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  • 特表-トリアミン系消毒洗浄組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】トリアミン系消毒洗浄組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/48 20060101AFI20240927BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240927BHJP
   A01N 25/30 20060101ALI20240927BHJP
   A01N 33/04 20060101ALI20240927BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/02 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/83 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/10 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/06 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20240927BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C11D3/48
A01P3/00
A01N25/30
A01N33/04
A01N25/04 101
C11D1/02
C11D1/66
C11D1/83
C11D3/30
C11D1/10
C11D1/06
C11D1/04
C11D1/72
C11D1/68
C11D1/722
C11D1/75
C11D1/90
C11D3/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523671
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2022079296
(87)【国際公開番号】W WO2023067109
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】21204013.3
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520346882
【氏名又は名称】アークサーダ・アー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セスイナ,オクサナ
(72)【発明者】
【氏名】ショー,ニール・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ナイティンゲイル,アーロン・トーマス・アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】クーバン,エマ
【テーマコード(参考)】
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AB05
4H003AB08
4H003AB10
4H003AC05
4H003AC08
4H003AC11
4H003AC15
4H003AC23
4H003DA05
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB15
4H003EB16
4H003EB28
4H003ED02
4H003FA07
4H003FA28
4H003FA34
4H011AA02
4H011BA05
4H011BB04
4H011DA16
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤及び少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む消毒洗浄組成物であって、有効な消毒、洗浄、及び表面上の低いストリーキング又は視覚的残留物をもたらす、消毒洗浄組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒洗浄組成物であって、
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含み、
8.5~12のpHを有し、
前記少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、pH0よりも高く、前記消毒洗浄組成物のpHよりも低い等電点(IEP)を有する、消毒洗浄組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤が、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-デシル-1,3-プロパンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-テトラデシル-1,3-プロパンジアミン、及びそれらの組合せからなる群から選択され、好ましくは、前記抗菌剤がN-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンである、請求項1に記載の消毒洗浄組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤が、アルキルカルボキシレート、アルキルエーテルカルボキシレート、アルキルプロピオネート、アルキルエーテルプロピオネート、アミノ酸系界面活性剤、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の消毒洗浄組成物。
【請求項4】
前記非イオン性界面活性剤が、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、脂肪酸エトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択され、並びに/又は
前記非イオン性界面活性剤が、イソトリデカノールエトキシレート、C9~C11アルコールエトキシレート、C12~C18アルコールエトキシレート、及びそれらの組合せからなる群から選択され、
好ましくは前記非イオン性界面活性剤が、少なくとも1つのC9~C11アルコールエトキシレートである、請求項1~3のいずれか一項に記載の消毒洗浄組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの両性界面活性剤を任意選択でさらに含み、
前記両性界面活性剤が、アミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン及びそれらの組合せからなる群から選択され、並びに/又は
前記両性界面活性剤が、N-アルキル(C6~18)-N,N-ジメチルアミン-N-オキシド、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ココアルキルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、イソアルキルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、及びセチルジメチルアミンオキシドからなる群から選択され、並びに/又は
好ましくは、前記少なくとも1つの両性界面活性剤がN-アルキル(C6~18)-N,N-ジメチルアミン-N-オキシドである、請求項1~4のいずれか一項に記載の消毒洗浄組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの緩衝剤をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の消毒洗浄組成物。
【請求項7】
前記緩衝剤が、少なくとも1つの有機酸を含み、好ましくは、前記有機酸はカルボン酸であり、好ましくは、酢酸、グリコール酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の消毒洗浄組成物。
【請求項8】
前記組成物に含まれる前記少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤の総量と界面活性剤の総量との比が1:1~1:4の間、好ましくは1:1~1:2の間、より好ましくは1:1~1:1.5の間である、請求項1~7のいずれか一項に記載の消毒洗浄組成物。
【請求項9】
前記組成物に含まれる界面活性剤の総重量に基づいて、10重量%~50重量%、好ましくは15重量%~35重量%、17.5重量%~30重量%、より好ましくは20重量%~25重量%の前記少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の消毒洗浄組成物。
【請求項10】
好ましくは、EDTA、MGDA、GLDA、NTA、β-ADA、IDHA、クエン酸塩、グルコン酸塩、ポリスチレンスルホネート、及びそれらの組合せを含む群から選択される、少なくとも1つのキレート剤をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の消毒洗浄組成物。
【請求項11】
殺生物活性第四級アンモニウム化合物を本質的に含まない、好ましくは含まない、及び/又は非水性溶媒を本質的に含まない、好ましくは含まない、請求項1~10のいずれか一項に記載の消毒洗浄組成物。
【請求項12】
1:1~1:1000、好ましくは1:100~1:200の比で請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物及び水を含む希釈された「即時使用」(「RTU」)形態である、請求項1~11のいずれか一項に記載の消毒洗浄組成物。
【請求項13】
8.5~10.5のpHを有する、請求項12に記載の消毒洗浄組成物。
【請求項14】
(a) 組成物の総重量に基づいて0.05重量%~0.1重量%の量の前記少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤と、
(b) 組成物の総重量に基づいて0.015重量%~0.05重量%の量の前記少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤と、
(c) 組成物の総重量に基づいて0.02重量%~0.1重量%の量の前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤と、
を含む、請求項12又は13に記載の消毒洗浄組成物。
【請求項15】
硬質表面を消毒及び/又は洗浄するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の消毒洗浄組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤及び少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む消毒洗浄組成物に関する。本発明の消毒洗浄組成物は、少量の抗菌剤のみを使用して効果的な消毒をもたらし、良好な洗浄並びに表面上のストリーキング(streaking)及び/又は少ない視覚的残留物を示す。
【背景技術】
【0002】
消毒洗浄組成物は、洗浄効果及び消毒効果の両方を含むあらゆる組成物を指す。それによって、消毒効果は、生物、特に微生物を死滅させ、破壊し、又はその増殖を阻害することができる抗菌剤によって達成される。消毒洗浄組成物を含む製品としては、硬質表面洗浄剤、手殺菌剤、器具用の消毒前洗浄剤、滅菌及び高レベル消毒洗浄組成物などが挙げられる。理想的には、抗菌剤は、あらゆる種類の微生物に対して広域スペクトル活性を有する。さらに、表面への消毒洗浄組成物の曝露時間は、できるだけ短くあるべきである。消毒洗浄組成物はまた、費用を節約し、抗菌剤によって引き起こされるあらゆる可能性のある有害作用を回避又は低減するために、最小量の抗菌剤を使用できるように高い有効性を有するべきである。また、エンドユーザの抗菌剤への曝露は、少量の抗菌剤及び/又は短い曝露時間を使用して最小限に抑えることができる。また、消毒洗浄組成物は、表面上の低いストリーキング及び/又は少ない視覚的残留物を伴って、表面を効果的に洗浄することが望ましい。さらに、消毒洗浄組成物は、希釈しても安定した製品pH値をもたらすことも好ましい。アミン系抗菌剤と非イオン性界面活性剤との組合せは、当技術分野において知られている。このような組成物における非イオン性界面活性剤単独の使用は、非イオン性界面活性剤及びpH依存性アニオン性界面活性剤の併用よりも洗浄にあまり効果的ではない。しかし、アニオン性界面活性剤は、通常、アミン系抗菌剤に対して拮抗性であり、それらの抗菌効力を危険にさらすことが知られており、したがって、アニオン性界面活性剤を含む消毒剤洗浄剤は、通常、アミン系抗菌剤のより高い最終使用レベルを必要とする。
【0003】
驚くべきことに、少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤を低レベルで少なくとも1つの非イオン性界面活性剤及び少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤と共に含む消毒洗浄組成物は、殺生物性組成物として有効であり、かつ脂っぽい及び粒状の汚れに対して良好な洗浄効率を提供するので、上記の問題を解決することが本発明者らによって見出された。これはまた、希釈後でさえ安定な生成物pHレベルをもたらす。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、洗浄及び消毒に有効な消毒洗浄組成物を提供することである。本消毒洗浄組成物は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、及びpH0よりも高く消毒洗浄剤組成物のpHよりも低い等電点(IEP)を有する少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤と組み合わせて、少量の少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤を含み、前記組成物は、8.5~12のpHを有する。
【0005】
この特定のpH範囲における少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤及び1つの非イオン性界面活性剤の組合せにより、高い抗菌効力に必要とされるトリアミン系抗菌剤の量を低減することが可能になる。8.5~12の特定のpHは、上記の界面活性剤がそれらのアニオン性形態であることを確実にするのに充分に高く、同時に、トリアミン系抗菌剤の殺菌効力を確実にするのに充分に低い。さらに、消毒洗浄組成物は、広く使用されている殺生物活性第4級アンモニウム化合物を本質的に含まず、好ましくは含まない。さらに、消毒洗浄組成物は、非水性溶媒を本質的に含まず、好ましくは含まない。これにより、本発明の消毒洗浄組成物は、環境に対する有害性がより少なくなり、及び/又は多くの溶媒に不安定な表面に適用可能である。驚くべきことに、洗浄効果における本発明の消毒洗浄組成物の有効性は、アニオン性界面活性剤の存在にもかかわらず低下せず、抗菌効果はさらに増加する。この消毒洗浄組成物は、非常に効果的な消毒、洗浄、並びに表面上の低いストリーキング及び/又は視覚的残留物をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】1:100希釈(「RTU C I.1」)の本発明の組成物(組成物I.1(「C I.1」)、表1参照)、水、及び2つの比較組成物(組成物A及びB)を用いて硬質表面上で実施した洗浄試験の結果を示す。 図1は、1:100希釈(「RTU C I.1」)の本発明の上記組成物(組成物I.1(C I.1)、表1参照)、水、及び2つの比較組成物(組成物A及びB)で洗浄した後の硬質表面の結果を示す。
図2】1:100希釈(「RTU C I.1」)の本発明の組成物(組成物I.1(「C I.1」)、表1参照)、水、及び2つの比較組成物(組成物A及びB)を用いて硬質表面上で実施した洗浄試験の結果を示す。 図2はカラムチャートであり、本発明の組成物(1:100希釈の組成物I.1(「RTU C I.1」)、表1参照)、水、及び2つの比較組成物(組成物A及びB)の洗浄効力を示す。 図1及び図2から導き出せるように、組成物I並びに組成物A及びBの洗浄性能は、水よりも優れており、互いに同等であった。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示及び特許請求の範囲において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形を含む。
【0008】
「8.5~12のpH」等の本明細書に列挙されるpH範囲は、列挙される値、及びpH8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、及び11.9等の中間の全ての値を含む。pHは、当技術分野でよく知られているように、例えば、標準的なガラスバルブpHメーターを用いて25℃で測定することができる。
【0009】
特に明記しない限り、本明細書で使用される「%」又は「パーセンテージ」という用語は、「重量パーセンテージ」(本明細書では「重量%」とも呼ばれる)を指す。
【0010】
本明細書で使用する場合、「アルキル」又は「アルキル基」という用語は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、環状アルキル基(又は「シクロアルキル」若しくは「脂環式」若しくは「炭素環式」基である)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなど)、分枝鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチルなど。)、及びアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基及びシクロアルキル置換アルキル基)を含む、1つ又は複数の炭素原子を有する飽和炭化水素を指す。本明細書で使用される「アルキル」又は「アルキル基」は、1~30個の間の炭素原子(C1~C30)、好ましくは1~24個の間の炭素原子、より好ましくは1~16個の間の炭素原子、さらにより好ましくは1~8個の間の炭素原子を含む。
【0011】
別段の指定がない限り、「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」及び「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で使用される場合、「置換アルキル」という用語は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素上の1つ以上の水素を置換する置換基を有するアルキル基を指す。このような置換基としては、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、又は芳香族(ヘテロ芳香族を含む)基を挙げることができる。
【0012】
本開示は、一般に、表面を消毒及び洗浄するための消毒洗浄組成物に関する。本明細書で使用する場合、「消毒洗浄組成物」という用語は、洗浄効果及び消毒効果の両方を含むあらゆる組成物として理解することができる。消毒洗浄組成物は、広範囲の微生物にわたって迅速な初期抗菌死滅をもたらすだけでなく、長期間にわたって抗菌活性をもたらし得る。
【0013】
一般に、本発明の消毒洗浄組成物は、少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み、8.5~12のpHを有する。少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、前記消毒洗浄組成物のpHよりも低いが、pH0よりも高い等電点(IEP)を有する。特定のpH依存性アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤とトリアミン系抗菌剤との組合せは、8.5~12のpHで高い抗菌効力を提供し、少量の抗菌剤のみの存在下で、短時間で広範囲の微生物を死滅させることができる。したがって、エンドユーザの抗菌剤への曝露が最小限に抑えられる。トリアミン系抗菌剤の使用は、pH依存性アニオン性界面活性剤の存在下で殺生物活性の最大の回復力を達成することができることを提供する。
【0014】
<トリアミン系抗菌剤>
本発明の組成物中に存在する「トリアミン系抗菌剤」は微生物に対して活性であり、少なくとも1つの微生物を死滅させる及び/又は微生物の増殖を制御する潜在力を有する。微生物の増殖は、微生物の増殖速度が低下するか、又は完全に阻害されるように制御することができる。
【0015】
本明細書で使用される場合、「微生物」という用語は、あらゆる非細胞性又は単細胞性(コロニーを含む)生物を指す。微生物は、全ての原核生物を含む。微生物としては、細菌(シアノバクテリアを含む)、胞子、地衣類、真菌、原生動物、ビリノ、ウイロイド、ウイルス、ファージ、及びいくつかの藻類が挙げられる。様々な異なる微生物を死滅又は防除することができる。例えば、消毒洗浄組成物は、グラム陽性菌、グラム陰性菌などを防除することができる。細菌に加えて、本開示の抗菌性組成物はまた、真菌、ウイルス、胞子、酵母、マイコバクテリアなどの様々な他の微生物を死滅させ、その増殖を制御することができる。本開示に従って死滅又は防除され得る特定の微生物の例としては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)、ナイセリア・ゴノルホエアエ(Neisseria gonorrhoeae)、大腸菌(Escherichia coli)、エンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannnii)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、エンテロバクター・ゲルゴビエ(Enterobact gergoviae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、ブルホルデリア・セパシア(Burholderia cepacia)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、コクリア・リゾフィラ(Kocuria rhizophila)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、出芽酵母(サッカロマイセス・セレビシエ、Saccharomyces cerevisiae)、アスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)、ペニシルフィウム・フニクロスム(Penicilfium funiculosum)、エウペニシリウム・レヴィツム(Eupenicillium levitum)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、クロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・テラエ(Mycobacterium terrae)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、ポリオウィルス、アデノウイルス、ノロウイルス、ワクシニアウイルス(Vaccinia virus)、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、又はそれらの組合せが挙げられる。より好ましくは、本発明の消毒洗浄組成物によって死滅又は防除され得る異なる微生物は、緑膿菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、エンテロコッカス・ヒラエ及びカンジダ・アルビカンスであり得る。
【0016】
トリアミン系抗菌剤は、3つのアミノ基を含む。アミノ基は、それぞれ個別に、第一級、第二級又は第三級アミノ基であり得る。ある特定の実施形態では、トリアミン系抗菌剤に含まれるアミノ基の少なくとも1つは、第三級アミノ基である。ある特定の実施形態では、トリアミン系抗菌剤に含まれるアミノ基の少なくとも1つは、第一級アミノ基である。ある特定の実施形態では、トリアミン系抗菌剤に含まれるアミノ基は、少なくとも1つの第一級アミノ基及び少なくとも1つの第三級アミノ基である。ある特定の実施形態では、トリアミン系抗菌剤に含まれるアミノ基は、2つの第一級アミノ基及び1つの第三級アミノ基である。
【0017】
少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-デシル-1,3-プロパンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-テトラデシル-1,3-プロパンジアミン、及びそれらの組合せからなる群から選択することができ、好ましくは、抗菌剤はN-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンである。
【0018】
微生物集団が少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%、又は水での洗浄によって達成されるよりも有意に多く低減される場合、成功した微生物低減が達成されることが理解される。微生物集団のより大きな減少は、より高いレベルの保護を提供する。
【0019】
本発明の消毒洗浄組成物は、殺生物活性第四級アンモニウム化合物を本質的に含まず、好ましくは含まない。本明細書で使用する場合、「本質的に含まない」とは、組成物が、非常に少量の、例えば組成物の10重量%未満、より好ましくは組成物の5重量%、3重量%、1重量%、0.5重量%又は0.3重量%未満のそれぞれの成分を含み得ることを意味する。
【0020】
本発明の消毒洗浄組成物は、殺生物活性第四級アンモニウム化合物を1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.3重量%未満の量で含む。しかし、殺生物活性第四級アンモニウム化合物は消毒洗浄組成物中に存在しないことが好ましい。
【0021】
「殺生物活性第四級アンモニウム化合物」は当業者に知られており、例えば、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルエチルベンジル第四級アンモニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、又は非ハロゲン化物第四級化合物、例えばジデシルメチルポリ(オキシエチル)アンモニウムプロピオネートである。
【0022】
<pH>
一般に、消毒洗浄組成物は、8.5~12のpHを有する。pH値は、好ましくは、組成物の濃度とは無関係であり、すなわち、組成物は、濃縮形態並びに希釈された即時使用(RTU)形態で同様のpH値を示す。「同様のpH値」は、pH値が、2未満、好ましくは1.5未満、より好ましくは1未満、さらにより好ましくは0.5未満の値だけわずかに変化することを意味する。
【0023】
消毒洗浄組成物は、8.5~12、好ましくは9~11のpHを有する。RTU形態において、消毒洗浄組成物は、同様に8.5~12のpHを有するが、好ましくは8.5~10.5のpH、より好ましくはpH9~10を有する。
【0024】
この穏やかなpH範囲に起因して、RTU形態の消毒洗浄組成物は、特に環境に優しく、したがってpH感受性表面にも適している。8.5~12の特定のpH範囲は、少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤がアニオン性形態で存在して界面活性剤の高い洗浄効力を提供することを保証するが、トリアミン系抗菌剤の高い殺菌効力を保証するのに充分低い。
【0025】
<界面活性剤>
消毒洗浄組成物は、pH0よりも高くかつ前記消毒洗浄組成物のpHよりも低い等電点(IEP)を有する少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤と、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤との有益な組合せを含む。驚くべきことに、これらの特定の界面活性剤をトリアミン系抗菌剤と組み合わせて使用すると、高い抗菌効力に必要とされるトリアミン系抗菌剤の量を減らすことができることが見出された。本発明の組成物は、高い洗浄効率、並びに硬質表面上の低いストリーキング及び/又は視覚的残留物を示す。
【0026】
前記少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤及び前記2種の界面活性剤は、1:08~1:4の間、好ましくは1:1~1:2の間、より好ましくは1:1~1:1.5の間のその中に含まれる少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤の総量とこれらの界面活性剤の総量との比で本発明の消毒洗浄組成物中に存在する。
【0027】
<pH依存性アニオン性界面活性剤>
本明細書で使用する場合、「アニオン性界面活性剤」という用語は、一般に、その負電荷のために「アニオン性」界面活性剤として分類される表面活性物質として理解され、この用語は界面活性剤も含み、その分子は、pHが中性以上に上昇しない限り電荷を持たない(例えば、カルボン酸)。
【0028】
このような分子が正味の電荷(すなわち、統計的平均において電気的に中性である)を持たないpH範囲は、「等電範囲」と呼ばれる。その等電範囲の平均は等電点(IEP)と呼ばれる。分子の等電点は、当技術分野で知られた方法によって測定することができる。例えば、等電範囲は、等電点電気泳動によって測定することができる。IEPを決定する別の方法は滴定である。
【0029】
pH依存性アニオン性界面活性剤の「正味電荷」は、その周囲環境のpHによって影響を受け、プロトン(H)の獲得又は損失に起因して正又は負に荷電され得る。「分子の正味電荷が中性である」という用語は、負電荷の数が分子上の正電荷の数に等しいか、又は分子が荷電していないと理解することができる。中性である分子の正味電荷はゼロである。
【0030】
本開示は、「pH依存性アニオン性界面活性剤」と「永久アニオン性界面活性剤」とを区別する。「pH依存性アニオン性界面活性剤」は、pH0よりも高く(pH>0)、本発明の消毒洗浄組成物のpHよりも低い等電点(IEP)を有すると定義される。これは、このタイプのアニオン性界面活性剤が、本明細書に開示される消毒洗浄組成物のpH範囲においてアニオン形態で存在し、pHを0に低下させると、この分子中の全ての負電荷が、これらのpH依存性アニオン性界面活性剤におけるプロトン化によって中和されることを意味する。
【0031】
対照的に、「永久アニオン性界面活性剤」は、pH0以下(pH≦0)で等電点を有すると定義される。これは、このタイプのアニオン性界面活性剤が、pHをアルカリ性範囲から0に低下させるとき、アニオン形態のままであることを意味する。
【0032】
本発明の消毒洗浄組成物では、少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤の高い抗菌活性を確実にするために、pH0よりも高く、前記消毒洗浄組成物のpHよりも低い等電点(IEP)を有しなければならない。
【0033】
本発明による組成物に使用されるpH依存性アニオン性界面活性剤は、典型的には殺生物活性を有さない。
【0034】
少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、アルキルカルボキシレート、アルキルエーテルカルボキシレート、アルキルプロピオネート、アルキルエーテルプロピオネート、アミノ酸系界面活性剤、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0035】
好適なアミノ酸系界面活性剤としては、アルキルグルタメート、アルキルアラニネート、アルキルグリシネート及びアルキルサルコシネートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
好ましい実施形態では、pH依存性アニオン性界面活性剤は、アルキルアラニネート、アルキルグルタメート、アルキルサルコシネート、アルキルグリシネート、アルキルアスパルテート、及びそれらの組合せからなる群から選択されるアミノ酸系界面活性剤である。
【0037】
ある特定の実施形態では、pH依存性アニオン性界面活性剤は、β-アラニン、N-(2-カルボキシエチル)N-ココアルキル誘導体、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネート、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-オクチル-β-アラニネート、β-アラニンN-(2-カルボキシエチル)N-獣脂アルキル誘導体、ナトリウムココイルアラニネート、ナトリウムラウロイルアラニネート、ナトリウムN-ドデカノイル-L-アラニネート、ナトリウムココイルグルタメート、ジナトリウムココイルグルタメート、アンモニウムココイルグルタメート、ジアンモニウムココイルグルタメート、ナトリウムラウロイルグルタメート、ジナトリウムラウロイルグルタメート、ナトリウムココイル加水分解コムギタンパク質グルタメート、ジナトリウムココイル加水分解コムギタンパク質グルタメート、カリウムココイルグルタメート、ジカリウムココイルグルタメート、カリウムラウロイルグルタメート、ジカリウムラウロイルグルタメート、カリウムココイル加水分解コムギタンパク質グルタメート、ジカリウムココイル加水分解コムギタンパク質グルタメート、ナトリウムカプリロイルグルタメート、ジナトリウムカプリロイルグルタメート、カリウムカプリロイルグルタメート、ジカリウムカプリロイルグルタメート、ナトリウムウンデシレノイルグルタメート、ジナトリウムウンデシレノイルグルタメート、カリウムウンデシレノイルグルタメート、ジカリウムウンデシレノイルグルタメート、ジナトリウム水素化獣脂グルタメート、ナトリウムステアロイルグルタメート、ジナトリウムステアロイルグルタメート、カリウムステアロイルグルタメート、ジカリウムステアロイルグルタメート、ナトリウムミリストイルグルタメート、ジナトリウムミリストイルグルタメート、カリウムミリストイルグルタメート、ジカリウムミリストイルグルタメート、ナトリウムココイル/水素化獣脂グルタメート、ナトリウムココイル/パルモイル/ヒマワリオイルグルタメート、ナトリウム水素化獣脂オイルグルタメート、ナトリウムオリボイルグルタメート、ジナトリウムオリボイルグルタメート、ナトリウムパルモイルグルタメート、ジナトリウムパルモイルグルタメート、TEA-ココイルグルタメート、TEA-水素化獣脂オイルグルタメート、TEA-ラウロイルグルタメート、ナトリウムラウロイルサルコシネート、ナトリウムココイルサルコシネート、ナトリウムミリストイルサルコシネート、TEA-ココイルサルコシネート、アンモニウムココイルサルコシネート、アンモニウムラウロイルサルコシネート、ダイマージリノレイルビス-ラウロイルグルタメート/ラウロイルサルコシネート、ジナトリウムラウロアンホジアセテートラウロイルサルコシネート、イソプロピルラウロイルサルコシネート、カリウムココイルサルコシネート、カリウムラウロイルサルコシネート、ナトリウムココイルサルコシネート、ナトリウムラウロイルサルコシネート、ナトリウムミリストイルサルコシネート、ナトリウムオレオイルサルコシネート、ナトリウムパルミトイルサルコシネート、TEA-ココイルサルコシネート、TEA-ラウロイルサルコシネート、TEA-オレオイルサルコシネート、TEA-パーム核サルコシネート、ナトリウムココイルグリシネート、ナトリウムラウロイルグリシネート、ナトリウムN-ラウロイルアスパルテート、ナトリウムN-ドデシルアスパルテート、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0038】
好ましい実施形態では、pH依存性アニオン性界面活性剤は、β-アラニン、N-(2-カルボキシエチル)N-ココアルキル誘導体、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネート、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-オクチル-β-アラニネート、β-アラニンN-(2-カルボキシエチル)N-獣脂アルキル誘導体、ナトリウムココイルアラニネート、ナトリウムラウロイルアラニネート、ナトリウムN-ドデカノイル-L-アラニネート、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0039】
より好ましい実施形態では、少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネートである。
【0040】
別の好ましい実施形態では、消毒洗浄組成物は、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネートと、上記のpH依存性アニオン性界面活性剤の少なくとも1つのさらなるpH依存性アニオン性界面活性剤とを含む。
【0041】
別の好ましい実施形態では、消毒洗浄組成物は、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネートと、β-アラニン、N-(2-カルボキシエチル)N-ココアルキル誘導体、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-オクチル-β-アラニネート、β-アラニン、N-(2-カルボキシエチル)N-獣脂アルキル誘導体、ナトリウムココイルアラニネート、ナトリウムラウロイルアラニネート、ナトリウムN-ドデカノイル-L-アラニネート、及びそれらの組合せの群から選択される少なくとも1つのさらなるpH依存性アニオン性界面活性剤とを含む。
【0042】
本明細書で使用する「N-(2-カルボキシエチル)N-ココアルキル誘導体」という用語は、C1~C22、好ましくはC2~C16原子のアルキル残基を含む。これらの逸脱はナトリウム塩の形態であり得る。例えば、「β-アラニン、N-(2-カルボキシエチル)N-ココアルキル誘導体」は、市販されており、CAS番号[90170-43-7]を有する物質であり得る。
【0043】
本明細書で使用される「N-(2-カルボキシエチル)N-獣脂アルキル誘導体」という用語は、C1~C22、好ましくはC2~C16原子のアルキル残基を含む。これらの逸脱はナトリウム塩の形態であり得る。例えば、「β-アラニン、N-(2-カルボキシエチル)N-獣脂アルキル誘導体」は、市販されており、CAS番号[61791-56-8]を有する物質であり得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「TEA-ココイルグルタメート」などの化合物における略語「TEA」は、「トリエタノールアミン」を指す。
【0045】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、前記組成物に含まれる界面活性剤の総重量に基づいて、10重量%~50重量%、好ましくは15重量%~35重量%、17.5重量%~30重量%、より好ましくは20重量%~25重量%の前記少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤を含む。
【0046】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、前記組成物に含まれる界面活性剤の総重量に基づいて、少なくとも10~35重量%、好ましくは少なくとも15~30重量%、より好ましくは20~25重量%の前記少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤を含む。
【0047】
<非イオン性界面活性剤>
「非イオン性界面活性剤」という用語は、一般に有機疎水性基及び有機親水性基の存在を特徴とする界面活性剤を指し、非イオン性界面活性剤は当業者に知られており、典型的には、有機脂肪族、アルキル芳香族又はポリオキシアルキレン疎水性化合物と、通常はエチレンオキシド又はその多水和生成物であるポリエチレングリコールである親水性アルカリ酸化物部分との縮合によって生成される。
【0048】
実際には、反応性水素原子を有するヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、又はアミド基を有する任意の疎水性化合物を、エチレンオキシド、又はその多水和付加物、又はプロピレンオキシドなどのアルコキシレンとのその混合物と縮合させて、非イオン性界面活性剤を形成することができる。任意の特定の疎水性化合物と縮合される親水性ポリオキシアルキレン部分の長さは、容易に調節して、親水性と疎水性との間の所望の程度のバランスを有する水分散性又は水溶性化合物を得ることができる。
【0049】
有用な非イオン性界面活性剤としては、約6~約24個の炭素原子を有する1モルの飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖アルコールと約3~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられる。アルコール部分は、上記の炭素範囲のアルコールの混合物からなることができ、又はこの範囲内の特定の数の炭素原子を有するアルコールからなることができる。
【0050】
約8~約18個の炭素原子を有する1モルの飽和又は不飽和の直鎖又は分枝鎖カルボン酸と約6~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。酸部分は、上記で定義された炭素原子範囲の酸の混合物からなり得るか、又はその範囲内の特定の数の炭素原子を有する酸からなり得る。この化学の市販の化合物の例は、Henkel Corporationによって製造されるNopalcol(商標)及びLipo Chemicals,Inc.によって製造されるLipopeg(商標)の商品名で入手可能である。一般にポリエチレングリコールエステルと呼ばれるエトキシル化カルボン酸に加えて、グリセリド、グリセリン、及び多価(糖類又はソルビタン/ソルビトール)アルコールとの反応によって形成される他のアルカン酸エステルは、特殊な実施形態、特に間接的な食品添加物用途のための本発明における用途を有する。これらのエステル部分の全ては、これらの物質の親水性を制御するためにさらなるアシル化又はエチレンオキシド(アルコキシド)付加を受けることができる1つ以上の反応性水素部位をそれらの分子上に有する。
【0051】
脂肪族アルコールと約0~約25モルのエチレンオキシドとのアルキルエトキシレート縮合生成物は、本組成物における使用に適している。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、直鎖又は分枝鎖、第一級又は第二級のいずれでもよく、一般に6~22個の炭素原子を含有する。
【0052】
また、好適な非イオン性界面活性剤は、アルキル多糖類界面活性剤であり得る。これらの界面活性剤は、約6~約30個の炭素原子を含有する疎水性基と、約1.3~約10個の糖単位を含有するポリグリコシドなどの多糖類親水性基とを含む。5個又は6個の炭素原子を含有する任意の還元糖を使用することができ、例えば、グルコース、ガラクトース及びガラクトシル部分をグルコシル部分に置換することができる。任意選択で、疎水性基が、2位、3位、4位等に結合して、グルコシド又はガラクトシドではなくグルコース又はガラクトースを与える。糖間結合は、例えば、追加の糖単位の1つの位置と先の糖単位の2位、3位、4位、及び/又は6位との間にあることができる。
【0053】
組成物に使用され得る他の非イオン性界面活性剤としては、限定されないが、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル、グリコシドアルキルエーテル、デシルグリコシド、ラウリルグリコシド、オクチルグリコシド、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、グリセロールアルキルエステル、ポリグリセロールエステル、ラウリン酸グリセリル、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ドデシルジメチルアミンオキシド、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ポロキサマー及びポリエトキシル化獣脂アミン(POEA)、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0054】
ある特定の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、脂肪酸エトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルフェノールエトキシレート、ポリーエチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0055】
ある特定の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、イソトリデカノールエトキシレート、C9~C11アルコールエトキシレート、C12~C18アルコールエトキシレート、及びそれらの組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、少なくとも1つのC9~C11アルコールエトキシレートである。
【0056】
「C9~C11アルコールエトキシレート」又は「C12~C18アルコールエトキシレート」は、しばしば混合物として市販されている。例えば、Imbentin(商標)C/91/060は、「C9~11アルコールエトキシレート」の市販製品であり、例えば、「C9~11、分岐及び直鎖、エトキシル化」(CAS:[160901-09-7])として入手可能である。別の「C9~C11アルコールエトキシレート」は、「アルコール、C9~11、エトキシル化」(CAS:[68439-46-3])として入手可能である。
【0057】
別の特定の実施形態では、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、少なくとも1つのC9~C11アルコールエトキシレートと、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルフェノールエトキシレート、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択されるさらなる非イオン性界面活性剤とを含む。
【0058】
<さらなる成分>
緩衝剤
本発明の消毒洗浄組成物は、緩衝剤をさらに含んでもよい。「緩衝剤」は、本発明の組成物のpHレベルを維持するのに好適な薬剤であり、典型的には、酸及び(共役)塩基(及びその逆)から構成される。pH安定性は、適切な抗菌効力を保証するために本開示に従って配合された特定の組成物にとって重要であり得る。好適な緩衝剤は、少なくとも1つの有機酸、好ましくはカルボン酸をベースとし得る。少なくとも1つのカルボン酸は、酢酸、グリコール酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、及びこれらの酸の共役塩基と一緒に使用されるそれらの組合せ、又はそれらの混合物であり得る。他の適切な緩衝剤は、当業者に知られている。
【0059】
典型的には、これらの酸の1重量%未満が、所望のpHを達成するために必要とされる。適切な量は、当業者によって容易に決定され得る。好ましくは、緩衝剤は酒石酸であり得る。
【0060】
pHは、塩酸若しくは水酸化ナトリウム、又はカルボン酸、好ましくは酒石酸で調整することができる。
【0061】
両性界面活性剤
本明細書に開示される消毒洗浄組成物は、「両性界面活性剤」をさらに含んでもよい。「両性界面活性剤」は、塩基性親水性基及び酸性親水性基の両方、並びに有機疎水性基を含有する界面活性剤であると理解される。これらのイオン性実体は、他のタイプの界面活性剤について本明細書に記載されるアニオン性又はカチオン性基のいずれかであり得る。塩基性窒素及び酸性カルボキシレート基は、塩基性親水性基及び酸性親水性基として用いられる典型的な官能基である。少数の界面活性剤では、スルホネート、サルフェート、ホスホネート又はホスフェートが負電荷を提供する。
【0062】
さらなる種類の両性界面活性剤は、双性イオン性界面活性剤、例えば、ベタイン界面活性剤である。双性イオン性界面活性剤は、両性界面活性剤のサブセットと考えることができ、アニオン性電荷を含むことができる。双性イオン性界面活性剤は、第二級及び第三級アミンの誘導体、複素環式第二級及び第三級アミンの誘導体、又は第四級アンモニウム、第四級ホスホニウム若しくは第三級スルホニウム化合物の誘導体として広く記載することができる。典型的には、双性イオン性界面活性剤は、正に荷電した第四級アンモニウム、又は場合によってはスルホニウム又はホスホニウムイオン、負に荷電したカルボキシル基、及びアルキル基を含む。双性イオンは、一般に、分子の等電領域においてほぼ等しい程度までイオン化し、正-負電荷中心間に強い「内塩」引力を生じさせることができるカチオン性及びアニオン性基を含有する。このような双性イオン性合成界面活性剤の例としては、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウムの誘導体、及びスルホニウム化合物が挙げられ、ここで、脂肪族基は、直鎖又は分枝鎖であり得て、脂肪族置換基の1つは、8~18個の炭素原子を含有し、1つは、アニオン性水溶性基、例えば、カルボキシル、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートを含有する。
【0063】
本発明による組成物に使用される両性界面活性剤は、殺菌活性を有さない。
【0064】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、前記消毒洗浄組成物のpHよりも高い等電点(IEP)を有する少なくとも1つの両性界面活性剤をさらに含む。
【0065】
ある特定の実施形態では、両性界面活性剤は、アミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0066】
ある特定の実施形態では、両性界面活性剤は、ココアミドプロピルベタインを含んでもよい。
【0067】
ある特定の実施形態では、両性界面活性剤は、デシルベタイン、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタイン、ココジメチルカルボキシメチルベタイン(「ココベタイン」)、ココアミドエチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ミリスチルアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルα-カルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス-(2-ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス-(2-ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルγ-カルボキシプロピルベタイン、ラウリルビス-(2-ヒドロキシプロピル)α-カルボキシエチルベタイン、ココアミドプロピルジメチルベタイン、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0068】
ある特定の実施形態では、両性界面活性剤は、ポリマーベタインを含んでもよい。
【0069】
ある特定の実施形態では、両性界面活性剤は、アミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン及びそれらの組合せからなる群から選択され、好ましくは、両性界面活性剤は、N-アルキル(C6~18)-N,N-ジメチルアミン-N-オキシド、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ココアルキルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、イソアルキルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、セチルジメチルアミンオキシド、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0070】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの両性界面活性剤はN-アルキル(C6~18)-N,N-ジメチルアミン-N-オキシドである。
【0071】
キレート剤
本明細書に開示される消毒洗浄組成物は、キレート剤をさらに含んでもよい。本明細書で使用される場合、「キレート剤」という用語は、水源に通常見られる金属イオンを配位(すなわち、結合)して、金属イオンが他の成分の作用を妨害するのを防ぐことができる分子として理解することができる。適切なキレート剤は当業者に知られている。キレート剤の例としては、ホスホン酸及びホスホネート、ホスフェート、アミノカルボキシレート及びそれらの誘導体、ピロホスフェート、エチレンジアミン及びエチレントリアミン誘導体、ヒドロキシ酸並びにモノ-、ジ-、及びトリカルボキシレート及びそれらの対応する酸が挙げられる。ある特定の実施形態において、組成物はホスフェートを含まない。
【0072】
好ましいキレート剤は、約5.5以上の安定性定数(対数形式で表される)を有するカルシウム-キレート剤錯体を形成する。カルシウムキレート剤安定性定数(K)は、水溶液中でカルシウムイオン(Ca)とキレート剤(L)との反応によって形成されるカルシウムキレート剤錯体(CaL)の安定性の尺度である。
【0073】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、L-グルタミン酸N,N-二酢酸四ナトリウム(GLDA)からなる群から選択される酢酸誘導体が挙げられる。
【0074】
キレート剤は、組成物中の消毒成分の有効性に悪影響を及ぼし得る他の金属イオンを結合する働きをし得る。加えて、キレート剤はまた、汚れの除去及び/又は使用中の消毒組成物への汚れの再付着の防止を助けることができる。
【0075】
消毒洗浄組成物は、前記少なくとも1つのキレート剤を、組成物の総重量に基づいて0.5重量%~30重量%、好ましくは1.0重量%~10重量%の量で含んでもよい。
【0076】
消毒洗浄組成物が希釈された即時使用形態である場合、キレート剤の量は、即時使用形態の組成物の総重量に基づいて、対応してより少なく、例えば0.005重量%~0.3重量%、好ましくは0.01重量%~0.10重量%である。
【0077】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、好ましくはEDTA、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、GLDA、NTA、β-アラニン二酢酸塩(β-ADA)、イミド二コハク酸(IDHA)、クエン酸塩、グルコン酸塩、ポリスチレンスルホネート、及びそれらの組合せを含む群から選択される少なくとも1つのキレート剤を含む。
【0078】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのキレート剤は、EDTA、MGDA、GLDA、及びそれらの組合せを含む群から選択される。
【0079】
少なくとも1つのキレート剤は、遊離酸又はその対応する塩の形態、好ましくはそのナトリウム塩の形態であり得る。
【0080】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、メチルグリシン二酢酸三ナトリウム塩(MGDA-Na3、Trilon M)を含む。
【0081】
任意のさらなる成分
消毒洗浄組成物は、芳香剤、製品着色剤、腐食防止剤、追加の界面活性剤、分散剤、安定化剤、レオロジー調整剤、担体、防腐剤、漂白剤などを含むがこれらに限定されないさらなる任意選択の成分を含んでもよい。例示的な腐食防止剤としては、例えば、有機リン化合物及び有機リン化合物とポリマー成分とのブレンドが挙げられる。製品着色剤は、組成物の外観を変化させるために含まれ得る。組成物に含まれ得る芳香剤又は香料は、例えば、シトロネロールなどのテルペノイド、アミルシンナムアルデヒドなどのアルデヒド、C1S-ジャスミン又はジャスマールなどのジャスミン、バニリンなどを含む。製品着色剤及び芳香剤は、それらが組成物の機能を妨害せず、組成物の同定に役立ち得るという条件で添加され得る。
【0082】
上記のさらなる成分はいずれも、組成物が濃縮物の形態であるか、希釈された即時使用形態(以下を参照されたい)であるかにかかわらず、本発明の消毒洗浄組成物中に存在し得る。
【0083】
<消毒洗浄組成物の即時使用(RTU)形態>
本発明の消毒洗浄組成物を希釈して、その即時使用(RTU)形態(「RTU組成物」)を提供してもよい。
【0084】
本発明の組成物は、単一希釈で又は段階的に希釈して、「即時使用消毒洗浄組成物」(「RTU組成物」)を提供することができる。
【0085】
本発明の組成物は、任意の適切な量の水で希釈することができる。「1:10」、「1:100」、「1:200」、「1:500」などの用語は、「希釈係数」と呼ばれる。これらの希釈係数のそれぞれにおいて、分子「1」は消毒洗浄組成物の部数を指し、他の数(例えば、10、100、200、又は500)は水による各希釈の合計部数を指す。例えば、1:1000の希釈係数を有する消毒洗浄組成物は、消毒洗浄組成物の1部を1000部の水で希釈することができる。好ましい実施形態では、消毒洗浄組成物の1部は、50~500部の水で希釈される。より好ましくは、消毒洗浄組成物は、使用のために100又は200部の水で希釈される。
【0086】
その後の希釈のために本発明の消毒洗浄組成物を提供することは、希釈された即時使用消毒洗浄組成物の代わりに消毒洗浄組成物を包装して出荷することが望ましい場合に有利であり得る。即時使用消毒洗浄組成物は、即時使用消毒洗浄組成物が洗浄及び消毒を提供するために表面に直接適用されることが意図される場合に利用可能にすることができる。例えば、ガラス上で使用するための消毒洗浄組成物は、洗浄及び消毒のためにガラス表面に直接適用されることが意図される場合、即時使用組成物と呼ぶことができる。
【0087】
したがって、本開示はさらに、1~1000部の水、好ましくは50~500部の水、又は100若しくは200部の水で希釈された、本発明の消毒洗浄組成物を含む即時使用組成物を提供する。
【0088】
RTU形態では、消毒洗浄組成物は、8.5~12のpHを有するが、好ましくは8.5~10.5のpH、より好ましくは9~10のpHを有する。
【0089】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、即時使用希釈形態の組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~0.5重量%、好ましくは0.005重量%~0.1重量%、より好ましくは0.01重量%~0.25重量%、最も好ましくは、0.05重量%~0.1重量%の量の少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤を含む。
【0090】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、即時使用希釈形態の組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~1.0重量%、好ましくは0.005重量%~0.2重量%、より好ましくは0.01重量%~0.1重量、最も好ましくは0.015重量%~0.05重量%の量の少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤を含む。
【0091】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、即時使用希釈形態の前記組成物中に含まれる界面活性剤の総重量に基づいて、10重量%~50重量%、好ましくは15重量%~35重量%、17.5重量%~30重量%、より好ましくは20重量%~25重量%の前記少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤を含む。
【0092】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、即時使用希釈形態の組成物の総重量に基づいて、0.005重量%~0.5重量%、好ましくは0.01重量%~0.2重量%、より好ましくは0.02重量%~0.1重量%の量の少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。
【0093】
上記の任意の組合せが想定され、例えば、例示的に記載される実施形態は、以下の通りである。
【0094】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、8.5~10.5のpHを有し、以下を含む即時使用組成物の形態である。
(a) 即時使用希釈形態の組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~0.5重量%の量の前記少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 即時使用希釈形態の組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~1.0重量%の量の前記少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 即時使用希釈形態の組成物の総重量に基づいて、0.005重量%~0.5重量%の量の前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤。
【0095】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、8.5~10.5のpHを有し、以下を含む即時使用組成物の形態である。
(a) 即時使用希釈形態の組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~0.25重量%の量の前記少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 即時使用希釈形態の組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~0.1重量%の量の前記少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 即時使用希釈形態の組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~0.2重量%の量の前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤。
【0096】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、8.5~10.5のpHを有し、以下を含む即時使用組成物の形態である。
(a) 即時使用希釈形態の組成物の総重量に基づいて、0.05重量%~0.1重量%の量の前記少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 即時使用希釈形態の組成物の総重量に基づいて、0.015重量%~0.05重量%の量の前記少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 即時使用希釈形態の組成物の総重量に基づいて、0.02重量%~0.1重量%の量の前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤。
【0097】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、本明細書において上記で定義した即時使用組成物の形態であり、即時使用形態の組成物の総重量に基づいて、0.005重量%~0.3重量%、好ましくは0.01重量%~0.10重量%の量の少なくとも1つのキレート剤をさらに含む。
【0098】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、本明細書において上記で定義した即時使用組成物の形態であり、即時使用形態の組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~0.15重量%、好ましくは0.007重量%~0.04重量%の量の少なくとも1つの両性界面活性剤をさらに含む。
【0099】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、本明細書の上記で定義した即時使用組成物の形態であり、即時使用形態の組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~0.1重量%、好ましくは0.01重量%~0.05重量%の量の少なくとも1つの非水性溶媒をさらに含む。溶媒は有機溶媒であってもよく、イソプロピルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、ポリ(エチレングリコール)、DL-1,2-イソプロピリデングリセロール、鉱油、パラフィン油、ベンゼン、石油蒸留物、ナフサ、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、n-プロピルブロミド、及びトリクロロエチレン(TCE)などを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0100】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、上で定義した即時使用組成物の形態であり、DL-1,2-イソプロピリデングリセロールをさらに含む。
【0101】
ある特定の実施形態では、消毒洗浄はDL-1,2-イソプロピリデングリセロールをさらに含む。
【0102】
非水性溶媒が存在してもよいが、本発明の消毒洗浄組成物は、非水性溶媒及び/又は第四級アンモニウム化合物を本質的に含まなくてもよく、好ましくは含まなくてもよい。
【0103】
本質的に水及び少量のトリアミン系抗微生物剤のみの使用は、本発明の消毒洗浄組成物を環境に対してあまり有害でなくし、及び/又は溶媒及び/又は摩擦に敏感であるコーティングされた材料などの多くの溶媒に不安定な表面に適用できるようにする。
【0104】
本明細書で使用する場合、「実質的に含まない」とは、組成物が、例えば、消毒洗浄組成物中に10重量%未満、及びRTU形態の組成物に0.1重量%未満、又は好ましくはRTU形態の組成物の0.05重量%、0.03重量%、0.01重量%、0.005重量%又は0.003重量%未満の、非常に少量のそれぞれの成分を含み得ることを意味する。
【0105】
希釈された即時使用形態の消毒洗浄組成物(RTU組成物)では、非水性溶媒は、RTU消毒洗浄組成物中に0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.03重量%未満の量で存在してもよく、最も好ましくは、いかなる非水性溶媒も全く含まない。
【0106】
消毒洗浄組成物では、非水性溶媒は、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは3重量%未満の量で存在する。ある特定の実施形態では、消毒洗浄組成物は、いかなる非水性溶媒も全く含まない。
【0107】
希釈された即時使用形態の消毒洗浄組成物(RTU組成物)では、殺生物活性第四級アンモニウム化合物は、0.01重量%未満、好ましくは0.005重量%未満、より好ましくは0.003重量%未満の量でのみ存在し得る。しかし、RTU消毒洗浄組成物は、殺生物活性第四級アンモニウム化合物を全く含まないことが好ましい。
【0108】
本発明のさらなる実施形態
一実施形態では、本発明は、以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含む消毒洗浄組成物であって、
8.5~10.5のpHを有する即時使用形態であり、
少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、pH0よりも高く、前記消毒洗浄組成物のpHよりも低い等電点(IEP)を有する、組成物を提供する。
【0109】
一実施形態では、本発明は、以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含む消毒洗浄組成物であって、
8.5~12のpHを有し、少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、pH0よりも高く、前記消毒洗浄組成物のpHよりも低い等電点(IEP)を有し、
ここで、少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-デシル-1,3-プロパンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-テトラデシル-1,3-プロパンジアミン及びそれらの組合せからなる群から選択され、好ましくはN-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンである、組成物を提供する。任意選択で、組成物は緩衝剤を含む。任意選択で、組成物は、1:1~1:4の間の前記トリアミン系抗菌剤の総量と界面活性剤の総量との比を有する。
【0110】
一実施形態では、本発明は、以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含むRTU組成物の形態である消毒洗浄組成物であって、
8.5~10.5のpHを有し、少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、pH0よりも高く、前記消毒洗浄組成物のpHよりも低い等電点(IEP)を有し、
ここで、少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンである、組成物を提供する。前記RTU組成物は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンを、組成物の総重量に基づいて、最大で0.15重量%、好ましくは0.1重量%の量で含むことができる。任意選択で、前記RTU組成物は緩衝剤を含む。任意選択で、前記RTU組成物は、1:1~1:4の間のN-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンの総量と界面活性剤の総量との比を有する、組成物を提供する。
【0111】
一実施形態では、本発明は、以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含む消毒洗浄組成物であって、
8.5~12のpHを有し、
少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-デシル-1,3-プロパンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-テトラデシル-1,3-プロパンジアミン、又はそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、アルキルカルボキシレート、アルキルエーテルカルボキシレート、アルキルプロピオネート、アルキルエーテルプロピオネート、アミノ酸系界面活性剤、及びそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、β-アラニン、N-(2-カルボキシエチル)N-ココアルキル誘導体、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネート、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-オクチル-β-アラニネート、β-アラニンN-(2-カルボキシエチル)N-獣脂アルキル誘導体、ナトリウムココイルアラニネート、ナトリウムラウロイルアラニネート、ナトリウムN-ドデカノイル-L-アラニネート、及びそれらの組合せからなる群から選択される、組成物を提供する。
【0112】
任意選択で、前記組成物は緩衝剤を含む。
【0113】
少なくとも1つの緩衝剤は、少なくとも1つの有機酸を含んでもよく、好ましくは、有機酸は、好ましくは、酢酸、グリコール酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、及びそれらの組合せからなる群から選択されるカルボン酸である。
【0114】
一実施形態では、本発明は以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含み、8.5~12のpHを有し、
少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンであり、
少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、アルキルカルボキシレート、アルキルエーテルカルボキシレート、アルキルプロピオネート、アルキルエーテルプロピオネート、アミノ酸系界面活性剤、及びそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、β-アラニン、N-(2-カルボキシエチル)N-ココアルキル誘導体、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネート、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-オクチル-β-アラニネート、β-アラニンN-(2-カルボキシエチル)N-獣脂アルキル誘導体、ナトリウムココイルアラニネート、ナトリウムラウロイルアラニネート、ナトリウムN-ドデカノイル-L-アラニネート、及びそれらの組合せからなる群から選択される、消毒洗浄組成物を提供する。
【0115】
任意選択で、前記組成物は緩衝剤を含む。
【0116】
少なくとも1つの緩衝剤は、少なくとも1つの有機酸を含んでもよく、好ましくは、有機酸は、好ましくは、酢酸、グリコール酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、及びそれらの組合せからなる群から選択されるカルボン酸である。
【0117】
一実施形態では、本発明は以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含み、8.5~12のpHを有し、
少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-デシル-1,3-プロパンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-テトラデシル-1,3-プロパンジアミン、又はそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、少なくとも1つのアミノ酸系界面活性剤であり、
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、β-アラニン、N-(2-カルボキシエチル)N-ココアルキル誘導体、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネート、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-オクチル-β-アラニネート、β-アラニンN-(2-カルボキシエチル)N-獣脂アルキル誘導体、ナトリウムココイルアラニネート、ナトリウムラウロイルアラニネート、ナトリウムN-ドデカノイル-L-アラニネート、及びそれらの組合せからなる群から選択される、消毒洗浄組成物を提供する。
【0118】
任意選択で、前記組成物は緩衝剤を含む。
【0119】
少なくとも1つの緩衝剤は少なくとも1つの有機酸を含み、好ましくは、有機酸は、好ましくは酢酸、グリコール酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、及びそれらの組合せからなる群から選択されるカルボン酸である。
【0120】
一実施形態では、本発明は以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含み、8.5~12のpHを有し、
少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンであり、
少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、少なくとも1つのアミノ酸系界面活性剤であり、
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、β-アラニン、N-(2-カルボキシエチル)N-ココアルキル誘導体、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネート、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-オクチル-β-アラニネート、β-アラニンN-(2-カルボキシエチル)N-獣脂アルキル誘導体、ナトリウムココイルアラニネート、ナトリウムラウロイルアラニネート、ナトリウムN-ドデカノイル-L-アラニネート、及びそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つの緩衝剤は少なくとも1つの有機酸を含み、好ましくは、有機酸は、好ましくは、酢酸、グリコール酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、及びそれらの組合せからなる群から選択されるカルボン酸である、消毒洗浄組成物を提供する。
【0121】
一実施形態では、本発明は以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含み、8.5~12のpHを有し、
少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンであり、
少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、アルキルアラニネート、アルキルグルタメート、アルキルサルコシネート、アルキルグリシネート、アルキルアスパルテート及びそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、β-アラニン、N-(2-カルボキシエチル)N-ココアルキル誘導体、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネート、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-オクチル-β-アラニネート、β-アラニンN-(2-カルボキシエチル)N-獣脂アルキル誘導体、ナトリウムココイルアラニネート、ナトリウムラウロイルアラニネート、ナトリウムN-ドデカノイル-L-アラニネート、及びそれらの組合せからなる群から選択される、消毒洗浄組成物を提供する。
【0122】
任意選択で、前記組成物は緩衝剤を含む。
【0123】
少なくとも1つの緩衝剤は少なくとも1つの有機酸を含み、好ましくは、有機酸は、好ましくは酢酸、グリコール酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、及びそれらの組合せからなる群から選択されるカルボン酸である。
【0124】
一実施形態では、本発明は以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含み、8.5~12のpHを有し、
少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンであり、
少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、少なくとも1つのアミノ酸系界面活性剤であり、
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、βナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネートである、消毒洗浄組成物を提供する。
【0125】
任意選択で、前記組成物は緩衝剤を含む。
【0126】
少なくとも1つの緩衝剤は少なくとも1つの有機酸を含み、好ましくは、有機酸は、好ましくは酢酸、グリコール酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、及びそれらの組合せからなる群から選択されるカルボン酸である。
【0127】
一実施形態では、本発明は以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含み、8.5~12のpHを有し、
少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンであり、
少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、アルキルアラニネート、アルキルグルタメート、アルキルサルコシネート、アルキルグリシネート、アルキルアスパルテート及びそれらの組合せからなる群から選択され、
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、βナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネートである、消毒洗浄組成物を提供する。
【0128】
任意選択で、前記組成物は緩衝剤を含む。
【0129】
少なくとも1つの緩衝剤は少なくとも1つの有機酸を含み、好ましくは、有機酸は、好ましくは酢酸、グリコール酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、及びそれらの組合せからなる群から選択されるカルボン酸である。
【0130】
一実施形態では、本発明は以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含み、8.5~12のpHを有し、
少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンであり、
少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤はアルキルアラニネートであり、
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、βナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネートである、消毒洗浄組成物を提供する。
【0131】
任意選択で、前記組成物は緩衝剤を含む。
【0132】
少なくとも1つの緩衝剤は少なくとも1つの有機酸を含み、好ましくは、有機酸は、好ましくは酢酸、グリコール酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、及びそれらの組合せからなる群から選択されるカルボン酸である。
【0133】
一実施形態では、本発明は以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、及び
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含み、8.5~12のpHを有し、
少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンであり、
少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、ナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネートであり、
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、βナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネートである、消毒洗浄組成物を提供する。
【0134】
任意選択で、前記組成物は緩衝剤を含む。
【0135】
少なくとも1つの緩衝剤は少なくとも1つの有機酸を含み、好ましくは、有機酸は、好ましくは酢酸、グリコール酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、及びそれらの組合せからなる群から選択されるカルボン酸である。
【0136】
一実施形態では、本発明は以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、及び
(d) 少なくとも1つの緩衝剤
を含み、8.5~12のpHを有し、
少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンであり、
少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、少なくとも1つのアルキルアラニネートであり、
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、βナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネートであり、
少なくとも1つの緩衝剤は少なくとも1つの有機酸を含み、好ましくは、有機酸は酒石酸である、消毒洗浄組成物を提供する。
【0137】
一実施形態では、本発明は以下、すなわち
(a) 少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤、
(b) 少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤、
(c) 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、及び
(d) 少なくとも1つの緩衝剤
を含み、8.5~12のpHを有し、
少なくとも1つのトリアミン系抗菌剤は、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンであり、
少なくとも1つのpH依存性アニオン性界面活性剤は、少なくとも1つのナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネートであり、
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、βナトリウムN-(2-カルボキシエチル)-N-(2-エチルヘキシル)-β-アラニネートであり、
少なくとも1つの緩衝剤は少なくとも1つの有機酸を含み、好ましくは、有機酸は酒石酸である、消毒洗浄組成物を提供する。
【0138】
<使用>
上記で開示した消毒洗浄組成物は、様々な硬質表面を洗浄するために使用することができる。「洗浄」という用語は、汚れ除去、漂白、微生物集団減少、及びそれらの任意の組合せを促進又は補助するために使用される方法を指す。
【0139】
全ての硬質表面、及び全ての非ヒト又は非動物表面は、本発明の消毒洗浄組成物で洗浄することができる。
【0140】
このような表面としては、乳製品、家庭、ヘルスケア施設、水泳プール、缶詰工場、食品加工プラント、レストラン、病院、公共施設、及び二次油回収を含む産業に設置されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
本発明の組成物で処理することができる好適な表面としては、ガラス、アルミニウム又はステンレス鋼などの金属、セラミック、花こう岩又は大理石などの石、プラスチック又はポリマー材料などから作製されるものなどのあらゆる硬質表面が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
本発明の組成物は、脂っぽい汚れ及び粒状の汚れの両方に対して良好な洗浄効率を提供する。油及び脂っぽい汚れは、(床)表面に付着し、乾燥した汚れを引き付けて保持することによって変色を引き起こす。このタイプの汚れは、最悪のタイプの汚れとして分類することができる。例えば食品又は飲料からの着色は、未処理のまま放置すると、(床)表面に吸収され、永久的な染みをもたらす可能性がある。粒状の汚れは、ファンデルワールス及び汚染物質と表面との間の関連する相互作用の結果として表面に付着する。
【0143】
消毒洗浄組成物は、任意の好適な産業又は分野において使用することができる。例えば、消毒洗浄組成物は、食品及び飲料の分野で使用することができる。消毒洗浄組成物は、例えば、硬質表面洗浄剤、手殺菌剤、滅菌又は高レベル消毒洗浄組成物、器具用の消毒前洗浄剤などを含み得る。
【実施例
【0144】
[実施例1]
本発明の組成物の殺生物効力及び洗浄効力を、以下に概説されるように決定し、比較の「組成物A」と比較し、これは、前記組成物において使用される界面活性剤の性質のみが本発明の組成物と異なる。本発明の組成物はpH依存性アニオン性界面活性剤を含んでいたが、比較組成物は永久アニオン性界面活性剤を使用した。図1及び図2から導き出せるように、全ての組成物の洗浄性能は水よりも優れており、互いに同等であった。しかし、本発明の組成物は、アニオン性界面活性剤の存在にもかかわらず、有意に高い殺生物効力を示した。
【0145】
[本発明の組成物]
表1は、本発明の例示的な組成物及びそれらの成分を示す。
【0146】
組成物I(RTU C I)は、即時使用(RTU)形態の本発明の組成物である。
【0147】
組成物C I.1及び組成物C II.1は本発明の組成物であり、仕様「1:100濃縮物」は、組成物が使用のために100部の水で希釈され得ることを意味する。
【0148】
組成物I.2(C I.2)及び組成物II.2(C II.2)は本発明の組成物であり、仕様「1:200濃縮物」とは、各組成物が使用のために200部の水で希釈され得ることを意味する。
【0149】
【表1】
【0150】
[比較組成物]
表2に比較用「組成物A」の組成を示す。
【0151】
比較用「組成物A」は、トリアミン系抗菌剤(N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1.3-ジアミン)0.068重量%、非イオン性界面活性剤0.03重量%及び0.014重量%のアニオン性界面活性剤(すなわち、上記の本発明の組成物に使用されるようなpH依存性界面活性剤ではなく、永久アニオン性界面活性剤)を含むように、100部の水で希釈された「即時使用」組成物である。
【0152】
【表2】
【0153】
<殺生物効力>
殺生物効力は、I&I汚染条件下でEN13697ヨーロッパ標準表面消毒試験を使用することによって試験した。これは、食品、産業、家庭及び公共施設の分野で使用される化学消毒剤の殺菌及び/又は殺真菌活性を評価するための定量的非多孔性表面試験である。
【0154】
表3は、本発明のRTU C I及び同じ量の同じアミン系微生物剤を含む組成物Aの希釈(RTU)形態の、緑膿菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、エンテロコッカス・ヒラエ及びカンジダ・アルビカンスに対する殺生物効力を示す。結果を平均対数減少及び合格率(%)として引用する。各測定は、試験ポイント当たり10回の反復で行った。
【0155】
【表3】
【0156】
本発明の組成物の代表である組成物RTU CIは、RTU比較組成物A(両方の処理において同じレベルの抗菌活性を有するように希釈した)よりも優れた高い表面消毒効力を示した。この試験における合格率を達成するための要件は、規定の期間後の細菌(緑膿菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌及びエンテロコッカス・ヒラエによって代表される)に対し≧4の対数減少及び酵母(カンジダ・アルビカンスによって表される)に対し≧3の対数減少である。
【0157】
これらの減少率未満では、組成物は特定の微生物に対して不合格となる。消毒剤の抗菌効力は、標的微生物との接触時間が長くなるにつれて常に増加することがよく知られている。
【0158】
表3に示すデータは、細菌について≧4の対数減少が2分(細菌)又は4分(酵母)後に達成されるので、本発明による組成物RTU CIが、グラム陽性細菌(黄色ブドウ球菌)に対して、及び酵母(カンジダ・アルビカンス)に対して、RTU比較組成物Aよりも優れていることを示している。さらに、組成物RTU CIは、組成物Iがより短い接触時間(2分対4分)を有したにもかかわらず、RTU組成物Aと比較してグラム陰性菌(緑膿菌)の同様の対数減少を達成した。したがって、組成物RTU CIは、組成物Aと比較してグラム陰性菌に対して優れた効力を示した。
【0159】
<洗浄有効性>
本発明による組成物、水、並びに比較組成物A及びBの洗浄効力を、硬質表面上でElcometerスクラブテスター(37サイクル/分のスクラブ速度を使用するElcometerモデル1720摩耗及び洗浄性試験機)を用いて行った。硬質表面は、食品汚れの層を前記表面上に170℃で45分間焼き付けることによって調製した。
【0160】
この方法は、Elcometerスクラブテスターによる20回のスクラブに基づいており、このテスターは、布を備えたユニバーサル材料クランプと共に使用され、5mlの試験生成物を与えた。
【0161】
図1は、上記の試験組成物及び水で洗浄した後の硬質表面を示す。
【0162】
図2はカラムチャートであり、図1に記載の洗浄試験の結果を示し、硬質表面に対する本発明の組成物(組成物I)の洗浄効力を、水並びに比較消毒洗浄組成物A及びBと比較した。
【0163】
これらの図1及び2から導き出すことができるように、組成物I並びに組成物A及びBの洗浄性能は、水よりも優れており、互いに同等であった。
図1
図2
【国際調査報告】