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特表2024-536610頭蓋形成術用プロテーゼおよびその構成部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】頭蓋形成術用プロテーゼおよびその構成部品
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/80 20060101AFI20240927BHJP
   A61F 2/28 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61B17/80
A61F2/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524679
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 CA2022051571
(87)【国際公開番号】W WO2023070200
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/271,432
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524240722
【氏名又は名称】ソシエテ デ コマーシャリゼイション デス プロデュイツ デ ラ レシェルシェ アップリケ ソクプラ サイエンシズ サンテ イーティー ヒューマインズ エス.イー.シー.
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE DE COMMERCIALISATION DES PRODUITS DE LA RECHERCHE APPLIQUEE SOCPRA SCIENCES SANTE ET HUMAINES S.E.C.
【住所又は居所原語表記】A/S TransferTech Sherbrooke, 35 rue Radisson, Suite 200, Sherbrooke, Quebec J1L 1E2, Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】ラポイント,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】イオリオ-モーリン,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】トウシェッテ,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】バージェロン,セルジュ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA01
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC04
4C160LL22
4C160LL33
(57)【要約】
頭蓋形成術用のアタッチメントデバイスは、シート材から画定された本体を有することができ、締結具と結合してアタッチメントデバイスを頭蓋骨の開口部の少なくとも一部を覆う骨皮弁またはプロテーゼに固定するように構成された少なくとも第1の連結穴を有する第1の連結端を含むことができる。第2の連結端は、頭蓋骨の開口部に隣接してアタッチメントデバイスを頭蓋骨に固定するために締結具と結合するように構成された少なくとも1つの第2の連結穴を有する。フレーム部分は第1の連結端から延在する。コイル部分はフレーム部分と第2の連結端との間にあり、コイル部分は、屈曲変形するように構成されたストラットと、ねじり変形するように構成されたストラット間のウェブとを有し得る。フレーム部分は、内側への動きを阻止するために頭蓋骨の開口部の周縁部上に配置されるように構成される。コイル部分は、第1の連結端が第2の連結端との中立面から外側へ動くためのアタッチメントデバイスの面外変形を可能にする。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭蓋形成術用のアタッチメントデバイスであって:
シート材から画定された本体を備え、前記本体は:
前記アタッチメントデバイスを頭蓋骨の開口部の少なくとも一部を覆う骨皮弁またはプロテーゼに固定するために締結具と結合するように構成された少なくとも第1の連結穴を有する第1の連結端と;
前記頭蓋骨の前記開口部に隣接して前記アタッチメントデバイスを前記頭蓋骨に固定するために締結具と結合するように構成された少なくとも第2の連結穴を有する第2の連結端と;
前記第1の連結端から延在するフレーム部分と;
前記フレーム部分と前記第2の連結端との間のコイル部分であって、前記コイル部分は、屈曲変形するように構成されたストラットと、ねじり変形するように構成された前記ストラット間のウェブとを有する、コイル部分と;を含み、
前記フレーム部分は、内側への動きを阻止するために前記頭蓋骨の前記開口部の周縁部上に配置するように構成され、
前記コイル部分は、前記第1の連結端が前記第2の連結端との中立面から外側へ動くための前記アタッチメントデバイスの面外変形を可能にする、アタッチメントデバイス。
【請求項2】
前記本体は、前記第1の連結端から前記第2の連結端まで長さ方向に延在し、前記ストラットの少なくとも一部は、少なくとも部分的に長さ方向に延在する、請求項1に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項3】
前記ウェブの少なくともいくつかは、少なくとも部分的に幅方向に延在する、請求項2に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項4】
前記第2の連結端は、一対の前記第2の連結穴を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項5】
前記コイル部分は、第1の組のコイルと第2の組のコイルを有し、前記第1の組のコイルと前記第2の組のコイルは、それぞれ前記第2の連結穴に接続され、前記フレーム部分で合流する、請求項4に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項6】
前記第2の連結穴は、前記第2の連結端を前記頭蓋骨に固定するように構成された締結具を有する回転ジョイントを形成し、前記回転ジョイントは、前記アタッチメントデバイスの長さ方向の拡張を可能にする、請求項5に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項7】
前記コイル部分の一部分は、前記第2の連結穴を通る線の一方側にあり、前記第1の連結端は前記線の他方側にある、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項8】
前記一部分は、前記線に向かって広がっている、請求項7に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項9】
前記フレーム部分は、前記第1の連結端と前記コイル部分との間にクローズドフレームを有する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項10】
前記本体の前記輪郭縁の全体がアーチ形である、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項11】
前記第1の連結端は、一対の前記第1の連結穴を有する、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項12】
前記フレーム部分は、前記コイル部分から長さ方向に延在するストラットを有する、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項13】
前記アタッチメントデバイスは、長さ方向に延在する対称軸を有する、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項14】
頭蓋形成術用プロテーゼであって:
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の一対の前記アタッチメントデバイスと;
シート材から画定された本体を有するプロテーゼブレードと;を備え、前記本体は:
前記アタッチメントデバイスの一方によって頭蓋骨の第1の位置に固定されるように構成された第1の連結端と;
前記アタッチメントデバイスの他方によって前記頭蓋骨の第2の位置に固定されるように構成された第2の連結端であって、前記第1の位置と前記第2の位置は前記頭蓋骨の開口部によって分離されている、第2の連結端と;
前記第1の連結端と前記第2の連結端との間の細長いプレート部分であって、前記細長いプレート部分は前記頭蓋骨の前記開口部の方に向ける主表面を有する、細長いプレート部分と;を含み、
前記シート材は、面外変形可能な剛性の生体適合性材料である、頭蓋形成術用プロテーゼ。
【請求項15】
前記本体は穴を有する、請求項14に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項16】
前記本体は細長い、請求項14または請求項15に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項17】
前記アタッチメントデバイスおよび前記プロテーゼブレードは、一体式の部品である、請求項14から請求項16のいずれか一項に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項18】
頭蓋形成術において頭蓋骨の開口部を覆うためのプロテーゼブレードであって:
シート材から画定された本体を備え、前記本体は:
頭蓋骨の第1の位置に固定されるように構成された第1の連結端と;
前記頭蓋骨の第2の位置に固定されるように構成された第2の連結端であって、前記第1の位置と前記第2の位置とは、前記頭蓋骨の開口部によって分離されている、第2の連結端と;
前記第1の連結端と前記第2の連結端との間の細長いプレート部分であって、前記細長いプレート部分は前記頭蓋骨の前記開口部の方に向ける主表面を有する、細長いプレート部分と;を含み、
前記シート材は、面外変形可能な剛性の生体適合性材料である、プロテーゼブレード。
【請求項19】
前記本体は穴を有する、請求項18に記載のアタッチメントデバイス。
【請求項20】
前記本体は細長い、請求項18または請求項19に記載のアタッチメントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、2021年10月25日に出願された米国特許出願第63/271,432号に基づく優先権を主張し、当該米国特許出願の記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本願は、開頭術、頭蓋骨切除術および/または頭蓋形成術などの外科手術で使用されるインプラント、アタッチメントデバイス(取付部品)、固定プレート、プレーティングシステム、および/またはプロテーゼ(prostheses、人工補綴物)に関する。
【背景技術】
【0003】
一部の脳神経外科手術は、さまざまな理由から、頭蓋骨からの一時的または恒久的な骨皮弁の除去を伴う。例えば、開頭術は、頭蓋骨内の脳、血管、または類似の軟組織の一部にアクセスするために、骨皮弁を一時的に除去する手術である。開頭術では、皮膚を閉じる前に、手術の最後に骨皮弁が元に戻される。頭蓋骨切除術は、頭蓋骨の残りの部分から骨皮弁を永久に除去する手術である。この手術は、頭蓋内圧を下げるために実行することができる(減圧頭蓋骨切除術)。というのは、頭蓋骨自体が修復不可能なほど骨折しているか、感染しており、感染を治癒するために除去する必要があるからである。頭蓋骨切除術では、骨皮弁を定位置に配置せずに皮膚が閉じられると、脳の領域が無防備なままになる。頭蓋形成術は、頭蓋骨の開口部を覆うために骨皮弁または同等のプロテーゼを再挿入することである。
【0004】
頭蓋形成術は、頭蓋内圧が許容レベルに戻った後、または感染が治まった後、頭蓋骨切除術の数週間後に行われることが多い。場合によっては、頭蓋骨切除術後の頭蓋形成術にカスタムメイドの頭蓋プロテーゼが使用される。手術前に骨皮弁の形状パラメータを予測することは困難であるため、頭蓋骨の開口部が覆われていない状態が長期間続き、頭蓋骨内の脳の一部が構造的に保護されていないままになる可能性がある。減圧頭蓋骨切除術の場合、頭蓋内圧を下げることができるように、骨皮弁を除去する期間が必要になることが多い。
【0005】
したがって、頭蓋形成術を待っている患者は、損傷のリスクが高い可能性があり、病院または同様に管理された環境で待機させなければならないことが多い。起こり得る事の1つとして、シンキングフラップ症候群(sinking flap syndrome)が発生する可能性があり、麻痺や昏睡などの重篤な合併症を伴う可能性がある。さらに、頭蓋プロテーゼや骨皮弁を取り付けるために術後の処置が必要となり、費用とさらなる入院時間がかかる。
【0006】
動的システムは、骨皮弁を動かして頭蓋内容積を拡張できるように開発されており、それによって「減圧開頭術」が可能になる。動的システムには通常、伸縮式またはバネ式の拡張が含まれる場合がある。しかしながら、そのようなシステムは容積が大きく、骨皮弁またはプロテーゼの動きに対して不必要な抵抗を示し、その結果、減圧が不十分になる可能性がある。さらに、本質的に容積が大きい動的システムは、頭にでっぱりを作る可能性があるため、見た目が悪い場合がある。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、頭蓋形成術用のアタッチメントデバイスであって:シート材から画定された本体を備え、本体は:アタッチメントデバイスを頭蓋骨の開口部の少なくとも一部を覆う骨皮弁またはプロテーゼに固定するために締結具と結合するように構成された少なくとも第1の連結穴を有する第1の連結端と;頭蓋骨の開口部に隣接してアタッチメントデバイスを頭蓋骨に固定するために締結具と結合するように構成された少なくとも第2の連結穴を有する第2の連結端と;第1の連結端から延在するフレーム部分と;フレーム部分と第2の連結端との間のコイル部分であって、コイル部分は、屈曲変形するように構成されたストラットと、ねじり変形するように構成されたストラット間のウェブとを有するコイル部分と;を含み、フレーム部分は、内側への動きを阻止するために頭蓋骨の開口部の周縁部上に位置するように構成され、コイル部分は、第1の連結端が第2の連結端との中立面から外側へ動くためのアタッチメントデバイスの面外変形を可能にする、アタッチメントデバイスが提供される。
【0008】
さらに第1の態様によれば、例えば、本体は、第1の連結端から第2の連結端まで長さ方向に延在し、ストラットの少なくとも一部は、少なくとも部分的に長さ方向に延在する。
【0009】
さらに第1の態様によれば、例えば、ウェブの少なくとも一部は、少なくとも部分的に幅方向に延在する。
【0010】
さらに第1の態様によれば、例えば、第2の連結端は、一対の第2の連結穴を有する。
【0011】
さらに第1の態様によれば、例えば、コイル部分は、第1の組のコイルおよび第2の組のコイルを有し、第1の組のコイルおよび第2の組のコイルは、第2の連結穴のそれぞれの1つに接続され、フレーム部分で合流する。
【0012】
さらに第1の態様によれば、例えば、第2の連結穴は、第2の連結端を頭蓋骨に固定するように構成された締結具を有する回転ジョイントを形成し、回転ジョイントは、アタッチメントデバイスの長さ方向の拡張を可能にする。
【0013】
さらに第1の態様によれば、例えば、コイル部分の一部分が第2の連結穴を通る線の一方側にあり、第1の連結端が線の他方側にある。
【0014】
さらに第1の態様によれば、例えば、一部分は線に向かって広がっている。
【0015】
さらに第1の態様によれば、例えば、フレーム部分は、第1の連結端とコイル部分との間にクローズドフレームを有する。
【0016】
さらに第1の態様によれば、例えば、本体の輪郭縁の全体がアーチ形である。
【0017】
さらに第1の態様によれば、例えば、第1の連結端は、一対の第1の連結穴を有する。
【0018】
さらに第1の態様によれば、例えば、フレーム部分は、コイル部分から長さ方向に延在するストラットを有する。
【0019】
さらに第1の態様によれば、例えば、アタッチメントデバイスは長さ方向に延在する対称軸を有する。
【0020】
第2の態様によれば、頭蓋形成術用プロテーゼであって:上述の一対のアタッチメントデバイスと;シート材から画定された本体を有するプロテーゼブレード(prosthetic blade)と;を備え、本体は:アタッチメントデバイスの一方によって頭蓋骨の第1の位置に固定されるように構成された第1の連結端と;アタッチメントデバイスの他方によって頭蓋骨の第2の位置に固定されるように構成された第2の連結端であって、第1の位置と第2の位置とは頭蓋骨の開口部によって分離されている、第2の連結端と;第1の連結端と第2の連結端との間の細長いプレート部分であって、細長いプレート部分は頭蓋骨の開口部の方に向ける主表面を有する、細長いプレート部分と;を含み、シート材は面外変形可能な剛性の生体適合性材料である、頭蓋形成術用プロテーゼが提供される。
【0021】
さらに第2の態様によれば、例えば、本体は穴を有する。
【0022】
さらに第2の態様によれば、例えば、本体は細長い。
【0023】
さらに第2の態様によれば、例えば、アタッチメントデバイスおよびプロテーゼブレードは1つの一体部品である。
【0024】
第3の態様によれば、頭蓋形成術において頭蓋骨の開口部を覆うためのプロテーゼブレードであって:シート材から画定された本体を備え、本体は:頭蓋骨の第1の位置に固定されるように構成された第1の連結端と;頭蓋骨の第2の位置に固定されるように構成された第2の連結端であって、第1の位置と第2の位置とは、頭蓋骨の開口部によって分離されている、第2の連結端と;第1の連結端と第2の連結端との間の細長いプレート部分であって、細長いプレート部分は、頭蓋骨の開口部の方に向ける主表面を有する、細長いプレート部分と;を含み、シート材は、面外変形可能な剛性の生体適合性材料である、プロテーゼブレードが提供される。
【0025】
さらに第3の態様によれば、例えば、本体は穴を有する。
【0026】
さらに第3の態様によれば、例えば、本体は細長い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
次に、添付図を参照する。
図1図1は、本開示の1つの実施形態による、頭蓋骨の開口部に対する頭蓋形成術用プロテーゼの透視図である。
図2図2は、図1の頭蓋形成術用プロテーゼの端部の拡大図である。
図3図3は、図1の頭蓋形成術用プロテーゼの透視図である。
図4図4は、本開示の別の実施形態による、頭蓋骨の開口部に対する一連のプロテーゼブレードの平面図である。
図5図5は、本開示の別の実施形態による、アタッチメントデバイスの平面図である。
図6図6は、図5のアタッチメントデバイスの面外変形と中立位置を示す透視図である。
図7図7は、面外変形における図5のアタッチメントデバイスの立面図である。
図8図8は、本開示のアタッチメントデバイスの想定される形状を示す一連の平面図である。
図9図9は、フックの法則に従って作動するアタッチメントデバイスと比較した図5のアタッチメントデバイスの変位対力の関係を示すグラフである。
図10図10は、本開示の1つの変形例による、アタッチメントデバイスの平面図である。
【詳細な説明】
【0028】
図を、より詳細には図1を参照すると、本開示による、頭蓋形成術用プロテーゼが10で図示されている。頭蓋形成術用プロテーゼ10は、頭蓋骨Sの開口部S1を横切って示されている。開口部S1は、例えば、頭蓋骨切除術の結果生じることがある。簡単のため、単一の頭蓋形成術用プロテーゼ10が示されているので、頭蓋骨Sの開口部S1を部分的にしか覆っていないが、図4に示す実施形態と同様の方法で、複数の頭蓋形成術用プロテーゼ10を並べて配置して使用することが可能である。
【0029】
頭蓋形成術用プロテーゼ10は、例えば、頭蓋骨切除の手術または開頭の手術に従って、開口部S1を一時的または恒久的に覆うために使用されるタイプのものである。表現「頭蓋形成術」は、プロテーゼ10が頭蓋骨Sの開口部S1を覆う役割を果たすという点で、プロテーゼ10の呼称として使用されている。頭蓋形成術用プロテーゼ10の使用は、開頭術、頭蓋骨切除術、または頭蓋形成術の文脈で説明されているが、他の状況でも使用することができる。
【0030】
頭蓋形成術用プロテーゼ10は、本開示の1つの変形例による、プロテーゼブレード30の対向する端部に一対のアタッチメントデバイス20を備えているものとして示されている。アタッチメントデバイス20は、頭蓋骨Sに対してプロテーゼブレード30の調節を可能にするように変形可能であってもよく、一方、プロテーゼブレード30は、開口部S1を覆うための一時的または恒久的な頭蓋骨シェル(shell)部分として機能する頭蓋形成術用プロテーゼ10の構造部分を規定する。プロテーゼブレード30は、脳を保護するために適切な耐衝撃性を提供しつつ、プロテーゼブレード30が周囲の頭蓋表面と連続する所定の曲率に成形できるように、金属板などの成形可能な材料で作ってもよい。図1から図3に示す実施形態では、アタッチメントデバイス20およびプロテーゼブレード30は1つの一体構造である。例えば、アタッチメントデバイス20およびプロテーゼブレード30は、レーザー切断、CNC機械加工、鋳造などの任意の適切な方法で切断することができる単一のシート材で作ってもよい。互いに分離可能な3つの構成部品を有するように、アタッチメントデバイス20をプロテーゼブレード30に機械的に取り付けることも可能である。例えば、アタッチメントデバイス20は、ネジ、溶接、接着などによってプロテーゼブレードに固定してもよい。アタッチメントデバイス20は、骨皮弁の固定として、すなわちプロテーゼブレード30とともに使用することもできる。
【0031】
本開示の1つの変形例に従って、頭蓋形成術用プロテーゼ10は、(単一または複数の)アタッチメントデバイス20のうち単一のもの、すなわち、プロテーゼブレード30の一端のみを有し、他端ではプロテーゼブレード30が頭蓋骨に直接固定されたようにすることができる。別の変形例に従って、プロテーゼブレード30は、アタッチメントデバイス20を用いることなく、プロテーゼブレード30を頭蓋骨Sに固定するためにネジのような他の固定手段を用いて使用することができる。このようなプロテーゼブレード30は、例えば、頭蓋内圧の懸念に対処するために開口部S1の被覆部で形状の動的調節を可能にすることができないことがあるが、それにもかかわらず、適切な構造的一体性を提供するプロテーゼフラップ(prosthetic flap、人工補綴用の皮弁)を形成することができる。さらに、プロテーゼブレード30は、周囲の頭蓋外面に一致するように所定の形状に成形することができ、その一方で、骨皮弁と比較して薄いため、ある程度の圧力を緩和することもできる。
【0032】
アタッチメントデバイス20がネジFによって頭蓋骨の骨に固定され得ることを説明するために、図2に拡大図を示す。ボルト、縫合糸、接着剤など、他の固定手段も考えられる。図3を参照すると、頭蓋形成術用プロテーゼ10は、幅Wと比べて長さLに延在する平面本体を有し、平面本体の厚さは、幅Wよりも実質的に薄い(例えば、少なくとも10倍薄い)ことが観察される。平面本体は、生体適合性材料、あるいは金属またはポリマーなどの材料の組み合わせから作製することができる。例えば、チタンは、シート形式のチタンのように、頭蓋形成術用プロテーゼ10を規定するために使用するのによく適している。この材料は硬い材料であるが、厚みが限られているため、ある程度の柔軟性を示すことができる。したがって、頭蓋形成術用プロテーゼ10は、(例えば、頭蓋形成術用プロテーゼ10がシートから作製される場合には、)平面から変形可能な部分を有することができる。変形は弾性変形の範囲内である場合もあれば、塑性変形に達する場合もある。これは、例えば周囲の頭蓋外面の形状に一致するように、プロテーゼブレード30が湾曲していることを示す図3で観察することができる。剛性材料の使用、および厚さよりも実質的に大きい幅と長さのため、面内変形、すなわち、頭蓋形成術用プロテーゼ10が平面のままである間の変形は可能でない場合がある。より具体的には、頭蓋形成術用プロテーゼ10は、L-W平面内に留まっているうちは変形しない(図6)。頭蓋形成術用プロテーゼ10は、その形状により、いかなる座屈にも対抗することができる。
【0033】
図2では曲線によって具体化されているプロテーゼブレード30の面外変形により、ユーザは、例えば、除去される骨皮弁の形状を模倣するために、プロテーゼブレード30の形状を手動で定めることができる。1つの変形例では、この形状は、頭蓋骨切除術の前に、プロテーゼブレード30を頭蓋骨Sの目標部位に適用することによって得ることができる。ブレード30を成形するために器具を任意選択で使用することができる。例えば頭蓋骨の形状を模倣することができる測定器具を使用して、物理的形状の寸法を取得することができる。図4に示すように、異なる長さのブレード30を並べて、多数のブレード30から構成される皮弁の形状をカスタマイズすることができる。ブレード30の細長い性質は、頭蓋形成術用プロテーゼ10の一部であるか否かに関わらず、例えば内視鏡操作による小さな切開部へのブレード30の挿入を容易にできる。多数のブレードが使用される場合、単一のブレード30の幅に基づいて寸法設定された単一の切開部を、すべてのブレード30の挿入に使用することができる。さらに、ブレード30の丸みを帯びた端部は、任意選択ではあるが、角がなく、したがって、例えばブレード30または頭蓋形成術用プロテーゼ10の後端を押す動きによって、ブレード30を所定の位置にスライドさせるときに、周囲の軟組織を引っ掛ける危険性を低減する。図示の半円形の端部の形状に加えて、ブレード30については他の先端形状も考慮される。
【0034】
図5を参照すると、アタッチメントデバイス20の例示的な実施形態が提供される。上記で説明したように、アタッチメントデバイス20は、頭蓋形成術用プロテーゼ10の一部であってもよく、そうでなくてもよい。例えば、アタッチメントデバイス20は、頭蓋骨を骨皮弁に、プロテーゼシェルに、またはプロテーゼブレード30とは異なるプロテーゼに接合するために単独で使用することができる。アタッチメントデバイス20は、開口部Sを覆う骨皮弁、プロテーゼシェル、またはプロテーゼと、開口部Sを囲む頭蓋骨表面との間の相対的かつ拘束された動きを可能にするように設計されている。この動きは、ほとんど面外であり、長さLの双方向残留運動を伴うものとして説明できる。
【0035】
図5のアタッチメントデバイス20は、平面本体を有するように示されており、シート材から一体構造で作製することができる。例えば、図5のアタッチメントデバイス20は、レーザー切断、CNC機械加工、鋳造などの任意の適切な方法で切断できる単一のシート材で作製することができる。参考として、アタッチメントデバイス20は、中立位置において、長さLおよび幅Wによって画定される平面内に位置することができる。中立位置は、アタッチメントデバイス20の本来の状態でよい。長さLと幅Wとで画定される面は、平面であってもよいが、湾曲した状態、すなわち曲面であってもよい。
【0036】
アタッチメントデバイス20は、第1の連結端21と第2の連結端22を有する。第1の連結端21は、図2のネジFなどの締結具を受けるように構成された一対の穴21Aによって画定される。穴21Aは、より少なくても、より多くてもよく、スパイク、鋲、釘、接着剤などの他の結合部材があってもよい。同様に、第2の連結端22も、図2のネジFなどの締結具を受けるための一対の(またはそれ以上、またはそれ以下の)穴22Aを有する。1つの実施形態では、穴21Aは幅Wに沿って互いに整列する。同様に、1つの実施形態では、穴22Aは幅Wに沿って互いに整列する。他の配置も考慮される。1つの変形例では、穴21Aおよび/または穴22Aは、図示の円形形状(例えば、真っ直ぐな穴、ザグリ付きの穴、皿穴付きの穴)を有する。ネジF(図2)などの補完的な締結具または同様なもの(ピン、ボルト等)が穴21Aおよび/または22Aに受けられ、それによって、締結具がきつく取り付けられすぎないという条件で、回転ジョイントを定義する。したがって、回転ジョイントは、以下に説明し、Rで示すように、高さHに概ね平行な回転軸H1を中心とする回転運動を可能にすることができる。
【0037】
第1の連結端21と第2の連結端22は、例えば複数のコイルで形成されたコイル部分23とフレーム部分24によって相互接続されている。コイル部分23は、複数のスイッチバックを備えたスイッチバック機構とも呼ばれ得る。使用時、アタッチメントデバイス20は、頭蓋骨の開口部S1に隣接して頭蓋骨Sに固定された第1の連結端22を有する。第2の連結端21は、頭蓋骨の開口部S1を覆う骨皮弁またはプロテーゼ、例えばプロテーゼブレード30に連結することができる。逆の配置も可能である。したがって、第2の連結端22は、部品にネジ止めするための穴を有するものとして示されているが、第2の連結端22は、図1に示すようにブレード部分30に一体的に結合されてもよい。
【0038】
コイル部分23は、第1の連結端21に対する第2の連結端22の面外移動を可能にする役割を担っており、図6は、面外変形を受けた後のアタッチメントデバイス20’を、中立位置(本明細書では元の状態ともいう)にあるアタッチメントデバイス20と比較して示す。コイル部分23は、第1の連結端21が、図6および図7に示す方法で高さHにおいて実際に重なるように、第1の連結端21の動きを拘束するように構成される。端部22の回転ジョイントは、この疑似的な重ね合わせに寄与する可能性がある。別の言い方をすれば、コイル部分23は、第1の連結端21が高さHに沿って動くことを制限するように配置されている。第1の連結端21は、長さLに沿って動くこともできるが、中立面(すなわち、元の状態)に投影したときの長さLに沿った距離の変動は、高さHに沿った距離の変動よりも実質的に小さい。他端側のフレーム部分24は、第1の連結端21とコイル部分23との間にある。フレーム部分24は、以下に説明するように、アタッチメントデバイス20の一方向変形特性、すなわち中立状態から上方への動きを強制するために、カーフ(kerf、頭蓋骨と皮弁との隙間)上に任意選択で配置できる剛性部分(すなわち、面内変形なし)である。したがって、幅W方向における第1の連結端21の動きは、フレーム部分24によってかけられる物理的制約により制限されるか、またはごくわずかである。観察できるように、コイル部分23はフレーム部分24に接続されており、フレーム部分24はコイル部分23のさまざまな種類の変形を可能にするが、1つの変形例では、フレーム部分24は屈曲のみで変形することができる。この動きは第1の連結端21の動きとして説明されているが、第2の連結端22から見た第1の連結端21にも同様の動作が適用されてもよい。使用中、1つの実施形態では、切開部にスライドさせるときには、第2の連結端22が先導する。必ずではないが、先端から後続穴22Aにかけてのフレア形状、および、方向-Lにおけるコイル部分23の先端に対する穴22Aの後続位置は、Hにおける動きを制限し、アタッチメントデバイス20を平面的に維持し、頭蓋骨の表面に沿って動くことに寄与する。先端から後続穴22Aまでのフレア形状は、アーチ形であると説明することができ、あるいは、存在する場合は、他の形状を有してもよい。
【0039】
コイル部分23とフレーム部分24は、様々な構成部品を有することによって、端部21および端部22の互いに対する動きを拘束する。コイル部分23は、長さL方向の少なくとも一部に延在するストラット23Aを有する。ストラット23Aはウェブ23Bによって相互接続することができる。ウェブ23Bはストラット23Aよりも短くてもよく、ストラット23Aの端部に位置してもよい。例えば、ウェブ23Bはストラット23Aを横切っていてもよく、少なくとも部分的に幅W方向に延在していてもよい。したがって、端部21および端部22の一方が図6に示すような力を受けると、ウェブ23Bはストラット23Aの、てこの効果によって変形し、ストラット23Aの面外移動を可能にする。ウェブ23Bは、変形することにより、(Wに沿った)回転ジョイントとして機能する。ストラット23Aおよびウェブ23Bは異なる特徴のものとして説明されるが、コイル部分23は、ストラット23Aおよびウェブ23Bとして機能する湾曲部分を有してもよく、ウェブ23Bは、湾曲部分が接続される他のストラット23Aとの接合部にある。この場合も、ストラット23Aおよびウェブ23Bはすべて単一のシート材で作られてもよい。1つの変形例では、ストラット23Aに対して面外移動が生じると、ウェブ23Bは、ねじれを示すと言える。ウェブ23Bのねじれと並行して、ストラット23Aは、面外移動において屈曲を示すことができる。1つの変形例では、そのようなねじれは弾性変形している可能性がある(ただし、塑性変形している可能性もある)。変形を受けると、アタッチメントデバイス20は、コンプライアント機構、すなわち、弾性変形する可撓性本体として定義することができる。さらに、その構成により、アタッチメントデバイス20は、(図6に明るい色調で示す)元の状態からの変位において、元の状態(中立面)から一方向にのみ、すなわち、図6に示す変形状態に向かってのみ動くことができるという点で、一方向性であると言うことができる。元の状態では、アタッチメントデバイス20は、通常の使用中の力や圧力によって他の方向に動くことはできない。別の言い方をすれば、アタッチメントデバイス20は、中立面/元の状態から負のHに変形することができない。これは、アタッチメントデバイス20のフレーム部分24が、頭蓋骨と皮弁との間のカーフに対して本質的に横方向であり、かつその上方にあるためであり、このようなアタッチメントデバイス20は、骨皮弁の内側への動き、すなわち、骨皮弁の落ち込みを防止する。フレーム部分24は、ストラット24Aを有するものとして示されており、その第1の端部にコイル部分23が接続されている。コイル部分23は、フレーム部分24のストラット24Aから2組のコイルに分かれていると言える。1つの変形例では、ストラット24AはLに沿って延在する。対のストラット24Aなど、他の配置も可能である。フレーム部分24は、第1の連結端21の連結穴21Aが端部に位置するフレーム部材24Bをさらに含んでもよい。したがって、コイル部分がないと、コイル部分23と対照的に、フレーム部分24の変形が制限される。これは、例えば、図6および図7で観察することができる。
【0040】
さらに、図6から観察されるように、(F(図2)のような締結具を備えた)端部22の任意選択の回転ジョイントは、アタッチメントデバイス20が中立面から外側へ動くにつれて、方向Rにおける第1のコイル部分の回転、すなわち軸H1を中心とする回転を可能にする。これは、連結穴22Aがそれぞれ、前出の組と呼ばれるコイル部分23の各コイルに接続されているという事実によって可能であると考えられる。この回転により、アタッチメントデバイス20が方向Lに沿って拡張し、変形状態のアタッチメントデバイス20の設置面積が中立状態の設置面積に近づくことに寄与する。コイル部分23は、連結穴22Aを通る線L1に対して、連結端21とは反対方向に一部を有することも観察することができる。これにより、第2の連結端22に対する第1の連結端21の移動範囲がより大きくなり得る。
【0041】
1つの変形例では、第2の連結端22、すなわち回転ジョイントを特徴とする第2の連結端22は頭蓋骨上にあり、一方、第1の連結端は皮弁またはブレード30に連結されている。第1の連結端21は、穴21Aを相互連結する単一の部材を有するため、穴21Aにおいて実質的な回転は生じない。
【0042】
さまざまな動作、すなわち、回転、ねじり、屈曲と、弾性変形範囲内で発生する変形の組み合わせにより、変位対力のプロット線は(フックの法則に従うバネ式のシステムとは対照的に)非線形挙動を示す可能性があり、その結果、力に対する変位の比が大きくなる可能性がある。これは、頭蓋内圧を軽減するときに役立つ可能性がある。これを説明するために、例示的なグラフを図9に示す。
【0043】
図10を参照すると、アタッチメントデバイス20の別の実施形態が示されているが、本明細書に示すすべての実施形態について同様の参照番号は同様の要素を表す。アタッチメントデバイス20は、フレーム部分24の一部としてクローズドフレーム24Dを含んでもよい。クローズドフレーム24は、アタッチメントデバイス20の一方向の変形特性を強制するために、任意選択でカーフの上に配置することができる剛性部分(すなわち、面内変形がない)である。第3の穴21Aの存在は、例えば、第1の連結端21を骨皮弁にしっかりと固定することにも寄与することができる。コイル部分23とフレーム部分24との接合部に、またはフレーム部分24にアンカー穴24Dが存在することにより、H1回りの回転を阻止することができ、その存在により、アタッチメントデバイス20に上述のように使用される可能性、または固定アンカーとして使用される可能性を与えることができる。フレーム部分24は(例えばストラット24Aおよび/または穴24Dを介して)コイル部分23の2つの半分を相互接続し、したがって屈曲、ねじり、回転を阻止する。2つの半分は類似していなくてもよく、2組のコイル、すなわち、第1の組のコイルと第2の組のコイルとみなすことができ、第1の組のコイルと第2の組のコイルは、第2の連結穴22Aのそれぞれの1つに接続され、合流する。
【0044】
図5を参照すると、アタッチメントデバイス20は1つ以上の対称軸を有してもよく、そのような1つの対称軸は長さL方向に実質的に平行である。対称軸の両側に連結されるか、そうでなければ長さLに平行な中心軸の両側に連結されることによって、アタッチメントデバイス20は一般に、長さLに沿ったねじれが防止される。
【0045】
図8は、そのような面外変形を達成するために使用することができるさまざまなアタッチメントデバイスの形状を示す。図8の実施形態はすべて、シート材から作製することができ、これらの図はすべて平面図である。図8の形状は、コイル部分23内のストラット23Aおよびウェブ23Bの一式と、カーフの上に配置されるフレーム部分24とを有する。さらに、必須ではないが、アタッチメントデバイスの形状はすべて、長さL方向に平行な対称軸を有する。図8のアタッチメントデバイスのすべてにおいて、穴などの連結機構は、長さL方向に平行な中心軸の反対側にある。中心軸は対称軸と一致していてもよい。
【0046】
アタッチメントデバイス20の提案された厚さは、包括的に0.4mmと0.6mmとの間で変動することができる。厚くしたり薄くしたりすることも可能である。この制限された厚さは、適切な美的結果を得るために使用される。包括的に、幅は25mm±2mm、長さは20mmから35mmの間とすることができる。これらの寸法は、必要な動的変位に応じて変わる可能性があるが、これらの寸法は単なる例として示されている。使用される材料は、例えばチタングレード23(TiAl6V4 ELI)である。この材料は、塑性変形する前の大きな変形に耐える能力があるため、使用することができる。チタングレード23は、その展性とシート状での製造の可能性を考慮して選択され、アタッチメントデバイス20およびプロテーゼブレード30に使用するのによく適している。
【0047】
アタッチメントデバイス20は、プロテーゼまたは骨皮弁を頭蓋骨に固定し、動的な一方向の動き、すなわち、中立面から高さH方向に、場合によっては中立面に向かって戻る、連結端21または連結端22の変位に本質的に限定される動きを可能にするのによく適している。したがって、アタッチメントデバイス20は、頭蓋内圧に対する反応として骨皮弁またはプロテーゼの変位を可能にする。その結果、大脳容積の増加により、頭蓋内圧亢進症による損傷を抑制する可能性がある。中立位置では、アタッチメントデバイス20は最大のせん断抵抗を提供し、それによって骨皮弁またはプロテーゼの内側への動きを防止する。また、先端から穴22Aにかけてのフレア形状も内側への動き防止に寄与できる。アタッチメントデバイス20は、金属およびプラスチックなど、半可撓性、生体適合性および/または生分解性である任意の適切な材料で作製することができる。
【0048】
アタッチメントデバイス20は、例えば頭蓋形成術用プロテーゼ10の一部として使用することによって、または骨皮弁を頭蓋骨の残りの部分に連結するために、ハイブリッド方式で使用することができる。例えば、後者のシナリオでは、頭蓋内圧の問題への対処において頭蓋形成術用プロテーゼ10ほど最適ではないものの(プロテーゼブレード30は骨皮弁よりも実質的に薄いため)、アタッチメントデバイス20の存在により、ある種の減圧も可能になる場合がある。
【0049】
図1から図4を参照すると、プロテーゼブレード30は、第1の連結端31と第2の連結端32との間に細長い本体を有するものとして示されている。細長い本体は平面本体であり、例えばレーザー切断、CNC機械加工、鋳造などを使用して製造されるシート材から一体構造で作製することができる。参考として、プロテーゼブレード30は、中立位置において、長さLおよび幅Wによって画定される平面内に位置することができる。中立位置は、プロテーゼブレード30の本来の状態でよい。長さLと幅Wとで画定される面は、平面であってもよいが、湾曲した状態、すなわち曲面であってもよい。プロテーゼブレード30の主表面、すなわち使用時に脳を有する主表面と頭蓋骨から離れる方向を向く主表面は、長さLおよび幅W方向に延在する。プロテーゼブレード30の厚さは、主表面の長さおよび幅より実質的に薄くてもよく、それにより、プロテーゼブレード30は、弾性変形範囲および任意選択で塑性変形範囲内で、その自然状態から面外に変形可能である。
【0050】
周囲の組織を損傷しないように、第1の連結端31および第2の連結端32は、丸い、または同様のアーチ形状を有してもよいが、他の形状も可能である。図示の実施形態では、プロテーゼブレード30の全体形状は長円形として説明できる。図1から図3に示すように、プロテーゼブレード30は、それと一体化されたアタッチメントデバイス20を有してもよく、または締結具などによって機械的に連結されたアタッチメントデバイス20を有してもよい。図4の変形例で観察されるように、プロテーゼブレード30を締結具(例えば、図2のネジF)によって頭蓋骨に直接固定するため、またはアタッチメントデバイス20もしくは他の取り付け手段に固定するために、第1の連結端31および第2の連結端32にそれぞれ穴31Aおよび穴32Aを画定することができる。プロテーゼブレード30は、例えば、頭蓋内圧の上昇に対抗するための拡張を必要としないシナリオにおいては、単独で使用されてもよい。
【0051】
複数の穴33は、プロテーゼブレード30の重量を軽減し、その可撓性を高め、および/または、例えば、プロテーゼブレード30に放射線不透過性材料が使用される場合に、プロテーゼブレード30を通る走査を可能にするように、プロテーゼブレード30の主表面に設けることができる。穴33は、フィラー(fillers、充てん装置)、監視装置またはセンサー、ドレン(drains、排出装置)などの装置をブレード30に取り付けるために機能することもできる。図4に観察されるように、プロテーゼブレード30のさまざまな長さおよび幅が可能である。したがって、手術中、手術者は、開口部S1をカスタマイズして覆うために、図4に示すように、異なる大きさの複数のブレードを利用することができる。ブレード30は横並びの配置で使用されるが、例えば重ね合わせなど、他のパターンも可能である。図4では、プロテーゼブレード30が頭蓋骨S上に延在していないことが観察されるが、これは、アタッチメントデバイス20または同等物を使用できることを意味する。しかしながら、プロテーゼブレード30は、ブレード30が頭蓋骨Sに直接固定されるように、頭蓋骨Sの表面と重なるように延在することができる。
【0052】
図1では、プロテーゼブレード30が頭蓋骨Sの上面に配置されていることが観察される。さらに、プロテーゼブレード30は、シート材または同等の薄い素材の使用により、除去された骨皮弁の厚さよりも薄くすることができる。結果として、脳に面するプロテーゼブレード30の主表面と頭蓋骨Sの内部の軟組織との間に隙間を設けることができる。これは、頭蓋内容積の増加をもたらす可能性があり、頭蓋内圧力の減少に寄与する可能性がある。したがって、場合によっては、局所的な圧力に基づいて動的変形を可能にするアタッチメントデバイス20または同等物を使用する必要がある場合があるが、場合によっては、頭蓋容積を増加させて頭蓋内圧を低下させるのにプロテーゼブレード30の使用で十分である。プロテーゼブレード30の細長い形状は、内視鏡の補助の有無にかかわらず、例えば2cmから3cmの切開を介して、皮膚の下への挿入を容易にすることができる。
【0053】
アタッチメントデバイス20は、外傷、硬膜下血腫、くも膜下出血、脳内出血、脳静脈血栓症、髄膜炎、膿胸、骨髄炎、水頭症、腫瘍、または類似の頭蓋内疾患に起因するいくつかの病変を治療するために使用することができる。本開示の頭蓋形成術用プロテーゼ10、アタッチメントデバイス20および/またはプロテーゼブレード30を使用すると、単一の手術で頭蓋内圧亢進症を治療することが可能である。そうすることで、合併症のリスクが大幅に軽減され、患者の回復時間が短縮される可能性がある。さらに、一回の処置により、術後の合併症が回避される可能性がある。頭蓋形成術用プロテーゼ10は、開頭術または頭蓋骨切除術の時に埋め込むことができる普遍的で動的な骨皮弁プロテーゼである。頭蓋形成術用プロテーゼ10は、衝撃に対する効果的な保護を形成し、頭蓋内圧の低下をもたらすだけでなく、頭蓋形成術用プロテーゼ10の使用に関連する手術費用を削減することができる。
【0054】
アタッチメントデバイス20は、一般に、シート材から画定された本体を有するものとして説明することができ、本体は:頭蓋骨の開口部の少なくとも一部を覆う骨皮弁またはプロテーゼにアタッチメントデバイスを固定するために締結具と結合するように構成された少なくとも第1の連結穴を有する第1の連結端と;頭蓋骨の開口部に隣接してアタッチメントデバイスを頭蓋骨に固定するために締結具と結合するように構成された少なくとも第2の連結穴を有する第2の連結端と;第1の連結端から延在するフレーム部分と;フレーム部分と第2の連結端との間のコイル部分であって、コイル部分は、屈曲変形するように構成されたストラットと、ねじり変形するように構成されたストラット間のウェブとを有する、コイル部分と;を含み、フレーム部分は、内側への動きを阻止するために頭蓋骨の開口部の周縁部上に配置するように構成され、コイル部分は、第1の連結端が第2の連結端との中立面から外側へ動くためのアタッチメントデバイスの面外変形を可能にする。1つの実施形態では、それぞれがネジまたは同様の締結具によって骨に連結され、回転ジョイントを形成する一対のコイルと、一対のコイルを接合し、これをブレードまたは皮弁に接続するフレーム部分として説明することができる。
【0055】
プロテーゼブレード30は、頭蓋形成術において頭蓋骨の開口部を覆うために使用されるものとして説明することができ、シート材から画定された本体を有し、本体は:頭蓋骨の第1の位置に固定されるように構成された第1の連結端と;頭蓋骨の第2の位置に固定されるように構成された第2の連結端であって、第1の位置と第2の位置とは頭蓋骨の開口部によって分離されている第2の連結端と;第1の連結端と第2の連結端との間の細長いプレート部分であって、細長いプレート部分は頭蓋骨の開口部の方に向ける主表面を有する、細長いプレート部分と;を含むことができる。シート材は、面外変形可能な剛性の生体適合性材料で 上記の説明は例示のみを目的としており、当業者であれば、開示された本発明の範囲から逸脱することなく、説明された実施形態に変更を加えることができることを認識するであろう。本発明の範囲内に含まれるさらに他の修正は、本開示を検討すれば当業者には明らかであり、そのような修正は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】