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特表2024-536618化学化合物の作用をテストするためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】化学化合物の作用をテストするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/02 20060101AFI20240927BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240927BHJP
   C12N 5/0793 20100101ALN20240927BHJP
   C12N 5/0797 20100101ALN20240927BHJP
【FI】
C12Q1/02
C12M1/34 A
C12N5/0793
C12N5/0797
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525772
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 AU2022051299
(87)【国際公開番号】W WO2023070163
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】17/515,269
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524158106
【氏名又は名称】シーシーラブス ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョン, ホン ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ケーガン, ブレット ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】キッチン, アンディー シー.
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB11
4B029FA15
4B063QA05
4B063QQ08
4B063QS36
4B063QX01
4B063QX04
4B065AA90X
4B065AC20
4B065CA46
(57)【要約】
生物学的ニューロンへの化学化合物の作用のin vitroテストを実施する方法が、実施形態において開示される。本方法は、in vitro生物学的ニューロンを、ニューロンの認知機能を表現するタスクを実施するようにトレーニングすることと、タスクを実施するニューロンの能力に基づいて、ニューロンの第1の認知機能値を決定することと、ニューロンを化学化合物に露出することと、化学化合物への露出中におよび/または露出の後に、タスクを実施するニューロンの能力に基づいて、ニューロンの第2の認知機能値を決定することと、第2の認知機能値を第1の認知機能値と比較することと、第2の認知機能値と第1の認知機能値との間の差に基づいて、ニューロンの認知機能への化学化合物の作用を決定することとを含む。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認知機能のin vitroテストを実施する方法であって、
第1の複数のin vitro生物学的ニューロンを、タスクを実施するようにトレーニングすることであって、前記タスクを実施する前記第1の複数の生物学的ニューロンの能力が、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの認知機能を表現する、第1の複数のin vitro生物学的ニューロンをトレーニングすることと、
前記タスクを実施する前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの能力に基づいて、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの第1の認知機能値を決定することと、
前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンを化学化合物に露出することと、
前記化学化合物への露出中にまたは露出の後に、前記タスクを実施する前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの前記能力に基づいて、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの第2の認知機能値を決定することと、
前記第2の認知機能値を前記第1の認知機能値と比較することと、
前記第2の認知機能値と前記第1の認知機能値との間の差に基づいて、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの前記認知機能への前記化学化合物の作用を決定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンが、多電極アレイ(MEA)、または光学システムを備える基板上に配設される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記MEA、または前記光学システムを備える前記基板上に配設された、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンを、前記タスクを実施するようにトレーニングすることは、
処理論理からデジタル入力シグナルを受信することと、
前記デジタル入力シグナルを複数の電気または光学インパルスのための命令に変換することであって、前記複数の電気または光学インパルスの各電気または光学インパルスが2次元(2D)座標に関連付けられる、前記デジタル入力シグナルを複数の電気または光学インパルスのための命令に変換することと、
前記命令に従って前記MEAにおける2Dグリッドの指定された座標において前記複数の電気または光学インパルスを適用することと、
前記2Dグリッドの1つまたは複数の追加の座標において、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンのうちの1つまたは複数によって出力された電気または光学シグナルを測定することと、
前記電気または光学シグナルの表現を生成することと、
前記電気または光学シグナルの前記表現に基づいて前記処理論理に応答を送ることと、
前記処理論理からトレーニングシグナルを受信することであって、前記トレーニングシグナルが、前記処理論理のターゲット目的が前記電気シグナルの前記表現によって満たされたかどうかを示す、トレーニングシグナルを受信することと、
前記処理論理の前記ターゲット目的が満たされたかどうかに基づいて、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンのための刺激を決定することと、
前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンに前記刺激を出力することと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記トレーニングシグナルは、前記処理論理の前記ターゲット目的が満たされたことを示し、前記刺激が、化学、光学または電気報酬刺激である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記刺激が、設定されたパターンに従う予測可能な刺激を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記トレーニングシグナルは、前記処理論理の前記ターゲット目的が満たされなかったことを示し、前記刺激が、化学、光学または電気罰刺激である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記罰刺激が、任意の設定されたパターンに従うことに失敗する予測不可能な刺激を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記予測不可能な刺激が、ロケーションのランダム選択における、および/またはランダムタイミングで送達される、電気または光学インパルスを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記化学化合物が薬物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンが、第1の遺伝子型を有する第1の幹細胞源から生成される第1の複数の合成ヒトニューロンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の遺伝子型とは異なる第2の遺伝子型を有する第2の幹細胞源から生成される第2の複数のin vitro生物学的ニューロンの前記認知機能への前記化学化合物の前記作用を決定することと、
前記第2の複数のin vitro生物学的ニューロンの前記認知機能への前記化学化合物の前記作用を、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの前記認知機能への前記化学化合物の前記作用と比較することと、
前記比較することに少なくとも部分的に基づいて、前記化学化合物の前記作用が遺伝子型に対する依存を有するかどうかを決定することと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンが、胚源からの複数の動物ニューロンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記認知機能への前記化学化合物の前記作用が、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの前記認知機能を低減する有害な作用であると決定すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記認知機能への前記化学化合物の前記作用が、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの前記認知機能を改善する有益な作用であると決定すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンが、知られている病理を呈する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンが、一般的な細胞株からのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の認知機能値が第1の神経臨界値を含み、前記第2の認知機能値が第2の神経臨界値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
第1の多電極アレイ(MEA)であって、
励起サイトの2次元(2D)グリッドと、
前記MEA上に配設された第1の複数のin vitro生物学的ニューロンと、
励起サイトの前記2Dグリッド上の座標を有する励起サイトにおいて、複数の電気または光学インパルスを適用するための処理デバイスと、
前記2Dグリッドの座標において、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンのうちの1つまたは複数によって出力されたシグナルを測定するための1つまたは複数のセンサーであって、前記処理デバイスが、前記1つまたは複数のセンサーから前記シグナルを受信することと、前記シグナルの表現を生成することとを行うためのものである、1つまたは複数のセンサーと
を備える、第1の多電極アレイ(MEA)と、
前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンを化学化合物に露出するように構成された第1の化学入力と、
前記MEAに接続されたコンピューティングデバイスであって、前記コンピューティングデバイスは、
前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンを、タスクを実施するようにトレーニングすることであって、前記タスクを実施する前記第1の複数の生物学的ニューロンの能力が、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの認知機能を表現する、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンをトレーニングすることと、
前記化学化合物への露出の前に、前記タスクを実施する前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの能力に基づいて、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの第1の認知機能値を決定することと、
前記化学化合物への露出中にまたは露出の後に、前記タスクを実施する前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの前記能力に基づいて、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの第2の認知機能値を決定することと、
前記第2の認知機能値を前記第1の認知機能値と比較することと、
前記第2の認知機能値と前記第1の認知機能値との間の差に基づいて、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの前記認知機能への前記化学化合物の作用を決定することと
を行うためのものである、コンピューティングデバイスと
を備える、in vitro化学化合物テストシステム。
【請求項19】
前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンを、前記タスクを実施するようにトレーニングするために、前記コンピューティングデバイスは、
デジタル入力シグナルを受信することと、
前記デジタル入力シグナルを前記複数の電気または光学インパルスのための命令に変換することと、
前記MEAに前記命令を送ることと、
前記MEAから前記シグナルの前記表現を受信することと、
前記シグナルの前記表現を処理することと、
トレーニングシグナルを受信することであって、前記トレーニングシグナルが、ターゲット目的が電気シグナルの前記表現によって満たされたかどうかを示す、トレーニングシグナルを受信することと、
前記ターゲット目的が満たされたかどうかに基づいて、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンのための刺激を決定することと、
前記MEAに、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンに前記刺激を出力するための命令を送ることと
を行うためのものである、請求項18に記載のin vitro化学化合物テストシステム。
【請求項20】
前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンが、第1の遺伝子型を有する第1の幹細胞源から生成される第1の複数の合成ヒトニューロンを含む、請求項18に記載のin vitro化学化合物テストシステム。
【請求項21】
第2のMEAであって、前記第2のMEA上に配設された第2の複数のin vitro生物学的ニューロンを備え、前記第2の複数のin vitro生物学的ニューロンが、前記第1の遺伝子型とは異なる第2の遺伝子型を有する第2の幹細胞源から生成される、第2のMEAと、
前記第2の複数のin vitro生物学的ニューロンを前記化学化合物に露出するように構成された第2の化学入力と
をさらに備え、
前記コンピューティングデバイスは、
前記第2の複数のin vitro生物学的ニューロンの認知機能への前記化学化合物の作用を決定することと、
前記第2の複数のin vitro生物学的ニューロンの前記認知機能への前記化学化合物の前記作用と、前記第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの前記認知機能への前記化学化合物の前記作用との比較を行うことと、
前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記化学化合物の前記作用が遺伝子型に対する依存を有するかどうかを決定することと
をさらに行うためのものである、請求項20に記載のin vitro化学化合物テストシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、化学化合物のテストに関し、特に、認知機能への薬剤の作用をテストするためのなど、薬物テストのための、神経学的計算および実験プラットフォームの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
すべての新しい薬物(本明細書では薬剤とも呼ばれる)は、それらの薬物が販売され得る前に評価されなければならない。薬物は、それらの薬物が正しく機能し、それらの薬物の健康上の利益がその危険を上回ることを保証するためにテストされる。ただ一度、薬物の独立したおよび公平なレビューが、薬物の健康上の利益がその危険を上回ることを立証すれば、薬物は販売について承認される。
【0003】
現在、薬物の効力と薬物に関連付けられた危険の両方を査定するために薬物に対して実施される、多くの異なるタイプのテストがある。残念ながら、認知機能への薬物の作用をテストするための唯一の知られている技法は、薬物がある個体に対して実際に使用され、その個体の認知機能への薬物の作用が測定される、in vivoテストである。人々(または動物)に対する薬物のそのようなテストは、費用がかかり、時間がかかり、薬物がテストされる対象のそれらの人々(または動物)に危険をもたらす。さらに、非ヒト動物に対するテストは、ヒトへの限られた適用可能性を有することが広く知られており、特定のヒトの遺伝的差を考慮することができない。
【0004】
本明細書で説明される実施形態は、以下で与えられる詳細な説明から、および添付の図面から、より十分に理解されるが、これらは、本出願を特定の実施形態に限定するものととられるべきでなく、説明および理解のためのものにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】一実施形態による、生物学的(biological)コンピューティングプラットフォームのための例示的なシステムアーキテクチャを示す図である。
図1B】一実施形態による、例示的なin vitro化学化合物テストシステムを示す図である。
図2】生物学的コンピューティングプラットフォームを使用する方法のための一実施形態を示すシーケンス図である。
図3】生物学的コンピューティングプラットフォームにおいて生物学的ニューロンに強化学習を提供する方法のための一実施形態を示すシーケンス図である。
図4】生物学的コンピューティングプラットフォームを使用する方法のための一実施形態を示す流れ図である。
図5】ニューロンの認知機能への化学化合物の作用をテストする方法のための一実施形態を示す流れ図である。
図6】ニューロンの多くの異なる試料に対して認知機能への化学化合物の作用をテストする方法のための一実施形態を示す流れ図である。
図7】一実施形態による、例示的なコンピューティングデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ニューロンの認知機能への薬剤などの化学化合物の作用をテストするために使用可能なin vitro化学化合物テストシステムの実施形態が、本明細書で説明される。また、ニューロンの認知機能への化学化合物の作用のin vitroテストを実施する方法が、本明細書で説明される。実施形態は、薬物発見、薬物有効性テスト、薬物副作用テストなどのために実践され得る。テストは、たとえば、一般的な細胞株を使用して、および/または当該の特定の患者からの幹細胞株から成長させられたニューロンを使用して、実施され得る。
【0007】
実施形態では、(ニューラル計算および実験プラットフォームとも呼ばれる)生物学的コンピューティング研究プラットフォーム、および/またはin vitro化学化合物テストシステムとして実装され得る、生物学的コンピューティングプラットフォームが、in vitro化学化合物テストを実施するために使用され得る。生物学的コンピューティングプラットフォームは、生物学的ニューラルネットワークへのネットワークアクセスを提供する(たとえば、クラウドを通して生物学的ニューラルネットワークリソースを公開する)、生物学的コンピューティングクラウドプラットフォームであり得る。一実施形態では、生物学的コンピューティングプラットフォームは、生物学的ニューロン(たとえば、皮質ニューロン)のネットワークを外面化し、生物学的ニューラルネットワークとコンピューティングデバイス上で実行される仮想環境との間のインターフェースを提供する。したがって、生物学的コンピューティングプラットフォームは、生物学的ニューラルネットワークと仮想環境との間の求心性(たとえば、視覚入力または他の入力)/遠心性(たとえば、運動出力または他の出力)ループを作成する。
【0008】
生物学的コンピューティングプラットフォームは、ニューロンのグループまたはクラスターを、(たとえば、コンピュータゲームをプレイするなど、仮想環境と相互作用するための)タスクを実施するようにトレーニングするために使用され得る。タスクは、問題解決および/または意思決定を必要とする双方向タスクであり得る。タスクを実施するための、トレーニングされたニューロンの成功の程度は、ニューロンの認知機能を表現し得る(たとえば、ニューロンの認知機能の代用として使用され得る)。生物学的コンピューティングプラットフォームが、ニューロンのグループまたはクラスターをタスクを実施するようにトレーニングするために使用されると、認知機能値が、タスクを実施するニューロンの能力に基づいて決定され得る。たとえば、タスクが、コンピュータゲームPongをプレイすることである場合、認知機能値は、ゲームが終了する前にニューロンがゲームをプレイすることが可能である時間の量、および/またはニューロンによって達せられ得るゲームのレベルであり得る。ニューロンが化学化合物の作用の下にない間に、ベースライン認知機能値が決定され得る。ニューロンは、ある化学化合物(または複数の化学化合物)に露出され得、別の認知機能値が、(1つまたは複数の)化学化合物への露出中にまたは露出の後に(たとえば、ニューロンが化学化合物の作用の下にある間に)決定され得る。ニューロンの認知機能への(1つまたは複数の)化学化合物の作用は、次いで、露出後認知機能値とベースライン認知機能値との間の差に基づいて決定され得る。そのようなテストは、一般的な細胞株からのおよび/または特定の遺伝子型に関連付けられた幹細胞株からのものであり得る、ニューロンの多くの異なるグループまたはクラスターのために実施され得る。統計的分析が、その結果に対して実施されて、大きい集団にわたる化学化合物の作用を決定し得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、決定された認知機能値は、神経臨界(neuro criticality)値であるか、または神経臨界値に少なくとも部分的に基づく。ニューロンの神経臨界が測定され得、ニューロンが化学化合物の影響下にない間に、ベースライン神経臨界値がそれらのニューロンのために決定され得る。ニューロンは、次いで、1つまたは複数の化学化合物に露出され得、神経臨界が再び測定され得る。化学化合物の影響下のニューロンの神経臨界値は、ニューロンのベースライン神経臨界値と比較され得、化学化合物の影響を受けた(1つまたは複数の)神経臨界値と(1つまたは複数の)ベースライン神経臨界値との間の差が、ニューロンへの化学化合物の作用を決定するために使用され得る。
【0010】
人工ニューラルネットワークを符号化および復号するように開発された機構は、概して、生物学的ニューラルネットワークに適用不可能である。人工ニューラルネットワークでは、データが、浮動小数点ベクトルとして頻繁に符号化され、これは、次いで、人工ニューラルネットワークに入力される。人工ニューラルネットワークは、次いで、概して、さらなるベクトルを出力するようにトレーニングされ、これらのベクトルは、容易に復号可能である。しかしながら、生物学的ニューラルネットワークでは、データは、生物学的ニューロンの集団の活動電位(action potential)のスパイク(たとえば、細胞膜にわたる電圧変動)として符号化される。実施形態では、生物学的コンピューティングプラットフォームは、生物学的ニューラルネットワークによって解釈され得るシグナルを生成するための、および生物学的ニューラルネットワークによって生成された出力シグナルを復号するための、エンコーダ/デコーダとして働く。
【0011】
実施形態は、コンピューティングデバイスに接続された光学入力および/または出力シグナルを使用する、多電極アレイ(MEA:multielectrode array)および/またはMEAに対するオプティクスベース等価物を含み得る、生物学的コンピューティングプラットフォームを提供する。コンピューティングデバイスは、物理的コンピューティングデバイスまたは仮想コンピューティングデバイスであり得る。コンピューティングデバイスは、コンピューティングデバイスが、MEAおよび/または他のシステムと(ならびにMEAおよび/または他のシステム内に含まれている生物学的ニューラルネットワークと)通信することを可能にする、インターフェース(本明細書ではMEAインターフェースと呼ばれるが、それは、オプティクスベースシステムまたは光学システムを備える基板など、他のシステムとインターフェースする(interface)こともできる)を実行し得る。光学システムは、光学MEA、phosomiliaシステム(phosomilia system)、または光学エネルギー交換システムと呼ばれることがある。コンピューティングデバイスは、さらに、MEAインターフェースとインターフェースする、実験論理または仮想環境を実行し得る。MEAインターフェースは、実験論理または仮想環境からデジタル入力シグナルを受信し、デジタル入力シグナルをMEAおよび/または他のシステムのための命令に変換し、次いで、それらの命令をMEAおよび/または他のシステムに送り得る。それらの命令は、MEAおよび/または他のシステムが、2Dグリッド上の座標を有する励起サイト、あるいはMEAおよび/または他のシステムにおけるサイト(たとえば、励起サイト)の他のアレイにおいて、複数の電気または光学インパルスを適用することを引き起こし得る。MEAインターフェースは、さらに、MEAおよび/または他のシステムからの2Dグリッドまたは他のアレイ上のロケーションにおいて測定された、電気および/または光学シグナルの表現を受信し、その表現に基づいて実験論理または仮想環境のための応答を生成し、それらの応答を実験論理または仮想環境に送り得る。このようにして、MEAインターフェースは、仮想環境または実験論理が、MEAおよび/または他のシステム上の生物学的ニューラルネットワークと相互作用することを可能にする。
【0012】
一実施形態では、生物学的コンピューティングプラットフォームは、コンピューティングデバイスに接続されたMEAを含む。MEAは、励起サイトの2次元(2D)グリッドと、MEA上に配設された複数の生物学的ニューロンと、処理デバイスまたは集積回路とを含み得る。代替的に、MEAは、回路のないチップであり得、これは、(たとえば、プリント回路板を介して)処理デバイスまたは集積回路に接続され得る。処理デバイスは、相補型金属酸化物半導体(CMOS)チップであり得る。一実施形態では、処理デバイスは、ネットワークアダプタ、アナログデジタル変換器および/またはデジタルアナログ変換器を含む、システムオンチップ(SoC)の構成要素である。
【0013】
コンピューティングデバイスは、デジタル入力シグナルを受信または生成し、デジタル入力シグナルを複数の電気または光学インパルスのための命令に変換し、それらの命令をMEAおよび/または他のシステムに送り得る。MEAおよび/または他のシステムは、デジタルアナログ変換器(DAC)を使用して、それらの命令をデジタル形式からアナログ形式に変換し得、MEAおよび/または他のシステムの処理デバイスは、2Dグリッド上の座標を有する励起サイトまたは励起サイトの他のアレイにおいて、複数の電気または光学インパルスを適用し得る。実施形態では、細胞における電気応答を引き出すように設計された光学刺激と、細胞における電気応答を引き出すための電気刺激とは、両方とも、電気シグナルと呼ばれる。1つまたは複数のセンサーおよび/または処理デバイスは、2Dグリッドまたは他のアレイの座標において複数の生物学的ニューロンのうちの1つまたは複数によって出力された電気シグナルを測定し得る。実施形態では、ニューロンの励起は、光学センサーを使用してキャプチャされ得る。たとえば、ニューロンが発火したとき、そのような発火は、1つまたは複数の光学センサーによって光学的に検出され得る。したがって、本明細書で説明されるニューロンによって出力されるインパルスは、ニューロンの電気的状態を表現する光学シグナルとしてキャプチャされ得る。したがって、本明細書における、ニューロンによって出力される電気シグナルのいかなる説明も、1つまたは複数の光学センサーによって検出される光学シグナルとして測定され得る。処理デバイスは、次いで、電気シグナルおよび/または光学シグナルの表現を生成し得、その表現をコンピューティングデバイスに送り返し得る。コンピューティングデバイスは、その表現を、仮想環境または実験論理によって可読な応答に変換し得、その応答を実験論理または仮想環境に送り得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、生物学的コンピューティングプラットフォームは、MEAがない完全光学システムである。代替的に、生物学的コンピューティングプラットフォームは、光学シグナルをニューロンに提供する、および/または光学シグナルをニューロンから受信する、光学システムとともにMEAを含み得る。MEAに関して本明細書で説明される実施形態が、MEA、ならびにMEAと光学構成要素(たとえば、画像センサーおよび/または光源)とを含むハイブリッドシステムではなく、完全光学インターフェースが使用される、代替形態にも適用されることを理解されたい。光学インターフェースは、そのような実施形態においてMEAによって旧来実施されるものと同様の機能を実施し得る。したがって、MEAへの言及は、MEAと同様の機能を実施する光学構成要素にも適用される。その上、本明細書で説明されるいかなる電気シグナルも、ニューロンに送達される電気シグナルとニューロンから受信される電気シグナルとを含む、電気シグナルの代わりにまたはそれに加えて光学シグナルが使用されるように、修正され得る。
【0015】
実施形態では、生物学的コンピューティングプラットフォームは、生物学的ニューロンと、それらのニューロンを1つまたは複数のタスクを実施するようにトレーニングすることができる仮想環境および/または実験論理との間のインターフェースを提供する。タスクを実施するニューロンの能力は、ニューロンの認知機能を表現し得、測定され得る。したがって、生物学的コンピューティングプラットフォームは、生物学的ニューロンの認知機能のin vitroテストを実施するために使用され得る。対照的に、認知機能をテストするための唯一のやり方は、歴史的に、in vivoテストによるものであった。認知機能のin vitroテストを可能にすることによって、実施形態は、薬物テストのために使用され得るまったく新しい機構を提供する。本明細書で説明される実施形態を使用して、製薬会社は、一般的な集団へのおよび/または特定の遺伝子型への、開発中の薬物の作用をテストすることができる。さらに、製薬会社は、認知機能に影響する何らかの薬物相互作用があるかどうかを決定するために、薬物の複数の組合せのテストを実施することができる。そのようなテストは、各々別個のMEAにおける、および、各々、タスクを実施するようにトレーニングされる、ニューロンの試料の多く(たとえば、数百個または数千個)をセットアップすることによって、ある規模において実施され得、そのタスクの実施は、測定され、認知機能を査定するために使用され得る。
【0016】
一実施形態では、認知機能のin vitroテストを実施する方法は、第1の複数のin vitro生物学的ニューロンを、タスクを実施するようにトレーニングすることであって、タスクを実施する第1の複数の生物学的ニューロンの能力が、第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの認知機能を表現する、第1の複数のin vitro生物学的ニューロンをトレーニングすることを含む。本方法は、タスクを実施する第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの能力に基づいて、第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの第1の認知機能値を決定することをさらに含む。本方法は、第1の複数のin vitro生物学的ニューロンを化学化合物に露出することをさらに含む。本方法は、化学化合物への露出中にまたは露出の後に、タスクを実施する第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの能力に基づいて、第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの第2の認知機能値を決定することをさらに含む。本方法は、第2の認知機能値を第1の認知機能値と比較することをさらに含む。本方法は、第2の認知機能値と第1の認知機能値との間の差に基づいて、第1の複数のin vitro生物学的ニューロンの認知機能への化学化合物の作用を決定することをさらに含む。本方法は、第1の複数の生物学的ニューロンのために複数回実施され得、また、同じ遺伝子型および/または異なる遺伝子型の生物学的ニューロンの他のセットのために1回または複数回実施され得る。統計的分析が、その結果に対して実施されて、ニューロンの認知機能への化学化合物の作用を決定し得る。
【0017】
決定された認知機能は、電気アクティビティ(activity)の単純な観測を超えるものである。電気アクティビティは、認知機能に相関しない生理的測度である。対照的に、実施形態は、認知機能のための測定可能なメトリックを提供する。このメトリックのための値が、化学化合物への露出の前および後に決定され得、これらの値間の差が、決定され、認知機能への化学化合物の定量化可能な作用を査定するために使用され得る。
【0018】
図1Aは、一実施形態による、ニューロンの認知機能をテストするために使用され得る、生物学的コンピューティングプラットフォーム100のための例示的なシステムアーキテクチャを示す。示されているように、生物学的コンピューティングプラットフォーム100は、ネットワーク120を介して1つまたは複数のサーバコンピューティングデバイス110に接続された1つまたは複数のMEA105を含む。ネットワーク120は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、プライベートネットワーク(たとえば、イントラネット)、パブリックネットワーク(たとえば、インターネット)、またはそれらの組合せであり得る。(1つまたは複数の)MEA105と(1つまたは複数の)サーバコンピューティングデバイス110との間の接続は、ワイヤード接続、ワイヤレス接続、またはそれらの組合せを含み得る。代替的に、(1つまたは複数の)MEA105は、(たとえば、ワイヤードまたはワイヤレス接続を介して)(1つまたは複数の)サーバコンピューティングデバイス110に直接接続され得る。
【0019】
サーバコンピューティングデバイス110は、物理機械、および/または物理機械によってホストされる仮想機械を含み得る。物理機械は、ラックマウントサーバ、デスクトップコンピュータ、または他のコンピューティングデバイスであり得る。一実施形態では、サーバコンピューティングデバイス110は、クラウドプロバイダシステムによって管理および提供される仮想機械を含む。クラウドサービスプロバイダによって与えられる各仮想機械は、クラウドの一部として構成された物理機械上でホストされ得る。そのような物理機械は、しばしば、データセンター中に位置する。クラウドプロバイダシステムおよびクラウドは、サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)層として提供され得る。そのようなクラウドの一例は、Amazon(登録商標)のElastic Compute Cloud(EC2(登録商標))である。
【0020】
サーバコンピューティングデバイス110は、MEAインターフェース150と1つまたは複数の仮想環境155とをホストし得る。MEAインターフェース150と(1つまたは複数の)仮想環境155とは、同じサーバコンピューティングデバイス110上でホストされ得るか、または、ネットワーク120を介して接続され得る、別個のサーバコンピューティングデバイス上でホストされ得る。
【0021】
(微小電極アレイとしても知られる)MEA105は、ニューラルシグナルがそれらを通して取得および/または送達される複数のプレートまたはシャンクを含んでいるデバイスである。プレートまたはシャンクは、概して、グリッドまたは他のアレイで配置され、ニューロン135を電子回路に接続するニューラルインターフェースとして働く。MEA105は、多くの生物学的ニューロン135および/あるいは溶液または他の培地(medium)(たとえば、栄養分の豊富な溶液)を収容する、記録チャンバ140を含む。これらの生物学的ニューロン135は、(たとえば、幹細胞からまたはラット脳から培養された)培養されたニューロンであり得る。生物学的ニューロン135は、一般的な細胞株からのものであり得るか、またはテストされるべき特定の形質をもつ細胞株からのものであり得る。たとえば、生物学的ニューロン135は、特定の遺伝子型を有する人の幹細胞から、またはテストが実施されるべきである特定の人から、または特定の病理を有する人から、培養され得る。
【0022】
生物学的ニューロンは、励起されたとき、それらの膜を通してイオン電流を作成し、これは、細胞の内側と外側との間の電圧の変化を引き起こす。記録するとき、MEA上の電極は、イオンによって運ばれる、環境からの電圧の変化を、電子によって運ばれる電流(電子電流)にトランスデュースする。刺激するとき、電極は、電子電流を、培地を通るイオン性電流にトランスデュースし得る。これは、興奮性ニューロン(excitable neuron)の膜上の電圧依存性(voltage-gated)イオンチャネルをトリガし、ニューロンが、活動電位を脱分極およびトリガすることを引き起こす。
【0023】
記録されるシグナルのサイズおよび形状は、1つまたは複数のニューロンが位置する培地(たとえば、溶液)の性質(たとえば、培地の導電率、キャパシタンス、および均一性)と、ニューロンと電極との間の接触の性質(たとえば、接触のエリア、および密着性)と、電極の性質(たとえば、電極のジオメトリ、インピーダンス、およびノイズ)と、アナログシグナル処理(たとえば、システムの利得、帯域幅、およびカットオフ周波数の外側の挙動)と、データサンプリング特性(たとえば、サンプリングレートおよびデジタルシグナル処理)とに依存し得る。平面電極を部分的にカバーする単一のニューロンの記録では、接触パッドにおける電圧は、ニューロンと電極との重複する領域の電圧に、その重複する領域の表面エリアと電極全体のエリアとの比を乗算したものにほぼ等しい。ニューロン-電極挙動を予測する代替手段は、集中回路要素図においてシステムを単純化しすぎることの限界を避ける試みにおいて、ジオメトリベース有限要素分析を使用してシステムをモデル化することによるものである。
【0024】
(1つまたは複数の)MEA105は、分離された細胞培養物(たとえば、生物学的ニューロンの培養物)に対して電気生理学的実験を実施するために使用され得る。分離されたニューロン培養物では、ニューロンは、生物学的ニューラルネットワークを自発的に形成する。(1つまたは複数の)MEA105は、電極130のアレイと、生物学的ニューロン135の生きている培養物を、生物学的ニューロンを生きているように保つ、栄養分の豊富な溶液または他の溶液において含んでいる、記録チャンバ140とを含み得る。電極130のアレイは、平面アレイ(たとえば、2次元(2D)グリッド)または3次元(3D)アレイ(たとえば、3D行列)であり得る。優れたシグナル品質において、高い空間および時間分解能において、2D座標(または3D座標)において測定を行うために使用され得る、電極130のアレイ。さらに、電極130のアレイは、2D座標または3D座標において電気インパルスを適用するために使用され得る。
【0025】
(1つまたは複数の)MEA105のうちの1つまたは複数が、CMOS回路など、集積回路145(または複数の集積回路)を含む、アクティブMEAであり得る。(1つまたは複数の)集積回路145は、処理論理(たとえば、汎用または専用プロセッサ)、ネットワークアダプタ、デジタルアナログ変換器(DAC)、アナログデジタル変換器(ADC)、および/または他の構成要素を含み得る。ネットワークアダプタは、ワイヤードネットワークアダプタ(たとえば、イーサネットネットワークアダプタ)またはワイヤレスネットワークアダプタ(たとえば、Wi-Fiネットワークアダプタ)であり得、(1つまたは複数の)MEA105がネットワーク120に接続することを可能にし得る。一実施形態では、集積回路145は、汎用プロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、プログラマブル論理コントローラ(PLC)、マイクロプロセッサ、あるいはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)などのプログラマブル論理デバイスであり得る、処理デバイスを含む。一実施形態では、集積回路145は、不揮発性メモリ(たとえば、RAM)および/または揮発性メモリ(たとえば、ROM、フラッシュなど)であり得る、メモリを含む。一実施形態では、集積回路145は、処理デバイス、メモリ、ネットワークアダプタ、DAC、および/またはADCを含む、システムオンチップ(SoC)である。
【0026】
一実施形態では、(1つまたは複数の)MEA105のうちの1つまたは複数は、1つまたは複数のリード線および/またはプリント回路板(PCB)を介して1つまたは複数の集積回路145に接続された、パッシブMEAである。
【0027】
一実施形態では、MEA105のうちの1つまたは複数は、2Dグリッドにおける指定された2D座標に光学インパルスを提供することが可能である光学源をさらに含む。光学源は、1つまたは複数の指定された波長を有する光を放出することが可能である発光要素(たとえば、発光ダイオード(LED)、電球、レーザーなど)を含み得る。したがって、optogenicsが、ニューラルアクティビティを操作するために使用され得る。さらに、特定の波長のレーザーが、特定のニューロンの高度に正確なターゲッティングのために使用され得る。光学刺激に対する応答は、次いで、以下でより詳細に説明されるように、(1つまたは複数の)MEA105において電極によって、または画像センサーによって、測定され得る。電気刺激とは異なり、光刺激は、ターゲットにされたオプシンタンパク質を発現し得る特定の細胞(たとえば、ニューロン)を操作し、それにより、神経回路におけるニューロンの部分母集団の役割を調査することを可能にする。また、いくつかの実施形態では、ニューロンに入ると切断およびアクティブ化される特異的に修正されたカルシウムの免疫蛍光が、ニューロンのアクティブ化を画像化するためにカメラとペアにされ得る。
【0028】
一実施形態では、MEA105のうちの1つまたは複数は、2Dグリッドにおける指定された2D座標に電気刺激を提供するが、光学シグナルが測定される。MEA105は、ニューロンの電気励起を光学的に検出し、ニューロンのそのような検出された電気励起に基づいて光学シグナルを生成することが可能な、1つまたは複数の光学/画像センサーを含み得る。したがって、optogenicsが、ニューラルアクティビティを検出するために使用され得る。光学センサーは、電荷結合デバイス(CCD)、相補型金属酸化物(CMOS)デバイス、および/または他のタイプの光学センサーを含み得る。
【0029】
ニューラルアクティビティを光学的に検出するための機構が、以下でさらに詳細に説明される。いくつかの実施形態では、ニューロンに入ると切断およびアクティブ化される特異的に修正されたカルシウムの免疫蛍光が、ニューロンのアクティブ化を画像化するために1つまたは複数の画像センサーとペアにされ得る。いくつかの実施形態では、遺伝的に符号化された電圧検出器が、所与のポイントにおいて細胞に導入され、光で刺激されたときにニューロンのアクティブ化を検出するために使用され得る。いくつかの実施形態では、ルシフェラーゼベース反応が、細胞に導入され、外部光刺激の必要なしに電圧の変化を検出するようにニューロンの電圧変化を検出する別の方法とペアにされ得る。
【0030】
一実施形態では、完全光学システムが、MEAの代わりに使用され得る。そのような実施形態では、ニューロンがプレーティングされた基板、および/または追加の構成要素が、2Dグリッドにおける指定された2D座標に光学インパルスを提供することが可能である、光学源を含み得る。光学源は、1つまたは複数の指定された波長を有する光を放出することが可能である発光要素(たとえば、発光ダイオード(LED)、電球、レーザーなど)を含み得る。さらに、特定の波長のレーザーが、特定のニューロンの高度に正確なターゲッティングのために使用され得る。さらに、基板および/または他の構成要素は、ニューロンの電気励起を光学的に検出し、ニューロンのそのような検出された電気励起に基づいて光学シグナルを生成することが可能な、1つまたは複数の光学センサーを含み得る。したがって、optogenicsが、ニューラルアクティビティを操作および検出するために使用され得る。
【0031】
アクティブMEA105の場合、オンチップシグナル多重化が、電気シグナルを記録することと、電気インパルスを提供することとにおいて、高い空間時間分解能を達成するために、多数の電極を提供するために使用され得る。その上、弱いニューロンシグナルが、専用回路ユニットによって電極において正しく調整され得、これは、大きいシグナル対ノイズ比を提供する。最終的に、アナログデジタル変換がチップ上で実施され得、したがって、安定したデジタルシグナルが生成される。
【0032】
MEAインターフェース150は、(1つまたは複数の)仮想環境155の入力/出力と、(1つまたは複数の)MEA105の入力/出力との間で翻訳することを担当し得る。各仮想環境155が、1つまたは複数のMEA105および/または外部源から入力を受信し得る、ならびに出力を生成し得る、何らかの処理論理を含み得る。仮想環境の処理論理の一例は、人工ニューラルネットワーク、深層ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワークなど、機械学習モデルである。仮想環境中に含まれる他の機械学習モデルは、k近傍法アルゴリズム、学習ベクトル量子化、自己組織化マップ、回帰分析、規則化アルゴリズムなどを適用し得る。仮想環境の処理論理の別の例は、サーバコンピューティングデバイス上で実行するアプリケーションである。たとえば、アプリケーションは、ゲーム(たとえば、Pong)であり得、MEA105上の生物学的ニューロン135は、ゲームをプレイするようにトレーニングされ得る。アプリケーションはまた、実施されるべき1つまたは複数のタスクまたは解決されるべき問題を含む、任意の他のプログラムであり得、MEA105上の生物学的ニューロン135は、1つまたは複数のタスクを実施するようにトレーニングされ得る。
【0033】
サーバコンピューティングデバイス110は、サードパーティが、仮想環境155をアップロードし、それらの仮想環境155を1つまたは複数のMEA105に接続することを可能にする、1つまたは複数のアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を提供し得る。各仮想環境155は、以下でより詳細に説明されるように、1つまたは複数のMEA105を割り当てられ得、それらのMEA105上のニューロン135を何らかのタスクを実施するようにトレーニングし得る。各仮想環境155は、仮想環境識別子(ID)を割り当てられ得、各MEA105が、MEA IDを割り当てられ得る。仮想環境IDは、データベースまたは他のデータストアにおいてMEA ID105に関連付けられ得、これらは、(1つまたは複数の)サーバコンピューティングデバイス110によって維持され得る。
【0034】
仮想環境155がMEA105とペアにされると、その仮想環境は、MEA105のためにデジタル入力シグナルを提供し始め得る。仮想環境155は、たとえば、ベクトル(たとえば、疎なベクトルおよび/または浮動小数点ベクトル)、何らかの通信プロトコールに準拠するメッセージ、あるいは値の2Dまたは3D行列であり得る、デジタル入力シグナルを生成し得る。MEAインターフェース150は、MEA105の電極130のアレイに関する情報を含み得る。これは、電極130の数、および電極130が記録チャンバ140においてどのように配置されるか(たとえば、電極の2Dグリッドでは、電極の数または行および列)に関する情報を含み得る。MEAインターフェース150は、仮想環境155からのデジタル入力シグナルを、1つまたは複数の電気または光学インパルスのための命令に変換し得、各電気または光学インパルス命令が、2D座標または3D座標に関連付けられる。各電気または光学インパルス命令は、適用すべきインパルスの振幅または強度、適用すべきインパルスの周波数または波長、および/あるいは適用すべきインパルスの電流に関する情報をさらに含み得る。したがって、各インパルスのための情報は、(x座標、y座標、z座標、強度/振幅、周波数/波長、電流)のうちの1つまたは複数を含むタプルであり得る。
【0035】
MEAインターフェース150が、仮想環境からのデジタル入力シグナルを、1つまたは複数の光学または電気インパルスのための情報に変換すると、MEAインターフェース150は、情報を適切なMEA105に送る。次いで、MEA105の集積回路145が、(たとえば、DACを使用して)情報を光学または電気インパルスのための1つまたは複数のアナログシグナルに変換し、指定された座標において、および/または指定された強度/振幅、周波数/波長などで、光学または電気インパルスを適用するために、1つまたは複数のアナログシグナルを適切な電極130(または発光要素)に適用する。
【0036】
指定された座標における電気または光学インパルスの適用に応答して、記録チャンバ140における生物学的ニューラルネットワークにおける生物学的ニューロン135のうちの1つまたは複数は、電気シグナルを生成することになる。電極130は、アレイ(たとえば、電極130の2Dまたは3Dグリッド)内の様々な座標において発生し得る電気シグナルを測定するためのセンサーとして使用され得る。たとえば、集積回路145(たとえば、CMOSチップ)は、電極130において受信された電気インパルスを読み取り得る。代替的に、別個のセンサーが、記録チャンバ140において配置され得る。ニューロン135によって出力された電気シグナルは測定され得、それらの座標がその測定に関連付けられ得る。振幅(たとえば、電圧)、電流および/または周波数など、他の情報も測定され得る。集積回路145は、次いで、(たとえば、ADCを使用して)1つまたは複数の測定された電気シグナルのデジタル表現を生成し得る。このデジタル表現は、次いで、MEA105からMEAインターフェース150に送られ得る。
【0037】
生物学的ニューラルネットワークにおける1つまたは複数の生物学的ニューロン135が電気シグナルを生成したとき、いくつかの状況では、これは、1つまたは複数の近くの生物学的ニューロンも、電気シグナルを生成することを引き起こし得る。1つまたは複数の近くの生物学的ニューロンの電気シグナルは、またさらなる生物学的ニューロンをも、電気シグナルを生成するようにトリガすることもトリガしないこともあり、これは、さらにより多くのニューロンのアクティビティをトリガし得、以下同様である。ニューロンのグループからの実験記録は、べき乗則分布に従うサイズをもつ、アクティビティのバースト、いわゆるニューロンなだれを示した。神経科学では、臨界脳仮説は、いくつかの生物学的ニューラルネットワークが相転移の近くで動作することを述べている。この仮説によると、脳(または概して、生物学的ニューラルネットワーク)のアクティビティは、2つの相、アクティビティが急速に低減し、消えることになる相と、アクティビティが経時的に蓄積し、増幅することになる別の相との間で転移する。神経臨界では、情報のための生物学的ニューラルネットワークキャパシティは、臨界未満の、臨界のおよびわずかに臨界超過の分岐プロセスが、生物学的ニューラルネットワークがどのように機能するかを記述し得るように、向上される。(ターゲット神経臨界値を有し得る)神経臨界は、相転移の値またはポイントを指す。相転移のポイントは、チッピングポイントにおけるものであるアクティビティの量であり、それを下回ると減衰力が優勢であり(ニューラルアクティビティが急速に消滅し)、それを上回ると強化力が優勢である(アクティビティの指数関数的急増がある)。神経臨界は、平均して、ニューロンが発火する(たとえば、電気シグナルを生成する)たびに、これが、大体1つの他のニューロンも発火することを引き起こすことを暗示する。しかしながら、(ターゲット神経臨界値を上回る)一部の入力は、アクティビティのカスケードを引き起こすことがあり、(ターゲット神経臨界値を下回る)他の入力は、ごくわずかなアクティビティを引き起こすことがある。
【0038】
実施形態では、生物学的ニューラルネットワークの1つまたは複数の神経臨界値が測定される。これらの測定された神経臨界値は、次いで、デバイス上の計算を向上させ、予測し、および/または達成するために使用され得る。たとえば、生物学的ニューラルネットワークにおける神経臨界のための統計的マーカーが、生物学的ニューラルネットワークの電気アクティビティを分析することによって決定され得る。たとえば、電気アクティビティ情報が、電気アクティビティのカスケードを識別すること、電気アクティビティの分布を決定すること、カスケードがどのくらい長く持続するかを決定すること、発火ニューロンのチェーンによって形成されるパスを決定することなどを行うために、電気アクティビティ情報に対する統計的分析を実施する、処理論理に入力され得る。そのような情報は、生物学的ニューラルネットワークの神経臨界値を決定するために使用され得る。実施形態では、生物学的ニューラルネットワークのためのターゲット神経臨界値があり得る。測定された神経臨界値がターゲット臨界値を下回る場合、生物学的ニューラルネットワークは、臨界を下回ると決定され得る。測定された臨界値がターゲット神経臨界値を上回る場合、生物学的ニューラルネットワークは、臨界を上回ると決定され得る。臨界を上回るまたは下回るのいずれかであることは、生物学的ニューラルネットワークの機能を損なうことがある。したがって、生物学的ニューラルネットワークの臨界値を測定し、その臨界値が、臨界(たとえば、ターゲット神経臨界値)にあるのか、臨界を上回るのか、臨界を下回るのかを決定する、能力が、生物学的ニューラルネットワークの認知機能を査定することにおいて有用であり得る。
【0039】
実施形態では、ニューラルアクティビティの1つまたは複数の他の測度も、測定され、デバイス上の計算を向上させ、予測し、および/または達成するために、使用され得る。そのような他の測度は、情報含有量、複雑さ、エントロピー、またはそれらの組合せを測定し得る。いかなるそのような測度も、実施形態において、別々に使用されるかまたは神経臨界とともに使用され得る。
【0040】
一実施形態では、1つまたは複数のカメラが、アクティブ化されたニューロンを測定するために使用される。ニューロンが特定の状況下で蛍光を発することを引き起こすために、特異的に修正されたカルシウムが使用され得る。そのカルシウムは、そのカルシウムがニューロンに入ったとき、切断およびアクティブ化され得る(これは、ニューロンまたはニューロンのペアがアクティブ化されたとき、起こり得る)。そのカルシウムの切断は、それが免疫蛍光を呈することを引き起こし得る。1つまたは複数のカメラは、蛍光を検出し、蛍光が発生したロケーションを決定することができる。代替的に、MEAまたはコンピューティングデバイスは、カメラから画像を受信し、蛍光がどこで発生したかを決定することができる。特に、MEAまたはコンピューティングデバイスは、光が画像から測定されたところの座標を決定し得る。MEAまたはコンピューティングデバイスは、次いで、光が検出されたロケーション(たとえば、免疫蛍光を呈したロケーション)のデジタル表現を生成し得る。
【0041】
MEAインターフェース150は、次いで、MEA105から受信されたデジタル表現に基づいてデジタル応答メッセージを生成し得る。応答メッセージを生成することは、その表現を、仮想環境155によって可読であるフォーマットに変換することを含み得る。これは、一実施形態では、(たとえば、様々な座標における電気および/または光学シグナルを表現する値の行列の形態のものであり得る)その表現を、疎なベクトルまたはテンソルに変換することを含み得る。MEAインターフェース150は、次いで、応答メッセージを仮想環境155に送り得る。
【0042】
仮想環境155は、応答メッセージを処理し得、その処理に基づいて、ニューロン135によって出力された電気シグナルが、仮想環境155(または他の論理)によって設定されたターゲットに対応するかどうかを決定し得る。ターゲットは、MEAインターフェース150および/またはMEA105に知られていないことがある。電気シグナルがターゲットに対応した場合、仮想環境155は、MEAインターフェース150のAPIを使用して、正の強化トレーニングシグナルをMEAインターフェース150に送り得る。正の強化トレーニングシグナルは、デジタル入力シグナルに応答してニューロン135によって出力された電気シグナルが、仮想環境155の何らかの規準を満たしたことを示す(たとえば、仮想環境の何らかのターゲット目的が1つまたは複数の電気シグナルの表現によって満たされたことを示す)。代替的に、いくつかの実施形態では、正の強化トレーニングシグナルは、生成されないかまたはMEAインターフェースに送られない。また、電気シグナルがターゲットに対応することに失敗した場合、仮想環境155は、MEAインターフェース150のAPIを使用して、負の強化トレーニングシグナルをMEAインターフェース150に送り得る。負の強化トレーニングシグナルは、デジタル入力シグナルに応答してニューロン135によって出力された電気シグナルが、仮想環境155の何らかの規準を満たすことに失敗したことを示す(たとえば、仮想環境の何らかのターゲット目的が1つまたは複数の電気シグナルの表現によって満たされなかったことを示す)。代替的に、いくつかの実施形態では、負の強化トレーニングシグナルは、生成されないかまたは送られない。代わりに、ニューロン135に対するすべての入力が、電気シグナルがターゲットに対応することに失敗した場合、短い時間期間の間休止され得る。一実施形態では、正の強化シグナルは使用されるが、負の強化シグナルは使用されない。一実施形態では、正の強化シグナルと負の強化シグナルの両方が使用される。一実施形態では、正の強化シグナルではなく、負の強化シグナルが使用される。
【0043】
一実施形態では、正の強化シグナルは、予測可能なシグナルであるかまたは予測可能なシグナルを含み、負の強化シグナルは、予測不可能なシグナルであるかまたは予測不可能なシグナルを含む。予測可能なシグナルは、設定されたパターンに従うシグナルであり得る。ニューロン(および脳)は、予測機械であり、正確な予測を行うことによって、またはそれらの予測を正確にするように環境を修正することによってのいずれかで、外部状態を正確に予測しようとする。このことの暗示は、予測可能な刺激または予測不可能な刺激が、電気刺激、光学刺激、または化学刺激であるかどうかにかかわらず、予測不可能な刺激は、罰の形態として使用され得、予測可能な刺激は、報酬の形態として使用され得ることを示唆する。予測可能な刺激と予測不可能な刺激とは、実施形態においてニューロンの挙動を整形するために使用され得る。一例では、MEAは、2~20個の(たとえば、8つまたは10個の)感覚電極、または所与のあらかじめ定義されたエリアにわたる感覚野の連続体など、(刺激電極とも呼ばれる)複数の感覚電極を含み得る。これらの感覚電極は、仮想環境155および/またはトレーニング論理の1つまたは複数のルールに従って電気シグナルを送達し得る。同様に、光学構成要素(たとえば、光源)が、仮想環境155および/またはトレーニング論理の1つまたは複数のルールに従って光学シグナルを送達し得る。これは、ニューロンを、これらの感覚電極(または感覚電極の何らかのサブセット)が、仮想環境155のルールに従って、いくつかの予測可能な状況下で電気刺激を受信することを予想するように、トレーニングすることができる。同様に、これは、ニューロンを、仮想環境のルールに従って、いくつかの予測可能な状況下で光学シミュレーションを予想するように、トレーニングすることができる。そのような電気および/または光学シグナルが、予想されるように受信されたとき、これは、ニューロンに対する報酬として働く。しかしながら、電気および/または光学シグナルは、ランダム様式で、または仮想環境155のために適用されていない1つまたは複数の何らかの他のルールに従って、送達され得、これらは、すべて予測不可能な電気刺激である。たとえば、仮想環境がゲームPongである場合、移動するボールの近傍にあるロケーションに関連付けられた感覚電極のうちの1つまたは複数は、ニューロンが、パドルが移動するボールの前に移動されることを引き起こしたとき、励起され得、これらの感覚電極の励起は、断定できる刺激であることになる。しかしながら、仮想環境155におけるパドルがボールの前に移動されない場合、感覚電極のすべてまたは感覚電極のランダムサンプリングが励起され得、これらの感覚電極の励起は、予測不可能な刺激であることになる。予測不可能な刺激は、たとえば、感覚電極のランダム選択による電気および/または光学シグナルのランダムシーケンスであり得、ランダムシーケンスは、いかなる構造も有しない。実験は、予測不可能な刺激が生物学的ニューラルネットワークの内部ダイナミクスを混乱させ得ることと、予測可能な刺激がニューロン間の既存の接続を強化することとを示した。
【0044】
いくつかの実施形態では、ニューロン135は、いかなる正の刺激も負の刺激も使用することなしにトレーニングされる。標準的な動作中のニューロン135に対する仮想環境155を表現する、またはその仮想環境155に関連付けられた、シグナルの定常ストリームまたは周期的ストリームがあり得る。シグナルの各セットが、指定された座標において、および/または指定された強度/振幅、周波数/波長などで、光学または電気インパルスを適用するために、適切な電極130(または発光要素)に送達される、アナログシグナルを含み得る。シグナルの各セットについて、ニューロン135は、(たとえば、電気インパルス/シグナルを生成することによって)応答を生成し得る。ニューロン135によって生成された電気シグナルがターゲットに対応する(たとえば、ターゲット範囲内である)場合、仮想環境に関連付けられたシグナルのストリームは継続し得る。しかしながら、ニューロン135によって生成された電気シグナルがターゲットに対応しない場合、仮想環境に関連付けられたシグナルのストリームはある期間(たとえば、1~5秒)の間休止され得、したがって、これは、ニューロン135から刺激を奪う。実験は、ニューロンが、刺激を効果的に望み、刺激を受信する機会を増加させる様式で動作することになることを示した。したがって、ニューロンは、ニューロンが、望まれるように働くことに失敗したとき、ニューロンから刺激を奪うことによって、タスクを実施するようにトレーニングされ得る。これは、これらの実施形態では、明示的に設定された報酬シグナルまたは罰シグナルがないことがあるので、強化学習とは異なる、学習のパラダイムである。
【0045】
(報酬シグナルまたは罰シグナルであり得る)トレーニングシグナルを受信することに応答して、MEAインターフェース150は、生物学的ニューロン135のための電気または化学報酬刺激または罰刺激を決定し得、ならびに/あるいは電気または化学報酬刺激または罰刺激を出力するための命令をMEA105に送り得る。代替的に、MEAインターフェース150は、仮想環境に関連付けられた刺激を提供することを継続するべきであるのか、仮想環境に関連付けられた刺激を提供することをある時間の間停止すべきであるのかを決定し得る。集積回路145は、電気または化学報酬刺激または罰刺激を出力するための(あるいは仮想環境に関連付けられた刺激を提供することを継続するかまたは停止するための)命令を受信し得、次いで、電気または化学報酬刺激または罰刺激が生物学的ニューロン135に出力されることを引き起こし得る(あるいは仮想環境に関連付けられた刺激が継続することを許可するか、または仮想環境に関連付けられた刺激がニューロン135に送達されることを停止し得る)。
【0046】
一実施形態では、報酬刺激または罰刺激は、電極130のアレイを介して送達され得る電気刺激である。たとえば、報酬刺激は、デルタ波形を有する電気インパルスであり得る。デルタ波形を有する電気インパルスは、複数の電極において(たとえば、いくつかの実施形態では電極のすべてにおいて)適用されて、アレイにおける(たとえば、2Dまたは3Dグリッドにおける)複数のロケーションに電気インパルスを送達して、生物学的ニューロン135にデルタ形の刺激を提供し得る。
【0047】
一実施形態では、報酬刺激は化学報酬刺激である。MEA105は、特定の波長の光を放出することができる1つまたは複数の光源をさらに含むか、またはそれらの光源に接続され得る。これらの光源は、実施形態において集積回路145によってアクティブ化され得る。さらに、記録チャンバ140は、光の特定の波長に敏感である、その中に配設されたタンパク質を含み得る。タンパク質(たとえば、オプシンタンパク質)は、ドーパミンあるいは別の化合物または物質と結びつけられ得る。タンパク質が光の特定の波長に露出されたとき、タンパク質は、いくらかの量の結びつけられたドーパミンあるいは他の化合物または物質をリリースし得る。
【0048】
一実施形態では、報酬刺激は、1つまたは複数のニューロンのテタヌス刺激(tetanic stimulation)を含む。テタヌス刺激は、ニューロン(またはニューロンのグループ)の個々の刺激の高周波シーケンスを含む。一実施形態では、高周波刺激は、約100Hz以上の周波数において送達される1つまたは複数のニューロンの個々の刺激のシーケンスを含む。高周波刺激は、テタヌス刺激後増強(post-tetanic potentiation)と呼ばれる、将来における細胞発火の確率の増加を引き起こす。シナプス前イベントは、シナプス前終末に対するカルシウム流入によって引き起こされ、これは、結局、リリース確率を変えるとともにベシクルの即時リリース可能プールを増加させることになる。複合カルシウム-タンパク質相互作用が、次いで、ベシクルエキソサイトーシスの変化をもたらす。そのような変化の結果は、関係する経路が電圧変化に遭遇したとき、シナプス後ニューロンが活動電位を発火する可能性が高くなることを引き起こす。
【0049】
化学報酬刺激、電気報酬刺激、およびテタヌス刺激形態の報酬刺激は、すべて、生物学的ニューロン135のために強化学習の形態を提供する。罰刺激も、強化学習の形態を提供し得る。生物学的ニューロン135は、生物学的ニューロン135が、仮想環境155の何らかの規準を満たす電気シグナルを生成したとき、報酬を与えられ、および/または生物学的ニューロン135が規準を満たすことに失敗する電気シグナルを生成したとき、罰を与えられ、経時的に、ターゲットが何であるかを学習し、それらのターゲットをどのように達成すべきかを学習することになる。生物学的ニューロン135は、自己組織化していることがあり、ターゲットを達成するために接続を形成し得る。一実施形態では、生物学的ニューロン135の各成功とともに、化学または電気報酬刺激は低減される(たとえば、リリースされるドーパミンの量は低減される)。一実施形態では、ニューロン135は、ヘッブ学習を介して学習し得る。たとえば、2つのニューロンが、一緒に発火して、何かを起こし、報酬を与えられた場合、次回、それらの2つのニューロンに再び発火させるためのアクティブ化または電圧が少なくなり、したがって、この出来事の頻度を増加させる。
【0050】
デジタル入力シグナル、電気または光学インパルスのための命令、電気および/または光学シグナルの表現ならびに/あるいは応答メッセージは、(たとえば、検討および/または分析のために)データストアに記憶され得る。世界中からの研究者が、ネットワーク120に接続されたクライアントコンピューティングデバイス125を介して検討のために、記憶されたデータおよび/または仮想環境にアクセスし得る。たとえば、研究者は、人工環境または仮想環境155(たとえば、ゲーム)を開発し、ゲームをニューロン135に適用する実験を稼働し、その実験からのデータを受信し得る。実験からのデータは、その場合、クラウドを介して、その研究者および/または他の研究者にとって利用可能であり得る。
【0051】
一実施形態では、サーバコンピューティングデバイス110は、(たとえば、仮想環境155の外部にあり得る)人工ニューラルネットワークをさらに含む。人工ニューラルネットワークは、ニューロン135を備える生物学的ニューラルネットワークと並列にトレーニングされ得る。たとえば、デジタル入力シグナルが、人工ニューラルネットワークに入力され得、そのデジタル入力シグナルに関連付けられたターゲットが、人工ニューラルネットワークに提供され得る。人工ニューラルネットワークは、生物学的ニューラルネットワークがトレーニングされるのと同時に、(たとえば、バックプロパゲーションを使用して)トレーニングされ得る。
【0052】
一実施形態では、(1つまたは複数の)サーバコンピューティングデバイス110は、ニューロン135上の化学化合物のテストに関する動作を実施するように構成された化合物分析器175を含む。さらに、化学源160が、化学入力165を介してニューロン135に薬剤などの1つまたは複数の化学化合物を送達し得る。化学入力165は、たとえば、化学源160に接続する管であり得る。バルブが、ニューロン135に化学化合物または化学化合物の混合物の厳密な適用量(dose)を送達するように開かれ得る。
【0053】
一実施形態では、ニューロン135が、仮想環境155によってタスクを実施するようにトレーニングされると、タスクを実施することにおけるニューロン135の技能のレベルまたは成功の程度を示すスコアまたは値が決定され得る。ニューロン135が実施するようにトレーニングされ得る多くの異なるタイプのタスクがある。本明細書で提供される一例は、コンピュータゲームPongをプレイするタスクである。Pongは、2つのパドルとボールとを特徴とする単純な「テニスのような」ゲームである。pongの目標は、(たとえば、仮想環境によって提供されるコンピュータ対戦相手、実際の人間の対戦相手、またはトレーニングされたニューロンの別のセットであり得る)対戦相手を、最初に10ポイントを獲得するものになることによって負かすことである。Pongでは、プレーヤは、対戦相手がボールを逃すと(これは、それらが、それらのパドルをボールの前に移動させることに失敗し、ボールがそれらのパドルを過ぎてスクリーンのエッジまで移動することを可能にしたとき、発生する)、ポイントを受信する。ニューロンは、移動するボールと2つのパドルとを含む、Pongゲームエリアを知覚し、パドルのうちの1つを移動させてボールをインターセプトするようにトレーニングされ得る。認知機能値が、トレーニングされたニューロンがPongゲームをどのくらいうまくプレイするかに基づいて、化合物分析器175によって決定され得る。たとえば、認知機能値は、ニューロンの勝利対敗北比に基づき得る、ニューロンがどのくらい長くボールをプレイ中に保つことが可能であるかに基づき得る、ニューロンが、Pongゲームで敗北する前にどのくらい多くのポイントを達成することができるかに基づき得る、などである。
【0054】
一実施形態では、化合物分析器175は、ニューロン135のためのベースライン認知機能値を決定する。ベースライン認知機能値は、ニューロンが実施するようにトレーニングされたタスクを実施するためのニューロンの1つまたは複数の試みに基づいて決定され得る。一実施形態では、認知機能値が、タスクを実施するためのニューロン135の各試みについて決定され、平均ベースライン認知機能値が、認知機能値の平均(たとえば、移動平均)に基づいて決定される。
【0055】
一実施形態では、化合物分析器175は、上記で説明されたように、ニューロン135のためのベースライン神経臨界値を決定する。ベースライン神経臨界値は、ターゲット臨界値におけるものまたはその近くのものであり得、したがって、臨界におけるもの(たとえば、相転移におけるもの)であると見なされ得る。一実施形態では、ベースライン認知機能値は、ベースライン神経臨界値であるか、ベースライン神経臨界値に少なくとも部分的に基づく。一実施形態では、ベースライン認知機能値は、ベースライン臨界値とは別個のものである。そのような実施形態では、ベースライン認知機能値とベースライン臨界値とは、ニューロン135のベースライン認知機能を確立するために一緒に使用され得る。
【0056】
化合物分析器175は、化学源160が、化学入力165を介して1つまたは複数の化学化合物の適用量を送達することと、ニューロン135を化学化合物の適用量に露出することとを引き起こし得る。ニューロン135は、次いで、そのニューロンがトレーニングされた、タスクを実施するために使用され得、化学化合物の影響下にある間の、タスクを実施するニューロンの能力に基づいて、露出後認知機能値が決定され得る。このプロセスは、複数の露出後認知機能値を生成するために複数回繰り返され得る。平均露出後認知機能値が、複数の露出後認知機能値に基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、ニューロン135は、異なる時間において化学化合物の異なる適用量に露出され、露出後認知機能値(たとえば、平均露出後認知機能値)は、適用量の各々について決定される。
【0057】
化合物分析器175は、1つまたは複数の露出後認知機能値をベースライン認知機能値と比較し得る。その比較に基づいて、化合物分析器175は、認知機能値が、(1つまたは複数の)化学化合物へのニューロンの露出の前および後に、増加するのか、減少するのか、同じままであるのかを決定し得る。(1つまたは複数の)露出後認知機能値がベースライン認知機能値よりも高い場合、これは、ニューロンの認知機能が化学化合物への露出の結果として増加したことのインジケータである。さらに、認知機能の改善の量が、認知機能値の差の大きさに基づいて定量化され得る。同様に、(1つまたは複数の)露出後認知機能値がベースライン認知機能値よりも低い場合、これは、ニューロンの認知機能が化学化合物への露出の結果として減少したことのインジケータである。さらに、認知機能の障害の量が、認知機能値の差の大きさに基づいて定量化され得る。
【0058】
一実施形態では、化合物分析器175は、上記で説明されたように、ニューロン135のための露出後神経臨界値を決定する。露出後神経臨界値は、ターゲット臨界値にあるか、ターゲット臨界値を上回るか、またはターゲット臨界値を下回り得る。露出後神経臨界値がターゲット臨界値を上回る場合、露出後神経臨界値は臨界を上回ると見なされ得る。露出後神経臨界値がターゲット臨界値を下回る場合、露出後神経臨界値は臨界を下回ると見なされ得る。いくつかの実施形態では、露出後神経臨界値はベースライン神経臨界値と比較され得、それらの間のいかなる差も測定され得る。露出後臨界値とベースライン臨界値との間の差は、ニューロンの認知機能の変化を示し得る。たとえば、露出後臨界値がベースライン臨界値を下回る場合、ニューロンは、認知的に障害があると見なされ得る。
【0059】
一実施形態では、露出後認知機能値は、露出後神経臨界値であるか、露出後神経臨界値に少なくとも部分的に基づく。代替的に、露出後認知機能値は、情報含有量、複雑さ、エントロピー、またはそれらの組合せの測度など、上記で概説されたものなどの他の測度に基づき得る。いくつかの実施形態では、露出後認知機能値は、臨界とこれらの他の測度のうちの1つまたは複数との組合せに基づく。一実施形態では、露出後認知機能値は、露出後臨界値とは別個のものである。そのような実施形態では、露出後認知機能値と露出後臨界値とは、ニューロン135の露出後認知機能を確立するために一緒に使用され得る。
【0060】
さらに、化合物分析器175は、化学化合物の異なる適用量(または1つまたは複数の化学化合物の適用量の異なる組合せ)に関連付けられた露出後認知機能値および/または神経臨界値を、互いと、ならびに/あるいは(1つまたは複数の)ベースライン認知機能値および/または(1つまたは複数の)ベースライン神経臨界値と比較し得る。そのような比較に基づいて、化合物分析器175は、認知機能改善および/または障害が、適用量の増加とともに増加するのか減少するのか、ならびに/あるいは、そこを越えるとさらなる改善または障害が測定されない、ピーク適用量があるかどうかを決定し得る。多くの他の洞察も、化学化合物の1つまたは複数の適用量に露出されているニューロン135のために決定された認知機能値および/または神経臨界値の統計的分析に基づいて獲得され得る。認知機能値に関係する本明細書における以下の説明が、神経臨界値にも適用されることと、実施形態において、認知機能値が、神経臨界値に少なくとも部分的に基づき得ることとを理解されたい。
【0061】
図1Bは、一実施形態による、例示的なin vitro化学化合物テストシステム170を示す。in vitro化学化合物テストシステム170は、図1Aの生物学的コンピューティングプラットフォーム100の同じ構成要素の一部または全部を含み得る。いくつかの実施形態では、in vitro化学化合物テストシステム170は、図1Aの生物学的コンピューティングプラットフォーム100に対応する。in vitro化学化合物テストシステム170は、MEAインターフェース150と、1つまたは複数の仮想環境155と、化合物分析器175とを有する、(1つまたは複数の)サーバコンピューティングデバイス110を含む。in vitro化学化合物テストシステム170は、クライアント化合物デバイス125と、ネットワーク120と、化学源160と、MEA105A、MEA105B~MEA105Nを含む、複数のMEAとをさらに含み得る。MEA105A~Nの各々が、ニューロン135A、135B~135Nのそれぞれの試料または培養物を含み得る。
【0062】
図1Aに関して上記で説明されたように、ニューロン135A~Nの各々が、タスクを実施するようにトレーニングされ得る。実施形態では、ニューロン135A~Nの各々は、同じタスクを実施するように教示される。代替的に、異なるニューロンが、異なるタスクを実施するようにトレーニングされ得る。ニューロン135A~Nがタスクを実施するようにトレーニングされると、ベースライン認知機能値が、化合物分析器175によってニューロン135A~Nの各々について決定される。その後、化学源160は、化学入力165を介してニューロン135A~Nに、1つまたは複数の化学化合物の1つまたは複数の適用量を送達し得る。次いで、露出後認知機能値が、化合物分析器175によってニューロン135A~Nの各々について決定され得る。
【0063】
化合物分析器175は、次いで、ニューロン135A~Nの複数のセットのために決定された認知機能値に対して統計的分析を実施し得る。実施形態では、ニューロン135A~Nの異なるセットが、同じ遺伝的系統(genetic stock)(たとえば、同じ細胞株)からのものであるか、または異なる遺伝的系統からのものであり得る。たとえば、ニューロンの複数のセットが、複数の遺伝子型の各々についておよび/または異なる病理を有する幹細胞株についてトレーニングされ得、化合物分析器175は、(1つまたは複数の)化学化合物に露出されたとき、異なる、遺伝子型、および/または特定の病理を有するニューロンによって、異なる作用が呈されるかどうかを決定し得る。そのような情報は、クライアントコンピューティングデバイス125を介して製薬会社によってアクセスされ得、たとえば、クライアントコンピューティングデバイス125は、開発中の薬物の利益および/または危険を査定する際にそのようなデータを使用し得る。
【0064】
図2図4は、ニューロンの認知機能への化学化合物の作用を査定するために使用され得る、生物学的コンピューティングプラットフォームを提供する方法を示す流れ図およびシーケンス図である。これらの方法は、サーバコンピューティングデバイスの処理論理ならびにMEAの処理論理によって実施され得、その各々は、ハードウェア(たとえば、回路、専用論理、プログラマブル論理、マイクロコードなど)、(処理デバイス、汎用コンピュータシステム、または専用機械上で稼働される命令などの)ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組合せを含み得る。方法は、MEAおよび/またはサーバコンピューティングデバイスによって実施され得る。たとえば、一部の動作がMEAによって実施され得、他の動作がコンピューティングデバイスによって実施され得る。
【0065】
説明を簡単にするために、方法は、一連の行為として示され、説明される。ただし、本開示による行為は、様々な順序でおよび/または同時に、ならびに本明細書で提示および説明されない他の行為とともに行われ得る。さらに、開示される主題による方法を実装するために、すべての図示された行為が実施されるとは限らない。さらに、当業者は、方法が、代替的に、状態図またはイベントを介して一連の相関状態として表現され得ることを理解し、諒解するであろう。
【0066】
図2は、生物学的コンピューティングプラットフォームを使用する方法200のための一実施形態を示すシーケンス図である。クライアントコンピューティングデバイス125が、サーバコンピューティングデバイス110に(人工環境または実験論理とも呼ばれる)仮想環境をアップロードし得る205。サーバコンピューティングデバイス110は、次いで、ブロック210において仮想環境を実行し得、仮想環境は、デジタル入力シグナルを生成し得る。サーバコンピューティングデバイス110上で実行するMEAインターフェースが、デジタル入力シグナルを受信し、ブロック215においてデジタル入力シグナルを電気または光学インパルスのための命令に変換し得る。サーバコンピューティングデバイス110は、次いで、それらの命令をMEA105に送り得る220。いくつかの実施形態では、デジタル入力シグナルは、MEA105の集積回路(たとえば、処理デバイス)によって可読であり、ブロック215において変換が実施されない。そのような実施形態では、デジタル入力シグナルは、ブロック220において、MEA105に送られ、MEAによって処理され得る。
【0067】
MEA105は、命令に基づいて(またはデジタル入力シグナルに基づいて)、1つまたは複数のアナログ光学または電気インパルス(入力シグナル)を生成し得る。それらのシグナルは、ブロック225において、特定のロケーション(たとえば、x,y座標またはx,y,z座標)を有する特定の電極において適用され得る。ブロック230において、MEA105は、次いで、MEA105における生物学的ニューラルネットワークの生物学的ニューロンによって生成された出力電気シグナルを測定し得る。MEA(または光学構成要素)は、次いで、ブロック235において電気シグナルの表現を生成し得る。これは、アナログデジタル変換器を使用して、アナログ電気シグナルをデジタル値に変換することを含み得る。
【0068】
ブロック240において、MEAは、ニューロンによって出力された測定された電気シグナルの表現をサーバコンピューティングデバイスに送る。ブロック245において、サーバコンピューティングデバイス上のMEAインターフェースは、表現を、仮想環境の処理論理によって可読である仮想環境のための応答メッセージに変換し得る。MEAインターフェースは、次いで、応答メッセージを仮想環境に送り得る。ブロック250において、仮想環境は、次いで、応答メッセージを処理し得る。いくつかの実施形態では、電気シグナルの表現は、仮想環境によって可読であり、ブロック245において変換が実施されない。そのような実施形態では、表現は、仮想環境に送られ、仮想環境によって処理され得る。仮想環境は、次いで、結果を生成し得、サーバコンピューティングデバイス110は、それらの結果をクライアントコンピューティングデバイス125に送り得る。
【0069】
実施形態では、ブロック210~250は、何らかの停止シグナルが適用されるまで連続的に稼働されるループを形成する。たとえば、ブロック250の動作が完了した後に、方法はブロック210に戻り得、ブロック210の動作は繰り返され得る。
【0070】
図3は、生物学的コンピューティングプラットフォームにおいて生物学的ニューロンに強化学習を提供する方法300のための一実施形態を示すシーケンス図である。方法300は、方法200が完了した後に実施され得る。ブロック305において、サーバコンピューティングデバイス110上で実行する仮想環境は、応答メッセージ(またはMEA105上のニューロンによって出力された電気シグナルの表現)が何らかの規準を満たすかどうかを決定する。応答メッセージ(または電気シグナルの表現)が規準を満たした場合、仮想環境は、第1のトレーニングシグナルを生成し、サーバコンピューティングデバイス110上で実行するMEAインターフェースに第1のトレーニングシグナルを提供し得る。応答メッセージ(または電気シグナルの表現)が規準を満たすことに失敗した場合、仮想環境は、第2のトレーニングシグナルを生成し、サーバコンピューティングデバイス110上で実行するMEAインターフェースに第2のトレーニングシグナルを提供し得る。MEAインターフェースは、次いで、第1のトレーニングシグナルに基づく報酬命令、または第2のトレーニングシグナルに基づく罰命令を生成し(ブロック315)、報酬命令または罰命令をMEA105に送り得る(ブロック320)。代替的に、MEAインターフェースは、トレーニングシグナルをMEA105にフォワーディングし得る。ブロック325において、MEAは、次いで、適宜に、電気または化学報酬刺激または罰刺激をMEA105上の生物学的ニューラルネットワークに出力し得る。
【0071】
一例では、仮想環境は、Pongなどのビデオゲームを含む。そのような実施形態では、デジタル入力シグナルは、ゲーム世界の投影(たとえば、ディスプレイのフレームまたはゲームのユーザインターフェース)であり得る。一実施形態では、ゲーム世界の投影は、所与の時間的ポイントにおけるゲームのためのディスプレイのピクセルのマッピングである。ディスプレイにおける各ピクセルが、MEA105上の電極の2Dグリッドにおけるロケーションに関連付けられ得る。ディスプレイの分解能と電極の2Dグリッドにおける行および列の数とに応じて、ディスプレイのピクセルとMEAにおける電極との間の1対1マッピング、1対XマッピングまたはX対1マッピングがあり得、ここで、Xは正の整数である。サーバコンピューティングデバイス110上で稼働するMEAインターフェースが、ゲームのためのディスプレイのピクセルとMEA105における2Dグリッドとの間のマッピングを決定し得る。たとえば、x,yピクセル1,3が、2Dグリッドの列2,行6における電極にマッピングし得る。一実施形態では、ブロック215においてデジタル入力シグナルを変換することは、2Dグリッドの各ロケーションについて、ロケーションが、アクティブ化されるべきであるのか(インパルスがロケーションにおける電極に送られる)、非アクティブ化されるべきであるのか(インパルスがロケーションにおける電極に送られない)を決定することを含む。したがって、電気または光学シグナルは、指定されたアクティブ化されたロケーションにおいて適用され得る。Pongの例では、電気/光学インパルスのための命令は、コート、コートにおけるボールの位置およびパドルの位置を表現し得る。
【0072】
別の例示的なマッピングシステムでは、コート空間(x,y)におけるボールの位置、(z)としてのパドルの位置、ボールからパドルまでの距離(d)など、特徴が、離散値としてマッピングされ、領域が、チップの表面上で恣意的に割り当てられ、刺激される。
【0073】
上記の例では、生物学的ニューラルネットワークは、パドルを移動させてボールをインターセプトするようにトレーニングされ得る。これは、MEA105における2Dグリッドを4つの象限に分画することによって達成され得る。生物学的ニューラルネットワークに適用される電気/光学インパルスの各セットにより、ニューロンによって生成された電気シグナルは測定され得る。測定された電気シグナルの大部分が右上象限からのものである場合、これは、仮想環境が右パドルを上に移動させることを引き起こし得る。測定された電気シグナルの大部分が右下象限からのものである場合、これは、仮想環境が右パドルを下に移動させることを引き起こし得る。次いで、上記で説明されたように、ボールが右パドルをインターセプトしたとき、正の報酬刺激が、生物学的ニューラルネットワークに提供され得る。
【0074】
図4は、生物学的コンピューティングプラットフォームを使用する方法400のための一実施形態を示す流れ図である。ブロック405において、コンピューティングデバイスが、仮想環境からデジタル入力シグナルを受信する。ブロック410において、コンピューティングデバイスは、デジタル入力シグナルを電気/光学インパルスのための命令に変換する。ブロック420において、コンピューティングデバイスは、命令をMEAに提供し、MEAは、電極のアレイ(たとえば、電極の2Dグリッドまたは3D行列)に電気/光学インパルスを適用する。
【0075】
ブロック425において、MEAまたは他の構成要素は、アレイの座標において(たとえば、2Dグリッドまたは3D行列の座標において)生物学的ニューロンによって出力された、電気シグナルを測定する。電気シグナルは、アナログシグナルであり得る。ブロック430において、MEAは、電気シグナルのデジタル表現を生成し得る。ブロック440において、MEAは、デジタル表現をコンピューティングデバイスに送り得、コンピューティングデバイスは、デジタル表現を仮想環境のための応答メッセージに変換し得る。ブロック445において、コンピューティングデバイスは、応答メッセージを仮想環境に提供し得る。
【0076】
ブロック450において、コンピューティングデバイスは、仮想環境からトレーニングシグナルを受信し得る。ブロック452において、処理論理が、1つまたは複数の規準(たとえば、ターゲット目的)が満たされたかどうか、および/またはトレーニングシグナルが、報酬(正の強化)シグナルであるのか罰(負の強化)シグナルであるのかを決定し得る。その目的が満たされた、および/またはトレーニングシグナルが報酬シグナルであった場合、方法はブロック455に続く。その目的が満たされなかった、および/またはトレーニングシグナルが罰シグナルであった場合、方法はブロック465に続く。
【0077】
ブロック455において、コンピューティングデバイスは、電気または化学報酬刺激(たとえば、予測可能な刺激)を決定し、電気または報酬刺激を適用するようにMEAに命令し得る。代替的に、コンピューティングデバイスは、トレーニングシグナルをMEAにフォワーディングし得る。ブロック460において、MEAは、次いで、生物学的ニューロンに電気または報酬刺激を適用する。
【0078】
ブロック465において、コンピューティングデバイスは、電気または化学罰刺激(たとえば、予測不可能な刺激)を決定し、電気または罰刺激を適用するようにMEAに命令し得る。代替的に、コンピューティングデバイスは、トレーニングシグナルをMEAにフォワーディングし得る。ブロック470において、MEAは、次いで、生物学的ニューロンに電気または化学罰刺激を適用する。
【0079】
このプロセスは継続し得、生物学的ニューラルネットワークがトレーニングされ得る。
【0080】
図5図6は、ニューロンの認知機能への1つまたは複数の化学化合物の作用のin vitroテストを実施する方法を示す流れ図である。これらの方法は、コンピューティングデバイス(たとえば、サーバコンピューティングデバイス)の処理論理ならびにMEAの処理論理によって実施され得、その各々は、ハードウェア(たとえば、回路、専用論理、プログラマブル論理、マイクロコードなど)、(処理デバイス、汎用コンピュータシステム、または専用機械上で稼働される命令などの)ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組合せを含み得る。方法は、MEAおよび/またはコンピューティングデバイスによって実施され得る。たとえば、一部の動作がMEAによって実施され得、他の動作がコンピューティングデバイスによって実施され得る。
【0081】
説明を簡単にするために、方法は、一連の行為として示され、説明される。ただし、本開示による行為は、様々な順序でおよび/または同時に、ならびに本明細書で提示および説明されない他の行為とともに行われ得る。さらに、開示される主題による方法を実装するために、すべての図示された行為が実施されるとは限らない。さらに、当業者は、方法が、代替的に、状態図またはイベントを介して一連の相関状態として表現され得ることを理解し、諒解するであろう。
【0082】
図5を参照すると、方法500のブロック505において、処理論理が、複数のin vitro生物学的ニューロンを、タスクを実施するようにトレーニングする。タスクを実施するためのニューロンの成功の程度は、複数のニューロンの認知機能を表現し得る。ニューロンは、本明細書で上記で説明されたように、タスクを実施するようにトレーニングされ得る。ブロック510において、処理論理は、複数のニューロンがトレーニングされた、タスクを実施するそれらのニューロンの能力に基づいて、それらのニューロンの第1の認知機能値を決定する。第1の認知機能値は、タスクがどのくらいうまく実施されたか、タスクを完了するのにどのくらい長くかかったか、ニューロンがどのくらい長くタスクを実施し続けることが可能であったかなどの測度であり得る。一例では、タスクは、複数のマイルストーンを含み、および/またはサブタスクに分割され得、第1の認知機能値は、達成されたマイルストーンの数、および/または完了されたサブタスクの数に基づき得る。第1の認知機能値は、ベースライン認知機能値であり得る。
【0083】
ブロック515において、複数のニューロンは、化学化合物に露出される。ニューロンは、化学化合物の特定の用量(dosage)に露出され得る。代替的に、ニューロンは、複数の化学化合物の混合物に露出され得る。混合物は、混合物中の化学化合物の各々についての決定された用量を含み得、同じまたは異なる用量が、異なる化学化合物のために使用され得る。一実施形態では、化学化合物(または複数の化学化合物のうちの少なくとも1つ)は、当該の薬物である。
【0084】
ブロック520において、処理論理は、化学化合物(または化学化合物の混合物)への複数のニューロンの露出中におよび/または露出の後に、複数のニューロンの第2の認知機能値を決定する。ブロック525において、処理論理は、第2の認知機能値を第1の認知機能値と比較する。ブロック530において、処理論理は、比較の結果に基づいて複数のニューロンの認知機能への(1つまたは複数の)化学化合物の作用を決定する。
【0085】
方法500は、同じまたは異なる条件下で(たとえば、化学化合物へのニューロンの異なる露出条件下で)、ニューロンの同じセットのために複数回繰り返され得る。追加または代替として、方法500は、(たとえば、各々、異なるMEAにおける)ニューロンの多くの異なるセットのために実施され得る。ニューロンの異なるセットは、同じ遺伝的系統からのものであるか、または(たとえば、異なる遺伝子型および/または病理を有する)異なる遺伝的系統からのものであり得る。複数のテストの結果は、図6を参照しながら説明されるように、統計的分析を使用して分析され得る。
【0086】
次に図6を参照すると、方法600のブロック605において、処理論理が、(各々、複数のin vitro生物学的ニューロンを含んでいる)複数のニューロン試料を、ニューロン試料の認知機能を表現するタスクを実施するようにトレーニングする。いくつかの実施形態では、すべてのニューロン試料が、同じタスクを実施するようにトレーニングされる。代替的に、異なるニューロン試料が、異なるタスクを実施するようにトレーニングされ得る。たとえば、(各々それ自体のMEAにおける)ニューロン試料の第1のセットが、第1のタスクを実施するようにトレーニングされ得、(各々それ自体のMEAにおける)ニューロン試料の第2のセットが、第2のタスクを実施するようにトレーニングされ得る。
【0087】
ブロック610において、処理論理は、トレーニングされたニューロン試料の各々についてベースライン認知機能値を決定する。ブロック615において、処理論理は、各ニューロン試料を化学成分(または化学成分の混合物)に露出する。異なるニューロン試料が、化学化合物の同じまたは異なる適用量に露出され得る。さらに、異なるテストが、同じニューロン試料に対して実施され得、各テストについて、化学化合物の同じまたは異なる用量が使用され得る。
【0088】
ブロック620において、処理論理は、ニューロン試料の各々について、およびそれらのニューロン試料に対して実施されるテストの各々について、露出後認知機能値を決定する。たとえば、複数の露出後認知機能値が、ある時間期間にわたって同じニューロン試料について決定されて、そのニューロン試料についての統計的に有意な量のデータポイントを取得し得る。これは、各々、ニューロン試料が化学化合物に露出されたときからの異なる時間オフセットにおいて、ニューロン試料が化学化合物に露出された後に、露出後認知機能値を決定することを継続することを含み得る。追加または代替として、化学化合物の複数の異なる用量が、1つまたは複数の同じニューロン試料に対してテストされ得、1つまたは複数の露出後認知機能値が、各用量の量について決定され得る。
【0089】
ブロック625において、処理論理は、各ニューロン試料について、それぞれの(1つまたは複数の)露出後認知機能値と、そのニューロン試料についての(1つまたは複数の)ベースライン認知機能値との比較に基づいて、ニューラル試料への化学化合物の作用を決定する。これは、各々、ニューロン試料が化学化合物に露出されたときからの異なる時間の長さに関連付けられた、複数の露出後認知機能値を比較することによって、経時的なニューロン試料の認知機能への化学化合物の作用を決定することを含み得る。そのような情報は、化学化合物がニューロン試料の認知機能にどのくらい長く影響するか、ニューロン試料の認知機能への化学化合物の作用がどのくらい速く、なくなるか、および/または、経時的なニューロン試料への化学化合物の作用の減少が線形であるのか非線形であるのかを決定するために使用され得る。たとえば、経時的なニューロン試料の認知機能への化学化合物の作用を定義する曲線の形状が、決定され得る。
【0090】
ブロック630において、処理論理は、複数のニューロン試料への化学化合物の決定された作用に対する統計的分析を実施する。そのようなデータは、薬物が認知機能に適用されるときのその薬物の有効性、薬物が認知機能に適用されるときのその薬物の副作用などを決定するために使用され得る。そのような統計的分析は、たとえば、認知機能への作用が、遺伝子型によって、病理によって、および/または他の変数によって、変動するかどうかを決定するためにも使用され得る。そのような分析は、治療ウィンドウをテストして、化学化合物の最小有効性レベルおよび/または毒性限界を決定するためにも実施され得る。さらに、患者固有のラインが、異なる遺伝的背景をテストするために使用され得る。
【0091】
図7は、機械に本明細書で説明される方法論のうちのいずれか1つまたは複数を実施させるための命令のセットが実行され得る、コンピューティングデバイス700の例示的な形態の機械の図式表現を示す。代替実施形態では、機械は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、またはインターネット中で他の機械に接続され(たとえば、ネットワーク化され)得る。機械は、クライアントサーバネットワーク環境内のサーバ機械またはクライアント機械の資格で動作するか、あるいはピアツーピア(または分散型)ネットワーク環境内のピア機械として動作し得る。機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、セルラー電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、あるいはその機械によってとられるべき活動を指定する命令のセット(連続またはそれ以外)を実行することが可能な任意の機械であり得る。さらに、単一の機械のみが示されているが、「機械」という用語はまた、本明細書で説明される方法論のうちのいずれか1つまたは複数を実施するために命令のセット(または複数のセット)を個々にまたは一緒に実行する、機械(たとえば、コンピュータ)の任意の集合を含むと解釈されるものとする。
【0092】
例示的なコンピューティングデバイス700は、バス730を介して互いと通信する、処理デバイス702と、メインメモリ704(たとえば、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)またはRambus DRAM(RDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など)と、スタティックメモリ706(たとえば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)と、2次メモリ(たとえば、データストレージデバイス718)とを含む。
【0093】
処理デバイス702は、マイクロプロセッサ、中央処理ユニットなど、1つまたは複数の汎用プロセッサを表現する。より詳細には、処理デバイス702は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組合せを実装するプロセッサであり得る。処理デバイス702はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなど、1つまたは複数の専用処理デバイスであり得る。処理デバイス702は、本明細書で説明される動作およびステップを実施するための処理論理(命令722)を実行するように構成される。
【0094】
コンピューティングデバイス700は、ネットワークインターフェースデバイス708をさらに含み得る。コンピューティングデバイス700は、ビデオディスプレイ710(たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)または陰極線管(CRT))、英数字入力デバイス712(たとえば、キーボード)、カーソル制御デバイス714(たとえば、マウス)、および/またはシグナル生成デバイス716(たとえば、スピーカー)をも含み得る。
【0095】
データストレージデバイス718は、本明細書で説明される方法論または機能のうちのいずれか1つまたは複数を具現する命令722の1つまたは複数のセットが記憶された機械可読記憶媒体(またはより詳細には、コンピュータ可読記憶媒体)728を含み得る。命令722はまた、コンピュータシステム700による命令722の実行中に、メインメモリ704内におよび/または処理デバイス702内に完全にまたは少なくとも部分的に存在し得、メインメモリ704および処理デバイス702は、コンピュータ可読記憶媒体をも構成する。
【0096】
コンピュータ可読記憶媒体728はまた、(前の図に関して説明されたような)MEAインターフェース150、化合物分析器175、および/または仮想環境155、ならびに/あるいはMEAインターフェース150、化合物分析器175、および/または仮想環境155を呼び出す方法を含んでいるソフトウェアライブラリを記憶するために使用され得る。コンピュータ可読記憶媒体728は、例示的な実施形態において単一の媒体であることが示されているが、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、命令の1つまたは複数のセットを記憶する単一の媒体または複数の媒体(たとえば、集中型または分散型データベース、ならびに/あるいは関連付けられるキャッシュおよびサーバ)を含むと解釈されるべきである。「コンピュータ可読記憶媒体」という用語はまた、本明細書で説明される方法論のうちのいずれか1つまたは複数を機械に実施させる、機械による実行のための命令のセットを記憶または符号化することが可能である、任意の非一時的媒体を含むと解釈されるものとする。「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、したがって、限定はしないが、固体メモリと、光学および磁気媒体とを含むと解釈されるものとする。
【0097】
詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビット上の動作のアルゴリズムおよび記号表現の見地から提示された。これらのアルゴリズム説明および表現は、データ処理技術分野の当業者が、他の当業者に自身の仕事の本質を最も効果的に伝えるために使用される手段である。アルゴリズムは、ここでは、および一般的には、所望の結果をもたらすステップの自己矛盾のないシーケンスであると考えられる。それらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするステップである。通常、ただし必ずしもそうであるとは限らないが、これらの量は、記憶され、転送され、組み合わせられ、比較され、場合によっては操作されることが可能な電気シグナルまたは磁気シグナルの形態をとる。場合によっては、主に広く使用されているという理由から、これらのシグナルを、ビット、値、要素、シンボル、文字、項、数などと呼ぶことが好都合であることが判明している。
【0098】
しかしながら、これらの用語および同様の用語はすべて適切な物理量に関連付けられ、これらの量に適用される好都合な標識にすぎないことを念頭に置くべきである。別段に明記されていない限り以下の説明から明らかなように、説明全体にわたって、「受信すること」、「変換すること」、「送ること」などの用語を利用する説明は、コンピュータシステムまたは同様の電子コンピューティングデバイスの活動およびプロセスを指し、これは、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理(電子)量として表現されるデータを操作し、そのデータを、コンピュータシステムメモリまたはレジスタ、あるいは他のそのような情報ストレージ、送信または表示デバイス内の物理量として同様に表現される他のデータにトランスフォームすることを諒解されたい。
【0099】
本開示の実施形態はまた、本明細書の動作を実施するための装置に関する。この装置は、説明される目的のために特別に構築され得、および/または、この装置は、コンピュータシステムに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的にプログラムされる汎用コンピュータシステムを備え得る。そのようなコンピュータプログラムは、限定はしないが、各々がコンピュータシステムバスに結合された、フロッピーディスクと、光学ディスクと、CD-ROMと、磁気光学ディスクとを含む、任意のタイプのディスク、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、他のタイプの機械アクセス可能記憶媒体、または電子命令を記憶するのに好適な任意のタイプの媒体など、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。
【0100】
上記の説明は、例示的なものであり、限定的なものではないことを理解されたい。多くの他の実施形態は、上記の説明を読み、理解すると、当業者には明らかであろう。本開示は特定の例示的な実施形態に関して説明されたが、本開示が、説明された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で修正および改変を加えて実施され得ることを認識されよう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照しながら、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに、決定されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】