(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】環境的無駄を回避する電力の生産のためのプロセスおよび装置
(51)【国際特許分類】
F03G 7/06 20060101AFI20240927BHJP
F03G 3/00 20060101ALI20240927BHJP
F03G 7/00 20060101ALI20240927BHJP
H02K 35/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F03G7/06 H
F03G3/00 E
F03G7/00 H
H02K35/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024543431
(86)(22)【出願日】2021-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2021077238
(87)【国際公開番号】W WO2023057035
(87)【国際公開日】2023-04-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524129276
【氏名又は名称】ブリッツィオ、アドリアーナ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリッツィオ、アドリアーナ
(57)【要約】
本発明は、電力を生成するための装置を記載し、当該装置は、少なくとも2つのチャンバ(2、3)を含む密閉アセンブリ(1)と、2つのチャンバを接続する連通ダクト(4)と、少なくとも1つのエネルギー変換デバイス(6)と、上記チャンバ(2、3)の少なくとも1つに含まれる作動媒体(5)と、を備え、当該装置は、作動媒体(5)のエネルギーを連通ダクト(4)に通して電力に変換するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の生成のための装置であって、前記装置が、
少なくとも2つのチャンバ(2、3)および連通ダクト(4)を含む密閉アセンブリ(1)であって、前記連通ダクト(4)が前記2つのチャンバ(2、3)間の流体連通を提供するように配置されている、密閉アセンブリ(1)と、
前記チャンバ(2、3)の少なくとも1つに含まれる液状の作動媒体(5)と
を含み、
前記密閉アセンブリ(1)内の液体の作動媒体(5)の沸騰温度が、大気圧での同じ液体の沸騰温度よりも低くなるように、前記密閉アセンブリ(1)内に真空状態が提供され、
液体の前記作動媒体(5)の容積が、アセンブリ全体の内部容量よりも小さく、
前記装置が、前記密閉アセンブリの第1のチャンバ(2)に含まれる液体の前記作動媒体(5)を加熱することによって、前記第1のチャンバ(2)と第2のチャンバ(3)との間の連通ダクト(4)を介した、前記密閉アセンブリの前記第1のチャンバ(2)から前記第2のチャンバ(3)への、液状または蒸気状態いずれかでの前記作動媒体(5)の移送を誘導するように構成されており、
前記装置がさらに、前記少なくとも2つのチャンバ(2、3)のうちの少なくとも1つのチャンバ内および/または前記連通ダクト(4)内に配置され、前記装置を通って移動する前記作動媒体(5)のエネルギーを電力出力に変換するように構成された、少なくとも1つのエネルギー変換デバイス(6)を備え、
前記エネルギー変換デバイスが、作動媒体と直接接触するように配置されている少なくとも1つの磁気素子(7、19)を含む、装置。
【請求項2】
前記作動媒体(5)が、純粋な液体または液体混合物であり、水の沸点よりも低い沸点を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記密閉アセンブリ(1)は、1つまたは複数の前記連通ダクト(4)が、2つまたは3つ以上のチャンバ(2、3、8~13)に対する接続素子および/または構造支持素子として作用するように構成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記密閉アセンブリ(1)は、前記第1のチャンバ(2)から連通ダクト(4)を通って流出された前記作動媒体(5)が、同じ連通ダクト(4)または別の連通ダクト(14)のいずれかを介して同じ第1のチャンバ(2)に戻るように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記密閉アセンブリ(1)が、チャンバのシーケンスを形成する3つ以上のチャンバを含み、前記作動媒体(5)が、複数の移送工程によってチャンバを通って移送され、各工程は、第1のチャンバから、前記シーケンス内で前記第1のチャンバに隣接する第2のチャンバへの移送であり、前記作動媒体(5)の移送が、前記装置のチャンバのいずれかの加熱の結果として行われる、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記チャンバのシーケンスが閉回路を形成し、前記作動媒体(5)が前記閉回路のチャンバのシーケンスを横断する間にプロセスが周期的に実施される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
チャンバおよび/または連通ダクト(4)に関連して1つまたは複数の障壁(15)が設けられ、前記障壁(15)が、1つのチャンバから前のチャンバへの前記作動媒体(5)の逆流を防止するように動作する、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記エネルギー変換デバイスが、
少なくとも1つの回転式磁気素子(7)または変位可能な磁気素子(19)と、
前記磁気素子と誘導結合された少なくとも1つのコイルまたはソレノイド(16)であって、前記磁気素子(7、19)の回転または変位によって前記少なくとも1つのコイルまたはソレノイド(16)において電流が誘導されるように配置されている、少なくとも1つのコイルまたはソレノイド(16)と
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記エネルギー変換デバイスが少なくとも1つの回転式磁気素子(7)を含み、前記回転式磁気素子(7)が、前記作動媒体(5)が1つのチャンバから別のチャンバに変位されるときに前記作動媒体(5)の推力下で回転するように配置されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記回転式磁気素子(7)がバー(17)によって支持され、前記バー(17)が好ましくは連通ダクト(4)内にあり、前記バーの軸が好ましくは前記連通ダクトの長手方向軸(18)に平行であり、前記バー(17)が、前記作動媒体の推力下で前記回転式磁気素子(7)によって引っ張られる回転式バーであるか、または前記バー(17)が、前記回転式磁気素子(7)が前記バーを中心に回転する間に、静止したバーである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が、回転式磁気素子を支持するための複数の回転式バーを含み、少なくとも1つの第1の回転式バーが、1つまたは複数の第2の回転式バーの回転速度を増加させるような方法で前記1つまたは複数の第2の回転式バーに接続される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
コイルまたはソレノイド(16)が、前記回転式磁気素子(7)が内部で回転するように配される筐体に隣接する位置、好ましくは前記筐体に巻き付けられた位置に配置されている、または
コイルまたはソレノイド(16)自体が、前記回転式磁気素子の回転によって前記コイルまたはソレノイド(16)において電流を生成するように、前記回転式磁気素子が内部で回転するように配される筐体を構成する、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記エネルギー変換デバイス(6)が、前記作動媒体(5)によって連通ダクト(4)を通って1つのチャンバから別のチャンバに変位されるように配置された少なくとも1つの変位可能な磁石(19)を含み、前記装置がさらに、チャンバを通って移動するときに前記変位可能な磁石(19)をガイドし、前記磁石がチャンバ内に落ちるのを防止するように前記チャンバ内に配置された、好ましくはグリッドケーシング(20)の形態の、少なくとも1つのデバイスを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置が、単一の変位可能な素子を形成するために、場合によっては複数の変位可能な磁石(19)の間にスペーサ素子を有して、互いに接合された、複数の変位可能な磁石(19)を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
変位可能な磁石(19)は、前記装置を通って移動するときに、磁石の各極(25)が同じ極性の先行するまたは後続する磁石の極に対向するように配置される、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記エネルギー変換デバイスが、少なくとも1つのコイルまたはソレノイド(16)と、前記コイルまたはソレノイド(16)に対して回転または移動するように配置された少なくとも1つの磁気素子(7、19)と、を含み、前記コイルまたはソレノイド(16)内の可変磁場と誘導起電力とを提供する、請求項1~15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記磁気素子(7、19)が永久磁石を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
1つまたは複数の連通ダクト(4)が導電性金属で作られている、請求項1~17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記装置が、少なくとも1つの連通ダクト(4)を含み、コイルまたはソレノイド(16)が前記ダクトの周りに巻き付けられるか、またはコイルまたはソレノイドが前記連通ダクト(4)を構成する、請求項1~18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記装置が、複数のコイルまたはソレノイド(16)を含み、コイルまたはソレノイドの少なくとも一部が互いに電気的に接続されている、請求項1~19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
回転可能な磁気素子(7)と変位可能な磁石(19)との組み合わせを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
電力の生産のためのプロセスであって、前記プロセスが、
少なくとも2つのチャンバ(2、3)および連通ダクト(4)を含む密閉アセンブリ(1)を提供する工程であって、前記連通ダクト(4)が前記2つのチャンバ(2、3)間の流体連通を提供するように配置されている、工程と、
前記チャンバ(2、3)の少なくとも1つに含まれる液状の作動媒体(5)を提供する工程と、
前記密閉アセンブリ内の液体の作動媒体(5)の沸騰温度が、大気圧での同じ液体の沸騰温度よりも低くなるように、前記密閉アセンブリ(1)内に真空状態を形成する工程と、
前記密閉アセンブリの第1のチャンバ(2)に含まれる液体の前記作動媒体(5)を加熱する工程であって、それにより、前記第1のチャンバ(2)と第2のチャンバ(3)との間の連通ダクト(4)を介した、前記密閉アセンブリ(1)の前記第1のチャンバ(2)から前記第2のチャンバ(3)への前記作動媒体の移送を誘導する、工程と、
前記チャンバ(2、3)の少なくとも1つおよび/または前記連通ダクト(4)内に配置された少なくとも1つのエネルギー変換デバイス(6)によって、装置を通って移動する前記作動媒体のエネルギーを電力出力に変換する工程であって、前記エネルギー変換デバイス(6)が、前記作動媒体と直接接触するように配置された少なくとも1つの磁気素子(7、19)を含む、工程と
を含み、
前記作動媒体(5)が、液状または気体状態で前記第1のチャンバ(2)から前記第2のチャンバ(3)に移送される、プロセス。
【請求項23】
前記第1のチャンバ(2)の加熱および前記第2のチャンバ(3)への作動媒体(5)の移送後に、前記第2のチャンバ(3)が加熱され、前記作動媒体(5)が前記第1のチャンバ(2)に戻して移送され、そのシーケンスが周期的に繰り返され、それにより、前記エネルギー変換デバイス(6)の往復運動が得られる、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記プロセス中に、前記作動媒体(5)が、減磁を回避するために前記エネルギー変換デバイス(6)の任意の磁気素子のキュリー点よりも低い温度を有する、請求項22または23に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境的無駄を回避する電力の生成のための装置およびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
電気の生産のための現行のシステムのほとんどは、現在、大気の汚染および/または過熱を引き起こすか、消費される資源をその考えられ得る枯渇まで使用するか、またはさらに悪いことに、原子力エネルギーの使用に頼るため、地球の健康に計り知れない損害を引き起こしている。
【0003】
石炭、石油、および天然ガスなどの化石燃料の貯蔵量は限られており、再生不可能であるうえ、その燃焼は地球温暖化の一因となる。森林伐採によるエネルギーの続く生成は温室効果の増加を引き起こし、一方で水力発電所に電力を供給するための水はどこでも入手可能であるわけではない。
【0004】
核エネルギー源は、完璧に管理および制御されない場合、重大なリスクをもたらす。また、これは、放射性廃棄物の処分に関連した深刻かつ未解決の問題も生じさせる。また、現行の技術は限られた資源であるウランに依存している。
【0005】
太陽光パネル、光起電力パネル、または風力タービンを含む、再生可能資源からエネルギーを生産するための技術には、考えられ得る光、太陽、および風の欠如に主に関連する偶然の出力という欠点がある。なお、当該技術には、光起電力、太陽光のパネルの設置に広大な地上表面が使用される必要があり、風力タービンのサイズが大きく高さもかなりあるため、視覚公害という無視することができない欠点がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、先行技術の上記欠点を解消する電力の生成のためのプロセスおよび装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、上記問題のいずれも生成しない、特に地球温暖化、汚染、森林破壊、石炭、石油、水、またはウランへの依存、太陽および風の存在への依存をもたらさないプロセスを提供することを目的とする。なお、本発明は、視覚公害を回避するために地下構造において実施することができるプロセスを目的とする。
【0008】
また、本発明は、水または他の種類の液体の環境への漏出を引き起こさないプロセスを提供することを目的とする。
【0009】
これらの目的は、請求項に従った装置およびプロセスによって達成される。
【0010】
本発明に係る電力の生成のための装置は、
少なくとも2つのチャンバおよび連通ダクトを含む密閉アセンブリであって、連通ダクトが上記2つのチャンバ間の流体連通を提供するように配置されている、密閉アセンブリと、
上記チャンバの少なくとも1つに含まれる液状の作動媒体と、を含み、
アセンブリ内の液体の作動媒体の沸騰温度が、大気圧での同じ液体の沸騰温度よりも低くなるように、アセンブリ内に真空状態が提供され、
上記液体作動媒体の容積は、アセンブリ全体の内部容量よりも小さく、
装置は、アセンブリの第1のチャンバに含まれる液体の作動媒体を加熱することによって、上記第1のチャンバと第2のチャンバとの間の連通ダクトを介した、アセンブリの第1のチャンバから第2のチャンバへの、液状または蒸気状態いずれかでの作動媒体の移送を誘導するように構成されており、
装置はさらに、少なくとも1つのチャンバ内および/または連通ダクト内に配置され、装置を通って移動する作動媒体のエネルギーを電力出力に変換するように構成された、少なくとも1つのエネルギー変換デバイスを備え、
上記エネルギー変換デバイスは、作動媒体と直接接触するように配置されている少なくとも1つの磁気素子を含む。
【0011】
本発明は、1つのチャンバから次のチャンバにアセンブリを通って移動する作動媒体のエネルギーを収集し、変換するという発見に基づいている。最初に第1のチャンバに収容された作動媒体は、第1のチャンバを加熱することによって次の第2のチャンバに移動するように誘導される。
【0012】
作動媒体は、液状または蒸気状態で、好ましくは相転移なしで、より好ましくは液状で、1つのチャンバから別のチャンバに移動する。
【0013】
一般的な第1のチャンバから第2のチャンバへの作動媒体の通過は、加熱の結果として、第1のチャンバ内に形成された蒸気の圧力によって誘導され得る。したがって、圧力によって、液体は、第1のチャンバから押し出されて第2のチャンバに向かってそれらの間の連通ダクトを介して送られる。
【0014】
上記のプロセスを容易にするために、アセンブリは真空状態に保たれ、それにより、第1のチャンバ内の液体媒体を蒸発させ、液体をチャンバから排出して、連通ダクトに通して第2のチャンバに送る圧力を確立するのに、比較的小さな熱入力で十分となる。いわゆるフランクリンの測温器(Franklin's Thermoscope)でも同様の原理を観察することができる。本発明は、この原理を使用して、1つのチャンバから別のチャンバに変位される作動媒体、好ましくは液体に含まれるエネルギーを活用することによってエネルギーを生産する。
【0015】
本発明の1つの特徴は、少なくとも1つの磁気素子を含むエネルギー変換デバイスを使用することである。上記少なくとも1つの磁気素子は作動媒体と直接接触し、一方で作動媒体は1つのチャンバから別のチャンバに移送される。本発明の装置は、作動媒体の推力下で回転および/または並進するように配置された1つまたは複数の磁気素子を含み得る。(1つまたは複数の)磁気素子の回転または並進は、適切なコイルまたはソレノイドによって電力に変換される。以下で説明されるように、磁気素子とコイル/ソレノイドとの間の相互作用によって、密閉された環境に含まれる作動媒体からエネルギーを収集することが可能になる。
【0016】
発明の詳細な説明
アセンブリ、特に作動媒体回路は、真空下で維持される。密閉されたチャンバ内で生成される真空度が高くなるほど、同じチャンバ内に含まれる液体がその沸騰プロセスを開始する温度は低くなる。本発明は、この原理を利用して、作動媒体を蒸発させるために必要とされる熱入力を低減する。
【0017】
作動媒体は、純粋な液体または液体混合物であり、好ましくは水の沸点よりも低い沸点を有する。たとえば、エチルアルコールまたは液体エーテルを作動媒体として使用することができる。
【0018】
適切な真空度および採用される液体の種類は、任意の装置の環境条件、すなわち高度および/または外部の周囲温度に応じて選択され得る。
【0019】
アセンブリ内のチャンバおよび連通ダクトの数はさまざまであり得る。2つのチャンバおよびそれらの間の1つの連通ダクトを備えた単純な実施形態が可能である。他の実施形態は、より多くの数のチャンバおよび/またはチャンバ間の連通ダクトを含んでもよい。特に、各々の対のチャンバは1つまたは複数の連通ダクトによって接続され得る。いくつかの実施形態では、2つの隣接するチャンバが単一のダクトによって収集され得る。他の実施形態では、隣接するチャンバが2つまたはそれ以上のダクトによって接続されてもよい。複数の接続ダクトが設けられる場合、1つまたは複数のダクトが、戻りダクトとして作用して、作動媒体の連続循環をもたらす。
【0020】
実施形態では、アセンブリは、連通ダクトの1つまたは複数がチャンバの2つまたは3つ以上に対する接続素子および/または構造支持素子として作用するように構成されている。
【0021】
実施形態では、アセンブリは、第1のチャンバから連通ダクトを通って流出された作動媒体が、同じ連通ダクトまたは別の連通ダクトのいずれかを通って同じ第1のチャンバに戻るように構成されている。
【0022】
アセンブリはチャンバのシーケンスを形成する3つ以上のチャンバを含み得、作動媒体はチャンバを通って移送される。各移送は、第1のチャンバまたは開始チャンバからシーケンス内で第1のチャンバに隣接する第2のチャンバまたは指定先チャンバへの作動媒体の移送とみなすことができ、作動媒体の移送は開始チャンバの加熱の結果として操作される。
【0023】
本発明の興味深い実施形態では、チャンバのシーケンスは閉回路を形成し、作動媒体が閉回路のチャンバのシーケンスを横断する間にプロセスが周期的に実施される。したがって、たとえば、作動媒体が、第1のチャンバからプロセスを開始し、アセンブリ内のいくつかのチャンバを通過した後に、同じ第1のチャンバに戻り得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、チャンバおよび/または連通ダクトに関連して適切な障壁が提供され、上記障壁は、1つのチャンバから前のチャンバへの作動媒体の逆流を防止するように動作する。したがって、これは、作動媒体が開始チャンバからアセンブリ内の指定先チャンバを通る適切な方向に追従するように提供されている。
【0025】
アセンブリのエネルギー変換デバイスは、回転式磁気素子および/または変位可能な磁気素子を備え得る。回転式磁気素子は、軸を中心に回転するように配置された素子である。変位可能な磁気素子は、たとえば、チャンバ間および接続ダクトを通って、アセンブリを通って移動するように配置されている。エネルギー変換デバイスは、回転式素子と変位可能な素子の任意の組み合わせを含み得る。
【0026】
アセンブリのエネルギー変換デバイスは、磁気素子と誘導結合された少なくとも1つのコイルまたはソレノイドをさらに含み、少なくとも1つのコイルまたはソレノイドは、コイルまたはソレノイドに対する磁気素子の回転または変位によってコイルまたはソレノイドにおいて電流が誘導されるように配置されている。
【0027】
実施形態では、上記エネルギー変換デバイスは少なくとも回転式磁気素子を含み、上記回転式磁気素子は、上記作動媒体が1つのチャンバから別のチャンバに変位されるときに上記作動媒体の推力下で回転するように配置されている。上記回転式磁気素子の好ましいが排他的でない形状は、螺旋形状で構成される。
【0028】
(1つまたは複数の)上記回転式磁気素子は、回転式バーまたは静止したバーによって支持され得、上記バーは、好ましくは連通ダクトの内部にある。より好ましくは、上記バーの軸は、上記連通ダクトの長手方向軸と平行である。回転式バーの場合、回転式磁気素子はバーに固定され得、それにより、回転式バーおよび磁気素子のアセンブリは回転ネジを形成する。固定式バーの場合、回転式磁気素子は、たとえば適切なベアリングに取り付けられて、バーを中心に回転し得る。
【0029】
実施形態では、装置は、回転式磁気素子を支持するための複数の回転式バーを含み、少なくとも1つの第1の回転式バーは、上記1つまたは複数の第2の回転式バーの回転速度を増加させるような方法で1つまたは複数の第2の回転式バーに接続される。回転式バーは、回転速度を増加させるために適切な伝達手段によって接続され得る。
【0030】
上記エネルギー変換デバイスは、回転式磁気素子と誘導結合された少なくとも1つのコイルまたはソレノイドを含み得、それにより、回転式磁気素子の回転、およびしたがって、その磁極の回転によって、コイルまたはソレノイドにおいて電流が誘導される。
【0031】
特に好ましくは、コイルまたはソレノイドは、回転式磁気素子が内部で回転するように配される筐体に隣接する位置、好ましくは筐体に巻き付けられた位置に配置され得る。代替的に、コイルまたはソレノイド自体が、回転式磁気素子が内部で回転するように配される筐体を構成する。たとえば、コイルは、2つのチャンバ間で連通ダクトを構造的に構成し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、エネルギー変換デバイスは、作動媒体によって連通ダクトを通って1つのチャンバから別のチャンバに変位されるように配置された少なくとも1つの変位可能な磁石を含む。好ましくは、装置は、チャンバを通って移動するときに上記変位可能な磁石をガイドし、上記磁石がチャンバ内に落ちるのを防止するようにチャンバ内に配置された、好ましくはグリッドケーシングの形態の少なくとも1つのデバイスを含む。好ましくは、装置の各チャンバ内に適切なグリッドケーシングが設けられる。
【0033】
必要に応じて、本発明のアセンブリの一部またはすべての部分が異なる方法で巻き付けられ得る。上記部分の1つまたは複数は、1つまたは複数のソレノイドによって、またはコイルとソレノイドによって一緒に巻き付けられ得るが、上記部分の一部は、上記コイルおよび/または(1つまたは複数の)ソレノイド自体によって形成される他、上記部分の一部は、巻き付けなしで形成されてもよい。
【0034】
変位可能な磁石は、装置内を別々に移動してもよいし、または単一の変位可能な素子を形成するために、場合によってはそれらの間に適切なスペーサを有して、互いに接合されてもよい。
【0035】
特に好ましくは、変位可能な磁石は、装置を通って移動するときに、磁石の各極が同じ極性の先行するまたは後続する磁石の極に対向するように配置される。
【0036】
上記エネルギー変換デバイスは、少なくとも1つのコイルまたはソレノイドと、コイルまたはソレノイドに対して回転または移動するように配置された少なくとも1つの磁気素子と、を含み得、したがって、コイルまたはソレノイド内の可変磁場と誘導起電力とを提供する。
【0037】
実施形態では、上記磁気素子は永久磁石を含む。
【0038】
(1つまたは複数の)上記連通ダクトは、好ましくは導電性金属で作られる。
【0039】
実施形態は少なくとも1つの連通ダクトを含み、コイルまたはソレノイドはダクトの周りに巻き付けられるか、またはコイルまたはソレノイドは連通ダクトを構成する。
【0040】
実施形態は複数のコイルまたはソレノイドを含み、コイルまたはソレノイドの少なくとも一部は互いに電気的に接続されている。
【0041】
本発明は、ここで、そのさまざまな実施形態を参照してさらに説明される。
【0042】
さまざまな実施形態では、連通ダクトはチューブの形状であり得る。上記チューブは上記対向するチャンバの空洞と連通し、上記チューブは適切な長さおよび直径を有している。
【0043】
集合体全体は液体および気体で密封されている。
【0044】
液体は、密封前に前述の集合体内に挿入され、好ましくは第1のチャンバ内に集められる。液体の容積は、液体が前述の連通チューブ内を1つのチャンバから第1のチャンバと連通する別のチャンバに自由に流れることができるような大きさで、集合体の内部容積全体よりも小さくなる。
【0045】
上記液体の沸騰プロセスを開始させて、結果として、上記第1のチャンバからの上記連通チューブを通る排出経路を発見するために要求される加熱エネルギーが最小限になるような程度まで、密封前に上記集合体内部に適切な真空度が提供される。特に、熱入力は、本発明のアセンブリの外部の通常の周囲条件で沸騰を誘導するために必要な熱入力よりも低い。
【0046】
真空度を提供することと、水の沸点よりも低い沸点を有する液体を選択することの両方は、好適に組み合わせて採用され得る。
【0047】
上記の条件に合致した後、第1のチャンバに収集される液体に、その液体が沸騰を開始するように誘導する程度まで、加熱が適用される。
【0048】
上記したように、上記第1のチャンバから出発する、および上記第1のチャンバを反対側の連通チャンバと連通させる、チューブの形態のダクトを設けることによって、上記液体は、上記チューブダクトを通ってその排出経路を発見して、反対側の連通チャンバに集まる。
【0049】
上記チャンバに対する上記チューブダクトの位置に応じて、上記液体は、その液体粘稠度を維持したままその排出を発見するか、または加熱下で液体が蒸気粘稠度を受け、反対側のチャンバに収集されると、凝縮により再び液体になる。
【0050】
好ましい実施形態では、上記連通チューブダクトは、加熱の結果として、上記液体が、その液状を維持しながら第1のチャンバから次のチャンバに変位するように、チャンバ壁の下部に位置づけられる。
【0051】
上記液体が上記連通チューブダクトを通って反対側の連通チャンバに集まると、上記液体が上記反対側の連通チャンバからのさらなる排出を発見するようにさせられるような程度まで、上記液体に再び加熱を適用することができる。このようにして、1つのチャンバおよび連通チャンバに連続的に加熱を適用することによって、上記液体の連続的な変位が開始される。
【0052】
実施形態では、アセンブリは、2つの対向するチャンバによって構成され、液体が上記反対側の連通チャンバに収集された後に再び加熱されると、さらに排出されないが、上記第1のチャンバに戻って収集されるように構築される。この目的のために戻り接続チューブダクトが提供され得る。
【0053】
(1つまたは複数の)上記コイルおよび/またはソレノイドは、上記アセンブリの(1つまたは複数の)部分に隣接した位置に配置され得、好ましくはその部分に巻き付けら得、上記アセンブリ内で(1つまたは複数の)回転式磁気素子が回転するように誘導される。このような場合、(1つまたは複数の)上記部分は導電性金属で好適に作られる。
【0054】
代替的に、(1つまたは複数の)上記コイルおよび/またはソレノイド自体は、それら自体が集合体部分の一部を構成するような密接な相互近接性で形作られ、ねじられ、位置づけられ、集合体部分内で(1つまたは複数の)上記磁気素子が回転するように誘導される。
【0055】
上記チャンバおよびチューブダクトが閉回路を構成する場合、誘導電気は、任意の(1つまたは複数の)コイルおよび/またはソレノイドから蓄積され、最終的な出力量を生み出し得る。
【0056】
変位可能な磁石および2つのみの対向するチャンバが連通チューブダクトによって連通する実施形態では、(1つまたは複数の)磁石は、第1のチャンバから出発する第2のチャンバへの移動および上記第1のチャンバに戻る移動の交互の移動を行うように誘導される。このような場合、(1つまたは複数の)コイルまたはソレノイドの内部で生成される誘導電気は交流になる。
【0057】
実施形態では、上記チャンバの1つから出発する(1つまたは複数の)上記磁気素子は、連通チューブダクトを出ることによって次の連通チャンバに入る。これにより、レンツの法則に従って、次の磁気素子の進入を妨げる、チューブダクト内の磁場の生成を回避することが可能になる。このようにして、(1つまたは複数の)コイルまたはソレノイドにおける一定の誘導電荷を確かなものとするように、永久磁石の流動を順次実施することができる。
【0058】
回転式磁気素子と流動式磁気素子の両方の採用に関して、(1つまたは複数の)上記可動磁気素子の移動の速度が速く、(1つまたは複数の)コイルまたはソレノイドを形成する螺旋の数が多いほど、誘導電気の量は多くなる。
【0059】
最初のチャンバが外部ソースによって加熱されると、1つのチャンバから別のチャンバに移動する作動媒体がわずかな熱しか失わないため、後続するチャンバを加熱するために必要なエネルギーは、最初に使用したエネルギーよりもはるかに低くなることが留意されるべきである。
【0060】
また、装置は、装置のチャンバの加熱を最初から繰り返すために、装置から出力される最終的な電気エネルギーの一部を利用することによって、部分的に自己給電することが可能である。
【0061】
好適には、回転式磁気素子と流動式磁気素子の両方が受ける加熱度は、上記素子がその磁荷を失う温度よりも高くならないものとする。いずれにしても、温度は上記磁気素子に相対するキュリー点に達しないことが望ましい。
【0062】
特別なケースまたはプラントの経年劣化により上記素子が磁荷を失った場合、上記素子は既知の手段を用いて再磁化プロセスを受ける。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】二重チャンバ構成を備えた本発明の実施形態による電力を生成するための装置の概略図である。
【
図2】閉回路構成を備えた本発明の実施形態による
図1の電力を生成するための装置の概略図である。
【
図3】複数チャンバ構成を備えた本発明の実施形態による電力を生成するための装置の概略図である。
【
図4】閉回路構成を備えた本発明の実施形態による、および複数チャンバ構成による、電力を生成するための装置の概略図である。
【
図5】実施形態a)~c)において、
図1、3、および4の構成にソレノイドを追加で設けた、電力を生成するための一連の装置を表す。
【
図6】本発明の実施形態による電力を生成するための装置の詳細図である。
【
図7】本発明の代替実施形態による電力を生成するための装置の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1の実施形態では、電力を生成するための装置は、ダクト4によって互いの間で連通する第1のチャンバ2および第2のチャンバ3を含む密閉アセンブリ1を含むことが示されている。連通ダクトはチューブの形態であり、作動液体5が上記第1のチャンバ2内に封入されていることが留意され得る。
【0065】
装置は、上記連通ダクト4を介する上記第1のチャンバ2から上記第2のチャンバ3への上記作動媒体5の移送を促進するように上記作動媒体に熱を提供する一方で、たとえば連通ダクト4に沿って配置され得る、図示されないエネルギー変換デバイスによって作動媒体のエネルギーを電力に変換することによって作動する。液体5が第2のチャンバ3に収集されると、上記第2のチャンバ3は加熱されて、液体5を第1のチャンバ2に移送して戻し得る。当該プロセスは周期的に繰り返すことができる。
【0066】
図2は、装置の第1のチャンバ2が、上述の連通ダクト4によって、および別の戻りダクト14によって、第2のチャンバ3と流体連通していることを示している。
【0067】
アセンブリ1には、連通ダクト4および戻りダクト14に接続されている2つの障壁15も設けられている。上記障壁15は、1つのチャンバから先行するチャンバへの作動媒体5の逆流を防止するように配置されている。
【0068】
図2の実施形態によれば、第1のチャンバ2は、加熱されて、作動媒体5を第2のチャンバ3に移送する一方で、電力を生成する。その後、第2のチャンバ3は加熱されて、作動媒体5を戻りダクト14を介して第1のチャンバ2に移送して戻す。当該プロセスは周期的に繰り返され、それによって、継続的に電力が生産される。
【0069】
図3には、複数のチャンバ2、3、8、および9が設けられた電力を生成するための装置が示されている。各チャンバは、連通ダクト4を介して別のチャンバから分離されている。各連通ダクト4には、液体の逆流を防止するための障壁15が設けられている。チューブ4の最後の部分は、集合体全体が密閉されていることを前提として、図中のXで示される最後のチャンバまで、無制限の数の追加のチャンバを採用する可能性を示している。
【0070】
本実施形態では、まず第1のチャンバ2に順次加熱を行い、作動流体5を第2のチャンバ3に送り込みながら電力を発生させる。その後、第2のチャンバ3に熱を供給して、作動流体5を第3のチャンバ8に移送させながら電力を発生させるというプロセスが繰り返される。当該プロセスは、順次残りのチャンバ9および考えられ得る続くチャンバで再度繰り返される。
図1におけるように、液体5は、チャンバを適切な順序で加熱することによって移送して戻すことができる。
【0071】
図4は、
図3の実施形態の変形例を示しており、複数のチャンバが閉回路構成で配置されている。
図2におけるように、チャンバを適切な順序で加熱することによって、液体5はアセンブリ内を連続的に循環することができる。
【0072】
図4は、各々の隣接する対のチャンバを接続するための1つのダクト4を例示しているが、他の実施形態では、隣接するチャンバ間に1つを超えるダクトが設けられてもよいことが留意される必要がある。
【0073】
図5は、実施形態a)、b)、またはc)を例示しており、連通ダクト4にはソレノイド16が巻き付けられている。上記ソレノイド16は、ダクト4内の回転式磁気素子および/または移動式磁気素子との相互作用により電力を生成することができる。電力が、移動式磁石または回転式磁石とコイルまたはソレノイドとの相互作用を介してアセンブリの内部から外部に移送されることが留意されるべきである。
【0074】
図6は、ダクト4内/ダクト4上に配置されたエネルギー変換デバイス6の好ましい実施形態を例示している。
【0075】
本実施形態のエネルギー変換デバイス6は、バー17によって支持された螺旋状のブレード26を含む回転式磁気素子7と誘導結合されたソレノイド16を含む。上記バー17は、回転式バーまたは固定式バーのいずれかであり得る。
【0076】
各ブレード26は、磁極25を有し、回転式バー17と一体化するか、または同じバーを中心に回転することができる。バー17は、連通ダクト4の長手方向軸18と平行な軸を備えている。
【0077】
作動媒体5が1つのチャンバから別のチャンバに変位されるときのその推力によって、ソレノイド16に相対する磁気素子7の回転が誘導される。回転式磁気素子7の上記回転、およびしたがってその磁極25の回転によって、ソレノイド16において電流が誘導される。
【0078】
誘導結合のおかげで、ダクトを通過する接続手段を必要とせずに、電力が、ダクト4内の磁気素子7からダクト外のソレノイド16に非接触で移送されることが留意されるべきである。
【0079】
図7は、代替実施形態を例示しており、磁気素子は変位可能な磁気素子19である。
【0080】
変位可能な磁気素子19は、たとえば、チャンバ間および接続ダクトを通って、アセンブリを通って移動するように配置されている。したがって、上記素子19の変位によって電力が誘導される。
【0081】
図中では、装置は、チャンバを通って移動するときに上記変位可能な磁気素子19をガイドし、上記磁石19がチャンバ内に落ちるのを防止するように上記チャンバ内に配置されたグリッドケーシング20を含むことが留意され得る。複数のチャンバが設けられる場合、当該装置の各チャンバには、それぞれのグリッドケーシング20が設けられ得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の生成のための装置であって、前記装置が、
少なくとも2つのチャンバ(2、3)および連通ダクト(4)を含む密閉アセンブリ(1)であって、前記連通ダクト(4)が前記2つのチャンバ(2、3)間の流体連通を提供するように配置されている、密閉アセンブリ(1)と、
前記チャンバ(2、3)の少なくとも1つに含まれる液状の作動媒体(5)と
を含み、
前記密閉アセンブリ(1)内の液体の作動媒体(5)の沸騰温度が、大気圧での同じ液体の沸騰温度よりも低くなるように、前記密閉アセンブリ(1)内に真空状態が提供され、
液体の前記作動媒体(5)の容積が、アセンブリ全体の内部容量よりも小さく、
前記装置が、前記密閉アセンブリの第1のチャンバ(2)に含まれる液体の前記作動媒体(5)を加熱することによって、前記第1のチャンバ(2)と第2のチャンバ(3)との間の連通ダクト(4)を介した、前記密閉アセンブリの前記第1のチャンバ(2)から前記第2のチャンバ(3)への、液状または蒸気状態いずれかでの前記作動媒体(5)の移送を誘導するように構成されており、
前記装置がさらに、前記少なくとも2つのチャンバ(2、3)のうちの少なくとも1つのチャンバ内および/または前記連通ダクト(4)内に配置され、前記装置を通って移動する前記作動媒体(5)のエネルギーを電力出力に変換するように構成された、少なくとも1つのエネルギー変換デバイス(6)を備え、
前記エネルギー変換デバイスが、作動媒体と直接接触するように配置されている少なくとも1つの磁気素子(7、19)を含
み、
前記密閉アセンブリ(1)が、チャンバのシーケンスを形成する3つ以上のチャンバを含み、前記作動媒体(5)が、複数の移送工程によってチャンバを通って移送され、各工程は、第1のチャンバから、前記シーケンス内で前記第1のチャンバに隣接する第2のチャンバへの移送であり、前記作動媒体(5)の移送が、前記装置のチャンバのいずれかの加熱の結果として行われ、
前記チャンバのシーケンスが閉回路を形成し、前記作動媒体(5)が前記閉回路のチャンバのシーケンスを横断する間にプロセスが周期的に実施される、装置。
【請求項2】
前記作動媒体(5)が、純粋な液体または液体混合物であり、水の沸点よりも低い沸点を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記密閉アセンブリ(1)は、1つまたは複数の前記連通ダクト(4)が、2つまたは3つ以上のチャンバ(2、3、8~13)に対する接続素子および/または構造支持素子として作用するように構成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記密閉アセンブリ(1)は、前記第1のチャンバ(2)から連通ダクト(4)を通って流出された前記作動媒体(5)が、同じ連通ダクト(4)または別の連通ダクト(14)のいずれかを介して同じ第1のチャンバ(2)に戻るように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
チャンバおよび/または連通ダクト(4)に関連して1つまたは複数の障壁(15)が設けられ、前記障壁(15)が、1つのチャンバから前のチャンバへの前記作動媒体(5)の逆流を防止するように動作する、請求項1~
4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記エネルギー変換デバイスが、
少なくとも1つの回転式磁気素子(7)または変位可能な磁気素子(19)と、
前記磁気素子と誘導結合された少なくとも1つのコイルまたはソレノイド(16)であって、前記磁気素子(7、19)の回転または変位によって前記少なくとも1つのコイルまたはソレノイド(16)において電流が誘導されるように配置されている、少なくとも1つのコイルまたはソレノイド(16)と
を含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記エネルギー変換デバイスが少なくとも1つの回転式磁気素子(7)を含み、前記回転式磁気素子(7)が、前記作動媒体(5)が1つのチャンバから別のチャンバに変位されるときに前記作動媒体(5)の推力下で回転するように配置されている、請求項1~
6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記回転式磁気素子(7)がバー(17)によって支持され、前記バー(17)が好ましくは連通ダクト(4)内にあり、前記バーの軸が好ましくは前記連通ダクトの長手方向軸(18)に平行であり、前記バー(17)が、前記作動媒体の推力下で前記回転式磁気素子(7)によって引っ張られる回転式バーであるか、または前記バー(17)が、前記回転式磁気素子(7)が前記バーを中心に回転する間に、静止したバーである、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、回転式磁気素子を支持するための複数の回転式バーを含み、少なくとも1つの第1の回転式バーが、1つまたは複数の第2の回転式バーの回転速度を増加させるような方法で前記1つまたは複数の第2の回転式バーに接続される、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
コイルまたはソレノイド(16)が、前記回転式磁気素子(7)が内部で回転するように配される筐体に隣接する位置、好ましくは前記筐体に巻き付けられた位置に配置されている、または
コイルまたはソレノイド(16)自体が、前記回転式磁気素子の回転によって前記コイルまたはソレノイド(16)において電流を生成するように、前記回転式磁気素子が内部で回転するように配される筐体を構成する、請求項
8または
9に記載の装置。
【請求項11】
前記エネルギー変換デバイス(6)が、前記作動媒体(5)によって連通ダクト(4)を通って1つのチャンバから別のチャンバに変位されるように配置された少なくとも1つの変位可能な磁石(19)を含み、前記装置がさらに、チャンバを通って移動するときに前記変位可能な磁石(19)をガイドし、前記磁石がチャンバ内に落ちるのを防止するように前記チャンバ内に配置された、好ましくはグリッドケーシング(20)の形態の、少なくとも1つのデバイスを含む、請求項1~
10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、単一の変位可能な素子を形成するために、場合によっては複数の変位可能な磁石(19)の間にスペーサ素子を有して、互いに接合された、複数の変位可能な磁石(19)を含む、請求項
11に記載の装置。
【請求項13】
変位可能な磁石(19)は、前記装置を通って移動するときに、磁石の各極(25)が同じ極性の先行するまたは後続する磁石の極に対向するように配置される、請求項
11または
12に記載の装置。
【請求項14】
前記エネルギー変換デバイスが、少なくとも1つのコイルまたはソレノイド(16)と、前記コイルまたはソレノイド(16)に対して回転または移動するように配置された少なくとも1つの磁気素子(7、19)と、を含み、前記コイルまたはソレノイド(16)内の可変磁場と誘導起電力とを提供する、請求項1~
13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記磁気素子(7、19)が永久磁石を含む、請求項1~
14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
1つまたは複数の連通ダクト(4)が導電性金属で作られている、請求項1~
15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記装置が、少なくとも1つの連通ダクト(4)を含み、コイルまたはソレノイド(16)が前記ダクトの周りに巻き付けられるか、またはコイルまたはソレノイドが前記連通ダクト(4)を構成する、請求項1~
16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記装置が、複数のコイルまたはソレノイド(16)を含み、コイルまたはソレノイドの少なくとも一部が互いに電気的に接続されている、請求項1~
17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
回転可能な磁気素子(7)と変位可能な磁石(19)との組み合わせを含む、請求項1~
18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
電力の生産のためのプロセスであって、前記プロセスが、
密閉アセンブリ(1)を
有する、請求項1~19のいずれか1項に記載の装置を提供する工
程と、
前記密閉アセンブリの前記チャンバ(2、3)の少なくとも1つに含まれる液状の作動媒体(5)を提供する工程と、
前記密閉アセンブリ内の液体の作動媒体(5)の沸騰温度が、大気圧での同じ液体の沸騰温度よりも低くなるように、前記密閉アセンブリ(1)内に真空状態を形成する工程と、
前記密閉アセンブリの第1のチャンバ(2)に含まれる液体の前記作動媒体(5)を加熱する工程であって、それにより、前記第1のチャンバ(2)と第2のチャンバ(3)との間の連通ダクト(4)を介した、前記密閉アセンブリ(1)の前記第1のチャンバ(2)から前記第2のチャンバ(3)への前記作動媒体の移送を誘導する、工程と、
前記チャンバ(2、3)の少なくとも1つおよび/または前記連通ダクト(4)内に配置された少なくとも1つのエネルギー変換デバイス(6)によって、装置を通って移動する前記作動媒体のエネルギーを電力出力に変換する工程であって、前記エネルギー変換デバイス(6)が、前記作動媒体と直接接触するように配置された少なくとも1つの磁気素子(7、19)を含む、工程と
を含み、
前記作動媒体(5)が、液状または気体状態で前記第1のチャンバ(2)から前記第2のチャンバ(3)に移送される、プロセス。
【請求項21】
前記プロセス中に、前記作動媒体(5)が、減磁を回避するために前記エネルギー変換デバイス(6)の任意の磁気素子のキュリー点よりも低い温度を有する、請求項
20に記載のプロセス。
【国際調査報告】