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特表2024-536585シングルサイト触媒を製造するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】シングルサイト触媒を製造するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/6592 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
C08F4/6592
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523713
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022046774
(87)【国際公開番号】W WO2023069328
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/257,830
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ブレイクリー,シー・ゲール
(72)【発明者】
【氏名】ソーン,マシュー・ジー
【テーマコード(参考)】
4J128
【Fターム(参考)】
4J128AC01
4J128AC10
4J128AC28
4J128BC25A
4J128CA28A
4J128DB02A
4J128EA01
4J128EB02
4J128EB09
4J128EC03
4J128FA02
4J128GB01
(57)【要約】
担持シングルサイト触媒を製造するためのプロセスが提供される。本プロセスは、乾燥無機酸化物担体、有機溶媒、及びアルミノキサン活性化剤を含むスラリーを形成することと、スラリーの温度を約100℃~約200℃に約0.5~約10時間の間維持して、担持アルミノキサンスラリーを形成することと、担持アルミノキサンスラリーをシングルサイト触媒成分と接触させて、担持シングルサイト触媒を形成することと、を含む。有機溶媒は、約100℃以上の沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、有機溶媒の総量に対して約50重量%以上の量で含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持シングルサイト触媒を製造するためのプロセスであって、前記プロセスが、
乾燥無機酸化物担体、有機溶媒、及びアルミノキサン活性化剤を含むスラリーを形成することと、
前記スラリーの温度を約100℃~約200℃に約0.5~約10時間の間維持して、担持アルミノキサンスラリーを形成することと、
前記担持アルミノキサンスラリーをシングルサイト触媒成分と接触させて、担持シングルサイト触媒を形成することと、を含み、
前記有機溶媒が、約100℃以上の沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、前記有機溶媒の総量に対して約50重量%以上の量で含む、プロセス。
【請求項2】
前記有機溶媒が、イソパラフィンを含む1つ以上の分岐脂肪族化合物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記有機溶媒が、鉱油を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記有機溶媒が、メチルアルミノキサンを含む1つ以上の脂環式化合物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記アルミノキサン活性化剤が、メチルアルミノキサンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記有機溶媒が、1つ以上の芳香族化合物を、前記有機溶媒の総量に対して約5重量%~約45重量%の量で含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記1つ以上の芳香族化合物が、トルエンを含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記担持アルミノキサンスラリーを前記シングルサイト触媒成分と接触させる前に、前記担持アルミノキサンスラリーを約50℃以下の温度に冷却することを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記有機溶媒が、前記スラリーが到達する最高温度よりも高い沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、約50重量%以上の量で含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記アルミノキサン活性化剤が、芳香族溶媒中に添加されて前記スラリーを形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記プロセスが、前記担持アルミノキサンを前記シングルサイト触媒成分と接触させる前に、前記担持アルミノキサンを前記有機溶媒から分離することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
無機酸化物が、シリカを含み、かつ/又は前記シングルサイト触媒成分が、メタロセン化合物を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記担持シングルサイト触媒が、約50重量%未満の総残留溶媒含有量を有し、かつ/又は前記担持シングルサイト触媒が、約0.5重量%未満の総残留芳香族溶媒含有量を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
担持シングルサイト触媒を製造するためのプロセスであって、前記プロセスが、
乾燥無機酸化物担体、有機溶媒、及びアルミノキサン活性化剤を約0℃~約50℃の温度で接触させて、スラリーを形成することと、
前記スラリーを約100℃~約200℃の温度に約0.5~約10時間の間加熱して、担持アルミノキサンスラリーを形成することと、
前記スラリーを約0℃~約50℃の温度に冷却することと、
シングルサイト触媒成分を前記担持アルミノキサンスラリーに添加して、担持シングルサイト触媒を形成することと、を含み、
前記有機溶媒が、約100℃以上の沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、前記有機溶媒の総量に対して約50重量%以上の量で含む、プロセス。
【請求項15】
前記有機溶媒が、イソパラフィンを含む1つ以上の分岐脂肪族化合物を含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記有機溶媒が、鉱油を含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記有機溶媒が、メチルアルミノキサンを含む1つ以上の脂環式化合物を含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項18】
前記アルミノキサン活性化剤が、メチルアルミノキサンを含む、請求項14~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記有機溶媒が、1つ以上の芳香族化合物を、前記有機溶媒の総量に対して約5重量%~約45重量%の量で含む、請求項14~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記1つ以上の芳香族化合物が、トルエンを含む、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記有機溶媒が、前記スラリーが到達する最高温度よりも高い沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、約50重量%以上の量で含む、請求項14~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記アルミノキサン活性化剤が、芳香族溶媒中に添加されて前記スラリーを形成する、請求項14~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
無機酸化物が、シリカを含む、請求項14~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記担持シングルサイト触媒が、約50重量%未満の総残留溶媒含有量を有し、かつ/又は前記担持シングルサイト触媒が、約0.5重量%未満の総残留芳香族溶媒含有量を有する、請求項14~23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記担持シングルサイト触媒をオレフィンモノマーと接触させて、ポリオレフィンを製造することを更に含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
請求項25に記載のプロセスによって製造された、ポリオレフィン。
【請求項27】
請求項1~24のいずれか一項に記載のプロセスによって製造された、担持シングルサイト触媒。
【請求項28】
スラリーであって、
乾燥無機酸化物担体と、
有機溶媒であって、約100℃以上の沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、前記有機溶媒の総量に対して約50重量%以上の量で含む、有機溶媒と、
アルミノキサン活性化剤と、を含む、スラリー。
【請求項29】
約100℃以上の沸点を有する前記1つ以上の非芳香族有機化合物が、前記有機溶媒の総量に対して約75重量%以上の量で存在する、請求項28に記載のスラリー。
【請求項30】
前記有機溶媒が、イソパラフィンを含む1つ以上の分岐脂肪族化合物を含む、請求項28又は29に記載のスラリー。
【請求項31】
前記有機溶媒が、鉱油を含む、請求項28又は29に記載のスラリー。
【請求項32】
前記有機溶媒が、メチルシクロヘキサンを含む1つ以上の脂環式化合物を含む、請求項28又は29に記載のスラリー。
【請求項33】
前記アルミノキサン活性化剤が、メチルアルミノキサンを含み、かつ/又は前記無機酸化物が、シリカを含む、請求項28~32のいずれか一項に記載のスラリー。
【請求項34】
前記スラリーが、約50重量%未満の総残留溶媒含有量を有し、かつ/又は前記担持シングルサイト触媒が、約0.5重量%未満の総残留芳香族溶媒含有量を有する、請求項28~33のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年10月20日に出願された米国特許仮出願第63/257,830号に対する優先権の利益を主張するものであり、ありとあらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本技術は、全般的には、ポリオレフィン触媒系に関する。より具体的には、本技術は、脂肪族溶媒中の担持アルミノキサンを調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリオレフィンは、一般に、担体と、担体の細孔内及び表面上に堆積された触媒成分と、からなる触媒の存在下でオレフィンモノマーを反応させることによって調製される。例えば、ポリオレフィン触媒の1つのタイプは、シングルサイト触媒であり、これは典型的には、担体、活性化剤、及びメタロセン成分などのシングルサイト触媒成分を含む。アルミノキサンが、活性化剤として一般に使用される。かかる触媒は、トルエンに溶解したメチルアルミノキサン(methylaluminoxane、MAO)をトルエンスラリー中のシリカ担体と接触させて、アルミノキサン活性化剤をシリカ担体上に固定化することによる、従来の方法で調製される。例えば、米国特許第5,856,255号は、かかるプロセスを記載している。溶媒は、典型的には、得られた触媒から除去されるが、トルエンの全てを除去することは困難であり、したがって、得られた触媒から製造されたポリマーは、いくらかのトルエンを含有する傾向がある。
【0004】
最近、特に食品及び飲料産業での使用に意図されたポリオレフィンにおいて、より低いレベルの芳香族化合物、例えばトルエンでポリオレフィンを製造することが求められている。そのため、より少ない残留トルエンを含有するポリオレフィンを製造するために使用することができる、少量のトルエンを含有する担持シングルサイト触媒を製造することが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
担持シングルサイト触媒を製造するためのプロセスが提供される。一実施形態では、プロセスは、乾燥無機酸化物担体、有機溶媒、及びアルミノキサン活性化剤を含むスラリーを形成することと、スラリーの温度を約100℃~約200℃に約0.5~約10時間の間維持して、担持アルミノキサンスラリーを形成することと、担持アルミノキサンスラリーを、シングルサイト触媒成分と接触させて、担持シングルサイト触媒を形成することと、を含む。有機溶媒は、約100℃以上の沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、有機溶媒の総量に対して約50重量%以上の量で含む。
【0006】
一実施形態では、プロセスは、乾燥無機酸化物担体、有機溶媒、及びアルミノキサン活性化剤を約0℃~約50℃の温度で接触させて、スラリーを形成することと、スラリーを約100℃~約200℃の温度に約0.5~約10時間の間加熱して、担持アルミノキサンスラリーを形成することと、スラリーを約0℃~約50℃の温度に冷却することと、シングルサイト触媒成分を担持アルミノキサンスラリーに添加して、担持シングルサイト触媒を形成することと、を含む。有機溶媒は、約100℃以上の沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、有機溶媒の総量に対して約50重量%以上の量で含む。
【0007】
スラリー組成物も提供される。スラリーは、乾燥無機酸化物担体、有機溶媒、及びアルミノキサン活性化剤を含む。有機溶媒は、約100℃以上の沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、有機溶媒の総量に対して約50重量%以上の量で含む。
【0008】
本開示の他の特徴及び態様は、以下でより詳細に考察される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明が、以下の説明に記載される構造又はプロセス工程の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方式で実施又は実行することができる。
【0010】
一般に、本開示は、大部分の非芳香族溶媒を使用して担持シングルサイト触媒を製造するためのプロセスに関する。アルミノキサン活性化剤は、活性化剤、担体、及び約100℃以上の沸点を有する大部分の非芳香族成分を含む有機溶媒を含有するスラリーを使用して、温度を100℃超に十分な時間にわたって上昇させるとき、無機酸化物担体上に十分に固定化できることが見出された。次いで、シングルサイト触媒成分を担持アルミノキサンに添加して、担持シングルサイト触媒を形成することができる。
【0011】
シングルサイト触媒は、単一の容器中又は一連の容器中で形成することができる。例えば、一実施形態では、担持アルミノキサンは、1つの容器中で製造され、次いで、スラリー又は単離された形態で第2の容器に移され、そこでシングルサイト触媒成分が添加される。別の実施形態では、担持アルミノキサンスラリーが形成され、シングルサイト触媒成分が、スラリーを形成するために使用された同じ容器中でスラリーに添加される、「ワンポット」プロセスが使用される。
【0012】
担体は、任意の好適な脱水無機酸化物であることができる。かかる無機酸化物担体材料には、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、及びそれらの混合物などのIIA、IIIA、IVA、又はIVB族金属酸化物が含まれる。単独で、又はシリカ、アルミナ、若しくはシリカ-アルミナと組み合わせて用いられ得る他の無機酸化物は、マグネシア、クロミア、チタニア、ジルコニアなどである。例えば、本発明に有用な無機酸化物としては、限定されないが、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、及びそれらの複酸化物、例えば、SiO-Al、SiO-MgO、SiO-iO、SiO-TiO-MgOが挙げられる。一実施形態では、担体はシリカを、約60重量%以上、例えば約80重量%以上、例えば約90重量%以上、例えば約99重量%以上の量で含む。
【0013】
担体材料の特定の粒子サイズ、表面積、細孔直径、細孔体積などは、当技術分野で知られているように選択することができる。例えば、粒子サイズは、約0.1~600マイクロメートルの範囲であることができ、表面積は、約50~1000m/gの範囲であることができ、細孔直径は、約50~500オングストロームの範囲であることができ、細孔体積は、約0.3~5.0cc/gの範囲であることができる。
【0014】
無機酸化物担体は、有機溶媒及びアルミノキサン活性化剤を用いてスラリーを形成する前に脱水される。例えば、担体は、化学的に、又は水を除去するのに十分な温度及び時間で担体を加熱若しくは焼成することによるいずれかで脱水することができる。例えば、担体を乾燥又は焼成することは、典型的には、担体を約100℃~約1000℃、例えば約150℃~約600℃、例えば約200℃~約300℃の温度に、約1分~約100時間、例えば約50分~約5時間の間加熱することによって行われる。乾燥中の雰囲気は、空気又は不活性ガスであることができる。
【0015】
アルミノキサン活性化剤は、直鎖、環状、かご型、又はポリマー構造の形態で存在し得、最も単純なモノマー化合物は、テトラアルキルアルミノキサン、例えばテトラメチルアルミノキサン、(CH AlOAl(CH、又はテトラエチルアルミノキサン、(C AlOAl(Cである。オレフィン重合触媒に使用するのに好ましい化合物は、時にポリアルキルアルミノキサンと呼ばれるオリゴマー材料であり、通常、約4~20個の反復単位:
【0016】
【化1】
を含み、式中、Rは、C-C10アルキル、例えばポリメチルアルミノキサン(MAO)である。直鎖状及び環状アルミノキサンは、しばしば以下の構造
【0017】
【化2】
を有するものとして言及され、式中、m及びnは、4以上の整数であり、アルミノキサンの正確な立体配置は未知のままである。
【0018】
メチルアルミノキサンは、それらの溶解度を改善するためにいくつかの高級アルキル基を含むことができる。MAOに加えて、本発明における使用のためのヒドロカルビルアルミノキサンの非限定的な例としては、エチルアルミノキサン(ethylaluminoxane、EAO)、イソブチルアルミノキサン(isobutylaluminoxane、IBAO)、n-プロピルアルミノキサン、n-オクチルアルミノキサンなどが挙げられる。ヒドロカルビルアルミノキサンはまた、活性、溶解性、及び/又は安定性を改善するために、アミン、アルコール、エーテル、エステル、リン酸、及びカルボン酸、チオール、アルキルジシロキサンなどから誘導される部分の最大約20モルパーセント(アルミニウムを基準として)を含むことができる。
【0019】
アルミノキサンは、当技術分野で既知の任意の方法で調製することができる。例えば、1つの好適な方法は、トリアルキルアルミニウム化合物の部分加水分解によるものである。トリアルキルアルミニウム化合物は、遊離水又は水含有固体のいずれかを添加することによって加水分解することができ、水和物又は水を吸収している多孔性材料のいずれかであることができる。水自体を添加することによって反応を制御することは、混合物の激しい撹拌を用いてさえ困難であるため、遊離水は通常、有機溶媒中の溶液又は分散の形態で添加される。好適な水和物としては、CuSO・5HO、Al(SO・18HO、FeSO・7HO、AlCl・6HO、Al(NO・9HO、MgSO・7HO、MgCl・6HO、ZnSO・7HO、NaSO・10HO、Na PO・12HO、LiBr・2HO、LiCl・1HO、LiI・2HO、LiI・3HO、KF・2HO、NaBr・2HOなどの塩水和物、及びNaOH・HO、NaOH・2HO、Ba(OH)・8HO、KOH・2HO、CsOH・1HO、LiOH・1HOなどのアルカリ又はアルカリ土類金属水酸化物水和物が挙げられる。上記水和物のうちのいずれかの混合物を使用することができる。遊離水あるいは水和物中又はアルミナ若しくはシリカなどの多孔性材料中の水と、混合物中の総アルキルアルミニウム化合物とのモル比は、約2:1~約1:4など、約4:3~約1:3.5など、広範囲に変動することができる。
【0020】
かかるヒドロカルビルアルミノキサン、及びヒドロカルビルアルミノキサンを調製するプロセスは、例えば、米国特許第4,908,463号、同第4,924,018号、同第5,003,095号、同第5,041,583号、同第5,066,631号、同第5,099,050号、同第5,157,008号、同第5,157,137号、同第5,235,081号、同第5,248,801号、及び同第5,371,260号に記載されており、それらの教示は参照により本明細書に組み込まれる。メチルアルミノキサンは、未反応トリメチルアルミニウムとして約5~約35モルパーセントなどの種々の量のアルミニウムを含むことができる。いくつかの実施形態では、トリメチルアルミニウムとしてのアルミニウム含有量は、総アルミニウム値の約23モルパーセント未満であり、いくつかの実施形態では、約20モルパーセント未満である。
【0021】
アルミノキサンはまた、非加水分解プロセスによって、例えば、アルキルアルミニウム化合物と、カルボニル、カルボキシル、及び/又はヒドロキシル基などの1つ以上の酸素含有官能基を有する有機化合物との反応によって調製することができ、かかる化合物の例としては、PhCOMe、PhCOOH、PhCOOMe、PhCOHなどが挙げられる。代替的に、トリアルキルアルミニウムは、二酸化炭素で処理することができる。
【0022】
担体材料及びアルミノキサン活性化剤を含有するスラリーを形成するために使用される有機溶媒は、一般に、約100℃以上の沸点を有する1つ以上の脂肪族炭化水素化合物を含有する。かかる炭化水素化合物は、約7~約20個の炭素原子、いくつかの実施形態では約7~約12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の炭化水素であり得る。いくつかの実施形態では、溶媒は、飽和炭化水素を含有する。いくつかの実施形態では、溶媒は、分岐炭化水素を含有する。いくつかの好適な直鎖炭化水素の非限定的な例としては、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、デセン、トリデセン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適な分岐炭化水素としては、イソパラフィン、例えばC7-C12イソパラフィン、C7-C10イソパラフィン、及びC10-C12イソパラフィン、並びに商品名ISOPAR(商標)で販売され、Exxon Mobilによって製造されているものが挙げられる。ISOPAR(商標)の実例としては、ISOPAR(商標)E(C7-C10イソパラフィンの混合物)及びISOPAR(商標)G(C9-C12イソパラフィンの混合物)が挙げられる。好適な分岐炭化水素は、イソヘキサデカン、イソドデカン、2,5-ジメチルデカン、イソテトラデカン、及びこれらの組み合わせである。溶媒はまた、芳香族含有量を実質的に含まない鉱油を含有し得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、C7-C20環式又は脂環式化合物などの環式又は脂環式化合物を含む。例えば、溶媒は、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、及びこれらの混合物を含み得る。
【0024】
有機溶媒は、一般に、約100℃以上の沸点を有する非芳香族化合物を、有機酸化物担体、アルミノキサン活性化剤、及び有機溶媒を混合することによって形成されたスラリー中に含有される有機溶媒の総量に対して50重量%超の量で含む。いくつかの実施形態では、非芳香族化合物は、スラリー中に含有される有機溶媒の総量に対して、約60重量%以上、例えば約70重量%以上、例えば約80重量%以上、例えば約90重量%以上の有機溶媒を構成する。いくつかの実施形態では、非芳香族化合物は、スラリー中に含有される有機溶媒の総量に対して、約70重量%~約100重量%、約80重量%~約100重量%、及び約90重量%~約100重量%を含む、約60重量%~約100重量%の有機溶媒を構成する。いくつかの実施形態では、スラリーは、芳香族化合物を含まない。
【0025】
非芳香族化合物に加えて、有機溶媒は、芳香族化合物を50重量%以下の量で含有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、アルミノキサン活性化剤は、担体及び有機溶媒に、トルエンなどの芳香族成分中の溶液の形態で導入される。アルミノキサンが芳香族溶媒中の溶液として導入される場合、アルミノキサンは、溶液の約10~約50重量%、例えば溶液の約20~約40重量%を構成することができる。いくつかの実施形態では、アルミノキサンが芳香族溶媒中の溶液として導入される場合、アルミノキサンは、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、又は約50重量%の溶液を構成する。アルミノキサンを添加する前の無機酸化物担体との混合物中など、アルミノキサンが添加されない場合でさえ、芳香族化合物はまた、スラリー中に存在し得る。いくつかの実施形態では、アルミノキサンの溶液として導入されないスラリー中に含有される芳香族化合物の量は低く、例えば約5重量%以下、例えば約1重量%以下である。いくつかの実施形態では、アルミノキサンの溶液として導入されないスラリー中に含有される芳香族化合物の量は低く、例えば、約0重量%~約1重量%を含む、約0重量%~約5重量%である。
【0026】
存在する場合、芳香族溶媒は、好ましくは約100℃以上の沸点を有する。例えば、いくつかの実施形態では、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、及び/又はt-ブチルベンゼンなどの芳香族溶媒は、有機溶媒中に含有させることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、トルエン及び分岐アルカン及び/又は脂環式化合物を含有する。例えば、トルエンは約40重量%~約50重量%の量で存在し得、イソパラフィン及び/又は脂環式化合物が、有機溶媒の残分を構成する。
【0028】
溶媒は一般に、非常に低い量の汚染物質、例えば水及び非不活性化合物を有する。例えば、いくつかの実施形態では、溶媒は、約100ppm以下、例えば約50ppm以下、例えば約10ppm以下の不純物、例えば水、極性化合物、非炭化水素化合物、及び他の非不活性物質を含有する。これに関して、いくつかの実施形態では、溶媒は、本明細書に記載されるスラリーを製造するために使用される前に、空気でパージされ、精製される。
【0029】
シングルサイト触媒成分は、当該技術分野において既知の任意の遷移金属又はメタロセンシングルサイト触媒を含むことができる。例えば、シングルサイト触媒は、少なくとも1つの第3族~第12族金属原子に結合した1つ以上のCp配位子(シクロペンタジエニル及びシクロペンタジエニルにイソローバルな配位子)と、少なくとも1つの金属原子に結合した1つ以上の脱離基とを有する「ハーフサンドイッチ」及び「フルサンドイッチ」化合物を含むことができる。
【0030】
Cp配位子は、1つ以上の環又は環系であり、その少なくとも一部は、シクロアルカジエニル配位子及び複素環式類似体などのπ結合系を含む。環又は環系は、典型的には、第13~16族原子から選択される原子を含み、いくつかの実施形態では、Cp配位子を構成する原子は、炭素、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リン、ゲルマニウム、ホウ素、アルミニウム、及びこれらの組み合わせから選択され、炭素が環員の少なくとも50%を構成する。例えば、Cp配位子は、置換及び非置換シクロペンタジエニル配位子及びシクロペンタジエニルに対してイソローバルの配位子から選択されてもよい。このような配位子の非限定的な例としては、シクロペンタジエニル、シクロペンタフェナントレニル、インデニル、ベンゾインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセン、フェナントリンデニル(phenanthrindenyl)、3,4-ベンゾフルオレニル、9-フェニルフルオレニル、8-H-シクロペント[a]アセナフチレニル、7-H-ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2-9]アントレン、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、それらの水素化態様(例えば、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル、又は「HInd」)、それらの置換態様(以下でより詳細に考察及び記載される)、及びそれらの複素環式態様が挙げられる。
【0031】
シングルサイト化合物の金属原子「M」は、第3~12族原子及びランタニド族原子から選択されてもよく、又は第3~10族原子から選択されてもよく、又はSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、及びNiから選択されてもよく、又は第4族、5族、及び6族原子から選択されてもよく、又はTi、Zr、若しくはHf原子であってもよく、又はHfであってもよく、又はZrであってもよい。金属原子「M」の酸化状態は、0~+7の範囲であってもよく、又は+1、+2、+3、+4、若しくは+5であってもよく、又は+2、+3若しくは+4であってもよい。金属原子「M」に結合した基は、別段の指示がない限り、構造における以下に記載の化合物が電気的に中性であるようなものである。Cp配位子は、金属原子Mと少なくとも1つの化学結合を形成して、「メタロセン触媒成分」を形成する。Cp配位子は、置換/引き抜き反応をあまり受けないという点で、金属原子Mに結合した脱離基とは異なる。
【0032】
一実施形態では、シングルサイト触媒は、以下の式:
(CR’(C)MQn-y-1
によって表され得、式中、
Mが、元素の周期表の第IIIB族~第VIII族の金属であり、(C)及び(C)が、Mに結合された同じ又は異なるシクロペンタジエニル又は置換シクロペンタジエニル基であり、
Rが、同じであるか、又は異なり、水素、又は1~20個の炭素原子を含有するアルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、若しくはアリールアルキル基などのヒドロカルビル基であるか、又は2個の炭素原子が一緒に接続してC~C環を形成し、
R’が、C~C置換若しくは非置換のアルキレン基、ジアルキル若しくはジアリールゲルマニウム若しくはケイ素、又は2つの(C)及び(C)環を架橋するアルキル若しくはアリールホスフィン若しくはアミン基であり、
Qは、1~20個の炭素原子を有するアリール、アルキル、アルケニル、アルキルアリール、若しくはアリールアルキル基などのヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルボキシ基、又はハロゲンであり、互いに同じであっても異なっていてもよく、
zが、0又は1であり、
yが、0、1又は2であり、
yが0である場合、zが0であり、
nが、Mの原子価状態に応じて0、1、2、3、又は4であり、
n-yが、≧1である。
【0033】
上の式によって表されるメタロセンの例示的であるが非限定的な例は、ジアルキルメタロセン、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル及びジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ-ネオペンチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ-ネオペンチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジベンジル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウムジメチル;モノアルキルメタロセン、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムメチルクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムエチルクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムフェニルクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムエチルクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムメチルブロミド;トリアルキルメタロセン、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリメチル、シクロペンタジエニルジルコニウムトリフェニル、及びシクロペンタジエニルジルコニウムトリネオペンチル、シクロペンタジエニルジルコニウムトリメチル、シクロペンタジエニルハフニウムトリフェニル、シクロペンタジエニルハフニウムトリネオペンチル、及びシクロペンタジエニルハフニウムトリメチル;モノシクロペンタジエニルチタノセン、例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロリド、ペンタエチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロリド;ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル、式ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム=CHによって表されるカルベン、及びこの試薬の誘導体;置換ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)化合物、例えば、ビス(インデニル)チタニウムジフェニル又はジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル又はジハロゲン化物;ジアルキル、トリアルキル、テトラ-アルキル及びペンタ-アルキルシクロペンタジエニルチタニウム化合物、例えば、ビス(1,2-ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル又はジクロリド、ビス(1,2-ジエチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル又はジクロリド;ケイ素、ホスフィン、アミン又は炭素架橋したシクロペンタジエン錯体、例えば、ジメチルシリルジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニル又はジクロリド、メチルホスフィンジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニル又はジクロリド、メチレンジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニル又はジクロリド及び他のジハロゲン化物錯体など;並びに架橋したメタロセン化合物、例えば、イソプロピル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリドジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジtertブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルメチレン(2,5-ジメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジイソプロピルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジイソブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジtertブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジイソプロピルメチレン(2,5-ジメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、ジイソプロピルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、ジイソブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、ジtertブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、ジイソプロピルメチレン(2,5ジメチルシクロペンタジエニルフルオレニル)チタニウムジクロリド、ラセミ体-エチレンビス(1-インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(1-インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-1,1,2,2-テトラメチルシラニレンビス(1-インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-1,1,2,2-テトラメチルシラニレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウム(IV)、ジクロリド、エチリデン(1-インデニルテトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(2-メチル-4-t-ブチル-1-シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-エチレンビス(1-インデニル)ハフニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ハフニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(1-インデニル)ハフニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ハフニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-1,1,2,2-テトラメチルシラニレンビス(1-インデニル)ハフニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-1,1,2,2-テトラメチルシラニレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ハフニウム(IV)、ジクロリド、エチリデン(1-インデニル-2,3,4,5-テトラメチル-1-シクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-エチレンビス(1-インデニル)チタニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)チタニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(1-インデニル)チタニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-ジメチルシリルビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)チタニウム(IV)ジクロリド、ラセミ体-1,1,2,2-テトラメチルシラニレンビス(1-インデニル)チタニウム(IV)ジクロリドラセミ体-1,1,2,2-テトラメチルシラニレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)チタニウム(IV)ジクロリド、ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、及びエチリデン(1-インデニル-2,3,4,5-テトラメチル-1-シクロペンタジエニル)チタニウムIV)ジクロリドである。
【0034】
シングルサイト触媒成分は、例えば、米国特許第2,864,843号、同第2,983,740号、同第4,665,046号、同第4,874,880号、同第4,892,851号、同第4,931,417号、同第4,952,713号、同第5,017,714号、同第5,026,798号、同第5,036,034号、同第5,064,802号、同第5,081,231号、同第5,145,819号、同第5,162,278号、同第5,245,019号、同第5,268,495号、同第5,276,208号、同第5,304,523号、同第5,324,800号、同第5,329,031号、同第5,329,033号、同第5,330,948号、同第5,347,025号、同第5,347,026号、及び同第5,347,752号に記載されており、かかる成分に関する教示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
シングルサイト触媒を形成するために、スラリーが、担体、アルミノキサン、及び有機溶媒を含有して形成される。例えば、一実施形態では、乾燥無機酸化物担体が、有機溶媒の一部と混合されてスラリーを形成する。スラリーは、任意の好適な混合手段を使用して任意の好適な容器中で形成することができる。例えば、一実施形態では、容器は、凝縮器及び撹拌機又はインペラが取り付けられ得る。容器は、開放又は閉鎖した反応器であることができる。次いで、アルミノキサンをスラリーに添加することができる。例えば、一実施形態では、アルミノキサンは、有機溶媒中の溶液の形態で添加されて、担体、アルミノキサン、及び有機溶媒を含有するスラリーを形成する。かかる実施形態では、総有機溶媒は、担体をスラリー化するために使用される有機溶媒、及びアルミノキサンとともに添加される有機溶媒の両方を含む。
【0036】
一実施形態では、添加されるアルミノキサンと担体との重量比は、約0.5:1~約5:1、例えば約1:1~約3:1、例えば約2:1~約2.5:1である。とりわけ、アルミノキサンが芳香族溶媒に溶解される場合、それは、添加後に得られた有機溶媒が、50重量%超の芳香族化合物を含有するような量で添加されるべきではない。
【0037】
一実施形態では、スラリーは、0℃~50℃、例えば約15℃~約30℃の温度で形成される。一実施形態では、スラリーは、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、又は約50℃の温度で形成される。一実施形態では、スラリーは、スラリーを混合しながら、約1分~約2時間、例えば約10分~約1時間の間、かかる温度範囲にあり続ける。
【0038】
アルミノキサン活性化剤を担体に十分固定化するために、温度は約100℃以上で十分な時間維持されなければならないことが見出された。したがって、一実施形態では、スラリーの温度は、約100℃以上、例えば、約110℃以上、例えば、約120℃以上、例えば、約130℃以上、例えば、約140℃以上、例えば、約150℃以上の温度に上昇させる。典型的には、温度は約200℃未満のままである。したがって、一実施形態では、スラリーの温度は、約110℃~約200℃、約120℃~約200℃、約130℃~約200℃、約140℃~約200℃、及び約150℃~約200℃を含む、約100℃~約200℃の温度に上昇させる。しかしながら、溶媒及び反応器の圧力に応じて、温度は約200℃超であることができる。温度は、約0.5~約10時間、例えば約2~約6時間の間維持して、担持アルミノキサンスラリーを形成することができる。一実施形態では、スラリーの温度は、有機溶媒の沸点未満に維持される。一実施形態では、圧力は、プロセス全体を通して、約130kPa以下、例えば約90~約130kPa及び約90~約110kPaに維持される。一実施形態では、圧力は、プロセス全体を通して、約90kPa、約95kPa、約100kPa、約105kPa、約110kPa、約115kPa、約120kPa、約125kPa、又は約130kPaに維持される。しかしながら、いくつかの実施形態では、閉鎖反応器系を使用する場合、圧力は、130kPa超に上昇させ、溶媒の大気圧沸点超の温度にすることができる。
【0039】
担持アルミノキサンスラリーが形成された後、スラリーは、約50℃以下、例えば約15℃~約50℃又は約15℃~約30℃の温度に冷却することができる。いくつかの実施形態では、担持アルミノキサンスラリーが形成された後、スラリーは、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、又は約50℃の温度に冷却される。例えば、一実施形態では、スラリーは、徐々に冷却させて室温に戻す。
【0040】
担持アルミノキサンスラリーが形成された後、それはシングルサイト触媒成分と接触させて、担持シングルサイト触媒を形成する。シングルサイト触媒成分は、当技術分野で既知の任意の手段で担持アルミノキサンに負荷することができる。
【0041】
一実施形態では、例えば、スラリーを溶媒から分離し、任意選択で保存し、後にシングルサイト触媒成分と混合することができる。別の実施形態では、スラリーは、別個の容器中でシングルサイト触媒成分と混合することができる。代替的に、別の実施形態では、「ワンポット」プロセスを使用することができ、スラリーが冷却された後、シングルサイト触媒成分は、スラリーが形成された同じ容器中で担持アルミノキサンスラリーに添加される。
【0042】
かかる実施形態のいずれかにおいて、シングルサイト触媒成分は、トルエンなどの溶媒中の溶液として担持アルミノキサンに添加することができる。次いで、シングルサイト触媒成分と担持アルミノキサンとの混合物は、触媒成分を担体に負荷するのに十分な時間、撹拌などによって混合することができる。例えば、シングルサイト触媒成分は、スラリー中の担持アルミノキサンに添加し、約0℃~約50℃、例えば約15℃~約30℃の温度で、約5分~約5時間、例えば約1時間~約3時間撹拌することができる。
【0043】
加えて、いくつかの実施形態では、シングルサイト触媒成分は、担持アルミノキサンと混合する前に処理することができる。例えば、前処理は、シングルサイト触媒成分を、当技術分野で知られている、Al-、Mg-、Zn-、他の主な基であるアルキル(例えば、TEA、TIBA、MgBu2、ZnEt2)、ボレート、オレフィン、ルイス塩基、又はそれらの任意の組み合わせで処理することを含むことができる。
【0044】
一実施形態では、添加される触媒成分と担持アルミノキサンとの重量比は、約1:25~約1:200、例えば約1:50~約1:100、例えば約1:60~約1:90である。
【0045】
次いで、得られた固体シングルサイト触媒は、濾過し、非芳香族有機液体中で洗浄し、次いで真空下での乾燥などで乾燥させることなどによる、任意の好適な手段によって溶媒から分離することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約40重量%未満、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、及び約0.1重量%未満を含む、約50重量%未満の総残留溶媒含有量を有する。いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約5重量%未満又は約2重量%未満の総残留溶媒含有量を有する。いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約0重量%~約50重量%、約0重量%~約5重量%、約0重量%~約2重量%、及び約0重量%~約1重量%の総残留溶媒含有量を有する。いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約0.1重量%~約50重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約2重量%、約0.1重量%~約1重量%、及び約0.1重量%~約0.5重量%の総残留溶媒含有量を有する。いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約0.01重量%~約50重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.01重量%~約2重量%、約0.01重量%~約1重量%、約0.01重量%~約0.5重量%、及び約0.01重量%~約0.1重量%の総残留溶媒含有量を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、総残留溶媒含有量は、残留イソヘキサン含有量を含む。いくつかの実施形態では、総残留溶媒含有量は、総残留芳香族溶媒含有量(例えば、残留トルエン含有量)を含む。いくつかの実施形態では、総残留溶媒含有量は、残留イソヘキサン含有量を含む。いくつかの実施形態では、総残留溶媒含有量は、総残留芳香族溶媒含有量(例えば、残留トルエン含有量)を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約40重量%未満、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、及び約0.1重量%未満、及び約0.01重量%未満を含む、約50重量%未満の総残留芳香族溶媒含有量(例えば、トルエン溶媒含有量)を有する。いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約0.5重量%未満の総残留芳香族溶媒含有量(例えば、トルエン溶媒含有量)を有する。いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約0重量%~約50重量%、約0重量%~約5重量%、約0重量%~約2重量%、及び約0重量%~約1重量%の総残留芳香族溶媒含有量を有する。いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約0.1重量%~約50重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約2重量%、約0.1重量%~約1重量%、及び約0.1重量%~約0.5重量%の総残留芳香族溶媒含有量を有する。いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約0.01重量%~約50重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.01重量%~約2重量%、約0.01重量%~約1重量%、約0.01重量%~約0.5重量%、及び約0.01重量%~約0.1重量%の総残留芳香族溶媒含有量を有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約40重量%未満、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、及び約0.1重量%未満、及び約0.01重量%未満を含む、約50重量%未満の残留イソヘキサン含有量を有する。いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約0.5重量%未満の残留イソヘキサン含有量を有する。いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約0重量%~約50重量%、約0重量%~約5重量%、約0重量%~約2重量%、及び約0重量%~約1重量%の残留イソヘキサン含有量を有する。いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約0.1重量%~約50重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約2重量%、約0.1重量%~約1重量%、及び約0.1重量%~約0.5重量%の残留イソヘキサン含有量を有する。いくつかの実施形態では、固体シングルサイト触媒は、約0.01重量%~約50重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.01重量%~約2重量%、約0.01重量%~約1重量%、約0.01重量%~約0.5重量%、及び約0.01重量%~約0.1重量%の残留イソヘキサン含有量を有する。
【0050】
したがって、一般に記載される本発明は、以下の実施例を参照して、より容易に理解され、これは例示として提供され、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0051】
5つの触媒が、メチルアルミノキサン及びメタロセン触媒成分(ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド)を脱水シリカに固定化することによって形成された。各触媒を形成した後、相対生成速度を各々について同じ重合試験条件を使用して得た。
【0052】
典型的な重合プロセスは以下の通りだった:4-Lリットルのオートクレーブにイソブタン(900g)、1-ヘキセン(28g)、TIBA(イソヘキサン中の20%溶液0.5mL)、触媒(0.025g)、及びエチレン(125psi)を添加した。内容物は、マリンインペラを使用して800RPMで撹拌した。重合温度は、85℃だった。重合時間は、1時間だった。樹脂は、1時間の稼働時間後に反応器をガス抜きして冷却した後に収集した。樹脂は、真空下、65℃で乾燥させた後に得られた。触媒活性(1時間当たりのgポリマー/g触媒)は、作製されたポリマーの量を、添加した触媒の量で除することによって決定した。
【0053】
実施例1
担持アルミノキサンスラリーの形成
脱水シリカ(7.5g)を、オーバーヘッド撹拌アーム及び凝縮器を備えた250mLの三口フラスコ中でメチルシクロヘキサン(55.8g)中にスラリー化させた。MAO(17.2g、トルエン中の30重量%)を添加し、得られたスラリーを室温で30分間撹拌した。内部温度を100℃に上昇させ、4時間保持した。担持メチルアルミノキサン(supported methylaluminoxane、sMAO)スラリーを冷却して周囲温度に戻した。
【0054】
触媒の形成
ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(0.22g、トルエン中の25重量%)をsMAOスラリー(17.2g、17.2重量%固体)の小分けに添加し、室温で2時間撹拌した。固体を粗いフリットディスクフィルター上に収集し、1×20mLのメチルシクロヘキサン及び3×20mLのイソヘキサンで洗浄した。固体を一定質量(0.38重量%残留トルエン、0.24重量%残留イソヘキサン)になるまで真空下で乾燥させた。
【0055】
重合
重合を上記のプロセスで行った。平均ポリマー生成速度は、5,051g/g触媒/時間だった。
【0056】
実施例2
担持アルミノキサンスラリーの形成
脱水シリカ(7.6g)を、オーバーヘッド撹拌アーム及び凝縮器を備えた250mLの三口フラスコ中で、ISOPAR(商標)G(2重量%未満の芳香族含有量を有するC9-C12イソパラフィンの混合物)(41.5g)中にスラリー化させた。MAO(17.3g、トルエン中の30重量%)を添加し、得られたスラリーを室温で30分間撹拌した。内部温度を120℃に上昇させ、4分間保持した。sMAOスラリーを冷却して周囲温度に戻した。
【0057】
触媒の形成
ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(0.22g、トルエン中の25重量%)をsMAOスラリー(16.9g、18.2重量%固体)の小分けに添加し、室温で2時間撹拌した。固体を粗いフリットディスクフィルター上に収集し、1×20mLのISOPAR(商標)G(イソパラフィン混合物)及び3×20mLのイソヘキサンで洗浄した。固体を一定質量(0.02重量%残留トルエン、1.27重量%残留イソヘキサン)になるまで真空下で乾燥させた。
【0058】
重合
重合を上記のプロセスで行った。平均ポリマー生成速度は、5,576g/g触媒/時間だった。
【0059】
実施例3
担持アルミノキサンスラリーの形成
脱水シリカ(7.0g)を、オーバーヘッド撹拌アーム及び凝縮器を備えた250mLの三口フラスコ中で、ISOPAR(商標)E(C7-C10イソパラフィンの混合物)(53.5g)中にスラリー化させた。MAO(15.9g、トルエン中の30重量%)を添加し、得られたスラリーを室温で30分間撹拌した。内部温度を120℃に上昇させ、4分間保持した。sMAOスラリーを冷却して周囲温度に戻した。
【0060】
触媒の形成
ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(0.22g、トルエン中の25重量%)をsMAOスラリー(14.8g、17.2重量%固体)の小分けに添加し、室温で2時間撹拌した。固体を粗いフリットディスクフィルター上に収集し、1×20mLのISOPAR(商標)E(イソパラフィン混合物)及び3×20mLのイソヘキサンで洗浄した。固体を一定質量(0.02重量%残留トルエン、0.45重量%残留イソヘキサン)になるまで真空下で乾燥させた。
【0061】
重合
重合を上記のプロセスで行った。平均ポリマー生成速度は、5,485g/g触媒/時間だった。
【0062】
実施例4
担持アルミノキサンスラリーの形成
脱水シリカ(5.7g)を、オーバーヘッド撹拌アーム及び凝縮器を備えた250mLの三口フラスコ中で、ISOPAR(商標)G(42.5g)中にスラリー化させた。MAO(12.9g、トルエン中の30重量%)を添加し、得られたスラリーを室温で30分間撹拌した。内部温度を150℃に上昇させ、4分間保持した。sMAOスラリーを冷却して周囲温度に戻した。
【0063】
触媒の形成
ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(0.8g、トルエン中の25重量%)をsMAOスラリーに添加し、室温で2時間撹拌した。固体を粗いフリットディスクフィルター上に収集し、1×20mLのISOPAR(商標)G(イソパラフィン混合物)及び3×20mLのイソヘキサンで洗浄した。固体を一定質量(0.13重量%残留トルエン、0.62重量%残留イソヘキサン)になるまで真空下で乾燥させた。
【0064】
重合
重合を上記のプロセスで行った。平均ポリマー生成速度は、6,548g/g触媒/時間だった。
【0065】
実施例5(比較)
担持アルミノキサンスラリーの形成
脱水シリカ(7.4g)を、オーバーヘッド撹拌アーム及び凝縮器を備えた250mLの三口フラスコ中で、ISOPAR(商標)G(55.8g)中にスラリー化させた。MAO(16.9g、トルエン中の30重量%)を添加し、得られたスラリーを室温で30分間撹拌した。内部温度を60℃に上昇させ、4分間保持した。sMAOスラリーを冷却して周囲温度に戻した。
【0066】
触媒の形成
ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(1.0g、トルエン中の25重量%)をsMAOスラリーに添加し、室温で2時間撹拌した。固体を粗いフリットディスクフィルター上に収集し、1×20mLのISOPAR(商標)G(イソパラフィン混合物)及び3×20mLのイソヘキサンで洗浄した。固体を一定質量になるまで真空下で乾燥させた。
【0067】
重合
重合を上記のプロセスで行った。平均ポリマー生成速度は、3,302g/g触媒/時間だった。
【0068】
実施例6(比較)
担持アルミノキサンスラリーの形成
脱水シリカ(5.7g)を、オーバーヘッド撹拌アーム及び凝縮器を備えた250mLの三口フラスコ中で、ISOPAR(商標)G(36.3g)中にスラリー化させた。MAO(13.0g、トルエン中の30重量%)を添加し、得られたスラリーを室温で4.5時間撹拌した。
【0069】
触媒の形成
ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(0.8g、トルエン中の25重量%)をsMAOスラリーに添加し、室温で2時間撹拌した。固体を粗いフリットディスクフィルター上に収集し、1×20mLのISOPAR(商標)G(イソパラフィン混合物)及び3×20mLのイソヘキサンで洗浄した。固体を一定質量になるまで真空下で乾燥させた。
【0070】
重合
重合を上記のプロセスで行った。平均ポリマー生成速度は、3,339g/g触媒/時間だった。
【0071】
項1.担持シングルサイト触媒を製造するためのプロセスであって、
乾燥無機酸化物担体、有機溶媒、及びアルミノキサン活性化剤を含むスラリーを形成することと、
スラリーの温度を約100℃~約200℃に約0.5~約10時間の間維持して、担持アルミノキサンスラリーを形成することと、
担持アルミノキサンスラリーをシングルサイト触媒成分と接触させて、担持シングルサイト触媒を形成することと、を含み、
有機溶媒が、約100℃以上の沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、有機溶媒の総量に対して約50重量%以上の量で含む、プロセス。
【0072】
項2.有機溶媒が、1つ以上の分岐脂肪族化合物を含む、項1に記載のプロセス。
【0073】
項3.1つ以上の分岐脂肪族化合物が、イソパラフィンを含む、項2に記載のプロセス。
【0074】
項4.有機溶媒が、鉱油を含む、項1に記載のプロセス。
【0075】
項5.有機溶媒が、1つ以上の脂環式化合物を含む、項1に記載のプロセス。
【0076】
項6.1つ以上の脂環式化合物が、メチルシクロヘキサンを含む、項5に記載のプロセス。
【0077】
項7.アルミノキサン活性化剤が、メチルアルミノキサンを含む、項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【0078】
項8.有機溶媒が、1つ以上の芳香族化合物を、有機溶媒の総量に対して約5重量%~約45重量%の量で含む、項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【0079】
項9.1つ以上の芳香族化合物が、トルエンを含む、項8に記載のプロセス。
【0080】
項10.担持アルミノキサンスラリーをシングルサイト触媒成分と接触させる前に、担持アルミノキサンスラリーを約50℃以下の温度に冷却することを更に含む、項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【0081】
項11.有機溶媒が、スラリーが到達する最高温度よりも高い沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、約50重量%以上の量で含む、項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【0082】
項12.アルミノキサン活性化剤が、芳香族溶媒中に添加されてスラリーを形成する、項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【0083】
項13.プロセスが、担持アルミノキサンをシングルサイト触媒成分と接触させる前に、担持アルミノキサンを有機溶媒から分離することを含む、項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【0084】
項14.無機酸化物が、シリカを含む、項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【0085】
項15.シングルサイト触媒成分が、メタロセン化合物を含む、項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【0086】
項16.担持シングルサイト触媒が、約50重量%未満の総残留溶媒含有量を有する、項1~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【0087】
項17.担持シングルサイト触媒が、約5重量%又は約2重量%未満の総残留溶媒含有量を有する、項16に記載のプロセス。
【0088】
項18.担持シングルサイト触媒が、約0.5重量%未満の総残留芳香族溶媒含有量を有する、項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【0089】
項19.担持シングルサイト触媒を製造するためのプロセスであって、
乾燥無機酸化物担体、有機溶媒、及びアルミノキサン活性化剤を、約0℃~約50℃の温度で接触させて、スラリーを形成することと、
スラリーを約100℃~約200℃の温度に約0.5~約10時間の間加熱して、担持アルミノキサンスラリーを形成することと、
スラリーを約0℃~約50℃の温度に冷却することと、
シングルサイト触媒成分を担持アルミノキサンスラリーに添加して、担持シングルサイト触媒を形成することと、を含み、
有機溶媒が、約100℃以上の沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、有機溶媒の総量に対して約50重量%以上の量で含む、プロセス。
【0090】
項20.有機溶媒が、1つ以上の分岐脂肪族化合物を含む、項19に記載のプロセス。
【0091】
項21.1つ以上の分岐脂肪族化合物が、イソパラフィンを含む、項20に記載の方法。
【0092】
項22.有機溶媒が、鉱油を含む、項19に記載のプロセス。
【0093】
項23.有機溶媒が、1つ以上の脂環式化合物を含む、項19に記載のプロセス。
【0094】
項24.1つ以上の脂環式化合物が、メチルシクロヘキサンを含む、項23に記載のプロセス。
【0095】
項25.アルミノキサン活性化剤が、メチルアルミノキサンを含む、項19~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【0096】
項26.有機溶媒が、1つ以上の芳香族化合物を、有機溶媒の総量に対して約5重量%~約45重量%の量で含む、項19~25のいずれか一項に記載のプロセス。
【0097】
項27.1つ以上の芳香族化合物が、トルエンを含む、項26に記載のプロセス。
【0098】
項28.有機溶媒が、スラリーが到達する最高温度よりも高い沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、約50重量%以上の量で含む、項19~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【0099】
項29.アルミノキサン活性化剤が、芳香族溶媒中に添加されてスラリーを形成する、項19~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【0100】
項30.無機酸化物が、シリカを含む、項19~29のいずれか一項に記載のプロセス。
【0101】
項31.担持シングルサイト触媒が、約50重量%未満の総残留溶媒含有量を有する、項19~30のいずれか一項に記載のプロセス。
【0102】
項32.担持シングルサイト触媒が、約5重量%又は約2重量%未満の総残留溶媒含有量を有する、項31に記載のプロセス。
【0103】
項33.担持シングルサイト触媒が、約0.5重量%未満の総残留芳香族溶媒含有量を有する、項19~32のいずれか一項に記載のプロセス。
【0104】
項34.担持シングルサイト触媒をオレフィンモノマーと接触させて、ポリオレフィンを製造することを更に含む、項1~33のいずれか一項に記載のプロセス。
【0105】
項35.項34に記載のプロセスによって製造された、ポリオレフィン。
【0106】
項36.項1~33のいずれか一項に記載のプロセスによって製造された、担持シングルサイト触媒。
【0107】
項37.スラリーであって、
乾燥無機酸化物担体と、
有機溶媒であって、約100℃以上の沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物を、有機溶媒の総量に対して約50重量%以上の量で含む、有機溶媒と、
アルミノキサン活性化剤と、を含む、スラリー。
【0108】
項38.約100℃以上の沸点を有する1つ以上の非芳香族有機化合物が、有機溶媒の総量に対して約75重量%以上の量で存在する、項37に記載のスラリー。
【0109】
項39.有機溶媒が、1つ以上の分岐脂肪族化合物を含む、項37又は38に記載のスラリー。
【0110】
項40.1つ以上の分岐脂肪族化合物が、イソパラフィンを含む、項39に記載のスラリー。
【0111】
項41.有機溶媒が、鉱油を含む、項37又は38に記載のスラリー。
【0112】
項42.有機溶媒が、1つ以上の脂環式化合物を含む、項37又は38に記載のスラリー。
【0113】
項43.1つ以上の脂環式化合物が、メチルシクロヘキサンを含む、項42に記載のスラリー。
【0114】
項44.アルミノキサン活性化剤が、メチルアルミノキサンを含む、項37~43のいずれか一項に記載のスラリー。
【0115】
項45.無機酸化物が、シリカを含む、項37~44のいずれか一項に記載のスラリー。
【0116】
項46.スラリーが、約50重量%未満の総残留溶媒含有量を有する、項37~45のいずれか一項に記載のプロセス。
【0117】
項47.スラリーが、約5重量%未満又は約2重量%未満の総残留溶媒含有量を有する、項46に記載のプロセス。
【0118】
項48.スラリーが、約0.5重量%未満の総残留芳香族溶媒含有量を有する、項37~47のいずれか一項に記載のプロセス。
【0119】
ある特定の実施形態を例示及び記載してきたが、以下の特許請求の範囲において定義されるようなそのより広い態様における技術から逸脱することなく、当業者によって、その中で変更及び修正が行われ得ることが理解されるべきである。
【0120】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素(複数可)、限定(複数可)の非存在下で好適に実践され得る。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、広範囲に、かつ限定せずに読み取られるべきである。加えて、本明細書で用いられる用語及び表現は、限定的なものではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、示され、記載される特徴又はそれらの一部分のいずれの均等物も除外することを意図していないが、様々な修正が特許請求される技術の範囲内で可能であることが認識される。加えて、「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、具体的に列挙されたこれらの要素、並びに特許請求される技術の基本的な特徴及び新規の特徴に物質的に影響しないこれらの追加の要素を含むことが理解されよう。「からなる(consisting of)」という語句は、指定されていないあらゆる要素を除外する。
【0121】
本開示は、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるものではない。当業者には明らかなように、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形が行われ得る。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に均等な方法及び組成物は、前述の記載から当業者には明らかであろう。そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲の範疇内に収まることが意図される。本開示は、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲の条件によってのみ限定されるものである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、又は生物学的系に限定されず、これらは当然変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載するためのものに過ぎず、限定するものとしては意図されていないことも理解されたい。
【0122】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者は、本開示が、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーのサブグループに関しても記載されることを認識するであろう。
【0123】
当業者によって理解されるように、あらゆる及び全ての目的で、特に書面による説明を提供するという観点で、本明細書に開示される全ての範囲は、あらゆる及び全ての可能性のある部分範囲及びその部分範囲の組み合わせも包含する。いずれの列記された範囲も、同じ範囲が、少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、十等分などに細分されることを十分に記載し、それを可能にすることが簡単に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、下部3分の1、中部3分の1、及び上部3分の1などに容易に細分され得る。また、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「~超の(~を超える)」、「未満」などの全ての文言は、列挙される数を含み、かつその後、上で考察した部分範囲に細分され得る範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は、各個々のメンバーを含む。
【0124】
本明細書において参照される全ての刊行物、特許出願、発行済み特許、及び他の文献は、各個々の刊行物、特許出願、発行済み特許、又は他の文献が、参照によりその全体が組み込まれることが具体的かつ個々に示されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれる記載内容に含まれる定義は、それらが本開示における定義に矛盾する限りにおいて除外される。
【0125】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に記載される。
【国際調査報告】