える。ここで、制御部(図示せず)が、ソフトウェアモジュールとして前述した構成のうちいずれか一つに統合されて具現されるか、ハードウェア的に独立して別途の構成で具現され、本発明が適用される環境によって、多様な方法で備えられる。
【0056】
よって、本発明の第1実施形態による短絡保護装置200は、スイッチ220に短絡が発生した場合、1)速く上昇するドレイン電圧を、測定電圧Vsと感知して、速くスイッチをターンオフさせることで、スイッチ220の焼損を防止することができ、2)測定電圧Vsに含まれている高周波数ノイズを減衰させて、ノイズに対する耐性を高めることができ、3)ドレイン電圧が小さい値を形成する場合、指定されたゲインで増幅させ、基準電圧V*も十分に大きい値と設定して、マージンを十分に維持することができるという長所がある。
【0057】
これまで図2を参考して、本発明の第1実施形態による短絡保護装置200の各構成とその機能を説明した。しかし、図2に例示された構成は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明が適用される環境によって、短絡保護装置200に含まれる構成の名称に構わずに、その実施する機能がさらに細分化されて、さらに多い構成で具現されるか、その実施する機能が組み合わせられて少数の構成で具現されうるということは、本発明の技術的思想に照らして当業者に明らかであろう。
【0058】
図3は、本発明の第1実施形態による短絡保護装置を例示する回路図である。
【0059】
図3を参考すれば、本発明の第1実施形態による短絡保護装置200が含む電圧測定部230、フィルタ部240、増幅部250及び比較部260は、前記図2を参考して説明したところと等しいため、重なる説明は省略し、各構成に具現されうる回路の一実施形態について説明する。
【0060】
例えば、電圧測定部230は、スイッチ220の出力端にカソードが連結されるダイオード232、ダイオード232のアノードに一端が連結される第1抵抗234、及び第1抵抗234の他端と所定の供給電源Vgとを連結する第2抵抗236を含む。ここで、電圧測定部230は、第1抵抗234の他端での電圧を、測定電圧Vsに出力する。
【0061】
例えば、測定電圧Vsは、下記の数式1を用いて算出される。
【0062】
【数1】
ここで、Vsは、測定電圧であり、Vgは、所定の供給電圧であり、Vdsは、スイッチ220のドレイン・ソース間の電圧であり、Vd_fは、ダイオード232における順方向の電圧降下値であり、R1は、第1抵抗234の抵抗値であり、R2は、第2抵抗236の抵抗値である。
【0063】
前述した数式1は、一実施形態に過ぎず、本発明が適用される環境によって測定電圧Vsを算出する方法は、多様に指定されうるということは、本発明の技術的思想に照らして当業者に明らかであろう。
【0064】
フィルタ部240は、例えば、第1抵抗234の他端に一端が連結される第3抵抗242と、第3抵抗242の他端と所定の接地とを連結するキャパシタ244とを含むことができ、キャパシタ244にかかる電圧を、第1電圧V1として出力することができる。図3に例示されたフィルタ部240は、1次RCローパスフィルタと例示したが、本発明の出願時に公知された多様な受動フィルタ及び能動フィルタのうち一つ以上を含むことができるということは、本発明の技術的思想に照らして当業者に明らかであろう。
【0065】
増幅部250は、例えば、第3抵抗242の他端を第1入力端(+)とする増幅器252、増幅器252の出力端と第2入力端(-)とを連結する第4抵抗256、及び増幅器252の第2入力端(-)と所定の接地(ground)とを連結する第5抵抗254を含むことができ、増幅器252の出力端での電圧を、第2電圧V2として出力することができる。図3に例示された増幅部250は、非反転増幅器と例示したが、本発明の出願時に公知された、多様な反転/非反転増幅器を含むことができるということは、本発明の技術的思想に照らして当業者に明らかであろう。
【0066】
図4は、従来技術による短絡保護回路と、本発明の第1実施形態による短絡保護装置のシミュレーション結果である。
【0067】
図1図3及び図4を参考すれば、駆動部110及び210によって所定の電圧が提供(図4の410参照)されて、スイッチ120及び220がターンオンされれば、ドレイン・ソース電圧であるVdsが減少する(図4の430参照)。
【0068】
ここで、特に、スイッチ120及び220が高速でスイッチングする場合、Vdsは急激に減速し、この時、Vdsでアンダーシュート(undershoot)及び/またはリンギング(ringing)が発生する(図4の432参照)。
【0069】
図1に例示した、従来技術による短絡保護回路100では、Vdsのリンギングによる電流がキャパシタ(図1の140)に流れるようになって、スイッチ120が短絡状態ではないにもかかわらず、測定電圧Vsが基準電圧V*を超過する(図4の442参照)。結果的に、従来技術による短絡保護回路100では、スイッチ120が正常作動中であるにもかかわらず、スイッチ120が短絡されたと判断する誤作動が発生する。
【0070】
しかし、本発明の第1実施形態による短絡保護装置200のシミュレーション結果(図4の450を参照)を参考すれば、従来技術の測定電圧Vs(図4の440を参照)に比べて、第2電圧V2(図4の450を参照)はほとんど影響されず、ノイズに強い耐性を有するということが分かる。
【0071】
また、増幅部250が備えられて、比較部260に入力される電圧(さらに詳細には、従来技術では、測定電圧Vs、第1実施形態では、第2電圧V2)と基準電圧V*との間のマージンが、従来技術の0.9Vに比べて、第1実施形態では1.4Vに増加して、外部ノイズに対する耐性が向上したということが分かる。
【0072】
図5は、本発明の第2実施形態による短絡保護装置を例示する図面である。
【0073】
図5を参考すれば、前記図2を参考して説明した、本発明の第1実施形態による短絡保護装置200で、本発明が適用される環境によって増幅部250が省略された実施形態である。
【0074】
例えば、前述したように、フィルタ部240が、増幅器が内蔵された1次RC能動ローパスフィルタ、サレンキー型フィルタなどの能動フィルタのうち一つ以上を含む場合、その出力が、指定されたゲインで増幅されるため、図2に例示した増幅部250が省略される。
【0075】
例えば、スイッチ220のドレイン電圧が十分に大きい値を有する場合、基準電圧V*も十分に大きい値に設定されることができ、この場合、比較部260に入力される第1電圧V1と基準電圧V*との間のマージンも一定に維持されることができるところ、この場合、増幅部250が省略される。
【0076】
その他に、本発明が適用される環境による多様な目的(例えば、相対的にさらに小さなサイズで、低コストで、短い製作時間で具現される必要など)に起因して、増幅部250が省略されうるということは、本発明の技術的思想に照らして当業者に明らかであろう。
【0077】
図5を参考して説明すれば、比較部260が第1電圧V1と基準電圧V*とを比較すること以外には、図2を参考して説明したところと等しいため、重なる説明は省略する。
【0078】
また、本発明の第2実施形態による短絡保護装置500の回路は、例えば、図3に例示した回路で増幅部250を省略したものと例示することができ、これについての説明は、前記図3で詳しく説明したため、これについての重なる説明は省略する。
【0079】
図6は、従来技術による短絡保護回路と、本発明の第2実施形態による短絡保護装置のシミュレーション結果である。
【0080】
図1図4図5及び図6を参考すれば、従来技術による短絡保護回路100では、スイッチ120のドレイン・ソース間の電圧であるVdsのリンギングに起因して、短絡保護回路100が誤作動するということは、前記図4を参考して説明したところと等しいため、これについての重なる説明は省略する。
【0081】
本発明の第2実施形態による短絡保護装置500でも、図6の識別番号650に例示したように、フィルタ部240が、高周波数のノイズを除去して出力した第1電圧V1は、スイッチ220のドレイン・ソース間の電圧である、Vdsのリンギングにあまり影響されず、向上したノイズ耐性を示すということが分かる。
【0082】
以上、本発明の実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載の本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更できるということを容易に理解できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】