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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】植込み型医療デバイス及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20241001BHJP
   A61N 1/365 20060101ALN20241001BHJP
   A61N 1/08 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
A61B5/00 G
A61N1/365
A61N1/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578694
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2022073241
(87)【国際公開番号】W WO2023036588
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/242,137
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21199027.0
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タフ、ブライアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ミドゲット、マデリーヌ アン
(72)【発明者】
【氏名】マクミラン、ブラッド
【テーマコード(参考)】
4C053
4C117
【Fターム(参考)】
4C053JJ18
4C053JJ23
4C053KK02
4C053KK05
4C053KK07
4C117XB01
4C117XB04
4C117XC21
4C117XD27
4C117XE17
4C117XE20
4C117XE24
4C117XE27
4C117XE29
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのセンサと、プロセッサと、トランシーバ・モジュールと、を備え、少なくとも1つのセンサは患者の少なくとも1つの予め定められた身体機能をモニタするように構成されており、トランシーバ・モジュールは外部デバイス60とメッセージを双方向交換するように、すなわち、外部デバイス60から要求メッセージを受信するように、及び外部デバイス60に要求メッセージに応答する対応する応答メッセージ401を送信するように構成されている、植込み型医療デバイス、IMD、40について述べる。IMDの限られたデータ通信スループットを身体機能データ・ストリーミングが可能になるよう最大限に活用するために、プロセッサは、少なくとも1つのセンサによって検出された少なくとも1つの予め定められた身体機能の信号101、107を受信するように構成される。更に、本発明は、IMDを備える通信システム、通信方法、及びコンピュータ・プログラム製品、並びにコンピュータ可読データ・キャリアについても述べる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセンサと、プロセッサと、トランシーバ・モジュールと、を備え、前記少なくとも1つのセンサは患者の少なくとも1つの予め定められた身体機能(101、107)を監視するように構成されており、前記トランシーバ・モジュールは外部デバイス(60)とメッセージを双方向交換するように、すなわち、前記外部デバイス(60)から要求メッセージを受信するように及び前記外部デバイス(60)に対応する応答メッセージ(401)を送信するように構成されており、前記プロセッサは、前記少なくとも1つのセンサによって検出された前記少なくとも1つの予め定められた身体機能の信号(101、107)を受信するように、前記信号を処理し以って身体機能データ(303)を生み出すように、並びに、各応答メッセージを、前記各応答メッセージが前記外部デバイス(60)から先に受信された要求メッセージによって要求された場合にのみ、前記各応答メッセージが前記身体機能データを含むよう、及び、前記各応答メッセージが前記応答メッセージ内の予め定められた場所にデータ状態フィールドを含むよう、生成するように、構成されており、
a)前記応答メッセージが前記身体機能データを含まない場合、前記データ状態フィールドに予め定められた第1の値が割り当てられ、
b)前記応答メッセージが前記身体機能データを含む場合、前記データ状態フィールドに前記第1の値とは異なる予め定められた第2の値が割り当てられる、植込み型医療デバイス(IMD、40)。
【請求項2】
前記データ状態フィールドの長さが1ビット~1バイトである、請求項1に記載のIMD。
【請求項3】
前記生成された応答メッセージ(401)は近接応答メッセージ又は要求メッセージに対する直接応答メッセージである、請求項1又は2に記載のIMD。
【請求項4】
前記身体機能信号はIEGM信号、例えばRA信号(107)及び/又はRV信号(101)であり、前記身体機能データはIEGMデータ(303)、例えばRAデータ及び/又はRVデータである、請求項1から3までのいずれか一項に記載のIMD。
【請求項5】
前記応答メッセージ(401)はイベント情報(103、104)を含む、並びに/又は、前記データ状態フィールドは、例えば、前記身体機能データ(103、104)のタイプ、及び/若しくは前記身体機能データの長さ、及び/若しくはそのデータ分解能、及び/若しくは前記応答メッセージ内の身体機能データ構造(201、203、205)についての情報などの、前記含まれている身体機能データの少なくとも1つの特性についての更なる情報を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載のIMD。
【請求項6】
前記データ状態フィールドは、前記含まれている身体機能データがその少なくとも1つの特性のうちの少なくとも1つを変化させる時点(205)についての情報を更に含む、請求項5に記載のIMD。
【請求項7】
前記プロセッサは記憶バッファに接続されており、前記プロセッサは、前記外部デバイス(60)から対応する要求を受信した後で、身体機能データ(301)が前記記憶バッファに直接且つ継続的に記憶されるように構成されている、請求項1から6までのいずれか一項に記載のIMD。
【請求項8】
前記プロセッサは、前回の空にする操作以降に前記記憶バッファに記憶された前記記憶バッファの身体機能データの完全な内容が、前記記憶バッファから収集され、前記プロセッサに転送されるように適合されている、請求項1から7までのいずれか一項に記載のIMD。
【請求項9】
外部デバイス(60)と請求項1から8までのいずれか一項に記載のIMD(40)との間のワイヤレス・メッセージ転送を行う、通信システム。
【請求項10】
前記外部デバイス(60)はデータ要求フィールドを含む要求メッセージを生成し前記IMDに送信するように適合されており、前記データ要求フィールドには特定の値が割り当てられており、前記IMDの前記プロセッサは前記値から、前記外部デバイスに身体機能データを提供するよう前記IMDが要求されていると推断する、請求項9に記載の通信システム。
【請求項11】
少なくとも1つのセンサと、プロセッサと、トランシーバ・モジュールと、を備え、前記少なくとも1つのセンサは患者の少なくとも1つの予め定められた身体機能をモニタし、前記トランシーバは外部デバイス(60)とメッセージを双方向交換する、植込み型医療デバイス(IMD、40)の通信方法であって、
前記外部デバイス(60)から要求メッセージを受信するステップと、
前記受信した要求メッセージが前記データ要求フィールドに割り当てられた特定の値を含むかどうかをチェックするステップであり、前記IMDは前記値から、前記少なくとも1つの身体機能のデータを前記外部デバイスに提供するよう前記IMDが要求されていると推断する、前記チェックするステップと、
前記少なくとも1つのセンサによって検出された前記少なくとも1つの身体機能の信号(101、107)、例えばIEGM信号、例えばRA信号(107)及び/又はRV信号(101)を受信するステップと、
前記信号を処理し、以って要求される身体機能データ(301、303)、例えばIEGMデータ、例えばRAデータ及び/又はRVデータを生み出すステップと、
応答メッセージ(401)を、前記応答メッセージが先に受信された要求メッセージによって要求された場合にのみ、前記応答メッセージが前記身体機能データを含むよう、及び、前記応答メッセージが前記応答メッセージ内の予め定められた場所にデータ状態フィールドを含むよう、生成するステップであり、
a)前記応答メッセージが前記身体機能データを含まない場合、前記データ状態フィールドに予め定められた第1の値が割り当てられる、又は、
b)前記応答メッセージが前記身体機能データを含む場合、前記データ状態フィールドに前記第1の値とは異なる予め定められた第2の値が割り当てられる、前記生成するステップと、
前記生成された応答メッセージを前記外部デバイス(60)に送信し、以って前記要求メッセージに応答するステップと、を含む、植込み型医療デバイス(IMD、40)の通信方法。
【請求項12】
前記データ要求フィールド内に前記特定の値を含む要求を前記外部デバイス(60)から受信した後で、前記IMDの記憶バッファに身体機能データが直接且つ継続的に記憶される、請求項11に記載の通信方法。
【請求項13】
前回の空にする操作以降に前記記憶バッファに記憶された前記記憶バッファの身体機能データの前記完全な内容が前記プロセッサに転送される、請求項11又は12に記載の通信方法。
【請求項14】
プロセッサによって実行されると前記プロセッサに請求項11から13までのいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を備える、コンピュータ・プログラム製品。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータ・プログラム製品を記憶している、コンピュータ可読データ・キャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植込み型医療デバイスに、特に、植込み型医療デバイス(IMD:implantable medical device)と、好ましくは外部通信ユニットとして機能する外部デバイスとを備える通信システムの一部である、ILPなどのリードレス医療デバイスに向けられている。IMDは患者の健康状態をモニタするように構成され、患者に治療信号を送達するように更に構成され得る。IMDは、患者の少なくとも1つの予め定められた身体機能をモニタするように構成された、少なくとも1つのセンサを備える。身体機能は生理的機能でもあり得る、又は、生理的機能と呼んでもよい。外部デバイスは少なくとも部分的に体外に配置される。本発明は更に、対応する通信システム、通信方法、対応するコンピュータ・プログラム製品、及び対応するコンピュータ可読データ・キャリアにも向けられている。
【背景技術】
【0002】
アクティブ型の植込み型医療デバイス(IMD)、例えばペースメーカ(リード線付き)、植込み型心臓モニタ(ICM:implantable cardiac monitor)、植込み型リードレス・ペーサ(ILP:Implantable Leadless Pacer)、植込み型リードレス圧力センサ(ILPS:Implantable Leadless Pressure Sensor)、植込み型心臓除細動器(ICD:Implantable Cardiac Defibrillator)、又は皮下植込み型心臓除細動器(S-ICD:Subcutaneously Implanted Cardiac Defibrillator)には、患者の健康状態をモニタするために生理学的信号を収集し、その生理学的信号を外部デバイスを使用して医師のデバイスに又は遠隔サーバにデータとして送信する、センサが含まれる。これらの様々なセンサから収集されるデータには、ECG、心内心電図(IEGM:intracardiac electrogram)、例えば両心房及び両心室のデータ、インピーダンス、活動、姿勢、心音、圧力、呼吸、並びに他のデータが含まれ得るが、これらに限定されない。アクティブ型的IMD、例えばペースメーカ、ILP、ICD、ICM、又はS-ICDは電子機器と電源とを含み、そのようなデバイスのあるものは、例えば心腔又は心房内の電気刺激などの治療信号を患者に提供することができる。
【0003】
通常、このようなIMDは、データ処理用のプロセッサと、例えば患者の体内に植え込まれている場合に、外部デバイスとメッセージを双方向交換するように構成された、トランシーバ・モジュールと、を備える。外部デバイスは、IMDのトランシーバ・モジュールと双方向のメッセージ交換も行うように構成されている。外部デバイスは、コンピュータ若しくはプログラマに接続された別個のデバイスであってもよく、又は、コンピュータ若しくはプログラマなどの遠隔デバイス内に統合されたモジュールであってもよい。外部デバイスは、例えば、IMDから患者の健康状態若しくはIMDの状態に関するデータを受信する要求、又は、(患者に適切な治療を施すようにIMDを構成するための)プログラミングを行う要求の形態のメッセージを生み出し、これをIMDのトランシーバ・モジュールに送る。
【0004】
IMD上でのデータの処理、このデータへのアルゴリズムの適用、又は外部デバイスとの通信には、ILPなどの小型のIMDの低電力要件に起因して、アルゴリズムの処理の範囲及び性能が制限されるという欠点がある。このようなIMDでは、デバイスの寿命を犠牲にするリスクを冒して大電力、高性能の通信、データ処理、及びアルゴリズムを実行することはできない。IMDの寿命を延ばしてより長い臨床上の利益を得るためにはより大型の電池を使用せねばならず、このことによりIMDの物理的サイズは大きくなるが、このことは一般に望まれていない。したがって一方では、エネルギー消費が最も少なくなるように、通信インフラ及びメッセージ処理を最適化する必要がある。他方で市場のIMDは、現在の標準治療の一部として、身体機能データのストリーミング、例えばIEGMデータのストリーミングを提供している。このようなデバイスは現在のところ、大きめの内蔵式一次電池を活用する、並びに、それらを患者の解剖学的構造内の浅い位置への設置と組み合わせた場合に、検知及び治療支援が行われる臓器から、又は臓器の一部、例えば各心腔から、身体機能データをストリーミングするのに十分なデータ・レートをサポートする、ワンドレス・テレメトリ機能を活用する、浅い位置の皮下インプラントの形をとっている。
【0005】
リードレス・デバイスでは、IMDは患者の解剖学的構造内のより深い位置に存在し、はるかに小型の内蔵式電源の使用を必要とする。この種のインプラントはしたがって、それらが所与の時間内に外部デバイスに中継できるデータの量を減らすか、又は、同等のレガシ・デバイスのデータ・レートに合わせるためにより大きな電力が必要になるかの、いずれかのトレード・オフに直面する。IEGMデータ・ストリーミングなどの身体機能データ・ストリーミングのサポート機能はしたがって、リードレス製品において、例えばCRM製品などの従来の(リード付き)製品が必要とする標準治療サービスに関して課題となっている。
【0006】
例えば、右心室(RV:right ventricle)と右心房(RA:right atrium)の両方の信号の検知をサポートできるリードレスIMDが知られている。この知られている製品では更に、AV同期ペーシングを可能にするための手がかりとして、心房収縮と関連する心臓の機械的運動を検出するための、加速度計が採用されている。この知られているリードレスIMDを備える知られているシステムは、レガシの心調律管理製品に一般的なwanベース・インフラ又は所望のテレメトリ・サポート・インフラを活用するため、IMDは、より長い体内チャネルにわたって系列通信スキームの高周波キャリアの障害となる減衰効果への対処を余儀なくされるので、プログラマにシグナリングを中継するために、相当な電力出力を示さねばならない。このような状況は、このようなリードレスIMDの内蔵型一次電池の容量がより小さいことと組み合わされると、フォロー・アップ手順において期待される全ての機能性が、IMDの有効寿命の実際の低減という犠牲の下で実現される、という、直接的な結果をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、上記の課題が改善されている、特に、深部に植え込まれるリードレスIMDの電力要求により適した限られたデータ通信スループットを、臨床上有用であり且つかかる製品に期待される標準治療に適合する身体機能データ・ストリーミングが可能になるよう最大限に活用する、IMD、通信システム、及び方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、請求項1の特徴を有するIMDによって、請求項9の特徴を有する通信システムによって、請求項11の特徴を有する対応する通信方法、請求項14の特徴を有するコンピュータ・プログラム製品によって、及び請求項15の特徴を有するコンピュータ可読データ・キャリアによって、解決される。
【0009】
特に、この課題は、少なくとも1つのセンサと、プロセッサと、トランシーバ・モジュールと、を備え、少なくとも1つのセンサは患者の少なくとも1つの予め定められた身体機能をモニタするように構成されており、トランシーバ・モジュールは、外部デバイスとメッセージを双方向交換するように、すなわち、外部デバイスから要求メッセージを受信するように、及び例えば1つの要求メッセージに応答するために、外部デバイスに対応する応答メッセージを送るように構成されており、プロセッサは、少なくとも1つのセンサによって検出された少なくとも1つの身体機能の信号を受信するように、これらの信号を処理し以って身体機能データを生み出すように、並びに、各応答メッセージを、各応答メッセージが外部デバイスから先に受信された要求メッセージによって要求された場合にのみ、各応答メッセージが前記身体機能データを含むよう、及び、各応答メッセージが応答メッセージ内の予め定められた場所にデータ状態フィールドを含むよう、生成するように、構成されており、
a)応答メッセージが上記身体機能データを含まない場合、データ状態フィールドに予め定められた第1の値が割り当てられる、又は、
b)応答メッセージが上記身体機能データを含む場合、データ状態フィールドに第1の値とは異なる予め定められた第2の値が割り当てられる、植込み型医療デバイス(IMD)によって解決される。
【0010】
電力最適型の手法には、ストリーミング支援のために動作させるようプログラマから特別に要求されない限りは、直接メモリ・アクセス(DMA:direct memory access)とリング・バッファ・ストレージをオフにすることが含まれ得る。
【0011】
IMDは、患者の健康状態をモニタするように構成された、上で定義したような植込み型医療デバイス、例えばリードレスIMDである。更に、IMDは、患者に治療信号を送達するように構成されたIMDであってもよい。例えば、IMDは、患者の心臓の心房又は心室内に植え込まれるILPであってもよい。
【0012】
一実施例では、身体機能信号はIEGM信号、例えばRA信号及び/又はRV信号であり、予め定められた身体機能データはIEGMデータ、例えばRAデータ及び/又はRVデータである。
【0013】
IMDは、データ処理用のプロセッサと、外部デバイスにメッセージ(すなわち通信信号)を送り送信するための、すなわち外部デバイスから要求メッセージを受信するための及び対応する応答メッセージを外部デバイスに送るための、送信器モジュール又はトランシーバ・モジュール(例えば、アンテナ又は磁気結合誘導コイル)と、を備える。メッセージは、通信プロトコルにおいて定義されたシンタックス・ルール及びセマンティクス・ルールのシステムに埋め込まれたビット列であり、対応するアルゴリズム及びデータ構造において表現される、及び/又は、それらを用いて理解される/それらによってインターフェースされる。トランシーバ・モジュールによって受信された要求メッセージは、データ処理のためにプロセッサに送信される。逆に、IMDのプロセッサは信号/メッセージの内容を生成し、次いでそれらを、外部デバイスに送る/送信するためのトランシーバ・モジュールに送信する。IMDは、患者の少なくとも1つの予め定められた身体機能をモニタするように構成された少なくとも1つのセンサを更に備え、したがってその対応する信号、例えばIEGM信号、例えばRA信号及び/又はRV信号を受信する。
【0014】
IMDは、データを記憶するためのメモリ(例えば記憶バッファ)、バッテリなどの電源、例えば患者に治療を提供するための電気的又は電磁気的治療信号を生成するための、少なくとも1つの信号生成器などの、更なるモジュールを含み得る。トランシーバ・モジュール、メモリ、電源、少なくとも1つのセンサ、及び/又は信号生成器は、プロセッサに電気接続され得る。
【0015】
IMDのメモリは、揮発性の、不揮発性の、磁気的な、又は電気的な任意の媒体、例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、リード・オンリ・メモリ(ROM:read-only memory)、不揮発性RAM(NVRAM:non-volatile RAM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM:electrically-erasable programmable ROM)、フラッシュ・メモリ、又はその他の任意のメモリ・デバイスを含み得る。
【0016】
外部デバイスは少なくとも部分的に体外に配置されており、プロセッサを有するコンピュータ(例えば、医師デバイス、遠隔サーバ、プログラマ)にワイヤレスで又は有線で接続された別個のモジュールであってもよい。別法として、外部デバイスはそのようなコンピュータの統合されたユニットであってもよい。コンピュータは少なくとも部分的に体外に配置されてもよい。双方向通信の場合、外部デバイスは、メッセージ(信号)用のトランシーバ又は送信モジュール、例えばアンテナ又は磁気結合誘導コイルを備え得る。通信モジュールは、特にコンピュータとは別個のモジュールである場合、プロセッサを備え得る。
【0017】
一実施例では、外部デバイス及びIMDの通信は、電磁波、例えば無線周波数領域内であるBluetooth、WLAN、ZigBee、NFC、Wibree、若しくはWiMAX、又は、赤外若しくは光周波数領域内であるIrDA若しくは自由空間光通信(FSO:free-space optical communication)を使用する、患者の身体及び/又は空気を介したワイヤレス通信であり得る。有線通信(電気通信及び/又は光通信)も可能であり得る。
【0018】
深部リードレス・インプラントの場合、IMD及び外部デバイスによる/これらとの通信のための好ましい手段は、伝導による、音響による、磁気誘導による、及び場合によっては光による方法である。外部デバイスが患者デバイスである場合、これをBluetooth等を含み得る他のワイヤレス機能によって、プログラマに接続してもよい。外部デバイスが患者デバイスである場合、これをWLAN、セルラ・ネットワークなどを介して遠隔サービス・センターに接続してもよい。外部デバイスが単にプログラマのワンド/プログラマ・ヘッドである場合、これは単にこれをプログラマにリンクする有線接続部である。
【0019】
本発明に関して、各プロセッサはそれぞれ、命令制御ユニット並びに演算及び論理ユニットを備える、命令を解釈し実行する、IMD、ユニット、及びコンピュータの機能ユニットと見なされる。遠隔コンピュータ、すなわち、例えばパーソナル・モバイル・デバイス(PMD:personal mobile device)、デスクトップ・コンピュータ、サーバ・コンピュータ、クラスタ/倉庫規模のコンピュータ、又は組み込みシステムなどの、多数の算術演算及び論理演算を含む実質的な計算を人間の介入なしに実行できる機能ユニット。
【0020】
本発明によれば、IMDのプロセッサは、少なくとも1つのセンサによって検出された少なくとも1つの予め定められた身体機能の信号を受信するように、これらの信号を処理し以って外部デバイスによって要求された身体機能データを生成するように、及び対応する応答メッセージを生成するように、構成されている。応答メッセージの生成は、これが予め定められた身体機能データを、あらゆる場合においてではなく、先に受信された外部デバイスからの要求メッセージによって予め定められた身体機能データが要求された場合にのみ含むように、行われる。更に、各応答メッセージは応答メッセージ内の予め定められた場所にいわゆるデータ状態フィールドを含んでおり、その場合、
a)応答メッセージが上記身体機能データを含んでいない(not comprise or contain)場合、予め定められた第1の値が、データ状態フィールド(例えば、値ゼロが割り当てられる1ビットのデータ状態フィールド)に割り当てられる、又は、
b)応答メッセージが上記身体機能データを含む(comprises or contains)場合、データ状態フィールド(例えば、値1が割り当てられる1ビットのデータ状態フィールド)に第1の値とは異なる予め定められた第2の値が割り当てられる。
【0021】
上記のIMDは通信システム内で、外部デバイスとIMDとの間でワイヤレスのメッセージ転送を行うように使用され得る。外部デバイスは、データ要求フィールドを含む要求メッセージを生成しIMDに送信するように適合されてもよく、データ要求フィールドには特定の値(例えば値1)が割り当てられており、IMDのプロセッサはこの値から、外部デバイスに身体機能データを提供するようIMDが要求されていると推断する。要求メッセージのデータ要求フィールドに特定の値以外の値(例えば値ゼロ)が入っている場合には、IMDのプロセッサは、外部デバイスがいかなる身体機能データの送信も要求していないと推断する。一実施例では、要求フィールドの長さは1ビット~4ビットである。
【0022】
上記IMD及び通信システムは、IMD応答内で運ばれる情報を報告するのに適したフラグ(データ状態フィールド)を、IEGMデータなどの身体機能データのブロックを任意のかかる応答の後端部上に(すなわち最後尾部(caboose)として)付加する能力とともに含む、通信パケット設計構造を提供する。このことにより、応答メッセージのデータ構造は、外部デバイスに対して送られた要求メッセージの内容に基づいて、使用者の実際の要求に適合される。この結果、要求されたデータのみが送信され(要求されていないデータは回避され)るが、このことによって、IMDの有効寿命に好影響を与える、及び/又は、他のCMD/応答パケットを中継可能な通信リンク内のスパンが多くなる。トランシーバ・モジュールによって複数の応答メッセージが次々と送られ、以ってメッセージのストリームが形成され得る。更に、外部デバイスは応答メッセージを受信すると応答メッセージの構造についての情報を取得し(例えば、メッセージに身体機能データが含まれているか否かの情報、構造についての他の情報を含むデータ状態フィールドも含まれ得る)、その結果、外部デバイス又はユニットに接続されたコンピュータ内で応答メッセージと共に受信されたデータの、適正且つ信頼できる処理が保証される。応答メッセージの構造についての情報は、身体機能データを外部デバイス又はコンピュータを備えたディスプレイ上に適正に表示するために更に使用される。
【0023】
「~に割り当てられた」という表現は、応答メッセージがそのデータ状態フィールドにおいて、少なくとも上で定義したような第1の値又は第2の値をそれぞれ送信することを意味する。要求メッセージとそのデータ要求フィールドについても同じことが同様に当てはまる。これらのフィールド内での追加の値の送信は、この場合排除はされないが、対応するフィールドの長さに依存する。一実施例では、データ状態フィールドの長さは1ビット~1バイトである。データ状態フィールドが1ビットの場合、例えば、第1の値は値1であり得、第2の値は値0であり得る。データ状態フィールドを使用することによって、IMDは、要求された身体機能データが応答メッセージに付加されているかどうかを示す。
【0024】
一実施例では、要求メッセージは、近接要求メッセージ、すなわち、IMDと外部デバイスとの間のデータ・リンクを維持するための、予め定められた時間間隔で提供される規則的な要求、これは近接コマンド・リレーとも呼ばれる、モニタリング要求メッセージ、すなわち、ある実際の身体パラメータを決定するための要求、プログラミング・メッセージ、すなわち、プロセッサにおいて実行されるコンピュータ・プログラムのあるプログラム・パラメータを設定又は変更するための要求、状態要求メッセージ、すなわち、プロセッサ又はIMDの任意の他のモジュールのある状態パラメータ(例えばバッテリ状態)を提供するための要求、実行要求メッセージ、すなわち、あるプログラム・シーケンスの実行の要求、又は、データ要求/質問メッセージ、すなわち、IMDのデータ・メモリに記憶されているあるデータの送達の要求である。
【0025】
一実施例では、応答メッセージ(IMDが外部デバイスに送信するメッセージ)は、近接応答メッセージ、すなわち近接要求メッセージに対する応答、報告応答メッセージ、すなわちモニタリング要求メッセージに対する応答、プログラミング応答メッセージ、実行応答メッセージ、若しくはデータ要求/質問応答メッセージ-これらは全て、関連データを提供するために必要なシーケンスの終了後のものである-、又は、確認応答メッセージ、すなわちモニタリング要求メッセージに対する、プログラム要求メッセージに対する、実行要求メッセージに対する、若しくはデータ要求/質問メッセージに対する即時応答-これらの全てに対してIMDが対応する要求を受信したことだけを伝える-である。
【0026】
上述したメッセージ(要求メッセージ、応答メッセージ)の各々は、対応する通信プロトコルによる必要な全てのコンポーネント及びフィールドを含む完全なメッセージの場合もあれば、予め定められた最大送信単位に達したために完全なメッセージの一部のみを形成している場合もある。後者の場合、完全なメッセージはいくつかのパケットに分割され、これらは別々に送られる。1つのフィールド(例えば、データ状態フィールド又はデータ要求フィールド)は、予め定められた長さ(例えば、1~4ビット若しくは1ビット~1バイト)を有するメッセージのビット列のある区域、及び/又は、完全なビット列内の予め定められた場所である。メッセージは当然ながら、同期バイト、アドレス指定情報、コマンド、及び応答内容などの他の詳細を含み得るが、そのような内容は、より広範なプロトコルの一部であるが本開示の焦点とは特に関係がないため、本考察からは意図的に除外されている。
【0027】
一実施例では、データ状態フィールドは、含まれている身体機能データの少なくとも1つの特性についての更なる情報、例えば、上記身体機能データのタイプ、及び/又は身体機能データの長さ、及び/又はそのデータ分解能、及び/又は応答メッセージ内の身体機能データ構造に関する情報を含む(データ状態フィールドはそのような情報を含み得るが、そのような内容を中継するための計画は、IEGMデータ内に導入される各種マーカの一部であり得る)。本実施例では、データ状態フィールドに記述される身体機能データの特性は、一方では外部デバイスに応答メッセージの構造についての情報を伝える。例えば、身体機能データの長さ(すなわちビット数)についての情報から、外部デバイスは、身体機能データに属するメッセージ・ブロック(フィールド)の終わりを決定し得る。一実施例では、外部デバイス側のインフラが、受信した任意のデータを適切に時間調整しつなぎ合わせて使用者に表示できるように、この長さ情報を考慮した巡回冗長検査(CRC:cyclic redundancy check)ワードが含まれていてもよい。他方で、含まれている身体機能データの少なくとも1つの特性についての情報により、外部デバイス又は外部デバイスに接続されているコンピュータが、受信した少なくとも1つの身体機能のデータを適正に評価し表示することが可能になる。予め定められた身体機能データのタイプとは、IMDが様々な身体機能、例えばRAデータ及びRVデータをモニタする場合に送信される、データの種類を指す。上に示したように、含まれている身体機能データの少なくとも1つの特性についての情報は、データの分解能(例えば128Hz、64Hz)を含む。システムは、使用者でなくても、選択された単一のIEGMデータ(例えば、RAデータ若しくはRVデータ)の高分解能でのレンダリング、又は、2つのIEGMデータ(例えば、RAデータ及びRVデータ)の低分解能での同時表示のいずれかをサポートするための制御機能にアクセスし得る。このことによって、IMD内の2つ以上の身体機能ソースの、例えばリードレスIMD内の2つ以上のIEGMソースの、ストリーミングされる内容の分解能を構成するための、システム制御機能(製品設計によっては使用者がアクセス可能な場合もある)が提供される。このことによって、ILPなどの深部IMDからの/への低電力送信に必要なより低いデータ・レートの要求にもかかわらず、標準治療のCRM機能が効果的に提供され得る。更に、(例えば心房遠距離場検知テストの一部として)特定のソースの表示が特に望まれる場合、本発明の手法は、その分解能を最適化/向上させるための手段を提供する。別法として、バランスの取れた手法が求められる場合、その手法は、臨床的に関連する信号伝達がどの信号ソースの解釈可能性もあからさまに損なうことなく報告されるように、ストリーム分解能の調整をサポートする。この結果、この実施例は、フォロー・アップのユース・ケースの要求に応じて提示される身体機能ストリームの分解能及び形式をシステムが変更する能力を提供する(例えば、心房検知テスト中は高分解能の心房ストリーミングを行い、それ以外は低分解能のレンダリングを行う)。
【0028】
一実施例では、データ状態フィールドは、含まれている身体機能データがその少なくとも1つの特性のうちの少なくとも1つを変化させる時点についての情報を更に含む。この実施例では、例えば、1つのメッセージの中で、使用者の要求に適合された身体機能の2つの異なる分解能又は異なるデータ・タイプをレンダリングすることが許容される。例えば、選択された単一のIEGMデータ(例えば、RAデータ若しくはRVデータ)の高分解能での送信を、2つのIEGMデータ(例えば、RAデータ及びRVデータ)の低分解能での同時表示へと変更することが可能であり、この逆も成り立つ。
【0029】
追加として又は別法として、(データ状態フィールド内の代わりに)サンプルのデータが変化する場所でIEGMにマーカが導入される。その場合サンプルの位置によって時間が効果的に通信される。
【0030】
一実施例では、応答メッセージ、例えば身体機能データは、身体機能データに、例えばIEGMデータに関連する、任意のイベント・マーカ(これは実際に、身体機能データのソースがいつ変化したかを知るために使用できる)を運ぶために使用される。それらはIEGMペイロード内に埋め込まれる様式で送信され、その場合、例えば、心房検知イベント(例えば心房収縮)、心室検知要素(例えば心室収縮)、心室期外収縮、又はその他を報告するために、1以上のバイトが使用され得る。
【0031】
一実施例では、プロセッサは、記憶バッファに電気的に接続され、プロセッサは、外部デバイスから少なくとも1つの身体機能データを提供する要求を受信した後、身体機能データが記憶バッファに直接且つ継続的に記憶されるように適合される。身体機能ストリーム・データ(例えばIEGMデータ)の管理に関連するオーバヘッドを節約するために、上で概説した要求を支援するための実施例では、直接メモリ・アクセス(DMA)を可能にするためのハードウェア・ベースのアクセラレータを活用する。言い換えれば、プロセッサの集積回路内の「エンジン」が、記憶バッファへの検知したデータの迅速な投入を促進する。一実施例では、このような記憶場所は、身体機能データが外部デバイスから要求されると連続的に満たされる、十分なサイズの回転リング・バッファである。外部デバイス側のインフラからコマンドに応答するか又は通信を維持するかのいずれかの要求(近接応答メッセージ)が入来した場合には、IMDは、その前回の「ダンプ(dump)」操作以降(つまり先行するコマンド/応答インタラクション以降)にリング・バッファ内に記憶された全ての新しい内容を「切り離す(rip)」。一般に、プロセッサは、前回の空にする操作以降に記憶バッファに記憶された記憶バッファの身体機能データの完全な内容が、記憶バッファから取得され、プロセッサに転送されるように構成され得る。
【0032】
同様に、上記の問題は、少なくとも1つのセンサ、プロセッサ、及びトランシーバ・モジュールを含み、少なくとも1つのセンサは患者の少なくとも1つの予め定められた身体機能をモニタし、トランシーバは外部デバイスとメッセージを双方向交換する、IMDの通信方法であって、
- 外部デバイスから要求メッセージを受信するステップと、
- 受信した要求メッセージがデータ要求フィールドに割り当てられた特定の値を含むかどうかをチェックするステップであり、IMDはこの値から、身体機能データを外部デバイスに提供するようIMDが要求されていると推断する、チェックするステップと、
- 少なくとも1つのセンサによって検出された少なくとも1つの予め定められた身体機能の信号、例えばIEGM信号、例えばRA信号及び/又はRV信号を受信するステップと、
- これらの信号を処理し、以って外部デバイスから要求される身体機能データ、例えばIEGMデータ、例えばRAデータ及び/又はRVデータを生み出すステップと、
- 応答メッセージを、応答メッセージが先に受信された要求メッセージによって要求された場合にのみ(すなわち、先に受領された要求メッセージがデータ要求フィールド内に特定の値を含んでいた場合にのみ)、応答メッセージが身体機能データを含むよう、及び、応答メッセージが応答メッセージ内の予め定められた場所にデータ状態フィールドを含むよう、生成するステップであり、
a)応答メッセージが上記身体機能データを含まない(not comprise or contain)場合、データ状態フィールドに予め定められた第1の値が割り当てられる、又は
b)応答メッセージが上記要求された身体機能データを含む(comprises or contains)場合、データ状態フィールドに第1の値とは異なる予め定められた第2の値が割り当てられる、生成するステップと、
- 生成された応答メッセージをトランシーバ・モジュールによって外部デバイスに送信し、以って要求メッセージに応答するステップと、を含む、IMDの通信方法、によって解決される。
【0033】
上記の方法は上記のIMD又は通信システムと同じ利点を有する。更に、送信された身体機能データは、外部デバイスにおいて/外部デバイスで又は接続されたコンピュータにおいて、更なる処理及び/又は表示に使用される。更なる処理には、プログラム・パラメータの適合、対応する患者の治療を適合させるためのデータ評価のための、医療従事者へのデータ転送が含まれ得る。
【0034】
一実施例では、データ要求フィールド内に特定の値を含む要求を外部デバイスから受信した後で、IMDの記憶バッファに身体機能データが直接且つ継続的に記憶される。
【0035】
上記の方法の一実施例では前回の空にする操作以降に記憶バッファに記憶された記憶バッファの身体機能データの完全な内容が、プロセッサに転送される。
【0036】
追加として又は別法として、プロセッサはパケットを組み立て、それを応答として搬出するために存在する。プロセッサはリング・バッファ中のIEGMを単に指し示すか、又はそれを捕捉し、出て行くメッセージの中に押し込むことができる。
【0037】
上記方法は例えば、実行されるとプロセッサに、コンピュータ・ハードウェアによる計算又は制御機能の実行を可能にする、上記及び下記で特定されたコンピュータ命令とデータ定義との組合せであるか、又は、上記及び下記で特定された機能、タスク、若しくは問題解決に必要な宣言及びステートメント若しくは命令から構成された、特定のプログラミング言語の規則に準拠した構文単位である、(IMDによって、特にそのプロセッサ及びトランシーバ・モジュールにおいて実行されることになる)上記方法のステップを実行させる命令を備える、コンピュータ・プログラムとして実現される。
【0038】
また更に、プロセッサによって実行されるとプロセッサに上で定義した方法のステップを実行させる命令を備える、コンピュータ・プログラム製品が開示される。これに応じて、そのようなコンピュータ・プログラム製品を記憶しているコンピュータ可読データ・キャリアが開示される。
【0039】
ここで本発明について添付の概略図を参照して更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】植込み型リードレス・ペースメーカ(ILP:implantable leadless pacemaker)と外部デバイスとを備える、本発明の通信システムの実施例を示す図であり、ILPは患者の心臓の断面内に示されている。
図2】本発明の通信方法の第1の実施例の、RV IEGM信号の形態の身体機能信号と、対応する応答メッセージとを示すスキームを描いた図である。
図3】本発明の通信方法の第2の実施例の、RA IEGM信号及びRV IEGM信号の形態の身体機能信号と、対応する応答メッセージとを示すスキームを描いた図である。
図4】本発明の通信方法の第3の実施例の、RA IEGM信号及びRV IEGM信号の形態の身体機能信号と、対応する応答メッセージとを示すスキームを描いた図である。
図5】本発明の通信方法の第4の実施例の、RA IEGM信号及びRV IEGM信号の形態の身体機能信号と、対応する応答メッセージとを示すスキームを描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1には、実例の通信システム10と、患者30の心臓20(右心室21及び右心房22を有する)と、が示されている。システム10は、IMDの実例としてのリードレス心室ペースメーカ・デバイス40(以下、「ILP40」という)と、外部デバイス60と、を備える。ILP40は、心臓の右心室21内に植え込まれるように、及び、この心室をペーシングするとともに固有の心室脱分極を検知するように、構成され得る。ILP40は、AV同期ペーシングを可能にするための手がかりとして、心房収縮と関連する心臓20の機械的運動を測定するための、加速度計センサを更に備え得る。外部デバイス60を使用してILP40をプログラムするために、プログラマ(図示せず)が使用され得る。外部デバイス60は体外に配置されており、ILP40と双方向通信を行うように適合されている。
【0042】
ILP40は、プロセッサ、データ・メモリ、治療信号(例えばペーシング信号)を供給するための信号生成器ユニット、心室脱分極を検知するためのIEGM測定ユニット及び加速度計センサを備えるセンサ、外部デバイス60とメッセージを送受信するためのトランシーバ・モジュール、並びに電源といったモジュールを備えてもよく、これらのモジュールは互いに電気接続される。電源はバッテリ、例えば充電式又は非充電式のバッテリを含み得る。データ・メモリは上述した任意のタイプのメモリを含み得る。
【0043】
外部デバイス60は、プロセッサ61と、互いに電気接続されているILP40とメッセージを交換するためのトランシーバ62と、を備える。更に、外部デバイス60はプログラマ及び/又は遠隔コンピュータ(図示せず)とメッセージを交換してもよく、プログラマ又は遠隔コンピュータ内に統合されていてもよい。後者の場合、プロセッサ61は、プログラマ又はコンピュータのプロセッサ内に統合することができる。ILP40との双方向のメッセージ交換は、両方向矢印50で記号化されている。外部デバイス60とILP40とのリードレス通信は例えば、音響による、伝導による、若しくは磁気誘導による方法、又は無線周波数帯域内の電磁波によって、促進され得る。
【0044】
以下では図2図5を用いて通信方法の一実施例の動作を説明する。一連の図2図5によって、高分解能及び低分解能のIEGMストリームを管理し報告するための開示される一般的手法をサポートするために使用される相互作用の、更なる精査が行われる。図2図5内では、同様の参照番号はこれらのスキームの同様の要素を指す。
【0045】
図2はIEGM信号、特にILP40の対応するセンサによる、心室収縮103及び心房収縮104のようなイベントを含むRV信号101の、高分解能ストリーミングを示す。心房収縮は非常に多くの場合、RVストリーム内では見えない。マーカ「As」は、RVストリームとは異なる信号伝達を活用する心房自動検出回路を使用して背後で生成された。RV信号101は、ILPセンサによって継続的に測定又は収集され、プロセッサに送信される。これにより、アナログ信号が取り込まれ、デジタル値に変換され、IEGMストリーム内に配置される。プロセッサは、(身体機能データを含む)複数のパケット303によって形成されるDMAリング・バッファによって形成されるデータ・メモリに投入された単一のデータ・タイプ201のみから、高分解能(例えば128Hz)のRVデータ・ストリーム301を生成する。パケット(すなわち303)は単に、任意の時点においてリング・バッファからその始点指標と終点指標との間で引き出された内容である、又はあり得る。バッファから内容が引き出されて外部デバイスへと搬出されるたびに、外部デバイスはパケット用のIEGMペイロードを作成する。外部デバイス60に送信するために、DMAリング・バッファからデータ・パケット303が切り離されて、各応答メッセージ401が身体機能データとしてのRVデータを含むことを示す予め定められた第2の値をデータ状態フィールド内に各々含む、複数の応答メッセージ401が形成される。言い換えれば、リング・バッファの内容がパケットに入れられるのは、その応答パケットが、IEGMが応答の一部として中継されることをプログラマが特に要求したものであった場合のみに限られる。応答パケットには、IEGMを含んでいることを示したデータ状態フィールドが含まれることになる。更に、対応するメッセージ401は、RVデータ内に埋め込まれたイベント・データ(心室収縮103の及び心房収縮104の時点)を含む。このことにより、パケット内のサンプルの位置はイベントの時点を決定するものとなり又はものとなり得、マーカのタイプはどのようなイベントが発生したかを示す。更に、ILPから送られた任意のメッセージ401は、送られたIEGMのタイプ(例えばRV型データ)だけでなく、それが記録される分解能(例えば128Hz)も報告する、パケット開始マーカ403を含む。この手法は、いくつかのソース(例えばRVストリーム101)からの高分解能の内容をレンダリングするためだけに採用され得る。
【0046】
外部デバイス60へのメッセージ401の送信後、メッセージ401から導出されたRVデータ・ストリームを、プログラマの若しくはコンピュータのディスプレイに表示してもよく、又は更に処理してもよい。外部デバイス60はプログラマ又はコンピュータに統合されていてもよい。
【0047】
図2図5では、全てのメッセージ401は同じ長さであるものとして提示されている。このような状態は実際には、コマンド要求が名目上非同期の様式で送られる定期的なプログラマ通信セッションには当てはまらない。示されている状態は、ILP40とプログラマ(及び外部デバイス60)との間の通信チャネルをアクティブな状態に保つ手段として例えば200msごとに送られる近接コマンドによって、通信リンクが単純に維持される状態を、よりよく表している。
【0048】
特定の異なるIEGMソース間(例えば心房のみ又は心室のみの間)の目標を絞った移行を行う状況をサポートするには、図3の構成(outlay)でよく説明できることが分かっている。このスキームでは、上で示したように測定されたRVストリーム101と、アクセラレータによって継続的に検出されたRAストリーム107と、が示されている。使用者が見ることのできるものとしてのRVストリーム101のセクション110及びRAストリームのセクション111において、外部デバイスは、この時点でのレンダリングされたチャネルからの内容(RVストリーム101のセクション111における測定値、又はRVストリーム101のセクション110におけるRAストリーム107の測定値)を使用し、この内容を、これをスケール・ダウン(例えば、RVデータをRA振幅にスケール・ダウン)又はスケール・アップ(例えば、RAデータをRV振幅にスケール・アップ)して他方上に表示し得る(例えば、RAチャネルへとレンダリングされたRVデータ101、又はRVチャネルへとレンダリングされたRAデータ107)。この信号表示管理は専ら外部デバイス(すなわちプログラマGUIディスプレイ)によって処理され、インプラントは111又は110内の内容が使用者に見えるようにする役割を何ら果たさない。この結果、RV型データ201と交互のRA型データ203とを含む、単一パケット303の連続データ・ストリーム301(身体機能データを含む)が提供される。上述したデータ・ストリーム301及びパケット303は身体機能データである。このような手法ではいかなる偽情報の提示も回避されることになるが、報告される心イベント・マーカ・ストリームと結び付き得る、生の信号伝達における全ての重要な要素を示すことが保証されるわけではないことは認めざるを得ない。メッセージ401のパケット開始マーカ403が示すように、RVデータ及びRAデータは高分解能(例えば128Hz)で提供される。サンプル205に示されているようなデータ・タイプの変更に関する情報は、RVデータ及びRAデータ内に埋め込まれている。図2に示す実施例と同様に、ILPから送られた任意のメッセージ401は、送られたIEGMのタイプ(例えばRA型データ又はRV型データ)だけでなく、それが記録される分解能(例えば128Hz)も報告する、パケット開始マーカ403を含む。
【0049】
図3はチャンネルごとの最大分解能が示されているケースを表す。これは特定のフォロー・アップの場合には利益をもたらし得るが、全ての使用者又はあらゆる状態の市場を満足させることを必ずしも保証するものではない。図2に関して説明したデータの場合のように、RVデータ及びRAデータは、外部デバイス60への送信後に表示され得る。更に、グラフィック内のセクション110、111においてデータのギャップをカバーする表示要素を使用者/臨床医に与えるべく、プログラマのGUI設計が創造的な手段を採用してもよいことに触れておくべきであろう(言い換えれば、インプラントからストリーミングされた内容は領域110、111にデータを提供しない)。この種の具現化(Incarnations)には、表示内に単純にギャップを残すこと(つまり、上述したようにデータがこれらの空間を埋めないので、何も示されない)、「データなし」状態を示す特徴を示す形で表示を強調すること(例えば、「グレー・アウト」状態若しくは一連の楕円を挿入する)、又は前の段落で説明したように代替のチャネルのデータのスケーリングなどといった、広範な手法が含まれ得る。
【0050】
図4には、単一のチャネル上で高分解能のIEGM内容を表示する場合(つまり、セクション201に従うRVストリーム・データ101)と、複数チャンネル上で低分解能のIEGM内容(例えば64Hz)を表示する場合(すなわち、セクション206に従うRVストリーム・データ101及びRAストリーム・データ107)とを、システムが切り替わる状況が描かれている。サンプル205において示されているようなデータ・タイプ変更及び分解能変更についての情報は、対応するメッセージ401のRVデータ及びRAデータに埋め込まれる。更に、適用可能であれば、各データ・パケットの冒頭に、対応するデータ開始マーカ403で、2つの異なるデータ・タイプだけでなく、各データ・タイプの分解能も示される。
【0051】
図5に示す最終スキームでは、複数のチャネル(RVデータ101及びRAデータ107)からの低分解能IEGMデータの同時ストリーミングすらも常時サポートされる(データ・タイプ表現206を参照)。複数チャネルのサンプリングは、64Hzであっても心房及び心室の心臓信号に対して臨床的に有用である。
【0052】
パッケージを伴う埋め込まれたマーカは別として、ストリーム内の各データ・サンプルはRAサンプルとRVサンプルとの間で変動し得る。言い換えれば、サンプル5はRAデータ・ポイントである、サンプル6はRVデータ・ポイントである、サンプル7はRVデータ・ポイントである、等である。
【0053】
図2図5に描かれている全てのメッセージ401は第2の値(例えば値1)が割り当てられている1ビットのデータ状態フィールドを含み、以って外部デバイス60に対して、対応するメッセージ401に身体機能データ(RAデータ107及び/又はRVデータ101)が含まれていることを示している。更に、各メッセージ401は、含まれているRAデータ107及び/又はRVデータ101の長さに関する情報を含み得る。
【0054】
上で説明した応答メッセージ401の送信に先立ち、外部デバイス60は、1ビットの長さを有するデータ要求フィールドを含む要求メッセージを送信している。値1はデータ要求フィールドに割り当てられ、以ってRAデータ及び/又はRVデータのデータ送信が要求されていることをILP40に示していた。一実施例では、データ要求フィールドはデータのタイプとその分解能とを示し得る。この要求をトリガーとして、ILP40は要求されたデータの測定及び/又は収集を開始し、上記のようにデータを処理し、送信する。十分なデータが受信されるか又は臨床医がIEGM収集若しくは測定をOFFにするとすぐに、外部デバイス60はデータ要求フィールドに値0を割り当てた別の要求メッセージを送り、以ってデータ生成及び送信が終了することを示すことができる。
【0055】
要約すると、本発明のシステム及び方法は、ILPなどのリードレス製品において、1つ以上の単一IEGMソースの分解能とストリーミング内容のタイプとを構成するためのシステム制御機能(製品の設計によっては使用者がアクセス可能な場合もある)を提供する。
【0056】
臨床的に意味のある信号出力についての上記の見解にも関わらず、VDDモード動作中に心房チャネル内でアクセス可能なアクティブな心房検出窓の外側に実データがないことを考慮すると、収集されたデータのかなりの部分が「平坦な線(flat line)」のゼロ振幅状態を表す可能性がかなり高いことに留意すべきである。このような値の報告は、心房チャネルについての観測可能な状態を反映するものではあるが、リードレス製品によってサポートされるデータ送信スループットにとって、アクセス可能なクロスプロダクト信号分解能(cross-product signal resolution)の最適な使用を示しているとは限らない。その場合、図5のレンダリングよりも図4の構成が支持される可能性が高いが、その理由は、VDD時間中の心房検知窓による、中継されるIEGM信号伝達におけるデータ空間の占有を、より分解能の高い心室検知を優先して回避できるからである。
【0057】
上記の概念の可能な拡張実装(図示せず)として、意味のあるデータが収集され得ないストリームのセグメントではリング・バッファへのDMA転送を一時停止し(例えば、その動きのない(quiet)「ゼロ」部分の間で、あり得る図2bを検討する)、意図する外部デバイスとの協働を管理するのに適したマーカを使用するものが考えられる。この手法は、インプラントと外部デバイスとの間のデータ・スループットの限度を節減することができる(これはつまり「ゼロ」の長いストリームを送るのを回避することによる)が、それでもなお、そのような「非ストローブ(non-strobed)」期間内の任意のイベント・マーカの時間分解能は失われる(すなわち、非信号部分内の「As」、「Vs」等のイベントの位置が、先行実施例のような精度で知られることがない、その理由は、中継されるサンプル内でのそれらの位置が、周囲のヌル・データ・ポイントによってインデックス付けされないためである)。
【0058】
ここでも、図4によって可能になった観測可能な分解能の変化をどのように使用者に報告するかは、外部デバイスからデータを受信するプログラマ又はコンピュータのGUI設計の主題である。この拡張された実施例であっても、より分解能の低いマーカを取り出し心室信号内の形態学的考察との整合を行うためには、プログラマの「賢さ(smarts)」に依存する場合がある。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】