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特表2024-536629ハイブリッド固体電解質及びバッテリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ハイブリッド固体電解質及びバッテリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/056 20100101AFI20240927BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240927BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M10/056
H01M10/052
H01M10/058
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544354
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 NL2022050545
(87)【国際公開番号】W WO2023055234
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】2029311
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2029308
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524124101
【氏名又は名称】リオンフォルト ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウニクリシュナン、サンディープ
(72)【発明者】
【氏名】フィッセル、イェルメル ヤーコプ
(72)【発明者】
【氏名】アノスマククール、ビハグ
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ02
5H029AJ03
5H029AJ11
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AL12
5H029AM12
5H029AM16
5H029CJ05
5H029CJ13
5H029DJ16
5H029HJ05
5H029HJ20
(57)【要約】
本開示の態様は、金属イオンバッテリ、ハイブリッド固体電解質(4)層、及び製造方法に関する。バッテリは、アノード、カソード、及びハイブリッド固体電解質(4)を含む。ハイブリッド固体電解質は、ポリマー母材(5)、金属塩(6)、並びに少なくとも第1及び第2の分散された充填剤材料を含む。第1の充填剤材料は、無機高k誘電体粒子(8)を含む。第2の充填剤材料は、固体状態電解質粒子(9)を含む。ハイブリッド固体電解質(4)のアノード側(4a)の不動態層(L2)は、アノードから充填剤を保護し、固体電解質界面の形成を容易にし、及び/又はアノード用の湿潤若しくは接着層として作用する。セラミック中間層(L3)は、不動態層(L2)を、ハイブリッド固体電解質(4)の残りの部分から分離する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード(2)と、カソード(3)と、前記アノード(2)及び前記カソード(3)の間のハイブリッド固体電解質(4)と、を含む、金属イオンバッテリ(1)であって、前記ハイブリッド固体電解質(4)は、
ポリマー母材(5)、前記ポリマー母材(5)中に分散された金属塩(6)、及び電気絶縁性無機充填剤粒子を含む、拡散層(L1)と、
固体電解質界面(SEI)の形成を容易にし且つ前記アノード(2)用の湿潤又は接着層として作用する、前記ハイブリッド固体電解質(4)のアノード側にある不動態層(L2)と、
前記不動態層(L2)と前記ハイブリッド固体電解質(4)の残りの部分との間に本質的に閉鎖したコーティングを形成する、セラミック中間層(L3)と、
を含む、層の積層体として形成され、
前記無機充填剤粒子が、無機高k誘電体粒子(8)及び固体状態電解質粒子(9)を含む、
金属イオンバッテリ(1)。
【請求項2】
前記ハイブリッド固体電解質(4)のカソード側に、前記カソード及び/又はカソード液組成物(12)から前記無機充填剤粒子及び/又は前記ポリマー母材を遮蔽するため、遮蔽層(L0)を含む、請求項1に記載の金属イオンバッテリ(1)。
【請求項3】
前記無機高k誘電体粒子(8)及び前記固体状態電解質粒子(9)の少なくとも1種又は複数が、アスペクト比>5で細長く成形される、請求項1又は2に記載の金属イオンバッテリ(1)。
【請求項4】
前記無機高k誘電体粒子(8)及び前記固体状態電解質粒子(9)の少なくとも1種又は複数、好ましくは少なくとも前記高k誘電体粒子が、繊維状である、請求項3に記載の金属イオンバッテリ(1)。
【請求項5】
前記細長く成形された無機高k誘電体粒子(8)及び/又は前記固体状態電解質粒子(9)が、主として前記アノード(2)と前記カソード(3)との間の主方向に沿って配向する、請求項3に記載の金属イオンバッテリ(1)。
【請求項6】
前記無機充填剤粒子が、前記ポリマー母材(5)の対向面(4a、4c)間に、イオン伝導用の浸出経路(P)を形成する、請求項1に記載の金属イオンバッテリ(1)。
【請求項7】
前記高k誘電体粒子(8)が、誘電定数≧100を有する、請求項1に記載の金属イオンバッテリ(1)。
【請求項8】
前記拡散層が、前記固体状態電解質粒子(9)を閉じ込める第1の層(L1.1)と、前記誘電体粒子(8)の少なくとも一部を含む第2の層(L1.2)と、を含む積層体として構成され、それによって前記第2の層(L1.2)は前記アノード(2)に面する、請求項1に記載の金属イオンバッテリ(1)。
【請求項9】
前記無機充填剤粒子の1種又は複数が、金属イオン伝導性官能末端基を含むコーティングを含む、請求項1に記載の金属イオンバッテリ(1)。
【請求項10】
前記固体状態電解質粒子(9)が、リチウムイオン伝導性組成物又はその組合せを含む、請求項1に記載の金属イオンバッテリ(1)。
【請求項11】
ポリマー母材(5)、前記ポリマー母材(5)中に分散された金属塩(6)、及び電気絶縁性無機充填剤粒子を含む、拡散層(L1)と、
固体電解質界面(SEI)の形成を容易にし且つアノード(2)用の湿潤又は接着層として作用する、ハイブリッド固体電解質(4)のアノード側にある不動態層(L2)と、
前記不動態層(L2)と前記ハイブリッド固体電解質(4)の残りの部分との間に本質的に閉鎖したコーティングを形成する、セラミック中間層(L3)と、
を含む、層の積層体として形成され、
前記無機充填剤粒子が、無機高k誘電体粒子(8)及び固体状態電解質粒子(9)を含む、ハイブリッド固体電解質。
【請求項12】
前記ハイブリッド固体電解質(4)のカソード側に、前記カソード及び/又はカソード液組成物(12)から前記無機充填剤粒子及び/又は前記ポリマー母材を遮蔽するため、遮蔽層(L0)を更に含む、請求項11に記載のハイブリッド固体電解質。
【請求項13】
アノード、カソード、並びに前記アノードと前記カソードとの間のハイブリッド固体電解質を提供する工程を含み、
前記ハイブリッド固体電解質(4)を提供する工程(103)が、
ポリマー母材(5)、前記ポリマー母材(5)中に分散された金属塩(6)、及び電気絶縁性無機充填剤粒子を含む、拡散層(L1)と、
固体電解質界面(SEI)の形成を容易にし且つ前記アノード(2)用の湿潤又は接着層として作用する、前記ハイブリッド固体電解質(4)のアノード側にある不動態層(L2)と、
前記不動態層(L2)と前記ハイブリッド固体電解質(4)の残りの部分との間に本質的に閉鎖したコーティングを形成する、セラミック中間層(L3)と、
を含む、層の積層体を形成する工程を含み、
前記無機充填剤粒子が、無機高k誘電体粒子(8)及び固体状態電解質粒子(9)を含む、
金属イオンバッテリを製造する方法。
【請求項14】
前記ハイブリッド固体電解質(4)に、金属塩(6)を含む液体組成物を含浸させる工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記固体状態電解質粒子(9)及び/又は前記高k誘電体粒子(8)が、浸出閾値よりも高い値の量で提供される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記無機高k誘電体粒子(8)及び前記固体状態電解質粒子(9)の少なくとも1種又は複数が、それに対応する前駆体組成物をエレクトロスピニングすることによって形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ハイブリッド固体電解質(4)を提供する工程(103)が、
前記ポリマー母材(5)及び/又はその前駆体(5p)を更に含む担体中に前記固体状態電解質粒子(9)を含む分配層を形成する、分配する工程(104)、その後の、前記ポリマー母材(5)及び/又は前記その前駆体を凝固する工程(105)を含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項18】
電磁場で前記固体状態電解質繊維(9)を整列させる工程(106)を含み、前記電磁場は、前記分配層に垂直に配向する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記分配層が、前記誘電体粒子(8)を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
分配する工程が、溶融流延及び/又は溶融押出しを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記ハイブリッド固体電解質(4)を提供する工程(103)が、
前記無機高k誘電体粒子(8)及び前記固体状態電解質粒子(9)の1種又は複数の繊維を含む乾燥多孔質構造を発生させる工程と、
前記乾燥多孔質構造に、前記ポリマー母材及び/又はその前駆体を含む組成物を含浸させ、その後、前記ポリマー母材及び/又は前記その前駆体を凝固する工程と
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記乾燥多孔質構造を発生させる工程が、堆積ノズルから担体上に、前記固体状態電解質粒子及び/又は前記高k誘電体粒子に前駆体を排出する、好ましくはエレクトロスピニングする工程を含むプロセスで形成され、それによって、前記担体に対する前記ノズルの側方変位速度は、前記ノズルからの繊維の堆積速度よりも小さい、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッド固体電解質を含むバッテリ、好ましくは金属イオンバッテリに関する。特に、ハイブリッド固体電解質中に分散した少なくとも第1及び第2の充填剤材料を含む、ハイブリッド固体電解質に関する。本開示は更に、バッテリを製造する方法及びハイブリッド固体電解質に関する。
【背景技術】
【0002】
金属イオンバッテリ、特にリチウムイオンバッテリは、例えば車両の電化及びクリーンな再生可能エネルギーの貯蔵による世界的なエネルギーシフトにおいて、潜在的に極めて重要な役割を演じることができる。リチウムバッテリセルのバッテリの安全性、容量、及び電力密度の改善は、積極的に追及される話題のままである。高容量リチウム金属を持つリチウム金属アノードを有するバッテリへの移行は、容量を改善することができる。しかしながらリチウム金属アノードのサイクル寿命は、液体電解質中でのバッテリの充電中のリチウムの多孔度及び樹状形成の結果、不十分である。
【0003】
中国特許出願公開第107665966号明細書は、片面のポリマー母材中に15%以上75%以下の無機固形分(例えば、BTO)のコーティングを含み、且つ無機コーティング上及びセパレータの他方の面上にPVDF層を含む、コーティングタイプによる商用ポリマーセパレータの修正を開示する。リチウム-硫黄バッテリは、リチウム塩DOL/DME液体電解質でのゲル化後に、修正されたセパレータを使用して形成される。開示されたバッテリは、改善された電力密度を提供できない。
【0004】
中国特許出願公開第108808077号明細書は、リチウム塩液体電解質に浸漬された勾配ポリマーセパレータを含む、リチウム金属バッテリを開示する。勾配ポリマーセパレータは、勾配ポリマー骨格材料を形成するため、PVDF-HFPコポリマーと共に多数の溶液をエレクトロスピニングし、チタン酸バリウム濃度を様々にすることによって、形成される。中国特許出願公開第107665966号明細書の場合と同様に、開示されたバッテリは、電力密度に関して改善することができない。
【0005】
Z. Chenらは、Li金属セル内に組み込まれたLATP粒子及びLi伝導性イオン液体を保持するPVDF-TrFEポリマー母材からなる、フレキシブルハイブリッドフィルムを開示する(Adv. Energy Mater. 2021、11、2101339)。Liアノードは、有機的に合成されたポリ[2,3-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシカルボニル)-ノルボルネン](PTNB)の保護ポリマー層でコーティングされる。Chenは、バッテリの安全性に対処しておらず、中国特許出願公開第108808077号明細書と同様に、電力密度を改善する余地が残される。
【0006】
Y. Liang(Journal of Power Sources、196、2011、436頁)は、イオン伝導リチウムランタンチタン酸化物/ポリアクリロニトリルサブミクロン複合繊維系のリチウムイオンバッテリセパレータを開示する。LLTO粒子はイオン伝導度を改善することを示すが、バッテリの安全性に関しても更なる改善の余地が残されたままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国特許出願公開第107665966号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第108808077号明細書
【特許文献3】国際公開第2021034197号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Z. Chenら(Adv. Energy Mater. 2021、11、2101339)
【非特許文献2】Y. Liang(Journal of Power Sources、196、2011、436頁)
【非特許文献3】C. Aitken-Nicholら(Pharmaceutical Res.、13 804~808頁(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、金属イオンバッテリ、ハイブリッド固体電解質、並びに電解質及びバッテリを製造する方法を提供することによって、上記制約の1つ又は複数に対処することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で以下に更に詳細に説明するように、本発明の開示されるハイブリッド固体電解質及びバッテリは、特にバッテリの強化された固有の安全性及び/又は機械的安定性と組み合わせた、リチウム金属アノードに関する増大した容量、電力送出速度を提供する。
【0011】
本明細書に開示される金属イオンバッテリは、少なくともアノード、カソード、及びハイブリッド固体電解質を含む。ハイブリッド固体電解質は、アノードとカソードとの間の層として形成される。ハイブリッド固体電解質は、アノード及びカソードを分離し、電気的短絡を防止し、それと共に適切なイオン伝導度を維持する。
【0012】
ハイブリッド固体電解質は、層の積層体として形成され、層の積層体は、拡散層と、好ましくは不動態層及びセラミック中間層の1つ又は複数と、を、ハイブリッド固体電解質のアノード側に含む。
【0013】
拡散層は、ポリマー母材、ハイブリッド固体電解質中に分散された金属塩を、典型的にはポリマー母材の全体にわたって含む。更にハイブリッド固体電解質は、電気絶縁性無機充填剤粒子を含む。無機充填剤粒子は少なくとも、無機高k誘電体粒子を含む又はこの粒子から本質的になる第1のタイプと、固体状態電解質粒子を含む又はこの粒子から本質的になる第2のタイプと、を含む。
【0014】
不動態層は、有利には、固体電解質界面(solid electrolyte interface)とも呼ばれることがある固体電解質界面(SEI)(solid electrolyte interphase)の形成を容易にすることができる。有利には、SEIは、アノード用の湿潤又は接着層として作用することができる。更になお有利には、SEIは、電気絶縁性無機充填剤粒子を、アノード材料、例えばリチウム金属との直接接触から保護することができる。
【0015】
有利には、電気絶縁性無機充填剤粒子は、イオン輸送用の経路を提供することができる。第2のタイプの充填剤は、本質的に金属イオン伝導性無機組成物からなることができる。或いは、又は加えて、第2の充填剤は、材料の混合物、例えば金属イオン伝導性無機組成物を含むコーティングを有する固体担体を含むことができる。
【0016】
セラミック中間層は、不動態層と組み合わせて提供されたとき、不動態層と、ハイブリッド固体電解質の残りの部分との間、例えば不動態層と、ハイブリッド固体電解質の第2の層との間に拡がる。
【0017】
第1の充填剤は、無機誘電体組成物を含むことができ又はこの組成物から本質的になる。誘電体は、金属酸化物又は半金属酸化物系の、例えばSiO、TiO、又はこれらの組合せとすることができる。好ましくは粒子は、高k誘電体、即ち少なくとも約20℃以上約100℃以下の温度範囲にわたって約4を十分に超える誘電定数を有する材料を含み又はこの材料から本質的になる。好ましくは、誘電定数は20以上、より好ましくは40以上である。最も好ましくは、誘電定数は100を超える。適切な材料は、バリウム系、ストロンチウム系、カルシウム系、銅系、及びイットリウム系チタン酸塩を含むがこれらに限定されない金属チタン酸塩(MTiOx)、並びにこれらの組合せ及び/又は誘導体、例えばドープ型金属チタン酸塩を含むが、これらに限定するものではない。好ましい例には、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、及びこれらの組合せが含まれる。誘電体粒子の組込みは、ハイブリッド固体電解質層を横断する電場の均質化を有利に改善することが見出され、国際公開第2021034197号は、高誘電体電極添加剤を開示する。本発明者らは、誘電体充填剤の組込みが、反復される充放電サイクルの結果、層を横断する金属イオン輸送を均質化でき及び/又はアノード材料との界面での樹状形成を軽減できると信じる。本発明者らは、誘電定数が高くなるほど均質化をより良好にできることを見出した。好ましくは粒子は、大部分が離散している粒子であり、ハイブリッド固体電解質層内及び/又はその下位層中で均質に分布する。電場を整列させるのに加え、誘電体粒子は、ポリマー母材の軟化及び/又はガラス転移温度を有利に低減させることが見出され、したがってハイブリッド固体電解質のイオン伝導度に寄与する。本発明者らは、ポリマー母材中に分散された無機粒子の量が増大するのに伴い、イオン移動度が増大することを見出す。
【0018】
本明細書に開示されるような充填剤を含むハイブリッド固体電解質を提供することは、いくつかの利益を提供することが見出された。充填剤粒子は、例えば溶融押出し又は溶融流延手法が製作に採用される場合、複合溶融体の粘度を低減させることもできる。誘電体粒子による電場の均質化に加え、これらの利益は、ハイブリッド固体電解質層内のイオン伝導度の改善を含む。或いは、又は加えて、充填剤は、その製造、組立て中、及び/又はバッテリの動作中、例えば母材がゲル化又は半ゲル化状態にある状態中、例えば母材の軟化温度で又はその付近でのバッテリの動作の結果、電解質層の機械的安定性を改善することができる。
【0019】
特に本発明者らは、改善されたイオン伝導度が、充填剤の外面に沿った、改善されたイオン伝導(界面伝導又は更に相間を経た伝導);充填剤に含まれるイオン伝導性材料のバルク内の経路に沿ったイオン伝導;及び/又は母材の可塑化に対する、充填剤の寄与であって、例えば母材の軟化又はガラス転移温度の低減によるものの、1つ又は複数の結果とすることができ、したがって充填剤との界面から離れた母材の部分を通した金属イオンのイオン伝導度を間接的に改善することを見出す。
【0020】
イオンコンダクタンスの改善及び電場の不均質性の軽減は、バッテリの充電中のリチウムの堆積及び/又はプレーティングの均一性を有利に強化する。このように、多孔度及び/又は樹状形成が軽減される。
【0021】
充填剤は、離散した要素として、母材の全体にわたり分散させることができる。有利には、充填剤は、浸出閾値よりも高い値の量で添加することができ、ポリマー母材の対向面間のイオン伝導に関して浸出経路が形成される。経路は、複数の隣り合う又は隣接する充填剤を含む網状構造として形成された経路、或いは浸出軌跡の部分が母材の体積を横断して充填剤の間の隙間によって形成される複合経路とすることができ、例えば母材は、離間距離だけ離間した、隣接する充填剤の間にあるものである。
【0022】
ハイブリッド固体電解質は、好ましくは不動態層を有する。層は、有利には充填剤及び/又はポリマー母材を、アノード及びアノード液の1つ又は複数との直接接触から遮蔽することができ、例えば金属イオン伝導性無機組成物との化学的相互作用による充填剤の劣化を軽減させる。有利には、不動態層は、固体電解質界面(SEI)の形成を容易にする及び/又はアノード用の湿潤若しくは接着層として作用する組成物で形成することができる。
【0023】
不動態層L2は、適切に、ポリマー母材を含む組成物からなることができる。母材は、充填剤を含む母材と同じに又は類似することができる。典型的には、ポリマー母材は、ポリフッ化ビニリデン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンジアクリレート、ポリアクリロニトリル、ヘキサフルオロプロピレン、及びこれらのコポリマーの群から選択される1種又は複数の材料を含む。ポリマー材料の平均分子量(Mw)は一般に、10000g/mol以上1000000g/mol以下である。遮蔽層の厚さは、典型的には0.1μm以上50μm以下である。添加剤は、固体電解質界面(SEI)形成組成物及び可塑剤の1種又は複数を含むことができる。SEI形成材料は、イミダゾリウム、アンモニウム、ピロリジニウム等から選択されるカチオン、及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はビス(フルオロスルホニル)イミド、例えばN-プロピル-N-メチルピロリジニウムから選択されるアニオンを含むイオン性液体、及びグライム(例えば、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジエチルエーテル)又はフッ素置換グライム(例えば、BTFE:ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)エーテル、フッ素化1,6-ジメトキシヘキサン(FDMF)と一般に呼ばれる材料を含むがこれらに限定されない。必要に応じて、リチウム塩には、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、テトラフルオロホウ酸リチウム、二シュウ酸ホウ酸リチウム、リチウムイミド、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、硝酸リチウム、又はこれらの組合せ等を含めることができる。
【0024】
不動態層は、バッテリの連続する充(放)電サイクル中の反復性の金属イオン堆積(プレーティング)及び脱着(脱プレーティング)に起因して、更に有利には進行性の表面粗面化及び/又は多孔質アノード材料の堆積を軽減することができる。
【0025】
不動態層は、ゲル電解質、ハイブリッド固体/ゲル電解質、又は更に本質的に完全セラミック電解質層、例えばLLZO又はLiPONとすることができることが、理解されよう。
【0026】
無機中間層(L3)は、不動態層L2と、ハイブリッド固体電解質層の残りの部分との間、例えば不動態層L2と、ハイブリッド固体電解質4の第2の層L1.2との間に設けられてもよい。中間層は好ましくは、不動態層に沿って、本質的に閉鎖したコーティングを形成する。典型的には中間層は、完全セラミック層である。中間層は有利には、アノードと、ハイブリッド固体電解質4中に含まれる固体状態電解質充填剤との間の直接接触を軽減するのに寄与する。遮蔽層L0と同様に、無機中間層は、AlOx、BTO、及びNbOxを含むがこれらに限定されない1種又は複数の金属酸化物で適切に形成することができる。遮蔽層と同様に、中間層は、アノード金属イオン輸送を可能にする厚さ、例えば2nm以上4nm以下で構成されることになる。
【0027】
ハイブリッド固体電解質4に含まれるハイブリッド固体電解質充填剤の寿命を改善することに加え、中間層は、不動態層L2とハイブリッド固体電解質層の残りの部分(例えば、第2の層L1.2)との間での構成要素、例えばポリマー、溶媒、添加剤の交換を有利に軽減することが見出された。様々な層の相互混合の軽減は、製造中に特に有益であることが見出された。
【0028】
好ましい実施形態では、無機高k誘電体粒子及び固体状態電解質粒子の少なくとも1種又は複数は、細長く成形される。好ましくは滑らかな充填剤は、アスペクト比が5より大きく、好ましくは少なくとも10を有する。細長い充填剤のアスペクト比が高くなるほど、ハイブリッド固体電解質層の対向面間に経路を設けるのに必要な量を小さくすることができる。好ましい実施形態では、無機高k誘電体粒子及び固体状態電解質粒子の少なくとも1種は、繊維であり又はその性質が繊維性である。有利には、繊維は、アスペクト比が50以上、好ましくはより大きい、例えば100以上を有することができ、ポリマー母材の対向面間にイオン伝導のための浸出経路を形成するのに必要な量を更に最小限に抑えることが可能になる。
【0029】
一部の実施形態では、無機高k誘電体粒子及び固体状態電解質粒子の両方が細長く成形され、より好ましくは繊維状であり(図3A)、したがって両方の材料は、細長いイオン伝導経路の形成に寄与することが可能になる。細長い、例えば繊維状の充填剤の存在に加え、この充填剤は、ハイブリッド固体電解質の機械的安定性を改善することができる。
【0030】
ここで以下に更に詳細に説明されるように、繊維状充填剤の細長さは、非繊維状充填剤、例えば粒子に勝って、イオンコンダクタンスを有利に改善することができる。有利には、繊維は少なくとも部分的に、エネルギー貯蔵デバイスの電極に、例えばアノード及びカソードにそれぞれ接触するために、電解質層の対向面間の方向に配向することができる。これはアノードとカソードとの間の主な拡散方向に沿ったイオンコンダクタンスを改善する。更に、対向電極間の方向での、第2の充填剤、繊維の少なくとも一部の配向は、無秩序に配向した繊維又はアノード/カソード間で平行な方向に主に配向した繊維を含む層とは対照的に、電解質層内で比較的小さい体積分率の充填剤を使用して改善されたイオンコンダクタンスに関して効果をもたらすことができる。所与の伝導度のために充填剤の量を最小限に抑えることで、金属イオン種等のバッテリ活性成分に利用可能な単位体積当たりの体積を有利に増大させる。更なる利点は、Li輸率の増大とすることができる。
【0031】
好ましくは、少なくとも固体状態電解質充填剤は、細長く又は繊維状である。細長い、又は繊維状の固体状態電解質充填剤は、バルク状の細長い充填剤を通してイオンコンダクタンスを更に改善することができる。
【0032】
一般にポリマー母材は、金属塩用に液体担体を、例えば塩及びポリマー母材に適切な親和性を有する溶媒又は溶媒混合物を含有していてもよい。或いは、塩は少なくとも部分的に、好ましくは、例えば80又は60℃よりも低いような、バッテリの動作温度よりも低い融点を有するイオン性液体等の液体形態で提供されてもよい。液体担体及び/又は液体塩を含むことは、ハイブリッド固体電解質層を横断するイオン移動度を有利に改善することが見出された。同様の理由で、ハイブリッド固体電解質は、必要に応じて1種又は複数の可塑剤を増加させることができる。
【0033】
本発明者らは、上記特徴が、リチウム金属バッテリとも呼ばれる金属リチウムアノードを含むバッテリに特に有益であり得ることを見出した。したがって好ましい実施形態では、バッテリはリチウム金属バッテリであり、それによって金属塩は、適切なリチウム塩を含み又はそのような塩から本質的になる。例には、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム)、LiODFB(ジフルオロ(オキサレート)ホウ酸リチウム)、LiBOB(ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム)、LiBF(テトラフルオロホウ酸リチウム)、LiFOB(ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム)、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定するものではない。他の又は更なる好ましい実施形態では、バッテリは、金属アノード、例えばリチウム金属フィルム又はストリップ等のリチウムアノードを含む。リチウム金属バッテリは、有利には、典型的には370mAh/gよりも低い従来の更に制限された黒鉛アノードの容量よりも十分高い、約3800mAh/gの更に高い容量を提供する。
【0034】
好ましい実施形態では、金属イオン伝導性無機組成物は、リチウムアルミニウムチタンリン酸塩(LATP)、リチウムアルミニウムゲルマニウムリン酸塩(LAGP)、リチウムランタンジルコニウム酸化物(LLZO)、ハロゲン化物電解質(例えば、Li3-x1-xZrCl M=Y、Er)、硫化物電解質(例えば、Li10GeP12、LiPSX(X=Cl、Br又はI)、67(75LiS-25P)-33LiBH、30LiS-26B-44LiI)、closo-ホウ酸塩(B 2-)、closo-カルバボレート(炭素によって置換されたB原子を少なくとも有し、例えばLiCB10)を含むがこれに限定されないハイドロホウ酸リチウム、及び/又はこれらの誘導体及び/又は混合物を含み又はこれらから本質的になる。或いは、固体状態電解質充填剤は、そのような組成のコーティングを含む担体、例えばガラス繊維で本質的に形成される。
【0035】
有利には、一部の実施形態では、繊維は物理的に絡み合うことができる。これは繊維間伝導度を高める。必要に応じて、繊維は連結され、例えば一緒に融合されて、相互連結した繊維の網状構造を形成してもよく、繊維間拡散障壁が除去されて繊維間拡散率を更に高める。
【0036】
一般に繊維は、少なくとも100nmの長さ、例えば500nmより大きい範囲の長さを有する。より長い繊維が可能であり、例えば5、10、又は更に100μmを超える長さが可能である。繊維は更に、最大数センチメートルの長さ、例えば最大1cm又はそれよりも長い、例えば最大10cmの長さを有することができる。指定された長さの繊維は、例えばエレクトロスピニング及び押出し等の方法を使用して、本明細書に開示されるように提供することができる。
【0037】
典型的には繊維は、ポリマー母材を超えて延びない。短繊維、ポリマー母材の厚さ未満の長さを有する繊維は、加工し、例えば溶融体で、ポリマー母材又はその前駆体と相互混合することができる。より長い繊維は、本明細書で説明されるように、典型的には、予備形成された乾燥繊維構造、例えばマットに組み込まれる。一部の実施形態では、細長い充填剤は主に(50質量%より大きい)アノードとカソードとの間の方向に沿って配向する。好ましくは充填剤は、ポリマー母材の対向面間の主方向に沿って主に配向する。好ましくは、逸れは-20度以上+20度以下、最も好ましくは-10度以上+10度以下である。
【0038】
一般に、細長くない非繊維状粒子は、1μmよりも小さい、好ましくはより小さい、例えば0.5μmよりも小さい最大寸法(直径)を有する。典型的には粒子は、10nm以上800nm以下の範囲の、又は20nm以上約500nm以下の範囲の最大寸法を有する。粒子が小さいほど、電場の均質化及び/又は母材の可塑化に必要な総量(単位体積当たりの体積)は小さくなる。非繊維状のサブミクロン粒子は、例えばスパークアブレーションによって及び/又は湿式化学合成法によって得ることができる。
【0039】
一部の実施形態では、他の構成要素の中でもナノ粒子がポリマー母材中に分散される。これは製造中に必要なプロセス工程の数を低減させる。
【0040】
或いは、又は加えて、粒子の少なくとも一部を分離層に含めることができる。したがって拡散層は、固体状態電解質繊維を閉じ込める第1の層と、誘電体粒子の少なくとも一部を含む第2の層とを含む、層の積層体として構成される。第2の層、即ち繊維なしの層は、好ましくはアノードに面する。分離層にナノ粒子を提供することは、細長い繊維及びナノ粒子の分散を有利に切り離す。アノードの最も近くに粒子を持つ層を配置構成することには、二重の利点があり、妨害に珍しい効果がある場合には、バッテリ動作プレーティング中に、電場を直接並べ、即ちアノード金属、例えばLiがプレーティングされる位置の近くに並べ;アノード材料とイオン伝導性繊維との間の直接的な機械接触を回避することによって、潜在的な化学劣化を軽減する。
【0041】
別の又は更なる態様によれば、本開示は、例えばバッテリに関連して記載される特徴の1つ又は複数を含む、本明細書に開示されるハイブリッド固体電解質層に関する。一部の実施形態では、ハイブリッド固体電解質は、ポリマー母材と、ポリマー母材中に分散された金属塩と、無機充填剤粒子が無機高k誘電体粒子及び固体状態電解質粒子を含む電気絶縁性無機充填剤粒子とを含む、拡散層と;ハイブリッド固体電解質のアノード側の不動態層であって、固体電解質界面の形成を容易にし且つアノード用の湿潤又は接着層として作用する不動態層との、層の積層体を含む。
【0042】
他の又は更に他の態様によれば、本開示は、本明細書に開示されるハイブリッド固体電解質を含む電気化学デバイスに関する。
【0043】
更に他の態様は、金属イオンバッテリ及び/又はハイブリッド固体電解質層、好ましくは本明細書に開示される金属イオンバッテリ及び/又はハイブリッド固体電解質を製造する方法に関係した。広い意味で、電解質の製造は、拡散層及び不動態層をハイブリッド固体電解質のアノード側に形成することを含む。拡散層は、ポリマー母材、ポリマー母材中に分散された金属塩、及び電気絶縁性無機充填剤粒子を含み、無機充填剤粒子は、無機高k誘電体粒子及び固体状態電解質粒子を含む。
【0044】
バッテリの製造は、典型的には更に、少なくともアノード及びカソードを設けることを含み、それによってハイブリッド固体電解質はアノードとカソードとの間の層として形成される。有利には、ハイブリッド固体電解質は、個々の自立型層として、例えばハイブリッド固体電解質を適切な担体基材から除去することによって製造することができる。或いはハイブリッド固体電解質は、電極層上に製造することができる。カソード液及び/又はアノード液層のような更なる層は、ハイブリッド固体電解質に直接的に又はバッテリ製造の部分として、適切に付加できることが理解されよう。
【0045】
好ましい実施形態では、ハイブリッド固体電解質を提供することは、充填剤及びポリマー母材及び/又は前駆体を含む予備形成された分散体を、適切な液体担体中に分配することを含む。したがって、ハイブリッド固体電解質を提供することは、ポリマー母材及び/又はその前駆体を更に含む担体中に、充填剤を含む分配層を形成する、分配する工程を含む。例えば印刷による分配後、ポリマー母材を凝固する。例えば、過剰な担体を蒸発させることによって、及び/又はポリマー母材及び/又はその前駆体を硬化/架橋することによって、凝固する。
【0046】
分配は、溶融流延、溶液流延、及び/又は溶融押出しを含むがこれらに限定されない、任意の公知の適切な方法によって行われてもよい。有利には、押出しは無溶媒押出しであってもよい。組成物を強制的にアパーチャに通すことで、少なくとも部分的には、細長い繊維を有利に整列させることができる。溶媒流延及びC. Aitken-Nicholら(Pharmaceutical Res.、13 804~808頁(1996)は、ホットメルト押出し法の概要を提供する。
【0047】
或いは、又は加えて、方法は、細長い繊維を、例えば組成物の分配中に又はその後であるが凝固前に、整列させる工程を含んでいてもよい。本発明者らは、整列が、電場又は磁場等、整列の方向に沿って外部の場を印加することにより、適切に得ることができることを見出した。所望の整列は、適切な場の強度、持続時間、及び/又は方向を、例えば分配層に垂直に、選択することによって得ることができる。
【0048】
強固に好ましい実施形態では、ハイブリッド固体電解質を提供することは、細長い充填剤の予備形成された構造、好ましくは繊維状充填剤を、含浸させることを含む。したがって、ハイブリッド固体電解質を提供する工程は、1種又は複数の繊維状高k誘電体粒子及び固体状態電解質粒子を含む乾燥多孔質構造を発生させる工程、及び乾燥多孔質構造に、ポリマー母材及び/又はその前駆体を含む組成物を含浸させ、その後、ポリマー母材及び/又はその前駆体を凝固する工程を含むことを、理解することができる。この多孔質基材を予備形成する場合、ハイブリッド固体電解質を提供することは、溶融流延を含むことができ、溶融押出しは、繊維構造を損傷させる可能性があるのでそれほど好ましくなくなる。
【0049】
繊維は、望みの仕様になるよう望みに応じて適切に形成することができる。方法は、押出し、例えば溶融押出し等の排出プロセス、エレクトロスピニング、例えば同軸エレクトロスピニング、及び適切な担体、例えば繊維、エッチングされた構造、成長させた柱状物のコーティングを含む。エレクトロスピニングは、バルク状の連続繊維を含む構造を形成するものが好ましい。
【0050】
望む場合には、形成された構造、例えばコーティングされた繊維は、切断し、細断して、より短いワイヤにすることができる。
【0051】
繊維を含む、予備形成された乾燥多孔質構造は、例えば金属イオン伝導無機組成物又はその混合物の、担体基材上への押出し及び/又はエレクトロスピニングを含む方法を使用して、適切に提供することができる。好ましい主要な整列は、堆積ノズルから担体上への、固体状態電解質組成物のエレクトロスピニングによって得ることができ、それによって堆積中に、担体に対するノズルの側方変位速度が、ノズルからの繊維の堆積速度よりも小さくなる。
【0052】
本開示の装置、システム、及び方法の、これら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付される特許請求の範囲、及び添付図面から、より良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1A】ハイブリッド固体電解質を含む金属イオンバッテリの実施形態の、概略断面側面図を提供する。
図1B】ハイブリッド固体電解質の、概略断面側面図を提供する。
図2A】ハイブリッド固体電解質の概略断面側面図を示す。
図2B】ハイブリッド固体電解質の概略断面側面図を示す。
図3A】ハイブリッド固体電解質の概略断面側面図を示す。
図3B】金属イオンバッテリの、概略分解断面側面図を提供する。
図4A】金属イオンバッテリの、概略断面側面図を提供する。
図4B】金属イオンバッテリを製造する方法を概略的に示す。
図4C】ハイブリッド固体電解質層を製造する方法の、ある特定の態様を、概略的に示す。
図5A】ハイブリッド固体電解質層を製造する方法の、ある特定の態様を、概略的に示す。
図5B】ハイブリッド固体電解質層を製造する方法の、ある特定の態様を、概略的に示す。
図6A】金属イオンバッテリの概略断面側面図を提供する。
図6B】金属イオンバッテリの概略断面側面図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0054】
特定の実施形態について記載するのに使用される用語は、本発明を限定するものではない。本明細書で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が他に明示しない限り、複数形を同様に含むものとする。「及び/又は」という用語は、関連ある列挙された項目の1つ又は複数のいずれか又は全ての組合せを含む。「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」という用語は、言及される特徴の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴の存在又は付加を排除するものではないことが理解されよう。方法の特定の工程が別の工程に続くと言われるとき、他に指定されない限り、前記他の工程に直接続くことができ、又は1つ若しくは複数の中間工程を特定の工程を実施する前に実施してもよいことが、更に理解されよう。同様に、構造又は構成要素の間の接続について記載されるとき、この接続は、他に指定されない限り、直接、又は中間構造若しくは構成要素を通して、確立され得ることが理解されよう。
【0055】
本発明は、本発明の実施形態が示されている添付図面を参照しつつ、より完全に以下に記載される。図面において、システム、構成要素、層、及び領域の絶対的及び相対的サイズは、明瞭化のため誇張され得る。実施形態は、本発明のおそらくは理想化された実施形態及び中間構造の概略的及び/又は断面の表示を参照しながら、記載されてもよい。記載及び図面において、同様の符号は、全体を通して同様の要素を指す。相対的用語並びにその派生語は、後に考察下で記載されるような又は図面に示されるような向きを指すと解釈されるべきである。これらの相対的用語は、記載の便宜上のためであり、システムは、他に記載されない限り、特定の向きに構築され又は動作することを必要としない。
【0056】
図1Aは、ハイブリッド固体電解質4を含む金属イオンバッテリ1の実施形態の、概略断面側面図を提供する。ハイブリッド固体電解質4は、アノード2とカソード3との間に位置決めされる。ハイブリッド固体電解質4は、アノード2及びカソード3を分離し、それらの間にイオン輸送用の拡散層L1を形成する。4は、アノード2とカソード3との間の直接的な電気接触も防止する。ハイブリッド固体電解質4は、バッテリの充電サイクル中にカソードからアノードに向かってイオン輸送を提供し、その逆も放電中に提供する。
【0057】
不動態層L2は、ハイブリッド固体電解質4のアノード側に設けられる。不動態層L2は、ハイブリッド固体電解質4のアノード側4aに沿って設けられる。層は、ハイブリッド固体の固体状態電解質繊維を、アノード2及び/又はアノード液組成物との直接接触から遮蔽する。
【0058】
例えば図6Aに示されるような、好ましい実施形態では、セラミック中間層L3が設けられる。セラミック中間層は、不動態層と、ハイブリッド固体電解質の残りの部分との間に拡がる。
【0059】
中間層は、本質的に連続し、閉鎖したコーティングを、不動態層に沿って形成する。典型的には、中間層は完全セラミック層である。中間層は有利には、アノードと固体状態電解質との間の直接接触を軽減するのに寄与し、充填剤がハイブリッド固体電解質4に含まれる。本明細書で論じられるように、遮蔽層L0と同様に、無機中間層は、AlOx、BTO、及びNbOxを含むがこれらに限定されない1種又は複数の金属酸化物で適切に形成することができる。遮蔽層と同様に、中間層は、アノード金属イオン輸送が可能になる厚さ、例えば2nm以上4nm以下で構成されることになる。
【0060】
このことは、使用中の十分なイオン伝導度を保持しつつ、相互混合を防止することが見出された。
【0061】
ハイブリッド固体電解質4に含まれるハイブリッド固体電解質充填剤の寿命を改善することに加え、中間層は、不動態層L2と、ハイブリッド固体電解質層の残りの部分と、の間での構成要素、例えばポリマー、溶媒、及び/又は添加剤の交換を、有利に軽減することが見出された。
【0062】
有利には、不動態層は、固体電解質界面(SEI)の形成を容易にする及び/又はアノード用の湿潤若しくは接着層として作用する、組成物で形成することができる。
【0063】
不動態層L2は、適切に、ポリマー母材を含む組成物からなることができる。母材は、繊維及び/又は粒子を含む母材と同じに又は類似することができる。典型的には、ポリマー母材は、ポリフッ化ビニリデン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンジアクリレート、ポリアクリロニトリル、ヘキサフルオロプロピレン、及びこれらのコポリマーの群から選択される1種又は複数の材料を含む。ポリマー材料の平均分子量(Mw)は一般に、10000g/mol以上1000000g/mol以下である。遮蔽層の厚さは、典型的には0.1μm以上50μm以下である。添加剤は、固体電解質界面(SEI)形成組成物及び可塑剤の1種又は複数を含むことができる。SEI形成材料は、イオン性液体、例えばN-プロピル-N-メチルピロリジニウムを含むがこれらに限定されない。必要に応じて、リチウム塩には、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、テトラフルオロホウ酸リチウム、二シュウ酸ホウ酸リチウム、リチウムイミド、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、硝酸リチウム、又はこれらの組合せ等を含めることができる。
【0064】
不動態層L2は更に、バッテリの連続的な充(放)電サイクル中の、反復性の金属イオン堆積(プレーティング)及び脱着(脱プレーティング)に起因して、進行性の表面粗面化及び/又は多孔質アノード材料の堆積を有利に軽減することができる。
【0065】
図1Bに示されるように、ハイブリッド固体電解質4は、金属塩6、誘電体粒子8、及び固体状態電解質粒子9、9-1、9-2、9-4を含む。これらの構成要素は、ポリマー母材中のハイブリッド固体電解質4を通して分布され、分散される。ポリマー母材は、ハイブリッド固体電解質4の対向面4a、4c間に金属塩、イオンを拡散させつつ充填剤を閉じ込める、クロスハッチパターンによって概略的に示される網状構造を提供する。図示される実施形態では、4cと付された面はカソード3に面し、それに対して面4aは、バッテリデバイス1のアノードに面する。
【0066】
好ましい実施形態では、誘電体粒子8及び固体状態電解質粒子9の少なくとも1種は、細長い形9-2をとる。一部の実施形態では、誘電体粒子8は、細長い形をとり、例えば繊維である。好ましくは、固体状態電解質粒子9の少なくとも一部は、細長い形9-2をとり、又は例えば図示されるような繊維9-3としてである。
【0067】
ハイブリッド固体電解質4は、ポリマー母材中にイオン性液体及び/又は有機溶媒、及び可塑剤等の、ある量の液体担体を含むがこれらに限定されない更なる添加剤(明瞭化のため図示せず)を含むことができることが、理解されよう。一部の実施形態では、少量の、例えばそれぞれ最大5体積%のイオン性液体又は有機溶媒又は他の添加剤、例えばスクシノニトリルのような可塑剤を、ポリマー母材中に添加してもよい。
【0068】
同様に、バッテリ及び/又はハイブリッド固体電解質4は、図3B及び図4Aに関連して更に詳細に説明されるように、更に1種又は複数の更なる構成要素、例えばアノード液、カソード液、並びに不動態層を含むことができることが理解されよう。
【0069】
一部の実施形態では、充填剤粒子のいずれか、例えば誘電体粒子8充填剤及び/又は固体状態電解質繊維9には、金属イオン伝導性無機組成物を含むコーティング、例えば有機単層等の有機コーティングを設けて、金属カチオンに可逆的に関連付けることが可能な、例えば電気二重層を形成することが可能な、官能末端基を提供することができる。例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル、ホスフェート、及び同様のもの等の末端基である。
【0070】
図1B及び図2Aを参照しつつ以下に更に詳細に説明するように、誘電体粒子8及び固体状態電解質粒子9は、ポリマー母材5を通したイオン移動度を増大させるように働く。誘電体粒子8及び固体状態電解質粒子9の少なくとも1種が細長い、好ましくは繊維状形態である実施形態では、特にバッテリ動作中に母材が半固体である、例えばゲル状の状態にあるとき、繊維9がハイブリッド固体電解質4の機械的一体性を更に改善する場合、固体及び細長い性質のものである。例えば、その例は、動作中の電解質の高温(例えば、約40℃以上80℃以下)の結果として、及び/又は、誘電体粒子8及び固体状態電解質繊維9及び/又は他の構成要素の添加に起因する、可塑化温度若しくはガラス転移温度の低下に起因する。
【0071】
一部の実施形態では、例えば図2Aに示されるように、誘電体粒子8及び固体状態電解質粒子9が繊維状形態にある。
【0072】
好ましい実施形態では、図示されるように、細長い充填剤8、9が主として、アノード2とカソード3との間の主方向Dに沿って配向する。したがって繊維は、ハイブリッド固体電解質4の対向面4a、4c間の主方向Dにおけるイオン輸送も改善しつつ、アノード2とカソード3との間の方向に沿って機械的支持を提供する。
【0073】
好ましくは、固体状態電解質及び/又は高k誘電体充填剤は、浸出閾値よりも高い値の量で提供される。これはポリマー母材5全体にわたるイオン輸送用の網状構造の形成を可能にする。破線矢印によって示されるように、イオン6輸送は、充填剤及び/又は細長い充填剤に沿って及びそれらの外面で有利に引き起こすことができる。或いは、又は加えて、イオン輸送は、固体状態電解質繊維9のバルク内の誘電体粒子8に沿って、又はそれらの組合せを介して、引き起こすことができる。
【0074】
一部の実施形態では、細長い充填剤又は繊維の少なくとも一部が、化学的に相互接続し、例えばX1が付された交差する繊維によって示されるように融合される。融合は、図5Bに関連して説明されるように、例えばエレクトロスピニング中に、例えば予備形成された繊維構造をアニールすることによって又はワイヤを高温処理することによって、得ることができる。他の又は更なる実施形態では、例えばX2と付された交差で示されるように、繊維の少なくとも一部が絡み合う。
【0075】
誘電体粒子8は、バッテリの動作中に、アノード2とカソード3との間の方向(方向Dと付される)に沿って電場を均質化する。一部の実施形態では、例えば図示されるように、誘電体粒子8はポリマー母材5の全体にわたって分布され、分散される。他の又は更なる実施形態では、図2Bに示されるように、誘電体粒子は、ハイブリッド固体電解質4の末端面の1つに沿った層L1.2に沿って分布することができる。
【0076】
一部の実施形態では、例えば図1B図2A、及び図3Aに示されるように、誘電体粒子8及び固体状態電解質粒子9は、単層L1中で相互混合される。単層内で誘電体粒子8及び固体状態電解質繊維9を相互混合することで、多層構成とは対照的に、ハイブリッド固体電解質4を製造するためのプロセス工程の数を低減させることができる。
【0077】
他の又は更なる実施形態では、例えば図2B及び図3Bに示されるように、誘電体粒子8及び固体状態電解質粒子9は、別々の層L1.1、L1.2に提供され、それによって粒子及び繊維はそれぞれ、金属塩6と一緒にポリマー母材5.1、5.2の全体にわたり分散される。塩及び母材の材料は、典型的には類似しており又は更に同じ組成のものでもある。同じ又は少なくとも同じ種類を使用して、層L1.1、L1.2の間の界面間の拡散障壁を軽減させる。ハイブリッド固体電解質4が積層体として構成されるとき、誘電体粒子8を含む層、例えば層1.2は、例えば図3Aに示されるように、好ましくはアノード2に向かって配向する。
【0078】
好ましい実施形態では、例えば図1B図2A図2B、及び図3Aに示されるように、繊維8、9は、ハイブリッド固体電解質4の対向面4a、4cに拡がらず又は超えない。このことは、繊維と電極材料、特にリチウムとの間の潜在的な(電気)化学的相互作用を軽減する。そのような構成は、例えば、遮蔽層L0及び不動態層L2等、繊維なしの1つ又は複数の中間層を設けることによって、得ることができる。
【0079】
或いは、又は加えて、ハイブリッド固体電解質は、繊維状誘電体、好ましくは繊維状高k誘電体を含むことができる。一般に、改善された機械的安定性並びに繊維と誘電体母材との間の界面に沿ったイオンコンダクタンスに関する有利な態様は、微粒子、例えばナノ粒子等の非繊維形態中の固体状態電解質であっても、無機誘電体繊維で得ることができる。固体状態電解質の、イオン伝導に対する寄与に鑑み、本明細書に開示される繊維状固体状態電解質が好ましい。
【0080】
一般的に言えば、ハイブリッド固体電解質は、ポリマー母材と、ハイブリッド固体電解質に、典型的にはポリマー母材の全体にわたり分散された金属塩と、を、含むと理解することができる。更に、ハイブリッド固体電解質は、少なくとも第1及び第2の分散型充填剤材料を含む。第1の充填剤材料は、無機高k誘電体を含む。第2の充填剤材料は、固体状態電解質を含み、第1及び第2の材料の少なくとも1種は、少なくとも部分的に繊維状形態にある。
【0081】
一部の実施形態では、第1及び第2の充填剤の他方も少なくとも部分的には、繊維状形態にある。種々の繊維を相互混合することができ、例えば予備形成された乾燥繊維構造で、例えば均質に分配することができる。或いは繊維は、例えば溶融又は溶液加工中に相互混合することができる。種々の組成物と相互混合した繊維の乾燥構造は、対応する材料の同時スピニング又は共押出しによって適切に作製することができる。
【0082】
図1A及び図6Aに関連して論じたものと同様に、セラミック中間層L3を設けることができる。図6Bは、拡散層が、固体状態電解質粒子9を閉じ込める第1の層L1.1と、誘電体粒子8の少なくとも一部を含む第2の層L1.2と、を含む積層体として構成される実施形態を示し、それによって第2の層L1.2がアノード2に面し、それによって実施形態は更に、不動態層(L2)とハイブリッド固体電解質4の残りの部分との間に拡がるセラミック中間層を含む。図示されるように、セラミック中間層L3は、ハイブリッド固体電解質4の不動態層と第2の層L1.2との間に拡がる。
【0083】
他の又は更なる好ましい実施形態では、ハイブリッド固体電解質は、キャッピング層を含む。キャッピング層は、有利には充填剤を、アノード、カソード、アノード液、及びカソード液の1種又は複数との直接接触から遮蔽することができ、例えば金属イオン伝導性無機組成物との化学的相互作用により、充填剤の劣化を軽減させることができる。
【0084】
他の又は更なる実施形態では、例えば図3B及び図4Aに示されるように、ハイブリッド固体電解質は、不動態層L2と、1つ又は複数の遮蔽層L0と、の両方を、ハイブリッド固体電解質4のカソード側4cに含む。
【0085】
図3Bに示される実施形態では、金属イオンバッテリ1は、層L1の積層体として構成されたハイブリッド固体電解質4を含む。積層体は、図2Bに示されるように、繊維を含む第1の層L1.1と、誘電体粒子8を含む第2の層L1.2と、を含む。図1Aに示される実施形態と同様に、アノード2に面する不動態層L2が設けられる。更に、遮蔽層L0は、ハイブリッド固体電解質のカソード面に沿って設けられる。不動態層L0は、類似の又は更に同じである構成要素を遮蔽層として含むことができ、同じ範囲の厚さ、例えば約500nm、約2μm、又は約10μmの厚さを有することができる。遮蔽及び不動態層の組合せは、イオンコンダクタンス改善充填剤を、劣化から最適に保護することが見出された。
【0086】
或いは又は加えて、遮蔽は、無機組成物、例えばセラミック等の金属酸化物で構成されてもよく又はこれらから本質的になるものであってもよい。遮蔽層の厚さは、層を横断するアノード金属イオン輸送を可能にするもの等になることが理解されよう。限られたアノード金属伝導度を持つ材料では、厚さは、通常の実験によって適切に決定されてもよく、例えば数ナノメートルまで低下させて、例えば2nm以上10nm以下又は3nm以上4nm以下であってもよい。例えば遮蔽層は、MoS等の1つ又は複数の遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)層を含んでいてもよく又はこれで本質的に形成されてもよい。遷移金属ジカルコゲナイドは、アノード金属イオン輸送を可能にしつつ、カソードと添加剤との、特に固体状態電解質添加剤との間の直接接触を有効に遮断することが見出された。
【0087】
図4Aは、金属イオンバッテリ1の概略断面側面図を提供する。図3Aに示される実施形態と比較して、第1の層L1.1及び第2の層L1.2は、好ましい向きで配置構成され、それによって層は、誘電体粒子、即ちアノード2に面する層L1.2を含む。
【0088】
加えてバッテリは、アノード液12及びカソード液13を含む。カソード液及びアノード液は、ハイブリッド固体電解質4と、それぞれカソード3及びアノード2と、の間の界面に位置決めされる。カソード液及びアノード液は、ハイブリッド固体電解質4と電極材料との間の接触を、特にアノード/カソードが固体材料で形成されるとき、例えばハイブリッド固体電解質4の対向面の表面プロファイルに一致しない表面の起伏又は粗さRを有する金属フィルム又は金属箔で形成されるときに、改善する。カソード及び/又はアノードが多孔質層である場合、カソード液及び/又はアノード液は、例えば電極のバルク内に存在する多孔内にも浸透することになる。それらの機能は、ハイブリッド固体電解質膜との界面接触を改善するだけでなく、電極層のバルク内のイオン伝導経路も有効にする。
【0089】
ハイブリッド固体電解質4及び金属イオンバッテリ1の製造に関する態様について、図4B図4C図5A、及び図5Bを参照しながら、より詳細に次に説明するが、図4Bは、金属イオンバッテリを製造する方法を概略的に示し;並びに図4C図5A、及び図5Bは、ハイブリッド固体電解質層を製造する方法の、ある特定の態様を概略的に示す。
【0090】
図4Bに示されるように、金属イオンバッテリを製造する方法は、アノード101を提供し、カソード102を提供し、及びハイブリッド固体電解質を提供する工程103を含む。必要に応じて方法は、アノード液110を提供する工程及び/又はカソード液111を提供する工程を含むことができ、それによって、提供された構成要素は、本明細書に開示されるバッテリ構成内に適切に配置構成される。工程は、必ずしも示される順序で行う必要がないことが理解されよう。構成要素は、任意の適切な順序で組み立てられてもよく又は更に互いの上に構築されてもよい。特に電解質を提供する工程は、独立して行われてもよく、その結果、例えば別の電気化学デバイスの部分として、独立して貯蔵され、使用され、又は販売することのできる、フィルムの予備形成されたハイブリッド固体電解質4層が得られる。ハイブリッド固体電解質4を提供する工程103は、一般に、拡散層を形成すること及び遮蔽層を提供することを含み、ハイブリッド固体電解質4を提供する工程103は、ポリマー母材5、ポリマー母材5中に分散された金属塩6、及び電気絶縁性無機充填剤粒子を含む、拡散層L1と、固体電解質界面SEIの形成を容易にし且つアノード2用の湿潤又は接着層として作用する、ハイブリッド固体電解質4のアノード側にある不動態層L2と、を含む、層の積層体を形成することを含み、無機充填剤粒子は、無機高k誘電体粒子8及び固体状態電解質粒子9を含む。
【0091】
図4Cは、ハイブリッド固体電解質4を形成する、例示的な態様を示す。左上は、層4’を堆積104中のノズル201を示す。層は、固体状態電解質粒子9及びポリマー母材又はその前駆体5pを含む。図示されるプロセスは、組成物、スラリーであって、短繊維状固体状態電解質粒子9を含むものを示す。ナノ粒子では、類似のプロセスを使用することができる。長繊維、即ち目標とする電解質の厚さを超過する長さを有する繊維の場合、プロセスは一般に、図5A及び図5Bを参照しつつ説明されるように、乾燥繊維状構造を予備形成することを含む。
【0092】
図4Cに戻ると、層は、ハイブリッド固体電解質4をそこから、形成後に膜として層剥離することができる担体基材202上に堆積される。或いはハイブリッド固体電解質4は、機能性バッテリ層上、例えばアノード又はカソード上に直接組み立てることができる。堆積中、組成物は液体にあり、例えば可溶化状態の溶融物である。
【0093】
別の又は更なる好ましい実施形態では、組成物はスラリーであり、固体状態電解質粒子9及び誘電体粒子、例えばBTO粒子と一緒に、ポリマー及び/又はその前駆体を含むスラリー中に混合される。
【0094】
堆積後、層を硬化して106、ポリマー母材5を、例えば過剰な溶媒を蒸発させることによって形成し、又はポリマー及びその前駆体を硬化する。左下の図面は、層のUV硬化(波線矢印)中のプロセスを示す。
【0095】
一部の実施形態では、例えば右下の図面に示されるように、硬化工程の前に、細長い充填剤粒子、例えば短い固体状態電解質繊維9を整列させる105。図示される実施形態では、整列は、層を横断する方向に垂直に電磁場を印加することによって行われる。この電磁場は、依然として液体の、未硬化の層4’における細長い粒子、例えば繊維を整列させる。繊維の長さは、例えば、より長い予備形成された繊維を短くすることによって、例えば切断し又は細断することによって、ハイブリッド固体電解質層の目標とする厚さに適合させることができる。
【0096】
硬化後、手順は、自立型ハイブリッド固体電解質4をもたらすため、硬化した層を担体202から層剥離する工程109を含んでいてもよい。
【0097】
金属塩6(図面に示さず)及び/又は他の構成要素は、堆積されたままの混合物又はスラリーに含めることができる。或いは金属塩6と、他の構成要素のいずれか1つ又は複数、例えば可塑剤は、後の段階で、例えば硬化後に、ポリマー母材を、ポリマーに対して親和性を持つ溶媒中に塩/添加剤を持つ溶液に曝露することによって、例えばポリマー母材を膨潤させることによって、添加することができる。
【0098】
一部の実施形態では、ハイブリッド固体電解質4を提供する工程103は、固体状態繊維充填剤を含む乾燥多孔質構造を、発生させ、予備形成することを含む。繊維の、予備形成された構造には、その後、ポリマー母材及び/又はその前駆体を含む組成物を含浸させ、その後、ポリマー母材及び/又はその前駆体を凝固することができる。上記にて論じたように、塩及び/又は添加剤は、前駆体組成剤と一緒に添加することができ、又は後で、例えば膨潤工程で導入することができる。
【0099】
一部の実施形態では、繊維の構造は、本質的に多孔質の繊維を含むことができる。本質的な多孔度は、例えば小さい気泡を捕捉することによって又は溶媒を、繊維のスピニング及びアニール後に空隙をもたらす前駆体に混合することによって、例えばエレクトロスピニングされた繊維内に作製することができる。細孔/空隙の提供は、有利には、繊維の正味の重量を低減させつつ、繊維の表面積を増大させる。他の又は更なる実施形態では、繊維の構造は、繊維の、同軸上に層状化された構造とすることができる。他の又は更なる実施形態では、繊維の構造は、繊維の同軸上に層状化された構造とすることができる。
【0100】
有利には、繊維は、ポリマー母材中に混合する前に(例えば、母材とのより良好な相互作用のため)、表面修飾又はコーティングのために後処理されてもよい。
【0101】
図5A(左上)は、固体状態電解質繊維9を含む乾燥多孔質構造9’を予備形成する工程108に従う手順を示す。図示されるように、構造は、担体基材202上に形成することができる。その後、形成された構造には、担体上又はバッテリ活性層上のいずれかで、ポリマー母材及び/又はその前駆体5pを含む組成を持つ組成物が、含浸される107。含浸後、ポリマー母材及び/又はその前駆体は、硬化され、例えば過剰な溶媒を硬化し及び/又は蒸発させることによって硬化されて、埋め込まれた固体状態電解質繊維9を持つポリマー母材5をもたらす(5A、右下)。硬化の後、形成されたハイブリッド固体電解質4を、担体から層剥離することができる109。
【0102】
図5Bは、基材、例えば担体202の面上に、固体状態電解質繊維9の予備形成された構造9’を得るのに、エレクトロスピニングをどのように使用できるかを概略的に示す。或いは、スピニングされた繊維を、より小さい小片に切断し、収集し、図5Aに関して記載されるように、溶融体又は溶液プロセス中で使用することができる。このように構造9’又はマットは、別々に収集できるもの又は含浸プロセスで直接使用できるものを図5A又は図5Cに関して記載されるように形成することができる。乾燥マットでは、構造的一体性を、堆積された繊維及び/又は堆積された繊維の部分を相互接続することによって、例えば絡み合わせ又は化学的相互接続、例えば融合部分によって、改善することができる。
【0103】
好ましい実施形態では、乾燥多孔質構造9’は、堆積ノズル201から担体202上に、前駆体をエレクトロスピニングして高k誘電体及び/又は固体状態電解質繊維にすることを含むプロセスで形成され、それによって、担体202に対するノズルs201の側方変位速度は、ノズルからのスピニングされた繊維s9の排出速度よりも小さくなる。スピニングされた繊維を、ノズルの側方変位速度よりも高い速度で、好ましくは少なくとも10倍高い速度で堆積することによって、堆積された繊維は、基材から離れて垂直ループを形成し、それによってループの高さは、スピンと並進速度との間の差の増大と共に、増大する。
【0104】
更にエレクトロスピニングは、例えば堆積中に、堆積されたスピニング済みの繊維が軟化又は融合温度よりも僅かに上で交差したままの状態に保たれるとき、繊維及び/又は繊維部分の間で化学的に相互接続された交差を形成する利益を有することができる。
【0105】
本明細書に記載される繊維及び/又は乾燥構造は、圧力推進スピニング又は押出しプロセスを含むがこれらに限定されないスピニングプロセス又は押出しプロセス等、代わりの排出プロセスを使用して、製造され得ることが理解されよう。例えば1つの実施形態では、プロセスは、気体圧力系ブロースピニングプロセス又は機械式スピニングプロセスであってもよい。更なる例として、繊維はスロット-ダイ押出しによって形成されてもよい。
【0106】
ハイブリッド固体電解質(4)を製造するための、更に他の代替のプロセスとして、方法は、適切に寸法測定された容器を提供し、容器に第1及び第2の充填剤の1種又は複数を充填する工程を含んでいてもよい。容器に第1及び/又は第2の充填剤が充填された後、ハイブリッド固体電解質の残りの成分を、本明細書に開示される射出及び/又は堆積方法を使用して、添加することができる。母材は例えば、軟化ポリマー組成物、溶液、又はポリマー前駆体組成物を射出することによって形成することができる。塩は、母材と一緒に又は個別の工程で、例えば適切な溶液を射出することによって、添加されてもよい。揮発性溶媒は、当分野で公知の方法を使用して除去することができる。
【0107】
充填剤、例えば細長い又は繊維状の第2の充填剤の整列は、フィールドコンテナの機械的刺激、例えば振盪によって実現されてもよく、より活発に好ましい更に整列された充填に向けて、充填剤を再配向させる。
【0108】
細長い粒子を含む、乾燥予備形成多孔質構造は、高k誘電体構造を形成するため、代替として金属フォーム、例えば酸化されるアルミニウムから製造することができる。或いは、又は加えて、誘電体又は固体状態電解質コーティングは、形成された多孔質構造に、例えばPVD及びALD等の気相成長法によって設けられてもよい。形成された高k誘電体構造には、その後、ハイブリッド固体電解質の残りの成分を含むスラリーを含浸させることができる。或いは、又は加えて、形成された構造、例えばフォーム系構造は、溶融溶液処理のために組成物の一部として使用できる短く細長い粒子が得られるまで、破砕又は細断することができる。
【0109】
明瞭で簡潔な記載の目的で、特徴は、同じ又は個別の実施形態の一部として本明細書で記載され、しかしながら本発明の範囲は、記載される特徴の全て又は一部の組合せを有する実施形態を含み得ることが理解されよう。例えば実施形態は、相互混合された誘電体粒子及び固体状態電解質繊維を持つハイブリッド固体電解質に関して示されるが、類似の機能及び結果を実現するために本開示の利益を有する当業者なら代替の方式も考えられる。例えば繊維及び粒子は、組み合わされても、1つ又は複数の層に分割されてもよい。論じられ図示される実施形態の様々な要素は、改善されたイオンコンダクタンス、機械的一体性、及び電解質安定性等の、ある特定の利点を提供する。当然ながら、上記実施形態又はプロセスのいずれか1つは、設計及び利点の発見及び一致において更なる改善も提供するために、1つ又は複数の他の実施形態又はプロセスと組み合わされてもよいことを理解されたい。本開示は、再充電可能なリチウムバッテリ、特にリチウム金属バッテリに特定の利点を提供し、概して任意の適用例、例えば改善されたイオンコンダクタンスから利益を得る、電解質を持つ電極に適用できることが理解される。
【0110】
明瞭で簡潔な記載の目的で、特徴は、同じ又は個別の実施形態の一部として本明細書で記載され、しかしながら本発明の範囲は、記載される特徴の全て又は一部の組合せを有する実施形態を含み得ることが理解されよう。例えば実施形態は、相互混合された誘電体粒子及び固体状態電解質繊維を持つハイブリッド固体電解質に関して示されるが、類似の機能及び結果を実現するために本開示の利益を有する当業者なら代替の方式も考えられる。例えば誘電体及び固体状態電解質充填剤は、組み合わされても、1つ又は複数の層に分割されてもよい。論じられ図示される実施形態の様々な要素は、改善されたイオンコンダクタンス、機械的一体性、及び電解質安定性等の、ある特定の利点を提供する。当然ながら、上記実施形態又はプロセスのいずれか1つは、設計及び利点の発見及び一致において更なる改善も提供するために、1つ又は複数の他の実施形態又はプロセスと組み合わされてもよいことを理解されたい。本開示は、再充電可能なリチウムバッテリ、特にリチウム金属バッテリに特定の利点を提供し、概して任意の適用例、例えば改善されたイオンコンダクタンスから利益を得る、電解質を持つ電極に適用できることが理解される。
【0111】
実施形態では、本出願は、アノード2と、カソード3と、アノード2及びカソード3の間のハイブリッド固体電解質4と、を含む、金属イオンバッテリ1であって、ハイブリッド固体電解質4は、ポリマー母材5、ポリマー母材5中に分散された金属塩6、及び電気絶縁性無機充填剤粒子を含む、拡散層L1と、固体電解質界面SEIの形成を容易にし且つアノード2用の湿潤又は接着層として作用する、ハイブリッド固体電解質4のアノード側にある不動態層L2と、を含む、層の積層体として形成され、無機充填剤粒子は、無機高k誘電体粒子8及び固体状態電解質粒子9を含む、金属イオンバッテリ1を提供する。
【0112】
一実施形態では、金属イオンバッテリ1は、ハイブリッド固体電解質4のカソード側に、カソード及び/又はカソード液組成物12から無機充填剤粒子及び/又はポリマー母材を遮蔽するため、遮蔽層L0を含む。
【0113】
別の又は更なる実施形態では、無機高k誘電体粒子8及び固体状態電解質粒子9の少なくとも1種又は複数は、アスペクト比>5で細長く成形される。
【0114】
好ましくは、無機高k誘電体粒子8及び固体状態電解質粒子9の少なくとも1種又は複数、好ましくは少なくとも高k誘電体粒子は、繊維状である。
【0115】
好ましくは、細長く成形された無機高k誘電体粒子8及び/又は固体状態電解質粒子9は、主としてアノード2と、カソード3と、の間の主方向に沿って配向する。
【0116】
一部の実施形態では、無機充填剤粒子は、ポリマー母材5の対向面4a、4c間に、イオン伝導用の浸出経路Pを形成する。
【0117】
好ましくは、高k誘電体粒子8は、誘電定数≧100を有する。
【0118】
一部の実施形態では、拡散層は、固体状態電解質粒子9を閉じ込める第1の層L1.1と、誘電体粒子8の少なくとも一部を含む第2の層L1.2と、を含む積層体として、有利に構成することができ、それによって第2の層L1.2はアノード2に面する。
【0119】
他の又は更なる実施形態では、無機充填剤粒子の1種又は複数は、金属イオン伝導性官能末端基を含むコーティングを含む。
【0120】
他の又は更なる実施形態では、固体状態電解質粒子9は、1種又は複数のリチウムイオン伝導性組成物を含む。
【0121】
更なる態様によれば、本明細書に記載されるハイブリッド固体電解質が提供される。ハイブリッド固体電解質は、ポリマー母材5、ポリマー母材5中に分散された金属塩6、及び電気絶縁性無機充填剤粒子を含む、拡散層L1と、固体電解質界面SEIの形成を容易にし且つアノード2用の湿潤又は接着層として作用する、ハイブリッド固体電解質4のアノード側にある不動態層L2と、を含む、層の積層体として形成することができ、無機充填剤粒子は、無機高k誘電体粒子8及び固体状態電解質粒子9を含む。
【0122】
一実施形態では、ハイブリッド固体電解質は、ハイブリッド固体電解質4のカソード側に、カソード及び/又はカソード液組成物12から無機充填剤粒子及び/又はポリマー母材を遮蔽するため、遮蔽層L0を更に含む。
【0123】
更なる態様によれば、アノード、カソード、並びにアノードとカソードとの間のハイブリッド固体電解質を提供する工程を含み、ハイブリッド固体電解質4を提供する工程103が、ポリマー母材5、ポリマー母材5中に分散された金属塩6、及び電気絶縁性無機充填剤粒子を含む、拡散層L1と、固体電解質界面SEIの形成を容易にし且つアノード2用の湿潤又は接着層として作用する、ハイブリッド固体電解質4のアノード側にある不動態層L2と、を含む、層の積層体を形成する工程を含み、無機充填剤粒子は、無機高k誘電体粒子8及び固体状態電解質粒子9を含む、金属イオンバッテリを製造する方法が提供される。
【0124】
一実施形態では、方法は、ハイブリッド固体電解質4に、金属塩6を含む液体組成物を含浸させる工程を含む。
【0125】
別の又は更なる実施形態では、固体状態電解質粒子9及び/又は高k誘電体粒子8は、浸出閾値よりも高い値の量で提供される。
【0126】
無機高k誘電体粒子(8)及び固体状態電解質粒子(9)の少なくとも1種又は複数は、それに対応する前駆体組成物をエレクトロスピニングすることによって形成することができる。
【0127】
一部の実施形態では、ハイブリッド固体電解質4を提供する工程103は、ポリマー母材5及び/又はその前駆体5pを更に含む担体中に固体状態電解質粒子9を含む分配層を形成する、分配する工程104、その後の、ポリマー母材5及び/又はその前駆体を凝固する工程105を含む。
【0128】
一部の好ましい実施形態では、方法は、電磁場で固体状態電解質繊維9を整列させる工程106を含み、前記電磁場は、分配層に垂直に配向する。
【0129】
一部の実施形態では、分配層は、誘電体粒子8を更に含む。
【0130】
分配する工程は、溶融流延及び/又は溶融押出しを含むことができる。
【0131】
他の又は更なる好ましい実施形態では、ハイブリッド固体電解質4を提供する工程103は、無機高k誘電体粒子8及び固体状態電解質粒子9の1種又は複数の繊維を含む乾燥多孔質構造を発生させる工程と、乾燥多孔質構造に、ポリマー母材及び/又はその前駆体を含む組成物を含浸させ、その後、ポリマー母材及び/又はその前駆体を凝固する工程とを含むことができる。
【0132】
乾燥多孔質構造は、堆積ノズルから担体上に、固体状態電解質粒子及び/又は高k誘電体粒子に前駆体をエレクトロスピニングする工程を含むプロセスで形成することができ、それによって、担体に対するノズルの側方変位速度は、ノズルからの繊維の堆積速度よりも小さい。
【0133】
添付される請求項を解釈する際、「含む(comprising)」という単語は、他の要素の存在を除外せず、又は所与の請求項に列挙されたものよりも作用することを理解すべきであり;要素に先行する「a」又は「an」という単語は、複数のそのような要素の存在を除外せず;請求項に記載される任意の指示対象は、それらの範囲を限定せず;いくつかの「手段(means)」は、同じ又は異なる項目又は実現される構造又は機能によって表されてもよく;開示されるデバイス又はその部分のいずれかは、他に特に指示されない限り、一緒に組み合わされてもよく又は更なる部分に分離されてもよい。1つの請求項が別の請求項を指す場合、これはそれらの特徴それぞれの組合せによって実現される相乗的利点を示し得る。しかし、ある特定の手段が相互に異なる請求項に列挙されるという単なる事実は、これらの手段の組合せも利益になるように使用することができないことも示さない。したがって本実施形態は、文脈によって明らかに除外されない限り、各請求項が原則として任意の先行する請求項を指すことができる、請求項の全ての作用する組合せを含み得る。
【符号の説明】
【0134】
1 金属イオンバッテリ
2 アノード
3 カソード
4 ハイブリッド固体電解質
4’ 層
4a 対向面
4c 対向面
5 ポリマー母材
5p 前駆体
5.1 ポリマー母材
5.2 ポリマー母材
6 金属塩
8 誘電体粒子
9 固体状態電解質繊維
9-1 固体状態電解質粒子
9-2 固体状態電解質粒子
9-3 繊維
9-4 固体状態電解質粒子
12 カソード液組成物
13 カソード液
101 アノード
102 カソード
110 アノード液
111 カソード液
201 堆積ノズル
202 担体基材
D 主方向
L0 遮蔽層
L1 拡散層
L1.1 第1の層
L1.2 第2の層
L2 不動態層
L3 セラミック中間層
P 浸出経路
s201 ノズル
s9 スピニングされた繊維
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】