(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】生物検査用のチップベースの試薬ボックス及びその検測方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20240927BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20240927BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20240927BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20240927BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
C12M1/34 Z
C12Q1/6876 Z
G01N27/416 336G
C07K16/00
C07K14/705
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547401
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 US2021055339
(87)【国際公開番号】W WO2023069059
(87)【国際公開日】2023-04-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524148152
【氏名又は名称】アグリトーク テクノロジー インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】524148163
【氏名又は名称】ワン,エリック
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ウェン リャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ルン チェ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,チン シェン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ジェン チェ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シュ ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ヨウ シュアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,エリック
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB15
4B029BB20
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4B063QQ03
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4H045AA30
4H045AA40
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4H045DA75
4H045EA50
(57)【要約】
本発明は、生物検査用のチップベースの試薬ボックス及びその検測方法を提供する。検測装置は、流路ガイド層を含み、基板と重ねて本体が構成され、基板には一対の電極の一部に反応領域が設けられており、反応領域には検測ターゲットと結合する受容体が塗布されている。流路ガイド層は、反応領域と同一の位置に設置された開孔を有し、受容体は開口部において前記本体に露出しており、流路ガイド層と基板との間にマイクロ流路が形成されている。検測方法は、滴下、洗浄、検測のステップを有し、サンプル液を開孔から反応領域に直接滴下して、受容体と反応させる、反応時間後、反応領域にサンプル液に加えらて洗浄液が滴下され、毛細作用によって前記マイクロ流路に浸透して排出され、その後、反応領域に検測液を滴下することにより、サンプルを検測する。この方法では、外部から力を加えることなくサンプル検測を完了でき、検測効率を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体を含み、前記本体は、
一対の電極が設けられ、かつ前記一対の電極の一部には反応領域を含み、前記反応領域に、検測ターゲットと結合する受容体を塗布している基材と、
前記基材と重ねて設けられる導流層であって、前記反応領域と同一の位置に設置された開孔を有する前記導流層と、を含み、
前記受容体が前記開孔で前記本体の外部に露出することにより、サンプル液が前記反応領域に直接滴下されて前記受容体と反応することができ、
前記導流層と前記基材との間には、前記反応領域に連通するマイクロ流路が存在し、
洗浄液が反応後の前記サンプル液に加えられると共に、前記マイクロ流路に浸透し排出されることで、前記サンプル液及び前記洗浄液のいずれもが毛細作用によってマイクロ流路に吸収される生物検査用のチップベースの試薬ボックス。
【請求項2】
前記導流層は、毛細作用を有する親水性層、及び吸水しない疎水性層を含み、
前記疎水性層は、前記基材と前記親水性層との間に配置され、
前記開孔は、前記親水性層及び前記疎水性層を貫通して、前記反応領域に直通し、
前記疎水性層には、空洞があることにより、前記基材と前記親水性層との間に前記マイクロ流路が形成される請求項1に記載のチップベースの試薬ボックス。
【請求項3】
前記開孔は、六角形を成しており、等幅である反応段及び収縮状の緩衝段を有し、
前記緩衝段は、広端及び狭端を有し、
前記広端は、前記反応段の一端に延び、
前記狭端は、前記疎水性層の空洞に連通することにより、前記マイクロ流路に連通する請求項2に記載のチップベースの試薬ボックス。
【請求項4】
更に吸着部を含み、
前記親水性層は、反応領域から離れた前記マイクロ流路の一端において排水口を有し、
前記吸着部は、前記排水口で前記親水性層に設けられている請求項2に記載のチップベースの試薬ボックス。
【請求項5】
さらにケースを含み、
前記本体及び前記吸着部は、前記ケースに包まれて位置決めされ、
前記ケースは、前記開孔を介して前記受容体の上方で前記反応領域に直通する窓部を有し、かつ前記ケースは、前記排水口の一側において気孔を有し、
前記排水口は、前記ケースにおいて前記気孔と連通する請求項4に記載のチップベースの試薬ボックス。
【請求項6】
前記受容体は、免疫グロブリン、核酸プローブ、化学分子、又は機能性タンパク質から選択されるものである請求項1に記載のチップベースの試薬ボックス。
【請求項7】
前記サンプル液を前記開孔から前記反応領域に直接滴下し、反応時間の間に、前記受容体と反応させる、滴下ステップと、
前記反応時間の後、前記反応領域の収容体積を超えるように、前記反応領域に前記洗浄液を滴下し、前記サンプル液と前記洗浄液とが毛細作用により前記マイクロ流路に浸透して排出される、洗浄ステップと
前記洗浄ステップの後、検測液を前記反応領域に滴下することにより、サンプルの検測を行う、検測ステップとを含む、請求項1乃至3の何れか一項に記載のチップベースの試薬ボックスの検測方法。
【請求項8】
前記滴下ステップにおいて、前記サンプル液は、10~15マイクロリットルの体積で前記反応領域において反応が行われ、前記反応の時間は、1~5分である請求項7に記載の検測方法。
【請求項9】
前記洗浄ステップにおいて、
先に前記洗浄液の一滴目を前記反応領域に滴下することにより、前記サンプル液を洗浄し、かつ前記サンプル液と洗浄液とを前記マイクロ流路に浸透して、一回目の洗浄を行い、
次に前記洗浄液の二滴目を前記反応領域に滴下することにより、再び前記サンプル液を洗浄し、かつ前記サンプル液と洗浄液とを再び前記マイクロ流路に浸透して、二回目の洗浄を行う請求項8に記載の検測方法。
【請求項10】
前記検測ステップにおいて、
先に前記検測液の一滴目を前記反応領域に滴下し、かつ残留した前記洗浄液及び検測液を毛細作用により前記マイクロ流路に浸透させ、
その後、前記検測液の二滴目を前記反応領域に滴下し、前記検測液の二滴目を前記反応領域に停留することにより、前記サンプルの検測を行う請求項8に記載の検測方法。
【請求項11】
前記サンプル液を前記開孔から前記反応領域に直接滴下し、反応時間の間に、前記受容体と反応させる、滴下ステップと、
前記反応時間の後、前記反応領域の収容体積を超えるように、前記反応領域に前記洗浄液を滴下し、前記サンプル液と前記洗浄液とが毛細作用により前記マイクロ流路に浸透して排出される、洗浄ステップと
前記洗浄ステップの後、検測液を前記反応領域に滴下することにより、サンプルの検測を行う、検測ステップとを含み、
前記マイクロ流路を流れる前記サンプル液及び前記洗浄液、又は前記検測液は、前記吸着部によって素早く吸収されて、前記マイクロ流路を通じて排出される請求項4に記載のチップベースの試薬ボックスの検測方法。
【請求項12】
前記滴下ステップにおいて、前記サンプル液は、10~15マイクロリットルの体積で前記反応領域において反応が行われ、前記反応の時間は、1~5分である請求項11に記載の検測方法。
【請求項13】
前記洗浄ステップにおいて、
先に前記洗浄液の一滴目を前記反応領域に滴下することにより、前記サンプル液を洗浄し、かつ前記サンプル液と洗浄液とを前記マイクロ流路に浸透して、一回目の洗浄を行い、
次に前記洗浄液の二滴目を前記反応領域に滴下することにより、再び前記サンプル液を洗浄し、かつ前記サンプル液と洗浄液とを再び前記マイクロ流路に浸透して、二回目の洗浄を行う請求項12に記載の検測方法。
【請求項14】
前記検測ステップにおいて、
先に前記検測液の一滴目を前記反応領域に滴下し、かつ残留した前記洗浄液及び検測液を毛細作用により前記マイクロ流路に浸透させ、
その後、前記検測液の二滴目を前記反応領域に滴下し、前記検測液の二滴目を前記反応領域に停留することにより、前記サンプルの検測を行う請求項12に記載の検測方法。
【請求項15】
前記サンプル液を前記開孔から前記反応領域に直接滴下し、反応時間の間に、前記受容体と反応させる、滴下ステップと、
前記反応時間の後、前記反応領域の収容体積を超えるように、前記反応領域に前記洗浄
液を滴下し、前記サンプル液と前記洗浄液とが毛細作用により前記マイクロ流路に浸透して排出される、洗浄ステップと
前記洗浄ステップの後、検測液を前記反応領域に滴下して、サンプルの検測を行う、検測ステップとを含み、
前記気孔の孔径サイズを調節することにより、前記マイクロ流路を通して排出される前記サンプル液と洗浄液、又は前記検測液の流速を制御する請求項5に記載のチップベースの試薬ボックスの検測方法。
【請求項16】
前記滴下ステップにおいて、前記サンプル液は、10~15マイクロリットルの体積で前記反応領域において反応が行われ、前記反応の時間は、1~5分である請求項15に記載の検測方法。
【請求項17】
前記洗浄ステップにおいて、
先に前記洗浄液の一滴目を前記反応領域に滴下することにより、前記サンプル液を洗浄し、前記サンプル液と洗浄液とを前記マイクロ流路に浸透して、一回目の洗浄を行い、
次に前記洗浄液の二滴目を前記反応領域に滴下することにより、再び前記サンプル液を洗浄し、かつ前記サンプル液と洗浄液とを前記マイクロ流路に浸透して、二回目の洗浄を行う請求項16に記載の検測方法。
【請求項18】
前記検測ステップにおいて、
先に前記検測液の一滴目を前記反応領域に滴下し、かつ残留した前記洗浄液及び検測液を毛細作用により前記マイクロ流路に浸透させ、
その後、前記検測液の二滴目を前記反応領域に滴下し、前記検測液の二滴目を前記反応領域に停留して、前記サンプルの検測を行う請求項16に記載の検測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検測装置を提供し、特に、生物検査用のチップベースの試薬ボックス及びその検測方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の生体チップ検測装置では、その反応領域に、検測ターゲットを結合するための受容体が塗布され、前記反応領域は、外部に露出せずに、検測装置に設けられている。検測時に、オペレーターは生物の体液(例えば、血液)から適量のサンプル滴を採取して反応領域の入口に低下させ、外部動力装置によって提供された力(加圧ガスなど)を加えてサンプルを反応領域に送ることで、サンプルは前記受容体と接触し、反応を経た後、検測が行われ、分析結果が得られる。ただし、外部動力装置でサンプルに外圧を加える方法では、サンプルは、圧力を受けて容易に破壊され易くなり、得られる分析結果が不正確になる可能性がある。
【0003】
別の従来の生体チップ検測装置では、同様に、サンプル液を反応領域の入口に滴下し、毛細作用によってサンプル液を前記反応領域にガイドして、受容体と接触した後に検測を行って、分析結果を得る。しかし、サンプル液が前記反応領域にガイドされる過程には時間がかかり、サンプル液が前記反応領域にガイドされた後に前記反応が開始されるので、このように、検測時間が遅延し、検測効率を効果的に向上させることが困難となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、外力駆動を必要とせずとも、効率的にサンプル検測を完成できる生物検査用のチップベースの試薬ボックス及びその検測方法を研究開発した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
それに応じて、本発明の第1面相は、本体を含み、前記本体は、一対の電極が設けられ、かつ前記一対の電極の一部には反応領域を含み、前記反応領域に、検測ターゲットと結合する受容体を塗布している基材と、前記基材と重ねて設けられる導流層であって、前記反応領域と同一の位置に設置された開孔を有し、前記受容体が前記開孔で前記本体の外部に露出することにより、サンプル液が前記反応領域に直接滴下されて前記受容体と反応することができ、かつ前記基材との間には、前記反応領域に連通するマイクロ流路が存在し、洗浄液が反応後のサンプル液に加えられると共に、前記マイクロ流路に浸透し排出される前記導流層と、を含む生物検査用のチップベースの試薬ボックスを提供する。
【0006】
一実施例において、前記導流層は、毛細作用を有する親水性層、及び吸水しない疎水性層を含み、前記疎水性層は、前記基材と前記親水性層との間に配置され、前記開孔は、前記親水性層及び前記疎水性層を貫通して、前記反応領域に直通し、前記疎水性層には、空洞があることにより、前記基材と前記親水性層との間に前記マイクロ流路が形成される、チップベースの試薬ボックスを提供する。
【0007】
一実施例において、前記開孔は、六角形を成しており、等幅である反応段及び収縮状の緩衝段を有し、前記緩衝段は、広端及び狭端を有し、前記広端は、前記反応段の一端に延び、前記狭端は、前記疎水性層の空洞に連通することにより、前記マイクロ流路に連通する、チップベースの試薬ボックスを提供する。
【0008】
一実施例において、更に吸着部を含み、前記親水性層は、反応領域から離れた前記マイ
クロ流路の一端において排水口を有し、前記吸着部は、前記排水口で前記親水性層に設けられている、チップベースの試薬ボックスを提供する。
【0009】
一実施例において、さらにケースを含み、前記本体及び前記吸着部は、前記ケースに包まれて位置決めされ、前記ケースは、前記開孔を介して前記受容体の上方で前記反応領域に直通する窓部を有し、かつ前記ケースは、前記排水口側において気孔を有し、前記排水口は、前記ケースにおいて前記気孔と連通する、チップベースの試薬ボックスを提供する。
【0010】
それに応じて、チップベースの試薬ボックスに基づいて、本発明の他の面相は、検測方法を提供し、滴下ステップ、洗浄ステップ及び検測ステップを含み、滴下ステップにおいて、サンプル液を前記開孔から前記反応領域に直接滴下し、反応時間の間に、前記受容体と反応させ、洗浄ステップにおいて、前記反応時間の後、前記反応領域の収容体積を超えるように、前記反応領域に洗浄液を滴下し、サンプル液と洗浄液とが毛細作用により前記マイクロ流路に浸透して排出され、検測ステップにおいて、前記洗浄ステップの後、検測液を前記反応領域に滴下することにより、サンプルの検測を行う。
【0011】
一実施例において、前記滴下ステップにおいて、サンプル液は、10~15マイクロリットルの体積で前記反応領域において反応が行われ、前記反応の時間は、1~5分である、検測方法を提供する。
【0012】
一実施例において、前記洗浄ステップにおいて、先に洗浄液の一滴目を前記反応領域に滴下することにより、サンプル液を洗浄し、かつサンプル液と洗浄液とを前記マイクロ流路に浸透して、一回目の洗浄を行い、次に洗浄液の二滴目を前記反応領域に滴下することにより、再びサンプル液を洗浄し、かつサンプル液と洗浄液とを再び前記マイクロ流路に浸透して、二回目の洗浄を行う、検測方法を提供する。
【0013】
一実施例において、前記検測ステップにおいて、先に検測液の一滴目を前記反応領域に滴下し、かつ残留した洗浄液及び検測液を毛細作用により前記マイクロ流路に浸透させ、その後、検測液の二滴目を前記反応領域に滴下し、検測液の二滴目を前記反応領域に停留することにより、前記サンプルの検測を行う、検測方法を提供する。
【0014】
それに応じて、チップベースの試薬ボックスに基づいて、本発明の他の面相は、検測方法を提供し、滴下ステップ、洗浄ステップ及び検測ステップを含み、滴下ステップにおいて、サンプル液を前記開孔から前記反応領域に直接滴下し、反応時間の間に、前記受容体と反応させ、洗浄ステップにおいて、前記反応時間の後、前記反応領域の収容体積を超えるように、前記反応領域に洗浄液を滴下し、サンプル液と洗浄液とが毛細作用により前記マイクロ流路に浸透して排出され、検測ステップにおいて、前記洗浄ステップの後、検測液を前記反応領域に滴下することにより、サンプルの検測を行い、前記マイクロ流路を流れるサンプル液及び洗浄液、又は検測液は、前記吸着部によって素早く吸収されて、前記マイクロ流路を通じて排出される。
【0015】
それに応じて、チップベースの試薬ボックスに基づいて、本発明の他の面相は、検測方法を提供し、滴下ステップ、洗浄ステップ及び検測ステップを含み、滴下ステップにおいて、サンプル液を前記開孔から前記反応領域に直接滴下し、反応時間の間に、前記受容体と反応させ、洗浄ステップにおいて、前記反応時間の後、前記反応領域の収容体積を超えるように、前記反応領域に洗浄液を滴下し、サンプル液と洗浄液とが毛細作用により前記マイクロ流路に浸透して排出され、検測ステップにおいて、前記洗浄ステップの後、検測液を前記反応領域に滴下して、サンプルの検測を行い、前記気孔の孔径サイズを調節することにより、前記マイクロ流路を通して排出されるサンプル液と洗浄液、又は検測液の流
速を制御する。
【発明の効果】
【0016】
これにより、本発明のチップベースの試薬ボックス及びその検測方法は、サンプル液を反応領域に直接滴下させ、受容体と反応させ、反応した後、サンプル液及び洗浄液又は検測液をマイクロ流路に浸透させて排出させるため、外力駆動を必要とせずに検測を完成できるだけでなく、サンプル液を反応領域に滴下する際に、受容体と反応させることで、検測時間を短縮できるので、検測効率を向上させるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例の生物検査用のチップベースの試薬ボックスの斜視図である。
【
図4】本発明の実施例の本体の上面分解模式図である。
【
図5】本発明の実施例のケースの分解模式図である。
【
図6】本発明の実施例の生物検査用のチップベースの試薬ボックスの部分模式断面図である。
【
図7】本発明の実施例の検測方法のフローチャートである。
【
図8A】本発明の実施例の生物検査用のチップベースの試薬ボックスが反応領域でサンプル液をに直接滴下する状態を示す参考図である。
【
図8B】
図8Aに続くものであり、反応時間後に反応領域に清洗液を滴下して、マイクロ流路に浸透させて排出する状態を示す参考図である。
【
図8C】
図8Bに続くものであり、洗浄ステップ後に、反応領域に検測液の二滴目を滴下して、サンプルの検測を行う状態を示す参考図である。
【
図8D】本発明の実施例の生物検査用のチップベースの試薬ボックスがケースを縮小気孔に調節した状態を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記の説明において、当業者にとっては、付加および/または置換を含む変更を加えて
も本発明の範囲および趣旨から逸脱しないことは明らかである。本発明を不明瞭にならないように、特定の詳細事項は省略される可能性があるが、本発明は、当業者が過度の試行錯誤なしに本発明を実施することを可能にするように記載されている。
【0019】
図1乃至
図8Dを参照されたい。本発明は、生物検査用のチップベースの試薬ボックス100及びその検測方法200を提供する。前記生物検査用のチップベースの試薬ボックス100は、前記
図1乃至6に示すように、基材20及び導流層30を含む本体10を含み、かつ実施例において、吸着部40及びケース50を更に含む。
【0020】
基材20には、一対の電極21が設けられ、前記一対の電極21の一部には、反応領域22があり、反応領域22には、検測ターゲットと結合する受容体23が塗布されており、受容体23の検測ターゲットは、抗体、抗原、核酸又は小分子であってもいいが、これに限られない。
【0021】
導流層30は、基材20と重ねて設けられ、本体10を構成する。導流層30は、開孔31を有し、この開孔31と反応領域22は、同位(on-site)に設けられ、受容体23が開孔31で本体10の外部に露出することにより、サンプル液Sが反応領域22に直接滴下して、受容体23と反応する(
図8Aに示すように)。導流層30は、基材20との間にマイクロ流路11が存在し、このマイクロ流路11は、反応領域22に連通する。サンプル液Sは、例えば血液であるが、本発明は、これに限られない。
【0022】
図2乃至4に示すように、本実施例における導流層30は、親水性層32及び疎水性層33を含み、疎水性層33は、基材20と親水性層32との間に位置し、親水性層32は、毛細作用を有し、吸水可能であり、疎水性層33は、吸水しない。開孔31は、親水性層32及び疎水性層33を貫通して、反応領域22に直通し、疎水性層33には、空洞があることにより、基材20と親水性層32との間には、マイクロ流路11が形成されている。
【0023】
図3に示すように、本実施例における親水性層32は、第一穿孔321を有し、かつ親水性層32は、反応領域22から離れたマイクロ流路11の一端において、排水口322を有し、疎水性層33は、第二穿孔331を有し、これにより、第一穿孔321と第二穿孔331とが重なり合って、開孔31を形成する。また、疎水性層33は、空洞を形成する前記第三穿孔332を有し、第二穿孔331と排水口322とは、第三穿孔332の両端に連通する。
【0024】
図4に示すように、開孔31は、六角形を成しており、反応段311及び緩衝段312を有し、反応段311は等幅であり、緩衝段312は収縮状を成している。緩衝段312は、広端312a及び狭端312bを有し、広端312aは、反応段311の一端に延び、狭端312bは、疎水性層33の第三穿孔332に連通することにより、マイクロ流路11に連通する。本実施例における受容体23は、反応段311に位置し、また、緩衝段312を設置することで、緩衝及び流速調整の作用を有する。開孔31が六角形であるのは、一例に過ぎず、本発明はこれに限定されない。開孔31を六角形にして反応領域22に直通させることで、このとき親水性層32は、開孔31内で毛細作用を生じさせず、サンプル液Sは、開孔31の六角形構造によって隔てられるため、サンプル液S及び洗浄液W又は検測液Tを反応領域22に滴下しても溢れ出ることがない。
【0025】
図5乃至6に示すように、本体10及び吸着部40は、ケース50に包まれて、位置決めされる。ケース50は、ウィンドー51を有しながら開孔31を通じて受容体23の上の反応領域22に連通され、かつケース50は、排水口322側に気孔52を有する。排水口322は、ケース50において、気孔52に連通している。一実施例において、吸着部40は、排水口322で親水性層32上に配置される。
【0026】
図5及び
図6に示すように、ケース50は、吸着部40に対応する固定部53を有する。固定部53は、吸着部40を排水口322に保持することにより、吸着部40は変位しないように位置決めされる。本実施例において、固定部53は、ケース50から突出する2つのリブ部であるが、固定部53は、本発明において、前述のリブ部であるとした実施例に限定されない。例えば、固定部53は、1つ又は3つ以上のリブ部であってもよく、リブ部の形状は、直線の形状であるが、これらに限定されなく、例えば丸形又はシート形状であってもよい。簡単に言うと、吸着部40を排水口322に保持する上述の機能を実現できるものであれば、本発明の固定部53の保護範囲の対象となる。また、ケース50は、本体10に対応して本体10が挿入可能に設けられるスロット54を有することにより、反応領域22が窓部51の中に位置することができ、かつ、ケース50は、スロット54において、リブ部55を備えており、スロット54における本体10は、リブ部55によって保持されて位置決めされる。また、本実施例において、ケース50は、2つの半ケース部56が組み合わされて構成される。
【0027】
図7に示すように、検測方法200は、滴下ステップ201、洗浄ステップ202及び検測ステップ203を含む。
【0028】
滴下ステップ201では、サンプル液Sを開孔31から反応領域22に直接滴下し(図
8A参照)、反応時間の間に、受容体23と反応させる。一実施例において、サンプル液Sは、反応領域22で10~15μLの容量で反応を行い、当該反応の時間は1~5分である。本発明の前記受容体23は、免疫グロブリン、核酸プローブ、化学分子又は機能性タンパク質であるが、これらに限定されない。本発明のサンプル液は、受容体に結合可能な検測ターゲットを含む。一実施例において、受容体23は、IgG抗体又はIgM抗体であり、サンプル液Sに含まれる検測ターゲットは、IgG抗体又はIgM抗体と特異的に結合できるウイルス又は微生物のものである。
【0029】
一実施例において、受容体23は、免疫グロブリンであり、ここでは、特に、コロナウイルス受容体結合ドメインタンパクの抗体(抗COVID-19 RBD抗体)であり、その濃度は、1-10 ug/mLであり、サンプル液Sに含まれる検測ターゲットは、本実施例において、唾液又は鼻粘液に含まれるコロナウイルス受容体結合ドメインタンパク(COVID-19 RBD)であり、その検知範囲は、1~1000 pg/mLである。
【0030】
洗浄ステップ202において、前記反応時間の後、反応領域22の収納可能体積を超えるように、洗浄液Wをサンプル液Sに滴下すると、サンプル液S及び洗浄液Wが毛細作用によってマイクロ流路11に浸透して排出される。上述の毛細作用は、本実施例において、親水性層32により提供される。一実施例において、本実施例の洗浄ステップ202(
図8B参照)において、最初に、一滴目が35μLである洗浄液Wを反応領域22に滴下して、サンプル液Sを洗浄することにより、サンプル液Sにおける受容体23と特異的に結合しない物質を除去し、かつサンプル液S及び洗浄液Wをマイクロ流路11に浸透させて、一回目の洗浄を完成する。次に、二滴目が35μLである洗浄液Wを反応領域22に滴下することにより、再びサンプル液Sを洗浄して、サンプル液Sにおける受容体23と特異的に結合しない物質を除去し、かつサンプル液S及び洗浄液Wを再びマイクロ流路11に浸透させて、2回目の洗浄を完成する。これにより、反応領域22においてサンプル液Sの残留する非特異的結合物質が原因で、検測結果に影響しないようにすることができる。
【0031】
検測ステップ203において、洗浄ステップ202の後、サンプル検測のために検測液Tを反応領域22に滴下する。一実施例において、本実施例の検測ステップ203において、先ず一滴目が35μLである検測液Tを反応領域22に滴下し、検測液Tは、毛細作用によってマイクロ流路11に浸透することができる(
図8B参照)。その後、2滴目の検測液Tを反応領域22に滴下し、2滴目の検測液Tは、反応領域22に留まり(
図8C参照)、反応後の受容体23に対して、電気化学反応によって上述サンプルの検測を行う。
【0032】
前記サンプル液S及び洗浄液Wが洗浄ステップ202において、毛細作用によってマイクロ流路11に浸透すること、及び検測液Tが検測ステップ203において、毛細作用によってマイクロ流路11に浸透することは、本実施例において、いずれもマイクロ流路11を満たすことで、かつ排水口322から排出されるとき、吸着部40によってすぐに吸収されることにより、洗浄ステップ202におけるサンプル液S及び洗浄液W、又は検測ステップ203における検測液Tがマイクロ流路11から排出されるのを加速させることができる。吸着部40の設置は、好ましい実施例に過ぎず、本発明は、これに限定されない。つまり、マイクロ流路11のサンプル液S及び洗浄液W又は検測液Tは、マイクロ流路11に満たされたとしても、排水口322から自然に排出できる。その相違点は、吸着部40があるとき、サンプル液S及び洗浄液W又は検測液Tがすぐに吸収されてマイクロ流路11から排出されるのを加速できるという点にある。
【0033】
一実施例において、気孔52の孔径サイズを調整することにより、サンプル液S及び洗
浄液W又は検測液Tがマイクロ流路11から排出される速度を制御する。
図8A~
図8Cに示すように、ケース50の気孔52が大きいとき、排気量が大きいため、サンプル液S及び洗浄液W又は検測液Tは、マイクロ流路11からより速く排出される。さらに、
図8Dに示すように、ケース50の気孔52が小さい場合、排気能力が小さいため、サンプル液S及び洗浄液W又は検測液Tがマイクロ流路11から排出される速度は、遅い。前記気孔52の孔径サイズの制御は、サンプル液S及び洗浄液W又は検測液Tがマイクロ流路11から排出される速度のニーズに基づいて定められ、本実施例の気孔52は、ケース50において、固定された孔径であり、ケース50の交換により気孔52の孔径サイズを調整することができるが、本発明はこれに限定されない。例えば、ケース50にフローバルブ(図には示されていない)を設置し、気孔52がフローバルブにおいて形成され、かつ孔径のサイズを前記フローバルブによって調整することができ、同様に、サンプル液S及び洗浄液W又は検測液Tがマイクロ流路11から排出される速度を制御することができる。
【0034】
上記の説明によれば、本発明の特性は次のとおりである。
【0035】
(1) 本発明に係る生物検査用のチップベースの試薬ボックス100及びその検測方法200は、サンプル液Sを反応領域22に直接滴下して、まず、サンプル液Sと受容体23とを反応させ、その後、サンプル液S及び洗浄液Wをマイクロ流路11に浸透させて排出することができる。これに対し、従来の検測装置では、まずサンプル液を毛細作用により反応領域にガイドしてから受容体と反応させる。したがって、本発明は、外部駆動を必要とせずともサンプル検測を完成できることに加えて、サンプル液Sが反応領域22に滴下されたときに受容体23と直接反応することができる。これより、サンプル液の反応領域へのガイドによって生じる検測時間の遅れを回避することで、検測時間を短縮することができ、これにより、検測効率を効率的に向上させるという効果を奏することができる。
【0036】
(2) 開孔31は、六角形を成しており、かつ開孔31は、反応領域22に直接連通していることにより、親水性層32は、開孔31において、毛細作用が生じない。六角構造である開孔31は、サンプル液Sに対してバリア作用を形成することで、サンプル液S及び洗浄液W又は検測液Tが反応領域22に滴下されるとき、外に溢れる状況が発生しないようにすることができる。これにより、検測プロセスをスムーズにし、検測効率をさらに向上させることに役立つ。
【0037】
(3) 吸着部40の設置により、サンプル液S及び洗浄液W又は検測液Tがマイクロ流路11から排出されるとき、吸着部40によってすぐに吸収される。これは、自然排出と比較して、加速させる作用を奏し、ひいては、検測効率をさらに向上させることに役立つ。
【0038】
本発明は、上述においてより好適な実施例を示したが、当業者にとって前記実施例は、本発明を説明するために用いられるものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。要注意すべきなのは、前記実施例の等価変更や置換の何れも本発明の範疇に含まれるものと理解すべきである。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で定義するものに準ずる。
【国際調査報告】