(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】信号補償方法、電子機器及びコンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04B 7/0413 20170101AFI20240927BHJP
【FI】
H04B7/0413 200
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523544
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 CN2022107984
(87)【国際公開番号】W WO2023098112
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202111443629.X
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】陳麟云
(72)【発明者】
【氏名】沈少武
(57)【要約】
本願の実施例は通信技術の分野に関し、信号補償方法、電子機器及びコンピュータ可読記憶媒体を開示する。上記の信号補償方法は、マルチ入力マルチ出力MIMO状態で動作する電子機器に用いられ、前記方法は、前記電子機器の複数のMIMOチャネルの信号受信強度を検出するステップ(101)と、前記信号受信強度に基づいて前記複数のMIMOチャネルに信号受信不均衡が存在すると判定した場合、前記信号受信不均衡の原因を特定するステップ(102)と、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式を決定し、前記複数のMIMOチャネルの信号受信均衡が検出されるまで、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行うステップ(103)とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチ入力マルチ出力MIMO状態で動作する電子機器に用いられる信号補償方法であって、
前記電子機器の複数のMIMOチャネルの信号受信強度を検出するステップと、
前記信号受信強度に基づいて、前記複数のMIMOチャネルに信号受信不均衡が存在すると判定した場合、前記信号受信不均衡の原因を特定するステップと、
前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式を決定し、前記複数のMIMOチャネルの信号受信均衡が検出されるまで、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行うステップと、
を含む信号補償方法。
【請求項2】
前記信号受信不均衡の原因が、電気回路やアンテナ自体の原因を含むと判定した場合、前記補償方式は、低ノイズアンプLNAゲイン補償及び/又は減衰補償を含み、
前記補償方式が前記LNAゲイン補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償するステップを含み、
前記補償方式が前記減衰補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、前記複数のMIMOチャネルのうちの第2のターゲットMIMOチャネル上の減衰ネットワークをアクティブ化することにより、前記第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるステップを含む
請求項1に記載の信号補償方法。
【請求項3】
前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償する前記ステップは、
前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度と第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度とに応じて、前記第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを調整することにより、前記調整後のゲインの作用の下で、前記第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度と前記第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度との強度差が予め設定された均衡閾値よりも小さくなるようにするステップ
を含む請求項2に記載の信号補償方法。
【請求項4】
前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度と第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度とに応じて、前記第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを調整する前記ステップは、
前記第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度と前記第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度との間の強度差を確定するステップと、
前記強度差に対応するゲインレベルを確定するステップであって、前記ゲインレベルはゲインに対応し、前記ゲインレベルが大きいほど、ゲインは小さくなるステップと、
前記第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAの現在のゲインレベルを、前記強度差に対応するゲインレベルに調整するステップと、
を含む請求項3に記載の信号補償方法。
【請求項5】
前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償する前記ステップの後に、
ゲイン飽和に達し且つ前記複数のMIMOチャネルの信号受信均衡が検出されない場合、前記複数のMIMOチャネルの信号品質均衡が検出されるまで、前記第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAの前段フィルタ及び/又は後段フィルタを動作させないようにバイパス制御信号により制御するステップ
をさらに含む請求項2から4の何れか一項に記載の信号補償方法。
【請求項6】
前記減衰ネットワークは、第1の減衰ネットワーク及び/又は第2の減衰ネットワークを含み、
前記第1の減衰ネットワークは、前記MIMOチャネル内のLNAとMIMOアンテナとの間に配置され、前記第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるために用いられ、
前記第2の減衰ネットワークは、前記MIMOチャネル内のMIMOアンテナ上に配置され、前記MIMOアンテナの効率を調整することにより、前記第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるために用いられる
請求項2に記載の信号補償方法。
【請求項7】
前記信号受信不均衡の原因が、前記電子機器の把持姿勢による原因を含むと判定した場合、前記補償方式は、把持姿勢補償と、LNAゲイン補償と、減衰補償とのうちの1つ又はそれらの任意の組み合わせを含み、
前記補償方式が把持姿勢補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、
前記電子機器の把持姿勢に影響されたMIMOアンテナを確定し、前記影響されたMIMOアンテナをターゲットアンテナに切り替えるステップを含み、ここで、前記ターゲットアンテナは、前記電子機器内の前記複数のMIMOチャネル内の各MIMOアンテナ以外の、前記把持姿勢に影響されないアンテナであり、
前記補償方式がLNAゲイン補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償するステップを含み、
前記補償方式が前記減衰補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、前記複数のMIMOチャネルのうちの第2のターゲットMIMOチャネル上の減衰ネットワークをアクティブ化することにより、前記第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるステップを含む
請求項1に記載の信号補償方法。
【請求項8】
前記信号受信不均衡の原因が、前記電子機器と基地局との指向性の違いによる原因を含むと判定した場合、前記補償方式は、指向性補償と、LNAゲイン補償と、減衰補償とのうちの1つ又はそれらの任意の組み合わせを含み、
前記補償方式が指向性補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、
前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整することにより、調整後の放射方向が前記基地局を向くようにするステップであって、前記第1のターゲットMIMOアンテナの受信信号強度が第1の予め設定された強度よりも小さいステップ、又は、
前記第1のターゲットMIMOアンテナを第2のターゲットアンテナに切り替えるステップであって、前記第2のターゲットアンテナは、前記電子機器内の前記複数のMIMOチャネル内の各MIMOアンテナ以外のアンテナであり、前記第2のターゲットアンテナの受信信号強度が第2の予め設定された強度よりも大きいステップ、又は、
前記電子機器を使用する使用者に、前記基地局に対する向きを変更するように指示して、前記使用者による向きの変更後に前記基地局の位置を向くようにするステップ、を含み、
前記補償方式がLNAゲイン補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償するステップを含み、
前記補償方式が前記減衰補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、前記複数のMIMOチャネルのうちの第2のターゲットMIMOチャネル上の減衰ネットワークをアクティブ化することにより、前記第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるステップを含む
請求項1に記載の信号補償方法。
【請求項9】
前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整することにより、調整後の放射方向が前記基地局を向くようにする前記ステップは、
複数のMIMOチャネルの信号受信強度に基づいて、基地局の位置を確定するステップと、
前記基地局の位置に基づいて、前記基地局と、前記複数のMIMOチャネル内の複数のMIMOアンテナの放射方向とがなす角度の値をそれぞれ確定するステップと、
前記角度の値に基づいて、前記基地局と前記電子機器との間の相対的な位置を確定するステップと、
前記相対的な位置に応じて、前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整することにより、調整後の放射方向が前記基地局を向くようにするステップと、
を含む請求項8に記載の信号補償方法。
【請求項10】
前記電子機器の複数のMIMOチャネルの信号受信強度を検出する前記ステップの前に、
前記電子機器のスループットトラフィックを検出するステップと、
前記スループットトラフィックの特徴を特定するステップと、
前記スループットトラフィックの特徴に応じて、前記電子機器の複数のMIMOチャネルを開放する必要があると判定した場合、前記電子機器の複数のMIMOチャネルを開放するステップと、
をさらに含む請求項1に記載の信号補償方法。
【請求項11】
前記電子機器の複数のMIMOチャネルの信号受信強度を検出する前記ステップの後に、
任意の2つのMIMOチャネルの信号受信強度の差を取得するステップと、
予め設定された均衡閾値よりも大きい差が存在する場合、前記複数のMIMOチャネルに信号受信不均衡が存在すると判定するステップと、
をさらに含む請求項1に記載の信号補償方法。
【請求項12】
少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されたメモリとを備える電子機器であって、
前記メモリには前記少なくとも1つのプロセッサにより実行できる命令が記憶され、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサが請求項1から11の何れか一項に記載の信号補償方法を実行できるようにする
電子機器。
【請求項13】
コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行された場合、請求項1から11の何れか一項に記載の信号補償方法を実現する
コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は出願番号が202111443629.Xで、出願日が2021年11月30日である中国特許出願に基づいて提出され、その中国特許出願の優先権を主張し、その中国特許出願の全ての内容を参考として本願に援用する。
【0002】
本願の実施例は、通信技術の分野に関し、特に、信号補償方法、電子機器及びコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
5G通信技術の発展に伴い、新しいエアインターフェース(New Radio,NR)マルチ入力マルチ出力(multi input multi output,MIMO)は携帯電話の中ですでに広く応用されており、例えば時分割複信(Time Division Dual,TDD)周波数帯域のN78、N79、N41と周波数分割複信(Frequency-division duplex,FDD)周波数帯域のN1、N3はいずれも4*4MIMOがあり、それによって4ウェイの信号の高速なスループット伝送が実現される。しかしながら、従来の設計により、例えば4ウェイのMIMOチャネルに存在するデバイスの損失、線路の損失、アンテナの効率の違いで、4ウェイのMIMO受信の不均衡が引き起こされ、このような不均衡性の影響は既存の設計にとって回避することが難しくて、どのようにして補償調整を行えるかは、現在の5G端末が早急に解決しなければならない技術的な難題の1つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例の主な目的は、信号補償方法、電子機器及びコンピュータ可読記憶媒体を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも上記目的を達成するために、本願の実施例は、マルチ入力マルチ出力MIMO状態で動作する電子機器に用いられる信号補償方法を提供し、前記方法は、前記電子機器の複数のMIMOチャネルの信号受信強度を検出するステップと、前記信号受信強度に基づいて前記複数のMIMOチャネルに信号受信不均衡が存在すると判定した場合、前記信号受信不均衡の原因を特定するステップと、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式を決定し、前記複数のMIMOチャネルの信号受信均衡が検出されるまで、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行うステップと、を含む。
【0006】
少なくとも上記目的を達成するために、本願の実施例は、電子機器をさらに提供し、前記電子機器は、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されたメモリと、を備え、前記メモリには前記少なくとも1つのプロセッサにより実行できる命令が記憶されており、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサが上記の信号補償方法を実行できるようにする。
【0007】
少なくとも上記目的を達成するために、本願の実施例は、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータプログラムがプロセッサによりプロセッサにより実行された場合、上記の信号補償方法を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願の実施例で言及された信号補償方法の模式フローチャートである。
【
図2】本願の実施例で言及されたMIMO経路の模式図である。
【
図3】本願の実施例で言及された、LNAのゲインを調整する方式の模式フローチャートである。
【
図4】本願の実施例で言及された、前段フィルタ及び/又は後段フィルタのバイパスを制御できる模式図である。
【
図5】本願の実施例で言及された、減衰ネットワークを含むMIMOチャネルの模式図である。
【
図6】本願の実施例で言及された、アンテナ切替の模式図である。
【
図7】本願の実施例で言及された、複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整することにより、調整後の放射方向が基地局を向くようにする実施プロセスの模式図である。
【
図8】本願の実施例で言及された信号補償方法を実現する端末内のモジュール模式図である。
【
図9】本願の実施例で言及された別の信号補償方法の模式フローチャートである。
【
図10】本願の実施例で言及された電子機器の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願実施例の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、以下では、添付図面を組み合わせて本願の各実施例を詳しく説明する。しかしながら、本願の各実施例において、読み手に本願をよりよく理解してもらうために多くの技術的詳細が提示されている。しかし、これらの技術的詳細及び以下の各実施例に基づく様々な変更及び修正がなくとも、本願の保護を求める技術案を実現することができる。以下の各実施例の区分は、説明の便宜のためになされており、本願の具体的な実施例にいかなる限定を構成すべきではなく、各実施例は、矛盾しない限り、組み合わせたり互いに参照したりしてもよい。
【0010】
本願の実施例への理解を容易にするために、まず、本願にかかる関連技術について簡単に説明する。
【0011】
MIMOスループットの桶の理論
ある周波数帯域のNR MIMOアンテナは2つ又は4つのアンテナにより構成され、そのうちの1つがメイン送信とメイン受信を担い、残りの1つ又は3つはダイバーシティ又はMIMO受信を担い、つまり、最大で4つのRXアンテナがある。4つのRXアンテナのうちの1つの受信品質、例えば受信した信号強度指示(Received Signal Strength Indicator、RSSI)、参照信号受信電力(Reference Signal Receiving Power、RSRP)、信号雑音比(SIGNAL NOISE RATIO、SNR)が非常に悪い場合、他の3つのアンテナの受信性能が非常に良く、そのうちの何れか1つが非常に強くても、最終的に合成されたスループットも大きく低下する。逆に、4つのアンテナのRSRPが均衡であれば、とりわけ強いものがなくても、最終的に合成されたスループットは高くなる。4つのRXアンテナのRSRPは、1つの桶の4つの板に相当する。桶の理論に従って、あってはいけない短い板があれば、この桶によりサポートできるスループットの上限はある1つのRX経路に制約されることになる。
【0012】
本願の実施例では、複数のMIMOチャネルの信号受信の均衡性を保証して、電子機器のスループット性能を向上させるために、マルチ入力マルチ出力MIMO状態で動作できる電子機器に用いられる信号補償方法を提供する。該電子機器は、NR MIMO機能を有する端末、顧客構内設備(Customer Premise Equipment,CPE)等であってもよく、端末は、携帯電話、タブレットコンピュータ等であってもよく、電子機器はMIMO状態で動作することができる。この信号補償方法の模式フローチャートは、
図1を参照することができ、ステップ101からステップ103を含む。
【0013】
ステップ101において、電子機器の複数のMIMOチャネルの信号受信強度を検出する。
【0014】
ステップ102において、信号受信強度に基づいて複数のMIMOチャネルに信号受信不均衡が存在すると判定した場合、信号受信不均衡の原因を特定する。
【0015】
ステップ103において、信号受信不均衡の原因に対応する補償方式を決定し、複数のMIMOチャネルの信号受信均衡が検出されるまで、信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う。
【0016】
本実施例において、MIMOチャネルに信号受信の不均衡が存在すると判定した場合、分析により得られた、その不均衡現象が発生する原因に応じて、複数のMIMOチャネルの信号受信が均衡であると検出されるまで、ターゲットを絞った補償方式で信号補償を行う。不均衡現象が発生する異なる原因に応じて、ターゲットを絞って対応する補償方式を用いることにより、適応的な信号補償を行うことができるため、信号補償の有効性を高め、電子機器の各ウェイのMIMOの受信均衡性を保証することができ、電子機器のスループット性能を向上させるのに有利である。
【0017】
ステップ101において、複数のMIMOチャネルの信号受信強度は、複数のMIMOチャネルにおける信号品質と見なされてもよく、信号受信強度が大きいほど、信号品質が良いと考えることができる。MIMOチャネルの信号受信強度は、端末等の電子機器により受信された、基地局から送信された信号を捕捉して解析することにより得られてもよい。例えば、電子機器は、各MIMOチャネルで受信された基地局により送信された信号のRSRP、信号対雑音比、ビット誤り率、スループットなどのうちの1つ又はそれらの任意の組み合わせにより、複数のMIMOチャネルの信号受信強度を確定してもよい。例えば、各MIMOチャネルのRSRPにより複数のMIMOチャネルの信号受信強度を確定する場合、各MIMOチャネルのRSRPを、各MIMOチャネルの信号受信強度と見なされてもよい。RSRP、信号対雑音比、ビット誤り率、スループットにより複数のMIMOチャネルの信号受信強度を確定する場合、RSRP、信号対雑音比、ビット誤り率、スループットを組み合わせて複数のMIMOチャネルの信号受信強度を総合的に判定してもよい。
【0018】
ステップ102において、電子機器は、まず、複数のMIMOチャネルの信号受信強度に基づいて、複数のMIMOチャネルに信号受信不均衡の状況が存在するか否かを判定し、信号受信不均衡の状況が存在すると判定した場合、さらに信号受信不均衡の原因を特定してもよい。
【0019】
ここで、複数のMIMOチャネルの信号受信強度に基づいて、複数のMIMOチャネルに信号受信不均衡の状況が存在するか否かを判定する方法は、任意の2つのMIMOチャネルの信号受信強度の差を取得し、予め設定された均衡閾値よりも大きい差が存在する場合、複数のMIMOチャネルに信号受信不均衡が存在すると見なされ、予め設定された均衡閾値よりも大きい差が存在しない場合、複数のMIMOチャネルに信号受信不均衡が存在しない、すなわち、複数のMIMOチャネルの信号受信が均衡であると見なされる。予め設定された均衡閾値は、例えば複数のMIMOチャネル間の信号受信強度の差が大きくないことを示すために2dBに設定するなど、実際の必要に応じて設定してもよい。
【0020】
ステップ102で言及された信号受信不均衡の原因は、電気回路やアンテナ自体の原因、電子機器の把持姿勢による原因、電子機器と基地局との指向性の違いによる原因などのうちの何れか1つを含む。電子機器は、端末の現在の使用場面に応じて、信号受信不均衡の原因を特定してもよい。
【0021】
次に、電子機器の把持姿勢による原因について説明する。電子機器が端末である場合を例として、端末は、動作中に手の上に置かれて握られることにより、あるNRのMIMOアンテナが挟まれたり近接されたりして、そのMIMOアンテナの効率が激減するため、複数のMIMOアンテナ間の均衡性が影響されてしまう。端末が携帯電話である場合を例として、携帯電話の使用中に、使用者の指や手のひらが携帯電話のベゼルの対応する位置に接触する際に、一定の遮断効果が発生し、NR信号の大部分を遮断するか又は減衰させる。携帯電話の縁部のある1つのエリアが指又は手のひらにより把持され、その把持の位置がちょうどある1つのMIMOアンテナの位置又はその近傍である場合、信号受信不均衡の原因が携帯電話の把持姿勢による原因であると判定することができる。
【0022】
次に、電子機器と基地局との指向性の違いによる原因について説明する。電子機器は端末である場合を例として、端末が置かれている範囲内の5G基地局の数が限られているため、端末のある1つのNR周波数帯域の複数のMIMOアンテナが基地局に対して持つ指向性の違いの問題は、以下のように考えることができる。端末のある1つのMIMOアンテナの放射方向が基地局から離れているか、又は基地局と一定の角度を有する場合、そのアンテナのRSRP信号が弱く、端末のある1つのMIMOアンテナの放射方向が基地局を指している場合、そのMIMOアンテナのRSRP信号が強い。このような強弱の違いは、電子機器と基地局との指向性の違いによるものであり、最終的には、MIMO受信の不均衡を引き起こし、さらにはスループットに影響を及ぼす可能性がある。すなわち、複数のMIMOアンテナ内には、放射方向が基地局から離れているか、又は基地局と一定の角度を有するMIMOアンテナと、放射方向が基地局を指しているアンテナとが同時に存在する場合、信号受信不均衡の原因が電子機器と基地局との指向性の違いによる原因であると判定することができる。上記の一定の角度は、実際の必要に応じて予め設定されてもよく、本実施例では、角度の具体的な大きさについて限定しないが、この一定の角度は、放射方向と基地局との角度が大きいことを表すのに用いられる。
【0023】
一例において、信号受信不均衡の原因が、電子機器の把持姿勢による原因でも、電子機器と基地局との指向性の違いによる原因でもないと判定した場合、信号受信不均衡の原因が、電子機器内の電気回路やアンテナ自体の原因であると判定してもよい。
【0024】
ステップ103において、電子機器は、信号受信不均衡を引き起こす原因に対応する補償方式を決定し、複数のMIMOチャネルの信号受信均衡が検出されるまで、決定された補償方式に従って信号補償を行ってもよい。異なる原因に応じて、対応する補償方式は予め設定してもよく、異なる原因に対応する補償方式は全く同じであるわけではない。例えば、複数のMIMOチャネルのうち、信号受信強度が比較的大きいMIMOチャネルについては、そのMIMOチャネルの信号受信強度を低下させるように信号減衰を行い、複数のMIMOチャネルのうち、信号受信強度が比較的小さいMIMOチャネルについては、そのMIMOチャネルの信号受信強度を増大させるように信号強化を行い、最終的には、複数のMIMOチャネルを、信号受信均衡を達成させることができる状態とする。ここで、複数のMIMOチャネルに信号受信均衡が達成されていると検出することとは、複数のMIMOチャネルのうちの任意の2つのMIMOチャネル間の信号受信強度の差が、予め設定された均衡閾値よりも小さいと検出することとして考えてもよい。
【0025】
一つの実施例において、ステップ101の前に、電子機器のスループットトラフィックを検出するステップと、スループットトラフィックの特徴を特定するステップと、スループットトラフィックの特徴に応じて、電子機器の複数のMIMOチャネルを開放する必要があると判定した場合、電子機器の複数のMIMOチャネルを開放するステップと、をさらに含む。スループットトラフィックの特徴は、スループット需要量、スループットトラフィックの総感度に対する要求、スループットトラフィックが置かれているシナリオ、例えば強信号シナリオ、中信号シナリオ、弱信号シナリオを含んでもよい。スループット需要量が高いほど、総感度に対する要求が高いほど、スループットトラフィックが置かれているシナリオの信号が強いほど、開放されるMIMOチャネルの数が多くなる。すなわち、電子機器は、まず現在のMIMOトラフィックの検出を行ってもよい。ここでのトラフィックは、アップリンクスループットと、ダウンリンクスループットとの2つの部分を含む電子機器のスループットトラフィックを指し、ダウンリンクスループットは、単一入力単一出力(single input single output,SISO)、2X2MIMO、4X4MIMOを含み、アップリンクスループットは、SISO及び2X2MIMOを含む。同時に、トラフィックは強信号、中信号、弱信号などの複数のシナリオに分けられる。MIMO経路の模式は、
図2を参照することができ、
図2は、4つのMIMOチャネルを含み、4つのMIMOチャネルのMIMOアンテナは、それぞれ、TRXアンテナ、ダイバーシティアンテナ、PRxMIMOアンテナ、DRxMIMOアンテナである。TRXアンテナはSISOに対応し、TRXアンテナとダイバーシティアンテナとが2X2MIMOを形成し、TRXアンテナ、ダイバーシティアンテナ、PRxMIMOアンテナ、DRxMIMOアンテナは4X4MIMOを共に形成する。現在の電子機器が高いスループット需要を必要とすることを検出すると、まず、現在の高いスループット需要がアップリンクかダウンリンクかを判断し、さらにスループット需要量を判断し、これにより、スループット需要量に応じて、対応する数のMIMOチャネルを開放する。スループット需要量が高いほど、開放されるMIMOチャネル数が多い。また、電子機器が弱信号シナリオにおいて動作し、総感度に対して一定の要求がある場合も、一定のMIMOチャネルを開放する必要がある。例えば総感度に対する要求が高いほど、開放する必要のあるMIMOチャネル数が多くなる。ステップ101において検出される電子機器の複数のMIMOチャネルの信号受信強度は、開放された複数のMIMOチャネルの信号受信強度を含んでもよい。
【0026】
一つの実施例において、信号受信不均衡の原因が、電気回路やアンテナ自体の原因を含むと判定した場合、補償方式は、低ノイズアンプ(low noise amplifier,LNA)ゲイン補償及び/又は減衰補償を含む。
【0027】
補償方式がLNAゲイン補償を含む場合、ステップ103で言及された、信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行うステップは、複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償するステップを含む。これは、電気回路やアンテナ自体の原因による信号受信不均衡を、ターゲットを絞って補償するのに有利である。ここで、第1のターゲットMIMOチャネルは、LNAゲイン補償を必要とするチャネルであってもよく、LNAゲイン補償は、LNAゲインを増大させること又はLNAゲインを減少させることを含んでもよい。例えば、第1のターゲットMIMOチャネルの信号受信強度が、複数のMIMOチャネルのうちの第3のターゲットMIMOチャネルの信号受信強度よりも大きい場合、第1のターゲットMIMOチャネルにおけるLNAゲインを減少させてもよく、第1のターゲットMIMOチャネルの信号受信強度が、第3のターゲットMIMOチャネルの信号受信強度よりも小さい場合、第1のターゲットMIMOチャネルにおけるLNAゲインを増大させてもよい。この第3のターゲットMIMOチャネルは、複数のMIMOチャネルのうちの、第1のターゲットMIMOチャネル以外の1つのMIMOチャネルであってもよい。
【0028】
一つの実施例において、複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償する上記ステップは、複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度と第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度とに応じて、第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを調整することにより、調整後のゲインの作用の下で、第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度と第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度との強度差が予め設定された均衡閾値よりも小さくなるようにするステップを含む。例えば、LNAのゲインを調整する方式は、
図3に示すような方式で実現してもよい。
【0029】
ステップ301において、第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度と第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度との間の強度差を確定する。
【0030】
ステップ302において、強度差に対応するゲインレベルを確定する。ここで、前記ゲインレベルはゲインに対応し、前記ゲインレベルが大きいほど、ゲインは小さくなる。
【0031】
ステップ303において、第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAの現在のゲインレベルを、強度差に対応するゲインレベルに調整する。
【0032】
ステップ301において、電子機器は、第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度と第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度との間の強度差を計算してもよい。
【0033】
ステップ302において、電子機器内のLNAは、一般には、0、1、2、3、4、5、...、Nレベルのような複数のゲインレベルを含み、0レベルに対応するゲインは最大であり、Nレベルに対応するゲインは最小である。例えば、N=7であれば、ゲインレベル7に対応するゲインが最小となる。例えば、
図4において、LNA1のゲインレベルはGain1[0,N]であり、第1のターゲットMIMOチャネルがLNA1の位置するMIMOチャネルであるとすると、第1のターゲットMIMOチャネル上には、前段フィルタSAW1、LNA1、後段フィルタSAW1-2、メインアンテナが含まれる。第1のターゲットMIMOチャネルにおけるLNA1のゲインレベルがMである場合、M≦Nであり、第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度が他のMIMOチャネルである第3のターゲットMIMOチャネルよりも高いか低い場合、予め設定されたマッピング関係により、強度差に対応するゲインレベルを得てもよい。ここで、予め設定されたマッピング関係は、電子機器の出荷前にテストにより得てもよい。マッピング関係は具体的には、各ゲインレベルに対応する受信信号強度の増大量及び減少量であり、例えば、レベルMからレベルM+1に上げる場合に対応する受信信号強度の減少量、レベルM+1からレベルMに下げる場合に対応する受信信号強度の増大量、レベルMからレベルM+3に上げる場合に対応する受信信号強度の減少量、レベルM+3からレベルMに下げる場合に対応する受信信号強度の増大量などである。第1のターゲットMIMOチャネルと第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度との間の強度差が正の強度差である場合、この正の強度差は、第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度を減少させるべき減少量と見なされてもよく、第1のターゲットMIMOチャネル上のLNA1の現在のゲインレベルと、受信信号強度を減少させるべき減少量と、上述したマッピング関係とに基づいて、強度差に対応するゲインレベルを決定してもよい。同様に、第1のターゲットMIMOチャネルと第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度との間の強度差が負の強度差である場合、この負の強度差は、第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度を増大させるべき増大量と見なされてもよく、第1のターゲットMIMOチャネル上のLNA1の現在のゲインレベルと、受信信号強度を増大させるべき増大量と、上述したマッピング関係とに基づいて、強度差に対応するゲインレベルを決定してもよい。
【0034】
ステップ303において、電子機器は、強度差に対応するゲインレベルを確定した後に、第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAの現在のゲインレベルを、強度差に対応するゲインレベルに調整してもよい。
【0035】
本実施例において、LNAゲイン補償により、既存のMIMOチャネルにおけるLNAを利用して複数のMIMOチャネルの信号受信均衡を、追加のデバイスを必要とせずに実現するのに有利である。LNAのゲインレベルを調整することにより、LNAのゲインを容易且つ正確に調整することができる。
【0036】
一つの実施例において、複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償するステップの後に、ゲイン飽和に達し且つ複数のMIMOチャネルの信号受信均衡が検出されない場合、複数のMIMOチャネルの信号品質均衡が検出されるまで、第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAの前段フィルタ及び/又は後段フィルタを動作させないようにバイパス制御信号により制御するステップをさらに含む。ここで、ゲイン飽和に達したこととは、LNAのゲインが最大に調整されたと見なされてもよい。すなわち、LNAのゲインが最大に調整されてもなお複数のMIMOチャネルの信号受信均衡が検出されない場合、複数のMIMOチャネルの信号品質均衡が検出されるまで、第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAの前段フィルタ及び/又は後段フィルタを動作しないようにバイパス制御信号により制御してもよい。LNAの前段フィルタは、LNAの前に位置するフィルタであり、LNAの後段フィルタは、LNAの後に位置するフィルタである。
図4を参照し、LNA1の前段フィルタはすなわちSAW1であり、LNA1の後段フィルタはすなわちSAW1-2である。バイパスとは、バイパスされるフィルタを短絡すると見なされてもよく、バイパスすべきフィルタがSAW1であれば、SAW1を短絡するように制御してもよい。
【0037】
具体的には、バイパス制御信号により、前段フィルタを動作しないように制御するか、又は後段フィルタを動作しないように制御するかは、実際の必要に応じて設定してもよい。例えば、まず、バイパス制御信号により、前段フィルタを動作させないように制御してから、複数のMIMOチャネルの信号品質均衡が達成されていか否かを検出する。信号品質均衡が達成されていれば、他のフィルタを動作しないように制御するのを停止する。信号品質均衡が達成されなければ、バイパス制御信号により、後段フィルタを動作しないように制御し、それでも信号品質均衡が達成されなければ、バイパス制御信号により、前段フィルタと後段フィルタを同時に動作しないように制御してもよい。
【0038】
例えば、
図4を参照し、電子機器内の無線周波数メインチップは、ByPassパス制御信号(すなわち、バイパス制御信号)を、バイパスする必要のあるフィルタ(前段フィルタ及び/又は後段フィルタ)に対応するバイパスByPassパスに送信し、ByPassパス制御信号により、前段フィルタ及び/又は後段フィルタが動作しないように制御することができる。バイパス制御信号により、前段フィルタ及び/又は後段フィルタを短絡することにより、前段フィルタ及び/又は後段フィルタを動作しないように制御することができる。
【0039】
なお、本実施例では、無線周波数メインチップがByPassパス制御信号を送信することを例とするだけであり、具体的な実現では、電子機器内の他のデバイスによりByPassパス制御信号を送信することも可能である。
【0040】
本実施例において、LNAのゲイン飽和後の解決方法が提供され、LNAのゲインが飽和している場合に、その前段フィルタ及び/又は後段フィルタをバイパスする方法を使用してさらに補償調整を行い、正確なMIMO均衡状態を達成するのに有利である。
【0041】
補償方式が減衰補償を含む場合、ステップ103で言及された、信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行うステップは、複数のMIMOチャネルのうちの第2のターゲットMIMOチャネル上の減衰ネットワークをアクティブ化することにより、前記第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるステップを含む。これは、電気回路やアンテナ自体の原因による信号受信不均衡を、ターゲットを絞って減衰補償するのに有利である。ここで、第2のターゲットMIMOチャネルは、複数のMIMOチャネルのうち、受信信号強度が比較的大きく、受信信号強度の減衰を必要とするMIMOチャネルであってもよい。減衰ネットワークは、信号強度の減衰が必要なときに有効化され、そのMIMOチャネルの受信信号強度の減衰を達成することができるように、各MIMOチャネル内に設定されてもよい。
【0042】
一つの実施例において、LNAゲイン補償は、一種の固定ゲイン補償と見なされてもよく、減衰補償は非固定ゲイン補償と見なされてもよい。固定ゲイン補償が必要な場合、LNAゲイン補償という補償方式を用いて信号補償を行ってもよく、非固定ゲイン補償が必要な場合、減衰補償という補償方式を用いて信号補償を行ってもよい。
【0043】
一つの実施例において、減衰ネットワークは、第1の減衰ネットワーク及び/又は第2の減衰ネットワークを含み、第1の減衰ネットワークは、MIMOチャネル内のLNAとMIMOアンテナとの間に配置され、第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるために用いられ、第2の減衰ネットワークは、MIMOチャネル内のMIMOアンテナ上に配置され、MIMOアンテナの効率を調整することにより、第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるために用いられる。第1の減衰ネットワークは、信号の伝導経路上で行われる信号強度減衰と見なされてもよく、第2の減衰ネットワークは、信号のアンテナ経路上で行われる信号強度減衰と見なされてもよい。
【0044】
例えば、
図5を参照してもよく、第1の減衰ネットワークは図におけるL6-1であり、第2の減衰ネットワークは図におけるL6-2に設けられている。複数のMIMOチャネルは、図中の4つのMIMOチャネルを含み、各MIMOチャネルには、LNA及びMIMOアンテナが含まれ、4つのMIMOチャネル上のLNAは、それぞれ、
図5におけるLNA1、LNA2、LNA3、LNA4であってもよく、4つのMIMOチャネル上のMIMOアンテナは、それぞれ、
図5におけるメインアンテナ、ダイバーシティアンテナ、PRxMIMOアンテナ、DRxMIMOアンテナであってもよい。MIMOチャネルにおけるLNAとMIMOアンテナとの間に配置される第1の減衰ネットワークは、
図5に示すような減衰調整可能ネットワーク1、減衰調整可能ネットワーク2、減衰調整可能ネットワーク3、減衰調整可能ネットワーク4を含んでもよい。第2の減衰ネットワークは、アンテナ効率減衰モジュールとも称されてもよく、具体的には、アクティブ化された時にMIMOアンテナのアンテナ効率を調整するために用いられるように各MIMOアンテナ上に配置可能なチューニングデバイスであってもよい。ここでいう調整は、主に低減することを指す。すなわち、第2の減衰ネットワークは、アクティブ化された時に、それが配置されたMIMOアンテナのアンテナ効率を低減するために使用可能である。
【0045】
一つの実施例において、複数のMIMOチャネルのうちの第2のターゲットMIMOチャネル上の減衰ネットワークをアクティブ化する実現方法は、無線周波数メインチップが第2のターゲットMIMOチャネル上の減衰ネットワークに減衰ネットワーク制御信号を送信し、第2のターゲットMIMOチャネル上の減衰ネットワークがアクティブ化されるようにこの減衰ネットワーク制御信号により制御することであってもよい。なお、本実施例では、無線周波数メインチップが減衰ネットワーク制御信号を送信することを例とするだけであり、具体的な実現では、電子機器内の他のデバイスにより減衰ネットワーク制御信号を送信することも可能である。
【0046】
一つの実施例において、減衰ネットワークは、第1の減衰ネットワークと、第2の減衰ネットワークとを含み、第1の減衰ネットワークの減衰可能な減衰度は、第2の減衰ネットワークの減衰可能な減衰度よりも大きい。信号受信不均衡の差が大きくない場合、第2の減衰ネットワークの微調整により均衡を達成することができ、信号受信不均衡の差が大きい場合、まず第1の減衰ネットワークにより粗調整し、そして第2の減衰ネットワークにより微調整することにより、信号受信均衡を達成する。ここで、信号受信不均衡の差が大きくないとは、第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度と、複数のMIMOチャネルのうち第2のターゲットMIMOチャネル以外のMIMOチャネルにおける信号受信強度との差が大きくないと見なされてもよく、2つのMIMOチャネルの信号受信強度の差が予め設定された差よりも小さいと見なされてもよい。予め設定された差は、実際の必要に応じて設定してもよく、本実施例ではこれについて具体的に限定しない。
【0047】
一つの実施例において、信号受信不均衡の原因が、電気回路やアンテナ自体の原因を含むと判定した場合、補償方式はLNAゲイン補償及び減衰補償を含み、ステップ103で言及された、信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行うステップは、複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償し、ゲイン飽和に達し且つ複数のMIMOチャネルの信号受信均衡が検出されていない場合、複数のMIMOチャネルのうちの第2のターゲットMIMOチャネル上の減衰ネットワークをアクティブ化して、第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるステップを含む。すなわち、LNAゲイン補償と減衰補償との2つの補償方式を組み合わせて信号補償を行ってもよい。
【0048】
実際のシナリオにおいて、4ウェイのMIMOチャネルには、受信信号強度が二強二弱、三強一弱、一強三弱、などの様々な複雑な状況が存在する可能性がある。本実施例では、以下の補償原則を用いて補償してもよい。受信信号強度の比較的弱いMIMOチャネルの信号を優先的に強化し、更なる強化が不可能である場合、受信信号強度の比較的強いMIMOチャネルの信号を減衰させ、4つのMIMOチャネルの受信信号を均衡にする。ここで、受信信号強度の比較的弱いMIMOチャネルの信号を強化することは、LNAゲイン補償を用いて、LNAゲインを増大させることにより実現してもよく、受信信号強度の比較的強いMIMOチャネルの信号を減衰させることは、上述した減衰補償方式を用いて実現してもよい。
【0049】
本実施例において、LNAのゲイン飽和後の解決方法が提供され、LNAのゲインが飽和している場合に、減衰補償を用いてさらに補償調整を行い、正確なMIMO均衡状態を達成するのに有利である。
【0050】
一つの実施例において、前記信号受信不均衡の原因が、電子機器の把持姿勢による原因を含むと判定した場合、補償方式は、把持姿勢補償と、LNAゲイン補償と、減衰補償とのうちの1つ又はそれらの任意の組み合わせを含む。前記補償方式が把持姿勢補償を含む場合、ステップ103で言及された、信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行うステップは、電子機器の把持姿勢に影響されたMIMOアンテナを確定し、影響されたMIMOアンテナをターゲットアンテナに切り替えるステップを含み、ここで、ターゲットアンテナは、電子機器内の複数のMIMOチャネル内の各MIMOアンテナ以外の、把持姿勢に影響されないアンテナである。補償方式がLNAゲイン補償を含む場合、ステップ103で言及された、信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行うステップは、複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償するステップを含む。補償方式が減衰補償を含む場合、ステップ103で言及された、信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行うステップは、複数のMIMOチャネルのうちの第2のターゲットMIMOチャネル上の減衰ネットワークをアクティブ化することにより、第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるステップを含む。ここで、LNAゲイン補償及び減衰補償については以上で説明したが、以下では、電子機器がハンドヘルド端末である場合を例として、把持姿勢補償について説明する。
【0051】
ハンドヘルド端末は、動作中に、ある1つのMIMOアンテナが挟まれたり近接されたりして、そのMIMOアンテナの信号受信が影響される。このとき、ハンドヘルド端末は、具体的にどのMIMOアンテナが影響を受けているかを特定することができる。すなわち、ハンドヘルド端末は、そのハンドヘルド端末の把持姿勢に影響されたMIMOアンテナを特定することができる。ハンドヘルド端末には、MIMOアンテナのほかにも他のアンテナが含まれており、ハンドヘルド端末は、他のアンテナ内で、このハンドヘルド端末の把持姿勢に影響を受けないターゲットアンテナを決定し、このハンドヘルド端末の把持姿勢に影響されたMIMOアンテナをターゲットアンテナに切り替えてもよい。
【0052】
例えば、
図6を参照し、RX0、RX1、RX3、RX4はそれぞれ、4つのMIMOチャネル内のMIMOアンテナであり、RX0-2、RX4-2はそれぞれ、ハンドヘルド端末上のMIMOアンテナ以外の他のアンテナである。仮に、RX0とRX4とがハンドヘルド端末の把持姿勢に影響されたMIMOアンテナであり、RX0-2、RX4-2がこのハンドヘルド端末の把持姿勢に影響されないアンテナであるとすると、RX0をRX0-2に、RX4をRX4-2に切り替えてもよい。なお、アンテナの切り替え方法は、DPDT二極双投等のスイッチにより実現してもよいが、本実施例ではこれについて具体的には限定しない。
【0053】
一つの実施例において、信号受信不均衡の原因が、電子機器の把持姿勢による原因を含むと判定した場合、上記のLNAゲイン補償及び/又は減衰補償を直接用いて信号補償を行ってもよく、まず把持姿勢補償方式を用いて信号補償を行ってから、LNAゲイン補償及び/又は減衰補償により微調整して複数のMIMOチャネルの受信信号強度均衡を達成してもよい。ここで、まず把持姿勢補償方式を用いて信号補償を行うことは、アンテナ効率が激減しているが補償できない状況に適している。
【0054】
本実施例は、把持姿勢による原因による信号受信不均衡を、ターゲットを絞って補償するのに有利である。
【0055】
一つの実施例において、信号受信不均衡の原因が、電子機器と基地局との指向性の違いによる原因を含むと判定した場合、補償方式は、指向性補償と、LNAゲイン補償と、減衰補償とのうちの1つ又はそれらの任意の組み合わせを含む。補償方式が指向性補償を含む場合、ステップ103で言及された、信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行うステップは、複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整することにより、調整後の放射方向が基地局を向くようにするステップであって、第1のターゲットMIMOアンテナの受信信号強度が第1の予め設定された強度よりも小さいステップ、又は、第1のターゲットMIMOアンテナを第2のターゲットアンテナに切り替えるステップであって、第2のターゲットアンテナは、電子機器内の複数のMIMOチャネル内の各MIMOアンテナ以外のアンテナであり、第2のターゲットアンテナの受信信号強度が第2の予め設定された強度よりも大きいステップ、又は、電子機器を使用する使用者に、基地局に対する向きを変更するように指示して、使用者による向きの変更後に基地局の位置を向くようにするステップ、を含む。補償方式がLNAゲイン補償を含む場合、ステップ103で言及された、信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行うステップは、複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償するステップを含む。補償方式が減衰補償を含む場合、ステップ103で言及された、信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行うステップは、複数のMIMOチャネルのうちの第2のターゲットMIMOチャネル上の減衰ネットワークをアクティブ化することにより、第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるステップを含む。ここで、LNAゲイン補償及び減衰補償については以上で説明したが、以下では、電子機器が端末である場合を例として、主に指向性補償について説明する。
【0056】
指向性補償方式1
複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整することにより、調整後の放射方向が基地局を向くようにし、ここで、第1のターゲットMIMOアンテナの受信信号強度が第1の予め設定された強度よりも小さい。第1の予め設定された強度は、実際の必要に応じて設定してもよく、受信信号強度が比較的弱いことを表すために用いられる。第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整することは、具体的には、第1のターゲットMIMOアンテナのメイン放射方向を調整することにより、調整後の放射方向が基地局を向くようにすることであってもよく、第1のターゲットMIMOアンテナの受信信号強度を高めるのに有利である。具体的な実現において、アンテナ整合及びtunnerチューニングデバイスを用いて、第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を、できる限り基地局側を向くように調整することにより、その信号強度を強化して、複数のMIMOチャネルが均衡状態に回復するのを助ける。
【0057】
指向性補償方式2
第1のターゲットMIMOアンテナを第2のターゲットアンテナに切り替え、第2のターゲットアンテナは、電子機器内の複数のMIMOチャネル内の各MIMOアンテナ以外のアンテナであり、ここで、第2のターゲットアンテナの受信信号強度が第2の予め設定された強度よりも大きい。第2の予め設定された強度は、実際の必要に応じて設定してもよく、受信信号強度が比較的強いことを表すために用いられる。すなわち、第1のターゲットMIMOアンテナは、各MIMOアンテナのうち受信信号強度が比較的弱いMIMOアンテナであり、第2のターゲットアンテナは、端末内の各MIMOアンテナ以外の他のアンテナのうち受信信号強度が比較的強いアンテナである。具体的な実現において、DPDTなどのスイッチを用いて、信号の弱いMIMOアンテナ(第1のターゲットMIMOアンテナ)を、信号の比較的強い他のアンテナ(第2のターゲットアンテナ)に切り替えてもよく、これにより、MIMO均衡性への補完を実現することができる。
【0058】
指向性補償方式3
端末を使用する使用者に、基地局に対する向きを変更するように指示して、使用者による向きの変更後に基地局の位置を向くようにする。現在の端末の各MIMOアンテナの放射方向がいずれも基地局の方向から離反し、信号伝送がブロックされ、上述の2つの指向性補償方式が効かない場合、指向性補償方式3を導入してもよい。例えば端末はUIインターフェースを通じて、現在接続されている基地局の位置をグラフィカル化し、基地局と端末との位置関係をUIインターフェース上に指向性を反映するように表示し、端末の基地局に対する向きを変えるように使用者を案内し、これにより、指向性MIMO補償を行い、複数のMIMOチャネルが等化状態に回復するのを助ける。
【0059】
本実施例は、指向性の違いによる原因による信号受信不均衡を、ターゲットを絞って補償するのに有利である。
【0060】
一つの実施例において、指向性補償方式1で言及された、複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整することにより、調整後の放射方向が前記基地局を向くようにするステップは、
図7に示すようなフローチャートにより実現してもよい。
【0061】
ステップ701において、複数のMIMOチャネルの信号受信強度に基づいて、基地局の位置を確定する。
【0062】
ステップ702において、基地局の位置に基づいて、基地局と、複数のMIMOチャネル内の複数のMIMOアンテナの放射方向とがなす角度の値をそれぞれ確定する。
【0063】
ステップ703において、角度の値に基づいて、基地局と電子機器との間の相対的な位置を確定する。
【0064】
ステップ704において、相対的な位置に応じて、複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整することにより、調整後の放射方向が基地局を向くようにする。
【0065】
本実施例において、第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整する方法が提供され、放射方向の正確で効率的な調整が容易になる。
【0066】
ステップ701において、電子機器は、複数のMIMOチャネルの信号受信強度に基づいて、この電子機器に接続されている基地局の位置情報を算出してもよい。
【0067】
ステップ702において、電子機器は、基地局の位置情報と複数のMIMOチャネル内の複数のMIMOアンテナの位置情報とに基づいて、基地局と複数のMIMOアンテナの放射方向とがなす角度の値をそれぞれ計算してもよい。
【0068】
ステップ703において、電子機器は、基地局と複数のMIMOアンテナの放射方向とのなす角度の値に基づいて、基地局と電子機器との相対的な位置を特定してもよく、この相対的な位置には、基地局と電子機器との距離、角度などが含まれてもよい。
【0069】
ステップ704において、電子機器は、基地局との相対的な位置を取得した後、現在調整する必要のある概ねの方向を知ることができ、この概ねの方向に応じて第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整することにより、調整後の放射方向が基地局を向くようにする。
【0070】
一つの実施例において、信号受信不均衡の原因が、電子機器と基地局との指向性の違いによる原因を含むと判定した場合、上記の指向性補償を用いると同時に、LNAゲイン補償、減衰補償を併せて用いて補助的な補償を行ってもよく、これにより、より良好な補償効果と、より良く且つ迅速に複数のMIMOチャネルの信号受信均衡を達成することができる。
【0071】
一つの実施例において、信号補償方法を実現する端末は、
図8に示すようなトラフィック探測モジュール801、MIMO信号検出モジュール802、パラメータ記憶モジュール803、MIMO均衡動的制御モジュール804、LNAゲイン補償モジュール805、減衰補償モジュール806、把持姿勢補償モジュール807、アンテナ指向性補償モジュール808を含む。以下に、上記の各モジュールについて説明する。
【0072】
トラフィック探測モジュール801は、MIMO均衡動的制御モジュール804に接続され、5G端末の現在のMIMOトラフィックの検出を実行するために用いられる。ここでのトラフィックは、アップリンクスループットと、ダウンリンクスループットとの2つの部分を含む端末のスループットトラフィックを指し、ダウンリンクスループットは、SISO、2X2MIMO、4X4MIMOを含み、アップリンクスループットは、SISO及び2X2MIMOを含む。同時に、端末トラフィックは強信号、中信号、弱信号などの複数のシナリオに分けられる。現在の端末が高いスループット需要を必要とすることをトラフィック探測モジュール801により検出すると、まず、現在のスループット需要がアップリンクかダウンリンクかを判断し、さらにスループット需要量を判断することにより、対応する数のMIMOチャネルを開放する。また、端末が弱信号シナリオにおいて動作し、総感度に対して一定の要求がある場合も、一定の数のMIMOチャネルを開放する必要がある。
【0073】
MIMO信号検出モジュール802は、MIMO均衡動的制御モジュール804に接続され、端末MIMO信号を検出するために用いられる。トラフィックが最大スループットを必要とする場合、MIMOの4つのチャネルの受信信号が全て均衡状態にあることが必要である。ここでのMIMO信号検出は、端末により受信された、基地局から送信された信号を捕捉して解析することにより行ってもよく、端末が受信した信号を、専用のキーワード解析により各周波数帯域の4つのチャネルの受信信号強度を得る。ここで、キーワードは、各チャネルを通るRSRP、信号対雑音比、ビット誤り率、スループットなどを含む。NR周波数帯域1の4ウェイのMIMOチャネルの受信信号強度をそれぞれN1_RX0、N1_RX1、N1_RX2、N1_RX3とする。N1_RXx間の差が予め設定された均衡閾値、例えば2dBよりも小さい場合、均衡であると見なされ、逆であれば、不均衡であると見なされる。
【0074】
MIMO均衡動的制御モジュール804は、その他の各モジュールと接続され、5G端末のMIMO均衡性のリアルタイムな調整及び制御のために用いられる。MIMO均衡動的制御モジュール804は、現在トラフィック探測モジュール801により検出されたトラフィック需要に基づいて必要なMIMOチャネルを開放し、さらにMIMO信号検出モジュール802により検出された各MIMOチャネルの受信信号強度に基づいて、信号受信不均衡(MIMO非均衡又はMIMO不均衡とも称される)の問題が存在するか否かを判断する。不均衡があると判断した場合、MIMO等化制御調整機能をアクティブ化する。同時に、MIMO均衡動的制御モジュール804は、制御方法の呼び出しも担う。MIMO不均衡を引き起こす要因が多いので、本実施例において、MIMO不均衡が引き起こされた決定的な要因を判断して対応する補償モジュールを使用することにより、対応する補償方式を用いて信号補償を行う。MIMO不均衡の原因が、電気回路やアンテナ自体の原因である場合、すなわち、電気回路自体の不均衡又はアンテナ自体の効率の差である場合、LNAゲイン補償モジュール805及び/又は減衰補償モジュール806を使用してもよい。MIMO不均衡の原因が端末の把持姿勢である場合、把持姿勢補償モジュール807を使用してもよいが、もちろん、補助補償のためにLNAゲイン補償モジュール805及び/又は減衰補償モジュール806を使用してもよい。MIMO不均衡の原因が端末と基地局との指向性の違いである場合、アンテナ指向性補償モジュール808を使用してもよいが、もちろん、補助補償のためにLNAゲイン補償モジュール805及び/又は減衰補償モジュール806を使用してもよい。
【0075】
LNAゲイン補償モジュール805は、MIMO均衡動的制御モジュール804に接続され、LNAのゲインに基づいてMIMO均衡性を補償及び調整するために用いられる。端末内のLNAは、一般には、0、1、2、3、4、5、...、Nレベルのような複数のゲインレベルを含み、0レベルに対応するゲインは最大であり、Nレベルに対応するゲインは最小である。例えば、N=7であれば、LNAレベル7のゲインが最小となる。RSRPを受信信号強度とすると、端末は、現在のNRの4ウェイのMIMOチャネルのRSRPをテストし、RSRPに対応するLNAゲインレベルがMで、M≦Nであり、そのウェイのMIMOチャネルのRSRPが他のウェイのMIMOチャネルよりも低いか又は高い場合、そのウェイのLNAゲインレベルを、例えばM-1又はM+1レベルのような、対応する補償レベルに調整してもよい。LNAの各レベルに対応するRSRPの増大値及び減少値は、出荷前のテストにより得てもよく、マッピング関係を有する1つのテーブルを形成してパラメータ記憶モジュール803に記憶され、MIMO均衡動的制御モジュール804によりリアルタイムにアクセス及び呼び出される。また、LNAゲインが飽和状態に達した場合、すなわちLNAゲインをこれ以上大きくすることができない場合、対応するSAWLESS補助機能を合わせて、ByPass制御信号によりLNAの前段及び後段の1つ又は2つのフィルタをByPassバイパスすることにより、LNAのRSRPをさらに強化することができる。ByPass制御信号によりLNAの前後段の1つ又は2つのフィルタをByPassバイパスすることは、バイパス制御信号により、LNAの前段及び後段の1つ又は2つのフィルタを動作しないように制御することと見なされてもよい。
【0076】
減衰補償モジュール806は、MIMO均衡動的制御モジュール804に接続され、減衰補償に基づいてMIMO均衡性を補償及び調整するために用いられる。非固定ゲイン補償を行う場合、減衰補償モジュール806を使用し、2つのサブモジュールである第1の減衰補償サブモジュール8061と第2の減衰補償サブモジュール8062とにより実現してもよい。第1の減衰補償サブモジュール8061は、各MIMOパス上にそれぞれ配置され、MIMOパス上の受信信号強度を直接減衰させる減衰調整可能ネットワークである。第2の減衰補償サブモジュール8062は、各アンテナ上にチューニングデバイスを配置することによりアンテナの効率を調整するアンテナ効率減衰モジュールとして見なされてもよい。
【0077】
把持姿勢補償モジュール807は、MIMO均衡動的制御モジュール804に接続され、把持姿勢の検出に基づいてMIMO均衡性のリアルタイムな調整を行うために用いられる。端末の縁部のあるエリアで指又は手により把持され、把持位置がちょうどNRのMIMOアンテナ位置又はその近傍である場合、把持姿勢補償モジュール807は、この信号を検出し、具体的にどのMIMOアンテナが影響を受けているかを特定し、影響を受けているMIMOアンテナを他の影響を受けていないアンテナに切り替える。具体的な実現において、把持姿勢補償を行う場合、LNAゲイン補償モジュール805及び/又は減衰補償モジュール806を使用して、補助補償を行ってもよい。
【0078】
アンテナ指向性補償モジュール808は、MIMO均衡動的制御モジュール804に接続され、基地局との指向性の違いに基づいてMIMO均衡性のリアルタイムな調整を行うために用いられる。アンテナ指向性補償とは主に、指向性の悪いMIMOアンテナの受信性能を補償することであり、ここでは、上述した実施例で言及された指向性補償方式1~3の3つの実現方式がある。具体的な実現において、アンテナ指向性補償を行う場合、LNAゲイン補償モジュール805及び/又は減衰補償モジュール806を使用して、補助補償を行ってもよい。
【0079】
本実施例において、LNAゲイン補償、減衰補償、把持姿勢補償、アンテナ指向性補償などの方式を通じて、端末が能動的にNR MIMOチャネルの信号補償及び調整を行うように制御して、端末NRの各ウェイのMIMOチャネルの受信均衡性を保証し、これにより、ある1つのNR周波数帯域の4X4MIMO受信チャンネルの状態を動的に調整できるようにし、4ウェイの均衡を実現して端末のスループット性能を向上させ、特に端末のピークアップロードとダウンロードスループットの性能効果を向上させることができる。
【0080】
一つの実施例において、信号補償方法のフローチャートは、
図9を参照することができ、ステップ901~ステップ909を含む。
【0081】
ステップ901において、端末システムがMIMO均衡モードをオンにした後、MIMO均衡動的制御モジュールは、端末がNR MIMO均衡性調整モードに入るように制御する。
【0082】
ステップ902において、トラフィック探測モジュールは、端末の現在のトラフィック需要を探測して判断し、必要なMIMOチャネルを開放する。
【0083】
ステップ903において、MIMO信号検出モジュールは、現在のNRの各MIMOチャネルの受信信号強度を検出する。
【0084】
ステップ904において、MIMO不均衡の原因を判断し、ここで、MIMO不均衡の原因が電気回路やアンテナ自体の原因である場合、ステップ905に進み、MIMO不均衡の原因が端末の把持姿勢による原因である場合、ステップ906に進み、MIMO不均衡の原因が端末と基地局との指向性の違いによる原因である場合、ステップ907に進む。
【0085】
ステップ905において、LNAゲイン補償を行う。
【0086】
ステップ906において、把持姿勢補償を行う。
【0087】
ステップ907において、指向性補償を行う。
【0088】
ステップ908において、LNAゲインが飽和した場合、減衰補償を行う。
【0089】
ステップ909において、各MIMOチャネルの受信信号強度をリアルタイムに収集し、MIMO均衡が検出されるまで閉ループ調節を行う。
ここで、MIMO不均衡の原因が端末の把持姿勢による原因である場合、把持姿勢補償を行うと同時に、LNAゲイン補償と減衰補償を使用して動的に調整してもよい。MIMO不均衡の原因が端末と基地局との指向性の違いによる原因である場合、アンテナ指向性補償を行うと同時に、LNAゲイン補償と減衰補償を使用して動的に調整してもよい。
【0090】
本実施例において、現在の5G端末は動作周波数が高いため、使用者の使用角度、手による把持姿勢、周辺障害物の影響は全て5G MIMOの伝送効果に直接影響することを考慮すると、使用者の手による把持姿勢が悪い場合、端末との位置が正しくない場合、基地局との相対的な方向が異なる場合のいずれの場合にも、5G MIMO信号の各パスは大きく減衰することになる。そこで、本実施例において、端末は、端末に対する使用者の角度の変化、基地局に対する方向の変化、手による把持姿勢の変化に応じて、MIMOパスの均衡性を動的に調整してもよく、これにより、端末の各ウェイのMIMOの受信均衡性を比較的に良く保証することができ、端末のスループット性能の向上に有利である。本実施例では、NR MIMO均衡性設計により、端末にシナリオの需要と使用環境条件及びNRトラフィック需要に応じてMIMO均衡性調整を行わせ、NR多重受信の差別化補完を実現し、端末のピークアップリンク/ダウンリンクスループット性能を向上させることができる。
【0091】
なお、本願の実施例における上記各例は、いずれも理解を容易にするための例示であり、本願の技術的解決策を限定するものではない。
【0092】
上記の各種方法のステップ分けは、単に明確に説明するためになされたものであり、実装時に1つのステップに統合するか、又は一部のステップを複数のステップに再分割してもよく、同一の論理的関係が含まれていれば、いずれも本願の保護範囲内に含まれ、アルゴリズム及びプロセスの中核となる設計を変更せずに、そのアルゴリズム又はプロセスに重要でない修正を加えたり、又は重要でない設計を導入したりしたものであれば、いずれも本願の保護範囲内に含まれる。
【0093】
本願の一実施例は電子機器を提供する。
図10に示すように、この電子機器は、少なくとも1つのプロセッサ1001と、少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されているメモリ1002とを備え、メモリ1002には少なくとも1つのプロセッサ1001により実行できる命令が記憶されており、命令が少なくとも1つのプロセッサ1001により実行されることで、少なくとも1つのプロセッサ1001が上記の信号補償方法を実行できるようにする。
【0094】
ここで、メモリ1002とプロセッサ1001とはバス方式で接続され、バスは任意の数の相互接続されたバス及びブリッジを含んでもよく、バスにより、1つ又は複数のプロセッサ1001とメモリ1002の様々な回路が一つに接続される。バスはまた、周辺機器、電圧安定器、及びパワーマネジメント回路などの様々な他の回路を一つに接続してもよいが、これらは当分野で周知なことであるので、本文ではこれ以上の説明を省く。バスインターフェースは、バスとトランシーバとの間のインターフェースを提供する。トランシーバは、1つの素子であってもよく、複数の受信機及び送信機のような複数の素子であってもよく、伝送媒体上で様々な他の装置と通信するための手段を提供する。プロセッサ1001によって処理されたデータはアンテナを介して無線媒体で伝送され、さらに、アンテナはまたデータを受信して、プロセッサ1001にデータを伝送する。
【0095】
プロセッサ1001は、バスの管理及び通常の処理を担う以外にも、さらにタイミング、周辺インターフェース、電圧調整、電源管理及びその他の制御機能を含む様々な機能を提供してもよい。一方、メモリ1002は、プロセッサ1001によって操作を実行するときに使用されるデータを記憶するために使用されてもよい。
【0096】
本願の実施例は、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。コンピュータプログラムがプロセッサにより実行された時、上記の方法実施例を実現する。
【0097】
すなわち、上記の実施例の方法における全部又は一部のステップを実施することは、プログラムによって関連するハードウェアに命令することにより実現してもよい。このプログラムは1つの記憶媒体に記憶され、1つの装置(ワンチップコンピュータ、チップなどであってもよい)又はプロセッサ(processor)に本願の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるためのいくつかの命令を含む。一方、前記した記憶媒体は、USBメモリ、リムーバブルハードディスク、リードオンリーメモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスク等、プログラムコードを記憶可能な種々の媒体を含む。
【0098】
本願の実施例により提供される信号補償方法によれば、電子機器の複数のMIMOチャネルの信号受信強度を検出し、信号受信強度に基づいて複数のMIMOチャネルに信号受信不均衡が存在すると判定した場合、さらに信号受信不均衡の原因を特定し、次に、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式を決定し、複数のMIMOチャネルの信号受信均衡が検出されるまで、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う。本実施例において、MIMOチャネルに信号受信の不均衡が存在すると判定した場合、分析により得られた、その不均衡現象が発生する原因に応じて、複数のMIMOチャネルの信号受信が均衡であると検出されるまで、ターゲットを絞った補償方式で信号補償を行う。不均衡現象が発生する異なる原因に応じて、ターゲットを絞って対応する補償方式を用いることにより、適応的な信号補償を行うことができ、そのため、信号補償の有効性を高め、電子機器の各ウェイのMIMOの受信均衡性を保証することができ、電子機器のスループット性能を向上させるのに有利である。
【0099】
上記の各実施例は、本願を実施するための一部の実施例であり、実際の応用においては、本願の精神及び範囲を逸脱することなく、形式的に及び細部に様々な変更を加えてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチ入力マルチ出力MIMO状態で動作する電子機器に用いられる信号補償方法であって、
前記電子機器の複数のMIMOチャネルの信号受信強度を検出するステップと、
前記信号受信強度に基づいて、前記複数のMIMOチャネルに信号受信不均衡が存在すると判定した場合、前記信号受信不均衡の原因を特定するステップと、
前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式を決定し、前記複数のMIMOチャネルの信号受信均衡が検出されるまで、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行うステップと、
を含む信号補償方法。
【請求項2】
前記信号受信不均衡の原因が、電気回路やアンテナ自体の原因を含むと判定した場合、前記補償方式は、低ノイズアンプLNAゲイン補償及び/又は減衰補償を含み、
前記補償方式が前記LNAゲイン補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償するステップを含み、
前記補償方式が前記減衰補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、前記複数のMIMOチャネルのうちの第2のターゲットMIMOチャネル上の減衰ネットワークをアクティブ化することにより、前記第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるステップを含む
請求項1に記載の信号補償方法。
【請求項3】
前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償する前記ステップは、
前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度と第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度とに応じて、前記第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを調整することにより、前記調整後のゲインの作用の下で、前記第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度と前記第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度との強度差が予め設定された均衡閾値よりも小さくなるようにするステップ
を含む請求項2に記載の信号補償方法。
【請求項4】
前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度と第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度とに応じて、前記第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを調整する前記ステップは、
前記第1のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度と前記第3のターゲットMIMOチャネルの受信信号強度との間の強度差を確定するステップと、
前記強度差に対応するゲインレベルを確定するステップであって、前記ゲインレベルはゲインに対応し、前記ゲインレベルが大きいほど、ゲインは小さくなるステップと、
前記第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAの現在のゲインレベルを、前記強度差に対応するゲインレベルに調整するステップと、
を含む請求項3に記載の信号補償方法。
【請求項5】
前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償する前記ステップの後に、
ゲイン飽和に達し且つ前記複数のMIMOチャネルの信号受信均衡が検出されない場合、前記複数のMIMOチャネルの信号品質均衡が検出されるまで、前記第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAの前段フィルタ及び/又は後段フィルタを動作させないようにバイパス制御信号により制御するステップ
をさらに含む請求項
2に記載の信号補償方法。
【請求項6】
前記減衰ネットワークは、第1の減衰ネットワーク及び/又は第2の減衰ネットワークを含み、
前記第1の減衰ネットワークは、前記MIMOチャネル内のLNAとMIMOアンテナとの間に配置され、前記第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるために用いられ、
前記第2の減衰ネットワークは、前記MIMOチャネル内のMIMOアンテナ上に配置され、前記MIMOアンテナの効率を調整することにより、前記第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるために用いられる
請求項2に記載の信号補償方法。
【請求項7】
前記信号受信不均衡の原因が、前記電子機器の把持姿勢による原因を含むと判定した場合、前記補償方式は、把持姿勢補償と、LNAゲイン補償と、減衰補償とのうちの1つ又はそれらの任意の組み合わせを含み、
前記補償方式が把持姿勢補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、
前記電子機器の把持姿勢に影響されたMIMOアンテナを確定し、前記影響されたMIMOアンテナをターゲットアンテナに切り替えるステップを含み、ここで、前記ターゲットアンテナは、前記電子機器内の前記複数のMIMOチャネル内の各MIMOアンテナ以外の、前記把持姿勢に影響されないアンテナであり、
前記補償方式がLNAゲイン補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償するステップを含み、
前記補償方式が前記減衰補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、前記複数のMIMOチャネルのうちの第2のターゲットMIMOチャネル上の減衰ネットワークをアクティブ化することにより、前記第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるステップを含む
請求項1に記載の信号補償方法。
【請求項8】
前記信号受信不均衡の原因が、前記電子機器と基地局との指向性の違いによる原因を含むと判定した場合、前記補償方式は、指向性補償と、LNAゲイン補償と、減衰補償とのうちの1つ又はそれらの任意の組み合わせを含み、
前記補償方式が指向性補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、
前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整することにより、調整後の放射方向が前記基地局を向くようにするステップであって、前記第1のターゲットMIMOアンテナの受信信号強度が第1の予め設定された強度よりも小さいステップ、又は、
前記第1のターゲットMIMOアンテナを第2のターゲットアンテナに切り替えるステップであって、前記第2のターゲットアンテナは、前記電子機器内の前記複数のMIMOチャネル内の各MIMOアンテナ以外のアンテナであり、前記第2のターゲットアンテナの受信信号強度が第2の予め設定された強度よりも大きいステップ、又は、
前記電子機器を使用する使用者に、前記基地局に対する向きを変更するように指示して、前記使用者による向きの変更後に前記基地局の位置を向くようにするステップ、を含み、
前記補償方式がLNAゲイン補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOチャネル上のLNAのゲインを補償するステップを含み、
前記補償方式が前記減衰補償を含む場合、前記信号受信不均衡の原因に対応する補償方式に従って信号補償を行う前記ステップは、前記複数のMIMOチャネルのうちの第2のターゲットMIMOチャネル上の減衰ネットワークをアクティブ化することにより、前記第2のターゲットMIMOチャネルにおける信号受信強度を減衰させるステップを含む
請求項1に記載の信号補償方法。
【請求項9】
前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整することにより、調整後の放射方向が前記基地局を向くようにする前記ステップは、
複数のMIMOチャネルの信号受信強度に基づいて、基地局の位置を確定するステップと、
前記基地局の位置に基づいて、前記基地局と、前記複数のMIMOチャネル内の複数のMIMOアンテナの放射方向とがなす角度の値をそれぞれ確定するステップと、
前記角度の値に基づいて、前記基地局と前記電子機器との間の相対的な位置を確定するステップと、
前記相対的な位置に応じて、前記複数のMIMOチャネルのうちの第1のターゲットMIMOアンテナの放射方向を調整することにより、調整後の放射方向が前記基地局を向くようにするステップと、
を含む請求項8に記載の信号補償方法。
【請求項10】
前記電子機器の複数のMIMOチャネルの信号受信強度を検出する前記ステップの前に、
前記電子機器のスループットトラフィックを検出するステップと、
前記スループットトラフィックの特徴を特定するステップと、
前記スループットトラフィックの特徴に応じて、前記電子機器の複数のMIMOチャネルを開放する必要があると判定した場合、前記電子機器の複数のMIMOチャネルを開放するステップと、
をさらに含む請求項1に記載の信号補償方法。
【請求項11】
前記電子機器の複数のMIMOチャネルの信号受信強度を検出する前記ステップの後に、
任意の2つのMIMOチャネルの信号受信強度の差を取得するステップと、
予め設定された均衡閾値よりも大きい差が存在する場合、前記複数のMIMOチャネルに信号受信不均衡が存在すると判定するステップと、
をさらに含む請求項1に記載の信号補償方法。
【請求項12】
少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されたメモリとを備える電子機器であって、
前記メモリには前記少なくとも1つのプロセッサにより実行できる命令が記憶され、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサが請求項1から11の何れか一項に記載の信号補償方法を実行できるようにする
電子機器。
【請求項13】
コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行された場合、請求項1から11の何れか一項に記載の信号補償方法を実現する
コンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】