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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】パウチ型二次電池用シーリング装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20240927BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240927BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/124 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/04 W
H01M10/04 Z
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/124
H01M50/121
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523930
(86)(22)【出願日】2023-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 KR2023010720
(87)【国際公開番号】W WO2024043551
(87)【国際公開日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】10-2022-0106088
(32)【優先日】2022-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユーン、セオン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】バエク、ジュ ファン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジン ソー
(72)【発明者】
【氏名】リー、セウン バエ
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、クワン ウン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011BB03
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD13
5H028AA07
5H028BB05
5H028BB17
5H028CC11
5H028CC12
5H028EE06
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AL01
5H029AM01
5H029CJ28
5H029CJ30
5H029DJ02
5H029EJ01
5H029EJ11
5H029HJ00
(57)【要約】
本発明は、パウチ型二次電池用シーリング装置に関するものであって、上記シーリング装置は、光を照射する光源部と、上記光源部から照射された光を用いてパウチケースの密封部を加熱加圧する加圧部と、を含み、かつケースの密封部に相接する加圧部のシーリングユニットに熱伝導率と光屈折率が高い第1光透過材を適用することにより、ケースの密封部を均一にシーリングし得るのみならず、シーリング時の高温に加熱されたシーリングユニットの破損を防止し得るので、二次電池の品質が向上し得、同時に工程性と経済性が改善されるという利点がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチケースの密封部の上部および下部のうち少なくとも一つの地点に位置し、光源が透過する素材からなる加圧部と、
前記加圧部に光を照射する光源部と、を含み、
前記加圧部は、下記式1を満たす第1光透過材を含み、
[式1]
15≦TC1st/RI1st≦35
式1において、
TC1stは、前記第1光透過材の熱伝導率(単位:W/m・K)を示し、
RI1stは、前記第1光透過材の980nmの波長を有する光に対する屈折率を示す、パウチ型二次電池のシーリング装置。
【請求項2】
前記第1光透過材は、980nmの波長を有する光に対して1.45~1.9の屈折率を有する、請求項1に記載のパウチ型二次電池のシーリング装置。
【請求項3】
前記第1光透過材は、8.0以上のモース硬度を示す、請求項1に記載のパウチ型二次電池のシーリング装置。
【請求項4】
前記加圧部は、パウチケースの密封部に接触して加熱および加圧するシーリングユニットと、前記光源部と前記シーリングユニットとの間に位置して前記光源部から照射された光を前記シーリングユニットに集光するレンズユニットと、を含み、
前記シーリングユニットは、前記第1光透過材を含む、請求項1に記載のパウチ型二次電池のシーリング装置。
【請求項5】
前記レンズユニットは、前記第1光透過材および第2光透過材のうち1種以上を含み、
前記第2光透過材は、式2を満たし、
[式2]
0.5≦TC2nd/RI2nd≦2
式2において、
TC2ndは、前記第2光透過材の熱伝導率(単位:W/m・K)を示し、
RI2ndは、前記第2光透過材の980nmの波長を有する光に対する屈折率を示す、請求項4に記載のパウチ型二次電池のシーリング装置。
【請求項6】
前記第2光透過材は、980nmの波長を有する光に対して1.40~1.60の屈折率を有する、請求項5に記載のパウチ型二次電池のシーリング装置。
【請求項7】
前記レンズユニットはシリンダーレンズである、請求項4に記載のパウチ型二次電池のシーリング装置。
【請求項8】
前記レンズユニットは、前記第1光透過材および第2光透過材を含み、
前記第1光透過材および前記第2光透過材は、前記レンズユニットの断面中心を含む中心線に対して対称な構造を有する、請求項4に記載のパウチ型二次電池のシーリング装置。
【請求項9】
前記光源部は、750nm~1,000nmの波長を有する光を照射する、請求項1に記載のパウチ型二次電池のシーリング装置。
【請求項10】
金属層および内部シーラント層を含むラミネートシートで構成され、電極組立体収納部とそれを囲む密封部とを含むパウチ型ケースに電極組立体および電解液を収納する段階と、
前記パウチ型ケースの密封部の上部および下部のうちいずれか一つ以上の地点に請求項1~9のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池のシーリング装置を配置する段階と、
前記シーリング装置の前記光源部から前記加圧部に光を照射しながら前記パウチ型ケースの前記密封部を加圧して密封する段階と、を含む、パウチ型二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ型二次電池の製造時にケースのシーリングに使用されるシーリング装置に関するものである。本出願は、2022年8月24日付の韓国特許出願第10-2022-0106088号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、電池を使用する機器が多様化するにつれて、高容量、高密度の電池に対する需要が増加している。その中で、高いエネルギー密度と放電電圧を有するリチウム二次電池は多様な形態に商用化されて使用されている。
【0003】
リチウム二次電池は、外形に応じて円筒型二次電池、角型二次電池、パウチ型二次電池に区分される。そのうちパウチ型二次電池は、アルミニウムラミネートシートの厚さを調節して高容量、高密度の二次電池を得ることができ、多様な形状を有し得るので、多方面の研究が進められている。
【0004】
パウチ型二次電池は、一般的にアルミニウムラミネートシートを成形して収納部を形成し、収納部に電極組立体を収納した後に収納部の周辺を密封して形成される。収納部の周辺を密封して密封部を形成するために、従来のパウチ型二次電池のシーリング装置は、加圧と加熱を1つの部材で行った。
【0005】
従来のパウチ型二次電池のシーリング装置は、外部樹脂層、金属層、内部シーラント層を含むラミネートシートからなるパウチ型二次電池ケースの密封部を内部シーラント層が対向するように配置した後に、それを加熱と加圧を同時に行い得る加圧部の間に置いて密封する。しかしながら、上記シーリング装置は、熱が外部樹脂層から内部シーラント層まで伝達されるのに多くの時間がかかり、外部樹脂層の損傷を引き起こすという問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために、レーザーを用いてパウチ型二次電池をシーリングする方法が開発された。上記パウチ型二次電池のシーリング装置は、従来技術によるパウチ型二次電池のシーリング装置と同様に、外部樹脂層、金属層、内部シーラント層を含むパウチ型二次電池ケースの密封部を内部シーラント層が対向するように配置した後に、それを加圧部の間に位置させる。
【0007】
このとき、上記加圧部は赤外線透過素材からなっており、上部に赤外線照射部が存在することを特徴とする。また、上記赤外線照射部は、二次電池ケースの密封部のうち金属層のみを急速に加熱して、加熱された金属層により内部シーラント層を溶かすことにより、従来の熱による外部樹脂層の損傷を低減しながら密封力を向上させている。
【0008】
しかしながら、上記パウチ型二次電池のシーリング装置は、レーザーの出力が高くなければ外部樹脂層と内部シーラント層との間に配置されている金属層を加熱し得ないという限界がある。また、加圧部の加熱が均一にならず、密封が不均一になるか、またはケースを構成するラミネートシートにシワが発生するなどの品質不均衡が生じ得る。それを解決するためにレーザー出力を高める場合に、加圧部の低い圧縮強度により加熱された状態での加圧時に加圧部が破損するという問題がある。
【0009】
したがって、パウチ型二次電池ケースの密封部を均一かつ安全にシーリングし得るパウチ型二次電池のシーリング装置およびパウチ型二次電池の製造方法の開発が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2021-0156516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の目的は、パウチ型二次電池ケースの密封部を均一かつ安全にシーリングし得るパウチ型二次電池のシーリング装置およびそれを用いた二次電池の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述された問題を解決するために、
本発明は一実施形態において、
パウチケースの密封部の上部および下部のうち少なくとも一つの地点に位置し、光源が透過し得る素材からなる加圧部と、
上記加圧部に光を照射する光源部と、を含み、
上記加圧部は、下記式1を満たす第1光透過材を含むパウチ型二次電池のシーリング装置を提供する。
【0013】
[式1]
15≦TC1st/RI1st≦35
【0014】
式1において、
TC1stは、上記第1光透過材の熱伝導率(単位:W/m・K)を示し、
RI1stは、上記第1光透過材の980nmの波長を有する光に対する屈折率を示す。
【0015】
このとき、上記第1光透過材は、980nmの波長を有する光に対して1.45~1.9の屈折率を有し得、8.0以上のモース硬度を示し得る。
【0016】
また、上記加圧部は、パウチケースの密封部に接触して熱圧着するシーリングユニットと、上記光源部と上記シーリングユニットとの間に位置して上記光源部から照射された光を上記シーリングユニットに集光するレンズユニットと、を含み、上記シーリングユニットは、上記第1光透過材を含み得る。
【0017】
また、上記レンズユニットは、上記第1光透過材および第2光透過材のうち1種以上を含み、上記第2光透過材は、式2を満たし得る。
【0018】
[式2]
0.5≦TC2nd/RI2nd≦2
【0019】
式2において、
TC2ndは、上記第2光透過材の熱伝導率(単位:W/m・K)を示し、
RI2ndは、上記第2光透過材の980nmの波長を有する光に対する屈折率を示す。
【0020】
ここで、上記第2光透過材は、980nmの波長を有する光に対して1.40~1.60の屈折率を有し得る。
【0021】
また、上記レンズユニットはシリンダーレンズであり得る。
【0022】
この場合、上記レンズユニットは、上記第1光透過材および第2光透過材を含み、上記第1光透過材および上記第2光透過材は、上記レンズユニットの断面中心を含む中心線に対して対称な構造を有し得る。
【0023】
一方、上記光源部は、750nm~1,000nmの波長を有する光を照射し得る。
【0024】
また、本発明は一実施形態において、
金属層および内部シーラント層を含むラミネートシートで構成され、電極組立体収納部とそれを囲む密封部とを含むパウチ型ケースに電極組立体および電解液を収納する段階と、
上記パウチ型ケースの密封部の上部および下部のうちいずれか一つ以上の地点に本発明に係るシーリング装置を配置する段階と、
上記シーリング装置の上記光源部から上記加圧部に光を照射しながら上記パウチ型ケースの上記密封部を加圧して密封する段階と、を含むパウチ型二次電池の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るパウチ型二次電池のシーリング装置は、光を照射する光源部と、上記光源部から照射された光を用いてパウチケースの密封部を加熱加圧する加圧部と、を含み、かつケースの密封部に相接する加圧部のシーリングユニットに熱伝導率と光屈折率が高い第1光透過材が適用された構成を有する。これにより、上記シーリング装置は、ケースの密封部を均一に加熱してシーリングし得、シーリング時の高温に加熱されたシーリングユニットの破損を防止し得るので、二次電池の品質が向上し得、同時に工程性と経済性が改善されるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係るシーリング装置の光源部と加圧部を用いたパウチ型二次電池のシーリング工程を概略的に示す斜視図である。
図2】第1光透過材および第2光透過材を含むレンズユニットにおいて、第1光透過材と第2光透過材がなす断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施形態を有し得るので、特定の実施形態を詳細な説明に詳細に説明する。
【0028】
しかしながら、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解される。
【0029】
本発明において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解される。
【0030】
また、本発明において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あると記載された場合、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あると記載された場合、それは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」配置されるということは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0031】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0032】
<パウチ型二次電池のシーリング装置>
本発明は一実施形態において、
パウチケースの密封部の上部および下部のうち少なくとも一つの地点に位置し、光源が透過し得る素材からなる加圧部と、
上記加圧部に光を照射する光源部と、を含み、
上記加圧部は、下記式1を満たす第1光透過材を含むパウチ型二次電池のシーリング装置を提供する。
【0033】
[式1]
15≦TC1st/RI1st≦35
【0034】
式1において、
TC1stは、第1光透過材の熱伝導率(単位:W/m・K)を示し、
RI1stは、第1光透過材の980nmの波長を有する光に対する屈折率を示す。
【0035】
本発明に係るパウチ型二次電池のシーリング装置は、光を照射する光源部と、上記光源部から照射された光を用いてパウチケースの密封部を加熱加圧する加圧部と、を含み、かつケースの密封部に相接する加圧部のシーリングユニットに熱伝導率と光屈折率が高い第1光透過材が適用されたことを特徴とする。これにより、上記シーリング装置は、ケースの密封部を均一に加熱してシーリングし得るのみならず、シーリング時の高温に加熱されたシーリングユニットの破損を防止し得るので、二次電池の品質が向上し得、同時に工程性と経済性が改善されるという利点がある。
【0036】
図1は、本発明に係るシーリング装置の主要構成を概略的に示す斜視図である。以下、図1を参照してより詳細に説明する。
【0037】
上記パウチ型二次電池用シーリング装置100は、パウチケース11の密封部11a上に位置して密封部を加熱および加圧する加圧部120と、上記加圧部に光を照射して加熱する光源部110と、を含む。
【0038】
このとき、上記光源部110は、加圧部を加熱する役割を果たす。このために、上記光源部110は加圧部120に光を照射し得、このとき照射される光はビーム状のレーザーを出射し得る。例えば、上記光はレーザーダイオードによって形成された光であり得、出射された光は赤外線レーザーであり得、具体的には750nm~1,000nmの波長の赤外線レーザー、または800nm~980nmの波長の赤外線レーザーであり得る。
【0039】
また、光源部110から出射された赤外線レーザーは、シーリングされる密封部11aの上部および下部のうちいずれか一つの地点に照射され得るか、または密封部11aの上部と下部の両側から照射されることもできる。前者の場合は、後者の場合に比べて設備コストが低く、相互対向側でレーザーダイオードの損傷の可能性を防止し得るという利点がある。後者の場合は、密封部11aを中心に両側で2つの光源部110を用いるので、シーラント層の溶融をより速い時間内に効果的に行い得るという利点がある。
【0040】
また、上記光源部110は、加圧部120がケース密封部11aを加圧する側の他側に複数個で備えられ得、ケース密封部11a上に加圧部120と光源部110が同一線上に配置され得る。この場合、光源部110と加圧部120が互いに離隔した形態を有しても、加圧部120に出射される赤外線レーザーの損失を最小化し得る。
【0041】
また、上記光源部110から出射された光は加圧部120に伝達され、加圧部120に伝達された光は集光されてケースの密封部11aを加熱し得る。
【0042】
より具体的には、上記加圧部120は、ケースの密封部11aを加圧してケース内側のシーラント層の相互密着力を高めた状態で維持し、この状態で光源部110が赤外線レーザーを出射することにより加圧部120を加熱する方式で動作し得る。
【0043】
このような方式は加圧状態を維持しながら赤外線を照射するので、ケース内側のシーラント層に対して高い精密度で赤外線照射を行って密封部11aを効果的に形成し得、密封部11aの結合力をさらに高めることができる。
【0044】
このとき、上記加圧部120は、パウチケースの密封部11aに接触して熱圧着するシーリングユニット121と、光源部110とシーリングユニット121との間に位置して、光源部110から照射された光をシーリングユニット121に集光するレンズユニット122と、を含み得る。
【0045】
上記シーリングユニット121は、ケースの密封部11aを加圧する一方、レンズユニット122を介して集光された赤外線レーザーによる熱を密封部11aに伝達して加熱する機能を果たす。このために、上記シーリングユニット121は、ケースの密封部11aに沿って設けられた平らな板状を有し得るが、赤外線レーザーの分散などによるエネルギー損失を防止するために、シーリングユニット121の内部に光源の分散を防止し得る構造を有することもできる。
【0046】
また、上記レンズユニット122は、シーリングユニット121の一面に装着され、光源部110から照射された赤外線レーザーの照射範囲を広げる一方で、シーリングユニット121に入射された光を集光する役割を果たし得る。
【0047】
このために、上記レンズユニット122はシーリングユニット121と一体に形成され、かつ赤外線レーザーの経路に沿って光源部110とシーリングユニット121との間に位置し得る。レンズユニット122は、光源部110から出射された赤外線レーザーを屈折および/または反射させてシーリングユニット121にガイドし得る。
【0048】
また、上記レンズユニット122は、シーリングユニット121と対面する面が凸状を有し得、好ましくはシーリングユニット121に沿って側面が付着された円筒状のシリンダーレンズを含み得る。
【0049】
さらに、加圧部120は、光源部110から入射された光をケースの密封部11aに集光し、かつこのときのエネルギー損失を最小化しながら密封部11aの全面に均一に集光するために、下記式1を満たす第1光透過材を含み得る。
【0050】
[式1]
15≦TC1st/RI1st≦35
【0051】
式1において、
TC1stは、第1光透過材の熱伝導率(単位:W/m・K)を示し、
RI1stは、第1光透過材の980nmの波長を有する光に対する屈折率を示す。
【0052】
上記式1は、第1光透過材の熱伝導率と980nmの波長を有する光に対する屈折率の割合を示す。加圧部120で集光される赤外線レーザーは、熱エネルギーの形態でケースの密封部11aに伝達されるが、このとき、赤外線レーザーに対する光透過率ではなく光屈折率を反映することにより、第1光透過材のエネルギー保存量を類推し得る。すなわち、上記式1は、赤外線レーザーに対する第1光透過材のエネルギー保存量を間接的に示し得る。本発明に係る加圧部は、上記式1を15~35(すなわち、15≦TC1st/RI1st≦35)で満たす第1光透過材を含み得、具体的には、上記式1を15~35(すなわち、15≦TC1st/RI1st≦35)、15~30(すなわち、15≦TC1st/RI1st≦30)、20~35(すなわち、20≦TC1st/RI1st≦35)、20~30(すなわち、20≦TC1st/RI1st≦30)、または20~25(すなわち、20≦TC1st/RI1st≦25)で満たす第1光透過材を含み得る。
【0053】
また、上記第1光透過材は、980nmの波長を有する光に対して1.45~1.9の屈折率を有し得、具体的には、980nmの波長を有する光に対して1.45~1.85、1.55~1.85、1.65~1.85、または1.75~1.85の屈折率を有し得る。
【0054】
上記第1光透過材は、式1の条件を満たすことにより、光源部110から入射された赤外線レーザーのエネルギー損失を最小化し得、ケースの密封部11aに均一に熱を加えることができる。さらに、密封部の残存熱を急速に発散させ得るので、密封部のシーリング厚さを均一に形成し得る。
【0055】
また、上記第1光透過材は特定の範囲のモース硬度を示し得る。具体的には、第1光透過材は、8.0以上のモース硬度を示し得、具体的には8.5以上、または9.0以上のモース硬度を有し得る。本発明に係る第1光透過材は、上記モース硬度を満たすことにより加熱および加圧条件での破損を防止し得るので、ケース密封部11aのシーリング時の加圧部120の破損による密封部11aの損傷を防止し得る。
【0056】
一方、上記加圧部120は第1光透過材を含み得、場合によっては、上記第1光透過材は、高い熱エネルギー伝達効率と硬度が要求される加圧部120のシーリングユニット121に含まれ、シーリングユニット121に付着されたレンズユニット122は、第1光透過材および第2光透過材のうち1種以上が含まれ得る。
【0057】
具体的には、上記レンズユニット122は、第1光透過材からなり得、場合によっては、シーリングユニット121と比較して相対的に低い熱伝導率が要求されるので、第2光透過材単独からなるかまたはそれと併用され得る。
【0058】
上記レンズユニット122は、上述したように、レンズユニット122全体の表面を介して入射された光をシーリングユニット121に集光する機能を果たすので、シーリングユニット121と比較して相対的に高い光透過度が要求されるのに対し、低い熱伝導率が要求され得る。したがって、上記レンズユニット122は、第1光透過材と比較して相対的に熱伝導率および光屈折率が低い第2光透過材を含み得、上記第2光透過材は下記式2を満たし得る。
【0059】
[式2]
0.5≦TC2nd/RI2nd≦2
【0060】
式2において、
TC2ndは、第2光透過材の熱伝導率(単位:W/m・K)を示し、
RI2ndは、第2光透過材の980nmの波長を有する光に対する屈折率を示す。
【0061】
上記式2は、第2光透過材の熱伝導率と980nmの波長を有する光に対する屈折率の割合を示す。加圧部120で集光される赤外線レーザーは、熱エネルギーの形態でケースの密封部11aに伝達されるが、このとき伝達される赤外線レーザーに対する光透過率ではなく光屈折率を反映することにより、第2光透過材のエネルギー保存量を類推し得る。すなわち、上記式2は、赤外線レーザーに対する第2光透過材のエネルギー保存量を間接的に示し得る。
【0062】
本発明に係る加圧部は、上記式2を0.5~2(すなわち、0.5≦TC2nd/RI2nd≦2)で満たす第2光透過材を含み得、具体的には、上記式2を0.5~1.9(すなわち、0.5≦TC2nd/RI2nd≦1.9)、0.5~1.75(すなわち、0.5≦TC2nd/RI2nd≦1.75)、0.5~1.5(すなわち、0.5≦TC2nd/RI2nd≦1.5)、または0.5~1.35(すなわち、0.5≦TC2nd/RI2nd≦1.35)で満たす第2光透過材を含み得る。
【0063】
また、上記第2光透過材は、980nmの波長を有する光に対して1.40~1.60の屈折率を有し得、具体的には、980nmの波長を有する光に対して1.45~1.60、1.45~1.55、または1.50~1.55の屈折率を有し得る。上記第2光透過材は、式2の条件を満たすことにより、光源部110から入射された赤外線レーザーをシーリングユニット121にエネルギー損失を最小化しながら集光し得る。
【0064】
さらに、上記レンズユニット122は、第1光透過材と第2光透過材とを含む場合に一定の断面構造を有するように含み得る。図2を参照すると、上記レンズユニット122は、断面中心を含む中心線Cに対して対称になるように第1光透過材1stと第2光透過材2ndとを含み得る。このとき、上記中心線Cは、シーリングユニット121の加圧方向と平行であり、シーリングユニット121の中心を含み得る。
【0065】
一つの例として、上記レンズユニット122は、図2の(a)のように第2光透過材2ndのみで構成され得、図2の(b)~(d)のように中心線Cを基準として対称をなすように第1光透過材1stと第2光透過材2ndが配置され得る。
【0066】
本発明は、レンズユニット122を構成する第1光透過材1stと第2光透過材2ndの断面構造をレンズユニット122の中心線Cを基準として対称をなすように構成することにより、シーリングユニット121に集光される赤外線レーザーの熱エネルギーを極大化し得、レンズユニット122を硬度が高い第1光透過材1st単独で構成する場合と比較してレンズユニット122の加工性および経済性をより高めることができる。また、第1光透過材1stと第2光透過材2ndの断面構造に応じて、シーリングユニット121に集光されるエネルギーの量が調節され得るので、二次電池の製造時に用いられるケースの種類やサイズによって選択的に適用され得るという利点がある。
【0067】
一方、上記第1光透過材と第2光透過材は、上述された式1および式2の条件をそれぞれ満たすものであれば、特に制限されずに適用され得る。具体的には、上記第1光透過材と第2光透過材は、ゲルマニウム、シリコーン、硫化亜鉛、フッ化マグネシウム、サファイア、ガラス、石英などを適用し得る。
【0068】
一つの例として、第1光透過材はサファイア(TC/RI:22.2~25.7、屈折率:1.75~1.8、モース硬度:9)を含み得、第2光透過材は石英(TC/RI:0.65~1.33、屈折率:1.5~1.55、モース硬度:6)を含み得る。
【0069】
本発明に係るパウチ型二次電池のシーリング装置は、上述された構成を有することによりケースの密封部を均一に加熱してシーリングし得るのみならず、シーリング時の高温に加熱されたシーリングユニットの破損を防止し得るので、二次電池の品質が向上し得、同時に工程性と経済性が改善されるという利点がある。
【0070】
<パウチ型二次電池の製造方法>
また、本発明は一実施形態において、
上述されたパウチ型二次電池のシーリング装置を用いた二次電池の製造方法を提供する。
【0071】
本発明に係る二次電池の製造方法は、シーリング時に上述された本発明のシーリング装置を用いることにより密封部の均一かつ堅固なシーリングが可能であるため、製造される二次電池の品質が向上するという利点がある。
【0072】
このとき、上記製造方法は、金属層および内部シーラント層を含むラミネートシートで構成され、電極組立体収納部とそれを囲む密封部とを含むパウチ型のケースに電極組立体および電解液を収納する段階と、上記パウチ型ケースの密封部の上部および下部のうちいずれか一つ以上の地点に上述された本発明のシーリング装置を配置する段階と、上記シーリング装置の光源部から加圧部に光を照射しながらパウチ型ケースの密封部を加圧して密封する段階と、を含む。
【0073】
まず、パウチ型ケースに電極組立体および電解液を収納する段階は、パウチ型ケースに電極組立体と電解液をそれぞれ収納する段階であって、当業界で通常的に適用される方式で行われ得る。
【0074】
このとき、上記電極組立体は、一つ以上の負極、分離膜、正極を順次積層して巻取したジェリーロール型電極組立体と、負極、分離膜、正極が順次積層された単位セルを長いフィルム状の分離膜に配置した後に、単一方向に巻取したスタック(stack)アンドフォールディング(folding)型電極組立体と、負極、分離膜、正極が順次積層された単位セルを長いフィルム状の分離膜に配置した後に、ジグザグ方向に巻取したスタックアンドフォールディング型電極組立体のうちいずれか1つであり得る。
【0075】
また、上記パウチ型ケースは、アルミニウム層を含む金属層、内部シーラント層を含むラミネートシートからなり得る。
【0076】
ここで、上記金属層は、空気、湿気などが電池の内部に流入することを防止する役割を果たす。上記金属層に用いられる素材は、成形性および延性に優れた素材であり、赤外線により加熱され得る素材であれば、その種類は特に制限されない。例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなり得る。
【0077】
また、上記内部シーラント層は、電極組立体を内蔵した状態で印加された熱と圧力により相互熱融着されて密封性を提供する役割を果たし、主に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)からなっている。上記外部樹脂層と上記金属層および/または上記金属層と上記内部シーラント層との間には接着層が追加され得、上記接着層の両面にある層間の低い接着力を補完する役割を果たす。
【0078】
また、パウチ型ケースの密封部上に本発明のシーリング装置を配置する段階は、パウチ型ケースに電極組立体と電解液が収納された後に、パウチ型ケースの密封部の上部および/または下部に本発明のシーリング装置を配置することによって行われる。
【0079】
一つの例として、上記段階は、パウチ型ケースの密封部の上部と下部にそれぞれシーリング装置を配置することによって行われ得る。
【0080】
また、パウチ型ケースの密封部を加圧して密封する段階は、上記密封部をシーリングする段階であって、密封部上に配置されたシーリング装置の光源部から加圧部への光照射とパウチ型ケースの密封部の加圧が同時に行われ得、場合によっては、パウチ型ケースの密封部の加圧後に、加圧部への光照射が行われ得る。
【0081】
このとき、上記光源部は、加圧部に赤外線レーザーを出射し得、このときの赤外線レーザーは、750nm~1,000nmの波長を有してもよく、または800nm~980nmの波長を有してもよい。上記赤外線レーザーの波長が長すぎる場合は、遮断性金属層の発熱またはシーラント層の溶融を誘導するのに十分でないか、または多くの時間がかかることがあり得、逆に波長が短すぎる場合は、高エネルギーにより電池ケースの破裂または火災などが発生し得るので好ましくない。
【0082】
また、上記赤外線レーザーの照射によりシーラント層が溶融する温度は、180~300℃であり得る。上記温度範囲から外れた場合には、不十分な溶融または過度な溶融により実質的に均一な密封部の形成が容易でないことがあり得るので好ましくない。
【0083】
また、シーリング装置の加圧部がケースの密封部を加圧する圧力は、0.1~5MPaの範囲が好適である。また、ケースの密封部に加わる圧力は、シーリング装置に備えられた圧力計(図示せず)によって密封部全面に一定に加えられるように調節され得る。
【0084】
以下、本発明を実施例および実験例によってより詳細に説明する。
【0085】
ただし、下記実施例および実験例は本発明を例示するものであり、本発明の内容が下記実施例および実験例に限定されるものではない。
【0086】
<実施例および比較例>
パウチ型ケースに電極組立体と電解液を挿入し、電極組立体と電解液が挿入された未シーリングパウチセルをシーリング装置に固定した。このとき、上記シーリング装置は、図1に示すような構造を有するものを用いた。その後、光源部の赤外線ダイオードを用いて980nmの波長を有する赤外線レーザーを加圧部のレンズユニットに照射(出力:80~85W/cm)しながら、加圧部のシーリングユニットを用いてパウチケースの密封部を2MPaで加圧して密封部をシーリングした。
【0087】
このとき、上記加圧部のシーリングユニットは第1光透過材で構成され、加圧部のレンズユニットは第1光透過材および第2光透過材のうち1種以上で構成された。また、上記第1光透過材および第2光透過材の各物性とレンズユニットの断面構造は、下記表1のように調節された。
【0088】
【表1】
【0089】
<実験例>
本発明に係るシーリング装置の性能を確認するために、実施例および比較例でシーリングされたパウチ型二次電池を対象に密封部のシーリング品質を評価した。
【0090】
具体的には、ケースの密封部の均一かつ堅固なシーリングの有無を確認するために、密封部の任意の10地点に対する厚さを測定した。測定された値からそれらの平均値を算出し、算出された平均値を基準として誤差が最も大きい地点の誤差率を算出した。その結果を下記表2に示した。
【0091】
【表2】
【0092】
上記表2に示すように、本発明に係るパウチ型二次電池用シーリング装置は、ケースの密封部を均一かつ安全にシーリングし得ることが分かる。
【0093】
具体的には、加圧部のシーリングユニットに式1の条件を満たす光透過材が適用されたシーリング装置を用いた実施例の二次電池は、密封部が均一にシーリングされ、密封部の平均厚さを基準とした最大誤差率が5%未満であることが確認された。
【0094】
しかしながら、式1を満たさない光透過材が適用されたシーリング装置を用いた比較例の二次電池は、密封部が不均一にシーリングされ、密封部の平均厚さを基準とした最大誤差率が10%以上であることが分かった。
【0095】
これらの結果から、本発明に係るシーリング装置およびそれを用いた二次電池の製造方法は、ケースの密封部を均一にシーリングし得るのみならず、シーリング時の高温に加熱されたシーリングユニットの破損を防止し得るので、二次電池の品質が向上し得、同時に工程性と経済性が改善されることが分かる。
【0096】
以上では、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者または当該技術分野に通常の知識を有する者であれば、後述される特許請求の範囲に記載された本発明の思想および技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更させ得ることを理解し得る。
【0097】
したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の発明の概要に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0098】
10:パウチ型二次電池
11:パウチ型ケース
11a:ケース密封部
12:電極リード
100:シーリング装置
110:光源部
120:加圧部
121:シーリングユニット
122:レンズユニット
図1
図2
【国際調査報告】