(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】カテーテル留置のためのガイドワイヤロッキングシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/09 20060101AFI20240927BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61M25/09 540
A61M25/06 500
A61M25/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523684
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 US2022047444
(87)【国際公開番号】W WO2023069726
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】リンデクゲル、エリック ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ブランチャード、ダニエル ビー.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267AA33
4C267BB11
4C267CC07
4C267CC08
4C267EE01
4C267GG02
(57)【要約】
カテーテル留置システム(10)は、針ハブ(28)によって支持され、針管腔(22)を画定する針(20)と、針管腔内に配置された遠位先端を有するガイドワイヤ(30)と、ガイドワイヤの近位部分上に配置されたカテーテル(50)と、ガイドワイヤロッキングシステム(100)とを備える。
ガイドワイヤロッキングシステム(100)は、針チャネル(112)、及び針チャネル(112)と連通しそれに対して角度をなして延びるガイドワイヤチャネル(114)を画定するハウジング(110)であって、針(20)の一部分は針チャネル(112)を通って延びかつガイドワイヤ(30)の一部分はガイドワイヤチャネル(114)を通って延びるハウジング(110)と、ロック(134)及びシール(120)を有しかつロック解除位置とロック位置との間で移行可能であるロッキング機構(130)であって、ロック位置において、ガイドワイヤ管腔を通るガイドワイヤの軸方向運動を阻止するように構成されたロッキング機構(130)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル留置システムであって、
針ハブによって支持され、針管腔を画定する針と、
針管腔内に配置された遠位先端を有するガイドワイヤと、
ガイドワイヤの近位部分上に配置されたカテーテルと
ガイドワイヤロッキングシステムと、を備え、
前記ガイドワイヤロッキングシステムは、
針管腔、及び前記針管腔と連通しそれに対して角度をなして延びるガイドワイヤ管腔を画定するハウジングであって、針の一部分は針管腔を通って延び、ガイドワイヤの一部分はガイドワイヤ管腔を通って延びるハウジングと、
ロック及びシールを有し、ロック解除位置及びロック位置の間で移行可能であるロッキング機構であって、ロック位置において、ガイドワイヤ管腔を通るガイドワイヤの軸方向運動を阻止するように構成されたロッキング機構と
を含む、カテーテル留置システム。
【請求項2】
請求項1に記載のカテーテル留置システムにおいて、
前記シールは、コンプライアント材料から形成され、それを通ってガイドワイヤの一部分を受容するように構成されたシールガイドワイヤ管腔を画定し、
ロック位置におけるロックは、シールを半径方向内向きに圧縮してガイドワイヤに作用し、その軸方向運動を阻止するように構成されている、カテーテル留置システム。
【請求項3】
請求項2に記載のカテーテル留置システムにおいて、
シールガイドワイヤ管腔の直径は、ガイドワイヤの外径と同等か、又は外径以下であり、ロック位置及びロック解除位置の一方又は両方において締まり嵌めでガイドワイヤに係合する、カテーテル留置システム。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか一項に記載のカテーテル留置システムにおいて、
ロックは、テーパ状遠位端を含み、
前記テーパ状遠位端は、その中にシールに対して一部分を受容し、かつロッキング機構がロック位置に移行される際に、シールを半径方向内向きに圧縮するように構成されている、カテーテル留置システム。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか一項に記載のカテーテル留置システムにおいて、
ロックは、カラーを含み、
前記カラーは、ハウジングと螺合可能に係合され、かつロックがガイドワイヤの軸を中心として回転させられる際に、ガイドワイヤ管腔を通ってロックを軸方向に付勢するように構成されている、カテーテル留置システム。
【請求項6】
請求項5に記載のカテーテル留置システムにおいて、
カラーは、カラーから延びかつガイドワイヤ管腔の軸に垂直なレバーを含む、カテーテル留置システム。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか一項に記載のカテーテル留置システムは、更に、
剥離ピンを含み、
剥離ピンは、シールを通って延びかつガイドワイヤ管腔と針管腔との間の接合部に配置されると共に、針が針管腔から近位に抜去される際にガイドワイヤを支持するように構成されている、カテーテル留置システム。
【請求項8】
請求項7に記載のカテーテル留置システムにおいて、
剥離ピンは、ハウジングと一体的に形成される、カテーテル留置システム。
【請求項9】
請求項7に記載のカテーテル留置システムにおいて、
剥離ピンは、別個の構造として形成され、かつ締まり嵌め、圧入、スナップフィット係合、接着剤、接合、又は溶接のうちの1つを使用してハウジングと結合される、カテーテル留置システム。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか一項に記載のカテーテル留置システムにおいて、
ハウジングの近位端は、締まり嵌め、圧入、又はスナップフィット係合のうちの1つで針ハブと解放可能に係合される、カテーテル留置システム。
【請求項11】
請求項1~10のうちいずれか一項に記載のカテーテル留置システムは、更に、ハンドルを含み、
ハンドルは、ハウジングから延び、かつ針ハブに対するハウジングの把持及び操作を容易にするように構成されている、カテーテル留置システム。
【請求項12】
請求項1~11のうちいずれか一項に記載のカテーテル留置システムにおいて、
ハウジングは、長手方向に延びかつ針管腔及びガイドワイヤ管腔の一方又は両方と連通するハウジングスロットを含み、
ハウジングスロットは、ロッキング機構がロック解除位置にあるとき、ガイドワイヤがその中を通過することを可能にするように構成されている、カテーテル留置システム。
【請求項13】
請求項1~12のうちいずれか一項に記載のカテーテル留置システムにおいて、
シールは、長手方向に延びかつシールガイドワイヤ管腔及びシール針管腔の一方又は両方と連通するシールスロットを含み、
シールスロットは、ロッキング機構がロック解除位置にあるとき、ガイドワイヤがその中を通過することを可能にするように構成されている、カテーテル留置システム。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のカテーテル留置システムにおいて、
ロックは、長手方向に延びかつロック管腔と連通するロックスロットを含み、
ロックスロットは、ロック解除位置においてハウジングスロットと整列し、かつガイドワイヤがその中を通過してガイドワイヤロッキングシステムを離脱させることを可能にするように構成されている、カテーテル留置システム。
【請求項15】
請求項1~14のうちいずれか一項に記載のカテーテル留置システムにおいて、
針は、針の側壁に配置されかつそれを通ってガイドワイヤの一部分を受容するように構成されたガイドワイヤ開口を含み、
針は、ガイドワイヤ開口と針の遠位先端との間で長手方向に延びかつ針管腔と連通する針スロットを含み、
針スロットは、針が近位に抜去される際に、それを通ってガイドワイヤの一部分を受容するように構成されている、カテーテル留置システム。
【請求項16】
請求項1~15のうちいずれか一項に記載のカテーテル留置システムは、更に、
針の一部分を包囲しかつシースの近位端と遠位端との間で長手方向に延びる引き裂き線を含むシースを含む、カテーテル留置システム。
【請求項17】
請求項1~16のうちいずれか一項に記載のカテーテル留置システムにおいて、
ロックは、回転部品の遠位端に回転可能に結合された圧縮部品を含み、
回転部品は、ガイドワイヤ管腔の軸を中心に回転し、かつ圧縮部品を軸方向に付勢するように構成されている、カテーテル留置システム。
【請求項18】
請求項1~17のうちいずれか一項に記載のカテーテル留置システムにおいて、
圧縮部品は、その外面から延びるレールを含み、
レールは、ガイドワイヤ管腔の内壁に配置された凹部に係合して、圧縮部品の軸方向運動を可能にしながら圧縮部品の回転運動を軽減するように構成されている、カテーテル留置システム。
【請求項19】
請求項1に記載のカテーテル留置システムにおいて、
ロッキング機構は、ガイドワイヤ管腔の軸に垂直に延びる軸に沿って、ハウジングと摺動可能に係合されるアクチュエータを含み、
アクチュエータは、ロック位置とロック解除位置との間で移行可能である、カテーテル留置システム。
【請求項20】
請求項19に記載のカテーテル留置システムにおいて、
ロッキング機構は、アクチュエータをロック解除位置からロック位置に移行させるために第1の方向に加えられる第1の力と、アクチュエータをロック位置からロック解除位置に移行させるために同じく第1の方向に加えられる第2の力とを有する押しボタン機構を含む、カテーテル留置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル留置のためのガイドワイヤロッキングシステムに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
簡潔に要約すると、本明細書に開示される実施形態は、迅速挿入型中心カテーテル(Rapidly Inserted Central Catheter、RICC)留置システムのためのガイドワイヤロッキングシステム、及びその関連方法を対象とする。カテーテル、例えばRICCカテーテルを留置するとき、静脈穿刺の後できるだけ早く静脈アクセスを得て安定させることが有利であり得る。これを達成するために、ガイドワイヤの遠位先端は、静脈穿刺中に針管腔内に存在することができる。静脈アクセスが確認されると、ガイドワイヤは、アクセス部位の開存性を維持するために、血管構造内に前進させることができる。次いで、好ましくはガイドワイヤを定位置に残すような方法で、針を除去することができる。
【0003】
いくつかのRICC留置システムは、その上に配置されたシースを含むスロット付き針を利用する。ガイドワイヤの遠位先端は、血管構造内の定位置に留まることができ、ガイドワイヤの一部分は、針が近位に抜去される際に針スロットを通過することができる。シースは、スロットを覆い、針管腔の完全性を維持し、例えば、スロットを通る流体漏出を防止することができる。ガイドワイヤが針スロットを通過する際に、ガイドワイヤはシースを引き裂くことができる。しかしながら、ガイドワイヤが針スロットを通過する際に、ガイドワイヤに作用する力により、血管構造内の遠位先端の位置がずれる場合がある。本明細書に開示される実施形態は、RICCカテーテル留置システムと結合し、針がアクセス部位から近位に抜去される際にガイドワイヤを定位置に安定させるように構成されたガイドワイヤロッキングシステムを対象とする。
【0004】
針ハブによって支持され、針管腔を画定する針と、針管腔内に配置された遠位先端を有するガイドワイヤと、ガイドワイヤの近位部分上に配置されたカテーテルと、ガイドワイヤロッキングシステムであって、針管腔、及び針管腔と連通し、それに対して角度をなして延びるガイドワイヤ管腔を画定するハウジングであって、針の一部分は針管腔を通って延び、ガイドワイヤの一部分はガイドワイヤ管腔を通って延びるハウジングと、ロック及びシールを有し、ロック解除位置及びロック位置の間で移行可能であるロッキング機構であって、ロック位置において、ガイドワイヤ管腔を通るガイドワイヤの軸方向運動を阻止するように構成されたロッキング機構と、を含む、ガイドワイヤロッキングシステムと、を含むカテーテル留置システムが、本明細書に開示される。
【0005】
いくつかの実施形態では、シールは、コンプライアント材料から形成され、それを通ってガイドワイヤの一部分を受容するように構成されたシールガイドワイヤ管腔を画定し、ロック位置におけるロックは、シールを半径方向内向きに圧縮し、ガイドワイヤに作用し、その軸方向運動を阻止するように構成されている。いくつかの実施形態では、シールガイドワイヤ管腔の直径は、ガイドワイヤの外径と同等か、又は外径以下であり、ロック位置及びロック解除位置の一方又は両方において締まり嵌めでガイドワイヤに係合する。いくつかの実施形態では、ロックは、その中にシールに対して一部分を受容し、ロッキング機構がロック位置に移行される際に、シールを半径方向内向きに圧縮するように構成されたテーパ状遠位端を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、ロックは、ハウジングと螺合可能に係合され、ロックがガイドワイヤの軸を中心として回転させられる際に、ガイドワイヤ管腔を通ってロックを軸方向に付勢するように構成されたカラーを含む。いくつかの実施形態では、カラーは、カラーから延び、ガイドワイヤ管腔の軸に垂直なレバーを含む。いくつかの実施形態では、カテーテル留置システムは、シールを通って延び、ガイドワイヤ管腔と針管腔との間の接合部に配置され、針が針管腔から近位に抜去される際にガイドワイヤを支持するように構成された剥離ピンを更に含む。いくつかの実施形態では、剥離ピンは、ハウジングと一体的に形成される。いくつかの実施形態では、剥離ピンは、別個の構造として形成され、締まり嵌め、圧入、スナップフィット係合、接着剤、接合、又は溶接のうちの1つを使用してハウジングと結合される。
【0007】
いくつかの実施形態では、ハウジングの近位端は、締まり嵌め、圧入、又はスナップフィット係合のうちの1つで針ハブと解放可能に係合される。いくつかの実施形態では、カテーテル留置システムは、ハウジングから延び、針ハブに対するハウジングの把持及び操作を容易にするように構成されたハンドルを更に含む。いくつかの実施形態では、ハウジングは、長手方向に延び、針管腔及びガイドワイヤ管腔の一方又は両方と連通するハウジングスロットを含み、ハウジングスロットは、ロッキング機構がロック解除位置にあるとき、ガイドワイヤがその中を通過することを可能にするように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、シールは、長手方向に延び、シールガイドワイヤ管腔及びシール針管腔の一方又は両方と連通するシールスロットを含み、シールスロットは、ロッキング機構がロック解除位置にあるとき、ガイドワイヤがその中を通過することを可能にするように構成されている。いくつかの実施形態では、ロックは、長手方向に延び、ロック管腔と連通するロックスロットを含み、ロックスロットは、ロック解除位置においてハウジングスロットと整列し、ガイドワイヤがその中を通過してガイドワイヤロッキングシステムを離脱させることを可能にするように構成されている。いくつかの実施形態では、針は、針の側壁に配置され、それを通ってガイドワイヤの一部分を受容するように構成されたガイドワイヤ開口を含み、針はまた、ガイドワイヤ開口と針の遠位先端との間で長手方向に延び、針管腔と連通する針スロットを含み、針スロットは、針が近位に抜去される際に、それを通ってガイドワイヤの一部分を受容するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、カテーテル留置システムは、針の一部分を包囲し、シースの近位端と遠位端との間で長手方向に延びる引き裂き線を含むシースを更に含む。いくつかの実施形態では、ロックは、回転部品の遠位端に回転可能に結合された圧縮部品を含み、回転部品は、ガイドワイヤ管腔の軸を中心に回転し、圧縮部品を軸方向に付勢するように構成されている。いくつかの実施形態では、圧縮部品は、その外面から延びるレールであって、ガイドワイヤ管腔の内壁に配置された凹部に係合して、圧縮部品の軸方向運動を可能にしながら圧縮部品の回転運動を軽減するように構成されたレールを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、ロッキング機構は、ガイドワイヤ管腔の軸に垂直に延びる軸に沿って、ハウジングと摺動可能に係合されるアクチュエータを含み、アクチュエータは、ロック位置とロック解除位置との間で移行可能である。いくつかの実施形態では、ロッキング機構は、アクチュエータをロック解除位置からロック位置に移行させるために第1の方向に加えられる第1の力と、アクチュエータをロック位置からロック解除位置に移行させるために同じく第1の方向に加えられる第2の力とを有する押しボタン機構を含む。
【0011】
また、カテーテルを留置する方法であって、針ハブによって支持される針を使用して血管構造にアクセスすることと、針の針管腔を通って血管構造内へガイドワイヤを前進させることと、針管腔、及び針管腔と連通し、針管腔に対して角度をなして延びるガイドワイヤ管腔を画定するハウジングを有するガイドワイヤロッキングシステムを使用するガイドワイヤをロックし、ハウジングが針ハブの遠位端に解放可能に結合されることと、針ハブからハウジングを離脱させることと、ハウジングの針管腔から針を近位に抜去することと、ハウジングに対するガイドワイヤの軸方向運動を可能にするようにガイドワイヤ安定化システムをロック解除することと、ハウジングの側壁に配置されたハウジングスロットを通ってガイドワイヤを摺動させることによってガイドワイヤをハウジングから離脱させることと、ガイドワイヤの上のカテーテルを血管構造内へ前進させることと、を含む、方法も開示される。
【0012】
いくつかの実施形態では、針を近位に抜去することは、針ハブに隣接する針の側壁に配置されたガイドワイヤ開口から針の遠位先端まで、針スロットを通ってガイドワイヤの一部分を摺動させることを更に含む。いくつかの実施形態では、針を近位に抜去することは、シースを引き裂き線に沿って引き裂くことを更に含み、シースは、針の一部分を包囲する。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤの遠位先端は、血管構造にアクセスする前に針管腔内に配置される。
【0013】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤをロックすることは、ロックに結合され、ハウジングと螺合可能に係合されたカラーを回転させることと、ガイドワイヤ管腔を通って軸方向にロックを前進させることと、シールを半径方向内向きに圧縮して、それを通って延びるガイドワイヤを把持し、ハウジングに対するガイドワイヤの軸方向運動を防止することとを更に含む。いくつかの実施形態では、ロックを軸方向に前進させることは、シールの一部分を半径方向内向きに圧縮することを更に含み、シールの一部分は、ロックが前進させられるとき、ロックの遠位端に配置された凹部内に軸方向に延びる。
【0014】
いくつかの実施形態では、カラーを回転させることは、カラーに結合された回転部品を回転させることと、圧縮部品を軸方向に付勢することとを含み、圧縮部品は、回転部品に回転可能に結合される。いくつかの実施形態では、本方法は、圧縮部品の外面から延びるレールを、ハウジングのガイドワイヤ管腔の内壁に配置された凹部と係合させて、圧縮部品がガイドワイヤの軸を中心に回転することを防止する一方で、圧縮部品がガイドワイヤの軸に対して軸方向に摺動することを可能にすることを更に含む。いくつかの実施形態では、カラーは、カラーからガイドワイヤの軸に垂直に延びるレバーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示のより詳細な説明が、添付の図面に示されている本開示の特定の実施形態を参照することによって与えられる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、それゆえ、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない点が理解されよう。本発明の例示的実施形態が、添付の図面の使用を通じて、更なる特異性及び詳細と共に記述され、説明される。
【
図1A】本明細書で開示される実施形態による、例示的なRICC留置システムの斜視図を示す。
【
図1B】本明細書に開示される実施形態による、
図1AのRICC留置システムの針、シース、及びガイドワイヤアセンブリの平面図を示す。
【
図1C】本明細書に開示される実施形態による、
図1AのRICC留置システムの針の平面図を示す。
【
図2A】本明細書に開示される実施形態による、ガイドワイヤロッキングシステムの断面図を示す。
【
図2B】本明細書に開示される実施形態による、ロック位置にあるガイドワイヤロッキングシステムの斜視図を示す。
【
図2C】本明細書に開示される実施形態による、ロック解除位置にあるガイドワイヤロッキングシステムの斜視図を示す。
【
図3A】本明細書に開示される実施形態による、ロック位置にあるガイドワイヤロッキングシステムの斜視図を示す。
【
図3B】本明細書に開示される実施形態による、ロック解除位置にあるガイドワイヤロッキングシステムの斜視図を示す。
【
図4A】本明細書に開示される実施形態による、ガイドワイヤロッキングシステムの断面図を示す。
【
図4B】本明細書に開示される実施形態による、
図4Aのガイドワイヤロッキングシステムの横方向断面図を示す。
【
図5】本明細書に開示される実施形態による、ガイドワイヤロッキングシステムの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、又は置換することができる特徴を有することが可能であることも理解されたい。
【0017】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3、等)は、一般に、複数の特徴又は複数のステップの群内の異なる特徴又はステップを区別又は識別するために使用され、連続的な限定又は数値限定を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、及び「第3」の特徴又はステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴又はステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴又はステップに限定される必要はない。加えて、前述のいずれの特徴又はステップも、別段に示さない限り、1つ以上の特徴又はステップを更に含むことができる。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等の表示は、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表示は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、及び「その」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0018】
以下の説明において、本明細書で使用される「又は」及び「及び/又は」という用語は、包含的であるものとして、又は任意の1つ若しくは任意の組み合わせを意味するものとして解釈されるべきである。一例として、「A、B又はC」又は「A、B及び/又はC」は、「以下、すなわち、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、A、B及びCのいずれか」を意味する。この定義の例外は、要素、構成要素、機能、工程、又は行為の組み合わせが何らかの形で本質的に相互に排他的である場合にのみ生じる。
【0019】
「近位」に関して、例えば本明細書に開示される針の、「近位部分」又は「近位端部分」は、針が患者に使用されるときに臨床医の近くにあることが意図される針の一部分を含む。同様に、例えば針の、「近位長さ」は、針が患者に使用されるときに臨床医の近くにあることが意図される針の長さを含む。例えば針の、「近位端」は、針が患者に使用されるときに臨床医の近くにあることが意図される針の端を含む。針の近位部分、近位端部分、又は近位長さは、針の近位端を含むことができるが、針の近位部分、近位端部分、又は近位長さは、針の近位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別様に示唆しない限り、針の近位部分、近位端部分、又は近位長さは、針の末端部分又は末端長さではない。
【0020】
「遠位」に関して、例えば本明細書に開示される針の、「遠位部分」又は「遠位端部分」は、針が患者に使用されるときに患者の近く又は患者内にあることが意図される針の部分を含む。同様に、例えば針の、「遠位長さ」は、針が患者に使用されるときに患者の近く又は患者内にあることが意図される針の長さを含む。例えば針の、「遠位端」は、針が患者に使用されるときに患者の近く又は患者内にあることが意図される針の端を含む。針の遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、針の遠位端を含むことができるが、針の遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、針の遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別様に示唆しない限り、針の遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、針の末端部分又は末端長さではない。
【0021】
本明細書で説明される実施形態の説明を補助するために、
図1A、
図2Bに示されるように、長手方向軸が、針20の軸に実質的に平行に延びている。横方向軸が、長手方向軸に対して垂直に延びており、横断方向軸が、長手方向軸及び横方向軸の双方に対して垂直に延びている。
【0022】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
図1A~
図1Cは、概して、針20と、ガイドワイヤ30と、注射器システム40と、RICCカテーテル50とを含む、例示的迅速挿入型中心カテーテル(RICC)留置システム(「留置システム」)10の詳細を示す。RICCカテーテル50は、概して、カテーテルハブ(「ハブ」)60によって近位端で支持されたカテーテル52を含むことができる。ハブ60は、そこから近位に延びる1つ以上の延長脚部62を含むことができる。1つ以上の延長脚部の各延長脚部62は、カテーテル52の管腔と流体連通することができる。カテーテル52は、遠位に配置され、単一の管腔を画定する第1のセクション54と、近位に配置され、2つ以上の管腔を画定する第2のセクション56と、それらの間に配置された拡張器セクション58とを含むことができる。ガイドワイヤ30は、RICCカテーテル50の管腔を通って、延長脚部62の近位端から第1のセクション54の遠位先端まで延びることができる。
【0023】
RICCカテーテル50を配置する例示的な方法では、針20は、患者内へ遠位に付勢され、血管構造にアクセスし、挿入部位を形成することができる。注射器システム40又は同様のデバイスは、色及び/又は拍動流を観察し、正しい血管アクセスを確認するために、針管腔22を通って近位に流体流を引き込むことができる。正しい血管アクセスが確認されると、次に、ガイドワイヤ30は、挿入部位の開存性を維持するために、針管腔22を通って血管構造内に前進させることができる。次に、針20と注射器システム40のアセンブリを近位に抜去することができる。一実施形態では、ガイドワイヤ30の遠位先端は、静脈穿刺中に針管腔22内に存在することができ、これは、静脈アクセスが確認されると血管構造へのアクセスを促進し、挿入部位の開存性を維持することができる。一実施形態では、針20は、本明細書でより詳細に説明されるように、ガイドワイヤ30を定位置に残しながら、ガイドワイヤ30からの針20及び注射器システム40の除去を促進するように構成されたスロット26を含むことができる。
【0024】
次いで、RICC 50は、ガイドワイヤ30の上を血管構造の中へ前進させられることができる。単一の管腔のみを有し、比較的より小さい外径を画定する、RICC 50の第1のセクション54は、ガイドワイヤ30の上で血管構造に進入することができる。次いで、拡張器セクション58は、挿入部位を拡張して、2つ以上の管腔を規定する比較的より大きな直径の第2のセクション56が血管構造に入ることを可能にし得る。RICC 50が配置されると、ガイドワイヤ30を近位に抜去することができる。RICCシステム10の更なる詳細及び実施形態は、例えば、米国特許第10376675号、米国特許出願公開第2019/0255294号、米国特許出願公開第2021/0069471号、米国特許出願公開第2021/0085927号、米国特許出願公開第2021/0113809号、米国特許出願公開第2021/0113810号、米国特許出願公開第2021/0121661号、米国特許出願公開第2021/0228843号、米国特許出願公開第2021/0283368号、米国特許出願公開第2021/0283381号、米国特許出願公開第2021/0322729号、米国特許出願公開第2021/0330941号、米国特許出願公開第2021/0330942号、米国特許出願公開第2021/0361915号、米国特許出願公開第2021/0379336号、米国特許出願公開第2021/0402142号、米国特許出願公開第2021/0402149号、米国特許出願公開第2021/0402153号、米国特許出願公開第2021/0121667号、米国特許出願公開第2022/0001138号、米国特許出願公開第2022/0032013号、米国特許出願公開第2022/0032014号、米国特許出願公開第2022/0062528号、米国特許出願公開第2022/0126064号、米国特許出願公開第2022/0152368号、米国特許出願公開第2022/0176081号、米国特許出願公開第2022/0176082号、米国特許出願公開第2022/0193376号、米国特許出願公開第2022/0193377号、米国特許出願公開第2022/0193378号、米国特許出願公開第2022/0193379号、米国特許出願公開第2022/0296862号、に見出すことができ、それらの各々は、参照することによってその全体として本出願に組み込まれる。
【0025】
図1B~
図1Cは、RICCシステム10のスロット付き針20の更なる詳細を示す。針20は、管腔22を画定することができ、針ハブ28によって近位端で支持されることができる。針ハブ28は、注射器システム40に結合することができ、注射器システム40と針管腔22との間に流体連通を設けることができる。一実施形態では、針20は、針ハブ28に隣接して針20の側壁に配置され、針管腔22と連通するガイドワイヤ開口24を含むことができる。ガイドワイヤ開口24は、ガイドワイヤ開口24を通って針管腔22内に延びるガイドワイヤ30の一部分を受容するように構成することができる。一実施形態では、ガイドワイヤ30の遠位先端は、針20が血管構造にアクセスする際に、針管腔22内に配置され得る。針20が血管構造にアクセスすると、ガイドワイヤ30の遠位先端は、針20の遠位先端の遠位に延びることができる。有利なことに、これは、静脈穿刺直後の挿入部位の迅速な安定化を可能にし、挿入部位を固定し、配置プロセスを促進する。
【0026】
一実施形態では、針20は、ガイドワイヤ開口24と針20の遠位先端との間に長手方向に延びる針スロット26を更に含むことができる。一実施形態では、針スロット26の横方向の幅は、ガイドワイヤ30の外径と同等か、それより大きい可能性がある。このように、ガイドワイヤ30の一部分は、針スロット26を通過して、針20がガイドワイヤ30を離脱させることを可能にすることができる。一実施形態では、針スロット26の横方向の幅は、ガイドワイヤ30の外径と同等か、それ以下であり得る。一実施形態では、針スロット26の第1の縁部は、中心長手方向軸を挟んで第1の縁部の反対側にある針スロット26の第2の縁部に接触して、スリットを画定することができる。一実施形態では、針スロット26の第1の縁部及び第2の縁部は、横方向又は半径方向外向きに屈曲し、針20がガイドワイヤ30を離脱させることを可能にするために、ガイドワイヤ30の一部分が針スロット26を通過することを可能にするように構成され得る。
【0027】
一実施形態では、針20は、針20の外面上に配置されたシース70を更に含むことができる。一実施形態では、シース70は、プラスチック、ポリマー、又は同様の適切な材料から形成することができる。シース70は、スロット26を覆って針20の周囲にしっかりと嵌合し、スロット26からの任意の流体漏出を防止し、針管腔22の完全性を維持することができる。一実施形態では、シース70は、シース70の近位端に隣接してシース70の側壁に配置され、針管腔22と連通するように針ガイドワイヤ開口24と整列されたシースガイドワイヤ開口74を含むことができる。シースガイドワイヤ開口74は、シースガイドワイヤ開口74を通って針管腔22内に延びるガイドワイヤ30の一部分を受容するように構成することができる。
【0028】
一実施形態において、シース70は、シースガイドワイヤ開口74とシース70の遠位端との間に長手方向に延びる引き裂き線72を含むことができる。引き裂き線72は、ガイドワイヤ30が針スロット26を通って付勢される際に、シース70がそれに沿って分離することを可能にするように構成された、溝、切り込み線、穿孔、レーザ切断線、又は同様の脆弱線を含むことができる。一実施形態では、留置システム10は、シース70を引き裂き線72に沿って切断して、ガイドワイヤ30を針20から離脱させることを容易にするように構成されたブレードを更に含むことができる。
【0029】
例示的な使用方法において、針20及びシース70のアセンブリは、本明細書に記載されるような挿入部位を形成するために遠位に付勢され得る。流体流は、針22を通って近位に流れることができる。スロット26の上に配置されたシース70は、流体が管腔22からスロット26を通って漏れるのを防ぐことができる。一実施形態では、例えば注射器システム40によって針管腔22に真空を適用して、針管腔22を通る流体流を引き込むことができる。有利には、シース70は、針管腔22の完全性を維持して、流体がスロット26を通って引き込まれることを防止し、代わりに、遠位先端に近接する針管腔の遠位開口部を通って流体を引き込むことができる。
【0030】
血管アクセスが確認されると、針20を近位方向に抜去することができる。針20が近位方向に抜去される際にガイドワイヤ30が定位置に留まることを可能にするために、ガイドワイヤ30の一部分は、ガイドワイヤ開口24から針20の遠位端までスロット26を通過することができる。ガイドワイヤ30がスロット26を通過する際に、ガイドワイヤ30は、引き裂き線72に沿ってシース70を引き裂くことができ、ガイドワイヤ30が針20及びシース70のアセンブリから分離することを可能にする。理解されるように、ガイドワイヤ30を血管構造内の定位置に残しながら針20を除去する様々な装置及び方法は、本発明の範囲内にあることが企図される。そのようなシステムの更なる詳細及び実施形態は、2022年5月17日に出願された米国特許出願第17/746113号、及び2022年8月8日に出願された米国特許出願第17/883490号に見出すことができ、それらの各々は、参照することによってその全体として本出願に組み込まれる。
【0031】
一実施形態では、RICC留置システム10は、針20が近位に抜去される際に、挿入部位に対するガイドワイヤ30の安定化を容易にするように構成されたガイドワイヤロッキングシステム100を含むことができる。有利には、ガイドワイヤロッキングシステム100は、血管構造内でのガイドワイヤ30のいかなる運動も軽減することができ、又は血管構造からのガイドワイヤ30の不注意な除去を防止することができる。
【0032】
一実施形態では、
図2Aに示されるように、ガイドワイヤロッキングシステム100は、概して、針チャネル112及びガイドワイヤチャネル114を画定するハウジング110を含むことができる。ガイドワイヤチャネル114は、針チャネル112と連通し、そこから角度をなして延びることができる。針チャネル112は、それを通して針20の一部分を受容するように構成され得る。針20がハウジング110と係合されるとき、針20のガイドワイヤ開口24は、ガイドワイヤ管腔114と整列することができる。このように、ガイドワイヤ30は、ガイドワイヤ管腔114を通って、針20のガイドワイヤ開口24を通って、針管腔22内に延びることができる。一実施形態では、ハウジング110の近位端は、締まり嵌め、圧入、スナップフィット係合、ルアーロック、螺合係合、それらの組み合わせなどで針ハブ28に解放可能に係合することができる。針ハブ28の近位端は、圧入、締まり嵌め、スナップフィット、ルアーロック、螺合係合、これらの組み合わせなどで注射器システム40に解放可能に係合することができる。
【0033】
ハウジング110は、ユーザがハウジング110を把持して操作することを可能にするように構成された1つ以上のハンドル118を更に含むことができる。例えば、ユーザは、ハンドル118を把持し、挿入部位に対してガイドワイヤロッキングシステム100を安定させることができ、一方、ユーザは、針ハブ28を近位に付勢して、針ハブ28をハウジング110から離脱させ、針20を針チャネル112から近位に抜去する。一実施形態では、ガイドワイヤロッキングシステム100は、針チャネル112及びガイドワイヤ管腔114の一方又は両方内に配置されたシール部材(「シール」)120を更に含むことができる。シール120は、プラスチック、ポリマー、エラストマー、シリコーン、ゴム、これらの組み合わせなどのコンプライアント材料から形成することができる。
【0034】
一実施形態では、シール120は、それを通って針20の一部分を受容するように構成されたシール針管腔122と、それを通ってガイドワイヤ30を受容するように構成されたシールガイドワイヤ管腔124とを画定することができる。一実施形態では、シール針管腔122の直径は、針20の外径と同等か、それ以下であり得る。このように、シール120は、針20の外面とシール針管腔122の内面との間の流体流を防止しながら、締まり嵌めで針20に摺動可能に係合することができる。同様に、シールガイドワイヤ管腔124の直径は、ガイドワイヤ30の外径と同等か、それ以下であり得る。このように、シール120は、締まり嵌めでガイドワイヤ30に摺動可能に係合することができる。言い換えれば、ユーザは、ガイドワイヤ30をシール管腔124を通って第1の位置まで摺動させることができ、シール120は、ガイドワイヤ30が第2の位置に再位置決めされるまで、ガイドワイヤ30を第1の位置に係合して保持することができる。一実施形態では、シール120は、ハウジング110と針20及びガイドワイヤ30の一方又は両方との間に流体密封シールを設けるために、針20及びガイドワイヤ30の一方又は両方の周りにしっかりと嵌合することができる。例えば、注射器システム40によって針管腔22に真空が適用されるとき、シール120は、例えばガイドワイヤ開口24などへの/ガイドワイヤ開口24からの流体の漏出を防止することができる。
【0035】
一実施形態では、シール120、ガイドワイヤ30、及び/又は針20のうちの1つ以上は、それらの間に流体密封シールを設けるために、その表面上に配置された生体適合性潤滑コーティングを含むことができる。例示的な潤滑性コーティングは、ヒドロゲル、シリコーンオイル、シリコーングリース、又は同様の適切な潤滑剤を含むことができる。有利には、シール部材120は、針20及びガイドワイヤ30の一方又は両方とハウジング110との間に堅牢なシールを形成して、血液フラッシュ可視化中に真空圧を支持することができる。
【0036】
一実施形態において、ガイドワイヤロッキングシステム100は、ガイドワイヤ30をハウジング110に対してロックするように構成されたロッキング機構130を更に含むことができ、それらの間のいかなる運動も防止する。
図2Aに示されるように、ロッキング機構130は、シールガイドワイヤ管腔124と整列し、それを通ってガイドワイヤ30の一部分を受容するように構成されたロック管腔132を画定する、「Tuohy-Borst」型ロッキング機構130を含むことができる。一実施形態では、ロック管腔132の近位端は、ガイドワイヤ30の遠位先端をロック管腔132内に向けることを容易にするように構成された漏斗形状を画定することができる。
【0037】
一実施形態では、ロッキング機構130の遠位端は、シール120の一部分をその中に受容するように構成されたテーパ状凹部134を画定することができる。使用時、ロッキング機構130がガイドワイヤチャネル114内に遠位に付勢される際に、テーパ状凹部134は、シール120の一部分をガイドワイヤ30上に半径方向内向きに圧縮してガイドワイヤ30を把持し、ガイドワイヤ30がハウジング110に対して摺動するのを防止することができる。
【0038】
一実施形態では、ロッキング機構130は、ハウジング110と螺合可能に係合することができる。例えば、ロッキング機構130のカラー138の内面は、ハウジング110の外面に螺合可能に係合することができる。しかしながら、螺合係合の他の構成も本発明の範囲内にあることが企図されることが理解されよう。カラー138を回転させることにより、ガイドワイヤ30の軸を中心としてロッキング機構を回転させ、テーパ状凹部134をシール120上に付勢してガイドワイヤ30を把持することができる。
【0039】
例示的な使用方法では、ユーザは、カラー138をガイドワイヤチャネル114の軸を中心に回転させて、ハウジング110に螺合可能に係合させ、ロック凹部134を遠位に付勢することができる。ロック凹部134は、シール120を半径方向内向きに圧縮し、ガイドワイヤ30を把持し、ハウジング110に対する長手方向運動を防止することができる。同様に、ユーザは、カラー138を反対方向に回転させて、ロッキング機構130をシール120から後退させ、ガイドワイヤ30をハウジング110に対して摺動させることができる。
【0040】
一実施形態では、シール120は、シールの上面に沿って長手方向に延び、シール針管腔122及びシールガイドワイヤ管腔124の一方又は両方と連通するシールスロット126を更に含むことができる。シールスロット126は、ガイドワイヤ30がその中を通過することを可能にし、ガイドワイヤロッキングシステム100がガイドワイヤ30を離脱させることを可能にするように構成され得る。一実施形態では、ハウジング110が針ハブ28と係合されるとき、針ハブ28及びハウジング110の一方又は両方は、シール120上に横方向内向き圧力を加え、シールスロット26の反対の部分を共に圧縮し、その間に流体密封シールを形成することができる。ハウジング110が針ハブ28から離脱するとき、横方向内向きの圧力が解放され、ガイドワイヤ30がシールスロット28を通過することが可能になる。
【0041】
一実施形態では、ガイドワイヤロッキングシステム100は、シール120を通って横方向に延び、シール針管腔122とシールガイドワイヤ管腔124との間の接合部に隣接して配置された剥離ピン128を更に含むことができる。一実施形態では、剥離ピン128の断面形状は、円形、卵形、楕円形、くさび形、又は三角形の形状を画定することができる。しかしながら、他の断面形状も企図されることが理解されるであろう。一実施形態では、剥離ピン128は、ハウジング110と一体的に形成され得る。一実施形態では、剥離ピン128は、ハウジングとは別個の構造として形成され、締まり嵌め、圧入、スナップフィット係合、接着剤、接合、溶接、これらの組み合わせなどによってハウジングに結合され得る。
【0042】
一実施形態では、剥離ピン128は、ガイドワイヤ30が針20を離脱させる点において、ガイドワイヤ30に対して構造的支持を提供することができる。剥離ピン128は、針20及びガイドワイヤ30が抜去されかつ離脱する際に、針スロット26がガイドワイヤ30を近位に「引きずる」ことを防止することができる。これにより、ガイドワイヤ30が針スロット26上でよじれたり引っ掛かったりするのを防止することができ、ガイドワイヤロッキングシステム100の離脱及び故障を防止することができる。
【0043】
一実施形態では、
図2B~
図2Cに示すように、ハウジング110は、ガイドチャネル114の近位端と針チャネル112の遠位端との間で長手方向に延び、ガイドチャネル114及び針チャネル112の一方又は両方と連通するハウジングスロット116を含むことができる。一実施形態では、ロッキング機構130は、ロッキング機構130の遠位端と近位端との間で長手方向に延び、ロック管腔132と連通するロックスロット136を含むことができる。更に、シール120は、本明細書で説明されるように、シールスロット126を含むことができる。
【0044】
一実施形態では、ロッキング機構130がロック位置(
図2B)にある状態で、ロックスロット136は、ハウジングスロット116と不整列であることができ、ガイドワイヤ30がシールスロット126、ハウジングスロット116、及び/又はロックスロット136を通過することを防止する。ロッキング機構130がロック解除位置(
図2C)にある状態で、ロックスロット136はハウジングスロット116と整列することができる。このように、ガイドワイヤ130は、シールスロット126、ハウジングスロット116、及びロックスロット136を通過して、ハウジング110が長手方向軸に対して角度をなして延びる軸、例えば横断方向軸に沿ってガイドワイヤ30を離脱させることを可能にすることができる。
【0045】
一実施形態では、
図3A~
図3Bに示されるように、カラー138は、ロック管腔132の軸に垂直にそこから延びるレバー140を含むことができる。有利には、レバー140は、ロック管腔132の軸の周りでカラー138を回転させることを容易にするための機械的利点を提供することができ、本明細書で説明されるように、ガイドワイヤ30との確実な係合を提供する。更に、ハウジング110に対するレバー140の位置は、ガイドワイヤロッキングシステム100がロック位置にあるかロック解除位置にあるかに関して、迅速かつ直感的な指標をユーザに提供することができる。一実施形態では、カラー138、レバー140、ハウジング110、これらの組み合わせなどのうちの1つ以上は、カラー138がロック位置又はロック解除位置のうちの1つにあるときにユーザに示される記号、異なる色がついた部分、英数字記号などを含むことができる。例えば、レバー140の第1の側は、カラー138がロック解除位置にあることを示すために、開いた南京錠記号、緑色などを含むことができ、レバー140の第2の側は、カラー138がロック位置にあることを示すために、閉じた南京錠記号、赤色などを含むことができる。指標及び関連する機構のこれらの組み合わせ及び他の組み合わせは、本発明の範囲内にあることが企図される。
【0046】
一実施形態では、
図4A~
図4Bに示すように、ロッキング機構130は、回転部品142及び圧縮部品144を含むことができる。一実施形態において、回転部品142及び圧縮部品144は、ロック管腔132を画定するように協働することができる。圧縮部品144の近位端は、回転部品142の遠位端に回転可能に結合され得る。このように、回転部品142は、ロック管腔132の軸を中心として、圧縮部品144の位置に対して自由に回転することができる。一実施形態では、回転部品142の近位端は、カラー138に固定的に結合され得る。このように、カラー138を回転させることにより、回転部品142をロック管腔132の軸を中心に回転させることができる。更に、圧縮部品144は、回転部品142及びカラー138が回転させられるとき、回転部品142に対して回転的に静止したままであり得る。
【0047】
一実施形態では、
図4Bに示すように、回転部品144は、回転部品144の外面から延び、かつロック管腔132の軸と平行に延びるレール146を含むことができる。レール146は、ハウジング110のガイドワイヤ管腔114の内壁に配置され、かつ同様にロック管腔132の軸と平行に延びる凹部148に係合するように構成され得る。一実施形態では、レール146は凹部148に係合して、ロック管腔132の軸を中心とした圧縮部品144の回転運動を防止することができる。更に、レール146は、圧縮部品146がロック管腔132の軸に沿ってハウジングに対して摺動することを可能にすることができる。
【0048】
有利なことに、圧縮部品144は、ロッキング機構130が回転してロック位置に移行する際に、シール120に長手方向の力も加えながら、ロッキング機構130がシール120に任意の回転運動を加えることを防止することができる。このように、ロッキング機構130は、シールスロット126とハウジングスロット116との位置がずれて、ガイドワイヤロッキングシステム100からのガイドワイヤ30の離脱を防止する可能性のある、ガイドワイヤ30に対するシール120のいかなるねじれも防止することができる。更に、シール120に加えられる任意の回転運動は、しわなどを引き起こし、シール120の損傷を引き起こす可能性がある。このように、圧縮部品144は、シール120のしわ又は損傷を軽減するために、回転部品142に対して回転的に静止したままであり得る。
【0049】
一実施形態では、
図5に示されるように、ガイドワイヤロッキングシステム100は、非軸方向又は垂直ロッキング機構230を含むことができる。垂直ロッキング機構230は、ガイドワイヤ管腔114の軸に対して角度をなして、例えば、垂直に延びる軸に沿って、ハウジング110と摺動可能に係合される、アクチュエータ232を含むことができる。一実施形態では、アクチュエータ232は、ロック解除位置(
図5)とロック位置との間で移行することができる。ロック解除位置では、ガイドワイヤ30は、ほとんど又は全く抵抗なくガイドワイヤ管腔114に沿って摺動することができる。ロック位置において、アクチュエータ232の表面は、ガイドワイヤ30の一部分をガイドワイヤ管腔114の内面に作用させて、ガイドワイヤ30がハウジング110に対して摺動するのを防止することができる。
【0050】
一実施形態では、アクチュエータ232は、押しボタン機構においてハウジングに係合することができ、アクチュエータ232に加えられる第1の軸方向の力は、アクチュエータ232をロック解除位置からロック位置に移行させることができる。アクチュエータ232に加えられる第2の軸方向の力は、アクチュエータ232をロック位置からロック解除位置に移行させることができる。一実施形態では、第1の軸方向の力及び第2の軸方向の力は、同じ軸に沿って及び/又は同じ方向に加えることができる。一実施形態では、第1の軸方向の力及び第2の軸方向の力は、異なる軸に沿って、又は異なる方向、例えば反対方向に沿って加えることができる。一実施形態では、アクチュエータ232は、ハウジング110と螺合可能に係合され得、本明細書に説明されるように、回転部品及び圧縮部品を含むことができる。このように、回転部品を回転させることで、圧縮部品がガイドワイヤ30に作用するまで、ガイドワイヤ30の軸に垂直な軸に沿って圧縮部品を付勢することができる。理解されるように、アクチュエータをガイドワイヤ軸に対して角度をなしてガイドワイヤ30に係合させる、レバー、カム機構などを含む非軸方向の垂直ロッキング機構230のこれら及び他の組み合わせも、本発明の範囲内にあることが企図される。有利には、垂直ロッキング機構230は、ハウジングスロット116の軸に平行に延びる力を加えることができ、ガイドワイヤ30とハウジングスロット116との不整列を引き起こし得る力を加えることを軽減し得る。
【0051】
一実施形態では、ガイドワイヤロッキングシステム100は、ハウジング110の針チャネル112及びガイドワイヤ管腔114の一方又は両方を通る流体流を制御しながら、針20及びガイドワイヤ30の一方又は両方が軸方向に摺動することを可能にするように構成された1つ以上の弁150を含むことができる。有利には、1つ以上の弁150は、本明細書に説明されるように、流体が針管腔22を通過する際にガイドワイヤ開口24からの流体漏出を軽減するか、又は針管腔22に真空が適用されるときにガイドワイヤ開口24内への流体漏出を軽減することができる。更に、1つ以上の弁150は、針20及びガイドワイヤ30の一方又は両方が自由に摺動するのを防止するために、締まり嵌めで針20及びガイドワイヤ30の一方又は両方に係合することができる。言い換えれば、ロッキング機構130又は垂直ロッキング機構230がロック解除位置にある場合、ユーザは、針20及びガイドワイヤ30の一方又は両方をハウジング110に対して第1の位置に位置決めすることができ、1つ以上の弁150は、針20及び/又はガイドワイヤ30に係合することができ、第2の位置に再位置決めされるまで第1の位置に留まることができる。
【0052】
例示的な使用方法では、本明細書に説明されるように、ガイドワイヤロッキングシステム100を含むRICCシステム10を提供することができる。一実施形態では、ガイドワイヤ30の遠位先端は、針20の管腔内に延びる。RICCシステム10は、本明細書で説明されるように、針20を用いて患者の血管構造にアクセスし、血管アクセスを確認するように、遠位に付勢される。血管アクセスが確認されると、ガイドワイヤ30は、ガイドワイヤ30の遠位先端が針22の遠位先端の遠位に延びて血管構造に入るまで、針管腔22を通って前進させることができる。任意選択的に、ユーザは、ガイドワイヤ30を針管腔22を通って遠位に前進させて針22の血管構造に入れる前に、ロッキング機構130、230をロック解除位置に移行させることができる。
【0053】
ガイドワイヤ30が位置決めされると、ユーザは、ロッキング機構130、230をロック解除位置からロック位置に移行させることができる。一実施形態では、これは、カラー138又はレバー140を回転させることを含む。一実施形態において、これは、回転部品142を回転させることと、圧縮部品142をシール120上に前進させることとを含む。一実施形態では、これは、シール120を半径方向内向きに圧縮してガイドワイヤ30に作用させ、ハウジング110に対するガイドワイヤ30の軸方向運動を防止することを含む。一実施形態では、ユーザは、ガイドワイヤ30の軸に対して角度をなして延びる軸に沿ってアクチュエータ232を作動させて、ガイドワイヤ30に作用させ、その軸方向運動を防止する。
【0054】
ユーザは、ハンドル118を把持し、挿入部位に対してハウジング110を安定させることができる。次いで、ユーザは、針ハブ28をハウジング110から取り外し、針20をハウジング110の針チャネル112を通して近位に付勢することができる。針20が近位方向に摺動する際に、剥離ピン128によって支持されたガイドワイヤ30の一部分が、ガイドワイヤ開口24から針スロット26を通るように付勢されて、針20をガイドワイヤ30から離脱させることができる。一実施形態では、ガイドワイヤ30は、引き裂き線72に沿ってシース70を引き裂くことができる。
【0055】
一実施形態では、針20がハウジング110から取り外されると、ロッキング機構130、230をロック解除位置に移行させることができる。ロック解除位置では、シールスロット126及びロックスロット136の一方又は両方は、ハウジングスロット116と整列することができ、ガイドワイヤ30がそこを通過することを可能にすることができる。これは、ハウジング110がガイドワイヤ30を離脱させることを可能にする。次いで、RICCカテーテル50は、ガイドワイヤ30の上で患者の血管構造の中へと付勢されることができる。RICCカテーテル50が配置されると、ガイドワイヤ30は、RICCカテーテル50の管腔から近位に引き抜かれ得る。
【0056】
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、それら特定の実施形態が、ある程度詳細に開示されているが、それら特定の実施形態が、本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。さらなる適合又は修正が、当業者には明らかとなる可能性があり、より広範な態様においては、これらの適合又は修正も同様に包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態からの展開を実施することができる。
【国際調査報告】