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特表2024-536648後方散乱によるレトロディレクティブ方式無線電力伝送
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-07
(54)【発明の名称】後方散乱によるレトロディレクティブ方式無線電力伝送
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/20 20160101AFI20240930BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20240930BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240930BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20240930BHJP
   H04B 5/48 20240101ALI20240930BHJP
【FI】
H02J50/20
H02J50/80
H02J7/00 301D
H04B1/59
H04B5/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514534
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 US2022044538
(87)【国際公開番号】W WO2023049347
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/247,365
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515213630
【氏名又は名称】オシア インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャラヤン,コサン
(72)【発明者】
【氏名】ゼイン,ハテム イブラヒム
(72)【発明者】
【氏名】ギュチリュ,ジャネル
(72)【発明者】
【氏名】ベイシ,メヘディ
【テーマコード(参考)】
5G503
5K012
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB09
5G503GD04
5K012AC08
5K012AC10
5K012AE13
(57)【要約】
レトロディレクティブ方式の無線電力伝送(WPT)チャネルを介して、無線電力レシーバからの変調された後方散乱信号に応答して無線電力受信側に無線電力を供給することができる無線電力供給のためのシステム及び方法が開示される。無線電力レシーバは、変調された後方散乱信号を生成し、それを電力供給システムに送信して無線電力伝送連携を開始することができる。いくつかの例では、第1の帯域を専用レトロディレクティブ方式のWPTチャネルとして使用することができる一方、データ通信ノードが低エネルギー互換データ通信タイプのために第2の帯域を利用することができるデュアルバンド技術を実装することができる。第1の帯域でのレトロディレクティブ方式連携のためのビーコン信号(後方散乱した信号)及び第2の帯域での通信信号の両方は、無線電力レシーバでの後方散乱を介して生成することができる。後方散乱したビーコン信号及び通信信号は、変調及び周波数多重化され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力トランスミッタシステムから電力供給信号を受信するように構成された無線電力レシーバ回路であって、
前記無線送電システムからの到来信号を捕捉することによって後方散乱した信号を生成することと、
前記到来信号を変調して、変調された後方散乱した信号を生成することと、
前記変調された後方散乱した信号を前記無線電力トランスミッタシステムに送信することと、を行うように構成される信号生成回路を含む、前記無線電力レシーバ回路、
を含む、装置。
【請求項2】
前記信号生成回路は、
前記到来信号を変調して、前記変調された後方散乱した信号を生成するように構成された変調回路と、
前記変調された後方散乱した信号をアンテナに提供するように構成された出力部と、
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記無線電力レシーバ回路は、トランシーバとして機能する集積回路を含まない、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記無線電力レシーバ回路は、
無線周波数(RF)スイッチと、
前記変調された後方散乱した信号を生成するように前記RFスイッチを制御するように構成された制御ユニットと、
を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記無線電力レシーバ回路は、個別の電子機器及び制御論理をさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記無線電力レシーバ回路は、前記変調された後方散乱した信号に応答して前記無線送電システムから無線電力信号を受信するように構成された入力部をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記無線電力レシーバ回路は、前記変調された後方散乱した信号の位相に基づいて前記無線電力信号を受信するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記無線電力レシーバ回路は、前記無線電力レシーバ回路で利用可能なデータに基づいてデータ通信信号を生成するように構成された通信信号生成回路をさらに含む、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記無線電力レシーバ回路は、前記変調された後方散乱した信号と前記データ通信信号とを周波数多重化して周波数多重化信号を生成するように構成された周波数マルチプレクサ回路をさらに備え、
前記信号生成回路は、前記無線送電システムに送信される前記周波数多重化信号を提供するように構成された出力部を含む、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記無線電力レシーバ回路は、前記周波数多重化信号を受信し、第1の周波数で前記変調された後方散乱した信号を送信し、第2の異なる周波数で前記データ通信信号を送信するように構成されたデュアルバンドアンテナをさらに含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
無線電力伝達システムであって、
アンテナに結合可能なトランスミッタ回路と、
前記アンテナに結合可能なレシーバ回路と、
制御回路であって、
前記トランスミッタ回路を介して起動信号を送信することと、
前記起動信号に応答して、前記レシーバ回路を介して、無線電力クライアントから変調された後方散乱信号を受信することと、
前記変調された後方散乱信号に応答して、前記トランスミッタを介して前記無線電力クライアントに無線電力信号を送信することと、を行うように構成される前記制御回路と、を含む前記無線電力伝達システム、
を含む、デバイス
【請求項12】
前記制御回路は、前記変調された後方散乱信号と周波数多重化されたデータ通信信号を受信するようにさらに構成され、前記変調された後方散乱信号は第1の周波数で受信することができ、前記データ通信信号は第2の異なる周波数で受信することができる、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記制御回路は、前記変調された後方散乱信号及び前記データ通信信号の両方を変調された信号として受信するようにさらに構成される、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記制御回路は、前記変調された後方散乱信号の位相に基づいて前記無線電力クライアントの範囲を決定するようにさらに構成されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記制御回路はさらに、前記変調された後方散乱信号の位相に基づいて前記無線電力クライアントの位置を決定する、請求項11に記載のデバイス。
【請求項16】
前記制御回路は、前記変調された後方散乱信号の位相に基づいて前記無線電力クライアントの範囲及び位置を決定するようにさらに構成される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項17】
無線電力レシーバにおいて、第1の信号を受信することと、
前記第1の信号に起因して前記無線電力レシーバの回路に電力を供給することと、
前記回路によって生成された後方散乱した信号を前記無線電力レシーバから送信することと、
前記無線電力レシーバにおいて、前記後方散乱した信号に応答して無線電力信号を受信することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記無線電力信号に起因して前記無線電力レシーバのデータ通信回路に電力を供給することと、
前記無線電力レシーバから、前記データ通信回路によって生成されたデータ通信信号を送信することと、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記後方散乱した信号と前記データ通信信号とを周波数分割多重化して、多重化信号を生成することと、
前記多重化信号を変調して、変調された多重化信号を生成することと、
前記変調された多重化信号を送信することと、
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記無線電力信号を受信することと、
前記データ通信信号を送信することと、
前記変調された多重化信号を送信することと、
のうちの少なくとも1つが、
トランシーバとして機能する集積回路の非存在下で実行される、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月23日に出願された米国仮特許出願第63/247,365号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
無線電力は、誘導及び磁気共鳴、超音波、レーザ、又は無線周波数(RF)などの複数の異なる技術を介して供給することができる。誘導及び磁気共鳴は、ワイヤレス充電クレードル及びパッドで使用される。しかしながら、受電デバイスは充電器に近接していなければならない。誘導ベースのシステムは、充電器に対する受電デバイスのより正確な配置を必要とする磁気共鳴よりも少し寛容であり得る。しかしながら、誘導及び磁気共鳴の両方は、充電中のデバイスの実用的かつ快適な使用又は移動が可能ではない。超音波ベースの電力供給システムは、ラップトップを中程度の範囲で充電するのに十分な電力など、多くの電力供給が可能になる。しかしながら、超音波ベースの無線電力ソリューションは、受信側の製品に対して無線充電器の1対1構成を必要とするため、電力を供給するには非常に非効率的となる。レーザを使用して、数百フィートで無線電力を供給することができるが、受電デバイスは充電器の見通し線内になければならず、したがって、レーザに関する潜在的な安全上の問題のために、定位置に固定され、邪魔にならないように取り付けられた製品に対してのみ実用的である。
【0003】
RFベースの無線電力ソリューションは、受電デバイスに電力を供給するためにビームフォーミングを使用することができる。そのようなソリューションはまた、電力を供給するために物体の周りを操向するように反射経路を使用することができ、技術を効率的かつ安全なものにする。したがって、RFベースの無線電力伝送(WPT)システムは、パッド充電器、見通し線、又はプラグインを必要とせずに、リアルタイムでモノのインターネット(IoT)デバイスに持続的に電力を供給するのに特に有用であり得る1つ又は複数の電子デバイスにエネルギーを無線で供給することができる。
【0004】
いくつかのRFベースのWPTシステムは、電力レシーバデバイスから電力トランスミッタデバイスへのRF信号に利用可能な経路を照らす電力レシーバデバイスから送信された低信号ビーコンの使用を介して無線電力供給を達成することができる。RF信号は双方向に移動することができるため、これにより、電力トランスミッタデバイスからの信号が電力レシーバデバイスに戻る同じ経路を確実にたどることができる。このプロセスは、RF信号が環境内のどの物体又は人からも常に離れて追跡し、常に電力レシーバデバイスをターゲットとすることを確実にするために、毎秒何回も繰り返すことができる。
【0005】
しかしながら、そのような達成のために、RF信号及びビーコンを利用する電子デバイスの無線充電は、典型的には、電力レシーバデバイス及び送電デバイスの両方に集積回路(IC)トランシーバを必要とする。そのようなICトランシーバは、サイズ、重量、消費電力、及びコストを各デバイスに追加し得るため、ICトランシーバを有するシステムは、コストが高くなり、重量が増え、複雑性を増し、より多くの電力リソースを消費する。少なくともこれらの理由から、これらの問題に対処する新しい無線電力供給システムが必要とされている。本明細書に記載の実施形態は、これらの問題に対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0006】
特定の実施形態では、装置は、無線電力トランスミッタシステムから電力供給信号を受信するように構成された無線電力レシーバ回路を備えてもよい。無線電力レシーバ回路は、無線送電システムからの到来する発見/起動信号を捕捉し、意図的な変調を加えることによって再放射/散乱することによってビーコン信号を生成するように構成されたビーコン信号生成回路を含むことができる。この信号は、発見信号を変調して、後方散乱において意図された変調方式を生成するように構成された変調回路を介して実現される変調された後方散乱したビーコン信号であり、無線送電システムに送信される変調された後方散乱する信号を提供するように構成された出力である。
【0007】
特定の実施形態では、デバイスは無線電力伝達システムを備えてもよい。無線電力伝達システムは、アンテナに結合可能なトランスミッタ回路と、アンテナに結合可能なレシーバ回路と、制御回路と、を含んでもよい。制御回路は、トランスミッタ回路を介して後方散乱起動信号を送信することと、後方散乱起動信号に応答して、レシーバ回路を介して、無線電力クライアントからビーコン信号を受信することと、ビーコン信号に応答して、トランスミッタを介して無線電力クライアントに無線電力信号を送信することと、を行うように構成されてもよい。
【0008】
特定の実施形態では、方法は、無線電力レシーバで問い合わせ信号を受信することと、発見/問い合わせ信号によって無線電力レシーバに電力を供給することと、問い合わせ信号の変調によって生成されたビーコン信号を無線電力レシーバから送信することと、無線電力レシーバにおいて、ビーコン信号に応答して無線電力信号を受信することと、を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の特定の実施形態による、無線電力供給環境のブロック図である。
図2】本開示の特定の実施形態による、無線電力伝達システムのブロック図である。
図3】本開示の特定の実施形態による、無線電力レシーバのブロック図である。
図4】本開示の特定の実施形態による、無線電力レシーバ回路の回路図である。
図5】本開示の特定の実施形態による、無線電力伝達システムと無線電力レシーバとの間の例示的な動作を示すシーケンス図である。
図6】本開示の特定の実施形態による、無線電力伝達システムの動作方法のフローチャートである。
図7】本開示の特定の実施形態による、無線電力レシーバの動作方法のフローチャートである。
図8】本開示の特定の実施形態による、無線電力レシーバを有するモバイルコンピューティングデバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特定の実施形態の以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、例示的な実施形態の例示として示されている添付の図面を参照する。本明細書の実施形態及び実施例の特徴を組み合わせ、交換し、又は除去することができ、他の実施形態を利用又は作成してもよく、本開示の範囲から逸脱することなく構造的変更を行ってもよいことも理解されたい。
【0011】
様々な実施形態によれば、本明細書に記載の方法及び機能は、コンピュータプロセッサ又はコントローラ上で実行される1つ又は複数のソフトウェアプログラムとして実装してもよい。特定用途向け集積回路、プログラマブル・ロジック・アレイ、システム・オン・チップ(SoC)、回路論理、及び他のハードウェアデバイスを含むがこれらに限定されない専用ハードウェア実装も同様に、本明細書に記載の回路、機能、プロセス、及び方法を実装するように構築することができる。方法及び機能は、モジュール又はエンジンによって実行されてもよく、それらの両方は、特定のタスク又はジョブを実行するように構成されたコンピューティングデバイス(例えば、論理、回路、プロセッサ、コントローラなど)の1つ又は複数の物理的構成要素を含んでもよく、又は実行時、プロセッサに特定のタスク又はジョブを実行させることができる命令を含んでもよく、又はそれらの任意の組合せであってもよい。さらに、本明細書に記載の方法は、実行時、プロセッサに方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体又はメモリデバイスとして実装されてもよい。
【0012】
図1を参照すると、無線電力供給環境のブロック図が示されており、概して100で示されている。環境100は、1つ又は複数の無線電力伝達システム(WPTS)101a~n(「無線電力供給システム」、「アンテナ・アレイ・システム」、及び「無線充電器」とも呼ばれる)から、無線電力供給環境100内のデバイス102a、102b、又は102cなどの、1つ又は複数の無線電力伝送回路103a、103b、又は103c(本明細書では「クライアント」、「無線電力レシーバ」、及びそれらの複数の変形形態とも呼ばれる)を有する様々な無線デバイスへの無線電力供給を提供することができる。無線電力レシーバは、1つ又は複数の無線電力伝達システム101a~101nから無線電力を受信して処理するように構成される。例示的な無線電力レシーバ103の構成要素は、図3及び図4を参照してより詳細に示され説明される。
【0013】
無線電力伝送回路103a、103b、及び103cは、本明細書に開示及び説明するように、トランシーバ集積回路を必要とせずに実装することができる。例えば、本明細書の特定の実施形態に詳述されているように、従来のトランシーバ集積回路を利用しない回路を実装することができ、代わりに、電力伝送回路103a、103b、及び103cは、トランシーバを有しない回路として実装することができる。したがって、電力伝送回路103a、103b、又は103cは、レシーバシステムをはるかに安価に、回路の複雑さを低減して構築することを可能にすることができ、より少ない電力消費を利用し、これらはすべて、多くのモノのインターネットのデバイス及びアプリケーションにとって重要な利点である。
【0014】
図1の例に示すように、無線デバイス102a~102nは、携帯電話又は無線ゲームコントローラなどのデバイスを含んでもよい。さらに、無線デバイス102a~102cは、無線電力レシーバ(103a、103b、又は103cなど)を介して電力を受け取ることができる任意のデバイス又はシステムであり得る。
【0015】
各無線電力伝達システム101は、無線デバイス102a~102cに無線電力を供給することができる複数のアンテナ104a~n(例えば、数百又は数千のアンテナを含むアンテナアレイ)を含むことができる。いくつかの実施形態では、アンテナは適応的に位相調整されたRFアンテナである。無線電力伝達システム101は、コヒーレントな電力伝達信号を無線電力レシーバ103a~103cに供給するための適切な位相を決定することができる。アレイは、互いに特定の位相で複数のアンテナから信号(例えば、連続波又はパルス電力伝達信号)を放射するように構成される。「アレイ」という用語の使用は、必ずしもアンテナアレイを任意の特定のアレイ構造に限定するものではないことが理解される。すなわち、アンテナアレイは、特定の「アレイ」形態又は幾何学的形状で構成される必要はない。さらに、本明細書で使用される場合、「アレイ」又は「アレイシステム」という用語は、無線機、デジタル論理、及びモデムなどの信号生成、受信、及び送信のための関連及び周辺回路を含んでもよい。いくつかの実施形態では、WPTS101は、1つ又は複数のアンテナ又はトランシーバを介したデータ通信のための内蔵Wi-Fiハブを有することができる。
【0016】
図1の例に示すように、WPTS101a~101nはそれぞれ、WPTS101aの電力供給アンテナ104a~104nなどの複数の電力供給アンテナを有することができる。電力供給アンテナ104aは、無線電力供給環境100において無線周波数(RF)電力の供給を提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、電力供給アンテナ104a~104nのうちの1つ又は複数は、無線電力供給に加えて、又はその代わりに、データ通信のために代替的又は追加的に構成することができる。1つ又は複数のデータ通信アンテナは、無線電力レシーバ103a~103c、無線デバイス102a~102c、又はそれらの組合せとデータ通信を送受信するように構成することができる。そのようなデータ通信を、任意の無線データ通信技術を介して実施してもよい。
【0017】
各無線電力レシーバ103a~103cは、無線電力伝達システム101a~101nから信号を受信するための1つ又は複数のアンテナ(図示せず)を含むことができる。同様に、各無線電力伝達システム101a~101nは、互いに対して特定の位相で連続波又は離散(パルス)信号を放射することができる1つ又は複数のアンテナ又はアンテナのセットを有するアンテナアレイを含む。無線電力伝達システム101a~101nの各々は、コヒーレント信号を無線電力レシーバ102a~102cに供給するための適切な位相を決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コヒーレント信号は、コヒーレント信号がビーコン(又は較正)信号を送信した特定の無線電力レシーバに電力を供給するために位相調整されるように、アレイの各アンテナで受信したビーコン(又は較正)信号の複素共役を計算することによって決定することができる。
【0018】
図示されていないが、例えば無線デバイス、無線電力伝達システムなどの環境の各構成要素は、例えばデータ通信同期モジュールなどの制御及び同期機構を含むことができる。WPTS101a~101nは、例えば、無線電力伝達システムを建物内の標準又は一次AC電源に接続する電源コンセント又は電源などの電源に接続することができる。代替的又は追加的に、WPTS101a~101nのうちの1つ又は複数は、バッテリによって、又は他の機構、例えば太陽電池などを介して電力を供給することができる。
【0019】
無線電力レシーバ102a~102c及び無線電力伝達システム101a~101nは、マルチパス無線電力供給環境100で動作するように構成することができる。すなわち、無線電力レシーバ102a~102c及びWPTS101a~101nは、例えば、ビーコン(又は較正)信号を送信し、無線電力を受信し、又は無線電力供給環境100内でデータを受信する範囲内の壁又は他のRF反射障害物などの反射物体(複数可)106を利用するように構成することができる。反射物体(複数可)106は、物体がWPTS101と無線電力レシーバ103との間の見通し線を遮っているかどうかにかかわらず、多方向信号通信に利用することができる。
【0020】
本明細書で説明されるように、各無線デバイス102a~102cは、環境100内の別のデバイス、サーバ、又は他のシステムとの接続を確立することができる任意のシステム、デバイス、又はそれらの任意の組合せであり得る。いくつかの実施形態では、無線デバイス102a~102cは、ユーザにデータを提示するためのディスプレイ又は他の出力機能、ユーザからデータを受信するための入力機能、又はその両方を含むことができる。例として、無線デバイス102は、限定ではないが、ビデオゲームコントローラ、サーバ、デスクトップコンピュータ、コンピュータクラスタ、ノートブック、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、又は同様のものなどのモバイルコンピューティングデバイスであり得る。限定ではなく例として、無線デバイス102はまた、顧客が着用する時計、ネックレス、リング、又は他の電子デバイスなどの任意のウェアラブル電子デバイスであり得る。無線デバイス102の他の例には、安全センサ(例えば、火災又は一酸化炭素)、電動歯ブラシ、電子ドアロック及びハンドル、電灯スイッチコントローラ、電気シェーバなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
WPTS101及び無線電力レシーバ103a~103cはそれぞれ、データチャネルを介して通信するためのデータ通信モジュールを含むことができる。代替的又は追加的に、無線電力レシーバ103a~103cは、それぞれのデータ通信モジュールを介して無線電力伝達システムと通信するように無線デバイス102a~102cに指示することができる。
【0022】
無線電力レシーバ103a~103cは、第1の帯域を専用レトロディレクティブ方式無線電力伝送(WPT)チャネルとして使用することができる一方で、第2の帯域を通信チャネルとして使用することができるデュアルバンド技術を実装することができる。例えば、通信チャネル(ノード)は、Bluetooth Low Energy(BLE)などの低エネルギー互換通信タイプを実装することができる。第1の帯域におけるレトロディレクティブ方式連携のためのビーコン信号及び第2の帯域における通信信号の両方は、トランシーバ集積回路(複数可)を介するのではなく、後方散乱を介して生成され得る。後方散乱した電力収集及び通信機能の周波数多重化のこれらの方法及びシステムは、信頼性の高い無線電力供給を保証しながら、提案された低電力通信ノードの干渉のない動作を可能にする。例示的な実施形態及びその実施態様が本明細書に提供される。
【0023】
図2は、本開示の特定の実施形態による、無線電力伝達システム300のブロック図を示す。無線電力伝達システム200は、無線電力供給システムとも呼ばれてもよい。無線電力供給システム200は、マスタ・バス・コントローラ(MBC)基板201と、アンテナアレイ基板250を含む複数のメザニン基板203とを含んでもよいプリント回路基板(PCB)などの1つ又は複数の回路基板を含むことができる。MBC基板201は、制御回路210、外部データインターフェース(I/F)215、外部電力インターフェース(I/F)220、通信ブロック230、及びプロキシ240を含むことができる。メザニン基板203(又はアンテナアレイ基板250)はそれぞれ、複数の電力伝達アンテナ260A~260Nを含むことができる。MBC基板201の構成要素又はメザニン基板203の一部又は全部は、いくつかの実施形態では、量が異なっていてもよく、省略されてもよい。さらに、追加の構成要素を加えることもできる。例えば、いくつかの実施形態では、通信ブロック230及びプロキシ240の一方のみが含まれてもよい。
【0024】
制御回路210は、ハードウェア回路、論理回路、ソフトウェア、又はそれらの任意の組合せを介して実装することができ、MBC基板201の構成要素並びにメザニン基板203に制御及びインテリジェンスを提供するように構成することができる。制御回路210は、1つ又は複数のプロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、メモリユニット、インターフェース回路などを含んでもよく、無線電力供給システム200の様々なデータ及び電力通信能力を指示及び制御してもよい。通信ブロック230は、クロック同期のためのベースクロック信号などのデータキャリア周波数でデータ通信を指示することができる。同様に、プロキシブロック240は、本明細書で説明するように、データ通信を介してクライアントと通信することができる。特定の実施形態では、本明細書のデータ通信のいずれかは、Bluetooth(商標)、Wi-Fi(商標)、ZigBee(商標)など、それらの組合せ又は変形を含む任意の短距離無線技術を介して実装することができる。さらなる実施形態では、データ通信は、低電力通信プロトコル、低帯域幅通信プロトコル、又は低電力と低帯域幅の両方を提供するプロトコルを介して実施することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、制御回路210は、モノのインターネット(IoT)デバイスなどのデバイスのデータ集約を容易にするか、そうでなければ可能にすることもできる。いくつかの実施形態では、無線電力レシーバは、無線電力レシーバが組み込まれているデバイスに関するIoT情報にアクセスし、これを追跡し、そうでなければ取得し、そのIoT情報をデータ接続を介して無線電力伝達システム300に提供することができる。このIoT情報は、外部データインターフェース215を介して、ローカル、又はイントラネット(例えば、プライベートネットワーク)若しくはエクストラネット(例えば、インターネットクラウドベース)上のサーバベースであってもよいデータ収集システム(図示せず)に提供することができ、データは集約、処理、そうでなければ利用することができる。例えば、データ収集システムは、受信するデータを処理して、地理、無線電力伝達システム、環境、デバイスなどの様々な要因にわたる傾向を識別することができる。いくつかの実施形態では、集約データ又は集約データから決定された傾向データを使用して、リモート更新又は他の更新を介してデバイスの動作を改善することができる。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、集約データは、第三者データ消費者に提供することができる。特定の例では、無線電力伝達システムは、IoTデバイスのためのゲートウェイ又はイネーブラとして機能することができる。IoT情報は、無線電力レシーバが組み込まれたデバイスの能力に関する情報、デバイスの使用情報、デバイスの電力レベル、デバイス若しくは無線電力レシーバ自体によって取得された情報(例えば、センサなどを介して)、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0026】
外部電力インターフェース220は、外部電力を受け取り、無線電力供給システム200の様々な構成要素に電力を供給するように構成することができる。いくつかの実施形態では、外部電力インターフェース220は、外部直流(DC)電源を受け取るように構成されてもよい。他の実施形態では、外部電力インターフェース220は、交流(AC)電力を受け取り、それを埋め込みAC/DCコンバータ回路を介してDC電力に変換することができる。無線電力供給システム200の電力要件に基づいて、代替構成も可能である。
【0027】
動作中、MBC基板201は、電源から電力を受け取って起動されるときに、無線電力伝達システム200を制御することができる。次いで、MBC基板201は、電力伝達アンテナ素子260A~260Nのうちの1つ以上を作動させてもよく、作動した電力伝達アンテナ素子260A~260Nは、デフォルトの発見モードに入り、無線電力伝達システム200の範囲(例えば、有効動作可能距離)内で利用可能な無線電力レシーバ(例えば、103a、103b、又は103c)を識別することができる。無線電力レシーバが見つかると、起動されたアンテナ素子260A~260Nは、電源を入れ、列挙し、(任意選択的に)較正することができる。制御回路210、MBC基板201内の別の回路、又はそれらの組合せは、レシーバデバイスから後方散乱信号がいつ検出されるかを判定してもよい。例えば、MBC基板201の検出回路又はモジュールは、時間又は周波数において固有のシグネチャを有する変調された信号を監視することによって後方散乱信号を検出することができる。検出回路又はモジュールMBC基板201は、後述するように、特定の後方散乱信号を認識し、それに応答してプロセスを開始できてもよい。
【0028】
MBC基板201は、アンテナアレイ基板250を介して発見信号を生成することができる。発見信号は、起動信号又は問い合わせ信号とも呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、発見信号は、パルス列の変調された信号又は低レベル問い合わせ信号であり得る。一般に、発見信号は、レシーバのための空間に質問(又は問い合わせ)し、空間内のレシーバは、変調された後方散乱信号を介して回答(又は応答)してもよい。
【0029】
WPTシステム200は、クライアントデバイスから反射した変調された後方散乱信号を検出するために、アンテナ260A~260N又は専用アンテナなどの1つ又は複数のアンテナを監視することができる。変調されたシグネチャが後方散乱を介してクライアントデバイスで作成されるまで、WPTシステム200がクライアントデバイスから信号を分離すること、又はその存在を検出することさえも簡単ではないことに留意されたい。反射し、変調された後方散乱信号が受信されると、制御回路210は、受信された信号がデータ通信成分、ビーコン成分、又はその両方を含むかどうかを判定することができる。データ通信成分が存在するとき、制御回路210は、信号の通信部分を復号し、データを処理してもよい。いくつかの例では、信号の通信部分によって提供されるデータは、システムレベル監視データ(例えば、エネルギー貯蔵レベルなど)であってもよく、又はレシーバデバイスの目的に関連するデータ(例えば、センサデータ又はIoTデバイスに関するデータ)であってもよい。制御回路210は、ビーコン構成要素からの位相データ抽出を実行することなどによって、クライアントデバイスの範囲(例えば、回路210からの距離)及び位置を決定してもよい。例えば、WPTシステム200は、米国特許第10,396,602号又は米国特許第10,447,092号などに記載の位相ベースの判定システムを実装してもよく、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、トランスミッタ200によって受信された後方散乱したビーコン信号は、後方散乱したビーコン信号のアンラップ位相を抽出することによって、クライアントの範囲検出及び位置特定に使用することができる。クライアントの範囲及び位置に基づいて、制御回路210は、アンテナ260A~260Nのうちの1つ又は複数を使用して、専用のレトロディレクティブ方式連携チャネルを介してクライアントへの無線電力供給を確立することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、プロキシアンテナ素子240は、特定の範囲内のクライアントに発見信号をブロードキャストすることができる。本明細書で説明するように、発見信号は、無線電力供給が利用可能であることをクライアントに示すことができる。
【0031】
図3は、本開示の特定の実施形態による無線電力レシーバ300のブロック図を示す。レシーバ300は、制御回路310、マイクロコントローラユニット(MCU)315、クライアント識別(ID)モジュール325、後方散乱ビーコン信号生成回路330(図4に示すような)、周波数分割マルチプレクサ回路350、及び関連するアンテナ360を含むことができる。さらに、無線電力レシーバ300は、電力ハーベスタ回路320を含むことができる。アンテナ360は、デュアルバンドアンテナであってもよく、または複数のアンテナを含んでもよい。様々な実施形態において、追加の構成要素が含まれてもよく、構成要素のいくつかが組み合わされてもよく、又は構成要素のいくつかが省略されてもよい。例えば、無線電力レシーバ300は、それ自体のアンテナ(例えば、アンテナ360)を含まなくてもよいが、代わりに、無線電力レシーバ300が組み込まれた無線デバイスの1つ又は複数のアンテナ(例えば、Wi-Fiアンテナ)を利用するか、そうでなければ共有する。さらに、いくつかの実施形態では、無線電力レシーバ300は、データ送信機能並びに電力及びデータ受信機能を提供する単一のアンテナ(例えば、デュアルバンドアンテナ)を含んでもよい。
【0032】
動作中、電力ハーベスタ回路320は、アンテナ360を介してなど、送電システムからの発見信号の検出を受動的に監視することができる。電力ハーベスタ回路320は、発見信号から電力を蓄積してもよく、制御回路310、MCU315、又はそれらの組合せは、電力を監視して、特定の機能を実行するのに十分な貯蔵電力があるときを判定してもよい。例えば、制御回路310は、ビーコン信号、通信信号、又はその両方の変調を制御する場合があるMCU315を動作させるのに十分な電力があるときを監視してもよい。十分な電力がないとき、制御回路310は、特定の機能を実行するのに十分な電力を受けるまで待機してもよい。そのような例は、図7に関して提供される。
【0033】
特定の回路を動作させるのに十分な電力があると、制御回路310は、後方散乱ビーコン信号生成回路330、周波数分割マルチプレクサ回路350、又はそれらの組合せを動作させてもよい。いくつかの実施形態では、制御回路310は、一実施形態において周波数分割マルチプレクサ350を利用して後方散乱ビーコン信号と後方散乱通信信号とを組み合わせるときなどに、MCU315を利用して変調された後方散乱ビーコン信号、後方散乱通信信号、又はその両方を作成してもよい。例えば、MCU315は、図4に示すようなRFスイッチ、又は変調された信号を生成するための他の回路にMCU制御信号を提供することによって変調を制御してもよい。さらに、MCU315、制御回路310、又はそれらの組合せは、MCU315及び制御回路310内の他の回路など、クライアント300内のすべての回路又は機能に通電する必要なしに、低電力を受け取っても変調回路をトリガすることができる低エネルギー回路(例えば、ディスクリート回路、マイクロプロセッサ、プログラマブル論理、又は特定用途向け集積回路(ASIC)内の回路)を含んでもよい。後方散乱ビーコン信号及び後方散乱通信信号は、アンテナ360を介して電力供給システムに送信(例えば、再放射)してもよい。いくつかの例では、ビーコン信号は、WPTS200などのWPTSから放射されるものとして説明する場合があり、後方散乱したビーコン信号は、レシーバ300から再放射されるものとして説明する場合がある。
【0034】
いくつかの実施形態では、制御回路310は、無線電力レシーバ300が組み込まれているデバイスと通信するか、そうでなければ無線電力レシーバが組み込まれているデバイスからデバイス情報(例えば、IoT情報、クライアントID、又は電力緊急度インジケータ)を導出することができる。図示されていないが、いくつかの実施形態では、無線電力レシーバ300は、無線電力レシーバ300が埋め込まれたデバイスとの1つ又は複数のデータ接続(有線又は無線)を有することができ、それを介してデバイス情報を取得することができる。代替的に又は付加的に、デバイス情報は、無線電力レシーバクライアント300(本明細書では無線電力クライアント300又は無線電力レシーバ300とも呼ばれる)によって、例えば、1つ又は複数のセンサを介して決定又は推測することができる。デバイス情報は、無線電力レシーバ300が組み込まれているデバイスの能力に関する情報、デバイスの使用情報、デバイスの1つまたは複数のバッテリの電力レベル、デバイスによって取得又は推測される情報、又はそれらの任意の組合せを含むことができるが、これらに限定されない。
【0035】
いくつかの実施形態では、クライアント識別(ID)モジュール325は、無線電力供給環境内の無線電力レシーバ300を一意に識別することができるクライアントIDを記憶することができる。例えば、クライアントIDは、通信が確立されたときに1つ又は複数の無線電力伝達システムに送信することができる。いくつかの実施形態では、無線電力レシーバ300は、それぞれのクライアントIDに基づいて、無線電力供給環境内の1つ又は複数の他の無線電力レシーバを受信及び識別可能であってもよい。
【0036】
図4は、本開示の特定の実施形態による、無線電力レシーバ回路420の回路図を示す。無線電力レシーバ回路420は、無線電力レシーバ103a~103cの各々及び電力ハーベスタ回路320の例示的な実装であり得る。無線電力レシーバ回路420は、無線周波数(RF)スイッチ410、ダイオード430(整流ダイオードとも呼ばれ得る)、コンデンサ440、負荷450(例えば、可変負荷又は他の回路)、DCレギュレータ460、及びエネルギー貯蔵回路470(例えば、コンデンサ又は同様のもの)を含むことができる。いくつかの実施形態では、MCU415は、MCU315のような別個の制御回路内など、回路420の外部に配置されてもよく、回路420は制御回路310と相関してもよい。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵部470は、分極電解コンデンサであってもよい。アンテナ405は、回路420の入力部に接続してもよい。いくつかの実施形態では、アンテナ405は、デュアルバンドアンテナであってもよい。
【0037】
動作中、アンテナ405は、WPTS200又はWPTS101a~101nなどの無線電力伝達システムからブロードキャストされた問い合わせ信号を受信することができる。問い合わせ信号はアンテナ405によって受信されてもよく、問い合わせ信号は回路420の少なくとも一部を作動させるための電力を供給する。回路420が十分な電力を受信していると、RFスイッチ410、又は同等のスイッチ様回路を作動させて変調された信号を提供し、アンテナ405を介して、入射問い合わせ信号を単に変調して再ブロードキャストすることによって問い合わせ信号を送信した無線電力伝達システムに戻すことができる。RFスイッチ又はスイッチ様回路410は、MCU415によって制御されてもよく、アンテナ405を調整し、それによって変調された信号を作成してもよい。次いで、変調された信号は、再送信された、実質的に問い合わせ信号の変調された後方散乱したバージョンであってもよく、無線電力伝達システムに位相情報を提供してもよい。MCU415は、RFスイッチ410に入力される電圧制御(VCTRL)を介して反射した後方散乱信号の変調を制御してもよい。
【0038】
無線電力伝達システム(例えば、基地局)が変調された後方散乱した信号を受信すると、無線電力伝達システムは、信号から位相情報を抽出し、位相情報に基づいて電力供給信号を回路420に送信してもよい。電力供給信号はまた、アンテナ405又は別のアンテナで受信されてもよく、ダイオード430及びコンデンサ440を介して整流されて、負荷450にわたる電圧を介して回路420に電力を供給してもよい。負荷450にわたる電圧は、バッテリ、スーパーキャパシタ、又は同等物であり得るエネルギー貯蔵要素470に電荷を提供することができ、これは、エネルギー貯蔵要素470に印加される所望の電圧レベルを維持するためにDCレギュレータ460を介して調整されてもよい。
【0039】
回路420は、第1の帯域で無線電力供給伝達システムとレトロディレクティブ方式の連携を確立することができる例示的な回路である。加えて、回路420は、アンテナ405を利用して第2の帯域で、後方散乱を介して生成することもできる通信信号を提供することができる。RFスイッチ410又は別のスイッチ様回路は、変調された信号を生成するためにMCU415によって制御することができる。いくつかの実施形態では、RFスイッチ410はデフォルトではアクティブでなくてもよく、回路420は、エネルギー貯蔵部470に貯蔵されるエネルギー量を増加させる格好の任意の信号を受信して収集する間、電力を節約することができる。場合によっては、電力トランスミッタは、不十分なエネルギーを有するレシーバがこのようにしてエネルギーを収集し、再びオンに戻ることを可能にするためにスイープを実行することができる。RFスイッチ410は、アンテナ405を同調させることで後方散乱した信号を変調することによって、MCU415が後方散乱した信号を送信したいときに作動させることができる。この変調された信号は、送信側に再放射され、位相情報をトランスミッタに送信する変調された後方散乱信号を効果的に作成する。このタイプの変調された後方散乱はさらに、データを送信するためにも使用され得る。
【0040】
図5は、本開示の特定の実施形態による、無線電力伝達システム510(例えば、WPTS101a~101n)と無線電力レシーバ520(例えば、無線電力レシーバ103a~103c)との間の例示的な動作を示すシーケンス図を示す。最初に、無線電力伝達システム510と無線電力レシーバ520との間で発見信号530を介して通信を確立することができる。発見信号530は、無線電力レシーバ520に電力を供給することができるパルス間隔の変調された信号であってもよい。その後、WPTS510は、535において、変調された後方散乱信号を監視することを含む場合があるクライアントからの応答をリスンし得る。
【0041】
無線電力レシーバ520が発見信号を受信すると、無線電力レシーバ520は、エネルギー貯蔵レベルに応じて、変調された後方散乱ビーコン信号540、データ通信信号550、又はその両方を送り返してもよい。WPTS510は、無線電力レシーバ520から送信された信号(複数可)を受信し、これに応答して無線電力供給信号560を無線電力レシーバ520に提供してもよい。いくつかの実施形態では、データ通信信号550は、図5に示すように、無線電力がレシーバ520に供給された後にWPTS510に送られてもよい。無線電力供給信号560は、第1の帯域でレトロディレクティブ方式連携を介して提供されてもよく、データ通信信号は第2の帯域で提供されてもよく、両方ともデュアルバンドアンテナを介して送信又は受信されてもよい。無線電力供給信号560は、WPTS510によって、変調された後方散乱ビーコン信号540から決定された範囲及び位置に基づいてもよい。いくつかの例では、WPTS510は、変調された後方散乱ビーコン信号540のアンラップ位相を抽出することに基づいて、無線電力レシーバ520の範囲及び位置特定を決定してもよい。
【0042】
トランスミッタ510によって受信された後方散乱した信号は、レシーバ520の範囲検出及び位置特定に使用することができる。後方散乱した信号の位相データエントロピーは、双方向伝搬情報を含むので、独立したアクティブビーコンよりも大きくなければならない。さらに、トランスミッタ510の大きな開口はまた、様々なアンテナアレイ基板250又はアンテナ260A~260Nなどのアンテナアレイ内の複数のアンテナを利用することによって複数の後方散乱した位相データを得るために無相関信号経路を作成することによって、MIMO(多重入出力(Multiple-Input-Multiple-Output)構成がエントロピーをさらに増大させることを可能にすることができる。
【0043】
WPTS510は、無線電力レシーバ520から変調された後方散乱ビーコン信号540を受信し、信号が複数のアンテナで受信される位相(又は方向)を検出するか、そうでなければ測定することができる。いくつかの実施形態では、WPTS510は、変調された後方散乱ビーコン信号540の測定された位相の複素共役を決定することができ、複素共役を使用して送信位相を決定し、無線電力供給を無線電力レシーバ520に供給するか、そうでなければ方向付けるようにアンテナを構成することができる。
【0044】
図6は、本開示の特定の実施形態による、概して600で示す無線電力レシーバの動作方法のフローチャートを示す。方法600は、WPTS101a~101n、WPTS200、WPTS510、又は同様のデバイスなどの送信デバイスによって実施され得る。
【0045】
方法600は、送信デバイスから発見信号を送出することを含み得る。送信デバイスは、630において、無線電力レシーバデバイスから受信した変調された後方散乱した信号であってもよい、620における応答信号を、一つ以上のアンテナを介して監視してもよい。
【0046】
応答信号が受信されるとき、方法600は、640において、応答信号が変調されたビーコン信号であるか変調された通信信号であるかを判定してもよい。応答信号が通信信号であるとき、660において、通信信号を処理してもよい。いくつかの例では、通信信号は、エネルギー貯蔵レベル、クライアントID、又は監視データなどのレシーバデバイスのシステムレベルデータを含むことができる。方法600は、640において(又は620若しくは630において)、ビーコン信号を監視し続けてもよい。
【0047】
変調されたビーコン信号が検出されると、640において、方法600は、650において、変調されたビーコン信号に対応する無線電力レシーバデバイスの範囲及び位置を決定することができる。無線電力レシーバデバイスの範囲及び位置が決定されると、方法600は、670において、クライアントの範囲及び位置に基づいて専用レトロディレクティブ方式連携チャネルを介して無線電力供給を確立することができる。方法600は、680において、終了信号を送信する無線電力レシーバ又は特定の期間が満了する前にビーコン信号を受信することができない送信デバイスなどのインジケータが、無線電力レシーバデバイスへの無線電力供給を終了するように送信デバイスに示すときに終了することができる。期間の満了又は通信信号を介して送信することができる、レシーバデバイスから受信した電力状態インジケータなどの他の方法も、電力供給信号の送信をいつ終了するかを決定してもよい。
【0048】
図7は、本開示の特定の実施形態による、無線電力レシーバの動作方法700のフローチャートを示す。本方法は、レシーバ103a~103c、レシーバ300、回路420、レシーバ520、又は同様の回路若しくはデバイスなどの無線電力レシーバによって実施してもよい。特定の実施形態では、方法700の機能及び特徴は、ディスクリート電子デバイス、論理回路、又はそれらの組合せなどの非集積回路デバイスによって実装されてもよい。
【0049】
方法700は、710において、発見信号が無線電力レシーバで受信されるときに開始してもよい。発見信号は、無線電力レシーバを起動して無線電力レシーバと通信するための電力を供給することができるトランスミッタ(例えば、基地局)から送信されてもよい。
【0050】
方法700は、720において、MCU315、後方散乱ビーコン信号生成器330、周波数分割マルチプレクサ回路350、又はそれらの組合せを介して行われてもよい応答信号を変調するのに十分な貯蔵エネルギー(エネルギー貯蔵の電圧を監視するために、MCU315内にあってもよい低電力比較回路を使用することによってなど)があるかどうかを判定してもよい。十分なエネルギーが貯蔵されているとき、無線電力レシーバは、730において、変調された後方散乱信号として発見信号送信デバイスに応答信号を送信することができ、これはアンテナ360を介して行われてもよい。本明細書で説明するように、応答信号は、送信デバイスでの受信時、レシーバデバイスにおいて送信デバイスから無線電力供給を受信するためのリンクを確立するためのプロセスを初期化することができる。
【0051】
応答信号を変調するのに十分なエネルギーがないとき、又は発見信号がレシーバで受信されないとき、方法700は、740において、主機能を実行するのに十分な貯蔵エネルギーがあるかどうかを判定してもよい。主機能を実行するのに十分なエネルギーが貯蔵されているとき、デバイスの主機能が実行されてもよく、方法700は、750において、問い合わせ信号が受信されたか又は受信されているかを判定してもよい。問い合わせ信号が受信されるとき、本明細書で説明するように、760において、通信信号を介してデバイスにデータを送ってもよい。問い合わせ信号はパルス間隔の変調された信号であり得、パルス間隔の変調された信号は問い合わせ信号の非常に低レベルの変調であり得る。いくつかの実施形態では、710における発見信号と、750における問い合わせ信号とは、同じ信号であってもよい。しかしながら、それらは他の実施形態では独立した信号であってもよい。750において問い合わせ信号が受信されないとき、方法700は、780においてデータを収集して待機し、790においてエネルギーレベルをチェックすることができる。様々な実施形態では、エネルギー貯蔵レベルは、様々な機能(例えば、720、740、760、780、790又はそれらの任意の組合せに関して)の前又は後などの様々な時点でチェックすることができる。待機機能は、メモリを失うことなく最小量のエネルギーを利用するなどのために、回路又はプロセッサユニットを低電力モードにすることを含むことができる。
【0052】
十分なエネルギーがある限り、795において、主機能の実行は継続され得る。システムはまた、750において、問い合わせ信号が受信されたかどうかをチェックし続け、基地デバイスがいつ受信デバイスからデータを要求しているかなどを判定してもよい。740又は795において、主機能を実行するのに十分なエネルギーがないとき、方法700は、770において、スリープモードに入るか、電荷を収集する(例えば、受動的に電力を収集する)か、又はその両方を行ってもよい。スリープモードは、レシーバデバイス内の1つ又は複数の回路への電力をシャットダウンすることを含んでもよく、レシーバデバイス内のすべての回路への電力をシャットダウンすることを含むことができる。スリープモードにあるとき、方法700は、710で発見信号が受信されるときにスリープ解除されてもよく、発見信号は、回路(複数可)に電力を供給することによってシステムを起動することができる。
【0053】
図8は、本開示の特定の実施形態による、無線電力レシーバ810を有するコンピューティングデバイス800のブロック図を示す。コンピューティングデバイス800は、本明細書の様々な実施形態による、携帯(又はスマート)電話、タブレット・コンピュータ・デバイス、デスクトップ・コンピュータ・デバイス、ラップトップ・コンピューティング・デバイス、ウェアラブル・コンピューティング・デバイス、又は無線電力充電が適用可能であり得る任意の他のコンピューティングデバイスなどの無線電力レシーバ810を有する任意の形態のコンピュータを含む。無線電力レシーバ810は、クライアント103a~103c、クライアント300、回路420、レシーバ520、又はそれらの任意の組合せとして実装してもよい。さらに、無線電力レシーバ810は、本明細書に記載の無線電力レシーバの方法及び機能のいずれかを実行及び行ってもよい。
【0054】
様々なインターフェース及びモジュールがコンピューティングデバイス800に示されているか、又は結合されている。しかしながら、コンピューティングデバイス800は、本明細書に記載の機能を実行するためにそのようなモジュール又は機能のすべてを必要とするわけではない。多くの実施形態では、様々な構成要素は、それぞれのコンピューティングデバイスの動作に含まれないか、又は必要ではないことが理解される。例えば、全地球測位システム(GPS)無線機、セルラ無線機、SIMカード、カメラ、及び加速度計などの構成要素、並びに他の構成要素は、コンピューティングデバイスのいくつかの実施態様に含まれなくてもよい。さらに、示されている構成要素又はモジュールのうちの1つ又は複数は、組み合わされてもよく、又は取り外されてもよい。
【0055】
例えば、無線電力レシーバ810が実装されている場合、コンピューティングデバイス800のすべての電力管理機能が無線電力レシーバ810に組み込まれている場合など、いくつかの実施形態では、バッテリ、電力管理モジュール、又はその両方が冗長であってもよい。さらに、無線電力レシーバ810を介して一定の電力を受け取る実施形態では、バッテリは不要であり得る。
【0056】
本明細書に記載の実施形態は、無線電力供給デバイスのレシーバアーキテクチャからRFトランシーバ/レシーバチップ(レシーバ又はトランシーバとして機能する集積回路)を排除し、サイズ、重量、電力、及びコストの大幅な削減を可能にする。これは、多くのモノのインターネットアプリケーション、並びに在庫追跡にとって有益であり得る。さらに、実施形態は、ビーコン送信レシーバの範囲決定及び位置特定に使用することができる後方散乱するビーコン信号からの位相データ抽出を可能にする。
【0057】
(無線電力供給トランスミッタによって作成された)後方散乱した問い合わせ信号を使用して、無線電力レシーバは、トランシーバ集積回路を必要とせずにビーコン信号を生成することができる。同じソリューションは、周波数多重化によって同じトランスミッタ及びレシーバを介して行うことができる通信信号(BLEなど)を実現するためにも使用することができる。したがって、無線電力レシーバにおいて電力を消費する能動的なトランシーバ構成要素がなくても、そのようなアーキテクチャ及び通信の両方のためのビーコニングを実現することができる。さらに、後方散乱したビーコン信号の位相は、無線電力供給トランスミッタによって記録することができ、クライアントの範囲及び位置(位置特定)を決定するために使用することができる。いくつかの実施形態では、電力収集及び通信信号の周波数多重化は、信頼性の高い無線電力供給を提供しながら、提案された通信ノードの干渉のない動作を可能にすることができる。
実施例
【0058】
本技術の第1の実施例は、装置を提供する。装置は、無線電力トランスミッタシステムから電力供給信号を受信するように構成された無線電力レシーバ回路を含む。無線電力レシーバ回路は、信号生成回路を含む。信号生成回路は、無線送電システムからの到来信号を捕捉することによって後方散乱した信号を生成するように構成される。信号生成回路はまた、到来信号を変調して、変調された後方散乱した信号を生成するように構成される。信号生成回路は、変調された後方散乱した信号を無線電力トランスミッタシステムに送信するようにさらに構成される。
【0059】
第1の例による装置の第1の実施態様では、信号生成回路は、到来信号を変調して、変調された後方散乱した信号を生成するように構成された変調回路と、変調された後方散乱した信号をアンテナに提供するように構成された出力部とを含む。
【0060】
第1の例による装置の第1、又は第2の実施態様では、無線電力レシーバ回路は、トランシーバとして機能する集積回路を含まない。
【0061】
第1の例による装置の第1、第2、又は第3の実施態様では、無線電力レシーバ回路は、無線周波数(RF)スイッチと、変調された後方散乱した信号を生成するようにRFスイッチを制御するように構成された制御ユニットと、を含む。
【0062】
第1の例による装置の第1から第3、又は第4の実施態様のいずれかにおいて、無線電力レシーバ回路は、個別の電子機器及び制御論理をさらに含む。
【0063】
第1の例による装置の第1から第4、又は第5の実施態様のいずれかにおいて、無線電力レシーバ回路は、変調された後方散乱した信号に応答して無線送電システムから無線電力信号を受信するように構成された入力部をさらに含む。
【0064】
第1の例による装置の第1から第5、又は第6の実施態様のいずれかにおいて、無線電力レシーバ回路は、変調された後方散乱した信号の位相に基づいて無線電力信号を受信するように構成される。
【0065】
第1の例による装置の第1から第6、又は第7の実施態様のいずれかにおいて、無線電力レシーバ回路は、無線電力レシーバ回路で利用可能なデータに基づいてデータ通信信号を生成するように構成された通信信号生成回路をさらに含む。
【0066】
第1の例による装置の第1から第7、又は第8の実施態様のいずれかにおいて、無線電力レシーバ回路は、変調された後方散乱した信号及びデータ通信信号を周波数多重化して周波数多重化信号を生成するように構成された周波数マルチプレクサ回路をさらに含み、信号生成回路は、無線送電システムに送信される周波数多重化信号を提供するように構成された出力部を含む。
【0067】
第1の例による装置の第1から第8、又は第9の実施態様のいずれかにおいて、無線電力レシーバ回路は、周波数多重化信号を受信し、第1の周波数で変調された後方散乱した信号を送信し、第2の異なる周波数でデータ通信信号を送信するように構成されたデュアルバンドアンテナをさらに含む。
【0068】
第1の例による装置の第1から第9、又は第10の実施態様のいずれかにおいて装置はアンテナを含む。
【0069】
本技術の第2の実施例は、デバイスを提供する。デバイスは、無線電力伝達システムを含む。無線電力伝達システムは、アンテナに結合可能なトランスミッタ回路を含む。無線電力伝達システムはまた、アンテナに結合可能なレシーバ回路を含む。デバイスはまた、制御回路を含む。制御回路は、トランスミッタ回路を介して起動信号を送るように構成される。制御回路はまた、起動信号に応答して、レシーバ回路を介して無線電力クライアントから変調された後方散乱信号を受信するように構成される。制御回路は、変調された後方散乱信号に応答して、トランスミッタを介して無線電力クライアントに無線電力信号を送信するようにさらに構成される。
【0070】
第2の例によるデバイスの第1の実施態様では、制御回路は、変調された後方散乱信号と多重化されたデータ通信信号周波数を受信するようにさらに構成され、変調された後方散乱信号は第1の周波数で受信することができ、データ通信信号は第2の異なる周波数で受信することができる。
【0071】
第2の例によるデバイスの第1、又は第2の実施態様では、制御回路は、変調された後方散乱信号とデータ通信信号の両方を変調された信号として受信するようにさらに構成される。
【0072】
第2の例によるデバイスの第1、第2、又は第3の実施態様では、制御回路は、変調された後方散乱信号の位相に基づいて無線電力クライアントの範囲を決定するようにさらに構成される。
【0073】
第2の例によるデバイスの第1から第3、又は第4の実施態様のいずれかにおいて、制御回路はさらに、変調された後方散乱信号の位相に基づいて無線電力クライアントの位置を決定する。
【0074】
第2の例によるデバイスの第1から第4、又は第5の実施態様のいずれかにおいて、制御回路は、変調された後方散乱信号の位相に基づいて無線電力クライアントの範囲及び位置を決定するようにさらに構成される。
【0075】
第2の例によるデバイスの第1から第5、又は第6の実施態様のいずれかにおいて、デバイスはアンテナを含む。
【0076】
本技術の第3の例は、方法を提供する。方法は、無線電力レシーバにおいて第1の信号を受信するステップを含む。方法はまた、第1の信号に起因して無線電力レシーバの回路に電力を供給するステップを含む。方法は、回路によって生成された後方散乱した信号を無線電力レシーバから送信するステップをさらに含む。方法はまた、無線電力レシーバにおいて、後方散乱した信号に応答して無線電力信号を受信することを含む。
【0077】
第3の例による方法の第1の実施態様では、方法は、無線電力信号に起因して無線電力レシーバのデータ通信回路に電力を供給するステップと、無線電力レシーバから、データ通信回路によって生成されたデータ通信信号を送信するステップとをさらに含む。
【0078】
第3の例による方法の第1、又は第2の実施態様では、方法はまた、後方散乱した信号及びデータ通信信号を周波数分割多重化して、多重化信号を生成するステップと、多重化信号を変調して、変調された多重化信号を生成するステップと、変調された多重化信号を送信するステップと、を含む。
【0079】
第3の例による方法の第1、第2、又は第3の実施態様では、無線電力信号を受信すること、データ通信信号を送信すること、及び変調された多重化信号を送信することのうちの少なくとも1つは、トランシーバとして機能する集積回路の非存在下で実行される。
【0080】
本明細書に記載の実施形態の例示は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図している。例示は、本明細書に記載の構造又は方法を利用する装置及びシステムの要素及び特徴のすべての完全な説明として役立つことを意図するものではない。多くの他の実施形態は、本開示を検討すれば当業者には明らかであろう。本開示の範囲から逸脱することなく構造的及び論理的な置換及び変更を行うことができるように、本開示から他の実施形態を利用及び導出することができる。さらに、特定の実施形態を本明細書で図示及び説明したが、同じ又は同様の目的を達成するように設計された任意の後続の構成が、示された特定の実施形態の代わりに使用されてもよいことを理解されたい。
【0081】
本開示は、様々な実施形態のありとあらゆるその後の適合又は変形を網羅することを意図している。上記の実施形態の組合せを行うことができ、本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態は、説明を検討すれば当業者には明らかであろう。さらに、図は単に代表的なものであり、縮尺通りに描かれていない場合がある。例示内の特定の割合は誇張されている場合があり、他の割合は低減されている場合がある。したがって、本開示及び図は例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力レシーバであって、
制御回路と、
前記制御回路と動作可能に結合され、および、少なくとも1つのアンテナに動作可能に結合可能な無線電力レシーバ回路であって、前記無線電力レシーバ回路は、無線電力伝達システム(WPTS)からの無線周波数(RF)信号を受信するように構成され、前記無線電力レシーバ回路は信号生成回路を含み、前記RF信号は発見信号または問い合わせ信号を含む無線電力レシーバ回路と、
前記制御回路に動作可能に結合され、および、前記少なくとも1つのアンテナおよびエネルギー貯蔵デバイスに動作可能に結合可能な電力ハーベスタ回路であって、前記電力ハーベスタ回路は、
前記発見信号または問い合わせ信号の検出を監視し、および、
前記エネルギー貯蔵デバイスに貯蔵するために、前記発見信号または問い合わせ信号からの電力を収集するように構成された電力ハーベスタ回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記信号生成回路を動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって、前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定し、
前記信号生成回路を動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって、前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定したことに応答して、前記信号生成回路に、
前記発見信号または問い合わせ信号が前記無線電力レシーバ回路によって受信されたことに応答して、変調された後方散乱した信号を作成するために、前記発見信号または問い合わせ信号を変調させるように構成され、
前記無線電力レシーバ回路は、
前記制御回路に動作可能に結合され、および、前記少なくとも1つのアンテナに動作可能に結合可能な通信信号生成回路であって、前記通信信号生成回路は、前記無線電力レシーバ回路で利用可能なデータに基づき、データ通信信号を生成するように構成された通信信号生成回路と、
前記WPTSへの送信のための周波数多重化信号を生成するために、前記変調された後方散乱した信号および前記データ通信信号を周波数多重化するように構成された周波数プレクサ回路と、を備え、
前記信号生成回路は、前記周波数多重化信号を、前記WPTSへの送信のために、前記少なくとも1つのアンテナに提供するように構成された出力部を含む、無線電力レシーバ。
【請求項2】
前記信号生成回路は、前記変調された後方散乱した信号を生成するために、前記発見信号または問い合わせ信号を変調するように構成された変調回路を含む、請求項1に記載の無線電力レシーバ。
【請求項3】
前記信号生成回路は、マイクロコントローラユニット(MCU)を含み、前記制御回路は前記MCUを動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって、前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定するようにさらに構成される、請求項1に記載の無線電力レシーバ。
【請求項4】
前記信号生成回路はRFスイッチをさらに備え、前記制御回路は、
前記MCUを動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって、前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定したことに応答して、前記MCUに、変調された後方散乱した信号を作成するために、制御信号を前記RFスイッチに提供してさせるようにさらに構成される、請求項3に記載の無線電力レシーバ。
【請求項5】
前記無線電力レシーバ回路に動作可能に結合された、前記少なくとも1つのアンテナと、
前記電力ハーベスタ回路に動作可能に結合された前記エネルギー貯蔵デバイスと、のうち、少なくとも1つをさらに備える、請求項1に記載の無線電力レシーバ。
【請求項6】
前記RF信号は無線電力信号をさらに含み、前記無線電力レシーバ回路は、前記WPTSに送信された前記周波数多重化信号に応答して、前記WPTSからの前記無線電力信号を受信するように構成された入力部をさらに含む、請求項1に記載の無線電力レシーバ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアンテナはデュアルバンドアンテナを含み、前記デュアルバンドアンテナは、
周波数多重化信号を受信し、
第1の周波数で前記変調された後方散乱した信号を送信し、
前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で前記データ通信信号を送信するように構成される、請求項1に記載の無線電力レシーバ。
【請求項8】
前記無線電力レシーバ回路に動作可能に結合されたメモリ記憶デバイスをさらに備え、前記メモリ記憶デバイスは、
前記無線電力レシーバの固有の識別子を記憶し、
前記WPTSからの前記発見信号または問い合わせ信号が受信されない時間中、前記無線電力レシーバ回路で利用可能な前記データを蓄積するように構成される、請求項1に記載の無線電力レシーバ。
【請求項9】
前記制御回路は、前記通信信号生成回路を動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって、前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定するようにさらに構成される、請求項8に記載の無線電力レシーバ。
【請求項10】
前記通信信号生成回路を動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって、前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定したことに応答して、前記制御回路は、
前記無線電力レシーバ回路によって受信された前記発見信号または問い合わせ信号に応答して、前記無線電力レシーバ回路で利用可能な前記データを代表する通信信号符号化データ、および前記固有の識別子を生成するようにさらに構成される、請求項9に記載の無線電力レシーバ。
【請求項11】
前記無線電力レシーバ回路によって受信された前記発見信号または問い合わせ信号に応答して、前記制御回路は、前記少なくとも1つのアンテナを介して、前記通信信号を前記WPTSに送信するようにさらに構成される、請求項10に記載の無線電力レシーバ。
【請求項12】
前記無線電力レシーバ回路は、送信された前記周波数多重化信号に応答して、前記少なくとも1つのアンテナを介して、前記WPTSからの無線電力信号を受信するようにさらに構成される、請求項1に記載の無線電力レシーバ。
【請求項13】
無線電力レシーバにおける方法であって、
無線電力レシーバの無線電力レシーバ回路が、少なくとも1つの無線周波数(RF)アンテナを介して、無線電力伝達システム(WPTS)からの発見信号または問い合わせ信号を受信することと、
前記無線電力レシーバの電力ハーベスタ回路が、前記発見信号または問い合わせ信号の検出のために監視することと、
前記電力ハーベスタ回路が、エネルギー貯蔵デバイスに貯蔵するために、前記発見信号または問い合わせ信号からの電力を収集することと、
前記無線電力レシーバの制御回路が、前記無線電力レシーバの信号生成回路を動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定することと、
前記信号生成回路を動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定したことに応答して、
前記発見信号または問い合わせ信号を受信したことに応答して、前記信号生成回路が、変調された後方散乱した信号を作成するために、前記発見信号または問い合わせ信号を変調し、
前記無線電力レシーバの通信信号生成回路が、前記無線電力レシーバ回路で利用可能なデータに基づき、データ通信信号を生成し、
前記無線電力レシーバの周波数マルチプレクサ回路が、周波数多重化信号を生成するために、前記変調された後方散乱した信号および前記データ通信信号を多重化し、
前記信号生成回路が、前記周波数多重化信号を、前記少なくとも1つのRFアンテナを介して前記WPTSに送信することと、を含む方法。
【請求項14】
前記発見信号または問い合わせ信号を変調することは、変調された後方散乱した信号を作成するために、前記信号生成回路の変調回路を使用して、前記発見信号または問い合わせ信号を変調することを含み、前記周波数多重化信号を前記WPTSに送信することは、前記信号生成回路の出力部を経由して前記周波数多重化信号を前記少なくとも1つのRFアンテナに提供することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記信号生成回路はマイクロコントローラユニット(MCU)を含み、前記方法は、前記MCUを動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって、前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記信号生成回路はRFスイッチをさらに含み、前記方法は、
前記MCUを動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって、前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定したことに応答して、前記MCUが前記変調された後方散乱した信号の生成を促進するために、制御信号を前記RFスイッチに提供することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのRFアンテナはデュアルバンドアンテナを含み、前記方法は、
前記デュアルバンドアンテナが前記信号生成回路の出力部からの周波数多重化信号を受信することと、
前記デュアルバンドアンテナが第1の周波数で前記変調された後方散乱した信号を送信することと、
前記デュアルバンドアンテナが前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で前記データ通信信号を送信することと、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記無線電力レシーバの固有の識別子をメモリ貯蔵デバイスに記憶することと、
前記WPTSからの前記発見信号または問い合わせ信号が受信されない時間中、前記無線電力レシーバ回路で利用可能な前記データを蓄積することと、
前記通信信号生成回路を動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって、前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定することと、をさらに含み、
前記データ通信信号を生成することは、
前記通信信号生成回路を動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって、前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定したことに応答して、
前記発見信号または問い合わせ信号を受信したことに応答して、前記無線電力レシーバ回路で利用可能な前記データを代表する通信信号符号化データ、および前記固有の識別子を生成することと、
前記少なくとも1つのRFアンテナを介して、前記通信信号を前記WPTSに送信することと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記無線電力レシーバ回路は、前記周波数多重化信号を送信したことに応答して、前記少なくとも1つのRFアンテナを介して、前記WPTSからの無線電力信号を受信することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記WPTSからの無線電力信号を受信することは、さらに前記無線電力レシーバ回路の入力部を介して、前記WPTSからの無線電力信号を受信すること含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
プログラム命令を格納した1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記プログラム命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、無線電力レシーバに、
無線電力レシーバ回路に、少なくとも1つの無線周波数(RF)アンテナを介して、無線電力伝達システム(WPTS)からの発見信号または問い合わせ信号を受信させ、
前記発見信号または問い合わせ信号の検出のために、電力ハーベスタ回路に監視させ、
前記電力ハーベスタ回路に、エネルギー貯蔵デバイスに貯蔵するために、前記発見信号または問い合わせ信号からの電力を収集させ、
制御回路に、前記無線電力レシーバの信号生成回路を動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定させ、
前記信号生成回路を動作するために、前記電力ハーベスタ回路によって前記発見信号または問い合わせ信号から収集された十分な電力が存在することを特定したことに応答して、
前記発見信号または問い合わせ信号を受信したことに応答して、変調された後方散乱した信号を作成するために、前記信号生成回路に、前記発見信号または問い合わせ信号を変調させ、
通信信号生成回路に、前記無線電力レシーバ回路で利用可能なデータに基づき、データ通信信号を生成させ、
周波数マルチプレクサ回路に、周波数多重化信号を生成するために、前記変調された後方散乱した信号および前記データ通信信号を多重化させ、
前記信号生成回路に、前記周波数多重化信号を、前記少なくとも1つのRFアンテナを介して前記WPTSに送信させ、
前記周波数多重化信号が送信されたことに応答して、前記無線電力レシーバ回路に、前記少なくとも1つのRFアンテナを介して、前記WPTSからの無線電力信号を受信させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】