(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】コークス炉の加熱壁のためのクロスオーバーダクト及びコークス炉バッテリー
(51)【国際特許分類】
C10B 29/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
C10B29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547404
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 US2022078138
(87)【国際公開番号】W WO2023064916
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524144202
【氏名又は名称】ヴァノカー レフラクトリーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サフリン ポール エイ.
(72)【発明者】
【氏名】マイダ リチャード エム.
(57)【要約】
第1加熱壁と第2加熱壁とを有するコークス炉において用いられ、これらを流体的に接続するクロスオーバーダクト。クロスオーバーダクトは、さらに第1加熱壁と第2加熱壁とを連通する流路を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1加熱壁と第2加熱壁とを有するコークス炉において用いられるクロスオーバーダクトであって、
前記第1加熱壁と前記第2加熱壁とを流体的に接続するクロスオーバーダクト。
【請求項2】
前記第1加熱壁と前記第2加熱壁とを連通する流路をさらに備える、請求項1に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項3】
内部に経路を有する第1セクションと、
内部に経路を有する第2セクションと、を備え、
前記第1セクションの前記経路と前記第2セクションの前記経路が前記流路を形成している、請求項2に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項4】
前記第1セクションは、第1開口部及び第2開口部を有し、
前記第1開口部と前記第2開口部は、いずれも前記第1セクションの前記経路に開口し、
前記第2セクションは、第1開口部及び第2開口部を有し、
前記第1開口部と前記第2開口部は、いずれも前記第2セクションの前記経路に開口している、請求項3に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項5】
前記第1セクションの前記第1開口部は、前記第1加熱壁と連通し、
前記第2セクションの前記第1開口部は、前記第2加熱壁と連通し、
前記第1セクションの前記第2開口部は、前記第2セクションの前記第2開口部と連通している、請求項4に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項6】
前記第1セクションから延出し、前記第1セクションの前記第2開口部が形成される凸部と、
前記第2セクションに形成され、前記第2セクションの前記第2開口部が形成される凹部と、をさらに備え、
前記第1セクションの前記凸部の少なくとも一部は、前記第2セクションの前記凹部内に部分的に配置され、前記第1セクションの前記経路と前記第2セクションの前記経路とが流体的に接続されている、請求項4に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項7】
前記第1セクションの前記第1開口部は、前記第1加熱壁と連通し、
前記第2セクションの前記第1開口部は、前記第2加熱壁と連通している、請求項6に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項8】
前記流路に開口する第1開口部と第2開口部と、をさらに備え、
前記第1開口部は前記第1加熱壁と連通し、前記第2開口部は前記第2加熱壁と連通している、請求項2に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項9】
炉床と、
第1通気孔を有する第1加熱壁と、
第2通気孔を有し、前記第1加熱壁と隔てて配置されコークス炉を形成する第2加熱壁と、
クロスオーバーダクトと、を備え、
前記クロスオーバーダクトは、
その中に形成される流路と、
前記流路に開口する第1開口部と、
前記流路に開口する第2開口部と、を有し、
前記第1開口部は前記第1通気孔と連通し、前記第2開口部は前記第2通気孔と連通しているコークス炉バッテリー。
【請求項10】
前記クロスオーバーダクトは、さらに、前記第1開口部が形成され、前記第1開口部及び第3開口部が開口する経路を内部に有する第1セクションと、
前記第2開口部が形成され、前記第2開口部及び第4開口部が開口する経路を内部に有する第2セクションと、をさらに備え、
前記第1セクションの前記経路と前記第2セクションの前記経路が前記流路を形成している、請求項9に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項11】
前記第3開口部と前記第4開口部が互いに連通している、請求項10に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項12】
前記クロスオーバーダクトは、さらに、前記第1セクションから延出し、前記第3開口部が形成される凸部と、
前記第2セクションに形成され、前記第4開口部が形成される凹部と、をさらに備え、
前記第1セクションの前記凸部の少なくとも一部は、前記第2セクションの前記凹部内に部分的に配置され、前記第1セクションの前記経路と前記第2セクションの前記経路とが流体的に接続されている、請求項11に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項13】
第1加熱壁と第2加熱壁とを有するコークス炉において用いられ、前記第1加熱壁と前記第2加熱壁とを流体的に接続するクロスオーバーダクトであって、
内部に経路を有し、外面及び前記経路が終端する第1開口部及び第2開口部が形成される内面を有する第1セクションと、
内部に経路を有し、外面及び前記経路が終端する第1開口部及び第2開口部が形成される内面を有する第2セクションと、を備え、
前記第1セクションの経路と前記第2セクションの経路が流路を形成し、前記流路は前記第1加熱壁と前記第2加熱壁とに流体連通するクロスオーバーダクト。
【請求項14】
前記第1セクションの第2開口部と、前記第2セクションの第2開口部が互いに流体連通している、請求項13に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項15】
前記第1セクションの前記経路は、前記第1セクションの前記内面に形成された第3開口部で終端するとともに前記第1開口部に近接して配置され、
前記第2セクションの前記経路は、前記第2セクションの前記内面に形成された第3開口部で終端するとともに前記第2セクションの前記第1開口部に近接して配置されている、請求項14に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項16】
前記第1セクションの前記第1開口部の内面に少なくとも部分的に配置されるリップと、
前記第1セクションの前記第3開口部の内面に少なくとも部分的に配置されるリップと、
前記第2セクションの前記第1開口部の内面に少なくとも部分的に配置されるリップと、
前記第2セクションの前記第3開口部の内面に少なくとも部分的に配置されるリップと、をさらに備え、
複数の前記リップのうち少なくとも一部がその上にプレートを支持する、請求項15に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項17】
前記第1セクションの前記第1開口部は前記第1加熱壁に流体連通し、前記第2セクションの前記第1開口部は前記第2加熱壁に流体連通する、請求項13に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項18】
前記第1セクションの前記第1開口部は前記第1加熱壁に流体連通し、前記第1セクションの前記第3開口部は前記第1加熱壁に流体連通し、前記第2セクションの前記第1開口部は前記第2加熱壁に流体連通し、前記第2セクションの前記第3開口部は前記第2加熱壁に流体連通する、請求項15に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項19】
前記第1セクションの前記内面から延出し、前記第1セクションの前記第2開口部が形成される凸部と、
前記第2セクションに前記内面に形成され、前記第2セクションの前記第2開口部が形成される凹部と、を備え、
前記第1セクションの前記第2開口部と前記第2セクションの前記第2開口部とが流体連通している場合、前記凸部の少なくとも一部は前記凹部内に配置されている、請求項14に記載のクロスオーバーダクト。
【請求項20】
前記外面に設けられ、前記流路と流体連通する少なくとも1つの検査用開口部をさらに備える、請求項13に記載のクロスオーバーダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年10月15日に出願された米国仮特許出願第63/262,568号の工業所有権の保護に関するパリ条約のストックホルム法第4条および第8条に基づく優先権の利益を主張し、その全ての記載内容を引用により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、コークス炉に関し、より詳細には、異なる加熱壁の通気孔を接続してその温度と排ガスを調整するクロスオーバーダクトに関する。
【背景技術】
【0003】
コークスは通常、コークス炉バッテリーの中で石炭を加熱することによって製造される。このバッテリーには、加熱壁により分離された状態で40から100を超えるコークス室や炉が横並びに設置されていることがある。この壁の中でガスが燃焼し、炉内に配置された石炭を加熱する。各炉の床レンガは、コーベルの上に置かれている。コーベルの下には再生器と呼ばれるエリアがある。再生器は、体積あたりの表面積が比較的大きいレンガで満たされているが、これは一般にレンガに形成されたスロットのためである。再生器では、排熱を利用して流入空気を予熱し、排出前に排熱を冷却する。スロットのあるレンガはチェッカーレンガと呼ばれ、排気廃熱から燃焼材料への熱伝達を促進する。再生器はコーベルを支える。コーベルはコークス炉の床レンガと加熱壁を支えている。加熱壁、床レンガ、コーベルは、伝統的に珪石レンガで作られてきた。
【0004】
石炭はコークス炉に投入される前に粉砕・混合される。ラリーカーが個々の炉にブレンドされた石炭を投入する。コークス炉では、18時間に亘り石炭は1800°Fまで加熱され、保温のために再生器が重要となる。その間、石炭の揮発分はオフガスに追いやられ(除去され)、「コークス」と呼ばれる純粋な炭素が残る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、現在のコークス炉バッテリーの設計は、加熱壁の特定の通気孔内で排気ガスを循環および/または排出するだけである。具体的には、排気ガスは通気孔から排出させられ、コーベルを通って下降し、再生器に入る。このような設計は、加熱壁、特に通気孔内の最適な空気の流れを可能にせず、望ましくない加熱特性(すなわち、熱の損失、通気孔内の流体圧の上昇など)をもたらす。
【0006】
従って、コークス炉の2つの異なる加熱壁の通気孔を接続し、その中の空気とガスの流れを改善するクロスオーバーダクトの必要性が長く感じられる。
【0007】
コークス炉の2つの異なる加熱壁の通気孔を接続するクロスオーバーダクトに対する長年の別のニーズがあり、それによって、その中の熱の過剰な損失、その中の過剰な流体、および/またはガス圧力、および通気孔の構成部品間の継ぎ目で生じる潜在的な漏れ箇所を減少および/または除去し、通気孔の構造的完全性を長期間にわたって維持し、潜在的な修理費用を節約する。
【0008】
コークス炉の2つの異なる加熱壁の通気孔を接続し、その中の空気とガスの流れを改善し、その下にあるコークス炉の炉天井を提供し、少なくとも部分的にコークス炉バッテリー上部の一部を提供するクロスオーバーダクトに対する、さらなる長期間のニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、概略的に第1加熱壁と第2加熱壁とを有するコークス炉において用いられるクロスオーバーダクトであって、本発明は概略的に前記第1加熱壁と前記第2加熱壁とを流体的に接続するクロスオーバーダクトを含む。クロスオーバーダクトはさらに、前記第1加熱壁と前記第2加熱壁とを連通する流路を含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明は概略的にコークス炉バッテリーを含んでもよく、コークス炉バッテリーは、炉床と、第1通気孔を有する第1加熱壁と、第2通気孔を有し、前記第1加熱壁と隔てて配置されコークス炉を形成する第2加熱壁と、クロスオーバーダクトと、を備え、前記クロスオーバーダクトは、その中に形成される流路と、前記流路に開口する第1開口部と、前記流路に開口する第2開口部と、を有し、前記第1開口部は前記第1通気孔と連通し、前記第2開口部は前記第2通気孔と連通している。前記クロスオーバーダクトは、さらに、前記第1開口部が形成され、前記第1開口部及び第3開口部が開口する経路を内部に有する第1セクションと、前記第2開口部が形成され、前記第2開口部及び第4開口部が開口する経路を内部に有する第2セクションと、をさらに含んでもよく、前記第1セクションの前記経路と前記第2セクションの前記経路が前記流路を形成している。
【0011】
いくつかの実施形態では、本発明は概略的に第1加熱壁と第2加熱壁とを有するコークス炉において用いられてもよく、本発明は前記第1加熱壁と前記第2加熱壁とを流体的に接続するクロスオーバーダクトを含んでもよく、前記クロスオーバーダクトは、内部に経路を有し、外面及び前記経路が終端する第1開口部及び第2開口部が形成される内面を有する第1セクションと、内部に経路を有し、外面及び前記経路が終端する第1開口部及び第2開口部が形成される内面を有する第2セクションと、を備え、前記第1セクションの経路と前記第2セクションの経路が流路を形成し、前記流路は前記第1加熱壁と前記第2加熱壁とに流体連通する。
【0012】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、図面および添付の特許請求の範囲に照らして、以下の発明の詳細な説明を検討すれば容易に明らかになるであろう。様々な実施形態が、対応する参照符号が対応する部品を示す添付の概略図面を参照しながら、例としてのみ開示される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態に係るコークス炉バッテリーの部分的な斜視図である。
【
図2】
図1の2-2線に沿ったコークス炉バッテリーの部分断面図である。
【
図3A】
図1および
図2に示すクロスオーバーダクトの概略的な斜視図である。
【
図3B】
図3Aに示すクロスオーバーダクトの概略的なスケルトン斜視図である。
【
図4】
図3Aの4-4線に沿ったクロスオーバーダクトの概略的な断面図である。
【
図5A】
図4に示す本発明の分解斜視断面図である。
【
図6A】本発明の他の実施形態に係る概略的なスケルトン斜視図である。
【
図6B】
図6Aに示す本発明の概略的な上面スケルトン図である。
【
図6C】
図6Bの6C-6C線に沿ったクロスオーバーダクトの概略的な断面図である。
【
図6D】
図6Bの6D-6D線に沿ったクロスオーバーダクトの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに、異なる図面上に付された同様の図面番号は、同一または機能的に類似した構造要素を示すことを理解されたい。特許請求の範囲は、開示された態様に限定されないことを理解されたい。
【0015】
さらに、本開示は、記載された特定の方法論、材料および改変に限定されず、そのようなものとして、当然、変化し得ることが理解される。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明するためだけのものであり、特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。
【0016】
特段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または同等の方法、装置または材料が、例示的な実施形態の実施または試験において使用され得ることが理解されるべきである。
【0017】
「実質的に」という用語は、「ほぼ」、「ほとんど」、「約」、「非常に近い」、「周囲」、「境界」、「近傍」、「本質的に」、「近接した」、「近傍の」等の用語と同義であり、このような用語は、本明細書および特許請求の範囲に現れるように互換的に使用され得ることが理解されるべきである。「近接する」という用語は、「近傍」、「近い」、「隣接する」、「近傍」、「隣接する」などの用語と同義であり、このような用語は、本明細書および特許請求の範囲に現れるように、互換的に使用されてもよいことが理解されるべきである。「約」という用語は、規定値の10%以内の値を意味することを意図している。
【0018】
本出願における「または」の使用は、特段の記載がない限り、「非排他的」配置に関するものであることを理解すべきである。例えば、「項目xはAまたはBである」という場合、これは以下のいずれかを意味し得ると理解される:(1)項目xはAとBのいずれか一方のみである、(2)項目xはAとBの両方である。換言すれば、「または」は、排他的な配置を規定するために使用されるものではない。例えば、「項目xはAまたはBである」という文に対する「排他的または」配置は、xがAおよびBの一方のみであり得ることを必要とする。さらに、本明細書で使用される場合、「および/または」は、記載される要素または条件の1つ以上が含まれ得るかまたは発生し得ることを示すために使用される文法的接続詞を意味することが意図される。例えば、第1の要素、第2の要素および/または第3の要素を含む装置は、以下の構造配置のいずれか1つとして解釈されることが意図される:第1の要素を含む装置;第2の要素を含む装置;第3の要素を含む装置;第1の要素および第2の要素を含む装置;第1の要素および第3の要素を含む装置;第1の要素、第2の要素および第3の要素を含む装置;または、第2の要素および第3の要素を含む装置。
【0019】
さらに、本明細書で使用される場合、システムまたは要素と組み合わせた「少なくとも1つを含む(comprises)」および「少なくとも1つを含む(comprising)」という語句は、そのシステムまたは要素が、その語句の後に列挙された要素の1つ以上を含むことを意味することが意図される。例えば、「第1の要素;第2の要素;および第3の要素のうち少なくとも1つを含む装置」は、以下の構造配置のいずれか1つとして解釈されることを意図している:第1の要素を含む装置;第2の要素を含む装置;第3の要素を含む装置;第1の要素と第2の要素を含む装置;第1の要素と第3の要素を含む装置;第1の要素と第2の要素と第3の要素を含む装置;または、第2の要素と第3の要素を含む装置。本明細書において、「以下の少なくとも1つに使用される」という表現が使用される場合も、同様の解釈が意図される。
【0020】
本明細書において、「ベント」とは、ダクトのような限られた空間から、または限られた空間へ流体を通過させる開口部を意味する。「流体」には気体も含まれる。
【0021】
本明細書でも使用されるように、「流体連通」、「連通」、および/またはその実質的に同等の表現は、2つ以上の構成要素が、物質、例えば、気体、流体などが、2つの構成要素間および/または2つの構成要素内を流れることができるように接続されていることを意味する。「流体連通」、「連通」、および/または同等の表現はまた、2つ以上の構成要素間の熱伝達を含むことを意図している。
【0022】
(コークス炉バッテリー)
次に図を参照し、以下の説明は
図1および
図2を考慮して行われるべきである。
図1は、本発明のいくつかの実施形態によるコークス炉バッテリー10の部分的な斜視図である。
図2は、
図1の2-2線に沿ったコークス炉バッテリー10の概略的な部分断面図である。コークス炉バッテリー10は、一般に、再生器20および1つまたは複数の炉34から構成される。
【0023】
再生器20は、再生器領域24を形成するように間隔をあけて配置された複数の橋脚または支柱22を含む。いくつかの実施形態では、柱22の各々は、複数のレンガまたはブロックから構成される。柱20はコーベル40を支持する。いくつかの実施形態では、コーベル40の各々は複数のブロックを含む。いくつかの実施形態では、コーベル40は、複数の段に配置された複数のブロックを含む。
【0024】
コーベル40は、柱20の上に配置され、コークス炉バッテリー10の炉セクションを支持する。具体的には、コーベル40は、床28、加熱壁30A~D、および炉34に配置された石炭を支持し、通気孔32A~Dと再生器20との間を空気が流れるようにし、および/または通気孔32A~Dにガスが注入されるようにする。例えば、ガスまたは燃料は、貫通孔42を介して水平にコーベル40に注入され、垂直に貫通する孔46を通って流れ、通気孔32A~Dに入る。空気は孔48を介して通気孔32A~Dに流れ込み、そこで燃料と混合して燃焼し、加熱壁30A~Dをそれぞれ加熱し、こうして炉34に配置された石炭300を調理してコークスに変える(図面に示された石炭300は単に代表的なものである。実際には、石炭はコークス炉に装入される前に粉砕され混合される)。このような燃焼から排気ガスが発生し、これらの高温の排気ガスは孔48を介して再生器領域24に流れ落ちてもよく、それによって流入するガスおよび/または空気を予熱する。燃焼前にガス及び/または空気が通気孔に流入する際に予熱することは、冷たい燃料よりも効率的な気化及び高い燃焼効率をもたらすので望ましい。いくつかの実施形態では、コークス炉バッテリー10は、1つ以上の貫通孔42を通るガス流を選択的に遮断するように動作可能に配置された遮断手段(図示せず)をさらに備える。遮断手段(例えば、バルブ)により、オペレータは、各通気孔32A~D、従って炉34内の温度を制御することができる。幾つかの実施形態では、そして図示のように、コークス炉バッテリー10は、以下により詳細に説明されるように、加熱壁の通気孔間のガスの移動を容易にするように動作可能に配置された1つ以上のクロスオーバーダクト100をさらに備える。
【0025】
床28は、コーベル40上に配置され、および/またはコーベル40と係合する。床28は、炉34内の石炭300を支持するように動作可能に配置される。いくつかの実施形態では、床28は複数のブロックを含む。いくつかの実施形態では、床28は、複数の段に配置された複数のブロックを含む。加熱壁30A~Dは、コーベル40および/または床28上に配置され、それぞれそこに配置された通気孔32A~Dを含む(加熱壁30A~Dは、レンガ、ブロックおよび/またはモジュールで構成される)。通気孔32A~Dは、孔46および孔48と流体連通している。炉天井(天井)36は、加熱壁30A~Dの近傍に、または加熱壁30A~Dの上に配置される。従って、炉34は、床28、加熱壁30A~D、および炉天井36によって形成される。バッテリー上部38または天井は、典型的には、加熱壁30の上に配置され(典型的には、コークス炉バッテリーの別個の構成要素であるが、
図2に示すように、クロスオーバーダクト100と一体である)、通気孔32A~Dを囲んでもよい。本発明のいくつかの構成では、クロスオーバーダクト100は、炉天井36およびバッテリー上部38の両方を形成し(
図2に示すように)、以下にさらに詳細に説明するように、コークス炉構造の従来の構成よりも大幅に改善される。幾つかの実施形態では、各通気孔32A~Dは、少なくとも1つの孔46及び少なくとも1つの孔48と流体連通しており、それにより、ガス(孔46を介して)及び空気(孔48を介して)がその通気孔に供給される。少なくとも1つのガス噴射のための孔46と空気噴射用の孔48を単一の通気孔に有する配置は、空気と燃料の望ましい燃焼混合物を提供する。
【0026】
一般に、クロスオーバーダクト100(およびクロスオーバーダクト200)は、コークス炉バッテリー10の2つの加熱壁間のガス、熱、燃料などの移送を提供する(一般に矢印A1および矢印A2として描かれ、加熱壁30Aおよび30B、具体的には通気孔32Aおよび32Bの間の前述の移送を図示する)。すなわち、クロスオーバーダクト100は、2つの加熱壁を流体的に接続する。これらの加熱壁は、通常、隔離されており、すなわち、流体連通していないことに留意すべきである。
【0027】
(クロスオーバーダクト)
以下の説明は、概してクロスオーバーダクト100の斜視図、同スケルトン透視図、および概して
図3Aの4-4線に沿った断面図を示し、
図3A乃至
図4を考慮して行われる。クロスオーバーダクト100は、概して、近位端101、遠位端102、第1端部103、第2端部104、第1側面105、および第2側面106を含む。クロスオーバーダクト100は、
図1では接合され、または接続されているように示されているセクション110とセクション150を含む。クロスオーバーダクト100はまた、その中に流路107を含む。流路107は、好ましくは遠位端102に配置された2つの開口部107Aおよび開口部107Bを有する。
【0028】
クロスオーバーダクト100は、集合的にクロスオーバーダクト100を形成する2つのセクション110とセクション150から構成されてもよい。セクション110は、開口部111と112によって終端されたその中に経路120を有する。セクション150は、開口部151と152によって終端された経路160を有する。セクション110がセクション150に接続されると、セクション110の開口部112はセクション150の開口部152と結合し、経路120と経路160の間の流体接続を形成する。経路120と経路160が流体接続されると、流路107が形成される。
【0029】
セクション110とセクション150は、ダクト100を形成するために、例えば接着剤、モルタル、干渉または圧入、ボルト、ロッドなどの任意の適切な手段を介して接続されてもよい。
【0030】
ダクト100は、集合的にダクト100を形成するセクション110および150を有するように概略的に図示されているが、ダクト100は、代替的に単一の部材として構成されてもよいことが理解されるべきである。
【0031】
クロスオーバーダクト100の遠位端102もまた、炉34の炉天井36(
図2に示されるように)を提供することが理解されるべきである。また、近位端101も、コークス炉バッテリー10のバッテリー上部38の少なくとも一部または部分(
図2に示されるように)を提供することを理解すべきである。このように、クロスオーバーダクト100は、少なくとも部分的にバッテリー上部38および/または炉天井36を提供し、コークス炉バッテリー10の建設中または修理中に、追加のレンガ、ブロック、および/またはモジュールの必要性を排除する。
【0032】
クロスオーバーダクト100のいくつかの構成では、近位面101は、その中に配置された少なくとも1つの開口部を含んでもよく、その開口部は、流路107と流体連通しており、近位面101(またはバッテリー上部38)から流路107への検査アクセスを提供する。他の構成では、クロスオーバーダクト100は、近位面101内およびセクション110内に配置された少なくとも開口部を含んでもよく、その開口部は、ダクト100のセクション110内で近位面101(またはバッテリー上部38)から経路120への検査アクセスを提供する経路120と流体連通している。さらなる構成では、クロスオーバーダクト100は、少なくとも近位面101内およびセクション150内に配置された開口部を含んでもよく、その開口部は経路160と流体連通しており、ダクト100のセクション150内の近位面101(またはバッテリー上部38)から経路160への検査アクセスを提供する。この検査アクセスまたは開口部は、流路107、流路110、および/または流路150へのアクセスを閉鎖するために、シール、検査プレートなどを取り外し可能に受け入れるための棚などを備えて構成され得る。
【0033】
以下の説明は、前述の図、
図5Aおよび
図5Bを考慮して行われるべきである。
図5Aは、
図1の4-4線に沿って概ね取られたダクト100の分解断面図であり、
図5Bは、その分解側面図である。ダクト100のセクション110は、外面113と内面114a、114bとを含む。ダクト100のセクション150は、外面153と内面154a、154bとを含む。経路120の開口部111は内面114a内に配置され、経路120の開口部112は内面114a内、好ましくは凸部130内に配置される。経路160の開口部151は内面154a内に配置され、経路160の開口部152は内面154b内に、好ましくは凹部170内に配置される。
【0034】
セクション110の経路120は、概略的に、遠位セクション120a、中間セクション120b、および近位セクション120cの3つのセクションを含む。いくつかの構成において、遠位セクション120aおよび近位セクション120cは、実質的に直線的な構成を有し、一方、中間セクション120bは、実質的に曲線的な構成を有する。セクション150の経路160は、概略的に、遠位セクション160a、中間セクション160b、および近位セクション160cの3つのセクションを含む。いくつかの構成では、遠位セクション160aおよび近位セクション160cは実質的に直線的な構成を有し、一方、中間セクション160bは実質的に曲線的な構成を有する。経路120および150(または、セクション110および150が接続されている場合の流路107)の構成は、ガス、熱、廃棄物、粒子状物質、またはそれらの組み合わせの効率的かつ適切な流れを促すことが好ましい。
【0035】
セクション110とセクション150との間により確実な嵌合を形成するため、セクション110は凸部130を含み、セクション150は凹部170を含む。接合、結合あるいは接続の際、凸部130は、実質的に、あるいは少なくとも部分的に、セクション150の凹部170内に収まるように配置される。この配置はまた、方向D1、方向D2、方向D3、方向D4における過剰な動きを減少させ、及び/または排除する。さらに、この配置はまた、セクション110および150が接続されるとき、まっすぐな継ぎ目、すなわちシームが生じるのを防止し、これによって、長期の使用期間にわたってシーム内の漏れ点が生じる可能性を減少させる。
【0036】
セクション110と150は、クロスオーバーダクト100を形成するために、例えば接着剤、モルタル、締まりばめまたは圧入、ボルト、ロッドなどの任意の適切な手段を介して接続されてもよい。
【0037】
図2に最もよく示されるように、セクション110の内面114aおよびセクション150の内面154aは炉天井36を形成し、クロスオーバーダクト100の上面部分、例えば上面56は、バッテリー上部38を形成する。従って、クロスオーバーダクト100は、4つの目的を形成する。即ちクロスオーバーダクト100は、炉34を囲み(
図2に示すように炉天井36を提供することによる)、通気孔32A~Dを囲み(通気孔32Cおよび32Dは
図1に示されている)、異なる加熱壁の通気孔を流体的に接続し、その間のガスおよび温度の移動を可能にし(一般に矢印A1および矢印A2によって図示される)、バッテリー上部38の少なくとも一部を形成する(
図2参照)。
【0038】
(クロスオーバーダクト:他の実施形態)
以下の説明は、前述の図、
図6A、
図6B、
図6C、
図6Dを考慮して行われるべきである。
図6Aは、概して、ダクト100、ダクト200の他の実施形態に係る概略的なスケルトン斜視図であり、
図6Bは、概略的な上面スケルトン図であり、
図6Cは、
図6Bの6C-6C線に沿った概略的な断面図であり、
図6Dは、
図6Bの6D-6D線に沿った概略的な断面図である。
【0039】
ダクト200は、ダクト100のすべての構成要素を含むが、セクション110の開口部111および150の開口部151はそれぞれ除く。ダクト100のセクション110は開口部111aと開口部111bを含み、ダクト200のセクション150は開口部151aと開口部151bを含む。開口部111aと開口部111bは分岐部202によって分離され、開口部151aと開口部151bは分岐部204によって分離されている。開口部111aは、開口部111aの内面から延びるリップ210およびリップ211を含む。開口部111bは、開口部111bの内面から延びるリップ212およびリップ213を含む。開口部151aはリップ214およびリップ215を含み、これらは開口部151aの内面から延びている。開口部151bはリップ216およびリップ217を含み、これらは開口部151bの内面から延びている。開口部111aおよび開口部111bは、ダクト200の最初のセクション(第1セクション)110の経路120と流体連通している。開口部151aおよび開口部151bは、ダクト200の後のセクション(第2セクション)150の経路160と流体連通している。開口部111a、開口部111b、開口部151a、開口部151bに対応するそれぞれの対のリップは、プレート、レンガ、ブロックをその上に置くことを可能にする。
図6Cに示すように、プレート400は開口部111b内にあり、リップ212および213上に載置されている。プレート400を導入することにより、開口部111bと経路120との間の流体連通が遮断される。前述のリップ(210~217)のそれぞれの対の配置により、それぞれの加熱壁(
図2参照)からダクト200のセクション110と15の間のガス、熱、流体の流れをカスタマイズすることができる。前述したように、ダクト200の近位面101内に検査用開口部が配置されてもよく、これによりプレート400へのアクセスを可能にすることができる。
【0040】
従って、クロスオーバーダクト200は、3つの目的を形成する。即ち、
図2のダクト100によって概略的に示されるように、クロスオーバーダクト200は、炉34を囲み、通気孔32A~D(通気孔32Cおよび通気孔32Dは
図1参照)を囲み、異なる加熱壁の通気孔を流体的に接続し、ガスおよび/または温度をその間に移動させる。これは、
図2にダクト100とともに示される矢印A1および矢印A2によって示される方向と実質的に同一である。
【0041】
本発明のクロスオーバーダクトは、変形や劣化なしに少なくとも1800°Fに耐えることができる材料組成で構成されなければならないことを理解すべきである。さらに、本発明のクロスオーバーダクトは、コークス炉バッテリーの日常運転中、前述の最低温度に最低20年間耐えることができる材料組成で構成されていることが理解されるべきである。
【0042】
上記の開示の様々な態様および他の特徴および機能、またはそれらの代替物は、多くの他の異なるシステムまたは用途に望ましく組み合わされ得ることが理解されるであろう。様々な現在予見されない、または予見されない代替物、修正、変形、または改良が、当業者によってなされ得るが、これらもまた、特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
10 コークス炉バッテリー
20 再生器
22 橋脚または支柱
24 再生器領域
28 床
30A 加熱壁
30B 加熱壁
30C 加熱壁
30D 加熱壁
32A 通気孔
32B 通気孔
32C 通気孔
32D 通気孔
34 炉
36 炉天井
38 バッテリー上部
40 コーベル
42 貫通孔
46 孔
48 孔
100 クロスオーバーダクト
101 近位端
102 遠位端
103 第1端部
104 第2端部
105 第1側面
106 第2側面
107 クロスオーバーダクト100の流路
107A 流路107の開口部
107B 流路107の開口部
110 セクション
111 セクション110の開口部
111a ダクト200のセクション110の開口部
111b ダクト200のセクション110の開口部
112 セクション110の開口部
120 セクション110の経路
130 セクション110の凸部
150 セクション
151 セクション150の開口部
151a ダクト200のセクション150の開口部
151b ダクト200のセクション150の開口部
152 セクション150の開口部
160 セクション150の経路
170 セクション150の凹部
200 クロスオーバーダクト
202 ダクト200のセクション110の分岐部
204 ダクト200のセクション150の分岐部
210 開口部111aのリップ
211 開口部111aのリップ
212 開口部111bのリップ
213 開口部111bのリップ
214 開口部151aのリップ
215 開口部151aのリップ
216 開口部151bのリップ
217 開口部151bのリップ
300 石炭
400 プレート
A1 矢印
A2 矢印
D1 方向
D2 方向
D3 方向
D4 方向
【国際調査報告】